運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-26 第58回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十六日(火曜日)   午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日    辞任        補欠選任      八田 一朗君     青木 一男君  三月二十五日    辞任        補欠選任      竹中 恒夫君     二木 謙吾君  三月二十六日    辞任        補欠選任      二木 謙吾君     竹中 恒夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 小林  章君                 西田 信一君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 竹中 恒夫君                 藤田 正明君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野溝  勝君                 須藤 五郎君    政府委員        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省銀行局長  澄田  智君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵省理財局国        債課長      大谷 邦夫君        大蔵省国際金融        局次長      奥村 輝之君    参考人        日本開発銀行総        裁        石原 周夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る三月二十三日付をもちまして八田一朗君が委員辞任され、その補欠として青木一男君が委員選任されました。  また、昨日、竹中恒夫君が委員辞任され、その補欠として二木謙吾君が選任され、本日、二木謙吾君が委員辞任され、その補欠として竹中恒夫君が委員選任されました。     —————————————
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) この際、おはかりいたします。  現在本委員会理事が一名欠員となっておりますので、理事補欠選任したいと存じます。選任は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事西田信一君を指名いたします。     —————————————
  5. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 日本開発銀行法の一部を改正する法律案アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 柴谷要

    柴谷要君 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について御質問をいたしたいと思います。  今回、アジア開銀に対して、アメリカは二億ドル、日本が一億ドルを特別基金拠出しようとしていますが、わが国拠出額アメリカの強い要請によったものであるのか、それとも、わが国が独自の判断で拠出額を決定したものであるのか。もしもわが国アジアにおける先進国としての立場から、東南アジア農業開発を真剣に考慮した上での発意であるならば、少なくともアメリカと同額くらいの拠出を行なう一方、いまだ拠出を決定していない先進国に対してもすみやかに拠出するよう促進方話し合いをすべきだと思いますが、これらの問題についてどのような交渉をされておられるか、それをまず第一に御説明をいただきたい。
  7. 奥村輝之

    説明員奥村輝之君) まず、今回のわが国基金に対する拠出がどういう立場で行なわれたかというお話でございまするが、これは一昨年東京で東南アジア農業開発会議が行なわれましたその席で、東南アジア地域農業開発事業というものは今後ソフトな条件で融資を行なう、こういうための基金を設けることは望ましいのだというような話が出たわけであります。そこで、先進国アジア開銀に呼びかけが行なわれまして、アジア開銀にもその検討を命ぜられたわけでありまして、その後、去年の四月でございましたが、マニラで第二回の東南アジア開発閣僚会議が行なわれました。その席においても基金必要性が再確認されて、アジア開銀総裁から検討経緯が報告されたわけであります。こういう経緯考えてみますと、これは私どもがかねて主張した東南アジア農業開発のための基金が必要である。特にそれは日本は唯一の東南アジア先進国でありますから、そういう立場で、まず指導性をもってこういうふうな資金を手当てをして進めていくべきであるという態度をとってきたわけです。そこで、アメリカの予定しております金額日本の予定しております金額、これとの関係の問題でございますけれども、これはやはり私どもは、あくまでもこの事業については日本が中心であるとは思いますが、ただ、日本のいまの財政事情、あるいは国際収支事情というものを考えますと、そう大きな金額は出せないわけであります。もちろんアメリカ以外にも、すでにオランダとかカナダとかドイツとかイギリスとか、その他の国が拠出意思の表明を、公式、非公式にしている段階でございますので、こういうふうな気持ちを私どもとしてはこの際さらに高める、そういう趣旨からして今回法律改正をお願いしているわけであります。これが通れば、各先進国がこれにならって拠出を増加してまいる、また、新しい拠出意思を表明する、こういう形で先進国拠出を促進するように私どもは持ってまいりたいという考えであります。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 次に、わが国アジアにおける先進国として、また、アジアの繁栄と平和をはかるため、東南アジアに対して援助政策を遂行しなければならない義務があるわけであります。最近、内外の諸情勢は、必ずしも順調な遂行を期待することができないような事態に当面しているようでありますが、なぜならば、開発途上にある国々、国連貿易開発会議開発援助委員会決議勧告によって、援助国民所得の一%にすること、借款金利を三%以下、返済期間を二十五年以上とすること、政府ベース援助の約八〇%以上を贈与もしくはゆるい条件借款とすること等を要請しております。ところが、わが国援助条件は、このような国際基準に比べてあまりにもきびしい状態である。輸出優先主義が露骨であったこと、アジア貿易の大半が日本側の出超であることなどから、必ずしも東南アジア諸国から歓迎されていないというのが今日の実情ではないか。このようなときに、わが国では昨年秋の四十三年度予算編成の際に、大蔵省財政硬直化を理由に、援助一%を再検討すべきであると主張しております。ところが、一方・外務省は、これは国際公約目標であるから、実行しなければ国際信義にもとると反論して、両者の話し合いは対立のまま解消されておらない現状ではないかと思うのであります。一%援助を実現するということになりますというと、これはたいへんなことになる。経済社会発展計画の終わる四十六年度では、実に十二億三百六十万ドルの援助額が必要となってまいります。四十二年度の実績をかりに六億七千万ドル見当とすれば、今後四年間に二倍以上の援助が必要となってくるのでありますが、はたしてこのような援助が実行可能であるかどうか、この辺の見通しは一体どうなのか、そうして、かりに一%の援助が困難な場合、後進国から複雑な問題が生じてくるのではないかと考えられる。また、政府は、今後、量より質の強化重点を置いて援助内容を改善する方向に進むといわれておりますけれども、そのためにどのような施策を講じようとしておられるのか、ひとつ具体的に説明をしていただきたいと思います。
  9. 奥村輝之

