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1968-04-25 第58回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十五日(木曜日)    午前十時四十分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     岸田 幸雄君  四月二十四日     辞任         補欠選任      岸田 幸雄君     菅野 儀作君      柴田  栄君     森部 隆輔君  四月二十五日     辞任         補欠選任      森部 隆輔君     大森 久司君      向井 長年君     片山 武夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 山崎  昇君     委 員                 大森 久司君                 源田  実君                 熊谷太三郎君                 二木 謙吾君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 多田 省吾君                 片山 武夫君    衆議院議員        修正案提出者  小宮山重四郎君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  鍋島 直紹君    政府委員        内閣総理大臣官        房審議室長    橋口  收君        総理府特別地域        連絡局参事官   加藤 泰守君        科学技術庁長官        官房長      馬場 一也君        科学技術庁計画        局長       武安 義光君        科学技術庁研究        調整局長     梅澤 邦臣君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        法務省民事局第        二課長      家弓 吉巳君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○宇宙開発委員会設置法案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、柴田榮君が辞任され、その補欠として森部隆輔君が、また本日、森部隆輔君辞任され、その補欠として大森久司君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。関係当局からの御出席は、田中総理府総務長官橋口審議室長加藤参事官宮崎参事官、以上の方々でございます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して大臣に二、三お伺いしたいと思います。前回、都合で大臣に対する質問ができませんでしたので、問題を基本的な問題にしぼって一、二お伺いいたします。  まずお伺いしたいのは、沖繩九十五万の同胞がアメリカ軍政下にしいたげられて、貴重な基本的人権などは全く侵害されたままで保障する機関もない、こういう情勢下に置かれているわけであります。この沖繩同胞九十五万あげて沖繩のいわゆる完全復帰早期実現を願っておるのが実情であろうと思うわけです。さて、沖繩復帰問題については、完全復帰論とか、あるいは軍事、政経の区分による、いわゆる軍政区分による政権の返還論とか、いろいろあるわけです。そこで、そういうことはお伺いずる本旨ではなくして、現時点に立ってその所管の総理府総務長官として、その完全復帰について今後の展望についてどういうふうに総務長官はお考えになっておるか、そして返還については、どういうふうな御意図を持っておられるのか、そういう一連の問題についてこの際明確にお答えいただきたいと思います。
  5. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御質問骨子は、完全復帰に対するわれわれの基本的な態度かと存じまするが、御案内のとおりに、私どもは、施政権返還された場合におきまする本土との摩擦その他を最小限にし、同時にまた復帰が一日も早く実現いたしますように、そのための一体化施策というものを鋭意進めておる次第でございます。また、われわれの考え方といたしましては、佐藤ジョンソン会談にもございまするように、両三年内に返還のめどが立つということを前提に置きまして、その際までに沖繩の行政その他万般の問題が本土と同じような状態になっておりますることを期待いたしまして、それに向かって努力をいたしております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は後ほど前川委員が主としてお尋ねすると思いますから、時間の関係もありますから次の問題についてお伺いいたしますが、この法案提案理由説明によると、同和対策協議会を二年間延期するという問題ですが、それに関連してお伺いしたいと思います。  この同和対策協議会は、同和対策審議会答申に基づいてできたわけですが、いま同和地区の、いわゆる部落の青少年は高度経済成長のもとにおいても、差別のために就職機会均等を保障されないまま近代産業から全く締め出されておる。それだけでなく、さらに臨時工とか、社外工、あるいは零細企業従業員、こういうきわめて悪条件な不利な雇用にさえ就職がなかなかもってむつかしい、これが実情であります。そこで、こういうような問題をこのままほうっておくことはゆゆしい事態をかもし出すわけでありますから、こういう現状をどのように見られ、これに対する基本的な対策一体どういうふうにお考えになっておるか、この点をお伺いしたいと思います。
  7. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) よく御承知でございますと思いますが、この同和の問題は非常に、徳川時代以来、今日に至りますまで日本の宿弊とも申すべき重大な社会問題でございまして、一日も早くかような差別というものはなくさなければならぬ。ことに新憲法下におきまする人権の問題から申しましても、かような問題が今日なおあるということはわれわれといたしまして非常に恥ずかしいことでございます。かような次第で、岸内閣のときに、堀木鎌三さんが厚生大臣になられまして、岸総理も非常にこの同和の問題について関心を持たれ、積極的な意図のもとに同和対策に関しまする最初の予算を五千万円、昭和三十四年でございますか、計上いたしまして、それで国のいろいろな環境整備の問題、あるいはまた社会福祉の問題その他、さらに進みましては同和地区方々経済向上の問題にまでいろいろと配慮するようにスタートを切ったのでございますが、その後十年を経過いたしまして、今日は、当初五千万円でございましたものが六十一億という予算を計上いたすに至りましたことは、まことに御同慶にたえないのでございます。ことに政府におきまして審議会をつくりました。その審議会答申が出まして、その答申によりまして政府部内に同和協議会を設けてございます。なおまた、その法制化問題等も要望せられております。協議会におかれましても、今日十カ年計画、前期五年、後期五年の基本的な調査に取りかかっておられまして、取りあえずは環境整備の問題につきまして実態調査を各省庁がいたしておるような状態でございます。さらにまた、教育、社会的地位向上、こういうふうな問題につきましてもいろいろと検討が遂げられております。つまり、観念的な問題ではなく、より実体的にこの問題をとらえまして、そして各省庁あげて具体的な問題の解決から取り組んでまいろう、同和対策協議会のあり方はかような状態でございます。ところが、まだ結論が出ません現時点におきまして、すでに任期が満了いたしましたので、今回、御審議をいただきましてもう二年間、協議会任期を延ばしていただきたいというのが御審議を賜わっておりますお願いの骨子でございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この十年間に予算も相当増額されたことは御同慶だと、それは確かに予算がふえたことは大事な一つのポイントですが、いま私がお伺いしたのは、就職機会均等が保障されていない。これはこのままでは憂うべき事態だが、この就職機会均等を保障するような対策としてどのような手が打たれておるかと、どういうことをお伺いしておるわけです。
  9. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 具体的に、まあ就職の問題と相なりますと、私よりも担当官のほうがより詳しいと思いまするので、担当官からお答えいたさせます。
  10. 橋口收

    政府委員橋口收君) これは前回委員会でも伊藤先生から御質問いただいておるわけでございますが、ただいまの御質問の中には、単に予算的措置の問題だけでなくて、人間の心の問題も含まれておるかと思いますが、予算の観点だけで申しますと、詳細は労働省の御当局からあるいはお聞きいただいたほうがいいかと思いますが、労働省関係同和地区出身者就職促進費という経費を計上いたしております。大体四十三年度で五百五十万程度計上してございます。これは新規学卒者職業指導のための経費で、モデル校といたして指導いたしております。その他、同和地区職業安定協力費経費を計上いたしております。また、一般職業訓練所新設等にも千五百万程度の経費を計上いたしております。予算的な面から申しましても、同和地区出身者就職促進あるいは職業の安定について、かなり力を尽くしておるということは言えるかと存ずるわけでございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、従来から皮革、皮ですね、それからはきものなど、これは部落伝統産業であったわけですけれども、そういうものは大資本に圧迫されて壊滅的打撃を受けておる。農村の部落では大部分は五反以下の貧農で、農業構造改善政策のもとで、やがて切り捨てられる運命下に置かれておる。また、少年の面を見ても、同和地区内の中学生の進学率一般の約二分の一にすぎない。卒業生の約三〇%が進学すると、こういうきわめて低い就学率を占めておるわけです。いろいろ、先ほど申し上げた就職機会均等を保障されていない、こういうことを要約いたしますと、同和地区内には常に多数の停滞的人口が過剰にたまっておる。失業者生活困窮者、これはもう激増の一途にある。これが現状であろうと思うわけです。これは緊急に手を講じないと憂うべき事態を引き起こすということが当然に出てくるわけです。  第二に、ここでお伺いしたいのは、一括してこういうような現状の上に立って、さて、抜本的な対策を講じない分にはどうにもならない。前に同和対策協議会ができ、いろいろ答申しておるわけです。その具体的な事項については、さきに政府委員にお尋ねしたところでありますけれども同和対策審議会答申に基づいて同和対策協議会ができたわけですけれども、なかなかこれが具体的に施策が実現されていかないといううらみがあるわけです。同和地区方々はそういう点を非常に熱意をもって政府に訴えておる。何とか具体的に一つ一つ解決を急がなければならぬ事態にあろうかと思うんですね。一括してこういう憂うべき事態にあるから、ひとつ政府としても抜本的にどのような心がまえで、どのような具体策を推し進めようとするのか、そういう基本問題について、この際お伺いしておきたいと思うんです。
  12. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 全く同感でございまして、お説のごとくに抽象的なことでは相ならぬのでございまして、この同和問題に関しまする限りは、具体的な施策をほんとうに克明に一件一件片づけていくということでなくては解決いたしません。さようなことで、われわれも全く御趣旨と同じような方針のもとに全力をあげていたしていく所存でございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ抽象的に全力をあげてやられるということになるわけですが、私のお伺いしておるのは基本的な対策についてお伺いしたわけなんです。そこで、そのことにも関連して、最近、政府に対して野党一体となって同和対策基本法の今国会提出を強く要請しておるわけです。で、これは前からそういう声が強かったわけですけれども、いまだに今国会に出されていない。この同和対策基本法なるものが一体いつ国会に出されるのか、もう準備はできておるのか、そういう問題について、この際伺っておきたいと思います。
  14. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 同和対策協議会におかれましては、その中に法制部会を設けられまして、この同和問題の検討をされておられました。で、最終的な結論はまだ出ておりませんが、同和対策協議会がこの三月三十一日に一応なくなるというような関係から非常に急がれまして、中間的な部会答申が出されました。同和対策協議会とされましては、その御答申を一応まあ採択されたというようなかっこうになっておりますが、しかしながら、そういうふうなこともございまして、ここにもう二カ年の協議会の延長をお願いいたしたのでございますが、一方、立法の問題につきましては、その後、野党におかれましても同和問題に真剣に取り組んでおられる。また、与党におきましても、長年の間この同和問題についてやはり同じように取り組んでおられます方々がおられます。佐藤総理も特に同和対策の問題につきましては、昔から非常な実は熱意をもって推進してこられた一人でございますが、いまの立法の問題に相なりますと、御承知のとおりに、われわれ法制化をいたします場合におきましては、政府提案といたしましても、これはやはり政党内閣でございますから、与党とのいろいろ相談もいたしてまいるのでございます。ことに同和問題になりますと、非常に御熱心な同和問題の方々が、これは与野党を通じての一つの姿でございますけれども、ただいま野党側皆さま方と、一昨日も自民党側の諸君とが御相談をいたしておると聞き及んでおります。まあ事、同和に関する問題におきましては、野党とか与党とかいうような問題ではなく、地域的に見ましても、これは関東以西に主としてございますので、東北、北陸方面とか、北海道になりますと、こういうものがなかったり何かいたします。さような関係で、与野党超党派的に一体となってこの問題を進めたいというようなことで、一昨日、昨日もいろいろ御協議がなされつつあるということをこの際御報告申し上げておきます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 与野党一体になって超党派でこの問題を話し合っておる、たいへんけっこうなことだと思うんですが、私がいまお伺いしたのは、この同和対策に対する基本的な性格を持った同和対策基本法、これを野党一体となって政府にその国会提出方を強く要請してきているわけです。それはもう今国会に出される準備にかかろうとしているのか、準備中なのか、そういうことを伺っておるわけです。
  16. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は、同和対策協議会のほうから、中間的ではございますが、一応の案は出ております。また政府といたしましても、それを基本にいろいろと審議をいたそうといたしておりますが、他方また、ただいまお話のごとくに、野党の三党のほうから自足党のほうの国会対策のほうにもお申し出がございまして、それに対して自民党のほうといたしましても、この際、野党のお申し出を喜んでお伺いして、それで超党派でこの問題をやろうということで、目下そのほうを推進しておりまして、それがきまるまで、政府のほうといたしましては待機いたしておるような状態でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、まだはっきりそのことに触れてないようですが、同和対策基本法なるものについては、それに関連する基本的なことについて与野党話し合いを進めておって、まだ具体的にいつ提案するかというところまではいっていないと、そういうことなんですか。
  18. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お話し合いぶつきますれば、私どものほうといたしましては、その超党派の御意見に従いまして、喜んで提案そのものもできるし、また、そういうふうな場合におきましては、御審議にも日をとらないで成立することが円満裏にできるだろう、かように考えております。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、今国会政府提案立法議員立法にしろ、法案提案については連休前に一応大体締め切ると、そういう機運にあるわけですから、したがって、同和対策基本法なるものは今次国会には提出される見通しはない、そういうことになろうかと思うんです、もう日はないわけですから。そこのところの見通しを伺っているわけです。
  20. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私のほうは、いまのお話し合い円満裏につきますれば、別に連休がどうこうというふうな問題もないわけですし、また、社会党さんのほうから、特に急いでという御要望も私のほうに十分承っております。同和関係の団体、あるいはまた与野党のお話し合いが一口も早く円満裏につきまして、われわれのほうに何ぶんの御指示があることをお待ち申し上げております。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、最後にお伺いしておきますが、いま話し合いしていると言っていますが、それは同和対策基本法中心にしてのお話し合いと解釈していいわけですか。
  22. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ちょっとその点申し上げますが、この同和対策基本法という考え方につきましては、大体、与野党ともに、どっちかと申しますると、同和関係方々はむしろ反対でございまして、いまのような観念的なことをいかにうたってもだめなんだ、問題は、この同和に関する限りは、具体的な問題の解決ということになくちゃならぬというようなことで、特に同和地区の意識の高揚なり、あるいはまた同和地区環境整備なりというふうな問題につきまして、むしろそういうふうな明確な対象に対しては特に国の助成も講じなきゃならぬといったような、いわゆる措置法と申しますか、基本法的な考え方から変わりまして、具体的な措置法のほうが、むしろ同和の問題の解決にはそうなくちゃならぬというお話し合いが一応与野党の周にでき上がったやに承っております。それで現在、措置法の問題につきまして、一昨日、昨日もお話し合いを進められ、また、きょうもお話し合いになるのだろうと、かように存じております。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いいです。
  24. 前川旦

    前川旦君 沖繩では、昨日、一昨日と非常に大きな問題が起きておりますが、この一斉休暇闘争と、それをめぐる問題につきまして、これはまああとで質問するとしまして、この設置法提案理由説明を見ますと、「高等弁務官及び米国民政府共通関心事項について協議することができるよう合意された」と、こういうふうに述べられております。一体、この日米琉諮問委員会と、それから、それと別に、今度新しく名称の変わる沖繩事務所もまた協議をするということになるのでしょうか、その問の関係はどうなるのでしょうか。
  25. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御質問の点は、那覇に置かれます日本事務所、ああ、その機能でございますね。それにつきまして、従来はいわゆる何といいますか、渡航管理関係領事業務といったような問題だけに限られておりましたが、今度はいわゆる外交的なお話し合い対比政府なり何なりにできるように、機能的に拡大をしたということであります。
  26. 前川旦

    前川旦君 それでは、この提案理由の中には、「共通関心事項について協議する」という、非常に広範囲な問題が協議対象としてあげられるような提案理由説明になっておりますが、これはどうなんでしょう。あらゆる問題をここで協議できるという非常に広いんでしょうか。共通関心事項でさえあればそういうふうになるんでしょうか。それとも、ここで協議する内容対象というものはある程度限られるんでしょうか。
  27. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その点はひとつこれを相当いたしました者からお答え申し上げます。
  28. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 共通関心事項と申しましても、高等弁務官及び米民政府共通のという限定がございますので、やはり高等弁務官権限内のことに限られるのは当然であろうと思います。ただ、高等弁務官権限内のことでございますれば、諮問委員会の場合と違いまして、広く対象にし得る。ただ、何しろ現地において米国の機関協議して合意に達するような事項と、こういうことになりますと、おのずからやや軽微な、あるいは具体的に現地で処理する必要がある事項と、そういうようなことになろうかと思います。
  29. 前川旦

    前川旦君 そうしますと 日米琉諮問委員会との分担といいますか、その辺の、何というか、限界というか、それはどういうふうになるんでしょう。関連はどうなります。
  30. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ただいま申し上げましたように、南連のほうでは、現地において解決をする具体的な個別的な、あるいは軽微なと表現していいかと思いますが、そういう事項でございまして、諮問委員会のほうは高等弁務官に対する助言、勧告でございますので、制度的あるいは抽象的といいますか、そういう事項、しかも社会的、経済的及びこれに関連する事項という高等弁務官権限内の事項のその部分と、こういうことになります。
  31. 前川旦

    前川旦君 あなたのおっしゃることはたいへんに抽象的でよくわかりませんがね。日米琉諮問委員会というのも、結局はあれですか、高等弁務官及びアメリカ民政府権限内のことをやるんですか。それとも、もっと離れた、もっと次元の高い返還問題その他全部含めた外交折衝をここでやるんだとか、それからもう少し次元の低い沖繩の内政問題とかいうものだけに限ってやるんだとか、何かそろいうようなあれですか。よくあなたのおっしゃることわからないんですがね。
  32. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 結局、現地南連所長がし得る事項協議して合意に持っていき得るような事項、こういうことになりますと、おのずから返還問題なんというような高度のものではなくて、現地において解決し得る内政的なものに中心が置かれるだろうと思います。
  33. 前川旦

    前川旦君 それはよくわかりませんが、実際にどういうふうに運用するのか。運用の中でおのずからルールをきめようとなさっているのか。初めからこの範囲、この範囲、これこれとこれ、列挙的に何かはかのやり方でしばってお置きになるのか、その点はどうなんです。
  34. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) つまり文章に書きますと非常におおそれたことみたいに相なりますけれども現実にはいままで南連事務所というものは日本との関係においては交渉がいろいろございまして、旅券発行事務や何かございましたけれども相手方に対しては何にも交渉ができないような環境に置かれておりました。今回の改正によりまして相手方にも話ができるように相なったわけでございます。がしかし、同時に高度の外交の問題でございますれば、日米協議委員会もございますし、それからまたさらに一体化の問題につきましての高度のものでございますと、やはりこれは諮問委員会等々までございます。さらに一体化の問題についての具体的ないろんな事務が出てくるわけでございます。ところが、その従来の南連事務所でございますと、そういうととは一切扱えないということになりますので、非常に窮屈であって、不便、今度は一体化の問題につきまして諮問委員会等でいろいろときまります。きまったような問題についてさらに具体的なデテールにわたっての交渉等ができるように相なるということでございまして、これをどうも文章にいたしますと、非常に高度の外交交渉を、日米琉諮問委員会をこえてでも協議ができるようなかっこうに見られますけれども現実の問題としては、いま申し上げたような問題でございます。
  35. 山崎昇

    山崎昇君 ちょっと関連して。いま説明を聞いたんだけれども日米琉諮問委員会というのは高等弁務官に対して勧告し助言する。その内容としては、沖繩本土復帰に備えていろんな問題についてやる。ところが、この書き方からいくと、今度の沖繩事務所というのは、「高等弁務官及び米国民政府共通関心事項について協議する」と、こうなっているでしょう。協議するというのです。そうすると、問題によっては、諮問委員会でやるべき内容についても、高等弁務官あるいは米国民政府と話をするということにもなるし、それからきまったことをある程度実施することについて相談をするということにもなるし、この文面からいけば、沖繩事務所のほうが数段幅が広くて深さがあるようなことをやるんじゃないですか。そうでなければ、これはどうもやはりごちゃごちゃになるおそれがあるのではないか、こう思うのですが。
  36. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  共同声明におきまして、やはり諮問委員会を設置するということに重点が置かれまして、それで南連事務所の機能を拡大する、こういうことに相なっておるのでございます。したがいまして、いま長官が御説明になりましたように、諮問委員会権限内のことは、そのまま共同声明の趣旨からいいましても、諮問委員会権限内のことは諮問委員会中心になってやる。ただ、諮問委員会はどこまでも勧告助言機関でございますので、具体的に個別的に問題が出てきた場合に、それを処理するのはやや不適当ではないかというふうに考えます。その場合に、もし南連でそういう機能がございませんと、いままでどおり那覇からワシントン、ワシントンから東京のアメリカ大使館、それから外務省。そして日本政府のほうは、那覇の事務所から日本政府というようなことで、その問にやっと話し合いをしていくと、こういうような関係になります。しかし、今回こういう機能が与えられたということで、何も、中央といいますか、東京とかワシントンまで問題を持っていかなくても、大体の方針がきまっているものは現地で処理できる。しかも、直接処理できるということに非常に意味があるのではないかというふうに思います。
  37. 山崎昇

    山崎昇君 それでは、あなたのほうから出されている総理府設置法の新旧対照表を読みますと、第十三条に、「管轄区域(硫黄鳥島、伊平屋島及び北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。以下この項において同じ。)におけるアメリカ合衆国の政府機関との協議及び連絡を行なう」というのでしょう。これはものすごい権限ですね、この文章からいけば。ですから、場合によっては日米琉諮問委員会より、もっと高度なことをやることになるのじゃないですか。あなたの言うように、アメリカ政府機関とは直接やりませんとか何とか言うけれども、規定上でそういうことを権限として明確にされているのじゃないですか、この点になるとどうなんですか。
  38. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ちょっとことばが足らなかったかと思いますけれども南連所長協議の相手にするのは、やはり現地アメリカ機関でございます。したがって、高等弁務官及び民政府、こういうことになります。その意味では、非常に形式的に言えば、おっしゃるように諮問委員会の本来やるべきことまでここでやれるようになっておりますけれども、しかし、諮問委員会そのものが高等弁務官に対して、高等弁務官が内部的に処理できるようなことについて勧告、助言ということになっておりますので、そういう方針を高等弁務官がかりにとったといたしましても、具体的にはいろいろ適用関係で問題が起きてくるのじゃないか。そういうふうになった場合に、日本政府として、やはり南連事務所を十分に活用して、その具体的な成果をあげていく、そういうことではないかと思います。
  39. 前川旦

    前川旦君 どうもよくわかりませんが、あまりよくわからないままにまた次にいきます。これはもう何やらわかりません。  それじゃ、一体、新しくできる沖繩事務所ですね、このスタッフ、この中の人ですが、これはどういう構想を持っていらっしゃるか。それは個々の名前じゃないですよ。たとえば総理府だけの方でおやりになるのか、それとも外務省からも出向して来る、各官庁からも出向して来る、こういうかっこうの構成を考えておられるのですか、どちらでしょう。
  40. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  ただいまの南連事務所も、実は長は外務省から来ていただきましたし、それから次長二人おりますけれども、そのうち一人は、いまは違いますが、三月までは農林省及び自治省、それから下の課長が三人おりますけれども、そのうち一人は自治省からということで、あと係長あたりもほかの省から来ていただいております。したがって、今後も沖繩事務所はその方針で、各省から来ていただいた方に仕事をやっていただく、こういう予定でございます。
  41. 前川旦

    前川旦君 各省から来た方が仕事をやるということで、しかも広範囲協議するあれがふえましたね。それじゃ現在の琉球政府との関連は一体どうなりますか。それとの関連、これはもっぱらアメリカだけというふうに思っておりますが、現在の政府との間はどうなりますか。
  42. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  琉球政府との関係というものは、設置法の法文の表面には必ずしもはっきり出ておりませんけれども、事実上の問題といたしまして、内政的な面につきましては、常にと言いますか、琉球政府の意向がどうであるのか、それから本土政府の意向がどうであるかということをお互いに連絡し合って、特に援助金がだんだんとふえまして、内政的に本土政府の指導が十分わたらなければならないことになってまいりますれば、そういう連絡事務は当然大きくなるだろう。そういう意味で、いままで以上に密接な連絡をとって仕事をやっていく、こういうことだろうと思います。
  43. 前川旦

