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1968-05-09 第58回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

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  1. 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、 (会議録情報)

    昭和四十三年五月九日(木曜日)    午前十一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 山崎  昇君     委 員                 大森 久司君                 熊谷太三郎君                 菅野 儀作君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省自動車局        長        鈴木 珊吉君        運輸省航空局長  澤  雄次君        海上保安庁長官  亀山 信郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律等の一部を  改正する法律案内閣送付予備審査) ○昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。関係当局からの御出席は、田中総理府総務長官矢倉恩給局長、以上の方々でございます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 この恩給関係法律案が出ましてから、衆議院でもかなり質問戦が展開されておりますし、また、この委員会でも伊藤委員やら山本委員等からかなり詳細な質問戦が展開されておりまして、ほぼその全容については理解する点もあります。しかし、私はどうしても二、三の点であらためてお聞きをしておきたいと考えますので、ごく論点をしぼってお聞きをしたいと思うわけであります。  まず総務長官にお尋ねをしたいのですが、恩給性格について長官見解を聞きたいわけです。
  4. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) 恩給性格という問題は、恩給法それ自体には性格規定はございませんけれども、まあ通念として今日まで申されておりますことは、多数説といたしましては、公務員が公務を執行するために失った経済上の取得能力を補なうものであるというふうな考え方で、これがまあ多数説であろうと存じます。その性格からいたしまして、国家使用主としての立場から給付するという形をとっているように考えます。
  5. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 そうすると総務長官見解では、この恩給というのは所得保障とお考えですか。
  6. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) 大体そういった線でございます。
  7. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 いま長官から大体所得保障というお考えの御答弁がございました。そこで、私は最近の恩給制度というものを見ると、老齢者でありますとか、あるいは傷病者あるいはまた遺族の生活保障、あるいは他との、公的年金制度との関連、その他等々考えると、所得保障よりはむしろ生活保障に移りかわっているのではないだろうか。もっと広くいえば、社会保障一環として恩給制度というものをとらえる必要があるのではないだろうか、こう考えるのですが、もしそういう考え誤りであれば、こういう点について誤りである、誤りでなければ、社会保障的な考え方でいいのだというような見解について、総務長官見解を聞きたいのです。
  8. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) まあ戦後における恩給法改正経緯から考えましても、経済事情変動でありますとか、または他の公務員制度改正に伴ないまするものとか、戦後の特殊事情によるものがございますが、直ちに恩給社会保障制度であるということは言い切れないと私は存じます。その中には社会保障制度とは違った要素のものがだいぶ入っておりますことも事実でございます。
  9. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 いや、私も恩給制度そのもの社会保障制度だとは断定できない点が多々あると思うのです。ただ第二条ノ二の規定挿入でありますとか、あるいは今度の恩給審議会答申を見ましても、物価との問題であるとか、あるいは生活水準の向上に合わせて措置をしなさいとか、そういう点等考えてくるというと、どうしても私は、やはり社会保障的な性格に移行しているのではないだろうか、そう理解することが、この恩給制度理解する上に根本的な問題ではないだろうか、こう考えるので、もう一ぺん長官見解を聞きたいです。
  10. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) そこで、山崎先生のこれが社会保障制度であるということは言い切れない、中にいろいろな精神的要素や、またいろいろなファクターが入っております。そこで私どもは、社会保障というよりは、むしろ社会政策的な制度として把握してまいりたいと思っております。
  11. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 社会政策的ということになれば、私はやはり少し性格が違うと思うのです。私はどうしてもいまの恩給というのは、たとえば二十八年の軍人恩給復活以降の経過を見たり、あるいは今度の恩給審議会答申を見たり、あるいはまた、先ほど指摘しましたように、老齢者でありますとか、傷病者生活とかいうと、一番最初恩給制度考えられたときの、当時の俸給を基礎在職年基礎にして所得を保障するという制度からかなり離れてきているんではなかろうか。言えば直接の人の生活を保障する。ですからそういう意味からいうならば、他との、公的年金制度との関連密接不可分になってきたし、そういう点等をあわせて考えると、どうしても私は広い分野でいって、社会保障的な考え方でこれを理解をしなければ、将来誤りをおかすようなことがあるのではないだろうか、こう心配しますので、やはり社会保障的なものの考え方政府も見詰めていくというならいくという考え方を明らかにできないものか、もう一ぺんお尋ねしたいと思います。
  12. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) いまの御質問は、私は、たとえば社会保障制度的なものと規定することによって、これから今後のいろいろな施策の上において、それを演繹なさってのいろいろな政策が展開せられるのであろうとは存じますけれども在職年でございますとか何とかいうふうな、いろいろなものからいたしまして、ただ単に老齢年金でございますとか何とかいうような社会保障制度のようなものとは、やはりおのずから本質を異にしたものがある。そのいまのたてまえと申しますか、これはくずし得ないものがあるんじゃないかと考えるのでございます。
  13. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 重ねてお聞きしたいのですが、たとえば国家公務員共済組合法の条文を見ても、第一条の二に、ちょうど恩給法の二条ノ二と同じ規定挿入されてきておる。そうすると従来公務員恩給制度というものは共済制度に移行しており、共済制度というのは、これは御存じのとおり、多少やはり社会保障的な性格が濃厚になってきておる。こう私ども考えてきてみると、今度の二条ノ二の挿入、並びに審議会答申時の傾向からいって、やはり社会保障的な性格からこの恩給というものを見詰める必要があるんじゃないか、こう考えるのです。その点もう一ぺんお聞きしておきたい。
  14. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御主張に別に反論をいたすわけではありませんが、どちらかと申しますと、共済年金としての問題等は、むしろ年金的な保険的要素が入っておると存ずるのでございまして、原則といたしましては、経済事情変動に伴ってこれを基礎としての年金額改定を行なっておる。そのことをもっていたしますると社会保障とは、どうもそればかりとはいえないような考え方でございます。むしろ社会保険的な共済年金考え方との問題で、社会保障制度と申し得ましょうか、どういうふうに規定したらよろしいか。その辺が私は、やはりバックボーンとしての在職年限とか何とかいうふうなたてまえはくずさない。しかも当初のお話のようなものとは性格に変化が出てきておる。それから他の共済年金なんかの新しい制度もできておる。だけれども共済年金がこれは社会保険のものであって、社会保障制度ということは、少し私はやはりニュアンスやら、あるいは今後のあり方も違ったものが残るのではないかと考えます。調整規定となりますと、やはり同じような考慮が払われなければならないと思いますけれども、その点どうもやはり他の要素が多分に混在いたしておるように感じます。
  15. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 長官見解も、私のほうで全く否定をしてものを言っているわけじゃないんです。しかし、恩給制度の由来をずっと見ると、何といっても恩給納付金はやはりかけておったわけですね。そうすると、いまの社会保険制度である年金制度だって掛け金を納めている。ただ、掛け金の納め方は多少違いはあります。そういう性格論をずっと見ておると、当初は所得保障で発足した恩給なんだけれども昭和二十八年の軍人恩給復活やら、あるいは二条ノ二の規定挿入やら、あるいは他の公的年金制度との調整の問題やら、さまざまな要素を私ども考えてみると、恩給制度というのは、もはや社会保障的な見方からこの問題を理解しておかないと、たいへんになるのではないだろうか。こういう意味見解を聞いているのであって、社会保障制度そのものだという見解をずばり聞こうと思っているわけじゃないんです。ただ、恩給制度の移り変わりというのは、現在はもうそこへきているのではないだろうか。そうものを見ないというと、あとでこれは物価その他でお尋ねいたしますけれども、そういうものの理解がなかなか困難になってくるのではないだろうか、そう思いますので、たいへんしつこいようでありますけれども、もう一ぺんだけ。恩給制度というものはすでに社会保障的な見方理解しなければならない段階にきたのではないか、こう私は思っておりますので、長官見解を聞きたい。
  16. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) 社会保障制度と申しますことばの表現の問題でございますが、これは狭義の社会保障制度というものと、それから広い意味での、広義の社会保障というものが考えられます。広い意味考えますれば、仰せのごとく、山崎先生のような社会保障一環である、かようにお考えいただきましても、これは私けっこうだろうと思います。
  17. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 この論ばかりやっておったのでは進まないから、私はぜひ政府のほうも、恩給というのは全額これは国庫でやるわけですから、特に公的扶助になるわけですね。そういう意味で、私はよけい一般の年金問題よりは社会保障的なものの見方をする必要があるのではなかろうか、こう思っておりますので、ぜひそういう方向で絶えず理解を願いたい、こういうことを申し上げて、次の質問に移りたいと思うんです。  そこで、恩給法の第二条ノ二の調整規定を見ますというと、たくさん書いてありますが、最後に、「速ニ改定措置ヲ講ズルモノトス」、こうなっておるのですね。したがって、政府には講じてもいいとか、講じなくてもいいという選択権はなくなってくる。当然一定の要件制度化され認められれば、それに従って講じなければならない義務政府に生じておるのじゃないか、こう思うのですが、二条の「講ズルモノトス」という表現のしかたが、政府として義務規定だとお考えだと思うのが第一点と、第二は、「速ニ」とうたっておるところにこの二条ノ二の規定の重要さが私は出ておると思うのです。これが一昨日ですか、山本委員からも質問されましたように、おくれたのでは何にもならないわけです。そういう意味敏速性というものと義務性というものについて、まず政府見解を聞いておきたいと思います。
  18. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) この点は審議会にも常時関係を持っておりました担当局長のほうからお答えをいたさせます。
  19. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 第二条ノ二には、先生の御指摘のように、いわゆる著しい変動がございました場合に改定するものとするというふうな、するという義務規定に類する規定が出ておりまして、したがって、恩給年額をどのように見直していくかということは、やはり恩給実質的価値維持という線から、政府側としても当然これに対して配慮を要するところでございまして、したがって恩給審議会は、その線からどのように考えたらいいだろうかということで、御承知のような消費者物価ということを少なくとも最低の不可欠の要件として考えていくという線を出されたわけでございまして、したがって、この審議会答申を受けて政府側制度化考えてまいります場合に、こういった不可欠の要件ということと、それから実効性の確保という面で、先生の御趣旨のような面を十分に含みとして制度考えていく必要があるのじゃないか、かように考えております。
  20. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 これは答申全体についての政府見解とも関連するのですが、特に二条ノ二の調整規定というものは、今回の答申の中でも最優先に書かれている規定なんですね。そうしてさらに、先ほど私のほうから申し上げましたように、これはすみやかに実施されなければ何の意味もないわけですね。実質的な価値低下を防ぐこともできない。そういう意味でこの二条ノ二の規定については、一体制度化について、いつごろを政府はめどにしてやられるのかということが第一点です。で、一昨日の副長官お答えでは、積極的にやります、この夏場の間に検討を加えて何とかしたいと思いますという答弁であったわけです。これから私が類推をすると、少なくとも二条ノ二の規定の具体的な方法論については、次の通常国会ぐらいまでに出てくるのじゃないかというふうに考えますが、少し早急ですか、あるいはそのころまでに運用方針が出されるお考えなのか、まずお聞きをしたい。
  21. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 副長官からお答えを申し上げておるわけでございますが、調整規定運用にあたりましては、審議会答申をごらんいただきますとおわかりいただけますように、制度化ということを一つうたっておりますし、それからこれには当然調整規定運用にあたっての経過措置の問題もございますので、そこでそれらをあわせて考えていくというのが政府側のこれからの考え方であろうと思います。したがって、その辺に実は、先生もごらんいただきますればわかりますように、実は消費者物価だけを問題にしておるのではなくて、そのほかにいわゆる公務員給与も、それから国民の生活水準という要素も、やはり実は審議会としては考慮しないでいいといっておるわけではございませんのでして、それらの相関の関係もございます。したがって、これらの運用については、政府側配慮を求めるような、実は消費者物価については明確な基準を示しておられますが、その他の問題については必ずしも明確になっておらない。そこに政府側のこれからの検討の問題がございますので、したがって副長官お答え申し上げましたように、できるだけ早い時期にこれの検討をいたしてまいるのが、われわれとしても当然のことでございます。  そこで、御承知のように、三月の末に答申を受けたわけでございますが、実はいわゆるこの調整規定内容をどういうふうに具現化するかにつきましては、いろいろな審議会の紆余曲折がございまして、そういうふうな点も私たち事務当局として伺っておりますので、そこら配慮の中でどういうふうに考えるかというふうな点についての検討を、政府側として大臣を中心としてお願いをしよう、かように考えておるわけでございます。
  22. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 そこで、私ども審議会討議ということは、内容全然知らないわけです。そこで絶えず審議会に出られておる局長に具体的に私は、どう討議をされたのか二、三お聞きをしたいと思うのです。  第一は、消費者物価が五%上がった場合には考えなさい、こう第一になっているのですが、もしも四%であるとか、あるいは四・五%であるとか、いわば五%未満の場合が続いた場合に、一体どうなってくるのか。その場合に、一昨日ですか、局長お話では、たとえば四%ずつ二年間続けば八%になるから、そのときに八%の改定を行なうような意味のたしか発言があったと私は聞いておったのですが、そういうふうに理解をしていいのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、すみやかに実施しなければ、貨幣価値低下を防ぐことはできないわけですね。ところが、私は私なりにどう考えてみても、かりに二年間四%ずつしか上がらないとすれば、三年目でなければ改定という措置は具体的に日程にのぼってこない。さらに予算編成との関連考えますと、物価が八%上がって、実際に恩給改定をされて、受給者がその恩典に浴するには四、五年という歳月がかかるのじゃないだろうかと私は想定をするわけです。そうすると、この答申の中にあります、実質的な価値低下させないようにしなさいというものの考え方と、物価の上昇に伴う恩給額改定措置との調整というものは、どうはかられるつもりで議論されたのか、この点を第二としてお伺いをしておきたい。
  23. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) この審議会での討議内容は、いろいろな問題を想定して討議をされてまいりまして、結果的には、消費者物価五%以上という基準を出されたわけでございます。そこで、先生の御指摘のような、五%という基準が出てまいりますと、必然的に四%の場合はどうなる、こういうことが出てまいります。したがって、いわゆる政府に必ず改定をしなければならないというふうに義務づけるような状態を想定いたしますと、少なくとも五%という基準線が出てまいります。で、さような点から四%というものは、そういう点においては、その年度において改定をするという措置は生まれてこない。したがって、翌年度のいわゆる消費者物価の増加というものは、御承知のように、それぞれ公式統計が出てまいりますので、そこでそういうことをにらみながら、結局かりに五%をこえていくという場合には、やはりそこに改定の要因が生まれてくる、こういうことになろうかと存じますので、そういったことが制度化の今度は内容になってまいりますので、それをどういうふうに改定があるモメントで動いていくかという点についての問題点が、実はわれわれのこれからの検討課題になるわけでございます。  さようなことで、先生お話のように、たとえば四年も五年もということになれば、実質価値というものの維持が困難になる。そこですみやかにというものがあるのであろう、ごもっともでございます。ただこれまでの実は恩給増額をいたしてまいりましたのは、実は調整規定のあるなしにかかわらず、政府側としては、やはり恩給年額について絶えず見直していくということが必要であったわけですが、そういう点でこれまでの改定措置は講ぜられてまいったわけでございます。そのときの基準のとり方は、法規定がございませんし、したがって、そのときのどういうふうな条件によっての改定をするのが最も望ましいか、こういうことで、山崎先生の御指摘のような消費水準方式というような方式をとったという状況でございます。したがって、その点からも、旧来運用というものも、実はたとえば二年に一回というふうなこともございました。そういうところにやはり旧来政府側のとってきた方針、それの連続的な実は制度として考えていくということも、今後の措置としては考えられるのではないか。こういう点が、消費水準方式をとってきた政府側考え方や、これまでとられてきた改善のあり方という経緯も追いつつ、審議会でこういうふうな五%方式というものをおきめになったわけでございます。
