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1968-04-09 第58回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員の異動  四月八日     辞任         補欠選任      仲原 善一君     平島 敏夫君   出席者は左のとおり。     委員長         津島 文治君     理 事                 船田  譲君                 吉武 恵市君                 鈴木  壽君                 原田  立君     委 員                 高橋文五郎君                 林田 正治君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 占部 秀男君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君    国務大臣        自 治 大 臣  赤澤 正道君    政府委員        自治省行政局長  長野 士郎君        消防庁長官    佐久間 彊君        消防庁次長    山本  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治省行政局公        務員部長     鎌田 要人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 松澤兼人

    松澤兼人君 きょうは初めてこの参考資料をいただいたのですが、法案のあがるのがきょうであって、どうにもならぬので、利用の方法も何も、初めに法案を出していただくときに、もっと詳しい、これにも関係資料がありますけれども、もっと詳しいやつを出していただきたかったのです。まあ鈴木君からいろいろこの前質問がありましたので、御質疑になったのかもしれませんけれども、これだけりっぱなものが前から手に入ったならばまた質問のしかたもあると思いますけれども、それで、いまいただいたばかりでその内容を私よく読んでおりませんで、この資料の中にあることを質問するかもわかりませんけれども、これはもしそういう場合がありましたら、資料の何ページにこういうふうに書いてありますからとひとつ御親切に御指示を願いたいと思います。  第一に、基金関係の現状ということでありますが、これには収支計算というものが出ていないように私ちょっと見たのですけれども、各地方団体負担金あるいは分担金と、それから支出済み、あるいは義務費といったような、ごく概略な御説明をいただけたらと思います。
  4. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 基金事業計画並びに予算概要資料としてお出しすればよかったのだろうと思うわけですけれども、ちょっと御案内のとおり、この四十二年度は年度中途から発足をいたしたものでございまして、まだその収支状況というものは明らかになっておらないわけでございます。——ちょっとなんでございますか、四十二年度予算概要でよろしゅうございましょうか。
  5. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ収支計算というようなもの。
  6. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 四十二年度の収支予算、ただいま資料を取り寄せておりますので、四十三年度の事業計画及び予算につきまして簡単に御説明申し上げます。  中身が普通補償経理分特別補償経理分になっております。で、特別補償経理と申しますのは、御案内のとおり、東京都でございますとか、あるいは川崎市でございますとか、あるいは横浜市、そういったところでございますというと、いわゆる休業補償というものを行なっておるわけでございます。それ以外の団体の場合でございますというと、いわゆる休職にいたしまして給与を出しているものでございますから、休業補償を行なっておらない。この休業補償を行なっておる部分特別補償経理分ということで別途に経理をいたしておるわけでございます。そこで、普通補償経理分について申し上げますというと、四十三年度の予定損益計算書で申し上げますというと、損失合計が十八億九千五百七十五万円、それから利益合計が十八億九千五百七十五万円、これでバランスをいたしておるわけでございますが、この十八億九千五百万円の中で補償費が十六億六千五百万円を予定いたしております。この十六億六千五百万円の補償費の大半は療養補償費でございます。それから福祉施設費を六千八百八十九万円、これがいわゆる補償関係経費でございます。福祉施設費と申しますのは、いわゆる補装具を支給するとか、あるいはその他のアフターケアの関係、あるいはリハビリテーションの関係経費でございます。それから役員給与、これは理事長理事、それに監事というものがおるわけでございますので、この給与といたしまして、報酬、手当含めまして千七百二十四万四千円、それから委員手当百二十六万八千円、それから職員給与でございますが、職員があそこに現在二十人ほどおるわけでございますが、職員給与二千四十八万円、これは基本給、諸手当含めてでございます。それから事業運営費といたしまして一億二千百十九万九千円、これは需要費でございますとか旅費でございますとか、大きなものは、各都道府県と六大都市に支部を置いておりますので、その支部経費八千八百七十七万円余りでございます。あと減価償却費創業費償却、こういったものを組み込みまして総計で十八億九千五百万円。それに対しまして、利益の部といたしましては、負担金が十八億六千三百八十七万円でございまして、これはいわゆる各地方団体負担をする分でございます。それから利息、配当金を二千六百二十万円、それから賠償金、雑収入、こういったものをひっくるめまして十八億九千五百七十五万円というものが利益の部にあがっておるわけでございます。  それから特別補償経理の分でございますが、特別補償経理の分といたしましては、同じく予定損益計算書で申し上げまして、損失の部が一億六千九百七十六万円でございまして、先ほど申しました休業補償費、これがほとんど大部分でございますが、一億一千七百九十六万円余でございまして、そのほかに、福祉施設に三千八百四十二万八千円。それから利益の部といたしましては、負担金一億六千七百万円余でございまして、そのほかは利益及び配当金賠償金、こういったものでございます。  大ざっぱに申しまして、四十三年度におきまして、普通補償経理が十八億余り、それから特別補償経理が一億七千万程度、こういった規模の経理内容に相なっておるわけでございます。
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 四十二年度の決算はいつごろできますか。それと、それはまあ将来のことですけれども、四十三年は、まあ、まるまる一年事業をやったわけではないと思いますが、四十二年に比べて四十三年はどのくらい伸びておりますか。
  8. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) ちょっと私申し上げましたのが明確を欠いたかと思いますが、いま申し上げましたのは、四十三年度の予算でございます。四十二年度の資料、実ははなはだ手違いでございまして、ここに手元に持ってきておりませんで、ただいま取り寄せております。大体四十二年度の実績にいたしまして、それを十二、一、二、三、四カ月分でございますから、三倍すればいいようなわけでございますけれども、たとえば給与でございますというと、給与のベースアップがございます。それから人員の増がございます。そういったことからいたしまして、四十二年度に対比いたしまして、負担金収入の場合でございますと、一二%の増加を見込んでおります。特別補償経理分負担金も同様でございます。大体大ざっぱに申しまして、これが基本になって予定損益計算書をつくっておりますので、大ざっぱに申しまして、一二%程度の伸びに相なっておる、こういうふうに考えていただいて差しつかえないかと思います。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 四十二年、あるいは四十三年度——これは将来ですけれども、非常に大きな財産取得といったようなものは何もないんですか。あるいは、そういう厚生、療養施設をつくるとかといったような大きな財産造成というようなことは何も考えておられないんですか。
  10. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まだまさに創業間もないときでございますので、もちろん事務所も、御案内かと存じますが、全国町村会の一部を間借りをしておる、こういったような状態でございまして、いわゆる固定資産といたしましては、ほとんど見るに足るような大きなものは何も取得をいたしておりませんし、四十三年の計画においても、そういう計画はございません。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 これはまあ、きょう法案があがりますけれども、しかし、地方行政委員会における審議は将来も続くわけでありますけれども、いまの四十二年の実績、まあ決算でなくてもよろしいですから、実績と、それからさらにもう一つ、今度は支部の問題ですけれども、支部経理状況というものはどんなふうになっておりますか、それも説明していただき、十分に説明できない場合がありましたら、書類にして提出していただきたいと思いますが、支部の実際の事務というものを、収入あるいは支出関係、ごく概略説明願いたいと思います。場合によりましては、全体の計算でもよろしいし、あるいは代表的な府県あるいは指定市などにおける実例でもよろしいですが、何かございましたら、ちょっと御説明願いたいと思います。
  12. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 各支部とも機構状況につきましては、本日お配りいたしました資料の三ページ目に、各支部ごと職員配置状況がございます。で前回行政局長から御説明を申し上げたわけでございますけれども、ちょうどこの三ページの表の「職員合計」という欄が、左から「区分」欄まで入れまして六番目の、これが一応いわゆる補償事務に直接間接に関連いたしまして支部配置をいたしておりまする職員の数でございますが、その右の欄が主事事務員合計になっております。支部長、副支部長を除きまして主事から事務員までの欄になっております。その下にカッコ書きがついておりますのが、これが専従職員ということになっておりまして、これでごらんになっていただきますと明らかなように、人事課あるいは職員課職員支部事務も実施しておる、東京都をはじめといたしまして、そのほかの若干の県におきましては、専従職員というものを置いておる、こういう状態であります。これに対しまして、本部から、先ほど申しました明年度におきまして、約八千万程度のものを各支部経費として予算配当をいたしておるわけでございます。  で、四十二年度におきまするこの支部収支状況運営状況基金本部のほうでどの程度整理をいたしておるか、ちょっとまだ年度計画の途中でございますので、資料としてはっきり目に見えるようなものはあるいは無理かと存じますが、この各支部ごとにどういう予算配賦方法をしておるか、こういう状況までの資料と申しますか、後刻提出さしていただきたいと思います。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまの表で、事務員合計という欄をずっと上からこう見ていきますと、東京のところにカッコして十四というのがあります。これが専任ということですか。その下に大阪の一、その上に京都の一、それから岡山の一、それから宮崎の二、これが専任であって、あとはこの右側にあります、知事、市長、部局、主管課職員が手伝っていくということなんですか。
  14. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そのとおりでございます。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、災害補償に必要であるいわゆる経理上では損失のほうに、まあ支出になるわけですけれども、それは地方から請求があって、請求があったものを中央から支払いをするということであって、地方支部においては、純粋に運営費というものだけが中央から来て、それが専任のものは専任、あるいは兼務のものは兼務というふうにして支払われるという形になっているわけですか。
  16. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 補償経費の分は御案内のとおり、また、いま御指摘になりますように、本部が支払うわけでございます。で、支部運営経費といたしまして配賦をいたしておりますのは、それぞれの支部におきまして、この職員人件費補助なり、あるいは印刷費なり、あるいは旅費なり、そういったいわゆる支部運営経費補助を一定の基準によって配賦をいたしております。その配賦基準基金本部のほうで立てておるわけでございますので、その点もあわせて後刻御報告さしていただきたいと思います。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 いま補助とおっしゃいましたけれども、補助ということになると、そうすると、その支部自身の持っている運営資金というものがあって、そのほかに本部補助するということなんですか。補助ということばはどういうことなんですか。
  18. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 用語を誤りました。補助ではございません。配賦でございます。交付でございます。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 つまり、運営のために必要である金は本部から見る、配分するということなんですね。
  20. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そのとおりでございます。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは、自治大臣報告義務というのが十二条にありますけれども、これは報告義務というものは、個々の件に従って報告をするのか、あるいは一括して報告をするのか、その辺のところは、「(業務規程)」、十二条。
  22. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) たとえば第十二条の規定によりまして、「基金は、業務規程を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを自治大臣報告しなければならない。」という規定がございます。こういう個々規定に基づきまする報告事項というものにつきまして、私どもそれを受けておる、こういうことに相なっておるわけであります。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、大臣手元には基金業務規程というものはもうすでに報告を受けているのだ、報告を受けた時点においてそれが発効するということで、大臣業務規程をこう直しなさいというような事例はいままでにありましたか。
  24. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 特に昨年十二月発足の直前におきましては、自治省公務員部の中に準備室を設けておりまして、当時この法律企画立案に非常に苦労をしてくれました参事官が室長という形でそのまま任命を受けて理事になった、こういったような関係もございまして、その業務規程につきましては、いわば省と基金準備室というものとが一緒になってつくったという形に相なっておるわけであります。また、今後におきましても、運用といたしましては、事前十分協議を遂げながら、せっかくそういう規程ができたところへ、自治大臣のほうからまたいろいろとクレームがつくということではございませんで、事前十分調整をはかりながら運営をしてまいりたいと思っておる次第でございます。したがいまして、いままでのところは、御指摘になったようなことはございません。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 二十条におきましても、やはり必要がある場合には「基金に対して、業務若しくは財産の」云々ということがありますが、これもただ法文上こうなっているだけではなくて、基金自治省との間には絶えず接触があるから、あらためて報告をさせたり、また検査させるというようなことはなかったということですか。
  26. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そのとおりでございます。ただ、お手元に提出さしていただきました資料等もそうでございますけれども、特に発足早々軌道に乗るまでの間は、随時二十条の規定によるということではございませんで、事実上の関係といたしまして、基金運用状況について私ども報告を受けておる、こういう状態でございます。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう法律の書き方としては、これは当然のことでもあるし、自治大臣基金状況運営状況などを知らなければならないし、あるいは知ることができるという形になっているけれども、実際上は、基金自治省というものとはもう一体的なものであるから、特に自治大臣あるいは自治省として干渉あるいはまた命令というようなことはいままでにやったことがないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  28. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 一体的ということが気分の上でというふうにおとりいただければ、御指摘のとおりだと思います。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 この十二条あたりから二十二条、二十三条というところ、非常に基金とそれから大臣というものとが、それぞれの権限を持って、お互いに独立した機関として、その関係はいま部長が言うように一体的なものでない形をとっているのだけれども、実際上はもう何も命令を出す必要もなければ、わざわざ報告を求める必要もないし、指揮する必要もないし、実情はそういうことになっているというわけですか。
  30. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まあ制度発足の当初でございますし、やはり適正な運営というものを頭に置きますというと、やはり緊密な連絡協調もと運営してまいるということはどうしても必要であろうと思うわけでございます。第二十条の「(自治大臣権限)」、これはやはり私ども率直に申しまして、こういう形で報告をさせ、あるいは検査をするという事態というものがないことを実は期待をいたしておるわけでございまして、特にまだ制度発足後四カ月経過したばかりの時点でございますので、まだいままでのところでは、こういう第二十条の規定というようなものを使って、ぎくしゃくやる、こういう段階ではないということを申し上げた次第でございます。もとより、たとえば第十二条で業務規程を変更する、こういった法律規定によりまする当然の報告事項というものは、これは的確に随時行なわれているということを申し上げておきたいと思います。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 発足早々でありますから、内輪からああしなさい、こうしなさいということ、あるいは基金のほうからどうしたらいいだろうかというような相談があるという、いわゆる一体的な気持ちでやっておられることはたいへんけっこうなことだと思いますけれども、当時まあ、もと法律審議いたしましたときにも、いろいろ議論がありましたように、結局、地方でいままでやっていたことを中央あるいは自治省で取り上げて、そして自治省の息のかかった人たち基金にいて、まあ自治省の意のままに基金というものを運営する、ただ、事業の対象なり、あるいは事業内容なりというものは、これは政治的な判断でとやかく左右されるものであるとは考えませんけれども、ただ、しかし、基金をこしらえて、いままで地方でやっていたことを中央で取り上げ、しかも、まあ、ことばはいけませんけれども、いわゆる自治省基金とは一体的な関係で、まあツーツーの関係ではっきりとしたけじめなしに、あいまいもこのうちに、ああそうだというようなことで問題を解決していき、処理していくということは、この法案を制定し、あるいは審議した過程から考えてみて、やはりそこを分けるものは分け、そうして大臣として権限を持っているところは、やはりそういう立場から権限を持ってその運営をながめていくということでなければ、やはりあまり一体し過ぎてもいけないんじゃないかと思いますけれども、この点、大臣いかがですか。
  32. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御指摘のとおりでございまして、われわれとしましては、やっぱり高所に立って全体をよく見る必要がありますので、自治大臣とこの地方団体との間は御指摘のような関係にとどめたいというふうに考えております。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 いままで地方がやっていて、さしたる不都合もなかった、それを基金に移して、基金それ自身運営するという形については、私たちちょっと疑義がありましたから、もと法律に対しましては反対の意思表示をしてきたわけなんですけれども、そういうけじめつけるところはけじめつけて、あるいは、その愛情を持って協力指導するということ、まあ、そういう法律的な権限の分割、あるいはまた、その上に理解ある指導というものをやっていかないと、あいまいもこになる危険が生じてくるんじゃないか。まあ、これは災害に対して補償するという、純粋に技術的と申しますか、そこへ政治的な判断などは介入できない性質のものでございますからよろしゅうございますけれども、それでもやはり地方から相当大きな負担金、十八億ですか、負担金というものを集めて、そうして地方にかわって基金がやるということでありますから、よほどそこのところは注意していただかないといけないんじゃないかと思いますが、もう一度その辺のところをはっきりさせていただきたいと思います。
  34. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 私が、先ほどの一体的なものだという松澤先生のお話がございましたときに、精神的にと、気分的にとわざわざ申しましたのは、実はまさにそういうことを頭に置いて申し上げたわけでございまして、機構制度運用という面については、もちろん一個の独立の機関でございますし、それに基づく厳正な適正な運用というものが行なわれるべきものであると思うわけでございます。で、その点は、御注意の点を十分肝に銘じまして、運用に遺憾なきを期したいと思う次第でございます。
  35. 松澤兼人