    前川旦君 国の予算で援助しますね、いまあなたおっしゃったように。そうすると、つかみ取りで幾らやる、かってに使えということにはならぬでしょう。結局それに対する指導というか、われわれはよく悪口で、ひも付きで何々に使えときちんときめられているといつも言うのですがね、そういう指導の役割りがあると思うのですよ。それからもう一つは、会計検査院、これは沖繩に入れますか。
  44. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 会計検査院そのものが琉球政府を監査することはできませんけれども、援助の一種の条件といたしまして、琉球政府とそれから総理府の間で覚え書きを交換しております。それに基づきまして、会計検査院の専門家の方に直接行っていただきまして、会計監査を事実上やっております。
  45. 前川旦

    前川旦君 そうすると、援助に伴って、形式はとにかく、実質上は会計監査をやっている。それから、実質上ここに、この事務所に出向というかっこうになりますか、事務所にいる各省から出たそのスタッフの方が、実質上その金の使い道等についての、ことばは悪いけれども、監視と言ってはことばはちょっと悪いですがね、指導とか、そういうことは実質いままでやってきたのですか。これからどうするのかということをお聞きしたいのです。
  46. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  いままでも援助金の使途につきましては十分向こうの計画を、こちらが審査といいますか、それをやりまして、そうしてこちらの承認をした計画に基づいて向こうがやっておりますので、その計画どおり実際やっているかどうかの指導といいますか、そういうことは十分南連事務所でやっているわけでございます。今後ももちろん当然であろうと思います。
  47. 前川旦

    前川旦君 お金を握るということは非常に強いことなんですが、結局、指導監督、まあいわば日本政府から実質上は指導あるいは助言、監督しているというふうに見ることはできるのですか。
  48. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) これはまあどこまでも施政権のない沖繩本土との関係でございますので、指導というのを非常に強調しますとちょっとあれかもしれませんけれども内容的には目的を達するように十分こちらの意図説明する。その意図に従ってやってもらうという方向で連絡を十分とっております。
  49. 前川旦

    前川旦君 この琉球政府に対して、日本政府が行政上の顧問というようなものを派遣するというような話がだいぶ前にいろいろ出ておりまして、断わられたという話を聞いておりますが、そういう事情ありますか。これはアメリカのほうから断わられたというふうな話を聞いておりますが。
  50. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 技術指導につきましては、その個別的な特定の方についてのお話だと思いますが、そういう例はいままでもちろんございません。日本政府が立てた技術援助によりまして、琉球側のほうも派遣について承認をしてきております。
  51. 前川旦

    前川旦君 それでは先ほどから、総理もずっと言われておりました、一体化ということで進めていくとおっしゃいましたね。それでは一体一体化にはいろいろプランがあるだろうと思いますが、さしあたって何を一番重点的に考えていらっしゃいますか。
  52. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 現在考えております一体化の直接の対象でございますが、先般も私、向こうのほうへ参りまして、促進、推進いたしてまいりました。これは内容的に言えば二十一項目ばかりの項目になります。しかし、当面やりたいことは、行政機構が制度的に非常に違う、これが日本が援助いたしまする場合におきましても歯車がかみ合わなかったり何かいたしまして不便を感じておりました。もちろん根本的な問題は各省並びに関係方面の調査団を派遣いたしまして、相当本格的な一体化の期間計画、あるいはまたいろいろな計画を進めてまいりますが、その場合におきましてもやっぱり制度問題だけはすみやかに処置したい、こういうふうに考えまして琉球政府のほうにも申し入れをいたしてございますし、弁務官にも申し入れいたしました。諮問委員会におきましてもこの問題を取り上げられていると思いますが、一例を申し上げますと、会計年度が非常に違っておる問題だとか、あるいはまた琉球政府なるものが自治体の行なっております業務と国家の行なっています業務等を混淆いたしまして、ごっちゃになっておる、こういうふうな点が今後の税制の問題、あるいはまたその他いろいろ行政上の問題の処理にあたりましても非常に不便を感じますので、それを分類し、制度的にもそれを画然としてもらいたい、こういうふうな行政制度上の問題を当面非常にわれわれといたしましては要望いたしております。
  53. 前川旦

    前川旦君 私どもは少し違う考えを持っているわけです。と申しますのも、日本復帰したいという沖繩県民のほんとうの気持ちというのは、経済的に向上するとか、それから制度的にというよりも、あそこの立法院の、これは与党野党一致した決議もありますが、異民族による支配はもう耐えがたい苦痛であると、はっきりこれは出ていますね。これは与野党一致した決議、世論調査を見ておりましてもそのことが前面に出ておるわけです。その中身は何かというと、結局、一番問題になるのは沖繩県民の人権というものがあまりにも本土に比べてひどい扱いを受けている、人権に対する侵害が。この人権の問題をまずやはり最重点にとらえていくべきではないだろうか、こういうふうに実は思うんですが、いかがでしょうか。
  54. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 人権の問題もお話のとおり非常に重大な根本的な問題でございます。しかしながら、一口に人権と申しましても、これを分析いたしますと、裁判制度の問題でございますとか、あるいはまた警察権の問題でございますとか、そのほか、いわゆる労働基本権の問題でございますとか、なかなかたくさんございます。その中で、私どもがただばく然と人権ということばだけでは実際は問題は解決いたしません。しかしながら、制度の問題を、たとえば裁判制度なんかの問題をまっこうから取り上げて交渉いたしましても、これは高等弁務官権限外の事項でありますことは明確でございます。しかしながら、具体的な人権の問題となりますと、これは経済的、社会的な問題としてでも把握できる面も案件によってはあるわけでございます。そういうことで、先般、私ども高等弁務官に対しましての要望事項といたしましては、人権の問題をばく然とこっちから主張をいたしておりますけれども、いまお話のように、人権と申しましてもいろいろな問題がございます。それはおっしゃるとおり、非常に根本的な問題であることはもう当然でございます。
  55. 前川旦

    前川旦君 人権の問題全部にこれはからんできますから、非常にこれは幅が広いわけですが、最も直接的なものはやはり米軍の犯罪、それに対して受ける沖繩県民の被害、そのあとの処置、こういったようなものが一番端的に、一番はっきりした形で出ていますね。ですから、沖繩県民の世論調査を見ても、人権が守られているなどというような回答をする人は非常に少なくて、人権は守られていないというのが圧倒的である。そういうところがら、アメリカが好きかという質問には圧倒的にきらいだという人が多い。その内容は何かというと、ひどい目に合っている、はっきり言いまして。この点についてどういういままで手をお打ちになったのか、どういう話し合いをされたのか、そういう経過ございますか。
  56. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま申し上げましたように、アンガー高等弁務官に対しまする私のほうの要望事項の中には、そういった人権の問題は主張いたしておりますけれども、いまお話のような具体的なケースということにつきましては担当官から御説明申し上げます。
  57. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ただいま長官から触れられましたように、塚原長官、それから田中長官訪島の際に、高等弁務官に対してそういう問題についての喚起をしておるわけでございまして、具体的な例といたしましては、犯罪防止に関しまして、アメリカのほうのあれと、それから琉球警察がパトロールを合同でやって、そうしてそれによって犯罪防止、少なくとも結果的には犯罪の減少という、多少でございますが、犯罪の減少というのが見えております。そういうようなところに捜査の問題の観点からいえば具体的な成果があがっておると考えます。
  58. 前川旦

    前川旦君 たいへん歯切れが悪いと横で言っていますがね、歯切れが悪いですよ。それで何といいますか、これは具体的にいろいろな犯罪があって、しかも人権が無視されたという例はたくさんありますが、これは皆さんも御存じでしょうから一切省略をして、一体その米国の軍人なり軍属なりによる犯罪の発生件数というものをつかんでいらっしゃいますか、その推移というもの。
  59. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  これは三十九年に合計しまして九百七十三件、四十年に千三件、四十一年に千四百七件と、こういうふうに一時犯罪の発生件数が増加しておりましたが、昭和四十二年、去年の一月から十一月まででございますが、九百九十七件というふうにやや落ちついてきておるように考えております。
  60. 前川旦

    前川旦君 あなたそうおっしゃるけれども、その統計は正しさがありますか、その統計はどこから出た統計ですか。おそらく立法院が請求して琉球警察が立法院に答えた統計だろうと思います。そうじゃないですか。
  61. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 琉球政府の警察の統計でございます。
  62. 前川旦

    前川旦君 琉球政府の琉球警察がその統計を発表するには、まず米軍の許可を得るということが一つあります。米軍の許可が要る、それから非常に制約をされているために、実際に米国関係の犯罪はそれを数倍上回るだろうということが現地の常識になっておるのですが、そのとおり皆さんもお考えになりますか。
  63. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 私といたしましては、この統計以外ちょっと参考にするものはございませんので、これが一応正しいものと判断しております。
  64. 前川旦

    前川旦君 それは実際とはだいぶ違うんですが、ずっと説明を申し上げると時間がかかりますから、一、二点だけ言いますと、たとえば、その犯罪統計は沖繩県民を対象にしただけであるということが一つあります。これは米人同士の犯罪統計は全然出ていませんね。それから親告罪の中では告訴のあったものだけしか入っておりません。これは特に婦人に対する犯罪なんか、たとえ訴えても全然本人が損するばかり、日本と違いますから、ほとんど出しませんのであまり出ていませんね。それから示談で解決したようなやつも出ていない。それからいわゆるバーやキャバレー等で物をこわしたり何かするのは、へたに訴えたら米軍から許可証を取り上げられますから、これも訴えない、隠れてしまう。それから未検挙の事件もその中に入っていないのです。それから交通事犯も入っていませんね。そういうことを考えたら、これは圧倒的にその数字よりも多いというふうにわれわれ考えていますが、どうですか、いかがですか。
  65. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) まあ親告罪にかかわる犯罪が載っているかどうかというふうなことにつきましては、私ちょっとわかりかねますけれども、交通事犯は……。
  66. 前川旦

    前川旦君 そんな詳しく言わなくていいですよ。
  67. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 交通事犯も入っております。
  68. 前川旦

    前川旦君 ついでですから言っておきますと、交通事犯といっても、酔っぱらい運転をして、実際に事故を起こすというだけであって、実際スピード違反をしたとか、酔っぱらい運転をしたとか、そういうものは全然逮捕権がないから抜けているわけです。実際、事実上は非常に発生件数が多いということです。それからもう一つは、地域別に見てどこが多発地帯だとか、それから日時的に見てどの辺が一番犯罪が多かった日時だとか、そういうことは実際調べれば調べられるのですけれども、琉球警察は公表していませんね、ありませんね、その統計は。
  69. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) そのとおりでございます。
  70. 前川旦

    前川旦君 それは発失したらみんな憂地に悪の根源があるということになるから、政治的に発表できないだろうと思いますけれども、いずれにしろ犯罪は基地周辺に多い。それから米軍が移動する前にたいへんむちゃに起こるということは、やはり実態を知っておいていただきたいというふうに私ども思います。そこで、琉球の民警察の逮捕権、それから捜査権というものは一体どういう制限がありますか、日本に比べてどうなっていますか。
  71. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 民警察官の逮捕権につきましては、布令八七号というのがございまして、そこで規定しておりますが、一応、米国軍法に服すべきもの、これは軍人、軍属、それから雇用者も含みますが、そういうものの犯罪につきましては、現行犯で、しかも米官憲が居合わせないときに初めて逮捕できる、そういうふうになっております。ただ、交通違反のようなものは、人身損傷の場合は入っておりますが、一般の信号無視とか、そういうようなものはもちろん入っておりません。そういうことで、まあ本土の場合の駐留軍に対する関係とちょっと比較しますと、逮捕権が非常に狭いということはそのとおりでございます。
  72. 前川旦

    前川旦君 本土に比べまして逮捕する場合の犯罪がまず限られておりますね。現行犯であればすべて逮捕できるというわけではないのです。非常に限られております。そういう関係で逮捕権が非常に狭い、これはあります。それから、それでは今度捜査権のほうはどうでしょうか、捜査権ありますか、現場から犯人が逃亡していない場合。
  73. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 捜査権は、直接の捜査権はないということになっております。ただ、今後の問題になると思いますけれども、やはりいろいろ犯罪防止につきましての観点から、あるいはUSCARとの、アメリカ軍との関係におきまして、琉球警察ができるだけ関与できるような方向で少し検討を始めているという、現状はそういう状態であります。
  74. 前川旦

    前川旦君 そうすると、はっきりいいまして捜査権はないということですね。米軍の軍人なり軍属の犯罪に対しては、琉球の警察は捜査権はない。米軍の憲兵、MPか何かが捜査するのを下請の手伝いをすることはあっても、琉球警察としては犯罪に対して捜査する権限がないということになります。それでよろしゅうございますね。
  75. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  捜査権は基地外におきましても基地内におきましてもございませんので、おっしゃるようなことであろうと思います。
  76. 前川旦

    前川旦君 かりに現行犯を逮捕した場合に、その犯人はすぐ米軍に引き渡さなければいけないと聞いておりますが、そのとおりですか。
  77. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) さようでございます。
  78. 前川旦

    前川旦君 そうすると、起訴その他の裁判は全部向こうの軍法会議でやることになりますね。そういうことでしょうか。
  79. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 向こうの裁判所で処理することになります。
  80. 前川旦

    前川旦君 じゃ、その裁判で起訴をされたとか、どういう判決を受けたとかいうような、あるいはどういう刑の執行があったとかいうことは公表されていますか。
  81. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 公表されているということでございます。ただ、公表の場所が基地の中で行なわれている。
  82. 前川旦

    前川旦君 たてまえは公開裁判ということでしょう。基地の中ですから、パスがなければ入れないということで、実質上は公開されてないと同じだし、それからどういう判決があったかということは実際は知ることができない。こういう状態になっていると理解してよろしゅうございますね。
  83. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ただいま申し上げましたように、基地の中では一応どういう判決があったかは公表されているわけでございますので、基地の中に入り得る人はそれを見ることは十分できるわけでございます。
  84. 前川旦

    前川旦君 それでは、刑の執行は一体なされているのかどうかを調べることはできますか、これもできないのじゃないですか。たいへんな凶悪犯罪を犯して、軍法会議で重労働何年という判決を受けたかもしれません。一体それは実際その刑の執行を受けているのかどうか。そのまま満期状態になって帰ってしまうのか、ベトナムへ行って済んでしまうのか、その辺のことを調べる権限もないわけでしょう。どうなんでしょう。
  85. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) それ自体は調べる権限はございません。ただ、それにつきまして、向こうへどういうことになったかの結果を聞くことはできるわけです。
  86. 前川旦

    前川旦君 損害を受けたら同等の損害をその者に与えるという、これは応報主義というんですか、これはいろいろ問題はあるとしても、人間の気持ちの中に根ざした考え方ですね、感情ですね。犯罪があって、実際、沖繩の県民がひどい目に合わされていても、その犯罪に見合っただけの検挙される検挙率が非常に低いんです、四〇%ぐらい、凶悪犯は。検挙されて、すぐそれが死刑なり何なり、その犯罪に見合ったやはり刑の執行を受けるということで、はじめて犯罪に対して人権が守られていくという考え方が出てくるわけだと思います。これは常識でしょうね。それが全然ないという、あまりにもひどい状態ですね。これ一体どう対処なさいますか。これからの問題として、またいままでこれはどういうふうになさっていらっしゃったのか。大臣、これはあまり手抜きになっていたんじゃないかというふうに思うんですがね。これから一体これをどういうふうに対処なさいますか。非常にこれは大きな県民の関心事なんですね。
  87. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は、おっしゃるとおり、われわれとしましては基本的な人権の擁護という意味におきまして、数回にわたって実は弁務官のほうにも主張いたしておりまするし、また、特に裁判管轄権の問題、警察の逮捕、捜査の問題等につきましては、機会あるごとに弁務官なり、向こうの政府には主張をいたしております。
  88. 前川旦

    前川旦君 機会あるごとに主張いたしておりますとおっしゃるけれども、あまり実効が見られませんが、これは一体今後どうなさいます。これはやはり一番最重点に取り上げてやっていただきたいというふうに思いますが、どうなんでしょうかね。
  89. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御承知のとおりに、いまの話の内容は、これはもう弁務官のような下級の出先では処理できない問題でございますので、当然、また先般も、沖繩のほうの裁判所の方々も来られて、やはり非常にそういうふうな問題を主張しておられた。また、近く日米協議会の機会に、こういうふうな問題を取り上げて人権の問題を話そうと、こういうふうに外務大臣とも話をいたしております。
  90. 前川旦

    前川旦君 それは外務大臣権限ということじゃないでしょう。やはりこれは布令八七号ですから、高等弁務官が出した布令ですから、実際には高等弁務官に決定の権限はあるわけですから、やはりそれをついていく。一方では、外交折衝とか、多角的にやるべき必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか、もっと強くその辺を出してもらいたいと思うんすが、どうでしょう。
  91. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは、この人権の問題は、高瀬代表が日本を立たれますときに、私ども相当詳細に話もいたしております。同時に、これはまあ高瀬代表が機会あるごとに弁務官等々にもお話をして主張いたしておるところでございます。また一方、もちろん布令なるものは弁務官の出すものと言われますが、この布令は大統領の権限にその根源があるわけでございます。そういう点では、外交交渉というふうなものを通じてもわれわれは主張すべきものは主張していかなくちゃならぬ、かように考えております。
  92. 前川旦

    前川旦君 それじゃ今度は、その沖繩県民が実際に拘束されている沖繩に公布されている刑法日本でいう刑法ですね、これもずいぶんその内容に問題があるように思いますがね。これはどういうふうにお考えになりますか。沖繩県民を規制している、まあ刑法、これは正式には何と言うのでしょうか、布令一四四号ですね、これは。布令一四四号、現行の布令刑法。
  93. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの刑法の内容の問題をお話をいたします前に、ちょっと申し上げておきますが、現在、沖繩で行なわれておりまする制度といたしましては、軍法会議と、それから民政府の裁判制度、それから琉球政府の裁判制度、このほかに、軍司令官権限の損害賠償法に基づく行政措置の問題この軍法の場合は、これはまあアメリカ軍人、軍属でございますが、あとの琉球政府の裁判制度にいたしましても、あるいはまた民政府の裁判制度にいたしましても、それから行政措置ではございますが、司令官の損害賠償法にいたしましても、やはり沖繩の民衆にとりましては、ずいぶんいまの重大な問題がたくさんございます。いまの刑法の問題については政府委員からお答えいたさせます。
  94. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 沖繩に行なわれております刑法といたしましては、いわゆる――いわゆるといいますか、本土の刑法とほぼ同じものが執行されております。それ以外に、布令一四四号、すなわち訴訟手続法典というものがございまして、そこに規定しております規定と申しますのは、大統領行政命令で規定しておりますのは、米国の安全、財産または利害に影響を及ぼすような、そういう事案についての犯罪として、その部分が別に規定されておるわけです。
  95. 前川旦

    前川旦君 その琉球立法院の立法と、それから布令とが競合する場合、布令のほうが優先するわけですから、問題は、そのいまの布令一四四号というものに非常に問題がありますね。この米国の安全に対する罪ということで、非常に広範囲に規定されております。しかも、それがきわめて表現があいまいで、どんなにでもとれるというような状況です。おまけに、たとえば刑事訴訟手続というものの条文そのものも――訴訟手続法ですがね。これが全然一度も、なるほど公表はされているけれども沖繩県民が知り得るような状態で発表されたことはないというふうな話を聞いておりますが、それはどうなんでしょうか。事実でしょうか。
  96. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  この布令一四四号の内容は、確かに相当幅は広く規定されているように思います。まあ、そういう意味で今後検討するといいますか、ほんとうにわれわれも検討してみたいと思っておりまするが、また、その手続の問題につきましては、たしか手続といたしましては住民も一応知り得る状態になっていると思います。
  97. 前川旦

    前川旦君 それはなっていないということがひとつの問題になっているのですよね。一度も知り得る状態で公表されたことはない。これは米国民政府の裁判所刑事訴訟規則が一九六三年三月六日に公布されて十五日に施行されたわけですけれども、琉球政府の出しているあらゆる公文書、法令集、すべて何をどこをさがしてもそれが出ていないのですね。出ていないということはどんな手続で訴訟が行なわれるかということは全くわからないような状態に実はなっておる、これも非常に問題であると思います。時間がないから急ぎますけれども、それからまだ次の大きな問題は、刑を実際に算定したり執行したりするときの総括的な規定というものが全然ないようですから、向こうの裁判所でやられる場合、向こうの裁判官のそれぞれの出身の州がありますね、米人ですからね。その州の慣例なり、規則なりに従って、全然違うことをそれぞれやる場合がある。ですから、それをある人によると百四十年も百五十年もの刑を受けたというような実例もあるわけです。判決を聞いただけで、一体自分が何年の刑になるのかわからないという、こういう事例がやはりあるのです。こういうような問題をひっくるめて、これは人権問題、一番基本的な問題だろうというというふうに思います。それは機構をいじること、これも大切でしょうし、あるいは経済的な問題も大事でしょうけれども、一番沖繩日本人が屈辱を感じているのはこの点なんです、はっきり言いますと。われわれが一番関心をもって何とかこの点だけでもしなければいけないというのは人権問題なんです。米軍犯罪に対する法益というものが守られていないという点、そのことをやはりぼくはもう少し注目していただいて、最重点に掲げていただいて、強い交渉をするということにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御希望の点はよくわかりました。なお、沖繩のほうからもおいでになる方々も同様のことを口にされておられます。と同時に、また私どもがやはり本土一体化の問題について、経済的、社会的並びにそれに関連するという、一応、佐藤ジョンソン会談の協定の軌道に沿いまして、まずやれることからどんどんとやっていくということもまた大事なことでございます。いまの基本権の問題、特に裁判制度の問題については、確かにおっしゃるとおり非常に根本問題でございまするし、百万の島民がほんとうに、まあ最大の関心事でございますけれども、そういうものばかりに正面から取り組んで膠着してしまうということも、行政的にはどうかと考えます。まあ私どもはそういうふうな問題を一方に踏まえまして、他方におきましては、やれることから着々とひとつ渡れる橋から渡ってまいりたい、かように考えております。
  99. 前川旦

    前川旦君 この問題だけやって――あとのことはやらぬでこの問題だけをやるべきだというようなことは毛頭言っておりませんので、これはものの考え方としてのそういうとらえ方をやはり政府としてはしっかりしてもらいたいということを申し上げているわけなんです。  そこで、それでもう次にいきますが、やはり同じ人権問題の一つなんですけれども、例の布令一一六号ですが、この問題は一体どういうふうに対処なさいますか。この一一六号は撤廃という方向で働きかけをなさるのでしょうか、どうなんでしょう。
  100. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この問題につきまして、まあ御承知と存じますが、総合布令というものが出るというようなことに相なっておりますが、まだ総合布令なるものがどういう内容であるかということについてはわれわれ一向わかりません。そうしますと、いまの一一六号に基づきますきのう、きょうの事態というものを避け、これはどういうふうに受けとめてまいるであろうかということがわれわれとしましては非常な関心事でございます。現在その推移を見守っているというのがこの一両日の状態でございます。
  101. 前川旦

    前川旦君 ちょっと違うようですね。けさの新聞――新聞のほうが間違っているのですかどうか、けさの朝日新聞で、昨日の岡田さんの質問に対して山野局長さんが、「新しい総合布令が米側で検討されているので、これに日本政府の意向や日米琉諮問委員会の意見を反映させたいと考え、いま米側と折衝中だ。」というふうに答弁されておるようです。これは実際いま折衝されているのでしょうか。
  102. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの総合布令の、これをこういうふうに改変してもらいたいといったようなところの段階まではまだいまいっておりませんが、しかしながら、今日のこういった団体交渉権は認められ、さらにまたストに突入したといったような、こういうふうな事態、あらゆるこういった問題がやはり次に出ます総合布令には相当私は影響を持っておるものだと考えます。なおまた、あるいは諮問委員会を通じ、あるいはまた日本政府のほうといたしましての交渉の過程におきましても、総合布令というものができるだけ人権の尊重、さらに現実に即したものができ上がってもらいたいというふうなことで、せっかく努力中でございますことは事実でございます。
  103. 前川旦

