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1968-04-04 第58回国会 参議院 農林水産委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年四月四日(木曜日) 午前十時二十五分開会
—————————————
委員
の
異動
三月二十九日
辞任
補欠選任
大森 久司君 園田
清充
君 山内 一郎君
堀本
宜実君 四月一日
辞任
補欠選任
鈴木 一弘君 浅井 亨君 四月四日
辞任
補欠選任
渡辺
勘吉
君
横川
正市君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
和田
鶴一
君 理 事
高橋雄
之助君
任田
新治君 川村 清一君 中村
波男
君
宮崎
正義君 委 員
青田源太郎
君
岡村文四郎
君 櫻井 志郎君 田村 賢作君 温水 三郎君
野知
浩之君
堀本
宜実君 森 八三一君 山崎 斉君 武内 五郎君
達田
龍彦君
鶴園
哲夫君
国務大臣
農 林 大 臣
西村
直己
君
政府委員
農林政務次官
日高 広為君
農林大臣官房長
檜垣徳太郎
君
農林省農政局長
森本
修君
食糧庁長官
大口 駿一君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、衆議院送 付) ○
南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案
(内 閣提出、
衆議院送付
) ○
農林水産政策
に関する
調査
(
昭和
四十三年度
農林省関係
の施策及び予算に 関する件)
—————————————
和田鶴一
1
○
委員長
(
和田鶴一
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 本日、
渡辺勘吉
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
横川正
市君が選任されました。
—————————————
和田鶴一
2
○
委員長
(
和田鶴一
君)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
及び
南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案
を一括して議題といたします。 まず、両案について
提案
の
理由
の
説明
を聴取いたします。
西村農林大臣
。
西村直己
3
○
国務大臣
(
西村直己
君)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
を御
説明
申し上げます。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
は、
北海道
における
寒冷
のはなはだしい
特定
の
畑作地域
を
寒冷地畑作振興地域
として
指定
し、この
地域
内の
農業者
で
営農改善計画
を立て、これに基づいてその
営農
の
改善
をはかろうとする者に対し、
農林漁業金融公庫
が必要な
資金
を
貸し付け
ることにより、
当該農業者
の
経営
の安定をはかることを
目的
とするものでありまして、
昭和
三十四年に制定されたものであります。 この
法律
は、二回にわたる
改正
を経て今日に至っておりますが、この間における
北海道畑作農業
を取り巻く諸
条件
の
変化等
にかんがみ、かつ、
昭和
四十一年春におけるこの
法律改正
の際の本
委員会
における
附帯決議
の御
趣旨
に沿い、
政府
におきましては、
昭和
四十一年度以来鋭意
対策調査
を実施し、本
制度
につきまして
種々
の
側面
から
検討
を加えてまいったのであります。 この
調査
の結果によれば、
寒冷
な
気象条件
に加えて排水不良で、かつ、
土壌
の物理的、
化学的性質等
の劣悪な畑が広く
分布
している
寒冷地畑作振興地域
において、安定的な
農業経営
の
育成
を総合的かつ効率的に行ならためには、
現行
の
融資措置
及び一般の
土地改良事業
のみでは必ずしも十分とは言い難い点があるのであります。そのため、
北海道寒冷地畑作営農改善資金
の
貸し付け
の種目を拡充し、かつ、
貸し付け条件
を
改善
することにより、本
地域
の
寒冷
な
気象条件
に積極的に適応した
営農
の
確立
をはかるとともに、新たに
畑地
における劣悪な
条件
を
改善
し、
営農基盤
を整備するための
土地改良事業
を総合的に実施するほか、
家畜
の
用水等
を確保するための
営農用水事業
を実施することとしたのであります。 本
法律案
は、これらの
対策
の
らち立法措置
を必要とする
営農改善資金融通制度
の
改善
について
所要
の
措置
を講じようとするものであります。 以下この
法律案
の
要旨
につきまして御
説明
申し上げます。
改正点
の第一は、
農林漁業金融公庫
が
貸し付け
る
営農改善資金
として、新たに
乳牛
もしくは
肉用牛
の
購入
に必要な
資金
を加えることであります。 第二は、
営農改善資金
の
貸し付け利率
を
据置期間
中は年四分五厘以内、
償還開始
後は年五分以内とし、
据置期間
につきましても八年以内に改めることであります。 第三は、
営農改善資金
の
貸し付け資格
の
認定申請期限
を五カ年
延長
して、
昭和
四十八年三月三十一日とすることであります。 以上が、本
法律案
の
提案理由
及びその主要な
内容
でございます。 何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
—————————————
次に、
南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案
について、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。
南九州
における
畑作農業
は、
夏期
の多雨及び特殊な
火山噴出物
の広範な
分布等
はなはだしく不良な
自然条件
のもとで行なわれているため、その
農業生産力
はきわめて低く、
農業所得
は恒常的に低位な
状態
にとどまっているのであります。
政府
といたしましては、かねてから
所要
の
対策
を講じてまいりましたが、去る
昭和
四十一年
春本委員会
における
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
の御採決の際に行なわれました
附帯決議
の御
趣旨
に沿い、
昭和
四十一年度以来
対策調査
を実施し、
南九州畑作農業
の
振興
についての基本的な方策のあり方について
種々
の
側面
から
検討
を加えてまいったわけでございます。 この
調査
結果によりますと、
南九州
の劣悪な
気象条件
、
土壌条件等
を克服して安定的かつ合理的な
畑作営農
の
確立
をはかるためには、
地域
の
営農条件
に適応しつつ高
収益作目
の
積極的導入
によって
作目転換
をはかる必要のあることが指摘されるのであります。しかしながら、
南九州
の
畑作農家
は、その
生産性
及び
農業所得
の低さから
資本蓄積
はきわめて低い現状にありますので、
営農改善
を進めるためには、必要な
資金
を総合的かつ
長期低利
に
貸し付け
る
資金融通制度
の
確立
をはかる必要があります。また、劣悪な
土壌条件
に対処し、かつ、合理的な
農業経営
の
確立
をはかるためには、防災のための
農地保全事業
とともに
営農近代化
のための
圃場整備事業
、
畑地かんがい事業等
を行なうことも必要であります。 したがいまして、今回策定いたしました本
地域
に対する
対策
は、
農林漁業金融公庫
による
畑作営農改善資金
の
融通
と、
農地保全事業
を中心とする
土地改良事業
の
総合的実施等
をその根幹としているわけでございますが、このうち
畑作営農改善資金
の
融通制度
につきましては、特別の
立法措置
を必要といたしますので、ここに御
提案
申し上げたわけであります。 以下この
法律案
の
要旨
につきまして御
説明
申し上げます。 まず第一に、
農林大臣
は、
関係県知事
からの
申請
に基づき、
南九州
の
地域
のうち、
政令
で定める
基準
に適合する
畑作地域
を
南九州畑作振興地域
として
指定
することとしております。 第二に、
農林漁業金融公庫
は、
南九州畑作振興地域
内の
農業者
で、
営農改善計画
を立て、これに基づき
営農
の
改善
をはかろうとする者に、必要な
資金
を
長期低利
な
条件
で総合的に
貸し付け
ることとしております。 第三に、
営農改善資金
の
貸し付け
を受けようとする者は、
営農改善計画
を
作成
して、一定の
期限
までに
関係県知事
に提出して、その
認定
を受けなければならないこととしております。 第四に、
関係県知事
の
指導等
に関することを規定しております。 以上が、この
法律案
の
提案理由
及びその主要な
内容
でございます。 何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようにお願い申し上げます。
和田鶴一
4
○
委員長
(
和田鶴一
君) 次いで、両案の
補足説明
及び
資料説明
を聴取いたします。
森本農政局長
。
森本修
5
○
政府委員
(
森本修
君)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由説明
を補足して御
説明
申し上げます。 本
法律案
を提出いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由説明
において申し述べたので、以下その
内容
の
概略
を御
説明
申し上げます。
改正点
の第一は、
営農改善資金
の
貸し付け対象事業
の
改正
に関することでありまして、第三条の
改正
であります。
北海道寒冷地畑作振興地域
における安定的な
営農方式
は、主として
酪農
または
酪農
を組み入れた
経営
であると考えられるのでありますが、従来の
営農改善資金
には、
家畜
の
購入
に必要な
資金
が含まれておらず、
農業者
の
経営
を一体として
改善
するための
資金制度
としては、必ずしも十分でないうらみがあったのであります。そこで、
家畜
の
購入
に必要な
資金
もこれに含めることとし、今回、これを
貸し付け対象事業
として追加することといたしております。 第二に、
営農改善資金
の
貸し付け条件
の
改正
に関することでありまして、第四条の
改正
であります。
貸し付け利率
につきましては、本
資金
の
効率的利用
を促進して
営農
の
改善
をさらに進め、
当該地域
の諸
条件
に適応した安定的な
経営
を
確立
するためには、多額の
資金
が必要とされ、
金利負担
の軽減をはかる必要があるので、
現行利率年
五分五厘以内を
据え置き期間
中は年四分五厘以内、
償還開始
後は年五分以内に
改善
し、また、
据え置き期間
につきましても、
現行
六年以内を八年以内に改めることといたしております。 第三に、
営農改善資金
の
貸し付け資格
の
認定申請期限
の
延長
に関することでありまして、第六条第三項の
改正
であります。 この
法律
に基づき
農業者
が
営農改善資金
の
貸し付け
を受けようとするときは、
所要
の
資格認定
を受けることとされており、その
申請
の
期限
は、当初、
昭和
三十九年三月三十一日とされておりましたが、その後、二回にわたる
延長
を経て
昭和
四十三年三月三十一日までとなっております。 今回は、
営農改善資金
の
内容等
を改定することとしたことにかんがみまして、この
資格認定
の
申請
の
期限
をさらに五カ年
延長
して
昭和
四十八年三月三十一日とし、この間に
農業者
の
経営
の安定をすみやかに達成させることとしております。 以上をもちまして、この
法律案
の
提案理由
の
補足説明
といたします。
—————————————
南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案
につきまして、
提案理由説明
を補足して御
説明
申し上げます。 本
法律案
を提出いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由説明
において申し述べたので、以下その
内容
の
概略
を御
説明
申し上げます。 第一は、この
法律
の
目的
で、第一条に規定しております。 この
法律
は、
南九州
の
地域
のうち、
夏期
における
降雨量
がきわめて多く、かつ、特殊な
火山噴出物
でおおわれている
特定
の
畑作地域
を
南九州畑作振興地域
として
指定
し、その
地域
内の
農業者
で
営農改善計画
を立て、これに基づきその
営農
の
改善
をはかろうとする者に、
農林漁業金融公庫
が必要な
資金
を
長期
かつ
低利
で
貸し付け
ることにより、その
地域
における
農業者
の
経営
の安定をはかることを
目的
としております。 第二は、
南九州畑作振興地域
の
指定
に関することでありまして、第二条に規定しております。
農林大臣
は、
関係県知事
からの
申請
に基づき、
南九州
の
地域
内で五月から七月までの
降雨量
がきわめて多く、かつ、特殊な
火山噴出物
でおおわれている
畑作地域
で
政令
の
基準
に適合するものを、
気象条件
その他の自然的、
経済的条件
の類似する
地域ごと
に、
南九州畑作振興地域
として
指定
することとしております。 なお、
南九州
の
地域
とは、
宮崎
県及び
鹿児島
県の
区域
をいうものとしております。 第三は、
営農改善資金
の
貸し付け
に関することでありまして、第三条から第五条までに規定しております。
農林漁業金融公庫
は、
南九州畑作振興地域
の
区域
内の
農業者
で
営農改善計画
を立て、これに基づき
営農
の
改善
をはかろうとする者に対し、
営農
の
改善
に必要な
資金
を総合的に
貸し付け
るものとしております。
営農改善資金
としては、
土地改良
、
主務大臣指定施設
、
果樹
の
植栽
もしくは
育成
、
茶樹
もしくは
桑樹
の
植栽及び乳牛
もしくは
肉用牛
の
購入
のための
資金
が総合的に
貸し付け
られることとなっておりまして、その
貸し付け
の場合の
利率
は
据置期間
中は年四分五厘以内、
償還開始
後は年五分以内、
償還期間
は
据置期間
を含めて二十五年以内、
据置期間
は八年以内において、それぞれ
農林漁業金融公庫
が定めるものとしております。 第四は、
営農改善計画
の
作成
及び
認定
に関することでありまして、第六条及び第七条に規定しております。 本
資金
の
貸し付け
を受けようとする者は、
営農改善計画
を
作成
して、本
資金
の
貸し付け
を受けることが適当である旨の
関係県知事
の
認定
を受けなければならないこととしており、その
営農改善計画
の
内容
及び
関係県知事
の
認定
の
要件
を規定しております。 なお、この
認定
の
申請
は、
昭和
四十八年三月三十一日までに行なうものとしております。 第五は、
関係県知事
の
指導等
に関することでありまして、第八条に規定しております。 本
資金
の
貸し付け
につきましては、
農業者
の
営農改善計画
の
作成
またはその達成を容易にするため、
指導
を強力に行なう必要がありますので、
関係県知事
の
指導等
につき必要な規定を設けております。 以上をもちましてこの
法律案
の
提案理由
の
補足説明
といたします。
—————————————
御配付申し上げました
関係資料
の要点を御
説明
申し上げます。
北海道
のほうから申し上げますと、二
ページ
をごらんいただきますと、
北海道
の
畑作地域
の
自然条件
の特徴的なことをここに掲げてございます。 一番目は
気象条件
でございまして、五月から九月までの
積算気温
、それから
日最低気温
五度
未満
の日数というのが一つの
作物
の成育にきわめて
関係
の深い
気温
の
条件
でございますが、従来から
指定
の
要件
によりますと、
積算温度
は二千五百以下、それから
最低気温
は二百日以上というふうなことでやっておりますが、点線以上のところは大体そういう
要件
にはまるような
気象条件
になっております。 それから二番目には、
土地
の
関係
でございますが、
畑面積
が多いということは当然でございますが、その中でも排水不良の畑の
面積
が
内地等
に比べてきわめて多いということが特徴でございます。ここにございますように、
北海道
では一番右の行にありますが、四二・五%が
排水不良畑
の
割合
であります。
都府県
