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1968-05-07 第58回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月七日(火曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員異動  五月六日     辞任         補欠選任      宮崎 正雄君     林屋亀次郎君      八田 一朗君     徳永 正利君      船田  譲君     大竹平八郎君      岡本  悟君     竹中 恒夫君      菅野 儀作君     田中 茂穂君      佐藤  隆君     塩見 俊二君      森中 守義君     野上  元君      大橋 和孝君     野溝  勝君      小平 芳平君     二宮 文造君  五月七日     辞任         補欠選任      大竹平八郎君     田村 賢作君      塩見 俊二君     高橋文五郎君      竹中 恒夫君     山本 利壽君      林屋亀次郎君     横山 フク君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 北畠 教真君                 小林  章君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 大谷 贇雄君                 西郷吉之助君                 田村 賢作君                 高橋文五郎君                 徳永 正利君                 山本 利壽君                 横山 フク君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野上  元君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        自 治 大 臣  赤澤 正道君    政府委員        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        相澤 英之君        自治省税務局長  松島 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂上長太郎君    説明員        自治大臣官房参        事官       皆川 迪夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業金融制度整備改善のための相互銀行  法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○金融機関合併及び転換に関する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。昨日、宮崎正雄君、岡本悟君、八田一朗君、船田譲君、佐藤隆君、菅野儀作君、森中守義君、大橋和孝君、小平芳平君が委員辞任され、その補欠として林屋亀次郎君、竹中恒夫君、徳永正利君、大竹平八郎君、塩見俊二君、田中茂穂君、野上元君、野溝勝君、二宮文造君がそれぞれ選任されました。また、本日、大竹平八郎君が委員辞任され、その補欠として田村賢作君が選任されました。     —————————————
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案金融機関合併及び転換に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいま議題になりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について質問いたしたいと思います。  この改正案は、御承知のように、国の財政硬直化打開策一環として非常に重要な内容を持っていると思うのです。特にこのうち、この改正案内容は三つから成っておりますけれども、特に最初の四百五十億を三カ年間国に貸し上げるという、そういう内容のものが、特に財政硬直化対策として重要な関係があると思うのです。これは国と地方財政との関連についての非常に重要な意味を持っているわけなんです。この基本的な問題点につきましては、これはもう大蔵大臣自治大臣との間に非常な基本的な意見の対立があると思いますし、また、大蔵省地方制度調査会意見とも非常に違いがあるわけです。一体、地方交付税というものの性格をどういうふうに見るかという基本的な問題がこれに含まれているわけですが、これについては、あと大臣が参りましてから質問をいたしたいと思います。  で、国の財政硬直化打開一環としての交付税法改正関連しまして、四十三年度予算編成にあたって、国は、財政硬直化打開のために、交付税法改正ばかりでなく、いろいろな面において地方財政にしわ寄せするためのいろいろとあの手この手を打ち出したわけですが、その中で実現したものもありますし、実現しなかったものもあり、今後に残されたものもあるわけです。そういう点と関連して、かなり事務的なことになるのですが、伺っておきたいのは超過負担解消計画なんであります。自治省は、四十三年度予算で、地方団体超過負担額三百二十億二千三百万円を解消する計画内容を取りまとめたといわれているのですが、この点については前から大蔵省自治省共同調査をしておったわけですけれども、それに基づいて解消計画を立てたと思うのです。この解消計画を少し具体的にその内容を伺いたい。どうも発表されたところを見ましてわれわれ合点のいかない点が相当あるものですから、ひとつ具体的に説明していただいて、その上で、細かい数字になりますから、あとでまた資料等にしてもいただきたいと思うのですが、一応まず超過負担解消計画内容について、なるべく具体的にひとつ説明していただきたい。
  5. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 四十三年度予算において超過負担解消を実現いたしますために、四十二年度において、大蔵自治及び関係各省共同実態調査を行なったわけでございます。これは農業改良普及事業費補助金、それから、保健所運営費補助金国民健康保険事務費補助金国民年金市町村事務取り扱い交付金公立小中学校施設整備費補助金公営住宅建設費補助金の六種でございまして、この六種の補助金を選択いたしましたのは、特にこれらの補助金につきまして超過負担が多いというふうに従来いわれておったからでございます。で、これらの補助金等につきまして、地方団体支出実績、それから、超過負担がありとせば、その額、その原因というようなものにつきまして、参考的ではございますけれども、全国的な調査を実施したわけでございます。それに基づきまして、自治関係各省と協議いたしまして、単価改定等で手当てをいたしましたもの及びこれらの六種の補助金以外に超過負担解消のために措置いたしましたものを含めまして、先ほどお話のございました三百二十億二千三百万円という超過負担解消を四十三年度予算におきまして実施しているわけでございます。三百二十億二千三百万円というのは事業費ベースでございますので、これを国費ベースに直しますと百五十三億八千六百万円ということになっております。で、この解消のための措置の具体的な内容について申し上げますと、まず、一つは、補助職員給与単価是正でございます。保健所につきましては平均一四%の引き上げ、それから、農業改良普及員生活改良普及員につきましては平均二一%の引き上げを実施しております。なお、調査を実施いたしませんでしたが、農業改良普及員等とのバランスからいたしまして、林業改良普及員につきましても平均二一・一%の引き上げを実施しております。それから、一般行政経費単価是正といたしまして、これは調査いたしました国保の事務費につきましては、一人三百円を三百四十円ということで二二・三%の引き上げ、それから、国民年金事務費につきましても、一人二百四十円を二百七十四円ということで一四・二%の引き上げをやっております。なお、調査対象外でございましたが、警察行政費のうち、自動車維持費につきまして、これを六%引き上げております。  それから、もう一つ施設費等単価基準改正でございます。これは調査いたしました公立文教施設整備費につきましては、鉄筋で一〇%、鉄骨で一一・三%、木造で九・六%の引き上げを実施いたしますほか、さらに構造比率につきまして、鉄筋の六五%というのを七五に引き上げております。それから、公営住宅建築費につきましては、これも調査いたしましたが、鉄筋につきまして一二・四%の引き上げを行ないましたが、さらに土地代につきましても、これは一〇%の引き上げを実施しております。さらに、調査をいたしませんでしたが、警察施設費、それから、産業教育施設費学校給食施設費一般職業訓練所施設費につきましても、それぞれ単価引き上げを実施いたしておりますが、それらを含めまして、総額で三百二十億二千三百万円という事業費改定となっているわけでございます。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど最初説明された六事業分超過負担額ですね、これは幾らですか。
  7. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 六事業費につきまして超過負担解消のために措置いたしました部分は二百三十七億円でございます。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういう計算になるのですか。二百三十七億になるその積算の基礎です。
  9. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) これは私先ほど申し上げましたのは、それぞれの補助金等の事項につきましての引き上げ率でございますので、実際の予算の上では、これらの引き上げ率を適用いたしました単価引き上げ額に、それぞれ基礎となりますところの坪数なり人員なりを乗じたものが出るわけでございますが、その乗じたものが事業費として超過負担解消する額になる、その合計額が二百三十七億三千五百万円となるわけでございます。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 六事業分超過負担額が四百十一億円で、国と地方団体とも同額ずつ責任があることがわかったと、この調査の結果。で、このために国は三カ年間に約二百億円の解消について措置すればいいということになったという発表があるわけですよ。そこで、先ほど二百三十七億と言われましたが、これはこの四百十一億の半分の二百億の三分の一に当たる七十二億、それに物価上昇分百二十八億、それから給与改定措置の見合いが三十七億、これを入れて二百三十七億になると、こういう説明発表があるのですよ。いまの二百三十七億自体については、これは数字は合っていますが、この内容について、むしろこのすでに発表されているもののほうが詳しいので、そんならここで聞く必要ないのですよ。ですから、そこで問題になるのは、もう一度この二百三十七億の内容をもっと詳しく説明してもらいたいと同時に、国と地方団体同額ずつ負担する責任があるという、その根拠ですよ、そういうところが知りたいわけです。
  11. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 六種目補助金等につきまして実態調査を実施いたしましたのは、四十二年度の支出実績についてでございます。先生お話の四百十一億円というのは、四十二年度の実績についての超過負担額でございまして、私が先ほど申し上げました二百三十七億円というのは、これは四十三年度の予算において措置した分の金額でございますので、その間、当然坪数とか人員の増というものによるところの伸びというものがあるわけでございます。そこで、この四百十一億円と二百三十七億円との関連でございますけれども、四百十一億円というのはいわゆる超過負担額でございまして、これは支出実績と、それから、予算において支出いたしました補助金額との差でございます。しかしながら、その差のうちで、その差がそのまま超過負担になるわけではございませんで、その差額の四百十一億円のうち、たとえば国が補助対象として見ておりました坪数以上に建築している部分、たとえば小中学校について申しますと、一人頭何坪という基準がございます。学校生徒数、学級数等に応じての補正もございます。寒冷地補正もありますが、そういう補助基準となっております坪数をこえて、市町村が自分でいわば単独事業として追加している部分、この部分は私ども超過負担というふうに見ておりませんので、そういう部分等がございます。それから、また、職員設置費について言いますと、国が補助対象としております職員数以上に地方団体が置いている部分、こういう部分も国が負担すべき超過負担額というふうには考えておりません。そういうものをそれぞれの補助種目について詳細に分析いたしますと、その四百十一億の超過負担額のうち、国が措置を要する部分が百九十六億円、それから、措置を要しない部分が二百十五億円というふうになったわけであります。これの数字は、関係各省と、それから、自治省とも相談いたしまして振り分けたわけでございまして、単にその四百十一億円の差額を半分ずつ分け合ったというようなものではございません。そこで、国が措置すべき百九十六億円というものが、四十三年度の予算になりますと、坪数の増、人員の増、その他数量の増の関係がありまして、それから、単価改定を入れますと二百三十七億円という数字になるわけでございます。ですから、調査実績におきましては、四十二年度の実績では百九十六億円、四十三年度の予算ではこれが二百三十七億円というふうになったわけでございます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二百三十七億と、それから、最初の四十三年度の三百二十億との差ですね、これはどういう……。
  13. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 二百三十七億円といいますのは、調査をいたしました六つの補助金等につきましての超過負担解消措置でございまして、その差額調査いたしませんけれども、これとのバランス調査しました補助金とのバランスから改定を行ないました。たとえば林業改良普及員等単価引き上げ、あるいは産業教育学校給食施設、そういうものの単価引き上げ等と、それから、同種のものについては調査いたしませんでしたが、特に措置いたしました、たとえば警察官の養成費引き上げ自動車維持費引き上げというようなものがありますから、それを含めますと三百二十億二千三百万円になるわけでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一般に四十三年度予算編成にあたって伝えられているところによりますと、例の、たとえば出世払いの四百八十二億とか、あれを返せとか、いろいろ経過があったわけですよ。そうして結局超過負担については三カ年間で解消する。その場合の解消対象となる超過負担は約千億といわれておるのですね、そうですね。そうすると、いまのお話ですと、超過負担解消計画によると、かなり金額は少なくなるわけですよ。大体六事業分で三カ年間で約二百億を解消すればいいということになるのでしょう。そうすると、六事業分以外はどのくらいなんですか。
