運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-25 第58回国会 参議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十五日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      西田 信一君     北畠 教真君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 北畠 教真君                 小林  章君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大谷 贇雄君                 西郷吉之助君                 徳永 正利君                 藤田 正明君                 野上  元君                 野溝  勝君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        厚 生 大 臣  園田  直君    政府委員        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        船後 正道君        国税庁長官    泉 美之松君        厚生政務次官   谷垣 專一君        厚生省医務局長  若松 栄一君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○連合審査会に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、税務署設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○国立病院特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、西田信一君が委員を辞任され、その補欠として北畠教真君が委員選任されました。     —————————————
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) この際、おはかりいたします。  現在、本委員会理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任いたしたいと存じます。  選任の方法は、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  4. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事北畠教真君を指名いたします。     —————————————
  5. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。
  6. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  7. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  9. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時人選等につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  10. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  12. 野上元

    野上元君 国税庁のほうにお聞きしたいのですが、との税務署設置をする基準というのを読んでみますと、あまりはっきりしないのだけれども、どういうふうになっているのですか。たとえばこの理由の中に述べられておるのは、管轄区域の広さの問題と、それから徴収決定税額の多寡と、それから職員数と、それからサービスと、まあこの四つか五つに分けてあげられておるんですが、これはどういう基準になっておるんですか。
  13. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 税務署設置と申しますか、もうすでにでき上がっている税務署について分割し、あるいは統合することをいろいろやっておるわけでございますが、まず分割基準から申し上げますと、一つはやはり職員定員数が非常に多くなりますと、一税務署長の管理する人員にやはり限度がございます。副署長とかいったものを設けまして、その管理能力を補うようにいたしておりますけれども、やはり非常に多数になってくるといろいろ困難が出てきます。それで定員の多いところを分割するというのが一つ基準でございます。もっとも、たとえて申し上げますと、いま定員が一番多い税務署京橋税務署でございますが、しかしこの管内は六平方キロメートルでございまして、非常に地域が小さいのでございます。これを分割することはもう技術的に非常に不可能である、こういったことから地域の小さいところでございますと、定員が多いからといって必ずしも分割できない。あそこは、したがって副署長を二人置きまして署長を補佐させていく、こういうことにいたしております。したがって、分割いたしますのは、面積相当程度多いということが基準になってくるわけでございます。それから徴収決定税額は、これはもうその税務署の性質によりまして、たとえて申し上げますと、いま一番徴収決定税額の多いところは麹町税務署でございますが、これは源泉徹収税額が各官庁あるいは大会社を控えておりますために非常に大きな金額にのぼります。定員はさほどなくてもやっていけますが、したがって徴収税額の多い少ないということは、必ずしも分割基準として明瞭ではありません。しかし、徴収決定税額が多いと、やはり源泉徴収とかいったような税額の多いときはそれほどでもございませんけれども、酒税であるとか、所得税であるとかいったような税額が多い場合には人手を要しますので、これはどうしても分割をしなければならぬ、こういった事情も出てまいるのでございます。  今回お願いをいたしておりまする札幌中の税務署でございますと、定員数は二百七十二名でかなり多い人数であります。その面積が八十四平方キロメートルでございまして、したがって、先ほど申し上げました京橋税務署の約十二倍の面積になっております。そういうことで札幌中の税務署は、最近御承知のように札幌全国各都市のうちで人口増加率が二位にあがっております。非常に発展いたしておりますので、分割をして札幌西税務署をつくりたい、こういうのでございます。  それから名古屋東が東区と千種区とあるわけでございます。千種区が最近地下鉄が通るようになったり、あるいは東名高速道路がそこを通るようなことで非常に発展いたしております。その面積が約四十四平方キロメートルという状況でございます。ここを分割したい、こういう考えを持っておる次第でございます。
  14. 野上元

    野上元君 そうしますと、先ほど私が申し上げましたような幾つかの要因をいろいろと検討をして、ケースバイケース分割したり増設をしたりと、こういうことですか。
  15. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) さようでございます。主として人員とそれから管轄区域内の面積、それにどういう税種目税額が多いか、この点でございます。
  16. 野上元

    野上元君 そうしますと、基準としては一つだけできまるということではないわけですね。たとえば管轄区域があまりにも広すぎるからという一つだけで分割するということはない、あるいはまた職員数が多いということだけできめることもない、あるいはまた決定徴収税額の高が非常に大きいからということだけでこの分割決定するということもない、これらの三つか四つ要因を合わせて検討し、ケースバイケース決定をしていく、こういうことですね。
  17. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) さようでございます。
  18. 野上元

    野上元君 そうしますと、税務署の数というのはいま全国で幾つあるのですか。
  19. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 四百九十九税務署がございます。
  20. 野上元

    野上元君 毎年伸び率というのはどれくらいですか。
  21. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 税務署は御承知かと思いますが、明治二十九年十一月に税務署制度ができ上がりまして、その当時全国に五百四税務署があったのでございます。その後まあいろいろ変遷を経ておりますが、戦後は大体五百四の税務署があったわけでございます。最近御承知のように、交通が非常に便利になりましたので、大都市のほうでは納税対象者増加いたしますので、大都市税務署分割いたしますが、地方税務署はだんだん納税者交通上の不便が少なくなりましたので、それを統合いたしております。たとえて申し上げますと、昭和三十八年以降今日まで、すでに十九税務署を統合し、十四の税務署分割いたしております。したがって先ほど申し上げました五百四十の税務署がネット五税務署減りまして、四百九十九の税務署になっておるわけでございます。さらに本年二税務署を、ここに承認お願いいたしておりますように分割いたしますと同時に、四税務署を廃止する予定でございますので、本年そういうことをやりますと、四百九十七の税務署になる見込みでございます。
  22. 野上元

    野上元君 国税庁から見て、サービスの面で検討を加えた場合に、四百九十九で十分にカバーできる、こういう見方ですか。
  23. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 私どもからいたしますと、現在の税務署数でけっこうだと思っておりますが、ただ税務署事務量増加が激しい大都市におきましては、今後もなお税務署分割してまいらなければならない事態が生じてくるものと思います。しかしその場合には、やはり地方税務署で、先ほど申し上げましたように交通がだんだん便利になってきて、納税者の方にあまり御不便をおかけしなくても済むような地域がございます。そういった税務署はやはり今後も廃止をしていく、こういう努力を続けていきたい。したがって総数といたしましては、現在の税務署数をふやすということにはならない、こう思っております。
  24. 野上元

    野上元君 銀行が非常にふえてきますから、常識的に考えると、税務署の数がふえても一向ふしぎではないと思うのですが、たとえば郵便局であるとかあるいは電報、電話局であるとか、あるいは駅であるとか、こういうものは人口に比例してだんだんふえていっているのだが、税務署のほうはむしろ交通が便利になったということで減少の傾向にあるということなんですが、これは非常に特異な現象だと思います。そこで聞きたいのは、数は減らしても、なおかつ国民に対する、納税者に対するサービスが低下しないというのは、職員の数なんかで能率をあげてカバーしておるのですか。その職員の数の変遷をちょっと教えていただけませんか。
  25. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) さようでございます。職員数をある程度ふやしていくことと、それから内部事務を合理化いたしまして、電子計算機を導入いたしまして、内部事務人手を要しないで機械化していく、こういうことによって救っておるのでございます。ただ、人員の点は別途定員法お願いいたしておりますように、定員のほうはやはりある程度今後ふやしていただきませんと、なかなか納税者数がふえてまいりますので、ことに、この十年間で、御承知だと思いますが、所得税納税者は約倍になっております。法人数が約八割四分程度ふえております。そういうことからいたしますと、職員数はふやしていただかないと、なかなかサービスを十分にすることはできないということになってまいります。
  26. 野上元

