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1968-04-12 第58回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午前十一時四十七分開会     —————————————    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      中津井 真君     小林 篤一君      植木 光教君     鬼丸 勝之君  四月十二日     辞任         補欠選任      野知 浩之君     平島 敏夫君      小林 篤一君     林田 正治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 川村 清一君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 林田 正治君                 平島 敏夫君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 武内 五郎君                 鶴園 哲夫君                 浅井  亨君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    政府委員        厚生省国立公園        局長       網野  智君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林大臣官房予        算課長     大河原太一郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        林野庁長官    片山 正英君        水産庁長官    久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        国税庁徴収部徴        収課長      箸本 弘吉君        農林省農政局拓        植開発課長    平   弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案(内  閣提出、衆議院送付) ○森林法の一部を改正する法律案(第五十五回国  会内閣提出、第五十八回国会衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査  (保安林指定解除等に関する件)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、小林篤一君及び野知浩之君が委員辞任され、その補欠として林田正治君及び平島敏夫君が選任されました。     —————————————
  3. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案を一括して議題といたします。  両案について質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 川村清一

    川村清一君 私は北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する質問を主として行ないたいと思います。  まず最初にお尋ね申し上げることは、本法案提案理由説明の中において、大臣はこのようなことを申されております。それは「昭和四十一年春におけるこの法律改正の際の本委員会における附帯決議の御趣旨に沿い、政府におきましては、昭和四十一年度以来鋭意対策調査実施し、本制度につきまして種々の側面から検討を加えてまいったのであります。」と説明しておりますが、昭和四十一年三月二十四日の本委員会附帯決議要旨を申し上げますと、   第一には、営農改善計画認定計画どおり  実施されるよう、手続簡素化をはかり、指導  体制を強化すること。   第二には、畜産経営拡大資金土地取得資金  等を加えて一括貸し付けを行なう方途を講ずる  こと。   第三には、自作農維持資金の活用を強化する  こと。   第四には、営農改善資金貸し付け金利の軽  減につとめること。   第五には、既貸し付け者についても、必要に  応じ、所要資金追加貸し付けができるよう措  置すること。  以上が要旨でございますが、要するに大臣の御説明の中では、この趣旨を十分尊重したと、こういうのでございますので、これらのいま申し上げましたような問題が実現するように、しかも北海道南九州畑作地域調査を急速に行なって、長期かつ抜本的な総合具体策を実現するように措置すべきことという、こういう趣旨に沿って今回の改正案が立案され、御提案されたものと理解して差しつかえないか、まず、この点をお尋ねしたいと思うわけであります。
  5. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただいまお話がありました昭和四十一年に資金融通臨時措置法の一部改正が行なわれた際の附帯決議、それに対して政府はどういう措置をやったか。もちろんその当時お答え申し上げ、また、その後におきまして附帯決議趣旨の尊重ということにつきまして農林省に御存じのとおり、北海道南九州畑作振興対策調査室を設け、二カ年にわたって調査検討を行ないました結果、今回の北海道及び南九州についての畑作振興対策の取りまとめを申し上げたような次第であります。それからずっとこの附帯決議の中にございました、たとえば第一の事務手続簡素化につきまして四十一年度から関係書類簡素化するとともに、認定及び貸し付け事務処理が迅速に行なわれるように指導いたしておりますし、指導体制に対して強化するようにという御決議でございましたが、北海道知事に対して指示を行ない、これに基づきまして営農改善促進のためのいろいろな措置を講じてまいったのであります。次に関係資金取り扱いにつきましては、昭和四十一年度から本資金畜産経営拡大資金並びに土地取得資金、これを一括して同時、並行的な貸し付けが行なわれるように措置をいたしておりますと同時に、金利の問題であります貸し付け金利の軽減につきまして、今回の法案におきまして改正の御審議をお願いいたしております。それからすでに貸し付けしております者に対する追加貸し付けでございますが、営農改善計画の改定というのを認めまして、所要資金追加貸し付けを行なうことができるようにいたしておる次第でございます。
  6. 川村清一

    川村清一君 附帯決議内容について処置されたことについてただいま御答弁がありましたが、その内容の個々につきましてはだんだん質疑の中でまた明らかにしていくことにいたしまして、さらにお尋ねいたしたいことは、大臣も御承知のように、本法律昭和三十三年の要綱により事業実施したその年を加えるとすでに今日までに十年一昔経過しておるわけであります。いろいろこの十年間に実績があったことは、これはまあ私どもも認めるわけでございます。しかも、昭和四十一年、四十二年と二カ年間、対策調査室農林省の中に設けまして、北海道南九州地帯特殊事情をいろいろ調査をされて、そしていわゆる長期かつ抜本的な対策を立てるという考え方で本法案が立案されたわけでございますから、したがってそういう経過を考えてみますというと、この法案というものは単にさらに五年間期間を延長するというような意味のものではなくて、むしろ積極的に内容的にも新しい意欲が盛り込まれておるいわゆる新法考えても考えられるような、そういう意味を盛った法案であろうと私ども理解しているわけでありますが、そう理解しても差しつかえないかどうか、政府意欲をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  7. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘のように今回の対策は、先ほど申し上げましたように、調査のための特別の室をつくりまして、北海道振興のための対策検討してまいりました。その一環として融資措置につきましては、現在御審議をお願いしておりますところの法律改正ということでやってまいりたいということであります。ただ法律ていさいといたしましては、ごらんいただきますように従来のマル寒、いわゆるマル寒資金法の一部改正という形式はとっておりますけれども、その内容におきましては、私ども考えでは、貸し付け対象種目拡大それから貸し付け条件改善、直接的に法律の文句にはあらわれませんけれども、その他営農改善目標なりあるいは対象そのほかについての基準といったようなことについても改正改善をする。その他限度額あるいは取り扱い事務についても所要改正をするということで、従来とその資金のねらっておりますところの考え方手法はほぼ踏襲はいたしておりますけれども資金制度内容につきましては相当大幅な改善をいたしまして、ある意味ではマル寒制度というふうに称してもしかるべきではないか、そういった内容を盛っておるつもりでございます。そういうことで御理解をいただいてけっこうであろうと思います。
  8. 川村清一

    川村清一君 非常な意欲を持ち、内容的にはもう新法であると、こう理解しても差しつかえないようなそういう改正を加えた法律であると、こういうような御説明を承りましたので、そういう観点に立ってさらに質問をしていきたいと思いますが、その前に、この法律は四十一年の三月に改正されておりますが、その当時認定希望残存戸数が約三千百戸ある、こういうふうに承っておったわけです。さて四十一年度、四十二年度と二カ年経過してただいまのこの法律改正の年を迎えたわけでありますが、この二カ年間でこの三千百戸に対してどのような実施を行なってきたか、計画どおり認定実施されたかどうか、こういうことをまずお聞きいたしたい。さらに昭和三十三年度営農改善対策要綱によって事業が開始されまして以来、今日いわゆる四十二年度末までの実績は一体どうなっておるのか、認定済み農家戸数は何戸であり、資金貸し付け決定額総額幾らであるか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  9. 森本修

    政府委員森本修君) 先般御説明を申し上げました配付資料にもございますが、これは四十二年度の数字が実はまだ当時十分わかっておりませんので書き加えてありませんが、補足して申し上げますと、四十一年度は千七百六十四戸認定をいたしております。四十二年度は一部推定がまざりますが、千百九十九戸ということになります。したがいまして、両年度を合わせますと、二千九百六三戸ということになるはずであります。三千百戸に対しまして二千九百六十三戸ということで、ほぼ目標に近づいておるというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから三十三年の要綱の当時から累計をいたしますと、四十二年度の先ほど申し上げました数字を加えますと、累計で一万七百二十二月ということになります。四十二年のほうは実はまだ貸し付け決定額そのものが集計はされておりませんので、金額としては、四十二年度は入りませんけれども、四十一年度までの貸し付け決定総額は四十九億一千二百万円ということに相なっております。
  10. 川村清一

    川村清一君 四十一年春の法案審議のときには、計画どおり実施されておらないということをだいぶ追及いたしまして、その結果手続簡素化といったようなことを強く要望したわけでありますが、ただいま承りますというと、大体四十一年、四十二年は計画どおり実施されたということを知りまして、委員会の要望どおり行なわれておったということを理解できまして非常に喜んでおるわけでございます。  さて、この法律案国会を通りましてすぐ実施される場合、この寒冷地畑作振興地域指定地でございますが、これは現在きまっておりますが、これに変更が加えられないのかどうか。現在の指定地は、これは昭和三十四年七月三十一日農林省告示第六九〇号で出されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法に基き、寒冷地畑作振興地域指定する件並びに昭和三十四年八月三十一日農林省告示第七七七号同法の規定に基き、寒冷地畑作振興地域指定する件、並びに昭和三十七年四月三十日農林省告示第五六五号同法の規定に基き寒冷地畑作振興地域を追加指定する件、この三つ告示によって指定地がきまっておるわけでございますが、すでに先ほどから申し上げますように、本法が施行されて十年間運用されてまいっておるわけであります。この十年間に北海道地域事情というものもいろいろの点においてだいぶ変化をきたしておるところもあるんではないか、こう思うわけでございますが、基本的に、積算気温二千度以下であるとか、あるいは摂氏五度のところが何日といったような原則が変わらないとしても、その原則にあてはまる地域指定というものは事情変化によって当然変わってきてもよいのではないかと思うのであります。この点はどういうことになりますか。
  11. 森本修

    政府委員森本修君) ただいま言われましたように従来から定めておりますところの政令指定基準は主として自然条件に関する基準でございます。したがいまして、それほど自然条件そのものには大きな変化がございませんから、政令による指定基準そのもの変更しないつもりであります。ただ、御案内のように、この政令指定基準によりまして、北海道庁のほうから申請をいただいて具体的な地域指定するというたてまえになっておりますが、その際に指定をいたしますのは、自然的、経済的条件が近いところのいわゆるブロックといいますか、北海道の中における一つ地域区分といいますか、そういうものは北海道庁のほうでも最近の状況に合わすように地域区分変更したいということを言っております。したがいまして、地域区分は従来とは変わってくるかと思います。また、指定基準にはまる具体的な市町村なりあるいは部落ということも若干の変動があり得るとも思いますが、私どもの現在の見込みでは、それほど具体的な地域についての大きな変化はないのではないかというふうな感じがいたしております。
  12. 川村清一

    川村清一君 次に、昭和三十四年五月二十七日三四振第四九七一号です。農林省事務次官から北海道知事あて通達、「北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の施行について」というこの通達内容が書かれておりますが、趣旨としてはこれは変わらないで、これでもって行なわれるのですか。
  13. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど申し上げましたように、こういった北海道畑作振興してまいりますところのねらいなりあるいは手法なりというのは、いまもって大きく変更する必要のない方法であるというふうに思っております。したがいまして、そういう面についてはそれほど大きくこの通達は変える必要はないのではないかと思いますが、中身が先ほど申し上げましたようなことで、かなり変更があり得るわけでありますから、そういったことに伴う通達改正はする予定にしております。
  14. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、中身にいろいろ問題があろうかと思うわけでありますが、第一に確かめておきたいことは、営農改善目標につきまして、 「営農方式例を作成するに際しては、次の方針によるものとする。」ということが書かれておりまして、すなわち、 「寒冷地畑作振興地域内における営農条件経営規模経営形態を考慮して七年ないし十年後にこの法律の周到かつ効果的な実施によって到達すると考えられる目標としての営農の型として示すこと。」、としますと、七年ないし十年後に「この法律の周到かつ効果的な実施によって到達すると考えられる目標としての営農の型」というのは、一体何か。  それから二番目にある「農業所得目標は、現在の中庸程度の安定的な畑作経営農業者農業所得水準」、これ自体は「(おおむね五十万円ないし六十万円程度)におくこと。」となっておりますが、現在はこの目標を一体どの程度に置こうとしているのか、これを御説明願いたいと思います。
  15. 森本修

    政府委員森本修君) 営農の型でありますが、これは私どものほうと北海道庁のほうで目下最終的な打ち合わせをいたしているわけでありますが、その大体のタイプを例示的に申し上げますと、一つは主畜形態ということがございまして、酪農専営といったような型、それから酪農畑作形態といったようなタイプ、それから混同形態、これは畑酪農といったようなタイプ、それから畑作形態、これは耕種部門重点を置きまして、各種畑作物基幹作物としてやってまいるといったような型でありますが、おおよそそういったタイプ営農の類型といいますか、方式例を今後固めていきたいというふうに思っているわけであります。  それから先ほどの安定的な農業所得水準ということでありますが、現在の予定といたしましては百十万ないし百三十万ということでこの通牒を置きかえてやってまいりたいという考えであります。
  16. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、七年ないし十年後の、いわゆる示される営農の型によって所得される農業所得目標は百十万ないし百三十万である、こういうことですか。
  17. 森本修

    政府委員森本修君) ちょっと先ほど言い落としましたけれども、二、三年前の改正でここのところは五年ないし十年ということに変更になっております。したがいまして、そういった五年ないし十年という期間はそのまま踏襲をしていくという考えであります。そういったところに相当する所得目標としては百十万ないし百三十万というふうになるわけであります。
  18. 川村清一

    川村清一君 五年ないし十年後の所得目標が百十万ないし百三十万ということはわかりましたが、そうしますと、現在今度はこの法律に基づいて、そうして資金貸し付けを受け得る、いわゆる認定を受ける資格を得る農家というのはどういう程度農家であるのか、この「現在の中庸程度の安定的な畑作経営農業者農業所得水準、」これはおおむね一体幾らになるのです。
  19. 森本修

    政府委員森本修君) 通達に即してのお尋ねのようでありますから、ここに従来書いておりました数値は七十万円というふうに置きかえて通達をする予定になっております。
  20. 川村清一

    川村清一君 そうすると、確かめておきますが、現在七十万程度あるいは七十万以下程度、この農家であってこの資金貸し付けを受けて、そして営農することによって将来五年ないし十年後には百十万ないし百三十万の所得を得られる、営農ができ得る見込みのある、そういう農家貸し付け対象になる、こういうことでございますか。
  21. 森本修

    政府委員森本修君) 対象農家としましては、もちろんお持ちの通達にもございますように、稲作とかその他の部門重点を置いているとか、その他若干中庸程度以下の農家でありましても、この資金なり対策をするにふさわしくない、またおそらく資金を借りる御希望がないであろうといったような農家については対象としないというふうなことが書いてございますが、そういうものは別といたしまして、いま申されました中庸程度以下の農家が具体的に営農改善計画を立てられて、先ほど言いましたような営農方式例に相当するような形の経営になろうとする、また認定をいたしますものがなり得るであろうというふうに認定をいたしますれば、本資金貸し付け対象になるというふうに御理解いただきたいと思います。
  22. 川村清一

    川村清一君 大体五年間でこの認定予想戸数といいますか、大体予定している戸数一万二千五百戸というのが数字で示されておるのでありますのでしつこくお尋ねしておるのでありますが、そうしますと現在七十万、あるいはその程度、若干以下と、こういう程度営農者、これがもちろん稲作農家ではなくて酪農農家、あるいは混同農家、あるいは畑作農家でございますけれども、これであるというような御答弁であります。そこで重ねてお尋ねしますが、酪農畑作混同と、この三つ形態北海道は広うございますからいろいろありますので端的にお尋ねしておるのですけれども、なかなかこれははっきり出てまいりませんけれども、しかしある地域を限って申し上げますので、大体具体的にどういう規模農家が一体このくらいの対象に当たるかということをお聞きしたいと思ってお尋ねするわけでありますが、根釧地帯酪農農家であるならば、一体乳牛何頭くらい、搾乳牛何頭くらい持っていたら、そうしてまた飼料畑を何ヘクタールくらい持ったそういう農家がこの資金貸し付け対象になり得る農家であるか。それから十勝地域畑作農家、こういう農家ではどのくらいの畑を持った農家であれば大体この対象になり得るか、こういうことがわかれば、まあこれははっきりはなかなか、たくさんの中からですから平均した数値でけっこうですが、どの程度のものか、それをひとつお示ししていただきたい。
  23. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘がありましたように、なかなかいろいろなタイプ地帯なり農家がございますから、一律にものごとをきめるというわけにはまいりませんけれども、こういった問題は道庁ともよく相談をいたしまして漸次最終的な詰めを行なっていくということになりますが、とりあえず私どもが持っております資料によりますと、網走畑酪というのがございますが、これによりますと目標といたしましては畑それから牧草地といったようなものがありまして、面積農用地全体としては十二ヘクタール程度というふうな形、それからあと各種の施設なりあるいは農機具なんか細目がございますが、一々申し上げるのもあれでありますので乳牛につきまして申し上げますと、搾乳牛が六頭、あとはこれは畑酪でありますから、酪農頭数としてはそれほど頭数が多くないというふうな形でございます。作付の他の種目としましては小麦でありますとか、あるいはバレイショでありますとか、てん菜でありますとか、もちろん牧草が入りますが、そういった他の畑作物についても一応の目標らしいものをつくるということになっておるわけでございます。
  24. 川村清一

    川村清一君 それじゃ困ると思うんですがね。結局現在どの程度農家経営をやっている者がこの資金貸し付け対象になり、そうしてこの資金貸し付けを受けた者がそのいわゆる経営計画を立てるわけですから、その経営計画に基づいて営農をやっていったときに、きちっと計画どおりいった場合に、五年ないし十年たつというと百十万ないし百三十万のいわゆる所得がある、こういうことになるわけですから、そこで現在七十万程度中庸また中庸所得以下のそういう農家というものはどの程度規模農業経営をやっているのか、そうしてその資金をつけてそうして百十万あるいは百三十万という目標所得を得る時代になった場合に、その農家経営というものはどういう経営規模になっておるのかということがやはりある程度数字の上に出てこないと、われわれとしてはちょっと納得いきかねるですね。ただ雲をつかむような話で、いま七十万だと、五年たったら百三十万になるのだと言われたって、どうして百三十万になるのかちょっとわからないでしょう。その点をもっと正確に、調査もされたのでしょうから、もう少し具体的に数字的に説明していただきたいのです。
  25. 平弘