  24. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 いまるる御説明いただいたのですが、政府が諮問をして、審議会から答申が出されて、いままで基準があるようでなかった調整規定運用について、明確な答申が出されたわけですね。したがって私は、政府がどういう制度化をするにしても、この物価の五%ということは動くことはないであろうという想定の上で、私は質問しているわけです。  そういう意味から、先ほど具体的に私が聞いたのは、物価は一年おくれでなければわからないんですね。たとえば今年度物価についても来年でなければわからない。それから来年の物価は再来年でなければわからない。そういうことを具体的に私ども考えてみますと、五%以上物価が上がれば、翌年すぐ直すということはできると思う、自動的に。しかし、そうでない場合には、局長が言われるように、二つの理由等もいろいろ検討はするにしても、物価だけ取り上げてみても、四%ずつであれば、二年か三年目でなければ改定の作業は入れない。それから予算編成をやって、法律を直して、受給者が受けるまでになるにはどうしても数年、四、五年かかってしまうのではないか。まあよけいな事務的な心配をしてもそういうことになる。そうすると、答申がせっかく述べている、すみやかにということと、それから実質的な価値低下を防ぎなさいということの調整を、どう議論されて、また政府は、それについてはまだ最終結論がないにしても、ある程度考えがあるのではないだろうかと私は思うので、いまお聞きしたわけです。  ところが、局長からるる説明がありましたけれども、どうもその辺が明快でないのですね。したがって、二年間で八%になったら、三年目にはもうすぐ予算編成をして、法改正をして、受給者に損をかけないようにするというのか、それからまた、第二、第三の、公務員給与だとか生活水準だとか、そういうものとの関連考えながら、あるいは他の公的年金制度との関連考えながら、何か検討してやれば、さらに一、二年延びるのではないだろうか。そうすると、どうしても最低五%以下の物価の場合には、四、五年先でなければ現実的に受給者恩給年額改定ということにはならないのではないかと、私はどうしても心配するわけです。ですから、その点もう少し明快にお答えをいただきたい。
  25. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実は、私のお答え申し上げます点が、必ずしもすっきりいたしませんのは、実はこれからまだ制度化検討材料を頭に置いて申し上げておりますので、そこで明確にこうなるということが非常に申し上げにくくて、特に消費者物価だけを問題にするということじゃなくて、公務員給与等もございますので、そこらの辺のかみ合いの問題もありますものですから、先生の御心配いただきます点は、実は私たち自身が、恩給がそういう実質価値というものの維持ができないということについては、私たちも一番心配いたしておりますので、さような点から、そういうふうな先生の四、五年先というお話でございますけれども、少なくとも物価が、たとえば四%ずつでずっと継続的に、そのあと上がらないということでございますれば、確かに非常におくれが出てくるかもしれませんが、そうではなくて、五%という点が、少なくとも二年度の間に五%をこえてしまえば、必然的に翌年度予算措置考えるというふうな措置をとることが、やはり政府側考え方としてはある程度出てくるのではないかと思われますけれども、ただいま申しましたように、政府全体の課題でもございますので、実は明確にお答えできないという、こういう点を御了承いただきたいと存じます。
  26. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 確かにいま検討中でしょうから、そういうきぱっとしたお答えがないかもしれないということは私も理解をします。しかし、いずれにしても、この問題は目六体化されればされるほど、いま申し上げたような事態に私は追い込まれると思うので、この点はいま局長も一番心配だと、こうお話ですから、ぜひ実質価値低下にならぬようにやってもらいたいと思う。  さらに私は、関連をしてお聞きをしておきたいと思うのは、第二番目に公務員給与との関係政府が合理的判断をしなさい、こうなっているんですね。そこで、これも検討中でありましょうが、審議会検討された内容やら、あるいはいまあなたの頭の中にある程度の案があれば御説明いただきたいと思うのですが、私の聞きたいのは、かりに物価は四%くらいしか上がらない、しかし公務員給与は、たとえて言うと、一昨年七・六%、昨年七・九%、ことしもまた、春闘であるとか、あるいは公労協の賃金の相場から考えて、おおむね昨年並みか昨年以上の勧告であろうと、これは推定であります、こう考えますと、物価の上がり方は五%以下なんだけれども公務員給与は七%も八%も上がる。そうすると恩給の仮定俸給との間にかなりな差が出てきますね。そういう問題について、物価公務員給与との関係というものを、どうこれは関連づけて議論されたのか、これが第一の問題ですね。  それから第二の問題は、生活水準の向上という内容なんですが、これも審議会でどういう議論をされたのか、御説明願いたいと思う。そこで、生活水準というものを何ではかるのか、まあはかり方は一ぱいあると思うのです。たとえば国民所得の上がり方でありますとか、それから消費水準がどうだとか、あるいは生産がどうだとか、経済上ではいろいろあると思うのですが、いずれにしても、生活と密着した点で生活水準というものを考えなければ意味がないと思うのです。そういう意味で、第二番目には、生活水準の向上というものの討議内容がどういうことが討議されたのか、できればひとつ御説明いただきたい、こう思う。
  27. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 公務員給与につきまして合理的な判断ということで、一応政府側の判断にゆだねるという答申が出ておるわけでございます。で、これは先生も御承知のように、公務員給与内容というものが、たとえばいまの人事院が勧告するときの基礎材料になっておりますのは、いわゆる生計費というものが入っております。それから民間の給与というものが入っております。そこらの辺から考えますと、いわゆる公務員給与の引き上げの中にはいろんな要素が加えられておりまして、その中には当然いわゆる消費者物価の上がりというものも生計費というものの中に入ってまいります。いわゆるマーケットバスケットと呼んでおります。そこで、そういうことを一つ要素にいたしてまいりますと、公務員給与というものをどういうふうに取り上げればいいだろうかということが非常に議論になりまして、で、そうしますと、公務員給与内容はこう、ばらでいって、そしてこれはどういう要素によってこうなっているんだということが非常につかみにくい。そこで、一番つかみいいのは消費者物価ではなかろうかということで、消費者物価というものを不可欠要件ということにしようじゃないかという議論になって、そこでそういうふうに考えてまいりますと、いわゆる消費者物価というものを考えるときには、生活維持分として考えていくということが最低要件になるわけであります。そのほかに公務員給与というものの中に考えられてくる引き上げ分というものには、生活向上分というふうなものも入っているであろう。そこで、そういう点が国民の生活水準に出たり、公務員給与の中でも出る。そこで退職された人たち年金である以上は、公務員ということを前提にするのが第一の考え方である。そこで公務員給与生活向上分というものを、ある程度他の公的年金制度との関連を考慮しながら、そこらの辺を政府側考えていったらよかろう。ただし、それをどういうふうに基準的に出すかということは非常に困難だろう。そこで政府側に判断をゆだねるということをされたわけであります。そうして、その国民の生活水準をそれでは考えなくていいのかということになりますと、やはりもう一本の柱として入っておりますので、そこで公務員給与考えるよりは、国民の生活水準考えたほうがよろしいという場合には国民の生活水準考えてはいかがであろう。その国民生活水準というのは、御承知のように経済企画庁で一つの統計数字として出されますから、その辺の配慮の中で政府側として考えていく、いわゆる補完的要素として考慮していってはどうだろうか。こういう実は御議論でございました。
  28. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 審議会の討論の内容はよくわかりました。ところが私は、いま御説明を聞いておって、さらにはっきりわからないのは、恩給性格からいくと、どうしても基礎俸給と在職年基礎にならなければならないわけですね。ところがそれが何回か改定がありますけれども、なかなかうまい方法がないというようなこともあって、勢い物価に中心が置かれておると思うのです。ところが二条ノ二の規定をよく読んでみると、先に書いてあるから重いとか、あとに書いてあるから軽いという意味ではありませんけれども恩給性格から言えば、物価に力点を置いて恩給年額改定するということは、多少ことばは悪いのですが、私は邪道になるのじゃないかという気がするのです。もしそうだとすれば、いま局長の言われましたように、やはり国民の生活水準なり、あるいはかって公務員であったわけでありますから、したがって、いま在職中の公務員の状態等々が一番中心に議論されなければならない。それがなかなか明快な基準が出ないから、やむを得ず物価に何か力点を置いたような答申になっているのじゃないだろうか、こう思うのですね。  そこで、私が疑問に思いますのは、何としても物価だけが不可欠の要件であって、そうして他の二つの要件については補完的なものの考え方だとする審議会討議のしかたには、どうしても私はちょっと疑問を感ずるのですが、したがって、政府は、そういう答申を得たわけでありますが、一体これから作業にあたって、答申どおり物価を最重点としてあなた方お考えになるのか、そうして公務員給与と国民生活の向上というものを補完的な要素としてお考えになるのか、これはとり方によってはたいへん重大な問題じゃないかと思うので、もう一ぺんひとつ、これから討議するにあたって政府見解をお聞きしたいと思います。
  29. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実は先ほど来申し上げておりますように、制度としてまだこれからどうするかという点は、未決定でございますので、政府側見解としてお答え申し上げるということは、また、大臣中心での話し合いの中から生まれてくるわけでありますので、お答えは御容赦願いたいと思います。  ただ、審議会として考えてまいりましたのは、確かに先生指摘のように、消費者物価よりは国民生活水準公務員給与のほうがいいんじゃないかという見解もあろうと思われます。なかんずく、公務員であった人たちだから、公務員給与基準のほうが一番望ましいんじゃないか。こういうことも確かに御意見としてごもっともな点はあるのですが、ただ、恩給そのものの、在職年と、それから退職時俸給で計算した一つのその人についての年金額がきまっておるわけです。その年金額を、現在の経済条件の中でどう考えたらいいのかということでございますので、そこで消費者物価方式も必然的にそれは一つ考え方として出てまいりますし、諸外国の中にも、やはり公務員であった人たち年金なんですが、要するに消費者物価方式をとるところと、それから公務員給与をとるところとございます。これはやはり世界的にながめても、そういう実質価値の保持のしかたとしては、そういう見方によって、そういう幾つかの方法が出てくるということを示しているところだろうと思われますので、そこでそういう諸外国の制度をいろいろ検討された中で、いわゆる消費者物価方式一つ実質価値維持の方法ではないか、こういうところに一つの線が出てまいったわけでございます。
  30. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 おおむね審議会討議内容はわかりました。しかし、いずれにしましても、これから制度化するにあたって、この補完的要素と見られる、政府に合理的判断を求められた二つの要素については、きわめて重要だと思うのです、物価もさることながら。そういう意味で、また、政府見解が出された段階で私ども見解を述べたいと思いますが、いずれにしましても、この二条ノ二の規定からいけば、すみやかにやりなさいと、こうなりますから、したがって早急に政府は、やはり制度化の方向についてお考えをいただきたい、こう思います。  そこであわせて、これは少し幼稚な質問になるかもしれませんが、昭和三十三年に国家公務員共済組合法が出たわけですね。したがって、あの法律の公布以降については、恩給年金としていま支給されているわけです。そこでお聞きしたいのは、年金として支給を受けているのですが、恩給部分がかなりの人がおると思うのです。そういう意味で、共済組合法の第一条の二にも、この恩給法の二条ノ二と同趣旨の規定があるわけですが、これについては、公的年金制度の連絡調整会議でも結論がまだ出ていない。したがって、いつこの一条の二の規定が発動されるのか、未定になっているわけです。幸い恩給法の二条ノ二の場合には、審議会からある一定の判断が示されているわけです。  そこで、私がお聞きをしたいのは、年金としていま受給されているけれども恩給分が九割を占めるような人については、当然、恩給額最低改定されれば、その人についての恩給部分について改定をされるべきでないのかと私は思うのですが、それについての見解をお聞きしたい。
  31. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) ただいま先生指摘のように、昭和三十四年から共済年金に移っておりますので、その共済年金に移すときに旧恩給部分については、既得権としてそのまま維持していくという制度になっておりますので、したがって、いわゆる旧令共済の恩給部分というものについては、片方で恩給についてのいわゆる調整が進んでいけば、旧令共済に持っていく、こういうことに相なろうかと考えるのですが、これは実は共済の関係は、実は大蔵の関係でございますので、私のほうからお答え申し上げにくいのですが、旧来のやり方と比べてみますと、御承知のように恩給を増額改定いたしますと、それと関連をさせて、共済年金におきましても増額改定をいたしておられる、その趣旨からどういうようになろうかという点が、およそ考え方として出てくるのではなかろうか、かように考えます。
  32. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 それでは次の質問に移りたいと思うのです。  今度の答申案を見ますと、公務員の給与水準と仮定俸給との関係についても答申が出されておりまして、この点は一昨日の委員会で、山本委員のほうから、スタートラインをきちっとしなさい、そうでないとどうも不明確な点が出てくる、こういう指摘がありました。おおむね局長答弁も私は聞いておるわけなんでありますけれども、もう一ぺんこの関係についてお聞きをしたいと思います。そこで今度の審議会答申は、スライド規定を実施することになるわけですが、現在の公務員の給与水準と恩給の仮定俸給との間にかなりの格差があるから、この格差をある程度埋めてスタートしなさい、こういう趣旨の内容になっておるわけであります。そこで政府としては、公務員給与との格差の是正というものをどういうようにお考えになるのか。もう一ぺんひとつこの点はお聞きをしたいと思います。
  33. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実はこの経過措置というのは、この調整規定を動かします場合には非常に重要な規定になろうかと思います。したがって、おそらく調整規定運用にあたって、政府側としてはどう考えるか。これがやはり一方の調整規定制度化とあわせて、政府側として検討しなければならない重大な課題だと思われますので、この点につきまして、特に審議会答申としては、昭和四十二年十月一日改定前の仮定俸給と、いわゆる国家公務員の給与の水準との間の格差というものを見て、そこの中からこの調整基準というものを参酌してある程度の改善措置ということがいわれておる。これもしたがって、実は審議会としては、こういう内容によってこういうふうなあり方をという基準的なものが明確にされておりませんでして、しかも、実はことばとしても、ある程度というふうな表現がございますところから、ちょっと審議会のこの答申の受け取り方というものが、政府側にこうあれということが、明確な示し方としてされておらないところに実は一つ検討課題が出てまいりますので、本件も十分にこの実態に即しながら、政府側としてこれらのあり方を今後の検討で打ち出してまいる、かようなことに相なりますので、実は現在の段階では、どういう基準でどういうふうな額をという点が、実は明確にお答えできにくい状況でございますので、その点も至急に政府側としては、方針をきめていただくようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  34. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 確かにこれから検討されることだと思うのですが、しかし、いま局長としてこれを考える場合には、こういう要素考えていいのではないのかというような点があれば、説明できる範囲でひとつ局長見解を披露してもらいたいと思う。これは私どももこれから検討するのに、多少はやはり政府がどういう程度のことをいまの段階で考えておるのかということを参酌しながら私ども検討してみたいという気がしますので、お答えできる範囲でけっこうでありますけれどもお答えをいただきたいと思います。
  35. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) ごもっともな御質疑なんでございますが、実はただいま申し上げましたように、まだ方針としてどういうふうに考えるかという実は協議が十分できておりませんので、私の個人的な立場での見解ということでございますが、これも私自身にも実は十分固まっておらない状況でございますので、ひとつただいまの段階ではごかんべんをいただきたいと、かように考えております。
  36. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 なかなか口がかたくて、頭に詰まっておることを出してもらえないので、具体的にお聞きすることは困難なんですが、やむを得ないと理解をして、次の質問に移りたいと思うのです。  その次に、この問題と関連をして、調整の方法について経過措置が述べられておるわけなんですが、その中に、いままでありました三本立ての問題を一本立てにしなさい。それからまた反面は、いままで厚遇してきた遺族や傷病者老齢者についても何らかの措置をまた考えなさいと、見ようによっては何か二律背反みたいな答申になってるわけですが、現在までの経過その他から考えれば、これはまたある程度私ども理解をしていいのではないかと、こう思うのです。そこで、この三本立てを一本立てにせよと、こういうわけなんですが、これまた、今後の検討と言われれば、私どもも何をかいわんやなんですが、いまの段階でやはりどの程度のことが考えられるのか、ぜひひとつ具体的な考え方を明らかにしてほしいし、それから反面、言われておるこの傷病者、遺族、者の厚遇措置も、どの程度どう続けていったらこの一本立てとの調整がとれるのか、そういう点についても、もしもお答えができるならば、少し具体的に御説明をいただきたい。
  37. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 先生承知のように、また今回提出しております恩給の改善についての法律案そのものの中にもあらわれておるわけですが、この点はいわゆる七十歳と、それから七十歳未満六十五歳以上、それから六十五歳以下というふうに、それぞれ三段階の恩給改善措置考えておりますが、そこで三本立ての行き方という場合に考えますと、こういった年齢差によって俸給表を変えていくということは、調整をするときに実は非常にやりにくくなります。それは審議会答申で示しているとおりだと思います。したがって、どうしてもこの格差のあるところを一応縮めてかからなければならない。そのときに必然的にまあ低いところの年齢層を高いところまでレベルアップしていくような考え方というものがこの調整の中で出てくる。そういうふうにして結局、調整規定を発動していきますと、結局調整の動かし方というのが非常にしやすくなる。こういう点が三本立てというのは本質的には、つまり俸給表そのものの中に年齢的な要素というものを考え考え方というのはあまり適当じゃないのじゃないか。これは政府側としては、実は社会政策的に考え老齢者というものを優遇し、あるいは傷病者というものを優遇していく措置としては、いわゆる改善措置の中では、俸給区分というものが一番よろしいというふうに考えてきたわけです。ところが、審議会の御答申の中では、やっぱりそれは一本にしていくほうがよろしいのではないか、こういう線をお出しになりましたので、政府側としては、この御趣旨を尊重するとするならば、現在の仮定俸給の考え方というものを考え直していかなければならない、こういうことになるのでございましょう。  それからそういうような仮定俸給というものを一本化した場合に、それじゃ現在やってきているある程度の政策的な配慮というものはなくするほうがいいのかという点に審議会は着目されまして、たとえば傷病者優遇を、傷病者年金というものがきまっておりますから、その中で解決していってはどうだろうか、こういうふうになりますので、したがって、旧来俸給表でやったやつを個個のつまり種別による年金の中で解決をしていってはどうだろうか。こういうような御趣旨ととれるわけでございます。
