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政府委員(
中川理一郎君) 最初に、四十三年度の出炭見通しでございますが、四十三年度の石
炭鉱業合理化実施
計画では、
生産数量を四千七百万と定めます。これは閉山処理の見通し、それから石
炭鉱の近代化
計画、設備投資の動向、それから労働力確保の見通し等から予測されます
生産の落ちつきを総合的に判断いたしたものでございますが、具体的に申しますと、四十三年度の能率を四六・八トンと見ております。閉山規模は二百五十三万トンと見ております。常用労務者は八万一千人と
考えております。かく判断いたしましたもとになっておりますのは、四十二年度の実績でございますが、四十二年度は
先生御承知のように上半期にたいへん出炭不振でございまして、第四四半期りに入りましてかなり能率が上がっている、出炭が伸びておるという
状況でございます。そこで全体としてどう
考えるかということが一つございまするが、大ざっぱに申しまして、第四四半期の
生産数量の千二百二十万トンというのを季節修正をして年産に直しますと、四千八百万トンぐらいのものを第四四半期は出しておるということになります。そこで先ほど申しました二百五十三万トンの閉山規模を
考えておりまして、これを引きますと、もっと小さな
数字になるのでございますが、先ほどの閉山規模に相当する出炭減をカバーして、なおかつ先ほど申しました四十六・八トンの能率という点での
生産状況をビルド山等に見込みまして、全体として四十三年度は大体四千七百万トンくらいに落ちつくのではなかろうか、かように
考えておるわけでございます。
次は、
生産に見合う需要についての御質問であろうかと思います。四十二年度は前々から申しておりますように、電力側におきまして異常渇水がございまして、四十二年度の石炭引き取りはかなり大きかったわけでありますが、四十三年度はさようなことを想定するわけにもいかぬ。もう一つは、一般炭の一般需要でございますが、スエズの
関係で四十二年度はわれわれが予想したよりも一般産業の一般炭需要というものは減らなかった、こういう
状況でございました。これを四十三年度期待することは必ずしも当を得たものではない。こう
考えまして、大体需要
数字といたしましては、四十三年度におきましては四千七百六十万トンぐらいの需要というふうに
考えておるわけでございます。先般来、九電力の引き取りにつきましても、大体話がまとまりまして、二千百五十万トンということでいま
考えておるわけでございます。鉄鋼需要のほうは、原料炭が出ますれば出るだけ引き取ってもらえるという
話し合いになっておりまして、あとの動向は一般産業用一般炭の需要というものがどうなるかということであろうと思います。若干かた目に見まして、いまの
生産と需要のほうは見合うものと
考えております。
それから第三番目の御質問は労務者確保
対策の問題でございます。御承知のように、これがだんだん減ってまいっておりまして、最近の減少動向は著しゅうございまして、四十二年度末におきまして八万六千人ということで、前年度に対して一万四千人の減少となっております。このような労務者の急速な減少というものが石炭の
生産に支障を生ずる原因の大きなものとなっておるわけでございます。先ほど来御
質疑がございましたように、
生産部門における労務者不足問題というものは、他の部門におきましても深刻な問題となっておる現況でございます。むずかしい問題でございますが、石炭の場合特に問題がございます。特別年金制度の実施と相まちまして、私
どものほうとしては経営者層あるいは地方公共団体等にも呼びかけをいたしまして、老朽住宅の改善といったよようなことを中心にした
労働者の生活環境の改善、さらには技能
労働者の養成を強化するというような事柄等を実施することによって、雇用の安定確保をはかりたいと
考えております。しかし、これらは具体的なといいますか、いわば対症的な療法でございまして、基本的には先ほど
阿部先生おっしゃいましたように、石
炭鉱業の長期的な安定ということなくして、ほんとうの意味での
労働者確保という問題は出てこない、この安定策の中で、石
炭鉱業に働く人の立場から見て、魅力のある職場にすることが基本的には一番大事なことでございます。先ほど
大臣からお答えいたしましたように、審議会の答申を待って、私
どもも今度は相当な決意を持ってこれに対処いたしたいと思っておるわけでございます。
なお、いままでにも閉山
炭鉱等によりまして、開銀融資のうちで返済不能と申しますか、要するに完全なる貸し倒れとして銀行側で消却せざるを得なくなったものがどれくらいあるかという御質問でございましたが、開発銀行からいただきました
数字によりますと、開銀の石
炭鉱業に対する貸し付け額のうちで、
昭和三十三年度から
昭和四十二年度までの十年間におきまして、回収不能ということで大蔵
大臣の
承認を受けて消却いたしました額が九億七千万円であると聞いております。これはいま申しましたような意味におきまして、回収不能ということで、最終的に不良資産として消却した額でございます。したがって、大部分の閉山の
炭鉱の問題につきましては、これで片づいておるわけでございますけれ
ども、閉山会社のうちでまだ清算が終わっていないというようなものが若干ございます。例を申しますと、たとえば少し前の時点では大正鉱業、新しいところでは大日本炭礦、この二つにつきましては、貸し付け金の回収がどこまでできるか、まだ全体の清算が終わっていない。担保、抵当権による回収がどれだけあるかということをやっておりませんので、このほかに回収不能になるものが全然ないということではございませんけれ
ども、はっきり見きわめをつけて、ルールに従って、大蔵
大臣の
承認を得たものの十年間の総額が九億七千万円、そのように御承知願いたいと思います。なお、これの分母に
当たります開銀の石
炭鉱業に対する現在の貸し付け金残高、これは四十二年度末の
数字でございますが、八百六十四億円でございます。
それからもう一つ油という御質問があったかと思いますが、これは全体の需給の問題でお答え申したつもりでございますが、四十三年度の国内における重油の消費量の見込みというものを
鉱山局から聞きましたところでは、七千二百七十七万六千キロリットルという
数字をもらっております。非常に大ざっぱな石炭換算では一億トン強のものだろうと思います。
それから鉱害復旧事業団の職員の身分についての御質問が最後にあったかと思います。御承知のように、今度の総合によりまして、旧石
炭鉱害復旧事業団というものの職員の身分は新しい石
炭鉱害事業団におきましてこれを承継いたすことと相なっております。これは旧事業団の一切の権利義務を承継することの一環として、職員についての雇用契約に基づく職員の身分も承継する、こういうことでございます。で、一つの基金と四つの鉱害復旧事業団を合わせるわけでございます。ことに、四つの鉱害復旧事業団はもともと政府機関という性格を持っておりませんので、政府機関並みの大体統一基準みたいなもので指導はいたしておりますけれ
ども、若干それぞれの給与基準、退職手当の支給基準というものには格差がございます。こういうものがございますので、これにつきましては、統合後の問題になろうかと思いますが、私
どもとしましては、従業員の立場が不利にならないように調整をいたしたい、是正をいたしたい。まあ結論から申しますと、低過ぎるほうが多くなるという修正になろうかと思いますが、一挙にやるということもまた私ここでお約束するわけにはいきませんが、一定の
計画期間をもちまして、徐々に調整をはかってまいりたい、かように
考えております。結論として、いまより悪くなるようなことは可能な限りやらないつもりでおります。