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1968-04-16 第58回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十六日(火曜日)    午前十時四十五分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     仲原 善一君  四月十二日     辞任         補欠選任      林田 正治君     小林 篤一君      吉武 恵市君     小山邦太郎君  四月十三日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     吉武 恵市君      小林 篤一君     林田 正治君  四月十六日     辞任         補欠選任      小林  武君     加瀬  完君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         津島 文治君     理 事                 船田  譲君                 吉武 恵市君                 鈴木  壽君                 原田  立君     委 員                 岸田 幸雄君                 仲原 善一君                 林田 正治君                 林田悠紀夫君                 八木 一郎君                 成瀬 幡治君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君    政府委員        自治政務次官   細田 吉藏君        消防庁長官    佐久間 彊君        消防庁次長    山本  弘君    事務局側        常任委員会専門  鈴木  武君        員    説明員        建設省住宅局調  三宅 俊治君        査官        消防庁予防課長  高田  勇君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、小林武君が辞任され、加瀬完君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 津島文治

    委員長津島文治君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  四月十二日の委員異動に伴い、理事に欠員を生じましたので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選の方法は省略いたしまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 津島文治

    委員長津島文治君) 御異議ないと認めます。  それでは、委員長から吉武恵市君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 津島文治

    委員長津島文治君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  補足説明を願います。佐久間長官
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。  お手元に御配付申し上げました法律案要綱の順序に従って申し上げます。  第一は、消防法改正でございます。  その一は、消防団員立ち入り検査権の問題でございます。現在立ち入り検査権は、消防団員の場合におきましては、事項と時間を限定いたしまして、特に必要がある場合に、期日及び期間を指定いたしまして、立ち入り検査権を行使できることになっておるのでございますが、最近、プロパンガス危険物等農山村にも普及をいたしておりまするので、農山村における予防行政充実する必要がございまするわけでございます。現在、消防本部を置かない区域におきましても、団常備部と言われておるものがございまして、そこに常勤消防団員を置いておるところがあるわけでございます。そこで、団常備部のあるところにおきましては、その常勤消防団員消防職員と同様の立ち入り検査権を与えることにしようということでございます。  第二番目は、防火管理者業務の範囲を拡張することでございます。最近の建築物構造が複雑になり、火災態様も変化してまいりまして、ビル火災におきまして死傷者が出る事例が多くなってまいったのでございますが、これに対処いたしますために、防火管理者業務に「避難又は防火上必要な構造及び設備維持管理並びに収容人員管理」を加えることにいたしたいということでございます。  第三番目は、管理についての権原が分かれておりまする建物における防火管理体制整備の点でございます。現在、高層建築物地下街等におきましては、幾つかの管理権原を有するものが分かれております例が多いわけでございます。そこで、一体的な防火管理をいたしますためには、それぞれ権原を有するものが消防計画作成等防火管理上必要な事項につきまして相互に協議をさせて、有事の際に備える体制をつくらしておくという必要があるわけでございます。それに関する規定でございます。  第四番目は、いわゆる防炎処理に関する規定でございます。最近、どんちょうカーテン等物品普及をしてまいっておりまするが、これらの物品防炎性能を有しませんために、火災の被害が大きくなってきておる事例が少なくないわけでございます。そこで、高層建築物地下街劇場等、特に不特定多数の者が集合いたしますような防火対象物において使用するそれらの物品につきましては、防炎性能を有するものでなければならないということを義務づけることにいたしたいということでございます。  第五番目は、ガス漏洩等の危険のあります場合における緊急措置の点でございます。現行法におきましては、火災現場におきまして消防吏員等警戒区域設定をし立ち入り禁止をする等の緊急措置をとることができる旨の規定はあるわけでございますが、最近の火災事例にかんがみますと、ガス漏洩危険物流出等がございまして、現実にまだ火災は発生いたしておりませんけれども火災になりましたらたいへんだというような危険が急迫しているような状況が多いわけでございます。そういうような場合に、消防長あるいは消防署長火災警戒区域設定をして、火気の使用禁止退去命令等措置をとることができるようにいたそうということでございます。  第六は、火災現場における情報提供を求める権限でございます。これも最近の火災状況を見てまいりますと、防火対象物構造が変化してまいりまして、それによりまして火災態様も変わってまいっておるわけでございます。そこで、それらの場合に、特に人命救助について遺憾のないようにいたしますためには、消防吏員または消防団員が、火災現場におきまして、防火管理者等関係者に対して、人命救助等に必要な事項につきまして必要な質問をすることができるというような権限を付与することが必要となってまいったわけでございます。  第七は、以上の改正に関連いたしまする罰則の規定整備でございます。  それから、第二は、消防組織法改正でございますが、消防法が以上申しましたような改正が行なわれ、そのほか、これまでの改正におきまして消防機関責務が相当増大してまいっておるわけでございます。それに対応いたしまして、消防機関の能力の充実向上をはかるための改正でございます。  その一つは、消防署長は政令で定める資格を有する者でなければならないということにいたそう。これは消防署長消防に関する専門的な知識経験を持った者でなければならないということにいたそうという趣旨でございます。  第二は、消防学校教育訓練充実の点でございますが、現在、消防学校全国四十余りできておりますけれども学校によりまして、教育訓練内容におきまして非常な格差があるわけでございます。そこで、消防庁が一定の基準を定めまして、その基準を確保するようにつとめなければならないということにいたしまして、その教育訓練の水準の向上をはかろうという趣旨でございます。  第三は、その他消防庁所掌事務等につきまして、若干の規定整備を行なおうということでございます。
  7. 津島文治

    委員長津島文治君) 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 松本賢一

    松本賢一君 この法案に直接関係があるないにかかわらず、ちょっと質問さしていただきたいんですが、これの、いま御説明になった中で、四番のところですね、「防炎性能」ということばが使ってありますが、これは炎という意味でしょう。エンというのは煙じゃないですね。最近の火災は煙とか有毒ガスというものが非常に問題になっているようですけれども、それに対する、何といいますか、それの起こす災害の実情、それから、それに対する対策というようなことについて、少しお話をしていただきたいと思うんです。
  9. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この「防炎性能」と書いてございますのは、炎でございますが、しかし、この炎も取り去っておき、ませんと、それから、その物が燃焼をして煙を出すということになりまするので、事前にどんちょうカーテン等がかりに火炎に触れましても、その物自体が燃え出さないで、すぐとまってしまうというようなことにいたそうということでございます。  それから、ただいま先生お話で、その防炎性能ということじゃない、煙の問題がこのごろ多いんじゃないか、こういうことでございますが、これは仰せのとおりでございます。特に最近のビル火災等におきまして死傷者が出ておる事例を見ますというと、ほとんど人体が焼け焦げることなくして、煙に巻かれて死んでしまっておるというような事例が多くなっておるわけでございます。そこで、そういう煙を出しまする原因でございますが、一つは、建築構造の上から、従来の木造家屋と違いまして、いわゆる耐火構造建築物におきましては、窓等の外部に開かれている部分が非常に少なくなっておりまするので、火災が起こりました場合に、煙が内部に充満をしてしまう。それからまた、さらに、エレベーター等があるわけでございますが、そういうものを通じて煙がすぐ上のほうにいってしまう。でありまするから、エレベーターが煙の煙突のような役をするような事例が多いわけでございます。そこで、煙に対する対策といたしましては、一つには、建築構造上から処置をする必要があるわけでございまして、その点につきましては、建設省のほうにも連絡をいたしまして、建築基準法改正検討していただいておるわけであります。それから、いま一つは、建築に用いられる建築材料、これがいわゆる新建材と言われているもので、火がつきますると、非常に多量の煙を出すものが多く使われておるわけでございますが、これの規制建築基準法関係検討をしてもらうように、建設省にも連絡をいたしておるわけでございます。  それから、その次は、消防関係でございますが、建物構造がある程度耐火建築というかっこうになってまいりまするが、その場合におきましても、煙から早く避難ができるような避難設備を強化をいたしたい。これも建築構造の面で、たとえば避難階段でございますとか、あるいはバルコニーを置くようにしてもらいますとかの建築構造の問題もございまするが、同時に、消防関係消防用設備あるいは避難設備等設置の問題もあるわけでございます。そういう点につきましては、従来からいろいろ検討をいたしてまいったわけでございます。  それからもう一つは、煙の場合には非常に速度が速くて逃げおくれてしまうという例が多いわけでございますから、早く煙を感知をするということが必要になってまいりまするので、煙感知器を開発をして、従来の熱感知器にかわって、必要なところには煙感知器を備えつけさせるというようなことも処置をいたしたい、これも現在せっかく検討中でございまして、ある程度実用化に向かいつつある段階でございます。そういうような煙に対する対策といたしましては、多面的にいろいろな角度から方策を講じていかなければならないということで考えておるわけでございます。
  10. 松本賢一

    松本賢一君 いまのお話の中で、建築基準法改正ということが考えられておるということなんですが、これには、いまの建築構造といいますか、煙突の作用をするとか窓が少ないとか、そういったような形の上の問題と、それから建築資材の問題で、昔の資材には問題がなかったけれども、近ごろの資材には非常に煙とか毒ガスとかいうようなものを発生する資材があって、そのために、煙やガスによる人命の損傷が非常に多くなっているというようなことを聞くわけですが、そういうことまで規制を考えておられるわけですか。
  11. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 建築基準法改正問題点といたしましては、いまおあげになりましたようなこと、いずれも取り上げておるわけでございます。
  12. 松本賢一

    松本賢一君 それじゃ、ひとつ万全を期して、できるだけ十分な規制を考えていただきたいことと、それから二、三年前にお願いをしたことと関連をするのですが、いまの避難用具関係で、避難階段とか避難場所とか、いろいろと私が二、三年前に長官質問したことがありましたが、きょうとっさの質問で私勉強してこなかったので、はっきり記憶がないのですけれども、二、三年前に温泉場ホテル火災で非常にたくさん人が死んだ。その直後に質問したと思うのですが、最近と言ってもいつごろでしたか、何カ月か前に、もう一つホテル火事がありまして、テレビなんかで見たのですが、あのときには、私が当時言ったようななわが窓の外にずっと張られて、それを伝わって子供をだいた御婦人がおりてきたりということがテレビに映っておりましたが、ああいうことは、その後やはり旅館のほうへそういう指令を出されて、そして、その後そういう設備ができて、あのときは人が死ななかったらしいので非常にうれしく思ったのですが、そういう結果そういうことになったのか、たまたま、あの旅館がそういうことに対する関心が非常に強かったのか、どうだったのですか、あれは。
  13. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生からいろいろ御指摘もいただきまして、一昨年も十二月でございました、消防法施行令改正をいたしまして、防火対象物、特に旅館ホテル等、あるいはまた、老人福祉施設等、そういうものを重点にいたしまして避難器具設置義務を加えたわけでございます。それ以来、私どもといたしましては、春、秋の火災予防週間の際には、旅館ホテル等における避難の問題を重点事項一つとして取り上げまして、全国的にこれを徹底させるよう、内容は、あるときには、いまの避難設備が法令の規定どおり整備されておるかどうかを点検するということにいたしたこともございまするし、それから、あるときには、旅館等におきまして避難経路案内、これを徹底してやるようにというようなことを取り上げたこともございますが、いずれにいたしましても、昨年と本年いずれも、避難の問題を火災予防運動週間中の一つ重点事項にしてまいっておるわけでございます。そこで、地域によりましては、非常にこの問題について関心を持たれまして、相当その後、整備が進んでまいっておるところもございます。しかし、また、先般の湯河原の火災等などを見ますと、まだ不十分な点もありまするし、その中で避難経路案内がどの程度励行されたかということを昨年調査をしてみたことがありますが、全国でたしか二六、七%くらいしか旅館ホテルで励行されておりませんでしたので、重ねて先般地方通達も出しまして、これからの行楽シーズンを前にして、旅館ホテルにおける避難設備整備と、それから避難経路案内等徹底をひとつはかるようにしてくれということを指示をいたしたわけでございます。そういうことでございまするので、だんだん関心を深めてまいっておりまするが、全国的に見てみますると、必ずしもまだ十分だということは言えない状態でございます。  それから、今回御提案しておりまする改正案の中で、防火管理者業務避難設備維持管理ということを加えることにいたしておりますが、これは最近の火災事例を見てみますと、避難器具は備えてはおりまするけれども、いざというときにすぐ操作できない状態に置いてある。そこのそばに大きな障害物が置いてあるとか、また、点検がしてないものだから、さびついてしまっておるというような事例もありましたので、それは防火管理者責務として明記することにしよう、こういうような趣旨でございます。
  14. 松本賢一

    松本賢一君 私なんかも、ときどき旅館ホテルに泊まりますが、万一出火の際にはこういうふうにしてくださいというような掲示がしてないのですね、たいていのところに。そして注意を、だれもそれを言わない、こっちが聞かなければ言わないという状態がまだまだたいていの場合はそうなんですが、そういう点について何かやっていらっしゃいますか。
  15. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま申し上げました避難経路案内徹底と申しますのが、いま先生のおっしゃいましたようなことを意味しておるわけでございますが、これが先ほど申し上げましたように、昨年の火災予防運動重点事項として取り上げてやったのでありますが、実績は二六、七%くらいしか励行されなかったということで、先般重ねて、今度のこの点だけはひとつ早く徹底するようにということで通達を出したわけでございます。
  16. 松本賢一

    松本賢一君 目につきやすいところへ必ず掲示をするとか、避難階段といって電灯がともったり、矢じるしがついたりしているのはよくありますけれども、それはたいていの場合、りっぱなホテルの場合にそれがあるので、普通の旅館にはそんなものもないし、何かこう書いておいてもらいたいと、泊まる客の気持ちとしてはするわけです。そういうことは強制的に今度はやられるわけですか。
  17. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 非常口というのは従来もありましたけれども、一体そこの場所からどういう道を通っていけばどこへ行けるかという矢じるしで避難経路を示すようにさせる。そして宿泊したお客さんにこのことを徹底するように、場合によれば、また別な案内の図を配ってあげるとか、あるいは口頭でお話をするとか、そういうことをできるだけ励行させるようにしよう。これは法律で強制するというわけにはまいりませんが、旅館連盟などとも打ち合わせをいたしまして、そして、こちらから通達を出し、また、市町村の消防機関関係者と話し合って、それを徹底させるようにしょうと、こういうことでございます。
  18. 松本賢一

    松本賢一君 法律で強制するわけにいかぬとおっしゃるけれども、しかし、ある程度強制してもいいんじゃないですか、そういう大ぜいの人命をあずかっておる施設に対しては。強制できないものですか、それは。そういうことこそ強制してもいいと思うのだけれども
  19. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在のところは、法律で強制ということはいたしておりませんけれども、なお実施の状況を見まして検討さしてもらいたいと思います。
  20. 松本賢一

    松本賢一君 まあ、とにかくきょうは私も勉強してきておりませんし、質問も雑談みたいなことになってしまって申しわけありませんでしたが、とにかく、できるだけ、いやしくも火事では人間だけは殺さないようにお願いしたいと思います。
  21. 林虎雄

