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1968-05-23 第58回国会 参議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     藤原 道子君      浅井  亨君     矢追 秀彦君  五月二十三日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     竹田 現照君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君     委 員                 近藤英一郎君                 豊田 雅孝君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君                 瀬谷 英行君                 竹田 現照君                 藤原 道子君                 椿  繁夫君                 矢追 秀彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        通商産業大臣   椎名悦三郎君        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     馬場 豊彦君        経済企画庁調整        局長       赤澤 璋一君        外務政務次官   藏内 修治君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省貿易        振興局長     原田  明君        通商産業省化学        工業局長     吉光  久君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    綾田 文義君        農林省農地局管        理部長      中野 和仁君        運輸省自動車局        参事官      岡田 茂秀君        労働省労働基準        局監督課長    藤繩 正勝君        建設省河川局次        長        多治見高雄君        建設省道路局地        方道課長     中野 孝行君    参考人        北海道地下資源        開発株式会社取        締役       矢島鋼次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○砂利採取法案内閣提出衆議院送付) ○北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○海外経済協力基金法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、浅井亨君、竹田現照君が辞任され、その補欠として矢追秀彦君、藤原道子君が選任せられました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付砂利採取法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 藤原道子

    藤原道子君 質問に入ります前に、まずお断わりしておきますが、私この問題はしろうとでございますから、適当に御答弁を願いたい。適当に責任のあるところで、一々指名はいたしませんので、よろしくお願いしたいと思います。私は、すでに今日まで回を重ねて御質疑がございましたので、あるいは重複するかもわかりませんけれども、法律をつくる以上は、生きた法律にしてほしい、法律は必ず守られるような法律にしてほしいということをいつも念願しておりますので、そういう点からお伺いしてみたいと思うのであります。  砂利採取業者の、通産省から出されました資料を見ますと、従業員数が一人から五人、これが三〇%を占めております。十人以下の業者が六五・七%、こういう数字がここにあらわれているのでございます。ところが今度の法案を見ますと、事務所には必ず砂利採取業務主任者を置かなければならない。こういうふうに規定されておりますが、一人から五人ぐらいの業者で、そういうことが可能でございましょうか。どういう方法でお置きになるということを義務づけられるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  5. 吉光久

    政府委員吉光久君) お話しのように砂利採取業界は非常に零細企業が多いわけでございます。いまの砂利業務主任者でございますけれども、現行砂利採取法におきましても、業務主任者を設けることが義務づけられておるわけでございまして、業務主任者制度は、現行砂利採取法にもあるわけでございますが、ただ、いままでの業務主任者につきましては、資格制限が全然なかったわけでございます。業務主任者というものは必ず置くことになっておりますけれども、資格制限がなかったわけでございます。したがいまして、今回御提案申し上げております改正法におきましては、その業務主任者についての資格を定めるというところに重点を置くいておるわけでございます。したがいまして、人員の充足という点につきましては、十分確保する可能性があるというふうに考えております。
  6. 藤原道子

    藤原道子君 従来も置くことになっておる。それが従来守られてきたかどうか。それからこの第六条を見ますと、「砂利採取業務主任着試験」、式験制度が取り上げられた。その合格した者でなければ主任着にはなれないわけでございますが、その試験というものはどういう方法でおやりになるのか、どういう試験科目ですか。あるいはどこでどうしておやりになるかということを聞かしていただきます。
  7. 吉光久

    政府委員吉光久君) 先ほど申し上げましたように、従来は資格制限のないままで主任者が置かれる、こういうことになっておったわけでございます。したがいまして、今度は資格制限されます関係上、どうしてもやはり国家試験あるいは国家試験にかわるべき認定制度というふうなものに合格した者でなければ主任者になれない、また、その主任者を持っておりませんと砂利採取業が営めない、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、これの資格制限することにいたしましたのは、やはり砂利採取業に伴って起こってまいります災害が非常に多いという現実に着目いたしまして、少なくともその起こってくる災害を未然に防止するためには、その災害防止についての少なくとも一般的な知識というものを持っておる人がその事業場にあることが望ましいというふうな考え方からこれを義務づけたわけでございます。ただ、一挙にこれを高尚な技術水準まで高めますことは、これは現実の実態とちょっと差が出てまいる、そういう点から主任者制度を採用いたしましても、主任者資格を得る人がないというふうなことになりましたのでは、これはまた法律の運営上そごしてまいるということになると考えられますので、当面の措置といたしましては、この資格試験内容でございますけれども、一般的な知識におきましては最近の新制高校を卒業した程度の人でけっこうでございますということでございまして、同時に、その新制高校を卒業いたしまして実際にこういう業務に対する——たとえは従前のような業務主任者的な地位と申しますか、そういうふうな地位で大体五年以上経験しておればこのぐらいのことはわかるであろうというふうなことを中心にして試験をいたしたいと思っておるわけでございまして、まず第一は、この砂利災害等関連いたします関連法律基礎的知識と申しますか、これは砂利採取法のみならず採石法、あるいはまた河川法その他いろいろの関連法規があるわけでございますけれども、そこらの基礎的な知識は必ず持っておいていただく、それから第二番目といたしまして、特に土木工学に関する基礎的な知識というのが一番重要かと思うわけでございますけれども、そういう問題についての基礎知識、そしてさらに具体的に洗浄汚濁水処理、あるいはまた実際掘進いたします場合の掘進方法だとかいうふうな基礎的な知識があるわけでありまして、こういうふうな基礎的知識中心にして試験問題を作成いたしたいというふうに考えておるわけでございます。この問題の作成にあたりましては、特にこの法律の施行が通産省建設省、両方にかかっておりますので、建設省のほうともよく御相談いたしました上で、いま申し上げましたようなことを基準にいたしまして試験内容考えてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  8. 藤原道子

    藤原道子君 そこが非常に私心配なのです。それと同時に、これと「同等以上の知識及び技能を有すると都道府県知事認定した者」と規定されております。これがいまあなたの言われた五年以上業務に従事した者、これは無試験資格が与えられるわけですか。
  9. 吉光久

    政府委員吉光久君) 各都道府県知事認定をしまして、認定を受けた人は、試験に合格した人と同じ資格を獲得するわけでございます。したがいまして、各都道府県でそれぞれの認定基準がまちまちになるということがあっては困る問題でございますので、全国統一的な認定基準をつくりまして、各都道府県知事のほうにその基準を明示する予定にいたしております。
  10. 藤原道子

    藤原道子君 私があえて専門でもない当委員会へ来て御質問申し上げますのは、最近非常に砂利採取、これの運搬等による被害があまりに多過ぎるから、産業に協力せよといわれても、国民の命さえ保障されないようないまの横行ぶりを黙視するに忍びないからです。結局法律がいまできようとしておりますけれども、これはたいへんけっこうです。かえっておそきに失したと思いますが、特に最近どうしても心配でならないのは、法律が全然無視されておるということなのです。しかも最近になりましては、河川から採取する砂利が非常に減りまして、事件発生件数等を見ましても、前回の三十六年から四十年までですが、この調査によると、災害の七八%が河川砂利。ところが、今回これが急速に減って八・八%に減少しております。ところが、山砂利陸砂利採取に伴う災害は一六%から八八・二%というふうに激増している。これらに対しまして、よほどしっかりした対策を立てておかなければ災害は防ぎ得ない、こう思うのです。ことに山砂利陸砂利採取は多額の設備投資が要るわけでございます。ところが業者を見ますと、非常に零細な業者が多い。たとえば従業員数の五十人までがここに統計に出ておるのですけれども、六五・七%は従業員十人以下なんです。それで、今後川砂利はどうしてももう枯渇してまいりますから、こういう陸、山、これに移行してまいることは明らかです。そういうときに膨大な設備投資が必要でございますが、これらに対しましては、融資とかなんとかの道でおやりになるのか、小規模は切り捨てて大企業移行のお考えでこういうことをしておいでになるのか、これをひとつ伺いたいのです。
  11. 吉光久

    政府委員吉光久君) ほんとうに零細企業が非常に多いわけでございまして、したがいまして第一にやるべき仕事といたしましては、やはりこの零細企業者組織化してまいるということが一番必要な問題であろうというふうに考えているわけでございまして、現実にそれぞれの都道府県等地域的実情に応じまして協業組合あるいは協同組合という方式でだんだんと組織化を進めつつあるわけでございます。こういう組織化を前提にいたしまして、現在資金的な助成の面といたしましては、近代化資金助成法の中で、運搬機械でございますとか、あるいは破砕装置でございますとか、そういうふうなものを融資対象にいたしまして特別の融資をいたしているわけでございます。ただ、今回のような災害防止観点から、いろいろの災害防止施設をつくるというふうなことになりますと、こういう生産施設だけの融資だけでは足りませんので、したがいまして、すみやかに本件中に、この災害防止に必要な、たとえば沈澱池というふうなものをつくるということ、そういう沈澱池等につきましても、この近代化資金助成法対象に取り入れたいということで現在努力いたしているところでございます。
  12. 藤原道子

    藤原道子君 私は過日千葉県の君津郡久留井というのですか、あちらのほうに参りまして見ますと、盛んに山をくずして砂利を取っている。ところが、それを洗うのですね、一度掘ったのを。この洗った水の流し場所がまず私は心配です。きれいな川へどんどん流しておりますね。それから洗う場所が決壊して大きな災害を起こしたことがございます。これらに対してこれは通産省建設省と共管ですか、通産省責任ですか——通産省のよほどの決意がなければ……。あのでかい山をくずしちゃってそれを洗って砂利と泥を分ける、その泥の処理、それから洗った水を流す、その方法はどう考えていますか。あのきたない水をどんどん流されたのでは、これ以上公害が増すと思うと、ぞっとするような所を見てまいりました。しかも話を聞くと、そこはこの前たいへん災害が起こった所だということを聞きましたが、これらに対する対策をどのように考えておりますか。
  13. 吉光久

    政府委員吉光久君) お話しのとおりでございまして、現在の砂利採取法におきましては、洗浄汚濁水に対する手当ての規定がないわけでございます。したがいまして、事実上の問題といたしましては、行政指導措置によってそこら汚濁水を貯水いたします施設をつくるというふうなことをやっているわけでございます。今回御提案申し上げております改正法案におきましては、その関係をはっきりさせるために、洗浄汚濁、要するに、砂利洗浄による公害と申しますか災害と申しますか、そういうものもこの新しい採取法適用対象にいたしまして、したがって汚濁水問題を含めましてこの法律が施行できる、こういうふうに改正を御提案申し上げておるわけでございます。  ただ、この汚濁水問題というものは、非常にむずかしいいろいろの要素を含んでおります。したがいまして、この法の運用にあたりましては、先ほど御指摘ございましたように、一つは、まず汚濁水を直接じかに流すというところに問題があるわけでございますので、まず貯水槽をつくらせる、要するに、汚濁水をためる池をまずつくらせる。と同時に、この池の構造が実は問題でございまして、先ほどお話しございましたように、千葉県におきましてもこの池が決壊いたしました。それからまた、京都の城陽町におきましても集中豪雨の際にこの池から水があふれ出るというふうな事故を起こしておるわけでございます。したがいまして、この新しい法案ができました場合には、それぞれの作業場ごと採取計画認可するというふうなことになっておりますので、この採取計画認可のときに、現地の事情に最も合った形でのそういう汚濁水貯水池というようなもの、あるいは土堰堤等の設置につきまして、十分に慎重に配慮しながら、計画を監視してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  14. 藤原道子

    藤原道子君 私は非常にそれ不安なんです。ことに河川砂利は将来少なくなって、砂利の輸入さえ通産省では考えているんでしょう。河川が枯渇すれば、ほとんどが今度陸上へくるわけですね。それで、最近の、よほど厳重に計画をしてつくるといわれるけれども、今度の地震を見ましても、新しく建てた学校の鉄筋がくずれる、新しくやった突堤が破壊される、こういうことが枚挙にいとまないのですね。ことに、この汚濁水貯水池というものは、相当なあれが要ると思うのですね。という場合に、その工法に対しては、特に気をつけていただかなければならないということは、私はこの間行って見て来て、心からきょうは訴えておきたいと思う。もう災害が起こってから、あと回しあと回しでしょう、いままでの態度は。もう法律ができても、よほどそれに対する知識のある人を配属するとか、監督をする人が足りないでしょう、いま。いま監督をしている人たちは、何人、どのくらいあるのですか、通産省で。
  15. 吉光久

    政府委員吉光久君) 現行砂利採取法のたてまえといたしまして、監督体制が非常に複雑になっておるわけでございます。一つは、いまお話がございましたような山砂利陸砂利等につきましては、主として通産局がこれを担当いたしておるわけでございますけれども、先ほど複雑と申し上げましたのは、監督命令の及ぶ範囲と申しますか、これが通産局長のやる場合が限定されておりまして、その土地等がたとえば河川等であれば、これは河川管理者でございますとか、あるいは森林で保安林等でございますと林野庁でございますとか、それぞれのその土地等のうちから砂利を掘採することについて行為の規制が行なわれております場合に、それぞれの主務法があります場合にはそちらのほうで監督をする、こういうたてまえになっておりまして、したがいまして、そういうところから監督不行き届きという問題、あるいは災害防止についての統一的な基準というものがなかなかできにくいというふうな側面があったわけでございまして、したがいまして、いま御指摘いただきましたような懸念が多分にあるわけでございます。したがいまして、今回のこの法案におきましては、すべて窓口都道府県知事河川管理者ということで、砂利災害防止観点からは、すべての問題を都道府県知事河川管理者というふうに窓口を一本化いたしたわけでございます。で、現在非常に残念なことでございますけれども、御指摘いただきましたような問題が多いだけに、したがいまして、組織的に大改正をやりまして、この監督のほうに遺憾なきを期してまいりたいということで、法律制度組織から実は変えてかかったわけでございます。
  16. 藤原道子

    藤原道子君 大臣にひとつ、この点重大でございますから、御答弁をいただきたい。いまどこへ行っても何をしても、なわ張り争いというのでしょうか、なかなか複雑になって、それでこちらに行けば何とか逃げる、こちらに行けばまた弁明するというようなことで、非常に迷惑いたしております。ことに今後、近代建設等産業近代化に伴いましてこの問題は非常に重要になってくると思うのです。そういう場合に、いまの御答弁でも非常に不安な点はあると言っていらっしゃる。これに対して大臣は、しっかりと監督の強化、特にこれに対する権限統一、こういうことについてお考えがございますか。
  17. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま局長から申し上げたように、いろいろ権限が分かれておりまして、その煩にたえなかったわけでありますが、こういうことをまず統一する意味において窓口都道府県知事に一本化しまして、そして都道府県の下に市町村がありますが、その系統に一本化しまして、そうしてもう他の窓口を訪れる必要はない、すべてそこへ行けば、いろいろな中央官庁権限が分かれておっても、その末端の窓口はもう統一されておりますから、あちこちする必要はない、こういうふうにまず統一をいたしまして、従来の繁雑な手続を省いて簡素にしたようなわけであります。
  18. 藤原道子

    藤原道子君 その点、私はまことに不安でございますので、必ずそれが達成できる確信をもってひとつやっていただかなければ困ります。  そこで、第十九条に「砂利採取が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、又は他の産業利益を損じ、公共福祉に反すると認めるときは、認可をしてはならない。」と、こうなっておる。そこで、これはどの程度のことを規定しておいでになるのか。「公共福祉に反する」公共とはどういうものを指しておいでになるのか。「他の産業利益を損じ」、これらもいろいろふくそうした問題も起こると思いますが、その解釈を明らかにしてほしいと思います。
  19. 吉光久