    説明員奥村輝之君) まず、一%の援助目標お話があったのでございますが、これは一九六四年に国連貿易開発会議勧告がございました。各先進国は、最小限度その国民所得の一%にできるだけ近い額、これを低開発国に供与するように努力をすべきである、こういうものであります。で、日本もこれに対して賛成をしてきたわけでありますが、ただ、そのときの勧告の際に、ただし、準資本輸入国である一部諸国の特別な立場には留意をすること。それから、この目標額は各先進国援助供与額の上限を意味するものではない。このことは、さらにふやしてもいいということでございますが、同時に、異なるいろいろな先進国の間の開発努力の量的あるいは質的な努力の適否を比較する方法であると考えてはならないと、こういうことが同時に話し合いがあったわけであります。したがって、一言にして申しますと、この一%の目標は道義的な努力目標であるということであります。で、日本は、過去の状況を見てまいりますと、援助総額は過去三年間に二倍以上に増加しております。しかし、国民所得に対する比は〇・七%前後ということであります。で、要するに日本の場合は、国民所得増加率と申しますか、成長率が非常に高いために、この一%という目標が機械的に達成できない。しかし、それはあくまでも道義的なものであり、私どもとしては、これに時間的に、ある時間をもって拘束せられるという性質のものではないという考え方を持っているわけであります。で、かたがた、こういうふうな一%の目標というものが出て今日に至ったわけでありますけれども、この一%という単純な目標を設定することは、各国国力に応じた公平な分担原則から見て再検討の必要がある。で、要すれば一%の目標にかわるもっと公平な目標を国際的に認める必要があるのじゃないかと、こういうふうな主張もしてきたわけであります。そういうことで、私ども主張も、御存じのDAC会議においてもたびたび繰り返され、そのDAC加盟国は、国民所得比による目標設定は、豊かな先進国よりも、貧しい先進国に対してより多くの負担をもたらすものであると、こういうことで、一人当たりの国民所得の格差、こういうようなものも一緒に一つの要素として考慮すべきであると、こういうふうなことも会議の席上において議論せられ、記録に残っているわけであります。まあしかし、こういうことを一々こまかく具体的な目標として、一つ原則として組み入れることが非常にむずかしいものでございますから、現在まで一%という目標になり、それが形式的な目標になり、今後の課題としていかにいまのような点を合理的に持っていくかというふうな宿題が残っているわけであります。  次に御質問の点は援助条件の問題でございますが、これは確かにわが国は、他国と比べて条件ハードと申しますか、ソフトでない状態であります。しかし、この援助条件の問題は、援助の量の問題と非常に密接な関係があるものでございまして、援助の量が少なければ援助条件を緩和することもできましょうし、極端に申しますと、贈与とか、非常に低利な借款のみを勘定いたしますと平均条件は非常に改善せられるが、こういうものは量が少ないわけであります。こういうことで、結局むずかしい問題がたくさんあるのでございますが、要するに国力に応じた公平な分担ということが大事であり、私どもとしては、機会あるたびにこういうふうなわが国立場を訴えてきたのであります。したがって、日本としては、もちろん低開発国経済開発重要性は認識しておりますが、財政とか外貨のほうのいろいろな能力の許す範囲内で今後とも努力を続けてまいるほかはないと、こういうふうに考えております。日本は、特に東南アジアに対する援助について、輸出優先主義が露骨である、こういうふうな御指摘があったわけでございますが、私どもは、低開発国に対する協力については、やはり大蔵省立場もございますし、外務省立場もございますし、通産省の立場もある。結局長い目で見れば、私どもは、東南アジア諸国がこの協力によって経済の水準を高め、世界全体として経済が拡大し、その一環としてわが国利益が戻ってくることを考えておるのでございまして、そういうふうな広い立場で低開発国協力の問題を取り上げてまいったわけであり、今後ともそういうことでまいりたいと思いますが、しかし、一番大事なことは、御指摘のように、相手国ほんとう発展のために役に立つ協力ではないかと思います。そういう意味で今後とも努力を続けてまいりたいと思います。  それから、最後に、量より質の強化重点を置いて援助内容を改善する必要があるのじゃないかという御指摘がございましたが、まさにその点は、私どもは、量とか条件とかという問題もございますけれどもほんとうに低開発国の役に立つ協力というものを目ざして努力を続けていかなければならないと思います。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 政府は、私の質問しました最後のほうに十分答えていない。量よりも質の強化重点を置いて援助内容を改善する方向に進んでいる、こういうことを言われております。一体、量より質というそのものの具体的なひとつ説明を願いたいと思います。これは重大な問題なんです。
  11. 奥村輝之

