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1968-04-19 第58回国会 参議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十九日(金曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 小林  章君                 西田 信一君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 西郷吉之助君                 徳永 正利君                 林屋亀次郎君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野上  元君                 野溝  勝君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        大蔵政務次官   二木 謙吾君        日本専売公社監        理官       前川 憲一君        大蔵省主税局長  吉國 二郎君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        大蔵省国際金融        局長       柏木 雄介君        国税庁長官    泉 美之松君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        日本専売公社総        裁        東海林武雄君        日本専売公社副        総裁       佐々木庸一君        日本専売公社総        務理事      牧野 誠一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○酒税法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案及び酒税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 野上元

    野上元君 大蔵大臣経済企画庁長官もおられないようですから、さしずめ、できるだけ技術的な問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  まず、第一に、たばこ値上げ提案理由説明の中に「たばこ価格のうち、税負担に相当いたします部分は、この間における経済の実勢の変化に比べ、相対的に縮小してまいっております。」と、こういうふうに提案理由の中に述べておられるようですが、これはどういう意味をさすのですか。具体的にどういうことなんですか。
  4. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 申しわけございませんが、便宜私からお答えさしていただきます。  税制調査会等でも御答申がございますように、一方におきましては、たばこ値段は据え置かれておりますが、その間に国民経済全体はいろいろ発展をいたしておるということが一つ。それから、コストが上がって、いわゆるコストプッシュが起こっております。それでもって税金に相当する部分昭和二十三年には七三%ぐらいでございましたのが、御承知のように、最近では六割前後になり、このままほうっておきますと五五、六%になってしまう可能性がある、こういうことでございます。
  5. 野上元

    野上元君 価格の中の税負担に相当する部分が縮小してきた、したがって、値上げをしなければならぬのだ、こういうふうに言っておられるのですが、六〇%が五六%になってどうして悪いのですか。
  6. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) お答え申し上げます。  絶対額といたしましては、先生も御指摘のように、量もふえておりますし、また、国民皆さん方が、消費生活の向上に伴って、より上級のたばこを吸っていただきますために、専売益金額、あるいは売り上げ額といたしましては確かにふえておりますけれども、そのふえ方が、ほかの国民所得でございますとか、あるいは個人消費、あるいは税全体の伸び率に比べますと相対的に小そうございます。したがいまして、たばこ専売財政に対する寄与貢献度と申しますか、そういうものが低下しておる、ここらでそういうものを少し手直しさせていただきたい、これが値上げ一つ理由でございます。
  7. 野上元

    野上元君 そのことは事実問題としてはわかるのですよ。しかし、ただ、基準がはっきりしないのですね、あなた方は低下した低下したと言うが、何を基準にして低下したと言うのですか。しからば、たばこ価格の中に占める税負担の額というのは何%というのが正しいのですか、それをはっきりしてください。
  8. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) これにつきましては、別段これといった絶対的な基準はございません。ただ、諸外国例等を見ますのに、歴史的、沿革的に、たばこ並びに酒というものはいわゆる財政物資ということになっております。たばこについて申しますと、一番高いのはイギリスで、八〇でございます。こういうことは御存じですから飛ばしますが、まあイタリーが七五であるとか、あるいはフランスが七〇であるとか、西独がほぼ六六%であるとか、そういったようなことでございます。したがいまして、絶対的な基準はございませんけれども、まあまあ六割前後を一つのめどと考えて今回の手直しをさせていただいたような次第でございます。
  9. 野上元

    野上元君 いまわれわれは日本たばこの問題をやっておるわけです。別に欧州がどうだ、アメリカがどうだの、イギリスがどうだの、フランスがどうだの、そういうことはあまり関係ないと思うのですね。日本においてたばこ益金の率というのは一体何%が正しいのか。それは従来そういうものがなかったですね。この推移を見ても、最初は七十何%もあったところが、だんだん落ちてきて、このままほうっておけば五五%ぐらいまでに落ちるでしょうね。今回手直しをしてようやく五六、七%にとどめるということになるわけですね。したがって、定見がないんですね。七〇%が正しいのか、六〇%が正しいのか、五〇%が正しいのか、どれでもいいんじゃないですか。別に六〇%でなけりゃならぬというような、そういう私は根拠が全然わからぬのですよ、その点をひとつはっきりしてもらいたい。いつきめたんです、そういうことを。
  10. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) これは問題は二つあると思うのでございます。いま先生の御指摘になりました、一つ一つたばこの中でどれぐらいが税金に相当する部分であるかという、いわば税率的な感じ、それから、全体として専売益金というものが国に納める納付金及び地方公共団体に納めまするいわゆるたばこ消費税、この両方を含めて、それが日本財政収入にどの程度のウエートを占めておるか、この二つの面から考えて、結果としてこれぐらいの収入たばこであげていただきたいといったような考え方が出てくる。それで割り算してみますと、結果において六〇前後になると、こういうことでございまして、問題は二つあると思います。最初六〇のことを申し上げましたが、結果として六〇になる。その前の、間接税等に占めるたばこ割合という面から見ますと、昔は四割ぐらい占めておった、昭和三十年前後では三割ぐらいを占めておったのでございます。それが先ほど来申しましたように、ほかの税はどんどん伸びていきますが、たばこのほうは伸びるといっても限度がございますので、だんだん下がりまして一七、八%まで落ち込んだ。それに対しましてお酒のほうは大体二四、五%、あるいは三、四%ぐらいのところで安定しておるわけでありますが、そこで、われわれといたしましては、それを一ぺんに三割に戻そうとかいうような考えじゃなくて、せめて一八、九%のところまで戻さしていただきたい、かようなことを考えまして、今回の値上げをさせていただきますと、結果としてそれが六割ぐらいの一個当たりの税率になったと、かようなことでございます。
  11. 野上元

    野上元君 そうしますと、あなたの話を聞いておっても、どこに中心があるのかよくわからないんだけれどもね。そういう説明だと、価格のうちに占める税負担の率が問題じゃなくて、それは逆算した結果であって、そうじゃなくて、あなたの言い分は、財政に対する効果のほうの率が重点になっているんじゃないですか。それによってこれだけのたばこ益金をあげてもらいたい、これだけの絶対額は大蔵省はほしいのだと、だから専売でこれだけ出してくれと、こう言うんでしょう。それを逆算してみたら、割ってみたら五七%になったとか六〇%になったとかいうことなんです。たまたまそうなったということだけであって、問題は、財政に対する効果率といいますか、それのほうが重点であって、価格に占める益金率というのは、それは移動するのじゃないですか。どうなんですか。
  12. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 先生の御指摘のとおりでございますが、これは消資税制度のように、初めから税率というものがぽんときまって、それから論じられるとしましたらそこら辺は非常にはっきり私も説明しやすいし、また、おわかりもいただきやすいのではないかと思うのでございますけれども先生も先刻御承知のように、現在の財政専売制度と申しますものは、総売り上げの中から総経費を引いて純益というものを出しまして、若干資産関係の増減の調整をいたしまして、もちろんその経費の中には地方消費税も入っておりますが、その残ったものが結局専売納付金ということで一般会計に入るということになっているわけでございます。したがいまして、値段をどうするかという場合には、ただ一つ角度からだけびしっといくというわけにいかない。いろんな角度から考えなければならぬ。そのうち、私が二つの点だけ申したのが率の問題と財政に対する貢献度ということでございますが、そのほかに、もちろん後ほど先生からお話も出ると思いますが、やはり国民皆さま方日常お使いになる消費される品物でございますから、まあそのものの値段がほかの物価と比べてバランスがとれているかどうか、あるいは家計を圧迫するようなことがないかとか、それから、また、極端な値上げをいたしますと売れ行きが減ってはたいへんだとか、いろいろな、これは長くなるから言いませんけれども、おそらく五つか六つくらいの要素から、あらゆる角度から考えて今回の値上げを検討さしていただいたということで、したがって、一点だけで説明しろと言われてもちょっとむずかしい点は御了承願いたいと思います。
  13. 野上元

    野上元君 だから私は言っているのですよ。提案理由説明の中にはそう書いてあるのですよ。値上げ理由に、たばこ価格のうち、税負担に相当する部分がだんだん縮小してきた、したがって、これを引き上げる必要がある、だから今回手直しするのだ、こう言っているから私は聞いているのです。あなたの言うように、それは説明できないのだ、そう簡単には。というなら、そういうふうに提案理由の中にこういうふうに説明してくれれば私もわかるわけなんです。その問題はこれからも関連してまたいろいろと質問してみたいと思うのです。したがって、益金率というものは第二義的な問題であって、いわゆる国家財政が膨張してくるに従って、経済の成長に伴って政府予算が膨張してくるのに従って、専売益金から期待する額が相対的に落ちてきた、絶対額はふえたが、相対額は落ちてきた、したがって、ある程度の率に引き上げてもらいたい、そのためにこれは手直しする、そうしたら五七、八%になった、こういう説明なんじゃないですか、そのほんとうの説明は。したがって、もしもそうであるならば、財政寄与率といいますか、この益金は一体どのくらいが望ましいと考えておられますか。
  14. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) これも絶対的な基準はございませんので、その国々におきまする税の体系上、非常にたばこに依存している国もございますし、また、たばこ割合が低い国もございます。したがいまして、日本でもどれだけでなければならぬというわけではございません。ただ、まあ先ほど私が申しましたように、大体昭和四十年、四十一年ごろは間接税等の中に占めるたばこ益金、これは繰り返して申しますが、地方税も入っておりますが、それが二割ぐらいでございました。それが四十二年は補正ベースで一七・五まで落ちました。そこで、私たちは、一ぺんにまた二〇まで戻すというのは、先ほど申しましたように、売れ行きとか、皆さま方家庭生活に対する圧迫というような考慮もございますので、まあ一八、九%ぐらいのところまで一応戻させていただく、かようなのが今回の値上げのあれでございます。  それから、先ほど先生お話の中に、提案理由説明にわかりにくい文句があったのではないか、その点まことに申しわけないと思いますが、今回のたばこ定価法の改正につきましては、昭和四十一年以来、重ねて税制調査会の御答申がございまして、それを政府といたしましても参考にさせていただきましたという経緯がございます。そこで、提案理由説明文句の中にも、税制調査会的な角度から考えられたことばが冒頭に出てまいったために御理解を妨げたのかとも思いますけれども、その点はおわび申し上げます。
  15. 野上元

    野上元君 私は別にむずかしい文句が書いてあるとは言っていないんです。非常にはっきりわかるように書いてあるのですが、あなたに質問をするとわからぬような説明をするものだから、それではあなた方の真意を提案理由説明の中に書くべきじゃないかということを私は言っているわけです。したがって、これは仮説ですが、たばこ売り上げが飛躍的に伸びたということを仮定いたしますと、その益金率というのは、あるいは四〇%にも三〇%にも下がっても、なおかつ財政寄与率が一八%であった場合には、大蔵省としてはそれでもいいんでしょう。別に益金率に固執することはないんでしょう、その点はどうです。これは仮説ですから、そういうことがあるかどうかわかりませんけれども
  16. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 仮説の問題でございますから、仮説的にお答えするほかないと思いますが、たとえば十倍になったとか、さようなことが起こったときには、それはまあそういうことも考えられないでもないと思います。ただ、そういうことは、まあ蓋然性は少ないのではないかと思います。と申しますのは、もうだいぶ喫煙率と申しますか、青年人口の中に喫煙せられる方々の人口の率もだいぶん上がっておりますから、人口の増加が非常に爆発的でない限り、なかなかそこまでいかないと思います。
  17. 野上元

    野上元君 仮説で言っては仮説で答えるから、純理論としてそれではお答え願いたいのですが、純理論としたら、財政寄与率が一八%であるならば、たばこ価格の中に占める益金率というのは三〇%であっても四〇%であっても、それは問題じゃないんじゃないかと、こう言っているんですが、どうですか。
  18. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) それはそういうことでも理論的にはかまわないと思います。ただ、先ほど外国のまねをするのはおかしいのではないかというお話もございましたけれども、やはり国際的に見まして、アメリカのようなところでも五割はとっておりますので、たばこというものが財政物資である、それは専売制度をとる国であれ、消費税制度をとる国であれ、たばこというものは財政物資である。こういう見地に立ちますと、六〇は絶対ではないけれども、やはり五割前後というのが大体世界じゅう見渡しまして、一応の、何と申しますか、標準とでも申しますか、そういうような感じになっているように思います。
  19. 野上元

    野上元君 どうも歯切れが悪いんだな。あなた方の答弁を聞いているとどっちに重点があるのか、よく私にはわからないんですよ。先ほどお話のように、たとえば逆に今度は質問をすると、益金率をとにかく五七、八%に押えたい、あるいは六八%に押えたい、これも一つ理屈としてわかるんですよ。私はそれがいかぬと言っているんじゃないんです。しかし、その六〇%であっても、財政寄与率のほうが相対的に落ちてきて一三%か一五%になった場合に、大蔵省として望んでおられるのは一八%ないし一九%、あるいは二〇%まで望んでおられるとするならば、この益金率もまた上げなければならぬのじゃないかということです。
  20. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) そういう意味ですか。
  21. 野上元

    野上元君 そうでしょう、逆に言えば。しかし、それを逆に言い返せば、財政寄与率があなたの望むように一八%なり一九%あるならば、益金率というやつは何も六〇%じゃなくてもいいじゃないかというのですよ。それは三〇%であっても四〇%であってもいいじゃないかというのですよ。それは純理論ですよ。純理論としては成り立つじゃないかというのですよ、ぼくは。もっとも、前川さんはたばこを節約するために値上げするのだそうだから、そうばく大な売り上げは期待できないかもしれないが、そういうことなんだから、その点をはっきりしてくれればいいのですよ。どっちに重点があるのか。財政寄与率か、益金率をどうしても六〇%に押えたいというのか、その点はどうなんです。
  22. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 私どものほうから、公社のほうからひとつ答えさせていただきたいと思います。先生指摘のように、抽象的なプリンシプルはある程度わかる気がするけれども、ぴしっとした目標がないじゃないかというふうに聞こえるということでございますけれども、私どものほうから申しますと、一定財政寄与率一定税率と申しますか、納付金率というものを期待されましても、現実の実現の方法としては、たばごという商品を売って国庫納付金を生み出すわけでございますから、私どもといたしましては、抵抗なく売れ行きが伸びていくという限度というものがあるだろうと考えたわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、どこまで戻すのが一体目的なんだということにつきましては、私ども公社の中でいろいろはっきりしないではないかというような議論もいたしました。私ども立場といたしましては、売れ行きに非常な悪影響を及ぼさない程度引き上げの幅というものを、商品を売っていく立場といたしましては考えざるを得ないと思ったわけでございます。その限度は、平均的なところでは二〇%をこえてはまずいではないかという観点からいろいろ折衝をいたしましたので、御指摘の理論とはぴしっと合わない点が確かにあるかと思います。税率というものでいかないで、物の販売価格の中でそういうものが含まれてこなされているという現実問題からそうせざるを得ないと考えた次第でございます。
  23. 野上元

    野上元君 この問題はあとでまたゆっくりやりましょう。私も納得いくように聞きたいし、政府のほうも、やはりそろそろこの問題にふんぎりをつける時期がきているのじゃないかという気もするから、その点あとでまた論争するとして、経済企画庁長官が見えておられますが、あまり時間がないそうで、その点残念ですが、先にお聞きしたいと思うのですが、経済企画庁長官から見て、今回のたばこ価格引き上げというのは、物価上昇なのか増税なのか、どういうふうに分析をされておりますか。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、いずれにしても効果は同じことになると思うのでございますが、消費者物価にやはりそれだけの影響があるということでございます。
  25. 野上元

    野上元君 その実効的な意味はわかりますよ。しかし、これを物価上昇と見るということになると、経済企画庁長官としては、公共料金値上げについては絶対反対、まあ絶対かどうか知りませんが、とにかく強い反対の意向を示されていると思うのですね。しかし、増税ということになると、これは経済企画庁見方とすれば、また別の見方になると思う。その点を私は聞いているのです。したがって、経済企画庁としては、今回の問題は、いわゆる公共料金値上げの一種なのか、あるいは純然たる間接税増税なのか、その点はどういうふうにお考えになっているのかということです。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは増税の結果たばこ価格が上がる、価格上昇を来たすということとして考えておるわけでございます。したがって、これはいわゆる公共料金引き上げではないかと御指摘であれば、私はそうだと思います。したがって、大蔵省が今度の決定をされますときには私どものほうにも御連絡があったわけでございます。そこで、私がやむを得ないと考えましたゆえんは、くどくは申し上げませんが、結局国債は減らしていかなければならない、他方で所得税減税国民負担の現状から見て必要である、歳入にはしかも限度があるというときに、所得税減税をも見合わせて、その他の増税分もあわせて見合わせすべきか、あるいは所得税はやはり減税すべきで、それだけの歳入を他に求めるべきかという選択に立ちまして、それはやはり所得税減税は必要であろう、こういう政策的な判断をいたしたわけでございます。
  27. 野上元

    野上元君 増税料金値上げかという問題は、とにかくたばこ価格が上がるんだから、これは明らかに物価上昇だと、料金引き上げだというふうには見れますね。ただ、私が言っているのは、内容が問題だと思うんです。なぜ価格を改定しなきゃならなかったかということになると、いわゆる原料費値上がり、葉たばこ値上がり、あるいは、また、人件費値上がり等によっていわゆる益金率が落ちてきた。したがって、益金率引き上げるというふうな説明があるわけですね、そのために今回の価格改定に踏み切った、こういう説明があるわけです。ということになると、結局コスト引き上げによって、コストプッシュによって価格引き上げが行なわれておるわけですから、実質的にもこれは物価引き上げじゃないか、料金引き上げになるんじゃないか、こういうふうに思うんです。もしもそういうふうに分析されるとするならば、これだけ大きな影響を持つたばこ価格引き上げについては、価格引き上げについて非常にきびしいあなたが簡単に許されるはずがないと思うんですが、しかし、案外簡単にこのたばこ価格引き上げについてあなたが認められたという、その態度はどうも私は納得できないんですよ。もしもこれを認められるとするならば、ほかの通運の料金引き上げろといわれても、これを押える理屈はないんじゃないですか。あるいは鉄道運賃引き上げる、郵便料金引き上げる、あるいは電信電話料金引き上げるということと同じなんですからね。それだけこっちを押えて、こっちだけを認めるというような考え方というのは、物価対策から見ると片手落ちじゃないかというような気がするんだが、その点はどうですか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いや、実はなかなか簡単ではなかったのでございまして、いろいろ議論をいたしました。で、専売のほうの論理から言えば、当然いろいろなコスト要因が上がっておるということであろうと思いますので、私はそれはそうであろうと思います。しかし、私どものほうの考え方は、やはり専売はいろいろ目的はございましょうけれども、主たる目的財政専売であろうと考えましたので、したがって、先ほど申しましたような、国債所得税減税等々の関係で財源を必要とする、そういう財政上の事情から私はやむを得ないだろうと、こう考えました。その考え方は、結局、たとえば酒税増徴にいたしましても、それは酒の生産費、あるいはビール生産費というものは、あるいは何がしか上がっているかもしれない。しかし、今度酒なりビールなりが値上げをされるのは、それはコスト要因ではなくて、税金増徴がその原因である、こう考えるのと同じようなことをたばこについても考えたわけでございます。
  29. 野上元

