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1968-07-23 第58回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年七月二十三日(火曜日) 午後五時五分開会
—————————————
委員
の
異動
七月七日左の
委員
は議員の任期を終了した。 鬼丸 勝之君 小林 篤一君 園田
清充
君
野知
浩之君 堀本 宜実君 森 八三一君 山崎 斉君 矢山 有作君 渡辺
勘吉
君 浅井 亨君 七月二十三日 辞任
補欠選任
宮崎
正義
君
黒柳
明君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
和田
鶴一
君 理 事
高橋雄
之助君
任田
新治君 川村 清一君 中村
波男
君 委 員
青田源太郎
君
岡村文四郎
君 田村 賢作君 武内 五郎君
達田
龍彦君
鶴園
哲夫君 村田 秀三君
黒柳
明君
国務大臣 農 林 大 臣
西村
直己
君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
説明員
食糧庁次長
田中 勉君
食糧庁総務部企
画課長補佐
野明
宏至
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
農林水産政策
に関する
調査
(
米価
問題に関する件)
—————————————
和田鶴一
1
○
委員長
(
和田鶴一
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 本日、
宮崎正義
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
黒柳明
君が選任されました。
—————————————
和田鶴一
2
○
委員長
(
和田鶴一
君)
農林水産政策
に関する
調査
として、
米価
問題に関する件を議題といたします。 まず、
昭和
四十三
年産米
の
政府買い入れ価格
の
試算等
の
資料説明
を聴取いたします。
野明食糧庁事務官
。
野明宏至
3
○
説明員
(
野明宏至
君) 御
説明
申し上げます。 お
手元
に配付してあります
資料
といたしましては、「
米穀需給
の
現状
」と申します表紙のついた
資料
がございます。それから「
米価
の
変遷
と
現状
」、そういう
資料
がございます。それから「
食糧管理特別会計予算
について」、それからやや厚い
資料
で
米価
に関する
資料
、それから、昨日、
米価審議会
に対して
諮問
いたしました
諮問
と
諮問
の
説明
、それから本日、同
審議会
において
説明
いたしております
試算
と
参考試算
、これだけの
資料
がお
手元
に届いておるはずです。 そこで、まず「
米穀需給
の
現状
」という
資料
につきまして、簡単に
内容
を
説明
させていただきます。 この
資料
は、目次をまず見ていただきたいと思いますが、最近における
主要食料消費
の
動向
、これを
摂取食品
の
変化
と食生活の
内容
の
高度化傾向
、あるいは
栄養面
の
変化
、そういう面から
食構成
全体につきまして簡単に触れておりますが、その後に、
米穀需給
の
現状
、これはいわば
農家
が食べる米もあるいは
消費者
が食べる米も含めまして、全
生産量
とそれを対比するという意味で全体
需給
と言っておりますが、そういった国全体の
需給関係
というものを
説明
いたしております。それから第三は、
政府需給
と、こういうふうに言っておりますが、
政府
による
買い入れ
、
売り渡し
あるいは手持ち、そういった、
状況
について概略
説明
してございます。 そこで、七ページからずっと全体
需給
の
動向
について御
説明
しておりますが、十二ページ、十三ページに
グラフ
がございます。これは
生産量
と総
需要量
の
動き
というものを示しておりますが、四十年までは、最近数年間、全体
需給
で見ましてやや
不足ぎみ
に推移している、四十一年にまいりましてほぼとんとん、実線が
需要
を上回ったわけですが、四十二年は非常な
豊作
ということで
相当
な
需給
が緩和した
状況
がございます。で、これの要因的なものは、前のほうの三ページ、四ページにございますが、一人
当たり消費
が
相当
減っておるという
状況
が
グラフ
で書いてございます。で、こういった
状況
、これはいまの十二ページの前の十一ページの
最後
のほうをちょっとお読みいただきたいわけですが、お米の
需給
というのは、ゆるんだと思うとまた窮屈になるというふうな
状況
を繰り返してきておりまして、戦後におきましても、三十四、五年ごろは
かなり
ゆとりがあったのです。ところが、その後引き締まりまして、またこれが再び緩和してきた。しかしながら、その
状況
というのは従来のそれとは様相を異にする
需給関係
であるというふうに考えられるわけです。 それから今度は
政府需給
でございますが、十六ページの表をめくっていただきまして、
予約数量
、
買い入れ実績
、
買い入れ比率
というふうな、
あと参考
に
価格
も書いてございますが、三十年当時では
買い入れ比率
は四〇%に満たなかった。これがだんだん上がってまいりまして、昨年は÷八%をこえた。こういうふうに
生産
が
かなり
ふえてきておるということと、
買い入れ比率
が高まってきておるということによりまして、
政府
の
買い入れ量
、これは当然ふえてまいるんです。 それから
需要
につきましては、
政府
の売却いたします米につきましては、これは
配給人口
がだんだんふえていくというようなこともありまして、
徴増傾向
をたどっておるわけでございますけれども、ここごく短期の
状況——
昨年暮れから、昨年後半からことしにかけましては、大体総量といたしまして横ばい的な
傾向
がうかがわれるというというなことで、四十三
米穀年度
末
——
ことしの十日末でございますが、その
時点
での
古米
の
在庫量
、これは二十三ページに出ておりますが、二百六十五万四千トン、これは
精米トン
でございまして、
玄米トン
、
玄米ベース
で見る場合には三百万トン弱でございます。これは
配給量
のほぼ五カ月分に
相当
する
数量
、昨年の持ち越しが五十八万五千トン、これは最終的な
実績数値
でございまして、いわゆる六十万トン、六十万トンと言われておった
数字
でございますが、その六十万トンの米につきましても、その消化には
かなり
の時間を要した
——
もう全部売り切っておりますけれども、ということを考えますと、
かなり
の量であるということは間違いない問題だと思います。
あと参考図表
がいろいろついてございますが、その
説明
は省略させていただきます。 それから
米価
につきましては、
食管法
のもとにおける
米価
というものはどういうふうに理解したらよろしいかということを、まず、これはいろいろな御
意見
があるところでございますが、簡単に触れてございます。それから
政府買い入れ価格
、それから
消費者価格
、これについてその
変遷
と
現状
を述べまして、
最後
に両
米価
の
関係
がどういうふうになっておるか、
米価
の
体系
がどういうふうになっておるか、また、そういったことに伴いまして
財政負担
がどういうふうになっておるかということを
説明
してございます。 で、
食管制度
の中で
米価
がどういうふうに考えられるかという問題につきましては、
米価
というものは、いわゆる
米価
には幾つもございまして、
生産者米価
と言われるものは、
生産者
から
政府
が
買い入れ
る米の
値段
でございまして、
政府買い入れ価格
という場合と両方ありますが、同じものでございます。で、今度は売る
——売却面
に着目いたしますと、
政府
が売り渡す
価格
、それから
卸売り業者
が売り渡す
価格
、
小売り業者
が売り渡す
価格
と、こういうふうに三段階になっております。で最
末端
の
小売り業者
が売り渡す
価格
、これが
消費者米価
と言われておりまして、
食管法
とは別途に
物価統制令
で
統制
を行なっております。 で、それぞれの
価格
の
決定原則
、これについては、御
承知
のことでございますが、
生産者米価
につきましては、
食管法
第三条第二項で定めております。それから
売り渡し価格
、これにつきましては、
食管法
第四条第二項で定めております。
基準
をですね。で、この
売り渡し価格決定
の
趣旨
に沿いまして最
末端
の
消費者価格
を定めるというふうな
状況
でございます。その場合、
食管法
の
規定
のもとで両
米価
が
関連
づけて考えられるべきであるかどうかということがよく問題になるわけでございますが、三
ぺージ
以下にはそういったいわゆる二重
米価
の、ないしは両
米価
を
関連
づけて考えるべきものであるというふうな点についての過去の
議論
というものが紹介されております。 それから
米穀
の
政府買い入れ価格
につきましては、六
ぺージ
以下に記述してございますが、十七
ぺージ
から十八
ぺージ
に
早見表
がございまして、
早見表
と申しますか、これは
要素
の問題でございますが、三十五年に
生産費
及び
所得補償方式
という
考え方
をとりまして以来の
状況
でございます。三十五年から三十九年までは積み上げ
計算方式
によって
算定
してきております。それから四十年、四十一年は積み上げ
計算方式
によって実現された
米価
を
基準
にいろいろな
要素
の
変化
というものを見まして、それをその
変化
によって伸ばしていくという形で
指数化方式
というものを四十年、四十一年はとりました。それから、
指数化方式
というものはもともと
生産構造
なり
生産条件
というものがほぼ同一の
状況
である場合に適用する
方式
であると考えますれば、二年ないし三年ごとにはこれを検証してみるというふうな必要もあるということで四十二年には積み上げ
計算方式
を採用いたしております。 で、全体の
方式
のおよその
動き
というものは以上でございますが、二十七
ぺージ
以下に昨年の
米価
をどういうふうにしてきめたかということを書いてございます。 それからそういうふうにして
変遷
を経てまいりました
米価
の水準、これが
農民所得
なり
物価
、
賃金
その他
農産物価格
との
関係
で
いかよう
になっておるかということにつきまして、三十ページから三十一ページ以下に書いてございます。 それから三十四
ぺージ
以下で、
米穀
の
消費者価格
及び
政府売り渡し価格
について述べております。で、
消費者米価
は、御
承知
のように
家計米価
の
範囲
内で
決定
する
——一般物価
、
コスト
、
財政等
を
総合考慮
の上
家計米価
の
範囲
内で
決定
する。
家計米価
はまた、
消費者家計
の許容し得る
最高限度
を示すものとしてのものである。これは三十六
ぺージあたり
に書いてございますが、これを
一つ
の
最高限
として考えるべき
基準
として、その他いろいろな
要素
を考慮して
決定
してきているわけです。で、こういうふうにして
決定
されてまいりまして、現在の
米価体系
はどうなっておるかということが五十三ページにございます。一番左の
棒グラフ
、これが昨年の
生産者米価
、一万九千五百二十一円でございます。これで買いまして、
政府
が売り渡す
値段
は一番右の
棒グラフ
で、一万七千三百四十三円。したがいまして、
売り買い
だけで
相当
な差損が出るというふうな
状況
になっているわけです。が、これは
政府売り渡し価格
でございますから、実際の
消費者
が買う
値段
は、その間の
中間経費
と申しますか、
販売業者
の
マージン
というのが加わってくるわけです。で、それを乗せましたものが右から二番目の
棒グラフ
で、
消費者米価
と言われているものです。これが約一万九千円、
消費者
はこの
値段
でお米を買っているわけですが、一番
左側
の
生産者米価
と対比していただきますと、
生産者米価——生産者
が
政府
に売り渡す
価格
と
消費者
が最
末端
で
小売り屋
さんから買う
価格
の間においてすら約五百円の差があるということでございます。左から二番目の
棒グラフ
は、
コスト
による
消費者米価
ということでございますが、この
コスト
による
消費者米価
をどれだけ見るかということについてはいろいろ
議論
がございますが、現に
政府
で現在かかっております
政府管理経費
、
販売業者マージン
というものを単純に上に乗っければ二万三千四百三十二円という
状況
でございます。 で、
米価
につきましては御
説明
は省略させていただきまして、次に「
食糧管理特別会計予算
について」という
資料
がございます。これは
資料
の性格といたしましては、
食糧管理特別会計
の仕組みと
食糧管理
の
現状
、そういったものについて記述してございます。これは後ほどお読みいただければありがたいと思いますが、二十四
ぺージ
をちょっとお開きいただきまして、二千四百十五億円の
一般会計
からの
繰り入れ
と申しますのは、
国内米
、
国内麦
、
輸入食糧
を合計いたしました
繰り入れ金額
でございまして、
国内米管理勘定
にっきましては二千二百九十五億円ということでございます。その他の
勘定
を合計いたしまして
食糧管理勘定
としては、二千四百十五億円の
繰り入れ
を予定しておるわけでございます。右の一枚紙の折り込みになっておりますが、これは各
勘定
の
売り買い
とかそういったものの
状況
を一覧でわかるようにしてございますので、
参考
にしていただきたいし思います。 それから分厚い「
米価
に関する
資料
」でございますが、これは毎年
米価審議会
の際にはこういったものをつくっているわけでございますが、価故
関係
、あるいは
賃金
・
物価
の
関係
、それから
家計
の
状況
、
農業生産
の
状況
、あるいは
農家経済
の
状況
、
需給関係
、
貿易関係
、こういったものについて
基本
的な
基礎統計
と申しますか、それから
米加
の問題について考える上で必要な
資料
、これをおおよそ収録してございますので、御
参考
に供していただきたいと思います。 では、
資料
の
説明
は以上にさせていただきまして、
諮問
それから
諮問
の
説明
、それから
試算
というものが配付されておりますので御
説明
させていただきます。 まず、
諮問
及び
諮問
の
説明
を朗読させていただきます。 諮 問 最近における
食糧管理
の運営の実情にかんがみ、今後
米穀
の
政府買
入
価格
の
決定
および
消費者米価
の
改定
を行なうにあたり
基本
的に留意すべき
事項
ならびにこれらとの
関連
において
昭和
四十三
年産米穀
の
政府買
入
価格
を
生産費
および
所得補償方式
を
基本
として
算定
することおよびこれに関し留意すべき
事項
について、
米価審議会
の
意見
を求める。
昭和
四十三年七月二十二日
農林大臣
西村
直己
諮問
についての
説明
米穀
の
政府買
入
価格
は、
食糧管理法
第三条第二項の
規定
により、
生産費
および
物価
その他の
経済事情
を参酌し、
米穀
の再
生産
を図ることを旨として定めることになっており、
米価審議会
のご
答申
に基づき、
昭和
三十五
年産
の
米穀
から
生産費
および
所得補償方式
によって
算定
いたしております。また、
米穀
の
政府売渡価格
は、
食糧管理法
第四条第二項の
規定
により、
家計費
および
物価
その他の
経済事情
を参酌し、
消費者
の
家計
を安定させることを旨として定めるべきこととなっており、
消費者米価
につきましてもこの
規定
の
趣旨
によることとし、
米価審議会
のご
答申
に基づき、
消費者
の許容しうる
最高限度
を示すものとしての
家計米価
の
範囲
内で、
一般物価
、
コスト
、
生産者米価
との
関係
、
財政事情等
を
総合考慮
のうえ、
決定
してまいりました。 ところで、近年
政府買
入
価格
につきましては、
賃金
、
物価
の
上昇傾向
を反映するとともに、
方式
の
運用面
で若干の修正を重ねてきたこともあって、年々
相当
の
上昇
をみてきており、また、これに伴い
消費者米価
につきましては、近年累次の
改定
をやむなくされてきております。 しかし、このような
消費者米価
の
改定
にもかかわらず、両
米価
の
関係
は、
政府買
入
価格
と
政府売渡価格
との間に大幅な逆ざやがみられるのみならず、
政府買
入
価格
が
消費者米価
をも上回るという
価格関係
となっており、このような
価格関係
のもとで、
米管理
に要する
財政負担
も二千数百億円に達することとなっております。 さらに、最近の
米穀
の
需給事情
は、四十二
年産米
の大
豊作
を契機として大幅に緩和するに至っており、とくに本
米穀年度
末の
古米持越
は、
配給量
のほぼ五カ月分に達するものと予想され、
米穀
の適正な
管理
を図るうえで、慎重な
工夫配慮
が強く要請される
状況
であります。 したがいまして、今後の
米価決定
