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参考人(林
敬三君) 先ほど来お尋ねのありますこと、るる承った次第でございまして、公団が大規模の団地をつくりますと、それが地元の市町村に
財政的な大きな
影響を与えるということ、まさに仰せのとおりでございまして、私ども、つくります前にはその点でいろいろと県あるいは
地方公共団体とは協議をいたしまして、まあその問題が一番大きな一つの問題でございます。それからもう一つは、別のことになりますが、交通の問題、あとまあ地価の問題、土地入手の問題ということ、いずれも頭を悩ましておりますが、特にこの
学校をつくりますことのための
地方財政の負担というものをいかにして調整するかということが一番の大きな問題で、苦慮し、また最大の努力を払って今後もまいりたい問題でございます。
そこで、五省協定によって現在処理を進めておるのでございますが、五省協定はやはり、これはまあ私のほう、実施の公団の側から
政府の五省のことをかれこれ言うと少し越権かと存じますけれども、まあ関係者として申しますならば、これはやはり時とともに
内容が変わってきております。私が就任して三年ほどになりますが、就任当初の五省協定というものはもっと厳重な、もっとまあ要するに力の、やるべき分量の少ない、こういうものであったわけでございますが、それを最近に至って、たとえば償還期限を十年ということにまで延伸をしてもらい、また
地方公共団体のこの負担のぐあいとか苦しさというものと
学校のまた必要というものとのにらみ合わせによって、今後もこれは時代とともに改善され修正されていく必要のあるときは修正されていくべきものだと存じておりますが、四十二年に五省協定ができましたので、現在はこれに基づいてその範囲においてのこの原則に従って最善を尽くすという態度をとっておる次第でございます。
それで、御承知のように、当初はあれは若い夫婦者とか、二人とも共働きとか、そういう人が多くて、
子供がいても小さくて、いろいろ予定ではじきますよりも学齢
児童が少ないわけです。それが四、五年から六、七年たちますと、ちょうどそれらの
子供が大きくなりまして、あるいは
子供さんを生みまして、そして急激にこの団地というものは学齢
児童がふえていくこと御指摘のとおりでございまして、いろいろと、自治体も御苦労だと思いますし、また私どものほうもいろいろ苦慮しておりますが、そういうようなわけで、公団住宅建設当初の
小学校の規模というものは一戸当たり〇・三人で計算をし、その後増築分については〇・四五を限度としてその必要に応じて増強をしていくということに、この五名聞でもその基準が大体話でなっておりますので、それに従ってやっております。これはしかし基準に基づく一つの
標準でございまして、個々には具体的に、それより少しふえてつくらなきゃならないものもございますし、もっとそれよりぐっと低く押えてやっていいものも出てくるわけでございます。
それで、やはりある程度団地を都市
計画的につくりますときに、その
学校用地の規模というものの将来も考えまして、そしてピーク時においても困らないというような見込みを立てて宅地造成のほうはつくっております。それから、住宅建設のように、宅地造成のような大規模でないもので、すぐにしかし団地が一両年のうちにできていくというようなところになりますと、将来の需要ということも考えますが、現在の
状態というものとのにらみ合わせで、
教育委員会あるいは自治体当局、それと私どものほうで相談をして、一応のこの敷地というものをきめてまいるわけでございます。
現在の償還条件は、一番長くて十年ということでございますが、これは三年を原則とするということに五省協定でなっておりますが、実際はその例外のほうの
適用のほうが多いのでございます。しかし、なかなか自治体でも
経済力の強いところがございまして、そしてそんな長くなくてもいいというようなところもあるわけでございまして、三年ないし十年ということで償還の期限というものをいま実施しているような次第でございます。将来、しかしどうしても十年以上にしなければならないという
状態が出てくるときにおいては、また五省協定の方々と私どものほう、
実情訴えまして、そしてその間の措置というものについての例外を認めていただく。あるいは十年をもっとふやさなければいけないという段階になりますれば、私のほうとしても実施者としての意見を申しまして、五省協定というものに対してよろしくお願いをしていかなければならないということだと存じます。
それから、なおもう一つつけ加えますと、先ほどのお話の中で、宅地開発をやっているところは
学校用地というものをあまり考えないのかというような御疑念を持たれたようにも承りますが、むしろその六十万坪、八十万坪、二百万坪、三百万坪と、こういう大きな大宅地開発を山林原野を切り開いてやっているわけでございますが、これは五年ないし十年かかるというようなことでやっておりますが、そういうときは都市
計画に基づきましてきちっとここの住区ならばここの住区に何校要るということで、その中の一番中心のいいところを
学校用地にしてリザーブしておくのであります。そしてそれができ上がりましたときに地方自治体にこれを買い取ってもらう。分譲するわけです。ところが、自治体はすぐには
経済がたいへんでございますので、それは十カ年賦ぐらいにいたしまして、しかもできるだけこれはこういう
小学校用地ですから格安にいたしまして買い取っていただくような
制度にしておりますので、むしろ宅地造成のところのほうが
小学校はいい場所ができるわけです。二千戸ぐらいのところをぽこっと住宅地を買いますと、その近くに
小学校をつくるということになって、むしろ場所が悪くなるというような
状態でございます。しかし、いずれにしましても、この問題はたいへん大事な問題でございますし、また団地において住む人の暮らしが豊かになるように、またその
子供の
教育というものが目的に沿うてやれるように、そのための施設というものについて、私どものほうの施設をつくりますほうとしましても、将来とも最善の努力を尽くしてまいりたいと思っております。