    説明員奥村輝之君) 量より質という場合にいろいろな考え方があると思いますが、私がいまお答えいたしましたのは、援助金額をどうするか、援助期間をどうするか、金利をどうするかというような問題があると思います。もう一つ、同時に大事なことは、その援助ほんとう相手国経済発展に役に立つかどうかという点であると思います。援助条件については、これは数年前から比べまして、金利据え置き期間その他がかなり緩和してまいっております。しかし、欲を申しますと、カナダその他贈与を主にする援助国と比較いたしまして、日本援助条件はなおハードであるという批判はあるだろうと思います。こういう条件については、私どもは、やはり日本のいまの援助については、政府出資、税金をそのまま使って出資をいたしませんと条件が甘くならないわけでございまして、これはやはり日本財政力との関係があり、ほかの財政支出との関連において、徐々に能力の許す限りこれを緩和してまいるというほかはないと思います。  もう一つ、質という話については、相手国にどういうふうに役に立つような援助をしていくかということがあろうかと思います。私はこれを先ほど申し上げたわけでございますが、やはりほんとうに低開発国国民全体の利益になる、こういうふうなプロジェクトを選ぶ、こういうふうな援助を進めていくということが大事であります。そういう意味で、私どもはいままで行ないました援助について、その効果はどうであったか、ほんとうに役に立つのはどれであるかということを考えておるわけでございますが、たとえば今回御審議をいただいておりますアジア開発銀行に対する基金拠出というものは、やはりアジアのいまのほんとう国民の生活の向上のためには何が大事か、非常に地道な話でございますけれども農業というものは、これから増加する人口をまず養っていく最も基礎的な部門でございます。そういう意味で、こういうふうな地道な部門について努力を重ねてまいりたいということでございます。その他まあいろいろな援助要請の中には、鉄工場をつくるとか、あるいはダムをつくるとか肥料工場をつくるとか、いろいろな要請がございます。要請がございますが、私どもとしては、ほんとうにその国の経済現状から見て役に立つのは何か、国民全体にとって貢献するものは何か、こういう点を見て援助を進めてまいりたい、こういう考えでございます。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 では、次に、この援助問題のうちで、わが国が最も当面している最大の関心は、何といってもインドネシアに対する援助だと思います。四十一年度は三千万ドル、四十二年度が六千万ドルの援助、さらに四十三年度には六千万ドルの援助予算化されているようであります。四十二年度では平均金利を三%とするために、六千万ドルのうち、五千万ドルを輸銀資金を使い、一千万ドルを予備費から支出をし、これを贈与するといった苦肉の策を講ぜざるを得なかったようであります。そこで、四十三年度は海外経済協力基金法改正して六千万ドルを調達しようとしているようであります。ところが、インドネシア政府は一億ドルの借款を強く要請をしてきている。近くスハルト大統領代行が来日をするということが明らかになっていますが、このような事態が予想されますと、海外経済協力基金財源は四百四十億円しか用意されてない。そうなるというと、どこかから何らかの処置を講じなければならない立場になるわけです。その場合、予備費でまかなっておくとなれば、総合予算主義を撤回をして、補正予算編成をしなきゃならぬことになりかねないと私は思う。また、インドネシアに対する経済援助は、そのような経過をたどってきております今日の情勢の中で、はたして期待どおり成果をあげているのかいないのか、これが重大な問題だと思う。聞くところによると、何かいろいろな複雑な問題が発生をしているように聞いておりますけれども、この援助に対して再検討をする必要に迫られているのではないかとさえいわれております。こういう点を、まあ一つインドネシアの例ではありますけれども、ひとつ十分に真相を明らかにしていただきたい。実際に再検討をし、今日まで行なってきた援助というものがさほど期待どおり成果をあげていないならいない、これからあげさせるならあげさせるというようなことを明快にひとつ答弁をしてもらいたい。単に国民の浄財をつぎ込むことによって一応のまあ援助ができたんだというようなことではなかなか納得がいかない問題だと思いますので、どうかインドネシアの問題をめぐっての具体的なひとつ話をぜひこの場で聞かしてもらいたい。
  13. 奥村輝之

    説明員奥村輝之君) インドネシアに対する御指摘の点、昭和四十一年度から本年度に至るまでの援助数字その他についてはいま御指摘のとおりでございます。現在、スハルトさんが日本に来られるということで、これに対してどういうまあ措置をとるのかという点でございますが、私どもは、インドネシアに対する今後の援助については、現在、海外経済協力基金法改正、あるいは予算、こういうものの御審議をお願いをいたしておるわけであります。したがって、こういうものがきまらないうちに金額をきめるというわけにはまいらないと思います。一億ドルという話は、おそらく先般来からアムステルダム会議において国際機関が仲に立ちまして、三億二千五百万ドル、この金額が一九六八年のインドネシア経済のためには必要ではないか、こういうふうな数字が出、それに対して一億ドル程度日本で持ってもいいのではないかというふうな議論が一部にあるようでございます。しかし、私どもとしては、この三億二千五百万ドルという金額については、これはそのとおりけっこうな金額であるということをいままで確認をいたしたことはございません。いまそれは検討をいたしておる最中でございます。また、そういうふうな金額はそれといたしましても、日本の現在の状況から見て、言いかえれば、財政状態、あるいは国際収支状態から見てそれだけの巨額の金額がソフトな条件一体出せるかどうかということは、非常に慎重に検討を要する問題であると思います。繰り返して申しますけれども海外経済協力基金法改正案というものと予算というものが通らない以上は、こういうものについては明確な答えを出すことが困難でございます。  で、このインドネシアに対する援助一般の問題でございますけれども、いままでまあインドネシアは相当経済的に困難な事態におちいりまして、去年各国がコンソーシアムでいろいろ相談をいたしました。その結果、一億ドル以上の金額を出すことになったのであります。日本もその中の構成国であったわけでありますが、そういうふうな協力によって、インドネシアは、たとえば物価をとってみますと、一昨年あるいは一昨々年、これには七倍前後一年間に物価が上昇しておったわけでありますが、去年はこれが二倍程度にとどまるというような安定の徴候が出ているのであります。しかし、こういうふうに物価が安定してまいっておりますのは、一つは、やはりインドネシア国自身努力というものの結果でありましょうけれども、やはりIMFとか世界銀行とか、こういうものが経済をいかに再建すればいいかという適切な助言をする、同時に、関係国が多額の援助を供与する、こういうことをやった結果ではないかと思うのでございます。しかし、現在のインドネシア状況は、きわめて窮乏していると申しますか、非常に困難な状態にあるわけでありまして、一挙に経済の自立を達成するということは私はむずかしかろうと思います。まあそういうことになりますと、一方ではインドネシア国民に対して経済再建への熱意というものを要請しながら、他方ではそういうふうな努力を支持するための援助各国が協調してやっていく、日本の場合には、日本国力の許す限りにおいてこれを実施するほかはない、こういう考え方でございます。低開発国援助に対して私どもがかねがね抱いている気持ちは、これは援助資金効果的に使うということでございます。そのためには、私どもとしても、ただ物が出ればいい、金を貸せばいいという気持ちであってはならない。また、受け入れ国も真剣な努力をそのかわりにしてもらえるように、私どもとしてはいろいろな機関を通じて助言をしていくということが必要であろうと思います。現在まで日本が進めてまいりました低開発国に対する援助、その効果というものはいろいろと私どもも勉強いたしております。これはだんだんと経験を積むに従って今後改善すべき点が多々あるというふうに考えているわけでありますが、先ほどの御指摘の点もよく頭に置きまして、やはり日本としては貴重な金を出すわけでございますから、その金がほんとう効果を生むように、今後とも先生方の御教示も仰ぎながら努力をしていきたいと思います。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 どうも何だか上っつらをさらっとなでたような答弁で、ちっとも聞きたいところは言っていないようです。インドネシア状態等も、最近伝えられているところを聞きますというと、少しもとは言いませんけれども援助実績があがっていない。そういう事実の中で、日本が何かたいへん力を入れて援助資金捻出をはかって、無理な援助資金捻出をしてやってみてもあまり効果はあがってこないのではないか、将来に向かって。そういうむだなことをすることよりも、むしろ使うべき必要な経費というものがほかにたくさんあるのではないかというようにわれわれ思うわけです。そういう点を実は伺いたいと思ったのですけれども、まあ政府答弁としてはそういうことぐらいしか言えないのが今日の実情ではないかと思って、あきらめましてやめます。  次の問題は、今回特別基金に対して拠出を行なうわけでありますけれども一体拠出とは法律的にどんな意味を持っているのか、出資とどう違うのか。拠出の場合には、清算段階で元本の保証がないように思われるのですが、この点はどんなものなんでしょうか、これをひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  15. 奥村輝之

