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1968-04-26 第58回国会 参議院 大蔵、社会労働委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————   委員氏名    大蔵委員     委員長         青柳 秀夫君     理 事         植木 光教君     理 事         北畠 教真君     理 事         小林  章君     理 事         柴谷  要君     理 事         中尾 辰義君                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 西郷吉之助君                 塩見 俊二君                 田中 茂穂君                 竹中 恒夫君                 徳永 正利君                 林屋亀次郎君                 藤田 正明君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野上  元君                 野溝  勝君                 二宮 文造君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    社会労働委員     委員長         山本伊三郎君     理 事         鹿島 俊雄君     理 事         黒木 利克君     理 事         大橋 和孝君     理 事         藤田藤太郎君                 植木 光教君                 川野 三暁君                 紅露 みつ君                 佐田 一郎君                 玉置 和郎君                 林   塩君                 丸茂 重貞君                 山本  杉君                 横山 フク君                 沢田 政治君                 藤原 道子君                 森  勝治君                 森中 守義君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君     —————————————   出席者は左のとおり。    大蔵委員     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 北畠 教真君                 小林  章君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 西郷吉之助君                 田中 茂穂君                 徳永 正利君                 藤田 正明君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野上  元君                 野溝  勝君                 須藤 五郎君    社会労働委員     委員長         山本伊三郎君     理 事                 鹿島 俊雄君                 黒木 利克君                 大橋 和孝君     委 員                 紅露 みつ君                 玉置 和郎君                 林   塩君                 横山 フク君                 沢田 政治君                 藤原 道子君                 森  勝治君                 森中 守義君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        厚 生 大 臣  園田  直君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        行政管理政務次        官        森部 隆輔君        行政管理庁行政        監察局長     諸永  直君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局官        長        船後 正道君        厚生政務次官   谷垣 專一君        厚生大臣官房長  戸澤 政方君        厚生大臣官房会        計課長      高木  玄君        厚生省公衆衛生        局長       村中 俊明君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        社会保険庁年金        保険部長     中村 一成君        労働政務次官   井村 重雄君        労働大臣官房長  石黒 拓爾君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        行政管理庁行政        管理局審議官   北山 恭治君        文部省大学学術        局大学病院課長  吉田 寿雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立病院特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔大蔵委員長青柳秀夫委員長席に着く〕
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵社会労働委員会連合審査会を開会いたします。  先例により、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 藤原道子

    藤原道子君 すでに特別会計制が提案されまして、衆議院において、あるいは参院大蔵委員会においていろいろ御質問が続けられております。しかし、私は、さらに納得のいかない点が多々ございますので、若干御質問してみたいと思います。  まず、第一に、厚生大臣にお伺いいたしますが、厚生大臣は各都道府県の衛生部長会議をお開きになりました。その席上で園田大臣が、戦後処理が大体終わった現在、新しい国づくり人づくり考える時代である。憲法に規定してある福祉国家の建設であり、予算的に裏づける必要がある。衛生行政は人命につながることだから、十分に意を払い、努力をしてもらいたい。特に結核対策は、特会制になるから、国の任務が終わったというのでなく、むしろ激しい追撃戦をこれからするつもりであると言われております。激しい追撃戦ということは具体的にはどのようなことが考えられているのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  4. 園田直

    国務大臣園田直君) 国立療養所のただいままでのおもなる任務としてまいりました結核対策は、あらわれた数字の上から見ますると、ベッドがあいておりまして、あたかも患者が減少して、一応終えんしたかのごとき感じがございますが、それは必ずしもそうではないと私は判断をいたします。あるいは生活の問題、あるいは施設の不備の問題等で在宅で治療される方がある。また、もう一つは、患者の動向が変わっておりまして、老齢の方の患者であるとか、あるいは地域的なふえ方がいろいろございますので、一応戦後、結核に対する政府政策は功を奏して終えん方向にきたものではあるが、確実に終えんではない。したがって、本年度御審議願いました予算には、結核対策としては三十二億増の予算を組んでおります。なお、今後は、ただいままでのところは施設その他が非常に不十分でありまして、極端に言うと、薬でこれに対抗してきたかのごとき感があります。特会と同時に、近代化施設整備等を急速に急ぎ、その他の施策と相まって、結核に対する施策は今後ともいままで以上にやりたいと考えております。なお、それに伴って、事務当局の持っております将来のベッドの増減の計画等もこれは修正をいたしまして、減らすところ、ふやすところ、あるいは準備すべきところ、この点は検討してみたいと考えております。
  5. 藤原道子

    藤原道子君 次に、さっき大臣が言われたように、私どもも、結核追撃戦国立療養所の果たした役割りは非常に大きなものがあったと思います。で、厚生省では結核患者が減ったと宣伝をしている。ところが、いま大臣必らずしもそうでないと言われましたことも私ははっきり覚えておきますので、ぜひその方向でやってほしいと思う。ところが、特会制厚生省が配布いたしました「国民の期待にこたえる国立療養所」というものの中に、特別会計制に移行することによって「医療内容が飛躍的に向上いたします。」と、こういうふうに宣伝しておいでになる。国立療養所特別会計制に移行して、そうして飛躍的に医療内容向上する、こういうことでございますが、この点につきまして私は若干お伺いしたいと思いますが、まず大臣に最初に聞いておきたいのですが、飛躍的に内容向上するというのは、どういうふうに向上するのか。特別会計制になったら医療内容が飛躍的に向上する、こういうことを宣伝しておいでになりますが、どのように向上するのか、具体的にお伺いをしたい。
  6. 園田直

    国務大臣園田直君) 特別会計に移行することによって国立療養所の財政に弾力性を持たして、その利点を利用して施設近代化を急速にやりたい。なお、予算の増額に伴って、患者へのサービス向上等考えていきたいと考えております。
  7. 藤原道子

    藤原道子君 そんなことは特会制にしなくたってできるんです。それではお伺いいたします。具体的にいま療養所ではお医者さんが非常に不足しておる。結局三十年と四十年の対比を見ましても、総数において三十年末が九万四千五百六十三人、四十年が十万二千十五人、ところが、七千四百五十二人しかふえていない。ところが、患者のほうは約三倍になっている。これで十分な医療ができるか。しかも、そのお医者さんの定員にいたしましても非常に不足している。厚生省はお医者さんを充足するためにどのような対策と展望を持っておるのか、これをまずお伺いしたい。
  8. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立病院療養所等医師不足しているというお話でございますが、国立病院におきましては、昭和四十二年十二月一日現在におきまして、医師充足率は九四・三%、国立療養所におきましては九三%でございまして、若干の不足がありますのはたいへん残念でございますが、われわれもできるだけこの充足努力をいたしております。
  9. 藤原道子

    藤原道子君 それではお伺いいたします。衆議院大蔵委員会では、医師充足率は、国立療養所では九三%とお答えしております。ところが、そのうちの常勤医師非常勤医師はどのようになっているか、これを伺いたい。
  10. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 九三%といいますのは定員内の職員充足でございまして、非常勤職員はこのほかにあるわけでございます。
  11. 藤原道子

    藤原道子君 それではお伺いいたします。国立高知療養所では市立病院から二名の医師非常勤応援に来ております。五名で運営しているという答弁でございましたが、十日の衆議院大蔵委員会でなされている答弁では。この二名の医師定員の中に入っているのかどうか、この点を伺います。九三%の充足の中に含まれているか、身分給与はどうなっているか、どういう患者をどのように担当して診療しているか、はっきりお答え願いたいと思います。
  12. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立高知療養所は、たいへん申しわけありませんが、特殊な状態に置かれておりまして、定員が七名のところ、常勤職員が三名しかおりません。それも、最近その中のまた一名が病気で休んでおりまして、現在二名の非常勤応援職員を入れてようやくしのいでいるという状況でございます。
  13. 藤原道子

    藤原道子君 それでは充足していると言ったってだめじゃないか。厚生省東北地方医務局では、昭和三十六年四月一日から四十年三月三十一日まで国立青森療養所勤務していることにして、三浦洋一という架空の名義で弘前医大石川外科俸給を毎月払っておりました。昭和三十八年十二月まではときどき石川外科から青森療養所にお医者さんが来ておりましたが、三十九年一月以降は全然来ていないけれども勤務していることにして俸給は払う、四十年三月末まで一人分の俸給弘前医大に送っていたのだ。医科大学との間にこのような架空医師を持ち、俸給を支払っている例はいま何件ぐらいございますか。具体的に調べているのがこのほかにもあるはずでございます。  お伺いいたします。
  14. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 御指摘のように、現在結核専門にやろうとする医師がだんだん少なぐなってまいりましたために、大学等職員について、ぜひ療養所の仕事をしてほしいということでお願いをし、まあそのかわりといいますか、完全に療養所全日勤務ということでなしに、大学にある程度通わして勉強もさせるというような便宜的な手段をとらざるを得ないという状態があることは確かでございます。ただし、ただいまの御指摘のように、全く勤務しないで俸給だけ払っているというようなことがもしありますと、これは全く適当でございませんので、これらについては、調査の上、十分指導してまいりたいと思います。
  15. 藤原道子

    藤原道子君 ほかにありませんか。
  16. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 現在のところ、承知しておりません。
  17. 藤原道子

    藤原道子君 昭和四十一年にも国立賀茂療養市で医師の委嘱の発令がございました。ところが、そんな名前のお医者さんは聞いたことがないというので、療養所患者さんたちが騒いだことがあります。すると、その医師国立賀茂療養所医師となっていながら、実際は国立呉病院勤務していることがわかった。国立療養所医師充足率は九三%、いまあなたは九四%と言いましたけれども、実はこのような人員を含めているのではないかと私は考える。医師幽霊定員があることを認めますか、この点をお伺いいたします。
  18. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 療養所におきましては、そういう全日勤務の形態でなしに、大学その他の施設とある程度かけ持ちを黙認している例がかなりあることは事実でございます。
  19. 藤原道子

    藤原道子君 充足率九四%は常勤充足しているとさっきおっしゃったでしょう。こういうのを次々調べれば幾らでもあるけれども、時間の関係で、私は二、三の例だけを申し上げたわけです。これでは充足ということにならぬと思うのです。そこで、国立療養所医師定員算定基礎を私は示してほしい。非常勤医師定数の中にどのように計算されておるのか、はっきりお答えを願いたい。
  20. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 医師定数につきましては、常勤医師につきましては医療法基準によって算定するものをたてまえとしております。非常勤は、その他たとえば眼科とか耳鼻科とか、特殊な医療分野につきましては、必要に応じて非常勤でまかなっております。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 この場だけを逃げればいいというわけではございません。常勤で九四%充足しているといいながら、内容はこのとおりなんです。これで特会制へいったら飛躍的に医療向上する、とんでもないことです。そこで、全体の医療需要に見合って医師を増員するための政策をお持ちでございましょうか。特会制にして医師を確保できるか。できるということになれば特別な計画がおありだろうと思う。この点を明らかにしてほしい。全額国責任医療制度を改善充実して、医師身分待遇を抜本的に改善することなしに医師の確保はとうてい不可能だと思います。何かお考え対策をお持ちかどうか、この点をお伺いいたします。
  22. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立療養所国立病院に比べましても非常に医師充足率が悪いことは御指摘のとおりでございます。私どももできるだけこの充足率をあげるための多角的な方策を考えたい。その一つといたしまして、やはりこのたびの特別会計制度移行等によりまして施設を十分によくする。現在の施設があまりにもみじめでございまして、医師にとってあまりに魅力がなさ過ぎるという点もございますので、施設整備をやる。また、治療機械その他の充実をやる。また、薬品その他の充実をやって、医療内容向上ができるような環境をつくって、医師に対する興味、あるいは魅力というものを増していきたい。それと、それは一番基本的な問題でございますが、さらに当然給与の問題におきましても、これは国立療養所だけの問題でございませんので、一般的な問題として、できるだけ医師給与の改善をはかりたい。また、全体に充足率をよくするためには医師の絶対数の増加をはからなければなりませんので、その方面からの努力もあわせてやるという、多角的、多方面の対策によってこの解決をはかりたいと存じます。
  23. 藤原道子

    藤原道子君 あなた方は、国立療養所魅力がないから医者の来手がない、あるいは老朽化した施設魅力がない、こういうことをいつも言う。けれども、命を預かっているのです。入院患者は命を預けている。ところが、そこに医者が足りない、ろくな診察も受けられない、特会制にすれば施設機械充足するから医者が来るだろう、そんな無責任なことはないと思うのです。終戦後、軍から引き継いだ施設が、そのまま何ら手入れもしないできょうまで放置したというところに厚生省責任があるのじゃございませんか。事ここに至ってそういう逃げ口上は私たち納得できないのでございます。医師充足も、実はいろいろ資料がございますけれども広島療養所でも、やはり二十一名の定員中、十四名しかいない。宇多野療養所でも、十四名中、五名は不足している、あるいは秋田療養所でも、九名中、四名不足している。これで医療がスムーズに行なわれていると言えますか。まさか俊敏な若松さんでもそういうことは言えない。こういう実情は、全国をたずねれば数限りなくあるのです。それをただ施設が悪いから、やれあれだから、こういうことで逃げていくことは許せないと思う。園田厚生大臣はどうお考えですか、この実情に対して。
  24. 園田直

    国務大臣園田直君) 医師不足国立療養所職員不足等は、医師のほうは全般的な問題がございますので、全般的な問題についても後刻相談をして、十分充足したいと考えておりますが、これは、一つには医師に対する待遇の問題があると思いますので、これは待遇の問題では、いままでの給与体系の中であるように、一般公務員よりもやや上回るようなことではなかなかお医者さんは集まらないのだと考えております。特にいま御指摘国立療養所については、そのほかのいろいろな経営、あるいは施設等の面もありまして、なかなか不足のようでございます。御指摘の点は、さっそく全国療養所を厳重に調査をいたしまして、これが処置をしたいと考えております。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 大臣のおことばをしかと私は受けとめておきます。  そこで、お伺いしますが、国立療養所医者給与民間医療機関勤務する医者給与はどのくらいの差がございますか。
  26. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 四十二年の人事院給与勧告がありました際の資料を比較いたしますと、民間との給与差は一五二%、民間のほうが国立医療機関に比べまして五二%高いという事実が出ております。
  27. 藤原道子

    藤原道子君 こういう点を放置しておいて、ただ施設が老朽だから医者が来ない、魅力がないから来ないのだ、そんなばかなことはございません。東京国立療養所東京病院診療部長の要職にある植村敏彦という方が東京多摩中央病院医師も兼務しているそうです。国立療養所勤務員アルバイト実態はどうなっているか、公務員アルバイト医師にのみ許されているのはどういうわけか、医師アルバイトをさせなければならない何かがそこにあると思う。この点についてお考えを伺います。
  28. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 結核対策におきましては、公衆衛生面医療面と大きなパイプで結んでいくということがぜひ必要でございまして、保健所結核患者検診をやり、管理をやる、それを医療に結びつける。そのためには、保健所における結核診査協議会等に出て行って適切な指導をし、要入院というようなものに対する適切な指導をするということが必要でございますので、療養所医師については、できるだけ公衆衛生活動に援助参画するようにということを指導しております。そういう意味植村医療部長田無保健所等にいろいろな意味で援助をしておられたということは事実と思います。決してアルバイトとか、そういうような意味ではないわけでございます。
  29. 藤原道子

    藤原道子君 それは逃げ口上だ。現にお医者さんのアルバイトを認めているじゃありませんか。アルバイトしなければやっていけない。低い給与、そうして人間を集めようとしておる。低医療政策のごまかしでございます。お医者さんだけがアルバイトをしてもいいということになっているのはどういうわけかを私は聞いている。ひとり植村さんだけの問題じゃございません。
  30. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) お医者さんだけがアルバイトをしているという趣旨ではございませんで、私どもは、公衆衛生活動その他に参画するというために、保健所審査協議会、あるいは集団検診等にも協力をするというたてまえをとっているわけでございます。
  31. 藤原道子

    藤原道子君 これは逃げたってだめですよ。そんなら、協力していると言うけれども、やはりそこから収入を得ているじゃありませんか。それはどうなんですか。
  32. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 公務員でございますので、他に時間外その他でなければ他から給与手当等を受けることはできません。おそらく実費支弁という程度補償が出ているものと思います。
  33. 藤原道子

    藤原道子君 実費支弁だったらいいのですね。これはアルバイトにはならないのですね。
  34. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 交通費その他の実費弁償的なものは、これは当然受けて差しつかえないと思います。
  35. 藤原道子

    藤原道子君 とんでもないことです。交通費支弁くらいなことでやっているということをそう信じているのですか。ごまかしているのです。明らかにアルバイトしていますよ。私は名前をあげてやれというなら出しますよ。ただ、きょうは時間の制約がございますから、私はこの程度にしようと思っているのですが、はっきり言ってください。
  36. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもとしては、公務員でございますので、医師にだけアルバイトを公認するというわけにはまいりませんので、実費支弁等の形でそれぞれの補償を受けるということは容認しておりますが、お説のように、実態としましては、医師が少ないために、これを社会的な資源として大いに活用しなければならないという状況から、あるいはこれが過ぎた実態があるかもしれません。
  37. 藤原道子

    藤原道子君 どうも納得はまいりません。人事院の方が見えておりますか。実際には公務員アルバイトは禁じられているはずです。ところが、実際においてはやっている例が多々あるわけなんです。お医者さんの場合、一人の医者が両方の病院に勤務して両方から収入を取っているという例もある。こういうことがはたして許されていいかどうか、これを人事院のほうからお伺いしたい。
  38. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 公務員法上の問題といたしましては、いわゆるアルバイト的なものをやる場合には、所属長の許可を得なければならない。言いかえれば、許可を受ければやっていいという法律のたてまえになっております。したがいまして、夜間大学の講義に行くような例は、これはございます。したがいまして、個々のまた具体的な事情に応じまして、これはひど過ぎるからいけませんというようなことは所属長の判断にまかされておるというふうに考えております。
  39. 藤原道子

    藤原道子君 それはお医者さんがアルバイトを現実にしているのはどうなんですか。医務局長にお伺いいたしますが、許可を得た場合には差しつかえないと人事院で言うのですが、許可をした件数がありますか。
  40. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 現実に療養所職員等で大学非常勤講師等を兼任する場合は正式に許可をいたしております。
  41. 藤原道子

    藤原道子君 私が聞いているのはそうじゃないのです。両方の病院で働いたり、アルバイトを働いたり、現実にそういう場合に許可を得たのがありますかと聞いている。
  42. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実態がよくわかりませんけれども、現実にアルバイトというような形での内容のものであれば許可はいたしておりません。
  43. 藤原道子

    藤原道子君 中には、公務員として勤務しながら、かたわら自分で病院を経営している、こういう人がございますが、それはどういうことになるか。
  44. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 公務員でございますので、当然他に正式の職務を持って俸給をもらうことは許されませんが、夜間等に他の医療機関に応援に行くという程度のことは、これはやむを得ないものとして認めております。
  45. 藤原道子

    藤原道子君 私は、自分で病院を経営している、一方では公務員である、こういう場合が現実にあるでしょう。あなた知らないとは言わせない。知っていらっしゃってとぼけないでください。そういうことは許されるのですかと聞いている。
  46. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) つとめながらみずから開業するということは適当でございません。そのような例につきまして、先年、例がはっきりわかりました場合に退職をしていただいた例がございます。そういう意味で、著しく不当なものがあれば、これは当然処置をしなければならぬと思っております。
  47. 藤原道子

    藤原道子君 私はお医者さんのアルバイトを責めているのじゃないですよ。問題は、アルバイトしなければやっていけないような待遇をそのまま放置しているというところに医者が集まらないとか、あるいは治療の密度が低下するとか、そういうことになるから、処遇の問題を中心として、私は厚生省に反省を求めている。  それから、国立療養所の眼科とか歯科とか耳鼻咽喉科など、結核患者の併発病の治療を受けるお医者さんの格はどのようになっていますか。
  48. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立療養所結核、精神等専門でございますので、常勤を主として、そのような専門職員により、そうして眼科、耳鼻科、あるいはその他のいわゆる併発病については非常勤職員で臨時的な治療をするか、あるいは他病院に紹介する等の方法をとっております。
  49. 藤原道子

    藤原道子君 これが結核患者の併発病とか、あるいは他の医者へ委嘱しているといったってなかなかうまくいっていないようでございます。こういう点、患者の不安というものを絶えず耳にいたしておりますので、特別に考慮していただかなければなりません。  文部省の方が御出席だそうでございますので、お伺いいたします。  いま御案内のように、非常に国立関係の療養所、病院の医師不足をいたしております。定員充足されておりません。非常勤定員としたり、まあ定数に数えたり、いろいろ無理が行なわれておりますが、このままではますます医療が不安でたまらないのでございますが、文部省はどのような医育計画を立てておいでになりますか。さらに、各地におきまして、まあ療養所には医者の来手がない、こういうことの答弁厚生省からはしきりに言われておるのでございますが、いまの教育のあり方、さらに今後の医育計画等につきまして文部省のお考えを承らせてほしいと思うのです。
  50. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) お答えいたします。  まず最初に、現在の医育計画はどういうふうになっているかという御質問でございます。これにつきましては国公私立大学合わせまして、入学定員は現在約三千八百名余りでございます。これにつきまして、現在医師がやはり相当に不足しているということは承知いたしておるわけでございますが、医学部の設置なり、あるいは学生増募ということは必ずしも容易なことではございません。たとえば経費の問題にせよ、あるいは、また、指導スタッフの整備にしろ、相当むずかしい状況にありますので、これにつきましては厚生省とも十分相談いたしまして、計画的に整備していこうということで進んできているわけでございます。  それから、地方におきまして医師が相当不足しているという実態がございます。これにつきまして、国立大学に例をとりますと、相当に現在いわゆる無給医局員と称する者が多いわけでございます。こういうような方々ができるだけ地方の病院等に就職していただければ非常に医師不足の解消に役立つわけでございますが、これにつきましては非常にむずかしい複雑な問題がございまして、なかなか簡単に地方の病院に行っていただけないという実態もあるわけでございます。これにつきましては、私ども全国医学部長、病院長会議、こういう会議体がございますが、そういう会議が開かれるたびにいろいろとお願いしておるわけでございます。できるだけ大学病院のほうから地方の不足している病院のほうに出ていただきたい、あるいは派遣していただきたいということでいろいろとお願いしているわけでございますが、これまたなかなかむずかしい事情によりまして、必ずしも御期待に沿えない、そういうような残念な状況にあることは事実でございます。今後この医師の養成をどうするかということでございますけれども、これにつきまして厚生省ともいろいろと相談しておりますけれども、やはり何と申しましても、事は、単に文部行政だけではなかなか解決しがたいそういう複雑な問題でございますので、これにつきましては厚生省、あるいは関係省庁、その他また大学専門家の先生等とも十分相談いたしまして、できるだけ医師不足解消に文部行政としても協力しなければならない、こういうふうに考えているものでございます。
  51. 藤原道子

    藤原道子君 事は命にかかわることでございまして、非常に急を要しておりますので、それぞれの機関と十分御連絡をいただきまして、複雑な事情というようなこともわからないではございませんけれども、いつまでもお医者さんの社会に封建的なものがつきまとっておると、結局人命を守るという点が非常におろそかになることでございますので、十分にひとつ御考慮願いたい。私は医者のほうはあまり専門でございませんので、この点を特に要望いたしておきます。  そこで、厚生大臣、無給医局員とか助手とか、こういうことでなかなかお医者さんは長い間苦労をなさり、そこへもってまいりまして、普通の大学よりも二年もよけいに勉強して、さらにいろいろな制度があるわけでございます。そうして出てきて、就職なさいます場合に非常に給与が悪い、これでは集まらないのはあたりまえでございます。園田厚生大臣のときに抜本的なこれに改正をしていただきまして、喜んでお医者さんが公的医療機関に集まるように御努力をしていただきたい、こう考えますが、お覚悟のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  52. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの先生の御質疑応答の中で私が推察できますことは、国立療養所のほうの医師の定足は、いろいろ二カ所その他重複しているものもございます。それを九四%の定足数の中に入れておるのではなかろうか、あるいは、また、それが医師アルバイト的なものを助長するのではなかろうか、そういうような推察はできますので、そういう点も含めて、先ほど御指摘によりお約束いたしました調査をいたしまして、しかしながら、まず私は、医師充足については文部省その他とも相談しなければなりませんが、何といっても、ただいまの公務員給与体系の中で、医師待遇が一般の公務員よりも上回る程度にされているところに問題がありますので、学校教育も長いし、その上いろいろ研修も積まなければいけないということもございますので、よその国々のことも考えまして、給与体系の中の医師待遇をどうするかということが先決問題であると考えております。なお、過渡期におきましては、調査の結果、それぞれ制度、法律等に抵触しないように、しかも、その任務に抵触しないように十分留意しつつそういう方向に進めていきたいと考えております。
  53. 藤原道子

    藤原道子君 とにかく厚生大臣医師をあずかることだから、特にそういうことを発言され、文書でも出しておいでになるのでございますから、園田さんに期待いたしまして、私は次の質問に進みたいと思います。  病院で一番困っておりますのは医者が足りないこと、さらに看護婦さんの不足でございます。この看護婦の充足と看護内容の改善について若干お伺いをしたいと思います。  今度法改正になりますと、一類看護四対一、二類看護が五対一、三類看護が六対一、こういうふうなことになっておりますけれども、この理論的な根拠はどこにあるのか。看護婦を患者四人に対して一人とか、六人に対して一人ということをおきめになりました理論的な根拠はどこに置いておいでになるか、この点をお伺いしたいと思います。
  54. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 御承知のように、医療法におきましては、病院におきましては患者四人に対して看護婦一人ということを標準とするという考え方を出しておりまして、したがって、その標準はどこまでも標準で、その前後があり得るということを予想しているわけでございます。しかし、健康保険その他の医療保険で看護の程度の薄い厚いによりまして経費が違いますので、それに応じて支払いの額に差等をつけるという実態がございまして、それが一類看護、二類看護、三類看護というような形になっておるわけでございますが、これも理論的にどうとはじき出した計算ではございませんで、むしろ実態にあわせて費用の支払い方法をきめたのが現実でございます。そういう意味で、この数というものの算定方法それ自体は基準もございませんし、あるいは理論的な相当の積み上げというものはございません。この点は世界各国あるいは共通の問題ではないかと私は考えております。
  55. 藤原道子

    藤原道子君 それで、この四対一なり六対一が正しい数だといまでも考えていますか。
  56. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 正しいといいますか、決してこれで十分というふうには考えておりません。
  57. 藤原道子

    藤原道子君 実は、こうしたことが決定されましたときに私はいろいろ質問をいたしております。そのときに厚生省側では、四対一が十分とは思わない、ほんとうからいきますと二・五対一、このくらいに持っていきたいと思います、しかし、病床数と看護婦の数とを割っていくとこれ以上はできないのです、したがいまして、将来看護婦の養成を急ぎまして、できるだけ正しい看護ができるようにしたい、こういう御意見をしばしば伺っている。それから、衆議院における委員会の答弁でも、五対一ぐらいが適当と思いますと、こう言っている。ところが、相変わらずこの四対一、六対一で過ごしてきている。それもよろしい。結局看護資格のある人で四対一ということにきめたと思うのです。ところが、いまでは五、三、一になり四、四、二になり、だんだん看護婦さんの資格を持つ人の数が減ってきているということになれば、国立療養所の看護婦は六対一というけれども、ほんとうはもっと低い、つまり七・五対一ぐらいになるんじゃないでしょうか。これをこのまま今後も強行しておいでになるつもりですか。看護に必要な数に改訂されるお考えがあるか、ありとすれば、看護婦の養成はどのように考えおいでになるか、お伺いします。
  58. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 看護婦の数が四対一で決して満足するものとは思っておりません。お話にも出ましたように、看護専門団体であります看護協会は二・五に対して一ということが適当であろうという意見を出されております。しかし、残念ながら、現実には看護婦の数が非常に足りないために、そのようにもしも基準を変えたといたしましても、現実に実行が不可能であるということから、私ども現実には、いまのところ、これを動かしてみても実効があがらないという趣旨から、現状のままでしばらく経過させざるを得ないという考えを持っておるわけでありまして、将来看護婦が大いに充足いたしてまいりまして、基準を変えてもそれが実施可能という段階になれば、この基準を適切なものに変更するということを検討することが必要であろうと考えております。
  59. 藤原道子

    藤原道子君 手をつかねておいて、それで看護婦がふえませんというのじゃ私はいただけない。これをきめてそういう答弁が出だしてから計算してみますと十七、八年たつ。その間にどれだけ看護婦養成に力をかしてこられたか、ここが問題です。数を変えても、看護婦がなければしかたがない、意味がない、まさにそのとおり。けれども、なりてがないのじゃございません。ここ二、三年来は看護婦志望者はふえております。ふえておるけれども、あなた方がこの養成機関をふやそうとしない。安あがり医療で、ふえておりますのは准看施設がふえておる。しかも、准看施設で働く人の進学コースで看護婦に上がる道は非常にきびしい。これでは看護婦がふえるわけがないじゃありませんか。そこで、二・五に一人が好ましい姿だといわれておりながら、承知しながらこのままにしておくということは、非常に看護婦が重労働になる。せっかく重度の心身障害児の施設ができてから、入りたい人がわんさと控えているけれども、これが一〇〇%収容ができない。島田療育園にしても、約百幾つかの病床で六十も開いてないじゃありませんか。看護婦が足りないからこういうむだをしていらっしゃる。これに対してどのような計画で今後看護婦の養成をなさるおつもりであるか。いまのような重労働では、働いている人だってやめたくなりますよ。からだが続かない、こういうことをどう医務局長としてお考えになっておるか、これをお聞かせ願いたい。
  60. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 看護婦の著しい不足が出てまいりましたことはまことに申しわけないと思っております。先生も御承知のように、この問題は、特に三十六年以降の特殊な状態もからみまして著しい不足が出たわけでございますが、これを解消するために、現在私どもも養成施設の拡充をはかっておるわけでございまして、三十八年には、各種の養成施設、一応全部総数で申しますと、保健婦、看護婦、准看護婦全部の施設で、三十八年には八百七十四施設定数で五万五千程度でございましたが、四十二年にはこれが千百三十七施設、八万九千七百八十七名というぐあいに、養成定数に至りましては六割程度増をいたしておりまして、年々この養成の強化をはかってきたわけでございまして、その結果、現在では年間約一万五千程度の就業看護婦の実人員増が行なわれている状況になりまして、三十六年以来著しく不足いたしました状況も、徐々でございますが、緩和の道をたどっておりまして、一応四十六年ごろには、理論的な計算をいたしました場合に、何とか勘定が合うという目鼻がつき得るまでになっている状況でございます。
  61. 藤原道子

    藤原道子君 たいへん施設もふえたし、生徒数もふえた。この内容は、高等看護学院と准看の施設と、その比率はどうなっていますか。
  62. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 看護婦の養成の施設は三十八年に二百四十二施設、一万八千六百四十二名、一、二、三年全部の定員でございましたが、四十二年にこれが三百十一施設、二万六千七百三十一名定員にふえております。准看護婦の養成施設につきましては、三十八年に五百七十施設、三万四千七百六十三名の定員でございましたが、四十二年には七百五十二施設、六万一千百七十一名というぐあいに、これも八割程度の増加をいたし  ております。
  63. 藤原道子

    藤原道子君 看護婦は将来一本化しなければなりません。こういうことは看護制度の当時から問題になっている。ところが、これをいま伺うと、准看が非常にたくさんふえて、高等看護学院というのが少ない。これでは一体どうなるんですか。しかも、准看の進学コースはきわめてきびしい。法律では看護婦の仕事と准看の仕事とはおのずから区別がある。看護婦の指導のもとにということがある。ところが、指導する人が少なく、そうしていまでは准看だけに夜勤をさしている。准看に点滴注射までやらしておる、こういうところがざらじゃございませんか。これで、はたして医務局長としてのつとめを果たしているとお考えでございますか。安あがり医療はあらゆる面に出ておりますけれども、看護婦さんが特にしわ寄せを受けておる。しかも、その勤務状況たるや、非常にきびしいものがあるということはあなたも御承知だろうと思う。だから、この間もいみじくも衆議院の委員会であなたは答弁しておられるけれども、看護婦は卒業時期になるとふえます。ところが、十二月から三月まで、これは何といいますか、看護婦の端境期だなんということばを使っておる。入る人も入るけれども、やめる人が多いのです。だから十二月から三月までは非常に看護婦は不足いたしますと、ぬけぬけと答弁しておる。なぜ就職しないのか。高等学校を出て三年勉強して国家試験を受けて、中学校を出て二年勉強して、そうしてまた試験を受けて看護婦を指向してなられた人たちがどんどんやめていくのはどこに原因があるとお考えでございますか。これを直さずして堂々めぐり、いつになったって看護婦の充足は私はむずかしいと思う。これに対してどう考えておられますか。
  64. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 御質問の第一段の、看護婦と准看護婦の比率の問題でございますが、おっしゃいますように、現在の養成のスピードは准看護婦が非常に大きくて、看護婦が少ないわけでございます。現在就業している看護婦さんの比率を見ますと、看護婦のほうが若干多く、准看護婦のほうが若干少ないという状態でございます。しかし、これは数年ならずして逆転することは明らかでございます。したがって、私どもも何とかして看護婦の数をふやさなければならないということについては、准看護婦から看護婦への昇格の道を考えなければならないということで、現在准看護婦から看護婦への進学のコースを非常に強く拡充いたしてございまして、おかげで最近は目ざましい増加をいたしておりまして、進学課程だけで見ますと、三十八年に五十一施設でございましたものが、四十三年、ことしの春には百二十一施設と、倍増いたすことになるわけでございます。さらにこれに拍車をかけ、また、その他の方法があるかどうかについても現在検討中でございます。  なお、准看護婦さんに看護婦さんの勤務をさせざるを得ないという実態にあるということは、私どもも非常に残念に思っております。できるだけ准看護婦が夜勤をするような場合は、夜勤婦長等の指示を受けて、間違いのないようにやらせたいと考えております。  端境期ということばを私は使いまして、これは非常にわかりやすいかと思いましてそういうことばを使ったわけでございますが、現実に十二月のボーナス時期以後になりますと退職する人が非常に多い。これはある意味でやむを得ない点もあろうかと思います。しかし、最近におきましては、結婚してなお就職を続けるという数が非常にふえてきていることも事実でございます。そういう意味で、国立医療機関におきましては、四割を越す者が結婚している看護婦でございます。そういう意味で、それらの者が家庭生活とできるだけ両立できるようなことを勤務環境の上でできるだけ配慮して、そして退職その他できるだけ防止したいというふうに考えております。
  65. 藤原道子

    藤原道子君 私は、准看護婦の進学コースをふやしてきたと、なるほど数はふえております。けれども、三交代制ですね、看護婦さんは。僻地にいる看護婦さんたちは夜間はとても通えない。三交代制であるから、十分に通う状態に置かれていない。こういうことを考えて、山間僻地にいる看護婦さんたちはいやになってやめていくのです。看護婦と同じ仕事をさせられる、それでいて准看という目で見ておられる。これではいや気がさすのはあたりまえであって、それで、准看はやむなく夜勤するときには夜勤婦長の指示を受ける。あなたは夜勤婦長がどういう状態であるか御存じでございますか。はるかかなたに休んでいらっしゃる。看護婦さんは絶えずブザーで呼ばれれば巡視しなければならない。夜勤婦長のところまで一々お伺いを立てに行くひまはないのでございます。それを十分承知でおりながら、准看が一人で夜勤することは、これは違反になりますから不当でございますから、それをのがれるために夜勤婦長の指示を得ている。一人の夜勤ではございませんと、こう言っている。そんなことでごまかされるほど私たち不勉強ではございません。こういうことはどうなんですか。ですから、私が申し上げたいのは、この間法案を提案いたしましたけれども、新しく教育を受けて六カ年看護婦で働いた人には、これに講習なり、あるいは通信教育で可能なものは通信で勉強する、単位を取る、それで国家試験を受ける、そして資格を与えたらどうか、こういうことを提案しておりますが、あなた方はこれに反対している。看護協会でも、これは看護婦のレベルが下がる、レベルダウンになるから反対だ。私は国家試験をやさしくしろとは少しも言っていない。六年間実務を経験して、さらに通信教育なり講習を経て単位を取って、その上に立って国家試験を受ける資格を与えなさい。准看護婦さんたちは非常にこれを念願しているのです。これに対して、ただ進学コースをつくる、やれどうだ、一人の夜勤婦長の監督でやっているのだと言っても、そんなことではごまかされません。現実に号うじゃありませんか。明らかに看護婦が足りないために、非常な不測の事態が起こっていることはあなた方も御承知だろうと思います。この点、看護婦充足対策をいま一度聞かしてほしい。
  66. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) いろいろ具体的な御指摘がありましたように、現在のわが国の全般的な看護婦の状況というものは決して望ましい姿ではないし、望ましいどころか、相当不満の多い状態でございます。こういう状態を何とかして改善していくためには、非常にいろいろな方面の問題を解きほぐしていかなければならぬわけでございまして、現実に看護婦の絶対数の問題、あるいはその絶対数の不足というものが待遇の問題に基因し、あるいは勤務形態に基因し、あるいは労働条件に基因しておりますので、それらの問題の解決もはからなければならぬ。いわゆる看護制度そのものにも、御指摘のように、看護婦、准看護婦等は多年の懸案問題でございます。そういうような点もあらゆる面から多角的に検討し、この問題は医療制度全般の中でこれを検討していかなければならぬと思っておりますので、私どももできるだけ早急にこういう問題を詰めて検討してまいる所存でございます。
  67. 藤原道子

    藤原道子君 私はさらに続いてお伺いをいたしたいと思いますのは、いまあなたは結婚してもつとめる人がふえている、四〇%ぐらいは既婚者である、こういうことをおっしゃいました。私もそれを認めます。ところが、それが長く続かない。無理がありますので、結局医療に従事する看護婦さんたちは非常に異常産が多い。これは夜勤が多過ぎること、通勤が非常に困難であること、子供の保育に心が奪われる、こういうことで、せっかくつとめようと勇気を出してみても、やむを得ずやめざるを得ない。あるいは人がいないために夜勤をかわってもらえない、こういうことで、心ならずも妊娠中絶をしたと泣きながら話している看護婦さんがある。こういう状態では長続きはいたしません。  そこで、保育対策については一体どういうふうに考えていられるか、あるいは通勤対策は。三交代制でございますから、準夜、深夜などということになると、これは通うのはたいへんです。これに対してどういうふうなことを考えているか。これなら看護婦さんが辞職する大きな原因になる。したがって、病院に二十四時間制の保育所を設けなさい。そうすると二十四時間母から離れることは好ましくないとあなた方は言っていらっしゃるが、二十四時間母から離れるのではない。母の勤務中です。準夜、深夜の人たちのために、絶えずいつでも預けることのできる二十四時間制の保育所、これが必要です。それから、通勤の人たちの夜中の通勤はたいへんでございますから、夜勤仮眠の場所、こういう所ももっと整備する必要があるのではないか、こう考えますが、これらの対策はどうですか。
  68. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 産前産後の休暇、あるいは勤務形態の緩和ということについては、従来から相当意を用いておりまして、休暇はもちろん、夜勤等のないような勤務場所に配置転換をする等の方法によりまして、できるだけそのような策を講じておるわけでございますが、先生御指摘のような看護婦の異常産等が多かったということもあるいは事実かと思います。そういう意味ではなお策が足りないかと思いますので、今後も十分気をつけてまいりたいと思います。また、これらの問題の解決の一助としての勤務環境の改善、特に保育施設、あるいは仮眠施設の改善等が指摘されましたけれども、保育問題につきましては、これも従来から多年の懸案でございますが、きわめて大規模の施設でございますとある程度のことが可能になってまいりますが、規模が小さくなりますと、現実に保育する子供の数が非常に少なくなる。そういたしますと、場合によっては一人の子供のために一人の保母がつかなければならぬというような状態にもなりかねないわけでございまして、現実の問題としてなかなか困難がございます。そういう意味で、私どもも現場の御意見等を聞きながら検討をし、できるだけそういう趣旨には沿いたいと思っておりますけれども、まだ決して十分なところまではいっておりません。ただ、仮眠室、その他夜勤の勤務環境の改善ということにつきましては、ここ二、三年相当経費もいただきまして改善をはかってまいっております。
  69. 藤原道子

