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1968-03-28 第58回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)    午後零時二十七分開会     —————————————    委員異動  三月一日    辞任          補欠選任     佐藤  隆君      森 八三一君     菅野 儀作君      温水 三郎君  三月五日    辞任          補欠選任     田村 賢作君      大谷藤之助君  三月六日    辞任          補欠選任     大谷藤之助君      田村 賢作君  三月七日    辞任          補欠選任     田村 賢作君      谷村 貞治君  三月八日    辞任          補欠選任     谷村 貞治君      田村 賢作君  三月十四日    辞任          補欠選任     高橋雄之助君      横井 太郎君  三月十五日    辞任          補欠選任     横井 太郎君      高橋雄之助君  三月十九日    辞任          補欠選任     浅井  亨君      多田 省吾君  三月二十一日    辞任          補欠選任     田村 賢作君      中野 文門君     青田源太郎君      久保 勘一君     多田 省吾君      浅井  亨君  三月二十二日    辞任          補欠選任     中野 文門君      田村 賢作君     久保 勘一君      青田源太郎君  三月二十六日    辞任          補欠選任     青田源太郎君      吉江 勝保君  三月二十七日    辞任          補欠選任     吉江 勝保君      青田源太郎君  三月二十人目    辞任          補欠選任     園田 清充君      大森 久司君     堀本 宜実君      山内 一郎君     浅井  亨君      鈴木 一弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 大森 久司君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 田村 賢作君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 山内 一郎君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 渡辺 勘吉君    衆議院議員        農林水産委員長  足立 篤郎君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    政府委員        農林政務次官   日高 広為君        農林省農政局長  森本  修君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農政局拓        植開発課長    平   弘君        農林省畜産局参        事官       立川  基君        農林省畜産局牛        乳乳製品課長   松浦  昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改  正する法律案衆議院提出) ○農林水産政策に関する調査  (米価問題に関する件)  (乳価問題等に関する件)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、浅井亨君及び園田清充君が委員辞任され、その補欠として鈴木一弘君及び大森久司君が選任されました。     —————————————
  3. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) これより理事補欠互選についておはかりいたします。  去る三月十四日、高橋雄之助君が委員辞任され、再び委員に選任されましたが、本委員異動に伴い理事に一名欠員を生じておりますので、これより補欠互選を行ないたいと思います。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高橋雄之助君を指名いたします。     —————————————
  5. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長足立篤郎君。
  6. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) ただいま議題となりました農林水産委員長提出積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法、急傾斜地帯農業振興臨時措置法湿田単作地域農業改良促進法海岸砂地地帯農業振興臨時措置法及び畑地農業改良促進法対象になっております地帯は、積雪寒冷地域であるとか、地形が急峻であるとか、農地が常時湿潤であるとか、潮風又は飛砂による災害を受けるとか、あるいは、しばしば干害を受ける等自然的条件に恵まれず、農業生産力が著しく劣っている地帯でありまして、これら地帯自然的条件を克服し、農業生産力を高め、農業経営安定向上をはかるため、昭和二十六年三月に積寒法が、また、二十七年五月に急傾斜法が、そして同年十二月に湿田単作法制定され、引き続き、翌二十八年三月には海岸砂地法が、さらに同年八月には畑地法制定されたのであります。  しかしてその後、それぞれの法律について三回にわたり有効期限延長がはかられて今日に至っているのでありますが、その間、これら地帯農業生産基盤整備をはかるため、農業振興計画に基づきまして、土地改良事業農地保全事業等各種事業を実施して、この地帯の農家の要望にこたえて相当の成果をあげてまいったのであります。しかしながら、積寒地帯等は自然的、社会的、経済的状態が劣悪でありまして、これら地帯農業振興を積極的に促進することは、きわめて重要なことであり、振興計画に基づく諸事業をなお引き続き実施していかなければならない実情にあります。  そこで、この際、昭和四十三年三月三十一日限りで失効するこれらの法律有効期限をさらに三カ年間延長いたしまして、引き続き各般の関係事業の積極的な推進をはかり、これら法律制定所期目的達成するに遺憾なきを期するようにいたしたいと考える次第であります。  以上が本法案提出した理由でございます。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げる次第であります。
  7. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) それでは、これより質疑を行ないます。本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  8. 川村清一

    川村清一君 ただいま提案者より提案理由の御説明を承りましたが、この際、まず提案者一言お尋ねをいたしたいと存じます。  ただいま提案者からの御説明にもありましたように、本法積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法をはじめといたしまして急傾斜地帯、あるいは湿田単作地域海岸砂地地帯農業を振興せしめ、並びに畑地農業改良を促進することを目的とする五つ法律から成り立っておるわけでございます。しかも、いずれも議員立法でありまして、当初成立以来今日まですでに三回の期限延長がなされてまいっておるわけであります。今日の改正は実に第四次の期限延長であります。最初からこの法律期限を制限した時限立法でありますので、普通、常識的に判断いたしまして、三回も期限延長いたしますれば、たいてい立法目的達成されるのが当然であると考えられるのであります。しかるに今回さらに四回目の期限延長改正をなさなければならないと、こういう理由は一体那辺にあるのか、理解に苦しむものでございます。この点ただいまの提案理由説明だけではよく理解できません点がございますので、この機会に提案者から率直な御意見をお聞かせいただきたいと、かように存ずる次第でございます。
  9. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) お答えいたします。  いわゆる積寒法等特殊五法の有効期限延長を御提案申し上げた理由につきましては、ただいま御説明を申し上げたとおりでありますが、率直に申し上げますれば、特殊五法の対象地域における施策の進捗状況につきましては、必ずしも画一的ではございません。相当残事業もあると認められますので、この際、各位の御賛同をいただきまして五法の期限延長を行ない、これに基づいて政府振興計画等残事業を可及的すみやかに消化するとともに、自然条件の不良な地域農業振興につきまして、より一そう効果的な対策を講ずるための調査研究をさらに重ねてほしいというのが私の真意でございます。
  10. 川村清一

    川村清一君 それでは政府に対してお尋ねをいたします。この法律は、ただいま提案者の御説明にもありましたように、最初成立がいずれも昭和二十六年、あるいは二十七年、二十八年でございます。しかも法の目的は、きわめて劣悪な自然条件のもとに営農を続けております農民の生産力を高め、経営の安定と生活の向上をねらいとしたものであります。これが十数年たっていまだその効果をあげていないことはまことに遺憾でございます。これは一体いかなる理由によるものか。あまり期間が長くなったものですからマンネリズムになったものか、それとも悪く勘ぐれば、議員立法なるがゆえに行政熱意を持たない、怠慢だったのではないかと疑問を持たざるを得ないのでございます。そこで、今日まで十数年たってこのような状態である。その理由の最たるもの、あるいは今日までやられた点において、計画が一体どの程度進んで、一体どの程度残事業が残っておるのか、これは詳細あげなくともよろしいですが、大体のところをひとつここで明らかにしていただきたい、かように存じます。
  11. 森本修

    政府委員森本修君) 五法の計画に対します進捗状況でございますが、具体的な数字が詳細にございますが、計画に対するそれぞれ進捗率を申し上げますと、積寒地帯の分につきましては第三次計画に対しまして約七九%の進捗率でございます。それから急傾斜地帯もやはり第三次計画に対しまして七四%、それから海岸砂地地帯の分につきましては七四%、それから畑地関係は、実は若干計画と実績の間に項目的なギャップがございますので、形式的に比べますと一一〇%ということに相なっております。それから湿田単作地帯につきましては三六%でございますが、これは他の法律に基づきます振興計画の第三次の立て方が多少違っておりまして、これも形式的に比較いた・しますと三六%ということになっておりますが、実質的な比較におきましては、ほぼ他の地帯と同程度であろうというふうに了解をしておるわけでございます。
  12. 川村清一

    川村清一君 ただいまの御答弁では私のお聞きしていることに的確にお答えいただいてないわけでございますが、第三次計画に対する進捗状況というものは大体わかりました。しかしこの中で湿田地帯が三六%しか進んでおらないというようなことも御説明の中にあったと思います。私はこういうふうに進んでおらないという理由に、先ほど申し上げましたように、行政態度としてマンネリズムになっておるのではないか、あるいは議員立法であるがゆえにいわゆる執行に熱意を持たない、怠慢であったのではないか、これが原因ではないかということを申し上げておるんでありますが、こういう点はないかどうか、これを明らかにしていただきたい。
  13. 森本修

    政府委員森本修君) 私どもは決して議員立法であるからその取り組みに熱意がないというふうなことは絶対ございません。ただ御案内のように、この計画はかなり広範な地帯に対する土地改良計画でございますので、全体の計画をこなしていくということになりますと、他の地区との関係なり、あるいは政府全体の予算あり方といったようなことに関係してまいります。そういった条件のもとにおきまして、できるだけ私ども事業の消化に従来からつとめてきたつもりでございますが、御指摘のように、計画に対しましてなお若干の残事業を残しておるという状況でございます。今後とも計画達成に最善の努力をいたしたいというふうに思っております。
  14. 川村清一

    川村清一君 最後のところは大臣の所信を承りたいので大臣が御出席になるまでちょっと待たしていただきます。
  15. 宮崎正義

    宮崎正義君 関連して。湿田の三六%というのは、なお今後もまたこの法案は延ばされるようなきらいも考えられるわけですが、また湿田の各地域のがそれぞれ出ておりましたが、どこのところがおもに進められて、どこが残っておるのか、概略説明を願いたいと思います。
  16. 森本修

    政府委員森本修君) ちょっと地帯別状況はいま調べますが、一言状況について申し上げますと、湿田関係は、第三次の振興計画を立てます際に他の地域振興計画の立て方とは若干違いまして、いままでの他の地域の立て方でありますと、従来の計画残事業を第三次の振興計画としてほぼ踏襲をして立てておったわけであります。ところが、御案内のようにこれは審議会がございまして、そこで計画を調整していただくということになっておりまして、湿田のみは第二次の計画が完了いたしました後に、新しくまた要土地改良調査を行ないまして、その結果で第三次計画を立てるというふうな形に相なっておるわけでございます。したがいまして、第三次改良計画のほうは、他の地域とは異なりまして、かなり大幅な計画量の増加というふうな形になっております。こういう経緯がございまして、他の地域進捗に比しましては、形式的な計数の上では残事業が多い、進捗度が低いというふうな形になっておるわけでございます。
  17. 宮崎正義

    宮崎正義君 地域別には大体どの程度……。多い地域、ふえたという、それを地域別に……。
  18. 平弘

    説明員平弘君) ただいまのお尋ねでございますが、地区別お尋ねでございますけれども地区別湿田単作地域として指定されているところの全体について申し上げておるわけでございます。この湿田単作地域のうち、一体どこが——どの県がおくれている、どこがおくれていないという数字は実は手元に持ち合わせておらないのでございますが、この湿田単作地帯振興計画事業の中でやはりおくれておりますのが団体営かんがい排水事業、この進度のおくれが目立っておるわけでございます。耕地整備事業圃場整備事業等はほぼ振興計画の四七%——五〇%近くまで達成をいたしておりますが、団体営かんがい排水事業につきましては、本年度末ようやく二五・五%というこういった状態に相なっておるわけでございます。     —————————————
  19. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 委員異動について御報告いたします。  本日、堀本宜実君が委員辞任され、その補欠として山内一郎君が委員に選任されました。     —————————————
  20. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  21. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記を起こして。
  22. 川村清一

    川村清一君 御承知のように、ただいま議題になっておるこの法案は三月三十一日で失効する日切れ法案であります。したがって、本日この委員会採決することになっておる。それでいろいろ困難がありましたが、この困難を克服いたしまして、予算委員会理事会ともおはかりいたしまして、大臣が十二時半にここに出席されるという確約をいただきまして、その予定に立って、本委員会理事会で日程もつくって、それでこの審議に入ったわけであります。私が質問いたしまして、最後大臣の御所見を聞いて採決をするという、こういう段階にきておる。ところが、大臣がお見えにならぬ、約束の時間から三十分おくれておる。まことに遺憾でございます。日切れ法案に対する大臣態度がはっきりわかりましたので、おそらく今後出る法案については、もう三月三十一日で失効する法案に対してさえこういうような御態度でございますから、推して知るべしでたいしたお急ぎにならないと思いますので、これからの審議にあたって、われわれ野党としましては、そういう態度審議に当たらせていただくということを最初にまず意思表示をいたしまして、そうして次の最後質問に入らせていただくわけでございます。  昭和四十年の本法改正の本院農林水産委員会におきまして、わが党の渡辺勘吉議員が次のような趣旨質問をいたしました。 「少なくともこの五つ現行法というものを法制的にもこれを一体化して、より強力に総合的に財政の確保等をはかって進める、こういう方向というものは当然期待してしかるべき方向だと思うのでありますが、大臣の御所見はどうか」との質問に対しまして、当時の赤城農林大臣は、 「二カ年間の延長の間にはもう、少しマンネリズムになっているこの法律等を検討を加え、また、施設等も考え直してみる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。」と答え、さらに結論といたしましては、「この二年間の延長期間に、御趣旨のような気持ちでこれを深く掘り下げて、なお前進させるようなことにいたしたい、」と答えているのであります。これはことばだけであって、すなわち有言不実行であったことは説明するまでもなく、二年をたった今日の事実がすべてを証明しております。  そこで、西村大臣お尋ねいたします。いまこの法律期限をさらに三年間延長いたすことになるのでありますが、西村大臣も再び有言不実行大臣になられるのか、それとも今度こそは有言実行大臣になられるのか、責任のある御答弁をこの際はっきりお聞かせいただきたい・これが私の最後質問でございます。
  23. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 委員長川村委員をはじめちょっと時間をむだにおさせいたしましたことをおわび申し上げます。実は衆議院の農水で時間をとってしまいまして、その点まことに遺憾に存じております。どうぞ審議を御協力願う意味でおわびを申し上げます。  それからただいま御質問のありました農業振興の特殊五法、これはまさに御意見のとおり、これはかつて赤城農林大臣のときですか、そういう趣旨で御答弁申し上げておるのであります。今日まで自然条件が不良であります特殊地域産業振興にはこの農業五法というものが大きな役割りを果たしておったということは、それはお認め願えると思いますが、しかしこれが制定以来相当年数を経ておる。したがって、農業をめぐりますところのいろいろの事情というものが相当、申し上げるまでもなく変化を生じております。また、五法の対象地域全国市町村の過半数を占めて相互に重複をしている面があるのが実情でございます。政府といたしましては、このような現状にかんがみまして自然条件等の不良な特殊地域農業振興を一そう効果的にあらわしめるように、五法の延長期間内に必要な実態の把握を十分いたしまして、調査研究を行ない、その結果に基づきましてこれら特殊地域農業振興対策あり方を十分に結論を得て進めてまいりたい、こういう考え方でございます。  なお、御参考までに、御存じでございましょうが、今回御審願っております四十三年度予算案におきましても、七百万円の調査費をこれに関して計上いたしておる次第でございますことを御了承願いたいと思います。
  24. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  27. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますので、これを許します。
  28. 川村清一