    説明員平弘君) ただいまの先生のお尋ねにつきまして御説明申し上げます。  ただいま局長から御説明申し上げました網走地域につきまして、これは現況畑作経営でございますけれども畑作酪農経営に誘導していくという営農方式例でございます。現況は、農用地規模で申し上げますと、採草放牧地を含めまして七・七ヘクタール、目標といたしましては十二ヘクタールという目標を立てております。それから牛のほうでございますが、これは酪農専業経営ではございませんから、数はそれほど多くはございませんが、現在では、平均的に申しますと乳牛につきましては、成牛——すでに乳のしぼれるものがこういう畑作経営では〇・二頭しかない。それを搾乳牛六頭程度のものはやはり導入させていこうという考え方になっております。それで牛の数をふやしますと同時に、耕種作物につきましても合理的な作付体系に編成がえをしてまいるという考え方をいたしておるわけでございますが、現況農業所得でございますが、営農方式例をつくります場合のとらえました農家現況は、農業所得で申しますと六十四万、七十万を下回っております。これが五年ないし十年後に百十万ないしおおむね百三十万ということでございますが、この場合には作付方式の合理化それから搾乳牛頭数の増加ということを通しまして農業所得といたしまして七年目ないし八年目ごろおおむね百二十万程度のものに到達するという試算と相なっております。こういうかっこうのものが主要な営農方式例につきまして五つないし六つのものについて基本的な型のものを検討いたしたわけでございます。
  26. 川村清一

    川村清一君 営農方式例はいろいろありますから、質問するほうもちょっと無理だということはわかりながら聞いておるわけでありますけれども、私の聞きたいのは、大体根釧地帯酪農専業農家が多いのですから、したがって酪農専業農家の、現在いわゆる七十万程度、七十万よりか若干下の農家経営規模は一体どういうものか、それが百十万、百三十万の所得が得られるような形態になるためにはどういうふうに変わっていかなければならないのか、そういう形態に変わるために当然そこに資本装備をせねばならぬから、その資本導入のところの資金考えなければなりませんので、その資金を借りることによってそれだけの資本装備がされて、その結果経営規模拡大されてそして百十万あるいは百三十万に発展していくのだ、理論的にはそうなっていくわけですね。それを私は確かめたい。十勝あたりは、ここに高橋先生いらっしゃいますが、高橋先生のところはほんとうに畑作地帯ですね、これは畑ばかりやっている。そして、ビートとかバレイショとか豆類、こういうものだけ生産している農家は、現在七十万ないしそれに近い所得をあげている農家はどのくらいの規模か、これが百十万ないし百三十万に発展していくときにはどういう規模になるのか、これがちょっとわからなければ……。そうすると、一体、無尽蔵に金を貸すわけじゃないでしょう、そうすると、その金がそこで足りないのか十分なのか、それで、その資金を借りたっていずれはそれを払うのに金利が高いのか安いのか、いまそれを審議しているわけですから、そんな資金じゃしようがないじゃないか、もっと限度額を上げろという主張をわれわれはせねばなりません。そんな金利じゃとても高くて借りられないじゃないか、そんなことをやったって百十万とか百三十万の所得はどうしても生まれてこないじゃないか、こういう主張も出てくる。ここがわからなければそういう理論的根拠が出てこないわけですね、そこをお聞きしたいと思ったのですが、それどうでしょうか。
  27. 森本修

    政府委員森本修君) 私の先ほど申し上げました類型とは違うかもしれませんが、根釧の酪農の姿をとりますと、現況搾乳牛で八・二頭、それから目標としましては十八頭。畜舎のほうは、規模現況で百平米、それが目標としましては百七十六平米。それから農具庫が新しく二十四平米のものが要ります。それからサイロが、現況においては所有しておりませんが、目標としましては百六十七立方メートル。それから堆肥舎が目標としましては八十八平米。それから尿だめが四・四立方メートルを五十六立方メートルに拡充する必要があるといったようなことをずっと積算いたしまして、資金量としては約四百八十万円の投資額が必要である、需要量としてはそういうふうな積算をして限度額をきめておるということでございます。
  28. 川村清一

    川村清一君 その限度額の五百万の問題についてはまたのちほどお伺いするとしまして、それではその次にこの問題をもう少し発展させますけれども、百十万ないし百三十万程度農業所得を見込まれるとしておるわけでありますが、それでその中をとってかりに百二十万とすれば、これは月に十万の所得というふうになるわけであります。さて、この月十万の農業所得がその自立経営農家の所得としてふさわしい所得かどうかということをまず考えてみたいと思うわけであります。自立経営農家でございますから自家労働力二・五人と一応見まして家族構成五人と見ますか、大体北海道の根釧あるいは網走、十勝といったような畑作地帯でございますれば農業外所得というものはほとんどありませんので、見込まれるものはごくわずかでございます。そうしますと、月に十万出るというのもこれはちょっと問題があるわけですけれども、かりに十万出たとしてこの十万が農業所得十万というものを全部生計費に充てなければならない、こういうことでございます。  そこでお尋ねしたいのは、五年ないし十年後なんですが、まあ最高十年後とかりに仮定します、十年後の日本経済の成長、それから農業の動向というものを考えて、これらを総合的に関連して考えてみた場合において、その自立農家所得月十万というものがはたして妥当な所得であるかどうか、こういう点までもひとつずっと考えてこの数字をはじいたものかどうか、これを御説明願いたいと思います。
  29. 森本修

    政府委員森本修君) 私ども営農改善目標として考えておりますことは、前にもちょっと申し上げましたが、現在のそういった中庸程度以下の、いわば不安定な状態にある農家を一応の安定的な経営の姿に引き上げていくというのが、まあことばは悪いですが、第一次的な接近の方法であるというふうな考えであります。したがいまして、先ほど御説明申し上げました所得目標を、大体現在時点において安定的と思われるような農家階層をとりまして、それが五年ないし十年、まあまん中辺をとりますれば、七、八年というふうな年次がたちますと、他の経済成長といいますか、そういうものを織り込みましてバランスをとって、そういった農家所得を増大していくといったようなことを想定すれば、目標年次においては所得のめどとしてはどのくらいが適当であろうかといったようなことで試算をいたしておるわけであります。そういう考えでもって先ほど来申し上げておるような所得のめどでありますが、これはそう固定的にものごとを考える必要はないと思います。営農方式例をつくる際の一つのめどだというふうなことでお示しをする予定になっておりますが、そういうふうな数値が出てきておるということでございます。
  30. 川村清一

    川村清一君 そういう御説明ならばまだ一つ理屈があるんですが、理屈はまああと回しにしまして、めどはめどとしてよろしいです。そこで、百十万ないし百三十万の所得をあげるとした場合において、一体粗収入は幾らあげなければなりませんか。いわゆる粗収入に対する所得率というものはどの程度になると勘定されておりますか。
  31. 森本修

    政府委員森本修君) 粗収入としましては、これはずっと年次別にいきまして、八年たったぐらいの状態でありますが、約四百十二万という計数になっております。
  32. 川村清一

    川村清一君 四百十二万に対して百二十万でございますか、四百十二万に対して百十万ないし百三十万ということでございますか。
  33. 森本修

    政府委員森本修君) その粗収入から、粗収益からいわゆる農業経営費というのを引きまして、その残差として農業所得という欄がございますが、百二十八万ということでございます。
  34. 川村清一

    川村清一君 その粗収入四百十二万というものは、もちろんこれはこれから全部経営費をとることは承知しているわけです。そこでしかし、四百十二万を試算される積算の基礎があるわけですね。その積算の基礎には結局生産物によってどれだけあがってくるかということがもちろん試算されますから出てきますね。その場合に、酪農専業の農家において一体牛乳の価格というものはどのくらいに試算されているか、畑作専業の農家においてビートであるとかあるいは大豆であるとか、それからバレイショであるとか、毎年毎年価格を農林省告示する。それがそのたびに委員会でも問題になり、いろいろ政治的な問題も起こしておりますが、こういう価格と粗収入というものは関係あると考えておりますが、それは一体試算する場合にそういうことは考えて試算されていると思いますが、それはどうですか。
  35. 平弘

    説明員平弘君) ただいまの点についてお答え申し上げます。先ほど局長並びに私から御説明申し上げましたような形で、乳牛頭数、あるいは作付の増加というものは行なわれる。それに伴って生産物の増加があるわけでありますが、乳牛につきましては、一頭当たりの搾乳量四千五百キロというふうに想定をいたしているはずでございます。さらにこれは営農方式例でございますので、将来の価格については、これはなかなか予想しがたいところでございますので、一応営農方式例のもとになりますのは、大体四十年度の経営調査というものが基本になっておりますので、四十年度価格を基本にいたしておりますが、乳価につきましては、四十一年度から御承知のとおり不足払い制度が発足いたしましたので、四十一年の価格を採用して試算したものでございます。
  36. 川村清一

    川村清一君 乳価については不足払い制度ができた四十一年度の価格を基礎にしたということはわかりますが、四十一年度の価格そのままが基礎になっているのか、それを何%か上げてやっているのかということと、それから畑作農家はどれだけか、たとえばビート価格はどうか、バレイショはどうか、こういう価格はどうなっておりますか。
  37. 平弘

    説明員平弘君) 牛乳につきましては、これは道で調べました保証価格というものを実勢価格がちょっと上回っておりますが、道で調べました道の実勢価格を採用いたしております。その他の畑作物の価格につきましては、四十年度の農村物価賃金調査等から出てまいります北海道の価格実績をそのまま採用いたしております。
  38. 川村清一

    川村清一君 それではこういうふうに理解していいですね。牛乳につきましては、四十一年における北海道における実勢価格を基礎にしているといいますから、これは四十二年、四十三年と、五年、七年とたっていくと、それより低くなることはない、上昇していくことははっきりしております。したがって、いわゆる牛乳生産による粗収入というものは、収入というものは、ここで試算されているよりも多くなっていく。それから畑作物につきましては、これもいわゆる北海道におけるその年度の価格でございますれば、これとても年年いまの経済情勢の中で下がることはない、これは上がっていきますから。そうしますというと、この四百十二万という、そういう試算された粗収入以上の収入がある、こういうふうに理解されるわけですが、それで間違いありませんか。
  39. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど申し上げました百十万ないし百三十万というものは、いわゆる実質と名目と分けますと、実質の数値ということになるわけです。だから先生が言われましたように、物価そのものは現在時点ということですから、物価がそれに対して上がってまいりますれば、その数値もそれにつれて上がってくるというふうな性質のものであります。
  40. 川村清一

    川村清一君 大臣お尋ねしたいのですが、いまお話しのように、何せ気の長い話で七年先、十年先のことを考えて、そして幾ら収入があって所得が幾らで、その結果どうとかいうことを話しているわけですから……。ところが、日本の経済というものはとても一年先のこともわからないような状態でございますから、したがっていまこういうようなものをきめましてこのまま固定されますというと、結局資本装備をすればするほどどうしても粗収入に対する所得率は私は低くなるんじゃないかと思う。金を借りると金利を払わなければならない、機械を買うと減価償却がどんどん出てきますから、それにつれて生産物の価格も上がればいいけれども、生産物の価格のほうはそれにつれてわりあい上がらないという状況である。粗収入に対する所得率は低くなっていく、こういうことも一応考えられるわけですね。そうしますと、そういう経済的な変化が将来出てくるとすれば、いまわれわれが審議しているいろいろなこの貸し付け条件というものもこれは固定したものじゃない。やはり将来においては流動的な要素をやっぱり現時点においては持っておるということを判断してこの審議に当たらなければならないと思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  41. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いろいろな経済の変化というものをどう扱うかという意味においての御質問だと思うのでございます。もちろん日本の経済全体が安定成長を目標とはいたしておりましても、いろいろその間に変化を起こしつつあるわけであります。したがって、お説のようないろんな変化の影響を受けることもわかりますが、しかし、同時に、われわれとしては現在のこの段階におきましては、ここで考えられましたような制度でやりまして、具体的適用の段階で十分考えてまいりたい、こういう考えでございます。
  42. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  43. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記を起こして。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会
  44. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  45. 川村清一

    川村清一君 今度の改正案の中に、貸し付け対象の中に新しく乳牛もしくは肉用牛の購入に必要な資金を書いたことは附帯決議趣旨を尊重したことでありまして、私ども高く評価するにやぶさかではございません。そこで、乳牛の購入資金がこの法律の中に含まれたことによりまして現行法律の第八条との関係がどういうことになるのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。
  46. 森本修

    政府委員森本修君) 第八条は御案内のような規定でございますが、現在北海道でやっておりますことは、最初のうちは国有貸付というようなことでやっておりましたけれども、その後道有の貸付事業、それから、最近また農協からも貸付するといったような事業をやっておりまして、あの規定からいきますと、家畜の導入に対して国有貸付その他必要な助成事業をするというふうなことになっておりますので、当初やっておりましたことと多少内容は変わっておりますけれども、依然として貸付事業が継続をしておるというふうな理解で、従来の趣旨をそのまま尊重しておるということでございます。
  47. 川村清一

    川村清一君 ただいまの御説明内容は私も承知しておるわけでございますけれども、しかしながら、本法律の制定当時の情勢と現在の情勢を比較検討してみて、どうも第八条というものはぴんとこないというような感じがするわけであります。  そもそもこの法律は、北海道の寒冷地畑作営農振興するために、そういう営農を進めるために必要な資金を貸与する、その営農方式というものはやはり酪農形態というものが主体にならなければならないという当時の考え方で、特に第八条が設けられたものであろうと私は判断しておるわけでございます。したがって、四十一年の法律改正当時の委員会でもこの点私いろいろ質問したのでありますが、当時の畜産局長、現在の檜垣官房長もただいまのような御答弁をされておるわけでございます。はっきり第八条には「認定を受けた営農改善計画の達成を図るため、当該営農改善計画に基く家畜の導入については、国が所有する家畜の貸付その他の助成措置を講ずるよう努めなければならない。」、これを二つに分ければこういうことになるわけですが、所有する家畜の貸付を講ずるようにつとめなければならないということと、その他の助成措置を講ずるようにつとめなければならないと、こう二つあるわけであります。もはや国の貸付牛制度というものはなくなってしまった。そこで、府県においては貸し付け制度をやっておる。それに対して国が二分の一の補助をしておる。それは「その他の助成措置を講ずる」というこの法律条項を実施しておるのである。こういうような御答弁であったわけであります。  ところが、今回の法律改正によって家畜の導入資金というものはこの法律の中において貸し付けを受けるようなふうに改正になったわけでございますから、したがって、国が所有する家畜の貸し付けをしなければならないというこの義務規定はすでに現在ないわけですね。ないものをこの法文に置いたということがおかしいではないですか。ですから、私は当然第八条というものは削除しなければならない。国が何々しなければならないというような、国に対して義務規定をしたものはここだけです。この一項だけです。それを法文に残しておくならば、この法律に基づいたやはり国の貸し付け、貸付牛制度というものをやはりやらなければ、この法律実施したことにならないではないですか。やらないならこれを削ってしまったほうがいいし、削るのが当然ではないかと私は判断するのです。この辺はどうです。
  48. 森本修

    政府委員森本修君) 法律上の条文としましては、国有貸付その他の助成措置ということで、はなはだこまかいことを申し上げて恐縮でありますが、助成措置一つの例示というふうな解釈になろうかと思います。したがいまして、国が家畜の導入に対して助成措置を講じておるということであれば、この法律規定に基づいてやっており、またこの法律規定がそれだけの意味を持っておるというふうにも解し得ると思うのであります。ただ、今回の資金種目の中には、家畜の導入資金を加えましたから、それとの関係で重複するようではないかといったような、この条文の経過からいたしまして疑問が起こるということももっともだと思いますが、資金による導入をされることもけっこうでしょうし、また貸付牛を貸付されるというふうなことを希望する場合にも、その道を開いておるということも、個々の農家のことでありますからなお必要であろうということで、種々検討をいたしましたけれども、この規定は存続しておったほうが適当であろうということでそのまま残してあるということでございます。
  49. 川村清一

    川村清一君 この国有牛の貸し付け制度はいまはございません。そうして県の貸し付け制度というのは、これは北海道だけでなく、ほかの府県にもあるのですか。
  50. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) お話しのように北海道だけではございません。全国的に貸付牛制度というものはあるわけでございます。
  51. 川村清一

