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1968-04-18 第58回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十八日(木曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————    委員の異動  四月十八日     辞任         補欠選任      園田 清充君     内藤誉三郎君      鬼丸 勝之君     大森 久司君      達田 龍彦君     藤原 道子君   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君    委 員                 青田源太郎君                 大森 久司君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 内藤誉三郎君                 温水 三郎君                 野知 浩之君                 堀本 宜実君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    政府委員        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        林野庁長官    片山 正英君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    参考人        全国山林労働組        合協議会議長   田村  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○森林法の一部を改正する法律案(第五十五回国  会内閣提出、第五十八回国会衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  森林法の一部を改正する法律案の審査のため、全国山林労働組合協議会議長田村武君を本日参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) これより森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。  参考人として全国山林労働組合協議会議長田村君に御出席をいただいております。  参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ、当委員会に御出席くだされ厚くお礼を申し上げます。  なお、議事順序について申し上げます。初めに田村参考人の御意見をお述べいただき、次いで委員から御質疑を申し上げるという順序議事を進めてまいります。  それではまず田村参考人から御意見をお述べ願います。
  5. 田村武

    参考人田村武君) 私は全国山林労働組合協議会議長をしております田村武でございます。今後の日本林業の動向にきわめて大きな影響を持つ森林法の一部改正法審議にあたって、林業年産のにない手である山林労働者労働組合立場から意見を申し述べる機会を与えていただきました本委員会のあたたかい御配慮に対して感謝するとともに、光栄に思うのであります。  私は国有林民有林を問わず、全国山林で働く十万人の労働者を代表して、全林業労働者山村住民の社会的、経済的地位向上日本林業民主的発展拡充願い、一貫して運動を進めてきた立場から、第一に、日本林業林業労働者現状林政問題点、第二に、林業労働者から見た本改正法案問題点、第三に、林業生産民主的拡充発展のために緊急を要する当面の措置の三点について、私たち考えを申し述べたいと思うのであります。  まず第一に、日本林業林業労働者林政のきわめて憂慮すべき現状問題点について申し上げます。  御承知のとおり、わが国は発達した資本主義国中、国土面積に占める林野率はトップにあるにもかかわらず、世界有数木材輸入国であり、丸太の輸入では世界第一位となっているのであります。これは、戦時中及び戦後の乱伐による山林資源の枯渇と、山林破壊に加えて戦後の林政重点紙パルプ産業をはじめとする大独占企業への低廉な原木供給と、他方では戦後の土地改革から除かれた大山林地主保護育成に置かれた結果にほかならないと考えるのであります。木材需要政府の不十分な統計によっても、昭和二十年代前半の二千万立方メートル台から、二十六から二十九年の三千万立方メートル台へと伸び、三十年には四千万立方メートルをこし、政府国民所得倍増計画を樹立し、高度経済成長政策をとり始めた昭和三十五年には一躍七千万立方メートルを突破し、四十一年にはさらに八千万立方メートルをこえるというように著しい増大を示しているのであります。反面、国内林業生産は三十六年から七年以降後退ないし停滞を続けているのであります。こうして外材輸入は三十六年から飛躍的にふえました。四十二年には対前年比一三%増の三千三百万立方メートルに達し、その供給シェアは約四〇%に達しているのであります。木材需要は、いわゆる景気抑制下の本年においても林野庁調べによっても対前年比四%増が見込まれ、これに対する国内生産は、国有林の減産はじめ拡大見通しはなく、林野庁もわずか〇・五%の増を見込んでいるにすぎません。こうして外材依存度は四一%以上になることが見通されているのであります。あとでも申し上げますが、率直に申し上げて林野庁需給見通しはあまり信頼できないのであります。ごく最近でも需要外材輸入見通しをはるかにこえ、国内生産は逆に下回っているからであります。こうして日本木材需給生産はますます外材依存度を深め、日本林業はまさに危機に瀕していると言っても過言ではないと思うのであります。  また、国有林中心にした大面積の皆伐や増林の不十分さや治山の立ちおくれなどによる山林の荒廃によって一昨年の長野県下南木曽町の水害、甲府市郊外の水害、昨年の羽越豪雨による山形、新潟県下の水害など、全国山村地帯住民は相次ぐ水害の惨禍をこうむっているのであります。造林の立ちおくれは素材生産の場合より一そうひどく、三十六年以降後退一途をたどっていることは林業生産の将来にとってきわめて重大と言わなければならないと思うのであります。これは私有林面積の四〇%をこす五ヘクタール未満山林所有者であり、下層農民の切り捨てと、公有林野等官行造林法廃止にあらわれた公有林行政後退などの安上がり林政の結果と断ぜざるを得ないのであります。林道網不備林業生産隘路一つにあげられているのでありますが、政府森林開発公団による熊野川、剣山、両公団林道開設はじめ、スーパー林道、農免峰越え林道林業構造改善事業林道国有林における関連林道その他の林道開設、主として自動車道開設に力を入れてきたのであります。しかし、このように林道が年々拡充されたことと全く逆に林業生産停滞を続けているのであります、これは林道開設が一部土建業者をこやし、林業生産拡充よりも奥地大山林所有者山林立木価格を高めたり、私鉄資本その他の観光資本利潤増大に役立っているとしか考えられないのであります。  しかし、林業生産最大隘路は、生産のにない手である林業労働者労働条件が劣悪であり、社会保障が全く低位に置かれ、重労働災害多発の結果、生活と生命の不安、将来の希望を失なって年々山を去る労働者あとをたたず、深刻な林業労働力不足となっていることであります。四十一年十月の労働省発表によれば、林業労働の主軸ともいうべき伐出作業における災害発生は全産業最大となっており、チエンソーなどの使用による白ろう病など新たな職業病は拡大一途をたどっているのであります。賃金は、政府統計によって見ても最高の伐出作業で四十一年の一日平均が千三百八十四円であり、造林においては千二百三円にすぎず、一月満度に働いても伐出で三万一千円から二千円、造林で二万七千円程度にしかならないのであります。しかも林業労働は他産業と違い、いわゆる荒れ日によって休業が多い上に、雇用がきわめて不安定であり、臨時日雇い労働者の数は約半数いるのでありますから年間の収入は他産業とは比較にならないほど低いのであります。全林野労働組合の長年にわたる要求と闘いで、民間林業に比較して雇用が比較的安定してきた国有林現場労働者の中で最優位にある常用作業員の中でさえ生活保護基準並み賃金収入しか得られない労働者が一割近くあると推定されるのであります。健康保険失業保険労働災害保険などの社会保障保険制度については、これらの制度が主として常用労働者対象にしていることもあってその適用はきわめて低いのであります。しかも政府は、地方自治体を指導し、長年の山林労働者願いを部分的に反映して、三十八年から適用されてきたきわめて不十分な日雇い失業保険さえ奈良県などでこれを適用除外にしょうとしている事実はきわめて重大な問題と言わなければなりません。  このような状態を放置してどのような施策も、木に登って魚を取るのたぐいにひとしいものと言わざるを得ないのであります。政府は、今年度林業関係予算の中で造林に力点を置いたと言っているのでありますが、造林補助金算定労賃単価を八百円しかみていないのであります。しかし、すでに申し上げた四十一年の一日平均がすでに千二百三円となっているのでありますから、これに比べても六七%弱にすぎないし、年率七%アップで計算した四十三年賃金は千三百七十六円となり、これの五八%にしかすぎないのであります。このような貧困な施策の結果が、造林後退の中でも補助造林低下自力造林低下に次いで低く、四十一年は二十一万ヘクタールで三十六年の実に七五%に落ちているのであります。  林政の問題の一つとして、林業統計不備にも触れないわけにいかないのであります。古いことはさておいて、この二、三年について見てみても、たとえば、政府が四十一年四月策定した「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要および供給に関する長期見通し」では、外材が三千万立方メートルをこすのは昭和六十年代であり、自給率は五十年代が最低で七一%となっていたのであります。これが二年もたたないうちにはなはだしい現実とのギャップをあらわしているのであります。また、林野庁が昨年九月に発表した「四十一年ないし四十三年の木材需給見通し」は、半年もたたない本年二月に早くも修正しなければならないという、まことに寒心にたえない状態なのであります。このようなことでどうして国家百年の計と言うべき林業基本施策を推進できるでありましょうか。林業労働力不足が深刻になっている今日においても、林業労働者についての十分な統計がないのであります。このような政治姿勢から真の生産需給対策は生まれるはずはないと思います。  次に、第二の問題として、林業労働者立場から見た本法改正案問題点について簡単に触れたいと思うのであります。言うまでもなく、計画林業生産拡大生産林業労働者立場から見ても最も望ましいことであります。このような願いを反映して、三十七年の森林法改正に際して社会党委員より個別計画樹立の必要をただしたようでありますが、その必要はないというのが政府答弁であったようであります。需給見通し現実との大きなズレとともに、このような一貫性のなさ、場当たり的御都合主義的な姿勢から長期にわたる林業施策が樹立され得ないと思うのであります。  さて、改正内容について若干触れたいと思うのでありますが、大山林地主財産保持的経営、切り惜しみは、林業生産停滞雇用不安の原因ともなっていることは私たちが機会あるごとに指摘、批判してきたところであります。今回の改正による所得税法人税相続税優遇措置は、一そう切り惜しみを助長するおそれを持っていると言わざるを得ないのであります。また、林業生産にとってきわめて重要な地位にある五ヘクタール未満林家はこの計画のらち外に置かれるおそれが濃いと思うのであります。かりに森林組合などで計画するにしても、農山村の仕事生活に魅力を失っている現状のもとでは画餅にひとしいと言わざるを得ないのであります。  最後に、林業生産民主的拡充発展のために緊急を要すると思われるおもな点について私たちの見解を申し上げたいと思うのであります。  私たちは、何よりもまず林業生産のにない手である林業労働者が安心して働ける条件をつくり出すことを第一義的な施策とすべきだと確信するものであります。すなわち賃金を他産業以上に引き上げ、雇用を安定し、労働時間を短縮し、重労働の軽減と抜本的安全対策が必要だと思うのであります。労働基準法適用制限をはずし、全面適用をし、林業労働組合組合員に対する不当かつ半封建的な仕事雇用の差別や、圧迫、介入などは絶滅されることが緊急に必要だと思います。  第二に、森林組合自主的民主的強化大山林地主本位から全組合員の総意による民主的運営が行なわれるように指導援助を強めることが大切だと思います。また政府地方自治林の下請機関的な現状は排除され、自主的経済団体としての本来の性格を明確にすべきだと思うのであります。  第三に、造林積極的拡充措置は緊急の要請だと思うのであります。特に、前記の圧倒的多数の小規模林家が安心して山林生活を営めるような民主的山村振興施策が実施されなければなりません。この点について、山村振興法が成立して三年以上経た今日、何ら実効ある施策が行なわれていないのはきわめて遺憾に思うものであります。また、天下り的な入り会い林野の解体や共同化をやめ、自主的民主的な共同化や分配について指導、援助されなければなりません。  造林補助金単価金融は大幅に引き上げる必要があります。また、融資を必要とする林家に対しては長期低利資金融資すべきであります。また、比較的大林家に多い融資造林などに見られる計画実行のくい違いについての適切な規制措置を講ずることが必要であります。  次に、いわゆる切り惜しみについてであります。適正伐期齢以上の林分は主として大規模山林所有者山林に多いのが実状であります。これら林分所有者計画的な伐採助長のために、現行課税方式の再検討や、蓄積に見合った累進課税など、地方条例などによる規制措置などを講じ、さらに粗放経営の大山林国有林化または国営化についても検討すべきであると考えるのであります。  次に、真に生産的な林道拡充の問題であります。大山林地主観光資本利益重点林道、その他政府高官政界出馬に際して、選挙地盤に大量の資金を回して林道開設を不当にふくらましたとの疑いを持たれるような、いわゆる政治的林道開設ができないように、林道政策施行計画については、国会審議を経て民主的に行なうなどの措置を請ずる必要があると考えるのであります。また、林道開設計画実行にあたっては、開発対象林分蓄積などについて十分な調査と適切な見通しを立て、真に林業生産に役立ち、かつ、地域住民福祉向上に役立つ方向で行なうことが必要であります。受益者負担については、零細な住民からの徴収をやめ、大山林所有者、大伐出業者などからの累進負担などの措置が講ぜられるのが妥当と考えるのであります。  次に、官行造林復活について早急に検討し、制度化をはかる必要があります。四十一年七月、入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律制定の際、附帯決議として官行造林制度について検討することになっているのでありますが、その後、政府林野庁は何らの施策も講じていないのであります。逆に、廃止が取りざたされている森林開発公団に対して、国有林特別会計から直接出資する道を開いてその延命をはかり、公団造林を半恒久化しようとさえしているのであります。言うまでもなく、造林は重要な国の施策でなければなりません。公有林野などの所有者、自治体がみずからの力で造林困難な場合は、国有林特別会計の出資などという間接的、こそく的な手段によらず、直接国有林野事業の伝統ある組織と、すぐれた技術と、労働力によって国の責任で行えるよう官行造林法復活制度について早急に検討し、結論を出していただきたいのであります。  最後に、国有林経営における大企業本位的な経営政策企業利潤追求本位合理化をやめ、真に国民的公共性優先の民主的な経営を行なうことがなされる必要があります。特に、里山針葉樹人工林の過伐、短伐期による大面積の皆伐をやめ、奥地老齢熟林分の積極的な開発を行ない、林業生産面でも国内供給自給率を高めることが大切であります。このため、事実上の経営放棄につながる大規模立木販売や、造林の植えつけまでも含めた請負作業を全廃し、直営直傭を飛躍的に拡大し、常用化中心にした雇用拡大、安定を実現し、賃金を他産業の水準以上に引き上げ、その他の労働条件を抜本的に改善することによって、民間林業経営者に対して模範的な先導的役割りを果たし、林業労働者安定就労を保障し、このことによっても国有林公共的役割りを飛躍的に強めることが必要だと考えるものであります。また、国有林経営を圧迫し、国有林労働者に犠牲をしいている林政協力の名による民間大林家、大企業本位の支出をやめ、国有林経営内容の充実に充てるべきだと考えます。  以上、林業労働者を代表して若干の意見を申し述べさせていただきましたが、私たち日本林業民主的発展を願う切実な気持ちをおくみとりいただきまして、慎重審議の上、全林業労働者が安心して就労し、生活できる諸施策を打ち出していただくことを強く期待して、私の意見を終わる次第であります。  御清聴まことにありがとうございました。
  6. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ありがとうございました。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 川村清一

    川村清一君 ただいまは山林に働く山林労働者を代表いたしまして貴重な御発言をいただきまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、私、関連いたしまして二、三の質問を申し上げたいと思うわけでありますが、最初にお尋ねいたしますことは、先般の委員会におきまして、労働力の安定の問題について質問があったのでありますが、これに対して林野庁のほうの御答弁は、この問題解決のために、森林組合中心といたしまして労務班というものをつくって労務班の働きによってこの問題解決方向に着々と効果をあげているということで、労務班というものを非常に高く評価されておるような御答弁があったわけでございますが、さて、この労務班というものにつきまして、全国山林労働組合といたしましてはどういう評価をしておるのか、これは労働組合とどういうような関係にあるのか、労働組合法に基づくものであるのか、労働組合法によって与えられておるような権利を持っておるのかどうか、この労務班によって労働者のいわゆる労働条件改善であるとか、地位向上であるとか、いわば生活の安定、向上のためにこの労務班というものを通してそれらの問題が解決されておるのかどうか、こういうようなことについてひとつ参考までにお考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  8. 田村武

    参考人田村武君) お答え申し上げます。  まず林業労働者の確保のために森林組合労務班拡充によって解決をするという答弁があったそうでありますが、これに関連する御質問について、私ども常々考えておりますことを申し上げたいと思うのであります。  私たちは、現在の日本法制のもとで労働者法律保護を受けるべき団体労働組合以外にないと思っているのであります。また、戦前にあったいわゆる労務供給事業労働賃金のピンはねというようなことについては、戦後制定されました職業安定法によってきびしく規制されているのは御承知のとおりだと思うのであります。そうしてこの職業安定法の中で、こういう単なる労働力供給というようなことについては、きわめてきびしい制約がなされておりまして、こういう労働力供給を行なえるものは、公共職業安定所か、または労働大臣の認可を得た労働組合以外の団体が行なうことは厳格に禁止をされているというように承知をするのであります。  しかるに森林組合労務班なるものが、いかなる法的根拠によるものかは知りませんが、国の指導のもとに全国につくられていっているということは、どうしても理解することができません。このことについて非常に強い疑問を感じております。したがって全山林労働組合協議会といたしましては、この問題を特に重視をいたしまして、現在その実態の詳細について調査を進めているところでありますが、その調査の結果を待って具体的な問題提起をしたいと考えております。私たちは、国の施策としてこのように現行法制のもとにおける非常に多くの疑問を持つような組織をつくるという指導がされるということは、きわめて遺憾なことだと思います。したがって、いまこれら森林組合労務班に入っておる労働者についても、山林労働組合組織するべく努力をしているところでありますので、この点につきまして本委員会の特別の御配慮をいただければ非常に幸いだと考えるのであります。
  9. 川村清一

    川村清一君 次にお尋ねいたしたいのは、山林労働者の手不足ということが、いわゆる労働力を確保できないということが、生産力停滞あるいは後退させておる最大ネックであるというふうに私ども考えておるわけでございます。そこで賃金向上であるとか、あるいは労働条件向上というようなことに力を注いでいかなければならないことは当然でございますが、ここで問題は、山林労働者に対しましては、失業保険であるとかあるいは健康保険であるとかという、こういうだれしも国民のすべてに与えられなければならない、憲法で保障されておる、そういう社会保障という道が閉ざされておるということは私どもはまことに理解できないし、不安でございます。山林労働組合といたしましては、当然の戦いとしてこれをかちとるために戦っていらっしゃることと思いますが、これらの社会保障制度山林に働く労働者適用されない最大一体原因ですね、ネックは何なのか、これをひとつ御説明いただきたいと思います。
  10. 田村武

