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1968-05-16 第58回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十六日(木曜日)    午後一時十八分開会     —————————————    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     岸田 幸雄君      柳田桃太郎君     後藤 義隆君      黒柳  明君     矢追 秀彦君  五月十六日     辞任         補欠選任      岸田 幸雄君     土屋 義彦君      後藤 義隆君     柳田桃太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君     委 員                 上原 正吉君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 大矢  正君                 近藤 信一君                 竹田 現照君    国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        通商産業省化学        工業局長     吉光  久君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    参考人        割賦販売審議会        会長       堀  武芳君        早稲田大学教授  矢島 保男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選に関する件 ○割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○砂利採取法案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、黒柳明君が辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任せられました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事に一名の欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認め、理事上屋義彦君を指名いたします。     —————————————
  5. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、お二方の参考人の御出席をいただいておりますので、これから順次御意見を伺いたいと存じますが、その前に、参考人皆さまに一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には御多用のところ、当委員会のために御出席を賜わりましてまことにありがとうございます。委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。御出席参考人の方から割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして忌憚なき御意見の御開陳を願い、当委員会審査参考に資したいと存じます。  なお、議事の進め方につきまして、まず初めにお一人十五分程度で御意見をお述べ願いまして、そのあとで委員から質疑がありました場合には、お答えを願いたいと存ずるのでございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず堀参考人に御意見の御開陳をお願いいたします。
  6. 堀武芳

    参考人堀武芳君) 御指名の堀でございます。私は割賦販売審議会会長をいたしておりますので、その立場から、ただいま当委員会において御審議中の割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、所見を申し述べたいと思います。  前払い式割賦販売は、近年急速な伸びを示しておりますが、その反面、種々の弊害が生じております。このため、割賦販売審議会においては、通産大臣の諮問に応じまして、慎重な審議を行なってまいりました。特に本問題を検討するため、審議会の内部に前払式制度部会を設けまして、専門的な立場から合計六回にわたり審議を行なった次第であります。この結果、昨年四月五日に審議会を開催し、答申をまとめて通産大臣に対し答申を行ないました。この答申の骨子を簡単に御説明いたしますと、  第一点は、経理状況販売方法等が健全であるものに限って営業を認め、消費者に危険のないようにするために許可制をとるなどの方法により、その資格要件強化すべきであるということであります。  第二点は、営業保証金供託義務強化しまして、前受金一定割合を供託せしめること等により、予約前受金の保管の確実化をはかるべきであるということであります。  第三点は、経理状況販売方法等に対する監督強化すべきであるということであります。すなわち、現行法純資産比率基準とする監督のみでは不十分でありますので、その他の各種の経営指標基準として、健全な経営確保し得るよう監督強化を行なうとともに、業者販売方法適正化をはかるため、改善命令の規定を設ける等、所要の措置を講ずることが必要であると考えた次第であります。  以上のほか、答申においては、このような改正により、業者経営に急激な変化を与えることは、かえって消費者保護の見地から問題があるので、改正に伴う一定経過期間を設けることが必要であることを答申いたしております。  今回、政府から提案されました改正法案内容は、以上申し述べました答申内容に即して立案されたものであると私は考えております。したがって、私といたしましては、この改正法案がすみやかに成立することを希望する次第でございます。  