では四・二%というのが下から二段目に出てございます。 それから三
ページ
目の
農用地
の
状況
でございますが、これは一番下の欄を見ていただきますと、畑及び
牧野
の率が
北海道
では七九%、約八〇%に達する、
都府県
の
平均
は四〇%ということで、畑・
牧野率
がきわめて高いというのが
北海道
の
特色
でございます。 それから四
ページ
にまいりまして、
農家
の
状況
でございますが、
農家
の
状況
の一番
まん中
の欄に
一種農家
の
比率
が出ておりますが、下のほうに
構成比
がございまして
都府県
が六八%、
北海道
が七九%ということで、
一種農家
の
割合
が
都府県
よりもかなり高いということであります。それから下のほうにまいりまして、
経営耕地規模別農家数
、大体
モード
については右の欄にございますように、三町から五町
——水田
が入っておりますからこういうことになりますが、三町から五町
程度
というのが
モード
になっておるかと思います。そういう
規模別
の
状況
でございます。 それから五
ページ
のほうには、
経営
の
型態別
の
農家数
がございます。これをごらんいただきますと、二段目の
畑作
、これが全道の欄を見ていただきますと、二八%、それから一つ飛びまして
酪農
が一四%、それから混同、これは
畑作経営
でありますけれども七・六%というふうな
経営
、これを三つ足しますと大体五〇%、半数に達するわけでありまして、
畑作
の
型態
の
経営
の
農家数
が比較的多いということが出ております。以下
地帯別
にありますが、これは省略いたします。 それから六
ページ
にまいりまして、
主業農家
の
畑地率別
の
戸数
、
割合
が出ておりますが、これも
畑地率
五〇%以上が六七%、七〇%以上が五八%という
状況
で、
都府県
よりも画然と開いておる
状況
であります。 それから七
ページ
にまいりまして、これは
作付構成
であります。右の欄に
都府県
と
北海道
と比較いたしました
構成
が出ておりますが、特徴的なことは、四番目の
バレイショ
が
都府県
に比べて
比率
としては高い。それからその一つおきまして
豆類
がこれまた
都府県
に比べて高い。それから
飼肥料作物
も
構成
がきわめて高いというのが
北海道
の
特色
であります。逆に
野菜
なり
果樹
なり、これは御案内のように
都府県
に比べて
構成割合
が低いというような
作物構成
になっております。 それから八
ページ
は
畑作物
の十アール
当たり収量
とその
変異係数
でありますが、
変動率
でありますが、特徴的なのは右のほうの
変異係数
、最近の十年間の
平均
でありますが、大豆なりアズキなりの
変異係数
がきわめて高い、つまりきわめて不安定であるということを示しております。なお、下のほうにありますてん菜なり牧草なりは逆に
安定度
が高いというふうな数値が出ております。 それから九
ページ
は
地域別
の
農業生産指数
ということで、これも
安定度
を示すわけでありますが、一番下の欄を見ていただきますと、
北海道
は一一・九というふうな
変動
の
係数
を示しております。
全国
は三・六ということで、これまたこの面から見ても
不安定度
がきわめて大きいということであります。 それから十
ページ
は
農家経済
の
状況
でありますが、一番上の欄の
平均
を見ていただきますと、
まん中
辺に
農家所得
というのがございます。
北海道
も
都府県
も大体七十六万円
程度
ということで
農家所得
としてはほぼ同じでありますが、一番左の欄の
農業所得
が
割合
としては
北海道
がきわめて多く、逆に
農外所得
が低いというのが
都府県
に比べて
農家経済
の
特色
であろうかと思います。なお右から二番目の
固定資本額
が
内地
よりもずっと高い、
つまり金
のかかる
農業
であるということを示しておるかと思います。一番右はその
資本設備
に対する
能率
でありますが、
能率
は、金がかかるわりあいに
都府県
よりも若干落ちるというふうな
数字
が出ております。 それからその次の
ページ
へまいりまして、これは
畑作振興地域
の
地帯区分
でありますが、これは省略をいたします。 それから十三
ページ
へまいりまして、
認定見込み戸数
、ここにございますように、大体の
予定
といたしましては五年間に一万二千五百戸を
認定
してまいる、年々二千五百戸ということで均等にやってまいりたい。初年度の
資金ワク
としてはとりあえず十五億ということで
公庫
で募集いたしております。 最後の
ページ
へまいりまして、
北海道
の従来の
マル寒資金
の
実績
でございますが、一番左の欄の一番下に九千五百二十二という
数字
がございます。これは三十三年以来の合計の
認定戸数
であります。なお、四十二年度は約千二百戸の
認定
が
予定
されておりますので、それを合わせ約一万七百戸の
認定
がされる
予定
になっております。なお、金額はここにございますように
貸し付け決定
としては四十九億、その
内訳
は
主務大臣指定
が四十四億ということでその
割合
が圧倒的に多いというのが
貸し付け
の従来の
実績
でございます。
—————————————
次に、
南九州
のほうを申し上げますと、一
ページ
のほうは
南九州
の
自然条件
の
特色
でございますが、これは五月から七月までの
平均
の
降水量
というのが他の
地域
に比べてきわめて多いというのが
特色
でありまして、大体千二、三百ミりということであります。
内地
の主要な
農業地帯
の
平均
的な
降水量
は六百ミリぐらいでありますから、それに比べて倍以上というのが
自然条件
の
特色
でございます。 それから二
ページ
から三
ページ
へまいりまして、
土壌
の
状況
でありますが、
上欄
の左から
三行目
にございますが、
宮崎
と
鹿児島
を含めまして全体の
畑地域
の中で
平均
をいたしますと六六%が不良な
特殊土壌
におおわれているということでございます。その
内訳
は右のほうにお示しをしております。それから下のほうは
全国
のそういった
特殊土壌
の
分布
の
状態
に対して
南九州
はどういう
割合
を占めるかということでございまして、一番右の欄をごらん願いますと、
全国
を一〇〇といたしますと
南九州
は約八五%ということで、
全国
の
特殊土壌
の大部分がこの
南九州
に集まっているということでございます。 それから四
ページ
へまいりまして、
農用地
の
状況
でございますが、これも一番下の欄をごらん願いますと、畑・
牧野率
が
南九州
が六〇%、それから
都府県
が四〇%ということで、典型的な
畑作地帯
である。 それから、五
ページ
へまいりまして、
農家
の
状況
でありますが、
都府県
よりも全体の
戸数
のうちで
農家
の
割合
が大きい。要するに、
一種
の
農業地帯
であるということであろうかと思います。それから、下の欄にまいりますと、
一種農家
、二種
農家
の
状況
がございますが、
まん中
のほうに
都府県
が六八%、
一種農家
の
比率
であるのに対して、
南九州
は五九%、むしろ二種
農家
の
割合
が
全国
よりも高いということで、
北海道
とは逆な現象を示しております。 それから、六
ページ
へまいりまして、
経営
の
耕地規模別
の
農家数
でありますが、これをごらんいただきますと、
南九州
のほうは〇・五ヘクタール
未満
が
都府県
よりも多い、いわゆる
零細経営
が多いということを示してございます。それからその下のほうは、
経営型態別
の
状況
でありますが、これも右のほうをごらんいただきますと、上から五
欄目
に、カンショ、
バレイショ
、
豆類
、雑穀というのがございますが、そういうものをつくっておる
農家
が
都府県
よりも多い。それから、もうちょっと下へまいりますと、
工芸作物
、これはタバコなりなたねなりお茶なりということでございますが、そういう
農家
も多いということでございます。逆にその上の二つの欄、
野菜
なりあるいは
果樹
なりをつくっておる
農家
は、
都府県
に比べて比較的少ないというのが
経営型態別
の
特色
であります。 それから、七
ページ
へまいりまして、
農家
の
畑地率
五〇%以上が
南九州
は六一%、七〇%以上が三五%ということで、これまた
畑作農家
の
比率
がきわめて多いということを示しております。 それから八
ページ
へまいりまして、
作物
の
作付
の
状況
でございますが、これも
構成比
のところでごらんいただきますと、
三行目
の
イモ類
が二二%ということで、
都府県
に比べて
構成割合
が高い。先ほどと同じで
工芸作物
も高いというのが
特色
でございます。逆に
野菜
、
果樹
の
構成割合
が低いという形になっております。 それから九
ページ
へまいりまして、
作目別農業
粗
生産額
、これは先ほどの反映でございますが、
イモ類
、
工芸作物
の
比率
が
都府県
よりも格段と高いということになっております。米も若干つくっておりますが、当然
都府県
よりも
構成比率
が低い。それから、
野菜
、
果樹
の
構成割合
が低いというのが
特色
でございます。 それから十
ページ
へまいりまして、
農業
の
生産性
をあらわしております。これも
比率
のところで見ていただきますと、十アール
当たり生産額
、つまり
土地生産性
でありますが、
全国
を一〇〇といたしますと七九%、八割弱の
土地生産性
である。それから
労働生産性
は七二%ということで、なおそれよりも劣っておるというふうな対比でございます。 それから十一
ページ
のほうは
生産性
の
伸び方
でありますが、一番下から二
欄目
を見ていただきますと、二
欄目
の右のほうに八〇%、七一%という
数字
がございます。八〇%というのは三十年から三十二年ぐらいの
状況
であります。
全国
を一〇〇として八割というふうな
土地生産性
でありましたが、三十八年から四十年ぐらいになりますと、七一%ということで
全国
に比べて
土地生産性
の伸びが低い、つまり停とんの
状況
を示しております。
労働生産性
は低位の
状況
でパラレルに移動しておる、七三から七二。 それから十二
ページ
のほうは
農家経済
の
状況
でございますが、一戸当たりの
農家所得
——これは一番左にございます。
全国
に比べて六五%の
状況
である。それから
農業所得
のほうは七一%。 それから十三
ページ
の一番上の欄の右を見ていただきますと、家計費が七七%、それから固定投資も八一%、それから一戸当たりの農機具も六割
程度
しか保有していないというふうな
状況
が出てございます。 次の図のほうは省略をさしていただきます。
畑作
区分の表でございます。 それから十七
ページ
のほうは、
農家
の
畑作営農改善資金
貸し付け
の
認定戸数
でございますが、これは
予定
でありまして、五年間で二万四千戸を一応の目標にしております。年々四千八百戸
認定
する
予定
でございます。それから
資金ワク
としましては四十三年度は九億六千万円というのが
公庫
の
資金ワク
に組まれてございます。それから下のほうは、従来やってまいりました防災
営農
資金
の
実績
でございまして、一番右を見ていただきますと、合計が六億五千万円、
宮崎
県が三億、それから
鹿児島
が二億というふうなことで、それぞれ年次別にかような
貸し付け
をいたしました。なお
貸し付け
の対象種目は、下にございますように畜舎が一番多くて、農機具、その他、こういうふうな
構成
になっているのでございます。 簡単でございますが……。
和田鶴一
6
○
委員長
(
和田鶴一
君) 両案についての質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————
和田鶴一
7
○
委員長
(
和田鶴一
君) 次に、
昭和
四十三年度
農林省関係
の施策及び予算に関する件を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
中村波男
8
○中村
波男
君 私は日本社会党を代表いたしまして、去る二月の二十九日の当
委員会
における
西村農林大臣
の農政に関する所信演説に対しまして質問をいたしたいと思うのであります。その所信演説をお伺いいたしますと、私は全く官僚的作文の域を出ておらない、実に平板で新鮮味も感じなかったと同時に、わが国の
農業
に対する認識が非常に甘いのではないかということを考えているのであります。もちろん大臣は就任早々でもございますし、みずから筆をとられたとも考えておりませんので、ただいまから若干の質問を申し上げまして、いわゆる
西村
農政の施政の方向というものを確かめてみたいと思うのであります。 まず大臣は冒頭で、「
果樹
、畜産等
農業
生産の選択的拡大がおおむね順調に進展するとともに、……
農業
近代化への動きがみられる」と自賛しておられるのでありますが、しかし、先日公表されました
農業
白書を見ますと、「選択的拡大のチャンピオンである
乳牛
については、
昭和
三十八年まで年一割前後の高い率で増大して来た
乳牛
飼養頭数は、四十年は四・一%増、四十一年は一・六%増とその増勢が鈍り、四十二年にやっと五%増に回復した」と報告をいたしております。肉牛に至りましては、三十九年をピークに減少を続けておりましたが、四十二年の飼養頭数は前年比一・六%減にとどまったと報告をしております。また、自給率を見ましても、果実は三十五年は一〇〇%でしたが、三十九年以降九三%であります。肉類は三十五年の九〇%から、三十九年及び四十年の八九%、さらに四十一年は八八%と低下しておるのでございます。牛乳、乳製品は三十五年の八九%から四十一年の八〇%と著しく低下をいたしておりまして、以上述べましたように、畜産や
果樹
の生産指数が年々上昇していることは確かでありますが、これらを見ますと、「選択的拡大がおおむね順調」と言っておられるのに、私は大きな疑問を持つのであります。去る三月三十日に四十三年度上期輸入見通しを通産省が発表いたしておりますが、それによりますと食糧輸入伸び率が倍増するという、こういうことが発表になっております。また、「
農業
近代化への動きがみられる」と言っておられることにつきましても、たとえば白書によれば、いわゆる自立
農家
は三十九年度は八%、四十年度は九%、四十一年度は一〇%と、その
比率
が高まっていると見ております。この点は、昨年までの白書ではコンスタントに八%
程度
だとしていたことと違うのでありますけれども、
農業
労働力が顕著に減少傾向にある等、白書がかなり克明に分析をいたしております一‐二ヘクタール層の動向——これはこれらの中間層発展型と下降型の二つに分解せざるを得ないことを示しているのでありますが——等々を勘案いたしますと、いままでの労働力は減るけれども
戸数
は減らないといったタイプから、弱肉強食の階層分解が赤裸々にあらわれ始めたことを私は示しておるのではないかと考えるのであります。つまり、政策の効果ではなくて、農民のやむにやまれぬ対応を示すものにすぎないという認識を私は強く持つものであります。これらの点につきまして、まず大臣の見解をお伺いいたし、次の質問に移りたいと思うのでございます。
西村直己
9
○
国務大臣
(
西村直己
君) 細部にわたりましては
関係
の局長等からお答え申し上げます。 白書を中心にただいま御質問がありましたが、まあ私も着任早々でありまして、まだ十分な
検討
はできておらないことは御了承願いたいのでありますが、日本農政は御存じのとおり、非常に経済全体が高度成長の中における日本
農業
という立場をとりまして、全体としては非常にいろいろな大きな波を受けておるわけです。したがって、特に農村における労働力流出の傾向というものは相当激しいものがあったが、その間におきまして、労働力は出ましたけれども、
農家
戸数
というものはそれほどには変化していない。したがって、兼業
農家
がふえていくというような中において、どうしたら近代化を進めるかというので、ずっと基本法に基づきましていろいろな施策は展開しておるのであります。したがって、そこにあらわれました動向等から見まして、近代化なりあるいは選択的拡大、あるいはものによりましては自給率の上がりつつあるもの、また自立
農家
が少しふえつつあるという傾向等については、私どもも希望は持ちつつあるのでありますが、一方、需給
関係
から見ますというと、消費構造その他が相当変わってきておりまして、必ずしもまだ供給というものに対しては、われわれとしては非常な施策を講じていかなきゃならない。言いかえれば、生産というものに対して、さらにこれに力を注いでまいらなければならない、諸般の施策をやってまいりたいと、こういう考え方に立っておるわけでございます。
檜垣徳太郎
10
○
政府委員
(
檜垣徳太郎
君) 大臣のお答えに補足をして、私ども事務当局から御
説明