    説明員奥村輝之君) 今回拠出ということばを使っているわけでございますが、これは普通ならば出資ということで、通常の資本財源を構成する場合には協定上出資として取り扱うわけでございます。ところが、このアジア開発銀行の設立協定第十九条では、アジア開銀特別基金の管理を受諾することができるという規定がございます。その特別基金の中身といたしましては、これは信託というものを一応考えているわけであります。また、場合によっては他の形式のやり方、たとえば貸し付けというような方式も排除しない、こういうふうな考え方でございます。そこで、いまの出資に対しまして、こういうふうな性格の資金ということで私ども拠出ということばを使ったわけであります。  それで、この拠出金というものが、一体最後はどうなるのかということでございますが、いまのような趣旨で私どもは信託または貸し付けというような内容を持ったそういう取りきめを、御承認をいただいたあとにはアジア開発銀行との間で取りきめるつもりでございます。先方もそういうふうな取りきめについてはすでに合意の内意を表明しておりまして、問題はない。そこで、最終的にこの元本の返済ということになりますと、信託財産の最終帰属権というものはあくまでもわがほうが留保する、こういうふうなことを明確にいたすつもりでございます。
  16. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、その次ですが、拠出分は国債で行なうけれども、この現金化の請求が四十三年度中にはないので、その予算を計上していないとの説明が行なわれたわけです。予算総則で総額をきめるだけではなく、これに見合う現金を計上することが健全財政のたてまえからいって当然じゃないか。また、現金化の請求があった場合に、一体どんな方法でこれを出そうとするのか。まあ四十三年度中にはないと、こうしておりますけれども、もし必要があって現金化の請求がなされた場合には一体どうするか、これが一つ。それから、現在、国債整理基金特別会計に相当な余裕金があるということは知っていますけれども、この余裕金はアジア開発銀行の払い込み資本に充当している、そうでしょう。そうなってくると、その分に対して現金化の請求があって余裕金がなくなった場合には一体どうするのか、この点をひとつ説明をしてもらいたいと思います。
  17. 大谷邦夫

    説明員(大谷邦夫君) お答えいたします。  第一の問題でございますが、アジア開発銀行への特別基金といたしまして三十六億円まあ国債を交付するということでございますが、先生御存じのように、この特別基金の受け入れにつきましては日本アジア開銀との協定が要る。各国の協定ができまして、そのあとアジア開銀での業務体制が整って、しかる後に業務活動が始まるわけでございまして、これは四十三年度中にはまず起こるまいというふうに見通されますし、かつ、また、アジア開銀の当局も、そういうふうに四十三年度中に償還要求はあるまいということを言っておりますので、われわれといたしましては四十三年度中に一応現金償還を見込んでなかったということでございます。もしこれが可能性があるとするならば、先生のおっしゃるように、見込むということになるかと思いますけれども、現段階ではそのような現金償還の要求はないということでございますので、見込んでおりません。  次に、第二問でございますが、万が一あった場合にどうするかということでございますが、これはただいま申し上げましたように、万々一もあるまいとは思いますが、要求払いのことでございますから、仮定の問題として申し上げれば、たとえば先生もいま御指摘になりましたように、アジア開発銀行には従来から国債を交付しております。これが昨年までの累計で七十二億になっておりまして、四十三年度さらに三十六億を出すという予定でございます。そうしますと、これが百八億になります。これに対しましてアジア開発銀行の業務は必ずしも進んでおりませんが、要求払いでございますので、一応五十四億程度の現金償還の見込みを立てて金を準備しております。これも年度終わり近くでなければ、はたしてどれだけのものが要るか、確固たる見通しはつかないわけでございますが、もしそちらのほうの償還要求がなければ、その金を特別基金の償還要求に回すことも可能でございます。したがいまして、これらを総合いたしますと、現金償還要求はまずないと思いますが、かりにあった場合でもそのような方法によって処理できるのではないかと考えております。  それから、先生が先ほど御指摘のございました整理基金の準備している金がアジア開発銀行の払い込み資金ではないかということでございますが、これは現金出資の分は別に用意してございまして、整理基金で用意しているものは、あくまでも国債で出したものに対する償還要求があった場合の償還資金でございます。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、アジア開銀に対する質問は終わって、開発銀行のほうをちょっとお尋ねしたいと思います。
  19. 二木謙吾