以上が今回の改正法案に対する私の所見でありますが、この際、割賦販売全体について若干の意見を申し述べたいと思います。  わが国割賦販売は、近年急速な普及を示しております。すなわち、一人当たり消費者割賦信用残高は、一九六六年で約五千六百円、個人消費支出に対する割合は約二・九%に達するものと考えられます。しかしながら、これを諸外国と比較いたしますと、たとえば米国では一人当たり割賦信用残高は十三万六千五百円、個人消費支出に対する割合は一六%に達しており、これと比較すると、わが国割賦販売は未発達状況にあります。他方、わが国におきましては、今後耐久消費財普及が著しくなるものと考えられます。これらの事情を総合して考えますと、今後わが国における割賦販売利用は、相当のテンポで増加するものと思われます。このような割賦販売利用の進展に伴って重要性を増すと考えられますのは、割賦金融、さらに広くいえば消費者金融の問題であります。この点については、割賦販売審議会金融部会におきまして従来から検討を続けてまいりました。この結果、昭和四十一年十月に中間報告をまとめております。この中間報告概要を御説明申し上げますと、わが国現状は、割賦販売資金ディーラーまたはメーカー自己資金、またはその物的、人的担保力に依存する借り入れ金によってまかなわれておりますが、今後わが国割賦販売の健全な発達をはかるためには、このような方式から脱却して、消費者に対する割賦債権自体担保とする割賦販売金融体制を整備する必要があると指摘しております。割賦販売資金メーカーまたはディーラー担保力に依存しておりますと、その担保力に限界がありますから、今後急速に伸びていくと考えられる割賦販売のために必要とされる資金確保できないおそれがあります。このような割賦販売資金需要供給との間にギャップが出てまいりますと、割賦販売の健全な発達を制約し、消費者にも不便を与えるおそれがあります。そこで、欧米諸国において行なわれているように、消費者に対する割賦債権自体担保とする金融体制を整備する必要があるわけであります。このためには、一つには、信用調査体制を確立し、権威ある信用調査機関のスクリーンを経ることによって割賦債権に対する社会的信頼感を増すことが必要であります。これが割賦債権担保化に非常に役立つと報告されております。  割賦金融体制を整える第二の前提は、割賦金融会社制度の育成であります。割賦債権は零細小口で、代金回収集金方式が多いため、一般金融機関がこれを担保金融を行なうことは、事故の際の担保の実行の面から制約があります。そこで、割賦販売業者一般金融機関中間にあって、割賦販売金融専門に行なう機関が必要であると指摘されております。  以上が中間報告概要でありますが、実際にこれを実現しようとする場合には、いろいろと検討を要する問題があります。現在わが国金融体制割賦販売業実情とを総合的に検討して、わが国実情に最もよくマッチした実行可能な方策を見出す必要があるわけでございます。このため、本年から割賦販売審議会金融部会を拡充強化いたしまして、詳細な審議を行なっている次第であります。私どもとしましては、なるべく本年度中には一応の結論を取りまとめたいと考えて、検討を急いでいる次第でございます。  以上簡単でございますが、私の意見の陳述を終わらせていただきます。
  7. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  次に、矢島参考人に御意見の御開陳をお願いいたします。
  8. 矢島保男

    参考人矢島保男君) 矢島でございます。  初めに今回の割賦販売法の一部改正について私の考え方を申し上げまして、それから次に割賦販売全体に対して、今後の問題点について私の考え方を申し上げたいと、こう思っております。  今回の改正は、前払い式割賦販売に関係したことで、購入者である消費者保護を現在以上に強化するという立場からこれが行なわれようとしておるものと考えます。前払い式割賦販売ミシンとか手編み機電気製品を購入する人々は、比較的所得の低い階層であると考えます。ミシンの場合は、一回の賦払い金が五百円というものが相当多いというような事実からも、そういうことが推察できると思うのです。それだけに前払い式割賦販売業者が健全に発達いたしまして、万が一にも倒産してこのような低い所得人たちに迷惑をかけるというようなことがないようにすることが非常に重要なことであろう、こう思います。しかし、実際に前払い式割賦販売業者を見ますと、その規模が非常に小さいものが多いわけでございます。資本金が十億円以上のものもありますけれども、五百万未満の会社が全体の約五五%を占めておりますし、従業員の数から見ましても二千人以上の会社もありますけれども、四十九人以下の会社が全体の約六〇%を占めておるのでございます。そこで、今回の改正前払い式割賦販売登録制から許可制に直しまして、健全な業務をやっていくだけの財産的な基礎を持たないものは許可しないようにするとか、また倒産などがないように経常収支率とか流動比率などを見まして、財産の状況について改善を命令することができるようにしたことや、さらには前受け金の三分の一を保証金として供託させることにしたり、購入者である消費者がとかく読まない販売契約約款につきまして、消費者保護立場から一定基準を設けたり、その変更を命令できるようにしておる等々の点、いずれの点から見ましても広く割賦販売健全性強化消費者に対するこれまで以上の保護ということを目的にしたものと考えられますので、私はこのような改正につきましては賛成でございます。  次に、割賦販売全体について今後の問題点に対しまして、いささか私見を申し上げまして御参考になれば幸いだと存じます。前払い式割賦販売だけではなしに、いずれの割賦販売にしても消費者立場から見まして割賦販売業者が健全な経営を営むということは非常に望ましいことでございますが、そういう点につきまして一番問題なのは、先ほど堀参考人からお話がございましたように、やはり私も金融面であろう、こう考えております。