を申し上げたいと思うのでございますが、確かに
農業
の総生産がふえておっても、自給率については低下の傾向にあるのではないかということは、御指摘のとおりでございます。ただここで申し上げましたのは、国民所得の上昇に伴いまして食生活の動向に変化が起こる。その変化の過程で
果樹
とかあるいは畜産物等の需要が強まっていくということは、当然の動向でございますが、そういう動向に従いまして
農業
の生産自身もいわゆる選択的拡大、需要の大きい方向に即して生産の拡大が行なわれたという事実だけは間違いがないのでございまして、これは申すまでもないと思うのであります。たとえば果実にいたしましても三十五年が総生産三百七十四万八千トン、それが四十一年には五百八十六万トンにふえておる。肉類にいたしましても三十六万四千トンから九十六万九千トンにふえておる。さらに牛乳、乳製品につきましても、百九十三万九千トンのものが三百四十三万二千トンにふえておる。こういう生産の拡大は需要に即応しつつ拡大をしたという意味で、私どもはやはり国際的に見ましても、そういう生産の増大が選択的拡大の方向をとって、おおむね順調に進展したという表現は許されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 ただ自給率の低下の問題につきましては、大臣の発言にございますように、将来を見通しまして食糧需要に生産が必ず順調に円滑に対応するかどうかという点については、懸念なしとしないということを私ども申しておるわけでございます。 また、
農業
の近代化への動きという問題につきましても、御指摘のありましたように、自立
経営
の
内容
が他産業の所得の上昇につれまして、自立
経営
として定義し得る所得水準というものは上がっていくと、そういう過程の中で、なおかつ若干ながらも自立
経営
の
比率
がふえておる。自立
経営
の生産をする総生産へのシェアが高まっておるということは、やはり私どもとしてはそこに日本
農業
の希望を見出したいという気持らがここにあるのでございまして、近代化への動きが見られるということを指摘をいたしておるのでございます。これがそのこと自身
農業
の将来の動向に楽観すべきものがあるかどうかということを私どもは言っておるわけではございませんが、そういう事実を指摘をしまして、叙述をした次第でございます。
中村波男
11
○中村
波男
君 官房長から
農業
白書についての答弁があったのでありますが、「
農業
近代化への動きがみられる」ということを、わずかな自
営農
家、自立
農家
がふえたことに目を向けて、いわゆる兼業化が大きく進み、
農業
収入というものが兼業収入に大きく依存しておるという実態というものは、やはり私は農政の当面する基本ではないかというふうにも考えるのでございますが、これらの問題についてはまた次の機会なり、またこれから申し上げる質問の中で具体的にこれを出してまいりたい、こういうふうに考えるのであります。 次に、大臣は早急に解決すべき問題というものを三つおあげになっております。 その第一点は、増大する食糧需要に生産が必ずしも円滑に対応し得ない懸念があるということであります。 私は、この点については、懸念があるという
程度
のなまやさしい実態ではないというふうに考えておるのであります。現に白書は、食用農産物の自給率が、四十年価格で見まして三十五年の九〇%から、四十一年には八〇%に低下したと言っております。年
平均
二%近い顕著な自給率の低下という問題がここにあります。一体、わが国の食糧需要は年々増大すると考えられているのでありますから、自給率を同じ水準に維持しても、食糧輸入は増大するのであります。白書には主要農産物の自給率を掲げておりますが、米を除いてはいずれも自給率が低下したか、現状維持であるわけであります。大臣はこの問題を、 「懸念がある」という
程度
にしか認識しておられないとするならば、これは私は大きな認識上の誤りがあると思うのでありますが、いかがですか。
西村直己
12
○
国務大臣
(
西村直己
君) おっしゃるように、総合自給率自体におきましても、
昭和
四十年八二に対して四十一年が、暫定計算ではありますが、八一一%に下がっております。品目別にして見ましても、率としては下がっておるものがあるのでありますが、その中で、御存じのとおり米は自給率はかなり上がっております。それから横ばいあるいは現状維持のものもあります。ただこの中で、私ども非常に今後も力を入れてまいります飼料
関係
でございますが、これもかなり全体の食用農産物の中の自給率低下の一つの大きな原因にはなっておるではないかと。したがって、これがいわゆる海外輸入の一つの大きな部分も占めておるというふうにも考えております。しかし、いずれにいたしましても、自給率を上げなければならない、こういう観点だけは、私どもは食糧問題に対する供給の変化、多様化に応じながら、しかも自給率を上げていくという施策だけは、予算あるいはその他の施策を通しまして御協力を得て、今後も推進をしてまいりたいと思うのであります。
中村波男
13
○中村
波男
君 これはですね、大臣、ことし急に下がったのではないのでありまして、最近、毎年下がっていくのでありますから、その現実が、低下という問題に対応する政策、手が打たれておらない、こういうことを考えていただきまして、ただ一片の答弁ではなしに、真剣にこれは考えなければならない問題ではないかというふうに私は思うのであります。 第二の問題点として大臣が指摘しておられますのは、農産物価格の上昇であります。 この問題は、確かに物価政策上大きな問題がございます。また白書は、
農業
の比較
生産性
が三十九年以降着実に向上しているとしておりまするけれども、
農業
のこのような結果をもたらした裏には、農産物価格が他物価以上に上昇したことに負う面が強いのではないかと思うのであります。 しかし、この大臣の所信表明は、農産物価格の上昇を、国民食糧の安定供給という
農業
の使命から見て好ましくないとしておられるのでありまして、私は、このような大臣の一面的な見方には問題を感ずるのであります。 白書は、
農業
と製造業の
労働生産性
指数を掲げております。それによりますと、三十五年を一〇 〇として、四十一年には
農業
一四一・七、製造業一六七・三であります。年
平均
伸び率にいたしますと、
農業
は六%、製造業は九%であります。この
農業
の
労働生産性
の伸びは、国際的には非常に高い水準であることは私も認めます。しかし、その中身には、裏作放棄、畜産、養蚕等の部門における零細非
能率
経営
の脱落といった
経営
努力の所産とは考えられない面の効果が、他産業よりもはるかに大きいウエートを占めております上、就業者一人当たりの
農業
・非
農業
別実質国民所得や比較
生産性
を見ても明らかなように、もともと
農業
と製造業ないし、非
農業
との間には非常に大きな格差があることはお認めになると思うのであります。したがいまして、農産物も製造業の生産物もともに社会的に必要であるといたしますなら、また、わが国経済が労働過剰型から労働不足型経済への過渡期にあるといたしますならば、農産物価格の上昇はむしろやむを得ない現象でございます。大臣も安定的供給と言っておられまして、価格の安定とは言っておられないのでありますけれども、先ごろの乳価や豚価の問題を見てみましても、どうも農産物価格の上昇を罪悪視し過ぎるきらいが強過ぎるように印象を受けるのであります。 私はこの機会に具体的にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、限られたもの、限られた時期には、なるほど高いと指摘を受けるような農産物もあるかもわかりませんが、全体を通じて農産物と他の物価とこれを比較いたします場合に、特に生産者の手取りという前提に立ちますならば、決して私は農産物は不当に高いとは認識を持っておりません。したがって、いま大臣もおっしゃるように、農産物が高過ぎるという認識が
政府
のいわゆる畜産物の価格の決定にいたしましても、あるいは今後行なわれますところのでん粉の価格の決定にいたしましても、さらに米麦の価格の決定にいたしましても、高過ぎるという認識からくる問題というのがいろいろ出てくると思うのであります。この点についてひとつ具体的な所信をお聞きしておきたい、こう考えるのであります。
西村直己
14
○
国務大臣
(
西村直己
君) この農産物の価格につきましては、ただいま御質問なり御意見が出たわけであります。私どもはただ、農産物価格を押えていくとか、そういう思想あるいはこれが上がるのは悪いことである、こういうような前提に立って
農林大臣
としてやっているのじゃありません。言いかえますならば、もちろん生産面におきまして自給度を上げる、いわゆる供給に合うところの生産に向かって努力をする、しかも、それを安定的な供給確保と申しますか、そういうところをねらってまいる中において価格というものは決定してまいりたいということが私どもの念願であります。したがって、大きな日本経済、あるいは国際経済の中におきましては、日本の
農業
、農産物に対しましては、あるいは価格支持
制度
あるいは輸入割り当てというような
制度
によってかきねをこしらえ、あるいは保護をするかたわら、さらに自給の中におきまして価格というものを維持し、安定させようというその中において、したがって、ここにおことばを返すようでありますが、価格の問題につきましても、
農業
の使命から見て、安定供給確保という
農業
の使命から考えましても、価格水準が少し上昇の傾向を帯びていることは好ましくないという意見ではございません。ゆるがせにすることはできない。これを見逃がして、ただそのまま上がりっぱなしというところについていくのではいけない、こういう
趣旨
の発言をこの所信におきましては申し上げておる次第であります。
中村波男
15
○中村
波男
君 答弁の限りにおきましては了解をいたすのでありますが、この機会に私は特に指摘をいたして今後善処を願いたいと思いますのは、農産物の価格上昇という中で見落としてならぬと考えておりますのは、中間経費が先進国に比べて多くかかるという、いわゆる流通過程の合理化を急がなければならぬという問題が、これは物価政策からいいましても、あるいは
農家経済
、農民の所得拡大の見地からいいましても急がなければならぬ重要な課題であるというふうに考えるのであります。そのために、いろいろ予算の上にも配慮はされておりますが、全く不十分である。したがって、またこれは別な機会にいろいろ
政府
のお考えもお聞きしたいし、私は私なりの私見も申し述べて議論をいたしたいと思うのでありますが、それなくして、ただいわゆる小売り価格、卸価格の段階における上昇だけをとらえて、あたかもこのためにいろいろな問題点が出ておるというような、そういう認識というものは間違っているというふうに考えるのであります。 第三の問題点として指摘されているのは構造
改善
が「必ずしも所期のテンポでは進んでいない」というふうに述べられております。「所期のテンポ」というのは、私が考えますには、おそらく倍増計画を考えておられるのではないか。自立
農家
百万戸を十年で
育成
するといういわゆる計画であろうというふうに思うのであります。この点は、「必ずしも所期のテンポでは進んでいない」どころではなくて、全く私は所期の
目的
とほど遠いものがあるというふうに考えております。構造政策については、農地法
改正
案その他関連法案が
提案
されておりますから、その際じっくり伺いたいと考えております。 時間もありませんから、以上三点について具体的に指摘をいたしたのでありますけれども、どうも大臣の認識が甘過ぎると思うのであります。したがって、そういう甘いところからいわゆる前進的な政策も生まれませんし、抜本的な改革案というものも出てこないと思うのであります。そういう点について、最後に、構造政策に対する
政府
の甘さ、それがないとするならば、それに対する反論をお聞かせいただきたいと思うのであります。
西村直己
16
○
国務大臣
(
西村直己
君) 先ほど来お話のありました中で、確かに私は
農業
につきましてこういう考え方を持っておるのであります。日本
農業
、日本経済というものは所期の
目的
を達しないという一つのことばを所信の中で申し上げましたが、所得倍増当時に想定したよりはおくれておる、これは確かに私率直に認めなきゃならぬと思います。言いかえますれば、おくれた農政という面があったと思います。ただその一面は、日本経済というものが予想以上に高度成長をした。そこで今日では安定成長、しかもその裏には、さらに総合させた社会開発的な面を含めた農政というものとの総合性の中で農政というものを盛り上げていくと、こういう考え方に立っておる。その一つとしていろいろな施策、柱といたしましては、先ほどのお話の価格政策もございます、生産政策もございます、構造政策もございます。これらをバランスをとっていかなければならない、こういう考え方の中で構造政策を進めていきたい。 そこで、この構造政策につきましても、従来からやっておりますものをさらに展開すべく、昨今におきましても、予算面におきまして、あるいは法案の面におきましていろいろと施策を練りまして皆さまの御
審議
をお願いして、少しでもわれわれとしては、日本農政というものを近代的な安定した食糧の供給をやると同時に
農業
の従事者の所得の向上、いわゆる豊かな、体質の強い農村づくりに向かってまいりたいという所信で進んでおるのであります。
中村波男
17
○中村
波男
君 構造政策に関連をして、
農業
の近代化の施策として今日まで農林省がとってこられましたいわゆる基盤整備、大型圃場、その上にコンバインとかトラック化を強行——強行ということばは言い過ぎかもしれませんが、強く奨励をされまして、水田
農業
の機械化をはかろうとしてこられたのでありますが、私は全部が全部失敗したとは思いませんけれども、この発想はいわゆる日本的でなかった、そこに大きな失敗があったと思いますし、私の狭い見聞で全体を律することは独断的になりまするけれども、いわゆる機械化によってその重荷に農民はひしがれてかえって苦しんでおるというような、せっかくの何千万という施設が眠っておる、倉庫に放置してあるという実態さえ多くあるのであります。 そこで私考えさせられましたのは、新佐賀段階と言われております佐賀県においては、昨年あれほど大干ばつにあいながら反収五百四十キロの収穫をあげた。もしこの干ばつがないならば、県下
平均
反収五百七十キロ以上が取れたであろうということを統計事務所が報告いたしておるのであります。その佐賀県が、皮肉なことには、依然として田植え式、刈り取り式をやっておる、こういうふうに聞いておるのでありますが、しかるに米の生産費は
全国
で
平均
いたしますと一番低いという報告を読んだことがございます。 私が申し上げますまでもなく、機械化を行なうという
目的
の第一は、いなすべてであるかもしれませんけれども、労働の
生産性
を上げるということではないかというふうに考えます。農林省の一貫機械化という発想そのものは正しいかもしれませんけれども、欧米で体系化されたものを直輸入して日本へ持ち込んだところに誤算があったのではないかと思うのであります。したがって、もう少し厳密にいろいろなことをチェックしまして、どういう
条件
でどういう
地域
なら大型機械化が可能であるのか、どういう
条件
のどういう
地域
なら集約的農法に突っ込んでいけるのかということをまず考えなければならないのではないかというふうに思うのであります。したがって、稲作地帯の構造
改善
事業については再
検討
を迫られておるのではないか、かように考えておるのであります。したがって、日本に適した機械化体系と技術政策が
確立
されなければならぬと思うのでありますが、これについてお考えを明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
西村直己
18
○
国務大臣
(
西村直己
君) 基本におきまして日本
農業
の近代化、特に機械化の問題、これは御賛成は願えると思うのであります。ただ、日本の自然地理的
条件
あるいはそれのもとにおける資本的な制約、いろいろなものが、日本の体質というものがうまく妥当にかみ合わなければお説のとおり、いろいろな弊害面も出てまいると思うのでございます。私どもとしては今後もさらにそういう点についてはより農民の立場において
目的
が達成できるように
検討
を不断に続けていかなければならないと思っておるのでございます。
森本修
19
○
政府委員
(
森本修
君) 補足してお答えをいたします。 御指摘のございましたように、確かに日本の機械化というのは戦後労働力が不足をするといったような
条件
