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1968-04-25 第58回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十五日(木曜日)    午後一時二十七分開会     —————————————    委員の異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      堀本 宜実君     杉原 荒太君      森 八三一君     土屋 義彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 佐藤  隆君                 櫻井 志郎君                 土屋 義彦君                 温水 三郎君                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    政府委員        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        水産庁長官    久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林大臣官房企        画室長      小沼  勇君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の移動について報告いたします。  本日、堀本宜実君及び森八三一君が委員を辞任され、その補欠として杉原荒太君、土屋義彦君が選任されました。     —————————————
  3. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はまず総合資金制度の問題について質問をしたいのであります。  この制度のねらいはすでに御説明がありましたように、農業経営拡大による自立農家育成ということを目的として総合資金制度が創設されるわけでありますけれども、たしかにねらいとしては大へん画期的な特徴のある制度であろうと思うのであります。しかし、その運用面ではまだ多くの課題や問題点が私はたくさんあると考えておるのであります。特に、この総合資金制度だけではなくて、農業金融制度全般について私は構造改善事業裏づけとして根本的にこれを論議をし、解明をしなければならない問題がたくさんあるかと考えておるのであります。  そこで、まず私がお尋ねしたいのは、この法律が提案をされておりますけれども総合資金制度特徴をまずどういうふうに農林省は御判断をしておられるのか、お伺いをしておきたいと思うのであります。
  5. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合資金特徴を申し上げますと、一つは普通、公庫資金といたしましては、土地取得資金あるいは畜産経営拡大資金果樹経営改善資金等々、公庫資金一つ一つ事業別に組み立てられておりまして、それぞれ限度額あるいは利子償還期間据え置き期間等々の相違があるわけでございます。で、通常農家通常資金需要をいたします場合は私はそれで十全だと思いますけれども自立経営といいますか、多少でも大規模農業をいたそうといたしまして、そこで相当多額資金需要が生じますと、現在の公庫資金制度ではなかなかその需要をまかなえないという点がございます。したがいまして、自立経営育成といいますか、自立経営になる可能性のある農家資金需要に対しまして、おおむね八百万円程度融資額をまとめて貸しつけるわけでございます。施設資金につきまして、現に公庫がいろいろの施設資金を出しておりますが、それを取りまとめて総合施設資金として貸しつけをいたすわけでございますが、あわせてたとえば茶、桑等の永年作物に対する育成資金でございますとかあるいは乳牛等育成のための資金農業近代化資金からあわせて貸し出す、また肥料、農薬、あるいは場合によりましては若干の雇用賃金等々に回る運転資金につきましては、総合施設資金と同時に主として系統から運転資金も貸し出すということで、公庫施設資金を総合するということと、施設資金運転資金とをあわせて総合的に、いわば事業別にではなくて、経営対象として貸し出すというところがこの総合資金特徴であろうかと思う次第でございます。
  6. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私は今日までの、三十六年以来農基法農政というものがしかれまして、生産性の高い農家育成というものを目的に置いて農政が営まれてまいりました。同時にこれには、農業金融制度というものが、農業発展させるために裏づけとして各施策がとられておるのであります。この前参考人の話によりましても、非常に画期的な特徴のある総合資金制度ではあるけれども、三十六年以来の農基法に基づく農政の各農業農家実情を見てみると、必ずしも農基法が想定をしておる農業育成、あるいは生産性の高い自立農家達成ということは私はできてないんではないかという判断をいたしております。  そういう意味で今日の農業政策の中における農業金融というものはたいへん重要な意味を私は持っておると思うんであります。今回出されているこの総合資金制度というのもさらに今日の農基法上の農政を進めた欠陥をどう今日の時点でとらえて、そうして、その問題点の中からさらに農政を進めるというところに問題の発想があると思うんでありますけれども、そういう発想の上に立つときに問題になるのは、一体総合資金制度というものが、今日の各種農業の形態あるいは姿勢、あるいは構造というものの中にあって、その資金制度そのものが生かせるような農業環境構造改善実態、あるいは農業全体を取り巻く体制というのがあるのかないのかということは、この制度を生かし得るかどうかという問題に対する非常に大きなウエートを持っておると私は判断をいたすのであります。  そういう意味農基法上の農政を進めた今日の状態の中で、一体どういう欠陥問題点があるのか、そういう点についてどう御判断をなさっておるのか。さらにその上に立って今日のこの総合資金制度というものがみなさんのねらいどおりに実効をあげ得るのかどうか、そういう点についてのまずお考えをただしておきたいと思うんであります。
  7. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農業基本法構造問題として私どもが提起いたしましたことは、自立経営育成と協業の促進ということでございました。それで農業基本法制定当時の見通しとして高度成長といいますか、経済発展に伴うて農家相当減少し、その分が農業をまじめにやろうとする農家に比較的容易に取得されて自立経営農家育成されるという、そういう判断もあったかと思いますけれども、実際問題といたしましては兼業農家相当多数できまして、自立経営と呼ぶに値するような、最近の年度で九十万と少しの農業所得をあげている農家は約一割程度ということになっておるわけでございます。  私どもそれでは一体農業基本法の描いた農業の路線が誤まりであったかといいますと、私はそういうふうには思いません。これだけの高度成長を遂げて、しかも平均一町歩の農家というのは世界の文明国にもないものでございますから、そこで相当生活水準を上げようと農家考えます場合に、当然兼業の問題が出てくることは、私はごく自然なことであって、兼業農家相当ふえる、そうして兼業によって農家生活水準が上がるということは、それはそれでけっこうであるというふうに思います。  ただ問題は、農業基本法考えましたことの背景は、やはり日本農業というものを産業として確立するということであったかと思います。産業として農業を確立するためには、やはり中核的な農家といいますか、農業によって生活できるような、日本のような環境条件では私は自立家族経営というものがそれにふさわしいと思いますけれども、そういうものが相当多数育成されて、あるいは成長して、それが農業生産力相当大きな部分を占めることができるかどうかということが、私は日本農業問題がうまく解決するかどうかということの分かれ道であって、兼業農家がふえるということ自体は私はそれほど大きな農政上の問題ではなくて、むしろ農業生活できるような農家がどの程度育成されるか、どの程度成長するかということが問題であろうと思います。  総合資金制度というのは、実はこの総合資金制度だけによって自立経営育成をはかるというような、そういうものでは決してございません。これはもとより構造政策の一環であることは間違いございませんけれども現実農家でとにかく相当前進しようとする農家がもう各地にあるわけでございますから、その人々が農業経営規模拡大しようとして資金需要現実に感じていて、そうしてなかなかいまの公庫金融制度ではうまく自分たち希望に沿いかねるという、そういう人たち希望を満たすということが、私は現在の段階における総合資金制度意味であろうというふうに思います。  またそういうものとして、現実に少しずつ育っております自立経営といいますか、——まあ自立経営というと何か特異な農家のようなお考えをあるいは持たれる方があるかもわかりませんけれども、私は農業職業として農家が選択して、その職業によって生活ができるように考えるということはこれはあたりまえのことでございますから、昔のことばで言えば中堅農家とかあるいは中核的な農家ということで、決して変わった農家というふうには私は思いませんけれども、そういう農家がこの総合資金を借りて前進することに役立つことはこれは間違いないことであろうと思います。
  8. 達田龍彦

    達田龍彦君 いまいろいろ御説明の中に私は相当議論をしなければならない問題点をかかえていると思います。きわめて一方的な御判断であって、農政がまるでうまくいっているようなお話でございますけれども、私はたいへん問題のある発言であると実は考えております。特に兼業農家あり方についてもけっこうだというお話でありますけれども、これは私は後ほど兼業農家が今日の基本法農政下においてどういう結果をもたらしているのか、それはいい結果として残ったのか、それとも農基法農政における欠陥として出てきているのか、それがいわゆる自立経営農家育成にどういう支障を持っているのか、こういう観点で論議をしないと、単なるけっこうだということでは私はこの問題、納得できません。  そこで、いまお話の中にありましたけれども、私は農基法下農政の中で基本的に解決しなければならない問題は大まかにあげても四、五点あると思います。それはたとえば農地流動化促進の問題、あるいは土地基盤整備の問題、あるいは機械化推進の問題、あるいは農業後継者育成の問題、こういう基本的ないわゆる構造改善施策がなされない限り、日本農業というものは私は企業的な農業発展することはきわめて困難ではないかと思うのであります。したがって、今日までの農政の中ではそういう面の根本的な問題の解決がないためそれをいま、言うならば金融面から助長しようというような、営農農業というものを金融面だけにウエートを置いた形でやろうとするところに今日の私は日本農業の、特に農家の苦しみがあることを実態として知っているのであります。でありますから、そういう実態の中で金融制度重点の官僚行政的な農政をする限り、今日の日本農業はなかなか立ち行かないのじゃないか。  ちなみに、私は長崎県でありますけれども、各農協を回ってまいりますと、たとえば一年間の生産高よりも単位農協から見ますというと、農協借金のほうが多い、こういう農協がたくさんあるのですよ、単位別に見ますと。私が行ったところでもそういうところがたくさんあります。かりに一年間に一億の金を借りているとするならば、近代化資金の場合は五分でございましょうか、そうすると五百万円の利子を払わなければならぬのですよ。九州の場合特に非常に零細な農家でございますから、零細農家の中で今日の農業金融制度資金を借りて農業をしてみても借金を重ねるばかりで生産が上がらないという実態がたくさんあるのです。そういう実態の中において今日の農業をどうしていくかということを考え、そういう認識の上に立って農業を進めなければ私は日本農業はなかなか立ち行かないのじゃないかと思うのです。そういう反省一体農林省にあるのかどうか、そういう点も非常に疑問を持ちます。  いまの経済局長の話では、何か日本農業というものは非常に発展成長をしているというような感じでのみ理解されているようなお話でありまして、そういう発展成長しているもので私はないと、むしろ一番きびしい困難な状況下に今日あるのではないか、そういう意味で、総合資金制度というものが、ここで資金制度というものがとられてみても、それをこなすだけの、受け入れるだけの農業のあるいは農家農家経営の中に主体的な条件があるかどうかということがこの制度を生かし得るかどうかの大きなポイントだと私は思うのです、実態がそうであるがゆえに。そういう意味でこの資金制度というのは今日の農家の中では、金を借りて農業発展させるということよりも、金を借りてどうしたらつないでいくかという、いわゆるつなぎ資金的な要素が非常に今日強いのですよ。だから借金がたまっていくという結果になっているのです。だからこの農業総合資金というものが、借りたものが成長発展する、自立経営を確立するというふうに使われればいいけれども、いままでのためた借金をどうしたら資金融資で、つなぎ融資で乗り切っていくかという方向で使われておるところに、実際には金がいわゆる効果的に使われないで、自立農家達成のためには使われないで、経営運転に使われておるという面もたくさんあるのです。こういう面を考えたときに、一体これが効果的に運営できるであろうかどうであろうかということが、私は根本的にこの問題の本質に流れている問題ではないかと思うのです。そういう点についてもう少しきめのこまかい、なるほどというような御説明をまず賜わらないと、これをつくってみても私は農家の皆さんは一体何だという話にもなりかねないと、そういう点ももう少しきちんと御説明願いたい。
  9. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私がいま申し上げましたことは、どうもことばが足らなくて、基本法以来の農政なりあるいは農業がすべて全部うまくいっておるという趣旨で申し上げたわけじゃありません。いろいろな問題が、主体的あるいは客体的な問題があることはおっしゃるとおりでございます。また、農業金融だけですべてがうまくいくというふうに私ども考えておるわけではございませんで、各種制度がこれを包括して指示するような形で動かなければ総合資金自体もなかなかうまく運用できないということはおっしゃるとおりでございます。ただ私どもが申し上げておりますことは、公庫資金につきましてはすでに資金量も千八百億ことしになっておりまして、相当農家資金需要を充足いたしておりますけれども、とにかく伸びようとする伸び盛り農家にとっては現行の制度は窮屈なものであることは間違いないわけでございますから、そういう伸び盛り農家に対して、いままでの制度とは違う、新しい総合資金制度というものを打ち立てようというわけでございます。したがいまして、金融以外の農政の諸制度についての配慮はもちろんのことでございますけれども農業金融に限りましても、総合資金運用にあたりましてはそれが私は、これだけ相当多額の金が、単なる消費金融のために使われるというふうにはなかなか考えませんけれども、しかし農業経営現実発展向上するような形で総合資金が活用されるように、これは私ども農林省としてもまた府県その他としても十分注意をいたしていかなければならないというふうに思います。またそういうつもりで総合資金運用についてのいろいろな制度配慮をいたしておるわけでございます。
  10. 達田龍彦

    達田龍彦君 この総合資金制度というのを私が一番心配するのは、いまの農家では借金を、いわゆる融資を受ければ受けるほど農業が苦しいという農家がたくさんあるのですよ。それは一部の大農で自立経営農家に到達しようというような条件にある農家はある程度前進をしておるでありましょう。しかしそうでない零細な農家というのは、構造改善によって少しでもいわゆる成長部門と言われておるところの畜産果樹というものを取り入れて、農業多角化生産の向上をはかろうとすればするほど借金が積み重ねられておると、そのためにいま申し上げたように単協別に見てみると、生産高よりも借金のほうが多いと、しかも利子は払わなければならぬと、こういう状態に追い込まれておる農家というものをどうしていくかということをいまの農政の中で考えてみると、私はどうも農業金融政策重点農政が進められているような気がしてならないのですよ。いま農林省でやっておるし、いろいろやられておるものを見ていますけれども金融制度という中に営農制度というものを相当取り入れられておる。私は金融というものの、いわゆる金を締めたり広げたりすることによって農業政策というもの、営農指導というものをやっていくことは、本来の金融制度あり方からいって、これを全面的に否定するものではありませんけれども、それに重点を置く営農方針というものは私は方針としてはびっこだと思うんです。むしろ営農というのは、基本的な農業政策の中で問題の解決をはかるという姿勢が本来の農政でなけりゃならぬと私は思うんです。  そういう意味で、農基法下農政というのは、私の印象では、実際には、やはりいわゆる農業金融中心にする農業政策中心になっているところに、農家現実には借金をかかえて構造改善事業に追いつけていけないという現実が今日農家実態であるがゆえにそういう結果を生み出しているということを、私はまず農政認識として持たなきゃならぬと思うんです。この認識の上に立って今後のいわゆる農基法下農政というものを考えるいわゆる出発点にしないと、さらに総合資金制度で大規模な金を長期に貸してみても、これは借金をかかえるだけで、ほんとうの意味での自立経営農家達成育成には役立たない結果になるおそれがあると言うんです、私は。むしろ借金を重ねてなお苦しくなる農政というものが出てくる懸念が今日までの状況の中から考えられるというのであります。  それが、先ほど言ったように、農基法考えているようないろいろな条件が完全に整っていないですから、金を打ち込んでみても、基盤ができてない、機械化が進んでない、あるいは土地流動化ができない、後継者育成ができないというような問題があれば効果がないんです。むしろ逆に角をためて牛を殺すという結果になりがちなんです。そういう現状認識と、今日まで六年間の農基法上の農政のいわゆる欠陥認識して反省する立場の上に立って、今日の総合資金制度なり、あるいは、あとで出てくるであろう農地法の改正なりを考えないと、私はたいへんな失敗になるのではないか、これを心配するのです。農家実態はそういう状態がたくさんあるからであります。そういう点について一体どう判断をしているのか、そういう欠陥反省というものをどう求めておるのか、大臣にひとつお伺いをしておきたいと思うのであります。
  11. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 達田委員のおっしゃることも、よく私も理解できます。実は、もちろんこの法案がやや先行している形でございますが、昨年の夏以来、御存じのとおり、「構造政策基本方針」というものを農林省のほうで検討いたしまして、いまおあげになりましたような土地基盤整備、あるいは機械化、技術の開発だとか、集団的な生産組織助長であるとか、後継者育成であるとか、また大事な土地流動化であるとか、そういったような幾つかの柱を立てまして、それにさらに後継者育成ももちろん入っていますが、それらを、並列的と申しますか、総合的に助長する中における資金の総合的な活用、こういう趣旨の中でこの法案を出してみたわけであります。  そこで、これらがさらに後続部隊として、あるいは先生方の御審議のもとに、農地法の改正なり、協同組合法の改正なり、あるいはさらに地域的な振興方策として出てまいります。同時に、こういうような事柄をいたしますには法律だけではいけませんので、金融と相並行しまして、農業の持つ特殊性に対します助長政策と申しますか、国家のいわゆる金融外補助政策と申しますか助長政策と申しますか、そういうものを十分伸ばす、今日の農政というものを農基法方向に一歩でも近づける、その中における一つ総合資金制というふうに御了解をいただきたいという、こんな考えでございます。
  12. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうも大臣の話では、今日までの農基法下の六年の農政に対する認識とさらには反省が欠けているように私は考えます。先ほどから私が言うように、農基法下農政というのは、私は触資行政にあまりにも重点が置かれて、それをこなすだけの農家環境態勢にないところに消化不良を起こしているのですよ。そういう農家がたくさんありますよ。農協の中にも、そういう経営で四苦八苦している状況があるのです。さらにまた、今日の農家態勢体質というのは私が言うまでもなく、金を与えて農業発展するという体質態勢にないのですよ。それをこなすだけの態勢がないからですよ。そういう点についてもう少し現状認識を私はきびしくすると同時に、そういう反省の上に立たないと、日本農業はたいへんな間違いをおかすのではないか、こういうことを心配するのです。ですから大臣もそういう点について、今日の日本農家の置かれている、農家経営と農村の実情というもののきびしさに対して、もう少しきびしい反省の上に立ったいわゆる農業施策というものを考えていかなければ非常に困難ではないか、こう考えるのです。ですからそういう点について、もう少し私は大臣のそういう認識といわゆる反省というものを求めたいと思うのでありますけれども、再度、そういう点についてお考えをただしておきたいと思うのであります。
  13. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は先ほど最初に申し上げましたように、達田委員のおっしゃることは十分理解できるというのは、そういう意味でございまして、日本農業特殊性というものを十分認識すれば、そういう御議論は当然理解できるわけであります。われわれは今後の施策におきましても、金融だけでいくというようなあるいは金融中心にしていくというような考えではなく、総合的な中における一つ金融というもの、言いかえますれば。ですから金を与えて借金で一時を糊塗するというような農政であってはならない、十分この点は十分考慮してまいる考えでございます。
  14. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらに論議を進めてみたいと思いますけれども、この総合資金制度を実施される場合に、農林省では、この対象農家を千戸ですか、考えておられるようであります。これは確かに農家というものを単位に、しかも総合経営の中にまで触れた資金制度でありますから、画期的であることは間違いないのであります。そこで、その対象農家のいわゆるこの制度を実施した後における農家生産所得規模というものを、どの程度考えておられるのかお尋ねしたいと思います。
  15. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 自立経営農家育成目的といたす制度でございますが、自立経営農家というのは、最近の数字によりますと、農業白書でも触れておりますように、農業所得年間九十二万円程度農家であるわけでございます。これを現状から出発いたしまして五年あるいは十年、当然自立経営農家考えます場合に、対象として選ぶ勤労者の所得も年間六%ないし六・五%上昇するでございましょうから、それにつれて自立経営農家と言われる農家群の所得も上昇していくわけでございますから、十年間の先として考えますと、大体百七十万円ないし百八十万円程度のものが自立経営と呼ばれるものの下限ではなかろうか。したがいまして、将来を展望いたします場合にも、価格関係は現状に即して考えるわけでございますから、現状の価格水準を固定したとして、それだけの所得を生むための農家経営は、全国ベースで考えますれば水田で四ヘクタール前後、ミカン等々で二ヘクタールと少しというふうに、酪農経営あるいは野菜経営等々につきまして私どもの全国ベースで大体の基準を頭に描きまして、それに準じてといいますか、これは自立経営といいますか、農業としてやっていける農家の姿というのは、それぞれの地方地方によって具体的な姿が描かれるわけでございますから、そういうおおよそのものを基準にして、具体的に現地でそういうものの姿をきめてもらうというふうに考えておるわけでございます。
  16. 達田龍彦

