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1968-01-31 第58回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年一月三十一日(水曜日) 午後二時二十分開会
—————————————
委員
の
異動
一月三十日
辞任
補欠選任
山下
春江
君
小林
篤一君 一月三十一日
辞任
補欠選任
加瀬
完君
小柳
勇君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
光村
甚助
君 理 事
小林
篤一君
吉武
恵市
君 小野 明君 委 員
石原幹市郎
君
高橋雄
之助君
柳田桃太郎
君 阿部 竹松君
大河原一次
君
大矢
正君 宮崎 正義君 片山 武夫君
政府委員
通商産業政務次
官
熊谷太三郎
君
通商産業省石炭
局長
中川理一郎
君
通商産業省鉱山
保安局長
西家
正起君
労働政務次官
井村
重雄
君
労働省安全衛生
局長
大野雄二郎
君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事
の
辞任
及び
補欠互選
の件 ○当面の
石炭対策樹立
に関する
調査
(
美唄炭鉱ガス爆発事故
に関する件) (
昭和
四十三年度
石炭関係予算
に関する件) ○
委員派遣
に関する件
—————————————
光村甚助
1
○
委員長
(
光村甚助
君) ただいまから
石炭対策特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について
報告
いたします。 昨日、
山下春江
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
小林篤
一君が選任され、本日、
加瀬完
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
小柳勇
君が選任されました。
—————————————
光村甚助
2
○
委員長
(
光村甚助
君)
高橋雄
之助君及び
西田信一
君から、文書をもって都合により
理事
を
辞任
したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
光村甚助
3
○
委員長
(
光村甚助
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 つきましては、直ちにその
補欠互選
を行ないたいと存じます。
互選
は投票の方法によらないで、
委員長
にその指名を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
光村甚助
4
○
委員長
(
光村甚助
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
小林篤
一君及び
吉武恵市
君を指名いたします。
—————————————
光村甚助
5
○
委員長
(
光村甚助
君) 当面の
石炭対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。 まず、去る二十日に
発生
いたしました
美唄炭鉱
の
ガス爆発事故
により、多数の
犠牲者
が出ましたことは、まことに痛ましい限りでございます。つきましては、なくなられた
方々
の御冥福をお祈りいたし、
黙祷
をささげたいと存じますので、御
起立
をお願いいたします。
黙祷
。 〔
総員起立
、
黙祷
〕
光村甚助
6
○
委員長
(
光村甚助
君)
黙祷
を終わります。御着席願います。
熊谷政務次官
及び
井村政務次官
から
発言
を求められております。この際これを許します。
熊谷太三郎
7
○
政府委員
(
熊谷太三郎
君) ただいま
委員長
からお話がございましたように、去る一月二十日午後六時十五分ごろ、北海道の
美唄炭鉱
において
ガス爆発
による
災害事故
が
発生
いたしまして、十六名の
死亡者
と四名の
負傷者
を出した次第でございます。かねがね
炭鉱保安
の問題については、
十分留意
も
払い
、努力してまいりまして、次第にその
犠牲者
の数も年々
——
昨年
あたり
は非常に低くなってまいってきたような次第でございましたが、今度年初早々このような
災害
の
発生
を見まして、多数の
犠牲者
を出しましたことは、まことに遺憾にたえない次第でございまして、罹災されました
方々
に対しまして、重ねて深甚の
弔意
を表する次第でございます。
通産省
といたしましては、
災害発生
の当日、直ちに
調査団
を編成いたしまして、
西家鉱山保安局長
及び
清成監督官
に私を加えまして、私が
調査団長
として
現地
に参ることになり、また
労働省
からは
伊集院労働衛生課長
に御同行を願ったわけでございます。私
ども調査団
は、翌二十一日の十一時に東京を出まして、三時に
現場
へ到着いたしまして、
通産省
の当地の
鉱山保安監督局
並びに
会社当事者
、
労働組合
、
職員組合
、その他
関係者
につきましていろいろ実情の
調査
につとめますとともに、
罹災者
の
皆さま方
のために万全の
措置
がとられますよう、いろいろ協議や
措置
を進めた次第であります。当夜はいろいろ事実を精査いたしますとともに、当時
遺体
の
収容
されておりました七人の
方々
の御
遺族
を訪問いたしまして、御弔問申し上げ、また
美唄
の
労災病院
に
収容
中でありました二人の
負傷者
をお見舞い申し上げましたが、その翌日は
札幌
市におきまして、
札幌通産局長
が主催で
関係
の各
役所関係者
のお集まりを願いまして、
罹災者
の
援護等
を中心とします
事後措置
につきまして、いろいろお打ち合わせ願ったわけでございますが、その結果、
事後対策連絡会議
を持つことにいたしまして、それによりまして
事後
の
対策
に統一のある、また万全の体制がとれるようなお打ち合わせをしました上で、私
ども
こちらに帰ってまいったようなわけでございます。 いろいろ具体的な点につきましては、後ほど
保安局長
から申し上げると思いますが、一応その点だけ御
報告
申し上げる次第でございます。
井村重雄
8
○
政府委員
(
井村重雄
君) 今回の
炭鉱災害
のために多数の
犠牲者
を出したことについてはまことに遺憾に存じ、また、なくなられた
方々
に対しても
弔意
を表する次第でございます。
労働省
といたしまして、まずやらねばならない問題は、
一酸化炭素中毒
に関する
特別措置法
に基づく
健康診断
でございます。まず
災害
当時直ちに
美唄労災病院
及び
市立美唄病院
、いま
一つ
鉱山病院等
の
医師
多数を伴いまして、これが採血がきわめてスムーズに、かつ完全に行なわれたという事実でございます。 第二は
治療対策
でありまして、幸いにして五名の
プラスマイナス
の
一酸化炭素中毒
を出した以外にほとんど
全員
が
健康状態
でありまして、非常にこれはこの際は幸いであったということでございます。 第三に
労働省
としてやるべきことは、
患者
が出た場合の療養及び
遺族
に対する補償問題でございまして、これらについては目下詳細に検討中でございまして、いろいろ
手続完了
次第、これらの
補償対策
に従事いたしておる
状況
であります。 なお、詳細については、
安全衛生局長
を帯同いたしておりますので、詳細の御
説明
は後ほどいたさせたいと存じます。
光村甚助
9
○
委員長
(
光村甚助
君) それでは
美唄炭鉱ガス爆発事故
に関する件につきまして、
政府側
から
説明
を聴取いたします。
西家鉱山保安局長
。
西家正起
10
○
政府委員
(
西家正起
君) このたび大惨事が
発生
いたしまして、
監督
の
責任者
といたしまして、まことに申しわけなく思っている次第でございます。
報告
をさしていただきます。お手元に差し上げました資料に基づきまして、
概略
の
説明
をさしていただきたいと存じます。
災害
の
発生
いたしました
炭鉱名
でございますが、
美唄炭鉱常盤坑
でございます。
甲種炭坑
でございます。所在地は
美唄
市でございます。
鉱業権者
は
美唄炭鉱株式会社
でございまして、社長は
近角真観
でございます。
災害発生日時
は、
昭和
四十三年一月二十日十八時十五分ごろと推定されます。
災害発生個所
は、
常盤坑
の中の二
坑区域
三片下九番層の
坑道付近
でございまして、
災害
の種類は
ガス爆発
でございます。
鉱山労働者
の数でございますが、
美唄炭鉱全員
といたしましては、昨年の末におきまして二千六百九十九人の方が働いております。
出炭量
は、昨年の十一月で十万五百トンでございます。今回の
災害
の
罹災者
は、
死亡
十六名、
負傷者
四名、計二十名でございます。
災害
の
状況
に入りまして、まず最初に当時の
操業状況
、
操業
の
概況
につきまして御
説明
を申し上げます。
常盤坑
は、
鉱山労働者
約千三百四十名をもちまして、
月産
四万九千三百トンの
出炭
をいたしております
甲種炭坑
でございます。
坑内構造
は新
坑部内
と二
坑部内
に大別をされておりまして、今回
災害
が
発生
いたしましたのは、二
坑部内
でございます。二
坑部内
には、現在
災害個所
とはだいぶ離れておりますが、
ロング払い
が二
払い
、面長は百六十メートルと八十メートルでございますが、
ロング払い
が二
払い
とそのほかに掘
進個所
が十二カ所でございまして、
鉱山労働者
六百六十四名で、
月産
二万二千トンを
出炭
している
状況
でございます。
通気
は、二坑の
立て入れ坑道
と隣の新坑から入ってくる
風量
と
二つ
ございまして、合わせまして毎分三千二百立方メートルの風が入気として入っております。これが
坑内
各
作業所
に給気されまして回りまして、
人車卸
から
排気
をされておるわけでございます。二百二十五キロワットの
主要扇風機
によりまして、
人車卸
から
排気
をされております。 今回
災害
が
発生
いたしました三片下九番
層坑道
は、同
区域
内の下九番層を
後退式ロング
で採掘する目的をもちまして、
昭和
四十二年の四月二十四日に
巻き立て口
付けをされておりまして、計画といたしましては、巻き
立て
の
出発点
より五百九十メートルの
地点
にて
一つ
上にございます二
半片
の
坑道
との間に
払い
を設定いたしまして、
後退式
に
採炭
をして帰ってくる。この
作業
が
昭和
四十三年三月から
採炭
を開始するという予定であったわけでございます。それの掘進の途中でございまして、
災害
当日までに巻き
立て
から五百二十六メートルが掘進されておったわけでございます。また当
片盤坑道
の
巻き立て口
から百六十メートルの
位置
に一
昇り
が設定されておりまして、一
昇り
がさきの
坑道
掘進に対する掘進の
排気
に使用されておったわけでございます。また巻き
立て
から百十メートルの
