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1968-07-23 第58回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年七月二十三日(火曜日)    午後五時五分開会     —————————————    委員異動 七月七日左の委員は議員の任期を終了した。                 鬼丸 勝之君                 小林 篤一君                 園田 清充君                 野知 浩之君                 堀本 宜実君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 浅井  亨君 七月二十三日     辞任         補欠選任      宮崎 正義君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 田村 賢作君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 黒柳  明君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        食糧庁次長    田中  勉君        食糧庁総務部企        画課長補佐    野明 宏至君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米価問題に関する件)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、宮崎正義君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 農林水産政策に関する調査として、米価問題に関する件を議題といたします。  まず、昭和四十三年産米政府買い入れ価格試算等資料説明を聴取いたします。野明食糧庁事務官
  4. 野明宏至

    説明員野明宏至君) 御説明申し上げます。  お手元に配付してあります資料といたしましては、「米穀需給現状」と申します表紙のついた資料がございます。それから「米価変遷現状」、そういう資料がございます。それから「食糧管理特別会計予算について」、それからやや厚い資料米価に関する資料、それから、昨日、米価審議会に対して諮問いたしました諮問諮問説明、それから本日、同審議会において説明いたしております試算参考試算、これだけの資料がお手元に届いておるはずです。  そこで、まず「米穀需給現状」という資料につきまして、簡単に内容説明させていただきます。  この資料は、目次をまず見ていただきたいと思いますが、最近における主要食料消費動向、これを摂取食品変化と食生活の内容高度化傾向、あるいは栄養面変化、そういう面から食構成全体につきまして簡単に触れておりますが、その後に、米穀需給現状、これはいわば農家が食べる米もあるいは消費者が食べる米も含めまして、全生産量とそれを対比するという意味で全体需給と言っておりますが、そういった国全体の需給関係というものを説明いたしております。それから第三は、政府需給と、こういうふうに言っておりますが、政府による買い入れ売り渡しあるいは手持ち、そういった、状況について概略説明してございます。  そこで、七ページからずっと全体需給動向について御説明しておりますが、十二ページ、十三ページにグラフがございます。これは生産量と総需要量動きというものを示しておりますが、四十年までは、最近数年間、全体需給で見ましてやや不足ぎみに推移している、四十一年にまいりましてほぼとんとん、実線が需要を上回ったわけですが、四十二年は非常な豊作ということで相当需給が緩和した状況がございます。で、これの要因的なものは、前のほうの三ページ、四ページにございますが、一人当たり消費相当減っておるという状況グラフで書いてございます。で、こういった状況、これはいまの十二ページの前の十一ページの最後のほうをちょっとお読みいただきたいわけですが、お米の需給というのは、ゆるんだと思うとまた窮屈になるというふうな状況を繰り返してきておりまして、戦後におきましても、三十四、五年ごろはかなりゆとりがあったのです。ところが、その後引き締まりまして、またこれが再び緩和してきた。しかしながら、その状況というのは従来のそれとは様相を異にする需給関係であるというふうに考えられるわけです。  それから今度は政府需給でございますが、十六ページの表をめくっていただきまして、予約数量買い入れ実績買い入れ比率というふうな、あと参考価格も書いてございますが、三十年当時では買い入れ比率は四〇%に満たなかった。これがだんだん上がってまいりまして、昨年は÷八%をこえた。こういうふうに生産かなりふえてきておるということと、買い入れ比率が高まってきておるということによりまして、政府買い入れ量、これは当然ふえてまいるんです。  それから需要につきましては、政府の売却いたします米につきましては、これは配給人口がだんだんふえていくというようなこともありまして、徴増傾向をたどっておるわけでございますけれども、ここごく短期の状況——昨年暮れから、昨年後半からことしにかけましては、大体総量といたしまして横ばい的な傾向がうかがわれるというというなことで、四十三米穀年度——ことしの十日末でございますが、その時点での古米在庫量、これは二十三ページに出ておりますが、二百六十五万四千トン、これは精米トンでございまして、玄米トン玄米ベースで見る場合には三百万トン弱でございます。これは配給量のほぼ五カ月分に相当する数量、昨年の持ち越しが五十八万五千トン、これは最終的な実績数値でございまして、いわゆる六十万トン、六十万トンと言われておった数字でございますが、その六十万トンの米につきましても、その消化にはかなりの時間を要した——もう全部売り切っておりますけれども、ということを考えますと、かなりの量であるということは間違いない問題だと思います。  あと参考図表がいろいろついてございますが、その説明は省略させていただきます。  それから米価につきましては、食管法のもとにおける米価というものはどういうふうに理解したらよろしいかということを、まず、これはいろいろな御意見があるところでございますが、簡単に触れてございます。それから政府買い入れ価格、それから消費者価格、これについてその変遷現状を述べまして、最後に両米価関係がどういうふうになっておるか、米価体系がどういうふうになっておるか、また、そういったことに伴いまして財政負担がどういうふうになっておるかということを説明してございます。  で、食管制度の中で米価がどういうふうに考えられるかという問題につきましては、米価というものは、いわゆる米価には幾つもございまして、生産者米価と言われるものは、生産者から政府買い入れる米の値段でございまして、政府買い入れ価格という場合と両方ありますが、同じものでございます。で、今度は売る——売却面に着目いたしますと、政府が売り渡す価格、それから卸売り業者が売り渡す価格小売り業者が売り渡す価格と、こういうふうに三段階になっております。で最末端小売り業者が売り渡す価格、これが消費者米価と言われておりまして、食管法とは別途に物価統制令統制を行なっております。  で、それぞれの価格決定原則、これについては、御承知のことでございますが、生産者米価につきましては、食管法第三条第二項で定めております。それから売り渡し価格、これにつきましては、食管法第四条第二項で定めております。基準をですね。で、この売り渡し価格決定趣旨に沿いまして最末端消費者価格を定めるというふうな状況でございます。その場合、食管法規定のもとで両米価関連づけて考えられるべきであるかどうかということがよく問題になるわけでございますが、三ぺージ以下にはそういったいわゆる二重米価の、ないしは両米価関連づけて考えるべきものであるというふうな点についての過去の議論というものが紹介されております。  それから米穀政府買い入れ価格につきましては、六ぺージ以下に記述してございますが、十七ぺージから十八ぺージ早見表がございまして、早見表と申しますか、これは要素の問題でございますが、三十五年に生産費及び所得補償方式という考え方をとりまして以来の状況でございます。三十五年から三十九年までは積み上げ計算方式によって算定してきております。それから四十年、四十一年は積み上げ計算方式によって実現された米価基準にいろいろな要素変化というものを見まして、それをその変化によって伸ばしていくという形で指数化方式というものを四十年、四十一年はとりました。それから、指数化方式というものはもともと生産構造なり生産条件というものがほぼ同一の状況である場合に適用する方式であると考えますれば、二年ないし三年ごとにはこれを検証してみるというふうな必要もあるということで四十二年には積み上げ計算方式を採用いたしております。  で、全体の方式のおよその動きというものは以上でございますが、二十七ぺージ以下に昨年の米価をどういうふうにしてきめたかということを書いてございます。  それからそういうふうにして変遷を経てまいりました米価の水準、これが農民所得なり物価賃金その他農産物価格との関係いかようになっておるかということにつきまして、三十ページから三十一ページ以下に書いてございます。  それから三十四ぺージ以下で、米穀消費者価格及び政府売り渡し価格について述べております。で、消費者米価は、御承知のように家計米価範囲内で決定する——一般物価コスト財政等総合考慮の上家計米価範囲内で決定する。家計米価はまた、消費者家計の許容し得る最高限度を示すものとしてのものである。これは三十六ぺージあたりに書いてございますが、これを一つ最高限として考えるべき基準として、その他いろいろな要素を考慮して決定してきているわけです。で、こういうふうにして決定されてまいりまして、現在の米価体系はどうなっておるかということが五十三ページにございます。一番左の棒グラフ、これが昨年の生産者米価、一万九千五百二十一円でございます。これで買いまして、政府が売り渡す値段は一番右の棒グラフで、一万七千三百四十三円。したがいまして、売り買いだけで相当な差損が出るというふうな状況になっているわけです。が、これは政府売り渡し価格でございますから、実際の消費者が買う値段は、その間の中間経費と申しますか、販売業者マージンというのが加わってくるわけです。で、それを乗せましたものが右から二番目の棒グラフで、消費者米価と言われているものです。これが約一万九千円、消費者はこの値段でお米を買っているわけですが、一番左側生産者米価と対比していただきますと、生産者米価——生産者政府に売り渡す価格消費者が最末端小売り屋さんから買う価格の間においてすら約五百円の差があるということでございます。左から二番目の棒グラフは、コストによる消費者米価ということでございますが、このコストによる消費者米価をどれだけ見るかということについてはいろいろ議論がございますが、現に政府で現在かかっております政府管理経費販売業者マージンというものを単純に上に乗っければ二万三千四百三十二円という状況でございます。  で、米価につきましては御説明は省略させていただきまして、次に「食糧管理特別会計予算について」という資料がございます。これは資料の性格といたしましては、食糧管理特別会計の仕組みと食糧管理現状、そういったものについて記述してございます。これは後ほどお読みいただければありがたいと思いますが、二十四ぺージをちょっとお開きいただきまして、二千四百十五億円の一般会計からの繰り入れと申しますのは、国内米国内麦輸入食糧を合計いたしました繰り入れ金額でございまして、国内米管理勘定にっきましては二千二百九十五億円ということでございます。その他の勘定を合計いたしまして食糧管理勘定としては、二千四百十五億円の繰り入れを予定しておるわけでございます。右の一枚紙の折り込みになっておりますが、これは各勘定売り買いとかそういったものの状況を一覧でわかるようにしてございますので、参考にしていただきたいし思います。  それから分厚い「米価に関する資料」でございますが、これは毎年米価審議会の際にはこういったものをつくっているわけでございますが、価故関係、あるいは賃金物価関係、それから家計状況農業生産状況、あるいは農家経済状況需給関係貿易関係、こういったものについて基本的な基礎統計と申しますか、それから米加の問題について考える上で必要な資料、これをおおよそ収録してございますので、御参考に供していただきたいと思います。  では、資料説明は以上にさせていただきまして、諮問それから諮問説明、それから試算というものが配付されておりますので御説明させていただきます。  まず、諮問及び諮問説明を朗読させていただきます。     諮 問   最近における食糧管理の運営の実情にかんがみ、今後米穀政府買価格決定および消費者米価改定を行なうにあたり基本的に留意すべき事項ならびにこれらとの関連において昭和四十三年産米穀政府買価格生産費および所得補償方式基本として算定することおよびこれに関し留意すべき事項について、米価審議会意見を求める。   昭和四十三年七月二十二日          農林大臣 西村 直己      諮問についての説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費および物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を図ることを旨として定めることになっており、米価審議会のご答申に基づき、昭和三十五年産米穀から生産費および所得補償方式によって算定いたしております。また、米穀政府売渡価格は、食糧管理法第四条第二項の規定により、家計費および物価その他の経済事情を参酌し、消費者家計を安定させることを旨として定めるべきこととなっており、消費者米価につきましてもこの規定趣旨によることとし、米価審議会のご答申に基づき、消費者の許容しうる最高限度を示すものとしての家計米価範囲内で、一般物価コスト生産者米価との関係財政事情等総合考慮のうえ、決定してまいりました。   ところで、近年政府買価格につきましては、賃金物価上昇傾向を反映するとともに、方式運用面で若干の修正を重ねてきたこともあって、年々相当上昇をみてきており、また、これに伴い消費者米価につきましては、近年累次の改定をやむなくされてきております。   しかし、このような消費者米価改定にもかかわらず、両米価関係は、政府買価格政府売渡価格との間に大幅な逆ざやがみられるのみならず、政府買価格消費者米価をも上回るという価格関係となっており、このような価格関係のもとで、米管理に要する財政負担も二千数百億円に達することとなっております。   さらに、最近の米穀需給事情は、四十二年産米の大豊作を契機として大幅に緩和するに至っており、とくに本米穀年度末の古米持越は、配給量のほぼ五カ月分に達するものと予想され、米穀の適正な管理を図るうえで、慎重な工夫配慮が強く要請される状況であります。   したがいまして、今後の米価決定にあたりましては、このような両米価関連正常化の問題をはじめ米をめぐる最近の諸事情に十分配慮してまいる必要があると考えられますので、これらを念頭におきつつ、今後米穀政府買価格決定および消費者米価改定を行なうにあたり基本的に留意すべき事項についてご審議願いたいということであります。   また、当面の課題であります昭和四十三年産米穀政府買価格につきましてこれを生産費および所得補償方式基本として算定してはどうかおよびこれに関し留意すべき事項は何かということについてただいまお願いしました基本的留意事項との関連においてご審議願いたいということであります。   すなわち、米穀農業生産および国民生活に重要な地位を占めている主要食糧であることにかんがみまして、本年におきましても、生産費および所得補償方式基本として米穀政府買価格算定してはどうかということでありますが、その場合におきましても、最近の需給事情にかんがみ、これを念頭において、米穀政府買価格算定にあたるべき必要があると考えられるのであります。   以上申し上げましたような諸事情をご配慮のうえ、十分にご審議をいただきたいということであります。  以上が諮問及び諮問説明でございます。  次に、「昭和四十三年産米穀政府買価格試算(積上げ計算方式)」というのがございます。で、最初のぺージ算式が書いてございます。これは、一番左のPが求める価格でございまして、この価格を求めるための算式右側に書いてございます。カッコの中の左側部分、これが地代を除く米生産費——価格決定年の前三年の各年の米販売農家の十アール当たり平均生産費、これにつきまして、家族労働費については都市均衡労賃により評価がえをする、それから物財雇用労働費については最近時にこれを物価修正するということを行ないまして価格決定年ベース評価がえしたもの、これがカッコの中の左側分子のほうの、また分子の上にシグマと書いてございますが、各年のそういうものをとりまして三年足してこれを平均するということでございます。それから分母のほうでございますが、これはいわばそういう生産費を割りますいわば石当たりのお米の値段を出していく過程で反収で割ってやるということでございます。反収も三年平均をとっているわけです。が、その場合、従来から、Hバーというのがこちらにございますように、前三年の十アール当たり収量平均収量でございます。ここからマイナス〇・九シグマを、昨年の場合はマイナスシグマということであったわけですから、いわばシグマに〇・九を掛けたということになっております。こういうふうにして求められました反収でいまの生産費を割りまして、これに、右側地代を計算いたしまして、それを最後に百五十キログラム当たりに直す、こういうことで算式が出てまいるわけです。この算式は、四十二年産米価の場合と先ほどの〇・九シグマのほうを除きましては同様でございます。  それで算定といたしまして、三ぺージになるわけでありますが、そういうふうにして求める価格というのが一万九千六百五十四円でございます。基準価格がそれに運搬費を加えまして一万九千七百四十八円、これをウルチの軟質の三等の裸の価格を一ぺん出しまして、農家の方は一俵当たりで売ってくるものですから、そういう価格に一ぺん直しまして、それで最後に一−四等平均包装込み生産者手取り予定価格というものを出すわけでございます。それらを合計いたしまして二万百五円、前年対比プラス五百八十四円でございまして、率にいたしまして約三%でございます。  で、基本的な基準価格算定に関します部分のほかに、本年の場合は、暫定加算といたしまして、時期別格差を解消いたしましたことに伴う急激な影響というものを緩和する趣旨で北陸四県ほか八県に対しまして、政府に売り渡す時期のいかんにかかわらず一定の金額を加算するという方式をとることとしたらどうかということでございます。それからそのほか、等級間格差、これも現在の等級間格差が長期にわたって据え置かれておるということで、やはりこれも等級間の格差を拡大していく方向へ踏み出しております。そういったようなことで、この辺について若干の変更を加わえた数字を足しまして先ほどの二万百五円というものが出てまいるわけでございます。  で、以下、算定要領というものが書いてございますが、十アール当たり平均生産費、これは先ほどの算式Cバーという部分でございますが、これは農林省統計調査部で実施いたしております米生産費調査、これの四十年、四十一年、四十二年米平均生産費についていろいろな評価がえを行なって算定いたしております。  で、まず、第一の点は、家族労働費につきましては、従来と同様の考え方によりまして、これを製造業規模平均賃金というもので評価がえする。具体的には製造業常用労働者規模五人以上の事業所賃金、これを求めまして、これに現物給与相当額を加算して算定いたしております。で、以上のようにして求められました一時間当たり賃金、これが男女込み二百二十八円九十九銭、男子二百七十六円四銭ということでございます。で、この一時間当たり賃金労働時間をかけまして求めましたものが五人以上規模賃金ということで、男女込みの場合はここにございますような数字になっておるわけでございます。——恐縮でございますが、六ぺージの一番上の行に一つミスプリがございまして、四十一年五月と書いてございますが、四十二年五月の間違いでございます。——で、以上のようにして求めました賃金現物給与相当額を加えましたもの、これが家族労働費として評価がえされて米生産費の中に織り込まれるということに相なるわけでございます。  それから、物財雇用労働費でございますが、これは米生産費パリティ指数というものを農業パリティ指数ベースに作成いたしまして、この変化状況によりまして最近時の価格ベースに戻す。すなわち、四十年産米は最近の状況にこれを引き直しますと一一三・三八、これをかけてやる。それから四十一年産米につきましては一〇七・四六、四十二年産米については一〇三・四〇というふうにいたしまして、先ほどの米生産費調査の原生産費をふくらましていくということをやっております。これも従来からやっておる方法でございます。  このほか、副産物価額もやはり変化しておりまして、そこで副産物価額につきましても、最も新しい時点生産費評価がえするということで、ここにありますような変化率によって副産物価額物価修正しております。  それから資本利子につきましては、統計調査部米生産費補完調査に基づきまして、借り入れ金自己資金の割合を三五対六五ということで、利率につきましては借り入れ金年利六分二厘一毛、自己資金につきましては年利五分六厘−昨年から五分六厘になっていると思いますが一ということで計算いたしております。なお、本年の場合は、概算金というものが予約に伴いまして出ておるわけでございますが、それの利子相当額は控除するということをいたしております。  それから、租税公課負担、これは米生産費調査に基づきまして租税公課負担というものが出てくるわけでございますが、これをやはり稲作負担率を乗じまして算定いたしております。  それから、第六番目に付帯労働費、これはやはり四十年の米生産費調査補完調査の結果に基づきまして調べられておるわけでございますが、これを都市均衡労賃評価して算定いたしております。  で、以上のようにいたしまして、九ぺージの右上のほうに書いてございますように、平均四万八千二百八十六円というのが生産費として出てまいるわけでございます。で、これを先ほどの三ぺージの求める価格算定分子に持ってまいりまして、次いでこれを反収で除するわけでございます。が、反収につきましては十ぺージにございまして、四十年産につきましては平均収量四百四十六キログラム、四十一年産四百五十六、四十二年が五百二キロでございまして、このそれぞれの平均収量からマイナス〇・九シグマ、いわば、一シグマが十一ページに出ております。この一シグマに〇・九を乗じたもの、これを引いて十アール当たり収量算定いたします。それが三ページにまいりまして三年平均で三百九十六キログラムということに相なります。  それから、今度は右の欄の説明でございます。が、ここは地代の分でございまして、地代につきましては現行小作料の最高統制額、標準である六級地についての最高統制額に基づいて評価いたしました四十年、四十一年、四十二年の各年産の作付地地代というものをまず出しまして、これに作付地以外の土地についての地代、これも四十年、四十一年、四十二年、これに基づいて求めるわけですが、これを加えて算定いたします。そういたしますと、平均して四千二百五十四円ということになります。で、この数字を先ほど申し上げました四百六十八キロという収量で除して、両方を足しまして百五十キロを掛けて石当の米価が出てまいります。そのほか運搬費を加えております。三ページを見ていただきますとわかりますが、「求める価格」という部分が一万九千六百五十四円でございます。これに運搬費を加えまして基準価格が求められるわけです。運搬費は、やはり米生産費補完調査によります運搬距離等に基づきまして、農家の庭先からもより政府指定倉庫までの運搬費と受検に要します経費、こういうものにつきまして百五十キログラム当たり九十四円を織り込んでおります。以上を合計いたしまして基準価格が出てまいるわけです。そこから先は先ほどちょっと御説明いたしましたように、等級間格差とか、あるいは歩どまり加算、暫定加算あるいはもち米加算、そういった格差加算の関係でそういったものを加えまして最後の二万百五円が求められるわけでございます。  なお、以上の説明申し上げました算出基礎の数値につきましては、最後の十二ページ、十三ページに掲げてございます。  それから参考といたしまして、配付いたしました「積上げ計算方式に基づき政府買入見込数量需要量との関係を考慮した試算」これは左側のP、これがやはり求める価格でございまして、それからP1P2というのがやはり右側にございます。P1と申しますのは、先ほどの二万百五円という価格は先ほどの試算で御説明いたしました三ページの四万八千二百八十六円を三百九十六で割っております。この部分が三百八十八キログラム、すなわち平均収量から一シグマ収量を引きまして限界収量を求めるという従来のやり方でございます。が、これが三百八十八キログラムになるのです。これがP1の価格でございまして、P2の価格、これは先ほど御説明いたしました試算のうちの平均収量、三年平均平均収量を分母に持ってきておるわけです。  地代の場合はやはり平均収量で、これはもともと平均収量で割っておりますので、一緒に書いてございますが、平均収量で割る、こうして求められましたものが一万六千九百三十四円でございます。でW1、W2というところでございますが、これはW1と申しますのは農林省統計調査部による昭和四十三年産米の暫定平年収量、これが千三百二十二万一千玄米トンということに相なったので、これに基づきまして四十三年産米政府買い入れ見込み数量を算出いたしますと八百八十万トンになる。これに対応いたしますいわば四十三年産の八百八十万トンを食う期間に対応する一年間どのくらい必要かというものを見まして、これが七百七十万トンでございまして、この比率で八七・五%というものを出す。したがいまして八百八十万トンの中の八七・五%が全部政府にまいるとすれば、八七・五%の米穀につきましては、マイナスシグマ収量で従以どおり算定する。それから残りの一二・五%につきましては、平均収量算定いたしまして、価格に差別を——失礼いたしました。両者を加重平均いたしまして価格を求めるというやり方をとっております。  なお、あるいは申し落としたかと思いますが、積み上げ計算方式の、先ほど試算と申し上げました部分概算金利子の控除については申し上げましたが、昨年加わりました生産性向上の利益還元額、これは今回の場合生産費の中には見ておりません。以上でございます。
  5. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 武内五郎