  38. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 大体審議会考え方はわかりました。したがって、次に移りたいと思うのです。  そこで一昨日も質問が出ておったのですが、今回もまた経過措置の中で、一応三本立てそのままで多少率が変わってきているわけですね。七十歳以上が三五%以内、六十五歳から七十歳が二八・五%になり、その他が二〇%と。そこでどうしてこういうパーセントになったのか、まずお答えをいただきたい。
  39. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実は昭和四十二年のこの恩給改善措置をどういうふうに考えたかということから申し上げたほうがおわかりやすいかと思いますので申し上げますと、この改善措置は、御承知のように恩給審議会の中間答申に基づいて行なったわけでございます。その中間答申の意図された点は、大体いわゆる消費水準方式という政府でとってきたやり方が適当であろう、こういうことで、四十二年の改善につきましては、ちょうど昭和二十六年を基準として算定をいたしましたところが、一〇%程度の改善ということが必要であろうという審議会の意図でございました。そこで基準とするところを一〇%として取り上げるという改善、その上に年齢的な要素と、妻子優遇、それから傷病者優遇ということを考えて、最初に二○と二八・五といういわゆる三本立てになる方式をとったわけでございます。  そこで本年の改善案を考えますときに、実はちょうど恩給審議会の審議の過程において改善を考えるという課題が出てまいりました。そうなりますと、本質的にはすでに審議会の中間答申が一回出ておりまして、その後の答申が得られれば、それに即応して考えるのが筋だと思いますけれども、ちょうど四十三年三月末が審議会の終期でございましたので、したがって答申を中間的に得られるという状況ではございません。そこで、それは改善を必要としないのかという判断をいたしてみましたところが、実はいわゆる昭和四十年までのいわゆる消費者物価等が一つのこういう一〇%の改善の中に取り組まれておりましたので、四十一年、四十二年の間のいわゆる物価の値上がりというものを考えてみましたところが九・三%にこれがなりました。で九・三%の改善が、少なくとも中間答申を得られない段階においても考慮すべきではないだろうか、こういうところから、それをラウンドにしまして基準一〇%に一〇%を積もうじゃないか、こういうところで最低を二〇%に押えたわけでございます。  そこで、昨年二八・五という最高の率が去年の見合いとしてございますので、そこで去年二〇%であったものを二八・五%まで積んではいかがであろうか、そうして最高の去年の二八・五%という上昇を考えました分については何らの配慮を必要としないのか、こういうところから、やはりこれについても考慮する必要があるであろうというふうなところから、大体この点については三五%という点が、旧来のいろいろな要素を比較してみた中で考えられない線ではなさそうだというところから、三五%という一番の最高率を考慮し、そこにいわゆる老齢者優遇と傷病者優遇というふうな点を、ある程度こういうふうな率の中にも盛り上げていってはどうだろうか。それを純粋に増額というふうに考えるのではなくして、審議会の中間答申を得られない段階でございましたので、そこで四十二年十月改正の分を修正するという形で増額を考えたわけでございます。これが今回の改善のしかたでございます。
  40. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 いま四十二年改定の修正として今回行なうのだ、こういう答弁でありました。なお、四十一年と四十二年の物価が合わせて九・三%を、最低を一〇%に見て積み重ねたと、こういうのですね。そこでお聞きをしたいのですが、これはなかなかパーセントをとるのに科学的にいったってきぱっと出ない点もあると思うのですが、ただ、二八・五%、三五%といえば、ある程度こうしたらいいんではないかという数字であって、これについては確たる根拠もあまり見当たらないですね、いまの御説明では。もう少し何か合理的な根拠でもあるなら御説明いただきたいし、ないなら、ある程度やみくもとまでは言いませんけれども、当てずっぽうといいますか、そういう方向で上のほうの率はきめたんだというふうに私ども理解をしておきたいと思うのですが、もう少し何か説明ありませんか
  41. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実は、ただいま申し上げました最高の三五%の層というのは、わりあいに金額的に高いほうの層の方々です。また、実は二八・五という昨年の改定基準には、これはそれなりの根拠があったわけでございます。これは御承知のように、いわゆる公務扶助料を月一万円を保障するという考え方で算出してまいりましたところが、二八・五%というものを引き上げれば、公務扶助料について年額十二万円を保障するという道が生じたわけでございます。したがって、二八・五はその意味においての根拠数字であったわけでございます。ただし、昨年改善のときには、実は審議会答申というものは一〇%程度ということしか意識しておられませんでした。したがって、政府側が中間答申を受けて改善をするとするならば、その改善率というものを、ベースになるところを維持していくという最小限の、実はわれわれのこの答申尊重の線からすれば出てくるところでございます。したがって、いわゆる一〇%改善というものが維持されれば、審議会答申の尊重という点が十分保障し得るということになったわけです。したがって、一〇%についての合理的な根拠をわれわれは見出していくということが最小限の課題でございます。そういうところがら、九・三%を積んで二〇にしよう——二八・五というのは、先ほど申しましたような数字でございます。しかし、それでは二八・五にとどめていいであろうかというところに、大体平均にしまして七、八%の程度の改善率は、少なくとも物価の九・三%の中でございますので、そこでそれくらいの点を一応めどに置きつつ、最高を三五と押えたわけでございます。
  42. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 まあ数字のことですからいまの御説明でも……。ただ、最低は一〇%にすれば審議会考え方がおおむね了承できるのじゃないだろうか、それでそれを基準にして、あとはある程度いままでの経過を勘案してやっただけだ、こういうお話で、それ以上の答弁はおそらく出ないであろうと私も思います。そこでこの問題についてはこれ以上御質問することはやめたいと思います。  次にお聞きをしたいのは、公的年金制度連絡調整会議のことについて関連してお聞きをしておきたいと思うのです。御承知のように、昭和四十二年の六月に社会保障制度審議会から申し入れがあって、それに基づいて政府公的年金制度連絡調整会議ですか、これを設置して、スライドの問題について検討されておるわけですね。当然、恩給局長もその委員のうちの一人であるので、この機会にこの審議会内容について二、三お聞きをしておきたいと思うのです。  そこで、これは新聞報道でありますから私もよくわかりませんが、この連絡調整会議で、今度出されました恩給審議会答申と、どういう関連で議論をされておるのか、これもわかる範囲でひとつお答えをいただきたいと思います。
  43. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 先生指摘のように、いわゆる社会保障制度審議会のほうから、公的年金についての調整が必要であろうというふうな御指摘がございました。公的年金制度連絡会議というものが設置されて、そうして総理府、大蔵、文部、厚生、農林、運輸、郵政、労働というふうな各省からそれぞれ関係局長がメンバーとしてこの会議に参加しておるわけでございます。  大体この会議は、いわゆる総会に類するものと幹事会という二つの形で運用いたしております。幹事会は、それぞれの関係課長が出てやっておるわけですが、まず、これまでの会議の中では、それぞの制度の説明がございました。そうしてその説明の中で一つ課題になりますのは、調整規定の問題が非常に重要な課題になるわけでございます。そこで、恩給審議会の終期が本年の三月末でございます。一方、この年金制度調整連絡会議は、ほぼ一年ぐらいの予定で考え方の結論を出していこうかという線で進んでおりましたので、若干時期的にそういった意味からしますとズレが出てまいります。これまでのやり方といたしましては、それぞれ調整規定についての関係省の説明、及び恩給審議会答申が出ました段階で、私のほうの局から恩給審議会答申内容を、それぞれの関係省の御認識をいただくという意味において御説明をしてまいる。目下そういうふうな、いわゆる関係のそれぞれの法規にやや類似した調整規定がございますので、恩給審議会答申の出た中でどう考えるかということがいろいろ論議をされておる段階であるわけでございます。
  44. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 新聞報道を見ると、何かこの連絡会議は七月ごろまでに最終結論を出すというふうに報道されておるのですが、それがそういう方向であるのかどうか。時間節約上続けて二、三お伺いいたしますが、それがその第一点。  それから第二に、報道されておるのでは、生活保障的な部分については、第一に物価上昇に力点を置いてスライドするのはやむを得ない、しかし、その他についてはかなりまだ議論がなされておるというふうに報道されておるのですが、どういう議論がなされておるのか、二番目にお聞きをしたい。  それから三番目には、この報道によりますというと、財源については当然国庫で負担をすべきだ、しかし自動的にすぐ実施をするということもなかなか困難なので、五年程度期間を置いて実施したらどうか。その間にちょうど、昭和四十四年か四十五年には国民年金あるいは厚生年金等の再計算の時期がくるから、そういうものと関連をさして討議したらどうかというような趣旨のことがかなり議論されたというふうに報道されておるのですが、その内容についてできれば御説明いただきたい。
  45. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実は新聞にさような記事が出たことは承知をいたしておるわけですが、ところが、年金制度調整連絡会議では、実はまだそこまで進んでおりませんでして、御承知のように、三月末に恩給審議会答申がやっと出たという状況でございますし、その後私どものほうで、審議会答申を、これまでたしか幹事会で一回御説明申し上げた程度でございます。したがって、新聞にございますような内容のところまではまだ進んでいないというのが現状でございます。
  46. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 いまの局長答弁だと、かなり新聞と違うわけですね。私どもは実際にそういう会議に出ておりませんから、どの程度のことかわかりませんために、勢い新聞報道を、あるいは多少新聞記者の方々に会って記事の内容等についてお尋ねすることもありますが、いずれにしても、この記事によるというと、かなり断定的なことが書かれておるわけなんですが、いまの説明を聞きますと、そこまで行っていないという、メンバーの一人である局長が言われるので、これ以上お聞きすることはできないわけですが、いずれにしても、恩給法の二条ノ二の規定と、たとえば国家公務員共済組合法の一条の二の規定とは全く同趣旨なんですね。したがって、この恩給審議会答申というものが、今後の連絡会議で私は決定的な役割りを果たすのではないだろうか。そういう意味で言うと、これから総務長官なり、あるいはメンバーの一人であります恩給局長の今後の検討内容といいますか、答申制度化の方向といいますか、こういうものが、他の年金制度に私はかなりな影響を及ぼすのではないだろうか、こういう気がします。そういう意味でいうと、この答申をどう具体化するかということは、きわめて私ども重要な問題だと思うので、できれば片りんでも具体的なことをお聞きをしたいと思ったのですが、なかなかそこまで行っておりませんということなんで、これは別の機会にまたお聞きをすることにして、きょうはこの程度でやめたいと思うのです。  そこで最後に、冒頭にもお聞きをしましたけれども、何といっても答申をすみやかにやはり実施をしなければ意味がありませんし、それから、日にちがたてばたつほど、いろいろ問題点が私はまた出てくるのじゃないかと、こう思います。そこで総務長官にお聞きをしたいのですが、おおむね一体いつごろをめどにして、答申制度化をするというお考えなのか、重ねてお聞きをしたいと思います。
  47. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) 私も山崎先生と全く同じ考え方でございまして、一日も早くこれはやりたいと、かように念願をいたしておる次第でございます。
  48. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 いや、その程度の答弁ならもう何の意味もないのですよ。ある程度、まあそれがあとではずれたから、またあなたの政治責任をどうだなんという意味で聞くのではないので、恩給年額改定というのは、審議会答申にもありますように、直接生活密接不可分な問題でもあり、また、どうしてもこれはすみやかにやらなければ意味がありませんので、私は、いつの時期くらいまでにしようとするのか、ごく大ざっぱなめどくらいひとつお聞きしたいと思うのです。
  49. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) ただいまおっしゃいましたとおりでございますが、私のほうも、いまのところ、ほんとうに言いまして、ちょっとわからないのでございます。むしろ、いまも私担当の者に言うたのですが、いろいろ関係者の方々のあれもあります。それから予算の提出時期もありますし、それから逆算したりなんかしてまいりますると、もうほんとうに早く、一日も早くやらなければならぬというような実は気がするのでございますが、しかし、まだその点につきましては、全く母法でございます恩給法がこういうふうな状態でございますから、いずれこれが軌道に乗っかって、さらに政府間におきまして鋭意交渉にかからなければならぬ、かように存じております。
  50. 山崎昇君(山崎昇)

    山崎昇君 なかなか答えにくい点も、それはあろうと思うのですが、ただ、私はこの答申を見ても、そう予算上に直接影響を及ぼさないような内容のものもあるし、それから予算上でかなりなウエートを占めるものもありますし、なかなか項目が多いわけですけれども、そこで一ぺんにこれ全部政府制度化するということも、なかなか困難だと思うのですが、おのずからやはり、早くしなければならぬもの、ある程度時間を置いてもいいものとあると思うのです。そこで重ねてお聞きしたいと思うのですが、おそくとも通常国会には何らかの形でこの答申案のある程度の制度化の問題が出されますか、重ねてお聞きをしておきます。
  51. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) ちょっと私、山崎先生の御質問を誤解しておりました。というのは、私は制度化の、二条の調整規定の問題をどう制度化するかと、こういうふうな非常に根本的な重大な問題と存じましたが、六十項目にわたりまするいろいろな審議会答申内容につきましては、やれるものからもうどしどしとやはり片づけていかなければならない、そういう点はおっしゃいますとおりに、もうすぐにでもやれるものから着手してまいります。
  52. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 私は、簡単に二、三お尋ねしたいと思うのですが、まず最初に総務長官にお伺いしたいのですが、恩給の本来の目的というものは、退職後の公務員に対する生活保障にあったわけでありますけれども、最近の生活水準あるいは消費者物価の増高、そういった問題から見ますと、恩給年金の差というものは非常に激しいものになっております。年金のスライド制というものがそういう点から叫ばれているわけでありますけれども恩給審議会答申の中で、具体的にあまり明確に取り上げてはおりません。総務長官からこの  スライド制に対する基本的な考え方について一応お伺いしておきたいと思います。
  53. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) これはもちろん恩給審議会の今回の結論が、二条ノ二の調整規定というものが非常に中心的な存在でございます。このスライドの問題につきまする要件につきまして、ただいままで御議論がございましたとおりでございます。われわれ、このスライドの問題が、一番理想としては自動的なスライド制になることが、これは最高のあれでございますが、そういうわけにはまいりません。これは今回の審議会答申におきましても、やはり消費者物価の上昇でございますとか、あるいはまた、他の要件でございます公務員の給与の関係でございますとか、消費者物価の問題でございますとか、そういうふうな要件に基づきましてこの調整規定を発動する、その発動のための制度的な筋をどう立るかということが当面の急務でございます。
  54. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 そうすると、恩給審議会答申の中に、先ほども問題になりましたけれども、この調整基準につきまして、その運用については、五%以上の消費者物価が上昇した場合云々ということが出ておりますし、また最後のほうに、消費者物価の上昇に基づく調整の補完的要因として、政府の合理的な判断によるべきであるというような点も述べられております。この問題に関しまして、実際具体的にどういう点を基準にしてこの調整をなさるのか、お答え願いたいと思います。
  55. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御質問内容の点につきましては、審議会等の審議の経過もございますので、担当の局長からお答えさせます。
  56. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) おそらく先生指摘の点につきましては、消費者物価については五%という基準を明示しておりますので、これは基準的に明確になっているということで、その他のいわゆる公務員の給与、それから国民の生活水準というものについては明かな、たとえば何%を云々ということがあらわされていないところから、具体的になっていないという御指摘ではなかろうかと存じます。この点は審議会におきましても実は明確な基準は、消費者物価において、それを不可欠の要件とするということで、そういうふうな明確な基準も明らかにしつつ、なお生活のそういう維持分は、それによって恩給の実質的価値保持という線が、物価を見ることによって得られるであろう。しかし、それ以上に私たち生活には生活向上というものがございますので、それをどの程度に見ていくかということについて、政府側のある程度の判断にゆだねていくというふうな審議会答申でございますので、そこに先生の御指摘のような点が出てまいるのではなかろうか、かように考えます。
  57. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 そうしますと、消費者物価がたとえば四・五%値上がりした。また、国家公務員の給与の上昇が非常に激しかった、こういった場合には考慮するという意味ですか。
  58. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 消費者物価の点につきましては、五%基準というものを明確にいたしておりますので、そこからは四・五%の場合には不可欠の要件というもの、改善の要件を満たされないことになるわけでございます。しかし、公務員給与について、たとえば著しくそういう点についての配慮が加わった場合に、その分についての配慮を必要としないという問題が出てこないかもしれませんが、そこら政府側配慮の余地がある、かようなことになってこようかと思います。
  59. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 恩給年金最低保障額が、恩給年額が六万円、扶助料が年額三万円となっておりますけれども、まあ生活保護費と比べますと非常に低過ぎると思います。これはやはり答申の上でどうなっているかしれませんけれども社会保障的な考え方というものを今後どうしても強くしていかなければならないと考えますけれども、この点では、審議会ではどのような論議がなされたか、お答え願いたいと思います。
  60. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 最低保障額につきましては、旧来は実は恩給法の中に規定がなかったわけでございましたが、これを改正して六万円という最低保障額の規定を置いたわけでございますが、しかし、現在においてはこの点がすでに六万円というものは低過ぎるのではなかろうか、こういう点で、恩給審議会におきましても、現在の経済的諸条件の中では不十分と考えるという、そういう点から保障額をある程度は改善していくべきではないか、その場合に当然他の公的年金制度一つ基準になってまいりますので、そこで、他の公的年金制度との勘案の中で、この最低保障額の引き上げを考えていくことが適切である、かようなお示しがございましたので、政府側としてもこれらについての今後の検討を進めてまいる、かように考えておるわけでございます。