    松澤兼人君 この法律そのものことばかり言っていて、まことに申しわけないんですけれども、まあ、しかし、今度の改正案自身は大きな問題でもないと思いますので、まあ、もと法律にこだわっていて、まことに申しわけないですけれども、先般も鈴木委員から質問がございまして、常勤職員あるいは一般職職員に対して適用があるので、非常勤職員に対しては別途考えるということでありますが、この別途非常勤職員に対して適用法律をつくるということは、この中にたしかありましたけれども、これについてちょっと御説明いただきます。要綱的にちょっとお話しいただければけっこうです。
  36. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) お手元資料の一九ページ以下がそれになっておるわけでございます。縦書きになっておるわけでございますが、「議会議員その他非常勤職員公務災害補償に関する条例(案)」という、いわゆる条例準則でございます。で、そこで前回論議になりました問題が二つあったように思うわけでございます。一つは、職員範囲というものをどういうふうに限定をしておるかということと、それからもう一つは、補償基礎額というものがいろいろまあ千差万別であり、あるいは零細な額ありということで、まあ、どういう指導をいたしておるかという、この二点が中心であったように記憶をいたしておるわけでございます。  そこで、まず、この条例全体の成り立ちでございますけれども、これはまあ災害補償法法律構成と同じ考え方に立ちまして、「総則」、それから「補償及び福祉施設」と、これがまあ本体規定でございますが、それから第三章が「審査」、第四章が「雑則」で、「(報告出頭等)」、こういったものをきめておるわけでございます。  そこで、まず、総則のところの職員範囲でございますが、職員範囲のところは第二条でございます。「この条例で「職員」とは、議会議員委員会非常勤委員非常勤監査委員審査会審議会及び調査会等委員その他の構成員非常勤調査員及び嘱託員その他の非常勤職員」ということでございまして、「(第一条に規定する職員を除く。)」と申しますのは、常勤的非常勤、いわゆる常勤的非常勤職員を除いておるわけでございます。「次の各号に掲げる者以外の者をいう。」ということで、一つは、この「労働者災害補償保険法適用を受ける者。」、これはいわゆる失対の労務者でございます。それから二が船員でございます。それから三と四は、いわゆる特別法のある者でございまして、いわゆる学校医学校歯科医学校薬剤師と、それから非常勤消防水防団員等でございます。これを除いた、かつ、常勤的非常勤職員を除いた非常勤職員というものが全部これに含まれる、こういうことでございます。  そこで、その補償の実施機関——実施機関はそれぞれのまあいわば任命権者ということになるわけでございますが、たとえば議会議員さんの場合でございますというと、任命権者という関係はございませんので、ここは、議会議員の場合は議長、それから「執行機関たる委員会非常勤委員及び非常勤監査委員」という場合には、知事または市町村長、その他の職員の場合は任命権者、これが実施機関になるのだという考え方でございます。  それから、この災害の認定、公務上、外の災害の認定につきましては、第四条をもちまして、認定委員会というものを設けさしたい。この「認定委員会は、委員五人をもって組織する。」ということにいたしたいと考えております。もちろん知事、市町村長の委嘱にかかるものでございます。  それから「(補償基礎額)」でございますが、補償基礎額といたしましては、これは議会議員の場合には、「議長が知事(市町村長)と協議して定める額」、それから「執行機関たる委員会非常勤監査委員」という場合は、「知事(市町村長)が定める額」、「その報酬が日額で定められている職員」、これにつきましては、「事故発生の日又は診断によって疾病が確定した日においてその者について定められていた報酬の額」で、問題は「(その報酬の額が著しく低額又は高額である場合は、実施機関が知事(市町村長)と協議して別に定める額)」ということにいたしております。それから四番目は、「報酬が日額以外の方法によって定められている職員又は報酬のない職員」、これは実施機関がやはり知事と協議して定める額、これに関連をするわけでございますけれども、この条例に関連をいたしまして通達を実は示しておりまして、この二九ページでございますが、二九ページのところの一は職員範囲というものでございます。二は補償基礎額、そこの日でございますが、「報酬が日額で定められている職員について、その額が著しく低額又は高額であるかどうかの判断は、それぞれの地方公共団体の実情に応じてなされるべきものであるが、著しく低額であることの判断については労働者災害補償保険法においては三八〇円を最低保障額としていることを参考とし、著しく高額であることの判断については、三役の給料の三〇分の一の額を一応の基準とすることが考えられる。」、こういうものさしを示しておるわけでございます。  あと補償の種類、福祉施設等につきましては、法律規定とほほ同一内容でございますので、時間の関係説明を省略さしていただきたいと思います。  それから第三章、第十八条へ戻ってまいりまして、審査規定を置いておるわけでございます。これはやはり審査会というものを都道府県、市町村単位に置いてまいる、こういうことでございまして、審査会委員は三人、こういうことにいたしておるわけでございます。  簡単でございますが、条例準則並びに通達指導内容のあらましでございます。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 この条例がすでに議会の承認を得て実施されている状況、あるいは実施しようとする状況はどんなですか。
  38. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) その次の三〇ページでございますが、そこに前回口頭で御説明申し上げましたものを資料としてお示ししてございます。県、六大市は、これはすべて制定済みでございます。それから市町村の場合は、一番下の欄のこのカッコが市町村数でございますが、三千三百一市町村のうちで三百九十二市町村というものが未制定であり、残りの二千九百九市町村は制定済みであります。  それから、ついでにこの資料の御説明でございますが、「公務災害補償に関する一部事務組合の設置状況」というものがその次に書いてございます。設置済み、設置予定と書いてございます。設置済みで全職員と書いてございますのは、議員非常勤職員を全部ひっくるめて一部事務組合の対象にいたしておりますのが、全職員と書いてございます。それからその欄で、たとえば青森でございますと、市町村と、こう書いてございます。これは青森県下のオール市町村がその一つの一部事務組合によって議員並びに非常勤職員のすべての公務災害補償の処理をやる、こういうことでございます。それから、ちょっと下にまいりまして、新潟県は町村と書いてございます。これは町村が一部事務組合というものをつくって処理をする、こういうことでございます。  それから次に「認定審査委員会の共同設置」とございますのは、先ほど申し上げました公務災害の認定をいたしますこの認定委員会を各市町村ごとにつくらないで、共同で設置をやる、あるいは県に委託をする、こういうことも便宜考えられてよいということを私ども考えておるわけでございますが、それの処理状況でございます。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 それに関連するわけなんですけれども、臨時職員に対しましては、この法律適用はどういうことになりますか。
  40. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 臨時職員法律適用の対象になるわけでございます。
  41. 松澤兼人

    松澤兼人君 しかし、臨時職員というものは原則として六カ月を限ってのものだと了解しておりますけれども、そういう場合、基礎額の算定ということはどういうことになりますか。
  42. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 結局、報酬の日割り額ということになるわけでございますが、その額が著しく低額であるという場合には、先ほど読み上げましたけれども、労災の最低保障額三百八十円というものを目安にしてきめる、こういう指導を私どもといたしましてはいたしておるわけでございます。
  43. 松澤兼人

    松澤兼人君 場合によりましては、これは町村のことですけれども、定員をふやさないということで、新規に採用する場合には、これは正規の職員を採用する場合にも最初の間は臨時的な雇用になると思いますけれども、常勤、それから一般職、そういう人は新規に採用しないという方針のもとに、それでも手が足りない場合がありますから、こういう場合は臨時で採用する、六カ月が来れば切りかえる、そして一回は切りかえができますけれども、一年以上は切りかえられないということで、二、三日おいて、それからまた同じ人を同じ職場に採用するというようなことが行なわれておると聞いておりますけれども、そういう雇用のしかたというものは、これは望ましいことであるかどうか、その点いかがですか。
  44. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 任用の基本的な問題でございます。で、まあ臨時職員というのは、文字どおり臨時に事務の必要があって、その需要を満たすために期間を限って雇用するということが本来の姿でございますので、その期間が過ぎれば当然解雇されるというのが当然の姿であろうと思うわけでございます。したがいまして、職員の任用の形といたしましては、やはり正規の任用という形を事務の必要上とるべきものはやはりはっきりさせて任用をするべきだと基本的に考えるわけでございます。したがいまして、いまの臨時職員というものにつきましても、それは何年前でございましたか、いわゆる通常の雇用の形態に切りかえるべきものは切りかえるべきだ、こういう指導自治省がいたしたこともあるわけでございます。基本的にはそういうふうに私ども考えております。
  45. 松澤兼人

    松澤兼人君 法律にも、緊急を要する場合、あるいは、ほんとうに臨時的な仕事をやらせる場合には、臨時の職員を雇用しても、あるいは採用してもかまわないというような書き方をしてあって、原則はどこまでも一般職職員として採用すべきであって、その採用のしかたについては、六カ月間は試用である、成績優秀な者は本採用にする、場合によっては、その試用の期間が六カ月でなくて、一年であっても差しつかえない、こういうような規定になっていると思うのですけれども、やはり原則というものは原則で、臨時はあくまでも臨時であるという、そういうたてまえを貫いていかないと、このごろのように給与が高くなってしょうがないから臨時の者を採用すると、そういうような考え方を持つ市町村長などが出てくるということは、非常にいわゆる人事管理の面からいってどうかと思われる点が多くあるのですけれども、部長としては、どういう方針で指導したらいいかということをお考えになっていらっしゃるか。
  46. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 基本的には、先ほど申し上げましたことの繰り返しになるわけでございますけれども、本来の職員配置という場合におきましては、やはり与えられました事務の量というものを確定をし、それに対応する職員の能率をあげながら、できるだけ少数精鋭主義でやっていただくということを、私といたしましては地方団体に強く希望いたしたい。それがまた納税者の負担にこたえる道でもあるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、そういう前提のもとで、職員の雇用というものについては、能率をあげながら、なお職員を入れなければならないというところについては、やはり人をふやしてもいいであろう、こういうふうに考えるわけでございます。
  47. 松澤兼人