  15. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) このいわゆる超過負担千億円というのは、実はこれは自治省府県市町村に照会をして集計した数字といわれているわけでありますので、私どものほうではその具体的な内容承知しておりませんが、これはいわゆる地方自治団体超過負担になっているということを申している数字をただ集計したものでございまして、そのいわゆる千億円という超過負担について、実際にどういうような負担状況になっているかということを、したがいまして、関係各省自治省と私ども調査をするということになったわけであります。その最初の年としまして、四十二年度にその六種の補助金について調査した結果が、先ほど申し上げましたような四百十一億円のいわゆる超過負担になる、そのうちの百九十六億相当部分が国として措置を要すべき金額というふうになったわけであります。したがいまして、あるいは千億から四百億を引いた残り六百億がまだあるのじゃないかというふうな計算になるのかもしれませんが、その千億円というのは、実は四十一年度か二年度か、その辺のところははっきりしていないわけであります。したがいまして、私どもとしましては、四十三年度以降におきましても、さらに関係各省自治省実態調査を継続してやろうということにしておりまして、ことしも幾つか補助金を選定してこの実態を明らかにしよう、かように考えているわけであります。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは自治省のほうからも聞かなければなりませんが、そうなると、一応超過負担解消の問題が多く取り上げられているのですが、地方自治団体の考えている超過負担というものと大蔵省の考えている超過負担との間に、その内容についても額においても非常に違いがあると思うのです。そこで、自治省に伺う前にいま伺ったのですが、三カ年間に二百億解消——百九十六億ですね、正確に言えば。この分は六事業分ですから、その六事業分以外に国はどのくらいの解消を必要とすると考えているのですか。六事業では約二百億でしょう。
  17. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 先ほど申しました百九十六億というのは、四十二年度の実績に基づくところの六種の補助金等についてのいわゆる超過負担のうち、国が負担すべき部分でございますけれども、その他のものについてそれではどの程度超過負担があるかは、これはよくつかめないわけであります。それで、ことしもまた残っております補助金のうち、特に超過負担が多いといわれるものについて実態調査をしようという話になったのであります。その点は自治省と私どもと考え方の相違はございません。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だって、さっきその他として警察施設費ですか、学校給食等と言われたじゃありませんか。
  19. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 私の説明があるいは不十分だったかもしれませんが、それは四十三年度にすでに措置した部分についてでございます。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、超過負担は、その単価の差、それから数量の差、対象差によって出てきているということですね。それで、さっきのお話は、結局この二百億というのは四百億の約半分、大体六事業においてですね、これはこの三つ含んでるんですか。単価差数量差対象差単価差だけではないかといわれますが、どうなんですか。
  21. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) それは百九十六億は単価差でございます。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなると、数量差及び対象差については、これは解消計画に含まれてないと、そう理解していいんですか。
  23. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) ただいまの答弁を訂正いたしますが、百九十六億のうち、単価差部分が百十二億、それから数量差部分が三十二億、それから対象差部分が五十二億でございます。数量差と申しますのは、この公立文教施設におきまして、従来、補助対象といたしましておりましたのが、実際に時価坪数の九五%ということでやっておりました。その部分を、今回は五%部分超過負担になってるというので、それを是正する。それが三十二億、それから、対象差と申します五十二億は、保健所職員のうち、職員措置費につきまして三十五億、農業改良普及員等につきまして十七億ということになっております。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 両大臣そろいましたから、両大臣に質問いたします。いま事務当局から一応超過負担解消計画について内容を伺ったんです。で、これについては、これまで一般に、まあ地方公共団体のほうでは、まだ未解消超過負担が約千億ある、それで、三カ年でこれを解消するといわれているというのですが、いま大蔵省自治省の六事業共同調査による解消計画を伺ったんですよ。そうしますと、結局国がまあ解消について措置する額は六事業については三カ年で大体二百億、こういうふうにあるのですね。これはあの四十二年度の実績に基づいてそういうまあ計算になっている。これは六事業で四百十一億の半分、国がこれは解消責任がある分だと、こういうことなんですが、そうなると、地方公共団体の考えている超過負担額と、それから、解消について措置してもらえると考えている、また、国が措置すべきであると考えている額と解消計画で出てきました額は非常に大きな差が開いているわけですが、自治大臣はどういうふうにこの点を考えているのですか。大蔵省のいまの解消計画ですね、それでいいと考えていますか。これはたいへんな大きな問題になってくるんじゃないかと思うのですがね。
  25. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 六事業について調査をしたわけでございまして、これは調査がどういう形でやられているかということは、地方団体の中に入ってよくわかっているわけでございまして、数量差単価差、また、対象差など取り上げまして、納得ずくでいろいろな計算をいたしましたところ、やっぱり中には地方団体が当然持つべきものもあったし、これは、この部分は国が持つべきものであるということを計算してみましたところ、たまたまそれが半分ずつであったというわけなんです。で、それはまあとにかく、できるだけ地方団体側からすれば国に持ってもらうことは望ましいことには違いありませんけれども、しかし、いろいろせんじ詰めてみますと、当然地方持ちであるべきものを国でというわけにもまいりませんので、これは私、地方団体と了解の上でそういう結論が出たものと考えております。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方団体話し合いでということですが、しかし、新聞によりますと、ほかの地方団体とどことどれだけお話し合いになったか知りませんけれども、すでに御承知と思うのですが、東京市長会ですね、調布、武蔵野、国立、田無、保谷の五市長、これは社会党の市長ですが、これは超過負担実態調査して、そうしてこれは解消要望書を出しておるわけです。これは東京都の市長会というのがあって、そこで出しているのですね。これによりますとたいへん違うわけですよ。それは革新の立場にあるからといわれれば、それはそういうことになるかもしれませんけれども、しかし、半々と申しましても、たとえば国民健康保険事務費ですね、これは財政法によって規定されておりますね。そこで、どうして半々になるか、これは全部国で負担しなければならぬということになっているでしょう。それがどうして半々になるのか、それが必要以上に高い賃金で雇っているということなのか、あるいは基準以上の人員を雇っているというのか、私はその点はおかしいと思うんですよ。国民健康保険については、財政法上はっきりと、これは事務費については国が負担するということになっておるのであって、その解釈によるでしょうが、その点を半々というように見てしまうとこれはたいへんに問題だと思うのです。それから、公立小中学校施設整備につきましても、たとえばこれは今度は非常に政治的な問題になるかもしれませんが、国の認めている坪数以上に坪数の多いところ、しかし、それは、たとえばそこの児童数等から考えて、それから、もう少し教育内容をよくしようという、どの程度がいいのかは問題になりますけれども、そこら辺は非常に解釈のしかたによって違ってくるのじゃないですか。その点は前向きに解釈するのとうしろ向き解釈するのと、うしろ向きというのは、なるほど国の負担力財政の面からのみ少なくしようということで、教育というもののほうに重点を置かないで、むしろ財政のほうにばかり重点を置いて考えるとその点が変わってくると思うんですよ。そういう点、自治大臣、千億といわれておったのが、これが二百億前後になるでしょう。これは一般的に発表されておるのとたいへんに違うのです。一般新聞なんかに発表されておるのは、それは地方公共団体が要求する額かもしれませんが、一般には大体超過負担は千億というふうに常識的に見られておる。これがいまのお話ですと、大体千億というのは、これは国が千億については三年間で解消することに努力していると理解しているんですが、これが解消計画によると二百億そこそこなんですよ。そこで、私は非常に疑問を抱いて、いま事務当局お話を伺ったところが、それはそれぞれの理由があるのですけれども、これは解釈のしかたによりまして、理解のしかたによりましてたいへん大きな違いがあります。これは政治的な一つの立場の相違にもなりましょうし、これはもっと前向きに私は考えなければいけないんじゃないか。自治大臣、いかがでしょうか。
  27. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 大蔵省うしろ向きであったかどうか、私どもはわかりませんけれども、少なくとも、自治省側としては非常な前向きでこれに当たりました。ということは、超過負担解消ということは前からの地方団体の要望であったわけですから、この際、何とかけりをつけたいということで、何も地方団体と協議したわけではありませんけれども、私どものほうは全国の地方団体を扱っておりますので、やはりこの地方団体のものの考え方というものは私どものほうでよくわかるわけでございます。その意向もさんしゃくいたしまして、十分前向きで検討をしたつもりでございます。ただ、団体によっていろいろな今回の解消措置についての異論もあると思いますが、今回主として人件費についてやった、ただいま木村先生御指摘のとおりでございます。その他対象差などにつきましては、まだまだ検討の余地があると私どもは考えております。しかし、全部今回かたい約束をしまして、三年以内に解消するということを大蔵大臣がはっきり言われたわけでございまするけれども、綿密に検討すればやはり問題は残ると思いますが、しかし、今日の段階で一番地方団体が困っておられるところだけ取り上げまして、まず第一段階としての解決をはかったと、こういうふうに考えております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま自治大臣お話によりますと、大体三カ年間で解消すべき超過負担についての四十二年度の実績の六事業についての調査をもとにして四十三年度は措置したようですが、それは主として人件費とか、それから単価差、これが主であるといま伺っております。そこで、数量差とか対象差については問題が残っておるというお話ですが、問題が残っているとなると、今後の三カ年間で解消する超過負担額についても、おのずからまた変えざるを得ないですよ。それから、地方公共団体のいままで要望しておった、また、要求による千億との間にどの程度差が縮まっているかわかりませんけれども大蔵大臣に伺いたいのは、そういういきさつでありますから、数量差とか対象差についてはまだ相当の検討の余地があるということなんですね。だから、それでもう決定的なものじゃないんですよ。そういう点については、大蔵大臣、いかがですか。今後もっと実情に即して検討すべき、考慮すべき、配慮すべきじゃないか。  それから、もう一つは、たとえば基準単価についても、それから、坪数等についても、校舎なんかについて、あるいは対象差なんかにつきましても、政府の基準と、それから実際に自治体がやる場合に非常に違いが出てきて、基準より多くなった、基準をオーバーしている分については超過負担措置を認めないというんでしょう。地方自治体で負担する。しかし、それについては相当やはり問題があると思うんですよ。あまり機械的にそれをやりますと、たとえば坪数をオーバーしたって、実態を調べた場合、基準よりはオーバーしているけれども、やはり児童数とか、そこの教育内容の施設、いろいろおくれている事情もあると思うんですよ。著しく何かデラックスな校舎をつくっちゃったりしたというものについては問題だと思いますけれども、その点もっと大蔵大臣、弾力的に考えないと、実際解消解消といいながら、実情に即して解消されないということになるんですが、いかがですか。
