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1968-04-09 第58回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      横川 正市君     渡辺 勘吉君  四月九日     辞任         補欠選任      鬼丸 勝之君     植木 光教君      小林 篤一君     中津井 真君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 植木 光教君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 中津井 真君                 温水 三郎君                 野知 浩之君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    政府委員        農林政務次官   日高 広為君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農林経済        局参事官     内村 良英君        農林省農地局参        事官       佐々木四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告をいたします。  本日、小林篤一君及び鬼丸勝之君が委員辞任され、その補欠として中津井真君及び植木光教君が選任されました。     —————————————
  3. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案を一括して議題といたします。  両案について質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 任田新治

    任田新治君 本日は、南九州畑作振興北海道畑作振興、この二つ関連法案が上程されたわけでありますけれども、私としてはまず南九州関係のことについて質疑をし、あと若干北海道についてもお尋ねしたいと、このように思います。  まず、南九州でありますが、あの地域対策というものは、今度は畑作営農改善資金融通、これにあわせて農地保全事業中心とする土地改良事業がこの対策の柱になっておるようでありますが、まず、基本的な考え方として、この法律の骨子としてどのような考え方政府は進められるつもりであるか、この点をお伺いしたいと思います。
  5. 森本修

    政府委員森本修君) 一般にわが国の畑作あるいは畑作農業は、御案内のように問題が多いのでありますけれども、その中でも特に南九州北海道と並びましてその生産性なりあるいは所得なりがきわめて低位に停とんしておるという状況でございます。その原因は、これまた通常言われておりますように、きわめて過酷な自然条件のもとに立っておるということが一つと、その自然条件に制約をされまして営農形態なりあるいは作物が低収益のものが非常に多いというふうな関係になっております。したがいまして、私どもとしましては、南九州畑作経営を制約しておりますところの土地条件、これを根本的に改善をしていく、すなわち、土壌保全と前向きの圃場整備なり、あるいは農地造成なりというようなのを一体的に、効率的に行ないますところの土地改良事業を新しく創設するということ、そういった土地改良事業関連をいたしまして、高収益作物畑作地域導入していくといったようなことについて特別の金融制度を創設するという、その二つを主たる対策眼目といたしまして南九州畑作営農改善を強力に進めていきたいというのが私ども考え方でございます。
  6. 任田新治

    任田新治君 日本の土地改良事業というものは大体いままでは水田中心になって行なわれておったので、そのほうはずいぶん進んでいると思うのですが、いまの南九州の場合、主として畑作がなされていると思うのですが、その畑作地帯における土地改良の進みぐあい、進捗状況はどういうふうになっておりますか、お伺いをいたします。
  7. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) お答えいたします。  南九州地帯におきましては、ほかの地域と違いまして、特に畑地関係が重要でございますので、従来からも畑地に対する基盤整備は、他の地域と比較いたしましてかなり重点的にやってきております。いまから五年くらい前まではやや水田のほうが重きをなしておりましたけれども、今日では逆転いたしまして、畑地七割に対して水田三割程度事業分量で進められております。その畑に対しましてただいまお話のように最も重点的にやっております基盤整備農地保全事業でございまして、現在の段階では約七万数千ヘクタールの要保全畑地があるとされておりますが、これに対しまして、一万町歩余り地域については、すでに農地保全は完了しておりまして、なお現在約八千ヘクタールについて農地保全の工事を進めております。
  8. 任田新治

    任田新治君 この南九州特殊土壌地帯対象にしまして地域振興臨時措置法が制定され、これは御承知のとおりの特殊土壌振興臨時措置法ですが、この法律ができましてから毎回延ばしてつい先日第三回目の期限延長をやったわけでありますが、その延期の理由ということになりますと、これは当然のことですが、当初の目的どおり仕事が進んでいない、土地改良事業が進んでいないということになるわけですから、その臨時措置法内容から見まして、今度の営農改善目的とする法案というものは、本来ならば前の法案特殊土壌地帯に対する法案のほうが優先すべきものであったのじゃないかというふうに思うのです。何といっても生産基盤というものが先に進められなければならぬというふうにも思うのですが、いまわれわれとしてはこの延長された法案と新しくでき上がっていく法案、この両方法律相互関連というものをどういうふうに持たせていかれるのかということが気にかかるわけです。農地保全事業進度というものがどの程度になっておるのか。たとえて申しますと、地域振興臨時措置法による農地保全事業の未施行の地域において今度の法律適用されるというような、そういう場所もあるはずなんです。この場合にこの今度でき上がる法律適用効果というか、そういうものが当然少ないだろうということが予想されるのですが、この点はどういうふうに思っておられますか。
  9. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) ただいまも申し上げましたように、特殊土壌法律の中にも含まれております特殊土壌地帯農地保全事業進度は必ずしも非常に高率に進んでおるとは申されないわけでございますが、今回の南九州のこの法律でやろうといたしますねらいに合わせまして土地基盤整備をやろうとしております仕事やり方は、従来やっておりました農地保全事業に合わせまして、その他の必要なる土地改良事業圃場整備あるいは畑地かんがい等仕事を一緒にやろうとするわけでございます。つまり、いままで保全的な意味を持った土地改良だけに限られたものが、これからは保全プラス積極増産も織り込もう、こういう趣旨のものでございまして、そういうものをやろうとする空気が、ムードが非常に地元に強く出てきておるということにこたえておるつもりでございます。したがいまして、その土地の上に行なわれますところの営農関係は、従来やられてきております基盤整備のところはもちろんでございますけれども、なるべく今後はいまのような新しい仕事やり方に合わせまして、その上に打ち立てられる新しい営農方式、こういうものを事業進度に合わせて進めていきたい、過去の実績は必ずしもいいとは申されませんので、今後はそれをさらに推進して、ただいま御指摘のようなことで両方仕事がうまく合っていくようにしていきたい、こういうつもりでおります。
  10. 任田新治

    任田新治君 いままでのいろいろの振興対策というものと、今度の法律との関連をもう少しお聞きしてみたいと思うのですが、昭和三十六年に南九州防災営農改善対策要綱というものが出て、そしておもに小規模防災営農生産基盤整備事業というようなもの、また防災営農用施設整備事業というものが実施されておったようでありますけれども、その後、これらの要綱による仕事農業構造改善事業に吸収されて、あと残ったものが公庫資金融通であるということで今日に至っておるようですが、この場合、今度提案されておるこの法律による融資事業といままでやっておりますところの構造改善事業と、これが並列して実施されるというふうに受け取れるわけですが、その場合に、構造改善事業の中の融資部分というものと、それからこの法律によるところの融資関係というものが相互矛盾をきたす場合もありそうに思うのですが、この点鮮明していただきたい。
  11. 森本修

    政府委員森本修君) 南九州にとってまいりました対策の経緯は御指摘のような経過をたどっております。単に今回の融資とそれから構造改善事業との関係、特にその中における融資事業との関係についてのお尋ねでありますが、御案内のように構造改善事業のほうは主として共同主幹作物を定めまして事業を行なう、その際の共同で行なうところの土地改良でありますとか、あるいは近代化施設導入でありますとか、そういうものに対して補助をし、また補助残について公庫融資がついているというのが主たる内容でございます。南九州の今回の資金は主として個別経営が必要とする施設なり、あるいは土地改良なり、家畜導入なり何なり等々の資金融資対象としております。したがいまして、必ずしも融資対象になる事業というものとは重複しないのではないかというふうに思っておりまして、それらを有機的に組み合わせまして活用いたしますならば補完的な関係を持つものというふうに思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、南九州のこういった地帯には従来からも構造改善事業適用されておりますし、今後も相当活用されるものと思っておりますので、両者の関係をそういうふうな形でうまくお使いをいただければ一そう効果を発揮するものというふうに思っておるわけでございます。
  12. 任田新治

    任田新治君 この際、あの地域構造改善事業の進みぐあいといいますか、これが全国的な見地から見て、あの地域構造改善事業がどの程度進んでいるのか、あるいは平均以下というようなことになっているのか、その点おわかりでしたらお願いします。
  13. 森本修

    政府委員森本修君) 全国的な姿に比べまして、特にこの両県における構造改善事業進度は低いというふうな状況は必ずしも見当たりません。で、宮崎県の場合におきましては、全体の市町村が四十五ございまして、計画地域指定を受けておりますのが四十、またその中で実施いたしてすでに事業に着手しておるというのが三十一というふうな状況になっております。鹿児島県におきましては、全体の市町村の数が九十六ございまして、計画地域指定を受けておりますのが八十四、そのうら事業を実施いたしておりますのは七十というふうな状況でございまして、ほぼ全国並みのテンポで進んでおるものというふうに私どもは考えております。
  14. 任田新治

    任田新治君 昭和三十六年の特殊土壌地帯振興臨時措置法による指定地域と一それから今度のこの法律による指定地域と、これはもちろん考え方が幾らか違うわけですが、重なり合うはずだろうと思いますけれども、どういうようなことになっておりますか。また、それを運用するというか——いうような場合に、何か調整の必要が生まれてくるのではないかというふうにも思うのですが、この点いかがですか。
  15. 森本修