    松澤兼人君 部長の少数精鋭主義なんということはどうもおかしいと思うのです。別のことばで言えば、仕事の分量がふえたからといって定数、定員をどんどんふやしていくということはどうも適当ではないというお話ならわかりますけれども、初めから少数で精鋭主義でやっていくんだということであれば、まるで人事管理ということが別な方向に行くように思うのですけれども、そのことばの意味をもう少しはっきりさせていただきたいと思うんです。
  48. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) これはある程度私の個人的な考えというものが混入するということになっておしかりを受けるかもしれないと思うわけでございますが、現在、地方公務員二百三十万と、こう言われておるわけでございます。これらの公務員の方々がすべて一律に高い能率で仕事をしておられるかどうかという現実を私ども直視いたしますというと、必ずしもそうではないという面を多々散見せざるを得ないわけでございます。そういった意味合いにおきまして、やはり公務というものは、これは住民の信託にこたえて租税負担に基づいて行なわれるわけでございますので、できるだけ数は少なく、そのあげる能率は高くということで公務を執行してまいるということが基本的な考え方ではないだろうか。先ほど先生もおっしゃいましたが、仕事がふえる一方で、仕事はふえるわけでございますが、片一方では仕事は減るものもあるわけでございます。減るところはそのままにしておいて、ふえるところは人をふやしていく、こういうことになりますというと、これは世上の一部であると私は確信するわけでございますが、俗に言う休まずおくれず働かず、こういったようなことがかりそめにも世人の口の端にのぼるといったような公務執行の体制というものは、厳にきびしく、少なくとも私ども公務員行政というものを地方団体においてあずかっておりますものといたしましては、強く強調せざるを得ない、こういう気持ちがあるものでございますから、いわゆる少数精鋭と、こういうことを申し上げた次第でございます。
  49. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこから先になりますと、いろいろ議論しなきゃならないのですけれども、これは日を改めてまた人事管理なんかの問題についてはお話ししようと思いますけれども、地方公務員だけがそんなにのんびりやってるというふうにきめつける考え方は、これはいけないと思うのです。国の税金なり、あるいは住民の税金なりでまかなわれているということは当然ですから、その有権者あるいは納税者の希望であるならば、ある程度その希望に沿ったやり方をしなければならぬと思います。ふえたものに対して減ってるものもあるのに、人員だけ置いておく、そういうばかなことはどこでもやってないと思うんですよ。言い方は、あなた極端なことを言うから、ふえたものに対しては人員をふやす、減ったものはそのままにしておくなどという、そんなずさんな行政やっている町というものはおそらくないと思いますが、どっかにあるのなら、それを一々言ってください。それは少し極端な言い方だと思います。具体的な事例があれば……。ぼやっとした感じだったら、だれでもそういうふうに感じますけれども。
  50. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) これは実は当たりさわりがあるかもしれませんが、私、昔、ちょうど昭和三十六年から四十年まで、静岡県で勤務をいたしたことがあるわけでございます。で、その当時特に痛減いたしましたのは、いわゆる農林行政、たとえば蚕糸行政というものがございます。こういったものはもう少なくとも昔に比べまして仕事の量というものは減っておるわけでございます。ところが、依然として繭検定所なり、あるいは蚕糸試験場なり、あるいは蚕糸指導職員なり、昔とほぼ同様の機構をもってやっておる。こういった一例があるわけでございます。あるいはまた、商工関係の行政におきましても、いわゆるたとえば団体の監督行政といったようなものについてもそういう感じを、私個人、この県に勤務をいたしまして感ずることが少なくなかったわけでございますし、また現在、私ども地方団体の長の方々あるいは執行部の方々からお話を伺いましても、やはりそういう感じを強くする面があるわけでございます。
  51. 松澤兼人

    松澤兼人君 部長が行っていらした静岡県の蚕糸の行政というものは、それはその当時どういうことになっていたかわかりませんけれども、ここに林君もおりますけれども、最近は非常に養蚕がまた盛んになってきたということがあります。あなたがいらしたときには養蚕がそれほどでもなかったが、このごろは農村で養蚕というものは非常にもうかる仕事だというので、どんどんやっているんじゃないですか。そのときはそう見たって、いまはそうじゃないということがある。蚕の問題を言えば、蚕の問題は、私は、いまはこうなっているじゃないかと言わなければならないわけです。ある時期には、波があって、あるときには非常に忙しいが、あるときはそれほどでもないかもしれない、いまは繭の値が下がっているからというので、養蚕振興のやつをなくしちゃったら、今度は困っちゃう。そういうことだから、たまたま、あなたその養蚕のことをあげられたから、養蚕については最近は非常に景気がいいじゃないですか、そういうことがあるから、どうも……。
  52. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) どうも議論みたいなことになってちょっと恐縮でございますが、私が申し上げたかったのはそういうことで、たとえば蚕というものはある程度ダウンをして、そのかわり、たとえば、かんきつならかんきつというものに、あるいは果樹園芸というものに重点を置かなければならない、こういう場合に、そういう場合に、やはりある程度人の合理的な配置転換というものが弾力的に行なわれないものだろうか、そういう気持ちもあるわけでございます。
  53. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ、それはよろしいです。ただもう一つ、やはり臨時職員のことから関連するわけなんですけれども、町村などの定数とか定員とかいうものは、それぞれ条例で定めることになっているわけですけれども、これは一般職職員と、それから臨時職員というものを区別して定数の中で書き上げるものか、あるいは職員の定数は幾らであるということで、その中に一般職の普通の職員と、それから臨時の職員というものは区別しないでかまわないのか、そこのところをひとつ。
  54. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 臨時の職員につきましては、定数条例の定数の中には含んでおらないわけでございます。
  55. 松澤兼人

    松澤兼人君 もし臨時の職員も含めて定数何人ということであれば、それは間違いですね。
  56. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 地方自治法第百七十二条の第三項の規定におきまして、「職員の定数は、条例でこれを定める。但し、臨時又は非常勤の職については、この限りでない。」、こういうふうな明文がございます。したがいまして、間違いということに相なるわけでございます。
  57. 松澤兼人

    松澤兼人君 それが先ほど申しましたように、本来は緊急または臨時の仕事でなければ臨時職員を採用してはならないということになっているのに、臨時のほうが、安上がりであるということで、最初から臨時で、しかも、二年あるいは三年にわたって他の一般職の、戸籍なら戸籍の他の一般職職員と同じ仕事をやっている。こういうことは明らかに違法ですか。
  58. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 雇用の形といたしましては、いま申しました法律的な形、法律的な面ということにつきましては、これは適法に行なわれておる。ただ、そういう形の雇用のしかたというものが、考え方としていいかどうかという点につきましては、先ほど私るる申し上げたところでございます。これは大いに判断の余地があるだろう、こういうふうに思うわけでございます。
  59. 松澤兼人

    松澤兼人君 本来同じ戸籍の仕事を他の一般職職員とやっている。本質は常勤の一般の職員の仕事なんです。それを経費の節減ということで、特に女子の職員ですけれども、それを臨時で採用して、一回はもちろん継続して、更改はしますけれども、二回目になりますと、一年以上になりますから、そこで二、三日の日をあけまして、また臨時で採用していく、そういうものが一般職職員と同じ仕事をしており、かつ、先ほど申しますように、それまで入れて定数というふうに勘定しているという、そういう町村があるとすれば、それは間違いであるというふうに言って差しつかえないではないかと思いますけれども、どうですか。
  60. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) お話のような場合でございますと、定数に入っておりますものは、いわゆる常勤の職員がたてまえでございます。常勤の職員の従事する仕事は、経常的と申しますか、行政の経常的に業務のあるものは常勤職員が当たるというのが、私はたてまえだろうと思います。したがいまして、御指摘のような場合に、臨時にそういう仕事が一時的に増加するというような場合がありますとか、あるいはまた、本人自体にそういう何か事情がありまして、そういうことがあるとかいうことで、臨時とか非常勤ということが起こり得るということもあるかもしれませんが、それを定数の中の職員として考えていくということは、いまの地方自治法なり地方公務員法なんかの考え方に、そこのところが多少矛盾しておると申しますか、合致していない扱いになっているということになろうかと思います。
  61. 松澤兼人

    松澤兼人君 もちろん、町村長としましても、一回は臨時を更改する、それから二回目以上はいけない、一年以上はいけないということであるから、そこで二、三日間を置いて、一度期限が来たらやめなさい、しかし、まあ一週間したらまた臨時で採用するから——形の上からいえば少しも法律違反にはなっていない。しかし、実質的にいえば、それはもうずっと継続して一般職の常勤の職員と同じ仕事をやっている。それが二年も続いているとすれば、その人事管理というものはおかしいと思うんですけれども、局長はいまそういうことはあまりよくないようなことをおっしゃったけれども、はっきりいって、それを定数の中に数えるということは、明らかにこれは法律違反だと言い切れませんか。
  62. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) その定数の中に数えるというのが、どういうことになっているのかわかりませんけれども、予算定数内の職員でないことは明らかでありますから、定数の中へ数えるということはできないはずでございます。  それから、その臨時職員につきましては、むしろ戦後に地方団体全般として非常に多かったわけでございます。昭和三十年代の初めに——いまから約十年くらい前でございますが、臨職問題というのが非常に問題になりまして、そうして、その当時から、自治省としましては、臨職の定数繰り入れといいますか、そういうことで臨職という形で、実質上常雇い、一般の常勤の職員と同じような勤務の実態であるものを、非常勤という形でいつまでも引っぱっておくというやり方は正規のやり方でない、したがって、そういう職員の実態から考えて、臨時職員の定数化というものを、方針を立てまして非常に進めてまいった過去の経緯がございます。それは臨時職員というものは定数の外にあって、非常に不安定な形でありますので、そういうものを定数に繰り入れることによって安定した身分を取得させるということと同時に、そこでほんとうの臨職と、それから常勤職員の実質を持っている職員が形の上で臨職的扱いをしておったものと、これを振り分けまして、それを正常化したというふうに考えているわけでございます。したがいまして、いまのようなお話の場合でございますと、ちょうど十年前に返った話を伺っているような感じがいたすわけでございますが、そういうことが人事管理上正常な形かということになりますと、いま申し上げたような場合に該当するとすれば、これは正常な扱いとは申し上げられないと考えます。
  63. 松澤兼人

    松澤兼人君 私も臨職の本雇い転入ということを記憶しておりますけれども、一時その問題は解決したかに見えていたんでありますけれども、非常にこのごろ町村議会とか、あるいは町村長とか、公務員の給与が高いとか、割合が大きくなったとかいうようなことを言われる、住民からも言われるものですから、なるべく一般職職員の欠員を生じた場合に、これを補充しないで臨時職員をもろてそれに充当しているということがぼつぼついなかのほうを回りまして見たり聞いたりしているわけなんです。これもやはりいまのうちに正常に戻しておかなければいけないと思います。この問題は女子職員の問題と関連してまいりまして、そうして女子職員は採用するときから、結婚したらもうやめてくださいよというようなことを耳打ち的に町村長から言われて、結婚するときはもうやめなければならぬと、こういうような期限つきというか、結婚退職ということを前提としてでなければ採用してもらえないと——これは法律じゃないですよ、条例でもないのですけれども、実態はそういう口約束がなければ臨時でも採用しないということがぼつぼつ出ているように思うのです。あまり定員とか給与とかいうものを締めてまいりまして、住民がそれに対していろいろと言い出すと、そういう形の人事ということが行なわれて、いわゆる公務員法などに書いてあるような適正な人事管理が行なわれないという結果になることを非常におそれているわけです。その前の臨職の場合もそうですけれども、新しい意味の臨職の取り扱いということは、新しい問題として考えていただきたいと思います。  また、もしも定年制の問題が出てまいりましたら、やはりそのことで議論したいと思いますが、きょうはこれでやめておきます。
  64. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) ちょっと四十二年度の予算手元に届きましたので……。
  65. 松澤兼人

    松澤兼人君 予算……。
  66. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 決算はまだ締めておりませんので……。四十二年度は四カ月分で、損失が五億五千三百万円、利益の部が同じく五億五千三百万円。したがいまして、単純にこれを三倍すればいいわけでございますが、これを三倍しました場合の数字と比較をいたしますというと、大体やはり先ほど申し上げましたこの負担金の伸びを見ました率とほほ同じで、一四、五%の伸びということに相なっております。
  67. 津島文治

    委員長津島文治君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  68. 津島文治

    委員長津島文治君) 地方行政委員会を再開いたします。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  69. 原田立

    ○原田立君 今回の、一部を改正する法律案は、労働基準法及び労災保険の障害補償にかかる等級表が改正されることにより、公務員もそれとの均衡をはかるためとの理由で今回変えるようでありますけれども、もう少し具体的に説明してもらいたいと思うんですが。
  70. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) お答えいたします。  現在、地方公務員の災害補償法の身体障害の等級区分のうち、この精神並びに神経系統のものが現在の姿でどうなっておるかということを最初に申し上げたほうがいいのではないかと思うわけでございますが、まず、この精神障害のほうから申し上げますというと、精神に著しい障害を残し、常に介護を要する、常にだれか付いてやっておらなければいかぬ、これが第一級。前後いたしましたが、最初の等級は十四級。これは国家公務員も地方公務員も同様でございますが、十四級になっておりまして、一級から七級までは年金を出す、八級から十四級までは一時金と、こういう構成になっておるわけでございますが、その中で、精神障害について申し上げますというと、ただいま申しました精神に著しい障害があって常にだれか付き添ってやらなきゃいかぬ、これが一番ひどいと申しますか、重いものでございまして、第一級は、年金額は平均給与日額の二百四十日分でございますが、これが第一級。それからその次が、精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。身のまわりのことは自分で処理することができるわけでございますけれども、このいわゆる労働というものについては、これはとても一本立ちでできない。これをまあ第三級ということにいたしまして、年金百八十八日分、こういうことになっておるわけでございます。それから程度が軽くなりまして、精神に障害を残しておる、で、軽易な労務以外の労務に服することができない、軽易な労務だけなら服することができる、これが第七級。年金百日分、こういうことになっておるわけでございます。また、神経系統障害の場合でございますというと、半身不随の場合が第一級。先ほどの精神障害の第一級と同じでございまして、二百四十日分の年金。それから神経系統の機能に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができない。先ほどの精神障害の第七級と同じでございますが、これも同じく年金百日分。そのほかに、神経系統障害といたしましては、局部にがんこな神経症状を残しておる、結局、外見で神経症状というものが識別できる、こういうものが第十二級ということで百四十日分の一時金でございます。それから局部に神経症状を残すもの、これが第十四級で五十日分、こういう構成に相なっておるわけでございます。  で、先ほど御指摘の労働基準法あるいは労災法の改正に伴います改正と申しますのは、昨年の十二月でございましたか、例のむち打ち症によりまする障害というものを一つ加える、これは労災のほうの別表でございますが。それからもう一つは、例の一酸化炭素中毒に伴いまするところの精神障害、これを同じく加えるという改正が行なわれまして、ちょうど今般御審議をお願いいたしておりまするこの別表の九級のところの十三号、十四号、これと同じ趣旨の改正というものが労働基準法、労災法の改正において行なわれたわけでございます。で、この自動車事故によりまするむち打ち症というもの、これは公務員の場合も同様でございます。あるいはまた、一酸化炭素中毒というものも、これも同じくあり得るわけでございますので、この二つを災害の類型の中に加える、こういう改正を行なう必要があったわけでございます。
  71. 原田立