  29. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 調査いたしました六種目補助金等につきましても、先ほど申し上げましたとおり、単価差のほかに、数量差対象差というものについても、それぞれ関係各省相談いたしまして、措置するを適当と認めたものを一応今回措置しているわけでございます。まだ数量差とか対象差についても問題があるじゃないかという御質問でございますが、特に対象差という点につきましては、これはいま例におあげになりました公立文教施設というようなものにつきましても、  一人頭の基準坪数というものが法令によってきまっております。それをこえる部分は、これは地方団体単独事業として、今回は取り上げておりません。そういった点についての問題かと思います。この点については、確かに、教育内容とか、あるいは一般にそういう公共施設のいわば水準が上がってくるのに伴ってその基準坪数改定をしなければならぬといったような時期がくるかと思いますけれども、現状におきましては、大体文部省もすぐこれを改定する必要はないというような意見もございますので、その坪数改定問題は今後の問題といたしまして、超過負担解消措置としては、基準坪数をこえるものは、これは地方単独事業として、地方財政計画の上で単独事業費に見込んで措置するというようなことにしたわけでございます。  それから、なお、先ほど例におあげになりました国保とか国民年金につきましてのいわゆる超過負担のうちで、国がみている部分が少ないじゃないかという御意見でございますが、たとえば国家公務員の給与の基準をこえて支出している分、これはやはり国の措置としてはみられない。それから、国保、国民年金の事務をやっております職員も、それに専任しているというのではないというケースが多いわけであります。ほかの仕事といろいろ一緒にやっている、そういった場合に、その国保とか国民年金の事務に実際どの程度の時間をさいているかということをこの実態調査でも調査しているわけであります。したがいまして、それらの職員につきまして、いわば兼任率というものを出しまして、兼任している部分は、これは国民年金、国保の仕事に要する給与ではないということで除いております。その兼任率を出すのも、現地で関係各省立ち会いのもとにやっておりますので、私どもといたしましては、一応そういった措置で十分ではないかというふうに考えているわけであります。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この超過負担ですね、超過負担対象となるものを一体どの程度にその範囲を考えているのか、この際、はっきりしておいてもらいたい。さっき六事業について調査している、それ以外にも多少はあるということを伺っているのですが、その程度の範囲なのですか。     —————————————
  31. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、塩見俊二君、竹中恒夫君が委員辞任され、その補欠として高橋文五郎君、山本利壽君が選任されました。     —————————————
  32. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) どの程度超過負担があるかということは、実ははっきりしないで調査しているわけでありますので、その取り上げる補助金等もどういうものにするか、これは今後なお自治省関係各省と相談してまいりたいと思いますが、四十二年度に実施いたしましたのは、その中で特に従来から問題があるとされておった補助金でありまして、四十三年度につきましても、これに次いで問題ありとされている補助金四種類か五種類についてこれを調査しようということで、関係各省と下相談しております。そういうことでございますので、まあ特に地方団体から問題として指摘され、また、各省から要望のあるものについて新たに取り上げていきたい、こういうふうに考えております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ずいぶんあいまいなんですが、これについて地方制度調査会などに何か諮問したことがあるのですか。大体超過負担対象となるのはどの程度ですか。
  34. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 地方制度調査会では、特に政府のほうから諮問するという形をとりませんで、調査会自体で問題を検討して答申をするという扱い方をしております。超過負担につきましてはかねてから議論がございましたので、去年の十二月に中間答申をいたしました際に、超過負担解消をはかるようにという答申をいたしております。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 超過負担の範囲、内容等については。
  36. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) その点につきましては、調査会で具体的に調査をしたわけではございませんので、通常いわれている超過負担というものを頭の中に描いて答申をしたわけでございます。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いままで大蔵省、あるいは自治省超過負担に対する考え方を伺ったのですが、何か自治体で理解している超過負担と、それから、大蔵省なり自治省がこの超過負担解消計画について考えている考え方との間に非常に大きな差があって、しかも、また、この超過負担の問題は、いま地方財政の非常に大きな問題です。また、いままでもそうでありましたし、今後もそうであるし、特に財政硬直化問題が国の財政で大きく取り上げられてきたのですけれども、しかし、これまで地方財政の硬直化の一つの大きな原因としてこの超過負担の問題があったわけですよ。これについて何かもっと明快に、超過負担とはこうこうこういうもので、こういう範囲のものであって、そしてこれだけ、まあ三カ年でもけっこうですが、解消するについては、これだけ解消すれば地方財政のいわゆる健全なる運営ができるのだという、そういう点についてのどうも御説明が得られないのですよ。何かまだ検討すべき点が非常に残っておるとかいうことなんですが、基本的に、これはあとの質問とも関連してくるのですが、まとめて、では自治大臣から、この超過負担について、さっきのお話では、これは私非常に不十分である。それから、具体的に、これから東京都の市長会でこれは行政訴訟を起こすとかいうこともいわれておったのです。自治大臣は、この市長会の結論というのですか、市長会が出した結論を御存知かどうか。この結論はこういうことの二つから成っておりますね、補助対象事業補助基準単価数量が実情に合うよう予算措置を講ずる、それから、学校用地などを補助対象にすると、こういう二点にしぼって国に要望をするということになっておるのですが、この点についての自治大臣の御見解を、この際、伺っておきたい。
  38. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 木村先生御案内のとおりに、非常にいわば経済全体が変動しておる時期でございますので、たとえば事業ごとの総体の量をきめる、また、この補助基本額をきめる、こういうことをいたしましても、実際これを実施する地方団体側にしてみますと実情に合わぬ場合が始終出てくるわけでございまして、そのためにこの地方財政内容が悪くなっていきつつあることも私は間違いない事実であると思っております。そういう際でありまするので、まあとりあえずのところは、この単価差分についてはかたい約束をいたしまして、三カ年で三分の一ずつきちっと片づけていく。あと数量差対象差、ただいま御指摘の分につきましては、なかなか一ぺんに全部というわけにまいりませんので、これは地方財政計画に何がしか計上して地方の不足分を補う、こういうふうなやり方で当座は考えていこうと考えておるわけです。しかし、やはり問題点は、私この措置をいたしましてもあとに残ると思いますけれども、現在、長年問題になっておりましたこの超過負担というものを三カ年で大部分解消しようというかたい約束までできましたので、この際、一部の団体では過去にさかのぼって負担した分も返すべきであるといったような御意見もあるようですが、まあそこは目をつぶっていただいて、将来きちっと財政の秩序と申しますか、国と地方団体持ちというものをはっきりした形でやって軌道に乗せるのだから、過去の分は目をつぶってごしんぼう願いたいということを私どもは言っておるわけでございます。しかし、まだまだこれはなかなか割り切って完全に解消するという域には容易に達しないんじゃないかということを憂えておるものの一人でございます。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 東京都の市長会のことについて。
  40. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) それにつきまして、ただいま申しましたように、一部の地方団体が訴訟ざたで云々ということもあるようですけれども、この際はごしんぼう願って、われわれも前向きで全面的に解決をはかろうとしているわけでありますので、それに御期待願いたいということを言っておるわけでございます。ただいまちょっと御指摘のありました学校用地などは、とにかく過密地域あたりでは刻々に地価がべらぼうな値段に騰貴するわけですから、実際学校をつくるということになりますと、まず用地のことで行き詰まってしまう。実際建てようとすれば、そこにたいへんな用地費を負担しなければならぬという問題が起こる。もちろん補助にはそういうものは伴わないわけでございますので、事実地方団体が迷惑しております。しかし、これは学校用地の場合は自治省だけの問題ではございませんし、これこそ関係各省ともよく相談をして、こういう文教施設などの早急完備のためには、やはりそういう隘路は何らかの形で解決していかなければならぬというふうに考えております。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまあ行政訴訟を起こすかどうかということも問題になっていると思うのですけれども東京市長会あたりの主張は、地財法に違反しているのではないかという点が一つあるわけですね。当然国が負担すべきものが負担されてない、ここに一つ問題があるわけですが、その地財法との関係についてはどう考えますか。
  42. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ここで地財法違反とかりに言いたい気持ちがあっても、私がきめつけて言う筋合いのものでもありませんし、ですから、法律論争になりますれば、やはり実情もいろいろ複雑でございまするから、問題は残ろうかと思います。ただ、私が申し上げることは、まあまあいろいろ御不満もあるであろうけれども、将来国と地方との財政秩序というものを確立しなければならぬというかたい決意でいまこれだけのことをやっておるわけでありますので、まあ行政訴訟などという訴訟ざたなどはお控え願いたいということを言っておる、こういうことを申し上げたわけであります。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは政府のほうはそれでいいと思うのですけれども、やっぱり住民の側になれば、憲法なり、あるいは地方財政法で定めてある民主主義的な規定があるわけですよ。それに違反しているということになれば、当然これは権利があるんです。それをまた主張しなければならぬと思うのですが、まあこの点は、実際に行政訴訟を起こしてみて判決を見ればいいのであって、この点は議論になりますから、次の質問に移ります。  それは、自治大臣が、せっかくいま政府が国の財政地方財政との関連において総合的な財政秩序を確立したいと、この点は健全な運営をしていきたいという決意をもって臨んでいるのだからしんぼうしてくれというお話があった。おそらくまあそういう考え方の一環としてこの交付税及び譲与税の法律の改正案が出てきていると思うのです。  そこで、大蔵大臣のほうにまず伺いたいのですが、この法案が出てきたその背景に、国のいわゆる財政硬直化打開にあたりまして、地方交付税というものが財政硬直化の非常な大きな要因になっているという立場に大蔵省は立っているわけです。これは交付税そのものの本質の問題にも関連してくるわけでして、そこで、大蔵大臣に伺いたいのですが、前に大蔵省が出した資料によりますと、財政硬直化の原因として、当然増、義務的経費が毎年約一〇%ぐらいこのままでは増加していく、そのうち、地方交付税交付金の増加率は三・一%を占めている。この当然増の約一〇%のうち、一番大きな比率を占めていると大蔵省説明しているわけですよ。ところが、人件費二・二%、社会保障費一・七%となっている。そこで、これに基づいて四十三年度予算編成過程において、大蔵省は三二%の交付税率を大体三〇%程度にこれを削減してほしいという要求を出したり、あるいは四百八十二億のいわゆる出世払いですか、つまり四十年度の交付税の超過分の返済ですね、これを求めたり、いろいろしたわけですよ。で、大蔵省はほんとうに地方交付税というものが財政硬直化の大きな要素になっていると、そういうふうにお考えになって、そして財政硬直化対策としては地方財政にしわ寄せする、交付税率を減らしていく、あるいは交付税以外の補助金にしましても、その値いろいろな面において地方財政は困っていないという名目のもとに地方財政にしわ寄せしようとしているのです。それがもうはっきり出てきているわけです。そこで、大蔵大臣に伺いたいのですが、そんなに地方財政というものは財政硬直化の大きな要素になっているのかへこの点をお伺いしたいのです。
  44. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ硬直化の原因というものはたくさんございますが、交付税というもの、いまの形の交付税はやはり硬直化の一つの原因には私はなっておると思います。と申しますのは、これにはいろいろ根本的な問題があると思いますが、御承知のように、交付税というものは最初非常に低い率でございましたが、年々これが上がってきている。ことに経済の短期的ないろいろな変動によってこの率を変えておる。で、地方財政の悪いときには上げるという措置をとることはけっこうでございますが、今度は少し財政が好転してきたというようなときにはこれを下げるというような運営ができればいいんですが、これはなかなかできない。で、そういたしますというと、これはもう率を固定させて、悪いときは上げるが、いいときの調節の方法はないというような形でこの交付税というものを運営されるということはどうかという問題が、やはり国の財政関連して私は出てきているというふうに考えます。ですから、これが硬直化の原因だから、これはいけないとか何とかいうのじゃなくて、そういう事情で率が上がってきているものでございますから、私は、これを中心として国の経済と地方の経済との円滑な調整をとるような短期的な調整措置というような制度がこれに加わっておるというふうな運営がされることが望ましいんじゃないか。今後そういうくふうをこらすことによってこの地方交付税の提起しているいろいろな問題を円滑に解決していく方法というものは、考え方によっては幾らでもあるというふうに考えております。で、今回の措置も、やはりそういう方向への一つの私ども考え方だというふうに考えます。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 短期的な調整ですか、それはどういうことですか、具体的には。