    政府委員森本修君) 特土法によりまする指定状況は、宮崎県なり鹿児島はほぼ全県指定というふうな形になっております。それから今回の対策指定の予定でありますが、それは一定の基準を設けまして、その基準に該当いたします市町村指定をするというたてまえになっておりまして、大体鹿児島県におきましてはほぼ漏れない。それから宮崎県におきましては、若干の地域は抜けますけれども、ほぼ主要な畑作地帯はカバーできるというふうなことになろうと思います。で、そういうことでありますから、特土法と今回の南九州対策との地帯は重複をするという関係になるわけでありますが、御案内のように、特土法によります事業は、主として砂防でありますとか、あるいは治山でありますとか、御案内のように、まあ土地条件といいますか、営農の基本的な条件整備してまいる、特に防災的な観点から整備していくというのが計画事業の主体になっておるように思います。今回の南九州資金は、あるいは土地改良は、もうちょっと営農の積極的な改善面というふうなことを相当織り込んだ形で、土地改良種目もできております。それから金融内容もそういった形になっておりますので、両々相まって本地域振興に役立っていくものというふうな関係を持つものと思っております。
  16. 任田新治

    任田新治君 いままでの制度による融資事業がこの四十二年まで続いているわけでありますが、その内容を見ますと、農林省らいただいた資料によりますと、畜舎関係が五五・八%、それから農機具の関係が三六・三%というような数字が出ております。経営改善方向として、これからある程度のことはうかがえないこともないんですが、政府として、これからの指導方針というものがどうなっているのか。また、いままで指導しておったその内容と、これからの指導内容とが変わってくるのかどうか。大体全体として、今後どのような営農形態を最も好もしいと考えておるのか。この点を伺ってみたいと思います。たとえて言いますと、畜産関係畜舎なんというような数字が出ておるわけですが、肉牛なら肉牛でも常時飼養頭数としては一体どれくらい持たなければならぬものだと考えておられるか、こういう点についてお尋ねいたします。
  17. 森本修

    政府委員森本修君) 基本的な営農改善方向は、従来の線とそれほど大きな差はないと思います。ただ、やってまいりました対策手段は、防災営農資金関係におきましては、資金種目としましては主務大臣指定施設のみというふうなかっこうになっておりましたが、今回の資金では先ほど来申し上げておりますように、そういった施設のほかに土地改良なり、あるいは家畜の購入なり、永年作物植栽なり、あるいは果樹の植栽育成資金等、この地帯でほぼ営農を進めていくのに必要と思われる資金種目を一応包摂した資金ということになっております。そういう関係で従来の融資内容とはほぼ内容を一新するというふうな形になっておるというふうに御理解をいただきたいと思います。  で、営農改善の進め方でございますが、目標といたしましては、安定的な営農の姿に一日も早く持っていくということが対策の基本的なねらいでございます。そういうふうな形に持っていきますのには、各個農家営農改善計画というのを立てていただくことになっております。しかし、これは独自ではなかなか立てにくいというふうなこともございましょうから、各県で営農方式例というのを、それぞれ自然的な面、あるいは経済的な条件を一にする地区ごとに立てていただく・それを一つめどにいたしまして各国の農家がそれぞれ営農改善計画を立てていくというふうな段取りを想定いたしておるわけであります。  で、営農改善方式例内容でございますが、地域によりまして、あるいはそれぞれの作物によりまして変わってまいりますが、現在想定をいたしておりますのは、主幹作物といたしましてミカンを選ぶもの、あるいは野菜酪農肉用牛といったようなものを主幹作物として選ぶタイプがございます。また一つのものを主幹とするわけにはまいらない、つまり、複合的な形態が適するといったような地域なり、あるいは農家がございましょう。そういうタイプといたしましては、お茶と肉用牛を組み合わせる、あるいは養蚕と肉用牛を複合するといったような形の方式例も必要であろうということで、それぞれのタイプにつきまして、資本装備程度、それからほぼどういう作付の割合がいいかといったようなこと、その他技術的な関係というふうなことを営農方式例の中に盛り込みまして知事が発表をする。それにほぼめどをおきまして各個営農改善計画を立てていただくというふうなことで、本対策一つ指導めどにしていきたいというふうなことを考えております。  いずれにいたしましても、高収益作物導入するというふうなことが一つ対策眼目でありますから、それぞれの地帯別にある程度作物重点の選定をしていただきまして、地帯としても農家としても、できるだけそういった有利な作物経営重点を移していくというふうなことがさしあたり向かうべき方向であろうというふうに存じております。
  18. 任田新治

    任田新治君 あの地方には昔からカンショが盛んですが、あれがああなってきているということの原因は、特殊土壌地帯でもあるし、マルチングの効果というようなものもあろうかと思いますが、ああいう作物というものはこれから転換していく計画がございますか、特に私伺いたいのは、鹿児島なり宮崎試験場あたりで、作物についてどのような考え方をしておるか、もし資料がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  19. 森本修

    政府委員森本修君) カンショは御案内のように非常に作付けが多い、これは先ほど来申し上げておりますような南九州における土壌の状態、あるいは気象条件といったようなものから回避をするというか、そういうものに適応するというか、そういった一つ営農の姿であろうと思います。したがってカンショにつきましても、ある程度高度化をしていくというふうなことが必要であろうと思います。またそれが転換を適当とする、できるような地帯につきましては、できるだけ先ほど来言っておりますようなことで作物転換をはかってまいる、高級な野菜転換をする、あるいは畜産といったようなことに転換をできるところはするといったようなことで、一がいにはこれは言えないと思いますけれども、それぞれ先ほど申し上げましたような地帯地帯に即して、きめのこまかい指導方針を立ててやっていくということになるというふうに思っております。
  20. 任田新治

    任田新治君 それから先ほどのお話で、貸し付け対象として土地改良事業などがあげられておるようですが、この融資による土地改良事業というものを見ますと、本来非補助土地改良事業があるわけで、例の三分五厘の融資仕事がございますが、その事業と、それから今度の法律による土地改良、この関係がどういうふうになるのか、また対象地域というものは、例の三分五厘の関係全国全部に網を張ったものでありますし、あるいはこの地域だけのものでありますか、ダブらせてそのままでいくのか、何かその辺で調整するのか、その点をお伺いしたいと思います。
  21. 森本修

    政府委員森本修君) この資金の中に貸し付け種目として土地改良というのが入っております。でこの土地改良種目を使いまして公庫から借り受けを受けます際に、御指摘がございました非補助の小団地の関係適用になることになります。つまりその関係で特別の認定を受けますならば、本資金によって借り入れる土地改良の分につきましても、三分五厘の金利が適用されるというふうな運用になるわけであります。
  22. 任田新治

    任田新治君 そうしますと、今度の法律による融資土地改良事業というものは、面積的にはいわゆる下限がどのように引かれているのか、下限がないのかそのあたりを伺いたいと思います。
  23. 森本修

    政府委員森本修君) これは非常に小さなといいますか、小規模のものをやるわけでございまして、特に下限を設けるというふうなことは考えておりません。
  24. 任田新治

    任田新治君 そうしますとごくわずかの面積であっても、この資金融通してもらえるということになるわけですね。
  25. 森本修

    政府委員森本修君) そのとおりでございます。
  26. 任田新治

    任田新治君 この土地改良関連してのことではないですが、土地取得の問題ですが、土地取得に対する資金融通はこの法律によってできますか、できませんか。
  27. 森本修

    政府委員森本修君) 土地取得資金は本資金内容には入っておりません。ただ、営農改善計画を立てまして、営農改善を進めていただく上に土地拡大が必要である、土地取得を要するというふうな場合におきましては、本資金と並行的に土地取得資金を貸し出すというふうな手続でやってまいりたいと思います。
  28. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 関連。いま任田委員から土地取得資金関係についてお尋ねがありましたが、私もその点に関連いたしましてお尋ねをいたしたいと思いますが、これは農政局長ではないと思いますが、農林漁業金融制度農林漁業近代化のための諸施策、すなわち生産基盤整備自立経営育成、技術の発展などの各分野で重要な政策遂行手段としてきわめて大きな役割りを負うようになってきましたことは御承知のとおりでございます。農林漁家の立場から見ましても、経営規模拡大生産基盤整備資本装備高度化等をはかるためには多額の資金を必要といたしますので、この面からも長期低利金融制度必要性は言うまでもございません。この制度資金の中で土地取得について農地等取得資金が、これは公庫資金でございますが、利率年三分五厘、これは三十八年の四月にきめられたものでございますが、償還期限及び据え置き期間が二十五年でうち三年の据え置き借り入れ限度額個人農業者には八十万円、農業生産法人は三百万円ということで融資されておりましたのが、その後経済事情の変遷により、昭和四十一年の六月に借り入れ限度額個人が百万円、農業生産法人が四百万円に引き上げられて融資が行なわれておりますが、その後北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置に関する法律の一部を改正し、認定期間を二カ年延長して、今日審議が行なわれているこの法律南九州畑作営農改善を含めて昭和四十一年、四十二年にわたって農林省調査検討を行ない、その結果現在提案されておることと承知しておりますが、その内容貸し付け条件には私どもは満足できないものがあるのでございます。  農林省はこのたび総合金融制度を確立いたしまして、必要な資金を一本化しそれを貸し付けて今後の農業者をして意欲的に農業経営にあたらしめて、いわゆる自立農家育成に力を入れるということでいま進められておりますが、その貸し付け限度最高二百万円ということになっておるわけでございますし、据え置き期間も十年としておられますが、北海道畑作営農改善資金貸し付け限度額は五百万円でございまして、ことに、またその内容といたしましても、この五百万円は、酪農者に対しては五百万円を最高として貸し付ける、あとの、いわゆる農業者に対してはそれよりずっと低い額という考え方に立っておるように思われる次第でございます。しかもまた、据え置き期間も八年ということで総合資金から見ますると、ここにも据え置き期間が非常に短縮されておるということでございます。  北海道農業は御承知のように経営規模も非常に大きいのでございますし、したがって必要とする資金も相当多額に及びますので、北海道の要望は、個人に対して貸し付け限度を一千万にぜひしてもらいたいと強く望んでおったのでございます。したがって、この必要な資金を与えて、そして一日も早く安定した自立経営農家育成実現を期していきたいという考え方で一千万円ということを申し述べてまいったような次第でございます。しかし、今日の場合、五百万ということでありますので、さきに申し上げましたように、土地取得資金の限度額については、少なくも、これは百万円でございますが、三百万円まで引き上げてもらいたいと、こういうことでございますし、まあこの経営上どうしても必要とする土地取得する場合においては、何としましても最も低利の、まあいま行なわれておりますが、三分五厘、あるいは据え置き三年、二十五年の償還、こういうことで自立経営の安定を期していかれるようにしてもらいたい、こういうことで前々から少なくも一千万と言っておりましたが、三百万の土地取得資金をいわゆる貸し付けされるように、ぜひこれを認めてもらいたいと、こういうことでまいったわけでございますが、今日なおその三百万円、あるいは百万以上の額については決定になっていないようでございますが、これは今日どのように進められておるか。大体その見通しについてもどうであるか、この機会にひとつお伺いいたしたいと、こういうことでございます。
  29. 内村良英