    ○武内五郎君 たいへん時間が削減されましたので時間を尊重しながら質問申し上げたいと思います。私もできるだけ簡単に質問しますので、要領よく御親切にひとつお願いいたしたいと思います。  今月の十六日の閣議で了解を得たという西村農林大臣の構想でありまする総合農政、最近いろいろな機会に新聞等が取り上げております。私はまだその詳しい内容はわかりませんので、これについての批判や具体的な検討については、いずれ機会を見つけてお尋ねしたいと考えるのであります。けれども、きのう以来開かれてまいりました米価審議会ときわめて関係のあり、食管法関係ときわめて密接な関係になっておる部分に立つ点について、本日、大臣のお考えを伺いたい。  大体いろいろな項目があるようでありますが、その中で米の問題、第一の要点は、今日まで増産主義をとって農民を叱咤激励してきただろうと思うのであります。ところが、幸か不幸か昨年は史上まれな大豊作といわれております。本日も説明がありましたが、古米の在庫品がだいぶたくさんあるように伝えられております。そこで、こういうようなもうすでに増産可能な状態、そこでこれを良質米に転換しようという考え方が出されておるのであります。私はもちろんいい米をたくさんつくることについては国民とともにこれは大賛成なわけです。しかし私は、これだけで問題は解決しないと思います。  その次に、この米に関して生産米の管理の問題が出てまいります。やはり大臣も、広い視野に立って——「広く国際的な立場」という考え方だと思います。これはきわめて大事なことばです。私は経済同友会が昨年の十二月十五日に出しました「当面の米価対策と食管制度改善への提言」という。パンフレットがございます。これにも「広く国際的な立場」ということばがあります。まことにこれは意味慎重だと思うのであります。この「広く国際的な立場」ということばについて、私は古い過去を顧みますと、かつて農林大臣であった河野一郎氏が、「もはや、米の増産なんというものに力を入れる時代ではない。われわれは広い視野に立って世界のいたるところから安い米を買ってきて国民を養う時代に入ったのだ」と、こういうことを言ったことを記憶しております。私はこういう、まことに現農林大臣西村直己さんと、かつての農林大臣河野一郎氏とのことばが相一致し、経済同友会のパンフレットの要点もまことにここに出てきておることを考えますると、まことにこれはもうきわめて重大な問題だと思います。  そこで、私はこの経済同友会の。パンフレットについて、最近新聞に最も簡単にその内容が出ておることは、「米価を極力押えよ」と、これは去る七月二十日、日本経済新聞に経済同友会声明の一部が載っております。米価を極力押えて間接統制に移行しろという、これがもう全部です。広い国際的な立場に立っての経済同友会の考えておりまする結論がここへきておると言わざるを得ない。そこでいろいろ資料を、私は最近、選挙等の関係から、ろくにほかの資料を集めることもできませんので、新聞だけはこまめに切り抜いておりましたが、やはり七月の十八日に食糧庁長官が自由米構想を発表された、こういうような一連の経過を考えてみますると、私は西村農林大臣の構想されました総合農政というものが、今日の食管法を改廃し、あるいは段階的に——段階的にというのは、おそらく私は間接統制へ移行する順序を考えておるものではないかと考えるものであります。まことに実に重大な問題だと思うのですが、この機会に大臣のお考えを承っておきたい。
  7. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は先般総合農政ということばを使いまして、その展開についての所信を申し上げました。この所信は、少し長期にわたっての展望でございます。その基本には、私しろうとでございますが、農業というものは工業生産とは違って、急角度の変化というものはできるべきものでもありませんし、またやるべきでもない、また農業というものを安定的に発展していく、これはもう当然私の職責でございます。ただ、農政をめぐりまして、各方面からいろいろな意見が出ておる。その際に、私自体が黙っていていいか、こういう問題も一つあるわけであります。農林大臣は何を考えているのか、これも大事な問題でございます。  そこで、農政全体を考えて、これから私の代、あるいは私だけではできなくても、やがて考えるべき事柄等を十分練っておきまして、それを出したわけであります。したがって、それは総合農政でありますから、当然米の問題にも触れなければならないわけでありますから触れたのであります。が、全体はもちろん米だけではございません。その基本になりますことは、構造政策が、先般来、昨年は構造政策の基本方針を立てまして、その中において構造政策に関する諸立法等も国会にお願いし、また、今後も国会にお願いすべく、たとえば農業者年金等も検討中でございます。また一部は成立したものもあります。また、今後国会においてもやっていただきたいもの、これは何としてもやらなければならない。  それから同時に大事なことは、構造政策だけではございませんで、農林省の機構自体も、御存じのとおり時代が変わってまいりますと、機構自体が変わって、先般の国会でも、たとえば国際問題あるいは企業流通対策というような見地から農林省には初めてのような新しい機構も出てまいりました。と同時に、農政の役割自体も、やはり時代に合った農政の役割というものは、これは当然なくてはいけない。それは御存じのとおり、国民の求める食糧の多様化、高度化というような現象もございますし、それから同時に、農業従事者の所得、生活水準の向上をさらに推進すべきだというようないろいろな問題が農政をめぐりましてあるわけでございます。  特に、農産物の需給につきましては、一方いまのような非常に高度化、多様化しております需要が、一面今度はそれに対しまして輸入増加という問題が一つあるわけでありまして、これが国際収支としては当然大きい問題にもなりますし、こういうような中で国民の必要とするいろいろな米を中心にした食糧の安定的供給をはかるにはどうしたらいいか。  その中で、一つは構造政策と合わせて生産対策を立てなければならぬ。生産対策を立てるには、かねがね私申しておりますように、昭和三十七年にたしかつくりました「食糧の長期見通し」、これが必ずしも妥当ではないので、目下鋭意私どものほうで検討中でございます。できるだけ早くこれをつくって農政審議会にもかけてみたい。かたわらこれらに基づいて生産対策をやっていくということでありまして、そして同時にその中におきまして、今度はもちろん農林省のほうにおきましては、消費需要という場合には流通確保という問題もございますし、こういうような問題につきましてもいろいろ手を打っていかなければならぬし、その基盤としてはもちろん土地という問題がございます。また、土地の有効利用、国土の総合利用、こういう中からどうしたら土地を有効利用していけるかというような問題、したがってこれにつきまして農村振興、それからもう一つは環境づくり、こういうようなものが必要であります。こう思います。それから同時に、それに必要な経営者の問題が出てまいっております。  これらをみな私としては環境づくりの中で解決をしたいというような指針を省議を開いてやったわけであります。しかし、これらには相当な金が要るわけであります。私としてはどうしてもこの金は政府として出してもらいたいということで、われわれもそれをやってまいりたい。しかし、こういうことをやります場合には、問題になるところの米自体もどういうふうに感触を持つかということにも触れなければなりません。そこで米というものは、もちろん長い農民の努力によりまして技術水準も上がり、生産量もふえてまいりました。同時に今日国民としてはおいしい米、味のいい米がほしい、こういうことも当然なことでありますから、そういう方面もひとつ考えていかなければならない。  それからいま一つは、食糧管理の問題についていろいろな意見が出ております。それからもう一つ需給の問題もございます。需給が緩和をしておるということは事実である。この需給の緩和をどう判定するか、これも大きな問題でございます。が、需給の問題につきましても、ずいぶん私どもいろいろ内部で意見の交換もやり、検討いたしました。長期にわたってはなかなか見通しは困難です、米につきましては。しかし、ここしばらくの間は、少なくとも平年作をもってしても相当需給緩和の状況は続く。本年度が二百六十五万トンを持ち越し、本年度、いわゆる昭和四十三年度を平年作に考えましても、技術家の方面からすっかり資料を当たって出してきたものが千三百万トンと、一応考えられる。こうなりますというと、需給緩和の状況というものは続く。  こういう中で、それでは食管というものにつきましても運用の改善とか、あるいはその他の改善につきまして、何らかの意見の交換をやって、その中で各方面の意見を聞いて、よい結論があればよい食管をつくったほうがいいのではないか。食管をやめるのではない。よい食管の方向へ持っていくならいいのではないか。こういうような気持ちの中で、食管制度の問題を検討すべき時期がきたという判定をして、それだけのことを申し述べて、これはやがてこの国会でも終わりまして、また私どもとしては時間をかけて——この所信表明の中に十分時間をかけてやらなければならない。特に食糧管理というものは非常に長い歴史を持って生まれてきたものである。それから、生産者、農民、それから同時に消費者、国民経済、この中に根深く根をおろしております。しかし同時に、現状を改善するものがあればしてもいいじゃないか、というような決断をしていい時期じゃないか。これだけを私は述べておる次第であります。  したがって、同友会が、たとえば外国から米を持ってくる、広い視野に立つというのが私がことばを使っているのはこういう意味であります。これは単に、たとえば、今日開かれている米価審議会でも何か食管制度の結論を出すのじゃないかという、一部に危惧の念を持たれる——私どもにはそういう考えはございません。生産の面から、また生産者の意向も消費者の意向も、またその他の意向も、あらゆる方面の意向が反映するような方向において、これをよりよい方法があるならば前進したっていいじゃないか。ただ現状を守っていればいいというふうには——食糧のいろいろな事情が変わってきているのではないか、こういう趣旨で私は述べた。いわんや食糧の、特に米の自給度につきましては、昨年は一〇〇%をこえておることは事実であります。一昨年が九四%。私どもはこれは国内産米で自給度一〇〇%を堅持してまいりたい。それからもう一つ大事なことは、私は農民から物を取り上げるというような考え方あるいは切り捨てるというような考え方はなくしていくべきである。したがって、国として投資すべきものは十分投資する、あるいは財政を出すという姿勢の中でこういう問題を解決をしていくべきじゃないかというのが私の所信でありまして、これは他のたとえば、私の意見は私なりの私の責任でやったものでありまして、大蔵当局、経企庁当局の意見を徴したものでもなければ、そういうものではございません。これをひとつこの機会に御理解をいただきたいと思うのでございます。
  8. 武内五郎