地点
にはさらにこの九番層の下の層を掘るために十番層と十一番層への展開を計画しまして、
立て入れ坑道
が掘進中でございまして、
災害
当日までに四十メートルが掘進されておったような
状況
でございます。三片
坑道部
内の
通気
は毎分二百五十五立方メートルを
親風
といたしまして、一
昇り
の
手前
に設置してございます三キロワットの
電動局部扇風機
、これに
風管
をつけまして、掘
進先
に
通気
をいたしておったようなわけでございまして、掘
進先
には毎分六十立方メートルの
空気
が回っておったわけでございます。一方
手前
のほうの
立て入れ
掘進には
エアーファン
を設置いたしまして、毎分八十立方メートルの
空気
が
通気
をされておったような次第でございます。
災害
の
概況
でございますが、当日二番方として二
坑区域
内には百三十一名の
鉱山労働者
が入坑いたしておりました。そして
採炭
、掘進、仕繰りその他の
坑内作業
に従事をいたしておりました。
災害
により直接
影響
を受けました
部内
には、このうち二十三名の
鉱山労働者
の方が配番されておりまして、その
状況
は次の表にございますとおりでございまして、二片の
立て入れ
の
運搬
に
直轄
の
労働者
が二人、下九番層の二片の
立て入れ
、この
立て入れ
に
請負組
の
労働者
の
方々
が
係員
以下五名、それから下九番層の三片の
立て入れ
に
直轄
の
方々
が
係員
以下四名、さらに
災害
の直接起こりました三片の
延び先
には
直轄
の
労働者
の方が
係員
以下五名、さらにその三片
坑道
の
運搬
に
直轄
の
労働者
の方二名、それから三片のもう
一つ
上の二
半片
の
坑道
の取り
明け
に
請負組
の
労働者
の方が四名、そのほかにポンプの修理といたしまして
直轄
の
係員
の方が一名、計二十三名が配番されておったわけでございます。この
番割り
によりまして、各自の
作業個所
において
作業
中に十八時十五分ごろ突然
爆発
がございまして、十六名の
死亡者
と四名の
負傷者
を生じたのでございます。
災害発生
と同時に三名の方は
無事脱出
をされたのでございますが、二十名の未
昇坑者
の方がおられまして、
救出作業
につとめた結果、二片の
立て入れ坑道
内におきまして二人の
生存者
を、また少し時間がたちまして、二十二日の十九時二十分ごろに二
半片坑道
の取り
明け作業
に配番されておりました
労働者
の中のお二人の方を
生存者
として
救出
をいたしたわけでございましたが、そのほかの十六名の
方々
は
遺体
として
収容
したわけでございます。この点につきまして、若干詳細になりますが、
図面
につきまして御
説明
申し上げたいと思います。 次の紙の第一図に
罹災者
の
位置
というのが書いてございますが、はなはだ簡単な略図で恐縮でございますが、
災害
に関連をいしました地域の
図面
でございます。二
坑区域
といたしましては、おもな
採炭個所
はこの
図面
には載っておりませんで、この
図面
の
手前
とそれから
図面
の
右下
の部分に主要な
採炭区域
がございます。この
図面
に載っておりますところは
採炭区域
ではなくて、
目下出炭準備
中の掘
進坑道
であったわけでございまして、
まん中
からちょっと下に、横のほうに水平に書いてございます
坑道
が
災害
の起こりました三片の
沿層坑道
でございます。この一番左の引っ
立て
のところで
ガス爆発
が起こったと考えられておるわけでございます。それで、この中で
マル印
をつけましたのが
負傷者
の
方々
を
救出
いたしました
位置
でございます。
バツ印
がなくなられた方の
遺体
を
発見
した
位置
でございます。
災害
が二十日の十八時十五分ごろに起こったのでございますが、一番右のほうに書いてございます二片
立て入れ
と書いてございますところに
死亡者
の方が二人と
負傷者
の方が一名、その下のほうに
生存者
の方が一名ございますが、このうちお二人は
災害発生
後約三十分以内で
遺体
を
収容
いたしております。それからその
負傷者
のお二人も一時間後の十九時二十分ごろに
病院
に
救出
をいたしております。それから、その日の夜、二十日の二十三時、夜中の二十三時三十分ごろでございますが、その問題のございました三片
沿層坑道
のちょうど
まん中あたり
に五名の方の
罹災地
がございますが、五名の方の
遺体
の
発見
をいたしておりまして、翌朝までに
収容
をいたしております。二十一日の午前五時ごろになりまして、
救護隊
が
図面
のちょうど
まん中あたり
の一
昇り
と三片
沿層坑道
との交り点から若干奥のほうに進入いたしましたところ、非常に濃いメタン
ガス
と濃い
一酸化炭素
を検出いたしておりまして、
坑道
の上面に
白煙
を認めておりまして、
爆発
の
あと
の残り火による再
爆発
の
危険性
があるということの
保安管理者
が
報告
を聞きまして、判断をいたしまして、二十一日の八時ごろから翌朝二十二日の七時四十八分ごろまで一時
救護活動
を中止いたしております。その後
ガス
の変化がないということで、二十二日の八時過ぎから三片の
沿層坑道
の奥のほうに探検を
救護隊
が試みておりまして、昼ごろまでに引っ
立て
に到着をいたしまして、火のないことを確認をいたしております。一方、その後
ガス排除
及び
救出作業
を同時に開始をいたしまして、二十二日の昼過ぎ、十三時四十五分ころに第一昇におきまして一人の
死亡者
を
発見
をいたしております。これは一昇に
二つしるし
がございますが、上の方でございます。それから二十二日の十九時二十分に第一昇から二
半片坑道
の少し左のほう二十メートルばかり奥に入りましたところでお二人の
生存者
を
発見
いたしまして、直ちに
病院
のほうに
救出
をいたしております。それから二十二日の夕方から翌日の朝までの間に問題の第三片
沿層坑道
の左のほうの引っ
立て
に近い
延び先
に近いところに五名の
罹災者
がおられますが、この五名の方の
遺体
を
発見
をいたしまして、
収容
をいたしております。それから二十三日の朝になりまして、さらに一昇の下のほうの一人の
遺体
を
発見
をいたしております。さらに二十三日の昼、十二時半ころでございますが、二
半片
の
坑道
のずっと右のほうでございますが、
材料卸
との交わるところにお一人の
遺体
を
発見
いたしました。その後、
最後
のお一人の
遺体
の
発見
が非常におくれたのでございますが、翌二十四日の夜八時四十五分に三片
沿層坑道
と一番右のほうの四片
立て入れ
との交差点の右のほうにございます四片のポケットの中で
最後
のお一人の
遺体
を
発見
いたしまして、
収容
したような次第でございます。
災害
の
原因
でございますが、本
災害
の
原因
につきましては、
札幌鉱山保安監督局
におきまして、
目下現場調査
及び
関係者
よりの
事情聴取等
によりまして
調査
中でございますが、
火源
として考えられる事項は、
ハッパ
に起因するか、
迷走電流等
の
電気関係
であるか、
キャップランプ
であるか、この三つ以外には考えられないということでございまして、この
一つ一つ
につきまして目下検討いたしております。昨日までの
状況
を申し上げますと、
電気関係
、
キャップランプ
につきましては、それぞれ
試験所
のほうに
キャップランプ等
を送りまして
試験
中でございます。
外見等
から見て最も
原因
の濃厚なのは
ハッパ
によるものというふうに、まだ確定したわけではございませんが、九分九厘
ハッパ
に起因するものというふうに大体考えられておる
状態
でございます。
監督局
のその後の
調査状況
でございますが、何
ぶん関係者
の
方々
が全部なくなられておりますので、こまかい
実況検分等
によりまして、
原因
を割り出していくということになりますので、若干の時日はかかるかと思いますが、昨日までの
状態
を申し上げますと、
災害
の起きました三片
坑道
の引っ
立て
近く五人の方が罹災されました場所は、相当な
崩落
がございまして、
目下崩落研等
の取り
明け
に鋭意努力中であります。それから散乱いたしております
ハッパ器
、
野帳
その他
携帯品等
の
発見
の
位置
につきましては、正確に記帳を完了いたしております。また引っ
立て
付近
にも
ハッパ
の
あと
の
ズリ
がございますが、この
ズリ
の取り
明け
も大かた終了いたしておりまして、引っ
立て
の
状況
がようやく明らかになっておりますが、
かなり
引っ
立て
の
状況
は埋れたところがあるようでございまして、
断層等
も四つくらいを
発見
いたしております。さらに掘り起こした引っ
立て
面の奥が若干
ぐさぐさしたようなところが奥
に続いておるようでございまして、今後これら等をさらに取り
明け
ることによりまして、
原因
の
究明
に当たりたい、こういう
状況
でございます。
政府
のとった
措置
でございますが、
災害発生
と同時に
札幌鉱山保安監督局長
以下十二名が
現地
に急行いたしまして、
罹災者
の
救出作業
の指揮に当たるとともに
災害
の
原因
の
究明
に当たっております。一方
通産省
といたしましても、先ほど
熊谷政務次官
の御
報告
にございましたように、
調査団
を
派遣
をいたしまして、その後の
対策等
をとったような次第でございます。 その他の項でございますが、
災害
当時
入坑者
に対しましては、
災害
後直ちに
——
これは
労働省
のほうの
関係
のことになるかと思いますが、
罹災者
の
救出作業
に従事した人に対してもその都度検診を実施をいたしておりまして、三日以上の
休業
になる
一酸化炭素中毒患者
のかたはおられなかった、
死亡者
には
一酸化炭素中毒
はおられたわけでございますが、
休業者
の中にはおられなかったということ、こういうことに相なっておる次第でございます。 なお二番目の
図面
のほうに
坑内
の
崩落
、
崩壊状況
を書いておるわけでございますが、
坑内各所
に
かなり
な
崩壊
と倒枠が見かけられまして、
かなり
火勢、
火風
が強かったことを示しておるものでございます。はなはだ簡単でございますが、
概略
につきまして御
説明
申し上げました。
大野雄二郎
11
○
政府委員
(
大野雄二郎
君) 先ほど
井村政務次官
がほとんど要点を申したわけでございますが、若干だけ加えさしていただきます。 最も急を要する
ヘモグロビン検査
につきまして、五名のものが
プラスマイナス
であったということは、先ほど
政務次官
から御
報告
があったことでございますが、五名は翌日退院いたしております。後遺症の
心配
はございません。それから次に
死亡
につきましては、八名が
外傷
なり火傷であり、残り八名が
一酸化炭素中毒死
と考えられております。それから現在入院をしているものが四名ございますが、そのうち二人が
外傷
、これはそれぞれ
顔面打撲
、
肋骨打撲
でございまして、重傷ではございません。五十時間後