にあたりましては、このような両
米価
の
関連
の
正常化
の問題をはじめ米をめぐる最近の諸
事情
に十分
配慮
してまいる必要があると考えられますので、これらを
念頭
におきつつ、今後
米穀
の
政府買
入
価格
の
決定
および
消費者米価
の
改定
を行なうにあたり
基本
的に留意すべき
事項
についてご
審議
願いたいということであります。 また、当面の課題であります
昭和
四十三
年産米穀
の
政府買
入
価格
につきましてこれを
生産費
および
所得補償方式
を
基本
として
算定
してはどうかおよびこれに関し留意すべき
事項
は何かということについてただいまお願いしました
基本的留意事項
との
関連
においてご
審議
願いたいということであります。 すなわち、
米穀
が
農業生産
および
国民生活
に重要な地位を占めている
主要食糧
であることにかんがみまして、本年におきましても、
生産費
および
所得補償方式
を
基本
として
米穀
の
政府買
入
価格
を
算定
してはどうかということでありますが、その場合におきましても、最近の
需給事情
にかんがみ、これを
念頭
において、
米穀
の
政府買
入
価格
の
算定
にあたるべき必要があると考えられるのであります。 以上申し上げましたような諸
事情
をご
配慮
のうえ、十分にご
審議
をいただきたいということであります。 以上が
諮問
及び
諮問
の
説明
でございます。 次に、「
昭和
四十三
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
(積上げ
計算方式
)」というのがございます。で、最初の
ぺージ
に
算式
が書いてございます。これは、一番左のPが求める
価格
でございまして、この
価格
を求めるための
算式
が
右側
に書いてございます。
カッコ
の中の
左側
の
部分
、これが
地代
を除く
米生産費——価格決定年
の前三年の各年の
米販売農家
の十アール
当たり平均生産費
、これにつきまして、
家族労働費
については
都市均衡労賃
により
評価
がえをする、それから
物財
・
雇用労働費
については最近時にこれを
物価
修正するということを行ないまして
価格決定年
の
ベース
に
評価
がえしたもの、これが
カッコ
の中の
左側
の
分子
のほうの、また
分子
の上に
シグマ
と書いてございますが、各年のそういうものをとりまして三年足してこれを
平均
するということでございます。それから分母のほうでございますが、これはいわばそういう
生産費
を割りますいわば
石当たり
のお米の
値段
を出していく過程で
反収
で割ってやるということでございます。
反収
も三年
平均
をとっているわけです。が、その場合、従来から、
Hバー
というのがこちらにございますように、前三年の十アール
当たり収量
の
平均収量
でございます。ここから
マイナス
〇・九
シグマ
を、昨年の場合は
マイナス
一
シグマ
ということであったわけですから、いわば
シグマ
に〇・九を掛けたということになっております。こういうふうにして求められました
反収
でいまの
生産費
を割りまして、これに、
右側
で
地代
を計算いたしまして、それを
最後
に百五十キログラム
当たり
に直す、こういうことで
算式
が出てまいるわけです。この
算式
は、四十二
年産米価
の場合と先ほどの〇・九
シグマ
のほうを除きましては同様でございます。 それで
算定
といたしまして、三
ぺージ
になるわけでありますが、そういうふうにして求める
価格
というのが一万九千六百五十四円でございます。
基準価格
がそれに
運搬費
を加えまして一万九千七百四十八円、これをウルチの軟質の三等の裸の
価格
を一ぺん出しまして、
農家
の方は一俵
当たり
で売ってくるものですから、そういう
価格
に一ぺん直しまして、それで
最後
に一−四等
平均
の
包装込み
の
生産者手取り予定価格
というものを出すわけでございます。それらを合計いたしまして二万百五円、前年
対比プラス
五百八十四円でございまして、率にいたしまして約三%でございます。 で、
基本
的な
基準価格
の
算定
に関します
部分
のほかに、本年の場合は、
暫定加算
といたしまして、時期
別格差
を解消いたしましたことに伴う急激な影響というものを緩和する
趣旨
で北陸四県ほか八県に対しまして、
政府
に売り渡す時期のいかんにかかわらず一定の
金額
を加算するという
方式
をとることとしたらどうかということでございます。それからそのほか、
等級間格差
、これも現在の
等級間格差
が長期にわたって据え置かれておるということで、やはりこれも
等級
間の
格差
を拡大していく方向へ踏み出しております。そういったようなことで、この辺について若干の変更を加わえた
数字
を足しまして先ほどの二万百五円というものが出てまいるわけでございます。 で、以下、
算定要領
というものが書いてございますが、十アール
当たり平均生産費
、これは先ほどの
算式
で
Cバー
という
部分
でございますが、これは
農林省統計調査部
で実施いたしております
米生産費調査
、これの四十年、四十一年、四十二年
米平均生産費
についていろいろな
評価
がえを行なって
算定
いたしております。 で、まず、第一の点は、
家族労働費
につきましては、従来と同様の
考え方
によりまして、これを
製造業
全
規模平均賃金
というもので
評価
がえする。具体的には
製造業
の
常用労働者
数
規模
五人以上の
事業所
の
賃金
、これを求めまして、これに
現物給与相当額
を加算して
算定
いたしております。で、以上のようにして求められました一時間
当たり賃金
、これが
男女込み
二百二十八円九十九銭、男子二百七十六円四銭ということでございます。で、この一時間
当たり
の
賃金
に
労働
時間をかけまして求めましたものが五人以上
規模
の
賃金
ということで、
男女込み
の場合はここにございますような
数字
になっておるわけでございます。
——
恐縮でございますが、六
ぺージ
の一番上の行に
一つミスプリ
がございまして、四十一年五月と書いてございますが、四十二年五月の間違いでございます。
——
で、以上のようにして求めました
賃金
に
現物給与相当額
を加えましたもの、これが
家族労働費
として
評価
がえされて
米生産費
の中に織り込まれるということに相なるわけでございます。 それから、
物財
・
雇用労働費
でございますが、これは
米生産費パリティ指数
というものを
農業パリティ指数
を
ベース
に作成いたしまして、この
変化
の
状況
によりまして最近時の
価格ベース
に戻す。すなわち、四十
年産米
は最近の
状況
にこれを引き直しますと一一三・三八、これをかけてやる。それから四十一
年産米
につきましては一〇七・四六、四十二
年産米
については一〇三・四〇というふうにいたしまして、先ほどの
米生産費調査
の原
生産費
をふくらましていくということをやっております。これも従来からやっておる方法でございます。 このほか、
副産物
の
価額
もやはり
変化
しておりまして、そこで
副産物価額
につきましても、最も新しい
時点
の
生産費
に
評価
がえするということで、ここにありますような
変化率
によって
副産物価額
を
物価
修正しております。 それから
資本利子
につきましては、
統計調査部
の
米生産費補完調査
に基づきまして、
借り入れ金
と
自己資金
の割合を三五対六五ということで、利率につきましては
借り入れ金
は
年利
六分二厘一毛、
自己資金
につきましては
年利
五分六厘−昨年から五分六厘になっていると思いますが一ということで計算いたしております。なお、本年の場合は、
概算金
というものが
予約
に伴いまして出ておるわけでございますが、それの
利子相当額
は控除するということをいたしております。 それから、
租税公課
諸
負担
、これは
米生産費調査
に基づきまして
租税公課
諸
負担
というものが出てくるわけでございますが、これをやはり
稲作負担率
を乗じまして
算定
いたしております。 それから、第六番目に
付帯労働費
、これはやはり四十年の
米生産費調査
の
補完調査
の結果に基づきまして調べられておるわけでございますが、これを
都市均衡労賃
で
評価
して
算定
いたしております。 で、以上のようにいたしまして、九
ぺージ
の右上のほうに書いてございますように、
平均
四万八千二百八十六円というのが
生産費
として出てまいるわけでございます。で、これを先ほどの三
ぺージ
の求める
価格
の
算定
の
分子
に持ってまいりまして、次いでこれを
反収
で除するわけでございます。が、
反収
につきましては十
ぺージ
にございまして、四十
年産
につきましては
平均収量
四百四十六キログラム、四十一
年産
四百五十六、四十二年が五百二キロでございまして、このそれぞれの
平均収量
から
マイナス
〇・九
シグマ
、いわば、一
シグマ
が十一ページに出ております。この一
シグマ
に〇・九を乗じたもの、これを引いて十アール
当たり収量
を
算定
いたします。それが三ページにまいりまして三年
平均
で三百九十六キログラムということに相なります。 それから、今度は右の欄の
説明
でございます。が、ここは
地代
の分でございまして、
地代
につきましては現行小作料の最高
統制
額、標準である六級地についての最高
統制
額に基づいて
評価
いたしました四十年、四十一年、四十二年の各
年産
の作付地
地代
というものをまず出しまして、これに作付地以外の土地についての
地代
、これも四十年、四十一年、四十二年、これに基づいて求めるわけですが、これを加えて
算定
いたします。そういたしますと、
平均
して四千二百五十四円ということになります。で、この
数字
を先ほど申し上げました四百六十八キロという収量で除して、両方を足しまして百五十キロを掛けて石当の
米価
が出てまいります。そのほか
運搬費
を加えております。三ページを見ていただきますとわかりますが、「求める
価格
」という
部分
が一万九千六百五十四円でございます。これに
運搬費
を加えまして
基準価格
が求められるわけです。
運搬費
は、やはり
米生産費補完調査
によります運搬距離等に基づきまして、
農家
の庭先からもより
政府
指定倉庫までの
運搬費
と受検に要します経費、こういうものにつきまして百五十キログラム
当たり
九十四円を織り込んでおります。以上を合計いたしまして
基準価格
が出てまいるわけです。そこから先は先ほどちょっと御
説明
いたしましたように、
等級間格差
とか、あるいは歩どまり加算、
暫定加算
あるいはもち
米加
算、そういった
格差
加算の
関係
でそういったものを加えまして
最後
の二万百五円が求められるわけでございます。 なお、以上の
説明
申し上げました算出基礎の数値につきましては、
最後
の十二ページ、十三ページに掲げてございます。 それから
参考
といたしまして、配付いたしました「積上げ
計算方式
に基づき
政府買
入見込
数量
と
需要量
との
関係
を考慮した
試算
」これは
左側
のP、これがやはり求める
価格
でございまして、それからP1P2というのがやはり
右側
にございます。P1と申しますのは、先ほどの二万百五円という
価格
は先ほどの
試算
で御
説明
いたしました三ページの四万八千二百八十六円を三百九十六で割っております。この
部分
が三百八十八キログラム、すなわち
平均収量
から一
シグマ
収量を引きまして限界収量を求めるという従来のやり方でございます。が、これが三百八十八キログラムになるのです。これがP1の
価格
でございまして、P2の
価格
、これは先ほど御
説明
いたしました
試算
のうちの
平均収量
、三年
平均
の
平均収量
を分母に持ってきておるわけです。
地代
の場合はやはり
平均収量
で、これはもともと
平均収量
で割っておりますので、一緒に書いてございますが、
平均収量
で割る、こうして求められましたものが一万六千九百三十四円でございます。でW1、W2というところでございますが、これはW1と申しますのは
農林省統計調査部
による
昭和
四十三
年産米
の暫定平年収量、これが千三百二十二万一千
玄米トン
ということに相なったので、これに基づきまして四十三
年産米
の
政府
買い入れ
見込み
数量
を算出いたしますと八百八十万トンになる。これに対応いたしますいわば四十三
年産
の八百八十万トンを食う期間に対応する一年間どのくらい必要かというものを見まして、これが七百七十万トンでございまして、この比率で八七・五%というものを出す。したがいまして八百八十万トンの中の八七・五%が全部
政府
にまいるとすれば、八七・五%の
米穀
につきましては、
マイナス
一
シグマ
収量で従以どおり
算定
する。それから残りの一二・五%につきましては、
平均収量
で
算定
いたしまして、
価格
に差別を
——
失礼いたしました。両者を加重
平均
いたしまして
価格
を求めるというやり方をとっております。 なお、あるいは申し落としたかと思いますが、積み上げ
計算方式
の、先ほど
試算
と申し上げました
部分
で
概算金
利子の控除については申し上げましたが、昨年加わりました
生産
性向上の利益還元額、これは今回の場合
生産費
の中には見ておりません。以上でございます。
和田鶴一
4
○
委員長
(
和田鶴一
君) 本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
武内五郎
5
○武内五郎君 たいへん時間が削減されましたので時間を尊重しながら質問申し上げたいと思います。私もできるだけ簡単に質問しますので、要領よく御親切にひとつお願いいたしたいと思います。 今月の十六日の閣議で了解を得たという
西村
農林大臣
の構想でありまする総合農政、最近いろいろな機会に新聞等が取り上げております。私はまだその詳しい
内容
はわかりませんので、これについての批判や具体的な検討については、いずれ機会を見つけてお尋ねしたいと考えるのであります。けれども、きのう以来開かれてまいりました
米価審議会
ときわめて
関係
のあり、
食管法
の
関係
ときわめて密接な
関係
になっておる
部分
に立つ点について、本日、大臣のお考えを伺いたい。 大体いろいろな項目があるようでありますが、その中で米の問題、第一の要点は、今日まで増産主義をとって農民を叱咤激励してきただろうと思うのであります。ところが、幸か不幸か昨年は史上まれな大
豊作
といわれております。本日も
説明
がありましたが、
古米
の在庫品がだいぶたくさんあるように伝えられております。そこで、こういうようなもうすでに増産可能な状態、そこでこれを良質米に転換しようという
考え方
が出されておるのであります。私はもちろんいい米をたくさんつくることについては国民とともにこれは大賛成なわけです。しかし私は、これだけで問題は解決しないと思います。 その次に、この米に関して
生産
米の
管理
の問題が出てまいります。やはり大臣も、広い視野に立って
——
「広く国際的な立場」という
考え方
だと思います。これはきわめて大事なことばです。私は経済同友会が昨年の十二月十五日に出しました「当面の
米価
対策と
食管制度
改善への提言」という。パンフレットがございます。これにも「広く国際的な立場」ということばがあります。まことにこれは意味慎重だと思うのであります。この「広く国際的な立場」ということばについて、私は古い過去を顧みますと、かつて
農林大臣
であった河野一郎氏が、「もはや、米の増産なんというものに力を入れる時代ではない。われわれは広い視野に立って世界のいたるところから安い米を買ってきて国民を養う時代に入ったのだ」と、こういうことを言ったことを記憶しております。私はこういう、まことに現
農林大臣
西村
直己
さんと、かつての
農林大臣
河野一郎氏とのことばが相一致し、経済同友会のパンフレットの要点もまことにここに出てきておることを考えますると、まことにこれはもうきわめて重大な問題だと思います。 そこで、私はこの経済同友会の。パンフレットについて、最近新聞に最も簡単にその
内容
が出ておることは、「
米価
を極力押えよ」と、これは去る七月二十日、日本経済新聞に経済同友会声明の一部が載っております。
米価
を極力押えて間接
統制
に移行しろという、これがもう全部です。広い国際的な立場に立っての経済同友会の考えておりまする結論がここへきておると言わざるを得ない。そこでいろいろ
資料
を、私は最近、選挙等の
関係
から、ろくにほかの
資料
を集めることもできませんので、新聞だけはこまめに切り抜いておりましたが、やはり七月の十八日に食糧庁長官が自由米構想を発表された、こういうような一連の経過を考えてみますると、私は
西村
農林大臣
の構想されました総合農政というものが、今日の
食管法
を改廃し、あるいは段階的に
——
段階的にというのは、おそらく私は間接
統制
へ移行する順序を考えておるものではないかと考えるものであります。まことに実に重大な問題だと思うのですが、この機会に大臣のお考えを承っておきたい。
西村直己
6