    野上元君 簡単に二、三年の、あるいは四、五年の職員数変遷を教えていただけませんか。
  27. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) そういう面から申し上げますと、実は定員増加はきわめて微々たるものでございまして、昭和四十年に二百名ふえまして五万一千百五十一人になりました。その後ずっと増員がございませんで、今度定員法お願いをいたしておりますのが、いまの五万一千百五十一人に百八名ふやしまして、五万一千二百五十九名にすると、こういうことでございまして、十年前もやはり五万人台でございまして、この十年間に約一・六%しか定員はふえておりません。
  28. 野上元

    野上元君 実は私はそれで心配しておったのですがね。税務署の数が減っていくということは、いかに交通が発達しても、発達した地域はいいでしょう、比較的ね。いいと思いますが、しかし、いなかのほうへいくとそんなに発達もしていないのですが、そういうところは依然として同じ状態であり、かつまた職員もこれを見るとそんなにふえていない。コンピューターを入れたからといって、すぐにサービスが改善できるというふうにも考えられないということを考えますと、納税に対する国民の何といいますか、批判というものが出てきやせぬかという心配があるのですが、その点は自信をもっておやりになれるのですか。
  29. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) その点は確かに問題でございまして、職員労働が非常に強化されてきておる。したがって、まあ病人の発生が相当多いということを先般も戸田委員にもお答えいたしたのであります。私どもといたしましては、納税者が倍になったから定員をその割合にという必要はないのでございますけれども、しかし、いまの十年間に一・六%、片一方の納税者が倍になっておるということでは、非常に仕事の上ではやりにくいというのが実情でございます。
  30. 野上元

    野上元君 それならば、あなたのほうでも自信のある増員要求をされるのが義務じゃないですか。大蔵省だからといって遠慮されたのですか。
  31. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 毎年実は定員要求を約二千名近く要望いたしておるのでありますが、毎年削られるというような運命にありまして、私の力のないのを非常に残念に思っておる次第であります。
  32. 瓜生清

    瓜生清君 いま四つ税務署を閉鎖するとおっしゃいましたが、どことどこですか、予定地は。
  33. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは本件とは実は別のことでございますが、一応私ども予定いたしておりますのは、札幌国税局管内の渡島の税務署、それから仙台国税局管内鯵ケ沢税務署、それから名古屋国税局管内郡上税務署、それから広島国税局管内美作税務署、この四署でございます。
  34. 須藤五郎

    須藤五郎君 一税務署管轄区域人口と申しますか、それはどのくらいになっておりますか。
  35. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) いま正確な資料を手元に持っておりませんけれども人口の多いところで約三十万、平均いたしますと十三万程度が平均の税務署になっております。
  36. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは非常に基本的な質問ですが、一体税務署権力機関なのか、サービス機関なのかという点です。
  37. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これはなかなか非常にむずかしい問題でございますが、私は申告納税制度になりました今日におきましては、税務署サービス機関としての面が非常に強調されなければならない、こう思っております。昔の賦課課税制度時代でございますと、権力基づいて賦課するという色彩が非常に強かったわけでございますけれども申告納税になりますと、納税者がみずから自分の所得申告し、みずから納税する。したがって、それに対して税務官庁といたしましては、納税者がそういう申告納税をしやすいような状態にいろいろ納税者の相談に応じ、こういう納税者に知識を普及する、こういうことが非常に大切だと思います。しかし、そうかといって、それでは納税者がいいかげんな申告をしておる場合には、やはりそれを適正な課税標準額及び税額に更正して正しい納税をしてもらうようにつとめるのでないと、やはり国民全体の間の税負担のバランスが失なわれることになりますので、そういう意味ではある程度税務署というものは権力をもって更正、あるいは申告をしない人に対する決定する権限を持っている。そういう意味ではやはり権力官庁といいますか、そういった面はあると思います。しかし、やはり重きを置くべきは、申告納税制度のもとでは納税者に対するサービスを重視すべきではないか、こう思っております。
  38. 須藤五郎