    藤原道子君 熱意がなさ過ぎるのですよ。保育所は厚生省が運営しているのじゃないじゃありませんか。ほとんど組合が運営している。部屋を貸してくださいということすらいい顔しないじゃないですか。ほとんど組合がお互いのなけなしの金を出し合って保育所を運営しているのですよ。国がやっている施設、保育所がどのくらいありますか、数を示してください。私はいまの答弁では納得いきません。ほとんど組合の運営だと私は承知いたしております。
  70. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 御指摘のように、国が直接やっておりません。共済組合等がやりまして、組合から若干の助成をしているというのが実情でございます。
  71. 藤原道子

    藤原道子君 お聞きのとおりでございます、大臣。組合が運営しているのですよ。それをいかにも施設がやっているようなことでごまかしている。しかも、保育所をやるために部屋を貸してほしい、こういうことにもなかなか渋くて、いい返事が出ないのです。大臣、看護婦の不足等の緩和のために保育所に対して私は無理な要求をしていない、部屋はあるのです。わずかなことでできるはずでございますから、大切な看護婦さんが足りないために人命事故が随所で起こっているのです。これに対して、園田厚生大臣、私は保育所をぜひ考えてもらいたい。あなたはどうお考えですか。
  72. 園田直

    国務大臣園田直君) 結核病院でいろいろな事故が起こっておりますが、そこら辺の原因は看護婦が少ないことの原因のようでございます。そこで、看護婦さんの充足につきましても、根本は、やはり看護婦さんの待遇そのものを考えなければならぬと思いますが、そのほかに、いま御指摘になりましたような保育とか、その他結婚し、家庭を持たれてもなお勤務できる施設をつくらなければ長く続かない。実際看護婦さんとしては経験を積まれ、子供を産み、家庭を持たれた看護婦さんのほうが一番患者にとってはありがたい看護婦さんでございますが、御指摘のとおり、結婚されるとやめられる、つとめられてもすぐやめられるというケースが非常に多い。それで、いまのつとめられておる方は、共済組合の中で、組合が保育所をつくるとか、そういう施設をしているところは、つとめておられるようでございますが、それも費用その他について全然自分の俸給から支払っている、自分の分担金を。それについての陳情もよく承っております。二十四時間、保育所のことについては、これは一般の保育所のことでございまして、病院の看護婦さんのおつとめになるような施設は特別な保育所として別ワクを考えるか、あるいは看護婦養成のために助成金を出しておりますと同様に、各病院に対しても、とりあえず病院の施設の一部をさき、三者でそういう施設をつくり、早急にやりまして、将来はやはり国家のほうでそういうものを考えて早急にやらなければならぬ。そうすれば看護婦さんの減るのも減るし、なお、また、御指摘のとおりに、志望者は幾らでもあるわけでございまするから、養成所の助成等もさらに考えなければならぬと考えております。
  73. 藤原道子

    藤原道子君 私はしかと承っておきます。とにかく看護婦さんが貴重な存在であるにもかかわらずやめていく、それから、いまこんなに看護婦不足で因っているのに、ちまたに優秀看護力が二十万近く眠っているのじゃないか。これらの人の待遇考えられ、あるいは保育所とか夜勤緩和がございましたら働く人があるのです。それを厚生省が手をこまねいて、ただ足りない足りないで働く人の過重労働を強要している、これはそのとおりだと思いますので、ぜひその点は早急に実現していただくように強く要望いたしまして、さらにこういう状態でございますから、この上に夜勤が非常に多くて、平均いたしまして十日間、多いところでは十五日間、二十日間も夜勤しているところがございます。これに対して、四十年の五月二十四日に、看護婦の夜勤制限に関する人事院の判定が出されておる。これには、夜勤する看護婦等に、夜勤に従事する者の月間平均夜勤日数を八日とすることが適当と考えられる。一人夜勤の廃止に向かって努力すること、産後六ヵ月程度の夜勤免除の措置を講ずること、看護婦の休憩時間を明示すること、こう判定が出されております。ところが、一向にそれが進まないで、いまなお平均十日間の夜勤をしており、一人夜勤がまだございますために休憩時間がほとんど取れない、こういう状態でございますが、人事院の判定をどう生かして、いつごろ実現されるお考えであるか、私どもは夜勤はせいぜい六日間だと思います。ところが、人事院ではいろいろ考慮されたと思いますけれども、八日ということの判定が出されております。四十年に出されておる。ところが、いまなおそれが行なわれない、人事院判定は無視してもよろしいのでございますか。労働基準法に違反したことを厚生省は平気でおやりになってよろしいのでございましょうか、この点について大臣のお考え方を伺いたいと思います。それから、看護婦の休憩時間を明示することとございますが、こういうことをはっきりやっているところはほとんどございません。これらについてもお聞かせを願いたいと存じます。
  74. 園田直

    国務大臣園田直君) 人事院の判定を軽視してはならぬと考えておりますが、いま申し上げましたように、実情で相当無理があるということも承知しておりますので、早急に人事院の判定に沿うように、諸施設並びに勤務時間等の改善をいまとにかく努力したいと考えております。
  75. 藤原道子

    藤原道子君 人事院にお伺いいたしますが、あなたのほうから判定を出されましたのは四十年五月二十四日。ところが、厚生省は、お聞きのとおり、何もしてない、いまなお一人夜勤もさしておる、それから、平均十日間以上の夜勤がいまなお続いておる。そうすると、あなたのほうではせっかく判定は出していただいたけれども、その後の注意とか何とかいうことは人事院ではないのですか。私、不勉強でわからないのですけれども、聞かしてください。
  76. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 何もしておらぬじゃないかと仰せられますとまことに悲しいことなんでございまして、あの判定を出しますときも、私ども職員が病院に泊り込んでつぶさに実情を拝見した上で、せめてこのくらいのところはということでお出しした判定なんであります。したがいまして、努力によってはこれは実現していただけるという確信のもとに出した判定なんでございますから、私どもとしては、これは生みっぱなしであってはこれはならないので、その後どのようにこれが実現されているかということは、これは厚生省にお聞きになればわかりますけれども、しつこいくらいにお尋ねし、報告を求め、そうして国会での御追及もありまして、厚生省努力をされておるということはわかります。それで、ことしの二月も、局長以下おもなブロックに出向きまして、関係の国立の病院長の方、あるいは関係の方々に集まっていただいて、さらにまた現実をよくお調べしておるというような努力もしておるわけでございまして、まず私どもの見るところでは、なるほど努力はしていらっしゃる、これはわかりますけれども、まだまだ理想まではほど遠いというのが私どもの見たところでございます。
  77. 藤原道子

    藤原道子君 人事院総裁、遠慮しちゃ困るのです。努力はされているけれどもと言うけれども、してないですよ、努力を。やる意思があれば、政令だ、やれ何だと、すぐ厚生省は都合のいいことはやる。けれども、働く者の立場に立っての改善策はまことに冷淡なんです。同時に、人事院でももっと強くひとつ要求してもらいたい。厚生大臣人事院判定が出てもう三年たつのですが、それが改善できていない。大臣はやってくれますか。
  78. 園田直

    国務大臣園田直君) 判定の線に従って改善をいたすよう努力いたします。
  79. 森勝治

    ○森勝治君 関連。  大臣からいまそういう答弁をいただいたのですが、厚生省が何とこれを陳弁これつとめようとも、怠慢であることはもうはっきりしているわけですね。しかも、あなたは、就任早々、厚生行政は私にまかしてくださいと、議会の内外を通じて広く国民の皆さん方にお約束をされておるはずであります。これは大臣、ごく最近のことですから御記憶が新たでありましょう。ところが、いまの答弁は何です。努力する、ただそれだけで済みますか。あなたが就任のときの国民の期待にこたえるという、厚生行政の全きを期すという初心があるならば、三年かかってもなおかつこれができないという、具体化されない問題は、直ちに私の責任において具体化します、人事院の勧告どおりお約束します、かくお答え願えるのが大臣就任のときの国民に約束をされたあなたのおことばを具体的に実行に移すということじゃないですか。したがいまして、そういうように努力します、努力しますと、それではわれわれはそらぞらしいお答えとしか受け取られません。したがって、関連ですから、これ以上私は申し上げませんが、もう少し明快に、あなたが——これは三回繰り返しますよ、いいですか。就任のときに国民と約束された初心がまだ消えないでしょう。その心と同じ心を持って、もっともっと前向きの姿勢で積極的な解決のお約束をいただきたい。
  80. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの御意見は十分拝聴いたしまして、おことばを返すわけではありませんが、私は、厚生行政を私にまかしてくれというような口幅ったいことを申しておりません。精魂を傾けていたしますという決意は表明いたしました。しかし、趣旨はそのとおりでございます。傲慢でないことだけ御了解いただければけっこうでございます。  ただいまの問題につきましては、私、就任いたしまして五カ月でございまして、そういう点は、逐次、正直に言って勉強の最中でございまして、不十分であることはまことに申しわけないと率直におわびを申し上げます。いまの問題につきましては、定員予算等の問題もございまするが、全力をあげてこの改善をお約束を申し上げます。
  81. 藤原道子

    藤原道子君 私は、どうも厚生当局は答弁をうまくやればいいと、その場のがれのことを答弁しておられるように思えて、腹が立ってたまらないのです。私は真剣に考えてほしいと思います。私は、この点につきまして、時間の関係もございますので、次に進みたいと思いますが、一月二十九日の全国国立療養所所長会議で、厚生省は、基準看護を実施しても、一類看護が三十七施設、二類看護が七十七施設、三類看護が二十六施設、実施できないのが十二施設と説明しているのですが、それぞれの施設名と理由を明示していただきたい。
  82. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいまお話のありました点は、私どもがこの準備のために、昨年の十月の第三水曜日の時点で患者数と看護婦数の実態を調べまして、そのときの時点で一応判定したわけでございますので、これをやりますためには、年間の動き等を正確に把握した上できめなければなりませんので、現在詳細な調査をいたしております。
  83. 藤原道子

    藤原道子君 むずかしくなれば詳細に調査してなんと言う。はっきりそれを指示したのでしょう。そう言っているじゃありませんか。それで、いまここで言えないというはずは、あなた、ないと思う。基準看護をやる、基準看護料を取るというようなことは特会制で明らかになっている。それだから、両方とも自信がなければこういうことは言えないはずです。ですから、あるのでしょう、腹案が。はっきり言っているのだから、一類看護が三十七、二類看護が七十七、三類看護が二十六で、実施できない施設が十二ある。それをちょっと聞かしてくださいと私は言っている。
  84. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいま申しました昨年の十月の時点の資料はございますので、それは後刻先生のお手元まで差し上げたいと思います。しかし、現実に基準看護を実施できるかどうかという問題は、これはいま申し上げましたように、年間の患者、看護婦の動き等を見まして、そうして社会保険事務所に申請をして認可を得なければなりませんので、現実に実施できるものとその時点で想定したものに狂いのくることは、これはやむを得ないことと存じております。
  85. 藤原道子

    藤原道子君 不満足ですけれども、時間がございませんので。  そとで、伺いますが、基準看護というのは、入院したら一切の看護は病院が責任を持つものである、これは厚生省告示の第百七十八号、昭和三十三年六月三十日に通達を出している。これはそうですね。基準看護というものは、入院したら一切の看護は病院で責任を持つものである、間違いございませんね。それから、付き添い看護が行なわれているのであってはならない、こういうごとも通達が出されておるわけです。このように解釈してよろしゅうございますね。
  86. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) そのとおりでございます。
  87. 藤原道子

    藤原道子君 それではお伺いをいたします。すでに基準看護が行なわれております特別会計を実施した国立病院で、基準看護料を取りながら、重症の患者には付き添いをつけさせておる例がたくさんございます。国立甲府病院でも、結核入院中の坪川敏子さんという方、十年以上入院している重症患者ですけれども、病状が悪化したから酸素吸入を始めた翌日、婦長が電話で家族を呼び出し、妹さんに二カ月以上も付き添いをさせております。そのほか、例をあげればきりなくあるのでございますが、これは一体どういうわけでございますか。基準看護料を取りながら、病院から電話をかけて、そうして付き添いを呼んでいる。そうしてその人の妹さんは、患者に配膳された食事の残りを食べて、夜はベッドの下に薄べりを敷いて寝ている。こういうことが随所に行なわれていることを医務局長は御承知でございますか。これは、もしお認めになるならば、この告示に反するということをあえて行なわせている、こういうことになるのでありますが、どうですか。
  88. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいま御指摘ありました甲府病院の例は、私どもの承知している範囲内では相当重症な患者でございまして、すでに肺のほうが相当ひどく、心臓が悪くなっておりまして、六月の半ばごろから病状が悪化して危篤状態になっております。そのために主治医が患者を個室に移した上で家族の来院を認めたものでございまして、結局はこの患者も死亡されましたが、その死亡の時点まで結局家族が付き添ったという事実がございます。これはもちろん原則的に死亡に至るまで、たとえ危篤状態であろうと、看護してあげなければならぬのが本来でございますけれども、やはり人情といたしまして、危篤状態等の場合に家族に来ていただくというような例が往々あることは、これまた事実でございまして、それが事実上看護の一部の代替をするという事実もまた現実であろうと思います。まあここら辺のところは人情、風俗、習慣の問題もございますので、一律に一切家族の付き添いを認めないというわけにはいかないかと思っております。
  89. 藤原道子

    藤原道子君 民族風習があるのでと、うまくお逃げになる。私は、危篤に瀕すれば家族が行くのはあたりまえ、それは民族風習でしょうけれども、その人がすべての看護をやらされているんじゃありませんか。これはどういうことなんですか。看護婦さんが基準看護をした上に、肉親が心配で付き添っているというなら話はわかる。そうじゃございません。手が回らないから妹さんにすべての身の回りの世話をさせている事実です。これはどうお考えですか。だまさないで、ごまかさないで、特会制になったら医療向上するからというので、私どもは心配して質問している。基準看護をすでに実施して基準料を取っていてもそういう例が随所にある。例をお示しくださいと言えばたくさんあって、時間がありません。そうしていまのような看護婦の不足状態でどうして特会制になって基準看護ができるんですか。私は、そういうごまかしをされちゃ患者さんがかわいそうです。私は、日本の医療を破壊されるものとして、こういうことを心配するがゆえに質問しているんです。看護婦さんは過労と労働密度が高いから休憩時間がないから、だからやめていくと、それにあわせましてこういうことを訴えてきております。私たちは精神的な苦痛にたえられない。看護学院で教わったことがそのまま看護に生かされておりません。学校で教わったことの三分の一も実地では生かされておりません。手抜きでございます。心配で心配で患者の苦痛を見ていられないけれども、そこに手をかしていたのではほかが留守になる、上からしかられます。こんないいかげんな看病をしているということは、私の良心が許しませんと、こういう訴えがずいぶんきている。看護婦になろう、私も看護婦でございますけれども、看護婦になろうと、看病したい、そういうつもりで飛び込んで教育を受けたのです。試験を通ったんです。ところが、実際に飛びこんでみれば良心的にどうしてもたえられない、だから私はやめたんです、こういう看護婦さんが訴えてきているんです。私は、やかましいことばっかりおっしゃるけれども、教育を受けたことも実地に生かされない、手抜きが横行している。その結果、皆さん御存じだと思いますけれども、私きょう二、三写真を持ってきた、これを回してちょうだい。三組ある。重症患者がみずから酸素吸入をしている、ごはんを食べるのにひどいところで、重症患者がやせ衰えながら酸素吸入も自分でやる、点滴注射もやりっぱなし、重症患者が身動きもできないのに、こういう姿でごはんを食べているのですよ。こういうことを御承知でございましょうか。特に沖繩から来た患者が、昨年十一月七日にカリエスの手術をした、ギブスを乾燥させる電圧を上げて、看護婦が不足で点検を忘れた、やけど事故を起こした、睾丸二つとも摘出したという例がある。そのときに見舞い金幾ら出しましたか、まことにたった五千円の見舞い金、こんなひどいやけどをいたしました。睾丸摘出をして取られてしまって、その苦痛に対するお見舞い金はたった五千円ですよ。どこから割り出したのでしょう。こういうことが現実に行なわれていることを、私はよくあなた方は知らぬ顔でいられると思う。この女の患者さんは寝たきりでしょう。だけれども、食事の介護もなく、一人で食べている。また、ある人は急に苦しくなって酸素吸入さがしたけれども、酸素の機械が故障があった、どうやらやっと三番目に持ってきたときにはもう息が切れていた、こういうこともあるじゃありませんか。重症患者は、はしが持てないで手づかみで食べている、こういう状態にしながら結核の問題は解決をしてきた。もう五、六年たったら二万人ぐらいに減るだろう、こんなのんきなことをいわれていたのでは、私は心から怒りを覚えざるを得ないのです。こういうことはどうなんです、点滴注射も無人でやっております。これではいつかは薬がなくなって空気が入る。看護婦さんがいなかったために点滴注射していた患者が死んだ例だってあるじゃありませんか。園田さん、実態はこうなんですよ。医務局長からどういう御報告がいっているか知りませんけれども、実際を見てください。それで医者は給料が安過ぎる、看護婦は待遇が悪い、つとめきれない、一番不幸をみるのは患者でございます。こういうことに対して私はお考えをいただかなきやならない。それから、先ほどの——笑いごとじゃないですよ、若松さん。こんなひどいやけどをして、睾丸まで摘出されて、それでたった五千円の見舞いというのは、これはどういうわけですか。厚生省から見舞い金五千円、同情金というのが三万円出ている。同情金というのはどういうわけですか。ちょっとお聞かせください。
  90. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 同情金ということでございますが、これは患者のお見舞い金がいろいろ集まりまして、省側で三万円を調達してお見舞いをしたということです。
  91. 藤原道子

    藤原道子君 五千円はどういうことなんですか、厚生省が出した五千円は。
  92. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 最初の五千円は、所長が自分のポケットマネーでさしあたってお見舞いをしたということでございます。
  93. 藤原道子

    藤原道子君 とにかくいまの療養所実態は、数えきれない問題があるんです。それを特会制にすれば医療内容向上する、とんでもないことだと思う。基準看護だなんて、いまやっておる病院の姿はお話になりません。私は、そういう点でも、国の医療に対する考え方はまことに冷酷きわまるものであると言わなければなりません。さらにあなた方は、空床があるから結核定床を減らすのだ、こう言います。ところが、なぜ空床があるのでございましょうか。結局ばい菌排菌患者がたくさんいる。毎年毎年新しい患者さんが登録されておる。それで結核は感染するのです。それが入院したいのだけれども、この在宅患者医療なしの患者が多いのです。入院していない人はどうしてこれを放置しているのか、なぜ登録されなかったのか、なぜ入院しないか。ただあなた方は健康診断をしていると言うけれども、それはどの程度に行なわれているか、はなはだ不十分だと思いますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  94. 村中俊明

    政府委員(村中俊明君) お答えいたします。  昭和四十一年の年末の集計によりますと、百四十万ほどの登録されている患者がございます。この中で、感染性の患者が二十二万九千人おりまして、この二十二万九千人の中で、入院している者は十一万二千、少し低くなりまして、九万五千六百人余りが在宅医療を受けている。先ほど御指摘医療なしというのが一万九千名おりまして、保健婦が家庭訪問いたしまして、いろいろ調べたけれども所在がわからないというのが千九百人ほどおります。  それから、第二点のお尋ねの、一体どの程度結核の健康診断を行なっているかという点についての御質問がございましたが、これは同じく昭和四十一年で大体四千二百万名の国民に健康診断を行なっております。
  95. 藤原道子

    藤原道子君 おっしゃるとおり、感染性の患者が二十二万九千五百六十六人と発表されている。入院しているのが十一万二千九百九人、在宅患者が九万五千六百四十四人。そうすると、医療を受けない者、さらに在宅患者入院患者を上回っているじゃありませんか。これはなぜ入院ができないのか、入院のできない理由、患者がありながら空床がふえてくるという理由はどこにあるのか、これを伺いたい。
  96. 村中俊明

    政府委員(村中俊明君) どういう事情で入院ができないのかという点についてのお尋ねでございますが、私ども結核患者を扱う場合、化学療法、外科療法、あるいは全般的な療法というふうな形で処理をするわけでございますが、入院をして手術をしたり、あるいは安静をとりながら療養をするということが一番患者の治療にとって必要な場合、家庭的な事情もあったり、生活環境の問題もあったりして、医師指導があれば自宅で療養してもいいだろうという患者もあるわけでございます。自宅で医療を受けて、在宅の患者入院されないでいるということについての療養上の問題が困ると、一がいにそういうふうな判断は私はできないと考えております。最近の化学療法の非常な進歩によりまして、御承知のとおり、軽い勤務をしながら療養をしている場合もありますし、あるいは自宅生活を続けながら治療を続けている、いろいろ仕事をしながら治療を続けておる場合もある。問題は、私は、特に先ほど御指摘のございました感染性の結核患者の中で、特に菌を排出をする、あるいは他に感染を及ぼすような肺臓のほうの病巣の所見があると、一例を申し上げますと広汎空洞型という、こういう患者の場合には、これは御承知のとおりに、伝染病予防法に従いまして命令入所の措置をとるというわけでございますが、この広汎空洞型の患者が現在まだ五%程度入所できないで外にいるというふうなのが、私は端的に申し上げまして、一つの問題点であろうと感じております。これにつきましては、保健所の機動力、あるいは保健婦、そういったものを動員いたしまして、できるだけ実態の把握と入所の勧奨をやっておりますが、残念ながら、この五%程度の広汎空洞型の在宅の患者というものは、ここ数年来横ばいの状態を続けているわけでございます。
  97. 藤原道子

    藤原道子君 私は、化学療法が進んできたといっても、感染性の患者でございますから、やはり相当考えなければならないんじゃないか。ことに最近結核患者の問題点といたしましては、老人層なり貧困層、中小企業、無職などの階層が吹きだまりになっている、ここに問題があるんじゃないですか。さらに、また、一部の地域、西日本方面に偏在している、これは何を物語っているか、健康管理が十分でない、生活は楽でない、自分が入院したあとの家族の生活がどうなるか、こういうことで入院に踏み切れない人もいるのじゃないか、あるいは、また、国立療養所入院したい患者が、重症の場合は入院を拒否している例がある。五年も十年も病床をなおりもしない患者に占められてはかなわない、だから一年か二年でなおる患者を入れれば回転が早くなる、だから重症患者は入れないのだ、こういうことを言っているところがあるのでございます。これは一体どういうわけでございますか。一つの例としまして、これは昭和四十年ごろから排菌している右肺上野に数個の空洞がある、そうしてガフキー二号というのですか、結核菌が排出している重症患者が出ているにもかかわらず、国立療養所の春霞園では、本人が両手、片足がないために手がかかるからといって、二時間にわたって説得して入院を拒否した事実がございます。これに対して四月十日の衆議院大蔵委員会若松医務局長は、医師が病状上入所の必要がないということで入所を断わったのだ、こう答えていらっしゃる。ところが、国立療養所の入所を認める病状の基準は何でございますか。この人が病状上入所の基準に該当しなかったというが、どのような診断によって判定したのでございましょうか。この患者は尼ケ崎の東保健所指導を受けて入園を申し込んだところが、春霞園が断わった、そこで、尼ケ崎市内の私立の病院の診断を受けて、そうして武田病院から尼ケ崎の東保健所に、こういう患者だからということで、即刻入院を要する、こういう結核予防法第二十九条による命令入所を申請した、ところが断わった、どういうことになるのですか。だから療養所入院できる基準というのはどこにあるのか。こういう手のかかる患者は断わった、若松さんの答弁とは食い違っているのです、私ども調査では。こういう人は断わってよろしいのでございましょうか。結局、医務局、療養所課長会議ではいろいろ指示しておいでになるようでございますけれども、結局こういう入れなきゃならない感染性の強い患者、だが、かたわであるから入れない、これが厚生省の態度として許されるだろうかどうかということを私は御答弁が伺いたいと思う。
  98. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいま話題になりました事例につきましては、私どもは、主治医が診察をいたしました結果、早急に入所する必要がないということで説得して帰したというふうに承知をいたしております。原則的な問題といたしまして、私どもは、国立医療機関の使命にかんがみまして、できるだけ重症患者も引き受けるようにということを指導しております。しかし、何ぶんにも、療養所といいましても、それぞれ看護定員がございまして、重症病棟というものは看護婦をたくさん配置しておりますが、そこにはやはりそれぞれの数がございますし、軽症を入れております病棟は看護も手薄でございますので、そういうところに重症患者を入れるということも、医療上かえって危険がございます。そういう意味で、施設の事情等によりまして、残念ではございますが、収容できないということのないわけではないかと思います。まことに遺憾でございますので、これらの点は先ほどの療養所会議にも十分注意いたしまして、そのようなことの絶無を期するように指導してまいった次第でございます。
  99. 藤原道子

    藤原道子君 看護が手薄だから、入院してもかえって悪い結果があるんじゃないかということは承れませんね。そういうことで国立療養所入院を拒否した場合、一体その患者はどうなるのか、菌をばらまきながらのたうち回って死んでいけということですか。民間で療養ができないような人こそ国立療養所ではこれを収容し、そして手厚い看護をする、これが国の行なう医療の姿でなければならないと思うのです。手薄で看護が十分できないなら、それに対する対策はなぜやらぬのか。緊急を要する患者を手薄だから断わった、これじゃ私黙っているわけにまいらぬ。大臣、それでよろしいのでございますか。
  100. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま御意見を承りましたが、特に就任以来国会のほうで、現地を視察する時間がございませんので、終了後、直ちに全国の現地を視察して、御指摘の数々を実地に調査して改善をいたします。
  101. 藤原道子

    藤原道子君 こういうことは随所にあるのです。大臣は先ほどの写真をごらんいただいてどういうふうにお考えになったか、これが実態ですよ。
  102. 園田直

    国務大臣園田直君) 写真を拝見いたしまして、先生と同じように私も考えております。
  103. 藤原道子

    藤原道子君 先生と同じようじゃ困るよ。大臣対策をどのようにしたらよいと考えるのか。
  104. 園田直

    国務大臣園田直君) 同じように考えれば、それぞれ議員の方と行政官の長としての責任は別個になってまいりまするが、先生が考えて非常におしかりになっていると同様に、私も同様な気持ちを持ってこれに対処する考えでございます。
  105. 藤原道子

    藤原道子君 じゃ具体的にはどうするの。私は、大臣が国民の命をあずかっていらっしゃる、ですから、きょうは実地を視察していらっしゃらないだろうと思うから写真を持参して御参考に供したわけです。こういうところで看護婦さんもお医者さんも働いておる、それが生活に値しないような安い給料で、しかも、過重労働で自分の健康さえ破壊されているというような実情を、大臣、真剣に考えていただきたいから御質問をしているのです。もっと適切な御答弁を私は承りたかったと思います。そこで、問題は、感染性の結核患者入院ができない、これに対してどこに原因があるかということについての御答弁がなかったと思います。これとあわせまして、先進国の結核対策はどのように行なわれておるか、これをひとつ聞きたいと思います。
  106. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実態でございますが、感染性の患者が相当多数在宅しているということ、これはなぜ入られないかということでございますが、先ほど答弁がございましたように、感染性の患者が全部入院しなければならぬ状態かどうかということも、必ずしも疑問がございます。在宅で十分行き届く治療が行なわれる場合には、家族のめんどうを受けながら在宅療養するということも一つの方法であろうと思います。そういう意味で、単に数字の上で全部が入院しなければならぬというふうには私どもはいま考えておりません。しかし、現実に入院したほうがいい患者がなお在宅療養している者も相当あるということも事実であろうと思います。そういうものにつきましては、これは現在のところ、公衆衛生活動を通じて、できるだけその促進をはかっておるわけでございまして、療養所といたしましても、保健所のそのような公衆衛生業務に協力して、それを援助するというたてまえをとっております。諸外国の実情といいましても、これとちょうど比較するような実情を私現在つまびらかにしておりませんが、いわゆる先進諸国におきましては、結核は日本の十分の一、あるいはそれ以下に減少しておりますので、現在日本の実情と直接に比べることはかなり困難があろうかと思っております。
  107. 藤原道子

    藤原道子君 諸外国は日本の十分の一くらいに減っておると言うが、減るまでに至った対策が問題だ。私はここにデンマークの結核対策資料を持っておりますが、これなど見ますと、結核患者で、もし入院するために家族の生活が困るならば、診察治療の費用が無料であると同時に、立法によってその困難をやわらげ、結核で首になった公務員には、学校教師には特別年金が設けられておる。その他の国民のためには、つまり大部分ですが、療養期間中の本人とその家族の生活の保障が法律によってきめられている。この援助法は一九五〇年ごろからやられておる。そのためにたとえ一家の働き手が病気になったとしても、一家の社会的私生活のレベルは少しも下がることはない、金銭的援助がなされている。いままでのアパートにずっと御主人がいなくても居住していかれる。もし患者に金銭上の負債があった場合、借金や抵当物の形で、ある借金に対しては公費で弁済をしてやる、ここまで徹底した結核対策が行なわれておる。ここまでやれば、何も好んで結核でありながら入院もできない、働けば悪くなると知りながら、泣きながら働く、そして結核菌をばらまいて感染が次から次に行なわれる、こういう悲劇はなくなると思うのでございます。私は、いま日本でそういうことを言えば夢物語りのようにお考えかもわかりません。だが、らい病患者は、生活保護が、家族には資産があるなしにかかわらず、与えられる。これも伝染病、結核も伝染病、それならば、せっかくここまで追跡してきた結核対策をもう少し真剣になってお考えになってやるべきではないかと思う。私はこれに対しての答弁は要りません。どうせ言いわけだけでしょうから。  そこで、必要化学療法の期間はどのくらいが適当だと考えていらっしゃるか。まあ患者によって違うかもわからない。最短一年半から、多くの例は二年と考えたらよいのであるといわれておる。ところが、日本の現在の結核の化学療法期間は十分に実施されていない。三十六年度に結核予防法の公費負担が許可になった全国の症例の統計から見ますと、六カ月単位の許可の中で、実際の治療はわずかに四・二カ月、そうして菌が出なくなったから退院をさしておる。これで十分なのでございますか。いま入院患者が新しく入院する人と再入院患者との比率はどうなっておるか、これもひとつ聞きたい。したがいまして、前々からわれわれが主張しておりますところのアフターケアの施設、こういうものはいま現在どのくらいあるんですか。せっかく金をかけてある程度まで直ったなら、医師の看護のもとに職業訓練をする、そうして社会復帰にふさわしい状態になって初めて退院さしたならば、私は、再発することもなくなるし、無理をしないからそのまま健康が回復できるんじゃないか、こう思っておりますが、それに対しての医務局長のお考えを伺いたいと思います。
  108. 森中守義

    森中守義君 ちょっと議事進行。  委員長理事打ち合わせの決定によったかと思いますが、厚生大臣が退席しましたよ。あまりにも重大な問題で核心に入っているのに、大臣が退席してこういう質問を続けられませんよ。だから、ちょうど十二時半でもあるから、いまの答弁大臣がくるまで一応保留してもらいたい。休憩に入って、大臣の出席したあとでやったらどうですか。
  109. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) それでは、暫時休憩いたしまして、午後一時三十分再開いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会   〔社会労働委員山本伊三郎委員長席に着く〕
  110. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) ただいまから大蔵社会労働委員会の連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  111. 藤原道子

    藤原道子君 私は、午前中の質問に対する答弁漏れがございますので、その点からまずお聞かせを願いたい。大臣
  112. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほどの御質問は、アフターケアの問題と、それから、一ぺん退院をし、再入院する者の数という御質問だと聞いておりますが、アフターケアは、ただいま二十九ヵ所に施設をつくっておりまして、千五百人やっておりますが、アフターケアは病気の治療の段階でありまするが、場合によってはアフターケアのほうがきわめて大事でございまするから、この点は十分御意見をもとにして今後とも充実をしていきたいと考えております。  再入院の率は、数字の問題でございますから、医務局長から答弁させます。
  113. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 再入院率と申しますのは、全国の数というのはちょっといま把握をいたしませんが、国立療養所で昨年の十一月に調査いたしましたところでは、少なくとも、どこかの施設で一応入院して、それから退院した者で再び国立療養所に入ってきた者というのが約四〇%、それから、当該施設で療養したことがあって、一たん退院した後、再びその施設で療養しているという者が約一〇%でございます。
  114. 藤原道子

    藤原道子君 ということになると、再入院考えられる者が半分あるわけですね。方々の病院へ行った者が入った者が四〇%、その施設へまた再び入院した者が一〇%、こうおっしゃったわけでしょう。ということは、そうでしょう。
  115. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ちょっと言い方が間違いましたが、一〇%というのは四〇%のうちの細計でございます。
  116. 藤原道子

    藤原道子君 わかりました。それでは六対四ということですね。私はこれはむしろ国費のむだ使いになる。したがって、大臣がいま答弁になりましたアフターケアが非常に必要になってくる。ですから、これを至急にひとつ拡充をしていただきまして、社会復帰したときには健全なからだで働ける、そこまでめんどうをみていただかなければ使った金が死んでしまう、これを強く大臣に要望いたします。いまこれは進めてまいりますと言われたことばを胸にとめて、さらに強く要望いたしておきます。  それから、一つお伺いしたいと思いますのは、四十二年の二月に、荒川の人でございますが、これが入院を申し入れたところが入院を拒否された。そうしてほかの病院へ入院して、そして死んでおりますけれども、これに対して、そのなくなった患者のおとうさんが日患の諸君に泣いて訴えた。ところが、これが植村診療部長に面会をして、約三時間にわたって交渉したけれども、そのとき植村診療部長は、「東京病院は、ホープレスケース(治る見込みのない、絶望的重症患者)は入院させない」のだ、「ホープレスケースの患者でも、東京病院で治療すれば、十年ぐらいは生きられる。しかし、結局治らないで死んでいく」んだ、「治らない患者に十年もベッドをふさがせるより、重症でも一年くらいで中等症になる患者入院させ」ることができなくなる。これをやれば「ベッド回転が早くなり、多くの患者を助けることができる」から、重症だから拒否したのだということをはっきり言っている。ということになると、結核菌をばらまきながら国立の療養所でそういうことで入院拒否をされたとすると、これは重大な問題だと思いますが、しかも、それが基幹病院、十分な模範的な療養所の、しかも、診療部長のお話でございますから、厚生省はその方向であるのではないのでしょうか。しかも、この植村医師は十月十日の朝日新聞にも同様のことを堂々と言っている。基幹的な療養所として建設された療養所診療部長の発言でございます。これは私は軽々しく聞くわけにはまいりません。したがって、厚生省として、今後はそういう重症患者、なおる見込みのない患者入院を拒否する、こういう方針であられるのではないかと思いますが、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
  117. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまその事実を承りましたが、決してそういう方針ではなくて、いかようなる重症患者でも収容して、国家が責任を持って治療するのが当然であると考えております。なお、その問題については当事者とも話をして、注意をしておきます。
  118. 藤原道子

    藤原道子君 話をして注意をするとおっしゃるんだけれども、ずいぶん方々にございます、入院を拒否された例は。そういうこともひとつぜひとも大臣みずから調査なさいまして、ぜひそういうことのございませんように、国の医療機関でございますから、貧しい人、病重い人、こういう人こそ国が責任を持ってあずかるのが私は使命であろう、こう思いますので、強くこの点を要望いたしておきます。  次にお伺いしたいと思いますのは、国立療養所の差額徴収でございます。御改正になってから国立病院では差額徴収がどんどんふえております。若松さんが衆議院の委員会の答弁で、わずかに〇・何%、こういうことの御答弁でございましたが、私どもはどうもそのようには思えないのでございます。で、国立療養所整備するために特別会計制にするのだという八十四施設の特別整備計画されているようでございますが、この中で、大阪の近畿中央病院とか刀根山病院とかなどのように、差額徴収をする施設は何施設ぐらい予定されておるのか、医療機関が差額徴収をする法的根拠はどこにあるか、国立療養所で差額徴収をしている施設は何施設あるのか、施設名と施設数をそれぞれお知らせを願いたいと思います。国立療養所の近畿中央病院では、特別室が一日に三千円、個室が一日に五百円、二人部屋で一日一人百円、こういうふうにやられておるが、差額徴収施設の診療収入に対する差額徴収の額及びその比率をお示し願いたいと思います。  時間がございませんので、私は続けて、国立療養所の差額徴収は今後拡大するのかどうか、これについても御答弁を願いたいと思います。
  119. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立療養所における差額ベッド実態につきましては、いろいろこまかな点がございますので、それは後ほど資料として先生のお手元に差し上げたいと思いますが、大まかな点を申し上げますと、現在差額ベッド療養所で持っておりますものは七施設ございますが、七施設医療法上のベッド数が五千九百六十六あります中で、二百六十五病室、四百二十八床が差額ベッドになっております。したがって、大体〇・六%程度の率になるわけでございます。この料金等は、お話のありましたような比較的少ない料金でございます。将来はどうかということでございますが、これも、現在国立療養所に入りたいという希望があっても、事実上あまりに設備の悪い病室に入れない患者の希望も相当ございます。また、社会的に相当の地位もあり、社会生活が療養中にも持ち込まれるというような観点から、どうしてもそのような個室を必要とするという例もございますので、それらの点も考慮しまして、将来近代化等の行なわれる施設については、若干程度のいわゆる差額ベッドは設けるつもりでございますが、決してこれがために収入を得ようとかというような意思は毛頭ございませんので、どこまでも利用者の便宜という範囲内、しかも、低所得者を排除するというような弊害の起こらないようにこの施設を設置してまいりたいと思っております。
  120. 藤原道子

    藤原道子君 収入を得るために差額を徴収するんじゃないと、じゃ何のために差額を徴収するのか、私はそういう答弁では納得がまいりません。ことに私がこの際お伺いしたいことは、特別会計ということになりますと利点と欠点がある、これは厚生省が発表しております。私はその欠点のほうが増大される危険があるからわれわれは熱心に質疑をしているわけです。収入をふやすのでなければなぜ差額が必要になってくるか、窓側は百円高い、そんなばかげたことを言っておりますよ。まさか医務局長が知らないはずはないと思う。さらに、そういうふうにして患者の診療費からひねり出して、そうして療養費の国家支出を少なくしようとしておる。少なくとも、今度特会制になれば、いま国立病院特会制になってから、本省の課長補佐二名を含めまして、計四十九名、地方医務局では、次長二名を含めて百八名、計百五十七名が、その人件費など、一切が国立病院のお世話になっている。特別会計制でそれを払っている。特別会計にならないときには、こうした人は本省の一般会計の人件費から出していたはずです。特別会計になれば、なぜこういうお役人の月給まで病院の会計で払わなければならないのか、なぜこれにおんぶしなければ人件費がまかなえないのか、私はこれがまことに納得がまいりません。そうして今度国立療養所特別会計になると、その数は、本省で約百名、地方医務局で三百四十名、計四百四十名が診療収入特別会計給与が支払われることに予定されておると私は承っております。これがいま消費者米価が問題になり、食管が赤字になるという中で、やっぱりこういうシステムがずいぶん費用を食っているので、これはただでさえ乏しい医療費の中で、なぜこういう役人の給与まで出さなければならないのか。現在病院ではこれをやっているのでございますが、療養所ではどう考えおいでになるのか、私には納得がまいりません。
  121. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 昭和四十二年までにおきましては、国立病院特別会計療養所は一般会計でございました。したがって、地方医務局担当の管理系統の職員並びに本省におきます現業を担当しております職員は、それぞれただいまお話のありましたような一般国立療養所、あるいは、らい療養所を担当する分として一般会計の職員、それから、国立病院管理する職員として国立病院特別会計でそれぞれ負担をしていたわけでございます。しかし、負担はしておりますけれども国立病院特別会計で負担する職員も、職員費は一般会計からの繰り入れでまかなっております。したがって、国立病院の診療収入でもって管理職員を養うという形はとっておりません。このたび国立療養所その他の運営に当たります管理系統の本省並びに地方医務局職員特別会計に移しますけれども、これも全部一般会計の繰り入れによってまかなう、したがって、診療収入勘定でまかなうということは毛頭ございません。したがって、今後は、特別会計に移りますればすべて特別会計支出になりますけれども、一切一般会計の繰り入れを財源とする職員ということになるわけでございます。
  122. 藤原道子