    参考人田村武君) 山林労働者が年々不足をしていく、また質的に非常に悪いようになっていく。具体的にいえば高齢化現象あるいは女性化現象というような、一時農業で言われました三ちゃん農業というような現象がきわめて強くあらわれてきているというのはなぜなのか、この点から若干申し上げてみたいと思うのでありますが、林業労働供給基盤というのは農山村だと言われておるのであります。この農山村からの労働力の流出、これがきわめて激しい勢いで行なわれている中で、それを基盤とする林業労働者も必然的に減少の道をたどる、これは必然の道であろうというようなことも言えるのでありますが、特にその最たるものは何か。まず林業労働状態について考えてみる必要があると思うのであります。  林業というのは土地生産業でありますから、どうしても屋内における工場生産労働者のような環境のもとでの仕事ができません。零下三十度のときでもあるいは三十度をこす炎天の中でも外で働かなければなりません。しかも、その作業現場が人里離れた山奥というような場合が非常に多いわけであります。したがって、多くの山林労働者はその仕事に携わるのに家庭から離れて山で一般の社会生活を放棄して労働に従事せざるを得ないというのも、これまた現在の林業労働者の宿命でもあるのであります。また扱うのが木材であり面す。木材は非常に重いものであります。この重いものを急峻な足場の、しかもいろいろな障害物のある山の中で扱うのでありますから、非常に重労働でありかつその危険度というものも、先ほども申し上げましたけれども、他の産業労働者に比して非常に高いのであります。また、現在林業近代化と称して、機械あるいは薬剤の導入というようなことが激しい勢いで入ってきております。これらの中で新しい職業病、たとえばチェーンソー化による白ろう病の発生あるいは集材機等を扱うために、そのワイヤー機械等による災害の発生、薬剤の導入によるところのやけどとかその他の人体に対する障害というような新しい職業病、労働災害も激増をしてきているというのが実態であります。こういう中で賃金その他の労働条件はどうなのかということになりますと、これまた、工場の中で働く生産労働者等に比べて非常に低位に置かれております。こういう状態改善することなく林業労働者をとどめておくということは不可能なことであります。強制労働をさせるわけにはいきません。罪を犯して懲役にでもならない限り、その人の意に反してその作業労働者をとどめるわけにはいかぬのであります。とすれば、楽な仕事で人並みの社会生活ができ、しかも賃金が多く与えられる、こういう仕事があるのに、好きこのんで山の中の林業にとどまるということにはならないのがあたりまえであります。問題はここであります。ですから、私たちはいつも林野庁に申し上げているのでありますけれども、現在私たち要求しておる雇用の安定、失業に日々悩まされる状態をなくしてもらいたい、一年間働ける状態をつくってもらいたい、賃金も少なくとも他の産業労働者並みに引き上げてもらいたい、安全の施設についても十分講じてもらいたい、社会保障の諸制度適用についても実現してもらいたいという要求は、労働組合要求以前の林業経営を担当する経営立場からの要求である、林業という産業を守り発展をさせるためには、このことを経営立場からいま考えねばならないときではないか、だからいまの林業労働組合要求は、階級的立場労働組合要求というものとはほど遠い産業防衛のための要求ではないのか、こういうことを常々申し上げているのであります。林野庁もこういう点については理解を深めているようであります。しかしながら、日本の全体的な産業政策あるいは財政政策、行政上のいろいろな諸制約等々の中で思うにまかせないというのが現実の姿ではないのだろうかと私たちは内心思っているほどなのであります。  この社会保障制度適用がなぜないのかという点につきましては、まず労働基準法の面と関連して申し上げますが、労働基準法は、労働者労働時間、休日休暇について厳格な規制をしておりますが、山林労働者については農林業に従事する者ということでこれを除外しております。ですから、労働基準法の時間、休日休暇等の規定は、法律としては適用されておらないのであります。なぜなのかという点につきまして私どもも常々関係方面にも意見を申し上げるのでありますが、基準法制定のときに、農林業というのは労働しているがごとく労働していないがごとく、どうも労働時間を把握しがたい状態にあるということがこれを除外した理由であるということもいわれております。  もう一つの理由は、魚をとったり、農作物を植えたり、林業の苗木を植えたりというような仕事は、企業の意思によって労働者を随時働かせることができなければ生きものを扱う立場からいって不便があるではないかというような論議もあったかに聞くのでありますが、主たる理由というのは、労働するがごとくせざるがごとくどうもその実態がつかみがたいという、全く昔の農民を夫役として使っておった当時のような林業という感覚の上に考えられたもののようであります。いまの林業労働というものはそういうものではありません。始業時間も終業時間も、その間における労働の実態の把握も、工場労働者に近いような状態できちんと管理をされているというのが現状であります。しかも、林業労働者は専業化をしてきているということでありまして、基準法成立の当時とはその様相を一変しているという状態になっているのでありますから、この点、労働基準法の全面的適用について私たちは悲願として要求を続けているところであります。  また、社会保障制度適用除外の問題は、社会保障制度がすべて常用労働者というものを対象に組み立てられて、林業労働者が季節的性格を帯びているから季節的労働者についてはこの社会保障制度適用するような制度になっておらない、これが最大の理由なのでありますが、いまここ数年の間に問題にされてきておりますように、またことしの林業白書も指摘をしておりますように、林業労働力確保のためには通年雇用常用化というものを推し進めていかなければならないと書かれております。まさにこのことが実現しない限り、通年化が実現し、そして他の産業労働者に与えられているような労働条件社会保障制度適用というものがまず実現されなければ、いかに林業発展をさせ、いかに林業生産を高めようと、いかなる計画を論議しそれを策定しても何ら実効を伴わない結果になるということは明らかだと私どもは思います。そういう意味でぜひとも、ただ白書に書いて提出するだけではなくて、具体的な問題としてこれらを国の施策として強力に推し進めるような内容を盛った法律の制定というようなことをぜひお考えをいただきたい、そのことが林業基本法を実効あるものにし、国民のために林業発展させる結果になるということを確信しておることを申し上げたいと思うのであります。
  11. 川村清一

    川村清一君 じゃ、もう一点だけお尋ねしたいと思いますが、田村さんも御承知のように、私は北海道の日高支庁管内から出ておるわけでございまして、私の郷里の背後には日高山脈が走っております。したがって非常に森林が多い。そこで、日高は九カ町村でございますが、九カ町村のうち六カ町村には営林署があります。ですから膨大な国有林があるわけでございます。したがって国有林で働いておる労働者の諸君にはたくさん私の友人がおるわけでございまして、国有林労働者の皆さん方のいろいろな問題も聞いて知っておるわけでございます。そこで、国有林に働く労働者民有林に働く労働者、同じ山林労働者でありましてもこれはもう非常に格差がありまして、賃金からいっても労働条件からいっても国有林のほうがずっといいわけであります。ところが、そのいいはずの国有林であってもいろいろ話を聞いてみるとこれはたいへんな待遇を受けておるようでございます。大体、働いておる人人を分けまして、いわゆる営林署の定数職員、定員の職員と、それからその下に常用職員それから定期労働者それから日雇い労働者それから日雇い労働者と、四種類ぐらいあるようでございます。そして常用の労働者の諸君が何とか定員の労働者になりたい、職員になりたいというわけで熱望しておるようでございます。いろいろこの待遇上の問題も、お聞きしますというとずいぶんと格差があるようでございます。したがって、定員労働者になりたいといって願うその気持ちは十分わかります。で、先般も、これは日高にいる労働者から私のところへ来た手紙でございますが、「私たち国有林事業に従事してからはや二十年以上にもなりました。簡単に、一口に申して二十年以上の歳月は私たちにとって長い苦しい毎日でありました。昭和二十八年ごろ昇格して、常用目前一歩として定員内に繰り入れを、私たちはそれを夢見て一生懸命国有林のためつらくってもがんばってまいりました。勤務中は基幹要員とか言われながらその日を希望に燃えてつとめてきました。今日、私たち一般常用作業員だけが一方的に定員内の繰り入れから除外されるはめになりました。」まあ、この文章が少しおかしいのですけれども、意味はわかります。「昭和二十八年から二十九年に常用になり、定員内職員と同じ勤務をしながらただ職種が違うからということだけで定員内に繰り入れませんでした。」と、まあこういうような調子でいろいろと口説きがここに書かれてあるわけであります。何とか早く定員に繰り入れていただくような、そういう道をつけてくれないかというのが私に対してよこした手紙のこれは趣旨でございます。  そこで、いろいろなさっておるのだと思いますけれども、これはまあ全国でこの常用とか定期とかいうのはずいぶんいるんだと思うのですが、定員労働者になれないのかどうか、なれないとするならば、その定員の職員と少なくともこの労働条件なり賃金、そういうものに待遇の面においてはできるだけ近づけて格差が少なくなるように、そういうふうになっていかなければ、とてもじゃないけれども民有林だけでなく国有林にも働く良質の労働者を得ることが困難なんではないか。私の友人の中には若い三十代ぐらいの非常にりっぱなしっかりした労働者がたくさんいるわけで、知っているのですが、こういうような人たちも、子供を二人も三人もかかえまして希望を失ってもうやめていきたいと、こういうことを言っております。こういう人たちがみんな国有林から離れていったら国有林の一体経営がどうなっていくのかということをまことに憂慮にたえないと思うわけでございますが、労働組合委員長としては、このいいはずの国有林がこういうのですから、これはもう民有林は推して知るべしであります。国有林のこういう問題を解決することも大事な問題だと思うのでありますが、どういうような御見解を持たれておるのかお聞かせいただきたいと思います。
  12. 田村武

    参考人田村武君) いま、川村先生から御指摘を受けましたようなのが国有林の実態でございます。国有林には定員内職員と年間雇用——無期限雇用でありながら常用作業員という名で定員外の処遇を受けておる者、それから一年のうち六カ月以上の期間を毎年反復雇用される者、これは定期作業員、それから一カ月以上の期間を定めて雇用される日雇いという作業員、それから日雇いの作業員、こういうような五つの雇用の区分があるのであります。  それで、定期作業員以下の問題はさておきまして、いま御指摘がございました常用作業員と定員内の関係について申し上げたいのであります。国有林野事業の職員というのは日雇いまで含めて国家公務員法上の一般職の職員であります。公務員法上そういうことになっておりながら、通年雇用、無期限雇用でこれが定員外に置かれておる。まことにおかしな理解しがたい事実があるのであります。他の省庁においてこういう雇用のしかたというものはないと思うのであります。しかも同じ仕事をしていながら、たとえばトラックの運転手という仕事、ういう仕事をしておる者で、片方は定員内職員、片方は定員外の常用ということで雇用のしかたが違っているのもあるのであります。しかも定員内職員と定員外職員の処遇を見れば、定員内は月給制であります。いま国有林野事業の定員内職員の給与水準というのは四万円をこしているのであります。ところが同じ仕事をしておる定員外の常用作業員はどうなのかということになりますと、先ほども申し上げましたけれども賃金においても約六割から七割というのが実態であります。そうして、年次有給休暇の制度等々におきましても格段の差があるのであります。極端な例を申し上げますならば、定員外作業員については、この常用作業員については、国民の祝日といえども、休日にはなるのでありますけれども賃金は無給であります。こういう状態があるのであります。  二、三年前にこれらの問題について政府の官房長官に陳情したことがありました。当時の官房長官は、一体常用作業員というのはどういうことなんだと、国が直接雇用し、年間雇用で無期限の雇用をしておるということであれば、これは定員内にしないのがおかしいではないか、なぜそんなことをしているんだということで、組合の委員長である私が時の官房長官にたいへんしかられたのであります。しかしそういう雇用をしておるのは労働組合ではありません。林野庁がこういう制度をどうしても改めようとしないのであります。その理由は何か。端的に申し上げて、定員内にしたならば金がかかるからしないのだ、そういうように思うより以外にありません。定員内職員というのは国家行政組織法によって国の事業のために恒常的に必要な職だと規定されておる。これをとってきて、林野庁当局は、木を植えたり、切ったり、運んだり、こういう生産活動に従事する労働者は必ずしも国が直接やらなくてもできることだ、下請にしてもできることなんだから、国が直接いっても雇うという、いわゆる恒常的に必要な職とは認めがたいという強弁をしておるのであります。  私たちはこれに対してこういう反論をしております。そういうことを言うならば、国が直接どうしても雇って行なわなければならない仕事というのは、一体国の仕事のうち何があるのだろうか。大臣、これは国が直接でしょう。林野庁の長官も直接必要かもしれない。しかし現実仕事を行なう職員なんというのは全部下請でもできるということになりませんか。はなはだしい例が郵政省の行なう郵便の事業、これらはすべて定員内の職員であります。これらの職員と比べて言うわけではありませんけれども仕事関係で申し上げますと、国有林で働いておる定員外常用の中には、一台数百万円もする国の財産である機械を運転するという仕事を行なっておる者もおるのであります。しかも、国有林経営というものが、なくならない、現在はなくなるとは考えられないことでありましょう。であるならば、国有林仕事は何なんだ。林野庁や営林局や営林署によって、いろいろな計画をしたり事務をとったり、技術の指導をしたり、こういうことがほんとうの国有林野事業仕事なのだろうか。国民から負託をされておる国有林野事業というのは、いわゆる国民の土地の土地生産力最大限その機能を発揮さして、これを国民生活をよくするために使う、そのことが国有林の真の仕事なのだろうと思います。そういう立場からいえば、苗木を育てる、造林する、育てる、木を切って木材にして国民供給する、この仕事こそ林野庁が行なうべきほんとうの仕事だと思います。こういう直接生産に携わる労働者に対して、かかる不利益な全く法律的な根拠も何もない、理由のない、昔の官吏と人夫というそういう身分的差別でしか説明のしようのないような雇用のしかたというものは、いまの日本の国において許されるのがふしぎだと思います。  こういう立場で私たちは、日常林野庁に対して要求してきました。ことしの春に常用作業員のうち——いま常用作業員はすべての職種を含めて約一万二千名ほどいるのでありますが、この中に定員内と同じ仕事をしておるという機械関係の要員が二千四百ほどおります。これについてだけでも入れてくれという要求をやりました。そうして林野庁もその必要性を認めました。しかしながら、林野庁はそう思っても、なかなか日本の国の仕事のやり方というものはそれだけで進むものではありません。まず人件費の予算の問題、さて定員管理の問題等々いろいろな厚い壁がそこにあるのであります。私たちは、これらの方面に対して、国有林の現在の実情、林業生産拡大産業としての林業発展のために、このような状態というものをぜひとも払拭していただくように、これからも最大の努力をしてまいりたいと思います。  そういう意味で、本委員会日本林業の中核であります国有林発展、そして日本林業全体の発展のために、林業労働者の置かれておりますこういう不合理な状態について、社会的にも許されないこういう取り扱いについて、一日も早く改善されるように力をおかしくださることを特にお願いを申し上げたいと思うのであります。
  13. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ほかに御発言もないようでございまするので、参考人に対する質疑はこれをもって終わります。  参考人の方には、長時間にわたり本委員会に御出席くだされ、貴重な御意見をお述べいただくとともに、委員質疑にもお答えいただきましてありがとうございました。  速記をとめて。  〔速記中止〕
  14. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記を起こして。  これにて暫時休憩いたします。    午前十一時三十六分休憩      —————・—————    午後一時二十一分開会
  15. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 休憩前に引き続き、森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 川村清一

    川村清一君 最初に大臣にお尋ねいたしますが、農林大臣は経済閣僚会議の構成員でございますか。
  17. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) そのとおりでございます。
  18. 川村清一

    川村清一君 それでは、農林大臣であり、経済閣僚会議の経済閣僚の一員としての大臣に最初にお尋ねを申し上げたいと思います。  御承知のように外材輸入が九億ドルを突破して、四十三年度におきましては十億ドル近くになるだろう、こういうふうに見込まれておる現状に対しましてどう思われるか。このことは単に林業だけの問題ではないと私は思うわけであります。日本の経済の上から国際収支の改善ということが刻下の急務であり、至上命題であると、こういう観点から考えてみますとき、ゆゆしい問題であろうと考えております。これが地下資源であるとか、その他の国内輸入されてまいって工業化され製品となって再び海外に輸出されるものならば、いわゆる原材料としての輸入であればまだわかるのでありますけれども外材輸入は輸出にはほとんど向けられないで大多数が国内において消費されると、そして年々再々この輸入拡大されていくということはたいへんなことだろうと思うわけでありますが、これに対する大臣の御見解を承りたいと思います。
  19. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 経済閣僚会議にも出ておりまして、全体の国際収支、その面から見ました農林水産物、これのいわゆる輸入に占める地位が大きいという点につきましては、相当ひとつの大きな問題となっておることはおっしゃるとおりでございます。農産物につきましては、われわれといたしましてはもちろん消費地状況の関係もありますが、今後需給度を伸ばしてまいるという努力を続けてまいりたいと思うのでありますが、林産につきましてであります。  特に林産物が九億から十億ドル、全体の貿易を、ひとつ国際収入の幅を伸ばす、これが基本の中においての姿勢をとっていかなければならないわけでありまして、その意味で輸出振興も今年度は一五%の伸びを輸出においてはかってまいりたい。しかしそれにしましても、輸入木材のふえるということにつきましては必ずしも望ましいことではないという考えでございます。この木材の消費の状況はかなり景気の動向にも左右されてくると私は思います。景気が非常に過熱してまいりますと需要度が高くなってまいるという、これは過去の趨勢がございますから、これは将来の見通しとしては安定成長の中で見通しを立てる。ただ残念ながら、日本需要に対する供給姿勢というものが、さしあたり追いついていないといいますか、体制が整備されていないといいますか、これが戦後においての1戦争中と申しますか、戦前における相当の伐採が行なわれた結果、その後において相当な造林増植も行なわれましたけれども、現在、これをちょうど切っていくような樹齢に当たっていないような状態から、国内産の供給が十分でない、そういうところからくる需要に対する供給が不足であって、おのずから外材で補われていく、こういうことになっていると思うのであります。外材自体が、資源として国内から国外に今度は原料として使われて、外貨獲得になっていくというのは、御存じのとおり一割程度でございまして、国内消費で終わりという分野が多いだけに、われわれとしてはこれは打開していかなければなりませんが、いま直ちにこれを打開するというわけには、木材あるいは林産の性格からいっていきませんので、少し長い目でもって長期見通しの中でこれを解決してまいりたい、そういう意味で、各般の施策林業につきましてお願いをし、御審議を願い、御協力を願い、また予算の面からも増強してまいっておるのが現状だと思うのであります。
  20. 川村清一

    川村清一君 現在、石油に次いで外材輸入量は第二位を占めておりますが、こういうような木材輸入状況を考えて見ると、これは需要が伸びていっているのだからしかたがない。長い目で見ていわゆる生産を上げることによって需給のバランスをとっていく、こういう政策を遂行していくのだ、こういうような御答弁でございますけれども、現在の日本の経済を考えて見た場合に、そういうのんきなことを言ってはいられないのではないか。国際収支の改善をしなければ日本経済はたいへんなことになるのではないか。こういう実態をひとつ考えて見るならば、野方図にどんどん伸びている外材輸入に対して積極的な何らかの措置をとらなければこれはたいへんなことになるのではないかと私は考えるのでありますが、大臣のいま御答弁になられました、そんなのんきな考え方でいいのか。いずれ、長い期間の間には需給のバランスがとれるような時代がくると思いますけれども日本の経済というものはそんなのんきなことを言っておられないような状態にきているのではないか、こういう判断のもとに私はお尋ねをしておるのであります。これに対する大臣の御答弁をもう一度お伺いしたいと思います。
  21. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) もちろん、私も責任者としてただこれを野放しに考えていくわけにはまいりません。したがって、基本としてはやはり奥地林の開発であるとか、林道をつくって整備するとか、あるいは労働力を確保するとか、いろいろ努力をしていかなければなりません。それと同時に、木材需要自体に対して、代替的な方向でございます、たとえば建材におきましても、必ずしも木材という材質を使わないで、いま、あるいはその他の需要におきましても、他の物資でかえ得る分野というものがまだまだあって、私ども打開し得るんじゃないか、そういうような面からしても需要というものを抑制してまいるということは今後努力してまいりたいと考えます。
  22. 川村清一

