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1968-04-24 第58回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十四日(水曜日)    午後一時三十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大森 久司君     理 事                 岡本  悟君                 櫻井 志郎君                 田代富士男君     委 員                 大竹平八郎君                 木村 睦男君                 高橋  衛君                 任田 新治君                 林田悠紀夫君                 木村美智男君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        公正取引委員会        委員長      山田 精一君        公正取引委員会        事務局長     柿沼幸一郎君        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        通商産業省重工        業局次長     本田 早苗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価問題に関する件)     —————————————
  2. 大森久司

    委員長大森久司君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  これより、当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価問題に関する件を議題といたします。  本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。木村君。
  3. 木村美智男

    木村美智男君 時間が少ないものですから、まず公取委員長に伺いたいと思いますが、第一番に、この間委員会でお酒の問題を聞いたんですが、そこで、委員長酒団法関係でちょっと見解を伺いたいと思うんです。  酒団法の九十四条ですが、ここには公正取引委員会権限規定してある。この権限は、「第四十三条第一項の規定により認可を受けた、若しくは認可を受けることを要しない協定内容が第四十三条第二項各号の一に該当するに」至った場合においては、大蔵大臣に対して処分請求することができる、こういう規定がございますね。そこで、四十三条の第二項の第一号というのは、要するに、「四十二条の第五号に規定する事態を解消するための必要、且つ、最少限度の範囲をこえていること。」という条文であります。そこで、四十二条第五号というのは何かということになれば、これは要するに、酒類業の組合が、事業として、ある場合には、販売数量なり、販売価格なり、販売方法に関する規制をやることができるという条項でございます。  そこで、私は、これはある時点においては必要があったかと思うのでございますけれども、今日の時点としては、現在の状態は、こういうようなカルテル行為というものは大体必要としない状態に置かれているんじゃないか、こういうふうにまあ考えるわけです。この間の委員会大蔵省に対してこの点の質問をいたしましたところが、過去二十八年ごろから合成清酒あるいはしょうちゅうが極端に値下がりをしたので、三十一年のころに取引上のこういう規制を行なったのだ、こういうことで、過去にはあったということは立証されましたけれども、現在こういう状態にあるということは大蔵省も実は認めておらないわけです。そこで、現在そういう必要がなくなっているということと、もう一つは、大蔵省が四十年六月一日に告示の百七十七号というものを出して、そして四十二条の五号というのをいいかげんに判断をされてはいけないので、したがってほんとうの基準を、この通達によって、告示によって列挙をしているわけです。それを読んで見ますと、一つは、健全な経営を困難にする程度に低い価格取引をされたり、あるいは販売代金の回収が一般的に円滑でなくなること等の場合、こういうふうに言っているわけです。この大蔵省通達の筋から言っても、今日このいまの条項というものは、これはまあ必要がないじゃないかということになってくるので、したがって、冒頭に申し上げましたように、九十四条の第三項に基づいて、この際公取としては大蔵大臣に対してこのカルテルを破棄するように私は処分請求をすべきじゃないのか、こういうふうに実は思うわけであります。それは、特にこれが毎年更新をしておって、事実そういう必要な事態もないし、大蔵省自身が出した告示内容に照らしても、当てはまらないような事態であるのに、慢然と毎年毎年これを更新をしているということから考えると、こういう競争制限的なカルテルは、逆に言えば、やはり価格の下ざさえをするという役割りになってきているのだから、これはひとつ廃止すべきだ、そして廃止をする権限はこれは公正取引委員会じゃないかもしれませんが、処分請求権公正取引委員会がお持ちなんです。したがって、そういう法的な立場から、この問題について、いま申し上げたようなことをやるべきだと思うのですが、その点、どうお考えになりますか。
  4. 山田精一

    政府委員山田精一君) 御指摘のとおり、これらの協定は、古いのは昭和二十八年から継続しております。したがいまして、現在の条件に照らしまして適切な判断をいたすべきもあと考えております。そのうちの大部分は、たしか六月末に期限——指摘のとおり、一年ごとに更改しております期限がまいります。大蔵省から同意方申し入れがございました場合には、十分厳格にこれを判断をいたしてまいりたいと、かように考えております。
  5. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ、一応、あれですね。私がただいま申し上げたようなことで公正取引委員会としては処分請求をするつもりだと、したがって、これに対して大蔵省から同意申し入れがあれば整理をしていくと、こういうことに了解をしてよろしいですね。
  6. 山田精一

    政府委員山田精一君) 私が申し上げましたのは、六月末にこの一年の期限が切れます、そういたしますると、当然、大蔵省からあるいは継続の同意方申し入れがございませんかもしれません。一番よろしゅうございますけれども、もしございました場合には、十分厳格にこれを判断いたして、できるだけ不要なものは整理をいたしてまいりたい、かように考えております。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、求めてきた場合というと、大蔵省が言ってこなければ、公取としてはもうこれはノータッチだと、こういうことですか。私が聞いているのは、処分請求権は、大蔵省じゃなくて公正取引委員会が持っているんだから、これは九十四条の第三項によって、りっぱに法律的な権限があるんだから、したがって、あなたのほうからそういうことについて言うべき筋のものだ。もう一つは、大蔵大臣にこの間聞くつもりでおったら、どうしても出席できなかったんで、いずれこれは伺うつもりですが、大蔵省が自主的にこれは廃止をするという立場を当然とるべきものと、こう二つあるわけです。したがって、大蔵省のほうはこれからまた進めるとしまして、公正取引委員会として、私、やっぱりもう一つ大蔵省待ちということだけじゃ、ちょっと、独禁法立場から言うと、どうもかったるいんで、そういう意味でお伺いしているんです。
  8. 山田精一

    政府委員山田精一君) きわめて近く期限がまいりますものにつきましては、先方申し入れを待つということも一つ方法かと存じます。期限が近くまいりませんものにつきましては、十分これを調査いたしまして善処いたしたいと考えます。
  9. 木村美智男

    木村美智男君 大体趣旨はわかりますんで、それじゃ、あとその実行の経過を見て、またあらためて、場合によったらお伺いするかもしれません。  二番目は、実は、公正取引委員会が過般扱ってきました、例の、私もこの委員会で何回か申し上げた乳児用粉ミルクの問題ですよ。これが、もう一年以上たっておるのに、一面では、まあ聞くところによると、審決案が出ているそうです。審決案の出ているものが、なぜ審決がなされないのか。この問題は、あれだけ世上を騒がした問題であり、それから当委員会として、不当な取引制限なのか公正な取引方法なのかという問題をめぐって、これは独禁法の力の弱さを補強するという意味で、ここのところが法的にやはりしっかり規定づけをしておかないと、現実に起こってくる問題を処理するのに不十分じゃないかといってやった問題にも関連をするわけですが、それはそれとして、いずれにしても、一年もおっぽっておかれるということは、どうあってもこれは消費者としては納得のできないことなんです。どういう事情でそういうことになっているのか。しかも審決案というのができていると聞いているんだが、それはあるのか、ないのか。あるのに審決が出されないというのは、どういうわけなのか。この辺もひとつ聞かしていただきたい。
  10. 山田精一

    政府委員山田精一君) 御指摘乳児用粉ミルク事件は三件ごいますわけでございますけれども、うち二件につきましては審決案がすでに出まして、それを先方に送達いたしまして、異議の申し立てがございます。その異議をしんしゃくいたしました最終的な審決、これもほとんど完成に近うざいまして、これはもう遠からず出すことができると考えております。残りの一件につきましては、審決案がただいまほぼ完成に近づいておりますので、これも近く出すことができると考えております。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 時間がないので、きょうはこの程度であれしますが、何か、いま、たいした理由も言われなかったんですが、どうも理由なく引き延ばされているような傾向が感じられるものですからね。その点、きょうはなぜそういう状態なのかということは、これは省きます。いずれにしても、完成近い、そうして審決が出されるのも間近い、こういうことに了解をして、この問題は一応きょうはその状態を了承しておきたいと思います。  それから三番目に公取委員長にお伺いしたいのは、委員長がこの前再販の問題をめぐって記者会見をされたときに、大体一カ月以内に指定品目の洗い直しをして、そうして、まあ言ってみれば、現行法の運用で規制措置をとると、こう言われた。私は、あのときに、実際問題としては一カ月というのは無理でないかということを盛んに言ったんですが、断固としてここ一カ月でやるというような立場委員長はとられた。しかし、それ以来すでにもう二カ月になろうとしている。これは一体どういうことなのかわからぬのですが、告示内容が発表されてないところを見ると、やっぱり私は無理だったのかなと、自分の言ったことはあんまり間違ってなかったんだなと、こう思っているんですがね。しかし、どういう事情なのか、簡単でいいですから、御説明をいただければと思うんです。ただ、新聞で読んだ限りでは、これは正確じゃないと思いますが、自由化の問題やら、あるいは産業生産集中度の問題やら——これは新聞だからね、それから小売り業の今日の状態やらといったような関係のことならば、何も今日特別取り上げてこのためにおくれているんだということにはならないと思うんです。むしろ、そうではなしに、私自身は、ある程度この再販というものについて、長い間やってきた制度だから、したがって、これを変更していくという場合においては、なかなかそれにしみついた観念というものがぬぐい切れないといったような一面もあって、公正取引委員会にいろいろと苦情やら意見やら陳情やらというのが来ているんじゃないか、そういうことじゃないかとは思うんですが、そこで、委員会でずっと議論をしてきたそこの筋道というものは、一体今日、まっすぐなのか、曲がっているのか。おくれているような関係は、いま言ったようなことであるとするならば、話は多少わかるような気がするんです。したがって、大体いつごろにどういうふうにされるおつもりなのかですね。その二点です。従来、公正取引委員会がとってきたこの方針というものは、基本的にも具体的にもまっすぐなのか、ひん曲がりつつあるのか。それから、現状おくれている理由はどういうことなのか。この事情だけ聞かしてください。
  12. 山田精一