  46. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ交付税の税率というようなものは、実際問題としては恒久的なものになっている。しかし、何でそういう恒久的なものになっているかという原因は、この経済の短期的ないろいろな問題からきている。好景気、不景気というようなものはしょっちゅう繰り返しておりますし、その短期的な経済の事情によってそのつどぐあいの悪いときに率を上げるというようなことをやっておって、いいときに下げるということはやっておりませんので、この短期的な経済に即応した措置として、一方は長期的な制度にこういうものをしてしまうということになっておりますので、その間の調節といいますか、何かそこにくふうがこらされて、やはりこれをかりに変えなくても、経済の好況、不況という、これによって地方財政のこうむる影響が非常に大きいのですから、そのつどつど短期的な調整措置というものが国と地方の間にとられるということがあれば、少しもこの制度は国の財政の硬直化の原因として云々さるべきものではない、この救済方法というものは私はいろいろ考えられるのじゃないかというふうに考えます。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは単に交付税だけではなくて、地方財政と国の財政との関連を考える場合に、まだ税制全般の問題もあるわけですね。特に国の税制と地方税制、地方税制につきましては、あとになってきて、シャウプ勧告当時と最近とでは府県市町村との間に税収について非常に大きな変化が出てきております。シャウプ勧告の当初、市町村重点を置いて考えたのが、逆に、今度は市町村のほうの税収が確保できなくて、府県のほうの税収がむしろ確保できて、あのシャウプ税制当時と逆になっている、そういう問題ももちろんあるわけです。しかし、大蔵省が四十三年度予算の編成にあたって、国の財政硬直化を打開する一つの方法としてこの交付税問題を考える場合に、これはもっと私は基本的に、交付税とは何ぞやという、その本質論にまでさかのぼって検討されたかどうか、そこが私は非常に問題だと思う。交付税は、いま大蔵大臣お話によると、何か国家財政の都合によって変更できるような、また、変更すべきかのようなお考えですが、だから交付税というものは国の財政に帰属するものであって、まず国が取り上げて、国家財政の都合によって決定できる、あるいは地方財政には財政的余裕があるから、国家財政が困ったときは、この法案のように、四百五十億国に貸し上げる、こういう便宜主義的に考えてよいものかどうか。これは自治大臣地方制度調査会の答申もあるわけです。この答申は自治大臣は尊重されているわけですか。自治大臣のお考えと、それから、地方制度調査会ではこの交付税の本質についてどういうふうに考えて答申されているか、この点をひとつお答え願いたい。
  48. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 大蔵大臣と私とは、究極は考え方は一つであると思いますが、私は地方団体のほうを代表しておりますし、大蔵大臣は国全体の財政責任者ですから、私は、国の財政というものは、究極は住民の福祉のために全部使わるべきものである。ところが、地方団体のほうでは、もう最近たいへんな行政需要が出てきていることは御存じのとおりですが、なかなかそれをまかない切れないから、税の再配分の形でこの交付税というものはできておりますが、一方、やはり財政全般から考えれば、防衛の問題もありましょうし、また、景気調節の問題もあろうし、ですから、大蔵大臣大蔵大臣としていろいろ御考慮なさることは、それは間接的にはやはり住民福祉につながると思う。しかし、自治大臣の立場からしますならば、まず法人側で納めるものであれ、住民が納めるものであれ、国の財源としてのお金というものは、これはやはり日本人としての自然人が国に納められるものには違いないわけです。だから、私は、どっちが取り上げるということではなくて、まず自治大臣としては、住民福祉のためのこの地方の行政需要というものを充足してもらいたい、全部一ぺんにというわけにはまいりませんから、三二%でいましんぼうはしておるけれども、これを硬直化の原因であるから少しでも減らそうなどということはもってのほかであって、私どもとすれば、やはり多少でもこのワクを広げて、やっぱり住民の福祉に直接関係のある地方税源というものを確保しなければならない、こういう考え方に立っております。しかし、この問題は、まあ長年大蔵省自治省とはいろいろ議論をしておるところでありますが、地方制度調査会でも、やはりそういう見解のもとに、この交付税三二%というものは国の財政硬直化の原因と考えるべきものではないということをはっきりと打ち出してもらっております。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、いま自治大臣がはっきり、地方制度調査会意見もあり、交付税財政硬直化の原因であると考えるべきではないと言われたが、そういうものではないのですよ、交付税というものの本質は。いまそういうふうにはっきりと言われたわけですよ。大蔵大臣は、さっき、これはやはり硬直化の原因であるということをはっきり言われたわけです。そこに意見の違いがあるのですが。
  50. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いや、根本的にはあまり違わないと私は思っております。で、地方交付税は、要するに、国と地方との財政のやはり調整資金でありますので、この率が幾らであるべきかというようなものについての特別の基準があるわけじゃなくて、いままで順々に積み上げてきた基準がいまの基準ということになっております。で、根本的にこれを合理的にきめようとするのだったら、いま言われましたように、まず中央、地方の事務の再配分から出発して、そうして財源の再配分をどういうふうにするかという根本的な中央、地方のそういうものがはっきり確立されるのだったら、そこでやはり交付税というものが必要だということでしたら、交付税率はどのくらいがいいかというものが出てくると思いますが、いまそういう形できめられているものではございません。したがって、いまの国の財政をいいますというと、五兆幾らの歳入があるといっても、まず地方交付税で一兆一千億近いものが地方へ出る。それから、今度は補助金として一兆五千億の金が地方へ出るということになりますと、もう二兆六千億という金額は、これは地方の経費でございまして、国固有の経費というものはいま三兆わずかであるということになっておりますが、この傾向はますます大きく差が開いてきて、国の予算といっても、ほとんど過半数が将来地方財政の経費になるというような傾向を示しておりますので、したがって、国と地方の経費の調節作用をするこの交付税というもののあり方について、財政じゃなくて、経済の動向によって、たとえば不景気のときに地方財政が困るというときには地方財政を国が助ければいいし、あるいは地方財政に余裕が出てきた、好況というようなときにはまた別の方法がとられていいと思うのですが、もしそうだとするならば、一定の基準交付税率というものを置いて、あと臨時の短期的のいろいろな経済動向に対処するしかたは、国が多く交付したり、あるいは少なくしたりするような、何か臨時にこれを調整する措置ができれば、そのほうが私は合理的ではないかと思うのですが、いままではそうじゃなくて、悪いときにはほかの形で地方財政を助けないで、交付税率を上げるという形で助ける、これはもう下がることはない。また二、三年たって不況がくるというときには、またそのときに交付税率を上げる、こういう形で中央、地方の調節をとってきたというやり方、いままではやむを得なかったと思いますが、今後やはりそういうやり方をするのか、別個に中央、地方の短期的な合理的な調節制度というようなものは考えられないかというのが私の考え方でございまして、別にこちらと自治大臣との考え方の食い違いではないと思います。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはお話わかりますよ。しかし、三二%が硬直化の大きい原因であるかないかにつきましては、それは硬直化の原因でないと自治省のほうでは考えているのです。地方制度調査会でも考えているのです。それはいまの交付税の前は、御承知のように、平衡交付金制度がありましたね。あのときには基準財政需要と基準財政収入の差額を国がみる、原則としてですよ。実際には押えておりましたけれども、あの当時は現実はそうだったのです。あのままあれをやっておりましたら、それは地方財政需要というのはどんどん大きくなってきているのであって、ですから、三二%ではとうていそれは足りっこないのだと思うのですよ。それはさっき自治大臣が言われた、三二%で押えられちゃとんでもないと、こういう議論になってくるのですよ、前の平衡交付金制度のあの趣旨から言えばね。地方住民の福祉を守るのが民主主義の基本だと思うのですよ。しかし、平衡交付金制度そのままでやったらどんどんふくらむから、これに一定のワクをはめたのでしょう。三十何%というワクをはめたのですよ。だから、三二%が大蔵大臣の言うように財政硬直化の原因になっているというより、むしろ押えたのですよ、あれは。前は野放しなんですから押えたのじゃないので、ただ政治力によって一般会計で一応先に平衡交付金を組んでしまって、そうして地方財政に右ならえさしていたのですからね。しかし、それには非常に矛盾があるけれども、制度的には野放しですよ。それを交付金制度にして三十何%と押えたのですから、これが硬直化の原因と言うのは私はおかしいと思うのです。ほんとうはもっとふくらむべきものですよ、ほんとうは。だから、いま大蔵大臣が言われましたから、根本的にこのままでいいかどうかという問題は、私もそう思いますよ。根本的に国と地方の事務の再配分をやって、そうしてはっきりといまみたいな非常に不合理な、国が七割も税金を取っちゃって、国が使うのは大体四割ぐらいですよね、地方自治体のほうが多く使っているのですから。それで、それを通じて地方自治体を支配するから中央集権という批判が出てくるのです。しかし、地方制度調査会では、すでに事務配分についての答申をしているわけでしょう。すでに出ているのです、答申が。なぜこれをやらないか、もう答申があるのですから。それは自治大臣、いかがですか。大蔵大臣にも伺いたいのですよ。もうそういう答申が出ているのですから、その答申に基づいてやるかやらないかですよ。いまあの内容がいいか悪いかは別にして、答申がすでにもう出ておるのです。それで、いつでも議論が煮詰まってくると、結局国と地方の事務の再配分、これが根本なんだ、これをやらなければ根本的に問題は解決しないしないと言って逃げちゃうのですよ。だから、一番議論が煮詰まった事務の再配分ということにつきまして答申が行なわれているのですから、それをいつやるか、どういう方法でやるか、それをもっとはっきりさしていただきたいのです。そうしないで、この交付税の四百五十億を四十三年度で三カ年年賦で貸していいか悪いか議論しても、あまり実のない議論ではないかと思うのです。その点どうされるのですか、すでに答申が出ているのですから。
  52. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 何も行政事務の再配分を口実に使っておるわけではございませんので、自治省といたしましても着々やりつつありますし、また、この六月には、思い切った行政改革も、主として地方団体をやろうと思っておりますが、ただ、地方団体だけでやる行政改革の面は意外に少ない。やはり法令その他補助金政策によって国と非常に入り組んでおるわけでございまして、ここらを解決いたしませんとなかなかものごとが進まない。それには、もう関係各省と申しますか、自治省側としてはほかの省がみんな敵みたいなことになってしまうものですから、なかなか思うとおりに進まないで困っておるわけでございます。まあしかし、やっぱりこの税源の再配分と申しましても、行政事務そのもの、行政機構そのものがやっぱり整理されませんといけませんが、いま進みかけておりますので、この際、何がしか前進をしなければならぬというつもりでいま取り組んでおる最中でございます。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、いまの問題について。
  54. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はこの前この委員会でもちょっと申し上げたと思いますが、中央、地方の事務配分といいましても、やはりここで中央、地方の行政機構の改革ということを、これはどうしてもやらなければならぬ時期にくると思うのですが、そういうやはりもっと大きい根本的なことから出発しないとこの問題は解決しないと私は考えております。たとえば、私のほうでいまいろいろな調査をしておりますが、税なら税というものに従事している人員がどのくらいかと申しますと、国がたとえば五万人としますというと、地方がやはりそれくらいの人数になる。国の徴税事務と地方の事務が同じであるかどうかということになりますと、そこに機構的にいろいろな改善すべき問題がたくさん残っておる。それから、たとえば農林関係の事務といいますというと、中央、地方で同じ仕事を、国が一つの仕事をすると、これに対応する事務をとっている地方公務員というものがやはり全部で十六万幾らに及ぶというようなことで、これは中央、地方の事務の合理化ということをやったら、もっと合理化される余地というものがたくさんある。そういうことで事務が入り込んで、二重組織、三重組織になって、そのわりに効果をあげていないといういまの行政機構の実態でございますので、こういう問題にまである程度手が触れられないことでしたら、実際においては、その事務の再配分とか、それに伴う財源の再配分といっても、これはいいかげんのものになってしまうというので、たとえばいま答申が出たと申しますが、その答申は、地方事務官をどうしろとか、食糧事務所を地方に移したらどうだという程度のことを土台にして中央、地方の財源配分の問題にまで触れるほどの私は根本的なまだ改革意見ではないというふうに思っておりますので、国のいまいろいろな機関がこれと取り組む態勢をとっておりますので、もう少しこの問題を推し進めて、一定の見通しがついてからでなければ、私は、この中央、地方の財源配分の問題なんというものは合理的に解決しないというふうに考えます。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 自治大臣が何か衆議院のほうに行かれるので時間がないからというので、それで、その関係上、二つまとめて質問いたしますので、まあそれに関連してあと大蔵大臣に伺いたいのですが、その一つは、この交付税、譲与税特別会計の改正案一つのねらいは、地方公共団体財政が困ってないと、まあことばは適切でないかもしれないが、国に比べて裕福である、余裕があるということが一つの何ですか、四百五十億の貸し上げを国が要求する理由になっているのですよ。そこで、一体、地方自治体が余裕があるのかどうかという問題、この点は、計数的に見ますると、地方財政の決算を見ますと、都道府県分については確かにそうなんですが、多少黒字がふえてきます。しかし、これは過去の三十五年当時と比べれば、まだまだ黒字の割合は非常に小さいのですけれども、しかし、市町村になるとたいへん事情が違ってくるのです。それを込みにして、何か地方財政が余裕があるように言っているという問題が一つと、もう一つは、こういう計数だけで地方自治体に余裕があるかないかということをはかるべきじゃないと私は思うのです。いわゆる住民にどれだけ十分な地方行政が行なわれるかどうかだ。たとえば住宅の問題、下水道の問題、道路の問題、いろいろありますよ。いまこれが不足して困っているわけでしょう、その点をどういうふうに考えているか。大蔵省のほうは、地方財政に余裕があるから四百五十億貸せと言うのでしょう。それから二百五十億の災害債も繰り上げ償還しろと、こう言うのでしょう。その点が一つと、もう一つは、これはできたらあとで資料としていただきたいのですが、府県と市町村について、税収が、シャウプ税制で考えたときと逆になっているんですね、その点をひとつ計数的に知りたいのですよ、最近までの経過を。それで、ですから、地方へ参りますと、市長さんとか町村長は、政府はなるほど府県がやや余裕があると言うんですよ、しかし、市町村はこのごろはそうじゃないのだ、シャウプの税制改革当時と逆になっちゃって、府県のほうは、これは経済情勢その他の変化でそうなっちゃった。ですから、これは改正する御意思があるのかどうか、根本的に再検討しなければならぬ、シャウプがねらったのと逆になっちゃっているのですが、その二点について伺いたい。  それから、あとは資料をいただければけっこうです。