    川村清一君 ただいま可決されました積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案について自由民主党、日本社会党、公明党三党共同による附帯決議案提出いたしますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。     積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一     部を改正する法律案に対する附帯決議     (案)   最近の農業をめぐる諸情勢は大きく変化し、  現行特殊地域農業振興対策のみでは、時の要  請に応え、所期目的達成することは、きわ  めて困難な事情にかんがみ、政府本法有効  期限内に、その事業計画の積極的な推進はもち  ろん、特殊地域農業振興対策の今後のあり方を  調査検討して、新しい事態に即応した総合的基  本対策を確立するため、特別の措置を講ずべき  である。   右決議する。
  29. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) おはかりいたします。川村提出附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  30. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議案に対し農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  31. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 政府といたしましては、ただいまの決議の御趣旨を十分尊重して、特殊地域農業振興につとめてまいりたい所存でございます。
  32. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  34. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 次に、米価問題につきまして、この際理事会の申し合わせにより、委員長から農林大臣要望いたしておきます。   去る一月二十四日、政府米価審議会委員  を任命したが、その構成において生産者及び消  費者代表を除外したことは、米麦価格答申に  偏向を招くおそれがあると懸念する向きもあ  る。したがってこの際生産者及び消費者などの  代表が参加できるよう再検討されたい。また現  行の食管制度に変改を加えることは生産者に多  大の不安を与え、その生産意欲の減退を来たす  ものと予想されるので、食管制度をあくまで堅  持するよう配慮されたい。   以上要望いたします。
  35. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただいま述べられました御要望につきましては十分承っておきたいと存じます。  なお、米審の問題は目下各党間で御協議を続けておられると承知しておりますので、私といたしましてはその結果を尊重してまいりたいと存じます。     —————————————
  36. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 農林水産政策に関する調査として、乳価問題等に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  37. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は西村農林大臣とは初めての出合いですから、大臣の基本的な考え方をまずお尋ねをしたいのです。  大臣国会における意思表示をされた場合に、それをどう受けとめられる基本的な態度であるか、そういうところをまずしかと承りたい。
  38. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私の国会におきまする発言というものは、その発言に従って十分責任はとってまいらなければならないと存じます。
  39. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その根拠はどこにありますか。その発言を尊重する、意思表示を尊重するという、大臣のその所信の基本となるものはどこにありますか。
  40. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 御存じのとおり、国会におきましては、憲法に従いまして、憲法によって国会は国権の最高機関というたてまえをおとりになりまして、いろいろな国政を御審議になるわけであります。それに従いまして、政府としては責任を持ってまいらなければならぬ、こういうたてまえでございます。
  41. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは具体的に伺いますが、その前に、きょう本委員会に配られた乳価に関する資料、これは大臣、責任を持ってこの資料は確認をされておりますね。
  42. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 農林省から御審議のためにこちらに出した資料でございます。
  43. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、その資料は大臣が確認をされて出されたのかどうかを伺っておるわけです。
  44. 西村直己

    国務大臣西村直己君) やはり御存じのとおり、細部にわたりまして私が一々目を通しているものじゃございませんが、それぞれの役所の機関を通してこれをつくりあげ、その責任は私にあると心得ております。
  45. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは伺いますが、去年の三月三十日にこの委員会で、委員長から次のような意思表示をしております。  「加工原料乳及び飼料の価格等に関する本日の審議の経過にかんがみ、政府は、四十二年度の保証価格並びに指定乳製品の安定指標価格及び飼料価格を決定するにあたっては、次の事項の実現につき遺憾なき措置を講ずるよう、理事会の申し合わせにより、委員長から強く要望いたします。  一、加工原料乳の保証価格については、飼育管   理労働並びに自給飼料投下労働を、五人規模   以上製造業労賃をもって統一的に評価替えす   ること。  二、指定乳製品の安定指標価格については、算   出の基礎となる基準期間を過去四年に遡及す   ることなく、極力短縮すること。」  三は、まあ省略してもいいんですが、えさのことです——ということを強く要望しておる。  これはもとよりわれわれ委員長理事の慎重な一言一句もゆるがせにせざる内部の討議を経、また当委員会における当時の大臣と私の質疑を通じてあらわれた問題点を、各党が一致した意見として、国会の要請を時の農林大臣にしておるわけです。ですから、あなたから冒頭に、国会意思表示は憲法で定める最高の、国民の信託をあずかったもので、この権威あるものを尊長するということを承りましたので、それでは、この三月三十日に、これらの最高の国民の意思表示を受けた農林大臣は、このわれわれの要請を一体どう取り上げたのか。たとえば去年は告示まで間があったわけだ。それに一体いかなる検討を加えたか。大臣ですよ、事務的なことじゃない、基本的なことだ。単にこれは見せかけの要望であって、その場限りのものではない。私たちは、少なくともこの本法における酪農行政の安定的な発展をこいねがうことを目途として、各般の要素を取り上げて、この委員会質疑を経、これはその集約した意見である。それを一体大臣はどう尊重したのか。その基本的な態度を、どうその行政の線に反映をさせたのか。それを大臣から直接承りたい。
  46. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろんこれは、理事会でお申し合わせになりましたことは私も拝承いたしておるわけでありますが、問題は、価格決定という個々の具体的な問題になりますと、そういうような考え方もやはり一つの大事な基調ではありまするが、同時に政府全体をあげての価格政策の中において、あるいは農林省全体の価格政策の中においての考え方を十分勘案をしながらこれを扱ってまいらなければならない。こういう意味で、私どもとしては十分これは検討を続けておる段階であります。
  47. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それではどういう検討の資料が出ました。具体的に、たとえばいわゆる労賃の評価がえをどうしましたか。その結果、どういう試算が出ましたか。また去年は、それが現実に農林大臣の告示価格に反映しなかった。しかし、一年を経た今日、四十三年度において、再びこういうわれわれの意思をじゅうりんした去年と同じような硬直した——財政だけじゃない、こういう硬直した一つの評価がえに定着した試算が出ておる。一体どういう検討を加えたか、大臣はそれをどう確認をしておるか。
  48. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 昨年の乳価決定にあたりまして、御存じのとおり、昨年初めて主要飼育管理労働という部門につきましてはこれを採来の考えから一歩前進させまして、乳価価格決定の要素に取り入れたわけでございますが、その際にも論議が出ましたが、われわれとしてはその全労働をそういう基準で扱い、評価がえをするかどうかという問題につきましては、やはり先ほど申し上げたようなあらゆる観点からいろいろ研究をしてまいりました。こういう意味で、まだその結論は出していない段階であります。
  49. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まだ研究中だとかという話ですが、それでは私は尊重に値しないと思う。この委員長要望というのは、われわれ社会党、公明党、そういう野党だけの申し入れじゃないのですよ。与党も入って、それぞれの代表たる理事委員長とともにこの委員会に反映した問題点を整理して大臣答弁を集約し、事務当局のまた考え方を整理をしてそうして出したものです。それを与党たる自民党から出た大臣はどう一体それを検討しているのですね。検討させていますか。官僚に振り回されているのじゃないか、実態は。
  50. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろん私は農林大臣でございますから、農水の御要望については、極力それを尊重する立場でやってまいります。しかし、国会全体といたしましては——政府全体の責任においてしなければならない価格全体の立場もございましょう。そこらも十分私国務大臣の立場でも考えていく。同時にまた事務当局におきましては、この方針というものを、当然これは国会農林水産委員会委員長理事の御要望として受け取って、いろいろなデータを集めて検討はしていることは事実でございます。
  51. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いずれこれはあとでゆっくり具体的に伺いますから、大臣は時間に制約されておりますから、私は大臣に伺いたいことを集約をして伺うわけです。それで検討しているということですから、これは事務当局でこの要望を検討した資料を出してくださいよ。すぐ私質問に入るから、それを全部出してください各委員に。それすらないとすればこれは単なる独善だ。それはぜひ出してください。  大臣に伺いますが、どうも私は、あなたの前段で言うたことと現実に農林大臣行政と踏まえている姿とはちぐはぐな感じを受ける。たとえばきのうの審議会でも答申が出ましたね。審議会の問題も私は大臣にいろいろほんとうは聞かなきゃいかぬ。国会議員をはずした——まあこれは政府に任命権があるから政府の意図する人物を選ぶ、これはあなたの権限でしょう、それならばこそわれれは国会でこの重大問題を慎重に審議する責任がある。しかもこれらの審議すら、責任者である大臣の時間的制約があって十分な大臣との審議もできない。こういうことでほんとうに権威ある国会審議というものがはたしてできるか非常に問題だと思う。とにかくきのう一つの答申が出ておる。それにはこの管理労働について評価の適正化をはかる云々ということが出ていますね。これは私たちの、去年の三月三十日の委員長要望と照らし合わして、四月一日に告示するこの乳価を、どう一体尊重するつもりですか、それともこれはやっぱり政府の隠れみのとしてマイウエーを行こうというのですか、その腹のところをまず聞かしてください。
  52. 西村直己

    国務大臣西村直己君) お答えいたします。  昨日の答申はすでに御存じのとおり、ここにも手元にございますが、たとえばお話は飼育労働についての評価の適正化、この部分だろうと思うんでございますが、これにつきまして私自体が直接出ておるわけではございませんが、その場合に、経過としては両論あるいはいろいろな意見が出たことは御存じのとおりでございますし、主要飼育管理労働の部分だけに限っておる御意見とか、それからお説のように統一的な扱いを評価がえをする御意見とかそれぞれいろいろな御意見がありました。結論として、こういう抽象的な表現の中でひとつ適正化をはかってもらいたいと、こういうのが私はこの結論だと受け取っておるのであります。
  53. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうも納得がいかぬのですがね。まあ審議会の答申は抽象的ですから、政府の解釈はまた解釈ができるでしょうね。答申する連中の理解のしかたがまた別にあるかもしれない。いかようにでもとれる。そこで私はこういうことはこれ以上聞きませんが、乳製品の輸入のシェアが最近とみに高まってきております。いいですか、しかも不足払いが実施された四十一年から非常にこの輸入乳製品の国内乳製品との比率が逐年高まってきております。具体的に申しますと、不足払いをやらなかった四十年の輸入実績と国内乳製品の割合を見ますと、脱粉はわずか輸入比率が一一%、バターが三%、ところが不足払いを実施した四十一年度は、脱粉の輸入比率が五三%に大幅にアップしておる。バターが二九%、四十二年度は脱粉が七七%、いいですか、バターが六一%、もうとにかく半分以上を輸入に仰がなければ国民の需要をまかない切れないという事態が不足払いの制度の実行によって着々として現実には進んでおる。不足払いの制度を契機としてふえてきたこの事態は、明らかに何かそこに構造的な問題があると私は指摘せざるを得ない。私の指摘する構造的な問題は、時間がないから大臣に具体的に説明する機会はきょうはありませんが、これから政府当局に話しますが、要するに、安定指標価格がきわめて市況よりも低くきめられておる。したがって輸入が容易である道を開いておる。安定指標価格を不当に低くきめたということは、それからメーカーの標準販売経費を差し引いて算出した基準取引価格を不当に低くするということを意味する。これは輸入を一そう促進する道を、不足払い制度が価格政策の上で大きなその道を開いたという政策につながるわけだ。保証価格はまた関連して非常に低きにきめられておる。これを私は乳価政策の構造的な欠陥だと指摘する。これを反省しない限りは、この参考資料にあるようなこんなふざけ切った酪農民をおだてながら、現実には再生産を可能にする道を閉ざすような低乳価を告示するということは断じて許せない。この不足払いが実施されてから二年間のこの価格政策がとったあやまちを反省し、基本的にこの酪農振興につながる価格政策を打ち出さなければならぬいまその時点に置かれておる。いいですか大臣、あなたこれ一応責任を持って出してる資料ですよ。あなたいまそこで横から聞かなきゃわからぬようだけれども、これはもう国民の関心のまとになっている問題ですよ。あなたが選択的拡大だと言って一生懸命奨励をする日の当たる産業部門ですよ、農業は。それがどうですか、不足払いが実施されると同時にその国内乳製品の占めるシェアはどんどん低下してきておる。生産は停滞をする。北海道では去年の暮れから生産は伸びてきておりますが、内地は停滞から脱却し切れない価格政策に基本的な問題がある。これを反省して、事務当局が書いたこの価格案を再検討しなければならぬ私は時期にきておると思う。素朴に聞いてくださいよ。従来の経過にかかわりなく、いまそういう実態なんだから、そういうものに対して大臣は大所高所から決断を下さなければならないこれは重大な時期にいまきておる。あとはあなたの大臣としての最高の責任ある立場を駆使すればいい。部下にはそれを忠実に守らせればいい。どうですか、大臣
  54. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 価格政策は、なるほど生産者の立場から考えればかなり高いほうがいいということもこれはわかります。昨年の乳価決定におきましても、私は党のほうにおりましたけれども、前進を相当さしたつもりではございますが、ことしにおきましても、諸般の状況はいろいろ考慮してまいらなければなりません。それから一面、いまおっしゃるような構造上の面もあるかもしれませんが、しかし一面におきまして、また酪農のいまのあり方、輸入のふえておる面においては、私は、国民の消費水準と申しますか、消費需要のやはり変化というような、こういうもののいろいろなものがかみ合ってきておるという面も考えなければならず、ただ価格だけですべてを解決するということではうまくいかないのじゃないか、こういうような考えを持っておるのであります。
  55. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 国民の消費需要はもう見通しがあるんですよ。その見通しに対して国内の酪農の生産計画が実態と離れた、はね上がった計画で、その計画実行とは非常にギャップがあるところに問題がある。それをあなた御存じですか。酪農には長期計画がある。去年も私は指摘しているが、その計画と実際のこの進行状態とは非常にギャップがある。何がギャップがあるかということがこういう矛盾を来たしているんですよ。それはもとよりその生産性を上げるために、自給飼料の依存度を高めるための草地造成にもっと国家資本を導入する基本的な問題もありましょう、あるいは優良牛の普及奨励の問題もありましょう、あるいは酪農に従事する農民の生活安定の社会保障の問題もありましょう。しかし、さしあたりはそういう構造的な政策の前に、この乳価そのものが低きに失して、この乳牛を手放すという農家が内地ではどんどんふえてきておる。そういう魅力のない実態というものを魅力あるものにしていくためには、相当思い切ったこれは振興の施策を講じなければ政府の確立した長期の酪農振興計画が宙に浮いておる。この宙に浮いておる部分の不足が牛乳依存の割合を高めておるという、これは酪農政策の恥部として私が指摘した具体的な例であります。需要が予想を上回ったからそれだけ牛乳製品がふえたのではないんです。需要の拡大は、当然計画と多少の違いはあるけれども並行してきておる、実態は。むしろそれを供給する生産乳の伸びが低い、そこに問題がある。それに打つ手はいろいろあるが、さしあたりはやはりこの保証価格のきめ方、そこに問題があるということを私は言うておる。それを農林大臣はいかようにお考えになるかということをお聞きしているわけです。
  56. 西村直己