に迫られて発足をしてきたという経過がございます。したがいまして、西欧諸国のようにかなり長い歴史を持ったような機械化という形にはなっておりませんので、当初の発足の段階におきましては、機械としても日本型は少ないというふうなことで、ヨーロッパの機械を入れて機械化の初期段階を過ごしてきたということで、御指摘のように現実におきましては若干の問題があったことは事実であると思います。最近におきましては、御案内のように、機械も日本型の機械がかなり開発をされてきております。それからまた、農村のほうでもやはり機械化のためのいろんな
条件
なり、あるいは機械を使用する技術なりといったようなものが発達をしてきまして、おそらく現在あるいはこれ以降の段階においてはやや地についた機械化が進んでいくであろうというふうに思っております。で、私どもとしても機械の導入なりあるいは使用のしかたにつきまして機械化の基本方針、また県においてもそれぞれ現地に即した方針を立てていただくというふうなことをやっております。また、四十三年度の予算におきましても、それぞれ現地で各種の機種を集めて、そういった適地に適当な機械を導入をするというふうな
指導
事業も開始をしようということで、漸次御指摘がございましたような問題を克服して、地についた機械化を進めている、また進んでいくであろうというふうに思っておるわけでございます。
中村波男
20
○中村
波男
君 かねがねわが国における試験研究機関、またそこの試験結果というものを農民におろすについての問題点というものを私は私なりに考えておったところでありますが、先般「
農業
共済新聞」の囲みを読みまして、その
内容
に共感を覚えますと同時に、これからちょっと読みましてお考えを聞きたいというふうに思うのであります。 「私は試験場に材料提供はしても試験場から 技術を教わったことはない。わが国では、収量 でも品質でもトップになるのは常に実践
農家
だ が、試験場でそれができなければ
農家
の信頼を 得られまい」と現在の試験研究
制度
について物 申すのは、ハウス園芸技術では自他共に日本一 を認める栃木県の小島重定氏。小島氏は昨年オ ランダの園芸技術を見てきたが、収量や品質で もいつもトップになるのは試験場だというのに 感心したという。それは、試験場と大学が直結 していること、試験場の運営費の七割は受益者 である農民が負担しているため、農民の声がよ く反映されるかららしい。小島氏は「日本の研 究者ももっと〃田んぼ〃に入れ。また学位を とってしまえばやめるような〃真理探求〃は無 意味だ」と強調していた。 こういう囲み記事であります。 私は先般この
農林水産委員会
から静岡県の産業
調査
に同行をいたしたのでありますが、視察の中でいわゆる選択的拡大、
農業
近代化
資金
を借りましてメロン栽培に踏み切った集団がございます。建物はりっぱにでき、中にも栽培はされておりますけれども、聞いたところによりますと、暖房費が一個に大体二百円かかる。しかし、いま売るこのメロンは二百円以上は取れない、そこで浜松の先進地へ視察に行き、県に行くけれども、なかなか技術もあるいは教えて教われないものもございますから、金になるメロンがつくれない、借金は返さなければならない。県に
指導
を依頼しても
指導
してくれる普及員が一人もおらない。経験のある普及員が近くにいたけれども、先般転任を命ぜられて、全くたよるところがない。ここの話を聞きまして、ここにも私は今日までの
政府
のとってきた選択的拡大、
農業
構造政策の大きな欠陥があるというふうに感じたのであります。またここにもありますように、試験場と大学が直結をしておりませんし、日本の研究者がたんぼに入らない。先日の新聞にも、いわゆる獣医科を卒業する獣医というのがほとんど現場へ戻る人が少なくて、会社とか、あるいはその他のいわゆる月給取りになってしまう。そういうことも新聞に指摘しておったのでありますが、こういう点を真剣に考えなければこれからの世界
農業
の中の日本の
農業
を位置づけ、また、近代化を推し進めますためには、機械と金だけでは私はできないのではないかというふうに思うのであります。こういう点についても大臣としてひとつ真剣に研究をし、取り組んでいただきたいと思いますし、これらの問題について方針をお聞かせいただきたいというふうに考えるのであります。
西村直己
21
○
国務大臣
(
西村直己
君) 私もいまのお説を伺いまして、私自体としても同感でございます。試験研究というものはあくまでも
農業
あるいはそれの実際をやる農民のためにあるのでありまして、単なる学問だけというのではなく、学問は生きてまいらなければなりません。そういう意味で今後ともそういう点は十分留意してまいりたいと思うのであります。 なお、現実の
状況
につきましては
関係
の局長から現状はどうなっておりますか御
説明
させます。
檜垣徳太郎
22
○
政府委員
(
檜垣徳太郎
君) 機械課から参っておりませんので私から若干大筋を申し上げたいと思うのでございますが、日本の
農業
試験研究の体制は、中央試験場では原理的な研究をするということに相なっているわけでございます。そうして国の
地域
試験場においてその原理を応用する応用試験を実施する、府県の試験場において実用化試験をやるというたてまえになっているわけでございます。そういうたてまえになっておりますが、私も御指摘のように、
農業
試験研究というのは、圃場と試験場との間に、材料の提供というものと材料をこなしたものとの間に還元というものの
関係
がなければならないというふうに考えておりまして、いまの試験研究の
関係
者もそういう心がけでやっていると思います。が、なお問題は残っていると思います。 ただ、申し上げておきたいと思いますことは、技術という問題は、若干初歩のお話を申し上げて恐縮でございますが、科学的なプロセスのコンビネートをつくるということが枝術の研究であると私どもは思っているわけでございます。でございますから、客観的なものを求めていくということでございまして、その客観的な科学的プロセスというものを実際に適用して
経営
をするという段階になりますと、そこに技能の問題が加わってまいるわけでございます。でございますので、試験場での技術試験研究の段階におけるたとえば反収の問題でございますとか、そういう問題は、さらに個々の
農家
が持っております技能の問題が加わって変化が出てくるということでございまして、必ずしも試験場で常にいわゆる多収獲等の成果を出すようなことを求めていくという性質のものではない、その点だけは御理解をいただいておきたいと思うのでございます。その研究機関から出ましたものを、これを普及組織を通じて流すということがシステムになっておるわけでございます。ただ、御指摘にありましたように、
果樹
でございますとか、畜産でございますとか、あるいは新しい園芸の技術でございますとかというものの技術につきましては、歴史が比較的に浅いということもございますし、
農業
の試験研究には非常な年月を要する問題がございますので、現場の要求に直ちに合うような研究が今日すべて完備しておる、完成しておるというわけではございませんので、私どもとしても、今後、御指摘のようなことを頭に入れて
農業
の方向に沿うような試験研究を進めさせるということに全力をあげてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
中村波男
23
○中村
波男
君 以上で所信演説に対する質問は終わらしていただきたいと思うのでありますが、もちろんこれから申し上げますのも関連のある問題であるわけでございまするけれども、私は、所信演説を読みまして、大臣の所信の中に、今日、最も重大な国民的関心があり、さらに米審の
委員
を一月任命になりまして今日までたなざらしになっておるのに象徴されておりますように、食管問題は混迷いたしておると思うのであります。したがって、まず
農林大臣
として片づけなければならぬ当面する重大課題というのは、米審をいつ発足させ、また、経済同友会の食管
制度
改正
の
提案
がされましてから物価安定推進会議等々のいろいろな意見、
提案
が出ておりますし、すでに大蔵省におきましては、間接統制をめざす方向と財政硬直化による食管赤字の財政負担を軽減するという立場で相当な作業が進められ、いろいろ折衝が行なわれておるいきさつから言いましても、大臣がこの問題に一言も触れておられないということについては、奇異な感じを受けますと同時に、それほどまでに重大な問題でありますから、ただいまから食管問題を中心にいたしまして、いろいろお伺いをいたしてまいりたいというふうに考えるのであります。 その第一は、倉石
農林大臣
が、まあ抜き打ち的という言い方は語弊があるかもしれませんけれども、新米審に対しまして野党及び
農業
団体が強硬に反対いたしておりまする背景をあげてみますと、第一には、倉石前
農林大臣
が米審任命以前からしばしば述べられておりましたように、新しい米審は米価の決定のときだけではなく、食管
制度
のあり方について
検討
をしてもらうと言明をし、そこへ抜き打ち的に生産者団体、消費者団体の代表を除外し、もちろん国会議員も除外されたのでありますが、中立の名のもとに間接統制論者と目される人々を多数任命されたということが一つ。第二は、四十三年度予算の編成にあたって補正予算を組まないことを前提に総合予算主義をとり、米価の抑制意図が予算上はっきり出てきておると考えておるからであります。 そこで、まず
西村農林大臣
にお尋ねしたいのは、就任直後の記者会見、その後予算
委員会
等々でたびたび言明をされておるのでありまするけれども、食管
制度
の根幹を堅持する、この食管
制度
の根幹を堅持するということについて、私も予算
委員会
等の議事録を読ませていただきましたが、実にまあ抽象的でございますので、食管
制度
の根幹を堅持されるということは、具体的にどのような
内容
であるのか、だめ押しのような質問で恐縮でありますが、具体的にお答えをいただきたいと思うのであります。
西村直己
24
○
国務大臣
(
西村直己
君) 米審その他の問題につきましての経緯は長々もう申し上げませんでも御存じと思うのでございますが、私、大臣を拝命いたしましたとき、すでに米審の
構成
につきまして、特に生産者、消費者の意向を反映する問題等、
構成
問題について国会で御論議が続けられておったことは私存じております。 それからいま一つは、お説のように、食糧の安定的供給の中で一体食糧管理
制度
というものはどうあるべきかということに対するいわゆるいろいろな面からの意向というもの、同友会であるとか、その他民間と申しますか、物価懇談会等で論議があったことも私は承知いたしております。したがって私は、これらの諸問題を通じまして、まず問題を安定の中で解決をしていくということが一番大事だ、これが私の所信でございます。 そこで、米審問題につきましては御存じのとおりに、各党間で御協議をなさっていくというのが最終的なことでございますので、先般ここで申し上げましたような発言になっておるわけであります。 それから食管
制度
の問題は、これは国民の大事な主要食糧、これは生産者にとりましても消費者にとりましても国民的な大きな問題だけに、私としては慎重な扱いをしてまいりたい、この所信のもとに、予算
委員会
を通じまして
現行
の食管
制度
の根幹は守ってまいるのだという姿勢をとっておるわけであります。その根幹と申しますのは御存じのとおり、食管法に定められておる売り渡し価格、あるいは買い入れ価格等の一つの方針がございます。そのたてまえというのはくずさないでまいりたい、こういう主張でまいっておるわけでございます。
中村波男
25
○中村
波男
君 まあ根幹を、もう少し具体的な
内容
をお尋ねいたしたいと思うのでありますが、その前に米審
委員
の
構成
でありますが、国会議員はもちろん、生産者、消費者の代表を全部除外することについて、おそらく大臣としては各党間の話し合い中であるから、大臣としての意見を申し述べることは差し控えたいという答弁があろうと思うのであります。しかし、私は、もちろん国会の意思を尊重願うということは必要でありますが、そもそも今日のこの混乱を引き起こしました原因というのは、前
農林大臣
が消費者、生産者の代表を除外して、一方的にいまの
委員
を任命されたところに問題があるのである。したがって、幸か不幸か、倉石前
農林大臣
がやめられて、大臣中の大物である
西村
さんが就任をされたのでありますから、
西村
さんが当時の客観的な情勢なり国会の意向なり、そういうものをそんたくされまして、いわゆる倉石農相任命の新米審を改組しないという、この基本線に立ってこられましたから今日なお混迷が続いておると思うのであります。 そこで、倉石前
農林大臣
の日程によりますと、一月の末にはすでに米審を開く
予定
でございます。すでに四月に入りまして、まだ各党間の話し合い待ちでありますが、七月には、従来の例からいうならば米価を諮問しなければならないという、こういう時期的な問題を考えましても、やはり私は、大臣として米審に対する基本的な態度、また今日の時点における考え方というものがなければならぬというふうに思うのであります。したがって、生産者、消費者代表を加えることについては、大臣はどういうふうにいまお考えになっておるのか、お尋ねをいたします。
西村直己
26
○
国務大臣
(
西村直己
君) 私は、着任いたしまして以来、やはり大事な米価、生産者、またこれを使う
全国
民的な立場にある消費者の御意見というものは米価決定には反映されなければならないと、こういうことは申し上げております。ただ、それをどういう形で反映せしむべきかという問題は、米審
構成
とからんでおるのであります。着任以前からすでにこの米審の
構成
問題は各党の間ですでにお取り上げになっております。その後の経緯を経まして、私としては、今日の段階では各党間の話し合いの結果というものを見ながら、あるいは結果を待ちながら、これを尊重してきめてまいりたい、これがいまの私の考えなんでございます。
中村波男
27
○中村
波男
君 そういう答弁になるであろうと思っておったんでありますが、大臣としては、少なくとも生産者、消費者の代表を加えることについての可否については、答弁はできないという、そういうことですか。
西村直己
28
○
国務大臣
(
西村直己
君) 先ほど来申し上げますように、生産者、消費者の意向というものは米価決定には何らかの形で反映しなければいかん、これは当然のことだと思います。ただ、米審の
構成
そのものと生産者、消費者との関連につきましては、いろいろな御議論もあり、同時にこれがただいま各党間で
検討
されておる段階でありますので、私としてはそれに対するいま結果を尊重してまいりたい、こういう態度でございます。
中村波男
29
○中村
波男
君 米審は
農林大臣
の任命事項でありまして、したがって、除外をされたということは、それはそれなりの
理由
があったと思うのであります。したがって、やめられたから責任のすべてがなくなる、失うというものではないと思うのであります。したがって主務大臣としても、農林省としてこのような態度をとりましたことについての
理由
があると思うのでありますから、くどいようでありますが、なぜ除外をされたかということについて、大臣としての所見をお聞かせいただけないでしょうか。
西村直己
30
○
国務大臣
(
西村直己
君) まあ私自体当時を引き継いだわけでありますが、
政府
といたしまして生産者、消費者を米審そのものに参加をしていただかなかったというのは、一つのやはり
理由
はあったと思います。それは、いわゆる利害
関係
の方々も御一緒になりまして、そうして米審
構成
をやってまいりました従来の経緯におきまして、その間に答申の得られなかったというような従来の経緯にかんがみまして、むしろ生産者、消費者の意向というものは別の形で十分御反映を願うという意味で、ああいう形の米審
構成
を発令したというのが
状況
だと思うのであります。
中村波男
31
○中村
波男
君 この場でそれの蒸し返しを続けましてもおそらく微妙な立場に今日立っておられますから、それ以上の答弁はないと思いますので、その問題については保留をいたしますが、しかし、少なくとも大臣という責任から言いますと、各党間で話し合っているから、その結論を待って対処するということ自体が問題なのでありまして、話し合う必要が生じたのは、いわゆる除外をされたからでありまして、そういう情勢をお考えいただくならば、私は野党三派はもちろん、
農業
団体が強く要求をしておりますやはり生産者、消費者の代表を加えて、その上で米審を発足させる、言いかえますならば、過去のいろいろないきさつなり、こだわりを捨てて新発足させるという、こういうひとつ勇断を望んでやみません。そこで根幹を守るということについては、具体的にお聞かせをいただきたいという私の質問に対して、これまた抽象論から一歩も出ておらないのであります。そこでまあ食管
制度