    ○武内五郎君 もう一つ。財政制度審議会が最近答申をされております。この会長が御承知のとおり財界の大物の小林中氏でありまするが、その答申内容もまずいま私が申し上げました同友会の関係のこととほぼ同じ状態のものであります。このパンフレットは実に回りくどい文章で感服できない文章ですが、私はこれはこの答申案のほうが簡潔にして要を得た文章であろうと、この本文を読んでみませんけれどもそう考えられます。それによると、はっきり言っている、このような状態になってまいりましたので、生産を制限すべきだ、これが第一。そして無制限な生産米の買い入れ、これはもうやめて間接統制への前進をはかるべきである、こういう意味であります。同じこと。いま大臣が食管法の歴史は長いと、いろいろ経緯を経て長いということでありました。確かにそのとおりだと思います。  米穀法が大正十年に制定されまして、これが農業恐慌以来、あるいは金融恐慌の波をくぐり抜けながら農民が米の生産に従事してまいった、この米穀法のもとに。その当時は商人に売り渡しておった。それが漸次そういう経済的な社会的な条件が変わってまいりまして、米穀統制法というものになって、やはり戦争中その米穀統制法がさらに戦争が激化して、食糧を確保する必要に迫られたときに食糧管理法というものに変わってきた、これはもう大臣御承知のところ。  そこで、私はこういう食糧政策史をつくづく考えてみまするときに、一つの大きな問題にぶつかる。大正七年に富山県の西水橋という小さい漁村の漁夫の婦人たちが船に積み出す米を押えようとして立ち上がったのが全富山県に波及し、ほとんど全日本の各県各都市に波及した、米騒動という大きな事件が持ち上がった。私はこの米の政策の中で、こういう事件を真剣に考えてみなきゃならぬことは、今日いろいろな機会やあるいはいろいろな文書で自由米構想が発表されたり、あるいは間接統制に移行する機会が到来した、これはある新聞の社説でそういうことを言っている、この機会は到来したと、こう言う。そういうようないろいろな機会で、いろいろなマスコミが食糧管理法の後退を盛んに宣伝しております。その第一は米が余った、米が余ったということ、私は米が余ることは、これは大臣、きのう米審の別室で、米が余ることはいいことだと、こう言って、私もそのとおり米が余って決して悪いことはない、私ども子供の当時は古古米で育ったのです。古米はもうぜいたくだという、古古米です。新米を食うのは一年に一ぺん、正月だけです。食わせられるのは。米を生産するところにおりながら、新米を食わせられるのは一年に一ぺん、または二へん、こういう状態で育ってまいりました。したがって農民は古古米古米を実に尊重する。これが大事だ、日本の食糧の調節です。調節の材料です。今日までこの食糧政策史を見てまいりますると。保有米を持っているかどうかで米の、あの自由売買の時代における米の調整ができた。これは実に農民が苦労をして、古い米を食べて、あるいはわざわざ組合へ新米を持っていって、古い米——一升持っていくと一升三合くる、そういうように農民が苦労して、国民を養ってきたのです。それを古米はもうだぶついたから食管法も後退の時期だというようなことを考えられたのでは全くこれはもうお話になりません。  そこでその米騒動の原因であったものは何か。あの当時三十八銭か何ぼの米が五十銭に上がったといって騒ぎました。その米が、富山県という米の生産地です。新潟、富山、これはもう北陸の米の生産地。ここで米が食えないといって漁民の婦人たちが騒ぎ出した。その米を、食えないという富山県から毎晩のように夜中に米を船で運び出して、大阪、神戸方面に持っていったのに対して立ち上がったのは漁夫であった。私どもはその事実がまことにとうとい事実であったと考えます。すなわち、量の問題ではなく、米を不正に動かすかどうかの問題で国民が立ち上がったのだと考えざるを得ない。  今日わずかに国民が不満ながらも安心して米のめしを食べて、まあとにかく生活ができてまいりましたことは、また農民も安心して増産に励むことができておりますことは、実に今日、生産者に対しては生産費と所得を補償するという原則、消費者に対しては社会的な経済的な条件を考えて、生活をこわさない程度の米価で食わせようという、この聖なる、私は聖なる条件規定を後退させるようなことがあってはたいへんだと、私は日本の食糧政策史の中で、この米騒動がわれわれに教えてくれたこの事実こそが私は尊いものだ。いろいろな時代が、しかも非常な責任当事者であります食糧庁長官が、自由米構想を発表するに至っては私は大問題だ。一体大臣はどういうようにお考えになるか。
  9. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) まず最初にはっきり申し上げておきます。ただいま米審なりあるいは政府の責任においてやがて米価を、生産者米価をきめます。これは現行の食管法でいたすのでございます。先般来、最近の需給状況等、あるいは財政の立場等から、いろいろな方面からいろいろな意見が出ました。しかし私は国会当時においてもはっきり言っておる。参考になる意見もあるが、同時に私としては、非常に迷惑をする意見もある、これははっきり言っておるのであります。それで私なりの意見を出しますと言って出したのがこの所信であります。  そこで現行の食管法に基づいて、本年産米価格を決定し、買い入れをいたすのでございます。これは当然本年度も無制限買い付けはいたしません。ただ私としては、やはりいろいろな意見が出てきておる段階、また御存じのとおり、米騒動ということも、私の子供の時代のことですからよく覚えております。それから昭和初期の米穀統制法の時代、それから昭和十五年には、米がむしろ需給緩和してしかも都会地に流れないという時代、やがて十七年には食管法をつくりました。この当時には、私は直接農林省で米の行政にタッチをした経験を持っております。そこらから戦争を経て今日に至った経緯、これはよくわかります。  しかしそれだからといって、ただ、現在の食管制度はもういいのだから全然論議をしないでいくというには、やはり私どもは何らかそこに、いいもう少し改善案があれば、それは意見を交換してもいいだろう。しかし、これには時間と意見というものを広く求めてやっていくべきだ、こういう考えであります。特に私は、農民というものは急激に変えられないような立場に立っておる。これは当然であります。自然条件、土地条件等ございます。またそれには当然、国家が事前にやるべきことをやるような必要も起ころうと思います。そういうようなことも思っております。  私はきょうも閣議で発言したのであります。何か米が余っておるというと何か米がもう、あるいは農民の立場において必ずしもいいことをやっていないような印象を促すようなことは、非常に残念である。むしろ私は米が余っておることは、ある意味では国の力である、こう考える。同時に私はここまできた日本の国の力というもの、これは考えるべきである。しかし同時にまた現時点に立って、歴史上かってない在庫を持つ、これは六十万トンの昨年の御存じのとおり繰り越しも、今日消費が減ってきております。ということは、国民生活が上がりまして米に対する個人々々の消費が少し下がってきておる。これは事実でございます。昨年の予算推定のときの二百三十五万トンが、今日現在では二百六十五万トンまできておるのも、米の消費量が減ってきて在庫が残っておる、こういうような状況がございますことは事実でございます。私どもはやはりそこらも勘案しながらいかなければならない。米は大事なものでございます。また慎重に扱わなければならないことは農政の上で一番大事なことであることは、十分私ども了承の上で考えを持っておることを御了解いただきたいと思うのでございます。  それから、食糧庁長官の発言で、自由米構想とおっしゃいましたが、実はこれはたしかに米審の席でございますか、いまの食糧管理法の解釈として、米が無制限買い付けであるかどうかという議論になった場合に、法律上の論理としては無制限買い付けによるべきものではない、こういうのがあったのでございます。しかし、そういう論理があったからといって、直ちに買い付けられなかった米はどこへ売ってもいいのか、売ってはならないという規定はありません。また、長い慣習的に実態もあり、それを考えて現実の議論としてなかなか大きなたいへんな問題で、自由米構想というのは、学者や一部の人は簡単に流すかもしれませんけれども、私ども農政にあずかるものとしてはこれは大きな問題だと、こういうふうに考えておるわけであります。
  10. 武内五郎

    ○武内五郎君 大体わかりました。なお詳しいことは正式に国会が召集されました機会に資料をいただいて、説明をいただくということにします。  最後に、今年の春、晴海埠頭でアメリカの農産物展示会があった。フェスティバルと称して、アメリカの農務長官がみずから来て、なかなか実に熱心だったと思います。ことに、関係州の知事が、みずから大衆の中にチラシをまいて、アメリカの農産物の宣伝をやっております。その事実が、私にささやいたことは、アメリカ農業の日本への上陸だ。事実いま私どもが米の問題を検討しておりまするにあたりまして、たいへんな二百数十万トンという古米がだぶついている。けれども、依然として年々外米の、外国産の米の輸入が続いております。私は、そこに問題がある。日本の米がだぶついて、それでもう米は生産を制限していいというような、あるいはもうこれで自由販売に立ち返ってもいいんだという、はなはだ軽卒な、政治家としてはとうてい考えられないものの考え方を出すとするならば、まことに遺憾なんです。私は、もちろん西村農林大臣はそういうことはないと思います。  が、そこで、十分心にとめていただきたいことは、いまのアメリカ農業の日本への上陸だということです。同友会もこれを取り上げております。農業基本法によって農業の転換をはかると言いながら、今日まだ出てない。選択拡大の農業方針が実施できないというのはなぜか、この食管法があるからだということを端的に指摘している。ところが、農業基本法施行以来、八年になる。基本法で最も大宗的な農業経営であるところの酪農が、その飼料の六割がこれがアメリカやその他から入ってくる外国飼料。米や麦にしてもしかり。まして選択拡大の農業としての選手コースを歩む畜産、酪農が六割も外国の飼料で乳をしぼってやらなければならぬということになってまいります。と、どこに日本の農業が自立経営、自立しているか、日本の食糧の自給度がどこにあるのかということを考えざるを得ない。  私が最も重大なことをひとつ言わなければならぬことは、資本家が日本の食管法を目のかたきにして、これを廃止しろ廃止しろと言っておりまするが、これがあって農民が生産に従事して外国からの食糧の輸入を押えている。だから、その押えている外貨によって石油の輸入ができ、鉄鉱石やその他の輸入ができてきて日本の工業生産が今日の隆盛をきわめてきたことは私はこれは農民に感謝しなければならぬ重大なことであると考えております。  こういうようなことを考えますると、まず私は食管法を、それは時代によっては多少の変わることもあろうけれども、その精神とその運営が農民を守り、消費者を守っていくという、それだけは守っていかなければならない。ひとつ農林大臣としてぜひそれは心にとめていただくようにしていただきたい。大臣の所見を承りたいと思います。
  11. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は別に河野さんの構想を頭に描いたものでもない、それからその他の意見を言われたものでもございません。米の問題も慎重かつきわめて大事である。また、これは何かしかし一面におきまして安定供給という状態になるべくおきませんと、米というものはナーバスな商品である。それはなぜかと言えば、日本人の生命のかてでございますから、余るとよけい余るというような印象を受ける、今度足りないというとむちゃくちゃに騒いで買いだめをする。ですから今日非常に国家がしょい込むだけで、米がふえてその管理費、いろいろな問題が起きておる。そして保管の非常に困難な状態に入りやすい。これらも十分農政の担当者は考えなければならぬが、特に私は農政の上でも大事なのは、おっしゃるとおり酪農、これにつきましても、飼料というものを何とかもっと自給態勢に持っていきたい、それにはやはり私どもは、土地基盤あるいは草地育成等の利用、こういった方面もやると同時に、今日また米さえつくればいいのだという印象のもとに水田化していく、しかも限界生産が非常に低い。ところが、それにいくという方向は少しはわれわれ全体の中でやっていかなければならぬのじゃないか。そういうことも考えてあの所信を出したわけであります。
  12. 村田秀三