○国務大臣(
西村
直己
君) 私は先般総合農政ということばを使いまして、その展開についての所信を申し上げました。この所信は、少し長期にわたっての展望でございます。その
基本
には、私しろうとでございますが、農業というものは工業
生産
とは違って、急角度の
変化
というものはできるべきものでもありませんし、またやるべきでもない、また農業というものを安定的に発展していく、これはもう当然私の職責でございます。ただ、農政をめぐりまして、各方面からいろいろな
意見
が出ておる。その際に、私自体が黙っていていいか、こういう問題も
一つ
あるわけであります。
農林大臣
は何を考えているのか、これも大事な問題でございます。 そこで、農政全体を考えて、これから私の代、あるいは私だけではできなくても、やがて考えるべき事柄等を十分練っておきまして、それを出したわけであります。したがって、それは総合農政でありますから、当然米の問題にも触れなければならないわけでありますから触れたのであります。が、全体はもちろん米だけではございません。その
基本
になりますことは、構造政策が、先般来、昨年は構造政策の
基本
方針を立てまして、その中において構造政策に関する諸立法等も国会にお願いし、また、今後も国会にお願いすべく、たとえば農業者年金等も検討中でございます。また一部は成立したものもあります。また、今後国会においてもやっていただきたいもの、これは何としてもやらなければならない。 それから同時に大事なことは、構造政策だけではございませんで、農林省の機構自体も、御存じのとおり時代が変わってまいりますと、機構自体が変わって、先般の国会でも、たとえば国際問題あるいは企業流通対策というような見地から農林省には初めてのような新しい機構も出てまいりました。と同時に、農政の役割自体も、やはり時代に合った農政の役割というものは、これは当然なくてはいけない。それは御存じのとおり、国民の求める食糧の多様化、高度化というような現象もございますし、それから同時に、農業従事者の所得、生活水準の向上をさらに推進すべきだというようないろいろな問題が農政をめぐりましてあるわけでございます。 特に、農産物の
需給
につきましては、一方いまのような非常に高度化、多様化しております
需要
が、一面今度はそれに対しまして輸入増加という問題が
一つ
あるわけでありまして、これが国際収支としては当然大きい問題にもなりますし、こういうような中で国民の必要とするいろいろな米を中心にした食糧の安定的供給をはかるにはどうしたらいいか。 その中で、
一つ
は構造政策と合わせて
生産
対策を立てなければならぬ。
生産
対策を立てるには、かねがね私申しておりますように、
昭和
三十七年にたしかつくりました「食糧の長期見通し」、これが必ずしも妥当ではないので、目下鋭意私どものほうで検討中でございます。できるだけ早くこれをつくって農政
審議会
にもかけてみたい。かたわらこれらに基づいて
生産
対策をやっていくということでありまして、そして同時にその中におきまして、今度はもちろん農林省のほうにおきましては、消費
需要
という場合には流通確保という問題もございますし、こういうような問題につきましてもいろいろ手を打っていかなければならぬし、その基盤としてはもちろん土地という問題がございます。また、土地の有効利用、国土の総合利用、こういう中からどうしたら土地を有効利用していけるかというような問題、したがってこれにつきまして農村振興、それからもう
一つ
は環境づくり、こういうようなものが必要であります。こう思います。それから同時に、それに必要な経営者の問題が出てまいっております。 これらをみな私としては環境づくりの中で解決をしたいというような指針を省議を開いてやったわけであります。しかし、これらには
相当
な金が要るわけであります。私としてはどうしてもこの金は
政府
として出してもらいたいということで、われわれもそれをやってまいりたい。しかし、こういうことをやります場合には、問題になるところの米自体もどういうふうに感触を持つかということにも触れなければなりません。そこで米というものは、もちろん長い農民の努力によりまして技術水準も上がり、
生産量
もふえてまいりました。同時に今日国民としてはおいしい米、味のいい米がほしい、こういうことも当然なことでありますから、そういう方面もひとつ考えていかなければならない。 それからいま
一つ
は、
食糧管理
の問題についていろいろな
意見
が出ております。それからもう
一つ
は
需給
の問題もございます。
需給
が緩和をしておるということは事実である。この
需給
の緩和をどう判定するか、これも大きな問題でございます。が、
需給
の問題につきましても、ずいぶん私どもいろいろ内部で
意見
の交換もやり、検討いたしました。長期にわたってはなかなか見通しは困難です、米につきましては。しかし、ここしばらくの間は、少なくとも平年作をもってしても
相当
な
需給
緩和の
状況
は続く。本年度が二百六十五万トンを持ち越し、本年度、いわゆる
昭和
四十三年度を平年作に考えましても、技術家の方面からすっかり
資料
を当たって出してきたものが千三百万トンと、一応考えられる。こうなりますというと、
需給
緩和の
状況
というものは続く。 こういう中で、それでは食管というものにつきましても運用の改善とか、あるいはその他の改善につきまして、何らかの
意見
の交換をやって、その中で各方面の
意見
を聞いて、よい結論があればよい食管をつくったほうがいいのではないか。食管をやめるのではない。よい食管の方向へ持っていくならいいのではないか。こういうような気持ちの中で、
食管制度
の問題を検討すべき時期がきたという判定をして、それだけのことを申し述べて、これはやがてこの国会でも終わりまして、また私どもとしては時間をかけて
——
この所信表明の中に十分時間をかけてやらなければならない。特に
食糧管理
というものは非常に長い歴史を持って生まれてきたものである。それから、
生産者
、農民、それから同時に
消費者
、国民経済、この中に根深く根をおろしております。しかし同時に、
現状
を改善するものがあればしてもいいじゃないか、というような決断をしていい時期じゃないか。これだけを私は述べておる次第であります。 したがって、同友会が、たとえば外国から米を持ってくる、広い視野に立つというのが私がことばを使っているのはこういう意味であります。これは単に、たとえば、今日開かれている
米価審議会
でも何か
食管制度
の結論を出すのじゃないかという、一部に危惧の念を持たれる
——
私どもにはそういう考えはございません。
生産
の面から、また
生産者
の意向も
消費者
の意向も、またその他の意向も、あらゆる方面の意向が反映するような方向において、これをよりよい方法があるならば前進したっていいじゃないか。ただ
現状
を守っていればいいというふうには
——
食糧のいろいろな
事情
が変わってきているのではないか、こういう
趣旨
で私は述べた。いわんや食糧の、特に米の自給度につきましては、昨年は一〇〇%をこえておることは事実であります。一昨年が九四%。私どもはこれは国内産米で自給度一〇〇%を堅持してまいりたい。それからもう
一つ
大事なことは、私は農民から物を取り上げるというような
考え方
あるいは切り捨てるというような
考え方
はなくしていくべきである。したがって、国として投資すべきものは十分投資する、あるいは財政を出すという姿勢の中でこういう問題を解決をしていくべきじゃないかというのが私の所信でありまして、これは他のたとえば、私の
意見
は私なりの私の責任でやったものでありまして、大蔵当局、経企庁当局の
意見
を徴したものでもなければ、そういうものではございません。これをひとつこの機会に御理解をいただきたいと思うのでございます。
武内五郎
7
○武内五郎君 もう
一つ
。財政制度
審議会
が最近
答申
をされております。この会長が御
承知
のとおり財界の大物の小林中氏でありまするが、その
答申
の
内容
もまずいま私が申し上げました同友会の
関係
のこととほぼ同じ状態のものであります。このパンフレットは実に回りくどい文章で感服できない文章ですが、私はこれはこの
答申
案のほうが簡潔にして要を得た文章であろうと、この本文を読んでみませんけれどもそう考えられます。それによると、はっきり言っている、このような状態になってまいりましたので、
生産
を制限すべきだ、これが第一。そして無制限な
生産
米の
買い入れ
、これはもうやめて間接
統制
への前進をはかるべきである、こういう意味であります。同じこと。いま大臣が
食管法
の歴史は長いと、いろいろ経緯を経て長いということでありました。確かにそのとおりだと思います。
米穀
法が大正十年に制定されまして、これが農業恐慌以来、あるいは金融恐慌の波をくぐり抜けながら農民が米の
生産
に従事してまいった、この
米穀
法のもとに。その当時は商人に
売り渡し
ておった。それが漸次そういう経済的な社会的な条件が変わってまいりまして、
米穀
統制
法というものになって、やはり戦争中その
米穀
統制
法がさらに戦争が激化して、食糧を確保する必要に迫られたときに
食糧管理法
というものに変わってきた、これはもう大臣御
承知
のところ。 そこで、私はこういう食糧政策史をつくづく考えてみまするときに、
一つ
の大きな問題にぶつかる。大正七年に富山県の西水橋という小さい漁村の漁夫の婦人たちが船に積み出す米を押えようとして立ち上がったのが全富山県に波及し、ほとんど全日本の各県各都市に波及した、米騒動という大きな事件が持ち上がった。私はこの米の政策の中で、こういう事件を真剣に考えてみなきゃならぬことは、今日いろいろな機会やあるいはいろいろな文書で自由米構想が発表されたり、あるいは間接
統制
に移行する機会が到来した、これはある新聞の社説でそういうことを言っている、この機会は到来したと、こう言う。そういうようないろいろな機会で、いろいろなマスコミが
食糧管理法
の後退を盛んに宣伝しております。その第一は米が余った、米が余ったということ、私は米が余ることは、これは大臣、きのう米審の別室で、米が余ることはいいことだと、こう言って、私もそのとおり米が余って決して悪いことはない、私ども子供の当時は古
古米
で育ったのです。
古米
はもうぜいたくだという、古
古米
です。新米を食うのは一年に一ぺん、正月だけです。食わせられるのは。米を
生産
するところにおりながら、新米を食わせられるのは一年に一ぺん、または二へん、こういう状態で育ってまいりました。したがって農民は古
古米
、
古米
を実に尊重する。これが大事だ、日本の食糧の調節です。調節の材料です。今日までこの食糧政策史を見てまいりますると。保有米を持っているかどうかで米の、あの自由売買の時代における米の調整ができた。これは実に農民が苦労をして、古い米を食べて、あるいはわざわざ組合へ新米を持っていって、古い米
——
一升持っていくと一升三合くる、そういうように農民が苦労して、国民を養ってきたのです。それを
古米
はもうだぶついたから
食管法
も後退の時期だというようなことを考えられたのでは全くこれはもうお話になりません。 そこでその米騒動の原因であったものは何か。あの当時三十八銭か何ぼの米が五十銭に上がったといって騒ぎました。その米が、富山県という米の
生産
地です。新潟、富山、これはもう北陸の米の
生産
地。ここで米が食えないといって漁民の婦人たちが騒ぎ出した。その米を、食えないという富山県から毎晩のように夜中に米を船で運び出して、大阪、神戸方面に持っていったのに対して立ち上がったのは漁夫であった。私どもはその事実がまことにとうとい事実であったと考えます。すなわち、量の問題ではなく、米を不正に動かすかどうかの問題で国民が立ち上がったのだと考えざるを得ない。 今日わずかに国民が不満ながらも安心して米のめしを食べて、まあとにかく生活ができてまいりましたことは、また農民も安心して増産に励むことができておりますことは、実に今日、
生産者
に対しては
生産費
と所得を補償するという原則、
消費者
に対しては社会的な経済的な条件を考えて、生活をこわさない程度の
米価
で食わせようという、この聖なる、私は聖なる条件
規定
を後退させるようなことがあってはたいへんだと、私は日本の食糧政策史の中で、この米騒動がわれわれに教えてくれたこの事実こそが私は尊いものだ。いろいろな時代が、しかも非常な責任当事者であります食糧庁長官が、自由米構想を発表するに至っては私は大問題だ。一体大臣はどういうようにお考えになるか。
西村直己
8
○国務大臣(
西村
直己
君) まず最初にはっきり申し上げておきます。ただいま米審なりあるいは
政府
の責任においてやがて
米価
を、
生産者米価
をきめます。これは現行の
食管法
でいたすのでございます。先般来、最近の
需給
状況
等、あるいは財政の立場等から、いろいろな方面からいろいろな
意見
が出ました。しかし私は国会当時においてもはっきり言っておる。
参考
になる
意見
もあるが、同時に私としては、非常に迷惑をする
意見
もある、これははっきり言っておるのであります。それで私なりの
意見
を出しますと言って出したのがこの所信であります。 そこで現行の
食管法
に基づいて、本
年産米価
格を
決定
し、
買い入れ
をいたすのでございます。これは当然本年度も無制限買い付けはいたしません。ただ私としては、やはりいろいろな
意見
が出てきておる段階、また御存じのとおり、米騒動ということも、私の子供の時代のことですからよく覚えております。それから
昭和
初期の
米穀
統制
法の時代、それから
昭和
十五年には、米がむしろ
需給
緩和してしかも都会地に流れないという時代、やがて十七年には
食管法
をつくりました。この当時には、私は直接農林省で米の行政にタッチをした経験を持っております。そこらから戦争を経て今日に至った経緯、これはよくわかります。 しかしそれだからといって、ただ、現在の
食管制度
はもういいのだから全然論議をしないでいくというには、やはり私どもは何らかそこに、いいもう少し改善案があれば、それは
意見
を交換してもいいだろう。しかし、これには時間と
意見
というものを広く求めてやっていくべきだ、こういう考えであります。特に私は、農民というものは急激に変えられないような立場に立っておる。これは当然であります。自然条件、土地条件等ございます。またそれには当然、国家が事前にやるべきことをやるような必要も起ころうと思います。そういうようなことも思っております。 私はきょうも閣議で発言したのであります。何か米が余っておるというと何か米がもう、あるいは農民の立場において必ずしもいいことをやっていないような印象を促すようなことは、非常に残念である。むしろ私は米が余っておることは、ある意味では国の力である、こう考える。同時に私はここまできた日本の国の力というもの、これは考えるべきである。しかし同時にまた現
時点
に立って、歴史上かってない在庫を持つ、これは六十万トンの昨年の御存じのとおり繰り越しも、今日消費が減ってきております。ということは、
国民生活
が上がりまして米に対する個人々々の消費が少し下がってきておる。これは事実でございます。昨年の予算推定のときの二百三十五万トンが、今日現在では二百六十五万トンまできておるのも、米の消費量が減ってきて在庫が残っておる、こういうような
状況
がございますことは事実でございます。私どもはやはりそこらも勘案しながらいかなければならない。米は大事なものでございます。また慎重に扱わなければならないことは農政の上で一番大事なことであることは、十分私ども了承の上で考えを持っておることを御了解いただきたいと思うのでございます。 それから、食糧庁長官の発言で、自由米構想とおっしゃいましたが、実はこれはたしかに米審の席でございますか、いまの
食糧管理法
の解釈として、米が無制限買い付けであるかどうかという
議論
になった場合に、法律上の論理としては無制限買い付けによるべきものではない、こういうのがあったのでございます。しかし、そういう論理があったからといって、直ちに買い付けられなかった米はどこへ売ってもいいのか、売ってはならないという
規定
はありません。また、長い慣習的に実態もあり、それを考えて現実の
議論
としてなかなか大きなたいへんな問題で、自由米構想というのは、学者や一部の人は簡単に流すかもしれませんけれども、私ども農政にあずかるものとしてはこれは大きな問題だと、こういうふうに考えておるわけであります。
武内五郎
9
○武内五郎君 大体わかりました。なお詳しいことは正式に国会が召集されました機会に
資料
をいただいて、
説明
をいただくということにします。
最後
に、今年の春、晴海埠頭でアメリカの農産物展示会があった。フェスティバルと称して、アメリカの農務長官がみずから来て、なかなか実に熱心だったと思います。ことに、
関係
州の知事が、みずから大衆の中にチラシをまいて、アメリカの農産物の宣伝をやっております。その事実が、私にささやいたことは、アメリカ農業の日本への上陸だ。事実いま私どもが米の問題を検討しておりまするにあたりまして、たいへんな二百数十万トンという
古米