    ○原田立君 そうすると、労働基準法及び労災保険のほうで二項目加えられたので、地方公務員のほうも二項目いわゆる機械的に挿入したんだと、こういうことですか。
  72. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この労災法の改正に伴いまして、国家公務員、地方公務員、こういった公務災害についても同趣旨の改正を行なう、こういうことでございます。
  73. 原田立

    ○原田立君 そうしますと、今度の新しい改正事項を入れることによって、その分だけがいわゆる優遇された、処置されたということで、ほかのほうは一切関係はないということですか。
  74. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まあ新しく入れたということのほうに解釈をしたほうがいいのか、あるいは、この附則の御案内のとおり「備考」というのがございまして、「各等級の身体障害に該当しない身体の障害であって、各等級の身体障害に相当するものは、当該等級の身体障害とする。」という条文があるわけでございます。したがいまして、あるいは、この備考六の表現の中で包み込むと申しますか、というものを明確にした、こういう趣旨もあわせてあるかというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。
  75. 原田立

    ○原田立君 伝え聞くところによると、今回のこの改正は、交通事故が非常に多発してきた、その災害が非常に多いというので、それを救済する意味で今回つくったというようにお聞きしているのですが、いまのお話の中ですと、何かはかにも原因があるようなちょっとお話だったけれども、もう一ぺんその点お願いしたい。
  76. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 発生的にと申しますか、申しますのは、やはり御指摘になりましたように、むち打ち症の増加ということもございましょうし、それからCO中毒というのですか、一酸化炭素中毒、こういったものが発生的にはきっかけであったろう、こういうふうに思うわけでございます。
  77. 原田立

    ○原田立君 今回新しく九級の中に十三、十四を挿入したのですけれども、これは挿入されない以前の取り扱いはどういうふうになっていたのか、その点はどうですか。
  78. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 実は率直に申しまして、改正後の十三号、十四号に当たりそうな事故というのは、地方公務員の公務災害におきましては、過去において出ておらないわけでございます。ただ一件、昨年の十二月でございましたか、前回の当委員会で局長から申し上げましたけれども、北海道で保健所の職員が交通事故にあいまして、脳底骨折いたしました。それが、その方が治癒された後にこういう症状が残ればこれに該当をするということに相なろうかと思います。
  79. 原田立

    ○原田立君 俗に普通のむち打ち症、たいへんこのごろ車が多くてこの対策ということが非常に強く叫ばれているわけですけれども、公務員のほうは、地方公務員のほうは、いまのお話ですと、過去に一件しかないというのですけれども、そんな少ないのですか、ほんとうに。
  80. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) ちょっと私、不完全な御答弁をいたして申しわけございません。去年の十二月この公務員制度の新しい補償制度が発足してからということでございます。訂正させていただきたいと思います。  それから、いまのむち打ち症でございますが、私も実は医学の専門家でございませんので、ちょっと万全の自信を持って、確信を持って御答弁できないのでございますが、むち打ち症の症状というものの中には、やはりたとえば、先ほど読み上げました程度によっては第七級に当たるものがある、すなわち、精神に障害を残し、あるいは神経系統に障害を残して軽易な労務以外の労務に服することができない。全く軽労働しかできない、こういうものでございますれば、現在すでに第七級において処理をしておったということでございますし、あるいは、そこまでに至らないものでございますれば、十二級、十四級ということで一時金の支給というものを受けておる。したがいまして、ちょうどその間に、いまの相当程度服する労務が制限せられるものというものをワンランク入れることによって補償の全きを期したい、こういう趣旨でございます。
  81. 原田立

    ○原田立君 そうしますと、一つの問題点としては、たしか七級までは年金ですね、それから八級以降は一時金になるわけですね。今回、九級の中に入れるということでありますけれども、従来もしそれがなければ、九級の十三、十四の項目がもしなければ、七級の年金のほうに入るか、あるいは十二級のほうに入るか——一時金のほうに入るか、どっちかだったのですね。まん中に入れたので、ほんとうなら七級のほうに行きそうだったのが九級で一時金でストップされちゃった、こういう不利益はないのかどうか。その辺、多少ひっかかるものがあるのですが、いかがですか。
  82. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 仰せのような懸念も決して根拠のないことではないと思うわけでございます。ただ、従来のやはり障害等級の認定でございますというと、やはり軽労働にしか従事できないという者以外は全部十二級のほうへ入っておったわけでございますので、私どもの感じといたしましては、ほっておけば——ほっておけはといいますか、法律の改正を行ないませんでしたら七級に行くべかりしものが、九級をつくったためにいわゆる九級に下がったものが多いというよりは、むしろ、ほっておけば十二級、十四級にあったものが九級で救われる、そっちのメリットのほうが多いのではないか、そういう感じがいたします。
  83. 原田立

    ○原田立君 そういうふうに実際よくなればけっこうな話だと思うのです。そうでないのがいろいろ、労使間というとおかしいですけれども、いろんなトラブルが起きばしないかと非常に心配する面が私は強くある。その点のそういうことがないように、これはやっぱりきちんと行政指導等しなければならぬと思うのですが、それはどんなふうになさるおつもりですか。
  84. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 一つは、まず基本的な問題といたしましては、これはまあ公務上、外の認定という問題があるわけでございます。公務上であるか公務外であるかというその認定の問題からがそもそも問題になるだろうと思うわけでございますが、それから、いま仰せられました公務上ということになった場合に、どの等級にこれを当てはめるか、こういうことにつきましては、現在、支部と申しますが、都道府県及び五大市単位にあるわけでございますが、この支部がそういう実施事務を行なうわけでございます。これらの府県、市町村におきましては、従来ともこの制度の運営というものは過去において十何年やってきているわけでございますので、そういう混乱と申しますか、というものはないのではないだろうかということが第一点でございます。  それから、第二点といたしましては、支部ごと審査会というものを設けております。審査会委員さんが三人、それから参与、特に前回の国会でこの法律が通りますときに国会におきまして附帯決議をつけていただきまして、いわゆる職員側の意向というものを十分反映する機会というものを与えるべきであるということから、いわば参与というものをそれぞれ置いているわけでありますので、参与は四人でございますけれども、そのうちの二人は、大体現在設置いたしておりまする県の状況を見ますというと、自治労あるいは教組、こういった関係の方が入っておられるわけでございます。  そういった点からいたしまして、公務上、外の認定、それから審査——不服がございまして審査をするその審査会運営、こういったものにおきましても、十分そういう実情に合わない点を是正し得る機会はあるわけでございます。  それから、なお蛇足でございますけれども、この公務災害補償というものは、これは全く使用者の無過失責任だというたてまえをとっておるわけでございまして、それをこの基金がかわってやる、ここで基金というものは、そういう意味におきまして表現が適当でないかもしれませんが、非常に中立性の高い機関である、こういうふうにわれわれ考えるわけでございます。そういった点からこの制度のよろしき運用というものが期待できるのではなかろうか、こういうように考えております。なお、行政指導の面におきましては、御趣旨を体して十分やってまいりたいと思っている次第でございます。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連。今回の改正の点は、第九級で十三、十四という二つの項目を起こしてやることになるわけですが、その対象になる災害の症状といいますか、むち打ち症、COの中毒、こういうことでございますが、この十三と十四、分けてあるんですが、十三のほうは「精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」、十四は「神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」、精神に障害を残すということと、神経系統の機能に障害を残す、二つに分けて規定されておるわけなんでありますが、これはむち打ち症あるいはCO患者、これはいずれの場合にも、十三の場合にも該当するし、それから十四のこれにも該当するということはあり得ると思うのですが、そこら辺どうも、症状そのものは私よくわかりませんものですから、どういうふうになるものか、ひとつそこを御説明願いたいと思うのです。
  86. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まさにお尋ねのとおりの問題があるわけでございまして、私ども、実はにわか勉強でございますが、精神障害というものと神経症というものはどういうふうに違うんだろうかということを一応調べてみたわけでございます。これは精神障害と申しますのは、いわゆる精神の病的状態、すなわち、精神が正常でないために社会によく適応できない状態を広く精神障害、こう申し、あるいは狭義でございますと、精神分裂症あるいはそううつ症、てんかん、こういったもの、これを内因性の神経症と申しておるようでございますが、こういうことも言うようでございます。逆にまた神経でございますと、これは御案内のとおり、人間の身体の仕組みを有機的に統制をし調節をして、一個の個体として完全な、十全な活動ができる、こういういわばコントロールタワーみたいなものが神経系統でございますので、一応観念的には分かれるわけでございますが、現実の適用にあたりましては、この区分ができないものが多いようでございます。ただいま御指摘になりましたむち打ち症の場合でございましても、このむち打ち症というのをお医者さんのほうの分類に従いますと、外傷性の脊髄障害、まさにこれは神経系統の障害でございます。それから疼痛等感覚異常ということになりますというと、これはいわゆる器質性の精神病という面もあるのかなと思うわけでございます。こういったものがおもな例のようでございますが、そのほかに頭痛、それから目まい、平衡機能障害、それから末梢性の神経麻痺あるいは外傷性の神経症、こういったもろもろの症状にあらわれてくるようでございます。そこで、昨年、労災法の適用につきまして労働省のほうで各基準局に出しております指導通達等を見ましても、これはおそらく医学的見地から書かれたものだろうと思うわけでございますが、「その多岐にわたる臨床症状のうえから、精神と神経の障害を区別して考えることは医学上からも不自然であり、実際にも細目を定めることは困難であるので、原則としてそれらの諸症状を総合的に判断して障害等級を決定すべきである。また、その認定に当っては、精神科、神経科、神経外科等の専門の医師の診断が必要であり、これらの総合知見を要する場合が多い。」、こういうふうに述べておるわけであります。したがいまして、結論的には、まさに御指摘のような十三号、十四号両方に当たる、こういう場合が多いのじゃないだろうかと思うのでございます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからいま一つ、いまの点はなかなかわれわれしろうとがどうのこうのと言っても、これはわかりませんけれども、いまの御説明、あなた方も専門家にお聞きしたやつをいまおっしゃっておるんだろうと思いますが、それは一応それとしまして、いま一つ、むち打ち症と診断された、あるいはCO中毒だと、こういうふうな診断が出た場合にですね、その場合、全部十三、十四にいくわけではなくて、症状の程度その他によって、同じむち打ち症と言われるものであっても、あるいはCO中毒と言われるものであっても、中には、先ほど原田さんからも御指摘があったように、第七級のほうの三、四に該当して、そちらのほうで処理をする、中には第十二級の十二あたりでやるというようなこともあるのではないかと思うのですが、ただ、この法案についての御説明を聞いておった場合に、今度新たなむち打ち症、CO中毒患者のそれが入ったのだというと、こういうふうなものが全部この十三、十四に含まれて、ここでの処理になるというふうに考えられますものですから、したがいまして、原田さんが聞いたように、九級のほうの適用が、もし法改正なかりせば七級でやられたようなことが今度ここへダウンしたかっこうでここでやられてしまうのじゃないかという心配も出ると思うのですが、そこらあたりどうです。もう一度申し上げますと、同じむち打ち症なりCO中毒等の診断といいますか、こういうものだとされても、その症状の程度によっては七級のほうでということもあると思うし、場合によっては、もっと下のほうの十二級というところで処理されるものもあるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  88. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まさに御指摘のとおりでございます。九級に該当するものであり、あるいは軽いものでございますと、十二級、十四級というものもある、こういうことに相なるわけでございます。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは皆さんそういうおつもりではなかったのだろうと思いますが、私はさっきちょっと申し上げましたように、今度新たにむち打ち症なりCO中毒のそれを適用するのだというようなことがこの法案の改正のねらいとして、こう言われておったような、私はそういうふうに聞いたような気持ちを持っていますものですから、だとすると、いま私が申し上げたような疑点も出てきますしするので、関連して聞いたのですが、わかりました。いままで取り扱っておらなかったわけでもない、実際は。しかし、また取り扱ってはおったけれども、いままではあまりむち打ち症なんか問題になっておらなかったのですが、それをひとつはっきりここでこう打ち出した。しかし、症状の程度によっては、従来からある七級なり他の級において取り扱うこともあるのだと、こういうふうに理解して間違いないと思いますが、よろしゅうございますね。
  90. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そのとおりでございます。前回局長が補足説明で申し上げましたのも、そういう趣旨で申し上げたと思います。
  91. 原田立