    野上元君 この問題は、政府もようやく専売公社と協議して、公社経営自主性について検討を始められたということになっておるわけですから、その問題が解決するかしないかは別として、もしも解決すればはっきりしてくるわけです。今度は、たとえば消費税というふうにしてしまえば、あと公社が独立企業としてどういうふうにこれをやっていくかということになれば、はっきりその価格上昇ということであらわれてくるわけです。今度はあるいは増税なら増税ということであらわれてくるわけです。今回のは増税のようでもあるし、物価上昇のようでもあるし、きわめてあいまいな問題になっておるわけです。したがって、一般の人から見ると物価値上がりというふうに見るし、専門家から見ると増税だと言っている。非常にむずかしい問題を含んでいると思いますから、それは後ほどまたその点についてはやりたいと思いますが……。
  30. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 企画庁長官にいまの問題に関連をして。予算編成時に物価上昇率四・八%と言われた。しかし、たばこと酒はそれに含まれておらない、こういうことですね。しかし、今次国会の中では、すでにたばこ定価値上げ法、酒の値上げ法がすでに予定をされておる。にもかかわらず、そういうものが物価上昇率に入っておらないということは、何か政策的な意図があったのですか、その辺はどうですか。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の御説明がかつて不十分であったかもしれませんが、四・八%の中には、このたびの間接税たばこ等の増税関係は含んでおります。先日申し上げましたのは、米を見ておらないということを申し上げたのでございまして、たばこ、それから鉄道の定期券の割引率の切り下げ等々をみんな四・八の中で見ております。
  32. 野上元

    野上元君 この際、企画庁長官に聞いておきたいと思うのですが、あるいは大蔵大臣にも御回答願いたいと思うのですが、アメリカのいわゆる輸入課徴金制度の創設という問題も、これは日本の国際収支に重大な影響がありますね。ひいては日本経済成長にも大きな影響があるということになれば、間接的には税の収入のほうにも大きな影響を与えてくるということも考えられるのですが、今日新聞紙上等で聞くところによりますと、日本が非常に努力しておるにもかかわらず、やはりアメリカとしては輸入課徴金の問題についてはなかなか強硬な態度で臨んでおる。もしも輸入課徴金制度をあきらめるとするなら、別の非関税障壁の方法で輸入制限をしてくるというふうな、いずれにしても輸入制限をせざるを得ない、こういう状況のようですが、それらについては日本政府としてはどういう判断をされておるのですか。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) アメリカの輸入課徴金が最終的にどうなるかということが現在まだはっきりいたしませんけれども、いまの段階は、御承知のように、わが国をはじめ、EECの諸国が先般決定いたしましたケネディラウンドのアメリカ側は繰り下げ、その他の国は繰り上げ実施という対策を出したわけでございますが、ただ、それに、ことにEEC等の主張によってケネディラウンドのときに合意がありましたいわゆるASPの廃止を急いで、しかも、日限を切ってアメリカとしては実施すべきである、あるいはもろもろの輸入抑制措置をとらないということを約束せよという条件をつけておりますために、アメリカとしては、これは政府ばかりでなく、議会を拘束する約束になりますので、なかなか政府立場でそこまでぴしゃっと言われることは受けつけにくいというようなことを言っておりまして、そうしておりますうちに、ガットの事務局長のウィンダム・ホワイトが間に入りまして、ひとつその両者の言い分を調整してみようではないかということになりまして、ちょうどただいまの段階でそれをやっておるわけでございます。で、なかなか予測を許しませんけれども、どうも私の感じでは、アメリカも、ドル防衛等々で、わが国をはじめ、それらの国から非常に協力を与えられておる立場もありまして、そうそうてまえがってなことも言えないということは、これは当然アメリカとしても考えなければなりませんし、考えておるであろうと思います。そこで何かの妥協ができて、ケネディラウンドの実施方法を変更することによって課徴金というものはなくなるのではないだろうか。これはもうしばらくたちませんとはっきり申せないことでありますが、そういうことを強く期待をしております。また、期待する理由も私はあるように思うわけでございます。そういたしますと、残りますのは、今度は米国内における物品ごとの輸入規制がどうなるか。上院にいろいろな動きがあるわけでございますが、これは結局相当大切な法案にいわゆるライダーとして付帯させない限りは、大統領が拒否権を使うことが容易でありますから、何か大統領が拒否できない法案のしりにつけるということしかないと思いますが、そういたしますと、またそれはそれとして、上下両院の協議会で、ことに歳入に関する法案は、本来下院が優先権を持つ事項でありますから、下院としては、上院がそういうライダーをつけることを好まないという考え方がございますので、そこでつぶれるという公算が相当大きい、油断は許さないわけでありますけれども、そういう貿易自由化に逆行するような措置は、なるべくアメリカの議会及び政府の良識によってわれわれが期待するように処理されるのではないだろうか。そこにもいろいろな危険はございますし、いたしますから、絶えずいろいろな働きかけをしたりいたしておりますけれども、目下はまあそういうふうに考えております。もちろんそれらの想定のどれかが破れますと、わが国の国際収支にある程度影響があることは、これは免れません。また、その場合には自衛の措置もとらなければならない、こう考えておりますけれども、ただいまのところはそういうことを強く期待もし、また、予測もいたしておるわけでございます。
  34. 野上元

    野上元君 私もいろいろと新聞記事やその他で見ておるのですが、どうもアメリカ考え方から見ると、たとえばこの輸入課徴金を創設しようとする真の目的はドル防衛にもあると思いますし、国際収支の改善にもあると思いますが、それと、もう一つは、やっぱりガットがやっておる国境税の調整ですね、これはまあ恒久的に行なわれておるわけですね。ところが、これは間接税を主体としておるヨーロッパにとっては非常に有利になっておるわけですね。アメリカのように、直接税が八〇%以上を占めている国にとっては非常に不利な状態になっておる。したがって、等価交易が行なわれておらないという一つの不満があるのじゃないかというような気がするのですね。したがって、ドル防衛の面から見ても、ケネディラウンドをかりに一年間繰り上げてやっても、その対米影響というものはそんなに大きなものじゃないし、その間相当のタイムラグがある。したがって、それは待てないのだというのがその一つアメリカの強硬な反対理由だと思うのですね。加えて、何といいますか、ケネディラウンドの繰り上げだけでもだめだと、結局は等価交易をやるためには、国境税調節というものまでもさかのぼって考えていかなければ、アメリカとしては非常な不利な状態に立たされる、こういうことが潜在的にあるのじゃないですか。だから、それをEECにその反省を求めておるのじゃないかというような気がするのですが、その点はどういうふうに分析をされておるのですか。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは私は御指摘のような問題が確かにあるように考えております。つまり前からこの問題はあるといえばあったわけでありますが、EECの諸国が内国税の調整をいたしましたときに付加価値税を採用したりいたしましたために、非常に開きが目立ってまいりました。ところで、ガットでは、御指摘のように、ボーダータックセズというものは認めておるものでございますから、で、アメリカやわが国のように、直接税中心主義の国はこれに見合うものがないということになってくるわけです。ことに付加価値税をとりますと、かなりそれが大きいものでございますから、その差が目立つようになったわけであります。そこで、アメリカは、今度はガットに対して、そういう問題があるので、直接税中心の国は間接税中心の国よりも不利になるではないか、したがって、ボーダータックセズを許しておるような、似たような条章がガットの規定にあるべきである、こういう主張を現在しておるわけであります。それに対してわれわれは、そういう問題があることは認める。しかしながら、その問題は、いまアメリカがドル防衛のために課徴金をやろうという当面の問題とはこれは別の問題である。したがって、いまの問題はいまの問題としてやめてもらわなければならない。しかし、この問題はあることは認めるので、それはガットの中で将来に向かって研究をするということには異存がない、こういう立場になっておるわけであります。
  36. 野上元

    野上元君 あなたの時間がないようですから先を急ぎますが、ケネディラウンドの繰り上げ実施と、それから、同時に、SDRの創設の問題がありますね。これらがからんで輸入課徴金を阻止するというような一つの今日の手段にされようとしておるわけですね。新聞によりますると、SDRの最終案がきまったと、こういうことがいわれておりますが、このSDRの目的というのは、これにも書いてありまするように、第三の通貨として保有できるのは、各国政府中央銀行及び国際機関といった公的機関に限られており、国際収支が赤字になった場合、いつでもこれを必要な外貨にかえて国際間の決済に使うことができる、こういうことになっておりますね。したがって、その目的は、国際収支が赤字になった国がいつでもこれを必要な限度で外貨にかえて決済をすることができる、こういうのがこの目的じゃないですかね、このSDRの。その点はどういうふうにお考えですか。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国際収支に困難がある国が国際収支に困難のない国から信用を受ける一つの方法であると考えております。
  38. 野上元

    野上元君 ところが、このINF協定改正案の内容が明らかになったところによりますと、これを発動するための条件として、米英両国の国際収支がよりよい均衡状態を実現しておること、これが発動の一つの最も大きな条件になっておるということは、SDRの目的から見て、これは非常に大きな矛盾をするのじゃないでしょうか。国際収支の悪化がある国が悪化のない国から信用を供与してもらおうというのが国際流動性を高めるゆえんでしょう。ところが、アメリカと英国の国際収支の健全化がまず存在しておらなければSDRは発動しないというこの第一の条件というものは、これはどういうことなんですか。あなたの言われたことと矛盾しておるのじゃないですか。
  39. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) このフランスが代表的な主張者であると思いますが、SDRが必要だということは国際流動性の解決問題なので、アメリカイギリスがほんとうにこの国際収支の均衡を回復するということであったら、欧州諸国に対しても国際流動性問題が出てくるのに、アメリカが国際収支の赤字を出してドルを外国に出している限りは、国際流動性は不足していないということになるのだと、だからフランスあたりは賛成できないというのがいま言った問題に対する立場でございます。
  40. 野上元

    野上元君 そうしますと、このSDRを発動するためには、米英両国の国際収支がよりよい均衡状態を実現していることという条件があるのですが、これが解決されなければSDRというのは発動できないということですか。そのアメリカ及び英国の国際収支の改善をするために、しからば第四の通貨を創設しなければならないわけですか。いま困っておるわけでしょう、アメリカは。
  41. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) SDRの発動につきまして、どういうことを頭に置いて、どういう事態があったときに発動するかという点につきましては、一つは、国際流動性が世界的に不足しておる、従来の準備資産であります金とかドルだけではどうもやっていけないという判断が一つと、それから、もう一つは、いま御指摘のように、アメリカイギリス等の国際収支につきまして、よりよき均衡状態になる、ここではっきりと均衡することが必要なのか、よりよき均衡に向かっておるのかという点でございますが、その辺は今後の判断の問題でございます。この判断につきましては、関係国がそれぞれ判断したものを持ち寄って、そこで総合的に結論を出す。その場合に、単なる過半数ではなくて、相当高率の投票によってきめなければならないわけであります。したがいまして、そのよりよき均衡とは何だという点になりますと、これはいまの時点においてなかなか判断しにくい。今後の実行の問題としまして、SDR協定が発効いたしましてIMF協定の改正が行なわれ、その時点において判断する。したがいまして、明年のおそらく春以降の問題と思いますけれども、その時点においていまのドル、ポンド等の国際収支の状態がどうなったかを勘案の上きめる問題かと存じます。
  42. 野上元

    野上元君 この問題はきょうの主題ではないので、あまり詳しくは質問しませんが、ただ、私は非常に矛盾を感ずるのは、このSDRというものが創設された目的は、とにかく国際流動性を高めるということが一つ目的ですね。そしてこの加盟国の中で国際収支の悪化しておるところはこの第三の通貨を引き出して、そしてこの国際収支の改善に資することができるというのがこのSDRの目的でしょう。ところが、そのアメリカは今日国際収支の問題で非常に苦慮しておるのだけれどもアメリカに対してはそういう理由では貸さないということですか。アメリカの状態がよくならなければSDRというものは発動できないのだということになると、アメリカの国際収支の改善は一体どうやってやるのか、それができなければSDRというものは発動できない、何というか、このSDRの目的がはっきりしないような気がするのですが、アメリカだけ除外されておるような気がするのですが、その点はどうですか。
  43. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) 先ほど説明いたしましたように、国際流動性全体として世界的な流動性が不足する事態においてつくる、そのことは、先ほど申し上げましたように、金、ドル等の現在あります準備資産だけでは不足すると、アメリカの国際収支が赤字を続けております限りは、その面からいえば国際流動性は不足しないということなんです。アメリカの国際収支が漸次均衡に向かっていくというところから流動性が不足してくる。したがいまして、そのSDRのつくられる目的というのは、あくまでも世界的な流動性の不足に対処する。個々の国が国際収支が悪くて、個々の国の外貨準備が不足するから、そのためにつくるものじゃございません。あくまでも世界的に流動性が不足する事態においてつくっていく。アメリカにつきまして申しますれば、繰り返しになりますけれどもアメリカの国際収支が均衡すればそれだけ流動性がつくられない、したがって、世界的に不足してくる、したがって、SDRをつくるということになります。ただ、そのアメリカの国際収支均衡が絶対的に均衡するところまで持っていく必要があるのか、あるいはよりよき均衡でいいのか、それは判断の問題でございまして、それはこれからの問題かと存じます。
  44. 野上元

    野上元君 一般論としてわかるのですよ。一般論としてわかるのですが、国際流動性の不足によって、不足という事実があらわれたときにこのSDRを創設していくということなんですね。そうして国際流動性を高めていくということはわかるのだが、しかし、現実の問題としてこれを発動する場合には、国際収支の赤字のところが国際収支のよりよいところから信用供与を受けて、そうして自分のところの国際収支の改善に使う、こういうことになるのじゃないですか、結果は。
  45. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) やや具体的に申しますと、SDRができてない状態のときにおいて何が行なわれているかと申しますと、個々の国が国際収支が悪い場合には、自分の持っている準備資産を手放しておるわけです。それが金であり、ドルであるわけでございます。それによって国際収支の赤字をファイナンスしておる。SDRができましたあとの状態になりますと、この場合でも同じ問題でございまして、国際収支が赤字だと、その場合に外貨準備の何を手放すのか、その場合に、その国の判断としく手持ちの金を売るかドルを手放すか、それでもよろしゅうございますし、あるいはSDRを手放すか、それでもよろしいわけでございますから、それはその国の判断でございまして、SDRができることによりまして、各個の国の外貨準備の水準が上がってきまして、国際収支の波動に対してよりよく調整できていくということでございます。そういう趣旨のものがSDRでございます。
  46. 野上元

    野上元君 この問題はこの程度で打ち切りますが、さらに、アメリカの景気が日本に及ぼす影響というのは非常に大きいと思うのですが、アメリカもいまいろいろなことをやって、関税障壁を設けようとしたり、あるいは財政の緊縮をやろうとしたり、あるいはベトナム戦争のデスカレーションをやったり、いろいろなことをやって、国内緊縮をやったようですが、公定歩合は一体どういうふうな動きを示しているのですか、アメリカの公定歩合は。
  47. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) きのうアメリカでは公定歩合を上げまして、けさ東京時間の午前五、六時ごろと思いますけれども、十九日付で五・五%に引き上げになりました。
  48. 野上元

    野上元君 これは国際的水準から見てどの程度になるのですか。
  49. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) まあ非常に高い国で申しますれば、イギリスの七・五とか、あるいはカナダの七・五というのがございます。それから、低いほうで申しますれば、ドイツ、フランスあたりの三%というのがございます。まあちょうどその中間ぐらいと存じますが、ただ、これは現在世界的に非常に金利の高い時代でございまして、アメリカとしまして五・五%の公定歩合というのは、ちょっと私どもの記憶でもまあ数十年来ない高金利かと存じます。
  50. 野上元

    野上元君 日本の場合はいま幾らですか。
  51. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) パーセントに直しますと六・二一%ぐらいです。
  52. 野上元

    野上元君 このアメリカが公定歩合を五・五%に引き上げたことによって日本の公定歩合に及ぼす影響というのはあるんですか。
  53. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) これはちょっと日本銀行にお尋ねになったほうがいいかと存じます。国際金融局長がお答えするのはいかがかと存じます。
  54. 野上元

    野上元君 大蔵政務次官、どうです。日本も公定歩合を米国にならって引き上げますか。引き上げるように日本銀行を指導しますか。
  55. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) いま現在すぐ私は引き上げる必要はないと、かように考えております。御承知のとおりに、国際収支が悪化いたしましたために財政を緊縮をするということで、一面においては政府が緊縮予算を立てる、同時に、また、民間の消費が非常に旺盛でございますから、それを引き締めをやるために、また、消費を押えるために公定歩合を昨年一厘引き上げ、また本年一月一厘引き上げたことは御存じのとおりでございます。いまこれをさらに引き上げるということは考えておりません。
  56. 野上元

    野上元君 あと大蔵大臣が来てからその点質問したいと思うんですが、実は四十三年度における大企業の設備投資は二兆九千億円にのぼる、したがって、相当の高水準であるというふうにいわれておるわけですね。ところが、政府のほうは何とかしてこの設備投資をあと一割程度は削減してもらいたいという強い要望があるようですが、そういうことを考えますと、公定歩合をいじらなければこの設備投資を抑制することはできないんじゃないかというような気もするのでちょっと聞いてみたんですが、それはあとでまた大蔵大臣から聞くことにして、その点はあとに保留しておきます。  国際金融局長にお聞きしたいんですが、アメリカが五・五%に公定歩合を引き上げたその影響というのはアメリカにどういうふうに出てくるんですか。
  57. 柏木雄介

    政府委員(柏木雄介君) アメリカ経済は、昨年の第四四半期、本年の第一四半期から相当過熱状態がはっきりしてまいりました。これは国際収支にも非常によく出ておりまするが、たしか昨年の第四四半期のアメリカの国際収支の赤字は、年率にすると四十億ドル近いものになってきたということでございます。本年の第一四半期もさらにかなり高い水準の赤字が出ておる。したがって、財政金融政策両面から景気を押える必要があるということであったろうと思うわけでございます。しかしながら、御案内のように、税法の改正というものがなかなか国会で認められないということから、どうしても金融政策にたよらざるを得ない。そこで、三月に一度四・五%から五%に公定歩合が上がりました。それから、昨日もう一度上げたわけでございます。したがって、これによりましてアメリカ経済に対してかなり抑制的に働いてくるんじゃないかと思います。ただ、金融政策に通ずる経済の抑制というのは、前の例から申しますと、何と申しますか、若干ゆがめた形で影響してくるということがよく指摘されます。アメリカの場合で申しますれば、住宅投資が非常にゆがめられるとか、あるいは設備投資にも響いてくるとか、いろいろなことがございまして、一般的にいわれておりますことは、今回のアメリカの景気過熱については、よりよくそのフィスカルポリシーを活用する。特に歳出の削減、税制の面の改革ということがいわれておりますが、これはまだペンディングな状態でございます。今回の公定歩合の引き上げだけで景気の調整がはたしてうまくいくかどうかという点につきましては、やはり金融だけではいかないので、フィスカルポリシーの活用ということがやはり非常に必要かと存じます。
  58. 野上元

    野上元君 もう一ぺんたばこに返りますが、前川さんに聞きたいのですけれども、この提案理由説明の中に、もう一つこういう問題があるのです。たばこ税負担相当部分は、他の間接税に比較し、均衡を失するに至りと、これをひとつ御説明を願いたいと思うのです、どういうふうに均衡を失しているか。
  59. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 先ほど来申し上げましたように、酒、たばこ財政物資でございまして、直接ほかの間接税、つまり物品税とかそういうものと比べるということはむずかしい。そこで、先ほど来申しましたように、間接税全体としてこれがいわゆる四割を占めているわけですが、また、その四割の中における割合につきまして、別に一八、一九でなければならぬと思っておるわけではございませんけれども、まあ昭和四十年前後の二割くらいに近づけようじゃないか、また、その程度値上げであれば、先ほど来申しておりますように、売れ行きに非常にショックがくるようなこともないであろう、こういうことで、したがって、いわば間接税そのものとは直接比較するものがございませんので、間接税全体としての財政寄与率の中におけるたばこのほどほどの役割りということを一つのめどにしたということでございます。
  60. 野上元