    林虎雄君 いまの松本さんの質問に関連したようなことですが、さっき松本さんから言われたどんちょうカーテン等防炎性能を有するもの、つまり、不燃性にするということですが、高層建築物地下街、あるいは劇場の中へ入ってみても、木製の机とか、あるいは、いすとか書だなとかいうものがあると思いますが――大体スチール製になっておるところもあるでしょうが、そういう木製の机、いす、書だなというものは、この対象に考えておるんですか。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今回の規定におきましては、そこまで対象には考えておりません。実は高層建築物地下街における火災を防止いたしますためには、どんちょうカーテン等のほか、いま先生の御指摘になりましたような燃えやすいものをできるだけ中に持ち込ませないようにするということが効果的であると思うのでございますが、なかなかこれは、いろいろ検討いたしましたけれども、これを法律によって規制をするということになりますと、なかなかむずかしいものでございますので、この点は指導として、できるだけもう高層ビル地下街には燃えぐさは持ち込ませないという指導はしたいと思いますけれども法律規定としてはまだ考えておりません。
  23. 林虎雄

    林虎雄君 この間、池袋のビル火災がありましたね。これは死者も出たのですが、あのときの新聞等記憶しているところによると、さっきも質問があった新建材が燃えて、そこから発生した煙の中に有毒ガスがあったのじゃないかというようなことが書かれてあったように記憶しておりますけれども新建材が燃えた場合の有毒ガスの発生というようなことを研究されたことございますか。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この問題につきましては、消防研究所におきまして研究をさせておるわけでございますが、これまでの研究の結果を聞いてみますというと、新建材によります発煙量というものは、一般のものから出ます煙よりも相当多いようでございます。たとえばグラステックス発煙量は、通常の木材の場合に比べますと、十倍以上だというような報告も聞いております。この問題につきましては、次々と新しい建材ができてまいっておりまするので、まだ十分な研究が進んでおりませんけれども、今後、私ども消防研究所あるいは建設省関係建築研究所というのがございますので、そこのところでも最近研究をやっておるようでございますから、なるべくこれらのものにつきましても、資料をつかみまして、また一般にもPRをいたしたいと、かように思っております。
  25. 林虎雄

    林虎雄君 高層建築物というものは高さ三十一メートル、これは地上でしょうと思いますが、その高層建築物と見られる三十一メートル以上の建物というものは、東京都にはどのくらい数があるのですか。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 東京都内におきまして現在八十ちょっと上回るかと思っております。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 全国にはどのくらいあるのですか。東京以外には少ないと思いますけれども東京を除いた全国で。――わからなければいいです、参考までですから。
  28. 高田勇

    説明員高田勇君) お尋ねの点は、三十一メートル以上と申しますと、大体階数にいたしますと、十一階以上になると思います。十一階以上の建物というのは、現在までの基準法でもって押えておりますのが、大体十一階を基準に押えているわけでございますが、したがって、うちのほうもそれで押えたわけでございますけれども、今度三十一メートル以上ということになりますと、東京はいま長官からお話し申し上げましたような状況でございますが、全体でもってどれくらいあるかということは、大体都市部ではわかるのでありますけれども、これの全国的な問題となりますと、私どものほうでちょっと正確にはつかんでおりませんが、大都市だけ全体でつかまえて言いますと、私の記憶では、三百幾らかと存じます。正確に覚えておりませんが、そのくらいだと思います。
  29. 林虎雄

    林虎雄君 最近開業したといいますか、霞が関ビルでありますが、これは超高層建築物だと思いますが、この消防施設というものは、建築基準法建設省関係もありますけれども消防庁立場から霞が関ビル消防施設というものについて調査されましたか。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 霞が関ビル建築につきましては、東京消防庁がずっと相談を受けておりまして、随時指導をいたしてまいりました。大体東京消防庁が希望をいたしました事項はほとんど全部取り入れて建築がなされました。むろん、現在まだ法的にはそこまでの規制はなされておりませんけれども、事実上、現在の消防、私ども立場でこの程度のことはどうしてもやっておかなければいかぬと思われます事項は、ほとんど全部取り入れられたわけでございます。
  31. 林虎雄

    林虎雄君 霞が関ビルの場合ですけれども、あの高い三十六階ですか、かなりの施設がしてあるから心配ないだろうということですが、もし火災になった場合を考えますと、数万人の人が入るようですね。ですから、よほど万全の上にも万全を期さないと、予想外の被害というものが考えられるわけですが、まあ、たとえば火災になって、下から燃え上がって、階段等が煙突の役割りを演じていて、下におりられないという場合に、普通の場合には窓からはしご車なり、あるいは綱なりで避難することができますけれども、もう何十階ということになると、それはとても及びもつかないことですが、こういう場合は一体どうなんです。かりに霞が関ビルの二十階、三十階が燃えて下へおりられない。窓から避難しなければならないというような場合には、一体どういうふうにされようとするわけですか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 霞が関ビルの場合におきましては、一つは、特別避難階段を各階に設けております。それからバルコニーでございますが、バルコニーづきのタラップでございますが、これを各階に二カ所、相対する部分に設けております。これによりまして、いまお話しのような点は相当対処できるのではなかろうかと思っております。なおまた、排煙設備につきましてもスモーク・タワーを設ける等、相当気を配った設計をいたしておるわけでございます。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 かなり内部が燃えないもので、カーテンなり、どんちょうなり、あるいは、こういうテーブルなり、燃えないものでやっておるという考えでも、かなり燃えるものはあるわけですね、実際は。ですから、そういう場合に、何十階というところで火災が起こった場合にはたいへんだと思うのですが、避難階段も二カ所各階にあるそうですが、火に包まれてそこまでかけつけることができないというような場合に、窓からなんと言っても、とても窓からおりることができないので、たいへんだと思うのですが、それはけっこうでございます。  もう一つ地下街火災ですね。この間の池袋の鉄筋ビル火災、それから劇場火災などは、いろいろ例がありますけれども地下街火災というものは、まあ、あまり大きな被害というものの例は少ないと思いますが、地下街を歩いてみて感じますことは、やはり燃焼物がたくさんあって、まあラッシュアワーかなんかのときに火災になれば、それこそ地下全体が煙に包まれるようなことで被害が多くなるように、まあ、しろうと考えでは予想されますけれども、あの地下街の場合には、煙を排除するようなかなりの施設があるのですか。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地下街の現状は、先生の御指摘のように、私どもも非常に心配な点が多いと思っております。先ほどお話しのように、燃えやすいものが相当持ち込まれておるわけでございますから、これに一たん火がつきました場合にどうなるかということにつきましては、実はまあ寒心にたえないような状況のところも多いわけであります。  それからまた、排煙設備につきましても、これも全国一律にはまいりませんけれども、新宿の地下街などにつきましては、排煙の施設につきましては、相当こまかい行き届いた設計がなされておるわけでございますが、ただ、これも、中に相当燃えやすいものがたくさんあるわけでありまするし、それから、これも今回の改正で御審議をいただくことにしておりますが、同じ一つ地下街の中にも、管理権原を持っておるものが幾つに毛分かれたりしておりますから、それらの間の一体的な防災体制をつくる、防災管理体制をつくるといったような点につきましては、まだ遺憾の点もあるわけでありますが、これはまだ研究しなければならぬ点も相当多いと思うわけでございます。
  35. 林虎雄

    林虎雄君 新宿の地下街などは一番最近新しくできただけに、排煙といいますか、排気といいますか、換気はよくできておるように感じられますが、銀座などは、もう戦前からの地下街であるだけに、地下街を歩く人たちも戦前から比べれば何層倍、非常に多くなりてきているだけに、あの換気装置というものをし直す命令を下すとか、排気装置をするとかいう、そういう対策を考えられたことはありますか、そういう指導といいますか。
  36. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、まあ主として消防よりも建築構造関係の部分が多いわけでございまして、現在、地下街に対する建築基準法規制というものは至って不備な状態でございます。従来の地下室と言われるような程度のものを念頭に置いた規制になっておりまするので、これを今回建設省検討されておりまする建築基準法改正の中には、最近の地下街対象にした、ただいま御指摘のありましたような点の規制を相当盛り込むという方向で検討されておるわけでございます。
  37. 林虎雄

    林虎雄君 いまお話しのように、高層建築物地下街等においては権原が分かれているわけですね。それだけに消防庁としてもやりにくい点はあろうと思いますが、しかし、火災などのことを考える場合に、この防火に対する権原といいますか、この権原をもう少し一本化というか、その第八条の二においては、「防火管理上必要な」事項について「協議して、定めておかなければならない。」こととすることですが、これはもっとしっかりとした、権原の分かれているのを一本化するというような、そういう点、積極的に考える必要があると思いますが、どうですか。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点は、仰せのとおり私どもも考えておるわけでございますが、一応それぞれ管理者、所有者違うわけでございまするから、それはそれとして、それぞれの防火管理者が集まって一本の消防計画その他必要な計画をつくらせて、そうして、そのつくったものを消防署長に届け出をさせる、それによって所轄の消防署長がこれを指導していく、また、ときどき訓練もやって、いざというときには一体的な有機的な活動ができるようにしていこう、こういう趣旨でございまして、法律上一本の防火管理者を置いて、すべての権原を一元的に行使させるというところまでは、ちょっと実行上いろいろまだ問題点があるのじゃなかろうか、とりあえず、それぞれの管理者が分かれておりますものは、分かれた上で連絡をよくさせ、一本の計画をつくらせてそれでやってみたい、こういうのが今回の考え方でございます。
  39. 林虎雄

    林虎雄君 いま非常に困難な点があることはよくわかりますけれども、たとえば建築基準法によってそれぞれ規制があって、そういう非常の場合におけることを想定しながら基準法はできておりますけれども、その中に、もっと消防の見地から基準法改正する必要があるというような点は何かありませんか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この点は全く同感でございまして、実は昨年、消防審議会から超高層建築物及び地下街の防災対策について御検討の上、答申をいただきましたが、その中におきましても、半分はやはり建築基準法改正につながる問題でございます。この答申を検討していただく過程におきましても、建設省からも関係官に出席していただきまして、いろいろ意見も述べてもらいました。で、建設省もこの答申に述べておりまする建築基準法関係の部分については、非常に積極的に現在協力的な態度で建築基準法改正案検討されておりまするので、私どもとしては、その成案をひとつ待っておる次第でございます。この答申の中で私どもからしてぜひ強くやってもらいたいというて要望しました一つは、たとえば、もう超高層や地下街におきましては、劇場とか映画館とかいったようなものはつくらせないというぐらいなことにしてくれぬかというようなことも申しておるわけでございますが、これもま正面から用途制限をするということにつきましては、非常に問題があるというふうに聞いておりまするけれども、その趣旨はできるだけ織り込めるように検討しようというようなことも言ってもらっております。それから建築基準法関係で一番最近の火災事例にかんがみまして効果的だと思われますのは、やっぱり避難階段をつけるとか、あるいはまたバルコニーを設けるとかいうようなことでございますが、これらの点も建設省の当局の方も、それはぜひ今度の改正案の中に織り込むことにしようというようなことでございまするので、この点につきましては、おそらく、ただいま検討されております建築基準法改正の中には、従来よりも非常に防災上の見地を取り入れたものができ上がるんじゃなかろうか、かように期待をいたしておるわけでございます。
  41. 林虎雄

    林虎雄君 建築基準法を制定する当時、あるいは改正するような時点で、防火立場から消防庁と合い議するというような経過は、過去においてはあったんですか。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 従来、この消防の問題は建築のほうの問題と非常に密接な関係がございまするので、常時お互いに連絡を取り合ってまいっておりました。消防法関係改正をいたしますときにも、向こうに合い議をいたしましたし、建築基準法改正がございましたときも、こちらに合い議しまして、両方で話し合いができたところで法律改正が行なわれておったわけでございまするが、ただ率直に申しまして、従来、建築基準法のほうでは、防火上の見地というものを私どもほど深刻には考えていないという点はなかったわけではございません。しかし、今回の高層建築物あるいは地下街の問題につきましては、先ほで申しましたように、非常に建設省としましても私ども立場を理解をしていただいて現在検討してもらっておるわけでございます。
  43. 林虎雄

    林虎雄君 大体この程度で。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防審議会の答申、これは配付になっておりますかな、資料として出してありますか。
  45. 津島文治

