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1968-04-04 第58回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月四日(木曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————   委員異動  三月二十七日     辞任        補欠選任     青田源太郎君      吉江 勝保君     山本  杉君      大谷藤之助君  三月二十八日     辞任        補欠選任     近藤 鶴代君      古池 信三君     内藤誉三郎君      笹森 順造君     佐藤  隆君      横井 太郎君     北畠 教真君      豊田 雅孝君  三月二十九日    辞任        補欠選任     横井 太郎君      仲原 善一君     豊田 雅孝君      北畠 教真君     古池 信三君      近藤 鶴代君     笹森 順造君      内藤誉三郎君 三月三十日    辞任        補欠選任     仲原 善一君      佐藤  隆君     ————————————— 出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 小野  明君                 鈴木  力君     委 員                 大谷藤之助君                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 岡  三郎君                 千葉千代世君                 松永 忠二君                 石本  茂君        発  議  者  松永 忠二君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部省体育局長  赤石 清悦君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○日本学校安全会法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案松永忠二君外一名発議) ○産業教育手当法案松永忠二君外一名発議)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る三月二十七日、山本杉君、青田源太郎君が委員辞任され、その補足として大谷藤之助君、吉江勝保君が選任されました。     —————————————
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事に一名の欠員が生じております。その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、理事佐藤隆君を指名いたします。     —————————————
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 次に……。
  6. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと、委員長
  7. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 松永君。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと委員長にひとつお聞きしたいのですが、従来、参議院先議案件がある場合には、与野党理事のほうで話があって、そしてまた委員長承知の上でそれを相談して先議にするということでやってきたわけです。また、そういう慣例をいままでくずしたことはなかったわけです。ところが、日本学校安全会法の一部改正については、これを参議院先議にするということについては、われわれの聞いたところでは、社会党側理事のほうにも何ら事前に話し合っていない。委員長のほうからその後、こういう状況であったので先議にしたということの報告を、お話があったということも聞いていないわけなんですよね。これはやはりこういうふうな先議にするというような問題については、従来のやはり慣例を破ってやるということはよくないと思うんです。十分事前連絡をとってやらにゃいかぬことだと思うんですが、この安全会法の一部改正法律案参議院先議にするということについては委員長は了承されたのですか。また、そういうことを与野党理事のほうに話をして、そうして了解を求めてやられたのですか。この点を委員長にお聞きをしたい。
