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木村美智男君
大臣、なぜ私がアルゼンチンのことを特に気にして言うかというと、この間も
畜産局長が答えられているように、イギリスで、アルゼンチンからの輸入肉で実は
口蹄疫が蔓延して、まだいまも撲滅するところまでいっていないのですよ。何十万頭という牛、しかも
政府は約二百億近い金を出して、そしてこれの防遏に苦慮しているという、これはイギリスの事情です。そういうアルゼンチンに対して、
大臣にビールスの型がどうだというのは、その一々を聞きたいと思ったのじゃない。そういうことを
農林省はきちっとつかんでいるのかどうかということだけを
大臣に伺いたいと思った。それは、なぜそういうふうに言ったかというと、イギリスがそんな状態になっているやさきに、何で、あんなアルゼンチンあたりから……。しかも、
国民はちっともそんな煮沸肉なんて望んでもいもしない。なまの肉をほしいと言っているのですよ。それを、わざわざああいうところから、汚染地域から入れてくる。これは
一体どういうことなんだということが……。私は、これは危険きわまりないと思う。
いま
大臣は、
衛生の責任を持つと言ったけれ
ども、責任を持っている
立場からこれは踏み切れないんだと言っているわけだけれ
ども、
口蹄疫だってビールスだからね。ビールスというやつは、ぼくもそれは専門家ではないけれ
ども、とにかく肉にだけついていると思っていたら大間違いなんで、どういう場面で包装に入ってくるかわからないし、人の体についてくれば衣服にもついてくる。極端な話をすれば、靴の裏までついてくるというのですよ。それは心配したらきりがないんで、だからこそ、
農林省も前後三回にわたってりっぱな権威者を
中国に派遣をして
調査をなされたのじゃないですか。今度アルゼンチンにどういう方がいらっしたかわかりませんけれ
ども、少なくとも
中国に派遣した第三回までの人々というのは、田中良男博士を頂点として、
日本のみならず、世界的な獣医学の権威者ばかりですよ。こういう人が行っているのです。私が大体いいと言っているじゃないかと言ったからといって、適当にいいと言っているのじゃないのですよ。
農林省に、これくらいの、三冊、三回にわたって報告書が届いているのです、詳しい技術的な
観点から、専門家の
立場からやった報告書が。これを、
大臣、一回お読みになってください。そういうことは、いろいろ向こうの人たちとも会いながら、あるいは
衛生状態、管理状態をやった結果、まず、その大事な
口蹄疫のビールスの型は何だとかということは、それはノーコメントであったけれ
ども、総合的に判断をして大体だいじょうぶだろう、こう言っているのであって、わしらみたいなしろうとが、大体だいじょうぶだなんと言っている話とは根本的にだいじょうぶが違うのですよ。それを信用できないで、どんな人が行かれたか知らないけれ
ども、アルゼンチンは絶対だいじょうぶだなんて断定を下すことは、これはちょっと、まともな常識で考えたら、だれが考えてもふしぎだと思いませんか。世界的な権威者がやったことが信用できないで、新聞は
農林省の係り官と言っていたが、どういう方が行かれたか知らないけれ
ども、その程度の方が行かれて、だいじょうぶだなんと言った場合には、私はそんなものは信用できませんよ。そういうことを平気でやっておる。何だか、いままでやってきたいきさつにとらわれて、
農林省は、もう何が何でもがんばっているとしかぼくらにはとれないです。だから、相手国にその協力すべき態度を求めるという前に、われわれ自体のほうで、
農林省自体がもう少し考えてみなければならぬのじゃないか。
この間、私は具体的に
大臣に
提案した。あの
口蹄疫がそう心配なら、
中国のあの地域全部が
口蹄疫になっているのじゃないんだから、まず第一番に、
口蹄疫の汚染地域でないところからの牛をまず持ってくるということを考えてみたらどうですか。これを
条件にしてもいいですよ、向こうに。その牛が、それでも心配だというなら、沿岸に持ってきて、そこで一週間でも十日でも係留しておけば、大体
口蹄疫にかかっているかかかっていないかわかるのですから、これでまず集団的な検疫というか、これを二番目にやったらどうですか。
大臣よく聞いておいてください。局長、よけいなことを言っているな。人がしゃべっているときに。それからそれでもなお心配だというなら、ワクチンを打った牛を、大体十カ月ぐらいたったものを持ってくるということを考えてみませんか。これは、ワクチンは八カ月ぐらいが効果があるといわれているわけですから、八カ月過ぎれば、これはもうそれによって、経過をすればわかるわけです、まあ十カ月ぐらいたった牛であれば。この三つぐらいをまず厳密にやっていけば、確認をされれば、これ以上の、何というか、りっぱな証拠は私ないと思う。それでも不安ならば、
中国から
牛肉を輸入している国もあるのですから、幸い
日本は西欧諸国に対しては
外交ルートをみんな持っているのですから、
外交ルートを通して
農林省は積極的に
調査などされたらいかがでしょうか、どういう実情であるか。そうすればだんだん実情がわかってくるでしょう。それから、戦争中やっていたと同じように、私は、ある意味では、上海でもいいし天津でもいいから、
日本の技術者を派遣をすることを
条件にしたらいいと思うのですけれ
ども、そうして現地でちゃんと検診、検疫をやればいい。なおかつ、
日本の陸揚げの港を指定して、横浜なら横浜、神戸なら神戸、それを指定をして、厳重なる防疫態勢をそこにとったらどうか。ここまで一応手段をとって、それでもなおかつ一挙に大量に持ってくるということについて不安があるならば、私は、それは百キロでも五百キロでもいいから試験輸入をやってみたらどうでしょうか。このくらいのことをやって、しかしこういうことでやったけれ
ども悪疫があったのだ、こういう実証が出たら、
農林省、それこそ胸を張って、こういうことだからあぶなくて入れられないということを言いなさいと言うのです。ところが、そのことについては、私が不満とするのは、私も新しいのだけれ
ども、国会に出て来て、
昭和四十年からこの問題が問題になっている。その問題になっていることについて一歩でも前進をしたことがないのだ、
農林省はうしろ向いて返事しているのだな。予算
委員会でもやっている、この問題は。衆議院の
物価委員会でもやっております。みんなやっているにもかかわらず、これは
大臣そういうことを知らないわけだ。それだけやられたら、アルゼンチンまで係官を派遣をされる熱意があるなら、隣の
中国へそれくらいのことの話を積極的にやってみて、いま言ったようなことをやって具体的な
条件を出しても、だめだということになるなら、それは
方法もまた考えなければならぬけれ
ども、そういうことを一つもやらないで、ただ病気があるからだめだ、病気があるからだめだと言っていることは、向こう側がまるきりのめないようなことばかり言っている。
大臣、その意味で、少し
事務当局の話は話として、あなた自身がほんとうにこの問題を
検討してみませんか。
大臣、いかがでしょう。