    川村清一君 全国的にそういう制度がある。しかしこの立法は北海道だけのこれは立法でございますね。北海道だけの法律でございます。そこで、北海道畑作営農振興するために法律第八条を設けた、このことは昭和三十四年、本法成立の当時においては確かにこれは意義があったし、またその必要性があったから国に対して、「努めなければならない。」という義務規定を設けたものと、こう判断するわけであります。ところが、現在すでにこの国の貸付牛制度というものはないわけでしょう。ないのですよ。ないのにこの第八条があるということがおかしいのじゃないですが。第八条があるならばやらなければならないでしょう。そうして四十一年の法律改正のときにも、ただいまの局長のような御答弁がされております。その当時は私もそうかなあと思ったのだが、それからまる二年たって考えてみたら、なおまだ納得できない。あらためてこれは聞くわけですが・この条文においては、だれが考えたって、国が所有する家畜の貸し付けが主体でしょう。「その他の助成措置」というものは、これは従でしょう。主が国の牛の貸し付けであって、従たる措置が「その他の助成措置」でございましょう。私は法律学者じゃないから、法理論になるとよくわかりませんけれどもね。しろうと的にこの法文を読んだら、だれが解釈したってそういうことになるでしょう。だから主体になる国の貸し付け制度がないわけですね。ないので助成措置を講じてあるでしょう。ただいまの畜産局長のお話であっても全国的にやっている。全国的にやっているから残しているというのじゃ、これは説明にならない、これは北海道独自の法律ですから……。だとするならば、今回法律改正によって、いわゆる乳牛貸し付け金も、法律の中で貸し付け対象にすることにきまりました。きまってなお八条があるならば、別にこういう制度もあって、そうしてもしも営農希望者が国の牛を貸してくれという希望があったならば貸してあげなければならない一その実態がないのにこの法文があるというのはおかしいじゃないですか。これは納得できませんので、もう一度御説明願いたいと思います。
  52. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 先ほど農政局長からお答え申し上げましたと同じことになるわけでございますが、まあ先生のお話のような考え方もあろうかと思いますけれども、私たちといたしましては、この規定は「国が所有する家畜の貸付その他の助成措置」と、貸し付け一つの助成措置でありまして、「その他の助成措置」と、こうなっておりまして、貸し付け及びその他の助成措置ということではないわけでございますから、一つの例示的なものだというふうに思っております。したがいまして、現在、道有貸付、農協有貸付というふうな制度がしかれているわけでございます。それも例としてあげればあげられるというふうな性質のものでございますから、必ずしも国が所有する家畜の貸し付けが行なわれなければこの規定が十分生かされないというふうに考えなくてもいいのではなかろうかというふうに実は考えているわけでございます。もちろん道有貸付は、都道府県もやっておりますわけで、道だけがやっているわけではございませんけれども、これは一方で融資措置がございましても、なお融資措置だけでは必ずしも十分でない場合もございますし、また別な方法で貸し付けを受けてやりたいというふうな希望もあるわけでございますから、そういうふうな両方の道を開いておいたほうがいいのではないか、こういうふうな観点から、今回この規定につきましては従来どおりということで特に改正をいたさなかった次第でございます。
  53. 川村清一

    川村清一君 いや、私はそういう助成措置がなされておることがいいとか悪いとか言っておるのではないのです。こういう法律があって、そうして法律の条項どおりやっておらないからおかしいではないかと、そんなやらないような法律は削除してもいいじゃないかということを申し上げておるのです。  それでは畜産局長お尋ねしますが、全国いわゆる都道府県において、ほかの県においてもこういう措置がなされておるとするならば、そのほかの県になされておるのはどういう法律に基づいてなされておるのですか。
  54. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) これは特に法律規定ございません。予算措置としてやっているわけでございますが、たまたまこの寒冷地の場合におきましては、マル寒の場合におきましては、その現実の法律規定と、それから現実の予算によります行政措置とが一致をしておる、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
  55. 川村清一

    川村清一君 私は、それは非常にこじつけだと思う。局長と私と法律論争をやったって、とても専門家のあなたにかなうわけがないですからあれですが、ですけれども、これは常識論なんです。おかしいですよ、どうしても。ほかの府県は法律がなくても予算措置でできるならば、北海道もやはりほかの府県と同じように日本国土の中の府県の一つなんですからできるわけでしょう。そうすると、北海道もこの法律がなくたってできるわけでしょう。そうですね。ところが、昭和三十四年にこの法律が設けられたのは、北海道として特に必要だから設けられたのでしょう。そうすると「国が所有する家畜の貸付」と具体的にちゃんとなっておる。 「その他の助成措置」というのは何だかわからない。抽象的ですね。「その他の助成措置」というのは何ですか。ほかにまだありますか。具体的には「国が所有する家畜の貸付」とはっきりうたっておる。これがこの法文の主目的でしょう。従たるものとして、「その他の助成措置」、こうなるんじゃないですか。そうしたら、主目的であるそのものがすでになされておらない。ないんですよ。ないものがこの法文にあるというのはおかしいですよ。法律にあるならばこれは実行しなければならない。そうして今回は、そういう牛の購入資金を貸すと法律にはっきりうたわれてある。なおそれでも国の貸し付け金を借りたいという農民があるならばその人たちに貸してやる、こういう制度があって初めて第八条が生きてくるでしょう。そういう制度がないなら当然この第八条はなくなってしかるべきものだ、またそうしなければこの法律意味がないことになるわけじゃないですか。それ以上は専門的にはわかりませんので、1法制局長官にでも来ていただいて説明してもらいましょうかな。——これどういうことですか。もう一度局長、しろうとの私にでもわかるように説明してください。
  56. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) いま先生のお話しのように、「国が所有する家畜の貸付」が主で、「その他の助成措置」が従というふうなお考えのように拝聴いたしたわけでございますが、「国が所有する家畜の貸付その他の助成措置」ということで、家畜の貸し付けが助成の一つの形である。で、その他にも助成の形はありますから、そういう助成措置を講ずるようにつとめなければならないというふうに読みますと、必ずしも「国が所有する家畜の貸付」が主で、 「その他の助成措置」が従であるというふうには読まなくてもいいんではないかというふうに思われるわけでございます。で、たとえば、都道府県の貸し付け、農協の貸し付けその他の助成措置と、こういうふうに読むこともできるわけでございます。いずれにしても助成措置というところにその重点が置かれておるというふうに私たちは理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、都道府県を通じまして国が助成をする、農協を通じてまして、国が助成をするというふうなことによりまして、この法律の意図しております目的は達しておるのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
  57. 川村清一

    川村清一君 いや局長、それは三百代言的な法理論ですよ、それは。こじつけですよ。もっとすなおにやっぱり説明していただかなければ、まあこれ以上私も質問しませんけれども、そんなこと通らぬですよ。こういうふうにはっきりうたっておいて、そうして道がやる、それから農協がやる、しからばこの法律北海道を何か拘束しますか。農協を拘束しますか。この法律によって北海道はこういう助成をしなければならない、農協がこうしなければならないというふうに拘束するなら意味はわかりますよ。北海道が条例つくって何かやらなければならないというふうに何か義務づけられませんよ。農協だってそうでしょう、もちろん。農協のやることを国がこうやれ、ああやれという指示はできないでしょう。たまたま北海道がやった、あるいは農協がやったときに、それを通じて国が補助しますと、これがこの法律にいうとこのその他の助成措置でございますなんて、そんなものが堂々と——この法律には幾つも条項がないのですよ。ほんのわずかの条項の中に、第八条にただ一つびんとうたわれておって、その解釈がただいまの局長のようなそんな解釈で、一体通りますか。私は全くしろうとですけれども、それでは全く納得できませんよ。ですから、さらによく検討してみてください。もうこれ以上質問しません。  次に、附帯決議にはっきりうたってあるわけでございますが、土地取得資金畜産経営拡大資金とともに一括貸し付け対象とすべきである、こういうふうに決議しておるわけでございますけれども、今回の法改正に当たって土地取得資金というものをこの中に入れなかった理由は何であったか、せっかく家畜の購入資金を認めておいて、そうして土地取得資金を認めなかったということは非常に残念である、画竜点睛を欠くうらみがあったというふうに受け取られるのでございますが、なぜ入れなかったのか、この理由をひとつ御説明願いたい。
  58. 森本修

    政府委員森本修君) 確かに私どもも土地の取得、つまり農地面積の拡大ということは営農改善上きわめて重要なことでありますから、この資金の中に包摂をするということも検討いたしたわけでありますが、家畜の資金は、御案内のように北海道営農形態といたしましては酪農家といったようなことでいわれておりますように、ほとんど大部分の農家営農改善に対しては共通かつ必須の項目であるというふうな感じがいたします。土地取得のほうももちろんそういうケースがかなり多いであろうということでありますけれども、まあ家畜資金ほど共通の項目であるかどうかということは多少問題があるというようなこと、それから融資条件、特に金利は御案内のように三分五厘ということになっておりますので、もちろん全体を三分五厘に引き下げれば同じではないかという議論もございます。しかし、他の金融とのバランスその他によりまして、マル寒資金金利は現実にかようなことに落ちついておるということでもございますので、むしろ金利その他の条件から見ればワク外ということにしておいて、営農改善計画にそういった取得が必要であればマル寒資金と同時並行的に貸し付けが行なわれるというふうにしたほうが現実的にも有利ではないかというふうな配慮からさようなことにいたした次第であります。
  59. 川村清一

    川村清一君 この農地取得資金というのは貸し付け限度額は幾らでございますか。
  60. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 個人に対する貸し付け限度は最近まで八十万円でございましたが、たしか四十一年にこれを改正いたしまして百万円に増額をいたしました。
  61. 川村清一

    川村清一君 百万円を変更する意思はございませんですか。
  62. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 百万円で十分かといいますと、地方によりまた時期によりまして百万円で足らない向きが確かにございますので、ただいま関係省とその増額について折衝中でございます。
  63. 川村清一

    川村清一君 この法律が適用されるその北海道畑作地帯における、まあこれも地域によってもちろん違いますけれども網走とか根釧とか十勝とか、ああいうふうな畑作地帯の地代は平均して大体どのくらいですか。
  64. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) これは具体的にどのくらいというふうにも申し上げられませんけれども、私は、たとえば北海道のように経営拡大意欲の相当強いところは百万円ではなかなか足らないで、これを増額すべきケースが相当あるだろうと思います。私も百万円ではすべての場合において十分だとは言いかねますので、特定の場合を想定して、これは北海道等において経営拡大する場合も当然含むわけでございますけれども、その増額について現在検討中でございます。
  65. 川村清一

    川村清一君 大和田局長は、農政局長をなさっておったときに農地管理事業団というものをお考えになって御提案されて、残念ながら国会を通らなかったという経過があるわけなんですが、あのときの御構想によりますと、全国で七万五千町歩ぐらいの土地が動いておる、そのうち北海道で四万町歩の土地が動いておる、この四万町歩の流動している土地をいわゆる基盤拡大経営規模拡大のために役立てたい、そういうような構想のもとに取得資金として三分三十年という条件考えられ、そして貸し付け限度額が無制限、こういうことを考えられたのですが、非常にごりっぱな構想であるというふうにわれわれは敬服しておったのですが、そういう考え方でもっていまのこの問題を考えられませんですか、北海道のこれ。
  66. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農地管理事業団の場合には国家的機関が農地の売買に介入してこれを経営規模拡大の方向に方向づけるということがポイントでございますから、いま御指摘のような条件でこれを考えたわけであります。公庫の土地取得資金は農地管理事業団の構想に比べればそう厳格な条件はなかなかつけられないわけでありますし、私どもがいま増額についてなかなか前に進まないといいますか、多少困難を感じております事情を申し上げますと、土地取得資金を貸与する、貸し付け農家の資格は実は現在非常にゆるい条件をつけているわけであります。県によりましては多少の条件を上乗せしているところがございますけれども、全国的に見ますと農業あるいは水産の所得を含めて全体の所得の半分以上を占めるという二種兼業農家とは多少違いますけれども、大体それに似た程度の、二種兼業はだめだという程度の非常にゆるい条件土地取得資金を動かしておるわけでありますから、こういうゆるい条件と多額の融資ということは実はなかなかなじまない問題がございまして、したがって、百万円の限度を改める場合に一体土地取得資金貸し付け対象をどういうところにしぼるかということが現在なかなかむずかしい問題になっているわけであります。いずれにいたしましても、私は北海道のような経営規模拡大意欲の強いところでは土地取得資金はふやすことが妥当であるという心がまえで現在折衝いたしておるわけであります。
  67. 川村清一

    川村清一君 先ほど、午前中の質疑の中でも現在七十万程度の中位程度あるいはそれ以下の農家が五年あるいは十年後に百十万ないし百三十万の農業取得を得られるような、そういう経営規模拡大するためには、相当の経営土地というものに拡大をしていかなければならないのは当然です。そうすると土地取得資金というのはこれは重要な要素になることは当然です。そこで、北海道といいましても相当地代も高くなってきております。したがって農地管理事業団の構想を、あれをそのままでここへ持ってこれないのは当然でございますけれども、それにしても百万円ではとてもやれるものではないと思います。そこで農家の実態としましては、ぜひこれを三百万にふやしてもらいたい、それが強い要求でございます。三百万という数字が一体妥当かどうか、可能性があるかどうか、私はぜひとも三百万以上引き上げてもらいたい、こういう希望を持っておりますが、これに対する御見解を承りたい。
  68. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いまの段階で三百万、二百万という数字を申し上げることはできませんけれども、百万円の額を増額する方向で努力をいたすつもりでございます。
  69. 川村清一

    川村清一君 三百万というものを非常にいま期待いたしておるわけであります。これは営農意欲に燃えている農家の方々の非常な期待でございますので、ぜひひとつ実現するように念頭に置いてひとつ大蔵当局なんかとも折衝していただきたい。それから先ほどの農政局長の御説明の中で、この法律の中にこれを盛り込み得なかった理由の一つとして、こちらは三分五厘であると、したがって土地改良あるいは乳牛の購入資金というものの金利はそこまでいかない、いわゆる金利が違うので、したがって一木にすることができなかったというのも一つの大きな要因であるような御答弁がありました。先ほど局長からもそういうお話がありましたように、私どももこれは土地取得資金を一緒にすることによって土地取得資金をこっちのほうへマル寒資金と同じように五分あるいは四分五厘にしてくれというのではなくして、マル寒資金金利のほうを土地取得資金のほうに合わしてもらいたい、いわゆる三分五厘に合わすべきであるということを言っている。高いほうに合わせるのでなくて、低いほうに合わしてくれということを言っておるわけであります。で、それができなかったことははなはだ遺憾でございますが、御承知のように、本法が改正されるということをお聞きしまして、そこで北海道のこういう畑作地域の寒冷地帯の農民の方々が強く当局に対して要請されました条件というものは、ぜひひとつ北海道のこの特殊事情というものを御理解の上に立って、金利は三分五厘、据え置き期間は十年、償還期間は三十年、貸し付け限度額一千万にしてもらいたいということを切なる要望として陳情されておったと思うわけであります。ところが農林当局は、その農民の切なる願望を聞き入れずして、今回の法律改正にあたって、若干予期したとはいいながら、なお金利が五分、据え置き期間は八年で、この間は金利四分五厘、そうして償還期間は現在と同じように二十五年、貸し付け限度額は現在の二百五十万を倍にいたしまして酪農主体経営では五百万その他一般は三百万、こういうような条件に変えたわけでございますが、これは私どもとしてははなはだ不満足でございますが、こういうような条件になさったいわゆる  これは政府政府としての一つの御見解があったと思う。これで十分だという御見解のもとにこういうことをなさったと思うのでありますが、その十分だと思ったその御見解をひとつお聞かせいただきたい。
  70. 森本修

    政府委員森本修君) 確かに私ども北海道のほうから熱烈な、ただいま御紹介にありました融資条件についての要望は承知をいたしております。また北海道畑作の農業を振興するためには、そういった要望をいれたいという気持ちも私どもにはあったことは確かでありますけれども、御案内のように、公庫の融資条件は、それぞれやはり一つのバランスといいますか、体系を持っておるわけであります。そういう点が一つと、それから先ほど来御議論がございましたような、営農改善の現状から目標に到達する姿というのにこの融資条件を当てはめてみますならば、御提案申し上げておりますような融資条件でもまずかなりな目的が達し得るのではないかといったような計算も得られましたので、そういった二つの点から、あるいは当初の希望に比べて十分ではないという御見解はあろうかと思いますけれども、まずまずこれだけの融資条件で出発をすれば、所期の目的がほぼ達成を見るのではないかということで、こういったことをお願いいたしておるわけであります。
  71. 川村清一

    川村清一君 ただいまの御答弁では、公庫の金融の、他の金融とのバランス、金利体系というようなものとの勘案の上で、というようなお答えもあったわけでございます。そこで、私、お願いをしていただいた資料検討してみますというと、この法律が制定されました三十四年度の時点におきましては、他の金融制度と比べて北海道寒冷地畑作営農改善資金というものの条件というのは確かに有利でございまして、農民にとってはきわめて魅力のある制度であった、こういうふうに思うわけであります。ところが現在はどうかといいますというと、現在はたとえば構造改善推進資金の三分五厘、農地取得資金の三分五厘、こういうようなものがあるわけであります。したがって、いままではマル寒資金も五分五厘、今度は五分になりますから若干よくなるとはいいますけれども、他の金融制度と比較してみた場合において、三十四年当時と現在ではやはりだいぶ違っておる、そんなに有利である、よいということには相なっておらぬと思うわけであります。今日まで二カ年間の長い間相当の費用も使って、北海道南九州畑作の実態というものをあらゆる角度から調査をされ、検討をされて、そうしてこういう法律を設けられたわけでございますが、そうしますというと、そういう実態の上に立って考えてみたときに、ただいまのお話では、今度の五分という金利——もっとも据え置き期間は四分五厘でございますが、これでまずまずである、これによって百十万円ないし百三十万円という所得目標を達成できる、そういう営農が確立されるような形になるだろう、十分の資本装備ができるであろう、こういうようなお考えに対しましては、ちょっと納得がいきかねるわけでございます。ほんとうに局長はこの制度によって、この貸し付け条件によって、目標とするところの百十万ないし百三十万の農業所得を得られる、そういう営農が確立する、そういう体制ができるという確信を持っておられるのかどうか、ひとつ責任のある御答弁を承りたいと思います。
  72. 森本修