    前川旦君 人権尊重という立場から、日本政府の意向や意見を反映させたいということは事実だと、いまおっしゃいましたが、それでは一体日本政府の意向、意見というものはこれについてどうなんでしょうか。その内容はどういう意向、意見を反映させようとなさっていますか。
  104. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 日本政府の意見と申しましても、現在アメリカの基地に勤務している労務者の労働法規でございますので、その意味から、本土の場合は間接雇用になっておりまして、その意味で労働法規適用関係沖繩における直接雇用の労務者に対する適用関係の場合とはやや異なる、それを前提にいたしますれば、異なるのは、一応、差があるのはあるいは当然といいますか、そういうことは言えるのじゃないかと思います。したがって、そういうような意味で本土の労働法規の問題にできるだけ近づけるように努力するということであろうと思います。
  105. 前川旦

    前川旦君 いまのは、ちょっとたいへんな御発言がありましたが、差があるのは当然だという、これはちょっと取り消してほしいと思いますね。あとで問題になりますから、ちょっと取り消してください、差があるのはあたりまえだとおっしゃったけれども
  106. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) いまの点、訂正させていただきます。
  107. 前川旦

    前川旦君 日本の法規に近づける、できるだけ近づけるとおっしゃいましたが、どの部分をどういうふうに具体的に考えていますか。どの部分日本に近づけるか。たとえば、いま日本政府の意向を反映させるようにとおっしゃいましたから、その反映させる日本政府の意向はどんなものだということの具体例をお聞きしたいわけです、具体的に。どういう点を近づけるように考えていらっしゃいますか、交渉中だそうですが、ちょっとお聞かせください。
  108. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) この問題は労働省がその専門でございまして、われわれは直接まあ沖繩を担当しているということで関与しているわけでございますので、その問題につきましては、むしろ労働省から聞いていただいたほうがいいかと思いますけれども、しかし、理想といたしましては、本土並みに持っていきたいという理想はこれは当然だろうと思うんです。そういう意味で、具体的にどの点をどうという点につきましては、いまちょっと私としては申し上げられない状態でございます。
  109. 前川旦

    前川旦君 私は、あげ足とるわけじゃないんですけれども、折衝しているとおっしゃったから、労働省が折衝しているわけじゃないんでしょうから、やはりおたくで折衝しているわけなんでしょうから、一体その内容はどうなんだということをお聞きしているわけです。
  110. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。  私は詳細は知悉いたしておりませんけれども外交ルートを通じまして、外務省といたしましては目下こういうふうな問題につきまして話し合いを続けておるという情報を受けております。
  111. 前川旦

    前川旦君 この労働三権は基本的人権だというふうに通説になっていますけれども、これはやはり政府としても通説どおりに、労働三権は基本的人権なんだ、そういうふうにおとらえになってしかるべきだと思いますが、いかがです。
  112. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの労働基本権につきまして、われわれはおっしゃるとおりに存じております。
  113. 前川旦

    前川旦君 基本的人権ということになりますと、これは憲法によって与えられた権利でもなく、法律によって与えられる権利でもなく、それ以前に人間固有の権利として備わっているのが基本的人権であるというのが、これは日本の憲法解釈上における通説であろうというふうに思います。そうすると、これを制限をしているという沖繩の布令一一六号というのは基本的人権に触れる問題であり、これは日本の憲法は観念的に適用されているんですから、憲法の精神にも触れるし、さらには一九四八年の国連の人権宣言にも抵触をする問題だろうというふうに思います。非常にこれ重大な問題であろうと思うんですが、そういうとらえ方で米国と折衝なさいますか。
  114. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まだ折衝の正式な段階には立ち至っておりませんからあれでございますが、いまおっしゃったように、このいまの労働の基本権というものは、日本だけじゃなくてアメリカの中において当然認められるべき基本権だろうと私は思うんです。それがたまたま沖繩における軍労務者の今度のようなことに立ち至っておる。同時に、私は潜在主権を持ち、また日本人である、労働者も――ということから、日本といたしましてもこれについては重大な関心を当然寄せておる、こういうことに相なります。で、総合布令なるものがどういうふうな形のものが出ますか、ほんとうにいまのところはかいもくわかっておりません。しかしながら、今度出ます総合布令というものがまた同じようなあやまちをおかしてもらっちゃ困るので、そういう点においてはわれわれは、いまの改めるべき点は改めてもらわなきゃならない。こういう点ではアンが上局等弁務官に対しましても、私どもも、布令一一六号の基本的人権の改定をするようにということは、私が沖繩に参りました際にも交渉の文書の中にもありまするし、また、弁務官が日本に来たときの総理の会見の場におきましても主張されております。いまの具体的な交渉ということになりますと、これは私まだ労働省と外務省との間のお話のことは存じませんが、しかし、筋道といたしましてはいま申し上げたような主張をいたしております。
  115. 前川旦

    前川旦君 さっきから何回もお尋ねしてわからないのは、これは外務省だとか、それから労働省だとか、いろいろおっしゃいますけれども、きのうの御答弁では、山野総理府特別地域連絡局長山野さんというのは外務省でもなければ労働省でもないと思うのですが、この答弁の中にそういうのがありました。もう少し具体的にこの部分を直すのだ、こういう部分を直すのだと、こういう、やっぱりつかんでいらっしゃってしかるべきだと思って私御質問申し上げたんですが、たとえは、スト権を一体認めるように話をするのか、あるいは団体交渉権をどうするのだとか、いろいろ問題ありますね。たとえば米軍の安全に非常に重大な重要産業というものに指定されると、いままで争議権があって争議をやっていたところが、それに指定されて争議を禁止される、これはミルクプラントで、いわゆる、これは牛乳でしょうね、牛乳製品をつくるのがアメリカの安全にどれだけ影響あるのかわかりませんけれども、安全に影響を牛乳が持っているのでしょうか、アメリカは。安全に影響があるということで、すぱっと一片の命令か指令で争議行為に入ったやつをいきなり争議は禁止だ、こういうかっこうの問題もあるでしょう。そういう問題もあるし、それから第一種と第二種、第三種、第四種と、こういう種類がありますね、この被用者の中に。それぞれについてスト権なり団体交渉権なりが非常に制限されています。中には布令じゃなくて、各陸軍なり空軍なりがそれぞれ別の規則を持って、団結権までにも非常に関与しているという実例もあります。こういう具体的なものを一つ一つ、これは基本的な人権という立場から考えて、法律以前、憲法以前のものなんだからという立場で一つ一つをやはり抜き出して、本土並みに近づけるという具体性があってしかるべきじゃないかと思うのですが、その辺がはっきりしませんので、もう一度その辺のあれを聞きたいのですが。
  116. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) このいまの新聞に出ましたケースは、きのう沖繩等特別委員会がございまして、ちょうど山野君がこの時に――先週の土曜から沖繩のほうに行っておりましたものでありますから、それで岡田さんが、お前は沖繩現地におったじゃないか、ちょうどだまたま団体交渉権が認められる時に現地におって、それで同時にまた高等弁務官とか、民政府だとか、高瀬君なんかに一緒に話をしたりなんかしておるのを御承知になっておって、それで現地でもってどんな交渉をしたのだというような実は御質問があったときに、その現地のほうでいろいろとお話もしたのだということを申し上げたのが、こういうふうな記事になっておると存じますのでございますが、いまお話のように、そういうふうに一つ一つをとらえて交渉の俎上にのっけるというような姿はいたしておりません。
  117. 前川旦

    前川旦君 それじゃ、もうそれはあまりそれ以上のあれがないようですから次にまいりますが、基本的に考え沖繩の経済をどういう形に持っていこうという基本方針がおありなんでしょうか。たとえば、沖繩には独自のまあ地場産業もありますが、これは弱いですね。で、基地の経済――基地に非常に依存した経済に現状はなっています。この基地に依存している経済を基地に依存しなくてもいいような経済の方向に向けていくんだ、そういう指導をするのだというお考えなのでしょうか。これはこれとして、固定化さしていくというお考えなのでしょうか。その基本的な経済指導の方針としてどうお考えですか。
  118. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 経済指導の長い目で見ました将来のあり方からすれば、当然、基地がなくとも隆々とやっていけるだけの沖繩につくりあげていかなくちゃならないと思います。しかしながら、現実の時点におきましては、御案内のとおり大体二億五千万ドルからの基地収入というものが沖繩の経済社会に散布されておるわけでありまして、まあそういう点から見ますと、沖繩経済には重大な資金源であることは間違いございません。そこで、たとえば沖繩の琉球政府のほうで委嘱しました、民政府が委嘱しました大来佐武郎君のレポートというふうなものが出されておりますが、この大来君あたりの経済建設の考え方というものは、一応、現在基地から入ってまいっております資金を、これをなお継続されるという前提のもとにあの調査がなされておるわけでございます。と同時に、またこの日本政府の対沖繩援助というものも、佐藤ジョンソン会談以来逐年増加いたしておりまして、今日ではアメリカ政府の援助をなお上回って日本政府の援助がいっておりますが、しかし、その百五十三億というこの日本政府の援助と申しますものは、つまり沖繩の県、あるいは町村、あるいは国、こういうふうな行政機構内における施策の援助資金でございます。で、日本との相当県と比べてみました場合に、なお六五%から七〇%しか沖繩の援助がいっていないというふうなことで、これをまあ内地相当県まで引き上げようということからいたしておりますが、今日の百五十三億というものを考えましても、なお二、三割も低目でございますので、これもやっぱり少なくとも二百億程度にならないと内地並みにはならない。しかし、それはその行政機構だけの相当県の国からの援助でありまして、沖繩経済全体の資金という点から申すならば、もっともっと沖繩に資金が導入されなきゃなりません。これは基地経済といったようなものにかわって、少なくとも日本の民間資金なり何なり、あるいはまたその他の資金繰りというものがなされなきゃならぬ。それはなかなか容易なことではないんでございますが、しかし、われわれといたしましては行政機能の上において少なくとも二百億程度のものは今後出していかなきゃなりませんし、同時に、沖繩経済に対しましても日本の財界方面の積極的な資金の投下あるいは投資というものをわれわれは勧奨、特に勧誘いたしております。これにこたえるために、経団連あるいは日本商工会議所、同友会、日経連といったような五団体と沖繩の民間の団体との懇話会が先般もございまして、この八月、九月には日本の財界の方々沖繩に対しまして大挙してそういうふうな調査に出かけよう、こういう意図もございます。大体以上申し上げたような次第であります。
  119. 前川旦

    前川旦君 長期的な目で見て基地経済からの脱却、自立経済を目ざすような指導をするのだ、こういう御答弁であったと思います。長官はおうなずきになりましたから、それを伺って、これよろしゅうございます。  それじゃ、ちょっと関連して、ついでのことで悪いのですが、一体、琉球の政府には貨幣を発行する権限がありませんね、これは。ドルですね、これを円に切りかえるということの計画はあるのでしょうか。また、どういう形でそれをおやりになるのでしょうか。
  120. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この円経済にという問題がございますが、ただいまの段階におきましては、これがいろいろと経済の混乱を来たしてもいけませんし、現在の時点におきましては、いま直ちに円に切りかえるとか何とかというふうなことは考えておりません。しかし、将来におきましては当然そうなってまいります。
  121. 前川旦

    前川旦君 現在は考えていらっしゃらないにしても、将来のめどというものをどういう時点に置いていらっしゃいますか。何かそういう点のめどがありますか。
  122. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは両三年後に日本復帰いたしますというめどが立ちますときにめどを立てます。
  123. 前川旦

    前川旦君 それじゃ両三年――総理府の長官ですから、佐藤さんとは一番近いところにいらっしゃるように思いますが、両三年のめどで佐藤総理は幾ら質問をしてもいまの状態では白紙だということをしきりにおっしゃいます。私は白紙というのはおかしいので、相手の国と外交交渉をやるのに白紙で臨むということはあり得ない。外交上の戦術でフリーハンドでいたいという場合はありますが、それは戦術のことであって、大きな基本方針で、核をどうするかとか、基地をどうするかという問題で白紙ということはあり得ない。おそらくは白紙ではなく、持っているけれども、いまはあんまり言いたくないということではないかというふうに推測するのですが、そこで、佐藤さんがよくおっしゃる国際情勢の推移、科学技術の進歩、国論の変化を見てと、こうおっしゃいますが、一体これは具体的にどういうことなんでしょうか。国際情勢の変化とか、科学技術の進歩、国論の変化、具体的にどういうことをさして政府は言っておるのでしょう。
  124. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それはお聞きになったとおりでございますが、しかし、いま総理が言われますのは、私どもがここでいまお話を申し上げておるような経済関係、あるいは一体化施策とは違う基地の問題とか、あるいは防衛の問題とかについてそうおっしゃっておられます。しかし、いま前川さんとこうやってお話を申し上げておりますのは経済的な問題でございます。この面につきましては決してそういったのではなくて、私の責任におきまして、もう今日ただいまからもほんとうに本腰を入れて問題を推進しつつあるわけでございますから、経済問題につきましては一生懸命に前川さんのお話のようなあれを進めてまいっておるわけでございます。
  125. 前川旦

    前川旦君 いや、長官、あなた両三年がめどということを引っぱり出されましたから、だから両三年のことも当然考えていなければいけないわけでしょう。ですからお尋ねしたんで、この両三年の基礎の中に、いま言った三つの問題があると総理おっしゃるから、それじゃそのことについても的確なお考えがあってしかるべきだと私は思います。ですから、国際情勢に二通りありますね。悪化する場合とよくなる場合、アジアの緊張が増す場合と緊急が緩和する場合と二通りあります。科学技術の進歩といいましても、一つには、沖繩の基地を必要としないように軍事技術が進歩するという面と、日本が核武装して沖繩に持っていって、そこで日本が武装するという逆の面も考えられる。国論の変化にしても全く二つの両極端のあれが考えられる。どちらを期待しているんでしょう。私は一人一人の大臣の方にお聞きしたい。佐藤さんはあまり白紙でがんばっていらっしゃいますから、防衛庁長官にお尋ねしましたところが、防衛庁長官のニュアンスは、アメリカが少なくとも核基地を沖繩には必要としない時期がくるであろう、それを期待してこの科学技術の進歩ということを期待しているんだというニュアンスの答弁がありました。ということは、突き詰めていくと、いま非常に問題になっております核基地つきとか、あるいは基地の使用とからんで白紙だと言っているけれども、その方向というものをある程度浮き彫りにされてくるんじゃないか、またそういうふうにしてもいいんじなゃいか、私、実はこう思うんです。こういう問題ですから、政府の態度として、核抜きだとか基地の返還、そういうことを徐々に――やはりあの場では総理大臣の御答弁として、白紙にと、予算委員会にしても本会議にしても言い切られましたけれども政府としては考えていることを徐々に少しずつ出していっていいんじゃないでしょうか。
  126. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 前川先生のただいまのお話の中で、私に関する責任の限りにおきましては、もう本土復帰という国論の一体化のほうはいたる世論を背景に、科学技術の進歩にのっとりまして、さらに沖繩が大きな経済的な躍進を遂げるべく期待をいたし、同町に、国際情勢を乗り越えて本土との一体化を強力に推進いたします。
  127. 前川旦

    前川旦君 そうしか言えませんか。
  128. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは経済関係一体化の私の責任の範囲におきまして……。
  129. 前川旦

    前川旦君 政治家としての、閣僚の一人としての。
  130. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは行政長官としての私のあれでございますが、まあ政治家といたしましては一日もすみやかに日本復帰いたしますことをこいねがってやみません。
  131. 前川旦

    前川旦君 それはそうなんですが、核と基地問題をどうするかということをどうしてもそれはおっしゃることはできませんか。
  132. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題に相なりますと、国際情勢の変化なり何なりで両三年後に……。
  133. 前川旦

    前川旦君 それでは最後に、いまのストライキの話でちょっと二、三点お伺いしておきますが、例の十割休暇に対して米軍が処分を出すというふうにいまのところつかんでいらっしゃいますか。処分の問題どうでしょう。きょうの新聞では処分は出さないだろうと推測されるような記事が出ていますけれども、やはり政府が一番情報が早いでしょう。どうですか。
  134. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題に対しましては、新聞がどう書いておるか存じませんが、私のほう、かいもくまだわからないということでございます。
  135. 前川旦

    前川旦君 それじゃ、それに対して処分は絶対にしてもらいたくないという強い要望はしますか。
  136. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これはおっしゃるとおり穏やかであってほしいと思います。
  137. 前川旦

    前川旦君 昨日の沖繩及び北方問題特別委員会で、やはり山野さんは、米側も布令一一六号の罰則適用には慎重な検討と配慮をすると思う、二番目に、適当な時期に政府も米側に何らかの意向を伝えたい、こういう答弁をされています。この適当な時期に政府も米側に何らかの意向を伝えたい、この点についてどうですか、実際この答弁どおりですか。これは総理府の局長です、はっきり答弁されていますが、これはどういうふうに期待されますか。
  138. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは私も山野君と一緒に出ておりました委員会でございますが、山野君の考え方に私の考え方も同じでございます。ただいま申し上げたように、このことからいろいろな不測な荒立ったことが起こらないように、穏やかなひとつ処煙を期待してやまないと同符に、われわれのほうもまた機関を通じてできるだけのことはいたしたいと存じます。
  139. 前川旦

    前川旦君 そうすると、総理府としては、処分はしてもらいたくない、処分ということになると、あと非常に大きな政治問題になって、ますます政治の混乱というものは大きくなります。そういうような点からいろいろ考えて処分はしてほしくない、これは正式の総理府の態度と受け取ってよろしゅうございますね。
  140. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの日本の行政権のないところでございますから、われわれが希望し期待いたしましても、これはなかなか交渉の問題や何かというものは簡単にはまいりません。いまお互いが話し合いいたしますと、ある程度まで話もなごやかにいきますけれども、いまの前川さんのおっしゃったような表現が直ちに私どもがそのとおりに表現していいかどうか、これはなかなかむずかしい問題でございます。私どもは、今回のこういうふうな忌まわしい問題が惹起いたしましたに当たりましても、どうか常識のある、かつ誤った処置はとってもらいたくない、かような念願で、今後また機関を通じまして連絡をいたしたいと思います。
  141. 前川旦

    前川旦君 何か少しうしろに下がったような感じですけれども、やはりこれは処分ということになりますと二波、三波と当然なりますね、二十四時間から四十八時間、エスカレーションは当然です。しかも非常に騒然たる形になるでしょう。それは私たちは別ですよ。政府としては、やはり処分は避けてもらいたい、しないでほしいという、そういう意向を伝えるくらいの態度があってしかるべきだと思いますがね。現にここでも答弁がありますが、何らかの意向を伝えると新聞に出ておりますけれども、何らかのというあいまいなことじゃなくて、この際はっきり処分をしないでもらいたい、こう言っていいのじゃないのですか。
  142. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御意向の点は十分体しまして善処いたします。
  143. 前川旦

    前川旦君 それでは、もうよくかみ合いませんが、先ほどからのお話で伺っていると、やはり長官のお気持ちは、事荒立ててもらいたくないというお気持ちだと伺いました。華荒立てるということは、処分をするということは一つの大きな荒立てる原因になりますが、いつそれではそういう意向な、御意見をお伝えになりますか、どういう手続でいつお伝えになりますか。
  144. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さようなこともどうぞおまかせいただきたいと存じます。
  145. 前川旦

    前川旦君 おまかせくださいと言うからには、するということが前提にないと、やはりおまかせくださいということにはならぬと思います。そこで、きょうの新聞では、二十五日ですからきょうですね、きょう、米軍のほうから、「年休闘争に関する文書を二十五口に全軍労側に渡すと通告した。」ということを米民政府のセラー労働局長が上原委員長に言ったということを読売の那覇発の記事で出ております。「年休闘争に関する文書」と申しますと、この記事が正しいという前提ですけれども、この賃金の内容についての回等じゃなくて、「年休闘争に関する文書」というふうになりますと、これを処分するかしないか、そういう内容しかないように思いますね。きょうそれが出されるということであれば、これはやはりタイミングということもあろうと思いますが、一時間でも早くやはりそういう打つべき手は打つべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  146. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御希望の点はよく体しまして善処します。
  147. 前川旦

    前川旦君 善処しますって、よくここで聞くことばなんですけれども、もう少しひとつはっきりおっしゃってください、どういうふうなんでしょう。
  148. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まあ、かような点に相なりますと、日本国内のこととは違いますから、やはり外務省とも相談をいたさなくちゃなりません。それから、またこういうふうな基本的なむずかしい問題では、やはり労働省のほうにも連絡をとりたいと思います。これはわれわれ、ただ単に感覚だけでやれる問題ではございません。そういう点で私どもにどうぞひとつおまかせをいただいて、そうして、私ただいまここで申し上げましたような気持ちのもとに処置をいたしたい、かように考えております。
  149. 前川旦

    前川旦君 時間がだいぶ経過しましたので、私これで終わります。
  150. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は簡単に二、三質問さしていただきます。  まず、沖繩事務所の問題ですが、すでに日米協議会、あるいはその下に技術委員会、さらに沖繩諮問委員会ですか、さらに今度の沖繩事務所の名称変更並びに職務権限の拡大ですか、そういったいろいろな沖繩についての分野がありますけれども、その職務内容の調整について、さらにたとえば諮問委員会に補助員がいて、それが沖繩事務所員を兼任しておるとか、そういう問題もあります。あるいは沖繩事務所長の身分問題ですね。アンガー高等弁務官と直接に協議するということになりますと、まあ前からも言われておるように、認証官を充てたらいいじゃないかというような問題もあるわけです。そういった問題についてお答えを願います。
  151. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いま御質問の点はたいへん多岐にわたっておったと思うんでございますが、日米協議会とこの諮問委員会との権限の違いは、ともに国際的な会議でございますが、日米協議会の場合は、アメリカ政府との間の合意によりまして、それを拘束するということに相なりますが、日米琉諮問委員会の場合におきましては、これはアンガー高等弁務官に対して助言をし、勧告を行なうことができる国際機関に類した一つの機構でございまして、高等弁務官のもとにあるのではなく、いわゆる高等弁務官とは対等の立場におきまして、同時に、高等弁務官に勧告をし、助言をする意味において高等弁務官を拘束する、高等弁務官に対して政治的な意味を持った機構でございます。それから、日米関係におきまして、従来、南方連絡事務所がございましたが、これは従来の、あるいは渡航の管理等の領事業務だけではなくて、つまりアメリカ側の民政府等に対しても発言ができ、協議ができるような機関に改組をいたしました。と申しますことは、沖繩との間の一体化を進めてまいります場合におきまして、いろいろ具体的なこまかい問題が突然派出的に生じますので、そういうふうな問題につきまして、従来のようにアメリカ側には何にも意見を述べたり、連絡をすることができない機構では非常に困りますので、一体化を進める上におきまして権限を拡張いたしたのでございます。以下、さらに詳細な点の御質問がございますれば、起草いたしました担当者がお答えをいたします。
  152. 多田省吾