    ○村田秀三君 きわめて重大な問題であります。が、まことに遺憾でありますが、時間がございません。端的に質問いたしますから簡明に答えていただきたいと思いますし、あまりにも冗漫に過ぎた場合は三十分の持ち時間をもう少し延ばしていただかなければなりません。さようひとつお願したいと思います。  そこでまず初めにお伺いをいたしますのは、大臣の政治信念といいますか、どうも最近はぐらぐらしておるような感じがいたします。いま武内委員の質問に対する答弁を聞いておりますと、何か言いわけがましいことをだらだら言っております。けれども、少なくとも武内質問に関連をいたしますが、総合農政の中の一つ部分である食管問題については、大臣は五十八国会の三月二十七日、参議院の予算委員会の中でも、その他あらゆる場所でも食管会計は堅持するということを再三にわたって言われております。選挙中もそうだと思います。自民党の公約集を見ますと、食管会計を堅持し、適正な米価決定すると、こう書いてある。選挙を終わりましたとたんに、いま何か聞いて見ますると、世間が騒々しいから大臣としても何か一言言わなければならぬというような、そういう姿勢で総合農政を発表されたとするならば、これは私は非常に問題であると思います。三月の予算委員会でありますから、七月は、これはまだ四カ月足るか足らざる間に、舌の根もかわかぬうちに、態度を豹変するということはまことに私は遺憾だと思います。  ついでにもう一点申し上げますが、六月二十二日麦価決定のための米価審議会政府米価審議会でありますけれども、その審議のもようを新聞で拝見する限りは、いわゆる今度の新しい米審は倉石前農相の要請によって構成された。その際に倉石前農相は、食管制度についても触れてもらいたいということの要請があったにもかかわらず、その問題が論議されないということはきわめて不満である。したがって、新米審は食管制度に触れるという申し合わせをすると同時に、農林大臣に対して、その結論を尊重せよという強い申し入れを行なって、しかもこれを農林大臣は了承したと報道されておるわけであります。その間のことについて端的に表明を願いたいと思います。
  13. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は今日でも以前と何にも変わっておりません。食管の根幹は堅持をする。——食管制度を堅持するとは言っていないのであります。「食管の根幹」ということばを毎回使っております。党の公約も「食管の根幹」でございます。いわゆる基本的なものは堅持をしてまいる。これは当然でございます。言いかえれば、再生産確保をして、国民の経済の中において必要な食糧を確保し、家計の安定を守っていく、これは当然のことでございます。問題は、したがって、私はその中において広い視野に立って十分時間をかけて改善の方法をいろいろ議論し合うということは必要ではないか、こういう意見であります。  それからいま一つ米審の問題でございますが、米審は、率直に申しまして、あれは農林省設置法に基づきますところの米その他主要食糧価格決定基本に関して調査審議をする、またこれに関するいろいろな建議をすると、こうなっております。したがって、あのときに私は私のほうから別にそういう問題を食管制度をどうしようということはやりません。ただし、価格決定基本においてそういうような問題に触れることは私のほうから拒否はできないということを政府の統一見解として申し上げ、かつこれに関連して意見を具申してくる、いわば建議をするということはあり得る、こういう解釈でございます。
  14. 村田秀三

    ○村田秀三君 食管制度の根幹の問題はいま鶴園委員から関連質問があろうかとも思いますが、私は単にそれだけでは了解できないものがあります。しかし、その問題は時間がございませんから別の機会に譲りますが、後段に言われましたところのいわゆる米価審議会食管制度について論議することはいいではないか、そうして建議もあり得ると、こういう言い方でありますが、しかし、この点についても私は三月二十七日の予算委員会の席上でだめ押しをしているわけであります。議事録を見ていただければわかるのでありますが、その際に私は、食管法の改正とか、制度的な改正に対する意見は聴取しないと、こう理解してよろしいかという質問をいたしました。ところが大臣は、「諮問機関の性格というものはこういう性格でございますから、政府としてはそれでいく。」、そして「各人が自由に論議をなさるということは、」「各人の立場でございますが、われわれ政府としては、諮問機関に対してはこの法律に従って諮問をしていく、こういう精神でございます。」と、こう答弁をなさっておるわけですね。  それで、この質疑の中心は米価審議会は確かに農林省設置法に基づいて構成をされます。そして、いま大臣がおっしゃられましたように、米価算定基本に関する事項審議すると、こうなっております。また審議会令を見ましても、その範疇を出ておらないわけであります。米価算定基本に関しての建議はできるけれども、制度に触れることはできないのではないか、建議することはできないのではないか、こういう趣旨の質問を繰り返す中における大臣の答弁でございますから、いまあらためてお聞きをいたしますると、米価算定基本に関する事項関連して制度に関し建議することもできるということは、五十八国会の答弁とその内容において大きく違うわけであります。から、これはどういうことなのか、もう一度明瞭にお答えをいただきたい。
  15. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私はその当時も、その価格決定基本でありますから、基本ということになりますれば触れてまいりましょう。しかし、私のほうから制度についてお考えがあるかというような諮問はいたしません。こういう意味でございます。価格というものは、御存じのとおり、食管制度の中にも消費者価格あるいは生産者価格というものははっきり二本柱に立っておるわけでありますから、価格基本でございます再生産を旨としとか、そういうことが書いてありますから、そういうことを議論なさることは私のほうが拒否はできないわけであります。諮問は、そういう面は制度を変えてもらいたいとか、制度についての意見は問わない。また、建議というものは、価格基本に関して建議をしてくるということはこれは私は受け取らなきゃならぬと思います。そして受け取っても、私はこれを受け取るということは、尊重するということは、それは縛られる意味じゃありません。私はそういう意味の意見というものは、各方面から出た場合には、一応政府一つ諮問機関でありますから尊重の態度をとって、それが今度はまた他の方面の、たとえば価格だけでいろいろな食管なりああいう大事な制度はきめられちゃ困るのでありまして、生産対策もあります、その基盤の問題もあります。流通の問題もあります。いろいろな面から慎重によく見ていかなければ、とてもその結論というものは簡単に出るわけじゃない。そういう中で考えていくわけでありまして、私は、それによって直ちにそれを尊重して成案を得てどうなんというそういうような考えで言っているわけじゃございません。
  16. 村田秀三

    ○村田秀三君 問題は二つあると思うのです。一つは、建議してもよろしいのだということ、そしてその建議をかつての米審の中では大臣は尊重するという言い方をしておる、これは新聞報道の限りでありますが。尊重すると言っておきながら、いまここへ来て、まあ論議するのはけっこうでございましょう、まあ聞き置きますよ、やるかやらないかはこっちのかってです。こういう言い方をいまあなたがおっしゃられたわけなんで、そういうような、あちらではこう言いこちらではこう言うようなそういう言い方、考え方、信念のなさでは私は困る。こういうことを一つ申し上げたいと思います。  それからもう一点は、どこからどう考えてみても、あの米価審議会が制度に触れる少なくとも建議でさえもやってはならないと私は理解をしております。つまり米価審議会の任務の範疇外である。その任務の範囲内の建議であるならばこれはいいでありましょうけれども、任務の範囲外の建議はすべきではない、させてはならない。私はこう考えておりますが、その点についての見解をお伺いいたします。
  17. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は建議は一応これは政府が任命した、これは立場が違えば認められかいかもしれませんが、私どもの立場から一応委嘱した機関でありまするから、その答申が建議として、答申じゃございません、建議で出てきた場合において一応尊重しながら検討を加えたい。しかし、それは私はさっきの食管に対する姿勢と同じように、簡単に結論を得られるものではありませんから、それによって直ちに縛られる、その趣旨は建議なさるほうも十分わかると思います。そういう意味で何ら私は申し上げることに矛盾はないと思います。
  18. 村田秀三

    ○村田秀三君 時間があればもっと詰めたいところでありますが、それでは一つだけ確認をしてみたいと思いますが、まあ、私は米価審議会米価算定方式以外の建議はできないという理解を法制上持っております。しかし、その点のところは大臣はきわめてあいまいなようでありますから、一歩下って、本日のところは大臣の考え方を認めるわけではありませんけれども、その話をそのままに聞いて、そうしてもう一つ私はだめ押しをしたいと思いますが、それは少なくとも将来にわたって米価審議会がこのような建議をしたと、そのしたという理由によって、いわゆる制度に手を触れるというようなことがあるのかないのか、この点をひとつ意見を聞いておきたいと思います。
  19. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 制度に手を触れるかどうか、これはまだ私は決意しておるわけじゃありません。ただ、私は検討を加えることはひとつの時期だと思うと、したがって、検討もしちゃいかぬと、これはおかしいことでありまして、私は政府として検討していいと思います。そうしてそれがひとつの参考資料になるということはなるでありましょう。しかし、最終的に何か成案を得る場合には何か十分時間をかけ、広い視野に立ってというのが私の中心の持論であります。
  20. 村田秀三

    ○村田秀三君 そういうことになりますと、また一言言わざるを得ないんですが、何も米審でやる必要はないんですよ。法制審議会というのがあるわけでしょう。大臣も先ほど言ってますよ。そういう問題は法制審議会でやるべきだと、こういうことを言ってるんですから、米価審議会はそれについて触れさせない。あなた方のこもごも言うところの意見意見なりとして、農政審議会に、これは農林省が態度を決定したならばはかりますよ、これをずばり言えば、それで問題は解決するですよ。そうじゃありませんか。
  21. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私が一つの広い視野に立ってと言うのは、たとえば生産者の意向をなまに反映するような場を将来あるいは考えなければならぬかもしれません。しかし今度の場合は、米価審議会に私が諮問するわけじゃありません。米価審議会価格決定——価格は、当然食管の中にも価格制度と書いてありますから、それに触れてくる場合において、われわれがこれを拒否するわけにいかない、こういうことなんでございます。建議してくるというのは自動的に建議してくるわけであります。
  22. 川村清一

    ○川村清一君 関連して。ちょっと重大な問題ですから、ここで関連しておきますが、村田委員からお話がありましたように、この米審の任命について問題があった。それは倉石前農林大臣の意図が明白であった。それで、そういう意図のもとに生産者代表、消費者代表、また国会議員全部抜かして、そうして中立米審と称して政府の気に入った御用米審をつくった、こういうことであります。したがって、大臣御承知のように第五十八国会参議院農林水産委員最において、法案審議に先立ってこれが非常な問題になった。そこで、各会派においていろいろ話し合いました結果、ここで農林水産委員会の決議をした。御承知のとおり満場一致。これは自由民主党の和田委員長がここで発言をいたしまして、そうしてこの決議案文に対して全員が満場一致これに賛成して決議をした。これは御承知のように倉石前農林大臣が任命した米審を、これをやめる、そして生産者消費者代表を主軸とするところの委員会につくり直せ、こういうことを決議した。それに対して大臣は、委員会の決議を十分尊重しますと、そして検討しますということをここで御答弁になった。そこで大臣が誠意を示されたので、それから委員会が審議を始めた、こういう経過は御存じのとおりでございます。  そこで大臣は一体その何を、一体この委員会の決議を尊重されたのか。一向に聞くところもなくそのまま強行された。そして昨日、本日とああいうふうな騒ぎの中で米審がやられておる。ただいま村田委員から質問がなされておるように、もうこの米審の権限外の問題、これはそういうことはできないということをいろいろ言っておるのだが、これはできないということをあなたは言わない。それで、これは政府諮問したのではないのだが、そういう建議をされることはこれはやむを得ないと、建議されたならば、それはまた尊重すると、しかしそれによって食管法を改正するかどうかはこれは別として、建議されることは、これはまあことばをかえて言えば御自由だ。出されたものは尊重するというような答弁をされますというと、倉石農林大臣がいわゆるこのわれわれの絶対反対も押し切って現在の米審を任命されたという意図がはっきり出てくるわけです。それを引き継がれて西村大臣もうまいことは言っておるが、あなたの中にそれに近いものがあるということをわれわれは断ぜざるを得ないわけです。  それであなたにお聞きしたいのだが、一体ここで、参議院農林水産委員会で満場一致決議されたことを大臣は一体尊重されたのかどうか、検討されたのかどうかです。決議は決議、おまえたちがかってにやったのだということで強行されたものとすれば、きわめて非民主的な態度であるとわれわれは断ぜざるを得ないのでありますがどうでありますか。そういうことをされますというと、私はそのことと村田委員が言われることと全く一脈相通ずるようにとられてしかたがないわけです。これはひとつ大臣、われわれのその決議したあの時点をもう一回よく想起されまして、そしてあなたの見解をここで明らかにしていただきたいと思います。
  23. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 当時私も決議されたことは記憶いたしております。そしてその後におきましても御存じのとおりこれは各党派において国会対策委員長等の会議をしばしば開かれまして、そして私も各党間の会議に出席したことがございます。各党間でお話ができますれば、それに従ってまいりましょう、これも言ってまいりました。それから私個人としても、そういうような一つの強い御意見が、そういう考え方として委員会にもある、ほかにもございます。しかし、一方におきまして、すでに発令されている中立米審もある。そこで、何かくふうはないかということであらゆる努力を払っておりますけれども、それは国会対策の各党間の間でも出てまいりません。ついに話し合いはつかないでしまったわけであります。そして事実その間に麦をきめなければなりません。麦は米価審議会にかけなければならないということになっております。したがって、私としては米価審議会を開いていただきたい、こういうことになったわけであります。
  24. 村田秀三