    政府委員森本修君) もちろん個々の営農のことでありますから、また長期間にわたるそういった経営が推移をしてまいります間には、いろいろな条件がこれに影響してまいります。したがいまして、こういった融資条件だけでもって営農の状態がどうなるということを取り出して、それだけではなかなか議論をしたり、推定をするということはむずかしいことと思います。したがいまして、まあ体制としてどういうことになろうかという程度のめどというふうなことであろうと思います、ものごとは。そういう観点から私どもが代表的な事例について積算をいたしましたところ、先ほど申し上げましたような結果を得ておるわけであります。もちろんこういった金融の制度のみではなしに、他の土地改良でありますとか、その他万般の施策なり、あるいは農家における営農改善の努力というふうなものと相まって、営農改善実績をあげるということになるわけでありますが、融資条件という観点から見ますならば、私が先ほど申し上げましたようなことでほぼ行き得るんではないかというふうな感じを得ております。
  73. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、営農改善資金条件は五分である、据え置き期間は四分五厘のこういう貸し付けを受けることができると。それに合わせて今度は土地取得資金でありますか、これが三分五厘。これが現在百万でございますが、これをさらに引き上げる。まあ私ども希望としましてはぜひ三百万まで上げてもらいたいという希望を持っております。この二つの関係でありますが、この資金を借り受けまして、もちろんそのときには営農計画もありますが、この資金によって営農計画を立て、その営農計画ではこれだけのいわゆる土地経営規模を持たなければならない、それだけの経営規模にするためにはこれだけの土地を取得せんければならぬという中で、その取得する土地の必要面積が出てくるわけでありますが、それに対して取得資金がどれだけ必要かということは出てきます。その取得資金というものは、これは一括でございませんが、別に別途借り受けるんですが、それは別途希望しただけ借り受けができるようなそういう仕組みになっておるのかどうか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  74. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど来申し上げておりますように、マル寒資金と取得資金手続としてはそれぞれ一括して借りられるようなことで手続を踏んでいただく。また、様式その他もそういうことになっております。したがいまして、営農改善計画を立てた農家で土地の取得が必要であるという場合には、マル寒資金と一緒になって借りられるというふうな手続上の一体性を持たせてございます。
  75. 川村清一

    川村清一君 さらに一点お尋ねしたいのは、この次官通達の中に、マル寒資金と同時に自作農維持資金、これが出ておりますね。自作農資金と大体一体になる。同時に貸し付けを受けるようなこういう計画、その計画が立たなければ、まあ一時これを待つというようなことがここに書かれておりますが、自作農維持資金との関係はどういうことになりますか。
  76. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 自作農維持資金の関係といたしましては、現在四十二年度、四十三年度について北海道で相当大規模の負債整理事業をやっておるわけでございます。これは負債整理事業は四十二年、四十三年でございますから、マル寒資金の今後五カ年間よりももっと先に相当な負債整理がスタートするだろうと思います。しかし、三年、四年、五年等々、マル寒資金についての営農改善計画がつくられますときに、たまたまその農家で四十二年、四十三年度に負債整理事業にならなかったケース、たとえば四十四年、四十五年に至って負債整理事業といいますか、自作農維持事業の対象になるようなものがありますれば、それはやはり土地取得資金と同じような形で、そうして何通も申請書を出さないで貸し付けられる、そういうことに処置をいたすつもりでおります。
  77. 川村清一

    川村清一君 これは農政局からいただいた資料なんですが、これは北海道南九州畑作振興対策調査室でやった予備調査の結果です。厚いものですからもちろんみんな読んでませんが、すっと目を通したところによれば、相当調査地域農家の負債の実態というものが出てきているわけです。相当負債がやはり営農を、経営を阻害している要因になってきておる、こう分析されておるわけです。そこで、今回法律改正するにあたって、北海道畑作農家の負債というものをどういうふうに分析されておるのか。いまの大和田局長のお話によりますと、四十二年、四十三年で大体負債が整理されるということで、そうすると、北海道農家には負債がなくなると、こういうようなことになるように受け取れるようなお話があったわけでございますが、ほんとうに四十二年、四十三年で負債の大かたがなくなるものかどうか、あるとするならば当然負債に対する対策を立てなければ、せっかくこういう法律をつくっても、法律の目的をきちっと達成することができないのではないか、こうも思いますので、現在北海道畑作農家の負債をどういうふうに分析されておるか、それを御説明願いたいと思います。
  78. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 北海道におきまして二年、三年連続の災害がございましたから、北海道農家の負債、特に固定化負債が相当大きな問題になってきたことは事実でございます。したがいまして、私ども全国的なベース、あるいは開拓者に対する負債整理その他の事業とはまた格段の措置を最近の時点においてとりまして、四十二年度及び四十三年度において相当大規模の負債整理をいたすわけです。これは当然自作農維持に関する法律に基づく措置でございますから、農家の負債といいましても、極端なことを申し上げて恐縮ですけれども、たとえば農家が自動車を買って借金ができたというものまで、今回の措置で整理するというわけにはとうていまいらないわけでございます。相当こげついた、しかも営農あるいは災害に関係してこげついた負債ということでございます。しかし、私ども現在北海道と相談をいたしまして、最近の時点で、また北海道の負債状況の相当詳細な調査をしておるわけで、まだ最終的にデータがまとまっておらぬようでございますけれども、どうもその結果の大体の内報といいますか、内輪話としては、四十二年の農作によって農家の負債は相当といいますか、ある程度減るのではないかという見通しもあるようでございます。したがいまして、四十二年、四十三年度における自作農維持創設資金あるいは北海道の十五万円限りの利子補給等々の措置によって、私は、固定化して相当農家にとって重みになっているような負債の相当部分は解決するのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  79. 川村清一

    川村清一君 農家負債のA、B、C、D、四つの階層に分けて、A階層はいいですね。B階層も、これの法律対象外ですね。D階層も対象外ですね。問題はC階層ですね。そこで私いろいろ聞いているのですが、何か負債を十五万足切りして、そしてそれに対しては道と市町村にめんどうを見らせる。こういうふうな利子補給をさせると。こういうような話で、市町村はだいぶ——道はしかたないとしても、市町村自治体はだいぶ困っているようなことも聞いておりますが、それはまあまあ別といたしまして、そういう解決策を農林省が道に対して指示されたかどうか、その問題をいまここで議論する気はございませんが、ここではっきり局長の御答弁をいただいておきたいことは、私もいま実態がどうなっているか、何せ去年は大豊作でしたからどういう実態になっておるかわかりませんけれども、しかしながら、この法律運用の過程において、いわゆる負債でなかなか計画が立たないという場合においては、やはり自創資金はこの法律とともに運用していただく、自創資金貸し付けを受けるような措置を取り計らってもらえる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  80. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) ただいま申し上げましたように、自作農維持資金農家の一切の負債の整理をやるというたてまえではございませんで、特段の災害その他に関係する負債の整理でございますが、それで処理すべきものは当然今後におきましても自作農創設維持資金で処理する考えでおります。
  81. 川村清一

    川村清一君 もちろん私が申し上げているのは、農家が先刻局長からお話があったように自動車を買ったとか、あるいはまあ働きもしないで酒ばかり飲んでそれで借金をつくった、その借金までやれなんということを申し上げているのではなくて、善良な農家、生産意欲に燃えている農家が一生懸命働いてもやはり冷害とかそういうような自然的ないわゆる天災によって災害等を受けて、そして生じたそういう負債に対しては国がそういう措置をとってもらえる、こういうふうに理解しておきたいと思うわけです。  その次に、確かめておきたいことは、今度はまあ五百万まで限度額が上がったわけでございます。そうすると資金量が大きくなりますから、やはりこの担保というものが問題になると思うのです。いままでのように不動産だけ、土地とか家屋だけが担保対象であるということになれば、なかなか貸し付けを受ける計画が立たない、こう思うわけでございますが、この担保をもっと拡大するというようなお考えがございませんか。
  82. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 貸し付け資金はそれが大きくなるに従いまして担保の問題が相当重要な問題になってくることはお説のとおりでございます。私ども公庫とずっと相談をいたしてきておりますが、最近におきまして公庫の土地の評価は時価の八割まで担保に取り得ることにいたしましたので、よほど物的担保の面で改善をされたと思います。さらに私ども近く農業動産信用法の施行令を直しまして、公庫が金を貸しますときに農業動産といいますか、牛あるいは農機具等の動産を動産抵当として取り得るように公庫の制度を改めることを現在検討いたしておりますので、それができますと公庫が担保を取る場合に相当有力なものができるというふうに考えます。また物的担保にたよっておることが現状でございますけれども、必ずしもいままでのマル寒資金の例を見ましても物的な担保力だけではなくて保証人のみによっております事例も四十一年度においては相当ふえておるわけでございますから、営農計画の実態を吟味する際に、その農家の担保その他の一切の条件を見て、あるいは土地を担保とし、あるいは動産を担保とし、場合によりましては保証人のみによって融資をすると、そういう相当弾力的な態度をとっていきたい。もちろん金融機関でございますから、あぶない融資というものはなかなかできないのが本質でございますから、そうゆるめるわけにもまいりませんが、とにかく担保の問題は従来に比べてよほど前進をいたすものと考えます。
  83. 川村清一

    川村清一君 それでは次に貸し付け認定対象農家を一万二千五百戸と、こう推定しておりますが、しかもそれは四十三年から四十七年まで五カ年間において毎年二千五百戸ずつ認定する予定でありますが、この毎年二千五百戸ずつ、総体一万二千五百戸と、こういうふうに見込んだいわゆる根拠を御説明願いたいと思います。
  84. 森本修

    政府委員森本修君) いろいろな数値でもってそういうふうに出してきたわけでありますが、地域内の農家の数がございます。それからそのうち畑作を主とする農家の数、それからその中でも所得水準がかなり現在においても高いといったような農家の数、それから逆に農業への依存度が非常に、何といいますか、少ないといったような、ほとんど兼業を中心にしてやっておられるといったような農家、それから農業に働く人がこれまたほとんどいないといったような農家の数、そういったようなものをそれぞれ加減をいたしまして、大体出てまいります農家というものは二万五千戸ということになります。もちろん、こういう農家全体が貸し付け希望されるということもあるかもしれませんけれども、従来のこのような資金の運営の実績、実態等を見てまいりますと、まずほぼ半分程度貸し付け希望されるのではないかというふうなことで、一万二千五百戸というのが出されております。もちろんこれは御案内のこととは思いますけれども、計画とかそういうことではございませんで、所要資金をおおよそ概定をする際のめどになる数字というふうなものでございますので、別段この数字以上になれば困るとかいうふうなことは考えておらないわけでございます。
  85. 川村清一

    川村清一君 時間もだいぶんたちましたから、この辺で大体終わりにしたいと思うわけでございます。ただいまの御説明によって一万二千五百戸というものを見込んだ根拠がわかりましたが、さてこれに貸し付けをするわけでありますが、ことしの資金ワクは十五億でございます。そうすると十五億としてこれを二千五百戸に貸し付けるとしますというと、二戸平均六十万ということになるわけです。そうするとこれを五年間で貸し付けるわけです。五年間貸したとしても三百万になるわけです。これはもちろん限度額は一般は三百万ですから、しかし、主畜のほうは五百万ということですが、この酪農五百万、一般三百万とそれから貸し付けの実数は三百万、この三つ数字の関係は一体どういうことになるわけですか。
  86. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど言われましたように、私どもの計算としましては、五年間に分けて農家貸し付けを受けられるという想定のもとに四十三年度の単年度の資金ワクを計算いたしております。限度額と平均的な借り入れ金額の見込みとの間にもちろん若干ギャップがございます。限度一ぱいに、資金の計算のときには見込んではおりません。従来のあれからいきましても、限度額を満額借りるということは少ないといいますか、全部の農家がそういう状態ではございません。限度額の中で実際どの程度借りられるかということを推定をいたしまして、資金ワクとしては計算をするということになっておるわけでございます。
  87. 川村清一

    川村清一君 問題はいろいろあると思うのです。総括的な問題になりますが、現在すでにこの制度によって借り入れを受けておる、したがってこれ以上借り入れられないという者もあるでしょうし、それから借りたいという意欲はあるけれども、担保力がなくて借り入れられない者もあるでしょう。それから現在の経営の中では今度は営農計画が立たなくて借りられない者もあるでしょうし、いろいろ知事の認定を受けるまでに営農計画を立てるまでの過程でいろいろな問題点が出てくると思うわけでありますが、こういうものにぜひこの資金を借りて、こういうような経営をやりたいんだ、そしてこうしたいんだという非常な意欲を持っておる、こういう農民のために、そういう悪条件はあるけれども、その悪条件を克服してやってあげるという、やはり親切心がなければなかなか困難だと思うのでありますが、こういう点はどういうことになっておりますか。たとえば、もうすでに借りておる。なかなか借りられないものもあるでしょう。これは担保力がないというものもあるでしょう。そういったようなものをどうして救済するかという問題点があると思うんですが、これらに対して、具体的に何か措置、方法はないものかどうか、一番私どもの心配していることなんですが、これに対してひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  88. 森本修

    政府委員森本修君) 従来マル寒資金を借りまして営農改善につとめられたけれども、まだ、やった結果今回の貸し付け対象農家の資格があるような状態になっております農家に対しては、新しくマル寒資金を貸し出しをするということにしたいと思っております。なお、担保その他が十分でないので、意欲があっても借りにくいというふうな農家もあるいはあるかと思います。そういう農家に対しましては、先ほど来経済局長からお答えがございましたように、担保についての各種改善措置、また物的担保がなくても人的な信用によって補完をするといったようなこと、その他できるだけそういう農家にあたたかい目でこの資金が利用できますような万般の指導措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  89. 川村清一