    ○多田省吾君 具体的に外務事項もまた加わったわけですけれども権限の拡大ということで、結局、外務省の担当とかえって二重行政のような形になって、事務あるいは協議内容が錯綜化するという、そういう懸念はありませんか。
  153. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  もともと協議能力というのは外務省の権限内容でございまして、その意味で従来は沖繩からワシントン、ワシントンも国防省から国務省へ、そうして東京のアメリカ大使館、そうしてアメリカ大使館と外務大臣、そういう形で協議が行なわれていたわけでございますが、したがって、その協議そのものを今回沖繩事務所にその権限を与えるということになりましたのは、いま申し上げましたようなルートではなくて、直接現地においてそれを処理させよう、こういうことでございますので、おっしゃるような懸念はないものと考えます。むしろ事務が推進されて非常に便宜になる、こういうふうに思います。
  154. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま前川委員からも質問がありましたけれども、今度の労組のストライキの問題ですね、総理府として何か具体的に手を打ったことはあるんですか。
  155. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この新聞に昨日の沖繩特別委員会の際の山野特連局長の話がございましたが、これはちょうど山野君が現地におります際に団体交渉権というものが発表になり、またそれがさらにたまたま日米琉諮問委員会の高瀬君や何かと会談をいたす機会もございました際でのことでございます。私どもはこの沖繩におきまする今回の軍関係労務者の問題、推移に対しては非常に実は心配もいたし、関心を持っている次第でございますが、これらの問題につきましては、やはり総理府といたしまして現地にどうこうという問題よりも、さらに外務省とも相談をいたしまして善処いたしたい、こういうふうに考えております。
  156. 多田省吾

    ○多田省吾君 本土との一体化の問題で、教育格差の解消の問題、あるいは自治権拡大の問題、あるいは産業振興の問題、あるいは社会福祉の増進の問題、その他いろいろ問題もありましょうけれども、私は具体的に一点だけ質問したいのですが、いわゆる疾病問題ですね、たとえば結核も精神病もありましょうけれども、特に沖繩ではハンセン氏病対策のほうが非常におくれておる。二千人近くの病人の中で千人は収容されておるようでありますが、百五十人前後が在宅治療、七、八百人が在野患者、あるいはこの前も児童生徒の調査をやったところが、相当の率で患者が発見されたという問題もあるようでありますが、このハンセン氏病対策は具体的にどのようになっておりますか、簡明にお答え願いたい。
  157. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは内地療養、内地収容の面もございますが、今回の予算におきましても、このハンセン氏病、つまりらい病でございますが、この対策につきましては、わがほうといたしまして何とかひとつ根絶しなければならぬという気持ちでございます。いまの具体的なケースはひとつ加藤参事官からお答えいたします。
  158. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 先生御指摘の問題は非常に重大な問題でございますので、われわれとしましては、毎年の予算におきましてもその点は配慮いたしまして、本土にできるだけ収容するなり、あるいは現地の二つの療養所がございますが、そこにも収容し、また集団検診等実施しまして、できるだけ早期発見につとめて、特に伝染性のものは収容措置をとる、そうしてまた予防的にBCGの接種等を十分やっていくという方向で措置を進めておるところでございます。
  159. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度、沖繩返還につきまして政府の意向を受けて沖繩基地問題研究会というようなものが基地の問題について討議しておるようでございますけれども、その大勢はいわゆる核抜き返還に落ちついておるようでございます。佐藤総理は、結局核抜き返還ということを具体的に言えば返還がおくれるのじゃないかというニュアンスの話を言っております。そうして沖繩人民は早く返ってくるほうがよろしいのだという意向も持っておるというようなことを言って、さも恩着せがましいような発言をしておりますけれども沖繩現地方々の大勢というものも、やはりここで核抜き返還というものを強く要望しておるのだと私は解釈いたしておりますけれども総務長官としてはまあ言いにくいでしょうけれども、大体、沖繩方々考え方というものをどのように受け取っておられるのか、この一点だけ。
  160. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) やはり政府の部内におきましても、つかさつかさがございまして、私は本土との一体化、社会的、経済的な問題の内地との一体化の問題につきまして、ひたむきにそのほうに取り組んでおる次第でございます。ただいま御質問の趣旨は、ひとつあらためて担当の大臣からお答えさせていただくことにいたします。
  161. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、同和対策協議会の問題を質問いたします。  先ほども長官がお述べになりましたけれども同和対策特別措置法につきまして、長官は、同和対策協議会ができてからそれにまた相談してというようなことをおっしゃっておるようでございますが、長官としてはほんとうに今度の国会に提出しようというようなお気持ちがあるのかどうか。
  162. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 同和の問題に対して御質問をいただきましてありがとうございます。この問題は、なかなかむずかしい問題でありますと同時に、ほんとうに真剣に取り組んでまいらなくちゃならぬのでございますが、なかなか全国的な問題とは違いまして非常にむずかしい点もございます。そういう点で、私どもは、この同和の問題については政府といたしまして十年間の間に長足の歩みをいたしてまいったと思うのでありますが、非常にこの差別問題等を観念的に扱いましても、これが解決ができるという問題ではございませんので、具体的な問題と取り組んでまいらなくちゃならぬと思っております。さようなことから同和対策協議会の会長の堀木会長も、このいわゆる基本法的な考え方に対しましては、いまはむしろ非常に反対の態度をとっておられる。審議会の当時におきましては非常に基本法というようなお話がございました。基本法と措置法、これは今日は基本法はむしろ出さないで、具体的な問題が解決できるように、処理できるように措置法を出そう、こういうふうなことで進んでおるような次第でございまして、できますれば、各党の同和に対しましてほんとうに真剣に取り組んでおられる各位とのお話し合いができまして、そういうふうな法制的にも制度化するということができますように私どもも希望をいたしております。
  163. 多田省吾

    ○多田省吾君 同和対策にからんで法務省関係の方にお伺いしたいのですが、この前問題になりました本籍地に部落民と書いてあったいわゆる壬申戸籍を人に見せました問題が起こりまして、法務省ではすぐ廃棄したいというようなことをおっしゃっておりますけれども、これを簡単に、この前の事件の経過と、それから廃棄をいつごろやるのか、この問題をお伺いしたいと思います。
  164. 家弓吉巳

    説明員家弓吉巳君) 私からお答えいたします  この問題は去年十二月、私のほうに、関西地方におきまして壬申戸籍の記載の中に賤称の記載がまだ残っておるということが耳に入りましたので、さっそく大阪の監督法務局に電話いたしまして、もし、そういう戸籍が残っているならばすぐに廃棄せよという指示をいたしました。その後、ことしの一月四日に、この壬申戸籍が人権問題になっておるということが大きく報道されましたので、私どもとしては全国の壬申戸籍の実態状況を調査する必要があると思いまして、全国の監督法務局に対しまして壬申戸籍の保存状況をすぐ調査して報告するように指示いたしました。その間、壬申戸籍の閲覧の問題が生じましたので、とりあえずの措置といたしまして、一月十一日に壬申戸籍に書いてある親族以外の方には壬申戸籍の閲覧は許してはならない、それから壬申戸籍の謄本、抄本の請求があった場合には、賤称の記載とか、前科などは省略して渡すようにということを強く指示いたしました。その後、二月末ごろに大体の集計ができましたので、全国からの報告がございまして、壬申戸籍の保存の状況がわかりましたので、幸い二月二十八日に臨時法制審議会の戸籍部会が開かれましたので、ここにこの問題を出しまして、対策はどうしたらいいかということを聞きました結果、三月四日に、一応、壬申戸籍については全面的に閲覧を禁止する、それから謄本、抄本の請求がございました場合には、現在の戸籍に書いてある事項だけを書いて謄抄本を渡すようにという民事局長の指示が出されました。それからその後、廃棄すべきかどうかという問題が出まして、この戸籍を廃棄します場合には戸籍法の施行規則によりまして、市町村長から監督法務局長に、保存期間を経過したものについては廃棄していいかどうかの許可が必要でありますが、この廃棄については、申請があったら許可してよろしいという指示をいたしております。それから廃棄しました戸籍は焼却とか、物理的廃棄はしないで、今後は市町村とか、あるいは監督の法務局において厳重に包装封印して、外部に漏れて人権問題が生じないようにすると同時に、もし、市町村における利用状況にかんがみまして、まだ廃棄したくない、廃棄しないものにつきましては、やはり厳重に包装封印いたしまして、もしそういう謄抄の請求がありました場合には、現在の戸籍に書いてあることだけ謄抄にするという指示をいたしました。したがいまして、まだこの戸籍は市町村において、あるいは法務局において、いずれかに保管することになりますけれども、将来これをどこで集中的に保管するか、まだ検討中でございます。
  165. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に長官に。特にまだ同和対策問題におきましては婚姻の失敗なんかの自殺問題などが多少起こっておりますし、また、特に中高年齢層の職業の問題あるいは都市においては問題が薄れておりますが、まだ地方には相当の問題があるということ、そういった具体的な問題をたくさんかかえているわけでございますけれども、中にはやはり市町村において、せっかく六十億の予算が計上されながら市町村によっていろいろ対策の差もあるようでございますけれども、こういった点の監督も含めて今後の同和対策に対する長官としてのお考えを最後にお聞きしたい。
  166. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ほんとうにただいま多田さんがおっしゃったようなのが現実の実態でございますので、それに対応いたしまするためにも、普通の法律のような観念的な議論ではだめなんで、やはり現地にほんとうに適応するような具体的な内容を持った措置法ができますことをわれわれは期待いたしておるのでございます。まあ今後ともにどうかひとつよろしく御協力をお願いいたします。     ―――――――――――――
  167. 井川伊平

    委員長井川伊平君) この際、委員異動について御報告いたします。  向井長年君が辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  168. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。総理府設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  169. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  午前はこの程度とし、午後二時再開いたします。それでは休憩いたします。    午後一時八分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十分開会
  171. 井川伊平

    委員長井川伊平君) これより内閣委員会を再開いたします。  宇宙開発委員会設置法案を議題といたします。  本案は、去る二十三日、衆議院から送付され、付託されました。なお、衆議院におきましては、修正議決されております。  それでは、これより提案の理由の説明及び衆議院における修正点の説明を順次聴取いたします。鍋島科学技術庁長官
  172. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 宇宙開発委員会設置法案につきまして、提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。  宇宙開発は、宇宙通信等の実用面への利用が大きく期待されているだけでなく、関連する広範な科学技術諸分野の水準を向上させ、新技術の開発を画期的に推進する原動力となるものであります。宇宙開発のこの重要性に着目し、諸外国におきましては、つとに開発体制を整備し、具体的な開発目標を掲げ、国家的な事業としてその積極的な推進をはかっております。一方、わが国の宇宙開発も、関係行政機関においてそれぞれに進められてまいりましたが、宇宙開発は、その性格上、多額の経費を要するものであり、また限られた人材を有効に活用する必要がありますだけに、わが国が本格的な宇宙開発に乗り出そうとしている今日、これを特に総合的計画的に推進することが急務となっているのであります。  このような情勢にかんがみ、内閣総理大臣から宇宙開発審議会に対し、わが国の宇宙開発に関する長期計画及び体制の大綱について諮問いたしましたところ、昨年末同審議会から、宇宙開発の体制については、国として統一ある構想のもとに基本的な計画等を審議、決定し、それが国の最高方針として十分尊重されるような委員会を設けることが必要である旨の答申を受けました。  このたび宇宙開発委員会を設置することとし、この法律案を提出したのは、以上の趣旨に基づくものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、宇宙開発に関する国の施策の総合的かつ計画的な推進に資するため、総理府に宇宙開発委員会を置くものといたしております。  第二に、この委員会の所掌事務は、宇宙開発に関する重要な政策、関係行政機関事務の総合調整のうち重要なもの、関係行政機関経費の見積もり、研究者及び技術者の養成訓練、その他宇宙開発に関する重要事項について企画し、審議し、その決定に基づき内閣総理大臣に対して意見を述べることであります。また、内閣総理大臣は、委員会から意見を受けたときは、これを尊重しなければならないものといたしております。  第三に、この委員会は、委員長及び委員四人をもって組織することとしております。委員長は、科学技術庁長官たる国務大臣をもって充てるものとし、委員は、宇宙開発に関しすぐれた識見を有する者のうちから、内閣の承認を経て、内閣総理大臣が任命し、非常勤の特別職とするものといたしております。  第四に、委員会の庶務は、科学技術庁研究調整局において総括処理するものとし、関係行政機関の所掌に属するものについては、その行政機関と共同して処理するものといたしております。  以上がこの法律案提案の理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。  なお、本案につきましては、衆議院におかれまして若干の修正が加えられておりますことを申し添えさしていただきます。  以上でございます。
  173. 井川伊平