    委員長津島文治君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  46. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記を起こして。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防審議会の答申ですね、これひとつぜひ全員に配付するようにしていただきたいと思いますが、実は私、消防審議会の答申を中心に初めに少しお聞きをしたいと思っておったのですが、いずれあとでそれでは配付になってからしたいと思います。  ただ、最近のいわゆるビル火災東京都内でもことしの去る三月に有楽町のビル火災、ここではたしか死亡者が三人あったのではないかと思うのでありますし、それから、この有楽町のビル火災は三月十三日、翌日池袋のブロンズ会館ビルですか、何か新聞によりますとそういうことで、このビル火災で十三人の負傷者があり、三月の十八日に浅草の国際劇場火災で、これも三人の死亡者があると、こういうことが報ぜられておりまして、いま非常に私どもを驚かせておる、こういう事態が次々と出ておるわけなんであります。いま前の方々の質問の中にも、このビル火災の問題につきまして、構造上の問題、あるいは設備の問題、いろいろありましたが、どうもこういう大きなヒルなんかの構造上というよりもむしろ――構造上の問題も幾つもあるようでありますし、さらに消防設備のほうにもいろいろ問題があるようであります。特に最近のビル火災で特徴的なのは、一番高いところにどうも煙が及んで、そこで窒息とか中毒とかというようなことがあるようでありまして、これは構造上の問題も一つ大きな問題じゃないだろうかと思いますが、こういうことに対して今度の――今度のというか、先般の消防審議会からの答申――「超高層建築物及び地下街の防災対策に関する答申」というのがありますが、この答申を見ますと、かなり広範囲にわたっていろいろ規制措置を講ぜよとか、こういうふうにしなければならぬとか、こういうものは禁止しなければならないというようなことが述べられておるわけなのであります。しかし、現在までも消防法の、あるいは関係法令の中に、また建築基準法施行令、そういうものの中にかなり詳細にいろいろな規定がありまして、場合によっては規制措置、こういうようなものがあるわけなんでありますけれども、いま述べたような火災の例、それは新しく今度答申に出たようなことをやらなくとも、いままでの規定の中で十分に行なわれておれば、全部とは言えないかもしらぬけれども、ある程度防げたものがあるのじゃないだろうか、こういうように思う点があるわけですが、皆さんからごらんになって、いま申しました最近のビル火災、それから現行法規のいろいろなきめ方、規制のしかた、そういうものとの関係を一体どういうふうにごらんになっておられるのか、これをまずひとつお聞きをしたいと思います。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 最近相次ぎましてビル火災があったわけでございますが、これらの火災、それぞれ多少ずつ状況も違っておりまするが、全体を通じて私ども一番痛感をいたしますことは、全部とほとんど言っていいくらい、煙によって死傷者を出しておる。しかも、この煙が非常に早く建物の内部に充満してしまって、そして避難することがおくれてしまったというようなことは、いずれも共通をしておる点でございます。で、いま一つは、防火管理体制というものがいずれも非常に不備な点が多かった、こういうことでございます。  第一の点につきましては、先ほど来各委員からいろいろ御質問もございましたように、これは最近の建築物構造の上でございますが、ただ、その中に、やはり建築基準法の違反と思われますようなことがかなりありまして、そういうところの手が抜いてありますために、そこから煙が上のほうにのぼってしまったというようなこともあるわけでございます。そこで、先生のおっしゃいました、新しい法律改正をいたしませんでも、現行の建築基準法をもっと励行するというような点が確かに私はあると思います。  それから、いま一つ防火管理体制でございますが、これは防火管理者が専任されてなかったり、あるいはまた、専任されておりましても、その防火管理者の訓練が全くなされていなかった。通常、防火管理者として当然職務を忠実に執行しておったならば、そんな大きな被害がなしに済んだであろうというようなことが、これまたほとんど共通した事項でございます。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのお話のあとのほうの、いわゆる防火管理者の問題、防火のいろいろそういう面でどうも十分でなかったというふうにごらんになっているという、その防火管理者をきめてどこでもやっておるようでありますが、これはまあ形だけですね、言ってみれば。中にはちゃんとやっているところももちろんあると思いますけれども、大かたは、それは防火管理者の名前を書いたり、だれそれだということがわかるようになっておったりは、一応形の上ではそういうふうになっておりますけれども、実際はほとんど防火管理者としての責務というか、あるいはまた、場合によっては能力もない者もあるのじゃないかと思うのです。いまの防火管理者というものは、いろいろな資格みたいなものを定めて、こういう者でなければならぬというふうにきめてありますけれども、しかし、それは内容的によく見ますと、だれでもが防火管理者になれるのだというようなことなんですね、これは。いますぐ完全な能力、あるいは、いろいろな面から言っても、そういう防火管理者というような人をそろえるということは、これはなかなかむずかしいでしょうが、しかし、防火管理者になった人、あるいは防火管理のいろいろな問題等についての、もっと理論的にも、あるいは実際の上でも――まあ教育すると言うと少し悪いのですけれども、訓練、そういうものが必要だと思うのですが、そのためには、しばしば訓練教育の場を持つ消防庁なり、東京で言えば東京消防庁なり、どこかそういうところで持つというようなことをしないと、形は確かに、繰り返して申し上げますように、一応できているようでありますけれども、実体ができておらないということになると思うのですが、そこら辺はどういうふうにお考えになりますか。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいまお話のありましたような点が、私どもも改善をしなければならない点であると思います。まあ名前だけになっておって、実際、防火管理者としての責任を果たしてないという事例が、事故の起こりましたところを見ますと、必ずと言っていいくらい発見できるわけでございます。そこで、防火管理者教育訓練をもっと盛んにやっていかなければいかぬ。さらにまた、防火管理者の資格の点につきましても、特にこういう高層ビル等の防火管理者につきましては、もっと資格を高めるということも必要ではなかろうか、かように思っております。  で、ただいまの資格を高める点につきましては、これは政令の問題でございますが、何かいま画一的に防火管理者といたしておりますけれども、それを甲種と乙種と二つぐらいに分けまして、特に高層ビル等につきましては甲種防火管理者ということで、いままでよりも資格も高めて、もっと防災上の専門的な知識経験を持った防火管理者にするというようなことも考えていかなければならぬのじゃないか。いずれにいたしましても、防火管理者教育訓練ということを大いに力を入れていかなければならぬことだ、かように思っております。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、資格の問題やらそういうことをやかましく規定したところで、限度があると思うのです。きびしくすればするほど、適任者がいなくなっていく。私は、それをほっておくわけにはいかぬし、あなたのおっしゃるように、もっといろいろな資格なり条件なりというものを考え直さなくちゃいけないということ、それはわかりますが、と同時に、私はいま申しましたように、教育訓練、こういうものが実際ほんとに行なわれるようにならないと、これはいつまでたっても効果をあげることはできないと思うので、たとえば今度の法改正で、八条の二で、地下街の場合、管理する者が幾つもある。こういう者で協議をして、「防火管理上必要な業務に関する事項のうち自治省令で定めるものを、協議して、定めておかなければならない。」、こういうことがありますけれども、こういうことだって、ただ協議して定めた、実際の場合にどうするのか、具体的にどう運んでいくのか、こういうことになりますと、また、てんでんばらばらなかっこうになってくるのじゃないかというふうな心配も、いまの防火管理者の――少しこれはことばが悪いかもしれませんが、大かたはそういう程度の能力しか持っていないのではないか。さっきも言ったように、資格なんか見ると、消防のことについてでなくとも、何年か仕事をやっておる間に地位が上がってくれば、それがその場所のパートの責任者になれるのだというような、こういうことになっておるので、どうもそこら辺もう少し考えていかないといけないと思うんですが、その点はこれだけにして、お答えは要りません。  それからひとつ、ついででございますので、お聞きしておきたいことは、ちょっとわき道にそれるようで恐縮ですが、八条の二の「高層建築物(高さ三十一メートルをこえる建築物をいう。)」、最近、超高層建築物と、こういう名前がしきりに出てきますね。そうして消防審議会の答申の中にもそういうことばがあるのであります。そうして消防審議会のほうのそういう超高層建築物というふうな用語は、その超高層部分というのは三十一メートル以上のところだ、こういうことになってくると、これはどういうことになるのか、それをお聞きしたい。消防法あるいは、これの関係のいろいろこういう高層建築物というのは三十一メートル以上のものだ、いまの霞が関ビルとかこれからつくる浜松町の何とかいうビルとか、いずれも三十一メートルをこえておるものを高層建築物という、こういうふうに規定しておるというふうに理解していいんですか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。これは答申には超高層建築物というふうになっておりまするが、法令用語といたしましては、現在まだ超高層建築物というのがないわけでございます。そこで建設省のほうとも法令上どういうことばを使うか、いろいろ相談をいたしたわけでございますが、超高層建築物という用語を用いることについては、なおひとり建設省のほうでも建築基準法改正の際にいろいろよく検討してからにしようというような話もございまして、私どものこの法律では、高層建築物ということばでただ定義を書いておく、こういうことにいたしたわけでございます。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 本筋でない質問で、いま言ったように、わき道に入ったようなことで恐縮ですが、一方、消防審議会では超高層建築物と言って、超高層部分というのはこういうものだと言っているんですね。だから、ただ消防法なり消防法関係のその他の政令なんかを見る場合には、ここに書いてあるように、三十一メートル以上のものだというふうに理解しておけばいいわけですが、関係する審議会なんかに出てくる場合、その部分が超高層建築物の超高層部分だということでいろいろ答申の文書なんか出ておりますね。これではどうもややっこしくなってくるんですが、それでは、三十メートルくらいの高さの建物、これは高層建築物ではないわけですね。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 消防法でいう高層建築物に入りません。
  55. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在できているものの大部分――大部分といいますか、三十一メートル以上の高い建築物ができるようになったのは最近でございますから、制限がとれたのはですね。それまでのものは大体三十一メートル以下で、われわれ大きいビルとか高層ビルとかいうようなことで言っているんですがね。そうしますと、これからは高層建築物というのは三十一メートル以上の高さを持っておるものでなきゃならぬということ、これははっきりそういうふうにいまの時点ではきめておるということですね。
  56. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 通俗的には超高層建築物ということを言われておるわけでございまして、消防審議会ではその常識的な用例に従ったわけでございますが、法令上は、先ほど申しましたように、まだ超高層建築物がなかったわけでございます。そこで、法令上どういうことばを使うかということは一応切り離して考えたわけでございますが、建築物につきましては、建築基準法が、これはまあ、もとの本体になるべき性質の法律でございまするから、建築基準法でまだ超高層建築物という定義もございませんときに、超高層建築物ということばを消防法で使うこともどうだろうか、こういうようなこともございまして、まあ法令上は定義をはっきり書いておけば混同することもないわけでございまするから、消防法では現時点におきましては、高層建築物として「高さ三十一メートルをこえる建築物をいう。」、こういうことにいたしたわけでございます。将来、建築基準法が全面的に改正になりまして、建築基準法の中におきましても、この新しい、いわゆる超高層建築物に関する規制を多く取り入れることになると思いますが、その場合に建築基準法立場からどれだけの高さのところを境にいたしまして区別をすることがいいかという問題は、向こうでひとつよく検討していただいて、その上でまたこの用語を変更する必要があるということでございますれば、また法制局とも相談をいたしまして変更するというようなことにいたしたらどうだろうか、現時点におきましては、いままで使ったことのない超高層建築物消防法でいきなり使うということについてはどうだろうか、こういうような実は政府部内で法令の立案の際に検討がございました結果、かように落ちついたわけでございます。
  57. 鈴木壽

    鈴木壽君 私ここではただ確かめておきたいだけで、しかし、確かめる場合にも一つ心配なことがあるわけです。というのは、今度の八条の二で、「高層建築物(高さ三十一メートルをこえる建築物をいう。)」、こういうふうにあります。「その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの」、すると高さ三十メートルぐらいの八階とか九階ででっかいビルが幾つもありますね、三十一メートル以内でね。しかも、ぎりぎりまでの高さを持っておるビル東京都内なんかにも幾つもある。こういうものはそうすると、この法律に引っかからないことになりますわね。とすれば、ちょっとした違いで、一つ高層建築物ということでこの法律をかぶらなければならぬ、わずか一メートルか二メートルの違いで。しかし、全体の大きさ等からすれば、もっと大きな建物であっても、この法律をかぶらないというようなことが起こるんではないかという心配がちょっとあるものですから、それでこれをはっきりさしておきたい、こういうことです。
  58. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生の御指摘の点、まことにごもっともなことでございます。そこで、「その他政令で定める防火対象物」というのを八条の二にも書いてございますし、八条の三も、「その他の政令で定める防火対象物」ということにいたしまして、三十一メートル以下でございましても、やはり同様に八条の二なり八条の三で規制をすることが適当だと思われます。防火対象物につきましては、政令でそれぞれ規定をすることにいたそうと、かような構成をとったわけでございます。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、いまの防火対象物はこうこうこういうものだということは政令でありますですね。今後、この法施行に伴って、まあ私が心配したような点があるのだから、それをなくするために、この政令をもっと改めるというか改正をして、そうして私がいま言ったようなものもいわゆる防火対象物の中に含めていくと、こういうことでございますか、その点どうですか。
  60. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。それで、八条の二について申しますと、このように管理権原が分かれておる。そのために防火管理体制にいろいろ欠点があるというようなものは、御指摘のとおりに、別に三十一メートルをこえた建物に限るわけではございませんので、三十一メートル以下でございましても、たとえば劇場、キャバレーというようなものが混在しているビルというようなもの、これがよく火災を起こすわけでございますが、そういうものにつきましては、この政令で、どの程度の高さ以上でこういう用途に供しているようなものは、ここでいう防火対象物の中に入るのだというような規定を政令でいたそう、かように思っております。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのこの防火対象物をきめる政令というのを、これを見ますと、対象物になっているのは、いわば何といいますか、劇場とか映画館とかキャバレーとか百貨店、あるいは学校、病院、まあ、いわば大きさの、そして、その中にたくさんの管理者の違うようなものが入っておるというようなことよりも、むしろ、そこを使っている性質上、どうも不特定多数の人が出入りするとか、あるいは何といいますか、いろいろな教育の点からとか、病人の問題とかというようなところが中心になってやられておるような気がしますが、そうすると、今度のこれを改めるというのは、もちろん、こういうものはこの対象物として生きていくでしょうが、さっき私が申しましたような普通のビル、いわゆる普通のビルであって、いわば準高層建築物というようなもので、その管理者が違っておったり、いろいろ権原が分かれているというようなものもずいぶんあると思うのですね。実際問題として、幾つもの会社の事務所がたくさん入っており、それぞれ防火責任者なり管理者なりというのは違いますね。それがまた相接して事務室を持っておる、こういうようなところもあるのですから、そういうものもここへ、従来のような考えでなしに、今度この法ができた、それの規制をするという、こういうたてまえに立った上での必要性のある、必要と認めるものをここにみな拾ってくるというふうにしなければいけないと思うのですが、その点、念を押すようでございますけれども
  62. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのつもりでございますので、先生のいまお考えになっておりますのは、現在の八条に基づく防火対象物別表第一のものをお考えかと思いますが、これは八条の趣旨が、防火管理者を置かなければならない、置く必要のある防火対象物としてここに拾い上げてあるわけでございますが、この八条の二の規定趣旨からいたしまして、ここで拾い上げなければならないという防火対象物を、この八条の二の規定に基づく政令で別に指定をしよう、かように思っておるわけでございます。したがいまして、この八条の二の規定に基づく政令できめる防火対象物は、八条の政令できめております防火対象物よりももうちょっと範囲もしぼりまして、しかも、ただ性質だけじゃなくて、先生の御指摘になりましたように、実際そこに管理者によるいろいろなものがごたごた入り込んでおって、防火管理上の必要が特に高いようなものと、こういうようなものを規定をいたそうと思っておるわけでございます。
  63. 津島文治