  9. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 私は、前例がわかっておりませんで、委員長になりました後に、社会党さんのほうからそういう話が出たので、経過を調べてみたわけですが、特別、委員長手元了解を求めてこれを先議とするということはございませんでした。委員長了解を求められたかということについては、了解を別に求められておりませんで、その点について前例はどうなっておったのかということについても、委員部のほうを通じまして確かめたわけでございますが、このことについては確たる回答、私ども委員長なりあるいは与野党理事了解を求めなければ出せない云々というようなことも、別にこまかい前例は聞いておらなかったわけです。  そこで、問題は、これは社会党さんのほうでは衆議院先議が至当なものだと、こういうお考えだということで、私どものほうに、委員長手元のほうにも自民党理事のほうにも、そういう申し出があったので、国対のほうに通じまして、衆議院のほうに、それじゃ戻してけっこうではないかと、社会党さんの言うとおりにしてよろしいんじゃないかと、こういうことを申しましたところが、今度、あとになって、いや参議院先議でよかろうと、こういうふうにあらためてまた社会党理事さんのほうから申し出があった状況なんです。したがって、内閣のほうからの提案最初の仕組みについては、特別、委員長のもとには了解は求められておりません。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、一つわかったことは、この先議をすることについて委員長もあるいは与野党理事も何ら了解というようなことは経ずに、結局政府のほうで先議案件として提案をした、こういうことですか。
  11. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) おそらく衆議院段階において、与野党国対委員長なり議運委員長等の間では話し合いが進められたかどうかは知りませんけれども、私どものほうでは聞いておりません。文教委員長は聞いておりません。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 私の言うのは、委員長承知しておらなかったということはわかったんです。それからまた、社会党理事のほうが、これが先議になるということを承知していなかったということは私たちわかっているわけです。自民党理事のほうも、そういうことを先議するということは承知をされないというか、事前お話がなくて、先議をされたんですか。この点はどうですか。
  13. 楠正俊

    楠正俊君 いまの松永委員お話ですがね、委員長と同じですわ、いきさつは。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 わかりました。それで、お話を聞いて、結局委員長与野党理事も知らないままに先議にされていた、その後いろいろ事情を調べたけれども、その意図に、先議が悪ければ衆議院側に回そうとした、しかしその間に社会党理事のほうがそれでもいいと言ったから先議することになったと、こういうお話のようですけれども、それはほんとうですか。
  15. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) それは私のほうから説明を申しましょう。これは当然、先議案件として出されたものであるから、衆議院先議すべきものと考えて、これの取り扱いについて社会党理事さんのほうに私のほうから、委員長のほうから打ち合わせに行ったわけです。ところが、社会党理事さんのほうでは、これは代案衆議院で持っておるので、衆議院のほうで先にやらせてもらいたい、そういうふうに差し戻しをしていただきたいと、こういう要請があったので、これは正式にそれでは議運のほうにも申し込んでもらいたい、私どものほうも国対委員長を通じて、そのことは両者の、社会党自民党のほうで話し合いをしてもらおうと、私どもが戻す戻さないというのはわからない、こういう経過をたどったわけです。そして国対のほうでは、衆議院代案を用意しているということならば、衆議院に回したがよかろう、それは社会党さんの言い分も聞いてあげたがよかろう、こういうことで回すことにしておったわけですが、その間衆議院のほうでは、別にほかの案件等があったためであろうけれども、この審議の問題について特別の申し入れは、社会党さんのほうからも自民党のほうからも、ないまま今日まで来ておって、そしてその間、今度は社会党理事さんのほうから、いつまでも日をかけている必要はないから、ひとり参議院先議にこれをやろうじゃないかと、そういう話があったので、あらためて今度この提案理由説明になったわけです。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 それは話が私たちの聞いているのとは違うわけです。私たち理事から話を聞いているのは、これはとにかく委員長あるいは与野党理事さんは知らぬままに、そういうことが政府のほうから先議案件として提案をされた。そこで、これは衆議院側のほうへ回してほしい、従来の慣例からそういうお話があったのだけれども、その問いろいろしている間に、衆議院側のほうから、特に自民党側議運理事等から、ぜひひとつこの点については、また衆議院、返すということになるといろいろその間関係した人がいろんな意思表示をしなければできない状況になるので、何とかひとつ参議院先議になっているその状態をそのままにしておいてもらえないだろうか、こういうお話があったという。そこでわれわれのほうでも、社会党部会のほうでもいろいろ相談をして、できるものなら衆議院のほうへ回してもらいたいけれども、どうもそういうふうな事情でぜひひとつ了承してもらいたいというお話ならば、この際そういつまでもこの問題を長く引き続いていてもいかぬから、それじゃやむを得ないところで先議として取り扱おうじゃないかということになった、というふうに私たち聞いております。