    国務大臣西村直己君) まあ国といたしましていろいろな酪農推進、あるいはその基盤になります草地造成であるとか飼料の対策であるとか家畜導入であるとか、いろいろな問題があると思います。それから同時に価格の問題も確かにわれわれとしてはその意味で、こういう乳価の改定というものをやっていかなければならぬ問題もあります。と同時に、消費の計画以上の伸びというものもある。それらを勘案いたし、その中でもって私としてはこれに対する適応した施策を考えていかなければならぬ、こういう考えであります。
  57. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうも私は、たとえば先ほどの積寒法の問題でもそうですがね、赤城農林大臣は私の質問には非常に歯切れのいい答弁をしているけれども、またぞろ時限法を延ばさなければならぬような醜態を政府はやっておるわけですよね。さっぱり国会の意思というものが尊重されない。どこにあるのか、一体これは。私は私なりにそれを考えてみた。それを大臣もひとつ考えていただきたい。  そこで、私は視角を変えまして、こういうのをひとつ大臣に紹介しておきたいんですよ。これは経済評論の二月号の巻頭論文の一節を私は引用しますよ、私見を差しはさみませんから、これは何も書いてもらう必要はない、聞いてもらえばいい。「佐藤内閣の成立以来、佐藤首相の政治体質についてはいろいろなことがいわれてきた。だが、そのなかで、もっとも数多くいわれたことのひとつは、佐藤“無策”内閣ということであり、もうひとつは問答無用の強引さということである。表面的には支離滅裂のいいかげんなことをいいながら、実際には強力な行政権力をどんどん行使するという反民主主義的体質をついた適切な特徴づけということができよう。」これは経済評論の巻頭論文の一節であります。私はどうも貧しい国会の経験を通じて、どうしてもこの強力な行政権力ということがいつもひっかかる。この行政権力というものの上に与党がちょこんと乗せられているのじゃないかという気さえする。  たとえばですよ、私は具体的に言いましょう。去年私たちがああいう保証価格の設定について、あるいは基準取引価格の基準年を短縮する問題について委員長から、当時の野知君から政府当局に対して強く要望したあの保証価格の場合の主体労働と付随労働を分ける、私から言えば知能犯的な労働の分解のし方、ああいうものにはわれわれ野党だけじゃなく自民党だって、ああいうことに対して統一的な評価がえをすべきという意思表示をしているでしょう。それがさっぱり空文になっているじゃないですか。そうしたら何が一体こういう告示に使う材料を強力にこれを実施にまで持っていく力がどこにあります、一体。大臣は無策じゃないか。われわれ国会議員を愚弄しているのじゃないか。少なくとも、もっとえりを正して謙虚に、行政権力を乱用しないで、もっと民主主義のルールに徹して国民の声を聞くという謙虚さがなかったならば、これは末期的な症状じゃないですか。そこを私は非常に懸念するわけです。そこを大臣に期待するから、限られた時間で大臣にだけ伺うのです。私の主張する根拠は、これから大臣予算委員会にお立ちになったあとで具体的に伺います。  私は空理空論で言っているのじゃありません。現実にものを踏まえて、現実の統計を駆使してこれから私が主張する根拠をそれぞれ出席された政府委員お尋ねをするのでありますが、このことを私は大臣に、実力のある大臣にやはり反省をしてもらわなかったら、去年もこういう要請をしたにかかわらず政府審議会へ出した原案にたった六十何銭を手直ししただけで告示をしておる。われわれが指摘した問題は一つもこれを取り上げていない。この調子でいけばことしも、去年の保証価格に例をとりましょうか、去年の保証価格四十円三十九銭に対して一円三十八銭アップの原案が出ておる。これに何ぼか足して一キロ二円台にやってお茶をにごそうという腹が見えすいておる。そういう茶番じみたことでわれわれ酪農民を瞞着するわけにはいかないだろう。国内の酪農事業は危機的様相を帯びているのですよ。そこを私は大臣にもっと適正に行政を実施していただきたい。立法の機関として、これを国民の声としてあなたにお願いをするのです。もう少し、ものは考えようですよ、冷たくやろうと思えば幾らでも冷たい風が吹きます。あたたかくしてやろうと思えば同じものでもあたたかい措置もできるものです。同じ統計の使い方でも、これをプラスに利用しようと思えばプラスになります。これを厳しく締めつけようと思えば厳しく作用もできます。この両刃の使い方はかかって大臣のこれは権限にあるわけですが、大臣が一体この農林大臣に就任してですね、あたたかみのある酪農振興に大きく発展する契機を与えるのか、あるいは大酪農資本家に利益を不当に与える従来の酪農行政にさおさそうとするのか。その竿頭に立った現時点において、私は大臣の真のその気持ちというものをお伺いします。そうして私はあと次官以下にお尋ねをいたします。これをとくとひとつ、この場を通じて国民の納得する具体的にして真摯な答弁を期待します。
  58. 西村直己

    国務大臣西村直己君) おっしゃる点はよくわかります。私も農林大臣でございますから、酪農振興、酪農民の立場に立ってものを考えるという立場は忘れないようにしてまいりたいと思います。ただ事柄が価格でございます。しかもいろいろな、単に農林省だけでこれをやるべきものじゃありません。各省間の問題も伴う問題であり、諸般の価格の中にも関連してまいる問題でもあります。したがって、私はこちらのほうで述べられました意見、またこれから私が予算委員会に出ました後におきましても、皆さんの間で御発言いただく御意見等も十分によく承わりましてその上で最終的な結論を得たい、こういう考えでございます。
  59. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 次官に伺いますが、畜産審議会政府がお出しになったまず保証価格から伺います。  この保証価格というものを見ますと、去年この国会で私たちが政府に申し入れた幾多の問題が不問に付されて出ておる。これは一体あなたにそういう経過の相談があったんですか。なければないと言ってください。
  60. 日高広為

    政府委員(日高広為君) 従来の経過につきましては詳細にまだ承っておりませんでした。
  61. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは事務当局に聞きますがね、これは去年私たちが意思表示をしたわけです。それを検討したわけでしょう、その検討した資料を出してください。ついでに、ことしの算定にあたって政府の算出した試算がありますが、私たちが去年この委員会大臣に強く要請した問題を計算するとどうなるか、ことしの価格。その去年とことしの、しかも第二項の基準年を短縮すると言いましたから、三年に短縮した場合と、最近時二年に短縮した場合と、その二つのケースの資料をまず配ってください。その資料を見てから質問します。
  62. 立川基

    説明員(立川基君) ただいまのお話でございますが、昨年度の当委員会の申し入れにつきまして、中でいろいろと検討したことは事実でございます。ことにことしの価格を算定するにあたりまして、先ほどのような御議論につきましていろいろ検討した資料ございますので、ここで申し上げてよろしいと思います。いま持って来ておりますのは、本年度の算定のときにあたりまして検討した資料でございますので、昨年度については実はつくっておりませんので若干時間がかかると思います。
  63. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ことしだけでいいですよ。
  64. 立川基

    説明員(立川基君) お配りいたします。
  65. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そのほかに、保証価格の、付帯労働と自給飼料に投下した自家労働の、やっぱり労賃を評価したもの、それを出してください。
  66. 立川基

    説明員(立川基君) すぐつくらせまして当委員会提出いたします。いま作成中でございますので若干時間がかかると思いますが、お届けできると思います。
  67. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  68. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 速記を起こして。
  69. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それじゃ、資料をいただきましたのでお尋ねいたします。  まず、この資料で伺う前に基礎的なことを二、三お伺いします。  生乳生産費調査によりますと、搾乳牛の頭数は四十一年度の三頭から四十二年度が三・七頭とふえていますね。全国の平均が四十年度は二・七頭ですね、四十一年度は三頭、四十二年度は三・七頭になっていますね。そうしますと、四十一年度は対前年比で一一%アップ。ところが、四十二年は二三%アップになっていますね、これは全国平均です。そこで加工原料乳地帯の北海道、内地六県の原料乳の基礎計算、この場合は四十年、四十一年、四十二年はどういうふうになっていますか。私お伺いする趣旨は、四十二年度の伸び率が非常に高いと思うんですよ。そしてそれがまたどういう理由なのか、この点をひとつ御説明を願います。なお、あわせて乳量が三・二%、脂肪率換算で。全国が、四十年度が一頭当たり平均乳量が四千五百九十二キログラム、これは去年かなり時間を費やして私お尋ねしたところですから、きょうは重複を避けてあまり伺いませんが、四十一年度が対前年比で五・一%アップの四千八百二十六キログラム、加工原料乳地域では、四十年度が四千五百七十一キログラムで、四十一年度が四千八百六十五キログラム、対前年の比率では六・四%伸びておる。これが四十二年度では一体どういう乳量になっているかお伺いしたい。
  70. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) それでは計数の関係でございますので、私のほうからお答えをさせていただきたいと思います。  この一道六県の調査対象となりました一戸当たりの平均頭数は、四十年が三・二頭、四十一年が三・五頭、四十二年が四・〇頭でございます。また一道六県のこの調査対象になりました乳量でございますが、一頭当たり乳量は四千五百七十一キログラムが四十年とおっしゃいましたがそのとおりでありまして、四十一年が四千八百六十五キログラム、四十二年が四千九百九十六キログラムでございます。対前年比を見ますと、四十年から四十一年は六・四%、四十二年が二・七%の対前年比になっております。
  71. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 わかりました。そうしますと、特に四十一年から四十二年で加工原料乳地域の伸び率がぐっと上がっておりますね。これはおもにどういうふうな内容によるものと理解されておりますか。
  72. 立川基

    説明員(立川基君) 御案内のように、これらの地域におきましては現在多頭化がかなり急速にほかの地域よりも進んでおりますので、その結果がこれにあらわれたものだと思っております。
  73. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは課長さんでいいですから、加工原料乳地域の乳量の北海道と鳥取まで入れた六県の県別の内訳をちょっと、四十二年度だけでいいですから。
  74. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) たいへん恐縮でございますが、実は各県別の乳量というものは、これは集計をいたします際に、私どものところで一括して一道六県を集計してしまうものでございますから、各県別には実は乳量を算定していないわけでございます。
  75. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは去年も岡田畜産局長と私繰り返したことですが、まあそういう集計のしかたもあるでしょうから、内訳はないでしょうが、すればできるわけですわね。それがほしいわけです。どうも私は県の実態から見ると異常に多く出過ぎているように受け取るわけです。そこで県の実態と農林省が調査した乳量とを比較してみたいので、内訳を伺うわけです。それはいずれすぐ出るでしょう。
  76. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) お答えいたします。実はこれは個票を当たりまして、また全部集計をし直さなければなりませんので、ちょっと簡単には出ないと思います。
  77. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それではきょうの審議に間に合わなくてもやむを得ませんから、来年以降にも、これはまた単に原料乳だけじゃなくて、飲用乳を踏まえてのやはり動向を見なきゃならぬのですから、できるだけ早く、そうなれば時間の余裕もありますから、四十一年度から四十二年度、それの一道六県の県別の乳量、それから頭数、それの平均の内訳、いまおっしゃったそれの道府県別の内訳をひとつ資料として各委員に出していただきたいと思います。それは出ますか。
  78. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほど課長が申し上げましたように、時間がかかると思いますけれども、御趣旨の点に沿って検討いたしたいと思います。
  79. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 検討して出していただけますか。
  80. 立川基

    説明員(立川基君) そのつもりでおります。
  81. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そのつもりで……あなた大臣答弁をするが。 (笑声)
  82. 立川基

    説明員(立川基君) ことばが悪かったようですので訂正いたしますが、先ほど申し上げましたように、時間が若干かかると思いますが、御趣旨のように取り計らいたいと思います。
  83. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 早くそういう言い方をしてほしいのですよ。(笑声)時間がかかる人だな。(笑声)  それじゃ、いろいろいま出した資料について伺うわけでありますが、なぜ一体この労賃を、労働時間を乳価に計算するにあたって、私に言わせれば世にもふしぎな分類をされたのか、主要管理労働、付随労働なんて東京のどまん中で考えた発想法がどこにあるかどうもわからぬ。そこからまず伺いたいと思います。
  84. 立川基

    説明員(立川基君) この点につきましては、昨年度も御議論があったかと思いますけれども、われわれの考え方としまして、従来やっておりました生産費調査によります自家労働の評価が、御案内のように近傍の雇用労銀でやっておりますので、酪農の労働の性質から考えまして、やはり雇用労働でやるというのはおもしろくないじゃないか。そこで、どういうところが酪農の労働の性質の特殊性なんだろうかということで検討いたしました結果、どうもほかの労働と違いまして、酪農は周年労働であり、しかもその途中で休むというわけにはいかない。さらには通常の場合よりも非常に熟練度を要するような労働が多い、そういうふうなことを考えまして、そういう特色に該当いたします分の労働を主要管理労働ということばでわれわれは言っておるわけでありますけれども、それにつきましては、従来の生産費調査の評価方法とは違った評価方法をとる必要があるのじゃないかということで、もしそういうふうな労働について非常に低く評価されますならば、そういう評価は、酪農をやらなくてその近傍のほかの産業に従事するということにもなりかねないということで、一応御案内のような労働評価をしたわけでございます。  付随労働につきましてはいろいろと御議論も存するところと存じますけれども、これらの労働は、かりに他の人を雇用することによってやってやれない性格のものではないと考えておりますので、一応現在では、先ほど申し上げました前段の労働につきまして評価がえをしておるわけでございます。
  85. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どういうところでそこを分類したのですか。その分ける線はどこで分けたんですか。
  86. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほど申し上げましたように、仕事の性質、労働の性質といたしまして、周年的あるいは拘束的で特殊な労働、熟練度を必要とするという度合いが、先ほど申し上げました付随労働の場合には少ないのじゃないか、たとえて言えば、集乳所に牛乳を運びますような労働につきましては、それは本来の飼育管理労働とは質的にやはり違うのじゃなかろうか、そういうふうに考えまして、これらは従来のように雇用労銀なり何なりに評価しても差しつかえないのじゃないかというふうに考えたわけでございます。
  87. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 運搬するのはしろうとでもできるような簡単な話ですけれども、結局免許がなければ運転はできないね。やっぱり一つの技術が要るわけだ。しかも朝早く運ばにゃいかぬでしょう。人が寝ているときにとにかく持ち出すとか、これはそうあなた方霞が関で考えるように単純労働じゃないですよ。熟練労働といいますけれども、かなり近代化装備している酪農家はミルカーで搾乳しますね。場合によっては、これはあまりあなた方深刻に考えるほど、そんなに付随労働と区別するほどのものではない。理屈はつけようですよ。しかも、他人にかえ得る労働というものは何もそういう、あなた方が無理に分類する付随労働について、他人を雇用してやらせているものじゃないのですね、実態は。実態というものは、やはり酪農家みずからの労働力投下によってこれをやっているわけですよ。そういうものを無理に分類するから、問題がいつも複雑になるわけです。それを分ける理由がいまあなたが説明した限りではどうも納得できないですね。もっと国民がわかるような説明はないですか。あなた方も、どうせそういう質問があるだろうというので、みんな知恵をしぼってきたはずだが、もう少し気のきいた答弁は出ないですか。
  88. 立川基