    委員長津島文治君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  64. 津島文治

    委員長津島文治君) 地方行政委員会を再開いたします。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防法関係あるいは建築基準法関係で、いろいろ建物構造あるいは設備、防災体制等についての規制やら義務づけやら、いろいろ行なわれておるわけでありますが、それに関連をしましてひとつお尋ねしておきたいのは、一体、そういう条文にあるいろいろな規制なり義務づけなりというものが、的確に実際の建物の中で行なわれておるかどうかということが一つの問題ではないかと思うんであります。そこで、この消防法によりますと、まず最初の段階で、建築の許可等の場合に、消防長や、消防署長の同意を得なければ、これを許可したり認可したり確認をしたりすることができないというようなことがあるわけであります。そこで、実際、じゃ一体、そういう同意を得るためのいろいろなこと、それから同意を与えるとか与えないとか、いろいろあると思いますが、そういうことがうまくいっておるというふうにごらんになるのかどうか。よく不法建築物とかなんとか言われるのでありますが、災害があったあとにそういうことが指摘されるのでありますが、単に不法建築というのは、宅地建物の面積とかなんとかいうことでなしに、防火、防災関係から言ってのそれもあることがまた指摘されておるようでありますから、そういうことからして、いま私申しましたように、こういう実際の仕事がうまくいっておるのかどうか、それをどうごらんになっているのか、これをひとつ。
  66. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 建築許可の際の同意は、先生もおっしゃいましたように、消防といたしましては、防火、防災上の見地から関与いたしておるわけでございます。  そこで、現実にうまくいっているかどうかということでございますが、全体として見ますと、うまくいっていると思うのでございます。ただ、御指摘のありましたように、違反建築物がいろいろあるようでございますが、まあ消防に同意を求めてまいりますのは、建築主管の行政庁に出ました、提出されたものが消防のほうに回ってくるわけでございますから、その限りにおきましては、消防の同意もうまく運用されておると思いまするが、いわゆる不法建築というものは、そもそも建築主管行政庁のほうに許可も受けていないというものでございまするので、したがって、また、消防といたしましては、それについては関与をしていない。事故が起こりましてから、あるいは不法建築であったり、したがって、また、消防のほうも知らなかった、こういうような実情でございます。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあなた方、実際の仕事にどこまでタッチしておられるのかどうかわかりませんから、こういうことをお聞きしていいかどうかあれですが、最近ですね、たとえば東京なら東京というところをとってみると、同意をしなかったというような事例なんかありますか、いかがですか、その点。
  68. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 東京の実際の数字、いま手元に持っておりませんが、かつて私も報告を受けたことがございますが、それによりますると、ごくまれに消防立場から同意をしなかった、あるいはまた、正式の同意をしない前に、これは同意できないということを建築主管の行政庁のほうに申し入れて、事実上そこで許可しなかったというたようなものが全体の中で、件数は忘れましたが、ごくわずかございます。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ、これはその許可とか認可とかいう手続を経ないで、したがって、消防のタッチする部面がないままに変な建物が建つというようなこと、これはまあ、いまのお話からもわかるわけですが、あり得ると思うのですが、それはまあ一応これはいずれ問題としなければならぬと思いますが、その同意を与える場合に――与える与えないという場合に、これはいま私ども問題にしている大きなビルとかなんとかいうことでないのだが、一般的な他の建物であって、地方においていわばめくら判を押すようなものだというようなことを聞かされることがあるのですが、そういうような事例があるということがありますか。地方の小さな団体、そういうところの消防署なんというようなところはですね、この許可あるいは認可を与える際の同意という、これにほんとうに専門的な知識を持ち的確な判断をすることができる、そういう人が全部いればいいのですがね、そうでない場合があるのではないかと思うのですが、そういう点について、何か皆さんのほうで検討されたことございませんか。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはまあ都市地域が主たる対象になるわけでございまして、都市地域におきましては、消防本部署がございまするので、消防本部署の中には、建築関係につきましても専門で所管しておるものもございまするしいたしまするので、全体としては、お話のように扱いに困るということはないと思っております。ただ、まあ団地域になりますというと、専門の消防職員もおりませんので、それは確かに御指摘のような点があると思いますが、ただ、団地域には、実際問題といたしまして、建築の許可の対象になって問題になるものが少ないわけでございまするから、実際上は、それほど支障もないようでございます。ただ、今後建築物がだんだんふえてまいりますと、これは建築主務行政庁のほうにおきましても、現在の職員ではなかなか目が行き届かないというようなことになりがちでございまするので、実はまあ昨年、建設省のほうからの要望もございまして、消防建築関係の行政機関とよくひとつ連絡をとって、不法建築物、特に私ども立場といたしますと、防火、防災上から危険なものにつきましては、事前に予防査察を励行するようにという指導はいたしておるわけでございます。
  71. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからいま一つ、いまできている建物に対する防火上の見地あるいは消防の見地から、いろいろ立ち入り検査ができたり、査察をしなければならぬということがきめられてありますが、これも現場のことでございますから、どういうふうに行なわれているかということを聞かれても、あるいは、ちょっと答えかねるかもしれませんが、こういう面でもう少し常時といいますか、適切に行なわれておれば防災の見地から有効であろうと思われるようなことが、しかし、あまりよく行なわれておらないというようなことがあるように思われるが、そういう点については、どういうふうにごらんになっておりますか。
  72. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そういう点は私どもも若干あるように思います。消防法の四条の規定に基づきまして、立ち入り検査権があるわけでございますが、これも消防職員の限られた数で相当多数の建築物を予防査察いたすわけでございますので、なかなか目が行き届かないということはあります。これは都市によりまして、相当綿密に計画を立てまして、予防査察を積極的にやっておりますところと、それから、それほど熱心にやっていないところとございますが、最近は私どももその点、指導をいたしておるわけでありますが、できるだけひとつ計画を立てて、そして危険な建築物について、なるべく適切な予防査察、それに基づいた指導を積極的にやるようにということを言うておるわけでございます。ただ、その予防査察をいたしました結果発見をいたしました事項の是正につきましては、これは消防法関係事項でありますれば、消防機関権限ですぐ是正措置がとれるわけでございますが、建築構造上の問題になりますると、これは建築行政機関のほうの手を通じて是正措置をとってもらわなければならないということになるわけでございまして、従来はその点、消防としていろいろ発見をいたしましても、十分是正ができないといううらみがあるわけでございますが、先ほど申しましたように、昨年、建設省のほうからも、ひとつ消防に協力をしてもらって、予防査察をやってもらって、気のついたところはどんどん連絡をしてくれ、それについては自分のほうからその予防措置をとるようにするからというお話がございましたので、その点はだんだん改善される、このように思っておる次第でございます。
  73. 鈴木壽

    鈴木壽君 その予防査察あるいは立ち入りで、半ば強制的みたいにして入るような場合、これはいつでもというわけにもいかぬかもしれぬけれども建築関係のほうのそういう人と、消防の人と一緒に見るという機会があってほしいと思うのですが、そういうことをいまのところ、別に一緒に歩けというなにもありません。消防消防のほうでやるということなんですが、そうすれば、私はかなり効果的なものになるだろうと思うのですが、そういう点についてどうでしょう。
  74. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そういうことができますれば、私もそれにこしたことはないと思いまするけれども、御承知のように、建築主事と申しますのは、非常に数が限られておりまして、全国で正式の建築主事というものが七百くらい、それから建築関係しております者を合わせましても、せいぜい二、三千人くらいのように聞いております。そこで、どうしても建築関係の職員が予防査察に同行して回るというようなことは実際上不可能なことのように思っております。
  75. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話を聞いていると、実際上不可能なようですが、私はそういうことがぜひ必要ではないかと思うので、ですから、これはいまの建築関係の法規から言っても、消防関係の法規からしても、別に一緒に歩かなければならぬというそれもなければ、そういう体制もない、何も規定の中にはないわけですね。けれども、ほんとうに効果のある予防査察が、単なる査察であったり、検査が単なる検査であったりすることでないようにするためには、もちろん、消防独自で処理できる問題もありますけれども建築関係に属するものについては、消防のほうで見てきて連絡してこうだというよりも、一緒に見てやっていくほうがいいというふうに、私しろうと考えでそう思うのですが、そういうことについて何か考えるところがないかと、こういうことなんです。
  76. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その歩きます場合には、常時建築関係の職員と消防関係の職員が一緒に回るということは、先ほど申しましたように、不可能のことと思いますが、現在、建設省のほうと連絡をとりまして一緒に地方のほうに通達も流しておりますのは、消防関係の職員が予防査察をいたしまして建築基準法上の違反事実を発見いたしました場合には、すぐに建築関係の行政機関のほうに通報をすると、そうして建築基準官署のほうでそれについての措置をとる、こういうことでありまして、そういう違反事実を発見いたしました場合には、そこのものについて建築関係の職員が行くと、一緒に行って、さらにそれを調査をすると、こういうことはやるように指導はいたしております。
  77. 鈴木壽

    鈴木壽君 特に防火対象物としてさっきもちょっとお話があったのですが、いわゆる防火対象物というようなものはそんなに数がたくさんあるわけでもなし、これはやる気になればできると思うのです。これはしかも、毎日そこへ行けということでもないのだから、建築関係の人たち、人員が少ないと言っても、特に注意しなければならない防火対象物、こういうものに対してだけでもできたらいいと思うのですが、というのは、防火対象物に対しては、一ついわば措置命令というものが出されるようになっておりますね。ですから、そういうこともありますから、その場合にやっぱり一緒に見るというようなことがあれば、うまく、かりに措置命令を出すにしても解決がたやすいのじゃないかと思うので、全部のものについては、もちろん、いまお話しのように不可能だとしましても、特別のこういうものに対する両者の査察あるいは検査等があっていいと思うのですが、いかがでございますか。
  78. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 予防査察は、いわゆる防火対象物だけじゃなくて、それに入っておりません普通の個人の住宅も予防査察の対象にいたしまして、消防署としては火の元の指導をして回っておるわけでございます。  それから、いまお話のありました防火対象物で特に措置命令を出すかどうか問題になるようなものにつきまして、これはごく少数でございましょうから、それらのものにつきましては、建築関係の職員と一緒に行って調査をすると、これはもちろん私も必要なことだと思いまするし、そのようなことは建設省のほうともよく連絡をとりましてそのような指導をいたしてまいりたいと思います。
  79. 鈴木壽