説明するまでもございませんが、割賦販売金融面から見た場合の特色一つは、毎月購入者である消費者から賦払い金が入ってまいりますので、その返済される賦払い金をうまく資金的に循環いたしまして営業を営んでいけるという点であろうと思うのです。でありますので、間違いなく賦払い金が返済されるために、一つは間違いない人に信用を付与するという意味で個人信用調査が非常に大切であり、それから賦払い金回収といいますか、集金といいますか、そういうことがうまくいかなければなりませんので、そういう回収という点がまた大切でございます。でありますが、この信用調査とか回収の面につきましても、わが国では外国に比べますと、そういうメカニズムが必ずしも発達しているとはいえない、こういう点が私は一つの大きな問題だと思うのです。しかしそれ以上に、資金調達機構がうまくいっていない点がさらに大きな問題であると考えております。資金調達という点から見ますと、いずれの割賦販売業者自己資本が非常に少なくて、メーカーからの借り入れ債務に非常に依存しておる、そういうところが特色でございます。この前払い式割賦販売については、前受け金の依存程度が非常に強いわけですが、一般的に見まして、メーカーからの資金援助、ことに買い掛け金でございますが、そういうものに非常に依存しているところに問題があると思うのでございます。しかしこのようにメーカーからの資金的援助に非常に依存しているということは、これは割賦販売業者自身独立性が非常に薄い。そういう点に一つ問題がありますけれども、それだけではなしに、広くとりますと、いわゆる流通金融生産金融ないしメーカー金融の一環として行なわれている、そういう点が問題であると思うのでございます。と申しますのは、たとえば金融が引き締められましたときに、銀行等からのメーカーへの融資が抑制されますと、メーカーによる割賦販売業者への資金的援助メーカーのほうから見れば売り掛け金その他になりますが、ディーラーである割賦販売業者から見れば、買い掛け金その他ですが、そういうものがこれまでよりは縮小されまして、それだけ販売業者資金的な困難におちいります。そこで勢いそこには企業間信用の膨張といいますか、増加も、非常にあらわれてくるわけでございます。そこで現在割賦販売業者にとって非常に望ましいことの一つは、割賦販売業者段階で、 つまりディーラー段階でもって、現在よりももっと金融がつけられるということでございます。つまり、たとえば割賦販売の結果購入者である消費者が振り出した割賦手形割賦契約書が、外国におきますように金融機関によりまして買い取られたりまた割賦債権が何らかの機関によって保証されて金融機関からの借り入れ担保になるようなメカニズムができ上がることが望まれるわけでございます。御承知のとおり自動車に関しましてはわが国でも割賦手形担保金融がある程度行なわれているということは言えますが、ほかのものについてはほとんどこれが行なわれていないわけでございます。要するに、割賦販売の今後の問題点といたしましては、個人調査個人信用調査賦払い金回収機構が整備されるということと同時に、割賦金融機構の確立という点が最大しかも急務なことだと思います。と申しますのは、過去の割賦販売売り上げ高の推移を見ましても、資金量の手当てが今後いかに必要であるかということがわかるわけでございます。なお、皆さまの御承知のとおり、金融機関は、いわゆる消費者金融ないしは消費者ローン、こう言いまして直接消費者賦払い貸し付けをやっております。そうしてこの金融機関賦払い貸し付けをする消費者金融の非常に伸びていることは事実でございまして、いわゆる絶対額においては、貸し出し全体の中に占める割合は非常に小さいのでありますけれども、伸び率はきわめて大きいのであります。たとえば四十一年の三月から四十二年の九月までをとりますと、全国銀行勘定でございますが、全貸し出しは約一・一倍の伸びをしておるのが、消費者金融につきましては二・四倍の伸びをしております。そして今後ともこの銀行等金融機関は、個人預金確保という点から、個人に密着するというためにもこの方面にさらに力を注いでいくと思われます。そうして最近におきましては消費者金融の件数もだいぶふえてまいったようで、しかも機械化も進みまして、こういう金融に付随するこまかい事務も次第に容易に処理されるようになってきて、採算ベースに乗るようになってきたと聞いております。しかも、現在この金融機関のやっている消費者金融の中心は、いわゆる提携金融でございまして、借り手であるところの消費者が購入する耐久消費財、たとえば自動車とか電気製品とかピアノ等々ございますが、こういうものにメーカー販売会社保証をして、その保証をバックにして銀行貸し付けをしておるわけでございます。ですが将来を考えてみますと、ことに教育費とかレジャーの費用とか等々、いわゆる用役に関係した消費者金融の比重も大きくなってくるだろう、そういうことば外国の事例なんかで推察できるわけです。いわゆる提携しない、非提携金融がだんだん出てくるウエートを持ってくるんじゃないかと思うのでございます。このような、銀行等金融機関による今後の消費者金融はますます進んでくるんじゃないかと思うのです。こういうふうに考えてまいりますと、いま申し上げましたように、銀行などが消費者金融を進めていきますので、前に申し上げましたように、割賦販売業者から見ますと、消費者へ直接お金を貸すぐらいならば、その資金自分たちのほうへ回して割賦債権の買い取りとか、それを担保にした貸し付けとかをもっとやってもらいたいという気持ちが起こってくると考えられるのであります。しかし、金融機関にとりましては、消費者金融のねらいの一つは、個人預金確保ということにありますので、この方向へ全面的に方向を変えるというようなことは容易にできませんし、同じ割賦販売でも、単位当たり比較的価格の低い商品につきましては、現在のような割賦手形担保金融も現在の段階では簡単にできないと思われます。そこで、前に述べましたように、割賦販売業者段階割賦債権を現在よりも一そう資金化するための機構、たとえば専門的な金融機関、そういうものをつくろうという方向は、必ずしも現在の銀行などのやっている消費者金融方向と相対立するものでもないわけでございます。私は、たとえばアメリカにおけるようなセールス・ファイナンス・カンパニー、いわゆる販売金融会社とか、イギリスにおきますハイヤー・パーチェス・ファイナンス・カンパニー、何と訳しますか、割賦購買金融会社、そういう専門的に割賦金融の機能をやる機関の設立という方向皆さまによって一考していただければ幸いじゃないか、こういうふうに私個人は考えております。  非常に簡単でございますけれども、私の考え方を述べさしていただきました。ありがとうございました。