    達田龍彦君 所得目標と規模はわかりましたけれども、今後のその融資のワクですね、それはどの程度まで考えておるのか。それから農基法農政下の構造改善によって自立経営農家というものが、農業白書によりますと大体一〇%程度ですね。これは年間一%くらいずつ上がっている程度ですね。前々年度が八%、それから前年度が九%、昨年の四十二年度白書では一〇%、こういう白書の内容であります。そうしますと、これはもちろん総合資金制度、いわゆる金融制度だけがこの問題の本質ではありません。それは当然であります。しかしこれによってくるやはり効果というものは当然あるわけでありますから、それによって一体自立経営農家というものがどの程度伸びてくるのか、これをどう判断をされておるのか、お伺いします。
  17. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 四十三年度の総合資金対象農家の数は千戸でございます。それで資金のワクとしては、四十三年度一応二十億というふうに考えておりますが、この計算の基礎といたしましては、事業費一戸当たり七百五十万円で、融資率八割でございますから六百万円で、それを三年間平等に貸すということで、二十億という数字をはじいておるわけでございます。で、私どもこの制度がどういうふうにうまく運用されるか、あるいはどういう問題点があるかということを見定めながら、将来対象農家をふやしていくつもりでございます。まだ何年先に何戸というふうにはしかと考えておりませんけれども、かりに千戸から五千戸に伸ばすといたしまして、対象農家を五千戸というふうに考えますと、何年か先に五千戸、五千戸、五千戸と落ちつくといたしますと、資金ワクは年間三百億になるわけでございます。これはしかしいつ五千戸にするということでもございませんし、数字につきましてはこれからの検討課題でございます。  それからそれによりまして、一体自立経営がどの程度つくられるかといいますと、総合資金によって農家がまあ自立経営に到達するように努力するということは、一つのデモンストレーション効果といいますか、それの波及効果もございますし、また御指摘のように、総合資金だけで自立経営ができるというものでもございませんから、それによって自立経営がどの程度ふえるかということは、ちょっと私どもむしろ数字として私どもの言うべきものではないというふうに考えております。
  18. 達田龍彦

    達田龍彦君 これはね、こういう画期的な、しかも金融制度としては将来農業金融のこれは基本になるものではないかと、そういう位置づけを農林省はして期待をしているんじゃないか。そういうものに対する政府の将来に対する具体的な方針が私は確立されておらなければならぬと思うんです。五千戸にするのか、三千戸にするのかわからぬというようなことでは、日本農政の将来の基本というものは一体何かと私は言いたくもなるわけですよ。そういう、その時の予算の都合だとかあるいは農政を取り巻く環境の都合によって問題を判断するというのはあまりにも政府の方針として長期の方針がなさ過ぎるような気がいたします。そういう形では私は農家もまたついていけないだろうし、農業諸団体も一体どういう方針なんだ、どこまでこれにのっとって農業をやっていけばいいのかというような、こういう不安を感ずると思うのであります。でありますから、これに対するやはり具体的な明確な方針というものを政府は早急に立てるべきである。構想があるとするならば納得のいく構想を国民の前に明らかにすべきである。これがはっきりしないと、一体農基法下農政の中における総合資金制度、とりわけ自立農家というものを将来の農業の中核的な農家と言っているけれども、どういう位置づけと役割りをこの中に与えようとしているのか、それも明らかにならないじゃありませんか、どうですか。
  19. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) さきに申しましたように、自立経営というのは自力でそういうものになる農家もございますし、またかりに金融をやりましても不幸にして自立経営達成できないという農家があるいはあるかもわかりません。したがいまして、私ども自立経営というものを何年先に何戸にするというふうにはきちっとした計画は立てないままで、できるだけ多くの自立経営ということで全体の施策を進めておるわけでございまして、総合資金対象農家も千戸から出発して、私は二千戸、三千戸というような形でだんだんふやしてまいることがよいと考えておりますけれども、何年先に何戸というふうに、この資金のワクをあらかじめ決定いたさなくても、農家の期待に必ずしも反するというふうには言えないのではないか。さらにこの総合資金をどの程度ふやすかということは、一般の農業金融のワクとの関係でも問題があるわけでございます。現在千八百億の大部分は農業融資でございますが、その中で二十億という総合資金は、決して一般のワクをいわば食うといいますか、一般のワクにしわ寄せをすることはございませんので、将来の問題といたしましても、農林漁業金融公庫の受け持つ農業金融の面としては自立経営育成ということと、それからやはり一般農家資金需要を充足するという面と二つの大きな目的といいますか意味があるでありましょうから、この総合資金のワクを非常に大きくして、一般農家資金までもおかすというふうには、私ども現在のところ考えておらないわけでございます。
  20. 達田龍彦

    達田龍彦君 いずれにしても私はこの将来の農政の基本をなす自立経営農家、さらにそれを支えるための特に融資行政中心をなすであろう総合資金制度の将来の展望と方針、こういうものは早急にお立てをいただいて、明らかにしてもらいたい。そうしないといま申し上げたように、農政の中における何というのか、農業関係者の日本農業に対する方針がぴしっとしないために、一体どういう方針で今後の農業を進めていけばいいのか。ことしはそう言っているけれども、将来変わるのではないか、そういう農政が過去行なわれておるのであります。いろいろの部門別にはそういうのがたくさんあります。でありますから、そういう問題を私はどういう位置づけにしていくかということを中心にして、きちんとした方針を樹立してお示しをいただくことを強く要望をしたいのであります。  さらにこの自立経営農家を千戸対象にするということになりますとね、それ以外の農家との格差というものが一面考えられるのです。そこで先ほど局長は、波及効果というおことばを使われた。一体波及効果がどういうように出てくるのか、これはたいへん私は興味もあるし、疑問もあるのです。説明や資料によると、ことばでは波及効果をねらわれているようでありますけれども、実際には波及効果が出るのではなしに、その農家だけが育成されるような制度に実際はなるのではないかという危険が非常に強いのです。ですから、波及効果というものが、これをつくることによってどういうように出てくるのか、具体的に示してもらいたい、波及効果ですね。それは総合資金制度農業の基本施策の中でどういうふうにこれが進められるからこうなるということでないと、そう思いますでは、私はこれは回答になりません。したがって、波及効果をどういうふうに認識をされておるのか。具体的にはどういうことを進められようとしておるのか、お尋ねをしておきたいと思うのです。
  21. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が波及効果と申しましたのは、それほどむずかしいといいますか、ことを申し上げておるわけではございませんで、農家としてとにかく自立できて相当生活水準農業所得によって上げられる農家現実に村でできていくことは、私は周囲に対する影響が相当あるというふうに思います。そうして総合資金を借りなくてもある農家ではもう一歩、総合資金のように八百万円をワクとする資金多額に借りなくても、一般の公庫資金のワクの中で、こういう農業をやるために、たとえば果樹経営の改善資金でありますとか、畜産経営拡大資金でありますとかあるいは土地取得の資金でありますとか、そういうものを借り受けることによって経営をよくできることも十分考えられるわけでございますから、総合資金制度によってある農家が単独に自分だけ自立経営になって、周囲に対して全然効果がないというふうには、私は現実の農村においては違うのではないか。むしろ、とにかくいろんな困難な条件と戦いながら、農業によって生活できる農家が、強い農家が農村において生まれるということは、それは周囲に対する影響力が相当あるというふうに考えるわけでございます。
  22. 達田龍彦

    達田龍彦君 そういう判断ではいけないですよ。農家一つつくるならば、その波及効果によって地域やあるいは場合によってはその集団にどういう波及効果が行なわれる……。これは野放しではできませんよ。やっぱり波及効果が行なわれるまでの施策と対策がなければならぬですよ。あなたはそう思うといったって、どういうふうに具体的に起こってくるのか、それはどういう施策が行なわれるからだということを明確にしなければ、私は逆に私が指摘をしているように、格差が増大する結果になるのではないか。対象農家と非対象農家との所得格差、生産の格差、地域におけるそれが兼業農家との関係における今日の欠陥と結びつくのですよ。それを私は懸念するのです。  今日日本農業の中で最大の欠陥は、兼業農家が多いために生産拡大ができない。粗放に農地が放置されておる。そのために完全な農業が、いわゆる規模拡大もできなければ、生産性拡大もできない、これが重荷になっているのですよ。それと結果はそれ以上に重荷に拍車をかけるのではないかという半面を持っておるのです、この制度では。であるがゆえに、一体それに対する格差の拡大に私はつながっていくことが欠陥をさらに助長していくことになると判断するのだけれども、どうなんだ。それがそうでないというのならば、それの施策はこうするからこうなるのだということを明確におっしゃっていただきたいのであります。どうですか。
  23. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) なかなかおっしゃることが私よく理解をいたしかねるところがあるわけでございますが、経営改善ということで、相当村でいい経営をつくることが新聞社その他いろんな形で世間に紹介をされて、そしてそれが回りに相当いい影響を与えていることも、これは事実でございます。単に農業日本一というようなことだけをつかまえましても、それはそれなりに私は地方、地方に相当な影響を与えておると思います。また、そういういい影響が波及するためには、農政全体が整備されなければならない。いま、御指摘のように、土地の利用の合理化といいますか、有効利用といいますか、そういうことを促すためには、農地制度の改善も必要でございましょうし、また、優れた農地の保全ということも必要でございましょう。私ども農林省として、それはそれとして、政府としてやっぱり確立しようとして現在努力をしておるわけでございます。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 もう少しなるほどと思うような回答をしていただかないと、そういうあいまいなことで、自信のないことで私は法律を通すわけにいかぬという気がしてなりませんよ、これは。ただ、この場だけで回答をすれば、そうすれば法律は上がるわと、そういうことで私は法律を通すわけにはまいりません。もう少し骨のある、私が聞いて、国民が聞いてなるほど局長の言うことであれば農業も進むわいと、そのとおりなるわいという自信のある受けとめ方ができるような回答を私はほしいのです。  私がいま言っているように、今日の日本農業欠陥というのをどうあなたは認識されているか知りませんけれども、私は今日の日本農業は零細農、いわゆる自立経営農家と、さらには兼業農家及び零細農との格差の拡大日本農業経営規模拡大を阻害しておるし、生産性の高い農業をつくることができない一つの大きな原因をつくっておると私は判断をいたしておるのであります。でありますから、その場合に、これが私は日本農業規模拡大生産性拡大に対してのガンであると判断をするがゆえに、自立経営農家中心にして今回総合資金制度なり、総合農政がこの中に重点的に行なわれるということになれば、いわゆるこのガンを是正するどころか、助長する結果になるのではないかと、したがって、それが重荷になって、日本農業全体の生産性というものは必ずしも思うように上がらないのではないかと、自給度の向上にはつながらないのではないかと、それを私は心配するのですよ。でありますから、そういうような状態の中で、いま局長が言われるように、自立農家を今回総合資金制度によって育成することが、そういう零細農や兼業農家に対して波及効果があって、その波及効果の結果、そういう零細農や兼業農家生産性経営規模拡大が出るとするならば、これは私はたいへんな効果を期待することができます。ですから、そこに欠陥があるのだから、それに対する施策はどう考えているんだと、そこが問題なんです。明確にしてもらいたい。
  25. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) どうも的確にお答えできないかもわかりませんけれども、私はこういうふうに考えております。先ほども申し上げましたように、日本農業問題の主要課題は、やはり農業産業として確立するということであり、産業として確立するためには自立経営農家相当つくるということがやはり非常な大きな問題だと思います。しかし、それと同時に、膨大な農家現実兼業農家としてあるわけでございますから、その兼業農家を無視し、あるいは兼業農家考えない農業政策というものはあり得ないと思います。兼業農家といいましても、特に二種兼業農家は、ある意味では土地を持ち扱いかねているというと語弊がありますけれども、現在の農地制度のもとにおきましては、容易に小作に出すことも困難でございますから、荒づくりをしたり、あるいは請負耕作という形で対処したりいたしておるわけでございますが、兼業農家に対してはやっぱり農地制度を直して流動化促進することと同時に、集団的な生産組織をつくって兼業農家農業生産力なり、あるいは農家所得なりを高める方向で国としては施策すべきものであろうと思います。私は兼業農家がすぐに自立経営農家農業経営を見習って、いきなりまた自分が自立経営農家になるということがあれば、それははなはだけっこうでございますけれども、なかなかそうはならないのではないかというふうに思います。経営その他生産力において自立経営農家兼業農家との格差があることは事実でございますけれども、いま申し上げたような形で格差を現実に埋めていく。それは兼業農家に対して農地制度の改正なりあるいは集団的な生産方式を進めるということで農政を進むるべきではないかというふうに私は考えておるのであります。
  26. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあその格差の拡大にはならないという御判断ですね。どうですか。
  27. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 兼業農家が孤立して農業経営を非常にわずかの面積でやっている限りは格差はむしろ埋まらないで離れるということになるかもわかりません。しかし、兼業農家として農業にきわめて熱心であろうとする人は、一般の農林漁業金融公庫資金なりあるいは農業近代化資金なりを利用して生産力を高めることも可能でございますから、一がいに格差が縮まらない、あるいは格差が拡大するというふうにも言えないと思います。しかし、一般的には、やはり兼業農家としては、集団的な生産方式の中で自分たち生産力を伸ばすことが一番正しいのではないかというふうに思うのでございます。
  28. 達田龍彦

    達田龍彦君 それはだめですよ。兼業農家がいまのままでは格差の増大することは間違いないのですよ。それはあなたらがやっておられる農基法上の農政というのは、零細農家と一定の基準以下のものは農政対象としてのあり方が非常に薄いからですよ。そのままではそういうことになるのです。私はそう思います。だから、なるかもしれませんじゃなくて、なるのです、これは。なることが一つ目的かもしれません。それが言えないのかもしれません。  私は、そこで、いまのままで自立農家育成するために、総合資金制度をそのままストレートに持っていったんでは格差の増大になる。したがって、考えなければならないのは、先ほど局長の御説明の中に、農業産業として発展させなければならない、私もそのとおりだと思います。その場合にその道順が必要ですよ。産業として発展させるためには、農業の企業経営あり方をやはりまず考えなければならぬのですよ。地域企業的な性格を持たせるのか、あるいは地域の集団的な経営方針をとっていくのか、そうしてその中に、零細農家もあるいはいま申し上げたような兼業農家も含めた生産組織というものをつくって、その中に大きく金融制度をはめ込んで日本農業を地域集団的な形で発展させるという方向をとっていくのか、これは私はたいへん農業の今日の発展の中では論議のあるところだし、また、十分検討に値する問題であろうと考えております。  今日、この農協は、農協中央会あたりは営農団地の方式を提案いたしておりますね。私はこれは一つの十分検討に値する内容を持っておると思います。それはいま申し上げたように、兼業農家零細農家をどうして吸収しながら農業経営規模拡大するか、農業経営規模拡大することによって初めて生産は向上するんです。これははっきりしていますよ。でありますから、経営規模拡大のためには、集団的ないわゆる金をやっても、その金を借りたり、こなしたりできないような零細農家兼業というものを、金を借ってその金が効果があがるような経営形態と体質を持ったものにするより以外に手はないんですよ、はっきりしているんですよ、これは。そうしてみると、私は自立農家を千戸つくるよりも、むしろ重点を集団生産方式のほうに置いたほうが今日の日本欠陥を是正することに役立つのではないか。そうしてそれを広めていって、いわゆる企業経営的な農業をつくっていくというものに発展をさせ、日本農業というものの経営規模拡大して生産の向上につなげていくという、そうして最終的には自給度の向上につなげていくという一連の一貫した方針が路線としては敷かれなければならぬのではないか。  そういう路線の中で考えるときには、一体この今回の総合資金制度によるところの自立農家というものの位置づけをどう考えているのか、私は非常に理解に困難なんです。それはいま申し上げたように、このことによって波及効果が出て、日本農業全体の基盤整備され、生産が向上し、そうして企業農業としての発展のこれが基礎になるとするなら、私は理解できます。逆にそのことが、私の考えでは、いわゆる零細農家あるいは兼業農家自立農家の格差の拡大を行なって、結果としていまのような欠陥に拍車をかけ、欠陥助長する欠陥があるのではないか、こういう二面性を持っております。私はその点を非常に懸念するんですが、一体どうですか、考え方について明確にしてもらいたい。
  29. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いま御指摘の点は、まさに農業基本法以来の農政方向についての大きな論点であると思います。私は農業産業として確立するという場合に、日本のような条件においては、やはり一方における自立家族経営の確立ということ、同時に多くの兼業農家対象とした集団組織というやはり二元的な構造をとらざるを得ないというふうに思います。それで御指摘の中に、基本法の精神として自立経営的なものに傾斜がかかって、兼業農家について無視するといいますか、軽視する方向にあるというふうに言われましたけれども、私どもこれは日本農政あるいは農業の宿命だと思いますけれども、決して少数の——一握りといいますと、語弊がありますけれども、少数の、あるいは数少ない自立経営農家だけを農業政策としてやればいいという状況ではございません。私は多くの農家対象として、農林行政は、これは農業に対する行政であると同時に、農家に対する行政でございますから、多数の兼業農家を忘れるような農政ということは、私は現実においてもまた理念においてもあり得ないというふうに思います。さらに集団的な生産方式を進めれば、それによって農業生産力が高められ、またその中からおのずと中核的な農家が生まれるという、あるいは私の誤解であるかもわかりませんけれども、そういう御意見はずいぶんいろいろな方がいろいろな形で御議論されておるところでございますけれども、私はやはり集団的な生産方式だけでは日本農業産業として確立することはできないので、むしろ中核的な家族農家相当数いなければ日本農業生産力というのは伸びない。しかし、その中核的な農家だけがあればいいということでは決してないというふうに申し上げたいわけでございます。
  30. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はいまの御意見にもまだ相当議論があります。異論もあります。私は、考え方としては、企業的農業経営に早く到達するためには、もちろん集団的生産方式、集団的ないわゆる営農団地構想だけが唯一のものであるとは考えません。私はいま局長が指摘をされましたように、中核的な自立経営農家が核になって全体の地域農業を広めていく、このことは原則的に私は肯定します。ただそのことだけを重点にしますと、いま申し上げたように、欠陥として格差の問題が出てまいるのではないか。波及効果というものが必ずしも地域に及ばないという結果になるのではないか。したがって、切り捨てなければならぬとか、企業的農業経営というものがむしろ困難というよりも、おそくなるのではないか、私はそういう判断を実は持っておりますし、そういうものをうまく調整しながら日本農業というものをいわゆる産業として、企業農業として発展させる路線を敷くべきではないか。それについては、この融資制度自立経営農家育成という問題は、反面そういう危険な要素もあるので、そういう点に対する歯どめなり、あるいはそういう欠陥を補う方法等について波及効果も含めてどうすべきだということを持たなければ私はならないのではないかと思うのです。ですからそういう点について、一体どういう方策をお持ちであるのか、先ほどから尋ねているわけです。どうですか、その点は。
  31. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) だんだんお話を伺っておりますと、私が申し上げていることとあまり違わないのかもわかりませんけれども、私が申し上げておりますことは、現在御審議いただいております総合資金制度、あるいはそれによる自立経営農家育成、そういうことだけで私どもとしていいというふうに申し上げているわけでは決してございません。一般の農家に対しましては、それは農協営農団地にやや類するかもわかりませんけれども、二種兼業農家までも巻き込んでの協業化の促進ということが、これは農林省として基本法以来ずいぶんやっておることでございます。それは私は農政の路線としてやむを得ずやることではなくして、自立経営育成と協業の促進ということは、やはり初めから明らかなこれは農政の大道であって、当然そういう道を今後も進んでいくべきだろうと思います。今回国会に提案いたしております農地法の改正なりあるいは農協法の改正ということも、二種兼業農家を含めての集団組織の形成ということにできるだけ農家が参加しやすいような形をつくるものであるということも御了承いただきたいと思うわけでございます。
  32. 達田龍彦