    川村清一君 それでは、いまの段階においてこのまま推移していったならば、外材輸入最大どの程度まで伸びていくのか、その見通しはございますか。これが一点。  それから外材というものに対する国の基本的な考え方は、これはあくまでも補完的なものと、こういうふうにはっきりうたわれておるわけであります。現在需要量のもう五〇%をこえるといったような段階も間近にくるんでないか、こう憂慮される状態になっても、なおかつ外材というものは補完的なものである、こういう考えに立っておられるのかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  23. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) もちろん、現在正確に申しますと、たしか四割をちょっと切っているとは思いますが、あくまでも姿勢としては外材は補完である、この姿勢考えておるわけであります。  なお林野庁長官から補足をしてもらいます。
  24. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 大臣の御説明に若干補足いたします。  木材の現在の自給率と申しますか、四十二年度におきまして大体六一%というふうに見ております。ただ四十一年の閣議の決定をいたしました際の自給率で申しますと、昭和五十年で自給率が七一%というふうな、それが一番ピークの、逆ピークになりますか、の自給率が七一%という決定をいたしたわけでございますが、その後の需要の増、若干の生産停滞ということから、外材輸入が非常に多くなってきておるわけでございます。したがいましてわれわれは現在、今後五カ年程度のものを一応想定いたしてみたわけでございますが、そういたしますと、閣議の決定を見ました自給率に対しまして、今後五カ年に対して、すなわち四十七年度まで大体見通すわけでございますが、その場合には自給率が約六〇%、こういうふうに想定せざるを得ないと、こう思っております。ただ非常にややこしい説明をお許しいただきたいと思うのですが、閣議の決定の自給率の算定の基礎には、廃材というものを入れて計算してございます。したがいまして六一%というふうに申し上げておきましたが、廃材を入れますと六三%ぐらいの自給率になるわけでございます。その自給率が四十七年度におきましては六〇%ぐらいに下がるであろう、大体以上のような見通しでございます。
  25. 川村清一

    川村清一君 ただいま長官からお話のございましたように、林業基本法に基づきまして昭和四十一年四月一日閣議決定を見ました森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し答申によってということで、長期計画が立てられたわけでございます。それによりますというと、昭和五十年がピークでございまして、自給率が七一%まで下がると、まあこういうような計画でございますが、これが先般の質疑の中にもありましたし、ただいまのお話にもありますように、もうわずかの期間の間に実際はすっかり狂ってしまったわけでございまして、昭和四十二年度の見込みにおきましては六一%、四十三年度の見込みでは五九%、そこまで自給率が下がってきたわけです。そうしますと、四十一年に閣議決定を見まして、もうこの四十二年の二月に発表したその数字が、ただいま言いましたような四十二年が六一%、四十三年が五九%とございますから、この間二年ほどの期間しか経過しておらないわけであります。この短い期間に見込みがすっかり狂ってしまった。これは率直に私に言わせるならば、見込み違いもはなはだしいものである、こう言わざるを得ないわけであります。  したがって、需給関係見通しがこのように大きく違ったならば、いうまでもなく基本計画そのものにも狂いが生じてくるだろうと思うのであります。したがって、この林業基本法にうたってありますように、基本法の第十条の第二項の規定にありますように、こういうふうに違った以上は当然の措置として基本計画並びに長期見通しを改定すべきである、いまの段階においては改定すべきじゃないか、こう思うわけであります。で、ただいま長官は、五年後の四十七年になりますと六〇%というようなことになるのだとおっしゃられましたが、四十一年に閣議決定を見たものが四十三年の二月にはこのように狂ってしまった、こういう実績を考えてみたときに、いま五年後の四十七年にはこうなりますなんということを言われましても、私といたしましてははい、さようでございますかと言って信用するようなわけには相ならぬわけであります。で、この際、この閣議決定を見たこの基本方針というもの、これは全面的に改定すべき段階だろう、かように考えますが、いかがでございますか。
  26. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 御指摘のように非常に数字が、四十年から出発しました二カ年において変わってきております。その大きな理由といたしましては、当時想定いたしました中期経済計画というのが、われわれはこれをつくりました基本の姿勢でございまして、そのときの、三十九年から四十三年までの成長率というのを八・一%という前提を置いて作成したわけでございますが、四十年から四十一年にかけまして名目成長率でいたしますと一五・二%、さらに四十一年から四十二年にかけまして一六・四%という非常に高い成長を来たしたわけでございます。その間、生産態勢といたしましては、林道関係のそれに即応する林道が未整備であるとか、木材生産の資本装備が未整備である等のことから、需要にマッチした形で早急にはできなかったということから、主として需要増をまかなうことができないということから、こううい数字になったわけであります。  したがいまして、そういう意味において見ますと、確かにこれは改定すべき段階だと思います。ただ私どもこれを見ました当時におきましては昭和九十年という非常に長い、五十カ年先までの見通しでございますので、いま直ちにその経済の二、三年の成長が高いからこれは将来ともそうなるのだというふうには、経済社会の基調が変わったのだというふうにもまた考えられない点もございます。したがいまして、そういう意味からしますと、全面的に改定するということももう少し検討したいというふうに実は思っておるわけでございます。しかし当面の少なくともこの五十年、あるいは今後五カ年というものについてはこれとはだいぶ違っておりますので、そういう意味で現在作業を進めたものを先ほど御説明申し上げたわけでございます。したがいましてもう少し検討はいたしたいと思いますが、方向としては先生のおっしゃるとおりの改定を検討してまいりたい、かように申し上げる次第でございます。
  27. 川村清一

    川村清一君 ただいまのお話によれば、この計画の基礎をなしたものは中期経済計画である、こういうようなお話でございました。御承知のように中期経済計画というものは、政府のこの経済計画はこれは改定されているのですね、現在経済社会発展計画というものに改定されておるわけです。御承知のように池田内閣の所得倍増計画、これが中期経済計画になり、それがまたいろいろ検討され、改定されまして現在の経済社会発展計画と、こういうものに変わっているのです。経済政策の基調そのものが変わっているのですから、それでは当然その上に立って再検討すべきだと私は思うわけであります。ただいま長官もそういう考え方の上に立って検討するというふうな答弁をされましたので、ぜひひとつ検討していただきたい。といいますのは、林業という特殊な産業でございますから、それはほんとうに長期見通しを立てる計画でございますから、ですから狂うことはこれはもういたしかたないと思うのです。しかしながら私は昭和五十年あるいは昭和六十年にいって狂ったというのなら話はわかるのですよ。昭和四十一年に閣議決定したものが昭和四十二年になったら、一年たったらすっかり狂ってしまったのでは、これでは計画の意味をなさないじゃないですか。それではせっかく日本政府の閣議で決定したものが、閣議の権威にかけたって、そんなつまらないことをよう決定したものだ、こんなことでは国民に示したって信用しませんよ。こういう実績だから、先ほど長官が五年後の昭和四十七年になると自給率は六〇%になりますと、ここで、この権威ある国会の農林水産委員会であなたがおっしゃっても、私はとても信用できないわけです。ですから、やはり政府の立てた計画というものはある程度国民に信用されるような実績が示さなければ、計画を立てたとたんにその次の年にもうすっかり狂ってしまったのでは、これは計画ではないですよ。何ぼ自由主義経済の中においてだってそれはありまにひどいですよ。それならば初めから計画を立てないほうがいい。ですから、ぜひ御検討をいただいて、改定するという、そういう気がまえでもって御検討をいただきたいと私は思うわけです。
  28. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) その点は私も責任を持って検討をやってみたいと思います。
  29. 川村清一

    川村清一君 それでは次にお尋ねすることは、木材価格の問題についてであります。この点につきましては先日の委員会におきまして鶴園委員からもいろいろ質問されましたけれども、どうも御答弁がはっきりしないわけであります。これはやはり常識論でいきましょう。私はずぶのしろうとでございますからしろうとの立場でお尋ねするので、ぜひひとつしろうとがよくわかるように御説明を願いたいと思うのであります。  日本国内生産される数量が需要に対して非常に少ない、だからどんどん、いわゆる需要供給との関係で、需要が多くて供給が少ないのだから価格が上がっていくということは経済の原則としてわかるわけであります。ところが、需要を満たすべく外国からどんどん外材が入ってきているわけですね。しかるに、需要を満たすだけの供給量があってもなおかつ価格がどんどんはね上がるというのは、これはどういうわけなのですか、ここを鶴園委員がいろいろお尋ねしておったわけです。日本国内しか生産できないたとえばヒノキであるとかあるいは杉であるとか、こういうものは価格が高く、これだけは価格がうんと高くなる、これは一応わかります。それからラワン材のように南方しかとれないもの、こういうものも価格がうんと高くなるというふうに、これもわかります。ただし針葉樹なんというもの、アメリカから来るいわゆる米材があるとかソ連材なんというもの、これは日本においても産出されている材木であります。日本需要量を満たすだけ用材がない、だからそのために外国から、いわゆる補完でしょう、補完的な作用として国内輸入されてくる、需要を満たす分だけある、それなのに価格がどんどんはね上がるというこの理由がわからない。同じ農林水産でありましてもたとえばいわゆる乳製品なんかどうします。これは外国から入ってくると安いから外国の輸入をチェックしているのですよ。日本のものは価格がうんと上がるようであれば輸入品を放出して価格を調整するのでしょう。いわゆる価格調整のために外国のものを使っているわけです。むぞうさにどんどん輸入させたら日本の農産物の価格が下がって生産農民に非常に影響を与えるから、だから輸入を調整しているわけですね。ところが材木に限っては、これはもうどんどん入ってきています。もちろんこれは需要に足りないのですから入ってきていいのですよ。しかしこれによって価格が調整されないというのがわからないのです。どういうわけですか。  これと同時に、一体材木の価格形成というものはどういうような形、経過を経てこの価格が形成されるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  30. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 木材の価格形成という問題でございますが、これはやはり需要供給の形できまってくる、もちろん生産コストの問題もございますが、主として需要供給の形できまってくるというふうにわれわれは理解いたしております。  そこで、外材がどんどん入るのになぜ上がるのか、こういうお話でございます。現在外国から入ってきておりますソ連材、米材、南洋材が主体でございますが、一例を米材にとりますと、——最近問題になっておりますので米材にとりますと、産地の米材の価格が非常に値上がりしてきているわけであります。そして、その産地の値上がりしておる原因は一米国だけの問題でなしに、やはり日本が旺盛に買いつけるということも一つ原因かと存じますけれども、一応産地の価格が非常に上がってきている、ああいう大きなアメリカにおいてすら多少の買いつけが進みますと木材も上がる、それほど木材が比較的弾力性に乏しいというのが実態じゃなかろうかと思います。したがいまして、産地価格が上がってくるというところに一つの上がっている原因がございます。それはとりもなおさずソ連材でも同じでございます。  ところでそういうふうになって入ってくる外材に対しまして内地材がさらにそれをこすような、上回るような値上がりをしておる、かような実態でございます。それはなぜかと申しますと、やはり日本の嗜好性と申しますか、建築をつくる場合の嗜好性と申しますか、国民所得がだんだんふえてまいりますと、やはりいい材木を希望する、そういうものを使いたい、こういう希望がおそらく出てきておるのが実態であろうと思います。したがいまして、たとえば木曾ヒノキとか、そういうものを使ってうちを建てていきたい、そういう希望が、需要が非常に旺盛になってきて、いい物に対する需要が旺盛になってくるということから、一つのそういう面の値上がりが来ております。  そういうようなことから木材価格というのは実は値上がりしているわけですが、それと一緒に、これは木材生産の姿というものは、御承知のように労賃が非常に上がってきており、それに対しまする生産の整備、林道とかそれから資本を整備してより安くやるという合理化の点が若干おくれております。そのような総合した中でやはり木材価格が上がってきているというのが実態であろうと、こう思う次第でございます。
  31. 川村清一

    川村清一君 それではもっと具体的に、アメリカ材、あるいはソ連材について、その買い付け価格が幾らで、そうして日本に持ってきた価格が幾らで、そして日本内地の価格が幾らで、その差益金が幾らでと、もちろん平均ですが、これちょっと数字で出していただけませんか。そうして、そういうものを取り扱っている大手商社が一体何社あるのか、こういう点をもう少し明らかにしていただきたい。
  32. 片山正英

    政府委員(片山正英君) ただいまおっしゃいました計数的なものは実はいまここに手元に持ってきておりませんので、調べまして御報告申し上げたいと思いますけれども、私の概括的な知識で申し上げますと、ソ連材におきましては、これは一括の大体の価格をきめておりますので、それによりますと大体昨年と比較いたしますと約二割近く契約価格が上がっております。米材につきましては、それぞれ樹種ごとに違っておりますので、後刻調査いたしまして御報告申し上げます。
  33. 川村清一

    川村清一君 それを取り扱っている商社でございますがね。で、御承知のように、この点も先般鶴園委員からお話がありましたが、もはや日本の国におきましては森林が山にあるんではなくて、森林が臨海地帯にあるんですね。海岸地帯にあるわけですね。大体五割近くのものが外国から来るわけですから。しかもそれが大きな専用船で運ばれてくるわけですから。あるいはパルプ会社のチップまでこれはもう専用船によって運ばれてくるわけですから。北海道の苫小牧の王子会社だとか国策パルプの会社のところへ行くと、もう最近はチップが、炭鉱のズリ山のように山ほど積み上げているわけですね。外国からチップ材が来る、そういう時代がきている。もう森林が山にあるのではなくて臨海地帯にあるのですね。ですからとても小さな会社では取り扱えないのですね。いわゆる独占と目されるような大企業でなければ、専用船をもってそういう買い付けをして運んでくるというようなことには相ならないわけです。昔は製材工場いわゆる木工所というのは山にあった。ところがいまは大きな工場が海岸地帯にある、港の近くにある。そういうようなことで、国内の中小の木材工場というのはどんどん倒産していっておりますね。長官御承知のとおりだと思う。いわゆる外材輸入がどんどんふえたことによって国内の中小の企業がしわ寄せを受けている。そうして倒産をしていっている。一体ここ二、三年の間にどの程度の中小工場が倒産したのか、それをひとつここで御説明を願いたいと思いますし、それからそういう外材輸入商社がこれはよほどの利益があがらなければそういうものはやらぬでしょう。専用船をつくって、また大きな船でもって運ぶから利益が大きくなるのですね。一体どの程度の利益を受けておるのか、こういうことも当然、これは林野庁の長官の所管ではないかもしれないけれども、少なくとも林業というものは、ただ山の木を育てそしてそれを切ればいいというのではなくして、やはり林業という一つ産業を育成指導するという立場から見るならば、そういう点についてもやはり関心を持っていただかなければなりませんし、それから農林大臣といたしましては、当然この林業にかかわる関連産業をやはり常に見つめて、この発展のために、特に中小企業なんかをつぶさないように育成強化するために御心配をいただかなければならぬのではないかと私は思うのでありますが、この点に対するお考えをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  34. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 最初に御質問がございました製材工場の倒産の状況でございます。四十年に四百五十件木材製材工場で倒産しております。それの負債額が三百二十億でございます。同じく四十一年には三百五十七件それの負債額が百七十七億でございます。四十二年になりまして五百二十一でございます。負債額は三百四億という実態でございます。  なお、大きな商社が専用船を使ってどういう形になっておるかという御質問でございますが、これもごく大ざっぱに米材を例にとって考えますと、従来は、内地着の米材の値段のコスト関係でございますが、産地の木材価格が四といたしますと、船賃——フレートそういうものが六というような形であったわけでございます。その後合理化してやろうという形から専用船というのが御承知のようにどんどん出てまいります。現在におきましては、専用船におきまする木材の価格を申しますと、産地が逆に六になりまして船賃その他が四というちょうど相反する逆のような形でいま価格が構成されているように伺っております、その産地の六というのはとりもなおさず産地価格がそれだけ上がった形で買われておるのが実態でござい  ます。   それからもう一点の中小企業、そういうものが倒れていく姿とこういう関係はどうなのかというお話でございました。私たちといたしましては、パルプのいまの先生のおっしゃいましたチップが海を越えてこちらに参ってくるわけでございますが、現在日本の山にいわゆる薪炭林という、従来は薪炭にしか使えなかった山、そういうものがたくさんあるわけでございますが、それはパルプ以外に消費する道はないと、われわれは感じておるわけであります。そういう薪炭が用材に向きませんから、パルプであればチップ化することによってこれは可能であります。したがいまして、そういう方向に向けるようにわれわれは努力してまいりたい。しかし取引単位が非常に小さいとなかなかそういう道が達成できませんので、協業化なりそういう形の中でそれを大きな単位にして使ってもらうということが、日本に残された資源を有効に使い、かつ輸入材との関係国内を重視した形で推進できるのではないかということで、われわれとしても今後は十分努力していきたいと、かように思う次第であります。
  35. 川村清一

    川村清一君 先ほどお尋ねしました外材輸入商社ですね、これは大手と目されるものが何社あるのか、そういうようなものについて伺いたい。
  36. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 詳細はあとで資料でお届けしたいと思いますが、大体大手といわれるものは二十社ぐらいに想定しております。
  37. 川村清一

    川村清一君 それではあとで資料をいただきたいと思います。大手商社二十社、どういう商社があるのか、それのひとつ会社名と、それからどういう材をどのくらい取り扱われておるのかということ、それから一体産地価格がどれくらいで、そして日本の価格がどれくらいになるのか、差益金がどのくらいになるのかといったことがわかるような計数的な説明をつけてひとつ御提出願いたいと思います。  次にお尋ねすることは、何せこの需給の不均衡を一日も早く均衡させるように努力してまいらなければならないと思うわけでございますが、これは現在低滞あるいは後退しておる生産力を、生産を上げていく、これ以外に道がないわけでございますが、そこで、現在なかなか生産が進んでいかない、いわゆる需給のアンバランスがなかなか縮まっていかないその大きな要因をなしているものは何ですか、これについて御説明願いたい。
  38. 片山正英