    須藤五郎君 警察自体も、戦前警察は全く権力機関だった。戦後は民主警察だという看板でサービス機関だというふうにされてきたわけですね。ところが、最近の警察のあり方を見ていると、これは全く戦前に逆戻りして、いまや権力機関色彩が非常に濃厚になってきているのですが、税務署もやはりこれと同じような方向をたどっておるように私は見受けるのですね。これでは私はいかぬ。そのために、今日この税務署地方にできるということに対しまして、ほんとうのサービス機関であれば当然市民は歓迎すべきものだと私は思うのですよ。ところが、税務署ができるということは警察ができると同じように受け取って、いわゆるあまり歓迎されない向きが多いのですね。税務署ができるというと、地方人たちは皆いやがる。いやがって私らのところへ困るということを言ってくるが、どうも権力機関においがだんだん強くなってきておる証拠ではなかろうかと思うのですよ。それで私はよく民商の訴えを受けて税務署に行っております。そうすると、私たちが受けておる感じ権力機関においが非常にするのです。というのは、私は高崎税務署にも行きましたよ。そうしますると、共産党の須藤議員が来るというので、もう門前ピケを張っているのですね、ずっと。それで中へ入ってみると、中のテーブルはほとんどからっぽなんですよ。それで私は一喝したことがあるのですよ。君たちは公務員であって、仕事を放棄して門前ピケを張るとは何事だ、それじゃ職務怠慢ではないか、だから早くテーブルに戻って仕事しなさい、おれは何も乱暴にきたわけでもないし、おれは署長に面会に来たのだから、そんなばかなことやめろと、こう言った。この間向島税務署にも行きましたよ。やはりピケを張っているのですね、私が行くのに。これはまさに権力機関に成り下がっておると思うのですよ。こういう権力機関権力を利用して、それで納税者を弾圧して力で税金を取り立てようと、こういうふうに一般の人が考えているのです。ですから、私は税務署長に会うたびに言うのですよ。あなたたち民商を敵視しているけれども民商は決して脱税団体でも何でもないのだ。民商人たちはみんな税金を納めようという気持ちを十分に持っているのです。だからあなたたちもやはりそういう立場で民商を敵視するのじゃなしに、話し合って税金を納めてもらったらどうだ。税金というものはお互いに納得づくで納めてもらうことが私はたてまえだと思うから、民商を敵視して会うとか会わぬとか言って、そんな門前ピケを張るような、こんなぶざまなことはやめたらどうですかといつも言うのですが、どこの税務署名古屋でもどこでも、税務署に私が民商人たちと行くというとピケを張るわけなんですね。まさに権力機関に成り下がっている感じがしてしょうがないのですが、どうなんですか。ああいうことを何でやらなきゃならないのでしょうか。
  39. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) おことばではございますが、民商といわれる組織も全国でいろいろございます。また、その主張内容も必ずしも全部一律ではございません。ただ、お話のように話し合いで円満にというふうにはなかなかいかない方たちが多いのでございます。まあ過去の事例をあげるのは必ずしも適切ではないかと思いますけれども、過去の事例では、税務職員調査にまいりましたときに、調査妨害されて暴力をふるわれるとか、あるいは調査を拒否されてなかなか調査ができない。集団で調査にまいりました者を取り囲んで、暴力を加えないまでも、精神的に非常に威圧を加えるというようなことがいろいろ重なってまいっております。そういったことからいたしまして、おそらくその高崎税務署でも向島税務署でも、須藤先生がおいでになるからピケを張ったというのではなくて、そういう民商の方々が大挙して来られること、そして署内へ乱入されて署内の秩序が乱れてはいけないということからおそらくそういう措置をとったのかと思います。私としましては、民商の方も国の税については納税者としての義務はあるわけでございますから、その義務を適正に果たしていただく、そして税務調査については調査を妨害しないで協力していただく、こういうことによってお互い信頼感を持てるような状況に早くなりたいものだ、そういうことにならないと、いまのようにお互いに角を突き合わせておる状況は決して好ましいことではないと思っております。しかし遺憾ながら現状では、所によって違いがありますけれども、そういうふうに円滑にいかない場合がかなりの税務署であるわけでございます。こういったことは、はなはだ遺憾に思っておる次第でございます。
  40. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし、高崎の例をあげますと、そういう状態でした。それで私が一人で署長に会っていろいろ話を聞いて、ぼくが立ち会う限りそういうことは絶対にないはずなんだから、代表十人を入れなさいと言ったら、署長も了承して十人入れましたよ。それで十人に立ち会って十人にいろいろ話をさした。そうすると、いろいろ問題が出てくるのですね。一つの例をあげると、おっさんが中風で、おばさんはずいぶん年とった七十過ぎで、まんじゅう屋をやっているところへ非常にたくさんの税金がきた。その年寄り夫婦はこんな税金は払えないのだ、実際私たちこういう中風年寄りが商売をしておってどんなことができますかということで、それで私は本人を呼んできて会わしたのですよ。そしたら、その姿を見て署長もこれはおかしいと思ったのでしょうね。それで再調査をそれじゃいたしますということになって、それでその問題は解決した。  それからある人は、民商を脱会したら便宜をはかるというようなことを税務署の人が言ったというわけですね。そしたら言わぬと言うのですね、そういうことは。それじゃそういうことを言われた人、本人を呼びましょうと言ってその人を呼び入れた。そしたらちょうどその席に、そこに言いにきた人がいたのですね。君はこの間おれに言ったじゃないかというふうになっちゃったのですよ。それでどうもかっこうがつかないようなことになったのですがね。そういうときは私が立ち会って、そういうふうにちゃんとお互いに静粛に話し合って一つの成果をあげているわけです。だから、ぼくは民商の人があなたが言うように、過去にいろいろなことがあったとおっしゃいますけれども、もう今日そういうことはないのですよ。実際ないし、私たちが立ち会っておれば、そういうことは絶対にないということはわかっておってもなかなか会わさないのですね。やっぱし行って話し合うということは私は一番よいことだと思うんですよ。大体納税申告制でしょう。申告制という以上、申告そのものをあなたたちも頭から一から十まで疑ってかかるのじゃなしに、信用してかかるということがサービス機関の心がまえだと思うんですよ。それを申告制にせっかくしておきながら申告を頭から疑ってかかるのは、これはやっぱし権力機関においが私はふんぷんとすると思うんですね。権力というものはそんなものですよね。だからもう少し税務署の態度を改めてもらわないと、納税も円滑にいかない。私たち国会議員として、脱税反対ですよ。脱税反対です。ちゃんと納税をしてもらわなければならぬ。それでなければ国の財政というものは動きがとれないですからね。それは必要ですが、やはり税金はふんだくるということではなくて、話し合いによって納得させて納めさせるというサービス観念ですね、これがやはり税務吏員にも、税務署側にももっともっと必要なんじゃないかということを非常に私は感ずるわけです。  一つの例をあげますと、この間実は東京の商工団体連合会の幹部を三人連れて、私と松本善明という衆議院の代議士と行ったんです。東京国税庁へ局長に会いに行ったんです。ところが、局長は私と松本君には会うのです。私たちが立ち会って話し合いをしに行ったのにかかわらず、東京の民主連合会の幹部三人にはどうしても会わないのです。私たちが幾ら話しても、がんとして局長は会おうとしないのです。国税局長これはおかしいじゃないか、わずか三人ですよ。私らをまじえてわずか五人ですよ。秘書が一人ついておりましたけれども、わずか五人です。ところが、私たちはそんなことをすったもんだ言ってもしょうがないから、国税局長の部屋へ通りました。そうすると、この国税局長がまん中で、部下が五人ほどずっと左右に並んで、それで私たちは会うわけですね。そういうあり方というのは、どうもサービス機関感じが私はしないのです。権力機関という感じがふんぷんとするのです。泉さんは税務署の総大将だけあって、非常に民主的な考え方を持っていらっしゃる人だと私は理解しているのですが、しかし地方に行ったらそうではないのです。どこへ行っても。第一東京の国税局長自体がそういう態度です。一時間二時から三時までという約束で行ったら、一時間の間どうしても三人の代表に会おうとしませんでした。これははなはだ遺憾だと思うのですが、どういうふうに泉さんは指導していらっしゃるのか、どういうふうに今後指導していこうとしていらっしゃるのか、聞いておきたいと思います。
  41. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように納税者とよく話し合って、納税者所得状況、生活の状況、こういったものをよく知った上で課税をしていく、これは非常に大切なことだと私は思っております。ただ、私どもとしましては、多数の人たちが集団を組んで税務署においでになるというときに、その多数の人に全部お目にかかるということは適当でない場合がございますので、そういうふうに集団でおいでになったときにはお目にかからない、あるいは集団でおいでになっても、ごく代表の小人数の人だけにお会いする、そういうふうに指導いたしております。先生が東京国税局においでになったときの状況は、私は報告を受けておりませんけれども、三名程度であれば会ってもよかったと思うのでございますが、その点につきましては、局長に十分注意いたしておきます。
  42. 須藤五郎

    須藤五郎君 ここに東京国税局に対する申し入れ事項がたくさんあるわけです。泉さんの答弁いかんによっては、私はこれを一からずっと一々質問して伺おうと思ったんですが、そういうことをしなくても、泉さんが局長に言っておこうということですから、そういうことはしませんが、この申し入れに対しましては、どうか局長は親切に答えてもらいたいと思うのです。文書で答えてもらいたいし、それから今後は三人くらいの代表なら会ってもいいのですね、泉さん。そういうふうなことをしないで三人くらいの代表なら会うということですね。それをあなたから局長にひとつ掲示しておいてください。どうぜそのときには私たちはまた立ち会うかもわかりませんけれども、立ち会わなくても会うように指示してください。それで東京国税局長だけではなくて、名古屋へ行っても、私が行くというと、みんなにつかまって、苦情を聞いて、それで税務署へ交渉に行くわけですが、どこでも門を閉ざしているのですが、どうかそういうことのないように、三人や五人の幹部になら会っても差しつかえないことと思います。会うことが納税を円滑にすることだと私は思いますので、そういうことのないように、ひとつあなたから注意をしてくださるようにお願いしたいと思います。どうぞよろしくそういうふうなことをしてください。
  43. 柴谷要

    ○柴谷要君 実は二間ばかりお尋ねしておきたいと思うのです。  従来税務署設置という問題については、納税者の利便をはかるためにけっこうなことだというので、大して質疑もなしに大体法案を通していたのが慣例なんですよ。まあ私も今回もそのつもりで長時間審議しようとは思っておりませんが、ただ、税務署を回って見て、税務署職員からよく言われることは、納税件数がふえ、しかも金額が非常に高額になってきているのにかかわらず、職員数が依然として変わらない。一人のノルマというものが非常に高いものになってきておるので、何とかひとつ国会で増員の要求を認めてもらうように努力してもらえないかという声が圧倒的に強い。これはまあ特に集中した都市の税務署だけでなしに、地方税務署でも言うわけです。たとえば四国のほうに行ったときにも言われたことですが、どうしても都市のほうが増大をしてくるので、地方のほうを削減をして都市に集中させる、たとえば研修なら研修というようなことで東京に集めるが、その結果原署に復期するのではなくて、東京の税務署に配属をさせられる、こういうことで自然々々に定員の削減をされてきておるためにノルマが非常に多くなって困る、こういうことを言っておるのですが、このことについては長官はお認めになっておられるのか、現状ではやむを得ないとお考えになっておられるのか、これに対してまずお答えをいただきたい、こう思うわけです。
  44. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) その点につきましては、実は先ほども申し上げましたように国税庁全体の定員がなかなか増加できませんために、最近納税者の非常にふえております大都市人員を集中する必要上、地方税務署定員はだんだん減らしましてそれを大都市に移しております。その結果地方税務署では、ところによっては納税者数の減っているところもございますが、それは主としてあまり手数のかからない農業所得者が減ったのでありまして、そうでない申告所得税なりあるいは譲渡所得税はそう減っておりませんし、いわんや法人はふえておる。こういったような状況にございますので、地方職員をそれだけ減らしますと、地方職員が従来どおりの仕事をしようとすると、非常にきついことになってきておるのであります。しかし全体の職員の定数がふえません以上は、非常に納税者のふえたところで人員が少ないということでは、円滑な行政ができません。かなり無理をして地方から都会に人を集めております。そういったことでおそらく先生がおいでになると、地方税務職員からそういったことに対する不満の声が出てくるのだと思っております。私も全体の職員がふえてくれば、それだけ地方税務署の人に迷惑をかけなくても済むという気持ちは強く持っておるのでありますが、いかんせんなかなか定員がふえませんので、そのようないわば非常の措置をとっておる次第であります。
  45. 柴谷要