  174. 小宮山重四郎

    衆議院議員小宮山重四郎君) ただいま議題となりました宇宙開発委員会設置法案に対する衆議院修正について御説明いたします。  本修正は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかるものであります。修正部分につきましては、お手元に配付されていると存じますので、朗読は省略させていただき、修正の要点について簡単に御説明いたします。  まず、第一は、宇宙開発委員会は、宇宙の開発に関する国の施策の総合的かつ計画的な推進について、その民主的な運営に資するため設置されるものであること及びその所掌事務について企画し、審議するほか、決定するものであることを明記いたしたことであります。  第二は、委員の任命にあたっては両議院の同意を得るものとし、関係条項を整備したことであります。  第三は、施行期日を「公布の日」といたしたことであります。  以上の三点が衆議院におけるおもな修正事項であります。  以上で御説明を終わります。
  175. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 以上で説明の聴取は終わりました。  それでは、これより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、鍋島科学技術庁長官、馬場官房長、梅澤研究調整局長、武安計画局長、以上の方々でございます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  176. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して二、三お伺いいたします。  まずお伺いしたいのは、宇宙開発審議会答申関係してお伺いいたします。この法案は、ただいま提案理由説明によっても明らかなように、昨年十二月二十日、総理の諮問に応じて宇宙開発審議会答申した「宇宙開発に関する長期計画および体制の大綱について」に基づいて提出されたものでありますが、そこでまず答申についてお伺いしたいと思うわけです。答申によりますと、人工衛星の開発及び打ち上げの基本計画として、科学衛星については、東京大学が開発しているMロケットは、昭和四十三年度を目標とする。実用実験衛星については、科学技術庁で開発しているわけです。それぞれのロケットの開発状況、それに要する費用、目標期間内に打ち上げ可能かどうかの見通し、このような各項についてそれぞれ明確にひとつ御説明願いたいと思います。
  177. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ただいま御指摘のとおり宇宙開発審議会は、昨年の十二月二十日に内閣総理大臣に対しまして答申をいたしておるわけでございます。その中におきます一つの問題は、御承知のとおり長期計画、いわゆる日本における宇宙開発の長期計画それからそれに伴う体制、この二つの点に大別して答申をされたものでございます。  ただいま長期計画の面の御質問があったわけでございますが、四十三年度には大学における科学衛星第一号、それを発射したり、技術庁におきましては、あくまで実用衛星の面をやっていくわけでございまして、昭和四十六年度に一万キロにおきます中高度の実用実験衛星、これは通信関係です。昭和四十八年度に静止衛星、これは約三万五千キロでございます。これで一応成果を果たすわけでございますが、これに伴いますロケットの開発と、及びその上に乗せますいわゆる衛星、それは通信関係、あるいはその間にいろいろ研究、あるいは気象その他あると思いますけれども、それらの衛星を現在開発中でございます。したがって、これに伴います予算は、大体本年度七十三億前後でございますけれども、これが四十八年度、静止衛星までこれが完遂できます大体の推算は、一千五百億ぐらいの予算になると考えております。それを計画的に、かつ総力をあげて国の力と、それから民間あるいは大学の御研究まで御一緒になって、国をあげて実現をしていこう、こういうわけでございます。
  178. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人工衛星の打ち上げについては、四十一年八月にも同審議会から「人工衛星の打上げおよびその利用に関する長期計画について」、これが建議されておると思うのですが、それによりますと、科学衛星は四十二年度、実用実験衛星は四十五年度を目途にそれぞれ打ち上げることになっていたと思いますが、今回の答申は、いままでの計画が失敗に終わったために、計画の目標期間を少しずつ延期しただけのものであって、内容的には同じものではなかろうかと思うのですが、この点いかがですか。
  179. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 内容的には特に変わりません。  四十五年度にいわば基礎的な実験衛星という実験もやる予定でございます。そうしてそれを進めて、次に四十六年度に一万キロの実用実験衛星といいますか、名前がややこしいのですが、そういうことに進む。そうして四十八年度に静止衛星へ入っていく、こういう予定でございます。
  180. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと四十一年八月に同審議会から建議があったけれども、これが結論的には失敗に終わったので七再び今回の答申という形になった、ころいうふうに理解していいわけですね。
  181. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いま大臣が答弁したとおりでございますが、その間におきましては、先般の答申のときには、四十五年に実験衛星を打ち上げよう、ただし、その内容につきましての詳細な検討というのは、なされておりませんでした。それを受け継ぎましてわれわれのほうで、このあとの委員会検討いたしまして、四十五年度には一・四メートルのQロケットと私たちは称しておりますが、これを上げるのがいいという内容のシステムを具体的にいたしまして、実際のものができ上がったというのが現状でございます。
  182. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この宇宙蹄発体制で急務とされておりました一元化問題、これに関しては答申は、宇宙機発体制の大綱で、宇宙開発委員会のほとんどが人口衛星の打ち上げ、追跡等を一元的に行なう開発機関を設置することにいたしておるわけですが、開発機関の具体的な性格、関係機関から開発業務の移管方法、時期等については、答申内容だけでははっきりしない点があちこちにあるわけです。そこで以下この点についてお伺いしたいと思います。  まず、お伺いしたいのは、開発機関の設置についての具体的な方策は、今後宇宙開発委員会が発足後審議することになるのか、それとも別の道を選ぶのか、この点からまずお伺いしたいと思います。
  183. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 宇宙開発委員会が発足しまして、具体的にこの委員会において審議せられることはもちろんでございます。しかし、大体委員会の前の、昨年の審議会答申のいろいろな審議内容及び現在科学技術庁として考えております案を申し上げておきたいと思います。  正式には委員会発足後直ちにそういったことの御審議があることと存じます。したがって、開発主体、開発事業団の問題は、審議会にもございますように、どうしてもこれを進めていくためには、官庁も、あるいは学者の方も、それから民間も一緒になってこれを進める体制をつくらなければなりませんので、原子力等の実例等を考えてみますと、やはりここに特殊法人の宇宙開発事業団というようなものをつくって、あるいはこれらのものが一丸となって、そうしてロケットの開発に当たり、一方、各省において研究せられております衛星を乗せてこれを打ち上げて、ただいまの計画によって進めるというのが必要であろうと思います。その発足を本年度はまだ緒についたばかりでございますので、大体明年度からこれを進めてまいりたいというふうに考えておりますし、したがって、これに伴うまたいろいろ事務局も必要になってまいると思います。これは現在科学技術庁の研究調整局がやっておりますが、将来においては、非常に一省一局削減でむずかしいときではございますけれども、少なくともこれは宇宙開発同的なものにして、しかも本年度はそういう機構のものができませんので、宇宙開発局は設置しませんが、それに伴う局内の整備もしますとともに、科学技術庁にございます宇宙開発推進本部というのがございますが、これをあくまで強化していく、将来における事業団なり特殊法人に、これら体制を整えていくという形をとりたいと思います。
  184. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御指摘のあった特殊法人の宇宙開発事業団についてはこれからだという意味の御説明があったわけですが、その具体的な内容をこの機会に伺っておきたいと思います。
  185. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 具体的にと言いますか、それは要するに特殊法人を置いて、それがロケットの開発と、実際に当たる。それの中には、現在ございます科学技術庁の宇宙開発推進本部、大体人員が約九十人ばかりおりますが、これで着々準備を整えております宇宙開発推進本部、しかも、その推進本部長は、現在東大宇宙研の直木博士でございますとともに、宇宙研の所長でもあられるおけです。したがって、両方そういった形の連絡はとっておりますが、東大側からは客員とかあるいは専門的な嘱託という形で参加していただき、さらに民間のほうもこれに加えた特殊法人をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
  186. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人工衛星の打ち上げ計画を四十三年度から四十八年度に設定してあるわけですから、そうだとすれば、人工衛星打ち上げを一元的に行なういわゆる開発機関は、委員会と並んで設置されてしかるべきだと思うのですが、宇宙開発体制にとってこのことがきわめて大事なことだと考えられるわけです。そこで科学技術庁長官としては、どのようにこのことについてお考えか。
  187. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) あるいは委員会と一緒に発足することが必要であるかとも思い、また、それらの努力もいたしたわけでございますが、現実の問題として考えていきましたときに、宇宙開発が一元化ということが言われますように、いわゆる東大のほうと、あるいは実用ケロットの開発及び実行をねらっていた科学技術庁の推進本部と、あるいは郵政省の衛星関係、これは通信衛星関係、運輸省の気象衛星、航行衛星あるいは建設省の測地衛星関係というふうに、いわば一元化してない。ある意味におきましては各省各省でそれぞれの研究と実績を重ねてきておったわけでございます。したがって、急速にこれをいわゆる一元化していくということが、なかなか困難な事情もございましたし、それから、東京大学におけるロケット打ち上げ、これはあくまで研究的なものであるわけでございますが、それとの調節、そのほかに、やはりこれは文部省との関連において調整がなかなかできなかった点もあり、ようやく昨年来宇宙開発審議会答申の際におきましてこれらの方向が定まって、一応一元化していこうというところまできた。  したがいまして、まず最初に委員会を発足さしていただきまして、宇宙開発委員会によって、これらのことの具体的なものを御審議願う。そうして、非常におくれておりますので、できればことしじゅうにこの特殊法人的な総合された事業団を発足させたいと思ったのでありますが、なかなかそこまで準備ができませんで、やはりちょっとおくれた形になっております。したがいまして、どうしても来年度にはこの実行体である官、学、民からなる事業団を発足しなければならない。これはもう何としても発足しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  188. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来から一元化についてどうも意見が対立していたと言われておる科学技術庁と東大については、今回の開発機関による一元化構想については、もちろん意見の一致を見たものと考えられるわけですけれども、そう淡々として、いままで対立したものが簡単に意見の一致を見たとも考えられぬ。それらの経緯についてもあわせて御説明いただきたい。
  189. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 詳しくは調整局長から申し上げますが、大体研究分野と実行分野との関連におきまして、たびたび科学技術庁と文部省と相談をいたしまして、いわゆる東大の宇宙研で行なわれる実験はあくまで一・四メーター、いまやっておられるミューロケット、そしてこれが科学研究衛星であるという形で進めて、それ以上にいかない。しかもその後における実用的なものは、やはり大学の研究ということからしますと、すべてを譲ると、しかもその研究相互間の連絡はあくまでとっていくというような大体の構想で意見が一致いたしました。そしてそういった、ことが、大学としては来年前後までいわゆる一・四メーターのミューロケットの打ち上げが成功する事態、おそらくこれは成功すると思いますが、その事態までひとつ独自でいくが、あとは一緒になって実用の面はいこうではないかというような話になったわけでございます。
  190. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいま大臣の申し上げたとおりでございますが、実際には一・四メーターのものが信頼度を得るまで大学が行ない、その間に私たちのほうの今度の推進本部、これはいずれ来年になりますが、これが十分実力を早く持つというところで受け継ぐ、ただし一・四メーターをこえるものは大学はやらないということを原則といたしております。大学関係はそういう形でございます。あとやはり産、官、学が一元化していかなきゃいけない。これを推進本部のいまの状態でもしなきゃいけないという大臣の御用命がございまして、今度の推進本部の機構を改組いたしまして、中に長岡のほうの意見が聞ける技術顧問制度、それから大学の先生方の鷲見が聞ける技術委員会、それから中を運営する運営委員会、こういうものを全部整備いたしました、そして産、官、学がその関係で十分動いて、一致協力していける体制の準備を整えたいというのが現在の考え方でございます。
  191. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次は、つい先ほど説明のありましたこの法案そのものについてお伺いしたいと思いますが、まず委員会の性格についてお伺いするわけですが、国として統一ある構想のもとに一元的に宇宙開発を進めていくためには、やはりこの委員会の性格が問題になろうかと思われます。私どもとしては、国家行政組織法第三条に基づくいわゆる行政委員会とすることが一そう効果をあげ得るのに有効ではないかと、こういうふうに考えられるわけです。ところが、実際には国家行政組織法の第八条に基づく機関としたわけです。結局第三条に基づく性格とはならなかったわけです。その辺の経緯からひとつ伺いたい。
  192. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ただいま言われましたように、国家行政組織法に基づきます三条機関は行政委員会と言われておるわけでございまして、公正取引委員会等がそれに類するものかと思います。ただ、これを進めてまいります際に、宇宙開発というものが非常に総合的なものでございまして、関係各省だけでも、また実際その関係各省に関連する以外、郵政省においては通信衛星というふうに、先ほど申し上げましたようにそれぞれ実行段階、製作段階といいますか、そういうところまで広がったものをここに総合をして打ち上げていくというような形にもなりますし、ロケットそのものの技術もなかなか国の総力をあげざるを得ないというような、各省庁の行政となかなか切っても切れないといいますか、区分が十分でない多くの関係機関を持っておったわけでございます。それを所掌する事務をする場合において、いわゆる行政機関としてよろしいかどうかという点がいろいろ論議をせられました。次に現在持っております原子力委員会、これは八条機関でございますが、原子力委員会はすでに原子力平和利用に基づいて相当の力をもって推進をいたしております。その体験から見て、やはりこの際におきましては、宇宙開発委員会も原子力委と同様に八条機関として、総理大臣のもとに国の責任においてこれを進めることが妥当であろうというような結論で、八条機関として御審議をお願いいたしておる。なお詳しくは局長より申し上げます。
  193. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 法律的には確かに八条機関でございます。それで、この前の審議会におきましても、少なくとも原子力委員会に準じたような強力なものにという御発言がございました。それのもとにおきまして、これらの中身の内容として一番大きな問題は、やはり宇宙開発を企画、審議、決定することをみずからやっていく。たとえ八条機関であってもそういうところで十分果たしていくべきである。それからそれをやって、関係各省との間にそれを十分果たさせる。そうしますと、宇宙の問題につきましては、実用あるいはほかの技術の関連というのは、各省と非常につながりがございます。そういう関係とも密着していけるのではないかというところで、この委員会は八条機関ではございますが、一番その中で企画、審議、決定する強力な三条機関的なセンスが非常に入った委員会という形で御提出したわけでございます。
  194. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法律で、対象とする宇宙開発については、これは宇宙開発のすべてではなくして、人工衛星とかその打ち上げ用ロケット、これに関する開発等に限定しておるように考えられるわけです。そうだとすると、垂直に打ち上げる宇宙観測ロケット、気象ロケット、あるいは将来打ち上げることが予想される月ロケット、惑星ロケット、これらの開発は委員会の所掌には含まれないことになろうかと思うんですが、この辺をひとつ明らかにしていただきたい。
  195. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの、現在もうすでにやっております気象ロケット等の小型のものについては実用化しておりますので、それは事実上この中に入っておりません。それで今後開発すべきものとして現在まではっきりわかっておりますのが通信衛星、航海衛星等の衛星の開発でございます。したがいまして、この設置法でやります場合には、できるだけ今後やるところがはっきりしているところを踏まえて考えていきたいというのを私たちの方針といたしました。そうしますと、いまの衛星を飛ばすこと、その衛星を打ち上げるロケットの開発、そこのところがこの範囲になっております。  それで、いま先生のおっしゃいました月にロケットそのもので測定器を送る、こういうものは事実上入っておりません。しかし、それを途中の衛星を通して、中間段階を通して送るというのはこれに入ってまいります。その点、しかしまだわが国として、月そのものにロケットを持っていくというような点については判然といたしておりませんので、当然この委員会で、将来の考え方としてそういうことをしたらどうかという要望が出ていると思います。そのときにはじめてこの委員会設置法範囲を十分考えて方針を立てていったほうが実際的ではないかというところで、初めは人工衛星の打ち上げ実験、こういうところで押えたわけでございます。
  196. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に委員についてお伺いいたしますが、先ほどの提案理由では「宇宙開発に関しすぐれた識見を有する者のうちから、内閣の承認を経て、内閣総理大臣が任命し、非常勤の特別職とするものといたしております。」、こういうふうにあるわけです。ところが実際にこれは常勤とするよう答申では明確になっておると思うんですね。この答申したのも、総理のいわゆる諮問に答えて、非常に重大性のある問題として、総理は特に意を用いてこういう結果になったと、したがって答申が出た以上、答申を尊重しなければならぬと思うのですが、もう初めからこの答申の趣意に沿うてないわけですね。明確にここで非常勤の特別職とするものとしてはっきりと反対しておる、こういうことになると、これは最初からどうもまずいと思うのですが、答申の趣旨を尊重するなら、その一答申のとおり常勤としてしかるべきだ。もちろん、この点については衆議院の科学技術特別委員会でも当然に問題となって、これは修正にはならなかったわけですけれども、附帯決議で、早急に委員を常勤とする旨が強く要求されておったと思うのです。もちろん、権威ある学識経験者を常勤として任命することの困難性については理解できないわけでもないわけですけれども、将来、問題の重要性を考えたとき、それではいささか最初からどうも答申の趣旨にかなわぬと思うのです。暫定法として、たとえば四人を常勤とせよと答申しておるわけです。ところが受けて立った政府は、四人とも全部非常勤としておる。そこで、四人全部を常勤とし得ないなら、たとえば二名を常勤とし、うち二名を非常勤とする、そういう漸進的な方法もできたと思うのです。四人ながら常勤で最初から備えることはなかなか困難でしょうけれども、二人に限ったことはありませんけれども、一部を常勤、一部を非常勤にして、次の年度ぐらいに全部常勤とすると、そういう漸進的な方法も考えられると思うのですが、そういう手だてもとられないで、あっさりと答申の趣旨にそぐわない、非常勤としておることについては、事の重要性を考えた場合、どうもあまり理解しがたい問題と思うので一。この点いかがですか。
  197. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) いま伊藤委員が言われましたとおりのことかと思います。原則的にはそのように私も考えます。審議会答申は、原則として常勤の委員を置くようにというお話があったわけでございまして、その方向で実は検討を進めてまいりました。なお、このことにつきましては、内閣内におきましてもいろいろ論議がございました。少なくとも四人のうち二名は常勤にしようではないかというようなことも、もちろん出て今日に至っております。ただ、その経過の中におきまして、これは弁解になるかもわかりませんけれども、常勤委員とする場合、どうしてもひまと報酬という点も問題になってまいるわけで、少なくとも宇宙開発をやる場合、その委員の方は、日本における最高のスタッフをいただかなければならない。そうしてその最高のスタッフも、あるいは学者の代表であるとか、あるいは衛星関係の権威者であるとかいうふうな形において、それぞれ分野をきめた最高のスタッフをきめなくちゃならない。そういたします場合、実際、常勤にした原子力委員会現状から見ても、なかなか常勤委員というものは、他の兼職の関係もあり、まっすぐそれに専念されるわけでございますから人物が得られない、そういったようないろいろな問題を論議いたしました末、まことに当初の出発としては十分ではないかもわかりませんけれども全力をあげていただく意味において、また最高のスタッフをそろえる意味において、非常勤委員四名というような形で実は法律案をお出しすることにいたしたわけでございます。  しかし、この点につきましては、ただいま御指摘のとおり衆議院においても御議論があり、私どものほうも、この委員会をまず発足をさせまして、その間においてぜひ必要であれば、これは常勤委員は明年度からでもひとつ内閣と再度相談をして、予算も要求して、進めていくというような形へ漸進的に進めてまいりたいというように考えておるわけでございまして、御趣旨のほどは十分わかっておるわけでございます。
  198. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう前向きで今後努力したいということですから、もうこれ以上申し上げる必要はありませんけれども、ただここで、特にこの四人の委員の方によってつくられた宇宙開発委員会が運営されるわけですから、その成果のほどはその四人の委員にかかっておるわけですね。そこで、第一人者、権威者を集めて、その方がせっかく優秀な方であっても、私どもがおそれるのは、非常勤ではなかなか思い切った、時間をかけて審議検討は重ねられないのではないか。つい、こちらも大事だが、ほかにもやはり当然に職があろうかと思うのですね、そちらのほうの時間の制約を受ける。いま少し時間をかければもう少し結論が出たであろうのに、時間の制約ということが、常勤と非常勤の分かれる大事の点だと思うのです。たとえ非常勤でも名前だけ非常勤で、いわゆる官庁にも常勤的非常勤なんというのがあって、名前は非常勤でも勤務は常勤だ。そこで常勤的非常勤などということばがございますが、そういうことならいざ知らず、そういうことでなく、ほんとうの純然たる非常勤ということになると、そういうせっかくの権威者が、時間をかけてみっちり研究を深めるということがちょっと憂慮されるわけですね。そういう立場からこの点を強く要請するわけですが、もちろん、衆議院の段階でも同感で、そういう意味合いから附帯決議を付したと思うのですが、いま、今後のお考え方についての所信があったわけで、もうこれ以上この問題追及いたしませんが、早急にひとつ予算化とともに、それに即応して、きわめて困難の場合は、そのうち、たとえば二人でもいいから常勤にして、その次の年二人して、ついには四名全部常勤とすると、そういう前向きの一段の努力を強く要望しておきたいと思うのです。
  199. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまのお話でございますが、私たちのほうも、常勤にしていいのか非常勤にしていいのかということは、だいぶ議論したのは大臣の御答弁のとおりでございますが、非常勤にはいたしましたが、いつもそういうことで、先生方にたくさん出ていただく回数の予算的措置ができなかったり何かしてはいけない、あるいは先生方の待遇に対して申しわけないことをしてはいけない、そういうことで、そういう環境、分野、それから回数を相当やらなければいけません。この点につきましては、原子力委員会や何かの常勤の先生方の出方等の数を考えまして、予算的には非常にたくさんその点は十分に措置はしてございます。そうして、まずそれでことしはその常勤的扱いで先生方にできるだけ手伝っていただいて、十分常勤と同じように働いていただけるという予算的措置をとらしていただいております。
  200. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、この委員の任命方法についてお伺いしたいと思うのですが、これは衆議院のほうでも、いまの委員の常勤、非常勤の問題と並び重要な問題として、いろいろ審議が深められたと思うのですよ。衆議院では最終的にはこれが修正されて、原子力委員会と同様に、衆参両院の同意を得てそれが任命するということになったわけでありますね。しかし、これは修正されて初めてこういうふうになったのであって、原案は、当初からは原子力委員と同様になっていなかったわけですね。こんな大事な委員についてこういう任命の方法は、どうも理解しがたいわけです。まあ修正されたから多くを申しませんが、最初から原子力委員と同様な任命方法をとらなかった理由は、一体那辺にあるのか、ここではっきりしておいていただきたい。
  201. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) これはもう打ち明けた話を申し上げますと、私たちの原案は、実は国会承認を要するようにしたらどうかという気持ちを持っておりました。しかし、御承知のとおり、非常勤委員であり、まだいま草創のときであるから、まず非常勤委員で出て、しかも宇宙開発という未知の仕事をする場合において、あくまで内閣で責任を帯びるという意味から、ひとつ発足をした後に考えたらいいではないかというような政府の方針といいますか、総合された方針がございまして、それらについてきめられたものでございますから、私のほうも、率直に申し上げて、一応おりて法律案をつくったのであります。これはもううそ偽りのない事実でございます。  しかし、やはり考えてみますと、宇宙開発という重要性、しかも、その中心になる委員の方を任命する場合、やはり国民的な代表者である国会の承認を得ることがやはり重きをなすことであるし、国民的合意一つの所産として、御同意を得るということが必要であるというふうに考えまして、衆議院においての御論議の未修正をなさったわけでございまして、私もこの点につきましては異存がなかったわけでございます。
  202. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 原子力開発については原子力基本法に明確に出ておるわけですが、平和目的をはっきりさせる必要があろうかと思うんです。にもかかわらず、この法律のどこにもいわゆる平和目的を明記したところがないわけですね。ただ宇宙開発については宇宙開発審議会の第一号答申で、基本原則として、平和目的に限り、自主、公開、国際的協力の方針を打ち出しておる。こういうことであって、この法律を見ても、いわゆる法律的根拠がないわけですね。これは当然に必要なことであって、たとえば宇宙開発基本法といったようなもので明確に打ち出しておく必要があるのではないか。ところが、先ほど申し上げた原子力開発については原子力基本法という、それに即応して、宇宙開発については宇宙開発基本法に明確に平和目的を出しておくと、こういう姿勢が必要ではなかろうかと思う。こういう点きわめて遺憾だと思うんですが、その点はどうですか。
  203. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 現在におきましても、ただいま御指摘のとおり、答申第一号によって明確に平和利用に限ることになっておりますし、さらにわが国が先般批准いたしました、いわゆる宇宙条約といいますか、そういう点におきましても、平和利用に限ることになっております。したがいまして、現実の問題として今後進めてまいります宇宙開発の問題は、あくまで平和利用に徹してこれを行なうということには変わりございません。ただこの設置法におきましては、そういった委員会の設置でございますので、その点がどうしても書けなかった、いままでの慣例あるいは設置法という性格からして書けなかったわけでございます。その点はまことに残念でございますが、設置法という性格から見て書けなかった点はひとつ御了承いただきたいと思います。  なお、今後原子力基本法にならいましてやはり宇宙開発基本法というものを制定することは、先般も総理大臣も御答弁申し上げましたし、私も衆議院におきましても御答弁申し上げましたように、宇宙開発基本法をやはり制定をする必要があると考え、かつ、早急に研究に実は着手いたしておるわけでございます。作業を開始いたしております。おくれました理由は、ただ、先ほども御指摘のございました宇宙開発基本法の中にいわば衛星まで入れるのか、さらに進んで惑星あるいは宇宙空間の利用、月旅行と言うと通俗的になるかもしれませんが、あるいは金星、土星等、惑星のそういった非常に未知の多い分野の宇宙開発の問題等を、どういう限度において宇宙開発基本法の中に組み入れていくか。あるいはそれを一応除外して、まず最初に衛星を打ち上げることのみに限定すべきかというような、その範囲問題等にまだなかなか問題がございますので、基本法を今国会にお出しする段階に至らなかったわけでございます。しかし、これは明年度でもできるだけ早くこの基本法を国会に御提出申し上げる必要は当然あるわけでございまして、その際におきましては、原子力基本法の第二条と同様に、自主的な開発あるいは平和目的に限るということ、それから公開を原則とするといった三原則を当然明らかにしていくというつもりでございます。
  204. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういういま御説明のような方向で近い将来宇宙開発基本法というようなものを国会提案して、そこで平和目的を明示したい。そういう前向きのお考えでございますから、これは了解できると思うのです。  次に、委員会の処理についてですが、原子力委員会のように科学技術庁の単独処理ではなくして、この提案理由説明にありましたように、他の関係行政機関との共同処理を認めているわけですが、これは宇宙開発の一元化がいかにむずかしいかという一面を感じさせる面だと思うのですが、それにしても各省庁共同の多元的運営で、効果的な委員会審議が期待できるであろうか、こういう点に不安を感じさせるわけですが、この点はどういうふうに考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
  205. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 原子力委員会が三十年にできますときに、原子力につきましては非常に白紙の状態でございまして、そうして白紙なところで、一本化して完全に進めていこうということで、これはいろいろ考えられたわけでございます。ところが、最近、今度の宇宙開発委員会につきましては、事実上現在海外の衛星を使って科学実験等もすでに各省で進んでおります。それから今度の衛星を考えますと、通信については実利用としては、開発段階におきましても、郵政省とのつながりが非常に多うございます。それから航海衛星につきましても、これは運輸省との関係がございます。そういうところで、どうしてもそのものに積み込みます機械、測定する範囲、そういう問題につきましては、各省の利用、用途、そういう点を常に考えなければいけないという点で、かえってその点は共同処理いたしまして、そのかわり全部の総括を科学技術庁でやるということでございまして、今度の法案で科学技術庁が総括していくということが認められております。したがいまして、共同しなければならないところを共同するという形で、このほうが現在の宇宙開発をする場合には、実利用とのつながり、行政とのつながりとしては、このほうがかえっていいのではないかと、効果的だと考えて、こうしたわけでございます。
  206. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 わが国で最近特に人工衛星の開発が急がれているが、その理由の一つとして、現在暫定協定である世界商業通信衛星組織、インテルサットと言っておりますが、これは五十六カ国も加盟しているようですが、これは四十五年一月から恒久制度化されるに伴って、この協定更新時期までに通信衛星を打ち上げて発言権を確保するという点が強調されているようでありますけれども、さきの審議会答申から見ても、その時期までに通信衛星を打ち上げるというのは、私どものしろうとの目から見ても困難だと思うのですが、この点の見通しについては、科学技術庁に確信がおありかどうか、そういう見通しについて御説明願います。
  207. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) インテルサットは、ただいま御指摘のとおり、昭和四十五年に恒久条約になるということになっております。ほんとうのことを申し上げますと、四十五年度に静止衛星を打ち上げまして、そうして十分その実力を日本として示すことによって発言権を確保するというふうにいたすのが本筋であるかと思いますが、現状の段階におきましては、何としてもこれは日本の場合、自主開発というのを重点に置いていきます場合において、非常に無理があるわけでございます。したがって、ここに自主開発か、あるいは他国の、いわばアメリカならアメリカのロケットで、アメリカのたまに日本の日の丸をつけて打ち上げることによってというようなことも一応考えられますけれども、やはり政府としては、将来を考えますと、そういう形よりも、あくまで日本としては自主開発という形をあくまで堅持して、それに足らざるところ、たとえば制御装置とか、そのほかは協力を海外から得るにしましても、少なくともそういう形で打ち上げていきたい。そうしますと、一年おくれますが、実用衛星中高度のものは、昭和四十六年に開発できますし、その前に科学衛星、そのほかいろいろ実験を積み重ねてくるわけでございますから、そういった面におきましては、十分今日の日本における産業の状態あるいは研究効果におきまして、四十五年に間に合わなくても、十分発言はでき得るものと、残念ですけれども、そうせざるを得ない、またそうできるように進めてまいる。しかしながら、実際に打ち上げることは、もう一、二年おくれるというような状態になっておるわけでございます。これはまことに苦しいところでございますけれども、これはいたしかたないわけで、自主開発という観点からいけば、いたしかたございません。まあそのほうをとったわけでございます。
  208. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、目標はあるわけですけれども、その目標を現時点に立って考えた場合、なかなか容易じゃないというふうに理解して  いいわけですか。
  209. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) われわれは相当の確信シ持ってこの計画を立て、また審議会においても慎重に長期計画部会でございますか、によって御審議をいただいて、四十六年の中高度の実験衛星、それから四十八年度の静止衛星という形で進めておりますから、まずこの計画は狂いはないというふうに思います。したがって、その基盤を基礎にまあ発言権を大にして、インテルサットに対抗していくというつもりでございます。
  210. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の四月、宮崎県の漁業組合連合会の反対で、ロケット発射計画は中止されておろうかと思うのです。東大の内之浦、科学技術庁の種子島、両発射場からこのところ満一カ年間も発射されていない。いま長官からも御説明があったように、どうも目標達成にはなかなか容易ならぬところがある。そういう事態の中で、その発射場は使用されないということになると、ますますこれはおくれる公算のほうが強いのじゃないかと思うのです。こんな状態で宇宙開発委員会や開発機関は、なるほど設置されたけれども、発射場は満一年間も使用できないという、こういう中では、なかなかにその宇宙開発の暗礁に乗り上げておるのじゃないかと思うのですが、発射場で発射して見ない分には開発はできないと思うのですが、こういう点はいかがですか。その後漁業組合連合会との話し合いがついたのかどうか。
  211. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) いま御指摘のとおりでございます。実は約一年間、内之浦及び種子島の発射場が漁業関係の問題で地元の反対にあいまして、発射でき得ないという状態になっておることは事実でございます。また発射はしませんで毛、地上実験、そのほかはやっておりますから、ある程度の実験は進められることはできましても、十分これについて発射してみないわけでございますから、実験が進まなかったということは、影響があることは事実だと思います。そこで宮崎県の漁業組合、大体九組合ございまして、この方々がどうしてもいろいろな面から反対をせられたわけでございます。種子島漁場あるいは内之浦近辺の漁場、漁獲に影響があるということで、そこで昨年の秋に、十一月の末、その調停を宮崎県黒木知事にお願いをいたしまして、そうしていろいろな科学技術庁として漁業対策に対しまして誠意を示すことによって何とか円満な妥結ができないものだろうかということで進めてまいりました。宮崎県黒木知事もこれに関心を持ち、みずから調停を引き受けて、昨年暮れから立ち上がってくれておりまして、昨年暮れから一月の状況では、九組合のうち八組合は一応了承をされて、一応それに伴う漁業対策交渉へ移ろうではないかという段階に入っておりましたが、なかなか一組合におかれては反対運動が強かったのでございます。しかし、三月に入りまして、ようやく私もその組合長とお会いいたしましたが、科学技術庁の誠意を示すという、漁業対策について誠意を示すことによって何とかこの問題を解決しよう、しかも、日本の大きな大型プロジェクトである通信衛星、そのほかのこの宇宙開発の仕事は、どうしても国のためにやらなくちゃならぬわけだから、その意味はわかる、したがって、誠意をもってわれわれも当たるから、科学技術庁のほう本当たってくれということの話まで進みまして、四月に入りましてから具体的にそういった水産庁及び科学技術庁あるいは政府でつくっております漁業対策委員会というような方たちと宮崎県漁連との話し合いが、黒木宮崎県知事を中心に進められてきておるわけでございます。現在大体その具体的な作業に入っている段階になっておりますので、これは非常にデリケートな問題で、なかなか申し上げにくいかと思いますが、少なくともひとつことし後半においてはこの問題が解決をして、実験ができるようにいたしたいということで努力中でございます。何とかひとつ決して悪い方向には現在行っておりませんので、以上の点だけを申し上げまして、ひとつ御了承を得たいと思います。
  212. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで鍋島長官が二十日に福岡に行かれた際、記者会見をされて、次のように語られたと、その一節に、ここでお伺いしたいのは、宮崎県の一部と関係漁業組合の交渉がかなり大詰めに近づき、あとは政府は漁業振興面で援助する約束をすれば妥結する見通しがついた云々とあるわけです。そこでお伺いしたいのですが、政府は漁業振興面で援助をする約束、これはどのような、もちろん補償とか、その他のことを意味すると思いますが、これは具体的にはどういうことですか。
  213. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 大体この問題につきまして鹿児島県、関係府県を入れますと一番大きいと思う鹿児島県、その次宮崎県、これが一番大きいわけでございます。そのほかに大分とか愛媛という関係府県もございます。それらの県は大体御了承を得ておるわけでございますが、それらについて昭和四十二年度には約三千万の予算を組んで持っておりまして、それから本年度の一月の交渉の際においては、約三億五千万前後の予備費を出すからということで交渉に当たっておるわけでございます。そこで最初にそういった問題につきまして、どういう項目を助成をし、また漁業振興にお役立てするようにするか、それについてあとで局長から御説明いたしますが、漁船に対する補助、あるいはえさの対策、あるいは、その間において遠くの漁場へ行かれますので、船の大型化といった、いろいろな問題が中に入っておるわけでございます。そして、そういった形と、今後数カ年間における恒久的な漁業対策を、やはり水産庁と交渉をして、政府話し合いを進めていかなければならぬ。現段階におきましては、そういった具体的な交渉に入っておるわけでございまして、政府が示す誠意と、それから漁連からいろいろあがってくるところの御要望とが一致するならば、ここに解決の方向に進むものであると考えております。具体的には、いま、局長からお話し申し上げます。
  214. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 去年の終わりに、いまの、大臣が三億五千万ということを申し上げましたが、そのときに、大体、内容に漁業対策として盛り込まれる大項目は、一つは、漁場の拡大をしなければいけないということ、その調査費の問題の強化。それから、また、打ち上げたりなんかしておりますと、そのときに、えさ対策でえさを保管をしておく、あるいはえさの確保という問題がございます。したがいまして、そのえさの確保の問題。それから、漁船のいわゆる近代化の問題。それから、漁業におきます共同作業場というのがございます。これは近代化し、強化するという一般的な漁業対策について、できるだけの御援助をしたいということを要望として出したわけでございます。
  215. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の十一月に、佐藤総理が訪米されて、米大統領と会談の際、宇宙開発の分野での日米協力の可能性についてさらに検討するとの合意に達した。で、このことを受けて、駐日大使は、一月、宇宙開発の日米協力を文書で総理に申し入れてきたとのことでありますので、このことについてお伺いしたいと思うのですが、わが国のロケット技術の中で誘導制御の技術、これはきわめて低い水準だと聞いておるわけですが、急速に欧米諸国に追いつくためには、ある程度の技術導入はやむを得ないとして、日本製の人工衛星をアメリカ製のロケットで打ち上げる構想もあるやに聞いておるわけです。そうなると、科学技術庁本来の自主開発ということとは、ちょっと相いれないと思うのですが、この辺の関係はいかがでありますか、ひとつ明確にお願いしたい。
  216. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ただいま御指摘のように、昨年秋に佐藤総理アメリカに行かれまして、協定といいますか、共同声明の中に、宇宙開発に対する協力がうたわれ、それを受けたと思いますが、一月の十七日に、ジョンソン大使のほうが佐藤総理をたずねて、まあ文書といいますか、メモで実は渡したのでございます。まあ当時の状況から見て、これを発表しないので、非常に疑問視せられたところもごさいましたし疑いをかけられたところもあったわけでございますが、どういうわけか、アメリカのほうは、このメモはまだ未熟であるから、ひとつ検討を加えてくれというような意味で、あまり発表されて大々的に出されると困るというような意味があったようでございます。しかし、内容は、ほとんど新聞に出ておりますように、宇宙開発については、日本は平和利用しかしないのであるから、あらゆる協力を惜しまないというようなことを内容にして、極端なことをざっくばらんに申し上げますと、先ほど申し上げましたように、ロケットもお貸しいたしましょう、通信衛星あるいは航行衛星もつくって差し上げましょう、そうして日の丸の旗をつけてお打ち上げになれば、一応日本とすればというような、そういった協力みたいな話もあったわけでございます。  しかし、それを各省において現在研究中でございますけれども日本の宇宙開発の方向があくまで自主的な開発ということ、しかも自主的な開発をやっていく以上は、どうしても基礎的なものを積み重ねて、しかも、自主的に国産の衛星を打ち上げるという基本原則は変えないということで、その覚え書きといいますか、協力の覚え書きは、現状においては、各省において、どの程度の協力を受けるべきかという点について、あるいは衛星の部門、ロケットの部門、それぞれの部門部門で研究中でございます。その間、三月下旬から、日本といたしましては、科学技術庁を中心に民間、学者及び各省関係の技術者を中心とする調査団を出しまして、つい数日前に帰ってまいりました。まあそのようなことから見ても、あくまでこれは自主技術で進もう。したがって、私たちの今後の行き方としては、科学技術庁の行き方としましては、調査団の報告をもとに、しかも、いままでの自主開発の原則は変えず、しかも、幸いに御賛同を得て宇宙開発委員会ができますれば、委員会に十分おはかりして、そうしてアメリカからの協力体制をどの程度するかということをきめてまいりたい、特にいま言われました誘導、制御の問題は、日本としては非常にまだ進んでおらぬと聞いております。そこでこの点につきましては、やはりある程度、これは商業機密といいますか、ノーハウといいますか、そういう形であるいはアメリカからの協力を得ることも必要なことができてくるかとも思いますけれども、その程度のものであって、決して基本的な日本の自主開発の政策は変えないという方針でやはり貫き通すべきであろう。なお、この点は委員会においてアメリカとの協力体制についてはひとつ御審議も願いたい、こういうふうに思っております。
  217. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあいまこの点について御説明があったわけですけれども日本製の人工衛星をアメリカのロケットでという、たとえばそういう構想だとすると、今後アメリカから提供するであろうロケットの製造技術の機密が第三国に漏れないようにということで、日本政府はこれを保証しなければならないことを要求されるであろうと当然考えられるのですね。アメリカのロケット技術の導入については、ただ単に商業機密ばかりではなかろうと思うのです。ミサイルにつながる軍事機密がやはり考えられるわけです。そうだとすると、日本の立場で平和利用とか自主開発、こういう原則と毛相いれないことになりますし、特にロケット技術の開発については機密保持いわゆる政府保証を条件とするようないわゆる技術情報なら、むしろ私は受けないほうが安全でもあるし、日本の本来の使命感にも矛盾しないと思うのですね。このところを長官としては、非常に大事な点ですから、はっきりとひとつお答えいただきたい。
  218. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) アメリカから協力を受ける場合におきましても、軍事機密の場合はもちろんアメリカ日本に教えるわけもございませんが、機密の保証を政府がいたしまして、そうして協力を得るというようなことはいたさないつもりでございますし、その間機密協定を結ぶようなことは絶対にいたしません。なお、ノーハウとか商業機密、これはひとつ、あり得ることでございますので、御了承いただきたい。
  219. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、せっかく科学技術庁長官がお見えになっていますから、科学技術対策についての基本的な問題を二、三お伺いいたしたいと思います。  まず、お伺いしたいのは、科学技術対策について、以下要望を兼ねての質問になろうと思うのですが、やはり科学技術対策については、いままで御指摘申し上げてきた自主とか民主、平和、公開、こういう原則を守っていくべきだと思うのですが、政府の科学技術基本法には、この点についてまだまだ、こういう自主、民主、平和、公開、こういうような点から見ると遺憾な点があるように見受けられるわけです。全部が遺憾だということでなくして、その四つの原則から見て遺憾な点もあるということなんですが、そういう点について長官としてはどのようにお考えですか。
  220. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 科学技術基本法は、別途国会に御提出を申し上げておるわけでございます。しかし、それは中にも申しておるわけで、まあ伊藤議員のほうからごらんになれば、あるいは遺憾な点もあるかと思いますが、これは御審議をいただくことにいたしまして、日本における科学技術発展の基本政策は、これは原子力あるいは宇宙開発の巨大科学を中心に、全般の科学発展につきましては、科学の研究、その成果の発展につきましては同様でございます。日本における憲法のもとでございますから、絶対に平和利用以外にはこれをいたしません。逆に言えば軍事関係のことはいたさない、絶対にいたさないというその原則を堅持いたします。そうしてその研究をしていく場合におきましても、あくまでその研究が日本の自主性を曲げないように、ということは、結局日本が損することになると考えます。そのままそっくり技術を入れても、それはそこまでであり、その技術を何かやっていきますにも、向こうから人がついてきて、大事なところは教えないというようなことにもなりますから、あくまで自主技術の、自主的研究の発展ということを中心にしていく、そうしてどうしても足りない面、あるいは商業活動のベースにおいて、そこにノーハウといいますか、そういった機密の国際協力というものは、これはやっていくわけでございます。それからその成果は、あくまで公開されなければならぬわけでございして、国で行ないます科学技術の研究成果というものは、あくまでこれを公開をする。したがってその運営はあくまで民主的になるわけでございます。したがって、自主、民主、公開という原則に、その上にあくまで平和利用に徹する、それ以外はないということを明確に私申し上げてよろしいと思います。
  221. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この宇宙開発については、もう先ほど触れましたから簡単にお伺いいたしますが、宇宙開発についても、先ほど種々お伺いしたように、民主的に、しかも効率的に一元化体制を整備する。そうして企業奉仕や軍事利用のあらゆる可能性を厳重に封ずる必要があろうと思うのです。もうすでに先ほど一部お伺いしたことですが、科学技術の基本対策の一環として、この際重ねてお伺いしておきたいと思います。
  222. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 宇宙開発は、とにかくことしくらいからようやく各個ばらばらに研究し、積み重ねてまいりましたのを、国において一元化し、そうして将来における衛星、すなわち、さらに進んでは宇宙の空間の研究というところまで進みたいと居っておるわけでございます。したがいまして、まず急務は、この一元化の体制でございます。しかも、これに対する国家資金の導入と、これに従事する方々の人材の養成でございます。こういう点をやるにも、どうしてもまず一面において機構を一元化していく、そのためには中心となる、ただいま御審議を願っております宇宙開発委員会、これが国の最高方針を審議していただいて、内閣総理大臣答申をして、政府としてこれを行なう。なお、それに伴う事務局の設置も、これは非常に困難なところであろうかと思いますが、少なくとも来年度からは仮称宇宙開発局といったものを政府の中に設けて、これを進めていく必要があろうと思います。そうしてロケットの開発は、通信は郵政、航行、気象は運輸というふうにやっておりますが、これらのものを一元化というか、それぞれやっていただいたものを総合されたものとして、ここで予算の見積りなり何なりやっていくわけでございます。そうして実行段階としての特殊法人、事業団と申しますか、そういうものをどうしてもこれはやはり来年からつくって、いよいよほんとうに衛星の打ち上げに踏み込んでいくということが必要であろう。そのためには、まだまだ多くの困難があろうと思いますけれども、こういった体制の整備、それから特に必要なのは、何といっても人材の養成じゃないかと思います。これは金を千五百億円をたとえば出すといたしましても、これに取りかかる人がなかなか日本にまだそろってないじゃないか、この人材の養成をやはり文部省等にもお願いして、そうしてこれは進めていかなければならぬというふうに考えております。
  223. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、発電用原子炉の開発についてですが、これは安易な外国依存はあくまで廃止して、自主開発の面で強力に進める必要があろうかと思うのですが、この点については長官はどういうふうにお考えですか。
  224. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 御承知のとおり原子力発電もようやく軌道に乗ってまいりまして、現在稼働いたしておりますのは、東海村にあります日本原子力発電の一基、約二十万キロワットでございます。しかし現在着手されております原子力発電は、東京電力の一号、二号、関西電力の一号、二号、日本原子力発電の二号、これは工事にかかろうとしておりますし、九州電力も、あるいは中部電力も、あるいは四国電力も、それぞれ計画を持って用地買収にかかっております。したがいまして、大体昭和五十年、これから約七、八年後には、日本におきまして六百万キロワット前後の原子力発電量が出てくると思います。昭和六十年度には四千万キロワット前後のものに膨大に広がっていくというふうに考え計画を立てておるわけでございます。  そこで現在発電用原子炉は、軽水炉といわれるものであり、それは残念ながら国産というよりも、外国の原子炉を利用しておるというような状態でございます。そこで昨年秋に発足をいたしました動力炉燃料事業団において、国産として自主開発をやっておりますのが、御承知の新型転換炉、及び一番原子炉の本命といわれる高速増殖炉の研究でございます。これが大体高速増殖炉は昭和五十年前後、それから新型転換炉は昭和四十七年ないし八年前後に、一応動力炉燃料事業団においてこれが完成して、いわゆる原型炉といいますか、そうするとそれが国産自主開発でできるんじゃないか、それをいま現在やっておるわけでございまして、まだまだ黎明期でございますが、要するにそういう先に進んだ点を進めていくと、そうしてあと四、五年たって、日本の国産に順次これを切りかえていくというふうに進めてまいりたいというふうに思っております。
  225. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に原子力の施設とか宇宙開発の施設の設置に際しては、先ほど来申し上げてきましたように、住民の意思を十分尊重するとか、いわゆる民主主義のルールに従って立案計画をすべきではないかということになろうかと思うのですが、その点いかがですか。
  226. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 特に原子力の問題は、放射能そのほかの関係で、なかなか施設を置こうとすれば住民の方にいろいろ不安を与えて、反対運動等が起こっております。また、宮崎県の漁民に代表されますように、発射のボタンを押せば、やはり現実の問題として、制限区域を海の中に設けますから、やはり漁業に支障があるというので、いろいろ御反対があったりいたします。だんだんと御了解を得てきておるわけでございますけれども、まだまだ今日原子力発電をという場合、置こうとする場合とか、あるいは特にいま茨城県で問題になっております原子核燃料の再処理工場の問題等においては、まだ十分の御了解を得ておりません。しかし、このためにはことしから、ささやかでございますけれども、PR費用、あるいは御了解を得るための費用もつきましたし、あくまでこれは民主的に地元の御協力がなければ、ああいった膨大な施設が動くわけないんでございますから、しかも、間違うというと非常に放射能とか何とかで被害を与えるものでもございますから、安全性をどこまでも確保しなければならぬ、そういう両面から見ても、ひとつこの施設をつくる場合におきましては、地元の方の御協力ということを中心に、しかも御協力を得るために、無理をしないということはもう当然でございますので、そういった民主的な運営といいましょうか、方法で御支援を願うように進めてまいりたい。まあ幸いに最近では、原子力発電等につきましては、原子力発電所の設置等につきましては、珍しいと言っちゃ失礼ですけれども、誘致運動などが多少出てまいっております。したがって、だんだんと御了解は得てきたんじゃなかろうかというふうに思います。
  227. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、青少年とか科学技術者の創造的意欲を発展させるような施設がぜひ必要ではなかろうかと思うのです。もちろんこのことは、文部省はじめ他の省庁にも関連してくることで、いわゆる一種の科学技術者の養成という問題にもつながるわけですから、文部省にも重大な責任がある。たとえば、大学の文科系に比して理科系統をふやすとか、そういうことも一つの形になりましょうが、ここでお伺いしたいのは、そういう創造的意欲を開発し発展させる施設ですね。こういうこともぜひ必要ではなかろうかと思うのです。他省庁にも関連いたしますけれども、ひとつ現状一体どうなのか、将来の展望についてもあわせて承っておきたい。
  228. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 非常にこれは大きな問題であると思いますが、科学技術庁としましては、具体的には御承知のとおり宮城の、皇居のそばの武道館のそばに科学技術館でございますか、ああいうのを下部機関に持っておりまして、科学技術財団にこれをお願いをして、できる限りこれを利用する。これの小さなものが大阪にもあるのでございます。しかし、特に科学技術週間等を設けてやっておりますが、なかなかわれわれの思うように科学技術の普及というようなことがまいらないことは残念に思います。したがって、もうちょっとやはり予算を持って、日本における科学技術の発達のために、現物を見せる、あるいはパンフレットそのほか教えていただく、勉強もしてもらう。しかも興味を持ってやっていただくということのために、まだまだ十分ならざるものがあることを遺憾に思っておるわけでございます。  なお、そのほかに科学技術庁としましては、新技術開発事業団というのがあって、年間十億くらいの予算ではございますけれども、新しい技術を創造されて、その創造されたものが企業化する段階における一つのネックがある。そういう場合、それを審査しまして、お金をお貸しして、そしてそれを企業化するというような方法をとって、現在発足してあまりなりませんけれども、百近くかと思います。もっと多かったかもしれませんが、そういう仕事もいたしております。しかし、非常にじみなことで、なかなか思うようにまいりませんけれども、いま伊藤委員の言われました御意見も体しまして、ひとつできるだけのことをいたしてまいりたい。  なお、文部省に対しましては、できるだけ産業教育等をやっていただく場合、今日の日本の科学技術の水準、及びそれに伴い興味を得るような教育といったものをやっていただくようにお願いをしておるわけでございます。まあ科学技術庁としましても、教育方法に科学技術的な教育というんで、私もようわからないんですけれども、何かひとつ新しい、新手じゃないですが、方法を考えて、電子計算機の時代ですから、それを文部省にお願いをして、ひとつ具体的に進めてまいりたいというふうな案もあるそうでございますが、私もまだそこまでどうもようわからん点があるのです、率直に申して。しかし、これらの研究をしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えます。
  229. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしたいのは、発明とか発見者の権利を守る制度を確立するということもきわめて大事な一施策ではなかろうかと思うのですが、現状一体どうなのか、で、その現状に即して、将来は一体どういうふうに考えておるのか、その展望についてこの機会にお伺いしておきたいと思います。
  230. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 特許の問題につきましては、現在私たちのほうでは、これから基本計画において、国としての推進すべき課題等の促進をはかってまいりますが、その間においては、やはり特許を尊重するという精神を高めることと、特許についての手続の更新の問題、そういうことで特許を出しやすいようにすることを考えております。国立研究機関におきましても、十分その特許を出して、実収入があがりました場合には、その一部を研究者に返しまして、研究の促進をはかるというような形をとって、特許の促進を考えておるわけであります。
  231. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に科学技術者の処遇の問題についてお伺いしておきたいと思うのですが、科学者の待遇を改善したり、または研究の環境を充実する、そういう一括した総合政策を推し進めることが、科学技術の開発にきわめて根本的な重要な面であろうと従来から信じてきたわけですが、現状を見ますと、その点まことに遺憾の点が多いのです。科学技術庁としてはもちろん、この面は科学技術庁だけの問題でなく、各省庁にまたがる問題ですが、一、二の例を申し上げますと、先日当委員会として、都内あちこちの機関調査したのですが、科学捜査研究所、警察庁管下でございますが、そういうところを見てまいりましたけれども内容はきわめて重要な調査研究をしているのですけれども、人一人がようやく入って仕事ができるくらい、もう二人、三人は入れぬ、そういうきわめて粗末な施設の中で、きわめて重要な研究しているところがあるわけです。たとえば目を大学などに向けてみますと、いわゆる大学院の学生が研究を深めるのに、固定した机一つない。ほかの人のあいているところを使う。これはほんの一例、あちこちの施設を見てもそういうことをいつも痛感させられるわけです。研究自体が、きわめて科学技術の開発に重要性を持っている内容のものを研究しながら、いわゆる研究環境といいますか、一括してそういう施設、設備がきわめてお粗末なんです。こういうことは、もちろん科学技術庁としても痛感していると思うのですが、こういうことから改善していかないと、なかなかいい研究はできないのではないか。  それにも増して大事なことは、いまも申し上げたように、科学者のいわゆる処遇改善ですね。これがもうきわめて重要なポイントになろうと思うのです。もちろん、科学技術を開発するとしても、その開発をする人は人間ですから、科学技術者がやるのですから、その人間自体がいい環境で処遇に恵まれて、内職なんかせんでもいいように、あっちこっちバイトやらなければならんということになると、時間の制約を受けて、いい研究ができないのは当然だと思うのです。いまの大学教授ですね、大学教授の処遇などを見ても、そういう点きわめて遺憾の点が多いと思う。あちこちの大学を兼務しなければ、どうも大学教授としての権威を保ちながらの生活ができない。もちろん生活が足りている人もありましょうけれども、多くの学者はそういう面ではきわめて恵まれない環境にあろうかと思われます。こういうことで、いろいろ問題はありましょうけれども、いまお伺いしておる科学技術者の処遇改善、環境整備、これはもう緊急抜本的に改善を要する、きわめて大事な問題ではなかろうかと思うのです。その点についての長官としての、現状はとうか。その現状に即して将来はどうか、その展望について伺っておきたいと思います。
  232. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ただいま御指摘のとおり、科学研究者につきましての処遇は、決して日本において私は十分であるとは考えられません。また、研究環境におきましても、なかなか実際において国家の持っておる研究機関ですら十分でない状況でございます。科学技術庁はたくさんの研究機関を持っております。たとえば理化学研究所とか、あるいは放射能医学研究所とか、いろいろそういった研究所も持っておりますが、その実情から見ても、中には無機材研と言われている無機質材料研究所等は、まだ他から十分の独立した建物を持てないで、間借りといいますか、理化学研究所のあとを間借りしておる状況で、非常に不便を訴えられておりますけれども、少し長くなりますけれども、この研究は、現実の姿とすれば、ジェット機あるいはSSTのような、非常に速いジェット機の金属の問題とか、飛ばす場合における材料の問題、あるいはそのほかいろいろな面に最も重要なポイントをなす研究所であるにかかわらず、まだまだ不十分な点が多いのでございます。一面、これは不正確とはいいますけれどもアメリカ側の資料によりますと、昭和三十八年から昭和四十二年でございますかの頭脳流出といわれるものは約四百人、そのうち大体百四、五十人はお医者さんですけれども、あとやはりまあ不正確な資料かもしれませんけれども、大体の見当はつくと思います。  まあそんなようなことで日本から出ていかれたのだと、そのようなことでございますので、毎回この処遇の問題につきましては、人事院勧告の際ぜひひとつ何とかすることによって、人材を確保していただきたいというようなことで、まあ実はお願いをして、まあ人事院もできるだけのことはしようというようなことでやっていただいておりますけれども、まだまだ十分じゃございません、残念であります。また、環境整備もいま申し上げたとおりでございます。ということは、結論的に、これは科学技術基本法でもあるわけでございますが、にのせて、この処遇の点を法律的にも少なくともよくしていこうというようなことをこれから御審議願い、科学技術基本法にもこのことをうたってございます。  なお研究費等の問題も、ちょうど諸外国、先進国とは逆になっておるとわれわれは聞いております。大きな巨大科学なんかをやっていく場合、七〇%が国の力、国の資金で、三〇%が民間資金あるいはそれ以外の金というのが、大体三、四〇%が日本の場合は国で、あとの六、七〇%がいろいろな資金というようなことで、科学技術研究費のその配分、内部の割合も、まだまだ十分じゃない。この点も科学技術基本法等を中心に、ひとつ科学時代でございますから、微力ではございますが、全力をあげてまいりたいというふうに考えておるわけです。
  233. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いした問題と切り離せない問題ですが、海外への頭脳流出という問題がこれに関連してきょうかと思いますね。この問題については、当委員でもしばしば審議対象となって論議されてきたところであるわけです。長い間ここで論議になっていますけれども、なかなかこの問題も簡単には解決されない要素を含んでおるわけです。そこでお伺いしたいのは、この頭脳の海外への流出の現状一体どうかということと、その現状に即して将来を展望したいわゆる施策はどのようなものがあるのか。やはり何といっても処遇改善と研究環境整備があればですね。そういう頭脳、それでも行く人もありましょうけれども、それは大かた解決すると思うのです。そういう不十分な点で海外へ、どうしても思い切った、徹底した研究をしたい学者は、日本におっては研究できないということで流出しようかと思うのですね。したがって、この問題を切り離すことができないと思うのです。こういうことは、このままでは憂慮にたえないわけでありますので、この機会にひとつ現状対策についてお聞かせいただきたいと思います。
  234. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 頭脳流出の資料は非常に不正確でございますが、あとで計画局長よりお答えを申し上げることにいたします。問題はやはりいま御指摘のように、処遇の問題と研究環境をよくしてもらう。その次には、いわば最近はずいぶん戦後変わってまいりましたが、そういった科学者に対する世間の尊敬といいますか、あたたかい援助、そういった見方の問題があろうかと思います。で、これは先ほども申し上げましたように、処遇の問題は、国家機関であれば、どうしても人事院勧告において、何らかの特別なことをしていかにゃならぬ。またもう一つは、その方が大きな発明をされたとか、特許を取られたとか、何かせられた場合、これに報いる国の報い方が、まことにどうも十分じゃないんじゃなかろうかということを痛感いたしております。それから研究機関整備あるいは環境整備につきましては、だいぶよくなってはまいりましたものの、いま申し上げたように十分ではございませんし、これはまあ予算の獲得以外にはない。そしてそれに対する、これは大蔵省おいでになるかもしれませんが、大蔵省なかなか渋い。この点は十分ぜひひとつもっと御理解を得なければならぬと私は思います。まあ答えにならぬ答えかもしれませんけれども、もう非常に常識的なことかもわかりませんが、そのことを、この職を奉じましてまだ早々でございますが、痛感しておりますので、全力をあげたい、ほんとうに一生懸命やりたいと考えております。
  235. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの国家公務員については、もちろん給与については人事院勧告を待たなければならぬ。これは理の当然ですが、だがしかし、いわゆる研究の環境整備というものの内容になろうかと思うのです。研究費などについては、教授みずからが乏しいさいふをたたいてというようなことにならないよう、その点の配慮は、これはまあ大蔵省に関係してくると思うのです。そういうことで、結局できる面からひとつ具体的に一つ一つ前向きでどんどん解決する、いま指摘したような点を、手のひらを返すごとくに直ちに抜本的な改正はなかなかむずかしかろうと思うのですね。みな予算がからんでおりますから。しかしながら、できる面からひとつ休まず着実に改善していく、こういう姿勢もあわせて大事だと思うのですね。日本の乏しい国の財政の中では、特にそういう忍耐強い努力が必要かと思います。ひとつ幸い名長官を迎えた現状で、鍋島長官、抜本的な対策を講じられるよう、それがまた、実際に具体化すよう、ひとつ一段の努力を願いたいということを最後に特に願って、それに対する所信を承って、私の質問を一応終わっておきたいと思います。
  236. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) いま伊藤委員の言われるとおりでございます。私も職を奉じましてからまだ数カ月、半年くらいでございますが、そのことを痛感いたしております。しかも、国家機関ではあっても、そういう国家機関を実地に見学に行くたびにそのことを痛感いたします。何とかこういったことについてやはり総合的にまとめて、私はいつの日かといいますか、できるだけ早い機会がいいかと思いますが、閣議でも発言をして、ひとつ政府としても再考するというように働いてみたいと考えておるわけでございます。また、来年度予算は八月ぐらいから編成に入ります。その点につきましても、ひとつ私は微力を尽くしたいと考えております。
  237. 前川旦