の根幹を守るというようなことを、ここで議論をしなければならなくなった背景を少し申し上げて、その中でさらにお聞きをいたしてみたいというふうに思うのであります。 端的に言いますならば、財界が日本経済の高度成長を維持するための資源としての労働力を農村に求め、しかも、低賃金労働力の供給源として農民に目を向け、さらに労働力不足による賃金の上昇傾向とそれに輪をかけている物価の値上がりが経済活動の妨げになるという考えに立って、食管
制度
の
改正
を従来から強く主張してきたのでありますが、特に四十二年産米の豊作によって需給が緩和したことを絶好の機会と考えまして、間接統制への移行を打ち出し、これを受けて立つかのように、
政府
特に大蔵省においては財政硬直化の一大要因として食管会計の赤字の解消と、食管法における価格支持の機能を大幅に弱めることによって米価の値上がりを押え、すなわち米価、物価、労賃、米価という形で上昇していく循環を断ち切ろうとしていることは明らかであります。食管会計は従来にかつてない根の淡いものがあるのであります。 しかるに
西村農林大臣
は、根幹を守る、根幹を守るとおっしゃいますが、具体的に聞きますが、いわゆる昨年米価がきまりました、これはいわゆる三条、四条の規定によるきめ方が、農民側からいえば不十分であったかもしれませんし、消費者からいえば上がり過ぎたという批判があるでありましょうけれども、いわゆる食管法の根幹を真正直に解釈をしてきめられたというふうに私は認識をいたします。そうだとするならば、そのような方式をことしもさらに踏襲をし続けるということであるならば聞く必要はございません。それらに何かの変革を加えるということであるならば、根幹が私は変わったというふうに認識をいたすのであります。したがってそういう観点に立って、ひとつ具体的に腹のうらをお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
西村直己
32
○
国務大臣
(
西村直己
君) 私はいろいろな食糧
制度
につきましては、これは古くて新しい問題でございまして、私も多少
関係
したことありますが、
昭和
十六年か十七年に食管法をつくりました当時にも、米が非常にあって、しかも問題があって、そしてああいうかっこうの食管法ができた。それからまた戦後におきまして、今日こういうような
状況
に立っております。なかなかこの食糧の安定供給、また生産者の立場を考えて、この
制度
のあり方というものは非常に大問題でございます。それだけに、できるだけこれらはすべて安定の中で解決をしてまいるということに、まあ私は基本を置いてまいりたい。 そこで、先ほど来申しますように、私としては食管法の、食管の
制度
の根幹を守りながら米価決定に当たってまいりたい。すなわち、
政府
の買い入れあるいは売り渡し、これはすでに再生産確保であるとか、あるいは消費者の家計というものを考慮するという一つの、まあ上限と申しますか、下限と申しますか、そういうようなものが食管法によってきめられておる。その中での米価というものが、いずれきめられていかなければならない、この考え方を続けてまいりたい、こういうことでございます。
鶴園哲夫
33
○
鶴園
哲夫君 大臣、関連ですから短かくお伺いしますが、ここに出ております
農林水産委員会
における
農林大臣
の所信表明ですね。これを見てみました。非常にお粗末ですね。これはどうも困りますね。これはどうしてこういうものを出したのかと思ってびっくりしているのですが、いま
農業
問題で一番問題になっているのは、これは食管であり、それから米審の問題なんですからね。これだけ大きな問題になっているものを、米審の問題にひとつも触れていないというのは、これはどうもぼくはなっていないというふうに思いますね。それから印刷もきたないですけれども、これはまあ川村さんもやられるそうですから……。 私これを見まして、所信表明の五
ページ
の最後の行とそれから大臣の予算
説明
の十三
ページ
の最後の二行ですね、これは全然違ったことを言っておりますよ。これは、
農業
問題に関心を持つ者は、この点はひとつの焦点になっているわけですから、これをこんなに間違えて書かれたのでは責任問題ですよ。どうしてこんなことをするのですか、違うでしょう。だれが書いたのですか、所信表明は。予算
説明
のほうならわかりますよ。所信表明のほうは、「
農業
構造の
改善
につきましては、規模が大きく
生産性
の高い
農業経営
をできるだけ多く
育成
するため、」と書いてありますね。だから自立経
営農
家を
育成
するためですよ。ところが予算
説明
のほうはそうじゃないですよ。「自立
経営
と効率の高い集団的生産組織の
育成
助長」、この二つを推進する。これは
農業
問題に関心を持つ者は、一番これが焦点ですよ。これをこんなふうに間違えて書くのはどういうわけですか、論議にならないんですよ。 ついでに米審の問題について……。大臣、米審は、これは大きな問題は三つあると思いますけれども、いま中村
委員
が問題にされました利害
関係
者を除いたということですね。それは、先ほどの大臣の
説明
では、これはだれでも納得しないんですよ。普通言われていることなんですから、つまり、利害
関係
者を除いたのは、答申が出なかったからだというようなお話ですけれども、そういうお話ではだれも承知しないですよ。それは、そういう答申の出ない
審議
会というものは幾つもあるのじゃないですか、米審のほかに。しかも、利害
関係
のはげしく対立する
委員会
はすべてそうじゃないですか。どうもそういう
説明
をされますと——大臣の
説明
、どうですか。これはだれも納得しないですよ。ですから倉石さんがやられたのですから、それを大臣が引き継がれたのですから、ほんとうのことを言ってもらいたいんですよ。農水でほんとうのことを言わないでどこでほんとうのことを言うのですか、はっきり言ってもらいたいですな。それで私も若干意見がありますが、関連ですからあとで質問いたします。
西村直己
34
○
国務大臣
(
西村直己
君) いまの所信の
趣旨
につきましては、官房長からさらに補足を申し上げますが、米審の問題につきましては確かに大きな問題で、むしろこれは率直に申し上げまして——政治問題であると思います。私が表明する以前にすでに各党間でこれをお取り上げになりまして、国会
対策
委員長
会議等ですでにそれを取り上げられて協議をするというたてまえになっておるのであります。 それから、
政府
といたしまして米審
委員
に生産者、消費者代表を発令申し上げなかったという点については、なるほどそういう御議論も十分私はわかっておりますが、同時にまた
政府
としては、従来の米審というもののあり方をずっと
検討
した結果、この場合には生産者、消費者がお入りいただかない、ただし、別な形でもって十分御意見を反映していただく方法を講ずるというような考え方のもとに、あの発令が行なわれたのだというように御
説明
を申し上げておるのであります。
檜垣徳太郎
35
○
政府委員
(
檜垣徳太郎
君) できがたいへん悪いということでお叱りがあったわけでございますから、今後は十分注意したいと思います。 まず、私のほうから御
説明
して御理解を得たいと思います点は、所信表明のほうで、特に「
農業
構造の
改善
につきましては、規模が大きく
生産性
の高い
農業経営
をできるだけ多く
育成
するため、」、——ここで「規模が大きく
生産性
の高い
農業経営
を」という場合には、この
農業経営
には、いわゆる家族
経営
でやりますまあ理想的な自立
経営
というものと、それから協業
経営
も含めて実は表現したつもりでございまして、次の
ページ
の一行目と二行目にかけまして、「協業等集団的生産組織の
育成
、」ということで砕いて実は表現をいたしたのでございます。予算の
説明
のところでは、「
経営
規模が大きく
生産性
の高い自立
経営
」というものと、「効率の高い集団的生産組織の
育成
助長」ということで、ここでは並べて書いたという表現の違いでございますので、御理解いただきたいと思います。
鶴園哲夫
36
○
鶴園
哲夫君 関連ですからあまり長くなると恐縮なんですけれどもね、これは官房長のその
説明
はおかしいですよ、あなた。だってね、日本の
農業
をこれからどういうふうに持っていくかという場合に、自立経
営農
家一本でいくのか、あるいはそれと並列的に、いまお話の
育成
、
能率
の高い集団的な生産組織というものと協業、両方でいくかというのが問題になっているわけでしょう。その場合に、この表現は、所信表明の場合は明らかに自立経
営農
家だけですよ、これ。そうじゃなければ——もしそうでないとするならば、自立経
営農
家——これは「高い
農業経営
」を、「規模が大きく
生産性
の高い」とつないでありますよ。それが何がゆえに
農業経営
が集団組織に入るんです。しかもそのうしろに「ため」と、ここに「協業等集団的生産組織の
育成
」とまた出てくるじゃないですか。これ間違いですよ。だからぼくは、事情を知らない人が書いたと思うんです。これ端的に言って、そういう焦点がわからない人が書いたものだと思うんですよ。そういうものであれば、私それはわかりますよ。別問題ですよ。それからいまの大臣の答弁では、これわからないのですよ。もう少しはっきり言ってもらわなきゃ。 まあ、いろいろいわれていますね、きのうかおととい出ました「農林金融」という本ですか、あの中には、
農林大臣
と大蔵大臣の間に秘密協約があるんだというような話でありますし、それでスライド制について
農林大臣
——
農林大臣
て前の
農林大臣
になりますけれどもね、倉石さんと大蔵大臣の間にそういう約束があって、どうしても米審というのは利害
関係
を除かなければいけないんだということだったということも出てますね。そこら辺のことをもう少し明らかにされたらどうですか。そうでなければ、これは米審は、先ほどおっしゃったようないろんな事情がありまして利害
関係
を除いたというので
説明
つかないですよ。 しかも大臣、もう少し言っておきますが、この間、朝日新聞で取り上げていましたが、社説の中で、
政府
の行政改革本部というのがありますね。あそこで決定した四項目がありますね。
政府
の
審議
会等についての
改善
について数を減らすということがあります。その中で、利害
関係
があってもめているような
委員会
は、公益というんですか、中立
委員
をふやすということで解決したいという一項目もありますよ。それからその中にも、三十九年の
審議
会の
委員
の兼務の問題がきめてありまして、
委員
の兼務は四十一年の十一月のときには、四つ以上の兼務は、これはやらぬようにするとかいうようなこともきめてありますね。どうも私は、
政府
の従来の行き方からいって、こういう利害
関係
者を除いたということは
説明
がつかないから、もう少し腹を割ってお話しになったらどうかと思う。
西村直己
37
○
国務大臣
(
西村直己
君) おことばを返すようですが、腹を割るにも割らぬにも私はありのままを申し上げているんでありまして、私、引き継ぎまして、別に前大臣と大蔵大臣の間に秘密協定とか、そういうもののあったことは聞いておりません。ただ利害
関係
のある方を従来の経緯から米審には加わっていただかないで発令をした、こういうふうに私としても解釈し、またそういうふうな引き継ぎをしております。そういうわけであります。
鶴園哲夫
38
○
鶴園
哲夫君 それからあれは、さっきの自立経
営農
家と集団組織は……。
檜垣徳太郎
39
○
政府委員
(
檜垣徳太郎
君) これまたおことばを返すようになって恐縮なんでございますが、所信表明で、「規模が大きく
生産性
の高い
農業経営
」という表現のところでは、これは当然私どもとしては、家族
経営
的な自立
経営
というものと、それから協業組織による——協業によって規模を大きくし、
生産性
を高めなければならぬという
農業経営
も含めて実は表現をしておるのでございます。 〔
委員長
退席、理事
任田
新治君着席〕 基本的には、御指摘のように今後の日本
農業
の
経営
の形態としては、個別
経営
として他産業の従事者と所得を均衡させ、生活水準を均衡し得るような所得のあり得る
農家
、いわゆる自立
経営
というものを考えると同時に、日本の
農業
の特殊性から申しまして協業の形による規模拡大、
生産性
の向上ということを並存して考えていくということが、当然の方向であるというふうに思っておるのでございます。問題意識としては持っておったつもりでございますが、所信表明では要点についてなるべく簡潔に大臣から申し述べていただくことがけっこうであろうということで、私どももこういうような表現で大臣の御意向を表明したつもりでおるのでございます。
鶴園哲夫
40
○
鶴園
哲夫君 それは官房長、そういうふうに言い逃れたみたいな話をしちゃ困りますよ。これはあなたのさっきの考え方はわかりましたよ。ですが、ここのところは「
生産性
の高い
農業経営
をできるだけ多く
育成
するため、農地の流動化の促進、」云々、そうして「協業等集団的生産組織の
育成
」と書いてある。はっきりしない、もともとこの中に協業などなまやさしい文句が入るなんて、考えるのがおかしいですよ。その「ため」とは、協業まで
育成
するのですか、こんな日本文がありますか。それはやめなさいと言うのです、そういう話は。これならわかるのです、あなたのおっしゃるとおり、このとおり書けばよかった。間違いない。これをこういうふうにされるから、それじゃ全然話が違いますよ。知らない人が書いたのじゃないですか。
檜垣徳太郎
41
○
政府委員
(
檜垣徳太郎
君) 御指摘のように、
農林大臣
の予算
説明
の表現のほうが正確かつ適切であったということは、私どもさように思いますが、簡潔にするための表現としてそこに御理解をいただきにくいというような点がございます点は反省いたしております。
西村直己
42
○
国務大臣
(
西村直己
君) 昨日、衆議院の
委員会
におきましても、これ自体ではありませんが、私の考え方を申し上げましたが、それも全くいま官房長が
説明
したような形で御
説明
をいたしております。したがって、大臣の所信表明の表現が十分その意思を的確に体していなかったかもしれません点は、今後ともまた作文等の場合には気をつけたいと思います。
川村清一
43
○川村清一君 私も関連して一言お聞きしたいと思います。 ただいま中村
委員
から米審の問題、それから食管法の問題等について質問をされておるわけでありますが、どうも大臣の御答弁が納得できませんので、重ねて関連してお尋ねしたいと思うわけであります。大臣は、米審の問題につきましては、現在与野党間で話し合いを進められておる、その結果を待ってという御答弁を固執されております。それから食管法の問題につきましては、根幹という形でとらわれておるようにお聞きするわけですが、前段の米審の問題については、政党政治を必要とする現在大臣の言われることもわからないわけではないのでありますけれども、実態は話し合いをされていると言っても私はされておらないのではないか。要するに与党自民党のほうからどういう回答が出るかということを野党がただずっと待たされておるといったような
状態
じゃないかと、これが現在の政治情勢じゃないかと、こういうふうに考えておりますし、それから大臣は、一体先般当
委員会
におきまして
委員長
の所信を表明されたあれをどういうふうに受けとめていらっしゃるか。すなわち、「米審の
構成
につきましては生産者代表、消費者代表を入れるように再
検討
すべきである」ということをはっきり言っておるわけであります。それから食管法につきましては、「根幹」などということばを言っておらないのであります。「食管法はあくまで堅持すべきである」、こういうことを言っておるのであります。これは
委員長
が
委員会
を代表して発言したわけでございまして、与野党の理事があの文案をつくるまでには数度となく集まりましていろいろ話し合い、知恵をしぼり合ってそうして最終的にまとめました文案であり、いわば本
委員会
における満場一致の決定によってなされた
委員長
の意思表明であります。国会の意思を大臣は尊重しないのかというふうに私どもは考えざるを得ないのであります。各党間で話し合われておる、これもわからないわけではございませんけれども、一体、国会の意思というものを大臣はどう受けとめられるのか。尊重するのか、しないのか。参議院の
農林水産委員会
において満場一致、そういう意思決定がされたとするならば、当然行政庁の大臣はそれを実現するために最大の努力をすべきでないか。これは民主政治における原則的な私は問題であろうと思っておるわけでございますが、そういうことに大臣は一言も触れられないことに対しましては、私は納得できないのであります。どういうお考えなのか、これを明らかにしていただきたいし、もう一点は、食管法の問題でございますが、根幹とは何かという問題は、さらに中村
委員
からいろいろ深く掘り下げられて質問されると思いますけれども、大臣はあまり根幹、根幹と言って、根幹ということばにとらわれ過ぎておるのじゃないか。われわれはいわゆる食管
制度
