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1968-05-09 第58回国会 参議院 文教委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月九日(木曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————   委員異動  五月七日     辞任         補欠選任      久保 勘一君     井野 碩哉君  五月八日     辞任         補欠選任      井野 碩哉君     久保 勘一君      西田 信一君     北畠 教真君  五月九日     辞任         補欠選任      北畠 教真君     木島 義夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 小野  明君                 鈴木  力君     委 員                 北畠 教真君                 久保 勘一君                 剱木 亨弘君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 中野 文門君                 岡  三郎君                 加瀬  完君                 千葉千代世君                 松永 忠二君                 柏原 ヤス君                 北條  浩君     発議者         千葉千代世君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        大蔵省国有財産        局長       大村 筆雄君         文部政務次官  久保田円次君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        文部省大学学術        局長       宮地  茂君        文部省社会教育        局長       木田  宏君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        大蔵省主計局主        計官       藤井 直樹君        文部大臣官房審        議官       西田亀久夫君        文部省初等中等        教育局財務課長  岩田 俊一君        文部省管理局教        育施設部長    菅野  誠君        自治大臣官房参        事官       皆川 迪夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (国立学校に対する寄付金等に関する件) ○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(千  葉千代世君外一名発議)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨八日、西田信一君が委員辞任され、その補欠として北畠教真君が選任されました。     —————————————
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 教育文化及び学術に関する調査中、国立学校に対する寄付金等に関する件を議題といたします。  なお、政府側から灘尾文部大臣井内文部大臣官房会計課長宮地大学学術局長藤井大蔵省主計局主計官大村大蔵省国有財産局長が出席いたしております。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加瀬君。
  4. 加瀬完

    加瀬完君 一昨日かの新聞で例の福岡の付属小の問題が報道されまして、収賄七名、贈賄九人の起訴ということでございますが、贈賄側で七十七名が調べられ、略式罰金等もあるということでございますが、この福岡大学付属小学校での事件の前提はどういうところにあると大臣はお考えでございますか。検事正の御発言のように、学校教師道義の感覚の麻痺だけが原因だとお考えですか。
  5. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 何と申しましても道義の問題が大きな要因であろうと考えますが、一面におきまして、付属小学校あり方等についても反省しなければならぬ点があるのではないか、そのように存じておるようなわけでございます。返す返すも遺憾なことと存じます。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 常識的に考えて、自分の子供の受験する学校教師に金品を届けて何らやましさを感じないという心情は普通ではないわけですね。しかし、それが半ば公然と行なわれておりましたのは、一体どういうところからそういう関係が生じたと御判断ですか。
  7. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 具体的な的確なことは私はよく承知いたしておりませんが、やはり学校の側におきましても、父兄の側におきましても、ただ入学ということだけでお金のやり取りがあるというふうなことにはなかなかならぬのではないか、あるいはまた平素のいろいろな関係からして、そういうふうな情実が生まれてきておるというふうなことも想像せられないこともないような気がいたすのでございます。そういう意味におきまして、私は学校あり方について大いに反省すべき点がありはしないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 おっしゃるように、当然常識では考えられないようなことが行なわれるというところには、この小学校先生と受験をさせる父兄との間に、そういうことをしても特に怪しまなくてもいい情実があったとしか考えられないわけでございます。それでは、こういう情実といいますか、あるいは条件というふうなものが、どういうところから生まれたとお考えですか。
  9. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いろいろ具体的な関係もあろうかと存じますが、一般的な想像になってくるわけでございますけれども、何かと平素学校のためにお世話になるとか、ごやっかいになるとかいうようなことがあるいはあるのではなかろうか、このように考えております。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 大臣はその間の事情をよく御理解のようでございますが、福岡大学にとどまらないで、国立学校付属小中学校あるいは幼稚園等は、学校施設設備の改善のために、父兄に対しての寄付要請が他の公立学校に比してはるかに強い状況にございますね。これはお認めになりますか。
  11. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 的確なことをよく存じませんので政府委員から……。
  12. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいま国立付属学校に対しまする父兄PTA等寄付の問題についてお尋ねがございましたので、その状況のうち的確に計数として把握されております国有財産関係で大綱を御報告申し上げたいと思います。  加瀬委員に提出申し上げました資料で申しますと、四十一年で具体的に申してみますと、土地建物、その他という区分で、金額にいたしますと約二十四億の寄付採納国立学校でいたしておるのでありますが、そのうちどこから国立学校寄付を受けたかという受けました先を見ますというと、地方公共団体PTA、その他と一応分類いたしますと、PTAから、四十一年度で申しますと、大体七億の土地建物、その他の物件を受納いたしておるということに相なっております。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 これはあと大蔵省にも伺いますが、いま国有財産増加状況でお答えございましたので、昭和三十三年以後の金額に直した総量を申し上げますと、三十三年が六億一千九百万、三十四年が九億三千八百万、三十五年が十三億七千百万、三十六年が十四億九千七百万、三十七年は非常にふえまして三十六億三千万、それから三十八年が十七億九千八百万、それから三十九年が十九億三千九百万、四十年が二十億千百万、四十一年がおっしゃったように二十四億五千八百万ということになっておりますね。これを、文部省がお出しになりました「父兄支出した教育費」というこの三十九年と四十年三月までの統計で見ますと、いわゆるPTA会費は、国立学校の小あるいは中と普通の公立学校の小あるいは中とどういう個人負担金額に差異がございますか。
  14. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 平均いたしまして、三十九年度で学校徴収金PTA会費寄付金、まあこういうふうに分けてみますと、国立付属学校が一万円であるのに対しまして、学校徴収金のほうはあまり違っておりません、九千五百二十二円でございますが、PTA会費のほうは、付属学校が一人当たり四千八百二十六円、公立のほうは五百六十八円でございますので、相当の開きがびざいます。それから、四十年度のPTAを比べますと、付属学校が五千七百七十円、公立は七百五十円ということで、四十一年度は付属のほうは五千七百三十九円でわかっておりますが、公立のほうの調査はできておりません。以上が小学校でございます。ちなみに、中学校を申し上げますと、PTA会費のほうは、付属が六千二百九十七円、公立は七百五十二円、四十年度は付属が六千九百二十二円、公立は九百七十七円、以上のような傾向で、付属学校のほうが七、八倍の比率で公立より高いという傾向になっております。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 一応ですね、この文部省の発表なさいました統計で四十年を押えてみますと、国立学校小学校が五千七百七十円、PTAですね、それから中学校が六千九百二十二円。これに対して、公立学校小学校は七百五十円、中学校は九百七十七円。ですから、小学校は七・六倍強ですね。それから中学校が七倍。こう見てまいりますと、国立学校の小・中学校というものは公立学校に対して非常に負担が過重ですね。この負担の過重の内容はどういうことにありますか。
  16. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これはPTA会費だけの徴収しましたものがどのように支出されておるかという調査が実は正確なものがございませんで、その他の寄付金等を含めましての支出状況しかわかりませんが、一応申し上げますと、大体施設拡充費あるいは設備充実費、こういったようなものにそのうちの三分の二、パーセンテージで申しますと六七%前後のものが施設設備に使われております。それから、そのほかの三〇%余りのものは、先生方研究旅費研究費、あるいは図書購入費、その他給食婦等につきましての謝金とか報酬関係、こういったようなものがその他の中に含まれております。大体、PTA会費だけをとりまして以上申し上げましたようになるかどうかはっきりいたしません、寄付金も含めての支出状況でございます。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 寄付金はですね、三十九年を押えますと、小学校公立に対し五・七倍、中学で六倍、これはお認めになりますね。
  18. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 大体そのとおりと思います。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 私は、昭和三十九年でございましたか、他の委員会で、鹿児島大学の二億二千万、それから名古屋大学施設整備後援会の十三億七千五百三十六万、これらを筆頭に、特に付属学校に対する寄付金を、大阪学芸大、埼玉大、福島、富山、秋田、山梨、三重、山形等の各大学について質問をしたことがあるわけで、その後付属学校に対する寄付金は少しも規制されておりませんで、むしろふくらんでおるわけですね。これは、こういう無制限な父兄負担の増徴というものをお認めになっている理由はどういうことですか。
  20. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) そういう傾向にありますことは遺憾ながらそのとおりでございますが、ただ、言いわけがましゅうございますが、そのようにだんだんと寄付が漸増しておることを、それでよいのだということで文部省認めておるということではございませんで、まことにこれは言いわけがましゅうなりますが、やはり私どもの指導の実があがっていないということは率直に認めざるを得ないと思いますが、さればといって、それを認めるとかあるいは推奨するというようなことを言っておる結果ではございません。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 認めないというわけにはいかぬですね、国有財産受け入れているわけですから。  そこで、文部省所管国有財産増加状況について、昭和三十八年から四十一年まで、概略は先ほど申しましたけれども区分けをして、土地建物、その他の分類をいたしまして、寄付の累計は幾らでありますか。土地は十一億四千二百万、建物は四十四億五千万、その他が二十六億一千三百万と一応私は計算をしたわけでございますが、これはお認めになりますか。
  22. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 三十八年から四十一年度までの国有財産で、寄付受納によりまして増加いたしましたものの数値は、三十八年度、価格で一応見てまいりますと八千二百九十八万一千五百五円、建物十一億五千六百六十六万八千三百八十二円、その他五億五千八百四十二万二千九百六十八円、計十七億九千八百七万二千八百五十五円というのが、三十八年度に寄付受納いたしました価格に換算いたしました総額でございます。  なお、この分類で「その他」といたしておりまするのは、国有財産の取り扱いといたしまして、国有財産法施行細則第五条を根拠といたします国有財産区分種目表というのがございまして、これに基づきまして、国立学校の場合で申しますると、庭木などをもらうことがございますが、樹木、それから材積で算定いたしまする立木、それから工作物、それから学生の厚生活動で使いますボートとかそういう雑船、そういったものが「その他」ということで区分をいたしておりますので、補足いたしておきます。  で、三十九年は土地建物、その他、計が十九億三千九百二十五万四千百七十九円、四十年度が二十億一千百五十四万九千百二十円、四十一年度が先ほど申し上げましたように二十四億五千八百二十一万一千三百七十七円と相なっております。  なお、ただいま申し上げましたのは価格で申し上げましたので、その間、土地建物等につきましては物で受納いたしますので、その時点におきまする評価額が「価格」ということに相なっておりますので、数量におきまする変動よりも少し価格面では上回って出てまいった点をひとつお含み願いたいと思います。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 次の質問に移る前に、いまちょっとお答えの中で確かめておきたいのですが、これは評価額価格算定をしたということになりますと、実際に建物なりあるいは土地なりの売買実際価格というものは、この出ておる評価額よりも上回りますね。上回ると考えていいわけですね。
  24. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) たとえば土地で、PTAから付属のほうに土地寄付したという場合で申しますと、PTA土地を取得いたしました時点と、それから国のほうが寄付受納いたしまする時点と、取得いたしまする時点のほうが先でございますので、寄付受納いたしますまでの間の評価額のこれはむしろアップが通常の例でございます。したがいまして、取得いたしました後援会なり同窓会なりPTAなりが、その財産はまず取得いたしました金額一定額でございますが、それから寄付受納の手続がとられまして、寄付受納ということになりまするので、全般的には取得いたしましたときの価格よりも、国のほうに受納したときの評価額のほうが金額が大きくなっている場合のほうが多いんではないかと存じます。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 大体売買実例評価額よりはるかに上回っておるわけですね。しかし、それは質問本筋でありませんからあとに回します。  主として寄付をした相手方は地方団体PTA、その他の関係者ということになりますか。
  26. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) お説のとおりでございます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 で、四十一年を押えますと、価格にいたしまして土地は九億ですね。それから建物は概算八億、その他は七億。で、この四十一年にそれでは国が同じ土地あるいは建物その他の種目に対して支出をいたしました金額幾らですか。
  28. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 四十一年度の時点で申し上げますると、国立学校特別会計予算不動産購入費という事項を置きまして、不動産購入費といたしまして四十一年度二十七億を一応総額といたしましては計上いたしております。四十一年度二十七億を予算額といたしまして執行いたした次第でございます。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、四十一年度の土地建物、その他の寄付受納総額は二十四億五千八百万ですね。そうすると、二十七億、大体国が支出したのと近いものが寄付によって受納されておるということになりますね。
  30. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいまお答えいたしました点、不動産購入費という事項でお答え申し上げましたが、四十一年度の建物整備いたしまする施設整備費を別事項で計上いたしておりまするので、四十一年度で申し上げますと、国立文教施設整備費ということで三百七十二億三千百五十二万七千円がいわゆる建物関係整備費予算でございまして、それから土地関係購入費が先ほど申し上げました二十七億、したがいまして、三百七十二億と二十七億でございまするので、大体四百億が四十一年度のこれに該当する国費予算かと存じます。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 わかりました。  それでは、三十八年から四十一年までの国有財産寄付受納内訳は、地方公共団体分は、三十八年、三十九年、四十年、四十一年について申し上げますと、一億八千万、二億一千万、四千万、七億七千万、こういうことになっていますね。
  32. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) さようでございます。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 PTA関係からの寄付は、三十八年度以降、一億八千万、三億九千万、四億五千万、七億二千万、それからその他からの寄付は十四億、十三億、十五億、九億六千万、間違いありませんね。
  34. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 端数をまるめました数字は、ただいま先生の申されました数字でございます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省国有財産局長さんにお伺いをいたしますが、文部省のほかにこのように多額の寄付金を受けている省庁がございますか。
  36. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) お答え申し上げます。  詳細は調べてみませんとあれですが、四十一年度だけをとってみますと、先ほど御指摘ございましたように、文部省関係国立学校が二十四億五千八百万円ということでございます。それに対しまして、それ以外の各省は、外務省四億というのが一つございます。あとはもう何千万円単位でございまして、だいぶかけ離れておるようでございます。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 それから、その寄付伸び率——伸び率というのはおかしいですけれども、その伸び方ですね、たとえば文部省厚生省との国有財産に対する寄付増減率を、新しい統計がありませんから、三十三年と三十七年で調べますと、文部省は五八三%の伸び率ということになりますね。厚生省は逆に四三%減っているわけです。各省庁国有財産寄付受け入れというのはだんだん減っておる現況ではございませんか。文部省国有財産受け入れ額は非常にふえておりますけれども、他の省庁は減っておる傾向にありませんか。文部省と同じようにふえておりますか。この間の事情はどうですか。
  38. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) ただいま手元に詳細な資料ございませんですから、断定的にこうだということをちょっと申し上げかねますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、外務省が四十一年度だけ異例に四億という数字が出ておりますけれども、普通ほかの省庁はみな億に至らない何千万円程度でございますので、その間の寄付の推移と申しましても、それぞれ特殊な事情によりやむを得ないものかと存じます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 藤井主計官大村局長に重ねて伺いますが、文部省国有財産寄付受納をやむを得ないものだという御答弁でございましたが、やむを得ないものとして受け入れ前提には、もちろん国の法律なり地方の条例なりには違反しないというたてまえをお認めになってはいるわけでしょうね。
  40. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 私どもは、国有財産を総括する立場で、国有財産法に基づきまして土地または建物を各省庁行政財産として取得なさいます場合に協議を受けますが、その場合に協議に付せられた場合の審査一つ眼目は、法令違反していないかというのが一つ眼目でございます。したがいまして、対地方公共団体からの財産でございますと、地方財政再建促進特別措置法に基づく違反はないかどうかというような点が一つ審査のポイントでございます。そのほか地方公共団体以外からでございますと、これはもちろん法令というわけではございませんけれども閣議におきまして「官公庁における寄附金等の抑制について」という閣議決定がびざいますので、その趣旨に逸脱していないかどうかという点が本筋でございますので、法令違反がないかということについては十分つとめておるつもりでございます。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 主計官に伺いますが、その寄付内容がいいか悪いかは別として、こういう寄付受け入れなければ学校経営ができないという国立学校の現状ですね、これは財政的に何か不合理な点があるとはお認めになりませんか。あなた方がいろいろ文部省予算を査定をし、国立学校予算をおきめになるんですけれどもあとで申し上げますが、こういう強制寄付に類するようなことまでしなければ国立学校経営が成り立たないという、このような予算のきめ方は私は不合理があると思いますが、あなたずっと査定しておってこの間をどうお考えになりますか。
  42. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) お答え申し上げます。  国立学校施設整備というものにつきましては、予算面で従来からできる限り指定してまいったわけでございまして、ここ数年間の平均の伸び率を見ましても一九%程度になっており、それから三十九年度以後五カ年間の予算は約倍額程度になっております。で、いま御指摘になりましたように、国立学校施設について設置者である国がこれを負担するというのが原則でございますけれども、従来からの慣行で、先輩の母校に対する愛情とか、それから父兄、地元の教育に対する熱意ということによりまして、学校施設の一部について寄付が行なわれているということは現実の問題としてあるわけでございます。こういう問題につきましては、施設整備予算が少ないということではなくて、やはり母校愛とか愛情とか、それから教育に対する熱意というようなものから出てまいっているわけでございますので、本来国費負担すべき施設についてまで父兄負担をしいるというようなことはできるだけないように、今後とも予算面で十分努力してまいりたいと思っているわけでございます。
  43. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいまの加瀬委員の御質問につきまして、文部省のほうの側から若干御説明を申し上げたいと思いますが、国立学校に対しまする土地建物寄付採納と申しますか、受納が他の省庁に比較いたしまして非常に大きいわけでございますけれども、私どももいろいろ資料を検討いたしておりまして、たとえば四十一年度に土地を九億受納いたしております。それで、その内訳をいろいろ見てまいりますと、地方団体から六億の寄付を受けておる。  で、その六億の寄付を受けております中身を検討してみますと、これは具体的には静岡大学佐賀大学でございますけれども、この経緯は、両大学とも旧制の静岡高等学校、それから佐賀高等学校新制大学になりましたときに文理学部ということに相なりました。それで、国立学校新制大学になりましたときの発足というものが旧制高等専門学校土地建物のままで新制大学になりましたものですから、大学管理運営等の必要からできるだけこれを統合していこうということになりまして、静岡の場合も佐賀の場合も、教育学部の位置を文理学部の隣に統合して持ってくるという措置をいたしました。そして教育学部あとはそれぞれ地方団体のほうに譲与して、寄付譲与という形で処理をいたしてまいっておるわけでございます。したがいまして、各省庁行政財産に比較いたしまして、国立学校の場合は、校地運動場が相当広うございまするし、国立学校整備一つの課題といたしまして、これを統合してまいるということがございまして、おいてくる財産と新たに取得する財産との関係が出てまいりまして、寄付行政財産数値を求めますると、その寄付譲与寄付のほうの面がずっと出てまいるわけでありますけれども地方団体以外に対しまして譲与という行為も一面行なわれておる。そういう点が各省の行政財産の増減と事情の異なっておる点ではないか、かように存じます。  それから、もう一点、先ほど主計官からお答えいただきましたが、国立学校施設費、不動産購入費、これは三十九年に特別会計制度に切りかわりました際に、特別会計制度に切りかえる積極的理由の一つといたしまして、何とか国立学校施設整備を促進したいということが特別会計に踏み切る一つの積極的理由でございました。で、これは具体的には、国立学校が持っておりまする行政財産国立学校特別会計所属の行政財産とする、この行政財産を処分いたしまする際に出てくるところの収入といいますか、財産処分収入というのは国立学校特別会計の中に収入としてあげてくるということで、三十九年以降、国立学校特別会計制度発足以来、特に施設整備、それから不動産の購入面等につきまして、それ以前と比べまして相当増額を見てまいっておるところでございます。  ただ、先ほど来先生からお尋ねいただいている点でございまするが、国立学校施設整備なり不動産の購入なりの予算が計上されまして、これを具体的に執行してまいるときに、どこに重点を置き、どこから整備を急いでおるかという点になりました際に、具体的に申しますると、付属学校等に父兄のほうから、あるいは金の入って来やすい部分が国費を使っての整備の際に若干力点が置かれる程度が弱くなる、と申しますと恐縮でございますけれども、そういった点が一つの私ども実際に予算を執行する場合にありまして、この際本格的に再検討しなければならない点の一つではないだろうか、こういうふうな考えを持っておりまするので、ただいまの大蔵省のほうからのお答えに対しまして、文部省の側から補足を申し上げた次第であります。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 あとで触れますが、結局、公立の小・中学校に比べて国立大学付属の小・中学校は、文部省局長さんが先ほど御説明なさったように、父兄負担を引っくるめていうと、七倍程度になっておるわけですね。そうすると、普通の公立学校負担にも耐えられないような家庭では、特別な家庭でなければ付属には財政的にはいれない、そうなりますね。そういう特別な教育のいい条件というものを整えなければ教員養成ができないかどうかという問題になりますと、私は非常に問題があると思う。これはあとで触れますが、とにかく特別の経済状態の家庭でなければ付属にはいれないということは、今度の福岡のような問題にも私は引っかかってくると思うのです。それを無条件に受けているということにも問題があるということで質問を重ねておるわけでございます。  そこで、千葉県知事友納武人さんの名義で千葉大学に一億八千九百二十八万、それからいま御説明内容かもしれませんが、静岡市長荻野準平さんの名義で静岡大学に三億四百十七万、それから佐賀県知事池田直さんの名前で佐賀大学に二億四千四百九十七万、それから鹿児島県知事寺園勝志さんの名前で鹿児島大学に三千九百二十一万円、これが受納されていますね。受納した理由は何ですか。国有財産局長に伺います。これが法律違反ではないという、あるいは条例には違反しないという、また御説明閣議の申し合わせには違反しないということで受け入れたと思いますが、受け入れた理由はどういうことですか。
  45. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、私ども、各省各庁が土地または建物につきましてそれを当該各省各庁の行政財産として取得しようとされます場合に、協議をいただくわけでございますが、その場合にいろんな点から一応審査いたしますが、その審査いたします場合、それが寄付財産でございます場合ば、特にただいま御指摘地方公共団体からのものでございますと、地方財政再建促進特別措置法違反していないかどうかという点が審査一つの点になるわけでございます。それぞれただいま御指摘のものにつきましては、私ども文部省からその協議の際にいただいておりますのは、地方財政再建促進特別措置法二十四条の2に基づくところの自治大臣の御承認を協議の際に添付していただいております。したがいまして、自治省におきましてこれは地方財政再建促進特別措置法の二十四条の点から妥当であるという御判断をいただいて協議をいただく、あるいは附則2項に基づいてこれでよろしいという自治大臣からの御承認を添付していただき、私どもそれを承認いたしておるという次第でございます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 地方財政法の十二条には「地方公共団体が処理する権限を有しない事務に要する経費」、こういうのがありますね。それには「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」とありますね。それで、その第六号には「国の教育施設及び研究施設に要する経費」ということがちゃんと明記されているでしょう、地方財政法十二条に。これには違反していませんか。
  47. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 地方財政法にあるいは地方財政再建促進特別措置法はそれぞれ自治省御所管の法律でございますが、地方財政再建促進特別措置法第二十四条の第二項によりますと、国が地方公共団体から寄付を受けます場合、あるいは地方公共団体がその施設を国に移管しようといたします場合に、自治大臣の承認を得たものについてはよろしいというふうになっておるわけでございます。したがって、自治省でそういう御検討の結果自治大臣の御承認をいただいて文部省から御協議をいただいておる、そういう筋合いでございますものですから、その点はそれぞれ地方財政法の関係でも妥当になっておる、かように考えております。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 あとで触れますが、これが承認を受けているかおらないかということは別問題として、地方財政法の基本的な考え方というものは全く忘れておりますよ。第二条には「地方財政運営の基本」というのがございましょう。その二項には「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とありますよ。第四条の五には「割当的寄附金等の禁止」というのがありますね。その中には、「国は……直接であると間接であるとを問わず、寄付金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収……するようなことをしてはならない。」、こうありますね。  具体的に申し上げますと、ある大学では学長が出てまいりまして、これだけの割り当て寄付というものを地元で集めていただかないと学校ができませんからお願いをいたしますと、知事や県議会議長や関係市町村長をみんな集めまして、割り当て寄付をしているわけですよ。それをそのまま受けておりますね。法律違反するんじゃないですか。これは強制寄付じゃありませんか。学長が要請している。あなた、地方財政再建法とおっしゃるけれども、再建法にも「地方公共団体は、当分の間、国……に対し、寄付金法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するもの……を支出してはならない。」とありましょう。しかも、地方財政法の二十八条の二には、「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。」、これは「地方公共団体相互間における経費の負担関係」ですね。知事が音頭をとって市町村に割り当てて寄付を集める、これは二十八条の二にぴったりと違反をするではありませんか。そういうことが行なわれておるんですね。それが先ほど私が申し上げた総額になって出てきている。二十四条の二項で大臣の承認をしたようなものでも、内訳を探ってみると、いま私が申し上げておるような内容のものが多い。これを一体無条件で受け入れて、あなたのさっきおっしゃられた法令違反しない受け入れ方といわれますか。法令違反しないようなかっこうだけとれば無条件に受け入れるということですか。それじゃ閣議の申し合わせ事項というのはどういうことになりますか。地方財政法の基本的な精神というものはどういうことになりますか。大体PTA寄付なんかの公立学校でも問題になっているようなときに、PTAなり地方団体から寄付されたということが明らかなものを無条件に国有財産として受け入れるという態度がおかしいですよ。そうじゃありませんか。法律的にひとつ説明してくださいよ。
  49. 井内慶次郎