    政府委員二木謙吾君) 契谷先生からただいまいろいろアジアの開発についての適切な御指摘がございました。先進国として大いに援助をしなければならない、かように考えております。しかし、援助効果をあげるということが大事でありますから、いまインドネシアの例をあげてのいろいろなお話でございましたが、十分検討をいたしまして、御期待に沿うように努力いたすことを申し上げます。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 私の質問の締めくくりをしていただいて大成果だと思います。たいへん政務次官に感謝いたします。  この開銀の問題は五つばかりあるのですが、時間もありませんので、ごく簡単に質問しますので、御答弁も要領よくお願いしたいと思います。  開銀融資のになう役割りというものは、量的にも質的にも、市中金融の補完的機能であると私は考えます。開銀資金の供給は市中金融を誘発して、わが国経済に大きな影響を与えるものであることは否定できないと思う。したがって、その業務の運営にあたっては、そのときどきの景気の動向、設備投資の動向をよく見きわめた上で、時期に応じて融資対象なり融資量の適正化をはかっていかなければならないと思うのであります。特に開銀融資が経済の安定成長の呼び水となるか、設備投資の激化を招く要因になるか、かかって開銀当局者の業務運営の姿勢並びに政府当局の開銀に対する方向づけによるものと考えられます。昨今の国際通貨体制の激しい動揺を背景に、わが国経済はいま非常にむずかしい局面に立たされておる。このような時期に開銀の業務運営は一体どのようにやっていくのか、開銀並びに大蔵当局の基本的な心がまえを、四十三年度に行なおうとする貸し付けの概況とあわせてひとつ御説明をいただきたい、こういうことでございます。内容は非常に幅が広いので説明がしにくいと思いますが、要領よくひとつやっていただきたい、これをつけ加えておきます。
  21. 澄田智

    政府委員(澄田智君) まず私のほうから最初に申し上げて、あと開銀総裁のほうからその運営の実際の面からのお答えをお願いする、こういうことにいたしたいと思います。  ただいまもお話のありましたように、開銀は設立以来今日まで十七年でございますが、この間にわが国経済発展に寄与してきたところはただいま御指摘のとおりでございます。国の政策上必要とされる諸分野における設備投資の需要に対して、量的、質的に資金を供給して、これが民間の融資を誘導するという役割りを果たしてきたわけでございます。しかし、その点は、同時に、きわめて密接にわが国の設備投資の動向と結びついた問題でございますので、十分にそれを考慮に入れて開銀の融資の計画を立てていく、また、それに即応して融資を実施していくということでなければならないわけでありまして、それが過剰の投資を招くということのないように、最近の、ことにこれからの国際経済情勢のもとにおいて、十分にわが国がこれに対処していけるように、国際競争力の上で必要な投資はこれを行ない、そうして全体としての経済成長というものを適度な成長にしていくように、そういうような趣旨から開銀の運営も考えていかなければならぬ、こういうことだと思います。現に四十二年度において国際収支の悪化というような事態に対処しまして、開発銀行は貸し付けを百五十七億繰り延べを実施したことも御承知のとおりでございます。   〔委員長退席、理事植木光教君着席〕  今後の経済情勢の中において、開銀がわが国経済の安定的な成長、開放体制に対処しての国際競争力の強化という面においては、何といっても、やはり重点は、わが国経済産業構造を高度化する、そういう面の投資を行なう、それから社会開発の面について必要な融資を重点的に行なう、いずれもこういうふうな点に重点を置いてやっていかなければならない。四十三年度の開発銀行の計画におきましても、あるいは産業体制の整備のための融資であるとか、あるいは国産技術振興のための融資であるとか、そういった融資に重点を置いております。また、大都市の再開発とか流通機構の近代化、そういった趣旨の融資にも特に重点を向けておる次第でございます。こういうような形で、これからのむずかしい国際経済情勢の中における開銀の使命というものは、特にいま申し上げましたようなことを重点に置いて、しかも、計画の樹立のときのみならず、その後の年度間の実施の面においても弾力的に対処していく、こういうことでなければならないと、かように存じております。
  22. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいま銀行局長からお答えをいただいたことだけで尽きておると思うのでありますが、開発銀行としては、前々からお答え申し上げておりますように、融資の重点もときどきの政策に応じまして変えてきておるわけでございまして、最近におきましては、ただいまお話になりました開放経済体制の問題、あるいは技術開発の問題、あるいは体制整備というところに重点を置いております。たとえて申しますと、ただいま四十三年度の貸し付け内容についてのお尋ねがございましたが、ただいま銀行局長からお話がございましたように、二千五百十億という貸し付けのワクを持っております。四十三年度は四十二年度に比べますと二百五十億ほどの増加でございます。このうち、開放経済体制と申しまするか、技術開発の問題、あるいは体制整備の問題というようなところに八十億ほどの金、それから、地域開発及び大都市再開発、この項目におきまして約五十億ほどの金がふえております。それから、国際収支の改善という、これは海運の関係でありまするが、これでまた五十億ぐらいの金がふえておる、こういうようなことでございまして、大体先ほど銀行局長がお話になりましたような融資の重点方向におきまして金の増加をいたしておる、こういう次第でございます。  なお、お話のございました、四十二年度は百五十七億、融資の七%というものの繰り延べをいたしたわけでございまして、かつて昭和三十二年、昭和三十四年、いずれの時期におきましても、ただいまお話のございました過剰融資的の傾向がございましたときに、いずれも融資計画に対して五%でありますとか一〇%でありまするとか、そのときどきに応じまして公共投資の繰り延べを相呼応いたしまして、そのときどきの財政金融の状況に応じたような措置をとっていっておるわけでございます。今後におきましても、従来と同様に、できるだけ全体の経済体制に弾力的に対応しながら融資の実効を得てまいりたいというふうに考えております。
  23. 柴谷要

    柴谷要君 開銀は、発足以来、主として電力、鉄鋼、石炭、海運等の基幹産業に対して産業設備の資金を供給してきたのでありますけれども、最近の傾向として、大都市の再開発や流通機構の近代化、国際観光ホテル等、目新しい対象分野の発生が生じてきている。政策金融である以上は、流動する経済社会の求めに対応していくことは必要なこととは思われますけれども、開銀誕生の際、国会の審議を得て敷かれた業務運営のレールというものはあるものだと思う。業務がむやみに多様化し、質的な変貌を遂げて、はたしてよいと考えておられるのか。おのずから節度がなければならないと私は思う。最近の開銀の性格には変質が見られてきている。一体この傾向をどのように考えておられるのか、政府並びに当局の指導方針をまずお尋ねをしておきたいと思う。
  24. 澄田智