がだぶついている。けれども、依然として年々外米の、外国産の米の輸入が続いております。私は、そこに問題がある。日本の米がだぶついて、それでもう米は
生産
を制限していいというような、あるいはもうこれで自由販売に立ち返ってもいいんだという、はなはだ軽卒な、政治家としてはとうてい考えられないものの
考え方
を出すとするならば、まことに遺憾なんです。私は、もちろん
西村
農林大臣
はそういうことはないと思います。 が、そこで、十分心にとめていただきたいことは、いまのアメリカ農業の日本への上陸だということです。同友会もこれを取り上げております。農業
基本
法によって農業の転換をはかると言いながら、今日まだ出てない。選択拡大の農業方針が実施できないというのはなぜか、この
食管法
があるからだということを端的に指摘している。ところが、農業
基本
法施行以来、八年になる。
基本
法で最も大宗的な農業経営であるところの酪農が、その飼料の六割がこれがアメリカやその他から入ってくる外国飼料。米や麦にしてもしかり。まして選択拡大の農業としての選手コースを歩む畜産、酪農が六割も外国の飼料で乳をしぼってやらなければならぬということになってまいります。と、どこに日本の農業が自立経営、自立しているか、日本の食糧の自給度がどこにあるのかということを考えざるを得ない。 私が最も重大なことをひとつ言わなければならぬことは、資本家が日本の
食管法
を目のかたきにして、これを廃止しろ廃止しろと言っておりまするが、これがあって農民が
生産
に従事して外国からの食糧の輸入を押えている。だから、その押えている外貨によって石油の輸入ができ、鉄鉱石やその他の輸入ができてきて日本の工業
生産
が今日の隆盛をきわめてきたことは私はこれは農民に感謝しなければならぬ重大なことであると考えております。 こういうようなことを考えますると、まず私は
食管法
を、それは時代によっては多少の変わることもあろうけれども、その精神とその運営が農民を守り、
消費者
を守っていくという、それだけは守っていかなければならない。ひとつ
農林大臣
としてぜひそれは心にとめていただくようにしていただきたい。大臣の所見を承りたいと思います。
西村直己
10
○国務大臣(
西村
直己
君) 私は別に河野さんの構想を頭に描いたものでもない、それからその他の
意見
を言われたものでもございません。米の問題も慎重かつきわめて大事である。また、これは何かしかし一面におきまして安定供給という状態になるべくおきませんと、米というものはナーバスな商品である。それはなぜかと言えば、日本人の生命のかてでございますから、余るとよけい余るというような印象を受ける、今度足りないというとむちゃくちゃに騒いで買いだめをする。ですから今日非常に国家がしょい込むだけで、米がふえてその
管理
費、いろいろな問題が起きておる。そして保管の非常に困難な状態に入りやすい。これらも十分農政の担当者は考えなければならぬが、特に私は農政の上でも大事なのは、おっしゃるとおり酪農、これにつきましても、飼料というものを何とかもっと自給態勢に持っていきたい、それにはやはり私どもは、土地基盤あるいは草地育成等の利用、こういった方面もやると同時に、今日また米さえつくればいいのだという印象のもとに水田化していく、しかも限界
生産
が非常に低い。ところが、それにいくという方向は少しはわれわれ全体の中でやっていかなければならぬのじゃないか。そういうことも考えてあの所信を出したわけであります。
村田秀三
11
○村田秀三君 きわめて重大な問題であります。が、まことに遺憾でありますが、時間がございません。端的に質問いたしますから簡明に答えていただきたいと思いますし、あまりにも冗漫に過ぎた場合は三十分の持ち時間をもう少し延ばしていただかなければなりません。さようひとつお願したいと思います。 そこでまず初めにお伺いをいたしますのは、大臣の政治信念といいますか、どうも最近はぐらぐらしておるような感じがいたします。いま武内
委員
の質問に対する答弁を聞いておりますと、何か言いわけがましいことをだらだら言っております。けれども、少なくとも武内質問に
関連
をいたしますが、総合農政の中の
一つ
の
部分
である食管問題については、大臣は五十八国会の三月二十七日、参議院の予算
委員
会の中でも、その他あらゆる場所でも食管会計は堅持するということを再三にわたって言われております。選挙中もそうだと思います。自民党の公約集を見ますと、食管会計を堅持し、適正な
米価
を
決定
すると、こう書いてある。選挙を終わりましたとたんに、いま何か聞いて見ますると、世間が騒々しいから大臣としても何か一言言わなければならぬというような、そういう姿勢で総合農政を発表されたとするならば、これは私は非常に問題であると思います。三月の予算
委員
会でありますから、七月は、これはまだ四カ月足るか足らざる間に、舌の根もかわかぬうちに、態度を豹変するということはまことに私は遺憾だと思います。 ついでにもう一点申し上げますが、六月二十二日麦価
決定
のための
米価審議会
、
政府
の
米価審議会
でありますけれども、その
審議
のもようを新聞で拝見する限りは、いわゆる今度の新しい米審は倉石前農相の要請によって構成された。その際に倉石前農相は、
食管制度
についても触れてもらいたいということの要請があったにもかかわらず、その問題が論議されないということはきわめて不満である。したがって、新米審は
食管制度
に触れるという申し合わせをすると同時に、
農林大臣
に対して、その結論を尊重せよという強い申し入れを行なって、しかもこれを
農林大臣
は了承したと報道されておるわけであります。その間のことについて端的に表明を願いたいと思います。
西村直己
12
○国務大臣(
西村
直己
君) 私は今日でも以前と何にも変わっておりません。食管の根幹は堅持をする。
——
食管制度
を堅持するとは言っていないのであります。「食管の根幹」ということばを毎回使っております。党の公約も「食管の根幹」でございます。いわゆる
基本
的なものは堅持をしてまいる。これは当然でございます。言いかえれば、再
生産
確保をして、国民の経済の中において必要な食糧を確保し、
家計
の安定を守っていく、これは当然のことでございます。問題は、したがって、私はその中において広い視野に立って十分時間をかけて改善の方法をいろいろ
議論
し合うということは必要ではないか、こういう
意見
であります。 それからいま
一つ
米審の問題でございますが、米審は、率直に申しまして、あれは農林省設置法に基づきますところの米その他
主要食糧
の
価格
の
決定
の
基本
に関して
調査
審議
をする、またこれに関するいろいろな建議をすると、こうなっております。したがって、あのときに私は私のほうから別にそういう問題を
食管制度
をどうしようということはやりません。ただし、
価格
の
決定
の
基本
においてそういうような問題に触れることは私のほうから拒否はできないということを
政府
の統一見解として申し上げ、かつこれに
関連
して
意見
を具申してくる、いわば建議をするということはあり得る、こういう解釈でございます。
村田秀三
13
○村田秀三君
食管制度
の根幹の問題はいま
鶴園
委員
から
関連
質問があろうかとも思いますが、私は単にそれだけでは了解できないものがあります。しかし、その問題は時間がございませんから別の機会に譲りますが、後段に言われましたところのいわゆる
米価審議会
が
食管制度
について論議することはいいではないか、そうして建議もあり得ると、こういう言い方でありますが、しかし、この点についても私は三月二十七日の予算
委員
会の席上でだめ押しをしているわけであります。議事録を見ていただければわかるのでありますが、その際に私は、
食管法
の改正とか、制度的な改正に対する
意見
は聴取しないと、こう理解してよろしいかという質問をいたしました。ところが大臣は、「
諮問
機関の性格というものはこういう性格でございますから、
政府
としてはそれでいく。」、そして「各人が自由に論議をなさるということは、」「各人の立場でございますが、われわれ
政府
としては、
諮問
機関に対してはこの法律に従って
諮問
をしていく、こういう精神でございます。」と、こう答弁をなさっておるわけですね。 それで、この質疑の中心は
米価審議会
は確かに農林省設置法に基づいて構成をされます。そして、いま大臣がおっしゃられましたように、
米価
算定
の
基本
に関する
事項
を
審議
すると、こうなっております。また
審議会
令を見ましても、その範疇を出ておらないわけであります。
米価
算定
の
基本
に関しての建議はできるけれども、制度に触れることはできないのではないか、建議することはできないのではないか、こういう
趣旨
の質問を繰り返す中における大臣の答弁でございますから、いまあらためてお聞きをいたしますると、
米価
算定
の
基本
に関する
事項
に
関連
して制度に関し建議することもできるということは、五十八国会の答弁とその
内容
において大きく違うわけであります。から、これはどういうことなのか、もう一度明瞭にお答えをいただきたい。
西村直己
14
○国務大臣(
西村
直己
君) 私はその当時も、その
価格
の
決定
の
基本
でありますから、
基本
ということになりますれば触れてまいりましょう。しかし、私のほうから制度についてお考えがあるかというような
諮問
はいたしません。こういう意味でございます。
価格
というものは、御存じのとおり、
食管制度
の中にも
消費者価格
あるいは
生産者
価格
というものははっきり二本柱に立っておるわけでありますから、
価格
の
基本
でございます再
生産
を旨としとか、そういうことが書いてありますから、そういうことを
議論
なさることは私のほうが拒否はできないわけであります。
諮問
は、そういう面は制度を変えてもらいたいとか、制度についての
意見
は問わない。また、建議というものは、
価格
の
基本
に関して建議をしてくるということはこれは私は受け取らなきゃならぬと思います。そして受け取っても、私はこれを受け取るということは、尊重するということは、それは縛られる意味じゃありません。私はそういう意味の
意見
というものは、各方面から出た場合には、一応
政府
の
一つ
の
諮問
機関でありますから尊重の態度をとって、それが今度はまた他の方面の、たとえば
価格
だけでいろいろな食管なりああいう大事な制度はきめられちゃ困るのでありまして、
生産
対策もあります、その基盤の問題もあります。流通の問題もあります。いろいろな面から慎重によく見ていかなければ、とてもその結論というものは簡単に出るわけじゃない。そういう中で考えていくわけでありまして、私は、それによって直ちにそれを尊重して成案を得てどうなんというそういうような考えで言っているわけじゃございません。
村田秀三
15
○村田秀三君 問題は二つあると思うのです。
一つ
は、建議してもよろしいのだということ、そしてその建議をかつての米審の中では大臣は尊重するという言い方をしておる、これは新聞報道の限りでありますが。尊重すると言っておきながら、いまここへ来て、まあ論議するのはけっこうでございましょう、まあ聞き置きますよ、やるかやらないかはこっちのかってです。こういう言い方をいまあなたがおっしゃられたわけなんで、そういうような、あちらではこう言いこちらではこう言うようなそういう言い方、
考え方
、信念のなさでは私は困る。こういうことを
一つ
申し上げたいと思います。 それからもう一点は、どこからどう考えてみても、あの
米価審議会
が制度に触れる少なくとも建議でさえもやってはならないと私は理解をしております。つまり
米価審議会
の任務の範疇外である。その任務の
範囲
内の建議であるならばこれはいいでありましょうけれども、任務の
範囲
外の建議はすべきではない、させてはならない。私はこう考えておりますが、その点についての見解をお伺いいたします。
西村直己
16
○国務大臣(
西村
直己
君) 私は建議は一応これは
政府
が任命した、これは立場が違えば認められかいかもしれませんが、私どもの立場から一応委嘱した機関でありまするから、その
答申
が建議として、
答申
じゃございません、建議で出てきた場合において一応尊重しながら検討を加えたい。しかし、それは私はさっきの食管に対する姿勢と同じように、簡単に結論を得られるものではありませんから、それによって直ちに縛られる、その
趣旨
は建議なさるほうも十分わかると思います。そういう意味で何ら私は申し上げることに矛盾はないと思います。
村田秀三
17
○村田秀三君 時間があればもっと詰めたいところでありますが、それでは
一つ
だけ確認をしてみたいと思いますが、まあ、私は
米価審議会
は
米価
算定
方式
以外の建議はできないという理解を法制上持っております。しかし、その点のところは大臣はきわめてあいまいなようでありますから、一歩下って、本日のところは大臣の
考え方
を認めるわけではありませんけれども、その話をそのままに聞いて、そうしてもう
一つ
私はだめ押しをしたいと思いますが、それは少なくとも将来にわたって
米価審議会
がこのような建議をしたと、そのしたという理由によって、いわゆる制度に手を触れるというようなことがあるのかないのか、この点をひとつ
意見
を聞いておきたいと思います。
西村直己
18
○国務大臣(
西村
直己
君) 制度に手を触れるかどうか、これはまだ私は決意しておるわけじゃありません。ただ、私は検討を加えることはひとつの時期だと思うと、したがって、検討もしちゃいかぬと、これはおかしいことでありまして、私は
政府
として検討していいと思います。そうしてそれがひとつの
参考
の
資料
になるということはなるでありましょう。しかし、最終的に何か成案を得る場合には何か十分時間をかけ、広い視野に立ってというのが私の中心の持論であります。
村田秀三
19
○村田秀三君 そういうことになりますと、また一言言わざるを得ないんですが、何も米審でやる必要はないんですよ。法制
審議会
というのがあるわけでしょう。大臣も先ほど言ってますよ。そういう問題は法制
審議会
でやるべきだと、こういうことを言ってるんですから、
米価審議会
はそれについて触れさせない。あなた方のこもごも言うところの
意見
は
意見
なりとして、農政
審議会
に、これは農林省が態度を
決定
したならばはかりますよ、これをずばり言えば、それで問題は解決するですよ。そうじゃありませんか。
西村直己
20
○国務大臣(
西村
直己
君) 私が
一つ
の広い視野に立ってと言うのは、たとえば
生産者
の意向をなまに反映するような場を将来あるいは考えなければならぬかもしれません。しかし今度の場合は、
米価審議会
に私が
諮問
するわけじゃありません。
米価審議会
の
価格
の
決定
に
——
価格
は、当然食管の中にも
価格
制度と書いてありますから、それに触れてくる場合において、われわれがこれを拒否するわけにいかない、こういうことなんでございます。建議してくるというのは自動的に建議してくるわけであります。
川村清一
21
○川村清一君
関連
して。ちょっと重大な問題ですから、ここで
関連
しておきますが、村田
委員
からお話がありましたように、この米審の任命について問題があった。それは倉石前
農林大臣
の意図が明白であった。それで、そういう意図のもとに
生産者
代表、
消費者
代表、また国会議員全部抜かして、そうして中立米審と称して
政府
の気に入った御用米審をつくった、こういうことであります。したがって、大臣御
承知
のように第五十八国会参議院農林水産
委員
最において、法案
審議
に先立ってこれが非常な問題になった。そこで、各会派においていろいろ話し合いました結果、ここで
農林水産委員会
の決議をした。御
承知
のとおり満場一致。これは自由民主党の
和田
委員長
がここで発言をいたしまして、そうしてこの決議案文に対して全員が満場一致これに賛成して決議をした。これは御
承知
のように倉石前
農林大臣
が任命した米審を、これをやめる、そして
生産者
、
消費者
代表を主軸とするところの
委員
会につくり直せ、こういうことを決議した。それに対して大臣は、
委員
会の決議を十分尊重しますと、そして検討しますということをここで御答弁になった。そこで大臣が誠意を示されたので、それから
委員
会が
審議
を始めた、こういう経過は御存じのとおりでございます。 そこで大臣は一体その何を、一体この
委員
会の決議を尊重されたのか。一向に聞くところもなくそのまま強行された。そして昨日、本日とああいうふうな騒ぎの中で米審がやられておる。ただいま村田
委員
から質問がなされておるように、もうこの米審の権限外の問題、これはそういうことはできないということをいろいろ言っておるのだが、これはできないということをあなたは言わない。それで、これは
政府
が
諮問
したのではないのだが、そういう建議をされることはこれはやむを得ないと、建議されたならば、それはまた尊重すると、しかしそれによって
食管法
を改正するかどうかはこれは別として、建議されることは、これはまあことばをかえて言えば御自由だ。出されたものは尊重するというような答弁をされますというと、倉石
農林大臣