    政府委員(片山正英君) なかなか需給がうまくいかないという問題点は何かというお話でございます。これは見通しが、先ほどおしかりをいただきましたが、長期見通しというものをわれわれが二年前に立てたわけでございますが、その際やはり昭和五十年から昭和六十年が日本の山の一番問題の時代であるというふうに考えております。その大きな理由の一つとしましては、先ほど大臣に御答弁をいただきましたが、日本の山は人工林の山が全体の三二%わが国はございます。そのうちの六七%というものが終戦後植えられた木である。したがって、全然伐期にはなり得ない山が六七%もあるということが第一点でございます。それからもう一つは、それじゃ残された、三二%の残りの六八%は何かと申しますと、これは主として天然林でございます。その内容を申し上げますと、やはり民有林中心といたしまして薪炭林、従来薪炭林の山として利用されておった山が、いわゆる二十年生、これまた二十年生以下を一応想定いたしますとこれまた四〇%も含んでおるということが一つの山の特色でございます。それからもう一点は山の開発を、しからば開発をするまだ林分がどれだけあるかと申しますと、約三割余ございます。これが林道その他を整備することによっては出てまいりますけれども、現在の段階ではそこまで届かないという眠れる山が三割ある、こういう姿でございますので、日本の山の一つの体質の問題がございます。それから開発のおくれがございます。そこで、われわれは開発を少なくとも昭和六十五年まではこれを日本の山を開発するということを前提に置きまして、閣議の了解をいただいたわけでございます。それに基づきましていま推進しておる次第でございますが、それを達成する場合におきましては、自給率というものは相当大幅な自給率を保っていける、われわれの理想といたす五十年先は九〇%できるという見通しで推進しているわけでございますが、遺憾ながら先ほど申しました山の特質から、あるいは開発の多少おくれから昭和五十年から六十年が一番問題だろう、こういうふうに存じておる次第でございます。
  39. 川村清一

    川村清一君 ただいまの長官の御説明では、それはもう全然それじゃ明るい見通しがないですね。まあ全然ないということは、これから昭和六十年先になればありますけれども昭和六十年ぐらいまではもうどうにもしようがないということですか。現在人工林は三二%である。そのうちの六八%は終戦後に植えた山であって、これはもう幼齢林で使いものにならない。ある時期がくるまではこれは伐木できない、切れない。それから、六八%の天然林はあるけれども、そのうちの四〇%はこれは薪炭林でこれもうまくない。開発できるのは三〇%である。この三〇%のものをですね、六十五年までかかって何とかやっていきたい、こういうようなことなんです。そうすると、結論的に言ってですね、いろいろ手を打ってもこれはしようがないのだと、そうするとですね、いまの外材輸入というものは、外材に依存していくというこの現在の政策というものは、何と言われてもこのままずっといくよりしようがないのだと、こういうことになりますね。
  40. 片山正英

    政府委員(片山正英君) いま山の実態を申し上げたわけでございますが、われわれとしての施策といたしましてはもう少し前向きな形でやっておるわけでございます。たとえば、パルプをとりましても、現在外国からチップが来るというそういう時代でございます。内地材におきまして従来パルプ材が用材的なものが使われておったのが、用材というものは建築のほうに回わして、そうしてパルプとして使われるいわゆる低質材、そういうものをパルプに向ける、そういうことにおける生産の増というものを大いに期待しておるわけでございます。五年前にパルプの半分は用材を使っておりましたのが現在はほとんど、低質材が八割近くまで使われておるというのが実態でございます。そのような形の木材の合理的な利用その他、先ほど申しました開発の進度を高めることによって将来も現在ももっと対処できるという形でわれわれは努力しているわけでございます。
  41. 川村清一

    川村清一君 この問題につきまして、私いまここに持っているこれは新聞の切り抜きでございますが、これはある東京紙の切り抜きです。四十三年三月二十日の新聞の社説でございますが、この中にですね、こういうことが書かれておりますので、その一部分を読みますので、お聞きの上大臣のお考えをお聞きしたいと思います。私の質問でなくて新聞に書いてある社説に対するその御見解を尋ねるのです。  「国有林の伐採制限の緩和を」という題ですが、これはまあいいです。こういうようなことが最初に書かれております。「木材はいまや石油に次ぐ輸入物資となった。去年は十億ドル近い外貨を使って、国内需要の約四割をまかなったが、ことしの輸入量は五割の線に近づくだろう」というような書き出しでずっと書いてあるわけでありますけれども、で、これを解決する一つの方法として、国有林の伐採制限の緩和ということをこういっているのですが、ここは私も政策的にちょっと同感できませんからここは除きます。そのあとのほうにこういうことが書いてあるのです。「国際通貨危機の中で、深刻化した国際収支の不安は、その改善をわが国の至上の命題としている。当面はあらゆる手を打って国産材の供給をふやし、外材輸入の外貨を節約すべきである。まず考えられるのは、国有林の伐採制限の大幅緩和だ。」と、こういって説明してありますが、これはいいです。その次にですね、「次に民有林林道の緊急開発も検討に値しよう。林野庁の試算によれば、年間木材輸入額の二割を民有林林道開発に追加投資すれば、輸入必要量をきり出せる計算になるという。これが事実とすれば、昨年の民間林道開発投資を約七百億円ふやすことによって、十億ドル近い外貨が節約できたことになる。もちろん樹種や値段の関係外材でなければならぬものもあろうし、机上の計算どおりにはいかない。また四十二年度の民有林林道予算がやっと九十二億円にすぎぬことを思えば、これをいっきょに数百億円ふやすことは、ムリな相談であろう。しかし新年度の林道予算の繰上げ執行と突貫工事は、やる気さえ出せばできると思われる。」こういうようなことが書かれておるわけでありますが、林野庁の試算によればほんとうにこういうことになるんですか。それを前提にしていま読んだことに対する大臣の御見解をお伺いいたします。
  42. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私もその社説は深くは読みませんでしたが拝見はいたしております。そこで、国有林のほうにつきましては先生のおっしゃるように問題がある、私も、かなり国有林の増伐につきましてはこれはある程度やっておりますけれども、これ以上やって国土保全との関係もありますし、それからもう一つは低質のものをさらに切っていくというようなくふうはまたしなければならぬと思います。それから民有林のほうにつきましては、林道開発の金が十分でないことは、私どももこれから努力をしてさらに林道開発を続けてまいらねばならないと思っております。
  43. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 先ほど先生がおっしゃいました新聞の中の例を引いておられましたが、それはだいぶ前にある新聞の人が私のところにまいりました。いろいろ話をしましたときに、たとえばという話で比較したことなんでございます。それはどういうことかといいますと、たとえばいま外国から入ってくる木が一立方大体一万円だ、こういたしますと百立方入れますと百万円になる。ところがその百万円を林道に投資する、こう仮定いたしますと、大体ヘクタールがわれわれ十三メーメルと言っているわけですが、十三メートルでございますと一メートルがたとえば平均八千円、こういたしますと、十三メートルつくる場合には大体十二万円かかる、そうすると百万円の外貨——れは外貨でございますから比較にはなりませんが、百万円の外貨をもし林道に投資すれば一ヘクタール開発するのに十二万円要るのだ、こういたしますと、百万円でございますと約八ヘクタールくらい開発ができる、こういう勘定になるわけでございます。そうすると八ヘクタールの中から材木が生産されるのは、おそらく百立方でなしに一ヘクタール五十立方出たと仮定いたしましても四百立方できる、こういう勘定にはなるというようなお話をある新聞社の論説の人と話したことがございます。おそらくそういう意味で書かれたのじゃないかというふうに思います。
  44. 川村清一

    川村清一君 民有林林道ですね、これだけ開発していくならば年間十億ドルの外貨を守ることができるということになれば、これはたいへんなことなんで、いずれにいたしましても林道開設にうんと力を入れるということは生産を上げていくというために大事な要素であることは間違いございませんね、どうですか。
  45. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 林道開設は森林経営合理化の根幹だと思っております。
  46. 川村清一

    川村清一君 そこでお尋ねしたいんですが、森林経営の根幹であると。林業基本法が言っておるところの目的とする、いわゆる林業の総生産を上げる、生産性を上げる、こういう目的を具現化するためにも林道の持つ使命は非常に大きいと思う。また林道というものは、こういう目的実現のために最大ウエートを置いて林道をやっぱり開設していかなければならないんではないかと私は思うのでありますが、たとえば林道予算を執行するについてはまず第一にそこへ目的を置いて、林道をつけていく個所づけなり林道工事というものは、まずどう林業生産を上げるのに結びつくかという、そういう点に立って考えていかなければならないと思うのでありますが、どうですか、この点は十分考えてなされておりますか、どうですか。
  47. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 先生のおっしゃるとおりだと思っております。なお、どう考えておるかということで一言お答え申し上げたいわけでございますが、従来、林道というのは山の開発でございますから、山の木を切り出すという意味で逐次奥地奥地と入っていく、奥地奥地と入って行った暁におきましてその道が袋路になる、いわゆるどこにも行かない袋路になるというのが、林道開設のいままできた実態の大部分であろうかと思います。しかし、山の姿を総合して開発していくという限りにおいては、われわれは林道網——網ということばを使っておりますが、少なくとも幹線になるものについては、そういう袋路ということは経済上も非常にまずいじゃないかということから、いわゆる網という意味でつながった形になるわけでございます。たとえば国道と県道の中で森林のある場合に、それを国道と県道を結ぶような形で開発されていく、こういう形が必要かと思うわけでございます。それがたまたまいろいろな交通路になるということも、これも当然あり得ると思うわけでございます。しかしわれわれはあくまで森林資源開発でございます。ただその森林資源開発をいたす中で、やはりほかの道路、国道、県道その他の道路との関連において開発していくということが、森林開発即地域開発というものにもつながるわけでございますので、林道網という姿を大幹線につきましては打ち出していっているという状況でございます。そこで、ただ大幹線といいましても、その森林を開発する場合の面積蓄積というものは、なお基準を置きまして開発していくのが実態でございます。
  48. 川村清一

    川村清一君 私ちょうだいいたしました資料を検討いたしまして、どうもただいま長官が言われておりますことと一致しないというふうに感ぜられるのであります。なるほど林道開設事業というものが一〇〇%進んでおるとは申しません。まあ予算やその他いろいろな問題に制約されまして計画どおりいっておらないことは私も承知しておりますが、しかしながら政府といたしましては、この林道につきましては、林道課を設けたというようなことを考えてみましても一番力を入れてきた一つの行政ではないかと考えておるわけであります。そこでこの表を見ますと、林道につきましては相当伸びておるわけですね、昭和三十七年を一〇〇としまして、国有林におきましては一一五・%、それから民有林におきましては一二一・二二%、やはり伸びていっておるわけです。ところが、この林道の伸びに比例して造林なりあるいは伐採量というものは、伸びてくればこれは問題はないわけです。ところが、今度は人工造林のほうを見ますというと、さすがやはり国有林のほうは経営がりっぱでございまして、林道が一一五・一、造林のほうは一二一・六とやはり伸びておるわけであります。ところが、民有林のほうは、造林のほうは八一・三と、いわゆる林道の伸びだけないわけであります。それから伐採量につきましては国有林のほうはやはり一一七・四と伸びておるわけであります。ところが、民有林のほうは九〇%、やはり伸びがないわけであります。こういう点を考えてみますとやはりどっかに問題があるんではないか。国有林民有林の違いがあるわけですね。これはまあいろいろ理由があると思うのでありますが、この林道の行政というものが、やはり林道本来の目的である、使命であるいわゆる生産と直結するという考え方に立っていないんではないか、林道の個所づけあるいは林道工事、こういったようなものが造林なり、あるいは伐採活動なり、こういう計画的に、しかも客観的にそういうものと直接結びついた観点に立って開設されておらないところに問題があるんではないのかと、こういうふうにこの数字の上から勘ぐられるわけでございますが、これはどうでございましょう。その他まだ数字があるわけでありますが、まあ国有林のほうはやはりあなた方が経営しておるわけでありますから、この林道をつけただけ造林の面においても伐採、生産の面においてもそれだけ効果があがっておるわけですね。ところが、民有林のほうは、造林のほうに相当補助もする、あるいは融資もするといったようにして政府のほうは力を入れましても、投資をいたしましてもそれが生産としてあらわれてこないというところに、林道予算のつけ方とか、そういう面にどうも客観性がないんではないか、政治的な配慮といったものがすごくその中にさせられているんではないか、こういうふうに思われてしかたがないんですが、そういう点ございませんんか、ひとつ御説明願います。
  49. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 伐採、林道造林のバランスの問題と思います。全国森林計画が三十八年からつくられまして、ちょうど四十一年までの実績を平均してみますと、伐採につきましては予定計画に対して九〇%でございます。人工造林も九二%、計画に対して達成されておるわけでございますが、林道につきましては全体計画の五六%、非常に低位な結果になっておるわけでございます。そのような実態から、われわれが予想しておる奥地開発というのがなかなかできておらないというのが、数字の示すようにそのままの姿でございます。ただ、先生がおっしゃいました林道の当時のあり方がどうかという点だろうと思いますが、われわれは先ほど申しました豊富な資源のあるところを中心にして開発をしてまいりたいという態度には変わりはございません。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、袋路になっているような形が、将来林道網としての総合した利用から見ますと、なかなかそれは時代的にマッチしない姿であるということから、いわゆるそれをつなぐ道というものが最近計画され、実施されていることは事実でございます。また、御承知のことだと思いますが、たとえは峰越え林道——峰を越す林道というようなことでつくっておるわけでございます。しかし、それとても、開発する森林は従来あるAという市場よりBという市場につけたほうがより有利である、同じ材ではあるけれども、有利であるということが配慮されるわけでございます。したがいまして、そういうような峰越えとか、あるいは連絡するというような林道が、奥山の開発というふうに結びつかないんじゃないかという御指摘かもしれませんけれども、今後の林業の総合した運営からは、そうした幹線的なものが必要ではないかというふうに判断して実施しているわけでございます。原則はあくまでも森林資源開発でございます。
  50. 川村清一

    川村清一君 いや、私は全然不必要だということを申し上げているのではないのでありまして、その地域の開発等のこともこれはけっこうだと思いますし、当然だと思うわけであります。しかしながら、林道の使命は一般道路と違うのですよ。建設省の所管の道路とは違うわけでありまして、いわゆる林野庁所管でありますから、林道はあくまでもこれは林業基本法に基づくところの、林業基本法が目的としております、第一に総生産を上げるということ、それから第二に、生産性を上げるという、これと結びつかなければ、林道なのか、一般道路なのか、わけわからなくなってしまう。ですから、林道なのか、観光道路なのかわからないような道路であっては私は困るのではないかと思うのです。それは生産を上げるために林道をつくって、その道路がその地域開発のために結びついて、あるいは観光道路となって使われるというようなこともけっこうでしょう。あるいは生産道路として使われることもけっこうでありましょう。しかしながら、これは林野庁所管の林道の使命は何だかということを第一義的に考えてもらわなければ、そこに変な政治力や何かが入り込んできて、そして、こっちへこの道路をつけてくれ、あの道路をつけてくれといったようなことで、むしろここに道路をつけるよりも、ここへ林道をつけたほうが、造林なり、伐採なり、生産と結びつく客観的な意義がこっちにあるのだということがわかりながら、そういう政治力に負けて道路をこっちへつけたということなら、それはたいへんだと思うのですよ。そういうことを私は申し上げている。ですから、林道に投資したならば、この伸びと並行して、造林なり、あるいは伐採なり、生産的なものと、やはりこれは伸びが伴わなければ困るわけです。  それから次には、時間がないですから今度は急ぎますがね。大臣は、この全国森林計画というものを策定されますね。その全国森林計画というものは、これは大臣が策定される以上政府に責任があるわけですね。十年を一期として、五年間の計画を立てますね。そこで、その計画がいかに実行されておるかという、その計画実行との対比の資料をいただきましたが、必ずしも計画どおりいっておらないようであります。ですから、計画を立てた以上は国の責任ですから、あくまでもこれは計画どおりやってもらわなければならない。これは予算もですよ。そこで私は、たとえば道路五カ年計画であるとか、治山治水五カ年計画であるとか、港湾五カ年計画であるとか、河川五カ年計画であるとかという、そういう公共事業費の計画がありますね。これは閣議決定になります。ところが、これは公共事業でありませんから、この林道——いや、この全国森林計画という、大臣が策定したこの計画というのは、閣議決定になりませんね、その計画そのものは。どうですか、これ。
  51. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) これは農林大臣限りでやっております。
  52. 川村清一

    川村清一君 そこに問題があるのです。ぜひこれは閣議決定——まあいろいろこれは内閣のやることですから、法律もなければ、私がここでなんぼ力んでもできないと思いますが、できなくても、大臣がこれは立てた計画でございますから、責任を持って、それは裏づけとなる予算をつけてもらわなければなりませんよ。計画計画だ、実行じゃ、これは話にならないのです。国がそういう考え方であるならば、これからやっていくところのこと、いまやろうとしておる個人の施業計画なんてものは、こんなものはできませんよ。個人が計画を立てた、さあその個人が計画どおり実行しなかった、けしからぬなんてことを国は言えませんですよ。国が立てた以上は、国は必ず実行する、したがって、国民も、個人が施業計画を立てた以上は、知事が認定して、したならば、その認定事項に対して責任を持って実行せよと、まず国がその責任を持ってやりますか。やってもらわなければならぬ。これに対するお考えを述べてください。
  53. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) もちろんこの森林計画というのは閣議決定事項ではございませんが、これに基づいて需給計画を立てまして、その長期見通しというものが閣議決定になっておることは御承知のとおりだと思います。
  54. 川村清一

    川村清一君 そのもとになる計画は、長期見通しなり、基本計画が閣議決定になることは承知しておるのです。その閣議決定がまた全然狂ってしまって、立てたもう次の年には狂って大改定をしなければならない。まことに権威のない閣議決定なんであります。それに基づいていま申し上げた全国計画を立てましても、その全国計画は森林基本法に基づくんでなくて、森林法に基づいて森林法のその法律の中でつくるところの全国森林計画であります。これはぜひ責任を持ってやってもらいたいということを言っているんですから。  まあ時間がありませんから次の問題にいきますが、林野庁長官、これはあなたが使っている労働者の問題ですが、山泊まりと書いてさんばくと読みますが、どういうことだか御存じですか。
  55. 片山正英

    政府委員(片山正英君) これは住んでおる部落から通うことが非常にむずかしい山林におきまして、そこに建物を建てましてそこで泊まりながら作業を実施するということでございます。
  56. 川村清一

    川村清一君 その山泊の一体手当は幾らか御承知ですか。
  57. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 大体七十五円と思っております。
  58. 川村清一

    川村清一君 七十五円じゃないです。七十円です。七十円で三食の一体食事ができますか。七十円というのはハイライト一個分でありますが、食事できますか、その七十円で。
  59. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 山の生活費はちょっといま手元にございませんけれども、山泊というのは山に泊まった手当ということでございますので、従来の賃金以外のプラスアルファという意味の手当でございます。
  60. 川村清一

    川村清一君 それではお尋ねしますが、あなたがやはり使われておりますところの定員職員、林野庁に働いておる定員職員が当直、宿直なされた場合に、賃金はちゃんと払っているのですが、当直料は払いませんか。
  61. 片山正英

