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1968-03-30 第58回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月三十日(土曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————   委員異動 三月三十日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     高橋文五郎君      佐藤  隆君     仲原 善一君      森田 タマ君     八田 一朗君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          津島 文治君    理 事                 船田  譲君                 吉武 恵市君                 鈴木  壽君                 原田  立君    委 員                 小柳 牧衞君                 高橋文五郎君                 八田 一朗君                 林田悠紀夫君                 八木 一郎君                 松澤 兼人君    国務大臣        自 治 大 臣  赤澤 正道君    政府委員        自治政務次官   細田 吉藏君        自治省財政局長  細郷 道一君        自治省税務局長  松島 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治省市町村税        課長       石見 隆三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、菅野儀作君が辞任され、高橋文五郎君が選任されました。     —————————————
  3. 津島文治

    委員長津島文治君) 地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 原田立

    原田立君 今回の地方税法の一部を改正する法律案について若干質問をしたいと思うのでありますが、きのうも鈴木議員のほうからいろいろ指摘された重要な点がありますが、若干ダブるような点があるだろうと思いますが、御質問します。  一番最初に住民税関係でありますけれども課税最低限度額のことについて、いろいろと世間もやかましく言われているわけでありますが、今回、給与所得は十万円の引き上げによって、ある程度その恩恵を受けることになるわけでありますが、所得税を納めなくても住民税を納めなければならないような人は約五百万人ぐらいいるのだというような話を聞いたことがあるのですが、その辺は、対象人員一体どのくらいになっていますか。
  5. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 昭和四十二年度所得税納税者は千八百四十八万三千人でございます。それに対しまして、昭和四十二年度、同年度所得割り納税義務者は二千四百六十三万七千人でございますので、その差が約六百万ばかりございます。ただ、今回御提案申し上げております課税最低限引き上げをいたしますと、昭和四十三年度には、所得増加による納税人員増加を見越しましても、なお差し引きいたしました結果、二千四百七十万人になるものと見込まれますので、昭和四十二年度よりは六十万程度結局その差は減少する、こういう状況でございます。
  6. 原田立

    原田立君 そうすると、六百万人昭和四十二年度であったのだから、六十万減少ということは、五百四十万人ぐらいあると、そういうように理解していいですか。
  7. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 昨年度所得税納税義務者比較いたしますと、そういうことになるわけでございます。
  8. 原田立

    原田立君 この住民税標準世帯給与所得者課税最低限度額が四十二年度に比べ約十万円引き上げられて、五十三万二千四十円となると、こう言われておりますが、この所得税のほうと住民税との差ですね、その点を実は問題にしたいのでありますが、従来自治省が用いている対前年の所得税課税最低限七十一万一千八百九十九円、これに比較すると、七四・七%と、こうなるわけですが、四十三年度住民税は、四十三年度分の所得から支払われ、たまたま、課税標準を前年度に求めたというにすぎない。こうしますと、計算されているだろうと思いますが、四十三年度収入から住民税が支払われるのですから、当然四十三年度収入、そちらのほうから問題になるわけですが、四十三年度分の課税最低限一体どうなっているのか、その点はどうですか。
  9. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この課税最低限所得税比較いたします場合に、所得税の前年度住民税当該年度とを比較するのが適当であるか、あるいは所得税当該年度住民税当該年度比較するのが適当であるか、これは御指摘のとおり問題のあるところでございます。御指摘のように、税を支払われる年度所得の中から税は支払われるわけでございますから、その比較をするのが正しいのではないかという御意見もあるわけでございます。ただ、どれだけの所得に対して課税最低限がどうなっているか、こういうふうな観点から見てまいりますと、去年の五十万円なら五十万円、あるいは百万円なら百万円の所得に対して、課税最低限がどうなるのか、こういう観点から比較いたしますと、前年度所得に対します課税でございますので、そういう比較をするということも一つ比較のしかたであるというふうに考えるのでございます。これはいずれにいたしましても、比較観点をどこに置くかという問題でございますので、どちらが正しいとか、間違っておるとかいうことは言いにくい問題でございますが、いま御指摘のございました昭和四十三年度所得税課税最低限に対して、昭和四十三年度住民税課税最低限比較すると、どのくらいの割合になるかということでございますが、六割六分強くらいになるものと考えております。
  10. 原田立

    原田立君 その対前年度比較をしてみると七四・七%、それから同年度、これは四十三年度所得税のほうと住民税のほうとを比較すると、約九%、一〇%くらい低くなって六五%、こんなふうになっていると、私もそう思います。これで、四十四年度住民税独自の減税を行なわないで、国税が今年行なおうとしている給与所得控除、これだけが住民税に反映したとすると、住民税課税最低限は、これは伝え聞くところによると、五十五万八千二百五十円くらいになると、こういうふうに思うのですが、そうなると、所得税減税は、所得税のほうは佐藤総理政府の公約で四十五年度までには百万円にすると、こう言っておりますから、そうすると、四十四年度は九十万円くらいには引き上げられるのではないかと、こう思うのです、これは先の話ですけれども。そうなって比較すると、その割合はさらに六二%ぐらいになっちゃう、ずっと下がってくる。自治省で計算するようなやり方をしても、六八%くらいになると思うのです。こういうことでは、幾ら負担分圧制住民税基本的性質であると、こう言っても、少し度を過ぎているのじゃないか、こう私思うのですが、その点いかがでしょうか。
  11. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のとおり、本年度所得税改正給与所得控除引き上げが行なわれますので、その分はいわば自動的に来年度住民税減税となり、課税最低限引き上げとなるわけでございまして、それを夫婦子三人で引き直して考えますと、先ほどお話のございましたように、五十五万八千円程度になるものと一応見込まれます。しかし、これまた御指摘がございましたように、所得税昭和四十五年度目標収入金額百万円程度まで課税最低限引き上げるということでございますので、おそらく、来年度におきましても課税最低限引き上げが考えられるのではないかと思われますので、そういった事態を考えますと、比率を出してまいりますと、このままでまいりますと、下がってくるということは考えられるわけでございます。  そこで、この問題についてどうしていくかということでございますが、昨日も鈴木先生にお答え申し上げましたように、私どもといたしましても、今回の課税最低限引き上げ住民税課税最低限の問題は終わったというふうには決して考えているものではございません。引き続きこの引き上げについて努力をしていかなければならないものと思うのでございます。ただ、地方財政状況は、毎年度あらかじめ一定の予測のもとに先を見通すことが困難でございますので、いまの段階で来年度どの程度引き上げることが可能であるかというような点について申し上げる段階ではございませんけれども、いま申し上げましたようなことから、できるだけ課税最低限引き上げについても来年度努力をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  12. 原田立

    原田立君 来年のことだからいま言うわけにいかないという、これはもうそのとおりだろうと思うのですが、ちょっとそれでは私、納得しがたい。というのは、所得税のほうは四十五年までには百万円やろうと、課税最低限をそこまで引き上げようと、こういうはっきりとしためどをつけてやっているわけですよ。住民税については、いままで総理のほうからも、自治大臣のほうからも、はっきりとしたそういう目標は示されていない。言ってみれば、お先まっ暗、手さぐりで仕事をやっているというようなぐあいになってしまうとこれはまずいんじゃないでしょうか、次官
  13. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) おっしゃいまするように、国民の感じ方、受け取り方といたしましても、所得税については、四十五年百万という最低限見通しのもとに年次的に逐次やってまいっていく政府の方針がはっきりしておる。それに対して、たとえて申しますれば、住民税最低限所得税最低限のあるいは七割程度がいいのか八割程度がいいのか、何らかのとにかく見通しを立てて、そして所得税における場合と同じように、計画的にやるべきではないか、こういったような御意見ではなかろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましても、ただいま税務局長からお答えいたしまするように、明年度このままでいいかどうかということにつきましては、むしろ、率直に申しまして、私どもは、このまま本年の所得税に対してのはね返りだけというようなことでは、国民皆さんから納得がいただけないんじゃないか。生活保護の問題もございます。また、大蔵省が発表しております国民生活水準といったようなものもございます。そこで、私どもとしましては、でき得れば何らかのめどを置いて計画的にやることがいいんじゃないかというふうに思っておりますけれども、いまこれも局長が申し上げますように、これまで地方財政状況というのは、先生もすでに御承知のように、非常に苦しかった時代を長く経過いたしておりまして、相当問題が、国税の場合と違ったむずかしさを実は一つ持っておるわけでございます。そういう点で、政府全体としてまだはっきりした見通しを立てておらないというのが実情でございますが、そういう点につきまして、私どもとしましては、ただ行き当たりばったり、その日暮らしということでないような方向で何らかのめどをつけることができますれば非常にいいんじゃないかということで、せっかくそういう方向努力をいたしたい、かように考えております。考え方といたしましては、いま原田先生のおっしゃったような考え方に進むべきであろうと私どもも考えておる次第であります。     —————————————
  14. 津島文治

    委員長津島文治君) 委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤隆君及び森田タマ君が辞任され、仲原善一君及び八田一朗君が選任されました。     —————————————
  15. 原田立

    原田立君 いま局長次官も仰せになっているような地方財政が非常に苦しい、そういうようなことで、私も、去年もおととしもやむを得ないものかというふうに実は思っておりましたけれども、それはそういうことでは話は通らないんじゃないかと思うのです。自治省予算編成の時期になると、六団体共同戦線を張って大蔵対策をやる、そういうために地方団体財政のめんどうは確かによく見ている。それは見るのが自治省の役目だから、これは当然なことだろうと思うのですが、これはこれでいいんですけれども、その反面、住民税課税最低限度額引き上げということになると、いまのお話のように非常に冷たい、冷淡です。所得税のほうには四十五年百万円という、そういう一応のめどは立っている。しかるに、住民税のほうについては、せっかく努力はするけれども、まだ全然計画は立っていないと、こういうのでは、あまりにも住民に対して今度は冷た過ぎるんじゃないか。だから、ある一部では、住民負担については自治省は非常に積極性がなく、一体どこを向いて行政を行なっているのだというような非難もあります。そういうことでありますから、四十四年度以降については住民負担の軽減をはかるという用意がはっきりあるのかどうか、重ねて御答弁願いたいと思います。
  16. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 決して冷淡に考えておるわけではございません。ただ、私どもが考えなければなりませんことは、もちろん税を負担される、納められる側のことをあたたかい気持ちで考えなければならないと同時に、地方財政というものをあわせて考えなければならぬところに、一見、住民の側に立っての御意見でございますと、冷淡のように受け取れるかもしれませんが、さようなふうには実は私ども考えておりません。  実は余談のようになりますが、明年度予算編成に際しましても、国と地方との関係でいろいろな問題がございまして、そういうものにつきまして、たとえば超過負担の解消の問題でございますとか、あるいは特別利用債元利補給の問題でございますとか、そういったものについては、はっきり大蔵自治両省の間でめどをつける、こういうことで、まあ何といいましょうか、今後あまり議論をしなくても一つルールでやっていけるということになったわけでございます。住民税の問題につきましても、勢い、これは国の財政との相互の問題を考えなければ、目標を立てることはできないと思います。したがいまして、こういうものにつきましても、私たちは、はっきりしためどを立てることができれば、私たち仕事としましても非常にやりやすくなりますし、また、住民皆さん方の素朴なといいましょうか、ほんとうに所得税はこうなんだがこれはどうなるのだというような感覚にもおこたえすることができるということでございますので、ただいままでは、実は冷淡にしておるわけではございませんが、目標は立っておりませんけれども所得税と同じようにいくかどうかという問題は別といたしまして、何らかの形で大方のめどをつけるということは私は必要だと思います。そういう点に向かって、政府全体の中で、私どもの省としまして努力をいたしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  17. 原田立

    原田立君 努力目標はたいへんけっこうな話なんですが、こんなことを言うと、ちょっとことばが怪しくなるんですけれども努力目標をしっかり立てられるのは、言明なさるのはけっこうだけれども、毎年毎年努力目標で、実際に成果があがっていないという場合もいままで何回となくありました。今回十万円の引き上げを行なったと、これは近来にないヒットだろうと思うんですよ。二塁打ぐらいですね。だから、この次に、所得税のほうでは四十五年まで、それにあまりとらわれるような言い方をしますけれども、そっちのほうで百万円までは四十五年度までにはやろうというめどがついておるんですから、住民税のほうだって、つかないのがおかしな話であって、つけるのは当然なことだと思う。せっかく努力中というお話でありますけれども一体、それが検討し、努力し成案としてまとまって当委員会発表になるのはいつごろと踏んでいいですか。
  18. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 来年度の問題でございますので、私どもも、先ほども申し上げましたし、また、政務次官からもお話がございましたように、私どもとしては、あるらゆる努力を傾けてまいりたいと考えております。いつごろという御指摘でございますが、この問題につきましては、税制調査会等の御審議もいただかなければならない問題でございますので、いまここでいつごろというふうにはっきり時期を申し上げることは困難でございますけれども、ともかく、先ほど政務次官も申し上げましたように、前向きの方向で極力努力をして、一日も早く事柄が実現しますようにいたしてまいりたいと考えております。
  19. 原田立

    原田立君 その前向きの点は、私十分了解するのですよ、前向きの点はせっかく御努力願いたい、こう申し上げるのですけれども、それだけでは、から手形ですよ、正直言いまして。じゃ一体めどは、その計画発表めどですよね、これは一体いつごろというふうに判断していられるのか、そのくらいは言ってもらいたいと思うのですが。
  20. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 私は、この所得税最低限度四十五年百万円というのは、これはまあ何といいましょうか、ある意味で政治的にこういう一つ目標をきめられたと思うのです。住民税についても、これは自治省という立場だけからでこれは決定をもちろんできない問題だと思う。むしろ、より大きな地方財政全体の問題、また、地方財政と国の財政との関連において政治的にきめられなければならない問題だと思います。そこで、私どものほうといたしましては、そうした何らかのめどが立って、一つルールができて、そういう方向でいく、しかしながら、歳入はそれによって減収が相当出てくる、出てくるものについてはこうする、こういう大きな方向が打ち出されれば、自治省税務当局としては非常にやりよくなるわけです。そういう点で何と申しましても、これはやはり少しオーバーかもしれませんが、内閣全体の考え方総理大臣考え方、そういうものがやはり大きな目標をきめるのには私は必要だと思うわけでございます。そういう意味で、私どもは、どこへ基準を置くべきかという点についての事務的な検討は十分いたしまして、政府の中でそういう面で努力いたしたい、こういうことでございまして、いま税務局長から申し上げましたように、いつごろになったらどうということは申し上げかねますが、私ども、そういう方向政府の中で努力をいたしたい、かように申し上げておるわけでございます。ただそういうことを言って便々と問題をその日暮らしにするというような気持ちではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  21. 原田立

    原田立君 どうも私、納得しない点なんです。所得税のほうだけ目標がきまって、住民税がきまらぬという、そんなばかなことはないと思うのです。この問題について、委員長、私、質問留保しておきたいと思います。この問題は、あと大臣がお見えになるだろうから、それではっきりと御相談願って、自治省としても、あるいは内閣としても、住民税のことについてのもっと基本的な考え方をはっきりとお聞きしたいと思う。  地方公務員給与は、自治体がみずからきめるべきものでありますけれども地方財政計画交付税等の算定において、国の公務員に準じた給与というものが考えられているわけですが、四十一年度決算において、国の水準を上回る給与を支払っているのは、一体どのくらいなのか、二千億というような話も聞いてはおりますけれども、その点いかがですか。
  22. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 私、直接担当いたしておりませんので承知いたしておりませんけれども、調べまして至急お答えをいたしたいと思います。
  23. 原田立

    原田立君 それと関連することなんですが、個人住民税については、三十六年に改正される前のいわゆる第一課税方式は、所得税額課税標準としていたため、所得税減税されると当然住民税のほうもはね返って減税されることになっていました。それで、当時は大都市はほとんどこの方式を採用していたので、もし国税影響遮断する三十六年の改正が行なわれなかったならば、そのまま存続していたとすれば、大都市住民に対しては大幅な減税が行なわれていただろう、こう思うわけです。今日から見ると、第一課税方式による減税部分が国の水準を上回る給与費に充てられていたという見方もできないことはないと思うのですけれども、そういう点いかがですか。
  24. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 第一課税方式の場合は所得税にスライドしておりましたので、御指摘のような点もあったわけでございます。しかし、住民税ができましてからの経過を見てまいりますと、必ずしもそういう形で運営されずに、一方におきましては、所得税減税影響遮断いたしますために、税率引き上げを行なって調整をした事例もございます。また、そういう事例が行なわれない場合には、団体によっては、ただし書き方式に移行するというような形で、団体の判断によって影響遮断するというようなことも行なわれた場合もあったのでありまして、いま第一課税方式税率について見てまいりましても、昭和三十二年には一五%でございましたが、それが昭和三十三年には一八・五%に税法改正で上がり、昭和三十四年には二〇%に上がるというような形で税率調整するという形で影響遮断が行なわれた事例もございます。また、先ほども申し上げましたように、団体独自で課税標準選択方法を変えることによって影響遮断するというようなことも行なわれたこともございます。そこで、御指摘のように、影響遮断をしたから、それによって増になった分が即、地方団体大都市等におきまして職員給与増高に充てられるというふうに必ずしも断定はできないのじゃないかというふうに考えます。
  25. 原田立

    原田立君 財政局長見えになったので、ちょっと話してくれませんか。さっきの質問は、四十一年度決算において国の水準を上回る給与を支払いしているのは一体どのくらいかという質問です。
  26. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いまちょっと手元に、四十年度財政計画決算の差額が出ておりますが、便宜それで申し上げますと、四十年度におきまして、給与関係経費決算額財政計画の開きは約千八百億ほどでございます。その千八百億が全部が全部ベースを上回っているわけではございませんで、員数が財政計画上に盛られていないものもございますので、その内訳がちょっといま手元に持っておりませんが、大まかな数字でございます。
  27. 原田立

    原田立君 じゃ財政局長昭和四十一年度のそれ、おわかりでしたらば、あとで資料として出してください。  それで、まあ、いろいろその研究なんですけれども、現在のような住民税課税最低限度額をきめる個人住民税についての考え方をしている。それから昔の、前のいわゆる第一課税方式による減税分と、これを比較してみた場合に、一体どんなふうな答えが出ますか。
  28. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 第一課税方式分と、現在の住民税課税方法による税額とを比較したらどうなるかというお尋ねでございましたけれども、第一課税方式につきましても、先ほど申し上げましたように、所得税減税等が行なわれました場合には、住民税もそれに準じて減税を行なったことももちろんございます。その場合は、税率を据え置きますと、いわば自動的に減税が行なわれるという形で減税を行なったこともございます。また、先ほど申し上げましたように、逆に、所得税減税はあっても、その影響住民税には当然には及ばないようにということで、標準税率引き上げるということによって調整をいたしたこともございます。で、そういうようなことでございますので、現在の方式に切りかえられましたものを、そうでなかったならばどうなっていたであろうかという推定をいたしますことは、そのときそのときの地方財政の事情なり住民負担状況がどうであったかということを、もしもこうであったならばという仮定を置いて考えませんと、なかなか結論が出にくい問題でございまして、いま先生のおっしゃいました御質問に的確にちょっと答えにくいということでございます。
  29. 原田立

