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政府委員(松島
五郎君) 先生御指摘のとおり、シャウプ勧告が出ました昭和二十五年の税収入は、
市町村が千百八十六億円に対しまして、府県税収入が六百九十七億円でござまして、その差が四百八十九億円、約五百億円
市町村のほうが多かったわけでございます。それが昭和四十一年度の決算で申しますと、府県税収入が九千百十二億円で、
市町村税収入が八千五百七十四億円でございますので、差し引きいたしまして五百三十八億円府県税収入のほうが多いという形になっております。御指摘のとおり、地方税収入中に占めます
市町村税と府県税のシェアは逆転をいたしております。そこで、歳入総額中に占めます府県税なり
市町村税がどういう推移をたどってきたかと申しますと、大体いまから十年前、三十年前後から今日まで、府県税収入は、全収入中の二九%から三一%、この間を上下いたしております。それに対しまして、
市町村税収入は昭和三十二年に四六%を占めておりました。ところが、昭和四十一年には三六%というふうに、毎年一%
程度ずつ下がってきているわけでございます。この原因はどこにあるのかということでございますが、
先ほど大臣からも申し上げましたように、シャウプ税制におきましては、
市町村税収入は、規模の小さい団体の収入でございますので、できるだけ収入に安定性を持たせるということを骨子にして構成されておるように思われるのでございます。そういう意味で、固定資産税及び
市町村民税を中心にして構成をされているわけです。そのうち、固定資産税につきましては、御
承知のとおり、評価の頭打ち等の問題もございまして、年々構成比率が低下をしてきております。昭和三十年当時に対しまする倍率が約二倍半
程度にしかなってないのでございます。それから、また、
市町村民税につきましては、重い重いといわれておりますけれ
ども、やはりこれに対しましては、昭和四十年度におきまして課税方式の統一をいたしましたが、昭和四十一年度におきまして課税最低限の
引き上げをいたしますとか、減税もある
程度やってきております。したがいまして、伸びがそれほど大きくないというのが実情でございます。一方、府県税のほうは、
先ほど申し上げましたように、相対的に
市町村税との比較ではその伸び率が高いのでございますが、それでも歳入総額中に占める割合はほとんど変わってないということは、歳出の総額とほとんどパラレルにしか伸びてないということでございまして、特に府県税収入が著しく伸びておるということには必ずしもならないのではないか、かように考えておるわけであります。
そこで、問題は、今後の
市町村税をどういうふうに考えておるかという問題でございますが、これも私
どももいろいろ検討はしておりますが、なかなかむずかしい問題がございます。と申しますのは、
市町村と一口に申しておりまするが、今日の事情は、御
承知のとおり、大都市とその周辺に異常な人口の集中がございます。一方、農山村においては人口はどんどん減っているという状態でございます。そういうところに
市町村税という、抽象的なと申しますか、一律な税制を考えましても、どうしても
市町村に十分な財源を与えるということを考えることが不可能に近い状態でなかろうかと思うのでございます。今回実施いたしました住民税の減税をとってみましても、町村の一人当たりの課税所得が、ちょっと古い資料でございますが、昭和四十一年度で二十三万円
程度でございます。それに対しまして都市が三十五万円
程度でございます。大都市が四十五万円
程度となっております。で、課税所得でございますから、控除した後の課税される所得でございますが、それがその
程度でございますので、そこで、課税最低限の
引き上げをするというふうなことをいたしますと、その影響は同じようにどこにも及びますから、町村におきましては納税義務者がどんどん減っていくという現象となってあらわれてまいります。逆に、かりに新しい税なり、あるいは増税なりというもの、あるいは税源の国税からの移譲ということをいたしましても、町村につきましてはほとんどそれによって潤うというところがないという形になって出てまいります。そういう点から申しまして、
市町村を一律に考えて、税制で財源
措置をしていくということは非常な困難があるのではないかというふうに考えております。そこで、やはり今日の非常に激動しております時代に対応していきますためには、
市町村、あるいは大都市、都市というようなものを中心にして税制を考えるべきかどうかということが
一つの
問題点であろうと思います。その場合に、いままでのような、単に安定性ということだけを中心に考えずに、やはり経済の発展、あるいは地域社会の変動というものにある
程度即応し得るような機動性を持った収入と申しますか、そういうものを考えていかなければならないのではないか。そういうものについて具体的にはそれではどういう税が考えられるかということでございますが、これもなかなかむずかしい問題でございますが、気持ちとしてはそういうような考え方で今後考えていったらどうかということで検討いたしておる段階でございます。