がいわゆるこのわれわれの絶対反対も押し切って現在の米審を任命されたという意図がはっきり出てくるわけです。それを引き継がれて
西村
大臣もうまいことは言っておるが、あなたの中にそれに近いものがあるということをわれわれは断ぜざるを得ないわけです。 それであなたにお聞きしたいのだが、一体ここで、参議院
農林水産委員会
で満場一致決議されたことを大臣は一体尊重されたのかどうか、検討されたのかどうかです。決議は決議、おまえたちがかってにやったのだということで強行されたものとすれば、きわめて非民主的な態度であるとわれわれは断ぜざるを得ないのでありますがどうでありますか。そういうことをされますというと、私はそのことと村田
委員
が言われることと全く一脈相通ずるようにとられてしかたがないわけです。これはひとつ大臣、われわれのその決議したあの
時点
をもう一回よく想起されまして、そしてあなたの見解をここで明らかにしていただきたいと思います。
西村直己
22
○国務大臣(
西村
直己
君) 当時私も決議されたことは記憶いたしております。そしてその後におきましても御存じのとおりこれは各党派において国会対策
委員長
等の会議をしばしば開かれまして、そして私も各党間の会議に出席したことがございます。各党間でお話ができますれば、それに従ってまいりましょう、これも言ってまいりました。それから私個人としても、そういうような
一つ
の強い御
意見
が、そういう
考え方
として
委員
会にもある、ほかにもございます。しかし、一方におきまして、すでに発令されている中立米審もある。そこで、何かくふうはないかということであらゆる努力を払っておりますけれども、それは国会対策の各党間の間でも出てまいりません。ついに話し合いはつかないでしまったわけであります。そして事実その間に麦をきめなければなりません。麦は
米価審議会
にかけなければならないということになっております。したがって、私としては
米価審議会
を開いていただきたい、こういうことになったわけであります。
村田秀三
23
○村田秀三君 あくまでもあいまいでございますので、理解ができません。 要望しておきますことは、われわれの前に来たときには何か言いくるめようとしてうまいことを言うわけですが、しかし、新聞報道であるとか、そういう方面のことを聞いてみますと、ニュアンス的にも、ことばの使い方にも若干相違があるわけですよ。そういうことはなさらないように、正直にものを進めてみたらどうかということを申し上げておきたいと思います。 いままでの問題、後日触れることにいたしまして、きょう出されました、そうして先ほど
説明
を受けましたところの
諮問
案について具体的にお伺いしておきたいと思います。これをよく読んでみますとわからなくなるわけですね。特に
生産費
・
所得補償方式
ということを一応うたっておきながら、「が」ということばをつけて
米穀
の
需給
状況
を考慮して
価格
の
算定
をしてほしい、こういうことなんですね。
基本
的にこれは米の
需給
状況
を勘案せよということは、いままでもしばしば言われてきております。経済の原則、つまり
価格
は供給が多ければ安くするのがあたりまえなんだというようなことで、いわゆる
生産費
・
所得補償方式
ということを言いながら、いわゆる安くするということを前提にかかっておるということについて、私はそう理解をしておるわけでありますから、明瞭にそうであるかないか、お答えをいただきたいと思います。
西村直己
24
○国務大臣(
西村
直己
君) まあ私の答弁がぴったりしているかどうか、御質問いただいておるわけでございますので、一応お答えいたします。今回つくりました
方式
でございますね、これは昨年の積み上げ
方式
に大体よっている、
生産費
・
所得補償方式
の昨年の
方式
によっておる。ただ、その中で二、三点、
需給
緩和の
状況
を反映して手直しをして計算をした、これは事実でございます。それもその二、三点の点は次長からも申し上げてけっこうだと思います。
基本
は
食管法
に基づきます再
生産
確保、言いかえますれば
生産費
・
所得補償方式
、そしてその中で昨年の積み上げ
方式
によりまして、そして
需給
の
状況
を多少反映するような二、三の
部分
が入っておるということを私から申し上げておきます。
田中勉
25
○
説明員
(田中勉君)
試算
の
基本
的
考え方
について御
説明
申し上げます。
試算
そのものは
生産費
及び所得補償積み上げ
方式
の
考え方
に立ちまして、最近の
需給事情
等に照らしまして各
算定
要素
に検討を加え、一部原価性の少ない
要素
を除き、かつ適正限界を実情に即して若干修正したものでございます。具体的に申し上げますると、十アールあたりの収量の標準偏差等につきましては、先ほど御
説明
申し上げましたこの
試算
値の中には、この標準偏差に〇・九を掛けておることも事実でございます。また最近の
需給事情
等に関して各
要素
に検討を加えたというような
事項
等につきましては、昨年は
生産
性の向上のメリットというようなものにつきまして、二分の一を昨年の
米価
算定
に加えておるわけでございますが、このメリットに二分の一の
算定
を加えたことにつきましては、やはりその
生産費
ということになりますと、原価性から見まして問題がある
事項
であるわけでございます。昨年はそういうものを政策的な
配慮
によってこの
生産
性向上のメリットを加えたわけであります。本年におきましては、一般、先ほど申し上げました
需給事情
というようなものからいたしまして、これらの原価性の少ない
要素
につきましては、この際除くというようなことをやっておるわけでございます。 それからもう
一つ
は、具体的な話になります。が、時期
別格差
ということにつきましては、昨年の秋に閣議の了承を得ました線に沿いまして、
需給事情
の大幅緩和に伴いまして、時期
別格差
の意義が薄れてきておるわけでございますので、この際これを整理いたしまして、このことによりまするこれら特定地帯のやはり影響を緩和する意味におきまして、
暫定加算
というようなことで、この
算定
をいたしておるのが現在の
試算
の
内容
であるわけでございます。
村田秀三
26
○村田秀三君 まあいろいろあるわけですが、二、三聞いてみたいと思いますが、いまの
説明
でほぼ私はわかったような気がいたします。実は限界収量の計算、〇・九を掛け合わせたというそのことですね。これは実はほんとうは根拠を聞いてみたかった。いまの御
説明
によるならば、
需給
状況
を考慮して少なくとも
生産費
を下げなくちゃならないという意図が、この〇・九の中に入っているということを確認していいですか。
田中勉
27
○
説明員
(田中勉君) お答え申し上げます。 この理論的な根拠というようなお尋ねで実はあるわけでございますが、御
承知
のように、
生産費
・
所得補償方式
が導入されましてから、十アールあたりの
平均収量
から従来この標準偏差を考慮してきめてまいったわけであります。これはどういうことかと申し上げますと、御案内のように、適正な限界
農家
の
生産費
によるのがやはり適当であるという
考え方
に立って、これをそういうことで運用してまいったわけでございますが、やはり最近のように
需給事情
の大幅に緩和した今日におきましては、いわゆる適正限界のとり方を、その
需給事情
を反映して修正するというようなことが適当ではないかというような
考え方
に立ちまして、標準偏差に何がしかの係数を乗ずるということによりまして、それに、その結果は、販売
数量
のカバー率の程度というようなことも一面において十分勘案しなければならない問題でもございますので、さしあたり本年は十アールあたりの収量の標準偏差に〇・九というものを乗ずることとして
算定
をいたした、こういう
事情
であります。
村田秀三
28
○村田秀三君 私の想像どおり、
需給
状況
を考慮して標準偏差に修正を加えた。これは何らの理論的根拠もなくて、それはほんとうに手かげんである、政治的
配慮
である、こういうことを確認いたします。 もう
一つ
聞いておきたいのですが、この
諮問
案の
算定
方式
ですか、それを見ますると、四十二年度の
平均
十アール
当たり
の
生産量
が五百二キログラム。ところが、「
米穀需給
の
現状
」、これを拝見しますと、四百五十三キロになっております。どうしてこう違っているのでしょうか。
田中勉
29
○
説明員
(田中勉君) これは
生産費
調査
農家
の選定にあたりましては、これは一俵以上の販売
農家
につきまして、約五千戸についてその
調査
いたしました結果が、四十二
年産米
のものにつきまして、五千戸の
農家
、一俵以上のものにつきましては五百二キロということが出てくるわけであります。もちろんこの五百二キロにつきましては、一俵以上の
調査
農家
のうちで五俵以上の販売
農家
でこれを
算定
いたしておりますので、それが五百二キロでございます。 それから
統計調査部
で前期に発表されております全国の米作
農家
全体、これは米の販売をする
農家
はもちろんでございますし、また販売しない
農家
でも米作
農家
全体についての、
平均収量
が四百五十三、こういうことになっておるわけであります。
村田秀三
30
○村田秀三君 四十二年度の収量の取り方によってこれはだいぶ違ってきますね。どうもその点理解できないのですが、それじゃそういう
説明
をなんでしないわけですか。これは勘違いしますね、率直に言いまして。一俵以上出すところの全体
農家
の
平均
が五百二キロですね。
田中勉
31
○
説明員
(田中勉君) ちょっと先ほどの御
説明
があるいは混乱したかと思いますが、これは前段の積み上げ
計算方式
の最初のところにございまするけれども、この
Cバー
のところに、「
価格決定年
の前三年の各年の
米販売農家
(災害
農家
および五俵未満の
米販売農家
を除く。」、こういうことで、それらの
農家
についての、
平均
が五百二キロと、こういうことでございます。したがって、五俵以上の販売
農家
、それも
生産費
の
調査
の対象
農家
になっているわけでございます。
村田秀三
32
○村田秀三君 もう
一つ
お伺いいたしますが、この
算定
方式
、四十三
年産米
政府買い入れ価格
の
試算
、この
内容
、たくさんこれ疑問点あります。ありますが、時間もございませんから、ほんとうに要点だけひとつ申し上げたいと思います。別してこの積み上げ
方式
を認めての質問ではないんですが、その点ひとつ御理解いただきたいと思いますが、
地代
ですね、
地代
を見ますと、四十三年度
地代
の算出を四千二百五十四円としてますね。しかし、最近の農林省統計を見ますと、これはわずかついこの間
——
十六日に公示をされた
資料
です。それを見ますと六千七十二円になっているわけです。これまたどうしてこう違うんですか。
田中勉
33
○
説明員
(田中勉君) この
試算
値に御
説明
申し上げております十アール
当たり
地代
の
算定
につきましては、これはここに書いてございますように、昨年の暮れに
統制
小作料の最高額が
改定
されたわけでございます。その結果、ここにおきましては、大体その最高
統制
額の中でいろいろ各級地の最高
統制
額はございますけれども、六級地につきまして、この自作地につきましては、そういう自作地というか、作付地につきましては、その最高
統制
小作料を適用いたしておるわけでございます。それから作付地以外のものにつきましては、この
生産費
調査
に基づきます
地代
に基づいて
評価
したものを加えておるのがこれでございます。それから
統計調査部
の六千何円という原
生産費
調査
の結果出ておりますものにつきましては、これは
統計調査部
のほうにおきまして小作地につきましては実納小作料を適用いたしておるのでございます。また自作地につきましては近傍類地の小作料、あるいはそれがない場合には
統制
小作料ということになっているわけでございます。端的に申し上げますと、この
統計調査部
のほうの
調査
のほうにおきましては、小作地等につきましては実納小作料でございますので、
かなり
相当
やみ小作料的なやはり小作料というものがこの
調査
の対象に算入されているわけでございます。したがいまして、私どものほうといたしましては、農林省におきましては昨年におきましてやはりここ十何年間、
昭和
三十年から据え置かれておりました
統制
額につきまして
生産
事情
その他の
事情
等に基づきまして、この最高
統制
額を
改定
いたしたわけでございます。したがいましてこの
生産費
の
基準
になりまするところの作付地の
地代
等につきましては、この最高
統制
額を適用するので適当であろう、こういうことで
算定
いたしておるのがこの
算定
の
内容
であるわけです。
村田秀三
34
○村田秀三君 どうも釈然としない
説明
ですね。これは同じ農林省で出すやつですよ。ところが、四十二
年産
四千三百二十三円、これは最高
統制
額の数値だ、こういうのですが、昨年は
地代
の変更、三倍から四倍あるわけでしょう。四十一年が四千二百七円で、四十二年は四千三百二十三円だという話じゃないんじゃないですか、よしんばそうであったにせよ、農林省の統計課が出したところの実
地代
というものが六千七十二円だとするならば、当然これを採用すべきが妥当と私は思う。しかも、これで計算をしますと大体百五十キロ六百円違う、六百円。統計のとり方もいいかげんに、
農家
の方もわからない、われわれもわからない
——
わからないということをいいことにしてごまかして、なるたけ安くしよう安くしようとする統計のとり方をしておるとしか思えないんですよ。その点はどうですか。いま聞いた
説明
の限りでは了解できませんよ、これは。
田中勉
35
○
説明員
(田中勉君) 昨年の
米価
算定
に用いましたその
地代
につきましては、やはり四千二百円ということになっているわけでございますが、このときにおきましては、昨年の小作料の
統制
額はまだ
改定
されておらないわけでございます。そこでこの
算定
に当りましては、三十年来据え置かれたこの
統制
小作料を
改定
するという前提が
一つ
ございました。そういうことを予定いたしまして一応昨年の
地代
につきましては、小作地の実納小作料というものに大体近い
地代
を去年の場合においては
算定
いたしたわけでございます。その後におきまして最高
統制
額が
改定
をいたされましたわけでございますが、現実問題としてその
統制
額を
改定
されますと、やはり実納小作料等につきましても何がしかやみ小作料というものが
相当
な
上昇
を来たしておるということも事実でございます。それらの
要素
等がこの統計
調査
の中に織り込まれているわけでございますが、
政府
といたしましては、やはりここ十年来の大
改定
を昨年行なったわけでございますので、この統計小作料は、この十年来の
改定
の
事情
といたしましては、その後の
生産
事情
あるいは農業
事情
に合わせるということで昨年大
改定
をやったわけでございますので、この
政府
が政策的に考えました統計小作料を採用して
米価
を
算定
するのが適当であろうという観点に立ったわけでございます。
村田秀三
36
○村田秀三君 納得できませんね。あなたが適当であろうというだけの話ですよ。
説明
する
部分
があるとすればね。どうしても了解できないですよ。何で実際に払っているものを採用しないのですか。昨年は小作料の
改定
をやっておるわけですよ、農林省が。三倍にも四倍にもなっておる、実際。だとすれば四十一年度では四千二百七円で、四十二年度が四千三百二十三円だなんということは常識的に考えてもあり得ないと思うのですよ、これはね。ここでは、
米価審議会
じゃありませんから、これ以上触れるつもりはありませんけれども、いずれにしろ後日、全部了解できるようなバックデータを出してくださいよ。そうすれば了承をします。計算をしてみなくちゃ。どうしても了解できない。実際に払っておるものをとらないで、何が統計ですか。農業
事情
を勘案してということであれば、米の
需給
状況
を勘案してこういうデータをとったということになるのでしょう。そうじゃありませんか。なるたけ
生産費
を安くしようとする意図というものが統計のとり方においてあらわれておると明らかに指摘をしておきます。 次に、先ほども
説明
がありましたが、
生産
性向上の利益還元、これは昨年までありましたね。ことしはそれを廃止するというのです。これは一体どういうわけですか。
生産
性の向上をしなくてもいいんですか。土地
生産
性、
労働
生産
性、これを上げることがあなたがたの任務じゃありませんか。それを奨励しないで、土地
生産
性も
労働
生産
性も低めてよろしいのだという政策のあらわれがこの
米価
算定
の中に出てくること自体が私にはわからない。ことしの計算でいけば〇・六時間当然見るべきなんですよ。どうなんですか。
田中勉
37
○
説明員
(田中勉君) 先ほども概略御
説明
申し上げたんですが、確かに昨年の
米価
算定
にあたりましては
生産
性向上の利益の一部を
生産者
に還元することとしたのも事実でございます。この
趣旨
は、
生産者
の