というものをあくまでも堅持すべきである、こういう意思決定をしておるわけであります。これに対しまして大臣はどういうふうに受けとめられるか、この二点につきまして明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
西村直己
44
○
国務大臣
(
西村直己
君) 先般
委員長
としての御要望は十分承りまして、そのときにも私発言を積極的に申し上げまして、
農林水産委員会
の
委員長
としての御要望、これに対しまして、米審につきましては各党間の話し合いを進められておるおりでありますから、十分この要望は承りまして、そうして各党間の話し合いの結果を尊重して努力してまいりたい、こういうふうに御答弁申し上げておりました。私はそれは国会の農林水産
委員長
の御要望というものを十分念頭におきつつ、各党間の話し合いを見ながらやってまいりたいという
趣旨
でございます。 それから食管
制度
につきまして、私どもは根幹を守る。ただ食管につきましては、当面運用についての
改善
の部分があるかもしれません。そういうような点は大臣の所信表明におきましても食管管理
制度
の運用の
改善
というようなことを申し上げております。そういう
趣旨
で食管
制度
の根幹を守りながら運用
改善
はしていきたいという
趣旨
であります。
川村清一
45
○川村清一君 もう一点重ねてお尋ねをしておきたいのですが、非常に重大な御発言だろうと私どもはいまとらざるを得ないわけであります。
委員会
の決定あるいは決議に対する大臣の受けとめ方の問題でございまして、単に米審だけの問題でなくて、私は
委員会
運営の今後に非常に大きな問題を残す御発言だろうととっておるわけであります。すなわち、
委員会
の決定、
委員長
の発言は十分承っておきます。そうして各党間の話し合いを尊重してきめますと、大臣自身が非常に自主性がないことと、それから
委員会
の決定は承っておきます、こういう考え方は、われわれとしては納得いきません。このことがいろいろな今後法案
審議
にあたりましても
委員会
では
附帯決議
というものを全く与野党一致してつけることがずいぶんあるわけです。その
附帯決議
が決議としてはつけられましても、その実施というものに対しましては、まことに御当局は無責任である。このことがしばしばこの
委員会
において追及されている。先般の乳価問題でも
渡辺
委員
からこの問題を鋭く追及されましたことは、大臣御承知のとおりだと思うわけです。いわゆる
委員会
の決定をこういうような、簡単に、承っておきますというような姿勢でもって受けとめられておるということはまことに遺憾でございまして、そういうようなお考えでありますならば、今後われわれは
委員会
運営につきましていろいろ考えなければならないと、こういうふうに私はいま思ったわけであります。 そこで、米審の問題でございますが、先ほど申しましたように、各党間の話し合いを十分見守るということも必要でございましょう。しかしながら、最終的にはやはり大臣が任命するのですから、大臣が断を下さなければならないと思うのであります。もちろん大臣の属する
政府
、自民党からいろいろ大臣の意向を聞かれるでしょう。そのときに何も自主的な考え方もなく、ただその決定に従うというだけなんでありますか。それとも、
委員会
でこういう決定がある。大臣としてやはり国会の意思を尊重するという立場から
委員会
の意思を実現するように私も懸命な努力をする、こういう立場で
委員会
決定に臨むのか、この大臣のかまえです、姿勢です。 〔理事
任田
新治君退席、
委員長
着席〕 現在どういうような一体気がまえでいるのか。まあどうにかきまるだろう。きまってきたならばそのとおりやるというようなことなのか。大臣には信念がないのか。倉石さんは、いろいろあとから批判されまして、ずいぶん悪口を言われました。悪口言われても、倉石さんは倉石さんのやっぱり信念があったからあれをやったのでしょう。しかし、
西村
さんにはその信念がないのですか。ただ、各党間で話し合っているから、それを尊重してきめるというだけなんですか。あなたには、米審というものはこうでなければならないのだという、そういう信念がないんですか。そういうお考えで進めなければならないと思うのですが、一国の農政をあずかる大臣じゃございませんか。もう少し自主的な信念を持ってやっぱり答えていただかなければ、一体日本の農民は安心して
西村
大臣の農政を信頼していけないじゃないですか。はっきりひとつ申していただきたいと思うのです。
西村直己
46
○
国務大臣
(
西村直己
君) 非常に大きな重大な問題でございます。したがって、この点につきましては、私同じことを繰り返すようでありますが、各党間の協議結果、これを十分尊重する、同時に農林水産
委員長
から御発言のありました点も、ああいう経緯を十分存じております。そして、もちろんこれは最終的には米審
委員
の
構成
というものは、私、
農林大臣
の責任であるということも十分存じておる次第であります。
中村波男
47
○中村
波男
君 質問を戻しまして、根幹を守る、根幹を守るとおっしゃるのは三条、四条の規定を守るというふうに理解してよろしいですね。
西村直己
48
○
国務大臣
(
西村直己
君) 細部は
食糧庁長官
から御
説明
してもいいのでありますが、私の考え方は、三条におきまして生産者の価格、これは再生産価格、これを十分守ってまいりたいと思います。同時に四条のほうでございますが、売り渡し価格のほうは家計安定ということを目標として、そしてそれらが御存知のとおり、「物価ソノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」というふうになっております。そして、その間において米価を決定する、これは守ってまいりたい、こういう考えであります。
中村波男
49
○中村
波男
君 よくわかりました。それでは具体的に私が申し上げて、それに回答を与えていただきたいと思うのでありますが、三条は生産者米価のきめ方でありますが、いわゆる生産費・所得補償方式がとられておる。その生産費・所得補償方式によります計算のしかたについては、あるいは労賃の
基準
をいわゆる他の製造業労働者の労賃をとるといいましても、小規模と大規模とは労賃の格差があるのでありますから、あるいは地代をどう見るか、その他等々と、いろいろ問題はありまするけれども、少なくとも昨年おとりになった方式によって計算をするという、これが確認されなければ具体的に三条を守るということにはならないと思うのであります。 四条は申し上げますまでもなく家計米価主義をとっております。家計米価とは、いまさら私が申し上げる必要はないのでありますけれども、消費者米価改定の上限としていわゆる一般物価、コスト、生産者との
関係
及び財政事情などを総合的に勘案してきめるのでありますが、その家計米価の根拠になりますのは消費者家計の可処分所得の伸び率を既定の消費者米価に乗じて求めたものであります。大体その方式で昨年も消費者米価が決定されておるというふうに思うのであります。したがって、いま申し上げますように、生産者米価は生産費・所得補償方式をとる、それから四条の消費者米価は家計費米価をとる、こういうことを堅持されるということでありますか。
西村直己
50
○
国務大臣
(
西村直己
君) 再生産確保、そのためにいろいろな要素を積み上げたり、あるいは方式というものが出てくるわけであります。同時に家計米価、いわゆる消費家庭の家計というものを守っていくという四条の規定、これを十分堅持してまいりたい。それの
内容
のとり方等につきましては
食糧庁長官
から御
説明
をいたさせます。
大口駿一
51
○
政府委員
(大口駿一君) 生産者米価の算定にあたりましては、
昭和
三十五年産米以来いわゆる生産費・所得補償方式をとっておりますることは中村
委員
も御承知のとおりだと思いますが、この生産費・所得補償方式という名前で呼んでおります考え方の根本は、生産費はもちろんこれはカバーするようにきめる。その生産費の中で家族労働報酬に当たる部分を、
農業
と他の産業との所得格差の是正をはかるという見地から、製造業賃金に評価がえをして所得を補償する、これが生産費・所得補償方式の根本であろうと思います。 そこで、最近数年間の米価の決定の足どりを見ますと、いわゆる積み上げ計算方式という方式と指数化方式という方式が二つ考え出されまして、四十年、四十一年産米は、いわゆる指数化方式で算定をし、昨年は、従来の指数化方式にいろいろ基礎になっておる三十九年産米に政治加算が入っておるとか、入っておらないという問題がいろいろ論議を呼びますので、昨年は積み上げ計算方式でもって算定をいたした経過は御承知のとおりであります。私どもは、これらは単なる方式の問題でございまして、共に生産費・所得補償方式というものに総称される中であるというふうに考えております。したがいまして、ことしの四十三年産米の米価決定でもっていかなる算式をとるかという方針についてはまだ
検討
もいたしておりませんが、しかしいずれの場合でも、生産費・所得補償方式で算定をするという考え方をいま直ちに本年から変える意思はございません。 それから消費者の米価のほうでございますが、消費者米価は食管法の四条に「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ」ということの具体的な表現として、ただいま御指摘になりましたように、前回の消費者米価に一定
期間
の可処分所得の伸び率を掛けて算定した計算上の家計米価というものを上限としてきめるということでやってまいっております。この方式は、やはり食管法第四条の具体的な運用の姿だろうと思っておりまするので、本年かりに消費者米価の改定があるといたしますると、その計算の考え方の根本は従来と同様であろうと考えております。
中村波男
52
○中村
波男
君 私はもうちょっと素朴に、端的にひとつ明らかにしてもらいたいと思うんですが、生産費・所得補償方式というものの中に指数化方式なり積み上げ方式なり、いろいろそのときそのときでおやりになってきたのですが、私の聞いておるのは、少なくとも昨年の米価の計算方法より
内容
的に下がるような方式をとらないということさえ言ってもらえればはっきりすると思うんです。四条の
関係
については、いま長官から御
説明
がありましたので、いわゆる家計米価方式をおとりになるということで納得いたしますが、語るに落ちるといいまして、本年は生産費・所得補償方式をとっている、長官はこう言っておられますので、その問題についてまたあとから具体的に聞きますが、重ねて言いますが、昨年の生産者米価をきめられたいわゆる計算方式、その
内容
が下がるようなことはない方式をことしもとる考えだと、こうはっきり言っていただけば一ぺんに済む話です。
西村直己
53
○
国務大臣
(
西村直己
君)
食糧庁長官
から……。
大口駿一
54
○
政府委員
(大口駿一君) 中村
委員
が一ぺんに済むと仰せられるので、私も一ぺんで済ませたいのでありますけれども、やはり事は重要でありますから、正確に表現をいたしたいということでさっきのようなことを申し上げたわけであります。 積み上げ計算方式と指数化方式というものは、それぞれ方式の違いはあっても、生産費・所得補償方式には違いないと私どもは思っております。そこで、それぞれの方式にはそれぞれ長所、短所がございます。端的に申しますれば、積み上げ計算方式には要素の取り方についての見解の対立が絶えない。したがって、算定方式の安定化をはかる意味では、私どもは指数化方式のほうがよりスムーズに、論議が生じない方式だろうと思っておりますが、しかし指数化方式で算定をいたしました二年間に出ました論議の中で、指数化方式のもとになっている三十九年産米の米価というものは、御承知のとおりに五百五十円という特別加算額がありますので、これを含めて指数化方式を適用いたしますことはよろしくないという御意見もあったわけでございまして、それらを頭に置いて昨年は積み上げ計算方式をとったわけでありますから、いまの中村
委員
が申されましたことに端的に一ぺんに済ませるようにお答えする方法は、昨年と同じ積み上げ計算方式をとってなおかつ要素も同じにいたしますというふうにお答えをせざるを得ないということになるわけでありますが、私は、どの方式をとるかについてまだ未決定でありますときに、一ぺんに済ませるような御答弁を申し上げることができないのがはなはだ残念でございます。
中村波男
55
○中村
波男
君 答弁としては名答弁かもしれませんが、私の言っているのは、
内容
的に少なくとも昨年より下らない方式をとるんだということさえ明らかになれば、食管の根幹を堅持されるという
西村農林大臣
の方針について大体了承いたします。それが明らかにならなければ生産費・所得補償方式であっても、とり方によっては低くもなるし高くもなるのでありますから、これが一番私は聞きたいところであり、またそれを明らかにされることが大臣の根幹を守るという
内容
であるというふうに思うのであります。
大口駿一
56
○
政府委員
(大口駿一君) 私もあまり留保
条件
をつけたような答弁を申し上げるのはこの際としてはいかがと思いまするので、中村
委員
が申されておりまするのは、具体的な
数字
はともかくとして、考え方で後退をしないようにということでお聞きになっているとすれば、私どももそのようにすべきではなかろうかというふうに考えております。
中村波男
57
○中村
波男
君 一つの問題に時間をとるわけにまいりませんから次に入りたいと思いますが、食管赤字二千四百十五億を一般会計から繰り入れたのでありますが、逆ざやの問題についてどういうお考えをお持ちでありますか。
西村直己
58
○
国務大臣
(
西村直己
君) ただいま、もうすでに御
説明
申し上げるまでもなく、米価におきまして消費者米価のほうが生産者米価より安いと、そこで財政負担も相当膨大にのぼっておる。こういうことは必ずしも食管の
制度
の中において、食管
制度
自体もある意味では経済性がなければいけないわけであります。非常に正常ではない姿である。逆ざやであるというふうに私どもは考えております。
中村波男
59
○中村
波男
君 正常である、正常でないということは見解の相違でありますが、大臣は正常でないと、——正常でないようなことを長く続けられるということは、これまた責任問題だと思うわけです。そうだとするならば、正常でないのがどことどこにあるのか。したがって、正常にされるためには方策というものがあると思うのでありますが、その点いかがですか。
西村直己
60
○
国務大臣
(
西村直己
君) 具体的になりますから大口長官からお答えさせることにいたします。
大口駿一
61
○
政府委員
(大口駿一君) 現在の生産者米価と消費者米価の
関係
を
数字
でちょっと最初に申し上げてから御
説明
いたしますが、御承知のように、生産者米価は玄米一石当たり一万九千五百二十一円ということになっておるのは御承知のとおりであります。消費者米価を玄米一石当たりに換算をいたしますと一万九千六円になるのでありまして、この両方を比較いたしますと、差し引きますと五百十五円消費者米価が安いというかっこうに実はなっておるわけであります。 そこで、正常でないという表現をしばしば大臣が申されておりまする意味について、私の理解をしておる範囲で申し上げたいと思いますが、現在の食管法の三条では、生産者米価の算定の根拠が示されており、四条では、消費者米価の算定の根拠が示されておりまして、それぞれ別個の条文を基礎にいたしておりまするので、これは二重米価を
予定
したものであるという議論があることも承知をいたしております。しかし、二重米価ということばの正確な定義は必ずしも見解の一致の上に立って使われておるとは思いませんが、私どもはやはり、食管法の第一条に示しまする
目的
に従って食管
制度
を運用していく場合に、両米価がいわゆる通俗的な意味での二重米価制にならざるを得ないということは、私どもも全く否定はいたしておらないのであります。しかしながら、その事態がだんだんと極端になってまいりまして、先ほど申しましたように、生産者米価よりも末端の消費者米価のほうが五百円も安いという
状態
を食管法制定当時から当然行き着く姿として予想しておったとは考えにくいのではないかということが第一点と、それから現在の食管
制度
を健全に運用する上において食管法というのは
農家
に一定の米の保有を認めた上で残りを国民食糧の確保のために供出をしてもらうというのがたてまえと思いまするが、末端の
農家
が自分のつくった米を全部
政府
に売って、逆に配給を受けたほうが有利であるというような形は、少なくとも食管法の健全なる運用には若干正常を欠く事態ではなかろうかという二つの
理由
で正常化をはかってまいりたいということをしばしば申されておると思います。
中村波男
62
○中村
波男
君 いまの食管
制度