  50. 加瀬完

    加瀬完君 いや、あっちあっち。国有財産受け入れたほうが説明してもらいたい。
  51. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 寄付受納するにあたりましては、一定の数量によりまして、取り扱いが、大蔵大臣協議するものと、財務局長協議するものと、財務部長に協議するものと、三つに分かれますが、寄付受納してよろしいかどうかの第一次的判断は大学並びに文部省がいたしまして、その結果大蔵大臣あるいは財務局長、財務部長に協議をいたしておるわけでございますが、四十一年度の先ほど御指摘になりました千葉大学、静岡大学佐賀大学、鹿児島大学、これは、先ほど国有財産局長がお答えになりましたように、自治大臣の承認あるいは地方財政再建促進特別措置法の附則第二項に基づくものでございまして、その内容分類してみますと、先ほど申し上げましたように、国の財産譲与いたしまして寄付譲与という形で自治大臣の承認を受けまして受け入れましたものが千葉大学、それから佐賀大学でございます。それから鹿児島大学の場合は、鹿児島県立歯科大学を鹿児島大学の医学部に国立移管をいたしまして、国立移管をいたしますにあたりましては医科大学財産を国に移管するということでございますが、これも手続といたしましては寄付受納という形で処理をいたしております。それから静岡大学の場合は、新制大学発足当時から統合ということがいろいろ問題になっておりましたので、地方財政再建促進特別措置法の附則第二項に基づきまして法施行以前に約束をなされておったものということで処理をいたしたわけでございます。  なお、地方財政再建促進特別措置法の施行後におきましては、すべて自治大臣の承認を得るか、あるいは附則第二項によるか、あるいは国立移管ということで処理をいたしてきておりまするが、ただいま先生指摘の点は、こういうふうに法令に基づきまして明確な根拠をもちまして寄付受納されていないで、実質的に地方団体負担がかぶさっておるような寄付受納いたしました先といたしましては、後援会とかあるいは拡充整備委員会とか、そういう名前で、現実には形の上では寄付受納いたしておりまするが、実態において地方団体がその委員会とかそういうところに一定額を拠出しておる場合のときの御指摘かと存じます。そのようなケースにつきまして、文部省といたしましても、大蔵省のほうからの御注意もありまして、極力これを制限しなければならないということでやっておりまするが、現実そういった問題がまだあろうかと存じます。  なお、この際御報告申し上げたいと思いますのは、国立の工業高専の土地の問題につきまして、本委員会等におきましてもいろいろ問題があったかと存じますが、国立の工業高専を設置いたします際に地元のほうから土地を準備をしてもらうということをやってまいりまして、これが先ほど先生指摘になりました地方財政法第十二条の規定そのもの、あるいはその趣旨に違反する、いろいろ地方財政再建促進特別措置法の規定並びにその趣旨から見てもこれはいかぬじゃないかという御指摘が本委員会等におきましても行なわれ、かつ本院の決算委員会におきましてもこれが非常に問題になったわけでございます。この点につきましても、現に学校が発足をいたしておりまするので、文部省といたしましては大蔵省国有財産局のほうの御協力、御尽力をいただきまして、国の普通財産との交換ということでその後処理を進めてまいっておるわけでございまして、その状況は、ただいま高専四十四でびざいますが、国有地利用七、交換完了したもの十七、四十三年度寄付一、四十三年度に国有財産、普通財産との交換完了予定大体十、その他目下国有地の選定等を行なっているもの九ということで、先生指摘地方財政法あるいは地方財政再建促進特別措置法の規定の趣旨を、単に形式的にだけでなくて、実質的にもこの趣旨に沿えるようにいろいろと具体的問題に即しまして改善すべきものを改善し、努力してまいらなければならない。文部省といたしましては、いまかようなことでございまするので、先ほどの国有財産局長のお答えに文部省の立場で補足させていただきます。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 いまの国立高専の敷地の問題は、これは全く形式的なつじつまを合わせたにすぎない。たくさんの資料がありますけれども、それは前の予算の分科会でも取り上げられたことがありましたから、私は省いたわけであります。  それで、いまの自治省の認定する根拠として、等価交換の場合、それから原因者負担の場合と、こういう二つに限っておったわけでございますが、千葉大学、静岡大学佐賀大学、鹿児島大学は、全部これは等価交換か原因者負担ということになるわけですか。
  53. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 先ほども申し上げましたように、千葉大学あるいは佐賀大学寄付譲与という扱いにいたしておりまするが、これは国から譲与いたしまする財産と、国のほうに寄付をいたしてもらいまする財産と、両方を寄付譲与の際に一応評価いたしまして、その間の金額の均衡をとっておりまするが、譲与財産のほうが金額的に多い場合もございます。この点は寄付譲与を行ないますのが大体教育学部財産が多うございます。譲与する財産教育学部財産が多うございまして、もと県立の師範だったという経緯等もございまするので、譲与財産よりも寄付財産のほうを大きくするということが実際話し合いの際に困難な場合もございまするし、寄付財産譲与財産金額につきましてはそれぞれの地方団体と実質に即しまして均衡をとって処理いたしております。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 逆じゃないですか。譲与財産は適当に評価をして、結局寄付財産に見合うような形をとっているのじゃないですか。  じゃ、大蔵省国有財産局長に伺いますが、等価交換というならば、これは国有財産として処理するわけですから、あなたのほうで等価か等価でないかを査定したことになるわけですね。法務省とか別のところはみなそうでしょう。法務省と地方自治体で等価交換をしようったって、あなたのほうでなかなか許さない。これはあなたのほうで評価したのですか。査定したのですか。
  55. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 本件財産文部省所管国立学校特別会計所属財産なんでございますから、これは原則として学校あるいは文部省で評価なさって、譲与なり交換をなさる、こういうことでございます。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、これは特別会計財産のときだけはその管理者が査定をするということですか。ほかの各省庁行政財産は全部、これは移動するときには大蔵省で査定をしますね。これだけは別ワクということですか。
  57. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) ただいま問題になさいました譲与の場合は、これは譲与でございますから、無償でやるわけでございます。したがいまして、特に評価のことはあらためてそのときにはやっていないようであります。ただ、取得いたします場合幾らということで国有財産台帳に登載いたしますから、そういう意味で新たな評価を原則として取得される側でなさって受ける、こういうことでございます。もちろん、一般に特別会計所属財産以外でございますと、譲渡その他の処分、これは普通財産としてやるわけでございますから、それは全部大蔵省に来まして、大蔵省で評価して売り払います。新規取得いたします場合には、これは原則として各省庁でおやりになって、私どものほうでそれを協議の際にチェックしていくというのが原則でございます。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 局長さん、先ほど私があげました千葉大学その他を認めましたのは、これは地方財政再建促進特別措置法の二十四条の二項の「あらかじめ自治大臣の承認を得たものについては、この限りでない。」ということで、二十四条の違反にはならないというお話でしたね。違反にならないということの説明で、自治省の岡田純夫君が、わが党の木村禧八郎さんの質問に対してこういう答弁をしておるわけです。「自治省の見解といたしましては、あくまでも国と府県、府県と市町村間の財政なり行政なりの秩序をはっきりするというような見地からいたしまして、先ほどの財政再建特別措置法第二十四条二項によりまして、国等に対して寄付等はしてはならないというふうに、地方団体のほうにいわば戒めますとともに、ただ、政令で特に規定した、自治大臣が承認した場合はこの限りでない。その内容は、等価交換の場合でありますとか、原因者負担の場合でありますとか、制限いたしております。」、こう答弁しております。ですから、これは等価交換かあるいは原因者負担かと伺っている。等価交換か等価交換でないかは、評価をしなければ等価かどうかわかりません。評価はなさっておらない。譲与だから評価をしないというわけですか。等価交換か原因者負担でないと寄付をしてはならない、これは二十四条の二項の解釈だと自治省は公式な見解を出していらっしゃるでしょう。そうすると、等価交換だというはっきりした証拠がなければ認められない。等価交換かどうかは文部省がしてはおかしいですよ。ほかの国有財産のように大蔵省で評価すべきですよ。国有財産受納の対象に対しましては、等価交換かどうかという評価は一切なさらないで、文部省の報告に基づいてただ受け入れているというかっこうですね。あなたのほうは国有財産がふえるわけですから、それでよろしいという御見解かもしれませんが、それでは法律を守っておらない大蔵省ということになってしまうじゃございませんか。
  59. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 地方財政再建促進特別措置法二十四条第二項に基づいて自治大臣が御承認になる場合、自治省でその点を御審査になって御承認になるわけでございますから、その間の処分が等価交換か原因者負担かということは、自治省で十分御審査をいただいて御承認になっておる、そういう前提で、そういう自治大臣の御承認がくっついたものをいただいて、それで協議をしておるわけでありますから、その間の審査の点は自治省にお願い申しておる、そういうわけでございます。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 たとえば、具体例を申し上げますよ。これはあなたがごやっかいになったことじゃありませんか。千葉県の習志野市に刑務所の支所がございましたね。この地域は非常に発展地域になるので、この刑務所を移転してもらいたい。そこで、同じ千葉県の市原市に移転することになりました。ところが、習志野市と法務省でこれの評価をきめるわけにはいかないですね。国有財産局が評価をいたしまして、時価幾ら幾らと定めまして、初め話の出たときよりも、三年なら三年経過しているのだから、時価は何%かつり上がっているのだから、そのころの時価で等価交換をすべきだ、こういう決定をしていますね。これが普通です。国有財産が一方によって失われるわけですから、どこの大学、たとえば千葉大学なら千葉大学国有財産であったものを県、市にやるわけですから、それと等価だということで、新しく千葉大学の敷地なり、あるいは敷地に見合う金額で校舎を建てるという形をとっているわけです。そこでは付属小学校の校舎を建てている。国有財産は県か市かにやっているわけでしょう。これを自治省が評価できるはずのものではないでしょう。国有財産大蔵省が評価するのが当然でしょう。評価してありますか、ありませんかということを聞いているのです。
  61. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 私ども国有財産を総括いたしておりますけれども、直接所管しておりますのは一般会計所属の普通財産だけでございます。そこで、いま問題になさっていらっしゃいますのは、国立学校特別会計所属の行政財産の問題でございますから、したがいまして、直接には文部省で御所管になり、その間処分の場合に私ども協議いただくということで、間接的な立場でございますから、その間の処分の経緯なり価格の問題なりについては直接はタッチしていないわけであります。  ただいまおっしゃいました習志野の場合は建築交換でございますから、しかも一般会計の場合でございますから、たとえば習志野の刑務支所を用途廃止して普通財産にした上でこれを習志野市に売り払う。片一方は、市原のほうに新しく取得する。その両方の評価の点につきまして、片方は普通財産で売り払うわけですから、これはもちろん大蔵省に引き継がれて売り払う。片方は新規取得で、法務省が取得するわけでありますが、その間の評価のバランスをとるために、法務省から評価の依頼を受けまして評価をやる。そういう関係でございますから、若干この文部省の場合と処理のしかたは違うわけであります。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、あれですか、文部省の特別会計の所管にかかる国有財産は、その文部省の特別会計の管理者によって処分をしてもよろしいということになるわけですか。総ワクの上でも国有財産の管理権というものは大蔵省にはないということになるんですか。
  63. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 特別会計所属財産につきましては、行政財産はもとより普通財産につきましても、これは所管省が直接管理処分するわけでございまして、ただ国有財産法に基づいて処分の際に一定の場合に私ども国有財産を総括する立場で御協議をいただくと、そういう立場になっております。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 協議は義務ですか。この場合文部省国有財産関係でおたくのほうに協議をしなければならない義務を負っているということになるんですか。
  65. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 国有財産法第十四条に基づきまして、協議をせねばならないということになっております。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、この問題はどう協議をされましたか。もう少しつけ加えなければならない。協議をされるならば、等価交換が妥当か、あるいは片っ方が安いか高いかという問題が当然協議内容として出てくるわけですね。その経緯をひとつ伺います。
  67. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) たとえば千葉大学の問題でございますと、これは私ただいまそのこまかい内容を承知いたしておりませんが、たとえば学校の教室が県からの寄付ということで、これこれの規模の教室を取得したいということで協議があがってまいります。その場合、取得原因は千葉県からの寄付ということになっておりますと、地方財政再建促進特別措置法二十四条二項に基づく自治大臣の御承認があるかどうかという点を見るわけでございます。その場合御承認がついておりますと、これは地方財政再建促進特別措置法の二十四条に違反していないということでそれは認めるということになるわけでございます。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 等価交換ということは、他の大学の場合は土地土地を交換したという形になっていますから、これは等価であったかどうかという問題になっても、等価交換の方法をとったことは間違いない。直接的に千葉大学の場合は等価交換をしたということで見積もった金額で校舎を建てているんですね。ここまで拡大解釈して等価交換ということになりますか、これ。国有財産からすればですよ、建物というのは何年かたてばもう消滅をするものですよ。しかし、土地というものは消滅しませんね、天災地変のない限りは。ここに一万坪の土地があると、これが一千万円だという、その土地をやるからおまえのほう一千万円寄付をしろと、それで校舎を建てるんだと、こういうことまで二十四条の二項は認めているという解釈ができますか。
  69. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 二十四条の運用の問題は、これは直接には自治省の問題でございます。それで、二十四条は寄付でございますね。寄付による場合でございますから、したがって、等価交換というのは自治省がその寄付は妥当か、いいかどうかという御判断なさる場合に、大体これは金額的に見合うじゃないかという御判断の基礎として持っておられるだけの基準でございまして……
  70. 加瀬完