    原田立君 まあ余裕が出てきたから給与費にそれを充てるとか、あるいは政策費に回すとか、あるいは減税を行なうとか、そのいずれかの判断は、自治体が自主的に判断できて初めて自治体と言えるのじゃないかと思うのですが、現在の税制はこういうような場合に、減税を行なう余地がないようになっております、法律で締めつけられて。それで、その結果、機構の拡大、あるいは給与費増高なんかを招いているわけでありますが、このいまの標準税率を、基準に上回った税率、それから、それと今度は逆に下回った税率、そういうものをつくる必要があるんじゃないかと、こう思うんですが、その点はいかがですか。
  30. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御質問の御趣旨に的確なお答えにあるいはならないかと存じますが、現在、標準税率の制度に改められまして、その上、下でもって市町村は税率を選択する自由を、ある幅において認められているわけでございまして、上げます場合には五割増しまでということの制限がございますが、その幅の中では税率を上げ下げすることが地方団体の判断でできることになっております。きのうも鈴木先生から御指摘がございましたように、それに基づきまして税率を上げている団体も相当数ございます。下げておりますものは、ごくわずかでございますけれども、それもございます。で、標準税率の制度と申しますものは、結局、その税率を中心にいたしまして、制限税率の範囲内で上にも持っていけるし、また、標準税率を下回って課税することも可能である、こういう仕組みになっておるわけでございますので、あるいは私、先生の御質問の趣旨をとり違えているかもわかりませんが、一応その標準税率の制度は御質問のような趣旨に沿っておるものではないだろうかというふうに考えております。
  31. 原田立

    原田立君 要するに、いま標準税率があって、これに五割までは増していいのだ、これは現行法ですね。私思うのは、五割増していいなんというのは、非常に幅があり過ぎるのじゃないか、上のほうによけいとっている幅があまり広過ぎるのじゃないか、標準税率を中心に置いて上げ幅三割ぐらいそれから減額の下げ幅二割ぐらい、こういうようなものにすべきじゃないか、こう思うのですよ。適当な例であるかどうかよくわかりませんが、北海道の何町でしたかね、森という町長さんが減税した、そうしたところ、裁判かなんか訴えられて、結局、無罪にはなったそうでありますけれども、ああいうような犯罪的なことが起きるおそれもある。だから、上げ幅、下げ幅というものを、現在の標準税率を中心にして、上げ幅、下げ幅というものを考えるべきじゃないだろうか、そういうような問題を事務当局として研究なさったかどうか。
  32. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 現在の標準税率の制度は、上のほうの制限税率をきめてございますが、下げるほうにつきましては、特別な規制はいたしておりません。ただ、現在の税法のたてまえから言って、ゼロであるということは、これは許されないものというふうに解釈されておりますけれども、しかし、下げる幅について五割であってはいけないのだとか、あるいは三割下げたら違法であるとかというような考え方はとっておりません。ただ、標準税率というものを定めます以上は、やはり国民に対します税負担というものは、必要にして最小限度のところであるべきであるという原則に立ちます以上、標準税率も大体その辺に目安を置いて定められているものと考えられるわけでございまして、したがいまして、現実の運用といたしましては、下げている団体比較的少ないということであろうと思います。しかし、この制度のねらいは、ただいま先生がおっしゃいましたようなところにあるわけでございまして、標準税率を中心にいたしまして、上下ある程度の幅をもって運用ができるというところにねらいがあるわけでございます。ただ、御指摘のありました北海道の中富良野町でございますかの事例は、税率の上下の問題でございませんで、個別的な所得の計算を、別個の方法をとって、税法に定められたものと異なる方法でもってやったというところに問題が起きたわけでございます。もしも、あの問題が、市町村民税の税率を、たとえば標準税率の八割にしたとか七割にしたとかということでございますならば、これは法律的に許された問題でございまして、決して問題になる性質のものではなかったと思います。
  33. 原田立

    原田立君 そうすると、標準税率を中心にして上げ幅、下げ幅というような、そういうものは研究していない、現行の定められた法律は、最低必要限度を示しているのだから、そういうことは研究してなかったというようなふうに答弁、理解するわけですが、いまの局長の話の中に、標準税率より下げているところがある、数は少ないのでしょうけれど。それはどういうふうになっているのですか。
  34. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 事例として申し上げるには、あまりにも少ない数でございますけれども、現在、町村で二団体標準税率未満で課税をしております。
  35. 原田立

    原田立君 いま、私が申し上げておるような標準税率を中心にして上げれば幾ら、下げれば幾ら、そういうことは法律では許されるのですか、じゃ。
  36. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 法律上は上のほうは制限がございますから、その制限以上にはもちろん上げられませんけれども、下のほうは特別に制限をいたしておりませんので、標準税率からある程度下がるというところで税率をきめることは可能でございます。ただ、税率をゼロにする、すなわち、その税を全然取らないということは、現在の税法のたてまえから許されないというように考えております。
  37. 原田立

    原田立君 そうすると、ある程度下げることは現行法律でもかまわないのだ。下がることはかまわないのだ。しかし、ゼロになってはいけないのだというようなお話のようにお聞きしましたが、現在、二町村が標準税率より下がっているということでありますけれども、それでは、そういうような団体がほかの何らかの増収によって、その自治体独自の判断によって、また、議会の論議等によって標準税率より下回ってきめた、これは違法でないわけですね。
  38. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) それは違法ではございません。
  39. 原田立

    原田立君 そうすると、そういうようなことが今後事実の例として出てきたような場合に、自治省として、そういうようなことは好ましくないだなんていう発表はないでしょうね。
  40. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) それはその町村の財政運営の問題でございまして、何度も申し上げますように、標準税率というのは通常よるべき税率でございますから、それより下げて税率をきめたからといって違法でもありませんし、それをやったからといって、自治省がどうのこうのという筋合いの問題ではございません。ただ、現在の法律上は、起債をいたします場合には、一定のものにつきまして起債の財源といたします場合には、普通税につきまして、標準税率以上で取っている場合には、一定の事業についての起債を許可する、こういう規定がございます。そういう制約がございますが、これは本来、地方財政の健全化の見地からは、起債というものはできるだけ少なくしていくべきものである。しかし、何か仕事をしなければならぬ。仕事をしなければならぬとすれば、その負担を一応標準税率程度までは住民に求める。それでもなおかつ金が足りなければ、起債をする、こういう考え方に出るものでございまして、この規定があるからといって、別にこれが罰則でも何でもございませんので、ただ、起債の条件として、そういうことがきまっておるということはございます。
  41. 原田立

    原田立君 ちょっとくどくなりますけれども、こういうふうに理解していいですか。自治体がその独自の判断によって標準税率より下回ったものをきめた、それは何ら違法でもない、そういうことは今後あったとしても、自治省として制約するような意向はない、こういうふうに理解をしていいわけですね。
  42. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) そのとおりでございます。
  43. 原田立

    原田立君 それでは、大臣もお見えになりましたので、先ほど住民税課税最低限度額の今後の計画めどといいますか、方向といいますか、その点については先ほど質問留保しておりましたので、お答え願いたい。
  44. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 住民税を少なめで住民の負担を軽減するということにつきまして、今度はずいぶん部内で検討いたしましたが、去年の参議院の地方行政委員会で最終附帯決議がついております。それは読みますと、「住民税課税最低限については、住民負担の軽減を図るため、各種控除の大幅な引き上げ計画的に行うよう努めること。」、こうなっておるわけであります。言うまでもなく、この住民負担の軽減ということにつきましては、常に意を用いておりますが、この「計画的」ということがかなり私といたしましては、のどにつかえたわけでございます。住民税などを軽減いたしまして、減収補てんを常に国のほうで見てくれるなら問題ありませんけれども、やはりなかなか事情はそう許しませんわけでございますので、勢い、地方財政の現況また将来のことも勘案いたしまして、いろいろそこに苦慮があるわけでございますが、大前提はこの附帯決議にありますとおりでございますので、ただいまおっしゃるように、目標をきめて年次的にどうするかということは、ちょっと具体的には申し上げられません。しかし、できるだけただいまの御期待に沿うような検討はいたしたいと思っておりますけれども、はっきりしたことは申し上げられないのがたいへん残念とする次第でございます。
  45. 原田立

    原田立君 ちょっと議論の蒸し返しみたいになっちゃうのですがね。要するに、自治省地方団体の財源確保のために努力していく、それは確かに私わかるのですよ。だからといって、住民に冷たいような目で対するということは、これはよくないのじゃないか。去年の附帯決議にもありますように、計画的にやれ、大臣はのどにつかえたものがあると仰せになるけれども、これは所得税のほうでも一応の四十五年度までには百万円というふうなめどを立てて、そこに向かってあらゆる努力を傾注してやられておるだろうと思うのです。所得税のほうにできて、住民税のほうにできないのだなんということは、私はどうも納得がいかないのです。  それから、その点についてのお考えをお聞きしたいと同時に、今回の課税最低限度額給与所得者において約十万円引き上げた、それで一体どれだけの穴があいたんですか。今回はまあ自前減税というようなことで、この減収分は大蔵省のほうで何ら補てんはしないままでできたということなんですけれども、伝え聞くところによると、七百四十億くらいということを聞いています。それを国のほうで出せないから、住民に何でもかんでもおっかぶせておけばいいのだということも、私どうもその点も理解しがたい。そこいら辺のところは、減税できるような国からの強力なる援助といいますか、そういうものがもっとあっていいのじゃないか、あわせて御答弁を願います。
  46. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) ただいま残念ながらと申しましたけれども、なかなか減収補てんと申しましても、そう減税しただけ国が持ってくれるなら問題ありませんが、なかなかそこがむずかしいわけでございます。で、住民の負担軽減を常に心がけるというのは当然のことでございまして、大前提ですが、ただ、ただいま申しましたような  「計画的に」という附帯決議がありますけれども、いついつまでにこうということは、いまの段階では申し上げかねるということを言ったわけです。ただ、所得税住民税というものは、御案内のとおりに性格も違うわけですし、ですから住民がそれぞれの自分の住んでおる地域のいろんな行政の費用というものを応分に負担するということがたてまえになっております。かと言って、負担が重いということはよくありませんので、そういった意味で、国とはまた別の角度からこの負担軽減ということには意を用います。それには行政の簡素化、合理化その他いろんなことが伴っていかなきゃなりませんが、そういうことを通じて行政経費というものもできるだけ節減して、住民の負担にならないようにしながら、一方新しい行政需要というものはほとんど無限に近いといっていいぐらい出てくるわけでございまするので、そこに苦慮がある。別に財源もありませんので困っているわけですけれども、しかし、負担軽減ということは一番大事なことでありまするので、将来ともつとめて御期待に沿うように努力していきますということを申し上げるよりしかたがないわけです。
  47. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記を起こして。
  49. 原田立

    原田立君 住民税のほうはこのぐらいにして、電気ガス税のことでお伺たしたいと思うのですが、電気ガス税の免税点制度が三十六年に創設され、電気、ガスとも最初は三百円であったのが、四十年には電気が四百円、ガスが五百円、四十一年度にガスが七百円、そして今回百円上がってガスの分が八百円と、こういうような推移をたどったわけでありますが、電気を四十年の四百円に据え置いて、ガスのみ年々上げるという理由は一体どこにあるんですか。
  50. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) ガスにつきましては、御承知のとおりプロパンガスの非常な普及に伴いまして、プロパンガスを使用しておられます方には電気ガス税がかかっておりませんこととの均衡上、ある程度のところまでは免税点を引き上げることによって均衡をとってまいりたい、かような観点から、ガスについての免税点の引き上げをいたしてきているものでございます。
  51. 原田立

    原田立君 電気のほうは四十年の四百円にそのまま据え置いて今日まできている。また今後も続けられる、その辺はどうですか。
  52. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 電気の免税点は御指摘のとおり、ここ当分据え置きになってきておりますが、将来も据え置くという考え方を持っているわけではございません。電気の使用の実態というようなものも考えながら、今後その引き上げについて努力をいたしたいと考えております。
  53. 原田立

    原田立君 私は電気ガス税は基本的には廃止したほうがよいという総理大臣意見もありましたし、それはまあ賛成なんでありますけれども、この税がある限りにおいては、どんどん改善をはかるべきだと思うのです。そこで、現在、電気四百円、ガス八百円で一体どのような使用状況のものが免税になるのか、東京なんかの場合を例にとって、具体的な説明を願いたいと思うのです。
  54. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 電気料四百円でどの程度の使用量になるかということでございますが、ちょっとその点、市町村税課長から御説明させていただきますことをお許しいただきたいと思います。
  55. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) お答え申し上げます。電力料金につきましては各会社で少しずつ料金に差がございますので、一応申し上げますのは東京電力の場合につきまして申し上げたいと思います。四百円で使用できる電力量は、月二十一キロワットアワーであります。月二十一キロワットアワーと申しますと、三十日で割りますと、大体一日六百八十八ワットアワー程度のものが使えるということなんであります。一日六百八十八ワットアワーと申しますと、例を申し上げますと、二十ワットの螢光灯が二時間、それから四十ワットの螢光灯が五時間半、三十ワットの螢光灯が一時間半、大体照明用としては三灯と、それからテレビが約二時間、それから電気洗濯機が三十分、大体二百五十ワット程度のアイロンが約十五分間、この程度を一日使いますと、いま申しましたように月四百円程度のものに相なっております。なお、いま申し上げましたのは従量電灯でございますので、最近非常に減ってはおりますが、定額電灯を例にとって申しますと、二十ワットの電灯一灯と六十ワットの電灯一灯、それからラジオ一台が定額電灯におきます月四百円程度の使用量であります。  ガスにつきましては、これも東京ガスを基準にして申しますと、東京ガスで八百円と申しますと、月使用量が二十八立方メートルであります。それを一日で割りかえますと、大体〇・九五立方メートルくらいの一日の使用量で、月八百円程度になるわけであります。内容的には一・二リットルの御飯を一日二回たく、それから一リットルのお湯を一日四回わかす。それからみそ汁が四人分で二回つくる、それから魚を焼く程度のものとしまして、四人分で二十五分間ぐらい使う、それからその他煮たきが大体四人分で三十分余り使うというような使い方で、大体月八百円になります。
  56. 原田立

    原田立君 まあいまお伺いしたところによると、電気四百円、ガス八百円では、もう使っている人はだれでも税金——電気ガス税を払うんだというようなことが具体的にはっきりしてきただろうと思うのです。で、ガスを八百円にすることにより、減が二億七千万円ということでありまするけれども、電気、ガスの別に免税の適用を受けるであろう世帯数は一体どのぐらいあるんですか。要するに電気使用四百円以下、ガス使用八百円以下、これは一体どれぐらいあるんですか。
  57. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) 電気につきましては、現在、総需要家戸数が約二千四百九十万世帯と見込まれておりますが、四百円以下の需要家は二百七十万余りありまして、大体一一%程度になっております。  ガスにつきましては、ガスの総需要家は八百二万世帯でありますが、八百円の免税点の適用を受けますものが四百四十一万世帯、割合にしまして五五%、こういうふうに推定いたしております。
  58. 原田立

    原田立君 電気の場合には一一%、ガスの場合にはいま五五%のものが免税の対象になるということでありますが、ガスも電気も普及率は非常に高くなってくるし、また今後もずうっと伸びていくでありましょうし、こうなるところから、また私たちいつも主張する生活必需品課税である、大衆課税である、悪税だということを絶えず主張しているわけです。それで、こういうように免税適用になる世帯が非常に少ない。特に電気などの場合には、これは当然、四十年度の免税点四百円をそのままにしておくんでなしに、これはかなりの免税点を引き上げるのが、いわゆる地方住民にとってあたたかい施策ではないか。まあ局長は税金をとるほうだから、あなたにそんなことを言ってもしょうがないと思うんだけれども次官どうですか。電気のほうの免税点の引き上げということを真剣に考慮すべきではないか。
  59. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) お説のように電気につきましては四十年に四百円に上げて、そのまま据え置きになっている、こういう点から九〇%近い電気の需要家が税金を納めている、こういうことでございます。まあガスにつきましては、先ほど申し上げたような数字でございますから、その間の不均衡があることは、もうこれは数字がはっきり示しておるところでございます。税制調査会におきましても廃止等についてもいろいろな御議論がございましたが、結論的に言うと、存続はするんだが減税あるいは合理化、こういうものをやれと、こういう御答申にいまなっておることは御承知のとおりでございます。私どもとしましても、こうした電気税については考えてまいらなければならぬということについてはよく存じておるわけでございます。ただ、いままでガスについてここのところ数回の改正をいたしながら、電気についてはいたしておらない。それだけでも矛盾じゃないかというふうなことでございますが、実情は、問題はたいへん——これは住民の側でなくて、とるほうの側で恐縮でございますけれども、やはりわれわれ先ほど申し上げましたように、地方財政ということも考えなきゃなりません。電気税の場合には、ガスは都市に比較的固まっておるということ、電気は国民全般にわたっておる、こういうことから電気税の免税点引き上げということは、それでなくても自主財源が少なくて困っております町村に非常に大きな打撃を与える、こういうこと以外に私はもう理由はないと申し上げてよろしいと思います。そういうことのために、今日まで御指摘のような矛盾を承知しながら続けておるわけでございます。しかし、これでいいかどうかというような点につきましては、御指摘のとおりだろうと私は思います。したがいまして、これはやはりそうした特に地方の困っております町村の財源というようなものをどう考えてやるかということとあわせて考えていかなければなりませんので、電気税につきましても、ただいま局長が申し上げましたが、特にガス税との関係、また非常に大衆的な、ほとんど全世帯に近いといっていいような状況にかかっておるという状況も考えまして、私どもとしましてはこれは何とかひとつ考えていかなきゃならぬ、かように存じておる次第でございます。
  60. 原田立

    原田立君 いま次官お話では、要するに電気ガス税は大衆課税であり、非常に好ましくない。だけれども地方財政を健全化していくためにはやむを得ない措置だというような御答弁にお聞きしましたけれども、その地方財政も確かにやらなければいけないことは、これは当然のことなんです。だけれども、個人住民間の、先ほど課税最低限度額引き上げの問、題にしても、電気ガス税にしても、これは個人個人の問題と、地方団体との問題、これは本質的に別個の問題じゃないでしょうか。そこのところがどうも、先ほどからからめてお答えのところがどうも納得がいかない。もちろん自治省としても、生活必需品課税ということを、基本的にいいんだとはお考えではないだろうと思うのです。その点どうですか。
  61. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 何か地方財政と税と、これは理論的には別なものというお考え、これはそういうことももちろん純理論的には言えると思いますけれども、現実の問題としましては、市町村の税源というものが、特に町村の税源というものが非常に限られておって、これが伸びないということで非常に悩んでおるわけです。現実の問題としては、理論的な問題は別にしまして、やはりこれは考えなければいかぬ問題だと思います。ただ、しかし、それが電気ガス税というものに限っていろいろ考えるのではなくて、もっと全体として、市町村の財源あるいは税源をどう考えるかということで解決すべきではないか。こういうお説だろうと思うのです。それも私も全くそのとおりだと思います。したがいまして、先ほどのような答弁をいたしたわけでございます。電気税の免税点引き上げについては、今後私ども真剣に考えなければならぬ。決してこのようなものが非常にいいなどというふうには考えておりません。
  62. 原田立

    原田立君 このままでいいとは思わないということですが、じゃ、そうすると、改正するという、何らかの処置を講じていくというように受け取っていいわけですね。
  63. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) この種の非常にたくさんの方々にかかっておる税金でございます。文字どおり大衆的な国民の生活に直結しておる。電気はいまテレビにしてもこうした普及状況でございますし、電気がなければテレビは見たり聞いたりできないわけでございます。そういう面から考えますと、電気税については、その本質というものをもっと十分考えていかなければならぬ。総理大臣もこれについては意見があるようでございます。私どもまだ廃止というようなわけには、何しろ電気ガス税は相当な額に達しておりますからいけませんが、これの合理化あるいは免税点引き上げについては真剣に取り組んでまいりたいというつもりでおります。
  64. 原田立