    ○柴谷要君 税務署というと一概にこわいところ、できれば税務署へは行きたくない、こういう気持ちがあるような風潮なんですが、私は税務署というところは大好きで、実を言いますと、まあここのところ十七、八年、毎年総合申告をしておるわけです。そのためにどうしても税務署に出かけて行くのですが、行くと非常に親切に教えてくれる。それは議員になったからということでなしに議員にならない前からです。一介のサラリーマンであったのですけれども、事業所が二カ所あったのでどうしても二カ所から少しもらっているということで、総合申告しなければならぬというので行くのですが、非常に親切にやってくれた。議員になってからも同様でありますけれども、その中でも特に何といいますか、頭に立っております税務署長さんの考え方によって署員のサービスというものが非常に違うということを感じたわけです。たとえば、これは名前をあげるのはどうかと思いますが、私がやっかいになっておるのは品川区に住んでおりますが、ここの税務署署長さんは非常に俳句がうまいのですね。俳句でもって納税の気持ちを誘うように税務署情報のようなものを出して区民に配っている。これを読むと、なかなかうまい俳句が載っているわけです。これを新聞などに出している。それから芦田何とかという俳優と同期生なんだそうで、この俳優などを一日署長に連れてきてサービスをしているというようなことも見るのですが、そういうやはり頭に立つ人が一般納税者の心理をよくつかみ、サービス機関であるということに徹してサービスに大いにつとめていれば、先ほど同僚議員の須藤さんの質問じゃありませんが、拒否するようなことはないので、むしろ進んで会って問題の解決に当たると、こういうようなことになると思うので、私は非常に悪い面ばかりでなしに、税務署もなかなかいい面もあるのだ、こういうことをこの機会に言っておきたいと思います。  税務署職員が先ほど申し上げましたように、増員されないでやっておるということについて、たいへんなどうも一日のロードがかかっておるということを考えますと、政府も真剣にこの面を考えなければならぬのではないか。特に私が国家公務員の関係機関の中で一番気の毒だと思うのは税務署と陸運局だと思う。自動車が非常にふえているのにかかわらず、陸運事務所なり陸運局の増員というものは全然なっておらぬ、ですから取り締まりもできなければ免許その他の問題も非常に繁雑になってきて、はたで見るようにスムーズにいっていないというのが現状じゃないか。どうもこの二つの業務機関に対しては政府はあらためて見直す必要があるのではないか、要員の問題を見直す必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、将来に向かってもひとつ大蔵大臣は税務署の要員問題についてどうお考えになっておられるか、その決意をひとつ聞かしていただきたい、こう思うわけです。
  46. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私は定員について、忙しいところ、ひまなところ、仕事の繁閑と定員とがほんとうにうまくいっておるかどうか、これは相当検討しなきゃならぬところへきておると思います。そこで私は主計局を通じまして、各いろんな仕事別の職員の中央と地方の人数の調べをやりましたが、そうしますというと、たとえば中央の税の仕事をしておる者が五万人ということになりますと、地方の徴税事務からみて地方はどれぐらいの徴税職員があればいいかということでございますが、ほとんど国と同じ人員になっておると。今度は農林事務を見ますと、中央で農林の行政をやっておる者、その行政を受けて地方で同じ仕事をしている者、府県と同じ仕事をしている者、またそれを受けてそれに対応する仕事をしておる市町村の職員というものについて計算しますと、農業事務にとにかく十四、五万人の公務員が従事しているというようなことになりますというと、いまは定員というようなもので一応各部署が人がふえないようにというふうに押さえておりますが、しかし問題は中央、地方との事務の配分というようなことによって、国民全体の負担を増さないでそうして合理的な人員の配置というものが必ずできる、それを必ず今後はやらなけりゃならぬということを考えて、いまそういう意味のいろんな調査をしておりますが、それによりまして、私はもし中央のこの徴税事務というものがよその事務に比べて特にこれはきつい仕事だということでしたら、そういう全体のことから考えて、国の必要な部署への定員をふやして合理化すということも私は悪いことじゃなくて、むしろ必要だというふうに考えていますので、そういう意味でこれからの徴税事務が非常に多くふえるというようなことでしたら、定員はふやさないということを原則にしましても、やはり必要なところへの定員をどう増していくかということは、これから考えたいというふうに考えております。
  47. 柴谷要