    加瀬完君 違うんです。さっき御説明したでしょう。この二十四条の二項で許される条件というのは何だということに対してですね、内容は等価交換の場合と原因者負担の場合に限ると、こう言っているわけです。そういう内容寄付なら認めると、二十四条の二項で。だから、土地のかわりに金を寄付するということが等価交換と解釈できるかという問題が出てくるわけです。おかしいでしょう。  等価交換というのはね、少なくも交換という限りは、土地なら土地建物なら建物相互間で交換するなら話はわかるけれども、これは間接交換でしょう。それまでも二十四条の二項では認めておるということになるかどうか。これは認めたということになるからね。むしろ大蔵省に聞くよりは自治省に聞くべきですけれども、自治省を呼びませんでしたから、他の場合で伺わなければなりませんけれども国有財産の管理の衝にあります局長としては、二十四条の二項の解釈をそういうふうに解釈してよろしいかどうかという御見解を伺っておるわけです。
  71. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 地方財政再建促進特別措置法二十四条の解釈は、これは繰り返すようで恐縮でございますけれども、自治省で解釈運用なさっておるわけでございますので、その場合に自治省でやむを得ないということで御判断なさる基準をどういう基準でやるかということが、自治省で持っておられるところのたとえばただいまおっしゃったような等価交換と私どもの等価交換と概念が一緒かどうかわかりませんけれども、そういう財産の増減の点はほぼ大体同じであればよかろうということが判断の基準になっておるかと思います。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 この問題は私は質問しようと思っておるわけではありませんけれども、話が長くなって恐縮ですが、二十四条の二項で特別許される場合はどうなんだということに対して、自治省は正式な見解として、それは内容が等価交換か原因者負担かいずれかの場合に限ると、こうおっしゃっている。  そうするとね、千葉大学の場合を出しますと、これは原因者負担ということにもなりかねないのじゃないか。まして等価交換ずばりというわけにはいかないのじゃないか。そうすると、自治省自身としてはこれは正式な見解の発表とは異なるところの判断をしたということになるんだが、大蔵省はどう考えますかということを伺っているわけです。国有財産の保護をあなた方は総括的には責任をお持ちなんですから、等価交換でなくて、さっき会計課長のおっしゃるように、こちらの都合もありますので譲渡したほうが割りがいいのですということになったら、これは国有財産というものは損するわけですよ。そういうことに自治省がおきめになったから私のほうは引き継いだだけですでは、話はどうもおさまらないのじゃないかと思って伺ったわけです。これは長くなりますから、あとでまた伺います。  そこで、文部省質問を返しますが、この教育費父兄負担ということについて文部省は認識が薄いのじゃないかと率直に私ども考えざるを得ない。この問題で伺いますが、父兄教育費の年次指数の比較を見ますと、お出しになりましたこれによると、三十年を一〇〇といたしますと、小学校は三十三年が一五八、三十六年が一七〇、三十九年が二二八、中学校は、これは一般の学校ですよ、中学校は三十三年が一三四、三十六年が一六五、三十九年が二〇七、高校の全日制は各年度一 ○九、一一四、一二二となって、これらを比べますと、小学校中学校が非常に父兄負担の指数が大きくなっているわけですね。三十年を一〇〇とすると、三十九年は二二八ですから、倍以上でしょう。この増加の大きい原因といいますか、理由は何とお考えですか。
  73. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) ただいま文部省の報告書にあらわれました父兄支出の指数的な変動について御指摘のありましたことは、確かに数表の上では小・中学校が高等学校よりもこの九カ年間において一人当たり大きな割合の数値があらわれております。ただ、この全体の指数というものはそれぞれの年の名目額を中心にいたしておりますので、その実質的な増加がはたしてどのような内容を持つかというものにつきましては、それぞれの年の物価指数なり、あるいは国民の消費水準の変動といったものを含めまして、その意味を解釈しなければならないと思っております。ただいまの御指摘の、三十年から三十九年というものがそこに出ておるわけでありますが、われわれのこの報告書だけの範囲におきましては、小学校におけるこの期間の児童生徒の数の変動並びに高等学校の生徒数の変動等が時期的にずれております期間がこの間に重なっておりますので、これらの数値についていま的確にその根拠を統計資料から御説明いたしかねることを遺憾に存じます。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 それはおかしいですよ。これは一人平均の指数でしょう。だから、生徒の数がふえようが減ろうが、一人平均の数字ですからね、御説明のような形にはならないわけです。具体的な数字を申し上げますと、三十八年と三十九年の教育費の中の家庭教育費、これは全日制高校は五千四百九円と五千七百七十円、これに比べまして小学校は一万三百九十二円と一万二千七十六円、高等学校よりもはるかに家庭教育費が多いわけですね。その内容は、この御説明によりますと、補習授業の費用というものがふくらんでいるんじゃないかと推定をされるわけでございます。これはお認めになりますか。それから、この状態を正常なものだとお考えになりますか。高等学校よりも家庭の子供一人当たりの支出金が小学校のほうが二倍だ。それは大体家庭教育費といいますか、補習授業費に大部分取られておる。これを正常な姿だとお認めになりますか。
  75. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 私どもは実態を調査する立場でございますので、その意味についての行政上の解釈を申し上げることは不適当かも存じませんが、統計数値の上におきましてはただいま御指摘のように小・中学校における家庭教育費がかなり大きな割合を占めておるという事実が出ております。
  76. 加瀬完

    加瀬完君 あらためて大臣に伺いますが、受験戦争と呼ばれるような進学競争というものが激しいので、そのために結局補習授業の費用というものが非常にかさんでくる、それはもう高等学校に入った子供よりは小・中学校の子供のほうによけいかかっておる、これを正常な姿とお認めになりますか。あるいは、正常でないとすれば、これに対して文部省はどういう手を行政的にお打ちになっていらっしゃるか、あわせて伺います。
  77. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) その教育費の増高の内容が何であるかということについて詳細をつまびらかにいたしておりませんが、あるいはお話のようなことで、家庭の負担がふえておるということも大いにあり得るかと思うのであります。入学試験等に関連いたしまして、過度の補習教育が行なわれるという姿は、私は望ましいこととは存じません。その辺の状態を正常な姿に戻してまいるために文部省としては努力していかなければならぬ、このように考える次第であります。そういう指導がもし十分な徹底を見ておりませんとすれば、さらに一そうその点につきましては検討を加えまして、指導の徹底を期してまいりたいと思っております。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 ある県のPTA関係の会合で、こういう意見が出ております。「プールをつくる、ピアノを買うなど教育設備は何一つ父兄の協力なしにはそろわない。結局父兄負担の大きい中心校は設備がととのい、教育効果があがるが、力のない学区は、設備も悪く教育水準も低いという現実の問題がある。」、これはお認めになりますか、こういう傾向を。
  79. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 事実問題として、そういうことは決してないとは言えないと思います。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 これが結局設備のいい付属に子供が集中する。で、福岡のような問題が起こる温床をつくるということにも私はなっておると思うわけであります。  そこで、昭和四十一年度における国立大学付属学校に対するPTA関係寄付のおもなるものは、これから読み上げますが、私の読み上げることで間違いございませんかどうか、お答えをいた、だきます。  千葉大学が五千七百十七万、用途は校舎、体育館、水道、プールその他。東京学芸大学付属世田谷高校、世田谷小学校が千九十六万、東京教育大学駒場中学、坂戸高校その他が九百三十七万、信州大学付属長野小学校、同じく中学が千六百八十一万、愛知教育大学岡崎中学その他が三千五百四十七万、滋賀大学付属が千九百万、京都教育大学付属高校が六千九百五十六万、大阪学芸大付属天王寺小学校、池田中学校、同じく高校、その他もう一つ付属平野中学校付属幼稚園が三億四千四百九十五万、広島大学幼稚園その他が三千百十万、愛媛大学が千七十六万、福岡教育大学福岡分校が千九百三十七万、佐賀大学付属中学が二千六十二万、宮崎大学付属中学が九百七十四万。内訳土地が二億五千万、建物が三億、その他が一億七千万、合計七億二千万。いま申し上げたほかに少額の寄付を入れますと以上のようになるわけでございますが、これは文部省からいただいた資料でございますから、お認めになりますね。
  81. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) さようでございます。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 校舎の寄付が、千葉大学付属小学校が二千五百七十七万、山梨大学付属中学校が三百五十九万、静岡大の島田中学校が六百六十万、愛知教育大の名古屋小学校が千二百五十五万、京都教育大学付属高校が五千五百三十二万、大阪学芸大天王寺小学校が七百七十二万、同じく池田中・高等学校が二千三百九十六万、同じく平野中学校が四千二百五十七万、福岡教育大の福岡分校が千十六万、佐賀大の付属中学校が九百七十四万と、校舎だけで約二億の寄付があるわけですね。これはお認めになりますね。
  83. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) さようでございます。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 これは国有財産局長に伺いましてもちょっと的確なお答えをいただけるかどうか、また質問することが当を得ているかどうかの問題はありますが、一応伺いたいと思いますが、都道府県立の高等学校であれば校舎の寄付ができない法律がございますね。国のつくった法律公立学校には寄付のできないものを、堂々と受け入れているわけですね。しかも、京都教育大学付属高校は五千五百万の校舎のための寄付受け入れているわけですね。一体、国立学校の校舎というのは寄付にまつべきものなんですか。公立学校で禁じているものを、堂々と受け入れていることに対して、国有財産受納をする。国有財産局長は疑問を感じないんですか。校舎そのものを寄付として受け入れるそのことに対して、どうお考えかということが一つ。  それから、公立学校には法律で禁じられているものを、堂々と国立学校では受け入れている。明らかに公立学校であれば法律違反のものを、国立学校では認める、ここに何も矛盾を感じないんですか。  その二つについてひとつ御見解を承りたい。それをあわせて文部省のほうにも同じ問題をお答えをいただきます。
  85. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 先ほど申し上げましたように、国立学校特別会計所属の行政財産の取得でございますので、直接には学校なり文部省において寄付を御採用になるわけでございまして、その際に私どもいろいろお話をいただくというたてまえになっておりますが、その前に、受け入れをいただきます場合に、もちろんその取得が適当かどうか、寄付なりその他が適当かどうかという判断をいたしますと同時に、閣議決定におきまして「官公庁における寄付金等の抑制について、」という閣議決定もございますから、その趣旨に反しないかどうかという点を一応審査いたしまして、したがいまして、当然閣議決定の趣旨にありますように、強制的な割り当ての強要はいかぬとか、あるいは自発的でございましても、国民に過重な負担を課するというようなことに相なってはならぬわけですので、必要最小限度のものでやむを得ない場合、しかも過重負担にならないということで判断していかなければならないわけでございまして、みだりに寄付金でやるということは感心すべきことではないので、あくまで国の施設は原則として国の予算でまかなうのが筋合いでございます。  それから、第二点の公立学校云々といいますか、これはちょっと公立学校の点をつまびらかにいたしませんけれども、私ども承知しているところでは、公立学校等につきましても似たような例も間々あるように承っております。
  86. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 昭和四十一年度にPTAから寄付受納いたしました財産のうち、ただいま校舎につきましてお尋ねをいただいておりまするが、四十一年度のPTAからの寄付受納財産内訳を件数別に一応見てまいりますると、全部で寄付受納の総件数が百十件ということに相なりまして、そのうち校舎関係が十四件で、件数といたしましては非常にやはり大きくなっております。そのほか、件数でわりあい多いのは体育館、それから渡り廊下、それから水道、それから暖房関係の装置、それから中には自転車置き場等もございます。  それで、付属学校の校舎の整備につきましては、文部省といたしまして国立文教施設整備費予算をもって執行してまいるというのがあくまで基本の原則かと存じます。で、一体国立付属学校整備いたしまするときに、国で一応の基準を持っておるわけでございまして、その基準自体は公立よりも若干上回った基準を現実には持っておるわけでございます。具体的に申しますると、小学校の十八クラスで見てまいりますると、公立学校の十八学級の基準面積は三千五十九平米でございまするが、国立の場合は三千六百平米、それから中学校で見ますと十二クラスの場合に公立が二千七百九十五平米に対しまして、国立は三千五百三十平米ということに相なっておるわけでございます。それで、校舎、体育館等につきまして、先ほど先生からも御指摘でございましたが、付属の場合、屋内運動場あるいは校舎等につきましても、放送施設でございまするとか、あるいは特別教室でございまするとか、そういった点につきまして文部省整備いたしまする基準プラスアルファの整備が現地で非常に望まれて、それがPTAのほうからの寄付ということになっておる場合が相当あろうかと存じます。  なお、先ほど御指摘の京都教育大学付属高校の問題につきましては、ちょうど高等学校を設置いたしまする際に私も関係者の一人でございましたが、高等学校の設置につきまして、校舎等についてはPTAのほうで整備を相当程度やるので、ぜひ高等学校の設置をしてほしいといって、全国的な配置を見ましても、京都に付属高校を置くということは文部省の施策から見ても一応妥当でもございまするし、PTAのほうの寄付申し入れを文部省として受け入れた、これが現実の姿でございます。  ただいま御指摘のように、校舎、体育館等、あるいはプールなども非常に最近問題になっておりまするが、こういったものにつきまして、文部省から国費をもって整備する基準坪数で満足できないで、付属学校としてそれぞれ特色のある、個性のある教育活動を展開をいたしまするために、どうしてもそれよりもプラスアルファを求めていくという傾向が相当広範にあるわけでございまして、この問題に対しまして、現時点、四十一年の時点でとらまえました寄付受納の現実から見ました際に、そのPTAからの寄付財産の一体資金がどういう形で徴収され、どうなっておるかというあたりを見ますと、現状の寄付の姿につきまして、やはり本格的に再検討をしなければならないところに文部省としてもぶつかっておるように存じます。これは具体的には先ほど申しました国立文教施設整備の執行にあたりまして、付属につきまして、校舎なり、体育館なり、プールなり、こういったものに対する国費をもって整備いたしまする限度を、やはり再検討をしなければならないのではないかということが第一点。  それからもう一点は、PTAからの寄付が行なわれまする際に、一律に父兄から金を徴収するというふうな形が過度になっておるおそれがあるのではないか。この辺につきまして、文部省といたしましてもこれからの施策の進め方におきまして、国立学校付属学校について国費をもって整備する基準そのものを再検討するという点も踏まえて検討しなければならないのではないか、かように存じておる次第でございます。
  87. 加瀬完

    加瀬完君 私のあげましたところの、詳しくいうならば一億九千七百九十八万、概略二億、これがプールとか、渡り廊下とか、あるいは体育館とか、講堂とか、こういうものは一切含めておりません。純然たる校舎に対する寄付金が四十一年で二億ですね。しかし、二億でとどまらない。前の年度から引き継いでおるのもあれば、後年度にまた受け継がれていくものもありますからね。いま文部省からお答えになりましたが、数年前に私が伺ったときも、文部省としても基準をつくって規制をしていくということであった。規制をするはずのものがだんだんふえちゃったということなので問題にしておるわけです。  福岡大学をたびたびあげますが、いま越境入学などという問題にしても、結局は学校施設とか設備とか、あるいは教育者の陣容とかいうもので学校に優劣を生じて、越境入学という自然現象が起こってくるわけですね。それをとめるのは、やはり公立学校が落ちころびのない一応の基準の施設というものが保たれなければならないわけですね。ところが、公立学校は非常に施設設備が悪い。ところが、さっき言うように、寄付で特別教室をつくる、あるいは放送施設をつくる、教育条件を整えるということで、付属学校だけが公立学校の七倍もの父兄負担によって設備が進められている。それを見のがしていることが問題じゃないかと言うんです。  特に校舎は国の責任だというのですね。国の責任でやるという校舎を寄付金で建てている。文部省は反対であろうとも地方財政法できまったわけですから、都道府県の公立高等学校建物寄付するということはできないわけですね。指導をする上でも、やはりそれはやってはならないという指導を文部省としてはしなければならない立場でしょう。ところが、文部省の管轄の高等学校は、五千万も寄付を受けている。いまの御説明によると、校舎を整備するというPTAの約束であったから、高等学校を認可したんだと。認可をするのは自由でしょう。しかし、県立学校などの公立学校で禁じている寄付金を、国立学校は野放しにして取るというのはおかしいじゃないですか。この点どうですか。
  88. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) PTA等から付属学校寄付が行なわれておりまする状況は、先ほど来から御指摘のとおりでございます。この件につきましては、国で国費をもちまして整備すべき基準自体を再検討していくという観点が一つ。それから、PTA等から寄付がなされておりますものにつきまして、やはり基幹的な校舎等につきましての寄付につきましては、基準の再検討との相関等もございますけれども、できるだけ過度にわたり無理にわたる寄付等は、これをPTAのほうといたしましても、寄付の計画等をいろいろ学校とも事前に相談しながら立ててまいるわけだと存じますので、付属学校に対しまする文部省の指導並びに付属学校におけるPTAのこういった経費面におけるあり方、こういった点につきまして、ただいま御指摘のような状況を減じていく方向に今後努力しなければならないものと存じております。
  89. 加瀬完

    加瀬完君 いま御注意がありましたが、これで一応質問を保留しますが、減じていく方向にあると言っても、十七億、十九億、二十億、二十四億と、ここ数年間は寄付が上昇しているでしょう。それは、私伺いましたように、法律に抵触するのではないかという内容のものまで寄付として受納している。これは大蔵省は自治省の問題だということですから、午後は自治省の関係者を出していただいて、地財法も全然守られておらない形で国有財産寄付受納されているというのは、一体どういうことだということをただしてまいりたいと思いますので、午前中はこれで保留いたします。
  90. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 午前の委員会はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  91. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  午前の委員会に引き続き、教育文化及び学術に関する調査中、国立学校に対する寄付金等に関する件を議題とし、質疑を続行いたします。  なお、政府側より灘尾文部大臣井内文部大臣官房会計課長宮地大学学術局長藤井大蔵省主計局主計官大村大蔵省国有財産局長が出席いたしております。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省文部省の両方に尋ねたいのでありますけれども国有財産寄付受納について、寄付の限界といいますか、あるいは基準というものはどういうものですか。逆にいうならば、国有財産に対して寄付の申し入れがあっても受け入れられないものというものは、あるいは基準というものはどういう点を考えていらっしゃいますか。
  93. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 寄付目的の建物等につきましては、文部省としましては各大学のほうに、寄付物件ができ上がってしまってからではぐあいが悪うございますので、たとえば建物で申しますると、建物寄付工事計画の事前打ち合わせということをやるようにという指導をいたしまして、建物寄付を受けます際には、事前に施設部のほうに当該大学のほうから出てまいりまして、どういう計画でどういう建物をつくるか、既存の建物との配置計画でございますとか、その後におきまする国費をもってする施設整備計画との関係とか、そういった点も事前に打ち合わせをいたしましてから寄付工事に取りかからせるというようなことをいたしておりますが、寄付建物の何平米とかあるいは土地の何平米とか、一定限度以上は寄付を受けてはならぬ、そういうふうな明確な基準というのは文部省としては特に持ち合わしておりませんで、具体的に相談をしながら、というやり方を文部省としてはいたしております。
  94. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 寄付を受けます場合、これは当然行政財産の取得に当たります。したがって、当該行政財産を所管されます各省各庁が第一次的に御判断いただく、その上で私どもは取得の協議に応ずるわけでございますが、その場合、午前中申し上げましたように、地方公共団体でございますと、地方財政再建促進特別措置法に基づく自治大臣の承認書が添付してあるかどうかという点を見て判断いたします。そのほかの一般国民からのでございますと、閣議決定に基づく趣旨から判断いたしまして妥当なものかどうかというような点を勘案して協議に応ずるということでございます。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、午前中に質問しました校舎、これは繰り返すようでありますが、公立の高等学校であれば、校舎の建築に対する寄付金というのは法律上禁じられている。公立の小・中学校でも、いま校舎の寄付金というのはいずれも、割り当てたりあるいはPTAで強制的にしたりするということはほとんどなくなっております。これは妥当ではないということで、ほとんどそういうPTA関係寄付というのはなくなっております。敷地に対しましても、都道府県では高等学校の新設のような場合敷地を寄付させておりますが、これも非常に地方では問題になりまして、そういう方向を是正するようにいろいろ努力が払われておるわけです。ところが、国立学校では、校舎並びに敷地というのが堂々と寄付をされておるわけですね。いま局長のおっしゃるように、これを妥当な寄付と見られるかどうか。また、妥当だという御認定でありましたから受け入れたということになるわけでございますが、同じ国民が国立大学寄付をする場合は妥当である、公立学校寄付をする場合は法律違反である、あるいは妥当を欠く、こういう扱いを受けることになるわけですが、この間の問題をどうお考えですか、大蔵省
  96. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 繰り返すようでございますが、当該行政財産を名省各庁で取得なされます場合に、まずその寄付を採用するかどうかという点は、まず当該各省で御判断いただくわけでございますが、午前中も文部省側から御答弁ございましたように、付属学校等の寄付を受けます場合につきましては、いろいろな経緯があるようでございます。単純でないようでございます。いろいろな経緯に基づきまして、やむを得ず寄付をお受けになる場合が多いようでございます。  しかし、寄付抑制の見地からいきますと、そうみだりに寄付を受けるものではございませんので、やはり第一次的には、できるだけ国が予算措置を生かして、予算でもってやることが筋でございます。しかし、従来のいろいろな経緯から考えてやむを得ずやられる場合に寄付を御採用になるのだと思いますが、そういう場合におきましても、特に一般国民の負担にならないように、みだりにわたらないように十分規制するよう心がけていくべきものだという考えでございます。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 やむを得ず寄付を受けるといいましても、そのやむを得ず受ける限界というものはあるはずですね。そういう限界を、先ほどの御説明では、地方団体でない一般の方からの寄付は、まあ妥当な場合だと、こう御説明いただいたと承ったわけです。妥当な場合というのは一体どういうことなんだと伺うと、やむを得ずということになる。やむを得ずということはどういうことかとまた聞き直さざるを得ませんけれども、繰り返すようでございますが、同じ寄付者が寄付する意思があっても、公立の高等学校の校舎についての建築費に類するものは寄付をしてはならないという法律があって、寄付の意思があっても寄付をすることができないわけです。国立であれば無制限に寄付が可能だということはおかしいじゃないか。地方団体に対しまして寄付を抑制しておるものならば、閣議の申し合わせから考えましても、閣議の申し合わせに寄付の禁止があって、それから少なくも一番寄付の多いのは何だということの論議から、高等学校の敷地や校舎の寄付が非常に地方団体を苦しめておる。それでは一般に対しましても、地方財政の問題があっても、そういった寄付法律で禁止しようということで、財政法の中に、二十三条ですか、それが入っておる。そういう趣旨を生かすなら、国だって建物は当然先ほどの御説明のように、国が負担すべきもので、それを大っぴらに寄付させる、あるいは建物寄付するに見合う金を受け入れるということはおかしいじゃないかということを繰り返して伺っておるわけでございますが、国が地方団体では禁じられておるものを無制限に受け入れるという、この受け入れ方については、国有財産が増加することではありますけれども、一体閣議の申し合わせ事項もあるわけですから、それでよろしいのか、こういう点を繰り返し伺っておるわけです。明確にこの点のひとつお答えを願います。
  98. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) もちろん無制限にみだりに寄付を受けることは決して好ましいことではございません。したがいまして、できるだけ公立学校予算、特別会計予算の中で措置されるべき筋合いのものでございます。したがって、寄付をお受けになる場合でも、やはりやむを得ない場合、しかも必要最小限度、どうしても予算措置との関係等もあるかと思いますけれども、必要最小限度やむを得ない場合にやはり限定されるべき筋合いのものだと思います。そういうことで御判断いただくべきものだと私も思います。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 これは文部省に伺いますが、いままでのように、いかなる対象にかかわらず、寄付を野放しみたいな形にしておくと、各学校の設備施設の格差というものはますます大きくなってまいりますね。先ほど、あるPTAの会合の発言で申し上げましたように、結局、財政負担力の大きい地域は設備がだんだんよくなる。したがって、それがイコールということにはなりませんけれども、他の父兄側から見れば、施設がいいから成績が上がる、そうすると、子供の成績を上げたいというのはだれしも親の願いでありますから、子供の成績を上げたいためには今度は寄付を非常にたくさん集めなければならない、こういうことになるわけですね。その一番寄付の多いのが国立大学付属学校だ。その付属学校寄付というものはおおむね国有財産として受納されるわけですけれども国有財産受納についてのチェックというものはほとんどない。これでは文部省自身が、あるいは政府自身が、学校格差というものを奨励しているような形になるのじゃないか。学校格差というものを黙認するという形になるのではないか。それでは問題になります越境入学も、あるいは受験戦争といわれるような状態も、いつまでたっても解決できないことになるのじゃないか。  そこで、妥当なものとか、やむを得ないものとかいうものを、校舎とか、あるいは体育館、敷地、こういうものは寄付をしてもやむを得ないものといままでは認定しておった。そういう見方でよろしいかどうかという問題が出てくるわけです。これは文部省、いかがでございますか。校舎ずばりを寄付に仰ぐのか、運動場ずばりを寄付に仰ぐのか、あとでも申し上げたいと思いますけれども運動場にしても、平野中学付属幼稚園二億何千万円というものを運動場PTA寄付しているわけですね。一人当たり一体どのくらいの寄付負担ということになりますかね。こういうことを野放しに認めておりましては、これはもう財源のない地域の学校というものはいつまでたっても施設はよくならないということになるわけで、これを全然チェックしないというのはおかしいじゃないか。校舎なり運動場なりというものを無制限に寄付に仰ぐ、こういうことを今後も一体文部省は容認をしていくのかどうか、その点をお伺いします。
  100. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 午前中も御指摘をいただいた点でございますが、学校施設としての基本でございます校舎、運動場等につきましては、四十一年度の結果で出ておりまするように、PTA等からの寄付の姿は好ましくないと存じます。この点につきましては、今後これを抑制する等の指導をいたさなければならないのではないか、さように考えます。
  101. 加瀬完