    政府委員吉光久君) 砂利の掘採に伴いまして起こる災害態様は多種多様でございます。先ほどお話が出ておりましたような、たとえば沈澱池が決壊してしまうとか、あるいはまた深掘り等によりまして地下水が枯渇いたしまして、周辺の農業、林業等に影響を及ぼす場合には、あるいはまた先ほどお話ございましたですが、汚濁水河川に流れ込み、水産業がそのために参ってしまうというふうな場合でございますとか、あるいはまた砂利採取いたしますそのときに、隣の農地との関係についての調整が行なわれていないばっかしに農地冠泥冠水等を起こす問題、あるいはまた農地のほうの土地が崩壊する問題、あるいはまた砂利を掘りまして深掘りしましたあと全然埋め戻しもしないままで掘りっぱなしというふうなことのために、そこへ子供が落っこちて死んでしまうというふうな、そういう事故まで起きておるわけでございます。したがいまして、現に起こっております各種災害公害等態様に適用できるようにという意味でこの基準を設けたわけでございますけれども、何分にもこの法律の条文で一本に書きました関係上、非常に抽象的な表現になっております。したがいまして、いま申し上げましたような各種態様に応じました具体的な事例というものにつきまして統一基準をつくってこの運用がそれぞれの都道府県等でまちまちにならないようにやってまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  20. 藤原道子

    藤原道子君 そこなんです。業者は埋め戻しなんかはもうからないといってなかなかやってない。そのために、いつぞやは和歌山県でしたか、川で自分たち採取した前の穴の中ヘトラックごと落っこっちゃって運転手が死んだ事件がある。水泳中深みにはまって子供が死ぬという例は毎年起こっているわけです。ところがなかなかこれが励行されない。現に静岡県の富士川の下流におきましても、整地するには金がかかる、もうからないからやれない。だからこっちでもうけて、それで穴を将来は埋めていきます。こういうことを堂々と言っているのですね。それで無認可のところをどんどん掘っている例もあるのです。ところが今度の法律ができれば、そういうことは規制できると、こらおっしゃるけれども、法律だけではなかなかむずかしい。その法律が必ず励行されなきゃならないけれども、「採取停止すべきことを命ずることができる」というので、ちょっとまあ私たちが見ると弱いと思うのですがね。
  21. 吉光久

    政府委員吉光久君) 砂利災害が発生し、あるいはまた発生しようとしておる、そういうことが明らかで、このままほうっておいたのではあぶない。これはその場合にいろいろの命令を発動いたすわけでございますけれども、工事が終わるまでは待てないようなそういう事態もあるわけでございますので、そういう工事が終わるまで待てない場合におきましては、やはり事業を一時停止してもらうということが必要になってまいると思うわけでございます。したがいまして、ここに停止を命ずることができるということで、やってもやらないでもいいというふうな感じの文章のようでございますけれども、実はそういう意味でこれは御提案を申し上げておるわけではないわけでございまして、それにふさわしい事態が生じたときにはやはりこれは事業停止命令という措置をとるべきものでございまして、これは事業停止命令を出す権能を行政官のほうに与えた根拠規定でございまして、この発動にあたりましては、いま御指摘ございましたようなことを十分に頭に置いて処理してまいりたいと、こう考えるわけでございます。
  22. 藤原道子

    藤原道子君 私は、砂利採取に伴う危険というようなことに対して、砂利採取を規制するだけで公害を防ぐことはできない。掘ったものを運ばなきゃなりません。運搬上における非常に被害が相次いで起こっていることは御案内のとおりだと思うのです。そこで、通産省は、どんどんどんどん掘るほうばかりをやられる。運搬はどこがやるのですか、運輸省ですか。これがよほど連絡をつけてやってもらわなきゃならない。掘るほうだけは通産省建設省が何をやる、運輸省がこれをやるというような個々ばらばらでは、この法律の効果はあがらないと思うのです。いま一番国民が悲鳴をあげておりますのは砂利トラさんによる被害、これもまた大きいのでございます。そこでお伺いしたいのでございますが、ダンプが狭いところへどんどん入っておりますね。こういう場合に道交法では大型ダンプの入る道幅、これの規制があるはずでございますが、それは幾らになっておりますか。
  23. 綾田文義

    説明員(綾田文義君) 道路交通法におきましては、公安委員会は交通の危険その他があるときには通行の禁止制限ができるという規定だけでございまして、警察庁におきましては四十年の暮れに御承知のように愛知県で猿投町の大事件が起こりまして、それ以来、実はこのダンプにつきまして規制の方針をいたしております。すなわち四十一年の十一月に全国の警察に対して、住宅街等における大型自動車の事故防止の推進ということで、要点を申し上げますと国道その他主要幹線道路を除いて、市街地道路のうち歩車道の区別のない大体幅員の六・五メートル未満のところで、幼児、学童の通学通園路それからあるいは通勤路その他繁華街等については、公安委員会によってこのダンプカーの規制をするようにという方針を出しております。  全国の状況を見てみますと、これは昨年の上半期でございますが、約二千カ所につきまして、こういう特に学童通学通園路の規制がまず最初重点にあがったわけでございますけれども、大型ダンプカー等の交通規制を実施いたしております。
  24. 藤原道子

    藤原道子君 ダンプカーの場合には六・五メートル。それから普通車、両サイド五十センチ以上なければいけないというふうになっていると承知しているんでございますが、これが励行されているとお考えですか。
  25. 綾田文義

    説明員(綾田文義君) この規制につきましては、一方には交通の危険その他で規制をする要請があるし、また地元民その他いろいろ利害関係者がおるわけでございます。したがいまして警察としましては、そういうあらゆる各方面の意見を聞きまして、そうして最終的に公安委員会において方針をきめて規制をするということになっておりますので、規制が励行されておるかどうかということにつきましては、私はそれぞれ各都道府県の公安委員会において適切に行なわれていると思いますけれども、まだ必ずしも十分でなく、さらにこの規制を行なうべきところもまだ残っておるというふうにも思います。
  26. 藤原道子

    藤原道子君 これはね、励行されておれば被害は少くて済む。私はもう少しこういう法律を行なうときに、国民の立場に立って考えてほしいと思う。これは静岡県でございますが、富士川の下流をこれは建設省ですけれどもことしの四月一日から規制をした。禁止をした。乱掘で橋脚が浮いてきたというので四月一日に禁止をした。ところが砂利の需要は増大するばかり。しかもあそこの田子ノ浦港へ山梨県側から、富士川の上流ですね、ここから砂利を掘ったのを載せて、田子ノ浦港へどんどんどんどん運ばれてくるわけです。最近におきましては、二間幅県道なんです、あそこを一日三千台以上、往復すれば六千台くらいのダンプが激しく行きかっておるわけです。地元は町長に対しお願いをする。町長から県にお願いする。けれども一向に改まらない。そのために二間幅道路でございますが、その横に水路がある。田んぼに水を引く水路が。私がちょっと見たところでは、二間幅というけれども、それよりももうちょっと広いようになりました。ダンプが行きかうことによって、水路がつぶされてしまう。そこも道路になっておるわけです。お百姓が幾らかさ上げをしても、もう一日たてばそこがつぶれてしまう。ことしは二十町歩くらいの田んぼは田植えができない。幾らお願いしてもやってくれない。二間幅道路にダンプがそれだけ入るということは、想像もできないのでありますけれども、突然建設省が禁止された。砂利は運ばなければならないというようなことで、すさまじいもの、そこで学童が学校へ通えない。それで何といいましょうか、町からジープを出す。そこにバスがあったのでございますが、ところがダンプがあまり通るものでございますから、時間がかかるので、バスは運行をやめてしまったのです。さあしかたがない、学校へやることができない。こういうことで、地元の町長と話し合いまして、町のジープを登校時、朝だけ出してもらう。ジープで学校へ運んでおる。帰りは各学年によって時間がいろいろまちまちでございますから、ジープを出してもらえない。そこで帰りは危険をおかして、小学校、中学校の子供は、そのダンプがほんとうに身動きのできないところを行きかう中を通学している。これは幾らお願いしても、警察は言ってくれるけれども、一向にダンプが聞かないのでしかたがない、こういう状態なんです。しかもトラックに玉砂利だとか砂利を積んだ場合には、上におおいをしなければならぬということになっているのです。これは建設省ですか、警察ですか、ところが上にシートをかける、それをしてないものですから、子供がけがをしたり自動車のガラスがこわされたり、たんぼへ石がどんどん飛び込んできちゃって、あぶなくて、たんぼの作業もできないというような状態にありますから、こういう場合には警察へお願いしても、町から県へお願いしても一向に進まない、警察で言ってもダンプの人は聞いてくれない、こういう場合には一体どうしたらよろしいのですか。重大な国民の福祉が阻害されていると思うのですが、こういう場合にはどうしたらいいのですか。
  27. 綾田文義

    説明員(綾田文義君) ただいま先生のお話しの荒川町の町内の状況につきましては、私も新聞等で拝見いたしまして、住民の方には非常にお気の毒な状態だと思います。警察といたしましては、静岡県警と山梨県警と連絡をいたしまして、御承知のように、まず、学童、学園児の通学路のために朝の六時半から八時までだと思いますが、一部の一方通行を、道は二つございますけれども、これは禁止をいたしております。すなわち、からの車はのぼってもいいが、その時間帯には砂を積んだ車は下ってはいけない、下がって田子ノ浦港へ行ってはいけないという規制を応急的にやっているわけでございますが、さらに目下静岡県警と山梨県警とが連絡をとりまして、恒久的な公安委員会の規制を行なうということで検討いたしております。ただ、山梨県の場合は、山中でほとんど通行禁止をしてもそう問題ないのでございますけれども、荒川町の場合には通行禁止をした場合には、ほかに迂回路がございませんので、非常にむずかしい。それにつきましては、建設その他でダンプ専用道路その他の建設の問題があるようでございますが、警察といたしましては、そういう問題につきましては、まあできるだけ警察の立場からは、やっているつもりでございます。  それから積み荷、水漏れ、その他のお話でございますけれども、これは御承知のように道路交通法に基づいて公安委員会が規則をきめるということになっております。大体全国の中でたしか二十五、六の県はそういう公安委員会規定を置いておるわけでございますが、静岡県の場合もありますけれども、シートをかぶせなければならないというふうな直接の規定はなくて、これは現場の行政指導でやっておるわけでございます。ただ荷物を運ぶ場合には、そういうものを飛ばしたりしてはいけないという規定だけでございますが、さらにシートもかぶせなければいかぬという規定も今度置くように、静岡の場合だけでございますけれども、そういう指導をいたしたいというふうに考えております。
  28. 藤原道子

    藤原道子君 その朝の時間帯にはそこを通ってはいけないということにした、いつごろしたのですか。
  29. 綾田文義

    説明員(綾田文義君) 五月十四日から、午前六時半から八時までの間、上りからの車、すなわち上りの車は通ってはいけないということになって、いまは下りの荷物を積んだ分でございますね、そういう規制を実施いたしております。
  30. 藤原道子

    藤原道子君 だからいやなんです、私は。この問題は私が国会で取り上げますよと、こういうことを言ってきたのです。私が調査に参りましたのは、たしか五月六日だと思う。そこまで言わなければやってくれないというその官僚のあり方が私はしゃくにさわる。いまは励行しているのでしょうね。迂回道路がないとおっしゃいますけれども、あそこ約二キロ行きますと国道があるのです。あれは興津−直江津線というのが、国道五十何号線……ここにちょっと資料持ってくるの忘れたのですけれども、国道があるのです。そこを回ってほしい。せめて、から車だけでもそちらを回ってくれればたいへん助かる。ところがそこを回るには時間がかかる、めんどうくさい、最短距離で行こうということで、住民の生活を脅かしている。いままでそれが幾ら言ってもやってもらえない。これ指導というものはできないものでしょうか。私は、あれだけ騒ぎで、ことしの四月の初めから、どれだけ町から県へも話し、いろいろ警察からも注意し、したけれども聞かれなかった。だから「命ずることができる」というのでは弱いのじゃないかということを私は先ほど質問したのでございますけれども。それから、これは静岡県だけじゃございません。東京なんか見ても、ばらばらばらばら積んだものをこぼしながら走っておりますね。たださえじんかいが多くて公害で困っているのに、ああいうのはあなた方も目につくでしょう。そういうときには現行犯としてでも注意するくらいのきびしい取り扱いをしてもらわなければ、幾ら通産省がこういう法律をつくっても、これ運ぶ場所の問題、これらに大きな原因があると思いますが、これは強く私は申し上げておきますが、たとえ国会議員が国会で取り上げようと取り上げなかろうと、地元から陳情があって、現場を見るに忍びないというときには、そういう措置は率先してやっていただくのが私は行政だと思うのですけれどもいかがでございますか。
  31. 綾田文義

    説明員(綾田文義君) 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう地元民の要望があれば、そうしてそれがほんとうにそうであれば、やっぱり行政としては積極的に行なうべきであると思います。
  32. 藤原道子

    藤原道子君 それから、建設省見えていますね、四月一日に突然禁止したわけですね。禁止はしても砂利はほしいのだから、業者とすればそれはどっかで掘ってくるのはあたりまえだ、だから、そういうときにそれだけの道路がないのだから、輸送等において摩擦が起きるということはわかっていただろうと思うのです。そういう場合に、何というのですか、もう少し早くから業者に話すなり、今後の方針なり、話し合いというあたたかい指導というものはできないものでしょうか。突然禁止になる、それで、浮き上がった橋のところを埋めるのですか、これもまだ十分いっていないので問題になっていますが、やみで掘っているのです、上のほうで。だけれども、ここをならす、整地というのですか、整地するには現金が入らない、だからやみでも何でも掘って、少々文句を言われたって金もうけなければわしら飢えてしまうと、これがまかり通るというところにふしぎなことがあると思うのですが、どういう指導をしているか。今度聞くところによれば、安倍川のほうも禁止するらしい。ということになれば、静岡県は、あそこは何といっても通り道になりますからね、非常な混雑が起こると思うのですけれども、どういう計画をお持ちですか、どういう指導をしておいでになるのでしょうか。
  33. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) お答えいたします。富士川の問題につきましては、いろいろ地元のお話等も伺いまして、ただいま先生のおっしゃるとおり、交通の問題、たいへん大きな問題であるということはわれわれも十分認識しております。ただ、富士川の河川砂利採取の点について申し上げますと、あそこを、下流を採取するのを禁止いたしましたのは、お話のように、四月一日からでございまするが、突然禁止したわけではございませんで、あらかじめ県あるいは業者等、関係方面と十分折衝いたしまして、段階的にこの禁止がスムーズに行なわれるように十分打ち合わせをいたしまして、四月一日から禁止に踏み切ったわけでございまして、当面、富士川で禁止いたしました区間で採取をいたしておりました業者は、そのすぐ上流に多少砂利採取ができるという余裕がございますので、そこで採取させるということで、その場所に逐次採取場所を移していくということで現在その措置が進行中でございます。したがいまして、四月一日から禁止されましたために、突然あの道路の問題が発生したというふうには私としては考えておらないわけでございまして、あの道路の問題は、やはり河川砂利の問題から起きていることはそのとおりでございますが、下流の禁止と直接に結びついているわけでございませんので、砂利の需要がふえているということと、従来あれよりもさらに上流の山梨県のほうで少量採取されておりました砂利が、最近の需要条件その他で非常に価格の問題もございまして、従来よりも急激に大量に採取されるということになって、その結果あそこの交通需要がふえているというふうにわれわれしては現在調査した結果、そういうように考えております。したがいまして、下流の禁止がなければ、ある程度あの問題も現在よりは緩和された形で、あらわれたかと思いますけれども、ただ、禁止をしなくても、やはり現在の砂利の需給の問題から、あの交通問題が起きているというふうに考えております。したがいまして、あすこの道路の問題の解決につきましては、いろいろ先ほどお話がございましたように、バイパスの問題あるいは迂回路の問題等を検討いたしておりまして、できる範囲で逐次やっていくということで目下検討しておりますが、砂利採取を禁止いたします場合には、必ず禁止後の影響等につきましては、十分業者あるいは県当局等とも御相談いたしまして、できるだけスムーズにやるということで実施していくつもりでございます。
  34. 藤原道子