    ○柴谷要君 では最後の一間ですが、これはちょっと税務署設置の問題とは離れるわけですけれども、きのう私が本会議で反対討論をした酒、たばこの値上げがきまって、いよいよ五月一日から実施されるということにきまりました。その中で、きのうの新聞でございますか、長官は業者団体七つばかりの責任者を呼んで、便乗値上げは認めないということで、きつい達しをされて、大体まあこの業者団体もそれを了承して、黙ってはいたけれども、了承したかのようにとれるということでまあ新聞は伝えておりますが、そのあとにですね、大体八月ごろになるというと値上げをしなければならぬ情勢にあるのではないか、こういうまあ新聞も出ておりますが、昨日長官が業者団体に伝えた内容というものは一体どういうものであるか、またそれを受けて業者団体というものは納得されて帰られたのか、その点をひとつお聞かせいただいて最後の質問としたいと思います。
  48. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは私この委員会でも申し上げましたように、五月一日から酒税の増税が行なわれるわけでございます。増税による値上げと、それから他方で業者団体あるいは業者が、コストアップが起きておるから、それによる値上げをしたいと、こういうことを言っておりますけれども、増税による酒の価格の値上げとそういうコストアップによる値上げとは区別していかないと、国民の理解を得ることがむずかしい。したがって五月一日に増税分を値上げすることはやむを得ないけれども、コストアップによる分は同時に実施することは厳に慎しんでもらいたい、こういうことを申し上げたのであります。酒のほうで八団体でございますが、そのうち今回の増税に関係いたしますのは六団体でございます。その六団体のほうにそういうことを申し上げ、おおむね了承を得たと思っております。しかし本委員会でも申し上げましたように、特に清酒のような場合には、昨年原料米の価格を百五十キログラム当たり千六百六十円上げております関係上、いつまでもコストアップに基づくところの値上げをしないというわけにはいかないかと思います。そういうことで新聞社も五月一日に一緒に値上げはしないにしても、間もなく値上げするんじゃないかといったような、あるいは観測記事を出しておるのかと思いますが、そういう事情にあるのでございます。
  49. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  50. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  51. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。
  52. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 多数と認めます。よって本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  53. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは午後一時再開することとし、それまで休憩いたします。    午前十一時三十六分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  54. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  55. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 今度の改正措置は、国立療養所を特別会計に移すことによってその経理を明確にして、借り入れ金等の導入等により予算の弾力的運用をはかり、経営の円滑化をはかろうとする、こういうような政府側の説明でありますが、しかし、これは単に一般会計から特別会計に移すという会計上の問題ではなく、国の結核対策に関する使命の内容を変革するものではないか、こういうような疑いもあるわけですね。そこで最初にお伺いしたいのは、国立病院が特会制になりましたのが昭和二十四年、それから国立療養所のほうは、ずっと今日まで何年になりますか、約二十年近く一般会計で運営をしてきたわけですが、それはどういう理由に基づくのか、まずそこからお伺いしたい。これはどちらのほうですか。
  56. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院が二十四年に特会になりました。国立療養所はその際に一般会計にとどめ置きまして、現在今度は特会移行という段階になったわけでございますが、国立病院と国立療養所とはその機能、性格がずいぶん異なっております。国立病院は一般の病院と同じように、急性疾患を主として扱っている病院でございますし、国立養療所は結核、精神その他長期慢性の疾患を扱っておる病院でございます。したがって、国立病院は一般病院とほぼその性格、運営等が同じでございますので、運営面あるいは経営面からいいましても、都通府県の設置しております病院掛るいは私立の病院等とほぼ性格が似ております。そういう意味で一般的な経営、標準的な経営になじむものであるということから、これがいち早く特別会計に移行されたわけでございますが、その際に国立療養所は、当時結核対策を推進するための国家的な結核対策に協力するという立場で、結核患者をできるだけたくさん収容しよう、しかもその当時結核医療に対する諸施策というものが十分でなかった、そういう段階で国が特殊な態度で結核対策に応援しないと、結核対策はうまくいかないということで、二割引きをそのまま存続いたしまして、今日に至ったわけでございます。そういう状況で特殊な性格を持っておりますために、一般会計のもとに一般的な政策に協力するというたてまえをとってきたわけでございますが、近年に至りまして、社会保障が非常に充実してまいりました。医療費の保障におきましても国民皆保険が達成され、また生活保護法による医療扶助等も充実してまいりまして、いろいろな制限がほとんど撤廃される、また一面、結核予防法それ自体の医療費保障の対策が非常に進展いたしまして、医療費面から直接的に国立医療機関がみずからこの医療費保障的な得割りを分担する面が非常に少なくなってまいりました。そういう意味で医療費保障の面と直接医療を担当する面とを明確にするということが必要であろうということで、国立療養所はこのたび医療費保障という性格をある程度清算をいたしまして、そして純粋に医療機関としての性格を強化する一方、国立の療養所は結核に漸次減ってまいりましたけれども、逆に重症心身障害児であるとか、あるいは長期慢性疾患であるとかというものを新たに担当するという立場になりましたというような面から、医療施設の整備を急速にやらなければならぬ。しかも、現在の国立療養所というものは戦後二十年間ほとんど放棄されたような形でありましたために、老朽がきわめてはなはだしい。現在の状態で新しい使命はとうてい担当できない。新しい使命を担当するために早急に整備をしなきゃならぬ。このために特会移行という手段が適当であるというようか、各種の各方面からの総合的な判断に基づいたわけでございます。
  57. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまの説明を聞きますというと、厚生省の主張は非常にいいことばかり言われるわけですが、特別会計になると、まあこれこれのいい面がある、たとえばこの借り入れ金と財産の売却で整備に充てることができる、あるいは決算剰余金や診療収入費を療養所に還元できる、こういうようなけっこうな説明をされておるわけですけれども、必ずしも特別会計に移ったからといって、いい面だけではないのじゃないか、まずい面もあるのじゃないかと思うのですが、そういう面はどういう点なんです。
  58. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 特別会計移行について、従来から指摘されておりますものは、やはり特別会計というものがその収支を明確にしてこの経営をしていくという立場から、その収入に診療収入と一般会計の繰り入れを充てておりますけれども、その収入が減少すれば、おのずから支出面も抑制されるということから、かせぎ主義になるのではないか。したがって、かせぎ主義になるということから、国立医療機関が本来の使命をそこなうおそれはないか、また患者にいろいろなしわ寄せが起こるのじゃないか、また労働強化が起こるのじゃないかというような点が従来から心配されております。
  59. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでいまあなたがおっしゃったように、この法案の審議にあたって最も心配されておるのは、たとえば患者さんなり国立療養所の職員の皆さんなりが危惧されている点はいまあなたがおっしゃった点なんです。ですからこれが特別会計になりまして、独立的な採算制になるんじゃないか、これが最も心配な点なんですが、その点は大蔵大臣いかがですか。
  60. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 独立採算制にはしないという方針は、はっきりした今度の特別会計の移行でございます。
  61. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、病院経営においていろいろ赤字等が出た場合には、一般会計から今後もきちっと繰り入れる、こういうことになりますか。その点はいかがですか。
  62. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 通常の普通の経営によって生じた赤字は一般会計で補てんするという方針でございますので、普通に見て妥当な経営をやっている限りは、一般会計からこの不足分を見るという方針でございますので、その点は心配はないと思います。
  63. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その点は心配はないという大蔵大臣の御答弁でありますけれども、あなたこの委員会におきまして大臣答弁として言われたわけですけれども、その答弁がどこまで力があるものか、これはだんだんと予算の財源の問題等で薄れていく、物価も上がり、あるいは財政が硬直化していく、あるいは歳出要因がだんだんふえていく、こうなればやはり抵抗の弱いようなところ、そういうものをばっさりと削っていく、それが従来の予算編成の実情のような気がするわけですね。その辺のところも心配になっておるわけですから、大臣がそうおっしゃっても、別にこれは法律的に保障されたものではないでしょう、その辺のところはいかがですか。
  64. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) もともと現在一般会計でまかなっておったものでございまして、それは国立療養所の性格から見まして、これは独立採算制というようなものをやれる性質のものでございませんので、したがって、この療養所に関する限りは今後といえども独立採算制にしない、今まで一般会計で見ておりますが、この精神でやるんだということが前提の特別会計の移管でございますので、この点は先にいって、これを営利主義にして国からも補てんしないというような措置をとろうとしても、性質上これはとれるものではないと思っておりますので、この点は御心配はないと思います。
  65. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣の答弁のようになっていけば心配も要らないわけですけれども、いろいろな整備計画等を見ますと、だんだんとこの療養所の持ち分が減っていく、売り食いをするような、土地の売却だとか、そういうものに財源を求めていく、そういうことが心配されているわけですね。それでこれは国立病院の場合ですが、ここに表が出ておりますが、これは歳入総額と、それを一般会計から国立病院の会計へ繰り入れた額並びに率が出ておりますが、繰り入れの額は年々減っておりますですね。昭和二十四年が二三・七、二十五年が二四・二それから二十六年が二五・一%で、ずっと減ってきまして、四十一年度が一二%くらいになっておりますね。ですからやはり国立療養所の場合もこういうような経緯をたどって、だんだん繰り入れの率が減っていくのじゃないか。ことしは幾らになっておりますか。療養所勘定に繰り入れましたのは、一般会計より二百五億七千五百六十五万五千円、これで歳入総額四百二十億の四九%くらいですね。このパーセントは大体どの程度の繰り入れがあると見てよろしいのか。これはだんだんと国立病院みたいに減っていくのか。その辺のところのひとつ見通し、まあいまの段階では言えないかもしれませんけれども、大臣の答弁をひとつお伺いしたい。
  66. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 国立病院と国立療養所の今度の会計移行を比べて考えることでありますが、国立病院と療養所は本質的に病院のあり方が違っております。国立病院のほうは一般診療をやっておりまするから、その経営の収支というものは、近代化をし設備をすれば、保険その他の補助と相まって大体収支はいけるという見通しに相なっております。したがって、当初は一般会計からの繰り入れが多かったが、だんだん近代化され整備がされ、経営が軌値に乗ってまいりますると、経営の収支については一般会計の繰り入れば減ってまいります。ただし、ただいまでも特別の施設であるとか特別の近代化の施設は、一般会計から国立病院に出しておるわけであります。  国立療養所は一般療養所と違って長期慢性の、たとえば結核予防法で規定いたしております結核であるとか、あるいは心身障害者であるとか、あるいは筋ジストロフィーであるとか、一般診療所と違った収支の経営ができにくいものであって、しかも国家の資金がきわめて重要なものでありますから、これは施設その他については当然でありまするが、近代化された後においても、経営の収支は逐次一般会計から繰り入れる、こういう話し合いで特別会計に移行するようにきめた。これは委員会において両大臣の答弁並びに附帯決議等にもこの点は強く要請されておるところであります。
  67. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは療養所勘定の昭和四十三年度の歳入歳出予算は四百二十億一千四百四十万一千円と出ておりますが、予算面の数字の面から見て、歳出のこの項目の点から見て、特別会計になってどういう利点があったか、それをこの歳出の面から説明してください。
  68. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立療養所を特別会計に移します予算上の一番の利点は、現在急速に施設を整備するために緊急な投資が必要である、そのために財政投融資からの借り入れ金ができる、これが十五億入っております。これが一つの大きな利点である。それから特別会計にまいりますと、自己の資産等で余裕のあるものを処分して設備投資等に使用することができますので、土地処分を十八億考えております。そういう点が特別会計の会計制度そのものによる一番大きなメリットでございますが、そのほかにこの特別会計移行に際しまして、療養所の整備、さらに診療内容の向上、患者サービスの向上というようなことを一挙にやって、施設の近代化、医療の向上というものをもくろみましたために、一般会計等からの繰り入れ等も裏づけといたしまして、そういう器械、設備の改善、患者サービスの向上等のために大幅な予算増をはかっております。なお、将来この運営といたしましては、特別会計におきましては、収入が予算以上に上がるというような場合には弾力条項等の発動によって運営の円滑化ができるというような点が、予算面にあらわれない特別会計移行の利点であろうと思います。
  69. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もう少し説明してもらわぬとわからぬですがね。まず歳入の面で借り入れ金が十五億、これはまあいいでしょうね、十五億円の借り入れ金ができると。それから雑収入の十八億というのは、これは何ですか。
  70. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 不動産等の売り払い代金でございます。
  71. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、今度二割引きの医療費の負担を廃止すると、こういうようなことを聞いておりますが、それによる収入というものはこの歳入の面に出ておりますか。
  72. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 歳入額が、従来の診療収入の額は、昨年度におきまして百四十一億二千二百万円でございましたが、本年度は百八十一億二千百万円ということで、約四十億増加いたしております。この中に二割引き廃止による収入増が見込まれておるわけでございまして、その四十億の内訳といたしまして、医療が年々向上し、医薬品等も高価になってまいります。また、検査等も増強いたしますので、私ども自然的に診療収入が増加してくる分を見込んでそれを約十五億六千三百万円、それから昨年十三月に診療報酬の改定がございまして、いわゆる医療費の値上げがございました。それが通年分に計算されますので、それが四十二年度の予算を標準にいたしますと十三億九千九百万円増になる。また、二割引き廃止によりまして約六億四千三百万円、また……
  73. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 幾ら。
  74. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 六億四千三百万円、それから新たに基準加算といたしまして、看護、給食、寝具等のサービスを向上すると同時に、保険で許されております基準加算の請求をいたしますので、これによりまして七億三千五百万円の増収を見込んでおります。
  75. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 歳出の面における利点はどうなんでしょう。
  76. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 歳出面におきましては、一番大幅なものは施設整備費の増額でございまして、借り入れ金その他一般会計の繰り入れ等も含めまして、施設整備費の増額が三十億にのぼっております。また療養所の運営費につきましては、医療内容の向上をはかりますために医療器械の整備費を、四十二年度の二億五千七百万円を約二倍の五億四千四百万円に増額し、医薬品の購入費を四十四億六百万円であったものを十一億五千六百万円増額いたしまして五十五億六千二百万円にし、また治療研究費等の研究面の改善もはかっております。また患者サービスの向上をはかるという意味から基準寝具に要する経費、また患者用のマットレスの購入、あるいは食器を新たにする、また炊具を改善するというふうな費用を前年度に比較いたしまして七億一千二百万円増額いたしております。  以上がおもな歳出面の改善内容でございます。
  77. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、療養所職員の共済組合がございますね。あれの保険料の事業主負担、その分はこれはやはりこの特会から今度出るわけですか。その辺のところはどうなっているのか。また額はどのくらいになっているのか。
  78. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国病特会で共済組合関係の負担金は、長期、短期合わせまして十四億六千六百万円でございますが、これは特別会計予算の中に計上してございます。
  79. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その負担金は従来は一般会計から出ておったのですか。
  80. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 従来は一般会計の中に計上しております。
  81. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 続いて二割引き制度のことについてお伺いしますけれども、国立病院ないし療養所は、昭和二十年くらいまでは実際入院費用、医療費は無料であったと、こういうふうに記憶しておるのですが、その後有料制になりまして、国立療養所のほうは二割引きと、国立病院のほうは一割五分引き制度になった。こういうふうに聞いておるわけですが、そしてこの割引制度になったのはなぜなったのか、その辺のその当時の医療費に対する考え方というか、これをひとつ説明してください。
  82. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院、療養所というものは終戦に伴いまして、もと傷痍軍人療養所であるとか、陸海軍病院、あるいは医療団というものを一括して引き継ぎして、その際、その終戦直後は医療が非常に混乱しておりまして、一般の医療機関も非常に不足しておりました。そのためにこれを一括国が経営するという立場をとりまして、傷痍軍人その他が入っておりましたために、それらの者は一切無料でやったわけでございますが、駐留軍の指令等によりまして、無料というのはおかしいということから、一応すべて有料化するというたてまえになったわけでございますが、その際に、やはり当時の医療の混乱、経済の混乱等を考えまして、国の医療機関が分担する分野が非常に多かったので、その当時の経済情勢等も考え合わせまして、一応二割引きで出発したのでございます。しかし国立病院につきましては、特別会計移行と同時に、一般医療であるというたてまえから二割引きを廃止し、国立療養所だけが二割引きを存続してまいったわけでございます。
  83. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、最初は療養費は無料であった。それから有料になったけれども、どうも療養所は二割、それから国立病院のほうは一割五分だけ天引きしておきましょう、今度の改正で全額有料であると、こういうことにだんだん上がってきているわけですね。その辺のところが患者負担がふえるのじゃないかということで、この法案に対して非常に反対が多いわけです。そこで、まあほんとうはそうでしょう。その辺はまず第一番目にこれは厚生大臣に聞いておきましょう。物価値上げと同じことで、だんだんと無料から二割引き、二割引きから全額と、こういうふうに上がってきておるのがほんとうじゃないかとこう思います。いかがですか。
  84. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 二割引きを廃止することになりますが、これは二割引き廃止は一律全面的に廃止するわけではございませんで、
  85. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはあとで聞きますから、いま言ったようなことについてひとつ答弁してください。認めるか認めないのか、だんだん上がっているその事実に対して。
  86. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 医療機関としての本来の使命とそれから医療費保障という面をある程度分離するというような考え方から、確かに医療機関自体が医療費保障的な役目をだんだん離してきたということは事実でございます。
  87. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それが実情のようでありますが、結局はまああなた方何かおっしゃるけれども、大蔵大臣もいらっしゃるわけですけれども、国の台所が苦しいから、こういうふうなところにもしわ寄せがきておると、こういうふうにしか解釈はできないわけなんです。そこで二割引きが廃止になった場合に、患者負担は一人一日平均で幾らぐらいになるのか、またどのくらいふえるのか、それをひとつ入院料とそれから基準料がありますね、それをあわせてひとつ答えてください。
  88. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 従来入院患者につきましては、平均いたしまして九百九十五円程度でございました。それが今度の二割引きその他を全く廃止をするという場合の計算をいたしますと、千五百三十八円ぐらいになるという計算になります。
  89. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もうちょっとこまかく言ってくださいよ。そのトータルでなしに、何が幾らになって何が幾らになるのか、こういうふうにわかるように答弁してください。
  90. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 従来の計算でございますと、入院料が三カ月以上入院している患者につきまして——一カ月と三カ月で値段が違っております。長期患者でございますので、一応三カ月以上入院しております場合に、入院料が四百六十円、それからそれに給食が行なわれますので、それで二百三十円、合計六百九十円、それの八掛けで五百五十二円というのが従来の入院料でございます。これが今度は二割引きが廃止されまして、この入院料、食費を含んだものが六百九十円になります。そのほかにこのたび新たに看護、給食、寝具等の加算が行なわれますと、その看護の加算が百四十円、給食の加算が平均百四円、寝具の加算が五十円、合計二百九十四円が加算されまして、その合計が今度は千二百四十四円になり、それに特掲診療料と言いますか、いろいろな注射をいたしましたり、薬を飲ませたりするとか、それはケースケースによって違いますので、それを平均値、全体の年間の全患者の平均を加えますと、千五百三十八円ということになるわけでございます。
  91. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしたら幾らですか、差し引きトータル。
  92. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 平均いたしまして五百四十三円上がることになります。
  93. 須藤五郎