    政府委員山田精一君) 従来、当委員会がとってまいりました基本的の方向というのは少しも変わっておりません。ただ、いま御指摘のような零細な小売り業者に対する影響、これは十分慎重に実態を調べます必要がございますので、多少遅延をいたしておるわけでございます。なるべくすみやかに結論を出したい、かように考えております。
  13. 木村美智男

    木村美智男君 この零細企業関係で、今日まで調べてきておる過程の中で、特に公取委員長として従来考えておったことよりも実態が大きく変わっているというようなことが何かありますか。
  14. 山田精一

    政府委員山田精一君) 一つには、零細な小売り業者に及ぼします影響につきまして多少突っ込んだ調査が足りませんでしたことと、それから二つには、外資系の有力な企業が、小売り店を通すことなくして訪問販売の形式で近く入ってくるという事実が出てまいりましたので、それらとの関連関係をもよく調べたいと、かように考えております。
  15. 木村美智男

    木村美智男君 外資系の話は、大体いまエーボンがやってきておるわけですね。しかし、これは、いままでの議論過程でも、自由化段階になっていったら、いわゆる再販というものに近づくよりは、早くこれは流通の近代化企業の合理化的なもので中小零細がむしろ脱皮をする方向指導せぬければ、これはもうたいへんなことになるのじゃないかということで、私はこれも新しい議論ではないと思う。だから、まあしいて言えば、長い間しみついてきた制度であるから、したがって、できるだけ円滑に措置をするというような意味で時間が多少かかっていいんだ、こういうことなら話はわかるけれども、まあ、新聞で伝えられたのですから、あるいは誤解だったかもしれませんが、委員長が言われたような、外資系が入ってきてやるからなんということなら、外資なんというものは、もう入ってくる段階では三割、五割引きぐらいで入れてきて、ある程度足場を固めて、しかも系列化を終われば、そのときには独占段階に行くから、これはもう日本のいまの化粧品業界なんか比較にならぬような体制で持ってこられることはむしろ明らかなんです。このことは、今日の再販規制問題云々の問題なんか決定的な要因となるものじゃない。逆に、私はそういうものじゃないのだというふうにこれは考えておるので、きょうは時間がございませんから、論争はこれ以上突っ込んでやろうと思いませんけれども、とにかく、何だかしらぬ、時間が漫然と延びるということは、私は、公正取引委員会の権威のためにも決してしあわせなことではないというふうに考えるもんですから、多少心配して申し上げたので、これはあくまで自主的に判断されていいと思いますが、しかし、きょうのところは、従来から持ってきた、委員会議論してきた筋は曲がっていないという委員長のお話ですから、この点は了承しておきます。  それからもう一つ、たいへん大事な問題なので伺っておきたいと思うのですが、最近特に大きく問題にされております大型合併の問題ですね。これは、今回は八幡冨士製鉄の問題ですが、こまかい数字的なことをあげたりすることは抜きにしまして、この合併が、粗鋼生産だけで三五%以上のシェアを持つということになるわけですから、需要分野に対する支配力が高まるということだけは、これは間違いないですね。そうしますと、実質的なこのカルテル行為というものは、どうしてもシェアの問題とは無関係ではなくして、そういう措置がとりやすくなる状態になることは、これ間違いないと思う。そこで、下がるべき物価も下げないというような関係が出てくれば、当然国民経済影響を持つ。消費者に重大な影響を持ってくる。したがって、これは、単にその国際競争に勝つ資本の再編成だというような一面だけでこの問題をながめるわけには私はいかない問題だと、こういうふうに実は考えるわけです。ところが、この問題についていろいろとあちこちから今日まで新聞で報道されているような意見も聞いてみますと、たとえば、通産省はどういうことを言っているかというと、まあ、「てにをは」は別として、言わんとしていることは、国内でシェアを争う時代はもうすでに終わったのだ、いまこそ国際競争力を高めるべきときで、両社の合併には賛成である、しかし、独占の力を振り回してはいけないから、ガラス張りの経営をするように監視していきたい、というのが、これが通産省意見です。きょうは時間がありませんから、通産省来ていただいておりませんので、これはしばらくこちらのほうに置いてみたいと思うのですが、ただ、この通産省意見というのは、大体今日まで、業界の窓口になって企業集約化を進めてきた産業官庁なんだからね、まあこういうことを言うのは当然だ。当然というか、あるいはそうだろうと思うのです。だけれども、私はあと企画庁長官にも伺いますが、公正取引委員会経済企画庁までも、この通産省と同じような考えであっては私は困ると思うのですね、これは。私も通産省意見には賛成できない、こういう一面だけを見てね。今日の条件の中では賛成できないので、公正取引委員長に伺いたいわけですが、新聞の発表によりますと、公正取引委員長も、大体まあ、まだそのねらいがわからぬので国際競争力の強化がねらいだということならば何もいまの鉄鋼業界は現在でもかなり強いはずじゃないかというようなことで、少し批判的なんですが、したがって慎重に検討したい、こういう御意向のようですけれども、どうも、いままで公正取引委員会がこの合併問題について一回も、まあそういう事例がなかった、つまり、審決にも持ち込んで断固これは認めぬというような立場をとるような内容のものがなかったからだと言えばそれまでですけれども、実際には大体申請があったものをみんな認めてきたという経過からすると、この委員長の談話だけでは、なかなか私は、安心できないというか、全面的に信用するわけにいかぬのだ、これはね。そういう意味で、これは公取委員長不信任じゃなくて、そういう状態の中で不安を持っている。だからそれで聞くのですがね。基本的に伺いたいと思うのですけれども、通産省が、合併したあとで、その独占のおそれのある品目については、設備投資かなんかの調整を通して、他の企業生産を伸ばす、要するに競争相手育成をするというようなことによって、できるだけ自由競争が生まれるように努力するというようなことを言っているのですけれども、これはほんとうに可能なんであろうか、そういうことが。私は、JISなんかをめぐって汚職問題を起こしておるようなこの業界と、言ってみれば、ツーツーの産業官庁に、ましてや今度は巨大な、世界第二位といわれるような、三千億もの資本力集中して合併するのだからね。そういったような企業と、ほかのものを育成をして、それによって自由競争をやっていけるようなことが通産省によって指導ができるような、そういうしろものじゃないような気がする、これは。そこで、ここら辺が私しろうとだからわからぬけれども、法的にそういう権限があるなら別。私は、おそらくそういう権限は今日法律で与えられていないから、せいぜい行政指導といわれるその程度のことだろうと思う。そういうことで、はたして、いま通産省が言っているようなことが、公取委員長として、可能だと御判断をされますか、どうですか、その点。
  16. 山田精一

    政府委員山田精一君) ただいま御指摘合併ケースにつきましては、具体的のケースにつきまして、私の口から意見を申し上げますことは、これは差し控えさしていただきたいと存ずるのでございます。一般的に申しますれば、かような大型合併、しかもきわめて国民経済にとりまして重要度の高いものにつきましては、慎重に、厳正に判断をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、もしもかりに合併したあとにおいてどういうことができるかというお尋ねにつきましては、十分慎重に検討いたしまして、そういうことがはっきりとできると保証ができますような場合にのみ認められるべきものと、かように考えております。
  17. 木村美智男

    木村美智男君 かりに合併をしたあとでというような、そこら辺、そういうことを言われるものだから、なおこれは不安になるわけですよ。問題は、ここで公正取引委員会に半ば責任を転嫁するような言い方もしているわけです。公正取引委員会と密接に連携をして、監視体制を強めたい、こういうことを言っているわけです。そうすると、これは、とりようによっては、ある程度公取に半分責任転嫁をしたような言い方になっているわけです。しかし、公取の現在の陣容で、ほんとうに、そういう監視を強化するという程度のことで、あなたは独占弊害というものを防げる自信というものがおありなんですか。これはあなたが言っていることじゃないのですよ。通産省の言っていることを、これはけしからぬと言っているなら、私はこういう聞き方はしないのだけれども、かりに合併したあとでというようなことを言うから、そうなるとちょっと心配になる。それなら、監視を強化する程度のことで独占弊害を防ぐことができるというような自信がおありなのか。
  18. 山田精一