    達田龍彦君 少し論点がしぼられてきたし、また考え方も大体私もわかる面が出てまいりました。そこで、私は今の説明の中でもちょっとひっかかるのは、将来の農業は広域農業でなければならぬし、それから広域農業であることが日本農業生産性を高める結果になると私は思います。  そこで私の考えでは、先ほども申し上げたように、自立農家を拠点的に育成することも、農業発展の上でたいへん重要な役割りを持つし、必要であるということを否定しませんけれども、広域的農業の構想というものを構造政策の中に十分に取り入れて今後進めなければならないのではないか、そうなれば、そういうものに対するいわゆる一つ制度、これは営農指導の問題もございましょう、機械化の問題もございましょう。その場合の金融制度の問題をどうしていくかということは当然出てくるのです。  ところが今日出ているのは、総合資金制度であって、中核的農家をつくることを中心に出されておるのであり、同時並行的にいま申し上げたような地域開発を考え、集団農業考えるならば、それに対する金融制度というものが並行的になされなければならないし、構想として持たれなければ私はいま申上げたように欠陥を生み出す結果になるのではないか、そういうものが今回提案をされておりません。説明ではありますけれども、提案をされておりません。なぜ提案できないのか、する構想がないのか、問題があるのか、そこら辺を明確にしてもらいたい。
  33. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 公庫資金各種資金がございますけれども、共同経営といいますか、協業経営といいますか協業組織といいますか、それらに対する資金というのは、相当手厚く現にいたしております。構造改善事業推進資金にいたしましても、果樹経営改善資金にいたしましても、あるいは農地取得資金にいたしましても、個人に比べて大体数倍の共同化資金は出しておりまして、現にそれらのものにつきまして、農事組合法人ばかりではありませんで、任意組合的なものも相当利用いたしておるわけでございます。したがいまして、今回の総合資金関係では、家族農家自立経営農家が協業したような形での、共同したような形での共同経営に対してはこの総合施設資金を貸し出すようなことを法律でも定めておりますけれども、その点につきまして協業経営を無視するという態度は一切とっていないわけでございますが、一般の資金についてはすでに相当手厚い共同組織に対する融資をやっておるわけでございます、一々申し上げませんけれども。また、それが現に相当活用されておるということを申し上げておきたいと思います。
  34. 達田龍彦

    達田龍彦君 活用されておるにもかかわらず、今日兼業農家零細農家が、いわゆる経営規模拡大生産の増大につながっていないという欠陥を持っておるわけでありますから、やはり今日の制度の中ではきわめて不十分であるということは指摘できると思う。でありますから、そういう両面をとらえて進めるとするならば、それに対する金融の手だて、政策の手だてを私は考えないと、いま言うように、自立農家育成だけではたいへんいま言ったような格差というものが是正できないのではないか、こう考えます。したがって今日までの制度で、もしこれがよろしきを得ておるとするなら、そういう結果は出ておらなかったのじゃないかというように私は判断をいたすのであります。  そこで、先ほど論議の中にありました問題ですけれども、いわゆる自立経営農家から企業的農業経営発展させる必要が私はあると思う。したがって、その具体的な——農林省もそういう方針方向としてはとっておると思われるのでありますけれども、じゃ一体それに結びつくためにも、具体的な道順、方針、そういうものをお持ちであるのかどうか、あればお聞かせいただきたいと思うのです。
  35. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 企業的経営とおっしゃることの意味が私よく理解いたさないわけでございますが、自立経営農家というのは、要するに他産業従事者並みの所得を大体農業であげられる農家ということでございますから、最近の資料では農業所得九十二万円というのが下限でございまして、家族経営であればそれをこえるものでも、相当粗収入千万円をこえる農家現実にミカン地帯その他であるわけでございますが、そういうものでも私は観念としては自立経営農家というふうに言っていいのではないか、株式会社的な経営についてお話があるとは思いませんけれども、私は自立経営農家というのは下限は現在のところ九十万円程度で、上限はそれをどれだけこえても家族経営であれば自立経営と総括してよろしいのではないかというふうに思います。
  36. 達田龍彦

    達田龍彦君 基本的な問題についてもう少し論議を進めたいのでありますけれども、大体の農林省考え方というものも出ておるようでありますので、基本的な論議はこの程度にしたいと思います。  そこで、これは特徴の中に出ておりますけれども、確かに総合資金制度というのは階層別融資制度であることは間違いないと思います。そういう意味特徴だと思うのですけれども、将来こういう階層別融資制度というものを融資方針として今後もほかの面でもお続けになる方針があるのかどうかお聞きをしたいと思う。
  37. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合資金の貸し付け対象農家というのは自立経営になることが確実に見込まれるものということでございまして、現在どの程度規模経営をしているかということをそんなにやかましく言わないつもりでございます。もちろん大体の常識としてその村における平均的な経営をやっておることは私は必要だと思いますけれども、現に相当でかい農家が金を借りる場合だけに総合資金融資するというふうには考えておりません。したがいまして、到達する目標としては階層的なといいますか融資でありますけれども、現状に立脚する限りは私は必ずしも階層的な融資というふうには考えておりません。もとより公庫融資でございますから、畜産経営拡大資金なり、あるいは果樹経営改善資金なりにしろ、融資条件としてはいろいろこまかいことをきめておりますけれども公庫融資は全体としては階層的な融資というには私は値しない、むしろ相当ゆるいものというふうに考えております。
  38. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからこの総合資金制度実施後の対象農家の、これはまあ私はこれをつくられる前にどういう農家がどういう地域におってそれがどういう効果をあらわすという青写真なり、想定計画というものがなければならぬと実は思うのですが、そういうものをお持ちですか、おつくりになっておれば明らかにしてもらいたい。
  39. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども現在の時点における自立経営農家の姿というのは、農家経済調査あるいは農業経営調査等を通じて大体の把握をいたしておるわけでございますけれども、また先ほども申し上げましたように全体としての姿、全国ベースで稲作につきましては四ヘクタール前後とか、ミカンにつきましては二ヘクタールを少しこえたところというふうな、そういう姿を持っておるわけでございますけれども、全国的なそういう姿を描いて、それを現実に県におろして、県がまた現地の実情に即してそういうものを現地の実情に合ったように調整するということを期待しておったわけで、私のほうから末端に対してこれでやってくれというふうな強い指導はいたさないつもりでございます。
  40. 達田龍彦

    達田龍彦君 この自立経営農家の今日の分布状況というのですかね、その資料がありますか。それから今回の総合資金制度によって対象となる農家をどういう地点に求められておるのかですね。それはありますか。あれば資料としてお出しいただきたいのです。
  41. 小沼勇

    説明員(小沼勇君) 自立経営農家の地域別の分布の状況は資料としてございます。
  42. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 現在の時点における自立経営農家経営類型別あるいは地域的な分布はございますから資料として差し上げたいと思います。  それからたとえば四十三年度におきまして千戸をどういうふうに配分するかということは、これは私どもつくっておりません。わざとつくらないと言うとおかしいわけでございますけれども、末端でどういう受け方をするかによって県別に金を幾ら幾らというように配分はしないで、県からの需要を見て、そこで判断をするというふうに考えております。
  43. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうしますと、これは千戸というのは金の総ワクが千戸程度だったから千戸と、こうきめたんですか。それとも今日の日本農業を取り巻く諸情勢、置かれている客観的な条件の中からこの程度は今年度やらないと日本農業発展進歩に影響があるとか、立ちおくれるとか、そういう客観的な内容の中から割り出されたものではないんですか。どうですか、そこは。
  44. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合資金制度だけによって自立経営が生まれるというものではございませんから、千戸つくればそれでいいのだというふうに私ども考えないわけでございます。ただまあ私どもこの総合制度を練ります過程におきまして、一昨年の夏から去年の秋にかけまして農業金融に関する懇談会というものを農林省で持ちまして、学識経験者に相当熱心に御議論をいただきました過程では、千戸というのは多すぎて、むしろ三百戸とか五百戸とか、ほんとうにたんねんに調査ができ、また念入りに指導ができるようなものから出発したらどうかという御意見もあったわけでございますが、あまり少ないのでは、私はこの資金に対する需要というのは相当あるというふうに思っているわけですが、あまり少ない数ではなかなか選択にも困るという場合もあるでございましょうから、普及員、営農指導員、あるいは専門技術員等々のアフターケアといいますか、経営指導ということも考えまして、とりあえず千戸というふうにきめたわけでございます。したがいましてそういういろいろな観点からきめたわけで、千戸ありさえすればそれでいいとか、あるいは千戸に何か特別の意味があるということでは決してございません。
  45. 達田龍彦

    達田龍彦君 これも私は将来この総合資金制度あるいは自立経営農家構造改善事業の中における位置づけと役割り、それから政府の将来に対しての方針なり、さらには今回の千戸がその中で一端のにない手を具体的にどういうふうに負い、それがどういうふうに伸びていくか、そういうことを本来行政庁としては把握して明確にはじき出して、その想定に基づいて実施に移すぐらいの施策と計画がほしいと思います。できるだけ御努力をいただきたいと思います。  それから農業生産の中核的にない手ということばがずいぶん使われておりますね。この農業生産の中核的にない手とは一体どういうことなのか。御説明をいただいておきたいと思うのです。
  46. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほども御指摘がございましたように、農家経済調査あるいは経営調査等々を分析いたしますと、規模による利益と申しますか、一定の技術の条件のもとにおいてでありますから限界はございますけれども自立経営農家と呼ばれる一群の農家生産力、これは資本の生産力あるいは労働報酬等々を含めての話でございますけれども、他の農家に比べて相当高いわけでございます。それで私どもといいますか、農林省の計算では自立経営農家と呼ばれる一群の農家は現在一割程度でございますけれども、昨年のシェアは二七%でございまして、その二七%というのは単に生産のシェアが大きいばかりではございませんで、生産力の内容から言っても他の農家に比べればよほどすぐれているわけでございます。したがいまして先ほど私が申し上げたことはよけいなことであるかもわかりませんけれども自立経営農家というのは農業職業として選んだ農家で、その職業で食える農家ということでございますからあたりまえのようなもので、特に自立経営農家と呼ぶことがあるいはおかしいくらいのあたりまえのものでございますけれども、そういうあたりまえの農家はそうでない人たちに比べてよほど生産力は高いわけでございますから、そういう自立経営農家の性格からいっても、またその生産力からいっても、生産力の中核的なにない手というふうに呼んでまず間違いはないだろうというふうに考えるわけでございます。
  47. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからこの融資対象農家の推定でありますけれども、これはこの制度に対してはたいへん重要な問題だと思います。それでこれは農林省としては一定の基準と方法をお持ちであろうと思います。地域性の問題だとか、その他農協その他の意見の反映を十分していただいて、その中から推定するとかあると思いますけれども、その場合政令でおきめになるのですか、規則等でおきめになるのですか。そういう何かおきめになるものがあって、その大体の案というものはもうすでにまとまっていると思うのですけれども説明をいただきたいと同時に、あれば資料として出してもらいたいと思います。
  48. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 事実上、総合資金の借り受けの農家の資格といたしましては現在私ども考えておりますのは、実質的な経営者が比較的若いということをやはり相当尊重してしかるべきではないか、経営主でなくても、あと取りとして実際農業をやっている人でいいわけでございますからおおむね四十歳程度というふうに考えているわけでございます。それから技術なりあるいは労力その他においてすぐれていることはもとよりでございますし、また家族労働力というのが相当ある、賃労働に主としてよらざるを得ないという経営ではないと、家族労作経営というものになり得るような家族構成であるとか、さらに先ほど申し上げましたような所得水準といいますか、自立経営農家に確実になる見込みがあるという、そういうほぼ四点を大体の基準にいたすつもりでございます。これは政令とか省令とかで示すよりも、むしろ通達で示したいと思います。もとより総合資金全体を通じて私どもそんなにがちっときめて、経営面積でも、かりに県が四ヘクタールというふうに水田をきめた場合にそれをちょっとでも下がるような計画ではだめだというようなかたいことはいたさないつもりでございますので、大体の基準として私がいま申し上げましたようなことで処理いたしたいというふうに思うわけでございます。
  49. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらにこの公庫資金のほかに、今回は農業近代化資金、それから運転資金、これがセットで協調融資されるわけでありますけれども、これに対して円滑に協調融資がなされるための何らかの措置をお考えになっているのかどうか。その場合にやはりこれも通達ですか、それとも何かそれ以上の政令、規則ですか、どうですか。
  50. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私どもが現在考えておりますことは、県の段階に融資協議会を設けまして、県の人、それから公庫の人、それから信連の人、それから必要ありますれば単協の人たちあるいは専門技術員等々で構成をいたしまして、そこで総合資金希望者の営農計画を慎重に検討をいたしまして、そこでよかろうということであれば公庫がそれによって貸し付けを決定し、施設資金を出す、信連その他が運転資金を出すという形で融資協議会で営農計画の認定といいますか、適正だと認めたときに、いわば一挙動で施設資金運転資金も貸し出されるような、そういう制度をつくりたいと思います。これも政令ということではございませんで、農林省の通達で処置をいたしたいと思います。
  51. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はまだほかに、こまかな問題になりますけれども……。総合資金の問題は、大体基本的な問題それから関連する諸問題は解明を得ましたので、次に卸売市場の近代化資金の問題について質問をしてみたいと思います。  この卸売市場の近代化資金の問題は、さほど政策的に大きな論議がある問題ではないと思っております。問題は、どういうようにこれを生かしていくかということがたいへん重要ではないかと思います。そこでまず問題なのは、いまの市場の現状を見てまいりますと、中央卸売市場法によるところの中央市場というものは、地方市場に比較しますと比較的整備がなされていると思います。これは経済活動を行なう場合の諸施策にいたしましてもあるいは取引の状況にいたしましても、施設にいたしましてもあるいは仲介人、卸売り人、小売り人の関係にいたしましても、比較いたしますとかなり整備をされているのではないかと思います。だけれども、流通機構としての市場の役割りと任務というものは今日きわめて高い任務と役割りを持っておると思います。  そこで今回の融資対象が確かに、取り扱われている品物の量からいきますと、統計が示しておるがごとく中央市場の取り扱いが全体の約半数に近いものを取り扱っておりますけれども、市場の開設数からいきますと、千九百何ぼございますから百何ぼですね、中央の場合は。たいへんな差があるわけでございます。したがっていまこれが非常に緊急を要するのは、中央卸売市場の設備の改善整備も非常に重要だけれども、それと同等以上に地方の民営あるいは公営市場の整備強化ということがたいへん問題ではないかと思います。  したがって融資全体から見てまいりますと、何か印象として中央卸売市場重点資金に使われているような印象が私には強いのですし、また地方の、私のほうの長崎の青果市場や魚市場からも一部要望がありましたけれども、中央の市場の関係者ほど強い熱意がないのであります。これはやはり今回の融資そのものが中央卸売市場を重点になされておる。従来もそうであったという点からさほどこれに期待がかけられてないのではないかという印象を私は受けました。  したがいまして、ここで問題なのは、一体——衆議院その他の段階で卸売市場法の制定等の構想もあるようでありますけれども、中央卸売市場と地方卸売市場、そういうもののバランスをとった将来の整備計画、それから法制定、そういうものをどうお考えになっておるのか。まず総体的な流通機構の中における市場の問題についてお考えをただしておきたいと思うのです。
  52. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場につきましては、すでに市場の整備の補助金をここ数年来だんだんふやしてまいりまして、四十三年度におきましては十三億五千六百万円という相当大きなものになっております。御指摘のように中央卸売市場につきましては相当整備が進んでまいったと思います。しかし、地方市場につきましては、実は農林省といたしましても、十年以上前からの懸案でございまして、中央卸売市場と並んで地方市場の整備の必要性はかねて考えておりましたけれども、千九百十八という非常に多数の地方市場がございます上に開設者におきましても、業務の内容におきましても、あるいは規模の大小におきましてもはなはだ錯雑をきわめておりまして、なかなか行政として踏み出しにくい仕事であったわけでございます。しかし、ここ数年生鮮食料品の流通改善あるいは消費者物価の問題がだんだん重大な問題になってまいりまして、これは単に大都市ばかりではございませんで、中都市にも及んでおる情勢でございますので、昭和四十年以来二年間の調査と、それから昭和四十二年におきまして学識経験者、実務者等を入れまして地方市場の行政についてどういうふうに行なうべきかということの議論をお願いいたしまして、その成果に基づきまして四十三年度から地方の基幹的な市場で公設のものに対しましては中央卸売市場と同じように補助金を出す。四十三年度におきましてはこの補助金の額は六千万円でございます。それと同時に、地方の民営市場に対しましては農林漁業金融公庫から卸売市場近代化資金として初年度三十億のワクでその整備を進めるということにいたしたわけでございます。三十億の金の配分といたしましては、地方市場の施設の整備と中央卸売市場の卸、仲買いの業務の近代化でございますが、三十億の半分以上は地方市場の整備に使われるというふうに私ども現在考えておるわけでございます。御指摘のように地方市場に対する行政というのは中央卸売市場に対する行政に比べまして立ちおくれておりましたことは事実でございますけれども、四十三年度において補助と融資と二つながら成立いたしますれば、それは地方市場に対する行政というものは相当今後進むというふうに私ども考え、またそれをそのつもりで行政をやってまいるつもりでございます。
  53. 達田龍彦