    加瀬完君 「舗床」、これは「ほしょう」と読むのだと思いますが、これはどういうものですか、寄付金がだいぶ出ておりますけれども
  102. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 校内道路の舗装だそうでございます。
  103. 加瀬完

    加瀬完君 これは床に何か敷くのと違うのですか。
  104. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 国有財産法施行細則国有財産区分種目表というのが別表についております。その中にこの「鋪床」という字句が使われているのでございますが、「石敷、れん瓦敷、コンクリート敷、アスファルト鋪」等と。学校で申しますと、校内道路の鋪装のようでございます。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、さらに伺います。昭和四十一年度、水道施設のためにPTA関係が供与しましたおもなる支出状況は、各学校に対して次のようにとらえて間違いございませんか。  千葉大学付属小学校、水道施設ですね、これに千四百六十二万、同じく幼稚園が七百三十五万、愛知教育大学付属名古屋小学校が七百八十九万、京都教育大学付属高等学校が千四百二十四万、大阪学芸大学天王寺小学校が千四百四十五万、同じく池田中学校が千七十六万、同じく平野中学校九百二十三万、宮崎大学付属中学校九百七十四万。大体一億が水道施設のためにPTA関係からいま申し上げました各学校に出ていると認定してよろしゅうございますか。
  106. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいま御指摘数字でよろしいと思います。四十一年、先ほど申し上げました年でございますが、PTAから寄付受納いたしました件数が百十件ございますが、そのうち私どもの調べましたところでは水道関係が二十六件と存じております。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 いま小さいものはおきまして、五百万円以上のものをあげましても一億以上になるわけですね。  大蔵省に伺いますがね、主計官の方に伺いますが、校舎建設の中には水道工事は入らないのですか。
  108. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) 私あまり技術的なことはちょっと存じておりませんけれども、校舎そのものには水道は入らないという感じがいたします。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 文部省に伺いますがね、校舎の建設費の中には水道工事は入らないわけですか。それから、入らないとすれば、水道工事の費用というのは国としてはどこからお出しになっているのですか。
  110. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 文教施設整備いたします際、学校の校舎、それからプールとかいろいろつくりますけれども、その施設費の中にいわゆる本体工事といわれるものと付帯工事といわれるものと当然あるわけでありまして、本来こういったものは国費でまかなわれるべきものでございますし、工事費の中に当然入るべきものでございます。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、いまあげました四十一年度で千葉大学付属小学校、同じく幼稚園、愛知教育大学付属名古屋小学校、京都教育大学付属高校、大阪学芸大学の天王寺小学校、同じく池田中学校、平野中学校、宮崎大学付属小学校、これは水道工事について、国費幾ら出ていますか。
  112. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 実際の予算の執行にあたりましては、工事をいたしまする量といたしまして何平米つくるか、結局その平米当たりの単価、昔で申しますと坪当たりの単価でございますが、その中に付帯工事の関係のものも入れました単価を配当いたしているわけですけれども、当該学校におきまして、予算の見積もっておりましたよりも平米当たり単価が、質的によりいいものを結局つくったために、その中に本来入っておりました付帯工事費関係寄付のほうに回った、こういうことではないかと思います。
  113. 加瀬完

    加瀬完君 国立学校には国立学校としての、特に小学校とか中学校というのは規模は大体似ているわけですから、したがいまして、学級数も校舎全体の坪数等も大体類型のものが多いと思うのです。そこで、付帯工事としての水道工事もどの程度という基準は本来あろうと思うのですね。それが水道工事の寄付だけが千四百六十二万とか千四百二十四万とか千四百四十五万ということになりますとね、これは全体の大学ではなくて、千葉大の付属小学校とか天王寺小学校とか限られた一つ学校に対してそうなりますと、寄付をすれば幾らでも、水道なら水道と、これは基本的な一つの工事施設でありますのに、それも無制限に学校格差を生ずるような寄付受け入れをするということは、これはおかしいじゃないですか。
  114. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 先ほど申した国有財産区分種目表でいろいろこういう国有財産関係の用途区分分類いたしておりまするが、その際の「水道外」だとかあるいは「水道」ということで区分をいたしておりまする工作物につきましては、水道のみならず、たとえば下水関係とか、築庭関係とか、それから貯水池の関係とか、少し範囲を広く実際はとっておるようでございます。したがいまして、先ほど申し上げました付帯工事関係のものが一応国有財産の整理におきましては「水道」あるいは「水道外」という区分に相なっておろうかと思いますので、いわゆる狭い意味におきまする水道のみではないと存じます。
  115. 加瀬完

    加瀬完君 「水道外」というのもあれば「水道」だけのものもありますね。たとえば千葉大学の附属幼稚園は水道が二口になっております。七十七万三千円と、六百五十八万五千三百四十円、こういうようになっておりますね。それから、東京教育大学の駒場中学校でも水道だけで百三十万円、あるいは信州大学でも水道だけで百六十六万円と、こういうように水道だけのものも非常に多いのですね。いずれにしても——貯水池は別ですよ。水道というのは本体の学校工事に入るべきものですね。それを一千何百万円という寄付を集めなければ水道の施設ができないということは、これは過剰な施設という見方も成り立つわけですね。そういう過剰な施設というものを寄付があるところに認めておれば、寄付のないところは結局、かりに過剰な施設でないという認定をするならば、片方は不足な施設になる。膨大な費用を集めないで、一応の基準の水道なり何なりの施設をするというものを標準にするならば、片方は過剰施設と言わざるを得ない。過剰施設であろうがなかろが、これを無制限に認めているというところに問題があると思うわけですよ。そういう一般の学校とはかけ離れた特別な施設の中でだけ付属の子供だけが教育をされるということは好ましいという御認定ができますか。この点、どうですか。
  116. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 先ほどお答えいたしましたように、平米当たり単価あるいは坪当たり単価の範囲内で工事がなされないで、結局平米当たり単価なり坪当たり単価なりがオーバーいたしました場合に、それを国費の部分と寄付の部分とどちらに寄せておるかという問題も一つあろうかと思いまするので、学校の個々具体の場合に「水道」とあげられておる部分が直ちにプラスアルファ部分であるかどうか、その点はちょっと私も事情を明らかにいたしておりませんので……。
  117. 鈴木力

    ○鈴木力君 関連。いまの答弁ではっきりしておきたいことは、何かよくわからなくなるのですが、付帯施設予算を建築費のほうに回していって、結局平米当たりの単価が足りなくなるから本体工事に回す、その場合に付帯施設のほうが予算がなくなるから、それは寄付で取る、そういう場合は、付帯施設寄付というのは是認をするという立場で答弁をされているのか、付帯施設そのものも寄付というのはよろしくないという立場で答弁をされているのか、その立場をはっきりしておいていまの答弁を続けてもらいたいと思います。どっちですか。
  118. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいまお答えいたしておりますのは、四十一年度の時点におきましてどういう事実と相なっておるかということでお答えを申し上げておるのでございます。
  119. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうすると、事実として、国立学校の建築の場合に付帯施設工事費の予算を本体工事に回す、そして付帯施設の分は寄付でまかなっている、そういう事実があるということを御答弁いただいたわけですね。
  120. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 四十一年度の実情を見ますと、寄付の物件の中で、建物関係で特に付属学校等が多うございますけれども、そういう形が寄付を受けておるものが相当数あるということでお答えをいたしたわけでございます。
  121. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうすると、是非についてはまだ御答弁がないわけですけれども、これは加瀬先生質問あとで、是非については相当ぼくらも意見がありますので、これは一応保留しておいて、次に進んでもらいます。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 自治省の皆川参事官がいらっしたようでありますので、伺いますが、午前中、千葉大学、静岡大学佐賀大学、鹿児島大学に対して、千葉県知事、静岡市長、佐賀県知事、鹿児島県知事から多額の国立学校に対する寄付が行なわれておるわけです。これをどうして受け入れたかという質問をいたしましたら、地方財政再建促進特別措置法の二十四条の二項で自治大臣が承認をしたからこれを認めたと、こういうことでありました。  そこで、伺うのですが、あなたのほうの岡田純夫さんが三十九年の三月二十六日の参議院の予算の第二分科会で私どものほうの木村禧八郎さんに次のように答えておる。「自治省の見解といたしましては、あくまでも国と府県、府県と市町村間の財政なり行政なりの秩序をはっきりするというような見地からいたしまして、先ほどの財政再建特別措置法第二十四条二項によりまして、国等に対して寄付等はしてはならないというふうに、地方団体のほうにいわば戒めますとともに、ただ、政令で特に規定した、自治大臣が承認した場合はこの限りでない。その内容は、等価交換の場合でありますとか、原因者負担の場合でありますとか、制限いたしております。」と、こういう御見解が発表されておりますが、このとおりですね。
  123. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) まあ、大体御趣旨はそのとおりでございますが、法律的にいいますと、交換の場合にはいわゆる寄付ということではありませんので、等価交換をするという場合には法律上制限にならないわけでございますが、一般には同額程度のものをそれぞれ無償譲与をすると、こういう形態をとっている場合があるわけであります。こういう場合には、実質は交換でございますけれども、これを政令でその制限から解除をするという取り扱いをいたしております。  なお、原因者の場合については、いまお尋ねのとおりになっております。
  124. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、千葉大学と静岡大学佐賀大学と鹿児島大学、具体的に申し上げますと、千葉県知事友納武人さんの名前で付属小学校並びに学生宿舎に対して合わせて一億八千九百二十八万、静岡大学学校敷地として三億四百十七万、佐賀大学佐賀県知事池田直さんの名前で、土地学校敷地ですね、これに二億四千四百九十七万、鹿児島大学はやはり知事の寺園勝志さんの名前で三千九百二十一万円、これは全部自治省で承認をしたわけですね。承認の理由をひとつお話しいただきましょう。
  125. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 実はあらかじめ個々の事件についてお聞きしていなかったので調べてまいらなかったのでありますが、そのうちの千葉大学につきましては、千葉県のほうで前々から文化センターをつくりたいということで土地を物色しておったわけでありますが、千葉大学の教養学部のあとがあいているということで、それをひとつ県のほうに譲っていただきたい、それについては、大学整備計画においてこれが有力な財源であるというような事情もございまして、千葉県のほうで施設寄付をするということで、実際上はそれぞれ国有地を無償で県のほうでいただいて、それに相当するものを県のほうで国に寄付をする、こういうたてまえをとったわけであります。したがって、これについては法の精神に反することもないであろうということで私のほうで許可をいたしたわけであります。  なお、佐賀県の場合につきましても、これは土地を相互に、国有地をもらい、また県の土地を国のほうに提供したという事情でございまして、ほかの二つの例につきましては、ちょっといま手元に持っておりませんが、大体同じような内容ではなかろうかと思っております。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、この場合、千葉の場合でも、佐賀の場合でも、交換をしたということならば、等価価値というものは認定されなければならないわけですね。あるいは原因者負担の原則で、原因者であったかどうかということが認定されなければならないわけですね。そうすると、これは両方とも等価交換をしたということで認定したということですか。
  127. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 千葉県の場合につきましては、等価交換ではございません。どちらかというと、県のほうで国からいただいた土地価格のほうが相当高いようでございます。したがって、手続としても等価交換ということではなくて、無償で国は土地を県に譲与する、県は建物を国に寄付をするということでいたしております。
  128. 加瀬完

    加瀬完君 国有財産局長に伺いますが、無償で譲与するということは、国有財産の場合、他の場合あり得ますか。
  129. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 国有財産法におきましていろいろな場合に無償譲与し得る場合がございます。詳細のことは省略いたしますが、国有財産法二十八条あるいは国有財産特別措置法第五条によって譲与が可能でございます。
  130. 加瀬完

    加瀬完君 千葉大学の場合は地元が、損得というとおかしいが、得したわけです。得したことが許されるなら、損する場合も許されるという形になりますね、これは。私は、千葉大学佐賀大学を問題にしているわけじゃないのですよ。法律で禁じられている寄付を、条件緩和の別のワクで無条件に許しているということになりますと、これは法律の精神からいっておかしいじゃないか。地方負担を転嫁させてはならないという別の法律もあるのに、知事なり市長なりが国立大学寄付をする、それは二十四条の二項のただし書きのほうでこれを大目に見る、その大目に見る条件は何だといったら、等価価値の場合と原因者負担の場合だけ。原因者負担の場合は別として、等価価値の場合だと言うから、それでは千葉の場合や佐賀の場合はというと、必ずしも等価価値ではない、地元が得している場合いいので、無償でやったんだと。それならば、逆に一千万円の土地をもらって一億の寄付、逆に一千万円の譲与をされて一億の寄付というものも、等価価値というものを厳格に守らなければ、これは二十四条の二項で許されるということになりますね。地元が得をした場合だけ許されるという法律ではないわけですからね。では、二十四条の二項は全く空文じゃないか。
  131. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 二十四条の二項は地方団体の立場から国に対して理由のない寄付をしてはいけない、こういう趣旨で書いてあるわけでございます。地方団体のいろいろな仕事に対して国がいろいろな助成をするということは、いろいろな形であり得るわけでございます。そのことは国の財産の処分なり、あるいは予算のたてまえで判断をされるべきことだろうと思います。したがって、この財政再建特別措置法の精神は、地方団体に理由のない負担をかけてはいけないと、こういうことでございますので、私たちとしては、それぞれ無償で譲与をし合うという場合に、地方団体負担をかけないということであれば、お互いにそれを希望しておるのであれば差しつかえないのじゃないかというふうな基本的な考え方をとっておるわけでございます。もちろん、それだからといって、どんなことでも許されるというわけではございませんけれども、いま加瀬先生から御指摘のありましたような、地方団体が一億のものを国に寄付するかわりに一千万円のものをもらう、こういうようなものは当然これは再建法の精神に照らして許されない、承認を与えるべきものではないと思います。なお、佐賀大学の場合を見ましても、土地評価額は県の譲与を受けた土地のほうが高くなっておるようでございます。したがって、ほかの例につきましても、ここに資料は持っておりませんが、同じような考え方で措置をしておるのじゃないかと思います。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 午前中来ていただきませんで、質問が途中からでおわかりにくいと思うのですけれども、四十一年度にPTA関係からの寄付だけでも国立大学に七億円以上あるのです。自治体の寄付も多い。その中に、いま出されたような問題がある。で、千葉大学に対して千葉県知事友納武人さんは一億八千九百万、それから静岡大学に対して静岡市長の荻野準平さんの名前で三億四百十七万、こういう寄付がある。で、この寄付は一体地財法の違反じゃないかと聞きますと、それは二十四条の二の自治大臣の認可をしたものだから違法ではございませんと、こういうわけです。自治大臣はどういう場合に認可するのかということで、同じ質問が前に繰り返されましたから、岡田純夫君の答弁を聞くと、等価交換の場合と原因者負担の場合だと。これは原因者負担の場合じゃないから、じゃ等価交換をしたのかと聞くと、等価交換じゃございません、地元のほうがはるかに得をしていますと、こう言った。じゃ等価交換が一つの基準ということにならないじゃないか。千葉の場合は、地元が非常に得をしたということですけれども、等価交換という原則が認められたとするならば、極端な例をいえば、一千万の土地を取得して一億の寄付ということもやっぱりこれは自治大臣は認可するということにならざるを得ないじゃないか、それでは一体地財再建法の二十四条というものは空文じゃないかと、こういう点を伺っておるわけです。
  133. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 先ほど申しましたように、地方団体に過度の負担をかける、こういうような実質上の交換については、自治省としては許可をするという考えは持っておりません。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 等価交換という原則は、一体自治省はくずしているのか、この点はどうなんです。
  135. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 財産でございますから、主として財産の場合が多いと思いますので、評価額がぴったり一致をすると。で、差額を清算するというような場合はなかなか少ないであろうと思います。まあ大体等価に近いものであれば、厳密にその金額が合わなくても、特に地方団体の取り分のほうが多いというような場合については、その辺は差しつかえないのじゃないか、再建法の趣旨にも反しないのじゃないか、というように考えておるわけでございます。
  136. 加瀬完

    加瀬完君 地財法で、先ほども申し上げたわけですが、たとえば第二条の二項、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」ということがありますね。で、これはいまの場合には、千葉大学や静岡大学の場合は地元が得しているのじゃないかということにもなりますけれども、この三十三年ごろから以来、全部こういうケースばかりではないのですよ。地元がまるまる寄付しているのも多いですよ。しかも、十二条はどういうことになっていますか。地方公共団体が処理する権限を有しない事務に要する経費は地方団体負担していけないということになっている。国立学校は国の経費によってまかなうべきものでしょう。それを等価交換だとかいろいろうまいことを言って、結局地方団体寄付しておるわけですね、国立学校に。それをあなた方のほうは、最初に高専なんかのときにもたくさんの問題があったときには、等価交換でなけりゃ敷地を提供しないということを再々自治省は答えているわけです。いまは、お答えになりますと、一体二十四条の二項というものをどう考えているのです。二十四条だけじゃないですよ。それから、地方財政法の二十八条の二も、「地方公共団体相互間における経費の負担関係」ということがある。この趣旨からいったって、負担の義務がないところに寄付をするということはおかしいでしょう。それを二十四条の二項で解釈するというのはおかしいじゃないですか。
  137. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、二十四条の精神は、財政法と同じように、地方団体に理由のない負担をかけてはいけないということでございますので、ただいま申しましたように、そういう実態がなければ、形式は交換という形式をとっていなくても、法律の精神に反するということがないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、もちろん、そのほかの地方団体相互間についても、あるいはまだ十分に守られていない点があるかと思いますが、これらの点については逐次是正をしていきたいということでつとめておるわけでございます。
  138. 加瀬完