    説明員(内村良英君) お答え申し上げます。  最近の経営規模拡大等を考慮いたしますと、ただいま先生が言われましたとおり、農地取得資金貸し付け限度拡大する必要があるのじゃないかということを実はわれわれも感じているわけでございます。それに基づきまして、現在財政当局と折衝中でございます。これにつきましては、個人農業者取得限度を大体ただいま先生が言われましたような線まで上げる、農業生産法人についても、それと均衡をとって上げたいということで財政当局と折衝中でございます。それがいつごろきまるのかということかとも思いますが、それにつきましては、われわれとしてはなるべく早く財政当局と話をつけて、農地取得資金貸し付け限度拡大したいと、こう思っておるわけでございます。
  30. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 ただいま、この問題については、大体私どもは三百万と、こういうことについては、大体それを必要と認めて、最善の努力をしておる、財政的にもいろいろと折衝を進めておるということでございまして、非常にまあ満足するものでございますが、ぜひとも早急にその実現を必ず期してもらいたい。そして、北海道の場合の事情は御承知のとおりでございますので、それによって意欲的にひとつ安定した農業経営ができるようにいたしたいとわれわれは考えておりますので、ぜひともそのように早急にきめていただきますことを再度お願い申し上げまして、関連質問を終わります。
  31. 任田新治

    任田新治君 今度の融通制度を、これをひとつ円滑に進めていくためには、担保の問題が出てくると思うのですが、担保の扱いをどういうふうにやっていくのか、この点を明快にひとつお願いいたしたいと思います。
  32. 内村良英

    説明員(内村良英君) 本資金貸し付けにつきましては、やはり金融でございますから担保を考えざるを得ない。そこで、土地を担保にするということもございますし、同時に農家には土地以外にいろいろな動産があるわけでございます。現在、動産につきましては、農業動産信用法という法律、これは非常に古い法律でございまして、たしか昭和八年にできた法律でございます。しかしながら本日まで、この法律はあまり有効に動いていなかったということもございますので、この際なるべく早く施行令を改正いたしまして、まず第一に農業動産信用法の対象になっている農業機械の内容の一新をはかる、すなわち法律が古いものでございますから、今日非常に普及しているトラクターとかそういうようなものは対象になっていないということでございますので、現在担保物件として認められていないものを、抵当権の目的物に加えるという改正を行ないたいと思います。それから第二に、現在のところ抵当権者になっておりますのは、信連その他の金融機関でございまして、公庫と農林中金は抵当権者になっておりません。そこで本制度実施につきましても公庫資金がございますので、抵当権者に公庫、中金を加えまして、農業動産信用法というものを活用して、農家の担保力を強めていきたい、こういうふうに考えております。
  33. 任田新治

    任田新治君 いまお話農業動産信用法ですか、ずいぶん古い法律のようですが、これを改正しませんと抵当の対象にするものがないのですね、いま。書いてないわけですから、農業機械の関係であるとか、そういうものは。その点が一点と、それから土地の担保のしかたをどういうふうに評価していくか、これをお聞かせ願いたい。
  34. 内村良英

    説明員(内村良英君) 農業動産信用法の施行令にいろいろ機械があるわけでございますけれども法律が古いためにその後いじってないために、現在非常に使われておるような新しい農業機械というものが担保物件の対象になっていないわけでございます。そこで法律ではなしに施行令を改正して、そうした新しい農業機械を担保物件の中に加えたいというのが第一点でございます。それから、土地について一体どう評価するのかという問題でございますが、これにつきましては大体土地の時価の八割ということで評価をしたいと考えております。
  35. 任田新治

    任田新治君 昨年の夏干ばつがありまして、その干ばつに対応するということで、新しく農林省で干ばつ対策事業が始まるということになっている、まだ本国会に提出されておりませんが、ため池関係法律も出るようになっていると聞いておりますが、あの仕事とこの地域農地保全事業との関連がありますかどうですか、農地局の佐々木参事官にお伺いいたします。
  36. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 昨年の夏大きな干ばつが起こりまして、南九州一帯も非常にひどい被害を受けたわけでございます。全国的な干ばつでございましたので、いまお話のように四十三年度から新たに、干ばつ地帯に対しまして特別な水源整備対策事業を進めることになっておりますが、特にこの事業が、南九州の今回のあの一帯の地域に特別な関係を持たしてこの仕事を進めるという方向ではないのでございます。一般と同じような考え方にしておりますが、何としましても特殊な土壌条件、特別な気象条件地域でございますので、この新しい干ばつ対策事業がスタートを切りますと、この地域にも相当この仕事を進める必要が起こってまいると思いますが、これらは県の申請をよく検討いたしまして、農地保全区域における水の問題を今後も十分気をつけて進めてまいりたいと、かように考えております。
  37. 任田新治

    任田新治君 先ほど局長が言っておられましたが、いろいろ何というか、方式例などをつくるという話がありました。その前にこの法律案を読んでみますと、大臣が振興地域指定を行なうと、その地域指定にあたって大体どういう基準で何をどういうふうにきめるのかという問題があろうかと思います。ある法律によっては市町村単位でものをやるとかいろいろあるのですが、この法律ではそのきめ方をどういうふうにするのか、天然自然の条件、もちろん土質の問題もありましょうしいろいろあるだろうと思いますが、そういうものが基本になるのか、ある程度行政区域を考えながらやっていくのかいろいろあると思いますが、その基準をどのように考えておられるか。それから貸し付け対象にするもの、このものの種類がどのようなことになっていくのか、これを御披露願いたいと思います。生産力の維持増進に必要な施設の造成とか土地改良、果樹の植栽育成、乳牛、肉用牛の購入資金というようなことが書いてありますが、それぞれについて何かひとつ購入資金を貸す場合のあるいは造成資金を貸す場合の基準というもの、制限というものをいろいろの種目に応じて基準を設けるのか設けないのか、それとも全体にひっくるめて一農家対象にしてその営農改善の中身を聞いて、そうしてそこで全体のワクをはめるのであるのか、その点を伺いたいと思います。
  38. 森本修

    政府委員森本修君) まず地域指定やり方でございますが、政令でもちまして地域指定をいたしますところの基準を定める予定にしております。その基準一つは雨の、特にまあ五月から七月、いわゆる生育前期における雨量の関係、それからもう一つは特殊な土壌の分布状態、三つ目は畑地の状態に関する指標、こういう三つの指標をそれぞれ政令によって定める予定でございます。で、地域指定は、そういう基準に該当いたしますものを各県の知事から申請をしていただきまして、その申請に基づいて指定をするという手続になるわけであります。指定の単位としましては、原則としましては市町村単位ということでありますが、市町村単位では必ずしも実情に合わないというふうな場合には最小単位としては字まで指定の単位にするような運用を考えております。  それから貸し付け資金の問題でありますが、それぞれ営農改善計画を立てました農家に対しまして、必要な資金貸し付けるということでありますから、含まれておりますところの資金種目について独立にそうこまかい基準なりあるいは標準なりをきめるというふうなつもりはございません。限度額の中において必要な額をお借りしていただくというふうなことにしてはどうかと思っておるわけでございます。
  39. 任田新治

    任田新治君 今度の法律に盛られておる貸し付け条件を見ますと、その利率においてもそれから据え置き期間、また償還期限、いずれもいままでの北海道の場合、ないしは要綱によってやっておりますところの南九州の場合にしましても、まだ相当何というか有利な条件になったように思うのですが、しかし、その基準そのものによっては、貸し付け基準というかそういうものによってはなかなかどうも政府の思うようなものにならない場合もあろうかと思います。そういうことのないようにぜひとも一つ配慮を願いたいというふうに思います。  そこで、その問題に関連してのことですが、改善計画認定ということがあるわけですが、知事さんの名儀でというか、知事の名において認定がなされるわけですが、実際の実務に当たるのはだれかということになるわけです。もちろん改良普及員その他の方々がなんでありましょうが、大体どのような組織を持たれるのか、また制度上どういうふうに考えておられるのか、その認定の当事者の問題について構想をお聞かせ願います。
  40. 森本修