    藤原道子君 突然やったんじゃないとか、あそこをとめたから混雑したわけでもない、こういうようなお答えでございますけれども、私が取り上げたのは、芝川町の内房という日本の僻地なんです。いままでとても静かな、人身事故等は起こり得ないような静かな環境のもとで百姓をやっておる。ところが、あれが禁止になってから、夢にも思わなかった砂利トラさんの横行が激しくなった。そこで、いま申し上げましたような状態になって、二十分で行けた高校——中学までは義務教育ですからジープで運ぶ。しかし、高校生になればジープは乗せてくれない——二十分で行けた学校へ一時間も一時間半もかかって、あれでは何というのですか、オートバイでは通れないのです。こわくて歩いて行かなければならない、こういうことになっている。ですから砂利採取が、砂利の需要量がふえてくれば道路が混雑するのはあたりまえじゃございませんか。その道路の整備状況はどうです。実にでこぼこで、私がどうかなっちゃうかと思うほどひどい。でも砂利トラだからすっ飛ばしていく、それは実際の車だったらとても走れたものじゃございません。そういうところをそのままにしておいて、それで山梨県側から上流で採取いたしますと言うけれども、採取したものは積んでおくのじゃないでしょう。やはり運んでくるのでしょう。運ぶというのは、田子ノ浦港、あそこへみんな集まるわけでしょう。ますます混雑する。それならば道路計画はどうなっているのか。土地へ行ってみたことございますか。とてもひどいものです。建設省一体何をしているのだと、私はこの間思ってまいりましだ。近来大企業が出るところは、まず道路を整備してから企業が進出するというのに、建設の基盤となる砂利、これはもう放置できない問題、どうしても必要なものです。それを運ぶのはわかりきっているのに、道路の建設が後手後手になって、問題が起きてから計画立てるとすれば、二年も三年も、五年もたつでしょうが。あの辺、山梨県から田子ノ浦港へ通ずる道路の整備計画というようなものはあるのですか。ありとすればいつごろでき上がるのですか。
  35. 中野孝行

    説明員中野孝行君) 芝川町内のバイパスについて御説明申し上げます。  かねてこの区間は交通の隘路となっておりまして、県の計画によりまして四十二年度より補助をつけております。四十二年度から着工すべく進めてまいったわけでございますが、当初計画は富士川の左岸護岸沿いにやる計画でございましたが、将来の河川改修の計画とも競合いたしますし、その後、県においてそのルートをいろいろと検討いたしました結果、現在、鉄道に接近しまして川寄りに製紙会社との間にルートを、最終的に昨年の秋ごろやっときまりました。それから用地折衝に入っておりますが、四十二年度は地元の用地買収が全部まとまりませんで、全額繰り越しになっております。四十三年度につきましては、さらに千五百万補助を現在考えておりますが、最近ダンプの車も非常に多くなりましたし、地元も積極的に協力して、現在、用地の折衝に当たっております。これが予算としましては、二千百万、現在、昨年とことしであるわけでございますが、用地の買収が一気に解決しますれば、不足分は県の特別会計で立てかえてでも進めたいと、こういうふうなことで、現在折衝中でございます。今年度中に用地がまとまりますれば、積極的に来年度以降促進する予定でございます。総事業費約二億程度でございます。町の中の一番隘路になっております七百メーターがまず第一期の計画になっております。  なお、暫定的に当面どうするかという問題もございまして、河川敷を利用して、とりあえずダンプ道路を県で計画中でございまして、河川を担当しております甲府工事事務所が、現在ルートについて話し合いがつきまして、県で設計中でございます。これはまとまり次第着工することになると思います。また、橋梁が非常に狭うございまして、芝富橋、窯口橋、内房橋につきましては、今年度交通安全施設の補助対象事業費として、すでに二千九百万、歩道橋の予算を内定、通知済みでございます。これを県で設計がまとまりましたので、近く発注することになると思います。それから、尾崎地区の待避所あるいは舗装については、従来県費をもって整備しておりますが、今年度も引き続いて整備するということになっております。なお、塩出−尾崎線の芝川町内の幅員が狭くて、農地が荒らされているという、こういう問題も最近出ておるようでございますが、四十三年度の予算要求時点においては、こういう問題が出ておりませんでして、県からの要望もございませんでしたので、今後、こういった問題につきましては、県からの要望がありますれば検討した上考慮する、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  36. 藤原道子

    藤原道子君 県から申し出があれば水路についてもやってくれるということですね。
  37. 中野孝行

    説明員中野孝行君) いまの塩出−尾崎線の整備につきましては、四十三年度の予算の要求時点においては県からの要望がございませんでしたので、今年度は考えておりません。今後、こういう問題、起きた問題でございますので、県から来年度以降要望がございますれば検討の上考慮したい、こういうふうに考えております。
  38. 藤原道子

    藤原道子君 この問題は簡単な問題でなくって、あちらへもこちらへも影響があるわけでございます。それで迷惑するのは国民なんでございます。そういう点を私はぜひ大臣考えてもらわなきゃ困る。と同時に、砂利採取に伴いまして、この運搬をいたします砂利トラックの関係ですが、これはトンボ返りでやっておる。非常な強行軍をやっておりますが、このダンプの運転手さん、これに対する待遇はどういうふうになっておるのでしょうか。
  39. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) お答え申し上げます。  最近の交通事故の激増に伴いまして、自動車運転者の労働条件につきまして非常に御関心が高まっておるわけでございまして、私どもといたしましても、ハイタク、トラックあるいはいま御指摘砂利トラ等につきましても従来より相当ピッチを上げまして監督を強化してまいっております。特に、御指摘砂利トラにつきましては、一般のハイタク、トラックも含めまして、自動車運転者の労働条件が他の産業の労働者に比較いたしまして、労働時間、休日等、非常に悪い状態にあるということを私ども問題にいたしておりますが、中でも砂利トラの運転手につきましては、非常に遺憾ながらよくない状態にございます。一昨年、先ほどもお話がありました愛知県の猿投町の事故がありまして、その後、私ども直ちに全国で約六千四百の事業場を当時一斉監督を行ないました。非常に状態が悪いものですから、二百九十カ所ばかりの悪質な事業場を送検いたしたことがございますが、そういう特に悪い事業場について見ますると、労働時間が一日十時間をこえておるであろうというようなものが全体で四六%もあった。これは非常に悪いやつの中でございますが、あった。あるいは一カ月以上休日を与えていないというものが全体の半分近くあった。全体のというのは、その悪質な送検したものの中でございますが、そういう状態でございまして、たいへん悪い状態でございます。そこで、その後も、昨年の春、秋にも一般に交通安全週間に自動車運転者の労働条件の監督をいたしておりますが、その際にもダンプカーを含めまして監督を行なっておりまして、四十二年の春には千六百五十七の事業場、秋には千四百六十一の事業場監督をいたしておる、こういうような状態でございまして、今後とも十分目を光らしていかなければならないというふうに思っております。ただ、問題になりますのは、先生も御承知と思いますが、ダンプの自動車の場合には、いわゆる一人一車、つまり自分で車を持ってやっておるという人が非常に多うございまして、猿投町の事故のあとで、先ほど申し上げました監督を行ないました場合にも、結局、そういうものが非常に多い。したがって、労働基準監督署で出向きましても雇用関係がございませんので、労働基準法に基づく監督ができないという事情がございまして、あのときにも約千の事業場につきましてはどうも道路運送法といいますか、そういった関係に問題があるのじゃないかというふうに私ども思いまして、基準法ではどうにもなりませんので、約千の事業場を陸運局に通報したというようなことがございました。その後も政府部内の関係会議等でその問題を私どもから提起いたしまして、ぜひ関係各省、御協力をいただいてこの問題は解決しなければならない。また、労働省といたしましても一人一車の場合にも、たとえば親方が失業保険をかけておるとかそういうようなことがあれば、できるだけ雇用関係が実質的にあるという判断をして、基準法の面で監督をしていくという線を出しておりますけれども、非常に大きな問題としてそういった問題があるということを付言さしていただきたいと思います。
  40. 藤原道子

    藤原道子君 大体、監督をされたあと、少しはよくなっているんですか。前回監督指導をして、またやられましたね、四十二年の春と秋、前回監督した当時と少しは労働条件が改善されていますか。それから、大体運転手の収入はどのくらいになりますか。
  41. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) ダンプそのものにつきまして監督の結果どの程度改善されておるかということにつきましては、いま適切な資料を持ち合わせておらないのでございますけれども、先ほども申し上げましたように、ハイタクあるいはトラック等も含めまして、ここ数年、鋭意監督を行なっておりまして、また御承知のように昨年二月九日には自動車運転者等の労働時間等につきます改善基準というものも出しておるわけでございまして、その結果、全体につきましては、たとえば改善基準に沿った労働基準法三十六条に基づく協定、これがすでに一月末には四五%提出になっております。  それから労働時間等の趨勢を見ましても、の産業では横ばい程度でございますが、自動車関係では若干ながら短くなってきつつあるというような結果が出ておりまして、そういう面で、やや全体として見れば改善の傾向が出てきたのじゃないかというふうに期待しておりますが、このダンプにつきましては、なかなか一朝一夕には容易に改善できない状態にある。しかしながら、さっきも申し上げましたように、できるだけ私どものほうでもがんばってやってまいりたいというふうに思っております。  それから、いま御質問のありました賃金額でございますが、手元にダンプそのもののものはちょっとございませんけれども、御参考までに申し上げますと、製造業の生産労働者の平均は三万九千八百十八円でございますが、道路貨物運送業——トラックの男子の賃金は四万九千八百十五円というふうに出ております。ダンプカーそのものの資料はちょっと手元にございません。
  42. 藤原道子

    藤原道子君 私は、採取しただけでは済まない、輸送があり、それから労働問題があり、さらに警察の・取り締まり等々がからんでいかなければ、この成果はあがらないと思います。これに対してのよほどの努力がなければ、私はこの解決はなかなかむずかしいように心配されてたまらないわけでございます。一人一軍ですか、こういうものは将来もこれはそのまま認めていくよりしかたないのでしょうか。むちゃですよ、十時間以上の労働が何%とか言ったけれども、そんなものじゃないです、現実は。一人一車をやらせないということも法律じゃできないのですね。そういう規制はどうしたらいいのか。これがある限り私は交通禍はなくならないと思います。  それから砂利を買い入れる親会社の、下請けに対する搾取の状態、こういうものに対してはどう考えていらっしゃるか、ちょっと伺わせてください。心配でしょうがない。
  43. 岡田茂秀

    説明員(岡田茂秀君) 運輸省で所管いたしておりますのは、御承知のように昨年の特別国会で成立いたしました土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、いわゆるダンプ規制法でございまして、これのねらいは、主としてかような車の使用の届け出制、それに対して表示番号を表示さす、あるいは自重計を取りつけるとかいうふうなことによりまして自動車事故をできる限り未然に防止しようということが趣旨でございます。したがいまして、その対象になる車両は、道路運送事業者ばかりではなくして、各種事業に及ぶわけでございまして、たとえば砂利販売業あるいは建設業あるいは採石業とかいうふうなものに及び、また場合によっては先生御指摘のように、一人一車で砂利運搬するというふうなものもあるわけでございます。直接われわれの所管する道路運送法では、他人の需要に応じて物を運搬するというふうなものについては、現在の道路運送法で運行管理等について規制もございますが、御指摘の一人一車というふうなものについては、いまのところ適切な必ずしも法的措置はございません。したがいまして、かようなものについては、関係官庁の御協力のもと、まあ政府部内では主として内閣の陣上交通安全調査室あたりを中心に、これをなるべく一つの団体に加入し、それによって一人一車の運行管理能力を高めることによって、できる限り事故の防止に資したいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 藤原道子

    藤原道子君 時間もございませんので終わりますけれども、とにかくこの業者を見ると、通産省の資料によりましても、五百万円以下の資本でやっているのは九一・八%ですね。これではなかなかたいへんだろうと思うのです。でございますから、五百万をこえるものはわずかに〇・二%ということになっておりますね。こんな業態はほかにあるかしら。それから中には建設業と兼業しているのがありますね、より安くしていってこの砂利トラ最前線で働く運転手さん、ここにしわ寄せがいくのだろうと私は思う。こういうことも十分監督していただくと同時に、先ほどおっしゃった協同組合式ですか、そういう方法でもして、私は小さい業者を切れというのじゃございません。小さい業者も成り立つような配慮が必要ではないか、これをひとつ考えてもらいたい。それから従業員だってたいへんなあれですね、少人数でやっているということは、先ほども申し上げたとおりなんです。協業化で進むといっても、個人でやっているのが二千六百七十四ありますね。法人が四千五十、こういうことに資料ではなっておりますので、とにかく共同化の方向へ助成をして推進していく。それから労働問題につきましては、十分今後とも研究していただいて、あの重労働で四万円なんかじゃやれませんよ。だから無理をしている。これはお互いの生活を考えたってわかることでございます。それから建設省といたしましては、道路を大企業にサービスするだけでなく、そのもとになるこういう零細者が、しかも突っ走らなければならない、これは道路はもう少し考えて、整備していただかなければ困る。絶対に災害はこの法律ができてもおさまりません、このままでは。よほどの御決意をお願いしたい。  それからもう一つ伺っておきたいと思いますのは、建設省のほうでは今度将来砂利を外国から輸入する御計画のようになっておりますが、四十四年度からですか、これはどこから輸入するのですか。
  45. 吉光久

    政府委員吉光久君) あくまでも国内資源をできるだけ開発してまいるという方向で処理すべきだと思うわけでございますけれども、いまお手元にお配りしてございます資料は、実はまだ建設省通産省関係省庁の間で完全に意見が一致したと申しますよりか、通産省試案として出しました計画でございます。いま輸入計画があるわけではないわけでございますけれども、現実の問題として、砂利が非常に安くて大量にあるというふうな地域といたしましては、台湾あるいは韓国というふうな地域があるわけでございますが、具体的に輸入計画自身が現に進行している、こういう事情はまだないわけでございます。
  46. 藤原道子

    藤原道子君 だけれども、ここに四十四年度には幾ら、四十五年度、四十六年度には幾ら、年次計画さえ出ているでしょう。だからこれが全然ないというのはおかしいじゃないですか。とにかく聞くところによりますと、梅干しさえ台湾から輸入しているということで、砂利も輸入ということでびっくりしてしまっているのでしょう。計画がないというのはうそでしょう。計画があるから資料に出たのでしょう。
  47. 吉光久

    政府委員吉光久君) 需給計画の数字といたしましては、国内供給分につきましての算定が非常にむずかしかったわけでございますが、一応現在の需給計画といたしましては、百万トンないし五百万トン程度が不足するのではないかということで計上いたしております。ただ、私先ほども申し上げましたが、具体的な輸入計画はまだ現在ございません。したがいまして、需給計画につきましても国内資源を開発してこれに充てることができるのであれば、このほうが最善であるというふうに考えておるわけでございます。
  48. 藤原道子