  56. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) あとのほうから申し上げます。  シャウプ博士の税制改正のときに考えられた実情と、御指摘のとおり、全く変わってしまった。あのときは、やはり一番安定性のあるものを市町村に与えて、それから、比較的不安定なものを都道府県にといったような考え方があったと思うのですけれども、結果的には、こういう国の経済成長につれて、法人関係が多い都道府県の場合は意外に税収が伸びた。一方、市町村の場合は、固定資産税等が、御案内のとおり、頭打ちされてしまったり、その他住民税等も減税を考えなければいかんというようなことで、このほうが逆に伸び悩んでしまった、ここに当初考えられたのと逆の結果が出てきていることは事実でございます。ですから、この問題につきまして、やはり早い機会に考え直していかなければならぬ、かように考えますが、詳しい変化の数字などは、あとで資料として差し上げたいと思います。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 具体的にどういうふうにされるつもりですか。
  58. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 具体的なことはなかなかこれもむずかしいことですけれども、税務局長から答弁申し上げます。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはあとでいいですから、先にもう一つの点を大臣から。
  60. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方財政の好転説がありましてたいへん困っておりますし、木村先生から二度目の御指摘だと思うのですが、国に金を借したということをまたおっしゃいますけれども、貸した覚えはないのでございまして、この国会中長々と何べんも私申し上げたとおりであります。決して貸すなどという大それた立場ではない。すでに地方団体だって減債額四兆円もかかえて、借金によって立っている財政でございますし、たまたま昭和四十一年度にちょっと黒字が出ました。それは木村先生先刻御承知のとおりに、四十一年度に財政の落ち込みがありまして、それはいろいろな理由からその落ち込みを埋めたわけです。ところが、そのときに、これはいかぬというので、かなり地方財政健全化という方向で引き締めを指導したわけです。ところが、景気の回復が意外に早くて、四十一年度にはぱっと後半になりましてから思わぬ税収の伸びがあった、こういうようなことで、自治団体にすれば、当然あり余る行政需要にこたえるために消費すべきものが、税収の時期との関係があって、ちょっとそれが一時繰り越しみたいな形で残ったというだけにすぎないのでございまして、本質的には、相も変わらず貧乏世帯で赤字を続けているのが実情でございます。したがって、決して好転したなどという大それた考え方はないということを繰り返し申し上げたわけでして、ただ、四百五十億円でだいぶ私は国会でたびたびへたな説明をしてまいったわけでございますけれでも、やはり国の財政地方財政というものは全然無関係というわけではありませんし、まあ内外のきびしい情勢につきましては、大蔵大臣からるる説明があったはずでございますけれども、やはり地方財政としても無視するわけにはまいりませんので、やはりこれに協力する姿勢をとったと、こういうことでございます。ただいまの御質問はそうでございませんので、そのことはくれぐれも私が説明を申し上げたとおりにおとりを願いたい。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税制改正は。
  62. 松島五郎

    政府委員(松島五郎君) 先生御指摘のとおり、シャウプ勧告が出ました昭和二十五年の税収入は、市町村が千百八十六億円に対しまして、府県税収入が六百九十七億円でござまして、その差が四百八十九億円、約五百億円市町村のほうが多かったわけでございます。それが昭和四十一年度の決算で申しますと、府県税収入が九千百十二億円で、市町村税収入が八千五百七十四億円でございますので、差し引きいたしまして五百三十八億円府県税収入のほうが多いという形になっております。御指摘のとおり、地方税収入中に占めます市町村税と府県税のシェアは逆転をいたしております。そこで、歳入総額中に占めます府県税なり市町村税がどういう推移をたどってきたかと申しますと、大体いまから十年前、三十年前後から今日まで、府県税収入は、全収入中の二九%から三一%、この間を上下いたしております。それに対しまして、市町村税収入は昭和三十二年に四六%を占めておりました。ところが、昭和四十一年には三六%というふうに、毎年一%程度ずつ下がってきているわけでございます。この原因はどこにあるのかということでございますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、シャウプ税制におきましては、市町村税収入は、規模の小さい団体の収入でございますので、できるだけ収入に安定性を持たせるということを骨子にして構成されておるように思われるのでございます。そういう意味で、固定資産税及び市町村民税を中心にして構成をされているわけです。そのうち、固定資産税につきましては、御承知のとおり、評価の頭打ち等の問題もございまして、年々構成比率が低下をしてきております。昭和三十年当時に対しまする倍率が約二倍半程度にしかなってないのでございます。それから、また、市町村民税につきましては、重い重いといわれておりますけれども、やはりこれに対しましては、昭和四十年度におきまして課税方式の統一をいたしましたが、昭和四十一年度におきまして課税最低限の引き上げをいたしますとか、減税もある程度やってきております。したがいまして、伸びがそれほど大きくないというのが実情でございます。一方、府県税のほうは、先ほど申し上げましたように、相対的に市町村税との比較ではその伸び率が高いのでございますが、それでも歳入総額中に占める割合はほとんど変わってないということは、歳出の総額とほとんどパラレルにしか伸びてないということでございまして、特に府県税収入が著しく伸びておるということには必ずしもならないのではないか、かように考えておるわけであります。  そこで、問題は、今後の市町村税をどういうふうに考えておるかという問題でございますが、これも私どももいろいろ検討はしておりますが、なかなかむずかしい問題がございます。と申しますのは、市町村と一口に申しておりまするが、今日の事情は、御承知のとおり、大都市とその周辺に異常な人口の集中がございます。一方、農山村においては人口はどんどん減っているという状態でございます。そういうところに市町村税という、抽象的なと申しますか、一律な税制を考えましても、どうしても市町村に十分な財源を与えるということを考えることが不可能に近い状態でなかろうかと思うのでございます。今回実施いたしました住民税の減税をとってみましても、町村の一人当たりの課税所得が、ちょっと古い資料でございますが、昭和四十一年度で二十三万円程度でございます。それに対しまして都市が三十五万円程度でございます。大都市が四十五万円程度となっております。で、課税所得でございますから、控除した後の課税される所得でございますが、それがその程度でございますので、そこで、課税最低限の引き上げをするというふうなことをいたしますと、その影響は同じようにどこにも及びますから、町村におきましては納税義務者がどんどん減っていくという現象となってあらわれてまいります。逆に、かりに新しい税なり、あるいは増税なりというもの、あるいは税源の国税からの移譲ということをいたしましても、町村につきましてはほとんどそれによって潤うというところがないという形になって出てまいります。そういう点から申しまして、市町村を一律に考えて、税制で財源措置をしていくということは非常な困難があるのではないかというふうに考えております。そこで、やはり今日の非常に激動しております時代に対応していきますためには、市町村、あるいは大都市、都市というようなものを中心にして税制を考えるべきかどうかということが一つ問題点であろうと思います。その場合に、いままでのような、単に安定性ということだけを中心に考えずに、やはり経済の発展、あるいは地域社会の変動というものにある程度即応し得るような機動性を持った収入と申しますか、そういうものを考えていかなければならないのではないか。そういうものについて具体的にはそれではどういう税が考えられるかということでございますが、これもなかなかむずかしい問題でございますが、気持ちとしてはそういうような考え方で今後考えていったらどうかということで検討いたしておる段階でございます。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、さっきの自治大臣に質問いたしました、地方財政が余裕があるという考え方に基づいて、そして今回の地方財政にしわ寄せさせるいろいろの措置をとったとわれわれは理解しているのですが、それで、また、ほかのいろいろな大蔵省の人の書いた本を読みましても、地方自治体は国の財政より余裕がある。さっきも自治大臣が言いましたが、いわゆる国が財政上困っているときに地方自治体が援助すべきで、それはいわゆる協調を保つべきだという考え方ですね、一体、地方財政が余裕があると考えておるのか、その根拠は一体どこにあるのか、その点伺いたいのですよ。
  64. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は余裕があるとは考えていません。余裕があるということは行政水準との関係でございまして、行政水準を上げようとすればすぐに財政的な余裕というものはなくなってしまうのですから、余裕があるというふうには考えておりません。ただ、地方財政と国の財政と比較した場合、どちらのほうが内容がいいかというようなこと、また、地方財政の過去と現在ではどういうふうになっておるかということを見ますと、地方財政は好転してきているということは言えると思いますが、これは余裕というものじゃないと思っております。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 好転と言われますけれども、これは大蔵省の亘理君が書いたものですよ。主計局の調査課長亘理君はこの「金融」という雑誌に、これは昨年十二月号です。国と地方との間の財政関係の調整について述べていますが、こう言っているんですよ。「両者はともに公経済の担い手として同じように健全であることが必要です。その点でかって窮乏の叫ばれていた地方財政交付税率の相次ぐ引上げなど国の支援もあずかってその内容を著しく改善し、たとえば公債依存度を見ても国の約一六%に対して地方は本年度五%弱の見込となっています。したがってこうした両者の実情に応じて財政面における適宜の協調支援が図られてよいでしょうし、」と、こう述べている。これが大蔵大臣がさっき言われたことだと思うのですね。ところが、なるほど黒字が少しふえてきているのは事実なんです。それはさっき言ったように、都道府県の決算を見るとそうなんですよ。三十九年が歳出規模に対する実質収支の黒字額の割合が〇・五%、四十年〇・八%、四十一年一・二%、これから見ると多少は好転している。しかし、過去から見ると、昭和三十五年は三・八なんです。三十六年が三・〇、三十七年が二・〇、三十八年が一・二なんですよ。過去三十五年からずっと悪化してきたんですよ。したがって、三十八年のところへ到達したと、こういう状態であって、これを好転と言っていいかどうか、これは問題だと思うんです。それから、もう一つは、国と地方との実質剰余金の比較、これは財政制度審議会の出した資料で見たわけですけれども、実質の剰余金の国と地方との比較を見ますと、国は昭和三十五年ごろは純剰余金が非常にあったわけです。三十五年が千七百六十三億、歳出に対して一〇・一%、三十六年が三千八百七十八億もあった。それで、歳出に対して一八・一%、三十七年が三千三百八十七億、歳出に対して一三・二%、ところが、三十八年以後はどんどん純剰余金は減ってしまいまして、四十年は七十四億しかないんですよね、歳出に対して〇・二%、四十一年が五百三十九億で、歳出に対して一・二%ですね。国は剰余金があると、こんなにあったときはどんどんこれを使っちゃっているんですよ。どんどん使っちゃって、そうして地方自治体のほうの剰余金を見ますと、これは三十五年が歳出に対して五・九%が、四十年三・二%で、ずっと下がってきております。大蔵大臣は、国に余裕があるときは地方自治体を助け、国が困っているときは地方自治体が助けると言っていますが、これまで国は剰余金がたくさんあったときに一体地方自治体を助けたかというのですよ。どんどん剰余金を使っちゃっているでしょう。どんどん使っちゃっていて、そして財政硬直化になったので、そこで地方財政にしわ寄せすると、こういうような経過になっているんですよ、大蔵大臣、形式から見まして。ですから、地方財政が好転したと言われますけれども、その好転の内容、状態も調査し、また、こういう、何と言うんですかね、財政の計数によって好転したとかしないとか、そういう判断を下すべきじゃなく、さっき自治大臣も言われましたが、地方行政の水準ですよ、それが住民にどれだけのサービスを与えているか、かりに黒字になっても、住宅が不足であり、それは何も仕事をしなければ黒字になるんですよ、地方自治体は。ですから、黒字になっても余裕があるとは言えないから、多少かりに赤字になっても、地方住民に十分なサービスをしてやる、住宅問題も解決する、保育所の問題、上下水道の問題、道路の問題、そういうやっぱり行政水準の内容との関連で考えるべきじゃないかと思うのですよ。その点、安易に国の財政の硬直化を地方財政にしわ寄せをするといいますか、そういう考え方であるように思うのですが、その点、大蔵大臣、どうなんですか、それがこの法律との関連で一番問題であると思うのですけれども