    鈴木壽君 しかし、いまの法律からしますと、かりに消防のほうから一緒に行って連絡する、あるいはお願いする、そういうことをしても、必ずしも建築主事なり関係者が行かなければいけないというようなことになっておりませんし、そういう面で、何かこれは考えなければいけないと思うのですが、それなしに、そういうことをしないでも、いまあなたのおっしゃったように、消防のほうから申し出なり連絡があれば一緒に行けるという、こういうことでしょうか。
  80. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 建築職員のほうは建築基準法の中で違反建築物について立ち入り検査もでき、また、それに基づきまして違反建築物に対する措置命令ができる規定がございまするので、建築関係の職員としては当然やらなければならない。しかし、建築関係の職員は、先ほど申しましたように、非常に数が少ないものですから、実際はなかなか目が届かない。また、そこで消防のほうは、御指摘のように、消防関係防火上の見地からだけではございまするが、立ち入り検査、あるいは、それに基づく措置命令の権限がございまするので、そこで両者がひとつ連携を密にいたしまして、協力をしていこう、かような話し合いをいたした次第でございます。
  81. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省のほう、いま長官との間に、これは全部お聞きになったかどうかわかりませんが、必要のある場合には、特に防火対象物に対する措置命令ということで第五条に規定がありますが、そういうような場合の防火対象物に対して、消防のほうからだけでなしに、建築関係のほうも一緒に見るというようなことがいいんじゃないだろうかと思って、それができるかできないかということでお尋ねをしておったときに、いまお聞きのように、建設省のほうと連絡してそういうことができるようにしたい、こういうお話がございましたが、そういう消防のほうから申し入れなり連絡があった場合には、それは限られた人数でなかなかたいへんでございましょうけれども、一緒に行ってもらいたいと思うんだが、そういうことについての皆さんのほうのこれからのお心がまえといいますか、それはどういうものでしょうか。
  82. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 私ども建築行政の面から見ましても、現地をよく知るということは一番大事なことでございます。そこで、私ども常によく現地を把握しようということは、建築基準関係の職員に対しまして督励をいたしておるわけでございますけれども、なかなか現在の状況では十分意を尽くしたというところまでいきかねておるのが実情でございまして、非常に残念でございますけれども、それでも私どもはそういう方向で強く推し進めております。したがいまして、消防のほうから特に一緒に行ってくれないかというお話がございましたときには、万難を排してでも行動をともにして、よく建築物を見るということが大事なことでございます。私どもも、できるだけそういう申し入れについては一緒に行動できるように、強く関係の特定行政庁等、指導してまいりたい。現に、また、私どもも違反対策といたしまして通牒いたしております中に、消防部局との緊密な連携を保ち、現地の検査の強化をはかるということを言っておりますが、通牒の中にございます緊密な連携ということは必ずしも一緒に行って、ということではございませんけれども趣旨はそういうことでございますので、できるだけ一緒に見れるような行政指導をとってまいりたい、かように考えております。
  83. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、いま申し上げておるのは、一般に災害予防とかいう予防的な立場において必要だということ、これが前提ですけれども、特に第五条は相当強い権限消防長または消防署長に与えておるんですね。――消防法の第五条です。しかも、それは防火対象物の改修、移転、除去等を含んでおるものだとすれば、これは単に消防だけだというわけにもいかぬほど、建築関係のそれに、より以上の関係になってきますから、そういうことも考えますと、やはり予防査察の場合、全部一緒に歩けなんということは言ってもできないでしょうから言わないことにしましても、特にこういう必要のある、注意しなきゃならぬ防火対象物という場合には、一緒にあるいは求められたら直ちに現場を見るということが必要だというふうに考えられますので、まあ、お尋ねをしておったところですから、ひとついまのお答えのように、今後必ずしも、あるいは場合によっては、いかなる場合でも申し入れがあったら直ちに一緒にということはできないかもわかりませんが、そういう態度を気持ちとしてはやっていただくように、ひとつぜひお願いしたいと思います。そういうことが行なわれておれば、災害の予防ということで、出てからじゃおそいので、出る前に、災害の出る前にいろいろ打つ手が現場を見ることによってあるのじゃないかと思いますし、そういう意味でお尋ねもしておりますし、また、実は要望もしたいところでございます。  次に、消防審議会の昨年十一月八日に出されました答申について若干お聞きしてみたいと思います。時間の関係もありますから、この全部について実はいろいろお尋ねしてみたいと思う点もありますけれども、少し急いでやってみます。  今度の消防法改正が幾つかあるその中で、この答申にある内容一つは、「可燃物の取扱い制限等」と、こうありますものの中の「調度品の不燃化及びカーテン、ブラインド等の防炎化」の問題、それから一つは、かなりあとのほうになりますが、「防災管理体制の強化」というところの①に関連した改正、こう二つの点がこの答申の中から取り上げられておると思いますが、そのとおりでございますか。
  84. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。なおまた、答申の字句そのままではございませんけれども、この答申の中で、いまの管理組織の次のところで、やはり防火管理者というものに対し、もっと「専門的な知識及び技能の充実をはかる。」と書いてございますが、全般として防火管理体制の強化をしろ、こういう趣旨が審議の過程でございましたので、その趣旨から防火管理者権原の拡張という点も規定をいたしたわけでございます。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、いまのもう一つの点は、この答申の(4)の②、必ずしもそのとおりじゃないのですが、防火管理者に対して、「火災予防に関する専門的な知識及び技能の充実をはかる。」ということをくんだと、こういうことでございますか。
  86. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 八条の二、今度の改正地下街の問題を取り上げて一つと、八条の三で、カーテンとか、そういうものの防炎化をはかると、こうまあ大きな点は二つだと思いますが、この答申の、その他まあたくさんありますね。その他たくさんありますが、今回のは、いま言った二点、あるいは、もう一つつけ加えると、もう一点ということになりますが、そういうことになるわけですが、その他の問題については、これは消防のほうとしてどうこれを受けとめておられるのかですね。
  88. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) まあ私どもといたしましては、この消防審議会の答申を全面的に尊重をして、これの実現をはかると、こういう方針でおるわけでございます。ただ、ここに書いてございます中には、一つは、法律事項ではございませんで、消防法関係の政令、省令で措置できることが非常に多いわけでございますので、それらは政令、省令の改正をいたしまして措置をすることにいたしたい、かように思っております。それからいま一つは、建設省のほうで建築基準法関係の法令を改正をしていただかなきゃならぬ事項がございまするので、これはまあ建設省のほうに申し入れをいたしまして御検討をいただいておるということでございます。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省関係のことは、じゃああとでお聞きしますが、この答申の(1)――このいただいておる答申のこの書面の三ページですが、(1)「可燃物の取扱い制限等」、そして①②③、(2)として「消防用設備等の設置基準の強化等」、まあ、こういうふうに幾つもありますが、いまのお話ですと、法律でしなきゃならぬものは、このうちの②の、さっきも言いましたけれども、「調度品の不燃化」云々という、これが八条の三になっている。その他は政令なり省令等で措置をしたいと、こう言うのですが、ひとつこれらの項目について、法律関係のことはわかりましたが、どれを政令でやるのか、省令でどういうことをやるのか、ちょっと簡単でいいんですから、たとえば(1)の①「超高層建築物」云々と、こうあるものについては、これは政令でやるとかというようなことをちょっと述べていただけませんか。
  90. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) じゃあ順次、いま現在のところ考えておりますことを申し上げますと、(1)の「可燃物の取扱い制限等」の①のところでございますが、これは実は、まあ政令改正あるいは法律改正ということを考えましたが、これは指導でやろうと、いますぐ法令による規制は適当でなかろうと、かように考えております。  それから②の後段は、先生のおっしゃいましたとおりでございますが、前段のほうでございますが、これも現時点におきましては、ひとつ指導でやってまいりたい。  それから③の火気使用の制限でございますが、これは市町村の火災予防条例というのがございますが、それを指導をいたしまして、その中に適当に挿入させるようにくふうしていこうと考えております。  それから(2)の「消防用設備等の設置基準の強化」でございますが、これは大体政令改正事項でございまして、①の火災報知設備基準整備、これは政令でいたしたいと思っております。それから煙式感知器の活用でございますが、煙式感知器そのものが、なお技術開発の段階にございますので、その部分につきましては、直ちに政令ということは――若干日にちはかかりはせぬかと思っております。  それから②の非常電源付放送設備基準あるいは誘導灯、誘導標識の様式の統一化、これはいずれも政令でいたしたいと思っております。  それから③のスプリンクラー設備基準整備でございますが、これは建築基準法関係とも関連がございまするので、建設省のほうと連絡をとりながらやりたいと思っておりますが、私ども関係は、これは政令で措置できると、かように思っております。  それから次の排煙設備、これも政令で措置をいたしたい。  それからあと⑤⑥⑦でございますが、いずれも設置基準は政令で検討をしてみたいと考えております。  次の(3)は、これは建築基準法関係でございます。なお、その中で建築基準法と関連して消防法の政令で規定をいたす必要のできるものも二、三出てこようかと思いますが、これは関連をいたしまして話し合いがつきましたところで措置をいたしたいと思っております。  それから「防災管理体制の強化」のところでございますが、①②は先ほど申し上げましたとおりでございます。特に②の防火管理者教育訓練あるいは資格等の問題にりきましては、午前中に御答弁申し上げましたような心持ちで検討をいたしたいと思っております。  それから③のところでございますが、これは指導でやってまいりたい。  次に(5)のところでございますが、ここに書いてございますことは必ずしも法令で措置をするということではございませんで、技術研究開発に属する事項でございまするので、それぞれ消防研究所等を中心といたしまして進めてまいりたいと、かように思っております。  それから(6)の「その他関連する事項」は、これは超高層、地下街のみに関係する事項ではございませんので、これはそれぞれ検討をしてみたいというふうに考えております。
  91. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省のほうへお伺いしますがね、この答申の中の(3)「建築物構造に対する規制等」、かなりの部面にわたっての答申がなされておるわけでありますが、これは主として建設省建築基準法なり施行令なりというものの関係になると思いますが、そこでいま、消防法のほうではわずか二つか三つでありますけれども、いま改正案を出しておるのだが、建設省のほうでは基準法なりの改正案なり、あるいは政令等の改正ということについて、どういう取り組みをしておられますか。その点ちょっと伺いたい。
  92. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 実は建築基準法改正につきましては、私ども建設大臣の諮問機関として建築審議会というものがございますが、建築審議会からも答申を得ておるわけでございます。ちょうど昨年の暮れでございますので、消防審議会が消防関係等に関しまして、私ども建築関係のものを含めて答申をいただいたのと、ほぼ相前後する時期でございますけれども消防審議会の答申につきましては、消防庁を通じまして、私ども、いろいろ御説明も承っておりますし、また、消防庁側からの貴重な御意見も承って、十分両者で協議検討いたしておりまするけれども建築審議会の答申もございますので、全般といたしましても、建築基準法をどのように改正をするかということを現在検討中でございます。これも前向きで検討中でございます。成案ができれば、建築基準法改正ということに持ってまいりたいというふうに考えておりますが、しかし、なかなか建築基準法改正ということは、現在いろいろな方面で問題になっております。たとえば都市計画的な問題もございますし、それから技術的な問題、防火避難という問題もございまして、多方面にわたっておりますので、なかなか成案を得るのにひまがかかっておるというのが実情でございます。しかし、前向きで検討いたしております。そこで、消防審議会のほうの御答申にございますこれらの項目につきましては、その趣旨とするところは、建築審議会の答申ともほぼ重複をいたしておるわけで、表現の、詳細であるか、あるいは大まかであるかという問題は別といたしまして、趣旨といたしましては、ほぼ重複をいたしておるわけでございまして、私どもといたしましても、消防審議会のこの具体的な御提案につきましては、それらの中に含めてもちろん検討を進めてまいりたい、かように考えております。そこで、具体的な消防審議会の御提案に対しましては、当然法律改正ということの中で組み入れられるものと、あるいはまた、法律改正によらなくても、現行の建築基準法の施行令の改正の中で見られるものと、二とおりあるわけでございます。しかし、私どもといたしますと、まず現在法律改正をどうするかという大きなワク組みと取っ組んでおるものでございますので、直接直ちに施行令を改正をしてどうこうという作業とはま正面から取り組んでおりませんけれども、しかし、当然政令として急いでやるべきものはできるだけ早く、その大きなワク組みの中で方向が一致しているものについては、十分それを取り入れるということで、施行令の改正とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上のように御了解を願いたいと思います。
  93. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話のように、建築審議会のほうの答申もありますし、それから、いま取り上げている消防審議会の答申と、こういうことでありますが、建設省建築基準法なりあるいは政令なりを改正するとすれば、単に消防審議会で答申したそのものだけで基準法なり政令の改正に取っ組めないということも、一応これは確かにあると思いますね。建築審議会の答申を見ますと、答申の一つの部分として、防火あるいは避難、そういうものの安全確保のためにどうするかということの答申です、全体の大きな答申の中の一部分として。消防のほうはもうストレートに、そちらのほうの立場からいろいろやっていますから、必ずしもそれを、答申を受けて法制化すると言っても、消防関係法律と違ったものがやはりあると思いますから、これはやむを得ないと思います。ただ、しかし、当然基準法なりあるいは政令で取り上げてもらわなければいけない急ぐものもあると思うのです。この中には。むしろ、具体的にこういうふうに消防審議会のほうで出した。これはもう頻発する災害といいますか火災、あるいは、それに伴ういろいろな災害ですね、そういうものの防止という立場から、できるだけ早くこういうことをしなければならないという、こういう精神のものだと思うのです。ですから、そういう点からして、いま申しましたように、簡単に基準法改正、しかも、それを消防に関してだけいますぐやるというようなことはちょっとむずかしいかとも思いますが、できたらひとつ、政令でやれるようなものであったら、政令で早く規制をするなり、義務づけるなり、何かのそれをやってほしいと、こういうふうに思うのですが、政令も、本則である基準法のいわば全面的な改正ということがありますから、そういうものが終わったあとでなければやらぬ、こう言うのでしょうか、その点どうです。
  94. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 当面急ぐ問題を政令で取り上げてやるという御指摘の方向につきましては、私どもも全くそのように考えているわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたのは、基準法の全面改正があったときに、実体規定としておかしくないことが一つと、それから法律、施行令の体系としてあとで、まあ、これは法律事務と申しますか、体系の問題ですが、そういうことに支障があるかないかというようなことも一応考えておきませんと、施行令のみを急いで改正するということはむずかしいので、まず全体のワク組みを見通してということを申し上げたわけでございます。そこで、そのように申しましても、実際問題として、消防審議会で御指摘のことが、あとで基準法改正あるいは基準法改正された後における施行令の実体規定等々と非常に反して、あるいは体系としてまずくて困るということは、まずまず私、ないように考えるわけでございます。そういう意味におきましては、できるだけ現在の建築基準法の施行令の改正現行法の施行令の改正、こういうことでできるだけのものと取っ組んで、できれば建築基準法の全面改正の前においても、政令の改正をやりたい。そうして消防審議会でもいろいろ御指摘なさっておりますような防火避難の問題等については万全を期してまいりたい。それからなお御指摘の点の中には、消防機関等との十分な連絡協調によってできる面もございますので、それはもちろん早々にも取り上げ、現在でもすでにやっておるわけでございますけれども、着実な実施をはかってまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、これは本法と無関係に、あるいはそれと違ったような方向で政令というものをつくられるわけでもなし、ですから、いろいろ本法の改正の何といいますか、構造、ワク組み、方向というものが一応定まらない限り、へたにいじるととはあとでまたいろんな問題が出てくるというようなこともありますから、それは確かにお話のようにわかりますが、しかし、そうでなくて、あなたのことばの中にもありましたが、将来、本法の改正をやりていく方向というものは、これは一応ある程度見えていますから、そう抵触しない形において施行令だけを手直しするということも一可能じゃないだろうか、こう思う点もあるわけなんですが、そういう点については何とかひとつ早くやってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。そこまでの検討はしていませんか。
  96. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 御質問の点につきましても、私ども現在鋭意検討中でございまして、それも前向きで検討いたしております。
  97. 鈴木壽

    鈴木壽君 この建築審議会の答申は、大体、消防審議会の答申の時期と同じくして、昨年十二月の十三日ですか、消防審議会の答申は十二月の六日ですね、消防のほうの審議会の答申の一週後にこれは出ておりますが、一昨年の十二月に中間報告が出ておりますね、建築審議会のほうから。その中には昨年の十二月の十三日に出た本答申に述べられてある防火上及び避難上の安全性に関する云々という、こういうことがより具体的に出ておるのですね。ですから、これは本答申と中間報告というものとの、これは扱いはいろいろあるでしょうし、一がいには言えません。ただ私言いたいことは、こういう問題については、十二月に行なわれた消防審議会あるいは建築審議会に、そこへ突如として出てきた問題ではなしに、建設省としてはすでに一昨年の十二月にこういう中間報告をなされているところから、当然私は検討されるべき問題であったろうと思う。そうして、昨年の暮れにたまたまより具体的なものが消防審議会のほうの答申に出てきた。あるいはまた基本的な問題についての正式な答申として建築審議会のほうからも答申が出された、こういういきさつがありますから、実はこういう問題に対する法改正なり、政令の改正なりということに注意して、もつと進んでおってもいいんじゃないだろうか。これから十分前向きでということは、そのとおりだと思いますけれども、もっと実際の作業というものが進んでおってもよかったんじゃないだろうか。もし建築基準法そのものに手をつけられないとすれば、せめて政令で可能な部分のところだけであってもと、こういうふうに私思うのでしてね、そうして一方、わずかに二点か三点でございますけれども、いま消防のほうではこういうものが改正されて、間もなく出てくる。できれば法律でなくても政令のほうの改正でも、時期をそろえて、この答申が生かされるような形に措置してもらえたら、うんとよかったと、こう思うのですがね。今度あれですか、これからの検討ということをここ一月とか二月とかいう間に、可能なものについては、政令の手直しをするというようなことも簡単にはこれは望めませんね。
  98. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 実は御指摘の中間報告ございまして、その中間報告に対する私どもの対処のしかたをいろいろ検討したわけでございますけれども建築基準法、現行の法律の施行令の改正でいけるものもかなりあるわけでございます。しかし、たまたまそこへ根拠法である建築基準法そのものの改正という問題が出てきたわけで、その中へ含まれて考えていくのが筋だということで、多少その辺手間どったわけでございます。実は私どもそれに対しまして便々としておったわけではございませんので、こまかな技術的な問題を申し上げるのは恐縮でございますけれども、たとえて申しますと、建築物の安全基準というようなものがどういうふうに規定されるべきであるかどうか、あるいは防災、排煙その他の問題につきましてどういうふうな規定にしたらいいのかということを詰めてまいりますと、いろいろな技術的に新しい問題にぶつかるわけでございます。そこで一昨年来、建築関係の団体、たとえば建築学会等総動員をお願いいたしまして、それから私ども建設省建築研究所ももちろん総動員をいたしまして、これらの新しい技術基準というものの詰めをいろいろやったのであります。いろいろ問題が多いときに何かのんびりなという御指摘もあろうかと思いますけれども、やはりそのくらい真剣に私ども取っ組みまして、ようやくそれらの技術的基準の見通しを今春になって得た。つまり、建築学会におきましても新しい防災基準という未知の分野を学術的に突き詰めていき、それがまた実際の技術にどう応用されていくかということを突き詰めていくということのようやく見通しが立ったのが今春の状況でございます。そこで、御指摘ございましたように、ここ一、二カ月で施行令の改正ができるかといわれますと、ちょっとむずかしいかと思いますけれども、一、二カ月と言わずに、ここ数カ月のうちに現在の建築基準法の中における施行令の改正で、できるだけのものを手当てをしていこうということは可能になってきたというふうに考えておる次第でございまして、そういう行き方で今後も前向きに検討し、詰めてまいりたい、かように考えております。
  99. 鈴木壽

    鈴木壽君 事情は大体わかりましたが、しかし、私なお残念だと思うんですね。今度の答申に基づいて、その中で消防法改正をやっていくというところがいろいろと出てきた。しかし、それが答申の中のある一部分だけであって、肝心の建築物構造なり設備の面で、それがいまの時点では、かりに消防法が通ったにしても、そういう部面のものは取り上げられておりませんから、ちんばなかっこうですよ。答申を受けて一方のほうではやったけれども、肝心のいろいろなところで何もそれがされない。あるいは規制なり義務づけがされておらないというところから、何かちんばなかっこうにならざるを得ないわけですね。たとえば、地下街の防災管理者の連絡なり統一なりというようなことにしましても、もっと地下街の使用の何といいますか、いろいろな規制がありますね、こういうものから、きちっとやはり直していかないことには、互いに連絡会議を持ったとか、計画を密にしてやったということだけではやっていけないと思うし、調度品の防炎化ということで、カーテンとか、ブラインドなんかについての規制がある。しかし、その他のいわゆる内装関係の建材なり、そういうものは一体どうするのか。カーテンはあまり燃えない、炎を出さないようなものができたけれども、ほかのものはというふうな問題が実はあるわけですね。ですから、何か生まれ出た子供が片足でしか歩けないというようなかっこうになるものですから、これはひとつ早く、いろいろ事情もお話がございましたけれども、政令の改正でやれるものだったら、これを早くやって、この防災のことに対しての効果的なそれができるように、ぜひ私は要望したいと思います。まあ何べんも言うように、どうも建築基準法の本元のそれを待っておったのでは、これはちょっといまの都市計画なり、都市再開発法なり、いろんな関係から、あるいは土地利用の問題から、いろいろこれはからんで、単にわれわれがふだん考えているように、建物そのものだけでなくなってきていますわね、今度の改正は。そういうところの要請から出てきているものだと思うのです。しかし、これと取り組んだ場合には、これは一月や二月でなかなかこれはたいへんですよ。あなた方いろいろ準備はなさっておられるでしょうけれども、それができないとすれば、これは来年になったって、はたしてこういうことがどこで生かされるのか、ちょっと私心配ですがね。最大限にひとつ急いでやれるものはやってしまう、こういうことで要望したいと思いますが、いかがです。
  100. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 御趣旨の線に沿いまして努力をしたい、かように考えております。また、建築基準法改正につきましても、基本的な問題もいろいろあるわけでございますが、たとえて申しますと、将来いろんな問題があります場合に、防火避難の問題だけについてどう対処していくかということも、当然考えられる改正の方向ではないかというふうに考えます。御趣旨の線に沿って努力をいたしたいと思います。
  101. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防庁のほうで、どうでしょう、いまお聞きになったようなことですが、これはあれですね、私いま申し上げたいことは、できるだけ早く、できれば建築基準法から、政令なり、そちらのほうへ及んでいくような作業を望みたいが、なかなかそう言ってもいられないようなお話ですから、それはともかくとして、早い機会にあなた方で十分話し合いをして、政令でやれるものは政令でやる、こういうふうにしてもらいたいという気持ちでいままでお話したんですが、お答えは、どうも一生懸命やる気持ちはそのとおりだけれども、いつどう出てくるか、ちょっと予想つきませんね、心配じゃないですか。
  102. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私も鈴木先生の先ほど来おっしゃられましたお気持ちと全く同感でございまして、地下街、超高層ビルに対する防災対策を進めてまいりますためには、消防法令の関係と、建築基準法令の関係が並行して改正がなされますことが最も望ましい姿だと存じております。いろいろ建設省のほうの御事情もあるようでございますが、まあ心配じゃありませんかというお尋ねでございますが、この政令で処置できる事項の中身につきましては、私どもの担当の課のほうにもいろいろ御連絡をいただいておりまして、お話し合いもいたしておりまするので、これがそう遠くない時期に改正がなされますことを、私どもとしても希望をいたしておりまするし、今後さらに建設省とよく御相談をしてまいりたいと、かように思っておりまいす
  103. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省のほうに、くどいようですけれども、この国会に何とかあなたのほうで、まあ政令ですから、国会にかける必要はないのですけれども、何かこういうようなものと消防法関係のこういうものと、足並みがそろうようなことで作業を進めてきておられますか。そうでもないのでしょうかね。どうでしょうね。
  104. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 方向といたしますと、全くよく連絡協議をして、同じ方向に向っているわけでございますけれども、時期的な問題といたしまして、ここ一、二カ月のうちに現行法の施行令の改正をやるということは、ちょっと技術的な詰めとして無理だというふうに考えております。しかし、まあそう遠くない時期において、できるだけ早く現行法下の施行令の改正を考えていきたいということを申し上げたのでございます。
  105. 鈴木壽