救出
されました二人のかたについては
心配
でございますが、うちお一人の
かたは意識
も明瞭であり、順調な回復の経路をたどっております。一名につきましては、現在に至るも
——
昨日の夕方
現地
で聞いてまいりましたのですが、依然として意識不明でございます。これは
一酸化炭素
の
中毒
というよりむしろ
酸素欠乏症
の
状況
を呈しております。しかしながら血圧その他
呼吸脈搏等
は正常でございまして、
医師
の話によりますれば、命はいまのところ懸念されない、こういうことでございます。
災害補償
のほうにつきましては先ほど御
説明
ありましたとおり、目下その支
払い
の
準備
中でございます。
光村甚助
12
○
委員長
(
光村甚助
君) ただいまの
説明
に対し、質疑のある方は順次御
発言
を願います。
大矢正
13
○
大矢正
君
保安局長
に二、三質問しますけれ
ども
、御存じのとおり数年来
石炭産業
の危機が叫ばれて、
目下政府
においても、十分ではもちろんないとは私
ども
思っておりますが、
対策
を講じておるさなかでありまして、こういう段階にこの種の
事故
が起きるということは、単に
美唄炭鉱
のみにとどまらず、日本の全
炭鉱
に波及する
影響
は非常に大きいものがあろうかと思います。最近は、特に
労働力
の不足が
石炭産業
を乗り切るための重大な障害になっているという事実にかんがみまして、
労働力確保
の面で一そう
——
単に
美唄炭鉱
だけではなくて、他のあらゆる
炭鉱
に大きな
影響
を与えていることは間違いのないことで、そういう意味で、この種の
事故
が起き、さらにまた重ねてこういう
事故
が起こるということは非常に重大な内容であり、当然
局長
としても
保安確保
に一そう万全を期してもらわなきゃならぬことは言うまでもないことでありますが、あの
罹災者
の中に
季節労務者
が一人おった。これは冬季間における農村からの
季節労務者
というのは、今日
炭鉱
の常識になっております。
かなり
の数が
現実
には入ってきておりますが、こういう
方々
に対しても、またそういう
人たち
と
現実
に生活をしている人々にとっても、まことに重大なショックを与えたことになるわけでありまして、非常に残念でならないわけであります。そこで、その問題は近い将来
通産大臣
、
労働大臣等
にも
出席
をしていただいて、
人命尊重
の立場から、どのようにして
鉱山
の
保安
を確保するかということを質問したいと思っておりますので、そういう基本的なことについては一応この際おくこととして、この
事故
が起こりましてから全
遺体
が
収容
されるまでの間に起こった
できごと
の中で、特に私が気になることが二点ばかりあるわけであります。それは私
ども石炭
にある程度の知識を持っている者はほぼ了解はし理解はするわけでありますが、たとえば
爆発地点
と見られたこの三片
坑道
の引っ
立て
、ここにおける
ガス量
がちょうど
爆発
するのに適量となる程度の
状態
になったために、やむなく
手前
で
密閉
をしたという
保安局
の
発表
があって、それが新聞に書かれたわけですね。そこで私
ども
実際に話を承ってみると、これは
密閉
などというものではなくて、単に
通気
を一時
遮断
をして、中の
ガス量
を
爆発時点
よりももっと高めても再爆のおそれがない
措置
をとったにすぎないのではないかと解釈をしておったのでありますが、どうも
保安局
の
発表
その他が不
手ぎわであったのかどうかわかりませんが
、
密閉
をして、中に
最小限度
五人は生死不明のまま残っているにもかかわらずふさいでしまって、
通気
を
遮断
するのはもちろんのこと、この完全に
遮断
してしまうような結果というものは人道上も許さるべきことではないというような意見がありました。これはやはり技術を担当している、そして
現地
に行っているあなたの部下においても、
発表
の際にはその点は十分ひとつ考慮をしてやられないと、あたかも中に生きている人間がいるにもかかわらず
密閉
をして殺してしまったというふうに聞こえるわけで、この点はいろいろ検討されて、やむなく一時的な
通気
の
遮断
をやられたことは私
ども
も認めるわけでありますけれ
ども
、それが
密閉
と言うと大げさに聞こえて、まあ
密閉
にもいろいろあるにいたしましても、単にビニールのカーテンを下げたようななまやさしいものではなくて、もっともっと重大な
密閉
、大きな
密閉
、大がかりな
密閉
をしたというふうにとられることは非常に問題があると思うので、その点については十分考えるべき余地があったんではないか。 それからもう
一つ
の疑点は、
あと
に二人
生存者
がおりました二
半片坑道
の探検なり、それから
救護隊
の捜索なりというものが
かなり
時期を失したのではないか、最終的にはこの結果から見ると、あすこにおったのは二人しかいなくて、
あと
はじょうごから一人落ちたのと、もう一人の
運搬
夫は全然別のところに行っていたということで理解がつき、結局残った二人が
救出
をされたということで、いいにいたしましても、そういう捜索活動、探検というものの指示が手落ちがあったのではないかというようなことを言われておった面もあるので、この際当事者としてのあなたから、一応見解を述べていただきたい、こう思っております。
西家正起
14
○
政府委員
(
西家正起
君) 第一の点でございますが、ただいま先生から御指摘のございました三片
坑道
を
密閉
したという点でございますが、まさに先生がおっしゃったとおりでございまして、私
ども
二十一日の午後三時に
現場
に到着した際、やはり
密閉
ということばで知らされたのでございますが、私も若干驚いたのでございますが、その後話を聞きますと、その辺の
空気
が中に入ることによりまして、再
爆発
の防止をするために布のカーテンをしたということでございまして、当時中にはメタン
ガス
が一〇%、
一酸化炭素
が機械ではかりましてもスケール・アウトということでありまして、
かなり
濃厚の
一酸化炭素
があったということから推しまして、再
爆発
の防止のためにとりましたこと自身につきましては、支障はないというふうに考えておる次第でございますが、確かに新聞
発表
その他につきまして誤解を生じたことにつきましては、はなはだ申しわけない、直ちにその後
密閉
ということばを使わせないようにしたのでございますけれ
ども
、一ぺんそういうことがことばとして出ますと、今度は布張りというような言いかえ方になかなかならないということでございます。最初のことばが非常に大事であるというふうに考えておる次第でございます。今後ともこの点につきましては
十分留意
をいたしまして、
発表
等に際しましては
十分留意
いたしたいと、かように考えておる次第でございます。 第二点でございますが、第二点につきましては、二十二日の朝七時四十八分ごろに
救護隊
が再度救助活動を始めておりまして、当時は、先ほどの布張りをいたしました三片
坑道
の奥を探検する、残り火がないということを確認することが第一の目的でございまして、そこだけの人数に限りまして三片
坑道
に入ったわけでございます。もちろん中には
かなり
崩壊
している場所もございまして、一ぺんではなかなか引っ
立て
まで行けなかったような
状況
でございまして、最初は九十メートル、それからその次は百何メートルと、何回か往復して、
最後
に昼ごろにやっと引っ
立て
まで到着したような次第でございまして、そこで初めて火がないということを確認をいたしまして、全域にわたる本格的な
救護活動
に入ったわけでございます。その後三片
坑道
一
昇り
及び二
半片
、それぞれ活動をいたしております。何ぶんにも非常に
崩落
個所がございまして、実際に
崩落
している個所を通り抜けるのに時間がかかるばかりでなく、
崩落
の中に人がおったりいたしまして、そういうようなことでだいぶ手間どっておるようなことでございまして、
罹災者
を
発見
いたしましたのが二十二日の十九時、本格的な活動を始めまして七時間余りたっておるわけでございます。私
ども
その間の
救護活動
につきまして、もう少し詳しく
現地
の
報告
で
調査
いたしたいと考えておりますが、現段階ではあるいはやむを得なかったのじゃないか、かように推測をいたしておる次第でございます。以上のような
状況
でございます。
大矢正
15
○
大矢正
君 この
炭鉱
は道内の各ほかの
炭鉱
と比較いたしてみまして、
坑内
条件を考えてみますと、非常に浅いところを掘っておる。それだけに炭質は別といたしまして、将来かりに需要さえあれば、大きく展開ができる
炭鉱
であると私は見ているわけです。したがって、ほかの
炭鉱
では想像もできない浅い
地点
を掘っている。ただ、そこで問題になってくるのは、この種の浅い
炭鉱
は、さほど
ガス
抜きの必要性というものは事前になかろうというような考え方が常識的になっておるわけですね。それからもう
一つ
は、かりに
ハッパ
をかける際に、さっきあなたが
爆発
の
原因
とみられるものは九九%
ハッパ
だと思う、こういう御
発言
がありましたが、私もそのとおりだと思います。そういたしますと、ほかの
炭鉱
では、かりに
ハッパ
をする際には
ガス
検定をして、その上で
ハッパ
をかけるというようなことを必ず実行してやっているが、この種の浅い
炭鉱
には、
一つ
には
ガス
抜きをしなくても
ガス
がたまっていることはなかろうという判断と、従来がそうであるから、しいてここで
ガス
検定をしなくてもいいではないかというような考え方があったのではないかという感じがするわけですね。しかし相手は自然でありますから、ほかでは通用したことがこの
炭鉱
にも通用するとは限らないわけです。そういう面においては、この種の浅い
炭鉱
が比較的怠りがちな
ガス
抜きなり
ハッパ
の際における注意なり、それからまた、
火源
を持ち込むことに対しての十分な注意なりというものが非常に薄いのではないかと思われるので、私はやはりこの際、この種の
炭鉱
にとどまらず、再度この種の
事故
がないように、ひとつ通産当局として具体的に当面どういう
措置
をとっておられるのか。これは私もずいぶんの
炭鉱
の
ガス爆発
をいままで経験しましたけれ
ども
、しかし一月の末、二月、三月にかけて一番気象の変化が激しい、圧力のかかっている時期でありますから、気象の変化によって
ガス爆発
の実績も多いし、それからそういう
危険性
も高いことは私が申すまでもないところであって、特にこれを契機にして
——
起きてしまったんだからいまさらどうにもならぬので、特にこれを契機として、やはり私は
保安
当局としてきびしい指示を
保安管理者
に与える必要性、
鉱業権者
に与える必要性があるのではないかと思うので、当面あなたがどういう考えを持っておられるか、この際お聞かせ願いたい。
西家正起
16
○
政府委員
(
西家正起
君) ただいまの点につきましても、先生のおっしゃるとおりでございまして、当