    原田立君 総理は電気ガス税は廃止したほうがいいというふうに言っておられますし、事務当局は廃止はできないと、こう言っておられる。これは閣内の意見不統一ということにまでなるのだけれども、そんな大げさなこと言わないでも、少なくとも廃止の方向へ向けていくべきではないかと思うのです、廃止の方向にですね。現在、電気ガス税の収入見込みは七百十六億円、前年度に比べると一七%増である。税収が大きくなればますます廃止しにくくなるだろうと思うのです、現実問題として。そうして三十七年、三十八年、三十九年と年々一%ずつ税率を引き下げて、現在は七%でありますが、最近の総理の言明にもかかわらず、この税率の引き下げは行なってない。据え置きになっている。廃止という方向総理は打ち出しているのですから、当然年々下げていって私はあたりまえじゃないかと思う。ストップさせているということは、それにたよる気持ちが大きくて、廃止ということは全然これは事務当局は考えていないのだと、そう理解せざるを得ないと思うのです。言うなれば、だから廃止しにくい方向に現在は推進していると、こう思うのです。だから、そういうかたい考え方でなしに、もう少し住民の立場を考えて減税したらどうかと、こう私は思うのです。局長いかがですか。
  65. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 私ども決してかたくなな考え方でいるわけじゃございません。御指摘のありましたように、できるだけ合理的な課税方法  にしていきたいというふうに考えております。廃止という問題となりますと、七百億をこえます税収入でもございますので、かわりの財源という問題も考えていかなければなりませんので、なかなかむずかしい問題はあろうかと思いますけれども、しかし、御指摘のありましたように、存続するとしても、できるだけ一般の納税者の方の負担の軽減をはかっていくという必要性は私どもも十分考えてまいらなければならぬところでございまして、そういう方向で、ただいま政務次官からも申し上げましたように、引き続き努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  66. 原田立

    原田立君 電気ガス税に基礎控除制度を設ける考えはないでしょうか。
  67. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 税一般につきまして、基礎控除という制度を設けることにつきましてはいろいろな問題点を考えていかなければならないと思います。所得課税につきまして基礎控除を設けておりますのは、どのような人も一定部分だけは生活に主として必要だというような考え方もあって設けられているものであろうと思います。したがいまして、そういう点から申しますと、基礎控除というような制度は、主として人税といわれるもの、すなわち、人的な背景を考慮に入れて課税をしなければならぬというようなものについてとられるべき制度であるように考えます。電気ガス税のような消費税に基礎控除というような制度は、税の性格からいって非常にまあ即応しにくいものであると考えますし、やはり相当の電気を使われる方にも基礎控除があるというのもいかがかというふうに考えられます。したがいまして、私どもとしては、むしろ基礎控除制度をとるよりは免税点の制度をもう少し拡充していくことが適当ではないかというふうに考えております。
  68. 原田立

    原田立君 三十六年の税調の答申には、電気ガス税の非課税措置について、重要基幹産業または新規重要産業のうち、製品コストに占める電気料金の割合が五%以上のものについては、現行の非課税品目及び追加を要望されている品目を検討して、新規製品の非課税期間は約三年ということにして今日に至っているわけでありますが、三十六年以降において追加になったもの、廃止になったもの、それから現況、これ年別に説明願えますか。
  69. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 恐縮でございますが、その年別に整理いたした資料を持ち合わせておりませんので、お許しがいただけますならば、資料として提出をさせていただきたいと思います。
  70. 原田立

    原田立君 資料として出してもらってけっこうですが、大まかなところで、三十六年以降の追加になったもの、廃止になったもの、現況——現在の数と、これはおわかりでしょう。こまかいのはけっこうですから。——じゃ、なければけっこうです、あとで資料出してください。
  71. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) はい。
  72. 原田立

    原田立君 いまの三十六年の税調の答申に基づいて、三十七年に通産省と自治省の両省で覚え書きが交換されたというふうに話聞いておるのですけれども、そういうことございましたか。
  73. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 昭和三十七年の一月に覚え書きの交換がございます。なお、重要輸出産業の製品にかかりますものにつきましては、三十九年の一月に覚え書きの交換がされております。
  74. 原田立

    原田立君 その覚え書きどおりに現在の非課税品目は実施されておられるのですか。
  75. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この覚え書きの線に沿って毎年度取り扱いをきめてまいっております。
  76. 原田立

    原田立君 それで、先ほど質問とダブってくるわけなんですけれども、非課税品目に入れたと、百二十種類ぐらいあるのじゃないですか。それはもう、いわゆる通産省のほうから強引に言われるものだから、だんだん年々ふえていっちゃって、そうして減るものはない。ごく形式的な減るものは出ても、減るのはもうほんとうに僅少であって、ふえるのばっかり多くなっている。今回も二酸化マンガン等四品目を非課税とするというのですか、あれの関係のが三年間また延長になっていますね、非課税品目が。その重要産業で非課税品目に該当せしめて産業の擁護ということをする、まあこれはこれでたいへんけっこうな話だと思うのですけれども、だからといって、それは年々ふえるばっかりでね、ある期間になったらばまた落とさないでふやしちゃうというのでは、これは企業擁護が非常に強過ぎちゃって、かえって先ほどから何度も議論の対象になっている電気ガス税——いわゆる大衆課税というね、そういう面と非常に対照的に悪い印象を私は思うのです。その点が私非常に問題だと思うのですよ。ですから、非課税品目に該当せしめたものが、当初三年なら三年ということできめられてきている。毎年いろいろ逐次追加されているのだろうと思うのですけれども、追加ばっかりで廃止がないというのは筋が通らないのじゃないか、そういう考え方。そこで、先ほどから、年度別に一体どうなっているのかとお聞きしているわけなんです。
  77. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 毎年追加されていて落ちるものがないのはおかしいじゃないかという御指摘、まことにごもっともでございますが、ただ私どもも漫然と追加をするというような態度は避けて努力をしてまいっておるつもりでございます。したがいまして、五%をこえるという一応の基準はございますが、現実の取り扱いでは五%をかなりこえるというようなものについてなるべく優先的に取り上げるというようなこともいたしておるわけでございます。そういったことから、洗い直しても資料を関係当局に求めましていたしておりますけれども、五%をその後切ったというようなものがほとんどないというような状態でございまして、そういったことから、なかなか整理が進んでいないということでございます。それからまた、どんどん毎年ふえるではないかということでございますが、やはりこの科学の進歩に伴いまして毎年新しいものが出てまいる。私ども科学知識がございませんが、今回追加提案をいたしておりますようなものにつきましても、新しい品物がどんどんできてくる、あるいは生産の様式がだんだん変わってくるというようなことで追加をしてくるわけでございまして、そういった面から言えば、追加ばかり目立って廃止がないというのはおかしいというふうにお考えになられるのは、私どもも同感でございますけれども、実情はそういう状態でございます
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと、いま原田さんの質問の中にありましたし、あなたの御答弁の中にもありましたが、原田さんの要求されたのは資料で出てくるのですが、それと一緒に、さっきの通産省との間にかわされた覚え書きですね、二回にわたってそういうのがあるということですが、その写しを参考のためにいただけませんか。あとでけっこうです、いますぐじゃなくて。
  79. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 資料として提出いたします。
  80. 原田立

    原田立君 結局、電気、ガス税はここらで終わりにしたいと思うのですけれども、大要すると、総理も廃止ということを言っているのだから、そういう方向で考えたい、大衆課税的な生活必需品課税であるからこれはいいとは思わない、だが現実に地方財政のことを考えると、あながちそれをやめるわけにはいかないのだというような、大要はそういうことだろうと思うのです。そこで、自治省も、地方団体地方住民の福利をはかっていく、そういう立場の省なんですから、はっきり言って、そんな冷たい態度でなしに、もっと国民にあたたかい施策を講ずべきでないか。さっきの課税最低標準額のことについても、全然計画は立ってない。電気ガス税のことなんかについても、全然計画が立ってない。それで非課税品目はどんどんふえてしまうなんというと、これは誤解されるのじゃないですか、ずいぶん。ですから、もっと結論的に、住民にとってあたたかい施策を講ずると同時に、地方財政にそれにかわるような税源を与えて、そして充実していく、こういうふうな方向自治省はぜひともなってもらいたい、こう強く要望するのですけれども、その点どうですか。
  81. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 昨日も鈴木先生にお答えいたしましたのでございますが、いまの電気ガス税の非課税の問題でございますね。これにつきましては、まあこれに限りませんけれども、この種のものが、何と言いましょうか、一ぺんきまったら、もう既得権というようなかっこうになって、実はもうその必要がない、こういう場合に往々にしてなっておるということは、電気ガス税で具体的にあるかどうかは別といたしまして、往々にしてあることでございます。したがって、そういう点につきましては、きのうもお答えいたしましたように、一ぺんこの際徹底的に洗います。私の責任においてとにかく十分突っ込んで検討しまして、落とすべきものについては基本原則がきまっているわけでありますから、十分ひとつ通産のほうとも話し合って、そういうものがあれば、落とすべきものについてははっきり検討いたしたいと思います。  それから、全般の問題でございますが、自治省はもとより、住民皆さん方国民皆さん方の公僕としての立場、これは堅持しなければならぬ、もうおっしゃるとおりであります。ただ、私は地方行政はしろうとでございまして、こういうことを申し上げてどうかと思いまするけれども、私どもどうも少しはたから見ておりますと、いままでの地方財政というものが、まあ貧乏世帯のやりくりと申しましょうか、とにかく何とか財源を見つけてやらぬとどうにもならぬ、立ちいかぬ、こういう事態が非常に最近ずっと続いてまいっていると思うわけでございます。そういう点、まあ本年度——昭和四十三年度は多少その点からは脱却した。もちろん楽になったというわけではございませんけれども、まあやや、何と言いましょうか、正常と申しますか、そういう点では少し様子が変わってきたように思うのでございまして、そういう面から、私どもこうした機会に——もちろん、これから引き締めがありまして、来年の国税収入、それに伴う地方財政の財源その他、多少心配がないわけではございません、大いに心配はあるわけですけれども、そんな一つの、何と申しましょうか、ターニング・ポイントと申しましょうか、あるいはそういう時期が来ておるんじゃなかろうかというふうにも私ども考えておりまして、そういった面から、先生指摘のように、あたたかい目で住民の立場に立って今後ひとつ大いに考えていく、あわせて地方財政、財源の問題を考えていくという方向で、いろいろな点から見直して全般的にそのように考えておるわけでございまして、御趣旨につきましては、私ども十二分に私どもの方針として実行に移せるところから実行に移してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  82. 原田立

    原田立君 それでは、せっかく努力なさるということを期待して、次の質問に移りたいと思うのですが、道路の問題なんですが、昨年の暮れ、第五次道路整備計画の実施に伴う追加財源として、当時自治省は、ガソリン税を一五%増税をして、その増差額の二分の一を国と市町村に配分をする、あるいは軽油引取税を三〇%上げて、その二分の一ずつを都道府県と市町村に配分することによって、ガソリン税から千六百四十二億円、軽油引取税から七百六十四億円を市町村道の目的財源として付与されると、こんなふうにお聞きしておりましたが、四十三年度分は四百七十八億円とする案を地方制度調査会だったかに示されたと思うのですが、これは市町村道だけに四百七十八億円を予定したということなんですが、それは一体どうなのか、その当時の考え方をもう少し具体的に説明願いたいと思いますが……。
  83. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 一応昨年の暮れあたりには、先生がおっしゃいましたような案を考えまして、軽油引取税あるいは揮発油税の増税をいたしまして、その増税分の半分程度を市町村にそれぞれ交付するということで、昭和四十三年度の見込といたしましては四百七十八億円程度を市町村に交付いたすというような案を考えたことがございます。
  84. 原田立

    原田立君 それは私がいま言ったのだからわかっておるのですよ。当時のもう少し具体的な説明をひとつしてもらいたいのですが。
  85. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 道路整備五カ年計画が改定になりまして、地方団体に対する道路費の費用も大幅にふえる見込みとなりましたので、その財源を確保いたしたい。かたがた、市町村に対しましては道路の目的財源が全然与えられておりませんでしたことから、市町村方面からも道路の目的財源を市町村に与えるべきだという強い要請が多年ございました。この問題もあわせて解決をいたしたいというふうな経緯から、先ほど申し上げましたように、軽油引取税を三〇%、揮発油税を一五%程度引き上げまして、それのそれぞれ半分に相当します額を市町村に交付をするという案を考えたわけでございます。
  86. 原田立

    原田立君 その地方制度調査会の一昨年の答申の中で、地方の道路財源問題に触れて、国と地方との道路目的財源の比率を同率にすべきであると、こういうふうに指摘しているのですが、今回の自動車取得税が創設されれば同率となると考えておられるのですかどうですか。当時の答申の中身の問題に触れて、自動車取得税の関係並びに地方市町村道の整備の関係とをあわせ御答弁願いたい。
  87. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 一昨年の地方制度調査会の答申では、道路の整備のための目的財源を国、地方団体を通じて同率となるように配分をすべきであるという答申がありましたことは、御指摘のとおりでございます。そこで、私どももこの点について何とか解決をいたしたいということで努力をいたしてきたわけでございますが、ただ、一挙に同率と申しましても、非常に大きな額を動かさなければそういう形になりませんので、昭和四十二年度予算編成にあたりましては、さしあたり揮発油税のうち一キロリットルあたり千円程度を市町村に交付をするという案を立てまして、関係各省と協議をいたしたのでございます。しかし、これにつきましては、道路整備五カ年計画の改定を目前に控えまして、国の事業費もふえるということが予想されましたこともありまして、関係各省間の話し合いが結局つきませんでした。そこで、予算の段階におきまして、御承知のとおり、一般会計から二十五億円の金額を臨時地方財政交付金として交付をするということになったわけでございます。なお、その際には、市町村に対する道路目的財源の問題については引き続き検討するということになったわけでございます。そこで、昨年一年間この問題をどう解決すべきかにつきましていろいろと検討を続けてきたわけでございますが、その結果、昨年の暮れころには、先ほども申し上げましたように、軽油引取税あるいは揮発油税の引き上げを行なって、その一部を市町村に交付することによって市町村に財源を付与いたしたいということで検討を続けてまいりました。しかし、軽油引取税あるいは揮発油税を引き上げるということは、道路整備五カ年計画が改定になりました際には、従来そういう形で財源をまかなってきておりましたけれども、この点につきましては、一つには、現在の揮発油税なり軽油引取税などの負担が非常に重いということから、これ以上に引き上げることは適当でないという意見がございました。御承知のとおり、揮発油税は小売価格に対しまして現在六一・三%の税率になっております。軽油引取税は、同じく小売り価格に対しまして四九・三%の税率になっております。このような非常に高い税率をさらに引き上げるということは適当でないという御意見がございました。また、こういう自動車燃料に対する課税引き上げということは、直ちに輸送費に影響を及ぼし、それがひいては物価の上に影響を及ぼすということから、適当でないという意見もございます。そういったことから、軽油あるいは揮発油に対しまする税を引き上げることによって財源をまかなうということについては適当でないという判断のもとに、新たに自動車取得税を創設することになったわけでございます。自動車取得税によってそれでは地方制度調査会の指摘したような国と地方団体との財源配分が同率になったかというお尋ねでございますけれども、私どもの推計いたしておりますところでは、この自動車取得税の創設によります市町村交付金によってまかなわれます部分は、市町村が負担します道路事業費の約二四%程度に当たるものと見込んでおりまして、国のほうは七〇%前後になるものと見込まれますので、やはり同率にはなっておりません。しかし、先ほども申し上げましたように、せっかくの御答申をいただきましたけれども、一挙に同率に持っていくということはなかなか困難な問題でございます。しかし、同率にできないから何もしないということは適当でございませんので、一歩前進をするという意味でこういう措置をとったものでございます。
  88. 原田立

    原田立君 一歩前進というお話ですが、去年は二十五億円でスズメの涙で、あれは半歩じゃなくて、はいずり回って前進したようなものなんです。今回のは一歩前進と仰せになるのだけれども、基本は、地本制度調査会の答申にもあるように、国と地方との道路目的財源の比率を同率にしなさい、そうすることが好ましい、こういう一つ目標が与えられたわけなんですから、やっぱり政府としてもその答申は尊重なさるのでしょうから、それじゃ具体的にそれの成果を出していくプラン、そういうものをお考えですか。
  89. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほど申し上げましたように、今年度は調査会の答申の線に全く一致するという段階まで至りませんでしたけれども、私どもとしては一歩前進という意味でやったわけでございますが、これで御指摘のように市町村の道路目的財源がもう十分であるというふうに決して考えているわけではございません。したがいまして、今後引き続き、地方制度調査会の答申等も念頭に置きまして、努力をいたしたいと考えております。
  90. 原田立

    原田立君 税務局長も御承知のように、都市周辺の地方道は近年急速に都市化の傾向にあり、市町村道の整備の要望が非常に強くなってきていることは、これは御承知のとおりなんです。ところが、道路整備の特定財源を持っていないので、現実には放置状態なんです。ほったらかしみたいな形なんです。一歩前進と局長は言われたのだけれども、道路財源の確保、その一環としての自動車取得税ということなんでしょうが、その配分では解決はできないと私は思うのですよ。で、これについて、局長も一歩前進というふうに言われるのだけれども、解決できるような方策をもっと明らかにすべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  91. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のように、解決できる方策をということでございますが、何ぶんにも何もないところから一歩前進してようやく本年ここに——法案を議決していただきませんとまだここまで来たというふうには申し上げられませんけれども、ここまで進んでまいったわけでございます。したがいまして、私どもとしては、まだこれで十分だとは考えているわけではございませんが、きょう今日の段階であすはこれだというふうにまで申し上げるところまで行っておりませんが、やはり基本的には国と地方団体との財源の再配分という形でこの問題も解決をしていかなければならぬというふうに考えております。
  92. 原田立

    原田立君 局長、いま非常に大事なお話だったのですけれども、ぼくはそこだと思うのです。現在、先ほども話があったように、市町村負担の二四%に当たる、あるいは国は七〇%であるというような説明があったのですが、現状は道路整備の財源が国のほうに片寄り過ぎている。これは非常に不当であろうと、財源移譲を行なうべきではないかと、こう私は思うんです。そういう観点から地方道路譲与税を町村へ配分してはどうか、あるいは主要町村道の都道府県道への昇格というようなことを考えたならばどうか、一つの案として申し上げているんですけれども、どうですか。
  93. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 国と地方団体との道路財源の再配分の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、昭和四十二年度予算編成にあたりまして、私どももそういう案で関係各省と協議をいたしたわけであります。しかし、不幸にしてそのときは話がつきませんけれども、今後の課題といたしましては、一つのやはり方向であろうというふうに私ども考えております。  なお、市町村道の昇格等の問題につきましては、これは私は税の立場で考えるだけで考えられる問題ではございませんが、現在の市町村道が総延長八十四万キロということになっておりますけれども、その道路の性質と申しますか、規格と申しますか——というものは非常に区々でございます。したがいまして、今後主要幹線道路が整備されるに従いまして、それをつないでいきます市町村道の整備ということはやはり非常に重要性を持ってくると考えられます。その市町村道の整備をいたします場合に、これを府県道に昇格させるような形によって解決していくのが適当であるのか、あるいは市町村道のうち特に重要な道路について重点的に市町村の責任において整備を進めていくことが必要なのか、この辺はやはりもう少し検討を要する問題ではなかろうかと考えます。いずれにいたしましても、市町村が道路を整備し得る財源を確保するということが最も重要なことでございます。私どもは少なくともその線に向かっては最善の努力を今後とも続けていきたいというふうに考えております。
  94. 原田立