    政府委員森本修君) 認定やり方でありますが、これは県のほうで認定をしていただくということになりますから、具体的には私ども県と相談をいたしまして、どういう段階でどういう人が集まってその営農改善計画を審査といいますか見るかということは、細目はこれから詰めることになりますが、従来からもマル寒と言われておりますものは手続がきわめて繁雑である。また時間を要するということが一つの難点になっておるという話が多かった次第であります。もちろんそういうことでありますから、できるだけ県の本庁まで持ち上げるということでは手数がかかりますので、北海道であれば支庁段階ということになっております。そういうことで出先のところで認定が迅速に進むようにというふうなこと。またそれぞれの資金につきまして、多少関係をする人が多いというふうなこともございます。そういう場合にはそれぞれ書類を持って回るということもたいへんでありますから、関係者が一堂に集まって、いわば協議体のようなものをつくっていただいて、そこで一堂に会して即決といいますか、迅速に事が運ぶというふうなことでなるべく手数をかけない。また時間もかからないというふうなことで処理をするように県当局と十分話をしてみたいと思っております。
  41. 任田新治

    任田新治君 認定の問題はいま構想が練られておってそのうちにでき上がっていくということでありますが、いずれにしても公庫そのものが資金を貸すわけでありますから、この場合認定された農家というものが、それでも無条件公庫から金を借りるということができるのか、それとも公庫において再度チェックされるというようなことになるのか、そのチェックのされかた、される程度もいろいろあると思いますが、これあたりは相当考えて二重の手間にならないようにぜひひとつ配慮を願いたいと思うのですが、この点いかがですか。
  42. 森本修

    政府委員森本修君) 公庫のほうとされましては、まず県のほうで適格者であるという認定を受けましたならば、できるだけひとつ的確に金が貸し出されますように配慮してもらうように、私どもとしては指導したい。ただ何分にも金融でありますから、金融機関としての一応の審査ということは、これは不可欠の手続になります。その場合にも従来からいろいろな御批判もございますので、手続が非常に煩瑣なことになる、あるいは時間を要するというふうなことはできるだけ避けまして、県庁の認定公庫の貸し出し決定が有機的な形で進行していくよう私どもとしては心がけてまいりたいと思います。
  43. 任田新治

    任田新治君 この場合、認定の機関というか、組織というものと、その組織の中へ公庫の担当者が入るというような、そういう構想はございませんか。
  44. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど申しましたように、県のほうの認定公庫のほうの貸し付け決定は一応たてまえとしては別個の手続でございますので、お互いに迅速に連絡し合うということは十分やっていただく必要があると思いますけれども、まあそこいらの手続につきましては、連絡をよくしつつ、それぞれ合理的に運ぶようにということで、御迷惑のかからないように運んでまいりたいと思っております。
  45. 任田新治

    任田新治君 この法律が通るといたしますと、さっそくいろいろのモーションが始まるわけですが、まずここで大事なことは、さっそく知事さんがやりますところの振興地域ごとにモデルの営農方式例をつくる必要がある。それができてそれを模範にして各農家指導を得ながら営農改善計画を立てるということになるわけでありますが、何といってもこの方式例がまっ先につくられなきゃならぬということになるわけです。この点は、目標として大体いつごろまでにつくるように農林省として各県を指導されますか。
  46. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘がございましたように、地域指定から、それから営農方式例の作成並びに先ほど来の手続に関する県の認定なり、その他手続に関する整備といったような諸種の準備行為が要るわけでございます。両県におきましてもきわめて熱心に、この対策について準備を目下進めておるという段階でございますので、私どもとしてもできるだけ早くそういった事前の準備ができまして、本資金が本格的に活動をするというふうな運びにいたしたいと存じております。大体のめどといたしましては、第一四半期内においてほぼさような準備が完了するように、県当局とも迅速にひとつ打ち合わせをしながら推進をしていきたいと思います。
  47. 温水三郎

    ○温水三郎君 ちょっとお尋ねいたしますが、この法律が施行された場合の効果について、農林省はどういうふうに策定されているか、お聞かせを願います。
  48. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど来申し上げておりますように、この法律のねらっておりますのは、現在中庸以下で必らずしも経営が安定していない、かつ、生産性なりあるいは所得が低位な状態にあるという農家を、一般的な水準といいますか、安定的な状態の経営に持ってまいるということがねらいであります。その他の具体的な指標としましては、先ほど申し上げましたような営農方式例ということで、数年後にこういうふうな姿の営農になるのがこの地帯においては適当であるということを、県と私どもと相談してお示しをする、それをそれぞれ農家が選択をいたしまして改善計画を立ててやっていただくということでありますので、目標としてはさような経営の姿になるというふうなことで、それぞれの農家が出発をしていただくということになるわけであります。必ずしも画一的にどういう状態ということは表現はしにくいのでありますが、地域によりあるいは状態により画一的なことにはなりませんけれども、抽象的な姿としては、少なくとも安定的な経営の状態になる、またなるように努力をするというのが、本対策のねらいだということになっております。
  49. 温水三郎

    ○温水三郎君 南九州は高温多雨の条件を持っておりまするけれども土壌特殊土壌が多いことと、それから台風がくるというようなことで、非常に農業条件が今日そろっているとは言えないので、たとえば農業収入が全国平均で四十五、六万であるのに対して、南九州農業収入は二戸あたり三十万にも足りないというような劣悪な農業の情勢であるわけであります。この情勢の一つ原因としては、投資がはなはだ不足しているということが言えるわけでありますから、任田委員の質問に対してお答えがありましたので、これに対して重ねて質問をいたしませんけれども貸し付けというような条件については、弾力性をもって積極的な貸し付けが望ましいわけであります。  さらにまた制度金融の欠点とされるものは、事務が複雑であって、農家がなかなか借りにくいというような点があるので、この点もむずかしい問題ではありますが、極力簡素化して積極的な貸し出しと同時に、事務の簡素化によって、農業投資がすみやかに大きく行なわれるような方法を講じてもらいたいと思うわけでありますが、これは任田委員の質問に対してお答えがありましたので、重ねてお答えは必要といたしません。  ここでただひとつ質問をいたしたいのは、金利等の条件の問題でございますけれど、必ずしも私は満足した条件ではないと思うのでありますが、諸般の関係からかような原案になったのでやむを得ないと思いますけれども、将来もしわが国の経済状態が改善されて、金利水準等が若干低下するというような場合には、すみやかにこの条件改善してもらいたいと思うわけであります。と申し上げるのは、マル寒資金等でその例があるがごとく、一般金利が低下して、おくれてこれが改善をするというような実例もあったようでありますから、特にこの点を念を押してお尋ねするわけでございますが、この点に関する御所見を伺いたいと思います。
  50. 森本修

    政府委員森本修君) この資金融資条件につきましては、従来の南九州適用されておりました資金に比べまして、私どもとしては相当勉強した、ざっくばらんに言いますと、つもりでおりました。しかし、なおこの程度では不十分であるというような御意見なり御批判があることもよく承知をいたしております。  また、将来の問題についてのお尋ねでございますが、私どもとしましては、一応こういった融資条件で最善を尽して本資金の実行をやってまいりたい、その過程におきまして、一般的な経済事情の変化はもちろんのことでありますが、南九州における畑作改善の進展の状況、あるいはまた本資金の利用の状況といったようなものをよく実態の推移を勘案いたしまして、本資金のあり方について、不断に検討を進めていくということは行政当局として当然の態度でありますから、さような心がまえでこの点を解消していきたいというふうに思っております。
  51. 温水三郎

    ○温水三郎君 農林省はというよりも政府地域振興法をいま用意しておるのでありますが、新聞紙上等では構造改善事業をやって二、三年足らずして宅地になったとか、あるいは工業用地になったとかいうようなことが問題になっておるようなふうに報ぜられておりますけれども南九州南九州のほとんど大部分が農業以外には——立地条件からして農業以外にはやれないところの地域がほとんど全域にわたってそうでございますので、南九州に対しては先ほど申し上げたとおり、劣悪な条件のもとで農業投資等で非常に少ないということがございますから、かつまた、私どもがこれを見てみましても、畑地におけるかんがいなりというようなものは、まことに微々たるものであって、耕土を改善しなければならないところは全く無尽蔵にあると言っていいくらいであります。先ほど任田委員の質問に対して農政局長構造改善事業南九州においては大体全国並みであって、それ以下ではないというような御答弁がございました。一応、けっこうであると思いまするけれども、いま申し上げたような諸般の条件南九州にはあるので、これはぜひとも全国並みでなくて、もっと特段な配慮をもってすみやかに農業構造改善事業を進捗させなければならない地域であると考えるのでございます。この点に関してひとつ積極的な姿勢で取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、ちょっと見解を伺いたいと思います。
  52. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど申し上げましたように、本資金なり、あるいは本対策構造改善事業はそれぞれ相補完するような関係になっておりまして、有機的に結びつけて活用されますと、きわめてその地帯農業の進歩なり開発に寄与するというふうなものであろうと思います。そういうことでありまするので、私どもとしましては、構造改善事業の今後の運用にあたりましては、南九州地帯に対してさような働きを持つものであるということを十分念頭に置きまして、できるだけ前向きに対処をしていくというふうなつもりでおります。
  53. 任田新治

    任田新治君 まだ上程されておりませんが、農業振興地域指定関係法律とこの法律との関連についていろいろお話も聞きたいのですが、その問題は別の機会に譲りまして、最後に北海道畑作振興について若干お伺いいたしまして、私の質問は終わります。  北海道のこの営農改善資金融通臨時措置法、これが制定されたのが昭和三十四年で、当時の計画というか、予想の戸数が二万八千戸であったようですが、その後二回の法律改正があって、この数字を見ますと、大体一万戸くらいが達成されているというような状況であります。その上で今度の延長をやるということでありますから、目的が達成されていませんので、さらに延長するということは、これは当然のことでありますが、この場合、今度発足しようとしておる南九州畑作振興と、従来ございました北海道畑作振興との間の貸し付け条件内容、あるいは貸し付け対象基準というようなことで相互間に差異がありますかどうですか。そのあたりに適当なバランスがとれておると考えておられるかどうか。最後にこの点を伺って私の質問を終わります。
  54. 森本修