鉱山
では
ガス
が平素比較的少ない、同
炭鉱
では非常に少ないということで、
ガス
抜きも実施はいたしていなかったのでございます。ただ、将来だんだん深くなっていくにつれまして、
ガス
もふえてくるということで、
ガス
抜きの検討を始めておったのでございますが、ただいま先生の御指摘のとおり、深いところに行けば当然でございますけれ
ども
、浅いところにおきましても、非常に
ガス
の湧出率がたいへん多いということになりました場合には、十分事前に
ガス
抜き等の検討もさせなくちゃならぬ、かように考えておる次第でございます。 また、
ハッパ
の検定でございますが、今回罹災をいたしました先端の
ハッパ
個所におりました
係員
が検定をいたしましたか、しなかったかという問題につきましては、現在まだ
調査
中でございまして、わからないのでございますが、平素から
かなり
優秀な
係員
の方であったようでございまして、周囲の人から聞きますと、検定を怠るような人ではないということも聞いているわけでございます。今回どうであったかにつきましては、目下のところまだ不明でございます。ただ、過去のいろいろな例から申しまして、
ハッパ
を何回かに分けてやります場合に、第一回目には必ずやるけれ
ども
、第二回目にはつい同じところを、最初に特に岩石なんか掘り起こした場合には、第二回目はつい検定を怠るというようなこともときどき耳にいたしているわけでございまして、今後そういうことのないように十分注意を与えたい、かように考えている次第でございます。 先生の御指摘の、当面
保安局長
として考えている問題でございますが、早急に
原因
を
究明
いたしまして、
原因
のわかりました後には、その
原因
に基づく同種
災害
が
発生
しないような十分なる処置を各
鉱業権者
に対してとりたいとは思っておりますが、その以前に先生御指摘のとおり、この二月、三月は非常に気象の変化等で
ガス爆発
の可能性があるということにかんがみまして、目下早急にとりあえず、
ガス
の多いところはもちろんでございますが、
ガス
の非常に少ないところに対しても、十分そういうふうな怠りのないようにという勧告を、各
監督局
を通じまして
鉱山
のほうに早急に出したい。また、それぞれ業界の
方々
に対しまして、本社に対してもそういうような趣旨の勧告を早急に出したいということで、目下
準備
をいたしているような次第でございます。
宮崎正義
17
○宮崎正義君 関連。
ガス
の検定のことでついでにお伺いしたいのですが、昨年の十二月には検定をしたというふうに聞いていましたけれ
ども
、一月はどうだったのですか。その事件の
発生
当時までどのようなことをやってきたか。
西家正起
18
○
政府委員
(
西家正起
君) 同
炭鉱
は
監督局
といたしましては、いわゆる
監督
の格づけといたしましては一番重要な
炭鉱
にいたしております。大体毎月一回、二日ないし三日にわたりまして
炭鉱
の検査を行なっております。
監督局
といたしましては、昨年の十二月十三日から十五日にわたりまして、同
炭鉱
を
監督
いたしておりまして、先生御指摘のとおり、十二月にはこの
災害
の起こりました
坑道
にもまいっておりまして、
ガス
の検定等も行なっております。その結果はやはり〇・五以下ということでございまして、大量の
ガス
の
発生
を検定はいたしておりません。ことしになりましてからは、
監督局
からはまだ
鉱山
のほうには
監督
には行っていなかったのでございまして、たまたまこの
災害
の起こる直後に行く予定はしておったようなお話でございます。 なお、
現場
におきます
ガス
の
状況
でございますが、
災害
当日の、
災害
の起こりました二の方の前の一の方につきましては、
係員
が
ガス
検定を行なっておりまして、その際一の方で何回かはかっておりますが、その数字は〇一四と〇・五、メタン
ガス
の量でございますが、〇・四%ないし〇・五、こういうふうな記録が残っているような次第でございます。
宮崎正義
19
○宮崎正義君 いまのお話で、
ガス
の限界が低かったというので相当甘く見ていたということは、
現地
のほうでもそういう声を聞いているのですが、いまのお話伺っても、一方のほうではやっているけれ
ども
、
現場
のほうにおいては中に入っていなかったということが、検定に対する甘い考え方が根本的にあったのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、特にこれからも、こういう
事故
は多発して今日まできているわけですから、そうじゃなくても、
炭鉱
離職者というものから考えてみましても、いまお話しありましたように、十二分な検査の手はゆるめないでいかなきゃならぬのは当然であります。安易に自分たちの考え方だけで処理をしていくということじゃなくて、もう少し規則だった行き方、定期的な行き方をもう少しはっきりと、日程等を組む上から計画の上に立ってやるべきだ、こう思うわけでございます。その点についてひとつ御意見を伺っておきたい。
西家正起
20
○
政府委員
(
西家正起
君) 先ほどの
説明
はちょっとまずいところがあったのでございますが、
災害個所
におきまして、この二方というのは夕方から入っております。この二方におきましては、
作業
開始されましてあまり時間がたっておりませんのと、その二方の
係員
自身が死んでおりますので、検定をしたかしなかったかにつきまして、はっきりしたことはまだわかっていないわけでございますが、その二方の前に入っております一方では、同じ
坑道
では測定をしておった、こういうことでございます。 なお、
監督
検査のことにつきましては、先生御指摘のとおり、われわれ大体一カ月に一回ということで計画的、重点的に今後とも検査のやり方等につきまして十分に配慮をいたしまして、粗漏のないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
大矢正
21
○
大矢正
君
最後
に
労働省
のほうにお願いをいたしておきたいと思うのでありますが、御存じのとおり、労働大臣は
通産大臣
に対して、
鉱山
保安
について勧告する権限を与えられているわけです。したがって、中央の段階における勧告権というものはいつでも発動できると思うわけです。その発動するかしないかということは、
労働省
自体が考えることでありますから、私は申しませんが、ただ希望としてこの際述べさしていただきまするならば、この種の
事故
が続発をするということは、これからの
石炭産業
にとりまして重大な問題でありますから、中央段階で単に勧告をするしないの問題ではなしに、
現地
におきましても、やはり
労働省
の出先機関が
保安
監督
行政の出先機関と話し合いをするなり、あるいはまたきびしく申し
入れ
をするなり、それらを通してこの種の
事故
防止のための
労働省
としての役割りも私は果たしてもらいたいと、こう思います。 それから、この
災害
の中に
犠牲者
の一人として
季節労務者
がおり、それからまたこの会社の直接雇用ではなく、組夫として働いておられた人もおり、これらの人々は他の
犠牲者
と比較して見た場合に、
かなり
経済的にも、また将来の家族の問題の
対策
にしても違う面があるわけです。そこで、ひとつでき得る限りの
措置
を
労働省
としてお取りいただきたいと思うし、また幸いにして奇跡的に生存をすることができた二人の
方々
のこれからの医療
対策
その他の
措置
についても、ひとつ手抜かりのないように処置を願いたい、こう思いますので、要望意見として申し上げておきます。
井村重雄
22
○
政府委員
(
井村重雄
君) ただいまの御意見まことにごもっともと存じます。勧告権のあるなしにかかわらず、
労働者
保護という意味において、実情に即して
通産省
と十分意思疎通をはかりまして、今後再びかような事件を繰り返さないように、一段の留意をはかりたいと存じます。 なお、季節労務的な立場にあった人、なお現在負傷、病気で入院しておられる方の
措置
については、十分御意思を体しまして、今後とも十分関心をもって見守ってまいりたいと存じます。
阿部竹松
23
○阿部竹松君
労働省
の
政務次官
にお伺いしたいわけですが、きのうから衆議院、きょうから参議院で総理の演説に対する代表質疑があるわけですが、衆議院のほうは別といたしまして、きょう午前中行なわれました参議院の本
会議
におきましては、佐藤総理の就任以来の一枚看板としておられる
人命尊重
に対する社会保障制度をはじめ、予算等においていろいろ論戦をかわしました。ところが、ここにさいぜん補足
説明
されましたあなたのほうの安全
局長
さんがおられるので、ちょっと
発言
しにくいわけですが、これは個人を対象としてあるわけですね。いままで
鉱山
の
保安
の問題は一切
保安局
でやっておられるのだが、その他の問題についてはあなたのほうでやっておられるわけです。労働基準局がやっておられる。ところが、基準局だけでは手狭である。十分なサービスができないということで、去年の八月、法の改正を行なって、基準局から安全衛生局というものができましたね。ところが、昨年の暮れになって安全衛生局は要らない。
局長
さんがきて答弁されて、今後努力しますと言ってもらっておりますが、私は局の
一つ
二つ
あるなしでなしに、そういう
労働者
の身を守ってやるべき責任ある行政指導機関を去年の八月につくって、ことしまだ法文化しておりませんから、ことしのうちということになるでしょうけれ
ども
、そういう精神が大体たるんでいるのじゃないか。おたくのほうは職業の紹介もありましょう、職業の訓練もありましょう。幾つかのお仕事もなさっているわけですが、しかし、その中心は何といってもやはり大ぜいの勤労者の身分を保障してやる、皆さん方を守ってやるという第一線のサービスセンターであると私は心得ている。にもかかわらず、半年もたたぬうちに安全衛生局をなくすなどということは、あなたはいま
大矢
委員
の御答弁に、十分気をつけますなどと言っても、
現実
の問題として不可能じゃないですか。あるいはまた、
通産省
に御質問する前にお話をしたいのですが、
保安局長
は、以後気をつけますというような御答弁でしたが、きょうも太平洋炭礦で大
災害
が起きている。
美唄
ほど大きな
災害
ではありませんけれ
ども
、四名も五名も人が
坑内
で落盤の
犠牲者
になっているわけです。きょうのそういうものを当然
報告
してこなければならぬわけです。ここへそれを
報告
せぬで、以後気をつけますなどと言って、なるほど
美唄
より
災害
は小さいでしょう。しかし、残された遺家族にとってごらんなさい。十人なくなるのも、自分の主人がその
犠牲者
になるのも、残された遺家族、弱い人にとっては同じですよ。あなたの答弁している半面、きょうもそういう
事故
が起きている。ですから私はもう幾らここで何回皆さん方とやっても、なかなか
保安
というものは確保できないのですから、この前は
保安局
をなくす、今度は
労働省