    野上元君 これも歯切れが悪いですね。他の間接税と比較して均衡を失ったと、こう提案理由説明にあるのだけれども、他の間接税とどういうふうに均衡を失しているのか。たとえばダイヤモンドでもいいし、毛皮でもいいし、乗用車でもいい、とにかく奢侈品の最高と思われるものの間接税たばこ益金と比べてみてください。どういうふうな関係にあるか、それでも、なおかつ、たばこ益金率は均衡を失してきた、低きに失する、だから上げるのだ、こういうふうに書いてあるのだけれども、そういう何がありますか。
  61. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは酒のほうにも関係があると思いますので、私から税制調査会考え方を申し上げたいと思うのですが、ただいま御指摘のように、均衡を失してきたといいますけれども、ほかの物品税その他に比べれば重いではないかというお話でございますが、これは前回申し上げておりますけれども、酒、たばこというような嗜好品の税率というものは、一般の消費税とかなり違ったバランスをとっていると思いますが、ここで均衡を失すると申しましたのは、いま日本の大きな消費税のうちで大部分を占めております酒、たばこ、それから揮発油税、この三つはいわゆる従量税という、昔のと申しますか、古い体系をとっております。従量税体系でございますと、価格関係もなく、課税標準に対して一定の金額の税を課することになっておりますので、その点から従価税率をとっております消費税と比べますと、そこでおのずから差が出てまいります。従価税率をとっております消費税でございますと、二割ときめれば、課税標準がふくれ上がりますと、それに応じてふくれ上がるわけでございますが、酒、たばこの場合は、その根本のお互いの均衡というものは別にございますが、かりに従来の定額できめておいたものが、当時の消費税の立場では四割とか五割とかになっておったわけであります。それが課税標準の価格が変わってまいった場合に、四割五分とか三割とかというふうに下がってまいります、実際上は。そういう意味では、従価税率をとっております税に対して価格変動が起き、所得水準が変わってくると、どうしても下がりぎみになるという傾向がございます。もちろんその場合も、それぞれの新しいバランスのもとで見直すという問題もあると思いますけれども、それがかなり大きく変わってまいりますと、ほかの物品に対する税率が変更されていないとすれば、そこに当初持っておったバランスの差がどうしても出てまいる。たとえば先ほど指摘ございましたが、たばこの場合は、原価率が二十六年には二六・四ぐらいでございましたものが、四十一年には三九・六と、大体五割ぐらい原価率が上がっております。もしかりにこれが従価税率をとっておるものでございますならば、税額自体も五割ぐらい上がるわけでございます。ところが、定価できまっておりますために、五割に上がるべきものが従来のまま据え置かれているというかっこうになりますと、全体としての消費税の中のバランスが、新しい見直しは必要とするにしても、かなりくずれてきている。そこで、今回バランスを見直して若干の引き上げを行なう。もちろんもとのまま戻すというのは現在のバランスから見てはたして適当かどうか。たとえば今度の酒、たばこにつきましても、引き上げをいたしましたあとで、大体間接税率が四〇%程度と、従来の率をほぼ維持する程度に直したということでございますので、前のとおりに直してしまうということではございませんが、そういう意味で均衡を失するということばを使ったんだと思います。先生のおっしゃいますように、絶対的なそのときのバランスというものは別にあるとお考えを願ったほうがいいと思います。
  62. 野上元

    野上元君 いや、私たびたび疑問に思うんですが、たばこ税負担の相当部分というのは他の間接税に比較して均衡を失しておるとは思えないんですね。いまもまだ高過ぎると思っているんです。したがって、だんだん益金率が低くなっていくのは、いわゆる正常化運動だと思っているんです。私は自動的な正常化運動だと思っている。それをまたあなたのほうで手直しをして逆行させる、こういうふうに私は見ておるわけですよ。そこで、どうしても意見の食い違いが出るわけです。あなたのほうでは、他の間接税と比較して均衡を失しておると言うが、ほかにこういうふうに六〇%も課税されておるものがあるのですか、間接税で。これ以上のものがあるですか。どんな奢侈品でもそんなにないんじゃないですか。
  63. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 間接税では、おそらくたばこの次に重いのは現在は揮発油税だと思います。その次は酒税である、こう考えておりますが、いま仰せられたとおり、個別の均衡という問題を今度は指摘したわけではないのでございまして、税率体系の違いによる動きが、先生のおっしゃるように、そうやって自然に低くなるのでいいじゃないかという考え方もございます。もちろん、また事実そういうことで戦後の非常に重い負担が直ってきた面もございます。また、それを是認する意味税率を下げた例もございますが、大体個別の横の均衡という問題と、その横の均衡が一応いいとした場合には、従価税と従量税とをそのまま据え置きますと、当然バランスがくずれてくるという問題が起こるわけです。今度指摘しているのはその点でございまして、重いかどうか、先生のおっしゃる点は、これはまた嗜好品課税の問題として別に問題がある、かように思います。
  64. 野上元

    野上元君 バランスがくずれるというのは、もとにまた戻るんだけれども、一体何を基準にバランスがくずれるのか、それがどうもはっきりしないのですね。益金率が低くなっていくことがバランスがくずれるという考え方は、どうも私には納得できないのですよ。むしろ高過ぎた益金率がだんだん低くなっていって、しかも、財政寄与率もすでに高いならば何も手直しをする必要がないじゃないか。これはバランスがくずれたんじゃなくて、正常に戻りつつあるという表現のほうが私は正しいと思うのです。ところが、他の間接税と比較してバランスがくずれてきたとか何とかいうものだから、そういう提案理由説明をしているものだからどうしても納得できないのですよ。これ以上やってもしようがないから言いませんけれども、ところが、第三の理由としては、明年度予算編成の基本方針にのっとり、経常的歳入の充足をはかろうとするものであると、こう書いてある。これがほんとうの目的じゃないですか。これがほんとうの目的じゃないか。あとはバランスがくずれたとか、財政寄与率が低くなったとか、何とかかんとか言っているのはみんなつけ足しであって、経常的歳入の充足をはかるのが目的である、こういうふうに言うなら、それでもうはっきりしておって、これだけ財政需要が必要なんだから、たばこは犠牲を負ってくれというふうな言い方ならもうすっきりしておってわかるのですが、その点をもう少しはっきりさしてもらいたいと思うのだがね。
  65. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいま仰せのとおり、三つばかり理由をあげておりますが、いま御指摘のように、経常歳入の維持をはかるという意味でございますが、いま御説明申し上げましたような理由から、たばこのいわゆる国民所得に対する販売弾性値というものは〇・六五という数字になっております、年率で。ところが、たばこ専売益金並びに消費税の合計額の弾性値は〇・五六ということで、毎年実はたばこの従量税体系ということから生ずる経常歳入の充足率は落ちるという数字にこの十年間なっておるわけでございます。そういう意味で、一方でそういう従量税体系というものを直すことによって経常歳入としての力というものを維持できる、そういう意味で、両方の意味で申し上げておるということでございます。
  66. 野上元

    野上元君 それから、このたばこ及び酒税引き上げられたその直接的な原因というのは財政硬直化にある、こういうふうに一般的にいわれておるのですが、その点はそういう実情なんですか。
  67. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) たばこ値上げの直接原因が財政硬直化にあるというわけではございません。もうたびたび説明しておりますとおり、今年度の財政政策につながった問題でございまして、財政の体質を改善する、そうしてこの国際収支の問題に処するためには、この体質の問題からして、どうしてもここで国債発行を減らして全体の規模を圧縮する、そうして総需要の圧縮をはかるという必要がありましたために、本年度においては大きい減税をもって臨むことが大体できないという財政政策をとったわけでございますが、しかし、実質減税を望めない年であるといいましても、減税の必要に迫られているものはやはり所得税であるというふうに私ども考えまして、この際、所得税の改正をする、同時に、財政収入を確保するという意味からいたしますというと、ほかにいろいろ財源があるとしましても、もう二、三年前から税制調査会からも指摘されましたように、そのままほうっておけば増税になる税と、一方、相対的に税負担が軽くなる税と、この調節をすべしという意見がもう二、三年前から出されておりましたので、そういう意味所得税の調整をするというときには、一方、相対的に税負担が下がっている間接税の調整をすることが適切であるという考えでこの問題に手を触れましたところが、大体所期の財政収入が得られるということになりましたので、今回はそのほかのものに手を触れなかった、これが実情でございます。
  68. 野上元

    野上元君 四十三年度の自然増収というのは、大蔵省で見積もられたる額はどれぐらいですか。一兆円ぐらいですか。
  69. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 全部で九千四百七十六億円になります。
  70. 野上元

    野上元君 この九千四百七十六億のうち、いわゆる財政硬直化しておるという義務的増加額というのはどれぐらいですか。
  71. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 歳出のほうの硬直化による増と称せられておりますのは約六千七百億円程度だと存じます。
  72. 野上元

    野上元君 そうしますと、財政的措置のできるために自由になる金というのはおおむね二千七百億円程度、こういうことになるわけですね。これによって四十三年度における新規の政策的なものを実行していく金だ、こういうことになるわけですね。それと加えて国債発行ということになるわけですね。しかし、それでは精一ぱいであるということになるわけですね。ところが、一方、自民党としては、あるいは政府としても公約として減税をやらなきゃならぬ、こういうことになっているわけですね。したがって、総理がよく言われるように、四十三年度は実際には減税に回す金はないんだ、ないんだけれども、公約があるから千五十億円だけはやりました。しかし、それをやったために千五十億円の穴があいた、その穴を埋めなきゃなりません。そのためにたばこと酒と物品税の一部を上げた、で、千五十億円の穴を埋めた、こういうことになるわけですね。こういう理屈になるんですが、これは間違いないですか。
  73. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 簡単にそういう理屈にはならぬと思います。ということは、今年度はもう減税する余地がないんだというのではなくて、かりに公債発行額を減らさないということでしたら減税の余地というものはもっと当然あると思うのですが、そこで、たびたび申しておりますように、本年度の予算編成方針として、減税に力を入れるのか公債の発行を減らすのかということになると、財政政策としては公債の発行を減らすという政策をとったために減税の余地がなくなったということでございまして、硬直化のために減税の余地がことしは最初からなかったというのじゃありません。
  74. 野上元

    野上元君 とにかく九千五百億にのぼる自然増収があるのですから、財政硬直化がなければ国債の発行も減らせたし、減税もできたはずですよ。これは大体どちらも公約なんですがね、公債発行の減額、大体公約に近いものですがね、しばしば答弁されております。また、所得税減税も、これは天下に公にされているところです。ところが、公債発行の減額はどうしてもやらなければならない、それをやったために今度は減税ができなくなった、しかし、減税もやらなければならない、これをやらなければ自民党としては参議院選挙は勝てないと思うのです、私は。もしこれをやってくれなければわれわれ非常に都合よかったんですが、そういう関係で、回り回ってたばこに回ってきたんじゃないですか。結論的に言えばそういうことなんじゃないですか。たばこと酒と物品税の一部に回ってきた、こういうめぐり合わせになっている、因果関係になっているんじゃないですか。これは間違いないじゃないですか。そう簡単にはいかぬですか。
  75. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま言いましたように、財政政策から見て実質減税はやらないという方針をむしろとったのでございますから、そういう方針のもとで、一方、この所得税減税はするということをいたしましたら、当然それに対応する税収の増の問題がなければならぬ。それをどこに求めるかと申しますというと、これは積極的に今年度増税をするという方針はとっておりませんので、結局所得税減税ということは、さっき申しましたようなことで、もっぱら調整という意味が非常に入っておりますので、一方、そういう積極的増税というのではなくて、税の調整ということによって財源が見出せるものということになりますと酒とたばこである、こういう結論になってこの二つの問題を取り上げたということでございます。
  76. 野上元

    野上元君 まあちょっと堂々めぐりはやめますけれども、あなたはたばこ増税は調整のためにやったのだと、こう言っておられるのですが、先ほどから論争しているのです、この点は。調整とは一体何を目的に、何を基準に調整しているかと言いたいのです。私はこれを聞きたいのです。たばこを上げる理由は何である、さっきからいろいろ聞いているけれども、結局これだけ金がほしい、大蔵省は。そうしなければ新規の政策はできぬから、とにかくたばこから取るのだ、結論的に言えばそうなんですね、調整というけれども。それじゃ何を基準に調整したのですか、大臣にお聞きしたいのですけれども
  77. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 財政収入を確保するという方法としてはいろいろあると思います。しかし、新規の税を設けて新たに国民に負担を負わせるかというようなことをするのではなくて、もうすでにいままで所得水準の非常に低いというその時代には、酒にしろたばこにしろ、相当税は重かったと思いますが、それ以後国民所得水準は上がってきておる、物価も上がっておるというときになってみますと、この税は相対的に負担が下がっておるというのが実情でございますので、かつては相当高い税であったものが、いま相対的にこれが低目になっておるというものを調整するというほうが新しい増税という意味にはならないので、この方法をとることがやはり適当ではないかというふうに考えたわけでございまして、かつてもっと高い税負担をこれは国民は負っておったのですから、そのもとへ少しでも戻っていくという調整は、これは新しい税種をつくって国民に負担を負わせるということとは違いますので、合理性があると考えたわけでございます。
  78. 野上元

    野上元君 大蔵大臣、これは先ほどからそれを論争していて、たいへんな発言なんだが、かつて高いたばこ税を払っておった、それはそれじゃ正しいんだというあなたのお考え方なんだね。それに向かってまた逆戻りすることはちっとも増税じゃない、こういうふうに聞き取れるのですが、七〇%くらいかつて払っておったのですが、たばこの中で。それは正しいというふうに考えておられるのですか、大蔵大臣は。
  79. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 便宜私から申し上げますが、大臣がいまおっしゃいました意味も、七〇幾つまで戻さなければならないということではございませんと思いますので、先ほど来私が申し上げておりますように、六〇内外にする、それは年度で申しますと四十年、四十一年ごろに戻そうというような程度手直しでございます。
  80. 野上元

    野上元君 この話は先ほどからさんざんやったのですが、それでなかなか結論が出ないんですよ。一体益金率というのは何%が正しいのか、何%を基準にすべきかという問題と、益金財政寄与率を一八%にするのが正しいのか、二〇%にするのが正しいのかという点についてもはっきりした結論はないのですよ。それで、どれを一体標準にするのだということについても、諸外国例等をとって、まあおおむねこの辺だろうということになるのですが、いま私たちは日本の税制について論争しておるのであって、アメリカがどうだのヨーロッパがどうだのということはあまり関係がないことなんで、現実の問題として論争してきたので、その点についてはまだはっきりした基準というものは発見できないのです。これは今日の益金制度というものからくる一つの宿命的なものだと思うのですね。常に益金率というものは流動性を持っておりますね、あるいは財政寄与率にしても。これはこれだけでたばこ価格をきめるということになると、これもまたたいへんな問題だと思うのです。したがって、これも基準にはなかなかならない。こういうことになると、きわめて流動性のあるものだという認識だけは私も得たわけです。  そこで、専売当局にも聞きたいのだが、今度のたばこ値上げによって専売公社は、何といいますか、合理化なり設備投資なりがどれだけできるのですか。言いかえれば、専売当局として今度のたばこ値上げに積極的な意義があるかどうか。あなたのほうで値上げをしてもらいたいと大蔵省に言ったのか、大蔵省のほうからこれをやれと言っていったのか、どっちがイニシアチブをとったのですか。専売公社副総裁、どうですか。
  81. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 値上げ財政収入をふやすための措置でございますから、これが公社の設備投資に向ける資金を獲得することを目的とすることでないことは御了解願えるかと思います。
  82. 野上元

    野上元君 そうしますと、今度の値上げによっておおむね年間五百五十億円の増収を見込んでおるわけですね。もしもあなたのほうが非常なうまいデモンストレーションをやって、これ以上の六百億ないし七百億の増収があった場合に、その七百億と五百五十億の差額は、それはどうするんですか。大蔵省に皆持っていかれるのか。
  83. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは、かりにそういう数字が出ますると、いまのたてまえでは一般会計専売納付金としていく。ただ、資産の増加に見合う分を一部社内留保する分が若干計上されることもあり得ると思います。
  84. 野上元

    野上元君 そうしますと、結果的には、専売公社は何ら今回の価格改定には積極的な意義がない、私のほうはどうでもよろしい、こういうことですね。
  85. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これはそういうことではございませんで、専売公社はやはり財政収入を確保するという機能を果たさなくちゃならないわけでございます。これは先ほど大蔵省方面から御説明がございますように、そういう機能を果たせるためにある程度の調整が要るということでこういう提案がなされているのだと存じますが、私どものほうも機能を果たすためにこういうことをお引き受けするということだと思います。
  86. 野上元

    野上元君 それはわかります。わかりますが、私は、専売公社もやはり一つの企業だと思います。やはり経営者としてわざわざ民間から東海林さんがこられているのですから、そのために東海林さんが来ておると私は思うのです。官庁の天下りでなくて、そこに私は専売公社が新しいターニング・ポイントを迎えていると思うのです。そういう意味で、私は東海林総裁の存在は大きいと思う。そういう考え方からすると、逆にいえば、それじゃ五百五十億の増収が減った場合、見込みが減って三百億になった場合、これは高くなったから売れないかもしれませんよ。その二百五十億の差額はどうするんですか。あなたのほうは企業の中から取り上げられるんですか、大蔵省に。
  87. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) いまの制度のたてまえでは、そういうような場合が起きましたときには専売納付金が減ることになるかと思いますが、しかし、私どもはそういうことのないようにやりたいと存じております。
  88. 野上元