  61. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 次に恩給の裁定事務でございますが、非常に裁定の迅速化という問題で膨大な量になっておりますから、非常に困難な検討かと思いますけれども、現在申請受理から裁定までに一年ぐらいかかるのもある、こう聞いております。恩給局としましては、人員が少ないのか、また、少ないのであるならば、それを事実要求しようとしているのか、あるいはそのほかに何か難点があるのか、こういった点を具体的にお話し願いたいと思います。
  62. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 裁定事務につきましては、実は各方面からこの裁定の進め方のお話がございました。私どもの局といたしましても、非常に恩給受給者にとっては重大な権利の問題でございますので、早期にきめるということが非常に重要でございますところから、普通の場合には大体一カ月ぐらいで仕事を終えるようにという私は指示をいたしておりまして、ただ、先生お話のように、一年ぐらいかかるという点は確かにございます。これは御承知の傷病恩給につきまして申請が出てまいります。これは厚生省あるいは府県を通じて出てまいりますところから、そこに若干の日取りを要するという問題がございますのと、それからもう一つおくれる理由といたしまして、御承知のように、いわゆるこの傷病恩給については、症状の判断ということが非常に重要になりますので、そこでその症状判断につきまして検診ということの制度がございます。つまり私どものほうで指定しました病院に、この人の症状を正確に判断してもらいたい、そういう検診依頼等をいたします関係で、実は御本人のいろいろな御都合もございまして、なかなか検診に出にくいというふうな点があった場合に、いま申しましたように、若干の日取りがかかる。ここで一年ぐらいかかるというようなケースが出てまいりました。これにつきましても、できるだけ促進をしてまいりたいと、かような努力をしているわけでございます。現在は職員としては七百二十名ばかりおりまして、これに増額改定等のいろいろな随時の仕事も出てまいりますし、経常的業務が犠牲にならないように、そういった仕事の促進方については、私のほうではできるだけの配慮をいたしているつもりでございます。
  63. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 そのような配慮を特にお願いいたしまして、次に旧軍人の恩給について若干お伺いしたいと思いますが、私どもは、あくまでも階級差による不均衡ということは改めるべきである。このように思うわけです。特に少佐以上の将官におきましては、戦争責任という問題もからんでおりまするし、また、生活に困っている方々は大尉以下の方々が多いということもあるし、また、極端に恩給の額が少ないということも考えられます。ですから、むしろ少佐以上の方は頭打ちにしてしまって、大尉以下をどのように引き上げていくか、こういう考えに立ったほうがよろしいのではないかと、こう思いますけれども審議会でどういう論議がかわされたか、それから恩給局としてどのように考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  64. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 軍人恩給につきましては、実はそれぞれ階級別に仮定俸給制度をとっておりますところから、先生の御指摘のような問題が出てまいるわけでありますが、しかし、恩給につきましては、御承知のように、退職時の条件によってその給与が律せられるという点がございますので、軍人恩給であるからということで、この恩給についてだけこの原則を改めますことは、文官恩給との均衡上にも問題がございます。したがって、審議会におきましても、やはりこういう点についてそういうふうな恩給の本則的なことから考えて、いま申しましたような階級差は一応そのまま維持していくという線をお出しになっているわけでございます。しかし、恩給制度全般にわたってこういう問題については慎重な検討を要するところではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  65. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 次に増加恩給受給者につきましては、家族全員に一人当たり四千八百円の扶養家族手当が出ているわけですが、傷病恩給受給者は奥さんだけにしか出ていない。この点も審議会でいろいろ審議されたと思いますけれども、せめて子供の中でも長子だけでも支給したらよろしいのではないかという考えもあるようでございますが、その点はどうでございましょうか。
  66. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 増加恩給につきましては、先生指摘のように、家族加給が妻以外の方方にも出ておるわけでございますが、傷病年金受給者の妻について加給を認めてまいったのは、その受給者等の生活の実情を考慮いたしまして、特例として認めているという点から、恩給審議会におきましても、傷病恩給受給者が増加恩給受給者よりもその傷病の程度の低いというふうなこともあわせ考慮されまして、妻以外の者についてまで加給の対象にするということについては問題があるんじゃなかろうか、かような点で、その点についての是認の結論を出されなかったような次第でございます。
  67. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 その前にありました一人当たり四千八百円という扶養家族手当の問題ですが、恩給審議会答申でも相当の増額を行なうことが適当であるというようなことが述べてありますけれども、いま改善をどのように、いつごろ行なうかという問題とも関連いたしますけれども、ほんとうにこういった問題を早急に行なおうとしているのかどうか、どういう考えで臨んでおられるかどうか、その点をお伺いします。
  68. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 扶養家族加給につきましては、ただいま申し上げましたような四千八百円という一人当たりの加給額に相なっております。ところが、一面、公務員給与につきまして、いわゆる家族手当が改善されてまいっておりますので、そこでそれともにらみ合わせて、この加給額の改善を求めるという声が非常に強いわけでございます。そういうふうなところから、恩給審議会におきましても、この四千八百円というものをある程度改善していく必要があるのではないだろうか、こういう御答申をいただいておりますので、そういった点を受けて、政府側としては、できるだけ早期に、他のいわゆる家族手当等を配慮して改定考えていく必要があろうかと勘案しておるわけでございます。
  69. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 次に、旧軍人恩給関連しまして、戦後二十三年たっておりますけれども、現在なお旧軍人の方々の傷病恩給の請求が若干あると聞いておりますけれども、これはどういう場合に、どのような事情でこういった請求があるのか、これをお聞きしたいわけです。
  70. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) 実はこの問題につきましては、たとえば結核等の傷病恩給受給者を見ました場合に、これはその後に病気の状態が悪くなる場合がございます。そういたしますと、その症状が重くなった場合には、当然実はその人の症状に合う恩給を支給すべきでございますが、そのときに、その状態が悪くなったと考えられた人は、恩給について新しく改定を求めるという、われわれのことばで申しますと、事後重症という請求の形で出てまいります。これがなお傷病恩給についての請求が出てくるゆえんでございます。
  71. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 最後に、こまかい問題になりますけれども恩給法の六十五条に関連してお尋ねしたいのですが、第二項症状以上の恩給、すなわち増加恩給受給者は、大体年額三万六千円の特別加給が支給されておりますけれども、第三項以下には何にも出されていない。傷病上も、第二項症でも第三項症でもその差というものが非常に近い、そんなに変わらないと思うのですが、第三項症にも何らかの若干の加給を出す必要があるのではないかと考えるのですけれども、この問題はどうなっておりますか。
  72. 政府委員(矢倉一郎君)(矢倉一郎)

    政府委員矢倉一郎君) お示しいただいております第二項症以上の重症者に対しましては、俗称介護手当と私たちは称しておりますが、その介護手当を支給いたしております。この額は、一つの重症者に対するそれなりのささえになっておるわけでございますが、この点について第三項症以下の者についてもこの介護手当を支給してもらいたいという要求があることは事実でございます。  ところで、本問題につきましても恩給審議会の審議の対象に相なったわけでございますが、この点については、恩給審議会といたしましては、三項症以下の者にまで及ぼすかどうかについて、なお慎重な問題の検討を要するであろうというところから、これを認めるという線を出しておらないわけでございまして、かような点から、政府側といたしましても、この答申を尊重するという線からいたしますと、是認をしてまいるということが現状においては困難ではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
  73. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  74. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  石原君。
  75. 石原幹市郎君(石原幹市郎)

    石原幹市郎君 私は、この際、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社、各党共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたします。  附帯決議案を朗読いたします。    恩給法等の一部を改正する法律案に対する    附帯決議(案)   恩給の諸懸案事項の解決については、従来し  ばしば要望してきたところであるが、政府は、  恩給審議会答申の早期実現について最善を尽  くすとともに、特に、調整規定の実施、傷病者  ・遺族・老令者の処遇改善、外国政府職員等の  抑留・留用期間の通算、琉球政府職員の在職期  間の通算等については、すみやかに善処すべき  である。   右決議する。  この決議案の趣旨は、案文によって明らかでありまするので、省略させていただきます。  以上であります。
  76. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) ただいま石原君から提出されました附帯決議案を議題といたします。  石原君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  77. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 総員挙手と認めます。よって、石原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、発言を求められております。この際、これを許します。田中総理府総務長官
  78. 国務大臣(田中龍夫君)(田中龍夫)

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御決議のございました事項につきましては、政府としたしましても、御趣旨に沿いまして十分検討いたしたいと存じます。
  79. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  81. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 次に、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は去る三月六日、予備審査のため付託されました。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。水田大蔵大臣
  82. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) ただいま議題となりました昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  この法律案は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、昭和三十三年改正前の旧国家公務員共済組合法及び現行の国家公務員共済組合法規定により、現に支給されている退職年金等につきまして、このたび別途本国会に提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて年金額を引き上げること等、所要の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等につきましては、昭和四十二年度におきまして、恩給における改定措置にならい、年金額改定基礎となる俸給を、原則として一〇%、六十五歳以上の年金受給者等の退職年金等につきましては二〇%または二八・五%増額することにより、年金額を増額したところでありますが、さらに今回、恩給における措置にならい、この年金額改定基礎となる俸給の増額率を原則として二〇%、六十五歳以上の年金受給者等の退職年金等につきましては二八・五%、または三五%に改めることにより、昭和四十三年十月分以後、年金額を増額することといたしております。  また、現行の国家公務員共済組合法規定により支給されている退職年金等につきましても、昭和四十二年度におきまして、恩給における改定措置に準じて年金額改定基礎となる俸給を増額したところでありますが、さらに今回、恩給における措置に準じてその増額をすることといたしております。  すなわち、現行法施行前の期間に対応する部分につきましては、昭和四十二年度におきまして、恩給における改定措置にならい、従前の年金額改定基礎となる俸給を、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等におけると同様の方法により、増額したところでありますが、今回、その増額率を、これらの法律に基づく退職年金等におけると同様に改めることとし、また、現行法施行後の期間に対応する部分につきましては、昭和四十二年度におきまして、従前の年金額改定基礎となる俸給を一〇%増額したところでありますが、今回、その増額率を二〇%に改め、これらの俸給の額を基礎として計算した年金額が既裁定の年金額を上回るときは、昭和四十三年十月分以後、その差額に相当する額の増額をすることといたしております。  このほか、この法律案におきましては、増加恩給の額が引き上げられること等に伴いまして、公務による廃疾年金及び公務にかかる遺族年金最低保障額を引き上げることとするほか、恩給法改正に伴う所要の措置等を講ずることといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  83. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 以上で説明は終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  午前はこの程度とし、午後二時再開いたします。  それでは休憩いたします。    午後零時五〇六分休憩      —————・—————    午後二時十五分開会
  84. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) これより内閣委員会を再開いたします。  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は去る一二月十六日、予備審査のため付託されました。  それでは、提案理由の説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  85. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま議題となりました昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体の共済組合が支給しております旧国家公務員共済組合法及び現行の公共企業体職員等共済組合法に基づく既裁定の年金の額につきまして、このたび、別途本国会に提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じまして、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案による国家公務員共済年金の額の改定と同様の改定を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等の額につきましては、昭和四十二年度におきまして、恩給改定措置に準じ、年金額算定の基礎となる俸給を、原則として一〇%、六十五歳以上七十歳未満の年金受給者及び六十五歳未満の遺族年金受給者のうち、妻、子または孫につきましては二〇%、七十歳以上の年金受給者につきましては二八・五%増額することにより、その改定を行なったところでありますが、さらに今回、これらの増額率を恩給改定措置に準じて、一〇%は二〇%に、二〇%は二八・五%に、二八・五%は三五%にそれぞれ改めることにより、昭和四十三年十月分以後、年金額を増額することといたしております。  次に、現行の公共企業体職員等共済組合法に基づく退職年金等の額につきましては、これも昭和四十二年度におきまして、恩給改定措置に準じて改め、年金額算定の基礎となる俸給を現行法施行日前の組合員期間に対応する部分につきましては、先に述べました旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等の場合と同様の率で増額し、また、現行法施行日以後の組合員期間に対応する部分につきましては、一律に一〇%増額したところでありますが、さらに今回、これらの増額率を恩給改定措置に準じて、一〇%は二〇%に、二〇%は二八・五%に、二八・五%は三五%にそれぞれ改めることにより、昭和四十三年十月分以後、年金額を増額することといたしております。  なお、上記により年金額改定した場合に、既裁定の年金額のほうが多いときは、従前の年金額をそのまま支給することといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申しげます。
  86. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  87. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は去る四月二十六日、衆議院から送付され、付託されました。  なお、提案理由の説明はすでに聴取いたしております。  それでは、これより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、中曽根運輸大臣、町田官房長、宮崎港湾局長、澤航空局長、亀山海上保安庁長官、以上の方々でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  88. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 この法案について二、三お伺いしたいと思いますが、基本的な問額については大臣の御答弁をいただき、あとは港湾局長でもけっこうだと思います。  まず順序としてお伺いしたいのは、港湾運送事業の合理化に関する問題については、二年間どのように審議が行なわれてきておるのかということ、この点をまず具体的に要点だけ御説明いただきたい。それと今回、二年間延長することになるようですが、その理由は那辺にあるのか、こういうことを伺いたいと思います。