    藤原道子君 もう一つ伺っておきたいと思うのですが、化学工業局長ですか、化学的な砂利、それはどういうふうなのですか。それはいまどのくらい使われているのですか。
  49. 吉光久

    政府委員吉光久君) いわゆる人工軽量骨材というものでございまして、現在六社で生産いたしております。いままでの人工軽量骨材の原料は主として頁岩であったわけでございますけれども、さらに最近はいわゆる石炭のボタ山と申しますか、産炭地振興事業一つといたしましてボタ山を使って人工軽量骨材をつくってまいろう、こういうふうな計画も出ているわけでございます。全体の生産の量でございますけれども、まだ量的には非常に少なうございまして、四十年度におきまして十七万トン、四十一年度で二十万トン、四十二年度で四十万トン、要するに伸び率は大きゅうございますけれども、まだ絶対量は小さい状況でございます。
  50. 藤原道子

    藤原道子君 私は質問をやめようと思いますが、通産大臣、いろいろ原因別の災害ですね。これを見ますと、洗浄汚濁水の排出によるものが一番いま多くなっている。三十二件、土地の掘さくによるものが二十七件、その他七十八件の内訳がここに出されております。公共施設に関する被害、これは道路、堤防、農業取水、排土などが原因になっておりますが、特に住民被害として井戸水の汚濁あるいは水がれ、これらが大きな問題になっておる、さらに水産に関しましての被害は漁業、養殖等非常に問題は深刻でございます。その他の交通危険などが住民の直接人命にかけられているわけでございます。一つ産業が発展したなら経済力が伸びたなどといっても、国民の福祉が阻害されて、どこに高度産業経済の高揚だなど喜んでおられますか。幸いおくればせながらこういう法律が提案され、この法律が、いろいろ問題がございますけれども、ともかくも、ここまで踏み切ったことは、ちょっとおそきに失すると思いますけれども、私もよかったと思います。だが内容については、もっと考えてほしい、これの運営に対しては通産省だけでなしに、建設省あるいは運輸省、警察庁等々にも関連いたしておりますので、これらに対していわゆるなわ張り根性等は、この際一てきしていただきまして、ほんとうに住民福祉ということを優先的にお考えいただいて処理していただきたい、こう考えますが、大臣のその御決意を私は伺いまして質問を終わりたいと思います。
  51. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘の点、まことにごもっともでありまして、先ほども申しましたように、都道府県窓口統一いたしまして、そうしてそれぞれの各省の立場においてその問題の協議を進める、こういう形をとってまいるわけでございますが、いろいろ十分なまだ試練を経た上でございませんので、一そうこの方面に努力いたしまして、災害防止に万全を期してまいりたいと、かように考えております。
  52. 藤原道子

    藤原道子君 もう一つ、さっき警察庁で御答弁ございましたけれども、ほんとうにそれが励行されているかどうか、すぐ調べてみてくれませんか、それをお聞かせ願いたいのです。やるやると言って、ほんとうにやっていませんから、くどくお願いを申し上げたいと思います。
  53. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 若干関連して質問したいと思うのですが、いま藤原さんからも質問がありましたけれども、非常に砂利行政については後手々々と回っている感じがするのですよ、何といいますか、火事が消えそうになってから消防署に電話をかけるといったような傾向があるような気がいたします。盛んに燃え上がっているころはやじ馬と一緒になってあれよあれよと言っているだけです。これじゃ被害を受けるのは国民ですから、対策がいつもあと回しということになると思うのですが、衆議院でもって砂利採取法案に対する附帯決議というのがついております。この衆議院の附帯決議は、「将来とも実態に即応して改善を加えるよう努めること。」、こういうのがついておりますが、これは砂利採取法だけでなくて、関係をした採石法等についても検討を加えるというように解釈をすべきではないかと思うのでありますが、その点はどうかということが一つ。  それから「砂利採取を目的とする農地転用の許可について慎重を期するとともに、無断転用に対する取締りを強化すること。」ということがあります。農地転用について、いわゆる無断転用でもって、あっちこっちに丘砂利を掘って穴を掘られっぱなしになってしまったという事例は非常に多いのでありますけれども、こういう問題についても取り締まりがどの程度行なわれているのか、また、今後どの程度の取り締まりを行ない得るのか、現行法規の上で。そういう点についてもお伺いしたいと思うのであります。
  54. 吉光久

    政府委員吉光久君) 最初のほうの関係について私のほうからお答え申し上げます。「将来とも実態に即応して改善を加えるよう努めること。」、こういう附帯決議の内容関係でございますけれども、この法律砂利採取に伴いますところの災害の防止ということを目的といたし、そうしてそれによりまして公共の安全を確保しようということがねらいでございます。したがいまして、附帯決議に書いております「採取計画認可その他本法の運用」というように、本法だけに限定されているように見えるわけでございますけれども、「本法の運用」が、やはりその他関連の諸法の運用とも非常に密接不可分な関係に立っておりますので、したがって、そういう砂利の採掘等に伴う問題につきましては、広くそういう適確な運用基準を定めてまいりたい、こういうように承っておるわけでございます。
  55. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 農地の……。
  56. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 衆議院の附帯決議で農地転用についての許可を慎重にするとともに、無断転用についての取り締まりを強化するという御決議をいただいたわけでございますが、現在でありますと、農地であります場合には、農地農地以外のものにするということで転用を許可制度にしております。ただその場合、往々にして無断転用をやるというのは御指摘のとおりでございますので、昨年来通産省と協議をいたしまして、現行法におきましても、従来の農地転用の許可の基準のほかに、先ほど来るるお話が出ておりますような、砂利洗浄汚濁水の発生を防止するとか、その他人身事故についての防止措置を講ずるとか、そういうようなことについても審査事項に入れたわけでございます。そのことにつきましては、全般的な業者監督としては通産省でおやりいただくわけでございますので、転用許可にあたりましては、あらかじめ通商産業局の意見を聞いた上で、その業者でだいじょうぶかどうかということを聞きました上で許可をしたいということで現在も進めておるわけでございますので、何分農地転用の面からだけで押さえていくことはかなり無理があるかと思います。したがいまして、今度のあの法案がもし成立いたしますれば、農地につきましては農地の転用の面からのいろいろ許可条件その他をつけると同時に、この法律におきまして採取計画認可、それからそれに対しますいろんな措置というのがございますので、あらかじめ両方の認可、許可につきまして同じく都道府県知事がやることになるわけでございます。砂利採取の農林関係の部局ともよく相談をいたしまして、農林省の立場から申し上げれば、農地なり農業施設に対する災害防止施設が十分できておるかどうか、あるいは埋め戻しの措置が確実にやれるかどうか、その他いろいろのことを判定をいたしました上でこの許可をするようにいたしたい、非常に慎重に考えております。それから無断転用の問題につきましては、やはり末端におきます農業委員会等の監視が必要であると同時に、県段階におきましても十分砂利採取部局とも連絡をとりまして、できるだけ無断転用が起こらないような措置を講じてまいりたいというように考えております。
  57. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣にお伺いしたいのですが、権限の問題なんですが、その砂利採取法とたとえば採石法にしたところで、同じ通産省の中で鉱山局と化学工業局とに分かれておりますね。しかし用途が同じで業者が同じで、やはり石の大きさが違っても砂利砂利なんですから、そうすると、これが片一方は鉱山局で片一方は化学工業局に分けておくということもむだなような気がいたします。こういうものは一元化してしまうということができないのかどうかという問題があるのですが、この点、大臣にお伺いしたいと思います。  それから、砂利行政について根本的な問題なんですけれども、はたして通産省が担当することが妥当かどうかという疑問も出てくるのです。これは、関係するのが、建設省関係をする、農林省が関係をする、運輸省が関係をする、警察庁が関係をする、しかも通産省が担当しておるのでしょう。しかし、どうも仕事そのものは、なるほど砂利はその需要供給という問題で通産省の所管だというかもしれないけれども、内容的に見ると、これは土木事業です。そうすると通産省がこれを所管をして、通産省だけでやっていくということは、何かどうも適当でないような気がする。呉服屋の番頭がどぶさらいをやらされているようないささか場違いな感じを受けないでもない。だからこれは砂利行政というものを一本化をするということも、さらに通産省の内部でもって関係法規を一本化する以上に必要なことじゃないか、こういう気がするのでありますが、その点はどうですか。
  58. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 化学工業局と鉱山局の所管になっておりますが、まあ同じ省のものでございますから、その点の連絡調整は一向まあ差しつかえない、こう思っておりますが、なお、対外的に同じ省でも二局に分かれておるから、それだけどうも手数がよけいかかるというような苦情でもございますれば、その点に十分着目して直すべきものは直してまいりたい、こう考えております。  それから第二の、大体通産省所管というものは少しおかしいじゃないかということでございますが、私も実は個人的にはどうもこれは通産省の行政としてどういうものかという疑問も実は持ったわけでありますが、これのいきさつもあると思いますから、所管局長から。
  59. 吉光久

    政府委員吉光久君) 実は先生も御承知のとおり骨材という問題、岩石採取等含めました骨材砂利あるいは人工骨材等が一体的に処理されるのが一番望ましいということから、長年の間採石法あるいは砂利採取法、これは三十二年に制定されたわけでございますけれども、それにつきまして通産省が所管することになっていたのではないかと思うわけでございますけれども、ただその圧倒的数量を占めております河川砂利につきましては、河川管理の立場から従来建設省のほうで御所管になっておったわけでございます。したがいまして、今回の場合におきましては、実はそこらを一本化いたしまして、通産、建設両省の一体的な共同提案のもとにこの法案を御提出申し上げたわけでございますが、同時にまた、関係省庁それこれのものが入りまじるということはあまり適当でないという観点から、先ほど大臣答弁申し上げましたように、都道府県知事河川管理者、二つの窓口を一体化して、同時に河川法規定もこの砂利採取法の中に盛り込みまして、砂利採取法運用砂利災害に伴う防止を一体的に処理してまいろう、こういうことで御提案申し上げたわけでございまして、所管問題につきましても、なお将来の問題といたしまして十分検討はいたしますけれども、少なくともいままでのように多元化された行政機構の関係を、この砂利採取法案におきまして一体化してまいるというふうな気持ちがその中にあることにつきまして御了承いただきたいと思うわけでございます。
  60. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  62. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、日本社会党を代表して本法案に賛成をいたします。しかしながら、質疑の過程でも明らかにされましたように、骨材の需要は今日まで大幅に増大をし、今後も増大をしていくと思われます。しかしこれに対する供給のほうは、河川砂利の枯渇に伴い、丘砂利山砂利あるいは砕石等によって補っている現状であります。こういう事情に関連をいたしまして、最近では山砂利や丘砂利、さらには砕き石の採取に伴う各種災害が各地に頻発をいたしまして、付近の住民や善意の第三者に大きな被害を与えておるということは周知のとおりでありますが、本法案は、砂利採取業者による災害の防止については、現行法より一歩前進しているということを率直に認めます。しかし、採石業者に対する規制はすべて採石法という別の法律で規制をしているために、災害防止対策が行き届いていないというきらいがあります。また、本法案では砂利等の輸送に伴う災害については、ほとんどその防止策が講ぜられていないのであります。こういう点については、今後政府において十分検討の上、適切な措置を講ぜられたいのであります。また、砂利等の骨材業者に対する災害防止のための規制は、強いほどけっこうでありますが、一方、こういう規制にたえ得るような企業の基盤の充実をはかるための援助が必要と思われます。砂利行政は各行政機関が多方面に関係しているために、統一的な運用がなかなかむずかしいと思うのでありますが、この点は関係各省協力をして、災害防止公害対策、公益の保護、こういうことに万全を期していかなければならないと思います。以上の問題点を確認をいたしまして、その解決のための政府の今後の努力を期待する意味で、各派の御了承を得まして、次のような附帯決議案を提出をいたします。案文を朗読いたします。  砂利採取法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当り、次の諸点について遺憾なきを期すべきである。  一、砂利行政について関係行政機関が協力して公益保護の立場を確保するとともに、岩石を破砕する等により骨材を生産する場合の災害防止について、採石法にも抜本的な検討を加える等速やかに適切なる施策を講ずること。  二、災害防止のための施設に関し必要な援助を行なうとともに、砂利採取業とくに零細企業の経営の健全化のための措置を積極的に講ずること。  三、砂利輸送に伴う各種災害の絶滅を期するための対策を総合的に樹立すること。  以上でございます。何とぞ御賛同下さるようお願いいたします。
  63. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御意見はございませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)  他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  砂利採取法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました各党共同提案にかかる瀬谷君提出の附帯決議案を議題といたします。瀬谷君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  66. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって瀬谷君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、椎名通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
  67. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま御決議のございました砂利採取法案に対する附帯決議につきましては、その内容を尊重いたしまして、御趣旨に沿って善処する所存でございます。
  68. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) なお、本案の議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  70. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいま委員の変更がございました。藤原道子君が辞任され、その補欠として竹田現照君が選任せられました。  午前はこの程度にいたしまして、午後一時二十分まで休憩をいたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  71. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) これより商工委員会を再開いたします。  午後は、まず衆議院送付北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案を議題といたします。  本案につきましては、前回補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入りたいと存じます。     —————————————
  72. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) この際、参考人出席要求についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました本案審査のため、本日参考人として北海道地下資源開発株式会社取締役矢島鋼次郎君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。     —————————————
  74. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  75. 竹田現照

    竹田現照君 この地下資源開発株式会社の廃止に関連をして、商工委員会、また決算委員会で再三にわたってお聞きをしまして、特に私からも強く要望しておきましたことは——もっとも、この法律が出されるときの事情とだいぶ変わっております。これは別会社にするというのが、別会社でなく、まるっきりなくしてしまおうということに変わってきているわけですから、それに至りました理由、原因といいますか、これをひとつここでもう少し明確にお答えをいただきたい。
  76. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 最初は、御存じのように民間会社に移行いたしまして、民間会社として発足して経営を持続してもらいたい、こういう考えだったのであります。そしてそれが当然可能だろうと、こういうように思っておったのでありまするが、経営陣の方々よりも従業員の方々の強い要望として、とても民間会社に移行されたといたしましても経営は困難である、したがって、いっそ解散ということを前提として諸般の施策を講じてもらいたいと、こういうようなお話があったものですから、私といたしましては従業員の方々がこれを経営していくという意欲が第一の条件で会社の運営がなされる。その意欲を全然おなくしになったといたしますと、とても会社の運営は困難になりはしないか、こういうように考えまして、現在のような状態のもとで今日の対策を立てているような次第なんであります。
  77. 竹田現照