    藤原道子君 それでは重ねてお伺いしますが、特別会計のほうに入るけれども、これは給与その他は一般会計から繰り入れる、だから病院の会計には何ら関係はないと、はっきり言い切れるわけですか。
  123. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 先ほどの御説明でちょっと間違いがございました。国立病院管理に当たる職員は、これは国立病院特別会計の今度は病院勘定から出ますが、これは一般財源の繰り入れをもって充てて支出する、そうして残った従来療養所の運営をしております一般会計の職員、これは従前どおり一般会計負担でやっていくということでございます。
  124. 藤原道子

    藤原道子君 私はちょっと納得いかないのですが、委員長の厳命がございまして、時間がないので、足らざるは同僚委員から質問していただくといたしまして、最後に一つございます。  いま国立の、らい療養所全国に十一ございますけれども、一万ベッドございますが、これを将来特別会計に移す計画があるのではないか、こういう不安がございます。また、医務局の所管からはずして、公衆衛生局、あるいはその他の局に移すのではないか、あるいは聞くところによると、藤楓協会の所管に将来は移すことを考えているというようなことを医務局の責任ある課長さんが言っておられます。ということになると、非常に、らい療養所職員、あるいは患者さんたちにたいへんな心配をいま与えているし、医務局の本音が出たのではないかといわれておる。私は、ハンセン氏病は特殊な病気で、国が責任を持って最後までみるのが妥当だと思っている。ことに遺伝であるとか何とかということで強制的に収容したり、ところが、それが今日の医学で伝染病であるということがはっきりしてきて、回復して退院、社会復帰している人もだんだんふえております。しかし、まだ一万の人がいるんです。そこに働く職員の人たち、あるいは患者さんたちが非常に苦労いたしておりますが、厚生大臣、将来とも一般会計で国が責任を持って運営するということでなければならないと思いますが、いかがでございますか、この点はっきりお伺いしたいと思います。
  125. 園田直

    国務大臣園田直君) そのとおりでございます。
  126. 藤原道子

    藤原道子君 いやにあっさり言いますが、間違いございませんか。
  127. 園田直

    国務大臣園田直君) 間違いございません。
  128. 藤原道子

    藤原道子君 では、私の質問は終わりますけれども、きょうお伺いいたしました医者充足の問題、待遇の問題、さらに看護婦さんたち、との不足からくるいろいろな人身事故の問題、あるいは看護婦さんたちが過労のために異常産が起こり、退職しておる。学院で習ったことも、その三分の一ぐらいしか実行ができない心の悩みでやめざるを得ないという人がある。診療拒否の問題、いろいろ私は御質問を申し上げたいのでございますけれども、きょう御答弁になりました大臣のおことばを信用いたしますので、ぜひとも病める人が安心して療養ができまするように、さらに看護婦さんたちが非常に苦労して働いていることをお考えいただきまして、人事院勧告を至急に私は実施をしてもらいたい、喜んで働けるような職場をつくってもらいたい。私はその他いろいろお伺いしようと思いましたが、このことを強く要望いたしまして、さらにちまたに眠る二十万に達する優秀な看護力をどう掘り起こすか、これについては、先ほどお話のございました保育所をつくるとか、仮眠の所をもっと整備するとか、いろいろ対策はあるはずでございます。さらに将来の希望もなくなってやめていく准看の人たちのために、私ども考えておる点をぜひ検討していただきまして、実務何年によって講習その他で国家試験が受けられる制度をつくってもらいたい、こういうことを、命を大事に守る立場にあられる厚生大臣に強く要望いたしまして、私は質問を終わりたいと思います。とにかく民主政治は多数決がすべてではありません。少数党の意見を十分に聞いていただいて、正しきはこれを取り入れる、その上に立っての多数決でなければ民主主義政治とは言えないと思います。これだけ多くの問題をかかえておりまする特会制をこの際強行されることは、ぜひ十二分に御検討願いたいということをつけ加えまして、私の質問を終わることにいたします。
  129. 森中守義

    森中守義君 厚生大臣、非常にお忙しいようですね。またあとおいでいただくということですから、質問がこま切れになりますけれども、最初に少しこういうことを伺っておきたいと思います。今回の法案の提出を決定された閣議はいつでしょうか。
  130. 園田直

    国務大臣園田直君) 二月六日と覚えております。
  131. 森中守義

    森中守義君 一般会計を特別会計に変えたいということは厚生省の意思ですか、それとも財政当局の意思、結果的には合意に達したわけでしょうが、どちらからそういう問題を提起したのですか。
  132. 園田直

    国務大臣園田直君) 両方からの意見でいろいろ折衝の結果、最後に一致したわけでございます。
  133. 森中守義

    森中守義君 結果においてはそうでしょうが、発議をするときに、期せずして厚生当局と財政当局が日にちから何から符節を合わせたようにしてやりましょうということじゃないのじゃないですか、私はそれを聞いておるのです。どちらからか、やろうじゃないか、よかろう、こういう経過があると思うのです。ですから、これは厚生省にとっても、また、医療関係にとりましても非常に重要なことですから、どちらから発議が持ち込まれていたのか、それをひとつ聞かせてください。
  134. 園田直

    国務大臣園田直君) どちらから持ち込まれたか、経緯は知りませんが、これは数年来の持ち越し事件でありまして、私は大臣としては、特別会計に移った場合に、そのしわ寄せが患者や従業員にきて国立療養所の使命をそこねるおそれがあるので、慎重に検討しておりましたが、予算折衝最終段階で私は財政当局と一致したわけでございます。
  135. 森中守義

    森中守義君 療養所の財政の扱いが特別会計であったほうがいいのか一般会計であったほうがいいのか、それは国会で十分審議しますから、そこまであなたに聞かなくてもいい。ただし、数年来の懸案であったということは、具体的に何年間ぐらい検討を加えてきたのですか。むしろ私は、唐突に大蔵省が持ち出してきたのか、あるいは厚生省が持ち出していったか、これもかなり大問題であると同時に、いまいみじくも大臣の言われる数年間検討を加えたということがどうしてもひっかかるのですが、具体的に何年ぐらい、そしてこの制度がどういう経済効果を生むのか、あるいは行政効果を生んでいくのか、ひいては社会保障の前進に寄与するのかという問題をどのくらい掘り下げた結果ですか。数年前から検討していたというなら、それを具体的に示してください。
  136. 園田直

    国務大臣園田直君) 年月日の経過でございますから、医務局長からお答えいたさせまして、あと必要なことは私からお答えいたします。
  137. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立療養所特別会計への移行の話が出ましたのは昭和三十三年ころだと聞いております。そのころからいろいろ話が出ましたが、率直に申しまして、大蔵省側から話を持ちかけられたことが最初は多かったわけでございます。最近に至りまして、少なくとも、この三年間私は医務局長をしておりますが、むしろ積極的に特別会計に移行すべきであるという考え方をかなり明確に持ちまして、逆に大蔵の財政当局に対して、特別会計に移行すべきではないかという話し合いをしたことがございます。といいますのは、やはり十年の間に相当の情勢の変化がございまして、十年前に話し合いが出た時代と最近の事態とでは、かなり状況の変化があると思っております。といいますのは、最近のように、結核が減りまして、他の目的に向かって療養所を再編整備しなければいかぬ、また、緊急整備が焦眉の急であるというような状態等を含めまして、かなり状況の変化があったと存じております。
  138. 森中守義

    森中守義君 三十三年からだから、ちょうど十年ですね。いまお話によれば、若松君が局長になられてからこれに取り組んだ、言いかえれば、以前の局長はこれは同意を与えてなかった、少なくとも、十年間の七年間この問題が留保されておったということは、特会制に移行していいのか悪いのか、これに対する厚生当局の態度、あるいは一般会計がいいか特会制がいいかという答えが出なかったということに私は通ずると思う。それは後ほどまた具体的にいろいろお尋ねしますから、その際の議論に譲るとして、二月六日に法案が閣議決定として出されている。一体この国会で予算上の制度を変える、同時に法案を成立させるという、その辺の、私は、財政当局はもちろん、厚生省当局の見解が、多少国会に対する、ある意味で審議権の拘束、審議権の無視、そういうようなものにも通ずるような気がしてしかたがないのですよ。どういうことかというならば、正規な場所でこそそういう意見は聞きませんが、いろいろいわれている。こういう人道上の問題であるにかかわらず、国会は法案の成立を急いでいない、国会の責任である、中でも野党の責任であるというような話がしばしば私どもの耳に入る、厚生省当局の中からそれがある。厚生大臣知っていますか。
  139. 園田直

    国務大臣園田直君) 新聞であるいはごらんになったかと思いますが、私は大臣の談話として、本法案がおくれたことは国会の責任ではなくて、一に私の責任であるという談話を発表いたしております。
  140. 森中守義

    森中守義君 公式にはまさにそのとおり。公式の談話の発表として、厚生大臣が、厚生省の役人が流布しているということを言われるなら、これは大問題、そういうことは常識としてもそれは言えません。だから私は、額面どおりに大臣の言われることを信用したい。しかし、そうじゃなくて、いかにも国会が法案の審議をサボっているかのように、しかも、人道上の問題であるにかかわらずなどというに至っては、まさに脅迫ですよ。私はそういうように受け取っている。一体、この法案がいつ通るという見通しはありませんよ。何だか仄聞するところによれば、厚生省の内部には、あした打ち上げだ、長かった、こういう話があるといわれる。まことに不届き千万、おそらく大臣がそういうことまで御存じであるかどうかわかりませんが、厚生省の中にはそういうものが充満していますよ。国会の審議権を何と心得ていますか。大臣、どうですか、直ちに事情を調査いたしますか。いやしくも国会としては、そういう不見識きわまりない話が省内の首脳部の中にありとするならば、あなたも国会議員の一人だから、国会の権威を高からしめるためにも、直ちに調査してもらいたい。いかがでしょうか。
  141. 園田直

    国務大臣園田直君) そういうことはないと思いまするが、御意見の内容はよく調査をしてみます。なお、私が言いましたのは、公式に言っただけではなくて、質問されて言っただけではなくて、みずから進んで言ったことは、私が国会に対する権威を冒涜しないためにあえて行なった談話でございます。
  142. 森中守義

    森中守義君 そこで、ほんとうは官房長官にお越しいただいていろいろお尋ねすればよかったんですが、その手配ができておりません。したがって、厚生大臣、そして、また、国務大臣という立場からもお尋ねしておきたいと思う。よく予算法案というものが通常国会に幾らか出てきます。しかしながら、この内容については、内閣においてもっと慎重に検討の余地が私はある、常日ごろそう思っております。予算が通ったから、関係の法案は自動的にこれを成立せしめなければならないという、こういう言い方や、あるいは事実上の拘束というものをしばしばわれわれは受けた経験がある。そうなれば、両院を通じて、相当長期にわたる予算の審議はさることながら、はたして法案というものが十二分に審議が尽くされるかどうかということは、国会の自主的な能力と判断によるけれども、かなり客観的な情勢として、精神的な拘束を受け得ないということは、私の若干の体験を通してもない、やっぱりありますよ。だから、内閣一体として考慮してほしいのは、特に今回のように、会計制度を変えねばならぬということになれば、これはもう財政法上きわめて重大な問題で、影響するところこれまた大きい。そうであれば、まず前年度あたりに法案の審議を求め、その成否によって財政の措置をとっていく。少なくとも、私は、財政といい、あるいは立法といい、政策の具体的な実行ですから、場当たりで予算をつけたから法案をつくらねばならぬという、こういうその場その場のやり方は行政府にとってどういうものであろうかという、こういう疑いを持つのであります。大臣が言われるように、間違いなく国会の審議権を行政府がおかしたり拘束する意思はない。そのことが正当にそうであるとするならば、具体的な実行の中でそれを示したらどうですか。そういうかなり長期にわたる展望を持たないために、今回の特会、これが給料も払えない、厚生大臣が法案をおかしたかどによって告発を受ける、こういう不測な事態が発生するということは、これは民主的な議会の制度上、議会政治上前例がありませんよ。その責任は私は大きいと思う。ですから、このことは、予算法案という関連においては、ひとり厚生省のみを責めるというのはいささか酷であろうと思いますが、これから先、予算関係の法案というものは、そういう一つの常識を持たなければなかなか私は困難じゃないか、そのことが立法府対行政府の正常な慣行になってもいいんじゃないかと、こう思うのですが、厚生大臣いかがですか。
  143. 園田直

    国務大臣園田直君) 不測の事態等もございまして、私の見込み違いでこういう結果になったということについては責任を感じておりまして、今後は十分御意見を拝聴して、その趣旨に沿うように準備をしたいと、こう思います。
  144. 森中守義

    森中守義君 非常に厚生大臣謙虚過ぎて、私の見込み違いだと、こうおっしゃる以上、あまりこういろいろ文句も言えませんが、私は、二月の六日に閣議決定して、しかも、参議院選挙、かてて加えて倉石発言などが飛び出した。予定の日に法案が成立するという見通しは、すでにそのときなかったのじゃないかと、そういう判断をしてもいいと思いますよ。ちょうど二月の六日といえば倉石事件が発生をしたその日か、あるいは前日に当たるようです。だから、そういう意味で見通しを誤ったと、こう言われるのかもわかりませんが、それならそれで、随時、予算の制度上、ある意味で手続的な措置がとられるわけですから、そういう措置でもなぜとらなかったのですか。指定されたその日に給料が払えないということは、各省庁の間にその例を見たことがない。そういうことのために大臣が告発を受けたという話も私は寡聞にして聞いたことがございません。これは大きな行政上の失態ですよ。醜態ですよ。しかも、何ですか、最近いろいろ聞いてみると、当初当事者間におきまして一括して書類の取りかわしをする、すなわち、個々人には借用証は取らないと、こういう約束であったにもかかわらず、最近に至っては職員一人一人に借用証を取っているというではありませんか。一体職員が好んで金を貸してくれということになったのですか。政府厚生省の失態によって給料が払われなくなったのに、支給した金額に証文を書けとは何です。もしこのことが私の事実認識が誤っておれば訂正もいたしますし、取り消しもいたします。しかし、私はそう聞いている。その事実がありますか。
  145. 園田直

    国務大臣園田直君) 今度の場合、私の責任でございますから、私の責任で処理をしたわけで、職員の個々から借用証を取るということはしない方針でやってまいりましたが、いま聞いてみますと、場所によっては組合のほうで手続を間違っているそうでありますから、これは直ちに取り消しをさせて、私の全責任において処理をして、職員個人の借用証を取ったものはお返しすることにいたします。
  146. 森中守義

    森中守義君 失態に失態を重ねて、また、そういう失態をする。厚生大臣の威令が行なわれていないじゃないですか。責任者を処分しなさいよ、そういうのは。あまり厚生大臣が寛大過ぎる。善人過ぎるからそういうことになる。厚生大臣であると同時に国務大臣ですよ。そういうあなたの命令にそむいた官僚がおるならば首にしなさい。何もそういうのを、大臣の意思に反して行政行為をやるものを厚生大臣がほうっておく必要はありませんよ。要するにこういうことですね、厚生大臣はそういうことを指示されなかった、にもかかわらず、借用証を取っている事実はお認めになるわけですね。
  147. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は私の責任において処置をするよう指示をしたのであります。各職員の方から借用証書は取らないように指示をしてございます。あとで調査をいたしますが、全国的にそういうことではなくて、一部そういう間違いがあったと聞いております。
  148. 森中守義

    森中守義君 しかも、もっと問題にしなければなりませんのは、私の手元にこういう資料があるのですよ。いま大臣の言われるように、全部ではない、なるほどある部分のようです。しかし、ある部分でありながら、正規な賃金支給、こういう手続をとったところがありますよ。調べておりますか。青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、東京、神奈川、栃木、茨城、群馬、長野、新潟、富山、岐阜、愛知、三重、京都、岡山、島根、鳥取、山口、広島、香川、愛媛、徳島、福岡、長崎、佐賀、熊本、宮崎、北海道、これらの都道府県内にある各施設から成規な賃金を支給したということで措置がとられている。人事院総裁お帰りになりましたか。成規な賃金の支給とは何ですか、これは。幾ら手続や、あるいは指示等が間違っているといっても、こういう間違いはないですよ、これは、大臣どうです。
  149. 園田直

    国務大臣園田直君) 私のほうは、私の責任全国職員の方に賃金の支払いができなかったことを非常に痛感いたしまして、何としても本月中に職員の方に給料同額の金が渡るようにやれという指示を強くいたしましたので、約半日の間でやったことでございますから、そういう間違いがあったと思いますが、これまた私の責任でございますから、直ちにこれは改めさして、職員の諸君にもおわびをするようにいたします。
  150. 森中守義

    森中守義君 先ほどの借用証を取った取らぬという問題は、これは一歩譲って、明らかに手続上そういう指令指示というものが行き届かなかった、それは私も了承いたしましょう。しかし、成規な賃金の支給ということは、これは許されない、これは明らかに法律違反だ。これはいかに大臣が手続が不十分であったということでは言いのがれできませんよ、言いのがれできません。十七日に俸給の支給日が制度上指定されているにかかわらず、その支給ができないがゆえにそういう異例の非常の措置をとったわけですからね。にもかかわらず、成規な賃金の支給で受領さしているということは、これは明らかに大問題ですよ。これは私は簡単に大臣のおっしゃることをそうですかというわけにまいりません。いかがです。
  151. 園田直

    国務大臣園田直君) 直ちに実情調査をして、それぞれ手続をいたします。
  152. 森中守義

    森中守義君 大体、厚生大臣、こういう関係の責任者というのはだれですか、厚生省の場合。先ほど私が、公式な場所での発言でないから、本来ならば問題にすべきものじゃないですけれども、あまりひんぴんと、あしたは打ち上げだ、こういう話があってみたり、人道上の問題であるにかかわらず、国会はいつまでも法律を制定してくれないという意見等が飛び出してみたり、かてて加えてこういうやり方をする、この指導をやっているのはだれですか。官房長ですか医務局長ですか、だれですか責任者は。責任者を明らかにしてもらいたい。絶対にこういうことは許されない。
  153. 園田直

    国務大臣園田直君) 直接の指導をいたしておりますのは医務局長であり、最後の責任者は私でございます。
  154. 森中守義

    森中守義君 むろん行政の長官だから、大臣に変わりありませんね。医務局長ですか、責任者は。ちょっとこれをよく見てごらんなさい、成規な俸給の支給です。いつ予算の執行ができるようになったんですか。
  155. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 直接の指導をいたしましたのは私でございますが、非常に急場のことでございましたので、電話で全部指導しております。その電話も慎重を期しまして、私どもといたしましては、一人ではなかなか手が回りませんので、数名で手分けをいたしまして、しかも、文章に全部書きまして、そうして間違いなく指導が徹底するように、また、この中間機関である地方医務局に対しましてもそれを筆記させまして、そうしてまたそれを地方に、そのまま同じ文章で伝えるようにということで、間違いの起こらないように念を尽くしたつもりでございましたけれども、遺憾ながらそのような間違いができたことはまことに申しわけないと存じます。
  156. 森中守義

    森中守義君 法律を侵犯しているということは、申しわけないでは済まない。私は、厚生省の皆さんがおのおのすぐれた能力を持ち、事務的にたんのうな人が多いと思う。だから筆記をさして指導したというならば間違いのあるはずがありませんよ。そういうように、私は、厚生省の皆さんが行政能力、あるいは事務能力において劣っているとは思わない。優秀な人がおりながら、なぜそういう事件が発生したか。言いかえるならば意図的だ、それは。何を意図したんですか。私は、事務上の手続を誤ったんだ、電話の聞き違い、話の行き違いでそうなったとは思いたくありません。医務局長は、あなたの下僚に対して常日ごろ信頼しているでしょう。信頼している厚生省職員が、上級局からおりてきた指令、指示ないしは通達等を、そう極端なあやまちをおかすなどというようなことはあり得ませんよ、それは。あり得ないことだ、何か他意があったんじゃないですか。むしろ私はそれを問題にしたい。
  157. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもといたしましては、非常に緊急でございましたので、通常俸給日に支払いする現金と相当金額が本人の手に渡るようにやれというふうに言いまして、給与であるということは直接言ってはおりません。したがって、そこに事務的な操作の判断が誤ったものでできてきたというふうに存じております。通知いたしました趣旨は、決して給与ではないということを文章の上でもわかり得るようにちゃんと指導していたつもりでございますけれども、その点たいへん遺憾でございました。
  158. 森中守義

    森中守義君 この問題は、また後日大蔵委員会に私おじゃまになるつもりですから、またそのときに少し財政法の問題と給与法の問題を中心にお尋ねすることにいたしましょう。しかしながら、要するに正当な支給行為が行なわれていなかった、同時に、当事者間の協約、協定というのか、約束というものをあなた一方的に破った、このことだけは明確にして、さっきお話もあったとおり了解をしておいてよろしゅうございますね。
  159. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 手続上間違いのあったことは承知しております。
  160. 森中守義

    森中守義君 ちょっと最後よくわからなかったが、間違いがなかったことを承知しているということですか。
  161. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 手続上間違いがあったことを承知しております。
  162. 森中守義

    森中守義君 大臣答弁があったわけですから、繰り返して言いませんが、直ちにそのことは正当に措置いたしますね。
  163. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 間違った手続については訂正いたしたいと思います。
  164. 森中守義

    森中守義君 それから、いまのこととやや似た問題ですが、「国民の期待にこたえる国立療養所」、こういう。パンフレットが私の手元にある。大臣知っておりますか。そして全医療新聞の二月十九日付の記事によれば、医務局の管理課長が三分間で会議を退席したが、その誌の出どころは厚生省である、当課である、こういったように言明をしておりますが、ただし、問題の性質上、どこで出したのかということを私は聞かねばならぬ。おそらくこの全医療新聞に間違いはないでしょう。なぜかというならば、日付がないし、出どころがない。まさに怪文書というべきだ。見たことありますか。
  165. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) それは私どもでつくった資料でございまして、職員、あるいは患者の皆さんにも特会の制度を十分理解していただこうと思ってつくったパンフレットでございます。
  166. 森中守義

    森中守義君 なぜそれならば日付と出しどころをはっきりしないの。行政機関の仕事というのはそれでいいんですか。
  167. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実は、御存じと思いますけれども、私どもPR用の資料を二つ出しております。一つはもう少し丁寧なパンフレットでございまして、いまお示しのものはリーフレットでございますが、一般管理者用にはかなり分厚なパンフレットを出して、さらにもう少し広く職員並びに患者に対して理解していただくためのものとして、まあ謄写にかえるという程度意味名前の入っていないものが出ていたことは実事でございます。
  168. 森中守義

    森中守義君 質問をよく聞いておってください。どうして日付と出しもとを明らかにしなかったのかと、こう聞いているんです。幾とおりあるかということ聞いているんじゃない。
  169. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 日付並びに責任の個所を書かなかったことはうかつであったと思います。私ども決して隠したりするつもりは全然ございませんで、私ども職員の手から全部配布されておりますので、当然私ども日付、責任は明らかになっていてしかるべきものであったと思います。ただ、申し上げましたように、ある意味では広く配るという意味で、謄写にかえるというような、各施設でも頒布するような趣旨も込めておりましたのでそのようなことになったかと思っております。
  170. 森中守義

    森中守義君 厚生大臣、よほど厚生省はあれしてください。正しく行政指導をやってくださいよ。何を若松局長とぼけたようなことを言うんだ。うかつに日付と出しもとを明らかにしなかったとは何事ですか。あなた何年役人をやっているんだ。十三年の卒業でしょう。民間のお医者さんから医務局長になったんじゃないでしょう。大学出られたのは十三年と聞いている。十三年の連中はいまはいないよ。たいがい次官になって、もう次官をやめている。各省庁の最古参だよ、あなたは。すでに三十年近くも役所にいて、それで出しもとと日付を入れなかったのはうかっとは何ですか。通さない、そんなことは。あなたの所管をする厚生省の付属機関か何かの説明ならそれでもよかろう。これは局長のポケットマネーからつくったものかね。税金だろう、これは。国の予算でつくったんだろう。ばかなことを言っちゃいかぬよ。私はうかつなるがゆえに日付と出しもとを出していないということは言わさない。子供が考えたってこんなことすぐわかりますよ。ほんとうのことを言いなさい。どうして出せなかったのか、ほんとうの理由さえ言えば事は簡単ですよ。私も意地はあまり悪くはないから、筋さえ通れば了解する。しかし、うかつなるがゆえに日付と出しもとを出さなかったということでは承知できない。
  171. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 二種類の印刷物を出しまして、片方は名前を入れてありますが、片方は謄写にかえるという、はさんで出す程度の気持ちもあったものでございますので、確かに注意が足りないことは申しわけないと思います。
  172. 森中守義

    森中守義君 二種類の一種類、これですか、グリーンの表紙。もっとほかにあるの。ほかにある、どっちだ。
  173. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) それでございます。
  174. 森中守義

    森中守義君 これには名前を出し、日付を入れたと言うが、これないじゃないか、これに。どこに入っているんだ。私も目が悪いから見えぬのかわからぬが、ないよ。
  175. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 確かに印刷いたしましたときそれを抜かしまして申しわけございません。あとでゴム判で入れたのでございますが、すでにそのとき一部出てしまっていて、まことに申しわけないと思います。
  176. 森中守義

    森中守義君 私もこういう印刷の経験はないけれども、校正をやったり原稿書いた経験はある。多かれ少なかれ、そういう経験をみな持っております。そこで制度がかわる、その内容はかくかくである、少なくとも、不特定多数の人にこういうものでこれから先の医療会計の行き方を示そうというのには、一回ないし二、三回も校正をするものですよ。刷りものというものはそういうものなんだ。自分で書いて自分で読む分なら校正も何にも要らない。しかし、文字というものは自分以外の人たちに見てもらう、意思を伝えるというのが文字なんだから、責任を持たにゃいけませんよ。責任を持つということは校正を何回もするということだ。子供みたいなことを私も言っているけれども、あなた方も私にからかって答えているのかもわからぬけれども、そんなものじゃないはずですよ。しかも、これはゴム印を押して出す。さっきあなたこれは、これには日付と出しもとは入れたと、こう言いながら出ていない。両方とも入っていないというのは、何か目的があったんでしょう。なければこんなことを——厚生省は個人の商社でもなかろう。個人経営ではないんだから、局長がおり、次長がいたり参事官がいたり、課長や補佐や係長、いろいろの人がたくさんいて、うっかりしてこれは目が届かなかったということがあるだろうか。厚生省の行政行為というものはそういうものなんだろうか。もしそれが事実だとするなら、これは大問題だ。これは私は、もし局長の言うとおりならば、厚生大臣はこれは局長の進退を問うべきだと思う。どうですか、これ。だからほかに、いや、日付と出しもとは出し得ない理由があった、その理由はかくかくであったということがあるなら言いなさいよ。その内容次第で簡単に了解するよ。しかし、いまのように、目が届かなかったから入れていないと言うのじゃ、幾ら私は何と言ったってそうですがと言って引き下がるわけにはいきません。
  177. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) この資料は、当然できるだけたくさんの方々に読んでいただき、理解していただくという趣旨でつくったものでございますので、決して出所を隠す必要も何もない。厚生省の仕事として、当然厚生省責任でよく理解していただきたいという趣旨でやったものでございます。したがって、当然名前等も明らかにしておくべきであったと思います。私、この内容については、実は校正のときにも何回かことば等にも注文をつけておりますが、この上書きのできたときのことはうっかりしておりましたために、この上書きの校正までは見なかったものでございますから、たいへん手落ちがありまして、まことに申しわけありませんでした。
  178. 森中守義

    森中守義君 悪いことは何でもかんでも申しわけないでは通らない。それでは、上書きは見なかったならば、これは見たのはだれだ。参事官か次長か課長か、だれですか、その責任を明らかにしなさい。だめですよ。そういうことで申しわけなかったで国会を——これは何といったって国民の税金なんだから、そうですかというわけにはいかない。だれです、最高の責任者は。
  179. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 当然これは、こういう事務を主宰しております私が目を通すべきであったわけでございます。重々手落ちがありましたことを申しわけなく思います。
  180. 森中守義

    森中守義君 だめだよ。それは何もあやまってくれと言っておるんじゃない。国家行政というものは立法府に対して責任を持たねばならぬとなっておるんですよ。その責任を国会に持ってもらおうと、こう言っておるわけだから、こういうことで国家行政組織が国会に責任負えますか。おそらく四十二年度の予算を執行した中の一部だと思う。四十二年度の予算の審議にあたって、こういうことをやってよろしいということを国会は厚生省予算では承知をしていない。明らかにこれは行き過ぎとかやり過ぎとかいうものではありませんよ。あまりにも当然なことをなぜしていない。そういうことをやっておいて、ただ悪かった、手落ちがあった、それでかんべんしてくれということで国会を通すわけにまいりませんよ。私は法案の中身よりも、あとでまたいろいろ申し上げるけれども、少なくとも、厚生省の行政姿勢それ自体が問題ですよ。大臣、時間もないようですが、どう思われますか、この一事に対して。
  181. 園田直

    国務大臣園田直君) 責任ある書類に名前と日付がなかったことは非常な問題でございまして、後刻研究の上、措置をいたします。
  182. 森中守義

    森中守義君 私は、これは不用意に落ちたものとは思えないんですよ。二種類出して、二種類とも入っていない。むしろ内容が日付や出しもとを明らかにし得ないようなところがある。もちろん名前が出してあろうとなかろうと、内容についても、これは国会においては問題にすべき点があまりにも多い。何となれば「四月一日から国立療養所が、らいを除いて特別会計に移ることになります。」といっている。だから、おそらく厚生当局の配慮としてはこういうことじゃないですか、法案が成立していないのだから、なりますというように言わなければPRにはならぬ。しかし、出した日付と出しもとを明らかにすれば国会で問題になる。それで出しもとと日付をことさらに避けたという推論は当たらないですか、どうですか。
  183. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもは、できるだけこの特会というもののあり方、特に予算内容等も十分理解していただきたいという趣旨で出したものでございますので、決してそれ以外の他意はございません。
  184. 森中守義

    森中守義君 しかし、他意がなくてこういうことをやったといえば、これはもう失態と言うよりない。読む人にとってどういう印象を与えますか。何としても、こういう公の機関が出す文書、通達もあるでしょう、いろいろあるでしょう。しかし、日付や責任ある機関の名前等が出ていない文書は、おそらく近代国家になって百年、わが国の行政機関の中にこれをおいて他に例がないのじゃないかと、私はそう思う。しかも、厚生省設置法によれば、広報活動というものは官房でやるのじゃないか。官房長の所管ですよ、総務課かどっかにある。これはおそらく厚生省の広報活動の一つでしょう。医務局でやること自体が間違っているのじゃないですか。官房長いませんか。
  185. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 官房の総務課に厚生省の広報を担当いたす組織がございますが、これは国有一般を対象にする厚生行政の広報活動とか、それから、各局にまたがる総合的な広報活動、こういうものは官房で行なっておりますが、各局の所管行政に関する広報につきましては、それぞれの局におきまして広報活動をするというような行き方をとっておるわけでございます。
  186. 森中守義

    森中守義君 いまの官房長官の答弁もちょっとおかしいな。他の部局に広報活動をやってよろしいというのが設置法、組織令、組織規程のどこにありますか。広報活動というのは官房だけじゃないの、私はそういうふうに読める。私も、もちろん厚生省のことは全く知らぬから、ひとつ懇切丁寧に、設置法、組織令、組織規程の何条によってそれをやってよろしいと許容しているか、その条項を教えてください。
  187. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 国民一般に対しましての広報活動、啓蒙とか宣伝、そういったことは官房で扱っておりますが、各局の所管行政についての解説、行政上の必要から解説、啓蒙等を要する意味での広報的な仕事につきましては各局、その行政をあずかる局でもって行なうということを従来もやっておるわけでございます。
  188. 森中守義

    森中守義君 これは将来の問題でもありますが、やはり大臣官房というところでは、こういう広報活動については各部局をもう少し調整したほうがいいですよ。あなたは見たの、これを。
  189. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 内容については読んでおります。
  190. 森中守義

    森中守義君 ちょっと最後がわからぬ。
  191. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 内容については見ております。
  192. 森中守義

    森中守義君 見たということは、出す前に一応の了解を与えた、こういうことですか。もしそうだとすればあなた本同罪だ、これは。医務局長だけじゃないよ。
  193. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 私はでき上がったあとのものについて見ましたが、これはさっき局長答弁にありましたとおり、施設職員患者、そういう者に対するものでございますので、事前に官房に協議をして出したというものではないと存じております。
  194. 森中守義

    森中守義君 そうすると、厚生省の内部相互間、上級局と下級局でこういうもののやりとりの際には日付も名前も要らないということが厚生省の慣例になっていると、そういうふうに理解していいんですか。
  195. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) そういうことはございません。
  196. 森中守義

    森中守義君 ないのがあたりまえ、これを見て私と同じように思ったでしょうが、おそらく内部局相互間においても、発刊の日付、発刊番号、それと局名、あるいは大臣名、官房長名、そういうものは、たとえそれが広報文書であろうと、文書には形式があります。公文書もあろう、行政指導の文書もあろう、広報文書もあろう。しかし、官公庁のみならず、一般家庭においても、何月何日、そうしてたれの何兵衛というように、これだけはやっぱりいわゆる表現上の常識ですよ、そう思いませんか。それをたいへんくどいようだけれども、他意はない、しかし、刷ったあとわかった、わかったから、わかった分についてはゴム印をついて出した、そんなむちゃくちゃな話はないじゃないですか。むしろ私は、そういうことが発見できたならば、直ちにその時点において回収すべきですよ、これは。正当な手続に戻すべきだ。医務局長はあとでわかったと言った。わかったときに、全国にそれぞれ機関を持っているわけだから、日付と出しもとの印刷が漏れているから、その場において適当に処置をしてくれ。厚生省にもゴム印の一つぐらい各施設につくらせたり、そのくらいの金はあるはずだ、なぜそういう応急の措置をとらなかったんですか。わかっていながら、私がここで問題にしなければ黙っているつもりなのか、そんなむちゃな話はありませんよ。いかがですか、その辺の経緯は。
  197. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) この資料は非常に急いでつくりました。それで、療養所会議等にも間に合わせようと思ってやりましたが、間に合おずに、ゲラ刷り的な、原稿的なものでこれを配付したわけでございます。さらに追いかけてこれを私の名前で各施設に送っております。したがって、この資料職員に対する執務資料というような趣旨が一番大きいもので、その職員が末端にまで周知させ、さらに所内の患者まで周知させるというような趣旨で、これはどこまでも職員の手を通って配付されておりますので、当然厚生省責任でやられた広報資料であるというふうに解されるべきものでございますので、あらためてそれが所属不明というか、怪文書というような形でとられるというような意識を持ちませんでしたために、そこまでの手段は尽くしませんでした。
  198. 森中守義

    森中守義君 そういう意識を持っていないというのでは官僚として無能だ、何年役人をやっているのか。そんなばかなことを言ってはいけませんよ。執務資料だと言うけれども、これは岐阜県の恵那市で町内会に配った、都下の清瀬町では町議会にこれを配っておる、部内だけにとどまっていませんよ。もうやめようと思ったけれども、そういう言い方をするからやっぱり聞かなくてはならぬ。部内だけならそれでいい〜、こう言うんですか。許されないですよ、そんなことは。いわんや、これはいま言うように、恵那市や清瀬町で議会や町内会に配られておる。社会に対する責任はだれが負いますか。しかも、内容については、これはこのとおりにいくかどうか、言うまでもなく、国会には法案の審議権、修正権がある。もしこの内容厚生省の諸君が考えておるようにまとまらなかったらどうする、法案が国会で修正されたらどうしますか、あるいは否決をされたらどうだ、社会に対してどういう責任を負いますか。部内の執務資料だけならばその辺のことまでは言わないけれども、それぞれの機関の手を通じて一般社会に配布されておる。私は、だから冒頭に言ったように、厚生省の行政の姿勢それ自体が問題であるというのは、この一事をもっても言える。厚生省は、法案が一字一句も修正されないで国会は議決すべきものであると、そういう認識を持っておりますか、どうです、その辺のことは。責任を負えますか、責任が。
  199. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもは、何とかして国会で慎重に審議の上成立さしていただけるという非常な期待を込めておりましたので、このような事態になることを予測できなかったことはまことに不明でございました。
  200. 森中守義

    森中守義君 これはずいぶんいろいろ聞きましても、私の納得するような答えが出ない。ついては、厚生大臣もこのことは十分御承知でないようですね。一たん休憩にしてもらって、事情をよく確かめてください。それで責任ある大臣から、かくかくであったということと、そうして人のことだから間違いもありましょうけれども、これほど大失態を演じたことを、私は、厚生大臣が何らの処分をしないで済ましてよろしいということにはどう考えてもとれませんので、どういう処置をおとりになるのか、ひとつ大臣のまとまった御意見を承りたい。ちょっと休憩して協議してもらいたい。
  201. 園田直

    国務大臣園田直君) 部外に対してはたいへんな問題でありますが、部内の書類にいたしましても、文書の責任者、月日があるのが当然であります。また、中に、四月一日から特別会計に移ることになりますなどという、国会に審議をお願いして、両院の議決が終わり、これが法律として公布されて初めてなるものでありまして、行政府としてはこのようなことばづかいをしてはならぬことであります。それを非常に重大な問題であるにかかわらず、「案」とも書かず、あるいは法律案が通ればという前提もなかったことは御指摘のとおりでありまして、これについてはそれぞれ十分事情を徴して御報告いたしますが、少なくとも、間違いがあったものはそれぞれ信賞必罰しなければなりませんが、処罰という問題はやはり重大な問題で、本人ばかりでなく、省全体に関する問題でありまするから、これは慎重にいたしたいと考えておりまして、ここでどのような処分をするかということは、即答を御かんべん願いたいと思います。
  202. 森中守義

    森中守義君 大臣、けっこうですが、その処罰にもいろいろ内容があるし、極刑をもって臨めなんて、そういうことは私は言いませんが、訓告とか戒告とか、いろいろありますよ。しかし、不問に付することはありませんね。少なくとも、国会に対する一つの冒涜をやっておるわけです。社会に対する責任がこれでは済まない。そういう意味で、何かの処分をするというように受け取ってよろしいですね。
  203. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は、厚生省の機関の長として、他意があってやったこととは思いませんが、それにしても、他意がなくとも、ことばづかいその他の中には、国会、あるいはその他に対する平素の心がまえが出るものでありまするから、不問にはいたしません。
  204. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 議事進行。ただいまの医務局長の御答弁を聞いておりますと、事実と相違することをたいへん御答弁なさっているのですね。これは今後気をつけていただきたいのです。それから、ほかの委員の質問に対してもそういう問題が起こるといけませんから、いたずらに時間を食います。たとえば具体的に申しましょう。先ほど部内の職員に対する研修用とか参考とか言いましたが、庁内に配っていることも明らかになったわけです。そういうことをあまり事実を隠さないで、だんだん質問していくと、だんだん答弁によって明らかになってくるのですが、前の御答弁が事実と相違していたことがたいへんあったわけですよ、聞いておりましてね。ですから、そういうことがないように、やはり率直にほんとうのことをひとつ御答弁願いたい。
  205. 沢田政治