  66. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただいま言いましたように、行政水準が問題でございますので、それとの関係で余裕があるかないかということが言えるので、ですから、余裕があるというような言い方は、私は不適当だというふうに思っております。過去において国は地方にどうしたかといいますと、さっきも申しましたように、地方財政が困るときには交付税の税率を上げるという措置をとってきたことが一つと、それから、補助率を引き上げるというふうなことをやってきたため、現在でいいますというと、大体国民の負担の七割が実質的な地方財政、三割が国の財政というふうに、国民負担は大体七、三ということになっていると思います。ですから、そういう意味におきまして、過去において国が地方のために国の余裕をさかなかったというようなことは言えない。方向としては、地方のために国費の配分というものがどんどん変わって、地方に非常に重くなってきているのが現状だというふうに考えていいと思います。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだほかの委員の質問もあるようでございますので、私は、最後に大蔵大臣に伺いたいのですが、これはまあ国の財政との関連地方財政という問題になるのですが、大蔵大臣、総合予算主義をとっておって、これはむしろ総合予算主義のほうが財政運営を硬直化させるのじゃないか、こういうふうに考えているのですがね。さっきも、最近経済情勢が非常に激動している、そういう場合に、当初予算予算はそっくり組んじゃって、あとでこれを調整しないということになると、むしろ固定化し、硬直化してしまうのじゃないか。むしろ経済情勢の変動に応じて補正予算を組むなり、あるいは人事院の勧告に従って補正予算を組むということのほうが弾力的に運用ができる。財政法の二十九条はなぜ補正を認めたか、そういうところにあるのですよ。ですから、私は非常に問題じゃないかと思っておったのですが、これは地方財政についてもそういう総合予算主義をとるのかどうか、これは最後に伺いたいのですが、私はそれは誤りだと思うので、財政法二十九条は何のために設けたか、その点を最後に伺って、私の質問を終わります。その点、大蔵大臣、いかがですか。
  68. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この四十二年度におきましては、補正予算のときに私どもは一定の財源の見積もりをいたしましたが、やはり少し不足を来たしました。補正予算で予期した税収入というものが得られなかったということから見ましても、この四十三年度においては、途中でいろいろの補正要因が出てまいりましても、これに対処できる財源の増加というものは見込まれないというのがことしの実情でございますので、したがって、こういう事情を前にした予算の編成ということになりますと、あらかじめ考え得る財政需要というものは、一応全部これを網羅して当初予算で編成するということをとらなかったら、これは年−度の途中においてどうにもできない問題が起こるということでございますのでこういう方法をとったことでございまして、もしこの総合予算主義をとらなかったら、本年度途中において人事院の勧告がきようと災害が起ころうとも、これに対処する方法がない。したがって、そういうものに対処するための予備費というものを相当充実して当初予算に盛っておくという措置がやはり一番合理的じゃないかというふうに私は考えております。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方財政はどうですか。
  70. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 地方財政につきましては、国の補助事業の地域的な決定がおくれるというような事情もございまして、総合予算をとることは実情に合わないのではないか。したがって、自治省としてもそういうような指導はいたしておりません。
  71. 野上元

    野上元君 ちょっと関連質問。私は技術的な問題でちょっと一、二問質問したいのですが、この地方交付税の精算のやり方は、ここに説明書に書いてあるとおり、「所得税、法人税及び酒税の収入見込額の百分の三十二相当額に過年度の精算不足額を控除又は加算すること」になっておる、こういうふうに書いてあるわけですが、四十三年度においてはこの百分の三十二に相当する額から四百五十億円を差し引いたものを地方交付税として地方自治体に与える、こういうことになるわけですね。その場合、精算というものの基準はどういうことになるのですか。百分の三十二に相当する額から四百五十億を差し引いた額がいわゆる精算の基準になるのですか。
  72. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 精算いたします場合に、三税の金額が決算によって確定いたしますが、その確定しました金額に百分の三十二を掛けて四百五十億を引いたものと予算額との間に過不足があれば、それを四十五年度において追加し、あるいは減額する、こういうことになります。
  73. 野上元

    野上元君 四十四年以降はまたやり方が変わるわけですね。百分の三十二に相当する額にプラス百五十億を地方交付税として与える、こういうことになっていますね。その場合に、法律的に解釈すれば、この法によって算定された額が基準になって精算されるわけですね。ところが、四十四年度以降になると百五十億をプラスされているわけですね。そのプラスされた額はこの法による算定の基準額になるのですか、あるいは百分の三十二そのものが算定額の基準になるのですか、どちらが基準になるのですか。
  74. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) それは三税の決算額の三二%があくまでも土台になりますから、四十五年度について申しますと、四十三年度の三税の税収の百分の三十二から四百五十億を差し引いたものと、それから、四十三年度の予算額との間にかりに百億差があったとしますと、その百億は当然四十五年度に加えるわけです、予算額に。それから、四百五十億の三分の一、百五十億は四十五年度の予算に当然加える。これは四十五年度の三税の税収見積もりの百分の三十二にその百五十億を加えるということになるのです。ですから、それは四十五年度の交付税のプロパーの金額になって、それに四十三年度の精算の結果に基づくところの交付税の増額、いまの例で申しますと百億円がさらに乗っかる、こういうことになるわけです。
  75. 野上元

    野上元君 そうしますと、よくわからないのだけれども、皆さんおわかりかどうか。四十三年度は、一つ一つまとめて言えば、見込み税収額の百分の三十二に相当する額が、本来ならば地方交付税として与えられるべきですね。ところが、この特別措置によって、それから四百五十億円を差し引いたものが地方交付税として与えられる。そうすると、それは四十四年度にいった場合には、その精算の基準になるものは、あくまでも法に基づいた百分の三十二相当額が精算の基準になるのか、その法に基づいた百分の三十二に相当する額から四百五十億円を引いたものが四十三年度に与えられておるわけですから、それが精算の基準になるのか、その点がはっきりしないのですね。
  76. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) それは四十三年度の交付税の額は、四十三年の三税の税収見積もりの百分の三十二から四百五十億を引いたものになっておるわけです。そうして四十三年度の決算の結果、三税の税収が確定するとしますと、その確定した三税の税収額に百分の三十二を掛けたものから四百五十億を引いたものがその四十三年度のあるべき交付税の額になるわけでございますから、その額と、先ほど申しました予算額との間に差額が出れば、それを四十五年度予算において加減をするということになるわけです、翌年度以降でございますから。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどから木村さんがずいぶん詳しく質問なさいましたから、私はダブル面を除外して質問を続けたいと、こういうふうに考えます。しばらく質問をやりたいと思います。大臣、ぼくすわったままでやるから、大臣もすわったままでけっこうです。  国と地方公共団体財政の基本原則、こういう問題で少し大臣に質問したいのですが、言うまでもなく、憲法九十二条は「地方公共團体の組織及び運営に關する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と、こういうふうに規定しておる。また、地方財政法第二条二項には「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」こういうふうに規定しておるわけですね。さらに、地方交付税法第三条二項でも、「国は、交付税の交付に当っては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」こういうふうに規定しておるわけです。法律でちゃんとこういうふうに規定されておるのですが、これらの規定が地方財政と国との関係の基本だと、こういうふうに私は理解するわけですが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか、この点は。
  78. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そのように考えます。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ほんとうに間違いありませんね。——ところが、今後成立しました地方交付税法、これでは附則り六項で、四十三年度に交付する地方税の総額から四百五十億円を差し引いて、七項で、四十四年度から四十六年度の三年間に百五十億円ずつ加算すると、こういうことになっておる。いまもその問題が問題になったわけですが、そうしてこれを受けて、本法案でも附則の二十二項で同様の規定をしておる。これも大臣御存じのとおりだと思うのですが、これは国が条件をつけて四百五十億円減額させて、地方公共団体が当然住民のために使うべき費用を制限させたことになると私は考えるわけですが、なぜ四百五十億円減額させたのか、その根拠をひとつ伺っておきたいと思います。
  80. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 地方交付税法の第三条第二項の「国は、交付税の交付に当っては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」という規定の趣旨は、これは毛頭今回の措置によってもそこなわれているわけではないのでございまして、地方団体に交付すべき交付税の総額について、今回四十三年度についてその三税の税収の百分の三十二から四百五十億を引いたという措置をとっているにすぎないわけでございますから、その交付税を交付する際には、何らこの地方交付税法の第三条にございますとおりに、条件をつけたり、その使途を制限したりしてはいないわけでございます。
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だって、四百五十億を差っ引くという条件をつけているんじゃないですか。それはあなたの言うのは少しおかしいじゃないですか。やはりこれは条件をつけたり使途を制限したりしてはいけないということがこの第三条でいわれているのですよ。ところが、四百五十億を差っ引くということになるんでしょう。これはこの第三条の精神に明らかに反するんじゃないですか。四百五十億差し引かれるということは条件でしょう。四百五十億を自治体が引かれたら、やはり自治体の使途の問題に関係してくるんじゃないですか。
  82. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) これはあるいは交付税法解釈でございますので、自治省から答弁いたすのが適当かもしれませんが、この使途を制限してはならないという交付税法の趣旨は、これは御案内のとおり、交付税の配分額を出す際には、各地方団体ごとに基準財政需要額と基準財政収入額とを算定いたしまして、その差額を交付するということになっております。その際に、基準財政需要額の算定は、たとえば土木費について、河川費の計算は、河川の延長を測定単位として、単位費用はこれこれというふうに、こまかい積算の基礎がございます。しかしながら、そういうような基礎に乗って算定をして配った交付税について、その交付税を、たとえば基準財政需要額の算定にあるように、河川費に幾ら使えとか、あるいは教育費に幾ら使えとか、そういうようなことを国が指示してはならぬ、言ってはならぬということで禁じている趣旨でございますので、それは当然今回の措置と相矛盾するものではないと、かように存じております。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういう解釈もそれはできるかわかりませんけれども、しかし、何じゃないですか、四百五十億差っ引くということは、結局結果的に使途の制限や条件がつくことになってくるんじゃないですか。表面はそういうふうな条件はつけていないといっても、四百五十億差っ引くということの結果、やはりそういう状態が起こってくる。で、条件をつけたり使途を制限したりすることと同じ結果がこの四百五十億を差っ引くということによって生まれてくるんじゃないですか、どうですか。自治省の見解も聞いておきたいのです。
  84. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 交付税法の三条の規定は、いま大蔵省のほうから御答弁がありましたように、個々の地方団体に交付する場合に、その自主性をそこねるような条件をつけたりしてはいけないということでございまして、総額はこの地方税法の第六条によってきまっておるわけでございますから、その六条の特例を設けたのでありまして、三条の精神と相いれないことはないだろうと思っております。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 では、この四百五十億減額したその根拠は、先ほどから木村さんの質問の中でもいろいろ出てきましたが、要するに、大蔵大臣地方財政に余裕ができたんだとは言わぬけれども、余裕ができたようなことなんですが、地方自治体としては四百五十億差っ引かれて、今年の財政上非常な困難がくるというようなことはないんですか、どうですか。