の根幹を守るという上に立って運用するということになれば二重米価性であり、おのずから逆ざやというものが出て赤字が出るということは明らかであります。そのことを不正常だとしていま長官が指摘されました生産者は
政府
に全部米を売り渡して配給を受けたほうが得になる、それはそのとおりでしょう。しかし、そのような道は食管法その他によってやれないと思いますし、そういう、生産者が全部国に売り渡して配給を受けるような道が開けておりますか。——開けてないと思います。
大口駿一
63
○
政府委員
(大口駿一君) 私の表現がやや極端であったかと思いまするが、御指摘のように、ただいまの
制度
の運用面では、
政府
に米を販売した
農家
には配給通帳を交付いたしておらないように
指導
をいたしておりまするから、現実には、そういう保有米を全部売って食いぶちを全部配給を受けるという
農家
は起きないように
指導
をいたしております。私は、食管法の分理解釈からして、そういうことが可能であるかどうかの議論はやや問題がありまするから差し控えるといたしまして、しかし、食管法の基本的な考え方はやはり、一定の数量を
農家
に優先的に保有を認めて、残りを消費者のために供出をさせるというのが基本的なねらいだと思いまするので、実際にそういう姿が起きる起きないにかかわらずいま申したような価格
関係
というのは
制度
ができたときから予想した姿ではないのではなかろうかという私の見解を申し上げたのであります。
中村波男
64
○中村
波男
君 四十三年度の予算編成に当たって大蔵省はあらかじめ生産者、消費者米価を見込むいわゆる予算米価主義をとろうとしたのでありますが、倉石前
農林大臣
がこれには抵抗をされまして、それはまあ行なわれなかったのでありますが、しかし総合予算主義がとられております以上は補正を行わないということになっておると思うのであります。したがって、倉石前
農林大臣
は一応筋は通したかに見えまするけれども、いま
食糧庁長官
も言われましたように、現在の赤字というものをもとに考えるならば不正常である、しからばその不正常をあなたのほうの言い分からいうならば正常化するということが真剣に取り上げられ、考えられてしかるべきだと思うのであります。したがって、不正常を正常化するためにどのようなお考え方を持っておられるのか、私たちはスライド制の採用というものが当面お考えになっておる方針ではないかというふうに思っておるのでありますが、その点はどうでありますか。
大口駿一
65
○
政府委員
(大口駿一君) 総合予算主義という財政の考え方に基づいて本年の予算編成をやっておりまする根拠なり
理由
は、必ずしも米価だけを頭においていっているのではなくて、いわゆる年度途中で大体予見できるような財源というものはフルに見込んで予算を組むという考え方から出発をしたものと私どもは理解をいたしておりまするが、食管特別会計におきまして、私どもが先ほど申しましたように、米価の現在の
状態
はやや不正常であるのでこれを正常化したいということは——ただいまスライド制ということばで申されましたが、私どもはスライド制ということばは、これまた、いろいろな意味がありまするので、大臣もしばしば機械的なスライド制というものをとるのではないということばを使われておるのであります。しかし、やはり生産者米価の改定があれば、先ほどの米価
関係
からいたしますると、消費者米価をある
程度
手直しして両米価の
関係
がこれ以上不正常にならないように、できればもっと正常の
状態
に戻したいという考え方で、また食管
制度
の運用を健全にするための見地から、そういうことを考えておるわけで、そのことの結果、財政面では総合予算主義の考え方と結果的に一致するのではないかというふうに考えております。私どもは現在の赤字の額が不正常だというふうに申し上げたつもりはないのでありまして、私どもの立場からいたしますると、現在の米価の正常化をはかるという直接の動機は、両米価の
関係
、位置の問題を申し上げているのでありまして、赤字の額が膨大であるから不正常だという
趣旨
は申し上げていないのであります。
中村波男
66
○中村
波男
君 今度は逆にことばを返すようでありますが、不正常な
状態
というのは、いわゆる
昭和
三十五年ですか、いまの方法が採用されてから今日まで続いておるのでありまして、したがって三、四年前にも財界その他ではそういう意見があった。なかったとは申しませんけれども、日程にのぼってきたのは、第一番には
昭和
四十二年産米がいわゆる千四百万トンという壁を破るほどの大豊作であった、赤字が二千億を連続してこえたというところに、食管
制度
を考えなければならぬという背景と
条件
があったと思うのであります。端的に言うならば、二つではないかというふうに思うのであります。 そこでお尋ねいたしたいのは、
西村農林大臣
は予算
委員会
でわが党の田中寿美子さんの質問に答えて、生産者米価について上がる要素があるが下がる要素もある、こういうふうにまあ
説明
をされております。私は下がる要素というのはいわゆる増産、収穫が上がったということも大きな下がる要素であると思います。もちろんまだ的確な
数字
をもって米価が全体として上がるということをお示しいただけないと思いますが、大ざっぱに言って、昨年のような算定方式を踏襲するとするならば本年度は生産者米価というものはどのような計算になるかということを、ひとつ長官からお示しいただきたい。
西村直己
67
○
国務大臣
(
西村直己
君) 予算
委員会
で田中さんからもその点質問がありまして、たしかに私は労賃、資材費等が上がって、したがってそれらが要素になった場合には上がる要素があるわけであります。ただそれに対して他の
生産性
の向上その他が多少チェックしてくる要素も考えられないことはないであろう、こういう意味で、全体としては生産者米価が上がるというふうに考えるべきじゃないかというふうに、こういうふうに申し上げたのであります。
大口駿一
68
○
政府委員
(大口駿一君) いまの上がる要素と下がる要素という表現をお使いになられたことは、昨年までの生産費・所得補償方式を本年も踏襲しようと思っておりますが、それは御承知のように、生産費をまずもとにいたしまするので、生産費の
構成
要素になっております物価、資材費それから労賃、これが上がれば生産者米価の算定値は上がることはこれは当然でございます。しかしながら逆に
土地生産性
の向上に伴う反収の増、それから
労働生産性
の向上に伴う労働時間の減、これは下がる要素という表現がいいのか、上がるほうをチェックする要素ということがいいのか知りませんが、少くとも逆に働く要素であるということは間違いないわけでございますから、そういう
趣旨
を申されたのだと私は理解いたしております。
中村波男
69
○中村
波男
君 それでは消費者米価でありますが、昨年消費者米価をきめられた以後の指数と申しますか、いわゆる家計米価の算定を行ないまして、見通しとしては何%くらいの数値があるのですか。最高限度は何%かということをお伺いしたい。
西村直己
70
○
国務大臣
(
西村直己
君) 長官のほうから……。
大口駿一
71
○
政府委員
(大口駿一君) 可処分所得の推移というのは総理府の家計
調査
に基づいて私どもは計算をいたしているわけでございまするので、これは毎月毎月の
数字
をとった上で、消費者米価を改定いたす場合には、その直前の統計
数字
に基づいてやりますので、いまから本年のかりに秋と考えましたときまでの家計の伸び率を推計することは非常にむずかしいのでありますが、しかし大体の傾向から申しまして、最近の各月の可処分所得の
数字
がちょうど一年前の各月に対してどのくらいの
比率
であるかということを見ましてお答えにかえさせていただくといたしますと、本年一月の総理府の家計
調査
に基づく
数字
を昨年の一月の
数字
に比較いたしますると、一一〇・八という
数字
になっております。この可処分所得の傾向というのは、景気の動向その他いろいろなファクターによって左右されますので必ずしも一律ではございませんが、ことしの一月のいまわかっております
数字
が一年前に対して一一〇・八という
数字
に実はなっております。
中村波男
72
○中村
波男
君 もう少し具体的な
数字
に入って質問したいと思うのでありますが、食管会計の
昭和
四十二年度の決算見込みは……。——二千四百十五億を繰り入れられたわけでございますが、もちろんワクの中でおさめられるべくいろいろ努力されているようでありますが、それらを含めて御
説明
いただきたい。
大口駿一
73
○
政府委員
(大口駿一君)
昭和
四十二会計年度におきましては食管特別会計に対しまして、当初予算並びに補正予算を合わせまして二千四百十五億円の繰り入れをあおいだわけでございますが、実際にどれだけの損失が見込まれ、かつこの繰り入れでどういうふうに操作したかということを申し上げまするというと、その前年であります四十一会計年度におきまして最終的な決算の結果、調整勘定の中に六十五億の残高が出たのであります。そこで四十二会計年度中に当初予算、千二百三十五億、補正予算千百八十億、合わせて二千四百十五億の繰り入れをあおぎました。実際に四十二年度の国内米、国内麦、輸入食糧の各損益を全部通算いたしますると二千四百六十九億の損失になります。したがいまして、当初の繰り越し金額と四十二年度中の受け入れ金額を合計いたしまして、ただいまの損失を差し引きますると残高十一億の繰り越しということになる見込みでございます。四十二年度の現在御
審議
願っております予算におきましては私どもの推計といたしましては、国内米勘定二千二百九十五億、国内麦勘定で二百六十億のそれぞれの損、それから輸入食糧におきましては百四十億の益というものを
予定
いたしまして、合計いたしまして二千四百十五億の損失というふうに推計をいたしておりまするので、年度初めの十一億の繰り越しがそっくりそのまま年度末に繰り越されて、年度中におきまする損失は一般会計から二千四百十五億繰り入れてもらって消すという考え方で、現在の予算案は編成されております。
中村波男
74
○中村
波男
君 一番集計をしておられる近い時点における今年の
政府
買い入れ量は幾らですか。
大口駿一
75
○
政府委員
(大口駿一君) 四十三年度産米の一番最近の買い入れ
実績
は、三月二十日までの
数字
を目下つかんでおりまするが、九百八十一万五千トンぐらいでございます。三月末の
数字
は、あと二、三日たちませんとちょっと私どもの集計が終わりませんが、予算で大体見込んでおりまする
数字
、つまり買い入れ日の手当てその他をいたしました
数字
は九百八十二万トンまで買える弾力条項の発動その他の準備はすでに終わっております。
中村波男
76
○中村
波男
君 この予算
措置
としての九百八十二万トンをわずかでも上回るという予測はありませんか。
大口駿一
77
○
政府委員
(大口駿一君) これは神様でないので、ちょっとわれわれの考え得る範囲でまずだいじょうぶだと思ってつくった見込みでございまするが、実は三月に入りますと、例年買い入れはほとんど大部分ピークを越しましてスローダウンしておりまして、三月の二十日現在で九百八十一万五千と申し上げましたが、その前の十日間でございますか、もう五、六千トン
程度
の数量に落ちておりまするので、私どもは最後の十日間で五千トンこさなければ九百八十二におさまるわけでありますが、まずまずだいじょうぶだと私は思っております。
中村波男
78
○中村
波男
君 重ねてお尋ねいたしますが、
昭和
四十三年度繰り入れの二千四百十五億、これは見通しとしては赤字にはならない、こういうことでありますか。
大口駿一
79
○
政府委員
(大口駿一君) 赤字にはならないということばのことばじりを申し上げるわけじゃございませんが、赤字になるからこそ、繰り入れを仰いでおるわけでありまするが、この繰り入れ以上に赤字を出さないという
趣旨
でのお尋ねかと思いまするが、私どもは実はことしの食管会計の運用は、まだ生産者米価をどういうふうにするか、消費者米価をどういうふうにするかという問題も重大問題として控えておりまするが、しかし食管特別会計の損益に影響を及ぼす要因といたしましては、両米価の決定、買い入れ数量並びに中間経費の推移等が全部からんでまいりまするので、私どもといたしましてはこれらの全部の要素を総合的に勘案をいたしまして、予算編成の考え方を十分念頭に置いた上で、現在
予定
されておる損益の範囲内でこの一年間の運営をはかってまいりたいということを基本的に考えております。
中村波男
80
○中村
波男
君 四十二米穀年度ですか、それから四十三米穀年度に繰り越したいわゆる古米は六十四万トンですか、と聞いておるわけでありまするが、これの処分はどのようになっておりますか。
大口駿一
81
○
政府委員
(大口駿一君) 昨年の十月末すなわち四十二米穀年度末の古来の持ち越し量は六十三万九千トンでございます。そこで、私どもは四十三米穀年度に入りましてから、この古来の売却を続けているわけでありまするが、大体二月までで五十四万二千トン
程度
を売却いたしまして、あと九万トン前後の
数字
を三月以降に売却をするということでやっておりまするが、これは保管におきましても品質保持に万全の注意をしてやってまいっておりまするし、また新米と古米というものをできるだけ消費者の食味に不均衡を来たさないような配慮を加えながら今日まで売却操作を続けてまいって、ほぼ古米の処理が完了いたしかけている現状でございます。
中村波男
82
○中村
波男
君 四十三米穀年度から四十四米穀年度に繰り越されると予想される古米というのは何万トンあって、これは相当五カ月以上の需要量に見合うかと思うのでありますが、問題があると思うのでありますが、それらについての
対策
なりお考えをお尋ねいたしたいと思うわけであります。
大口駿一
83
○
政府委員
(大口駿一君) 今米穀年度末、すなわちことしの十月末に持ち越します古米の数量は現在の需給計画上からいたしまして二百三十五万トンでございます。この
数字
は戦後にかつてない非常に大量な
数字
でありまして、昨年の十月末の持ち越しておりまする六十数万トンの古米処理でも相当な苦心をいたしたのでありまするから、それからいたしますると、この秋の持ち越し古米の処理については配給操作の面でなみなみならぬ苦労をいたすものと思っております。私どもの苦労ばかりではございません。消費者にも結果的には非常に一部ごしんぼう願うということに相なるわけでありまするが、私どもといたしましては、できるだけ品質保持のむずかしいような米はできるだけ早期に、たとえばつゆ前に軟質米を処理するというようなことで持ち越し米にはできるだけ良質の米を充当するような配慮をすると同時に、できるだけ
長期
にわたって古米の売却を続けなければなりませんので、保管管理については食糧事務所の職員並びに倉庫業者を督励いたしまして、従来にも増して万全なる、保管管理にあらゆる努力を傾注してもらうようにいたしたいと思っております。
中村波男
84
○中村
波男
君 繰り越し古米に関連して、新聞によりますと、全糧連が古米の値引き要求を出してきておるようであります。三十四年に古米十万トンについて一俵あたり四十円の値引きをされた例があるようでありますが、まだ相当な
期間
がある問題でありますが、それらの要求についてどう対処されようとするのか、方針が明らかになっておればお聞かせをいただきたい。
大口駿一
85
○
政府委員
(大口駿一君) 古米の問題につきまして、米の配給業者からすでにいろいろな要望が出されております。そこで私どもは、この古米の処理に当たって、消費者の問題と米屋の問題とを区別して慎重に
検討
する必要があると思いますが、米屋の問題というのは古米は歩どまりが悪いので同じ値段で売ってもらったんでは米屋のそろばんが悪くなるという見地から出されておる要望でありまして、結局、消費者には同じ値段で古米を売るということを前提として考えておるわけでございます。消費者の問題といたしましては、古い米を同じ値段で配給せぬでもいいじゃないかという声が別にあるはずでございます。いずれにいたしましても、いまの時点で具体的にどうするかという問題は、何にもまだ具体案を持っておりませんから、いずれ今後、十分に
検討
すべき問題であるというふうにお答えせざるを得ないわけでありまするが、しかし、過去にも、古米については、若干の値引きをして売った例が、ただいま中村
委員
が御指摘になりましたような年にもあったわけでありまして、ことしの秋の持ち越し数量が前例のないほど大量な
数字
でありまするので、この問題はよほど取り扱いを慎重にいたした上で、先ほどの古米処理をできるだけスムーズにやっていくという見地からも
検討
していかなければならぬ問題だと思っております。
中村波男
86
○中村
波男