    ○村田秀三君 あくまでもあいまいでございますので、理解ができません。  要望しておきますことは、われわれの前に来たときには何か言いくるめようとしてうまいことを言うわけですが、しかし、新聞報道であるとか、そういう方面のことを聞いてみますと、ニュアンス的にも、ことばの使い方にも若干相違があるわけですよ。そういうことはなさらないように、正直にものを進めてみたらどうかということを申し上げておきたいと思います。  いままでの問題、後日触れることにいたしまして、きょう出されました、そうして先ほど説明を受けましたところの諮問案について具体的にお伺いしておきたいと思います。これをよく読んでみますとわからなくなるわけですね。特に生産費所得補償方式ということを一応うたっておきながら、「が」ということばをつけて米穀需給状況を考慮して価格算定をしてほしい、こういうことなんですね。基本的にこれは米の需給状況を勘案せよということは、いままでもしばしば言われてきております。経済の原則、つまり価格は供給が多ければ安くするのがあたりまえなんだというようなことで、いわゆる生産費所得補償方式ということを言いながら、いわゆる安くするということを前提にかかっておるということについて、私はそう理解をしておるわけでありますから、明瞭にそうであるかないか、お答えをいただきたいと思います。
  25. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) まあ私の答弁がぴったりしているかどうか、御質問いただいておるわけでございますので、一応お答えいたします。今回つくりました方式でございますね、これは昨年の積み上げ方式に大体よっている、生産費所得補償方式の昨年の方式によっておる。ただ、その中で二、三点、需給緩和の状況を反映して手直しをして計算をした、これは事実でございます。それもその二、三点の点は次長からも申し上げてけっこうだと思います。基本食管法に基づきます再生産確保、言いかえますれば生産費所得補償方式、そしてその中で昨年の積み上げ方式によりまして、そして需給状況を多少反映するような二、三の部分が入っておるということを私から申し上げておきます。
  26. 田中勉

    説明員(田中勉君) 試算基本考え方について御説明申し上げます。試算そのものは生産費及び所得補償積み上げ方式考え方に立ちまして、最近の需給事情等に照らしまして各算定要素に検討を加え、一部原価性の少ない要素を除き、かつ適正限界を実情に即して若干修正したものでございます。具体的に申し上げますると、十アールあたりの収量の標準偏差等につきましては、先ほど御説明申し上げましたこの試算値の中には、この標準偏差に〇・九を掛けておることも事実でございます。また最近の需給事情等に関して各要素に検討を加えたというような事項等につきましては、昨年は生産性の向上のメリットというようなものにつきまして、二分の一を昨年の米価算定に加えておるわけでございますが、このメリットに二分の一の算定を加えたことにつきましては、やはりその生産費ということになりますと、原価性から見まして問題がある事項であるわけでございます。昨年はそういうものを政策的な配慮によってこの生産性向上のメリットを加えたわけであります。本年におきましては、一般、先ほど申し上げました需給事情というようなものからいたしまして、これらの原価性の少ない要素につきましては、この際除くというようなことをやっておるわけでございます。  それからもう一つは、具体的な話になります。が、時期別格差ということにつきましては、昨年の秋に閣議の了承を得ました線に沿いまして、需給事情の大幅緩和に伴いまして、時期別格差の意義が薄れてきておるわけでございますので、この際これを整理いたしまして、このことによりまするこれら特定地帯のやはり影響を緩和する意味におきまして、暫定加算というようなことで、この算定をいたしておるのが現在の試算内容であるわけでございます。
  27. 村田秀三

    ○村田秀三君 まあいろいろあるわけですが、二、三聞いてみたいと思いますが、いまの説明でほぼ私はわかったような気がいたします。実は限界収量の計算、〇・九を掛け合わせたというそのことですね。これは実はほんとうは根拠を聞いてみたかった。いまの御説明によるならば、需給状況を考慮して少なくとも生産費を下げなくちゃならないという意図が、この〇・九の中に入っているということを確認していいですか。
  28. 田中勉

    説明員(田中勉君) お答え申し上げます。  この理論的な根拠というようなお尋ねで実はあるわけでございますが、御承知のように、生産費所得補償方式が導入されましてから、十アールあたりの平均収量から従来この標準偏差を考慮してきめてまいったわけであります。これはどういうことかと申し上げますと、御案内のように、適正な限界農家生産費によるのがやはり適当であるという考え方に立って、これをそういうことで運用してまいったわけでございますが、やはり最近のように需給事情の大幅に緩和した今日におきましては、いわゆる適正限界のとり方を、その需給事情を反映して修正するというようなことが適当ではないかというような考え方に立ちまして、標準偏差に何がしかの係数を乗ずるということによりまして、それに、その結果は、販売数量のカバー率の程度というようなことも一面において十分勘案しなければならない問題でもございますので、さしあたり本年は十アールあたりの収量の標準偏差に〇・九というものを乗ずることとして算定をいたした、こういう事情であります。
  29. 村田秀三

    ○村田秀三君 私の想像どおり、需給状況を考慮して標準偏差に修正を加えた。これは何らの理論的根拠もなくて、それはほんとうに手かげんである、政治的配慮である、こういうことを確認いたします。  もう一つ聞いておきたいのですが、この諮問案の算定方式ですか、それを見ますると、四十二年度の平均十アール当たり生産量が五百二キログラム。ところが、「米穀需給現状」、これを拝見しますと、四百五十三キロになっております。どうしてこう違っているのでしょうか。
  30. 田中勉

    説明員(田中勉君) これは生産費調査農家の選定にあたりましては、これは一俵以上の販売農家につきまして、約五千戸についてその調査いたしました結果が、四十二年産米のものにつきまして、五千戸の農家、一俵以上のものにつきましては五百二キロということが出てくるわけであります。もちろんこの五百二キロにつきましては、一俵以上の調査農家のうちで五俵以上の販売農家でこれを算定いたしておりますので、それが五百二キロでございます。  それから統計調査部で前期に発表されております全国の米作農家全体、これは米の販売をする農家はもちろんでございますし、また販売しない農家でも米作農家全体についての、平均収量が四百五十三、こういうことになっておるわけであります。
  31. 村田秀三

    ○村田秀三君 四十二年度の収量の取り方によってこれはだいぶ違ってきますね。どうもその点理解できないのですが、それじゃそういう説明をなんでしないわけですか。これは勘違いしますね、率直に言いまして。一俵以上出すところの全体農家平均が五百二キロですね。
  32. 田中勉

    説明員(田中勉君) ちょっと先ほどの御説明があるいは混乱したかと思いますが、これは前段の積み上げ計算方式の最初のところにございまするけれども、このCバーのところに、「価格決定年の前三年の各年の米販売農家(災害農家および五俵未満の米販売農家を除く。」、こういうことで、それらの農家についての、平均が五百二キロと、こういうことでございます。したがって、五俵以上の販売農家、それも生産費調査の対象農家になっているわけでございます。
  33. 村田秀三

    ○村田秀三君 もう一つお伺いいたしますが、この算定方式、四十三年産米政府買い入れ価格試算、この内容、たくさんこれ疑問点あります。ありますが、時間もございませんから、ほんとうに要点だけひとつ申し上げたいと思います。別してこの積み上げ方式を認めての質問ではないんですが、その点ひとつ御理解いただきたいと思いますが、地代ですね、地代を見ますと、四十三年度地代の算出を四千二百五十四円としてますね。しかし、最近の農林省統計を見ますと、これはわずかついこの間——十六日に公示をされた資料です。それを見ますと六千七十二円になっているわけです。これまたどうしてこう違うんですか。
  34. 田中勉

    説明員(田中勉君) この試算値に御説明申し上げております十アール当たり地代算定につきましては、これはここに書いてございますように、昨年の暮れに統制小作料の最高額が改定されたわけでございます。その結果、ここにおきましては、大体その最高統制額の中でいろいろ各級地の最高統制額はございますけれども、六級地につきまして、この自作地につきましては、そういう自作地というか、作付地につきましては、その最高統制小作料を適用いたしておるわけでございます。それから作付地以外のものにつきましては、この生産費調査に基づきます地代に基づいて評価したものを加えておるのがこれでございます。それから統計調査部の六千何円という原生産費調査の結果出ておりますものにつきましては、これは統計調査部のほうにおきまして小作地につきましては実納小作料を適用いたしておるのでございます。また自作地につきましては近傍類地の小作料、あるいはそれがない場合には統制小作料ということになっているわけでございます。端的に申し上げますと、この統計調査部のほうの調査のほうにおきましては、小作地等につきましては実納小作料でございますので、かなり相当やみ小作料的なやはり小作料というものがこの調査の対象に算入されているわけでございます。したがいまして、私どものほうといたしましては、農林省におきましては昨年におきましてやはりここ十何年間、昭和三十年から据え置かれておりました統制額につきまして生産事情その他の事情等に基づきまして、この最高統制額を改定いたしたわけでございます。したがいましてこの生産費基準になりまするところの作付地の地代等につきましては、この最高統制額を適用するので適当であろう、こういうことで算定いたしておるのがこの算定内容であるわけです。
  35. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうも釈然としない説明ですね。これは同じ農林省で出すやつですよ。ところが、四十二年産四千三百二十三円、これは最高統制額の数値だ、こういうのですが、昨年は地代の変更、三倍から四倍あるわけでしょう。四十一年が四千二百七円で、四十二年は四千三百二十三円だという話じゃないんじゃないですか、よしんばそうであったにせよ、農林省の統計課が出したところの実地代というものが六千七十二円だとするならば、当然これを採用すべきが妥当と私は思う。しかも、これで計算をしますと大体百五十キロ六百円違う、六百円。統計のとり方もいいかげんに、農家の方もわからない、われわれもわからない——わからないということをいいことにしてごまかして、なるたけ安くしよう安くしようとする統計のとり方をしておるとしか思えないんですよ。その点はどうですか。いま聞いた説明の限りでは了解できませんよ、これは。
  36. 田中勉

    説明員(田中勉君) 昨年の米価算定に用いましたその地代につきましては、やはり四千二百円ということになっているわけでございますが、このときにおきましては、昨年の小作料の統制額はまだ改定されておらないわけでございます。そこでこの算定に当りましては、三十年来据え置かれたこの統制小作料を改定するという前提が一つございました。そういうことを予定いたしまして一応昨年の地代につきましては、小作地の実納小作料というものに大体近い地代を去年の場合においては算定いたしたわけでございます。その後におきまして最高統制額が改定をいたされましたわけでございますが、現実問題としてその統制額を改定されますと、やはり実納小作料等につきましても何がしかやみ小作料というものが相当上昇を来たしておるということも事実でございます。それらの要素等がこの統計調査の中に織り込まれているわけでございますが、政府といたしましては、やはりここ十年来の大改定を昨年行なったわけでございますので、この統計小作料は、この十年来の改定事情といたしましては、その後の生産事情あるいは農業事情に合わせるということで昨年大改定をやったわけでございますので、この政府が政策的に考えました統計小作料を採用して米価算定するのが適当であろうという観点に立ったわけでございます。
  37. 村田秀三

    ○村田秀三君 納得できませんね。あなたが適当であろうというだけの話ですよ。説明する部分があるとすればね。どうしても了解できないですよ。何で実際に払っているものを採用しないのですか。昨年は小作料の改定をやっておるわけですよ、農林省が。三倍にも四倍にもなっておる、実際。だとすれば四十一年度では四千二百七円で、四十二年度が四千三百二十三円だなんということは常識的に考えてもあり得ないと思うのですよ、これはね。ここでは、米価審議会じゃありませんから、これ以上触れるつもりはありませんけれども、いずれにしろ後日、全部了解できるようなバックデータを出してくださいよ。そうすれば了承をします。計算をしてみなくちゃ。どうしても了解できない。実際に払っておるものをとらないで、何が統計ですか。農業事情を勘案してということであれば、米の需給状況を勘案してこういうデータをとったということになるのでしょう。そうじゃありませんか。なるたけ生産費を安くしようとする意図というものが統計のとり方においてあらわれておると明らかに指摘をしておきます。  次に、先ほども説明がありましたが、生産性向上の利益還元、これは昨年までありましたね。ことしはそれを廃止するというのです。これは一体どういうわけですか。生産性の向上をしなくてもいいんですか。土地生産性、労働生産性、これを上げることがあなたがたの任務じゃありませんか。それを奨励しないで、土地生産性も労働生産性も低めてよろしいのだという政策のあらわれがこの米価算定の中に出てくること自体が私にはわからない。ことしの計算でいけば〇・六時間当然見るべきなんですよ。どうなんですか。
  38. 田中勉

    説明員(田中勉君) 先ほども概略御説明申し上げたんですが、確かに昨年の米価算定にあたりましては生産性向上の利益の一部を生産者に還元することとしたのも事実でございます。この趣旨は、生産者生産意欲を向上して、生産者の労苦に報いるという政策的な配慮でやったわけでございます。したがって、もともと生産性向上の利益には費用という性格は含まれていないわけでございます。これは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、ことしの米価算定におきましては、やはり需給事情というようなものを考えた場合におきましては、そこまでの配慮をこのことしの米価算定に加えることは必ずしも適当でないんじゃないかというようなことで、これを今年は含めないことにいたしたわけでございます。
  39. 村田秀三