    竹田現照君 それは去年の特殊法人整理の問題が俎上にのぼったときから、いまの地下資源開発会社の首脳部の間で、別会社に移行してやるということについては、最初からずいぶん自信をお持ちになっておったと思うのです。しかし、法人整理の政府の方針もあって、特に長官が行管長官を兼ねておられる立場もあるのでしょうけれども、どうしても何とかしなくちゃかっこうがつかないというようなことで、会社の首脳部と開発庁の意見とは必ずしも一致しないまま法案が提出されて、そこに最初からこういうようなことになるということはわかっていたのじゃないかと思うのですが、加えて会社が、私が承知している限りにおいては、さっぱり熱意がないのですな。別会社にするにしても、あるいは廃止をするにしても、やはり政府の方針だから政府にまかせるというのじゃなくして、会社側も社長以下おるわけですから、あとはどうぞあなたにおまかせと、こういうのもはなはだ無責任だと思いますね。社長だって再建のために総理お声がかりで行かれたのですからね。それで何にもならないということでは、何のために社長がかわって行かれたのか私はわからぬわけです。ですから、そんなことを言っていても始まりませんけれども、私は衆議院がこの法案を通してこっちに送付するまでの間に、長官以下いろいろと関係者と御努力があったということは聞いておりますけれども、この間総務監理官からもいろいろ聞いたのですが、なおかつまた衆議院の附帯決議も拝見しましたが、最初からどうやら私のほうの党で皆さんのほうにお願いをしました従業員の解散後の処遇ですね、これがどうもはっきりしない。民間会社あるいは他の特殊法人に移るといっておりますけれども、この間聞いた限りにおいては、一体どれだけ確定をしたのかということがさっぱり明らかになっていないですね。これではやはり法律は通した、しかし、その後また会社の労使の問題で、附帯決議は附帯決議だ、木村長官と衆議院の岡田君との間の判を押したのもありますけれども、それも拝見しましたけれども、これは別に肩書きのあるメモでもないですね。木村武雄対岡田利春のメモであって、どこまでこれを根拠にして再就職その他の問題についてやっていただけるのか、これもまた保障されていないのですね。ですから、当然に会社の労使間の中において、廃止後のいろいろな問題についての協約というのですか、あるいはメモでもあれば、それが取りかわされてしかるべきだと思うのですが、それが、お聞きするところによると、できないわけですね。ですから、私は会社側にお聞きしますけれども、長官と衆議院の岡田君といろいろ約束をされて、あるいはそういうことに基づいて附帯決議その他があって、こういうことについて法律が通ったあと、直接皆さんがいろいろなことを手がけなければならぬわけですけれども、自信を持って進めていかれるのですか。これをまず最初にお聞きします。
  78. 矢島鋼次郎

    参考人矢島鋼次郎君) 退職金の問題でございますが……
  79. 竹田現照

    竹田現照君 退職金ばかりじゃない、雇用のこと……。
  80. 矢島鋼次郎

    参考人矢島鋼次郎君) まず、退職金の問題について申し上げますと、これはもういまの御趣旨の線に沿いまして、遠くないうちに退職金を支給したいと、かように考えておりますが、やはり会社規程を越えることになりますので、これにつきましては、株主各位に了解工作を、会社のほうといたしましていろいろ努力をいたしまして、それから退職時に退職金を支払うと、この問題も会社の資金的な現状からはなかなかむずかしい状態でございますが、このほうも御指導によって、できるだけ努力をしていこうと、そうしてこの趣旨に沿っていきたいと、そういうふうに考えている次第であります。  なお、再就職の問題でございますが、開発庁のほうでもいろいろ極力やっていただいておりますし、また会社独自といたしましても、極力この六月末をめどに、全員の再就職をきめたいと、そういうふうに努力はいたしております。  以上でございます。
  81. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ちょっと議事進行について。竹田委員の質問に答弁されている矢島さんは、北海道の保安監督局長をやって、今度かわられたばかりで、内容までなかなか得心するような説明はできなかろうと思うのです。かわられたばかりですからね。ですから、長官をはじめもう少しいままでやってこられた人が明確にお答えになったらどうですかね。そうでなければあなた、何時間かかっても竹田委員の質問は尽きませんよ、これは。
  82. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 就職の経過について御報告を申し上げておきます。  公社、公団のほうは、これだけの人をとってもらいたいと、それからこれだけの人であったならば大体可能だ、こういうような話し合いを進めてはおります。大体きまっておりますが、何しろいままで大蔵省との予算の折衝で、その問題の解決がつかないものですから、この点ははっきり申し上げかねるのであります。  民間のほうを御報告申し上げますと、こういう会社でありまするから、大体建設業者対象にして就職をお願いしたほうがいいだろう。特にいままではこの会社で苦労された関係上、大きな会社のみを——選ぶにしてもそういうところに就職のあっせんを申し上げましたならば、自後の生活も安定するだろう、こういう考えで、大きなところだけ選んで交渉したのであります。  その経過を御報告申し上げますと、大成建設が十五人とることになっております。鹿島建設が八人とってもらうことになっております。熊谷建設が十四人であります。清水建設の子会社であります日本道路会社ですか、そこが十一人であります。戸田建設が二人であります。アマノ株式会社が三人であります。その他会社があっせんいたしましてきまった人々が六人でありまして、現在内定しているのが五十九人であります。そのうち面会をいたしまして、内定じゃなく決定いたしました人が十六人おります。  民間の交渉はこういう過程になっておりまして、目下その各建設業者を相手にいたしまして大どころと折衝中でありまして、大体の民間の目標を七十ぐらいに置いております。それから公団のほうは五十ぐらいに置いておりますが、公団のほうがはっきりしないものですから、民間会社との交渉の人数は百人ぐらいにしてみようじゃないかと、こういうことで、目下交渉中なのであります。  就職に関しましてはそういう過程であります。どんなことがありましても、お約束ですから、六月一ぱいまでの間に解決しなければならないと、特に御無理を申し上げまして、今度の整理の段階に入ったのでありまするから、北海道開発庁といたしましては、責任を持って解決しなければならない、こういう気持ちで一生懸命になって取り組んでおる状態であります。
  83. 竹田現照

    竹田現照君 最初に会社の社員の希望というのは、ほとんどが特殊法人に希望されておったんですね、いま長官のお答えもありましたけれども。最終的に百人ぐらいを民間ということになると、特殊法人には事実上まあゼロとは言いませんけれども、ほとんど吸収をされないという結果になるわけです。民間が最終的にいま五十九人ですけれども、七十人ぐらいを目標にしている。しかし公団等との関係もあって、百人ぐらいというお話でしたね。そうすると大半が民間で吸収をするという結果になるわけですけれども、そうすると社員の希望とは全く逆転するわけです、結果としては。その点はあれですか、会社の社員の方々との間の了解とかなんとかというものは、どういう形においてやられているんですか。それはどうも私どももたくさん見ますけれども、どこにどういうふうに話をしていけば自分たちが得心がいくというか、安心して、いわゆる路頭にほうり出されないで、再就職が確保されるんだということの自信を持てない。だから開発庁の長官でも、行管の長官でも、どちらの肩書きでもけっこうですが、必ず責任を持って六月末までにはおまえたちの再就職に関する限りは、これは保証しますよ、というようなことを社員のほうの組合とでもはっきり御約束をするというようなことはできないんですか。
  84. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 私が百人と申し上げましたのは、百人全部民間に就職してもらうということじゃないんです。公団のほうがあんまりおくれておるものですから、不安を抱かれるといけないと思いまして、とにかく民間に面接してもらう人を百人ぐらいまで伸ばしてみたらどうかと、そのめどでやってごらんということを言っておったのでありまするので、北海道開発庁のほうにすすめておったのであります。なぜかと申し上げますると、面接でもしておかないと、あとに、公団があまりおくれてしまいまして、そのために人心に動揺を来たすというよりも、もちろん公団を主にしておりますけれども、まあ公団よりもこっちのほうがいいんだと、こうおっしゃった場合にはそれもできるというような状態にしておいたほうがいいのじゃないかと、こういう考えでまあ百人ぐらいを民間で面接してもらったらどうだ。断わることはいつでも断われるのじゃないかと、やはり時期的におくれておりますし、ことに就職の問題ですから、そういうふうな方針をとってみなさいと、こういうことを言っておったのでありまして、そこに必ずしもつとめなきゃならないと、こういうことではないのであります。そうでありまするから、公団のほうがきまりまして、そっちに行かれるときには民間のほうは断わって行かれても一向に差しつかえない。どっちでもいいと思うのです。こういう態度をとっておかなきゃならない、こういう内容であります。その点はどうか御了承してくださるようにお願いを申し上げます。  それから私がお目にかかって、そうしてよかったならばいつでもお目にかかります。どのようなことでもお話は直接いたしますけれども、社会党の方々が間に立ってくださいまして、ほんとうにいろいろとあっせんをお願いいたしまして円満にいったことを私は非常に喜んでおるわけであります。特に感謝をしておるような次第であります。そうでありまするから、何をするにいたしましても、それらの方々と御相談しながらこの問題はやってみたいと、こう考えておりまして、この方々が、おまえ個人で会えとおっしゃったならばいっでもお目にかかりまするし、一緒に会おうじゃないか、こういうことであったならば一緒にお目にかかる、どっちでもけっこうなんであります。私は行政管理庁長官として非常に荒い修理をいたしましたけれども、幸か不幸か北海道開発庁長官を兼任しておったものですから、その面で全力を傾倒して、そして中に立ってくださいました方々の御好意に報いなければならない、こういうように考えて、どんなことでもするつもりでおります。
  85. 竹田現照

    竹田現照君 それで、やはり希望が特殊法人が多いわけですからね、そうするといま長官おっしゃったように、民間のほうに先に、さしむき面接でも何でもしておいて、公団がきまればそっちのほうに行ったらいいのだ、希望が多いのですからそっちのほうに行くでしょうが、公団のほうは大蔵省との関係がありますが、私が聞いている限りでは、何かいま八人−九人ですか、くらいしか確定していないですね。そうすると、大蔵省との見通しの中で、あれですか、六月末という長官の一つの努力目標の期限があるわけですから、そうすると、やっぱり民間のほうに行くという決心をするにしても、特殊法人がとにかくだめなのかいいのか、大体どれだけの目安があるのだということがはっきりしないと……。できれば特殊法人に行きたいと言っておるわけですからね、その点は大蔵省との間の話というのはいつつくのですか。
  86. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) たとえば鉄道建設公団とか道路公団とか、その公団が大蔵省と予算折衝をやっておるのです。それがなかなか解決つかないのですよ。ほんとうは五月の初めには解決つくだろうと、こういう話だったのです。そうでありますから、公団とこちらの方では、そういう場合には何人とってもらえると、何人はとりましょうと、しかし予算が少なければこれしかとれませんよと、こういう話はしておるのでありまするが、大蔵省と各公団との間に話がまだついていないのですよ。したがって、はっきりした予算をつかみ得ないのです、各公団がですね。その関係でおくれておるのでありまするから、まあ国会でいろいろなことをかかえておるものですから、大蔵省がおそいのかお役人の性格がおそいのかわかりませんけれども、とにかくそういう点でおくれておることだけがこっちのほうにしわ寄せしておるのであります。しかし、公団と大蔵省との間の予算が解決いたしますれば、いままでの大体約束は四十人から五十人です。四十人は最低とってもらえると、こう思っておりますが、希望者が多いものですから五十人まで押しつけてみようと思って努力しておるのでありますが、最低四十人はとってもらえる。ただ、おくれておるというのはこっちがおくれておるのじゃないのです、大蔵省と公団との予算折衝がおくれておるのであります。
  87. 竹田現照

    竹田現照君 それはわかっているのですけれども、ですから、六月末ということ、あと一カ月ですけれども、またこの六月の中になると選挙も始まって、何だかんだとそっちのほうに大蔵省やその他があれだというふうになるとあれだから、大蔵省と公団との折衝というものは、長官の立場で少なくとも選挙が公示になる以前、十日くらい前にははっきり目安をつけてくれ、つけろというようなことは、むしろ大蔵省と長官との間の話し合いをする必要もあるのじゃないか、ずるずるべったりずっといったのじゃ、これは六月末がいつになるかわからぬ、こういうことになりますから、衆議院は通ってまいりましたけれども、いまこの参議院でこの法案を採決する前に、やっぱり百何十人かの社員の人が、法律は通ったけれどもおれたちは行くところがない、こういうまんまで通してしまうということは、ちょっと私どもも忍び得ないので、その点、やっぱりくどいようですけれども、最後まで念を押しておきたいのです。
  88. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 大蔵大臣と私との間に、まあ事情をお話しいたしまして、早く公団関係の予算は決定してもらいたいということは、両三回にわたって話をしております。大蔵大臣、百も承知なんであります。そして下のほうにおそらくは大蔵大臣も言ってくれたのだろうと思います。大蔵大臣だけでなく、大蔵省関係のこっちのほうの国会議員の人にも頼みまして、非常に督促はしておるのでありますが、もういまかいまかと思って実は待っておるのです。しかし、どんなにおそくとも私は六月の中ごろを越すようなことはないだろうと、国会が終わったらすぐそれできまるんじゃないかという気がするのですけれども、それが何のためにおくれておるのかということは、いま私にはまだわかりませんけれども、そんなにおくれることはない、いまかいまかと待っておるのであります。それがきまりますると、大体四十人は確保できるんではないか、こういうふうに自分は思っておりまするから、そんなにおそくはならないだろうと思います。
  89. 竹田現照

    竹田現照君 どうもコンニャク問答のようになってあれなんですけれども、地下資源の社員の方も、あるいは地下資源の会社にしても、その社員に民間なら民間のほうに面接に行けとか、あるいは公団のほうに行くという一つの目安がなければ、みんな説得をすることもできないと思うんですよ。ですから、早期にその目安はやはりつけてやる必要がある、これは政府が会社をつぶすのですから。それと、最後まで雇用の責任というか、再就職の責任というのは、これはどこで持ってくれるのですか。
  90. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 私が持ちます。それは北海道開発庁をあげまして私が当面の責任者になります。それで、整理のために残る人もおいでになると思いまするが、整理が終わりましたならばその人の就職先も確保しておきます。それから事業が二つばかり残っておるのであります。今度私北海道に参りまして、そしてその事業をやっておる個所と、それからその事業の進捗状態なんかも全部聞いてきたのでありまして、それとにらみ合わせまして、民間に引き受けてもらわなければならないものもあるかもしれない。その場合においては、会社と会社の話し合いだけでなく、私どもも中に入りましてその交渉をして、そうした事業の残務整理のために残る人もおいでになるかもしれませんけれども、これは特殊な深掘りの扱いですから、そういうような技術を民間が持ってないとすれば、その人を残しておかなければならぬ。その仕事のあと片づけもしなければならない。その人の就職先も確保して、そうしてどうしても万全な対策を整えなければならないと思っております。そのことも全部私みずからやっております。人にやらせておりませんです。そういう点は自分で納得するまでやってみよう、こういう考えで努力いたしております。
  91. 竹田現照

    竹田現照君 法律が通って会社の廃止が何日かになりますね。そうすると、社長以下その経営陣というのは、会社の廃止と同時に、その責任の任は解かれて、会社の清算人というのですか、そういう人は、いまの経営陣の中から出られるわけですね、その点はいいですか。
  92. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) これは「公布の日」となっておりますから、その公布の日をいつにするかということは、先ほどのあなたのお話しになりましたように、実態とにらみ合わせて、それからこっちがいま一生懸命に仕事をやっておりますので、その仕事とにらみ合わせてやってみたいと、こういう考えで公布の日はまだきめておりませんけれども、六月と、こうおっしゃったものですから、六月という約束なものですから、その六月までの間に、かりに七月一日なら七月一日、七月五日なら七月五日というものを公布の日とするのであるというようなことを考えながらそいつもきめていきたいと、こういう考えであります。
  93. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、そういう長官がお約束になっていらっしゃるようなことの一応の目安がはっきりした上で、廃止の公布をされると、そういうふうに理解してよろしいですか。
  94. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) けっこうです。
  95. 竹田現照