    加瀬完君 くどいようですけれども、地財法の十二条は、「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」「前項の経費は、左に掲げるようなものとする。」ということにして、第六号に、「国の教育施設及び研究施設に要する経費」ということがあるのです。原則としては地方公共団体国立学校などに対して寄付をするということは、これは認められておらない解釈でしょう。
  139. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) そのとおりでございます。
  140. 加瀬完

    加瀬完君 それなら、この地財法の精神というものから類推すれば、形を変えた交換とかなんとかいうことであろうとも、これを内容を検討せずに二十四条の二項でみんな網をくぐらせるということはおかしいじゃないかということを言っているわけです。  もう一つ、時間もありませんから伺いますが、地財法では都道府県の高等学校に対する校舎の建築の寄付は禁じておりますね。ところが、地方団体からも、あるいは一般の住民からも、国立学校付属の高等学校寄付というものは無制限に取っているわけです。これを自治省としてはどうお考えになりますか。
  141. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) これは地元の市町村が寄付をする場合でございましょうか、そういうことであれば、いまお話のありました地財法の十二条に違反をするということになるわけであります。
  142. 加瀬完

    加瀬完君 いや、市町村への割り当ても、ありますれば、一般のPTA、住民に対する寄付もございます。一般の住民に対する寄付でも、県立高等学校の建築に対しましては寄付はできないということになっているでしょう。国立の場合はいいということで、それが行なわれているわけです。この不均衡を自治省としてはどうお考えになりますか。
  143. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) この点については、法律上は私の知っている限りははっきりした禁止規定はないと思いますが、事柄の実態は何も変りがないわけでありまして、そういう実態上の行為は遠慮をしなければならないというふうに考えております。
  144. 加瀬完

    加瀬完君 それで、単に都道府県、市町村に限らず、国立学校に対する寄付が非常に年々増加しているわけです。その中で地方公共団体を見ますと、三十八年以降一億八千万、二億一千万、四千万、それから七億七千万というふうにふえている。それからPTAなんかは一億八千万、三億九千万、四億五千万、七億二千万。財政法二十八条の二は、とにかく負担義務のないものに経費を負担をさせてはならないという原則です。この原則は国立学校に関する限りは守られておらないわけですね。地方団体がやはりたくさん、四十一年は七億七千万も納めている。自治省としてはどうこれを把握しておりますか。
  145. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 先ほど申しましたように、地方団体については、私はそういう経費支出はないのじゃないかと思っておりますが、ただ、これも実質上の交換を、自分のほうでいただく分をあげないで、そうして国のほうに差し上げた分だけがそこに載ってくるということになりますと、多額の寄付をしたような形になるかもしれませんが、財政法の精神というものは実質的な負担のことをいうものと思いますので、そういう対価が実際上ある場合にはこれは地方団体負担にはならないのじゃないかというふうに思うわけでございます。もしそういった対価がなくて、ほんとうに実際上の地方団体負担になることがあるということであれば、私たちはどうしてもこれは是正していかなければならぬというふうに考えております。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 これは決算等の調査を毎年自治省はおやりになっているわけですから、自治省自体としても、これが等価交換によるものか、それとも純然たる寄付によるものか、いろいろ調査があるわけですね。しかし、いまおわかりにならないというなら、文部省に伺いますが、四十一年の七億七千万というものは全部これは等価交換ですか。土地が五億九千万、建物が一億三千万、その他が四千八百万、これは全部等価交換ですか。
  147. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 四十一年度、千葉大学、静岡大学佐賀大学、鹿児島大学の四件でございますが、鹿児島大学につきましては、鹿児島県立医科大学国立移管をいたしまして、それに伴いまする土地の国への移管でございますので、これは等価交換とか寄付、贈与という性質のものでございませんで、これは国立移管という特別の事情に基づくものでございます。それから千葉大学佐賀大学等につきましては、いわゆる国から譲与し、地方団体から寄付を受けたという形に相なっておりますが、先ほども自治省のほうからお答えがございましたように、譲与いたしましたもののほうが寄付を受けましたものよりも評価におきましては上回っているというケースが四十一年度の実際の姿であろうと思っております。
  148. 加瀬完

    加瀬完君 これを繰り返すと長くなりますけれども、これは国有財産の保管上はゆゆしい問題になりますよね。譲与したもののほうが価値が高くて寄付受け入れたもののほうが低いということになれば、安く国有財産を払い下げたことと同じことになりますね。そういうことが、他の事情がいろいろありましょうけれども、これは少なくも自治省が前に見解を示した等価交換ということにはならない。しかし、これはむしろ地方行政のほうの問題でありましょうから、私はこれ以上これは申しません。  そこで、地方公共団体のほうはいろいろつじつまを合わせたところで、一般の父兄教育費負担軽減というものについて、国立学校に限って見ても、文部省が深甚なる考慮をしているという見解はこれはとれないと思うのですよ。たとえば大阪学芸大付属平野中学校付属幼稚園の運動場に二億三千六百二十六万円を寄付しておりますね。この内容と、PTA各個人の平均負担はどの程度になりますか。
  149. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 大阪学芸大付属平野中校学で、運動場を評価にいたしまして二億三千六百二十六万七千二百円の寄付を受けておりますが、その内容を見てみますと、付属小学校教育後援会というのがございまして、この教育後援会昭和二十九年に取得いたしました用地を、それを四十二年の二月の時点で評価して寄付されたものでございます。それで、昭和二十九年にこの後援会が取得いたしました経緯でございますが、ちょっと詳細明らかでない点がございますけれども、特定の人からの寄付のような形で後援会が取得したのではないかと思っております。したがいまして、この運動場用地につきましては、父兄のほうにこのための負担をかけておるということは、現時点ないようでございます。
  150. 加瀬完

    加瀬完君 この幼稚園はその前にも寄付がありますね、多額の寄付が三十九年ころ。
  151. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ちょっといま三十九年の資料を持ち合わせておりませんので、あとで……。
  152. 加瀬完

    加瀬完君 まあ大阪のことでございますから、坪単価も高いということもありましょうがね。PTAという一つの団体から、幼稚園の運動場ですね、二億三千余万円の寄付と、金額からいっても一体これ妥当と言えますかね。父兄負担を軽減するという方針からいって、文部省は一般の公立学校PTA会費あるいは父兄負担というものは軽減しようと指導しているわけでしょう。たとえばPTA会費なんかについても、これは文部省から出向しておりまする社会教育課長が「公費負担額の県平均は、さる三十七年PTA予算の六五%を占めていた。しかし、最近の調査では四七・八%に減少、好ましい傾向にはある。だが施設設備補助費、教職員補助費、学校行事協力費などはもっと軽減すべきだと思う。」、さらに「PTA活動の望ましい姿は、子どもの成績を気にするいわゆる“学級PTA”ではなく、父兄がみずから研修を積み、教員との話し合いを通じて、家庭校外での教育効果を、どのように高めるかにある。PTA活動は本来、各PTAが独自性を発揮して行なうべきもの」、こういう点を今後指導するということを言っておる。公費の負担というものを極力下げるということを指導方針として出しておる。それを幼稚園のPTAから二億三千万からの寄付がされておる。各府県に指示したPTAの指導方針とはなはだ違うじゃありませんか。
  153. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 大阪学芸大学の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、二十九年にこの土地後援会土地になっているのでございますが、そのときの事情はどうも特定個人の浄財寄付という形で後援会に入ってきておるようであります。したがいまして、父兄に一般的に負担をさせまして現在の時点の評価二億三千万というもので運動場用地を寄付してもらったということではないようでございます。ただ、一般的に父兄負担を軽減していかなければならないという点、まことにそうでなければならないと思います。
  154. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、愛知教育大学付属岡崎中学校に対して、岡崎中学校父母教師会というものから給食室のために九百五十五万六千円という寄付がありますね。一体、給食室なんというものを父兄負担だけでつくってよろしいものかどうか。それともこれは別に国が支出をして、そのほんの一部分が九百五十五万ということでございますか。
  155. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいま御指摘の点は、本来の国費でやるべきものであったと思います。
  156. 加瀬完

    加瀬完君 もっと奇怪なのは、東京学芸大学が「煙突外」として二百六万の寄付を出しております。この「煙突外」というのは何ですか。何の煙突ですか。
  157. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 東京学芸大学の「用途」と「区分」のところで「煙突外」といたしておりますが、これは同じく東京学芸大学付属小学校に同じときに講堂と暖房室と煙突と三つの区分で整理いたしておりますが、実際にはこれは一つのものだろうと思います。したがって、暖房に伴いまする煙突関係の経費をこういう区分でいたしたのだと思います。  それで、先ほど「水道外」ということでお答えをいたしましたが、そのときのお答えも不十分でございましたので、恐縮ですが、ちょっと補足させていただきたいと思いますが、建物寄付していただいておりますときに、その寄付された建物に伴います水道関係等が当然ございまして、これが国有財産の整理といたしましては建物とそれから水道外、こういうふうな区分と相なりますので、先ほど坪当たり単価あるいは平米当たり単価、いわゆる付帯工事関係だけをお答え申し上げましたけれども、その点は不十分でございましたので、ここでちょっと補足させていただきたいと思います。
  158. 加瀬完

    加瀬完君 いまの東京学芸大学の世田谷小学校ですが、講堂が百三十万、暖房室が七十八万、煙突外が二百六万、こういうことですね。煙突は暖房なんかの付帯的なものとしてということであれば、七十八万の暖房室に対して煙突が二百六万というのはおかしいじゃないですか。
  159. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 建物関係のことでございますが、いま係から聞きましたら、煙突外の中にボイラーの本体その他もこちらに工作物として区分上入れておるようでございます。
  160. 加瀬完

    加瀬完君 文部省寄付金に対する考え方というのはどうも納得できないのです。父兄負担教育費は大体父兄の経済力に見合ったものだとお考えですか、これは国立学校公立学校をあわせて。
  161. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 御意見のとおりだと思います。
  162. 加瀬完

    加瀬完君 これが一番新しいようでございますので、三十九年四月から四十年三月までの文部省の「父兄支出した教育費」というもので見ますると、地域別に見ると、高いところは住宅地域、それから商業地域、一番低いところが山村、漁村、こういう地域と見てよろしゅうございますね。これはそう出ているから間違いないと思います。そこで、一般の公立学校父兄負担の一番高い住宅地域よりも国立学校付属学校はさらに父兄負担が高いわけですね。父兄負担を七倍も取って先ほど申し上げておるようないろいろな施設というものができているわけです。  これは主計官に伺いますが、たくさん父兄負担を出したところほど施設がいい。施設のいいところは教育の効果があがっている。公費と国が出す費用というものはあまり変わりがない。ところが、付属学校施設のいいのはみんな父兄負担である。それを無条件に国は国有財産として受け入れている、こういうあり方主計官はどう御判断なさいますか。
  163. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) 学校に対する寄付が割り当て的に行なわれるとか、任意でありましてもみだりに行なわれることが好ましくないことはもちろんのことでございます。ただ、国立学校施設に対する寄付の中には、基準を上回る施設整備に充てているものもあるように聞いております。国費を効率的に使用するとかあるいは学校間の施設の水準の公平をはかるという点から設けられている基準でございますので、この基準を守るというか、基準のワク内で処理することは必要ではないかと私ども考えております。
  164. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど申し上げましたが、校舎、それから必要欠くべからざる運動場、こういうものもほとんど寄付によって行なわれているのですね、一部であろうとも。学校によっては大部分が。これは文部省国立学校に対する予算の査定そのものに問題がありませんか。それほどの必要というものがあるとするならば、その予算は国がまかなうべきですね。国がいまの予算査定で十分だというならば、それ以上に寄付によって学校施設をよくして、逆にいうならば国有財産をふやすということは、これは不当なことですね。一体、査定そのものが不合理なのか、あるいは不合理な点はないのか、あるいは逆に国立付属学校だけが特別な過剰施設をしているのか、過剰施設をしているというならば、なぜ国はそれをとめないのか。寄付受け入れないというなら寄付しなくなる。そこらのけじめがどうもきちんとしていないように思う。これは主計官として財政的な見地からどうですか。
  165. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) これは執行上の問題でございますので、私ども考え方ということでなくて、やはりいま国立学校施設費というのが計上されておりますが、その配分にあたりましては一定の基準を設けてやっておるわけでございますので、そういう基準の範囲内で有効に重点的に配分をするということでやっていただくということが一番いいのではないかと思います。
  166. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連。そうすると、学校建設は坪単価幾らになっているんですか、積算の基礎が。
  167. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 四十二年の単価で申しますと、付属学校の場合ですと、平米当たり二万八千九百円というのが四十二年度のプールの予算平均単価、こういうことに相なっております。
  168. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは四十二年だけれども、最近の三、四年間のものをずっと……。
  169. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 付属学校の場合で申しますと、三十八年から申し上げますと、二万二千七百円、二万三千九百円、二万六千円、四十一年が二万七千三百円、四十二年が二万八千九百円、こういう予算平均単価に相なっております。  なお、国立付属予算の立て方といたしましては、全部鉄筋で組んでおりまして、いまのは鉄筋単価でございます。
  170. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは付帯工事は全部入っているんですね。
  171. 菅野誠

    説明員(菅野誠君) ただいまの単価は、通常建物に付帯する電気工事、ガス工事を含みまして、その他特殊工事と称しまして、ほかから水道を引き込むとか、特別な内容の、校地内で特別のたとえば大きな変電施設をつくるという部分については、特殊工事としておりますので、ただいまの会計課長から話がありました単価は通常の普通工事を含みまして、特殊工事は含まないということになっております。
  172. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一点、そうすると、水道は引き込むというけれども、来ていないところは当然引き込まなければ水道は引けないので、水道がないところは衛生完備していない学校で、それを特殊工事とは何事です。
  173. 菅野誠

    説明員(菅野誠君) 特殊工事として、それを国費から出しております。支出しております。
  174. 加瀬完

    加瀬完君 主計官は、いまの大蔵省の査定の方針が合理的だとおっしゃいましたけれども、いま岡委員指摘した建築費の坪単価にしても、あなた方は坪単価の積算基礎になる石工、大工、左官、こういった職人の賃金はいつを押えていますか。そこに狂いがあるわけです。
  175. 菅野誠

    説明員(菅野誠君) 先ほど話がありました単価の増の場合に、毎年度の労務費、資材費のそれぞれの年度における所要額に物価上昇率を乗じまして、単価増の場合にそれが考慮されてあるということになっております。
  176. 加瀬完

    加瀬完君 物価上昇率とイコールにならない、いわゆる工賃は。内閣統計局の出す工賃というのは一年半前のでしょう。一昨年のものでことしを押えるという形になる。だから、一年の差がありますから、単価がどうしても合わなくなる。これは私は前に指摘をして、その当時統計部でしたが、部長がお認めになった。それしかないですね、一番新しいものが、一年半前のものしか。それに割り増しをしなければこの単価はどこかで狂ってくる。岡委員指摘するとおり、建築単価というのは、みんな地元が超過負担をしています。  それからもう一つ、何%に押えておりますか。たとえばここに老朽校舎がある。百坪を百坪と押えないでしょう。七五%とか、八五%しか押えない。そこにも狂いがある。  だから、いままでの質問とは逆なようだけれども大蔵省の査定なり文部省の査定なりというものに、寄付金がなければ、あるいは特殊の財源補充を考えなければ、最低の設備ができないように公立学校ではなっているわけです。付属のように財源が簡単に集まって設備ができるところはいいけれども、ないところは貧弱な設備でそのまま教育を続けなければならないという状態にある。なぜほんとうの基準単価というのをはじき出さないのか、あるいは対象になるものをそのままずばりとなぜ認めないのか。この点どうです、主計官
  177. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) いわゆる施設費の単価につきましては、超過負担の問題が地方公共団体の側にありまして、四十三年度にもこの実態調査を行ないまして、三年間で解消するということでやっているわけです。公立の文教施設につきましても、本年度は、たとえば小・中学校校舎につきましては一・二%程度の単価の引き上げをする、こういう立場でやっておりまして、まあ一気に解決はできない。ただ、三年間かかって実態調査の結果を反映した改善をはかろうということにしているわけでございます。
  178. 加瀬完

    加瀬完君 その工賃の押え方は、一昨年のものを押えるという形にしないで、割り増しをした。ほんとうに現実に大工や左官に支払わなければならないものに近いものを押えるという方法はとれませんか。
  179. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) 予算編成の実際の時期的な問題からいいますと、やはり予算編成の時点に明らかにされた単価でこれを組むということでないと、やはり予算として推定を織り込むということがなかなか物価の問題について困難でございますので、現実には予算編成の時点で単価の把握できるものを基準にしてやっていくということでございます。
  180. 加瀬完

    加瀬完君 明らかかもしれませんけれども、それは正しくないですね。一昨年の統計を押えてことしの予算を組むということは、明らかですよ、数字の上では。しかし、正しくはないでしょう。これは施設部長、どうですか。現状はそうでしょう。正しくなければ正しいほうに直さなければおかしいじゃないですか。
  181. 菅野誠

    説明員(菅野誠君) ただいまの調整は、実は執行が、国立学校につきましては私ども施設部はその予算のワク内で執行することをたてまえにしておりますので、その付属学校におきましても、ただいまの単価内で実施しておる学校もあるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、単価としては、一昨年とは申されますが、実は六六単価といいまして、六月対六月、その翌年一年間の物価上昇率及び労務費上昇率は予算のときに見ていただいているという形になりますので、二年のズレはないはずでございますが、まあ一年のズレについては若干問題はあろうかと思いますが、国立学校については実施上それを苦労しておるわけでございますが、設計上坪単価の中におさめておるということであります。したがいまして、それをよりよくする部分につきましての寄付の部分についてはあるわけでございますが、それで不可能ではない単価というふうに考えております。
  182. 加瀬完

    加瀬完君 不可能ですから、岡議員のような質問が出るわけです。あなた方はそれでは、こんなことを言いたくなかったのだけれども、教材費の、あなたの担当じゃないかもしれませんけれども、押え方、これは正しいと思いますか。教材費が増額されていますね。しかし、教材費の実態をどう把握しておりますか。それで一体、あなたが物価と言ったから私も申しますが、物価指数の見込み額と教材費の伸び率とはどうなっていますか。  担当者がいないようですから、私のほうから説明しますが、三十九年の最低を押えても、各家庭が出した教材費は千八百三十九円ということになっているのです。今度幾ら上がりましたか。一人平均概算すると三十円から三十四円でしょう、教材費は。そうすると、千八百三十九円に四・八%の物価の上昇率を掛けてごらんなさい。値上がりの二分の一しか教材費の値上がりはこれをまかなえないということになるわけですね。そういうように数字的な押え方というのが私は非常に不合理があると思うのです。そこに寄付金というのが当然のごとく行なわれざるを得ないという悪循環が繰り返されると思うのです。  そこで、伺いますが、最高の住宅地域と父兄負担の最低の漁村の指数は大体どういう差を生じておりますか。
  183. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 父兄負担調査で各地域類型、学校の所在する状況によっての格差を見たいということで、そのようなものを統計表の上に載っけておりますけれども、この調査自体が全国で三万ほどある小学校に対して二百ほどの学校を抽出したサンプル調査でございますので、これをこまかい地域類型の細分いたしました場合の個々の金額の差につきましては、統計上それほど高い信憑性が期待できませんので、報告書の総括的な説明のところにごく大づかみの地域類型としての総体的な比較を述べておりますので、ただいまお尋ねの漁村あるいは特定の地域についてのものは、この調査内容からはちょっと読み取りにくいかと思います。
  184. 加瀬完

    加瀬完君 類型で調査をやりましても、これを一応類型として押えてみますと、一番高いところと一番低いところは一五〇対一〇〇ということになりますね。だんだんその格差が地域によって生じておるわけです。  それでは、この調査資料だけでけっこうです。PTA会費の最高と最低はどこです。最低の地域はどこで、最高の地域はどこです。
  185. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) PTA会費につきましては、この統計上一応信憑性のありますのは、大きく分けまして市街地と市街地以外の地域という大づかみの地域以外には、それを細分したものは例数がこまこうございますので、たとえば鉱山について千百円上がっておる、農村については四百円上がっておるといいましても、それに当たりました学校は二校か三校でございますので、これが鉱山、農村の典型的な類型額であるかどうかについては、この統計からは判定がつかないのであります。
  186. 加瀬完

    加瀬完君 判定がつかないような統計をわれわれに配って、どこを判定しろというのですか。
  187. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 統計調査書の冒頭に調査の方法並びに目的が書いてございまして、そうして報告書の概要における解説にはその点を心得た説明をいたしておるつもりであります。しかしながら、細目別の表をつくります場合には、おのずから、これがサンプル調査で、項目別の細分をいたしますと、そこに標本誤差が大きくあらわれてくることは、一応この方法から類推をいただけるものと私ども考えております。
  188. 加瀬完