    須藤五郎君 議事進行。委員長、これは非常に重要な法案だと思うのですよ。そのために外からもたくさんの人が私は傍聴に来ていると思うのですよ。こういう重要な法案に出席が非常に少ないと思うのですよ。これでは過半数にならないですよ。こういう過半数にならないようなこんな出席の悪い中で審議することは、これはいかぬと思うのですよ。もっと与党である自民党の諸君、ほんとうにちゃんとやるというならばもう少し顔をそろえるべきですよ。こんな中で審議することは私は反対ですよ。
  94. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは一人平均五百四十三円の負担増、こういうことになるわけですね。そのふえた分は、あなたがさっきおっしゃったけれども、患者本人から取らない、こうおっしゃったわけですから、その辺のところはもう少しどうなるのか、詳しく説明してください。
  95. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいま申し上げましたように、相当基本的な金額はそのように上昇いたしますけれども、これを実際に患者が支払う場面になりますと、自己負担のある患者と自己負担のない患者がございます、現在の医療制度の中で。たとえば健康保険本人であるとか、あるいは結核予防法による命令入所の患者であるとか、生活保護法による患者であるとかというものは自己負担がございません。逆に健康保険の家族は五割の負担がございます。また国民健康保険は通例三割の負担がございます。そのように自己負担のある患者と自己負担のない患者がございます。そういう現状でございますので、それに応じまして自己負担のある患者につきましては、このたび費用の増加の起こります二割引き並びに基準加算というものは適用しない。したがって、従前どおりの単価でやっていく。ただし、自己負担のない患者につきましては二割引きを廃止し、新たに基準加算を実施する。したがって、患者自身の直接支出する金は従来と変わりがない。ただし、保険者が払う金あるいは結核予防法、生活保護法等の地方公共団体が支弁する金につきましては、値段の上がった分で払っいてただくということになるわけでございます。
  96. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ自己負担はないけれども、健康保険の保険者のほうからその分をもらう、こういうわけですね。そうすると、療養所のほうから保険支払い基金のほうに請求をして、そちらのほうからいただくとこういうことになるわけですから、そうするとやはり全体的に医療の診療費がふえてくる、こうなるでしょう。医療の診療費がふえますというと、保険料なり保険税ですか、ああいういわゆる保険の掛け金というものがふえてくる、それは患者のほうに回り回ってくるわけでしょう。そういうことになりますね。その辺はいかがでしょう。
  97. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 二割引きの廃止に伴いまして、負担のふえますのは、結局国の一般会計と、それから地方公共団体と保険とこの三者になるわけでございますが、御指摘のように、保険負担のふえる分は、これは原則として保険料でまかなうわけでございますから、保険料負担にはね返るわけでございますけれども、ただ影響率がわれわれ試算いたしますと、一人当たり単価にいたしまして、大体〇・〇四%ちょっとで、四十三年度の各健康保険を通じまして、大体被保険者一人当たりの診療費の単価の増加額が一三%前後でございますので、この内訳といたしまして、この二割引きと、それから基準加算による増加額があるわけでございます。この程度ならば全体としての健康保険財政には影響はない、かように考えております。
  98. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 影響はないと言ったって、保険はみんな大赤字で、去年もずいぶん問題になったんですがね。そうしますと、結核予防法、生活保護法、精神衛生法、その他地方自治団体が若干負担をする。健保、国保、こういうものは保険者側の保険者、被保険着あるいは被扶養者、家族の負担増になるわけですが、大体これは大まかなところどのくらいふえるのか、わかっておったらひとつ知らしていただきたい。
  99. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 割引廃止及び基準加算実施によります総体としての増加額は、先ほど厚生省から御説明ありましたように十三億七千八百万円でございます。この内訳を申し上げますと、国の一般会計、つまり結核予防法、生活扶助等の系統で増加いたしますのが八億六千二百万円、これに対する裏負担といたしまして、地方公共団体の負担がふえますのが二億三百万円、健康保険等でふえますのが三億一千三百万円、合わせて十三億七千八百万円でございます。
  100. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 健康保険でふえるのは幾らですか。
  101. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 健康保険等で増加いたしますのが三億一千三百万円と見込んでおります。
  102. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、そういう赤字に対する措置は地方団体の場合どうなるのか、地方交付税等で措置するのか、また健保等の場合はどうなるのか、その辺ひとつ答弁してください。
  103. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 地方負担の増加額につきましては、全体としての地方財政計画でも見込んでおりますほか、地方交付税の基準財政需要の算定に際しましては、この単価の増額を考慮に入れております。  健康保険につきましては、先ほど申しましたように、来年度のふえます一般的な診療費の増加の中に含まれて、この問題も解決していかねばならないわけでございまして、全体として健康保険、特に政管健保の現在累積されております膨大な赤字をどう処理するかという問題とは、また別な問題として考えてまいりたいと思っております。
  104. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 別の問題じゃないですよ、この問題は。厚生大臣もいらっしゃるけれども、保険は赤字で頭を悩ましておりますからね。  それでは借り入れ金の問題ですが、今度の特会によって財源に借り入れができると、ことしは十五億ほどになっておりますが、その利子等はどうなんですかね。金利のほうは診療収入からやはりこれは払うと、こういうことになるわけですか。その辺のところはどうですか。金利はどのくらいになっておるのか。
  105. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 借り入れ金は五年据え置きで二十年償還でございますが、金利につきましては、一切これを一般会計から繰り入れによってまかないます。元金の償還は原則的に診療収入の中から払っていくということにいたしておりますが、診療収入から払いまして、相対的に経営に赤字が出る分は、赤字分は一般会計で補てんするというたてまえをとっております。
  106. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 次に、弾力条項によって歳入予算をこえる収入があった場合どうなる、それをさらに収入強化のための経費に充てることができると言っているが、今度は歳入予算より少ない収入があった場合はどうなるのか、その辺ひとつ答弁してください。
  107. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 弾力条項は、御承知のとおり、予算に予定いたしました収入よりも実際の収入がふえました場合に、その事業の必要とする支出に充てることができるという条項でございます。したがいまして、一番端的な事例は、患者数が予算に予定いたしておりました以上にふえた、したがって、医薬品が足りなくなってくるといったような場合に、一般会計でございますと、新たに予備費の支出でございますとか、あるいは流用とか、そういった手続が要るわけでございますけれども、この場合にはそれが端的に患者がふえれば収入がふえる、したがって医薬品も買えるというかっこうでもって解決されるわけでございます。  なお、診療収入が逆に予算に予定した場合よりも少ない場合はどうなるかという点でございますが、この点は、養療所の収入を算定するにあたりまして、かなりかた目に見積っておりますから、実際問題としてさような事態は起こらないと、かようにわれわれ考えておりますが、万一何らかの事情でかような事態が生じますれば、それはその生じた理由の探求がまずあるわけでございまして、そのときどきのいろいろな実情を検討いたしました上、これは所要の財政上の措置を講じたい、かように考えております。
  108. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 所要の財政上の措置を考えたい、それは一般会計から入れるわけですか。それが一つと、いまの黒字が出た場合薬品を買うのだ、こういう単純な答弁でありましたが、薬品ばかり買っておるわけにいかぬでしょう。その辺のところをもう少し詳しくおっしゃってください。
  109. 船後正道