    政府委員山田精一君) 私は、ただいま、かりに合併をしたあとにと申し上げましたのは、別にそういう想定をいたしておるというわけでは決してございませんで、ただいまの御質問が、こういう意見があるがどう思うかというお尋ねでございましたものですから、そういう表現を用いましたのでございまして、その点はどうぞ御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。それから、これもかりにでございますが、できるかどうかというお尋ねでございますが、これは十分調査をいたしてみませんと、なかなか結論を出すのはむずかしいかと存じます。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 いろいろこまかいやりとりよりも、きわめて大事なことは、実は委員長に対しては、独占禁止法という法律を守ってもらう立場ということから、やっぱり大きな期待を私たち国民は持っているわけですよ。で、これは私がこういうことをわざわざ読み上げるまでもないのですが、とにかく独占禁止法の第一条を読めば明確なんですね。何も今度の八幡、それから冨士鉄関係だけでなしに、王子三社の合併も、やはりその意味でいえば同じなんです。ただ、従来のようにぽつんぽつんとなってきたということと今度のは決定的に違う。なぜかというと、これはもう国際鉄鋼市場にも大きな影響を及ぼすような、USスチールに次ぐ第二位になるものです。しかも、粗鋼生産だけで三五%をこえるのだ、あとそれ以外の生産品目というやつ、別に見ておりませんから具体的なことは申し上げられないのですが、そういう意味で画期的なものだ。したがって、私は、この合併ができるならば、次は、たとえば自動車産業あるいは化学産業、こういったところが全部やはり右へならえをしていくような、ある意味で大きな地すべりを起こすと見ているのですよ。独禁法にとっては、まさに生死の段階に立たされるところへ来ると、私はこの情勢判断する。ですから、その場合、事業支配力過度集中を防止してという、かつてなら過度経済力集中排除法というのがあったからいいけれども、これは三十年にもうなくなっちゃっている。かりにできたらばと言うけれども、できてしまってからあとでどうこう手直しするなんてことは、これは、せめて要望したり——行政指導とは言うけれども、力を持たない要望程度のことしか、もうできません、この段階になれば。したがって、三十年に過度経済力集中排除法廃止になっているというような情勢と、これが一たん、地すべりを起こしたように、国際競争力に対抗するのだという名目であらゆる産業分野にわたって合併問題が出てくる、こういう状態になったときに、一体これが、一般消費者の利益を確保するという独禁法第一条に照らして、ほんとうに心配のない状態なのかどうかという問題。あるいは十五条を見れば、合併に対する制限条項がありますね。「国内の会社は、左の各号の一に該当する場合には、合併をしてはならない。」と書いてある。それには、「当該合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」——私は、この実質的に制限をするという、ここのところがきわめて重要で、今度の合併も、王子三社の合併も、そういう、この条項に該当するに十分な具体性を持っておる、こういうふうに——これは私の意見ですよ、判断をしておるわけです。そういう意味で言えば、もしこのようなものを公正取引委員会が認めていくとするならば、公正取引委員会は、結論から言えば自殺行為である、あとは、景品類がどうだの、不当表示がどうだの、そういったようなことをなんぼ言ってみたって、これはもう全然——大きな木があって、葉っぱ一枚一枚ぐらいをぽつりぽつり取っているような話で、幹のほうはもうまるきり公正取引委員会権限から離れっちまう問題なんです。したがって、これは、独禁法そのものが、その段階においては実質的にそれこそ消滅するような事態だと私は思うのです。これはこれから——きょうはとっ始めだから入口の議論だけにしておきますがね。今後この問題は再販以上に私はやりますので、そういう意味で、こちらで勉強不足の点もありますから、いま申し上げたようなことについて、ひとつ心境のほど、あるいは御感想などを含めて、委員長にお伺いしたい。
  20. 山田精一

    政府委員山田精一君) ただいまお述べになりましたような事柄を含めまして、十分慎重に、厳正に判断をいたしまして、独禁法を適切に、忠実に運用をいたしてまいりたいと考えます。
  21. 大森久司

    委員長大森久司君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記をつけて。
  23. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、まあ委員長もそういうふうにお答えをされるので、きょうは、この問題についての私の質問はその辺でとめておきます。ただし、これはほんとうにたいへんな、大事な問題でありますから、公正取引委員会の中で十分討議を深められて、将来に向けて誤りのない、ひとつ、独占禁止法を守り抜くという毅然たる態度で公正取引委員長にぜひ臨んでいただくように希望いたします。  それで、宮澤長官に、実はこれは新聞ですから、お伺いをしたいのですが、長官は、山田委員長に対して、「合併認可したあとも定期的に経営実態の報告義務をおわせるなど、合併企業監視を続けるよう要請し、」というふうに載っておるわけです。そうすると、これを見る限り、宮澤長官も、合併のほうにどうも賛成のような、大体通産省考えに近いような態度を表明されたようにとれるので、新聞が事実を伝えているとするならば、少し私、長官に対するイメージがこわれかけているので、ちょっとこれは聞かざるを得ない。新聞に出ておるこのことは一体どういうことなのか、長官の真意をひとつ聞かしていただきたい。
  24. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる資本自由化の時代に入りまして、世界各国間の障害が取り除かれていくわけでありますが、その間にあって、わが国の企業が国際的なスケールを追っていく。そして規模の利益を追求して、コストを下げて国際競争にたえ得るようになっていかなければならないということは、私は現在の趨勢であると考えております。それからまた、技術の進歩等々によりまして設備がおのずから大型化しておりますが、そうなりますと、その大型の設備をフルに利用するとすれば、共同の設備を設けるとか、あるいはさらに一歩進めて合併をするということがまた起こる。これも一つの趨勢であると思います。それからわが国も人手が不足になりますので、従来のように労働集約的でなく、資本集約的な企業経営をしていくということも、これもやはり一つの趨勢であろうと思います。で、そういう努力、これはおのずから合理化の努力につながるわけでありますが、合理化ができればコストは下がるはずでありますから、ほかに不測のことがない限り、その下がったコストは消費者の利益になる。原則論として、私はそういうふうに考えるわけでございます。ただ、こういう趨勢は、「経済社会発展計画」でも考えておりますけれども、同じ計画の中で指摘しておりますように、そういう状態になりますと、自由な競争というものが、非常に多数の企業がある場合に比べて制約されやすいのでありますから、それについては十分注意をしなければならない。また、公正取引委員会のような、そういう機能を持ちました役所もあるわけでございます。でありますから、今度の問題、公正取引委員会が最終的にどういう決定をなさいますかは、まだまだこれからのことでございますけれども、かりに合併ということが許されるというようなことになります場合には、公正取引委員会は、当然法律規定に基づいて調査もなされ、おやりになれます。報告もとることもおできになりますけれども、それとかかわりなく、会社側として、当然、国民経済の観点から、公正取引委員会が関心を持たれるような幾つかの問題については、自発的にやはり公正取引委員会に報告を出す。これは、企業の秘密に関することもあるかと思いますので、公表するかどうかは別でありますが、少なくとも公正取引委員会には、公取が関心を持たれるであろう幾つかの点については常時継続して報告してもらう、このくらいなことは、やはりやってもらうことが必要であろう、そう思いまして、そういう趣旨のことは会社の関係者にも非公式には申し上げたことがございますし、また、これは一方的でございますが、私なりに公正取引委員長にもそういうことは申し上げたことはございます。もちろん、これは、公正取引委員長がこの問題についてどういう裁断をなさるかということを前提に予断してしたことではないのでありまして、そういったようなことは、もし許されるといたしました場合には、やはり必要なことではないだろうか、こう考えておるわけでございます。
  25. 木村美智男