    原田立君 局長の言われるように、地方道路の財源を付与するということが最大の課題ですよ。だけれども、こんなことを言ってはどうかと思うんですが、こっちで大体考え方を申し上げれば、それは全部否定しちゃって、そうして、じゃあ具体的にこうですという話をしないのは、これはちょっとまずいんじゃないですか。話が、否定するなら否定するように、じゃあこういうものを考えているんだということを言ってもらわなければ、それは納得しがたいですよ。
  95. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先生の御提案を何も否定をしているつもりではございません。市町村道を府県道に昇格させることについて考えるべきであるかどうかというお尋ねでございましたが、もちろんそういう必要もあるわけでありますけれども、また市町村自体で整備していくということも必要なものもあろうと思います。いずれにいたしましても、府県で整備するということになりますと、府県に対する財源をどうするかという問題が起きてくるわけでございますので、地方団体が道路を整備するための財源をどうやって確保するかということに結局帰着いたすわけでございますので、そういう方向努力をいたしたいという意味で申し上げたのでございます。
  96. 原田立

    原田立君 これは、地方道路財源の充実ということは、第五次道路整備五カ年計画の財源に関連して、地方団体の道路目的財源を増強する、こういうこととともに、市町村に対して道路目的税源を付与することにあると、こう思うんですが、今回創設する自動車取得税、初年度三百八十九億、平年度五百四十五億ですか、これで国の道路整備五カ年計画に十分協調していけるのか、満たされたと考えておられるのかどうか、その点はどうですか。
  97. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 現在の市町村道の整備状況というものは、きわめておくれている状況でございます。昭和四十一年で、市町村道の改良率は一二・四%程度、舗装率が五・二%程度といわれております。もちろん、先ほども申し上げましたように、八十四万キロの道路を分母にして考えますとこういう率になるわけでございますけれども、緊急に整備をしなければならない道路というものを八十四万キロを基礎にして考えるべきかどうかということについては、これは議論のあるところであろうと思います。しかし、一応現在の統計上の道路を基礎にして考えますと、先ほども申し上げましたような整備率でございます。したがいまして、市町村道路の問題は、もっともっと整備を急速に進めていかなければならないというふうに考えます。道路整備五カ年計画で整備を続けましても、その整備率というものはそう大きく向上するということを期待することは今日の段階では困難でございます。したがいまして、それに対して与えられました財源、その程度の事業をやる財源で二四%程度しか満たされないわけでありますから、もっともっと整備しなければならないということを前提にいたしますと、決してこの財源が十分であるということはないのでございます。そういう意味で、何度も申し上げましたように、私どもは市町村の道路財源の充実ということは引き続き問題にしていかなければならぬだろうと考えております。
  98. 原田立

    原田立君 前回の本会議での質問の中でも申し上げましたし、いまも局長お話の中にありましたが、国道の改良率一〇〇%に対して、都道府県道の改良率は三〇%、舗装してある部分がわずかに一六%、いま局長の言われた一六%は都道府県道の数だと思いますが、市町村道は全長の四二%が自動車通行不能道路である。これに対して税源の付与ということは非常に大事な問題だと思います。そこで、この前の制度調査会の答申にも、国と地方との道路目的財源を同率にしろと言っておるし、片方はいろいろ道路整備五カ年計画の上に立って仕事を今後地方もやっていくわけでありますから、ただ、いまここで十分でないと思いますというような簡単なことでは、はなはだ困るわけです。この不良の市町村道の四二%が自動車通行不能道路である、早く直さなければならない。これは局長次官どうですか。今回の自動車取得税でも、これでは十分達成し切れないということは、これははっきりしたわけなんです。この地方道の整備についての財源の付与、これは一体どういうふうに考えますか。
  99. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 少し長くなるかもしれませんが、五カ年計画、道路整備の問題について申し上げたいと思います。  道路五カ年計画は、これは第五次までやっておるわけですが、はっきり申しますと、これは非常に国道にウエートがかかっておって、やや国道中心的な五カ年計画であった。また、現在でもややそういう傾向にある。この五カ年計画改定のつど燃料課税を上げて、御承知のとおりでありますが、それはほとんど国道にいき、府県道にわずかばかりいっておりましたが、市町村道は、全体の計画の中には入っておるが、何ら財源は付与していないのが今日までの実情だと思います。しかし、これは、財源は、目的財源を均等に配分というか、両方が同じことが望ましいというように地方制度調査会としては言っておりますが、国全体ではいろいろな意見があるわけでありまして、建設省系統の道路整備というようなことから申しますと、やはりまず国道を重点的にやるべきじゃないかという意見も、国全体の立場から考えてうなずけないわけではないが、しかしあまりにもどうも不均衡ではないか、こういうことでございまして、国道は二万七千キロしかない、府県道は八万八千、それに対して市町村道は八十四万キロもある、こういうわけでございますから、あまりにも均衡がとれておらないじゃないか。したがって、これにつきましては、先ほど局長が申しますように、ようやく自動車取得税で、わずかばかりでございます、今度の五カ年計画でいうと二四%というような目的財源を付与することにしたわけでございますが、決してこれは私は十分であるとは思いません。ただ問題は、私は地方制度調査会が言われました趣旨というものはやや長い目で生かしていかなきゃならぬのじゃないか、かように思うわけでございます。と申しまするのは、今度の五カ年計画で国道については一〇〇%というような目標があるわけでございまして、四十六年度御承知のように終わりでございますが、もちろんあといろいろ出てくることも考えられますし、あるいは主要地方道から国道に上がるというようなことも考えられますけれども、しかし私どもは、今後は、この五カ年計画をむしろ最後にして、これはやはり地方道、それからその中でも市町村道に重点を置く五カ年計画というようなものにだんだん変わっていかなきゃならぬ必然性を持っておる、そういう状況と合わせて目的財源につきましても地方に移す、特に市町村に移す、こういうことではなかろうかと、かように思っておるわけでございまして、私どもこの面における努力については今後とも十分続けてまいらなきゃならぬ。こんな程度では問題にならぬ。国道については、もう七〇%はるかに上回るガソリン引取税でございます。こっちはやっと——ゼロに近いのですが、二十五億なんというものは問題になりませんから、ゼロから二四%までやっときておるわけでございますが、これは第一歩でございまして、私は将来の道路の改良舗装の重点の移行と合わせて財源の獲得ということをやらなきゃならない、かように考えておるわけでございまして、そういう意味では御指摘のとおりでございますから、具体的にどうするか、こういうお話でございますけれども、私どもとしてはこの充実に今後ともたゆまざる努力をしていく以外に方法はないと、かように思っているわけでございます。
  100. 原田立

    原田立君 ガソリン税の値上げと違って、今回の措置は地方団体だけのものであるし、国は道路の追加投資に必要な特定財源の増強を見送っているので、結局結論的には一般財源の投入額の減少というようなことがあらわれてまいります。で、一部には四十四年度はぜひガソリン税を値上げしなければならないというような見方もしている人があるようでありますが、地方については四十四年度における地方道路税率あるいは軽油引取税率引き上げ等はないのかどうか、必要ないという考えであるのかどうか、その点はいかがですか。
  101. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 先ほど税務局長がお答えいたしましたように、いまの日本のガソリン税は六一・幾らのパーセントでございまして、これは決して低いとは言えないという見方もできまするが、アメリカ以外のヨーロッパの先進各国などはもっとやや高い率で施行いたしております。したがいまして、私どもとしましては、道路の整備ということのためには、やはり燃料課税、それを目的財源に充てるというのが私は本筋だとこう思いますので、そういう点ではまだ改定の余地はあり得るものと考えております。そうした場合に、地方の財源に充ててもらうというような努力をいたしたいと思っておるわけでございますが、ただ問題は、物価の問題に関連した公共料金の問題でとざいますので、そこらとのにらみ合いをどう考えていくか、こういうことではなかろうかと、かように思っておるわけでございます。私どもは、地方の財源をもっと充実いたしますためにも、また五カ年計画も予定どおり進行させる、ないしはもっと促進させるためにも、そういう措置が望ましいと、かように考えております。ただ、実際にやるのかどうかということになると、これは全般の問題を考えながら決定をいたしていかなければならぬじゃないかという余地は私どもはあるというふうに感じておる次第でございます。
  102. 原田立

    原田立君 この前の本会議で自治大臣はその点についてはっきりとした御返事がなかったのですが、いまの次官お話ですと、ガソリン税率はまだ引き上げられる可能性は十分あるのだというふうの御答弁と承るのですが、それは、いま次官自身が仰せになっているように、いろいろな他の料金に関連性があります。これはやはり大きな課題だと思う。私は、ガソリン税は税率引き上げてはならないものだ、基本的にはそういう考え方なんです。それで、上げてはならないということが前提で、心配して聞いておるわけなんです。いまの次官の御答弁は、たいへん重要な方向を示しておるのですが、あらためてもう一ぺんお願いしたいと思うのですが。
  103. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) これはいろいろ意見が分かれるところでございまして、いまも、ガソリン税は高いじゃないか、もっと低くすべきじゃないか、こういう御意見があることも私どもよく承知いたしておりますし、私どもとしましては、日本の道路の立ちおくれというものについては、これは将来永久にわたってどうこうということではございませんので、こうしたモータリゼーションというような傾向に対しましては、やはり実質的には長期になるかもしれませんが、限ってよくしていくということがやはり一つの大きな方向じゃなかろうか、かように実はいまも私どもは考えておるわけでございますけれども、しかしこれはいろいろ議論があるところでございます。それから、特に私どもそうしたくてもできないという事情は、先ほど申し上げたように、直ちに公共料金にはね返ると、こういう点についてどう考えていくかという大きな考慮を要する点がございますので、それらと勘案してきめなければならぬ問題じゃないか、かように思うわけでございます。
  104. 原田立

    原田立君 ガソリン税の値上げはひとつ、私絶対反対ですから、世論もそういう動きがあるのですから、そこら辺のところは十分御勘案の上、そういうことにばかりこだわらずに、そういうことばかりの方向へ向かわないで、地方道路財源の確保ということは、もっとそれは技術的にも研究してやってもらいたいと思うのです。  そこで、今回の自動車取得税の収入見込みは、当初三百五十五億円と、こんなふうにお聞きしておりましたけれども、後に三百九十四億円と、こういうふうに訂正されたわけでありますが、算定過程のどの点に変更要素があったのか、その点はどうでしょう。
  105. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 自動車取得税の見込みにつきましては、当初私ども昭和四十三年度に新しくふえるであろう車を一応過去の実績を基礎にして算定をいたしたのでございます。ところが、その後の状況を見てまいりますと、特に昭和四十二年度でございまするが、非常に大きな伸びを示してまいりましたために、当初の推計を過去の伸び率だけで算定をすることについては多少問題がございます。そこで、昭和四十二年度の実績等をも参考にいたしまして見込みを訂正したものでございまして、具体的に申しますと、運輸省が自動車登録関係の予算の基礎にいたしております来年度の登録見込み台数を基礎にいたしまして置きかえていったものでございます。ただ、そのうちで軽自動車につきましては、昭和四十二年度増加率というものが非常に高い率を示しましたので、そこでそれは最近の実績等を基礎にいたしまして訂正をいたして、総体の見積もりも変わっております。
  106. 原田立

    原田立君 そのことしの三月二十二日に閣議決定したという第五次道路計画の中の、自動車取得税の課税から除外されるもので政令で定める自動車というのは、具体的にどんなものを考えておられるのか。
  107. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 政令で定める自動車の取得を除くといたしておりますのは、あそこにありますように、製造業者が製造による取得、あるいは販売業者が販売のための取得というような、いわば商品としての取得は課税対象から除くという趣旨でございますので、それと同じような趣旨に従いまして、たとえば自動車をスクラップにするために買い集めたというようなものは、自動車を道路の運行の用に供するための取得と考えられませんので、そういうものは除くという考え方でおります。
  108. 原田立

    原田立君 普通自動車や小型四輪車のうち、貨物の積載設備を有せず、単に搭載装備の移動を目的とした作業用の特殊車両、それは課税対象から除外すべきであると思うのですが、そういう同じ考え方でよろしいですか。たとえばクレーン車、コンクリート車、ポンプ車、穴掘り車、消防車、はしご車、各種レントゲン車、採血検診車、テレビ中継車、電源車、冷凍車なんというのはどうですか。
  109. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 自動車取得税の対象となります自動車は「道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車」であると定義されておりますが、その定義の中に「(自動車に付加して一体となっている物として政令で定めるものを含む。)」というふうに書いてございまして、本来自動車の機能と直接関係のないと思われるものは——これはなかなか判定がむずかしいことでございますけれども——実情に応じて除外できるような措置を講じていきたいというふうに考えております。
  110. 原田立

    原田立君 そうすると、まだそこら辺のところは成案がまとまってないわけですか。
  111. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 原則といたしましては、自動車と構造上一体となっているもの、あるいは自動車の運行機能上一体として取り扱うべきものというようなものは自動車の中に含めて課税対象にするという考え方でございますが、そういった観点から見まして、全然自動車の運行機能あるいは構造上別個のものと判定されるものにつきましては除外をいたすつもりでおります。  なお、その具体的な取り扱いにつきましては、いろいろな車がございまして、一つ一つについていわば判定をいたさなければならぬというような場合もございますので、この点につきましては、通産省あるいは運輸省とも十分協議をいたしてまいりたいと考えます。
  112. 原田立

    原田立君 中古車については「通常の取引価額」によるとなっているのですが、どのようにしてきめるのか、自治省令としてはどのようなことを考えているのか、その点はどうですか。
  113. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 自動車取得税の課税標準は、原則として取得価額によることといたしております。取得価額ということは、文字どおり買われたときの値段という意味でございますので、中古車につきましても、一般的には買われたときの値段を基礎にして課税標準を算定するということでございます。ただ、特定の条件のもとに取得されました場合に、たとえば、ただで自動車を取得された、あるいは代物弁済の給付として、金を払うかわりに自動車を持ってくるというような形でもって自動車を取得したというような場合には、取得価額というものが正確に把握できませんので、そういう特殊なものにつきましては通常の取引価額によるものといたしております。で、「通常の取引価額」と申しますのは、その同じような車が、普通、新車なら買われるとすると幾らか、中古車ならば、一般的にその車が取引される価額がどうかということを基準にしてきめると、そういう趣旨でございます。
  114. 原田立

    原田立君 ここのところちょっと問題があるのですが、これは別にして、大臣もお忙しいようですから、一つお聞きしたいのですが、この自動車関係とは別な問題ですが、競馬法の競馬収入に、いまのところでは地方財政で大きな穴があいている。まあ、今度のあがってきた剰余金を予算に組み込んでいたというところもありますし、あるいは、自治省では均分化して配分するというようなことで予算も考えていたようなところもあるのでしょうが、きょうは三十日、あしたは三十一日で、その面での競馬経営はもうストップになってしまう。地方財政にとっても穴があくわけなんですが、具体的にどんなふうな影響がいまあっているのか。あるいはまた、その穴のもしあいている部分があれば、その分はどういうふうに処分なさるお考えなのか、その点をお聞きしたい。
  115. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現行の競馬法によりますれば、四月一日から九十五の市町村が競馬を施行できなくなるわけでございます。その収入見込み額は約八十億円をこえると、こう見込まれております。個々の団体がそれを予算に計上しているかどうかは、いろいろそれぞれの団体の議会で御審議いただいたことであると思うのですが、私ども、この競馬の収益金につきましては、従来から、いわばその団体におきます特殊な収入という考え方から、その団体においてはそれだけ特殊な仕事がよけいにできると、こういうふうな考えに立っておったわけでございまして、そういう意味合いから申しますれば、この収入が減ったことは、その個別の団体にとっては大きな痛手であろうと思いまするが、地方財政全体として見た場合に、標準的な財政需要がそれだけ落ちるという考えには立たないで済むであろう、こう思っております。実は、いま現実の問題として、もう予算に計上していたものだから、穴があくとか、何とかせぬかとか、こういう御議論が実は出ているのであります。しかし、いま申し上げましたような考え方から申しますと、私のほうとしては、いますぐこのことに対して補てん的な措置を考えるというような考えは、いま持っておりません。
  116. 原田立

    原田立君 対策は考えていないというようなことですが、それじゃ実際に困る市町村が出るのじゃないですか。
  117. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知の、いま申し上げたような考え方なものですから、この競馬の収益金収入は特に基準財政需要額に見込むというようなこともいたしておりません。むしろその収益の非常に多いところにつきましては、地方債を遠慮してもらうとか、あるいは特別交付税をそれだけ遠慮してもらうというような方向をとっておったわけでございます。したがって、収益金がなくなりますれば、いま申し上げましたような起債の抑制とか、あるいは特別交付金の減額というようなことはなくなるわけでございます。それ以外に、これによってその収入欠陥を直ちに補てんしなければならぬというようなことはいま考えておりません。
  118. 原田立

    原田立君 これは二月一日の新聞による報道なんですが、東京の三鷹市の場合、年二回大井競馬場で開くが、四十二年度の競馬収入は五億一千万円、その当市の予算規模は三十一億円なので、ざっと六分の一が競馬収益金にたよっている。いま局長お話では、個々の団体のことはよくわかんないが、特殊な収入としてやっているんだから、仕事も特殊なことでやっているだろうというようなお話だったんだけれども、この場合では市の一年間の予算の六分の一を競馬収入で補っている、こういうところもあるんですね。これをいま何も見ていないんだ、考えていないんだとなると、実際には三鷹なんかの場合たいへん困るだろうと思うんです。それ、困るんだけれどもしょうがないということですか。
  119. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ、冷たく言ってしまえばそういうことでございます。ただ、それぞれの団体は、四十三年度の予算はこれから後執行するわけでございまして、まだ年度も始まっていない段階でございますから、見込んだ収入に欠陥が生ずることが明らかになりましたならば、やはり予算執行一年間の過程を通じてそれに見合うような措置をするというのは財政運営の態度として当然のことだろうと思うのでございます。したがって、そういう予算運営あるいは執行上の態度というようなものを見つつ、かつ、その団体におきますその都市の財政需要というものがどうしても避けられないものであるかどうかということは、いま少しく推移を見てみませんと、個々の団体につきまして判断を下すことはむずかしい、こういうふうに私は思います。
  120. 原田立

    原田立君 局長は個々の判断はむずかしいということですが、大臣は、具体的に来年度こういうふうに財政欠陥を生じたような地方団体に対して、いまの局長の答弁ではあまりにも冷たい御答弁のように思える。いかがですか。そういう市に対しての処置はもうすでにお考えだろうと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思うのです。
  121. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) この公営ギャンブルの問題につきましては、私も前から一つ意見を持っておるわけでして、私は鳥取県ですが、鳥取県には、そういう競馬もなければ、競輪も競艇もないわけであります。それでちゃんとやれておるわけです。しかし、人間何がしか射幸心を持っておるものですから、これがいろいろな悲劇を家庭には与えております。競輪などでわずかのお金をすってしまって家庭悲劇を起こしたということもありますが、一方、これくらいの楽しみが庶民にあってもいいのじゃないかという議論もございますし、その判断がなかなかむずかしいが、しかし私は、大体公営ギャンブルというものはなるべく早い機会に解消すべきであるという基本的な考え方に立っております。しかし、戦後必要悪みたいな形で公営ギャンブルをやることになりましたのは、御案内のとおりに、そこから上がってくるもので使途というものはきめられておりまして、御案内のとおりに、そのためにいろいろ地方団体としては不如意な財政というものを補って、いろいろな公共施設等もどんどんできていったわけです。しかし、地方財政の乱れのもとはここにもありますので、早い機会にこれは新しい形をつけませんと、非常な将来にわたって禍根を残すと考え、やめると申しましても、いま大きな歳入欠陥のできる団体もあるわけですから、もし自治省として考えるとしたら、地方財政面でやはり激変緩和の措置というものを十分考えながら、将来とも廃止の方向に向かっていくべきだということでいろいろ案を練っておったわけでございます。しかし、いまおっしゃいますように、これをいきなりやめてしまいますとたいへん困る団体も確かにあるわけでございまして、これをどういうふうに——過渡的にと申しますか、いまの段階でさばくかということにつきまして、いろいろ私どもの部内でも、また党とも検討しておる最中でございます。しかし、穴があいだがらといって、それをすぐ自治省としてあいただけ穴を埋めるということもなかなかできかねますので、その点は苦慮しておるような状態でございます。
  122. 原田立