の安全衛生局をなくすのだ、こういうところから何が突発する
——
ということは言いたくないのだが、
現実
の問題として起きている。隣の千葉県の三井化学株式会社の工場で大
災害
が起きている。膨大なものですよ。今日の公害による
災害
は。ですから、
現実
の問題として皆さん方の努力に報いておらぬ。結果論だけ私たちが言うことになるかもしれませんけれ
ども
、あまりにもむごい。
大矢
委員
と
保安局長
の質疑応答の中で、
密閉
したんだが、家族の許可を受けぬ人もある、そうして
密閉
している、こんなばかな話がありますか。
密閉
も全然効果があがっておらぬのです。ぼくもたまたま北海道へ行っておったのでおじゃましたところが、だれが指令を出したか、指令系統が判然とせぬ。北海道の
鉱山
局がやったのか、中央から
熊谷政務次官
並びに
保安局長
がきているからそこがやったのか、あるいは三菱
美唄
の
保安管理者
がやったのかということを尋ねてみましたが、なかなか釈然とせぬ。しかし、そこへ行ってわあわあ騒ぐと、かえって
災害
の
あと
始末をなさっているところのじゃまになるだけだから、私は黙って引きさがってきましたが、
現実
を見た。そういうことをやっておって、国会でだけ美言麗句で答弁してもものにならぬ。これから以後気をつけます、こう言っているその日に
災害
が起こる。こういう点についてもう少し明確に、大体遺家族にならぬうちに
遮断
した、二十四時間もたたぬうちに。家族の承認を得ておらぬでしょう、おらぬ人もおるはずなんです。そんなことをどこが許したかわかりませんけれ
ども
、少し明確にお知らせ願いたい。
井村重雄
24
○
政府委員
(
井村重雄
君)
人命尊重
はもとより最も何にも優先して大切なことでございます。それについては私
ども
いささかも感覚を誤っておらぬつもりでございます。なお、今日財政の硬直化ということも
現実
でございます。また行政の簡素化をやれということも国民の声でございます。私
ども
安全衛生局がこのままある、健在であることを願うものでございます。けれ
ども
、やはり国民的な要望にもこたえていかなければなりません。今回、あるいは場合によってはこの局が部というものに格下げになるかもしれませんけれ
ども
、その運営を誤らぬように格段の注意をいたしまして、特に局が縮小されたならば、なおさらそれにこたえてわれわれは運営に努力をいたしまして、
人命尊重
の御意向に沿いたいと、かように考えております。
西家正起
25
○
政府委員
(
西家正起
君) 阿部先生の御指摘の太平洋炭磯の春採坑の
災害
でございますが、確かに私たちもここに参ります直前に
災害
の知らせを受けまして、実は先生方にお話しすべく、ちょっと早く参りましていろいろやっておったのでございますが、連絡が確かにおくれまして申しわけないと思っております。
災害
の内容につきましては、
死亡者
が三名、
負傷者
が三名、太平洋の春採坑の中におきまして、昨日の三方に
崩落
をし、きょうの十時二十分ごろに
災害
を
発生
いたしております。
報告
がおくれまして、まことに申しわけないと思っております。 それから第二の点でございますが、先ほどの三片
坑道
の
遮断
の点でございますが、救助活動の第一の
責任者
といたしましては、
鉱業権者
にあるわけでございまして、同
炭鉱
の
保安管理者
の中尾
保安
技術管理者という方が救助隊の
報告
を受けまして、再
爆発
の可能性があるということでそういう判断をされまして、最初に会社側から家族の
方々
、それから組合の
方々
と話し合いを行なわれまして、その結果話がついたということで、二十一日の八時に私のほうの出先の近藤
札幌鉱山保安監督局長
に了解を求めに参られたような次第でございます。私のほうの
局長
も再
爆発
の可能性があるという判断をいたしまして、その
措置
に対しまして許可を与えた、こういうような次第でございます。なお、先生も御指摘がございましたように、後ほどこれはわかったことでございますが、家族の中で一家族、会社側が家族の
方々
を集めた際に一家族だけお話し合いをつけずに進んでおったというようなことが事実として後ほどわかったような次第でございまして、まことにこれは申しわけないというように考えておる次第でございます。以上、大体そういういきさつでございます。
阿部竹松
26
○阿部竹松君
労働省
の
政務次官
に私は決していやみや、ことばじりをとって申し上げるのではありませんけれ
ども
、これはあなたが次官になる前々のことですから、あらためて申し上げておかなければなりませんが、太平洋戦争によりまして樺太がなくなり千島がなくなり、あるいは満州も日本人がおられぬようになって、朝鮮、台湾もなくなって、この四つの島に大体一億の日本人が生活しなければならぬ。これはたいへんなことであるということで、世界の第五番か六番目ですからね、日本の人口は。そこでこういう島におらなきゃならぬ、こういうときに、日本で
労働者
が足らぬという、まあ
労働省
の労働政策、あるいは労働行政、あるいは指導というものはどういうところにあるか私わかりませんよ。しかし、その労力の配置というものは、全部レジャーブームとかで、そういうほうにほとんど若い青少年諸君は行っておる。そんなところに行っておって、中小企業から始まって日本に人がおらぬということで、労務倒産な
ども
起きておる。ですから、あなたのおっしゃる財政の硬直化、あるいはあわせて行政の簡素化もよく理解できますよ。しかしながら
人命尊重
が第一義的だということになれば、安全衛生局あるいは労働基準局というものは
最後
まで残らなきゃならぬ筋合いのものだと私は思っておる。そうでしょう。にもかかわらず、財政硬直化あるいは行政の簡素化というなら、何で去年八月に国会を通したのです。三カ月もたたぬうちに、はいこれはもうやめましたと、国民をばかにしておるというか、
労働省
腰くだけしておるというか、それをぼくは言いたい。それが一般的に
労働省
が人命を粗末にしておるということに通じておるわけです。魂が入っておらぬわけです。あなたが長い間やっておるわけじゃないから、あなたを責めるようになりますから、私これ以上は言いませんけれ
ども
、今度の国会に出せば、これは三分の二の議席を有しておる自由民主党が与党ですから、これは通るでしょう。しかし、それじゃ
人命尊重
の精神に全然相反しているということになるだろうと思う。その点の御見解を承っておきたいと思う。 その次に、
保安局長
さんね、実際まあ
密閉
が、仮
払い
が簡単な通風
措置
であったかもしれませんよ。しかし、あれは何も役に立たなかったのでしょう。結論的に言うと。何%
ガス
がたまっておる、そうすると
爆発
いたしませんよ、そうすれば
坑内
に入りましょうということで、中に人が生きているかいないかわからぬけれ
ども
、にもかかわらずそういう計画でやった。これはなるほどなくなる人はあるかもしれないと、しかし、ぴんぴんした人間を
入れ
て再
爆発
しては、なお犠牲を多くするのみであるというような御計画でやったんだろうと思うのだけれ
ども
、すでにやった当時
ガス
がたまっておらぬ、何%しかふえておらぬわけだ。われわれのようなのが行って聞いてみても、これはいかぬよと思うのに、専門家のあなたたちが、
札幌
にも専門家がおり、本省から
局長
が中心となって優秀な
監督
官を連れて来ておるのですから、そんなべらぼうなことはないというような気がしますがね。
井村重雄
27
○
政府委員
(
井村重雄
君) 仰せのとおりでございまして、私は議論を申し上げようとは存じませんけれ
ども
、ただ残念ながらこの
労働省
においては安全衛生局というものが設立の歴史が浅かったもので、一番先にやり玉にあげられたのじゃないかと非常に残念に存じております。私も自分の立場上考えてみて非常に残念に思っております。ただしかし、これが
政府
の方針である以上は、場合によってはやはり従うべきところは従わなきゃならぬかとも存じますので、これが後日局が部に格下げになっても、私は能率本位で、できるだけ能率的にひとつがんばってもらってその欠陥を補っていきたいと思います。しかしながらいま御指摘のように、何ぶん
人命尊重
ということはきわめて大事であり、また
労働力
が非常に不足しておるために、レジャー産業やそういう手をいためない、からだをよごさない方面に
労働者
は殺到するけれ
ども
、中小企業とかこういう方面の
労働者
は不足いたしておりますから、もちろん人命
保安
というふうな問題に力を
入れ
なきゃならぬから、これがより一そう議会方面の
皆さま方
の御認識を一そう深めて、
政府
があらためてこれを復活することを私も期待をいたしております。
西家正起
28
○
政府委員
(
西家正起
君) ただいま先生から御指摘のございました三片の
遮断
後の
ガス
の
状況
でございますが、結論的に申し上げますと、
遮断
をやる必要は、
火源
がなかったわけでございまして、やる必要はなかったと
あと
からは言えるかと思います。当時の
状況
といたしましては、メタン
ガス
が相当ございましたほか、
一酸化炭素
が相当出ておりまして、かつ煙が見えたという
状態
で、もしかりに残り火があったと仮定いたしますと、さらに
一酸化炭素
ガス
がふえてくる、こういうふうなことで、
ガス
のその後の量の観測をするまでは、もしかりに入ったときに、残り火があったと仮定いたしますと、いつ
爆発
するかわからない、こういう
状態
でございましたので、結果的には必要はなかったわけでございますが、その当時といたしましては、過去におきまして幾つか苦い経験もございますので、やむを得なかったのではないか、かように考えております。
阿部竹松
29
○阿部竹松君
保安局長
はいつ
爆発
するかわからぬからやったというが、しかしそれはあそこの炭層から何から言うて、その際
ガス
がなくなりますよ。それは瀝青炭とか粘結炭とかいう炭層なら別ですよ。いつ
爆発
して危険であるかわからないというような
炭鉱
であれば、あなたのほうで先進ボーリングをさせなければならぬでしょう。特にあれは断層に近かったのだが、それを先進ボーリングしなさいと言っていなかった。
札幌
保安
監督局
は言うておらぬのです。そうすると、これは断層はあるし、どんどんいっちまったら、これはマッチ
一つ
燃えても非常にえらいことですよ。こんなことは
保安
法を読んで三年くらいすればだれでもわかる。いまより七年くらい前に清水澤
炭鉱
というところで
坑内
火災が起きた。そうして何人か逃げ出したけれ
ども
、
坑内
火災が拡大するということで
密閉
した。これはやむを得なかったのです。その後
あと
で
密閉
したところをあけて、医大へ連れていって解剖したが、斉藤何がしという人と二人が六時ころから九時ごろまで生きておったのです。出ることができなかった。そういうこともあって、
局長
、指揮官が悪ければ部隊が全滅するわけですよ。
保安
監督局
などは少し遊んでおってもいいが、そういうときこそ、
一つ一つ
の要所がやっぱり大切なわけですよ。あなた方が年がら年じゅう三百六十五日忙しいということになれば、これはたいへんで、