    竹田現照君 じゃ、その再就職は長官みずから責任を持ってやられるというお答えですから、ぜひそれは実行していただきたいと思います。  それから先ほど矢島さんもお答えになりましたけれども、いまの会社の経理状態その他からいって、退職金ですね、それもやっぱり大体赤字の会社なんだから金がないわけですね。だけれども、これはやっぱり政府の各省でも、こういうような場合は、整理対象ですね。整理退職並みの法律もありますね。退職金法の五条三項にですね。そういうようなことで、これはやっぱり政府の都合によって会社をつぶしてしまうわけですから、普通の退職金だけで金がないからというわけで処理するというわけには、私は政府の責任上からもできないのじゃないか、こういう点の財源の問題もありますが、これもまた政府が責任を持って処置をされると、そういうふうに理解してよろしいですか。
  96. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) そう理解されてけっこうであります。
  97. 竹田現照

    竹田現照君 これはもう長官と岡田君とのメモで、東北開発の例を少なくとも最低とすること、こういうことなんですけれども、これもまた長官の責任においてぜひ最後まで処理をしていただきたいと、かように思います。  なお、いま長官が再雇用、退職金等、あるいは残務整理等について、それぞれ明快にお答えがありましたけれども、その開発庁の考え方とそれからいまの残務整理みたいな立場に立たれておられる社長以下会社の経営陣との間にも、その点は完全に意思の統一がなされた上で社員との間のいろいろな折衝ということもやられるのが当然だと思うのですけれども、私はどうも国会段階では、法律の審議の過程で、政府ベースでいろいろなことがやられて、会社のほうとしては、まあ赤字でつぶれる会社だから実際に力がないといえばそれまでなのでしょうけれども、ちょっとつんぼさじきのようなかっこうになっておるような気も私はするので、その点は会社との関係ですっきりした処理をしていっていただきたい。これはやっぱり当面は社員を代表していろいろと折衝されるのは、これは矢島さんなり社長なんですから、それはそれで、木村長管のほうでわれわれが約束をするのじゃないというようなことになっては、これはやっぱり不安はぬぐえないわけです。ですから、長官は私が出るところならばどこにでも出ていいとおっしゃっておりましたが、もしそういうようなことであれば、この法律をつくるのに伴って、会社を代表する者、あるいは職員を代表する者、また直接責任を持たれる木村長官、この三者が私はやはりそういういろいろなことについて、明確にそれはメモを交換されるなり、それは労使の問題でありまするから、そちらにゆだねますけれども、そういうようなことをされて、不安動揺のない措置をとられることを私は特にお願いをしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  98. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) けっこうでありまして、この問題は私がすべての責任を持ってやらなくちゃならないと、こういう覚悟は最初からきめておったのであります。会社と開発庁との間に若干意思の欠けたものがあるじゃないかと、したがって、そいつが一般事務の人たちに若干の不安を与えることになる、こういうお話でありますが、私もその話をお聞きいたしまして、実はびっくりしたのであります。そうでありますから、すぐ開発庁の次官のところに、ここにおいでになります矢島君に来てもらいまして、自今そういうことがないように、どのようなことでも打ち合わせをしながら進めていく、こういうようにやっておるのでございます。これからはそういうようなことのいささかも起きないようにやっていきたい。ただ、この問題にあたりまして、会社から話を聞くよりも他のほうから話が入ってくるということが多かったものでありまして、それで会社とは関係なしに、こっちのほうがぐんぐん進めたという点もあったかもしれません。そういう点はこれからないように、逐一連絡をとりまして、円満に処置をしていきたいと考えております。繰り返して申し上げますけれども、私が責任者でありまして、いまだ国策会社でありますから、その間私が責任を持つ、そしてその過程におきまして一切解決をして後処理する、こういう方針で臨む覚悟はきめております。その点はどうぞ御了解してくださるようにお願いをしたいと思います。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 関連。先ほどから答弁聞いておりますると、長官が責任を持つ、責任を持つと、こう言っておられますが、従来われわれもずいぶんそういう責任を持つという答弁を聞いておりますけれども、参議院選挙が終われば内閣改造があるやにもまた聞いておりますし、内閣改造を終えて、長官がまた長官になられればこの責任も全うできますけれども、やはり大体お役所仕事は、かわればあとは自分の問題じゃない、こういうことで、いままでずいぶん私ども苦い経験をなめさせられてきておるのです。その点、長官がもしおかわりになっても、必ずあなたがいまお約束された問題について、これを実現するのだ、こういうことをはっきりと私は誓っておいていただきたい、こう思うのですが、その点いかがですか。
  100. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) それはごもっともだと思うのです。いままでのそういう機構の無責任さというものを私もよく承知いたしております。そうであってはならないと思いますから、自分のことを申し上げて失礼でありますが、私はそういう性格がきらいなのです。それでありますから、まあ参議院の選挙が終わりました後に内閣改造があるかどうかわかりませんけれども、私は、少なくとも内閣改造があり得るとすれば、九月後じゃないだろうかと思っております。それですから、六月までをめどにして解決をしてもらいたい、やりましょう、こういう約束をかわしましたのは、われみずから責任を持つ、自分で自分を縛ってみよう、そのほうがかえっていいのだと、こういう気持ちで、私は、六月という期限を切りまして承知いたしましたのは、やはりみずからを縛るというきびしい気持ちでこの問題に臨みたい、こういうことでやっておるのでございまして、その間に何としても解決していきたい。それですから、決して無責任なことはやりません。どんなことがありましても解決をしたいと、こう考えております。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つ、いま竹田君も言っておりましたように、北海道地下資源開発がこの十年間でほとんどもう利益もあがっていない、わずか一%ですか、あれしかあがっていない。そこで会社が利潤があがってないということは金がないということなんだ。そこで退職金や何やという、いまあなたがお約束して、六月下旬までにこれを解決したい、こういうお話でございますけれども、この会社が実際利潤があがってないということになると、会社自体は出す金もないということになりますね。そうすると、やはりこれは政府がその責任を持って、ない場合には政府がこうするのだ、金はこういうところからこうするのだ、こういうはっきりしたことが私は聞かれなければ、あなた責任を持つ持つといっても、私は、いままでずいぶん政府でも責任持つ、何とかやるとか、こう言いますけれども、やはり国会が終わってしまうと、もうあとは知らぬ顔をしておいて、あのときは約束をしておいたけれども、何ともならなかったということで、ずいぶんいままで苦い経験をなめているものだから、そういう点を私ははっきりとあなたに答弁しておいていただきたいと思います。
  102. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) ごもっともだと思います。会社は財産を持っております。東京に土地を二ケ所持っておりまして、その土地を担保にして、その土地に見合って金を借りる交渉も銀行とやっておりまして、そうして銀行の了承も得ております。それでありますから、退職資金の問題には事欠かないということだけは申し上げておきたいと思います。その交渉はすでに済んでおります。
  103. 竹田現照

    竹田現照君 これはだれがかわっても同じことを心配して、同じことをだめ押しのようなんですけれでも、いまも近藤先生もおっしゃったようなこと、それから先ほど私からいろいろと言ったことも、これは長官は全責任を再三にわたって確認をされたのですから、これをぜひ六月末に再就職を確保するということ、それから退職金の問題、あるいはまた、北海道におって北海道で再就職を希望する者は、やはり東京に来るといったって、これはなかなかむずかしいわけですから、これはあくまでも、現地における再雇用ですね、こういうこと、これはいずれも六月までに、長官の責任において実施されるということを再三私は要望いたします。それと矢島さんにもお願いをいたしますが、これはやはり開発庁ベースというばかりでなくて、やはりあと始末は、社長以下現経営者の責任でもあるわけですから、そういう問題については、今後はそういう意思疎通に万遺漏なきを期していくという長官の先ほどのお話もありましたけれども、そういう点を十分連絡を密にされまして、最後まであまり変なことにならないように、円満にすべての問題が解決するように、政府も会社側も一体となってひとつ努力をしていただくように、私は特に強く要望して私の質問を終わりたいと思います。
  104. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 必ず皆さまとのお約束を無にしないように努力いたします。今度私は北海道に参りまして、北海道で就職したいという御希望の人が三十何人もいらっしゃる、こういうことでしたから、あそこに経営者の団体があります。そこの団体の会長が雪印の社長さんなんでありまして、その人と話をしまして、経営者の協議会でもこれを取り上げて、就職者を北海道にもきめよう。その督促のために、あしたここが終わりますと私の秘書官を北海道にやりまして、つききりでその問題を解決さしたい。北海道開発庁がありまして、開発庁も一生懸命になっておりますが、私の責任をより以上痛切に感じているものですから、次官と私の秘書官をこの問題についてかかりきりのようにしてやらしておりますし、今後もやらせるつもりでありまして、一々私が聞きまして、私が納得しないことは、どんどん推し進めていく、こういうことでありますから、皆さまの御好意を無にするようなことはこんりんざいいたしません。非常にお世話になりましてありがとうございました。
  105. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 関連して開発庁長官に二つ、三つお尋ねいたしますが、いまになっては死んだ子供の年を数えるような発言になりますが、この会社ができる当時の北海道開発庁長官は、いまの衆議院議長の石井さんだったのです。そこで石井さんからいろいろ説明を聞けば聞くほど、私は賛成できかねた。当時の速記録持ってきて読むと一番わかるのですが、大企業は全部探鉱設備を持っておりますよ。したがって、民間にはボーリング専門の利根ボーリングその他がございますよ、五億や十億のはした金で何ができますかということで大反対したんですが、君、北海道出身でなぜ反対するのかというようなことで相当論争をやった記憶があるわけです。まあわれわれのことばで言えば、それみたことかと申し上げたいわけですよ。長官、当時のことは御承知置きないと思うんですがね、そういうようなことで出発しておるわけです。しかし、いまお伺いしてみると、社長は辞表を出しておられるそうですね。当時おられた初代社長の健部さんとか、あるいは桑原君、三輪君、こういう人は一体どこへ行ったんですか。参議院の決算委員会、予算委員会で、この会社の社長の退職金があまり多過ぎるということで問題をかもし出したことがあるんですが、そういう当時のスタッフが全部おらなくなってしまって、会社はパーですよ、従業員の給料も退職金も払えない。こんなばかな話が——長官、私はあなたの責任だとは申し上げませんけれども、あなたが一切解決すると言うんですからはっきり申し上げておきたいんですがね。大体その当時の責任者は一体どこへ行っているんですか。退職金を山分けしてしまって、そして今度は会社に、数億ですよ、数億の赤字を出しているんでしょう。これをどう処置するんですか。国にも迷惑をかけ、従業員にも迷惑をかけ、今度はこの法律はだめでございますと。この文章なんかなっておらぬ。少しそのあたり説明してください。
  106. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 全くそのおしかりのとおりでありまして、監督官庁としての北海道開発庁、それから通産省監督責任をどうしたんだというおしかりを受けますると、何とも申し上げられません。ただ申しわけないの一言でおわびをしなければならないだろうと思っております。  それから、開発当初のいまの衆議院議長の石井さんが、たいへんな意気込みで客観情勢を無視してそういうようなものをおつくりになったというお話をお聞きいたしまして、私は今日あるのはむべなるかなと、そういうふうに考えております。  それから、その間における重役の人々が途中やめて退職資金としてたくさんもらおうと、こういう計画を立てておったことも事実でありますが、それは全部押えております、支払いさせないで。そして、私の考えとしては、まずそういうえらい人でなく、現場で働いておる人を中心にして金の分配をやっていく、そして余ったならばそっちのほうにも回してもいいのじゃないか、私はこういう気持ちを持ったものですから、そういうものは一切分配させないで押えておく、分配いたしておりませんです。確保いたしております。
  107. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ悪い例ですが、戦争にたとえれば、戦争のさなかにこれはあぶないということで、大将、中将、大佐、みな逃げてしまって下士官以下が残って、困ったことじゃということで苦労なさっているわけですね。  そこで、具体的に長官にお尋ねしますが、銀行からもお金を融資を受けるわけでしょう。それから、民間会社ではあるんですけれども、法人組織で国がてこ入れしておる企業ですから、そうしますと、まさか粉飾決算などはやらぬと思いますんでね、赤字がどのくらいで、従業員に払わなければならぬ金がどのくらいで、銀行から借りた分がどのくらいで、足らなかったらあらゆる機材をたたき売っても払わなければならぬわけですから、最終決算はできておらないかもしれませんけれども、概略でけっこうですから、何をどうするんだというのを具体的に、ちょっとくどいようですが、お尋ねします。
  108. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 概略お話し申し上げますが、現金で約三千万くらい残っておるようでございます。それから、大体財産で三億ぐらいであります。借金はありませんです。それですから大体三億三千万円……。
  109. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、九億の資産がなければならないところが三億しかない、こういうことですね。そうしますと、その三億のうち、これは人件費は一番先にたまっている分は払うんでしょうね。国は一番あと回しということになるんでしょう。それがさいぜんから竹田委員近藤委員と一間一答なさっている六月末、こういうことなんですね。
  110. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) そのとおりであります。私は、まず人件費のほうですね、おやめになる人であったならば退職金、そういうものを優先的に全部支払っていく、こういう考えで残しておったわけであります。ただ、国家の借金ですから、国家にえらい迷惑をかけて申しわけないと思っております。これはしようがないと、こういうように考えております。
  111. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこでお尋ねしたいことは、これは地下資源をやる会社だったのですが、函館あたりへ来て、建築物のボーリングまでやって衆議院でおこられたことがある。とにかくむちゃくちゃなことをやっているから私は不信感を持っている。特に、あなたは北海道出身だから、地下資源の株式会社ができたから、大学を卒業したら入れてくれということを私は何人かに頼まれたが、ああいう会社はあぶないからやめておけと言っておいたが、いまになったら幸いしたのですが……。そこで、再雇用についてはどうなったのですか。そこにおられる矢島さんが、さいぜんも申し上げましたとおり、札幌の鉱山保安監督局の監督さんだったのです。優秀な技術屋さんなんですね。それがあとになりましてその北海道地下資源開発株式会社に来て、矢島さんには気の毒で質問できないのですが、やることなすことでたらめです。そこで、そういう就職のほうはどうなっているのですか。おやめになった方には六月三十日に払ってやるぞ、あとは全部職をさがせと言うのですか。国が金のほうも就職も全部責任を負わなければならないんでしょう。これから大学を出て青年将校、中堅幹部になろうとするところで会社がなくなるのですから、そんなところで街頭にほっぽり出されたらたまりませんね。就職のほうもひとつ明確に教えてください。
  112. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 就職のほうも、前に竹田さんにお答えいたしましたとおり、これはもう一番先に責任を持たなければならない、こう思いまして一生懸命になって会社と交渉しました。向こうにリストを出して、そうして見てもらうようにして——それからその人に向こうへ行ってもらいまして面接の試験を受けさせる、リストを出したようなわけですから。そうでありますから、就職はほんとうに責任を持って先にやりたい、こういうことで一生懸命に努力をいたしております。
  113. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その点はさいぜん竹田委員の質問に答えておったのですが、直ちに就職をされる人はこれはよろしい。それから六月末に就職できる人もいいでしょう。七月、八月ともなれば、その間あなたのほうで責任を負うのですか、どうなんですかと言うのです。そういう点をお尋ねしておるのです。
  114. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 六月一ぱいまでに大体の就職は全部きまると、それから残務整理に残られる人もおいでになると思います。それからいま仕事をしておる場所があるのですよ。その仕事をしておるところが解決つかないと損害賠償とかなんとか言われる危険がありますから、そこが解決しなければならないんですよ。そのために残られる人もおいでになるかもしれませんが、そういうようなのを全部含めまして責任を持つ、こういうことでありまして、大体、現在探鉱しておるところの仕事がいつごろまでに仕上がるかということも、今度行って調べてきたいと思います。全部含めて責任を持つと、こういうことであります。
  115. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 廃案にする法案ですから、これは反対じゃと言ってこれを存続しても中身が伴わないので、泣く泣くこれは賛成してやらなければならないのだが、長官、未収金などというのはないのですか、各鉱山とか、その他の会社との取引上の未収金。
  116. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 若干あるそうです。二千万くらい未収金があるそうです。
  117. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 二千万——若干ある、二千万円なんて——二百万くらいなら若干と言ってもいいが、この際二千万は大金なのに、あなた方、きわめて無責任ですよ。
  118. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 違いました。いま二人で話をしておったのですが、私そのままお話し申し上げている。七百万だそうです。
  119. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これは長官、いやみを申し上げるのじゃないですがね。やはりその財産が幾らあって、そして赤字が幾らあって、民間からも若干出してもらっているのですから、それの処置はどうするとか、職員の給料はどう、あるいはその退職金はどうというような、やっぱり完全な資料をそろえて提案すべきものだと、私は行政府の人間でありませんけれども、思いますよ。そうしますと一目りょう然で、あなたにいやな質問を長々と聞くこともないわけです。二千万から急に七百万になったり、若干と言ったり、それはきわめて無責任ですよ。もう少しはっきり言うてください。
  120. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 七百万に間違いないそうです。
  121. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 議事進行ですがね、きょう質問やめて、あすまでに資料出してもらってはどうですか。
  122. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。
  124. 馬場豊彦