    前川旦君 先ほど伊藤委員との質疑の中で、人工衛星を打ち上げる、その技術を自主的に、原則として自主的に開発するということをたびたびおっしゃっておられたように思いますが、特に誘導技術の点ではだいぶんおくれがあるようなんです。これ技術導入というようなことも考えられるでしょうか。
  238. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 私が聞いたところによりますと、一番おくれておるのが、やはり大型ロケットを打ち上げる場合における制御、誘導装置といいますか、この点がおくれておる。したがって四十八年に静止衛星を上げる一連の計画を実行いたしますことにつきましては、どうしてもその問やはり先進国から、これはまあ先進国といいましても、アメリカばかりではないと思います、フランスも自主的に打ち上げておりますから。ソ連はなかなか国際協力は得られないかもわかりません。少なくともそういう面でひとつしたいというふうに思いますとともに、実は先般、三月末から科学技術庁の野鳥審議官を主体とする、それこそ官・学・民といいますか、民間の各会社の技術者あるいは学者、あるいはそのほかの研究調査団を実は出して、つい数日前に帰ってまいりました。これらの報告によりましても、そういった点の協力は非常にできそうだという点がございます。これはあくまで商業技術的なものであり、ノーハウといったようなものでございますが、軍事機密など出すわけございません。そういうものは、やはり協力はある程度得なきゃならぬというふうに考えております。
  239. 前川旦