    沢田政治君 先ほど森中委員もこの問題に触れたわけでありますが、後ほど私はたくさんの質問をする関係上、事実行為だけはここで確認しておきたい、こういうように考えまして質問をいたすわけであります。  国家公務員が正当な労働の対価を借用書と引きかえにお金を受け取るというのは前代未聞のことだと思うのです。これはあり得べきことではないと思うわけであります。しかも、このような変則的なといいますか、常識では考えられない事態が、いい悪いは別としても、惹起したわけですね、すでに。その場合、特に私は大臣にお聞きしたいわけでありますが、大臣は非常に私の責任がありますと、こういうことを言っておりますが、責任がありますという陰には、法律が通らないのだから不可抗力的で、これはやむを得ないということも、これはまあ言外にあるのじゃないかと私は憶測をするわけであります。そこで、私は、労働者が働いて対価を借用書と引きかえでなくちゃもらえない、こういうばかなことがこれはあり得ないし、おそらく大臣も、働いている職員の代表が労働組合に無断でこういうことをしたとは思わないわけであります。何らかの交渉なり話し合いがあったと思うわけでありますが、まあ十八日か十九日かわかりませんが、これに関連した団体交渉がありましたか。
  206. 園田直

    国務大臣園田直君) 話し合いがございました。
  207. 沢田政治

    沢田政治君 その際に、これは私の聞いている範囲では、大臣はまことにこういう事態になって申しわけがない、悪く思うと、まあ表現は別としても、おわびをした、こういうことを聞いているわけであります。したがって、変則的ではあるけれども、一時しのぎのやり方として、俸給の相当額を全職員に十八日中に支給する、こういうお約束をしたように私は聞いておるわけであります。そこで、三項目の提案をあなたがなされていると、こういうふうに私は聞いているわけであります。これは事実ですか。
  208. 園田直

    国務大臣園田直君) 事実でございます。
  209. 沢田政治

    沢田政治君 ところが、その中に、話し合いの中で、特に借金とか委任とか、そういうような方法では困る、こういうことを労働者側のほうで申しておるわけであります。これはあたりまえのことだと思うわけであります。自分の労働の対価に借用書を入れて借りたりするということは、これは常識では考えられないですね。これは労働者としても当然だと思うのです、どこにいってもですね。しかし、現実には、先ほど同僚委員が聞かれましたように、借用書とか委任状とか、いろいろな形式をとっておるわけであります。したがって、私は、労使の信義則からいっても、これは重大な問題だと思うわけであります。国立療養所医療効果をあげるためにはりっぱな医療技術も必要でしょう、高価な薬剤、発達した薬剤も必要でしょう、と同時に、私は、献身的な医療労働者の奉仕もなければならぬと思うわけであります。これが三位一体になって医療効果があがることは、これは明らかなわけであります。そういう場合、大臣が労働者、職員と約束したことが守られぬということになったならば、これは一体どういうことになりますか。あなたは責任を痛感しておるということを言っておりますけれども、その責任というのは一体どうですか。ここで一片の答弁で、悪うございました、責任がありますということだけで責任のすべてが終わったというように考えておりますか。あなたは悪いということを認めているのだから、これを回復するためにどういう手段をとりますか、どういう行動をとりますか、具体的にお聞かせ願いたいと思うのです。
  210. 園田直

    国務大臣園田直君) いま言われたことは事実でございまして、私は、給料の立てかえについては、借りるとか、あるいはどこから調達するということも言っておりません。それは俸給相当額の金額を調達することは私の責任でありますから、組合の諸君は一切そういうことをしないで、相当額の金額を十八日中に立てかえをします、こう言ってあるだけでありますが、全国でございましたから、そういう話をしましたが、何カ所かは翌朝ぐらいになったそうでありまして、その点、事務当局には、組合のほうによくわびて了解を得ておけ、こう言って私は指示しております。あとの問題についてはまだ処置いたしておりませんが、責任でございますということは、決してここで答弁したらそれで終わりだとは考えておりません。そこで、組合の諸君とも時期を見て会って話をしたい、あるいはそのほかの問題等もあれば、またそれぞれやりたい。私は個人の人柄に関する事柄でございますから、答弁といたしましても、答弁いたしましたものは必ず事務当局に整理をさせて、それぞれ質問された方々にはその成果について報告をし、できないものはできなかったという理由を付して次の時期に回していただくように、謝罪するなり連絡をとるように十分注意をいたしておりまして、その場のがれで断じてないことは御了解願いたいと思います。
  211. 沢田政治

    沢田政治君 私は、相当額を変則的な方法によって渡したという額の問題を非難しているわけではないのです。批判しているわけではないのです。これもありますよ。財政法のたてまえからいっても財政のやり方の問題からいっても、非常に大きな疑点があると思いますが、他の同僚議員がこの問題についてはその視点からおそらく御発言があると思いますので、私はその点には触れません。額を渡したという相当額の問題ではなく、その際に約束したところの借金とか、そういうような形で渡さない、一時の補償額といいますか、そういう形で頭を下げて証文を入れるというようなやり方をしない、こういう約束に対してそれをどうして守られなかったのかという具体的な理由を聞いているわけです。その理由と、それから、契約違反になりましたから、これは実質上ですね、それに対してどういう回復措置をとるかということですね、この二つ聞いているわけでありますから、きわめて簡単なことを聞いておるわけですから、簡単に御答弁願いたいと思います。
  212. 園田直

    国務大臣園田直君) 私がそのとき申しましたのは、組合の職員の諸君が借用するならば、これは私が立かえたわけではございません、各人が各人でくめんをしただけでありますから、そのようなことをしていただいては、まあ責任の上に責任を追加するし、道徳的に私は相すまぬと考えましたから、私の責任でお届けすることにして、組合の個々の人には借用書を絶対に書いていただかないというつもりであるし、その方針で処置をいたしてきましたが、処置の過程においてこのような結果になったわけでありまして、これについては、後刻それぞれ組合の諸君や、あるいはその関係者等とも話し合い、そのあとでまた事後のことを考えたいと思っております。
  213. 沢田政治

    沢田政治君 私、これから相当質問したいと思います、大臣が来てから。したがって、この質問で終わるわけでありますが、具体的な問題を提起をして大臣の見解をお聞きしておきたいと思うわけであります。  理由はともあれ、そういう借金形式にしない、これは労働賃金でありますから、借金なんということはあり得ないわけであります。そう約束したにもかかわらず、全部ではないにしても、現実には借金の証文を取られておる、これがこれは事実であります。どこどこと言いましたら、私はその例もあげます。しかし、時間がありませんので、あまりそれを読み上げて時間をとりたくないと思います。現実なわけであります。そこで、動機は別としても、経過は別としても、組合側との約束を裏切ったという事実は、私は消滅しないと思うわけであります。したがって、ここで責任を痛感しておりますと言うことだけでは労使の信義性は確立しないと思うわけであります。したがって、事実なんだから、労働組合と、きょうというわけではありません、あすでもあさってでもその問題で団交を開いて、動機は別としても、経過は別としても、お約束に違反したことはまことに申しわけなかったと、こういう私はおわびをするのは当然だと思うのですよ、弁解やらおわびを。そのお気持ちありますか。
  214. 園田直

    国務大臣園田直君) まず、とりあえずやりましたことを取り消しをいたしまして、私が会った代表者の諸君に会っておわびをすることは当然であって、これはあたりまえのことでございます。
  215. 小平芳平

    小平芳平君 もうすでにこの問題については、衆議院においても、また、参議院大蔵委員会においても、あるいは予算委員会においても社労委員会においても、各委員会で論議を尽くしてきているのでありますが、ここで私は大臣にお尋ねしたいことは、この特別会計へ移行するというこの件について、大臣は当初からこのような事態を予想されておられたかどうか。つまりこの特別会計に移行することによって首が切られるではなかろうか、従業員が首切られるではなかろうか、患者負担が増大するではないか、あるいは長期療養者への圧迫、サービス低下、国民医療制度の後退、こういうようなおそれがあるということは当初から論議されてきておられたことと思います。ところが、その後の経過から考えますと、いま両委員からお話があったように、従業員の給与の問題にしても、これだけの、厚生大臣はじめ、医務局長は間違いだ間違いだと、ほんとうに間違っていた責任を感ずるというような事態に今日立ち至っている。また、私はきのう、全部ではありませんが、ある療養所をたずねてみますと、薬がもうなくなっている、あるいは患者の食費の切り詰めをやっているような現状で、やはり厚生大臣はどこまでもこの特別会計を成立させようというお考えかどうか。また、いまあげているような問題があるにもかかわらず、しいて特会制度をここで確立することによって何が一体大臣のねらいなのか。もう非常に私も与えられた時間に制限がありますので、率直に御答弁願いたいと思います。
  216. 園田直

    国務大臣園田直君) こういう事態を予想してやったわけではございません。なお、御意見の中に、薬がなくなった、食費が切り詰められるというようなお話がございましたが、調査をいたしますが、そういう点は絶対にないように十分注意しておりまするから、このために食費が切り詰められたり薬がなくなったりしたことはないと想像しますが、念のためにまた調査はいたします。  なお、特別会計になった場合にいろいろ御指摘のような心配がありまするので、私も慎重にかまえておりましたが、その後財政当局と、将来の予算問題、あるいは今年度の繰り入れの問題等について折衝した結果、これならばそういう不安に歯どめをしていけると感じたからでありまして、御承知のごとく、先ほどから各委員から国立療養所のいろいろな悲惨になっている御指摘がありますが、これは数年来続いたことであって、このままでやるならば、どうやりくりしても、この状態を早急に近代化をし、施設を新しくし整備することは困難であると考えたから私は決意したわけでございます。ただいまでも、ぜひ慎重に御審議の上、早く御可決を願いたいと念じております。
  217. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、食費の切り詰めは、私も全療養所を当たったわけではありませんけれども、少なくとも、私の聞いたところでは、去年の三月には予算があったからウナどんなどを食べさせてもらえたけれども、ことしはずいぶん切り詰められていると言うから、炊事のほうの人に聞いてみたら、やはり事務からそういうようなことがちょっとあった、だからそういうふうにやりくりしているのだと、こういうことを現に申しておりましたから申し上げただけであって、それで、大臣が結局いま結論として、すみやかに成立を期待していると言われますが、そのねらいですね、ねらい、現にこの療養所の会計がたいへんな状態にあることはお認めになりますか。給与の問題はいまお話があったように、このほかの療養所の現状が非常にたいへんな事態にあるということ。そこで、大臣は、ただ財政当局と相談の結果、この特会制ができればその悲惨な状態が切り抜けられていかれるのだと、それがねらいなんですか、要するに。
  218. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいままでのような一般会計のほうで年々の支出では、予算基準としてこれを早急に解決することは、私としてはきわめて困難ではないか。したがいまして、この際、思い切って特別会計に移して、弾力性を持ってあれやこれやのことを考えながら早急に整備をしたい。だが、その際にはいろいろな不安な点がありまするから、その点は財政当局と相談をして、そういう不安がないように十分歯どめをしながら折衝してきた、こういうつもりでございます。
  219. 小平芳平

    小平芳平君 財政当局と相談をしてそういう不安のない歯どめがあるならば、なぜこのように次から次へ深刻な事態におちいっていくか、その点いかがでしょう。あるいは財政当局はどのように歯どめをしたわけですか。
  220. 園田直

    国務大臣園田直君) たとえば、第一は独立採算制にするという危険でありますが、これは国立病院国立療養所はやや違います。国立病院のほうは一般治療をやっております。国立療養所は、今後も長期慢性の、どちらかとすれば診療報酬によって経営していくということは困難なものであって、しかも、困難なばかりでなくて、国家の責任は一般の診療よりもさらに大きいわけでありますから、将来とも経営の収支は一般会計から繰り入れるという問題、これが一番大きな問題でありまして、その後の設備その他のことにつきましても、事務当局から申させますが、いろいろ財政当局とは話し合いが成立をしましたので、このまま国立療養所が一般会計のままで、いまのままの状態で進みますことは私としてはなかなかたえがたい。先ほど言われたような看護婦さんの問題、お医者さんの問題、施設の問題、いろいろこれは冬などは電気ストーブ一台でやっておられると聞きますが、それが五年も六年も七年もかかって少しも解決されなかったという現実から見れば、何か変わったことをやって、ここで突破口をつくりたい、こういう考え方でやってきたわけであります。
  221. 小平芳平

    小平芳平君 事務当局から説明していただけば、それは独立採算制にはしない、それで赤字になった分は一般会計から繰り入れると、そういうわけでしょう、結論は。ですから、それならば独立採算制にもしない、そして赤字があれば一般会計から補てんする。それならば、なぜ特別会計にしなければならないのですか。そういうように一般会計から自由に繰り入れると、厚生省もその方針だ、財政当局もその方針だと言うならば、その施設を改善していく突破口になぜなるかということが納得できないのですね。
  222. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの国家財政では、一般会計からだけではとうてい早急にやることは困難であると私は判断をいたします。特別会計にいたしまするといろいろ問題はありまするが、借り入れ金の導入であるとか、あるいは不用土地の処分であるとか、そのほか特別会計であれば弾力性があるわけでありまするから、その弾力性の利点を利用して、一年でも半年でも早く整備を終了したいというのが私の念願でございます。
  223. 小平芳平

    小平芳平君 その土地の処分もいままでもやってきたわけでしょう。すでにある療養所で土地を処分して、そして鉄筋コンクリート七階建ての病院を建てるというような事例はもう毎年やってきているわけでしょう。それから、借り入れ金の導入ができる、借り入れ金の導入をしても、結局元金はもとより、その利子も、赤字になった場合に患者に負担させるわけじゃないでしょう。一般会計から入れるわけでしょう。なぜそこで制度を変えなくちゃならないかということです。
  224. 園田直

    国務大臣園田直君) いま御指摘されました土地の売却の問題にいたしましても、一般会計であれば公有財産、公共財産としての処置をして、それは国家会計に繰り入れられるのであって、それからまたこちらが明年度の予算で配分を受けるということになりまするが、特別会計であればそれはそのままこちらが使えるわけでありまするし、また、年度内においていろいろ計画その他の修正があった場合には、一般会計と違って、非常に弾力があるわけでありまするから、こういう点は非常に利用できると考えるわけであります。
  225. 小平芳平

    小平芳平君 土地を処分して来年度でなければ使えない、それは手続上、事務上のことであって、そのために厚生省に熱意がありさえすればこの行き詰まりを打開する道がないということはないと思うんですね。幾ら特別会計になったからといって、要は、それをほんとうに打開していく熱意ですね、また、それを実行していく厚生省の力ですね、これが問題じゃないんですか。ただ会計が変わったからといって、それは手続の上で、事務の上で不便な点はありましょうけれども、一般会計だといま大臣が御指摘のようなことはありましょうが、かといって、特別会計にしようとして起きているこの社会の不安、この医療関係従業員はじめ、患者をはじめ、これだけの不安を巻き起こしておきながら、どうしてここで急いでこれをつくらなくちゃならないか。このような社会的なマイナスが起きても、それを無視してといいますか、とにかくつくる、強力に特別会計にしようという、そこには一体ことばで言っている裏に何かありはしないかというふうにしかとれないんですが、いかがですか。
  226. 園田直

    国務大臣園田直君) 理論的には、いま一般会計のままでもそういうことはできないことはないということでございましょうけれども、実際問題としては、財政上、予算の獲得その他につきましても、昨年の予算から何%上がったとか何%下がったとか、あるいは二%、一%の範囲内で予算が動いている現状で、その状態においては、このままでは、私は、国立療養所整備というものは財政的、事務的な面で縛られて、なかなか画期的なものはできない、こう考えるわけであります。
  227. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、国立療養所整備について、過去何年か計画的にやってきたわけでしょう、その過去の実績と今後の見通しを御答弁ください。
  228. 園田直

    国務大臣園田直君) 医務局長から。
  229. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立療養所の過去の整備状況でございますが、昭和三十年には整備に充てられた予算が五億二千九百万円でございました。その後、三十年から三十五年までは例年五億円台でございまして、ほとんど水平的な動きでございます。その後、三十六年から若干整備費は強化されまして、三十六年に八億八千二百万、それから、三十八年には十一億五千四百万、四十年には二十四億三千五百万というぐあいに、最近数年に至りましては、かなり強化されてまいりました。しかし、なお現状におきまして国立療養所が非常に老朽化しておりまして、しかも、結核以外に、新たな使命にこたえて施設整備を急速にやっていくということのために整備費を導入するためには、この程度ふえ方では十年なり二十年なりかかる、そういうようなことではこの施設がしりつぼみ、あるいは衰微におちいってしまう、どうしても集中的に整備をしてしまわなければならない、そのために相当額の資金を調達するために、現在のこの一般会計で期待できる最高の伸び率をもってしてもなおきわめて困難であろうということで、財政投融資等の活用ができる特別会計の道がより好ましいものであろうというふうに考えております。
  230. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、四十年もいま言われましたが、それ以後の分も言ってください。それから、今後の見通しと計画について。
  231. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 四十年が二十四億三千五百万、四十一年は二十八億五千百万、四十二年は三十三億三千万、四十三年が六十二億八千六百万でございます。四十二年から四十三年にかけてほとんど倍増いたしておるわけでございます。  なお、四十三年を初年度といたしまして、五カ年計画をもちまして第一次の整備をやってまいりたい。このためにおよそ二百三十億の資金を考えております。
  232. 小平芳平

    小平芳平君 四十三年度六十二億を初年度として五カ年計画ですか、それで二百三十億ですか、そうするとだんだん減っていくわけじゃないですか、来年から。
  233. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実は、ただいまの四十三年度の六十二億八千六百万円といいますものの中に、ただいま五カ年計画整備をすると申し上げました特別整備というものと、特別整備に入らない一般整備というものがございます。両方の額を合わしたものが六十二億八千六百万円でございまして、ことし四月現在療養所は百五十三でございます。そのうちの約半数をこの特別整備へ回し、その他の分はしばらく一般整備でやっていく。その特別整備分として、この六十二億八千六百万円のうち、特別整備分が四十四億考えられておる。この四十四億を初年度として、二百三十億で五カ年の整備をやるという計画であります。したがって、五カ年ほぼ当初の四十四億以上の額を大体毎年計画しているということでございます。
  234. 小平芳平

    小平芳平君 結局大臣、いまの御説明から承っても、特別会計になった、じゃどれだけ整備が進むか。何か話だけ聞いていると、飛躍的に整備が進むようにお話は聞こえますけれども、現実問題として、じゃどのような計画で進められるか。特別会計になっていなくても四十二年度三十三億、四十三年度六十二億、これだけの一般会計から繰り入れて整備をやっているというのでしょう。ですから、これだけの不安を与えながらも、こういうふうによくなるんだというものがあるならばはっきりおっしゃっていただきたい。それがないならばなぜ強引に通すかという理由が全くないと思いますが、いかがですか。
  235. 園田直

    国務大臣園田直君) いま申し上げましたもののほかに一般整備の費用がつくわけでありますから、一般会計で続行するよりも予算はふえるわけでございます。
  236. 小平芳平

    小平芳平君 幾らふえるか。
  237. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 特別整備の金額だけでいいますと四十四億でございますが、一般整備を含めまして六十三億、先ほど申した金額になりますので、ほとんど倍額になっている。ちなみに、一般官庁営繕費用の本年度の一般会計内における伸びというものは数%程度であると聞いております。
  238. 小平芳平

    小平芳平君 ということは、四十三年度六十二億という、倍に伸びたということは、財政当局が特別会計というものを見越してつけてくれたんだ、そういうことですか。
  239. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 一般会計からの繰り入れのほかに、借り入れ金を新たに十五億加えましたし、土地処分による財源が十八億入っております。
  240. 小平芳平

    小平芳平君 何か大臣は抽象的に、飛躍的に整備が伸びるということだけで、どうも具体的にのみ込めないわけですが、要するに、先ほどから指摘したような社会不安を巻き起こした特別会計問題でありますけれども、それにもかかわらずこういうものがあるんだということがあれば、それを述べていただきたいと言っているわけなんです。それがないのだ、結局。  次に、結核患者について午前中に質疑応答がありましたが、この結核患者は、約半数の人は入院できないでいる、感染性の患者でありながら入院できないでいる。こういう実情については、先ほど御答弁がありましたですが、じゃ結核療養所へいけば現状はどうかといえば、すでに重症心身障害児の施設、あるいは一般の病人も収容されて、結核患者は片すみに押しやられているような現状にある。それから、現在でも、これはある国立療養所ですが、医師不足しているために、実際患者が脈をとってもらうのはもう何カ月に一ぺんもないくらいだ、その上なお特別会計にしたらサービスが向上するなんということは考えられないと思いますが、いかがですか。要するに、現状でも一方では患者がいるわけでしょう。午前中御答弁のように、他方ではその療養所が重症心身障害児その他に切りかえられている、その現状はどう把握されますか。
  241. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 結核療養所に重症心身障害施設を併置したわけでございまして、併置した分につきましては、これは施設を新たにつくり、そうして職員を新たに配置してこの運営に当たっておるわけでございますので、そういう意味で、従来の結核その他の診療にしわ寄せをするということのないように配慮をいたしております。
  242. 小平芳平

    小平芳平君 現にそういうことがあったらどうですか。
  243. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもないように十分配慮しておるつもりでございますが、万一あれば、それらの点は是正してまいりたいと考えます。
  244. 小平芳平

    小平芳平君 それはありますから。  それから、国立療養所の中に、いま申し上げるような児童局関係の児童福祉施設ですね、その児童局関係の重症心身障害児、あるいはジストロフィーというような病気に対する施設特別会計の中で設けるわけでしょう、そうじゃありませんか。
  245. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 児童福祉施設を設けるわけではございませんで、療養所の中にそれに耐えるような病棟を整備いたしまして、そういう児童福祉法による措置患者の収容をやっておるわけでございます。児童福祉施設ということではないわけでございます。
  246. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、児童福祉法でいうところの、あるいは厚生省児童局の関係のこうした異質のものが設けられるということになるわけでしょう。それに対して差しつかえないのですか。
  247. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) この重症心身障害児を収容いたしましても、単なる収容施設でなしに、相当な医療を行なわなければなりませんので、私どもとしては、医療法上の病院である国立療養所に児童福祉法で措置される重症心身障害児を入院させる、そうして必要な治療並びに療養を行なうということにいたしておるわけでございます。
  248. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、このリハビリテーションの点数はどうなっておりますか。
  249. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 現在の重症心身施設では、リハビリテーションという形の診療報酬をほとんど請求していないと思います。現実にはいろいろな訓練は行なっておりますけれども、おそらくごくわずかであろうと思います。
  250. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、その異質のものが入るところにそういう問題が起きるんじゃないですか。リハビリテーションが必要なんでしょう、こうした重症心身障害児に対しては。ところが、それは点数がないわけでしょう、実際には。そうすればこの療養所は赤字になりますね、明らかにその分が。そういう点をやはり考慮に入れての療養所の経理のあり方というものを立てなくちゃならないわけですが、いかがですか。
  251. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) リハビリテーションの点数は保険の点数の中にあるわけでございますが、それをきちんきちんと一般の医療機関のような形ではやっておりませんし、ある意味では収容施設に非常に近い形でございますので、あまり請求をしていないということを申し上げたので、全然リハビリテーションをやっていないわけではございません。施設をごらんいただきますと、看護婦さん、保母さん、あるいは技術職員が相当な訓練等も行なっております。ただ、こういうものはリハビリテーションの費用もなかなかこれは取れぬから赤字になるだろう、御指摘のとおり、これ自体を取り出して採算を合わしてみたら相当経理の悪いものになると思います。しかし、私どもは、これを国立療養所一つの使命と考えまして、療養所全般の運営の中でやっておりますので、これらによって生ずる赤字も含めまして、療養所全体のこの経営上の収支の差額は一般会計で負担していただくというたてまえにいたしておるわけでございます。
  252. 小平芳平

    小平芳平君 とにかく赤字になれば一般会計で負担していただくという、もう何事によらず、そう言われるわけでしょう。ですから、それならほんとうになぜこういうふうに特別会計にするかという意味が全くのみ込めないわけですよ。で、こうしたリハビリテーションの関係のものは、もうけ主義の仕事じゃないわけですよ。それは国が責任を持って行なうことだと思うのです。これはとても企業採算を合わせようなんていうわけにいくわけがないのです。しかし、まあ日本の現状からいえば非常にそれが立ちおくれているということですよ。したがって、この国立療養所に併置をするということですが、そこで、いままで病院の食事、洗たく等を職員がやっていたのを、今度は業者に委託する、それが患者の負担増にならないか、この点についてはいかがですか。
  253. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 従来やっておりませんでした基準加算というものを実施いたす予定にいたしております。そういたしますと、看護、給食、あるいは寝具というものに対する加算が得られるわけでございます、保険の支払におきまして。しかし、この加算分につきましては患者が費用を払わなければならない、自己負担のある患者につきましては、従来どおり二割引きを存続させ、また、加算については補助を新たに付与しないというたてまえをとっておりますので、患者自体の費用の負担ということはなく、しかも、この寝具等は、新たに自分で家庭から持ってこなくても、病院で備えたものを利用できるということになるわけでございます。
  254. 小平芳平

    小平芳平君 基準加算をすると、しかし、患者には負担させないと、これもまあ何回もお聞きしましたからね。なるほど全然患者がお金を出さないでいいのかなあと思わざるを得ませんけれども、じゃ寝具等を業者に請負わせるわけですか。現にもう行なっているわけですか。
  255. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立療養所はいままで基準寝具というものを実施しておりませんでした。他の大部分の病院というものは、もうすでに基準寝具を実施しておりました。したがって、非常におくれをとってしまったわけでございます。ここで一挙に百六十近い施設基準寝具を実施するということになりますと、一時に膨大な費用もかかりますと同時に、また、相当数の職員を新たに増加しなければならぬことになります。ほかの施設ではすでに従来からやっておりましたために、新たに増員等のことがありませんが、国立療養所はそういう特殊な事態でございますので、現在一挙にこれを病院直営で実施するということもきわめて困難である、そういう意味で、寝具だけは委託で実施するということにいたしたわけでございます。
  256. 小平芳平

    小平芳平君 じゃその委託は幾らで、実際の基準寝具料は幾らですか。
  257. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 基準寝具を認可されますと、その診療報酬で払っていただくものは一日一人五十円でございます。私どもが寝具を委託するために組んである予算は一人一日当たり三十円でございます。しかし、もちろんこの差額がそのまま収入というわけじゃございませんで、いろいろ諸経費等もかかるわけでございますので、そのままいわゆる差額がもうかるというような性質のものではないと存じております。
  258. 小平芳平

    小平芳平君 保険から五十円入りますね、それで、支出は三十円で支出しますね、差額の二十円はどこへ出てくるわけですか。
  259. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) これは基準寝具といいましても、委託で借り得るものはふとん、敷布、まくら、あるいは掛けぶとん、そのカバーというようなものでございまして、そのほかにマットレス等の準備もいたさなければなりませんし、ベッドの更新その他もいたさなければなりませんし、あるいは寝具そのものを運営いたしますために人件費もございます。したがって、もろもろの経費にこれらのものが配分されるものと考えております。
  260. 小平芳平

    小平芳平君 何かよくわかりませんが、五十円入るわけでしょう、払うのは三十円でしょう、あと二十円はどうするのですか、もろもろの人件費にかかるのですか。
  261. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) マットレスの更新もありますし、また、寝具その他の費用もございますし、また、これに要する人件費もあり、また、しいていえば全般の病院管理の費用の一部にもなるということで、これはそれぞれの、たとえば基準寝具とか基準看護、基準給食という各区分ごとにそれぞれ必ずしも領域ごとの単位計算といいますか、あるいは部門ごとの収支を考えて設定されたものではございませんので、総体として病院の経費に対して入院料が幾ら、基準看護が幾ら、基準給食が幾らというようなものが総体で積み重なって病院経営の費用をそれぞれまかなっておりますわけでございますから、この部門だけの単独に収支をどうということは必ずしも適当でなかろうかと思っております。
  262. 小平芳平

    小平芳平君 まあ少しよけいに取るということだ、それじゃね。  それから、ラジオとかテレビとかガス代とか、こういうようなものがいままでは自己負担がなかったものが自己負担にされるのではないかというような心配に対してはいかがですか。
  263. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 患者の慰安のために備えておりますラジオ、テレビ等を患者の負担にするというようなことはないはずでございます。いわゆる特別の有料個室等における場合は、これはある意味では個室料の中に入っておることもあり得るだろうと思います。その他ガス等を従来個人の使用に便宜を与えるために、十円玉を入れるとガスが出るというような施設もやっておりましたが、これらのものはできるだけ廃止してまいりたいというふうに考えております。
  264. 小平芳平

    小平芳平君 それから、ちょっともとへ戻って恐縮ですが、いまの寝具の業者と契約をしているということは、これは特別会計とは関係なくやっているんですか。それとも、特別会計が成立しないうちにそういう点を契約して一向差しつかえないわけですか。
  265. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 基準寝具を始めましたのは昭和四十二年度からでございますので、これは特別会計移行と直接的な関係はございません。しかし、特別会計法が成立しない、したがって、特別会計予算が執行できない状態基準寝具の契約をやるということはできないと思っております。
  266. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ業者と契約しておるというところはありませんか、現在。
  267. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実は一部で契約をしているところがあるようでございまして、これは私ども、できれば五月一日ごろから基準寝具を実施したいというふうに考えておりましたので、それを五月一日に実施するためには、ある準備期間を置いてやらなければならないということで、一部が契約を行なったようでございます。また、一部は契約は行なわないで、入札だけはしたけれども、契約は行なってないというところもある。御指摘のように、若干の施設は、契約を行なうことができない状態であるにもかかわらず、契約を行なったというところがあるようで、このようなたいへん異常な事態に遭遇しまして、たびたび申しわけないとあやまらなければならないような事態に至りましたことは、これもまたまことに申しおけないと思っております。
  268. 小平芳平

    小平芳平君 厚生省といい、また、国立病院国立療養所といい、人の生命をあずかっておる一番重要な部門を持っていらっしゃるわけですから、そうした大事な人間の生命をあずかってくださる療養所や病院が、あれも間違ったこれも間違った、あれも申しわけないこれも申しわけないじゃ、全く寒心にたえないというのが実情じゃないかと思うのですがね。ですから、そのことの起こりはといえば特別会計の問題なんですよね。ですから、あれも申しわけない、これもやり違った、いかにこの制度が無理かということじゃないですか。それは局長大蔵省と御答弁願いたい。
  269. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 全く不測の非常事態でございまして、どうも予想もしていなかったことでございますために、事務的な点でいろいろミスが出まして、それもしかし、非常に現場の職員がそれぞれできるだけ仕事を円滑にやろう、また、基準寝具もできるだけ早く患者に喜んでいただこうということで、熱意のあまりという点もないわけではございませんので、そこら辺、なるほど業務的には、手続的には誤りがございましたけれども実態として患者に迷惑をかけるというような点はないはずでございますので、御了承をいただきたいと存じております。
  270. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 現在の状態は、療養にかかわる特別会計予算が成立いたしまして、これを動かす特別会計法が成立しないという状況でございますので、この契約の問題も、厳密に申しますれば、これは違法でございます。適法な措置ではございません。しかし、そのおやりになった気持ちは、先ほど医務局長から述べられているような事情もございますので、私どももやむを得なかったのではないか、このような気持ちを持っている次第でございます。
  271. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ私はこれで終わりますけれども局長、その不測の事態って何ですか、不測の事態。
  272. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもがこのような事態を予測できなかったという、私どもの不明がいたした事態でございます。
  273. 小平芳平

    小平芳平君 どんな事態です。
  274. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 予算が成立しておりながら、特別会計法が成立しておりませんために、ある予算も使えない、しかも、それが相当長期間にわたった、あるいは俸給の支払いができないような事態になったというようなことを総合して予測しなかった事態というふうに申し上げたわけでございます。
  275. 小平芳平

    小平芳平君 先ほどの質問にもありましたけれども予算が成立したからといって、関係法律が一気に成立するものじゃないでしょう、これは。これはあなたがさっきから言われるように、行政を何十年とやっていらっしゃるわけですから、予算が成立したとたんに会計法も、増税も、減税も一気に成立したと、まあそれはそういきたいところでしょうが、そういく場合と、もっともっと長く、まだまだ長くかかる場合もあるじゃないですか。それを不測の事態不測の事態といって、結局先ほど御指摘があったように、こうしていかにも国会が、あるいは野党が引き延ばしでもやっているみたいな、そうして給料が払えない、薬や食費の心配をしなくちゃならない、そういう事態がいかにも不測の事態であって、厚生省当局としては至れり尽くせりのことをやっているのに、第三者、つまり国会ですね、のおかげで不測の事態になって迷惑を及ぼしているみたいな、そういう考え方や言い方は根本的にぼくは間違っていると思うのですよ。これは難なく通る法律なら、それはもっとスムーズに上がっているでしょうけれども、先ほど来、けさからでもそうでしょう。あれだけの各委員があらゆる点をあげて、こういう心配はないか、こういう不安があるではないか、こういう現状は相ならぬと、これだけ言っているにもかかわらず、それに対して、いや、そういう不安もない、心配もないと、これこれしかじかだというものが厚生省にあれば、まだわれわれとしても不測の事態と言われてもやむを得ないけれども、そういう解明や努力がなくて、ただ不測の事態不測の事態なんていうのは、ぼくは考え違いだと思いますが、いかがですか。
  276. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) さような事態を予測できなかった、また、そのような対処もしていなかったということは全く不明でございまして、全く申しわけないと思います。
  277. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  278. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後三時五十八分休憩      —————・—————    午後四時四十分開会   〔社会労働委員山本伊三郎委員長席に着く〕
  279. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) ただいまから大蔵社会労働委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  280. 森中守義

    森中守義君 高知の療養所の中の重症心身障害児の施設に昨年の予算でついているのですね、これは今日開設に至っておりますか。私の聞くところでは、四月の一日、すなわち、新年度より患者を収容する、こういうように聞いておるのですが、どうなっておりますか。
  281. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 新年度から患者の収容に当たる予定でございます。
  282. 森中守義

    森中守義君 すでにもう新年度が始まって二十数日たっていますが、入れておりますか。
  283. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 高知の重症心身障害児施設につきましては、工事が完全に終了いたしますのは大体五月になる予定でございます。現在のところ、まだ患者は収容いたしておりません。
  284. 森中守義

    森中守義君 そこで、工事の着工から完工に至る期間は、少なくとも旧年度末、そこで引き渡しを行なう、こういう約束だったでしょう。そうでなければ新年度からというわけにいかぬわけだ。どうしてこんなに工事がおそくなったんですか。
  285. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 昨年度は御承知のような事情で、予算の執行がかなりおくれてまいりました。したがって、着工もおくれ、完工も若干おくれてまいったわけでございます。
  286. 森中守義

    森中守義君 しかし、私の調査では、四十二年の六月にすでに着工している、だから工事契約の際には、年度内に完成をするということで契約が結ばれておった。なるほど、昨年の予算の成立は衆議院の関係でおくれているけれども、それならそれのように契約がそういう特殊な事情を勘案して、五月なら五月にすべきじゃなかったか、そういうことは考慮に全然入らなかったんだね。初年度から収容者を入れるということは、ちょっと理屈に合わない。
  287. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 重症心身障害児の収容等に関しましては、新年度から始めたいというふうに計画いたしておりましたので、当然新年度開始と同時に収容したかったわけでございますが、若干の最終的な手直し等もありまして、五月上旬ごろに完全に収容できる状態になる見込みでございます。
  288. 森中守義

    森中守義君 もし契約の工期内に工事が完成しない場合はどうするのですか。
  289. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) この工事も、もちろん三月三十一日竣工の契約をいたしております。当然大部分は竣工いたしまして、若干の手直し程度が残って、そうして竣工検査等がおくれておるわけでございます。
  290. 森中守義

    森中守義君 竣工検査がおくれているというのはおかしいじゃないですか。工期は三月の末日、それならばどうしてこれから竣工検査をやるのですか。
  291. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 竣工検査の結果、若干の手直しをいたしているわけであります。前言か取り消させていただきます。
  292. 森中守義

    森中守義君 ということは、工事が適正で丸かったということにもなるだろう。しかし、私はそれを聞くのが目的じゃないのです。  いま一つ収容にならない大きな問題がある。私はそれはあとで申し上げたいと思うのだが、何九ほかに大きな原因がありゃしないですか。
  293. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 高知療養所は、先ほどの御質問にもありましたように、現在非常に医師その他の職員不足しております。そういうような関係もありまして、急速に重症者を収容することは困難であろうと存じております。
  294. 森中守義

    森中守義君 衆議院大蔵委員会でだいぶこのことが追及されたようだけれども、薬品納入の汚職事件があったでしょう。そのために事務長及び会計主任が逮捕された。したがって、事務機能が完全に麻痺をしている。すでに開設の相当の用意はできているけれども、それができない。したがって、医師にしても看護婦にしてもレントゲンの技師にしても、いま開店休業という状態だというようなことが新聞では報道されております。事実ですか。
  295. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 事務長が不祥事件を起こしまして、五月十八日に起訴になりましたので、休職の手続の上、後任を急速に募集し、運営の円滑を回復してまいりたいと思っております。
  296. 森中守義

    森中守義君 すでに立件起訴されたという、こういう事実はそのとおりのようですが、汚職事件の内容をここでひとつ明らかにしていただきたい。
  297. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 本年の三月五日に、国立高知療養所の事務長外四名が、当所の医薬品購入に際して不正があるとして高知警察署で取り調べを受けました結果、薬業会社から、医薬品購入の便宜供与に対する謝礼並びに今後の買い入れ方を依頼する趣きのもとに供与されたものであることを知りながら相当額の現金の供与を受けたということで、収賄として高知地方裁判所に起訴されたものであります。
  298. 森中守義

    森中守義君 金額は。
  299. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 昭和四十年八月から四十二年十一月ごろまで約百五十万程度でございます。
  300. 森中守義

    森中守義君 おそらく、当局の調査の結果そういう数字ですから、間違いないでしょう。まあ私はそれを信頼します。しかしながら、多少内容的に問題がありますのは、むろんこれは新聞の報道ですが、四十万が収賄だった。他に百万リベートを受けている。その百万は裏帳簿をつくって裏会計をやっておった。それを検察庁は、すでに書類その他物件を押収して、四十万の収賄、百万円の裏会計、裏帳簿ということでおそらく立件をして送致したものと思う。そこで、問題なのは、百万円は一体どこへどうなったのかということが一つ。それと、被害者の自供によれば、四十万として受け取った収賄額のうちの三十万円は遊興並びに生活に使っている。ところが、他の十万円は、厚生本省から業務監査に出向いて行った者三名並びにこの療養所の入札に立ち会いに行った者二名に高知の料亭で供応した。その十万円を監査に行った者、入札の立ち会いに行った者に飲ませ食わせしたと、こう言っている。おそらく新聞の報道にそう極端な私は歪曲をされた内容のものではない、こう思っておりますが、当局の調査ではどうなっておりますか。
  301. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どものほうでは、帳簿を押収されておりますために、詳細を知ることができませんが、起訴状等の内容から見ましても、そのようなことは必ずしもよくわかりませんが、たぶん報道関係のことですから、大綱に誤りはないものと存じております。
  302. 森中守義

    森中守義君 次のことは、これは医務局長の所管ではないようですね。官房長見えてますか。−四月の十九日、環境衛生局の係長ほか二名が取り調べを受けておりますね、この事案を知っておりますか。内容は、松江の理容学校の設立汚職、こういうことです。学校の認可をめぐって現金四万円を受け取ったという汚職事件の一つです。
  303. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 事件の概略を簡単に申し上げますと、厚生省の環境衛生課の職員が、島根県石見の高等理容美容学校の認可に関しまして、その認可をする直前に現地へ参りまして調査に当たったそのときに、そういう現金の収受とか供応とかいうことがあったというふうに容疑が持たれたわけでございます。これは警察がその関係者を参考人として調べました結果、事実が明らかになりまして、厚生省の係官が参りましたのは、島根県の当局からその調査につきまして指導を要請されてまいったわけでございます。それで、県の要請で行きましたので、その旅費につきまして県の負担でもって参ったわけでございます。そういう事実が判明いたしましたので、厚生省の係官につきましては、そういう汚職に関係がないということでもって放免されております。県の職員とその業者との間におきましては汚職事件の容疑が持たれて事件になっておるようでございます。
  304. 森中守義