  89. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) お答えいたします。  港湾審議会の港湾運送部会におきまして、昭和四十一年、四十二年度におきまして、おのおの五回ずつ委員会を開いております。そして四十二年度は、この委員会のほかに、非常に細部の問題がございましたので、専門委員会を別に十二回開いております。  審議いたしました内容でございますが、御承知のように港湾運送事業の合理化に関する方策についてという問題と、第二は、港湾運送事業の料金体系の合理化、埠頭の効率的使用について、 この二点でありまして、第一点につきましては、現在までにおおむね答申は終わっておりますが、残りますのは五大港以外の地方の港の分だけでございます。それから第二点の料金体系の合理化の問題につきましては、まだ完結的な答申は出ておりません。なおまた、埠頭の合理化の効率的使用の問題につきましては、中間答申が出ておるわけでございます。以上でございます。
  90. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 この問題の審議については二年間という期限が定められておるわけですが、四十一年七月には、時の運輸大臣から、港湾運送事業の集約化についての諮問があったと思うわけです。同じく四十二年四月には運賃体系と埠頭の効率的使用について諮問しておったようでありますが、当初からきめられた期間内に審議が終了していないわけですが、これは初めからそういう体制ができておったけれどもできなかったのか。その点遺憾の点があったのではないか、こういう問題が出ておると思うのですが、この点はどうなんです。
  91. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 当初二カ年の予定でやったわけでございますが、御承知のように、運送事業の合理化の問題は、昨年の三月三日に中間答申と申しますか、基本的な概略の答申が出たわけでございますが、五大港、各港の具体的な集約化の方針につきましては非常に論議が活発にあり、先ほども申し上げましたように専門委員会を十二回も開かなければならないというような次第で、やっと今月の三月六日に答申をいただいたわけでございますが、またさらに延期いたします理由といたしましては、今後埠頭の効率的使用の問題あるいは料金体系の問題あるいはコンテナ輸送とか、そういった問題も出てまいまして、企業の合理化を実施する。これから現場の各港ごとに実施する段階になりますので、それに伴いまして諸種のいろいろな問題が出てまいるというようなことになりました関係から、さらに二カ年間延長したい、こういうことでございます。
  92. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 このことについては、行管の資料を見ますと、港湾審議会の開催回数は、先ほど一部御説明がございましたけれども、四十一年、四十二年のそれを見ますと、いずれも総会はおのおの一回しか開かれていないわけです。また部会については、計画、管理、港湾運送、この三つの部会があると思いますが、これも両年とも七回しか開かれていない、こういう実情であろうかと思います。審議期間が定められておるのであるから、もっと集約的に審議し、期限内に結論を出すよう、こういう意味の前回はっきりした答弁があったわけでありますね。こういう点あわせ考えますと、これほど急ぐべき問題を二年間さらに延長しなければならぬということは、前の答弁から見てどうも納得しがたいと思うのですが、この点はどういう経緯があったのか、お伺いしたいと思います。
  93. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) お答えいたします。  ただいまの、今後二年間延長いたしますのは、実はこの港湾審議会というのは、その本来の目的は、管理部会、計画部会でございます。この設置法の附則に、二年を限って、四十一年から四十三年の三月三十一日までの二年を限って港湾運送部会というものの設置が認められたわけでございまして、今回の法案の改正は、この港湾運送部会の期限を二カ年延長するわけでございます。審議会自体の、本来の審議会は、これは毎年港湾の計画なり、あるいはまた、港湾整備促進法によりますところの日本の全体の港湾計画の審議なり、そういったものがあるわけでございまして、総会、管理部分、計画部会には関係なしに、港湾運送部会の審議のために二カ年間延長をお願いしたいということであります。  なお、この港湾審議会の規則によりますと、港湾運送部会で決定したものは総会の決議とみなすということになっておりますので、総会はおおむね年に一回ずつ開いておりまして、管理部会、計画部会、おのおのの部会が活動をいたしております。
  94. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 最近、臨時的な審議会の設置の状況を見ますと、いま問題になっております港湾審議会以外の部会でも、当初は大体二年程度の期限を切って設置して、途中でこれまた二年程度延長する、そういう事例が非常に多いわけであります。そういうことになりますと、結局、最初はどの審議会あるいは調査会等でも、二年間の期限で審議を果たすという意味の趣旨説明があったわけですけれども、多くはまた延長する場合は二年くらい延長しておる、そういう事例が多いようでありますね。いま総会は年一回くらいが常態であるという旨の御説明がございましたけれども、部会などについても、もう少し回数をふやして審議を煮詰める等の問題についても、いま一段と努力が必要ではないかと思われるのですが、大体部会が、先ほど言ったように、年一回くらい開けば、十分審議が尽くされるのが常態なんですか。いま少し審議を煮詰めて、大体当初予定された期限内に一応目的を達する、そういう審議会等もあるわけですけれども、中にはそういうふうにまたさらに二年延長、極端な場合になると、さらにそれをまた延長した事例も、この委員会で審議したことがあるわけですが、この点はどうなんですか。
  95. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 第一点の、つまり計画部会、管理部会、港湾運送部会以外のものにつきましては、そのつど必要なときに開くことになっておりまして、四十二年度は計画部会三回でございますが、これはちょうど実は港湾整備五カ年計画というのが四十三年から、ことしからスタートいたします。したがいまして四十一年という年は、そういうことで四十年からの計画がスタートした第二年目でございましたので、計画審議の問題が多くなかったわけでございますが、最近では新しい計画に切りかえる、今年から切りかえるということがございますので、今年、つまりこの秋までの間に相当港の計画が山積しております。これは相当の数をこなさなければならないのではないか。そういう計画部会につきましてはピークと申しますかがございます。そのほかに、先ほども申し上げました総会につきましては、その港湾整備促進法による関係、その他を議論するわけでございます。それからもう一点の港運部会、これは期限つきの部会でございますので、御承知のように、二年といったのに二年で済まなかったじゃないか、さらに二年というが、また延ばすのじゃなかろうかというような危惧が感ぜられるといった意味の御質問でございますが、御承知のように、港湾整備、港湾の集約化が今年の九月末という一応のめどを持つで、これから実際に集約化にかかろうとしておるわけでございますので、これはやはり私どもといたしましては、今後そういった集約の段階におきますいろいろな問題もございますし、またコンテナの本格的な就航も昨年の十月ごろからでございましたが、これに伴いますコンテナバースの建設もやっといま緒についたというような事態でございますので、それの運営等、その他を考えますと、さらに二カ年は必要だ。二カ年のあとは、港湾運送部会につきましては、いまのところ全然延ばす考えはございません。二カ年間に必ず審議会の審議をしていただく問題は終了いたしたい、こういうふうなつもりでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  96. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 第五十一国会で港湾審議会の所掌事務に新たに港湾運送事業の合理化、こういう面が加えられたと思いますが、その港湾運送の合理化については非常に急がれておるのだという意味の説明があったわけですが、現在諮問中の運賃料金体系あるいは埠頭の効率的使用については、いつごろまでに答申を受けると期待しておられるのか、そういう問題と、また二年延長することによって新たに諮問事項がさらに加わるのか、そういう面についての御説明をいただきたいと思います。
  97. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 企業の集約化の問題につきましては、今年の三月でほぼ答申をいただきました。お話の料金体系の具体的な問題でございますが、私ども料金体系につきましては、一応この秋までにいただきたいというふうに考えております。それから、その後にどのような問題が予定されるかというお話でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたコンテナ等の新しい荷役方式に関する問題、それから集約化の実施に伴なって生ずる問題、おおむねこの問題を諮問をいたしたいと、かように考えておるわけであります。
  98. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 昨年の三月、港湾運送事業の合理化に関する方策について答申をいたしておるようですが、この答申内容はどのようなものか、その要点だけを。またこの答申を受けで、これを行政にどのように反映させて実施されようとするのか、この最後の問題は、これは基本的な問題であるので、大臣からお答えいただきたい。
  99. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 昨年の三月三日受けました答申でございます。いわゆる私ども新三・三答申というふうに称しております。これにつきましては、大要は結局、日本の港湾運送事業は非常に前近代的なものであって、中小企業が非常に多い。したがいまして、この国際的な資本自由化の時代に、産業界のあらゆる分野にわたりまして大規模な近代化なり能率化が急速に進められておるわけでございますが、このような動きはだんだんと生産の段階から輸送、荷役、保管と、こういった段階に著しくなってきております。特にコンテナ輸送というものが海上輸送の革新として登場してまいっておりますし、日本におきましても、外国資本の輸送網拡大の手が伸びようとしておるわけでございます。こういったような港湾を取り巻く輸送の近代化の情勢の中において、日本の港湾運送事業の大規模——事業の規模の大型化と申しますか、それと近代化ということをやりまして、能率の向上をはかり、コストの低減ということにつきまして要請が出てきているわけでございます。  また、こういったことにあわせまして、荷主、船会社と、そういった面から、港湾におきますところの運賃体系ということも少し明確化してもらいたいというような声も出てきておる。また一方、労働条件というようなことから考えても、だんだん労働条件が逼迫してきておる。したがって、そういった意味から港湾荷役の近代化というものを進めなければならないと、こういうふうにいっているわけでありまして、その次には、日本の港湾運送の実情、その他を入れまして、業界の集約化が必要である。つまり集約化するにはいろいろな方法があるというようなことも申しております。また、この集約化に対しますところの具体的な方策というものを早急に立てるべきであるという意味の、つまりそういった意味のいわゆる港湾の近代化の、何といいますか、大筋と申しますか、そういうことが答申をされておるわけでございます。また、この近代化を進めるにあたりましては、事業主、つまり当事者の自覚がどうしても一番必要だと、そういったようなこと、つまり私どもが近代化を進めてまいりますための、大げさに言えば憲法と申しますか、まあそういう基本的なことを答申は書いたものでございます。
  100. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) 港湾運送事業の集約の問題につきましては、三月三日の港湾審議会から港湾運送部会の答申として提出されております。そのほかに三月六日に、五大港における一般港湾運送事業の集約化について、それから三月二十一日に、五大港における一般港湾運送事業以外の業種にかかる集約化についてという答申が出ております。大体これらの方向は、九月を目途にしてある程度の集約を段階的に実施することが適当である、こういう答申になっております。現在の日本の経済の成長度合い等を見ますと、港湾自体が相当大きく規模が拡大していく予定でございまして、ことしをスタートとして、新しい、新港湾五カ年計画も策定され、実施されておるわけでございます。一方において労働力がかなり不足してきておりまして、たとえば関西あたりでは、万博のために港湾運送関係の労働者が非常に逼迫してきておりまして、その労働関係の需給問題というものも大きくクローズアップしてきているわけでございます。で、必然的に近代化し、機械化して、相当大規模な仕事としてこれを取り扱っていかないと、経済成長や港湾の規模の拡大等に沿わない実態が出てきて、これを取り扱いをまずくすると、脱落してくるものが出てさましたり、非常にアンバランスの状態が日本の各港湾に現出するおそれがあります。そういう観点から、ここに計画的集約を行なうということは、私は時宜に適したことであるだろうと思うのであります。  そこで、特に考えなきゃならぬ問題は、そういう集約を行なう場合に、一番圧迫を受けるのは労働者の問題でありまして、港湾労働者の取り扱いというものが、公平にバランスがとれて行なわれるように、細心の注意を払う必要があるだろうと思っております。それと同時に、これらの集約を行なうにつきましては、権力的なやり方でなくして、あくまで事態を説明して、関係者の納得を得た上で集約化を行なわれることが望ましいと、そういう考えを持ちまして、いま各海運局ごとに関係業者との懇談会を全部やらしておりまして、一一零細業者に至るまで意見を聞いております。この港湾審議会答申につきましては、一部誤解もございまして、零細業者のほうから、ちょうど戦争前の企業整備みたいに、強引にのれんをはずされるんではないかという心配も多分にあるようでございます。したがって、そういうようなことはやらぬということを私はっきり申しまして、ともかく各海運局ごとに事態を説明して御意見も聞いて、そして段階的にこれを実施する、無理なことはあまりしない、そういう考えに立ってやろうと思っておる次第でございます。
  101. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 港湾運送事業者は、全国で大体どの程度あるかということと、それから、港湾運送事業の集約化が急がれておるのは、港湾運送事業者の大部分が零細事業者であるからだと、こういうふうに承っておるわけですが、その辺の実情についてはどうなのかということを伺いたいと思う。
  102. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) お答えいたします。  全国おおむね九十二港、大きな港がございますが、その中で港湾運送事業と申しますと、いわゆる船内荷役事業というのがございます。それから、はしけ運送の事業、沿岸荷役といかだ運送、それからまた、それらを全部統轄してやる一般港湾運送事業と、五つの事業種類がございます。これを全部、この五つだけを合計いたしますと、全国九十二港で三千二百五十一社、事業者数がございます。それからさらに、五大港がこのうちで一番重要でございまして、扱い量その他から見ましても、大体六割、七割程度扱っております。五大港で数字を申しますと、千八百五十二社でございます。そういう数字でございますが、これの実態と申しますか、そういったものは、まあ船内、はしけ、沿岸、それごとに違いますけれども、資本金別に申し上げますと、大体百万円から五百万円未満という層が三四%、それから五百万から一千万円というのが一七%、一千万から五千万が二五%、五千万以上が一四%、その他は百万未満、そういう非常に中小企業の多い業種でございます。
  103. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、港湾運送事業については労働力に依存することが非常に高いと思うので、先ほど大臣からもその点に触れて御答弁があったわけですが、労働力がとにかく不足しておるということはわかりましたけれども、労働力の需給の関係ですね。これは実情は一体どうなのかということですね、全国的に。それから事業量の増に比して労働者数の伸びのぐあいは一体どうなのか。要約すれば、先ほど大臣のおっしゃったように、労働力が不足しておるということになりましょうが、それをいま少し詳しく御説明いただきたいということと、その労働者の中に、日雇い労働者が相当の比率であるのじゃなかろうかと思うのですが、そうだとすると、その実情はどうなのか。また、この日雇いの常用化の問題についてはどうとらえておるのか、ある程度進んでおられるのかどうか、その辺の事情についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  104. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 港湾運送事業の労働者の数でございますが、五大港で申し上げますと、一月一日現在の統計でございますが、全国で六万二千四百人でございます。これは常用の労働者でございます。したがいまして、先ほど千八百五十二社と申しましたので平均いたしますと、一社当たり三十四人ぐらいの平均になります。この常用労働者のほうは、年次別に統計を見てまいりますと、だんだんと最近ではふえております。なおそのほかに日雇い労務者というのがございます。これは港湾労働が非常に波動性が多いという関係から、必要な人員を全部常用者でまかなっているわけにはまいりませんので、仕事の多いときに臨時に日雇いの労務者を連れてまいります。これがおおむね延べ数、実人員にいたしまして一万八千人から二万人程度だというふうに推計されております。つまり大体常用者の三〇%程度が日雇いの労働者でございます。これは昨年の十二月の一カ月の統計でございますが、労働省関係の統計でございますが、五大港におきますこういう日雇いの労働者の求人の総数がおおむね三十一万人、これは延べでございますが、それに対しまして全国的に見ますと、八三%ぐらいが就労をいたしております。つまり一七%ぐらい足りない。特に東京、横浜、名古屋につきましては九〇%程度でございますが、これは先ほども大臣からお話がございましたが、大阪、神戸につきましてはほとんど八〇%台、つまり必要な数の日雇い人夫の八割ぐらいしか集まらないと、これは万博その他の関係があるからでありましょうが、おおむねそういうことになっております。
  105. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、先ほどお伺いいたしました港湾審議会の委員は、おそらく三十五人ぐらいだろうと思いますが、この出席状況は一体どうなのかということと、また、これは港湾審議会の委員に限定したことでありませんが、行管からの資料によって調査いたしますと、兼職されておる委員が相当多いのが実情のようです。そこで、この港湾審議会の委員三十五人について、兼職の状況はどうなのか。もちろんここで名称を、詳細なことはお答えしにくいと思いますから、ごく概要のところのお答えでけっこうです。なお、できればこれを資料として次回までにひとつ御提出いただきたいと思います。
  106. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 出席状況でございますが、運送部会のほうは平均の出席率が四十一年が九五%、四十二年が九三%になっております。計画部会と管理部会はおのおの九二%でございます。それが出席率でございます。  それから兼職でございますが、これはいろいろな関係で、六つ兼職しておられる方が一人、それから五つが一人、四つが一人、二つ兼職しておられる方一人、そのほか十六名、これは兼職一つでございます。そのほか行政機関の職員はこれは除いております。そういうことでございます。
  107. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なお、この機会にお伺いしておきますが、昨年度、いわゆる四十二年度の委員手当とか、旅費等の経費についても概要だけ御説明いただきたいと思います。
  108. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) いまちょっと手元に資料がございませんので、できればすぐ作成して、あとでお届けしてもいいと思いますが。
  109. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 はい。
  110. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 四十三年度の分につきましては一応予算がございまして、港湾審議会全体で百七十七万八千円でございます。内訳は、委員手当が五十六万六千円、旅費等が五十一万五千円、庁費が六十九万七千円というふうになっております。