  9. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  以上をもちまして参考人方々の御意見の御開陳は一応終わったのでございますが、これに対しまして、質疑のおありの方は順次御発言をお願いします。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 簡単に二、三お尋ねしたいと思うのですか、まず堀参考人からお尋ねをするわけでございますが、割賦販売現状では、割賦販売業者自己資金や、それから自己信用ということを基礎にしていろいろ借り入れ金などをやって、そして割賦販売ということをやっておる。しかし、今後割賦販売に対する社会的需要というものが高まってくる、そういたしますと、早晩割賦資金の逼迫ということが考えられるんじゃないかと思うわけでございますが、割賦資金の円滑な供給のためにはどんな方策というものがあるか、具体的にもしあるならば、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  11. 堀武芳

    参考人堀武芳君) ただいま御質問のように、現在としてはメーカーなりディーラーが、その信用なりもしくは担保なりを限度にして資金調達しておりますから、おっしゃるように、その程度では割賦販売が増加していきますと、資金不足というものは当然出てくるわけであります。それに対しましてどういう方法があるのかという御質問でございますが、先ほどもちょっと申しましたように、結局ディーラーなりメーカー信用なり担保なりによらないで、消費者に対する割賦債権そのもの担保にして、それを見合いにした金融をつけていくということで、そうであれば、割賦がふえればふえただけ担保もふえていくわけですから、資金調達も可能になっていくだろう。それにはどういうふうにするかということでございますが、それには、先ほど申しました、四十一年十月の中間報告によりますと、やはりこの場合に、専門金融機関をつくる。銀行とそれから割賦販売業者の間に立って、そして割賦販売業者資金供給する、そういう専門機関をつくる。そして、その専門機関銀行融資をするという方向を、中間報告でその方向として答申しているわけでございます。これは確かに外国でもそういう例があるようでございますし、一つのいい方法だと思うのでございます。ただ、実際に日本でそれを実行していく場合に、日本現状は主としてメーカー系列になっておりますので、そのメーカー系列を離れた、純粋な中立的な金融機関がどういうように育っていくかどうかと、そういうような点とか、あるいは金融機関が、そういう中間専門金融機関に対して信用を供与していくのに十分な信用を与えられるかどうか、そういうような点に問題があるわけでございます。中間専門機関がどういうものに育っていくかという点は、日本現状からいくと、もう少しよく検討してみなきゃならぬと思っております。それで、過般の審議会金融部会でも、そういう点について、今後はなお詳細検討していきたいと思っておる次第でございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 これは両先生とも、先ほど来この割賦金融の問題、盛んに御説明がございましたが、また、そして将来、消費者金融から考えてもそうでございますが、やはりいま堀参考人が言われましたように、何か専門的な金融機関を設けて云々ということでございますると、やはりこれは割賦金融会社というふうなものが設立されて、そのもとでこの金融面をうまく操作をしていく、こういうふうな構想になるのじゃないかと、こう思うのですが、そういうことについて何か具体的にお考えになったことでもございますか。いかがですか。
  13. 堀武芳

    参考人堀武芳君) まだ具体的にそういうものについて案をつくったというようなところまではいっておりませんので、先ほど申し上げたように、審議会としては、今後専門委員まで入れまして検討はしていくことになっておりますけれども、そこまで検討は進んでおりませんでございます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 矢島先生はこの専門的な、また学者的な立場から見て、この構想というものはどうですか。
  15. 矢島保男

    参考人矢島保男君) 堀参考人からもお話があったことと重複するかもわかりませんが、やはり割賦債権をうまく担保化して、金融機関からお金を借りやすくする、そのために、たとえば小さな割賦債権といいますか、金額の小さな割賦債権を取り扱うようなところでは、たとえばその業界においてそういうようなことを保証するような組合のような機関をつくって、割賦債権担保化——まあ割賦債権保証機関ですね、そういうものをつくって、そして金融機関から借りやすくするとか、それからまた、金額の大きな商品につきましては、たとえば自動車等でございますが、こういうものにつきましては、すでに御承知のとおり系列月販会社が一ぱいあるわけでございますね。自動車につきましてもそうですし、電機業界についてもそうだと思いますが、そういうふうな系列月販会社というのは、ある意味では私は金融機関的な機能をすでに営んでいると思うのでございます。