    森中守義君 真実がそのとおりであればまただいぶ変わってくるんですがね。それならば、その担当の係長か、あいは補佐という人は厚生省からはどういう資格で出張したんですか。公務出張ということでありながら、旅費は辞退をして行った。旅費は県が負担するということで出張させたんですか。もしそうだとするならば、なるほど旅費の二重取りということにならぬわけだからいいわけですが、どういう出張で出したんですか。
  305. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 厚生省からは旅費は出ておりません。県の負担でございます。これは講習会の講師として派遣を要請されるとか、あるいはそういう県のいろいろな仕事につきまして厚生省指導なり調査の協力を依頼されるというような場合に、その地方公共団体の負担において行くというようなことはときたまあるわけでございます。
  306. 森中守義

    森中守義君 それは証拠を出してもらいましょう。出張命令簿があるはずです。それと復命書。だから、出張命令簿に、明らかに旅費は招聘をした県が負担するというふうに表示をしてあるかどうか、それがはっきりすればこれは汚職ということにはならない。しかし、新聞にはそういう言い方をしていないんだね、旅館を向こうが負担した、相当な供応をやった、こう言っておる。そして帰るときに現金四万円を握らせた、こう言っている。だから私はいまあくまでも新聞を基礎にしてものを言っているわけだから、いま官房長の言われるようなことが事実であるとするならば出張命令簿を持ってきなさい、それと復命書、それによればもうはっきりしますからね。それはひとつすみやかに提出してもらいたい。
  307. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 警察の調査の結果、旅費等の二重取りはしていないということが明らかになったために放免になったわけでございます。ただ、向こうで県の職員らと食事をともにしたということはあったようでございますが、その食事の負担の経費につきましては、もちろん当人としては県の招待であるというふうに受け取っておったようでございます。なお、その出張に関する書類等につきましては、調べまして、必要なものを提出をいたしたいと思います。
  308. 森中守義

    森中守義君 それから、問題なのは、その四万円を、県が正当な公金として旅費を負担したというならば警察も追及してこなかったと思う。ところが、松江における事件では、いわゆる理容学校の業者が認可運動資金として四十万か五十万かを県の課長か補佐に渡してあります。その一部の金を厚生省の担当官に渡した、こういうのが問題の発端のようです。したがって、県が招聘をしたならば、正規の県の旅費によってそれは支給されるべきものであろうし、それならば何ら問題はない。ところが、肝心な県の役人が逮捕されて、四十万か五十万受け取って、その金の一部がその人に握らされた、こういう疑惑が持たれているのが真相のようですよ。その点では官房長の言われる、旅費は厚生省が出していない、県の招聘だから、県がこれを負担したというところにちょっと私も釈然としない点が残る。その辺、事実をどういうようにつかんでいますか。
  309. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) その係官が島根県のほうに呼ばれまして取り調べを受けた結果、その厚生省の係官の出張旅費の出所については疑問がないということでもって帰されましたので、その県における負担の経費の内容がどういうものであったかということはこちらは知る由もございませんが、一応それは疑問はないと、問題はないということでもって帰されましたので、その点は私どもは金の出所についてもそういう疑問はないものと信じております。
  310. 森中守義

    森中守義君 その次に、ごく最近のことですね、四月の十九日、今度は社会保険庁に例の電子計算機の汚職が発生をした。この真相はどういうことですか。
  311. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) まことに重ね重ね汚職容疑事件が発生いたしまして恐縮でありますが、この保険庁の汚職容疑事件につきましては、業務課の会計係の職員が収賄容疑でもって逮捕されて、いま取り調べを受けている最中でございます。それで、私どもも新聞で知る程度のことしか存じ得ないわけでありますが、その内容によりますと、この業務課に出入りする二、三の業者から、パンチカードに関連する紙の会社とか建設会社から収賄をした容疑があるということでもって調べられておるようでございますが、まだ真相につきましては詳しく内容はわかりません。
  312. 森中守義

    森中守義君 三月八日から四月のいまの保険庁事件まで日数を数えて約四十日、五十日という非常に短い期間に一つの省庁において——むろん松江のものはいま言われたことを信用したい。しかし、疑惑を持たれたことはよくない。しかし、そういうものも含めて三件に及ぶ汚職並びにこれに類似するものが発生をしたという事実について、私は、今日の国会における、そして、また、今日の政府は汚職の絶滅ということはまさに喫緊の急務ですよ。そのために総理が何回も国会で答弁をされ、それを受けて官房長官が通達を出す、あるいは行管の長官が同様の趣旨を関係各省庁の責任者に指示を出しておる。こういうやさきに一つの省庁で三つの汚職が発生するということは、一体厚生省は何をやっているんです。何と言って社会に謝罪をする。むろんこの種の問題は法案の審議外のものであるかもわかりませんけれども、私は、この機会に、特にこういう問題が厚生省の行政姿勢の問題として追及する必要がある、まあこういうように痛感するがゆえにこの問題を提起したのであります。  そこで、この三つの問題発生と同時に、司直の手をわずらわすまでもなく、本来、厚生省の中で犯罪の予防、犯罪の防止、これは設置法に監察制度というものが表現されておるわけだから、直ちにみずから進んで実情調査に私は乗り出したのだとこういうように思っております。しかし、残念ながら、先ほど高知の問題にしても、医務局長からはみずから進んで厚生省自体が事件の究明に乗り出したという回答がない。官房長からも同じような答弁であって、一体厚生省はこういう事件をどういうように認識しているんですか。そのことが一つ。同時に、また、大臣に対し、これら三つの問題はしさいに報告しておりますか。
  313. 園田直

    国務大臣園田直君) 三つの事件とも承知をいたしております。そこで、取り調べ中の者は、取り調べが終わってから、他の釈放された者についてはそれぞれ実情調査をし、行政処分に付するよう、ただいま検討いたしておりまするが、なお、御指摘のとおりに、厚生省という特殊な役所でありながらこのような事件が起こることは、他の役所以上に非常に重大な問題でありまするから、省内で委員会をつくって、ここでさらに綱紀の粛正、服務規律についての検討なり今後の問題を十分調査並びに検討をやっております。
  314. 森中守義

    森中守義君 答弁が抜けている。独自の調査をやりましたか。
  315. 園田直

    国務大臣園田直君) やっております。ただいま取り調べ中のものは、本人がおりませんから、取り調べを終わってからいたすつもりでおります。     —————————————
  316. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) この際、委員の異動について報告いたします。  本日、塩見俊二君が大蔵委員を辞任され、内田芳郎君がその補欠に選任されました。     —————————————
  317. 森中守義

    森中守義君 ちょっと大臣答弁が早過ぎましたよ。そこで、大臣答弁もあったことですから、重ねてお尋ねいたしますが、たとえば通産大臣が例のJISマーク、これで直ちに記者会見を行ない、世間に対して謝罪をしております。また、中曽根運輸大臣が日通問題及び官僚の餞別受領の問題等が騒がれたときに、これまた記者会見をやって社会に謝罪をしております。同時に、内部に対してはきわめて厳密な態度で臨むという指示、あるいは通達、そして大臣みずからが決意を表明をしたようです。私もかなり克明にこういう事件に関心を持つがゆえに、厚生大臣の記者会見の経過等をずいぶん丹念に見ておりますが、そういうこといままでありませんね。
  318. 園田直

    国務大臣園田直君) 記者クラブに遺憾の意を表明をして、委員会をつくって自己の綱紀粛正及びその他について検討をするということで会見をいたしました。
  319. 森中守義

    森中守義君 内部に対してはいま委員会をつくって綱紀粛正をはかると、こういうことですが、どの程度の効果を期待するのですか、具体的な事実問題として。
  320. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は、このような事件が起こりますのは、本人の心がまえもさることながら、やはり仕事の仕組み、機構なりに、あるいはいろんなことの処理の過程等に問題があってはならぬと、こう考えまして、そういう問題も検討して、今後こういうことを防止したいという考え方でやっております。
  321. 森中守義

    森中守義君 厚生省内における内部監査はどうしておりますか。機構、人員の配置、これらの問題はどうなっておりますか。
  322. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 官房における、設置法では「考査」といっておりますが、職員に対する監察制度のほかに、各局におきましてそれぞれの所管業務に関する監察制度、そういったものをとってやっておるわけでございます。したがいまして、各局によっていろいろ内容は異なりますが、一例を医務局にとってみますと、本省の中のいろいろ会計その他の業務監査は主として官房を中心にやっておりますが、医務局では、主として国立病院療養所に対する監査を厳重にやっておるわけでございます。そのための職員組織といたしまして、医務局管理課の中に、特に監察専門職員を七名、それから、官房の会計課に十一名、地方医務局に二十九名、会計に関する監査要員を置いてやっております。それで、その実績の一例を申し上げますと、四十一年度には病院に対して二十二カ所、療養所に対して三十九カ所、計六十一カ所そういったような監察をやっております。そういうふうに、その他社会保険庁、社会局、児童局がそれぞれの監察のための組織要員を備えて計画的に実施いたしております。
  323. 森中守義

    森中守義君 行政省庁の監察制度としては、そういうものはやはり監察に入りませんよ。非常に弱体だ。ことに高知の場合には、業務監査に行った者、いま官房長官のお話からいけば、おそらく厚生省の監察担当者になるでしょう。何を監査に行ったか、何を監察に行ったか、収賄で受け取った金で酒を飲んでいる、こんなのが監察と言えますか。医務局長、その該当者はどういう地位の人ですか。いま官房長官が言っているように、一般的に考える監察的な立場の者ですか。業務の監査に行った者三名の者を収賄の金で飲ましたと言っている、どういう地位の者ですか。
  324. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 会計課と地方局の職員が行っている模様でございますが、現在その個別的な氏名等を存じておりません。
  325. 森中守義

    森中守義君 そういう人のお名前までここであえて聞こうと思いませんが、要するに業務監査に行ったと、こういつているわけだから、いま官房長官が言っているように、監察、監査というのが非常にまぎらわしい、厚生省の場合は。しかし、それをこみにして非違行為があるなら、これを指弾するとか予防するというのが趣旨だと、こういう官房長のお答えだから、だから私は、そういう非違行為等を予防に行った人だと、こう思っておる。その人が収賄で受け取った金で、芸者をあげたのか抱いたのかどうか知らぬが、料亭でごちそうになるとは、一体これはあきれた監察ですよ。まことに不見識だ。そこで、行管の長官も出席を求めておりましたが、見えておりますか。
  326. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) 政務次官が……。
  327. 森中守義

    森中守義君 行管という立場から、厚生省の監察の体制、これは非常に強力なものであって、これならばあえて行管が行かなくても、まずまず内部監査としては一応認め得るという厚生省の監察の体制であるか、行管はそれをどういうように判断されておりますか。
  328. 森部隆輔

    政府委員(森部隆輔君) 監察局長から。
  329. 諸永直

    政府委員(諸永直君) 厚生省の内部考査の業務の実態につきまして直接監察をいたしたことはございませんので、監察の結果での意見を申し上げることはできませんが、形としては必ずしも強力でないような印象を受けております。
  330. 森中守義

    森中守義君 監察局長厚生省となれ合いじゃ困るよ。なれ合いでそういう答弁をしていると思わないけれども、行管という立場から、もう少し厚生省の内部監察の体制が一人前であるのか半人前であるか、もう少し正確な監察をやってもらいたい。なぜ私はそんなことを言うかといえば、先ほど大臣からもお話がありましたように、何といっても国民生活の基盤を持っていますよ、厚生省は。非常に重要なところです。のみならず、補助金だけでも五千億近い金を持っている。こういう補助金行政をやるような機関の内部の監察体制が今日のような状態であるということは、私はどうしても理解できない。最近どの程度の行管が査察をされたのか、よく知りませんけれども、おそらくこれをやってみれば存外な問題点というのが出てくるのじゃないですか。むろん私は、不正だとか汚職だとか、そういうものばかりさしているわけじゃありません。機構上整備すべき点、あるいはもっと要員を配置すべき点、そういう幾つかの問題が出てくるのじゃないかというように思うのです。先ほど厚生省の官房長が答弁をされたようなあの監察、あるいは考査、監査ということは、私の概念としては、これは強力な社会政策を執行したり、ひいては補助金行政等を担当していくためには必ずしもふさわしい監察体制であるとは思えません。いま少したんねんな監察が私は厚生省に対しては必要ではないかというように思うわけです。予算書をだいぶ見てみました、設置法も見てみました。ところが、さっき官房長が言っている監察、あるいは考査、監査というのはありませんよ。組織的にもない、そういうものは組織令にもない。管理官、参事官というのは置いている。これが法令上参事官、管理官というこれらの諸君が内部の監察を執行するというならば、その行なわんとする者の地位、こういう点からいっても、いわば厚生省内における専業的な立場ということでわかるけれども、いま言うような考査とか監査とか、こんなもので何が監査ができますか。ちなみに、官房長、それらのために専従の職員として何名、予算が幾ら、むろん旅費等を含みますがね、幾ら組んでおりますか、その辺のところをもうちょっと具体的に説明していただきたいですね。
  331. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 官房の人事課に、これは大体各省共通でございますが、そういう省内監察のための専門係官が参事官以下七名おります。それから、あとは各局、庁によって事情は若干違いますが、先ほど申し上げました医務局の例をとってみますと、会計その他の監査の旅費としまして、四十二年度に百九十八万円、四十三年度も同額でございますが、お話のとおり、もちろんこの程度の旅費並びに人員では十分な監査、監察はできないわけでございまして、この点は、今後予算、人員も大いに強化する必要があろうかと思います。
  332. 森中守義

    森中守義君 大臣、私少しこまかく入り過ぎた質問になっているかわかりませんが、大体そうそう見当の狂ったものの問い方ではないと私は思っている。それで、どうなんですか、こういう一カ月余りの間に三つの汚職が頻発したということを考えるならば、この際、直ちに省議でも開催して、いま少し監察体制の強化確立、こういったようなことを検討されませんか。
  333. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほど申し上げましたのは、私も御指摘を受けるまでもなく、そういう体制が弱体であって、それから、また、慣行上からいって思わしくない慣行等もありますので、内部の監察及び行政機構、業務の実態等について、全般についてそういう点を確立をして体制を強化したいという考え方から、省内で委員会を編成して、その原案をつくって省議を開こうと考えておったわけでございます。
  334. 森中守義

    森中守義君 少なくとも、具体的に次の国会等にはその辺の体制を固めながら措置をとる、こういうように理解をしておいてよろしいですか。
  335. 園田直

    国務大臣園田直君) けっこうでございます。
  336. 森中守義

    森中守義君 これと一連の関連を持つのが例の補助金行政の問題ですが、いま厚生省で補助金の種目はどのくらい持っておりますか。それと金額、わかっておったらお示しをいただきたい。
  337. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 四十三年度予算について申しますと、目で計算しまして、件数で七十四件、金額で五千百十四億二千六百四十七万六千円でございます。
  338. 森中守義

    森中守義君 いまお示しの数字は、きのう私が資料を求めたので出ております。ちょっとその補助対象の件数を聞きたい。予算を全部一つにまとめて、どの目が幾らなのか、補助の対象は幾つなのか、約倍数ぐらいになるわけですよ。
  339. 高木玄

    政府委員(高木玄君) ただいま七十四件と申し上げましたのは目の数で計算したものでございまして、これを交付決定の単位で計算いたしますと百三十三になります。
  340. 森中守義

    森中守義君 四十二年度から四十三年に少し削ったのですか。四十二年の大蔵省の財政調査会が発行した補助金便覧によれば、私の勘定では百四十八から百四十九になる。前年度から今年度、だいぶ削ったのですか。
  341. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 四十三年度予算で廃止になりました補助金が三件ございます。申し上げますと、インフルエンザ特別対策事業費補助金、それから、麻薬中毒者医療費公費負担事務費補助金、それから、工業標準規格原案作成委託費、この三件の補助金が廃止になっております。
  342. 森中守義

    森中守義君 数は相当食い違っておりますが、いま会計課長のお話では百三十数件ということですが、農林省、あるいは文部省、これらの省庁が非常に多い。しかしながら、この補助対象の内容をずっと見ていけば、これはどうかなというのもずいぶんある。そこで、補助金適正化法によってどういう措置をとられているか、一年度に全国からどのくらいの補助申請があるか、それを受理してどういう審査の結果を経て採用していくのか、その辺の手続を少し教えていただきたい。
  343. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 補助金の執行につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、つまり補助金適正化法に基づいてすべて執行しているわけでございまして、まず法令、予算に基づきまして補助金の交付要綱というものを定めるわけでございまして、それに基づきまして府県市町村、その他補助事業者から補助の申請がまいるわけでございます。その補助の申請の内容を審査して交付決定をいたすわけでございまして、これは正確な件数は計算してみなければわかりませんけれども、おそらく年間の補助申請件数は六万件くらいになろうかと、かように考えます。
  344. 森中守義

    森中守義君 毎年その六万件も申請を受理して、それから相当選定をされているようですが、たいへんなこれは労働になる、そういうことでしょう、六万件を整理するということになれば。そこで、私は、法律補助の場合は、これはもう義務的に出すべきものだから、これは問題にしない。しかし、予算補助については必ずしもそうはいかぬ。むろん適正でないとかあるとか、そういうことは私は言っているのじゃありませんが、ただ、問題は、適正にやっておるからこれは補助金出さなくちゃならぬという、そういうやり方がいいかどうかという問題です。ここに一つの例をあげましょう。これは四十三年度に承継されておるかどうかわかりませんが、こんなのがある。世界歴戦者連盟アジア極東地域会議補助金と、こういうのがある。一体これはどういうものですか。これは一つの例にすぎないけれども、これはもっといろいろなやり方があるんじゃないか。こういうようなことで、要するに予算補助という項については相当吟味の必要があると思いますよ。定員を要求しても簡単に行管はオーケーと言わない。財政当局も事務能力が非常に低下するから、あるいはふくそうしておるから人を増そうということは、簡単にうんと言わない。一般会計の場合には、すでにあと補充の凍結をやって、しかも、また五カ年間にわたって相当人間を減らそうという時代ですから、そういう事務能力、こういうことが相当刷新されないとうまくいかぬのじゃないかということも含み合わせながら、この補助金制度というものはそろそろ抜本的に改善、改革の時期にきたのではないか、私はこういうように思う。これはひとつ行管の立場から見て、こういう制度は、はたして現状のままでいいのか、もっと検討の余地がありはしないか、それを行管からお答えを願いたい。同時に、厚生省も現状をすべて可としておる状態なのか、あるいは検討すべしというお考えなのか、両者からおのおのお答えをいただきたいと思うのです。
  345. 諸永直

    政府委員(諸永直君) 行政管理庁では、昭和四十一年に地方公共団体に対する零細補助金の行政監察を実施いたしまして、整理統合等の勧告をいたしましたが、厚生省関係につきましても十六件の、金額として十億円でございますが、それについて、それぞれ廃止、あるいは期限つき廃止、あるいは交付税の移しかえを適当と認めるとか、あるいは統合メニュー化を適当と認めるとか、あるいは事務の簡素化の必要を認めるというような分類をいたしまして、十六件の勧告をいたしておるわけであります。それから、四十二年度に、これはまだまとめておりませんが、民間団体に対する補助金、あるいは交付金、委託金、委託費等につきましての監察をいたしておりまして、目下その取りまとめをいたしておるわけであります。また、本年の二月二日の「今後における行政改革の推進について」の閣議決定に基づきまして、補助金につきましても、各省庁が所管の補助金の全部につきまして総点検をやっていただきまして、その整理の計画を六月末に行革本部に提出されるということになっておりますので、かなりの簡素合理化が期待されると考えております。行管といたしましても、ただいま御指摘の点につきましては、その御趣旨を十分拝聴いたしまして、補助金の整理簡素化を今後一そう推進してまいりたい、こういう所存でございます。
  346. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 厚生省につきましては、行管の勧告を待つまでもなく、補助金の科目は非常に多うございます。また、零細補助金といった種類のものも多うございますので、極力その簡素化の線に沿って統合整理等の線を進めていきたいと考えております。ただいま行管からもお話がありましたが、六月までに行政改革に関する案を提出することになっておりますので、省内でも行政事務運営改善委員会を設けまして、いまその補助金の問題も含めて、鋭意検討しておりますので、今後そういう線に沿って極力努力してまいりたいと思います。
  347. 森中守義

    森中守義君 厚生大臣も行管もごらんになったと思いますが、二月の六日に朝日新聞がこういう記事を出しております。「中央へ三割自治の弱み」、「あと断たぬ進物や宴会」、「エビを飛行機で贈る」、「相変らずのゴルフ接待」、非常に要を得た記事が出ております。さっきの厚生省の松江の事件等はこれにずばり当たるかどうかわからぬけれども、この朝日新聞のキャンペーンからいきますと、補助金に対してアリがあさるように寄ってくる。それで、やれゴルフだ、やれ出張に対しては酒だ、旅館だというようなことで、たいへんな騒ぎだ、こういつているのですね。一体こういうことが許されるかどうかといっているわけです。私は、厚生省は他省と同じように、例外であるのか例外でないのか、その辺はよくわからぬけれども、少なくとも、厚生省が件数において百三十数件の補助金を持っておれば、これも例外ではなかろう、こういうように思うのです。そういうところに綱紀の弛緩、綱紀の紊乱、そうしてそういうことが汚職につながっていく温床になる。これはもういままで両院の決算委員会等を通じてしばしば指摘をされてきた問題であります。したがって、いま行管の監察局長及び官房長からおのおのお答えがありましたが、いずれ厚生省も整理をしたい。六月に答えが出るということですから、そのときにまたお尋ねすることにしたいと思いますが、要するに、厚生省の場合に、厚生大臣、行管からもその指摘がある。その回答を迫られている時期でもございますし、かたがた、汚職だ、あるいは綱紀の粛正だ、こういう時期ですから、少なくとも、今日の厚生省の補助金行政、中でも予算補助というものは、これは大いに検討の余地がある。そういう観点から、これも先ほど何か委員会をおつくりになってずいぶん綱紀の粛正をはかろうというお気持ちのようですが、そういう問題と並行してこの問題も処理される御意思があるかどうか、的確にお答えいただいておきたい。
  348. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほど答弁の中に慣行と惰性と申しましたのはこういう意味も含んでおりまして、御指摘のとおりに、たくさんの補助金の対象の中には削るべきものもあるし、かつまた、実際はいろいろな社会福祉施設の核点として活躍をしている団体等には補助金が出ていないような点もありますので、とうとい国民の税金を適正に、しかも、効率的に使うという意味においても、また、消極的には、御指摘の汚職の温床にもなるおそれがありますから、この点は、御指摘のとおり、十分検討をして、厳重に監督をし、その体制をつくるつもりでおります。
  349. 森中守義

    森中守義君 それから、厚生大臣、ちょっとしたことですが、つい一週間ほど前、記者会見で、身体障害者のために調査会をつくりたい、つくると、こういう談話を発表されましたね、御記憶ありますか。
  350. 園田直

    国務大臣園田直君) 重症心身障害者の福祉のためのことだと思いますが、あれはああいう方向でただいま検討しておりまするので、これはぜひやりたいと思っておりますが、いろいろ各方面の専門家の意見を聞きたいと思いますので、専門的な調査を依頼をして各人の意見を聞きたいというので、調査会をつくるという意味ではございません。
  351. 森中守義

    森中守義君 調査会をつくるというのが新聞の要点のようですがね、したがって、その関係の向きにおいても非常に歓迎されておる、これでこの種問題が一歩前進するであろう、こういう期待を持っているわけです。さて、ところが、問題なのは、簡単にできないのですよ、そういうのが。私が言うまでもなく、三十六、七年に、当時の内閣委員会等で非常に問題になりまして、行政組織法八条、ことに厚生省の場合には設置法二十九条で規定をしている機関以外にはつくってはならぬ、ちゃんと閣議決定が行なわれております。だから、おそらく思いつきでそういうものをつくろうと言われたのか、そこまで配慮があったかどうかわかりませんが、そうでなくとも簡素化の方向に向かうべき時期に、これらのものはあまり方々で要望があるからという理由のもとにおつくりになるのはどうか。ですから、せっかく新聞であんなに発表はされておりますが、これはつくれません。もしつくられるならば、これはまた別な機会に、つくられた段階でお話をいたしましょう。そういうことになれば、あの問題の処理はどうします、調査会がつくれないということになれば。
  352. 園田直

    国務大臣園田直君) あれは思いつきで私が言ったものではなくて、事務当局に指示をいたしまして、事務当局が検討したものをまだ発表しない段階で書かれたものでございますが、あの中に調査会ということばが使ってあったと思いますが、それは調査会というものは、厚生省がしばしば行管またはその他から勧告を受け、閣議決定等によってただいままであった諸制度に違反する調査会は全部廃止をしておりますので、御指摘のとおり、簡単にできません。したがって、調査会をつくらなければなかなかできないということでは時期がおそくなりますから、それぞれの各方面の方の御意見を聞いて、実質上はそういうことができるようにやっていきたい、こう考えます。
  353. 森中守義

    森中守義君 さて、そこで少し法案の内容を聞かしてもらいたいと思う。先ほど小平委員からもちょっと出ておりました例の基準寝具の問題、三基準の中の。これはどうなんですか。日本病院寝具協会というのができたのはいつですか、厚生省が認可したようですが。
  354. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 昭和四十年六月五日申請があり、七月二十二日認可されております。
  355. 森中守義

    森中守義君 これの業務の内容というのはどういうことですか。
  356. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 本会の定款によります事業のほうに載っておりますのは、読んでみますと、「第四条、本会は前条の目的を達するために次の事業を行なう。一、医療機関用寝具の品質向上及び制度活用の普及。二、寝具及び寝具サプライに関する調査研究。三、寝具及び寝具サプライに関する業務あっせん。これに付帯する業務。四、会員の福利厚生に関する事業。その他前条の目的を達成するため必要と認められる事業」ということになっております。
  357. 森中守義

    森中守義君 御説明のとおり、定款はそうなっていますね。そこで、本会の基準寝具の問題とこの協会との関係はどうなっていますか。
  358. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) このたび私ども国立療養所が実施した基準寝具というものと協会との直接的な関係はございません。
  359. 森中守義

    森中守義君 こういう聞き方をしたらどうですかね。要するに、その寝具協会に会員が五十名近くおいでになる。そういう皆さんが全国に点在していて、ブロック別にAならAという商社がございます。要するに、寝具協会というものは、かなり今回の基準寝具にあたっては大きな役割りを果たすということはあり得ますか。
  360. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 基準寝具を請け負う会社が相当多数ございますが、その中の相当大きい業者がこの協会に加盟しておりますので、現実に入札の場等におきましてこの加盟業者が相当多数入り、また、それに落札する機会も相当多いということは予想されます。
  361. 森中守義

    森中守義君 現在のこの協会への加盟業者は何商社ありますか。
  362. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 約七十社と承知いたしております。
  363. 森中守義

    森中守義君 厚生省では、この協会を中心に寝具関係を扱わしたい、そういう御意思があるんですか。
  364. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 寝具を委託する場合も、当然指名競争入札でございますので、入札の結果によって委託することになります。
  365. 森中守義

    森中守義君 実際問題とすれば、やはりこの協会に加盟している商社が大部分というよりも、ほとんど全国的にそれぞれ入札の方式をとるようですがね、参加をするということになりますね、結論としては。どうですか。
  366. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 指名入札には参加してくると思います。
  367. 森中守義

    森中守義君 そこで、この協会が設立をした直後、約一年ぐらい経過したときですね、非常に過当競争になった、あるいはダンピングが始まった、こういうことではいかんというので、業者みずからが自主規制をやった。同時に、厚生省では他の業者に提唱して、極力この寝具協会に加盟するようにあなた方は行政指導したことがありますか。
  368. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どものほうから積極的にこの協会に参加するよう、干渉あるいは指導したことはございません。
  369. 森中守義

    森中守義君 積極的にはないが、消極的にはあるということですか。いまの言い方はそうだよ、積極的じゃないと言っているなら。
  370. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ことばが不十分でございました。指導干渉等をいたしたことはございません。
  371. 森中守義

    森中守義君 そこで、その認可にあたって、いずれこういったような発展をするであろう——先ほど医務局長答弁によれば、すでに特別会計については三年以前から検討していた、時期的にそのワク内に入りますよ、三年のワク内に。認可が行なわれたという時点はそういうことでしょう。四十年につくってるわけだから、現在四十三年だから、三年のカテゴリーの中に入る。そうなると、おそらくまあ認可権者は厚生大臣なんだが、ある意味では、これは形式的なものかもわからない。実質的には医務局長が中心だと思う。そうなれば、医務局長の頭脳の中にあるものは、いずれ三年ぐらい経過をして財政当局との折衝が、ある時点でコンセンサスに到達するならば特会に踏み切ろうという際に、この寝具協会というものがかなり大きなウエートを持ったことは事実だと思う。それが認可の一つの起点となったとみるのはおかしいですか。
  372. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 各病院が、厚生省療養所だけでなしに、一般的に病院が寝具を委託するという制度はすでに昭和三十九年から始まっております。したがって、そのような時期からこのような業者が相当できておるわけでございまして、この法人の認可が四十年七月でございますけれども、これをこの時期に局長はすでにこのことを予想していたのではないかというお尋ねでございますが、個人的な問題になって恐縮でございますが、私はこの認可のあったときはまだ医務局長になっておりません。したがって、この直接の関連はないと解していただきたい。
  373. 森中守義

    森中守義君 それはたいへんどうも失礼しました。ただね、協会が設立されたのは確かに御説明のとおりなんです。事実問題として業者に発注していたかなりの沿革がありますね。で、三十九年ぐらいかな、三十九年ぐらいから出している、そこでまとまったのは協会だと、私はこう読むのです。個別個別に厚生省が下請に出し始めたから、それで相当過当競争になっちまう、あるいはダンピングが始まる、こういうことじゃいけないというので協会というように形が整ったものだという読み方を私はする。で、そこで、認可にあたり、また、下請に出すときどういうことが配慮されたのか。具体的に言うならば、厚生省の告示百七十八号というのがある。この厚生省告示百七十八号は何と書いてありますか、原則として施設者においてこれは提供すると、こうなっておるわけです。ところが、この法案を中心に、衆議院並びに本院における審議の段階において、原則と例外が取り違えになっておる。少なくとも、いま厚生省考えているこの基準寝具の問題は、自前でやるのが例外的に非常に少数になって、例外であるべきいわゆる下請というものがこれが原則になっておる、こういう逆な現象をつくっちゃいます。だから、法律であろうと、あるいは政令であろうと省令であろうと、存在するものについては守ってくれなければいけませんよ。守られていないじゃないですか。だから、園田厚生大臣の前任者の場合のできごとでしょう、認可を与えたのはね。認可を与えたときにまことに不用意であった。一体、告示百七十八号というものを何と心得ておるか、こういうことが実は基本的な問題として提起される、こう思う。したがって、百七十八号というものとこの現状というものを対比した場合にどうお考えですか。
  374. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 最初に、前段でちょっと国立療養所の話が出ましたが、三十九年からこういう寝具を委託することを認めておりますが、厚生省の直轄の医療機関である国立病院は寝具の委託をやっておりませんし、国立療養所が寝具の委託を始めましたのは四十二年度からでございます。その点をまず申し上げておきます。  それから、そのほかに一般的な問題といたしまして、病院における業務として、給食、洗たく並びに寝具の問題は、病院が直営でやることが望ましいという原則は打ち立ててございます。ただし、やむを得ない場合には一部を委託してもよろしいという扱いにしております。したがって、原則は直営であることは申すまでもございません。しかし、それが国立療養所におきましては、先ほどもお話がありましたように、各種の病院、医療機関がすでに昔から基準寝具を実施しておりますが、国立療養所はいまになって非常におくればせに実施をいたすわけでございます。しかも、この時期に一挙に百六十近い施設に実施いたします場合に、初度設備が相当多額にのぼる、また、相当の人員を新たに増員しなければならないという状態でございますので、先ほど来もお話に出ましたような、国家公務員を減少させようというような時期に新たに相当数の定員を確保するということはきわめて困難な実情にございますので、やむを得ず委託という処置に出たわけでございます。
  375. 森中守義

    森中守義君 百七十八号の告示とはどうなのかと、こう聞いている。だから、現状それを進められて、私は、百七十八号という告示がある限り、これが原則なんだから、原則はあくまで守らるべきものである。ところが、現状、そして将来の維持発展の状態を展望する場合においては、原則と例外が入れかわるのじゃないか、これは許されなぞと、こういう質問をしているのですよ。だから百七十八号に対する厚生省の見解はどうだという質問が実は私の中心です、いま聞いているのはね。
  376. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 厚生省告示百七十八号にありますように、どこまでも直営が原則でございます。ただし、その例外を承認しておるわけでございまして、残念ながら、こちらの国療の場合はその例外にたよらざるを得なかったということでございます。
  377. 森中守義

    森中守義君 それが局長、問題なんだ。なぜそならば告示百七十八号というものは出ている。私は、国の責任において診療、そしてそのことが社会保障ということでとらえられているから、それで告示百七十八号が出ている。それは衛生上の責任の問題もあるでしょう、扱い上の責任もあるでしょう、少なくとも、営利はこれに介入させないものだ、営利とは関係なく、国の責任においてやるというのが百七十八号の精神ではないですか。それが殺されていくということになるならば、基準会社というのは、これは営利会社なのだから、この保障に営利が入り込んでくる、こういう実は論理が生まれてくるわけですね。で、そうなると、いや、特別会計は独立採算じゃありません、このようにいままでしばしば強調しておきながら、営利がこれに介入する、五十円ふとんを下請に二十円か二十五、六円でまかせる、そのさやをかせごうということですか。要するに、百七十八号の告示は今日生きていますよ。もしあなたのような考えならば告示百七十八号は消滅させなさい、それなら問題は解消する。しかし、国の責任における保障の一環として告示百七十八号は温存をさせる、片一方では例外を原則的なものに置きかえるというやり方は矛盾撞着もはなはだしい、こういうことになりはしませんか。
  378. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 百七十八号の直営が原則というのは、どこまでも直営が原則でございまして、例外も認めるという規定でございまして、その例外が施設において一部のこともありましょうし、やむを得ず全部になることもある。まあ国立療養所の場合には、先ほど申し上げましたように、職員の確保が事実上困難であるということから、これを実施する場合にはどうしてもこういう方法にたよらざるを得ないということで、やむを得ず例外におちいったということでございます。
  379. 森中守義

    森中守義君 百七十八号を完全に実施していくための職員の確保ができないということが一つの理由ですか、そのとおりですか。行管に聞きますが、管理局長見えていますか。こういうきちんとした規定がある。それで、予算を要求したが、財政当局が拒んだのか行管が定員増加を認めないのか、その辺どっちかわからぬけれども、いままで厚生省が概計を要求する際に、この種定員を財政当局に何名要求したか、行管はその合議を受けて必要ないといって断わったのかどうか、その辺の経過を、ひとつ財政当局と行管、両方から説明してもらいたい。
  380. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実は、私どものほうからこれを実施するに必要な人員の要求はいたしておりません。この人員でなくても、さらに緊急を要する医療の直接要員がまだ私どもとしては不足に感じておりますので、その方面の要求をいたしておりますが、それさえもなかなか十分な職員が得られませんので、ここまではもう望みなきものと初めからあきらめた形でいるわけでございます。
  381. 森中守義

    森中守義君 私のちょっと理解が少し不足しているのかわかりませんが、正規な定員の要求を出したがくれなかったという意味なのか、それとも、いわゆる一般各省庁で使っている臨時員、臨時作業員、そういう趣旨の人が得られないという意味ですか、どちらですか。そこがはっきりしないのです。
  382. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 本来ならば当然定員で要求すべきものでございます。しかし、定員として要求いたしたいものは、なお直接医療要員の要求が優先いたしますので、どうしてもその要員さえもなかなか得られない。したがって、これの基準寝具実施に必要な要員を要求いたしましても、結局それは優先度からいいましても下になりますので、とうていその望みがないということで、事実上要求をしなかったということでございます。
  383. 森中守義

    森中守義君 若松局長、その辺になるとあんたの姿勢も少し弱過ぎるよ。日本の医療行政を一人で背負って立っている人がそういうことでは困る。一ぺんやってごらんなさい、そんなことを。実は百七十八号というものが過去のものであって、過去にこういうものがあったが、すでに消滅をしている、それならば話は別です。これは現存している、生きているんだ。そこで、いま言われるような一つの展望を試みてやっても見込みないからこれに切りかえるということは、これは私はいささかどうかと思う。幸い財政当局も行管もお見えですね、定員にはいずれも関係がある。どうですか、大蔵政務次官、こういう重大な問題、五十人定員を、その関係で概計の要求があった場合に応じますか、あるいは行管がその裏打ちをしますか、そうすればこれは片づくのですよ。
  384. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 国立療養所、病院の四十三年度の定員要求につきましては、先ほど医務局長からお答えのあったとおりでございまして、問題とされておりますこの寝具の関係につきましては定員要求はなかったわけでございます。最近の情勢といたしまして、定員増加が非常にきびしくなってきておるわけでございまして、でき得る限り外部に依存するという方式が可能なところにはこれを充てていくというような考え方で私ども定員査定をいたしておる次第でございます。
  385. 森中守義

    森中守義君 いま厚生省局長は百七十八号というのは認めている。財政当局はそれを知っていたのかどうか知らぬけれども特会に移すということは独立採算制じゃない、こう言っている。ところが、患者からは五十円取る、それで、業者の落札が二十円ないしは二十五円だった場合には、三十円もしくは二十五円のさやがかせげるんですよ。それを療養所会計の収入に充てろというのがあなた方の考え方じゃないですか。それで、百七十八号告示が存在する限り、これはわが国社会保障の一つの拠点として守られるべきですよ。これらを外部の業者等に、しかも、営利を目的とする業者等に出すべきじゃない。そのくらいの人員を認めるくらいやりなさいよ。行管はどうですか、あなたのほうにも定員の場合には必ず相談があるはずです。いま独立採算制じゃございませんと、こう言っておるんだから、正しくそれを守らしていこうとするならば、当然厚生省がその関係に必要とする人間は、当初予算だといいながら、どっちにしても、この会計というものは予算を補正しなくてはいかぬことだ、法案通りやしませんよ。予算を補正する機会に定員を臨時に増加したらどうか。どうですか財政当局と行管は。
  386. 北山恭治

    説明員(北山恭治君) いまお話の人員につきましては、行政管理庁といたしましては、定員の要求を受けておりませんので、審査したことございませんが、一般的な考え方といたしましては、現在定員は極力抑制をするという考えでございますので、厚生省全体の定員といたしまして、内部の配置転換等によってまかなえる余地がある場合もございましょうし、そういうことも考えながら、なお要求がありました人員の必要性をよく十分考えまして審査をするようにいたしたいと思います。
  387. 森中守義

    森中守義君 実は、問題の本質をとらえてほしい、問題の本質を。ただ、私は、業者に渡すのは営利が介入するからいかぬという、それが中心の論点でないんですよ。百七十八号というのはなぜ存在するか、問題はこれなんです。ちなみに、ちょっと読んでみましょう。「療養上必要な寝具類を具備し、患者の使用に供するほか、その洗たく、消毒及び修理は、当該保険医療機関が原則として自ら行うものとする。」、こういっておる。これは医療の必要上ということですよ。金銭の問題以外の問題、それ以前の問題、要するに、菌がたくさんふえてはいかぬ、菌は撲滅するものである、そういう次元の高い医療上の問題から百七十八号はできておる。それをもうかるもうからぬというようなかりに論点があるとすれば、これは許されない。だから私はしつこく告示百七十八号にこだわるのは、医療はかくあるべきだ、菌というものが拡散をしていったのでは、これは民族は滅びますよ、ここに社会保障の問題がある。私ども特会を可とするか、在来どおり一般会計を可とするかという問題はそこにある。すべて国の責任で行なえ、これですよ。ですから、人間を幾らよこせ、何をどうせいということの根拠になるものはそれなんです。ですから、このことを踏まえるならば、医務局長は見込みがないから出さなかったといわれるが、これははなはだ適当ではない。やりもしないであきらめる、そんなばかな話はありませんよ。ほかのことはどんどんやっているじゃないですか、法律をおかしてやっておるのだ。こんなことになれば見込みがないからやりません、そんなことは国会では理屈になりませんよ。私はいまからでもおそくないと思う。どうですか、この定員だけはどうしても片づけてもらいたい。いま得がたい厚生大臣をあなた方は持っておる、こういう厚生大臣はまたと見えませんよ。園田厚生大臣の在任中に、その政治力に期待してやってごらんなさい。どうですか、園田さん。
  388. 園田直