  111. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 いまの程度わかればけっこうですから、あとお聞きの資料提出は要りません。
  112. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) はい。
  113. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なお、追ってお伺いいたしますが、四十年度から五カ年計画で四十四年度まで総額五千五百億で第二次港湾整備五カ年計画が進められておるようでありますけれども、そのごく概要についてでけっこうですが、承っておきたいと思います。
  114. 政府委員(宮崎茂一君)(宮崎茂一)

    政府委員(宮崎茂一君) 昭和四十年からの五カ年計画でございますが、これは総額六千五百億でございます。その中に、つまり政府が補助し、または政府みずから直轄工事としてやるもの、こういったものが四千八百五十億でございます。そのほかに地方の単独事業でございますとか、起債事業でございますとか、港湾のこういった事業がございます。それで、この計画は昭和四十四年を目途にいたしまして、四十四年の港湾の取り扱い量を十億五千万トンというふうに想定をいたしまして、そういう六千五百億の五カ年計画をつくりまして、本年は、その点から申し上げますと第四年目に入るわけでございますが、すでに昭和四十一年において九億三千八百万トンというふうに、日本の経済成長に従いまして港の貨物量が相当大幅にふえました。それからまた昨年の十月から、御承知のように新しい海上の輸送革命といわれますコンテナ船というものが問題になってまいりまして、コンテナ用の新しい埠頭をつくる、あるいはそのために公団を新設するということがございまして、なお、またそのほか各港におきましても船型が増大したとか、あるいはまた計画が小さくなったということで計画改定の要望が強くなっておりまして、今国会にも、計画を改定いたしまして、つまり既存の五カ年計画を昭和四十三年度を初年度といたしますところの新しい五カ年計画に改定をいたしまして改正の法案を提出いたしております。その規模は、総額一兆三百億という、これは四十三年度からの五カ年計画でございます。四十七年の貨物の目標はおおむね十五億トン程度と、こういうことにして、これに関連いたしますところの港湾整備緊急措置法の一部改正の法案を提出いたしております。
  115. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 法案自体で問題にしております港湾審議会関係の面は一応その程度に打ち切っておいて、次に、交通安全対策について承りたいと思いますが、最初、航空局の方お見えと思いますから、そこを中心に伺いたいと思います。  一昨年ですから四十一年ですね、五月の十二日に当委員会で最近の交通量の激増に対処する安全対策についての附帯決議がなされたわけです。それは、「最近の度重なる航空事故の発生にかんがみ、政府は、この際航空保安の万全を期するため、航空保安要員については、すみやかに凍結欠員の解除等の措置を講じてその充実を図るとともに、施設、組織等についても再検討を加え、事故防止のため最善を尽くすべきである。」、こういう趣旨の附帯がなされたわけです。そこで、このことについてもお伺いいたしますが、本年度はこの決議に沿って陸、海、空、各交通安全のためにどのような施策が行なわれておるのか、その概要を御説明いただきたいと思います。
  116. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) 本年度におきましては、四十二年度に引き続きまして、四十二年度に空航整備五カ年の目標を定めていただいたわけでございますが、四十二年度に引き続きまして空航の整備のために、新空航を除きまして約八十四億の空航整備費を計上いたしております。それから施設その他につきましても自動着陸装置——ILSと申しますが、ILSあるいはビーコン、VOR、あるいはいろいろな航空灯火、これらの施設の整備に伴いまして定員的には本年度百六名の定員増をお認め願っております。それからこれも当委員会でいろいろ御議論いただきました航空保安職員の研修定員の問題につきましても、航空保安職員研修所というものを正式にお認めいただきましたので、本年度はこれの校舎をつくるということで、四十四年度からは管制官四十名、二年でございますから約八十名の定員、それから通信関係二十名、無線関係三十名、これはそれぞれ一年でございます。こういう定員を四十四年度からつけるということで政府で決定をいたしたわけでございます。それから航空大学校の拡充につきましても、宮崎の航空大学校の定員を、本年度から去年までの三十名を九十名にふやしていただきまして、すでに新制度による新入生はもう入学をいたしました。以上でございます。
  117. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) いまの御質問の中にあります陸、海、空、いまは空のお話がございましたが、陸のほうでは特に通学や通勤、街路における交通安全を中心に考えまして、一面において踏切道の整備ということを、法律をつくっていただきまして、相当の予算額を計上いたしまして改善をやっております。これは国鉄とも連携し、また私鉄とも、いろいろ協力を求めまして、私鉄にも補助金、助成金を与えて進めております。それから一方におきまして自動車の安全を考えまして、十四項目にわたる安全対策の指示要項をつくりまして、ベルトをつけるとか、安全まくらをどうするとか、前のフロントガラスが白くなって見えないところを見えるようにしておくとか、十四点にわたる自動車の構造改革を指示いたしまして、これも近く実施することになっております。  それから海運につきましては、一番われわれが憂慮しておりますことは、大型タンカーが出てまいりまして、十万トン、二十万トンのタンカーが狭水道を通る場合のことでございます。備讃瀬戸、あるいは、浦賀水道、あるいは関門、ああいうようなところへ二十万トンぐらいのタンカーが入ってきて漁船と衝突したり、あるいは霧のために事故を起こす等、もし万一不測の事故が起こりますと相当の油を流出いたしまして非常な被害を沿岸地帯に与えるわけです。イギリス海峡でトリー・キャニヨンの事故がありましたが、ああいうこともただの事故ではないわけでございます。そういうことから大型タンカーを中心とする交通規制をどうしてもやる必要があるという関係で海上交通法を制定しようということで、原案はほとんどできたのでありますが、一部、漁業権との調整の問題が残っておりまして、その点がまだ調整がつかないのでございます。そういう点から、すみやかにこの漁業権との調整をつけまして、海上交通法を通しまして、海上運送の一番重要なポイントを確保しようと、こう考えておるところでございます。
  118. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なお引き続いてお伺いいたしますが、たとえば最近、国内航空の面を見ても、各民間航空会社がいわゆる大型化、スピード化という傾向にあろうかと思うんです。結局その面でもまた航空機利用の増大により事故も激増の一途をたどっている、それが実情のようでございますが、そういうことになると民間航空における空港の安全性というものが一番強く望まれておるわけです。そういうことに関連して以下二、三お伺いしたいと思うんですが、まず、先ほど御説明のありました空港整備五カ年計画、これは四十二年から四十六年度までの五カ年というふうに聞いておりますが、これは千百五十億で出発して、いまのところその既定方針で、またその額で進めようとなさるのか、別にいまのところ変化はないわけですね。  それから空港の第一種、第二種、第三種、それぞれについて要点だけを伺いたいと思うんですが、第一種というのは、言うまでもなく、これは国際航空路線に必要な、たとえば大阪とか伊丹、こういうようなところで整備が進められておると思うんですが、問題は第三種にあろうかと思うんですね。第三種については、地方公共団体が設置、管理するということになっていますから、そういう点でまだまだ不十分の点が相当あるんではないかと、われわれも地方を回ってみてそういう点痛感させられるわけだが、ずいぶんお粗末な空港もあるわけですけれども、そういうような実情について、ごく概略でけっこうですが、御説明いただきたいと思います。
  119. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) まず第一点の空港整備の目標は千百五十億ということで当初設定したとおりで変えておりません。  それから御指摘の第三種空港につきましても、この五カ年計画の中で重点を置いて考えておるわけでございますけれども、このうちの非常に交通量の多い空港につきましては、現在、大部分が千二百メーターの滑走路でありますが、できる限りこれを千五百メーターに伸ばすということと、それから灯火類を整備する、特に飛行機が滑走路に入りますとき着陸しやすいように進入角指示灯というのがございますが、これを三種空航にできるだけ整備をしてまいりたいというふうに考えております。それから地方公共団体の空航管理者とは常に航空局のほうで会議を持ちまして、空航の安全につきましては遺漏のないように万全の措置を講じたいと、このように考えております。
  120. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なおこの機会に承っておきたいのは、一種はわかっておりますが、第二種、第三種、それからその総数ですね、それと工事中のものもあろうかと思います。なければけっこうです、もしあれば、それの種別に二種、三種というふうに。その他のものとして、各民間の新聞社等が設置しておるところも一部あるようです。それから自衛隊用のもの、米軍用のもの、これはもちろん詳細なものは要りません。ただ一応その数だけをこの機会に承っておきたい。
  121. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) 一種、二種、三種は、これは御承知のように、空港整備法のほうの関係で分けてあるわけでございまして、一種は東京の羽田でございます。それから大阪の伊丹、それから今度は目下建設いたしております成田の新空港、それが一種であります。二種は全国に十七、それから地方公共団体が設置管理します三種は二十九港ございます。それからそのほか、これは空港整備法ではございませんが、航空法の規定に基づきまして、新聞社あるいは民間の方が設置許可を運輸大臣に申請いたしまして、民間の方が設置管理している飛行場が九カ所ございます。それから米軍に提供しております飛行場を民間航空に供与しておりますものが三つ、それから防衛庁が管理者でございますが、これを民間航空用に供与いたしておりますものが六ございます。
  122. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 いま説明の中で、東京の新国際空港がもしできれば国際空港は第一種が三つになるということでございますが、そこで、そのことをちょっと承っておきたいと思うのですが、三里塚一帯に新空港設置が閣議が決定されてから大体もう一年有余になろうかと思うのですが、新聞などで報道されているように、地元の反対同盟はじめその地元の方が強い反対を展開しておるかと思うのです。そこで、その機会に、新国際空港建設の背景については長くなりまするので、これは後日に譲るとして、ここで承っておきたいのは、新空港が建設されるといたしますと、それに伴う騒音とか、公害の被害ということに限定して、二、三お伺いしたいと思うのですが、たとえば九十ホーンの騒音は地下鉄の電車の中にいる状態だと聞いておりますし、百ホーンになると電車のガードの下の状態だと、こういうことを聞いておるわけですが、この九十ホーン以上の騒音の被害地域は、現在使われているボーイング707型ですか、この707型機の場合でも、一本の滑走路について、縦が三十キロ、横が五キロに及ぶという説明を聞いておりますが、そこでSSTとか、あるいはジャンボ・ジェット、このような超音速大型ジェットになると、その騒音はさらに倍増されるというように聞いております。そこで承りたいのは、こういうことも空港建設についてもちろん計算に入れておられるかと思うのですが、こういうことについてまず運輸省としてお考えになっておる点をお聞かせいただきたい。
  123. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) こまかい具体的なことは航空局長答弁させます、騒音の問題はわれわれも非常に重要視しているところであり、かつ、千葉県知事が最もこの問題については関心を持ってわれわれに要望しておる問題でもあります。そこで、SSTやあるいはコンコルドが参りました場合の騒音がどの程度になるかということをよく検討しておりますが、製作者側からのいろんな資料及び製作国であるアメリカやあるいはイギリス、フランス等の許可条件というものをよく調べてみますと、現在のDC8以上には出ないようであります。特にアメリカなんかは内陸の飛行場が多いものでありますから、衝撃波やその他のものには非常に鋭敏でありまして、日本以上にその点は関心を持っておるようであります。で、よく問題になります衝撃波、これは超音速にかわるときに非常に大きな爆発音が出るわけでございます。これが一番心配していることですが、日本の場合には、成田を飛び立ちまして、大体、札幌程度の距離へ行った場合に、高度二万メーターぐらいになって、そこで超音速に移るわけです。したがいまして、札幌程度の距離はもう海上はるかかなたでありまして、そこで衝撃波が起きても陸上には被害はない、そういうことで心配はないようです。それから、着陸の場合にはすでに遷音速から普通のジェット機程度の速力に落として接地してくるわけでありまして、これもはるかに海上においてそういう問題が解決しているわけでございます。それから発着の場合に、大型機であるからアメリカのB52みたいなものすごい爆音が出るのではないかという予想もあると思いますが、ああいう軍用機は非常に無理をして、爆弾を積んだり、ガソリンを満載しておりまして、発着のときには非常にエンジンをふかして、そして音の問題なんか考えないでつくられておるわけであります。ところが、旅客機の場合はその点は別の設計で、別の考慮でつくられておるのでありまして、ああいうエンジンをしぼって、ものすごい爆音をつくりながら出すB52のような軍用機、これはもう戦闘用につくっておるわけですから、非常にエンジンに無理をして、しぼって、音を出すこともかまわずにやるわけです。しかし、民間旅客機の場合は、それとは全く違った観点から飛行機の構造をつくっておるのでございまして、その点は軍用機と同じように考えたらこれは間違いであると思うのであります。しかしながら、やはり住民に対する不安や心配というものももっともなことでもありますので、いろいろ対策を講じておりまして、ある一定の限度内、つまり滑走路の末端から二キロ、幅六百メーターの範囲内のところでは、もしかえ地がほしい、移転するという希望の方があれば、こちらが補償いたしましてその要望にも応じますし、また、農業を営むという人たちのためには特別のいろいろな助成手段を講じまして、畑地かんがいをやるとか、農業生産が低下しないような措置もやりますし、それから騒音防止法の適用によりまして、公共的建物については防音装置を施すとか、それから一般の民家につきましても、たとえば共同の学習する場所をつくるとか、あるいは公民館の内部における防音装置をつくってあげるとか、そういういろいろな問題についても最大限の考慮をして手当をしていく、そういうことを考えているのでございます。具体的には航空局長から答弁させます。
  124. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 航空局長、なお御答弁があれば、せっかくの機会だから承りたい。大臣には御遠慮なさらぬで。ありますか。——それでは次の問題お伺いしますが、いまのと関連の問題ですが、私、実際に国政調査などで全国のおもだった空港を見ておりますが、特にそういう騒音という点で頭を痛めたのは、福岡の板付の飛行場であります。あれは都市のまん中にあるという関係もございますけれども、これはもちろん米軍の基地もあって、F104とかいうものが主体でありますけれども、これはもう飛行場の近くにおったら耳をつんざくような、ほんとうに雷のような騒音、ものすごいごう音があるわけです。それと防音装置について、そのことについてお伺いしたいと思うのですが、周辺の学校についての防音装置も実際に行ってこの目で見てまいったわけですけれども、それはもう四年ほど前ですから、この四、五年の間に、防音装置についても科学技術の進歩に伴って相当躍進的に進んでおろうかと思いますが、四年ほど前の防音装置ではあまりきき目がないようであります。夏の暑いときでも冷房装置がなくて窓を閉め切りですから、実際に学校教育の面で、特に音楽教育などは十分果たせないという音楽の先生お話であったわけです。そこでお伺いしたいのは、いま申し上げたその防音装置についてどのように進歩しているのか、そういうことにも関連してこようかと思います。そういう面だけお聞かせいただきたい。
  125. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) 防音装置につきましては、飛行機の騒音の程度によりまして、それぞれ防音装置をする基準をきめておりますが、一番うるさいところでは、鉄筋コンクリートに改築をいたしまして、二重窓にいたしまして、これによりまして教室内の騒音を七十ホン以下にして授業に差しつかえないようにするというところまで進んでおります。ただ、先生の御指摘になりました冷房の関係でございます。これは現在のところ私のほうも、自衛隊のほうも、いわゆるベンチレーション、通風しか認められておらないわけであります。それで非常に暑いところでは先生指摘のようなことが確かにございます。全国からも冷房装置をつけてくれという要望が非常に強いので、防衛庁のほうと連絡いたしまして、何とかこれを実現するようにしたいということで、いま努力をいたしております。
  126. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 一、二騒音についてお伺いしたのですが、それと同時に、ここで考えられるのは、公害についても相当対策を講じなければならぬ問題だと思うのですが、たとえば新空航にあてはめますと、利根川から運ぶいわゆる空航用水、あるいは新国際空航全域を補装することになろうかと思いますが、排水のもたらす公害、これを当然考えるべきだと思います。特に三里塚から九十九里海岸に至る地域はあまり河川が整備されていないわけです。降雨期にはいまでも出水が相当ありますし、河川の汚染とか、特に印旛沼から一帯の湿地が相当むずかしい問題だと思うのですが、そういうような事態に対して、結局これを何とか整備しないと、新空航の建設によって農民とか地元の住民たちが一そう大きないわゆる公害から免かれるのではなかろうか、こういう点が当然憂慮されるわけです。この点については運輸省としてはどのようにお考えになっているか。
  127. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) ただいま先生の御指摘の問題につきましては、中曽根運輸大臣が新空航建設推進実施本部長という名前で関係各省、いま御指摘関連公共事業は運輸省だけの問題ではなくて、建設省、農林省等関係の省が非常に多いわけでございます。中曽根実施本部長のもとに各省の局長で集まりました委員会をつくりまして、そこでその実施計画をただいま進めておりますが、いやしくも新空航の設置に伴いまして千葉県の方に御迷惑がかかるということのないようにということで、この資材の運搬につきましても国道五十一号線の整備、それから所要の水につきましても、水資源をとりあえず利根川水系で確保しよう、それからこれを舗装しますことによって、御承知のように、排水につきまして関係の河川を整備しなければいけません。それにつきましても建設省が主体になっていま案を進めております。それから下水処理、汚水処理につきましても、空航自身で使用した汚水は高級処理化し、そして流す、付近の方には御迷惑がかからないようにする、こういうことで相当詳細な計画をただいま進めております。
  128. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 いま御答弁があったわけですが、私は特にここでお伺いしたいのは、空港の公害のもたらす地方財政へのしわ寄せ、こういう面でお伺いしたいと思うのですが、かつて大阪の伊丹空港の設置の場合もここでお伺いしたと思うのですが、ある調査によってこの辺を調べてみますと、伊丹市では八年間の市財政における収入増は七億円であったと聞いております。これはもちろん新空港設置によって八年間で七億の収入増ですね、これはたいへんけっこうな面なんですが、いま申し上げた空港公害ということで、結局相次いで起こる空港公害の面に対して、伊丹市が六年間で十六億円の支出があった。そういうことを考えあわせると、プラスマイナス新空港設置によって受ける損害は大体九億円ということになろうかと思うのですね。そういうことになると、これは伊丹だけの場合かもしれませんけれども、伊丹の場合を人を介して照会すると、この数字を得たわけです。これはまた今回新設されようと計画しておる新国際空港に、こういうような割合で地方財政へのしわ寄せが行なわれると、これはまた地方財政への圧迫という大きな問題が出てこようかと思うのですね。そういうことでひとつその面についての対策についても、考え方についてもお伺いしておきたいと思う。もちろん、先ほど御答弁があったように、これは単に運輸省だけの問題ではなくて、農林省、建設省等の関係省庁が当然関係してくる問題でありますが、運輸省としての立場からのお答えをいただきたい。