    ○村田秀三君 これは意見になるかと思うんです。が、どうも話を聞いてもやはり釈然としないものがたくさんあるわけです。この資料を見ても、数字を見ても、まあことしは三%ぐらい上げざるを得ないんじゃないかと、三%という数字を先に出して、それに合わせるような資料をとったとしか思えないんですよ、どうしてもこれは。結果的には二・九%になったというだけにすぎない。これは水かけ論になりますから御答弁要りませんけれども、どうしても私はそういう意図的なものを感ずるということだけ申し上げておきます。  先ほど来いろいろあとで資料をいただきたいということを申し上げておきましたが、それらの資料が参りましたならば、いわゆる地代の問題もこれは私研究してみたい。  それからもう一点、非常に私ふしぎに思うのですが、私の想像がまあ適当であろうと私自身は思うのでありますが、米価審議会にかける価格算定方式は、政策的に意図的に低めよう低めようとするような数字を出してあります。かりにこれを認められた場合、まあ福田幹事長は、米価政府が責任を持って決定をする。その政府は自民党が構成をしておる。自民党が最終的に責任を持って決定をするというような言い方をしておって、新聞紙上にはもはや七%台の話が出ておる。このことを農林大臣は何と心得ますか、お答えをいただきたいと思います。
  40. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私のほうとしては、もちろん農林省が中心でありますが、関係の省とも調整をした結果、参考資料として、試算として、今日米価審議会に提出をしておるわけであります。いずれこれに対する答申が出てまいると思います。答申がどういう意見で出てまいるかはまだ私は存じません。答申が出た上におきまして私どもとしては、政府価格決定する責任がございます。ただ党は党なりでもって、政党でございますから、生産者団体等の意見を十分徴しておりますから、そこいらの意見というものが入ります。が、基本はこの試算というものが一つ基本となって、その上でいろいろ意見が反映をされる、最終的には政府の責任において決定をする、こういうふうになっております。
  41. 村田秀三

    ○村田秀三君 かりに七%できまったと、最終的にね。だとしても、やはりいままでの論議の経過もあるように、ごく政治的な政策的な意図が働いておる。かりに七%に最終的に決定したとしてもこれはかりの話でありますから誤解をしていただきたくないと思いますが、きめられたとしても、やはりそれは政治的な配慮があるとするならば、きめるのは農林大臣一人なんですから、これは法律でそうなっているのですから。だとすれば、農林大臣は勇気をもって七%台を米価審議会諮問しても一向差しつかえないという逆な論理も成り立つわけです。その点はどうですか。
  42. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) これは確かに法律上は農林大臣決定することになっております。しかし御存じのとおり米価というものは先ほどの食管制にも関係して非常に国民経済の中で大きなウエートがあります。また財政その他にも大きく影響します。そこで関係閣僚の意見を徴して今日まできた、同時に、生産者の意向を聴取しようと努力をしておられる、政府と一体となっている党の意向というものもまた十分私は聴取していかなければならぬ、したがって、どういうふうな結論が出るかはいずれにいたしましても、私としてはこの試算基本にして十分責任を持って決定をしたい、こういうふうに思います。
  43. 中村波男

    ○中村波男君 関連。予定の時間がだいぶん経過しておりますし、関連でありますから簡単に一問だけお聞きをしておきたいと思うわけであります。が、さいぜんからの説明によりますと、ことしの米価算定基本は昨年どおり生産費及び所得補償方式をとったと、しかしながら、が問題でありますが、需給事情を考えて二、三の手直しをした、こういう説明でありますし、内容を検討いたしましても、需給事情を勘案したということは昨年よりも計算上に生産農民が不利になるように、言いかえれば安くなるように算定をされたことは間違いございません。そこで私は、本年度の通常国会の冒頭に、農林大臣の所信表明のときにも、いわゆる政府の考えておりまする食管制度の改変について相当長時間西村農林大臣並びに大口食糧庁長官との間で質疑をいたしたのでありますが、そのときにも私は、少なくとも本年度の米価算定をするにあたって昨年度の計算方式を自主的に下げるようなことはやらないかどうか、このことを強く念を押しましたに対しまして大口食糧庁長官は、昨年どおりの方法をもって算定をするということをはっきり言明をされておるのであります。したがって、今年度二、三の手直しをされた中の、いわゆる従来の生産費及び所得補償方式によります方法として、年間反収補償方式、これは生産農家の九〇%を補償する方式であることは言うまでもございません。しかし今回は平均反収補償方式というものを導入した。したがって、生産の高い五〇%の農民は補償されるけれども、生産の低い農家というのは五年後には全く補償をされない。これは、いまおっしゃるように需給事情を勘案してそういう方式をとられたわけであります。が、言いかえますならば、生産を刺激しないために価格で抑制するというこのことが重大な私は問題だと思うわけであります。  そこで私は、政治責任として農林大臣にお伺いをしておきたいのでありますが、昭和三十七年ごろから食糧事情が悪化をいたしまして、時間もありませんから具体的な数字は申し上げませんが、したがって昭和四十年度には百五万トンという食糧の輸入をしておる。そこであわてまして、農林自、政府昭和四十一年度から食糧増産運動といりのを提唱いたしました。幾ばくかの予算をつけんでありましょうけれども、各県はこの農林省の食糧増産運動に呼応いたしまして、また民間の生産団体もこれを受けて立ちまして、この運動の成果が、昨年はたまたま自然条件、天候等の結果もありまするけれども、増産意欲を高めた。増産運動が地についてきた。このことが昨年度私はいまだかつてない米の増産という形になってあらわれたと思うのであります。したがって、昨年ようやく米の増産が上がって、もうことしは増産を刺激しないように価格で抑制していわゆる米の生産を押えようとする。そういう政策を転換してきたことは重大な問題であります。全く朝令暮改的な政府の政策、このことに対して農林大臣はどのようないわゆる政治責任をとろうとされるのか、このことをまず伺っておきたいと思うわけであります。
  44. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私、先ほど申し上げましたように、もちろん米価は、価格は大事であります。また、再生産確保も大事であります。しかしまた農政全体としては、国民の、御存じのとおり、食糧に対します需要状況というものが所得が上がってくるに従いましてかなり変わってきておる、これもひとつ十分考慮していかなければならぬと思います。たとえば肉に対し、あるいは牛乳に対し、あるいはその他に対する要求度も非常に強いものがあるわけであります。したがって、私どもとしては、米の自給率も守ってまいります。四十一年が九四%、四十二年産米は一一〇をこすくらいの自給率を生じた。したがって、私どもは、米の自給率は一〇〇はできるだけ達成したい。しかしそれ以上にあまりに米だけで、たとえば俗に申しますと、限界線の低いところに米がただいくというだけでも農政はいけないのじゃないか、こういうような面から生産制限という形ではなくても、私は一つはこういう需給緩和というものも多少はやってもいいんじゃないか。それからいま一つは、いつも申し上げますように、なるほど二重米価的になっております。食管法は。しかし、全然それじゃ消費者価格生産者価格は無縁のものかというと、これはやはり相互にある程度の関連はある。その間に経済事情を考慮していくことは食管法の命ずるところであります。その経済事情の中には需給状況というものも一応は関連して考えられていいんじゃないか、そんな意味で限界反収シグマの〇・九、すなわち十分の一が需給を反映する意味で今回試算の中へ加えられている、こういうように解釈しております。
  45. 中村波男

    ○中村波男君 時間がありませんが、この問題についてさらに掘り下げて質疑を申し上げたいんでありますが、私は戦前、戦後の食糧事情が悪かった時代にいわゆる農民は裸供出を強制されて、食うものも食わずに米をつくって政府に供出をした。そうして今度は米が少し余ってくれば、食管制度がいろいろ言われますけれども、間接統制へ移行するためにいま政府はいろいろな角度から検討をしておることは間違いございません。そういうやり方が政治責任として私は許されてならない問題であるというふうに考えて、いま私がお尋ねしたいのは、昨年まで毎年の農林大臣の所信表明の中にも食糧の増産、特に米の増産ということを項目を設けてうたいあげておきながら、ことしになると、もう価格その他の方法で米の生産を押えつけようとするような、そういうやり方について農林大臣はどう考えておられるのかということをお尋ねしたいのでありまして、そのことだけ御答弁をいただきまして、次の機会に譲りたい、こう思うわけであります。
  46. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私この間「総合農政の展開」の中でも、これを申し上げておいたのでありますが、時間はかかるであろうが、量よりは国民としても質を求めてきている段階、それは御存じのとおり消費量も徐々に下がってきておることは事実であります。これは数字的にも御説明申し上げていいのでありますが、同時に政府管理している古米というものは史上見ないような多くの古米を持つわけです。持ち越し米を持つわけであります。そうして今年度は一応推定されておるところは千三百万トンの平年作になる、こういうような状況下にあるわけであります。
  47. 黒柳明

    黒柳明君 持ち時間が非常に限られていますので、問題を一点だけに限って質問したいと思いますけれども、農家の方々の努力によって例年豊作続きでけっこうなことですが、それに反して古米がダブついている、こういう状況です。こういう状況下で輸入米を私たちが輸入をしなければならない、ここに非常に矛盾を感ずるわけなんですけれども、いかがでしょう。
  48. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) この数字は詳しくは報告さしてけっこうでありますが、最近はきわめて少量でございます。千四百万トンこえる中で昨年度はたしか二十七万五千トン、そのうち、一つは加工用のみそ、しょうゆのようなものが、これはやはり価格関係から安いもの、砕け米と申しますか、加工用の原料米であります。それから比較的大きい準内地米としては中国との貿易関係がございます。これがほとんど大半を占めているような状況でございます。
  49. 黒柳明

    黒柳明君 加州米の輸入はどのくらいありますか。
  50. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) これは近年はございません。
  51. 黒柳明

    黒柳明君 まあ全体に対する率としては若干低いようですけれども、ともかく全体的の食管の赤字ということが問題になっているわけですね。ですから、どれだけ国内産の米に対して低額であろうとも、輸入米に対しては相当これは考慮しなければならないのではないだろうかと思います。  それから中共米のことですけれども、四十二年の十一月に中共の輸入米で黄変米が出た。輸入に対して実地検査がしてなかった、こんなふうなことが、これは新聞に報道されたことですが、実地検査してないということはやはり農林当局の無責任があったのではないか、こう思うんですけれどもいかがでしょう。
  52. 田中勉

    説明員(田中勉君) 中共米の黄変米につきましては、食品衛生法の観点から厚生省の所管になりまして、この黄変米の問題につきまして、昨年秋入港したものにつきまして一部そういうものが検出されたわけでございます。農林省といたしましては、植物防疫法でありますので、たとえば虫がつくとかなんとかというようなことは農林省の所管になっているわけでございますが、食品衛生法の観点から黄変米の毒性があるかないか、こういう問題については厚生省の所管である。厚生省のほうからは、昨年国会におきましても、所管のこういうものにつきましての菌の検定、末端実務の状況というようなことについて御質問等がございまして、やはり人手不足というようなことも若干あったようでございますが、現実問題としてこれだけのものが発見されまして、四千五百トン積来したものの中で、厚生省でさらによく慎重に調べましたところ、約二百二十一トンが厚生省の食品衛生法に違反するものということになったわけでございます。この米につきましても、それは厚生省の見解といたしましては、この二百二十一トンにつきましても相当、必要程度に統制をすることによってさらに菌検査を実施するならば、その結果黄変菌の検出がされないということございますと食糧として供給してもいい、こういうようなまあ一応結論が出ておるわけでございます。数量といたしましては、四千五百トン積来された船の中で二百二十一トンが一応厚生省の食品衛生法に違反するものとして出ているわけでございます。
  53. 黒柳明

    黒柳明君 その黄変米の処置ですけれどもね。それと今度は外米の売れ行きがどうも悪い。ですから、食管会計の赤字を云々する前に、やっぱり、国内産の古米を含めてですけれども、要するに外米の古米、ここらあたりの処置をどのようにするか。
  54. 田中勉

    説明員(田中勉君) やはりこの厚生省で違反ということに認定されましたものにつきまして、これは主食用から大体はずしまして、原材料用の用途等にこれを処理いたしておるわけでございます。  それから、海外から現在、先ほども農林大臣申されましたように、約二十数万トン輸入をいたしておるわけでございますが、これらの輸入にあたりましては、やはりその黄変米防止というようなことがひいては国民の食糧の不安と、あるいはまた食管会計に対する影響というようなこと等から考えましても、これは極力良質のものを輸入するというたてまえで今後輸入もしていかなければならぬわけでございますが、その場合におきまして、極力やはりこれらの黄変菌が発生するような環境が、現地におきまして相当米が生産されてから数カ月、半年以上も保管されますと、そういう危険性もあるわけでございますので、それらの点につきましては、現地から買い付ける場合においては極力やはり新しいものを買いつけるという考え方に立っております。また現地から輸入いたします場合におきましても、船の中で薫蒸措置を講ずるというようなことによって、それらの菌の増殖を、万一の場合防ぐというようなことも考えて、この問題につきましては、食糧庁といたしましても国民の食糧につながる問題でもございますし、また同時にこういうものが発生することは食管会計にも影響する問題でございますので、特に厳重なそういう輸入措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  55. 黒柳明

    黒柳明君 先ほどの政府試算の件について、算定方式や何かについていろいろ疑惑や疑問があるわけですが、夕刊あたりですと、自民党の総務会で非常に不満を持っている、あしたは党総務会で党の基本方針を出す、米審の答申案も出るというようなことで、試算に対する農林大臣のお考え、試算を中心に考えるという先ほどの御答弁でしたが、当然自民党の総務会のほうとしては、何回も繰り返されておりますように、党として米価決定するのだ、こういうような方向で上積みをしてくる、そういう基本的見解を出すのじゃないかと思うのですけれども、農林大臣としてはあしたの自民党の総務会で決定されるであろう政府試算に対して当然上積みをされた米価、それから政府試算、さらに米審から答申が出るわけです。が、この自民党の総務会からのつき上げといいますか、農林大臣として最高責任者であり、また党のほうの幹部でもありますし、その関係性、要するに自民党の総務会等の統一見解に対して、あくまでもこの、試算であるから当然変わってもいいし、変わることはあたりまえではありますけれども、農林省としても各省と検討して相当の根拠があって算出した試算である。こういう試算に対してやはり農林大臣としても相当の責任というか、信念があって提出したものであると思うのですけれども、自民党の総務会あたりから出た意見、その意見に対してどのような最高責任者として大臣は態度で臨むおつもりなのか。いかがでしょうか。
  56. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私はただ簡単に試算を出したわけじゃございません。これを出しますには、やはり出すだけの考え方を持って出しております。したがって、これがあくまで基本であると同時に、米審においてもこれに対して意見が出る。ただ、党は党なりで、私はどういうふうな運びをやっておられるか知りませんが、党側ももちろん生産者の意向等を十分なにして、一つ意見というものは漸次お持ちになるだろう。最終的には私は法律上の責任——ただ事柄が、御承知のとおり米というものは大きなものでございますから、農林大臣であると同時に、政府がこれを決定する、農林大臣の責任といいますか、そういう中で決定してまいりたい、そういうふうに考えております。
  57. 黒柳明

