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政府委員(澄田智君) まず、第一点の、海運に対する貸し付けの
状況と回収の
状況でございますが、その海運に対する貸し付けの四十二年九月末の残高は三千八百四十一億円ということになっております。開銀の貸し付け総残高の三三・八%、こういう比率になっておるわけでございます。
それから、その回収につきましては、三十八年の海運業の再建整備に関する臨時
措置法によって、整備計画の実行と相まちまして、そして、また、海運会社の収益
状況というものを考慮しまして、その返済
能力に応じて回収させるということで回収の促進につとめてまいりました。その結果、その延滞元本及び弁済猶予元本の合計で申しますと、三十九年の三月末には四百四十六億というものを返済猶予をしておったわけでございますが、それが四十二年の九月におきましては六十九億というところまで減ってまいりました。これだけ回収が促進されてきた、こういう次第でございます。
それから、次のお尋ねの、海運業のいままでの
状況に応じてどのような処置をとってきたかという点でございますが——いま四十三年の貸し付けは幾らかというのが落ちておりました。四十三年度の海運向けの貸し付けは、四十二年度の計画造船、これが二十三次でございますが、それの充足分が四十三年にずれ込んでいる分がございます。それと四十三年度の新しい計画造船、これは二十四次計画造船でございますが、これと合わせまして八百九十三億円、そうしてその四十三年度の計画造船の建造量は二百二十万グロストン、こういうことになっております。
それから、いままでとってきました処置といたしましては、開銀の低利融資とか、あるいは利子の支払い猶予、あるいは開銀自身についての利子補給、あるいは市中の銀行の利子分についての利子補給というような
措置があるわけでありますが、特に三十九年から先ほど申し上げました再建整備法によって再
編成を実行いたしまして、集約化をした海運業に対する既往の分の利子の徴収猶予、それから、今後の分の利子補給、それから、さらに市中分についての利子補給、こういうようなことをいたしてきている次第でございます。
それから、その次の御
質問の三点目の、
国際収支の改善にどういうふうな
効果を果たしたか、こういうことでございます。この点につきましては、先ほど申しましたような
措置の結果といたしまして、海運業はかなり立ち直りを見せてきたわけであります。そうして償却の不足というようなものも非常に解消されつつあるわけでございますが、そうして他方、その結果、それと伴って、船腹の拡充という方面においても計画が逐次拡大されてまいりまして、その結果、輸入の積み取り比率で申しますと、三十六年には四〇%でございましたが、これが四十一年には四七%というところまで向上してきております。
わが国の
国際収支の貿易外収支のうちの海運収支、これは依然五億ドルないし六億ドルの赤字になっておりますが、貿易が拡大しているわけでございますが、それに伴って、従来赤字幅がふえる傾向にありましたが、海運にこのような施策をとった結果は、赤字は赤字でございますが、貿易量は量的に非常に拡大しているにかかわらず、赤字は増加しない、横ばいというようなことでとどまっている。こういう点は、やはり海運に対する助成策というものの
国際収支面に持っている
効果、こういうことになろうかと思います。
それから、支払い猶予の
措置が、あるいは利子補給の
措置が企業の合理化
努力を減殺するのではないか、こういうような趣旨の御
質問がございました。まあ最近の海運助成策の総合対策として、先ほど申しましたように、かなり立ち直りが見られている、そうして償却不足額を解消するというのが整備計画の一応の
目標でありましたが、そういうような償却不足を解消したという会社もかなりふえて、現在二十四社ばかりございますが、かなりふえてきているわけでございます。こういうような回復は、これは結局助成もございますが、海運業がみずから再建の
努力をした、こういうことでございます。その結果こういうところまでまいりまして、先ほど延滞元本の弁済猶予をしている、
金額も非常に減ってきたことも申し上げましたが、そういうような形になってまいりまして、これはやはり助成策が業界の
努力を導き出してこういうところになってきているという
効果も十分
考えられるわけではないか、かように存ずる次第でございます。