  86. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、ことしの国の置かれました——国といいますか、地方団体も含めまして、日本国の置かれました経済環境というようなものにかんがみまして、まあ本来からいえばやりたい仕事はたくさんあるわけですけれども、他のそういった財政政策的な見地からこれを抑制していこうということで国の予算の編成方針ができているわけでございまして、そういうことに対して地方団体としても全く無縁であるということではなかろうと思いまして、したがって、もちろん個々の事業の中身において非常に急いでやらなければならぬもの、あるいは長期的な計画に基づいてやるものというものについては、かなり仕事をやるという前提であっても、まあ国の公共事業が減ったというふうなことからしまして、地方団体としては今年度財政運営に困るようなことはない、かように考えております。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 自治省大蔵省と非常に謙譲の美徳を発揮しているような答弁が両方からなされるわけですが、もう一ぺん自治省に質問したいんですが、地方公共団体が国の財政困難に協力して四百五十億を減額しなければならない理由が、国と地方公共団体財政の基本的関係を定めている法律のどの条文にあるのか、自治省に伺いたいと思います。
  88. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) これは的確にどこの条文において規定しているというわけではございませんけれども、同じ国といい、地方といいましても、国民は一つでございますから、その福祉のために仕事をやっていく場合に、今年度においてどれだけのことをやるかということは、やはり将来のことも考えてやらなければならないわけでありまして、そういう観点からいろいろな財政の仕組みができているわけでございます。そういう全体的な判断から、この際、国の政策に協力する必要があるだろう、こういうように考えております。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 法的根拠は何もない……。
  90. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 法的根拠というよりも、全体的な前提になっている考え方であろうと思います。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、自治省の考えと大蔵省の考えで、法的に何も根拠はないけれども、とにかくこういうことをやるんだ、やっていくんだと、その結果、要するに、地方自治体の人たちが迷惑を受けても、自治省大蔵省の考えでやれば何でもやっていっていいということなんですか。大蔵大臣、どうなんでしょうか、この点。
  92. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ごもっともな御質問で、そのためにこういう措置をとりたいがというこの立法をいまここに出してお願いしているので、これをよろしいといってこの法律が通れば、それによって大蔵省自治省がこの措置をとれるということでございまして、この立法的な根拠を与えていただきたいという意味でいま御審査を願っている、こういうことです。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ私たちはこういう法律に反対する立場で質問しますからこういう質問が出てくるのですが、だから、私たちは、できればこういう地方自治体の住民に迷惑をかけるような法律は粉砕したいと思っているのです。その立場で私は質問するわけです。だからわれわれは意見が違うわけなんですがね。そこで、私は質問したいのですが、四百五十億というのは、大蔵省の会計から見ればたいした金でもないとおっしゃるかもわからぬし、自治省の考えでもそういうような考えがあるかわからぬけれども、やはり四百五十億という金は、地方住民のためにこれを使うならば、私は相当なことができる金だと思うのですよ。  そこで、大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、あるいは大蔵大臣はそれは国の問題じゃないからとおっしゃるかもわかりませんけれども大蔵大臣はことし所得税の減税をなさいましたね、要するに、課税最低限の引き上げをやられたですね。十万円を引き上げて、去年の七十四万円からことしは八十四万円ですか、上げられた。そこにはそれ相当の私は理由があると思うのです、大蔵大臣なりに。私たちはまだこれでも足りないと思っていますけれども大蔵大臣には大臣なりに理由がある。ところが、大蔵大臣に率直に伺いたいのですが、国の所得税の課税最低限が八十数万円というふうに上がっているのに、地方の住民税の課税最低限が五十三万円ですね、三十万円の開きがあるわけですね。一体、これに対して大蔵大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。地方の住民税の課税最低限は五十三万円でけっこうだと、国の所得税の課税最低限は八十四万円でしたら、それとどう考えても私は見合わないような感じがするのです。地方のことはおれは知らぬというのじゃなしに、大蔵大臣として、この住民税の課税最低限の五十三万円というものが妥当かどうかということをひとつ伺っておきたいのです。
  94. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 所得税と住民税は税の性格が違いますし、一定地域に住む住民の応益負担というふうな意味が地方住民税でございますので、必ずしもこれが国の所得税と歩調を合わせなければならぬという性質のものではないというふうに考えております。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは大蔵大臣、性格は違っても、国民の、住民のふところから出る金には変わりはないですよ。私はこの間自動車に乗ったのですよ。それで運転手さんに所得税はどうだと聞きましたよ。そうしたら、所得税は、毎年不十分ながら減免措置がとられるので、所得税は少しずつ下がってきましたと、こう答えました。ところが、先生、所得税は下がってくるけれども、住民税はだんだん上がりますよと、私どもは住民税七、八万とられます。一体これはどういうことですか、こう言うのです。大阪は特に高いのか、こういうのだったら、私は住民税の低いところに引っ越さなければならぬ、これ何とかならぬものですか、こういう質問を私は自動車の運転手さんから受けたわけなんです。運転手さんの言うとおり、ずいぶん不合理があると思うのですよ。所得税は年々少しずつ下がっていくと、これも私に言わしたら少し手品みたいなことですけれども、運転手さんはそう率直に言っているんですよ。大臣は所得税をどんどん下げていこうというのに、逆に、住民税はどんどん上がってくる。これは少し私はおかしいじゃないかという気がしたわけですよ。
  96. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは昨年も私どもはお約束みたいなことをしましたが、今年度は住民税の課税最低限を上げるということは申しましたが、今年度は、御承知のとおり、最低限を上げました。これは国民の所得が上昇するに従って、課税最低限が低いと税の負担感が非常に強くなるということでございますので、これはやはり国民の所得水準に対応して調節していくことが必要であるというふうに思って今年度はやりましたが、今後もできるだけ国税との差額のないようにしていくことが、これは理想でこざいましょうが、地方の財政ということから考えますというと、これは固有の財源でございますので、そう簡単にいかないで、いままでは税率との開きが相当あったのでございますが、今後できるだけこの差を縮めるような方向で、課税最低限を上げるという仕事を、今後やはりそういうふうに努力することが必要だというふうに思っております。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまも大蔵大臣もおっしゃいましたが、やはり所得税の課税最低限と住民税の課税最低限とが幅を縮めて、将来同じ程度にすべきものだという意見だと思うのですね。大蔵大臣、私もそうあるべきだと思う。大蔵大臣も、所得税の課税最低限を上げるには一つの理由があるわけです。その理由を住民税、地方税に引用したら、当然私は地方税の課税最低限も、所得税の課税最低限が上がると同じようにしていくべき性質のものだと、私はそう思う。おそらく大蔵大臣もいまおっしゃったのはその意見じゃないかと思うのですね。ところが、そうなっていない。それじゃどうしたら地方財政がまかなえるかといえば、先ほど自治大臣もおっしゃったが、やはり国民のふところから出る金だから、それを三二%というのじゃなしに、そのパーセントをもっとふやして地方財政のほうへも金を回してもらいたいというような御意見だったと思うのですが、私もそうあるべきだと思うのです。ところが、いまの四百五十億円というのはそれと逆行する形をとっておると、こう私は思うのですね。所得税が八十四万円で、住民税が五十三万円の課税最低限でありますと、五十三万の課税最低限を五人家族に割りますと一人年に十万円ですね。十万円というと、月に割ると八千円程度なんですね。八千円というと、生活保護をもらっている人が東京では四人家族で月二万四千円ですね、そうすると六千円。そうすると、この住民税を払う人は、生活保護をもらっている人と月割りにしたら何ほどの違いもないのですよ、一人前月八千円程度の所得のある家族は住民税を取られちゃうわけです。これはおかしいことだと私は思うのです。こういう無理な住民税の取り方の上に今日の地方財政というものが成り立っているというところに私は大きな問題があると思うのです。だから、実情は、お義理にも地方財政に余裕がありますというようなことは言えないわけですよ。地方財政はこういう無理なことの上に成り立っておるのです。だから、大蔵大臣もそのことを知っておるから地方財政に余裕があるというようなことはおっしゃらないのだと思いますけれども、しかし、どうも大蔵省自治省の見解が少しつじつまの合わぬ話が自治大臣大蔵大臣の話の中に出てくる。やはり大蔵大臣の頭の中には、地方自治はことしは四百五十億やらなくてもちゃんとやっていけるのだという腹がおありだからそういうことをおっしゃるのだろうと思う。そこで、私は、大蔵大臣に、こういう住民税がほんとうに妥当なものであるかどうか、こういうけしからぬ住民税の取り方の上に今日の地方財政というものが成り立っておる。じゃどうしたらいいのかということを私は大蔵大臣に、もう一ぺんはっきり大蔵大臣の方針ですね、それを伺っておきたいと思うのです。
  98. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま言いましたように、住民税というものと所得税の性質は違いますので、やはり住民税は一定地域から恩恵を受けている住民としての負担でございますので、これはなるたけこの負担は軽くして、広く負担してもらうというのがやはり住民税のあり方であるというふうに私は考えます。したがって、できるだけ負担を軽くするために課税最低限というようなものもだんだんに上げていくということは必要だとは思いますが、所得税と同じような考えで、これが必ずしもその最低限を同一にしなければならぬとかいうふうには私は考えていない。できるだけこれは住民税を納める人が少なくなるようなほうがいいというのではなくて、むしろ住民税の性質というものは、軽く広く住民が負担するということのほうが住民税の本旨に合うことだと思いますので、そういう意味において、所得税と同じような考え方をする必要はないというふうに考えております。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは、大臣、日本の国民なら、だれでも所得税を払って生活の困らないような、それだけ十分の所得がほしいのです。それだけの十分の所得があって、物価がこんな値上がりさえしなければ、日本の国民は所得税を払うことは反対しないでしょう。そうじゃなしに、所得が少なくて、それで所得税が高いからみんな文句を言うのです。物価が高いから文句を言うのです。住民税だって同じことですよ。住民として住民税を払うのがいやだということを言う人はないと思うのです。所得と比較して非常に住民税が高いから、だからみんな文句を言うのです。自動車の運転手さんの文句もそこにあると思うんです、私は。それを、そんなことをほうっておいて、そして、大臣、もっと住民税を払えるだけの十分の所得をよこせ、所得税を十分に払えるだけの所得をわれわれに与えろといわれたらあなたどうするのですか。物価の値上げを何でこんなにするのだ、物価を引き下げなさい、こういって国民が要求したらあなたはどう言って答えるのですか。一方でそんな無責任なことを言っちゃいけませんよ。やっぱり政治家として責任のある答弁をしなくちゃいけないじゃないですか。むちゃな答弁じゃないですか。
  100. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから軽く広くと言っているので、重く取れと言っているのじゃなくて……。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵大臣、もう一ぺん答えてください。
  102. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 住民税というものはなるたけ軽く広く負担すべき税金だというふうに考えております。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その軽く広くということはけっこうですが、その軽く広くの背景には、やはり住民がだれでもたくさんの収入があるように政治をしてからでないと、軽く広くと言ったって、いまの運転手さんは大体月収四万から五万ですよね。その人が年に七万も八万もするような住民税を取られるということは、これは軽く広くということには当たらぬわけですよ。やはり狭く重くといいますか、そういう形にいまなっているのです。そういう無理な住民税の取り方の上に今日の地方財政が成り立っておる。それをことし四百五十億大蔵省は減額するというところに私は問題があるということを言っておるのですが、この論議はこれで切りますがね。  それから、先ほど社会党の委員の方から質問がありましたが、ことし四百五十億切って、そして来年から百五十億ずつプラスしてそれを返していくというのですが、来年は四百五十億というのはもう削減しないのですか。