    政府委員(澄田智君) 開発銀行の目的は、申すまでもなく、開発銀行法にございます経済の再建及び産業の開発を促進するために一般の金融機関の行なう金融を補完し、または奨励する、こういう開発銀行法の目的に従いまして融資を行なうわけで、その目的遂行にあたって、そのときの経済情勢において最も重点を置くべきところにおのずから開発銀行の融資が重点的に指向されると、こういうことで、ただいま御指摘のように、開発銀行設立の当初は、電力、海運、鉄鋼、石炭の四大基幹産業中心ということで、貸し付けの八割ないし九割というようなものがこういう基幹産業に向けられた、こういう実態であったわけでございます。しかし、その後わが国経済の再建、あるいは成長というものが進んでまいりまして、そうして逐次開発銀行法の目的にある一般金融機関が行なう金融を補完するという意味におきますと、一般金融機関が融資をしていくということで十分に運営されてくるというような面がたとえば鉄鋼あたりに出てきた、電力についてもそういう形が相当出てきたと、こういうようなことで、開発銀行としては、当然そういう場合においては、開発銀行の性格上からいっても、そういうものは逐次民間の金融に移していくということであってしかるべきでありますし、また、そういうふうな指導をしてきておるわけでございます。現在は海運等を中心に、四大産業向けの融資のウエートは五割ないし六割というところまで下がってきているという実情でございます。ところが、高度成長に伴いまして、わが国産業経済実情においては、さらに国際競争力をもう一段開放経済体制に備えてつけていくというような要請も高まりますし、また、成長のひずみの是正というような意味から、地方開発の問題であるとか、あるいは大都市の再開発の問題であるとか、あるいは流通機構の近代化の問題であるとか、こういう問題の社会開発的な面と産業開発的な面とのちょうど中間のような、そういった面に必要が非常に出てきておる。いまやまさに開発銀行の目的であります経済の再建、産業の開発のために一般民間金融機関が行なう融資を補完するという意味においてはこういう面が重点となってくる、こういう性格を持っております。もちろん、基幹産業も、先ほど申しましたような意味で、まだ五割ないし六割のウエートは持っておるわけでございますが、そのほかの面において、体制整備であるとか、あるいは国産技術の振興であるとか、あるいはいま申しました地方開発、大都市開発、流通近代化、こういったようなものが逐次ウエートを増してきております。こういう状態でありまして、これは開発銀行の指導におきましても、そのときの時代の政策的な要請に合わして、そして一般民間金融を補完するような、こういう精神を貫いていくということでやっておるわけでございます。まあそういう意味重点が変わってきている点はございますが、開発銀行の指導としては一貫してやってきておる、こういうふうに考えております。
  25. 柴谷要

    柴谷要君 開銀総裁にはまとめてあとでひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。   〔理事植木光教君退席、委員長着席〕  時間の関係で、はしょって質問いたしますが、これは四つばかり内容を持ったものをちょっとお尋ねいたします。  まず、海運融資についてお尋ねしておきますけれども、海運業に対する貸し付け、回収の状況と、四十三年度の貸し付け計画、これがまず一つ。  それから、二つ目は、開銀は、当然、海運業の融資状況の変動に即応して融資してこられたと思いますが、いままでどのような処置をとってきたか、これが第二点。  それから、第三点は、海運融資の目的とするところは、船舶の拡充と企業の経営基盤の強化による国際収支の改善にあると理解していますけれども、融資で一体どの程度貿易外収支の改善に役立ってきたか、これが第三点。  それから、第四点目は、三十九年五月から海運業に対して利子の支払猶予措置が行なわれています。この処置は企業の経営合理化意欲を減退させているのではないかと私は考えられるのですけれども、以上四点についてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  26. 澄田智

    政府委員(澄田智君) まず、第一点の、海運に対する貸し付けの状況と回収の状況でございますが、その海運に対する貸し付けの四十二年九月末の残高は三千八百四十一億円ということになっております。開銀の貸し付け総残高の三三・八%、こういう比率になっておるわけでございます。  それから、その回収につきましては、三十八年の海運業の再建整備に関する臨時措置法によって、整備計画の実行と相まちまして、そして、また、海運会社の収益状況というものを考慮しまして、その返済能力に応じて回収させるということで回収の促進につとめてまいりました。その結果、その延滞元本及び弁済猶予元本の合計で申しますと、三十九年の三月末には四百四十六億というものを返済猶予をしておったわけでございますが、それが四十二年の九月におきましては六十九億というところまで減ってまいりました。これだけ回収が促進されてきた、こういう次第でございます。  それから、次のお尋ねの、海運業のいままでの状況に応じてどのような処置をとってきたかという点でございますが——いま四十三年の貸し付けは幾らかというのが落ちておりました。四十三年度の海運向けの貸し付けは、四十二年度の計画造船、これが二十三次でございますが、それの充足分が四十三年にずれ込んでいる分がございます。それと四十三年度の新しい計画造船、これは二十四次計画造船でございますが、これと合わせまして八百九十三億円、そうしてその四十三年度の計画造船の建造量は二百二十万グロストン、こういうことになっております。  それから、いままでとってきました処置といたしましては、開銀の低利融資とか、あるいは利子の支払い猶予、あるいは開銀自身についての利子補給、あるいは市中の銀行の利子分についての利子補給というような措置があるわけでありますが、特に三十九年から先ほど申し上げました再建整備法によって再編成を実行いたしまして、集約化をした海運業に対する既往の分の利子の徴収猶予、それから、今後の分の利子補給、それから、さらに市中分についての利子補給、こういうようなことをいたしてきている次第でございます。  それから、その次の御質問の三点目の、国際収支の改善にどういうふうな効果を果たしたか、こういうことでございます。この点につきましては、先ほど申しましたような措置の結果といたしまして、海運業はかなり立ち直りを見せてきたわけであります。そうして償却の不足というようなものも非常に解消されつつあるわけでございますが、そうして他方、その結果、それと伴って、船腹の拡充という方面においても計画が逐次拡大されてまいりまして、その結果、輸入の積み取り比率で申しますと、三十六年には四〇%でございましたが、これが四十一年には四七%というところまで向上してきております。わが国国際収支の貿易外収支のうちの海運収支、これは依然五億ドルないし六億ドルの赤字になっておりますが、貿易が拡大しているわけでございますが、それに伴って、従来赤字幅がふえる傾向にありましたが、海運にこのような施策をとった結果は、赤字は赤字でございますが、貿易量は量的に非常に拡大しているにかかわらず、赤字は増加しない、横ばいというようなことでとどまっている。こういう点は、やはり海運に対する助成策というものの国際収支面に持っている効果、こういうことになろうかと思います。  それから、支払い猶予の措置が、あるいは利子補給の措置が企業の合理化努力を減殺するのではないか、こういうような趣旨の御質問がございました。まあ最近の海運助成策の総合対策として、先ほど申しましたように、かなり立ち直りが見られている、そうして償却不足額を解消するというのが整備計画の一応の目標でありましたが、そういうような償却不足を解消したという会社もかなりふえて、現在二十四社ばかりございますが、かなりふえてきているわけでございます。こういうような回復は、これは結局助成もございますが、海運業がみずから再建の努力をした、こういうことでございます。その結果こういうところまでまいりまして、先ほど延滞元本の弁済猶予をしている、金額も非常に減ってきたことも申し上げましたが、そういうような形になってまいりまして、これはやはり助成策が業界の努力を導き出してこういうところになってきているという効果も十分考えられるわけではないか、かように存ずる次第でございます。
  27. 柴谷要