    原田立君 大臣が言われるまでもなく、こういう公営ギャンブルは撤廃しろということはわが党年来の主張です。また、大臣の考えとちっとも変わりがないわけですが、それと、いま私が質問しておる、実際具体的に穴があいた市町村があった場合に、穴があいたが全然考えてないの、だということでは済まされないのじゃないでしょうか。現に三鷹の例をあげてお話ししたように、市の一般会計の予算の六分の一が充てられておる、こういう大きなところはほかにもあるのじゃないですか。ただ穴があいたってやらぬのだ、こういうように突っぱねては何にもならないと思うのです。そこでお聞きしておるわけなんです。
  123. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 御指摘のとおりでございまして、ですから、その激変緩和にどういう措置があるか。一ぺんにやめてしまうというのも、事情もございますからして、その点を目下苦慮していろいろ党内で検討しておるという状態でございます。
  124. 津島文治

    委員長津島文治君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたし、午後二時まで休憩いたします。    午後一時十八分休憩      —————・—————    午後二時十九分開会
  125. 津島文治

    委員長津島文治君) 地方行政委員会を再開いたします。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑の方は、順次御発言を願います。
  126. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大臣もお見えのようですが、三月の二十八日に衆議院で税法を上げる場合におきまして附帯決議ができたのでありますが、これはおそらく大臣としましては、決議の趣旨を尊重して善処するというお答えがあったものだと考えますが、具体的に、たとえば第三の「大都市については、その財政の実態にかんがみ、税源の充実を検討して明年度において具体化に努めること」、「明年度において具体化に努める」ということはずいぶん具体的であるし、また、明確な決議になっているわけでありますが、どのようにして税源の充実を検討して具体化するというお考えでしょうか。まず、そこら辺からお聞きしたいと思います。
  127. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 目下、税調で検討していただいておりまするけれども、私どももこの必要性を感じて一日も早くという考え方でおりまするけれども、まだ御期待に沿えるような結論が出ておりません。
  128. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もちろん、結論が出てないとおっしゃるのはよくわかります、明年度で具体化するというのですから。私も、いますぐに大臣の所見あるいは自治省の見解というものを的確に御答弁願いたいと言っているわけではございませんが、過去のたとえば税制調査会における長期税制のあり方についての中間報告といったようなものもあるわけでありますし、現在でも、あるいは税制調査会なり地方制度調査会なりにおきましては、税財源の再配分というようなことは常時議題になっていることだと思いますし、大体方向はわかっているんじゃないかと思いますが、そういう点を私お聞きしたい、こういうことを言っている。ですから、方向という点でけっこうなんです。
  129. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 先ほど申し上げましたとおりに、その必要性が急に高まっておることは、こういう人口移動の激しいときでございますし、いろんな行政需要が急に高まってもおりますし、また、特に最近ドウナツ状にどんどんふくれていきます部分については社会資本がまことに不足しておりますので、何か適切な税を考えてその面に充てなければならぬと考えておりますが、とりあえずのところは、やはり交付税あるいは起債などで特別に重点的に取り上げていくという措置をとっております。しかし、税そのものにつきましてはまだ検討の段階でございますが、税源を充実するという方向ではいま検討を進めております。
  130. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま、税源を充実していく、そういう方向で検討されるというお話があったのでありますが、それはぜひやっていただきたいと思います。  ただいま大臣の答弁の中に交付税の問題も出てまいりましたが、指定市、特に大都市におきまして、いろいろこれは産業的立地の問題もありましょうけれども、指定市などにおきまして、税源不足のために交付税でもってめんどうを見てもらわなければならないというようなことは、これはかなりおかしなことじゃないかと思うんです。指定市といえば、日本においてまあ大々都市なんですが、それが自主的な財源を持たずに国から交付税というものでめんどうを見てもらわなければならぬということ自体がおかしいので、やはり、その交付税は、全然なしというわけにもいきませんでしょうけれども、基本的なあるいは原則的な、あるいは基礎的な税財源としては自主的なものがあって、その上で財政需要とアンバランスがあった場合に初めて交付税ということの考え方をすべきで、いわゆる交付税本来の形に、いわゆる調整的な税ということで考えるならばけっこうだと思いますけれども、初めからもう交付税でめんどうを見るんだ、あるいは交付税が歳入の主流をなすものであるというような考え方は私はとるべきでないと思うんですが、この点はいかがですか。
  131. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 御指摘のとおりに、こういう大都市に交付税を配分しなければ行政需要がまかなえないなどということは、私は、御指摘のとおり、間違いだと思います。特に私は、ここで交付税を配分するということでなくて、むしろ消極的に大都市への税収が不交付団体に流れることを極力防止していくということに重点を置いてやっているわけでございまして、やはりこの大都市のためには税源をできるだけ確保するという方向でいろいろいま議論を進めている段階でございます。
  132. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私から申し上げるまでもなく、大都市としての財政需要というものは、小都市が中都市になった、中都市が大都市になったというこ以外に、指定市などにおきましては、国の経済的ないわゆる基地のようなことに、あるいは中心というようなことになっておりまして、つまり、国のなすべき仕事を指定市あるいは大都市などが分任してやっているという点が明らかに見られるのでありまして、したがって、税財源を伸ばしていくということでなければ財源不足が生じてくるということは当然でありまして、最近の現象といたしましては、昼間人口が非常にふえてくる、あるいは団地の造成、それに伴って道路、水道あるいは教育施設、交通機関というようなものも充実していかなければなりませんし、特に交通量の増大によりまして、単に中都市あるいは小都市などで道路を維持管理するというだけのことでなくて、交通対策であるとか、あるいは安全施設であるとかというようなものも大都市が分担してやっていただかなければならないような状態というものが、これは従来のいわゆる地方行政に全然なかったと言うことは極言でありまするけれども、新しい社会の進歩に伴いまして、こういう交通問題、交通対策、そういうものが新たなる議題にのぼってきたということでありまして、毎年毎年財源不足というものが相当予想されるわけでありまして、歳入に対して歳出が不足してくるということが、これが単年度における不足ばかりでなくて、今後引き続いて財源不足という事態が生ずるであろうという見通しがあるわけでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  133. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のとおり、大都市に人口がどんどんふえてまいりまして、大都市の管理機能というようなものがだんだん高度に要求されるようになってまいっております。そのために新しい財政需要がどんどん増加してきておるということでございまして、この点は御指摘のとおりでございます。しかしながら、シャウプ税制で始まります現在の市町村税制は、どちらかといいますと、静態的な地方自治団体ということを前提にして組み立てられているというような感じもございまして、税収入が、こういう非常に急激な勢いで伸びてまいります財政需要に即応していけないというところから大都市財政の困難という問題が起きているように考えられるのであります。したがいまして、かつてはいずれも不交付団体で——小都市は別でありますが——不交付団体でありました大都市が最近では交付税の交付団体になるというような状況になってまいりましたのも、いま申し上げましたような、急激に増加をいたします財政需要と税収入との不一致から来ているものというふうに考えられるのであります。したがいまして、今後大都市の税制というものを考えていきます場合には、こういうような傾向にあります大都市財政需要に即応し得るような税制、具体的には安定した税収入というのが市町村税としては望ましいわけでございますけれども、単なる安定性のみでなくて、相当の伸長性を持った税収入というものを大都市等については考えていかなければならないというふうに考えておるものでございます。
  134. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 一つの問題は、府県は概して税の伸びがよく、地方財政が安定してきたということのまあ一つの理由だと思いますけれども、指定市などにおきましては伸びも悪く財源不足になっているというこの問題はどこに理由があるか、あるいはこれを解消していくためにはどういう方策がとらるべきであるかという問題についてはいかがですか。
  135. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 府県の税収入比較的伸びがあるというお話でございますが、昭和二十五年当時におきましては、御承知のとおり、シャウプ勧告によりまして基礎的地方団体であります市町村に税収入を多く与えるという観点から、地方税の中に占めます府県税収入と市町村税収入のシェアは、市町村のほうが高かったわけでありますが、その後の推移を見てまいりますと、市町村税収入のほうは相対的に伸びが停滞しておりまして府県税収入比較的伸びているということから、最近では地方税全体の中におきます府県税と市町村税のシェアは、府県税のほうが上になってきているという状況でございます。しかしながら、それでは府県は非常によくなっているのかということでございますが、約十年ばかり前の昭和三十年度をとりまして府県税が歳入全体に占めます比率を見ますと、約三〇%でございまして、今日の段階におきましても、ほぼこの割合は変わっていないというような状況でございます。こういった点から見てまいりますと、府県の税収入ももちろん伸びておりますけれども、やはり財政需要も相当伸びてきている。ただ、その伸び方が相互にパラレルにほぼ進んできておると、こう言えるのではないかと考えられます。ところが、市町村税の場合で申しますと、市町村税収入割合が非常に高かった当時は、歳入全体の中で四五%程度を占めておりましたけれども、最近ではだんだん下がってきておりまして、昭和四十一年度ころになりますと三六%程度になってきているわけでございます。こういう状況を見ますと、府県のほうは収入財政需要も伸びているが、その財政需要の伸びにほぼパラレルに税収入が伸びている。市町村は財政需要が伸びているけれども収入は停滞的である。そこにこういう結果が出てきたのではなかろうかと考えるのであります。そこで、市町村税の中で何がそれではそういう原因になっているかということを考えてまいりますと、御承知のとおり、市町村税として税目は幾つかございますけれども、そのうちの四割が市町村民税でございます。またさらに、四割が固定資産税でございます。この二つの税源の伸びいかんが結局市町村税の伸びを左右するわけですが、市町村民税の伸びはともかくといたしまして、固定資産税の伸びが御承知のようなことで非常に停滞的でございます。そこに市町村税収入が伸びなかったという一つの原因があろうと思います。そういった点から考えてまいりますと、府県のほうは法人関係の事業税というものの伸びがかなりございます。また不動産取得税のような流通税、料理飲食等消費税のような消費税というような、比較的経済の動きについていくというようなものが多いわけでございまして、そういったことから、府県税のほうは市町村税に比べて相対的に伸びが大きいと、こういうことが言えるのではないかというふうに考えております。
  136. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私も料理飲食等消費税というものが、従来市で取られていたものを府県で取るようになったということや、あるいはシャウプ勧告等におきましては市町村民税というものが重要な税源であったのが、その後県民税という形に、県も取ることになったというような新しい事例を考えてみましても、かってなかったもの、あるいはまた、新たに加えられたものというようなものが府県税の中にはあって、そしてその全体としては、もちろんいま局長が言われましたように、財政支出も伸びているけれども、安定かっ伸びのある税源というものが府県にあるということは言えると思うわけでありまして、そういう点を考えてみると、この辺でやはり国と地方はもちろんでありますけれども、府県と市町村の間で再配分の問題を検討すべき時期ではないか。四十三年度で、政府が都市的な税源を検討して具体化するという場合におきましては、こういうものを当然考慮して府県と市町村の間の税の再配分ということを当然考えていくべきだと思いますが、そこまでは手がつけられませんか。
  137. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先生の御指摘の問題も一つの検討すべき問題点であると考えておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、府県税の収入比較的伸びがいいとは申しながら、財政需要との関係を見てまいりますと、それほど財政需要の増加を上回って伸びているわけでも必ずしもございません。そういった点から、府県税を市町村税に移せば問題が直ちに地方財政全体として解決するかどうかということになりますと、これまた別の観点から検討されなければならない点があろうと思うのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、地方団体間のみならず、国と地方団体、それらをひっくるめて税源の再配分をいかにすべきか、そしてその中で大都市税源というものをいかにして確保していくかという見地から検討を進めてまいるべきだというふうに考えているわけでございます。
  138. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私、いま申しましたことは、国と地方との税財源の再配分ということ、それから府県と市町村の再配分ということ、そういうことを申し上げたわけでして、コップの中の水をあっちにやる、こっちにやるというということを申し上げたわけじゃないのです。全体としてやはり国と地方、それから地方の中における府県と市町村というものを全体考えて、やはり改正といいますか、改革というものをやっていかなきゃならぬ時期じゃないか。それも一つのテーマであるといま局長が言われましたからけっこうだと思います。ただ、しかし、最近における税収入の不足であるとか、あるいは財政の不足であるとかということを聞きますと、やはりわれわれも自治省に向かって、こういう税はどうですか、あるいはここのところ、こうしたらどうですかというようなことを、ともすれば、言う。また自治省も、いわゆる抜本的な改正ということを考えずに、そう言われればここのところはちょっと張り紙しようか、ここのところをちょっと直そうということで、本来——いまはシャウプ税制から今日まで来ている、もうあのころの税制あるいは税体系というものは一応再検討を必要とする段階に来ているのじゃないかというふうに私は思うのですよ。そこで、説制調査会なりあるいは地方制度調査会なりというようなところで考えてもらう場合には、いわゆる糊塗的なびぼう策も必要ですけれども、しかし、抜本的なやつをひとつ大いに衆知を集めて考えていただくことが必要じゃないかと思います。そういう方向にはいま来ておりませんか。やはりびぼう的な対策なり改革ということにとどまっておりますか。
  139. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先生がおっしゃいましたように、シヤウプ税制ができましてからすでに二十年に近い歳月となっております。その間におきます地方自治を取り巻きます環境の変化というものも、その当時においては予想もしなかったような状態になっておるわけでございます。そういう観点から申しますならば、地方税制につきましてもこの際抜本的な検討をすべき時期が来ているようには思われます。ただ、これは何事もそうでございますけれども一つの制度のもとにたくさんの団体がそれぞれ一定の仕事をしておるわけでございますから、抜本的と申しましても、きょうからあすに、全く変わった姿でものが考えられるかということになりますと、そこにはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。そこで、私どもは、基本的には先生のおっしゃいますような抜本的改善をいかに進めていくかということを念頭に置きながら、また一面においては、現実の必要性に迫られている問題を、まあ糊塗的あるいはびぼう的というおしかりをいただくかもわかりませんけれども、ともかく今日においてできることはやはりできるうちにやっておくという考え方で進んできているわけでございます。大都市の問題が起こりましてから今日まで、ただいま都市計画税の問題でございますとか、あるいは指定市と指定市を包括する府県との間におきます軽油引取税、交付金の配分の問題でございますとか、あるいは、ただいま提案をしております自動車取得税の新設の問題でございますとか、この自動車取得税につきましても、結局、大都市に非常にたくさんの部分が交付されることとなりますので、そういった意味で、できるだけいま手につくものは幾らかでも改善をしていこうと、こういう努力をあわせて続けているということでございます。
  140. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあ鹿を追う者は山を見ないということわざもありますように、あんまり現実のことばかりやってて、大局なりあるいは大勢なりというものを見忘れてしまうといけないと思う。自治大臣におかれても、あるいは自治省におかれても、まあ、そういうことないと思いますけれども、やはり頭の中には抜本的な改正方向というものはどういうところにあるんだという見当をつけながら、具体的あるいは現実的な問題を処理していかなければならない。もちろん、その大目的を忘れるというようなことはなかろうと思いますから、どうもとかくその当面の具体的な問題だけにとらわれてしまうと大局を忘れるという弊害がなきにしもあらずと思いますので、この点はぜひ両者をあわせ考えながらやっていっていただきたいと思います。よくいままで空閑地税であるとか、土地未利用税であるとかというようなことを言った人もありますし、われわれもそんなことを言ったことがあるのですけれども、こういう税目というものは、現実に言いまして実施不可能な、あるいは実現不可能な考え方でしょうか。
  141. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 土地税制の問題は、最近の地価上昇、あるいは土地対策の見地から非常に重要な問題でございまして、ただいま税制調査会の中にも、土地税制特別部会というものが設けられて、いろいろの角度から検討されておる段階でございます。  いまお話のございました未利用地税、あるいは空閑地税といわれておりますような税についても目下検討が行なわれております。一般的に申しますならば、これほど土地の需要が高まっておるときに、非効率的な土地の利用をしている人に対してはもっと税負担を求めるべきであるという一般的な公平の観点からの問題と、もう一つは、そういう税を課税することによって、そういう非効率的な利用形態を維持することができなくなることがひいては土地を有効利用に導くゆえんであるという観点と、両方からこの問題が議論されておるのでございます。私ども考え方としては、非常にすぐれた考え方であるというように考えるものでございますが、ただ問題は、課税技術の面から言って、それが円滑に実施されるかどうかということが、やはり税でございます以上、一番一つの問題であろうと思います。何をもって空閑地と見るかという、まずこの空閑地の見方の問題については、いろいろの問題が出てくると思います。町の中にたとえば駐車場をつくっていたら、それは空閑地なのか、駐車場として利用されておるものかといったような問題、あるいは、都市周辺において耕作をやっているということは、これは本来宅地として利用すべきものであって農地として利用するのはおかしいという判断に立つのか立たないのかというような問題を解決しなければ、なかなかこの問題は進めていくことができないというふうに考えられます。また、そういうふうにかりに割り切って、ある一つ考え方を出したといたしましても、今度は、一つの建物と土地との関係を、どの程度割合にあるときに空閑地と見るかという問題がまた別に出てくると思います。たとえば大きな庭を持った家がある。その人は家を建てようと思えば、もっと大きく家が建てられるにもかかわらず、二百坪の土地に三十坪の家しか建ててないのは、これはあとの百七十坪は空閑地であるというふうに判定をするのかしないのかという問題も出てくると思います。こういうふうに、課税技術の面からとらえていきますと、非常にむずかしい問題がございます。また、その税の効果の逆作用という面も考えていかなければならないと思います。ある程度の建物を建てておれば、その建物の内容のいかんにかかわらず、建てている事実だけで空閑地としては判断しないのだというようなことになりますと、無秩序にバラック程度のものを建てて税を免れるというような傾向を助長することにかえってなるのではないかという心配もあるわけでございます。いま申し上げましたようなことで、着想としては私どもも非常にすぐれたものであると思いますけれども課税技術の面から言っていろいろ問題がある。また、それが持つ効果について反作作用が起きないかどうかというような点について検討が必要である等の問題がございまして、これらの問題は、先ほども申し上げましたように、目下税制調査会におきまして、土地税制全般の一環として検討されておるという段階でございます。
  142. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま局長から、土地自体を空閑であるかどうかということを裁定することは非常にむずかしいというお話がありましたが、そうだろうと思うわけなんですが、しかし、政策としては、やはり地価の値上がりを押えていくとか、あるいは人口の集中に対して住宅を提供するとか、いわば政策の面から言えば、こういうことは考えてしかるべきではないかと思います。税制の上から言って、たとえば不動産取得税であるとか固定資産税であるとかというようなものが、土地というものに対していろいろの税があるわけです。その二重課税とか、あるいはこっちを押えたらこっちが逃げるであろうというような、税の中における、何と言いますか、二重になったり抜けたりするような見地からいったらどんなことですか。すでにこれだけ取っているのだから、もうこっちのほうは取る必要はないとかというような評価の問題とか、あるいは取りやすいとか、いろいろの問題が税の技術の上から言ってあるだろうと思うのです。どうお考えですか。
  143. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 徴税技術の問題、あるいは空閑地認定の難易の問題というような点を除きまして、税の理論と申しますかの面からどうかというお尋ねでございましたが、私は税を同一物件にかけるから、必ずそれはしてはならない二重課税であるというふうに断定はできないと思います。税をどういう面に着目して課税をするかということによって、ある場合には二重課税と思われるようなものも許される場合があり得るのではないかというふうに考えるのでございまして、そういう意味から、固定資産税を課税しているから空閑地税を課税することは、二重課税になって適当でないというふうに必ずしも考えなくてもいいのではないかというふうには考えております。
  144. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これも一、二新聞等において議論されているところなんですけれども、やはり市町村の財源不足ということを考える場合に、不動産取得税に対する市町村付加税的なもの、そういうようなものは全然考えられませんか。
  145. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 付加税という形では私は考えたことはございませんですが、いろいろ不動産取得税のような税を市町村に与えるべきであるという御議論はございます。そういう面から、税源配分の問題としてこれから検討していかなくちゃならぬ問題の一つであるというふうには考えておりますが、ただよくいわれますように、付加税的なものをつくるとか、あるいは一つの税を二つに分けるとかいうふうなことになりますと、せっかくシャウプ勧告によって確立してまいりました課税団体納税者との間における責任関係を明確にしていこうという趣旨が薄れていくということは、適当でないのではないかと考えますが、ただ税全体を市町村税にするか、あるいは府県税にするかということについては、今後検討すべき問題であろうと思います。
  146. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そこまでいきましたからついでにお尋ねしたいのですけれども住民税の法人所得課税というものの再検討を、住民税の中における法人税割りの税率を上げるというようなことも、都市的税源を確保する上から考えるべきではないかというふうにいわれておりますけれども、この点はどうですか。
  147. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘の問題についても検討すべき項目の一つであると考えております。ただ税率を上げるというのにつきましても、いろいろな御意見がございまして、現在府県におきましても、府県税の法人税割りとして課税をしておるその一部を市町村に移すべきであるという御議論もございます。また、そういう形でなくて、市町村の法人税割りだけの税率を全体として上げるべきだという御意見もございます。また、市町村の法人税割りの税率を上げる場合にも、指定都市といいますか、大都市についてだけ上げるべきだという御議論もございます。このように、同じ市町村民税の法人税割りの税率を上げるという御意見の中にも、幾つかのまた方法において違いがございまして、それぞれその影響するところも大きいわけでございますから、それぞれの場合について検討して結論を出さなければならないというふうに考えております。
  148. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今度道路財源としまして自動車取得税というものが創設されることになりました。この問題については物品税的な性格があるし、あるいはまた、それが交通料金にはね返って、いけないというような議論もありますけれども地方団体としては、昨年に比べて飛躍的と申しますか、たいした財源が確保されることになるわけですから、地方団体としては大いに歓迎するところであろうと思いますけれども、その配分の問題がやはりいろいろと議論があるようであります。衆議院の附帯決議の中におきましても、減免措置のことがうたわれておりまして、最後に、「市町村への交付にあたっては、人口密度、交通量等道路使用の実態を配分すること。」とあるわけですが、これはどちらかといえば、都市的補正といってもいいものかと思いますけれども、これもおそらく大臣は、決議の趣旨は尊重しますということを御発言なさったと思いますけれども、税の事務あるいは技術、そういう面からいいまして、人口密度であるとか、交通量であるとかいったようなものをどの程度把握できるか、そういうものを考慮して配分するという決議でありますが、実施にあたって、こういう附帯決議の内容というものはどの程度までお考えいただけるか、お伺いしたいと思います。
  149. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 自動車取得税を配分するにあたっては、できるだけ自動車交通の実態と申しますか、あるいは道路使用の実態を反映するようにという御趣旨からそういう附帯決議がつけられたものと考えております。したがいまして、私どもといたしましては、技術的に可能な限り、御趣旨に沿って努力をいたしたいと考えておりますが、その御議論の過程におきましては、自動車の市町村別の保有台数によって補正をするというような考え方はどうかという御意見もございました。ただ、自動車の保有台数と申しましても、これは現在は陸運事務所単位に登録されております関係から、把握することが絶対できないわけではございませんが、非常にめんどうな作業でございます。その上に、最近自動車の車庫等についての規制がございますことから、必ずしも所在するところでないところに登録をするというふうなこともなきにしもあらずでございまして、そういった点から、自動車の保有台数そのものをとるということは、なかなか困難でございます。  そこで、自動車の保有台数と人口等との関係をとって、何が一番近いかということを私どもも検討いたしたわけでございますが、やはり何と申しましても自動車は都会に多いわけでございます。したがいまして、人口と自動車との関係というものは非常に密接な関係を持っております。そういった事情を、補正係数を定めるにあたりましては十分考慮いたしまして、適切な配分がなされるようにいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  150. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は、いま読みました衆議院の附帯決議は、保有台数ということはないのですが、先回りされちゃったらちょっと困るのです。そこのところちょっと、保有台数がもう絶対目安にならぬというようなことになると、ちょっと困る。
  151. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほども申し上げましたように、衆議院におきましても、保有台数をとるべきであるという御議論も質疑の過程においてずいぶんで私ども質問をいただいたわけでございますが、いま申し上げましたように、保有台数をとるということが、技術的に正確を期することが非常にむずかしい問題がございますものですから、そこで一般的に保有台数と一番近いものは何かという相関関係を見てまいりますと、やはり何と申しましても、都会地になればなるほど自動車の保有台数が多いわけでございますので、そういった観点から、人口というようなものも一つの基準になり得る、こういうふうに考えているということを申し上げたものでございます。
  152. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) いまの松澤先生の御質問ですけれども、自動車取得税の配分は、単に道路の総延長あるいは面積などで配分をすべきではなくして、やはり道路の利用度というものを中心に検討して、必要な方面へ重点をかけるべきだという、そういう結論がこういう形になって出たわけでございまして、その補正のしかたをどうするかということは、なかなかまだ検討を要する面があると思います。いま自動車の保有台数だとか、いろいろなことが出ましたけれども、こういうことも全部勘案をして、適切な方法を考えていかなければならぬと思っております。  前段の御質問ですけれども、たまたま自動車取得税について触れられたわけですが、なかなか新税を創設することは容易ではありませんので、自動車取得税でさえとやかく御議論があるわけでありますが、税率というものは何でも低いにこしたことはないし、できるだけ税金の創設などは戒めなければならないと考えておりますけれども、やはり地方行政需要というものは加速的にふえてまいりまして、最近では無限に近いような要求が出てきておるわけでございます。特に大都市あたりは投下資本が足りないと申しますか、交通渋滞の問題にいたしましても、いろいろなことが出てまいりまして、それには思い切った投資をしなければならない。そこでそのための税源について、一体どういう基本的な考え方を持っておるかということが前段の御質問であったと思いますが、まあ税制調査会でもいろいろ御検討は願っておりますが、非常にむずかしいことだと思うのです。そういうように大都会というものが繁栄してまいりますと、やはりそれ相応の社会資本というものが必要になってまいります。やはりそこに住む人というものは、こういう資本投下によりまして、大なり小なり利益を受けるわけでございますので、やはりこの土地の値上がり、その他環境がよくなり、また道路が整備されるということになれば、それだけ地価も上がってくるし、そこに住む人、またいろいろな不動産などを所有する人は、それだけの利益を受けるわけでございますので、やはりこの開発費用を受益者が負担するという原則を一応考えていく。それには税もありましょうし、公共料金の面もありましょうし、いろいろなことを伴ってくる。ですから大都会の場合、やはり御指摘のように、根本的にこういった問題を検討いたしまして、やはり急速に人口がふえてまいります地域、最近はスプロール地域ということばも出ておりますけれども、そういう地帯の財源確保のためには、いまひとつ別の観点から検討する必要があるというように考えておりますが、そういうことをひっくるめて税制調査会にお願いしておるということでございます。
  153. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大臣から御答弁があったわけですが、ちょっと気になることは、受益者負担というそのことばの内容なんですけれども、いわゆる人口割り的な税金などを考えられる。これまた大きな問題だと思います。何かそういうわけでなくって、それはいま大臣言われましたように、都市がよくなれば地価も上がるし、経済活動もやりよくなるしというような広い意味での社会的恩恵というようなことであるならばけっこうですが、だれがその利益をいわゆる受益するかという問題になってくると、これまた、なかなかとらえにくい問題で、いっそのこと人口割り的におっかぶせたらどうかという議論になってくるかもしれません。そういうことのないようにひとつお願いしたいと思います。  それから自動車に関する税金もいろいろと、府県あり市町村あり、今度の自動車得税ということで、同じ自動車に対する府県税あるいは市町村税というふうにあるのですが、こういうものを何か一体的に取ることはでき得ないでしょうか。府県税として自動車税がありますし、軽自動車税というのもありますし、今度また自動車取得税ということで、いろいろ自動車についてもあれこれと税額が違っておりますけれども……。
  154. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 一台自動車を持つと、たいへんたくさんの種類の税金がかかりますので、ただいまおっしゃるように、こういうことでなくて、もっと統一ある課税を考えたらどうかという御議論が衆議院の段階で出たわけでございます。燃料課税のことにつきましては、先ほど原田さんの御質問もありまして、お答えいたしましたが、すぐこいつは物価にはね返るということで、まず遠慮いたしました。それから物品税、それから自動車税などもすでにかかっておりますが、みなそれぞれ性格が違うわけでございまして、なおその上に取得税みたいなものを創設することはどうかという考え方もございましたけれども、これはまあ一ぺんこっきり納める税金でもあるし、多分に受益者負担的な性格のある流通税でございますし、やはり市町村が道路目的財源がございませんので、何かないかと考えておりましたが、結局ここへ落ちついたと、こういうことでございます。これは地方制度調査会でもそういう御結論をいただいた次第でございますので、これに踏み切ったわけでございます。
  155. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 衆議院の附帯決議の中にもありますけれども、免税点の引き上げ、十万円以下のものには課税されないということでありますけれども、十五万円であれば課税される。それから百万円でももちろん課税される。その率は十五万円の場合でも百分の三ですか、それから百万円でもやはりそうだということで、その辺のところはちょっと、安い車を買う場合はその付加額に対しましては比較的重く感じられるのじゃないかと思いますが、一律百分の三というふうにされました理由は、どういうことでございますか。
  156. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) これはもう先生御承知のとおり、一つの流通税でぐざいまして、流通税でございます場合には、通常価額を課税標準にいたしまして、一定率で課税をするというのが流通税の基本的な形であろうと思います。同じような例が不動産取得税という税がありますけれども、これも百万円の財産を取得いたしましても三%、あるいは一千万、一億の財産を取得いたしましても三%ということになっておりまして、流通税であります関係から、やはりこういう比例税率ということが一番適当ではないかというふうに考えるものでございます。
  157. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 中古車なんかに対する自動車取得税の減免の問題については話が出ませんでしたか。
  158. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 中古車についての減免という問題については、いままで御議論がございませんでしたが、要するに免税点を十万円にいたしました、この免税点の十万円が適当かどうかという点については、ずいぶん御議論がございました。現在の十万円と申しますと、新車で小型の三輪車程度でも大体二十万円前後でございますので、結局免税点の適用になるのは中古車である。今後新車の値段がどんど下がってくるというような事態が起こりますと別でございますけれども、ただいまの段階では、免税点の適用を受けられるものは中古車に限られるというふうに考えております。したがいまして、免税点の問題は中古車の問題であるというふうにも申し上げられるのではないかというふうに考えております。
  159. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 必ずしも局長の御答弁に満足するものではございませんけれども、できるだけ車を取得する者に対して重い税金がかからないようにという、そういう私の気持ちから申し上げたわけであります。  時間がありませんので、国鉄納付金の問題は、昭和四十三年度関係者が協議するということになっておりますけれども、これは廃止の方向にいくものか、あるいは継続する方向にいくものか、その点はいかがですか。
  160. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) この間も予算委員会で答弁いたしましたけれども、国鉄がお困りのことはよくわかるわけですが、ただ一つの企業が赤字で困っておるから、じゃそれを理由にこういう税金を減免をするということは、単に三公社だけにとどまらず、民間企業だって破産に瀕している人だってちゃんと固定資産税を払うわけでございまするので、ただ国鉄が困っておるからというだけでさらに減免するということは、私は筋が通らぬと考えております。また、そうすれば、すぐ他に波及することは言うまでもないことでございまして、そういうことは、やはり地方財政の柱の一本がくずれるということにもなると思います。ただ運輸省が、赤字の累積によほど窮しておられますから、国鉄の総裁非常にがんこで有名な方ですから、一度言い出したらあとに引かぬという意気に燃えていろいろ御要求になっておりまして、ですからまあそう木で鼻をくくったような御返事をいたすわけにもまいりませんし、非常に強い要求が運輸当局からありますから、やはりこういった問題も含めて、何か国鉄のほうの今日の立場がわからぬこともないから、御相談には応じましょうとは言っておりますけれども、やはりこれは幾ら話し合っても、根本的にはたいへんむずかしい問題であるということをお答えしておるわけでございます。
  161. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 最後の問題ですけれども、公害防止施設などに対する免税の措置は、公害防止事業団が造成した施設を譲渡を受けるというような場合には、免税されるような規定が確かにあったと思います。けれども、ちょっとその点御説明いただきたいと思います。
  162. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 公害防止事業団から融資を受けまして、事業協同組合等が共同建物、いわゆる工場、アパートというようなものをつくりました場合には、その融資を受けた額を不動産取得税の課税標準から控除をした残った額だけを課税標準として課税をするということによって、軽減措置をはかろうというものでございます。
  163. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういう公害防止事業団から施設の譲渡を受けた協同組合あるいは企業組合等が免税されるということはわかりますけれども、公害防止という見地から言えば、民間の個々の企業が公害防止のために相当大規模な投資をしているということもあるわけですが、そういう明らかに公害防止のための事業である、施設であるというものに対しましては、別段免税の措置はございませんか。
  164. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 現在公害防止対策としてはいろいろな問題がございますが、そのうちの一つは大気汚染防止対策でございます。これにつきましては、ばい煙処理施設、いわゆる集じん施設のようなものでございますが、こういうものに対しましては固定資産税を非課税といたしております。それから放射性廃棄物質の処理施設、これにつきましては、課税標準の特例を設けまして、軽減措置を講じております。それから重油にかかる水素化脱硫装置、いわゆる重油の中から硫黄分を除くという、除いた重油をつくろうという装置でございますが、これにつきましては、課税標準の特例を設けております。次に、水質汚濁防止対策の問題でございますが、工場排水等の規制に関する法律に基づく汚水処理施設につきましては、固定資産税を非課税といたしております。それから公共の下水道等の使用者が設置します除害施設、これにつきましては非課税といたしております。それから昨年できました海水汚濁防止のために設置いたします廃油処理施設につきましては、課税標準の特例を設けることといたしております。次に、地盤沈下の対策でございますが、工業用水道への強制転換施設につきましては固定資産税を非課税といたしております。それから鉱害防止——鉱物の害を防止する対策といたしましては、鉱滓、坑水、鉱煙の処理施設につきましては非課税といたしております。そのほかに爆発物の事故防止対策といたしまして、火薬庫の関係の防護施設でございます土堤でありますとか、防爆壁というようなものは非課税といたしております。また高圧ガス、LPG等の事故防止のための障壁等につきましても非課税としております。こういうような対策を税の面にも講じてきております。
  165. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま局長からお話のありました公害防止施設に対する減免の問題につきましては、あとでよろしいですから、一括してその措置をとることになった対象の施設等をお知らせ願いたいと思います。
  166. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 後ほど資料として提出をいたします。
  167. 鈴木壽