  104. 水田三喜男

  105. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 委員異動について御報告いたします。  本日、林屋亀次郎君が委員辞任をされ、その補欠として横山フク君が選任されました。     —————————————
  106. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) 四百五十億の減額は四十三年度の措置でございます。四十四年度はそれはございません。
  107. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、来年は四百五十億——かりにですよ、来年も四百五十億生きるとすると、四百五十億プラス百五十億で六百億ということになるわけですね。ことしよりも少なくも六百億はふえる、こういうことですね。
  108. 相澤英之

    政府委員相澤英之君) それは四十三年度との比較で申しますと、三税の税収見込みが減らない限り、おっしゃるとおりでございます。
  109. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうですね。そうすると、何ですか、ことし四百五十億減らさなければならない理由というのは財政硬直化にある。これは大蔵省の方が書いていますから、そのとおりに、ここにこの「財政金融統計月報」に村上孝太郎君がちゃんと書いております。ここにぼくは赤線を引っぱって読んでおりますが、財政硬直化の原因があるということをちゃんと書いているのです。これは大蔵省の役人です。だから財政硬直化一つの大きな原因があるということは確かなことだと思う。来年度はそういう措置をしないで、逆に百五十億ふやして、少なくもことしよりは六百億ふえるということになるんじゃないか。これはおかしいじゃないですか。来年は財政硬直化が非常に好転していくというはっきりとした見通しのもとに立っているのですか、どうですか、そこを聞いておきたい。
  110. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それですから、先ほどから私が言っておりますように、今回の措置は短期の年度間調整という意味を持っているものであるということ。それから、なぜこういうことをしたかといいますと、さっきも言いましたように、国と地方の財政実態を比較いたしますと、地方財政のほうが七の比率で、国の財政のほうが三という、こういうことになっておりますと、国の財政で、いわゆる財政政策——フィスカルポリシーというものをとるというときに、七の地方財政が全然これに同調しないで、国と別の行き方をするということになりますというと、経済調整としての財政政策が非常に効果が減殺されるということになりますので、そういう意味からも、さっきいろいろ自治省から、あなたから協力ということを言われましたが、自治省も、国の今年度の国際収支を云々というための財政政策に地方財政もある程度のそういう方向の協力をするという意味をもって、この短期の年度間調整という意味をもって本年度四百五十億を減額して、次年度において次々に三年間でこれを加えるというような措置を両省で相談したということでございまして、財政硬直化のために四百五十億云々ということではなくて、その意味は、やはり一つ財政政策ということから考えられたものであるというふうに御了解願いたいというふうに私は思います。
  111. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連。いま大蔵大臣は、今度の四百五十億を交付税から引いて交付するという措置は短期的な一つの調整措置と言われたが、これは本年度限りでやらないのですか、今後はどうなるのですか。いまこの須藤君の質問しているのは、財政硬面化の一番の危機は四十四年度にある、こう見られての質問だったわけです。それで早目に四十三年度に手を打たなければならないということで、四十三年度に硬直化が強調されたわけです。一番の重要な四十四年にきてこれをやらないと、こういう地方交付税のいわゆる貸し上げ措置といいますか、そうなると、今後短期的な調整というものは何でやるのですか。大蔵大臣は短期調整短期調整といわれているが、一番重大なそういう意見の調整をやらなければならぬ四十四年度でむしろ百五十億プラスになっちゃうのです。そこが非常にわれわれよく理解できないので、二重に考えないと。その理解としては、四十四年度がたいへんだから四十三年度に手を打つというふうに理解しているのですけれども、しかし、一番本命の四十四年度の硬直化の重大段階にきて、むしろ百五十億よけい交付税としてやらなければならぬ。
  112. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、硬直化硬直化というのですが、これは一つ財政政策でございますので、もし本年度われわれが所期しているように、国際収支の均衡というものが、こういう予算編成方針によってうまくいったというようなときには、来年度においては、こういう今年のような引き締め政策というものはゆるんでくるでしょうし、問題は、今年度この財政政策を国も地方も歩調を合わせてやっているのだということでございまして、来年度まだ依然として国際収支が赤字で云々というような事態になりましたら、また来年度別個の政策を考えなければならぬかもしれませんが、いまのところ、いまの政府のやっている政策で大体国際収支の改善ということはできるということでしたら、来年において地方財政がことしよりも六百億円ぐらいのものがこれが加わるというようなことは別に心配する事態じゃないと思っております。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今後短期調整としては、こういう貸し上げ制度というのですか、こういうものは制度的に、今後そういう事態が起きたらこういう貸し上げ的な制度で短期調整としてやる、こういうことなんですか。
  114. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはいまそういう制度を考えてもいいじゃないかと私言ったのですが、まだそういう制度がございません。もしそういうことをやろうとしたら、今度のような立法でやるよりほかしかたがございませんので、これはなかなかむずかしいことでございますから、今後なかなかそう簡単にはできないと思っております。現に二年前にやはりこういう問題がございましたときには短期調整という意味ではなかったかもしれませんが、国から特別に交付税に四百八十億円増額して、国から地方へ増額するという単独立法で処理した例もございますので、今回もその例にならってとられた措置でございますが、今後年中こういうことをするかどうかということは、これはいま方針としてきめている問題ではございません。
  115. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵大臣、私はそういう点を心配していま質問したのです。来年国際収支も好転するとか、そんなこと私は甘いと思うのですよ。木村さんなんかどういうように考えられるか、私は甘いと思いますよ。かりにベトナムの戦争は平和状態になるとしますね。そうすると、もうこれはベトナム特需の十五億か二十億ドル近いものがなくなってしまう。そうすれば国際収支に非常なマイナス面が出てくる。もちろんそれは日本の国際収支にマイナスが出たからといって、ベトナム戦争を続けるというようなばかげたことは、これは一日も早くやめるべきことなんですが、あなたの考え方は少し甘いような感じがするのですがね。
  116. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いや、そうじゃなくて、昭和四十四年度は財政硬直化がもっと進むだろう、そういうときに、ことしより来年のほうがもっと硬直化するというときに、何で来年多い交付税を渡すというようなことをするのかという御質問でございましたから、硬直化という観念からこの措置をとっておるのじゃないのだ、やはり一つ財政政策としてこういう短期調整の措置を考えておるのだというのが私どもの考え方ですから、来年は硬直化するのに何だというのじゃなくて、来年度はことしのようなやはり財政政策をとらなくて済むかどうかという問題にこれはかかっておる。で、いまの政策が成功するのなら、来年六百億円くらいのものがことしより実質増額されるということを別に心配する事態じゃないということを言っているので、いまの政策が効果がなくて、来年の国際収支ももっとたいへんだというような事態になったら、これはまたその事態に対する新しい別の財政政策を来年考えなければならぬと思います。そういう場合に今度のような問題が起こるか起こらぬかというのは、どっちにしても、立法で国会できめていただくことですから、これはいかぬというならば政府は何を考えたってやれないことでございまして、かってにわれわれがやれる仕事じゃございません。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、さっき交付税が硬直化の原因であるということをはっきり言われたじゃないですか私に。しかも、大蔵省で出している文書にはっきり一〇%の当然増の中の三・一%が交付税による当然増である、だから硬直化の原因の中で一番大きな要素であるとはっきり書いてあるのです。そのための措置じゃないですか。ところが、そうじゃないと言う。ぼくはそうじゃないと思う。おかしいですよ。
  118. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはいま言ったように、経済の短期的ないろいろな動きに対して率を変えて、その率はもう変えられないというふうに積み重ねてきたということは、やはり硬直化の一つの原因をなすということは言えるだろうと思う。そのことと今回の措置を結びつける必要は私はないと思います。今回の措置は、硬直化だから四百五十億ことし削るのだというのじゃなくて、これは短期調整の意味の措置である。これと硬直化を結びつける必要はないということを言っておる。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省の出している文書ははっきり結びつけている。これは亘理君が書いている。硬直化対策として三つのことをはっきり出しているのですよ。一つは、受益者負担の原則によります公共料金の引き上げによって硬直化を打開する。第二は、地方財政の調整をするということになっているのです。第三が補助金の整理とか経費使用の効率化、これが第三。硬直化対策の三つを打ち出して、その中に地方財政の調整ということがはっきり出ているのです。その一環としてこれが出ている。はっきり書いてあるじゃないですか。大蔵大臣、そこをごまかそうとしても、それはおかしいですよ。それは関係がないないといっても、関係が重大ですよ。地方財政の犠牲において硬直化対策を打ち出しているというのがこの法律の根本的な趣旨なんですから、そこのところをずらされたらおかしいですよ。この焦点がずれてしまう。この法律の一番の重点、われわれが問題を審議している一番大切なのはそこなんです。国家財政の硬直化を地方財政の犠牲において行なうのがこの法律の趣旨じゃないですか。
  120. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) だから、硬直化のために今度のような措置をとったのだとするなら、あなたのおっしゃるとおり、来年もっと硬直化の傾向があるから、来年ももっと削れということになるはずなんです。ところが、そうじゃなくて、そういう意味での今度は措置をいたしました。硬直化とは無関係で、年度間調整を短期の調整という趣旨で今回のような措置をとるのだというのですから、そのかわり、来年度も同じようにもっとこういう措置をとれというのじゃなくて、本年度のとった措置は、次年度において今度は増額ということによって対処するというのですから、硬直化対策ということにおいて見たら今度の措置説明できないと思います。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 来年は国際収支が悪くないという大蔵大臣の見通しなんです。だから、そこが食い違ってくる。来年はそんなものじゃない、一番財政硬直化の本命だ、たいへんなことになる、こうわれわれは思っておる。大蔵大臣はそうじゃない、国際収支も好転して、来年は硬直化の本命じゃないように言われるから、そこで百五十億足してもいいというような御答弁になるわけです。だから、来年はむしろ今後もっともっと貸し上げなければならないような状況が見通されるのだ、私ども、そうなったらこれはたいへんじゃないか、百五十億プラスするのはおかしい。プラスしないで、もっと長く長期に借り入れない方針はおかしいじゃないか、こういうように質問しているのです。
  122. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だいぶこの問題で論議されましたから、まあここらで私はピリオドを打ちますよ。私は、大臣、むしろことしこういうものを出したのは、来年以後に備えての法的措置だと、こういうように私は逆に考えているのですよ。今度の四百五十億の減額措置ですね、これは百五十億ずつ三年間繰り延べというと、これは国の財政状態いかんによって交付税の額を増減できるという、こういう先例をつくるところに私はこの法案のねらいがある。自治省の人がおるならよく聞いておいてくださいよ。あなたたち、のんきに大蔵省に協力するんだなどと言っているとたいへんなことになるんですよ。もしこういう増減ができるなら、国の景気調整の協力という名目で国が地方財政を拘束し、地方団体の自主的な活動を抑圧し、地方住民の要求を押えつけることが今後もできるようになる。そういう意味で、地方自治破壊の新しいやり方として私どもはこれを重視しておる。こういうことを言い添えまして、私の質問を終わりましよう。
  123. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  124. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  125. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  126. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  127. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会      —————・—————