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政府委員(
宮地茂君) 御
質問の
趣旨は、科学
研究費配分につきましていろいろ改善策を
考えておる、それの今日までの経緯はどうかという御
趣旨であろうと思いますが、お答え申し上げます。
この科学
研究費の
補助金につきましては、松永先生も先ほどからおっしゃられておられますように、
研究者にとりましては非常に重要な
補助金でございます。そういうことで、
研究者はもちろん、
文部省といたしましてもこれの金額の増額をはかると同時に、真に
研究者のためになるようにこの
経費が配分されることを常に頭に置いてきたわけでございます。ところで、この科学
研究費の配分につきましてはいろいろ問題がございまして、一昨年来
文部省に学術奨励審議会というものがございまして、そこの分科会でこの問題を
検討しておられましたが、昨年学術奨励審議会が学術審議会に
改組されました。そこでまた学術奨励審議会
時代の
研究を引き続いて
検討されました。その結果、昨年十二月に文部
大臣あて御
答申をいただきまして、それによりますと、従来から問題にされておったところですが、先ほど申しました科学
研究費を配分する場合の区分、たとえば総合
研究とか、機関
研究、各個
研究、試験
研究、こういったようなものがございますが、これをもう少し
適正な区分にしてはどうか。一例を申しますと、総合
研究というものは大ぜいの人がほんとうに力を合わして
一つの目標に向かって
研究するわけですが、
現実には個人個人の
研究を単に積み上げた個人
研究の集合体にすぎないといったようなものもありますし、中には
研究者同士の
研究に
関連することではございますが、
研究連絡を中心とする事務的な
経費のようなものも総合
研究費の中で行なわれておった。こういうようなことから、これを今後総合
研究はAとBに分けるといったようなこと、その他時間の
関係がありますので省略しますが、いろいろ現在の区分についてもくふう
研究をする必要があるということで、種目につきまして改善の
答申がなされました。
それから、
現実に金額の配分をいたします場合に、従来大体百二十名の方がこの配分に当たっておられたわけでございますが、非常に
学問的な
研究の専門分野、専門分科、こういうものは広うございますが、それを百二十人でやるということは必ずしも公正でない。むしろ人数をふやしてやるべきだ。したがって、それは四百名ぐらいにしたほうがいいであろう。と申しますのは、従来人数も少なく、また
一つの申請件数に対しまして一人の人が審査をすれば、それで大体
補助金の配分の合否が決定されるというようなことでございましたが、これをもっと慎重に公正にやるためには、一人の人の
研究に対して三名の方が審査に当たってやるほうがより公正であろうということ、それとまた、そういう三名の人が
一つの申請を見まして採点をしますと、ただ点数だけで高点順位にとるというのはどうか。したがって、最後に全体の問題をもう一度総合的な
観点から見るための審査方式、いわゆる二段審査方式にしたほうがより的確ではないかといったようなことを
趣旨といたします御
答申をいただきました。
文部省といたしましては、これに基づいて四十三年度の科学
研究費の配分をしようということになったわけでございます。ただ、この科学
研究費の配分につきましては、直接そういう配分のことを審議していただく
委員の先生、これは従来から学術会議の御推薦をいただいております。ことしもその学術会議の御推薦をいただくべく努力いたしたのでございますが、学術会議といたしましては、急に四十三年度からそういう新しい方式にするのでは、時間的にも
委員を推薦するのに間にも合わないし、一年待ったらどうかと、一年待つべきだというようなこともございました。しかし、私
どものほうとしましては、先ほど来申しますように、種々長い間問題にされておったことの改善案がせっかく
答申になってあらわれた次第でもございますし、また先ほど申しておりますように、五十億の科学
研究費も、そういう新しい配分方式にすると、従来の短所は改められていい形でやれるということで、五十億の
予算もついておりますし、またその内訳として従来百二十名ばかりの審査員であったのを四百名にするといったような
予算もついておりますし、そういうようなことから、
文部省といたしましては、四十三年度から実施しようということ、ただそれに対しまして、学術会議といたしましては、いろいろ
お話し合いも申し上げたのですが、十分な御了解を得られませんで、学術会議から四十三年度は御推薦いただけなかったということは遺憾なことでございましたが、以上そういう経過で今日に至っておるということでございます。