    木村美智男君 きょう何もかもやることには、ちょっと時間がございませんから、もう一つだけ長官に伺っておきたいと思います。  まあ、大型合併というのは国際的な趨勢だという、その趨勢というやつは、それは趨勢だからということだけじゃ、合併を必要とする根拠としてはきわめて薄弱なんですね。それよりは、もっと正直に、国際競争力をつけるために合併が必要なんだと、あるいは言い切ったほうがいいかもしれぬ。しかし、問題は、そういうことは別にして、長官も心配されるように、そのことが自由競争というものをほんとうに保持できるかどうだろうかという問題は一つあると思う。できない場合には、やっぱり管理価格その他の価格の硬直化的な、あるいは価格操作による弊害というものが出てくることは明らかなんです。だから、この点について公正取引委員会企業に報告を出させる、通産省も言っておるように、ガラス張りというような表現もこれに通ずると思うのです。しかし、こんなことは、ある程度法律的に規制をしない限り私は不可能だと思うのですよ。現に、私どもが再販問題で今日までやってきた過程で、そんなら長官、合理化をやって大型化をしてやっても、下がるべきコストが下がらない。要するに、需給の関係によって価格が変動しない条件というものが出てくるところに問題がある。合理化をやって生産コストが下がったら価格が下がってくるという、それが消費者に還元されるという、そういうふうにうまいこといくならこれは問題がないし、国民的にもむしろ賛意を表すべき問題かもしれぬと思うのですよ、そういう意味で言うなら。ところが、そうならないのが現実の問題であり、特に今度の問題は巨大な問題であり、これはもう、これを境にして、おそらくこれは日本の最大の合併の頂点というべき問題になるだろう。だから、この問題がどうなるかによってこれから地すべりを起こすと、こう言っておるのです。その段階で、合併したあとで何かしようなんということでは、これはまさに消費者不在の政治だということに必ず批判を受ける。そういうことは十分予想されるので、それを具体的に、じゃ、どういうことかという立証は次の段階で十分申し上げながら見解を承りたいと思うので、きょうは一応そういう立場で、長官にも、せめて公正取引委員会独占禁止法立場を堅持するという問題と、閣内において、消費者保護の立場をとろうとすれば、もうたよりになるのは経済企画庁長官しかないのだから、そういう意味で、あなたにももう一回この問題は慎重にひとつ考えていただきたい。また次の機会にいろいろと私どもの心配事あるいは疑問点も出してお伺いをしたいと思うので、きょうは一応基本的なことだけお伺いをして、私これで質問を終わります。
  26. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは、むしろ次の機会にと仰せられましたので、私もそれまでによく研究をいたしたいと思っておりますけれども、現実には私的独占禁止法というものがあり、公正取引委員会が十分に活動しておられる、そういう状況のもとに考えますと、この特定の、鉄という業界において、かりに今度のような合併が起こりましたとして、そうして自由競争が阻害されるようなことになるであろうかどうだろうかということについては、私も十分な知識は持ち合わせませんけれども、どうもそういうことをそう心配しなくてもいいのではないか。他の各社が、従来のビヘイビアから見まして、相当強い企業意識を持っておりますので、その点をさほど心配しなくてもいいのではないだろうか。もちろん、それは、現行のこういう公正取引委員会があり、かつまた、先ほど申し上げましたような報告等も徴するということが前提でございますけれども、そういう感じをただいま持っております。しかし、これはもう少し私も研究いたしまして、また後日申し上げたいと思います。
  27. 木村美智男

    木村美智男君 公正取引委員長、資料でひとつお願いしておきたいんです。おたくのほうで生産集中度の資料を出されましたが、一社、三社、五社、十社というふうにやっておられる。実は二社の関係がぜひほしいと思うんですが、調査をされておれば、生産品目別に二社の関係を、いまじゃなくてけっこうですから、出していただきたい。
  28. 山田精一

    政府委員山田精一君) 現在のところは二社というものを算出いたしておらないようでございます。したがいまして、特定の業種等につきまして御注文があれば、あるいはできるかもしれませんが、ちょっと私……。
  29. 木村美智男

    木村美智男君 いまのようなことでけっこうですから……。
  30. 大森久司

    委員長大森久司君) 田代君。
  31. 田代富士男

    田代富士男君 私は、きょう三つの点について順次質疑をしてまいりたいと思います。  最初は企業合併の問題、第二番目には原料乳価格の問題について、第三番目には食品衛生の表示の点、その三点について質問をしたいと思います。  特に、宮澤長官が衆議院の委員会関係で早く席をお立ちになるということでございますから、最初の問題を質問したいと思うわけなんですが、いまいろいろ問題になっております企業合併の問題に触れまして、独占やあるいは寡占企業がとかく社会的な責任を忘れまして、われわれ消費者や需要家の利益を無視して、利己的な行動に走りやすい、そういう様相を呈しているということは私がここで説明するまでもございませんが、いま世間の注目の的になっております今回の日通事件を通じても明らかにされているんじゃないかと思うわけなんです。このように、独占また寡占的な企業というものは、競争が弱まることを好機としまして、価格の硬直化ないしは値上がりの危険性というものが十分考えられる。今回の日通事件を通じまして、また、いま企業合併等が盛んになされておりますが、こういうことを心配するわけなんですが、まず、この点につきまして、長官はどういうお考えであるか、お願いしたいと思うわけなんです、日通問題を通じまして。
  32. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 独占というものが非常に弊害を伴うことは、これはもう御指摘のとおりであると思います。これは、もういかなる場合にもそういうことを申し上げて間違いがないと思います、私企業によります場合は。そこで、その場合の独占というのは、俗にモノポリといわれている状態を私は申しておるわけでございますが、その次にデュオポリという状態があると思います。それは二占の場合であります。この場合には、独占ほどではございませんけれども、何ぶんにも二社でありますから、両者の間の意思統一ということがかなりやりやすいという状態であることは、これも当然想像できます。それからその次にありますのが寡占という状態と思いますが、これはオリゴポリと言われる状態でありまするから、少なくとも数個の同種の企業があるという状態と思いますので、そういう場合に独占ないし半独占というように定義することは私は問題があると思います。こういう状態では、自由競争というものが行なわれる理由が十分にあると思うわけであります。もちろん、最終的な多占、これはポリポリと言うのだと思いますが、それに比べれば、それは企業の数、か少ないということになりますけれども、いわゆる寡占と言われる状態でこれを半独占ないし独占と認識することは、私はそれは適当ではないので、十分に自由競争が行なわれ得るという状態である。ただ、全く非常に多数の企業がある場合に比べますと、それはやはり、どちらかと言えば、弊害が生まれやすいのでありますから、そこで、独占禁止法でありますとかいったような、現にそういう法律も機構もあるわけでございますから、そこでの監視を怠ってはいけない、こういう考え方でございます。
  33. 田代富士男

    田代富士男君 企業合併によるところの寡占的な産業秩序の形成というものは、過当競争を是正していく一面にもなっているのじゃないかと思うわけなんですが、その反面、独禁政策の運用や経営者の姿勢のいかんでは多くのマイナスの面も出てきているのじゃないかと思うわけなんですが、この点についてのお考えはいかがでございますか。
  34. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論として、むろんそういうことはありやすい。現に、数年前でございましたけれども、板ガラスの業界において、ややそれに似たような問題がありまして、このときは、公正取引委員会も私どもの役所も必要な処置をとって、その状態はその後解消したように記憶しております。
  35. 田代富士男

    田代富士男君 いまも話が出ております、合併によるところの企業集中と、合併によるところの大規模化というものは、一方では無用のシェア争いを回避して、そうして投資の合理性を生み出し、また研究開発体制を強化するといったメリットを生み出す反面に、市場における支配力というものを強めているわけなんですが、そうした場合、心配されることは、カルテル結成を容易にしまして、心配される管理価格を招きやすいというような危険性も含まれるのじゃないかと思うのですが、この点に対してはいかがお考えでございますか。
  36. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そういう危険性が確かにございますので、監視を怠ってはならないと思います。
  37. 田代富士男

    田代富士男君 合併によるところの研究開発体制についても、必ずしも大企業が有利というわけにはいかないのじゃないかと思うのですね。その大組織の与える重圧感といいますか、そのために自由な創造性というものが圧殺されまして、期待される効果をあげていない実情も一部に見られるのじゃないかと思うのですが、この点はどうお考えでございましょうか。
  38. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、やはり確かに経営の適正な規模というものは時代とともに変わりますけれども、ございますと思います。そこで、鉄の問題について、何か独占的な、競争を制限するようなことになるのではないかという御疑問をお出しになるとともに、いまのようなことを御質問があって、私は両方とも当たっておると思うのでございますけれども、そうだといたしますと、かりにただいま御質問になりましたようなことになりますと、大きくなったからといって、そんなにおそれることはないというふうに同業の他社が考えられるのにも理由があるのじゃないか、つまり裏を返して申しますと。したがって、市場支配とか競争制限とかいうことは、簡単にそんなことにはならないという議論ができるのではないかと思うのでございます。
  39. 田代富士男

    田代富士男君 長官の時間がありませんから、簡単に申し上げていきますから。  今回のいま問題になりました八幡製鉄と富士製鉄の合併に対してでございますが、独禁法の運用にかんがみまして、いまも申しましたとおりに、管理価格を招きやすい、ゆえに合併に対しましていま問題になっていることでございますが、こういうものに対しましては公聴会等を開いてもっと検討する余地があるんじゃないか。いま申すとおりに、合併前よりも合併されたあとに起こってくるいろいろな影響もありますが、そういうのも公聴会等を開いて検討する、そういう考えをお持ちであるかどうか、やる必要ないのか、その点いかがお考えでございますか。
  40. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これはむしろ公取委員長から御答弁があるほうがよろしいと思いますが、当然そういう機会がつくられなければならないと思います。そして、同業者、利用者、いわゆるユーザーといいますか、それから学識経験者と申しますか、また一般の消費者、公益代表と、各方面の意見を、当然公取として、そうなければお聞きになるのではなかろうかと思っております。
  41. 田代富士男