    政府委員(馬場豊彦君) 解散資産について概略御説明いたします。  四十二年度の決算まだ終わっておりませんので、四十一年末でございます。四十一年末で、先ほど来お話がありましたように、十億の資本金で始まった会社でございますが、三億二千万円の赤字を出しており。四十二年も赤字でございまして、これを加えますと、さらにそれがふえる見込みでございますが、こういう際に、正味資産の計算を内々やっておりまして、なお精査した結果はまだ出ていないのでございますが、先ほど大臣からお答えがありましたように、大体三億くらいの資産が残るという見込みでございます。  退職金との関係は、まだ退職金の全額が煮詰まっておりませんのではっきりした数字にならないのですが、大臣も申しておりますように、まず従業員の退職金を優先的に払う。普通の会社の規程でやりますと、管理職を除いて大体六、七千万ということでございますが、今回は特別な事情でございますので、それに割り増しをしようと、その割り増しがどのくらいになるかによってさらにふえると思いますが、三億の資産の中で優先的に従業員の退職金を払うと、こういうつもりで会社を指導したいと考えております。
  125. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 国に五億も六億も迷惑をかけておるわけですからね。その小さい数字はとにかく別として、千万単位、百万単位で、まるでつかみ金的な大福帳報告をしておるようなことでは、われわれは困る。したがって、きょう成立を約束しておりますので、成立は成立ということで採決とっていただいてもけっこうだが、後刻ここへ資料を全部出していただいて、説明会を委員長の計らいによって開いて、つぶさにその説明をお聞きする機会をつくっていただきたいと思います。ただ、私の理解力が乏しいためか、説明が完全に資料ができておらぬためにできないのか、わかりませんので、これ以上お尋ねしても得心いきませんので、委員長、できればそのように取り計らっていただきたいと思います。
  126. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  127. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述ぺを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  130. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたしまして、三時を目途として次の委員会を開会いたします。    午後二時三十九分休憩      —————・—————    午後三時十分開会
  132. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) これより商工委員会を再開いたします。  衆議院送付海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、先般すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日はまず政府委員から補足説明を聴取いたします。赤澤調整局長
  133. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) ただいま議題となりました海外経済協力基金法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的にその内容を御説明申し上げます。  第一条の改正は、海外経済協力基金の目的について、従来の東南アジア等の地域の「産業の開発に寄与するため」の資金の供給を行なうという規定に加えまして「経済の安定に寄与するため」の資金の供給も行なうことができるものとすることであります。  第二十条の改正は、従来の業務のほかに、東南アジア等の地域の経済の安定のためこれらの地域において本邦からの物資の輸入が緊要と認められる場合に、海外経済協力基金が当該輸入のために必要な資金を当該地域の外国政府等に貸し付けることができるように新たに業務を追加することであります。また、この改正に伴いまして、調査業務につきましても、その範囲を従来の「開発事業に関する調査」から「海外経済協力に関する調査」にまで広げることといたしております。  第二十一条の改正は、海外経済協力基金が第二十条において新たに追加された貸し付け業務を行なうことができるのは、日本輸出入銀行及び一般の金融機関から通常の条件による貸し付けが困難であり、かつ、貸し付け相手国の経済安定に関する計画内容が適切で、その達成の見込みがあると認められる場合に限る旨、その貸し付け要件について規定することであります。  第二十三条の改正は、海外経済協力基金が経済企画庁長官の認可を受けまして第二十条において新たに追加された貸し付け業務に関する事務の一部を一般の銀行にも委託できるものとすることであります。  第三十二条の二は、第二十三条の改正によって事務の委託を受けた銀行につきまして、会計検査院がその委託事務の会計を検査することができるものとすることであります。  以上が、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案内容であります。  長官の提案理由説明に補足して御説明した次第であります。
  134. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは、これより本案の質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  135. 竹田現照

    竹田現照君 法案の審議に入る前に、長官も通産大臣おいでになっておられますからお聞きいたしますが、会期をあす一日まあ事実上残すのみになった今日、政府提案の最も最重要法案一つだといわれている、この基金法の改正案を参議院に回して、これから一日でまた審議をして上げてくれ、こういうことでは、特にこの商工委員会は昨年以来これで三回目です。貿易大学のときもそうです。それからLPのときもそうでした。仏の顔も三度ということもありますけれども、こういう大事な法案であればあるだけに慎重な審議をしなければならぬはずでありますが、今後そういうようなことはしないということを、例の貿易大学のときも椎名通産大臣がお答えになっていますが、まあ企画庁の提出の法案としては初めてだというふうに長官お答えになるかもしれませんが、審議をするわれわれは同じなんですから、そういう意味でこの法律案をこれからあすにかけての審議だけで打ち上げるということは、ちょっと慎重審議の名にそむくとも思いますし、参議院の質問者もたくさんおるようでありますから、そういう点で慎重な審議を進めていく必要があると、こう思いますから、これあまりかけ足審議はやらなくてもいいんだと、そういうふうにして私どもはこの際審議に移っていきたいと思うんですが、どうですか。これは委員長にも——金丸委員長になってからこれは初めてですが、前の委員長のときは、同じことを二回——今後はこういうことは絶対やらぬということがわれわれとの間に約束があるんです。いかがなものですか。
  136. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この法律案につきましては、衆議院でかなり長いこと御審議をいただきましたわけでございまして、昨日本会議で可決せられたわけでございます。私どもとしては、あらかじめ、かなり余裕を見まして提案を申し上げたつもりでございましたけれども、結果としてはさようなことで、昨日、ようやく衆議院を通過したようなことでございます。したがいまして、延長会期の関係がどうなりますか存じませんが、かなりおそい時期に参議院で御審議いただくことになりましたことは、私ども非常に残念なことでございます。もとよりこれを今後の会期にわたってどのようにお扱いをいただきますか、これは委員の御意思でございまして、私どもとしては、できるだけすみやかに御審議いただくことを希望いたすばかりでございます。
  137. 竹田現照

    竹田現照君 行政府としてはそういうことをおっしゃると思いますけれども、参議院が法案を審議するという立場に立つと、毎度毎度会期末に一瀉千里で、ろくに審議をしない、そうしてどうしても上げてしまう、これは参議院の権威のためにもあまり感心しないのです。あまりどころか全く感心しないことで、第一、法案に取り組む議員の姿勢が乱れてくる。そういうことですから、一生懸命勉強したって、ろくに審議をしないで上げなければならぬ、こういうようなことはよくないのです。ですから、これはこれからじっくり質問のある議員には時間をかけて、だめなら、これは継続審議でもいいからやっていく、こういう態度で私は審議を進めていっていただくように委員長に特にお願いをしておきます。  それと、この法案が出される前から、また出されて今日まで、この法律案をめぐってさまざまなことが、さまざまなところからいろいろと言われていますね。それを総合しますと、私どもの立場としては、何で、この法案を政府がこんなに執着をして、あらゆるものを犠牲にしてもこれを上げなければならないのか、そういうふうにますます疑問を持たざるを得ないわけです。ですから、巷間伝えられているように、小笠原の返還とこれが抱き合わせであるとか、あるいはまた、さまざまなことを言われておりますが、そんなことを信じたくありませんけれども、どうしても会期中に上げなければならぬと政府が強く執着をする理由は、端的に言えばどういうことなのか、ひとつ説明をしていただきたい。
  138. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) わが国は憲法によりまして戦争を放棄いたすとともに、第三次世界大戦が起こらないために、あらゆる努力をいたさなければならない国柄でございます。今後、第三次世界大戦の種になるようなことがもしありとすれば、それはいわゆる南北間の格差といったようなものからくる発展途上国の不満、それをめぐっての先進国間の角逐、いろいろなことがあろうかと思われますので、これは憲法のたてまえから申しましても、できるだけそういう格差はなくすように、わが国としては分相応の努力をいたしますことが、平和憲法を生かすゆえんであるというふうに考えております。ところで、そのような援助を求める国の中には、在来の法令によりますところで可能な援助だけではなかなか国の再建がむずかしいという国がございまして、現に昨年インドネシアがそのような情勢になりまして、援助をいたします際に、一部贈与の形で支出をすることによって援助条件を緩和したといったようなことが昨年ございましたわけでございます。インドネシアのそのような情勢は、ことしも継続しておりまして、しかもわが国のみでなく、各国のコンソーシアム、それからIMF等々、国際機関も入りまして、この再建を助けておるわけでありますが、法制の改正をいたしておきませんと、本年もまた昨年のように、相手は借款を望んでおるにもかかわらず、わが国としては贈与を一部しなければならないという、非常に不自然なことになりかねないわけでございます。したがいまして、昨年の経験にもかんがみまして、今回は法律改正をお願いしておるわけでございます。  なお私どもといたしましては、今度の対インドネシア援助を——すでにコンソーシアムも何回か開かれておりますけれども、わが国の法令の改正が行なわれません以上は、わが国の意思を最終的に決定することができませんために、まだ返事ができない状態でございまして、したがって、援助が急を要するにもかかわらず、各国とも足並みをそろえられない状態でございます。これはインドネシアだけを問題にしておる法改正ではございませんけれども、当面の問題はやはりそういう問題でございます。私どもといたしましては、したがって、委員の御意思によって、御可決をいただきたいと考えておるわけでございますが、会期もなおしばらくございますので、お呼び出しに応じまして、いっでも伺いまして御審議を仰ぎたい、かように思います。
  139. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 委員長から一言政府のほうに申し上げますが、これを通すとすれば、かように審議期間が非常に少ないというような状況下において、本委員会がこの法案の審議をすることはまことに遺憾に存じます。しかし、この法案の重要性、重大性にかんがみまして、委員長は、各委員の方々に対する説明等も、誠心誠意これを要領よくしていただいて、また、委員各位もそれを御了承の上にまず御審議を進めていただきたい、このことをお願い申し上げます。
  140. 近藤信一

    近藤信一君 ちょっと関連質問。いま竹田委員から一言苦言も呈したわけでございますけれども、私からも同じように一言お尋ねしておきたいと思いますが、それは通産大臣も、それから経済企画庁長官も、また大蔵大臣も、長い間の議員生活の上から見て十分体験しておられることだと思うんですが、この法案というものは、第五十八国会が召集されて法律案が国会に提案される際に、これは最重要法案だということは当然マークされて、そして提案されておると私は思うんです。この重要法案がこの本委員会に回ってきたのは昨日でございます。昨日はわれわれ委員会が開かれなかったので、実際審議するのはこれからでございます。これから時間を数えまして——実際上あす二十四日の午後十二時で実際のこの国会の委員会の審議というものはやめようじゃないかという何か申し合わせもあるそうでございます。それから考えますると、もうあと三十三時間あるかないかということなんです。皆さん、三大臣とも長い間の議員生活を体験しておられまして、この重要法案が、いまから私どもが徹夜でやりましても三十三時間ないわけなんです。これがはたして今国会で成立するというふうに三大臣考えておられるかどうか、まずこの所見からお伺いいたします。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 参議院におかれまして、この法律案がわが国の国益上必要であるという御判断を下されますならば、必ずや会期のうちに御可決くださるであろうということを考えております。
  142. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この法案は三月八日に提出されたものでございますが、いままでの例によりますと、二月早々に提案した法案も審議日数が少ないといって、私は大蔵委員会でしばしばおこられましたのですが、これは御承知のとおり、今国会にはやむを得ぬいろいろな空白状態がありましたために、こういうことになったと思いますが、政府としましては、一応御審議願える相当の余裕を持ったときに提出しているというつもりでございますが、この国会の審議は政府と別ものでございまして、国会自身が審議の日程を組んでおられることでございますので、この点はわれわれがそう干渉がましいことはできませんので、今日に及んだということで、政府の努力の足らないところはあったかもしれませんが、もっぱらこれは国会側の審議をお願いしていることでございますので、私どもからとやかく言えない問題だと思っております。
  143. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 両大臣から説明、御答弁を申し上げましたが、全く政府といたしましては、ただ本法案がきわめて重要な法案でございまして、御迷惑とは存じますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  144. 近藤信一

    近藤信一君 三大臣とも、いま御答弁を聞きますと、非常に重要な法案である、これは一致していると思うんです。そこで、私は、重要な法案であるがゆえに私どもはなお心配するんですね。重要な法案であるがゆえに、審議の内容はどうでもいいということでは、私は国民に対して責任が持てないと思うんです。かって私が商工委員長をしておりました当時に、あの当時水田大蔵大臣が通産大臣で、いまから考えますると、非常に私は申しわけないことをしたと思っておりますけれども、私は委員長としてあのとき裁断しただけのことで、各議員さんは、いわゆる重要法案である——あのときはあなたも御存じのように、中小企業団体組織法という法律でありました。相当審議されましたけれども、これがまだ審議が十分なされていないということで、ついにこれを継続審査にしたことがございます。大蔵大臣つとに御承知のとおりだと思うんですが、特に与党の自民党の皆さんは、衆議院におきましては、それぞれ国民の代表としての発言をやっておられます。ところが、参議院の与党の皆さんは非常に私は気の毒だと思うんです。もう審議の日程がないからといってほとんど発言をなされない。これは時間を食うことになりますから、早く上げるために、与党議員でございますから、協力して、発言したくても発言されない方々があるわけなんです。これは先ほど竹田君が申しましたように、商工委員会におきましては、過去二回、こういうことはございました。そのつど私どもは、審議権を持つ立法府のわれわれとしては、十分審議をして、そうしてこれを上げる必要があるから、十分審議すべきである。それが、いまのお話のように、三月幾日に提案されて、そして会期末のもうあとわずか三十何時間という時間しか審議時間というものはないわけなんです。ほんとうに私どもがまじめに、真剣に、慎重審議していくならば、好むと好まざるとにかかわらず、これは廃案ということになるわけでございますが、経済企画庁長官、あなたは、一体これから三十何時間でこれが上がるというふうに考えておられるんですか。
  145. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この三十何時間というところが、私どもにはなかなかお答えのしにくいところでございまして、国会が、もし国益上これが必要であるというふうな御判断でございましたら、必ずや御審議を了していただけるものと、こう考えておるわけでございます。
  146. 近藤信一

