○
政府委員(
大和田啓気君)
農林漁業金融公庫法及び
農業信用保証保険法の一部を
改正する
法律案につきまして補足して主要な
内容を御説明申し上げます。
第一に、総合
資金制度の創設について申し上げます。まず、農林漁業
金融公庫に新たに総合施設
資金を設けることであります。自立
経営の育成を
金融的側面から
助長するためには、
農業者の必要とする
資金を豊富にかつ包括的に
供給することが望ましいと
考えられます。
現行の農林漁業
金融公庫
資金においては、
融資対象事業別に
融資の
条件及び手続が定められており、通常の場合にはこれにより特に支障はないものと
考えられますが、自立
経営になろうとする
農業者の
資金需要には必ずしも十分対応しがたいおそれがあります。したがって、現在、農林漁業融公庫の
融資対象となっている各種施設
資金を包括的に融通する総合施設
資金を設けることとした次第であります。
総合施設
資金の
内容は、
農林漁業金融公庫法の別表第二を
改正し、同表の第三号の二において、
農業経営を
農業基本法第十五条に規定する自立
経営にするため、総合的かつ
計画的に
経営規模の
拡大、資本装備の高度化等その
農業経営の
改善をはかるために必要な
資金と規定されております。なお、協業につきましても自立
経営に準ずるものは
融資の
対象とするよう同号に規定いたしております。
この総合施設
資金の
融資条件は、利率、据え置き期間中年四分五厘、償還開始後年五分とし、償還期限及び据え置き期間はそれぞれ二十五年以内及び十年以内といたしております。なお、貸し付け限度額につきましては、できる限り
資金需要を充足し得るようおおむね八百万円とする予定であります。
次に、総合施設
資金に伴う運転
資金の融通の円滑化をはかるため、
農業信用保証保険法に所要の
改正を加えることであります。
すなわち、総合施設
資金の貸し付けを受けた者が総合施設
資金にかかる
農業経営をはかるのに必要な運転
資金を借り受ける場合に、これに対し
農業信用基金協会が債務保証を行なうときは、これを
農業信用保険協会の保証保険の
対象に追加するとともに農林中央金庫が協業
経営を営む法人に対しこの運転
資金の貸し付けを行なう場合これを
農業信用保険協会の
融資保険の
対象に追加するため、所要の
改正を行なっております。
第二は、農林漁業
金融公庫に卸売市場
近代化資金制度を設けることとしたことであります。
すなわち、
現行の第十八条の二の規定を第十八条の三とし、新たに、第十八条の二として卸売市場
近代化資金に関する規定を設けることといたしました。
新しい第十八条の二の規定につき御説明申し上げます。農畜水産物の民営卸売市場については、一般に
規模も零細で施設も老朽化しているものが多く、農畜水産物の円滑な流通をはかる上の障害となっている
現状に対処するため、その
開設者に対し、市場施設の整備
改善に必要な
資金の融通を行なうこととしております。また、卸売市場に一体的に付設される農畜水産物等の集団売り場につきましても、これに準じ
融資を行なうこととしております。
次に、農畜水産物の卸売市場の卸売り人及び中央卸売市場の仲買い人につきまして、その業務を
改善合理化し、卸売市場における取引の適正化、能率化を進めるため、これら卸売り人、仲買い人または民営卸売市場の
開設者、卸売り人もしくは仲買い人が主たる構成員もしくは出資者となっている法人に対し、農畜水産物の流通の
合理化及び消費の安定的な
拡大をはかるため特に必要と認められる冷蔵庫、倉庫その他の事業施設の整備
改善に必要な
資金の融通を行なうこととしております。
卸売市場
近代化資金の
融資条件につきましては、別表第一において、貸し付けの利率は年八分二厘以内、償還期限及び据え置き期間はそれぞれ十五年以内及び三年以内と規定しております。
なお、この
資金制度の運用にあたりましては、各都道府県ごとに卸売市場整備
計画を作成し、この
計画に即して貸し付けを行なうよう
指導を行なう方針であります。
以上の
改正点のほか、農林
農業金融公庫法第十二条及び第三十条の
改正を行ない、農林漁業
金融公庫の役員の欠格条項に関する規定を改める等所要の規定の整備を行なっております。
以上をもって、この
法律案の提案理由の補足説明といたします。
次に、資料の説明をごく簡単に申し上げます。
二ページをごらんいただきますと、これはいわゆる
制度金融で、公庫
資金、
近代化資化、天災
資金、開拓者
資金、改良
資金等々についての貸し付け
計画なりその他の記載がございます。四十三年の
資金のワクといたしまして、公庫
資金千八百億、
近代化資金千億、天災
資金は災害に応じて出しますから、特に前もってきめることはございません。開招者
資金四十二億、改良
資金百二億ということでございます。
それから三ページは農林公庫
資金の貸し付け
条件の推移で、三十七年度から四十三年度までのそれぞれの利子なりあるいは償還期限等の
改善の
あとが書かれております。かいつまんで申し上げますと、利子につきましては、三十九年度と四十二年に相当の
改善を行ない、四十三年度におきましては御提案の総合施設
資金及び卸売市場
近代化資金といういわば新しい
制度を設けましたことが特色でございます。
四ページが公庫
資金の貸し付け
計画でございます。四十三年度は千八百億で、農林漁業