    田代富士男君 公取のほうのお立場、いかがですか。
  42. 山田精一

    政府委員山田精一君) 私どもの手続といたしましては、将来もし合併当事会社から届け出が出ますというと、私どもといたしましては、三十日以内、場合によりましてはこれを短縮することもできますが、さらに六十日を追加いたしまして九十日以内に結論を出すわけでございまして、その結論を出します前に、おそらくは、先例によりますれば、重要なケースにつきましては公聴会を開くことになろうかと考えます。公聴会のメンバーは、こちらから公聴人として委嘱いたしますメンバーと、それから官報に告示をいたしまして一般の応募を募りまして出ていただく公聴人と、二種類ございますが、こちらからお願いいたします公聴人としましては、ただいま長官の言われましたような方々に御委嘱いたすことになるかと考えます。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 いまお出しになっております経済社会発展計画の中で、寡占企業間で有効競争力を確保し、寡占の弊害を除去するための体制を確立せよというような、そういうことが載せられてありますが、ここに示してあります有効競争力確保の体制というのは、具体的にどのような体制になってまいるのでしょう。
  44. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 逆に、裏から申しますと、先ほどから御指摘のように、また木村委員も先ほど言われましたような共同意思によって自由競争を害するような、そういう事態を排除するということでございます。それにつきましては、第一義的には、独占禁止法あるいは公正取引委員会による監視ということでありますが、また、それを助ける手段として、先ほど木村委員がお尋ねになりました、特定のことについて会社が定期に継続して、たとえ企業の秘密に関することであっても公正取引委員会には報告をしていくといったことも助けになると思います。
  45. 田代富士男

    田代富士男君 合併されまして設備が大型化されてまいりますと、新規企業というものはなかなか入りにくくなってくるのではないかと思うわけなんです。さらに、合併されて寡占傾向が進めば進むほど、いま申すような有効競争の確保というものは困難になってくるのではないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  46. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、冒頭に申し上げましたように、私は、いわゆるオリゴポリという数個の企業のある状態では自由競争が十分に行なわれ得る、そう考えます。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 さっき公取委員長もちょっと申されましたが、独禁法の十五条の三項に、届け出受理の日から三十日、それから慎重審議するために九十日まで、そのように公取でチェックをされるわけなんですが、私は、このように申請されたあとのその内容のチェックに終わっては意味がないんじゃないかと思うわけなんですが、このような合併前のチェックというのですか、そのような——いままでの傾向を見ますと、ほとんど申請されたのが許可されている、未許可の分もありますが、大部分の傾向がそのようになってきておりますが、このような事後監視強化も大事でございますが、申請前にチェックしていくということも大事じゃないかと思うのですが、この点についてはいかがお考えでございましょう。事後の監視強化も大事ですが、事前の……。
  48. 山田精一

    政府委員山田精一君) 必要に応じまして事前にも調査をいたすことがあり得ると存じます。
  49. 田代富士男

    田代富士男君 現在までに、公取独禁法第十五条の規定に従いましてチェックして合併した企業はどのくらいあったのか、それぞれの合併においてシェアの問題で問題になった点をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  50. 山田精一

    政府委員山田精一君) 合併の件数は、これは零細なるものまで含めまして非常に年々多数ございまして、大体におきまして八百数十件、一年度間に合併が行なわれております。最近におきましてやや大きいと思われますものを申し上げまするというと、昭和四十一年度におきましては日産とプリンス、それから兼松・江商、四十年度におきましては東洋紡・呉羽紡、三十九年度が神戸製鋼・尼崎製鋼、三十八年度が三菱三重工、大阪商船・三井船舶等が大きいものの例でございます。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 そのシェアの問題についてでございますが、それもあわして……。
  52. 山田精一

    政府委員山田精一君) ごくおもなものにつきまして要約して申し上げまするというと、日産自動車・プリンス自動車の合併の届け出を受理されましたときのシェアは、普通乗用車が六二・六%、小型乗用車三五・九%、小型トラックが三〇・四%、マイクロバスが四五・六%等でございました。それから三菱三重工の場合には、造船が二七・六%、船舶用ディーゼルが二六・七%、それから電力用ボイラーが四五・六%、抄紙機が六三%、工場用タービン、ボイラーが三四・五%及び四一・九%等でございます。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 いまおもだった例を御説明していただきましたが、合併が許される業界占有率は何%のシェアときめていられるのか、その点お伺いしたい。
  54. 山田精一

    政府委員山田精一君) これは、一定の率を何%といって定めておるわけではございません。幾らか標準になりますのを申し上げますと、昭和三十年の五月に、元の横田公取委員長が、この参議院の商工委員会で答弁をしておりますのでございます。そのときの答弁では、「大体一つ業界で約三〇%近い——あるいは二五%から三〇%近い生産能力、実績を持っておりますものに対しましては、」「一応相当に警戒をいたすと申しますか、注意をいたしまして、」云々、「大体三〇%あるいはそれ以下くらいのところが、一応の基準としまして危険なる線というふうにいたしまして、合併等の問題を見ておる次第でございます。」と御答弁をいたしております。現在でも大体においてその程度を一応の警戒ラインということにいたしておるわけでございますが、これを機械的に適用いたすわけではむろんございませんで、シェア、それから企業の数、企業規模の順位等の比較、さらに競争企業との事業能力の比較、関連業界の当該企業との取引状況、新規の企業の参入状況、代替品との関係、輸入品との競争関係等を総合的に判断をいたしまして、この独禁法十五条に申しまするところの一定の取引分野における競争の実質的制限になるかならないかということを判断いたすわけでございます。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されたことは、過日の衆議院の物価問題特別委員会におきましても、公取委員長が申されたと思うのです。企業合併認可基準としては、シェア三〇%を独占禁止法問題になる警戒線とみたいと。そうしますと、これ以外にもるる御説明になりましたけれども、いま提示されましたその合併の会社のパーセントというものは、おおむねそれを上回っております。その周囲の条件というものを、いま申された基準に沿って判断して許可されたと申されるかしりませんが、今回の八幡製鉄と冨士製鉄とのそういう場合におきましては、これは考える点が多々あるのじゃないかと思うわけなんですが、この点についてはいかがお考えでございますか。
  56. 山田精一

    政府委員山田精一君) 個々の具体的の案件につきましては、私ども、御承知のように準司法的機関としての役割りをいたしておりますものですから、まだ関係合併当事者及び関係者の意見も何も聞きませんうちに、私の立場といたしまして、この種の意見を申し上げますことは差し控えさしていただきたいと存ずるわけでございます。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 いま大事なときでございますから、委員長が申される一言というものはほんとうにたいへんになるのじゃないかと思うわけなんですが、やはりそこが一番大事な問題点じゃないかと思いますし、このように三十年の五月の参議院商工委員会におきましても、横田委員長が三〇%を一応のめどにするという、そういう基準も出されておりますし、また、英国の例では、シェア三〇%をこえる合併の場合は裁判所で審査することになっているわけなんですが、日本にこのような規定はないけれども、公取としてどういうお考えでしょうか。英国で、三〇%をこえた場合はそういう規定になっているわけなんですが、いま、私差し控えさしてもらいたいということでございますけれども、もうこれだけの公取委員会としての基準も出ているわけなんですし、このような合併がなされていった場合のいろいろの影響というものも出てきているわけなんですが、英国の例とあわせまして、いかがでございましょうか。
  58. 山田精一

    政府委員山田精一君) 英国の場合には、合併により三分の一以上のシェアを占めるか、すでに三分の一以上のシェアを占めている企業合併する場合には独占委員会に付託をする、こういう制度になっておるのでございます。横田元公取委員長が三〇%と発言されましたのも、大体この辺のところを目安として申し上げたのかと想像をいたすわけでございます。私どもといたしましては、ただいま御指摘になりましたような重要な案件であることでありますので、十分その辺の事情を慎重にかつ厳正に判断をいたしまして、独禁法の適切でまた忠実な運用をはかってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  59. 田代富士男

    田代富士男君 四十一年の一月ごろと思いますが、通産省との間で、産業の構造改善の推進に関する独禁法の運用に関する覚え書きというものを取りかわされておりますが、その内容はどんなものであるか、お漏らし願いたいと思います。
  60. 山田精一

    政府委員山田精一君) ただいま御指摘のございましたのは、昭利四十一年十一月二十八日当委員会事務局長と山本通産次官との間のいわゆる覚え書きであろうかと存じますが、合併に関しまする部分は、先ほど私がちょっと申し上げましたごとく、「合併については、市場占拠率、企業数、企業規模の順位等のほか、次のような当該業界の競争の状況を十分考慮する。(イ)競争企業との事業能力の比較、(ロ)関連業界企業との取引状況、(ハ)新規模企業参入(外国企業の進出を含む)の状況、(ニ)代替品との競争関係、(ホ)輸入品との競争関係」、かようなものでございます。
  61. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、この覚え書きと独禁法第十五条の一項との関係でございますが、国内の会社の合併問題に対することが載せてありますけれども、この関係はどのようになりますか、この関係についてお願いします。
  62. 山田精一