    近藤信一君 その三十何時間が理解しにくいということは、国会は延長されてあと十日間あるじゃないか、まあ、こういうことをあなたは考えておられると思うんですが、それは公党と公党の約束で、何か私ども伝え聞くところによると、実質審議はもうあすで終わりだ、こういうふうに私どもは聞いておるわけですが、長官はその点は、そういうことは絶対ないのだ、こういうふうに受け取っておられますか。
  147. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは、国会の御意思によってきまることでございまして、私どもそれに対して何も申し上げる立場にはないわけでございます。
  148. 近藤信一

    近藤信一君 それは、国会でやることだから自分としては関係しない、それは当然でございます。しかし、政府として、そういうことは考えていなくても、あなたも与党の一議員でしょう。だから、そのことは、あなた自民党の衆議院議員の宮澤喜一、こういう立場になれば、やはり公党間の問題ということをあなたも伝え聞いておられると思いますが、全然そういうことは聞いておられないのですか。
  149. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 個人的にはむろんいろいろ承っておるわけでございますが、政府といたしましては、そういう問題について本来関与いたすべきことではございませんので、したがいまして、政府が正式にそういうことを承知するというような立場にはないのであろうと思っております。
  150. 近藤信一

    近藤信一君 あなたが三十何時間にこだわっておられるならば、私どもはもうきょう、朝からだいぶこう審議をやって、くたくたになっておりまするから、何とかこの辺で、きょうは委員長に散会にしていただきたいことを私は希望します。
  151. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  152. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどの近藤委員の御質問でございますが、確かに現実の問題といたしましては、非常におそい時期に当委員会で御審議をお始めいただくことになりまして、時間も限られておりますのでまことに恐縮でございます。私どもとしては、最善を尽くしまして御審議に対して所信を申し上げるつもりでございますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  154. 近藤信一

    近藤信一君 私も、もっと文句を言えば文句言いたいことうんとあるんだけれども、時間もないし、だから私は、これ以上文句を言いませんけれども、いつも会期末になると、何というか、商工委員会ばかり、こういつもしわ寄せがきちゃって往生しているのですよ。だから、将来そういう点は、政府自体としても考えてやっていただきたい。私は、こう希望しておきます。
  155. 竹田現照

    竹田現照君 いまの申し合わせで時間がありませんから、あれですけれども、きのう衆議院を通りましたら、とたんにけさの日本経済にインドネシア援助に「輸銀を含め一億ドル強」という記事が出ているのですね。ごらんになったかどうか知りませんけれども、いろいろ書いています。ところが、この法律が提案され、先ほどもちょっと触れましたけれども、いろいろなことがいろいろな形で伝わっているのと同じように、予算では、六千万ドルということになっている。ところが、審議もしないうちから、ここにプラスアルファとして一千万ドル、二千万ドルだ、きょうは一億ドルと、こういうことになってくると、国会に法案を審議をしてもらうように出している政府の態度というものは、一体どこにあるのか全くわからないわけですよ。先ほども、いろいろお話がありましたけれども、おそらく倉石バカンスがなければ、三月中に予算が通り、この改正法案も通って、スハルト大統領も三月二十八日、三月の月末に来て、帰るときには予算も通って、約束をして、おみやげを持たして帰れると、そういうかっこうで日本への訪問もきまっておったんじゃないかと、これは勘ぐりですけれども、思わざる事件が起きてうまくなくなって今日に至った、こういうことでしょうけれども、これは一体どういうことですか。予算では六千万ドルと、これは具体的に質問のときにまたいろいろお聞きしますけれども、これは、どうも国会審議を何か冒涜するというのか、小ばかにしたというのか、こういうようなことは一体どこから出ているのですか。経企庁から出ているのか、通産省から出ているのか、大蔵省から出ているのか。これは一回でない、いつも出ている。スハルト大統領が見えたときも、自民党のある有力筋から一億ドルという話が出た。だから、彼は一生懸命がんばったんだという記事もその当時出ておった。これは全く審議をする立場の者としては、一体政府はどれだけまともに、どういうことを、どれが本音で予算なり、法案というものを通そうとするのか、私にはちょっと理解ができない。もし変な、デマではないでしょうけれども、いろいろなニュースを流させるということは、少なくとも大臣以下与党の首脳部もこの法律の扱い方にきわめて神経を使われておるとすれば、これは各省のいろいろなところでこんなものが流れるという、これは根も葉もないところから新聞記事は出ないと思うのですけれども、こういうようなことも十分細心の注意を払っていただかなければならぬと思うのですけれども、これは一体どこから出ておるのですか、このことは。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私もいろいろな報道を見ておりますけれども、どれも政府の考えを正確に反映しておりますものではございません。そのことは、報道がかなりまちまちであることによっても御推察がいただけるのではないかと思います。政府といたしましては、この法案を御可決いただきましたら、インドネシアとの先ほど申し上げましたように交渉が長引いておりますので、できるだけ早く各国と共同して作業に入りたいとは思っておりますが、ただいま海外経済協力基金では一応六千万ドル相当分を予算の積算の根拠にいたしております。で、総体の今年の協力基金の利用し得る資金量は四百四十億円でございます。で、これからの交渉でございますので、きちっと六千万ドルに落ちつきましたら、積算の根拠を持つということになるわけでございますが、相手国並びに他のコンソーシアムの国々との関係もございますから、わが国の一方的意思だけでこれがきまるかどうかということは、交渉をさらにやってみなければわからぬ点がございます。ですから、協力基金としては多少の弾力性を持っていなければならないと考えてはおりますが、大きな弾力性がないこともただいま申し上げたことから明らかでございます。政府の正式のただいまの段階における考え方は、そのようなことでございます。
  157. 竹田現照

    竹田現照君 これはたてまえと本音ですけれどもね、六千万ドルとおっしゃっていますけれどもね、事実上はインドネシアは約一億ドル以上ですね、要求は。ことに総理が行かれたとき、あるいはその他いろんなことの報道からいって、プラスアルファということが既成の事実である、そういうことが本音であるから、こんなことが次から次へと出てくるのじゃないかと思うのですけれども、そのことは正真正銘何もない、そういうふうに理解して、この法案の審議に臨んでよろしいですか。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 政府としては、六千万ドルの約束すら実はできない現状でございますから仰せのとおりでございます。
  159. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 今回の法案の問題につきましては、また、あすやらしていただきますが、東南アジア及び低開発国全部含めましてですが、政府の経済援助に対する姿勢ですね、考え方をまずお伺いしたいと思います。
  160. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほど申し上げたこととやや重複をいたしますが、平和憲法を持っておりますわが国のものの考え方といたしまして、戦争が起こるような要因はできるだけ防いでいかなければなりません。その一番大きな要因と思われますのは、発展途上国と先進国との間の格差の問題、それをまためぐっての先進国間の角逐ということも考えられますので、できるだけそういう格差は解消するということが世界平和につながるゆえんである、こう考えております。わが国としては、能力の範囲内でできるだけの貢献をいたすべきものであると思っておるのでありますが、ことに東南アジアの諸国とはわが国は地理的にも近い関係にございます。できるだけ援助の重点をそれらの国に置いていきたい、こう考えておるわけでございます。
  161. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 実際いままでいろいろ行なわれてきましたけれども、はたしてその国の国益にどれだけプラスになっておるか、むしろこちら側の、その経済援助の大部分が——大部分といかなくても、一部が利用されたり、いろんなうわさ等もありますし、いろんな問題がこの前から出ております。そういう問題も、あす具体的にやりたいと思いますけれども、結局向こうの一般の国民大衆にどれだけプラスになっておるか、やはりそういうことを、相当よくいままでの問題もチェックをした上で今後やっていかないといけないのじゃないか。それともら一つは、やはり日本の国がやる場合に、いままで、昔は大東亜共栄圏ということを言いまして、むしろ日本が向こうを侵略するというか、征服するというか、搾取するというか、そういうような面が非常に強かったのじゃないか、特に戦時中はそう思われるわけです。今後はそうであってはならない。あくまでも、その国の人たちのための経済援助でなければならないと、こう思うのですけれども、現実としては、そうはできていないのじゃないか。この前も予算委員会で、ベトナムに対する医療援助のことを私は少し質問をしたのですけれども、あの薬の内容というものは、非常に向こうの人たちの望むものとはおよそかけ離れた薬が送られておりまして、もちろん難民援助というたてまえであるからやむを得ないという外務省の答弁でありました。しかし、実際向こうはマラリア、結核が非常に多いわけです。やはりそれに対する抗生物質が必要なわけです。そういうものはあまり入っていないし、薬の品目もありませんけれども、あるいはその内容がお粗末である。そういうものであれば、結局その人たちのためにならぬ。日本の国民の税金を出しながら、向こうの人にもあまりよく思われないし、そういう援助であったのでは、結局どちらもよく思われない。日本の国民としても、向こうの人たちのために援助してあげようという気持ちで出したお金がどこへ使われるか、また一部の人たち利益になって、こっちの利益にならない。またいっておるもの自体も、そういうお粗末なものがいっておったのでは、向こうにも日本に対して悪感情を抱かせる、そういう点があってはならないと思うわけです。そういう意味におきまして、やはりこれから、こういう法案改正になってやられるとするならば、そういう面を非常に私は注意深くやっていただきたいと思うのです。そういう意味においても、やはり相手の国の政情が安定していなくちゃいけないと思うのですよ。そういう点について、援助をする国は、どういうふうな国であれば経済援助をしてもよろしいと、そういう判定を当然されなければならないと思いますが、それはどういうふうな基準でされるか。もう一つは、国民のためにどれだけプラスになっておったかどうかということをやはりきちっと見きわめていかなければならない。その点について、見解をお伺いしておきたいと思います。
  162. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 援助を受けるということは、経済的に自立できかねるので、援助を受けるわけでございますから、その経済的自立ができないということには、やはりいろいろの要因があるだろうと思います。それは国によりまして、さまざまであろうと思いますが、いずれにしても、そういう要因があるので援助を受けなければならない、こういうことであることには間違いございません。そこで、私どもが援助をいたします立場として、できるだけその援助が効率的にその国の国民の福祉を高めるように使ってもらいたいと願うのは、これは当然のことでございますけれども、その際に、あまりそれに急なあまりいろいろ条件をつける、あるいは指図がましいことをいたすということは、相手国の主権及び自尊心に対してかなり影響を与えることになりますので、その辺のあんばいはかなり微妙でございます。私どもとしましては、したがって、できるだけわが国一国の意思ということではなく、コンソーシアムの各国の共通の考え方であるとかあるいはIMF等の国際機関の指導であるとか、そういうことを通じて相手国のためになると信じられますようなアドバイスをしていく、それが一番よろしいのではなかろうかと思っておりまして、インドネシアの場合にもコンソーシアムもつくりましたし、またIMF等の人々が直接に指導をしておりますので、わが国の考え方も、そういう場を通じて相手方に伝えていきたい、こう思っておるわけでございます。  それから援助をする、しないという基準は、やはりあくまで人道的なものでなければならないと思っております。なお、申し落としましたが、今回のような商品援助ということになりますと、一般的に考えてあまり民生向上に役に立たないと思われるような商品があり得るわけでございますから、それらのものはあらかじめネガティブ・リスクを設けまして、今回の援助の対象にしないということにいたしたいと考えております。
  163. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあ、いま大体お聞きしたのですけれども、特にインドネシアあたりは非常に問題になっておりますけれども、何といっても、商品を援助するにしても、お金を貸すにいたしましても、結局、その国がどう発展していくかと、やはりその国の今後の近代化のための基盤といいますか、レベルを相当上げていかなければいけないと思います。何といってもそういう面では、私が考えますのには、やはり教育面というものがかなり重要視されなきゃならないと、そういう点で生産に対する意欲であるとか、あるいはこれから近代社会をつくるための一つのレベルアップをしていくためのいろいろな指導といいますか、そういうのがなされていかなければ、幾ら物をつぎ込んでも、一時的にはいいけれども、やはりよくならないのではないかと、まあいろいろベトナムなどの戦争も起こっておりますし、またベトナム周辺の国々にしても、あるいはアフリカまでこれがどの程度及ぶかどうかあれですけれども、そういう国の実態ですね、非常にいまかなり研究もされておりますけれども、まだまだ日本としては研究もしなきゃならないし、特に私は教育面といいますか、人間面の意思といいますか、それがやはり第一になっていかなければならないと、もちろん商品援助もけっこうですけれども、そういうふうな点をかなり考えた上で、もちろん、いま言われたように向こうの政府の考え方とか、そういうようなのがありますから、指図がましいことはできないかもしれませんが、やはりそういう点で何か話し合いをしていく、あるいはそういう長期計画を立てた上での私は経済援助でなければならないのじゃないかと思います。特にそういう国自身を上げていく教育面と商品援助との関係等についてどうお考えになっているかお伺いしたい。
  164. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点、私も御指摘のとおりだと思っております。援助を十分生かして使ってもらえるかどうかということは、結局、相手側の国民、政治の指導者などの最後にはやはり資質の問題、考え方の問題でございますから、私どもとして、できるだけ差しつかえのない限りのアドバイスは国際機関などを通じていたすべきだと思いますし、また、他方でいわゆる技術者等々に対する教育というものも、現地でも、また日本に希望があればこちらでも従来もいたしておりますが、やはりそういう人々に対する技術面の協力は、結局、人の教育にも実質的につながると思いますので、そういうことにはできるだけ力を使っていかなければならないと考えております。で、経済面でもできれば先方が経済復興のための長期計画を立ててくれるということは望ましいことでございまして、インドネシアの場合などは、IMF等の人々が指導いたしまして、五カ年計画というものを立てるということがインドネシアの中できまっておるように聞いておりますが、これなどは歓迎すべき徴候であろうと思っております。
  165. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま教育の問題についても言われましたけれども、やはり技術を出すにしても人間が出ていかなければいけないわけです。日本の国がこのようにいい生活になりますと、なかなか若い人は外へ行こうとしないわけです。貧乏なときは外へ行きますけれども、こちらがよくなるとなかなかそういう低開発国へ進んで行って、そこの国のために一生懸命やろうという者はだいぶ減ってきておりますけれども、そうでなくても、いまの若い人はマイホーム主義というものがはやっておりますので、よけいその傾向が強い。もう一つは、今度は向こうの人たちが日本に来て勉強して帰る、技術を身につけて帰る。ところが、そのための日本の受け入れというものは非常によくないわけです。たとえば東南アジアの留学生に対する待遇などは、アメリカなどと比べた場合、比べものにならないほど日本の待遇はよくないわけです。そういった面で、まだまだ経済援助以前のものを相当やらなければいけないと思うのですけれども、その点はどうお考えでしょうか。
  166. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 農業あるいは医療などの面では、献身的に現地に行って指導をしてくれる人々もだいぶおります。しかし、確かに御指摘のように、なかなかそういう苦労を自分で進んでやってくれる人は少のうございます。ただ、わが国の経済がかなりよくなってまいりましたので、先方からわが国に来て研修を受けたいという人々は、これはふえてきているようでございます。ただいままでのところ、わが国のほうの事情は、結局財政とことばの問題と、両方ございまして、まだまだ十分ではございませんが、しかし援助というものの性格から申しますと、そういう人の研修、教育などを先方が希望さえすればやっていくというのがやはり本筋でありますから、これからも、そういう努力はもっと続けていかなければならないと考えております。
  167. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本案の質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時二分散会      —————・—————