    政府委員(片山正英君) それは宿直料としては払っております。
  62. 川村清一

    川村清一君 その宿直料は何の手当ですか。その宿直料は何に使うんですか、それは。
  63. 片山正英

    政府委員(片山正英君) いわゆる時間外にそういう宿直のことを命ずるわけでございますから、それに伴う手当でございます。
  64. 川村清一

    川村清一君 当然食事代も入っているでしょうな。
  65. 片山正英

    政府委員(片山正英君) それは食事代という意味じゃなし、その宿直そのものの用として入っているわけでございます。
  66. 川村清一

    川村清一君 晩の御飯も朝の御飯も食べないで泊まるだけの宿直が林野庁にはいるかもしれませんけれども、私は泊まった以上は晩の食事、朝の食事はするだろうと思うのですね。山泊手当というのは山に泊まって何なんですか。食事代なんですよ。それが七十円なんです。いま七十円で一体食事ができますか。もちろん営林署の常用作業員が山で泊まっています。営林署の飯場でもって寝泊まりして、そこで食事をします。ですから安いですよ。私の聞いたのでは一日泊まって三食で三百円ですよ。三百円で食べている。いただくのは七十円です。一日泊まるというと二百三十円ずつ赤字になるわけです。ただいまの長官のお話では日給を千二百円もらっているのだから、その千二百円の日給の中には食事代が含まれているのだから、そんなに払う必要はないのだ、お情けで七十円の手当をやっているのだ、それでけっこうなんだという、そういうお考えですか。だとするならばとてもじゃないけれども国有林に働く労働者なんてこれはいなくなりますね。そして千二百円の日給で一カ月の稼働日数は大体何日ですか。
  67. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 大体二十二日が基準になっております。
  68. 川村清一

    川村清一君 千二百円で二十二日、そうすると幾らになりますか。大体二万六千円ぐらいでしょう。その二万六千円ぐらいもらって、そして一日二百三十円ずつ山で泊まって赤字を出して、その二十二日分差し引かれて、そのほかまだ差し引かれますというと、その常用作業員が家に持っていく金というものは二万円足らずでございますね。二万円ないのですよ。これで家族四人、五人が生活していかなければならない。一体それで生活が一できますか。そういう常用の労務者があなたのいわゆる国有林の中で一万二千名働いているわけです。そして山泊七十円と聞いたときに私はこれは何かの間違いだろうと思った。そして調べてみたらやはり七十円。一晩泊まって、そして食事をしてハイライト一つなんです。こういうような労働条件で一体りっぱな労働者国有林で働けましょうか。そしてこの国有林労働者よりもっともっと待遇の悪いのが民有林労働者なんです。どうしてこの生産が上がらないのか。生産停滞後退している原因は何かということをお尋ねするというと、労務者が足りないということが必ず一つの大きな原因になって出てくる。労務者が足りないのが一つ原因ならば、どうして労務者を確保する政策をとらないのですか。そして労務者を確保する政策をとらないで労務者が足りなくて生産が上がらない、そして毎年毎年外材をどんどん輸入して大事な外貨を九億ドルも十億ドルも払っている、こういうようなことになっているわけなんです。どうなんです。国有林の労務対策というものは、あるいは民有林に働く労務者の労務対策というものに対して長官はどういうお考えを持っておられますか。現状でいいと思っておりますか。積極的にどういう姿勢で対処されようとなさっているのか明らかにしていただきたいと思います。
  69. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 先生の御指摘のとおり都市の労働者賃金と山村におきまするいわゆる林業労務者の賃金との差は格差がございます。ただ同種の建設業、屋外作業の建設業の同種の賃金と比較いたしますと、これはほぼ同じでございます。約千四百五十円前後でほほ建設業のやっと同じであります。なおまた過去五年ぐらいの賃金の上昇率を見ましても、これまたほぼ同じの上昇率をたどっているわけでございます。そこで、われわれのいま賃金として出しておりまする姿は、その土地におきまするいわゆる地場賃金というものを基礎にして、その他関係賃金等も考慮しまして、地場というものを基礎にしてやっておるわけでございます。しかし御承知のように、先生御指摘のように、都市その他との格差は確かにございますので、われわれは何とかやはり都市と同じような形で住みよい姿に持っていくということを方向として考えております。ただ非常に季節労務というような関係もございますので、通年雇用という中でこれをやはり達成していかなきゃならないということで努力してまいるつもりでございます。そしてそのためには、ただ林業合理化と申しますか、林業生産性の向上と申しますか、そういう施設の整備もかねてこれを達成していかないとなかなか経営としては困難な問題でもございますので、それらとの関連の中で、できるだけ住みよい姿に持っていこうという形で今後とも努力してまいりたい、かように思う次第でございます。
  70. 川村清一

    川村清一君 申すまでもなく労務対策というものはきわめて重要でございます。時間があればこの問題にもっと突っ込んでいろいろ議論したいと思うんですが、時間が許しませんのでこれ以上やりませんけれども、とにかく賃金が安いこと、労働条件が悪いこと、特に通年雇用制がきちっととられておらないために、失業保険であるとか、あるいは健康保険であるとか、こういう社会保障制度からも除外されておる、こういう山林労働者に対して山に残って山で働けと言ったってだれも残りませんよ。若い労働者はいません。現在平均年齢がもう三十五歳から以上になっている。四十歳ぐらいになったんじゃないですか、山林労働者平均年齢というものは。そういたしますとね、今後五年後、十年後になったならば、もう五十歳、六十歳の人しか残らない。こんなようなときになった場合に、いま長官が言われたように、機械化する、合理化すると言ったって、機械を動かすような労働者がいなくなりますよ。一番、条件を比べて条件のよい国有林労働者でさえこういうことですから、ましてや民有林労働者なんて推して知るべしだ。もっとぜひ力を入れてやってもらいたいと思います。それから一人でやりますというと、あと質問者の時間に食い込みますのでやめます。  森林法の施業計画の問題につきましてはあと質問者にやっていただくことにして、ただ一点だけ私、施業計画制度についてお尋ねしたいんですが、これはこの間鶴園委員からもずいぶん掘り下げていろいろと質問があったんですが、どうしても長官の答弁では解明されておらないのであります。それはどういうことかというと、鶴園委員はこういうことを言ってんです。林業基本業はその目的で明らかになっておるように、第一には総生産拡大をうたっておるんです。第二には林業生産性の向上をうたっておるわけです。第三には林業従事者の格差の是正をねらいとしておるわけであります。いわば林業近代化を目的とする経済政策を示しておるんです、林業基本法は。それに対してこの森林法森林資源の保続培養と国土保全を目的とするところのいわば公益的な資源計画である。ですから、本質的にねらいが違うと私は思うのです。ただいま審議しておる施業計画というのは、本質的には個別経営林業所得の向上をはかることを目的としておるわけです。鶴園委員がしつこく言われている。したがって動機においても、これは森林計画とは異なるものだと思うのです。施業計画というものは個人のものだ、個人の所得の向上をはかる、これは経済的なものです。ところが森林計画のほうは、これは公益的なものです。したがって、質的にも動機的にもこれは違うのだと、この違うものを森林法の中に制度化するというところに問題があるということを指摘されておるのだと私は思うのであります。したがって、この個別の施業計画というものは、元来は林業基本法の系列に属しておるものではないかと思う。特に法律では規定しておらないけれども、いわゆる系列的に言えば、林業基本法の系列に属しておる施策である。こう理解されておると思うわけです。それが今回の森林施業計画というものが、公益的な資源政策としての森林計画制度の系列に制度化される。いわゆるこちらのものがこちらのほうに制度化されるということにやはり問題があるから、これは単に需要拡大に対して生産が追いつかない。そこでどうしても生産を上げなければならない。こういうために、いわゆる便宜的にこの個別施業計画というものをこの中に入れてきた。いわゆる公益的なそういう本質的な意義を持っておる法律体系の中に入れてきた。しかし、単にそういう生産を上げるという目的のために法律体系を動かすことは一体妥当なのかどうか。もっとこれは検討してみなければならないのではないか、こう思うのです。ほんとうにこちらのほうに入れなければならないような、こういう客観的な情勢の変化やそういうものがあったのかどうか、そういう理由づけがはっきりしなければなかなか納得されないものではないか、こう思うのです。これが第一点。  第二点は、もしこのいまの個別的な施業計画というものを、この公益的な使命を持っておる森林法の系列の中に入れたとするならば、この計画を策定することを自主性にまかせる、任意性にまかせるというところに問題があるのではないか、もしも公益的な使命を持たせるとするならば、当然これは任意性でなくて義務制にすべきではないか。そこまでいかなければ、いわゆる公益的な使命を持った制度としては足らざるものがあるのではないか、かように考えられるのです。この点はいかがですか。よくこの点を鶴園さんがずいぶんいろいろお尋ねしておったんだが、どうしても長官の説明では解明されない、この点を明らかにしていただきたい。
  71. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 二つの点のお尋ねでございます。第一点の、森林施業計画森林法に基づくわけであるから、義務制にしたらどうかということと、もう一点は森林法と基本法との関係、こういうふうに理解いたしましてお答えいたします。  まず、これは鶴園先生にお答えしたのと同じような御説明になるかもしれませんが、若干付言して御説明申し上げたいわけですが、全国森林計画というのは、森林法に基づきましてつくるわけででございます。地域森林計画森林法に基づいてつくるわけでありますが、そのもとをなしまする基本計画というのは、基本法に基づきまして閣議の決定をいただいたわけでございます。そこで森林施業計画でございまするが、これは所有者林業基本法の趣旨に即しまして作成されるわけでございます。それによって地域森林計画との調整と申しますか、調和と申しますか、そういうものを所有者の理解の中でやるわけでございます。たとえば所有者が、従来であればかってきままと言っちゃ誤弊がございますが、新生林を、あるいは計画性が全然なしにやっていく、そういう姿を排除して、そして地域森林計画に即したものとの理解の中で調整を行なってやっていく。そうやってできたものが森林基本計画に矛盾するかという点につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、森林施業計画の目的は、適正な伐期と、かつその樹種、林相の改良ということでございますから、これはとりもなおさず、先生先ほどおっしゃいました基本計画におきまする林業生産増大につながるわけでございます。かつまた、そういうことを計画的に行ない、総合して行なうことによって生産性の向上というものにも通ずるわけでございます。さらに、そういう計画性を発揮することにおきまして雇用の安定にもつながることから、従事者の所得の向上にもつながるということで、結果的には基本法に反しておらない、そのとおりな結果になるというふうに存じておるわけでございます。  それからもう一点、森林施業計画森林法に其づくものであるならば、任意的にやらずに義務制にしたらどうかという御指摘だと思います。この問題につきましては、御承知のように、公共性というたてまえからいたしますとこれは義務制ということも考えられないわけではないと思います。しかし、これは御承知のように、昭和十四年に森林法改正いたしましたいわゆる統制時代はなやかなりしころに、一度この義務制を実施したわけでございます。その結果におきましては、森林所有者が非常にばらばらと申しますか、林相その他が非常に違っておるというものを、上から一方的に義務制だ義務制だといってつくったことにおいて、必ずしも円滑な実施ができなかった、山の経営が実態には必ずしもよくなかったという経験がございます。したがいまして、かつまた、現在の社会経済の情勢からいたしますと、義務的にこれをやるというよりも、所有者の理解の中でこれをやるということのほうがよりいいのじゃないか、そういうことに誘導することこそ森林を生かす道じゃないだろうかということで、任意的かつ自主的にこれをやっていただくというたてまえでもってわれわれば指導してまいるというわけでございます。
  72. 川村清一

    川村清一君 まあ法律論争ですから、もっと突っ込んでやりたいと思いますけれども、時間の制約もございますし、それからいまのこの施業計画につきましていろいろたくさん問題がありますけれども、一人でやってはならないので、次の質問者にひとつそれは譲りまして私の質問は終わりたいと思いますが、ただ最後に申し上げたいのは、先ほど申しましたように、国の、全国森林計画政府が責任を持つこと。政府が責任を持たないで個別につくるこの施業計画、責任を持てといったって、それはとても責任は持てません。政府が範を示して、そして個別につくった施業計画が完全にまたこれがなされるように、税制的なあるいは財政的な援助もし、的確な指導助言をいたしまして、そうしてこの計画がりっぱになされて、一番問題であったところの日本林業生産を、需要にできるだけ近づけて、そうして外材に依存せずして自給率を高めていくという、こういう林業を推進していくために努力をしてもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  73. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私はなるたけきのうからきょうにかけましての問題に重複しないように質問をしていくつもりでございますが、多少重複する点があるかもわかりませんけれども、その点は御了承願いたいと思います。  昨日からまた本日に至るまで、輸入材——外材のことにつきまして、国内自給をすべきであるという論が持ってこられております。私もこの点は同感でありますが、片山林野庁長官が経団連の森林委員会で、四十一年四月に基本計画ができたときに、四十七年の総需要量が九千八十万立方メートルになるとされている。ところが先ほどもお話がありましたように、大きく変わって、一億五百七十万立方メーターになるであろうと推定を変えざるを得なくなった。そうして同時に、最初の基本計画では、同年五千六百六十万立方メーター国内供給を期待しようとしていたが六千三百三十万立方メーターの国内生産を期待しなければならなくなった。そのうちの五千四百万立方メーターが素材で、九百三十万立方メーターが残材及び廃材、先ほどお話がありました、結局四十七年には外材輸入が四千二百七十万立方メーター必要であるとこう言われておりますが、これはそのとおりでございますね。
  74. 片山正英

    政府委員(片山正英君) これはかつて経団連に呼ばれましたときに、最近の見通しということで、想定いたしますということでお話し申し上げた数字でございます。
  75. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御存じのように、わが国の国際収支の赤字が論議されておりますし、こうした中において外材輸入が大きな問題になってきているわけであります。わが国の将来に対する自給も、これに伴って論議されている中心であります。林業白書におきましても、この輸入金額の面が明らかにうたわれております。そこで、四十三年度の林野庁関係の予算総額は幾らなんでございましょうか。
  76. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 一般会計、公共事業を含めます……。
  77. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 総額でいいです、全部ひっくるめた総トータル。
  78. 片山正英

    政府委員(片山正英君) そうですが。特別会計とちょっと分けた二つだけ……。林野庁の一般会計が約四百九十一億でございます。前年に対比しまして七・五%の増でございます。それから国有林野事業勘定の特別会計でございますが、これは千三百億でございます。それから森林保険の特別会計がございますが、これは十八億三千八百万円、以上でございます。それがトータルでございます。
  79. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 合計が、特別会計と一般会計……、これをひっくるめた計算の上からいきましても、大体四十二年の一年だけの外材輸入総額というものが三千四百億ぐらい支払われるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  80. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 十億ドルはちょっと切れると思いますけれども、大体三千四百程度でございます。
  81. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そういたしますと、林野庁所管のこれからの十年、二十年先の日本の林野計画というものに対する総予算より輸入材のほうがどういうふうな形になっているのか、そういう点について予算の上からも、金額の上からもお話しをしていただきたいと思います。
  82. 片山正英

    政府委員(片山正英君) ここに予算的にあげておりますのは、政府予算とそれから特別会計に国有林特別会計におきましては事業を行ないます全額でございますが、いずれにいたしましても投資する投資額でございます。ところが外材関係はいわゆる木材そのものの値段でございます。したがいまして、そのような形で内地の木材価格というものを想定いたしますと、国民生産の二%が木材の占めるウエートでございます。したがいまして、この数字と外材輸入額と比較するということもまあどうかと思いますけれども、要は国内の投資をわれわれ何としてももっとふやすべきだという基本的態度には変わりはございません。
  83. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 金額の面からいけばおそらくそういうふうになるわけであります。  そこで外材の需給の理由を幾つかあげて説明をしていただきたいと思います。
  84. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 外材が入ってきておる理由でございますか。
  85. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうです。
  86. 片山正英