    前川旦君 技術導入の問題が、最近非常に大きな問題になってると思うのです。私も少し気になりますので、少し時間いただいてお聞きしたいと思いますが、最近この十年間ぐらいとってみて、技術導入の、まあこれも対価の支払い額で押えて、どれくらいの増を毎年しておるでしょうか、正確な数字じゃなくてけっこうですが。
  240. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 局長から答弁いたします。
  241. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いますぐ資料調べますので、ちょっとお待ちください。
  242. 前川旦

    前川旦君 けっこうです。これは大体二〇%ぐらいふえてるんじゃないかと思うのですがね。鉱工業生産の伸びというものがおそらく一二・五%ぐらいでしょう。その伸びに比べて技術導入の対価支払い額の伸びが非常に上回って伸びているという現状をどのようにお考えになりますか。科学技術庁としての御見解はどうですか。
  243. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 現在まで、確かに技術導入が相当おくれております。その技術導入をやります場合の科学技術庁の考え方といたしましては、できるだけ基本といいますか、どうしてもやらなきゃならない点をとりまして、それについての追加特許と申しますか、追加技術、ノーハウ、これをなるべく独力で考えて、それだけ独創技術のところをふやしていくという考え方で、できるだけ、もとはどうしてもとらなきゃならないところはとって、それをいかに早く製品に生かしていくかというところで独創技術を生かすというのが、現在までのやり方だったと思います。
  244. 前川旦

    前川旦君 この鉱工業生産の伸びに対して、技術導入の支払い額の伸びがあまりにもきわ立って大きいということは、どうも異常なんじゃないかというふうに思いますがね。これは一体どうなんでしょう。やはり科学技術庁のほうも、いや、これはこのままでいいんだと見るか、いや、そうじゃない、それは少し抑えるんだとか、その辺のお考えございますか。
  245. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) いま御指摘のとおりでございます。それで実を言いますと、日本とすれば、あまり技術導入ばかりにたよっていけば、基礎がないですから、先へ日進月歩進んでいくいまの技術のためには、どうしても、かえってそこでとまってしまうというようなことが起きるのではなかろうか、そういう点を心配をいたしまして、あくまで自主技術でいくのだ、そうしてどうにもならぬところだけをひとつとって、それをひとつ早く消化して、そうしてそれを基礎にもう一歩技術を進めていただきたい。これは巨大科学の場合でも、小さい技術の場合でもそうですが、やはりそういう指導といいますか、方法を、技術を持っておられる大きな会社なり何なりに進めていかなければなりません。  一方、だけれども、会社のほうからいえば、やはり企業でございますから、いち早く先進国で開発された技術を自分のところに入れて、そうして進もう、また売り込みにもきている。その間の実をいうと調整というか、やり方が非常にむずかしいのではなかろうか。私としては、あくまで最小限度の技術は導入し、それを基礎に日本の技術を今後伸ばしていく基礎をつくっていくという方向に進むべきだと考えます。
  246. 前川旦

    前川旦君 技術導入の伸びは、これはどんどん伸びたとしても、一方技術輸出の伸びも、それに対応して伸びていけば、これは全体として発展するということになるでしょうが、これは日本の場合、技術導入と、技術輸出との支払い額を考えてみた場合に、あまりにもバランスがくずれ過ぎているのではないか。たとえば、これは時間節約で申し上げますが、一九六五年をとってみた場合に、技術導入を分母にして技術輸出を分子にしてパーセントを出しましたら、西ドイツですが、四一%、導入に対して輸出が四一%です。フランスの場合が八〇%です。日本の場合はわずかに八%、あまりにもバランスがくずれているという現状ですけれども、このことはどういうふうに御判断になり、どういうふうに御指導なさるか、これからどういうふうに進めておいでになりますか。
  247. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 確かに金額の面から申しまして、八%という数字が出ております。しかし、最近の傾向を申しますと、数年前は東南アジア地域とか何とか、ああいうところの技術輸出が主でございます。最近は金額は別といたしまして、基本特許的な独想技術と申しますか、そういう面が件数としてはふえてきております。しかも、それがアメリカないし先進国のほうに行くきざしが最近出てきております。そういう関係から、私たちは、先ほど大臣が申し上げましたが、たとえば例をとりますと、三年たっておりますが、無機材質研究所というものを国立でつくりましたのは、これからは金属化合物より無機材質の化合物のほうが一番耐熱性、その他については、非常に基本特許として問題になるのではないかということで、新しく研究所を設立しまして、そうしてできるだけ国として基本特許といいますか、ほんとうの材料のもと、これを抑えますと、それで技術輸出の効果が出てくるのではないかというところに、国立研究所のほうを生かしていきたいという筋書で現在進めているわけでございます。
  248. 前川旦

    前川旦君 私が申し上げましたのは、たとえばフランスの八〇%に比べて日本は十分の一、西ドイツと比べても比率は五分の一と、あまりにもこれはひどい、格差ということは当たりませんね、ひどい差がありますね。そうすると、やはりこれは技術輸出の割合というものをふやしていくのだと、そうしてこのバランスは変えていくのだという力直にお進みになるのか、もしそうであれば、なぜこういうふうに日本だけがどんと落ち込んだのかという、やはり明確な分析の上に立ってのことでなければいけないと思いますが、その辺の計画はちゃんとお立てになっているのでしょうか。
  249. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 詳しくは局長から申し上げると思いますが、実際において、いま御指摘のように十分の一でございます。八%前後、それでおそらく日本が戦後荒廃の中から立ち上がってきて、今日の繁栄を来たした場合において、日本としては海外の先進国の技術を非常に急速に入れたというひとつの大きな風潮があり、また、各会社、特に競ってこれを入れてきたというのが、こういう状態になってきているかと思います。しかし、現在技術自体の問題におきましては、やはりアメリカは巨大な技術を持ってはおりますが、たとえば電子計算機等を見ましても、一時は日本が、世界で各国からといいましょうか、アメリカから二千台も入ってきた。しかし、現段階においては日本の技術も開発されて、相当各社がこれを競って考えるとともに、生産すると一緒に、特に電子計算機では日本的な電子計算機の新しい、世界に輸出してもいいような段階における研究も進んできておる。したがって、やはり科学技術庁としての指導は、一応入れたことはいたしかたないといたしましても、やはり、今後日本の技術をどうやって伸ばしていくか、それをどうやって輸出させるかというような点にやはり重点を置くべきではないか。制限するというわけにも、貿易自由化、そのほかの関係上なかなかまいりませんけれども、そういった点のあんばいというものが非常にむずかしいのじゃなかろうか。おそらくこれだけ技術が入ったということの原因は、日本の産業が急速に発展したのがやはり一つの大きな原因になっておる。また、それが入って産業も発展したのじゃなかろうかというふうにも思われるわけでございます。なお、詳しくは計画局長から……。
  250. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 先ほど来お答え申し上げましたように、技術導入の経緯を見ますと、当初は海外との格差が非常に大きかったために 重要技術をまるまる輸入するというような傾向で、圧倒的にバランスが輸入に傾いておったのですが、最近の段階におきましては、比較的、基幹的技術よりも次第に部分的技術、それから産業部門別に見ましても、基幹重要産業以外の技術というものがふえてきた。それから技術輸出のほうも次第にふえまして、場合によりましては、いわゆるクロスライセンス的な、つまり技術の交換というような形式のものが次第にふえてきております。そこで輸出入のバランスが圧倒的に赤字であるということは、やはりこれは技術水準がまだ低いということの一つの数字のあらわれと考えます。今後は全般的な技術の水準の向上をはかることより、次第に技術輸出というものをまた伸ばす。また、技術輸出を伸ばすための税制上の一方では優遇措置等も講じつつあります。そういう方向で伸ばしてバランスを変えていきたいと考えております。
  251. 前川旦

    前川旦君 同じ敗戦国同士の西ドイツに比べてもあまりにもひどいということで、これはどういうことかなと、これはふしぎでしかたがないのですが、最近、日本の工業水準が上がったのは、GNPで世界で第三位だとか何とかいいながら、実質はやはり工業水準という、技術水準というものをとってみた場合に、やはりだいぶ格差があると言っていいのかなという気もいたしますが、これはこれとして、それじゃ技術導入の対象となった相手の国は一体どういう比率になっていますか。多い順に三つくらい……。いいです、いますぐは。甲種技術導入だけ取り上げて、アメリカは五割こえているのじゃないですか、五六%くらいじゃありませんか。
  252. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 国別に見ますとアメリカが一番多くなっております、ちょっとこまかい数字は……。
  253. 前川旦

    前川旦君 この技術導入先はアメリカからで五六%、これは一九六五年の甲種技術導入だけで調べてみたのですが、次が西ドイツで一二%、ずつと落ちております。アメリカが圧倒的に多い。輸出先は、日本の技術輸出先、アメリカはどうかと出先は、日本の技術輸出先、アメリカはどうかといいますと九%です。この輸出の部分のですね。となると、これはまた圧倒的にアメリカの技術に依存しているのが日本の技術だということになりますね。で、やはりこれは政府とわれわれちょっと考え方が違うのは、従属しているということをよくわれわれ言いますけれども、これはまあ安保条約とか、それから軍事上とかいうのを離れて、こういった科学技術の面でもこれは完全に従属をしてしまっているのではないか。日本の独立性という問題を考えた場合に、こういうかっこうでいいのかどうか、たいへんこれは疑問に思うし、問題があると思うのです。この点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  254. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) まさにいま言われましたとおりで、従属しているということばは妥当かどうかわかりませんが、とにかくアメリカの技術が、いまの日本の国情ですから相当多く入ったということと、それから先般のOECDの閣僚会議が実は三月十二日にございまして、私は行けなかったわけでございますけれども、その報告によりますと、ヨーロッパでもアメリカからの技術導入が多過ぎて格差があるということで相当論議をされておる。まあそれにはいろいろ原因があるというような話も聞いております。まあ詳しくは申し上げません。  結局結論的に言いますと、残念ながらアメリカ日本の、国民所得の大体二・五%前後が平均的に科学技術にするのが先進国の例であるとこう言われている。それに対してアメリカは三・五%、一%も多い科学技術振興、あるいは研究に対して金を使っておる。日本は残念ながら一・七%前後しか使ってない。だから現在二千億前後日本が使っておると申されますものを、やはりどうしても五千億なり六千億近い金を投入していくことによって、それが実際においてアメリカ的水準であり、日本の場合をアメリカに当てはめればそういうことになるのではなかろうか、この点先ほど伊藤委員から御指摘のとおりであろうと私も思います
  255. 前川旦

    前川旦君 そこで非常に心配になりますのは、技術導入というものは単なる技術だけの問題ではなくして、余分なものがついてくる。たとえばその一つは、技術導入の条件として資本参加あるいは合弁会社、こういうものが条件になるものが最近非常にふえていると思うのです。これはもう純粋に技術だけ、いいところだけとるというわけにいかぬのですね。こうなってくると、まあアメリカが多いのだが、アメリカの資本に支配されるという問題が出てきます。それからもう一つは、技術導入をしてつくった商品というものは、これまたやはりその市場制限条項というものがいろいろあって、自由に輸出できないという制限が加えられている場合が多いと思うのです。そういうことを考えれば、非常にこれはゆゆしき問題ではないか。日本の独立制といいますか、先ほどから長官の言われた非常に熱意のある伊藤委員とのやりとりの中で、日本の技術を開発すると、非常に力強い御意見だったのですが、こういうかっこうで、逆に足もとがくずれてきているということを非常に憂えるのですが、どのように対処なさいますか。
  256. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) いま言われましたことも事実であろうと思います。また、ものによっては資本参加とか、現実に合弁会社等も、これは原子力の確保の実態においてもございます。アメリカのウエスチングハウスと合弁して日本に大会社をつくっておるというようなことが現にある。それも事実上あるわけでありますから、これは一朝一夕にはいきませんけれども、繰り返して申し上げまするが、やはり日本の科学技術に対する国の施策というものが従来よりより厚く、そうして順次こういったことが必要がないようにしていく、これは具体的な問題じゃないかというふうに思わざるを得ませんし、また、その方向へ進むべきだと思います。
  257. 前川旦

    前川旦君 その技術導入についてくる余分なもので、妙な支配関係、これは目には見えませんが、というのはやはり望ましい方向じゃないということは、これは日本人である限り当然出てくる発想であろうと思います。したがって、しかし、いま長官言われましたように、そういう危険がないように、できるだけみずからもって対していくのだという方向で一そうの努力を重ねていただきたい、このように思います。  それじゃ、この際ついでにお尋ねしておきますが、先ほどおっしゃたのちょっと聞こえませんでしたが、GNPに対して日本の研究開発の占める割合というのは、ほかの国と比べて、主要な国と比べてこれまた格差があるのだろうと思いますがね。
  258. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 局長から詳しく申し上げますが、アメリカが三・五%、大体先進国が二・五%前後と思いますが、日本は残念ながら一・七%前後と思います。詳しくは局長から……。
  259. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 研究投資の額は、国民所得の比率において申し上げますと、アメリカが四・三%、イギリスが二・九%といった程度であります。日本はいま大臣から申し上げました一・七%でございまして、いずれにいたしましても、絶対量につきましても、比率におきましても、かなり日本のほうが少ないという状況でございます。
  260. 前川旦

    前川旦君 長官は予算をもっとふやす――予算をふやすということは、結局研究開発資源というものを含むことだと思いますが、これはたいへん必要なことだと思います。しかし、これだけで非常に対策はむずかしいと思います。たとえばいま言われたようにGNPあるいはNNPというものは、アメリカがずば抜けて飛び抜けていますね。そうするとGNPが大きければ大きいほど、これが研究開発に対する資源が大きくなるのは当然です。だから一人当たりの国民所得のうちのかりに同じ一〇%なら一〇%、三%なら三%、同じ率でかりに言えるとすれば、人口が多いほうが得ということになります。いずれにせよ、GNPの問題は、とてもじゃないけれども、ヨーロッパ全部かかってもアメリカ一国に匹敵しない。幾ら研究開発費をふやしても、資源をふやしても、ふやすことは必要ですけれども、やっぱり追いつけない。とすればまた別のものを、何か違う形の方向というものを考える必要があるのではないか。たとえばアメリカの研究開発費の使い方、これは軍事科学中心ですから、むだな面もあるでしょうし、その辺での御判断というか御計画というか、対処する方針というものはどういうふうにお持ちでしょうか。
  261. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) いまのようにアメリカや他の国は、一面軍事科学という点に相当の金を使っていることは事実でございます。したがって、日本は平和利用しかいたしませんから、この点における有利性というか、平和利用に関する有利性はあるわけでございますが、それ以外に要するに問題は、やはり基本的な人材の養成、それもどうしてもまだ日本においては基礎もかたまっていないのではなかろうか。この点率直に申し上げまして、宇宙開発をやるという意味で、宇宙開発推進本部を置いて、数十名あるいは八十名の人間をそろえようとしても、実際はなかなかそろいません。したがって、よそからこれをたとえば開発するなり、大学から得て人材養成ということ、しかも質的にりっぱな方を得て、それに対する処遇、環境整備をしていくということで追いついていくことが、非常に常識的な話でございますけれども、必要ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  262. 前川旦

    前川旦君 いろいろ問題があるでしょうが、時間の制限がありますので、ちょっと急ぎますが、これから問題になる技術導入で問題になってくるのは、技術導入の自由化という問題があります。ヨーロッパは非常に自由化しているようなんですが、日本は将来技術導入の自由化という問題にどう対処するのでしょうか、何かその点については、明確な御方針がおありでしょうか。
  263. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 技術導入の自由化に対応しまして、われわれまず第一に、日本の技術開発というものを画期的に強くする努力をやらなければならぬ、その意味におきまして、民間の研究開発を助長し、あるいは政府としても非常に――現在国会提案せられております基本法の制定がなり、これに基づきまして国の技術開発に関する長期計画であるところの基本計画を策定して、強力に推進するというようなこと、そのための必要な財政上の裏づけも行なっていくような措置もとっていきたいと考えております。  それからなお具体的の技術導入の個々の問題につきましては、方向としましては、自由に処理する方向に向かうわけでありますが、その中で特に国として重要であり、日本の産業の今後の発展のために、自由放任に入れた場合には問題があるような特殊のものにつきましては、何らかの調整が望まれ得るような、行ない得るような方法で検討いたしております。
  264. 前川旦

    前川旦君 ちょっとわかりません。私の質問をいたしましたのは、技術導入の自由化というものの方向でおやりになるのですか、それとも技術導入の自由化は困るのだ、そういうことはいけないのだ、あるいはその中間の道を行かれるのか、そういう基本方針はどうなんですかということをお尋ねしたわけです。
  265. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 趨勢としましては、現在すでに資本の自由化も進めておりまして、これに関連しまして技術導入の自由化の方向に進まざるを得ないと考えております。
  266. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 補足します。資本取引の自由化もございますので、趨勢としては、やはり技術導入の自由化ということは、一応やはり大きな動きとしてはあると思います。しかしながら、これは個々の問題になりましょうけれども日本としても、どうしても自由化してならぬ産業なり技術の分野があると思います。それを実は計画局なり、あるいは計画局を中心に通産省なり何なりと打ち合わせをさせておるわけでございまして、そういうことの研究作業をいま現在やっておる段階であるというふうに御了承いただけばけっこうであります。
  267. 前川旦

    前川旦君 趨勢としては、自由化という方向が予想されるけれども、いまだ科学技術庁としては検討の段階で、具体的にそこまで考えていないのだというふうに受け取ってよろしいですか。
  268. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 科学技術庁としましては、現在技術導入の自由化の問題につきましては、外資審議会におきまして種々検討いたしておりますので、その審議に参画しまして種々意見を申し述べておりますが、趨勢としましては、先ほど大臣から申し上げました方向で、自由化により著しく悪影響のあるものについては、何らかの調整なりチェックができるような方向でやっていきたいと思います。
  269. 前川旦

    前川旦君 この技術導入の自由化という問題は、これは趨勢だからやむなくしぶしぶこの条件を受けとめて対応するのか、それとも日本の工業技術の進歩という点から見て、ほんとうは望ましくないのだ、これは技術者としての立場、技術庁の立場としてそういう意見なんでしょうか、その辺の基本的な御意見はどうなんでしょう。
  270. 武安義光

    政府委員(武安義光君) 世界的趨勢としまして、この種のものを自由にしまして、取引が円滑に行なわれるようにするのが趨勢でございます。日本としましても、技術導入の自由化を行なうことによりまして、一面ではすぐれた技術が日本に入ってくる、利点もあるわけであります。その方面におきましては、日本として歓迎すべき方向であろうと思います。ただ何と申しましても、まだ日本の技術水準、技術の開発力というものが十分に高まっている段階ではございませんので、一方ではそれを伸ばす方法をとりながら、悪影響のないように徐々に情勢に対応するようにいきたい、こう考えております。
  271. 前川旦

    前川旦君 先ほどの長官の基礎的なお考えは、一つの哲学では、日本の技術水準を上げることによって、資本がついてくるとか、あるいはいろいろな輸出制限条項がついてくるとか、そういった弊害は、みずから高めることによって克服していくというふうに受けとめました。そうなってくると、やはり無制限に、無制限というか、技術導入の自由化というものは望ましいものじゃない。やはり時期的にもう少し高まるまで時期を見るべきだというふうに私は考えるのですが、先ほどの長官のおことばもそういうふうに受けとりました。これはどうなんでしょうか。
  272. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 時期を見ると申しますか、少なくとも日本の技術のために好影響があると判断した場合において、これはやはり現在技術交流をやっておりますと、各国と、アメリカはもちろんでございますが、ヨーロッパ諸国と――しかしながら、現実にそれが無制限に入ってこられたら実際困る面も出てまいります、率直に言って。たとえば、原子炉の開発でも、現在軽水炉といわれるたぐいでやっておる。しかし、将来は当然これは転換炉から高速増殖炉に動くのは十年後においては当然なんです。そういう場合に、増殖炉をそのまま持ってきてやるというようなことよりも、現在の千五百億の金をかけてやはり動力炉燃料事業団で自主開発をいまやらしております。そういうような形で、ケースによってはどうしてもすぐ向こうから買うてくるということのないように、技術導入を無制限にしないようにしていきたい。したがって、日本の技術水準はそういう形ではちょっと一、二年おくれるかもわかりませんけれども、将来の伸びを考えて、そうしてやっていくべき時期ではなかろうかというふうな考えを持っているわけであります。
  273. 前川旦