    加瀬完君 私は類推をして申し上げているんですよ。あなた方、不正確な統計なら、何回私どものほうに出しても同じだ。サンプル調査ならサンプル調査としてのワク内での信憑性というもので、この数字を信用するしかない。さっきの御発言は訂正願いたい。信憑性のないものを配って、それに対して質問すると、それはいいかげんな統計だから当てにされては困るというような答弁であったのでは、質問のしようがない。
  189. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 私どもは、この統計から一応総合的に統計上の事実として読み取りますことは、冒頭から数十ページにわたりまして各項目に解説いたしました内容がございますが、この分については、統計の作成者としての責任を持った説明であると考えております。後段の数表につきましては、表作成上の立場から、一応数字は入れておりますけれども、この解釈につきましては、サンプル調査の一応数量的な限界の中で御理解をいただくというようにお願いをしたいと思います。
  190. 加瀬完

    加瀬完君 その限界で承りますと、PTA会費の一番高いのは鉱山ですね。鉱山地域千百八十九円、一番低いのは漁村の四百十一円。経済の状態からいえば、鉱山地域はむしろ最低のほうに現状ではなる。それがPTA会費が非常に高いというのはどういうことですか。
  191. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 同じくこの報告書の中に調査対象校というものの一覧表を載せておりますが、たとえばただいま御指摘の鉱山というので千幾らの金があがっておりますのは、日本中にあります鉱山地域の学校の中のわずか三校が、たとえば青森と茨城と群馬において一校ずつ選ばれたというにすぎません。ここにおいて高かったことは事実でございましょうが、日本中の地域別に見た場合、鉱山地域のPTA会費が高いということは、私はこの表からそれを判定することは統計上誤りだと思っております。
  192. 加瀬完

    加瀬完君 誤りな統計をなぜ出すのですかということになりますよ、そういうことをおっしゃいますと。サンプル調査であって、三校であろうが何校であろうが、出されたものの中では鉱山が一番高い。  じゃ、この調査された三校についてPTA会費が高いのはどういうわけでしょうか。
  193. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) サンプル調査についてよく御存じかと思いますが、もし鉱山地域で他の三校を選んだならば、これよりももっと低いかもしれません。したがって、この選ばれた三校が高かったということだけが書いてあるわけでありまして、この三校がなぜ高いかということは、統計上からは説明できません。
  194. 加瀬完

    加瀬完君 高いのは結局、この地域の市町村の財政力というものが非常に弱いからですよ。非常に弱いにかかわらず、父兄教育に対する希望とか要望というものが非常に強い。それを地方財政でまかない切れないものが父兄負担になっているという傾向、これはこういう、類推をしては誤りですか。
  195. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) PTA会費というものがイコール父兄教育費負担とは私ども考えておりません。このPTA会費の中からどれだけのものが学校に本来校費で負担すべきものとして回っていくかということは、これは別の立場からの類推が必要になります。PTAが御自身のいろいろな研究のためにそれをお使いになり、そのために会費を高くしておられる場合もありますし、少ない会費でも学校に多額の寄付をなさっている場合もありますから、このことから直ちに校費負担の多少を論ずることは、統計上の要因分析としては私ども少し行き過ぎであろうと思います。
  196. 加瀬完

    加瀬完君 統計上の要因分析をすれば私どものような主張になると思う。財政力の非常に貧しい地域の家庭がPTA会費だけを、富んでいる階層の地域の人よりもたくさん出しているということは不自然でしょう。負担力の少ない者が高いPTA会費を出しているのは不自然でしょう。不自然の原因が何かとなれば、結局それはPTA会費によって学校の財政が幾ぶんまかなわれているというところにある。あなたのおっしゃるように、PTA会費が安くても、幾らでも寄付が集まるというならばいざ知らず、PTA会費を高く取る以外に学校の財源がないということが、PTA会費が高くなった一つの理由とは類推できませんか。逆にいうならば、他の地域ではPTA会費は校費でまかなえるのに、そういう校費でPTA会費をまかなえないような地方財政の貧弱な地域ということにもなるわけです。こういう類推は誤りですか。
  197. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) ただいまのお尋ねに直接答える材料はこの統計にはございませんが一部この中に家庭の収入別に見た父兄学校教育費等の統計が載っております。これによりますと、やはり父兄の収入の低い地域は父兄支出する教育費が低いという一般的傾向が出ております。したがって、ただいま御指摘の点に関する限り、これが地方公共団体の財政力不足をカバーするための高いPTA会費であるかどうか、これについては、統計を作成いたしましたこの材料の中から、一応合理的な推定はいたしかねるわけであります。
  198. 加瀬完

    加瀬完君 私の申し上げている類推は、てまえみそになりますけれども、私は一応そう無理な類推じゃないと思う。鉱山地帯が経済力が貧困だということは、だれも異論を唱える者はいませんね、特殊なところを除いては全部。三つもこう探ってみても、三つの離れた鉱山地域のPTA会費が非常に高いということは、これはおかしいという疑問をだれでも持つでしょう。それは結局、PTA会費によってまかなわざるを得ないという昔のPTAの形そのままをとらざるを得ない経済条件にあることが私は問題だと思うのです。しかし、それがこの統計からは出ないというならば、これから何でもわかるような統計をひとつ出していただくように、これはお願いをする以外にございません。  そこで、これは文部省のほかの方にお答えをいただいてもけっこうですが、とにかく父兄負担というものは年を経るに従ってだんだん地域差が出てくる。これはお認めになりますか。そういうことになっている、あなたのほうの出した統計によると。
  199. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) ただいまお尋ねの地域差と申しますのが、大づかみな地域類型別に父兄支出した平均学校教育費というものの平均値でございましたならば、ただいまお尋ねの点が指摘できるかと思います。
  200. 加瀬完

    加瀬完君 昭和四十一年度の付属の小・中学校寄付金の状態、どういうことになりますか。  じゃ、補足しますが、いままで私の質問したものは国有財産に入ったものについての問題ですね。しかし、国有財産に入らないものも、PTA会費父兄教育費負担の中にありますね。そこで、文部省からお出しいただいた国立付属学校における父兄負担状況というもので、一万円以下というものは、四十一年では小学校は三、中学校は七。一万一円から一万五千円までは、小学校は六、中学校は十四。一万五千一円から二万円までが、小学校が三十、中学校が十六。それから二万一円から三万円までが、小学校が二十七、中学校が二十六。それから三万一円以上、これが小学校が四、中学校が十二となっていますね。これで父兄負担というものを、まあ寄付金その他入りましょうが、類推をしますと、小学校中学校は大体幾らか。全国の付属学校小学校の総計、中学校の総計は、幾らと概算いたしますか。生徒数がわかっていますから、わかりますね。
  201. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 学校徴収金を除きまして、PTA会費というものと後援会費というものを足しました数字が一応集計されておるものがございます。これによりますと、四十一年度の付属小学校は、父兄が出しましたいま申しました金額のトータルは三億三千七百六十七万円、それから中学校が三億四千百六十三万円ということになっております。
  202. 加瀬完

    加瀬完君 これだけの負担をしなければ、逆にいうならば、付属学校にははいれないということにもなるのですね。まあ付属が特権学校だといわれておりますけれども、少なくとも一年に二万円以上納めるものが小学校では三十一、中学校では三十八もあるわけですね。で、総額は、いまお答えをいただきましたように、三億三千万ないし三億五千万という負担をしなければ付属にははいれない。経済力のない者は付属にははいれないという現状はお認めになりますか。
  203. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) おことばを返すようで恐縮でございますが、まあこのPTA会費というのは一応パーで取っておるのだと思います。ただ、寄付金にしましても、大体その支出額はほとんどパーヘッドでやるのを原則としておると思いますが、先ほど来会計課長もどこかの学校について申しましたように、一部父兄有志の中から多額な浄財を出されたというような場合もございますので、必ずしもこのトータルからは何とも言えませんけれども、それにしましても、一般論としまして、午前中にお答えいたしましたように、PTA会費国立公立と比べてみますと、国立が高うございます。まあ七、八倍、十倍前後、こういうような関係になっておりますので、その限りにおきましては、きわめてそういう貧困な家庭で、先ほど来申しておりますような数字金額の割り当てがこなされない家庭においては、事実上行くことを遠慮するといったような弊害が生じておることは事実であろうと思います。
  204. 加瀬完

    加瀬完君 付属小学校中学校、幼稚園まで含めましてね、施設や設備が他の公立学校と比べてどういう関係にありますか。
  205. 菅野誠

    説明員(菅野誠君) 施設の面を公立国立と比較してみますと、必要面積関係におきましては、やはり国立のほうが、付属となりますと、教員のおるスペースだとか、それから特別教室が、やはり実験学校の性格を持っておりますために、普通の公立の同じクラスの場合よりはよけいなくちゃならないということになっておりますので、現在のところ、大体中学校におきましては校舎が三七%、屋内運動場が一八%というような形、全体平均しまして、大体これは九学級だけの場合でございますが、全体で大体公立の場合よりも国立の場合のほうが三〇%ほど多い、広い面積を持っている、こういうことになっております。
  206. 加瀬完

    加瀬完君 三〇%も広い条件のよさを持っておるということですがね、これは三〇%という面積だけにとどまらない。放送の施設だとか、あるいはその他照明だとか、あらゆる点についてもう膨大な寄付によってまかなわれております面がありますので、公立とはこれは比較にならない。そういう中で子供が教育されるわけですね。同じ能力の子供であれば、条件のいいところで学習したほうが能率があがることは当然ですね。そうすれば、そういうところに、いわゆる教育ママとか受験戦争といわれる今日的世相では、生徒が当然集まってくるということは、これはいなめない。そういうように特権学校であり、特権の者だけが集まるような状態に付属自身をしておくことをどうお考えですか。これは局長でも大臣でも、どっちでもけっこうです。
  207. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 一がいに寄付そのものがよくないということも言えないかと思いますけれども加瀬先生の先ほどからの御質問のような性格の寄付によりまして、付属学校の性格がゆがめられてくるということでありますれば、これは適切なことではないというふうに考えております。
  208. 加瀬完

    加瀬完君 一つの問題を出したいと思いますがね、公立学校と同じような施設の中でほんとうに教育ができるかできないか。また、できさせるように教員養成の学生を指導しようとする教官と、頼めば集まる寄付金によって設備だけをよくして指導の上の最高条件をまず得ようとする教官と、教員養成学校の教官としてどっちが好ましいとお考えですか。
  209. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 教員養成学校には、いろいろ一般の公立学校と違った目的があろうかと思いますが、そういうことを除きまして、きわめて経済的に同一の金額を出して教育効果のあがり方が高いのと低いのとある場合、その金額は同じであって、先生の教え方も同じであって、効果が上になる下になるというようなことであれば、やはり問題があるのじゃないかと思います。効果があがるのがいいのは当然でございます。
  210. 加瀬完

    加瀬完君 設備がよくなれば効果があがるという御認定ですか。
  211. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) まあ一般論としましては、施設もよいほうがいいし、設備も悪いよりはいいほうがいいと思います。しかしながら、先生の御質問ですが、付属学校と一般の公立学校が全く同じ施設設備でなければならないかどうか。私は、これはあるいはそうかもしれませんが、やはり付属学校というものは、一般の町村立の学校と違った面があるのではないか。かりに全く同じでよいのであるということであれば、付属学校をつくる必要はないので、地域の学校を代用付属にするということも成り立つではないか。まあこういうことで、私ども付属学校の性格も十分検討をいたしたいということは、これはさきのこの委員会でも大臣からも申されましたが、そういうことでございますので、全く公立と同じ基準で付属学校国費を出すということも一つでしょうけれども、先ほど施設部長が申しましたような観点から、付属学校国費公立よりも三〇%くらい多く投ずるということも、これはあながち悪いことではないのじゃないかというふうに考えます。
  212. 加瀬完

    加瀬完君 施設がよくなったというのは、国費の三〇%によってよくなったのじゃないんじゃないですか。おおかた寄付によってよくなっているのでしょう。一体そういうことをして付属小学校中学校をよくする必要があるか。実習学校ならば、そこで実習してすぐよそへ行って使えるような条件がなければならないという面もありますね。たとえば、南極へ行くのに台湾へ行って訓練するようなことをしたってしょうがない。いまの付属学校はそうでしょう。温室みたいな中で至れり尽くせりの中で、いい子供で実習をしているでしょう。条件の悪いところで、質の悪い子供で、環境の悪いところで一人前の教師としてやろうといったって、そういう訓練は行なわれておらない。ほんとうの教育というのを考えるのなら、実習学校の性格というものはもっと出なければならない。付属先生も、子供も、父兄も、概して自分の子供の成績をどうして上げるかということは考えているけれども、本来の実習学校、教員養成学校の実習学校としての性格はわきまえていませんよ。それを文部省は主張しています。寄付幾らでも集めます、こんなことではだめだというのです。どうですか、私の考え、違いますか。
  213. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 付属学校公立学校の場合に、公立学校を一といたしますれば、付属学校のほうは一・三に当たるような基準をつくって経費を出しておるということは事実でございます。ただ、そういうこととは離れまして、寄付金が集まらなければ付属学校としての実績があがらないというようなことであれば、これは本来間違っておることだと思います。そういう意味におきましては、もう絶対に寄付金は、一切の寄付はいけないのだということもいかがかと思いますが、将来、先生のおっしゃっておられるような意味におきまして、付属学校寄付金の問題からゆがめられた性格におちいりやすい傾向もあるし、かりにそういうことであるとするならばきわめて重大な問題でございますので、寄付金だけの問題ではなくて、福岡教大付属の例の問題等も含めまして、私どもといたしましては付属学校あり方も十分検討し、将来加瀬先生寄付金の問題でおっしゃっておられるようなそういうことのないように今後努力していくべきであろうというふうに考えております。
  214. 加瀬完

    加瀬完君 これは付属教育方針なり大学の教員養成の方針なりというものを固めない限りは、同じお答えを何回も私はいただいておるわけですが、さっぱり改まっておらないでしょう。昔の師範学校時代の施設というのは、他の公立学校施設と同等またはそれ以下でしょう。以上の学校というのは、東京の一、二を除けばほとんどなかったですよ。ところが、このごろは付属の教員も率先して寄付を集めて、ただ設備をよくすることの競争ですね。うそだと思うなら、埼玉でも東京でも千葉でも、一回行ってごらんなさい。近所の学校付属と比べて、付属が断然施設がいい。その施設がいいというのは国費によってまかなわれているだけではなくて、先ほどから問題にされている寄付金によってまかなわれていることが多い。だから、特殊な寄付を納められる者でなければ付属にはいれない。逆に勘ぐれば、寄付をたくさんしそうな父兄を歓迎するということも、極端にいえば勘ぐりたくなるほどの父兄層です。  局長さんに伺いますが、付属が一生懸命寄付集めをしておらないという保証がいただけますか。付属先生方が一生懸命寄付集めをしておる、あるいは付属先生を取り巻くPTAが一生懸命寄付集めをしているようなところはどこにもございませんというような保証はございますか。
  215. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私も実態を詳細には知りませんが、どこにもいま御指摘のようなことは一切やっておりませんということは言い得ないと思います。
  216. 加瀬完

    加瀬完君 寄付をもらっていない学校はどこもないですからね。寄付はひとりでに集まってくるものじゃないです。これはかけめぐって先生、あるいは先生でなければPTAの特殊な者が中心になって、寄付集めをしているというのが現状ですね。それは文部省が、もっと付属の基本施設あり方というものはこういうものだということを示さないからだと思うのです。よくなれば幾らでもよくするということでは、それはだめだと思う。一・三なら一・三でもけっこうだ、これが付属の基準だというものをお示しになって、これなら付属学校としての使命も達成できれば、付属学校施設としても適切ですという一つ施設の標準を示すべきだと思う。外国を回ってもないような施設を、いなかの付属が金をかき集めてやっているというようなところに無理があるのです。それを黙認しておるところに、私は問題があると思うのです。特殊児童を集めて教育するところなら、施設も必要ですよ。一般の子供をよりすぐって、しかも教育しているような付属が、特別に他の公立学校と比べて雲泥の差があるような施設をする必要はどこにもないでしょう。この点はどうですか。
  217. 菅野誠

    説明員(菅野誠君) 施設の面につきましては、実は詳細申し上げますと何でございますが、実は私が計画課長になりました当時、昭和三十七年ころまでは、いまおっしゃるような寄付金である程度の金が集まって、国費も両方足して、初めて基準までの面積の建物を建てるというような時代も以前にはございました。その点、こちらのお話もあり、また私個人といたしましてもそういうことはすべきではない、基準まではやはり国としてやるべきであろうというふうに考えまして、三十八年には若干寄付の基準内でも入っているものもあったかと思いますが、昭和三十九年度以降は国費をもってこれを原則的に基準まではやると、それ以上やられる場合もありますけれども、それ以上やらないところもありますので、御趣旨の線に沿うて、施設整備につきましては、必ずしもその寄付がなければ施設整備ができないという形にはしておらないつもりでございます。
  218. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連。これは文部大臣に聞きたいのですが、公立国立を問わず、それから大学、一般的にいうて国立大学はあれですけれどもね、とにかく入学するときに寄付金というものはずいぶん取られますね。学校なるがゆえに寄付金を取ってあたりまえだという観念ですね。私はこれは異常だと思うのです。しかし、払わなければ入れてくれないから、相当無理して払う。こういう傾向が普遍的にあると思うのですがね。一般の小中義務制の公立学校等においても、いわゆる学較差といいますか、その父兄の富の状況、各区域の状況によって、義務教育の中に放置すればかなり格差がある。これはもうわれわれ横浜市においても、そういうふうな傾向というものがかなり顕著にあります。  そこで、市長に言うて、実際問題として学校教師自体も十分やはり施設をよくし、それから建物もりっぱにする、あるいは講堂なりプールをつくるにしても、やはりモデル的なものをつくりたい、こういうふうな中において、どこかがいい施設をすると、それをみな見に行って、そうして、それをまねる。そうするというと、相当の財産のある人は比較的負担に簡単に耐えられるけれども、それをずっと割り当てていく。そうなるというと、一般の父兄自体も、これは心では反対をしても、反対しにくい、子供を預けておるから。そこで、こういう傾向に対して、やはりプールとか、講堂というものを画一にするということは絶対にいいとは思わぬけれども、しかし、こういう傾向を一応打破するためには、やはり市費で、講堂とか、プールとか、学校校舎の規模とか、そういうものについて一つのワクをつくって、そうしてPTAなり、そういうものの寄付金は募らぬということで、ある程度市は思い切って予算を計上してやることで、もうほとんど講堂、プールというものについて全市的に完成に近づいてきでおりますが、その中で、教育委員会に対して、各学校寄付をやる場合にはその寄付の許可を求めてやってもらいたい。で、教育委員会寄付内容を検討して、これはまことにやむを得ない——ただ問題は、当然市がやるべきことであるけれども、やはり普遍的に、全般的に一ぺんにりっぱにはできないので、計画的に年次別にこれをやるというふうなことで、寄付の行為については教育委員会の許可を求めて、その内容を検討して、真にやむを得ぬという場合に限ってこれを学校にやらせていくという方向にして、まあ非常にきつくこれをやって、学校によっては何とかこの寄付行為をやらせてもらいたいというふうに、今度は学校から言ってこれないから、父兄に言うて、教育ママに言うて、何か市長の許可を求めるような形をやっておっても、しかしとにかく義務制でこういうふうな問題について格差を生ずるということはよろしくない、しかし、水準を上げるということについては、行政的に財政措置をこれに伴ってやらなければいかぬということで、かなり苦心をしてやってきておるわけですがね。  国立等においても、そういうものについて寄付父兄負担させるという場合について、教育委員会がそういうふうな点について留意すると同じように、文部省においてやはり寄付行為等についてはその内容等を十分検討して、真にやむを得ぬ問題があった場合においてはこれを許すけれども、年次的に見て、これは何年度にそういうものは充足するとか、そういうものは待てとか、その内容的な検討というものは必要でないかと私は思うのですよ。これは文部大臣、ぜひともこういう点については直接的にやってもらいたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  219. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど来、非常に詳細な御質問をいただいておりまして、私も実はこちらで聞いておりまして、たいへん啓発せられた心持ちをいたしておるのでありまして、なかんずく、本来国費なりあるいは公費なりをもって処置すべきものについて、これがPTAその他の寄付金によって補われておるとかいうような事態は決して望ましい姿とは思いません。今日までもだんだん是正はしてきておると思いますけれども、いずれにしましても、何か税金みたいに割り当てられて、そしていやでもおうでも出していく、こういうようなことはすみやかに是正してしかるべきものというふうに感じておる次第であります。  この問題は、ただいま加瀬さんの御質問を伺っておりましても、趣旨は非常によくわかるのでありまして、そのとおりだ、このようにも思うのでありますけれども、同時に、長い間のいろいろな沿革と申しますか、因縁といいますか、あるいは慣行と申しますか、そういうふうなことで、わりに学校側が一般の方々に対して寄付金を求めることについて安易な気持ちでいるのじゃないか。何か足らなければすぐに寄付金で出してもらおうというような、安易な気持ちでそういうことをやってまいった沿革もあろうかと思います。また、財政的に見ましても、一挙に解決のつく問題ではございませんが、いま岡さんの言われましたような問題は、非常に建設的な意味におきまして私ども考えやすい方法の一つじゃないかと考えます。義務制の小・中学校等におきまして学校の格差があるということは、もちろん望ましいことではございませんから、その格差の是正をはかるためには、各公共団体の財政力の関係が出てくる。その財政力の豊かなところはともかくとしまして、財政力の豊かでないところではなかなか一挙には問題が解決がつかない。その財政力をどういうふうにして補っていくかというような問題にも関連してくることであろうかとも存じますが、いずれにしましても、みだりに一般に寄付を募集するというふうなことは、これは避けてもらわなければならぬことであります。お話の点もよく参考にいたしまして、今後の積極的な検討の項目にさせていただきたいと思います。
  220. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは大学局長に要望するというか、お聞きしたいのですが、いまずっと加瀬さんがやった学校の校舎とか校庭とかその他の施設にとどまらずして、旅行等についても、あるいは研究会と称するものについても、まあにぎにぎしくというか、いろいろと経費というものが伴ってくる。そういうふうな点で、先ほど言われておるように、それをまかなえる父兄層というものがここに集まっているからやれるようなものの、しかし実態としては、都道府県の実態を見るというと、県庁の役人とかあるいはその他の子弟というものがかなり入っている、そういうところから見るというと、やはりかなりの負担をかけている面もなきにしもあらずだと思うのです。だから、そういうふうな総合的に見て、実態として一体父兄負担が実際にどうなっているのか、一ぺん調査してみてもらって、調査内容に基づいて具体的にそれをどういうふうにチェックしていくのか。先ほど文部大臣が言ったように一ぺんにはできないとしても、私は国立たるがゆえに施設をよくするということは、やはり抵抗を感ずるのですよ、これは義務制という観点から。もちろん。実験学校ですから、教える面についていろいろと教材器具とか、そういうものをそろえて、そうしてどういうふうにこれを活用していくかという面について、特殊の教育というものを与えるということについては、ある意味では理解がつくと思うのです。ただ、一般的に見てデラックスのものでなければいかぬということでは、これでは義務制という面から非常な抵抗を感ずるわけです。だから、その点について、まず第一に、大学のほうとしては直接的な付属学校についてやられていると思うけれども、福岡の付属の問題を契機にして付属学校あり方について、まずそこからひとつ手をつけてみよう、そうして何も一ぺんに荒療治しようとしてもできぬかもしれぬが、しかしこの際積極的にそういう面について改革をしていく、そういう点でまずそういうものの調査をやってもらいたいと思うのですが、その辺どうですか。
  221. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) けさほど来加瀬先生のお尋ねのときにも申し上げましたが、PTA会費とか、あるいは寄付金とか、こういったようなものを、あまり詳細な調査ではございませんが、従来からも一応いたしておりまして、これを見ましても、公立学校と比べまして国立のほうが相当高いということは、加瀬先生にお答えしたとおりでございます。ただ、私ども今後の改善に資するために調査項目等ももう少し詳細に調査をすべきではなかろうかというふうに考えまして、今年度すでにある程度従来よりも詳細な調査に着手いたしております。それから、現在の教員養成を目的としております大学の実験実習学校の目的を達成するためには、今後大いにその性格についても検討いたしますが、公立学校父兄とは違って多額の寄付金なりPTA会費を出せる父兄の層でなければ実験実習学校の生徒として入れるのにふさわしくないということはあり得ないと思います。そういう考え方で調査もいたしますし、十分検討もいたしてみたい。いま岡先生のおっしゃいました福岡教育大学の問題も契機といたしまして、早急に検討を進める、こういうふうに考えております。
  222. 岡三郎