    国務大臣園田直君) 寝具が直営でやられることは、いまの百七十八号からいっても、あるいは国民医療の一環であることからいっても原則であって、その原則の方向に逐次切りかえていかなければならぬと思いますが、直営でやるにいたしましては、洗たくその他の施設と人員と両方要るわけでありまして、定員のほうは、また配置転換などということでそのほかのところに食い込まれると非常に困るわけでありまするから、その点も考慮しつつ直営の方向努力していきたいと考えております。
  389. 森中守義

    森中守義君 どうもやっぱり厚生大臣、何とかかんとかして国会を適当にあしらっておけばいいという考えじゃないですか。まさか、同じ里の人間ですから、あなたをそんなずうずうしい人とは私は思っていない、信頼していますよ。しかし、事実問題として三十九年から始めておる。そうして、またあとで申し上げますが、いまその予算の執行が禁止されておるにかかわらず、どんどん契約をやっているじゃないですか。すでに三十四施設が契約を終了していますよ。こういう状態で直営の原則に返るとか原則を踏まえるなんということが言えますか、からかっちゃいけませんよ。私も去年、おととし出て来たかけ出しじゃない、何年かやっております。こんなことを、ああそうかというわけで簡単に引き下げるわけにはいきませんよ。あなた方が説明することとやっていることは全く反対だ。さらに一歩掘り下げていくならば、こんなのがある。三十七年の七月四日、総第四十四号ということで、医務局の総務課長が各都道府県の衛生主管部局長あてに通達を出しておる。六月の四日に出しているのに、さらにまた追加されて、今度は七月の四日に出し直している。この通達は御存じでしょう、局長。これはあぶなくてしようがないよ、こんなのは。一体だれがその施設のチェックをするのです、だれが施設管理をするのですか。すでに一たん当てがったものが、さらに作業能力等がないというので、他にまたこれを委託しようとしている。こんなあぶないあれはありませんよ。だから言っていることと全然違う、いまの通達の趣旨は。どうですか、これでも百七十八号を守るつもりですか。
  390. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 三十九年の医務局総務課長通知で、病院が洗たくを委託する場合の洗たく受託施設についてのいろいろな指導をいたしております。そういう中で、洗たく物の委託できる範囲であるとか、あるいは法定伝染病の病原菌に汚染されたおそれのあるもの等を禁止する、また、受託施設の能力等についても十分検討する、また、万一受託施設が洗たくが十分できないというような場合には、すぐにその能力を振りかえて、ほかにも協力的な施設が確保されてあることが望ましいというような指導をいたしております。
  391. 森中守義

    森中守義君 これはその実態をどの時点でだれがチェックされるのか知らぬけれども、少なくとも、文書の上では一通り筋は通る。ただし、百七十八号に違反することは事実です。それで、いまその通達の内容にもあるように、これは寝具協会が紹介したものですよ、寝具協会が。だから、将来の発展としては、ほとんどこの基準関係、寝具の基準、この関係というのは協会が掌握をする、こういうふうに私は理解をせざるを得ない。そのとおりでしょう。むしろ端的に言ったほうがいいのじゃないか、それは。
  392. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 病院の寝具の委託というものが相当急激に広まりまして、したがって、この寝具の受託業者というものの力も相当強くなってまいりましたし、したがって、そういう受託業者の集まりである寝具協会の意向等も十分に配慮する必要はあったことは事実でございます。
  393. 森中守義

    森中守義君 官房長、まだいますね。厚生省の何か外廓団体がある。厚生共済会、これはどういう組織ですか。
  394. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) これは厚生省の医務局の現業職員のやめられたような方々が中心になって財団法人をつくりまして、その退職職員のお互いの相互援助のもとに厚生福利のいろいろな事業をやろうということでもってできました団体でございまして、また、その会員数とか財政規模とかいうものは、そう大きなものでございませんので、それほど目ざましい仕事はしておりませんが、いろいろ各ブロックごとに支部をつくりまして、態様はいろいろございますが、厚生事業をやっております。
  395. 森中守義

    森中守義君 いまの御説明からいきますと、退職者が財団法人をつくり、仕事をやる。おそらく医療関係の仕事でしょうね。そうだとすれば、同じ財団法人ですよ、両方とも。それで、その共済会がどういう能力を持っているのか、私は詳しくは知りませんけれども、筋からいっても、業者を集めてわざわざ協会をつくらせ、しかも、これは完全な営利機関だから、そうじゃなくて、共済会にやらしたほうがきれいでもあるし、将来いろいろな紛争が起こらぬでいいのじゃないですか。それならばわれわれも、これはなるほど厚生省の退職者の皆さん、医療機関にいた人たちが老後の安定のために、さらに療養のために一面の協力を惜しまないということであるならば、そのほうがどのくらい理屈が通るかわからない、こう思うのですよ。これをほんとうに活用したらどうですか。
  396. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) お話のように、職員の退職者等が組織する財団でございますので、そのような団体に委任してやることができれば非常に望ましいことと思います。ただ、現状におきましては、やはり洗たく施設というものは相当な施設を持ち、技術者を置いて運営しなければなりませんので、資金面等の問題もあろうかと思いますが、十分検討するに値する問題だと思います。
  397. 森中守義

    森中守義君 ただし、私はそれがよろしいと、こう言っておるわけじゃないのですよ。百七十八号というものがある限り、すべきものではない、こういう主張を変えたわけではありませんよ。ただし、寝具協会というものを引き合いに出すならば、まだそちらのほうが筋が通る、その大筋としてそれを言っておるのです。ですから、まだほかに多少聞きたいことがありますから、こればっかりに引っかかっているわけにはいかないが、この百七十八号というものはどうしますか、これから先も残しますか。大臣、どうですか。
  398. 園田直

    国務大臣園田直君) これは原則でありますから、あくまで残すべきものだと考えます。
  399. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、先ほど、できるだけ直営、在来どおりの方針でいきたい、こういうことなんだから、具体的に教えてください。たとえば百五十四施設の中で、ほんとうに例外措置として外注しなければならぬその例外とは具体的にどういうものをさすのか。まず、それは要員の確保ということが前提要件ではございましょう。これはひとつ全力をあげて、私どもも国会を通じて、大いに財政当局なり、あるいは行管当局に、それが必要であれば働きかけもいたしましょう。それを原則に踏まえておいて、例外とは一体どういうものか、その例外の範囲はどの程度にとどめるか、その点をひとつここではっきり約束してもらいたいですね。そうすると寝具の問題は片づくわけです。
  400. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 例外と原則との関係は、たびたび申したのでございますが、もしも相当の定員を増加することができるという状態がありましても、私どもとしても、まず、医師、看護婦等の直接診療に要する要員の充実をはかりたいと思っておりますので、私、非力でまことに申しわけありませんが、なかなか基準寝具を直営するだけの定員を確保するだけのどうも力がない見通しでございます。
  401. 森中守義

    森中守義君 若松局長、だめだよ、そんなことを言っちゃ。それは大蔵政務次官も行管も見えているんだからね。ずいぶんしつこく私が言うのは、やっぱり筋が通りませんよ。それは筋が通らぬし、特会制イコール独立採算でないと言うならば、その証拠をこれによって示せと私は言っているんです。そういうことですよ、私の言わんとするところは。特会制イコール独立採算でないと言うならば、この寝具によって実績を示しなさいよ。それができなければ独立採算だと言われてもしようがないじゃないですか。問題はそういうことですよ。それと、そのために、じゃ必要な定員は何名ぐらい要るんですか。一応試算はしているでしょう。
  402. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 予算要求もいたしておりませんので、ちょっと試算をここですぐ申し上げるわけにはまいらないのでございます。相当多数にのぼることと思います。  なお、独立採算という問題と、あるいは特会という問題とこの委託という問題の直接の関連はございません。特会、あるいは独立採算のために委託をするものだということでは決してございません。やむを得ない事情でこういう仕儀になっているということでございます。したがって、これのために委託にすることによって多少でも利益をあげようというような考え方は毛頭ございません。そのことはお間違いのないように。
  403. 森中守義

    森中守義君 それは幾ら言われても、ちょっと論点が違うような気もするから、了解してくれと言ってもできない。私は節を曲げませんよ。  そこで、大蔵省も行管も見えているんだが、全国施設が百五十四でしょう。一施設に、これはある意味では目の子になるかもわからぬが、大体の大ざっぱな見当はつきますよ、何人ぐらいということは。それを施設に掛けてみたらすぐ出るのじゃないですか。また、大蔵省だって行管だって、これがわが国の社会保障施設を守っていくという拠点であるとするならば、五兆八千億という膨大な予算を持っていて、厚生省に百や二百の人がふやせないということはありませんよ。だから、厚生省考え特会と財政当局の考え特会というのは、だいぶ中身が違うということですかね。どうですか大蔵省、奮発したらどうかな。人員を出しなさいよ、金さえ出せば何だってできるのです。どうです政務次官、何か言おうとしてさっきからもじもじしているが。
  404. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) ここに政府委員がおりますが、あなたがおっしゃるのは、いまの直営でやれ、そうして直営でやるならば人数が要るから、その人数は財政当局も認めよ、こういうお話だろう、かように考えているので、財政硬直化でも、必要でどうしてもやむを得ないというふうなものは、私は出すべきである、かように考えます。
  405. 森中守義

    森中守義君 政務次官、これは出さねばならぬのですよ。もういやというほどお聞きだろうが、百七十八号というのがあるのだから、だから直営が原則ですよ。厚生省は、あなたのほうが金をくれない、行管が定員にどうも色よい返事をしないからそうせざるをえない、こう言っているのです。このくらいはっきりした理屈はない。出しさえすれば、こういうものは百七十八号の原則どおりにやっていけるのです。だから、それは責任持ちますね。どのくらいの数字が出てくるかわからぬけれども責任持ちますね。
  406. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) いま厚生省は、いまの直営の要員を出すよりは、まだ看護婦も足らぬ、医師も足らぬから、そのほうに金を使ったほうがいいというように考えておられるように私は聞いておるのでございますが、しかし、厚生省においてどうしてもこれをやらなければいけない、こういうことであるならば、私ども検討いたします。
  407. 森中守義

    森中守義君 それはその関係の人ばかりではなくて、先生方も看護婦さんも足りないことは事実です。それはあなた方が金を渋るからです。財政硬直化といいながら、五兆八千億の中から厚生省にそれくらいの金を出してもちっともおかしいことはないですよ。だから、それを約束しますね。ちょっといまあなたの大事なところを、私耳が遠いものですから聞きそこなったが、もう一回約束ができるかできないか、言っておいてもらいたい。
  408. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) それは厚生省から、どうしてもこれはやむを得ないという要求があるならば、財政当局として、大蔵省としても検討をいたします、こういうことです。
  409. 森中守義

    森中守義君 そうなると、非常に問題がはっきりしてきましたが、厚生大臣、いま財政当局は、厚生省から強い希望が表明されればこれを受ける、こういう大臣にかわって政務次官のお答えですが、やりますか。
  410. 園田直

    国務大臣園田直君) やりたいのでございますが、特別に財源があれば別ですが、まだほかに国立療養所のためにはたくさんほかに金をいただきたいものがあるわけでございます。それから、もう一つは、定員の関係もありますので、ここで早急にこれを優先的に要求するということは答弁できないわけでございます。
  411. 森中守義

    森中守義君 私は、あとでまた整備計画の問題と同じような論点でやりたいと思いますが、要するに、厚生省の場合には、要求すべき定員も要求しない、少なくとも、財政当局の意見ではそういうことです。意見が出てこない、要求が出てこないからしようがないじゃないか、こういう言い方をしていますよ。それは概計が提示されて折衝が開始される。まあいろいろな背景も私も知っておる。しかしながら、少なくとも、いまのことは表向きの議論として私は受け取っておきたい。ですから、わが国の医療制度全般、ことに国営にかかる問題に対する全体のビジョンというものが一体どういうものですか。あれもやるこれもやる、そういうものがあるがゆえにこれだけはやれないなんて、そういうばかな話がありますか。厚生省、一体全部ひとつ総ざらいに計画をつくってごらんなさい。出されておる整備五カ年計画というのは、あれは何ですか。計画じゃありませんよ。そういう意味で、百七十八号というものが存在する限り、外注ということは適当でない。いわんや、例外と原則と相反するような行き方は、これはやめてもらいたい。少なくとも、最善の努力をする、この程度のお答えをさっきもらってはおりますが、具体的に、じゃ全部の施設の中でどういう場合を例外とするのか、それに該当するものはどういうものであるか、その辺のことをこの委員会に出してもらわなければこの審議はできませんよ。ただことばのやりとりだけじゃ意味がない。ある程度審議の経過としては、中身を私はいま聞きたい。実り多いものにしたい。それならば原則と例外、あるいは、ある一定の基準程度のものはつくったらどうですか、その基準をつくって出してきなさい。厚生大臣が、極力原則を踏まえ、直営をやっているということならば、その具体的なものを私は要求します。どうですか、厚生大臣
  412. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 百五十三ヵ所の個々の施設について、どの施設が直営が可能とか、どれが例外を認めなければならぬというような、個個の施設の検討はできないわけでございます。療養所職員は、全施設をプールして職員定数というものを考えております。したがって、ある施設だけこの基準寝具を直営でやる必要な人員配置をしたいということはなかなか困難でございまして、少なくとも、何名かでも職員の増員を認められるとすれば、それはまずやはり医療直接従事の方々に向けたいということでございますので、個々の施設ごとにということは、私どもなかなかむずかしい問題だと思っております。
  413. 森中守義

    森中守義君 個別に困難であれば、原則でけっこうです。百七十八号を守っていく原則は何であるか、その原則と例外の二つを検討すれば一通り答えが出るでしょう。それを出してくれと、こう言っているんです。
  414. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 原則と例外の基準といいますか、これを通則的に出せということでございますが、なかなか困難なことでございまして、要するに、原則をとりたいけれども、原則をとることができないので、やむを得ず例外をやっている。この例外は各施設共通にして行なっておるということでございます。
  415. 森中守義

    森中守義君 もうだいぶ時間もたっているから、そうあまり手間取っちゃ困りますよ。意味は大体私もわかったし、私の言っていることもわかってもらったと思う。そこで、百七十八号というものが存在する限り、これに忠実でなくちゃいけませんよ。それに、何ですか、厚生省は、人を要求しようとしても、ほかの関係があるから、それだけじゃできないと、こう言う。それで、原則と例外を置きかえて一体何のための厚生行政ですか、そんなばかな話がありますか。私は、今日ただいまこういう問題が議論されなければならぬということは、はなはだ遺憾だと思う。もうすでにこの種の問題が発生して数年たっていますよ。その間に、いま聞いてみると、財政当局では定員の要求は別にないと言う。何をしているんです。一体日本の医療はどうなっていきますか。国立療養所の将来はどうなるんだ。そういう消極的な無責任なことでいいですか。それならば百七十八号は削りなさい。こんなものを、死んだものを置いておいても何にもなりませんよ。百七十八号は消滅をさせる、廃止をするというならば私も了承する。しかし、そうなればそうなったで、話はまた別な方向に発展をする。百七十八号は置きながら定員は要求しない、原則と例外を置きかえる、こんな妙な話はないですよ。はっきりひとつそれをどうするか、厚生省らしい見解を示したらどうです。それはだれだってそんなことでけっこうですねと言いやしませんよ。
  416. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) この百七十八号の原則、例外の問題は、日本全国のすべての医療機関に共通する問題でございまして、もしこれを廃止いたしまして委託を原則にいたすというようなことになりますと、日本全国がそういうようなことになってしまいまして、現在は委託はどこまでも例外でございます。したがって、全国医療機関をながめました場合に、やはりこの原則を堅持するほうが適当であると存じております。国立医療機関につきましても、国立病院は従前からこの原則に従ってやってきております。これは幸いに、長い間かかって、逐次施設整備、人員の確保等が行なわれてまいりましたが、国立療養所につきましては、残念ながら、そういう努力が十分行なわれないまま現在に至って、そうして現時点でこれを直営で実施しようといたしましても、現時点で先ほど来のようないろいろな困難があって、やむを得ず例外の道に入らざるを得ない。しかも、現時点におきましては、これを寝具を実施しないで、患者にそれぞれ自分の寝具を家庭から持ち込ませるという状態よりは、委託によって寝具を病院で供与するほうがはるかに患者のためにサービスの向上になるであろうということで、やむを得ずこの例外で実施することにいたしているわけでございます。
  417. 森中守義

    森中守義君 それじゃここでこういうのらくら問答をやっていてもしようがないから、あしたの大蔵委員会で、大体原則を守っていくには何名人間が必要であるか、これの資料をつくってほしい。よろしいですか。それと、いままでどういう努力をしてきたか。少なくとも、財政当局の説明によれば、厚生省の具体的な努力の経過というものが出てきていないと思う。だから、どういう努力をしてきたかということを書面で出してください、それが一つ。  それから、先ほど来私が言う、要するに、原則と例外とはどういうものであるか。それが実行できるかどうかは別な問題として、一応ものの考え方として示してもらいたい、それならいいでしょう。ここはひとつ厚生大臣を中心にして協議をしてほしい、この三つの要件の資料提出を要求して、私はこの件は一応終わりましょう。ちょっとその辺のものをあしたの大蔵委員会に提出できるかどうか。
  418. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 御趣旨に沿って努力してみたいと思います。
  419. 森中守義

    森中守義君 それから、予算が凍結状態にある今日、この寝具関係だいぶ契約しておりますね、現在どのくらい契約しておりますか。先ほど小平先生からの質問の中にちょっとあったけれども、具体的に教えてほしい。
  420. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 入札をいたしまして契約の準備をし、あるいは契約をしているというものが、四月一日からの暫定予算の期間中で百三カ所、暫定期間以降にそのような入札等を行ないましたものが二十カ所、計百二十三カ所でございます。
  421. 森中守義

    森中守義君 その十六日の予算の成立までのそれはいい。あとの分だ、問題は。予算がすでに停止されている状態で入札行為、契約行為、これは明らかに違反ですよ。直ちに契約は破棄すべきだ。いたしますね。
  422. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 予算が執行できない状態において契約をするということは不可能なことであると思います。現実にこの二十カ所が契約しようというところまでいっているものか、あるいは入札を済ました段階でまだ契約をやっていないものか、あるいは、まあかりに話し合いをしているという程度のものなのであるか、いろいろあろうかと思いますが、不適法の契約であれば、これは取りやめさせなければならないと思います。
  423. 森中守義

    森中守義君 これらの行為は、これはもうだれが考えたって常識でわかる。しかるに、二十カ所、その予算が停止されてから。こういうことはやってもよろしいという行政指導をしたんですか、それとも、各施設で思い思いにやっているのですか。
  424. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 当然契約担当官として、執行すべき予算がない時期に契約を行なうということは不当であるということは承知していると思います。おそらく、寝具を実施するためにどうしても事前に準備をしておかなければならぬという、運営上の熱心のあまり、そのことを乗り越えて急いで契約をしたものがあったものと思いますので、そういう不当のものについては破棄をさせます。
  425. 森中守義

    森中守義君 まあそれは非常に熱心であろうし、一生懸命でありましょう。それはもう当然なことである、われわれも国民を代表して感謝します。しかし、そのことが不当に法をおかしてやっていいということには通じない。だから、ある意味では、これは医務局長責任も問われるべきです。直ちにそういう違法な不当な契約については、きょうじゅうにでも指示すべきだ、直ちに契約を解除する、破棄するという、そういう措置をとりますね。
  426. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 至急にそのような措置をとりたいと思います。
  427. 森中守義

    森中守義君 それで、そういう措置がとられるものと信頼します。  そこで、例の寝具については、まことに不明朗なことがずいぶん多いようですね。全医労新聞の昨年の九月四日に掲載されたもので、「寝具下請にまつわる黒い霧」という、こういう記事がある。いま明朗に行なわれていると思いますか。ちょっと見せてもよい、黒い霧があるという……。
  428. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 全医労新聞に載った記事は承知いたしております。これが不明朗であるというふうにいわれておりますので、私たちも、この著しいダンピング等が行なわれ、それが地元業者等でない方に落札しているというような点については、確かに疑惑を招くものと存じております。
  429. 森中守義

    森中守義君 そこで、私がさっき指摘したように、これもやはりあれですよ、中心は寝具協会に加盟している会員ですよ、この行為をやっているのは。一たん入札したが、予算上どうだこうだというわけで、再入札で結局寝具協会の会員である同業者に渡したかと思うと——方々に、京都に何とかいう大きなあれがあるのだそうですね、あそこあたりが中心になって、近畿のある施設においては菓子箱が届いた、その中に札束が入っていたという話がある。それをその施設長が憤然として、幹部職員をみんな集めて、国民に奉仕する公務員がこういうことをすべきでないと、面前で返したという、こういう話があります。これはまさに義挙であり、美挙である。あたりまえのことが今日では美挙であり、義挙であると言わねばならぬようなことになっている。私はそういう話をすれば、固有の名前までは出さないけれども、そういうように寝具協会の中にさえ、二、三の有力な業者が各施設を押えて回っているという話はたくさんある。それが不明朗な原因をつくっているのですよ。心当たりありませんか。聞きませんか、そういうような話は。
  430. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) まことにあたりまえのことが美挙であるといわれるほどのことは、まことにどうも恐縮と存じます。関西方面等に大きな業者があることは承知をいたしております。それがどのような動きをし、どのようなことをしておるか、私、詳細には存じておりません。しかし、すでにこういう話が出てかなり久しくなっておりますので、私どもといたしましては、ことに寝具の問題につきましては職員に注意を厳重にいたしておりまして、そのような疑わしいことに巻き込まれることのないように、十分注意させているつもりでございます。
  431. 森中守義

    森中守義君 またこういう話もある。京都の有力な某業者の東京支店の営業部長が、あるところへ、厚生省の某高官も供応に応じてくれましたよ、一緒に飲んでくれ、遊んでくれと、こういって誘いかけた事実がある。こういうように、京都の某業者というのは全国的に触手を伸ばしておりますね。だから、いま寝具協会の中で、ずいぶん、派閥とまではいかないけれども、そういう少数の有力業者と他の者との間に確執が起こっているという話がある。別個のものをつくろうじゃないかというような話もあるようです。もう実に話題は豊富ですよ、これは。しかも、それらが、言っていいかどうかわからぬけれども、政界等と無縁のものとは言い切れない、関係がありといわれている。しかも、これまた風説によれば、すでに警察が手を入れ始めているという、こういう風説も飛んでいる。私は、こういう事実、ほんとうであるかどうか、いま私は断定的なものは持っていないから、人の話や、ものによって言う以外にございません。しかし、百七十八号の原則を守れということは、大事な国の医療が、大事な社会保障がこういうものによって毒され始めているということですよ。それが私が数時間にわたり、異常な関心を持ちながらこれをお尋ねしている最大の原因なんだ。人が足りる足りない、それだけの問題でとどまらない。やり方次第では社会悪をつくっておりますよ。明らかに社会の悪ですよ、これは。そういう悪を厚生省は温床的なものとして提供していいかどうか、むしろ問題はその辺にあると思う。ですから、七時までというお約束ですから、もう時間がありませんので、そう長々とおしゃべりはいまできないけれども、一ぺん寝具協会には、厚生大臣の認可団体だから、立ち入り検査をやってみたらどうですか。どういうことをやっているのか、勇敢にやりなさい。それは何者が会長であろうと何であろうと、厚生大臣の職権においてそれは行なうべきだ。どうです、立ち入り検査やりますか。それと、黒いうわさが流れている幾つかの問題を追跡調査でもやる御意思がありますか。せめてそのくらいのことをやらなければ晴れませんよ。こういう寝具の問題が社会に悪を提供するようなことでは、法案の審議、あるいは予算等の問題でないのですよ。私はそういうように思うのだが、具体的に立ち入り検査をやったり追跡調査をやるかどうか、これはひとつ、きわめて重大な問題だから、厚生大臣からお答えいただきたいと思います。
  432. 園田直

    国務大臣園田直君) 十分調査をいたしまして、指導監査をしたいと考えております。
  433. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) 午後七時五十分まで休憩いたします。    午後六時五十四分休憩      —————・—————    午後八時四分開会   〔社会労働委員山本伊三郎委員長席に着く〕
  434. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) ただいまから大蔵社会労働委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  435. 沢田政治

    沢田政治君 質問いたすわけでありますが、その前に、政府委員並びに大臣のほうにちょっと了解いただきたいと思うのは、私は国会議員になって初めてきのう社労委員になりましたので、医療行政とか、そういう内容については全くのずぶしろうとというより、全く無知であります。したがって、愚問ならまだいいけれども、珍問も出ると思いますが、そこはまあ聞きべたに答えじょうず、答えじょうずといっても、単に表面的なことじゃなく、内容のある御答弁をお願いしたい、このように考えるわけです。  前にもちょっと触れたわけでありますが、今回四月分の職員の給料が非常に変則的な、法的に見ましても、あらゆる角度から見ましても、何と抗弁しようが、抗弁のできないような、もうかって例のないような変則的な措置になっていることは御承知のとおりであります。したがって、国立療養所職員ですね、こういう人方に対する給料を支払う根拠法といいますか、こういうものがどういう手順、どういう法律を経て今日支払われておったのか、こういう点について、特に人事院のほうからお聞きしたいと思うのです。
  436. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) 速記をとめてください。   〔午後八時六分速記中止〕   〔午後八時十六分速記開始〕
  437. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) それじゃ速記をつけて。
  438. 沢田政治

    沢田政治君 おられると思って質問しましたが、おられませんので、もう一回特別のサービスをいたしまして聞きます。  私の聞きましたことは、すでに国立療養所に働く職員の方々の給料、賃金、労働の対価が、非常に、どういう弁解しようが、弁解のないような変則的な方法で支払われたというよりも、形式的にはまだ支払われておらぬわけであります。したがって、国立療養所職員の方々の給料、労働の対価が、法的には何と何によって支払われておるか、この点をお伺いしたわけです。
  439. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは申すまでもございませんが、直接は一般職の給与法によって支払われるわけで、額も給与法にございますし、それから、支払いの期日については毎月その月分を払えと、支給期日は人事院規則で定めると、こういうことになっておる。ただ、その裏づけといたしまして、もちろん予算の関係がなければいけません。適法に支出し得る予算の背景のもとにこれが動いていくと、簡単に申し上げればさようなことであろうと存じます。
  440. 沢田政治

    沢田政治君 したがって、いま言われましたように、給与法第九条ですか、それと人事院規則によって支払われておるわけですね。ところが、今度まだ賃金が支払われておりませんが、どういう理由かわかりませんけれども、わかるような気がしますけれどもわからないわけでありますが、人事院規則を、どういう理由かわかりませんけれども、これを一方的に改悪といいますか、まさにこっけいな挙に出てこれを変形せしめたということは、これは指摘できると思うのです。大体こういうものというものは相撲の土俵を広げると同じなんですね。自分の解釈が悪ければ、幾らでもこれを、何というか、改悪して労働者の賃金を遅延させる、遅払いさせる、こういうことは人事院そのものの設立の精神にも反するし、大体良心的にもできるものじゃないと思うのです。いかなる心境といかなる理由でこれを動かしたか、改正したか、この点を私はお聞きしたいわけです。
  441. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) いま御指摘の問題については、私ども非常な、まあ何と申しますか、誤解のような形の対象になっておりまして、非常にまあ残念なことに思っております。したがいまして、たいへんうれしいお尋ねでございますので、この機会に私どものとりました措置の由来及びその性格を、ごく簡単でありますけれども、申し上げて御了解を得たいと思います。  で、先ほど触れましたように、給与法上は額もきまり、支給期日も、その月分はその月中にということになっておりますけれども、先ほど触れました、そのためには現実にそのお金が出なければならない、少なくとも、働き得る予算の裏づけ、これを支払い得る予算の裏づけというものがなければならないわけでございます。今回の場面においては、たいへんこれは不幸なことでございますけれども予算は先に成立いたしましたけれども、その予算の支出を可能にする特別会計法が成立を見ないままにきてしまった。したがいまして、特別会計法が成立することを前提としてできております予算でありますために、これが成立いたしません限りは、あるいは別の特別の立法でもしていただければ別でありますが、そういう法律上の手当てがなされない限りにおいては予算が出せません。これは私どもは、十五日ごろでありましたか、いよいよ十七日が支給日でありますから、そのせっぱ詰まった段階において、厚生省方面から、この法律のほうはとても成立しない、払えません、支払い不可能な状態になっておるという情報を受けました。それはたいへんなことだというわけで、急遽大蔵省——大蔵省はいつもお金のほうでは元締めでございます。それから、厚生省にももちろん何か便法を講じてお金が出るようにしてもらわなければ、これはたいへんなことだということで、私自身も各方面に特別の措置をとっていただくように努力をいたしました。ぎりぎりの十七日の前夜まで八方手を尽くして、何とか法律的手段によってこれを支払い得る形にできないかということでありましたけれども大蔵省当局も打つ手はないという話でございましたから、そうなりますというと、法制上は根拠がない、お金を出すほうの根拠がないわけです。お金を出したら、むしろそれは当時の新聞記事にありますが、お金を出せば憲法違反ということに相なって、非常に卑近な形でありますけれども、国会の議決に基づかなければ金を出してはいかぬ。これは憲法八十三条、八十五条の条文、これを支払えば憲法違反、これは新聞記事に示すとおりだろうと思います。ところが、人事院規則で、ほうっておけば十七日には払えぬ、支払わなければ人事院規則違反、支払えば憲法違反という、そういうほんとうにこれは、私わずか四十年の法律生活ではありますけれども、いまだかつてこれは前例のないたいへんな異常な事態である。そこで、憲法違反か人事院規則違反かという場合に、憲法と一人事院規則との間の軽重を考えていただけば当然わかります。私どもは、やはり私自身、憲法に深い縁故を持っておりますせいもございましょうけれども、憲法に対しては、私は一番これはとうとぶべきものということで、神経質なくらいに考えております。一人事院規則が憲法違反を強制する形になるわけです。十七日に支払えという、支払わなければ、厚生大臣は別として、現場の療養所給与の当局者が処罰される、人事院規則をそのままにしておけば、憲法違反をしなければ処罰するぞという体制が法制上できておる。それはとてもわれわれ責任ある立場にある者は、憲法違反を強制するような人事院規則を、それをそのままにしておけるかということが問題の根本でございまして、したがいまして、憲法をやっぱり立てて、そうして人事院規則のほうはむしろ現状にあわせる、無理な憲法違反をしいるような体制は、われわれが人事院規則を直しさえすればその場面は避けられるわけですから、その場その場の給与支払い責任者が処罰される場面もないということで、万やむを得ずやったことでございます。しかし、それは法的の措置であります。現実にお金が払えない、それをわれわれは何とかしなければということは、これは実質的のわれわれの責任であります。したがいまして、先ほど触れましたように、とことんの十六日の晩夜中まで大蔵省、厚生省に何とかできないかとかけ合うとともに、それがだめだというものですから、いまの払えば憲法違反の場面になったわけです。しかし、現実のお金をどうするか、これはほうっておけない。したがって、共済組合のお金でも何でもいい、何とかしてお金だけは払えるようにしていただきたいということを八方努力し、厚生大臣も、もちろんそのことは御自身お考えになった上でありましょうけれども、それによってまあ当面の現実のお金の手当てだけはできました。それで一応われわれとしては安心はしましたけれども、私どもは、その人事院規則を出しますと同時に、大蔵大臣厚生大臣に対しては、とにかくかようかくかくのことになったけれども、現実に公務員が困らないような処置だけは万全を期していただきたいということを文書をもって申し入れておるわけでございます。したがいまして、私どものとりました措置は異様なことには違いありませんけれども、その基本になる法的状態がすでに異常な状態のもとに行なわれた万やむを得ない措置であるということで、われわれとしては告発をされたり、非常な私は無実の罪だと思いますが、きわめて遺憾な心境にあるわけです。きょうこの機会にこの説明を聴取していただきますことを非常に私はうれしく思います。
  442. 沢田政治

    沢田政治君 あなたの苦しい胸の中を吐露されたが、私はそれを聞いているんじゃないんです。憲法違反か人事院規則違反か、前門のトラ後門のオオカミ、そういう御苦心談を聞いておるのではなく、まあそういうこともわかりますよ、わかりますけれども、一体、人事院が規則の制定権を持っているわけですね。つまり政府の都合の悪い点、政府が困る点、こういうものを助けるために人事院に対して制定権を与えているんじゃないと思うんです、私は。したがって、政府自体が法違反ちょぼちょぼまで来ておるという、この事態ですね、これは憲法違反になるか人事院規則違反になるか、当然私は、政府自体がみずからが招いたことですから、これは当然、午前中も盛んに議論されましたが、だれにもその責任というものは、どんなに弁解しても、転嫁のしようがないんです。みずからが負うべきだと思うんです。それをあなたがどういう義侠心があるか仁侠があるかわかりませんけれども人事院規則を改正して政府を救うというのは、ぼくは筋が通らぬのじゃないかと思うんですよ。ともかく払え払えというあなたの立場を貫けばいいのであって、政府が憲法違反、あるいは憲法違反じゃちょっとひど過ぎるから、人事院規則違反、これもちょっと困るから何とかしてやったということは、ぼくはどうも納得できません。どうですか、もう一ぺん御返答ください。
  443. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 憲法違反の話を申し上げましたのは、政府が憲法違反をおかすから、それを助けてやろうという遠回しの問題じゃないのであります。人事院規則の責任者は、われわれが人事院規則の責任者なのであります。その人事院規則の責任者が憲法違反のことをしいるような形になって、そのままほうっておいたら責任が果たせるか、これはわれわれ自身の責任の問題として処置したことであります。政府を助けるとか何とかいう問題じゃなくて、わが身の責任の問題として処置した、それは十分御了解願いたいと思います。
  444. 沢田政治

    沢田政治君 非常に失礼な言い分だと思うのです、わが身を助けるなんて。わが身を助けるためにあなた給料をもらっているわけじゃないでしょう。やはり人事院は労使の仲というものを公平に見て、その利益が阻害されないようにするのがあなたの任務なんですよ。この面については、私はこれは重ねて言いません。ただ、これは仄聞するところでございますので、正確じゃないと思いますが、これはあなたにはあなたのお立場があったことは私もよくわかりますよ。ところが、仄聞するところによると、これはほんとうかどうかわかりません。これは推定の域を脱しませんが、厚生省のほうで、人事院規則の改正にあたって、まあ大体二日間ぐらいだろう、もう十九日にもなったらおそらくこの問題は解消されるのじゃないかと、だから二日間ぐらいだったらちょっと目をつぶってくれよと、こういう再三再四の要請が厚生省から出された。そこで、総裁としても立場もあるけれども、二日間くらいのことなら何とか目をつぶってやらねばなるまい、こういうことで、腰が重かったのかもしれませんけれども、改正に踏み切った。ところが、二日はおろか、今日までまだ解決しておらぬわけでありますね。これはもう厚生省のほうにちょっとごまかされた、事こうなるとは予見しておらかなった、こういうことで、非常にあなたのほうで、何といいますかね、憤然としておるのか、これはなかなか釈然としない心境にあるのかわかりませんけれども、そういわれておるわけであります。こういうことはいかがでしょうか、そういう情景はありませんでしたか。あなた自発的にやはりさっきの答弁のように、わが身を守るためにこうせざるを得なかったという答弁ですが、その付近の私は精神状態をちょっと聞いておきたいと思うんですよ。
  445. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) わが身はちょっと失言でございまして、これはおわびいたします。わが人事院と申し上げるところをわが身と申しまして、私は人事院と一心同体と思っておるものでございますから、ついわが身と申し上げただけで、それはわが人事院の職責上、責任上ということで申し上げた趣旨でございます。厚生省からは、たいへんだたいへんだ、金が出なくなったという話は、私は直接聞いておりませんけれども、私のほうの部内の事務当局にはたいへんなことになったと、金が出なくなったという情報は入っております。それは事実でありますけれども厚生省から頼まれてどうこうというようなことは、これはわが身の話になりますけれども、わが人事院として厚生省から頼まれたからどうの、どこから頼まれたからどうのということはあるはずもありませんし、かりにどこから頼まれても、筋の通らないことは絶対にやりませんから、その点は御安心願いたいと思います。
  446. 沢田政治

    沢田政治君 労働省が来ておられるようでありますが、賃金の不払い、しかも、法律を一番重視しなければならぬ政府自体が、まだ四月分の給料を国立療養所職員に払っておらぬわけです。これは基準法からいって違反だと思うわけでありますが、こういう事態、事実、現実、これを労働省としてはどう考えていますか。いつ解決するか、まだ見通しがつきません、まだ法案が審議中でありますからね。あすとも言えないし、通らぬとも言えないし通るとも言えないし、これはいつになるかわかりません。どうなりますか。
  447. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労働省は、国家公務員関係の労働条件につきましては、労働省としては所掌いたしておりませんので、今回のと申しますか、先生の御質問がございましたけれども、労働基準法のたとえば二十四条違反の問題について、民間であればどうかということでございますとお答え申し上げますけれども、いま私どもの所掌に属さないことでございますから、私から答弁申し上げるのはいかがかと存じます。しかしながら、労働基準法の二十四条のたてまえから申しますと、使用者に支払う義務がある。それはお金の出どころは別にいたしまして、時期が定められておりますと、労働基準法二十四条第二項の規定によりまして、「毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。」、こうなっておりますので、二十四条第二項の規定によりまして定期に支払わなければならないということになることは、私があえて申し上げるまでもなく、労働基準法の明らかに定めておるところでございます。
  448. 沢田政治

    沢田政治君 納得したしないは別としても、人事院のほうの心境はわかりましたよ。そこで、厚生大臣のほうから人事院に対して、このままじゃたいへんだから、何かこれを改正してほしい、こういうような実際の要請をあなたのほうからいたしませんでしたか。
  449. 園田直

    国務大臣園田直君) 事務次官の名前で、私のほうから大蔵省と一緒に、払えないという実情の通告をいたしてあります。
  450. 沢田政治

    沢田政治君 午前中も若干触れましたが、団体交渉の際にあなたは陳謝をした、非常に申しわけない、かくかくしかじかな事情だ。なるほど、組合のほうでそれを納得したかどうか私はわかりませんけれども、大体三つくらいの約束をしておるわけです。その中で、午前中に触れましたけれども、借金とか、そういう形式は絶対いたしません、これは相当組合でもしつこく念を押したように聞いておるのであります。ところが、結果的には、ある場所ある場所、全般的ではありませんけれども、相当の部分において、医務局の命令だと称して、相当強引に借金状というか、借金の証文のようなものを取った、こういう点は、私どものほうとして事実としてキャッチしておるわけであります。そうなると、私はこれはたいへんなことだと思うのです。一見してたいへんなことでないようだけれども、これはたいへんなことですよ。私も公労協等の労使関係はあまり詳しくありませんけれども民間会社では政府よりは権威がないでしょう、民間会社のほうは。どちらが権威があるないという議論はいたしませんけれども民間会社でさえも、株式会社の社長が出て、労働組合とこれこれしかじかのことを守ります、こういう契約をして、その口がかわかないうちに他の重役が、出先の役員がこれをほごにしたならば、これは一日や二日のストライキでは済みませんよ。もう経済ベースの闘争じゃなくなるんですよ。これはたいへんなことになると思うのであります。まして、秩序を求められる政府の、しかも、所管大臣のあなたが明確に約束をしたことを下部のほうがこれを守らない。逆に、その合意に違反し、一方的にはき捨てるような行動というものは、これは幾ら責めても責め足りるとは言えないと思うのです、これはもう。そこで、同僚委員の、この問題に関連して、ポスターですかビラですかの問題についても責任を感ずるということを言われますが、この事実だけは、もう約束したことですから、それはあなたの部下が、忠実に命令を聞くべき部下が守らなかったのだから、これはあなたそれをそのまま糊塗したのでは、職員の方々にどんなりっぱなお題目を唱えても、これはだれも言うこと聞きませんよ。聞かぬほうがこれは当然だと思うのですね。したがって、今後は約束違反とか手続違反とかとあなたは言えなくなると思うのですね。したがって、実際にあなたの命令なりあなたの業務の示達なりを守らなかった。これは現場の方が  これは医務局長か、私はわかりませんけれども、これは当然あなたとしては何らかの処置をすべきだと思うんですよ。けじめつきませんよね、これをけじめつけなければ。ここで約束できますか、はっきりそれにけじめつけますと、処置しますと。これは明確にしてもらわなくちゃとっても前のほうに進まれないと思うんですよ。
  451. 園田直

