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国務大臣(
宮澤喜一君)
アメリカの輸入課徴金が最終的にどうなるかということが現在まだはっきりいたしませんけれ
ども、いまの段階は、御
承知のように、わが国をはじめ、EECの諸国が先般決定いたしましたケネディラウンドの
アメリカ側は繰り下げ、その他の国は繰り上げ実施という対策を出したわけでございますが、ただ、それに、ことにEEC等の主張によってケネディラウンドのときに合意がありましたいわゆるASPの廃止を急いで、しかも、日限を切って
アメリカとしては実施すべきである、あるいはもろもろの輸入抑制措置をとらないということを約束せよという条件をつけておりますために、
アメリカとしては、これは
政府ばかりでなく、議会を拘束する約束になりますので、なかなか
政府の
立場でそこまでぴしゃっと言われることは受けつけにくいというようなことを言っておりまして、そうしておりますうちに、ガットの事務
局長のウィンダム・ホワイトが間に入りまして、ひとつその両者の言い分を調整してみようではないかということになりまして、ちょうどただいまの段階でそれをやっておるわけでございます。で、なかなか予測を許しませんけれ
ども、どうも私の
感じでは、
アメリカも、ドル防衛等々で、わが国をはじめ、それらの国から非常に協力を与えられておる
立場もありまして、そうそうてまえがってなことも言えないということは、これは当然
アメリカとしても
考えなければなりませんし、
考えておるであろうと思います。そこで何かの妥協ができて、ケネディラウンドの実施方法を変更することによって課徴金というものはなくなるのではないだろうか。これはもうしばらくたちませんとはっきり申せないことでありますが、そういうことを強く期待をしております。また、期待する
理由も私はあるように思うわけでございます。そういたしますと、残りますのは、今度は米国内における物品ごとの輸入規制がどうなるか。上院にいろいろな動きがあるわけでございますが、これは結局相当大切な法案にいわゆるライダーとして付帯させない限りは、大統領が拒否権を使うことが容易でありますから、何か大統領が拒否できない法案のしりにつけるということしかないと思いますが、そういたしますと、またそれはそれとして、上下両院の協議会で、ことに
歳入に関する法案は、本来下院が優先権を持つ事項でありますから、下院としては、上院がそういうライダーをつけることを好まないという
考え方がございますので、そこでつぶれるという公算が相当大きい、油断は許さないわけでありますけれ
ども、そういう貿易自由化に逆行するような措置は、なるべく
アメリカの議会及び
政府の良識によってわれわれが期待するように処理されるのではないだろうか。そこにもいろいろな危険はございますし、いたしますから、絶えずいろいろな働きかけをしたりいたしておりますけれ
ども、目下はまあそういうふうに
考えております。もちろんそれらの想定のどれかが破れますと、わが国の国際収支にある
程度の
影響があることは、これは免れません。また、その場合には自衛の措置もとらなければならない、こう
考えておりますけれ
ども、ただいまのところはそういうことを強く期待もし、また、予測もいたしておるわけでございます。