炭鉱
なんかは
操業
していけないのだが、そういうときに組合の人から聞いたからよかろうなどということで
遮断
してしまった。この
爆発
では切り羽におった人、この
人たち
は一発でこれは即死だったと思います。しかし
あと
の人はこれは助かっているか、生きているかわからないでしょう。ドンといったら、もう
密閉
個所が全部破れているわけですからね。入気が
通気
になり、
通気
が入気になっているわけですから、それをあなた方が全くむちゃくちゃやっている。結果論ですから、これはわかりませんけれ
ども
、ぼくにして言わしむれば、十六名全部助かったとは申し上げませんけれ
ども
、まだ何人かを助けることができた、こう思うのです。訓練が悪かったのです。あなた一〇〇%をもってよしとするのですか。 それからもう
一つ
申し上げたいことは、組夫が非常におるのですね。いま平均して
炭鉱
組夫がふえてきましたが、大
災害
が起きた
炭鉱
、これは組夫によって
災害
が起きたということは申し上げませんけれ
ども
、やっぱり
保安
についての精神的支柱が欠けておるわけです。あの大
災害
が起きた九州の筑豊の三井山野
炭鉱
、ここなどはとにかく二百七十名ほどの
犠牲者
が出たのだが、これも組夫が膨大におる。伊王島
炭鉱
、これも組夫が膨大におる。組夫がやっちゃいかぬというところを組夫にやらしておる。私組夫だからけしからぬというのじゃなしに、やはり訓練が足らぬわけです。ですから
大矢
委員
が
心配
した農家の人が一人おるわけですが、そういう人を一人離れて仕事するようなところにやっているわけです。せめて五年なり六年なり訓練した鉱員のいるところに、おまえはあの人の応援だということで
派遣
させて仕事させるのならいいけれ
ども
、
運搬
夫で一人で歩かなければならないところへ、三カ月前までたんぼを掘っておった人が出ておる。これはむちゃくちゃなんです。
美唄炭鉱
の経営者もけしからぬと言っておられるけれ
ども
、そういうところをあなた方が指導してもらわなければいかぬのじゃないか、そういうところを全然指導しておらぬ。組夫がふえてもあなた方がだまっておる、これはひどいじゃないですか
保安局長
。
西家正起
30
○
政府委員
(
西家正起
君) ただいまの第一点でございますが、
爆発
を起こしました際の火が燃えにくいか燃えやすいかという問題につきましても、会社側では
かなり
な議論はあったようでございます。結論的に申しまして、会社の
保安管理者
が再
爆発
のおそれがあるということで許可を求めに見えたわけでございます。かつて三菱の新入
炭鉱
におきまして、二次
爆発
で一時
爆発
よりもさらに多い
救護隊
の
方々
の
死亡者
を出した例もございまして、もし万一再
爆発
を起こした場合には、救護に行かれた方はもちろんのことながら、まだ行方不明でおられる大ぜいの
方々
の命も今度はもう相当
ガス
のたまっている範囲が広くなっておりますので、そういう方たちの生命もあぶない、こういうことで許可を求めにまいられたわけでございまして、
監督局
長といたしましてもそのとおりだという判断をいたしまして、許可をしたような次第でございます。結果的に見れば、そのために確かに先生御指摘のとおり、
救護活動
はまる一昼夜近くおくれたということ、こういうことも事実でございますが、その際の
措置
といたしましては、まことにやむを得なかったのではないか、かように考える次第でございます。 それから組夫並びに季節
労働者
の件でございますが、今回の
罹災者
の中におられます
季節労務者
の方、当
炭鉱
には
季節労務者
の方は
かなり
そのほかにもおられるわけでございますが、今度罹災された
季節労務者
の方は昨年の十二月に初めて
炭鉱
に見えた方のようでございます。初めて見えた方に対しましては、大体において会社側におきまして、六日間
坑内作業
の基礎知識、あるいは
災害
時における待避の通路、あるいは
一酸化炭素
のマスクの使用方法、
保安
規則、また
美唄炭鉱
のいろいろな
坑道
、傾斜
坑道
あるいはロープの使い方、あるいは仕事上の注意等を教育いたしまして、さらに実際には一人では
作業
をさせない、ほかの
方々
と一緒に仕事の習得をさせながら
作業
をさせる、こういうようなことに相なっておったようでございます。しかしながら、先生御指摘のように確かに
請負組
夫は、私
ども
でも
請負組
夫の
坑内作業
につきましては届け出制をとりまして、
運搬
、仕繰り等の一定の
作業
以外には使用さしていないわけでございますが、確かに先生御指摘のとおり、請負労務者並びに
季節労務者
等につきましては、今後とも一段と
保安
教育を強化する必要があるように考えておる次第でございまして、そういうふうに今後とも努力をいたしたいと考える次第でございます。
阿部竹松
31
○阿部竹松君 質問を続けておりますと、切りがないですからこれでやめますが、いま
ガス
の器具使用法とかその他について訓練指導すると言いましたね。しかし
昭和
十八、九年、二十年に近くなって太平洋戦争がいよいよ敗色濃厚になって、あぶなくなったというところで、国家総動員法というものができたわけですね。国家総動員法を適用して東京からもまいりましたし、大阪、名古屋から、九州、北海道両方へ動員した。床屋さん、ふろ屋さん、洗たく屋さん、町工場の人も全部
炭鉱
に動員した。石炭の一塊は血の一滴であるということで動員したんです。したがって、床屋さんであり、あるいは洗たく屋さんであり、ふろ屋さんですから、
坑内
の「こ」の字もわからない。十万トン掘るごとに一人の
犠牲者
が出る。しかし、戦争に負けられぬということで大いに掘らせたわけです。けが人も出ましたが、そのときは坑外は短いところで半月、
坑内
ですと一月は訓練してから
坑内
へ
入れ
たんですよ。いま
人命尊重
を一枚看板にする佐藤内閣になって、太平洋戦争の苦しいときよりもひどいということはないでしょう。特に
美唄炭鉱
は
昭和
十九年に大
爆発
が起きて、六十五名が一瞬にしてなくなった
炭鉱
ですよ。それから昨年の暮れからずっと非常に落盤とかあるいは
坑内
災害
で、これは
局長
さんお調べになってみるとわかるけれ
ども
、日本の全国平均の中で、けが人はトップクラスのはずです。
現地
へ行ってみると、優良
炭鉱
でおれのところは
災害
がない、こうおっしゃっておるが、去年の一月だけでも五、六人なくなっていますよ。それをいまあなた見なくても、省に帰って見ればよくわかるはずです。そういうような
炭鉱
です。ですから、一回悪いことをしたから二回目は気をつけろなどと言いませんけれ
ども
、そういうところにはやっぱり特段の注意が必要で、行政指導の面で的確にやってやらなければならぬと私は思う。したがって、そういう点について今後どういう方法で
——
ただ
保安
を強化しますなどという一片の通りことばでなくして、どことどことどうする、先進ボーリングをやらなければ掘らせませんよ、もうからなかったらやめなさい、外国からどんどん安い油が入るから、おまえのところは人を殺してまで石炭掘るな、これくらいの馬力でやらなければなかなか
炭鉱災害
はなくならない。 それから、石炭
局長
に
一つ
お伺いしたいけれ
ども
、貿易の自由化、経済の自由化ということで、
一つ
の自動車会社でなかなかやっていけぬということで、自動車会社が合併して大企業にして外国資本と対抗しようとか、あるいは造船会社等においても合併して大きな企業にして基礎を固めて、それから外国資本に対抗しようとか、国内で優位性を保とう、こういうことですね。ところが、
炭鉱
は一番苦しい斜陽産業といわれておるけれ
ども
、三菱は三菱でぱらぱらと合併どころか、かえって小さく切って経営しているんです。三井もしかり、北炭、住友もしかり、こういうことは石炭
局長
も行政指導の面で苦労なさっておると思うけれ
ども
、どういうわけであらゆる産業が合同化をはかってやっているときに、基礎の確立をはかってやっているときに、斜陽といわれる
石炭産業
がなぜばらばらにして経営しているか。ぼくらをして単純に言わしめれば、賃金を下げるときには期末手当も安くなるだろう、あらゆる面で大手でない、うちは中小企業だからということで、そういう面での経営の合理化という美しい名前で経営していくために、こういう
災害
が起きるのではないかというようなことを考えておるわけです。これに対しての見解を承りたいのですがね。今度の
爆発
した三菱
美唄炭鉱
も、井上さんが石炭
局長
で相当厳重に、山野
炭鉱
の例があるものですから、
保安確保
について相当厳重に申し渡して第二会社を認めたように承っておるわけです。いまはこれ以上申し上げませんけれ
ども
、大臣と十分相談して、私は
保安
の確立を期していただかなければ、ただ
委員
会でぼくたち何ぼあなた方に質問して、あなた方課長さん、係長さん
あたり
から聞いて集めてぼくらに答弁しても、
保安
の確保はできませんよ。ですから、以上の質問で私はやめますが、将来どうするか、もう少しいまの答弁をできればお伺いしたいと思います。
西家正起
32
○
政府委員
(
西家正起
君)
美唄炭鉱
に対しましては、先ほど先生の御指摘の先進ボーリング等につきましては、いま少し
原因
等を調べました後で、必要がございます場合は先進ボーリング等の指示もいたしたい、こういうふうに考えておりますが、とにかくわれわれのほうといたしまして考えておりますのは、これは当初から来年度重点を置いてやろうと思っておったのでございますが、
保安
教育の強化ということで
保安
センターを極力利用いたしまして、山の
保安
教育をもう少し徹底させる。それから今度の場合にかんがみまして、まだ
原因
と直結するわけではございませんけれ
ども
、自動警報機等
保安
機器の整備を一段と強化するよう
炭鉱
のほうに命じたい。また、新しい
保安
機器の開発につきまして、まだございませんけれ
ども
、これはいますぐできるわけではございませんけれ
ども
、極力これを促進いたしまして、開発した暁には、これを
炭鉱
にできるだけ早く整備する、かようなことによりまして、同じような
災害
が起こらないように十分に
監督
を強化していきたい、このように考えておる次第であります。
中川理一郎
33
○
政府委員
(
中川理一郎
君)
石炭産業
の現況につきましては、阿部先生はじめ十分御承知のことと思いますが、昨年度の政策でもなかなか楽観を許さない
状況
にございます。御質問なさいましたような企業の合同というような形がいいのか、あるいはまた中小でたとえば管理能力の非常に行き届いておる山などを見ますと、
石炭産業
というのがきわめて自然に密着した産業であり、阿部先生が例を引かれたほかの産業のように単純に合体してある個所に大きな工場を集約的につくるというわけにもいかない。それぞれの鉱区に従って生産活動を続けておるという産業でありますので、管理能力というような面から見て、あるまとまりで指導者の指示
監督