    野上元君 そういうことになると大蔵省としては重大な問題になるわけですね。この増収が見込みどおり入らないということになると一つ歳入欠陥というようなものが生ずる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  89. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) そのとおりでございます。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連しまして。ただいまの質問の中で、これは酒、たばこ増税じゃないのだ、調整であるというお話ですが、この前も、昨年は印紙税、登録税の税率引き上げがありましたね、あれも調整だという話だった。今回のも、一応政府側の説明は、たとえば酒税とかたばこ専売益金、あるいは、また、揮発油税なんかの消費税も、これはいわゆる一定金額消費の従量税であるから、所得水準の上昇とか、貨幣価値の低下に伴って、時の経過とともに、そのまま放置しておけば相対的な減税になる、こういう考えでしょう。そうであるから、そこで調整をする、こういう考え方が調整という説明の出てくる根拠じゃないですか、まずそこをちょっと伺いたいです。そうじゃないですか。
  91. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) おおむね先生の御指摘のような考え方でございます。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなると、そこで調整の場合、今度は逆に物価が上がったような場合、今度は所得税のほうが問題になるのです、逆に。そうでしょう。所得税のほうは累進課税で、きのうも議論がありましたが、そこで、今度は増税になるわけですね。だからそっちも調整が必要なんですよ。ところが、調整減税をやっていないじゃないですか。片方は調整増税をやって、所得税のほうは調整減税をやらないでしょう、実質的には。理屈としては、千五十億のうち、三百幾らかは調整減税になっていると言うけれども、他方でこっちの調整増税でなくなっちゃうでしょう、そういうものは調整増税で。だからそこのところが非常にかってであって、片方の消費税のほうは一定金額消費の従量税だから、貨幣価値が低落するから、調整しないと減税になるから調整する、所得税のほうは逆に調整しなければならぬのですよ。また、その調整も足りないわけですよ。そうすると、今度は所得税のほうは調整するにしても、片方のほうの千五十億の調整と金額においてバランスが合うか合わぬかという問題もありますし、だからそこのところが非常にわれわれから見るとごまかしがあって、片方は増税じゃない、調整だ調整だといっている。ところが、所得税のほうは調整をしなければならぬのに、十分調整もしていない、しかも、調整減税も実質的にはやってはいない、こういうことになるのですよ。その説明はどうなんですか。
  93. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) いま木村先生指摘でございましたが、先生がおっしゃるように、所得税のほうは、所得税の体系の中で調整減税を含める減税をやったわけでございます。これをしいて言えば、先生の御指摘で言えば、三百四十億は調整分であり、残りは減税分である、こうなるわけであります。酒のほう、たばこのほうは、やはり同じような意味で、所得税物価が上がるために増税になる、今度は逆に酒、たばこのほうは物価だけじゃございませんが、物価が上がるために下がっているのを、所得税のほうをこうやり、酒、たばこのほうをこうやっているのが、つまり両方それぞれ調整しているわけでございますから、そういう意味ではまさに調整しているということだろうと思うわけでございまして、所得税減税を全然やらずに、そうしてたばこ増税するといって増収をはかれば、先生の御指摘のように、片一方だけしかやっていないということになると思いますが、いままでは大体片一方だけやってきたわけでございます。所得税のふえるほうだけを調整してきたのでございますが、これはもう調査会でも、実は理論家は、調整減税だけやっておるのはおかしい、調整増税もやれということを言っておったのでございますが、これは私もどのほうとしては、理屈だけで税というものを考えるのじゃない、やっぱり全体のバランスを見る、そういうことで数年に一ぺんくらい見直さなければいかぬかなあという感じのところがちょうどことしになった。上げる調整と下げる調整を両方今度一緒にやったのだというふうに考えております。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連ですから、これだけでやめますが、そういたしますと、今後やっぱり消費税については、これは従量税にするかしないか、一つの問題にもなりますね。今後の問題点にもなりますけれども物価変動、あるいは所得の増加という要素もありますけれども、そうすると、今後しょっちゅう調整するのかどうか、それは一つの大きな問題になりますよ。物価がどんどん上がっているのですよ、毎年。  それから、片一方の消費税のほうも調整といいましたが、今度は所得税のほうも調整しているのだといいますけれども、調整の消費税については三百幾らじゃないですか。これは四・八%の物価値上げでやっておるのですよ、そうでしょう。ところが、四十三年度は四・八にとどまらないのじゃないか。これは五%、もっと六%になったら調整足りないのですよ。あとになって足りなかったといっても、それは黙っているでしょう。そこにいまの四・八%でも、計算によっては少ないのですよ。計算のしかたによりますけれども、前の中山さんの会長のあの方式によるともっと多いのですよ。それから地方税もありますよ。地方のいまの住民税の所得割りについても、やはり調整しなければならぬものもありますよ。そうすると調整が足りませんよ。調整が足りないという面が一つあるのと、それから、今後しょっちゅう物価が四・八で、もっと物価が上がる。そうすると、調整足りないという点と、それから、従量税でいくのか従価税でいくのか、その点が一つ問題になると思います。
  95. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 先生指摘のとおり、三百四十億円というのは確かに四・八を前提にした計算でございますが、この四・八以上上がった場合も、千五十億の残りの部分が調整に振りかえる点はございますけれども、千五十億なら十分ことしの分はまかなえる。たとえ物価が四・八以上になってもまかなえるのではないかと、こう思います。  それから、地方税も、ことしは住民税で約七百億の減税をやっておりますので、この調整分がおそらく二百四、五十億と思います、その中で。ですから、所得税、住民税につきましては、調整減税は、計算上は三百四十億と、こう申し上げておりますけれども物価が動けば調整分が少しふえるということがございましても、ことしの減税で十分まかなえるだろう、かように考えます。酒、たばこたばこについても問題があると思いますが、酒で申し上げますと、従量税を従価税に切りかえればこの問題はなくなるじゃないかということは確かだと思います。ことしの改正でも、従量税の弊害が非常に目立ってまいりましたウィスキー類につきましては、従量税を従価税に切りかえる準備をいたしました。非常に急速にそれを切りかえますと混乱が起きますので、あらかじめ予告する意味で、三年間は経過的に従量税を置きますけれども、三年後からは従価税に切りかえてしまうという前提をとっております。従価税になれば、その分についてはこういう問題は起きないということになるかと思います。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 所得税の調整減税でも、前に中山さんのあの会長のときの中山方式といいましょうか、あれを適用しますと、四十三年度の所得税の自然増収は二千四十億くらいでしょう、大体ね。
  97. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) いまの数字を申し上げます。中山方式ということで計算をいたしますと、あの算式でまいりますと四百三十億というのが調整必要額というふうに出てまいります。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは中山方式を四・八%で計算しているのですよ。中山方式を五%で計算すると六百六十億ぐらいになる。所得税の自然増収の約三割というのです。そうすると六百六十億ぐらいになるのですよ。そうすると政府の計算と半分ぐらい差があるのです。その倍ぐらいまた調整しなくちゃならぬですよ。そうすると調整が足りないということになるんですよ。
  99. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 先生指摘のとおり、中山方式でやりますと六百七十億ぐらいになるわけでございますけれども、それは初年度で計算しておりますから、去年の減税の平年度化の分がまたここで四分の一入ってくるわけです。それを除去いたしますと、ことしの四・八に対する調整としては四百三十億という数字になるので、先生おっしゃるとおりだと思います。初年度計算をやると六百七十億でございますけれども、去年の平年度化の分による調整が四分の一働きますから、そこで四百三十億、こういう数字でございます。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでも足らないじゃないですか。——それでは、関連ですから、これでやめます。
  101. 野上元

    野上元君 いまの質疑応答でわかったのですが、千五十億円の所得減税の中に物価上昇に伴う調整減税は入っております、こういうような御説明ですね。その場合、入っておるとするならば物価上昇を何%と見、調整減税額は幾らと見ておるのですか。
  102. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいまも申し上げましたとおり、物価上昇率は四・八であります。それによりますと、中山方式——昔の調査会方式でまいりますと……。
  103. 野上元

    野上元君 大蔵方式でいい。
  104. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) まあ中山方式も大蔵方式も、両方とも大蔵方式ではあるのでございますが、まあ新大蔵方式で申し上げますと三百四十億であります。
  105. 野上元

    野上元君 三百四十億。そうしますと、実質減税は七百十億であるということは間違いないですな。
  106. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) そういう意味で申し上げますとそうでございますね。調整分というふうに取り分けて申しますと七百十億であるということは事実であります。
  107. 野上元

    野上元君 そこで、私が問題にしたいのは、千五十億の減税をしてあるのだといって大々的にやっておられますね、総理も、大蔵大臣も。四十三年度は減税はできないところを、無理やりに千五十億減税しましたと、こう言っているのだけれども、これは明らかに誇大広告ですな。誇大広告をいま政府は取り締まっているわけでしょう。特に不動産屋が駅から歩いて、徒歩三分なんといって、行ってみたら自動車で三十分だと、こういうことはけしからぬといって、いま不動産屋を取り締まっているんですが、大蔵省も取り締まらなければいけないじゃないですか、誇大広告で。そういうことになりませんか。
  108. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この調整減税というのは、たいへん日本の税制がこまかくものを考えるというところから出てきたわけでございまして、どこの国を見ても、実は物価上昇があれば累進課税には必ずそういう問題があるわけであります。そこを日本の場合は非常に物価上昇が早いということと、所得上昇も非常に大きいということから目立ちますので、これをほうっておくわけにいかぬということで、減税して直そうという意図を示したわけでございます。これをほうっておけばまあそのままになるわけでございますから、やはり減税は千五十億、さっき御指摘がございましたように、酒、たばこが調整じゃなくて増税だとおっしゃるような意味では、まさにそういう増税面としてとらえれば増税でございますが、これは調整であるから増税したと申し上げるのと同じで、減税も千五十億でございますが、調整の部分があるから、その中にそれを含めて千五十億と、こうまあ申し上げた次第であります。
  109. 野上元

    野上元君 それはわかるのですが、GNPを計算するときでも、名目と実質というものは必ずあるわけですね。減税にもそれは当然あっていいわけですよ。だから千五十億円というのは名目的減税である、実質減税は七百十億でありますよということを国民にあなた方は公表する義務があると思うのだ。それをなかなかあなたやらないというのは誇大広告だというのですよ。千五十億円もらえると思ったが、実際は七百十億円しかもらえない。三百四十億円は大蔵省がぽっぽに入れてしまったということになると、これは国民に対する背任罪ですよ、誇大広告です、明らかにこれは。誇大広告は取り締まらなければいかぬですよ、大蔵省といえどもね。そういうように私は思うのだが、その点は間違いないでしょう、実質、名目といえば、増税といわないで。
  110. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 定義の問題だと思いますが そういう言い方もあると思います。それで、ただぽっぽに入れるわけではないので、千五十億円はちゃんと減税になっているわけです。
  111. 野上元

    野上元君 意図せざる増税になっているのじゃないのかね。そこで、私は、税のやつはマクロ的にやっても国民皆さん方はあまりぴんとこないのですよ。千五十億減税になった、酒、たばこで千五十億増税になった、したがってゼロになったと、こう言われても国民承知しないですよ、わからないのですよ。そこではっきりした数字で示さなければいかぬと思うのだが、たとえば標準世帯、年収百万円の方は今度の減税によって年間七千二百三十八円ですかの減税になる、こういう計算が出ているのですが、とすると、ホープ一箱一日に吸うと、二十円上がるから、三百六十をかけると大体七千二百円になる。したがって、ホープ一個吸う人は百万円の収入があっても税金はとんとんということになるわけですね。収入はとんとんですよということになる。ビール一本飲むと、もういわゆる実質的には家計がそれだけ増大しておる、こういうことになるわけですね。その点間出逢いないでしょう。
  112. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 所得が全く同じであると前提いたしますとそういうことになるのでございますが、所得が伸びておりますために税負担が多くなる、それを減税しているのが所得税でございます。そういう意味で所得の中のたばこビールに対するシェアというものがやはりふえておりますので、先ほど来申し上げておりますように、酒、たばこの今度の調整と申しますのは、たとえばたばこで申しますと、消費支出金額の中にたばこ消費支出金額が占める割合というのは、たばこの消費本数はどんどんふえておりますけれども、三十二年から四十一年の間に五八%に下がっているわけです。この五八%に下がっているものの大部分は、これは益金の低下、相対的低下ということによって行なっております。そういう意味で、それを一どきにことしやるものですから、ややことしは大きく見えますけれども、そういう意味では、大体所得全体の配分としては、単に、何と申しますか、もとのバランスを回復しておるということでございます。ただ、税としてお聞きになりますと、単年度では確かに先生のおっしゃるとおりの数字になると思います。
  113. 野上元

    野上元君 いわゆるマクロ的な分析じゃなくて、国民一人一人の問題としてとらえた場合に、いま私が言ったように、標準世帯で年間百万円の所得の人は今度の減税で七千二百三十八円の減税になる、これは間違いないでしょう。それは数字を出せばわかるのですからね。それは百万の人は自分で数字をはじいてみたらそういうことになるわけです。たとえば今度はホープ一個その人が一日に吸うとすれば、二十円は増税になっているわけです。年間三百六十五日とすれば七千三百円の増税になっておるわけですよ。したがって、とんとんですよ、減税と。ホープ一個でとんとんになるわけですよ、あと酒もビールも飲めないということなんですよ。飲んだら自分の実質収入は低下するということですよ、四十二年度より。そういう計算になるでしょうと言うのですよ。そのことを認めますか、大蔵省
  114. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) それは確かにそのとおりでございますけれども、いま私が申し上げておりますのは、所得税がふえる、それを減税するというのは、所得がふえているということがある。したがって、収入としては、百万円の人は去年は九十万円だったという前提があるわけでございまして、そこで、ふえた中には物価上昇をこなす要素というものが当然入っているわけです。実質所得が伸びているとすれば、物価上昇をこえてそれをこなす力があるということでございますので、たばこ物価上昇というものが四・八の中に入っておるとすれば、おそらく収入が減るという問題ではなくて、やはり所得によってカバーされておるという問題であると思うわけでございます。
  115. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 きのうの私の質問に答えて、四十三年度で二%の所得成長ですね、そういうことが予想される。それで計算すると、いまこの七千何がしの差額というものは、百万円を例にして、結局二千六百何がしの増税になる、われわれから言いますれば。なおかつ、いま野上委員が言われていることは、たばこ一個二十円上がった、これに三百六十五を掛けていけば七千何がしで帳消しだということになれば、結局相当数の私は増税という体制がその中に出てくるのじゃないか。一一%名目所得が上がって、それに課税が加わっていく、そういう税率の仕組みになっているのですから、いまは。そうすると、まるきり実質的に納める人は相当高額の税金がとられていく、こういうことになりはしないか。これは金額的にぴちっと出るのじゃないですか、きのうの答弁からいっても。
  116. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) いま申し上げましたように、所得がふえました場合には、所得税は、当然累進税率でございますから、ふえるわけでございます。それが累進税率にかかわらず、実効税率どおり一一%しか伸びていない、所得の伸びしか伸びない、つまり税のシェアというものは同じであるということでとどめているわけでございます。残りの所得の増加部分というものは物価上昇をカバーしている、そういうことを申し上げたわけでございます。
  117. 野上元

    野上元君 その点はわかりますよ。しかし、あなたの説明によると、来年百万円の人はことしは九十万円の収入だ、そんなに十万円も上げてくれませんよ。そういうことを言うから、国民はまた誇大広告だと、こう言うのです。そんなに上がらぬから国民文句を言っておるわけですから、その点はあなた方も考えてもらわなければいかぬ。いわんや、免税点におる人ですね、免税者ですね、免税者は何ぼ減税をやってもらったって恩典には浴さないですね。ところが、たばこや酒のほうは増税になっておるわけですからね、一方的に。家計が苦しくなるということは明らかですね、その点は認めますか。これはどうしようもないでしょう、認めなければ。
  118. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 少なくとも、税負担がふえることは事実でございます。
  119. 野上元

    野上元君 そうでしょう。それは大体どのくらいおりますか、国民の中に。
  120. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 所得税を納めない人員というのが、この間も申し上げましたが、これは子供は別といたしまして、生業者と申しますか、その中では約三千七百万、住民税を納めないところが大体二千万というところだと思います。
  121. 野上元

    野上元君 この人たちはたばこも酒も節約せざるを得ぬですね、現実の問題としてそういう状態になるのですよ。節約しないでいままでどおりやっておれば家計は苦しくなる、ほかのものを減らさなければいかぬですね。こういう人たちは米を減らすのですか野菜を減らすのですか、あるいは教育費を減らすか、これは非常な問題なんですね、そこが一番問題だと思うのですよ。その点についてあまり同情的じゃないのだね、大蔵省は。
  122. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 確かにそれは御指摘のように、私どもかなり苦しい思いをしているわけでございます。ただ、先生の御指摘のいわゆる階層も、毎年実は所得が伸びて、したがって、毎年所得税がかかるようになるわけです。それをことしはまた減税して百六十九万人も減らしているわけでございますから、この階層の所得は伸びていると思います。所得が伸びると、やはり実質所得が伸びる限りは、物価上昇はカバーしているはずだということが一つございます。生活保護階級のほうも生活保護基準を一三%伸ばしておりますから、これも物価上昇をカバーして、所得といっていいかどうかわかりませんが、やはり振替所得が少なくともふえておる、こういうことであります。
  123. 野上元

    野上元君 そこで、専売当局に聞きたいのだが、五百五十億円の増収というのですが、見込みはどうですか、これについて。詳しく言えば五百五十億円の増収の根拠ですね、いわゆる売り上げ値上げによって若干ダウンするそういうものを見込んでおるのか、あるいは伸びを見込んでおるのか、この点、現状のままを見込んでおるのか、そういう根拠をひとつ、簡単でいいです。
  124. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) ただいま提案しております法案で五月の一日から値上げということに予定しておりますが、それで、大体値上げがないといたしますと、普通にやはり売り上げが本数も伸びるわけでございます。その伸び方を二千五十億本四十三年度売れるというふうに推定しているわけでございます。それはちょうど前の年に比べまして五・七%伸びるところが、五月から値上げになりますと、やはり本数も減ります。それで、これは私ども専売公社発足以来、値上げというものをやったことがないものですから、どうも推定は、昔の資料、あるいは外国値上げの資料を使いまして推定いたしまして、二千五十億本売れるはずのものが二千三億本に減る、本数にしましてそういうふうに減ると推定しております。一方、五月から値上げになりますもので、本数としては減るけれども、単価としては上がるというふうに推定しております。それで、四月はもとのままの単価で、五月以降上がると、そのかわり、上がるけれども、たとえばいまお話のありましたホープを吸っておった方が、あるいはハイライトにかえるとか、ハイライトを吸っておった方が「ひびき」にかえるとか、そういうふうなこともあろうかと思いますので、四月から来年の三月の末まで年度間通算いたしまして、前年度に比べて大体二%ぐらい単価が上がるだろうというふうに推定いたしまして、それで五百五十億結果として一般会計に入れるものがふえるというふうに考えております。
  125. 野上元

    野上元君 これは大体初年度の見込みですね。いわゆる消費率、これは成長率というとおかしいが、消費率は毎年五%ないし六%伸びていくわけですね。ところが、初年度は若干落ちると見込まれているわけですね、四十七億本ですか、落ちると見込まれている。何%か消費率が落ちるわけですね。そうすると、それがもとに復元するという、いわゆる増加傾向にあるわけでしょう。成長率は増加傾向にあるわけですね、一時落ちて戦線を離脱するわけですね、初年度は。それがもとの戦線に復活するという上昇線に乗ってくるのはいつごろからと見ているんですか。
  126. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これはなかなか予想が困難でございまして、ただ、外国の例、あるいは戦前の例なんかいろいろ突き合わせてみますと、二年ないし三年のうちにはわりあい前の上昇の線に近づいていくんじゃないだろうかというふうに見ております。
  127. 野上元

    野上元君 結論的に申し上げて、今回のたばこ価格改定によって専売公社としては社内留保以外には何もないということですね。益することは何もないということですか、企業的に見て。
  128. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これはいろいろな金の計算だけからいいますと社内留保がふえることを期待するということだけかと思いますが、先ほど申し上げましたけれども専売局の機能を発揮するという面では、私どももそういう功績があるんじゃないかというふうに思っております。
  129. 野上元

    野上元君 その点、功績は認めますよ。これは財政寄与率に大きく貢献しているわけですから、そのことは認めますが、かりに専売公社自体が経営上の理由に基づいて値上げをしたいという場合に、その場合にいまの制度でそれはできるシステムになっていますか。幾ら値上げしても、結局全部持っていかれてしまうということになるんじゃないですか。
  130. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) いまの制度では、社内留保をどうするかという問題は、これは固定資産、あるいはたなおろし資産の純増に見合います社内留保をどうするかという問題はございますけれども、しかし、いまの制度では、おっしゃるとおり、引き算をした残りは一般会計専売益金として納付されるということになります。
  131. 野上元

    野上元君 専売公社としては、企業努力の目標というのがいまの制度ではないということですね。
  132. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 予算に計上されました地方消費税なり専売納付金なりの金額を達成しなければならぬという意味におきましては、それはわれわれもそれを目標として努力しなければならぬという意味におきまして、目標はないというふうには申されないと思います。
  133. 柴谷要