    政府委員(片山正英君) それじゃ概括して申し上げますと、昭和三十六年まで木材価格というのは非常に上がってきたわけでございます。その姿は、これは樹種によって違うわけでございますが、大づかみに比較いたしますと、外材価格より内地材のほうが安いということから、外材はあまり入らずに内地材価格がどんどん上がってきたと、こういう実態がおおむね三十六年までの時代だと思います。それから三十六年から四十年まではしたがって外材は非常にその間入ってきたわけでございます。その間木材価格は内地材価格を含めまして、ほとんど横ばいできたわけでございます。ところが四十年後半期から景気が非常に出ましたために木材価格にありがちな値上がりを示したわけでございます。  そこで、先ほど川村先生からのお話もございましたが、外材がこんなに入ってきているのになぜ値段が上がるんだというお話がございましたが、これは先ほど御答弁いたしたように外材価格そのものも上がってきておると、それから国内材価格は特殊の材につきまして、非常に需給が破れておる、優良材に非常に需要が殺倒しておるということから、その樹種を中心にして値上がりしておるというのが実態と、さらにコストの問題がございますということを御説明申し上げたわけでございます。
  87. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 企業の面で私は思うわけですが、大体、外材は長い大材が使われるということ、国内ではこれはなかなか考えられない。それから米材あたりですと四十フィート、約十二メーターですか、そうなりますと、加工率は非常に高くなってくる。それからもう一つの理由としては、年じゅう入荷ができる。日本の今日までの行き方とすれば、大体最盛期に使いたくても使えないという欠陥もまま出てきたわけであります。それがそういうことがなくなってくる。そのほかにも量産体制等が対象になってくる。勢い、これは企業経営合理化という面からでも外材の需給がされてくる。また決済方法、決済方式、そういうものも問屋とかメーカーとかがわりあいに取り上げやすい、こういうふうに、まだまだ幾つかあると思いますが、この外材の品種をNLに分けて、これからの行き方、現在、どういうふうな現況であるか、将来、どういうふうな考え方をもって外材に対して臨まれるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  88. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 外材のNLの量的な輸入量並びに外材の今後の姿という問題についてかと思いますが、お答え申し上げます。  NLにつきましては大体米材、ソ連材、これは大体針葉樹でございます。いわゆるNでございます。南方材、これは大体広葉樹でございます。したがって、Lでございます。したがいまして、現在、南洋材——おおよそ半分は南洋材でございますので、NLで入ってくる比率はおおむね半々というふうに理解しておるわけでございます。  それから外材の今後の姿でございますが、大きく分けて、三つございます。第一番目は米材、あるいはソ連材、南方材と、こうあるわけでございますが、米材につきましては御承知のように、最近、非常に伸びてきたわけでございまして、これは主として建築材が大きなウエートを占めてきたわけでございますので、非常に伸びてきたわけでございます。しかし、問題点は、米国から丸太で出すということを米国側として非常に制限したい意向が出てまいっております。その点に関しましては二回、日米会談をいたしたわけでございますが結論といたしましては、貿易拡大の中で処理するということでございますが、結果的にはやはり丸太の増加というのは今後困難ではなかろうか、したがって、その需給のバランスは製材の増加によって補われていくのじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。  それから南方材でございますが、この南方材の六割はフィリピン材でございます。フィリピンも同じように、国内の加工を高めるということで、新たにライセンスをおろす場合には、六割は国内で加工しなさいというようなことで、国内の加工を推進しております。したがって、外に丸太で輸出するのは四割にしなさいということを指導しておりますので、この影響がやはり逐次あらわれるのではないだろうかというふうに想像されますので、今後、フィリピンだけにたよることなく、南方材につきましてはマレーシヤあるいはそういう方面の開拓をいまやっておるわけでございまして、逐次フィリピン材からこちらのほうに転換しつつあるような状況でございます。  それからソ連材につきましては、御承知のように、ソ連の港の関係がある程度制約されておりますので、輸入量につきましても、即座に大きな期待は持てないのが現状ではなかろうかというふうに考えます。したがって、われわれは今後の方向としまして、いずれにいたしましても加工製材品で出したいという意向が非常に強いわけでございますので、今後都市、港湾、工場等の関係もございますので、丸太というものを原則とはいたしますけれども、逐次製材の増加というような形において今後は対処してまいりたいと存ずる次第でございます。
  89. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、いまお話がありましたんですが、わが国の木材輸入は南洋材とか北洋材あるいは米材、大体これが九割を占めているだろう。ところが、いまお話がありましたように、フィリピン等のラワン材については、マルコス現大統領が就任いたしまして丸太の輸出を制限しようとしておる、そういうような動きも強まっているということも報道されておりますし、また米材についてはいまお話がありましたように、丸太を加工して一種の製品化して輸出をしていきたいということを私も聞いておりますが、ここで輸入課徴金等を課せられた場合にこれはどういうふうになっていくだろうか。合板の輸出にはそれは大きな打撃を受けるんじゃないか、こういうふうにも考えてこなければなりませんし、そういうふうな点につきましてもどんなお考えか伺っておきたいと思いますし、それからさらにまた米国とは大体民間の企業同士が取引いたします。で、わりあいに何だかんだといってやられるわけですが、ソ連との交渉ということになりますと、窓口はソ連のほうは公団の窓口が一本になってしまっておる。そういたしますと、日本のほうの商社となりますと、個々別々に取引をするということになる。で、ソ連材の輸入というものは相当価格がつり上げられて、日本の内部の様子を見ていきながらつり上げられてくるということも聞いておりますし、なかなかソ連のほうは商売がおじょうずだという話も聞いております。この間も二割上げました。その二割上げた木材の価格、——日本人なんかの場合じゃ高く値を上げたんだから一ぺんに品物を出すという考え方をしますが、ソ連のほうの人の考え方というのは値を上げて一ぺんに出さない、さらにその品物をとめてしまう。そしてさらにやいやい言われてからゆうゆうと出して、二割上げた分を受け取るというような商売が非常にじょうずだというようなこともある報道によって私は聞いたことがありますが、ともかくもそういうふうな現況から見まして、先ほど申し上げました米国に対する課徴金との考え方、それからソ連に対する取引のあり方とその価格の問題とどういうふうにしてソ連の輸入材を考えていかれるか、こういう点についてもお伺いをいたします。
  90. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 二つの問題ございまして、一つは合板の輸出の問題でございます。  御承知のように南洋材を加工して合板として輸出する、北海材の広葉樹を加工して輸出するというのがいま日本の輸出の大半でございます。そこで、先ほどの課徴金の問題がございましたが、これは合板という問題よりも全般の問題でございますので、私は合板についての一つ問題点だけを御説明申し上げたいと思います。  合板につきましては、いわゆる特恵問題というのが実はあるわけでございます。これは朝鮮、台湾、フィリピン、そこのいわゆる後進国に対する特恵の供与があるわけでございます。しかし、現在はアメリカに輸出しておりますのは台湾、朝鮮、フィリピン、日本とこの四つの国が主として合板として輸出しておるわけでございます。その中で前は日本がほとんど大部分でございましたが、後進国のその三国が輸出の趨勢が非常に増加いたしまして、日本のシェアがずっと小さくなってきているのが現状でございます。したがいまして、日本の合板工場と相手の合板工場とを試みに比較いたしましたところ、むしろ相手の後進国の設備、能力のほうが日本よりも優位であるという姿がございました。したがいまして、特恵の問題につきまして日本よりむしろ優位の問題については特恵という問題について若干検討をしてもらえないだろうかというのがいま打ち合わせているさなかでございます。合板輸出の問題はそこに問題があるようでございます。  なおソ連材の問題につきましては、先ほど御指摘のとおり、相手が政府でございまして、こちらは商社がそれぞれ競争の中でやっているわけでございます。したがいまして、御指摘のように、あるいは競争というその姿の中において値をつり上げるという結果になっているのかどうか、その辺つまびらかにお答えもできないわけでございますけれども、結果的には確かに去年と比較いたしますと二割高い値段で契約をしているということであります。したがいまして、これに対して政府としてどうあるかという問題だろうと思いますが、現状といたしましては、業界との連絡において、価格安定というのが外材輸入一つの要点でもあるのだからぜひ自粛していただきたいということを協議会等で打ち合わせはいたしている次第であります。またそのような指導はいたしているわけであります。現状といたしましては御指摘のとおりでございまして、今後ともそういう点については十分指導、検討していきたいと思う次第であります。
  91. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大体私の調べましたところでは、ソ連との貿易関係は四億五千万ドル、木材輸入関係が一億二千万ドル——大体木材だけにしぼりましても一億二千万ドルぐらいの貿易額があるわけです。これがまたシベリアの森林開発、この問題にからんでまたいろいろふくそうしてくることが予想されると思います。このシベリア森林開発問題等についてのお話を承わっておきたいと思います。
  92. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) この問題はまだ私ども政府との間で具体的なところまではいっていないので、民間で使節団等が事前の調査等に出ておる段階でございます。  それからいまの課徴金の問題につきましては、政府といたしましてはこれはどうしてもやめてもらいたい。御存じのように財界から使節団が参りまして、また場合によりましては政府から特使を送ろうということまで用意をいたしておりましたが、いまのところEECのほうのいわゆるケネディラウンドの繰り上げ実施等の条件でだいぶ出かかってきたものでございますから、課徴金に対しましては私はやや心配が薄らいできておるという段階でございます。  特恵のほうは御承知のとおり、インドにおけるUNCTADの会議におきまして抽象的な将来に向かってのそういう話し合いが原則的には進んでおるわけでありますが、具体的適用ということになりますと、特に合板等は相手先の抵開発国のほうが日本の国よりも進んでおるのでございます。したがいまして、そういう具体的適用の場合には、でき得ればそういうおくれた日本の合板に対しては例外措置をとってもらいたい。同時に日本のほうもそれにあわせまして、それらを見通して合板産業近代化、体質の強化等もこれは責任を持って指導していかなければならないというふうに思います。
  93. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどソ連から来る港の関係ということを長官からお話を伺いましたが外材輸入増加に対して臨港地域が設けられて大体七十港ぐらいだと言われております。実質的には百港くらいが開放されて、どんどん輸入材が入っているという現況だということなんですが、ある県なんかは山の県で海がないために、海の県のところに土地を手に入れて、そしてそれを臨港地のような形にして安い外材を自分の県の中に持っていこうというような動きもあるというふうに聞いておりますが、この点どうなんでしょうか。
  94. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 外材は、大体都市合板工場が中心になるわけでございますので、場所によっては、先ほど御指摘の、山のほうの製材工場であっても注文される材木が内地材と込みで外材要求されるという実態もあるようでございます。したがいまして、そということのために若干の外材を山の中まで引っ張っていって、そこでひいているというのが実態でございます。したがいまして、それを安定的に確保するというような意味で、たとえば茨城県におきまして日立港ですか、そういうところで外材を入れる。それは栃木県も含めてその対象にしたいというような考えがあるということを聞いております。
  95. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これはいろいろ堀り下げてみますと、問題が幾らでも出てくるわけです。輸送等の関係、流通機構等の関係問題点がずいぶんあるわけです。これは時間がありませんので、後日またいろいろな点からお話し合いをしてみたいと思いますが、いずれにいたしましても、そういうふうな外材がどんどん入ってくる。それに対する今度は大型の製材工場等が考えられてくる。その一面には、御存じのように、製材工場といえばもう、白書には指摘されてありますように、小さな動力を持っている、機械を持っているところはどんどんつぶれていくというような形であるし、そこに働いている従業員なんというのはもうほんとうの最低賃金で働いているわけです。技術者でありながら、十年、十五年の製材の技術を持っていながらも二万数千円の賃金しか得ていないで働いているという、そういう実情のところが倒れていきながら、一面、今度はそういう臨港に接している工業地帯の大製材工場、大型の製材工場等が増設されてきている。こういう一つの行き方を考えてみましても、国内における需給というものをバランスのとれるようにしていけば、そういう倒産等の問題もこれは解決できるのじゃないかと、私はそう思うのであります。  そこで、問題を前に戻しまして、先ほど長官からお話ございましたチップでございますけれども、チップが日本にくる時代になった、こうおっしゃいますが、私はそこで心配することがあるのです。大体ソ連との話し合いでチップを引き受ける約束をしたということを聞いているわけですが、この点どうなんでございましょう。
  96. 片山正英

    政府委員(片山正英君) ただいま御指摘の、ソ連側からの希望はあったようでございますが、その話は全然進んでおらないのがいまの現状でございます。
  97. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 農林大臣、私の調べたところでは、一九七〇年に百万立方メート、それから一九七五年には百五十万立方メートルのチップを業界が一括して引き受ける約束をしたような話を聞いておるわけです。そういたしますと、このチップを譲ったということは、即チップ−パルプ−紙の移行が当然考えられるわけです。そうなりますと、日本の将来の点につきまして、これは大きな問題になってくるのじゃないか、こう考えるのです。そういう将来に大きな問題を残していくようになってくるのじゃないかということを私は懸念していまお伺いしたわけですが、この点どうなんでしょうか。
  98. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) ただいまのところ政府としてはソ連側からそういう業界に対して要望があったという段階でございます。もちろんおっしゃるように、われわれとしては林業の、あるいは林産の担当者として関心は十分持ってそういうものに対してどういうふうになっていくかはよく気をつけてまいりたいと思いますが、要望があったというだけでございます。
  99. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまの問題は日本の将来のことにつきましても大きく響いてまいりますし、これがやはりソ連でなくてほかのところでもやはりそういうふうな考え方があるようでは、日本産業開発という面からいきましても、日本の林野の全体の問題におきましても大きな禍根を残すようになるのじゃないかという心配をするあまり私は申し上げたわけです。その点はいま大臣がおっしゃられたように十分に心得ていかなければならないのじゃないかと、私もこう思います。  で、いま時間の催促がありまして、あともう少しでやめてくれというようなことで残念なんですが、今回の森林計画制度について、林業基本法の第十条第一項にある、基本計画及び長期見通しに立って大臣が全国森林計画をつくり、都道府県知事がこれを受けて地域森林計画をつくって、それに基づいて各森林所有者が自分で所有しておる全部の森林について施行計画を策定して知事の認定を受けるということになっておる。四十二年の七月十九日に衆議院の委員会において、このように制度化がなされた場合には「相当な森林所有者というものが申請に応じてくる。」と長官は言っておられます。その数といいますか、どれぐらい応じられてくるか、その所見を伺っておきたいと思います。
  100. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 要約して申し上げますと、五年後においては民有林面積の約三九%、十年後におきまして六四%程度は達成できるのではないかというように思っております。
  101. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がありませんのでぽつんぽつんと次から次へと伺っていきます。  新たに地域森林計画というものに即して森林所有者が施行をやるわけですが、大森所有者がみずから進んで計画に参加すると思うのです。御存じのように九割は零細の所有者である。そういう人たちが、じゃこれに快く応じてくるかということを私は心配するわけですが、この点どうでしょうか。
  102. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 確かに小さな所有者が自分の山について計画を立てるというのはなかなか困難な実態であろうかと思います。そこでわれわれは三つの方針をもとにしてこれを援助し推進してまいりたいと思っております。  第一点は、都道府県に普及員というのがございます。その普及員の活動をしやすくするための措置をとりながら、その普及員を通して十分指導してまいりたい、これが第一点でございます。  それから第二点は、森林組合がございます。その森林組合が代行してこれをやってやるということを公的に森林組合の事業の一つとして織り込むわけでございます。  それから第三点につきましては、共同してこれをやっていくわけでございますから、共同していく人たちの調整と申しますか、理解と申しますかそういうもの、並びに計画の援助というような形でコンサルタント——予算で申しますと共同森林施業計画ということで経費を見込んでございます。  以上のような三つの方法でこれを指導して、なるべく理解して協力していただくという方向で進みたいと、こう思っております。
  103. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 三本の柱でおやりになりますその第一点におっしゃられた普及員の問題ですが、これはもう人的にもまた技術的にも相当不足していると思うんです。まずそこから考えなきゃならないんじゃないかと、こう思うわけであります。  それからもう一つは、かりに所有者が認定の申請をします。そしてその申請をしない者もある。それから申請をしてその計画の中に入っていったところが途中で売らなきゃならなくなってしまったというようなことになりまして、自分の、私なら私の所有しているところが他の県にまたがっているとかあるいは同じ県だけれども飛び離れたところに自分の所有地がある、こうした場合に総合的な計画の面から、どういうふうな将来に対する総合計画を立てていかれるのか、こという点についても伺っておきたいと思います。
  104. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 原則を申し上げますと、二県以上にまたがっておる場合におきましては農林大臣がこれを調整することにいたしております。県内でございますれば県知事の認可ということが原則でございます。なおまた、そのようにまたがった所有者というのは非常に限られた方でございますので、事務的にはそう問題ではないと、こう思っております。  なお普及員の問題につきましては、現在SP、AG合わせまして三千百名ほどおるわけでございますが、この人たちに対してはいわゆる機動力というものを持たせながらこれを運営してまいるという方向指導してまいりたいというふうに思います。
  105. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その機動力の問題も普及員の問題もこまかく分析したものを持っております。それで一々この問題をあげてやりますと時間がございませんので、私の知っていることを申しますと、機械力も足りませんし、普及員も不足しておりますし、これからの事業を完遂していくのにはとうてい十分じゃございません。そのことだけ私は申し上げておきたいと思います。  それからもう一点だけ伺っておきたいと思うんですが、これも経団連で長官がおっしゃったということなんですが、今後の国有林にはあまり期待ができないと、こというふうなことを言われたということが報道されているんですね。どうでしょう。
  106. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 私の御説明があるいは足りなかったかと思いますが、国有林は過去五年ぐらい前と比較いたしますと、非常に増伐をしておるわけでございます。過去三十五年当時におきましては国内生産材の約二割ちょっとを国有林生産しておったわけでございますが、現在におきましては増伐を重ね国内生産材の約三割に当たっておるわけでございます。したがいまして、これ以上増伐ということはなかなか困難でございます、しかし将来を期待して生産はいたしますと、こういう表現をして、いままでのような増加傾向というものはなかなかとれないのだということを申し上げたのがおそらくお耳に入ったのじゃないか、かように思う次第でございます。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 民有林が十年前に比べると七百万立方メーターも減っております。こういう理由等からいまのお話等も掘り下げていきたい予定だったのですが、これは省略いたします。  で、最後に私の申し上げたいことは、いま山林の労務者もほとんど町に住んでおりまして、そして現場に出勤するわけであります。それには、自動車に乗っていくような時代にだんだん、だんだんと企業環境というものが変わってきております。勢い省力林業というものもこれは変化が伴ってくるのは当然であります。こういうこれから将来に向かってますます企業環境とかあるいは省力林業というものが変化を伴ってくる。その伴ってくることに即応した、その山ですぐ機械が使えるような林道開発等も当然これは考えなければなりませんし、こういう企業環境、省力林業というものが、その実の面の上に立ってから日本林業に大きく期待のできるような私は予算措置をされて、そして研究調査機関等も充実されてやっていかれんことを希望しまして、私の質問を終わります。大臣から……。
  108. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) その点はよく心してやってまいります。
  109. 中村波男

    ○中村波男君 一昨日の当委員会で鶴園委員から、また本日の委員会川村委員から、森林施業計画認定制度の性格をどう位置づけるかという問題につきましていろいろ質問があったのでありますが、残念ながら私の疑問を解きほぐすほどの御答弁がいただけませんでしたので、若干見解をただしたいと思うのであります。  いまさら私が申し上げますまでもなく、森林がいかなる機能を持っておるかということにつきましては、林業の分野においてすでに定説のようなものがあるというふうに思うのであります。すなわち、土砂の流出防止、崩壊防止、防風、防砂、防石、水源涵養等の国土保全、国土保安的機能がその第一であります。第二は最近の都市化傾向に伴いまして特にその効用が再確認されるようになった観光、レクリエーション、保健、休養等のいわゆる厚生的機能であります。その第三番目は林産物産出といういわゆる経済的機能であろうと思うのであります。私はこれらの森林が持っていますところの三つの機能は時代の進展とともにますます重要になってくると考えるのでありまして、そのいずれの機能もゆるがせにすべきでないと思うのであります。  すなわち林政に二つの系列がある。その一つ森林法に代表される資源政策の系列である、他の一つ林業基本法に代表される経済政策の系列であると思うのであります。このように林業政策の系列を二つに分けて考えてみますときに、私は非常に大きな疑問を持つのでありますが、一体、森林はだれかが所有し、だれかが経営しているものでありまして、山を見て人を見ない——鶴園委員もしきりにその点を指摘されておったのでありますが、山を見て人を見ない政策が資源政策であり、人を対象とした政策が経済政策であるといった考えは、もはや時代おくれではないかと思うのであります。林業のように生産に非常に長い期間を要する産業におきましては、その政策が資源政策と俗に言われるような形になるのはやむを得ないと私も考えますものの、従来の資源政策があまりにも人の問題を考えなかったところに問題があると思うのであります。したがいまして、今後の林政は人の問題も十分考慮に入れた資源政策をとるべきでないかと私は考えるのであります。  そこで、まず大臣にお伺いをしたいのは、森林法を頂天とするいわゆる公益的な立場からする資源政策と、林業基本法を頂天とする私経済的な意味の林業の振興をはかろうとする経済政策との関係を、大臣はどう認識しておられるのか、その見解をまず伺いたいのであります。このことが明らかにならなければ、今回の森林法一部改正という問題の焦点というものは私はきまらないというふうに考えますので、基本的にひとつこの問題をお尋ねし、次の質問に移りたいと思うのであります。
  110. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 基本の問題でございますから私からお答えをいたしまして、後にまた御質問に足りない点もあるかもしれませんのでお答えいたさせます。  森林法は、森林の保続培養、森林生産力の増進等を目的とするものであります。したがって、森林について公共的、公益的な要請にこたえるために森林所有者が守っていかなければならない公的制約を主とした内容としております。これに対しまして、林業基本法は、林業生産、構造、流通等、経済面において国が行なおうとしている施策の基本的なあり方を宣明したものだと考えております。このように、林業基本法と森林法は、一面において、林業林業の行なわれる森林とを並列的にそれらの領域としておりますけれども、他面、森林組合制度林業普及制度等に関する規定の面から見ますると、この森林法は宣言法でございます森林基本法の実施法としての性格も含有している。こういったように両者を関連した分と、公益的な面と経済的な面と、両面をまた関連させつつ、両者がそれぞれの趣旨をもって森林法林業基本法が存在している、こういうふうに解釈しているのでございます。
  111. 中村波男