    達田龍彦君 それから私が一つ理解ができないのは、この中央卸売市場法にいうところの市場になる資格条件を備えておりながら、これが民営、公営を問わず、そのままこの地方市場としての性格で運営をされている市場があるのですね。考えてみれば、中央卸売市場法の適用下の市場にしたほうがこの政策の対象になるし、資金的、その他の援助、補助ということが出てくるわけですね。にもかかわらず、これがたとえば十五万ですか、中都市の今日の状況から見てまいりますと、当然法律対象として中央市場になるべきものがならない。これはなぜだろうかということが一つ。  それから、それに対する、なぜそういう中央市場法の適用の市場にしようという御努力が農林行政の中でされないのだろうか、しておられると思いますが、遅々として進まない。とすれば、どこかに大きな欠陥があるのではなかろうか。これを進めるような御方針をおとりになっているのかどうか。そういう点についてお尋ねをしたいと思うのです。
  54. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場法の法令で申し上げますと、人口十五万以上の都市に中央卸売市場を置くことができるということになっておるわけでありますが、御指摘のとおり十五万をこえる大きな町でも中央卸売市場にしないで、地方市場のままに市場を運営している場合があるわけでございます。その理由といたしましては、一つは中央卸売市場というのはこれは地方公共団体の設置するものでございまして、市によりましてはとても自分のところでそれだけの力がない、まず民営でやらざるを得ないというところがございます。それからもう一つの事情としては、中央卸売市場というのは相当強い規制を卸、仲買い等についてやっておりますから、地方市場のある、全部というわけではございませんでしょうが、ある関係の業界の人々は中央卸売市場で厳重な監督を受けるよりも自由にやりたいと、農林省の監督よりも県の条例の規制でまずまずというところも決してないわけではございません。  私どももこれからの問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、生鮮食料品の流通改善ということは大都会の問題だけではございませんし、中都市にも及んでおりますので、相当中央卸売市場を中都市でつくりたいという希望のところがございます。また同時に千九百十八という地方市場の九五%くらいは公営ではございませんで民営でございますから、この中の相当数を中央卸売市場に組み込むよりもむしろ地方卸売市場法なりあるいは中央卸売市場法との一緒の法律をつくって、そこで規制するのが行政としてもいいのじゃないか、というふうに考えておるのでございます。
  55. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで地方の市場の一まあそういう方向で進められていると思いますけれども、改善整備というものは緊急な重要な問題であると私も考えております。ところが、これは私は長崎でありますけれども、長崎の青果の公設市場なんかは、市の条例か何かでせりのやり方とかいろいろなものをきめておりますね。これは近くにまた民営の市場がある。そして県下を見てみますとその条例の内容がおのおの違うのですね。私は流通機構の一元化という意味から、これは一つのガンだと思うのです。でありますから、こういう点についての地方の設備の改善ももちろん必要だけれども、運営、経済活動の内容、それから市場の流通機構上の役割、そういうものから考えても、一元的な指導方針というものを私は市場行政としては持つべきだと思うのです。その点どういうふうにお考えになっておるのか、そしてどういうふうに進められておるのかお尋ねしたいと思います。
  56. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方市場の規制が現在県の条例その他で行なわれておりますことは御指摘のとおりで、中には県が、条例を持っていない県が幾つかあるわけでございます。県の条例を比較いたしましても、県ごとに相当の食い違いがあることも事実でございます。私ども中央卸売市場、特に大都市の中央卸売市場と地方市場とは業務の規制等について私は多少の違いがあってしかるべきだと思います。したがいまして、県の条例で規制すべき範囲というのは今後においても私はあると思いますけれども、大事なところ、大体なところはやはり中央で規制をいたしまして、それに基づいて県が条例を出すという形で、おもな事項につきましてはできるだけやはり全国的な規制をすることがいいのではないかと、私ども現在地方市場に関する法制をどういうていさいでやるかということはなお検討中でございますが、いずれにしろ、できるだけ早い機会にその法制化をやりたいと思いますのも、あまり県ごとに規制が違うことは好ましくないという立場からでございます。
  57. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで過般、これは市場の対策協議会というのがありまして、それでもって地方市場の改善整備についての報告が出されておりますね。この指摘されている問題点に対してどういう措置と対策をおとりになっておるのかですね。これ要点だけでも明確にしていただきたい。これは説明が非常に長くなるようでしたら、その問題点の集約した資料があればけっこうだと思いますが、どうですか。
  58. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 簡単に申し上げます。  千九百十八に及びます地方市場の大部分が施設がきわめて老朽化しておるということが一つ、それからいわば都市計画になじまないで都市計画に従わないで、町のまん中に市場があるという場合が相当あるわけでございまして、それが町全体の都市計画を非常にじゃまをするあるいは交通を非常に阻害するという問題もございます。また最近におけるように、小売り商が自分でトラックを持って荷物を引くという場合に、それがほとんど不可能に近いというところもございます。したがいまして、あの協議会で言われましたことは、まず法制を整備して全国的な視野に立って行政をしてもらいたいということと、市場の整備につきましては、都市計画をよく考え、施設の近代化をはかってもらいたい。さらに取引の公正化についても、農林省として十分努力してほしいという、そういうことでございます、かいつまんで申し上げますれば。それに従いまして、私ども今回、卸売市場の近代化資金をつくりまして融資をいたすわけでございますが、県に卸売市場の整備計画を立ててもらいまして、県全体として十分お考え方向に沿うて市場の整備をやりたい。ただ実際上から、希望にまかせてそれに融資をするということよりも、さらに進んで県全体の計画のもとに融資をすると同時に、今後の法制化によってその取引内容の公正化にも努力していきたいと、そういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで、これは私のところで起っている問題ですけれども、いま局長の御説明にありましたように、流通機構の問題が都市の交通渋滞の非常な原因をつくっている要素があります。それから非常に不経済な、不合理な荷さばきをやっている面もあります。そこで、私の長崎の市場は青果市場と魚市場が併存しているわけですね、狭いところに。それで、最近長崎県の計画によりますと、その魚市場を拡張したいと、これは私昨年の農林水産委員会の視察に長崎県に参ったときも直接陳情を受けたのです。ところが、その隣に青果市場があるわけでありますけれども、確かに青果市場の現状からいけば、荷物が多くなった、その他の経済事情の拡大に伴って、狭隘、老朽ということは典型的な今日の地方市場の状態を長崎の青果市場はかこっておるのであります。そこでこの計画に基づいて、魚市場のほうは市場の拡大強化整備ということが県の計画によってなされておりますけれども、その結果青果市場は移転をしてもらわなければならぬというようなことが言われておるんであります。ところが、青果市場のほうでは、ここを離れたんでは経済活動がやりにくいというので、移転を非常に渋っておるという状況にあります。長崎県の説明によりますと、御承知のとおり、長崎港は漁港の指定を受けておりまして、漁港の指定を受けているところに魚市場を拡大することは、埋め立て権は知事が持っている関係もありまして、いわゆる魚市場の埋め立てはできるけれども、青果市場の埋め立てはすべきではないと、こういう解釈に立って、非常に問題が起きております。これは長崎県に限らずこの流通機構、問屋街を含めた流通団地あるいは流通機構全体の問題が今日社会問題になっていると思うんであります。  でありますから、そういう問題が必ず各都市で起こってまいっております。福岡の場合にも最近郊外地に青果市場ができましたですね。そういう形で移転がスムーズにいくところはいいんでありますけれども、スムーズにいかないところがある。それが移転することによって消費者への影響があるのであります。値段がはね上がるとか、鮮度が落ちるだとか、交通の渋滞という問題もある。そういう社会問題も起こってまいりますし、最終的には政治問題に発展する要素を持っているのであります。こういう問題について、私は、県や、市にまかせて問題の解決をすることも一つの方法だろうけれども農林省みずからが市場のいわゆる流通機構上の重要性、位置づけを考えたときに一つ方針をもってその位置の設定の問題とか、開設の方法の問題だとかきめて指導することがいいんではないかという気がするのであります。そういう点の一つ方針というものをどうお考えになっているのか、進められているのか、お聞かせいただきたいと思います。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕
  60. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方市場の整備につきましての大体の方針は、先ほど申し上げましたとおり、私ども全国的な視野に立って指導いたしておりますけれども現実に起こっている問題につきまして、いきなり農林省から、こうしたほうがいいとかあるいはこうすべきだということは、これは業界の利害にも非常にからまった問題でございますし、消費者にも当然大きな影響があることでございますから、全国的な方針は私ども堅持いたすと同時に、それに基づいてやはり市なり、県なりで調整を十分にやってもらう、これは相当、私は、場合によりましても時間がかかると思いますけれども、時間をかけてやるにふさわしいといいますか、値することでもございますので、相談には十分乗りますけれども、いきなり農林省が出ていかないほうが、私はいいのではないか。したがいまして、いま御指摘の長崎の青果市場の移転の問題につきましても、私聞いておりますけれども、しばらく市なり、県なりの調整を待ってみたいというふうに考えているわけでございます。
  61. 達田龍彦

    達田龍彦君 ちょうど水産庁長官おいでのようでございますので、これも移転に伴って、水産市場と青果市場との間でかなり問題が出てまいっておりますけれども、長崎の港は漁港の指定を受けておりますね。漁港の指定は、漁業目的以外、漁業施設以外に埋め立てることはできませんか、法的に。どうですか、これは。
  62. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 漁港の計画を立てます場合に、当然横の関連がございますので、地元でそれぞれの関連を考えられまして、その中で漁港区域についてどうするという案が出てきて、それによって実施されるという経過をたどっているわけであります。その調整の過程で、ただいま経済局長からお話のございましたように、それぞれの県あるいは市におきまして、また、その地域の形態にもよりましていろいろな御事情があるわけでございますけれども、いろいろな御意見の調整は最終的にはできるたてまえになるわけでございます。最終的に私どもいたしますのは、漁港区域に限定された仕事になるわけでございます。計画の熟しますまでの間におきましてそれぞれの機能を、私ども直接の所管でないものも含めまして、御相談がまとまって出てくるというのが普通の形態でございます。
  63. 達田龍彦

    達田龍彦君 大体わかりましたけれども、ただそういう市場の移転については、確かに利害関係もあります。しかし、同時にこれは公共的な性格を持っておりますから、利害関係者だけの協議や、話し合いではつかないのが多いのであります。でありますから、そういう意味でまた地方政治との関連において、これがときの勢力との関係で、市場の公共性を無視したことが要素として起こることもあり得ると思うのであります。それからそういう複雑な要素がからまらないで、純市場の機能性の立場から問題の判断をしていくということが非常に必要ではないか。そういう意味では、水産庁なり経済局のほうできちんとした一つ考え方を持って、問題が、トラブルが起こらないように、そして機能が十分に果たし得るような指導というものが必要ではないかという気がいたします。こういう問題について、いま経済局長お話ではもう少し話が煮詰まった上で問題の解決をはかったほうがいい、こう言われておりますけれども、すでに長崎の場合等については、三年前くらいに計画がつくられ、下相談は農林省にあったと思います。農林省が、大体これでいいだろうという判断に立たないと、県の判断で、県独自の金ですでに工事を行なうという段階であるわけですから、下相談を、打ち合わせがあって進められると思いますから、そういう段階で、そういう県なりの公共的な性格の市場等については十分意見を入れて、そして純公共性を生かす意味での判断をきちんとするような指導も必要ではないかと思いますけれども、そういう点、ひとつ明確に指導方針として持ってもらいたいと思いますが、どうですか、その点。
  64. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 確かに市場の問題は、利害関係者にとって大きな問題でありますと同時に、公共的にも重要な問題でございます。決して、農林省と申しますか、私どもとして逃げの姿勢で行政をやっておるわけじゃございません。客観的な基準につきまして明確に、各重要な市場につきましては指導申し上げておるわけでございます。ただ、私ども考えておりますことは、とにかく地方にとって地方の政治問題でもありますと同時に、経済問題でなかなかむずかしい問題でございますから、私どもがいきなり一刀両断にこれを右か左かというふうに割り切ることがむしろいけないのではないかという感じを持っておるわけでございます。したがいまして、よく練りに練ってきてしかもまとまらないというような場合には農林省としての態度を申し上げることはもちろんやぶさかではございませんけれども相当機が熟して両方とも疲れて何とかしてくれというような空気にならないと農林省方針を打ち出してもなかなかうまく地元で受け入れられないということを考えておるわけでございます。客観的な基準についての指摘あるいは指導につきましては、私ども全国の地方市場でも相当大きなものにつきましては年々やっておるわけでございます。
  65. 達田龍彦

    達田龍彦君 それから、これは青果市場も魚市場もそうでありますけれども、卸売り人の市場の中における数の規制ですね。これはたいへんまちまちですね。これも全国的に見ますと、たとえば九州の場合、福岡の市場は青果の場合は一つの卸売市場でやっていますね。長崎市の場合は青果が五つの業者でやられておる。魚市場の場合も二社か三社でやられておる、こういう状況ですね。これは私は値段の問題にも響くと思うのですね、取引状況から考えて。それから仲買い人の数は中央卸売市場の場合はきめられておるようでありますけれども、地方の公営、民営の場合は条例できめているところときめていないところとあるようであります。しかも、この仲買い人の中で中央卸売市場の場合はきわめて厳格な規制があって、市場以外で店舗を持ってはならぬというようなことで、非常に仲買い人の自立性と独立性を尊重しているようですけれども、地方市場に行きますとそうではない面があるのであります。こういう面は私はこれまた取引の公正化、合理化から考えても、また物価等の問題から考えても、一元的、合理的な方法と行政の一貫性を持たした方法をとるべきではないかと思うのですが、こういう数の問題だとかあり方の問題についてどうお考えになっていますか。
  66. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場の卸売り人あるいは仲買い人の数につきましては、私ども今後の市場の運営から見まして、生産者のほうからは手数料についてのいろいろな要望が出てまいりますし、出荷奨励金の問題もございますし、あるいは卸売り人の経営の中身の問題としては人件費の引き上げの問題が出てまいりまして、卸売り人の経営というのはだんだんに相当きつくなってまいるというふうに考えます。で、卸売り人の経営がまずくなりますと、出荷者にとってたいへんなことでございますから、私ども卸売り人の経営の健全化ということを卸売り人についてはまず強く望んでおるわけでございまして、そういう立場から市場の卸売り人の統合、大型化ということは、これは何といっても大勢であろうと思います。そういう方向で指導もいたしておるわけでございます。  また、仲買い人につきましては、これも非常に弱小の、小さくて数の多い仲買い人、東京の市場に例をとりましても、中央卸売市場で相当たくさんの仲買い人がおるわけでございますが、その大型化、統合ということも、ここ数年来の私どもの大きな仕事でございまして、農林中金から多少の低利の融資もいたした経験がございますけれども、それでも不十分なので、今回の卸売市場近代化資金では、営業施設の譲渡とあわせての営業権の譲渡というものに融資をいたすように現在関係当局と折衝いたしておりまして、それに基づきまして、仲買い人の大型化、統合ということをぜひ強く進めてまいりたいというふうに考えております。
  67. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは進めてまいりたいということでなかなか進みませんので、何かやはり強力な施策を私は打ってもらいたいと思う。たとえば荷受けの場合でも、私が知っておる範囲では、荷受けの資本力が弱いために信用力がこれまた弱い。したがって安定的に安い良質の品物が市場に荷受けできないという結果がありまして、地方ではたいへんそれがでこぼこになるのです。ですからこれは私は、やはり根本的な食生活の問題ですからね。安定的供給ということは一番重要なことだと思います。  それからもう一つは、仲買い人の数の問題だとか、仲買い人の信用と資力の問題から、いわゆる商品の価格に変動が、地域差が出てくるのであります。これまた国民全体の流通機構の重要な使命でありますから、そういう意味での公共性を持っておるわけでありますから、これを放置することは、私は市場制度の根幹の問題をはずすような結果になりはしないか、施設の問題もありますけれども、その中で経済活動をしておるこういう関係人の問題というものはたいへん重要だと思うのです。ところがいままでの国の施策というものは、私の感じでは、施設の問題等については非常に、融資もするし、指導も行なわれておるようでありますけれども、仲買い人という、これは一つの商業をする人でありますから、個人に対してどうだという問題も国の性質上問題はあるかもしれませんけれども、今日の公設市場というものは昔と違って相当公的な性質を持つし、物価対策の問題もありますし、社会性を持った公的の役割りを持っておると思うのであります。そういう性格を増すためには、そういう人たちに資力をつけることとか、あるいはそのために統一した指導を行なうとかいうことをしないと、物価の地域差の原因にもなっておりますし、それから一番重要なことは、施設が悪いために生鮮食料品の鮮度が落ちるのですよ。わざわざいいものを生産者がつくって、そうしていいものを食べてもらう、栄養のあるものをという努力をしながら、それが国民の食ぜんにのぼるときには、こういう流通機構の不整備、不完全のために鮮度が落ち、栄養がそこなわれたものが食ぜんにのぼるという結果をつくっております。これは私はたいへん重要なことだと思うのです。ところが、今回の施策の中で中央卸売市場の仲買い人は対象になっておりますけれども、しかし公営、民営の市場の仲買い人は対象になっていないのですね。まことに私は残念だと思います。中央よりも地方の施設の老朽化、粗悪化、狭隘化というものが目に余るものがあるのです。だからここを私はもう少し実態をきちんと把握して、きめのこまかい対策をしていくことが、今日一番行政の中ではたいへん重要だと思うんですが、どうですか、その点。
  68. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場の仲買い人につきましては、施設の近代化、あるいは営業権の譲渡を含めて融資対象にいたしておるわけでございますが、地方市場につきましては、仲買い人について融資対象にしておらないことは事実でございます。これは御指摘の中にもございましたように、中央卸売市場の仲買い人は法令の規制が相当厳重でございまして、定数がきめられておるばかりでなしに、たとえば上場品目についての荷引きはできない。あるいは外に営業所を設けて商売ができないというふうにきめられておるわけであります。地方の市場の仲買い人につきましては、そういう規制はない上に、いろいろな仕事を実は兼業として現実にやっておるわけでございます。たとえば水産の産地地方市場につきましては、倉庫をやったり加工をやったりいろいろなことをやっておるわけで、仲買い人として一定の規制にかけられて、ある意味相当の規制を受けておる中央卸売市場の仲買い人に比べて、相当私は変わった点があるというふうに思います。これは私ども地方市場の仲買い人については将来絶対に融資をする必要がないというふうには思っておりません。今後の私どもの検討、あるいは問題が煮詰まりましてからの処理ということにいたして、とりあえずは中央卸売市場の仲買い人だけに限って融資制度を発足いたしたいわけでございます。
  69. 達田龍彦

    達田龍彦君 検討をした上でということですが、検討して結果によってはやるということでしょうが、一体どういう点が問題で、ここへ一気に入れられなくなったのですか、地方の仲買い人は。
  70. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 仲買い人の制度は、中央卸売市場につきましては、大体各市場あるわけでございます。よほど小さいものでない限りは仲買いはございます。しかし地方市場につきましては、むしろ非常に大きな市場に仲買い人がおるわけで、小さな市場につきましては仲買い人はございません。小さい市場が地方市場としては大部分でございます。そういう点も一つございます。  さらに業態といたしましては、いろいろな仕事をやっておって、本質的に仲買い人と言えるかどうか、むしろ加工業者でありましたり、あるいは冷蔵庫の所有者でありましたり、一般の問屋に比べてなかなか区別がつきがたいという問題がございます。それで今回の資金というのは、あくまで市場の関係者ということで整備をいたしたわけでございますので、一般の問屋は当然今回の卸売市場近代化資金の外にあるわけでございますから、どうも卸と地方市場の仲買い人との区別が十分きめがたいという点がございます。そういうことで、中央卸売市場の仲買い人だけに限って融資をいたそうというふうに考えております。
  71. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうしますと、これは検討した結果、やはり地方卸売市場の仲買い人もこの近代化資金融資ワクの対象にすることは、将来はあるのですか。これはどうですか、そこは。
  72. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この問題は実は地方市場の法制化の問題とも関連をいたしております。地方市場の法制化がかりに地方市場法というものになりますか、あるいは卸売市場法というものになりますか、いずれにしろ地方市場における仲買い人も中央市場における仲買い人と同じような一定の規制を受けて、しかも業務の内容が明確なものということになりますれば、私ども当然融資対象として考えやすいわけでございます。
  73. 達田龍彦