したがいまして、そういうふうな、現在あるところの月販会社を、さらにその金融部門を——月販会社というのは金融と、それから販売の促進、両方をやっているのだと私は思いますが、そういう金融部門を独立できるような、何か、いまお話がございましたように、販売金融会社法とか、そういうものをつくって、そういうものが独立できる、何といいますか、そっちへ転換できるというようなことになって、その割賦販売会社がたとえば一種の債券を発行できるというようなことによって資金的な裏づけもできれば非常にそういうものが具体化されるのじゃないか、こういうように私個人は現在考えております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 堀参考人割賦販売審議会会長をしておられますし、いろいろと割賦販売についての研究等も進めておられることだと思いますが、いま矢島先生言われましたように、現在自動車ローンみたいなものについては金融機関がやっております。しかし、それに対しましてもいろいろと問題は、私ないとは言えないと思うのです。いろいろな問題があるので、やはり将来これが発展をしていくと、何らかもっと改善をしなければならぬというような点もあろうかと私は思うのですが、この点、割賦販売審議会として、堀参考人は何か改善方法についての考えをお持ちになっておりますか。
  17. 堀武芳

    参考人堀武芳君) 割賦販売審議会としては、それは検討するまでに至っておりません。今後の検討の問題として当然出てくる問題だと思います。私個人としましては、先ほども矢島参考人が申されましたが、従来ですと、銀行は主として企業対象の金融をやっておったわけですけれども、最近は個人の預金を主としてのねらいですけれども、個人とのつながりをできるだけ持とうという考え方に変わってきております。そうして同時に、それの事務に対しては機械化によって、前ですと経費が非常にかかるから、採算的にはとれないというものでも、最近は採算がとれるというような計算から、個人金融に対して、個人とのつながりを持つという点に対して非常に熱心になってきております。ですからこの方向は今後、私個人の見込みでございますけれども、相当進んでいくんじゃないかと思うのでございます。現在すでに大銀行では、クレジットカードなどを出したりして個人とのつながりをできるだけ広げるという方向になっております。そういう点からいきますと、これは相当今後広がって活用されていくようになると思います。それが大体において割賦金融の今後の円滑化のために相当役に立つものと考えます。ただ将来に対して、しいて申せば、現在自動車などは大きいし、あれですけれども、たとえばチケットなどを出している専門のすでにできている団体なり専門店なりございますが、それらの分野に対して、いまの銀行個人ローンが、消費者ローンが、大体大口のほうを多くねらっていくのですから、あまり競合しないと思いますけれども、将来そういう既存の中小専門店の開拓している分野に対して多少の影響があるようなことになるおそれはないかどうか、こういうような点はちょっと疑問に思っております。しかし現在としては、そこまではいかないで、むしろいままでの個人金融、消費金融が不円滑であったのを円滑にするという働きのほうが大きな効果をあげていくと思います。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 割賦販売販売条件につきましては、現行法では通産大臣が標準的な販売、これを告示して、そうしてこれをやっておるわけなんですが、しかしこれに違反した場合、大臣の勧告によって云々ということになっておる。勧告ということになると強制力を持たない、こういうことで、もっと資本の自由化になっていろいろと外国からも入ってくることであろうし、もう少し強力なものにしたらどうか、こういうふうな意見もあるやに聞いておりますが、この点はどうですか。
  19. 堀武芳

    参考人堀武芳君) これも審議会としてはまだ結論に至っておりません。ただ、私個人の考えとしては、現在のではあまり守られてない、もう少し守るように行政的な方法を講ずべきじゃないかと、そういうふうに考えております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 時間がございませんから、次に矢島先生にお尋ねしますが、大体、日本販売制度というものは、昔よく私どもいなかでもございました半期半期の掛け売りをやってきた。こいつが近代的な商業になって、デパート等で正札をつけるようになってきた。そうして今度正札をつけて売るようになって大衆の目にもすぐわかって、比較的好評を持たれてきた。ところが今度、割賦販売ということになって、新しい販売方法というものがここに出てまいりまして、これも非常に大衆受けをしておるわけなんですが、将来やはり流通機構の上からいきましても、こういう方法というものが、もっと活発になってくるというふうに私考えるわけなんですが、この点の先生のお見通しはいかがですか。
  21. 矢島保男

    参考人矢島保男君) 割賦販売のやり方というものは、昔からないことはなかったと思うのですが、いまお話がございましたように、世界的に見ますと、やはり割賦販売というのが非常に盛んになったのは、第二次世界大戦後だと思います。これは日本ばかりではないので、アメリカについてもヨーロッパについてもそうだと思います。それはどういうことかと申しますと、一つは、急激な耐久消費材の普及と申しますか、所得に対しまして非常に高い品物が非常に普及してきた。これは国民所得が非常にふえたことによって、大衆の所得がふえたことによって、そういうものの購買力が出たわけでございます。そうして長い目で見ますと、やはり所得がふえればふえるほど相対的には余分の、何と申しますか、消費に対する貯蓄がふえてくるものですから、こういう耐久消費材に対する需要というものはまだまだ伸びるのではないか、こういうふうに思いますので、割賦販売のやり方というものは今後相当もっともっと伸びていくと、そういうふうに私個人は考えております。