    ○柴谷要君 酒、たばこの問題については質問者がたくさんおりますので、関連質問ぐらいしかできないので、ちょっとここで聞いておきます。  専売公社の中にたばこ研究所というのがあるそうでございますね。このたばこ研究所に勤務を命ぜられた職員が非常に愛煙家であった。ところが、勤務がえをされて研究所へ入ると、一年足らずでたばこをやめてしまう。別にだれにも強要されたわけじゃない、自然発生的にたばこの害というものを認識したのかどうか知らぬけれども、全部やめてしまって、ほとんど研究所の職員の方はたばこを吸っておらぬという話をかつて研究所に勤務している人から聞いたのですが、これは事実ですか。こういうことだと、国民にえらい害毒を流しているたばこをたくさん売っているということになるので、アメリカじゃないけれども、これは危険なものである、人体に害のあるものであるという表示をして販売したほうがいいというふうに考えるのですが、この点いかがですか。これは事実勤務をしていた人がやめたのですよ。やめた人が私にそういう話をしたのです。一ぺんそれは確かめておく必要がある、こういうことでお尋ねするわけですよ。ひとつこの点を聞かしていただきたいと思う。私自身はそういう意味でやめたわけじゃないのですが、三年前にやめたのです。やめて苦い経験を持っておるのですがね。たばこのやめ方にもいろいろコツがあるらしいので、一ぺんにぷつっとやめると禁断症状が起きて苦しむのです。私も苦しんだ。やめ方はまた教えてあげますがね、もしやめたい方があれば。しかし、研究所の人がやめるという事態、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  134. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 初めて伺ったような状態で、私、ども現に研究所におります者を思い出しましても、いま中央研究所というのがございますが、研究所の所長が部長にまいっております者もおりますし、現在部長でおる人は少しからだのぐあいが悪いのですけれども、これは別な理由でございます。そのほかの人たちを考えてみましても、たばこをみな吸っておると思っておりますけれども先生がおっしゃるような例がありましたら、私どもも調べてみたいと思います。
  135. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連ですが、それはひとつ、まあこういう重大な発言ですから、売れ行き影響すると思うんですよ。だから私も思い切って言ったわけですけれども、これはひとつ明らかにしてもらいたいと思います。これは世間にそういうことが伝わってくるとたいへん税収入影響しますからね。  それはそれとしておいて、さて、問題は、たばこ値上げになるが、そのたばこ小売り店がいままでどおりの手数料でやはり扱うのか、それとも、手数料については改善をしていこうとしているのか、それから、将来に向かってより一そう小売り店に対し手数料の増加をはかってやろうと考えているのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  136. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) いままでの専売局以来の値上げ、値下げに伴う手数料の扱いを見てまいりますと、値上げの際には手数料率を落としますし、値下げの際には手数料率を上げるという操作を基本的には考えてやってきたように思うものでございます。今回財政収入をふやすための値上げでございますので、それに便乗すると申しますとことばが悪くなりますけれども、それに乗って小売り手数料が増加するということを放置するのはいかがかと、従来の例から考えて反省をしたわけでございますが、しかしながら、現実の問題といたしまして、実収入値上げにかかわらずふえないという措置をとるといたしますと、小売り店の方々は、たばこが健康に害になるとか、いろいろな困難な状況のもとで売り抜いていただかなければならぬという関係もございます。事務的に申しますと、操作しますための数字がえらく端数がつくという問題もございます。そこで、中間をとりまして、値上げがあった場合に、手数料率を従来のままやっておきますというと、総体の小売り店に収入となりますものが四十二億余りふえることになりますのを二十億程度に押えまして、手数料率の下のほうは据え置きますけれども、上のほうについては若干の調整をいたすことに考えておる次第でございます。
  137. 野上元

    野上元君 いまたばこのガンの問題が出たのだが、私はこう考えるのですよ。たばこは三分の二が税金ですから、三分の二だけ吸っておれば、これはたばこじゃないのだから、税金なんだから、これはガンにならないのだ、こう言って私は援助して歩いているのです。いまの専売公社はこういうけしからぬことをやっている、三分の二はこれは税金で、たばこじゃないのですよ。あなた方が捨てているところがたばこなんだから、ガンにはならぬ。たばこを吸ってないのだから、税金を吸っているのだから、それはガンにならぬのだ、こういう笑い話をしているのだが、まあそれは別として、これは新聞の報道なんで、これは東海林総裁を問い詰めるのは気の毒だと思うのですが、いま日通の輸送の問題が、独占打破の問題が大きな問題になっております。日通の輸送料金が非常に複雑で、きわめて関係会社から搾取しているというようなことがいま問題になって監査されておりますが、それも当然専売公社たばこの輸送については日通に独占させておりますね。そこで、この新聞記事によりますと、各官庁とも、総裁、あるいは理事長等は全国通運を入れて、いわゆる独占をやめて競争的体制をとろうということに賛成なんだけれども、東海林総裁もまた、それはよろしいことだ、ぜひやりたい、こういう意向を述べておられるが、担当者が首を振ってなかなか実行ができないということが書いてあるのです。これは専売公社だけじゃありません。それほど日通は専売公社に深く食い入っているのですか。東海林総裁が言ってもだめなんですか。
  138. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) この新聞記事は私も読んでおりますけれども、いまおっしゃられたとおりで、私としては、独占しているということの弊害がもしあるとすれば、私は、日通と同じくらいの力を持っている運送業者を入れるべきだという考えを持っております。持っておりますが、ただ、たばこの場合は、国鉄やなんかの食糧関係の運賃と違いまして、これがまず全国的にそういう組織を持っていることが非常に必要であります。いずれにいたしましても、こういうような独占の弊害というものが出てくると——現在のところ、私はまだ弊害というものは認めておりませんけれども、これはまた研究する必要があるのじゃないか。私どものほうでは委員会をこしらえまして、現在検討させておる段階でございまして、この新聞の言うように、私の言うことを下のほうが聞かないというようなことはございませんですから、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  139. 野上元

    野上元君 私もそう思いました。あなたのリーダーシップがそんなにないなどとは、そんな失礼なことは考えておりません。せっかくおいでになったわけですから、もしもそういうことがあったら、ひとつ思い切ってやられるということがやはり専売公社の合理化の一つだと思うわけです。経費節減になるかもしれませんね。ですから、そういう点も十分ひとつ検討して、またいずれいつかその御質問を申し上げようと思いますが、きょうはこの程度にしておきます。  そこで、時間がありませんので、最後にお尋ねしたいのですが、税制調査会がいよいよ七月任期切れを前に最後の長期税制のビジョンを出そう、こういうことになって、この間も質問したのですが、この中に非常に気に食わぬ文句があるのですね。たとえば「今回の税調審議の課題は、激動する内外情勢に対応させ、税制の長期的ビジョンをえがくことである。」と、これはけっこうなんですが、「今後、社会保障や防衛関係費などを徐々に欧米並みの水準に引上げるためには、大きな財源が必要で、法人税、所得税に大きな負担がかかりすぎる点を根本的に見直す予定である。」そこで、売り上げ税、あるいは、また、付加価値税等も創設すべきである、こういう課題をとらえて最後の答申を出そう、こういうことになっているのですが、この欧米並みの軍隊にするということはどこできめたのですか。
  140. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいまの記事は、きょうの「毎日」の記事だと思います。同じきょうの「日経」をごらんいただきますと、税制調査会所得税税率をこういうふうにやるであろうと書いて、すべてこれ観測記事でございます。税制調査会が長期答申をまとめます方向は、毎々申し上げますけれども昭和四十一年の十一月に中間答申というものを出しております。その方向づけ、オリエンテーションをやっているわけでございます。その中で、売り上げ税につきましては、当面、これは問題にするものではないということをはっきり言い切っているわけです。ただ、その後、先ほどお話のありましたボーダータックス・アジャストメントなんかの問題が出ましたので、あるいは検討課題になるかもしれませんけれども、基本的には私は決してそういうものではないと確信しております。
  141. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと。いまの四十一年の報告にはそう出ていますけれども、その後、大蔵大臣売り上げ税を諮問しているじゃありませんか。そこが問題なんです。
  142. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 大蔵大臣が特に追加して諮問したわけじゃないのでございますが、大臣が私見として法人税斜陽論というものをお持ちでございまして、法人税はだんだん斜陽化する、したがって、将来売り上げ税というものが考えられるということを、抽象理論として、大臣もすぐの話ではないと言っておられますけれども、そういう問題を提起なさっております。そういう意味では、売り上げ税は基本的態度はそうでございますけれども、はたして斜陽論というものがどうなんだろうというような検討をされるかもしれん、それは私も思いますけれども、基本的態度が引っくり返るようなものではあるべきではないと確信しております。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、われわれいただいた資料には、大蔵大臣がこの前税調に諮問していますよ。はっきりと売り上げ税、そういう項目が入っています。
  144. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは、諮問という形は、「長期税制のあり方について」というのを諮問しているだけでございまして、個別の諮問というものはやらないたてまえにしております。おそらく大蔵大臣としては斜陽論というのを言われて、税制調査会でも検討を受けるであろうからということを言われたのじゃないかと思います。追加して諮問するというような形はとっておりません。前の中間答申では、売り上げ税の創設についてはいろいろ問題を書きまして、当面、一般売り上げ税の創設は予定しないこととするのが適当であるという方向を出しております。
  145. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大蔵大臣おりませんから、私は何も主税局長文句を言うわけじゃないですが、きのう最後に、売り上げ税の見通しはどうなんだということを聞きましたら、まだ検討段階じゃないという趣旨の答弁があったんですね。どうも私は、国会の審議上には、何か重要な問題をすべてひた隠しにしていて、実際の作業はどんどん進められる。これは毎日新聞の内容でありますけれども、七月中には当然こういう答申を出したいということです。直ちに答申をしたい。そういう中の一番重要視されているのは、何といってもこの売り上げ税です。この内容からくるものは売り上げ税の問題です。としたら、そういうものをまたやっていかなければ、私は、政府のいまの財政硬直化打開政策からいけば、やはり流れとしてはそういう方向にいっているのじゃないかという気がするわけです、政府の態度は。私たちは違うのですけれども、当然これは今回の税調内では検討段階に具体的にのぼってくる重要な部門ではないか、こういうふうに考えるのですが、それはそういうことはありませんと、主税局長は断言できますか。
  146. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは、お話でありますが、税制調査会は私どもの意思で動いているのではないのでございますので、私はそういうことはあり得ないと申し上げるわけではありませんが、いままでの審議状況から申しますとそういうことは考えられないんじゃないかと私は思っております。で、売り上げ税と申しましても、非常に単純な、昭和二十三、四年にやっておりました取引高税でも、現在あれを実施したとすればおそらく一兆数千億円の収入になるようなたいへん大きな税でございますから、これを実施するかしないかという大問題を一朝一夕にきめ切るだけの勇気のある人はそういないと思うのです。これは検討するとしても数年かかる問題だと私は思っております。
  147. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 防衛庁から、予算委員会で、防衛費の国際比較は、日本の場合約二%程度で、国民の総生産からいけばそんなに心配したものではない、こういうことを言っておるのですが、しかし、最近の五カ年の統計でいきますと、国際比較は日本が一番防衛費は上昇しているんですよ。そういう点からいけば、これはどんどん機械化、近代化、核兵器、そういうものがやられておることは間違いないのでありまして、そういうものが相当伸びると思います。だから「毎日」が指摘していることは、私はそう誤りではないと思う。総体的に情勢の見方としてはいまの政府のやり方と合致するんですよ、われわれから見れば。だから、そういったものが当然今回の税調の中で、これは東畑会長はこう言っておるんですからね、新聞では。これは内容があるでしょう、これは相当長く朝刊にありますがね。だから、それはまるっきり「毎日」がうそを言っておるとは私は考えられないのですよ。これはそのとおりじゃないかと思うのですよ、私は。だから、そういうものを主税局長が、これは全く大蔵省が税調に関与するとか、そういうことでないからと、そういう面はそうでしょうけれども、しかし、見通しとしては、やはり税担当の局長として、責任者として、その辺のやはり一定の見通しは主税局長として持っていると思うんですがね。ですから、これは大臣がおりませんから、局長の見解をちょっと聞かせていただきたい。
  148. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) いま御指摘がございましたが、予算に占める防衛費の割合というものはむしろ下がっているんじゃないかと思うのですが……。
  149. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いや、それは最近の五カ年の統計を見れば——それは国際比較ですよ、私が言っておるのは。それは日本が一番上昇していますよ。
  150. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) だから、そういう意味では、いまの財政の構成から申しますと、いま「毎日」が指摘しておりますように、売り上げ税を起こさなければカバーできないようなことは起こるわけではないと思うのでございます、ここ数年は。その先は私は存じませんが、少なくとも、いまの段階では起こり得ないと思うのです。売り上げ税を起こす、あるいは付加価値税を起こすということは負担の激変を起こします。そのために非常に慎重な問題でございますので、私は、税制調査会が早急にこれを来年度とか再来年度に措置すべしという結論は出さないと信じております。
  151. 野上元