  17. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 私に対するいまの説明ですが、社会党さんの松永さんのそのお話は、今日までの私ども経過とは少しく違っておりますから、それじゃ与野党理事さんのほうからひとつ経過について御説明いただきたいと思います。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 これは筋からいうと、委員長のおっしゃるとおり、いま言ったとおりですね。われわれから衆議院に戻せと言って、委員長も賛成をして衆議院にやろうと持っていって、それがそのままになって、ぼくらのほうから、じゃあこっちが先議でもいいからやろうじゃないか——歩いた筋はいまの委員長説明した筋のとおりです。ただ、委員長説明一つ欠けていることがあるのですね。  社会党が言ったからそれならいいだろう、こう言われると、私らのほうも言いたいことが一つある。それは自民党衆議院参議院との連絡がおそらくつかないから、こういうことになったのだろうと思うので、別に委員長が悪いことを言っているという意味で言っているのじゃないのですが、私ども参議院でこれをやろうと言い出したのはこういう事情があるのですよ。参議院に一たん提出をしてしまった法案衆議院提出がえをするためには、政府責任者始末書を書かなければならないということがわかった、それは手続上でしょうけれども。そこで、ぼくらはそういうことをしたくないから何とかしてくれないかというので、衆議院議運を通じてぼくらに話があったわけで、私どももそこまでその責任者をいじめるに値する法案でもない、われわれはそんなに政府を窮地におとしいれる、そんなことを社会党としてもやるべきじゃないじゃないかということが一つあった。それからもう一つは、そんなことでこの安全会法をいつまでもだらだらしているということも、これもまた政府に、そんなことで法律が延びるみたいなかっこうでも、これもまあぼくらとしてもあまりかわいそう過ぎるじゃないか、こういう気持ちでぼくらは、それならば参議院先議でやりましょう、こういうことを申し入れてというか、そういうことを申し上げたわけです。だから、表の筋は委員長のおっしゃったとおり、ただし参議院のほうからやってくれといって頼んだのじゃなくて、社会党のほうから頼んだのじゃなくて、そういう事情があったので、私のほうはそれならそうやってあげましょう、こういうことなのですから、そこのところは御理解をいただきたい。ただし、これはいまの委員長が悪気があってごまかした説明をしたという意味で言うのじゃなくて、衆議院参議院との間の連絡自民党さんのほうがおそらくなかったので、そういう表だけの御答弁になったのじゃないか、こう思いますけれども事情はそういうことですから、そこを勘案して……。
  19. 佐藤隆

    佐藤隆君 先ほどの理事会できめた次第に従って、ひとつ審議を取り運んでいただきたい。いまの問題は、これはやはりひとつ社会党さんの内部のもちろん説明をしていただいて、そしてそれで解決できる問題じゃないかと思うのです、私は。したがって、すぐ、もう大臣お待ちですから、提案理由説明ですか、それをさっそくひとつ……。
  20. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) いまの佐藤君のそういう話もございますけれども委員長としては、松永さんからのいまの委員長に対する質問に対しては、松永さんが十分釈然としないものもありますし、なお社会党さんのほうのいまの鈴木さんの発言等も考えて、従来の理事会話し合いとは少しく違っている面もありますが、しかし、このことをやって長い時間をかけることもどうかと思いますから、後刻理事会で十分この問題を話し合って、そして次回の際に松永さん等にも十分納得のできるような線、そしてまた私のほう、委員長のほうにも十分皆さんから納得できる説明をいただいて、事の解決を進めていきたいと思います。以上のような方法委員長は考えておるのですけれども松永さん、どうですか。
  21. 松永忠二

    松永忠二君 それは別にこれを長くしてどうこうしようというわけではないんですよ。ただしかし、そういう経過があって先議になった法案なんですから、大臣説明を聞く前にやはりこの問題については一応ちゃんとしておく必要があると思うからやっているのであって、いまのような議事進行お話があるが、時間がないからすぐ説明を聞くというような、そんな議事進行のやり方はぼくは不服です。それで、内容については今後わかるようにその辺を相談してください。私たちの聞いている話では、鈴木君の話されたように、別に参議院社会党理事のほうがそれじゃ先議でいいからということでやって承知をしたというのではなくて、衆議院側議運理事同士で話して、衆議院議運理事のほうから社会党理事のほうに、ぜひ頼む、わび状はもらえないから、このことは処理してくれないかというお話もあって、そういうことを問題にして部会で議論をし合って、いまのお話のように、理事もいつまでもそうしておくわけにいかぬというお話もあったし、そういうこともあるので、そういうことでやむを得ないだろうということを言ったんで、いま言うとおり、何かお話を聞いていると、初めは先議をしちゃ悪いと言ったが、向こう理事のほうから、先議してもいいということになりましたから——そうではないと思うから、そういうふうに内容理解をしているわけですから、その経過については、ひとつあとでその程度のことは委員長理事の間でやることにして、話し合いをされないで提案なされたということについては、われわれとしてはちょっと承服できないのです。しかし、この問題はいろいろ時間のこともあるので、あとでひとつ相談をされてその辺の経過を明確にしてください。  