    鈴木壽君 やむを得ませんな、これは。建設の方、よろしゅうございますから、私は。  この答申の関係で、第八条の二でございますが、答申では、この八条の二に当たる部分ですね。これは(4)の「防災管理体制の強化」の①ですね。「一の地下街で数個の異なる管理系統を有するものにあっては、防災管理協議会及び防災統括管理者を設置し、統一的な防災管理を行なうよう指導するとともに、超高層建築物には、一定の階ごとに防災管理組織を設けるよう指導する。」と、こういうふうにありますが、ここで大事な点は、「防災管理協議会及び防災統括管理者を設置し、統一的な防災管理を行なうよう」ということだと思うのですね。ところが、今度の八条の二の改正の部分では、これはまあ何といいますか、管理についての「権原を有する者」、権原を有する者は何人か、幾つかあるのでしょうが、そういう者は、「前条第一項に規定する消防計画の作成その他の防火管理上必要な業務に関する事項のうち自治省令で定めるものを、協議して、定めておかなければならない。」、協議して定めておくということだけになって、だいぶ答申のねらうところから見ると内容がゆるやかになってきているように考えられますが、この点はいかがでございますか。
  106. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 答申の文句がそのまま法文になるわけではございませんので、この趣旨を生かすためにどのような法文化の作業をしたらいいかということにつきまして、いろいろ法制局とも相談をいたしたわけでございますが、協議会という一つの機関を法律規定するというととは適当でない、その実態を押えて、管理上必要な事項について協議をしておかなければいかぬ、こういう規定のしかたがいいというようなお話でございまして、御提案申し上げているような形にいたしたわけでございまして、決してこの答申の趣旨を後退させたというような考え方ではございません。  なお、ここに「防災統括管理者」ということも書いてございますが、これも結局、事実上は防災管理協議会というような名称のものができることになると思いますし、指導といたしましては、この法律に書いてございまする協議をいたしまするものは協議会ということにして指導いたしたいと思いますし、その中で会長と申しますか、そういうものができるわけでございますから、それが答申でいう「防災統括管理者」というように了解をしておるわけでございます。まあ要は管理系統がばらばらになっておりますものを一つの統一的な防火管理を行なえる体制をつくろうという趣旨でございまするから、その趣旨からいたしますれば、これでよろしいのではなかろうか、かように思っておるわけでございます。
  107. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も防災管理協議会とか、あるいは総括管理者とかいうものにはこだわっておりませんが、名前はどうあっても。ただしかし、ここで統一的な防災管理が行なわれるかどうかということ、それが問題だと思うのです。ところが今度の改正案では、協議して定めておく、計画等についてですよ。計画の作成、その他必要なものの自治省令で定めるもの、これはどういうものかわかりませんが、「協議して、定めておかなければならない。」ということだけしか、ここからでは読めないと思うのですよ。統一的にいわゆと管理するという立場からすれば、それは話し合いをして、協議をして、連絡をとって、いわゆる計画作成なりその他必要なことをやっておくということは、これはそれに近づくことかもしれませんけれども、必ずしもそれが統一的な防火管理体制ということではないわけですね。そういう点から、ここにある条文からだけでは弱いのじゃないか、どういうように思うのですがね。  それから名前は、私は何も答申にあるように、管理協議会でなくとも、あるいはまた総括管理者なんというしゃっちこばった名前をつけなくとも、いずれにしてもどっかで中心になる、管理者で権原を持っているものが幾つもあるわけでありますから、それの中心になるものがなければいけない、この場合、そこから出てきますか。協議して定めておかなければならないという、そのことから。
  108. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この協議の内容として考えておりますのは、たとえば火災が発生いたしました場合に、どういうふうな通報をし合うか、あるいは避難経路はどんなふうに考えるか、また消防訓練を統一的にどんなふうな要領で実施をしていこうかというようなことを、この消防計画の作成とともに自治省令で定めるようにいたしたいと考えておるわけでございますが、そういう共同の統一的な行動のルールを協議をいたしておきまするならば、おのずからそこで統一的な防火管理体制をつくることができることになろうかと思っておるわけでございます。しかも、それも所轄の消防長消防署長に届け出をさせることにいたしておりまするから、消防長あるいは消防署長におきましては、その内容検討いたしまして、適切でないものがあれば、これを改善をさせるように指導をしていくというようなことで、私はこれでもって統一的な防火管理の実際一番大事な部分がこの規定によって形成されるものと、かように考えておるわけでございます。
  109. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは私いままでのそれから思うのですけれども、よく協議してとか、計画をつくるときに一緒にどうかといって、確かに計画そのものやいろいろなことの取りきめには、協議によってうまくいくことが可能だと思うのですが、しかし、これはもう単なる協議でものごとをきめたとかきめてくださいとかいうことだけじゃなしに、防火管理上の責任を負うような一つの柱がほしいということなんですね。これはそう思うのですね、私は答申の趣旨は。ですから、これからの皆さんのほうの指導で、こういう協議の中からそういうものが生まれてくるのかもしれませんけれども、ただここの条文からだけでは、そういう一本の何といいますか、柱になるそれというものは出てこないのじゃないだろうかと、こういうふうな私心配を持つわけですよね。そういうことから、もう少しこれははっきり答申のそれを生かすために、名前はともかくとして、統一的な防災管理を行なう、そういうものがこの中から生まれてこなければならぬと思う。そういう点では、ちょっとそれからしたのでは足りないのじゃないかと、こう思うのですが、どうでしょう。それはやはり心配ないでしょうか。
  110. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生の御心配になります点もごもっともな点だと思いますが、それは私、これは法律規定の問題と申しますよりも、むしろこの規定の運用よろしきを得るかどうかという問題ではなかろうかと思います。事実上は、やはりこの協議会というものにむろんなると思いまするし、そこで、先ほど申しましたような統一的な行動の基本になることをお互いに相談をしてきめ、そうして所轄の消防長消防署長に届け出ておいて、そうして実際はそれに基づいてしばしば実際の訓練をやっていく、また不備な点はお互いに相談をして改善をしていくというようなことで、これが統一的な防火管理体制の役割りを果たすように、これは今後の運用によっていくべきであると思いまするし、その運用につきましての指導につきましては、十分私どももこれは考えていかなければならない御注意であると、かように思います。
  111. 鈴木壽

    鈴木壽君 この場合、地下街で店舗がたくさんあったり、事務所があったり、いろいろなものがありますわね、そして、それぞれの店舗なり、あるいは事務所なりの区域ごとにそれぞれの責任のあるだれかが管理者となっていなければいけませんね。これは責任者がなければいけません。しかし、それだけでは、てんでんばらばらであったんではいけないから、だれかまあ、名前は少し適当でないかもしれませんが、それらのものの中から全体を守るため、自分のところだけでなしに全体を守るための指揮官みたいなものが必要だということがこの答申の①、それがねらっているところじゃないですか。だから、それを取り入れるべきであるとしたならば、そういうものが出るようなやはり条文の書き方というものは私はあると思う。ただ、「協議して、定めておかなければならない。」というようなことからは、すぐそういうものが出てくるのだというふうにはちょっと思えないですからね。もう少しこう答申の趣旨に合うような、名前はともかく、実体においてそういうものができるような書き方が私あるんじゃないかと思うんですがね、それはどうですか。
  112. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点は、私も先生のおっしゃる御心配の点がよくわかるように思います。結局、まあいざというときには指揮官と申しますか、そのもとに迅速に適切な措置がとられなければならないわけでございまするから、だれか号令をかけていくようなものが、しっかりした中心というものがはっきりしておるということがぜひ必要だろうと思います。しかし、それは法律でそういうことを書かなければできないということではございませんで、この協議の内容なり、この協議会の運用によりまして、どういう場合にはどうする、あるいはまたそれがこの統括管理者という、答申でうたっておりますものに相当いたしますものが、一定のものが、お互いの協議の中で最もそこの施設において適任であるものがなる場合もございましょうし、また、あるいは適当に交代してその任に当たるというようなこともあろうかと思いますが、まあ私は協議の内容でそういう責任者をだれにして、その人にどの程度統括の責任を持たしていくか、その辺もそこの地域、地域の実情に応じて、所轄の消防長消防署長指導をしながら、この運用によってここをうまくやっていくというのがいいんじゃなかろうか、法律で書いていたからできるというわけのものでもないんじゃなかろうかと、こんなふうに考えておるわけでございます。
  113. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた少しおかしいですよ。ここにこう書いてあれば差しつかえないでしょう。八条の二のところで、いま、「協議して、定めておかなければならない。」という、そこを協議して定めるとともに、防災統括管理者を設置しなければならぬというようなことを一つ書いておくことが一番はっきりしていいんじゃないですか。それがなくてもやれるのだということも言えるかもしれぬが、それがはっきり出るように法文化する必要があるのじゃないかと、私はこう言うのです。そこで、だれがいいとか、だれが適任者であるとかいうことは、これはもちろん協議の中に入ることであって、こちらで一方的に統括管理者というものを指名するわけでもありませんし、ですから答申の趣旨はあくまでも一体化した、その統一的な防災管理者というものがなければならぬということなんで、そういう趣旨を生かすとすれば、表現のしかたはいろいろあるかもしれませんけれども、それがやはりここに出ていなければいけないのじゃないかというのが、そもそもの私の気持ちなんですがね。
  114. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいますのも、あるいは一つの御案かと思いますが、ただ、これはいろいろ立法技術上の問題もあろうかと思いますので、まあ私断定的には申し上げかねますけれども、ただ、この統括管理者というようなものを法文に書きますると、一体その統括管理者はどういうものを充てなければいかぬとか、あるいはまたそれがどういう権原を持たなければいかぬとかというようなことを、これは法律事項としてはいろいろ書かなければならぬというようなことになりまするし、やはりこれはある程度弾力的にその地下街なり高層ビルなりの実情に応じて運用できるようにしておくほうがいいのじゃなかろうか、かように思っているわけでございます。
  115. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは答申をする側は、法律的にどうのこうのというようなこともありますが、答申する場合に、こういうことの答申がこのとおりに表現可能かというようなこと、あるいは問題がないかというようなこと、これはやはり一応答申をする立場から検討することが普通だと思うのですが、何でもかんでも言いたいことを言うというようなことでなしに、はたしてこれが答申がどう受けとめられるかというようなことを考える場合には、当然、法的に疑義はないのか、大げさに言いますと、よく憲法上の疑義があるとかないとかといろいろなことがありますが、そういうことを踏まえたものではないでしょうかね。ですから、もし防災管理者、名前は統括責任者でも管理者でもどうでもいいが、そこでたとえば、それの資格をどうするのかというような問題も、これは法律的にぴしっと解決されなければいけないと思いますが、しかし、必ずしもいま防火管理者に対しての資格なり、何と言いますか、能力といいますか、そういうようなものについて規定をしている、そういうものと同じようにこの場合考えなくても、いわば協議会のそういうようなことからすればいいのじゃなかろうかというような、少しルーズな考え方かもしれませんが、あると思うのです。まあいいです。この点はやめましょう。幾ら言ってみてもあれだからやめましょう。やめましょうが、いかにもやっぱり弱い感じですね。「協議して、定めておかなければならない。」、答申を受け入れた、趣旨を取り入れたとは言えなくなってくるわけだ。これはこんなことだったら何も法文化しなくても、いわゆる指導でいいんだな、これは。法律改正をして統一的な管理体制をつくらせるというような場合だったら、やっぱりそれにふさわしいようにぴちっときめるものはきめていかなければいけないと思うが、これでは、実際は行なわれるかもしれませんけれども、しかし、また、法に基づく権原なり、そういうものが何もないようになってしまうようにできているのですね。ちょっと私はそういう意味からいって残念なところがありますが、まあしかし、この点ほきょうはまずこの程度にしておきます。私も少し考えてみましょう。  それから八条の三の改正ですが、防火対象物、「高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用するどん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものは、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。」、これは政令がたくさん出てくるわけなんですが、初めの「旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において」のそこの「政令で定める」というやつは、現在定められてある、政令によってやっておる防火対象物であるのか。さらに新たに防火対象物として何か持ってくるつもりなのか。それから、「どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるもの」、との政令の内容はどういうものか、予定をしておるものですね。それから、「政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。」、この場合で、政令で定める基準、こういう基準というものがいまできておるのかどうか。こういう点でちょっと御説明を願います。
  116. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 最初の政令でございますが、これはこの規定趣旨等考えまして、現在考えておりまするのは、たとえば演芸場、集会場、あるいは老人福祉施設とか、児童福祉施設というように多数の者が出入りするような防火対象物、あるいは避難能力の劣る者を収容しているような防火対象物、そういうものを考えております。それから二番目の政令でございますが、これは舞台にあります幕でありますとか、あるいは大道具、小道具といったようなものでありますとか、工事用のシートでありますとか、そんなようなものを考えております。  三番目の政令につきましては予防課長から御説明申し上げます。
  117. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと、予防課長の前に。初めの政令で定める防火対象物の政令ですね。これはいま政令で防火対象物はこうこうこういうものだというのがありますね。それそのままのをいっておるのか、あるいは別にいまの政令で定めておる防火対象物とされるもの以外に、いまの政令以外のもので新たにこれが防火対象物だと、こういうふうな指定をするのか、その点はいかがでございますか。
  118. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在、別表第一で定めておりまする防火対象物の中から、先ほど申しましたような多数の者が出入りをするものでございますとか、あるいは避難能力の劣る者を収容しているような防火対象物でございますとか、そういうものだけを抜き出して指定をいたしたい。したがいまして、現在の別表第一で申しますと、(一)から(六)あたりまでのものが大体それに該当しようかと思います。
  119. 鈴木壽