    鈴木壽君 きのうに引き続きまして一、二の問題についてお尋ねをいたします。  一つは、きのう保留しておきましたのですが、第三百五十条の改正に関してでございますが、きのうもこの点については私の考え方を述べながらこの法改正の意図するところについてただしたわけなんですけれども、きょうひとつさらに衆議院で修正になったことにつきまして、これをどう受けとめておられるのか、それをまず最初にお聞きしたいと思うのであります。  三百五十条の二項、政府原案を衆議院では初めのほうを、「一の納税義務者が所有する固定資産に対して課すべき固定資産税の課税標準の額が当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の三分の二をこえる場合において、」という、この前段の項を削除しまして、直ちにこういうふうになりました。「市町村は、百分の一・七をこえる税率当該年度分の固定資産税を課するときは、あらかじめ、文書で、その旨を自治大臣に届け出なければならない。ただし、」と、こう言って、さっき述べました削られた部分をあとのほうにつけたかっこうになっておるのであります。その他に、「その他政令で定める場合は、」と、こうあるのでありますが、これによって、当初法改正段階で考えられたあなた方の意図が若干緩和された、クッションを置くことになるのだと、こういうようなことを言っておるようであります。この点についてどうでしょう。さっきも申し上げましたように、この改正の部分をどう受けとめてあなた方が理解して、これからの運用をやっていくというのか、それを一つ
  168. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 政府原案は、一の納税義務者が所有します固定資産が、その町村の固定資産税の三分の二以上をこえるときはすべて、税率を一定以上に上げるときは届け出ろ、こういう形でございましたのを、衆議院で修正されましたのは、なるべく届け出る場合を少なく制限をしよう、端的に申しますと、なるべく届け出なくてもいいような場合を多くしょうという御趣旨であると私どもは考えております。で、したがいまして、三分の二をこえないような場合はもちろん届け出なくてもよろしい。そのほかに、さらに政令で定める場合は届け出なくてもいい場合を追加をしていく、こういうことでございまして、そのとき御議論がありましたことは、たとえば大きな災害を受けたといったような町村で、連年災害があったというような町村については、まあ税率を上げるというような場合には、これは届け出なくてもいいというようなお話もございましたが、なおよく検討をした上で、できるだけ届け出を少なくて済むような形に政令をくふうすべきであるという、こういうようなお話もございましたので、私どもといたしましては、そういう方向で修正案を考えてまいりたい、かように考えております。
  169. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話ですがね、私、あなたのいまのお話のような、これの受けとめ方もあろうかと思うのだが、しかし、この条文の修正されたものと政府原案とを比較してみた場合に、むしろ自治大臣に対しての届け出という、そのことは、単に固定資産税の課税標準の額がその村における総額の三分の二をこえたものだけでなしにですよ、固定資産税全般にわたって百分の一・七をこえる場合には届け出をしなければならぬという、こういうかまえですね。三百五十条の、現行法は率と制限税率をきめておるだけで、今度新たに二項を起こしてこういうことをしたということは、市町村は、「百分の一・七をこえる税率当該年度分の固定資産税を課するときは、あらかじめ、文書で、その旨を自治大臣に届け出なければならない。」、こういう、これは全部にかかってしまう。ある特定なものというだけではなくて、全部に、原則としては届け出をしなければならない、こう読まざるを得ないと思うのです。ただし、た、だし書き以下は、こういう場合は要らぬぞと、しかし全部そのほかの、ただし書きにないところは、全部一・七以上の税率で固定資産税を課そうとする場合には自治大臣に届け出なければならぬと、こういうことにむしろ性格が変わって、ここに原案では、これこれというものだけを届け出ろといったものが、修正案では逆に一般的なものとしてこれを規定をして、こういうものは届けなくてもよろしいのだという立場を変えたことになってきていると思うのですが、そういう解釈を私この修正案からいたしますが、その点はどうですか、これは考え方として。
  170. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先生の御指摘のようなことも私はあると思います。原則は全部届け出るのだと、ただし、これこれは例外として届け出なくてもいいのだと、こういうふうにお読みになれば、確かに感じといたしましては、先生のおっしゃるようなことになると思います。ただ、実態的に判断をいたしますと、届け出なくてもいい場合が追加されたことになりますので、届け出る場合はそれだけ少なくなってきたということでございますから、いわば届け出に対する、何と申しますか、必要性をできるだけしぼろう、こういう骨子の修、正であるというふうに考えられております。
  171. 鈴木壽