それからもう一つ、少なくも委員長参議院委員長与野党理事も知らない間に法案先議になってかかってきた。そんなばかなことをそのままにしておくわけにはいかぬと思うのですよ、私は。委員長としては、委員長は何も話を聞いていない、与党の、野党理事も何も聞いていないままに先議になっていたというような、こういうふうな法案のかけ方をされたのでは、これは今後ぐあいが悪いのですよ。従来そんなことはないですよ。やはり一応、先議案件としてこういうことをやりたいと。むしろほかの法案なんかについては、政府側のほうから話があって、先議にしたいがどうでしょうというお話野党理事のほうにも回るわけですよ。そうして、この問題は向こう関係もあるから先議にしたらいいだろうということで話し合いがなされて、従来先議案件はきまってきたわけです。だから、いまのお話のように、委員長与野党理事も何にも知らない間に、政府のほうから先議案件として参議院提案をされてまいりまして、これはこうなっていますというようなことじゃ困るので、自後こういうことのないように、委員長はひとつ十分に政府側のほうに、特に文部省のほうに申し入れをしておいていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  22. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 先例等や他の委員会、あるいは衆議院等々の関係を十分調査いたしまして、しかるべく今後善処いたしたいと存じます。  なお、松永さんからの委員長に対する最初質問参議院先議に移る過程についての、自民党あるいは社会党という問題についてのあなたの説明に対しては、委員長としては納得いかない点もありますけれども、この点は十分理事同士で話し合って、松永さんにも説明のつくように、あなたのほうの誤解である点もひとつ解く必要もあると思いますから、後刻協議をいたしたいと存じます。     —————————————
  23. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) それでは議事に移りたいと存じます。  日本学校安全会法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。灘尾文部大臣
  24. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) このたび、政府から提出いたしました日本学校安全会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、日本学校安全会業務である災害共済給付対象高等専門学校学生を加えようとするものであります。すなわち、日本学校安全会は、学校教育の円滑な実施に資することを目的として、学校設置者との契約により、義務教育学校等管理下における児童生徒等の負傷、疾病、廃疾または死亡に関して必要な災害共済給付を行なう業務を実施しておりますが、高等専門学校学生についても、教育の成果を高めるために、その設置者日本学校安全会契約を行なうことにより、災害共済給付対象にすることができるようにしようとするものであります。  また、最近における他の特殊法人に関する法律の例にならい、監事に関する規定等を整備しようとするものであります。  以上が、この法律案提出いたしました理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  25. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  26. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。松永君。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 それでは、提案理由説明を申し上げます。  ただいま議題となりました高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案について、提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  最近、技術革新を基軸とした社会改革が急激に進行する中で、国民の資質及び能力の展開向上に対する期待が一そう高まり、教育責任はいよいよ重大になってきております。  すなわち、義務教育はもとより、後期中等教育大学教育拡充整備が切実な課題として取り上げられております。特に、後期中等教育については、高等学校各種学校、その他の教育訓練施設に学ぶ青少年就学率が年々高まっており、いまや後期中等教育義務制化が真剣に論議される段階となりました。このような情勢の中で、戦後の新教育制度として発足した高等学校定時制教育及び通信教育は一段の飛躍が期待されておりますものの、実は問題を数多く含んでおります。伸び悩み状態にあります。  その理由としては、国全体として勤労青少年教育に対する理解、認識がいまだ不十分であるということに尽きるのではなかろうかと考えます。すなわち、各種の施策がこれらの教育施設に対して行なわれてきましたが、画竜点睛を欠くといいますか、一番根本のところにまだ手が届いていないと思うのであります。  その第一の点としては、御承知求人難人手不足の深刻な現在、使用者は好むと好まざるにかかわらず、勤労青少年労働過重に追いやり勉学の機会や学習の意欲を阻害しております。また、すでに就学している勤労青少年も、昼間の労働、夜の通学というぎりぎりの生活中で疲労こんぱいしております。