    野上元君 最後に要望だけしておきます。あなたのほうは売り上げ税はなかなか具体的に日程にのぼらぬと言っておるけれども、私は二つ理由で必ずのぼってくると思う。  一つは、財政硬直化の問題なんです。それはことし財政硬直化だといっておるけれども、これは昨年に比べれば新しい政策なんですね。それが積もったやつが、ことしになればこれは財政硬直化の原因になるのですね。それは繰り返し繰り返し積み上げてきているわけです。これが財政硬直化の原因の一つだと思うのですよ。これを打開するためにはどこから財源を持ってくるかという問題があるわけですが、その場合に、所得税減税をしなければならぬのですよ。そうして増税はやらなければならない。しかし、増税はそうたくさんやれないのです。そのためには何か新しい税種を創設しなければならぬという問題が起きてくる、これがまず第一に一つですね。  それから、直間比率の問題があるわけですね。やっぱりガットに加入している以上は、あまり直接税だけが高くなってくると、やっぱりさっきのお話じゃないが、等価交易が行なわれなくなる。したがって、間接税というものをある一定の水準に保っていかなければならないということがやはりあると思います。ところが、弾性値がうんと違うから、このままほっておけばだんだん直接税の比重が高くなってくる。これをまた手直しするためには増税をやらなければならぬ、あるいは大幅な減税をしなければならぬ。しかし、それもなかなか財政硬直化でできぬということになれば、やっぱり新しい税を創設をして、ここで直間比率の手直しをしなければならぬ。この二つの問題で、必ず私は売り上げ税なり、あるいは付加価値税なり、あるいは法人利潤税なり、こういう問題が具体的な日程になってくると私は思っておるから、あなた方の考え方は、こういう問題についてはなかなか勇断をふるうのですよ。政治資金規正法では優柔不断だけれども、こういう問題になるとほんとうの勇断でやるのですよ。その点をもう少し見守りましょう。それはいままぼろしの討論をやってみてもしようがないから、きょうはやりませんけれども、もう少し様子を見てからまた討議したいと思います。  きょうはこれで終わります。
  152. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) それでは、ここで休憩をいたしまして、午後は一時三十分再開をいたします。    午後零時四十六分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  153. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  154. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、最初にお伺いしますが、今度のたばこ値上げによりまして政府は五百五十億円の増収を見込んでおりますけれども、やはりこの八十円ものが百円になり、四十円ものが五十円になる。そういうふうに値上げになっていきますと、やはりいままで吸っていた人が節約しよう、そういったことも出てくるのではないか。したがって、売り上げの減というようなことも考えられるわけですが、政府はこの五百五十億円の増収を見込んだ計算の根拠ですね、それを最初にお伺いします。
  155. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 大蔵省財政当局でございますので、歳入の点につきましては慎重を期してやったわけでございますが、何ぶんにもたばこという商品を売って、その中で税金を納めていただくという特殊のものでございますので、販売見込み等につきましては、公社の専門的な意見を十分参酌してやりましたので、具体的なことは公社当局から説明させていただいてよろしゅうございますか。
  156. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうぞ。
  157. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) たばこは、最近数年間、大体値上げというようなことをいたしませんでも、幾らかずつ売り上げとして本数もふえますし、それから、また、高いほうの銘柄へ移動がございますので、やはり値上げいたしませんでも、単価が少しずつ上がるということで増収になっておるわけでございますが、今度は五月から値上げという案にいたしておりますので、四月は古い定価でそのままいく。それで、五月以降、来年三月までをどう見込むかということで私どもいろいろ作業をいたしました。それで、まず、本数でございますが、これは普通に値上げをいたしませんと、例年五%ないし六%ぐらい前の年に比べましてふえるわけでございます。そういたしますと、値上げをしないとすると、私どもは二千五十億本ぐらい売れるのではないかと見込んだわけです。ところが、値上げをいたしますと、やはり本数が減りますので、これは減ると言い切れるわけもございませんけれども、過去の昭和十一年に一斉に上げたときも日本でも減っておりますし、諸外国でも減っております。それを参考にいたしまして、減らした数字、これで計上しようと、こういうことで、二千五十億本本来ならば売れるはずのものが二千三億本しか売れぬと見たわけでございます。それから、値上げの幅でございますが、これは何がしか値上げしないでも単価の上昇はあるわけですけれども、これを値上げによりまして年度間を通じて約一一%上がるであろうというふうに見まして、その結果、値上げしない場合には一般会計への納付金が百五十四億円増というふうに大体踏んでおったわけでございますが、それを七百四億円増というふうに見込みまして、その差額五百五十億が値上げによって専売納付金がふえるというふうに見込んだわけであります。
  158. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 今度の値上げ理由は、専売益金が、人件費、その他原料葉たばこ値上がりによって少なくなってきた、こういうことで値上げに踏み切った、こういうことでありますが、それならば毎年人件費も上がっていくわけですね、また、原料葉たばこも上がっていくかもわかりません。そうなれば、たばこ値上げというものも、いまの考えからいいますと毎年上がっていくのじゃないか。こういうふうな気もするのですが、その辺のところはいかがですか。
  159. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 御指摘のように、今後ともコストプッシュの傾向がないとは断言できません。しかし、一方におきまして近代化、合理化によってできるだけそういうコストアップを企業努力で吸収してまいる。やはり国民の三千万の皆さまがお吸いくださる商品でございますから、そう毎年毎年上げるというわけにまいりません。現に今回の値上げも十六年間がまんしてまいったわけでございまして、そういうわけで、毎年上げるということは、事の性質上、適当でもないし、また、そういうことをしようという気持ちはございません。
  160. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この製造たばこ予定原価のこの一覧表ですが、これはいままで政府機関の予算の中に入っておったのですね、この中に。ことしのこの予算を見ますと出てないのですが、こういうものをつけてもらわないと、やはりわれわれは審議がやりにくいですが、どういうわけでことしに限ってついていないのか。去年はちゃんとついておった。
  161. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) ただいま先生指摘のとおり、昨年度の予算参照書には四十四ページに出ております。ことしももちろん載せようと思って努力をしてきたわけでございますけれども、何ぶんにも、年度の途中の五月一日値上げということになりますと、値上げ前のいろいろな経費、これは固定費、流動費、いろいろございます。また、値上げ後のそういう経費の割り振りでございますとか、あるいはものによりましては四十二年度につくりまして在庫になっておったものが四十三年度の四月一日以降に売れる、さようないろいろな原価計算上の技術的困難がございまして、そこで、予算参照書ということで皆さま方の御審議の御参考に供するにはあまりにも推計的の部分が多くなるので、まあこの際は御遠慮申し上げたのでありまして、しかし、御審議にどうしても必要であれば、そういう大胆な推計をあえてしてやれという御命令でございましたら、御審議の資料という、これよりも少し程度の低いオーソリティーのものでお出しできるかと思います。
  162. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その資料をひと出してください。  それから、ただいまも企業努力のお話があったのですが、私も過日の本会議におきまして、たばこ専売益金の原価計算について大蔵大臣にお伺いをした。専売益金のうちで、一体この企業努力の分がどれだけあるのか、また、企業努力によって定価を上げないでも済むのではなかろうか、こういう趣旨のことを質疑をしたわけですが、大臣はこれに対して、公社の利益のうちから企業努力による分を正確に区分することはむずかしい問題であるが、公社は設備の近代化と人員の配置というような合理化に非常に努力をしている、そういうような御答弁があったわけです。そこで、お伺いしたいのは、専売公社が過去においてどのような企業努力を払ってきたのか、その実績ですね。それから、二番目には、その結果、専売益金の率の低下をどのくらい防止することができたのか、まずそれだけひとつ伺いたい。
  163. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 専売公社のほうから……。
  164. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 製品の売り上げ価格のうちに税金部分と利益部分とがまざっておるというかっこうになっておりますいまの制度では、いま御指摘がありましたように、企業努力部分とそうでない部分との分離がはなはだむずかしいということは御指摘のようにあるものと考えておる次第でございますが、理論的に正確に区分できないという問題は別といたしまして、実行上の問題として、ある目安を置くということは、場合によってはできるのではないかということをいま検討を始めておる段階でございます。従来も、公社の企業努力と申しますのは御批判もいろいろあろうかと思いますけれども、かなりやってきたと考えておる次第でございまして、一番基本的な販売のいろいろ計画から申しますというと、たばこに対する嗜好がだんだん喫味の軽いものに移ってまいります情勢にあわせまして、そのようなたばこ、特にフィルターをつけましたたばこの増産という部分に力を入れてまいりました。さらに、また、製造面におきましては、先生も御存じだろうかと思いますが、スレッシャー方式というものを導入いたしまして、たばこの製品の質の均一化等をはかってまいりました。巻き上げの部分におきましては、高速巻き上げ機というものを導入いたしまして、六、七年前でありますと一分間九百回転くらいのスピードでつくっておりましたものを、現在では二千回転というふうなスピードに変えてまいった次第でございます。さらに、生産部面におきましても、耕作労力の省力化ということを目ざしまして、耕作の面、それから、また、乾燥処理の面についても努力をいたしております。これらのものが、しかし、私どもも完全であったと思っておるわけではございません。値上げを機会に、いろいろ御迷惑をかけるわけでございますから、今後なお新しい手法を導入しまして、抜本的な合理化というものに努力をしなければならぬと思っておるのでございますが、いま申し上げましたようなところを数字的に申し上げますというと、高速機械その他の導入によりまして、千本当たりのたばこをつくりますのに必要でありました労働時間というものはほぼ半分に減っておるはずであると思っております。それから、また、原料使用量におきましても、いまの価格体系がきまりました二十六年をとって考えますというと、そのころに比べまして一割二、三分の節約ということになっておるかと思うのでございます。二十六年を一〇〇といたしますと、原料の歩どまりでは八七・九というふうに使用量も落としてまいりました。それから、労働所要時間につきましては、二十六年を一〇〇といたしますというと、四十一年では五一・八と見ておる次第でございます。
  165. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、もう一つお伺いしたいのは、製造たばこのいろいろな材料がありますね。たばこの紙だとか、あるいは銀紙だとか、あるいは香料だとか、そういうものは、これは外部に発注して契約をしておるわけでしょう。その面はどういうような企業努力をなさっているのか。それで、現在専売公社と取引のある会社の名前ですね、そことどういう材料を取引をしておるのか、また、その契約高はどのくらいなのか、それをまずひとつ答えてください。
  166. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) いまお話のございましたようなものは、私どものほうでは材料品と称しておりますわけです。いろいろこれには種類が非常によけいございまして、かなりたくさん取引相手があるのでございますが、これはずいぶんございますけれども、ずっと……。
  167. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それを読み上げてください。
  168. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) はい、申し上げます。大体あまりこまいものはちょっといま手元にございませんので、一億円以上取引のありますものを順に読み上げてまいります。  フィルター、たばこの先についておりますフィルターをつくる会社が、これが四つございます。日本フィルター工業という会社、それから大阪フィルター工業、九州フィルター工業、東北フィルター工業。それから、アルミ箱をつくる会社、あるいは、ろう紙をつくる会社、日本製箔……。
  169. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 取引高も一緒に言ってください。
  170. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 四十一年度の数字でございますが、さっき申し上げましたものからもう一回申し上げます。日本フィルター工業、これが二十九億。それから大阪フィルター工業、これが二十一億でございます。それから九州フィルター工業、これが十八億。それから東北フィルター工業、これが十三億八千万、大体その辺になります。それから、次はアルミ箔ですが、日本製箔、これが大体十二億。それから東海金属、これもアルミ箔ですが、これが十一億。それから、次は紙でございますが、大同洋紙店というセロファンの販売をやっている会社でございますが、十一億。それから三島製紙という紙をつくる会社、これが八億。それから東洋商事、これはセロファンや香料を入れておりますが、これが六億。それから日本紙業、ボール箱、段ボール箱を入れている会社、これが大体五億。それから富士川製紙、これはたばこの巻き紙をつくっておりますが、ライスペーパーというあれでございますが、これが大体五億。それから日本包装容器という会社、これが段ボール箱をつくっておりますが、これが五億。次に、印刷ですが、日進印刷という会社、これが五億でございます。それから、次は巻き紙ですが、十条製紙という会社、これが五億。それから中日本という会社が、これも大体五億。それから武蔵という会社、これが紙、セロファンを販売しておりますが、これが五億弱でございます。それから東洋アルミニウム、これはアルミ箔をつくっておりますが、これも五億ちょっと欠ける程度です。それから日本製紙印刷、これはボール箱、印刷加工品をやっておりますが、これが四億五千万。それから大日本印刷、これは印刷会社でございますが、それが大体四億。それから服部紙店、これが紙でございますが、やはり四億。日本紙工という会社、これは印刷加工をやっておりますが、これが四億。凸版印刷、これはやはり印刷ですが、四億。それから東京加工紙という会社、これは、ろう紙をやっておりますが、三億半。それから本州製紙、これは巻き紙をやっておりますが、三億。それから中井という、これは紙の販売をやっておる会社、これが三億。それから、次に、ろう紙をやっております日東製管という会社、これが三億弱でございます。それから特許印刷という会社、これがやはり三億弱。それから、次に、アルミ箔で、昭和アルミという会社、これが二億半。それから東京防湿という会社、これが、ろう紙をやっておりますが、二億ちょっとでございます。それから有機合成という会社、これは香料をやっておりますが、二億ちょっとでございます。それから特許紙器、これは印刷一般ですが、これが二億ちょっと。それから三菱レイノルズで、これはアルミでございますが、これが約一億八千万。それから菱三商会というのが紙をやっておりますが、これが一億七千万。それから協和という会社、これは紙の販売をやっておりますが、これが一億七千万。共同印刷という会社、これが一億七千万。秋山産業という会社、これは香料をやっておりますが、一億三千万。西日本印刷、これは印刷ですが、一億三千万。サンアルミニウムという会社、これはアルミ箔をやっておりますが、これが一億一千万。東北紙工という会社、これは印刷をやっておりますが、これが一億一千万。三条機械製作所、これはたばこ製造用の機械を製造しております。これが二十億。それから東京自動機械製作所、これが七億七千万。この東京自動機械もたばこの製造機械をつくっております。京都製作所も同様でございます。これは六億。多少こまいものは落ちておりますけど、大体以上でございます。
  171. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 輸送関係はどうですか。
  172. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 輸送関係でございますが、輸送関係は塩とたばこと両方でございますが、日本塩回送という、これは運送会社でございますが、これが二十三億でございます。ただこの中には鉄道賃を含んでおります。鉄道にそのまま払われるもの、会社がかわりに払うような形になっております。それから日本通運ですが、五十一億八千万、これもやはり鉄道運賃を含んでおります。それから日塩という会社、これは塩の輸送をやっておりますが、これが四億六千万。それから共栄商事という——これはちょっと失礼しました、これは倉庫でございます。
  173. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、私がお伺いしたいのは、こういったような大企業のものもあるわけですよ。こういう面における企業努力といいますか、合理化、そういうことに対してはどうなるんですか、相当なこれは注文です。
  174. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 御指摘のとおり、相当なものが外注されておりますので、これらにつきましてもできる限りの注意を払っておる次第でございます。冒頭に総務理事から申し上げましたフィルター会社について申し上げますというと、技術がだいぶ進んでまいりまして、歩どまりは非常によくなってまいりました。これは公社も当該会社も共同していろいろ苦労した結果でございますが、そのほか、アセテートのフィルタープラグにつきましてはアメリカの会社の特許でございますが、この特許料の引き下げということをしようとしております。それからなお、最近のフィルタープラグの国際的な流れ方といたしまして、切断面がまるいものからY型のものへ変わっておる次第でございます。そういう転換も進めまして、Y型にしますことによりまして表面積が大きくなりまして吸収効果はあがるという面がございますので、てん充する量目が少なくて済むということがございます。これも去年ぐらいに大部分のフィルターについて断面Y型のものに変わったと思っておる次第でございます。  なお、二番目に出てまいりますアルミ箔のようなものにつきましては、製作上、完成品をつくるまでの途中のロスがかなり多いという感じを私ども持っておりますが、これは各社とも非常に努力をしておいでになるところだと思いますけれども先生承知のように、最近アルミ業はかなり設備の更新ということをやって、新鋭機械を入れておられるように思いますが、箔をつくる上におきましてもそのような努力は各社かなりやっておられると認めるのでございます。たくさん品物がございまして、一々申し上げるのもどうかと思いますので、初めにお話申し上げました代表的な品目について最近の状況を申し上げた次第でございます。
  175. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 こういった民間の会社に外注するわけですが、その場合のコストのきめ方はどういうふうな方法でやっているのですか。
  176. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 会計原則は競争入札ということになっておるのでありますけれども、現実の問題としては随意契約によって買わざるを得ないという状況になっている次第でございます。その現実の問題と申しますのは、たばこをつくる機械にかけます材料にきつましてはJIS規格で同じでございましても、実際に同じ機械につけてみますというと、引っぱりに対する抵抗力が弱かったり、すべりが悪かったり、いろいろなことが起きるものでございますから、規格上同じものを工場で扱っておるという形になっておりましても、会社の個々の製品の場合に、見方によっては、ささやかな品質の差というものが工場作業に非常に影響するわけでございます。これはもう一つは機械のほうにも原因があるかと思うのでございますが、同じようにつくられました機械でも、引っぱりの力が違っておりましたり、すべりが違っておるものがございますものですから、機械と材料とのかみ合わせを調整するという仕事は現場の職員の非常に悩むことであります。したがって、ある会社の材料に合わせて機械を調整するということが大切なんでございますから、その会社の材料をまた継続して使いたいと、かように現場の職員がなるのもやむを得ないかと思うのであります。そういうかけるものにつきましてはどうしても入札という方法にまいらないわけでございます。したがいまして、ここでは市価を考えて予定価格をつくっておいて入札することができないものでございますから、市価も考慮いたしますと同時に、原価に関する詳細な分析を各社に出していただきまして、さらに双互比較し、査定をしまして納入価格というものをきわめておる次第でございます。
  177. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、いまあげられたような会社に専売公社の元高級官僚が行っておるということを聞いておるのですが、それはどうなっておりますか。わかっておったら発表してください。専売公社の元理事だとか工場長という人が各会社に入っている。
  178. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 先ほど申し上げました順序で、私どものほうのかつて理事であったとか、あるいは地方局長であったとか、私ども専売公社としては、がいしてわりあい枢要なポストにあった人が行っておるのが何人かございますので、それを順に申し上げたいと思います。  先ほど日本フィルター工業という会社で、磯野正俊という人が、これは元理事でございますが、社長をやっております。それから大阪フィルター工業の吉井健雄、これはたしか元地方局長をやっておったかと思いますが、社長でございます。それから九州フィルター工業、ここでは市川茂というのがいま社長で、元地方局長です。それから常務の大島美之助、これは工場長をやっておりました。それから監査役の有働俊勝という者、これは地方局長をやっておった男であります。それから東北フィルター工業という会社では、下門辰美、元理事だった男ですが、これが社長でございます。それから常務に工場長をやっておりました安田虎一というのがおります。それから日本製箔、これはアルミニウムの会社ですが、ここの常務の飯塚英夫という者が私どものほうの常務理事をやっておりました。専務の吉瀬時次という人が地方局長をやっておりました。日本紙業という会社がございますが、地方局長をやっておりました秋山添禄という人がここの監査役で入っております。それから富士川製紙、これに元専売公社の監事をやっておりました守屋博というのがここの取締役をやっております。それから日本包装容器という会社で、元地方局長をやっておりました国分貞雄という人がいま社長をしております。それから日進印刷という会社、ここでは元理事をしておった曾田壮というのが社長でございます。それから武蔵という会社で、加藤さんという元地方局長をやっておったのが監査役であります。それから日本製紙印刷、ここでは元理事でありました本田栄一という人が社長でございます。それから、ここの支社長として関谷勉二、元地方局長をやっておった人が行っております。それから服部紙店という会社、大和田さんという元地方局長をやっておったのがここの取締役であります。それから日本紙工という会社では、理事をやっておりました長沼徹という人がいま社長でございます。東京加工紙という会社、監事をやっておりました藤村さんというのがここのいま専務であります。それから特許印刷という会社は、地方局長をやっておりました田中益美というのがいま社長であります。それから有機合成という会社は、理事をやっておりました西山祥二というのが社長でございます。それから特許紙器という会社は、安達良之助という人が、地方局長でありましたが、社長であります。西日本印刷は、工場長をやっておりました徳永延一郎という人がここの社長であります。三条機械製作所は、安房喜代平という理事をやっておった人が常務でございます。それから東京自動機械製作所に萩原昇という人が社長でおります。元理事。
  179. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 発言者に申し上げますけれども、会社の名と名前と元の役と、ばっぱっと言いなさい。
  180. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 京都製作所、丸瀬雄一郎、元工場長。荒木栄、元工場長。芝原隆太郎、中央研究所長。それから日本塩回送、岡村峻、元理事。八木五平、元工場長。日本通運、高橋時男、元総務理事。共栄商事、村岡信勝、元理事。それから、先ほどちょっと言い落としましたのですが、運送関係で東京たばこ配送という会社と、関西たばこ配送という会社が一億以上ございます。ここの東京たばこ配送に自由元地方局長、それから関西たばこ配送に井上和夫元地方局長。  大体以上です。
  181. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまあげられましたように、ずいぶんこれは専売公社の元の高級官僚が入っておるわけですが、これは国家公務員でないにいたしましても、公社と密接な取引のある会社に重役等に入っておることは、取引の面にいろいろなまた問題がかもし出されるようなことも思われるわけですね。こういう点について大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  182. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは一がいになかなか言えない問題でございまして、どこへ注文してもいいという品物でございましたらかまわないんですが、やっぱり一定の製品の指導をしなけりゃならぬというようなときには、公社にいた技術家がそこへ入っていくというようなことは、将来安心した品物を調達できるというようなこともございまして、いわゆる天下りでたくさん公社から人が入っていくことによって今後の取引に不正常なものが見られるというようなことでございましたら、これは弊害がございますので、十分取り締まらなきゃなりませんが、いままでのところはそうじゃなくて、やはり企業の上の安心のできるというような面も非常に多いということでございますので、一がいにこれを悪いと言うことは私はできないんじゃないかと思います。で、行き過ぎがあるようでしたら、これは当然いろいろ指導しなけりゃならぬ問題かと思っております。
  183. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはまあ善意に解すれば大蔵大臣のおっしゃるとおりと思いますけれども、やはり人間ですから、いろいろな問題がまた出てくるような感じもするわけですね。それで、これはまあ公社の職員ですから、法律的にはどうこうというようなことはないと思いますけれども、やはりこれは公務員に準じて何らかのチェックをする必要があるんじゃないか。専売公社は、これは政府機関ですからね。この点はいかがですか。