    達田龍彦君 それから消費市場と産地市場の区分けですね、これは法制上規定があるのですか、それとも行政指導で区分けをしているのですか。
  74. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 卸売市場近代化資金の規定で申し上げますと「農畜水産物の卸売市場」ということになっておりますから、水産物等の産地市場は当然「農畜水産物の卸売市場」に入るわけでございます。したがいまして、産地市場は今度の資金対象法律的にいってならないということではございません。行政の取り扱いといたしまして、水産物の産地市場につきましては、これは水産庁の長官からお答えがあるいはあるかもわかりませんが、漁港整備事業の一環として当然整備されるわけでございますし、また産地市場をどういうふうにすべきかということはこれは水産行政としても相当大きな問題でございましょうから、私どもまず消費地市場につきましては、先ほど申し上げましたように、ここ数年相当検討が進んでその実態が明らかになりましたから、まず融資制度として出発し、産地市場につきましては今後の検討に待ってまたさらに手当てをする、これは別に法律の改正を必要といたすわけではございません。行政の運用の問題でございます。
  75. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、長官にお尋ねしますが、産地市場の整備計画というのは漁港整備計画の一環の中にあってそれを具体的に進められておりますか。それで、それを今回の近代化資金対象外とすることについて水産庁としてはいいのですかどうですか、その辺の考え方。
  76. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 水産物の産地市場の問題でございますが、昨年協同組合の合併問題、いろいろ御論議いただきましたですが、私どもの一番末端の組織、特に水揚げ地におきます系統の組織がどのような事態になって、それをどう改革すべきかということを詳しく申し上げたわけであります。これがまだ処理につきましていま進行中であるわけでございます。特に漁業権管理組合から経済事業へという考え方をもちましてあれを進めているわけでございますので、その一連の関係がどう熟していくかという問題が一つ。  それからいま御指摘のございました漁港の第四次の計画を、いま調査費をいただきまして組み立てていきたいということを考えておるわけでございます。これもいわゆる狭義の漁港からもう少し背後施設も含めました、あるいはもっと欲ばって申し上げれば、漁村計画的なものも頭に置いたものに組み立ててまいりたいということもあるわけでございます。さようなものが全部組み合わされますと、価格形成のところでどうあるべきかというようなことが出てまいりますし、それからさらにどういう流通につながっていくかというめどがついてくると思うわけでございます。さような意味で、今回の制度の中でもちろん法制的にはそれも含まれておるわけでございますが、具体的にこれをどう、たとえば施設関係でございますと、施設が先行してしまいまして結果においてまずいということになってもいけませんので、これが熟するまでもう少し様子を見ようと思っているわけでございます。また経済局長からお話のございましたように、これを中央で何ごともきめるのではございませんで、地方におきまして、都道府県が中心になりまして府県なりの御計画を立てるわけでございますが、その中におきます水産の特殊性もございますので、その様子を見て実施に移していったらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  77. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで先ほど経済局長から御説明がありました、確かに私は中央卸売市場の整備ももちろん必要でありますけれども、地方市場の整備、とりわけその経済活動を行なっている内容その他いろいろな規制をしなければならぬ問題が行政上私はあると思います。こういうもろもろの問題をいわゆる何というのですか、地方卸売市場法というのですか、仮称ですね、そういうもので規制をするお考えに立っておるのかどうか。先ほど私がちょっと申し上げましたように、地方の仲買い人はたいへん規模が小さいのですね。零細で資力が非常に弱い。したがってこういうことがあるのですよ。いわゆる卸売り人に相当負担をかけているのですよ。手形の期間を長くしてもらうとか、卸売り人の信用力によってお金を銀行から融資してもらう、そういう卸売り業者に負担をかけている問題があるのです。そうしますと、卸売り業者と仲買い業者の中立性と厳正性という面から考えてまいりますと、一体取引の公平化、あるいはそういう問題から一体どうだろうかということも一つあります。さらにまた卸売り人という役割りは、産地の農産物あるいは畜産物を鮮度が落ちないように、しかも安定していい値段でさばいてやる、そしてそれを決済してやるという役割りだと思うのですね。だから、そういう卸売り人の役割りから考えてみて、ある意味では産地の利益を守るような立場に立たなければならぬ。そういう意味でも、せり市のあり方として、構成のあり方として、そういうおんぶをされているようなあり方が公正かどうかという問題も実はあるんですね。ですから、そういう価格に関する問題等にも微妙に響くところがあるわけでありますから、こういう問題は私はひとつ、法律をおつくりになるならば、そういう実態に即したきめのこまかいものにつくっていかないと、単なる表面だけをつくろうような形式的な法律あり方になりますと、そう大きな期待ができないことになるんではないか、現実解決にあまりならないのではないかと思います。でありますから、こういう点をひとつ十分実態把握をまずしていただきまして、それと同時に、それに沿ったきめのこまかい法律の制定が必要ではないかと思います。でありますから、そういう点についての大体構想があれば、お示しをいただきたいと思っております。
  78. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほど申し上げましたように、ここ数年、地方卸売市場についての調査、検討がだいぶ進んでおりますけれども、とにかく千九百十八もある種々雑多な市場でございますから、必ずしも私どもの知識がまだ十全のものではございません。そこで、この卸売市場近代化資金融資にあたりまして、県に計画をつくってもらい、それに即して融資するわけですが、融資の過程におきまして、十分私どもも勉強を深めていきたい。いま御指摘のように、市場によっていろいろ違いがございますし、御指摘のような卸売り人あるいは仲買い人の実態であるといたしますれば、法律の規制によってこれはいかんともできない面があるわけでございますから、結局強い卸しと強い仲買い人とがなければ、市場の運営というものは公正に行ないがたいという問題もあるわけでありますから、ただ単に法律の問題だけでは処理いたし切れないわけですが、私どもも十分実態を把握して法案の作成にあたりたいというふうに思います。ただその場合も、非常に事こまかく地方市場の一々について規制することがいいか、あるいは大筋だけをきめて、あとは県の条例にまかすことがいいかということ、これも大問題でございまして、私は必ずしも、これだけ程度の違う地方市場を包括する法律といたしましては、あんまり詳細にきめないほうがむしろいいのではないか。そのかわり大まかなところについてはきちっときめて、あとは具体的な細部については県の条例にまかすということのほうがむしろいいのではないかという感じを現在のところは持っておるわけであります。
  79. 達田龍彦

    達田龍彦君 いずれにいたしましても、地方卸売市場の整備の問題については、十分熱意を持って真剣にお取り組みをいただきたい。と同時にまた、地方の仲買い人に対する融資の問題、それから経営規模拡大の問題、これについてもひとつ早急に、この人たちにも融資対象になるように、そうして経営規模拡大するような前向きの行政措置をお願いしておきたいと思うのであります。  それから設備資金の場合は、ある程度地方の場合等についても地方債あるいは融資ということになっているようでありますけれども運転資金の確保の問題についてどういうことにされているのか、そちらの模様をお聞かせいただきたい。
  80. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 公庫からの資金は、これは当然施設資金でございますから、運転資金には及びません。私ども現在、中金その他と相談を進めておりまして、施設は公庫からだけれども運転資金はできるだけ系統資金で見るようにしたらどうか。中金ばかりではございません。信連でも相当積極的に流通改善に取り組もうとしているところがございますから、資金量は十分あり余るほどある現状でございますから、系統資金をうまく活用して運転資金の問題を解決したいというふうに、その方向で仕事を進めているわけでございます。
  81. 達田龍彦

    達田龍彦君 最後でありますけれども、これは、生鮮食料品の小売業者の取り扱いが今回の近代化資金対象にもなっておりません。ただ、食料品の小売りの場合の国民金融公庫からの食料品小売業特別枠の融資があるようでありますね。これが一体、農林省と大蔵省ということで、一元的にしたほうがいいのではないかという意見もありますけれども、私は今日の生鮮食料品の小売り店の実態というものは、価格形成の問題もありますけれども、鮮度を落とさないということはたいへんな、この業界に対しては重要な問題だと思います。だから、それを守るような流通機構、小売りというものが必要だと思うのです。  私のところは水産県ですけれども、お魚の場合、小売りの店舗にあるお魚の鮮度ということはたいへん重要なんですね。ところが最近これは環境衛生のほうからの規制かと思うのですけれども、冷蔵庫をきちんと備えつけて、ある一定の施設と温度を保っておらなければできないとか、できるとかという規制があるようであります。ああいうような、やはり生鮮食料品に対する衛生の問題もありますけれども、鮮度の問題も考えた小売り店の施設というものは、たいへん私はそういう特殊なものであるだけに、重要だと思うのです。ところが、現実には非常に零細で、設備も狭隘、老朽、お粗末ですね、粗悪。資本力も非常に弱い。こういう状態で、このまま放置することは、これは農林行政の上から言っても、これはやはり農林行政の系統的な、一元的な末端の消費機構に位置づけていって、それを育てていくという一元化の業態をとるべきではないかと私は思うのですけれども、その点については農林省はどうお考えになっているのか、それからどういうふうに措置をされようとしているのか、お尋ねしておきたいと思うのです。
  82. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 生鮮食料品の流通改善の問題は、実は生産から出発いたすわけですが、流通問題に限りましても、卸し、仲買い、小売りのそれぞれに対し、一貫した政策でこれを行なわなければいかんというふうに思います。卸しとか仲買いというふうなものだけをやればいいというものではございません。したがいまして、今回は卸し、仲買いの段階につきましては、農林漁業金融公庫から卸売市場近代化資金を貸し付けると同時に、小売り商につきましては、これは小売り商の金融でございますから、農林漁業金融公庫からというわけには、実体としてなかなかいきかねる問題がございますので、国民金融公庫が百三十億の特ワクを設けまして、生鮮食料品の流通改善というたてまえから、大きく農林省の指導のもとに、といいますか、個々の融資の問題ではございませんが、融資態勢としての指導方針農林省が示すという形で融資をいたすわけでございます。卸し、仲買い、小売りを一貫しての融資ということで、金の置き場は違いますけれども、私どもは国民金融公庫資金と農林漁業金融公庫資金を同じ気持ちで運用をいたしたいと思います。したがいまして、小売り商の近代化の問題というのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、小売り商の中からもそういう空気が相当最近起こってまいっておりますので、いまのお話のような施設等につきましても、国民金融公庫から相当な額の金を貸し得るように現在相談中でございます。
  83. 達田龍彦