    川村清一君 ただいま局長も言われましたとおりに、ぜひひとつあたたかい気持ちで万般の処置をとっていただいて、そうして、そういういろいろな条件の悪いところで営々として働いている畑作農民を引き上げるための措置を講じていただきたいということを特に要望申し上げたいと思うわけでございます。  それにつけましても、われわれ現在非常に満足しておらない金利の問題であるとか、あるいは償還期限の問題であるとか、あるいは貸し付け限度額の問題であるとか、いわゆる貸し付け条件の問題につきましても、さらに御努力されまして、条件を引き上げるように今後とも御努力をされますように、特にお願いを申し上げたいと思います。  最後に私は、大臣に私の意見を申し上げて、そして大臣の率直な御意見をいただきたいと思うわけでありますが、この法律は積雪寒冷の気象条件、それから劣悪な土地条件のもとに営まれております北海道寒冷地帯畑作営農振興することを目的とした法律でございます。これはすなわち、気象条件とか土地条件の悪条件を克服して、少なくとも中庸程度以上の農業経営が行なわれるよう、生産意欲に燃えておる農民に対し、国が資金的な援助をしようとする法律でございます。したがって、この法律は私は立法の趣旨自体には大きな意義があると思います。しかし、この際、私はこの法律を生んだ、この法律の背景となっております北海道農業そのものがどうあるべきか。この日本農業の中における北海道農業の位置づけといいますか、日本農業の中において北海道農業はどうでなければならないかということと、それから北海道農業の中におけるこの法律のいわゆる位置づけというものをひとつ考えてみたいと思うわけであります。確かに北海道の気象条件や土地条件は、この法律が生まれましたように、劣悪な地域が多いわけであります。マル寒法律指定地域の土地条件というものは、いただいた資料によって見ましてもはっきりしておるわけでございますが、その中には火山灰土地帯が二十八万二千ヘクタール、重粘土地帯が十一万二千ヘクタール、泥炭地が二万七千ヘクタール、それから排水改良を要する畑地が三十一万四千ヘクタール、こういうふうにあるわけでございます。それから気象条件が悪いことは申すまでもございません。しかしながら、それじゃ北海道の土地というものは、内地の他の都府県に比べると悪条件ばかりか、いわゆる農業というものを考えてみた場合に悪条件ばかりかというと、私はそうではないと思う。他府県に比べて比べものにならないくらいによい条件もたくさんあるわけであります。たとえば土地の農業面積は九十七万ヘクタールにも及びまして全国農業面積の一八%を占めております。それから、そのうち畑、草地が七四%あります。さらに今後開発可能な農用地の造成可能面積は六十万ヘクタール、それから農地が流動しない——流動しないと言っておりますが、北海道の場合は年に四万ヘクタールも農地が事実動いておるわけでございます。それから農業をやっている農家の構成を考えてみますというと、専用農家が五〇%であり、一種兼業農家が二四%、これも他府県よりはずっとよい要素になっておるわけであります。それから一戸当たりの平均面積にいたしましても、畑地であるならば十勝管内においては九ヘクタール、網走は五ヘクタールであります。  御承知のように昭和四十二年度、米の生産は全国で一千四百万トン、北海道だけで百十一万トンであります。そうしますと、全国の米生産の約一割近くが北海道で生産されておる。もう日本一の米の生産地になっておるわけでございます。それから酪農を見ますというと、乳牛は三十二万頭、全国の二五%を占めている。二月平均六・四頭、そのうち牛乳の生産量は全国の二〇%を占めており、うち加工乳原料は八三%、こういうように、将来の日本農業を展望してみた場合に、なかなか希望の持てないような条件が日本農業の中にはたくさんあるわけであります。すなわち、農業生産というものがだんだん減退する情勢にあってみたり、あるいは農用地がだんだん減少していく、こういうような、先行きがきわめて細いというこういう情勢の中において、北海道農業は、やればまだまだ大きく拡大される見込みがあるわけでございます。したがって、これは専門家の意見でございますが、やりようによっては北海道においては今後新規造田がさらに五万ヘクタールくらいできるのではないか。将来水田三十万ヘクタール、平年作において百五十万トンの米の生産はもう可能である。こういうようなことも言っておりますし、それから牛乳あるいは肉類、甘味生産物、こういったようなものを考えてみましても、当面百万ヘクタールの農地を造成することができ、さらに現在七十万ヘクタールある既農地の地力の回復を進めることによって、ビート、ジャガイモは年間二百五十万トン、牛乳は四百万トン、畜肉四十万トン、こういう膨大な生産量を見込むことができると、こうすればわが国食糧面における北海道の役割りというものは飛躍的に拡大すると、こういうようなことを専門家の人々は言っておるわけです。こういう好条件もある。ただ一番悪条件というものは、そういう気象条件、土地条件があるから、いわゆる気象条件からいって冷害克服ということが大きな問題であります。しかし、これも国が本腰を入れてやってくれるならば、こういう土地条件や気象条件も克服して、ほんとうに冷害から解放された農業経営ができるんじゃないか、徹底した適地、適作、しかも適経営原則を貫いていったならば必ずこれはやれるんではないかと、こういうふうにも考えるわけであります。  こういう観点から北海道農業というものを展望するならば、これはもう北海道こそ日本の食糧の一大基地であると、また食糧の基地として北海道にそういう使命を与えるべきじゃないかと、そういう使命感の上に立って北海道の農業を展開させるべきではないか、そういう考え方の上に立ってこの農政を推進していくべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。したがって、いまマル寒資金法律案をいろいろ検討いたしましたが、この法律案を消極的な面においてとらえては私はいけないと思う。そういう悪い条件の中において非常に営農も安定しない困っているこういう農民を何とか救ってやるんだ、中庸程度のところまで引き上げてやるんだという救済的な考え方でもってこの法律をとらえるか、北海道の農業は日本の農業という全体の上に立ってこういう使命感を持った農業でなければならない、こうするんだと、そういう観点に立ってそうしていろんな施策をやっていかなければならないが、その施策の一つとしていまの法律をやったんだと、この法律自体にももちろん目的はありますが、これを含めてもっともっと大目的をもって日本農業をこうするんだと、そういう中において北海道農業をこうするんだと、北海道農業を日本の農業の中にどう位置づけさせるかという、こういう考え方でこの法律案をひとつつかまえるべきではないかと私は考えておるわけでありますが、これに対してひとつ日本の農政の最高責任者である西村農林大臣の率直な御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  90. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 川村委員から最終的に御熱心なただいま御意見をいただきました、私も同感でございます。また、御質問の過程におきまして私もさらに北海道に対する、あるいは北海道営農に対する認識を深めておるものですが、特に気象条件が寒冷であると、こういう悪い面の一方におきまして非常に有利な農業経営規模の大きいこと、それから非常に広大な地域と草地資源を持っておる、いわゆる開発の可能性が非常に大きい特色ある地域だと、こういう北海道に対する農政上の基本的認識を深めてまいりたいと思います。  そこで、特に具体的にどうその特性を発揮するかというようなことにつきまして、すでに農林省におきましても、二年間のいろいろなそれに対する特性を検討し、行政措置でできるものはまだ十分ではないと思いますが進めておりますし、また御存じのとおり、三十七年に策定しました全国総合開発計画、この中におきましても、北海道の開発の可能性というものも持たして生産基盤の拡充整備、経営規模拡大、それから合理的な輪作体系の確立、こういうことを進めるようにいたしておりますし、さらに全国総合開発計画はやがて近くさらに発展的に改定されるというような場合におきましても、われわれはそういった考え方を推進してまいりたいと思うのであります。  そこで、こういったことを基本にして、日本農政の中における北海道農業の位置づけというものをはっきりわれわれとしては置きまして、そうしていま申し上げましたような諸施策を今後推進してまいりたい、特に今回の法改正は、なるほど法改正そのものについては部分改正であるかもしれませんが、いまおっしゃられましたような精神の中においての一つである、こういう趣旨を十分心得ていきたいと思うのでございます。特に法というものは、たとえその部分だけのことを措置するにしましても、全体の中の一環として扱うと同時に、その法の精神そのものが具体的適用において、たとえば融資の段階においてもずいぶん御議論がありましたが、そういうものが生きていくようにひとつ取っ組みをしてまいりたい、こういう考えでございますことを申し上げたいと思います。
  91. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 川村さんの綿密にわたってのいろいろなお話は、なるべく重複を避けるようにいたしまして、限られた時間でございますので、要点だけ私は申し上げていきたいと思います。  今日の農業は一面金融農業とも言われております。制度金融が制度金融を生み出していっているようなきらいを私は覚えるわけですが、こうなっていきますと、借りるほうの農民、それを活用してよくなっていこうとする農民と、貸していこうとするほうの事務、そういうものが制度制度に流されていって相当複雑怪奇になってくるのじゃないか。こういう観点につきまして、まず大和田局長と農林大臣に今日の状態から将来を見通しての御所見を伺いたいと思います。
  92. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 現在制度金融と言われておりますものは、十分御承知と思いますが、まず農林漁業金融公庫の資金とそれから農業近代化資金それからさらに農業改良資金、開拓者資金、それからいわゆる災害の場合の天然融資と大体五本立てでございます。それで、それぞれ農林漁業金融公庫の資金の中も相当細分化されておりますけれども、この五つの資金はいずれもそれなりの特徴と目的とを持っておるわけでございまして、農林漁業金融公庫の資金は、他の機関の融資に仰げないような長期低利の資金を目的とするものでございます。農業近代化資金は、中期的な資金、系統的な資金を利用しつつ国と県とが利子補給をして農家資金源といたすものでございます。それから農業改良資金は、これは国と県とが金を出し合って基金をつくって技術導入と申しますか、革新的な技術を新しく入れるためのことを主とし、それに生活改善その他の問題が当然ございますけれども、比較的短期で無利子でございます。これは融資というよりむしろ融資と補助金との中間的なものというふうにお考えいただいてよかろうと思います。それから開拓者資金は、これは国が特別会計をもって開拓者に対して特段の融資をするものでございます。天災融資は、国と地方公共団体の利子補給によって、系統資金を使って短期の営農資金を災害の場合に供給するものでございます。確かにおっしゃるとおり一本ではございませんで、大くくりにいたしましてもいまのように五木立てになっており、さらに農林漁業金融公庫の資金が相当こまかに分かれておりますから複雑であることは私はそのとおりであると思いますけれども、農林漁業金融公庫ができましたのが昭和二十八年でございますし、農業近代化資金ができましたのが昭和三十六年でございまして、いわば長い補助金の行政に比べれば金融の行政、特に制度金融の行政は比較的新しくて、農家にとっては長期低利の資金を供給することが望ましいわけでございますから、それぞれの必要に応じて新しい制度をつくってきたということが、この複雑な農業金融を生んだ一番大きな理由であろうと思います。私は複雑であるより簡単であることが望ましいわけでございますから、農林漁業金融公庫の資金中身も今後できる限り簡潔なものにしてまいりたい、そういう心がまえで当然行政として取り組むべきでございますが、単に簡素化ということだけでありますと、これは特段の施策を長期低利の融資によって推進するということが薄らぐという弊害もあるわけでございますから、そこのところの理解は十分わきまえながら、方向としてはやはり農家のために見やすいような簡単なものにできるだけしておくという心がまえでやはりやってまいりたいというふうに思います。
  93. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 重複を避けまして基本だけ申し上げたいと思います。ただいま局長の申しましたように、日本の農業金融、その中には御存じのとおり、昭和三十年代になりましてから農業金融というものが助成策とあわして出てきておるわけであります。いわゆる農林漁業金融公庫の公庫資金と、それから近代化資金なり改良資金なり発展してまいっております。それから一方におきまして民間資金としての系統資金がある。しかし、日本農政としましては、これは国民食糧確保ということと土地の制約、自然条件、こういうものからあわせまして、他の産業とは違って助成と金融とを十分あわしてやっていかなければならない、これが基本の姿勢だろうと思います。  それからいま一つは、制度資金というものは、おそらくそれぞれの政策目的をもって発生してまいる、したがって、それなりのそれぞれにおいての意義はあると思います。ただおっしゃるように、確かに農林当局あるいは皆さんの御協力によってそのつどできるだけ地域対象に合うようにきめのこまかなくふうをされてきただけに、また一面におきまして少しそこに複雑多岐じゃないかという御批判が出ておる。したがって、われわれは時代の進展、特に日本の農政が、農業、農民のために、これは何といってもあるのでございますから、こういうことのたてまえから不断にやはり私は理解しやすいように、活用しやすいように、そうしてその意義が達成せられるようなたてまえから整理づけをやってまいりたい、体系づけをやってまいりたい、この努力はやっているつもりでございます。
  94. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お話の内容は私も理解できるわけでありますが、わが国の農政をどうするか、また行政の面からいきまして、どうして長期的な計画を立てていくか、そういう観点に立った一つのビジョンといいますか、そういう行き方の中から当然この制度金融というものもつくられていかなければならない。先ほどお話のありましたように、必要に応じてつくられる、また農民のそのつどつどの状態に応じて制度がつくられていって、今日のようになってきているというお話がありましたけれども、いま申し上げましたように、私は、日本農政というものが長期的な計画を持ち、それが着実に実行されてきたならば、そのつどそのつど変わっていく時代の流動、趨勢というものによって変わっていくということはわかりますけれども、大きな一つのビジョンの中から進んでいく観点から立てば、この制度制度を生み、制度制度を生んでいくような複雑というものは解決が一応できていくんじゃないか、このように思うわけです。  そこで申し上げてみたいのは、先ほど大和田局長もおっしゃられましたが、私はいま農林漁業金融公庫の資金の状態だけを取り上げて見てみたいと思います。ほかの点や何か持ち出しますと時間がありませんので、それで参考資料としていただいておりますこの中の一つの例をとってみますと、経営構造改善というのがございます。経営構造改善の中に農業構造改善事業推進資金、果樹園経営改善資金、畜産経営改善資金、農地等取得資金、未墾地取得資金、こういうふうに経営構造改善の中にも先ほど局長が言われておりました資金がこれに分割されておりますね。この分割されておるものを、これを立場を変えて農民の方が園芸の果樹のほうを主体としてやる場合に、——じゃ農林漁業金融公庫のいろいろな資金の借り方がある、自創資金もある、いろいろなものがあります。こういうもので果樹をつくる人にはどれとどれとがあるんだというような判断に迷うような面も多分にあると思います。こういう点につきまして私は疑義を持ったものですから、いま申し上げましたように、ビジョンの上に立ったその政策の中から当然前もって生まれていかなければならない。こういう観点から考えていけば、その場その場でできていく、また、今回のように南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法とかあるいは北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律、この法律が二回も三回も変えられていくわけであります。こういうことから考えていきましても、一つ北海道なら北海道南九州なら南九州という長期にわたった日本農政のあり方、そこから出発していくならば複雑怪奇になっていかないんじゃないか、こう思うわけです。この細分化されている資金の行き方というものをどういうふうにまとめていかれるのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  95. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いま御指摘になりましたように農業関係の資金が公庫資金だけをとりましても相当細分化されておるわけでございます。これは人によりまして事業別融資でありますとか、あるいは物別融資でありますとか、いろいろな言い方があるわけでございますが、これに対しましていま御審議いただいておりますマル寒資金でありますとか、あるいは南九州畑作営農改善資金でありますとか、さらにこれから御審議をわずらわします総合施設資金とかいうものは、中身に多少の相違がございますけれども、いわば経営対象といたしまして融資をする、土地改良、土地取得あるいは果樹畜産等々をまとめて、たとえば、総合施設資金で申し上げますと、一つ経営を単位として金を貸す、そういうシステムがあるわけでございます。私は非常に抽象的な理想論といたしましては、経営資金であることが一番望ましいということは言えるだろうと思います。一戸の経営をつかまえて、農家が土地改良をやるにいたしましても、果樹を植えるにいたしましても、一本の資金を借りられるというのが、私は抽象的に言えば一番望ましいことであろうかと思います。しかし、農業構造改善事業推進資金にいたしましても、土地取得資金にいたしましても金利は三分五厘でございます。したがいまして、現在公庫で事業別資金あるいは物別資金と言われますものは、一つ重点をつかまえてそれに集中的に融資をして、その面で伸ばすということが目的になって事業別の資金ができておるわけでございます。土地取得あるいは土地改良、果樹園経営、畜産経営等々でございます。したがいまして、経営資金を一括いたしますことは、現在の段階では推進しようとする重点がぼやけることが一つ、それからもう一つは、これはあるいは俗な言い方で恐縮でございますけれども経営資金といたしますと、三分五厘の融資ということは、現在の中小企業融資その他等々とにらみ合わせましても、農業資金としてもなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、低利長期のものにつきましてはやはり現在と同じように事業別の資金で相当程度やり、そうして特に必要なものにつきましては経営資金をつくるというそういうことがやはり現実的な解決のしかたであろうというふうに考えております。
  96. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お話はわかるようですが、一つのシステムの中からやはりやっていくというお考えなんですが、総括の面から私はどうも言いたいのですがね。そういうことから考えまして、このいま取り上げました構造改善のいろんな資金の面につきましても、何というのですか、償還年限の年数も違っているし、それから据え置き期間等も違っておりますし、また年利も違ってきております。こういうものが総体的の中から一つ一つのシステムによってつくられていくという形できているとは思いますが、農民のほうの側にしてみると、よく私は聞いてみるのです。どういうものを借りているのだ、こういうふうに言いますと、自創資金だ、近代化資金だということくらいしかわかっていないのです、それは一部分の人ではございましょうけれども。大体がそういったような考え方をお持ちの人たちが私が聞いた範囲でもかなりあります。そういう上から見ましても、なるべくならば農林漁業金融公庫の全体にわたって、今回の両法案にいたしましても、利子の面もあるいは償還期限の面も見ていくべきじゃないか。簡単にいいますと、おとうさんの借金を子供がしょって、子供の時代になって償還するということになりますが、そうするとおとうさんの借金をしょってまでおれは農業はいやだよという人もあるわけです。どうもこういったようなことから考え合わせてみましても、その次の時代の者がやはり納得できるような行き方、そういうことも含めた上の行き方でなければならないのじゃないか、私はこう考えてみますと、今日いろんな制度がありますが、やはりこういう制度があるために、特に北海道なんかは三回も繰り返されるということになる。私は、特別な何といいますか、寒冷地特別立法といいますか、そういったような東北を含めた、北海道を含めた寒冷地特有の法律というものをつくり上げていかなければならない。そのビジョンの中からあらゆる事業形態経営形態、こういう金融措置の問題等も考えていくべきではないか、こういうふうに考えておりますが、どんなお考えですか。
  97. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 東北も含めてということは別といたしまして、今回のマル寒資金法律改正法案も特殊な地帯対象でございますけれども一つ経営資金といいますか、いろいろな柱をたばねてできるだけ一本にして公庫の資金を貸す、そういう趣旨から生まれた制度であるわけであります。
  98. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それがはっきりしてよくなっていけば、実行されてきたならば……、といいますのは、参議院において附帯決議をいたしました、衆議院においても附帯決議がなされております。その附帯決議が完全に履行される、そのビジョンの上からそれが履行されていけば、足もとから解決されていけば、ビジョンに向かっていくとすれば、何回も何回もやる必要はない。法律改正案改正案というのは出す必要はない。そういう点から考えてみましても、これははっきりしたものを、もう少しより強固な法律改正というものをして、そこから私は臨むべきじゃないか、こう思うわけですがね。
  99. 森本修

    政府委員森本修君) 午前中も御議論がございましたように、二回にわたる改正をいたしましたが、なお前回のときもかなり多くの項目にわたる附帯決議をいただいた。また、本資金の抜本的な改善について、機構を設けて本格的に取り組めという本院の附帯決議もございました。そういうふうなものを受けまして今回の法律改正をしたという経緯になっております。  なお、御趣旨のように制度金融がいたずらに多岐にわたりますことは必ずしも本旨ではありませんけれども、それぞれいろんな経緯もございますし、また固有の目的使命もあるわけでございますので、そういった点については十分制度資金の目的に沿うような運用については、今後ともひとつ努力をいたしてまいりたいと思います。
  100. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がございませんのでほかの面からいろいろお伺いいたしたいと思っておりましたのですが、川村さんからもお話ありましたように、借り手の立場になって、そしてその農家の人たちがどう成長していくか、それによってわれわれの食糧も確保されるという、これは私がいまさら申し上げるまでもありません。それは当然のことでありますが、その人たちが喜んで働いて私たちの食生活を守ってくれるように、こういう面から見ましてもいまの借りる手続だとか、あるいは担保の物件をどうするとか、あるいはいままでの借金をどうするとか、こういう問題がさらに残っているわけであります。こういう点につきましても十分に農家の立場になって考えていくということに主力を注いでいっていただきたいということと、重ねて申し上げますことは、この際私は金融農業といわれ、制度金融といわれている今日の農政は、わが国の真の意味の農業国としての生き方の政策を考えていかれるように希望して私の質問を終わりたいと思います。大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  101. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私自体、実はこの農業金融につきましても借りるほうの農民から見ると、実際おっしゃるようにわかりにくい面がある、私自体も実は一欄表を持ってこいと言って調べてみるとかなり複雑であります。ただ事柄の筋から見ますと、目的に従ってかなりきめこまかに具体的に当てはまるようにという、意欲的にやってきたという面もありますから、こういったものをできるだけやはりビジョンの中に体系づけていくという努力は今後も続けてまいりたいと思います。それから融資の条件その他につきましては、川村さんも言われたように、ほんとうに北海道自体の問題でもございますし、これはやはり私としては食糧増産というものを中心にしていく、国民食糧に対する大事な基盤でございますから、あくまでも農民の基盤に立ってやはり考えていくということは必要だと思っております。その点も十分留意し、同時に手続等もお役所やあるいは相当な程度の知識の高い人が、ただ借りるのでは意味ないということを絶えずわれわれ反省しながら行政面はやってまいりたいと思います。  なお、金融農政ではないかという御講論もときおりこの委員会ではなく、ほかの委員会等におきましてもお声は聞いております。しかし私は私なりに、もちろんこの農業が制約を受けている、しかも食糧確保という公益性の使命を持っている、こういう面からいわゆる助長と申しますか、保護と申しますか、そこに各種制度あるいは国際経済からもかなりぴしゃっとした面あるいは割り当て制をとって保護農政をとっている面もございますし、また補助金制度考えております。かたわら農業近代化のための助成手段として金融というものも政策の一つの柱としまして改善をさせながらいくというような考えのもとに農政を推進していく努力をやっていきたいと思います。
  102. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 他に御発言もなければ、両案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  これより北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  105. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  106. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案を問題に供しまげ。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  107. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますので、これを許します。
  108. 川村清一