    ○中村波男君 ただいま私は森林に三つの機能があるということを申し上げたのでありますが、このうちの国土保安的機能と、保健、休養的機能とは、いずれも森林が存在することによって達成される機能であります。最後に指摘した経済的機能は、森林を伐採することによって達成される機能であります。これらの機能を保全並びに開発の二、つに集約できると私は考えるのであります。  ところで、森林法の最も中心的な制度となっておりますすなわち第二章の営林監督制度、これは外国ではフォレスト・コントロールと言い、現行法でいいますと森林計画制度であるわけでありますが、この営林監督制度を、保全と開発という二つの視点から眺めてみましたときに、どうもだんだん制度的に分離していくのではないかと私は考えるのであります。戦前のことはさておきまして、戦後の森林計画制度の変遷だけを見てまいりましても、当初は針葉樹、濶葉樹を問わず適正伐期齢級以下の森林に伐採許可制度があったのであります。三十二年の改正で針葉樹だけとなり、三十七年の改正では針葉樹の伐採許可制を廃止して逆に保安林の制度を強化されてきたのであります。森林に対する保全政策と開発政策とが次第に分化する傾向にあるような感じが強いのでありますが、いかがでしょうか。このこと自体のよしあしは別にいたしまして、国内林業生産停滞をして、ここ二日間にわたる委員会にも各質問者から指摘があったのでありますが、外材輸入増大しておる。これを是正するために施業計画認定制度が必要であるということになりますと、このような意味では今回の改正案は開発政策の強化という意味を持ってくると思うのであります、  しかし、さきにも指摘しましたように、森林の持つ国土保安、保健、休養といった経済外的な機能は、最近の顕著な都市化の傾向から見まして、従来よりはるかに重要性を増していると考えるのでありまして、たとえば大都市や工業地帯における大気汚染の問題や最近のレジャーブームの現象は、国立公園や都市行政だけにまかしておけないものを含んでおると私は考えるのであります。すなわち、施業計画認定制度におきましても、森林の開発という面だけではなく、保全という面も考えた政策でなければならぬと思うのであります。言いかえますならば、造林、伐採等にある程度強制力を持たせまして、そのかわりその裏づけとして、もっと手厚い援助をするといった考え方をとる必要があると思うのでありますが、残念ながら森林法の一部改正の中にはそのような政策はまことに弱いと私は思うのであります。  根本的にいいまして、森林の経済外的な機能の重要性を考えますならば、経済外的機能は私経済の面からペイできないものでありますから、特別の助成が必要であり、そのような姿勢林政の中にあるべきであると思うのであります。この点大臣は、いま申し上げますように、両面を持っておるとおっしゃいまするけれども、その両面を具体的に政策として実効をあげますためには、いま私が指摘をしたような予算的裏づけが必要であり、政策的にまた法律的にこれを確立する必要があると思うのでありますが、どのようにお考えでございます。
  112. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 農林大臣のお答えする前に私から若干御説明をしたいと思います。  ただいま御指摘のように、森林の公共性という問題で三つあるのじゃないかというお話でございます。御承知のように、森林と申しますものは、公共におきましては保安林制度という制度を持っております。それから厚生省所管ではございますが、自然公園法という中で森林が規制をされておるわけでございます。これは国民全般の問題でございますので、そのような規制があるわけでございます。しかし、ただいま御指摘のございましたそれぞれの所有者のあり方でございますが、所有者のあり方といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたので重複するようでございますが、従来山をただ保持しておる、あるいは恣意的に切る、あるいは無計画に行なう、こういうこと自身が森林を健全に持っていく姿ではないということから、それを地域森林計画によって未開の中で調和して調整していこうということでございますので、これはとりもなおさず基本計画に即するものだというふうに思っておるわけでございます。ただ、そういう形の中で推進する場合に、何か手厚いものがないと困るじゃないかということにつきましては御指摘のとおりでございまして、われわれも造林につきましては造林補助金、あるいは低利の融資、あるいは林道につきましてもそれの補助金あるいはそれに対する低利の融資、かつまた構造改善といたしましては林業構造改善、それから他省の所管ではございますが、山村振興に基づく施策等によりまして、これらが健全な発展をするように、発達をするように努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  113. 中村波男

    ○中村波男君 具体的な内容あとから一つ一つお尋ねをしてまいりたいと思うのでありますが、次に若干違った観点から質問をいたしてみたいと思うのであります。  昔から言われておりますように、林業の収益性が非常に悪いという点に関してでありますが、確かに現在の時価で造林費や立木代金を測定し、その間どの程度の収益があるかを見てみますと、これはひとつ林野庁の専門的な立場で具体的にお示しをいただきたいと思うのでありますが、特にこの問題の提案説明の中でも、木材が急速に大幅な値上がりをしたということが重視されておりますが、この値上がりをした現在の価格、これから採算を計算いたしましても、はたして四十年、五十年後どうなるかわかりませんが、現在の価格を経済成長率に伸ばしまして計算をしてどのようになるかという、こういうものが明らかにされておりませんが、でき得るならば明らかにしてもらいたいと思うのであります。私の計算では、投下資本に対しまして、杉でせいぜい五%前後ではないかというふうに見ておるのであります。しかし、毎年切れる山があるような、いわゆる法正状態の山を持っておれば、かなりの収入が期待できますが、いろいろ指摘されておりますように、人工林率化が低いという現状考えてみますならば、農業よりはるかに安定した収入があるとは考えられないのであります。ところで、零細所有者の場合や、法正状態ではない、たとえば薪炭林しか持っておらないという人、これを法正状態に持っていきますには何十年もの期間が必要なのでありますが、毎年相当の林業収入を期待できる人は、その家計が安定すればよいわけでありますから、いわゆる切り惜しみの傾向というものが、木材が上がれば上がるほど強く出てくるのではないかと思うのでございます。ここに問題がございます。今日ではこのような形が労働需要の逼迫等によりまして非常にゆすぶられているわけでありまして、山林所有者がせっかく努力してりっぱな森林経営を確立したといたしましても、その結果は地主的林業といわれるような形にしかなり得ないことは、私は、非常に大きな問題があると考えるのであります。地主的林業というのは普通の企業と違って、家計がそれなりに安定すれば、あえてそれ以上の収入を求めない、むしろ山林の形で財産を保全することを好む傾向が、いま指摘いたしましたように、強いのであります。わが国林業に資本が進出しないのはこのような地主的林業が根を張っているからではないかというふうに私は考えておるのであります。  したがいまして、わが国林業のこのような体制的な問題を不問にいたしまして解明をいたさずして森林施業計画、認定制度を設けるだけでは、長官がさっき指摘されましたように、計画としては五年後に三九%、十年後には六四%、計画はできるかもしれませんが、またこの計画も容易ではないと思いますが、その計画どおり実行が可能であるかどうかということにつきましては、私は残念ながら今回の改正案の内容を見まして大きな期待を持つものではないのであります。この問題は結局は土地国有論につながる問題であります。いわゆる山林の社会化という問題からとらえなければならないと思うのでありますが、これはもちろん政策的に基本的に考えが違うのでありますから、そのような視点から議論をいたそうといたすものではございません。しかしながら、今日都市は現に地価問題という形で大きな問題となっておりますし、林業面でも労働需要の逼迫等の問題がこの体制的な問題を克服する契機になっていると私は考えるのであります。この問題に対しまして大臣はどんな見解を持っておられるのか所見をひとつ伺っておきたいと思うのであります。
  114. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 今回出しました施業計画、いわゆる地域森林計画に即応して出す、しかもそれを森林所有者に自主的に自発的に出してもらう、しかもそれができなければ、日本林業は御存じのとおりきわめて零細なのが多い、そこでそれは値上がりを待ってか財産保全的な形、性格が多分にある、それをしかし林業経営というふうなことに近づけるには施業計画を持つ、その施業計画というものも零細なものだけでやるわけにはいかないから、そこで協業的なものを入れながら今回自主的な面で計画を持たせて、の中で少しでも体質改善をやったらどうだ、それが今回制度改定のねらいだと私は思っておるのでありまして、これによって全然効果がないというよりはそれだけの私は長い目で見て森林政策の、林政に対する前進である、このように考えております。
  115. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 大臣の御説明に尽きるわけでございますけれども、若干ふえんいたしたいと思います。  先ほど林業というものが成り立つのが五分くらいじゃないかというようなお話でございました。地域的にあるいは立地的に非常に場所によって林業というのは非常に違うわけでございますが、大づかみするとやはりそのような程度のものじゃないだろうかというふうに私も思うわけでございます。ただ、先生のおっしゃいました森林所有者がいたずらに長くなれば値が上がるからただ保持していくのじゃないだろうかというお話でございます。確かにそういう面があるかもしれません。そこで、われわれとしましては適正な伐期というものを指導の中でやってまいりたい。と申しますのは、木材の生長、木の生長の姿がカーブを描く一つの頂点がございます。そういう材積、を多くする、利益の多く上がるというところの伐期を一つのねらいといたしまして指導しながら計画を立てさせて達成してまいりたいというふうなことによって所得そのものを決してマイナスにならないという方向に理解を持たすように指導してまいりたいというふうに思うわけでございます。
  116. 中村波男

    ○中村波男君 まず、切り惜しみの問題について具体的に尋ねてみたいと思うのでありますが、委員会に御提出をいただきました資料によりますと、いわゆる四十一年から六十年生、六十一年生以上、これは過熟林がほとんど含まれるものではないかというふうに思うのでありますが、これの蓄積数量というのが十一億九千四百三十八万七千立米ではないかと私は計算をいたしたわけでありますが、蓄積総量が十八億九千万立米でありますから、四十年生以上のいわゆる適正伐期齢級がほとんどと思われるのでありますが六三%を占めております。したがって、こういう点から言いまして、これだけ材木が高くなったのでありますから、もっと伐採量というのがふえてもいいんではないかと思うのでございまするけれども、これはまた資料によりましても、四十一年度はわずかふえておりまするけれども、三十五、六年に比べればほとんどふえておらないばかりか、減っておるのであります。植林も同じことが言えるのであります。このことをまずどう分析するかということであります。  それから、なるほど計画としてはよろしいのでありますが、かつて戦争中いわゆる強制的な面が強く出された時期があったのでありまするけれども、そういうやり方はあまり成果があがらなかったから、今度は任意的に、民主的にこれを運営するという長官の説明でありますが、計画を立てて、そのとおり実行しなかった、伐期がきたが切らなかったというときに、お切りくださいということで木が出てくるのかどうかということを考えますと、やはり私は山の持つ固有の二つの側面から見て、ある程度の規制というものが法律的に考えられなければならないのではないかと思うのであります。なるほど山林は四十年五十年の投資であるから、なかなかペイしないからというので五分五乗方式という租税特例措置がとられ、また今回の一部改正によりまして税制的な優遇の道を与えておりますが、それだけに今度ははっきりと材積が表向きになるのでありますから、したがって税務署等の今度は徴税をする場合には、それがもとになるという、そういう木を切る側には不安があると思うのであります。したがって、任意的、自主的ということは望ましいのでありますが、山の持つ本来の目的からいいまして、そのような考え方だけで十分な成果があがるかどうか、その点についてひとつ御見解を承っておきたいと思うのであります。
  117. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 二つの問題であるようでございます。  第一点の伐期に達した木があるのになぜ切らぬのだ、こういうお話でございます。全国統計でございますので、各地各地の実情で非常に違うわけでございますが、概括的に申し上げられますことは、なお三〇%余の未開発林があるという現況でございます。したがって、それの開発と相まってこれが開発されていくということでございます。そこで、その中の一つとして、人工林はそれじゃそういうことはないじゃないかということの御疑問があろうと思いますが、人工林につきましても、従来いかだ流しとか、流送で頼ったものが、ダムその他で出てこない形に相なっているのが現況でございます。したがいまして、林道という問題を通してのみ今後の木材生産というものが行なわれますために、やはりそういう実情があるわけでございます。  それから、強制的な伐採をしないと所定の目的を達しないのじゃないかというお話があったわけでございますが、なるほど強制的に行なえばそのとおりになろうかと思いますけれども、やはり現況の社会、経済の情勢では、あくまで理解をしていただいて、そうしてこれを実行していく。そのためには、画一的なものじゃなしに、森林に合った姿の指導をいたしまして、そうしてそれぞれが目的を達するような形で善導してまいりたいというのが、われわれの方針であり、念願でございます。
  118. 中村波男

    ○中村波男君 私も申し上げたように、民主的に任意的に、法案の改正がねらう成果があがるならば、決して強制的な方法を現在制度の中につくりなさいなどと申し上げるつもりはありませんけれども、実際問題、国土保全という一つの目的、あるいは輸入増大して木材が遍迫してきたという現状と将来を見通しますならば、夢のような、気の遠くなるような、五十年後には九〇%達せられるという計画しかし国土の六割八分を占めている、六八%を持つわが国において、このような現状を一日も早く克服するという、こういう立場から、やむを得ざる措置として考えなければならないのではないかというふうに思われるのであります。  したがって、その方法としていろいろありますが、地方議会等からの意見の中には、いわゆる県の条例等で、適期が来ても切らないものについては、逆にいわゆる課税をするというような道を開く。これは地方財源という立場だけではなしに、いわゆる材木の需要にこたえる伐採という立場からも、非常に有効な措置ではないかという意見がございますが、一つのこれは考え方でございます。何らかの規制をしなければ、私は実際には材木が上がれば上がるほど伐採量がそれに比例してふえないということを考えているのでありますが、そういう点にについては心配ないという断定ができるならば別といたしまして、私の考えについて御意見をもう一度お聞かせいただきたいと思うわけであります。
  119. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 林業経営あるいは木材生産、これはとりもなおさず総合した林業政策の中ではじめて達成されると私は思います。その総合的な政策を発揮する上においても、計画的な施業というものの計画を立てていただくというのが、その大きな柱になろうかと思います。したがって、計画だけでこれがすべて達成されるというふうには思いませんけれども、それを母体といたしまして、総合的施策に結びつきましてこれを達成していくという方向で進めたい、このように申し上げるわけであります。
  120. 中村波男

    ○中村波男君 次は施業計画実行確保でありますが、長官はかなり自信をお持ちになっているようでありますが、なるほど計画は出した。計画を出すということの、作業といいますか、内容を見ますと、これはたいへんだと思いますので、これに対する財政的な助成あるいは首長その他に対する指導ということについては格段の御配慮をいただかないとなかなかうまくいかないのではないかと思いますが、それはさておきまして、計画は出したけれども実行はしない。それをチェックする方法というものは、もちろん法律の中にはありませんし、全く手だてがないのではないかというふうに思われます。そういう意味において伐採の面では私の意見を申し上げましたが、植林の面でも同じことが言えるのであります。  そこで私は、こういうことは考えられないかということを提案して、御意見をお聞きしたいと思うのであります。計画どおり実行しない人、あるいは財産地主で粗放経営をしておる人、こういう人につきましては、いわゆる従来ありました官行造林制度復活いたしまして、あるいは県で行なっております公社造林を活用してもよろしいと思うのでありますが、そういういわゆる公的な立場で木を植える——本人が植えない場合には木を植えると、どちらを選びますかという、こういう措置を確立することがあらゆる観点から必要であり、またそれをやれば相当実効があがると思うのであります。それには財政的な裏づけがなければできないのでありまして、この点については相当腹をきめていただかなければできないことではありまするけれども、それをやらなければ私は造林率を高めていくというこの計画というのはなかなかできないのではないかというふうに考えておるのでありますが、したがって官行造林制度は、入会林野近代化法の可決をいたしますときに衆議院で附帯決議がついておるところでありますが、こういう点について大臣としてはどのようにお考えになっておるか。
  121. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 造林事業に対しまして、簡単に率直に申しますればもっと力を入れて官行造林復活したらどうかという御意見のようでございます。で、政府といたしましても国庫補助、国庫融資、こういうような方法によりまして、これをできるだけ拡充して造林事業を推進してまいる、これはもう当然のことで、これからもやってまいりたいと思うのであります。先ほど長官からも申し上げましたように、今回の施業案方式を制度化しただけで林業の振興ということにはなりません。他のいろんな施策をあわせてやって初めてこれらがなることであります。ただ、官行造林の問題につきまして、御存じのとおり、現在森林開発公団、これに引き継いでやってもらっておりまして、これが水源涵養のための保安林等のために必要が強い森林について優先的にやっている。これを将来どの程度広げるか、これを広く使ってみたらどうだという御意見だと思うのでありますが、今後の問題として慎重に検討してみたいと存じます。
  122. 中村波男

    ○中村波男君 いま大臣から造林についてのお考えをお聞きしたわけでありますが、保安林の整備、買い入れ計画というのをお立てになっておりまして、その計画によると、十カ年間に、すなわち三十九年から四十八年度までに二十五万ヘクタール国が保安林を買うということになっておりますが、その実績を御報告いただきたいと思います。
  123. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 保安林は保安林整備臨時措置法に基づきまして十カ年延長になったわけでございます。したがいまして、三十九年から以降十カ年ということで二十五万町歩買う計画でありますが、現在までのところは約三万町歩が保安林として買い入れております。
  124. 中村波男

    ○中村波男君 私がいただきました資料によりますと、買い入れば二万七千六百八十ヘクタール、交換をしたものが三千三百十五ヘクタール、合わせて三万九百九十五ヘクタールになっておりまして、十カ年間に二十五万ヘクタール、これを単年度二万五千ヘクタールということにいたしますと、進度率は三〇%程度ではないかというふうに思うのであります。また予算につきましても相当残しておる。もちろんもともと予算が十カ年間に二十五万町歩買い入れるという裏づけのない、少ない金額が各年ごとに組まれておりますけれども、その少ない予算が相当残されておる。私の計算によりますと、四年間に二億四千九百三十万円残されておる。その実績としてはいま御報告がございましたように、四年間に二万五千ヘクタールずつ買うとすれば十万ヘクタールでありますが、三万ヘクタールしか買われておらない。計画はりっぱなんでありますが、予算の裏づけもなければ、そのわずかな予算をまた残しておるというこのことはどういう事情にあったのか、まずそのことをお聞きしたいのであります。
  125. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 御指摘のように、予算は大体毎年五、六億ずつ組んでおるわけでございますけれども、若干下回った実績になっております。これは具体的に山と山との折衝をいたす場合に、売り手と私のほうの買い手との関係で、単価の面で必ずしも一致しないという場合がままあるわけでございます。そのような観点で若干計画と食い違った率だという実態はそのまま認めざるを得ないと思います。ただ、今後の方向といたしましては、やはり極力そういう問題を解決しながら増加してまいりたいということから、来年度予算におきましては、八億二千八百万というものを組みまして、従来の、去年と比較しますと約四〇%増しの予算を組みまして、そのような方向で努力してまいりたいというつもりでおります。
  126. 中村波男