    柴谷要君 海運業の問題について私が四点質問しましたが、御答弁を明確にしていただいてありがとうございました。ただ、私どもが危惧することは、いまの海運業界なるものがまだまだ企業努力が足りないのじゃないかという気がするわけなんです。というのは、交通関係の面から見て私どもは多少関心を持っておりますからこういうことを申し上げるのですが、より一そう強化をして、海運業界にもっともっと企業意欲を出させるように指導もしてやっていただきたい、こう思います。あと二問だけございますので、ごく簡潔にお尋ねをしていきたいと思います。  産業設備資金を供給する政府機関としては、開銀をはじめ、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、特定船舶整備公団のほか、石炭鉱業合理化、産炭地域振興、公害防止等の事業団などがたくさんあります。これらの機関ではそれぞれ性格や機能の異なっていることはもちろんでありますけれども財政資金の効率的運用という点から問題は一体ないのかどうか。あまりにもたくさんの機関があって、それらの機関がつまりまあ融資その他のことを取り扱っている、こういう点は、数多くのものがあるので、はたして効率的の運用ができているかどうか。今日財政硬直化を是正する上から整理統合をする必要がここに生じてきているのではないかというふうに考えられるわけです。開銀ということじゃないですよ。ほかにおかしなものが——おかしなものと言っちゃ何ですが、たくさんあるわけです。これはまあ一つ例をとって言うと問題があるから言いませんけれども、おかしなものがあるのですよ。そういうものを整理統合して、そうして効率的な運用をする考えがあるかないか、これのちょっと政府側の御答弁をいただきたい。最後一つ総裁に聞きたいことがありますが、これは政府側からひとつお願いしたいと思います。
  28. 二木謙吾

    政府委員二木謙吾君) いろいろないま御指摘のような機関がございます。そのうちにはどうかと思われるようなものもございますが、これは再検討が必要で、そうして、また、整備すべきものは整備しなければならない、私かように考えております。
  29. 柴谷要

    柴谷要君 これはまあ政務次官在任中にぜひひとつやってもらわなければ困ることだと思うのです。  最後質問になりますけれども、設備投資研究所というのが開銀の中にできておりますね。一体これは開銀の組織上どういう性格のものか、そしてどういうふうな仕事をしているのか、それをひとつこまかくお聞かせをいただきたい。
  30. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 設備投資研究所と申しますのは、三十九年の七月に、設備投資を中心といたしまして、基礎的な、理論的な研究を行なうということを目的としましてつくられました本店の中の一部局であります。したがいまして、当然この研究の計画、あるいは研究の成果というものは役員会で常時報告も聞いておりまするし、また、調査部というようなものも本店の中にございまするので、その間の業務連係というものもとれておるわけであります。ただ、独立の研究所という形になっておりまするので、制度といたしましては研究員という制度、私どものほうは課長とか副長とかいうような責任者の制度がございまするが、研究所におきましては研究員の制度になっておりまして、その取りまとめをするのは主任研究員という形になっておるわけであります。大体人員の規模が三十六名ほどでございまするが、大学からの委託研究員の受け入れもやっておりまするので、そういう大学の先生の方で嘱託で来ていらっしゃる方なども合わせますと、約四十名という規模であります。やっておりますることは、いま申し上げましたように、私どもは設備投資というものを中心にして仕事をいたしておるわけでありまするから、産業の設備投資というものを基本的にどう考えるか、あるいは資本市場の関係でどう考えるか、あるいは経営効率の点でどう考えておるかというようなことにつきましての、私どものほうは電子計算機を三年ほど前から入れておりますので、その電子計算機を入れまして、たとえばシミュレーションでありまするとか、いろいろな新しい手法を用いました研究をいたしておるわけであります。いま申し上げました基本的な設備投資の理論的な問題、基礎的な問題を研究いたしますほかに、これは主として電算機を使ってでありますが、企業の経営分析をやっております。これは日本の企業もそうでございまするし、比較分析の意味におきまして、アメリカ、ヨーロッパの主たる企業の経営業法と申しまするか、経営手法をとりまして、これとの比較をいたしまして、どういうところに企業経営のポイントがあるか、どういうところが違っているのか、どういうところが弱いのかというようなことにつきましての現在企業分析をこの設備投資研究所の一部としてやっているわけでございます。その業績につきましては、これは月報を出しておりまするので、この月報は関係の筋に配付いたしておりますから、いま申し上げました基礎的な研究問題、あるいは企業の経営分析の問題、時々報告をしてしかるべき方々にごらんをいただいているようなわけでございます。大体現在までやっておりますことはそういうことでございます。今後におきましては、だいぶデータも蓄積されてまいりましたので、そういうデータを駆使いたしまして私どものほうの業務の上におきます経営判断の資料にいたしますとともに、多少世の中のお役にも立ち得るのではないかというふうに考えている次第でございます。
  31. 柴谷要