    政府委員森本修君) 南九州北海道両方とも非常に不利な自然条件のもとに営農が行なわれておる。また一方は営農の姿はきわめて不安定である、他方は低位であるというふうなことで、それぞれ共通の側面もございますけれども、また違った要素も存在をするわけであります。したがいまして、資金といたしましても、内容として同じものもありますれば、また違った要素もございます。たとえば資金の種類にしますれば、北海道では土地改良、それから施設関係家畜導入といったようなものが資金内容として含まれております。南九州のほうは、当然のことながら、作物が多様性を帯びておりますので、桑でありますとか、お茶等の永年性作物あるいは果樹といったようなものも対象資金の中に加わっております。また対象農家としましては、いずれも中庸規模以下の農家というような抽象的な考え方は同一でございますけれども、具体的な基準というふうなことになりますと、多少のそれぞれ実態の差に応じた差があるというふうな形になっております。いずれにいたしましても、本対策をやりますところの考え方は、ある意味では共通な側面を持っておりますけれども、実施をいたします対象地域の差、あるいは農家の状態というものがそれぞれ違っている面がございますので、そういった実態の差異に応じて、それぞれ適切な資金内容というふうなことで考えたつもりでございます。
  55. 田村賢作

    ○田村賢作君 時間がまだあるようでありまするから、総括的なようなことになるかもしれませんが、二つ、三つお聞きしたいと思います。  構造改善事業が施行をされまして、非常に大きい効果をあげておるように思われますが、特に土地基盤整備事業に大きな期待を持ったわけですが、土地基盤整備事業によって農業基本法に沿った経営規模拡大ということに基づいた期待を充足することにはならない。これはなかなか土地所有に対する魅力が強いものですから、経営規模拡大を一挙に推進するのにはまた別途の政策が必要ではなかろうかと思うのですが、作業の合理化とか近代化、能率化ということには非常な貢献をしたように思うのであります。そこでいままで行ないました構造改善事業のうち、土地基盤整備に費やした事業量と申しますか、予算と申しますか、これと、それから経営近代化施設等に費やした力との比率を見ると、この農林省の出した書類を見ると、大体六対四ぐらいの割合になっているようですが、全国土地基盤整備を必要とするであろうと思われる面積の大体何%ぐらい構造改善事業によって土地基盤整備事業が推進をされてまいったか、これは突然の質問ですから数字が用意されてないと思うんですが、大体の概数でけっこうでありまするが、これをお聞かせ願いたいと思います。
  56. 森本修

    政府委員森本修君) 御案内のように構造改善事業は、それぞれ市町村計画地域といたしておりますが、実施されます地域は必ずしも市町村全域ということにはなっておりません。平均的にいいますと、地区としては二つ、つまり二部落ぐらいが平均的な実施の状況であります。そういう意味では、対象地域の全域にわたって、たとえば基盤整備事業が行なわれるというふうな形には御案内のようになっておらないわけであります。それからまた、基盤整備事業構造改善事業のみではございませんで、農地局における各種の土地改良事業といったようなものも別途進行しておるという関係に相なっております。で、構造改善事業でやりました基盤整備のカバレージといいますか、そういうものは、大体計画を立てました地区の全面積に対する割合で申しますると、平均的に約五%ということになっております。そういうことでありますので、先ほど申し上げましたようなことで、全地域事業は行なわれるわけではない、また別途土地改良事業が行なわれておる、またそれについては、御案内のように長期計画といったようなものがあるというふうなことで、一般の土地改良事業とあわせて構造改善事業土地改良整備事業というものは進められていくといったようなことで、現在の四十一年までの状況では、必ずしもそのカバレージは大きくないというふうなことが言えるわけでございます。
  57. 田村賢作

    ○田村賢作君 構造改善による土地基盤整備事業土地改良による事業両方から進めていくにいたしましても、全耕地面積に対する事業の施行率というものは非常に低いように私は思うんです。したがって、一面からいうと、機械化を進めるとか協業化を奨励するとかいうような政策をとっても、それを受け入れ得る土地整備事業というものが伴っていないから、なかなか実際の能率、効果というものをあげ得ることができない。一面、この土地改良事業によって相当の事業は進捗はしておりますが、しかし、いま言った構造改善事業によっても五%程度事業しか行なっていないということは、耕地の全部の面積からいうと、ある点、局地的な、ある限られた土地だけがぼかんぽかんと行なわれているのでありまして、これが全耕地に推進をされますることが早く実現をしないと、いま言った協業化とか機械化というものと政策がかみ合わない。そこでいまの質問に出ましたが、農林省が今後期待するであろう農業人口地域指定と相まって、なお一そういままでのような。パイロット事業としての土地改良土地基盤整備事業を。パイロット事業としてではなく、これは全耕地にできるだけ可能なる限りすみやかに推進できるような政策を農林省が考えているかどうか、この問題についての将来の見通しか考え方をお聞かせいただきます。
  58. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 土地基盤整備の進め方につきましては、すでに昭和四十年から土地改良長期計画というものを閣議決定いたしまして、ちょうど四十三年度で四年目を迎えるわけでございますが、この計画はただいまお話のような趣旨がほぼ盛られているのではないかと思うのであります。と申しますのは、この計画で考えておりますのは、水田地帯につきましては全国で約三百万ヘクタールぐらい土地改良をする必要がある、畑につきましては百九十万ヘクタールを改良する必要がある、こういう資料に基づきまして昭和四十年度を第一年度といたしまして向こう十カ年間に、水田につきましては全体量のほぼ半分以上に及びます百二十八万ヘクタールの基盤整備を完了し、畑につきましてはほぼ半分弱でございますが、八十万ヘクタールの基盤整備をやる、こういう長期目標を立てまして、今日までの段階ではほぼこの計画の線に沿いまして仕事を進めてまいっております。そのほか草地改良と造成等もございますので、これはまた別途いま申し上げましたすでに既耕地の水田、畑の計画でございますけれども、それとは別に新しい農地の造成は農地の壊廃と見合いましてつくっていくと同時に、新たに草地の造成をやっていく、こういう目標で進められておりますので、その間にも一方農村では機械化等が進むかと思いますけれども、これらの資料は、全国的に各地域地域基盤整備を必要とする場所を克明に当たっておりますので、そういうものを基礎にいたしまして、各年度ごとに地域農村の申請に基づきまして仕事を進めてまいっておりますから、一方、農村で発展していきますところの機械化とは、あるいは場所によっては必ずしもマッチしない、おくれるということもあろうかと思いますけれども、できる限りそれらの地域の農村の実際の要求にマッチするように個々の事業地区を採択いたしまして進めておるのであります。
  59. 田村賢作

    ○田村賢作君 三百万ヘクタールの土地、百二十八万というと、まだ残るのがだいぶあるわけですが、これは畑にしても同様。これもやはり役所としては全面的、将来にわたる展望と申しますか、ビジョンと申しますか、持ってほしいと思うのですが、それはあとに譲るといたしまして、構造改善事業による土地基盤整備事業等によって土地生産力がどれだけ向上し得たものか、それからもう一つは、労働生産性と申しますか、これに対する改善がどのくらい改善できたものであるか、その辺お聞かせ願います。
  60. 森本修

    政府委員森本修君) 御案内のように、構造改善事業は三十七年から始めましたが、一年で終わるわけではございませんで、三年ないし四年間事業を実施いたしましてその後に効果が発生をするというふうな性質のものでございます。また、その効果につきましても、計数をもって測定をするというふうな性質のものは必ずしも十分計測をすることができないといったようなこと、要するに複合的な効果が発生するというようなことでございまして、必ずしもその何%といったような形で計算をしたものはございませんが、構造改善事業をやりまして、どういう性質の効果があったかということを実施いたしました市町村について調べたものがありますが、それによりますと、構造改善事業効果としてあげられております事項は、一つは労働生産性が高まったということ、それからまたこの対策でかなり部落における協業化促進をされたといったようなこと、それからまた、それぞれの地域における作物がある程度まとまって入ってきたといったような関係等々の結果が出ております。そういう面からいたしますならば、労働生産性なり、あるいは協業の助長なり、また作物の集団的な導入なりといったようなことを通じて農家経営改善あるいは所得の安定確保ということに相当の効果があったのではないかというふうに私どもは見ておるわけであります。
  61. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 非常に簡明な法律案ですし、先ほど来任田さんはじめいろいろ質疑をされておられますから、重なる点もあろうかと思いますけれども、その際には重なっているというふうにおっしゃっていただきたいと思いますが、この法律の第二条に、農林大臣は畑作振興地域指定することになっておりまして、またその指定基準は政令で定めることになっておりますが、ここで問題は、市町村あるいは旧市町村単位に指定をするようなことになるのかどうかという問題であります。私も鹿児島の出身なんですが、一つの火山灰、シラス地帯畑地というのは、幾つも村が入り込んでおりますし、同時にその村々はたんぼもやはり持たなければ生活できないわけですから、たんぼも、たんぽ地帯がありますと、そこに幾つかの町村が入り込んでいるという状態なわけでして、そこで、旧市町村の単位あるいはいまの市町村単位にこの畑作振興地帯というものをきめられますというと、いろいろ非常に不自然な形になるのではないかと思っておりますが、ですから、もしその指定基準というのがありますならば、それに合うようなところは大字であろうと小字であろうとあるいは小字が二つ合わさったような形で指定されるのかどうか、場合によりますと、その町村はここで言う基準には合わなくても大字はそっくりもうその基準に合ってしまうようなところだって相当たくさんあるだろうと思うのです。ですから、そういうような指定のしかたになるのかどうかということを伺いたいわけです。
  62. 森本修