    達田龍彦君 最後に大臣に、いままでの両資金制度の問題について私いろいろの問題を提起して御議論もいただきました。農林省の見解も承りましたけれども、なお今後この農林水産行政の中で意欲的に前向きで取り組んでいただかなければならぬ問題がたくさんあると思います。特に総合資金制度の問題については、今後の日本農業の根幹をなす問題が含まれておると思います。したがいまして、またこの流通機構の問題についても非常に私は今日の農林水産行政の中で流通機構の分野は、市場行政全体を見てみても、たいへんおくれておる状態にあるのではないかと思います。早急に今日の状態、時代に合うような制度に熱意を持って進めていかなければならないのではないかと思います。どうかそういう意味で、大臣のこれらの問題に対しての決意と御所見を承って最後の質問にしたいと思います。
  84. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 先ほど来御熱心にいろいろな御所見なり、御質問なり詳細に承りました。特に金融と、それから農政全体のあり方との関連でございます。この点につきましては、十分私最初に申し上げましたように農基法の本来の精神というものを十分体して、前進をさしてまいりたいと思います。  それからもう一つは、中核農業自立農業兼業との問題についても御所論が展開されたわけでありまして、私どもとしてはもちろん総合資金制度によって自立農家自立経営というものが十分確立されるとともに、兼業助長、協業助長ということによる兼業体質強化、こういうようなことについても十分気をつけてまいりたい。  それから流通の問題はむしろこれは時代の変化とともに農林省としては非常に大きな責任のある、特に食料、食品につきましては農林省の流通、あるいは消費者に対する責任は大きなものを持っておりますので、そこで、今回の農林省の機構改革の案の中にも企業流通部というようなものを新しく御審議を願うような段階にきておりますし、金融その他の面でも新しい面も発足していきますから、これは生産者のためであると同時に国民一般のためでありますので、今後より以上熱意を傾けてまいりたい決意でございます。
  85. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 中央市場の関係のお話なものですから、書類の整理があるだろうと思いますので、私もそのまま続けていきたいと思います。ある面におきましてはダブる面もありますけれども、少しくお伺いしたいと思います。  中央市場及び今度の地方卸売市場の食品流通に関するこれは地元民の声の反映、私は資料を持っているわけですが、そういう資料をお持ちでございましょうか。
  86. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 食品流通経済に書かれている調査でございますれば、私ただいま持っております。
  87. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私のと少し違うようですけれども、これは総合調査研究所というところから出ているのですが、四十三年の一月に中央卸売市場の世論の中に興味ある結果が示されているわけですが、小売り人なり仲買い人が営利本位の独占事業もしくは一般商業と同じと見るものが半数以上あったことが、中央卸売市場が消費者に正しく理解をされていないということを示している、研究所の発表でございます。この点どういうふうにお考えでございましょうか。
  88. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場は、確かにその中で商売いたしておりますのは卸、仲買いともに商売人でございます。したがって、商業的な側面を一面に持っているわけでございます。と同時に、国の、あるいは県の相当厳重な監督を受けて、一定の規制のもとでその商売を行なっており、しかも消費者にとってはきわめて死活の問題を握っているという形で、公的な側面を持っていることも事実でございます。中央卸売市場に関しまして起こる問題の多くは、私はこのいわば私的な面と公的な面との矛盾と申しますか、公的な面を持っている関係業者が、必ずしもそれを十分認識しないで商売をするということに原因する場合が多いということでございます。したがいまして、中央卸売市場につきまして消費者からの相当峻烈な批判があるということにつきましては、私ども関係の者としても十分反省すべき点があろうというふうに思います。
  89. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その点につきましてはいろいろ問題点がございますが、それはまたといたしまして、何か特殊な人がやっているのだ、市民とはあまり関係ないのだ。あるいは一般国民には関係ない、違った者がそれをやっているのだというような感じを非常にもっているわけです。これはもっと内容的にも私はわからしていかなければいけないのじゃないか、こう思うわけですが、こういう点につきましてもお伺いしておきますが、その大体の私の見ている文によりますと、消費者の生活に必要な食料品の供給と衛生的な食品の取引処理がおのおの四〇%以上もある。物価安定にはわずか六%であった。これは政府の証明した市場の流通合理化が物価安定への寄与という考えを消費者が認めていないということを示されると思われる、こういうふうにもこれには出ているわけなんですが、御見解はどんなでしょうか。
  90. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場に対する批判の大きな原因は、私が申し上げましたように、私的なものと公的なものとのいわば紛淆に生ずるというふうに思っております。したがいまして、そういう消費者からの批判があることも私は関係業者としてきびしく反省しなければならない点があると思いますが、しかし、私どもといたしましては、中央卸売市場についてそういう私的な面だけが強調されて、公的な面がなおざりにされないように、ずいぶん相当きつい監督をいたしているつもりでございます。また同時に、先ほども御指摘がございましたように、中央卸売市場というのは、何かこう特殊な人が商売をして、一般の市民から関係がないのだというふうに思われることは、これははなはだまずいことでもございますので、私ども四十二年度から実は消費者向けの民間放送のテレビを利用いたしまして、あるテレビ会社で一週四日か五日、午後十五分ほどの時間を買い切って、大阪と東京とそれから四十三年度から新しく名古屋、これは地方公共団体の事業でございますけれども、これに補助金を出して、中央卸売市場に入ってまいります荷物の量でありますとか、あるいはしゅんといいますか、おいしくてしかも量がたっぷりある品物は何であるか、お買い得品は何であるか、それについての調理法はどうか等々、これは主として消費者に対して情報を伝達いたすわけでございますが、それが同時に私たちは中央卸売市場と小売り人と消費者とそれぞれの役割りについて、消費者に正当な理解をしていただくための一つのよすがにもなっておるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  91. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまの消費者向けのテレビでございますが、これはだんだんと計画をなすっておられると思いますが、ついでに札幌のほうにもひとつ。あそこは特殊なところでございまして、御存じのように、北海道は二重価格と言われているくらいに価格の面では相当高い生活をしなければならぬ。東京でたとえば七万円の月給をもらった人が札幌に行きますと、四万円くらいしか価値がないというような状態であります。そういうことがより積極的に考えられれば、そういう特殊地域のところにおいては、より非常に情勢がわかるのじゃなかろうかと思うわけです。  こう考えてきますと、先ほどもお話がありましたけれども、流通機構の価格の問題、これが何といっても消費者の問題にする点であります。それでいま集配センターというものを設けて、そうして中央市場でやらないでやっている傾向がありますが、ここは三分の一あるいは五分の一くらいに非常に安いわけですね。そうしてまたもう一つ、大スーパーの進出が出てまいりました。そこでも値段の点からいえばだいぶん変わってきているというふうに見受けるわけですが、こういうふうなものが随所にできていきます。そういたしますと、せっかく政府で力を入れていることがはじからこわされていっているみたいな感じを受けるわけです。この点についてのお考えはどうでしょうか。
  92. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 生鮮食料品の流通改善あるいは消費者物価の問題というものは、私ども農林省として今後相当長い間真剣に取り組まなければならない問題である、こう思います。流通改善という大きな問題については、私はやはり中央卸売市場を強く適正なものにするということが一番大きな問題であろうと思います。なぜかと申し上げますと、青果物にしろ、水産物にしろ、相当大量の物を一挙に販売する機構としては、中央卸売市場に匹敵するような機構はほかに求めても得られないわけでございます。ただしからば、流通改善に中央卸売市場を通ずる改善の道だけしかないかといいますと、それは必ずしもそうではございませんで、現実にスーパーマーケットで相当安売りが行なわれている。それが相当程度小売り物価の値上がりを牽制しているという面も私はあろうと思います。それからさらに生産者が直接に消費者と密着するような形で販売が行なわれている。これも小部分でございますが、それもまた消費者物価の牽制に相当な役割りを果たしておるだろうと思います。私どもそういう小売り商——先ほど申し上げましたように、卸、仲買い、小売りと一貫して流通改善のための施策を行ないませんと、うまくいかない問題でございますから、今回も卸売市場近代化資金とあわせて国民金融公庫の小売りの近代化のための資金を用意をいたすわけでございまして、小売り商で自分から相当大型化あるいは総合食品化しようとする人たちは、その融資を受けて一段と自分たちの商売に励むことができるだろうと思いますし、また四十二年度の予算では、全販連に八千万円の補助をいたしまして、埼玉県の戸田橋、赤羽に近いところにございますが、そこに現在集配センターを建設中でございます。私は流通改善の主たる路線としては、中央卸売市場を通ずる道が大事でございますけれども、それだけじゃなくて、あわせていろいろなことに、それも無原則にということではございませんが、できるだけいろいろな手段を用いて、流通改善なり、あるいは消費者物価の安定の問題に農林省としては考えていきたいというふうに思います。
  93. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お考えは非常に私もよろしいんじゃないかと思いますし、賛同するわけですが、その大型スーパーマーケットとまた逆に安く売るんじゃなくて、中央卸売市場のほうの値と合わせて高くもうけているというところも見受けるわけです。そういうことから考えまして、また移動車で冷房をしながら移動して販売している、そういう業者等の取り締まりといいますか、そういうものに対する対策——スーパーマーケットとかまた移動車とかそういったようなものは、いまのお話から伺ってみると、ゆるめながら実際は消費者のための値を上げないようにしていく一つの行き方として、将来は中央卸売市場のほうに片づけていく、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  94. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私は現在ばかりでなしに、将来としても中央卸売市場が主体になるだろうと思いますが、たとえばアメリカ、ヨーロッパ等々を見ましても、スーパーマーケットが非常に繁盛いたしておりますし、それに対しては産地から直接荷物が来て、中央卸売市場を通らない例がございます。したがいまして、消費者からの消費者物価の安定の要求というものは今後もますます強くなるでありましょうから、スーパーマーケットのようなものの力は、私だんだんとやっぱり強くなる方向であろうと思います。その場合にスーパーマーケットが中央卸売市場を利用することもありましょうし、また産地と直取引をするという形にもなりましょう。したがって、現在でも将来でも中央卸売市場だけをやれば、あとはもう何もやらなくてもいいというふうに私は思わない。中央卸売市場を中心にして、いろいろなルートが流通改善のために開かれていくだろうと思います。
  95. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 極端な話をいたしますとカツオが二百円のものが千二百円で中央市場で売買ができている、キャベツが産地が二十五円のものが六十五円、こういったような問題もありますし、卵なんかまたこれは違う面があるんでしょうけれども、いずれにいたしましても相当な開きがあるのは、やはりいま論議してまいりました流通機構の関係でありますし、やはりこの点に力を入れなければならないんじゃないか、こういうふうに思うんです。  次に荷受け人の単複の問題ですが、この点どんなふうにお考えか。
  96. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 荷受け人の単複の問題は、実は戦前からやかましい問題でございます。私どもの現在の方針を申し上げますと、中都市等で新しい市場ができます場合に、できればやっぱり単数でやっていいのではないかというふうに思います。なぜかと申し上げますと、卸売り人の経営分析をいたします場合に、大きな卸売り人と中小の卸売り人と相当な格差が現在できておりまして、まあ数字でなかなか正確にも申し上げられませんけれども、大体四、五十億あるいは五、六十億の扱いのところで、上のほうはわりあいいいし、下のほうはなかなかつらいという問題が全国を通してあるわけでございます。したがいまして、地方の中都市で中央卸売市場ができます場合に、十億あるいは極端な場合は五億とかいう、そういう扱い量でありますと、卸売り人の経営としてはなかなか楽でございませんし、卸売り人の経営が楽でないということから、生産者にも迷惑をかけるということにもなりかねませんので、できるならば単数であることが望ましいというふうに思います。  ただ、この卸売り人の単複の問題は、実は独禁法の問題がからんでおりまして、私ども現在もなお公正取引委員会と事務調整中でございまして、何らかの統一的な考え方が、そう間もないうちにできると思いますけれども、公取の関係の問題もございますし、それからもう一つは、無理に一つにまとめることによって、自分はそれでは中央卸売市場に入らない、外に残って商売をするという場合も、地方の現実ではないわけではございませんから、できるだけ多数の業者が卸売市場に卸売り人として入りやすいことを考えて、必ずしも一社にこだわらない、二社でもけっこうだという場合があるわけでございます。  したがいまして要約して申し上げますと、一社であることが望ましいけれども、一社であることを無理に強制はしない、場合によりまして、まとめやすい形であれば三社でもけっこうですという指導を現在やっておるわけです。
  97. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かにいまお話がありましたように、独禁法の問題が単の場合には私は起き得ることは、これはよくわかります。で、大体どの程度に地方で単と複と分けて今日やっておりますか、その実情がわかれば幸いですが。
  98. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 差し上げました資料の二一ページに、中央卸売市場の卸売り人の数の問題がございます。はっきり申せますのは、札幌において青果物が単数であります。それから千葉におきましても新潟におきましても、金沢、岡山、福岡、北九州、久留米、佐世保、これらの都市が青果一社でやっておるわけでございます。そのほかは大体複数でございます。なお水産について申し上げますと、千葉、川崎、金沢、尼崎、それから呉、久留米、佐世保、以上が一社でございます。
  99. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 傾向としては、農林省の行き方としては単だっていいのですが、やはり地方の傾向からいくと複が多いように思えるのです。で、このせりの値で不当な操作が行なわれてきているということは、新聞にもしばしば報道されておりますが、せり値の伝票を実際にせり落とされた価格よりも高くせり落としたことにして、増し仕切りをやってしまったり、また安くしか売れなかったことにして、差額をピンはねするというのですか、減仕切りという二つの方法を操作して、大口の仲買い人が価格形成をする事件がありましたけれども、こういうふうなこともやはり一つの現在の中央卸売市場で行なわれている行き方に何かメスを入れなければならない、こういう点があるように思えるのですが、この点どうでしょうか。
  100. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 仕切りの増減の例が私ども卸売り人の検査を相当厳重にやっております結果あらわれておりますことも事実でございます。それらに対しましては、そのつど厳重に警告を発して、また処分もいたしておるわけでございますが、体制として私はせりによって仕切りの増減、ことに減仕切りが行なわれておりますことは、そんなにひどいことはまずないというふうに思います。これは今後もそういうことのないように厳重に注意してまいらなければなりませんが、同時に、私ども片方でせりの機械化をやっておりまして、機械化の結果、そこで伝票が同時に作成されるということから、機械化方向でこの問題を解決することも一つの方法ではないかということで、東京築地あるいは大阪等々の市場において機械化の施設に対して助成もいたしておるわけでございます。
  101. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどもお話がありましたように、自由競争の原理で勢い特定な力のある者がせっていくような形になればこれはそこに問題点が出てくる。名古屋あたりですと、何というのですか、単複の問題にいたしましても、こういう仕切り書きの改ざん問題等を考えてみて、一本化したほうがいいのじゃないか、こういうふうな意見も出ておるのですが、だんだん産地の大型化に伴ってきまして、取引を公正化していくのには、そういう観点からも私は行き方というものを考えなければならないのではないか、こう思うわけですが、この点もう一度伺っておきたい。
  102. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 卸売り人の統合によって取引の公正をはかるということも確かに正しい方向でございまするが、私どもも卸売り人の統合については相当な力を尽くしておるわけで、これは必ずしも農林省がすすめたからというわけではございませんけれども、最近の時点におきまして東京の東印、丸一、全国で一位及び二位の会社の統合も行なわれました。また御指摘のように、名古屋でもその話し合いが現に進められつつあるわけでございます。私どももそれに注視いたしまして、相談には十分乗ってまいりたいというふうに考えております。
  103. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう一つ、地方卸売市場の件とひっくるめましてですが、地方市場における取引法の明確化といいますか、代金決済の正常化をはかっていく、こういう点についてどんなふうにお考えでしょうか。
  104. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方市場の取引の公正化あるいは代金決済の迅速化、適正化等につきましては、これは私ども県当局を指導してそういう方向で努力をさせておりますけれども、いずれにしろ千九百十八という大きな市場について、法律もなくて県の条例等によって規制をしている状態でございますから、必ずしも十分ではございません。そこで、法律ができますまでは何もしないというわけでは決してございませんが、まず各県の条例の根拠になるような統一的な法律の作成ということが行なわれなければならないということで現在準備中でございます。なお、卸売市場近代化資金融資にあたりましても融資を受ける市場の取引の公正化についてはその段階において十分指導していきたいと思っております。
  105. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 法律の改正のことを御検討になっていますか。
  106. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方市場につきましては現在法律はございませんので、新しく制定をするわけでございます。中央卸売市場法につきましては、地方市場と一緒にするかどうかは別といたしまして、いま改正の諸問題について検討中でございます。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 問題点、ちょっと変わりますけれども、食肉市場の件でございますが、最近豚肉のまた価格がだんだん値上がりしてくると思うのです。これは五月、六月の需要期を迎えてきますと、当然そうなるんじゃないかと思いますが、昨年も大体六月から七月にかけて高値を呼んでまいりました。こういうときに、畜産事業団から約七万頭でしたか、豚肉を放出さして、その価格の抑制をやったんですが、そのときの状態、ことしにどんなふうなお考えになっていかれるか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  108. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように、豚肉につきましては周期的な変動がございます。したがいまして毎年、安定基準価格と安定上位価格をきめまして、その価格の中に安定をするようにということを意図しておるわけでございまして、価格が安定基準価格以下に低落する場合には、事業団が買い上げまして、安定上位価格をこえ、またこえるおそれがある場合には、事業団の持っておりますものを売却するというふうなことで価格の安定をはかっておるわけでございます。一昨年、四十一年の三月ごろから価格が異常に低落をしましたので、買い上げをいたしたわけでございますが、昨年の七月ごろから供給がだんだん減少してまいりましたことの結果といたしまして、価格が上昇してまいりましたので、事業団の売却を始めたわけでございます。で七月の末から売り出しまして、八月、九月、十月、十一月と売りまして、大体十二月になりまして安定帯の価格の中心ないしは中心以下というふうなことで安定をいたしましたので、売却をストップいたしたわけでございます。その後、最近まで価格は三百四十円前後ということで、安定帯の中心以下というふうなことで推移をいたしておったわけでございますので、売却を中止しておりましたところ、最近になりましてやや価格が騰貴をしてまいるというふうな情勢になりました。上限価格をこえるおそれが出てまいりましたので、本月の十九日から売却を始めておるというふうな状態でございます。
  109. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一部は大口業者が買い占めておったというふうなことは、この点いかがですか。
  110. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように、畜産物価格安定等に関します法律に基づきまして事業団が売卸をいたします際は、中央卸売市場におきまして一般競争入札で売卸をするというたてまえになっております。ただ一般競争入札によって売り渡すことが適当でない場合には随意契約ができるということになっているわけでございます。したがいまして私たちのほうではこの原則に従いまして中央卸売市場でせりによって売却をいたしているわけでございます。せりで売却をいたします理由といたしましては、一つは全国の豚の取引価格というものが、中央卸売市場の価格を指標といたしまして取引が行なわれているということと、それから中央市場でせりで売りますことが最も公正に売られるというふうなことを考えまして、法律の規定が原則的にきめられておるわけでございます。  そこで昨年の七月から売却を始めたわけでございまして、まあ一部には大手業者が買い占めしているんではないかというふうな話もございました。われわれといたしましても、そういうことは適当でないということで調査等をいたしてみましたけれども、そういうふうな事実はつかんでおらないわけでございまして、やはり先ほど申し上げましたように、十二月ごろに至りまして安定してまいりましたというふうな事態が、やはり中央卸売市場の機能が正常に働いた結果であるというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  111. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は昨年のようになることを非常におそれるわけですが、そこでいままでの話を総括いたしまして、今日の東京あたりの状態も、それから各中央卸売市場の状態を見ますと、買い出し、買い人のほうの車、それと荷を持ってきておるほうの車で実にごった返しております。これは大きなこれから地方市場の開発、中央市場等の整備拡充というような面から考えますと、ますます交通量というものは、自動車の使用ということは拡大されてきます。そういうものも全部ひっくるめた上の考えのもとに立ってから、今度の各申し出があるところの行政面を私はしっかり見きわめていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、大臣お話を伺って次に入りたいと思います。
  112. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 市場の機能は多く申し上げませんが、すでにお説のとおり、流通の上におきましてはきわめて重要な役割りを果たしております。したがいましてただいま御指摘のような点につきましても十分留意いたしまして、今後も諸般の措置をとってまいりたいと考えております。
  113. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 総合資金制度についてお伺いしていきたいと思いますが、先ほどお話がありましたけれども、これは基本でありますので、ダブっている点もありますけれども、伺っておきたいと思うのです。  総合資金対象となる農家は、もちろん自立経営またはそれに準ずる協業農家である、初年度は千戸というふうに先ほども伺いましたし、生産シェアも含めまして二七%というお話伺いました。大体、白書によりますと、自立経営農家数が全農家数の約一〇%である、それから五十万から六十万戸で、この農家戸数がなされている、この対象農家が千戸というふうになりますと、戸数からいきますときわめて少ないということになるわけです。先だって政府のほうでは二年度以降の計画については、これはいまのところ言えないが、千戸というよりはだんだんふやしていきますけれども、それほど大きな数には将来ともならないというふうな御答弁を私は伺ったわけですが、それでは「構造政策基本方針」の中の上昇していく自立経営をやっていく農家に対する施策考え方、基本的なものが少し違っていっているんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この点について。
  114. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合資金対象農家の数はだんだんふやしてまいるつもりでございますが、私が先般も申し上げましたのは、農林漁業金融公庫融資といたしましては、自立経営をつくるということだけではなくて一般の農家に対して融資需要を満たすということが大きな使命でございますから、一般の農家のワクを食いつぶすほどの伸び方はいたすつもりはございませんという趣旨で申し上げたわけでございます。現在千八百億の中の二十億でございますから全然そういう問題はございませんが、将来の問題として私ども一つの目標としては、最近何年かのうちに五千戸程度ということを頭に一つ描いておるわけでございますが、その五千戸ということでも融資ワクとしては平年度のベースで三百億程度でありまして、その程度でありますれば農林金融公庫の一般のワクを食うということもなくて、両々相まって農業金融といいますか、制度金融運用ができるであろうというふうに考えております。
  115. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどもお話がありましたけれども、私ども考えるのは、いまお話もありましたように、千戸でなくて伸ばしていって五千戸にこう変えていくというような、こういう姿がすみのすみまで農家の人のところにいかなければほんとうの姿ではない、こう思うわけです。そういう点につきまして、そういう観点から私が——所も申し上げてもよろしんですが、普及指導員から農家が指導を受けて、ここで水田をやればだいじょうぶだということで金を借りてきた。そしてやったところが全く水田にふさわしくないもので、そういう土地改良ができなかったということから、その借りた金から借金がかさんでいきまして、そうして他の今度制度資金等も借りられないでいる。こういうふうな現実のところもあるわけです。そういう観点から考えていきましていまの金融制度というものがそういう末端までいくことを一番私たちは望むわけです。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕 で、こういう点につきましての制度資金というんですか、さっきもお話ありましたように、借金をしている者のほうの数がほとんどであり、自創資金も借りられない、あるいは近代化資金ももう借金があって借りられないという、そういう事態の農村の人たちをどうするか、ここにあたたかい手を差し伸べてやらなければならぬのじゃないか、こういうふうな考え方で、そういうふうな指導員によって指導されたものがうまくいってない、これはだれがみるかというようなことになってくるわけですが、こういう点どうなんでしょう。
  116. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私は農業経営の指導を現地で行ないますことはなかなかむずかしい、また気骨の折れる、また責任も重い仕事であろうと思います。しかし結局最後の決断というものは農家自体が行なうものでございますから、普及員その他はあくまでいわば後見役でアドバイザーの立場であろうと思います。総合資金制度につきましては金額も相当大きいわけでございますから、これはただ一人の普及員が見てどうこうということじゃなくて、相当大ぜいの人たちが寄って営農計画についての判断あるいは診断をするわけでございます。結局うまくいくかいかないかということは、農家の資質といいますか、努力の問題に帰するわけでございますけれども、貸し付けにあたりましては私どもできるだけ慎重に十分案を練っていたして御指摘のようなことにならないようにつとめたいというふうに考えております。
  117. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 土地改良事業、土地改良区で土地改良をやっております。そうして温水を、用水路をつくりまして用水を各田に取り入れていくわけです。その工事をやっていながら排水口を考えていないために、今度の田植をどうしようかというような事態もその場所でやはり起きているわけです。しかもそのダムをつくりましたのが、その上にある家を除いた、その下のほうからダムをつくり、その用水をつくっておった。それが取り除かれておるわけです。その農家人たちは大体反当り十万円この土地改良区で費用を出さなければならない。そういうふうに出してやっているわけです。こういうふうな人の中にも入れないというような実情があるわけです。で、これは土地改良区のほうの工事計画というものがどういうふうになっているのか。あるいは自創資金等のそれに対する向け方がどういうふうになっているのか。ここにも私は問題点を見てきたわけです。いずれにいたしましても、排水口のない、ただ用水だけを、いままでの俗にいう排水のみぞだったところを用水路のみぞに変えた。そこで、その反当たり十万円の金を取って、これに対する対策というものを——いまそこは工事中でございますから、あるいはその排水口を取るかわかりませんが、現実の問題としてはすでに田も起こさなければならないという事態になっているのですが、排水の冷たい水がにじみ出るものですからどうにもならないというような状況下に置かれているのですが、こういうところにも各農家は負債をしょっているわけです。ですから借りにいってもお金は貸してくれないという実情にある。こういう事実の面においてどういうふうに手を伸ばしてあげるかというようなことも私は伺っておきたいと思うんですが……。
  118. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 具体的な問題についての御指摘でございます。   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕 私ども負債の関係で全国的に見ますと、貯金が一戸当たりにいたしまして六、七十万円でございまして、負債が十八万円ほどでございますから、全国的なベースでは私は農家の家計というのは負債によって非常に圧迫を受けているというふうには考えなくてもよろしかろうと思います。しかし北海道につきましてはやや他府県の情勢とは違いまして、貯金額よりもむしろ負債額のほうが大きいという事態があるようでございます。これは三年連続して冷害その他の災害が続いたということが非常に大きな原因になっておるわけでございまして、北海道につきましては四十二年度と四十三年度とで自作農維持資金を使って相当規模の負債整理もいたしておるわけで、四十二年度の一月、ことしの一月から動きだしたわけでございますから、まだ十分には動き出しておりませんけれども、それでも四十二年度に二十億をこえる程度の貸し付け決定が行なわれるようでございます。したがいまして、負債の中身、内容等にもよりますけれども、私は北海道の農家にとりましては、今回の負債整理によって相当事態が前進するというふうに考えております。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 農林公庫総合施設資金を信農連が直接貸してやりますね。そして信農連はどのくらいの手数料をもらうのですか。
  120. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 信農連が公庫から委託を受けて貸し出しをすることをたてまえにいたしたいと思いますが、その場合の公庫の支払い手数料といたしましては、一般資金と同様にしたいと考えております。多少こまかいことで恐縮でございますが、一般資金の手数料は貸し付け実行件数一件について三千円プラス貸し付け実行額の千分の十二というのがたてまえでございます。償還がございますと、五億までの残高であれば、支払い利息に二一%を乗じた額等々、金額によって多少の相違がございますけれども、貸し付け残額に一定の割合をかけたものを手数料として公庫から信連に支払うわけでございます。総合施設資金の貸し付けにつきましても、特別の手数料の制度は設けないで、一般の制度に従ってやるつもりでございます。
  121. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 信農連に関係なく農協はいやだというのがいるのです。農協から一切やると高くてだめだ、金を借りれば金利も、また品物を買っても手数料を取られるからいやだというのもいるわけです。そういう人たちの中には鶏を飼っている人、豚を飼っている人もある。私の知っている人は豚を飼っている。こういう人は今度の対象としては単協にも行きたくない。そしてもちろん信農連はこれはだめだということになれば、一般の金融機関から借り入れる場合、どういうふうな条件下によって貸していくのか、こういうところをひとつ……。
  122. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合施設資金趣旨からいいまして、私は大部分信連その他農協系統が貸し付けの。パイプになると思いますけれども、いま御指摘のように、農協と取引をしていないというような人に対しまして、総合資金の貸し付けをしないということも、これは不公平でございましょうから、農協と取引がないというような事情で農協系統から総合施設資金の借り受けができないような人は、私ども実際の事務として県なりあるいは公庫の支店なりと直接連絡をして、そうして市中銀行、あるいは場合によりましては信用金庫等、取引のある金融機関を通じて融資の借り受けができるようにいたしたいと思っております。もう一度繰り返しますと、大勢としては私は系統資金といいますか、系統から借り受けを受けるのが普通でありましょうけれども、何か特別の事情でそうはいかないという人に対しましては金融の道は十分つけていくというふうに考えております。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その場合の保証人とか担保の問題ですね。今度のによりますと、動産を認めるということですが、この点について詳細をお願いいたします。
  124. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあ総合施設資金融資額というのは相当大きいわけでございますから、担保の問題が相当深刻な問題になるであろうと思います。それで最近におきます公庫の取り扱いといたしましては、たとえば農地につきまして時価の八割まで担保にとるということで、従前に比べて相当弾力化されておりますけれども、不動産だけが担保にとり得るということでは、たとえば総合施設資金を借りて乳牛を飼うという場合に、乳牛が担保にはならないということになりますので、農業動産信用法関係の施行令を最近の機会において直しまして、融資機関として現在は農協、信連、漁協、漁信連ということに限られておりますのを公庫と中金を入れること、さらに昭和八年に制定されました施行令でございますから、動力耕うん機が入っておらないとか、あるいはミルカーが入っておらないとか、いろいろ足らないところがございますので、それを埋めまして農業動産信用法の抵当の関係をできるだけ現実に近づけて、運用しやすいようにいたしたいというふうに考えております。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう一つ伺っておきたいのは、これも老婆心で伺うわけですが、たとえば乳牛を三十頭飼っている。その三十頭のうちの約半数が乳をいましぼられている。大体半数ぐらいは成牛になる以前の、子牛から成牛になりつつある段階のものをかかえていませんと回転ができないという形の上で事業を、酪農を営んでいる。それが今度の資金を借り入れまして、ところが、事故が起きて、牛なりまた飼っているその人たちの家族構成なんかがくずれていきまして、そうしてとうてい返し切れないような状態になってきた。そういうようなかりに仮定をいたしました場合、その人たちがどういうふうな今度は——農村から離れていくのじゃなくて、そこに残った家族でやりたいのだ、残った家族でやりたいのだけれども、実際上の面からいけば生産が伴わない。労力の点からまた資材の点から、金の面からも、その事業に対して伴っていかなくなってきたというような場合の今度は金融制度というものはどういうふうにお考えになっていられますか。
  126. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 家族構成の変化、あるいは主人公がなくなったりして経営を伸ばすことが一時的に困難になりまして、したがって、償還も十分できないという、そういう事態になりますれば、これは公庫が日常やっておることでございますけれども、よく農家等の事情を聞いて、償還期間の延期でありますとか、あるいは中間据え置きをつくるとかという形で、実際農家がまた力を回復して自立経営になる過程を歩み出せるような配慮は十分いたすつもりでございます。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いままでの過程でそういうことが今日までずいぶんあったわけです。それらの人が借財を背負ったままで幾ら次の制度資金ができましても、借りられないという実情の人が多いわけです。で、そういうふうなことが積極的に私は救済の手が差しのべられなければならないのではないか、こういう事例もずいぶんあるわけでありますから、したがいまして、今回はまた金額も多くなってまいります。ですから、この点についても何らかの法制化までにはいかないでしょうけれども、こういう場合にはこうしてやるのだというものをはっきりやはりしておかなければならないのではないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  128. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 公庫はとにかく四十二年度で千六百億、四十三年度で千八百億という融資をいたしておりますけれども、その公庫から金を借りた農家で、いろいろな事情で非常に苦しくなっておる事例もあるわけでございますが、実際に抵当権を執行した例というものはきわめてわずかでございます。年に数件でございます。あとは経営実情に即して延滞がありますれば据え置き期間をつくったり、あるいは償還期間を延ばしたりすることを業務方法書等々ですでにやっておるわけでございまして、公庫融資につきましてはそういわば高利貸しとは違うわけでございますから、実際問題としてそう農家に対して過酷なことはいたしておらないわけでございます。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 取り立てるという面からではなくて、その擁護してやって、新しく、たとえば現金四十万なら四十万なりを与えてやれば立ち直るというところがずいぶんあるわけです。それに思い切って金融措置を講じてやると、そういうふうな行き方を考えなければならぬのではないか。そうすれば八三%に及んでいるその中小農の人たちがよみがえっていくのではないか、こういうふうに思うわけですが、ですから、そういう観点の上から私は伺っているわけなのです。いずれにいたしましても金融農業と言われるぐらいの今日の資金制度が、制度金融が幾つも幾つもできていきます。先ほど話しましたところに行って、金を借りる。何の金を借りているのだと聞けば近代化資金だ、まだあるよ、あとはわからない。これだけで、まことに農家の人もこれはまずいでしょうけれども、それをわからしていないというほうの側との、私は両方にあると思うのです。  こういう面から考えまして普及指導員の指導の育成あるいは普及員のあり方等十分の考え方を持たしていかなければならない、そういうような指導監督を同時に進めていっていただきたいということを申し上げまして、もう一つ最後にお伺いしたいことは、農林漁業金融公庫法の第一条でございますが、「農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」こうなっておりますが、この法の解釈をお願いします。
  130. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この第一条の公庫目的でございますが、一つは、融資目的といたしまして「農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金」というようなことを規定いたしておりますと同時に、公庫資金というのは、あくまで「農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する」という、そういう目的を掲げると同時に、いわば公庫資金の発動する場合の前提といいますか、限定を書いたものであろうと思います。したがいまして、農業金融というのはまず系統金融、農林中央金庫その他農村金融としては銀行等による一般の金融機関による金融もございますけれども、大部分は系統金融でございますから、まず系統金融融資を行なうべきであるけれども、そういうものが出がたいようなものについて公庫融資をするという、そういうたてまえを法律目的として書いたものであると理解をいたしているわけであります。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 どうも納得できないのですが、総合資金のように、特定大農家を——大農家とは限りませんでしょうけれども対象とする今度の法ですが、この法律の面からいくと、何となく私はこの法が生かされていないじゃないか。どうでしょうか。
  132. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあ総合資金の内容といたしまして、「農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利な資金」であるということは、総合資金の内容から御了承いただけると思います。それからそういうものとして償還期間二十五年、据え置き期間十年以内というそういう資金でございますから、一般の金融機関が融通しがたいものであることも御了承いただけると思います。したがいまして、農林漁業生産力の維持増進に必要な資金、長期かつ低利であるということ、さらに一般の金融機関では融通することが困難であるということで、まさにこの一条の目的に沿うものであるというふうに考えておるわけでございます。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは法の解釈ですから、いろいろ論が私には私なりにまたあります。いずれにいたしましても申し上げたいことは、特定の人たちが受ける制度でなく、農家全体にわたっての制度にしなければならない。そうなれば今回のこの制度ももっと最低額——最低額は幾ら、八百万円までというものは限度額である。最低額はどれくらいにして、そしてこういうふうにしていくんだというふうなことがうたわれなければならない、こう思うわけですが、その点について。
  134. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農林漁業金融公庫資金ワクは四十三年度千八百億でございまして、大部分は農家向けでございます、一般の公庫のたとえば土地改良資金でありますとか、土地取得資金でありますとか、果樹経営あるいは畜産経営等々についての制度ではなかなかいやしがたいある層の農家資金総合資金で満たすということだけでございますから、一般農家に対する融資としては実は公庫のほとんど全部の資金がそれに回るわけでございますから、私は公庫の千八百億の中の若干の総合資金がありますことにつきましても、この一条の趣旨に違反するというふうには考えていないわけでございます。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これでやりとりしてもしようがありませんので、私の質問はこれで終わりますけれども大臣に最後に伺っておきたいことは、金融農業と言われるまで今日までわが農政が追い詰められてきているような形も見受けられる。そこから新しい次元に立った農政の改革をしなければならないというので、新規の次から次へ変わってくる制度が行なわれてまいります。それがある面においては私は進歩の上の改正であるからよろしいと思うのであります。  ともかくも今日までの北海道にいたしましても、道政百年と言われておりますけれども、じゃ百年たった北海道の農民の人たちがどれほどの生活をしているかという、北海道の農民の人たちの姿を見れば、百年たってきた業績というものもはっきり見つめることができるだろうと思うのであります。こういう観点の上から考えまして、これからの新しい農業の行き方また寒冷地に対する一つの太い血の通った行き方という、一つの行き方が当然いかなければならない。寒冷地特別立法とか、そういったようなものによって、法によって救っていくという考え方をもって新しい方向づけをしなければならないではないか、こういうふうに私は思うわけですが、所信を伺って終わりにいたしたいと思います。
  136. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いろいろのお話を承っておりますが、そこで金融農政ではないか、この点につきましては、しばしば他の委員におきましてもお話は承っております。日本農業は、御存じのとおりもちろん金融だけで解決すべきものではない。先ほどもお話が出ましたように、零細規模というものがありますし、一方におきまして、食糧その他の自給度を上げて、生産増強をしなければならないという大きな課題をしょっておるし、同時に農業に従事しておる農業所得あるいけ農家所得を上げなければならない、こういう重要な問題を農政としては背負っているわけであります。  そこでそのためには御存じのとおりに、農地のできれば拡大とか、いわゆる流動化促進するとか、土地基盤整備であるとか、あるいは技術の開発、近代化等々、幾多の施策と、後継者の養成等の労働の資質の向上等を御質問でございます。中でまたあわせて同時に大事なことは、農業金融であろうと思うのであります。これらをよく組み合わせまして私ども考えてまいります。  それから特に寒冷地、とりわけ北海道農業等につきましては、先般も御審議、御賛成をいただきました北海道の畑作振興についての措置法改正等もございましたが、こういった面を通しまして、今後とも努力してまいりたい、このように考えます。
  137. 武内五郎