    川村清一君 ただいま可決せられました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案の両案について自由民主党、日本社会党、公明党三党共同による附帯決議案を提出いたしますので御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。     北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時     措置法の一部を改正する法律案及び南九     州畑作営農改善資金融通臨時措置法案に     対する附帯決議(案)   政府は本法の施行にあたり、自然条件等の不  良な畑作地域の現状にかんがみ、営農改善資金  融通制度を効果的に運用するなど、地域営農  条件の整備を図り農業経営の安定向上に資する  ため左記事項の実現に努めるべきである。      記  一、本制度による畑作振興地域指定にあたつ   ては、畑作振興対策の成果を確保するため、   地域の実情に即応した指定が行なわれるよう   努めること。  二、本制度による営農改善計画認定と融資事   業が計画通り実施されるよう、営農指導体制   の強化、手続簡素化、担保制度改善等に   つき配慮すること。  三、融資対象農業者に対する資金の貸付条件の   緩和、とくに営農改善資金及び農地取得資金   等の貸付限度額の引上げを検討すること。  四、畑作振興対策の一環として新しく行なわれ   る営農基盤整備事業の実施にあたっては、地   域の実態に即した事業の推進、国の助成指導   等について特段の配慮をすること。  右決議する。
  109. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) おはかりいたします。  川村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  110. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって、附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたします。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村農林大臣
  111. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後とも北海道及び南九州畑作振興に努力いたしたいと存じます。
  112. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) なお、ただいま可決すべきものと決定いたしました二法案について、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  113. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  114. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 次に、森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。西村農林大臣
  115. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 森林法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  森林法は、森林の保続培養と森林生産力の増進をはかることを目的として昭和二十六年に制定され、今日に至っておりますが、森林計画につきましては、昭和三十七年に制度改正が行なわれ、農林大臣が定める全国森林計画に即して都道府県知事が策定する地域森林計画に従って森林の施業が行なわれるよう、勧告及び援助措置によって森林所有者の自主的な経営努力を助長することになっているのであります。  しかしながら、その後林業を取り巻く諸情勢は大きく変化いたしております。すなわち、木材需要の増大とその需要構造の変化の進行が見られるのに対して、生産面では十分これに対応できず、農山村における労働力不足等に起因して伐採、造林等の林業生産活動が停滞を示すとともに、外材輸入が増大する等情勢は著しくきびしさを加えてきております。  このような諸情勢に対処して、さきに林業基本法が制定され、林業における総生産の増大、生産性の向上、従事者の所得の増大という目標が明示され、以来その趣旨に沿って林業構造改善事業その他各種施策の拡充をはかってまいりましたが、森林所有者の森林施業の面におきましても、森林生産の保続と森林生産力の増進に関する長期的な見通しに即応し、地域森林計画の達成と森林施業の合理化、計画化をはかるための措置を講ずる必要が強くなってきております。  すなわち、森林の計画的かつ適期の伐採と樹種または林相の計画的改良等の推進をはかるため、森林所有者の自発的意思に基づき、地域森林計画に従った合理的かつ計画的森林施業を推進する必要があるのであります。このため森林所有者による森林施業に関する計画の作成を促進するとともにその実行を確保し得るよう、公的にその計画を認定する制度を新たに導入し、その計画に従ってする施業に対し所要の援助措置を講ずる必要があると考えるのであります。  以上がこの法案を提案いたしました理由でありますが、次にこの法案の主要な内容につきまして御説明いたし、ます。  第一は、全国森林計画及び地域森林計画の期間改正であります。  林業を取り巻く最近の諸情勢は、森林所有者に対し計画的な森林施業の実施を強く要請しておりますが、そのためには森林施業実施基準となる、より長期の林政の方針を示す必要がありますので、全国森林計画及び地域森林計画ともそれぞれその期間を五年間ずつ延長することとし、全国森林計画は十五年を、地域森林計画は十年を一期とし、それぞれ五年ごとに立てることといたしました。  第二は、森林所有者は森林施業計画について都道府県知事の認定を求めることができることとしたことであります。  森林所有者は、一人でまたは数人共同してその森林の全部につき、森林施業に関する長期の方針に基づいて、五年を一期とする森林施業計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、それが適当であるかどうかについての認定を求めることができることとし、都道府県知事は、この森林施業計画の内容が森林生産の保続及び森林生産力の増進をはかるために必要なものとして定められた基準に適合しており、かつ、地域森林計画の内容に照らして適当であると認められるときは、その森林施業計画が適当である旨の認定をすることといたしております。  第三は、認定を受けた森林所有者の森林施業計画の順守であります。森林所有者は、その認定を受けました森林施業計画を順守して森林施業をしなければならないことといたしております。  第四に、この森林施業計画の認定制度の推進をはかるための援助措置としまして、農林大臣及び都道府県知事は、森林施業計画の作成及びその達成のために必要な助言、指導その他の援助を行なうようにつとめることといたしております。  以上のほか、森林組合は、組合員のための森林施業計画の作成の事業を行ない得ることとすること、森林施業計画の変更その他森林施業計画の認定制度を設けることに伴う所要規定の整備をするとともに、必要な経過措置を定めることとしております。  以上が、本法案の提案理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  116. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 続いて補足説明及び資料説明を聴取いたします。
  117. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 森林法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。  本法案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、全国森林計画及び地域森林計画の期間についての改正であります。森林計画は、その地域内における森林所有者の森林施業の実施のための指針となるものでありますが、森林所有者に対し計画的な森林施業を要請するに際しては、より長期の林業政策の方針を示すことが必要と考えるのであります。そこで、第四条及び第五条を改正し全国森林計画は十五年を一期とし、地域森林計画は十年を一期とし、それぞれ現在より五年間長い期間の計画として、五年ごとに立てるものとしたのであります。  次は、森林施業計画の認定制度を設けることといたしましたことによる改正であります。  その第一点は、森林施業計画の認定の請求及び都道府県知事の認定でありまして、第十一条及び第十八条の改正であります。  森林所有者は、一人でまたは数人共同して、その者が森林所有者である森林の全部につき、森林施業に関する長期の方針に基づいて、五年を一期とする森林施業計画を作成し、これを都道府県知事に提出してその森林施業計画が適当であるかどうかにつき認定を求めることができるものといたしました。この場合、小規模森林所有者の森林施業計画の作成を推進するため、第七十九条を改正し、森林組合は、組合員のための森林施業計画の作成の事業を行ない得るものといたしております。  都道府県知事は、森林所有者からの認定の請求がありました場合に、その森林施業計画の内容が森林生産の保続及び森林生産力の増進をはかるために必要なものとして、政令で定める樹種または林相の改良その他の森林施業の合理化に関する基準に適合しており、かつ、地域森林計画の内容に照らして適当であると認められるときは、その森林施業計画が適当である旨の認定をすることといたしております。なお、この認定は、第十七条の改正規定により認定を受けた森林所有者の包括承継人に対しても効力を有することとしております。  第二点は、森林施業計画の変更でありまして、第十二条の改正であります。  都道府県知事の認定を受けた森林所有者は、当該森林施業計画の対象とする森林とその者が森林所有者である森林との範囲が異なることとなった場合または認定を受けた森林施業計画の内容認定の要件に適合しなくなったときに都道府県知事からその旨の通知を受けた場合には、都道府県知事に森林施業計画の変更認定を求めなければならないこととするほか、森林施業計画の変更を必要とする場合には、その変更認定を求めることができることとしております。  第三点は、認定を受けた森林所有者の森林施業計画の順守義務に関する第十四条の改正規定でありまして、認定を受けた森林所有者は、森林の施業につきまして森林施業計画を順守しなければならないことといたしております。  第四点は、認定を受けた森林施業計画に従った施業の実施を確保するための措置に関する第十五条及び第十六条の改正規定であります。  都道府県知事の認定を受けた森林所有者は、当該森林施業計画の対象とする森林について立木の伐採、造林等をした場合には、その後において都道府県知事にその届け出書を提出しなければならないものとして、その施業の確認と必要な指導に万全を期することとしております。また、都道府県知事は、森林施業計画を順守していないと認められるとき、森林施業計画の変更認定の請求をすべき場合においてその変更認定の請求をしないとき、もしくは請求をしましてもその認定を受けられなかったとき、または森林施業計画の対象とする森林について伐採、造林等の届け出書の提出をせず、もしくは虚偽の届け出書の提出をしたときには、森林施業計画の認定を取り消すことができることとしております。  第五点は、森林施業計画の認定制度の推進をはかるための農林大臣及び都道府県知事の援助措置でありまして、第二十条の改正でございます。  農林大臣及び都道府県知事は、森林施業計画の作成とその達成のために、必要な助言、指導資金の融通のあっせんその他の援助を行なうようにつとめるものとすることといたしております。  以上のほか、森林施業計画の対象とする森林の所在地が二以上の都道府県にわたる場合には、森林施業計画の認定その他この森林施業計画の認定制度において都道府県知事の権限に属させた事項は、農林大臣が処理することとする等所要規定を整備するとともに、必要な経過措置を定めることとしております。  以上をもちまして、本法案についての補足説明を終わります。  なお、付属参考資料の御説明を要点だけ申し上げたいと思います。  まず第一表の保有形態別森林資源の現況でございますが、要約いたしますと森林面積が二千五百十六万七千町歩のうち人工林は三二%であるということでございます。なお、国有林と民有林との関係は、国有林が大体面積において三〇%、蓄積において四七%を占めておるという大体の表でございます。  第二表におきまして森林の齢級別面積及び蓄積というものを出しております。これにおきまする要点を申しますと、面積におきまして二十年生以下の齢級の面積が、人工林で六七%も占めておる。それから天然林においては三九%である。さらにこれを民有林で見ますと、二十年生以下の人工林は七〇%も占めておる。かつまた広葉樹種につきましていわゆる天然林につきましても六〇%を占めておる、こういう姿でございます。  第三表でございますが、今後「森林資源に関する基本計画の森林資源の整備の目標」、どこまで持っていくかという目標でございますが、人工林におきましては、全体の面積の五二%まで持っていきたい。現在三二%でございます。それから林道につきましても現在の二倍半程度の延長をはかってまいりたい。そういたしますと、伐採量は昭和四十年の七千四百万立方メートルが一億三千三百万の供給ができる、こういう表でございます。  その次の第四表でございますが、これは「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」を出した数字でございます。要点を申し上げますと、三十七年から三十九年をベースにいたしまして、昭和九十年までを想定いたしておるわけでございますが、六千六百万が一億四千六百万まで需要がふえる。その際に昭和五十年の段階におきましていわゆる外材の依存度が一番多くなるであろう、こういう数字でございます。  次に、第五表でございますが、これは前表の長期計画をもとにいたしまして、全国森林計画の事項を農林大臣が定めまして、昭和四十三年四月一日から発効しておる数字でございます。前表と比較しますと、若干の増加を伐採量において考えております。造林につきましては前表に比較しまして若干の減少を計画しております。林道につきましては前表に比較しましてある程度の増加を期待しております。  大体以上でございますが、次に「指定または解除を相当とする保安林の面積」というものをあげてございます。これは御承知のように保安林整備臨時措置法というものがございまして、昭和四十八年までに整備する方針でございますが、その目標といたしましては現在——三十八年度末でございますが、全面積の一六・二%が保安林でございますが、それを四十八年が保安林整備臨時措置法の効力の切れる時期でございますが、保安林指定はできれば四十五年までに終了する目標で全面積の二六・五%、大体いまより一〇%程度あげた保安林指定をやってまいりたいということでございます。  その次の第六表は、「地域森林計画の編成の実績」でございますが、これは五カ年で大体全部をいたすということで年度ごとに数字をあげておるのでございます。  それからその次の第七表は「立木伐採量の推移」でございます。これを要約いたしますと、昭和三十五年に対しまして昭和四十一年が九七・三%、若干伐採量が減っております。しかしながら、用材につきましては一一・六%ふえております。しかし、薪炭につきましては四九・三%に減少しておるわけでございます。その中で国有林は大体三割ほど増伐をいたしております。民有林につきましては用材は四%の増伐であるという数字でございます。  その次の第八表は、「人工造林面積の推移」を出しております。これは全体といたしますと、三十六年を一〇〇にしますと八八・八%に減少いたしております。しかし、国有林におきましては、三十六年を一〇〇といたしまして一二一・六%、約二割余の造林面積をふやしておるわけでございますが、民有林におきましては遺憾ながら三十六年を一〇〇にして八一・三%に減少しておるという数字の推移でございます。  その次に「種類別林道延長の推移」というのをあげておりますが、要約いたしますと、自動車道に林道の主体を置きまして、自動車道が三十七年に対して約三一%伸びております。その他車道あるいは森林鉄道というのは減少して自動車道に重点を置いているという推移の数字であります。  その次に「本材需給量の推移」でございます。木材需給につきまして、昭和三十五年を一〇〇といたしまして昭和四十一年には一五%伸びております。用材につきましては、先ほど申しましたように三七%も増加しております。しかし薪炭材につきましては逆に三七%ぐらいに減っているという数字でございます。  その次が「用材の部門別需要量の推移」ということでございますが、それは昭和三十五年に建築材が六八%、パルプ材が一八%となっておりましたのが、建築材の製材関係が三%落ちまして六五%、パルプ材が逆に三%上がりまして二一%程度に伸びているという数字であります。  その次に「木材関係卸売価格指数の推移」でございます。全体の指数は三十五年に対して八・九%しか伸びておりませんが、木材は六一・三%上昇したという数字の一覧でございます。  次に「森林組合の現況」でございますが、それは森林組合の合併を促進しておりますので、三十七年に三千五百九十四の組合が二千九百六十八に減っておりますが、一つの組合が非常に大型化してきたという数字であります。  その次に「林業就業者数の推移」でございますが、三十五年に四十万人おりましたのが、逐次減少いたしまして、四十一年には三十四万人に減っているという数字でございます。  最後は「民有林における伐出業の賃金の推移」でございますが、職種平均として伐木造材夫その他を全部平均いたしますと、昭和三十五年を一〇〇として二一三・六%という大幅な賃金の上昇の推移があるということをまとめたものであります。  以上、簡単に要約いたしましたが、これで御説明を終わらせていただきます。
  118. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
  119. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 次に、農林水産政策に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  120. 浅井亨

