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千葉千代世君 甲府の
女子教員の件でございますが、ちょうどその
あとNHKのテレビで、甲府の
教育長はじめいろいろな方が対談なすったんです。そのときに甲府の
教育長さんがこうおっしゃったんです。私は、
学校運営の中で、男の
先生も、女の
先生も、決して能力が劣っているとは思わない、男女の特質を生かして、そうして
教育の場で十二分の効果をあげることが
教育の民主化であり、それから
教育の推進であると思っている、そういう
意味で、この方針は今後も変える意思はありません、しかし、いろいろ御異論がありましたので、御
意見は聞きますけれども、私の
考えは正しいと思っていますと、要約すればこういう
お話でございました。私はそのときにすぐ、甲府の
教育長に激励電報を打ったんです。世界の情勢、それから日本の婦人教師の発展
状況をからみ合わせて、あなたの識見に敬意を表する、断固進まれよと、こういう電報を打ったんです。
そこで、私は実情を調べてみました。ところが、反対ののろしをあげたのはPTAの方々が多かったわけです。そのPTAの中に賛否両論がございました。賛成なすった方は、PTAの役員の中でも、奥さんがお医者さんなすったりなんかして、一緒によく
家庭の建設、それからいろいろなことについて協力していい
家庭を築いている方方、それから女の方々でもやはり、何といいますか、
教育の民主化という点で非常に熱意を持っている方々、そういう方々、PTAの役員、それからPTAの会員の方が賛成しておりました。しかし、役員の中でも、やはり日本でいままで置かれた女の立場というもの、長い封建社会の中で二重三重の圧迫の中で暮らしておったという情勢の中で、やっぱり上と下との服従的な
関係の中で終始しておったものだから、女の人について実力そのものよりも、何か不安だと、いままでの通念が抜け切れなかったことが多かったようです。
現実にその
先生方がどうであったかということだった。ところが、女の
先生方に伺いますと、しっかりやって、ちっとも心配ありませんと、まことに気力のこもった決意であったわけです。しかし、いろいろの事情で校長さんだけが男の方が行ったわけです。こういうことになって運営されているわけです。
私はそういう点見ていきますというと、甲府の
教育長さんは一つの試案的にそれをやってみましたと、そうして女の
先生がふえていく
段階ですから、最大限に能力を発揮してもらうような道を開いていくということを言われた。ひるがえってみますと、山梨県は戦争直後婦人校長を一ぺんに八人お出しになった。ちょうど吉江さんか、天野さんが知事のときだったか、ちょっと忘れましたが、八人の婦人校長を一ぺんにそろって出したわけです。その八人の婦人校長は非常な識見のある方々であったわけです。それも特質を生かしている。たとえば、具体的に私の調べました
範囲では、一人の婦人校長さんは
——校長
先生が
生徒にいろいろな訓辞をしますね。そういうときですと、いままで立ちっぱなしで長いことやっておった。それを運動場にいすを出して、低学年の
生徒に腰をかけさせる。一人の婦人校長はそういうようなまことに行き届いた
教育態勢をつくっておった。給食
関係とかその他で特質を生かしている。しかも、ほかの問題についても意欲を持ってやっておった。それで、八人の婦人校長はすごくよかったわけです。それで、それと前後しまして全国的に婦人校長はたいへんふえている。全国で婦人校長数は百三十四人、教頭数は約三百人です。東京ですと、婦人校長はことし三十六にふえたわけです。中
学校五人、小
学校三十一人と、こういうふうにふえつつある現状なんです。そういうふうに見ていきますと、全体の趨勢と、それから山梨県甲府の婦人教師の配置という問題が、やはり時代の流れという中で、
教育の民主化の中で果たした役割りというものはたいへん大きいと思っております。
それからもう一つ、甲府で置いた場合に、ただ偶然に置いたのではないということです。世界の情勢を調べていたということです。御承知のように、先進国といわれる国々では、大体小
学校で八〇%から六〇%、あるいは九〇%が女の
先生で、それからだんだん上にいくに従って男の
先生がふえていくという情勢の中で、校長さんも女がたいへん多いわけです。それで、初期の
段階では、男が教頭さんで女が校長さんのときには、いろいろの運営の中でしっかり助け合っていく。逆に女が教頭さんで男が校長さんである場合も同じです。男女の特質を生かした
家庭状況、社会
状況の中で、男も女も、年寄りも若いのもいて、一つの社会単位をつくっておりますから、
学校の場でも、そういうような
職員構成、運営、それは望ましいし、初等
教育の
段階においても特に婦人の特質というものは十分生かされるのじゃないか。こういう世界の情勢に合わした甲府の決断であったということを私は記憶しております。
以上です。