    国務大臣園田直君) 話し合いをした場合に、職員の借金としてではなくて、私の責任において相当額のものを十八日中にお届けいたしますと約束したことは事実であります。それを裏切ったということでございますが、結果としてはそうでございますが、事実は一部が間違ったことでありまして、早急の間に電話で連絡をして、その日にお金を届けるということで急いだあまり、電話その他の連絡の手違いが一部にあったわけであります。しかしながら、結果としては、話し合いをしたことが間違って裏切ったことになるということは、これは御指摘のとおりでございまするが、したがいまして、その点は、早い時期に当時話し合った代表の諸君とも会っておわびを申し上げ、どこで間違ったかはよく調査をして、それぞれ処置をしたいと考えております。
  452. 森中守義

    森中守義君 関連。ちょうど大蔵大臣も見えましたから、非常にいい機会であります。先ほど人事院総裁が、憲法をおかすか、あるいは人事院規則をおかすか、さもなければ立法措置を講ずるかの選ぶべき道はどれかしかない。したがって、人事院規則を緊急に改正をしてこういう措置をとる、こういうお話があった。しかしながら、おそらくこういう危急の状態に際して、かなり慎重に議論をされたことは事実でありましょう。そこで、私は、いま一つ大事な方法がある。しかも、それは当然とるべきことが一つある。要するに、特別会計に移ったものを、法案の成否が全く見当つかない状態のときですから、一般会計にもう一度移しかえる、すなわち、予算の補正というものが残されておった道であります。しかるに、両院を通じて、予算の審議の際に、通し予算なんだから、予算の補正はしないのだ、言ってしまえば、そういう政府政策上の意図というものが、憲法、人事院規則という問題に発展をし、しかも、かつて財政史上先例を見ないような状態に追い込んでしまったと私は判断をするのであります。だから、政策上通し予算だから補正を組めない、なぜそれにこういう危急の状態にありながら固執するのですか。きょうこの時点においても、法案の成否というものは、かいもく見当つきませんよ。あまりにも問題が多過ぎる。それであるならば、政策としての通し予算なんだから、補正はしないというその態度を変えるべきですよ。一応法案それ自体の成否が明確になるまで、特別会計をなぜ一般会計に移しかえないんですか。私は、これが一番今回この問題の、糾紛というのか緊急な事態というのか、そういうものを招来した唯一の原因だと考えておる。いまからでもおそくありませんよ。何も政策上通し予算を組んだんだから補正をしないということでなくて、こういう緊急の状態を——場合によったら罪人をつくりますよ、へたをすると厚生大臣は手がうしろに回りますよ。そういう状態を、やはり通し予算という政策でくくる必要がありますか。何も別に法律をつくる必要はない、憲法違反、人事院規則をおかす必要はないのだ、一般会計に移したらいいじゃないですか。それで、かりに法案が成立をしたというときにまた移しかえたらいい。どうしてそんなに補正にこだわるのですか、それが最大の原因ですよ。どうですか、大蔵大臣。また、関係の各閣僚、あるいは人事院総裁が協議の段階でおそらく話に出なかったことはないでしょう、当然なことだから。それが否定をされて緊急な事態に追い込まれ、ひいては人事院総裁が窮地に立つ、改める必要のない人事院規則を急遽手直しをしなければならぬ、この責任は財政当局大きいですよ。どうですか、大蔵大臣。道は一つありますよ、このくらい簡単な方法はない。どうですか。
  453. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 当初この法案の国会の御審議をお願いするときと事情が変わりまして、予期しないことから、御承知のように、国会が二週間以上いろいろ議事が停滞したというためにこういう事態に追い込まれたことで、非常に申しわけないと考えておりますが、もうすでに予算も十五日に成立してしまったことでありますし、内閣は所管省庁にこの予算を配賦して、現在執行中のときでございますので、この法案がどうしてもむずかしいというようなときに、予算をまた補正するというようなことがあることはあると思いますが、いままでそういう事情でこういうふうになったことでございますから、もう予算をひとついじらないでこの法案の御審議をお願いしたいと申し上げる次第でございます。
  454. 森中守義

    森中守義君 関連ですから、そう長々とおしゃべりできないけれども、ものの考えが間違っていますよ。十五日に成立をした中で、一日とか二日とかいうならまだこれは許される。しかし、私はきょうずいぶんその問題に触れましたが、予算があれだから法案が上がらねばならぬという理由はありませんよ。予算が成立をしたから法案がそれに拘束を受けるということはあり得ない。それはあなたも国会議員だから知っているはずだ。それで、相当期間経過しなければ法案の見通しがない、こういう判断ぐらいはできそうなものですね。罪人をつくったり窮地に追い込んだり、財政史上先例のないようなことをなぜやるのですか。佐藤内閣の責任は大きい。通し予算だから補正しませんということがこういう不測の事態を招いているのですよ、大蔵大臣。そんなにしてならないようなことをしてまで通し予算ということにこだわるのですか。それが行政ですか。それが政治ですか。いまからでもおそくはありません。いっこの法案が仕上がるか見当がつかない、われわれ慎重審議している。しかし、今日ただいまといえども、たとえば薬品購入の問題、その他医療器具の調達の問題、もとより人件費がある。こういうときにあたって通し予算などにこだわらないで、いますぐにでも手続をとって予算の補正をやったらどうですか。それがほんとうの行政であり、政治じゃないですか。だから私は、ある意味では厚生大臣人事院総裁責任ないと思う。このことに関する限りは財政当局の責任だ。そんな問題が先例のないようなことまで発生しておるにかかわらず、通し予算ということにこだわらねばならぬのですか。どうですか、いまからでもおそくありませんよ。あしたでも補正予算出しなさい、事は片づくのだよ。
  455. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ予算の通るのも異常でございまして、不測の事態から国会審議が二週間以上おくれたというために予算もおくれましたし、この法案も、普通ならもっとゆっくり御審議願う時間があったものが、同じような理由でおくれてこういうことになったことでございますから、すでに予算も通りました以上、予算を直すというようなこと、これは可能なことではありますが、しかし、この法案の御審議いかんによっては予算を直さなくても済む事態になると思いますので、私は、ぜひともこの法案の御審議をひとつよろしくお願いしたいと申したいのであります。
  456. 森中守義

    森中守義君 いまの、そういうことをしなくてもいい事態とはどういう意味ですか、聞き捨てならない。どういう意味ですか。
  457. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 予算がきまったあとで、法案が通らないために、その間、たとえば給与の支払いとかいうようなことについてむずかしい問題が起こるということを私どもは心配しておりましたが、一応この問題は違法にならないという形で解決して、すでに給与の相当額をお渡ししているというような事態でございますので、したがって、当分その措置がとられておるということでございますので、私は、法案の御審議をお願いすれば事態がそれで一応解決するというふうに考えております。
  458. 森中守義

    森中守義君 さっきの、そういうことにならないようになるだろうということを聞いている。ということは、法案がきょうとかあしたとかいう、そういう具体的なことをさされているようにさっき私は受け取った。そうじゃありませんよ。
  459. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そうではございません。たとえば厚生大臣が告訴されるとかというような事態も一時ございましたが、そういう問題は一応されなくて済むような措置がいま講ぜられているということを申したわけでございます。
  460. 森中守義

    森中守義君 それはいま告発も受けているんだから、それは裁判所で争わなければその黒白はつきませんよ。告発した人は告発を取り下げていませんからね。それと、また五月の十七日がくるんです、目の前に。この法案の見通しが一体どうなるかということはだれにもわからぬ。上がるのか上がらぬのか見当がつかぬ。そこで、物理的にいま通る通るという話があるが、あれは一方的にきめているんです。それで物理的にできることをなぜしない、物理的にできることを。(「関連が長いぞ」と呼ぶ者あり)問題が重要だから委員長に指名を受けているんだ。どうですか、大蔵大臣
  461. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 物理的に不可能ということではございませんが、きわめてむずかしい困難なことでございますので、よろしくお願いいたします。
  462. 沢田政治

    沢田政治君 角度をかえて質問いたしたいと思いますが、いま高所の関連質問が出たわけでありますが、低所から聞きたいと思いますが、特に私どもがこういう長い議論をしているのは、特会法が通過したならば、病院そのものに、人間の命をどうするかというような、利害採算を度外視した医療行政そのものに企業性というものが非常に大きく盛り込まれてくるのじゃないか。そこからくるところの、人間、人命軽視といいますか、さらに働く人方に対して非常に労働の密度が倍加する、こういう面が顕著に出てくるのではないか、こういうようにわれわれが懸念しているのも、やはり長く審議している一つの理由になっているのであります。したがって、私、まず第一に基礎的なことを聞きたいと思うのです。それは今日、国立病院、それから国立療養所、いま問題になっておりますそれぞれの職員の数、私はこれ非常にしろうとでありますから、昨日社労委員になったばかりでありますから、わかりませんので、この数、これは幾らか、もう一年生からの手習いです。さらに、職員の数の中に管理職員ですね、これはお医者さんだと思うのですが、その指定されているものはどれだけの数があるのか、こういう点と、さらに続いてお聞きいたしますと、国立病院療養所職員の平均賃金ですね、給料の平均はどれほどか。もうすでに統計が出ていると思いますが、本俸、扶養手当、調整手当、こういうものの内容もお知らせ願いたいと思うわけであります。それで、その平均の額が全部の公務員の平均と比較してどういう率になるのか。そこで、さらにその中で医師の平均賃金は幾らになっておるのか、こういう点を、まあ初歩的なことを聞かないと私は内容に進めないので、勉強しておりませんので、ちょっとお知らせ願います。
  463. 園田直

    国務大臣園田直君) 数字については事務当局からお知らせいたします。
  464. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 国立病院並びに国立療養所定員総数でございますが、四十三年度の国立病院職員定員は一万九千三百三十名、国立療養所職員定員は二万二千八百八十九名でございます。平均賃金等、いま調べておりますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。  国立療養所職員の平均賃金は四万四千二十六円でございます。これを本俸と扶養手当その他の手当に分析いまいたしかねますので、もし御必要であれば後ほど精細にお知らせします。なお、国家公務員全体の平均給与は四万四千六百十七円と了解をいたしております。  なお、医師につきましては、平均一カ月八万六千二百七十五円でございます。
  465. 沢田政治

    沢田政治君 特に全国的にお医者さんの不足が目立っておるわけでありますが、このことは決して民間ばかりではない、国立療養所等にも言えると思うのです。そこで、民間のお医者さんの給料を一〇〇とした場合、どういう差になっているのか、民間とつまり国立病院国立療養所のこの差。
  466. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実は人事院のほうでお調べいただいておりますのが、民間を一〇〇としたそういう考え方でなしに、公務員を一〇〇とした場合の四十二年四月の調査でございますが、国家公務員を一〇〇といたしました場合に、民間は一五二・五%ということになっております。
  467. 沢田政治

    沢田政治君 正確かどうか、私も確信持てませんが、これは私の手元の額の調査では、公務員給与の場合、これはお医者さんの場合ですね、七万九千十五円という調査が出ておりますが、民間の場合は十二万四百六十二円という、非常に差が多いわけであります。これでは医は仁なりといわれますけれども、しかし、かすみを食って生きていくわけにはいかぬ。こういう差があったならば、りっぱなお医者さんは定着しないということは当然だと思うのです。したがって、こういう金額の差、所得の差、給与の差というものを、いまの人事院勧告制度では、これは救済というのですか、保障できないですか。これはたいへんなことになると思うのです。ますます開く傾向にあるんです。特に最近、僻地等においてお医者さんを誘致する場合には、これは何というか、テレビのいろいろな、何といいますか、ニュースショーまで利用して盛んにさがしておりますから、これはたいへんなことになると思うのです。国立療養所としても国家医療機関としても、この差というものはやはり解決していかなくちゃならぬと思うのですが、いかがですか。
  468. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもといたしましても、このあまりにも大きい格差を心痛いたしておりまして、人事院に対しても、できるだけ格差を縮めていただくように大臣からもお願いを続けておるわけでございます。
  469. 沢田政治

    沢田政治君 あえてこのことを聞いておるのは、いまでさえもこういうような差がある。ましてや、特会法で企業性というものが追求されていくならば、その差というものは非常に開いてくるのじゃないかと、そういう面から国としての医療行政に大きな破口、破れが出てくるのじゃないか、こういうような懸念をしておるから、あえてお聞きしておるわけであります。  次にお伺いしたいのは、特に国立療養所、これは国立病院も含めて言えると思いますが、私の聞くところによると、非常に時間外が多い。もう一週間に二十五時間も時間外の労働をしておる人がある。十日間も連続夜勤をやっておる人もある。しかも、そういう人は女子ですね、これは法律の違法とか違法じゃないの問題ではないですね。これはもう政治の問題、社会の問題を離れ、人道問題だと思うのですね。そういうような残業等をしいることは——まあそういうように言われておるわけなんで、実態はどうなっておるかということを、この際、ここで明らかにしていただきたいと思うわけであります。国立病院国立療養所のそれぞれについて、時間外労働、つまり超過勤務ですね、こういうものが一人当たり一カ月大体何時間くらい行なわれておるか、こういうことであります。風聞として私聞いておりますが、正確な時間外労働の実態、実績、こういうものは把握しておりませんので、お聞きします。
  470. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 時間外勤務の手当を、予算では一カ月二十六時間分を計上いたしておりまして、この予算の範囲内で超過勤務命令を出すというたてまえをとっております。現実には医師に対する超過勤務命令が一番多いようでございます。
  471. 沢田政治

    沢田政治君 予算は別として、実績として二十六時間になっていますか、実績は。
  472. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 職種によりまして相当差がございます。いま申し上げましたように、医師の場合は相当超過勤務をやっております。看護婦さんの場合は交替勤務でございますので、比較的超過勤務時間は少ない。職種によって相当違っておりますが、現実にはほとんど予算を消費しておりますので、各職種ごとの差はありますけれども、相当な超過勤務をやっております。
  473. 沢田政治

    沢田政治君 はっきりした数字が出てこぬわけでありますが、そこにのみつっかかっておると進みませんので、先に進みますが、それはあくまでも平均だと思うんですね、全部の平均だと思うんです。ところが、最高超過労働、時間外労働をやった者は相当いると思うんですよ。平均でそうであるならば、これはたいしたものだと思うんです。相当なものですよ。だから、そういうものは、一見これは非常に関係のないように聞かれるし、つまらぬと思うかもわからぬけれども、やはり命を守る医療機関が従業員の健康管理もできないようであっては、これは何をか言わんやということになると思うんです。一事が万事だと思うんです。したがって、実際に相当やっているということを私聞いておりますけれども、最高一人の方が、特定の人かもわかりませんが、どれくらいやっているでしょう。ひどいということは聞いておるんです。全く残業と労働時間とどっちどっちという方もたくさんあると思うのであります。そういうことは労務管理の一環として、衛生管理の一環としてちゃんと調べておく必要があると思うんです。また、そういう義務もあると思うんです。
  474. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) これは一般の常識とはちょっと違うかもしれませんが、国立病院療養所におきましては医師に夜勤手当というものがございませんで、医師の夜勤は超過勤務でやっております。通常のいわゆる夜勤というものと非常に違った形態で、夜間勤務、いわゆる宿直をいたします場合でも診療行為を行なっているわけでございますので、これは夜勤手当というものでなしに、超過勤務でやっている。したがって、国立病院療養所医師の超過勤務というものが非常に長時間にわたっているわけでございます。
  475. 沢田政治

    沢田政治君 具体的に実績を示さないので非常に聞きにくいと思うんですよ。歯車が合いませんけれども、まあ進めましょう。わかったら教えてください。非常にやはり他の業種、他の公務員から比較するならば非常に超過労働が多いということは、これはもう否定できないと思うんです、特殊な事情があったにしてもですね。たとえばこれは全公務員がどれだけの超過労働をやっておるか、時間外労働をやっておるか、こういうのも、これはとろうと思えばとれると思うんです。それと国立療養所、まあそこまでいかなくても、事務局ですね、一般の事務職、この事務職と療養所の差もかなりあると思うんです。非常に私どもが想像もできないほどの超過労働があると思うわけであります。そこで、こういうものを、若い娘さんたちですね、しかも、育ち盛りの方々が准看護婦さんに多いわけですね。そういう方々のそういう超過労働というものを無制限に、はたして野放しにしておいていいのかどうかということであります。業務の実態とか業務の特性とかいえば、それは答弁にはなりますよ。国民の命をあずかるそういう国家医療行政が、みずからの従業員の健康管理もできないということになってはたいへんであります。そういうことで、私は、この際、超過労働に対して何らかの規制基準というものが必要になってくると思うわけであります。一般の民間の労働者の場合には、つまり三十六条ですか、三六協定と俗にいわれておるところの協定によって一つの歯どめがあるわけですね。労働者の代表と協定をしなくちゃ残業、つまりオーバー労働できないわけであります。私は、公務員であろうが民間労働者であろうが、人間の能力としては、また、体力の限界というものは同じだろうと思うのです。どういう身分であろうが、どういう職業であろうが、一定の条件のもとにおいては、人間の体力というものは、特殊な場合を除けば同じだと思うのです。したがって、私はこの点を人事院のほうにお聞きしたいわけでありますけれども、これに何か歯どめ、チェックをしなければかわいそうだとかむごいとかいうことじゃなく、これはやはり職員の健康管理上ゆゆしい問題と思うのです。したがって、都合のいいときは今度は人事院規則を改正して、さっき指摘したようなことをやる。むしろこういうことにこそ勇気と決断をもって人事院が労働者の保護というものを——保護といったって、何ももうかる保護じゃないですよ。からだを守るということですから、そういう歯どめ装置をすべきだと思いますが、いかがですか。
  476. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) そのほうの歯どめは、従来、人事院規則で設けられておりまして、いわゆる三六協定こそはございません。これは条文は準用になりませんけれども、いまちょうど御指摘になりましたように、現行の限度というものを十分限界として、そのワクの中で超過勤務を命じろという歯どめは明瞭に規定してあるわけでございます。
  477. 沢田政治

    沢田政治君 若干まだ疑義がありますけれども、先に進みます。当然所定の時間外の労働をするわけでありますから、当然割り増し賃金を出さなくちゃならぬわけであります。これも私の憶測かもわかりませんけれども予算の今度のいろいろの関係からして、成規に手続をとって、自分がかってにやるのではないです。上司の業務命令によって時間外を就業した場合にも成規の時間外手当というものが支払われておらない、こういう苦情が随所にあるように私は聞いておるのであります。こういう事実はありませんか。
  478. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいま人事院総裁からもお話ありましたように、予算の範囲内で超過勤務命令を出すのをたてまえにいたしております。しかし、何ぶんにも医療機関でございますから、緊急の患者が来ることもございますし、あるいは入院患者に緊急の事態が起こることもございましょうから、絶対にこの予算の範囲内でおさまるかどうかということは保証しがたい場合もあり得ると思います。
  479. 沢田政治

    沢田政治君 どうも聞けば聞くほど不可解だと思うのです。労働した者には対価を支払うということは常識ですよ。しかも、それが政府機関の中において、成規の手続によって成規の時間に労働を提供したのに対して成規の対価を支払わぬということは、これはたいへんなことだと思うのです。議論にも何にもなりませんよ。そういうことが一体許されていいのですか。これはまさに女工哀史というか、カニ工船というか、もう十九世紀以前の労使関係ですね、こういうことは。私も、中小企業を含めて、二十年間労使の関係を見つめてまいりましたが、今日町工場といわれているところにも、こういうずさんな労使の労働条件、労働環境というところはありませんよ。働いた分がけ対価を払えないということになったならば、これはどうですか、それを拒否していいでしょうね。ただで人に対して苦患労働をしいられません。これは強制労働ですよね。正当な理由があろと思うのですね。お金は払えないこともありますよということなんだから、そういう実績があるとすれば、当然労働を拒否することは、私は憲法上認められていると思うのですよ、当然な話だと思うのですが、いかがですか。
  480. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) どこまでも、原則的には予算の範囲内で勤務命令を出すということはどこまでも原則でございます。ただ、いま申し上げましたのは、医療機関ですから、患者が急変するというような場合に応急の措置をせざるを得ない場合も、非常に医療機関の特殊性としてあり得るのではないかということを付加して申し上げたわけでございます。
  481. 沢田政治

    沢田政治君 働いたものに対して対価を支払うというのは、原則も何も応用もないのですよ。これは冷厳なる、これは当然行なわなくちゃならないのですよね、そうでしょう。予算がどうこうというのは、それは一つの方便であって、働いた価値に対して、しかも、約束しているのですよ、時間外の場合はこれだけの早残業手当とか、そういうものを加算しますということをはっきり約束しているのです。それを実際に支払われないということは、これは許されますか。これは予算も何もない問題ですよ。おかしいと思うのですよ。
  482. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 労働に対して対価を払うということは当然のことでございまして、ただ、勤務命令を出すという場合に、病院の特性といたしまして、応急の患者が出た、たとえば担架で患者がかつぎ込まれてきた場合に、宿直以外の、たとえば在宅のお医者さんに来てもらうというような場合は、正規の勤務命令というような手続を踏むいとまもないというようなことがあり得るわけでございます。そういうことを頭に入れながら実はお話を申し上げたわけであります。
  483. 沢田政治

    沢田政治君 その点は、医療機関ですから、当然予想されない事態を惹起するということは想像にかたくないわけであります。病人の容態が急変するとか、そういうことはあり得ます。交通事故で思わざる患者が飛び込んでくるということもあるでしょう。そういう場合、これは当然業務命令といいますか、これは人命に関する問題ですから、ひとつこれを手伝ってくれということはあり得るのです。そこまではいいのですよ、それは。そのこと自体を悪いとか違法だとか言っておるのじゃないのです。そうして働いたならば、当然それに対して支払うべきじゃないかというわけです。それが行なわれておらないという、支払われておらないという事実があるやに聞いておるから、その事実があるかどうかを聞いておるのです。
  484. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいまの特殊な事例のような場合も、あとで適切に処置をすべきものでございますので、労働に対して当然の対価が払われないということはあり得ないと存じております。
  485. 沢田政治

    沢田政治君 そういう事実があったということをあなたここで明言はしておらぬけれども、ないとも言っておらないところを見ると、あるような気もするわけです。特に組合のほうからこういうことを何回も皆さんが指摘されておるわけですよ。ここで何も議論すべき筋合いの問題じゃない、とっくに解決しておるべき問題ですね。恥ずかしいと思いませんか。所定の手続によって労働を提供し、それに対して対価を支払うべきだ、そんなことを議論しておったら、ほんとうは時間がむだですけれども、常識が常識として行なわれておらないところに問題があると思う。これはあえてお聞きしたわけですが、したがって、こういう場合、人事院どうですか。これはやむを得ない、これはやはり厚生省とこれは組合の関係だ、こういうように黙っておりますか。
  486. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは申し上げるまでもないことで、正規の超過勤務命令を出したらば、それに対応する手当は当然出すべきだということは、いまのお話のとおりに、当然のことでございます。したがいまして、それが正規の超過勤務命令であるかどうかということにかかってくるわけでありますけれども、私ども給与関係では、御承知のように、給与の監査をやっております。もちろんごく少数の人数しかおりませんから、抜き検査的な監査しかできませんけれども、その際にはそういう点にもわたって調査をしておるわけであります。その点万遺憾なきを期しておりますけれども、要するに、基本はいまおっしゃるとおりのことです。
  487. 沢田政治

    沢田政治君 もう基本はここで議論する余地ないのですよ、これは。議論すること自体ナンセンスです、これは。したがって、ナンセンスなことが現実にまかり通っておるから私は問題にしておるのであって、したがって、まあ人事院の総裁としては善処しますとか監査の際とか言っておりますけれども、現にそれが進行しておるものだから、そういう人間と人間の善意を、こういう大きい組織になりますと、善意だけではこれはけじめつきませんよ。中にはいい人もおるし、善意でない人もおるから、だから、そういう人間本来性善説だけではぼくは片づかぬと思うわけだ。だからはっきり救済規定なら救済規定というものがあって、これは救済規定を設けるのはおかしいのだ、あたりまえのことなんだから。こういう歯どめを明確にすべきだと思うのですけれども、それはあなた答弁できるでしょう、やりますということを。
  488. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは明確に答弁できます。それは歯どめとしては、措置要求の請求の道が設けられておりまして、そういうことに対して不満を持っておられる方々は人事院にあてて措置要求を請求されております。私どもはこれを公正に審査をして適正な措置をして判定をしておる、こういうことでございます。
  489. 沢田政治

    沢田政治君 この問題とはちょっと関連がありますけれども、ちょっと角度が違ったことですけれども、それは要するに、病院は特殊だから、あるいは公務員は、これはもう民間と違うからということで、変なところには公共性とかそういうものを持ち出して、職員の健康なり身体がむしばまれるということは、これは許されないと思うのです。私、先ほど言いましたように、どういう地位にあろうが、どういう職名におろうが、一定の条件のもとにおいて、人間の極限状態というものは、体力の差があっても、そう差異がないと思うのです。したがって、無制限にやはりどんどん残業をさせるということは問題だと思うのです。結局大蔵省の予算がしぶいから、これは定員もふやされない。そこで、今度は労働密度を増していく、そうして先ほど言ったような、予算の関係からと称してやみからやみへと労働の対価に対してはこれはもううまく処置していく、まあそこに問題がありますが、それは片づきました。あなたがそれは先ほど歯どめをします、措置はしますと言いましたから、それでその点は落着したわけですが、そうだとしても、早残業手当を払ったとしても、無制限にやらせるべきでないと思うのです。したがって、その点については労働基準法では三六協定が明確になっているわけであります、人の健康を守るという立場からですね。労働時間八時間の原則というものがなしくずしにされないために一つの歯どめがあるわけでございます。そういう歯どめは何といっても必要だと思うのです。私は、労働者の半数なら半数、これの代表と協定しなければ、かってに業務命令だからおまえ残業やれ、きょうは残れ、きょうは夜勤やれ、こういうことであってはいかぬと思うのですね。特に私は、法律を順守するのはやはり政府なんです、これはまずわれわれもそうですが。したがって、やはり労働基準法があるのだから、一つ基準があるのだから、そう政府みずからが雇用関係において率先範をたれるということは何も高邁なことじゃないし、忍耐の要ることではないし、私から言わせれば当然なことだと思うのです。
  490. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) さっきお答えしたのは、実はそこの歯どめのところを申し上げたのでございますが、人事院規則の職員勤務時間等の基準というのがございまして、その第十条というのに、各庁の長は職員に超過勤務を命ずる場合には、職員の健康及び福祉を害しないようにしろということが規則にちゃんと明文があるわけでございます。
  491. 沢田政治

    沢田政治君 いや、その明文だけではだめなんで、現実に無制限に早残業がなされておるから問題にしておるわけです。その規定だけで問題がなければ、何もここででかい声を張り上げて私は問題を提起をする必要はないのです。事実はそうじゃないから、もう一歩、民間労働者がとっておるような、労働者の意見を聞いて、今月は何時間にするならすると、こういう協定をして、命令とか、そういう権威じゃなく、みんなが納得した形でやはり残業させるということが、当然これは私は残業としても、行政効果の上からいってもいいと思うのですよ。何も皆さんが不利になるようなことを言っているのじゃないのですよ。それがまた職員の健康管理にもなるし、一石二鳥をねらっていっておるので、そういう措置をひとつ規定でつくりなさいよ。あなたつくれるのだから、まかしているのだから、人事院に。さっきの、何といいますか、給料支払いのときのような、うしろ向きのあの暗い英断ではなく、明るい英断をあなたはやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  492. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) いまの協定等の問題も、立法論としてはそういう考え方が十分成り立ち得るわけであります。研究問題としては一つの問題たるを失わないと思いますけれども、現行制度はそういうことになっておりません。人事院が、むしろ協定の代償機関という立場から、公正にその辺の、たとえばいま御紹介しましたような条文等を設けて適正を期しておる。そして、これも先ほど申しましたように、こっちでも調べますけれども公務員のほうの側から、非常に過酷な労働だと、これをほっておいてくれては困るというような不満があれば、それは正式の措置要求という形で人事院に対して訴えてこられるわけです。それに対しては、われわれ公正な立場によって判定を下しておる、こういうことでありますから、立法論としてはいろいろ考えられますけれども、現在の制度は制度として十分に整っておるというふうに考えます。
  493. 沢田政治

    沢田政治君 立法論とか、そういう私は非常に高度な議論をしているわけじゃないのです。やりなさいということです、あなたの考えでできるのだから。要は、やるかやらぬかなんですよ。たとえばいろいろなこの行政措置要求が出されていますですね。これでさえも、昭和三十八年の四月に出しておりますね。そしてあなたのほうで、これは判定といいますか、公務員のほうのことは私はよくあまり存じませんが、判定を出したのですね。これは昭和四十年ですか、五月ですね、判定を出した。これはたいした事件のようですね。昭和三十八年に行政措置要求を出した、こうやってくれということをね。二年かかって、やおら判定を下しているわけですね。これはたいしたものですね。これは日本の裁判所と同じことですよ、これはね。そこまではいい。今度は、それからさらに三年の歳月が経過しておるわけだ。午前中、森中委員に答弁しておりましたけれども、それも今度は守られておらぬわけであります。一体どうしたならば労働者は守られますか。職員は、一方においては公務員であるという名のもとに、憲法違反だと思うけれども、労働権を否定しておる。成規の手続で行政措置要求をしておる。二年かかってせっかく判定を下した。今度は今日まで三年間歳月が費やされている、一向にこれを守らぬ、どうなりますか。これでは人事院というのは何のために存在していますか。あなたちょっと自責の念にかられませんか。私は、何も公務員だから優遇せよとかじゃない。すでに零細な、あすにも倒産するというような中小企業さえもこういうことをすでに実施してきておるわけですよ。二十年間もなぜできないのですか、なぜこれをやる気がないのですか。できないじゃない。やるかやらないかというぼくは誠意の問題、意識の問題にかかってくると思いますね。まあそこまで言いますと追いかぶせるようなものの言い方になりますので、どうですか、これは実施しますか。
  494. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) いまの判定を実施されるかどうかは、お隣にいらっしゃる厚生大臣がなさることでございますから、私を追及されても、私はお取り次ぎをいたします、ぜひどうぞお願いしますということを申し上げますから、その程度で、あまり私どもばかりをおいじめいただかないようにお願いしておきます。
  495. 沢田政治

    沢田政治君 私は新しい議員でございますので、特定のだれかを別に憎しみも何もない、同じケースでやっておるわけでありますが、おっしゃるとおりです。これはあなたに重ねて聞くよりも、三年間歳月が費やされてもこれを守っておらぬ、実施しておらぬ、これはやはり厚生大臣、あなた幾ら責任がないといっても、責任があるわけであります。特にあなたは非常に新しい感覚を持っておられる方だと思いますので、個人的に私は非常にあなたに対しては好意を持っておりますけれども、こういうことをやっておるかやっておらないかという批判することはおのずから別であります。そういうことで恥ずかしいと思うのですよ。こういう議論が国会で今日行なわれているということを中小企業のおやじさんに聞かしても、まだ政府職員がそんなことなのかという感想になると思うのですよ。これはすみやかにこの判定ぐらいは実施するということをここでお約束したらいかがですか。これはおわびじゃありませんよ、あなた。おわびしなくちゃならぬということは一向ありませんが、おわびはおわびとして、これを実施するということに踏み切ったらいかがですか。
  496. 園田直

    国務大臣園田直君) 人事院のお指図に従って努力はいたしておりますものの、いまのようなおしかりを受ければ、たぶんそういう事実があるのではなかろうかと私も想像されますけれども、問題は、定員充足が非常に困難であるからであります。したがって、一方、そういう歯どめをいたしますると、今度患者のほうに無理がいく、患者の言うことを満たそうとすれば職員が過重労働になる。この前の御意見に返るようでありますが、何としてもその点が私十分注意をして守るようにしまするかわりに、私がお願いしたいことは、やはりこの医師と看護婦、やはり医療行政の根幹はお医者さんと看護婦さんが満足におるということが一番大事でございまして、その次が施設でございます。したがって、医師待遇というものが、いまの給与体系の中では医学校の二カ年の上に少し上積みした程度のものでありまして、やはり人命をあずかる、人の命を守るという特殊な技術についての算定を考えてもらわぬと、このままではどっかに無理が出てくる、こういうことを考えておりまするが、そういうことも相談をしつつ、いまの点については十分おっしゃることもわかりまするし、また、それも決して待遇がよくないからというだけじゃなくて、私のほうの行政運営上やるべき点も幾らもあると思いますが、やはり医師、看護婦の待遇についてはよほど考えてもらうように努力したいと考えております。
  497. 沢田政治

    沢田政治君 根幹になるのは医師と看護婦というお説もよくわかります。しかし、人の命を守るほうの命もまたあえて守らなくちゃならぬわけですね。そういう自己犠牲をしいるのも限度があると思うわけであります。したがって、私、古い議員のように、言質をとって喜ぶとか、そういうことはきらいです。善意に解釈して、可及的すみやかにあなたはこれをたいしたりっぱな高度なものじゃないから、これを実行するというように私なりにこれは確認しておきたいと思うのです。  それで、見るほど聞くほどに私も驚いているわけでありますが、非常に夜勤等も多いわけですね。特に一人夜勤といいますか、まだ未成年者の娘さんが一人夜勤をして、四十六床も一人で持つなんということは、これはたいへんなことだと思うんですね。ちょっと気の弱い娘さんじゃ、とても一人で夜勤ということはできませんよ。おそらく大臣でも、一人で夜勤するという、病院で十八歳か十九歳の准看におつとめしなさいということは言えないと思うんですよ、自分の娘がそういう境遇にあったら。これはやはりすみやかに解決すべきだと思うんですね。このことからまたいろいろな医療上の事故なり災害が出てくる可能性もなしとはしないし、あったやに聞いておるわけでありますが、どうですか。これ少なくとも一人ぐらいじゃ、何というか、とんでもない突発的なことが出たならばたいへんですよ。病床のそばから火事が起きた場合にどうですか。一人は教えに行く、一人は応急の処置をするということもできないんですよ、これは。うろうろしているうちに大事故、大惨事が惹起される可能性が多いと思うのです。これはすみやかに解決すべきだと思うのですが、いかがですか。
  498. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 最近は夜勤はできるだけ回数を少なくするようにし、一人夜勤を解消するように私どももいろいろ研究をいたし、その実現につとめているわけでございますが、御承知のように、二人夜勤の者と一人夜勤の者がございますが、一人夜勤というものは、通常、比較的軽症患者の病棟でございます。かなり重い患者の病棟は二人夜勤、また、特別の手術後の患者等だけを入れている病棟は三人夜勤というような形をとっております。そういう意味で、一人夜勤というのは、まあ比較的軽易な勤務ができる場所であり、そういう場合にも、たとえば婦長のパトロールというような形でできるだけ応援をするような体制を研究し、実施しております。
  499. 沢田政治

    沢田政治君 局長、あなたにお伺いしますが、人間は、一体、昼活動するという動物でしょうか、夜行性動物でしょうか、どっちでしょうか、それを私はお伺いしたいと思うのです。
  500. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 人間の本性といたしましては、やはり昼働いて夜休むということだと思います。
  501. 沢田政治

    沢田政治君 まさにお説ごもっともであります。ところが、国立療養所にはこの原則が通用しないようでありますね。人によっては一カ月十五日も十日も連続して夜勤しておる方々がたくさんおるわけであります。いまあなたの答弁では、人間は昼活動し、夜は休息をとるのが人間であるという、まことに明快な人間の定義を下されたわけでありますが、最も人間の常識的な定義に反しているというのはおかしいじゃないですか、厚生省が。これもやはりここで議論することではなく、これは廃棄しなければなりませんよ。看護婦さんが定着しないとかいっておりますけれども、これじゃ定着しませんよ。私はもう結婚後で、結婚の資格もありませんけれども、自分の奥さんが十五日も病院に泊まっておるのでは、これはどんな絶世の美人であっても、これは敬遠するのはあたりまえですよ。当然です。こういうことをやらせるというのは、笑いごとになりますけれども、これは笑いごとですよ。その笑いごとをやっておるのだから、ちょっと笑いごとにならぬような笑えない喜劇ですね。これはどうですか、これは改革しなさい。たいへんですよ。
  502. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 人間は夜休みたいのでございますけれども、何ぶんにも、患者の看護は二十四時間連続してやらなければなりませんので、どうしても夜勤というものが病院の特性として必要になるわけでございますので、そういう意味で看護の勤務は三交代制ということで、八時間ずつ三人で一日を勤務するという形になっておりますので、夜勤を全く廃止するということは全く不可能なことでございます。何とか夜勤の回数を減らし、あるいは一人の夜勤というような心細いやり方をなくし、また、その夜勤の勤務環境をよくし、勤務が比較的軽くて済むようないろいろな方法をするということが現在なし得る方法であると考えております。
  503. 沢田政治

    沢田政治君 局長答弁と私の質問は、一見して、あまり繊細に考えなければ、合っておるように見えるのですけれども、分析してみると、どうも違うのです。病院の実態と特殊事情ということから、だれにものを合わしてはかるのかという角度が、スケールが違っておる。病院の実態からしてやむを得ないということにすぐ転嫁するわけです。私は、人間の安全の面から、そういう面から医療面は発展していくべきであって、病院の実態から作業の実態をきめるということは本末転倒です。この原則はあなたと私はほんとうに違っておるわけでありますが、しかし、私は、ここで笑いごとではないと思うのは、その結果、たくさんの事故とは言えないけれども、去年ですか、事故が起こっておるでしょう。明白に警告を与えておるわけであります、事実がですね。西多賀の医療事故の経過、西多賀という療養所がありますね、ここの事故は一体どういうわけで、どういう経緯で、どういう原因でこれは起こったのですか。非常に今日の厚生省の労働環境なり労使関係なり、そういうものの欠陥であることを明白に私は物語っておると思うわけであります。私も詳しい内容がわかりませんけれども、皆さんの意識の程度といいますか、これに対する理解の程度、こういうものを知っておくために、どういう原因でこれが発生し、どうしなければならぬか、これから学ぶものは何か、こういう点をちょっと説明してください。
  504. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 先生もすでに御存じのように、これは、かん腸に薬を間違えて消毒薬を用いたという事例でございます。もちろん、この事故の原因につきましては、薬品の保管のしかたの間違い、あるいはこういう本人の責めに帰せられない、他の人の置き場所がまずかったというような点もございます。また、本人が夜勤明けであったということから、あるいは疲労ということがそれにも間接的に響いているかもしれません。薬を間違えたということでございますから、どれが原因でなったというようなことを一律に判定することはむずかしゅうございますが、いろいろないま申し上げましたような要因があったと考えます。
  505. 沢田政治