したがって、使用者側理解、協力を一段と促進し、通学勉学の諸条件を整備してもらいたいのであります。  第二点といたしましては、この教育施設を経営する側、主として地方公共団体並びにこれに援助している国の責任として、全日制高校に劣らない適切な施設、設備を整備することはもちろん、生徒教育指導する教師その他の職員に対する配慮を一段と厚くする必要があると信じます。現在、校長及び教員並びに政令で定める多数の実習助手に対しては、定時制通信教育手当として本俸の約七%の手当が支給され、国はその三分の一を補助しておりますが、実習助手に対しましては従来からその手当支給範囲を制限いたしておりました。去る昭和四十二年の政令第百四十七号によって、一部支給範囲の制限が緩和されましたものの、なお、若干の実習助手はいまだにこの手当を支給されておりません。現在、定時制教育及び通信教育に携わっている教員に対しましては、全員この手当を支給されているにもかかわらず、同じ勤務態様における実習助手に限って支給対象を制限しておりますことは、不合理であると言わなければなりません。また、特に夜間定時制高校においては、校長教員実習助手のみならず、事務職員その他の職員ともどもに、困難な条件の中で勉学している生徒を指導し、かつ学習環境をよりよくする必要もあり、この手当事務職員その他の職員にまで拡大する必要があると思います。  また、定時制通信教育手当は、さきにも申しましたように、現在、昼夜の別なく支給されております。しかし、夜間課程に勤務する教職員は、昼間勤務者に比べて、本人はもとよりその家族をも含めて、肉体的にも精神的にも苦労や疲労が非常に多いのであります。帰宅が毎晩おそいこと、食事もしたがって一日四回となり、しかも家族と一緒にとることがほとんどないありさまであります。  このような職務内容の困難度という観点に立てば、昼間定時制にも支給されている手当を若干、夜間に限って増額すること本当然であり、この際、定時制通信教育手当のほかに定額五千円を支給したいと考えるのであります。  以上、本法律案提出理由を申し述べましたが、次に、本法律案内容について簡単に御説明いたします。  本法律案は、第一に、勤労青年を使用する者に対し、勤労青年定時制教育または通信教育を受けるのに支障がないように、労働条件に関し特別の措置を講ずるようにつとめる等の義務を課することにいたしました。  第二には、本務として定時制教育または通信教育に従事する実習助手で、従前定時制通信教育手当を支給されなかった者に対して、また、本務として夜間において授業を行なう定時制課程事務その他の職務に従事する事務職員その他の職員に対して、定時制通信教育手当を支給することといたしました。  第三には、夜間において授業を行なう定時制課程教育に従事する校長教員事務職員その他の職員に対し支給する定時制通信教育手当の額を一律五千円増額することといたしました。  第四には、本法律の施行期日を昭和四十三年四月一日といたしました。  以上でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  28. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 以上で提案理由説明聴取を終わりました。     —————————————
  29. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 次に、産業教育手当法案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。松永君。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 提案理由を読みます前に、誤字が一字ありますので、四ページのしまいから三行目のところの「過去の従弟」というのは「徒弟」ということでありますので、恐縮ですが、お直しいただきたいと思うわけでございます。  ただいま議題となりました産業教育手当法案について、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  現在行なわれております産業教育手当の支給は、申すまでもなく、農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律に基づいております。  また、この法律が、去る昭和三十二年に、その母法でありますところの産業教育振興法の第三条の三の規定の趣旨に基づいて制定されましたことも、御承知のとおりであります。  自来約十カ年にわたり産業教育手当の支給が行なわれてまいりましたが、その経過並びに実施の状況をつぶさに調査し、検討いたしますと、必ずしも産業教育振興のために満足すべき現状にあるとは申しがたく、むしろ、産業教育手当の支給の対象とされるべき教職員学校、教科及び手当の額等について、早急に改善を行なう必要があることを痛感いたすものであります。  第一は、産業教育手当支給対象が、産業教育に直接に従事する教員及び政令で定められた助手のみに限定されている現実の矛盾を解消する必要があるということであります。  現在、農業、水産、工業または商船に関する専門教育を主とする学科を置く高等学校においては、ひとり産業教育に直接に従事する教員及び実習助手のみに限らず、普通教科を主として担当する教員及び実習助手はもとよりのこと、事務職員から用務員に至るまで、すべての教職員が産業教育振興の一翼をになって、それぞれ欠くことのできない重要な役割りを演じているのであります。