    説明員(立川基君) おことばを返すようでございますけれども、われわれの考え方といたしまして、やはり先ほど申し上げましたような、搾乳をやりますとか、あるいは牛の手入れをしますとかいうような労働の性質と、それから先ほど例示いたしましたような労働との間に質の差があるのではなかろうか——ないというお考えがあるかもしれませんけれども、われわれとしては少なくともここに質的な差異があるのじゃないか。ほかの日雇いとか何とかと比べた場合の性質の差があるのだというふうに、同じことを繰り返すようでございますけれども、考えているわけでございます。
  89. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 しかし、あなたが言うように、たとえば牛乳を搬出する労働だって、運転免許があって車に乗らなければ運転できないですよ。それはニコヨンの労働と同じじゃないです。えさをつくるのだって、やはり特殊な技術を要しますよ。自給飼料をつくるのだって、ちょいとそんなに簡単にできるものじゃないですよ。そこを無理に分けようとするから、とんちんかんになるんですよ。とにかく農家というものは、去年も言いましたが、あなたおらなかったけれども、しかし役所というそのものは同じだから繰り返しませんけれども、いまはとにかく百九十円の労働だ、さあ三十分後にはこれはニコヨン労働だ、そんなこまかい切りかえをやって労働をやるものじゃないですよ。同じ酪農家が働くんでしょう。同じ評価をしてしかるべきものじゃないですか。もっとそこをすんなりと解釈すべきだと思うな、無理に分けないで。そうすると、われわれやはり受ける感じは、低くするためにこういう分離をしておる、こういうふうにしか受け取れない。  審議会できのうどういう意見が出たか、私はわからぬけれども、まあとにかく、あのいわゆる答申の一項に出ていたのも、そういう点をやはり取り上げているのじゃないかと、私なりに解釈するんだ。私が大臣に、首にならなければ審議会に出て言うのだけれども、首になったからここで言いますけれども、もう少し素直に、無理にそういう主要管理労働、付随労働なんかと——付随というのも主要があって出てくるものだし、それは第三者をしてやらしめると言うけれども、そういう主要管理労働だってこれは第三者にやらしているケースもかなりあるんですよ、実際は。それから、そういう付随労働といえども、これは酪農家みずからがやはり労働力を投下しておる、こういう実態。そういう実態を尊重してこそ、私は現実のこれは姿だと思う。それを無理に、ニコヨン労賃にこれを評価がえするために二〇%ぐらいを分離して、安い単価でかえるというところに非常な作為的な無理がある。  そこで去年も、自民党さんもあるいはわれわれ社会党も公明党の諸君も一致して、こういう無理なことはおやりなさんな、もう少し素直に実態に即して酪農家の労働力というものは評価すべきだ、そういうことに与野党が完全に一致したのですよ。私は野党だから言うのじゃないのですよ。酪農民の実態の上から言っておるのですよ。そういう国民の声というものを素直に受け入れるのが適正な行政措置じゃないでしょうかね。それをまだここでがんばるというのじゃ、これは……とにかく、きょう何時までかわからぬが、ここでのらりくらりと時を経過して、あとはきまった方向で告示すればいいという、そういうものじゃないでしょう。あなたのいまの答弁はこれからもう質問すれば、いろいろあれやこれやお答えするでしょうが、すきっとした明快な答弁じゃないですよね、無理に分けておるから。実際、付随労働というものは第三者雇用で実態が行なわれておるならまだいいのですよ、そうじゃないのだから……。酪農家みずからがやはり厩肥を取る、あるいは敷き草を入れる、みずからの労働でやっているでしょう、みずから乳をしぼっているでしょう。みずから牛を戸外に出して日光浴さしているでしょう。何も変わりないですよ。やはり他産業並みの労働で評価する。赤城農林大臣が約束したときには何もそういう小手先を使って分離して、主要労働と付随労働と分けて、主要労働だけは原料乳地域を他産業並みに評価しますと言わないですよ。それをあなた方が小細工をきかして分類するから問題がさっぱり進展しないわけです。もう少し国会で時の最高責任者が答弁したことをそのまま行政府としては尊重すべきだと思う。それをそうじゃないのだという腹がどうしても消えないとなれば、われわれは国会で何ぼ審議したって意味ないと思う。それは官僚独善ですよ。大臣だってあなた方の上にちょっと置かれた一つの飾りだなでしょう。それじゃ、ぼくは官僚独善もきわまれりと言わざるを得ない。あなたのような良識ある官吏が、そういういわゆるビューロクラシーではいかぬと思う。そういう一握りの高級官僚が政治権力を牛耳るような、そういう官僚行政にやはり一つの反省をここでしなければならぬと思う。問題はささたるものですよ。しかしながら、酪農民としてはやはりこういう問題は姿勢を正して、そうして少しでも生産意欲が増強される方向に保証価格の告示されることを願っておるわけですからね。その点はきのうの審議会でも第一項で答申があったようだがどうですか。それでもまだいろいろな理屈が消えないですか。
  90. 立川基

    説明員(立川基君) いま先生からるるお話があったわけでございますが、別にわれわれといたしましては、そういう他意があるわけではございませんので、従来から自家労働の評価がえについていろいろ検討しろということを言われまして、御案内のような形で、酪農を続けていきます基幹的な労働についてはこれをほかの、基幹的な労働以外のものとやはり性質が違うのではなかろうかと考えたわけです。その性質が先ほど言いましたように、質そのもの、熟練度そのものの問題もございますけれども、その基幹的な労働が周年的に行なわれます関係上、その評価を、当該地域におけるほかの産業と同じに評価しなければその経営主体はその事業をやめるんだろうというように考えられますところの労働と、それ以外の労働は技術的にといいますか、行政技術的にそこに性質に差異があるのじゃなかろうか、そういうふうに考えまして現在まできておる状況でございます。
  91. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 関連。いま渡辺委員から労働評価の関係について昨年来の経過等にもいろいろ言及してお話があったのですが、これは言うまでもなく与党、野党あげてこの労働評価の関係については、こういう二本立てでなく、やはり一本にすべきだと、こういうことはいまお話があったとおりで、これは委員長の名において強く要望しておるわけでございますし、また先ほど農林大臣も、やはり委員会の決定については尊重してこれを進めていきたい、こういうことを明らかに言われておるわけでございます。特にきょうは政務次官もおいでになっておりますが、昨年この二本立ての評価をした内容についていささか事情を聞いておるわけでございますが、やはり農林省が大蔵省といろいろとこの内容についての説明、こういう新たな一歩前進した評価のとり方についていろいろ説明したはずでございますが、大蔵省は非常にこれに対して抵抗が強かった、こういうことも実は聞いておるわけでございます。しかしながら、農林省が非常に熱意をもってこの内容について説明に当たった結果こういうことになった、こういうことも実は経過として聞いておるわけでございますが、しかも、昨年そういうような委員長の名においていわゆる三党共同で強く申し入れたことをやはり相当強く検討しなければならないことは言うまでもないと、かように考えるわけです。ところが、今年も昨年と同様なことで算出して出しておるということは、これをもって大蔵省にいろいろと折衝をする段階においては、おそらく大蔵省はこれをのまないというようなことを前もって農林省は頭におきながらこういうことをやったのじゃないかと、こういうことを実は考えるわけですが、その点はどうですか。
  92. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほどもお話申し上げましたように、昨年ああいう制度をとりまして、その後もお手元に差し上げましたように、いろいろ資料その他を整えまして検討もしてみたわけですけれども、やはりその場合に、昨年も申し上げましたように、そこには質的な問題があるのではなかろうかということでございまして、大蔵なり何なりと話がつかないということで、農林省が遠慮してやったということはございません。ただ、今後の取り扱いにつきまして、先ほどからいろいろ御議論がございますけれども、現在の段階においては、私たちとしては少なくとも事務当局としましては、一応労働の性格の問題ではなかろうかと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  93. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 労働の性格の問題は、先ほど同僚渡辺委員からもお話があったとおりに、これは区別すべき何ものも実際ないのです。これはその衝に当たってみれば、いまいう付随労働とかあるいは飼育管理労働とかいいましても、これを一々区別してやるということは実際としてはないはずなんです。いまこれはお話がありましたからよけいなことは言いませんが、そういうようなことですから、これはやはりあらためて直すということに今後お考えを願わなければならないが、政務次官どうですか。こういうことについては非常に強い意見がわれわれの中にもあるわけですから、これに対してどういう今後お考えでございますか。
  94. 日高広為

    政府委員(日高広為君) 実は私も本件につきましては非常に関心を持っておりまして、昨日の審議会にも出席いたしました。答申を承りまして、大臣にかわりまして農林省の考え方を申し上げたわけでございます。したがいまして、内容につきましては、ただいま両委員から御指摘いただきましたことにつきましては、やはり参考といたしましてさらに検討を加えていきたい、このように考えております。
  95. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それは次官の段階じゃ検討でなく、善処するという姿勢でなきゃいかぬと思いますよ。これはあとでまた伺いますが、それじゃ事務当局に伺います。あなたの労働の中で主体労働と付随労働のウエートはどんなふうに分類できますか。
  96. 立川基

    説明員(立川基君) どうもむずかしい問題でございまして、いま直ちに数字をもってどうこうというふうには申し上げかねますが……。
  97. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、そういうものなんですよ。それでそういう目的意識で分類して、あなたの日常の労働をたとえば朝出てお茶を飲む、あるいは友だちと雑談をかわす、これは付随労働でしょう。そうでしょう。それをニコヨン労賃で評価しますか、そんなふざけたことはもの笑いですよ。酪農家にだけなぜあなたはそういうふうに情無用のそういう措置をとるんですか。私たちが一生懸命こうやって国会でやっている。しかし、会館へ行ってあるいは週刊誌を読む、これは主体労働じゃない、そんなことを一々分けてどうしますか、一体。そういうようなものじゃないと思う。私たちは私たちなりの評価を得てそれぞれの処遇を受けている。酪農家だって酪農家として主体労働、付随労働を問わず、酪農に投下した労働というものに赤城農林大臣は原料乳地域の他産業従事者の労賃にこれを評価がえするとおっしゃっている。だから、それを私は小手先をいじらずに、四十三年度の価格告示からは実施すべきものであると思うのですよ。だから、ここで私は政務次官に、検討した上でこれは善処する、そういうきのうの審議会に出られて経過をおわかりならなおさらのこと、そういう方向で私は前向きの政府の姿勢というものを承りたいんですが、いかがですか。
  98. 日高広為

    政府委員(日高広為君) ただいま渡辺委員から御指摘の点、私もその考え方につきましては、前向きの姿勢で検討をすべき問題があると思います。ただ、ここで私が善処するとか、検討するとかということの文言によって表現するよりも、少なくともただいまの御意見というものは謙虚な気持ちで拝聴いたしておりますので、私はやはり同じ農家の立場でございますし、私自身がそのような環境でございますので……。ただ、政務次官となりますと、なかなかそう簡単に善処するとか、検討するというようなことは申し上げにくいのでございますから、その辺のところはひとつ御賢察いただきたいと思います。
  99. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 事務当局に伺いますが、私非常におかしいと思うのは、分けた場合、分けたものにかける単価の問題があると思う。単価に百九十一円何がしをかけていますね、主体労働に。ところが、これは五人規模以上の全製造工業のあれでしょう、賃金の平均をかけていますね。平均を出している、百九十一円三十二銭は。このかける製造工業労賃自体にあなた方が酪農家に望んだと同じように主体労働と付随労働があるわけですね。あなた方の理論からいえばあるわけです。現実にもある。分ければ分ける内容がある。それはどういう構成で、どういう平均単価で、それを全部平均して百九十一円三十二銭になったのか、これをまず明らかにしてほしい。
  100. 立川基