    ○浅井亨君 きょうの朝日の朝刊に出ている問題ですが、日ソ漁業交渉ですね、もう最終段階となっておりますが、去る八日に函館からカニ漁の船団が出発しております。昨年の日ソ交渉できめられたとおりに十五日から操業ということになっておりますが、日本側の意見を無視してソ連側は二十日と言って、もし十五日から漁獲すれば実力行使するのもやむを得ないと、こういうふうに言っているのですが、これについては非常に国民が不安を感じておりますが、この点について水産庁長官並びに大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  121. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 目下交渉を継続いたしておりますので詳しいお話を申し上げかねる点もあるわけでありますが、新聞紙上に出ておりますので関連して経過を御説明いたしますと、本年も例年どおり三月一日から日ソの漁業交渉をやっているわけでございますが、例年どおり最初に科学者の資源に関しまする意見の交換をいたしまして、それに基づきまして目下交渉が継続されているわけでございます。カニの問題につきましては、毎年これは委員会におきまして取り上げてまいりまして処理をいたしておったわけでございます。今年はソ連側におきましては大陸だな条約に加入いたしているわけであります。それに伴いまして国内法を二月の段階でつくりましたので、これは新しい事態である。したがいまして、あらためて問題をいろいろ出してきておるわけでございます。  御承知のとおりカニにつきましては昨年、四年間にわたる長期契約が、長期的な協定がすでにできておるわけでございますので、日本側といたしましては、そのときには日本側は大陸だな条約には入っておりませんし、また大陸だな条約で問題になっております大陸だな資源というものにカニは入らないという見解を日本側はとっているわけでございます。さような意味でその二点から考えましても、カニの問題につきましてソ連側が新しい状態であるというお話は筋が違うではないかというのが基本的な立場でございます。いままで意見を交換してきたわけでございます。その上に特に日本側の立場といたしましては、西カムチャツカのカニにつきましては、先ほど申しましたように長期契約があるわけでございますので、条約に基づきまして委員会で正式にきめたものでございますので、さようなものがあるにかかわらずあらためて問題を提起して論議が行なわれることははなはだ慣例からもおかしいし筋が通らない、こういう立場で今日まで並行線を実はたどっておるわけでございます。さようなことがございまして、ただいまの段階ではカニの問題につきまして論議をまだやっております最中でございます。  日本側といたしましては、基本的な方針といたしましてはすでにいま申しましたような立場からあらためていろいろ取りきめをする必要はないではないかと、論議する必要すらないと考えているわけでございます。特に先方が問題にしておられますのでその受け答えはしておるわけでございますが、そこで、たまたま八日に出港いたしませんと漁場に到着できませんので、昨年の取りきめにもあることでもございますので出港をいたしたわけでございます。まあ一部新聞紙上に強行出漁かといったような言い方が出ておりますが、私どもはさような気張ったつもりではないのでございまして、あくまできわめて平明な問題といたしまして出港いたしますので、なお十五日までに時間がございますので、先方と最終的な合意に達することが一番望ましい形でございますので、交渉を継続しているというのが実情でございます。
  122. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 経過につきましてはただいま久宗水産庁長官から申し上げたとおりでございまして、私といたしましても、サケ・マスそれからカニにつきましてはすでに昨年長期取りきめというものがすでにできております。したがって、ここで新しい問題を提起してこられることはやや私どもとしては受け取れない。そしてその間にいろいろなやりとりがあったわけでありますが、一方現地の漁業関係者としては操業期、最盛期と申しますか、それが迫ってまいりますれば少なくとも操業し得る準備に入らなければならない。そこで私どもとしては、その協定に従ってのルールどおりのやり方での一つの出漁準備をするという意味で今八日の日から出漁することの許可を与えている。まあ私は、交渉事でございますから、まだ日にちもございますから、その間に妥結がカニにつきましてと申しますか、サケ・マス等含めまして十分円滑な妥結ができることを念願し、またモスクワにおける藤田代表もその間に、非常に経験を積んだ人でございますので、それを心得て国益に沿うような交渉結果をもたらしてくれるというふうに信じておる次第でございます。
  123. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまの御説明で、まあ日にちもあることだからと、こういうお話ですけれども、こういう問題はなかなか国民としては非常に心配するわけであります。こういうものについてはよろしく御配慮のほどをお願いしたいと思っております。  それはまた、後日また質問いたすといたしまして、次に、きょうはちょっと予算のことでお伺いしたいと思うのでありますが、今年度のこの予算の獲得につきましては、当局の絶大なる御努力またその御苦労に対しては、まあ世評も、世間でも言うておりますが、われわれもまあまあというような点もあるのでありますけれども、この四十三年度の農林関係予算は六千五百四十二億円ですか、こうなっていると思うんですが、財政硬直化とか国際経済のこの悪化というな中におきまして、昨年八月だったかと思うんですが、つくられました農業生産基盤の整備、また農産物の生産対策の拡充、農業構造改善の推進、生鮮食料品の価格安定と流通改善対策の強化、農山漁村対策の強化、農林金融の改善、この六項目を中心として農林政策を立てておられると思うのでありますが、その中でも特にこの構造政策基本方針でございますが、これはそのとおりにこういう状態の中でこれを展開していくのにはずいぶんこれは支障があるんじゃないかと、こういうふうに私は思うわけなんです。そういう点についてはどのようにお考えになっておるんでしょうか。
  124. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 御指摘いただきました御質問内容が農林関係の予算総額ないしはその伸び率等が農林省の掲げた政策の方向に比べて少ないのではないかという御趣旨かと存じますので、そのつもりでお答えをいたします。  御案内のように本年度の一般会計予算の伸び率は前年に比して一一・八%という伸び率であるにかかわらず農林関係の伸び率が低いということはこれは事実でございます。なぜそういう農林予算の伸び率が低いかということを若干御参考までに申し上げますと、農林予算の中で一番大きな比重を占めておりますのが食糧管理特別会計の調整勘定への繰り入れ、いわゆる赤字補てん額でございます。これが全農林予算の中で三七%を占めておるのでございますが、これが御承知のとおり前年度の補正後の予算と同額の二千四百十五億ということで伸び率はゼロでございますから、これが非常に伸び率を下げておるということが第一点でございます。  二番目に大きなものが農林水産関係の基盤整備費いわゆる公共事業費でございます。これが三五%を占めておるのでございますが、公共事業費につきましては本年の国全体の予算編成の基本方針として景気抑制という観点から公共事業に対する財政支出の抑制方針というものがとられたのでございまして、農林関係でも七%台というふうに押えられておるのでございます。もっともこの七%台というのは、国全体の公共事業費の伸び率が五・七%でございますから、相対的には農林水産関係に厚く予算措置がされておるのでございますが、この二つが伸び率を非常に押えておるという形になっております。  したがいまして、この二つの事項を除きましたその他の政策的経費について申し上げますと、農林関係では一二・三%という伸びを示しておるのでございまして、いろいろ御不満もございましょうし、御批判もございましょうが、農林省といたしましてはできる限り予算の充実という点には努力をいたしたつもりでございます。  なお構造改善関係の予算につきましては、これは広い意味で構造改善の基本方針にあげましたような項目すべての関連予算をあげますと千八百九億というようなことに相なるTわけでございますが、この中で一番大きなものは農業基盤整備費でございます。新たにあげました構造政策に直接関連をします経費としては約十一億円ばかりが関係予算に相なるわけでございますが、これも私から申し上げるまでもなく、構造政策の推進につきましては、財政措置を中心にいたしますものと制度上の改善の問題とがございまして、そういう意味では、財政的な措置という点については今後問題も残っておりますけれども、ともかく四十三年度予算で構造政策の推進のための橋頭量としての予算は私どもは確保されたものというふうに考えておるのでございます。  なお、構造政策に関連します金融措置といたしましても、すでに御議論等もございました農林漁業金融公庫における総合資金ワク二十億の設定とか、あるいは集団的技術共同導入資金ということで農業改良資金の中に十億のワクを設けたこと等も今年度のわが省としての政策的方向を決定するための措置というふうに考えておるのでございます。  一応御説明を申し上げます。
  125. 浅井亨

    ○浅井亨君 しこうして工業方面は非常に高度の成長をしております。その高度の成長をしたそれに比べますと、この農林関係のほうは非常におくれているわけなんです。それを追っつけていこうというその格差をなくすためには、このような予算ではちょっと不十分ではないかと、こういうふうに考えるわけなんですが、こういう点はどうなんですか。
  126. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 農業と他産業との生産性なりあるいは従事者の生活水準の格差を縮めていくということは、これは農業政策の基本的な命題でありますと同時に、国全体の経済政策運営の一つの重要な課題であろうと思うのでございます。これにつきましては、もちろん予算の編成の際に、ただいま御指摘のような方向に沿うような措置をとるべきことはいうまでもないのでございますが、それのみならず、あげて国政のいろいろの部門での配慮が私は必要なのではないだろうかというふうに思うのでございます。確かに農業への投資を進め、生産性を向上さしていくためには、予算なりあるいは金融の措置を伴うことが必要でございますが、これも御案内のとおり、農業の生産性の向上なり、あるいはそれの結果といたしての農家の生活水準の向上ということにつきましては、産業の特質として一朝一夕になかなかいきにくい、長期の努力を必要とする。したがいまして、予算の問題なりあるいは金融の問題にいたしましても、そういう農業としての産業の特質に応じた長期的な着実な方向をとらざるを得ないという点で、毎年の予算で一気にそういう格差を解消するというような措置は、これは実際問題としては私は非常に困難なのではなかろうか。したがいまして、今後の農業政策の推進に必要な予算を毎年度着実に確保していくということが重大なことではないだろうかというふうに考えておるのでございます。
  127. 浅井亨

    ○浅井亨君 これは農業政策としては、工業部門と匹敵するようにするということは、それは長期間かかると思います。それもわかります。だけれども、もう一つの面において、また物価の上昇ということもいろいろこれ関連性があるわけですが、この物価の上昇とかみ合わした考え方というのは何かお持ちでしょうか。
  128. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 先ほどのこととも関連いたしますいわゆる国民経済の中で、これはどちらかというと、経企庁で全体をやっているので、数字的にもし細部にわたりますれば、企画課長も来ておりますが、国民経済の中における農業のいわゆる経済的な占める地位というもの、これはそういう食糧確保、それから現実にある農民、しかもその中で生産性を高めていく。いま一つは、これと国際経済の関係、いま一つは価格というものと、二つをにらみ合わしていかなければ、ただ農業だけの部分を見つめていて、それで数字が多いとか少ないとかでは私は農政の進展はないと思う。もちろん、それのめどといたしましては、先生御存じのとおり、経済社会発展計画というような一つ長期計画をつくりまして、その中においての農業投資なり、農業生産なり、あるいは農業所得なりというものを考えつつやっていく。それに大体なぞらえながら全体の経済成長の中における農業の発展というものを考えてまいりたい。  そこで一番大事なことは、一つは価格の問題があると思うのでございます。これには価格というもの自体が同時に安定してくれなければ、いかに他の数字を多くしていっても、これは実際はマイナス作用と申しますか、消極作用を営む面もございますものですから、そこでまあ今年度御存じのとおり、経済企画庁としては政府の努力目標として消費者物価水準を四・八%ぐらいのところに押上えていくと、四十二年度は四・五%以内におさまるであろうと、こういうようなめどで、しかも経済社会発展計画等におきましては、後年度においては〇・三%ぐらいの物価上昇率を織り込みながら、同時にその中における農業というものを考えてまいりたい。なかなかこれは正直に申しまして困難を伴う問題であることは率直に認めます。
  129. 浅井亨

    ○浅井亨君 それでお伺いいたしますが、食管勘定の赤字でございますが、これは今度は別口になったわけですが、本年度の買い入れ予定額は八百五万トンになっておりますが、この八百五万トンというのはどういうところを標準にしてつくられたのか、昨年は九百七十万トンでございましたか、本年度は八百五方トンになっておりますが、これは大体どこを標準にして八百五万トンにされたのか。去年と比較するとあまり少な過ぎると思う。
  130. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 八百五方トンという、いわゆる四十三年度食管会計における買い入れ目標でございますね、それを基準にして計算を立てております。四十二年産米につきましては異常の豊作でありますから、先生おっしゃるような九百万トンをこえる数字になっておるのでございます。ただ、八百五万トンという数字自体がそれじゃ低いのかと申しますと、たしか三十九年、四十年度はかなり低位でございました。ここに数字は持っておりませんが、四十一年度かなり回復をいたしまして、過去においては最高の八百万トンというのは、いわゆる四十二年度を除きますと、過去における最高のものを押えまして、それをそのまま一応八百六万トンぐらいのものでございます。それをそのまま目安にして本年度の、いわゆる四十三年度の食管会計のめどに、いわゆる買い入れ量として計算しているのはそういう根拠でございます。
  131. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお聞きしますとそういうことになりますが、昨年は豊作であったからこうだった……。だけれど、私が考えますのは、去年だって災害もありましたし、水害もあります。干ばつもありましたし、いろいろな条件がそろっておったように思うのですが・それでなおかつ九百七十万トンと、こういう買い入れをするということは、結局は農村における人口減とか、または価格というような、こういう二つの要素があって、これも一つの要素となっていたのじゃないかと思うのですが、そうすると八百五万トンよりももっと多目にいわゆるなるんじゃないか、こういうように思うのです。私が考えますと、ことしは八百五十万トンぐらいになるのじゃないか、こういうように考えるわけです。そういうようなめどから考えますと、一トンかりに三万円と、こうなりますと、八百五万トン、八百五十万トン、こう差額をつけますと、四十五万トンほどよけい目に買い入れなければならぬ。そうすると、その買い入れ価格というのがいわゆる百三十五億というのですか、こういうことになるのですが、これが赤字となってまいるのですが、この赤字はどのようにして操作せられるのか、いまはお考えになっていないと言われればそれでいいですが、こういうこともあり得るとすればどういうことにおなりになりますか。
  132. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 食糧庁長官が出席をいたしておりませんので、便宜私の知識の範囲内で御説明申し上げますが、まず八百五万トンという数字がどういう数字かということは、ただいま大臣が申し上げたとおりでございますが、これも御案内のように、一昨年の集荷量が約八百五万トンであったわけでございます。これが過去二年間、一昨年の生産量が千二百七十万トン程度でございまして、昨年の生産量が、これも御案内のように千四百五十五万トンということで、約百八十万トンぐらいの増産になっておるわけでございます。その数字から見ますと、それで一昨年の生産の水準はほぼ平年作というふうに見られておるのでございます。そういうことから見ますと、八百五万トンの買い入れ数量は決して過小な見込みではないというふうに思われるのでございます。ただ今後の、おそらく作付面積等については大きな変動はないと思われます。あとは天候の事情等がはたしてどういうふうに推移をするかということが決定的に影響するだろうと思うのでございますが、平年的な気象条件であるとするならば、八百五万トンというのは必ずしも過小な数字ではないというふうに考えられるのでございます。まあ今後のことでございますから、それ以下の場合もあり得ましょうし、それ以上の場合もないとは言えないということは御指摘のとおりでございます。財政上それをどう措置するかという問題は、これはきわめて高度の判断を要しますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  133. 浅井亨

    ○浅井亨君 それはどういうふうにというのは、そこが問題なので、いま話していたスライド制というのは考えられているということ、その意味で消費者の米価に引っかかってくるんじゃないか、こういうところを心配しているわけです。そのことについて。
  134. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただ、かりに数量がふえたから消費者にぶっかけると、単純にそういうふうにわれわれは考えていない。問題の米価の決定は、食管法に基づきまして生産者米価、あるいは消費者米価というものが、家計米価を中心に、消費者の家計を安定さしていく、家計安定。それからもう一つは、再生産確保、その中で経済その他の状況を勘案して両米価を適当に政府がきめる。ただ問題は、八百万トンがわれわれ妥当だということで食管会計をやっておりますが、その数字が多少前後いたしましても、食管全体としましては、米価のあり方自体だけでは食管会計がきまりませんので、いわゆる御存じのとおり国際的に買い入れているいろいろな品物ございます。いま一つは、それから他の要素がございます。金利であるとかそういうようないろいろなものもございますので、そこらでできる限り食管の赤字のないように運営をしてまいるというようなかっこうで、いまのところではそれが赤字になって直ちに消費者にぶっかけるというような考え方で消費者米価を扱おうという考え方はございません。むしろ食管法に基づいた消費者米価、こういうふうな考え方になっているのでございます。
  135. 浅井亨

    ○浅井亨君 次に保安林の問題ですが、保安林というものの指定の目的はどういうのが目的だと思うのですか、その目的をひとつ。先ほどもちょっと話があったようなんですけれども
  136. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 保安林の目的と申しますものは、保安林指定内容森林法にございます。十一の保安林の性格がございます。その中で水源涵養の保安林、土砂流出防備の保安林、それから土砂崩壊防備の保安林、この三種類につきましては大臣指定でございます。それ以外の保安林につきましては、知事の指定ということに相なっております。保安林の目的にはそれぞれ十一の保安林内容にいろいろかわっておりますが、大きく申しますと以上のようなことでございます。
  137. 浅井亨

    ○浅井亨君 実は兵庫県の芦屋の上にあります劔谷の保安林問題でありますが、この保安林を払い下げるときに、その用途目的をお聞きになって払い下げると思うのですが、この用途はどういう用途にするということですか。
  138. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 芦屋の劔谷の保安林につきましては、農林開発株式会社の所有いたしております森林と交換を実はいたしたのであります。交換いたしました国有林につきましては、これは農林開発が宅地造成をするという前提がございます。ただ、その宅地造成をする前提の内容といたしましては、すべてを宅地にするというのじゃございませんで、交換いたしました数量が十三・一ヘクタールでございます。宅地造成に該当してやりたいというのが三・六ヘクタールでございます。道路敷として一・九ヘクタール、その他は園地として七・五ヘクタールする、こういうことで、目的はそういうような形で交換をいたしました。
  139. 浅井亨

    ○浅井亨君 それですが、先ほどのお話によりますと、土砂流出防備林ですね、こういう指定大臣がせられているとおっしゃいましたね。そこで用途が宅地造成、緑地というふうになっているわけですが、土砂流出防備林という名前からして、これは非常に危険な場所にあるということに考えられるのですが、そうすると、宅地造成ということと土砂流出ということを考えあわせますと、これは何か目的と用途があべこべのように感じられるのです。いわゆる土砂流出防備林のためにやっている保安林でしょう。そこへ宅地造成する。宅地というものは人の住むところ。その地質がどうであるかということも問題であると思います。そういうところを考え合わせますと、どうも宅地造成というような用途というのは納得がいかないのです。これはどういうふうにして、解除の問題も大臣がおやりになるのじゃないかと思うのですが、これは保安林指定大臣の権限でありますから、解除のほうも大臣にあると思うのですが、用途がこういうことになりますと、あべこべのような気がするんですが、その点ひとつ。
  140. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 先ほどお答えいたしましたように、十一の保安林のうち三つ保安林については大臣がいたすわけでございますが、ただいまおっしゃいました土砂流出防備林の保安林大臣指定並びに解除でございます。そこで、宅地造成と保安林とは非常に矛盾しているのではないかという御指摘でございます。この森林の土砂流出防備林ということで指定いたしましたのは大正六年七月のことでございます。それ以降ずっと指定されておったわけでございますが、昭和三十八年から四十三年にかけまして、この地帯保安林の解除申請が出ております。その三十八年から四十三年までの間に十六件で約三十ヘクタールの解除をいたしておるのであります。その中で農林開発が十三・一ヘクタール含んでおるのであります。  そこで、解除いたしました理由といたしましては、いわゆる土砂流出防備保安林であることよりもそれ以上の保安効果を持つ保安施設をするという前提でございます。金額にいたしますと約一億八千万円ほどの、それにかわるべき保安効果の施設をするという条件つきで、したがいまして、保安林であると同等以上の保安効果を持つということを前提条件として解除いたしたということでございます。
  141. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうしますと、そういう設備をするということになりますと、相手の、払い下げを受けた会社そのもの自体の経営状況、そういうものをやはり考えなければ、それだけの設備ができるものとは決して考えられませんね。そのときの経営状況はどうなんですか。
  142. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 会社自身のそのときの経営状況は実はつまびらかに存じておりませんが、ただ会社と、当時の市並びに県でございますが、覚え書きといいますか、条件を付してやっております。そのような条件の中で当該市が保安林の解除の申請をしてきておるわけであります。したがいまして、そういう諸情勢とそれから技術的に見た現在の保安との関係を考慮しまして、かつ会社がその点について確約しておるということによりまして解除をいたしたわけであります。
  143. 浅井亨