君 米の保管上いろいろわれわれも聞いておるのでありますが、保管が悪いといいますか、不完全なために、相当いたみ米と申しますか、人間が食えないためにほかのほうに転用し処分をするものも出ると思うのでありますが、そういうのが三、四年の間にどれくらいあったかということもこの機会にお聞きをしておきたいと思います。
大口駿一
87
○
政府委員
(大口駿一君) 米を保管いたします場合に、大事な食糧を品質の低下を来たさないように万全を期してまいるという考え方で従来もやってまいったのでありまするが、やむを得ざる事由で事故品として主食用から除外をしていかざるを得なかったものがございます。たとえば、火災によって損傷を受けた米であるとか、あるいは風水害、地震等で倉庫保管中の米が品いたみがしたために主食用に充当できないで事故品として売却した
数字
がございます。最近の数年間の
数字
を申し上げますと、
昭和
三十八年度——この年度と申しますのは会計年度でございます。会計年度として御理解いただきますが、
昭和
三十八年度二百五十五トン、それから
昭和
三十九年度千五百三十九トン、
昭和
四十年度七百九十四トン、
昭和
四十一年度七百二十三トン、それから
昭和
四十二年度は十二月末までの
数字
しか把握いたしておりませんが、千百二トン、以上でございます。
中村波男
88
○中村
波男
君 火災あるいは水害等、不可抗力な面から出てくるいたみ米というものは、これはやむを得ぬと思いますが、保管倉庫の不備、あるいは保管者の怠慢等々から、悪くならなくてもよい米がいたむという事例も相当あると思うのであります。さらに今後米の需給が緩和するということは倉庫の在庫
期間
が長くなるということでありますし、すでに保管上の問題が相当出てきておると思いますし、農協等の保管倉庫は、相当古くなっておりまして夏を越すということ自体に完全でないという倉庫も相当あるのでありますが、保管
対策
というものをやはり真剣に考え、
長期
見通しの上に立ってどうするかという問題が急務だと思いますが、それらの
対策
がございますか。
大口駿一
89
○
政府委員
(大口駿一君)
政府
の手持ち米が非常にふえておりますので、倉庫
対策
としては、まずスペースを確保するという
対策
と、それから保管管理米の品質保全と二つに分けてお答えをいたしまするが、倉庫収容力の確保につきましては、新規に契約をして倉庫
指定
を行なうとか、あるいは臨時に
指定
をするというようなことで、できるだけ倉庫の数をふやしたり、あるいは倉庫の高度利用をするために、やむを得ず若干の県内移送等を行なって倉庫のスペースの確保にはあらゆる努力をして、四十二年度米の最もピークでありまする十二月末の保管には一応乗り切ったのでございます。 それから保管米の品質保全につきましては、通常倉庫業者を督励してやってまいるほかに、本年のように非常に
長期
にわたって保管をいたしまする場合には、一定間隔で水分検定をやらせるとか、あるいは見回りをひんぱんにやらせるとか、あらゆる努力を講じて、大事な米の保管をしておる間に品いたみ等が起きないように、あらゆる努力を例年にも増してやっております。 それから先ほど、保管中にいたまなくてもいい米がいたんだものがあるかというお尋ねでございまするが、先ほど申しました不可抗力による転用事故品のほかには、品いたみのために値引きをしなきゃならぬとかいうようなものは起こっておりません。ただ、一部若干、品いたみ等でカビくさいようなものにつきましては、
政府
が販売業者に販売をしたあとの段階で、販売業者にはそういうような事態に対処するために、調整金
制度
というものを一定の積み立て金
制度
をやっておりますので、これは販売業者の段階で処理をするものが起きた例は若干ございますが、
政府
の売り渡し段階で値引きをしなきゃならぬようなものは、先ほどの不可抗力による
数字
以外にはございません。
中村波男
90
○中村
波男
君 そこで新聞等の伝えるところによりますと、食管
制度
に対する農林省の態度は、生産面に手をつけると抵抗が強いので、これはあと回しにする、したがって、配給面から手をつけようというのが私はほんとうの腹のうちではないかというふうに思うわけであります。第一番としては、準
内地
米の自由化などを含めて配給機関に手をつける、第二番目としては、配給価格では最高価格を設け、その範囲内で米屋が混米をしたり、うまい米をサービスするような
制度
をつくる、まあこういうことが伝えられております。 そこで、もう時間もありませんから、まだいろいろお尋ねしたいことがありますが、そうもなりませんので、大臣にお願いをいたしておきたいと思いますが、大臣が食管
制度
を堅持する、堅持すると言われれば言われるほど疑心暗鬼、農民はどうなるかということに、大きな不安におののいております。したがって、さっきもおっしゃったように、端的に表現をされましたが、いまの
状態
というのは不正常だ、だから私が質問を申し上げておりますように、不正常であるならば正常にすることを考えるのは、大臣として当然な任務であり、責務であると思います。したがって、具体的にこのような構想を持っておるのだ、そのことについてひとつ国会とも話し合おう、
農業
団体ともひとつ腹を割って話し合おう——私たちでも食管赤字が一兆円になっても一兆五千億になってもよろしいなどという、そういう考えを持っておるのではありません。したがって、もう少し具体的に現状を明らかにされまして、そうして方針を打ち出されることが私は重大だと思います。それがない限りは混迷は続くと思います。そういう意味でいま私が質問をいたしました、具体的な農林省の構想として伝えられておる流通面についての何と申しますか態度があるならば、お聞かせをいただきたい、こう思うわけです。
西村直己
91
○
国務大臣
(
西村直己
君) 食管につきましての御意見は私は御意見として承りますが、配給面につきましてかなりわれわれとしてはまだ合理化、
改善
をする、くふうを加える余地もあるかもしれません。そういうところは
検討
してまいりたいと思うのであります。なお、細部は
食糧庁長官
から配給についての補足をしてもらいたいと思います。
大口駿一
92
○
政府委員
(大口駿一君) 先ほど中村
委員
は、集荷のほうは抵抗が多いから配給に手をつけるのだということを申されましたが、決してそういうことではないので、現在の食管
制度
の運用面においていろいろ配給の面に特に問題が多い、たとえば販売業者が格上げ、混米等を行なって消費者に不当に高い米を売っておるという事態が、
全国
ではございませんけれども、一部の大消費地にあることも事実でございます。それから
内地
米の供給が非常に多くなってまいりました
関係
で、一昨年の十二月からいわゆる普通外米と申しますか、東南アジアでとれます長い粒の外米、これを自由販売にいたしたのも、これも一つの当時としては運営の
改善
の一つだったと思いますが、やはり配給の面では、現在の食管法の範囲内でまだまだ
改善
を要する点が幾多あるのでございまして、たとえば販売業者の登録の問題等につきましても、私どもはいろいろ賛否両論あるとは思いますけれども、しかし一定の卸、小売りのルートが固定しておって、何らそこに競争が行なわれないことからくる是正の余地というものも指摘されている向きもございます。また、これは逆に言えば、
政府
が配給統制をいたしておりますので、米屋のほうから見れば、自由に品質を選択して
政府
から米が買えないということもありまするので、全くの自由販売の商品と同じように競争させるということは、これは適当ではないかと思いますが、そこら辺にもいろいろ
検討
しなければならぬ問題もありまするし、配給も全体でいろいろ運用の
改善
の問題はあろうかと思います。 それから集荷の面で全く問題がないわけではないわけでありまして、たとえてみますれば時期別格差の
制度
のごときは、この
制度
がありますために非常に短
期間
に米を乾燥の上出庫させるというようなことから、事後の配給米の品質保全の点から非常に問題が起きておるとか、それから一時期に非常に労働力を過重に必要とするということから、
農業経営
の労力配分の問題でもいろいろ問題が起きておる等の問題もありまするので、ここらについてどのように監督するかという問題も解決を迫られている問題の一つでございます。 いずれにいたしましても食管
制度
全体で、運用の
改善
というものは今後もやらなければならぬことがたくさんあると思っておりますので、そういう
趣旨
で今後ますます運用の
改善
をはかってまいりたいということをおりに触れて大臣は申し上げたのでございます。
中村波男
93
○中村
波男
君
食糧庁長官
の親切な答弁は多とします。時間もたいへん経過しておりまするから、私が質問したことに端的に、そういう考えはないと、それをいま
検討
中だと、こういうようにひとつやっていただきますと時間も早いし、抽象論をお並べいただくことに意味はないと思いますので、具体的に、いま指摘したような問題は考えておらない、
検討
の余地があるから
検討
しておる、こういうふうに答えてください。
大口駿一
94
○
政府委員
(大口駿一君) ちょっといまの御質問の
趣旨
がよくわからない、よけいに長くしゃべるなということだけよくわかりました。
中村波男
95
○中村
波男
君 あなた私の質問聞いてなかったですか。——準
内地
米の自由化などを含め配給機関に手をつける、このことはいま抽象的におっしゃったが、配給価格では最高価格を設けてその範囲内で米屋が混米その他うまい米というものを売れるような道を開く、こういうことがいわれておるのでありますが、どうですか。
大口駿一
96
○
政府委員
(大口駿一君) その問題は
検討
いたしております。
中村波男
97
○中村
波男
君 そこで大臣、二千四百十五億というのは寝ても起きても忘れられないほどやかましい
数字
になりましたが、私は厳密に言って二千四百十五億赤字だというこの事態に問題があると思うのです。やるやらぬは別にして、間接統制にいたしましても
政府
の財政負担、財政支出というものは一定限度は必要とすると思うわけであります。それから食管会計といいましても米だけではないのでありまして、そういう点から考えて、あたかも全部が米の赤字である、したがって逆ざやである、戦前の間接統制の時代でも、相当農林予算と比べて、当時の農林予算よりも多く赤字を出し、負担を最終的にはしたと、こういう歴史もあると思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
西村直己
98
○
国務大臣
(
西村直己
君) 二千四百十五億と申しますか、財政上の問題、これもさらに食管に関連する一つの問題でございましょうけれども、私どもとしては食糧の安定供給という観点からすべてを考えて、単なる財政とかそういうだけにとらわれていくという考えはないのでございます。
中村波男
99
○中村
波男
君 だから食管会計の
内容
を
改善
するといいますか、分類のしかたを変えるといいますか、その点を
検討
する私は段階だと思うし、余地があると思いますし、いまのコスト主義というものを考えてみる場合には、
内容
的にいろいろな問題が含まれておると思うのでありますが、その点どうですか。
西村直己
100
○
国務大臣
(
西村直己
君) おっしゃるとおり、私どもは先ほど申し上げましたように、主要食糧、特に米を中心にした問題、これは食管は米だけではございません。したがって、私はこういうような問題を扱うのに、食管特別会計を扱いますのでも、単に財政だけの問題というような観点からものを運んでいきたいという考えではないのでございます。むしろ食糧の、特に主食の安定供給、これが私らに対しての課せられた大きな任務だ、こういう観点からすべての問題を取り上げてまいりたいというわけでございます。
大口駿一
101
○
政府委員
(大口駿一君) ちょっと補足して申し上げさしていただきますと、おそらくただいま中村
委員
が申されておりますことの
趣旨
は、一口に食管赤字といって、全部それができれば縮小すべき赤字であるかのごときことを漫然とやらずに、もっとくふうをしたらどうかという御
趣旨
だと思いまするが、私どもも実際に食管特別会計を運用しておる責任者の立場で赤字ということばを使われるのは非常に迷惑でありまして、何かやり方がまずくて出た赤字と混同されているように思われるのは非常に迷惑でありまするが、しかし、この赤字と通常申されておる中の中身には、売買価格の差額からくるものと経費に属するものとがございます。たとえて申しますならば、二千四百十五億の中で国内米の管理のためには二千二百九十五億でありますが、この二千二百九十五億は売買の価格差では千百一億、経費では千百九十四億になっております。そして、この千百九十四億の経費の中では、あまりこまかく申し上げては恐縮でございまするが、おそらく事務人件費のごときは、赤字として観念をしないでやるべきであるという御議論も過去に何回かいろいろの方面から御指摘になっておりまするし、また運賃、保管料その他、できるだけ運用の妙を発揮して、できるだけ節減をすべきであるという御指摘もいただいておりますので、そういう
趣旨
でいままでも努力をしてまいりましたし、今後もますます努力してまいりたいと思いますが、経費の計上のしかたには確かにいろいろ研究しなければならない問題がある、そのことは私どもも認めております。
中村波男
102
○中村
波男
君 私は私なりにさらにまだいろいろの意見がありますが、たとえて言いまするならば、食管会計と申しますか、需給操作のために年間
資金
量が数千億浮いておるのじゃないかと思いますが、それでありますから、金利も四百億以上にのぼっておると。国がその責任において食糧の需給を調整するというのであれば、少なくとも二千億くらいは利息の要らない金を国が食管会計へ
資金
として投資をすると、そういうようなことがあってもいいんじゃないかというふうにいま考えるわけです。したがって、出てきた
数字
にとらわれて、二千四百十五億だから、これでは何ともならない、不正常だと。それにはスライド制をとる以外にはないんではないか、あるいは需給が緩和してきたから、間接統制へ移行することが一番
政府
としては負担もかからないし、簡単ではないかというような、そういう安易な考え方に立っておるとは思いませんけれども、世論はそういうような
内容
において強く風当たりが出てきておるのでありますから、その点実力のある大臣でありますから、ひとつ少なくともいま私が申し上げますように、二千億といかなくても、千億円でも無利子の金が使えるということは、それだけ赤字会計がなくなるということでありますので、前向きでひとつ
検討
を願って、少なくとも大臣が言明をされておりますように、食管
制度
の根幹を守るという立場を明らかに具体的にしていただきたいというふうに思うわけであります。 なお私は、まだ今後の米の需給問題について、具体的に方針をお聞きしたいと思っておりましたけれども、すでに三時間近い質問時間をお借りしておりますので、最後にもう一点だけ大臣にお尋ねをいたしまして、本日は質問を終わり、次の機会に譲りたいというふうに思うわけであります。 話はまた戻りますが、米審がいつ発足するか、私には予測が立ちませんけれども、倉石さんは米価を諮問するだけではなしに、食管
制度
のあり方についても
検討
してもらう、こういうことをおっしゃって、そういう構想がありましたから、例年にない一月米審を任命されて、具体的に米審を開く計画が立てられておったと思うのであります。そこで
西村農林大臣
の予算
委員会
等における答弁を聞いておりますと、
政府
としては価格以外には諮問をしない、こういうふうにおっしゃっておるのであります。価格以外諮問をしないということでありますならば、従来の例に見ますならば、米審は七月開くということであれば、七月招集をされて開会をされれば事足れりと思うのでありますが、それらの点はどういうふうにお考えでありますか。
西村直己
103
○
国務大臣
(
西村直己
君) 最初のほうの御質問は、食管の赤字が何とか、あるいは二千四百十五億、それだけにこだわることなく——ごもっともでございます。同時にまたわれわれとしてはこれの運用におきましても、国庫余裕金その他を十分勘案して、金利の負担軽減をすべきまだくふうの余地を
検討
してまいりたいと思います。 それから米審に対する
政府
の態度の問題でありますが、これは米価その他主要食糧の価格決定、これを御諮問申し上げるという諮問機関でございますから、
政府
としてはこれについての答申を期待してまいりたいというのが
政府
の考えでございます。したがってこれは、ただいま
構成
等につきまして、先ほど来申し上げておるような経緯はありますが、それらを勘案いたしまして運用してまいりたい、こういうふうに考えております。
和田鶴一
104
○
委員長
(
和田鶴一
君) 本件についての質疑は、本日はこの
程度
にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十六分散会 —————・—————