    説明員(立川基君) ただいまお話がございましたように、百九十一円三十二銭につきましては、五人以上の製造工業の労賃を毎勤によりましてとりまして、一道六県の当該地域における製造工業の単価を出しましてそれをかけておるわけでございます。それの理由でございますけれども、先ほどお話がございましたように、そういう毎勤の中でさらに付随労働と主幹労働にかけたらどうか、こういう御意見もあるかと思いますが、私たちが考えましたのは、先ほども申し上げましたように、主幹的な労働だとその労働の評価がうまく評価されないと、過小に評価されますと、当該経営者がその企業をやめてほかの企業に従事するんだと、そういう趣旨におきまして、どれをとるかということで製造工業の労賃をとっておりますので、先ほど申し上げましたように主幹労働の何といいますか、酪農部門の管理の労働の質が製造工業の質と同一であるというふうに考えたわけではございませんので、経営体を持続していく場合における主幹となる労働の評価を何を基準とすればいいかということになれば、その労働をやめて当該地域の近郊の製造工業に去っていくかもしれない。そういう人の一般的な賃金というものをとりまして主幹労働の評価がえをするという考えをいたしておりますので、一般的な製造工業の賃金をとっておりまして、その中の主幹なり、あるいは付随労働というようなものは区分けはしてございません。
  101. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そのことは、当該製造工業の労賃についても、製造業五人規模以上の労賃、労働者といえども、やはりその中には主体労働と付随労働が現実にある。幾多例をあげるまでもなくある。無理にあなた方が酪農民を主体労働と付随労働とに分離するならば、製造業についてはこれは周年雇用ですよ。中にはやはり常時リクイデートする動態的な労働もある。臨時雇いもある。そういうものもあるからそれは付随労働部分としてこれは単価をそれなりに分類したものをかける。しかしながら、主体労働、管理労働については製造工業の熟練労働の単価をかける。それでなきゃ筋が通らんです。そういうかける単価は一体幾らか、参考までに伺っているわけです。五人規模以上の製造業の主体労働と付随労働、それはどういう内容になって平均が百九十一円になっているのか、その内訳を伺っているわけです。
  102. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほども申し上げましたように、対比されるべき当該地域における製造工業の中で、主体労働と付随労働の区分けをしておりませんので、いま御指摘の点の基礎数字と申しますか、単価と申しますか、それはございません。また、技術的に考えましても、毎勤のたくさんの製造工業の何といいますか、いま言われたような形で区分けをするなり何なりということはなかなかむずかしいことではないかというふうに考えます。
  103. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 したがって、そういう区分けもつかないようなものを十ぱ一からげにのみ込んで、片方は政策意図的に分離したものに平均単価をかける不合理というものをここで是正しなさいよ。何ですか一体。片方は分類のできない毎勤統計ですよ。それは容易でないということは私は百も承知だ。分類ができていない。できていなければいないなりに全部を突っ込んで出すならこっちも全部を突っ込んでかけなさいよ。あたりまえのことじゃないですか。これはだれが聞いたって、私が言うのは横車を押した意見じゃないですよ。かける単価は突っ込みで、主体労働、付随労働はあるが、分類がないから突っ込みで、かけられるほうは分類して、その突っ込みの安いものをつきまぜた平均でかけて主体労働にして低く押え、さらに付随労働は農村の雇用労賃で評価がえをするとは一体何事ですか。これで一体酪農振興の大旗を振る農林省の態度だと言えますか。かける単価もむずかしければむずかしいなりに、主体労働の時間と付随労働の労働賃金とを分類をして、それぞれをこっちの分類したものにかけ合わせるなら、私はこれはやむを得ないと思います。それは向こうのほうは毎勤統計は突っ込みでしかありません。しかし、主体労働と付随労働は厳然としてあることはお認めになる。しかし、かけられるほうは分類して、突っ込みで上のほうに単価をかける。下のほうはニコヨン労賃をかける。これでは不足払い法案成立する際に、時の農林大臣赤城さんが私の質問に答えた公約をうそをやっていることになるじゃないですか。あなた方が大臣のそういう最高責任を行政権力で歪曲して運用しているというそしりを免れない。だから私は政務次官に、検討してさらに前向きに善処することを要請しているのも、決して無理なことを言っているのじゃない。かける単価までこういう不合理なものだから……。まだまだありますよ、これをここで問題を解明するとなれば。しかし、いつまでも私も主体だ、付随だと言ってやっているわけにもいかないから、この点を分けられなければ、やはり何ともこれは理屈に合わぬじゃないですか。これは一体どうなるのです。
  104. 立川基

    説明員(立川基君) 御説明は先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、われわれといたしましては、故意に下げようとかどうこうという趣旨ではございませんので、先ほどから繰り返して申しますけれども、当該経営体がその経営体をやめるかやめないかという判断が頭にあるのは、当該地域の近郊の製造業の一般の賃金ではなかろうか、そういう判断で企業体としては行動するのではなかろうかというふうに考えてやっておりますので、別に故意に低くしようという趣旨でもってやっているつもりではございません。
  105. 中村波男

    ○中村波男君 関連。渡辺先輩からいろいろな角度から質問されて、私がさらに尋ねる必要はないと思いますが、参事官の言っているいわゆるやめる場合に他の産業へ出るかどうかということを考えるならば、いまとっておられる賃金を採用したということでしょう。そのことを政策的にいえば、政府の揚げている所得格差を解消するというところに根拠を持たなければならぬわけでしょう。そうだとすると、主幹労働と付随労働とを分けるということについて、価格の評価の上に理論的にそれはそれで理屈はあると思います。しかし、解き方として、片方は主幹と付随労働と分けた資料がないから平均をとるというその平均をとったものを、今度は乳価の場合に主幹労働だけにそれをとっていくというのは、それはもう全く片手落ちで理論的に成り立っておらぬのじゃないかと思うのです。そういうやり方で他産業へ移るか移らないかということを考える場合に同じになるという、理論的に説明できますか。所得格差を解消するという賃金にそれでなりますか。その点ひとつ理論的に説明してください。
  106. 立川基

    説明員(立川基君) どうも理論的にと言われますとあれですが、私たちの考え方としましては、先ほどの主幹労働といいますのは、いまの牛乳の運搬とかあるいはその他の労働のように、その人がほかの人にやらせようと思えばやらせられる、そういうような部分と性格が違いまして、その人が主として周年継続的にしかも休むことなくやらされるという労働につきまして、どういう評価をするのが適当かというふうに考えておりますので、それについて先ほど申し上げたとおりの評価をやっているということでございます。
  107. 中村波男

    ○中村波男君 それはさいぜん渡辺さんからも指摘されたように、製造労賃というものは平均でしょう。だから製造労賃の中には、酪農家の作業内容である主幹的な労働、付随的な労働もその中にはあるわけですから、その平均をとって酪農家のほうには主幹労働だけをかけ合わせていけばこれは低いものが出るということは明らかです。そのことは答えとして、所得の上では所得格差として乳価というものが出てくることは明らかです。その点を明らかにしてもらわないとわれわれは理論的に納得がいかない、こういうことですよ。
  108. 立川基

    説明員(立川基君) 二点ございます。われわれは労働の質が同じであるから、それと同等の労働についてこういう評価をしたという考え方を必ずしもとっていないということにつきましては、先般来申し上げておるとおりでございます。ただ、いま御指摘のように、平均した単価で主幹労働だけを評価すれば絶対値として低くなるかどうかという御議論については確かに御議論はそのとおり、数字はそういうふうになると思います。しかし、考え方といたしましては、先ほど繰り返して申し上げますように、労働の質そのものがイコールだというふうに評価しておるわけではございませんので、いまのような考え方をとっておるわけでございます。
  109. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 労働の質が違うから価値評価も違うというその格差をどう見ておりますか、製造業と酪農と。理論的にありますか。
  110. 立川基

    説明員(立川基君) それは先ほど私が申し上げましたのはまさしくそのとおりで、酪農の労働の質とそれからほかの労働の質がイコールになるということになりますと、御存じのようにカロリー計算なり何なりもやっていかれるかということになるが、そういう考え方ではございませんで、むしろ主幹労働についてどういう評価をするかといった場合に、一般的に、社会的に当該地域において酪農家が考えておるであろうところの基準といたしまして、いまの五人以上の製造工業の労賃をとりましたので、製造工業の労働の質が酪農とイコールであるとか、あるいはそれと違うのだというふうには申し上げていないわけでございます。
  111. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 だから、とにかく現実は酪農民の社会的位置づけを全製造業五人規模以上より低く評価しておるということなんですよ。それで一体酪農に期待できるかということですよ。別な角度から言いましょう。東洋経済新報の調査による乳業関連会社、メーカーですね、これの賃金をこの調査資料で出しますと、乳業メーカーの一時間あたりの労賃が二百九十五円、われわれから乳を買ってそうしてそれを処理する従業員の一時間あたりの労賃が二百九十五円で、つくって売るわれわれが百九十一円であるというふうな、そういうふざけたことでわれわれ農民の社会的地位のバランスがとれますか、とれないでしょう。百円も違うんですよ、一時間。そんなことで一体酪農振興という旗をおろすならともかく、選択的拡大という旗をおろさない限りは、国民が素朴にそれを信じて、歯を食いしばって酪農に取り組んでおる。その立場を尊重するならば、少なくとも二百九十五円というようなものは別としましても、理論的に納得するものがあるならともかく、その適用する基準単価を、製造業の場合は主体労働の賃金、付随労働の賃金を分離してかけるなら納得もしましょうが、それはデータがありません。なければないでしようがないのです、ないものをここで無理に使えとは言えないから。なければないなりに、受けるほうのこっちも付随労働と主体労働などという、そういうすぐれた頭を使わないで、素朴に酪農家のみずからの働いた付随労働も世間並みに計算をすることが、私はこれは去年の国会のわれわれの委員長の申し入れにも沿うし、きのうの審議会でもそういうことが多少議論になったはずだから、そういうものこそ今度は採用してしかるべきじゃないか、これを繰り返し繰り返し言うわけだ。また別な角度からいろいろ言えば言えるけれども、ここら辺でどうですか、次官だんだんわかってきたでしょう、この問題点。今度は検討じゃなく、もう少しどうですか、大臣をひとつ叱咤激励して次元の高いところでこれはやらないと、かなり抵抗は強いですよ。私も知っている。しかし、その抵抗を排除するのこそ大臣、次官の責任じゃないですか、責任ある答弁を求める。
  112. 日高広為

    政府委員(日高広為君) ただいまの御意見につきましては、先ほど来申し上げますように、私非常に参考に供するところが多いと思います。したがいまして取り扱いにつきましては、やはり政務次官でございますから、ひとつ検討さしていただきまして、ただいまの御意図に沿うように、私のほうも今後政府・与党とも相談いたしまして善処してまいりたい、このように考えております。
  113. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは参事官に伺いますが、四十二年と四十三年の主要管理労働の動きを見ますと、そのアップ率が六・四%なんですよ。去年は百七十九円八十二銭だったでしょう。それに対してことしは百九十一円三十二銭ですから、その上昇率は六・四%です。これは一道六県。ところが全国のこの割合を見ますと、五人製造業労賃のアップ率が一二・三%アップなんです。で、全体のアップ率が一二・三%なのに一道大県が六・四%というのは低きに失するんじゃないか、これまた数字の背景が。それで、加工原料乳の主産県である北海道、青森、岩手、山形、福島、長野、鳥取、これのそれぞれの一年間の動き、アップ率を見ますと、一番低くて青森が九・六%アップです、私の資料によれば。最高で長野の一四・四%アップ、鳥取の一四・七%アップ。しかるに政府がお使いになっておるこのアップ率はわずか六・四%。これは使っている時点が違うかもしれません。私の言うているのは、四十年の十二月から四十一年十一月までと、その四十一年の十二月から四十二年十一月までの比較です、一時間当たり。これを比較して各県のを出すと、最低で青森及び福島の九・六%アップ、鳥取の一四・七%アップ、こういうものが出ておる。政府が使われたものを見ると、製造業の一道六県のアップ率が六・四%、これもどうも納得がいかない。これの背景は、何がこういう計算になっているかですね。
  114. 立川基

    説明員(立川基君) いまの労賃の基準でございますけれども、毎勤の数字を使いまして、そのまま私たちが使っておりますので、別に意図的にどうこうしたわけではございませんが、確かに先生が言われますように、全国平均より低いという点がございますので、労働省その他とも打ら合わせてみたわけでございますけれども、この理由のおもな点は、先ほどの先生のお話とはだいぶ数字が違うようでございますけれども、北海道の昨年に対することしの伸び率がかなり低いわけでございます。北海道の昨年度の伸び率あるいは昨年度の基準というものがかなり高かったのではなかろうかということを内々話しておりますけれども、公式な公的解釈ではございません。
  115. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これはデータの使い方の次元が違うと思いますのでこれ以上はお尋ねしませんが、ただ私の一般的に言えることは、全国製造業五人規模以上と比較して、採用した一道六県の主要労賃の単価の時点に合わせたアップ率が一二・三%アップ、それが一道六県は六・四%だというところにひっかかりがある。あるけれども、いずれこれも政務次官のほうで善処するとおっしゃる中にこれは解消されると思いますから、その善処を信じて、あと質問でこれ以上取り上げることはやめます、善処すればこれも解消するはずですから。  そこでさっきいただいた資料ですが、一道六県は全労働評価がえ方式という注釈でいただきました。これで計算をすれば、当然直接経費及びマイナス要素としての副産物収入を差し引いて、結局出てくる保証価格が四千四百十四円というのが出ますね。そうしますと、政府原案で出した付随労働と自給飼料投下労働、それぞれ農村日雇い料金で計算したものを直した差は二百三十七円になりますね。一キログラム当たり二円三十七銭。要するに四千四百十四円という保証価格になる。あなたがこの点についての善処をなされば四千百七十七円が四千四百十四円になる。したがってその差し引きが百キロで二百三十七円の修正になる、こういうことです。こうでしょう。
  116. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 二百九十七円になろうかと思います。
  117. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 二百九十七円ですか。
  118. 立川基