    ○岡三郎君 初中局長さんはいないようですね。これは初中局長がいないといっても、大学局長聞いていって……。  一般の公立学校についても、地域地域によってそういう条件はかなり違っておりますけれども、あると思うのです。ですから、一般の公立学校については、都道府県の教育委員会を通じて、こういうものについてやはりひとつ調査してもらって、そうして都道府県の教育委員会を通じて、寄付金の現状のあり方、これをどういうふうに是正していくか。やはり端的にいうて、寄付をやる場合においては、これはめちゃくちゃというほどでもないだろうから、やっぱりその内容等を検討して、こういう寄付はある程度やむを得ぬ、これはちょっと待てというふうな形の指導というものがあってしかるべきだと、私は義務制の中においては思うわけです。だから、これは初中局を通じてそういう指導をひとつ頼みたいと思うのです。
  223. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 直接私の所管ではございませんが、御趣旨は国立とあまり違ったことでもないと思いますので、御趣旨を関係局長とも相談いたしまして、十分今後の改善に資したい、こういうふうに考えております。
  224. 加瀬完

    加瀬完君 もう岡さんから私の結論は全部御質問がありましたから、蛇足を加える必要はないんですけれども付属の児童あるいは生徒の選定方法というものを、学区を押えるわけにいかないならば、せめて抽せんかなんかにして、いろいろの階層の子供、いろいろの素質の子供というものを入れるようにしたほうが、実習学校としてはいいんじゃないかと私ども体験的に思う。特殊な子供だけ入れるということになりますから、福岡のような問題が起こりますが、抽せんでやるということになれば、これはそういう問題も起こらないわけです。それから、今度は逆に寄付を集めようとしても必ずしも寄付に応ずる父兄ばかりではなくなると、公立学校とあまり条件が変わらなくなると思うんです。そういう選定方法は御考慮いただけませんですか。
  225. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは実はもう終戦後からでございますが、直接には昭和三十一年に当時の大学局長から国立学校のほうに通達もいたしまして、いま先生がおっしゃいましたような趣旨のことを伝えておるわけでございます。ただ、全面的に全部抽せんでやれというのがよいのか、ある程度のテストをやるほうがよいのか、これはいろいろ検討すべき問題はあろうと思います。  それで、いままで私ども付属学校に対していたしておりますのは、教育実習あるいは教育研究、こういった実験実習上著しく能力の劣る者、これは避けなければならないかもしれない。しかし、それ以外の者であれば、人数が相当ふえれば抽せんにするとか、あるいは一次二次に分けてどちらかで抽せんをし、片方で簡易な普通の子供としての能力を持っておるかどうかといったような程度のテストをするとかいったようなことで、いま加瀬先生のおっしゃる趣旨に非常に近い考え方を従来から言っておることでございます。こういうごとも含めまして、進学試験のやり方等につきましても、再検討をさっそくいたしたいと考えております。
  226. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま岡委員からお話があって、寄付をする場合には国立だから文部大臣なり所管の局長の許可を求めてやるという具体的な提案があって、大臣から一つの建設的な案だというお話があって、検討をなさると思うんですよ。同じようなことが加瀬委員のほうから出てきておるわけです。施設について一つの基準をつくらなければだめじゃないかという案が出ておるわけですね。私は、法律にきめられた基準はあるんじゃないかということは言えるけれども、結果的にはその法律だけでは不十分であるので、付属としての考えられるとにかく施設の基準というものを別個に考えていく必要もあるから、一・三という予算もつけておると思うんですね。そういうようなことを考え合わしてみると、やはり一つのめどをつけておいて、それ以上にむやみに施設をしていくということを規制すると一緒に、大体付属がこのくらいな施設設備をしておるのであって、これで大体学校としては教育をやれるんだという標準にもなると思うんですよ。  私は実は不満なのは、施設部長あたりの答弁聞いていくと、それじゃ給食の施設に五百何十万も出して何もすることはないと思うんですよ。教育をやれるような基準で、国は補助をつけておるんだというお話なら、この寄付はこれは間違いだということをはっきり言ってしかるべきであって、いついつやるつもりであるので、こういうものはだめだというなら、それはだめだと思うんですよ。もし施設部長の言われるように必要なものだけは国立としての施設予算をつけているんですということであれば、いま加瀬委員のあげたような寄付は、これは明らかに間違いだとはっきり言っていいはずだと思うんです。だから、やはりここで長い間加瀬委員が克明に問題を提起をされて、少なくとも一つ基準をこしらえて、基準以上に不必要なものをやる場合にはこれは規制をするんだ、一応の基準を示そうじゃないかという——それがなければ、規制ができないと言うなら、私は適切な提案だと思うんですよ。  それからまた、そういうことをやってもらうと、私は一般の学校の中にむだな施設をしているところもあるわけなんです。実にすばらしい施設設備をするわけですね。それだけの施設が必要なんだろうかと思うぐらいなりっぱなものをつくっているのは、一つはやはり必要以上に父兄が協力の度合いを示してみるとか、あるいは市町村に負担をかけるとかいうことを事実上やっている面もある。せめて、義務教育であるし、せっかく付属でそういうことをやられるんだから、付属施設ぐらいがあれが限度なんだと。小・中学校に何もタイル張りの廊下をつくることはないんだから、もっと自由に、濶達に活動できるように、そういう小学校施設というものはあるはずなんだから、その見本をとにかく示してもらうことによって……。必要以上の木れんがの廊下をこしらえているじゃないですか、現実に。それで、行ってみると、これを非常な協力を得てこしらえているというんで、油を塗って、子供らはそれを光らすために非常な労力を使っているのが現実ですよ。だから、そういう意味からいっても、せっかくつくってくれている付属国立小学校施設は、あれが小学校施設としては一番適当なものなんだということをおっしゃる一つの基準にもなって、非常に私はいいはずだと思うんですよ。だから、ぜひひとつそういう面も、大臣が他方で岡委員のことは一つの建設的な意見だと言うなら、私は加瀬委員の、一つの基準的なものをつくって、モデル的なものをつくってもらいたいということは、せめてそれ以上の必要なものをつくろうということについて、一般の公立学校でも規制して抑制をするし、また付属小中学校のほうもそれ以上のものを施設することについては無理だ、それをまた寄付に仰ぐことはもってのほかだというようなことも規制できると思うので、ぜひこういう面について具体的にひとつ検討してみてもらいたい。  せっかくこういうものが議論をされた段階ですからね、ぜひひとつ、いまの入学の選考の問題、あるいはいま言ったような寄付を受ける場合における手続というものはどういうふうにしなきゃできないか、大体の施設はここの程度が適切であろうと、こういうことをひとつ示してもらいたい。この点についてなおひとつ、念を入れた話ですが、大臣にひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  227. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この付属学校の問題につきましては、問題点は非常にたくさんあるようでございます。けさほどの御質問にも、付属あり方というふうなことでお答えを申し上げたわけでございますが、いまのどういうような教育を一体付属でやるべきかというふうなことも問題でございましょう。また、入学試験の問題も確かに大きな問題でもございますし、また先ほど来のお話の施設設備関係もいろいろ問題点としてはあると思います。また、それに伴いまして、この寄付金の問題がこれまた大きな問題としてあるわけで、検討すべき問題はまことにたくさんあるように思いますし、また、現状においては、現状に対しまして改正を要する点も多々あるように思いますので、午前中、付属あり方について十分検討したいというような趣旨のことも申し上げましたが、いまお話しになりましたような点をすべて含めまして、積極的にひとつ検討させていただきたいと思います。
  228. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  速記をとめて。
  229. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こして。   暫時休憩いたします。    午後三時三十五分休憩      —————・—————    午後三時五十九分開会
  230. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、北畠教真君が委員辞任され、その補欠として木島義夫君が選任されました。     —————————————
  231. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案についてはすでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。楠君。
  232. 楠正俊

    ○楠正俊君 女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案、これについて少しく質問いたしますが、学校における事務職員の仕事というものは非常に内容が多岐にわたっておりまして、この提案理由説明の中に書いてありますとおり、文書の整理、起案、統計などの庶務的なものから職員給与、学校給食費、物品購入等に伴う会計の分野といったように、非常に多岐多様にわたっておりますので、たいへんな事務量であるということはよくわかるのでございます。したがって、きわめて重要な使命をになっておって、その事務職員が休めば、人数が少ない上に他の先生にそれが波及して事務職員のかわりに教頭とか教諭がそれを分割してこれをやらなければいけないということから、どうしてもそれにかわる臨時の職員というものを任用してもらわなければ困るという御趣旨のようでございますが、このことは非常によくわかって、何とかこれは処理しなければいけない問題だとは思うのでございますが、教育職員と事務職員とを同じように扱うということになりますと、教育委員会における職員、こういうものと学校における職員というものは大体同じような仕事をやっておるわけですね。教育のその本質に関するものをやっておるわけじゃないので、事務をやってるわけですから、事務職員を学校先生と同じような扱いにするということになりますと、それじゃ教育委員会のほうの職員はどうしてくれるのだというような問題が起こってくると思うのでございますが、その点に関する先生方のお考え、これをちょっとお聞かせ願いたいのです。
  233. 千葉千代世

    千葉千代世君 一番初め、この産休法をつくりますときに、教職員だけにこの産休法をつくるとなれば、働く婦人は一ぱいいるのじゃないか、だから普通の事務職の方に、たとえば国家公務員の事務職、それから地方公務員の事務職員、そういう方にも適用するのが当然じゃないかというお話もあったのです。しかし、教育の場におけるということで、正常な教育を実施するためにということであって、そこで教育職員ということになったわけです。しかし、そのときに事務職員も学校における教職員の一人であるというようないままでの位置づけの中から、法的にはそれは学校教育云々ではありませんけれども、関連上教職員として言いならわされておったし、それからいまおっしゃった教育委員会にいるお仕事と学校にいる事務職員のお仕事とは違うわけなんです。教育委員会にいらっしゃる方々は、いわゆる地方教育委員会でございますと、地方公務員というお仕事の中で一緒に仕事をやって、どなたも融通をつけて仕事ができるわけなんです。学校にいらっしゃる方は一人が会計でございます。そうして特殊なお仕事をしているわけなんです。ですから、教育の仕事に直接差しつかえを及ぼしてくるわけなんです。教育委員会の方々も、なるほどそれは間接には及ぼしてきますけれども、直接に及ぼしてくる影響はまず少ないと思います。  そこで、その後産休法が改正されたわけなんです。改正されまして、三十六年の十一月の改正ですが、そのときに義務設置して、それから三十九年のときに実習助手も抜けておったのを加えた。そうして文言を今度は、正常な教育実施のためにというのでなくて、今度は女子教育職員の休暇中云々という、代替を置くというふうに変えたわけなんです。そうしますというと、今度はその性格が多少違ってきたわけなんです。母体の保護と教育と、二つをかね備えるわけなんですけれども、そこでもってウエートが多少違ってきたことが一つと、そのときにも、事務職員の方々を学校教育法の中に位置づけていくと同時に、これも一緒にやりたいということであったのでございますけれども、なかなか両立いたしませんので、見送られてしまって、三十九年のときに実習助手だけは加えられた、こういう現状の中にございます。  したがいまして、いま御質問の中にありました事務職員のこのお仕事というものは、だんだんふえてきまして、そうして事務量というものも、過去十年と比較いたしますというと、かなりな倍数になっているわけなんです。そこで、御指摘になったような特殊性を私は持っているというように考えております。そういう意味合いにおきまして、今度は題名と本則の中の「教育職員」というのを「教職員」と直していくというふうにして、そうして一般的に取り扱っていってこの法の適用を受けさしたい、こういう趣旨でございます。
  234. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記とめて。
  235. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記をつけて。
  236. 楠正俊

    ○楠正俊君 文部省局長が来るまで千葉先生質問しますが、教育委員会の職員の仕事と学校の事務の仕事は本質的に違うと。全く違うというようには思えない点もあるのでございますが、学校の場合、人数が少ないから、一人の女子の職員が休めば非常に累を及ぼすことが大きいということならわかるのですが、事務の性格が全く違うということは、ちょっとそこまでは考えられない。そうなりますと、任命権者が、事務職員もこれは県の教育委員会が任命権者、それから学校の職員も県の教育委員会が任命するわけですね。で、同じ任命権者で、片一方は教育委員会の事務職員、片一方は学校のほうの事務職員、   〔委員長退席、理事鈴木力君着席〕 これは扱いを変えるということの非常に困難な問題があるような気がするのですが、その点のお答えはちょっと私は納得がいかないのですが、いま少し詳しく説明していただきたい。
  237. 千葉千代世

    千葉千代世君 私ちょっと先ほど誤解のあるようなことで、本質的に違うということではなくて、固有的にお仕事が、何といいますか、どういうふうに説明したらよろしいんでしょうかね、片っ方は、一般的に定数をふやせばだれでも——だれでもかえるということは言いにくいですが、ありますね。学校にいますというと、その学校に直属してついていますから、その学校の仕事にずっとなれておって、学校万般の仕事の事務処理をしているわけなんです。それで、いきなりぽかんと来て、だれでもすぐかえるということはできにくいということ。それから、事務職員という方々は、教育委員会との交流が、自由にするようにといってもできないんです、いま。たとえば東京あたりでございますと、学校事務職員という採用試験を受けて事務職員になっているわけなんです。ですから、そのための講習をやり、そういうお仕事を重ねてきておりますから、学校の仕事には特別精通し、それからお仕事が円滑に運んでいるわけでございます。そういう意味の特殊性を持っているということは、先ほど落としたわけです。   〔理事鈴木力君退席、委員長着席〕 したがって、かわりがいきなり来てかわるというわけにいきませんので、事務職員という資格は、これは県によっては多少違いますが、大かたの県がそうなっています。裏を返していえば、学校にいた者を今度は、東京なら東京の何々小学校にいた事務職員の方を東京都庁の本庁に採用してすぐ自由に転換できるかということは、これはできないんです、いまの仕組みでは。各県でもそうなんです。ですから、それをするようにという運動はいま一応していますけれども、そのことはいまここで関係ありませんから、きておきまして、ですから、正常な教育を行なうのに支障を来たす、かつまたその女子事務職員の母体を守る、そして今度一般の教員が教育に専念できると、こういうふうな意味から産休法の適用をさしていきたいと、こういうことでございます。  で、これにつきまして私の答弁が不十分でございましたら、これに当たりました、いろいろ調査をしていただいたり立法過程でお世話になった法制局、それから調査室、その他の方々も御一緒に御答弁に加わっていただいて、私のを補足していただきたいと思うんですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
  238. 楠正俊

    ○楠正俊君 実際問題、そういうことでどれくらい問題があるんですか、学校全体でそれはわかりますか。
  239. 千葉千代世

    千葉千代世君 はい。問題というのは、その人が休んだためにですか。
  240. 楠正俊

    ○楠正俊君 休んだ場合ですね。それで補いがついておるわけですね。
  241. 千葉千代世

    千葉千代世君 ついていないんですね、それがなかなか。
  242. 楠正俊

    ○楠正俊君 「事務職員の旺盛な職能的責任感に基づくところであり、その教育に対する献身的態度を雄弁に物語るものである」と書いてございますが、そういう献身的な態度でやればある程度補いがついてやれるんだというようにもこれ受け取れるんですが、どうにもしようがないといったような事情が、小学校中学校、それから必置制になっている高等学校——これは比較的充実していると書いてございますが、小学校中学校においてどうにもならぬ状態だというような何か調べがついておりましたら、それを教えていただきたい。
  243. 千葉千代世