経営構造
改善七百十三億、
基盤整備六百二十二億、これが主要な金額でございます。総合施設
資金が二十億、卸売市場
近代化が三十億、これが初年度のワクでございます。
五ページが公庫
資金の貸し付け実績で、これも農林漁業
経営構造
改善、
基盤整備が主体となっておるわけでございます。
六ページに公庫の原資及び補給金の年次別の記載がございますが、四十一年度以降は農林漁業
金融公庫に対して出資はございませんで、全部原資は借り入れ金と自己
資金等々でございます。したがいまして、
政府から公庫に対して補給金を出しておりますものが年々増加いたしまして、四十三年度におきましては八十五億に達しておるわけでございます。
次に、八ページに
農業近代化資金の貸し付け
条件の推移が書いてございます。三十六年度に出発いたしましたときは
農業者に対する貸し付け年利率が七分五厘でございましたが、三十七年度には六分五厘、四十一年度に六分になってまいりました経過が書かれておるのでございます。
九ページは
近代化資金の貸し付け実績でございますが、個人施設につきましては農舎畜舎等建物施設と農機具等がおもな
対象でございます。
融資ワクと実際の
融資額とは四十年度までは比較的ワクが余っておったわけでございますが、四十一年度以降四十二年度もそうでございますが、大体完全に消化をしております。
それから十ページは、信用保証保険の実績でございます。
現実にございます
農業信用基金協会のほうは
農業近代化資金は四十一年度の残高で一千七十七億、それから
近代化資金以外の一般
資金で百五十億ということでございます。保険協会のほうは省略をいたします。
十一ページは農協と信農連と農林中金との調達
資金の
内容と運用の
内容とを表示いたしております。
この概略の説明は十二ページをごらんいただきますと、これは農協、信農連、農林中金を一体として
資金の流れを見てみたものでございますが、農家から農協に対して二兆八千三百七十九億円、これは四十二年三月末の数字でございますが、貯金があり、農協から農家に対して一兆三千四百三十九億円の貸し付けがあり、農協は信農連に対して一兆七千六百五十九億の貯金を上げ、信農連が農協に四千三百七十二億円の貸し付けを行ない、信農連が農林中金に九千九百七十一億円の貯金をし、中金は所属
団体に二千三百一億円低利の貸し付けを行ない、なお農林中金は農林債券として約三千億の
資金を獲得しておりますが、これは所属
団体の貸し付け以外は、関連
産業貸し付け、
金融機関貸し付け、あるいは有価証券の保有等々を行なっておるわけでございます。
十三ページが農家
資金の推移でございまして、農家所得はこれを
農業所得と農外所得を含めての数字でございますが、年々ふえて四十一年度におきましては八十六万円、農家経済余剰、これは農家所得から租税、公課、諸負担等々を調整したものが可処分所得で、この可処分所得から家族の家計費を引いたいわゆる剰余でございますが、それが十四万九千円、これも年々増加をいたしております。預貯金の残高が六十七万八千八百円、これも増加をいたしております。借り入れた金は十八万二千四百円、これも増加をいたしておりますが、貯金の伸びのほうが大きいことがこの表によってもわかるわけでございます。
以上が総合
資金関係の資料でございますが、次が卸売市場
近代化資金関係でございます。
十五ページは中央卸売市場の概要のところで、人口十五万以上の都市に中央卸売市場を置くことができるというたてまえになっておりますが、人口十五万以上の九十五都市の中で現在
開設いたしておりますものは二十五都市、市場数五十五ということでございます。市場の要素として、
開設者、卸売り人、仲買い人、売買参加者というものがございますが、その
関係は十六ページに図示をいたしております。十七ページに中央卸売市場の
地位がございまして、四十一年度における扱い高は六千七百七十九億円、そのうち大ざっぱに申し上げて青果物が四割で、水産物が五割で食肉その他が残りということになっておるわけでございます。流通上の
地位といたしましては、中央卸売市場
開設都市の人口は総人口のおよそ二七%でございますけれ
ども、中央卸売市場の主要生鮮食料品の取り扱い量は、
全国流通量のうち青果物四割強、水産物五割強と相当大きなウエートを占めておるわけでございます。
以上が中央卸売市場で、十八ページ以降が地方卸売市場でございます。これは先ほどの提案理由の中にもございましたが、地方卸売市場の数はきわめて多く千九百十八ございます。そうして青果、水産等々を含めた総合市場が百五十、青果物が一千二百四十一、水産物が五百二十三、食肉が四というふうになっておりまして、その
開設者千九百十八のうち、地方公共
団体が
開設いたしておりますのは六十九、わずか三・六%で、
あとは民営でございます。なお、地方卸売市場の経済的な
地位といたしましては、
昭和四十一年におきまして
全国流通量の青果物は約六割弱、水産物が四割強、これも中央卸売市場にほぼ匹敵するだけのウエートを持っておるわけでございます。
十九ページは二十五の都市ごとの商い高あるいは市部の数等々の資料でございます。
二十ページが中央卸売市場の
開設状況、それから二十一ページが卸売り人、仲買い人の数、二十三、二十四ページが地方卸売市場の現況についての詳細な説明でございます。
以上、簡単でございますか 。