    柴谷要君 これはなお最後のお願いでございますけれども、四十二年度に開銀が融資をした先、それから、その額、そういった資料を昨年はいただいたのですが、今年はいただいていないと思うのですが、そういう資料をいただけるものでしょうか、どうでしょうか。
  32. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 昨年お出しをいたしたものはいまちょっと覚えておりませんので、昨年お出しいたしたものがございますれば、それと比較してお出しいたしますが、これはこの間、須藤委員からもお話がございましたように、過去の融資先に関しましての資料はほとんど財政資金のことでございますので、融資を受けております企業の側から見ますると、これは政府関係機関であろうと、あるいは民間金融機関であろうと、やはり企業の秘密に属しますものがございますので、私どもといたしましては、どういうような融資対象にどれだけの融資をいたしておりますということにつきましては、これは資料を、御要望に応じまして、こまかいものも差し上げたいと思います。
  33. 柴谷要

    柴谷要君 委員長、資料のほうはよろしくお願いします。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 総裁、ちょっと一言。これはあの平田前総裁にも私申し上げたのですが、今日の日本の船舶は、終戦後、無から有を生ずるような大発展をした。これは一に開銀の援助というものが大きな力があったということは、これは当然なことです。そこで、私がこの前申し上げたのは、最近の東南アジアの観光状況なんです。観光船ですね、これはもうほとんど外国船にしてやられている。たとえば香港とか台湾、それからタイ、東南アジア諸国に行く日本人、並びに、また、向こうから来る人たち、これは私はこまかい数字はいま持っておりませんが、金額にするとたいへんなんですね。そこで、このごろは外国船が盛んに東南アジアの十四、五日の旅行というようなものをやって、逆に日本に来て外貨をかせぐというような状態。それから、かりに台湾一つを見ましても、台湾は約千百五十万ぐらいの人がいるわけです。本省人が約千万人近いと思うのですが、これはいま政治上の制約がございますから、自由に渡航するということはできない。しかし、これはおそらく両三年中にはこれは解除されるということは考えられる。そういたしますと、あそこにいる人たちは、まず一番先に考えることは、日本に一ぺん行ってみたいという、こういうことなのです。それは女中さんでもみんなそのために貯金をしている、こういうことなのです。戦前日本人が四十五万か五十万近かった。わずかそれぐらいの人間でも、高砂丸を中心にして、三ばいか四はいの船が毎日とにかく就航して超満員だったのですね。この三年、あるいは四年後にこの台湾のいまの状況というものが、これは政治的に就航自由になる、渡航自由になるということになると、これはたいへんなことになると思うのです。そういう意味からいって、何かやっぱり観光船というものをつくってやるべきではないか。これはむしろ開銀が主体性を持つわけではございません。これは運輸省でしょうけれども、そういう点について、何か船会社は自分の貨物船に追われておりますのでそういう余地がないが、そういう点で船会社から申し込みがあるかどうか、申し出があるかどうか、あるいは開銀自体にしても、大きな日本の観光国策という立場から将来そういうことを考えてみられるという、こういう御意思があるかどうか。また、私が前総裁に申し上げたことがその後幾らか問題になっておるかどうか、そういう点をひとつお伺いしたい。
  35. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいま大竹委員がおっしゃいましたように、これは本来、運輸省と申しますか、政策当局の考えられることでございますが、私の承知しておりますことで、これはお答えになるかならないかわかりませんが、二、三申し上げたいと思います。  一つは、現在太平洋航路に就航いたしております、これは移民の目的でつくりました船もございますが、そういうような船が太平洋を往復をいかします途次に東南アジアの一部に寄港しておる事実がございます。これは移住の関係におきまして、御承知のように、財政上の援助措置があるわけでございますが、それとも関連をして一つ成り立っておるのかと思います。ただ、大竹委員がおっしゃいますようにそれが相当ひんぱんに相当な数を運んでおるかどうかということにつきましては、私あまり承知いたしておりませんけれども、そういうような形で東南アジアにも太平洋航路途次立ち寄っておるケースがございます。それが一つと、それから、もう一つは、旅客船のことにつきましては、御承知のように、前からそういうものをつくったらどうだという御提案があるわけでございます。ただ、今日までそういうものが実現しなかったのは、私の承知しておるところでは、相当巨額の助成でもありませんと、これは外国の例をごらんいただきましても、アメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても旅客船がございますが、これは相当大きな財政援助をしてはじめて成り立つものでございます。ただ、大竹委員が御指摘のような東南アジアの近いところを回りました場合どういう採算になるか、私どももまだそういうことは勉強したことはないわけでございますが、一般におきましては、戦後におきましては、旅客船は相当融資ということもさることながら、まず補助金というような形で助成がございませんと成立をしないという状況かと思います。したがいまして、東南アジアの場合でも、程度の差はございますが、そこら辺のことがまず基本になるんじゃないか。先ほど申し上げましたように、太平洋に動いておりますものが、その始めと終わりにその航路を延長するということは現在やっておると思いますし、これはある程度まであるいは若干拡充できるかと思います。これは私どもの直接の融資対象のことではございませんので、詳細のことは知っておりません。
  36. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 御承知かと思いますが、お考えおき願いたいのですが、御承知のとおり、いま羽田を中心に、香港、台湾に行きます飛行機の数は各世界の会社がほとんどやっておりますし、御承知のとおり、お調べになりますればほとんど超満員ですよ。そういう意味で、私は、大観光船とかいうような、太平洋、大西洋を横断する大観光船でなくて、東南アジア向けの小さな船でいい。それが絶対私は必要な時代がくるんじゃないかということを申し上げたいのですが、いま御答弁はよろしいのですが、どうぞひとつそういう意味で頭に入れておいていただきたいと思います。
  37. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午前十一時五十分散会      —————・—————