  129. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) 新空港設置に伴いまして膨大な関連公共事業が必要であることは当然でございますが、このうち都心、東京都と新空港をつなぎます鉄道でございますとか、それから高速道路、こういうものにつきましては国、国鉄または道路公団、これが全額を負担いたしまして地元には御迷惑がかからないようにしたい、こういうことで計画を立てております。それからこの新空港の周辺につきましては、千葉県御自身からもう相当膨大な公共事業の御要望がございますし、それは先生がおっしゃいましたように、当然また国の補助金は出しますが、地元負担というものは相当大きくなってくるわけです。それで、これは政府といたしましては新空港関係閣僚協議会というものを設置いたしまして、この閣僚協議会で、昨年の十二月に、関連公共事業を実施することによって地元負担が非常に大きくなる場合には、これを軽減する措置をとる、こういうことを決定いたしておりまして、その全貌が明らかになり、地元負担がどれだけになるかという数字がはっきり出てまいりましたら、これに対する地元負担を軽減するという措置をとることに関係閣僚協議会で決定をいたしております。
  130. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なお、このことに関連していま少しお伺いいたしますが、いま私が数字をあげて申し上げた伊丹は言うまでもなく国際空航で、第一種空航だと思いますが、この第一種空航ということになると、工事費は全額国庫負担でありますし、設置、管理は運輸大臣にあるわけですね。そういう条件のいい空航の場合でも、伊丹の例であげた数字がほぼ核心に近いとすれば、これは地方財政を圧迫することの問題として一つの大きな問題だと思うんです。これは第二種とか、特に第三種の場合は、その工事費については地方公共団体と国がおよそ二分の一だと聞いておりますが、そういうことになると、公害によるいわゆる対策費の増大ということもさることながら、その前にもう建設費で相当巨額の金を使わにゃならぬ。そのあとまた、もしこういう公害等の対策費のために相当費用を捻出しなければならぬというような事態になると、こういう面でも一そう財政は窮乏してくる、こういう問題が当然起きてくるように考えられるわけですね。そういう点についてはいかがお考えですか。
  131. 政府委員(澤雄次君)(澤雄次)

    政府委員(澤雄次君) この空航の建設に対します国、地方公共団体の分担は、先ほど申し上げました空航整備法できまっているわけでございます。一種空航の場合には全額国が、それから二種空航の場合には二五%府県に分担していただく、三種の場合はもう五〇%国が補助する、こういう関係に相なっておりますが、これは他の公共事業と御比較願いましても、国の負担限度、負担する量というものは非常に高いのではないか、伊丹とか、東京は全額国が負担いたすわけでございますが、非常に高く国が負担をしている。実際、この空航の設置によりまして利益を受けるものは東京都民、あるいは伊丹の場合には大阪府、兵庫県というところの方が非常に多いんじゃないかと思うのでございます。これは知事さんともよくお話し申し上げているのですが、いろいろいわゆる関連公共事業のほうでその負担をお願いすることが多いのでございますが、一番伊丹の空航を利用される方は大阪府なり兵庫県の方が多いのですから、ひとつ何とかお助け願いたいということで御了解を願っている次第でございます。
  132. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、本日のところあと最後にいまの点について御要望申し上げて私の質問を終えておきたいと思うのですが、ちょうど区切りがいいところでありますので、以上一、二騒音とか公害について承ってきたわけですが、これは先ほども申し上げたように、運輸省だけの問題でなく、関係各省とも十分緊密な連携をとられておると思いますが、一そうそういう面、遺憾なきを期していただいて、結局、騒音とか公害対策について、特に地元の住民の方々、そういう面も十分配慮をしていただいて、ひとつ一そう、新国際空港だけに限った問題ではありませんので、これは一種、二種、三種、全空港について言えることだと思いますが、ひとつ騒音、公害、こういう面で特段のいわゆる科学技術の進歩のめまぐるしいときですから、いろいろ新しい着想も出てこようかと思うのですが、そういう面を十分駆使して遺憾なきを期していただきたいと思います。先ほど大臣からそういう意味の御答弁もありましたから了承できるわけですけれども、重ねてこういう点を強く要望申し上げておきたいと思います。
  133. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 速記をつけて。
  135. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 私は若干タクシー料金と個人タクシーの問題でお伺いしたいと思います。  その前に、この前から去年の七月ですか、大阪タクシーの冷房料金の問題もございました。またせんべつ金の問題、あるいはLPGの汚職問題、また最近は日通問題と、運輸行政が非常に非難のまとになっておるわけでございますけれども、運輸大臣として運輸行政の綱紀粛正についてどのようなお考えを持っておられるか。またその経過と処置について簡単に若干お伺いしたいと思います。
  136. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸省関係の下部等におきまして不祥事件がありまして、まことに申しわけない次第でございますが、私、着任以来、綱紀粛正を大きな仕事の目標にしておりまして、まず一つは政治家自体がえりを正さなければいけない。そういうことから職員にも訓示いたしまして、政治家のほうからくる排気ガスは、わしがひとつ何とか防遏するから諸君は自分の職務に精励してくれ、そういうことを言っておるのです。冷房料金の問題等なんかいろいろ風聞を聞きますというと、若干、政治家からの圧力があったやに、私はこれは誤伝かもしれませんけれども聞いたりします。まあしかし、最近はそういう点はすっきりいたしまして、みんな各自法規典礼に従って職務に精励しているということになったと思います。  第二に、高級公務員がやはりみずからえりを正さなければいかぬ。役所の仕事というものはトップマネージメントですから、下から上がってくるのを判こを押すというやり方ではいけない。局長は最大の責任者であるから、自分から考えて省内をリードして、自分の責任において処理するように態勢を変えなければいけない。そういう方向に切り変えまして、その点もスムーズに進行しておると思います。  それから課長、係長クラスの点におきまして、特に地方支分部局において問題が起きたのでございますが、大体そういう業者と接触する部面の役職は二カ年で配置転換を行なうということで、約三百人ばかりの配置転換を実行いたしました。  それから運輸関係の仕事というのはどうも業界関係がまだ近代化されておりませんで、封建的な親分子分の扱いみたいな要素が非常にあったわけでございます。それと接触するからどうも引きずり込まれるという危険性もありましたので、業者との接触等につきましては厳重な基準を設けまして、いやしくも世の中から誤解を受けるような会合その他に出てはならぬし、せんべつその他ももらってはならぬし、ゴルフ、マージャン等にも出てはならぬ、そういう具体的な方針を指示いたしましてそれを励行しております。まだ完全に目が届いているとは言えませんが、事態は改善の緒についていると私は確信いたしております。
  137. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 大臣のおっしゃる意味はよくわかりましたが、具体的に済んだことではございますけれども、去年のせんべつ金問題に対するお二人の方に対する身分上の処分がありましたけれども、非常に国民はゆるやかな処分ではないかと、こう考えているわけです。総理大臣も必ず信賞必罰をもって臨むとたびたび明言されておりますけれども、これでは信賞必罰とは言えないじゃないかという意見も非常に国民の中にあるわけでございます。この問題について運輸大臣としてどうお考えになっておられるか。
  138. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) 検察当局の措置で不起訴になった者と起訴猶予になった者がありますが、不起訴になった者は犯罪事実なしということであります。起訴猶予という者は、犯罪の事実はあったかもしれぬが、情状酌量して、この程度では猶予してやる、そういう判断であったと思います。そして、それぞれに応じまして訓告を与えたり、そのほか行政処分をしたわけでございますが、配置転換をやる際に、大体自分より一年おくれている者のあとを継がしたわけでありまして、十七年の者が十八年の後輩のあとのポジションに行くということは役人の世界ではなかなかつらいことであります。まあしかし、そういうこともやって、そして世間とわりあい接触しないところに、まあ自粛の意味もありまして配置転換をいたしました。まあ処分といたしましてはそういうことをやったのでございますが、世の中はどういうふうにお考えになっておるかしりませんが、役人の仲間からいたしますと、そういう処置は非常につらい処置になっておるのでございます。
  139. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 昨年の末の朝日新聞に、抜き打ち査察予告という見出しで、年末年始の交通事故を防ぐためにバス、タクシー会社の抜き打ち査察をしている、特に札幌陸運局では、査察の前日に明日査察をやるからとタクシー会社に予告するように局長が職員に命じていた、このために査察に出かけたときには前日まであったところの運転手別の水揚げ額などが禁止されていた表からはずされていた、夕方になっての連絡なら運転手の書き変えも間に合うまいということを局長が言うのであるが、このような行政執行のやり方では業界の圧力に運輸官僚が屈しているのではないか、こういうことがあったのでございますが、このようなことを御存じですか。それともこういうことに対してどういう態度をとられているのか、お伺いしたいと思います。
  140. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) 年末年始にやりましたのは、十二月十日から一月十日まで一番お客さんが移動するとき、しかも正月や年末の大事なときに万一事故があってはならぬというので、安全総点検ということで安全の確認を中心にやったのでございます。これは事前に業者の代表を呼び集めまして、こういう趣旨でやるからしっかり整備点検をし、部下に指示をし部内を引き締めよというようにあらかじめ予告をしてこれはやったんです。私も、中央におきましては協会の会長以下関係者を集めて、私からじかに指示いたしましたし、陸運局におきましては陸運局管内の者、海連局も海運局管内の業者を集めましてまず指示をして、そうして整備点検をやらして、それを現場でまた実地に視察に行くというやり方でやったのでございます。そういう点ではこれは成果があがったと思います。その後いろいろ統計を調べてみますと、一〇%くらい事故が減っております。そういうわけですから、非違の査察という趣旨でそのことをやったのではないのであります。
  141. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 次に、個人タクシーの免許でございますけれども、従来どうしても、昨年から少しは進んでいるようでありますけれども、タクシー料金の値上げ問題なんかもずいぶんありまして、また個人タクシーの免許問題についても非常に業界から圧力があるのじゃないかということが従来言われておりました。中には聞こえてくるのは、からだを張っても断固個人タクシーの免許については阻止するのだというようなこともよく新聞紙上なんかに書いてあります。で、こういったことがしょっちゅう従来言われているわけでありますけれども、本来、陸運行政の健全な運営のためにはこういうことが少しもあってはならない。こういううわささえ出るような姿ではならないと、このように思うわけでございますが、業界の圧力によって運輸行政が左右されるというような従来のうわさ、あるいは新聞紙上にあらわれた意見等をどのように考えられ、また具体的にはこれをどのように排除されようとしておられるのか、簡単でけっこうですから。
  142. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) そういううわさや記事があることはまことに遺憾でございまして、運輸省当局といたしましても過去を大いに反省しなければならぬと思っております。最近におきましては、しかしそういう事実はないと確信しております。個人タクシーの免許にあたりましては、個人タクシーは非常に評判がいいのでございますが、なぜいいかというと、資格要件を厳正にして、優秀な者しか許可しないから名声があがっているのであります。これをルーズにしていいかげんなものが一件でも出てまいりますと、一人のために全部のいままでの努力と名声がおっこちてしまうわけであります。そういう面からも、個人タクシーの性格から考えまして、経歴、年齢、法令順守状況、安全運転の状況、事業計画、健康、そういういろいろな面につきましてかなりの基準を設けてやっているわけなのでございます。  なお、この免許につきまして事務が渋滞しておりましたが、私が着任しましてから、昭和四十年度までの三千件を至急処理しろという具体的な指示を出しまして、三月までに全部処理を終わりました。東京管内で現在残っておりますのは、約二千八百五十件ございますが、これも早期に処理するつもりでございます。渋滞しましたのは、個人タクシーを始めまして、オリンピックが行なわれたその年に非常に申請が殺到いたしましたのでおくれたのでございますが、至急、現在残ったものも処理する予定でございます。
  143. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 いま大臣のおっしゃった、資格条件を厳正にするという問題は、そういう利点もありましょうけれども、多分に個人タクシーの免許がきびしいためになかなか許可を受けられないという欠点もあるようであります。その点は後にまた具体的な条件についてお伺いいたしますけれども大臣のおっしゃるように、個人タクシーは非常に評判がいい。まあ総理も、大都市だけではなくてその範囲を拡大すべきではないかということも言っておられるようでありますし、今後も、大臣はスピードアップをだいぶされたというお話でございますが、積極的にその範囲を広げるとか、あるいはいままだたまっておるのを早急に処理するとか、そういった前向きの姿勢でぐんぐんふやしていくのかどうか、その点をお伺いします。
  144. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) 大都市または大都市の近傍で、お客さんが非常に多くて適当だと思われるところは個人タクシーの免許をふやしていきたいと思います。たとえば東京周辺では千葉あるいは埼玉県の一部、そういうところについても免許を与えていっていいのではないかと思っております。それから案件の残っているものにつきましては、これまたできるだけ早期にこれを全部処理するように指示いたしたいと思っております。
  145. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 その個人タクシーの免許の条件についてですね、簡単に個条的でよろしいですから、年齢とか、あるいはいろいろな問題について若干お伺いしたいのであります。
  146. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 個人タクシーの免許基準につきましては、特に次のような点につきまして重点を置いて審査しております。まず第一に、年齢でございますけれども、おおむね四十歳から五十五歳ということであります。このころの年齢が一番安定した、またいろいろな常識もできるということでございますので、この辺が一番いいのではないかという意味で四十歳から五十五歳までというふうに一応きめております。それから運転経歴につきましては、おおむね十年以上あることということをつけております。それからさらに道路運送法とか、あるいは道路交通法、そういった交通関係の法令の順守状況、これは過去のその方の経歴とか、あるいは現在ございます法律がどんなになっておるとか、そういうような基本的な知識を持っておるかどうかという点につきましても審査の対象にいたしております。それからさらに健康の状態、それからその次は資金の問題であります。この資金の問題は個人のプライバシーまで入る意図はございませんけれども、やはり事故が起きまして、自動車賠償責任保険で三百万円かりに払うといたしましても、さらにそれ以上のやはり賠償能力というものがなければ困るのではないか。そういう点も考慮いたしまして、資金計画が十分かどうか、あるいはそういう信用があるかどうかですね。そういう点を見越し、なお最後に、たとえば車庫でございますけれども、車庫が自分のお住まいよりもえらい遠くのほうにあるのでは個人タクシーとしては適当ではないのじゃないか、遠いといいましても何キロくらいかという、その辺がむずかしゅうございますけれども、要すれば自分の家から車庫まで行って車に乗ってかせぎに出る、その間がえらい遠いと、そうしますとつい自分の家のほうへ車を持って帰ってしまうということになりますと、たとえば東京の二十三区の区域を免許するようにしましても、自分の家が埼玉県にある、そこへ車を持って帰ってしまうということになりますると、ややもすれば免許した区域以外で事業をするというようなことに相なってはいかぬというようなことで、適当な立地条件に車庫がなければいかぬというような点も見込んでおります。大体、車庫の収容能力という点もやはり資格条件として見ております。大体以上のものであります。
  147. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 まず年齢の点でございますが、おおむね四十歳から五十五歳、これはいまおっしゃったように精神的にも安定しているし、常識のある年齢層であるからというお話でございますけれども、それじゃ精神的にも家庭的にも安定していて常識があるんなら、むしろ三十五歳から四十歳までも非常にそういう適当な人もたくさんいるわけです。なぜ四十歳以上でなければならないのかという点ですね。もう一点は、現在認可された人は四十歳未満の人はほとんどいないのかどうか、どのくらいいるのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  148. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) ただいま年齢の点でございますけれども、ちょっと手元にございませんので申し上げかねますけれども、四十歳未満の方が何人あるか、ちょっといま資料がございませんので、ごかんべん願いたいと存じます。特に四十歳から五十歳がいいんだという科学的根拠は実はございませんのでございまので、たとえば年齢別の車の事故率というようなことから申しましても、やはりこの辺が大体安定しているということでございます。特に科学的根拠はございません。
  149. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) いまの年齢の問題は御指摘のとおりでありまして、一応四十歳を基準にしておりますけれども、これは引き下げてもいいだろうと思います。お説のように、三十五歳ぐらいから五十歳ぐらいまで、あるいは五十五歳ぐらいまで、やはり健康で精神が一番健全なのは三十五歳くらいからだろうと考えられます。ただ、十年間の実績というものは、これは非常に尊重したいと思うのであります。やはり十年ぐらいは無事故で誠実さを認められたということが個人タクシーの非常に大きな特色であると思います。そういう点で十年という点は、これは厳格に守りたいと思いますが、年齢の点は、若くして運転手になって、もう三十五歳で十年たったと、そういう人たちは、よければ認めてやってもいいんじゃないかと考えます。