  184. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 人事院のチェックを受けることはございませんので、もしそういう問題でやはり考えなけりゃならぬとしましたら、大蔵省専売理官を通じていろいろ御指導を申し上げるということになろうと思いますが、いままでのところは、この人事においての弊害というものは実際においてはあらわれていなかったというふうに私は聞いております。
  185. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、これはいまのところ自由に、だれが行こうと自由になっておるわけですか。総裁かだれか、それをチェックするとか、そういうところはないわけですか、その点はいかがですか。
  186. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 便宜私からお答えいたします。もちろん総裁が全責任を持ってそういう業務の運営に支障のないようにということをお考えになりますが、幹部の方につきましては、内々大蔵省の官房にも相談がございまして、われわれのほうでもできるだけのチェックはすると、こういうことになっております。
  187. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 中尾委員が質問中でございますが、お許しを得ましたので、緊急の質問をいたしたいと思います。大蔵大臣も御承知と思うのですが、昨日アメリカの連銀が公定歩合を五歩から五歩五厘に引き上げたわけです。また、いわゆるCDですね、最高規制金利を五分五厘から一挙に六分二厘五毛に、非常に高水準に引き上げたわけです。このわが国の金融及び貿易上に及ぼす影響というのは、かなり私は重大であると思いますので、大蔵大臣はこれはどうお考えですか。  また、日本銀行の公定歩合の引き上げの問題も、これはもう早晩起こらざるを得ないと思うのですが、これは非常に重大な影響を及ぼすと思いますが、大蔵大臣の御見解を伺いたい。
  188. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この〇・五%の公定歩合の引き上げについての理由というようなものがまだはっきり説明されておりませんが、しかし、最近急上昇しているアメリカの景気の行き過ぎを防止すること、そうして国際収支の改善をはかるという意味から、アメリカはいままで各国にも約束しておりましたいろいろな国際収支の改善策、財政政策を示しておりましたが、このほうが、御承知のように、少しおくれているというようなことから金融政策をとらざるを得ないのでとってきたものというふうに私どもは思っております。で、そうしますというと、この措置はアメリカの国際収支には相当のこれは効果があるでございましょうし、また、それによって日本への影響——アメリカが国内で引き締めを金融政策でとるということになりますと、輸出への影響とか、あるいは資金調達の上からの影響というようなものが若干は考えられると思いますが、しかし、アメリカの今回の措置によって日本がすぐにそれに追随して何も引き上げなければならぬというような事情にはないというふうに私は考えております。
  189. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大蔵大臣はすぐにはと言われたんですけれども、この影響としましては、とにかくアメリカは、ドルの防衛対策としまして増税案もいま懸案になっているのですが、なかなか増税案が国会を通らぬわけですよ。そこで、アメリカとしては、なるべく金融政策によって、つまりデフレ政策によってドル防衛したくないわけですね、それは経済に悪い影響を及ぼしますから、設備投資その他に。なるべく財政の面、増税によって改善しようとしているのですけれども、なかなか増税案が通らぬ。そこで、やむを得ず公定歩合引き上げ、それで金融引き締めによって改善しようとしているのですけれども大蔵大臣は、この影響がたいしたことはないようにお考えのようですけれども、この前、三月十四日ですね、あれは一分上げろという議論もあったけれども五厘にとどめたと、今度はあのとき一分上げるところを五厘にとどめたんだから、今度五厘上げたのは、前の一分上げようとしたものの補強であると、このように言われておりますけれども、あの当時金利引き上げによって大体SDRの発足も一応決定したし、ドルも一時的に安定するんじゃないかと思われておったのが、またその効果がなくて五厘上げたということはたいへんな影響だと思うのです。ことにユーロダラーに対する影響です。ロンドンからの情報が新聞にもうすでに出ておりますけれども、特にロンドンの中の日本関係者は、アメリカが公定歩合を引き上げた結果、ユーロダラー金利が高騰するのを心配している。というのは、ホノルルの日米会談以後、外資の調達を全面的にユーロダラー市場に日本は切りかえたわけですね。そして、このほど住友化学のユーロダラー起債がようやくきまって、日本ものの起債に対してもようやく芽が出てきたやさきなので、発行条件はさらにきびしくなるのではないかとおそれられている。さらに、日本としては、今後ユーロダラー金利並びにその資金の動きに重大関心を持たざるを得ない、こう言っているんです。とれでまたヨーロッパのほうも高金利になる可能性も出てきているといわれております。で、イギリスが八分の非常な高金利を七分五厘に下げようとしていたやさきなんですね。それをまた下げることができなくなる。そうすると、ヨーロッパでは高金利の不景気という問題がやはりあらわれるだろう、こういう観測です。そうなると、日本に対する影響というのは、これは大きいですよ。ユーロダラーがどんどん出ていってごらんなさい、いまの外貨の多くの部分、十四、五億もユーロダラーですよ。短期資金です。それが流れていく。また、いままでアメリカの起債はユーロダラーに切りかえたのでしょう。これが今後日本の外資調達にまた非常に悪い影響が起こります。そんな簡単なものでないと思う。それから、貿易も、そうなると、一五・二%の四十三年度は増を見込んでおりますね、百二十一億五千万ドルの輸出を見込んでいるんですが、私は、この結果はそんな簡単に達成できなくなる。これは私は重大なやはり問題だと思う。今度五厘の引き上げというのは、かなり重大な意味を持っている。カナダはまだ追随しておりませんが、やがてカナダも追随すると思うんです。そうすると、今度は日本のいままでの金利引き上げでなく、窓口規制だけで日銀はやっていますけれども、前に日本銀行総裁は、もし連銀がまた上げたら、日本銀行の公定歩合も上げざるを得ないだろうと、ちゃんと言っていますよ。ですから、相当私はきびしく今後考えていかなければいけないんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  190. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いまおっしゃられましたイギリスの公定歩合ですが、もう七・五%に三月に引き下げられておりますし、ドイツが三%、フランスが三・五%というように、欧州の金利というものはまだ上がっておりません。で、今度のアメリカの措置は、もっぱらアメリカの国際収支対策でございますが、これが欧州市場にどういう影響を与えるかということは、私どももこれは非常に関心を持っておるところでございまして、もう少し真剣にこれは動きを見たいと思っておりますが、私は、ユーロダラー市場がアメリカのこの程度の金利引き上げによってどういう動きを示すかということについては、そう大きい影響がすぐあるというふうにはいま考えておりません。しかし、これは私ども十分関心を持って見守るべきことであるというふうに思っていますが、欧州各国が金利を上げるようになってきたときの影響は大きいと思いますが、いまのところは欧州にそういう動きがございません。
  191. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき私は、イングランド銀行が八分を下げられないと言いましたが、七分五厘に下げた、それは事実です。七分五厘をさらに下げようという機運になっているということだったのですがね。そうしますと、前のSDRのあの会議のときに、ヨーロッパではなるべく高金利政策はとらないようにするといういろいろな申し合わせもあったようですね。そうなると、また連銀が上げたものですから、その結果、前にSDRの会議のときに申し合わせたようなふうにはいかなくなってくるんじゃないか、そういう点を私は問題にする。それから、アメリカ経済活動も、これによって、たとえば設備投資とか何かもブレーキをかけられると思うのですよね。ですから、アメリカとしてはなるべく金融引き締めによらないで、増税でやろうとしたわけなんですが、だけれども増税がどうしても通らぬから金融引き締めをやった。アメリカ財界としては一番いやな政策をとらざるを得なくなったということになり、アメリカの景気も停滞するのじゃないか。そうすると、この影響日本の輸出も停滞する。ヨーロッパに対する輸出も、当初予想よりは停滞してくるのじゃないか、そう思いますが、いかがですか。
  192. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあアメリカにとってもいやでしょうが、私どもにとっても望ましくないのは、アメリカが金融政策で引き締めをやるということでございまして、やはりアメリカ財政政策でやってほしいと私ども考えております。いずれにしましても、これは早晩必ずこの増税法案は通って、アメリカが所期している引き締め策は必ず私は断行するだろうと思っております。そうなった場合には、増税が行なわれるというような場合には、アメリカは今度上げた公定歩合をどうするかという問題が起こってくるのじゃないか。こういうものができない間、いまの過熱傾向を防止するということが、やむを得ず金融政策をとっているのじゃないかというような気もいたします。したがって、欧州諸国は、前にもああいうふうなはっきりした声明がありますとおり、今回のことによって欧州が金利を上げるということは、おそらくないというふうに私どもは見ております。
  193. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一問だけ、十分の約束ですから。  この結果、私は、アメリカのドル防衛に対する日本の協力がもっと強く要請されてくると思うのです。前にホノルル会議で、御承知のように、ドル防衛に対しては、アメリカの起債をユーロダラーに切りかえるということがドル防衛協力の一つの政策だったのでしょう。それから、そのほかインドネシアに対するアメリカ経済援助の肩がわりというものもあります。こういうことから、私は、今度二十二日ですか、債権国会議がありますね、インドネシアに対する。その場合に、私は、日本は中間的な報告として、援助金額をあそこで大体報告しなければいけないのですよ。私は予算の分科会で承りましたが、今度の債権国会議の議題は、インドネシアのいろいろな情勢分析といいますか、経済、政治情勢の分析が一つと、もう一つは、援助額に対する中間報告、この二つが議題だということです。そうなると、私は、特にアメリカはいままでドル防衛政策の効果があらわれてこないですから、依然として国際収支は改善されない。インフレはちっとも安定しない。そういうことから、一そうアメリカとしてはドル防衛策政を強化しなければならぬ。その一環として、そういう海外援助なんかに対する日本の協力を要請される。そうすると、本年度予算で六千万ドル予定されているのがもっと上積みを要求される、こういうふうなことになってくるのじゃないですか。それで、二十二日に行かれますが、それまでに六千万ドルの上積みを一応することになるのじゃないですか、その点をお聞きしておきます。その他ドル防衛協力としてはどういう点が予想されるか、そういう点も伺っておきます。  それから、もう一つ、もうこれでやめますが、日本銀行総裁とお会いになるのか。これは私は、いますぐ金利を上げなくても、近いうちに上げざるを得なくなるのじゃないですか。窓口規制だけでは、とてもユーロダラーの流出なんか起こってきた場合、私はとどめることができないと思う。その点を伺います。
  194. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アムステルダムの会議にどういう方針で臨むかということは、いま代表を出す前でございますので、いま政府の方針を相談中でございまして……。
  195. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だって、もう二十二日ですよ。
  196. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ相談がきまっておりません。  それから、今回のアメリカの公定歩合引き上げを機に、私と日本銀行総裁が会って相談するということも、いますぐにはないことと思っております。
  197. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃけっこうです。
  198. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 質問が途中で切れましたが、さっき大蔵大臣は、専売官僚の天下りはいまのところ問題はないと、こういうふうなことでしたけれども、マル通のたばこ運送の件できょうの日経にも出ておりますが、いろいろな問題が出ております。これ読んでみますというと、マル通に対するたばこ輸送費は年間大体三十数億円、こうなっています。その間に輸送料金は区間単価制といわれて、その区間単価制というものが非常に計算の根拠がでたらめである、こういうふうなことになっていますね。この区間単価制ということ、これは実際どういうふうになっているか、それをお聞きしたい。ここにもすでに問題が出ているのですよ。通には元専売公社の総務理事の高橋時男さんが監査役で入っている、こういったような問題は、当然マル通まかせでなしに、問題があれば検討しなきゃならない。そういうものをいままでほって置くから、たばこ値上げだってよけいな経費がかかってくるんじゃないですか。その点いかがですか。
  199. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 非常にまるででたらめであるというお話でございましたけれども、私どもとしましては、そういう非難を受けますことをかなり心外に思うものでございます。区間単価制と申しますのは、葉たばこなり製品なりを輸送します際に、ある一定の経路を反復して輸送する場合がございます。そういうものをつかまえまして、たとえばある原料工場からある製造工場へ葉たばこを運びますという場合に、その輸送距離のうちの鉄道運賃は幾ら、工場から駅までのトラック賃は幾らになる、トラックから貨車に積み込みますまでの積み込み料金というのは幾らになるべきであるかということを計算いたしまして区間ごとに定めているのでございます。したがって、単純な平均ではないわけでございます。私ども、これらの契約形式がうまくいっているかどうかにつきましては、常に反省を要するものと考えておりまして、その現場現場にあります地方局なり支所なり工場なりの機構を使いまして、トラックの現実に着く場所というものが貨車に乗せるまで現実に幾ら人夫賃を必要とするのであるか、貨車が倉庫やなんかのヤードにつけます場合にそのままつけるか、横持ちをしなければならないかというようなことも常時検討いたしまして区間ごとの料金というものをきめておる次第でございます。約四万件ぐらいの非常に多くのものを調査をいたしましてこれをきめておりまして、かなり詰めてやっておるつもりでございますが、まあ私のほうもこれが完ぺきであるというほどの過度の自信を持ってはならないと考えておりますので、実績調査その他、なお続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  200. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、マル通問題は、いま非常に輸送の問題に対してもとかくのうわさが出ておりますから、それをよく検討するにしても、今後は日本通運にだけやはりたばこ専売公社としては輸送委託するわけですか。
  201. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 公社が輸送を委託しますいろいろな契約の中で、日通はかなりのウエートを持っておりますことは御指摘のとおりでございます。大体三分の二くらいかと思いますが、今後の問題につきましては競争原理をどうやって入れていけるか、研究の機構をつくりまして十分検討したいと考えておる次第でございます。いままでのところでございますと、公社の必要とします運送というものは、全国非常にへんぴな所へも及んでおりまして、そうして、また、いろいろな交錯輸送、長距離輸送等が入っておりまして、これらの輸送につきましては、発地から着地まで一貫して責任の持てる業者でないとぐあいが悪いという観点で処理してまいりたい。発地には支店なり何なりがあるけれども、着地では別な会社を使わなければならないというのでは非常に事務処理上ぐあいが悪いし、責任の分界というものもはっきりしないという観念で、地方機構を潤沢に備えている日通というものを使ってまいったわけでございますけれども、そこらの点をなお洗い直してみたいと思っております。本社が契約しておりますものは、各地方局間にまたがる輸送距離、比較的長いものをやっておるわけでございますけれども、これらのものにつきまして、いままでのところは分割して請け負わすということの可能性等を検討いたしましたけれども、どうも境目のところでいろいろ問題を起こすということで、それもなかなか踏み切れないという状況でございましたけれども、これらのものもよく検討し直してみたいと考えておる次第でございます。
  202. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、この食糧輸送の面は全国通運に輸送させる、そういうような動きがあるわけですが、たばこの場合はそういうことは考えておりませんか。これは総裁にちょっと。
  203. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) ただいま副総裁から申し上げましたとおりに、この問題は、私のほうの仕事の性質上からいきますというと、発着、それから全国に非常に広範囲にわたっておりますので、たとえば全国通運のような会社ができましたですけれども、これが部分的にそういう勢力範囲を持っているということになりますというと、そこに、先ほども話がありましたように、部分的なものを取り上げて、それがいいかどうか、料金の決定なんかも認定料金ということになっておりますが、それがへんぴな所もそういうものをひっくるめた料金が入ってくるのでありまして、それらの点はどうすればいいかということで、ただ、これも先ほどの申し上げましたような次第で、私のほうとしてはやっぱり競争原理というものを持っていくべきじゃないだろうか、そこで、こういうものを真剣にひとつ検討してみたらどうかということで、現在委員会をつくりまして検討中でございますから、近い将来にこれの何らかの結論を出したいと、かように考えております。
  204. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、このたばこの配送の関係はどういうふうになっているのか、配送の現状ですね、それについて大体のところでけっこうですから。
  205. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 私どものほうは、配送と申しますか、配達といいますか、小売り屋さんに私どものほうの支局や出張所から行く過程のことだと存じますが、これは全国大部分どものほうの職員が注文をとりまして、それで、そこへいまは大体雇い上げた車で私どものほうの職員が一人乗りまして、それで配達して歩く、代金もその際にいただいて帰るということをやっているのが全国大部分でございます。それから、東京と大阪では非常に繁華街が多いですから、そういうところではたばこの配達だけの会社がございまして、ここが倉庫の管理から、小売り屋さんに配達する代金の徴収、そこまでの仕事を東京、大阪の中心部ではやっております。それから、名古屋でも最近同じようなやり方を始めております。そのほか、北海道と、あと幾つか別のところで、ほんのわずかですけれども、代行配給と申しまして、これは、たばこの販売組合が配達する仕事を引き受けて配達しているというところがございます。結局大部分は、以上申し上げましたように、公社の職員が乗っかって、民間から雇いました車で配達を行なうというところが多うございます。
  206. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、どこからどこまでをマル通に委託しているのですか。
  207. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) マル通は、公社の倉庫からたばこ屋、小売り屋さんの店先へ持っていきます段階を委託されているわけでございます。
  208. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま福岡の陸運局に、九州たばこ配送会社について申請が出ておりますけれども、この問題について九州の業者からいろいろの陳情も出ておる。その後これはどういうふうになっているのか、現状をひとつ説明してください。
  209. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、東京と大阪のにぎやかな場所でたばこ配送を委託する、集金の業務から、さらに倉庫保管の業務まで委託するという形をやってみまして、それで、その区域も東京、大阪とも、昨年来若干広げてやっております。その実績に基づきまして、名古屋と福岡で同じような考え方でやろうという計画をいたしまして、たしか昨年の十月だったかと思いますが、福岡の陸運局のほうへ、九州たばこ配送という会社を設立して、たばこの配達の仕事をやりたいという限定免許の申請を出しまして、それで、その後、いま中尾先生からお話がございましたが、何がしかあちらの地方で反対もございまして、結局三月十四日に聴聞会が開かれまして、聴聞会は一応終わりましたが、まだ限定免許の認可になっておりません。
  210. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、新しく九州たばこ配送会社というものをつくるわけですね。その一年間のたばこ輸送経費が、あなたのほうで出しているのは四千五百九十六万三千円か、これに対して業者のほうはうんと安く契約ができるようなことを言っておりますが、あなたのほうの積算の基礎はどうなっているのか、その辺のところをもう少し詳しく説明してください。
  211. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 福岡のただいまお話のありましたところは、ただいま私どもの組織で申しますと、支局、出張所というようなものが六つある区域でございます。いまの四千五百九十万何がしという金額は確かにございまして、そういう数字でございまして、私どものほうでこの会社に仕事をやらせるとしたら、このくらい委託料金として払わなくちゃいけないのじゃないかという数字の合計でございます。その内訳を申し上げますと、運送料金が二千二十二万六千円、これは輸送免許を申請いたしますその際の申請書に記載されてあります料金、これはたしか運輸省で認可料金になっておる料金だと存じます。また、人件費が千九百四十六万五千円、それから備品消耗品、これが百二十万三千円、それから危険負担料百九十六万三千円、それから配達車塗装費四十八万五千円、建物減価償却代十八万七千円、一般管理費二百四十万七千円、合計四千五百九十三万六千円という数字になっております。
  212. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、なぜこの業者の輸送費とこんなに大きな差が出てくるのですか、その点をひとつ。
  213. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) ただいま業者の輸送費と差があると申されましたのは、おそらくはかの運送会社でもっと安くできるということをいっているほうのと差があるという意味だろうと思いますが、どうもこれはちょっと人さまのふところ勘定なので、あるいは間違いかもしれませんけれども、この運送委託会社は、これはほんとうに運送だけではございませんで、倉庫の保管から、それから代金の徴収まで全部請け負っておるわけでございますが、おそらくその運送のほうに重点を置かれてはじくともっと安く引き受けられるのじゃないかというふうにいっておられるのじゃないだろうかと思っております。
  214. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ日本通運に委託するのをやめて、九州配送会社をつくるというのでしょう。そうなった場合、どのくらい経費が節約になるのか、その点はいかがですか。
  215. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは大体一割前後私どものほうとしては安くなるのではなかろうか。これは専売公社の職員の手間も含んでございます。
  216. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣はお急ぎのようですから、大臣に一問だけ。この前の本会議の席上で私はお伺いしたわけですが、専売公社益金がだんだん最近下がってきている、そういうことから今回の値上げということになったのですが、そこで、この際に益金制度に対して消費税制度を採用したらどうか、このように私は申し上げたわけですが、あのときの答弁は、どうもこの問題はむずかしいので、むにゃむにゃむにゃとはっきりしなかった。きょう大臣の見解をはっきり私はお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  217. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、やはりこの専売公社の形態の問題で、これがもし民営というようなことでございましたら消費税でいくことがきわめてすっきりするんじゃないかというふうに思いますが、しかし、いまのような専売公社の形をとってるときに、その消費税でいいのか、いま言ったような納付金という形がいいのかということになると、そこにまだなかなか割り切れないいろいろな問題がありますので、いま私どものほうも公社自身においても、この問題の改善についての検討をやってるところでございますが、やはりその消費税という方向の考え方も必要だと思いますので、検討はしてますが、なかなかいま結論がすぐ出ないというところでございます。
  218. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 益金が、いろいろな原料高、人件費等によってだんだん少なくなってくれば、さっきも私はお伺いしたんですけれども、やはりたばこの定価の値上げということもまたこれは年々出てくるんじゃないかと、こういうことも考えられるわけですね。ですから、消費税制度にしますというと、公社の側も、また、国として取る分もはっきりするんじゃないか、そこに企業の合理化も自然と行なわれるようになると、こういうふうに考えるわけです。まあ大蔵省としては、新聞なんかにちらっと出ておりますけれども、すでに構想を固めているんじゃありませんか。その辺のところをもう少しあんまり隠さないで話してください。
  219. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 便宜私からお答えいたします。  実は、税制調査会からも、消費税制度など、制度の改善についても検討をしたほうがよろしいと、そのほうが企業の自主的な努力を刺激することにもなるし、また、財政収入の安定性を確保するゆえんでもあると、かような趣旨の御答申もいただいておりますので、もちろん部分的には検討いたしております。しかし、いま大臣が申されましたような、いろいろはたしてメリットばかりであるかというと、そうも言い切れないいろいろな問題もございますし、また、技術的にもいろいろ各局にまたがる問題もございます。そこで、何もお隠しするわけではございませんが、まだ関係各局集まっての会議はやっておりません。公社におきましては、一部にそういう一種のワーキングパーティーのようなものをつくって、まず外国ではどういうふうなことになっておるかということから勉強を始めておられるというのが現状でございます。
  220. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、この問題は結論が出ないのですが、この程度にしておきます。  次に、専売公社の共済組合の資金運用の件についてお伺いしたいんですが、いま運用資金はどのくらいあるのですか。
  221. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 約二百三十億ございます。
  222. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その資金の運用はどういうふうになっておるのか、現状。
  223. 前川憲一