    鈴木壽君 あのね、感じだけでなくてね、法律を読む場合のこれはやはり一つの何といいますか、変な理屈を言うようでございますけれども、立法の精神なり趣旨というものを、やはりちゃんとつかんでいなければならないと思うのですが、そういう立場に立ってこれを読んでみた場合は、実態はあなたが言うようになるかもしれぬけれども、法律の立て方としては、すべての固定資産税について制限税率を適用する場合には、それが一・七をこえる場合には届け出なければならないと、こういうことなのですから、いわゆる制限税率というものを認め、その範囲内においては市町村の、あるいはまあ県でもいいのですが、いずれ自治体の自主的な判断にまかせ、自主的な立場で決定をしようとする、そういうものが、今度は一・七以下ならいいけれども、それ以上は一応自治大臣に届け出なければならぬぞということになってきているんです、これは。これはそうでしょう。そこで私言いたいことは、あなた方にいま文句を言うんじゃありませんよ。こういう変な修正をしたことに対して私はいま言いたいのですが、あなた方に文句を言うんではないが、そうしか読めませんよ。そうしてこういう場合には届け出をしなくてもいいんだと、たくさん具体的なものをあげておくと、なるほど、結果としては届け出をするものが少なくなるかもしれません。しかし、それはただし書きでやることであって、原則としては百分の一・七をこえるものはみな届け出ろということで一本柱を立ててしまうのですね。私はこれは非常に大きな問題だと思うのですよね。まあしかし、それは修正案に対して私自分の気持ちを、考え方を言っておるんだから、あなた方をさっき言ったように、どうのこうのと言うんではないのですが、どうもこれはこういうふうに修正したために、自治大臣に届け出るとか、あるいは自治大臣の指示権というものがかなり緩和されたり、チェックする度合も弱くなるんだと、指示権なんかもクッションを置くからあまりやらなくてもいいんだということになるのですね、この修正ではむしろ。原案では、何度も申しますように、原案ではこういう場合には届け出ろと、特殊な事例を示して出すように、そして依然として第三項には指示権が働くということのそれは生かされておりますね。どうです、これであなた方、私がきのりから申し上げておるように、いまの税法でいう標準税率並びに制限税率の定め方、その運用のしかた、こういうことからいって、やはりそう言われてもやらなければいけないのだと、こういうふうに考えるのですか、どうですか、その点。
  172. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 何度も申し上げますように、私ども制限税率の制度のありますものを、全部こういう規定によって押えようというような考え方を持っておるわけでは毛頭ございません。きのうも申し上げましたように、一の納税義務者で三分の二以上も固定資産税を持っているような場合、きのう二、三の例を申し上げましたが、中には九七%近くも一つ納税義務者がその村の固定資産税を納めるという場合に、税率を定めます場合には、たとえ制限税率の範囲内であろうとも、できるだけ慎重な配慮の上にきめらるべきである、そういう配慮をしていただいてこそ、固定資産税の全体の運用も円滑にいくんではないかということで、かような規定を設けようとするものでございまして、一般的に制限税率を押えようと、あるいは市町村の税率のきめ方に関与しようというような趣旨ではございません。
  173. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ実は私この政府原案について基本的におかしなことをやるものだと思っておりますが、さらに今度の衆議院の修正というのは、もうもってのほかのことの修正をやってくれたと思うんですよ。ほんとうにたいへんなことだと思うんですよ。もし特殊の場合で、まあきのうもあなたがおあげになったような事例のところが幾つかある。只見町なり、あちこち二十何カ町村というお話でございましたが、そういうところで、いわばひどいといいますか、むちゃなことをやっているというところがかりにあるとしても、もしそれならば、その部面について何とかそうむちゃなことをやらないようなことをさせなきゃならぬというその気持ちはわかります、私。ですから、こういう二項、三項という新しいものをつけ加えてやりたいと、こういうことでしょうが、その気持ちはわかりますが、それが今度だんだんだんだん発展していって、とんでもないところまでなってしまうと、これはやっぱり私、いまの税法でいう、法律でいう標準税率や制限税率のいうそのたてまえ、そのものの根本に関係する問題になってきていると思うんですよね。少しオーバーでしょうか、私の言い方。  で、私はきのうから述べられておる、どうもこういうむちゃことをやるとかいうようなところに対してのやつは、もし何だったらこの制限税率そのものの面から、そのものの面から考えてやることが、税法としては、税法、あるいはまた自治に対する干渉とか不干渉とかいう、非常に問題があるんですが、そういう面から言えば、税法のほうでいまの制限税率の問題を何かの特例で措置ができるような規制をするなり、なんかということをやるべきじゃなかったかと、こう思うんですがね。もっと具体的に申しますと、二・一まではかけることができるんだぞと、ただし二項に、今度新しくできるという二項にあげられているような、こういう事態の場合には、これはあまりおもしろいことじゃないけれども、まあ特別にこういうようなことができるとかなんとかいう、そういう範囲でこういう問題を処理すべきじゃないだろうかと、そのほうが筋道だし、それからいまの、私何べんも言っておるように、これは地方自治そのものに対する大きな問題だと思いますから、そういうことに触れないで、そういうことに触れなくてもいいような是正のきせ方についての規定は、これは少し重いけれども、法律の場合でいえば考えざるを得ない場合が出てくると思います。いかがでしょう。これは次官ね、大臣いなくなっちゃったね、あとで来るでしょうが、これ、あれですよ。きのうから何べんも繰り返して申し上げておりますように、事は小さいようですよ。取り締まりゃいいんだとおっしゃるかもしれないけれども、今度こういうふうな修正されたようなことになってきますと、これは前後のつじつまが合わない。ほかのほうの税目のほうにおける制限税率の適用の問題なり、いろいろありますよ。これでは市町村は固定資産税の場合には百分の一・七をこえる場合は全部届け出ることが、これがもう原則としてうたわれてきてしまっている。ただし書きのところを幾ら広げたって、原則は原則として、この法文からすれば残ってきます。これね、それでは私はいけないと思うんですが、また修正されたものに対してどうのこうのという、何べんも言うように、というのは、あなた方はちょっと答えづらいと思いますが、たいへんな問題ですよ、これは。
  174. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 何度も申し上げて恐縮でございますが、私ども原案を考えましたときの考え方は、制限税率を全部制限するというような考え方ではもちろんございませんで、特殊の場合にのみ限定して問題を考えていったわけでございます。しかし、いま御指摘のございましたように、修正をいたしますと、何か一・七をこえる場合は、一般的に届け出をしなければならぬのだというふうに、こっちが原則になったような感じになるという御指摘でございますが、法文上はおっしゃるような点もあろうかと思います。しかし、衆議院におきます修正の趣旨は、できるだけ届け出を要する場合を限定をしようという御趣旨で、こういう修正をされたものでございます。法文の形式の問題はともかくといたしまして、御趣旨はやはり、できるだけ行政権の関与ということを避けていくという御趣旨だったと私どもは考えておりますので、運用にあたりましては、十分その点について配慮いたしてまいりたいと思っております。
  175. 鈴木壽

    鈴木壽君 政務次官、私聞いていることは、これは国会という最高機関の修正、決定ですから、答えづらいかもしれませんが、一体これでいいのですかね、これは、どうですか。
  176. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) この三百五十条の第一項第二項の改正につきましては、他院のことを申し上げては何ですが、衆議院のほうで非常に問題になりまして、いろいろ与野党間でも御意見がかわされたようでございます。おそらく、この問題だけで十数時間くらい費やしておるのではないかと思います。最終までいわゆる指示というような制度については、与野党非常に御反対が強うございました。どうしても指示ということはいかぬ、最後の段階では協議というようなことにしたらどうかというようなことも出ておったようでございますが、最終的にはこういう形で修正案をおまとめになった、こういうことに相なっておるわけでございまして、私どもといたしましては、この修正がございまする以上、また附帯決議もこれに関連してつけられております。政令についても衆議院地方行政委員会にこれは必ず出してくれというようなことも実は申されておるわけでございまして、そのようなことで、厳重にそういう点を限定しよう、こういうことでございます。  問題は、先生指摘のこういう際のいわゆる届け出並びにこれに対する指示がいいか悪いかという問題につきましては、やはり最後まである程度意見が分かれておったところでございます。私どもといたしましては、昨日も申し上げましたように、指示をするのが能ではございません。なるべく指示がないようにするということが、法律をほんとうに生かしていくゆえんだと思います。実情はなかなか、もとありましたのをやめた結果、いろいろなものがございましたので、どうしても法律上うたっていただきたい、こういう意味で指示という原案を出したわけでございます。この指示をするという点においては修正案でも実は変わっておらない、こういうことでございます。したがいまして、これは昨日も行政機構のお話もございましたが、たいへんデリケートなところもございます。私どもはこれの運用をひとつ十分配慮をしてやらしていただきたい。衆議院のほうでも附帯決議にも、干渉にわたるようなことをしてはいかぬ、こういうことでございます。その点は十二分にひとつ気をつけてやらしていただきたい、かように思っておる次第でございます。
  177. 鈴木壽

    鈴木壽君 修正を受けた立場ですから、さっきも私冒頭申し上げたように、なかなか答えづらい問題、はっきりしたことを、思うことも言えないだろうと思うんですよ、国会でやられましたから。ですから、お話聞いていても、どうも少し歯切れがよくございませんけれども、こういうふうな修正ができますと、いまの超過課税が許されておる、そして制限税率を設けているということは、これは全部実質的にくずれてしまう——全部ということじゃないが、くずれてしまう、大きなところが。制限税率、固定資産税で言えば百分の二・一まではいいと、こういうんです。その中で、何べんも言うように、市町村の自主的な判断でやれるんです。今度、固定資産税に関しては一・七をこえた場合には自治大臣に届け出をしなけりゃならぬ、ただし、こうこうこういうものは届け出なくてもよろしゅうございますといって、たくさん政令やなにかでこういうものはこういうものはと、こう書くでしょう。しかし、実際には届け出がなくても済むようになるかもしれません。けれども、繰り返して申し上げますように、法のたてまえはそうじゃない。とすれば、制限税率の問題、これはいまの運用というようなものを、これはここでその一角をくずすことになるんですから、これは制限税率の問題としてまた別に考えなきゃならぬということになると思うんです。と思いますが、その点いかがでございましょう。
  178. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 制限税率全体の問題として考えなけりゃならぬではないかというお尋ねでございますが、先ほど先生から住民税の制限税率の問題についても御指摘がございました。私どもも、将来のあり方として、標準税率と制限税率との幅を本来どれだけが適当であるかという問題、この点についてもなお検討を続けていかなけりゃならぬというふうに考えております。
  179. 鈴木壽

    鈴木壽君 固定資産税の制限税率のいわゆる最高限度というものを、百分の二・一をそのままにしておいてこんなことをするのは変なかっこうだ、繰り返し申し上げたとおりでありますから。と同時に、いまの局長お話のように、住民税所得割りに対する標準税率並びに制限税率、これも実は検討をしなきゃならぬと思うんです。これはちょっと問題がそれから離れる話になりますけれども。というのは、あの一・五割増しの制限税率をきめる際に私も指摘したことなんですが、多くはないかと言ったら、制限税率はほかの固定資産税等においても一・五倍にやられているから、そういうものと並べる必要もあるしというようなことでお話があった。ところが、よく考えてみると、固定資産税における制限税率の一・五倍ということと、住民税における段階別の税率に対する一・五倍というのは、これは違ってくるんですね、非常に。もとが動かない固定資産税の場合に、一・四に対する五割増とし、住民税の場合の一番所得の低い段階のあの十五万円以下の場合には二%、それをこしたものは三%、四十万円以上のものは五%と、こういうふうにいきますわね。その時点時点で一・五倍になるんですからね。一番初めの二%でいつも一・五倍ならいいけれども、五%、六%になっても一・五倍のそれをやられると、実態は一・五倍じゃなくて、もっともっと倍率の大きいものになって税率がかぶさってくるというわけですよ、その部分については。あの段階ごとの、あの段階についてはいまのやり方はそうですよ。三%のところにも一・五倍の率で、だから四・五%にしてかけているんですよ。五%のところにも一・五倍にして七・五%でかけているんですよ。だからその段階のところに対しては、初めに考えた、どれも一・五倍でいいんじゃないかといった——二%ならいいんですけれども、そうでないところでもやっているから、何といいますか、重みというもの、単に一・五倍だということで、ほかのものと一緒になるということを考えてないということなん、だ、私の言うのは。そういうこともあるので、ひとつこれはほかのほうへ話が飛んでいってしまいましたけれども、この問題をきっかけに、やはり私は制限税率というものを、あるいはその運用というものをもう一度やっぱりこれは考え直してもらわなきゃいけないことになると思いますから。いまもお話のように、あなた方も検討すると、こうおっしゃいますから、ぜひひとつ検討して、私は必ずしも制限税率を下げろという意味で言ってるんじゃないですよ。制限税率というものを設ける意義としてですよ、そのしかたなり、その運用なりということからしますと、この法の三百五十条というものは非常に大きな問題をはらんでおるということを指摘しておきたいと思うのです。時間がありませんから、その問題でこの点は終わりにしておきます。  次に、自動車取得税についてお尋ねをしたいのですが、その前に資料として、第五次の道路整備計画において、一体一般道路なり、その他いろいろ道路の種類はあるにしても、地方の負担がどうなっているのかということをほしいと思いまして言ったけれども、どうもそういうふうな的確な資料がまだできておらないようでありまして、したがって、道路整備計画の全体計画についての一年度はどうする、二年度はどうするというような話ができないのは残念ですが、しかし、四十二年度はこの新しい道路整備計画の初年度として発足してもう終わるところですね。国の予算措置等においては、計画の面ではあるいは数字はきちっとまとまったものとしてはないかもしれませんけれども、実施の面で、もうすでに計画に沿った施策を四十二年度はやっているわけです。四十三年度でも予算措置においては一応できているわけですね、国の関係を中心としながらも。そこでお聞きしたいのですが、四十二年度段階と四十三年度の時点で、地方で負担をしなきゃならぬ仕事というのは、いただいたこのものにありますが、これはこのとおりと見てよろしゅうございますか、ひとつ、念を押しておきます。
  180. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) これはこの注にも書いてございますように、財政計画上の数値によって作成をしたものでございます。一応今日の段階ではこのとおりであるというふうに認めております。
  181. 鈴木壽

    鈴木壽君 こういう地方負担の状況からいって、特に市町村で道路に充てる財源がない、こういうことで自動車税の創設に踏み切った、こういうふうに思うんですが、それはそのとおりでございますか。
  182. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 四十二年度と四十三年度比較してみますと、四十三年度は国のほうは公共事業につきまして、ある程度抑制措置を講じておりますので、四十三年度分としてはあまり大きな伸びを示しておりませんけれども、道路整備五カ年計画全体といたしましては、四兆一千億円が六兆六千億円に拡大されるわけでございますので、それに伴いまして地方負担の増加も相当額にのぼるというようなことから、この道路財源をまかなっていきますために、市町村に自動車取得税を与えるという形で創設されたものでございます。
  183. 鈴木壽

    鈴木壽君 市町村の場合、いわゆる道路目的財源、特定財源がないということは、これははっきりしていますね。しかし、どのくらいそれでは足りないのか。あるいはことばをかえて言うと、自動車取得税の創設によって初年度約四百億円近くの見込み、平年度で五百五十億円ぐらいの収入の見込みを立てておるようでありますが、まあこれから若干伸びていくとか何とかいうこともあるとしましても、まあともかくそういうことで、自動車取得税によって単に特定財源ができたということだけでなしに、市町村のいわゆる道路整備に必要な費用が一応まかなえると、こういう考え方に立っておるんですか。それとも、いや足りないんだけれどもまあまあと、こういうのですか、そこら辺どうです。
  184. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この道路整備五カ年計画で私どもが過去の実績等から推計をいたしました市町村分の負担は、第五次計画では六千八百億円程度になるものと見込んでおります。それに対しまして、第四次五カ年計画では四千八百億円程度でございますので、二千億円程度、市町村負担が新しい五カ年計画でふえるという見込みでございます。それに対しまして、今回新設を予定しております自動車取得税は、今後の伸びを見込みまして、昭和四十六年までに二千五百億円程度になるものというふうに見込んでおりますが、このうち三割は府県分として交付をいたしますので、それらを控除いたしまして考えますと、指定市を除きました市町村分といたしましては、千六百億円程度の額になるというふうに見込んでおります。したがいまして、指定市を除きました市町村分として、事業費負担では二千億円ふえ、特定財源として千六百億円程度ふえる。差し引き四百億円程度はなお市町村の一般財源を、この道路整備五カ年計画を実施していくためには、いままでよりもふやしていかねばならない、こういうことになろうかと考えております。
  185. 鈴木壽

    鈴木壽君 その自動車取得税によってふえる額——まあふえるというか、今度入ってくる額が五年間で大体二千五百億円と、こういうお話でございましたね。そうですが。もう一度。
  186. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 四十三年度を含めまして、昭和四十二年度はすでにもう過ぎておりますので、したがって、道路整備五カ年計画は、四十三年度からの分に対応する財源になりますので、四年分ということでございます。
  187. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、四年分ですから二千五百億円入ってくるということですか。
  188. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) そうです。
  189. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十三年度でまず四百億と見ましょうか。その次はどのくらい見ますか。
  190. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 昭和四十三年度分といたしましては三百九十五億円と見込んでおりますけれども、これは七月から実施を予定いたしております。
  191. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうことはわかりましたから、五年、六年、どのくらいに伸びていくか。
  192. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 毎年度でございますか。——一五%の伸びを毎年度見ております。
  193. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十二年度までは新しくいま目的財源としてはなくても、こういうものがなくても何とかやっていけると、こういうことで、財政計画なんかでもそういうふうなことがされていますね。そうすると第五次の道路整備計画は、四十三年度から実質的には発足するのだといって、その四年間——四十三、四十四、四十五、四十六、四年間、およそ二千五百億円程度収入を見て、これがあれば何とか——今度いままでの計画より多く負担しなければいけなかった、それが何とか穴が埋められる、ただし、四百億くらい足りないといったような、こういうこと、まあプラス四百億で何とかやっていける、こういうことなんですか。もう一度その点確かめておきます。
  194. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほど申し上げましたように、第四次計画と第五次計画との間で、市町村分の負担としてふえます額が一応二千億円程度見込んでおります。それに対しまして、自動車取得税が今後二千五百億円程度入ると見込んでおりますが、それは府県分と市町村分と分けて考えなければなりませんので、市町村分としては、指定市を除きまして千六百億円程度見込まれますので、差し引き四百億円程度はやはり一般財源を増加していかなければならないというふうに見込んでおります。
  195. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで関連してひとつお聞きしたいのですが、四十二年度地方財政計画の中に、道路関係の整備費の地方負担と、その基準財政需要額との比較という表がありますが、これを見ますと、これは財政局長さんのほうにお聞きしたいのですが、これでは地方負担の額が府県、市町村合わせて三千三百十三億円、そこで財源内訳として軽油引取税とか、都市計画税等を入れて、あるいは起債を入れたりして、さらに交付税における基準財政需要額も入れて、財源内訳としての合計が三千三百十三億円ということで、これでやっていくのだ、こういう計画を立てておるのですがね。こういう計画を立てていった場合に、四十三年度の場合ですね、何かこういうような計画ございませんか。地方財政計画、一応できておりますが、こういう道路整備事業費の関係では立てたのがございませんか。
  196. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十三年度につきましては三千八百十六億の地方負担になります、差し上げました表にありますように、このうち交付税措置の対象となるもの三千七百十二億、その内訳としましては交付税需要で三千三百二十一億……。
  197. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと待ってくださいよ。——はい。
  198. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 交付税需要で三千三百二十一億、地方債で五十億、こういうことでございます。ただ、交付税需要におきましては、そのほかに事業費補正分で八十二億を上積みをいたします。また税では交付税計算に入らない二割ないし二割五分がございますので、それが三百五十五億ございます。全体としてはほぼその額を財源措置していくと、こういうことでございます。
  199. 鈴木壽