    政府委員山田精一君) ただいまの覚え書きのような事情を勘案いたしまして、十五条によりまして、結局、一定の取引分野における競争の実質的制限となるかならないか、かような判断をいたすことになるものであろうと存じます。
  63. 田代富士男

    田代富士男君 いまの合併の問題でございますが、このような大企業合併というものは、いまや世界的な傾向にあるのじゃないかと思うわけなんです。その企業合同の波を背景にしまして、日本的な過当競争を克服して国際競争力をつけるために合併をするのだということで、いまいろいろ業界合併問題が取り上げられておりますが、英国では、このような合併問題等をも含めまして物価監視機構が設けられておりますけれども、まだわが国ではこのような機構が採用されていないわけなんですが、四十一年度の物価問題懇談会におきまして、この問題につきまして、産業の寡占化は管理価格の採用につながるので、それに対抗する有効な手段を整備しておく必要があるとして、国民経済に好ましくない価格の引き上げを押えたり、あるいは引き下げを促すための物価監視機構をつくることを政府に勧告しているわけなんですが、現段言では、まず業界、政府それに学識経験者の三者で構成する監視機構の設置を考えていったらどうだろうかと思うわけなんですが、特にこのような合併問題等が盛んになってくれば、やるべきじゃないかと思うのですが、この点についてお願いしたいと思います。
  64. 山田精一

    政府委員山田精一君) 公正取引委員会といたしましては、競争条件を整備いたしまして、価格の形成が独占的あるいはカルテル的に形成されますことを防止する、あるいはそういうことのないように監視をするというのが私どもの役目でございまして、価格委員会とおっしゃいましたか、価格監視機構、こういうことの可否につきましては、経済企画庁からお答えいただきましたほうがよろしいのではないかと私は考えます。
  65. 八塚陽介

    政府委員(八塚陽介君) ただいま田代先生の御指摘になりました点は、四十一年の十二月六日に物価問題懇談会が「大企業における競争阻害要因について」という題で提言をいたした中の、いわゆる調査審議機関の問題であろうと存じます。それによりますと、「独占禁止法には違反しないが物価の安定に支障をもたらすと認められる価格又は料金を含め、適正な価格形式に資するため、生産及び流通の各面にわたってその問題点を調査し、その改善の方途について提案を行なうための調査審議機関を設置する」という、その点だと思いますが、この物価問題懇談会の提言の御趣旨に、いわばほぼ沿った形で、現在私どももお世話をいたしております物価安定推進会議が御活動いただいておるわけでございます。物価安定推進会議は御承知のように、いろいろな問題を三つのグループに分けまして調査部会を設けてやっておるわけでございますが、立場ないし接近のしかたとして、個々のその時々に生起する問題を取り上げるということだけではなくて、むしろ、ここにありますように、生産及び流通の各方面にわたってかなり制度的に詳しく調査審議するということになっておりまして、特にここにございます大企業価格等につきましても、昨年来かなり詳しい調査審議を願っております。まあ今後、先ほど来のお話がございますが、合併その他がなお促進をされるというような趨勢が十分にあるといたしますならば、またそういう関係方面とも御相談をして、いろいろ検討をいたしてまいりたいとは思っておりますが、現在まで物価安定推進会議等でそういう役割りを果たしてきていただいておるというふうに考えておるのでございます。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 通産省のお方もお見えでございますが、いま私が申し上げました八幡製鉄と冨士製鉄との合併の問題でございますが、これはもとの日本製鉄というような姿に戻ってしまうわけなんですが、それぞれ自由化に備えてという大義名分のもとにそのような合併がなされると思いますが、冨士製鉄あるいは八幡製鉄で生産されますおもな製品のシェアの問題でございますが、一体どのくらいになるのか、その点御説明を願いたいと思うんですが……。
  67. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 八幡と富士、両社の粗鋼の生産は、全体で申しますと三五%程度になるわけでございますが、各種鋼材を生産したりしておりまして、その中で両社のシェアがかなり多いものと申しますと、建設等に使います鋼矢板、これが九五%程度に相なっております。それからレール、これが八七%程度になります。それから電気鋼板、これが約三分の二の六四%程度でございまして、それからブリキが六二%程度でございます。これらがシェアの大きなものでございまして、あとの厚板、薄板等は各社と競合する状態にあるというふうに存ずる次第でございます。なお、鋼矢板につきましては、現在川崎製鉄、日本鋼管が設備を増設中でございまして、これが稼動するようになりますと、一二ないし一五%がこれらの両社のシェアということになりまして、かなり他社のウェートがふえるということになります。それから電気鋼板につきましては、あとの三分の一は川崎製鉄がつくっておるという事情でございます。  以上でございます。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、公取委員長にお聞きしますが、いま申されましたシェアのパーセントでございますが、レール等に至りましては八七%となりますと、これは、いま最も心配されます独占的な企業になってしまうのじゃないかと思うわけなんですね。こういう点の問題それぞれの基準があるわけなんですが、この点につきまして、委員長としていかがでございましょうか、三十年の横田委員長のそれもございますが、山田委員長として、こういう数字の上からいかがでございましょう。三〇%という数字だけで検討するのも無理かと思うのですが、約三倍近くのシェアということになりますと、これだけでも検討する余地があるのじゃないかと思うのですが、どうでございましょう。
  69. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 先ほど申しましたレールにつきまして、一百御説明を落としておりましたが、御承知のように、主たる需要者は国鉄がほとんど大半の需要者でございまして、需要者との関係では対等の状態だということが言える、こういうことをつけ加えておきます。
  70. 山田精一

    政府委員山田精一君) 先ほども申し上げましたごとく、シェアだけで判断いたすわけではございませんで、もろもろの要件を総合的に判断をいたしたいと存じます。その場合に、先刻も申し上げましたごとく、私どもは準司法的役割りをもいたしておるわけでございまして、たとえが適切であるかどうか存じませんが、私は裁判長の立場にあるものでございますから、当事者、関係者等の申し分も聞きませんうちに原告が有利だろうとか不利だろうとか、こう予断的なことを申し上げますことはぜひ差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、この問題については、そのように申されましたら、何ぼ押しても押しても同じ答弁、それ以上のものは出てこないと思いますから、これはもっと進んだ時点において、さらにこの問題を取り上げていきたいと思います。  第二番目の問題でございますが、第二番目の問題につきまして、バター、チーズなどの原料乳の価格の問題でございます。これは、政府が農民に支払うべき原料不足払い額が一キロ当たり二円十三銭高くなって、農家の手取り保証価格が昨年は四十円三十九銭でございましたが、四十二円五十二銭になったわけなんです。まあ、このような、バター、チーズなどの原料乳価格については、価格が決定されましたが、ここで心配されるのは、この影響を受けまして、飲用牛乳へのはね返りが考えられるのじゃないかという心配があるのですが、この点はいかかでこざいましょうか。——これは農林省まだ見えていないのですか。じゃ農林省関係がお見えになっていらっしゃらないそうですから、不当表示の問題を先にまいります。  食品衛生の表示についてでございますが、食品衛生法あるいは不当景品類及び不当表示防止法等によるものでありますが、現在、チョコレートあるいはその他のお菓子類に、ローマ字でいろいろ書きまして、外国品と混同させるような表示、あるいは冷凍品が最近盛んになってきておりますが、冷凍魚においてのさまざまな表示あるいは肉のかん詰め、あるいはいまから出回ってまいりますアイスクリーム等、虚偽、誇大な表示、広告を大々的に出されているわけなんですが、これに対しまして、いろいろ公取のほうとしても努力していらっしゃると思いますが、摘発すれば、改めますというようなことで済んでおりますが、なかなかあとを断たないのです。何回もこれは取り上げられておりますが、もっと消費者自身を守るような方法はないのか。これに罰則を設けるというようなことは考えられないのか、消費者保護の立場から。それに対して、いかがお考えであるか、お聞かせ願いたいのです。
  72. 山田精一