    ○中村波男君 今後努力するということでございますが、昨年特に都市の中小河川等のはんらんで、新潟と九州に大被害が起きたわけですが、こういう面からも国みずからが保安林を確保する、また一方では植林にさらに予算的にも裏づけをいたしまして、進度率を高めていく。時間もありませんから具体的な内容についてお聞きいたしませんけれども、かけ声はりっぱなんでありますが、たとえて申し上げますと、植林補助の労賃の単価は、私の調べたのが間違っておれば御訂正をいただきたいのでありますが、八百円である。山林労務者の賃金というのは、他の製造工場等との賃金に比べて低いのでありまするけれども、それでも千二、三百円になっておるのでありますが、こういう全く五割も安いような単価で、植林補助を出すと言いましても、それは結局実質的には補助の切り下げであり、事業量の縮減につながっていくのでありまして、したがって、計画林道でも計画としてはありまするけれども、進度率は五二%だという、こういう現状から見まして、これはひとつ大臣も政策と計画と予算とを一致させるような最善の努力をお願いしたいというふうに思うのであります。  さっき森林公団等による植林を進めていきたい、こういうお話がありましたが、現行法によるならば、森林公団は保安林の植林をやっておるのでありまして、一般的な植林というのは森林公団のいわゆる仕事外にあるわけでありますから、そういう面からも官行造林復活という国会の決議もあるのでありますから、前向きでひとつ検討をいただきまして、今日の荒廃した日本の国土を守り、枯渇しつつある森林資源を確保するという立場に立って最善のひとつ努力をお願いいたしまして、いろいろまあ質問申し上げたいことたくさんありますが、時間の都合で本日はこれで質問を終わりたいと思います。     —————————————
  127. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 委員の異動について報告いたします。  本日、鬼丸勝之君、園田清充君及び達田龍彦君が委員を辞任され、その補欠として大森久司君、内藤誉三郎君及び藤原道子君が選任されました。     —————————————
  128. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 農林大臣、いまの中村委員最後質問に対する答弁願います。
  129. 片山正英

    政府委員(片山正英君) ただいま先生の造林施策に対する方向、私もそのように思います。今後、その造林施策をはじめとする林業施策につきまして、基本的な検討とともにその推進に努力してまいりたいと考えております。
  130. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) ただいまお話がありました造林の推進でございます。これは私も趣旨におきまして全く同感でございます。ただ、やり方につきまして、十分、これは財政その他にも関連しますが、その趣旨の実現のほうに向かって私どもは努力していかなければならぬ、こう考えております。
  131. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  任田君から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、この際、本修正案を議題といたします。  任田君より修正案の趣旨説明を願います。
  133. 任田新治

    任田新治君 お手元に配付されております森林法の一部を改正する法律案の修正案について、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  法律案の附則第三項は、本法案施行後三十日以内に、「昭和四十二年四月一日をその期間の始期とする全国森林計画をたてなければならない。」こととなっておりますが、すでに昨年十月三十一日に現行法第四条の規定に基づいて、十年を期間とする同計画が立てられ、公表されております。したがいまして、本法案の施行後において同計画を十五年を期間とするものに変更し、これに伴い地域森林計画も変更するという整理を行なう必要がございます、本修正案は、それに対処するためのものでございまして、経過的なものであり、内容、実体上の変更はないものでございます。  以上が、修正案の趣旨でございます。御賛同をお願いいたします。
  134. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) それではただいまの修正案に対し、御質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑はないものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより森林法の一部を改正する法律案について、採決に入ります。  まず、任田君提出の修正案を問題に供します。任田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって任田君提出の修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  138. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって修正部分を除いた原案は、全会一致をもって可決せられました。  以上の結果、本案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  中村君から発言を求められておりますのでこれを許します。
  139. 中村波男

    ○中村波男君 ただいま可決されました森林法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同をお願いいたします。案文を朗読いたします。    森林法の一部を改正する法律案に対する附   帯決議(案)  政府は、林業をめぐる諸条件の著しい変動に対処して林業発展に資するため、本法による森林施業計画認定制度の適正円滑な実施をはかるとともに、左記事項の達成に努力すべきである。     記  一、森林の公益的経済的効用をはかるため、その利用区分を明確化し、総合的利用計画を樹立するよう努めること。  二、造林の積極的推進をはかるため、官行造林制度も含めて、現行造林推進施策の体系化をばかり、造林体制の整備充実を検討すること。  三、造林林道生産基盤の一そうの整備をは かり、林業経営近代化を進めて、森林所有者経営意欲を高揚し、林業経営の安定発展 に資すること。特に、林道については、従来の経緯にかんがみ、森林資源に関する基本計画に定める当該事業の確保のため、必要な法制的財政的措置を講ずることにつき検討すること。  四、林業労働力の不足が林業生産停滞の主因をなしている現状にかんがみ、早急に林業労働の特殊性に適合した抜本的制度を樹立するため、必要な法制的財政的措置を検討すること。  五、地域における木材需給の動向に即応した適切な需給調整を行なうことができるよう、関係者による地域需給協議会を設置する等適切な指導援助を行なうことにつき検討すること。  六、木材自給率を高め、秩序ある外材輸入をはかり、その需給の動向に即応して製材業等木材の関連産業及び流通機構の安定向上をはかるため、必要な措置を講ずること。  七、今後の林業政策推進上重要な役割りを担当すべき森林組合など林業団体の健全な発展をはかるため単独法の制定について検討を加えること。  八、最近の森林地帯における水害等の多発にかんがみ、森林による国土保全と資源開発との調整をはかり、治山事業を充実強化すること。  九、森林施業計画認定制度の円滑な運用をはかるため、森林組合に対する指導助成をはかり、また小規模森林所有者に対する措置に万全を期すること。   右決議する。  以上でございます。
  140. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) おはかりいたします。  中村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  141. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。  よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  142. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 決議の御趣旨を尊重いたしまして、関係省とも協議検討の上、対処してまいりたいと存じます。
  143. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) なお本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを本委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  145. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。西村農林大臣。
  146. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 提案理由を申し上げます。  わが国の農業金融制度につきましては、逐年整備改善を行ない、融資額も農業者の資金需要に応じて年々増大しているところでありますが、最近におきまする農業の動向に即応し、農産物等の流通改善を含めて農業近代化のための諸施策を推進するためには、一そう内容の整備充実をはかる必要があると考えられますので、新たに総合資金制度と卸売市場近代化資金制度を設けることとし、農林漁業金融公庫法等の改正を提案する次第であります。  まず、総合資金制度について申し上げます。近年におけるわが国の農業の動向を見ますと、経済全般が高度な成長を続ける中にあって、農業近代化を推進する必要がますます強まっているところでありますが、特に、農業生産の中核的なにない手となる生産性の高い農業経営を育成し、農業生産の維持増大をはかることが緊要であると考えられまます。  総合資金制度は、このような観点から、農業者に対し必要な各種資金を総合的かつ円滑に融通するとともに、融資に伴う営農指導を充実することによって、金融の面からも自立経営の育成を促進しようとするものであります。  このため、農林漁業金融公庫に総合施設資金を新設し、自立経営たらんとする農業者に対し、経営規模拡大、資本装備の高度化等農業経営改善に必要な各種施設資金を、一つ資金として、包括的に融資することとしております。  また、この場合、農業経営改善するのに必要な運転資金の融通を円滑にするため、農業信用基金協会が債務保証を行なうときは、これを農業信用保険制度対象とするよう農業信用保証保険法改正を行なおうとするものであります。  次に、農畜水産物の卸売市場近代化資金制度について申し上げます。生鮮食料品等農畜水産物の卸売市場が、生産物の販売の円滑化をはかるためにも、また国民消費生活の安定向上をはかるにも、きわめて重要な役割りになっていることは申すまでもないところであります。  特に、近年における生鮮食料品の流通をめぐる諸情勢の変化の中で、その施設の近代化と運営の改善は強く要請されるところであります。現在、生鮮食料品等の卸売市場としては、中央卸売市場が二十五都市に五十五市場開設されているほか、地方卸売市場が全国で一千九百余設置されております。しかし、その実態を見ますと、全国に分散する多数の地方卸売市場につきましては、施設の計画的整備と運営の改善をはかることが急務となっております。  また、中央卸売市場につきましても、市場運営の改善合理化を進めるため、卸売り人、仲買い人等関係事業者の施設の近代化が強く要請されております。  以上のような観点に立ち、政府といたしましては、生鮮食料品等の流通の近代化のための施策の重要な一環として、卸売市場の改善整備をはかるため長期低利の融資を行なうこととし、これについては、農畜水産物の生産と密接な関連を有する点に着目し、農林漁業金融公庫法改正し、同公庫に卸売市場近代化資金制度の創設をはかることといたしました。本資金制度においては、民営地方卸売市場の開設者、卸売市場の卸売り人、中央卸売市場の仲買い人等に対し、卸売市場の施設及びそれらの者の業務の近代化のために必要な各種施設の整備のための資金融資することといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びおもな内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  147. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 次いで補足説明及び資料説明を聴取いたします。大和田農林経済局長。
  148. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして補足して主要な内容を御説明申し上げます。  第一に、総合資金制度の創設について申し上げます。まず、農林漁業金融公庫に新たに総合施設資金を設けることであります。自立経営の育成を金融的側面から助長するためには、農業者の必要とする資金を豊富にかつ包括的に供給することが望ましいと考えられます。現行の農林漁業金融公庫資金においては、融資対象事業別に融資条件及び手続が定められており、通常の場合にはこれにより特に支障はないものと考えられますが、自立経営になろうとする農業者の資金需要には必ずしも十分対応しがたいおそれがあります。したがって、現在、農林漁業融公庫の融資対象となっている各種施設資金を包括的に融通する総合施設資金を設けることとした次第であります。  総合施設資金内容は、農林漁業金融公庫法の別表第二を改正し、同表の第三号の二において、農業経営農業基本法第十五条に規定する自立経営にするため、総合的かつ計画的に経営規模拡大、資本装備の高度化等その農業経営改善をはかるために必要な資金と規定されております。なお、協業につきましても自立経営に準ずるものは融資対象とするよう同号に規定いたしております。  この総合施設資金融資条件は、利率、据え置き期間中年四分五厘、償還開始後年五分とし、償還期限及び据え置き期間はそれぞれ二十五年以内及び十年以内といたしております。なお、貸し付け限度額につきましては、できる限り資金需要を充足し得るようおおむね八百万円とする予定であります。  次に、総合施設資金に伴う運転資金の融通の円滑化をはかるため、農業信用保証保険法に所要の改正を加えることであります。  すなわち、総合施設資金の貸し付けを受けた者が総合施設資金にかかる農業経営をはかるのに必要な運転資金を借り受ける場合に、これに対し農業信用基金協会が債務保証を行なうときは、これを農業信用保険協会の保証保険の対象に追加するとともに農林中央金庫が協業経営を営む法人に対しこの運転資金の貸し付けを行なう場合これを農業信用保険協会の融資保険の対象に追加するため、所要の改正を行なっております。  第二は、農林漁業金融公庫に卸売市場近代化資金制度を設けることとしたことであります。  すなわち、現行の第十八条の二の規定を第十八条の三とし、新たに、第十八条の二として卸売市場近代化資金に関する規定を設けることといたしました。  新しい第十八条の二の規定につき御説明申し上げます。農畜水産物の民営卸売市場については、一般に規模も零細で施設も老朽化しているものが多く、農畜水産物の円滑な流通をはかる上の障害となっている現状に対処するため、その開設者に対し、市場施設の整備改善に必要な資金の融通を行なうこととしております。また、卸売市場に一体的に付設される農畜水産物等の集団売り場につきましても、これに準じ融資を行なうこととしております。  次に、農畜水産物の卸売市場の卸売り人及び中央卸売市場の仲買い人につきまして、その業務を改善合理化し、卸売市場における取引の適正化、能率化を進めるため、これら卸売り人、仲買い人または民営卸売市場の開設者、卸売り人もしくは仲買い人が主たる構成員もしくは出資者となっている法人に対し、農畜水産物の流通の合理化及び消費の安定的な拡大をはかるため特に必要と認められる冷蔵庫、倉庫その他の事業施設の整備改善に必要な資金の融通を行なうこととしております。  卸売市場近代化資金融資条件につきましては、別表第一において、貸し付けの利率は年八分二厘以内、償還期限及び据え置き期間はそれぞれ十五年以内及び三年以内と規定しております。  なお、この資金制度の運用にあたりましては、各都道府県ごとに卸売市場整備計画を作成し、この計画に即して貸し付けを行なうよう指導を行なう方針であります。  以上の改正点のほか、農林農業金融公庫法第十二条及び第三十条の改正を行ない、農林漁業金融公庫の役員の欠格条項に関する規定を改める等所要の規定の整備を行なっております。  以上をもって、この法律案の提案理由の補足説明といたします。  次に、資料の説明をごく簡単に申し上げます。  二ページをごらんいただきますと、これはいわゆる制度金融で、公庫資金近代化資化、天災資金、開拓者資金、改良資金等々についての貸し付け計画なりその他の記載がございます。四十三年の資金のワクといたしまして、公庫資金千八百億、近代化資金千億、天災資金は災害に応じて出しますから、特に前もってきめることはございません。開招者資金四十二億、改良資金百二億ということでございます。  それから三ページは農林公庫資金の貸し付け条件の推移で、三十七年度から四十三年度までのそれぞれの利子なりあるいは償還期限等の改善あとが書かれております。かいつまんで申し上げますと、利子につきましては、三十九年度と四十二年に相当の改善を行ない、四十三年度におきましては御提案の総合施設資金及び卸売市場近代化資金といういわば新しい制度を設けましたことが特色でございます。  四ページが公庫資金の貸し付け計画でございます。四十三年度は千八百億で、農林漁業経営構造改善七百十三億、基盤整備六百二十二億、これが主要な金額でございます。総合施設資金が二十億、卸売市場近代化が三十億、これが初年度のワクでございます。  五ページが公庫資金の貸し付け実績で、これも農林漁業経営構造改善基盤整備が主体となっておるわけでございます。  六ページに公庫の原資及び補給金の年次別の記載がございますが、四十一年度以降は農林漁業金融公庫に対して出資はございませんで、全部原資は借り入れ金と自己資金等々でございます。したがいまして、政府から公庫に対して補給金を出しておりますものが年々増加いたしまして、四十三年度におきましては八十五億に達しておるわけでございます。  次に、八ページに農業近代化資金の貸し付け条件の推移が書いてございます。三十六年度に出発いたしましたときは農業者に対する貸し付け年利率が七分五厘でございましたが、三十七年度には六分五厘、四十一年度に六分になってまいりました経過が書かれておるのでございます。  九ページは近代化資金の貸し付け実績でございますが、個人施設につきましては農舎畜舎等建物施設と農機具等がおもな対象でございます。融資ワクと実際の融資額とは四十年度までは比較的ワクが余っておったわけでございますが、四十一年度以降四十二年度もそうでございますが、大体完全に消化をしております。  それから十ページは、信用保証保険の実績でございます。現実にございます農業信用基金協会のほうは農業近代化資金は四十一年度の残高で一千七十七億、それから近代化資金以外の一般資金で百五十億ということでございます。保険協会のほうは省略をいたします。  十一ページは農協と信農連と農林中金との調達資金内容と運用の内容とを表示いたしております。  この概略の説明は十二ページをごらんいただきますと、これは農協、信農連、農林中金を一体として資金の流れを見てみたものでございますが、農家から農協に対して二兆八千三百七十九億円、これは四十二年三月末の数字でございますが、貯金があり、農協から農家に対して一兆三千四百三十九億円の貸し付けがあり、農協は信農連に対して一兆七千六百五十九億の貯金を上げ、信農連が農協に四千三百七十二億円の貸し付けを行ない、信農連が農林中金に九千九百七十一億円の貯金をし、中金は所属団体に二千三百一億円低利の貸し付けを行ない、なお農林中金は農林債券として約三千億の資金を獲得しておりますが、これは所属団体の貸し付け以外は、関連産業貸し付け、金融機関貸し付け、あるいは有価証券の保有等々を行なっておるわけでございます。  十三ページが農家資金の推移でございまして、農家所得はこれを農業所得と農外所得を含めての数字でございますが、年々ふえて四十一年度におきましては八十六万円、農家経済余剰、これは農家所得から租税、公課、諸負担等々を調整したものが可処分所得で、この可処分所得から家族の家計費を引いたいわゆる剰余でございますが、それが十四万九千円、これも年々増加をいたしております。預貯金の残高が六十七万八千八百円、これも増加をいたしております。借り入れた金は十八万二千四百円、これも増加をいたしておりますが、貯金の伸びのほうが大きいことがこの表によってもわかるわけでございます。  以上が総合資金関係の資料でございますが、次が卸売市場近代化資金関係でございます。  十五ページは中央卸売市場の概要のところで、人口十五万以上の都市に中央卸売市場を置くことができるというたてまえになっておりますが、人口十五万以上の九十五都市の中で現在開設いたしておりますものは二十五都市、市場数五十五ということでございます。市場の要素として、開設者、卸売り人、仲買い人、売買参加者というものがございますが、その関係は十六ページに図示をいたしております。十七ページに中央卸売市場の地位がございまして、四十一年度における扱い高は六千七百七十九億円、そのうち大ざっぱに申し上げて青果物が四割で、水産物が五割で食肉その他が残りということになっておるわけでございます。流通上の地位といたしましては、中央卸売市場開設都市の人口は総人口のおよそ二七%でございますけれども、中央卸売市場の主要生鮮食料品の取り扱い量は、全国流通量のうち青果物四割強、水産物五割強と相当大きなウエートを占めておるわけでございます。  以上が中央卸売市場で、十八ページ以降が地方卸売市場でございます。これは先ほどの提案理由の中にもございましたが、地方卸売市場の数はきわめて多く千九百十八ございます。そうして青果、水産等々を含めた総合市場が百五十、青果物が一千二百四十一、水産物が五百二十三、食肉が四というふうになっておりまして、その開設者千九百十八のうち、地方公共団体開設いたしておりますのは六十九、わずか三・六%で、あとは民営でございます。なお、地方卸売市場の経済的な地位といたしましては、昭和四十一年におきまして全国流通量の青果物は約六割弱、水産物が四割強、これも中央卸売市場にほぼ匹敵するだけのウエートを持っておるわけでございます。  十九ページは二十五の都市ごとの商い高あるいは市部の数等々の資料でございます。  二十ページが中央卸売市場の開設状況、それから二十一ページが卸売り人、仲買い人の数、二十三、二十四ページが地方卸売市場の現況についての詳細な説明でございます。  以上、簡単でございますか  。
  149. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本案についての質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会      —————・—————