    千葉千代世君 一つは、休む本人の側から申し上げますと、たいへん責任感が強いし、自分が長く休んでおったんじゃ申しわけないからといって、やめる率が非常に多いということです。退職していくというようなたいへん気の毒な状態。それからもう一つ次には、ゆっくり休めないということなんです。この提案理由にも書きましたのですけれども、大体義務制の学校の事務職員の出産の状況から見てまいりますと、年間出産者が七十八名、その中で産前六週間完全に休んだ者というのはわずか一〇%にすぎないということです。ですから、数でいえば六名です。それから、産前に十日以内の休暇しか取らないのが四〇%、これが人数で三十五名ですから、これを見ても出産前の大半の方々はほとんど出勤しているとかある時間出勤するとか、それから仕事が学校でできないものは自宅に持ち帰ってやっているとか、それから産後は、御承知のように労働基準法で六週間必ず休まなければならないということになっておりますですね。罰則規定まで設けておるわけです。本人の希望のあった場合には、簡易な作業云々ということはありますけれども、産後のほうは比較的にありますけれども、産前に至ってはいま申し上げましたようで、本人がたいへんな犠牲を払っているということ、したがってこのことがあとの母体に相当な影響を及ぼしていく、健康を損ねていくということが一つ出てくるわけです。  そうすると、今度は休まれるというほうの側にとって見ますと、さっき申し上げましたとおり、学校の定員の少ないほうですと、先生方が全部分担していくわけです。御承知のように、給食一つをとって見ましても、給食に関する事務、それから完全に給食の係ばかりするわけではありませんで、学校にやっぱり係がございまして分担をやっておりますけれども、事務職員の方々がいろいろなお金やその他のことを元締めしているわけなんです。そうすると、そのしわ寄せが全部かかってくる。それで、今度養護職員の場合ですと、事務職員が一人休まれる、あるいは給食の係が休まれると、給食の世話から事務職の世話から全部しょっていく、学級担任がないということでそこへ押しつけられやすいということと、それからたまたま定数が幾らかここで、転任した先生その他に操作がついて、多少ゆるみをつけて置こうと思っても、全部消費されてしまって、にっちもさっちもいかないという現状、一般的には定員が足りませんので、少ないですから。そういうときにいきますと、これが全体的にしわ寄せされていくという傾向ですから、したがってそれが教育に及ぼしていくという、いつが何%、何が何%という詳しい数字はまだ私は把握いたしておりませんが、そんなような状態でございます。
  244. 楠正俊

    ○楠正俊君 何が何%か、何が何%という詳しいことはけっこうでございますが、事務職員でお産した方が退職していくということを言っておられましたが、その退職していく率ぐらいはおわかりになりませんか。
  245. 千葉千代世

    千葉千代世君 女子の事務職員というのがこのごろ急速にふえてきたわけです。したがって、お若い方も多いし、そのうちで退職していくという率ですけれども、お産をしたところで調べて、赤ちゃんが生まれて、つまり出産した数ですから、出産するまぎわに妊娠しておってやめる方もずいぶん多いということなんですが、その率が全体に対して何%だったかということは、御承知のように事務職員を義務設置の国立公立の高等学校がありますね、それから小、中、幼稚園と、こうありますので、一つ一つの詳しい数字はまだ調査中で、集計できておらないんですけれども……。
  246. 楠正俊

    ○楠正俊君 ちょっと文部省課長に伺いますが、事務職員だけがはずれたという理由ですね。これ、第四十六国会における本法の一部改正によって女子の実習助手が法の対象に含まれ、国立及び公立小学校中学校、高等学校、盲ろう学校、養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてがこの法律の適用を受けるようになった。なったにもかかわらず、ただひとり事務職員のみがそこから、適用のワクからはずれた、はずしたというその理由は、どういうところからそういうことになっておったのですか。
  247. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) たまたま私その当時財務課長をいたしておりましたので、いきさつについて御説明申し上げます。  従来は、教育に直接タッチする先生、その方が実際にお産で休まれる、あと教育上支障があるということで、代替職員を置くような措置をとったのでございますが、この前の改正で、先ほど千葉先生から御説明もございましたように、女子の実習助手がこれに加わったわけでございます。これは直接教育にタッチする、従事するというわけではございませんが、教育に従事する教諭を助けまして実習等の補助をするわけでございます。教育公務員特例法におきましても、準教育職員といたしまして、教育公務員特例法の準用を受ける、そういうような性格でございましたので、女子の実習助手もこれに加わったというふうに承知をいたします。
  248. 千葉千代世

    千葉千代世君 さっき楠先生に答弁不十分でした点をちょっと補足さしていただいてよろしいでしょうか。——やめる率が多いというのは、たとえばこれからも推定できると思うのです。女子の一般労働者、雇用関係の、その方の出産率が二・四%とします。そうすると、女子教育職員の場合ですと八・六%になる、出産率が。そうすると、事務職員の方ですと二%で一番低い数字を示すわけなんです。そうしてこれは出産する人が少ないのではなくて、やめてしまうわけなんです。そんなわけで、出産率の中へ入ってこないというような現状からも推定できるわけなんですけれどもあと詳しいことはちょっと省略いたしますけれども
  249. 楠正俊

    ○楠正俊君 やめてしまうという理由はどういう理由ですか。
  250. 千葉千代世

    千葉千代世君 これにはいろいろございますが、具体的には別に提案してありますように、休暇中別の人が来れるようなまだあれもございませんし、それから一人でございますために、すぐ教育委員会から、じゃ、かわっておれが行くからということもできないわけです。そうすると、欠員になって気の毒でいられないという、さっきの旺盛な犠牲的な精神が強いことが一つと、それから保育所とか家庭で子供を見てくれる人がないということです。ですから、働かなくていいとか、そういうことでやめるのではなくて、働き続けていきたいけれども、赤ちゃんは自分でみなければならないんだ、そこでこれであとずっと何週間も休んでやめるのではなくて、産む前にやめてしまうというのがここの中に——ちょっとそれますけれども、ここに十二週ということが書かれてございますけれども、これは事務職員の方々のを少し調べてみたのですが、東京の事務職員の方々、これは都庁につとめる方々も、それから学校に働いていらっしゃる方々も、十五週休めるわけですね。普通、労働基準法は最低十二週になっておりますが、東京都は産前産後を通じて十五週になっているわけなんです。女子教職員の場合ですというと、十六週、これは都の条例十四条で規定されているわけなんです。そこまでいろいろなふうに保護規定を設けましても、実質的には赤ちゃんを産んだあとどうすることもできないのでやめていくほかはないという実情じゃないかと思います。
  251. 楠正俊

    ○楠正俊君 文部省にお尋ねしますけれども学校の事務職員、それに対して教育委員会が産休期間中どういった措置をしておるか、これをおわかりになりますか。
  252. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 事務職員につきましては、一般の教育委員会における職員、教育委員会における事務職員と同様で、特段の措置はないと思います。
  253. 久保勘一

    久保勘一君 ちょっと関連していいですか。  千葉先生にお尋ねいたしますけれども説明にございますように、該当者が大体八十名程度、七十八名、実際に措置するということになれば、やっぱり県の段階で措置することになるのでしょうか、どうでしょうか。そういうものを一、二名のものが期待して待っておらなければなりません。これでいくと八十名でしょう。年間全国で実施することになればやっぱり県の段階で措置する、そういうことになるでしょうが、そうすると、県の教育委員会としては、これをやるのに一名か二名の事務職員、産休に充てるものを事前に、何といいますか、予定しているでしょう。そういうものを確保しておかなきゃ実際できませんね、実施するとして。そういうことは、一名か二名でできるかどうかということが非常に疑問になりますが、どう思いますか。そういう希望者がはたしてあるかどうか。
  254. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは私できると思います。教員の場合でも、これはあるかないか、ずいぶん論議されて、臨時的任用、一般的任用を併用した法律をつくってありますね。いろいろ御苦労願ってやったんでありますが、この事務職員の場合でありますと、私、県に一、二名と限りませんで、県費で、たとえば国が半分持って県が半分持つ分野と、それから国立の分ですと国が持つわけです。それから高等学校の県費負担ですと県で持つとか、そういうようないろいろな予算の持つ範囲が違いますけれども、お仕事については私これは非常に得やすいのじゃないかということを考えておりますのですけれども、特に女子の職業の進出がたいへん多くなってきて、最近私は簿記学校にちょっと行って聞いてみたのですが、事務職員なんかどうだといって、村田簿記学校なんか、その他簿記学校を調べたのですが、女の人が圧倒的に多いんです。高等学校を卒業なさって半年のところと一年のところとあったり、あるいは短期大学を卒業なさって一年、二年、二年では税理士の試験を受けるとかずいぶんありまして、そうして就職には、一般の会社へ行くよりも学校へ行けば、勤務時間その他についても夜夜中まで決算期だから残れということもないし、そういう点についてはかえって就職やりいい。というのは、私も一、二の人に会って聞いてみて、学校の場合どうだということを聞いたら、私の聞いた範囲がよかったせいかどうか、非常に希望者が多いんでございます。これは二つの簿記学校を調べたわけですけれども
  255. 楠正俊

    ○楠正俊君 県に臨時の職員を常時プールしておいて、この学校ではお産があってその事務職員が休んだ、そこに臨時職員を配当するということになるわけでございますね。それはしょっちゅうあるわけじゃないと思うのです。そうしますと、その間はその人は何をやっているのか知りませんが、ぱっと配当されてその学校へ行って、これだけの多岐にわたった事務内容をこなしていけるものなのか、臨時に行って。それよりもやっぱり少し負担はかかりますが、教諭がかわってそれをやるとか、教頭が半分それをもってやるとかいったように、その学校に習熟している人たちがやるというほうがむしろ能率はあがるわけで、まるっきりその学校のことをわからぬ人間がぱっと急に配当されて、軌道に乗ってやれるものなんでしょうかね。そういう心配があるのですが。
  256. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは私は、いま楠先生から御質問のあった、一般になれた学校の教頭やみんながやっておったほうがいいというけれども、これは全然反対なんです。これでは絶対困るわけなんですよ。これは資料もたくさんございますが、雑務を排除して教育の本旨を守ろうと一生懸命で、たくさんの、百二十幾つかの雑務があるんです、調べてみたら。ですから、そういう立場からいっても、これは絶対反対です。  今度はそのためにこれを置くという二つかみ合わさしていった場合、いきなりできるかというお話なんですけれども学校先生方がこれやりながら両方やっておるとたいへんなわけなんです。たとえば職員給与については、いまはたいへんなんです。何べんも出さなければならないししますけれども、これは事務職員の方々は講習やっていらっしゃいます。講習やったり、隣の学校等の方が教えたり、年配者が御指導になったりして、非常にグループで研究して事務能率がうんとあがっていっているわけです。ですから、採用する場合には、その県でもそれだけの配慮もしなければならない。これは臨時的任用というのでございますけれども、やりようによっては、産休法の本則にこれは合わせるわけですから、産休法の本則のほうには一項と二項に分かれておって、一項は臨時的任用をしなければならないということになって、その二項の中にはいわゆるプール制で、その県で、ことばでいえば放任されておって、プールしておって、その人たちがどこへでも出張していっていいという県の実情に合わしてやれるようにできているわけです。それに合わしていきますと、これもどちらでも県のやりいい方法でやれるというわけなんです。そういうふうにしていきますから、本則中心でほかはいじらないで、これ合わしてすっぽりはめていくということになっていきますから、私は当然こうして一緒に、女子事務職員、これは一般事務職員と一緒に講習受けるわけなんですから、その中からプールして置くなり、あるいは候補者を、産休補助教員という候補者をカードで、志願者名簿というのがあるのですね。東京都庁に行くと教育委員会にカードがあるのですよ。これこれこういった、自分の住居は一時間以内に通いなら何とかと何とか区だけは私はぜひそれを志望しています、そういう人を幾人もやっておきます。そうしてその中から採るほうの希望と行くほうの希望と合致させるような配慮を校長さんと本人と会ってするわけですけれども、そういうふうな配慮も、これは事務職員の方々も同様の配慮がなされていかなきゃならないのじゃないかということを考えています。
  257. 鈴木力

    ○鈴木力君 関連。初中局長さんに伺いますが、いまの産代教員、産前産後の代用教員ですか、臨時的な任用になっている教員、事実上は定数ありますけれども、臨時的な任用のために教員をさがしかねている実態が各地方で起こっているわけなんです。その未充足率といいますか、どのくらいありますか。
  258. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 大体産休必要人員が四十年度の調査でまとまっているわけでございますが、その状況で申し上げますと、全国で一万七千二百二十一人となっております。それに対しまして、この法律によりますところの代員臨時任用措置をとっておりますのが一万六千八百九十四人であります。これは臨時任用措置でございますが、その他その差を埋める措置といたしましては、定数の臨時加配措置というのが行なわれておりまして、その分が全国で百三十五人、それから配当教員のワク内措置、定数法に基づくところの全体の中でプールいたしまして、特配をしてワク内で措置をしているのが百九十二人という数字が報告されております。
  259. 鈴木力

    ○鈴木力君 私の聞きますのは、定数上の処置はただそうやっていただいているからいいわけですが、実際は定数があっても採用できなくて、つまり産前産後の休養期間中に代用の臨時の先生が来なかったという例がどのくらいあるかということを聞いているのです。
  260. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 産休発生件数が一万七千二百二十一人でありまして、これに対しまして産休代員措置の臨時措置をいたしましたものが一万六千八百九十四人でございます。その未充足で非常に採りがたいという実情については、私ども各県からその実情を聞いたことがございません。
  261. 鈴木力

    ○鈴木力君 私の伺いたいのはこういうことです。要するに臨時に採用するものですから、いわば期間採用ですね、そこでなかなか希望者がいない、そういう苦しみを各地教委とも味わっているということです。したがって、その未充足がいない、そういう声を聞いていないということであればりっぱなんですけれども、現に私どもは自分の知っている学校幾らでもそういう例を知っているわけですね。だから、時間もありませんからくどくも聞きませんけれども、これを急にというわけにいきませんけれども、将来の定数法改正なりそういう機会に、いままでのこの臨時職員という形でなしに、何かプール制といいますかね、本採用教員というか、本職教員というか、そういう形に検討していくような意図がありませんかと伺います。
  262. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) この義務教育関係の定数標準法の五カ年計画は、御案内のとおり、四十三年度をもって完結いたしまして、法律の大体の予定に来たわけでございます。四十四年度以降をどうするかという問題につきまして私ども検討いたしておりまして、その定数改善の内容につきましていろいろな問題点があるわけでございます。で、その際に、いままでのような機械的な定数標準の算定方法のほかに、ただいま御質問がございましたように、何か特別なゆとりのある方法を設けることはないかということにつきましては、これは単に産休という問題ではなくて一般的な問題として、これは私ども内々でいま検討をいたしておるところでございます。しかし、これはまだ局内全体の意見としてまとまっているわけではございませんで、まだ私の段階限りのところで研究いたしておるところでございます。
  263. 鈴木力

    ○鈴木力君 要するに、臨時的任用を、本体といいますか、主にしているわけですね。原則は臨時的任用になっている。これは人事のいろいろな作業がありますから、これ全部本職に切りかえるということも非常にむずかしいのですけれども、やはりこの本採用教員を主としまして、そこであとの人事のいろいろな調節に臨時もあり得ると、こういうような形に変えていきますと、いまのこの希望者なんというのは相当に防げるのではないか。そういう声は現場なり地方教育委員会なりにはずいぶん出ているのです。これは御検討願いたいと思います。これで終わります。
  264. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は初中局長にまず伺いたのですがね、最近における学校先生の男女の比率ですね、非常に女子の先生が多くなってきている。男子、女子それぞれ特性があるのですがね、将来を見通して、特に小学校中学校というものに一応、義務制だけではないのですが、見通すというと、かなり男女の比率が逆転してくる傾向が出ているのではないか。一昨年でしたか、甲府において女子だけの学校をつくろうということになった。ところが、父兄が、とてもじゃないけれどもがまんができないというので、またもとに戻ったという話がありますが、いずれにしてもそういう問題が大きく展開されてくるのではないかと思うのです。これをどういうふうに初中局では見ていますか。
  265. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のように、女子教員の占める率が、これは先生御存じだと思いますが、三十四年ころが一番底になりましたけれども、戦後非常に多くて、三十四年ごろ底になりましてから、またじわじわとふえてきて、現在の比率は約半数が女子職員ということになっております。私たちも見通しといたしまして、いまの教員養成大学の男女比等から見ましても、女子の教職員の比率はさらに上がるのじゃないかとは見ております。男子と女子との比率について、望ましい姿とかあるいはどうあるべきかということは、いろいろ議論があろうかと思いますが、現実問題として女子職員がふえている。したがいまして、現場において女子職員が過半数を占める学校の実態、あるいはそういう姿で学校の運営が、現場の教育が行なわれるという事実、実態を前提に置いて、従来男子中心でやっておった学校運営上、教育上の問題点というものを検討しなければならないという基本的な考え方を持っております。実は率直にいって、女子職員が過半数にのぼり、あるいは非常に大多数になってくると、学校運営上困るとか、いろいろの御意見がございますが、じゃ何が困るのだというような議論も、私たちいろいろ検討いたしておりますし、現場の先生方もお話し合いを続けております。まだ具体的にどこをどうするというところにまいりませんけれども、女子職員が過半数を占めているという状態を想定して、現場における教育あり方ないしは学校運営のあり方ということについては、私たちも十分気は向けているつもりでございます。そういう前提で、多角的に問題を検討していきたい、かように考えております。
  266. 岡三郎

    ○岡三郎君 女子の先生がふえていると同時に、事務職員においても現場というものが女子にかわっている。これはそういう強い傾向というのが、いまの産業の中における労働力の確保という問題もあるわけですが、これは私が言わなくてもはっきりしているが、各学芸大学において優秀な者は大体女子なんです。ずっと上から女子が並んでいて、途中にぽんと男子が入っている。一体こういうふうなことについて、文部省自体が——それは女子の優秀な先生が入ってくることについて、私は何も抵抗を感ずるものは一つもない。ただ、根本的にいって、教育の職場というものに対して、産業の発展というものとかね合わせて、日本民族の前途というものをどういうふうに把握しているか、大きな問題が私はこの中にあると思います。しかるに、教育という仕事は男子の一生の仕事ではないのじゃないか、いまや。そういうふうな根本的な考え方というものが、やはり一つの底流としてあって、知能のすぐれた者は教職にはばかばかしくて行けない。でもしか先生以外にはないのだということがずいぶんいわれます、実際いって。  私はそういうことから、欧米並みに女子が学校を全部占めてくるということになれば、いままでの感覚とは違って、やはり女子の先生というものに対して、産前産後の休暇の問題とか、いわゆるいま言われておる出産に対しての補助教員の問題、これはアウトサイダー的な一つ考え方ではなくて、教育の本流としてこういうことを抜本的に考えていくということも必要ではないかということを思っております。  それで、結局、都市と農村を比べるというと、これは私の判断ですから間違ったら直してもらいたいと思うのですが、農村のほうへ行くというと、比較的産業の発展していない、発達していない地方へ行くと、比較的男子の先生が多い。ところが、人口が集中してくるところの都会、大都会になるというと、男子の先生がだんだん減少していっているのじゃないか。こういうふうな面について、私自体としては、学校というものは少なくとも現状の半々というものを一つのリミットにして、優秀な男子の教師と優秀な女子の教師による、いわゆる家庭と同じように学校自体というものが女子の生徒が半分、男子の生徒がほぼ半分ということになれば、それぞれの特性を生かしたいわゆる学校教師の養成というものが一つの基準としてやはり考えられていかなければならぬのじゃないかと思う。そういうふうな問題を考えていったときに、いまの社会情勢に流されているというこの現象の中から、男の先生にかわって女子の先生が増大するということになってくると、教育のいまもう都会地における主導力というものは、女子の先生によってだんだんかわってきている。こういうふうなことを考えたときに、一体朝から晩まで教育に従事するという中で、いま千葉先生から言われたように、雑務がますます増大してくる。そうなるというと、やはりどうしても事務職員というものを各学校が確保して、しかもそれが男子の事務職員から女子の事務職員にやはりこれもかわってくるということになると、これに対してやはり抜本的に学校の中におけるところのそういうふうな事務的な問題についても考えなければならぬし、特に学校の中における事務職員の立場というものは閉鎖的な中に置かれている。ですから、お産になったときに、これにかわるべき人があるのだということに魅力を感じて、やはりそういう職場というものの中において事務的な能力のある者を確保できるということにも、私はこれが通じてくるのじゃないかというふうにも考えるわけであります。  学校全体の運営そのものについて思いをはせたときに、やはりいまの現状というものを踏まえてこういうふうな制度というものをやはり一つ一ついまから手を打っていく、そうして職場にこういう人々を確保していくというふうな措置というものを願いたいのですが、こういう点について欧米等においてはどうなっているのでしょう。そういうものについての運営とか、あるいは女子の教職員とか、あるいは事務職員とか、そういう学校一つの単位として教育の場として考えていった場合に、こういう措置をとってほしいという声が非常に現場から強いのですが、欧米等ではこれはどうなっていますか。
  267. 天城勲

    政府委員(天城勲君) いま前段のお話の男女の比率の問題でございますけれども、これはいろいろな場合においていろいろな機会にいつも議論にはなっております。特に教員養成大学の問題につきましては、教育職員養成審議会におきましても、極端にいうと一定の比率をきめたらどうかという意見もあるわけでございますけれども、別にまだ最終決定いたしておりませんで、いろいろな部面から女子教員の問題については非常に真剣に議論されておりますことは事実でございます。  それから、最後の外国のいろいろな例でございますけれども、いま私は手元に何も資料を持っておりませんし、また私の知識もございませんので、いま的確にお答えできかねます。
  268. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会      —————・—————