    沢田政治君 私は、今後のためにこの点だけはぜひ御確認願いたいと思いますが、まず、第一には、未成年者ですね、これに深夜勤務をさしておる。こういう原因というものをまず一つあげなくちゃならぬと思うのです。もしこれは、いや、そうじゃないというなら反論してください。第二点は、やはり一人夜勤ですね、一人で夜勤をさせる。人間の意識というのは、非常に正確なようで、瞬間的には非常に、何といいますか、錯覚もあるし、これはあり得ると思うのであります。まあ一人夜勤、それと、たった一人のいとけない——いとけないというならば、娘さんですから、いとけあるかどうかわかりませんが、十九歳というとまだ未成年者ですね、こういう人に四十八床も持たせておる。比較的軽いというような理由を言っておりましたけれども、こういうことも一つの原因にあげられるのじゃないかと思うのであります。もう一つは、俗にいう准看護婦、准看を正規の資格を持った正看と同じような勤務に当てておる、こういう点にも問題点がありゃしないか、こういうふうに私は考えます。それと、先ほど言いましたように、もう一つは、夜勤が連日であったかは別としても、それ以前に月のうちに十日間も夜勤が続いた、こういうこともいわれておるわけであります。それを、先ほど言いましたような薬品管理ですね、こういう点にも非常に手落ちがあった。私はその当時の現物を見たことがありませんが、石炭酸ですか、それと生食塩水ですか、どっちも無色透明、容器も似ておる、小さいラベルを正確に見ればこれは識別ができたと思うが、一人でしょう、二人だったらば、私はこういう事故が起こらなかったのじゃないかと思うのです。したがって、こういう六点、そのほかにまだ原因があると思いますけれども、こういう点に手ぬかりと欠陥があった、起こるべくして起こった要因というものはこういう点にあったということをお認めになりますか。
  506. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) いろいろ六点おあげになりましたような要因は、確認はできませんけれども考え得る要因であったと思います。
  507. 沢田政治

    沢田政治君 私、常識的な六点の原因は、起こるべくして起こった、また、起こるであろう可能性を含めた原因をあげたわけでございますが、お認めばできませんけれどもと言うが、お認めできないのは何項か、六つあげたうちで、どういう意味でこれをお認めできないのですか。
  508. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 承認いたしたわけでございます。六つのものが、確認はできませんけれども、おそらく何らかの形で影響があったものだと、可能性のあるものとして承認いたしたわけでございます。
  509. 沢田政治

    沢田政治君 非常に驚いておることは、仮眠設備と申しますか、休憩施設といいますか、私も二カ所くらいしか国立療養所の中は見たことがありませんけれども、非常に設備が貧弱です。国の施設とは言えないと思うわけでございます。あす中にやれというわけじゃないですけれども民間から比べても、これはたいへんな差があると思うのです。今日、秋田県、青森県の農民の方々が出かせぎに来ていますね、そうして昔の飯場に泊っておりますけれども、労働省の宿舎規程改正によって相当厳格な規定になっているのです。皆さんのところ、あるいは休憩室がないところもあるやに聞いておるわけであります。これじゃ科学の先端をいく医療行政とか医療機関とか、もうそのこと自体の名前が泣くと思うのですね。そういう設備の改善、営利採算ではなく、企業性を求めることではなく、そういう点がやはりやらなくちゃならぬということの一つじゃないかと思うのですが、いかがですか。ほんとうに劣っておるのです。私は、一番条件が悪いのは炭鉱、鉱山だと思うわけであります。そのまた一番悪い地下で私は働いたこともあります。ここでさえも仮眠できるような——炭鉱じゃできないにしても、普通の鉱山であるならば、ガス爆発のないところならば、電熱器、お茶わかしがついていて、快適なものですよ。太陽の紫外線が当たらないだけです。そこよりも悪いのです。佐渡の金山この世の地獄、この世の地獄よりもまだ悪いのだから、これはやっぱり早急に改善すべきだと思うのですね。普通並みでいいんですよ、普通並みにしなさいよ。
  510. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 休憩室、あるいは仮眠室等の設備が非常に劣っておるというお話でございます。古い療養所等においては十分な設備がなかったことも確かでございます。しかし、勧告等によりまして、この点もかなり力を入れて改善しております。たとえば四十一年と四十二年の間に休憩、休息室の改善を行ないましたものが全体の二七、八%でございまして、休憩、休息室が整っておりましたのが五九%程度、それが八六%まで向上いたしております。このような休憩、休息室等の整備も含めまして、夜間勤務、環境の改善というために、この三カ年間に約一億程度の金を入れてその整備をはかっております。
  511. 沢田政治

    沢田政治君 労働環境が悪い、条件が悪いということを言っておったらば、もうあすの夜明けまで言うことの材料をたくさん持っておるわけでありますが、もうすでに耳にたこができるほど、あなたの意識の中に、記憶の中に入ったと思いますので、これはあまり続けません。  ひとつ人事院総裁国立療養所、これは役所の机の上で事務をとったりなんかする仕事じゃありませんね。現場ですね、現場ということばは悪いと思いますけれども、一般の学校の先生でも現場といっておりますから、現場ですね、働く場所ですから、働く現場ですからね、非常に現業に近いんですね、作業とか労働環境の態様がですね。したがって、これは国家公務員には変わりないかもわからぬけれども、労使関係のあり方としては、むしろ三公社五現業、これに私は近いんじゃないかと、こういうように考えるわけであります。たとえばみんながこの働いた時間外もいただかずにがまんして働くと、これはすぐもうけのほうに入るわけであります。どんどん外来患者でもとったならば非常に収入がふえるわけであります。黒字になるか赤字になるか、その事態を見なくちゃ、ケースを見なくちゃわかりませんけれども一つの採算面というものは向上していく、こういう一つの態様にあると思うわけでありますがね。頭脳労働であり、専門職であり、肉体労働でもありというような、非常に高度な要求をされる業態だと思うんですね、内容が。作業業態がそういうことだから、むしろ三公社五現業並みにして、やはり団交権の所在とか、そういうものを明確にしたほうがいいのではないかと私は考えるわけですけれども、いかがですか。
  512. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) いまのお尋ねは、団交権の問題のもう一つ手前の問題として、これを公団的なものにしたらどうかということがおそらく前提になっているかと思います。これはそういうことになりますと行政機構の問題でありまして、われわれそれこそ非常に謙虚な立場で申し上げますけれども人事院の所管のもう一つ上の段階になりますので、私は、第三者としてはそれも一つ考え方じゃないか、決して非常識な御提案じゃないと思いますが、それは私としてはお答えすることを差し控えさしていただきたいと思います。
  513. 沢田政治

    沢田政治君 私、公社、公団を言っておるのじゃないのです。そうなったら、もう特会法でも企業採算だから、公社、公団になったら、これは採算制、企業制というものはたいへんなことになりますね。そういうことじゃなく、私は日本国憲法をすなおに見て、これは労働権の問題はあまり議論しても歯車が合いませんから議論しませんけれども、国家公務員、こういうことになると、一律に労働権、基本権というものを無視しろ、こういうやり方ではなくて、やはり国家公務員ではあるけれども、実際の作業の様態、こういうものが現業に近いならばそういう扱いを——名前は体をあらわしじゃなく、体はすべてをあらわしというような方向に私は直すべきじゃないか。もちろんいまの法規、規則等には制限があるわけだけれども、そういうものを改正してでも、あるべき姿にやはり戻す必要があるのじゃないか。したがって、あなたの人事院総裁としての公式的な見解でなくてもけっこう、それを求めたいわけだけれども、まあまああなたの感想ですか、考え、やはりそう思うなら思うと、どうですか。
  514. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) こういう公の場で個人的な感想を申し上げることがいいのか悪いのか、遠慮したほうがこれはよかろうと存じます。ただ、いまの団交権の問題は、私どものいまのそれこそ感想ですけれども、そういう限られた問題でなく、もっと大きな大問題じゃないかと思うのです、全体にわたっての。そういう気持ちを持っております。
  515. 沢田政治

    沢田政治君 ちょっと意見がわからぬわけでありますが、先ほども、規則改正を一方的にやった、なぜやったと言ったならば、わが身を守るためにと答えられましたが、いまもまたわが身を守るために個人的な見解を差し控えられたかどうかわかりませんけれども、その件は推測の域を出ないわけでありますけれども、これは押し問答をいたしません。  そこで、私一つお聞きしたいのは、いろいろ理屈、議論もできるといたしましても、かりに医療行政の効果をあげるという一つに目的をしぼっても、いろいろな角度から大臣にお聞きしておるわけですけれども、いろいろな角度から議論できると思うのであります。まあ医者と看護婦の問題もあるであろうし、また、医者の技術の向上施設、環境の整備、いろいろあろうと思いますけれども、やはり最も不可欠なのは、医療に従事しておる職員の方々と、やはり使用者になっておる政府管理者、この人方の理解というものがぴったりいかなければ、私はやはり医療行政の向上というものは期待できないと思うわけであります。人間でありますから、霊長類だからこれはできないのです、理屈は言ったとしても。そこで、私は非常に慨嘆といいますか、驚いているわけでありますが、非常に労務関係、労使関係、労働関係が極端に、何といいますか、悪い。その原因を見ますと、労働運動というと、何か十九世紀の資本家が考えたように蛇蝎視する、凶悪犯視する、こういう一つの傾向から脱皮できないでいるような傾向が非常に強いわけですね。たとえば労働者が自分の思ったことをみんなでしようとするためには団体交渉をすることもあるでしょう、あるいは、また、口で言わなくても、われわれはこういう希望を持っています、要求を持っていますということを何らかの方法で、ことば以外、言語以外の方法で、ただし、暴力じゃないですよ、言語以外の方法といっても。方法で意思表示することも許されると思うのであります。これは表現の自由ですからね。ところが、聞くところによると、何か「要求貫徹」と四字くらいの日本文字を書いたリボンを下げただけでも、とんでもない、それは取っちゃえ、こういうことで目くじらを立ててそれを取り締まるというか、そういう事実があるやに聞いているわけでありますけれども、そういうことはほんとうの正しい労使関係でしょうか。
  516. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいまリボンをつけただけで文句を言われたというような御指摘がございましたが、私もそのような事例を聞いたことがございます。労使関係を円満にやっていくということは私どもも同じように念願しておりますので、そういう無法、あるいは非常識なことのないように私ども努力してまいりたいと思っております。
  517. 沢田政治

    沢田政治君 局長、非常に初歩的なことを聞いたついでだから、また初歩的なことを聞くわけだけれども、労働者が八時間働いたならば一時間の休憩時間を与えなければなりませんね。六時間四十五分と、こういうことになるわけですが、その場合、休憩時間というものは、本来、労働者みずからが自由にこれは使っていいわけでありますね。いろいろなこともありますよ。たとえば二キロぐらい離れた家へ御飯食べに職場外に出ていっちゃったとか、そういうことは許されないと思いますけれども、職場内におったらば、雑談をしようが、もっと高尚な文学の話をしようが、あるいは、また、今日の社会というものを議論しようが、これは当然あたりまえでしょう。それから、また、宗教に傾倒をしておる人は宗教の議論ということもあるでしょう。そういうことは当然許されることでしょう、ここで議論するまでもなく。どうですか。
  518. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 休憩、休息の時間をできるだけ自由に活用することは当然のことと思います。
  519. 沢田政治

    沢田政治君 ところが、当然のことが、まあ答弁はいつも当然だけれども、事実は当然ではないので私困っておるわけですが、良心があるならば、自分が公式の場所で当然と言ったことは、やはり当然とさせるようにあなた方も努力をしなくちゃいかぬと思うのであります。もうそんなものは常識ですよね。そういうことで、私ちょうど三分の一ぐらいここまで開いて、三分の二ぐらい保留になりますけれども、私一人だけで東北弁で話しておりますと退屈と思いますので、以上をもって私はちょっと休んで、どなたかにバトンをタッチしましょう。
  520. 森中守義

    森中守義君 ちょっと議事進行。もう十時になりましたが、まだ大橋質問が出るようだし、それに森勝治君も質問の用意がある。また、私も途中でやめておる。それで、あときょう一ぱいやっていても、延会しなければ、もう十時ですから、二時間で終わるということになりますが、それだけの質問を終了するのにはとても二時間では無理だと思います。それで、大蔵委員長もお見えですし、もう一回ひとつ協議していただいて、あしたのせめて午前中ぐらい連合審査を延長するようなことを、一ぺんひとつ休憩にして打ち合わせてください。
  521. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) 速記をとめてください。   〔午後十時一分速記中止〕   〔午後十時十九分速記開始〕
  522. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) じゃあ速記を起こして。
  523. 沢田政治

    沢田政治君 先ほど若干残っているところがありますので、質問を続行するわけでありますが、先ほど私は、超過勤務に対して、大体実際に超過勤務した労働の対価が払われておらぬ、こう言うて、まあきわめて抽象的に触れたわけであります。まあそういうこともあるかもわかりませんというように聞き取れる答弁をいただいたわけでありますが、私のまあちょっとこう調査したところによると、つまり実際に超過勤務をした者に対して、帳簿上は別といたしましても、実際には五割くらいが結局うやむやになっておる、ことばをかえて言うと、払われておらない、こういう状態があるようです。したがって、これをいつ払うのかということですね。後刻しかじか処理しますということだけでは、これは労働力の対価でありますから、こういううやむやの抽象的なことでは片づかない問題だと思いますが、やはり詰めといいますか、けじめをつけるために、どういうふうにして、いつ処置するか、こういう点をお聞きしたいと思うわけであります。
  524. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 正規に超過勤務命令を出して超過勤務させたものについては、当然支払うべきものと心得ております。
  525. 沢田政治

    沢田政治君 先ほどの行政措置要求ですね、この問題について非常に飛び飛びずっと前に進んでいったわけでありますが、一応これについて大臣もしかるべきようにこれを実施したい、こういう意見の開陳がなされたわけです。私はその言を信じますと言いました。いまでも信じています。しかし、冷静に考えてみますと、信ずるだけでは片づかない内容もあると思うわけであります。もうすでに昭和四十年に判定されたことが今日まで実施されておらないのだから、三年間やらぬ政府に対して、努力しますといっても、ああそうですかと信じたいのですが、私、信じていますけれども、ここでこの際に問題ごとに内容を明らかにして、たとえば夜勤日数は月八日平均とすることを目途とし、個々の看護婦の云々とありますね、以下たくさんここに載っておりますね、これをただばく然と約束をいたしますという、そういう抽象的な答弁ではなく、 いつならいつに実施するのか、また、どのことについては六カ月くらいかかるけれども、どの部分についてはさっそく実施します、こういう点の保証がないと、非常に職員の方々も動揺すると思うんですね。三年間もう判定がおっぽり出されてきたので、抽象的なことでは、ああそうですが、こういうわけにはまいらぬと思うので、具体的にどれとどれはどれだけの期間をめどにして実施をするのか、こういう保証ということばは別としても、区切りをつけなければこれはいかぬじゃないか、こういうふうに考えております。
  526. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 問題になっております人事院判定は、主として四項目の判定でございますが、夜勤の日数を月八日程度に縮小すべきであるという御意見に対しまして、私どももいろいろな角度から努力をしてまいっておりますが、いまだに九日程度でございまして、何とかしてこれを、少なくとも、もう一日程度縮小したいという努力をいたしておりますが、これを画一にやりますためには、どうしても相当の定員増をはからなければなりません。この定員増をいま確実にお約束できる立場にないのがまことに残念に思いますので、これにつきまして期日を限ってお約束することは、遺憾ながら、困難でございます。  なお、一看護単位をできるだけ少なくするということ、また、二人夜勤に変えるということ、これも看護婦の絶対数の問題とのからみ合いがございまして、できるだけ夜勤というものを効率にしたい。したがって、同じ看護婦の数の中では、できるだけ軽症の患者等におきましては、ある程度看護単位を大きくしても、できるだけ一人夜勤を排除したいという考えでこれをやっております。また、産前産後の一年間の夜勤を禁止するという、これを人事院の判定では六カ月程度を目標にしてやれということでございますが、これにつきましてはそのような指示をいたしておりまして、ある程度実行に移されておると思っております。また、休憩、休息時間の明示につきましても、これは相当改善をみておると私ども実績で把握しております。
  527. 沢田政治

    沢田政治君 定員増等の関連からいって、いつしかじかこういうことを実現します、こういうことは非常に不可能だ、部分的に改良しておるところもある、こういう答弁なわけですが、私は、やはりいろいろな事情があったにしても、今年の予算を通過しましたから、これから戻って定員をことしから数をふやすということは不可能です、これは物理的に。心情の問題は別としても、手続の問題からいってこれは不可能です。したがって、来年なら来年は、やはり水田大蔵大臣もいるので、ここまで議論されておるので、国立療養所並びに厚生省管下の労働条件というのは非常に密度も高いし、残業も多いし、そういう実態はおそらく聞いておると思うわけであります。したがって、来年は思い切ってそういう増員要求をして前向きの姿勢をとって、来年中にはこの問題の結着をつけるならつけるという決意をここに御披瀝にならなければ、事情もあるとか、ちょっとぐちに聞こえるような言い方ではおそらく進歩がないと思う。また、おそらく来年になったら来年ということで、厚生大臣は来年までこの職にあられますかどうか、次の人は次の人でと、こういうことではいかぬと思う、労使の信義からいっても。だから、水田大蔵大臣も来ているのだから、こういう矛盾があるということを知っているなら知っているとしても、これを私は解決しなければ、まさに職場環境は前近代的、だから要求しますと、そういう気魄で、来年解決しますならしますということを、大臣、ちょっと答弁してもらいたいんですけれどもね、決意を。
  528. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの御意見は全くそのとおりでございまして、私としてもその点は早急に解決したいと思っておりますので、明年度は強い決意をもってお願いするりもりでおります。
  529. 沢田政治

    沢田政治君 まあ意欲的に来年度中にこの問題の結着をつけたいというような御答弁がございましたので、重ねてこの点については触れません。これと関連するかどうかわかりませんけれども、非常に夜勤が多い。一人夜勤というものは非常に、風紀の問題はどうなりますか別としても、やはり医療災害等が発生しないとも限らぬ、これは絶対ないんだということは言い切れないと思うわけであります。人命ですから、起こり得るだろう可能性を全部想定して対策を講じても、対策のし過ぎということはないと思うわけであります。それと関連して、一体、看護婦さん方が夜勤をして——発育盛りですね、二十五歳ごろまで人間は発育するだろうから。その場合の正規の計算の総残業手当、深夜業手当ですね、基準法でいう。当然これは正規の規定によってこれを支払わなければなりませんが、そのほかに民間等では夜食代とかという形で、あるところは二百五十円、あるところは二百円、これは全部一律二百円ということはできませんけれども、それだけのものは出ておるわけであります、どこでも労働条件として。そういうものがなされておりますか。
  530. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 三年ほど前から、夜勤に対しましては、夜勤手当一回百円というものの支給が始まったわけでございますが、なお、この夜勤手当の増額等につきましても、将来とも私ども努力してまいりたいと思っております。
  531. 沢田政治

    沢田政治君 夜勤手当は幾らですか、額にして。それで、その夜勤手当は、深夜作業手当とか、労働基準法に基づく増し賃金ですね、そういうものとは別でしょう夜勤手当は。そのほかに民間等では、深夜にやはりエネルギーを、人の休んでいるときに放出しているんだから、エネルギーに火をつけるんだから、それに見合うものがほとんど出されておるわけですね。そういうものが出ておるかどうかを聞いておるわけです。
  532. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 看護婦の勤務は三交代制でございますので、三交代制であるために八時間の勤務が昼間になったり夜になったりするわけでございます。夜の勤務も正規の勤務時間でございます。したがって、夜の勤務時間については夜勤手当が支給されるようになったわけでございますが、これも世の中の一般の実情に比べてまだ低いのではないかと思っておりますので、その増額等にも将来つとめてまいりたいと、こう思っているわけでございます。
  533. 沢田政治

    沢田政治君 別の問題に移りますけれども、移る前に、もう一つ人事院総裁のほうに確認の意味で、さっきの確認でいいように思いますけれども、私の理解の間違いがあると困りますので。私は、やはり労働者、特に女子の多い国立療養所の作業、超過労働、オーバー労働はある程度の歯どめを置かなきゃならぬと、その必要性をいろいろな表現で申し述べたわけでありますが、まあ同感の意を表されておりますが、そこで、現行の規則があることは私も承知しておりますが、現行の規則では、これはどうも労働者の意思というものが入っておらぬわけであります。本来なら、労働者が八時間なら八時間働いたならば労働提供の義務というものは免除されるわけであります、これは何人といえども。ただ、労働者の意思によってまあオーバー労働をやってもいいだろうと、そういう合意した形でオーバー労働がなされておるというのが三六協定なわけですね。それは私はノーマルな姿だと思うわけであります。八時間労働なら八時間労働で、あとはもう本人の自由意思。本人じゃない、労働者の自由意思です。それ以上の苦患労働、強制労働はその必要はないのです、みずからの意に反して。そういう意味で、これは三六協定という方式になるのか、つまり労働者の代表は、三分の一になりますか、半数以上になりますか、の労働者の意見、それによって協定の結果なされるべきものが望ましいと、そういう点をやはり人事院規則の中で歯どめをしなさいと、すべきだと、こういうように主張いたしたわけであります。このことは、何も労働者の肩を持つとか、そういうことではなく、無制限にオーバー労働した場合には、健康管理上からいってもゆゆしい問題である。したがって、いつも清新はつらつとしておることこそが患者に対する態度、そういう労務管理の面からいって、病者にとって好ましい正常な姿であるからそういう歯どめをしたらどうかと、まあ反対ではなかったようでありますが、そういう歯どめをするというように確認してけっこうですか。
  534. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先ほどお答え申し上げたとおりに考えております。先ほど申し上げました歯どめでは全く足りないかどうかという問題は、これは検討いたしますけれども、趣旨は先ほどお答えしましたとおりということで御了承願います。
  535. 沢田政治

    沢田政治君 いまのままよりも、やはり歯どめというものはさらに必要だということについて同意なされておるわけですね。
  536. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 人事院は団交権の代償機能を持っているというようなことをいわれておりますが、そのことばをもっていまの場合に当てはめれば、三六協定も代償機能として適正な方途を常に考えていこう、こういう心がまえでおるわけであります。
  537. 沢田政治

    沢田政治君 心情としてはあなたのお気持ちはよくわかるわけでありますが、しかし、現実にいまの規定のままでは無制限になっておると思う。ある人はものすごくもう連勤に連勤をやっている人とか、こういう弊害が現実の問題として出ておるから、私は何らかの歯どめが必要である。いまのままでは、総裁の気分としてわかるわけでありますけれども、総裁の心情、即、それぞれの労務管理者が同じであるとは言えないわけであります。私は善意に解釈したいわけでありますけれども、それで、現実にはどんどん野放しのような状態になっておるから、さらに歯どめが、三六協定のような、全く同じかどうかということは私はここで主張しませんよ。しかし、少なくとも、労働者の意思が入ったところの、納得できるところの時間外協定というものは当然必要だ。そうでなければ、心情はわかるけれども、事実は今日のまま推移するという可能性が非常に強いし、客観的にもそう言えるわけであります、実績が物語っておるのだから。そういうことですから、いまよりやっぱり一歩前進した姿をとるという決意にとりたいのです。いいですね。
  538. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) この場限りの安受け合いを申し上げても、これはしかるべき事柄ではないわけでありますから、無責任な安受け合いはいたしません。しかし、いまのおことばを拝聴しますと、大体私の気持ちはわかっていただいてお話をいただいているというふうなことで、私も喜んでおる次第でございます。
  539. 沢田政治

    沢田政治君 私の気持ちじゃなく、あなたのお気持ちを私聞いておるわけで、コンニャク問答のようなことになりますけれども、まあ大体こういうことばは許されるかどうか、いい線いっているのだけれども、やっぱりあなたも、何も政府当局に対してうしろ向きの、何か利益を害するようなことを言っておるのじゃない。あなた言っておることも私言っておることも、やっぱり労務管理からいっても、医療行政の効率をあげる意味でいっても、労働者の健康管理からいっても、やはりいまのままではいかぬというのは一致しておる。一致しておるのだから、いまのままを改善する方途を考えるということが、当然次の問題として必然的に出てくるでしょう、そうでしょう。そうじゃありませんか。
  540. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 前向きで常に検討しておりますが、いまのおことばもありましたし、なおその心がまえを強めてまいりたいと申し上げれば、おそらく御満足いただけるだろうと思います。
  541. 沢田政治

    沢田政治君 この議論をしておったら朝までやってもいいですよ、私。だけれども、お互い人間ですから、ここでするりと抜けたとか抜けられたとかという感じをあなたも持っておられぬと思うのであります。現状はやはりいかぬと、改革の要ありと、そのために手を打つということを言っておるのだから、私それを信頼しましょう。信頼じゃない、これはあなたも議事録を見ればわかるように、現状より進歩したことをやりますということを言っておりますから、これはやはり公式の席上で言っておりますから、あなたも実行されるというように私は確信をいたします。  それで、今度は厚生省のほうにお聞きをしたいわけでありますが、厚生省に庁舎管理規則、こういう規則がありますね。これはどこでも、民間でも役所でも管理規則があると思うわけでありますが、この管理規則は、これはどういう法規を根拠にしてつくられておるものかどうか、これをお聞きしたいわけです。
  542. 戸澤政方

    政府委員(戸澤政方君) 庁舎管理規則がございます。これはその根拠は、特別の法律というよりも、基本的な営造物の管理権といったものに基づいて制定されておるものでございます。
  543. 沢田政治

    沢田政治君 まあそれはいいでしょう。ところが、建物が違うからそうなると言われますとそのとおりでしょうが、各診療所ですね、そこにも別の細則といいますか、そういう管理規則といいますか、病院ごと、診療所ごと、いろんな形で、必ずしも一様ではないと思いますけれども、いろいろばらばらな、いろいろな意味を込めた管理規則がありますが、これは一本にできないんですか。なぜ場所ごとに、あるいは、また、本庁ごとに違うわけですか、同じ役所でありながら。
  544. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 厚生省には厚生省の庁舎管理規則がございますが、各施設におきましては、大体、厚生省の庁舎管理規則に準じた考え方を基本にいたしまして、さらに各施設責任者がそれぞれの施設に適合したものを定めることになっております。
  545. 沢田政治

    沢田政治君 私は、この建物を維持管理するだけだったら、何も青森県の療養所、北海道の療養所、熊本の療養所の維持管理のみを目的とするならば、それぞれ変な色合いを持ったものをつくる必要はないと思うのであります、維持管理だけであるならば。これが別だということは、他に何か目的があるんじゃないか、おありじゃないかと思うんだけれども、いかがですか。
  546. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私、いま各施設のそれぞれの庁舎管理規則を詳細に存じておりませんが、およそ似たものであろうと存じております。施設によって特殊性があれば、あるいはそういう特殊性を織り込んだ規則ができておるものかと存じております。
  547. 沢田政治

    沢田政治君 似ておると言われると、まあそれだけで問答もできないわけでありますが、少なくとも、国の施設ですから、どういう維持管理をしておるのかということを医務局長がわからぬというのは、これはちょっと職務怠慢と言えば大げさになるけれども、そう言いたいと思うのですね。特殊事情があると言っても、どういう特殊事情があるのでしょうか。特殊事情があるとすれば、まあ自然的には積雪寒冷地帯と温暖の地方があるわけでありますけれども、積雪地帯と温暖のところと規則を変えなくちゃならぬというほど大げさなものじゃない。何かその裏には別のねらいもあると思うのですよ。特殊な事情とか、そういう事情は、あなた考えられる事情をここで言ってください。どういうものが考えられるか、特殊な事情。
  548. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 庁舎管理に関して管理者が必要な部分を定めるということにいたしておりますが、大体似たものであると存じております。
  549. 沢田政治

    沢田政治君 私もここに全部の事例は持っておりませんけれども、一部は持っておりますが、さらに皆さんが何も意図がない、維持管理だけだという答弁をされておりますが、それ以外にぼくは何か意図があると思うわけです。まあ労務管理上とか、そういうものですね。だから、これはきょうの議論にはなりませんけれども、あとで各事業所のそういう管理規則といいますか、そういうものを参考のためにぼくのところへ資料として提出していただきたいと思うのです。それで、全部とは言いませんが、大体似たような傾向をたどっておるのじゃないかと思いますが、たとえば事業所の中で、先ほど私は非常に抽象的に触れましたが、休憩時間中には、組合の議論をしたり自分の奥さんの自慢をする人もあるだろうし、宗教の議論をする人もあるだろうし、これは全く労働者の自由だと思うわけであります、休憩所で行なう限りにおいては。あるいは、また、ときたまクラブをつくってレクリエーションの話を休憩室でするということもあるだろうし、これは民間を闘わず官庁を問わず、そこへ従事しておる人なんだから、これは当然そういう利用ということは、そこがどうとかこうとかの問題じゃない、利用させておるのは、これはノーマルだと思うのであります。あたりまえだと思うのであります。厚生省においては、宗教の話をしてはいかぬとか、あるいは、また、政治問題を議論しちゃいかぬとか組合の話し合いをしちゃいかぬとか、こういう強い締めつけといいますか、規制が非常になされておるわけであります。私は非常に暗い雰囲気じゃないかと思うわけであります。一体どういう根拠からこういうような締めつけなりそういうものをしておるのか。もし皆さんのほうから職員に対して、政治の話、あるいは、また、みずからの処遇の話、いろいろな苦情、さらには宗教の話、こういうものに官庁の施設を使っちゃいかぬというような統一的な見解なり示達、そういうものをやっておるわけですか。全く現場の思い思いの考えですか。
  550. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 庁舎管理の規則は、それぞれその庁舎の目的に沿って管理するための規則でございますので、ただいまお話の出たような、宗教の話をするとか奥さんの話をするとか、あるいは政治向きの話をするとかいうようなことは、それ自体を何ら抑圧したり、あるいは取り締まる必要は全くないと存じております。
  551. 沢田政治

    沢田政治君 これはあたりまえのことですよ、常識ですよ、そんなことは。ところが、私はあるところで聞くところによると、正確じゃないから、私は確証はつかんでおらないから、それをずばり言いませんけれども小平さんもいるようですが、創価学会の話をしちゃとんでもない話だ、いかぬ、こういう締めつけを、これは何も創価学会さんのことばかりじゃありませんよ。これは社会党でもいい、これはいまの自民党は非常に好ましい、特会法をつくってくれて非常にけっこうだという話もあるかもしれません。これは政治の話ですから、各党の話になると思うのだ、これは大いによろしいと思うのだ。だから、もしその地方地方においてあったならば、そういうことはさせない。労働組合なんだから大会もやるし、自民党もほめるかもしらぬし、社会党もくさすかもしれぬし、ほめるかもしれぬ。ほめるなら私どもはありがたいのですが、それは当然許されるでしょう、そういうのは抑圧しないのでしょう。
  552. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 庁舎管理の目的がございますので、そういう庁舎管理の目的に反しない範囲内で、ただいま例示のありましたようなものはおおむね差しつかえないものと解しております。
  553. 沢田政治

    沢田政治君 ところが、実際になされておるわけであります。ぼくは、宗教の話とか労働組合の話とか趣味の話とか、話というのは非常に多様にあるので、そういうのが現場に行って作業中にやったならば、これはおのずから秩序がありますね。しかし、休憩所、集会所で、しかも、自分の自由な時間であるならば、これはかまわないのは常識だと思います。ところが、実際には、昨年の十月二十六日ですか、これは組合の行事があったようです。ことしの三月の二十六日ですか、こういうまあいろいろな、何といいますか、労働者が、税金が高くなるし、物価が高くなるし、どうして自分の生活をよくしようかといって、これは当然労働者ですからお話し合いするだろうし、これはやはり日経連のおえら方がいかにして利を増すかという議論をするのと同じだと思うのですね。そういう場合、特に全医労の各支部に対して絶対に場所を貸しちゃいかぬ、赤旗をちらっと見せてもいかぬ、赤旗のほうは別でありますが、そういう場所を貸さぬ、こういうことがなされておるわけであります。こうなると、先ほど言いましたあなたの、これは当然ですという先ほどの意見とは事実がまさに逆行しておるわけですね、そうでしょう。
  554. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま御指摘のようなことが規則に書いてあるとは私思いませんが、まあいま調査をいたしますが、場所によってそういうことがあるとするならば、よく指導をいたしまして、そういう非常識なことのないように注意をいたします。
  555. 沢田政治

    沢田政治君 そうですよ。うまい答弁よりそのほうがいいんですよ。やめさせるならやめさせる、直すなら直す。ぼくはそれを、何というか、求めておったんですよ。それは約束できますね。まあ具体的にどこの場所でどういう事実があったのかも幾らも知っていますけれども、ここであえて言いません、大臣のそういう答弁がありましたので。そこで、国立療養所、新潟の療養所職員で、これは全医労の県支部長の米山忠治さん、こういう方が、労使関係の問題で新潟地方裁判所の判決が四月九日に出され、懲戒免職の処分の取り消しが判決の結果出たわけですね。これは最終審じゃありませんけれども、これを厚生省のほうで控訴しておるようですね。控訴することは私はいいとか悪いとかいう議論をここでにわかに発展はさせませんけれども、どういう見地からこれを控訴したのか。大体ほとんど高裁、あるいは最高裁のこの種の労働問題に対する判決を見ても、まあ病院のベッドをひっくり返したとか、患者を引きずり出したとかいうような重大な暴力行為とか、業務に大支障を来たすようなものは、これはまあ別ですよ。そういう判決は見たことありませんが、普通一般的に憲法のもとに、労働権のもとに労働者が結束して、やはり示威行動をするとか意思表示をするとかいうことについては、これは当然認められるべきであって、こういうものは処罰の対象にならぬというのが最近の多くの判例だと思うのです。それをいい悪いじゃないのですよ。どういう見地から、どういう心境からこれを控訴したのか、そのよしあしじゃない。どういう意味で——私は、やはり労使の問題は労使で解決するのがほんとうなんですよ。それで、大体一審で、これはもう罰せられるほどのものじゃないという場合には、やはり労使の健全化といいますか、正常化といいますか、そういう意味からいっても、私はやはりこれは控訴を取り下げるなり、控訴すべき問題じゃないと思うのですよ。労務管理で裁判所で問題を決着するというのはよほど無能なやつだと思うのですね。やはり人間は、いかに科学が発達しても、フラスコじゃつくられませんからね。やはり感情を持っていますからね。だから、これはどういう心境でこれを取り上げたのですか。
  556. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 私どもも、この職員は大事な職員だと思っております。したがって、職員を処罰したり、あるいはその結果を裁判で争うというようなことは好むところではございません。しかし、いろいろな事情で労使間で十分に話し合いがつかずにこのような結果になったわけでございますので、しかも、それがどうしても話し合いができずに、そういう人事院の公平審理でお願いして、そして一応私どもの主張を認めていただいた、これがまた地裁でくつがえされたということでございますので、私どもは、どこまでも、労務管理の上からも、労務管理のむしろルールを確立するという意味からも、この際は主張のあるところは一応主張を立てたいという趣旨で控訴いたしたわけでございまして、決して争いを好むものでもなければ、処罰を好むものでは決してございません。
  557. 沢田政治

    沢田政治君 まあ言い争ってもしようがございませんけれども、労務管理の問題を裁判所にお願いするなんというのはあまり賢明な方法じゃないし、能力のある人のやることじゃないんじゃないですか。しかし、それは水かけ論になるけれども、こういうところは非常に筋を突っぱるわけですね。それが今度は給料遅配とか支払わないとかということになると、全く遺憾のきわみですということで低姿勢になる。おかしいと思うのですよ。筋を通すならみんな通しなさいよ、われわれも通しますからね。おかしいと思うんですよ。あるときは平身低頭までいかぬけれども、もう平身低頭ですね、さっきまでの答弁は、森中同僚委員の質問に対して。そうなるならば、私はそういう議論ばかりでいくならば、本来ならば、これはまあちょっと間違ったら訂正しますよ。従来は十七日に厚生省関係の方々のお給料を差し上げることになっておったわけです、従来は。それがまあ理由は先ほどから論ぜられていますから、あとは言いませんけれども、実際にはまだ給料としては払っておらない。一部払ったところはあるようですが、これはまあ大蔵委員会でも問題になるでしょうから、ここでは議論しません。そうなりますと、従来より二日ずれたわけですね。賃金じゃないけれども、何か補償とか何とかは別として、キャッシュを渡すのは二日ずれているでしょう、従来より。そうじゃありませんか。
  558. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 大部分は十八日にお渡しいたしましたので、一日ずれ、ごく一部が二日ずれたわけでございます。
  559. 沢田政治

    沢田政治君 たとえ一日が二日でも、労働者にその責めを帰すべき理由がないのに一日、二日延びたということは、明らかに職員は損をしたわけです、それだけ。個々のケースを見るといろいろなケースがあると思うわけであります。たとえば、そういうたとえができるかどうかわかりませんけれども、非常にお金がなくて、絶対に十七日にお給料をもらったら返しますと、もし十八日に返せなければ違約金といいますか、それ相当のものを出しますという契約をした人もあるだろうし、名誉を失墜した人もあるだろうし、義理を欠いた人もあるだろうと思うのです。これは労働者の責任ですか、だれの責任でしょうか。
  560. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 当然そのような事態が起こり得ることも予想されるところでございます。そのようなことが起こって御迷惑をおかけしたとするならば、まことに申しわけないと思って、深くおわび申し上げます。
  561. 沢田政治

    沢田政治君 そういうことは申しわけないで済まして、さっきのところは労使慣行を確立するために法廷で最後まで争って筋を通さなければならぬと、あなたの筋というのは何の筋だかわかりませんが、これはやはり損害を補償しなければなりませんよ。理由は皆さんにあるのだから、はっきり言って。そういうものに全部私は、たとえば十七日に返す約束のものが返せなかったために五千円ぐらいわび賃を出したという者もあるだろうし、名誉を失墜したという者もあるだろうし、利息を取られたという者もあるだろうし、一日おくれたたために半年分の——これはそういう利子の法律に合法か非合法か、ちまたの話ですから、いろいろケースがあると思うのです。筋を通すならばこれを補償しますか。
  562. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 具体的な事例を承知いたしておりませんので、にわかに個々のケースについて云々するということは申し上げかねると存じます。
  563. 沢田政治

    沢田政治君 全医労の皆さんがすごい名誉を失墜したり損害を受けたと言っていますよ。脇から続々出てきますが、もしそういうことがあったならばどういう措置をしますか。国として損失をかけた、国の責任で損失をかけたものだから、これはけじめをつけなければならない。大臣、いかがですか、そのまま泣いてくれと言いますか、逆の筋で。
  564. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 何といっても、御迷惑なことをおかけしたとすれば申しわけないことで、まずおわびを申し上げなければならぬと思います。
  565. 沢田政治

    沢田政治君 おわびはよくわかりましたが、これは当然やはり損害を与えておわびなんというのは、法律論争ではない、常識の問題だと思うのだ。ただ、やはり組織対組織ですから、これはやはり親子だったら、これはおわびしますとか相すまなかったとか、オーミステークで済むけれども、現実に損害を与えたものを救済しないという法はないと思うのだよ。これはすべきだと思うのですが、どうですか。
  566. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) もしも具体的な事例等が出てまいりました場合には、慎重に検討させていただきます。
  567. 沢田政治

    沢田政治君 あたりまえです。検討しなければならないし、支払いをしなければなりません。これは損失を個人に与えたのだから国の責任ですよ。労働者の責任一つもない。そこには、これは当然要求したら、それだけの損失を、社会常識からいっても、法律論を切り離してでもやらなければならないのじゃないですか。皆さんがよく筋筋と言うから、それではこの筋をどうしてくれるかということがどうしても出てくるでしょう。これは私の心情は別としても、そういうケースは出てきますよ。これは民間なんかではしょっちゅうあることだ。資金繰りがつかぬから三日待ってくれ、そのかわり利子分は補給しますとか、これはあたりまえだ、社会常識ですよ。どうですか。
  568. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) たいへん不測の事態で、前代未聞というべき事態が起こりまして、これに対処するために、大臣以下、非常な努力もいたしたわけでございまして、万一そのようなことが起こっておれば、まことに申しわけないと思いますが、もしも具体的な事例が出れば、やはりそれは適法に処理をしなければならぬと考えております。
  569. 沢田政治

    沢田政治君 私はこの点は保留しておきます。これは当然だと思うのです。したがって、大体十一時ごろまでということでありましたから、私は保留しておきます。
  570. 山本伊三郎

    委員長代理(山本伊三郎君) それでは、連合審査会はこれにて終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時五分散会