    ○原田立君 実際運用されるときにはそんな間違いは起きないだろうと思いますけれども、このいま提案されている法律の中で、私たち見て、ちょっとむずかしいんじゃないかと、こう思うのは、精神または神経系統の機能に障害を残し一これははっきりしていることですけれども、「服することができる労務が相当な程度に制限される」ことになる場合、「相当な程度」という、そのところが私見て幅が非常に広いような解釈をするのでありますけれども、この「相当な程度」とは、どの程度をさすのか、その点はいかがですか。
  92. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 「相当な程度」と申しますのは、具体的に非常に認定がむずかしいだろうという点では、私どももそういう感じがいたすわけでございます。ただ一般的に申しますというと、先ほど申し上げました十四級の障害等級表を大ざっぱに分類いたしまして、一級から三級が重度だ、それから四級から七等級までが中等度だ、この重度、中等度は年金だ。それから八級から十四級までがいわゆる軽度だ、こういうふうに一応の分類をいたしておるわけでございますが、その場合に、中等度以上と軽度、これを分類するメルクマールといたしましては、一般的には、いわゆる通常の労働というものが、平均人としての労働というものが基本的に可能かどうかということがものさしになるわけでございます。そこで、相当程度の労働というものができないというその相当程度というものは、一体どの程度あればいいのだ、これもまことに職種によって千差万別でございますが、大ざっぱに言って、大体半分程度以上制限をされるというものをもって相当程度という判断をいたしておるようでございます。まあ一般的にわかりやすい例では、たとえば自動車の運転手が災害によって運転業務につけなくなった、こういった場合、やはり相当程度制限せられるといういわゆる典型的な例である、その人間がそれまで従事しておった労務というものに服することができないようになった、こういうものをもって一般的な徴表にしているようでございます。ただ、具体的な判定ということになりますというと、先ほど申しましたような、やはり専門医家の総合知見というものがそこになければならないだろうと思うわけでございます。
  93. 原田立

    ○原田立君 いまの部長のお答えでも、まだ「相当な程度」というのがよくはっきりのみ込めない。いま自動車の例が出ましたから、これはごく簡単なしろうと考えで申し上げるなら、たとえば自動車の運転手が、ほんの十分や十五分ぐらいの短いところを運転して、すっと行って帰ってくる程度なら、これは十分できる。ところが、一日ぶっ通しでずっと長距離なんか乗るのは非常に危険だというようなのも出てくるわけですね。だから、どこいら辺のところでその線を引っぱるかということによって、こういうような表現でやっていると、今後いろいろなあつれきが生じるおそれがあるんじゃないか。いま部長も、まだはっきりしないけれどもということを冒頭に置いての説明ですから、もとがはっきりしないんだから、末のほうへいったらよけいわからなくなっちゃってごちゃごちゃする、そういうおそれはないですか。
  94. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 結局、個々のケース・バイ・ケースで判断をせざるを得ないだろうと思うわけでございますが、一般的な考え方といたしましては、いま原田先生お取り上げになりましたような例で、せいぜい十分か十五分なら運転ができるけれども、通常のたとえば勤務時間、こういったものの勤務にたえないという状態になれば、これはやはり九級ということで処理する。もちろん、ほかのいろいろな要素というものがあるだろうと思いますが、簡単に割り切りますと、やはりそういうところではないかというふうに思うわけでございます。で、結局、どこまでいっても抽象的なプリンシプルになるわけでございますけれども、大体の障害の判定基準といたしましては、先ほども申し上げましたように、一番ひどいのが身のまわりのことも一切できない。その次が、身のまわりはできるが労働ができない。その次は、身のまわりもできるし労働もできるけれども、軽労働しかできない。それからそのもう一つ先にまいりますというと、通常の労働というものはできるけれども、その労働できる範囲というものが非常に限定されておるのだ。 こういうふうに感じとしては、何か一定の間隔を置いて系列に入るような感じがするわけでありますけれども、具体的な認定ということになりますというと、先ほどの精神科医あるいは神経科医、こういった方々の判断によって、ある程度やはり例を積み重ねていく、ケースを積み重ねていって、一定のルールができ上がっていく、こういうことにならざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  95. 原田立

    ○原田立君 いまのお話ですと、医師の診断ということになるのですけれども、その医師の診断ですね。二人の医師を使っておる、自分がいままでかかっておった医者、それがAとすれば、役所のほうで、いやそうじゃない、こっちのほうの医師にかかれと、役所の指定したほうにがかった、それがBの医者。AとBの医者の意見が一致すればけっこうな話だと思いますけれども、もしそれが差異を生じたような場合、ただ抽象的に医師の診断、意見等を待ってというのは、何か問題が起きるというように私、どうも思えるのですけれども、その点はどうですか。
  96. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 支部単位で審査会がございます。この審査会委員を見てみますというと、たとえば、これは岡山県の場合でございますが、岡山県では、委員三人の方のうちの一人を弁護士、もう一人の方を国立の岡山病院長、もう一人の方を岡山労働基準局の労働保険の審査官の方をあてておる、大体こういう構成が全国的にとられるものとわれわれ考えておるわけでございます。それから、もちろん参与は、先ほど申しましたように、職員代表の方が半数は入っておるわけであります。そこで、具体的なケースの場合に、公務障害の認定ということでございますれば、事実上、これらの委員の方々の意見も聞く、こういうことがございましょうし、また、実施の当初でありますというと、基金本部のほうの運営審議会委員、あるいは本部審査会委員の方々に、それぞれ専門家をお願いしてございます。そういった方々の御意見も伺いながら、ケース・バイ・ケースで慎重に判定をくだしていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  97. 原田立

    ○原田立君 そうすると、Aの医者、Bの医者の意見が多少違っていても、その審査会に所属しているお医者さんの意見を第一として取り上げてやっていくのだと、こういうことでよろしいですか。
  98. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 個々のお医者さんの意見が違いまして、当然七級あるいは九級であるべかりしものがさらに下のクラスに当てはめられたと、こういった場合でございますというと、法律上当然の権利として審査会審査請求をすることができるわけでございます。で、実際、そういう段階になるまでの間に、事実問題として審査会委員のそういう医家の方々の御意見を伺う機会もあるであろう、それから、先ほども申しました、本部のほうもそういう専門家の方を置いてございますので、そういった方々の知見というものを伺いながら判定をするということで、そういう御心配はないのではないかということを申し上げておるわけでございます。
  99. 原田立

    ○原田立君 御心配はないということなんだけれども、それは確かでしょうね。というのは、何も私はここで一つの事例があってそれで申し上げるというのではなしに、その「相当な程度」という、まあ私にしてみればあいまいな表現ですね。そういうようなことがあるから、今後そういうような混乱が生じては相ならない、そのために、もっとはっきりしなければいけないんじゃないかという私意見なんです。じゃ、もう少し具体的にお伺いするとなれば、七級の場合には「軽易な労務以外の労務に服することができないもの」と、こういうことになっていますね、「軽易な労務以外の労務に服することができない」と。今度はこっちのほうは「相当な程度に制限される」と、こうなると、何か文章の表現からいっても、九級の「相当な程度に制限されるもの」というほうが重いような感じがするんですよ。したがって、ここでお伺いしたいのは、七級のいわゆる相当な制限をされるもの、九級の相当な制限をされるもの、十級の相当な制限をされるもの、具体的にはどんなふうになるんですか。
  100. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 非常に私自身がもうしろうとでございますので、私がしろうとながらわかりやすい感じがいたしますのは、いわゆる外傷性てんかんという場合でございます。てんかんの場合で申しますと、十分な治療にかかわらず一カ月に一ぺん発作が起こるというのは七級、それから投薬を継続する限りにおいては数カ月に一回程度、もしくは完全に発作を抑制し得る場合、これがまあ九級、こういうことで、ある程度非常に、何といいますか、数量的に一カ月に発作が一ぺん出りゃ七級だと、数カ月に一ぺん出りゃ九級だと、こういうふうにはっきりしたものさしのっけやすいものと、それから、たとえば中枢神経系の障害のようでございますというと、ある程度そういう経験則的なものでございますけれども、中等度の神経障害のために精神及び身体労働能力は一般平均人以下に明らかに低下したというもの、これは七級だ。今度は、一般的な労働能力は残存しているけれども、自発性がない、自発性が減退している、あるいは記憶力障害がある。こういったために社会通念上その就労可能な職種の範囲に相当程度の制限がある、これが九級だと、この辺になってまいりますというと、先ほどから私が申し上げておりまする自動車の運転手の場合あたりですと、非常にこうぴたっといくのかもしれませんけれども、職種によりましては非常に判断のむずかしいところが出てくるだろうと、ここはやはりそういう専門家の総合知見ということに待たざるを得ないんじゃないかという気がするわけでございます。
  101. 原田立

    ○原田立君 医師の意見の相違の場合とか、あるいは本人の申し出が医師の判断と違うとか、あるいは医者同士の意見の違いとか、大体三つとおりぐらい考えられると思うんですけれども、そういうような場合、審査会にかけて判定するんだと、不服のある場合には行政不服審査法が適用されると、支部の段階から本部へ行って本部で決定されれば最終で終わりだと、こういうことのようですけれども、過去に、等級の決定についてこういうような本部のところまで持ち込んでそうして最終決定したというような事例ございますか。
  102. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 御案内のとおり、昨年の十二月発足したばかりでございますので、まだ本部審査会まで上がってきたという例は一件もございません。
  103. 原田立

    ○原田立君 支部の段階はどうですか。
  104. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 支部の段階におきましても、審査請求があったという事例は、現在までのところ、私ども聞いておりません。
  105. 原田立

    ○原田立君 この資料の一番おしまいのところに抜粋で出してもらっているわけですが、(精神障害及び神経系統の機能障害の部分のみ抜萃)というのがありますが、このきめ方ですと、非常に、ごく簡単にできているわけですから、実際にはこれ以外にもっとこまかなですね、こういうふうな場合にはこうだというような規程等はおありだろうと思いますが、その点どうですか。
  106. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) これはいままでの例でございますというと、労災なりあるいは国家公務員の公務災害なり、こういった例を参考にしながら、それぞれの団体が昨年の十一月までは実施をしてまいったわけでございます。労災保険の適用のあるもの、船員保険の適用のあるもの、それぞれ個別の適用のあるもの以外のものは労働基準法の適用を受けるわけでございますので、それで運用してまいったわけでございます。昨年の十二月から新制度に切りかわったわけでございますが、それぞれの個々の等級の認定基準というものにつきましては、したがいまして、過去の実例、経験の集積というものに実はゆだねているわけでございまして、私どものほうでこれの適用基準についての通達指導というものは行なったことはございません。
  107. 原田立

    ○原田立君 そうすると、各団体においてきめられているのであってというふうな意味にお伺いするんですけれども、それは各団体においていままでの事例等を参考にしてやる、そういう何か一定したような基準というものはそれはつくってあるわけですね。
  108. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) これは、先ほども申しましたように、これまでの事例でございますというと、地方公務員の場合でございますと、労災に行くものあり、船員保険に行くものあり、それから基準法で行くものありと、こうあったわけでございまして、そういう制度のまま過去二十五、六年やってまいったわけでございますので、おのずからその間に経験の集積がある、こういうことでございます。ただ、今度のこの一三号、一四号というものになりますというと、先ほどからのいろいろお尋ねがございますように、個々の認定というものについて問題を生ずるおそれがございますので、これは国家公務員の例、あるいは労災保険の例といったようなものを総合加味いたしまして私どものほうで通達指導を行ないたいと思っておる次第でございます。
  109. 原田立

    ○原田立君 そうすると、その処理要領みたいなものを、国家公務員のほうも、船員のほうも、はたまた今回の地方公務員のほうもつくって通達するということですね。
  110. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そういうことでございます。
  111. 原田立

    ○原田立君 それでですね、これもあるかないか、それはわからないことなんですけれども、非常にその認定の複雑なもの、困るもの、要するに、適用外のような、七級に持っていくか、九級に持っていくか非常に認定のむずかしいもの、こういうようなものがあると思うんです。先ほどからのお話の中にもありましたように、七級の場合には年金であるし、八級以下は一時金であるし、そうすると、同じような傷を受けた人が年金と一時金で片づけられるのとでは大きな問題だと思うのですね。この点は。それで非常に認定がむずかしいような場合ですね、そういうようなものが出た場合、それを受け入れる体制というのですかね、十分それを論議していく体制というのですか、率直に意見を聞いてやる体制とでもいいますか、そういうようなものは、これは審査会があるからいいじゃないかということになるんだろうと思いますけれども、もっと深い意味で審査会の基本態度というようなことにもなってくるんだろうと思いますけれども、そういう点どうですか。
  112. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 御指摘のとおり、本部審査会あるいは支部審査会、それぞれ専門家の方を置いてやるわけでございますので、随時そういう方々の御意見も伺いたいと思いまするほかに、本部に専門委員というものを設けることにいたしております。先ほど概数だけ申し上げました四十三年度の事業計画の中に、専門委員を五人お願いをするという計画を立てておるわけでございます。この専門委員の方々に、やはりそういう事例が起こりましたつど、あるいはあらかじめこの意見を伺う、こういうことも基金のほうで計画をいたしておるようでございますし、私どものほうも、そういう計画非常にけっこうだと思いますので、さらに促進をしてまいりたい、そういう形で各支部から上がってくる問題というものを受け入れるようにしてやりたいと思う次第でございます。
  113. 原田立

    ○原田立君 話がちょっともとに戻るのですけれども、処理要領ですね、それを国家公務員のほう、あるいは船員のほうをも参照してやっていくということだったんですけれども、それはもう手がつけられているのですか。
  114. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 下書きはいたしております。下書きはいたしておりますが、なお、いまのすでに発足をいたしておりまする労災の例、あるいは同じく発足いたしまする国家公務員の例、こういったもので私どもは学ぶべき知恵の点があればこれも取り入れたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  115. 原田立