    政府委員(船後正道君) もちろん収入が予算の予定以上にふえますことにつきましては、種々の理由があるわけでございまして、私は一例といたしまして、患者数がふえた場合、これは端的に必要になりますのは医薬品、場合によりましては医薬品以外のいろいろな庁費あるいは事務費、こういったものが要ろうかと思います。それはやはりそういった収入のふえました原因に相応いたしまして、弾力条項の活用によって歳出も考えていきたい、こういう意味でございます。  また、収入が予定よりも減った場合でございます。こういった場合の措置といたしましては、理論的に考え得られますのは、収入が減る以上、事業規模が縮小されるという場合には歳出予算を抑えるという手段があるわけでございまして、それ以外に一般会計の繰り入れをふやす、こういう方法もあるわけでございます。いずれの方法をとりますか、それは具体的な個々の実情に即して考えたい、こういうことを申し上げた次第でございます。
  110. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから国立養療所特別整備計画が出ておりますが、昭和四十三年度から四十七年度、この五カ年計画の内容について、ここには予算分だけあらわれておりますけれども、具体的な内容がわかっておれば聞かしていただきたい。
  111. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立養療所が現在百五十三カ所ございますので、これを一挙に整備するということもなかなかできかねますので、さしあたり第一次といいますか、最初の計画といたしまして、五年間で八十四施設をまず近代化していこうという計画をいたしておりまして、そのために大体総額二百三十億の資金を予定いたしております。その中で、資金といたしまして百億程度を借入金にたより、土地処分等による自己財源の捻出を四十億ないし五十億、一般会計の繰り入れによる財源を八十億ないし九十億と予定いたしております。
  112. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 四十三年度はどうなりますか。
  113. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 八十四カ所を第一次に整備するために四十三年度はこの費用として四十四億、また四十四年度以降は四十六年度まで四十五億、四十七年度には五十一億という計算をいたしております。
  114. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで四十三年度は四十四億円で、その土地処分が十八億ですか、この土地処分はどういうような計画になっておるのか、わかっておれば聞かしていただきたい。
  115. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいま五年間で大体四十億ないし五十億予定いたしておりますが、第  一年度は十八億程度予定し、現在比較的都市に近いところで相当余裕のある地域として武蔵療養所、松戸療養所、埼玉養養所等の余剰土地を処分する計画をいたしております。
  116. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは今年度四十三年度の十八億の予算に入ったんですか、武蔵と松戸と埼玉ですか。
  117. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 予定はいたしております。どの土地という確定的にはいたしておりませんが、おおよそ予定をいたしております。
  118. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから統合計画は旭川、青森、福岡、大分、鹿児島、こういう各県を統合する、こういうことも聞いているわけですが、これはどういうことになっていますか。
  119. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 従来統合といいますのは非常に近隣に施設がある、特にかきね一つをへだてて二つの療養所が、あるいは三つの療養所があるというようなもの、あるいは非常に五百メートル、一キロという程度の至近の距離にあるというものを整備等をする段階におきまして統合したわけでございます。将来も非常に近隣の施設についてはこれを近代化するにあたりまして、たとえば二百ベッドの施設を二つつくって、事務室も炊事も洗たく場もそれぞれつくるというよりは、一つにして効率的にやっていきたいという考え方から、近隣の施設については統合というものを考えるということにいたしておりまして、ごく近隣のものがあるという例が、先ほど先生のおっしゃられましたような府県名があがっているわけでございますが、これらもそういう現地の実情等によりまして慎重にやってまいりたいと思っております。
  120. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 次に、基準料金というのは今度から徴収するわけですね。看護、給食、寝具の三つの基準料金は従来どうなっておったのか、今年度から新しくそれはとるのか、徴収すれば何月ごろからそれをとるのか、その辺のところをひとつ伺いたい。
  121. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 基準料金といいますのは、入院料に付随いたしまして看護の基準、あるいは給食の基準、寝具の基準というものがございます。たとえば看護の場合には入院ベッド、入院患者六人について一人の看護婦という基準に合格すれば基準看護料を請求できるわけでございます。食費についてもそれぞれ基準に合格した場合に基準料金の請求ができる保険のたてまえになっております。従来は国立療養所におきましては、それらの基準を満足しておるような施設でありましても、二割引きその他の制度と同じように、費用を安くしてやるというたてまえから請求はしていないという態度でやってまいりましたが、今後は二割引き廃止と同時に、医療機関は医療機関としての妥当な報酬を請求する、そうして医療費保障はそれぞれ専門の別途のほうでやるというたてまえに割り切りました関係上、それらの基準に合致し、当然請求できるだけの内容を持っておるものについては請求をするというたてまえに変えたい、こういうわけでございます。
  122. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、特別会計制度に移行するということと、二割引き廃止だとか基準料金の徴収、こういうものは別の問題じゃないかと、こう思うわけですが、改正になったのに便乗して上げる、こういうわけですか。
  123. 若松栄一