    鈴木壽君 何かこの八条の三の場合の書き方から見ますと、なるほど、「劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める」と、こうあるのだが、いまの政令では、劇場も、キャバレー、旅館、病院なんかも、防火対象物としてきめられていますね。だから、お尋ねしたのは、こういうもの、キャバレーとか、旅館、病院、劇場というもののほかに、新たに今度政令でまた何か防火対象物というものをやるのかどうかと、こういうふうに思ったわけですがね。そうしますと、いまの防火対象物にされておるそういうものの中から、別表でありますが、その中からいまおっしゃったようなものを、さらに抜き出すといったらいいか、拾い上げてこの第八条の三の「政令で定める」という、この政令の防火対象物にすると、こういうことでございますね。
  120. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 わかりました。じゃ課長から、防災性能について。
  122. 高田勇

    説明員高田勇君) 「政令で定める基準以上の防災性能を有するものでなければならない。」、この場合の政令でございますが、これは試験基準を定めます政令でございまして、「防災性能を有するもの」といった場合に、これは一つはもうメーカーの段階で防災性を有しているものがあるわけでございます。それからメーカーの段階で不燃性のものもあるわけでございます。不燃性のものとか、難燃性のものがすでにあるわけでございます。もう一つは、すでにメーカーの段階を出ますときは、可燃性だ、したがって、薬剤によってあとから処理をしなければ、防災性能が保有できない、こういう種類のものがあるわけでございます。そういうものを含めまして、防災性というものについて一定の基準を設けまして、それ以上の試験基準に合格したものは、これは防災性能があるのだ、こういう認定をするための試験の基準をつくろうとするわけでございます。で、その試験の基準につきましては、布でございますと、薄手、厚手、それから工事用シートとか、あるいは合板とか、こういった種類に分かれまして試験の基準があるわけでございます。このうちすでに厚手とか、工事用シート、合板につきましては、すでにJISでやっているJISの二一五〇という基準がございます。この基準が一部ございますので、それを参照あるいは尊重しつつこれをつくってまいりたいということから、薄手につきましては、さらにあらためてこれをつくってまいりたいということでございまして、お尋ねのように、すでにそれがもう全部についてあるのかということになりますと、いま申し上げました形になっておりますので、今後この政令の試験基準をつくってまいりたいということでございます。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば消防研究所とか、どっかでもちろん検定したり、研究したりしておるのでしょうね。この基準をつくるための試験。
  124. 高田勇

    説明員高田勇君) 研究はもうすでに消防研究所のほうで長い間やっております。それで、一定のいま考えられておりますやり方といたしましては、一つの布片を、一がいに言えませんけれども、平均的なことを申しますと、二十センチ、二十五センチ、三十五センチくらいの面積の布片をとりまして、それを四十五度傾けて、下からLPGの炎を当てて、一定の時間の燃焼度、あるいは炭化の面積というものによって、これが防炎性能があるかないかということで、何級ある、一級あるか、二級あるか、こういうふうなクラスづけをするような試験方法になろうかと思います。その辺の研究は、すでに消防研究所のほうで長年にわたってやっておるわけでございます。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に、基準のことはまあいいですが、実際にこれは製造、販売、そしてまあこういう装置といいますか、いずれいろいろな段階がありますね。これが基準以上のものであるのかないのかというようなことをどこの段階で押えますか。
  126. 高田勇

    説明員高田勇君) 先ほど申し上げましたように、もうすでにメーカーの段階でできているものと、メーカーの段階では可燃性であるからあとで処理すると、こういう二つあるわけでございます。したがって、メーカーの段階において処理されて、もうすでに防炎性能というものがあるものにつきましては、全国的に、いま私どもの傘下と申しますか、この団体に入っております日本防災協議会というのがございます。そこには化繊協会とか、紡績協会とかいう、そういうメーカーの団体が入っております。したがって、そういったメーカーの団体の総合団体であります防炎協議会というのがございますので、そこでもって一応メーカーの段階では、こういう品物については、もうすでに研究所で検定、防炎性能が一定基準以上あるというものにつきましては、全部その基準でもって、メーカー段階でラベルをつけるということで出そうかと、こういうふうに考えております。それから可燃性のものであってあとで処理しなければならないというものにつきましては、消防検定協会という協会がございまして、それで消防検定協会で薬剤、塗り方、処理のしかたというものの組み合わせによりまして、この薬剤でこの処理をした場合においてはこういう効果があるのだということを、ものに即して試験をやりまして、それでもってそれをどんどんものによって告示をしていく。その告示のやり方によって、全国にクリーニング協会というものが、この日本防炎協議会の傘下にございますので、そこでもって消防機関と、それからそのクリーニング協会のほうにその検定協会でやりました基準というものを、もうすでに通知いたしておきまして、そのやり方によってやったものについて合格ということにして、これは日本防炎協議会のラベルを張らして、そしてそれを終わったものは、こういう対象物に張った場合に、消防機関が調査に行きました場合には、いつ何日、どういう方法で処理をしたということがわかりますので、そういったものを見ながらこれをチェックしていこう、こういうふうにいたそうと考えております。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはなかなかむずかしいね。むずかしいですよ、実際。あなたのおっしゃることを聞いていて、どの段階でどうだとおっしゃっていますが、それですね、何かマークみたいなものをするとしても、なかなかこれは、たとえばいまの毛織物に対してマークをつけて一〇〇%とかいっても、いろいろなものがまじっておるといいますかね、特にカーテンとかどんちょうとかいう、何といいますか、大きさ、普通の反物の生地なんかと比べて、大きなものの全部が一体どうなっているのかというようなことになってくると、ちょっとしたいわゆるチェックのしかたではなかなかこれはむずかしいですよね。そうすると、そういうマークなり検定を経たものでなければ使わせない、使えない。むずかしいね、これは。実効がはたしてどうなのかという点があるのですが、心配ありませんか。
  128. 高田勇

    説明員高田勇君) 確かに御指摘のように、現在の段階でこれが施行になると同時に、完全にそれが確実に履行されるかという問題になりますと、なかなかむずかしい問題もあろうかと思います。しかし、それを持ちます一番大きなポイントというのは、業界の整備だろうと思います。業界と申しますか、日本防炎協議会の全国的な組織の整備だろうと思います。したがって、この整備というものを一日も早く整備することを私どもはかねてやってまいったわでございます。その中に、先ほど申しました化繊協会とか、紡績協会というものが入ってまいる、これは前から入っておりますが、これはいわゆる繊維製品のメーカーとしては全部入っている協会でございます。それにクリーニング協会、これはクリーナーズ協会と申しておりますが、このクリーナーズ協会というものが一昨年入ったわけでございます。それが全国的な組織網を持っておりますので、そこで処理をしたものについてはチェックができる、処理もできるし、それから現地にある消防機関がこのクリーナーズ協会の傘下のクリーニング店と一緒になってチェックができるという体制ができましたので、私どもはこれた踏み切ったわけでございます。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 こういうことが必要だということは、私もそういうことを前提にして、ただ、とはいいながら、心配はないかという点ですわね。こんなことをしても役に立たないぞという意味ではなしに、どっかの大きな建物で、たとえば防火対象物に指定されたもの、あるいは高層建築物等、劇場でもいいわ、できたときに、やっぱり検査なり何かしなければいけないでしょう。するでしょう、当然。そういうのは簡単に基準以上の防炎性能を持っておるものであるというように確認できる方法というものはありますか。
  130. 高田勇

    説明員高田勇君) 現在の段階では、先ほど申しました、いま考えております試験基準によりますと、片々を若干とってそれでもって試験をするという方法がいま講じられようとしておるわけであります。ただし、御指摘のように、すでにかかっているものについて、これを片々をとってやるということは非常にむずかしい問題だと思います。したがって、それらについていまの段階では、この点が片々をとらないでできる方法というものは将来大いに研究すべきだということは、一つの大きな研究課題として残っておると思います。しかし、現在の段階ではそういうことがいま考えられておりますので、それについては片々をとらないでもチェックできる方法というものはないだろうかということを考えて、それで先ほど申しましたように、消防機関が、一応クリーナーズ協会傘下のクリーニング店が処理したといった場合には、それがクリーナーズ協会の傘下のものでありますので、一定の処理方法、一定の薬剤というものを知っておりますので、それによってどこのクリーニング店が処理したということの証明を、特定の劇場なら劇場に交付するわけでございます。それによって、いつ、どこの店で処理したということがわかりますので、それを消防機関も一緒にチェックするわけでございます。現地査察に行ったときに、その証明書によってチェックする。それと同時に、クリーナーズ協会の処理施設についても消防機関はチェックしていこうということで、現在はその完補をはかっていこうということで再処理のものについては考えておるわけでございます。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 こういうことになりますと、結局あなたもおっしゃるように、協会なりメーカーなりの何といいますか、良識に期待するしかないというようなかっこうですわね。しかし、ずるいことを考えれば、こういう協会とか何とかというものがあっても、これは幾らでもやれますわね。ですから、あくまでもそういう人たちのその良識なり、それに期待をするしかいまのところはないかもしれません。ないかもしれませんが、しかし、最後はやっぱりそこに装置されたもの、ちゃんと備えつけられたものに対するそれがないと安心はできないと思うんですよ。そうなると、そのいろんな検査の方法があると思いますが、縦何メートル、横何十メートルというでかいやつ全部にわたって、はたしてどうなのかということになると、なかなかこれはまた検査のしかただってむずかしくなるし、ちょっと一部分のやつをとってうまく全般を推しはかるというようなものがあればともかく、さればといって、それでも織物とか何かの関係であれば、そこだけとってみて、あと全部心配ないんだともこれは言えない。これはむずかしいですよね。
  132. 高田勇

    説明員高田勇君) ただいま御指摘の点は、劇場等におけるどんちょうのたぐいのことかと存じますが、この点につきましては、どんちょう等につきましては、あとから処理するという実際のケースはないと思います。実際はどんちょう等につきましては、もうすでに織りの段階でもって防炎処理をしているというのが現状でございます。大体どんちょう等につきましては、もっとも東京都内ではすでに東京都の火災予防条例等で実施している部分もございますので、都内ではもうこの点については実施がすでに進行いたしておるものでございます。したがって、都内の劇場等におきましては、もうすでにどんちょう等では防炎処理は糸の段階において処理されているものがかかっているというのが現状でございます。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、そうしますと、今度この法ができてからこの八条の三の適用は新しくできるものについてのみなされるのか、あるいはすでに何年も前からできている劇場とか、まあいろいろこの防火対象物、その中にあるそれにも及ぶのか、その点はどうですか。
  134. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それらは附則の第二項にございますが、現に使用中のものについては適用しないということにいたしております。
  135. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすればまたずいぶんあれですね、片手落ちですわね。これは新しくできるものはいいかもしらぬけれども、すでに使っているものはさっぱりその効果の点で、これはいろいろ取りかえるとか何とか、あるいはその防炎のための処理なんかに経費もかかり、たいへんだろうとは思うが、この効果の点になるとどうもきわめて狭い範囲のものにしか発揮されないということになりますね、その点はどうですか。
  136. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点は実際聞いてみますと、この対象になります物品は大体一、二年、長いものでも三年くらいで更新しなければならないものというのが大部分のようでございますので、かような経過規定をおくことにいたしたわけであります。
  137. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官、そのお答えはちょっとどうかな。たとえばそう簡単に劇場どんちょうとか、カーテンというものは、そうしょっちゅう二、三年でかえるものではない、昔からのやつを、行ってごらんなさい、十年、十五年前からのものを新しくできたものと同じようにやっているでしょう、防炎処理がしてあるかどうかは別にして。そうひんぱんにいいものになればなるほど取りかえませんよ。そういうことのためにというようなことでは、ちょっとこれはおかしいですよ。これは単なる薄っぺらなカーテンとか、簡単な衣装程度のものならそう言えると思いますが、いわゆるどんちょうとか、いいものになると、そう二、三年で更新するなんということはあり得ないね。だから、この法律ができれば二、三年で更新する、その更新する際に新らしくなるのだからというようなことではちょっとおかしいね。更新毛義務づければ別ですが、そうでなければ――。確かにこれは私が言うように、いままである建物の、これは防火対象物において使用するどんちょうとか、カーテンとか、これを一挙に取りかえるということになるとたいへんじゃないかと思います、経費の面からいって。あるいはいまのこういう場合の防炎の性能を持たせるための処理の方法からいっても、なかなかすぐにはできないということがあるかもしれません。何百万円、何十万円という金をかけたどんちょうをすぐ取りかえなければならぬというようなこと、取りかえるというか、何かの処理をしなければならないということになると、なかなか経費その他の面からいってたいへんだと思います。そういうことのために目をつぶるのかと思っておったのですが、長官の言うように、二、三年で更新するからということになると、ちょっとおかしいと思いますね。
  138. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この経過規定を置きました主たる理由は、経済的な負担を考慮いたしたわけでございますが、ただ経済的な負担を考慮いたしますために防火上のせっかくの規定が長い間生かされないということになっては困りますので、その関係もいろいろ検討いたしたわけでございますが、まあどんちょうも大蔵省できめております耐用年数は三年ということになっているそうでございまして、都内の劇場等の実情も聞いてみますというと、大体三年ぐらいするとスポンサーがついてかわっている、そんな古いものを使っているとお客さんが集まらないというようなことを言っているわけでありまして、彼此勘案してこういうふうな経過規定にいたしたのであります。
  139. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  140. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記を起こして。
  141. 鈴木壽

    鈴木壽君 もう一つだけ。  これは消防のあなた方の立場からは何ともいまのところできないと思うのですが、けさの委員会での松本さんのお話の中にもありましたが、最近のビル火災新建材ですね、これに煙、特にガス発生が最近だいぶ取り上げられて問題になっているわけなんですが、これがやはり建築基準法なり、そちらのほうで何とかの手当てをする以外には規制なんということは不可能だと思うのですね。この点、どうです。
  142. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは正直申しまして、消防法改正で、もしできるものでございますれば、私もやってみたいということでいろいろ検討もしてみたのでございますが、やはり現在、建築基準法の中に書いてございます建築用の材料ということになるわけでございますので、残念でございますが、建築基準法改正を待ちたいということで、その意見は建設省にも連絡し、建設省当局も次の改正の機会には十分考えていきたいということで現在検討されているように伺います。
  143. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、さっき建設省の人に聞いたら、いつできるかわからぬですわな。それと、また最近の建物の中には非常にこういういわゆる新建材といわれる、問題になっているそういうものが使用されるのが多くなってきていますね。多くというより、ほとんど新しいものはそうなってきていますね。また、ビル火災があった際に、またこれだ、これだというようなことになるのですね。何か手がないものですかな。これは建築基準法――やはり建築物だな、構造上の問題だから。やはりカーテンとか何とかみたいにはいきませんね。いまのところ方法ないものですから、このままで、まず、いくしかない。いわば野放しというかつこうだ。ひとえに建築主ですな、そっちのほうの、何といいますか、こういうものを使ってもらいたくない、そういうことにうまくこたえてくれるかどうかにかかってきますね。これは困ったものだね、いまの耐火建築、やはり大きなしりが抜けているものね。というのは、いわゆる構造、本体あるいは外壁というものはいかにも耐火であり耐震であり、そういう面では心配ないようにできておる。したがって、外からなんです。たとえば火災の場合でいえば、外からのものだったら安心ですね、窓も少ないし、ところが中でのやつに対するそれが手が抜かれているというか、あるいは不十分な、そういうふうなために、ほんとうの意味での耐火になっていないのですね。骨組み、建物そのものは心配ないけれども、中に一ぱい燃えるものがあり、燃えることによって出るガスが有毒なものになるというのがいまの状態です。これはいつまで言っておってもしようがありませんが、さっきも建設省の人に、できるだけ早くと、こう言いましたけれども消防庁のほうからも政令等によって処理できるものだとすれば、その日が一日も早いように、強く早くいってもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。でないと、またたいへんなことが出てきますよ。
  144. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点全く同感でございまするので、強く向こうに要請をいたしまして努力をいたしたいと思います。
  145. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから長官にひとつ考え方を聞いておきたいことがあります。消防組織法関係ですが、消防組織法の二十六条の二の改正案で、市町村の消防職員消防団員の訓練機関というものが今度なくなりますね。
  146. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 消防学校とそれから消防職員及び消防団員の訓練機関、この二つの用例が、消防組織法の中に教育機関もあるわけでございますが、消防学校は都道府県が設置いたしますものを消防学校と呼び、市町村が設置いたしますものを訓練機関と、こう呼んでおるわけでございますが、今回、消防職員消防団員の教養訓練の充実をいたしたい。そこで、消防学校の教育内容の水準を引き上げることにいたしたい、かように考えまして、現在、訓練機関として市町村が持っておりますのは大都市だけでございますので、その大都市の持っておりまする訓練機関も消防学校ということに包含いたしまして、そうしてその消防学校消防庁の定める基準を確保するようにしなければいかぬ、かような形で条文の字句の整理をいたしたわけでございます。しかし、法令上の訓練機関でなく、事実上各職場において職員や団員の教育訓練をやる、これはあたりまえのことでございますから、それはむろん否定できるわけじゃございませんし、多々ますます弁ずる、かように考えておるわけでございます。
  147. 鈴木壽