    説明員(立川基君) 自給労働その他も全部入れておりますので。
  119. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) この全労働評価がえ方式と書いてございますのは、この前の当委員会の御趣旨に沿った作業をすればいかなることになるかということで考えましたので、自給飼料分の労働も含めて計算をしたものでございます。
  120. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 自給飼料部分の評価がえを直した場合でございますね。その差が二百九十七円ですね。そうですが。
  121. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 失礼いたしました。二百三十七円でございます。
  122. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は多いほうがいいと思ってちょっと直したのです。(笑声)やはり私の計算のほうが合っていたのだから二百三十七円。政務次官、二百三十七円ですからどうぞよろしく。(笑声)  それから保証価格ではまたいろいろ問題があるわけですが、集送乳費についてちょっとお尋ねをいたしておきます。  いただいた資料の十二ページに集送乳質がキログラム当たり二円八十一銭というのが出ております。これは昨年は三円十四銭でしたから三十三銭減っておるわけですね。減ることはそれなりの理由があるでしょうが、しかしこれは実態とは違うんですね。二円八十一銭というのは実際とは違う。実際は三円五十二銭になっておるのですね。実績を尊重さるべきものじゃないでしょうか。実績というものの内訳は御存じですね。じゃあそれを踏まえて答弁してください。
  123. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 非常に大切な問題でございますが、数字の問題でもございますので、私からお答えさせていただきます。  実績とおっしゃられました内容につきましては、私はおそらくその数字の根拠になっておりますはずの事実と申しますか、数値は資料として私どももいろいろ検討させていただいたことは事実でございます。ただその際に、私どもは実は集送乳の経費の調査といたしまして、昨年の二月と八月に二度調査をいたしております。その結果が二百八十一円でございます。この私ども調査とそれからただいまの実績とおっしゃられました資料との差を申し上げますと、実は私ども調査は指定団体とそれから工場とについて調査を行なうわけでございます。なにゆえなら農家からクーラーステーション等に持ってまいります経費は、実は農家が使用した費用になるわけでございまして、これは当然牛乳の搬出費なりなんなりに入ってまいるわけでございます。そこで、それから先の指定団体がその農家から受けた牛乳を工場まで持っていく場合、あるいは工場がそのクーラーステーションのところまで取りにきた場合、これが実は集送乳経費の内容になろうかと実は私ども思っているわけでございます。おそらくその資料とおっしゃられます中には、農家の分が入っておりはしないかというふうに私どもは推定をいたしておるわけでございます。農家の分は、当然農家の費用といたしまして、これは酪農家のむしろ労働費であるとか、あるいはその他の経費の中に入ってまいるものでございますから、これは別途になるわけでございます。それが一点の違いでございます。それから第二点の違いは、おそらくその資料は工場の分をお調べになっているかどうかということについて若干疑問があるわけでございます。もとより、それは工場を調べておいでにならないとかりにいたしましても、分母と分子は同じだけ落ちてまいります。つまり量と経費が同じだけ落ちてまいりますから、何もそれで狂いが出ないという御議論もあろうかと思います。しかしながら、その際に実は私どもも資料で申し上げますと、工場の集送乳経費と指定団体の集送乳経費とは、工場経費のほうが実は安く出てまいっているものでございますから、そこで工場分の経費が出てまいりませんと、単価といたしましては高くなってまいるという傾向になろうかと思います。  そこでちょっと数字を申し上げますと、先ほど二百八十一円というのは、そのもとが二百七十円でございまして、これを物価修正したものでございますが、その物価修正のもとの二百七十円の内訳は団体分が百六十五円、これは百キログラム当たりでございます。もちろん、それから工場が百五円でございまして、私ども調査では工場の分が安く出るわけでございます。したがいまして、もしも工場の分はおとりになっておらないということになりますと、この部分が低く出る、決して間違いではございませんが低く出るということになります。そういうところに私どもと違いがあろうかと思います。そういうようなことでとっておりますので、この経費の差が出たのではないかというふうに考えております。
  124. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 前段の御説明々具体的に明らかにすると、どこがあれですか。あなたは団体側の資料をお持ちなんでしょう。この分のどこがどういうふうで、政府の分とどこが違う、そういう点を教えてください。
  125. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) それでははっきりと資料に即して申し上げますが、集送乳並びにクーラーステーション処理費調査というのがそれであろうと思いますが、農家から集乳所というのが入っております。その分が、おそらく経費の内容が農家分が入っているのではないかというふうに思われるわけでございます。農家負担がこの中に入っているのではないかと……。
  126. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どのくらいですか。
  127. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) それはわかりません、私どもには。
  128. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 全部とは言わないんだね。
  129. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) はい。そうではございません。部分的に入っているんじゃないかと思います。中身はわかりません。
  130. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それが差の一つの要素……。
  131. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 差の要素ではないかと、そういうふうに思われるわけであります。  それからいま一つは、全部これは見ていきますと、工場については当たっておいでにならないようでございます。その違いがいわば単価の差と申しますか、比率の差、分母と分子それぞれ、先ほど私が申しました比率の差が出ているんではないかというふうに思われます。
  132. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは、どうも私も実際この点をさらに分析して理解をしておりませんからこれ以上お尋ねする能力がないから、次に手数料について伺いますが、この生産費調査では手数料は租税公課等に入っておるわけですか。
  133. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) そうでございます。
  134. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 入っておる……。そうすると幾ら、何%を見て、金額は四十三年推定生産費では幾らになっておるわけですか、販売手数料は。
  135. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 一・五%見たわけでございます。
  136. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 金額は百八十三円のうち幾ら。
  137. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 六十二円でございます。
  138. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、これも実態とは違うんですね。実態は北海道、青森、岩手、山形、福島、長野、鳥取、これの手数料の実態というものを見ますと、二・五二%というものが出ている。この実績をやっぱりこれは尊重すべきものじゃないですか。
  139. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) この点につきましてもちょっと詳細に説明をさしていただきたいと思うわけでございますが、実はこの手数料の点につきましては、当委員会におきまして昨年非常に詳細な御議論がございまして、その結果政府最後の告示の段階で一・二%を一・五%までアップいたしましたことは御承知のとおりでございます。そこで、ことし一・五%で足りるか足りないのかという問題は私どももちろん検討いたしましたし、また、先ほどの実態と申されました資料につきましても私ども検討いたしたわけでございます。私どもといたしましては、実は都道府県庁から同じような資料をとりまして、そうして両者を比較し、検討をいたしておったわけでございます。その結果、指定団体の分につきましてはおおむね一致をいたしております。去年も問題になりましたたとえば岩手県の例でありますれば一・〇%というふうに私ども出ておりますので、ほかの諸県もほとんど同じ状態でつかまれております。ただ問題は、その構成員段階をいかに見るかということにあろうかと思います。構成員の段階につきましては、これは指定団体の場合でございますと、比較的単一でございますからすぐにわかるわけでございますが、構成員段階がどうも両者とも、私どもの資料とそれから実態と申される資料の間には若干の違いがあるわけでございます。これは、おそらくはどうも両者とも実はある意味では、客観的な資料と申しますか、たとえばその乳量によってウエートしたとか、あるいはその販売量によってウエートしたとかいうような数字ではなくて、むしろ何と申しますか一つのモードと申しますか、平均的にその県の中において存在している手数料率というようなものをとっているのではないか。そこに差が出ているんではないかというふうに思われるのでございます。  それからその差と同時に一方で私ども聞いております範囲内では、どうも構成団体の中で手数料そのものを取っていないところがあるという話を聞いておるわけでございます。したがいまして片方の実態の資料のほうから申し上げますと、先ほど申されました二・五二というのは、すべての構成団体が手数料を取っているケース、その場合にはたしか当てはまると思うわけでございます。私どももその計算をやっておりますが、確かにそのとおりでございます。そこでその差が出ておるのではないかというふうに思われるわけでございます。私どもといたしましては、構成団体の約五、六割は手数料を間違いなく取っているという根拠に基づきまして、私どもの県のほうから取りました資料によりまして計算をいたしまして、おおむね一・五%程度で足りるのではないかと思っているわけでございます。実はその内容につきましては私どもももっと調査をしてみたいと思っておりまして、この前、渡辺委員の御指摘もございましたので、昭和四十三年度予算に悉皆調査予算を計上しております。完全にこれを一ぺん調べてみまして、その上で手数料につきましてはしっかりした基礎のもとに来年は算定をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  140. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 都道府県のうちにありましたがね、手数料を取っていない県も。これは確かに鳥取は取っていない。これは伯耆酪農が他の事業でカバーしている。しかし二・五二%を算出するにはその取り扱い総金額というものをこれは取り扱い数量で割っていますからね。したがってゼロの要素も入って二・五二%になっている。これはあなたのお考えを修正してもらわなければならない。
  141. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) それはよく知っているわけでございます。鳥取の場合には取っておらない分をもちろんその実態と申された資料の中でも落としておられるのは私どももよくわかっております。ただ構成団体の中でと申しますのは、単協段階でという話でございます。決して私先生の御意見を誤解しているわけではございません。
  142. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 単協段階も鳥取は取っていないですね。だからそれも全部二・五二に入っている。総取り扱いの中で手数量の単価を出している。そこで構成団体の手数量が岩手では一・五四、青森では二%、これはほとんど調査し得るものの手数料を出しているわけですから、あとどうしても悉皆調査のできないようなものを除いて、これは法律にもうたっているように、一元集荷多元販売ですから、必ずその単協の手数料はわかっているわけです。指定団体でわかっている。団体でこれはちゃんと掌握している単協段階の手数料ですからね。ただ、このほかに別個にいわゆる賦課金を取ったり、手数料以外のものを取っているところもあるし、山形県では指定団体で歩戻しを多少しているというようなケースもありますが、それらを全部整理をしてネットで見ると二・五二%になるから、これはやはり一・五%に固執することなく、実績を尊重して考えるべきものだと思うのです。
  143. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 私どももよく調査をいたしていないで申し上げて恐縮でございますが、二・〇%とたとえば青森のケースでなりました際に、それは乳量で完全にウエートをした状態になっているかどうかということなんでございます。しかしながら、その県の中で平均的な状態ということはここであらわれていると思うのでございますが、取っていない単協というものを落として一体計算をなすっておられるか。それとも全部それが販売金額の中に入ったとして議論をなさっておられるかということによってだいぶ違ってまいるのじゃないかというふうに思われるわけでございます。したがいまして、取っている団体と取っていない団体という状態になってまいりますと、それが鳥取のように構成団体で取ってないということは私どももよく承知しておりますので、そのほかの県で取っていないものについてどうなるかということでございます。したがいまして、それは悉皆調査をやってみまして、その結果、取っているか取っていないか、それを全部出しました結果、取っているものの総取り扱い量に対しまする手数料額というものを出しまして、それで出すべきであると思いますので、これは予算をただいま御要求申し上げておる途中でもございますので、それはしっかりやって、ひとつ来年はそのもとに基づきました手数料率で出してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  144. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それはまだ多少時間もあることですから、指定集荷団体ともよく意見を交換して、お互い各団体の、政府の施策に協力しているのですから、納得をするような、やはり十分な相談をして、修正すべき点は修正をして出してください。それは強く要請しておきます。  それから参事官に申し上げますが、冒頭に私が大臣に伺いましたのですが、不足払い制度が出ましてから、乳製品がどうも外国の製品にシェアをどんどん侵食されてきている。四十一年は、さっき言ったように脱粉は半分以上も占めていて、四十二年は七七%、またバターが六一%というようなことでは、これは非常に問題だと思うのですよ。それで私はやっぱりこの価格の構成の中にもかなり輸入を促進するような一つの要因があるのじゃないか。端的にいえば、安定指標価格が低きに失する。むしろ不足払い制度は無用の長物になっているのじゃないかとさえ言いたいくらいな一つの作用をやっているのじゃないかと思うのです。そこでせっかくこの不足払い制度が実施されて二年を経過しただけですから、あとで飲用乳のときに伺いますが、この安定指標価格のきめ方というものについて、先ほども委員会の要請事項として、その基準年の取り方について、基準期間を四年としないで、なるべくこれを三年、あるいは二年、−一年とは言いませんが、そういうふうに最近時に期間を圧縮すべきじゃないかということを申し上げたのです。  それで、これについて出た試算をいただきますと、基準期間を三年とした場合は、基準取引価格が三十七円五十九銭になりますね。そうすると、きょう出されました資料は基準期間を四年としたものが三十六円四十七銭で基準取引価格が出ているから、かなりこれで差が出てくる。一円十二銭の差が出てくる。これをかりに基準期間を二年とした場合、この場合は三十八円七十四銭になる。そうしますと、政府が原案として審議会に出し、本委員会にきょう提案した三十六円四十七銭と比べますと、二円二十七銭というさらに差が出てくる。私、実は先ごろ岩手県の酪農民大会というのに招かれて出席しました。そうしたら、その大会の、基準取引価格の設定について基準期間を三年にせよという原案に対して、ある組合長から基準期間を二年に修正するという動議が提案されました。これに対しては非常に積極的な賛成意見が三、四人から出まして、それを議長が取り上げて緊急動議が成立し、それをはかったところが満場一人の反対もなく、この原案が二年というものに修正されて、その他の原案が可決をされたという、私は岩手県の酪農民大会に親しく終日出席してまのあたり見てきたものであります。  したがってこの基準期間を二年とした場合、三十八円七十四銭というものが出てくる。この数字をもとにしてこれからお尋ねをするわけですが、一体この基準取引価格というものは、私からいまさらもっともらしく申し上げるまでもなく、安定指標価格から標準販売経費を控除して出すものです。ところが、どうも安定指標価格が非常に低い、基準年の取り方が長過ぎるというようなことで、現実にはその安定指標価格が輸入の線だから、この線でもうどんどん輸入をする。そのことがどういう結果を招くかといえば、安定指標価格が市況よりも現在は一七%ぐらい安いんでしょう。市況より何%ぐらいですか。
  145. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 実はこの点につきましては、最近の市況をとりますと、ものによって違いますけれども、たとえばおととし特に輸入乳製品の操作につきましてまだ私どもが習熟しておらなかった時期におきましては、これは実はこの数字が約二〇%からのギャップがあったことは事実でございます。ところが、それを逐次私ども操作によりまして解消してまいりまして、それからまた昨年の基準取引価格のアップ、安定指標価格のアップによりましてこの差がただいまのところ、名目と申しますか、ただいまの状態では大体一〇%ぐらいまで縮まってまいったんです。ところが、昨今はさらに私ども実際上の取引から見てみますと、この水準がさらに下がっているのではないかというふうに思われるのでございます。これはいろいろな資料によりまして、私どもこれが五%かその辺ぐらいまでしか来てないんじゃないかという状態になっておりまして、現実に事業団で操作いたしております最近の脱脂粉乳等の落札の状況等を考えてみますと、実はごく少量の部分を入札に付しましても、落札は半分あるいは半分以下というような状態が続いておりますので、だいぶ市況が緩和いたしてきておりますから、そのような点では、ただいま渡辺委員の御指摘がございました点につきましては、最近の実勢が非常に変わっているということだけはひとつ御了解いただきたいと思います。
  146. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 最近は北海道を中心としてかなり乳量が伸びている。岩手でもことし一月ごろからかなり伸びてきている。私もその実態は知っている。ところが、最近の事態はまあ別としまして、一ころは二〇%も差がある。そうしますと安定指標価格、基準取引価格、ずっとアベックで動いているものだから、基準取引価格よりもその二〇%も、私からいえば適正利潤を見て基準取引価格が出ているんだから、その基準取引価格よりも製品の市況というものが二〇%も上回っているということは、それだけ適正利潤をこえた不当な利潤がメーカーの取得になっているということが言えると思うが、どうですか。
  147. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 私どもの基準取引価格の算定と、それから事業団の操作とがマッチしていない状態におきましては確かにさようなことがかつてあったということは事実でございます。ただ、つまり私申しますのは、市況とそれから安定指標価格がだいぶ差がございまして、その部分がさらにマージンのほうに追加されたという事態があったことは事実だと思います。ただ、その事態をさらに改善いたしますために、私どもといたしましては、需給の操作をうまくやるようにという御趣旨がございましたので、それを体しまして運用してまいりました結果、このたびの安定指標価格の水準で市況とおおむね同じ、ほとんど同じという状態になろうかと思います、現在の市況をもとにいたしますと。
  148. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 最近の市況から見れば、この四年の期間を出し、これが大体もういい線だと、こういうような説明ですけれども、私は最近のこの現象がそれでは今後も続くかどうかですね。これはしかとそういう確約もないわけでしょう。むしろこの日本の酪農振興という立場から見れば、全国酪農民大会、何か二つか三つの大会が持たれたようだが、共通して読み取れることは、やはりこの乳製品の輸入を抑制せよ、そういうことにある。抑制するということは、単に政策的に押えるだけじゃこれはきかんわけだ。そんな単純なことではいかんのだから、やはりいろいろなバック・ポリシーが必要だと思う。そのうちでも私はこの安定指標価格をもっと過去の四年に延ばして計算をするということじゃなしに、三年ぐらいにその基準年をとって——岩手では二年と修正決議をしたけれども、全国では三年になってるようだから、三年ぐらいの基準年にこれを修正して、安定指標価格をもう少し政府の原案よりは修正した三十七円五十九銭ぐらいなところに落ちつけて、そうして安定指標価格はバター六百七十三円、脱粉が五千五十三円、——たとえば脱粉はきのうの相場は幾らですか。
  149. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 建て値と申しますか、市況はそのときそのときの売りで出てまいりますのではっきりとは申し上げられませんが、つまり基準がございませんのでどこの市場で幾らということまでは——たとえば豚とか、そういう市場を持っている商品と違った状態でございますのではっきりとは申し上げられませんが、最近で、たとえばポンド百七十円とかあるいは百八十円とか、低いものはポンド百七十円を切ってるものがある。そのように聞いております。
  150. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ポンドじゃなく、政府の、建て値でいったならば幾らになりますか。五千五十三円という価格を試算で出しているが、これに見合う市況は幾らですか。もっとはっきりわかるように答えてください。私も鉛筆で書けばわかるけれども、あなたは専門家だからしろうとにわかりやすく、親切に。
  151. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) かりにポンド百七十円といたしますと、四千七百二十円ぐらいという計算になります。
  152. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、五千五十三円というのは四千七百二十円ですか、いまの市況というのは、脱粉が。
  153. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ものによってはそのような価格で売られておるということでございます。
  154. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いやものによってはとか何か知らんがね、ここにある四月一日に告示しようとする安定指標価格の、脱粉の五千五十三円というものとにらみ合わせて比較したいまの相場はどうかといえば、幾らですかと。おとといでもいいが、先週でもいいが、最近の相場というものは幾らですかという、千円も安かったらこんな指標価格はまた問題じゃないの。去年の六月は五千三百六十一円ですよ。
  155. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) そのとおりです。そのくらいになっておりました。先ほど申しました建て値のほうで申しますと脱脂粉乳一二・五キログラム当たりすなわち今回の安定指標価格に相当するものとの対比において算定されるものが五千二百十六円になっております。これが一月の水準でございます。ところが、ものによりましてはこれより低くて、先ほど申しましたが、数字の非常に低いものもございますということを申し上げておるわけです。
  156. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうしますと、建て値に見合うものとしては五千二百十六円であれば、五千五十三円というものが、三年を基準期間として出したものとして五千五十三円である、安定指標価格は。私はこれはやはり基準期間四年とする場合よりはベターだ。実際の市況はこの価格よりもまだ高いからそれをさらに四年にすればさらに差が拡大する、だからやっぱりこれを基準期間を三年にしぼってこれを算出すべきものだと思うのです。
  157. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ただいまの市況は、先ほども申しましたように、この一月の建て値よりはかなり低い市況になっておりますので、場合によりましては、このような高い市況、高い安定指標価格ができますと操作が非常にむずかしくなりまして、現実と乖離してくる事態があるというふうに考えるわけです。
  158. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それともあれですか、参事官に伺いますが、還元乳に用いるものはやめさせる、したがって脱粉も使わせない、そういう用途には。そういう方向があればまた別ですよ。脱粉の相場が下がりますよ。そういう方向ですか、それならそれなりにわかるのですが……。
  159. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほども申し上げましたように安定指標価格の場合におきましては、先生御存じのようにこれらの商品の何といいますか、変動のひとつのサイクルというようなものが、サイクルというよりもむしろ期間でございますが、それが一応四年と考えられるということ、それから先ほどの現実の実勢がいまの建て値の問題もございますけれども、現実の実勢がほぼそれに近いということと、それから最近における生乳の増産の傾向あるいはマーガリンその他の代替の発生の問題、その他から考えまして、現在、従来やっております四年基準でやりまして、それほど大きな差しつかえはないんじゃないか。あるいは現実からの乖離も先ほど来るる御説明いたしておりますように、そう大きな乖離はない、むしろほとんど接近してきているというふうに考えておりますので、価格の安定性といいますか、一定の基準価格になりますので、従来とってきました、いま四年基準というこの考え方を当分の間続けてみたいというふうに考えております。  それから脱粉の還元乳の問題でございますけれども、この問題につきまして言うなれば、還元乳が必ずしも好ましくないということは私もそう思っておるわけでございますけれども、現在の流通しております量ということになりますと、全体、年間の総生産乳量に比べましてたぶん八%弱程度ではないかと思いますけれども、総量としてそれほど多くはございませんし、また時期が御案内のように夏場で生産が少なくて需要が急増すると、そういう時期のアジャストメントと言いますか、調整に主として向けられておるというような事態から考えまして、いま還元乳を全然禁止するとか、そういうようなことではなくて、やはり生乳そのものの増ということで当分の間対処していきたいというふうに考えております。
  160. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 四年にした根拠はどこにあったんですか。基準期間を四年にとった根拠はどこにあったんですか。
  161. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) これは過去の乳製品のいわば市況のサイクルというのがおおむね四年程度であるということでございまして、このような市況のサイクルは御承知のように、昭和三十八年がひとつの谷でございまして、そこからまたずっと価格はアップしてまいりましたけれども、最近またこれが若干下がっておりますので、この四年のサイクルというのはやはり同じように存在するのであろうというふうに考えたわけでございます。  それから先ほどの御質問に補足して申し上げたいと思っておるわけでございますが、実は還元乳と安定指標価格との関係お尋ねになったと思っておるわけでございますけれども昭和四十二年の安定指標価格水準、これをもちましてかりに完全な還元乳と申しますか、これは世の中にないと思うんでございますけれども、完全な還元乳をつくりますと、一合当たり九円八十八銭につくというふうに私たち計算しております。これは東京の建て値でございます。ところが、それに対しまして東京の周辺で一合当たりの生乳の価格水準というものが大体九円四十五銭というふうに私ども算定をいたしておりますので、その差はまだまだある。さらにこの安定指標価格を四年サイクルを基礎にいたしまして、基準年次を四年といたしまして今回上げましたことによりまして、さらに格差と申しますか、その格差がなくならないということでございまして、還元乳対策という観点からいたしまして、決してこの価格水準がいわば生乳の生産圧迫になる、その価格水準を設定することによって生乳生産が圧迫されるような状態になるということにはならないと考え、またその点は十分チェックするつもりで、その観点からの考慮も払ってきめたものでございます。
  162. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうもそう言えばそうかもしらぬけれども、実際はこういうきめ方によって輸入を容易にしておる。安定指標価格が低いために、これをもう少し適正な、基準期間を三年に短縮することによって、私はもっと輸入を規制する防波堤にもなる。またかたがた、メーカーが不当利潤を占めなくても済むようなことにもなると思うのです。そのことはまた生産者の保証価格を引き上げる要素にもなると思うのです。いろいろな点から言っても、基準期間を三年に短縮したほうがベターだと思います。  それからサイクルが四年周期だというのは初めて聞いたのだが、そういう科学的な動きをしているのですか。そうして、こういう大きな経済の変動を遂げているうちでも、そのサイクルが依然として四年を堅持して譲らないような客観性を持っているのですか。どうも私はデータもないから、そう言われれば、ああそうかと言うだけのことですが、何もそういうことにとらわれないで、もう少しその点は勘案をすべきものではなかろうかというふうに思います。  時間もだいぶ経過しましたから、ひとつ先を急ぎますが、まだ二、三ありますから。この主要な乳製品の製造販売費用というものを見たのです、メーカーの。十六ページにある。これを見ますと、去年と比べますとみんな販売経費が値上がりしている。脱れんだけだ、去年に比べて販売経費が多少減っているのは。去年はバターは一キログラム当たり百二十二円六十二銭であったものが、ことしは百三十三円三十六銭、八・七%アップというぐあいにずっと上がっているわけですよ。ただこれだけではわからぬ。また要求しなければ資料を出さぬから、ここで資料を要求して、刷ったものをもらうと時間がかかるから、口頭で言ってもらいたいのだが、この製造販売経費の中でいわゆる、三大メーカーとその他中小メーカー、それに分けた去年とことしの販売経費の動きはどうなっているか。そういう内訳をちょっと答えだけでいいですから教えてください。
  163. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) お答えいたします。  大手と中小との関係を申し上げます前に、この資料の読み方と申しますか、見ていただく際にちょっと注意していただきたい事項が一つございます。それは何かと申しますと、実はメーカーの搬入経費の中で私どもは認定クーラーステーションと呼んでいるものがございます。これは何かと申しますと、クーラーステーションの中で私どもが保証制度を運用してまいります際に、そこで取引がなされているはずだと法的にみなしている工場がございます。この工場の場合には御承知のように、取引場所まで搬送していった経費というものがこれが先ほどの集送乳経費になってくるという考え方でございますので、法的に認定されているクーラーステーションの経費と、法的に認定されているクーラーステーションから工場までの経費というものはむしろ、工場持ちだというふうに考えるべきだと思います。そこでその経費分を実はこの中に一緒に入れてしまっているわけでございます。それですから、いわば製造販売経費のほかに搬入経費がこの中に入り込んでいるわけでございまして、その搬入経費を除いたものをいま読み上げて申しますと、バターの場合は百二十七円三十五銭でございます、四十三年の場合。それから脱粉が二十五キログラム当たり二千四百三十二円で、それから全練が二十四・五キログラム当たり二千三百二十八円、脱練が二十五・五キログラム当たり二千二百六十一円でございます。それから全粉が二十五キログラム当たり二千七百六十二円、それから家庭用のバターが一キログラム当たり百八十六円二十九銭でございます。そこで、去年の資料と比較していただきますと、バターも下がり脱粉も下がり、全練も下がり、脱練だけが二円上がっております。それから、全粉も下がり、家庭用のバターも下がっております。実は私どももちろんこの数値を算出いたします場合、製造経費につきましては、メーカーの申告を求めましてその申告を私どもが精算いたしてまいるわけでございますが、その際に、私どもといたしましては、特に経費が異常にかかっているというようなものにつきましては、かなりきびしく精査をいたしておりますものですから、このような前年よりも上がらないという形になっておるわけでございます。で、先ほどのお尋ねの大手と中小の関係を一番端的な数字で申し上げます。バターの原料もの一キログラム当たり大手百三十二円二十七銭、中小百六円六十八銭でございます。脱粉二十五キログラム当たり大手二千三百八十四円、中小二千七百八円、全練二十四・五キログラム当たり大手二千四百十四円、中小二千百九十四円、脱練二十五・五キログラム当たり大手二千三百七円、中小二千二百四十円、全粉二十五キログラム当たり大手二千七百三十二円、中小二千七百八十二円、バター家庭もの一キログラム当たり大手百九十一円六十九銭、中小百四十二円八十二銭となっております。  以上の資料から脱粉、全粉につきましては、大手は安うございますが、ほかの四品目は大手が若干ないしはやや高目のものがございます。
  164. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この表で見ますと、加工費が五十七円ばかり上がっていますね、全体で。それから、販売費が去年とことしと比べて非常に上がっている。一体メーカーは経営の合理化というのをどういうところに反映しているのか、さっぱりどうもわからぬのですがね。
  165. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 一般的な傾向で申し上げますと、加工費の中の原材料費は、わりあい合理化によりまして下がっておるわけでございますが、特に、労務費の系統が何分にも人手不足でございますので、これは職員ではございません。一般の労務の関係の人件費が主でございますが、この経費がどうしても上がりまして、やや高目に出ているのが加工費が上がっている原因かと思います。それから一般管理費は去年に比べまして、やや大目に出ておりますけれども、これは申告値に対しましては、かなり私どもきびしい態度で臨みまして、固定費をなるべくけずるようにという方針で臨んだつもりでございます。  販売費は、先生も御承知のように、諸般の市況がだんだんゆるんでまいりましたので、どうしても販売努力をいたさなければなりません。そのために広告宣伝費であるとかあるいはその他の諸掛かりがふえまして、どうしても売り込みのための販売費が多くなってきたというふうに考えているわけでございます。しかしながら、全体として私どもは経費の合理化をはかるように、前年度よりも、ほとんど大部分のものにつきまして経費を節減し、固定費的な要素につきましては、なるべく人員をふやさず、それによって合理化を進めるように指導しているわけでございます。
  166. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 次に飲用乳のことでちょっと伺いますがね。不足払いの法律を書いているとき、飲用乳についても行政的にタッチする原案の計画があったのですが、いつの間にか国会に出る間になくなった。非常に遺憾だと思う。飲用乳の問題は、単に原料の視野だけでこれはどうこうということでもない。やはり飲用乳一体で均衡のとれた政策を失なわないで進めなければならぬわけです。この飲用牛乳に対して政府は正常価格形成が行なえるように指導すべきだと思うんです、もっと強く。これは大臣答弁を必要とする問題だ。大所高所からやはり行政庁が行政指導を徹底すべき問題だと思う。正常な価格形式に対して、これをなおざりにするということは、これは一つのサボタージュです。四十三年度を迎えて政府は、この飲用牛乳に対してどういう価格指導をなされようとするのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  167. 日高広為