    政府委員森本修君) 指定についてのまとまりといいますか、単位の御質問であろうと思いますが、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、御指摘がございましたような条件にあるわけでございますから、私どもとしては行政的に用いることができますところの最も小さい単位までブレークダウンをして指定していく。原則は市町村でありますが、いま言ったような実情にございますので、つかまえ得る最小の単位といったようなところまで実情に合うように指定単位をもっていきたいというふうに思っております。
  63. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、先ほど局長の答弁の中にありましたですが、貸し付け対象農家、これが中流農家だというお話だったのですが、そうして安定農家ということばも使われたように思っておりますが、経営安定農家ということばも使われたように思いますが、農林省は従来から自立経営農家ということばを使っているのですが、安定農家ということばも聞いたわけですが、これはどういう関係になるのですか、つまり、農政上の立場からいって、これから対象にされる中庸農家というものとあるいは安定農家というものと、それと自立経営農家というものとの関係ですね。それで、その安定農家というのは、まあ不安定なんだから安定にするというわけでしょうが、安定になったらそれを今度は自立経営農家のほうにもつていくというお考えなのか、そこら辺ひとつお尋ねします。
  64. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど申し上げたことについての御質問であろうと思います。私が申し上げましたのは、本対策のねらいといいますか、性格は中庸程度以下の農家を安定的な状態の経営にもっていくといいますか、誘導していくといいますか、そういうことがねらいであるということでありまして、まあ安定的な状態の経営というのを具体的にどのような形で想定をするかということは、必ずしも一がいにはなかなかむずかしい話でありまして、それぞれその地帯における営農形態なりあるいは導入されます作物によりましても、画一的には言えないような形になると思います。しかしながら、それぞれの地域で常識的に、こういう形になればほぼ経営としてはそう不安ではないというふうなことがある程度社会通念として想定されるのではないかというふうに思うのであります。といいますのは、それぞれ対策地域を限定いたしまして、その地域の中でも地帯をさらに区分をいたしまして、ややきめのこまかい営農改善方向を目ざすわけでありますから、おのずからその間に、社会通念として安定的な形態というのは、この地帯ではこういう作物についてはこうだということが想定されるものというふうに考えております。またそれを例示的に示すものとしては、各県でおつくりになる営農方式例というものが例示的な姿として農家に示されるというふうな仕組みになっているわけであります。  自立経営とはどういう関係になるかというお尋ねでありますが、自立経営の定義をいまさら御説明申し上げる必要はないかと思います。そういう意味合いでは、考えております一つ基準といいますか、指標といいますか、そういうものがおのずからその間に相違がある、見ている角度が相違をしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  65. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、中庸程度以下の農家を安定的農家にするために融資その他の事業を行なう、それで安定的農家になったらどうなるかということは、これは自立経営へもっていくかどうかということは明らかでないということなんでしょうか。
  66. 森本修

    政府委員森本修君) そういう状態の経営になりますれば、別途の観点から見れば自立経営といったような姿である場合がございましょう。またそうでない状態の場合もあるかと思います。そうでない状態の場合には当然また他の政策、手段によりまして、自立経営を意図される農家に対しましてはしかるべき対策を講じていくというふうな関係になろうかと思います。
  67. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、この今度の資金融通を受ける農家というのは、これは安定的農家になるための資金融通であるから、経営拡大していったり、あるいは自立経営農家になるためのものではない、だから自立経営農家になるためのいろいろな施策なりあるいは資金融通等については切ってしまうのだと、こういう意味ですか。つまり、農地の取得資金というようなものは貸しませんとか、あるいは自作農維持資金というようなものは貸しませんとかいうことになるのですか、あるいはここにある果樹経営改善資金というようなものは今度のこの資金を借りる人には貸しませんという意味ですか。
  68. 森本修

    政府委員森本修君) 別段この資金を借りますれば他の公庫資金は貸さないというふうなことは考えておりません。ただ、この資金の中にありますような、たとえば果樹経営改善資金でありますとか、畜産拡大資金でありますとか、今回この資金の中に資金種目として取り込んだものにつきましては並行して貸し出しする必要はなかろう。この資金事業をしていければいいわけですから、そういうものについてはそういう関係になりますけれども、それ以外のものにつきましては、たとえば公庫資金のほかの種目はこういった農家に対しましてもほかの人と同様に貸し出しをするというふうな運用になるわけであります。
  69. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この貸し付けやり方ですね、転貸という場合と直接個人に貸す直貸し、二種類あるわけですが、これはいろいろ利害があるでしょうが、この法律貸し付ける場合にはどちらの方法をとられるわけですか。農協の転貸という形をとるのか、あるいは直接個人に貸すという形をとられるのか、それをお伺いいたします。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕
  70. 内村良英

    説明員(内村良英君) お答え申し上げます。  北海道南九州畑作営農改善資金貸し付け方式の具体的方法については、目下関係者と検討中でございます。したがいまして、信連の直接貸し付け方式でいくのか、あるいは農協からの転貸方式によるのかということにつきまして、ここでこうするということを申し上げるところまで実は問題がまだ煮詰まっておりません。しかしながら、われわれといたしましては、従来のマル寒資金に準じた信連の直接貸し付け方式でいきたい。しかし農協から転貸の希望がある場合もございますので、そうした場合には、必要に応じまして農協の伝貸方式もあわせて活用していきたい、こういうふうに考えております。
  71. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農協の転貸という場合には、従来農協が、ここにお話のような事業対象農家、つまり中庸程度以下の農家、それを農協が選別できるかどうか。ということは、要するに平等な形を農協としてはやはりとりたいでしょうし、選別する、そういう何といいますか立場に立ち得るかどうかという点が一つ問題ではないかと思うんですが、転貸の場合ですね、その点はいかがでしょう。
  72. 内村良英

    説明員(内村良英君) 本資金貸し付けにつきましては、まず県が営農方式例をつくりまして、それに基づいて、先ほど農政局長から御説明がございましたが、農家はそれをめどにして営農改善計画をつくる。その営農改善計画を知事に出しまして知事の認定を受けるということになりますので、単に農協が農協だけの立場から融資の相手先をきめるということにはならないわけであります。しかしながら、農協の転貸方式になりました場合に、農協も金融機関でございますから、貸し付を受ける農家の信用状況の調査というようなことはやることになると思いますが、いずれにいたしましても、このような金融でございますから、やはり知事が認定したものについては農協も当然貸すことになるのではないかというふうに考えております。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど任田委員のほうからも質疑があったんでありますが、このマル寒資金ですね、この間、二年前ですか、このマル寒資金を延長しますときに私も審議に参加したことがありまして、そのときに、このマル寒資金というのは予想とあるいは計画と実際とがはなはだしく食い違った、そういう資金だという印象を非常に強く持ったわけですが、先ほど任田委員から話がありましたように、三十四年にこのマル寒資金法律で制定されて、三十九年の三月までの五カ年間の時限立法だと、そして対象農家を二万八千と予定しておったんだが、実際は四分の一しか達成できなかったので、これを重ねて二年延長したいということで第一次改正が行なわれたわけですね。さらに、これが二年間に八百戸ぐらいしかできなかった。したがって、まだ相当数の借りたいという農家が存在しているから、重ねて第二次改正を行なう必要があるというので、四十一年でしたか二年延長したわけですね。で、二年延長して結局十年になるわけですが、それで三十四年当時の対象農家の四分の一足らずの、いや、四〇%ですね、四〇%に足りない、そういう実績になったのですね。特にその後半の五年間というのが前半よりも悪いわけですね。それで、二年間農林省にああいう対策室を設けられまして広く調査し、検討せられた結果、今度のマル寒資金の一部改正となって出てきたわけです。   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕  私は、そういう経過からいって、今度の改正法律案程度のものではっきり効果をおさめていくことができるのかどうかという点について疑問に思っているわけなんです。ですから、これはあとほどマル寒資金の論議が行なわれますから、その際に他の委員のほうからいろいろあると思いますが、いま問題になっておりますこの南九州畑作融資については、これは北海道の場合よりもっと大きなへこみがあるわけなんですね。法制的にも対策上におきましてももっと大きなへこみがあるわけなんですが。そこで、これも北海道と同じように二年の検討をされてこういう法律として出てきたわけなんですけれども、どうも私は非常に問題があるように思うのです。  そこで、三十六年の南九州防災営農改善対策要綱、この改善対策要綱でやられました補助事業あるいは融資事業、その中で、補助事業は三十七年から構造改善事業に吸収されるという形になっておるわけなんですが、融資についてどういう実績があるのかということを伺いたいわけなんです、三十六年から今日に至るまでの融資、いま法案として融資が問題になっておりますが、三十六年から今日までの融資の実績、それをお尋ねしたいわけです。私の記憶では北海道よりももっともっと、棒にもはしにもかからぬように悪かったように思っていますけれども、いかがですか。
  74. 森本修