    鈴木壽君 四条関係、九条関係で、市町村における消防職員及び消防団員の訓練機関というものは今度消されてしまいましたが、いま御説明ありましたのですが、消防職員及び消防団員の訓練機関として、市町村が必ず行なわなければならない消防事務の一つとしてこれは法定されたものなわけですね。それにはそれなりの理由があり、市町村といえども自分のところの消防職員あるいは消防団員の訓練が必要であり、そのための形はいろいろあるでしょうが、訓練機関というものがなければならぬと、こういうことであったと思うのです。自分たちの団員、職員、それを自分たちの組織の中でのそれを教育の場としたそういうものがなければならぬという、これは当然のことだと思うのですね。したがって、これは現在になってもそういう必要性なり当然性というものは失われておらないのだよな。かりに県の段階で消防学校ができ、あるいはまた、さらにその上に消防大学というようなものもできて、それは教育訓練をする場がありますけれども、それはしかし、自治体それ自体の責任でやることとは違った形において行なわれるそれなんですよね。ですから、なぜ必要性があるそういうものを今度やめてしまって、こっちのほうでやるのだとか、あるいは自主的にやるのは幾らやっても多々ますます弁ずとか、こういうことでこういうものごとを考えていいかどうかということについて、私はあなたの御説明なり答弁というのは非常に不満だな。確かにいまの形では市町村にりっぱな訓練機関を持てとか、常時訓練をやってなんということはなかなかこれはたいへんなことです。いまのそういう市町村の団体の力ではなかなかこれはできがたいけれども、しかし、必要性は私はあると思う。必要性は私はなくなっているとは思わない。ますます最近になっては必要性がある。しかし、現実にはやれない。したがって、あなたたち考えなきゃならぬことは、必要性があるのだけれども、現実には力が足りなくて、不足でやれないものを一体どうやったらやれるようにしてやるのかというのがあなた方の考えであり、任務でなければいけないのだな。何か必要と認める制度をつくって、うまくいかない、これはやめてしまえと、これでは私はとるべきことじゃないと思うのですね。事は小さいようですけれども、しかし、いま言うように、現実に各市町村がこれをやっているわけじゃありません。現場のことも多少私知っています。しかし、さっきも言ったように、いまやれないのだけれども、これからだんだんやれるように、あなた方が、たとえば私どものほうで言う消防力の充実というようなことでいろいろめんどう見てやっていると同じように、その一環として、こういうことも市町村でやれる、あるいは単独の市町村でやれなければ一緒になった形でもいいが、事務組合みたいな形でもいいでしょう、合同した形でもいいのですから、何とかひとつ自治体消防として、自治体の中で、自分たちの職員や団員というものを常時教育訓練できるという、こういう仕組みだけは育てていくようなことを考えてもらわないといけないと思うのですが、いまあるのは指定都市ばかりだ。指定都市にあるものは今度学校にするのだというようなことで、これをなくしてしまうことは、どうも私は残念だと思うのですがね。いかがでございますか。
  148. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいますこともよくわかるわけでございますが、ただ、現実の問題といたしますと、この九条で四号が規定されました当時におきましては、まだ府県の消防学校整備されておりません時代でございましたが、その後、消防教育訓練が非常に大事なことであるということで、都道府県が消防学校設置いたします場合には、国からも補助金も出しまして、できるだけ早く大体の府県においては消防学校ができるようにしようということで指導してまいったわけでございます。幸い今日ではほとんどの府県に消防学校設置されることになったわけでございますが、ただ、消防学校の教育の内容を見てみますと、たとえば初任教養にいたしましても、六カ月やっているところもありますれば、あるいは一月もやっていないというようなところもあるというような状況で、非常に格差があるわけでございます。しかも、消防の役務が年々拡張されてまいっておりまするので、消防職員消防団員教育訓練ということは、もっともっと早急に内容充実をはかり、しかも各県を通じて絶対最小限度のレベルはそろえるというような方向に持っていかないといけないのじゃないかと、こんなふうな考えを持っているわけでございます。そこで今回は、この消防学校の教養訓練の基準消防庁のほうで示して、そこまでひとつ各消防学校が早急に内容充実をはかれるように、私どもも応援をしていくし、各学校においてもそれぞれ各団体において努力をしてもらうようにしよう。そうしてこの初任教養にいたしましても、できるだけひとつ、この消防学校に各市町村が職員を派遣をして、必要な訓練を受けさせるというような方向に早く持っていこう、そういたしませんと、予防業務などにつきましても、相当消防職員の任務が重くなってまいっておりますが、さっぱり専門的な訓練を受けていないということで、業務の執行に差しつかえが生ずるというような面が出ても困りますので、かような考え方を持っているわけでございます。  そこで、この九条の四号の問題でございますが、現実には大都市だけしか持っておりませんし、しかもこの規定のしかたが、設置をしなければならないと、こういうような形にもなっておりまして、そこで、それは各市町村にそれぞれ訓練機関を持つことが望ましいかどうかということでございますが、まあ、中途はんぱなものを持つよりも、やはり府県なり大都市の消防学校をほんとうに内容充実して、そうして、そこで皆一通りの教育が受けられるようにという形に持っていくほうがいいのじゃなかろうか。そうしてもちろんこの任命権者といたしまして、各消防本部におきまして、その内部組織として訓練所等を設けまして職場訓練をいたしてまいる、これはもう大いにやってもらっていいことでございまするし、そういう点につきましては、これは私どもとしても十分指導をしていきたいと思うのでございます。ただ、九条の規定のしかたで、この設置を強制をすると、そういう一つ消防本部消防署なんかと並ぶ形の訓練機関といったようなものは、消防学校全国的に設置されるに至った現状におきましては、もうつくらなくてもよいんじゃなかろうかと、こんなような考え方で条文の整理をいたしたわけでございまして、市町村自身が自分のところの職員の教養訓練をするということについても、決してそれをいかぬとか、あるいはそれを軽視しろというような意図は毛頭ないわけでございます。
  149. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、県の消防学校充実とか、あるいは指定都市にある消防学校といういわば格づけをして、そこでいい教育訓練を行なうということについては何も異議あるわけじゃありません。大いにやらなきゃいけないと思います。しかし、そこでやる教育と、第九条に、まあ、これは「全部又は一部を設けなければならない。」ということで、必ずしも設けなくてもいいわけなんですけれども、ここにこういうものを置いたということは、県の段階とか、あるいは国の段階等でやる教育というものは、対象はいわば限られてくるんですよね。消防職員消防団員全部に及ぶんじゃなくて、各消防団から一人来いとか、消防職員一人出ろという形で一週間とか十日とか、長期にわたっているところもありますけれども、そういう教育のしかたなんです、県の消防のは。ところが実際に必要なのは、そういう人たちの教育、各団とか消防組織から集められて教育を受ける、そういう人たち以外の大部分の九割五分も九割九分もあるそういう大部分の人たちの教育というものがいま行なわれていないわけなんですよね。しかし、それはぜひ訓練しなきゃならぬ、教育しなきゃならぬという。そういう必要性は私はあると思う。そういう面からいって、いわば自由にやればできるんじゃないか。やらなきゃならぬことは削っておいて、自主的にやることは幾らでもやりなさい、大いにけっこうだ、またそれに対して援助しようといったって、これはおかしいと思うんだな。事は小さいようだけれども、どうせどこでもほとんどのところでやっていないんだからいいんじゃないかということもわからなくもない。しかし、なくしても、県の消防学校なりそういうもので十分、第九条でいう消防職員及び消防団員の訓練機関として考えられるいわゆる自治体消防としてのそこに必要な教育訓練というもの、そのやつはできないですよね。だから、繰り返して申し上げますように、いまはできない、しかし、じゃどうしたらそういうことができるようになるか、あなた方の指導の上からうまくやっていくかということがあなた方の任務であって、これを現在やっていない。それから県のほうの消防学校充実を一方でやるから要らないんだという考え方で消したとすれば、これは少し私は残念なことだと思うんですね。指定都市じゃなくったって大きな都市ぐらいになればやれますよ、これやれます。これは機関というから何かいかめしい建物とか施設設備とかというようなことをすぐ考えると、これはなかなかむずかしいけれども、しかし、機関であってもいろいろな態様でいろいろな形でこれは持てると思うし、そこで本気になってやるとすればいまの市町村の大部分のものはできますよ。現に何かのかっこうで一、二やっている、完全ではないかもしれぬけれども。どうもそういう点からすると、私は今回のこれを削るというのは、実態に即したようなふうにも考えられるかもしれぬけれども、これはどうも私としては残念な改正だと思いますね。
  150. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいますお気持ちもよくわかりまするが、ただ、この九条でいうておりますのは、市町村の機関としての訓練機関ということでございまするから、まああちこちで何らかの形でやっておるとおっしゃいましたようなもの、これは私はいわゆる職場研修的なものであると思います。そういう職場研修的なものは、これは消防本部消防署と並ぶ市町村の機関としての訓練機関ということじゃなく、消防署の中で職場でやる、あるいは消防本部の中で、相当な都市になれば訓練所とか教養課というようなものを設けて、そこでやってしかるべきものであって、ここで考えておりましたのはそうじゃない。まだ消防学校もごくりょうりょうたる状態てありましたので、一つの機関としてのりっぱな訓練機関というようなものを考えておったかと思うのでありますが、その点は、先ほど申しましたように各府県にほとんど消防学校もできましたし、それから、実際問題といたしましても、府県の関係者あるいは市町村の関係者から今日要望されておりますのは、たとえば消防職員にいたしましても、一人残らず初任教養は府県やあるいは大都市の消防学校で受けさせるようにしたいというようなことでございまするし、団員にいたしましても、これは団員全部というわけにはむろんいきません。そのうちの中堅になるような者だけにということになりましょうけれども消防学校でやはり訓練を受ける。また、消防学校も行く行く充実いたしてまいりましたならば、巡回をして団員の訓練もやっていくというたようなことに持っていくべきじゃなかろうか。そして、職場訓練としての教養というものは、こういういかめしい形じゃなくて、これはそれぞれの団体でやっていく、こういうようなことにいたすことが実情にも即しておりまするし、そうして消防職員消防団員の教養訓練を充実するのに今日の段階としてはいい方法じゃなかろうか、こんなような考え方で御提案いたしたわけでございます。先生の御心配になる点は重々わかっておりまするけれども、その上でなおかつやはりこういうような形でひとつすっきりさせたほうがいいんじゃなかろうか、こんなふうに思っておるわけでございます。
  151. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあなた方少し便宜主義的に考えると思うんだよ。県の消防学校があるなしにかかわらず、自治体として自分たちの消防職員消防団員等の訓練が必要だということが前提ですよね。そのことは、いま言ったように、県のそれがあろうがなかろうがまだ私変わっていないと思う。ただ、残念ながらいわゆる機関としてりっぱなものを持ってやれなかったということだけなんです。私は必要性なり設置の理由というものはなくなっていないと思うんですよ。何も私、職場でやるのがいいとか何とかということでなくて、そこであなた方考えなければならぬことは、必要性があってこういうものを設けてやるということになっているんだがやれない、一体どこに原因があるのか、その隘路をどうして打開してやるかということがあなた方が考えることであって、それが県の消防学校があることによって存在の理由というものは、これはなくなる性質のものじゃないですよ。県は県で全体としていわば――あなたはいま初任教育とか何とか言ってるけれども、いわばその中心になる幹部だとか、あるいは技術者とか、そういうものの教育をいまやっているんですよ。時にはあるいは初任教育といって、新しい人を全部集めているところがあるかもしれませんけれども、それはそもそもからの県の消防学校でのねらうところじゃないんです。だから、全体の職員なり団員なりというものを、これはいつでも全部そのまま一緒にという形はとれないかもしれません。何かの機会で全部に及ぶような、そういう教育を自治体の中でやるということ、その必要性というのは、繰り返して言うが依然として私はあると思う。今度やれないでしょう。やれないのじゃない、実質的にはやれるのだと、こう言ってもね。そういう本質に立ってやらなければいけない仕事、それに要する処理するための機関、そういうものがなくなるのですから、やらなくてもいいということなんですね。そこが私はどうもおかしいと思うのですよね。まず、あなた方、県の消防学校て――最近変わったけれと、私の住んでおるすぐそばに消防学校が長くあったのです。これは適当な呼び方じゃないかもしらぬけれども、今度新しいりっぱなものがよそへできて離れていって遠くのほうに行きました。だから、消防学校はどういうものであるかということは大体私わかっておるつもりですがね。それはいま言ったように、ときどき町村の職員なり団員の幹部どころがやってきて、新しいこれからの消防問題なり予防対策というようなことについて、どういうものをやるのだと、こういうことであるのだが、それはいま言ったように、何十分の一か何分の一かの人たち、一度に何百人とやれる仕組みのものでもなければ、年がら年じゅうやっているものでもない。しかし、私はそれはそれなりに存在の理由はあると思う。そしてまた帰っていって、まあいわば県の消防学校で受けた教育訓練、そういうものをみんなに伝えたり、一緒になって練習したりというようなことでこれはありますから、そういう意味で県のやつというものは、私は何も否定しませんし、さらにまた充実することはけっこうだと思うのですね。だけれども、それがあるからあと要らないのだと、こういうことでは少し考え方がおかしいと思うのだな。まあこれは意見になってしまいましたから、以上、本日のところはこの程度にしておきます。
  152. 津島文治

    委員長津島文治君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。次回は、四月十八日午前十時三十分開会の予定でございます。本日は、これにて散会いたします。   午後四時十五分散会      ―――――・―――――