    前川旦君 これはむずかしい問題ですから、また問題を残しておきたいと思いますが、いま原子力発電の問題が出てまいりましたので、この際あわせてお伺いしておきたいと思うのですが、原子力発電そのものじゃなくて、いま国連で、二十四日あたりですか、きのうからですか、例の核拡散防止条約、これに対して、これは外務省だけの問題でないのです。これは平和利用の問題からんでおります。当然科学技術庁が意見を述べる場所だと思いますが、どういうふうにこれはお取り上げになって、外務省なり、閣議なりの中で技術庁としてのお考えをお述べになって、それを日本交渉の中に生かすように、どういうふうな処置なり態度をおとりになりますか。
  274. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ちょっと資料がありませんので詳しく申し上げられませんが、昨年の夏に原子力委員会で、大体四項目ぐらいの核拡散防止条約について、いわば外務省に対して日本の原子力委員会として態度を明らかにしたのでございます。それは結局、平和目的の何といいますか、開発、あるいはそういったものが阻害しないような点を十分考えていけというようなことや、それから問題は査察の点において、核を査察する場合において、とことんまでいわゆる商業的機密まで平和利用している国の査察をする。そうして、いわばそれを軍事機密そのほかに持っていかれちゃかなわないというようないろいろな点があるのでありますが、大体米ソの関係でことしの冬に話をして、要するにそういった数点は大体了承できるというところまできました。きましたが、基本的な問題が一、二ございます。それは御承知のとおり、まずフランスや中共が入っていないということ。それから第二点は、平和利用における査察をしていく場合、平和利用している国は査察を受けるわけですが、いわゆる核爆発を持っておる、軍事利用をやっておる国の査察は、平和利用についてもその条項がない。したがって、ほうっておけば、かってにどんなことでもできるということでございます。でアメリカとイギリスは、平和利用については自主的に査察を受けてもいいとは言っておりますけれども、少なくともこれはその点については公平に、平和利用であろうと何であろうと、平和利用の場合は、核保有国であろうと非保有国であろうと、こういう公平な査察をお互いに受ける、そうしていくということ。それから、もう一つは、これは原子力委員会として、平和利用に徹しておりますから言うべきでないかもしれませんけれども、軍事目的というものがもっと明確に、まあ気分とすれば縮小していく、あるいは絶滅の方向へ向かう積極的な姿勢を示してもらいたい。そういう点が、実は原子力委員会から外務省を通じて申しておるわけでございます。おそらくこの数日中に、日本の態度を表明せられると思いますけれども、なお、そういった点を外務省も、これは政府として大体その方向でございますから、表明することになるだろうと、そのように考えております。
  275. 前川旦

    前川旦君 こういう問題は、科学技術の立場での平和利用のエネルギーの問題ですから、単に外務省だけの外交技術の問題だけでなくて、日本の国民利益という立場からたんねんな検討と強い発言力を私は持っていただきたいと思います。  それはまあそれとして、それに関連をして、日本でこの濃縮ウランの遠心分離方式、濃縮ウランの製造技術というものをだいぶ研究していらっしゃったようですが、これはいまどうなんですか、進んでいますか。
  276. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 濃縮ウランは動力炉・核燃料事業団で実は研究をしております。しかし、まだまだその研究は、私も専門家じゃございませんからあれでございますけれども、十分なところまではいっておりません。少なくとも、遠心分離法によって何とか濃紺をするめどをつけていきたいということで、去年二億ぐらい、ことしまた二、三億の予算で、一基、一基はできておりますが、まあ研究に従事しておるわけでございます。まあ、どうせ濃縮も動力炉の発電用に使うわけですから、二、三%濃縮になると思いますけれども、まだまだ成果をあげたという段階には至っておりません。しかし、わりあいに他の国ではこの問題について相当興味を持っておるというように聞いております。ということは、おそらく他の隔膜法というのですか、他の方法がとても日本では考えられないような膨大な電力量を要するので、とてもこれは普通の国じゃできぬような方法でしか濃縮できないような状態があるものですから、そういうことになるかと思っております。
  277. 前川旦

    前川旦君 一九六七年というと去年ですが、去年の前半に、アメリカから、この濃縮ウランの、遠心分離による濃縮ウラン製造の技術開発というものの内容を秘密にしてくれ、極秘にしてくれ、こういう非公式の申し入れがあったということが、普通常識になって言われておりますが、事実そういうふうなことがあったのでしょうか。
  278. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 私は、その点についてまだよく存じておりません、率直に申し上げまして。しかし、日本で開発していく場合、これはあくまで公開でございますから、秘密にしていくつもりは全然ございません。
  279. 前川旦

    前川旦君 公開の原則と、それから日本にほ、いわゆる国家機密というようなものの法律ありませんね、それは。
  280. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ございません。
  281. 前川旦

    前川旦君 たとえば西ドイツやオランダではアメリカの意向を受けて、もう秘密にしたおかげで、意欲を失って、その実験なり計画がうんとスローダウンしてしまった。結局、アメリカが、原子力に対する技術の優位というものを維持しようという、これは特に核拡散防止条約と関連がありますけれども、非常に今度露骨に出た姿というような批判が一般的にあると思うのです。日本でそういうのがあったという話を聞いておりますが、そういうのがあっても、これはもう秘密にしたり何にしたりしないというお答えであったと思うのですが、それでよろしゅうございますね。
  282. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 原子力法第二条によりましても公開いたしますから、全然ございません。
  283. 前川旦

    前川旦君 先ほどちょっと伊藤委員から出ましたインテルサット、これはどういうふうに、科学技術庁としては、この協定をどう評価するといいますか、どのようにこれに対しての批判をお持ちでしょうか。
  284. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 梅澤局長から詳しく申し上げると思いますが、考え方によると、五十六カ国入っておるとは言いながら、その中心である大国が、多少これは何といいますか、技術的な水準なり実行がうんと進んでおりますから、それに振り回されておる感じがいたします。しかし日本としては、少なくともその大先進国にくっついていっておるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、四十五年度までに静止衛星を上げる段階にいきませんけれども、近き将来、二、三年後には上げ得るという実績を示すことによって、インテルサット条約に対する発言権をうんと強化していく。これはおそらく各国とも認めるところであろうと考えます。ただインテルサット条約そのものに対する評価というものは、ああいうふうになっておりますから、これを云々すべきでないかもしれませんけれども、やはり先進大国が多少、これは何といいますか、主導権を握り過ぎているのではなかろうかという気はいたします。
  285. 前川旦

    前川旦君 これは暫定的な協定であって、期限が一九六九年の一月一日といいますと、もう半年で期限も切れますね。そうすると、それからあとのことをもう科学技術庁として考えていいんじゃないかと思うのです。そしてこの内容を見てみますと、長官は云々すべきじゃないとおっしゃいましたけれど、われわれに言わせると、あまりひどい、ひど過ぎる。しかもアメリカの通信衛星会社コムサットですか、これはもう完全に何もかも握ってしまうという、大国主義どころじゃない、独裁的な感じも、ことばはきついけれども、感ずるのです。こういう協定をもう一ぺん検討をして、やはりこれに加盟をまたするのだということじゃなくて、徹底的な修正をするなり、あるいは場合によったら日本は加盟しないのだと、こういう強い態度を私はやっぱり持つべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  286. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) インテルサットの条約の四十五年の恒久化というときの問題点の検討につきましては、これは実は実利用になりますので、実際的の商業利用ということになりますので、行政関係から郵政省が現在検討に入っておるわけでございます。その点内容につきましては、私たちのほうはまだつまびらかといいますか、詳しく存じておりません。
  287. 前川旦

    前川旦君 宇宙開発、人工衛星打ち上げ、これはやはりいまの関連があるわけですね。通信衛星ということですから、これはもう徹底した検討を、国民利益、国家利益の立場から検討すべき時期であるというふうに思いますが、ただいまの政府委員のお答えでは、これは郵政省がやっておるので、まだということでありますけれども、やはり科学技術庁として何らかの強い意見をお出しになるべきであろうと思いますが、いかがでしょう。
  288. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) ただいまそれぞれ前川委員言われましたように、私もつまびらかに、詳細に知っているわけじゃございませんけれども、確かにいまのような点もあると思います。したがいまして、この点は科学技術庁としても、これは郵政省とよく協議をいたしまして、まだ一、二年あるわけでございますから、それに対する日本の発言ということについては、これは国家利益という形のもとに、十分研究して進めてまいりたいというふうに思います。
  289. 前川旦

    前川旦君 それでは、だいぶ時間がなくなりましたので、うんとはしょって急ぎますが、いま日本で人工衛星を上げようとしているのは、一体どことどこなんでしょう。
  290. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 人工衛星の科学衛星として四十三年度に一・四メーターのもので現在東大が、今年中に上げる予定を立てております。それが一番最初でございます。それ以外はございません。私たちのほうは、現在システム・プランによって計画中でございまして、今度の委員会でその計画内容を確定していただきまして、四十五年から小規模の基礎実験衛星に入るというのが現状でございます。
  291. 前川旦

    前川旦君 NHK、それから郵政省の電波研究所もやはりそういう計画があると聞いているのですが、これはそのとおりですか。
  292. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいま申し上げましたのは、それを一緒に含めてでございます。というのは、いま私たちのほうでロケットをやりまして、その上に乗せます衛星は、通信衛星については郵政省がいま電波研究所でやっております。それで向こうがNHKと協力し合いましてつくっております。それと、ただいま私が申し上げた基礎実験衛星として四十五年に上げる、これとがつながっているわけでございます。
  293. 前川旦

    前川旦君 東大の場合、これは当然東大だけじゃなくて、いろんな企業体に協力態勢ができておる、これは当然ですね。東大の場合は三菱電機、NEC、この辺が技術的な基盤になっていると聞いていますが、そのとおりでしょうか。
  294. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 東大がいまのロケットの研究を進めておる場合に、約二十数社以上の関連で進めております。その中には、前のプリンス、いまの日産、それに三菱、それから燃料関係としては帝国火工がおもなる事業体となっております。
  295. 前川旦

    前川旦君 こういう計画を科学技術庁がなさるにしても、独自でなさることはちょっとスタッフというか、設備として無理がある。やっぱりこういった企業と一体になっておやりにならざるを得ないだろうと思うんです。そこで燃料の研究で一番進んでいるのは日本油脂である。弾体についてはプリンス日産がトップで、三菱と石川島播磨重工が合同であとを追っている。誘導技術ではNECが一番トップである。大体こういうことを常識として聞いておりますが、大体そういうことなんでしょうか。
  296. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 現状としては、そういうことでございます。
  297. 前川旦

    前川旦君 先ほど長官は、あくまでも平和利用に徹するとおっしゃいましたが、人工衛星を打ち上げる技術はイコール軍事科学技術で、区別がつけられませんね。平和利用に徹するとおっしゃいましたが、それは一つのフィロソフィーじゃなくて、実際問題として、とれがそのまま軍事技術にすぐ転化――イコール横すべりして転化されるわけですね。その辺はどう一体けじめをおつけになるのでしょうか。どういう実効のあるやり方をなさるのでしょうか。
  298. 鍋島直紹

    ○国務大慶(鍋島直紹君) これは法制的な面からはおそらく来年度になるかと思いますけれども、宇宙開発基本法というものを出して、そうしてちょうど原子力基本法のように第一条ないし二条ですかに明確に平和利用以外にしないということをうたう予定でございます。それから現実の問題としては、現在東大方式じゃなくて、やはり科学技術庁の下部機関として、いわゆる国家の下部機関として、まあ仮称ではございますけれども、宇宙開発事業団というようなものをつくらざるを得ない。そこへいまある科学技術庁の下の宇宙開発推進本部というもので百名前後でやっておりますが、それを主体にして、ただいま大学の研究者あるいは民間の研究者等を集めた、いわゆるロケット開発実行団体をつくっていく。それは厳密に軍事利用等の方向には進まないわけでございます。したがって、その通信衛星とか航行衛星とか、その方向で進めるわけでございます。したがって法律的な面と両面から平和利用でいく。しかも宇宙開発委員会は、これは中枢部でございますから、これはあくまで自主的に民主的に公開としてやるわけでございますから、まず軍事利用にいくというようなことは考えられないというふうに考えておるわけでございます。
  299. 前川旦

    前川旦君 私は非難をしているという立場じゃない、非難はしたいのですけれども。軍事技術と人工衛星を打ち上げる技術とは全く同じなんですから、一つも変わりないわけですね。いま、お尋ねしましたように、単独でおやりになるわけじゃない。それぞれの企業と提携してやらなければやれない。そうなると、たとえば日本油脂にしてもプリンス、日産にしても、それからNECにしても三菱電機にしても、石川島播磨重工にしても、これは日本の防衛生産の上位十社の中に全部入っています、こういう企業は。そうすると、ここで開発した技術は、そのままイコール防衛生産技術のほうにずっといくわけなんです、実際問題として。そういう状態の中で平和利用に限るとおっしゃいますけれども、法文にそういうことを述べる、これはいいことなんですけれども、実際問題として軍事利用にされるということを防ぐことはできないじゃありませんか。その点どうなんですか。
  300. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) まずそこまで疑えばといいましょうか、現実の問題として、平和利用以外に日本でやらぬということを明確にしておるわけですし、それが軍事利用に流れた場合に、これは当然廃棄すべきでございますから、技術としては現実に各国とも交換しておって、これは場合によれば軍事利用に移る技術も持つかもわかりません。それはしかし現実日本の場合においては、それ以上のことを防衛庁としてもやるとは思いません、率直に申しまして。ですから、これは私のほうから見れば、法的にも実際的にも、あくまで規制をして進める以外にない。しかも平和利用以外には絶対にいたしませんと申し上げて、それを実行していく以外にございません、これは率直に申しまして。
  301. 前川旦

    前川旦君 私はこういう技術開発をイコール軍事利用だから、この技術開発までやめてしまえなどという、そういう小児病的なことを言っているわけじゃないのです。そうじゃなくて、原爆をつくる能力があっても原爆はつくらない、誘導弾ICBMをつくる能力、科学水準があってもそれはつくらない、こういうところに、やっぱりその国の威信というものが逆に上がるというように考えておるわけです。フランスでは原爆をつくったら威信が上がったかというと、威信は落ちている。ばかにされている。むしろ、国産でICBMをつくれる、いつでも誘導弾をつくれるという能力を持ちながらつくらないということのほうが、より国家威信というものが対外的には高まるというふうに私ども考えておるわけです。したがって、こういう能力を持つということを絶対的に否定するという立場でものを言っているのじゃないのです。あまり長官が平和利用だけに限るとおっしゃいますから、私は逆説的にそういうことはできないじゃないかということを実は申し上げているわけなんです。  もう一つの面から申し上げると、それじゃ一体、こういう人工衛星その他の宇宙開発を、日本は何のためにやるのだろうか、こういう疑問が実は出てきます。たとえばアメリカにしてもソ連にしても、その他にしても、宇宙開発は一つは、一つといっても、これは最も大きな理由ですけれども、軍事目的のためにやっているわけでしょう。軍事技術を開発するために宇宙開発をやっている。これが一つ。二番目にはやはり米ソの競争といいますか、他の国に対する国家威信をつけるためにやっているわけでしょう、それは。日本の場合考えた場合、軍事目的ではない。人工衛星を打ち上げる、国家威信を高めなきゃいけないというそれほどの必然性もない。一体何のためにそれじゃ人工衛星という宇宙開発をしなければいけないんだということに、また一番基本的に返ってくるのですが、これは一つのフィロソフィーかもわかりませんけれども、それはどうでしょう。
  302. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 私は、やはり科学技術の今日の発達の点から見ても、軍事目的というものを全然除外視しても、将来においてはやはり宇宙空間の開発、月の世界に旅行するという趣味、興味的なもの以外に、あらゆるやはり宇宙空間の利用そのものが、やはりわれわれの生活なり人類の幸福なりにもたらしていく利益というものは非常に、未知の問題ではございますけれども、あると思います。その第一歩としてのいわば通信衛星を打ち上げるわけですし、それはそれなりに、日本が通信衛星を持つことは、やはり将来における科学技術の基礎を置くことでもあり、しかも通信衛星を打ち上げたそれ自体が、テレビを見る場合におきましても、すべての面において、やはり社会生活にも国民の幸福にもつながってくる。航行衛星あるいは測地衛星あるいは気象衛星、すべてそういう点、自分の国でそれを持って、自分の国で高度にそれを利用していくということ自体が、国家威信ももちろんでございましょうけれども、それ自体が国民生活なり、日本の国民の方々に利益をもたらし、さらにそれを基礎にして、全くまだ未知の問題ではありますけれども、将来必ず進んでいく宇宙空間の開発、そういう点にも大きくつながっていくし、日本は世界水準に近いところまで、あるいは水準のレベルまできていないと、やはり先進国としても非常に欠陥ができるのではなかろうかというふうに考えて、宇宙開発についてはやはり国として大きくこれはひとつ全力をあげて進めるべき大きな問題である、プロジェクトであるというふうに考えるわけであります。
  303. 前川旦

    前川旦君 結局、米ソといった一流のこういった宇宙技術国との格差を縮めるということが、日本の工業生産を高める、工業技術を高めるという上において意義があるのだ、格差がますますあくのでは困るのだ、とにかく追いついていこうというふうに理解をしていいのでしょうか。
  304. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) まあ、それは科学技術の向上という面からいえばそうだと思います。しかしそれ以上に、いま申し上げたように、やはりこれをやっておくことが、将来、未知の世界、われわれの、あるいはわれわれが死んだ後の、いわゆる宇宙空間の利用へすべての人類が興味を持ち、またその利用によって幸福をもたらされる方向へ進むであろう、その進む基礎をやはり今日置いておくべきである。それがやはりわれわれとしての仕事の大きな問題であり、重要な仕事であるというふうに考えるわけでございます。
  305. 前川旦

    前川旦君 いまの宇宙競争というのは、米ソそれぞれの国家威信をかけて、そのためにやっている。軍事目的、いわゆる人間のしあわせのためにという問題を離れたところで争われている。日本がやる場合には、そういった一種のゆがんだかっこうの、まともでない競争の中に日本も割り込むということにちょっと抵抗を感ずる。たとえば国連等を中心にして、全世界的な規模での平和という問題であれば、宇宙開発であれば、そういう方向へ向かっていくというのも、日本がイニシアをとってリードしていくというのもひとつ考えられる道であろうと思うのです。それを日本独自でと、非常に強くお言いになりますから、しかも、それが、軍事利用と切っても切れないもんですから、疑おうと思えば幾らでも疑えるということに実はなるわけなんですね。その辺のことはどうなんでしょうか。
  306. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) これは先ほど来申し上げておることでもう尽きていると思いますけれども、それは米ソそのほかは、軍事利用という点に重点を置いているかわかりませんが、日本は今後軍事利用というものはしないわけですし、また、させるべきでもないわけでございます。しかし、それ以外のいわゆる宇宙時代といいますか、それは当然今後五十年、三十年後にはくるわけだと私は思います。その際、日本自身がおくれをとってはならない。日本としては、どうしてもこれは平和利用として、あるいは世界で唯一の国かもわかりませんけれども、この際、やはり宇宙開発というものを進めておくことが、どうしてもそれがベースになって先へ進まないと、一足飛びに、何といいますか、先進国並みになれる科学技術の問題ではないのでございますから、当然今日からその基礎を固めていくということがどうしても必要じゃなかろうかと思うわけでございます。
  307. 前川旦

    前川旦君 これは結局国が予算を持って、それぞれの系統というとちょっとあれですが、一番進んだ弾体はどうだ、誘導技術はどうだ、燃料はどうだということを申し上げましたが、そういうものを研究の進んだ企業に、研究開発費というものを支出して、委託してということになるだろうと思うんですが、やっぱりそうですが。
  308. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 技術分野につきましては委託いたします。委託いたします際には契約が入ります。この契約の中には、成果につきましては、貸与、転用、その他については、その委託者の承認を得て、その条件のもとにおいてやるということで押えていくという形になります。
  309. 前川旦

    前川旦君 たとえばそうやって技術を開発をした。その開発された技術は、一体どう生きるのでしょうか。たとえばそれが平和目的だという、宇宙開発のために開発された電子工学とか、いろいろ出てきますね。誘導技術とか、あるいは弾体とか、燃料とか、いろいろ、それが一体どこに生きてくるのか。たとえばアメリカの場合であれば、それは全部軍需品になって生き返ってくる。たとえば航空機会社の製造品については九〇%まで国が買い上げる、非鉄金属とか、いまの電子工学ですね、これは国が買い上げる。その技術開発をした成果というものの行き道があるわけです。日本の場合はそれはどうなんでしょう、開発した成果は。結局国民を対象とした消費物資の製造の中で、耐久物資とか、そういう中でしか生かされてこないということになると、これはやはり必然的に流れていくのは軍事科学のほうへ求めていかざるを得ないという必然性が出てくるように思いますが、どうでしょうか。
  310. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 国で委託いたしまして、そこで成果をあげて、たとえば特許が取れたといたしますと、その特許は国の特許になります。したがいまして、その実施権は国の許可で、もちろんその成果をあげたところも入りますが、あとはいわば先ほどの国の消費といいますか、国の平和産業、これの水準向上のところで、当然それが需要の問題からもう一社やったらいい、あるいはもう二社やったらいいというときには、国がそれが実施権を与えていくとうい形で、平和のほうに向かったときに許可していくという形になると思います。
  311. 前川旦

    前川旦君 企業で、これによって開発されるのは、単に個々の特許とかいうようなことでなくて、いろいろと多面的なものが開発されると思いますね。結局それがそのままやはりスライドして、そのまま日本の防衛技術、軍事産業にいくのは、これははっきりどう考えてもいくわけなんですね。その点が一番心配になります。そして特にそれが心配になるのは、産業の側からのみずからの利益のために、これは日本の防衛とかいうことよりも、みずからの利益のために、一つのそれが圧力団体になってくると――現にそういう傾向が出ています、日本の場合、アメリカの場合は非常に強い傾向が出ておりますけれども、そのことが非常に心配になりますので、その辺についての確固たる対策、お考えをお持ちでありましたら、この際お聞かせ願いたいと思います。
  312. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 確かに技術を開発する場合におきまして、その技術を悪いほうに使うか、いいほうに使うかということは、当然技術そのもの、特にノーハウの関係からいきますと、その点が出てまいると思います。したがいまして、ここでできました技術すべて全部を完全に――私個人といたしましては、現在の状況として全部押えられて、たとえば軍事産業にかかわるものは絶対に使えないようにするとか、しないとか、そういうことの限界度というものは問題だと思います。しかし、その点につきましては、当然先ほど大臣基本法のことをおっしゃいましたが、そういう関係、あるいはほかとの関係で、そういうほうには使わないようにしむけるというような、最善の努力を払うということがいまの限界だと思います。
  313. 前川旦

    前川旦君 たくさんまだ質問することはありますが、時間が参りましたのでやめます。
  314. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  315. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております宇宙開発委員会設置法案について賛成いたすものでございます。  なお、本法案に対しては、自民、社会、公明、民社の各党共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     宇宙開発委員会設置法案に対する附帯決     議(案)   政府は、本法の施行に当り、次の事項につい  てすみやかに検討し善処することを要望する。  一、わが国における宇宙の開発及び利用に関す   る基本方針を明らかにするため、すみやかに   宇宙基本法につき検討を進め、その立法化を   図るものとし、その検討にあたっては、原子   力基本法第二条と同様の考え方によるととも   に「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及   び利用における国家活動を律する原則に関す   る条約」の趣旨にのっとり、かつ、世界にお   ける宇宙の開発及び利用の動向に対する十分   な見通しの上に立ってこれを行なうものとす   ること。  二、宇宙開発委員会の運営の強化を図るため、   早急に委員を常勤とするよう努めること。   右決議する。  この附帯決議案の趣旨につきましては、委員会の審査においてすでに明らかでありますので、説明は省略させていただきます。  以上でございます。
  316. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  宇宙開発委員会設置法案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  317. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました八田君提出の附帯決議案を議題といたします。八田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  318. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 総員挙手と認めます。よって、八田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、発言を求められておりますので、この際、これを許します。鍋島科学技術庁長官
  319. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 御趣旨を体しまして、それに沿うよう全力をあげて努力をいたします。
  320. 井川伊平

    委員長井川伊平君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会      ―――――・―――――