    政府委員森本修君) 南九州関係の従来やっておりました融資の実績でございますが、まず三十六年度から四十一年まで融資をいたしました総額は六億五千万円、内訳といたしまして、宮崎県では三億七千万円、それから鹿児島では二億七千万円というふうな内容になっております。なお、種目別の貸し付けの実績は、畜舎は、全体の中の構成割合でありますが、約五六%、それから農機具が三六%、あとその他というふうな内容になっております。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはこれからの政策のやり方で相当変わる点はあると思いますが、この実績というのは六年間ということになりますか、六年間に六億五千万ということになるわけですね、貸し付け金額は。今度の法律によりますというと一年間に九億何千万ということになるわけですね。そういう事態になるのかどうかという点は非常に疑問があると思うのですが、しかしそうではないんだと、前の対策要綱でやった場合には六年間に六億何千万円の貸し付けになっておるが、今回は一年間に九億何千万円という貸し付けになるんだけれども、それは何も無理な話ではないんだという説明をちょっといただきたいわけです。
  76. 森本修

    政府委員森本修君) いままでやってまいりました資金とそれから今回の資金と変わっております点は、先ほど来申し上げておりますように、一つは、従来の資金対象種目主務大臣指定施設ということで、主として個人畜舎でありますとか農機具というふうなものに内容としては限定をされて拘ったわけであります。今回のものはその施設以外に土地改良関係でありますとか、あるいは家畜の購入の資金でありますとか、果樹の植栽あるいは育成資金でありますとか、永年作物についての資金というように資金種目が相当大幅に拡大をいたしました。そういう関係からおそらく一戸当たりで借り入れられますところの資金の額というのは相当大幅に増大をするのではないかというふうに思っております。なお、そういうふうな資金でございますから、従来の、資金を借りてやってまいりました農家よりももう少し多くの農家が本資金の利用を希望するであろうというふうな想定に立ちまして試算をいたしておるわけであります。
  77. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 確かにいま局長お話のように、貸し付け種類の拡大ということもありますし、また一戸当たりの貸し付け額の拡大というものもありますし、利子等について努力をせられたということもありますが、どうも私は先ほど申しておりますように、六年間で六億だというこの実績と、一年間に九億六千万という貸し付けを行なっていこうという間には、どうもいまの局長の説明だけでは納得しにくい面が非常にあるわけなんです。  そこで、これは大臣にお尋ねをしたいと思うのですけれども、過去の三十六年から南九州防災営農につきまして対策要綱ができて、それによって貸し付けもやりましたし、若干の補助事業もやってきたわけなんですが、さらに非常に二年間という調査検討をされまして、今回、南九州営農改善資金融通法案という形になって出てきたわけですが、まあ、この南九州畑作改善していく基本的な考え方ですね、それはこの法案の提出についての理由の中に二つあげてあるわけですが、これに尽きるということになるのだろうと思うのですけれども、若干弱いような気がしまして、容易ではないと思っているわけなんです。実は、南九州畑作振興していくにはたいへんだと思っているのです。ここにありますような基本的な構想で南九州畑作改善されていくというふうにお考えかどうかという点をお尋ねいたします。
  78. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 畑作全体が経営基盤がまだ整備されていない、事実も停滞的であるという部分が多いと思いますが、北海道、それから今回対象になりました南九州畑作農業、こういった一般的な問題の中で、さらに地域固有の問題があることは鶴園委員も御存じのとおりでございまして、気象その他の自然条件土壌、こういった関係がある。そこで、農業生産所得が不安定である——北海道の場合には不安定であると言われておりますし、それから南九州の場合には恒常的に生産性が低い。したがって所得も悪い。こういう観点から、今回これに対して収益性を上げていくというところに着目を私はされたのだと思うのでございます。それで、どうしても安定作物あるいは高収益作物導入してまいるための資金融通、それからそのもとに必要な土地基盤整備、こういったもののために地域を限っての振興対策、こういうような構想のもとに地域立法としてのこの法案の御審議をお願いしたと、こういう趣旨だと考えております。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほども申し上げましたように、三十六年以来、三十六年の対策要綱のときの考え方、このときの南九州畑作営農改善では三つの柱になっておるわけですが、一つ補助事業として小規模の防災営農生産基盤整備事業、それからもう一つは同じく補助事業として防災営農用の施設等の整備事業、もう一つ融資によりますところの営農改善融資ですね、この三つでできておるわけですが、これが今度の法律の改正では二本立てになっておるわけですね。この法律の提案の理由にもはっきり書いてありますように、つまり融資と、それからもう一つ農地保全中心とした基盤整備という二本立てになるわけですが、ですから従来の畑作営農改善のための三本柱というのが二本柱になる。抜けましたのは、二番目に申し上げました補助事業営農用の施設等の整備事業ですね。それで、たしかに補助事業としましての小規模の防災営農生産基盤整備というのが総合化されて、法律化されてものになったということは認められると思います。それから融資整備改善されたということが言えると思いますが、ただ営農用の施設整備事業というのが、これがどうも消えてなくなったような形になっておるので、私としては非常に問題があるのではないかというふうに思っているわけなんです。で、特に南九州の場合におきましては非常に零細でございますし、さらに非常に兼業化が激しく進んでおります。労働力が非常に不足をしてくるという状況の中で安定的農家をつくるという事業が行なわれるわけですけれども、その場合はやはり必要なことは、どうしても抜けました補助事業としての営農等についての諸施設、協業的な諸施設という補助事業が取り上げられ、検討される必要があるのではないかというふうに思っているわけなんです。そのことがいまの政府が行なっておりますところの農政の方向に合致している、決してそれからはずれるものではない、まさしく合致しているというふうに思うのでありますが、そういう点について見解を承りたいわけです。
  80. 森本修

    政府委員森本修君) 従来の防災営農改善対策要綱による対策内容と、それから今回の南九州畑作対策の中のの対策内容との関係であろうと思いますが、南九州のそういった営農改善をやっていきますために、土地改良あるいは個人施設が必要なことは当然であります。また御指摘がございましたように、単に個人施設をつくる、あるいは機械を入れるというふうなことのみでなしに、共同でもって利用施設をつくるなり、あるいは高性能の機械を利用するということは営農改善のために当然必要であるということは同感でございます。したがいまして、私どもとしましても、南九州改善をはかっていきますためには、やはりある意味では三本柱といいますか、そういった手段をとることが必要であるということは考えておりますが、共同の場合につきましては、御案内のように、最近いろいろな作物について共同でもって主産地を形成するなり、あるいは近代化事業をやる、そのために必要な機械、施設等についての補助事業整備されつつある状況でございます。したがいまして、考え方といたしましては、共同の利用施設につきましては、さような補助事業等をできるだけ活用していく。また私どもも、各局にまたがることではございますけれども、そういう事業の運用にあたりましては、特段の配慮をするというふうな気持ちで運用してまいりたいということでございます。  なお、南九州資金の中で活用いただきますこととしましては、数人でもってたとえば機械を導入する、あるいは施設をつくるというふうな場合の個人個人が負担いたします負担金部分につきましても融資対象とするという考え方でありまして、ある程度広域的なものについては補助事業を御活用願う、また少数の共同利用施設なり機械については、そういった本資金の運用というふうなことでやっていただく、両々相まって共同なり、協業の関係について推進していただくという考え方でいるわけでございます。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま、局長お話になりましたほかに、そういう補助事業があるからそれをぜひひとつ活用してもらう、同時に農林省としても特段の配慮を払っていきたいというお話ですが、それ以外に、融資の問題は別で、補助事業として考えるべきであるというのが私の主張なんですが、いまこの法律対象にしている中庸以下の農家を安定的農家にもっていくという場合には、私はいまの局長の答弁ではどうもちょっと表面的なような気がするわけです。せっかく二年間たいへんな調査、研究をされて南九州の膨大な、非常な二重の劣悪な条件にある畑作農業振興させよう、中庸以下の農家を安定的な農家に持っていこうという政策をとられるわけですから、従来三十六年に対策要綱をつくったときにあった補助事業としての農業の協業のいろいろな諸施策というものをぜひこれは検討してしかるべきじゃないかというふうに思っているわけです。重ねて局長の答弁を伺います。
  82. 森本修

    政府委員森本修君) 南九州対策を立案する過程におきまして、県当局からもさような要望がございました。また、私どものほうでも先ほど申しましたように、対策をやってまいりますには、そういった共同利用施設等をやっていくということが不可欠の要件であるということは十分承知をいたしておりましたので、それぞれ南九州で必要とするような施設農林省が各局でもちましてやっておるところの現在の政策手段をもって充足できるかどうか、それについてしさいに検討をいたしまして、ほぼ各局でやっておりますところの現行事業でもって充足し得るような形になっておるということを確認いたしております。したがいましてそういう関係からまいりますれば、事業の運用についてよろしきを得れば、南九州についていま申しましたようないろいろな諸事業と今回やりますところの土地改良なりあるいは金融と有機的に結びつけるというような形でやってまいりますれば、ほぼ間に合うのではないかというふうな検討の結果になっております。なお、たびたびの御指摘、御要望でございますから、もちろん私どもとしましては、本対策の実行の過程におきまして、いろいろな事業の実行の状況をよく検討して、しかるべき対処方策は不断に研究するということは当然でありますから、御指摘のような御意見は十分頭にとめまして、運用上配慮していきたいというふうに思っております。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次にこの補助事業ですね、補助事業が確かに総合化されてきたという、さらにまた県営の補助事業として採択基準が下げられたという点等があるわけですが、私はここで南九州畑作の場合には、御承知のように特殊土壌を排除していく、特殊土壌、火山灰の不良土壌というものを何とか処理しなければならないという非常に苦難なものが一つあるわけなんですね。私の生まれました知覧なんかも、あれはコラというのですかね、地表から二、三尺くらいのところに非常に厚い層があるわけですが、これがまあ作物の阻害をしておりまして、どうしてもそれを取り除くための、——子供のころ、あれを取り除くというと命がなくなるぞと言われたものであります。つまりたいへんな労苦をもって、労働力をもって層を取り除いたわけですね。いまは機械でこれはやれるのですが、そういうことは普通一般の土壌にはないわけです。ですから南九州の場合にはどうしてもその不良土壌というものを何とか処理しなければならないということと、もう一つは、それの上に基盤整備をやらなければならない、圃場整備をやらなければならない、二つ仕事をやらなければならないわけです。そういう意味で、私はこの特殊土壌の排除については、六五%の補助になっておるわけですが、圃場整備、圃場基盤整備、これが四五%ということになっておるわけですが、これは普通一般の畑作地帯とは違うわけですから、圃場整備あるいは圃場基盤整備についても六五%程度補助をしてやるという考え方をとるべきじゃないかと思うわけなんです。それはいま私が申し上げましたように二重の負担を負っておるわけですから、基盤整備しただけでは全然だめで、その不良土壌というものをどうしても処理しなければならないという二つの問題をかかえておりますから、いま申し上げましたように、圃場基盤整備等について、四五%という補助を六五%、特殊土壌補助金と同じような補助率に引き上げる、そういう現状が必要ではないかということと、もう一つは、今回補助事業が二百ヘクタールが百ヘクタールに採択基準が下げられたわけですが、これを六十ヘクタールぐらいまで下げたらどうか、それは県営の区画整理の場合におきましては、六十ヘクタールというのが採択の基準になっておるわけでありますから、この程度まで下げたらどうかという意見なんです。局長のひとつ見解を伺います。
  84. 和田正明