    黒柳明君 結局、政府試算であり、農林大臣の責任のもとだと思うのですけれども、また総理大臣としても当然政府を代表する農林省、農林大臣にすべてをまかせてあると思うのですが、また党側も総裁として相当やはり総務会の意見というものも尊重せざるを得ないと思うのですが、政府となると、総理大臣の権限を委託されている農林大臣としても、やはり総理の意向というものは相当私は容れなければならないし、総務会の意向にもそれは反映するのじゃないかと思うのですけれども、その点政府試算という、その根本的性格ですけれども、いかがでしょう。
  58. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 政府試算を出しますにも、今回の米をめぐるいろいろな環境というものを十分考慮した上で出したのでございまして、これは簡単に変え得るものではない。しかし最終的にはいろいろな、審議会意見もありましょう、それから他の意見というものも含めまして私どもが責任を持ってきめる、こういうことでございます。
  59. 任田新治

    任田新治君 私は時期別格差金についてお尋ねします。  本日、食糧庁のほうで時期別格差に対する新しい考え方を発表されたように聞いていますが、まずそれについて次長から大体の内容をお伺いします。
  60. 田中勉

    説明員(田中勉君) 今回の試算値の中におきまして、先ほども御説明申し上げましたように、一応従来の時期別格差金の方式を廃止いたしまして、新たに暫定加算ということで措置をいたしたわけでございますが、その理由といたしましては、時期別格差につきましては、最近における食糧の需給事情が非常に大幅に緩和いたしてまいったわけでございます。したがいまして、政府の早期売り渡しの促進というような面から見ますと時期別格差の必要性ということは非常に薄らいできておるわけでございます。昨年十一月ですか、農林省といたしましては、閣議にも御了承願いまして、この時期別格差金につきましては誠意の方向でこれを検討するというようなことを御了承願ったわけでございます。その後検討いたしました結果、今後の問題といたしましては、やはりこれを全然廃止するということは非常にこれら地帯に対する影響の度合いも大きいわけでございますので、本年度におきましては特に時期別格差金の対象額が全国的に見まして非常に高い県を一応選定いたしまして、北陸四県、それからその他の県八県、合計十二県でございますが、これらの地帯に対しましては、かりに時期別格差が従来、昨年までは三期までございますが、これが二期になった場合と申しますと、一期四百円あるいは二期二百円、こうなった場合におきましては、各県別の各五カ年におきます時期別格差金が全国の平均以上に高い県等につきましては先ほど北陸四県あるいはその他の県八県合計十二県でございますが、これらの県に対しまして大体百五十キロ当たり北陸四県につきましては二百五十円の暫定加算、それからその他の八県につきましては百二十五円の暫定加算をこの試算値の中に入れましたものがこれが全国平均いたしますとこの試算値の中に五十八円という数字が出てまいるわけでございます。全国の総数量平均いたしますとそういう金額になる、こういうことでございます。
  61. 任田新治

    任田新治君 いまの聞きますと、暫定加算という名前がついておりますが、これはどの程度に考えておられますか。暫定という意味を一応聞きたいわけです。
  62. 田中勉

    説明員(田中勉君) 当面、ことしの米価算定いたします基礎といたしましては、そういう暫定加算というものを考えておるわけでございますので、一応当面ということを考えておるわけであります。
  63. 任田新治

    任田新治君 当面というものではちょっとわからない点があるのですが、大体米というものはいまのような制度にはなっておるけれども、本来自由価格というような立場をとれば農産物というものはどういう品物であっても、まず初ものは高いものである。そういう高いものが普通であるのにかかわらず、いまの制度からいってこういうことになっている。だからかりに昔で言えば早場米、いまで言う時期別格差というような、ああいうものにつきましてもそこにそういう意味合いのものは昔からあったと私は思うのです。そこで、農林省のほうでああしたような地帯に対して、いわゆる初ものに対する考え方で一定のベースを考えてそうして出す、こういう考え方が一時あったはずです。それがいまの話では暫定というようなことになっておるのですが、その考え方がいまでは変わったのかどうか、その点伺ってみたいと思います。
  64. 田中勉

    説明員(田中勉君) 確かに御指摘のございましたように、時期別格差の検討は昭和三十七年に検討会を持ちまして、時期別格差金につきましては三カ年計画で一応九月末ということを最終的にはこれを残すということで、その理屈の中にはやはり初もの、昔の間接統制下におきましてもいろいろ初ものというようなものがあったということで、一期だけ当時百五十キロ当たり二百円、この一期だけ残すというようなことが検討会の結果出ておるわけでございます。その検討会の結果に基づきまして、三十八年に——当時四期あったわけでございます。八百円、六百円、四百円、二百円、こうあったわけでございますが、これを三期に圧縮いたしまして、六百円、四百円、二百円ということにいたしたわけでございます。三十九年、四十年、四十一年にもまたがりますが、やはりその後におきましての米の生産事情が天候その他によって不作がかなり続いたわけでございます。端境期の需給操作というような問題から見ましても、その後におきましては三期をそのまま継続をしてまいったわけでございます。今回は非常に大幅ないわば需給緩和が出ておるわけでございます。政府管理操作の面から見ますというと、やはり早く出たものを右から左に操作しなければならぬというような管理上の必要性というものが非常にこの需給の大幅緩和に伴いまして、いわゆる三十七年当時検討しておった事情から見ますと相当変わっておることも事実でございます。ことしあたり繰り越し米、この繰り越し米をどのようなぐあいに配給操作に乗せていくかというようなことからいたしますると、管理面からだけの観点からいたしますならば、やはり初ものであるからといってそれを右から左にやるというような操作は必ずしも必要でないというような見方もあるわけでございますが、そういう過去においての初ものというような観点もあるわけでございます。またこれら地帯におけるやはり影響の度合いというような問題もあるわけでございますので、当面はこれは暫定加算ということで、この今度の米価の中に織り込んでまいりたいということでございます。来年どうするか、あるいは再来年どうするかというようなことにつきましてはともかく、いまその名のとおり暫定加算ということで処置をしてまいりたいと思います。
  65. 任田新治

    任田新治君 そうしますと、ことしは暫定だが、来年はまたもとへ戻るということもあり得るわけですね。私はこの問題は非常に大事なことだと思う。北陸四県というものは特に今度の対象になって考える、その他の県八県ということでありますけれども、やはり戦中、戦後を通じて早場米あるいは時期別格差というこの制度で今日まできておるわけです。北陸四県にたとえてみますると、労働時間が反当たり昭和三十一年から四十一年にかけまして約四十五時間圧縮されておる。百九十二時間のものが百四十七時間になっておる、こういうことがある。それだけの努力をしながらいかに早く米を出すかということのくふうをしておるわけです。これは基本的には大体手段としてはまず圃場整備をやる。ずいぶん金をかけておる。しかも政府の奨励をもって圃場整備をどんどん進めておる。また作業の面におきましても耕うん機なりあるいは乾燥機、乾燥施設を完備する、こういうようなことをどんどんやっておるわけです。しかも構造改善なんというような仕事が出てきた。そういうような中でも乾燥施設の設置というようなことが出てきておる。こうしたようなことによって非常な努力を払って今日まできておる。それの結果が、これだけ労働時間が短縮されて、そうして早く米を出すことの努力ができた。そうして成功しているわけです。ところが今度、たとえ昨年十二月に閣議で決定じゃなくて検討するというようなことがあったとはいうものの、そのままでその後も政府から何らの発言がなく今日まできている。そうしてこういうような時期になってきて突如こういうような方式でやるんだということに切りかえているわけです。地元の農民から見ると全く迷惑な話です。何十年という間この目標でもってずっときておる。それだけの資本投下をしている。ところがそれだけに報ゆるものがないということになりますと、過去にやっておるすべてのことというものは、すべてこれは過剰投資になる。そういうことを政府がやらしているような結果になっているわけです。この点は一体どういうふうに扱っていくかということです。特に選挙の最中には佐藤総理も新潟か富山におきまして非常にこの点を言っている。一つのアイディアはあるけれども、そう簡単にはいかない。気長に考えてやらなければいけないというような話も出ております。また先ほど衆議院の農林水産の委員会で、やはり西村大臣はそういうような点を言っておる。こうした制度上の問題は、相当時間をかけてやっていかなければならないという話をしておられる。突如こういうような話がわいてきます。と、非常に政府に対して不信感が生まれてくる。こういうことではたしていいかどうかと思うのです。この点大臣にひとつ御意見を伺いたいと思います。
  66. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私はこの問題は、いずれにいたしましても昨年閣議でもって、もうすでに二年前ですか、整理縮小するという方針は、もう政府も前に持っておりました。したがって、いずれにいたしましても整理縮小の方向でいくということは、これはもうすでに既定方針であるというふうに私は承っておりますが、ただ、これを急激にやるかやらぬかということになりますと、影響があるということでございまして、はしご段的にこれを解消していくがよろしいか、あるいはむしろはしご段的でなくて、形を変えたものでやっていくがいいか、そこいら、いずれをとるかということを今回事務当局に検討を命じておりまして、結果としては、むしろこのほうがベターである。もう需給緩和のこういうような状況下になるというと、局所においてはなるほどそういう気持ちもわかりますが、同時に全国の立場から見れば相当、これを廃止してくれという声もまた一面あるわけでございますので、私としては、こういうようなことによって時期を限って出すよりは、むしろ地域の暫定加算金の形のほうがいい、こういうように考えているわけでございます。
  67. 任田新治