というものが十分に行き渡る範囲内でやったほうがより能率的であるという御意見もありましょう。いろいろなことを考えておりますが、ただいまの時点でどういう形がいいのか、はなはだ残念でございますが、いまの
状況
で私が何らかの意見を申し上げる段階には至っておりません。これは先生方の御意見をはじめ
関係者
の御意見をいろいろお伺いして、最も望ましい姿というものをこれから見出していかなければならぬだろうと考えております。事が
保安
の問題でございますので、
保安確保
という面でどういう形が一番いいかということにつきましては、また
保安局長
の意見等も聞きまして、十分考えていきたい、かように考えておるわけであります。
小林篤一
34
○
小林篤
一君 私の申し上げることについては、石炭
局長
からお答えを願えばいいと思っております。このごろ
美唄炭鉱
は
災害
のために再建不能だというような評判がたいへん伝わっているのですよ。ほんとうにそういうような
状況
であるのかどうだか、まあ被災者に対してどのくらいの金がかかるかというようなことも大体見当がつくでしょうし、あるいは
坑内
をどう整備するかということも、専門家のあなた方なら大体見当がつくはずですが、実際もう見込みがないような
状態
なものであるかどうかということをひとつお伺いし、それからこの点については、
炭鉱
を
一つ
やめるということは大問題でございますから、石炭局のほうとしても十分ひとつ再建のできるような手伝いをやってもらうということも必要だろうと思いますが、とにかくこういううわさというものは、働いておる
人たち
にたいへん動揺を与えますので、どうにかなる
炭鉱
でも従業員が離脱してしまえば仕事ができなくなってしまうわけでありますから、こういううわさというのは、
通産省
などが
対策
をお考えになって、さっそく打ち消すようなことをひとつこれはやってもらいたいという考えなんですが、この点についてお伺いしたいのです。
中川理一郎
35
○
政府委員
(
中川理一郎
君) ただいまの
小林
先生の御意見でございますが、
災害
といたしましては、人命に関しましては非常に大きな残念な
災害
でございましたが、企業経営という点を考えますと、この
災害
はさほど大きな
災害
ではございません。比較して恐縮でございますけれ
ども
、三菱の夕張にございました
災害
は、人命あるいは
負傷者
というものには全然被害がなかったわけでございますが、企業的には非常に大きな損害を受けたケースが昨年ございました。そのことに比べまして、
美唄
鉱業が今日の
災害
で非常に大きなダメージを経常的に受けたというようなことではないと私は考えております。三菱鉱業から分離いたしまして、
美唄
鉱業としてやっております経過からみましても、これはもちろん
石炭産業
全体が不振でございますので、平均的なつらさというものでは当会社も苦しんでおるようでございますけれ
ども
、
出炭
その他の数字からみますと、
災害
時まで
かなり
順調にやってきております。分離時に三菱から借りた融資という形で受けております金額につきましても、経過的には
かなり
順調に返済をしてきておるというようなことでございまして、御
心配
のようなことはないと私は考えております。
小林篤一
36
○
小林篤
一君 そこでもう
一つ
、そういううわさというものは、さっきも申し上げたように従業員に非常に不安動揺を与えますから、これをひとつ不安動揺のないように手を打ってもらわなければいかぬと思う。これはどこで手を打つべきかわからないが、これはやっぱり石炭局などでこれをやっていただけるものだと思いますが、どうですか。
中川理一郎
37
○
政府委員
(
中川理一郎
君) おっしゃいますように、このような
災害
がございませんでも、
石炭産業
の将来というようなことをそれぞれの
労働者
の方がお考えになって、きわめて不安な感情をお持ちになって、それが
労働力
不足問題としていまの苦しい
石炭産業
を一そう苦しめておるという悪循環をしておることは、先ほど来
大矢
先生、阿部先生のおっしゃったとおりでございます。それであるだけに、
災害
がこれに拍車をかける、
事故
がこれに拍車をかけるというようなことのないように、
保安
の確保ということは
保安局
のみならず、企業として担当いたしております石炭局といたしましても、ひとつここで大きな
事故
がございますと、そうでなくとも
かなり
浮き足立っておるという
状況
に拍車をかける
状況
になりますので、
出炭
不振が経理を圧迫しておるという事実もございますので、
出炭
を順調ならしめる上におきましても
保安確保
というものが何よりまして最大の前提条件であるというふうに私
ども
考えておるわけでございます。先ほど申しましたように、
美唄炭鉱
につきましては、直ちに私
ども
が何か資金面での援助をしないと非常にあぶないという
状況
にあるとは私考えておりません。そういう
状況
でございますので、もしそのことを明らかにすることによってでも
かなり
の気持ちの上で転換があるということでございましたならば、その趣旨のことを私
ども
申し上げても差しつかえございません。何か効果的な方法がございましたら、くふうをいたしてみたいと思います。
宮崎正義
38
○宮崎正義君 いまお話になりました中で、分離の当時に融資されたものが順調に返済をされておるということなんですが、大体従業員が約千九百名、それを中心にして約一万人の人が生活をしておるような
状態
であります。で、
美唄
は
事故
の歴史からみましても、今度の十六人の人を
入れ
て三百十名以上の人が
美唄炭鉱
ではなくなっておるように覚えておる。この
事故
発生
坑というのは、一時会社はスクラップ坑にしたいんだ、こういったような話も聞いているわけですから、これがいま言いましたような行き方で、融資を早く返済しなければならないとか何とかで、少し無理がかかってきているようにも言われているんですが、どうしても
事故
というものは何かの無理があって
発生
するんだということから考えましても、このスクラップ坑にしたがったんだという会社側の意見に、従業員の
人たち
が、言うならば労組の
人たち
が
採炭
を続けるべきだという、そういうようなことの調整ができなかったんじゃないかというようにも聞いておりますが、この点どうなんですか。
中川理一郎
39
○
政府委員
(
中川理一郎
君) 当社が三菱鉱業から分離します過程におきましては、三菱鉱業自体としてはこの山を採算的に維持できないという感じから閉山したいという気持ちを持っておったことは事実のようでございます。その際、職員、
労働者
を含めました生産を続けたいという熱心なお気持ち、地元側のあくまで生産を続けてもらいたいという切なる希望がありまして、いまのような形で会社が発足したわけでございます。この際の分離後の条件としてきめられましたこと等を見ましても、なくしてもいいと思っていたぐらいのものを続けるということでございますので、あまり無理な負担を独立後の新会社に与えないという配慮は、当時としては十分行なわれておったと、私は当時の資料をこの
災害
の直後に少しく調べてみました。先生おっしゃるように、何か独立後の経営上の無理が
保安確保
の面に支障を与えておるというようなことではたいへん申しわけないという感じで実は調べてみたのでございますが、さほどのことはございません。どう申しますか、一回閉山というようなことまで予想された山が、その後独立経営をやりましたケースにつきましては、
かなり
全山の勤労意欲、経営意欲というものが顕著に働いて成績のいい
状況
が生み出されることがままございます。それからまた先般私九州である山、同じようなケースの山を見たわけでございますが、やはり採掘技術その他の進歩、あるいは機械化の進歩というようなもので、閉山を考えた時期には一人当たり能率、ここまで機械化できないという条件で閉山やむなしと考えておったものが、その後の技術進歩で成り立つようになって、いまになって振り返ってみると、なぜそんな話が出たんだろうかというようなことを笑いながらやっておるというケースもございまして、本件の
災害
につきまして、経営上の問題が大きくあったというふうには私は考えておらないわけでございます。
光村甚助
40
○
委員長
(
光村甚助
君) 他に御
発言
もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
光村甚助
41
○
委員長
(
光村甚助
君) 速記を始めてください。 次に、
昭和
四十三年度
石炭関係予算
に対する質疑のある方は、順次御
発言
願います。
大矢正
42
○
大矢正
君 石炭
局長
にまとめて予算に関連をしてお尋ねしておきます。とりあえず三点だけお答えをいただきたいと思うのであります。しかし、この三点は相互に関連のある問題でありますので、いままでの予算編成の経過等を含めてひとつお答えをいただきたいと思います。 第一の問題は、この特別会計の歳入となっておりまする関税収入の見積もりについてであります。これは昨年四十二年度の予算編成の際には、関税収入プラス一般会計からの繰り
入れ
二十数億円、合わせて五百二十一億円の予算が組まれたことは御了承のとおりであります。そこでまず基本的な問題として、関税収入はあくまでも見積りで、これに
入れ
るとすると、実際に関税収入が予想を上回った部分について、一体これからはどうなるか。そこで特別会計ができた四十二年度でまいりますと、四十二年度の関税収入というのは、四十二年の予算が動き出してからでないと確定しないわけです。そういたしますと、四十二年の確定した関税収入というものを、かりに不足分というか、見積りの過小分を特別会計に繰り
入れ
するということになると、四十四年度でなければ出てこないということになるのでありますが、その点については大蔵省とどういう話し合いになっているのかということが
一つ
。それからいま言ったように、本年は一般会計からの繰り
入れ
ばゼロである、なぜゼロであったかということ。昨年の一般会計繰り
入れ
の際の初めの経過も私
ども
あるわけでありまして、この
二つ
、まず第一に伺いたい。 それから第二の点は、この予算の詳細を検討さしていただきますと、石炭特別会計というものが一体何をねらいとしているのか、意味がわからなくなってくる。それは昨年の五百二十一億円に対して、新年度の五百九十六億円、表面上におきましては七十億円を上回る程度の予算増加とこうなるわけであります。ところが、
現実
にその予算を使用する段階になって各項目を拾ってみますると、
石炭産業
というものと取り組んで、これを前向きに
石炭産業
の
——
これは企業も含めてでありますが、施策を講ずるということにはほど遠い内容である。なぜかと言えば、この中で前向きのものと考えられるのは、抗道掘進に対する補助金が十三億円と合理化事業団に対する出資金が八千万円、これしかない。
あと
は全部これは消極的なというか、
石炭産業