まずこの現実の姿を直視し確認すべきであると存じます。  そもそも、これらの学校において、本来の使命である産業教育振興の実をあげるためには、その基礎となるべき一般教養教科が、普通課程の高等学校におけるよりも、なお一そう重視されなければならないことは、論をまたないところであります。したがって、これらの学校において普通教科を担当している教員は、教科内容についても教授法についても、絶えず真剣な研修を怠ることなく、特に限られた短い授業時間内に最も効率的に生徒の学力を涵養するため、常に創意とくふうをこらしているのであります。その教育責任度は、専門教科を担当する教員に比べ、まさるとも劣るものではありません。  さらに、これらの学校においては、生徒の組主任はほとんどすべて普通教科の教員の担当するところでありますから、個々の生徒の保健、体育の面をはじめ、進学、就職についての進路の指導に至るまで、それらはあげて組主任の責務とされておりますし、加うるに、教務関係、図書館等の広範複雑な事務処理は、すべてこれら普通教科の担当教員にゆだねられておりますから、専門教科の担当教員よりも、むしろハードワークが課されていると申しても過言ではありません。  また、これらの学校事務職員は、一般的事務以外に、機械器具の購入、整備、保管、その会計の処理等についての責任を持ち、用務員もまた、実習後の機械器具の整頓、清掃等、それぞれ、普通課程の高等学校における場合よりは、はるかに労働力の過重にたえながら、産業教育振興のための縁の下の力持ちとして、たゆまぬ努力を続けているのであります。  今日、産業教育を行なっている学校にとっては、過去の徒弟式教育を矯正し脱却して、総合的教育を実施することが最も大きな課題の一つであり、そのためにこそ、教職員の層が幅広く配置されております。そうして、おのおのの教職員が個々の持ち場においてその責務に専念し、十分にその能力を発揮し、こん然一体となって使命の達成に邁進するとき、初めて教育の成果を期待することができるものと信じます。  その姿は、あたかも大洋を航行する船舶にもたとえることができるでありましょう。すなわち、船長から火夫に至るまでのすべての乗り組み員に航海手当が支給されておりますのと同様に、産業教育を行なう学校のすべての教職員に対して産業教育手当が支給されることこそ、教育的見地から最も望ましく、また当然のことであると考えるものであります。  第二は、商業及び家庭科に関する教育も、当然本法の適用対象に含めるべきであるということであります。  産業教育振興法第十二条の産業教育の定義には、商業及び家庭科に関する教育が含まれておりますにもかかわらず、これらの教科が産業教育手当支給対象から除かれていることは、納得のできないところであります。  それゆえに、農業、水産、工業または商船と同様に、商業及び家庭科に関する教育を実施している高等学校の教職員に対しても、産業教育手当を支給できるように措置する必要があると考えます。  第三は、盲学校、ろう学校及び養護学校の高等部において、高等学校におけると同様の産業教育に従事している教職員にも、産業教育手当を支給すべきであるということであります。  盲、ろう及び養護学校の高等部における産業教育に関しては、これまた産業教育振興法第二条の産業教育の定義に含めて規定されており、現にこれらの学校の高等部の中には、産業高等学校におけると同様に木工、被服等に関する産業教育を実施しているものがありますにもかかわらず、いまだその教職員に対し産業教育手当が支給されていないことは、妥当を欠くものであります。  一面、これらの学校の高等部においては、産業教育に従事する適当な人材を確保することがきわめて困難であるため、人事交流の面からもしばしば支障を招き、ひいては教育不振の一因ともなっております。このような実情にもかんがみ、すみやかに産業教育手当支給の道を開くよう措置する必要があると考えられるのであります。  以上申し述べました理由により、ここに新たに本法律案提出し、従来の不備を改めて産業教育の一そうの振興をはかろうといたすものであります。  次に、法律案内容について簡単に申し上げます。  第一に、農業、水産、工業、電波、商業、家庭または商船に関する専門教育を主とする学科を産業に関する学科と規定し、これら産業に関する学科を置く高等学校と、盲学校、ろう学校及び養護学校でその高等部に産業に関する学科を置くものを産業高等学校と規定しております。  第二に、国立の産業高等学校校長及び教員事務職員その他の職員で、本務として産業に関する学科または産業に関する課程における教育事務その他の職務に従事する常勤者には、その者の俸給月額の百分の十に相当する額をこえない範囲内において、産業教育手当を支給するものといたしております。  第三に、公立の高等学校校長及び教員事務職員その他の職員の産業教育手当は、国立の産業高等学校の産業教育手当を基準として定めることといたしております。  なお、この法律は、昭和四十三年四月一日から施行するものとし、現行の農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律は廃止することといたしております。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いいたします。
  31. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四分散会      —————・—————