    政府委員(日高広為君) 飲用乳価の問題につきましては、本来生乳生産者と乳業メーカーとの交渉によりまして、需給の実勢に応じた妥当な水準でその取引が実現されるべきものと考えておりますけれども、明年度の飲用乳価につきましては、目下この両者間で交渉が行なわれていると聞いておりますので、農林省としましては慎重にその推移を現在見守っております段階でございます。
  168. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 見守ってばかりいないで、かつて法律の中にも行政的な規制を意図した構想があったわけですから、その点については、もっと行政庁としても正常価格形成についての指導監督が私は必要だと思うんです。それをひとつ適正に運営されるようにこの機会に要望しておきます。  それから先ほど還元牛乳の問題に触れましたが、外国でもリコンバインドミルクを禁じていると聞いているんですが、そういう実例があったらお聞かせを願いたい。まあ全体に占める割合は低いといいますけれども、拡大することはないにしても、国民の飲む乳は、これはフレッシュミルクなんだということにやはり徹すべきだと思うんです。ある年次を区切ってそれを廃止する方向にこれは強く行政指導すべきものだと思うが、その廃止をしている国の実例及び政府の還元牛乳の今後の行政指導の方向について、この際明らかにしていただきたい。
  169. 立川基

    説明員(立川基君) ただいまお話のございました還元乳の近来の外国の例でございますが、われわれが伺っておりますところでは、ヨーロッパのような、生乳生産の非常に大きくて、しかも日本と違いまして夏と冬との間の生産の落差が非常に大きくないというような地域についてそういう実例があるようでございます。夏場と冬場につきまして需要の落差がないところにおいて行なわれておるようでございます。それで、いまのお話でございますが、フレッシュミルクをわれわれが飲んでいくということについてはわれわれの目標として掲げるべきだろうとは思いますけれども、先ほども申し上げましたような需給の状況、ことに需要におきまして夏場とやはり冬場の落差のある状況、しかもこれに対します生産の状況が現在のような段階でございますので、これらの需給の状況が、ことに今後われわれが力を入れてまいりまして、生産をどの程度に増強できるかということとあわせて考えてまいりたいというふうに思っております。
  170. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 フレッシュミルクの消費拡大対策についてはどういう考えをお持ちになっておりますか。
  171. 立川基