    ○政府委量(若松栄一君) 御指摘のとおり、二割引きあるいは基準料金の実施というものは特別会計制度とは全く直接の関連はございません。しかし、先ほども申し上げましたように、この特会制移行と同時に借入金その他の制度を活用しまして施設の近代化をはかり、あわせて診療内容の向上、あるいは患者サービスの改善というようなものをあわせて行ないまして、そうして近代的な医療機関としての姿をよくしていくということを考えまして、ちょうどこの機会にいろいろなことを一挙にやるということにいたしたわけでございまして、おっしゃるように直接の関係はございません。
  124. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それではこの法文の中で第十七条の二に「この会計の各勘定の間において、資産の所属を移すときは、政令で定めるところにより、無償として整理することができる。」、この資産の移動ということはどういうことなのか。病院のほうから療養所、療養所のほうから病院というように資産を移動できるのですか。こういうことですか。これをひとつ説明してください。
  125. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 御指摘の規定は、今回特別会計に病院勘定と療養所勘定の二つを設けたということに伴いまして整備いたしました規定でございますが、これは沿革的に申し上げますと、従来一般会計当時におきまして、いわゆる療養所の病院転換といったような措置もあったわけでございまして、療養所を病院へ転換いたします場合の資産の移転の方法、これと同じようなことをこの特別会計への移行におきましても行ないたいという趣旨から設けた規定でございます。
  126. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私の質問はこれで終わりますが、あしたまた社会労働委員会との連合でお伺いしたいと思います。以上です。
  127. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 本法案に対する質疑は本日はこの程度といたします。  これにて散会いたします。    午後二時十分散会      —————・—————