    ○原田立君 どうも私それ納得しがたいのですけれども。というのは、今度の三井のCO患者の出たときも、取り扱いの等級について非常に故意に低く押えられたためにたいへん泣いたという、そういう意見をたくさん聞いたことがある。それで、やはり何らかのこういう対策を講じるときには万全を期するとでもいいますか、こういう事例はこうだと、こういうことはこうだというようなことが最初からはっきりとしてなければまずいと思うのです。その事件が起きて、たまたまこれはないじゃないか、これはもう一ぺんこういう点を挿入しなければならないというような、いわゆる、失礼な言い方ですけれども、どろなわ式であってはならないと。そこで処理要領——私なりの表現ですけれども——処理要領とでも言うんですか、資格を決定するときの調査資料とでも言うんですか、基準とでも言うんですか、そういうものはもっと詳細でなければならないはずだと、そういうのがいまできているのかどうか、それはまたどこで責任持ってつくられているのか、こういう点を聞きたいと思うのです。
  116. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 私どものほうで現在考えておりまするのは、先ほどから議論になっております「相当程度」の認定の問題、あるいはそのもう一つ前の問題点といたしましては、精神障害の態様あるいは神経系統の障害の態様といったものから始まるのでございましょうが、そういったものを中心にいたしまして、現実に基金につきましても補償課で補償の実務をやっております。そういった実務家の経験も聞きながら通達……運営指導要領というようなものをつくってまいりたいというように考えているわけです。
  117. 原田立

    ○原田立君 そうするとまだ、じゃあ、素案だけできて正式にはまだきめてないというように理解していいんですか。
  118. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そういうことでございます。
  119. 原田立

    ○原田立君 何か判定基準を労働省のほうでつくっているというような話を聞いたんですけれども、これはどうなんですか。
  120. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 労働省で去年の十一月十六日付で、基準局長名で各都道府県の基準局長あてに、「精神及び神経の障害に関する障害等級認定基準について」というのを出しておられます。こういったものも十分にそしゃくをして私どものほうの運営要領の中に折り込んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  121. 原田立

    ○原田立君 いつごろできるんだよ、答えがいつも半分しか答えてない。
  122. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 法案成立と同時に実施をいたしたい、成案も得たいというように考えております。
  123. 原田立

    ○原田立君 じゃ相当練られているわけですね。じゃ困ったもんだな。「相当な程度」がはっきりしないものだからそれだけひっかかっているんですよ。そういう心配がないんだというようなのが何か参考資料等で出されるなら、安心して賛成してもかまわないんだが、私も基本的にはこの法律を反対だという気持ちはない、賛成したいと思っているんですよ。だけども、運用のしかたによって不当に格づけされた、悪いことばですけれども、圧迫されたというようなことがあっちゃならないということが一つの焦点なんだ。そこが安心して、なるほどこれでけっこうなんだというふうにさしてもらえば、私幾らでも、もう質問やめたってかまわない、そういう気持ちでいるんです。ですから、どうもいままでのお答えでははっきりしないし、いままた、何かだいぶ素案が練られているということですけれども、それは当委員会資料として出してもらえますか。
  124. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この、素案の段階でございますので、もう少し時間の余裕をいただきたいと思うわけでございますが、実は労働省のほうでお出しになっております基準、これも実はそう明快、快刀乱麻を断つような基準でもないわけでございまして、やはり最後のところは、先ほど申し上げましたように、具体的には総合的な症状を総合判断して、もろもろの専門家が集まって判断しろ、こういうことが実は結びになっているわけでございます。その他、事実認定というものがやっぱり、きれいに一本でこうというメートル、ものさしみたいなわけにはいかぬだろうと思うわけでございまして、これを私の台本にしながら、どの程度ただいまの先生の御指摘のような点を明確化できるかという勉強をいたしたい、努力をいたしたいと思うわけでございます。ただ、この具体的ないわゆる「相当程度制限」という認定につきましては、これは私も先ほど来るる御答弁申し上げたわけでございますが、最後は、やはりこういう問題、すべてケース・バイ・ケースの認定問題になるだろうと思います。その認定にあたりましては、私ども、先ほど申し上げましたような専門委員あるいは支部本部審査会委員、こういった専門知識を総動員いたしまして、権利の保護の万全にはつとめてまいりたい。これは責任を持って私ども努力をいたしたいと思う次第でございます。
  125. 原田立

    ○原田立君 ここでちょっと資料を、先ほどもらった中で五ページのところですけれども、発生件数が六千二百九十九件で死者が四十二名で、受理件数が死者二十八名で発生件数が四千九百四十四件であると、差がだいぶ開いているんですけれども、この差の開いているのは公務でないものがあったと、こう理解していいんですか。
  126. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 発生件数と受理件数の差は、これはいわゆる災害が発生いたしますというと、届け出請求主義をとっておりますので、この請求が来るまでまだおくれておるという、その差でございます。
  127. 原田立

    ○原田立君 そうですか。そうすると、受理がおくれている、すなわち届け出がおくれているということになるんですね。そうすると、けがをした人ももちろんたいへん気の毒な人なんですけれども、なくなった方も発生件数が四十二件で受理件数が二十八件。十四件まだないわけですね。ということは、十四件のものはまだ届け出が済んでないということですか。
  128. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この調査を締め切りましたのがたしか二月末日だったと思います。その二月末日までの時点においてはまだ請求がなかったと、こういうことであろうと思います。
  129. 原田立

    ○原田立君 六ページのところに処理件数、死者七件、それから四千四百三十四件、未処理件数が十一件と五百十件、こうあるんですけれども、この未処理件数のはまだいまの御説明のような届け出がなくて未処理件数なのか、それとも認定がむずかしくて長期にわたっているもので、まだ未処理になっているのか、その点どうなんですか。
  130. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 受理件数の中で未処理のものでございます。四千九百四十四件の中で処理をしたものが四千四百三十四件、まだ受理はしたけれども処理をしておらないものが五百十件、合わせてこの受理件数四千九百四十四件ということでございます。
  131. 原田立

    ○原田立君 それはわかるんですよ、そのとおりなんだから。だから、未処理の、おくれている死者十一件と五百十というのは、認定がむずかしくて長期にわたっているのか、それとも、届け出がおくれてなっているのか、そこの点はどうですかと聞いているんです。
  132. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 災害が発生いたしましてからの、認定をして処理をするまで大体一件当たりの平均日数を一番おしまいにお示ししてあったと思いますが、大体三十日——一月くらいかかるようでございます。それで、そういう点で来たものから順番に片づけていった、その自然のズレ込みではないかと思います。認定がむずかしいからおくれておるというのは、私ども基金のほうから聞いた範囲では、そういう事実はいまのところはないようでございます。
  133. 原田立

    ○原田立君 同じ資料の十六ページのところに、法施行前と法施行後の「災害発生日から認定日までの一件当りの平均日数」というようなのが出ていて、全部では法施行前は三十八日間であったが、法施行後では三十日である。これを施行して早くなったということなんでしょう。ところで、青森は、法施行前は十五日だったのが、施行後は二十七日かかっている。新潟は、十九日間であったのが三十八日間かかっている。それから香川は、三十二日間であったのが四十三日間かかっている。熊本は、十九日間であったのが四十四日間だ。それぞれ倍くらい延びているのですね。これはどういうわけなんですか。
  134. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 個々の事例について詳しく調べたわけではございませんが、支部を全部つくらしたわけでございます。従来でございますというと、大都市以外の市町村も、それぞれの市町村が処理をいたしておったわけでございますが、新制度のもとにおきましては、六大都市以外の市町村、これも府県の支部がそれを処理する、こういうことで、制度のたてまえを変えた分でございますので、その支部の組織状況がおくれて受理にひまどった、こういった理由がこれらの県の中にはあるようでございます。
  135. 原田立

    ○原田立君 そう簡単に言いますけれども、新潟は倍かかっているのですよ。十九日が三十八日。熊本の十九日が四十四日ですよ。倍ですよ。どうもあまり納得しがたい。
  136. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 不勉強で申しわけございませんが、この御指摘になりました件につきましては、特殊事情があるのではないかと思われますので、調査をいたしまして御報告いたします。
  137. 原田立

    ○原田立君 地方公務員の福祉増進の意味におけるその一環の災害補償についての取り扱いをやっているのでありますが、ちょっと別な問題で、当委員会で、恩給のほうですがね、物価が五%上がればスライド制つけろというような当委員会で附帯決議をつけたことがあるのですけれども、それはどういうふうに検討されておられるのですか。
  138. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) これは、御案内のとおり、スライド条項が問題になっておりますのは、いわゆる公的年金制度、それから恩給、それからこの災害補償、こういうものについてそれぞれスライド条項の問題があるわけでございます。  それで、恩給につきましてはただいま御指摘になりましたような決議が出たわけでございます。で、いわゆる共済年金等公的年金につきましては、現在、総理府に公的年金制度連絡調整会議というもので関係各省の担当者が集まって検討を重ねておるわけでございます。まあ、考え方の基本といたしましては、御案内のとおり、賃金スライドでいくか、物価スライドでいくか、これがやはり基本になるだろうと思います。それから、物価スライドなり賃金スライドでいく場合のその率の問題というものがその次の問題になります。第三の問題といたしましては、やはり費用負担の問題でございます。これが恩給ではああいう形で決議が出たわけでございまして、私どもは、現在問題の検討中でございますけれども、公的年金の問題、それから災害補償の問題、統一的にはやはり解決をされざるを得ないだろうと思うわけでございまして、現在なお私どももせっかく努力中でございますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思う次第でございます。
  139. 原田立

    ○原田立君 大臣、あなたも忙しくて出たり入ったりしておりましたから話がわからなかっただろうと思いますが、災害補償のことについて今度の提案されているのが「相当な程度に制限される」というところでぐずついている向きがあるわけなんですが、それがこういうような規定によって今後混乱の起こるようなことがあってはならないし、そのために確としたひとつお考えをお聞きしておきたいと思うんです。それといまのとあわせて、恩給のほうで当委員会で付帯決議をつけたりあるいは答申も出ておりますし、その点の今後の見通しですね、どういうふうになっておるか、二つをお答え願いたいと思います。
  140. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 先ほどからたいへん骨を折って問題を煮詰めようとしておりますが、なかなか煮詰められないようでございますが、実際考えて、「労務が相当程度制限される」ということと「軽易な労務に服す」ということは、これはちょっとどう議論してもことばの上では私は判断はできかねる。これはこの立法の趣旨から考えまして、やっぱり働いている人たちが思わぬ事故のために働けなくなるということで、これを保護しようということがたてまえでございますので、審査会の判定を下す方々も、どっちかというと、あたたかい気持ちで考えてやるということで、まあ目分量でと申しますか、そういう感じできめていくよりしかたないじゃないか。しかも、七級までは年金になっている。それより級が下がりますと一時金というわけですが、一時金でやるのが百四十日、その上はないわけですから、今度九級にこれを入れると、精神障害の場合では三百五十日の手当が出ることになりますので、やはりこれは気の毒だというような感じで審査する方々がおきめになるということで考えるよりしかたない。こういうことばのニュアンスというものは、なかなかどこまでという限界はきめにくいと思いますので、私はそういうもので判断されるべきものと思う。まあ簡単に言えば、そうむずかしく三百五十日を値切って百四十日にしたというわけでもないわけですから、まあ、どっちかと言うと、あたたかい気持ちで裁定するということが望ましいと思います。  年金のスライド制の問題ですけれども、まだいまの段階では検討をしておるということを事務当局は言っておるわけですけれども、これもやっぱり同じことでして、そう金額的に大きなもんでもありませんし、こういった問題はできるだけあたたかい配慮が必要であると思いますので、そういった考え方で、スライドに関しましても、その配慮につきましては、先ほど申しましたとおりですけれども、やはりこの公的年金のためのこういうものを検討する公的年金制度連絡調整会議というものがありますそうで、その面で十分検討しまして、来年度一ぱいにはきめると、こういう方針でございます。
  141. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま大臣から、この災害補償の今後の運用の面で非常にあたたかいことばがありまして、実は私もその点についてお尋ねをし、御見解を伺っておきたいと思っておったことなんですが、まあ、ついでですからいまの件についてもうちょっとお伺いをしておきたいと思うんです。その災害程度によってどこの級へそれこそランクするかということになると、なかなかこれはいろいろ問題があるんであります。この法律が出ない前の災害補償の場合においても、問題になるのは主としてその点ですわね。いままで、そういうことで職員の側からの一番大きな不満は、もっとその上のランクで処理してくれてもよかったんじゃないかということだったと思うんでありますが、いまの大臣のお話で、先ほど申しましたように、非常にあたたかい気持ちでやっていただけるということでございましたので安心しましたが、やっぱりこの点は公務に伴う災害補償ということですから、できるだけ思いやりのある処理をしてあげなければいけないというので、その点ひとつ、お答え要りませんが、先ほどお話があったようなことでひとつやっていただくように十分な御指導をお願いしたいと思います。と同時に、いま一つは、先ほど原田委員のほうから、事件の発生から認定までの日数のことでお尋ねがありましたが、これは全体から言えば縮まっておるようでありますけれども、中にはかえって多くかかる、これは統計の取り方も大ざっぱなやり方なのかもしれませんが、いずれそういう点についても十分やっていただきたいと思いますし、従来、こういうことと、それから、いまの認定の問題についてのめんどうな、そうしていつまでたってもはっきりしないというようなことから、当然災害補償として処理されるべきものが、そんなものをいつまで待ってもしようがないじゃないかということから、たとえば健保とか共済とか、そちらのほうで処理してしまうという例がずいぶんあったと思います。今度こそはそういうことがないように、ひとつ処理についての認定までの期日なんかについてもできるだけ縮めて、そうして先ほど言ったように、あたたかい気持ちでもって、ひとつ公務員のためにできるだけの措置をしてあげるということでやっていただきたいと思うのでありますが、その点についてひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
  142. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) もちろん鈴木さんのおっしゃるとおりで、そういう心がまえで指導をしていきたいと考えておりますし、それから、異議の申し立て件数も、いまちょっと見ましたところ、一万分の二とか三とかということになっておるわけですね。ですから私は、やっぱりこういう問題はおっしゃるとおりに手っとり早く裁定をいたしまして、それから、こういう障害の場合、えてして事後重症と申しますか、よく傷病軍人もあのあといろんな故障が起こってまいりまして、むろん少しでも受け取りが多いほうがいいから、段階の、級のグレードを変えてくれというようなことをよく言ってこられます。そのために医者の診断を必要とするわけですけれども、あとで救済の道もあるわけですし、ことに、こういう精神障害などの場合は、どんな事故が起こってこないでもない。そういう際には救済の方法をまた考えなきゃならぬから、最初は手っとり早く裁定を下すことが非常に大切だと考えておりますので、そういう心がけで処理いたしたいと考えております。
  143. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからこまいようなことですから大臣でなくてけっこうですが、このいただいた資料を見ますと、発生件数、受理件数と、こういうふうなのでありますが、見ると、東京都が非常に多いんですね。非常に多いと言うとことばは少し悪いが、ほかのほうと比べてみて、東京都は確かに人口も多いしということはわかりますけれども、件数がかなり多くなっているということが見えるんですが、たとえばこの表の七、八の教育職員とかなんとかということはたいしたことありません。警察の場合、それから消防、それから数はあまり大きいとは言えないにしても、他から比べては電気・ガス・水道事業職員、運輸、清掃関係職員、こういうふうなのをずっと見ますと、東京は他と比べて飛び抜けて多いというふうに言えると思う。何かこれは他と違った状況があるのでございましょうか。どういうふうにごらんになっていますか。
  144. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) やはり御指摘になりましたように、警察、消防、ずっと目の子で見まして七百件余りでございます。発生件数の七割が一応警察、消防ということでございます。やはり東京都の特殊事情というものがこれから読み取れるかと思うわけでございます。この数字を見まして私ども気がつきますのは、大体人口数、したがって、職員数というものにある程度比例する面が出て、それにプラスして特異な県、具体的に言いますと千葉県、長崎県といったところがこの中に出てきているわけでございますが、どうしても警察の場合でございますというと、事柄の性質上、この資料におきましては、東京都に集中しておるということが明らかかと思うわけでございます。
  145. 鈴木壽