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 この割賦販売制度というものは、やはり外国でも活発にこれをなされておるというふうに私聞いておりますし、事実、十数年前に私がアメリカに行きましたときに、みんなが自動車を持っておる、持っておる以上は割賦が一生ついて支払っていかなければならぬということを言っていましたが、私もそんなもんかいなと、当時聞いておりましたけれども、そういうふうに割賦販売外国で盛んに行なわれておる。で、日本でやはり今度割賦販売制度というものがずっとここのところ設けられて、これが活発に動いてきておるわけですが、外国日本との割賦販売の何か相違というふうなものは、これは先ほど先生が言っておられました、外国ではいわゆる割賦信用金融会社というようなものがつくられてやられておるのか、それとも何かの機関でやっておられるか。そういう点、先生御存じでございますれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  23. 矢島保男

    参考人矢島保男君) わが国外国との機構上の相違というものがまずあると思います。先ほど申し上げましたように、アメリカなどでは割賦手形、いわゆる消費者の振り出した手形でございますが、これがどんどん買い取られる、これは商業銀行も買い取りますし、販売会社のような金融機関もどんどん買い取る、そういう点ではディーラー段階金融がつけられておる。またヨーロッパにおきましても、アメリカとは少しやり方が違いますけれども、たとえばリーダーのところへお客さんが来ますと、そのお客さんを金融会社に紹介いたしまして、金融会社信用調査をやって、よいということになりますと、その消費者金融会社お金を貸す。そうしてリーダー自身から買わせるという形になりまして、ちょっと形式が違いますけれども、やはりすぐ、割賦販売が行なわれますと金融の裏づけがなされていく、そういう点が日本ではなかなかうまくまだいっていない。その点が一つ大きな違いだと、こういうふうに私は思います。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 割賦金融制度を整備するためには、どうしても消費者信用調査機構というものが重要なことだと思うのです。現在日本で行なっておりますのは、セールスマンが行って、そうして十分に調査するか、その点、おもに現在は、私どもの家に来ましても、説明しまして、それでオーケーということで話をきめてしまう。ここにも一つの問題があるんじゃないかというふうに私思うのですが、この点はいかがですか。
  25. 矢島保男

    参考人矢島保男君) 先ほど申し上げましたように、個人信用調査機関は、日本では非常に未発達です。たとえば外国では、業者が会員制によりまして一つの調査機関をみずからつくって、そうしてお客さんが来ますと、そこにおいてそのお客さんの過去の信用の記録を調査するというので非常にうまくいっておるようでありますけれども、日本の場合、まだ信用調査といいましても、私の考えでは、個人割賦で買ったという記録が一カ所に集まっていない。つまり信用の登録といいますか、そういうようなことがまず最初に行なわれませんと、なかなか信用調査をやろうといいましてもできないのであります。私の考えでは、まず信用調査機関といいますけれども、まず信用のレジスターといいますか、登録といいますか、そういうような方向個人信用調査機構を持っていくことがまず必要じゃないか、こういうふうに考えております。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 現在では売らんかなのセールスが多いと思うんですね、そこで、どうしてもあとでいろいろと紛糾が起こってくる。この紛糾に対してもまことに……。そこで、紛糾をどう調整するかという機関も現在ではないんじゃないかと私思うんですが、こういう点、将来やはり日本割賦制度というものが活発になってくればくるほど、そういうような問題に重点的な何か機関というか、機構というか、そういうふうなものを考えていかなければ、私は消費者も安心して割賦と取り組めない、また販売業者としても安心して割賦に取り組んでいけない、こういうことにもなろうかと私思うんですが、この点はいかがですか。
  27. 矢島保男

    参考人矢島保男君) 私はまだ具体的にどうしたらいいかということは考えておりませんけれども、お説のとおりだと私は思います。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 いま先生も言われましたように、これはまだ具体的にあれしてないけれども、やはりそういう問題が起こってくると。やはり私はいまでも消費者は非常に多くの人が割賦に参加しておるというふうに資料にも出ております。これは新しい販売機構でございまするから、それぞれのメーカー等もそういう線で相当な将来進歩といいますか、発達がここにあらわれてくると思うんです。そういたしますると、私はますます混乱してくると、こう思うのであります。現在は、割賦販売制度が容易にできなかった当時は、みんな店頭売りでございまするから、一般の消費者は店頭で商札のついておるのを信用してそして買ってきた。それが今度は、商札も何もない、値段が幾らで、割賦でこうなって、これだけの積み立て金をしていけばこうなるんだという、こういう説明だけで今度は取引をするわけですから、そうすると、一般の消費者は、内容等についてはそう詳しくその際に説明を求めたりなんかというのはむずかしいと思うんですね。そういう点で私は割賦販売というものが進歩してくればしてくるほど、そういう点に対するところのPRといいますか、教育といいますか、そういうものをあわせて私はやっていかなければいろいろと問題が起こってくる、こういうふうに考えるんですが、先生その点はいかがですか。もう時間が——あとまだ、今度法案の審議に入りますので、参考人に対する質問は、私はこの程度で終わりたいと思います。
  29. 矢島保男