    鈴木壽君 いただいたこの特定財源の欄、こういうもののほかにいわゆる交付税としての額が三千三百二十一億ですか、こういうことでしょうかね。一般財源の中にそれが入ってくるんですか、どうなんです。
  200. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 交付税の需要として見込みますものが三千三百二十一億でございます。それから起債として五十億見込んでおります。そのほか交付税では、これは実際に事業費の配分をしてみませんとわかりませんが、事業費補正という方式をとっておりますから、それが見込みとして八十二億ございます。それからさらに軽油引取税等におきまして、交付税計算に入れておりません二割あるいは二割五分という外の計算のものがございますから、それが三百五十五億ございます。
  201. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと私わからない、ほんとうにわからないんでお聞きするんだが、四十二年度のいまこうやって、まだ示しもしませんが、見ておりますその計画で、財源内訳の中に軽油引取税、都市計画税、こうあるんで、その中に軽油引取税二%とあるんですが、これはどういうことなのか、ちょっと。
  202. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おそらく二〇%の間違いだと思いますが。と申しますことは、基準財政収入額に見込みます部分が八割、その外の分が二割、市町村分についてはそれが二五%と、こういうことでございます。
  203. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、いまひとつお聞きしたいのは、こういう表の場合ですね、きょういただいた「昭和四十二年度及び昭和四十三年度における道路事業費及びその特定財源」という、その特定財源の並べ方で、建設省のほうの道路費用に関する調べを見ますと、自動車税、それから市町村の関係の軽自動車のああいうものも道路財源に使えるし、使ったと、こういうふうに出ておりますが、そこら辺あれですか、私どもいわゆる道路財源とか何とかと、こういう場合に、自治省ではこういうものは道路財源だと見るし、建設省のほうでは道路費用を見ていく場合に別のものと見ていくんだと、こういうことではちょっとわからないところが出てくるんで、そこら辺何かあれですか、まあそれぞれの考え方もあってやっていると思いますが、どういうことになっていますか。
  204. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 建設省のそれ、あるいは公式な資料ではないんだろうと思うのですが、建設省は自動車税も道路の財源だと入れるのがお好きなんです。それで前々から、そういう計算をして地方には財源があるじゃないかと、こういう考え方をよく非公式にわれわれに示すことがございます。しかし、私のほうは少なくとも、自動車税は税法上もその目的を、使途を明らかにしておりませんで、税法上目的を明らかにしております税目についてだけ特定財源と、こういうことで私どもは考えております。
  205. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省の「道路統計年報」というのがありますね。あれはまあ公約的なものだと思うんですが、公的ということばはどうか、外部に出しやっているんですが、単に計画の面でなしに道路費のいろいろな決算の集計の中にやはり財源としてはっきり使っているんだ、目的税では譲与税と軽油引取税と都市計画税、それから車税といいますか、自動車税、軽自動車税、それぞれ地方団体で入ってくる金そのままをこの中にぶち込んで、道路費にぶち込んで仕事をしたような形で決算が出てきていますわね。そこら辺。
  206. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっとその決算なるものを拝見しておりませんが、決算の歳出で出てきます道路費、これはその範囲についてさえ一致すれば数字は合うべきものと思います。よく建設省が出しております数字は、たとえば純粋な事業費分だけをやっておって、維持補修費が入っていなかったり災害復旧費が入っていなかったり、道路の関係の人件費等が入っていなかったりいたしておりますが、その範囲さえ合えばその数字は一致すべきものだと思います。財源といたしましてはどの財源を充てるかということになりますれば、先ほど申し上げましたように、法律上道路に関する費用に充てるべきものと定められておる財源のみを特定財源として掲記すべきものでございまして、もしそれに自動車税や軽自動車税が入っておりましたら、私もさっそくその資料を見て建設省に申し入れをしたいと思います。
  207. 鈴木壽

    鈴木壽君 事業の量といいますか、あるいは種類といいますか、災害関係仕事とか、失対事業に伴う道路、みんな入っている決算をしています。それから今度それの財源、道路財源の状況として四十年度決算には、私がいま言ったようなことで、それぞれ額がちゃんとのぼって、そのほかに占用料等、起債も含めていますが、道路の占用料とか、いろんなことをやって、三つの大きな項目に分けてこれだけ使っているのだというやつが載って、四十一年度予算ではこうだと、これは六七年の年報ですが。したがって、四十一年度予算のところまでしか出ておりませんけれども、こういうふうなことをやっておる。そうしますと、確かにあなたのおっしゃるように、自動車税や軽自動車税はいわゆる目的財源として、特定財源としてはっきりうたわれているのでなくて、一般財源の中に当然入っていくやつですから、しかし、一方、建設省の決算にあらわれてくるのを見ると、都道府県なり市町村においては、仕事をする場合に、こういう金をはっきり道路財源としてそのまま別に使っているような感じも受けるわけですね。
  208. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 府県や市町村の財政当局者は、そういう意図は全然持っていないと思います。自動車税の収入がこれだけあるから、それを道路費に回さなければいけない、そういうような考えは全然持っていないと思います。したがって、それは集計上の一つの資料にすぎないのだろうと私は思います。もし、それを特定財源に計算をするとすれば、法律的には誤りであろうと思います。さっそく建設省にもよく話をしてみたいと思います。
  209. 原田立

    原田立君 時間もあまりないようですから、ごく簡単にお聞きをしたいと思います。国民健康保険税については、同じ所得の者でも市町村によって負担額に不均衡があるのは、すでにはっきりしていることでありますが、従来から負担が重いということでいろいろ言われてきておるのですが、標準課税方式を採用してはどうかと、こういうふうな意見もあるわけですが、現在こういう点についてどのような検討を加えられているか、その点をお伺いしたい。
  210. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のように、国民健康保険税は市町村ごとに、同じような所得の方につきましても負担は必ずしも同じでないというような点から、標準保険料方式をとるということについて検討がなされているのでございます。先般発表されました厚生省の保険制度に関します改革案の基本的な考え方の方の中には、そういった考えが示されております。まだその内容が具体的に煮詰まる段階にきておりませんけれども、御指摘のように、同じ所得の人はどこの市町村にありましても同じような負担であるというのが望ましいわけでございますので、そういったような観点から私どもも検討してまいりたいと考えております。
  211. 原田立

    原田立君 ひとつ前向きの形で何らか成案が出るようにしていただきたいと思うのです。  標準課税総額を今回百分の七十五から六十五に相当する額に改めているのですが、国庫の七割給付がすでに行なわれ、国庫補助金の増額になっているわけです。従来の百分の七十五を引き下げるべきであったのではなかろうかと、こう思うのですけれども、実際の課税の実情を見ても、百分の七十五でやっておるのは、私の調べたところによると全体の約一四%くらいである。五〇%未満が全体の約六割、それから六〇%から六五%台が約三二%である、こういうようなことなんですが、これは五〇%くらいにすべきではなかったのかと思うのですが、どうですか。
  212. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 標準課税総額の定め方は、どこまでも一つの標準を示したものでございまして、必ずこれによらなければならないというわけのものでもございません。従来も百分の七十五に定められてございましたが、先生が御指摘になりましたように、多くの市町村が五〇%以下で課税をしているというような状況でもございます。今回は単純にこの一部負担金の割合が変わりましたことをそのまま法律的に計算し直して改正案を考えておるわけでございまして、このことと税を軽くするか重くするかということは、その市町村の国民健康保険に要します経費の額によってきまってくる問題でございまして、必ずしも関係をしない問題でございます。
  213. 原田立

    原田立君 どうも納得のいかない点なんですが、それはまあさておいて、次に固定資産税についてでありますけれども、いま鈴木委員からもいろいろと御質問がありましたが、今回の三百五十条の改正の内容に関し、三分の二以上に該当するものとありますけれども、それは一体どのくらいあるんですか。
  214. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 三分の二以上に該当します市町村は九十五市町村ございますが、そのうちで、昭和四十二年度で一・七以上の税率課税しております市町村は二十三でございます。
  215. 原田立

    原田立君 そうすると、二十三町村ということですが、その場合の特定の納税義務者、まあ主として電力会社じゃないかと思うのですが、内容わかりますか。
  216. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 二十三の市町村を申し上げますと、福島県で二町村ございます。新潟県で二つ、石川県で三、長野県で四町村、岐阜県で五町村、愛知県、和歌山県、島根県で各一町村、宮崎県で四町村という分布になっております。
  217. 原田立

    原田立君 主として、電力会社だろうと、こう思うのですが、その点はどうですか。
  218. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) いずれも電力会社でございます。
  219. 原田立

    原田立君 その対象となる資産の内容は、発電施設、変電所の施設のほか、どんなものがおもなものになっていますか。
  220. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 大体、発電施設にかかります償却資産等でございます。貯水池、機械装置、水路等でございます。
  221. 原田立

    原田立君 一の納税義勝者でなく、数社の固定資産の評価額がその町村の固定資産の大部分を占める場合もあると思うのです。それについてはどういうふうになさるのですか。
  222. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) たくさんの納税義務者の所有しますものが相当額に達しましても、市町村が税率を上げましても、ある特定の人にだけ負担が集中するというような問題は考えられませんので、そういう場合につきましては、特段の措置を講じないことといたしておるものでございます。
  223. 原田立

    原田立君 もともと固定資産の制限税率が高いのじゃないかという、そういう意見が非常に多いのですが、他の地方税についても五割増しが超過課税の限度となっておるのですが、三割か二割ぐらいに引き上げるべきではないか、こういう点どうですか。
  224. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほど来、鈴木先生からも御指摘がございましたが、標準税率と制限税率関係を五割が適当であるかどうかということにつきましては、いろいろ考えなければならぬ問題点もあろうかと思います。私どもも今後引き続き検討をいたしたいと考えております。
  225. 原田立

    原田立君 自治大臣に届け出なかったり、あるいはまた届けても、自治大臣の指示に従わず、一・七倍をこえる税率を条例で定め課税したような場合、その条例は有効であって、したがって、その固定資産税の賦課行為も有効である、こういうふうな考えがあるわけですけれども、その点、自治当局としてどういうふうにお考えですか。
  226. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 指示ということに法的拘束力があるかどうかという点については争いもあるところでございますが、私どもは市町村との関係の問題でございますので、何度も申し上げまするように、本来、指示などというようなことがなくて済むことを強く期待をいたしておりますし、また、そういうふうに市町村に御協力をいただいてまいりたいと考えておりますので、この指示に従わないとか従うというようなことは考えずに、そういうことのないことを強く期待をいたしておるものでございます。
  227. 原田立

    原田立君 自治大臣が指示するなどということは、先ほどから話がありましたように、自治の本旨にもとるものであって望ましいことでありません。制限税率の二・一倍をこそ引き下げるべきものと、こう思うのですが、その点はどうですか。
  228. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほども申し上げましたように、制限税率の二・一が標準税率との関係で、現段階においても適切であるかどうか、そういう問題については、御指摘のように、いろいろ問題のあるところでもございますので、今後引き続き検討をいたしてまいりたいと思います。
  229. 原田立

    原田立君 今後引き続き検討ということですが、午前中にもいろいろ質問した中で、その答えの中に、今後前向きの形で検討していきたいという答えが大部分でありますけれども、その点実際にちゃんと成果があがるようなことをぜひとも期待したいと思います。  それから午前中の質問の中で、住民税の、あれは最低限度額のところでしたか、標準税率から上げ幅三割、下げ幅二割程度のところでやったらいいのじゃないかという意見を申し上げましたらば、下げることについては何ら法的に規制はない、こういうお話だったですが、その中の答えの中に、起債等も制限もあるのだというようなことでありましたが、そこで実際問題、起債で制限される、交付税でワクをはめられるとなると、実際問題、標準課税額から下回ってやるということが、局長は下げてもかまわないのだと言うけれども、実際にはできないような仕組みになっておる。ここのところは改正する必要があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  230. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 起債は、団体財政の健全化の見地からいたしますと、なるべく少ないほうが望ましいわけでございまして、しかしながら、大きな仕事をいたしますような場合に、一ぺんにそれだけのものを住民負担に求めるということは適当でございませんので、やはり長年にわたって住民負担を均衡化していく、こういう見地から、一応借金をして仕事をして、その元利償還を毎年度の税収入の中から返していく、こういう形で運用されているわけでございます。そういう観点からいたしますと、一応の標準的な税率まで税をとっていない場合に、なお起債をするということは、起債のあり方として適当でないのではないかということでございまして、これは起債をたてにして標準税率制度を強制するというような性質のものではございません。
  231. 原田立

    原田立君 先ほどの下げることですね、標準税率より若干下げることについては法的には規制はないけれども、起債なんかについて実際にはワクがはめられているわけです。起債を認めないとか、交付税を減らすぞとかいうようなことが出てくるわけだけれども、そういうことが、そこまで制限するというのはおかしいじゃないですか。
  232. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 起債の問題につきましては、何度も申し上げますように、一応起債と申しましても、結局はその借金を返す財源は、長年にわたっての住民の負担に帰属していくわけでございますから、その負担を、起債がなければ、一ぺんに増税しなければやれないというようなことを緩和いたしますために起債有していくというのが本来の起債の運用のしかたであると思います。そういうことから言えば、やはり標準なみの税を徴収していても、なお何か仕事をやるために金が足りない。そこで一ぺんに住民に負担を求めるということは適当でないから、起債でもってその負担をならしていく、こういう考え方でございますので、標準税率制度と起債との結びつきが何か強制にわたっているという性質のものでは私は決してないと思います。それからまた、交付税を押えるというお話でございますけれども、交付税の計算は、一応、標準税率を前提とした基準財政収入額をあるものとして計算いたしますけれども、しかし、それは交付税の計算上の問題でございまして、標準税率までとってないから特に交付税を減らすというような考え方は全然ありません。
  233. 原田立

    原田立君 これでおしまいにしたいと思うのですが、いまも申し上げたように、これからの問題、あるいは別な意見等を申し上げると、研究する、考慮するということだけで全部とまっているわけなんですが、大臣、地方住民のためにも、あるいは地方財政を充実化するためにおいても、ただいわゆる精神的な言明だけではなしに、もっと具体的にプランが、青写真がはっきり出てこなければ、これは私、健全な地方財政のあり方ではないと思うのです。そういうことで、もっとプランが立てられるように強力にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  234. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) むずかしいことではございますが、十分検討いたします。
  235. 津島文治

    委員長津島文治君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  236. 原田立

    原田立君 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表するものであります。  まず、四十三年度の税制改正について、税制調査会で基本的方向として考えられたことは、第一に財政硬直化傾向、きびしい経済情勢との関連においての減税規模、第二は所得水準の上昇に即応した税制をどのように確立するか、また、一部の間接諸税について物価水準の変動に応じた調整を加えることの可否などの点でありました。したがって、地方税制改正を論議する際も、こうした基本的方向に沿い、国税との関連性において論議されたことはいうまでもありません。  四十三年度地方改正については、すでに住民税をどう取り扱うか、市町村の道路財源をどうするか、この二つが焦点となっております。結果は、四十三年度住民税減収額は、各種控除の引き上げ給与所得控除等、合計七百億円余の旦別減税となり、税収の順調な伸びがあるとはいいながら、地方財政にとってはその分だけ穴があく結果となったのであります。財政硬直化と緊縮抑制を強調する大蔵省は、地方財政好転を理由にこの減収額補てんを全く行なわなかったが、この七百億円余の補てんが行なわれれば、所得税比較して過重といわれる住民税のさらに大幅な減税ができたはずであります。したがって、今回、課税最低限度額を前年度より十万円引き上げたといえども生活保護世帯五人家族の保護基準とはわずかの差であります。しかも、住民税所得税との性格の相違とはいえ、その課税最低限との格差はあまりにも大きく、かつ所得税はゼロでも住民税を納税しなければならぬ人口は五百四十万人以上もあるといわれております。この現状は納得しがたいところであります。  また、悪税といわれる電気ガス税も、わずかにガスの部分が百円の免税点引き上げでお茶を濁し、逆に、基幹産業、大企業には年々非課税品目を増し、あるいは非課税期限を延長しているというのは、大企業優先ということであり、住民に冷たい処置であり、納得しがたい点であります。  さらに、地方道路整備目的財源として、新たに自動車取得税を創設しましたが、この財源で国の第五次道路整備五カ年計画に協調していけないことははっきりしております。使用頻度は増大の一途をたどり、損傷の著しい市町村道の整備についてはその財源が不十分であります。この財源はむしろ国税を大幅に移譲すべきであると考えるのであります。  最後に、租税特別措置による地方税へのはね返り減収額は八百三十九億円といわれておりますが、これらは国自体の政策減税による地方税の減収であって、当然遮断を考慮すべきであります。  以上、諸点をあげましたが、私は、以上の理由から、今回の地方税法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
  237. 津島文治

    委員長津島文治君) ほかに御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  238. 津島文治

    委員長津島文治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、船田譲君から各派共同提出による附帯決議案が提出されました。  船田君の御説明を願います。
  239. 船田譲

    ○船田譲君 私は、ただいま可決すべきものと決定されました地方税法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  趣旨説明を省略し、案文を朗読いたします。    地方税法の一部を改正する法律案に対する    附帯決議案   政府は、地方税制について、左の措置を講ず  べきである。  一、低所得者に対する住民税負担の軽減を図る   ため、引続き課税最低限度額の引上げに努め   るとともに、市町村民税における課税所得の   段階区分の改善、標準税率超過課税の合理化   等についても適切な措置を講ずること。    なお、事業専従者控除については、所得税   におけるいわゆる完全給与制の実施等をも考   慮して合理化を図ること。  一、自動甲取得税の免税点については、明年度   においてその引上げを図ると共に、特殊用途   車等の課税についてもその社会的意義を考慮   して慎重を期すること。    なお、下肢又は体幹が不自由であるため、   身体障害者手帳又は戦傷病者手帳の交付を受   けているものが自ら運転するために取得する   自動車に係る自動車取得税については、都道   府県において減免措置を講ずるよう適切な配   慮をすること。    また、自動車取得税の市町村への交付にあ   たっては、交通量の実態等を考慮して配分す   ること。  一、大都市については、その財政の実態に鑑   み、税源の充実を検討して明年度において具   体化に努めること。  一、市町村の固定資産税の税率に関する自治大   臣の指示については、その運用にあたって地   方自治の干渉とならないよう慎重を期するこ   と。  一、国の租税特別措置による影響が自動的に地   方税に及ぶことのないように配慮するととも   に、上電気ガス税における非課税品目の整理を   図るよう努めること。   右決議する。  以上であります。何とぞ御賛同を願います。
  240. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまの船田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  241. 津島文治

    委員長津島文治君) 全会一致であります。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、赤澤自治大臣より発言を求められております。これを許します。赤澤自治大臣
  242. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) ただいま御決議になりました事項は、いずれも重要な問題でございますので、御趣旨を尊重いたしまして、引き続き検討を加え、善処をいたしたいと存じます。
  243. 津島文治

    委員長津島文治君) 審査報告書の作成につきましては、前例によりまして、委員長に御一任を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会      —————・—————