生産
意欲を向上して、
生産者
の労苦に報いるという政策的な
配慮
でやったわけでございます。したがって、もともと
生産
性向上の利益には費用という性格は含まれていないわけでございます。これは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、ことしの
米価
の
算定
におきましては、やはり
需給事情
というようなものを考えた場合におきましては、そこまでの
配慮
をこのことしの
米価
の
算定
に加えることは必ずしも適当でないんじゃないかというようなことで、これを今年は含めないことにいたしたわけでございます。
村田秀三
38
○村田秀三君 これは
意見
になるかと思うんです。が、どうも話を聞いてもやはり釈然としないものがたくさんあるわけです。この
資料
を見ても、
数字
を見ても、まあことしは三%ぐらい上げざるを得ないんじゃないかと、三%という
数字
を先に出して、それに合わせるような
資料
をとったとしか思えないんですよ、どうしてもこれは。結果的には二・九%になったというだけにすぎない。これは水かけ論になりますから御答弁要りませんけれども、どうしても私はそういう意図的なものを感ずるということだけ申し上げておきます。 先ほど来いろいろあとで
資料
をいただきたいということを申し上げておきましたが、それらの
資料
が参りましたならば、いわゆる
地代
の問題もこれは私研究してみたい。 それからもう一点、非常に私ふしぎに思うのですが、私の想像がまあ適当であろうと私自身は思うのでありますが、
米価審議会
にかける
価格
の
算定
方式
は、政策的に意図的に低めよう低めようとするような
数字
を出してあります。かりにこれを認められた場合、まあ福田幹事長は、
米価
は
政府
が責任を持って
決定
をする。その
政府
は自民党が構成をしておる。自民党が最終的に責任を持って
決定
をするというような言い方をしておって、新聞紙上にはもはや七%台の話が出ておる。このことを
農林大臣
は何と心得ますか、お答えをいただきたいと思います。
西村直己
39
○国務大臣(
西村
直己
君) 私のほうとしては、もちろん農林省が中心でありますが、
関係
の省とも調整をした結果、
参考
資料
として、
試算
として、今日
米価審議会
に提出をしておるわけであります。いずれこれに対する
答申
が出てまいると思います。
答申
がどういう
意見
で出てまいるかはまだ私は存じません。
答申
が出た上におきまして私どもとしては、
政府
が
価格
を
決定
する責任がございます。ただ党は党なりでもって、政党でございますから、
生産者
団体等の
意見
を十分徴しておりますから、そこいらの
意見
というものが入ります。が、
基本
はこの
試算
というものが
一つ
の
基本
となって、その上でいろいろ
意見
が反映をされる、最終的には
政府
の責任において
決定
をする、こういうふうになっております。
村田秀三
40
○村田秀三君 かりに七%できまったと、最終的にね。だとしても、やはりいままでの論議の経過もあるように、ごく政治的な政策的な意図が働いておる。かりに七%に最終的に
決定
したとしてもこれはかりの話でありますから誤解をしていただきたくないと思いますが、きめられたとしても、やはりそれは政治的な
配慮
があるとするならば、きめるのは
農林大臣
一人なんですから、これは法律でそうなっているのですから。だとすれば、
農林大臣
は勇気をもって七%台を
米価審議会
に
諮問
しても一向差しつかえないという逆な論理も成り立つわけです。その点はどうですか。
西村直己
41
○国務大臣(
西村
直己
君) これは確かに法律上は
農林大臣
が
決定
することになっております。しかし御存じのとおり
米価
というものは先ほどの食管制にも
関係
して非常に国民経済の中で大きなウエートがあります。また財政その他にも大きく影響します。そこで
関係
閣僚の
意見
を徴して今日まできた、同時に、
生産者
の意向を聴取しようと努力をしておられる、
政府
と一体となっている党の意向というものもまた十分私は聴取していかなければならぬ、したがって、どういうふうな結論が出るかはいずれにいたしましても、私としてはこの
試算
を
基本
にして十分責任を持って
決定
をしたい、こういうふうに思います。
中村波男
42
○中村
波男
君
関連
。予定の時間がだいぶん経過しておりますし、
関連
でありますから簡単に一問だけお聞きをしておきたいと思うわけであります。が、さいぜんからの
説明
によりますと、ことしの
米価
算定
の
基本
は昨年どおり
生産費
及び
所得補償方式
をとったと、しかしながら、が問題でありますが、
需給事情
を考えて二、三の手直しをした、こういう
説明
でありますし、
内容
を検討いたしましても、
需給事情
を勘案したということは昨年よりも計算上に
生産
農民が不利になるように、言いかえれば安くなるように
算定
をされたことは間違いございません。そこで私は、本年度の通常国会の冒頭に、
農林大臣
の所信表明のときにも、いわゆる
政府
の考えておりまする
食管制度
の改変について
相当
長時間
西村
農林大臣
並びに大口食糧庁長官との間で質疑をいたしたのでありますが、そのときにも私は、少なくとも本年度の
米価
の
算定
をするにあたって昨年度の
計算方式
を自主的に下げるようなことはやらないかどうか、このことを強く念を押しましたに対しまして大口食糧庁長官は、昨年どおりの方法をもって
算定
をするということをはっきり言明をされておるのであります。したがって、今年度二、三の手直しをされた中の、いわゆる従来の
生産費
及び
所得補償方式
によります方法として、年間
反収
補償
方式
、これは
生産
農家
の九〇%を補償する
方式
であることは言うまでもございません。しかし今回は
平均
反収
補償
方式
というものを導入した。したがって、
生産
の高い五〇%の農民は補償されるけれども、
生産
の低い
農家
というのは五年後には全く補償をされない。これは、いまおっしゃるように
需給事情
を勘案してそういう
方式
をとられたわけであります。が、言いかえますならば、
生産
を刺激しないために
価格
で抑制するというこのことが重大な私は問題だと思うわけであります。 そこで私は、政治責任として
農林大臣
にお伺いをしておきたいのでありますが、
昭和
三十七年ごろから食糧
事情
が悪化をいたしまして、時間もありませんから具体的な
数字
は申し上げませんが、したがって
昭和
四十年度には百五万トンという食糧の輸入をしておる。そこであわてまして、農林自、
政府
は
昭和
四十一年度から食糧増産運動といりのを提唱いたしました。幾ばくかの予算をつけんでありましょうけれども、各県はこの農林省の食糧増産運動に呼応いたしまして、また民間の
生産
団体もこれを受けて立ちまして、この運動の成果が、昨年はたまたま自然条件、天候等の結果もありまするけれども、増産意欲を高めた。増産運動が地についてきた。このことが昨年度私はいまだかつてない米の増産という形になってあらわれたと思うのであります。したがって、昨年ようやく米の増産が上がって、もうことしは増産を刺激しないように
価格
で抑制していわゆる米の
生産
を押えようとする。そういう政策を転換してきたことは重大な問題であります。全く朝令暮改的な
政府
の政策、このことに対して
農林大臣
はどのようないわゆる政治責任をとろうとされるのか、このことをまず伺っておきたいと思うわけであります。
西村直己
43
○国務大臣(
西村
直己
君) 私、先ほど申し上げましたように、もちろん
米価
は、
価格
は大事であります。また、再
生産
確保も大事であります。しかしまた農政全体としては、国民の、御存じのとおり、食糧に対します
需要
状況
というものが所得が上がってくるに従いまして
かなり
変わってきておる、これもひとつ十分考慮していかなければならぬと思います。たとえば肉に対し、あるいは牛乳に対し、あるいはその他に対する要求度も非常に強いものがあるわけであります。したがって、私どもとしては、米の自給率も守ってまいります。四十一年が九四%、四十二
年産米
は一一〇をこすくらいの自給率を生じた。したがって、私どもは、米の自給率は一〇〇はできるだけ達成したい。しかしそれ以上にあまりに米だけで、たとえば俗に申しますと、限界線の低いところに米がただいくというだけでも農政はいけないのじゃないか、こういうような面から
生産
制限という形ではなくても、私は
一つ
はこういう
需給
緩和というものも多少はやってもいいんじゃないか。それからいま
一つ
は、いつも申し上げますように、なるほど二重
米価
的になっております。
食管法
は。しかし、全然それじゃ
消費者価格
と
生産者
価格
は無縁のものかというと、これはやはり相互にある程度の
関連
はある。その間に
経済事情
を考慮していくことは
食管法
の命ずるところであります。その
経済事情
の中には
需給
状況
というものも一応は
関連
して考えられていいんじゃないか、そんな意味で限界
反収
の
シグマ
の〇・九、すなわち十分の一が
需給
を反映する意味で今回
試算
の中へ加えられている、こういうように解釈しております。
中村波男
44
○中村
波男
君 時間がありませんが、この問題についてさらに掘り下げて質疑を申し上げたいんでありますが、私は戦前、戦後の食糧
事情
が悪かった時代にいわゆる農民は裸供出を強制されて、食うものも食わずに米をつくって
政府
に供出をした。そうして今度は米が少し余ってくれば、
食管制度
がいろいろ言われますけれども、間接
統制
へ移行するためにいま
政府
はいろいろな角度から検討をしておることは間違いございません。そういうやり方が政治責任として私は許されてならない問題であるというふうに考えて、いま私がお尋ねしたいのは、昨年まで毎年の
農林大臣
の所信表明の中にも食糧の増産、特に米の増産ということを項目を設けてうたいあげておきながら、ことしになると、もう
価格
その他の方法で米の
生産
を押えつけようとするような、そういうやり方について
農林大臣
はどう考えておられるのかということをお尋ねしたいのでありまして、そのことだけ御答弁をいただきまして、次の機会に譲りたい、こう思うわけであります。
西村直己
45
○国務大臣(
西村
直己
君) 私この間「総合農政の展開」の中でも、これを申し上げておいたのでありますが、時間はかかるであろうが、量よりは国民としても質を求めてきている段階、それは御存じのとおり消費量も徐々に下がってきておることは事実であります。これは
数字
的にも御
説明
申し上げていいのでありますが、同時に
政府
の
管理
している
古米
というものは史上見ないような多くの
古米
を持つわけです。持ち越し米を持つわけであります。そうして今年度は一応推定されておるところは千三百万トンの平年作になる、こういうような
状況
下にあるわけであります。
黒柳明
46
○
黒柳明
君 持ち時間が非常に限られていますので、問題を一点だけに限って質問したいと思いますけれども、
農家
の方々の努力によって例年
豊作
続きでけっこうなことですが、それに反して
古米
がダブついている、こういう
状況
です。こういう
状況
下で輸入米を私たちが輸入をしなければならない、ここに非常に矛盾を感ずるわけなんですけれども、いかがでしょう。
西村直己
47
○国務大臣(
西村
直己
君) この
数字
は詳しくは報告さしてけっこうでありますが、最近はきわめて少量でございます。千四百万トンこえる中で昨年度はたしか二十七万五千トン、そのうち、
一つ
は加工用のみそ、しょうゆのようなものが、これはやはり
価格
の
関係
から安いもの、砕け米と申しますか、加工用の原料米であります。それから比較的大きい準内地米としては中国との
貿易関係
がございます。これがほとんど大半を占めているような
状況
でございます。
黒柳明
48
○
黒柳明
君 加州米の輸入はどのくらいありますか。
西村直己
49
○国務大臣(
西村
直己
君) これは近年はございません。
黒柳明
50
○
黒柳明
君 まあ全体に対する率としては若干低いようですけれども、ともかく全体的の食管の赤字ということが問題になっているわけですね。ですから、どれだけ国内産の米に対して低額であろうとも、輸入米に対しては
相当
これは考慮しなければならないのではないだろうかと思います。 それから中共米のことですけれども、四十二年の十一月に中共の輸入米で黄変米が出た。輸入に対して実地検査がしてなかった、こんなふうなことが、これは新聞に報道されたことですが、実地検査してないということはやはり農林当局の無責任があったのではないか、こう思うんですけれどもいかがでしょう。
田中勉
51
○
説明員
(田中勉君) 中共米の黄変米につきましては、食品衛生法の観点から厚生省の所管になりまして、この黄変米の問題につきまして、昨年秋入港したものにつきまして一部そういうものが検出されたわけでございます。農林省といたしましては、植物防疫法でありますので、たとえば虫がつくとかなんとかというようなことは農林省の所管になっているわけでございますが、食品衛生法の観点から黄変米の毒性があるかないか、こういう問題については厚生省の所管である。厚生省のほうからは、昨年国会におきましても、所管のこういうものにつきましての菌の検定、
末端
実務の
状況
というようなことについて御質問等がございまして、やはり人手不足というようなことも若干あったようでございますが、現実問題としてこれだけのものが発見されまして、四千五百トン積来したものの中で、厚生省でさらによく慎重に調べましたところ、約二百二十一トンが厚生省の食品衛生法に違反するものということになったわけでございます。この米につきましても、それは厚生省の見解といたしましては、この二百二十一トンにつきましても
相当
、必要程度に
統制
をすることによってさらに菌検査を実施するならば、その結果黄変菌の検出がされないということございますと食糧として供給してもいい、こういうようなまあ一応結論が出ておるわけでございます。
数量
といたしましては、四千五百トン積来された船の中で二百二十一トンが一応厚生省の食品衛生法に違反するものとして出ているわけでございます。
黒柳明
52
○
黒柳明
君 その黄変米の処置ですけれどもね。それと今度は外米の売れ行きがどうも悪い。ですから、食管会計の赤字を云々する前に、やっぱり、国内産の
古米
を含めてですけれども、要するに外米の
古米
、ここらあたりの処置をどのようにするか。
田中勉
53
○
説明員
(田中勉君) やはりこの厚生省で違反ということに認定されましたものにつきまして、これは主食用から大体はずしまして、原材料用の用途等にこれを処理いたしておるわけでございます。 それから、海外から現在、先ほども
農林大臣
申されましたように、約二十数万トン輸入をいたしておるわけでございますが、これらの輸入にあたりましては、やはりその黄変米防止というようなことがひいては国民の食糧の不安と、あるいはまた食管会計に対する影響というようなこと等から考えましても、これは極力良質のものを輸入するというたてまえで今後輸入もしていかなければならぬわけでございますが、その場合におきまして、極力やはりこれらの黄変菌が発生するような環境が、現地におきまして
相当
米が
生産
されてから数カ月、半年以上も保管されますと、そういう危険性もあるわけでございますので、それらの点につきましては、現地から買い付ける場合においては極力やはり新しいものを買いつけるという
考え方
に立っております。また現地から輸入いたします場合におきましても、船の中で薫蒸措置を講ずるというようなことによって、それらの菌の増殖を、万一の場合防ぐというようなことも考えて、この問題につきましては、食糧庁といたしましても国民の食糧につながる問題でもございますし、また同時にこういうものが発生することは食管会計にも影響する問題でございますので、特に厳重なそういう輸入措置をとってまいりたいというふうに考えております。
黒柳明
54
○
黒柳明
君 先ほどの
政府
の
試算
の件について、
算定
方式
や何かについていろいろ疑惑や疑問があるわけですが、夕刊あたりですと、自民党の総務会で非常に不満を持っている、あしたは党総務会で党の
基本
方針を出す、米審の
答申
案も出るというようなことで、
試算
に対する
農林大臣
のお考え、
試算
を中心に考えるという先ほどの御答弁でしたが、当然自民党の総務会のほうとしては、何回も繰り返されておりますように、党として
米価
は
決定
するのだ、こういうような方向で上積みをしてくる、そういう
基本
的見解を出すのじゃないかと思うのですけれども、
農林大臣
としてはあしたの自民党の総務会で
決定
されるであろう
政府
の
試算
に対して当然上積みをされた
米価
、それから
政府
の
試算
、さらに米審から
答申
が出るわけです。が、この自民党の総務会からのつき上げといいますか、
農林大臣
として最高責任者であり、また党のほうの幹部でもありますし、その
関係
性、要するに自民党の総務会等の統一見解に対して、あくまでもこの、
試算