    参考人矢島保男君) お説のとおりだと思います。たとえば割賦販売が進んでまいりますと、割賦販売に対する広告でございますね、そういうものの規制なんかも相当しなくちゃいけないと思うのでございますね。イギリスなんかはそういうこと非常にやかましいようでございますけれども、たとえば割賦の期間とかそれから頭金だけじゃなしに、一体どれくらいの手数料ないしは金利が立てられているかというようなものを明示しなくちゃいけないというふうなことがうたわれておりますが、そういう面で、他方面からやはり消費者保護するというようなことが私必要だと思います。
  30. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ほかに御質疑ございませんか。——ほかに御発言もなければ、参考人方々に対する質疑は、この程度にいたしたいと存じます。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。本日は、お忙しいところを御出席をいただきまして、御意見を御開陳、あるいは質疑に対するお答えをいただきまして、まことにありがとうございました。今後の法案の審査に大きく参考にしてまいりたい、かように存じておるわけでございます。重ねて委員一同にかわりまして御礼を申し上げます。まことに御苦労でございました。ありがとうございました。     —————————————  それでは、これより政府に対する一般質問に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 割賦販売法の一部を改正する法律案に対して、若干の質問をいたしますが、その前にお尋ねしておきたい点がございます。この割賦販売法の第一条「目的及び運用上の配慮」というところに、この2項に、「この法律の運用にあたっては、割賦販売を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない。」と、こういうふうに、これは法律としてはまことに具体的に中小商業者の利益を守るようなことがぽんと打ち出してあるわけなんですが、ところが今度の改正というものは、主として消費者保護を中心としてのこれ改正案であると、私は信じております。そういたしますると、この法律の第一条に書いてございまする中小商業者の振興、安定ということと若干食い違ってくるような趣があるんじゃないかと私思うんですが、この点はどのようにあなたのほうとしては御判断をしておられますか、承ります。
  32. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御承知のように、この一条の二項の規定は、この法律の制定のときの国会修正で加わった規定でございます。われわれといたしましても非常に大事な問題でございますので、その後の運用につきましてはこういう点に十分配慮してまいったつもりでございます。例示的に申し上げますと、たとえば割賦販売審議会でいろいろな議論をいたしておりますが、そのときに中小企業の代表あるいは消費者の代表に加わっていただいて議論する、また中小企業の金融対策、税金対策の面がございますが、税金につきましては、御承知のように割賦販売業者につきましては貸し倒れ準備金を普通は限度額千分の二十でございますが、それを二十五まで引き上げるというような措置あるいは割賦債権につきましては期限到来主義というようないろいろな税制上の措置をとってまいっております。それと同時に、先ほど来議論がございました割賦金融につきましてもまだ完備いたしておりませんが、そういう面について商工中金等を中心にいたしまして金融の道を開いている、こういう実情でございます。今後、今回の改正は御指摘のように消費者保護の観点からでございますが、その運用につきましては十分健全な中小企業を育成するという精神で運用してまいりたいと思いますと同時に、この法律以外の金融、税制上の問題、特に金融の問題につきましては、中小企業について金融制度の確立を十分研究してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 割賦販売業者の中には、まあ若干大きなメーカーもございますが、おおむね中小のメーカーが多いと思うんです。そういたしますると、今度新しい改正案によりまして、従来前払い金を全部流用しておったのが、今度は法案の内容でいきますると三〇%ですか、これを供託せなければならぬ、こういうことになりますると、いわゆる中小の弱小割賦販売メーカーは、いわゆる金のやりくり、金繰りが苦しくなってくるんじゃないか、そのために倒産をするというふうなことも出てくるんじゃないかということが懸念されるわけなんですが、やはり今度改正案で消費者保護に重点を置かれておるから、こういう結果も出てきますが、こうなれば、やはりそれに対する金融の何らかの措置というものを考えて、その上に立ってこういう法律改正というものはなされるというのが私は順序だと、こう思うのでございますけれども、今度の改正内容を見ましても、そういう金融の措置に対しては何も講じてない。いま局長は税制の措置を講ずると言っておられますけれども、税制の措置は講じてあるけれども、いわゆる金融上の措置というものは講じてないわけなんです。それで、この割賦改正をしようとした場合に、私は中小の販売業者が非常に金繰りが苦しくなって倒産するということが予想されるわけなんですが、今度どうして金融上の措置を講ずることができなかったのか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  34. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 非常にごもっともな御意見だと思いますが、われわれもこの改正にあたりましては、両面をいろいろ検討したわけであります。先ほどお話のように消費者保護のために供託金を、前受け金の三分の一にする、あるいは財産的基礎強化していくということでございますが、確かに中小企業関係につきましては苦しいという問題はあろうかと思いますが、まず全般的にわれわれが割賦販売業者を調査いたしました結果を申し上げますと、この現在の登録業者の中で規模が小さいから経営がまずい、あるいは非常に資金繰りが悪いという傾向は、正直に、率直に申し上げてございませんでした。