    政府委員山田精一君) 順序は前後いたしますけれども、まず、肉のかん詰めのお話でございますが、これは、おそらく馬肉を使いました牛かんのことではないかと考えるのでございますが、この問題につきましては、業界において公正競争規約をつくる機運が出てまいりました。こちらも十分そういうような指導をしたわけでございますが、近く、来月になりますと、公聴会を開きました上でこの公正競争規約案を認可いたすことになろうかと思います。そういたしますると、肉の何がしという表示の下に、何ポイントでございましたか、ちょっと数字は忘れましたけれども、一定の大きさ以上の肉太の活字で「馬肉使用」とか、あるいは「馬肉及び牛肉使用」とかいう表示をいたすことになるはずでございます。この点は問題なく解決されるかと存じます。  それからチョコレートの問題でございますが、これはとりあえず、デパート等におきましていわゆる輸入品コーナーというようなところに陳列、展示されないように申し入れをいたしました。それからあと、表示の問題でございますが、これはただいま研究をいたしておる段階でございます。  それから冷凍魚のお話でございましたが、これは、どうも商品名をはっきりと表示をして売っておるという例が少ないようでございまして、まあ、かん詰めとか、ポリエチレンの袋に入ったものとかいうことでございますと捕捉しやすいのでございますが、なま魚を取り扱っております魚屋の店頭では、まず、品名を表示しておるというのは少ないようでございまして、なかなかこれをつかまえるということはむずかしいようでございます。これも研究中でございます。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 いま申しました肉のかん詰め、あるいはチョコレートその他につきましても、随時そのように検討を加えていると申されますが、ここでお互いに、公取としてもそのような検討を加えられておりますが、それぞれの製品のメーカーも、まあ最近は化学工業の発達やあるいは技術革新に伴いまして、こちらが改めていこうとしているその点以上に、次から次と巧妙な商品があらわれてくるわけなんです。そうして一番困るのは消費者じゃないかと思うんです。消費者は、次から次とそのように包装からいろいろPRのあり方から変わってまいりますし、選択に戸惑っているというが現在の事実じゃないかと思うんですね。それぞれもう各県におきましても、消費者センターというようなもの、あるいは模範的な製品を陳列しまして、消費者に対するPR等もやっておりますけれども、まだそこまでの浸透はされてないわけなんですが、また、それであるならば、消費者を教育し、消費者がおのずから勉強したりして商品に対する知識を豊富にするということも考えられるわけなんですが、そのような知識を豊富にしましても、新製品の発売に対する知識の吸収ということがなかなか追いつけない状態じゃないかと思うわけなんです。ここで、いまも申すとおりに、一番問題になってくるのは不当表示の問題じゃないかと思うんですね。それに対して、不当表示に対して、消費者行政というものが必要であるわけなんですから、いま、チョコレートは百貨店の舶来品のコーナーに出さないようにと、かん詰めのことについても、申されましたけれども、もっと強力な消費者行政という面が必要と思うのです。いまもやっていらっしゃいますけれども、私はそれじゃちょっともの足らないような感じがしてしょうがないのですけれども、いまのままでよいのか、いかがでございましょうか。不当表示に対する問題。大きく取り上げました面から、ひとつお願いしたいと思います。
  74. 山田精一

    政府委員山田精一君) ただいま表示を義務づけております法律が、たくさん数がございまして、たとえば、食品衛生法を所管しておられます官庁等ともお打ち合わせをいたしまして、今後とも十分表示を適切に行なわせるようにいたしてまいりたいと思います。  その上、なお私どもといたしましては、公取のモニターの中で特に表示関係をお願いするモニターも委嘱しておりまして、不当な表示の行なわれておりますものはこれをできるだけ発見して排除をするということを行なっていくつもりでおります。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 その表示の問題でございますが、いままではスーパーマーケットあたりが一番活発にそれをやっておりますのですが、いままでの状態というものは、そのような不当表示をした商品を売りながら、もしも公取からの注意をされなかったならば業者はまるもうけであるというようなのが現状じゃないかと思うわけなんです。そこで、消費者に対してそのようないろいろ説明もしPRもしていくというような労力等やっていきましたならば企業として成り立っていかないという考えもあるでしょうし、そこでいま労働力の不足を考えまして出回っているのが、セルフサービスの販売店、あるいは自動販売機じゃないかと思うのです。そうなりますと、なおさら取り締まりをしていかなくちゃならないし、消費者に対してPRもしなくちゃならないけれども、自動販売機やセルフサービスの店でありましたならば、どうにもしかたがないじゃないかと思うのです。こういう点に対しましての行政指導はどのようになさっていく考えであるか、ひとつお願いしたいと思います。
  76. 山田精一

    政府委員山田精一君) それらにつきましても、これはモニターの努力を活用いたしますとか、あるいは関係官庁と御連絡いたしまして、できるだけこれを是正いたしてまいりたいと考えております。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、関係官庁と相談して是正していきたいと、こう申されます一つのあれとして、日本農林規格のJASマークを、食パンについて、きめつけまして、ここに掲載された新聞がございますが、このマークをつけてまいりますと、これが標準の製品であると、消費者立場から考えますと信用せざるを得ないわけなんです。ところが、このマークは農林省の食パン標準規格協議会が決定したわけなんですが、この規格に合うには、いろいろな品質、重さというものを加味されて合格したものにこのマークがつけられるわけなんですが、なかなか、マークがついているけれども、内容は重さが違ったり、品質がそのとおりにいっていなくて、ただマークをつけて消費者を、まあ悪く言うならば、だましているという、そういうために悪用されている一面があるわけなんです。ここに新聞に出ているわけなんですが、こうなりますと、このようにマークがついているものは推奨品でありますよと、間違いありませんよと言いながら、それ自身にそういうような不正行為があるということは、私は、これはちょっと改めなくちゃならない問題があるのではないかと思うのですが、こういうことに対しての指導はどうでございますか。ここに、無視された消費者の声が出ているわけなんですが、主婦の人の声は、指導基準に合っていないものはびしびし指摘して、そして業者に反省を求めると。まあ主婦は、このマークにたよらずに、品質表示の中身をよく見て買うようにということを言っているのですけれども、これは食パンの例でございますけれども、この問題に対しまして、このように相互間の協定をやり、相談をした結果なされた一つの問題だと思いますが、それがもうすでに問題が起きているということ、この点はいかがでございますか。
  78. 山田精一

    政府委員山田精一君) JASマークは、農林省におかれまして一定の基準で許していらっしゃるものと考えます。その基準の中に、もう少し入れたほうが消費者の選択にとってよくはないかと私ども考えます点は十分申し入れをいたしまして御研究を願って、できるだけ完全なものにしていただきたいと思っております。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは農林省の方も来ていらっしゃったらよろしいんですけれども、農林省関係の方が見えていらっしゃいませんから、あれしますが、そこで、不当表示を指摘される業者の言い分というものは、もう御承知のとおりに、きまり切って、これはもう昔からこのようにやっているんだというそういう慣習として、慣例として逃げているわけなんですが、しかし、周囲の現況というものは刻々と変化を来たしてきておりますし、特に貿易の自由化あるいは資本自由化に伴いまして、このようなことをしていたならば立ちおくれていく日も遠くないんではないかと思いますが、ここで、表示、広告につきましても、これは国内だけじゃなくて、国際的にも規制されようという動きがあるわけなんです。まあ、公取としましても、そういう世界各国の動き、あるいはそういう会合にも出席していらっしゃいまして、そういう研究をしていらっしゃると思いますが、まあ根本的に、やはり不当な業者に対する対策というもの、これを考えなくちゃならないと思います。いまも申されましたけれども、この不当な業者に対する対策ですね、ただそういう勧告とか注意だけでなくして、どうしていくか、やはりその人も倒産さすわけにはいかないし、どのようにしていくかということをお聞かせ願いたいと思いますが、もう時代は国内だけの問題じゃないという時代に入ってきているのじゃないかと思いますが。
  80. 山田精一

    政府委員山田精一君) 御指摘のとおり、WH ○なりFAOにおきまして各種の表示の協定かできょうとする動きがございますので、私どもといたしましても、これに十分歩調を合わせまして適正な表示をして、真に国際競争力のある商品が市中に出回るようにいたしたい、こういうふうに考えております。表示は、これを適切にいたさせましたことによって、それで急に業者が倒産するとか、そういうことは絶対にないものと考えます。表示を適切にいたしますれば、むしろ長い目で見れば売れ行きがふえるであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。この方向で十分努力をいたしてまいりたいと思っております。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、そういう場合で、いま広告の問題でございますが、あるラーメン会社でございますが、ラーメンの懸賞にカラーテレビを景品として出しているわけなんです。この内容は、ラーメン自身の問題よりも、そのようなカラーテレビというものは、金額にしましても——この景品の問題につきましてはこの前も私質問しましたが、十万円の問題、十万円をこえるこえないというところでこの前も議論をいたしましたけれども、カラーテレビというものは十万円以上の製品になっているわけなんですが、このようなラーメンの懸賞広告につきまして、公取としては、これは合法的であるとみなされるのかどうか、この点ひとつお願いしたいと思うんですが、これは、この前から、ラーメンの問題だけに限らず、薬の問題を取り上げましたときにも、このようなカラーテレビを景品として取り扱われておる、あるいは自動車が取り扱われておるという実際の例を取り上げたときには、これは違法であるからこういうことはよくないというわけで、ちゃんと行政指導を行なっていきますと、そういう御答弁でございましたが、向こうは薬でございます。金額もかなりの金額になっておりまして、向こうはある金額を買った場合のことであって、こちらは景品でありますから、内容には幾分の違いがあると思うのですね。ラーメン一つ買ってカラーテレビ、あれはもう、カラーテレビのほうが先に新聞でも一面広告を出しております。このようにしてやっていることに対して、公取としては、これはお認めになるのかどうか。あるいは認めるということになりますと、私が従来この委員会におきまして取り上げてまいりました薬の業者関係の、そのような、カラーテレビだとか、そういう物品等に対する考え方と、私は筋が通らなくなってくると思うのですが、この点に対していかがお考えでございましょうか。
  82. 山田精一