であるから当然変わってもいいし、変わることはあたりまえではありますけれども、農林省としても各省と検討して
相当
の根拠があって算出した
試算
である。こういう
試算
に対してやはり
農林大臣
としても
相当
の責任というか、信念があって提出したものであると思うのですけれども、自民党の総務会あたりから出た
意見
、その
意見
に対してどのような最高責任者として大臣は態度で臨むおつもりなのか。いかがでしょうか。
西村直己
55
○国務大臣(
西村
直己
君) 私はただ簡単に
試算
を出したわけじゃございません。これを出しますには、やはり出すだけの
考え方
を持って出しております。したがって、これがあくまで
基本
であると同時に、米審においてもこれに対して
意見
が出る。ただ、党は党なりで、私はどういうふうな運びをやっておられるか知りませんが、党側ももちろん
生産者
の意向等を十分なにして、
一つ
の
意見
というものは漸次お持ちになるだろう。最終的には私は法律上の責任
——
ただ事柄が、御
承知
のとおり米というものは大きなものでございますから、
農林大臣
であると同時に、
政府
がこれを
決定
する、
農林大臣
の責任といいますか、そういう中で
決定
してまいりたい、そういうふうに考えております。
黒柳明
56
○
黒柳明
君 結局、
政府
の
試算
であり、
農林大臣
の責任のもとだと思うのですけれども、また総理大臣としても当然
政府
を代表する農林省、
農林大臣
にすべてをまかせてあると思うのですが、また党側も総裁として
相当
やはり総務会の
意見
というものも尊重せざるを得ないと思うのですが、
政府
となると、総理大臣の権限を委託されている
農林大臣
としても、やはり総理の意向というものは
相当
私は容れなければならないし、総務会の意向にもそれは反映するのじゃないかと思うのですけれども、その点
政府
の
試算
という、その根本的性格ですけれども、いかがでしょう。
西村直己
57
○国務大臣(
西村
直己
君)
政府
の
試算
を出しますにも、今回の米をめぐるいろいろな環境というものを十分考慮した上で出したのでございまして、これは簡単に変え得るものではない。しかし最終的にはいろいろな、
審議会
の
意見
もありましょう、それから他の
意見
というものも含めまして私どもが責任を持ってきめる、こういうことでございます。
任田新治
58
○
任田
新治君 私は時期
別格差
金についてお尋ねします。 本日、食糧庁のほうで時期
別格差
に対する新しい
考え方
を発表されたように聞いていますが、まずそれについて次長から大体の
内容
をお伺いします。
田中勉
59
○
説明員
(田中勉君) 今回の
試算
値の中におきまして、先ほども御
説明
申し上げましたように、一応従来の時期
別格差
金の
方式
を廃止いたしまして、新たに
暫定加算
ということで措置をいたしたわけでございますが、その理由といたしましては、時期
別格差
につきましては、最近における食糧の
需給事情
が非常に大幅に緩和いたしてまいったわけでございます。したがいまして、
政府
の早期
売り渡し
の促進というような面から見ますと時期
別格差
の必要性ということは非常に薄らいできておるわけでございます。昨年十一月ですか、農林省といたしましては、閣議にも御了承願いまして、この時期
別格差
金につきましては誠意の方向でこれを検討するというようなことを御了承願ったわけでございます。その後検討いたしました結果、今後の問題といたしましては、やはりこれを全然廃止するということは非常にこれら地帯に対する影響の度合いも大きいわけでございますので、本年度におきましては特に時期
別格差
金の対象額が全国的に見まして非常に高い県を一応選定いたしまして、北陸四県、それからその他の県八県、合計十二県でございますが、これらの地帯に対しましては、かりに時期
別格差
が従来、昨年までは三期までございますが、これが二期になった場合と申しますと、一期四百円あるいは二期二百円、こうなった場合におきましては、各県別の各五カ年におきます時期
別格差
金が全国の
平均
以上に高い県等につきましては先ほど北陸四県あるいはその他の県八県合計十二県でございますが、これらの県に対しまして大体百五十キロ
当たり
北陸四県につきましては二百五十円の
暫定加算
、それからその他の八県につきましては百二十五円の
暫定加算
をこの
試算
値の中に入れましたものがこれが全国
平均
いたしますとこの
試算
値の中に五十八円という
数字
が出てまいるわけでございます。全国の総
数量
に
平均
いたしますとそういう
金額
になる、こういうことでございます。
任田新治
60
○
任田
新治君 いまの聞きますと、
暫定加算
という名前がついておりますが、これはどの程度に考えておられますか。暫定という意味を一応聞きたいわけです。
田中勉
61
○
説明員
(田中勉君) 当面、ことしの
米価
を
算定
いたします基礎といたしましては、そういう
暫定加算
というものを考えておるわけでございますので、一応当面ということを考えておるわけであります。
任田新治
62
○
任田
新治君 当面というものではちょっとわからない点があるのですが、大体米というものはいまのような制度にはなっておるけれども、本来自由
価格
というような立場をとれば農産物というものはどういう品物であっても、まず初ものは高いものである。そういう高いものが普通であるのにかかわらず、いまの制度からいってこういうことになっている。だからかりに昔で言えば早場米、いまで言う時期
別格差
というような、ああいうものにつきましてもそこにそういう意味合いのものは昔からあったと私は思うのです。そこで、農林省のほうでああしたような地帯に対して、いわゆる初ものに対する
考え方
で一定の
ベース
を考えてそうして出す、こういう
考え方
が一時あったはずです。それがいまの話では暫定というようなことになっておるのですが、その
考え方
がいまでは変わったのかどうか、その点伺ってみたいと思います。
田中勉
63
○
説明員
(田中勉君) 確かに御指摘のございましたように、時期
別格差
の検討は
昭和
三十七年に検討会を持ちまして、時期
別格差
金につきましては三カ年計画で一応九月末ということを最終的にはこれを残すということで、その理屈の中にはやはり初もの、昔の間接
統制
下におきましてもいろいろ初ものというようなものがあったということで、一期だけ当時百五十キロ
当たり
二百円、この一期だけ残すというようなことが検討会の結果出ておるわけでございます。その検討会の結果に基づきまして、三十八年に
——
当時四期あったわけでございます。八百円、六百円、四百円、二百円、こうあったわけでございますが、これを三期に圧縮いたしまして、六百円、四百円、二百円ということにいたしたわけでございます。三十九年、四十年、四十一年にもまたがりますが、やはりその後におきましての米の
生産
事情
が天候その他によって不作が
かなり
続いたわけでございます。端境期の
需給
操作というような問題から見ましても、その後におきましては三期をそのまま継続をしてまいったわけでございます。今回は非常に大幅ないわば
需給
緩和が出ておるわけでございます。
政府
の
管理
操作の面から見ますというと、やはり早く出たものを右から左に操作しなければならぬというような
管理
上の必要性というものが非常にこの
需給
の大幅緩和に伴いまして、いわゆる三十七年当時検討しておった
事情
から見ますと
相当
変わっておることも事実でございます。ことしあたり繰り越し米、この繰り越し米をどのようなぐあいに配給操作に乗せていくかというようなことからいたしますると、
管理
面からだけの観点からいたしますならば、やはり初ものであるからといってそれを右から左にやるというような操作は必ずしも必要でないというような見方もあるわけでございますが、そういう過去においての初ものというような観点もあるわけでございます。またこれら地帯におけるやはり影響の度合いというような問題もあるわけでございますので、当面はこれは
暫定加算
ということで、この今度の
米価
の中に織り込んでまいりたいということでございます。来年どうするか、あるいは再来年どうするかというようなことにつきましてはともかく、いまその名のとおり
暫定加算
ということで処置をしてまいりたいと思います。
任田新治
64
○
任田
新治君 そうしますと、ことしは暫定だが、来年はまたもとへ戻るということもあり得るわけですね。私はこの問題は非常に大事なことだと思う。北陸四県というものは特に今度の対象になって考える、その他の県八県ということでありますけれども、やはり戦中、戦後を通じて早場米あるいは時期
別格差
というこの制度で今日まできておるわけです。北陸四県にたとえてみますると、
労働
時間が反
当たり
昭和
三十一年から四十一年にかけまして約四十五時間圧縮されておる。百九十二時間のものが百四十七時間になっておる、こういうことがある。それだけの努力をしながらいかに早く米を出すかということのくふうをしておるわけです。これは
基本
的には大体手段としてはまず圃場整備をやる。ずいぶん金をかけておる。しかも
政府
の奨励をもって圃場整備をどんどん進めておる。また作業の面におきましても耕うん機なりあるいは乾燥機、乾燥施設を完備する、こういうようなことをどんどんやっておるわけです。しかも構造改善なんというような仕事が出てきた。そういうような中でも乾燥施設の設置というようなことが出てきておる。こうしたようなことによって非常な努力を払って今日まできておる。それの結果が、これだけ
労働
時間が短縮されて、そうして早く米を出すことの努力ができた。そうして成功しているわけです。ところが今度、たとえ昨年十二月に閣議で
決定
じゃなくて検討するというようなことがあったとはいうものの、そのままでその後も
政府
から何らの発言がなく今日まできている。そうしてこういうような時期になってきて突如こういうような
方式
でやるんだということに切りかえているわけです。地元の農民から見ると全く迷惑な話です。何十年という間この目標でもってずっときておる。それだけの資本投下をしている。ところがそれだけに報ゆるものがないということになりますと、過去にやっておるすべてのことというものは、すべてこれは過剰投資になる。そういうことを
政府
がやらしているような結果になっているわけです。この点は一体どういうふうに扱っていくかということです。特に選挙の最中には佐藤総理も新潟か富山におきまして非常にこの点を言っている。
一つ
のアイディアはあるけれども、そう簡単にはいかない。気長に考えてやらなければいけないというような話も出ております。また先ほど衆議院の農林水産の
委員
会で、やはり
西村
大臣はそういうような点を言っておる。こうした制度上の問題は、
相当
時間をかけてやっていかなければならないという話をしておられる。突如こういうような話がわいてきます。と、非常に
政府
に対して不信感が生まれてくる。こういうことではたしていいかどうかと思うのです。この点大臣にひとつ御
意見
を伺いたいと思います。
西村直己
65
○国務大臣(
西村
直己
君) 私はこの問題は、いずれにいたしましても昨年閣議でもって、もうすでに二年前ですか、整理縮小するという方針は、もう
政府
も前に持っておりました。したがって、いずれにいたしましても整理縮小の方向でいくということは、これはもうすでに既定方針であるというふうに私は承っておりますが、ただ、これを急激にやるかやらぬかということになりますと、影響があるということでございまして、はしご段的にこれを解消していくがよろしいか、あるいはむしろはしご段的でなくて、形を変えたものでやっていくがいいか、そこいら、いずれをとるかということを今回事務当局に検討を命じておりまして、結果としては、むしろこのほうがベターである。もう
需給
緩和のこういうような
状況
下になるというと、局所においてはなるほどそういう気持ちもわかりますが、同時に全国の立場から見れば
相当
、これを廃止してくれという声もまた一面あるわけでございますので、私としては、こういうようなことによって時期を限って出すよりは、むしろ地域の
暫定加算
金の形のほうがいい、こういうように考えているわけでございます。
任田新治
66
○
任田
新治君 私は、この問題は
基本
的には十分
政府
のほうでも検討する価値のあることだと思います。その発想そのものは事務当局であろうが、この点は決してどうこう言うわけじゃないのです。ただ、時期として、いまの
時点
でこれをやられますと、非常にその点がうまくない。もう秋口にとにかく早場米として出すという気がまえでもって春先、もう苗しろの準備から始めておるわけです。そうしてやっておって、いまもう穂が出ておる、こういうような時期になりまして、あれはああじゃないので、今度はこうするのだというようなことで、一方的にきめられてはうまくない。やはり来年なら来年、再来年なら再来年のこととして新しく考えて、そうして農民が納得するというか、とにかく合理的な
考え方
の上に立ってやってもらわないとぐあいが悪いというふうに私は思うのです。これはぜひ、ひとつ大臣において、たとえ事務局の発想であろうが、大臣は政治という立場で十分その点はお考えになっていただくように、特にお願いしたいと思います。
高橋雄之助
67
○
高橋雄
之助君 時間がたいへん経過しておりますが、御了承を得て四、五点質問いたしたいと思います。 本年の
米価
は、言うまでもなく一月以来問題が起きまして今日に至っておるわけでございます。が、特に一月、突如として新米審
委員
の任命があったわけでございまして、これは野党は言うまでもなく、われわれ与党内部においても、この新米審のいわゆる任命のし直しをしてもらいたいということを強く要請したわけでございますが、しかしながら一たび任命したものを任命しかえるということは、なかなか困難だという
政府
の
考え方
でございまして、非常に混乱した次第でございます。が、そのようなことで国会
審議
もあのように空転したという事実もございます。そういうような中において
政府
、自民党は、これに対処をするために、
米価
問題に関し詳細に検討するための特に専門の小
委員
会を設けてこれに当たってもらいたい、こういうことが一点。 さらにまた自民党内部においても
米価
調査
会を設置して、有力な人がこれに参加して本年の
米価
については鋭意検討を加えて、いわゆるこの
決定
については、
生産者
の意思に沿うような
決定
をしたいということが発想されたわけでございます。その小
委員
会については、いわゆる
生産者
団体のほうからも非常な強い反対がございまして、この小
委員
会の設置はできなかったことも御
承知
のとおりでございます。しかしながら
調査
会の設置については御
承知
のようなことで設置されまして今日に至っておるわけでございますし、さらにまた当面迫っておりまする
米価決定
についても、この
調査
会が連日会議を持ち、さらにまたその中においても小
委員
会を設置いたしまして鋭意検討を進めておることについては、大臣も重々御
承知
であろうと考えるわけでございます。 したがってこの場合において、第二に特にお尋ねしたいことは、こういう経過をたどって党内においても
米価
調査
会が設けられて、いま申しましたような作業が進められておるのでございます。が、これに対しまして大臣は、この
調査
会に対するいわゆる理解とさらに期待の度合いというものをどのようにお考えになっておりますか、この点をひとつ率直にお伺いいたしたいと思うわけでございます。
西村直己
68
○国務大臣(
西村
直己
君) もちろん私も自由民主党所属の立場をとっております。しかし同時にまた
政府
であります。したがって
政府
としては、法律に従って
米価
を
決定
しなければならぬ、したがって、自由民主党との
関係
は、あくまでもはっきり申しますれば内部の
関係
になって、一体的にやっていく。法律的には、
政府
の責任、
農林大臣
の責任で
生産者米価
、
消費者米価
を
決定
する。私は
生産者
の意向はよくわかります。しかし、今年の
生産者
の方の意向自体も、私はいろいろな団体の方々に会っております。私自体の当然の職責でありますから。
消費者
団体、
生産者
団体と申しましても、いろいろな御要求があります。団体によっては
金額
も違います。
算定
の基礎も違っております。同時にまた、一面今年は米をめぐる諸情勢というものにはいろいろな
状況
があるということは、私はその方々にも申し上げた。第一は、御存じのとおり
需給
は史上まれに見る緩和をしておる。もう
一つ
は、総合予算主義を一応
政府
としてはとっておる。これは
政府
自民党も一体でございます。そういう中で申しますれば、いま
一つ
は、
消費者
が四年連続の値上げを受けておる。こういう環境の中で私どもとしては最終的に
決定
をしてまいらなければならない。それらは、十分内部
関係
の党とも連絡を取り合いながら、しかし、最終
決定
は
政府
の責任でやってまいりたい、これが私の所信であります。
高橋雄之助
69
○
高橋雄
之助君 なお、
米価決定
については、いま大臣がおっしゃったように、これは大臣が