  150. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 いま大臣のおっしゃることでしたら私は納得しますけれども、ほんとうに四十歳以上に限るというような姿であったならば、欧米諸国を回りましても、ドイツとか、あるいはイギリスなんかは非常に老齢の人が多い。逆にイタリアなんかは、労働力が余っておりますから若い人も多い。日本なんかも、非常にいままでは若い運転手の方が多いわけです。それが四十歳以上ということになりますと、若い人でも相当個人タクシーの希望者があるのに、なかなか年齢の点でうまくいかないというような苦情があったわけですが、またもう一つは、これは憲法じゅうりんじゃないかというような声も聞きます。基本的人権をじゅうりんするものだというような声も聞きます。ですから、いま大臣のおっしゃった三十五歳から五十歳ぐらいまでならよろしいんじゃないかというお答えでございましたので、今後そういった若い方も相当入ってくるのじゃないかと、こう思いますが、これは具体的に、ほんとうにそういった方々が多数免許になるように私は要望するものでございます。  次に、運転歴でございますけれども、どうしても運転歴十年でなければならない。で、普通、一応の技術の水準まで至るのは五、六年でも相当の水準に達せられるということもありますから、どうして十年以上でなければならないのかという基準はどこに置かれたのか、この点をお伺いします。
  151. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) これはさきほど申し上げましたように、やっぱり個人タクシーというのは個人の信用というものが一番大事なもので、それを売り物にしていると思うのであります。信用の中には自分の個性とかいろいろな問題もありましょうけれども、やはり十年間無事故であった、十年間事故がなくて優秀で表彰されてきた、そういう実績が非常に大事な要素であるだろうと思います。これを八年にしたらどうだ、九年と十年じゃ大して変わらぬだろうとおっしゃる議論も出てくるかもしれませんが、一応、十年というのが人間の努力目標の一節であります。野球でも十年選手というのは値が高いので、やっぱりその辺の見当でいいんじゃないかと思います。
  152. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 次に申請の手続でございますが、大体申請に必要な書類というものが具体的に何種類必要かですね、お伺いします。
  153. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) たとえば健康証明、これは医師の診断書でございます。それから過去の経歴につきましては、過去つとめておったたとえばタクシー会社とか、あるいは普通の会社でもよろしゅうございますけれども、それについての事業主の証明書、それから資金計画につきましては、最近の半年ぐらいの預金通帳という、これは書類といいますか、証拠でございますからして、これを見していただくということでございます。そのほかには、たとえば車庫がどこにあるか、どういう車庫が立地条件になっているのか、そういったような書類でございます。
  154. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 こちらで調べた結果でも、ほとんど、戸籍抄本とか、住民票、謄本、履歴書、各四通、あるいは車の売買契約書、いまおっしゃったような車庫の賃貸契約書、営業所の賃貸契約書、車庫用地の地主の登記簿謄本、地主の印鑑証明、免許証取得後の全部のつとめ先の在職証明書、官公立病院の健康診断書、資産調書、資金調書、こういうものが必要だ、これは間違いありませんね。
  155. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 私、戸籍謄本とか、そういうもの落としましたけれども、当然でございまして、間違いございません。
  156. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 先ほどからもお話ありましたけれども、車庫について非常に条件がきびしいんじゃないか。免許になるかならないかわからないのに、契約書とか、地主の登記簿謄本とか、印鑑証明とか、こういったものを出そうとすると、やはり地主の人たちも、車庫の提供を渋りがちだという傾向もあると思う。免許になるまでの賃貸料というものも非常にばく大になりましょうし、また、車庫、営業所の資金なんかも相当多くなるわけですが、どうしてこのような苛酷な条件がこの個人タクシーの免許条件として必要なのかですね、その点をお伺いします。
  157. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 車庫の問題は先ほどちょっと私も触れたんでございますけれども、やはり自分の住まいと車を入れる場所が非常に離れておりまして、通勤すればいいじゃないかという御意見もございますけれども、あまり離れておりますと、やはり自分の車庫へ入れてから、夜、家へ帰るということをせずに、そのまま家へ車で帰ってしまう。たとえば郡部のほうでございますと、自分の家の住まいのほうに、車庫はないけど置いておく、翌日、自分の家から乗って商売に出かけていくということに相なりますと、たとえば、流し営業を認められております区域以外の区域で流し営業をやるというような可能性も出てまいりますので、そういう点も考えまして、なるべく近いところに車庫があったほうがいい。ただし、これは非常にきびし過ぎるという御意見も諸所でされておりますので、これは非常にきびし過ぎて非常識であるということであれば、これは私も直すべきだということを各陸運局長に言っております。ただ、問題は、東京が非常に、先ほど大臣が御説明しましたけれども、非常に書類の申請の処理がおくれまして、これは一どきにたくさんきたものでございまして、したがいまして、二年も三年も申請して待っておられる方もおられるわけでございます。そういう点については御迷惑をかけておるのではないかと思っております。ほかの東京以外は、大体一年ないし、まあ長くて一年半以内にいろいろ処分されておりますので、それほど御迷惑をかけていないのじゃないかと思っておりまして、東京は特にはなはだしいのじゃないかと思っておりまして、私どもはなるべく無理のないような条件で指導するようには申しておる次第でございます。
  158. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 それからもう一点は、結局、個人タクシーを始めるには自己資金でなくちゃいけない。預金通帳を持参させる。そうして、預金をおろしたようなことがある場合には一々チェックする。入院とか、出産等の場合でも、どういう理由かということを一々チェックする。証拠を出させる。こういうチェックのさせ方というものは非常に人権じゅうりんのにおいも強いし、どうして個人タクシーだけそういう一つの事業を始めることについてこのようにうるさくやらなければならないのか。そういうふうにうるさくやることによって、なるべく個人タクシーの免許を少なくしようと考えているのじゃないか、こういうふうにも感ぜられる。先ほど大臣からも仰せのように、きびしい条件にすれば非常に事故も少ない、また評判もいいという、そういう利点も確かにありましょうけれども、こういう人権じゅうりん的なにおいの強いことまでして、なぜこのようなきびしい執行をしなくちゃいけないのか、この点をお伺いしたい。
  159. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 先生のただいまの御指摘の件でございますが、過去においてそういう例があったようでございます。私は実は最近局長になったんでございますけれども、そういう個人のプライバシーにまで立ち入るような必要がどこにあるかということを、私も地方の局長を集めまして十分やったんです。だいぶ中に行き過ぎたのもございました。ただ、これは既存業者とか、法人会社がおる、それへ持ってきて個人を認めるので、商売かたきができてくるというのを既存業者がきらう、そういう圧力があるためにこれを押えるのだというのではないようであります。これは個人タクシーにつきましては、すでに認める当座から、つまりタクシーの、要するに運転手という稼業に一つ夢を持たせるということでこういうような制度を始めたものでございます。決してそういうような既存の法人なり、既存業者のためを思って、それで個人タクシーの何を押えたという趣旨では全くございません。ただ、係官によってはそういう行き過ぎもありますので、この点は特に私は戒めて指導しております。  それで、その設備資金と申しましても、これはやはり事業開始に要しまする設備資金でございますね。それからあるいは運転資金を支弁するに足る程度の安定した財産ということをいっているのでありまして、出産で使ったとか、どうこうとかということは、過去あったかもしれませんが、これからはぜひないようにということを戒めておりますので、今後ともその点は十分気をつけてやっていきたいというふうに思っております。
  160. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 車の売買契約書の問題ですが、よく個人タクシー希望者からお聞きすることは、聴聞の際に一回確定的なことを提出させるけれども、何年か前に提出した申請書と同じ車種でないといけないということをいわれる。申請してから三年も四年もほっておかれて、その間に新車が出ているような状況では、前の申請のときの車種と聴聞の際の車種が同じでないといけないというのは酷ではないか。こまかい問題でありますが、このように思います。これはどうでしょうか。
  161. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 確かにそういうことは私は行き過ぎではないかと思います。それもおそらく申請がたまっておりました東京あるいは大阪というところで、ほかは大体年に一回で処理しておりますので、そういうようなことはないと思うのでありますけれども、あったかもしれないと思いますので、この点は十分気をつけまして、実は車種が同じでなくてはならないという理由が私どもわからないのでありますけれども、どうもその点もふに落ちませんので、よく検討してみまして、おかしければ直させたいと思います。
  162. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 次に、健康診断の問題ですけれども、いままでは官公立の病院に限っていたわけですが、最近になって民間の総合病院でもよろしいということになりました。しかし、一般の民間医師の診断というものは否認されている。これは国家からはっきりと許されている医師に対してちょっと侮辱じゃないか、このようにも思われるわけです。このような健康診断書に関しては、やはり一般民間の診断書も有効であるというようにしたらどうか、このように思いますけれども、これはいかがでございますか。
  163. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) ただいま健康診断書の件でございますけれども、現在はもちろん普通の医師の証明ではいかぬということになっておらないと思いますけれども、官公立だろうが、普通の医師だろうが、りっぱな証明書でございますから、格別区別することはないと思います。
  164. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 それじゃ、一般の医師の診断書はだめだというのは間違いですか、誤まりですか、これはどうですか。
  165. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) いまはそういう指導をしておらないはずでございます。かつてあったかもしれません。
  166. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 先ほど車種の問題に関して、三年も四年もほっておかれたという例は東京しかない、大都会しかないというお話でございましたけれども、それでは今後当局として、個人タクシーを申請し、それから免許になるか不許可になるかわかりませんけれども、それが確定するまでの時間というものは、現在どのくらいで、また将来どの程度に持っていこうという案が、これはおありだと思いますけれども、それはどうお考えでございますか。
  167. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 本年三月末現在の状況を全国について申し上げますると、東京を一番あと回しにしまして、札幌から申しますと、札幌では個人タクシーの申請が三百五十八件その当時ございました。これにつきましては、その三百五十八件のうち二百九十二件が三月中から四月半ばにかけて処分する予定になっております。これは陸運局から報告をとっております。なお、札幌陸運局管内といたしましては、個人タクシーの処分は年に一回原則でやっておるということでございます。したがいまして、一年ないし一年半待てば処分がきまるというふうになっております。それから次は仙台の陸運局管内でございますが、ここでは百五十五の個人タクシーの申請がございました。これは昨年の七月からの申請でございます。それ以前のものは処分されておるということでございまして、この百五十五件については本年の九月に処分をする予定で、いま作業をしているというところでございます。それから仙台はあまり数は多うございませんで、年に一回、二回のときもあるそうでございますが、そういう処分方法でやっておるのであります。それから新潟でございます。ここはあまり数が多うございませんで、三十三件現在出ております。そのうち二十件あまりが聴聞を済んでおります。新潟も車が少ないのでございますので、年に一回の処分で、その方針でやっております。それから名古屋でございまするが、これは現在二百二十六件出ております。これは年に一ないし二回の処分でやっております。なお、この二百二十六件のうち、伊勢市がございまして、これにつきましてはこの五月に聴聞します。それからなお、名古屋では、この二百二十六件につきましては、本年の夏までに処分をする予定でいま作業をしているということであります。それから次は大阪でございますが、これはやはり数が多うございまして八百七十三件出ております。しかし、これは昨年の四月に申請を出したものでございまして、それ以前に申請したものはもう全部整理されております。それが八百七十三件。それで大阪はこの八百七十三件のうち昭和四十二年に申請のあった分が八百十六件でございまして、これはことしの七月から八月にかけて処分する予定をして、いま作業しております。ですから、大部分が処分されると思います。次、広島でございますが、これは百九十四件出ております。これも昨年の三月から申請があったものでございまして、それ以前のものは全部処分が済んでおります。これにつきましては、この五月中に個人タクシーについて処分をする予定になっております。それから、高松でございますが、これはあまり数が多うございません。百十九件、現在ございます。それで、これは別に年に一回とかいうふうにきめておりません。逐次処理していくという体制でやっております。最後に福岡でございますが、ここは六百件出ております。そこで福岡につきましても、随時処分する原則でございまするが、特にこれは福岡の場合は法人の申請と同時に一緒にまとめてやっておるのが慣習でございまして、法人が実は三百件ばかり申請が出ておりますので、これも合わせまして、近く処分するというふうに聞いております。最後に残りました東京でございますが、先ほど大臣から御説明ございましたように、東京は実はオリンピックで猛烈な個人タクシーの申請が出てまいりました。それの処理に非常に追われました。そこで、大臣にも非常にはっぱをかけられまして、実は東京陸運局所掌といたしまして特別の処理班をつくりまして、本年の三月末で、昨年から半年ぐらいの間に三千件を処分したのでございます。これは内輪のことで恐縮でございますけれども、そのために過労で職員が二人倒れてしまったこともございまして、私もだいぶ現場を督励したのでございますが、それでもなおかつ追いつかないということでございます。なお、残りが二千七百件ばかり実は東京二十三区の分がございまして、これも先ほど大臣がおっしゃったように、極力、しかも随時処理したいということを、私も東京陸運局長のほうに大臣の命を受けまして注意いたしておるような次第でございます。  以上でございます。
  168. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 東京におきましても、確かに二十三区内では相当促進されたようではありますけれども、たとえば埼玉とか、千葉、茨城等の東京陸運局管区内の周辺の地域においては、一台も許可されてないというようなところもあるようでございますし、おくれているという傾向ですが、これは具体的にどうですか。
  169. 政府委員(鈴木珊吉君)(鈴木珊吉)

    政府委員(鈴木珊吉君) 実はいわゆる関東地方では、個人タクシーを認めている地区は、現在、東京二十三区と武蔵野市と三鷹市と、あとは川崎市と横浜市と横須賀市だけでございます。そこで、たとえば千葉とか、あの付近のところの都市は一体どうなんだということで、またそういう希望者もたいへん出てまいりました。私のところにも陳情がまいりますし、また国会に請願さえ出ておるような次第でございます。実は個人タクシーというのは流すことが営業形態でございまして、車庫で待つというのはハイヤーでございます。したがいまして、やはり流して採算がとれる、あるいは流しても客がいるというような都会地、あるいはそういったような状態の土地でなければやる人がいないのでございます。ところが千葉のごときはそういうような需要が出てきた。法人タクシーでも流しておるものがいる。そういうような実態であれば、これは個人タクシーでも認めていくべきであると思います。したがいまして、特に千葉につきましては、もう申請も実は出ておりますので、これをひとつ認めて審査に乗せて、基準に合えば認めていきたいという腹でもうきめております。それから、なおそれ以外の都市で、たとえば大宮とか、浦和とかございます。これはまだどうもタクシー会社が法人なり、あるいは個人経営のハイヤーでもよろしゅうございますけれども、要するに、流して客がつかないという状況では、これはやはり認めても結局採算が合わないので困るのではないか、そういうようなハイヤー会社が流しに出てくる。流しの需要があるというところがふえれば、そういう都市はどんどん認めていきたいという趣旨でございます。現在、全国で四十八都市、個人のタクシーを認めております。これは個人のタクシーは流し営業方式のタクシーでございまして、個人のタクシーというのは、これは別に制限はございません。どの地区でも希望があれば、申請があればできます。車庫待ちと違いまして流し営業でございまして、その点よく間違われるのでございますが、流し営業のほうは、そういうふうな実態に応じて認めていきたいという方針でおります。
  170. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 この千葉、埼玉の問題でありますけれども、ほとんどいまは東京と変わらないような状況でございますし、東京のタクシーもずいぶん千葉、埼玉に流れ込んで相当な営業をしているような状況でございます。それは流しでは採算がとれないんじゃないか、こういうのはもうたぶんにおせっかいであるし、またそれを理由にして禁止しようというような、また許可を与えないというようなふうにもとれます。これじゃほんとうに閣議なんかでも、あるいは政府当局も、個人タクシーはふやしたほうがいいというのは、かけ声は大きいけれども、反面、千葉、埼玉等、東京よりもいまは車の量が多いし、かせぎたいという人も多いという地域で許可されていないというのはどうもおかしい。こういった問題に対して、運輸大臣として、全国的に個人タクシーの希望をとつて、もっと大幅に許可していくべきではないか。そうして評判のいい個人タクシーによって利用者がほんとうに恩恵をこうむる、こういう姿にしたほうがいいんじゃないか、こう思いますけれども、最後に運輸大臣の御所見を前向きで承りたい。
  171. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) タクシー営業として採算が成り立つと思われる地域において、適格者があれば随時これをふやしていきたいと思います。
  172. 多田省吾君(多田省吾)

    ○多田省吾君 最後に、タクシー問題の最後の質問としまして、この前の予算委員会でも、大臣ははっきりとタクシー料金の値上げは、いままで明らかに言明されたように、値上げはしないと端的におっしゃっておられます。今後もタクシー料金の値上げ申請に対しては絶対応じない、そういう態度でいかれるのかどうか、最後にお聞きいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  173. 国務大臣(中曽根康弘君)(中曽根康弘)

    国務大臣中曽根康弘君) 地方におきましてアンバランスのあるところは、これは是正してやるべきものは是正してやる用意がございますが、大都市におきましては、前にも申し上げましたように、値上げは認めない方針でおります。
  174. 委員長(井川伊平君)(井川伊平)

    委員長井川伊平君) 本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会      —————・—————