    鈴木壽君 私言うのは、警察だけじゃない。警察は千葉とかその他多いところもありまして、ある程度わからないでもないが、こういうのかなというふうに思います。私、それ言うのじゃなくて、消防、それから運輸事業、それから清掃関係、こういうのは確かに清掃事業なりあるいは運輸関係の仕事、これは他の都市と比べられないほどの規模なり仕事なりを持っておるだろうと思いますが、それにしても災害が少しほかと比べて多過ぎはしないかという感じをこの表から見たわけですがね。そこら辺、したがって、どういうふうにごらんになっておるか。これはあなた方直接、あるいは基金のほうでどういう分析をしておるのかわかりませんが、ちょっとまあそういう感じもしましたものですからね。そこでひとつ、これは東京都に対して、これをあしざまに言うとかなんとかいう気持ちじゃありませんが、何か労働——主として現業的なことですわね——こういうことの安全とか、よく労働基準法に言う安全、あるいはその衛生規則、こういうことに対してのふだんの、何といいますか、順守のしかたなり点検なんというものが足りないんじゃないだろうかと、こういうふうにも思うのですが、これは全くの私の、いまただこれを見ての感じなんですが、そうだとしますと、これは単に東京都だけでなしに、こういう現業的なこと、これは中には危険を伴うものもあるのでありまするから、そういうものに対する、ひとつ労働基準法に言う安全、あるいは衛生規則の順守というようなことに対して、あまりこれは労働省なり基準局あたりでは、地方公共団体とかなにかについては目を光らせていませんね、実際は。だから、そういう面、あるいは自治省としてもそういうことに対して何かもっとあってほしいというふうに思うのですが、どうでしょうか。いかがですか、その点は。
  146. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 先生の御指摘は、確かにそういう感じがいたしますが、私もこれ見ておりまして、ずっと見ておりますと、義務教育とかそういうものを除きまして、警察は五百五十二件ございますが、たとえば大阪の場合は二百二十六件でございます。そういう関係から言いますと、東京と大阪の規模から言いますと、そのぐらいの一つのかっこうがずっとあるんじゃないか。ただ、消防につきましては、確かに東京だけが飛び抜けて事故発生率が多い。これは火災とか、そういう事情をこれは一ぺん確かに調べてみなければなりませんし、先生御指摘のようなことがあるのではないかという感じがいたします。それから電気、ガス、水道になりますと、これも大阪の関係で見ますと倍、これも大体規模から言いましてそのくらいなところをいくんじゃないかという感じが実はあるわけでございます。それから、運輸という関係はこれはちょっと私よくわかりません。清掃になりますと、やはりこれほかと比較いたしますと多少多いのでございますが、まあまあ、この東京の大きな規模から申しますと、大体わかるような感じもいたすわけであります。そうやってみますと、運輸関係消防関係、この辺について特殊な状況の事故発生があったかどうか、あるいはおっしゃいますような衛生とか安全の職務環境なりなんなりの指導なり措置なりが十分であるかないかというような点が、多少おっしゃいますような点があるかもしれません。これにつきましては私どもとしてもう一ぺん再度調査をいたしまして、もしそういう点に不都合な事態があるといたしますと、これはぜひとも改善をはかるということについて努力はしなければならぬと思います。ただ、ほかのものでございますと、大体規模なり大きさからいいまして非常に大きな団体でございますので、大体わかるような感じも実はいたすのでございます。なお、しかし御指摘もございますので、さような事情につきまして十分調査を遂げまして、措置する必要があれば措置したいと思います。
  147. 鈴木壽

    鈴木壽君 別に私は東京だけが飛び抜けて大きいからどうのこうのと、こう言うつもりじゃなくて、この表から見ても、感じとしては、一応私が先ほど申し上げたような感じを持たざるを得なかったのですが、と同時に、他の都市の場合でも、かなり運輸もあります、この下のほうに六大都市のやつがありますが。こういうことから言って、私、それからもう一歩進んでいって、こういう仕事のいわば労務管理なり、作業のあり方なりということについての日常の注意といいますか、あるいは注意義務といいますか、そういうことがどうも足りないのじゃないかというような感じがしたものですから、それをお尋ねしたわけでありますが、何かこの法律とは一応関係がないようでありますけれども、そういう面でもむしろ公務災害補償補償しなくてもいいような体制で公務員が働けるとすれば一番いいことですから、そういう面では大事なことじゃないかと思いますから、ひとつどこそこはけしからぬということじゃなしに、全般の問題として今後注意して、また御指導なりそういうものがあってほしいと思いますから、それを申し上げておきたい。  いま一つ災害なんか起こった場合の、一応申請といいますか申し出があって処理されるわけなんでありますが、こういうことに対して、いま私前段で言ったようなことと関連して、二度と同じようなあやまちを犯さないように、災害が起こらないようにという意味を含めて、十分ほんとうの意味での事故の究明対策、こういうものが私は必要じゃないだろうか。処理してしまえばそれきりだ、こういうことじゃなしに、やはり起こった事故なり災害というものを、今後のそれに備えて、十分原因の究明と同時に、言えば再び起こらないようなことにするためのいろいろな予防的なことが考えられなければいけませんから、そういう面でひとつ地方団体を御指導をしていくべきだと思うんですが、よろしゅうございましょうか、その点。
  148. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) そういうことで、おっしゃいましたようなことで、私どももぜひこの事故発生の防止に努力するということでは全く同感でございますので、そういう指導をぜひさしてもらいたいと思います。  それから、地方団体でも、この事故発生件数と先ほど受理件数の違いというのがお話がございましたが、これはもう人事管理上の一番大きな問題でございますので、どこの地方団体におきましても事故発生について所属長が必ず責任者として人事管理上の責任問題というものもございますので報告をする。その報告が事故発生件数で一番早く出てくるわけでございまして、その事故の発生の状況なり原因なりというものはそのつど究明をするというかっこうで管理体制をととのえておるところが多いわけでございます。そういう意味でこの発生件数が非常に多いが、まだ公務災害補償のほうの受理との差があるというような例も出てきておるわけでございます。なお、そういう点につきましては、御指摘のような方向で努力をいたしたいと思います。
  149. 鈴木壽

    鈴木壽君 前回、私非常勤職員災害補償の問題で若干お尋ねをしておきましたが、きょういただいた資料に、地方団体でつくる条例の案、それから指導の通達の内容等についてお示しをいただいたわけなんですが、あれでしょうか、各地方団体条例をつくって、もうほとんどの市町村でこれが実施されるような状況になっておりますが、この示された条例案、こういうものに準じてうまくすべり出しておるのかどうか、そこら辺、どういうふうにごらんになっておられるのですか。
  150. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) まず、条例の制定状況は、午前中も申し上げたとおりでございますが、これらの団体条例内容は、準則どおりのものでつくっておるようでございます。それの実施状況というところまで実はまだ私ども把握いたしておりません。現在調査中でございますので、その結果を待って御報告申し上げたいと思います。
  151. 鈴木壽

    鈴木壽君 特にせんだってもお聞きをしたのでありますが、いわゆる非常勤職員範囲、それからその補償の場合の、何といいますか、基礎額等の定め方ですね、これは各団体非常なまちまちの形になっておる状態ですから、きちっと一斉にということはなかなかむずかしいということは私も承知しておりますが、それにしても、少なくともこの条例の準則に示されたようなこと、あるいは法でねらっておるこういうことだけは、ひとつ全部の団体公務災害補償非常勤といえども適用になるのだというようなことでないといけないと思いますから、そういう点、ひとつ今後各団体ごとのについても十分な調査と御指導を願いたいものだと思います。  このいただいた資料に、繰り返すようでありますが、最後の資料を見ますと、未制定の市町村の数が三百九十二とありますが、これはしかし「三月中に制定を予定している市町村は三百五十八である」、こうありますから、実際四月の今日になってみると、四十足らずがまだ未制定だというふうに思えるのですが、どうでしょうか、その点。
  152. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) そのとおりでございます。差し引き三十四のものがこの年度を越して今月にずれ込んでおると思います。これらの実情につきましても、私どもやはりいまも御質問を伺っておりながら考えておったのでございますが、この非常勤職員の共済制度の運用状況について、やはりこれだけの目的で一ぺん適当な形での打ち合わせ会を持ちたいと思っております。
  153. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、せんだってもちょっとお聞きしました市町村会議員のあの問題、何かあのあとでお調べになったり、皆さんのほうで把握しておられるようなことございませんか。
  154. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 前回この席で局長から答弁申し上げましたこととその後進展はないようでございます。内容といたしましては、いわゆる資金の集中管理といいますか、資金の管理ということを目的にしたものをつくりたい、こういうことで全国町村議長会は検討中のようでございます。
  155. 鈴木壽

    鈴木壽君 この場合、目的は資金の集中管理なりというようなことであるにしても、いずれにしても、何か全国的なものを一つくりたいと、そして資金の運用面なり、あるいはお互いに共済し合うという形でやるということ、考え方わからぬでもないんですが、この場合、そういうものをつくった場合に、自治大臣の認可を得て発足したいということを言っておるんですが、これは一体、自治大臣のところへ持ってきた場合に、自治大臣の認可にかかわらしめることであるというふうに考えてやるつもりなのかどうか、そこら辺どうです。これはまだ出てこないことを私先に読んで言うようで恐縮ですが。
  156. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) いまのような全国的な団体をとういう形で——資金のプールというときにでも考えておりますが、まだ詳細は知りませんが、おそらくそれは自治大臣の認可ということを申しておりますのは、公益法人としてつくるという考え方を持っておるだろうと思います。公益法人といたします場合には、財団法人——基金てございますから一種の財団法人的なものとして考えておるのではないだろうか。そういうことになりますと、地方自治関係の公益法人の設立につきましては主務官庁は自治省ということになっておりますので、公益法人と言う限りは、自治大臣の認可が必要だ、こういうことで考えておるのじゃないだろうかと思います。
  157. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、聞いていることをさっきもちょっと触れましたように、あれじゃけしからぬじゃないかというふうなこともないんですから、それは資金を一本化したようなことをしたり、共済をみんなでやるというような形であることも考え方としてはこれはあり得ると思うのですが、それはそれとして、いいんだが、ただ、はてな、自分たちがそういうようなことを考えてやる、それを公益法人だからといって自治大臣のところへ持ってきたというような考え方について私ちょっとまだひっかかるところ実はあるんですよ。そこで、こういうことをもう一度お聞きします。私これを知ったのは、この前にも申し上げたように、「町村自治旬報」というものに載っておる。それで初めて知ったんです。まだ、これを読んでおる以外には何も知りませんから。ただこれの中に、『町村議会議員公務災害補償責任を共済する「財団法人町村議会議員公務災害補償組合連合会」を設立』すると、そしてその共済を四月一日から実施するように準備を進めていると、そしてもう一つ別のところに、「各都道府県の補償責任を共済(資金のプール)する機関として全国会に」——これは全国的にという意味てしょうかな——「財団法人町村議会議員公務災害補償組合連合会(仮称)を、自治大臣の認可を得て、四十三年四月一日から発足させる」、これについては「中央においては、自治省当局の協力を得て、鋭意その組織運営の制度化の準備を進めるとともに」云々と、こういうことが書いてあるものだから、あなた方知らないということは少しおかしいのじゃないかと、こう思わざるを得ないのですよ。  それから、これは順序が違ったようなことになって、あるいは初めてお聞きになる方は理解しにくいかもしれませんが、各都道府県の補償責任を共済する機関として全国的なものをつくるということの前に、町村にかわりその補償の実施機関として町村議会議員公務災害補償組合というものを都道府県ごとにつくる、これは自由でしょうな。この段階まではやって差しつかえないと思うのですがね。そうして、いま言ったように、全国的な連合会をつくる、それが自治大臣の認可を得て、ということで、ここら辺がちょっと何か独走的なような感じがする。しかし、それが「自治省当局の協力を得て」とこうあるものだからせんだってから知らぬということはおかしいじゃないかという感じを持っていましたが、ほんとうに御存じないですか。
  158. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) お話がございましたように、町村議会議員の公務災害関係を府県単位に統一してつくる、そのためには、市町村の一部事務組合と申しますか、そういう形で府県単位につくるということは、これはいまのこの資料の中にも相当あるようでございます。そういうことはもちろん法律的に可能でございます。  それから、全国的な公益法人をつくるといいますのは、その公益法人が公務災害の責任をすべて地方団体にかわって議員に関して処理してしまう、これはできないわけでございまして、法律上そういう力を与えておりませんので、これはもうできないわけです。したがいまして、できる内容としては、その資金的な相互共済といいますか、いまそこでお読み上げになりました、そういうことを通じて全国的な関係を調整をしたいという意味だろうと思うのでございます。私どものところでは、その具体的な内容について話を聞いておるわけではございませんので、十分詳細なことは知らないということを申し上げておるのでございますが、そういう点で事務的にどういう内容の定款とか組織を考えたらいいだろうかというようなことで、給与課の担当官のところに意見を徴されたりしているようなことは、これはあるようでございます。それから、そういうことで何か全国的な公益法人をつくりたいのだという話はもちろん聞いておりますけれども、内容についてしっかりしたものができて、それが自治大臣のほうに提出されているというような段階ではございませんので、中身の詳細がわからないということを申し上げておるわけでございます。しかし、想像いたしますと、法律上の公務災害補償地方団体がかわって認定したり給付したりすることは、これはできるはずのものでございませんので、資金的にプールを考え、そのプールを通じまして、実質上、地方団体間といいますか、府県の組合を支部的に扱いますのでございましょうか、そういうことで公務災害補償の技術的な調整なり連絡をはかって、統一的な運営ができるようにしたいと、こういうことではないであろうかというふうに想像いたしておるわけでございます。
  159. 鈴木壽