    政府委員前川憲一君) 私が聞いておりますところでは、専売共済組合の昭和四十二年度末の資産は約二百三十億円であると聞いております。
  224. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 二百三十億の内訳は、四十二年度末のこれは見込みでございますけれども、預貯金が六億三千三百万円、それから有価証券など、これが百九億一千万円、それから不動産が六十一億、貸し付け金、これは組合員に対する貸し付け金になりますが、五十三億八千万、合わせまして二百三十億ということになります。
  225. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それの有価証券の運用はどういうようになっておりますか、内容は。
  226. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) ただいま有価証券等と申し上げましたが、その中に有価証券が約四十五億ございます。それから貸付信託が二十二億六千五百万、それから証券投資信託、これが九億二千七百万、それから特定運用、これが三十二億二千六百万、それで、いま申し上げました有価証券約四十五億の内訳ですが、これは国債、地方債、社債その他となっておりますが、国債が六千万、地方債、これは東京都その他の地方債が八億三千万、社債が六千万、株式が一億二千万、金融債が三十四億二千二百万ということになっております。
  227. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういったような財産上の運用につきましてはどういうような機関でやるのですか。何か組合の運用審議会みたいなものがあるわけですか。
  228. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは公共企業体職員等共済組合法ですね、この法律に根拠がございまして、資金運用につきましては、その方法は大蔵大臣の認可を得て大筋が定められております。それから、さらに具体的なものにつきましては、労使双方大体半数ずつであったと思いますが、出まして、運営審議会というのが設けられております。そこに付議されまして、その上で運用しておるということでございます。
  229. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この有価証券の中にどういうのが入っていますか、銘柄については。
  230. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) いまの有価証券と、その銘柄別と申しますと、国債のことじゃなく、株式のことじゃないかと存じますが、これはいま七つ銘柄がございます。現在運用しておりますのが、ちょっと申し上げますと、有機合成薬品工業、それから日本通運、日進印刷、東京たばこ配送、関西たばこ配送、名古屋たばこ配送、それから九州たばこ配送という七つの会社でございます。
  231. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、その内容ですね、株数と時価。
  232. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 株数と取得価格を申し上げます。有機合成薬品が二十四万株、取得価格は千百万円でございます。それから日本通運百六十八万株、取得価格は七千六百二十七万五千円、日進印刷五万株、二百五十万円、東京たばこ配送三万一千五百六十株、千五百七十八万円、関西たばこ配送二万一千百八十株、取得価格千五十九万円、名古屋たばこ配送一万四百株、取得価格は五百二十万円、九州たばこ配送七千三百五十株、三百六十七万五千円ということでございます。
  233. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、お伺いしたいのは、この共済組合の経理規程の中には、「組合の余裕資金は、事業の目的に応じて安全且つ効率的に次の各号に掲げるものに運用することができる。」こういうふうに出ておるわけですが、安全かつ効率的なという面から考えて、マル通だの、たばこ配送会社のみにこういうふうに投資をすることは問題があるんじゃないか。現にマル通はがたがたしてますし、時価も下がっておるし、場合によっては無配になるかもしれない、こういうようなことも考えられるわけでしょう。いまは一割かもしれませんけれども、今度の決算期はわかりませんよ。だから、どういうふうにしてこういうあなたの関係のほうでは投資をしているのか、その点ひとつ。
  234. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) マル通の日本通運のお話が出ましたけれども日本通運は非常に古うございまして、昭和十二年、戦争前でございますが、そのときにたしか国策会社のような形で日本通運ができますときに、安全有利でもあり、国策会社という趣旨も当時はあったかと思いますが、そのときに投資いたしまして、現在は配当一割二分という配当でおりますが、それから、そのほか、たばこ配送の会社、これはまだできて間もありませんもので、大阪の関西たばこ配送だけが一〇%の配当をしております。東京はまだ無配でございます。名古屋、九州はこれからでございます。しかし、やがては何がしか配当もできるように合理化されるのじゃないかというふうに期待しております。
  235. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、全体の利回りはどのくらいになっていますか、株式の全体の利回りは。これは何らかの規定があるのでしょう。
  236. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 共済組合の予定利回りが五分五厘じゃないかと思いますが、それ以上で運用しないと、株だけじゃございませんが、ほかのものも合わせましてそうしないとまずいということで、そういうような辺を目標に、それ以上になるようにということだと思いますが、いまお話の、平均するとどうということは、ちょっと正確な数字は計算しておりませんけれども、大体一割前後じゃないかと思っております。
  237. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういっても、ゼロ配のところもあるでしょう。マル通が一割、それから関西配送が一割ですか、東京配送が現在ゼロだ、一割にはなっておりませんよ。
  238. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) それはちょっといま計算ができておらないのですが、日通が一割二分で、これが半分以上になります。それから日進印刷という会社が一割五分、それから有機合成という会社が一割、関西たばこ配送一割、無配の会社があと三つございますが、これは合わせましても二千四百万ぐらいの金額で、二割程度でございますので、そのほかみんな一割以上でございますから、大体一割ちょっとに回ると思います。
  239. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 だけど、さっき申し上げましたように、マル通はどうなるかわからない。ですから、そういったような組合の大事な資金を有価証券に投資をするに際して、何らか基準というものはないわけですか。運営審議会におきましてはそういうことをやるわけでしょう。どういう株に投資をする、この会社は危険だから、こういうものに投資をしょう、そういったような基準というものはないのか、ただ話し合いでやるわけですか、その辺のところは非常にあいまいな感じもするわけですね。
  240. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは基準と申しますか、やはり安全有利ということで、それと同時に、私どもの共済組合のほうとしては、何がしかやはり専売の事業に関連があれば望ましいということだと思います。それから、株式につきましては一つ一つ大蔵大臣の認可が必要でございまして、共済組合の内部の手続の終了したあと大蔵省に認可申請して、その上でやっております。いまの日本通運は、最近何かいろいろ取りざたされておりますので、現在のところは一割二分配当なんでございますが、これはいろいろ将来問題かというふうに思いますが、現状はこうなっております。
  241. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、私が申し上げたいのは、そういう株式に投資をする場合に、同じような運送なら運送という業種の株に集中をするということが安全性を欠くんじゃないか。安全かつ効率的という面から考えますと、ほかにもまだあるわけでしょう、効率的な投資するものが。いま言ったように、マル通がああいうがたがたになったりして、また、この資金の面から相当マイナスが出てくるんじゃないか。その面が安全かつ効率という面にこれはどうも反しておるような気がするので私はお伺いしている。そこで、何らかの資産分散するにあたって基準というものが必要じゃないのかと、そういう基準というものはないのかと私は聞いているわけです。
  242. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは基準はございます。株式はほんの例外といってはなんですが、非常に少のうございまして、先ほど申し上げました二百三十億の一億でございまして、あとは金融債、国債、地方債、社債、その他かなり分散されておると存じます。
  243. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうもあなたの答弁は納得できぬ。一億というのはたいした金じゃないみたいにあなたそうおっしゃるけれども、組合の掛け金でしょう、ですから言っているんですよ。二百億の中で一億といえば、それはそうかもしれませんけれども、一億という金は、取り出せば大きな金ですよ、そう思いませんか。あなたはお金持ちか知らぬけれども
  244. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 確かに一億という金は大きな金でございまして、しかも、組合員の蓄積でございますから、私ども先生の御指摘になりましたような問題につきましては、将来も安全有利になりますように慎重にやってまいりたいと思っております。ただ、分散というお話がございましたので、総額二百三十億のほかのものは、大部分かなり分散されておるというふうに申し上げたつもりでございます。
  245. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、分散というのは、そういう株式投資をする場合に、運送関係の会社だけに固めてやるのがどうかというわけなんです、私聞いているのは。配当の関係だけ言うなら、ほかにもうかっている会社もたくさんありますよ。ぼくは、いまみたいにマル通がおかしくなったりすると、これはまたずいぶんマイナスが出てくる、そこに危険というものがあるから私はさっきから聞いておる、何らかの基準というものを設ける必要ないのかと。
  246. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) ただいまの御指摘のありました点につきましては、私ども、配達会社、運送会社というようなものに集中することをもう一回検討いたしまして、この法律の趣旨に沿いますように改めていきたいと思います。
  247. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もう一つ専売病院の件ですが、専売病院は現在東京と京都にあるわけですが、専売病院の予算は四十三年度はどうなっておりますか、若干ふえておるようですが。
  248. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 実は予算が成立したばかりでございますので、いま御指摘の全体の中の東京病院、京都病院というのはどうかという点は、予算としてまだきまっておりませんが、診療関係経費としまして六億九千百五十八万七千円という予算にいたしております。これは前年度の昭和四十二年度の予算は五億二千七百八万八千円でございます。
  249. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そのふえた理由はどういうわけですか。何が一番多いか。
  250. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは一番多いのは消耗品費でございます。これは薬品代その他だと思いますが、約九千万ふえております。これが一番多うございます。
  251. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 詳しくはまたこの次の機会にいたしますけれども、私は専売病院の経理事務につきましてとかくの乱脈なうわさを聞いておりますので、きょうはこの程度にしておきますが、当局のほうでよく監督をしていただきたい。後日またお伺いしたいと思いますが、それだけ要望しておきます。  それから、酒の価格の問題ですが、酒あるいはウィスキーにしても、すでに新聞等を見ますというと、増税のほかに業者が便乗値上げ考えているし、ウィスキーなんか相当上がっているようなことを聞いていますが、その現状はどうなっているのですか、その点を。
  252. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 酒につきましては、御承知のとおり、今回増税になるのは清酒の特級と一級でございますが、清酒につきましては、昨年秋に四十二年産米につきまして百五十キログラム当たり千六百六十円政府からの払い下げ価格値上げになったわけでございます。これによりまして清酒二級で一・八リットル当たり七円四十銭ほどの値上がり要因になるわけでございます。そのほか輸送費それから蔵人の人件費、ビン代、こういったものが値上がりいたしております。したがって、業者としてはそういったコストアップの分、それにメーカーのそういったコストアップ分のほかに、卸売り業者及び小売り業者でも人件費あるいは運賃が上がっております。そういった分について値上げしたいというような話がございましたが、私どもといたしましては、今回の増税による値上げと、それから、そういうコストアップ分による値上げとは本来別な要因のものでございますので、消費者にわかりやすいように、今回の増税のときに一緒に一斉に値上げするのでなくて、別々に値上げをすることが望ましい。実は酒の価格は、御承知だと思いますが、昭和三十九年以来自由価格になっておりますので、酒の値を上げるかどうか、並びに、どの程度上げるかということは業者が自主的に決定するところでございますけれども、私どもとしましては、消費者大衆に十分納得していただくためにはそういうふうなほうが望ましいということを業界に申しておるわけでございます。  それから、ウィスキーにつきましては、先般新聞に発表されましたが、これはまだ実施しておるわけではございませんけれども、今回のウィスキーにつきましての増税によりまして、現在出ているウィスキーのうち、たとえば五百円もの、あるいは千円ものにつきましては値上げをしないけれども、現在の出ている品物の中で増税になる分について、増税分より以上の値上げをしたいというような意向のある業者が出ております。これにつきましては、私どもとしては、まあ増税になっても値上げしないのはなおけっこうだけれども増税額以上に値上げする分についても増税と同時に実施するということについては、先ほど申し上げました点からいって好ましくないので、増税分と、それから、そのほかの分とは別々にしてもらうように申しております。それから、これも新聞に出ておりましたが、外国のウィスキーにつきまして、これは日本人がとかく外国製品を好むというようなことからいたしまして、御承知のように、かなり高い値段のウィスキーが市場に出ておるわけであります。しかも、輸入数量が制限されておるのに対して需要が非常に多いといったことからいたしまして、かなり高い市場価格になっておるようでございますが、これについても、今回の従価税をとることによる増税額以上に値上げをしたいやの意向が新聞に出ております。私どもとしましては、従来からすでにそういった外国のウィスキー類はかなり高目になっておりますので、したがって、そういう増税額以上に値上げするのは適当でないというふうな判断をいたしまして、業者にそういうことを申しておるのでございます。ただ、外国産のウィスキーは需給関係によってかなり変動をいたしますので、必ずしも原価だけによって値段がきまるわけではございません。また、時期によりまして、たとえば盆暮れといったようなときにかなり値上がりする、それから、東京と大阪で値幅がある、こういったような点がございます。したがって、これらにつきましては、今後日本人のそういった洋酒好みといった点も認識を新たにしてもらうと同時に、輸入のしかたなどにつきましてももう少し改善をはかっていく、そうしてもっと安い価格で取引ができるように指導いたしたい、こう考えております。
  253. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、値上げの件につきまして国税庁長官の御意見は、同時の値上げはやめてもらいたい、別々に値上る分は、これはかまわないわけですか、増税とは別に。  それから、もう一つお伺いしたいのは、宮澤経企長官は、酒の値上げは絶対に認めない、こういうような発言をしているわけです。長官のことばと若干違うように思うのですが、こういった点はよく統一見解をしておく必要があるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  254. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほども申し上げたように、酒類の価格は、詳酒類につきましては昭和二十四年以来、それから、その他の清酒とかビール等につきましては昭和三十九年以来自由価格になっておるのでございます。したがって、政府がその酒の価格について法律的に上げてはいけないとか上げろというようなことを言う権限は別段ございません。ただ、私どもとしましては、酒類というものが国民大衆の嗜好品で、国民生活上持つ意義が相当大きいものでございますから、従来から業者を行政指導いたしまして、不当な値上がりを来たさないようにという配慮をいたしておるのでございます。もし業者のほうでコストアップがあって値上げするという場合に、その値上げ額がコストアップの要因から見て合理的な金額の範囲内でございますれば、これを阻止するということはできないことと思っております。したがって、そういった金額が合理的な範囲のものであるかどうか、こういった点については、私どもとしましても資料などを十分取りまして見ていきたいと思いますけれども、そういう合理的な範囲内のものでありますれば、これを抑制するというわけにはまいりかねるかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、今回の増税の機会にそういうコストアップ分を合わせて値上げするということにつきましては、国民の感情からいたしましても、増税分とそういったコストアップ分は別にしてもらいたいという要望があるのは当然だろうと思います。これを別々にしてもらいたいということを申し入れておるような次第でございます。
  255. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ビール税金のことですが、日本ビールは六〇%くらいだったかね、外国のほうはかなり安いようですが、日本ビールは六〇%くらいかかっているように思うのですが、それはどういうわけですか。
  256. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 日本ビールの負担は、御指摘のように、改正前で小売り価格に対して五一%で、改正後になりますと五二%ちょっとこえるということになります。諸外国におきましては、ビールの負担はほかの酒類に比べて比較的安いのでございます。これは日本酒税法の一種の特色と申してはおかしいのでございますが、どこの国でも、大体在来酒というものに対してはわりあいに税金が安い、外来酒に対しては高くなる傾向がございます。一種の保護的なものがあるかと思いますが、わが国の場合、ビールが入ってまいりましたのは明治以後でございまして、非常にハイカラなものだということで、最初から高い税率で出発をいたしました。その後、税率が高いせいもございますけれどもビール会社というものは日本は戦時中統合いたしたせいもございますが、現在でもビールは四社でございます。その四社が大量なビールをつくっておりますために合理化が非常に進んでおりまして、戦前の基準時に比べまして、消費者物価は約五百倍、食料品の物価が約四百七十倍程度だと思いますが、ビールの場合、これが原価で申しますと二百七十倍程度だと思います。二百七十倍程度で、つまりコストが非常に安くなっておる。寡占による大量生産によって安くなっておりますために、価格的にはかなり一本当たりの価格はほかの国に比べても高くないわけでございます。その差額を税金が、戦中、戦後を通じまして埋めておった傾向がございまして、実際の酒類の価格として考えると、価格自体としては安いものでございますから、ある意味ではビールの製造業者の合理化による部分を相当程度税で吸収してしまった。これは一方においては寡占が行なわれている結果でもあると思います。そういうことで、いわば歴史的、伝統的に日本ではビールがほかのお酒に比べて著しく重い負担をしているという結果になっておりますが、ビール自体としては決して高くはない。と申しますのは、この間申しましたが、ビールは六百三十ミリリッルで百二十円でございますが、コカコーラなどはあれが三本分ぐらいになります、ビール一本で。コカコーラが五十円だとすれば、アルコール飯料でないコカコーラのほうがはるかに高いという結果になっております。そんなことで、ある意味税負担が重いけれども価格としてはほかの酒類と均衡がとれているという結果になっていると思います。
  257. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなたの話を聞いていると、ほかの飯料水と比較して高くないから税金はよけいとってもいいじゃないか、こういうようなふうに聞こえますよ、もう少し答弁をうまくやらなければ。  それでお伺いしたいのは、お酒のほうは各メーカーによって多少値段が違うのですが、ビールは、これはアサヒも、キリンも、サントリーもみんな同じ値段ですね。こういうのは多少自由競争の面からいっても値段が違ってもいいんじゃないかと、こう思うのですが、それが一つと、ビール価格はどうやってきめるわけですか。
  258. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 御承知のように、日本ビール製造会社は現在四社しかございません。そうして、そのうちの約半分はキリンビールがシェアを持っているわけでありまして、サントリーのほうはそのシェアがまだ非常に小さいといったような状況にございます。本来、自由競争をするならばビール値段は違ってもいいんじゃないか、こういう御意見まことにごもっともだと思います。ただ、四社しかございません関係で、リーダー格であるビール会社がその値をきめますと、他のビール会社もそれに追随せざるを得たい。で、リーダー格であるキリンビールとしましては、従来からの工場を非常にたくさん持っておりますために、最近工場を設けたようなサントリーに比べますと、むしろ製造コストが安い。そこで、コストの点からいいますと、既存のキリンとアサヒ、サッポロの三社と比べますと、サントリーは何といっても新設会社だけに、新しくビールを生み出した会社であるだけにコストは高いのであります。しかし、そのコストが高いということで、サントリーが高いビールを売り出したのではますます売れにくくなるということでありますので、同じ価格で、現在利益はまだ出ておりませんけれども、ウィスキーなんかで売り上げた利益をもとにしながら、そのうちに減価償却費もだんだん少なくなってくるだろうから、そのうちには利益が出てくるだろうということでビール事業を続けておるわけであります。御承知のとおり、タカラのほうは、しょうちゅう、合成清酒、清酒の利益があまりありませんでしたために、とうとうビール事業を継続できなくなったのでありまするが、そういった点からいたしますと、なかなかどうも本来値を下げて売るリーダー格のほうより高い値で新しい会社が売りにくい、こういった事情が大きく作用いたしまして一律の値段になっておるというところだと思います。  それから、ビール値段はそれじゃどうやってきまるということ、これはまあ従来のコスト計算でできておるのでありますが、いま申し上げましたように、リーダー格でありますキリン、アサヒ、サッポロと、こういう三社のコストがもとになりましてできております。これは三社の大びん一本当たりの利益を見てみますと、三円五十銭ないし四円五十銭程度の利益になっております。したがって、利益は一本当たりにいたしますと、それほど大きいものではありませんが、何ぶん数量が、たとえば今度四十三年度でございますと、おそらく大びん換算にいたしますと四十億本ぐらい売れることになります。そういう数量によって利益が相当出てくる、こういうことになっておるわけであります。
  259. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私がお伺いしたいのは、その四社があって、お互いに四社が業者間において値段を協定するのかと、こういう意味質問なんです。
  260. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 私ども承知いたしておりますところでは、先ほど申し上げましたように、リーダー格である会社のほうが値段をきめまして、他の会社がそれに追随するという形をとっておりまして、四社が相談し合うということは独占禁止法にも違反するわけでございますので、そういう事実はございません。
  261. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 結果的には独禁法に違反するというようなことになるじゃないですか。みんな値段が一緒だからね。だからまあ聞いているわけです。時間がありませんから、さっきの答弁の中で、外国ビールの課税率がちょっと答弁漏れがありましたから、それをひとつ伺いたい。
  262. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) アメリカでは、最も大きな銘柄でとりますと、大体一〇%程度でございます。イギリスでは大体三五・七%程度、まあ西ドイツはかなりいろいろ種類がございますが、ごく通常のものをとってみると一五%程度フランスがやはり二八・六%程度ということになっております。
  263. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 アメリカなんかはどうしてこういうように一〇%と安いのですか。
  264. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) アメリカのアルコール課税は、大体度数に比例した課税をしております。で、アルコール度数の低いものが税率も低いというやり方でございますので、ウィスキーなどになりますと非常に高くなる。ビールは何しろ度数が低いものですから、それで非常に安くなっております。
  265. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 二法案に対する質疑は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時四十四分散会      —————・—————