    ○浅井亨君 確約はしたけれども、現在その会社はどうなっておりますか。それから解除になったその現地ですね、払い下げを受けた現地はいまどうなっているんですか。これは国税局に押えられていると聞いているんですが、国税の滞納だというんですが、どうなんですか。
  144. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 私のほうで調べました範囲でございますが、先生御指摘のとおり国税局に滞納ということでその土地は差し押えられておるわけでございます。なお、その状況についてはちょうど交換しました当時そのままの形で差し押えたというふうに承知しております。
  145. 浅井亨

    ○浅井亨君 それからこの六甲の山全体は大体において花こう岩だったと思ったんですが、非常にもろい性質のものなんです。そういうところの宅地造成、それは都市に接近した場所がいいといったところで、人命にかかわる問題ですよ。これをどうして払い下げたかということに対して非常に私自身としてはいやな気持ちがしているわけです。宅地造成にあたってあそこの地質などよく調べてやったんですか。解除なんかでも一応は土砂流出の防備林、こういう指定でしょう。そうして今度は宅地造成ということになると、人が住むんですよ、人命財産が危うきに瀕するような状態でありますとこれは問題だと思うんですね。そういうときにそのところの地質の関係とかそういうことはよく調べられてやったんですか。それとも、先ほど話に聞きますと、県からの解除の申請があったからやるというだけでしょうか、その点はっきりしていただきたいと思うんです。
  146. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 保安林の解除につきましては、申請だけでわれわれやっておるわけではございません。保安上だいじょうぶかという点の調査をいたすわけでございます。この地帯は先生御承知のように花こう岩帯でございますが、花こう岩は大体三種類に分かれるわけでございます。角せん花こう岩、それから粗粒黒雲母花こう岩、それから黒雲母花こう岩、大体この三種類がこの六甲辺の地質の状況でございます。それで一番あぶないとわれわれが想像しておりますのが——粗粒黒雲母花こう岩というのが一番崩壊しやすい地質であろうというふうに認識しておるわけでございますが、この地帯の花こう岩は黒雲母花こう岩でございます。先ほど申しました粗粒と比較しますと、比較的崩壊度の少ないものというふうにわれわれは思っておるわけでございますが、そういう地質の状況並びにそれをもとにした保安効果をどうすべきかということもあわせて検討いたしました結果、先ほど申しました一億八千万の保安効果の施設をするならばより以上のあれになるのではないかということをあわせ検討した結果、解除に踏み切ったような実情でございます。
  147. 浅井亨

    ○浅井亨君 いま黒雲母とおっしゃっていましたが、これは粗粒花こう岩と聞いておりますが、私もこの間行って見てきたんですが、ぼろぼろですね、見ましたがぼろぼろです。手で砕けてしまう。こういうようなのは非常に危険だと私は思んですがね。この点はよく調査されたんですか、専門家の調査があったんですか。
  148. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 御指摘の状況、いまお伺いしましたが、当時におきましては解除する場合の一般論として、当然そういう状況を把握した中で安全であろうということから解除に踏み切ったわけでございまして、単なる申請と、そういうものだけではないわけであります。
  149. 浅井亨

    ○浅井亨君 専門家の調査があったんですね。
  150. 片山正英

    政府委員(片山正英君) これは兵庫県が一応そういう角度から調査した結果に基づきまして解除したわけです。
  151. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると兵庫県でやって、間違いがないということなんですね。県のほうでやったんですね。県で調査したんですね。県に責任があるわけですね、もし間違いがあれば。そうですね。これは学者が調べたんですか、権威者が調べたんですか。
  152. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 県にはそれぞれ専門のそういうものを担当する、あるいはそういうものを研究する専門課がございます。そういう担当の課もございます。その中で調査したわけでございますので、特に県が学者に委嘱したということは聞いておりませんけれども、一応そういう県の職員において調査されたものと解釈いたしております。
  153. 浅井亨

    ○浅井亨君 現時点になるまでに、この会社にいわゆる払い下げがあったと、それに対して市当局またはそこの住民から再指定していただきたいというような申請はたくさん出ていると思うんですが、どうでしょうか。
  154. 片山正英

    政府委員(片山正英君) これの解除につきましては所定の手続に基づきまして公示をいたします。その間、地元民等の解除反対というような、あるいはそういう意見書が出ない場合、四十日と思いますが、四十日間の公示の中でそういうものが出ない場合はじめて解除されるわけでございます。そのような形で解除をいたしたものではございませんが、先生おっしゃるように、最近におきましてこれの再指定をしてくれないかという申請が市から出ております。したがいまして、われわれとしましては十分調査の結果、四十年五月に解除をしたわけでございますが、その後そういう申請も出ておりますので、さらに地元の人々の不安をなくすという意味で、先生おっしゃいました学者の人たちも委嘱しまして、さらに県当局と一緒になりまして、これの再調査をするということで踏み切って、今年度初めから準備に取りかかっている次第でございます。
  155. 浅井亨

    ○浅井亨君 だから再調査はまだやっていないというわけなんですな、入っているわけですか。
  156. 片山正英

    政府委員(片山正英君) いま関係者と打ち合わせが済んだ段階でございます。それで一人、二人の人は一応見てきておりますけれども、団としましては、大体メンバーもきめまして、東大の名誉教授、あるいは神戸大学の教授、その他関係者、いわゆる第一人者の人たちを網羅しまして、大体六名ぐらいのグループになると思いますが、それたよって調査をいたしたい、かように準備中でございます。
  157. 浅井亨

    ○浅井亨君 それは非常にけっこうなことだと思いますけれども、何にしても、昨年の七月の豪雨のときに、芦屋市、またあの下の六麓荘町ですか、あそこら辺が非常に水流が多くなりまして非常な被害を受けた。また市全体としても、一億何千万円の予算でもってそれを修理しなくちゃならない、こういうわけでありますが、あそこへ宅地を造成した場合に、その水量たるやどれくらいになるだろうかというふうにわれわれは感ぜられるんですが、あのような状態であるし、また地質がああいうもろいものでありますから、岩ともどもに流れていく、そういうことになりますと、人心、または財産に非常な障害をきたす、こういうことになるわけなんです。私も今日までいろいろな災害地へ参っておりますが、災害を受けた人に対する補償というのはなかなかこれは完全に補償されていないわけなんです。あの神戸の兵庫区でありますが、あそこに一つのゴルフ場がありますが、菊水ゴルフクラブというんですか、そこのところも去年やられました。そこを設備する人がそこにプールをつくった、プールをつくったところが、それはそこへつくってもらっては困るんだ、それをやって、もしものことがあったときにはたいへんだ。ところが、それはちゃんとそれ相当の施設をするんだからだいじょうぶだと言って、そらうそぶいておった。しかしながら、あにはからんや七月の豪雨にそこが欠けて八軒の家が流されちゃった。あとの十軒の家は、こんなところにはとてもいられないと言って引っ越してしまった。財産を置きっぱなして逃げていかなければならぬ、または流されていくというような、こういうような問題が起きますと、これに補償するところの問題なんですが、これは相手がなければ何にもならないんです。  この劔谷の問題もこれをいままでのとおりにしておけば、また自然になったんだから、もし災害があってもそれで済むのでありますが、これを再指定をしていただいて再び保安林にした。だから必ずしも災害が起こらないということもこれは言えないと思いますけれども、しかし、宅地造成をしたということになりますと、その相手がその言われたとおりやったと言っても、災害は起きるわけです。起きたならば、これはやはり国でもってこういう災害を起こしたのじゃないか、われわれは再指定を一生懸命やって願っていたのにもかかわらずそれを見殺しにしてそのとおりに払い下げる、そして宅地造成をやられてしまった。そうすると、これは人災ではないか、こういうようにその住民は思うわけなんです。私が言いますのは、そういうそこに住まっている人々の身になるのです。ああとか、こうとかは問題じゃないのです。そこに住まっている人がたまったものじゃない。でまた、これはまあ水害——雨季がまいりますが、また水害がやってくるんじゃないか、こういうわけで非常に心配しているわけなんです。そういうものに対する不安感に対して、ほんとうに住民にこういうわけだからということは、今日まで幾回かお話し合ったのじゃないか、どうなのでしょうかな。住民の承諾を得ていると、こういうふうなお話でありますけれども、現時点としては、市民も、市長をはじめ、全部が再指定を非常に願っていると、こう言っている。それに対しては、何らかこちらのほうへは話はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  158. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 解除をする場合の意見書というものが実は出ておるわけでございます。これは受益者等の意見も含めました意見として提出されているわけであります。それによりますと、災害の防止のための土地の形状変更は最小限度にとどめるということでございまして、先ほど御説明したように、宅地は三ヘクタール程度だということ。それから、 「傾斜地は自然公園ふうの林間宅地として開発する。」、これが二つでございます。で、三つ目は、 「汚水等の処理は排水管を設置し、下方の下水管に接続する。」、なお、保全上の設計の万全を期してこれを解除するというようなことの意見書を知事が提出してきておるわけでございますが、それに対しましては、受益者等の意見も入っております。それによりますと、受益者については、防災上、水源上の保護に関する覚え書きというものが、市と農林開発との間において了解されております。それから第二点は、農業関係者の水利権については補償金を支払うということで、これまた了解がついております。それから、西宮市、芦屋市の上水道については、設計書のとおり実施するという了解で、受益者と地元民との間において一応取りきめられておるということを伺って、そのような形から解除に踏み切ったということでございます。
  159. 浅井亨

    ○浅井亨君 その会社等の覚え書きというのがあるのだそうですが、それは覚え書きはあるにはあっても、現在は国税庁に押えられているわけなんですね。これを転売ということはあり得るだろうかと思いますし、国税庁としては、それはいつまでという期限はないでしょうけれども、どういうような、いま目安でおられるのでしょうか。
  160. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) お答えいたします。  現在この滞納税額につきましては納付折衝中でございまして、差し押えておる財産は、一応保全の目的ということでございますけれども、これをそれじゃいつ公売するかという日にちを申し上げる段階にまでまだ至っておりません。
  161. 浅井亨

    ○浅井亨君 交渉はいつごろから始めておるのですか。何回ぐらいおやりですか。
  162. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) これはもう一昨年の暮れに決定になりまして、一昨年の暮れに差し押えをいたしておりますから、それからもう何回になりますか、数え切れないくらい折衝をしております。
  163. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまの段階としてはまだめどがついてない、こういうわけなんですね。
  164. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) 現在ではまだ公売をいつやるかというような日取りをきめるような段階に至っておりません。
  165. 浅井亨

    ○浅井亨君 いわゆる払う能力がないとわかったときにやるわけですね。
  166. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) 自主納付をこれまで折衝してきまして、いろいろ計画等も持っておるようでございますが、その信憑性、実現性をこちらで検討いたしておりまして、まだその折衝が結論を得るに至っていない、だからまだしたがって公売に踏み切るところまでいっていない、こういう状況でございます。
  167. 浅井亨

    ○浅井亨君 計画は何べんも出しておるが、それに対する信憑性がない、こういうお話ですが、計画は何べんぐらい出しているのですか。
  168. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) 計画もずっと引き続きの話でございまして、何べんと言われますと、その修正修正等がございますし、それからまた自分の持っている財産を売却する話でございますので、相手がありますのでなかなかそれが進まないというようなことがございまして、まだ結論が出ていない、こういうことでございます。
  169. 浅井亨

    ○浅井亨君 押えられている間は転売はできない、こういうわけなんですね。
  170. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) 差し押え財産を国税当局のほうで解除しない限りほかに転売はできません。
  171. 浅井亨

    ○浅井亨君 解除、いわゆる差し押えの解除、その間にから売りしていくということはないですね。そういうことを心配しているのです。
  172. 箸本弘吉

    説明員箸本弘吉君) 自分でほかから金を借りてきて、そこで一時その分を国税に充てて、そして完納して、差し押え解除になって、それから売るということはこれはできると思います。ただそういう状況にあるかどうか、現在のところそういうことにあるとは思いません。
  173. 浅井亨

    ○浅井亨君 これが差し押えが解除になって、そして他に転売されるというような場合が起こりますと、そうするといままでの契約もあるとか、またはお互いに話し合いの条項がありましてもこれは何の役にも立たないことでありまして、また別口になりますから、こういうことに対しましては何かこれを規制していくという方法はないものでしょうか。
  174. 片山正英

    政府委員(片山正英君) ただいまの国税庁で押えられておりますこの問題でございますが、これは確かに条件をつけて守るということでございますが、転売した暁においてそれが守れなくなってくるのではないかという御指摘かと思いますが、われわれといたしましては国税庁とも十分よく相談をしておりませんが、でき得れば条件というものはそのままの形でお願いをしたいと思っているわけでございます。ただそれと関係しておりますことといたしまして、この地帯は宅地造成等規制法の適用を受けておる土地でございます。したがいまして宅地を造成するということにおきましては、これは建設省の御指導になるわけでございますけれども、宅地造成等規制法に基づきまして許可を受けてからじゃないとこれはできないことになります。したがいまして、その段階で十分安全度というものは考慮されると私たちは理解しているわけであります。
  175. 浅井亨

    ○浅井亨君 これは別の面で言いますと、国立公園指定地域になっておりますが、この公園の管理は厚生省のほうはどうなっておりますかしら。公園のほうはやはり許可制か何かあるんでしょう。
  176. 網野智

    政府委員(網野智君) この地域は国立公園の地域になっておりまして、自然景観を保護するということで第二種の特別地域になっております。したがいまして、いろいろ工作物の増改築というような問題につきましては厚生大臣の許可を受けないとできない。こういう形になっておりますので、そういう問題がもしかりに起こるということになりますれば私どものほうに書類申請があるかと思っております。現在のところ全然来ておりません。
  177. 浅井亨

    ○浅井亨君 それじゃ最後に大臣にお聞きしますが、こういう人命財産に関する問題でありますから、こういうものを再指定するというようなお考えはないですか。
  178. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 御質問の範囲内におきまして事情を一応私も承ったわけでございますが、問題は林野庁におきまして解除するだけの理由があって解除はしても、その間において国税滞納で押えられている、また地元の住民の方々からはそういう御意見も出ている、その間の事情はわかりました。そこで林野庁といたしましては長官から申しましたように、地質のほうの関係の権威ある調査をしよう、こういう決意でございますから、その結果は十分私どもも承ってみたいと思っております。  なお先ほど来の御質問、あるいは答弁でわかりましたように、他の官庁におきましてもいろいろ許可関係と申しますか、規制関係がそれぞれあるようでございますので、その間に住民の御納得のいくようないろいろな法律運用というものがあってしかるべきではないかと思っております。
  179. 浅井亨

    ○浅井亨君 では最後に申し上げておきますが、いろいろ端的に私はお聞きいたしましたけれども、大体の様子はこれでわかりました。そこで、先ほどから何回も申し上げますけれども、人命財産にかかわることでありますし、またいろいろな規制法、また許可制というものがありまして、これはなかなかできないということもある。こういうわけでありますが、大臣におかれましてもいま調査団を出してそれを調査中であると、そういうようないろいろな観点から再び再指定のほうにもっていけるようないわゆる条件がそろったならばということじゃなくして、よくよく検討した上でこれを御配慮願いたい。こういうふうに思うのです。それはどんな問題でありましても国の責任者である大臣考えておられることはわかります。しかしいろいろな問題が山積しますと、ひょっとするというと失礼でありますけれども、真剣にこれを守ろうという気持ちが腹の中に一面あるのとないのとではだいぶ先にいくと変わりますので、そういう点は芦屋市民全体が切願している問題でありますから、よろしく御配慮のほどをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  180. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本件につきましてはこの程度にとどめます。
  181. 川村清一

    川村清一君 森林法審議資料にしたいと思いますので、資料をお願いいたしますので、ひとつ御提出願いたいと思います。  それは民有林の中の私有林についてでございますが、私有林を階層別に、これは五ヘクタール以下、それから五ヘクタールから五百ヘクタールまで、それから五百ヘクタール以上の所有者の戸数ですね。それからそれの今度は面積でございますが、それを天然林、人工林別に分けて、面積とそれから蓄積量、それからこの私有林につきましていままでこの年次別の伐採量。年次別と言いましてもきょう出された資料程度の年次でけっこうでございますが、その年次別の伐採量をひとつわかるように出していただきたい。それからもう一つはその私有林の中における会社林の総面積、それをさらに分けて、天然林と人工林の面積と、それから蓄積量と、それからこれも年次別のいままでの伐採量、ちょっとむずかしい資料でないかと思いますけれども、ひとつ何とかわかるだけぜひ出していただきたい。
  182. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) よろしゅうございますか。
  183. 片山正英

    政府委員(片山正英君) いまおっしゃいました中で、会社別のは年次別の伐採量というのは困難かと思いますけれども、極力調べます。
  184. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会