    任田新治君 私は、この問題は基本的には十分政府のほうでも検討する価値のあることだと思います。その発想そのものは事務当局であろうが、この点は決してどうこう言うわけじゃないのです。ただ、時期として、いまの時点でこれをやられますと、非常にその点がうまくない。もう秋口にとにかく早場米として出すという気がまえでもって春先、もう苗しろの準備から始めておるわけです。そうしてやっておって、いまもう穂が出ておる、こういうような時期になりまして、あれはああじゃないので、今度はこうするのだというようなことで、一方的にきめられてはうまくない。やはり来年なら来年、再来年なら再来年のこととして新しく考えて、そうして農民が納得するというか、とにかく合理的な考え方の上に立ってやってもらわないとぐあいが悪いというふうに私は思うのです。これはぜひ、ひとつ大臣において、たとえ事務局の発想であろうが、大臣は政治という立場で十分その点はお考えになっていただくように、特にお願いしたいと思います。
  68. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 時間がたいへん経過しておりますが、御了承を得て四、五点質問いたしたいと思います。  本年の米価は、言うまでもなく一月以来問題が起きまして今日に至っておるわけでございます。が、特に一月、突如として新米審委員の任命があったわけでございまして、これは野党は言うまでもなく、われわれ与党内部においても、この新米審のいわゆる任命のし直しをしてもらいたいということを強く要請したわけでございますが、しかしながら一たび任命したものを任命しかえるということは、なかなか困難だという政府考え方でございまして、非常に混乱した次第でございます。が、そのようなことで国会審議もあのように空転したという事実もございます。そういうような中において政府、自民党は、これに対処をするために、米価問題に関し詳細に検討するための特に専門の小委員会を設けてこれに当たってもらいたい、こういうことが一点。  さらにまた自民党内部においても米価調査会を設置して、有力な人がこれに参加して本年の米価については鋭意検討を加えて、いわゆるこの決定については、生産者の意思に沿うような決定をしたいということが発想されたわけでございます。その小委員会については、いわゆる生産者団体のほうからも非常な強い反対がございまして、この小委員会の設置はできなかったことも御承知のとおりでございます。しかしながら調査会の設置については御承知のようなことで設置されまして今日に至っておるわけでございますし、さらにまた当面迫っておりまする米価決定についても、この調査会が連日会議を持ち、さらにまたその中においても小委員会を設置いたしまして鋭意検討を進めておることについては、大臣も重々御承知であろうと考えるわけでございます。  したがってこの場合において、第二に特にお尋ねしたいことは、こういう経過をたどって党内においても米価調査会が設けられて、いま申しましたような作業が進められておるのでございます。が、これに対しまして大臣は、この調査会に対するいわゆる理解とさらに期待の度合いというものをどのようにお考えになっておりますか、この点をひとつ率直にお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  69. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) もちろん私も自由民主党所属の立場をとっております。しかし同時にまた政府であります。したがって政府としては、法律に従って米価決定しなければならぬ、したがって、自由民主党との関係は、あくまでもはっきり申しますれば内部の関係になって、一体的にやっていく。法律的には、政府の責任、農林大臣の責任で生産者米価消費者米価決定する。私は生産者の意向はよくわかります。しかし、今年の生産者の方の意向自体も、私はいろいろな団体の方々に会っております。私自体の当然の職責でありますから。消費者団体、生産者団体と申しましても、いろいろな御要求があります。団体によっては金額も違います。算定の基礎も違っております。同時にまた、一面今年は米をめぐる諸情勢というものにはいろいろな状況があるということは、私はその方々にも申し上げた。第一は、御存じのとおり需給は史上まれに見る緩和をしておる。もう一つは、総合予算主義を一応政府としてはとっておる。これは政府自民党も一体でございます。そういう中で申しますれば、いま一つは、消費者が四年連続の値上げを受けておる。こういう環境の中で私どもとしては最終的に決定をしてまいらなければならない。それらは、十分内部関係の党とも連絡を取り合いながら、しかし、最終決定政府の責任でやってまいりたい、これが私の所信であります。
  70. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 なお、米価決定については、いま大臣がおっしゃったように、これは大臣が米価審議会諮問をいたしまして、その答申を得て、これを尊重しながら大臣が決定するということになっておるのですから、これは言うまでもないことで、いまおっしゃったようなことでございます。しかしながら、本年の米価については、先ほど申しましたような非常に違った経過をたどってきているわけでございます。したがいまして、先ほどからもいろいろお話があったわけでございますが、今年の米価については当然農林大臣がきめることでありますが、六月の十日における東京日本武道館における全国農協代表者米価大会においても、福田幹事長は党を代表して出席されて、いわゆる党としての考え方を明らかにしておるわけでございます。その内容を読みますと長くなりまが、その中でも特に言われていることは、米審の問題はあるが、米価政府がきめるのであるが、これは与党である自民党が責任を持ってきめることである。こういうことを申されておりまするし、さらにまた生産者代表に対しては、農民の心を心として、農民の立場としてここに厳粛に約束する、選挙の協力の依頼については言いたいのであるが、これは言わないと、こういうことまで言われておりますが、いわゆる農民の心を心として、農民の立場としてここに厳粛に約束すると、こういう実にはっきりした明らかな約束がされたということでございます。しかも、全国の代表者一万四千名が集まっておった中でございますから、このことは全国のいわゆる生産者がすべてこれを承知しておるわけでございます。さらにまた、参議院の選挙に入りましてから、総理、総裁が各地を遊説しております。さらにまた、農林大臣もあるいは幹事長もそれぞれ地方に参っておりますが、その中でも佐藤総理は、六月の二十三日に秋田における記者会見においてもこれを明らかにしております。この秋に米が二百三十万トン余るとしても、食管制度の改廃を論ずるのはまだ時期が早い、中立米審の答申は尊重する、しかし党自身が米価決定するという強い声で言われている。米価基本的な問題だから、政府もさることながら、党が決定する。こういう、政府がきめることはこれは間違いないが、しかしながら、これは基本的な問題であるから党がきめると、はっきり総理、総裁が申されておるわけでございます。そのほか西村農村大臣もあるいは福田幹事長も、あるいは調査会の事務局長も、これと同じようなことを地方において申されているわけです。したがって、国民に対するこれは公約でございますが、このことを大臣は、総理、総裁がそのように公約したことについては、所管大臣でございますから、当然これは忠実にこの公約を守り、それを履行する責任があると私は考えるわけでございますが、もちろんそのとおりということでございましょうけれども、ほんとうの大臣の心境をお尋ねいたしたいと思います。
  71. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 先ほど私が申し上げましたように、党と政府は一体でございますから、政治的に責任はございます。それははっきりわかります。ただ法律上政府価格決定する、これは法律上の責任は政府にございます。それからなお、党といえども御存じのとおり食管の根幹を堅持する、そして価格は適切にきめる、これが党の正式の公約でございまして、党議できまった適切なる価格をきめる、この適切なる価格の中には農民の声も体しましょう。同時にまた、四囲の、先ほど申し上げました諸般の事情というものも十分に考慮しながらきめる、こういうことでございます。
  72. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 さらに、次の点について申し上げたいと思いますが、先ほどからも、村田委員、中村委員からもそれぞれ今年の諮問された内容についてお尋ねをされておったわけでございますが、私も——大臣が米審に諮問された内容は従来と実は違うわけでございます。この主文についても、先ほどお話があったとおり、従来でありますれば昭和四十何年産米穀政府買い入れ価格を、生産費及び所得補償方式基本として算定すること及びこれに対し留意すべき事項について米価審議会意見を求めるということにとどまるのじゃないかと思うわけでございます。しかし、この前のほうには、需給の問題等もいろいろ掲げて、それらを含めてひとつ考えてもらいたい。これは大臣からいろいろ先ほど答弁がありましたが、しかし私どものほうでいろいろ大臣のほうにも申し入れておることについては、この消費者米価その他についてはこの際触れないでくれ、あくまでも生産者米価についてのみこれを諮問してもらいたい。農林省設置法の中におけるいわゆる米審の持つ任務、使命というものは当然明らかになっておるわけでございますが、これはやはりこちらから特にこのことを留意してくれということでなく、先ほどおっしゃったように、米審そのものがいろんな諸般の事情を考えて、こういうことで建議したいということでされたものについてはこれはとめることはできませんけれども、特に前に諮問されることはそれらを含めて諮問してもらいたいという考え方が明らかになっておるわけでございますが、これは従来と変わっておる点については私ども非常に疑問を持つわけでございます。特に食管制度の問題が非常に多く流布されておる中においてこれは重大な問題でありますので、この場合この問題を取り上げてもらいたくないということを特に申し上げておるわけでございます。が、この点について大臣の諮問されたその心境というものをお伺いいたしたいと思います。
  73. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は別に食管制度諮問いたしておるのじゃございません。それはもう先ほど申し上げたとおり。ただことしの米価をめぐる諸事情というものは昨年とはだいぶいろいろ事情が違っております。御存じのとおり、まず政府の立場、自民党の立場としては総合予算制というものをひとつとっている。これは国会におきまして、一応予算というものを通過させる段階において論議され、決定されたものでございますが、これも一つの環境でございます。それから非常に古米がこれから多くなるということは現実であります。この処理には私どもは非常に工夫をこらして、そして来年のつゆあたりまでこの古米を持っておれば、ことしの古米がもし二回もつゆをこすということになればこれはたいへんなことでございますから、そういうことがないように十分に考慮する。同時に総合予算制の関連から、消費者価格との関連というものも起こりやすいのでございます。そういう諸般の事情を考えるというと、もう一つは逆ざや現象というものが相当な状態、こういうようなことも考えた中で、生産者消費者関係というものを一応御留意することがあるならば御留意してもらいたい一これは私は聞くべきじゃないか、こういうたてまえで聞いておるわけでございます。
  74. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 その点が非常に私どもと考えが違うわけでございまして、これはいま時間がございませんから、いろいろ論議しますと相当の時間になると思いますので……。これは総合農政の推進の問題、あるいはまた農業基本問題調査会、いろいろの問題等々がございますので、これはあとにいたしますが、先ほど内容についてもいろいろ質問がありましたが、この諮問された内容について特に昨年と今年が大きく違っておることは、指摘された問題でございますが、まず第一に概算金について、従来は無利子でございます。無利子で概算金を支払われたわけでございますから、生産者も非常にその点は喜んでおったのでございます。が、今年は概算金についての利子を控除することになっておりますが、これまた全く従来と考え方を違えておる。こういうような、まことに農民に対して、すべてあたたかい気持ちでなく、——ほんとうに喜んでもらおう、大いに生産してもらおう、大いに努力してもらおう、こういうものでなければならないものを、本年はいま申しましたような、いわゆる米が非常に余った、これからの生産についてもいろいろ問題がある、まずこういうことについても今年からこういう点までこれは利子をもらいたいというような言い方、これはまことに私は心から反対するものでございます。  それから、生産性向上のメリットの問題は、先ほどるるお話がございました。これも先ほどおっしゃったとおり、われわれは単にメリットの問題の内容については、これはあくまでも考え方は別にしておるわけでございます。先ほど申しましたとおり、いわゆる農業の近代化、あるいは合理化、あるいは機械化、こういうことに大いに力を入れて、それで生産のいわゆる合理化をはかって、生産の増強をはかる、その努力に対するメリットでございます。こういう問題を含めてのメリットを昨年あるいは一昨年からこの問題を大きく取り出して、そして農林省もそのように指導しておるんであるから、大いにひとつ農民すべてがそういう点に留意し、努力し、そうしてその成果をあげてもらいたい、そのためにはこうしてやるよ、こういうような生産性の向上に対する態度であるんです。それを、これもまた二分の一、ことしは切りましょう、こういうこと、それから地代の見方、それは先ほど村田委員がいろいろと言いましたが、これはまさに村田委員の質問しておる内容は私どもも重々覚えておるわけです。これは農林省は非常に統計の内容についても十分調べてもらわないと困ります。これは非常に違いがある。さらにまた限界生産量の問題でございます。これはいままでこの問題については過去何年もやってきておるわけです。八〇%のバルクラインのこともありますし、いろいろあるわけでございますが、本年はこの点で五年間にこれをいわゆる全国平均反収数字に持っていこうという考え方に立って算出されておるということは、少なくも諮問する内容をいかにして低くするかという事柄を重点として考えた以外の何ものでもないということは明らかでございます。こういうことではいま諮問されておられるいわゆる試算内容についてはわれわれはまっこうから反対せざるを得ない、かようなことでございますので、その点を今後われわれもいわゆる作業の中でこの問題を究明してまいります。ですから農林省もこの点については十分ひとつ率直に内容を明らかにして、その上に立ってわれわれがどういうような米価にするかということは、正しい数字の上に立ってものを考えなければならないわけでございますので、その点はひとつ明らかにしてもらいたい、そういうことでございますが、いま私が申し上げたことについては何か変わった点がございますか、次長さんにお伺いをします。
  75. 田中勉

    説明員(田中勉君) 先ほど村田先生の場合にもお答え申し上げたわけでございますが、ちょっと地代の問題につきましては、小作地につきましては実納小作料、それから自作地につきましては近傍類地小作料というような形で統計調査部が一応集計しているわけでございますが、私ども考えておりますこの統計小作料につきまして、作付地全域にこれを適用しているわけでございますが、かりに小作地につきまして、いわば統制小作料を相当改定をいたしました段階におきまして、やはり実納小作料ということになりますと、相当やみ小作料等が出てきていることも事実でございます。それにまたそれを追加した形において生産費の中に織り込むということではまた来年に対する悪循環を来たす、それがまた米価にはね返ってくる、こういうようなことからいたしましても、この際統制小作料によりまして全作付地に適用するのが適当ではないだろうか、こういう考え方に立っているわけでございます。  それから最初に御質問のございました概算金の利子につきまして、ことし控除するということになったわけでございますが、この点従来一つの政策的な配慮からこれは控除しないという期間が相当続いたわけでございます。もともと生産費方式ということになりますると、やはり原価性のあるものについてその各諸要素についてこれを取り上げるということが筋なわけでございまして、御記憶かどうかわかりませんけれども、三十六年には一度この概算金の利子につきまして控除したという年があるわけでございますが、その後におきましてはずっと一つ配慮によって今日までその控除しないということが続いているわけでございます。こういういろいろな生産事情あるいは需給事情というような背景等を考えますると、やはりこの生産費所得補償方式につきましてはそういう各要素につきましてそれぞれその持つ原価性と申しますか、そういうものをやはりはっきりさしていくほうが、この生産費所得補償方式を今後続けていく場合においての忠実なあり方ではないかというようなことで、この概算金の利子につきましては控除するという考え方をとったわけでございます。  なお、生産性の向上のメリットということにつきましては、先ほども御指摘ございましたように、昨年は政策的な配慮という意図で取り上げたわけでございますが、これらの点につきましても、ことしはやはり検討を要するのではないかというようなことで試算値の中に取り入れたわけでございます。先ほど村田先生に申し上げましたことと変わったことはございませんけれども、十分御意見のある問題ではあるというふうに考えております。
  76. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 いろいろといまの食糧事情の問題から非常に苦肉の策を講じておられることだと思いますが、私は農林大臣が先般来省議で発表いたしましたいわゆる総合農政の推進、こういう問題等も、これは確かに単なる米の問題ばかりではなくて、農業全体の、農産物全体の問題の中でこれは当然取り上げなければならないし、積極的にこれは具体的な案を立てて、それに予算をつけてこれを推進するということでなければならぬと思います。その構想については、私どももこれは賛意を表するわけでございますが、時期的にいまそのことを考えてみても、何らこれは具体化していないということでございます。したがって、この問題はこの問題として一応片づけておいて、そうしていわゆる今後日本の農政を、いわゆる農業をどうするかという問題の中で真剣に取り組んで一つの案をつくり、それを国会で十分審議し、その方針をきめて、それに十分な予算をつけていく、その中で、やはり米ばかりではなく、ほかの農産物、すべて農業全体をいわゆる推進せしむるのだということでなければならないと思うのでございます。そういう具体策が出ない中にこういう問題を出していくということはまことに不適当なことであり、その時期ではない、かように考えるわけでございますので、これは私の強い意見として申し述べておきます。  さらには五百万農民が本年の米価についてなぜこのようにいつもより以上に怒りを持ち、あるいはまた政府に対し、あるいはまた党に対しても非常な不満を持っておるかということは、春の米審の任命から始まっているのでございます。いわゆる生産者消費者を入れない米審というものは、まことにわれわれの不満やるせないものだということから始まっておるのでございます。われわれも党の最高の方々に何回となく会っております。ぜひとも本年は党の責任というならば、党は農民に対してこういうふうにやったぞ、政府はこういうふうにやったぞ、こういうふうにして何をやってくれたというような安心感を与えてやらなければこれはだめだと思うのでございます。いわゆる一月以来の問題を解決するのはそこに焦点があるわけでございますから、そういう意味で大臣も一応諮問されて、あす朝あたり答申があるのでございましょうが、しかし問題は問題として、そういうような事柄を十分ひとつ念頭に置いて事を進めてもらわないと、これは今後非常な問題になろうと思いますので、その点を十分ひとつお考えを願いたいと思いますが、最後に大臣のひとつお考えをお伺いいたしたいと思います。
  77. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私の答弁は先ほど繰り返して申し上げたような状況でございます。私としてもこの試算を出しますが、ただ簡単に出したものではございません。諸般の状況下におきまして考えて出したものであります。しかし同時にまた、これは諮問いたしておるのであります。最終責任は政府が諸般の事情を考慮し、また党側の内部の関係で、一体的な関係で考慮した。ただ、ことしの米をめぐる状況というものにはいろいろなきびしい状況があるということも、また十分お考えいただきたい。私は農民を決してたたくとか、そういうつもりじゃございません。長い目で見ながらやはりやっていかなければならない農政であるということもあります。特に私の農政が、あとで出せばいいじゃないか——そんな簡単なものではありません。あれだけいろいろな方面から意見が出ておるときに、農林大臣として所信を出さぬということは、むしろいけないというのが私の信念でございます。
  78. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本件についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後八時十九分散会