    ○武内五郎君 だいぶ時間がたちましたので、それに同僚委員諸君がだいぶ私の質問したい点もついております。だからできるだけ簡単に、しかも一、二点にしぼってお尋ねしたいと思います。  まず私は、農業基本方針と申しまするか、農業基本法に基づく農業の推進の態度、一応簡単ですが農林大臣にお伺いしたい。特に私は、この金融問題に関してお尋ねをするわけですが、再々この問題の審議にあたりまして、これはもう前からでありますが、日本農業の政策を貫く重要な問題であるいわゆる自立農家育成、この問題について、昨年の八月に政府が決定いたしました「構造政策基本方針」について、自立農家の姿について、ここに出ておりまする姿について一応お尋ねして、農林大臣の今後の農政を推進するあり方をひとつ簡単でいいからお聞かせ願いたい。  この基本方針の六ページ(4)に、ここに自立農家の定義が出ております。「こゝにいう自立経営農家とは、農業基本法第十五条で″正常な構成の家族のうちの農業従事者が正常な能率を発揮しながら、ほぼ完全に就業することができる規模の家族農業経営で、当該農業従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことができるような所得を確保することが可能なもの″」、これが従来一般に通用してまいりました自立農家の定義、それが昭和四十一年度の農業白書のことばを引用してここに出ております。「これを″農家生活環境の類似した町村在住の勤労者の世帯員一人当たり所得とほゞ均等する所得をあげている農家″」と定義された。そこで、こうなってまいりますると、私はあえて勘ぐるわけじゃございませんが、所得さえ上げる農家であれば自立経営農家であると解釈されておるのじゃないか。今日、日本農業所得高度成長経済政策に並行的ではないけれども、とにかくため息をつきながらものぼってきていることは事実です。しかもそれは何がのぼってきているかというと、農外所得なんです。そうなってまいりますると、所得を上げることが重点で解釈してくれば、私は農業所得というものについての大きな疑問を抱かざるを得なくなってまいりまするが、まずそれをお伺いしたい。
  138. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 御指摘のやや具体的なお話になりまする「構造政策基本方針」の六ページで、自立経営農家、これに対するとらえ方の問題として問題を御提起になりました。おそらく問題としてはこういうことだと思います。所得だけでとらえていくというと、農外所得相当上がっていくだけであって、農業所得というものを十分見つめたあるいは中心に、あるいはそれをもっぱらにした農家という意味自立経営農家というものをとらえているのではないかという御質問のようであります。私どもは、自立経営農家というのは端的に申しますというと、農業で、専業で他産業と肩を並べると申しますか、均衡のとれた生活をしながら生活が送れるというのが自立経営農家というようなとらえ方をいたしております。そこでおそらく四十一年度でございますか、農業白書でとらえた所得というのは、これは農業所得という意味ではないかと私は解釈をいたしておるのでございます。  なお、白書の基本をつくりました企画室長からも、さらに、文書のことばの問題でもございますから、明確にさして、詳しく申し上げます。
  139. 小沼勇

    説明員(小沼勇君) いま大臣から御説明がございましたが、自立経営農家の下限をとっておりまして、四十年では農業所得で八十三万円以上ということになります。四十一年では九十二万円以上を農業所得であげた場合に、町村在住の勤労者の世帯員一人当たりの収入にほぼ均衡する所得、そういうふうに比較をしておるわけでございます。農外所得は除いて計算をしておるわけでございます。
  140. 武内五郎

    ○武内五郎君 これは私もそう解釈すべきだと思うんですが、そこで、この金融の問題に返ってまいります。その前に、ちょっと最近一般に自立農家経営ということばがあまりそう使われなくなってきた。これはどうもそういうふうに感じられる次第であります。その点を放棄したのではないかと勘ぐられるわけなんですが、それはいいです。  そこで、せっかくの今度の金融の問題ですが、一千戸の農家対象として、今年第一年において二十億という融資を計画しておるわけであります。一千戸というと、これは実に五百万農家の中で一割にもならぬです。農業労力を提供し得る農民から考えると一割にならぬ。−そう、一割どころではない、たいへんな、うんと少ないわけですが、そういう農家を選定してまいりますることは、もう何ですか、だいぶ先からデモンストレーション政策ということばを使って私ども説明しておりました。なるほどこれは点々に私はデモンストレーションになるかもしれません、ショーウインドーになるモデルケースになるかしらぬが、昔から日本にありました篤農家的な存在になってくるかもしれない。私は篤農家的な存在になってもそれはいいと私は思うんです。オーソドックスの実験室から出てくる技術も大事です。でありますが、篤農家の寝食を忘れた増産のための技術研究ということもこれはまず大事だ、むしろそのほうが農民に早く浸透する、そういう点でこれは篤農家の存在というものの価値というものもかなり私は買うべきものがある。そういう点では、たとえば一千戸、点を見つけてそこに強力な農業政策を注入していくということも決して悪いとは私は思いません。ただ私はこれで非常に心配することは、一千戸というと四十三府県にこれを割れば二十二、三戸になる、一県で二十二、三戸私は新潟県だが、新潟県の各郡にまず一人ということに、公平で割って一人ということになるでしょう。そうなってまいりますると、一体この点をどういうふうに選定するかということが私は非常に大事だと思う。いろいろ先ほどからこの点の選定についてお話しがございました。その選定はむずかしい。それから選定された農民と選定から漏れた農民との問題をどういうふうに配慮を進めていくか、まずこの点をひとつお伺いしておきたい。
  141. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 御指摘の問題は、私もなかなか重要かつむずかしい問題であろうと思います。ただ、私も千戸の農家をたとえば県別にそれぞれ割り当てるというようなことはいたさないつもりでございまして、私どもも今度の案は相当農村に入り、若い連中を相手にして、どうだろうかということで意見を聞いてみる機会を何回か持ったわけでございますけれども、地帯によりますと、ほとんど無関心な地帯がございますし、また相当まとまって、ぜひこういう制度融資を受けたいという希望を強く言うところもございます。それで、これは幸いに法律が成立いたしまして、県段階に流します場合に、県の意向あるいは県は当然農家の意向を聞いて意見を述べることになりましょうけれども、そういう人たちの意見を十分聞くつもりでございますが、私は非常に薄く、広く分けるということよりもむしろ各県平等という形ではなくて、相当こういう気分の盛り上がったところに多少厚くということになるのがいいのではないかという感じを現在持っております。これはそういうふうに現在考えておりますけれども、十分県その他の意向を聞いた上で最終的な判断をいたすつもりでございますけれども、地方によりまして、相当意欲の盛り上がるところとそうでないところとわりあいはっきり分かれるのではないかというふうに思います。  それから御指摘のように、ぜひこの融資を受けたい、また借りてりっぱにやっていける人が相当、千戸をこえて実際問題として出てまいります場合には、私は千戸というのも、必ずしも絶対千戸に限って、あとは少しもふやさないというふうにも思いませんし、二十億という金も公庫の千八百億のワクの中で多少の操作は当然できるわけでございますから、それで対処いたしますると同時に、来年以降どの程度にふやすかということは、まだ申し上げる段階ではございませんけれども、今年の千戸にプラスしてまた二千戸か、三千戸か、とにかく相当新しいものを加えるわけでございますから、資金の使い方の緊急の度合いに応じて、今年度の措置するものと、貸し付け決定をしても金が出るのは来年度に回すものと、そういう分け方は私はできるだろうというふうに考えております。   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕
  142. 武内五郎

    ○武内五郎君 少し急ぎますので、ことばも足らぬし、だいぶまだ私は質問したいのだけれども、この一、二点にしぼったんです。  そこで簡単にただしておきたいんですが、かつて構造改善事業を推進するときにあたって、いまの県の選定と同じようなことが考えられた。指定を受けた町村が、その町村の中で、今度は現地で選定から漏れた農民と選定に入った農民との対立で非常に問題が起きた村々があった。私はかつてどこかで、これは委員会で指摘したことがあったと思うんですが、秋田県北秋田郡の比内町、これは一生懸命に町長が農林省に参りまして陳情した結果、それでは指定しようということになったんだろうと思うんですが、指定をもらって意気揚々として帰って青写真をつくった。そしてそれを該当部落の農民たちを集めて、こういうプランだからひとつ大いに農業改善をやろうじゃないか、こういう相談をしたら大騒ぎです。漏れた者は一体どうしてくれると言うんだ、いやそれはだいじょうぶでございますと、こう言って説明している。どこでやるんだ、どうするんだといったら、これは小坂鉱山に近いところです、比内町。小坂鉱山に仕事を世話する、頼んでやるからまあまあそっちはだいじょうぶだろう、こういう話です。とんでもない話である。先祖代々の農地とふるさとを捨てて、小坂鉱山の山の中へわれわれを入れるのかと、こういうことで大騒ぎになって、それでこれが指定を返上したというんです。このような事件がやはり秋田県の相川町というところにもあった。和歌山県や山形県の天童市というようなところにもそれに類似した事件が起きたことは御承知のとおりだと思う。私はそれをおそれるんです。そこであえて私はこの問題を出して、非常に短い時間の間だからあえてこれからの進め方について、あまりそういうことのないようにくふうと運営の方針を立てることが大事じゃないかということを申し上げたい。  それからその次に、私は特に御指摘して申し上げておきたいことは、何といっても金を貸したり、農業経営についてのアドバイスや指導をすることになると思うんであります。およそ行政行為と金融と結びついたときにそれを受ける者というのはこれは弱くなることは事実だ。これはどうしても弱くなる。頭が上がらない。そこで問題が起こることは、先般テレビで青森県の三沢でビートでたいへん苦しんだ農民の姿がテレビに写し出された。これは二、三日前です。青森県、岩手県、秋田県で御承知のとおりビート栽培を奨励されたのが約二千数百町歩に及んでいる。それが今年になって全然だめなんだ——だめどころじゃなくてもう青森県で六万トンのビートの収穫をあげながら野ざらしになって腐っている。どこでも引き受け手がないのでたいへん農林省も困った。トラクターやレーキやハローが野ざらになって畑にころがっている。農民はぼう然としていま陸稲をまいている。陸稲なんというのは青森県のような寒冷地にはあまり適さない、しかしそれをやらざるを得ない、それをいまやっている。私も郷里が青森県ですからその辺のことはよく知っている。おまえさん何をやると言ったら、しかたがないから陸稲をやるべえ、おまえさん何をやると言ったら、ベコをやるべえ——ベコというのは牛のことですが、そういう状態であります。私にこのビート栽培はどういうところがやられたかというと、ビートは青森県や岩手県のような寒冷地帯に非常に適するものだからこれをやれということで奨励されて、役場と農協を往復いたしましたが、おまえ牛を飼え、ビートとあわせて牛を飼わなければビート栽培の補助はやらぬぞというので、しかたがなしに牛を飼う。私はそういう形が金と指導と結び付けて農民に政策を強制する形が出てきやしないかということを実はおそれるわけであります。そういうことのないことを私は望む。これは質問ではなくて希望だけ申し上げます。  そういうことで、去年ほとんどいまごろからビートの問題がやかましくなった。高原地帯のばくばくとした見渡しのきかない畑に白亜の殿堂ができた、これはビート工場です。それはいまは何の利用価値もない、実にむだである、そうして農民を苦しめてきたことは避けられない。私は金融の問題を考えますときにいつもこういうことを考える。それについては特にコンサルタントを設ける。コンサルタント三名というが、おそらくどこにどうやっていいか知らない現地を指導するというようなことになったら、これは奔命に疲れてしまって何にもできないと思う、千戸の農民を三名で指導するということは。しかも転々として駆け回ってやるということでは一年かかっても二年かかってもできるものではない。そういうことできわめて正しい民主的なアドバイスと指導がりっぱにできる組織、それから農民に一つのケースを強制する——先ほどから安心して聞いておりますが、ケースは決して強制しないと言っております。そういうケースを強制しない、農民の創意とくふうの中で農業を推進していく指導が必要じゃないか、それらについてひとつお考え伺いたい。
  143. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いろいろきわめて重要問題についての御指摘があったわけでございますが、まず総合資金が農民追い落としの具にならないかという御心配があったと思いますが、これは経営を伸ばす場合にいろいろな伸ばし方がございます。たとえば山林を切り開いて果樹を植えたり、あるいは牧草地にしたり、あるものは水田を買って水田の経営を大きくする等々、いろいろなやり方があるわけでございますけれども、私どもはこういう伸びようとする農家が伸びるための資金の融通であって、それが他の農民のいきなり追い出しにつながるということは万ないというふうに確信をいたしております。  それから東北のビートの栽培の例をあげられまして、指導と金融が結びついた場合に、きわめて妙な事態が起こる心配があるという御指摘でございますが、これは前々申し上げておりますように、私ども営農改善計画を農家が立てます場合に、一応の指針は出しますけれども、これはあくまで一応の指針であって、下からの、といいますか、農家自体の意欲に基づいた計画を技術者が助言し、またそれを診断をするということで、上から押しつけるということは絶対にいたさないつもりでございます。  さらに、コンサルタントの問題につきましても農林漁業金融公庫に三名コンサルタントを四十三年度におくわけでございますが、これが一々千戸の農家の現地指導をするということじゃございませんで、農家に対する助言はあくまで普及員なり専門技術員、あるいは農協の技術指導員でございまして、それらに対する助言をこの農業コンサルタントがやるというたてまえでございます。いずれにしろ、指導はあくまで後見的な助言でございまして、上から一定の型の経営を押しつけるということは絶対にいたさないつもりでございます。
  144. 武内五郎