    説明員(立川基君) 御存じのように、フレッシュミルクにつきましては、まず第一に消費者の御理解を得るということ、それにつきまして、先ほどから御案内のように、モデル事業その他をやりまして、生産者なり消費者を結びつけてそれをやるということあたりをさしあたり考えておるわけでございますけれども、基本といたしましては何といいましても生乳の増産ということが一番基本になるというふうに考えておりまして、それに基づいての一般的な施策は申し上げるまでもございませんが、ことに都市近郊におきます牛乳の生産の増強ということも一つの重要な点ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。で、都市近郊の牛乳の生産につきまして、たとえていえば東北あるいは北海道あたりにおける乳牛を育成いたしまして、その育成された乳牛を調整牛としてその近郊地帯に持ってくるということも一つの方法でございましょうし、先般来われわれが考えております裏作の導入、ことに契約生産をやりますというようなことに対する助成事業なり、何なりということによりまして地域的に偏在しております需給のアンバランス解消に努力する、こういうことも一つの方法かと考えております。
  172. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 還元乳の不当表示の取り締まりはどうしますか。
  173. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 還元乳の不当表示問題につきましては、所管の直接の官庁は公正取引委員会の問題でございますが、実は私ども公正取引委員会がこの間特に加工乳につきまして——と申しますのは、還元乳が含まれているケースというのは加工乳でございますが、その加工乳につきまして規制をいたしまして、業者の自主的規約をつくりました際に、私どももその公正取引委員会措置に対しまして非常に協力をいたしましてかなり強く業者を規制いたしたということは事実でございます。  その考え方のもとになっておりますのは、これから公聴会を開きまして、おそらく最終的にその結論が出てまいると思っておりますけれども、内容といたしましては、一つは従来まではその成分内容等は何ら表示がされていなかったのでございますが、その成分内容を表示しろということを、キャップに表示するということも業界の納得を得さしめましたし、また、そのほかに特に問題となりますのは専用びんの問題でございます。何ゆえなれば、加工乳につきまして牛乳という表示をつけるかつけないかという問題もございますけれども、その際に牛乳とかりに表示をいたしましてもこれは加工乳なんだということを明瞭に示しまして、それによって、消費者に普通牛乳と加工乳の違いがあるのだということをわからせるという必要があろうかと思いまして、かような措置を専用びんについてとったわけでございます。共通びんでございますと、たとえば〇〇乳業ということになれば牛乳という文字が全然びんにあらわれてまいりませんから、したがいまして、共通びんではなく専用びんにつきましては牛乳という文字を使ってもいいけれども、必ずそれは加工乳という文字を大きく書きなさいということにいたしておるわけでございます。それからまた、キャップにつきましては、前々からこれは普通牛乳、加工乳を必ず表示させておりましたけれども、キャップだけでは足りない。これはびんにもつけなさいということを言っておるわけでございます。それからまた、たとえばデラックスものとか、あるいはゴールドとか、いろいろな、これは名称が特定の社に当たりますのではなはだまずいのでございますが、そのような、何か非常に成分が多いような表示をいたして、それによって売っておるものにつきましては、その成分内容が十分ある状態にいたしておかなければ、そのような、特に消費者にエンリッチと申しますか、有効な成分が多く含有されておるような気持ちを起こさせる表示はつけてはならないということにいたしまして、その規制に当たっておるわけでございます。この規制の効果によりまして、私どもといたしましては、少なくとも加工乳の分野につきましてはかなりの程度効果があがってまいると思うのでございます。最近の傾向を見てみますと、やはり普通牛乳のほうが相当伸びてまいっておりまして、加工乳の伸び率よりも普通牛乳の伸び率のほうがやや高い状態になっておりますので、今後ともそのような傾向を助長いたして、フレッシュミルクを消費者に飲んでもらうという傾向を助長いたしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  174. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは乳価は以上をもって私の質問を終わりまして、豚について二、三お尋ねをして終わりたいと思います。  これは参事官に伺いますが、豚の上肉で言うと、現行価格ではきわめて不採算である。やはりその生産費調査から言って、上物で一キログラム当たり三百六十六円以上という生産者の声があるのです。これを、価格を告示するにあたって、農林省はどうそれを反映をされようとするのか。今度審議会に出された考え方を修正してその声を聞くべきだと思うが、その点の見解をまず明らかにしていただきたい。
  175. 立川基

    説明員(立川基君) ただいまの豚肉の価格の問題でございますけれども、これにつきましては豚肉の価格の安定、上位価格の安定なり基準価格につきましては、われわれとしましては従来から需給実勢方式という方式で一応考えておるわけでございまして、そのやり方でこの数年やってまいりまして、一応去年、おととし、いろいろな変動はございましたけれども、現段階においてこの算式を具体的に変える必要はないのではなかろうか。ことに四十二年の状況から判断いたしまして、四十三年につきましては生産費なり何なりは、従来の統計調査部その他の調査からいたしまして若干生産費が低下しておりますけれども、需給の状況から勘案いたしますと、最近の状況からすれば、やはり四十三年は若干需給に何と申しますか緊迫ぎみがあるように感じられますので、両者を勘案しまして、大体従来の実勢の算定方式によります数字でおおむね良好ではないかという案で審議会に参考資料として諮問をしたわけでございます。で審議会といたしましては、まあ現行政府のいまの考え方について、一応やむを得ないものではないかという趣旨の御答申をいただいたわけでございまして、今後これをどういうふうに処理するかにつきましては、上司なり関係の方々とも御相談してきめたいと思っております。
  176. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それからなお問題は、いま畜産振興事業団の買い上げ対象は上肉に限っておりますが、通常の相場のときには中肉との格差は三十円くらいで動いているわけですが、これが一たび、いわゆるピッグサイクルの輪に入ってくると、その上肉との価格差が、片方は一応安定価格で支えられることもあって五十円、六十円、八十円ぐらい、さらに値開きが起こって養豚農家としては非常に困り果てておるわけですね。政府の指導を真に受けて、そうして多頭飼育をしている農家が一千万以上の借金を一つの農協でしょって、この豚価の暴落によって、その金を返せないというのが、私が見たのでも一農協に十二、三人あるというのがある。これが全部、中肉に事業団の買い受け対象がない結果に由来しているわけです。それで、こういうことでは困るので、四十一年の審議会ですか、そのときに檜垣畜産局長から、上ものだけをサポートしたのではこれはやはり安定にはならない。現実にいま流通している上ものの占める割合は五割ちょっとこえている程度でしょう。四割以上が大体中肉だ。中肉がさっぱり事業団の対象にならないということは、これは肉の安定には片手落ちだということで、四十二年からはこれを対象にする、という約束をとったわけです。しかし、一年の経過を見ると、事業団は中肉には何ら発動しない。政府当局は、事業団の規約をすみやかに変更さして、中肉を買い入れの対象にして全体をやはり支えるという姿勢をとるべきものだと思うんですよ、四十一年のこれは約束もあるから。この点についてはどうですか。
  177. 立川基

    説明員(立川基君) 確かに、現行の制度といたしましては畜産振興事業団は買い入れを上ものに限っております。で、そういうような関係もございまして、価格のゆるんだとき、ことに昨年あたりにおきまして普通の上もの価格が落ち込んだ場合には、中以下のものについて価格の下げ幅が大きくなるということは先生のおっしゃるとおりの事実がございます。そういう事実を踏まえまして、審議会におきまして昨年と本年度と二カ年にわたりまして、その委員会をつくりましていろいろと検討してもらったわけでございます。それの先般の御報告によりますというと、最近におきまして、いま先生もお話のございましたように、豚の品質が比較的といいますか、相対的に低下しつつあるような状況でございます。これはいろいろな理由によると思いますけれども、全体の屠殺頭数におきますあるいは流通豚頭数におきます上ものの比率がだんだん低下しているような状況でございます。そこで、政府が買い支えるというような制度として、中以下を考えた場合に豚の品種改良なり、そういう観点からしていかがなものであろうかという点と、それから、かりにこれを中以上を買い上げるという制度にいたしました場合に、中が、御存じのように、非常に値幅あるいは品質差の幅が非常に広いわけでございます。そこで、中のどの程度の部分のものを買い入れ対象とすべきかということでいろいろと問題があるというような御答申がございました。それに対して委員の中から、それはテクニカルに、あるいは行政技術的にそういう問題があるのだろうけれども、先ほど、何と申しますか、農家の受ける負担なり何なりという問題については別途考慮する必要もあるので、今後引き続き検討するように、こういうお話がございまして、いまのような問題を踏まえながら今後も検討を続けていきたいというふうに考えております。
  178. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 検討を続けるというより、あなた、とにかく四十一年度の審議会で当時の局長は四十二年から中肉も買い上げの対象にしなければ、上肉だけではこの価格安定の制度は意義が半減しておるというようなことで、それを約束しておるのですよ。検討の時期じゃないですよ。約束を履行するかしないかという段階ですよ。値段はいままでの算定方式で据え置く。三百二十円か、われわれは三百六十六円を要求しておる。それはまあ認めない。中肉も品種改良その他で情勢を見る、これではとんとわからぬじゃないですか。(笑声)
  179. 立川基

    説明員(立川基君) 確かに一昨年の審議会におきます経緯があったようにわれわれもお伺いしております。そういう経緯を踏まえまして、昨年具体的に小委員会をつくりまして横地小委員長を中心にいたしまして専門家その他集まっていただいて、そうして本年も引き続いて検討していただきました結果がさっき申し上げたとおりでございまして、これに対する審議会の御意見も先ほど申し上げたとおりでございますので、われわれといたしましては、いますぐに買い入れするとかどうとかいう問題は現状においては起こっておりませんし、そういう問題について引き続いて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  180. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 市場の相場に差があるのは一体どうするのですか。広島とかあるいは福岡の市場と大阪市場の相場に五円差があるとか、こんな不合理は認めてきたわけだが、これは一体——今後もこんな、市場間に五円の差があるとか十円の幅があるとかいうことは、どうしてもこれは是正すべきものだと思うのですね、豚肉も。九州だから安くていいというわけにいかないでしょう。これを一体どう前向きに改善するのですか。
  181. 立川基

    説明員(立川基君) いまの点につきましても、これも数年前からいろいろ御議論のあったところでございます。東京なり大阪なり、そういうおもな市場と、各地方の、先ほど御例示にありましたような市場との間における価格差の問題をどう取り扱うかという御議論があったわけでございます。これにつきましても一昨年の審議会で御議論がございまして、これも社団法人日本食肉協議会に委託して調査をやりまして、現実における商取引においてそれらの地域における価格の落差がある、取引される市場間における落差があるという事実が認められまして、そういう経済の実態に合うような形として具体的に幾らの金額がいいか悪いかという問題は別でございますけれども、市場間格差というものはやはりおくべき問題じゃなかろうかという報告がございましたので、この問題についてはわれわれとしては現在のような考え方でいったらどうかというふうに考えております。
  182. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうも聞けば聞くほど審議会というものはあなた方の隠れみののような気がしてならない。そんな審議会に事寄せないで、もっとそういう不合理を是正することが全体としてのこれは行政あり方だと思いますよ。だから審議会がまたうまく利用されるのだ。こういうときは、そうじゃなくて、九州の豚だってあるいは関東の豚だって豚に変わりないですよ。その地域だから五円も安くていいという、そんな理屈は成り立たぬですよ。これはもっと素朴に公平にすべきものだ。ほんとうにそういうことを掘り下げるとまだまだ時間がかかるから私は上つらをちょいちょいとやっておるのだけれども、これは養豚農家としてはやはり切実な問題ですから、あまり御用審議会にばかりかこつけないで、もう少しそういう問題をすっきりしてもらいたい。  それから最後にもう一つ伺います。この豚の場合なんかもそうですが、産地買い上げ価格を支持するために市場手数料というものを一%取っている。これは不合理だと思う。市場形成もしていないで一%を取っていると、これだけはとにかくやめてもらいたいと思うんですが、どうです。
  183. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほどお話がございましたんですが、われわれの考え方といたしましては、産地買い上げ制度はもよりの市場における価格から一定の経費を差し引いたものというふうに理解しておりますので、その基準になるべき市場において手数料を徴収しておるわけでございますから、そこからその他の経費としてディスカウントしまして、産地買い上げの価格をきめたと、それがまた経済の実勢でもあるというふうに考えております。
  184. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いやそれは諸掛かりをディスカウントすることはいいが、手数料を取ることはおかしいと言うのだ、ぼくは。一%といったら三円二十銭ですよ。大問題だ、これは。あなたにとればたいしたことないかもしれないけれども
  185. 立川基

    説明員(立川基君) いま申し上げましたように、もより市場におきます価格でございますから、それにはいまの手数料が含まれた価格ということできまっておりますので、あとはその当該市場と産地買い入れいたしますところの指定地域との間の落差でございますので、これは従来どおりやはり含まれるものだと考えております。
  186. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 だからね、市場へ出しもしないのをバランスをとるために無理に市場手数料を取るなんというのは不合理だと言うのですよ。どうせこれは法律の定むるところによって計画出荷をして共販にのせてプールするのだから、そんなところで無理に手数料を取るよりはプール価格で生産者に均等に与えるべきであるというのが当然あるべき姿であって、何も産地買い上げに対して市場手数料を取るのは適当ではない、これはすみやかに改めるべきだ、こういう意見です。これはひとつもう少し謙虚に聞いて、そうしていままでのその考え方にとらわれないで前向きにこれは善処してくださいよ。ずいぶん善処善処ときょうは繰り返しましたが、大臣もいないからぼくも張り合いないから、まず下手下手にお願いをしてきましたが、これは素朴なやっぱり産地の声ですからね。これをひとつよく受け取って、政府ではこれから四十三年度を迎えるにあたって、以上指摘した点をひとつ前向きに解決していただきたいと思う。特に大臣欠席後の本委員会では、政務次官に強く要請をした例の保証価格の労働賃金の評価がえ、付随労働とかあるいは自給飼料製造に投下した家族労働の労賃の評価がえ等は統一した製造業五人規模以上の労賃に評価がえをするということは善処のお約束をいただきましたので、さだめし四月一日の告示にはあなたの善処が実を結ぶであろうことを期待して、きょうの質問を終わります。
  187. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本件についての質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。午後四時十四分散会      —————・—————