    鈴木壽君 何か資金のプールということ、これはさっきも言ったように、考えようによってはほしいという、そういう気持ちもわからないわけじゃありませんが、それがなければ十分な公務災害補償が行なわれないというほどのことでもないと思うのですね、私は。これは個々の市町村だけでやるというような場合にはともかく、少なくとも県段階で事務組合の形でやりますから、そういう中では十分やっていけるだろうと思うのですが、さらに今度それを全国的なものを持ってきて、ここで資金のプール、補償責任を共済すると、こういうようなかっこうに持っていく必要性までは私はどうだろうかなというふうに思うし、そう思うのに、しかも、一方ではもう四月一日から発足させるんだ、自治省でも協力してもらって準備を進めているんだと、こうあったものだから、はてな、これは自治省としてはこういうものの指導というものにどういうふうな考え方を持っておられるのかなというふうに思ったのです。あなた方をいま何を知っているからけしからぬとか、知らないからいけないとか、そういう意味ではなしに、私、ちょっと動きそのもが納得できないものがあったものですからお聞きしたのですが、そうしますと、あなたのほうじゃ、具体的なものについてはまだ相談もなければ、内容等についてのそういう意思表示もしておらぬと、それから、自治大臣の認可を受けるというようなことについての動きについても的確なことはまだわからぬと、こういうことなんですね。
  160. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 大体そういうことでございまして、もし出てくるようでございましたならば、その趣旨、目的、それについても検討いたしまして処理をしなければならないだろうとは思います。
  161. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはおそらく出すでしょうね。こういうふうなことをはっきり言って全国的にこれは流しているやつですからね。出すでしょうが、出した場合の処理について実はちょっと私注文があるんだが、しかし、それはあとだ。あまりこういうところであれをしてもいけないかもしれないな。ちょっと私、考え方で少しおかしいんじゃないかと思ったものですからね。まあそれは、じゃあこれで終わることにします。  で、一つ大臣に、せんだって私、警察の災害補償のことで言ったら、おまえの言うことはよくわからぬというようなお話でございましたが、私の言うのは、ここでもう一度申し上げて、どうかという御見解を承りたいと思います。「警察職員災害件数調」というのをいただいておりますが、これによって見ますと、勤務している都県内での件数、それから都県外での件数と、こういうふうになって、福岡の場合十七人が福岡県外での件数になっておるんであります。これはどこでどういうふうになっているのか、これはちょっとわかりませんが、もしたとえば佐世保へ動員された警官があそこでのそれではないかというふうにもちょっと思うのですが、それはどうでしょう、そこまでのお調べはありますかどうか。
  162. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) お手元に一枚紙の横になりましたのをお配りしておると思いますが、これは資料のとり方がもう少し最近のものがとれないかと思いましたところが、こういう区分けとしては二月末日現在までしか整理できてないということでございました。これ、上のほうに四十三年四月と書いてございますが、実質上では、注に書いてありますように、二月末日現在の資料でございます。「関東および九州各都県での警察職員災害件数調」というのがそれでございますが、これで、関東地方におきましてはこの二月末日現在までには勤務都県外での件数はあらわれていないようでございます。九州地方と関東地方と両方調査して整理したのでございますが、福岡県の場合の七十六件の受理件数のうち、五十九件と十七件、勤務都県外での十七件というのは、私どもの調査しました限りにおきましては、これは佐世保事件に関係があるようでございます。それから鹿児島県の一件というものは、これは他県へ出張しておる途上での公務災害であるということのようでございまして、いままでつかめました資料は、二月末日現在ではこういう状況でございます。したがいまして、今後、佐世保の事件でございますとか、あるいは成田等の関係の事件の中から公務災害のケースはだいぶ出てくることが予想されます。これは、そういう意味で、今後出てまいりますものには、他県で災害を受けたという例としてこの中に出てくるだろうと思っております。
  163. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで大臣、私、せんだって言ったことは、まあ、ほかにあるとかないとかいうことを別にして、いま福岡の場合、佐世保のあれで、これはいまの警察のほうのたてまえからすれば、何といいますかね、協力、応援を求められて出ていったということになるでしょうね。そこで、それはまあそれとしていいが、しかし実際は、これはその警察署あたりで、佐世保というあの何か起こるであろうということを予想してそれに対処する対策として、これは全国的に、福岡県だけでなしに、九州の長崎の近県なり、いわば動員されたかっこうですわね、実際は。そこで、私はそういうことを何のかんのと言うわけじゃないのですが、そうした場合に公務災害で措置をしなければならぬということ、そうして、私は公務災害でやること、それはそれでいいと思います。ただその場合に、普通の、警官が自分の任地なりあるいは自分の所属する都道府県内にあって、普通の仕事で、普通の業務——普通の業務と言っちゃ悪いが——そういう中でやっている場合と、まあ、いわば非常事態に対処するために動員かけられて行った場合とでは事情がちょっと私違うと思うのですよね。そこで、適用するのはけしからぬと私言うのじゃないのだが、適用して公務災害でやっている補償のその金というものは、各都道府県で負担をしてプールされている金でまずやるわけですわな。しかし、それは、そういう、少しことばはオーバーなようでありますけれども、非常事態というようなことをあまり予想しない通常の場合でめ勤務でのそれというような形でいろいろ考えたそれの負担金になっておるのですが、そこで私は、いわば大きな一つの国家的な立場から、これも言い方は少し悪いかもしらぬけれども、要するに、戦地にやらされたようなところでのけがなり負傷なり、そういうものですから、国が何かの形で基金のほうへ金をその分だけは出すべきじゃないか、こういうふうに思うんですが、そのほうが筋が通ると思うんですが、その点はどうでしょう。それは、せんだって言ったら、そこまでことばは十分言わなかったから、おまえの言うことはわからぬぞということで、あと時間がなくなって、あなたが出て行ってしまったからそのままにしておきましたが、その点どうです。
  164. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 普通、地方団体職員が他の地域で公務災害を受けるということは、ほとんどないことだと思います。絶対なくはありませんけれども、まあ出張の機会ぐらいでして、用事があっても、よそへ行ってけがしたからといって、公務ではないわけでございますから、出張した人がたまたまということが主体になってくるのは当然であります。ところが、警察官の場合は、御案内のとおりに、整備しなければならぬ事案が全国的な規模で行なわれることになりましたので、最近全国至るところ問題の起こる場所へそれぞれ要請によって増派される場合が起こってくることが予想される。最近は数回あったことは御案内のとおりでございます。しかし、結局は、法律は属人主義でございますので、結局、自分の籍のあるところで処理をすることになりますので、御指摘のとおりに、いまの段階では、これは十七名や十八名でありましたから、この基金には何ら大きな影響があるとは考えませんけれども、この数十倍、数百倍ということがかりにあった場合はどうなるかという御質問じゃないかと思うわけです。そういうことがあるということを想像したくはないですけれども、しかし、そういう事態が起こってくれば、御指摘のように、属人主義と申しましても、その所属の地方団体基金には限りがあるわけでございまして、しかし、警察官の掛け金だけを上げるかというと、なかなかそういうわけにもまいりませんし、それはやはり、そういう事態は起こり得ぬと申しましても、絶対起こらぬということではありませんので、まあ検討しておかなければならぬ問題だと考えます。
  165. 鈴木壽

    鈴木壽君 私言っていること、それからお聞きしたいこと、何か佐世保とかどこかということで、全国的にいわば動員されて行っているのですから、これは形は、たとえば長崎県と福岡県、あるいは熊本県相互の協力とかなんとかいっても、それはそのとおりであっても、実質的には非常に違った場合だと思います。ですから、そういう場合で何か事件がああいうふうなことがあって災害があったというような場合、ですから、形からすれば、繰り返して申し上げますように、いまの基金で、基金というか、いまの地方公務員災害法、これによってやらざるを得ませんから、それはそれとしていいのですが、しかし、実際の金というものに対して、やはり別の立場で考えて、私は、額が多いとか少ないとかいうことよりも、性質上非常な事態で、いわば国家意思が加わったようなことで動員されて行っているやつですから、別にやはり考えてやらないと、これは基金としてもたいしたことではないのじゃないか。五人、十人はたいしたことじゃないのじゃないか、あるいは何万円というふうな程度基金にまあ影響を及ぼさないのじゃないかというようなことで済まされない性質のものだと思いますので、いまのおことばのように、今後のことも考えながら、ひとつぜひ検討してもらいたいと思います。私まじめな気持ちで、佐世保でやったのはけしからぬとか、あそこに警官やったのはけしからぬとか、そういうことではなくして、災害補償をするという、そういうまじめな気持ちから、しかし、金は地方団体がみな持ち出している金でやっているのですから、そこにちょっと納得のできないものがあるのです。ぜひひとつ御検討願いたいと思いますが、重ねて、いかがでございますか。
  166. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 理屈ということばを使っちゃたいへん失礼ですけれども、筋道から言えば、鈴木さんおっしゃることはよくわかります。しかし、警察官の場合は都道府県警察、自治体警察ということになってもおりますし、それから、これは給与にも関係があるとか、あるいは災害によりまして、これが自然災害の場合であったら、いつどこにどういうスケールで起こってくるかわかりません。これだって地方団体で負えないものは国がそれぞれの処理をすることになるわけですけれども、それに類することが起こりました場合には、別途やはり考えなければならぬことが起こり得るかもわかりません。しかし、やはりそれぞれ都道府県の職員は身分的にも給与の面にもそれぞれそこへ所属しておりますし、いまの段階では、やはり属人主義の立場から申しまして、当該公共団体で処理するのが適切であるという考え方でございます。いまの理論的な意味における将来ということについては、十分また検討もいたしたいと思います。
  167. 津島文治

    委員長津島文治君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 津島文治

    委員長津島文治君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。     —————————————
  169. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由の説明を願います。赤澤自治大臣
  170. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ただいま議題となりました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容概要を御説明いたします。  最近における社会経済の発達と科学技術の進歩に伴い、高層建築物、地下街等が急増する傾向にありますが、これらにかかる火災は特殊な態様を有し、一たび発生すると多大の損害をもたらすことが予想されるのであります。また、プロパンガス、石油類等の危険物品が近年ますます国民生活の中に浸透し、これらに起因する火災が多発しつつあるのであります。政府としてはこのような特殊な火災に対処する防災体制を整備するため、関係法令の改正についてかねてから種々検討してまいったのでありますが、その一環としてここに消防法及び消防組織法の一部について所要の改正を行なうことにいたしました。  これがこの法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一は、高層建築物、地下街等における防火管理の徹底に関するものであります。管理についての権原が分かれている高層建築物、地下街等における一体的な防火管理を確保するため、当該権原を有する者が相互間において防火管理上必要な事項についてあらかじめ協議して定めておかなければならないこととするほか、高層建築物、地下街等において使用するどん帳、カーテン等は、防炎性能を有するものでなければならないことといたしております。なお、これらの措置と関連して、防火管理者の業務に、「避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理」を加えることといたしております。  第二は、消防機関の防災体制の整備に関するものであります。その一は、ガス、危険物等の漏洩、流出等の事故により危険が急迫している場合には、消防長または消防署長は火災警戒区域を設定し、火気の使用禁止、退去命令または出入の禁止制限の措置をとることができることとし、また、火災の現場において、消防職員または消防団員は、関係者に対し消火及び人命救助の活動に必要な情報の提供を求めることができることとしております。なお、消防本部を置かない市町村における予防査察を強化するため、常勤の消防団員に立ち入り検査権を与えることといたしております。その二は、消防機関の能力の向上をはかるため、消防署長の資格を政令で定めることとし、また、消防学校の教育訓練については消防庁が定める基準の確保につとめるべきこと等を定めております。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  171. 津島文治

    政府委員津島文治君) 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。  次回は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会      —————・—————