米価審議会
に
諮問
をいたしまして、その
答申
を得て、これを尊重しながら大臣が
決定
するということになっておるのですから、これは言うまでもないことで、いまおっしゃったようなことでございます。しかしながら、本年の
米価
については、先ほど申しましたような非常に違った経過をたどってきているわけでございます。したがいまして、先ほどからもいろいろお話があったわけでございますが、今年の
米価
については当然
農林大臣
がきめることでありますが、六月の十日における東京日本武道館における全国農協代表者
米価
大会においても、福田幹事長は党を代表して出席されて、いわゆる党としての
考え方
を明らかにしておるわけでございます。その
内容
を読みますと長くなりまが、その中でも特に言われていることは、米審の問題はあるが、
米価
は
政府
がきめるのであるが、これは与党である自民党が責任を持ってきめることである。こういうことを申されておりまするし、さらにまた
生産者
代表に対しては、農民の心を心として、農民の立場としてここに厳粛に約束する、選挙の協力の依頼については言いたいのであるが、これは言わないと、こういうことまで言われておりますが、いわゆる農民の心を心として、農民の立場としてここに厳粛に約束すると、こういう実にはっきりした明らかな約束がされたということでございます。しかも、全国の代表者一万四千名が集まっておった中でございますから、このことは全国のいわゆる
生産者
がすべてこれを
承知
しておるわけでございます。さらにまた、参議院の選挙に入りましてから、総理、総裁が各地を遊説しております。さらにまた、
農林大臣
もあるいは幹事長もそれぞれ地方に参っておりますが、その中でも佐藤総理は、六月の二十三日に秋田における記者会見においてもこれを明らかにしております。この秋に米が二百三十万トン余るとしても、
食管制度
の改廃を論ずるのはまだ時期が早い、中立米審の
答申
は尊重する、しかし党自身が
米価
を
決定
するという強い声で言われている。
米価
は
基本
的な問題だから、
政府
もさることながら、党が
決定
する。こういう、
政府
がきめることはこれは間違いないが、しかしながら、これは
基本
的な問題であるから党がきめると、はっきり総理、総裁が申されておるわけでございます。そのほか
西村
農村大臣もあるいは福田幹事長も、あるいは
調査
会の事務局長も、これと同じようなことを地方において申されているわけです。したがって、国民に対するこれは公約でございますが、このことを大臣は、総理、総裁がそのように公約したことについては、所管大臣でございますから、当然これは忠実にこの公約を守り、それを履行する責任があると私は考えるわけでございますが、もちろんそのとおりということでございましょうけれども、ほんとうの大臣の心境をお尋ねいたしたいと思います。
西村直己
70
○国務大臣(
西村
直己
君) 先ほど私が申し上げましたように、党と
政府
は一体でございますから、政治的に責任はございます。それははっきりわかります。ただ法律上
政府
が
価格
を
決定
する、これは法律上の責任は
政府
にございます。それからなお、党といえども御存じのとおり食管の根幹を堅持する、そして
価格
は適切にきめる、これが党の正式の公約でございまして、党議できまった適切なる
価格
をきめる、この適切なる
価格
の中には農民の声も体しましょう。同時にまた、四囲の、先ほど申し上げました諸般の
事情
というものも十分に考慮しながらきめる、こういうことでございます。
高橋雄之助
71
○
高橋雄
之助君 さらに、次の点について申し上げたいと思いますが、先ほどからも、村田
委員
、中村
委員
からもそれぞれ今年の
諮問
された
内容
についてお尋ねをされておったわけでございますが、私も
——
大臣が米審に
諮問
された
内容
は従来と実は違うわけでございます。この主文についても、先ほどお話があったとおり、従来でありますれば
昭和
四十何
年産
の
米穀
の
政府買い入れ価格
を、
生産費
及び
所得補償方式
を
基本
として
算定
すること及びこれに対し留意すべき
事項
について
米価審議会
の
意見
を求めるということにとどまるのじゃないかと思うわけでございます。しかし、この前のほうには、
需給
の問題等もいろいろ掲げて、それらを含めてひとつ考えてもらいたい。これは大臣からいろいろ先ほど答弁がありましたが、しかし私どものほうでいろいろ大臣のほうにも申し入れておることについては、この
消費者米価
その他についてはこの際触れないでくれ、あくまでも
生産者米価
についてのみこれを
諮問
してもらいたい。農林省設置法の中におけるいわゆる米審の持つ任務、使命というものは当然明らかになっておるわけでございますが、これはやはりこちらから特にこのことを留意してくれということでなく、先ほどおっしゃったように、米審そのものがいろんな諸般の
事情
を考えて、こういうことで建議したいということでされたものについてはこれはとめることはできませんけれども、特に前に
諮問
されることはそれらを含めて
諮問
してもらいたいという
考え方
が明らかになっておるわけでございますが、これは従来と変わっておる点については私ども非常に疑問を持つわけでございます。特に
食管制度
の問題が非常に多く流布されておる中においてこれは重大な問題でありますので、この場合この問題を取り上げてもらいたくないということを特に申し上げておるわけでございます。が、この点について大臣の
諮問
されたその心境というものをお伺いいたしたいと思います。
西村直己
72
○国務大臣(
西村
直己
君) 私は別に
食管制度
を
諮問
いたしておるのじゃございません。それはもう先ほど申し上げたとおり。ただことしの
米価
をめぐる諸
事情
というものは昨年とはだいぶいろいろ
事情
が違っております。御存じのとおり、まず
政府
の立場、自民党の立場としては総合予算制というものをひとつとっている。これは国会におきまして、一応予算というものを通過させる段階において論議され、
決定
されたものでございますが、これも
一つ
の環境でございます。それから非常に
古米
がこれから多くなるということは現実であります。この処理には私どもは非常に工夫をこらして、そして来年のつゆあたりまでこの
古米
を持っておれば、ことしの
古米
がもし二回もつゆをこすということになればこれはたいへんなことでございますから、そういうことがないように十分に考慮する。同時に総合予算制の
関連
から、
消費者価格
との
関連
というものも起こりやすいのでございます。そういう諸般の
事情
を考えるというと、もう
一つ
は逆ざや現象というものが
相当
な状態、こういうようなことも考えた中で、
生産者
、
消費者
の
関係
というものを一応御留意することがあるならば御留意してもらいたい一これは私は聞くべきじゃないか、こういうたてまえで聞いておるわけでございます。
高橋雄之助
73
○
高橋雄
之助君 その点が非常に私どもと考えが違うわけでございまして、これはいま時間がございませんから、いろいろ論議しますと
相当
の時間になると思いますので……。これは総合農政の推進の問題、あるいはまた農業
基本
問題
調査
会、いろいろの問題等々がございますので、これはあとにいたしますが、先ほど
内容
についてもいろいろ質問がありましたが、この
諮問
された
内容
について特に昨年と今年が大きく違っておることは、指摘された問題でございますが、まず第一に
概算金
について、従来は無利子でございます。無利子で
概算金
を支払われたわけでございますから、
生産者
も非常にその点は喜んでおったのでございます。が、今年は
概算金
についての利子を控除することになっておりますが、これまた全く従来と
考え方
を違えておる。こういうような、まことに農民に対して、すべてあたたかい気持ちでなく、
——
ほんとうに喜んでもらおう、大いに
生産
してもらおう、大いに努力してもらおう、こういうものでなければならないものを、本年はいま申しましたような、いわゆる米が非常に余った、これからの
生産
についてもいろいろ問題がある、まずこういうことについても今年からこういう点までこれは利子をもらいたいというような言い方、これはまことに私は心から反対するものでございます。 それから、
生産
性向上のメリットの問題は、先ほどるるお話がございました。これも先ほどおっしゃったとおり、われわれは単にメリットの問題の
内容
については、これはあくまでも
考え方
は別にしておるわけでございます。先ほど申しましたとおり、いわゆる農業の近代化、あるいは合理化、あるいは機械化、こういうことに大いに力を入れて、それで
生産
のいわゆる合理化をはかって、
生産
の増強をはかる、その努力に対するメリットでございます。こういう問題を含めてのメリットを昨年あるいは一昨年からこの問題を大きく取り出して、そして農林省もそのように指導しておるんであるから、大いにひとつ農民すべてがそういう点に留意し、努力し、そうしてその成果をあげてもらいたい、そのためにはこうしてやるよ、こういうような
生産
性の向上に対する態度であるんです。それを、これもまた二分の一、ことしは切りましょう、こういうこと、それから
地代
の見方、それは先ほど村田
委員
がいろいろと言いましたが、これはまさに村田
委員
の質問しておる
内容
は私どもも重々覚えておるわけです。これは農林省は非常に統計の
内容
についても十分調べてもらわないと困ります。これは非常に違いがある。さらにまた限界
生産量
の問題でございます。これはいままでこの問題については過去何年もやってきておるわけです。八〇%のバルクラインのこともありますし、いろいろあるわけでございますが、本年はこの点で五年間にこれをいわゆる全国
平均
反収
の
数字
に持っていこうという
考え方
に立って算出されておるということは、少なくも
諮問
する
内容
をいかにして低くするかという事柄を重点として考えた以外の何ものでもないということは明らかでございます。こういうことではいま
諮問
されておられるいわゆる
試算
の
内容
についてはわれわれはまっこうから反対せざるを得ない、かようなことでございますので、その点を今後われわれもいわゆる作業の中でこの問題を究明してまいります。ですから農林省もこの点については十分ひとつ率直に
内容
を明らかにして、その上に立ってわれわれがどういうような
米価
にするかということは、正しい
数字
の上に立ってものを考えなければならないわけでございますので、その点はひとつ明らかにしてもらいたい、そういうことでございますが、いま私が申し上げたことについては何か変わった点がございますか、次長さんにお伺いをします。
田中勉
74
○
説明員
(田中勉君) 先ほど村田先生の場合にもお答え申し上げたわけでございますが、ちょっと
地代
の問題につきましては、小作地につきましては実納小作料、それから自作地につきましては近傍類地小作料というような形で
統計調査部
が一応集計しているわけでございますが、私ども考えておりますこの統計小作料につきまして、作付地全域にこれを適用しているわけでございますが、かりに小作地につきまして、いわば
統制
小作料を
相当
な
改定
をいたしました段階におきまして、やはり実納小作料ということになりますと、
相当
やみ小作料等が出てきていることも事実でございます。それにまたそれを追加した形において
生産費
の中に織り込むということではまた来年に対する悪循環を来たす、それがまた
米価
にはね返ってくる、こういうようなことからいたしましても、この際
統制
小作料によりまして全作付地に適用するのが適当ではないだろうか、こういう
考え方
に立っているわけでございます。 それから最初に御質問のございました
概算金
の利子につきまして、ことし控除するということになったわけでございますが、この点従来
一つ
の政策的な
配慮
からこれは控除しないという期間が
相当
続いたわけでございます。もともと
生産費
方式
ということになりますると、やはり原価性のあるものについてその各諸
要素
についてこれを取り上げるということが筋なわけでございまして、御記憶かどうかわかりませんけれども、三十六年には一度この
概算金
の利子につきまして控除したという年があるわけでございますが、その後におきましてはずっと
一つ
の
配慮
によって今日までその控除しないということが続いているわけでございます。こういういろいろな
生産
事情
あるいは
需給事情
というような背景等を考えますると、やはりこの
生産費
、
所得補償方式
につきましてはそういう各
要素
につきましてそれぞれその持つ原価性と申しますか、そういうものをやはりはっきりさしていくほうが、この
生産費
・
所得補償方式
を今後続けていく場合においての忠実なあり方ではないかというようなことで、この
概算金
の利子につきましては控除するという
考え方
をとったわけでございます。 なお、
生産
性の向上のメリットということにつきましては、先ほども御指摘ございましたように、昨年は政策的な
配慮
という意図で取り上げたわけでございますが、これらの点につきましても、ことしはやはり検討を要するのではないかというようなことで
試算
値の中に取り入れたわけでございます。先ほど村田先生に申し上げましたことと変わったことはございませんけれども、十分御
意見
のある問題ではあるというふうに考えております。
高橋雄之助
75
○
高橋雄
之助君 いろいろといまの食糧
事情
の問題から非常に苦肉の策を講じておられることだと思いますが、私は
農林大臣
が先般来省議で発表いたしましたいわゆる総合農政の推進、こういう問題等も、これは確かに単なる米の問題ばかりではなくて、農業全体の、農産物全体の問題の中でこれは当然取り上げなければならないし、積極的にこれは具体的な案を立てて、それに予算をつけてこれを推進するということでなければならぬと思います。その構想については、私どももこれは賛意を表するわけでございますが、時期的にいまそのことを考えてみても、何らこれは具体化していないということでございます。したがって、この問題はこの問題として一応片づけておいて、そうしていわゆる今後日本の農政を、いわゆる農業をどうするかという問題の中で真剣に取り組んで
一つ
の案をつくり、それを国会で十分
審議
し、その方針をきめて、それに十分な予算をつけていく、その中で、やはり米ばかりではなく、ほかの農産物、すべて農業全体をいわゆる推進せしむるのだということでなければならないと思うのでございます。そういう具体策が出ない中にこういう問題を出していくということはまことに不適当なことであり、その時期ではない、かように考えるわけでございますので、これは私の強い
意見
として申し述べておきます。 さらには五百万農民が本年の
米価
についてなぜこのようにいつもより以上に怒りを持ち、あるいはまた
政府
に対し、あるいはまた党に対しても非常な不満を持っておるかということは、春の米審の任命から始まっているのでございます。いわゆる
生産者
、
消費者
を入れない米審というものは、まことにわれわれの不満やるせないものだということから始まっておるのでございます。われわれも党の最高の方々に何回となく会っております。ぜひとも本年は党の責任というならば、党は農民に対してこういうふうにやったぞ、
政府
はこういうふうにやったぞ、こういうふうにして何をやってくれたというような安心感を与えてやらなければこれはだめだと思うのでございます。いわゆる一月以来の問題を解決するのはそこに焦点があるわけでございますから、そういう意味で大臣も一応
諮問
されて、あす朝あたり
答申
があるのでございましょうが、しかし問題は問題として、そういうような事柄を十分ひとつ
念頭
に置いて事を進めてもらわないと、これは今後非常な問題になろうと思いますので、その点を十分ひとつお考えを願いたいと思いますが、
最後
に大臣のひとつお考えをお伺いいたしたいと思います。
西村直己
76
○国務大臣(
西村
直己
君) 私の答弁は先ほど繰り返して申し上げたような
状況
でございます。私としてもこの
試算
を出しますが、ただ簡単に出したものではございません。諸般の
状況
下におきまして考えて出したものであります。しかし同時にまた、これは
諮問
いたしておるのであります。最終責任は
政府
が諸般の
事情
を考慮し、また党側の内部の
関係
で、一体的な
関係
で考慮した。ただ、ことしの米をめぐる
状況
というものにはいろいろなきびしい
状況
があるということも、また十分お考えいただきたい。私は農民を決してたたくとか、そういうつもりじゃございません。長い目で見ながらやはりやっていかなければならない農政であるということもあります。特に私の農政が、あとで出せばいいじゃないか
——
そんな簡単なものではありません。あれだけいろいろな方面から
意見
が出ておるときに、
農林大臣
として所信を出さぬということは、むしろいけないというのが私の信念でございます。
和田鶴一
77
○
委員長
(
和田鶴一
君) 本件についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後八時十九分散会