    政府委員山田精一君) 景品につきましては、御指摘のように、最近、脱法すれすれのところをいきます景品がかなり目についてまいっておるわけでございます。問題の根本は、法律に、「商品の取引に付随して提供する」とございます。この「付随」をいかに読むかということになるわけでございます。取引条件とするというよりは広いのでございます。その「付随」をいかに解釈いたすかという点に、かなりすれすれの面があるわけでございます。現状のままでは、御指摘のような、どうしても好ましくないケースが続出してまいりますので、ただいま私どもといたしましては十分検討いたしまして、要すれば、この景品に関する告示の改正もいたしたい、こういう方向で検討を急いでおる次第でございます。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 公取委員長さん、もう何か、委員会がおありになるそうでございますので、これで委員長のは終わりたいと思います。締めくくりにしたいと思いますが、まあ、いますれすれの線であるということでございますけれども、私は、広告自身を云々するわけじゃないのです。その景品の問題でございますけれども、これは当然、薬の場合と同じようにびしびし取り締まっていくべきじゃないかと思うのですが、いま検討中であると申されますけれども、いつごろまでにその結論は出ますか。また、どういう結論か出そうでございましょう。
  84. 山田精一

    政府委員山田精一君) いま作業を急いでおりますのでございますが、なお二、三カ月はかかるのではないかと考えております。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、お急ぎでしょうから……。  では、農林省関係質問に移りたいと思いますが、バター、チーズなどの原料乳価の問題でございますが、政府がいま農民に支払っているところの原料乳の不足払い額が一キロ当たり二円十三銭高くなる。農家の手取りの保証価格が昨年は四十円三十九銭で、今度は四十二円五十二銭になったわけなんです。そこで心配されることは、このように原料乳価格がなったわけなんですから、市乳価格へのはね返りがあるのじゃなかろうかという心配が起きてくるのですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  86. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) お話のように、加工原料乳については二円十三銭上がるということになったわけでございます。加工原料乳と市乳の原料乳の価格とは扱いの性質が違っておるわけでございます。したがいまして、加工原料乳につきましては保証価格ということで不足払いをいたしておりますけれども、市乳価格につきましては、生産者と乳業者の交渉によって、価格がきめられるということになっておりますので、乳業者の支払い能力なり、また生産者の生産費のアップなりというふうなことに基づきまして、両者の協議によってきまるということになるわけでございますから、保証価格で、上がりましたものが直ちに市乳原料乳の支払い価格のアップになるかどうかということは、交渉の結果を待たなければ判明をいたさないわけでございます。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 現在までは保証乳価は一キロ四十円三十九銭でありましたが、政府負担不足払いは五円六十銭、農協中央会では一キロ当たり農家の手取り五十円二十六銭を要求してらっしゃると思いますが、その値上げが十四円以上になるわけなんですが、これに対する御見解はいかがでございますか。
  88. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 当事者の間で交渉が進められておる段階でございますから、これにつきまして私のほうで批判をいたしますことはいま少し控えさしていただきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 それはそうかわかりませんが、政府負担の不足払いは五円六十銭でございますが、結局私たちが一番心配するのは、消費者のわれわれ自身の国民負担ということになりはしないだろうかということを心配するわけなんです。そこで、不足払いの財源は一般会計からの支出増加は期待できないとなってきますと、その心配が大になってくるわけなんです。それに引き続いて小売価格を引き上げる、市乳差益をふやさなければならない、こういう方法考えられると、結論的には、バターやチーズの値上げに通じてくる見通しが立つわけなんですが、こうあってはならぬと、まあ値上げの可能性がほのぼのと見えてくるから心配するわけなんですが、この点いかがでございましょうか。値上げしてもかまわないというお考えでありますかどうか。
  90. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) たびたび申し上げておるわけでございますけれども、市乳価格については当事者の間の協議によって自由に形成される価格だというふうなことになっておりますから、私のほうでこれに対して規則をするというようなことは、なかなかむずかしいと思うのでございますけれども、牛乳の小売価格につきましては昨年度において三年ぶりに改定が行なわれた、こういうふうなこともあるわけでございまして、それからまた、値上げがありますと飲用牛乳の需要に与える影響等もあるわけでございます。そういうふうなことから考えてみますと、おそらく本年度には小売価格の改定があるようなことはないんではなかろうかというふうな判断をいたしておるわけでございます。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 今年度はそういう価格の改定はないという御判断であるということでございますが、まあやはり、消費者立場から、値上げはあってはならないのじゃないかと思うわけです。強くお願いもしたいし、そのように行政指導もやっていただきたいわけなんですが、実態を調べますと、生産費のうち八割までが飼料代、それから労働賃金が占めてるんじゃないかと思うのですね。そこで、購入飼料の割合が大きいところがら、そのようないろいろな問題点も出てきてると思うのですが、これがことしじゅうにはしわ寄せが消費者に来ないということでございますが、今後も来ないようにするには、そのように飼料の割合が大きい比重になってきているけれども、その生産費の一部高くなる面は、まだまだ、流通機構の改善をはかっていくならば、そういう生産費を安くしていく面もあるのじゃないかと思うわけなんです。そういう点につきまして、行政指導をどのようになさっておいきになるか、お聞かせ願いたいと思うわけなんです。
  92. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 牛乳の生産費の中で飼料代の占める比率は大体六割程度だというふうに思っておるわけでございます。で、御承知のように、乳牛は草食性動物でございますから、したがいまして、草を食わせるということは生理的にも非常にいいわけでございます。また、生産費を切り下げるというふうな点からも合理的であるというふうに考えておりまして、できるだけ自給飼料に依存するというふうな形で乳牛の飼育をするのが合理的であるというふうに考えております。したがいまして、自給飼料の生産のために、草地改良でございますとか、あるいは裏作利用によります自給飼料作物の増産であるとかいうことに対しまして助成をいたしまして、積極的な増産をはかっているというのが現在の状態でございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 現在の状態というものは、私は先日のこの委員会でも申しましたとおりに、酪農関係というものは現在ちょっと立ちおくれの状態じゃないかと思いますし、こういうことを考え合わせていった場合に、酪農振興に対して積極的に取り組んでいくべきじゃないかと思うわけなんです。そういうところへ、一部そういう補助金等も出して振興をはかっていきたいということでございますが、それについては、やはり農民の声というものも反映させていかなくちゃならないのじゃないかと思うわけなんですね。それの一つの声は、乳牛の減価償却費の問題それから労賃の問題、あるいは資材費の値上がり等によりまして経営上の採算が悪化しておる、ところが需要のほうは年々増加してきておる、こういうまる反対のことで、一番最末端でやっておる人々の声というものははね返ってきておるわけなんです。この二つの声にどうこたえていくか。現在の酪農が危機にあるというようなことが地域によっては見られておるわけなんです。非常に危殆に瀕しておる。そういうところでは、零細企業のために採算が合わずに困っている。そのために、乳牛等もつぶしてしまって、肉用のほうに振り向けられている。そうなってきたならば、需要がどんどんふえておるのに対して、これは成り立っていかない。だから、抜本的に酪農振興対策というものを考えていかなくちゃならないと思うわけなんです。この点につきまして、どのように対処していかれるか、ひとつその点をお願いしたいと思います。  時間がきょうは三時半までということでございましたので、私はちゃんときょうは守りますから、これで終わりますから、ひとつ最後に総まとめとしてお願いしたいと思います。
  94. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) お話のように、従来、牛乳、乳製品につきましては、年率一〇%程度の伸びを示してきておるわけです。たまたま三十九年度から——大体三十九年からでございますが、一つは、牛乳の価格が非常に安いために採算がとれないというふうな問題もありましたし、あるいは農家人口の流出というふうな問題もございまして、生産の伸び率がかなり減退をしてまいったわけであります。四十一年には最低でございまして、四十二年の半ばごろから、一方で不足払い制度もとりましたし、市乳価格の改定もございましたし、あるいは草地改良をはじめとします家畜導入政策というものの施策の影響もございまして、四十二年度の半ばごろから生産がやや回復に向かっておりまして、最近は、全国を平均いたしますと、毎月対前年度比で一〇%程度の伸び率を示すようになってきておるわけであります。したがいまして、私たちといたしましては、国内の需要の増大に供給を適応させるということを基本といたしまして、できるだけ国内で供給するという方向に向かうべきであるというふうな考え方から、先ほど申し上げましたように、草地改良事業でございますとか、家畜導入事業でございますとか、そのほかの施策を積極的に講じまして、その目標に向かって努力をいたしたいというふうに考えておるのでございます。何といたしましても、増産をいたしますにつきましても、やはり合理的な形で増産が行なわれるということが望ましいわけでございますから、経営の合理化、つまり多頭飼育というふうな形の経営を奨励をいたしまして、多頭飼育という合理的な経営が拡大するという中において、国民の必要とする牛乳が供給できることを考えてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  95. 大森久司

    委員長大森久司君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      —————・—————