が撤退した場合にどうするかという金の使い方であります。たとえば大きなものを拾ってみますと、鉄鋼と電力に対する増加引き取り交付金が、昨年の四十億に対してことしは八十億で倍に伸びている。しかしこれは、
石炭産業
それ自身にどれほどの直接的なプラスになるかというと、非常に大きな疑問とするところであります。これが第一点。第二は、鉱害が十四億六千万円ふえている、これが一体
石炭産業
の前向きな予算であるかどうかということはまことに疑わしい。産炭地振興二億四千万円、それから事務費が八億円、合わせて六十五億円、このようにふえる部分の八割から九割というものは
石炭産業
それ自身の直接的な予算としての効果をあらわさないものなんですね。こんなことで一体石炭特別会計とはたして言えるのかどうかという問題であります。私
ども
は、少なくとも石炭特別会計というものを設置したその目的の最大のものは、付随的にはそれは産炭地振興であり、鉱害なりというものがあるかもしれないが、
石炭産業
、それをさらに分解していけば石炭の個別の企業、あるいは働く人々、こういうものにどうやって施策を充実さしていくかということにあると考えておりますが、いま言ったように、まことに本旨とははずれた結果になっているということが第二点、この面のお答えをいただきたい。 それから第三点は、昨年の四十二年度の予算編成の際には、事務費というのは一億何がししがなかったのでありまするが、今度は九億一千万円になった。八億円ふえた。事務費が八億円なぜふえたのかと思ってこの特別会計の予算書を拾って見たところが、全部人件費、その人件費は一体何が入っているかというと、石炭局、それから
保安局
もこれは入っているのじゃないかと思うのでありまするが、そのようにして従来
通産省
の人件費として扱われたものがそっくりそのまま特別会計の中に
入れ
られている。そこで八億円もふえてくるのですね。こういうことではたしていいのかどうかということですよ。なるほど、ほかの特別会計を調べて見れば、人件費を出している特別会計もありますよ。しかし、この特別会計というのは、特定の財源に基づいて特定の目的のために使う特別会計ですよ。必要によって必要なだけ予算編成をするというものではなくして、もう一般会計から繰り
入れ
がないといたしますと、結局関税収入しかない。その限定されたワクの中での政策であり、予算
措置
なんだから、そこへ今度はいままでないものを持ってきて
入れ
て、それが政策であるならいいですよ、新しい石炭政策ならいいけれ
ども
、
通産省
の人件費を持ってきてここへ
入れ
るなんということは、他の特別会計でたとえそういう人件費を出しているといたしましても、私はこれは全く理屈に合わぬことである、こう思うのであります。したがって、これはどれも
関係
のある問題でありまするが、以上の三点についてお答えをまとめてひとついただきたいと思います。
中川理一郎
43
○
政府委員
(
中川理一郎
君) 今回の予算案でございまするが、最初に関税収入の見方についての御質問であったかと思います。私
ども
のほうの当初大蔵省に対する要求案といたしましては六百五十四億円という、これは全くの原重油関税収入でそれだけあるだろうということで要求をいたしておったのでございますが、この中には原重油の消費ベースでの伸びの上に、昨年の油の入手難というような問題が出ておりましたことにかんがみまして、備蓄用の油を持つという考え方が出ておりまして、それが通常の消費ベースよりも相当ふえるんではなかろうか、備蓄用原重油というものを念頭に置いて通常の伸び率よりも大きいものを考えておったわけでございます。その額がおそらく通常在来ベースでの伸びで見ますと、六百億前後とこう考えておりまして、備蓄用で少しふえるかと、こういう感じを持っておったわけでございますが、その後の情勢を見ますと、なかなか備蓄用としての原重油を持つということの、貯油槽の建設
準備
というようなこと、いろいろ実際問題として考えますと、なかなか四十三年度内にさほど大きいものができるという見込みが立たない。いずれにしましても非常に不安定な要素であるということで、総額大体六百億円前後という見当を私のほうと大蔵省のほうとで話を詰めた。それをワク組みといたしまして話を進めてきたわけでございます。 それから四十二年度の関税収入につきましては、年度当初に考えておりました四百七十四億円に対しまして、相当やはり超過が出てまいりますので、これは昨年末に補正予算をお認め願いましたときに収入見込みを改定いたしまして、四十一億円補正財源としてプラスをしたわけでございます。したがいまして、四十二年度締めて見ないとわかりませんけれ
ども
、そう大きな変動はなかろう。若干のものがやはりこの種の見方の性質といたしまして、若干は手がたく、かために押えておりますので、幾らかのものはふえるかと思われますが、そう大きな額には四十二年度はならないのではなかろうか。四十三年度につきましては、年初に想定しております六百億前後というものが、これはオーダーで少し違い得ることは可能性としてはございます。これは特別会計の仕組みとしましては、歳入としては入ってくる、つまり支出権のない歳入として上がる、こういう形でございます。予算項目を設定しておりますので、この項目以上のものは、収入がございましても、特別会計の収入としては入ってまいりますけれ
ども
、歳出権を伴なわない、こういう形になっております。
大矢正
44
○
大矢正
君 次年度どうなる。
中川理一郎
45
○
政府委員
(
中川理一郎
君) 四十二年度での超過分につきましては、これは四十三年度で受け
入れ
る仕組みに相なっているのでございますので、そこで歳出権のない歳入として入ってくる、こういうことだと思います。 それから一般会計からの繰り
入れ
でございますが、四十二年度は御指摘のとおり四十六億円一般会計から特別会計へ組み
入れ
まして、四十二年度予算をおつくり願ったわけでございますが、今回は一般会計での財源難というような問題が非常に緊迫した形で出てまいりました。片方原重油関税収入も、まあ固めに見ても六百億程度はあるという感じでございましたので、今回の総体的な財政
状況
から見て、一般会計からの繰り
入れ
ということは期待できないという考え方でこのような案にまとめたわけでございます。 もう
一つ
御指摘がございましたように、これとは逆に、四十二年度まで一般会計の負担に相なっておりました石炭局、
鉱山
保安局
関係
の人件費を中心にした事務費が、今回は特別会計の負担ということで、約在来に比べまして八億円ふえておるわけでございます。これにつきましては、
大矢
先生御指摘のような特別会計設定のときの議論等いろいろございまして、最終的には大臣の折衝にも持ち込むというようなことで、いろいろ努力をしたのではございますけれ
ども
、先ほど申しました繰り
入れ
期待ができないという事態について申しました一般財政事情というものと同じ感触で、今回はやむを得ないのではなかろうかということに判断をいたしたわけでございます。これはただし大蔵案よりはさらに一般会計に残す分を、
最後
お話しをいたしまして、一億円ばかりまた一般会計へ戻すというようなことをやっております。 それから全体として特別会計の趣旨に照らして
石炭産業
の安定というような面での予算項目の額が少ないではないか、どちらかといえば鉱害であるとか産炭地だとかいう、いわばアフターケア式な予算が多いではないか、あるいは電力、鉄鋼に対する増加引き取り交付金のようなものが大きな額を占めているではないか、前向きなものとしては
坑道
掘進補助が若干ふえたのと、合理化事業団に対する出資金がごくわずかふえただけではないかという御意見でございます。これは私
ども
といたしましても、その五百九十六億円余の中で、いまの一般情勢、客観情勢をふまえまして、どこまで
石炭産業
の安定に資する前向き項目をいささ
かなり
ともふやせないかというところが、先生の御批判にもございましたけれ
ども
、実は私
ども
としても折衝に
あたり
ましての最大関心事でございます。結果、必ずしも御満足を得ないことであろうかとは思いますけれ
ども
、一般的に、たとえば
坑道
掘進の補助で申しますと、私
ども
は最終での話といたしましては、できれば補助率の引き上げというような形で掘進の強化をはかりたいということで折衝を進めたわけでございますが、今回の予算につきましては、
政府
全体として補助率を引き上げるとか、あるいは新たな補助項目を起こすというようなことについては例外なくやらないんだという非常に強い壁がございます。そこで、ここで若干のものがふえておりますのは、実体的に補助率引き上げになるようなことを考えるということで、単位当たりの価格で実情に合わないものを引き上げる、あるいは六カ月未満の
坑道
は従来一般
坑道
の中で掘進補助の対象にしていない、こういうものを新たに補助対象に引き上げるというようなことで、この面で私
ども
なりの努力をいたしまして、掘進費補助金をふやしたわけでございます。 なお、合理化事業団出資金は、総額としてはわずかな増加でございますが、御承知のようにこれは融資という形で回転をいたしておりますので、お手元にお配りしたかと思いますが、それぞれの貸し付け規模で見ますと、前年度よりは相当ふやしておるのでございます。ことに、先ほど申しましたような補助率引き上げ、あるいは新たな補助項目を認めないという一般ルールにさからわない範囲内におきまして、この表で申しますと、石炭坑の近代化資金といったようなものにつきましては、従来の融資比率四〇%というのを五〇%に上げる、新坑開発並みに上げるというような、若干目立ない努力をいたしたわけでございまして、無利子の融資でございますし、
石炭産業
全体がいま資金繰りに困っておるという
状況
から見ますと、これらの融資比率の引き上げは実質的には
かなり
きくのではないかと私
ども
は考えておるわけでございます。 以上申しましたようなことでございまして、いま置かれております
石炭産業
の
状況
から見まして、先生方の御満足を得られない、不十分であるという御感触もあろうかと存じますが、財政全体の
状況
、あるいは
石炭産業
を今後どのように考えていくかという上につきまして、
かなり
流動的な事態もございますので、四十二年度予算の考え方の延長の上に立ってアフターケアをするという仕組みで取り組みました予算といたしましては、私としてもこの程度のことで満足をすべきではなかろうかと考えておるわけでございます。
光村甚助
46
○
委員長
(
光村甚助
君) 他に御
発言
もなければ、この程度にとどめます。
—————————————
光村甚助
47
○
委員長
(
光村甚助
君) この際、
委員派遣
に関する件についておはかりいたします。 石炭
対策等
に関する
調査
のため必要が生じた場合の
委員派遣
につきましては、これをすべて
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
光村甚助
48
○
委員長
(
光村甚助
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十分散会