    ○武内五郎君 今日とられておりまする農業政策の基本というものは大体三つある。一つ構造改善政策、一つ規模拡大の政策、一つは革新的な、新しい技術の採用ということ。そこで、これらの三つの重要施策を遂行していくためには、とどのつまり規模拡大農地の取得ということであります。そこで私は、昭和四十一年度の、これもいまの経済局長農地局長の時代にたいへん苦労されました農地管理事業団法案の審議のことを思い出されるのであります。あれは結局百万戸農家を造成するために農地の大量取得を目ざしたことは事実であります。今度ははっきり農地取得とは強くは言っておりませんけれども、これは規模拡大という表現になっております。規模拡大は、結局これは農地の取得になってまいります。今日農地流動化ということが実はほんとうは停滞しておる。全く停滞しております。流動化ではなくて停滞化です。これを取得しようとするために相当無理なことが出てくるのじゃないかと思うのですが、やはりそういう、かつて農地管理事業団法の構想のようなやり方でいくのか、その点と、それから急ぎますのでどんどん入っていきまするが、農地管理事業団のほうと今度のやっと金融の面だけ比較してみますると、融資の面で、農地管理事業団法案が提出された段階では、償還期間を三十年、利子を三分として、いまほとんどパイオニア、先駆者みたいな今度の点々の農民に対しては据え置き期間中四分五厘、原則は五分という、これがどうしてそういうふうなことになってくるのか。点でやるならもっともっと優遇の道を立てたらいいじゃないか。二分ぐらいだっていい。償還期間五十年ぐらいにしてやってごらんなさい。この点はどうして退却したか、ひとつその点……。
  145. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私がかつて農地局長をやっておりましたときに、農地管理事業団の構想についての御審議をお願いしたわけでございますが、そのときも農地が現に流れているところに着目して、その流れの方向規模拡大に結びつけようとしたことでございまして、別に強権を用いてどうこうしようという意図ではございませんでした。まあ私個人で申し上げますれば、こういう農地の流動している農地方向づける、国家的な機関が介入して方向づけることの意義は、今日においても決してその意義を失っておるとは思いませんけれども、今回農林省全体として考えました構造政策によりましては、一つ総合資金によって伸びようとする農家に十分の融資をすることと、農地法あるいは農業協同組合法等を改正して、農地流動化に資そうということに統一いたしたわけでございます。  なお融資条件でございますが、農地管理事業団で三分三十年というふうに申し上げましたのは、これは当然土地の取得に限定をしての話でございまして、今回のように、土地の取得ばかりではございませんで、果樹畜産、農機具等々のものを総合しての融資といたしますと、私は三分三十年、これは農家にとって有利であればそれだけ望ましいことでありますけれども、現在の金融の金利の体系からいって、この総合資金について三分三十年あるいはそれ以上の有利な条件をとるということは、なかなか現状においてむずかしい。まず総合資金について特に意を用いましたことは、償還期間が長いことと、資金を豊富に出すということを主体にして考えて、利子は現行の条件のもとでほどほどにということで、五分、二十五年というふうにいたしたわけでございます。
  146. 武内五郎

    ○武内五郎君 それで農地管理事業団の法案では、農地という不動産の問題があるだろうから、これは逃げていく心配はないだろう。ところが今度は不動産ばかりでなく、いろいろな動産も入ってくるだろうし、少々高くてもいいじゃないか、ところが担保の問題を考慮されているはずだ、そうしたら法律が現になくてもそれくらいはひとつ考えたらどうか。デンマークの農民がこういう金を借りて農業推進をやっている。利子はほとんどない。二分くらいなものです、高くて二分くらい。非常に長い、六十年以上の長期。六十年というと二代以上にわたる。どうしても農業をやっていけないという場合には、その借金まで次の、それを引き継ぐ農民が受けていく。一向心配ない。それくらいの雄大な政策を立てなければ、日本の今日の農業政策を立て直すということは絶対にできないと思う。そういう点をひとつ……。もう答弁要りません。  それから私はさらにもっと金の出せる工夫があると思う。それはこの前、農協の中央のほうから参りました参考人の方々の陳述を聞いておりますと、現在三兆数千億の農民預金がある、これを年間二〇%ずつ引き上げる運動をやっておりまして、近いうちに五兆円の目標に達し得る自信を持っているような話をしておる。私ども非常に胸をたたいて嬉しい感じがする。それくらい農民が経済力を養いつつある。ところが、この三兆数千億円の預金というものは、借り出すときの見返り。なぜ三兆円くらいの金が農林中金や農業関係の預金から出てこないのか。農外融資がたくさんある。私は先ほどから農林金融実情という年報、白書を見ておる。農外融資のほうが農業融資よりもうんと多い。こういうような間違ったやり方に対して、私はかなり規制をする方法を考えなければならない。これが規制できたら、私は農業金融なんというものはふんだんに出て、農民が汗水流して働いて預金したものを、自分の金を使えることは当然だ。こういうような、実際いまは間違ったことが平気である。だから去年のようなああいうこと、共和製糖なんていう問題が出てくる。関連産業だということで、農外融資をたくさんやられておる。こういうことのないように考えていただきたい。もし大臣のお考えがあったらひとつ伺っておきたい。
  147. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いまおっしゃいましたのは系統資金資金源が、原資が非常に拡大していることは非常に私も喜ばしいことだと思います。できるだけこれを近代化資金の中へ取り入れまして、このワクを拡大して、われわれとしては農民に使いいいようにしてまいりたい。これをさらに拡大するには、問題は何と申しましても御存じのとおり金利の問題が一つありまして、これをやはり農業特殊性にかんがみまして、今後ともいろいろなくふうを考えて、金利の低下と申しますか、使うほうの立場から見た金利を安くしていくようなくふうをこらせば、まだまだ系統資金というものは使えるのじゃないか。これは非常に方々でも御研究いただいているむずかしい問題ではありますが、しかし系統資金の活用というのは大事な問題と思っているのでございます。
  148. 武内五郎

    ○武内五郎君 まだ農中だとか農業金融問題についてたくさんありますけれども、市場の問題、これをもう一、二点。  市場の近代化を推進するために特に最近卸売りの手数料がだいぶ目についてきて、これを廃止するというふうな意見も出てまいりました。また仲買い人のような中間のじゃまをするように考えられる制度をなくしたらどうだという意見も出ておるわけですが、実際いろいろ調べてみますると、なかなかそう簡単にいかぬものです。特に仲買い人なんかでは、全国で中央市場関係でも三千二百人からある。せり参加人で四千五百九十四人、こういう人たちが、しかも全国平均で、六大都市だけでも仲買い人だけの取り扱い額が平均で四千五百万くらい一人当たり、私は相当大きいと思うのです。そういう何か、これがもしそんなものがなければというふうに考えられてまいりますることは、これは、それはそうかもしれぬと考えられるのですが、私は何しろこれらが看板一つでやっておる。中には事務所すらもなくてやっておる人もあるでしょう。そういうような人たちが市場で働いて、物資の流通機構の中で働いておられるわけです。しからばこれをなくしたらどうかということですが、ある二、三の県で実はこれを廃止しようとしたことがあったが、かえって生鮮貨物が非常に渋滞して、出荷が渋滞して、流通が渋滞してたいへん困った。パイプを短かくしようと思ったら、かえってパイプが長くなった実例がある。そういうようなことを考えると、そう簡単にやれない。ところが、今度の市場の近代化の大きな目標というのは、これをある程度まで統合しようという、整理する。非常に少数のものに整理するのか、あるいは一つの法人的なものに整理するのか、それはわからぬけれども、とにかく整理する。これが整理されてまいりますると、整理を受けた人はやはり失業されてしまう。私はそこに問題が出てきて、統合と整理の大きなネックになってくるのじゃないかといまから実は心配している。これについてどういうふうに考えられるか、ひとつ伺いたい。
  149. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 仲買い人は、御指摘のように大体の市場にございます。特に東京で申し上げますれば築地とか神田とかにおいて、水産あるいは青果について相当数の仲買い人がございますが、その人たちの中には非常に取引量が少なくて小さい人たちがあるわけでございまして、仲買い人の大型化、あるいは施設の近代化ということは、生鮮食料品の流通改善の私は一つのめどであろうと思います。それで実は昭和三十八年の七月に、農林省として初めて生鮮食料品の流通改善に本格的に取り組むために、生鮮食料品の流通改善対策要綱というものを閣議決定して、それ以降、仲買い人の整理、統合ということもやっているのでございますが、資金の面での手当てが十分でございませんために、水産、青果ともに多少ずつ進んでおりますけれども、まだまだ十分ではございません。そこで今回卸売市場の近代化資金の中で営業権の譲渡につきましても融資ができるようにいたしたいということで、現在相談を進めておるわけでございます。ただ、御指摘のように、整理統合、大型化ということはけっこうだけれども、整理される人の身になって十分考えるべきじゃないかということは御趣旨のとおりでございますから、大型化という方向に沿いながら、事を実際に運ぶにあたりましては十分注意して、御指摘のような事態、急に人が失業して困るというこがないようにできるだけ注意をいたしたいと思います。なお、そのためには卸売市場の近代化資金での融資というものが相当役に立つものというふうに考えます。
  150. 武内五郎

    ○武内五郎君 これは一種の私は労働対策だと思うのです。だから十分御検討願っておきたいと思います。  それから先ほどの卸売りの手数料についてですが、これも実はやはり何か問題があったことがある、三十八、九年のころ。そのときに幾らか下げた。そのときのいろいろな話をいま私も思い出しておりまするが、下げて同時に出荷者、生産農民に出荷奨励金を出すということで今日きておるわけですが、それはまことにいいのですが、下げるとかえってまたそこにいろいろな弊害が出てくる。卸売り人の活動が渋滞したりすることが出てくるのじゃないか。  そこで私思い出すことは、板橋に、これは農協関係のセンター、生鮮食料品のセンターがある。これは卸売り人や仲買い人を中間に入れないで、生産者から直接消費者へというそのパイプを敷こうとしてやっているわけです。ところが、いろいろな問題があることを聞いております。かえって経営が困難である。特にそのセンターの最初の目標というのは、お客さんの相手というのは大量消費工場あるいは学校の給食をまず第一に受けさせて、そうしてあと第二は、町の小売商人に受けてもらう、こういうプランであった。ところが出てくる品物というものは、これは実に——日本の市場組織の、自然にできた組織の網の目のようなパイプというものはいろいろな製品が毎日来る、片寄ったものではない。だからそのたくさんの国民の消費に十分応じ得るという自然にできた体制、私はこの自然にできた歴史というものは無視できない。農協の計画したのがいまたいへん困っている。何とかしなければならぬという話も農協のある人から聞いた。それはやはりパイプを切断してそういうパイプによらないで、レールによらないでやっていこうとしたところに私は間違いがあったと思う。だから、そういう点で私はこれまたいろいろな法律上の、市場法との関係もあろうと思いまするが、それは本日触れません、時間の関係もあって触れない。そういうふうな、とにかく歴史的な問題というものを私は無視することはできないのじゃないか。そこで、市場運営の問題、それから市場の近代化についての考え方、進め方についてひとつお話し願いたい、それで私は終わりますから。
  151. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 中央卸売市場が長年の伝統のもとに生鮮食料品の大量のものを一気に販売して、しかも生産者に対する仕切りを充実、緊密にするという点できわめて特異なといいますか、すぐれた組織であることは御指摘のとおりでございます。私ども、いま集配センターについてのお話がございましたが、全販連が農林省の補助によって戸田町へ現在建設中でございます。これは用地の取得等になかなか困難な問題がございまして、四十二年度中に終わらないで、工事が四十三年度に繰り越されたわけでございますが、私はこれも、生産者と消費者を直結させるということも一つの理想でございますから、実験的な試みとして、十分将来の日本の農林水産物あるいは生鮮食料品の流通改善に役立つように実験的な試みとして十分評価し、また見守ってまいりたいと思います。しかし、いずれにしろ中央卸売市場あるいは地方市場を含めて、この卸売市場が流通のかなめであって、それを合理化し、改善することが流通改善にとってきめ手であることは御指摘のとおりでございますので、単に補助金等あるいは融資によって施設をよくするだけではなくて、やはり取引の内容に立ち入って、不公正なことがないように絶えず注意をして、またある場合には、法に照らして厳重な処置もいたして、この合理化、適正化につとめてまいるつもりでございます。
  152. 川村清一

    ○川村清一君 関連してちょっとお尋ねしておきたいんですが、どなたもお触れにならなかったので、民営の卸売市場についてでございますけれども、最近、都市近郊に食料品の流通機構としまして総合卸売市場というものがだいぶできております。この総合卸売市場というものを農林省としてはどういうふうに把握されておるのか。この実態あるいは性格、それから資本構成、こういったようなものについてちょっと御説明願いたい。
  153. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 最近大都市、特に東京のような都市の周辺地帯にいろいろな総合食料品市場ができておりますことは御指摘のとおりでございます。これは、実は中央卸売市場の問題を私どもずっと検討いたしております過程で、中央卸売市場を中小都市へ新しくつくるという問題と、それからすでに施設が古くなったものを整備するという問題と、もう一つ現下のきわめて深刻な問題として、過密都市における市場の新設の問題について相当気を配っておるのでございます。東京都で申し上げますれば、すでに世田谷あるいは板橋等で市場の建設に着手されておりますし、大井の埠頭でありますとかあるいは杉並、練馬等々、あるいは三多摩地帯においても新しい市場が建設されようとしておりますけれども、それに至る過程として、たとえば東京で申し上げますれば、松戸あるいは立川、府中のあたり等々に新しい総合食品市場ができておるわけで、その中には中央卸売市場の一部分として、将来変形しようとする意図で市場がつくられておりますものと、それから交通事情その他で中央卸売市場の網の目がもう少しこまかくなりましても、やっぱり必要なものとして考えられてつくられたものといろいろあるわけでございます。私ども今後卸売市場近代化資金運用一つといたしまして、そういう総合市場も、都なりあるいは県なりの全体的な流通市場の観点に立っての市場の整備計画に従って必要なものについては融資をいたすつもりでございます。
  154. 川村清一

    ○川村清一君 私の問題にするのは、その資本構成の問題でございますけれども、その開設者、中央卸売市場の卸売り人の系列において、そのものの資本系列であって、この総合卸売市場が開設される。こういうのも相当あると思いますが、こういう実態に対してはどういうような御見解をお持ちですか。
  155. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) あるいは御指摘でお考えになっておられまするのは、たとえば松戸でありますとかあるいは埼玉県の上尾でありますとか、そういうところは東京の卸売り会社の系列によって市場が運営されておるわけでございます。私はこの市場の問題は、実は施設ができましても施設だけでは動かないので、そこに収容される卸売り人なりあるいは場合よりましては仲買い人がきちっとした業者でないと、なかなか市場の運営ができないことがございますから、場合によりましては、そういう系列でしっかりした卸売り人が入りますことは、それは決して悪いことではないというふうに考えておるわけでございます。
  156. 川村清一

    ○川村清一君 この出荷物の流通について私は問題にしておるわけなんです。まあ私が局長にこんなことを言わなくても御承知のように、生産地の生産者は東京なら東京の中央卸売市場に対しましては無条件に委託販売をしているわけです。そうすると、その卸売り人が無条件で委託を受けたものを自分の系列の、この民営の卸売市場にその品物を転送する。こういう流通をやっておりますね。こういうような行き方に対しましてどういうようなお考えを持っておられますか。
  157. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 御指摘の問題がよくわかりました。  その市場に入ってまいります荷物の転送の問題であろうと思います。これは地方の総合市場等々の力が十分足らない場合に、地方市場で十分の品ぞろえをするために、ある程度の転送は私はやむを得ないものがあると思いますけれども、東京の築地の何々青果株式会社に送りました荷物がそのままに、そこでせりにかけられないで別なところにいくという状態は、私は、市場の運営の問題あるいは価格の形成から見ても公正なものではございませんので、現在東京都あるいはその他の開設者を指導して、転送について一定のルールのもとに、しかも、仲買い人、卸等々を含めて関係業者の納得のもとに一つのルールをつくって、そのルールのもとに行なうべきである、無制限に転送を行なってはいけないという指導をやっております。その指導に基づきまして、名古屋その他におきままして、転送についてのルールができつつありまして、現在東京都においてもせっかく検討中でございます。
  158. 川村清一

    ○川村清一君 その点をしっかりやってもらわなければ取引の公正は期せられないと思う。私は北海道の漁村の出身者で、魚の生産地でございますが、私どもの浜からとれた魚を、東京の、まあこれは中央魚類さんがやっているかどうかわかりませんけれども、中央魚類さんならば中央魚類さんに無条件でこれは委託するわけですね。そこで中央魚類さんが民営で、ほかのところに一つの市場を持っておるとすれば、無条件で委託を受けた品物を自分の経営している市場のほうに転送していく。こういうことは、これは経営者は非常にもうかりますね。そのもうかる開設者に対しましていろいろ金融のめんどうをさらに見て融資をする。融資によってさらに施設をよくして、そしてますますもうけを大きくしていく。そして生産者に対しては還元されない、消費者に対しても別段安くその品物は売っていないというようなことになりますれば、これは市場の設立の目的に相反するし、これはうまくないと、こう思うわけです。したがって、取引の公正を期する意味からもこういうような状態に対しましてはやっぱり適正な指導、監督をしてもらわなければ私は相ならないと思うわけでございます。
  159. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 取引の適正化の一つの大事な問題として転送の問題は十分注意をして指導いたします。
  160. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 他に御発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  163. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  達田君から発言を求められておりますので、これを許します。
  164. 達田龍彦

    達田龍彦君 ただいま可決されました農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。    農林漁業金融公庫法及び農業信用保証    保険法の一部を改正する法律案に対す    る附帯決議(案)   政府は、農業金融の重要性にかんがみ、今後  の農業者の資金需要の増大、農政施策の展開  に即応して、左記事項の実現に努め、一段とそ  の効果的運用を確保するよう万全を期すべきで  ある。      記  一 総合資金制度運用にあたっては、農業近   代化資金および運転資金をも一体とした円滑   な貸付けを行なうとともに、融資枠の拡大、   融資条件の改善、手続の簡素化を図ること。  二 総合資金の貸付けにあたっては、当然地域   の農業経営に即した審査、選定と融資後の経   営指導の万全を期するため、融資協議会に単   位農協農業団体の意見を十分反映せしめる   よう配慮すること。   また融資農業者の経営指導については、系   統農協営農指導を十分配慮し、農業改良普   及事業、農業融資コンサルタント等の指導組   織と関連して、その充実を期すること。  三 農業金融の比重の増大、とくに総合資金制   度の対象農業者の選別及び貸付け方式の特殊   性にかんがみ、担保保証の大巾な緩和を図   り、農業動産抵当制度の改善等農業金融担保   制度整備を講ずること。  四 農業経営発展を期待する多くの農業者の   資金需要に対処するため、農業近代化資金の   融資枠の拡大、貸付対象の拡充、償還期限の   延長、セット融資拡大等に努めること。  五 中央卸売市場および地方市場の新たな長期   的展望に立って、施設整備、合理化を計画的   に推進するため、卸売市場法の制定等の総合   的な法制の整備を図ること。  六 都道府県が行なう卸売市場整備計画の策定   を促進するとともに、卸売市場近代化資金の   融資枠の拡大融資条件の緩和、手続の簡素   化等に努めること。   なお、拠点的地方市場に対する、国、地方   公共団体の助成、援助の充実を期すること。  七 中央卸売市場については、卸売業者の手数   料交付金等の改善を図り、指導監督を強化   し、市場取引の公正化、能率化に資するよう   配慮するとともに、国の助成援助の強化に努   めること。  八 中央卸売市場における仲買業者の近代化資   金に業者の統合にともなう営業権取得資金を   加える等その大型化、健全化を進めること。  九 生鮮食料品の流通近代化、物価の安定に資   するため、生産者団体が産地および消費地に   設置する荷捌施設、集配センター施設等の流   通施設に対し、農業近代化資金の積極的導入   を図ること。   右決議する。  以上です。
  165. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) おはかりいたします。  達田君提出の附帯決議に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  166. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  167. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただいま決議をいただきました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして誠意をもって努力いたしてまいりたいと存じます。
  168. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会      —————・—————