    政府委員和田正明君) ただいまお尋ねになりました最初の補助率の点でございますが、御承知のようにシラス対策事業補助率は現在の土地改良事業体系の中では一番最高補助率の六五%というのでございます。そのほかの土地改良事業で六五%という補助率をとっておりますのは御承知のように県営開拓。パイロットのみでございまして、現在の土地改良事業としては一番高い補助率であります。ほかに大部分が県営事業として実施をされます関係もございまして、県なり地元市町村なりが国の補助率にさらにかさ上げをいたしてシラス対策事業を実施しておるのが実情でございまして、四十二年度までの実績で実態を調査してみますと、宮崎県は農民負担はゼロでございます。鹿児島県の場合は農民の負担分は工事費の五%でございますので、国の六五のほかにそれぞれ三五ないし三〇%のかさ上げを地方公共団体が実施しておりますので、シラス対策事業としての農民負担はゼロないしはきわめて少ない実情でございます。  それから今回関連をして実施いたします事業について二百ヘクタールの採択基準を百ヘクタールに下げたことの意味は、圃場整備事業の採択基準が下がりますことに伴いまして、県営事業として実施をいたすことになりますので、国の四五%の補助のほかにさらに制度的には残りの部分の相当部分について県費の負担のかさ上げがついてまいりますから、圃場整備事業につきましても従来の二百ヘクタールという採択基準よりは百ヘクタールに下げましたことで、二百と百の間について著しく地元の農家の負担軽減に実態としてなると考えております。  圃場整備事業それ自体の補助率をどういじるかということにつきましては、土地改良事業全体の今後の補助体系等の問題もございますので、今後とも全体に補助率の引き上げ等については別個に一般論としての努力は続けなければならないと思いますが、今回の特殊農地保全事業につきましては、いま申し上げました事情がございますので、従来に比べて地元負担は圃場整備事業をあわせて実施いたします場合についても相当程度軽減をされる措置であるというふうに考えられますので、当面御了承を得たいと思います。  第二に、採択の基準を六十ヘクタール等に下げるべきではないかという御意見につきましては、現在とりあえず百ヘクタールということにいたしたのでございますが、それでも両県から報告を受けております事業予定は約百三十三地区で相当多額の事業にのぼりますので、大規模の地区がまずとりあえず百ヘクタール以上で事業に着手をいたしながら、今後の事業の進捗に見合いまして採択基準のことはさらに後刻検討をさしていただきたいという方針でございますので、この点もあわせて御了承をいただきたいと思います。
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまお話しのように、特殊土壌あるいはシラス土壌については六五%の補助率になって、まあ最高補助率になっているんだが、それ以外に宮崎県等の場合には、地元負担はゼロくらいに県費を出しておるわけです。鹿児島県の場合におきましても、できるだけの県費あるいは町村の負担等でやっておるわけですね。ですが、御承知のように、鹿児島宮崎というのは全国でも最も貧乏県なわけですね。県としても、これは、たいへんだと思っているのですよ。まあ鹿児島県が何がゆえに全国一の貧乏な県かというと、結局この土壌だと思うのですね。ですから、ここに県ができるだけの金を注ぐということはわかるのですが、何せ日本一の貧乏県ですからね。まあ宮崎県はビリから三番目くらいになりますか、二番目になりますか、鹿児島はビリから一番目より上がったことはないわけですね。ですから、やはりこれは、私は特殊土壌のこの補助率を引き上げるということは申していないわけなんですが、それも、特殊土壌仕事もやった上に、もう一つ圃場整備、あるいは基盤整備をやらなければならない。二重の措置をやらなければ、安定的農家にならないということがあるからして、したがって、この圃場整備基盤整備については、全国一律である四五%ではなくて、もう少しの援助が要るのではないかということを言っているわけなんですね。ですから、その点について、ぜひ、ひとつ、検討をしてもらいたい、こう思っております。
  86. 和田正明

    政府委員和田正明君) まず、先ほど申しましたように、二百ヘクタールを百ヘクタールというふうに採択基準を引き下げることに伴ないまして、シラス対策関連して実施をいたします圃場整備事業も県営クラスとして取り上げることができますので、県営で実施をする事業につきましては、宮崎県、鹿児島等については御承知のように、後進地域補助率のかさ上げ等もございまして、県費負担もそれに見合って軽減をする措置が別途講ぜられております、したがいまして、従来のように団体営で実施をいたすことに伴ないまして地元負担が要りました分が、少なくとも、県営に引き上げることによって地元負担分が軽減され、また、県費の負担分につきましても、ただいま申しましたような後進地域補助率のかさ上げで、県の財政も援助をいたす方法がございますので、そういう形で、少なくとも今回の特殊農地保全事業が従来よりは地元負担の軽減にも役立ち、また、県の財政に対してもしかるべき援助ができるという形で、こういう方式をとりたいというふうに考えたわけでございます。ただ、もちろん、一般的な土地改良事業補助率を今後どのように考えるかということにつきましては、別途機会あるごとに検討してまいりたいというふうに思っております。
  87. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ、この農地保全事業中心とした土地改良事業の総合的実施をするという点について、南九州の場合には、特に私はこの営農用水事業ですね、マル寒に出ております営農用水事業、これはぜひとも必要だというように思っておりますが、台地には人間が住めない。つまりシラス地帯でありましてもコラ地帯であってもボラ地帯であっても、台地には人間が住めない。それは水がないからであります。したがいまして、どうしても台地から下がったところに集落をつくらざるを得ない。農作をやるにはその台地にのぼっていって農作をやらなければならないというのがいままでの南九州の不良土壌地帯の概要的な、そういう姿になっておるわけですね。ですから、農作業についても労働力が非常に過重になるわけです。どうしても台地までのぼっていかなければならぬ、台地の上には住めないという状況なわけです。ですから、まあ畑かんが非常に重要視されるし、逆に言えば、水のないことになれた農業経営を長年やってきましたから、畑かんに対しても反対をしたいという経験もある。鹿屋の畑かんなんかたいへんな反対があったわけです。で、今度のこの提案の中にありますように、いまのような水がないということ、そういう条件の中で農業をやっているということが、いまの農業経営というものを非常に不安定なものにしているし、低収入の状態に放置されているわけであって、したがって、ここにありますように、作目の抜本的な再編成なり、あるいは転換にあるということなんですが、高冷地における酪農の問題にいたしましても、あるいは鹿児島全国的に有名な肉牛の問題にいたしましても、これはどうしても水をはっきりしませんと住めないわけなんです。台地には住めないし、牛もやっていけないわけですね。ですから、私はこの公共事業でやられる基盤整備事業の中に、マル寒と同じように営農用水事業というものを検討していただきたいということ考えておるわけなんですが、局長のひとつお考えを伺います。
  88. 和田正明

    政府委員和田正明君) 鶴園委員御存じのように、シラス台地におきます水の問題は、むしろ従来の農地保全事業では、水に対してシラスの土層が非常に弱いということもございますので、地表水を小水路をつくりましてそこへ集めて、なるべく早く排水することによってシラス台地の崩壊を防ぎたいということを主たる事業として進めてまいりましたわけでございます。今回の特殊農地保全事業では、そういう従来の農地保全事業に加えて圃場整備なり畑かんなりの事業を特に実施することができるようにいたしたわけでございますが、もしお説のように、今後このシラスの台地で肉牛等を相当多数飼育をしていくというような営農計画が立てられるようになりますれば、当然に牛の水の問題も発生してまいろうというふうに思います。その場合に、たとえば地下水等がございますれば、井戸で水を揚げる方法もございましょうし、あるいは台地の上ではなしに、低いところの水をポンプアップをしなければならないというようなこともございましょうし、その他に水源を求められれば、そこから水路を引くというような方法もいろいろあろうと思うのですが、今後この特殊保全事業を実施いたしてまいります過程の中で、具体的な現地の営農計画等ともにらみ合わせまして、お話のような点については実態に即した措置をとりたいというように考えております。
  89. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 以上です。
  90. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 両案についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十八分散会      —————・—————