むしろ、そういうところは規模に相応した運営をされている。むしろ、急激に拡張したところのほうがあぶないという傾向もございました。したがいまして、今回の改正が一がいに中小企業を圧迫するということにはならぬと思います。しかし、御指摘の問題もございますので、今回の措置におきましては、三分の一の供託とはいいながら、それを二年間四回に分けて供託していただく、こういう経過措置をとったわけでございます。それによって御心配のような点は起こらないと思いますが、健全な中小企業でもし、むずかしい、なかなか経営が圧迫されるというような面がございましたら、商工中金にもお話し申し上げておりますので、その面の融資を考えてもらいたい、かように考えております。  それから根本的には、御指摘のように金融制度が確立してからこういう改正をすべきじゃないかというのは、私もわかるわけでございますが、御承知のように相当最近紛争とか倒産の事例がございますので、そういう調整をはかりながらさしあたりこういう措置をとらしていただきたい。あわせて、少しおくれますが、金融制度の問題はことし一ぱいにめどをつけたい、そういう金融制度がさらに整えますれば、それとあわせてこういう消費者保護の措置もだんだん強化してまいりたい、こういうように漸進主義と申しますか、調整をとったわけでございます。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 いま局長からいろいろと御答弁がございましたが、やはり従来前払い割賦によって流動資金を流用しておったのが、流用できなくなる。そこで、いま局長は商工中金等についても十分これは考慮する、こういうお話でございますので、一応、私は安心するわけでございまするけれども、やはりこの商工中金にいたしましても、それから中小企業金融公庫にいたしましても、健全なところにはこれは幾らでも信用して資金貸し付けてくれますけれども、実際小さなところ、あぶないところにはなかなか金の貸し付けということには、すべったころんだといって、なかなか困難がある、これは私どもいままで経験してきておる問題でございまするから、ないということは局長も言い得ないだろうと思うのでございますが、やはりそういう点で、もし業者からそういう面で必要な申告がございますれば、その点はあなたのほうでなるべく努力して政府金融機関に、これを早く何とかしてやるように、こういうひとつ御考慮を願っておきたい。この点も局長は十分いろいろ心得ておられると私は思いますけれども、その点重ねてひとつ申し上げておきます。
  36. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 実は許可制とか、先ほど供託の問題はお話し申し上げましたが、移行するに際しましては、許可については一年の猶予期間を置くような措置をとっております。そういう意味は、その間にわれわれも特に中小企業の方々には重点を置いて資料を出していただき、十分調査して、その間健全に、まじめに経営したいという向きに対しては、十分な指導といいますか、御相談に応ずるということを考えているわけです。その意味で一年間の猶予期間を置いたわけでございますので、万々まじめな方がこれによって影響のないように、十分配慮してまいりたい所存でございます。
  37. 近藤信一

    近藤信一君 割賦の種類に前払い式とあと払い式の二種類があると思うのです。通常いわれており、私どもの割賦というのは、おおむねあと払い式が多かったのですが、ミシン、それから手編み機ですか、これはだいぶ前から前払い式割賦をとり入れておったように私思うんですが、割賦はこの二種類だけであるのか。そのほか、もっとほかに方法があるのか、この点はいかがですか。
  38. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 大きく分けますと、前払いとあと払いだろうと思います。それから分類といたしましては、その大分類のうちのあと払いに入ると思いますが、御承知のようにチケット販売、いわゆる信販がございます。それを入れますと、こまかく分類しますと、三種類、こういうことになります。
  39. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、前払い式健全性であるか、あと払い式が健全性であるか、この判断が非常にむずかしいと思うのです。それは売るほうからすれば前払い式のほうが健全性でございましょうし、買うほうからすれば今度はあと払い式のほうが健全性じゃないか、こういうふうに私は判断できると思うんですが、その健全性はどちらが強いのか。あなたのほうの判断はどこに置いておられますか。
  40. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘のように、消費者から見ました場合はむしろあと払い、商品が先に渡りまして、あとから金を払えばよいという形のほうが好ましいと思います。ところが、先ほども問題になっておりましたように、日本ではいわゆる信用調査機構発達いたしておりません。また金融制度がまだ未成立でございます。そういうことから、日本独特の制度として前払い式というのが発達いたしたのであります。先進諸国で調査機関なり金融制度の整っておるところでは、こういう制度はございません。そういう意味では今後金融制度とか調査機関発達に応じまして、前払い式があと払い式にだんだん移行していくという形になるのではなかろうかと思います。現実にも前払い式で契約いたしておりまして、途中であと払いに切りかえるという方法が相当行なわれておりますので、趨勢としてはそういうことにだんだんなってくるんじゃないか、こういうふうに考えます。
  41. 近藤信一

    近藤信一君 それでは前払い式割賦に対する政府の基本的態度についてお伺いしていくわけですが、わが国においてはやはり割賦が流通機構において指導的な役割りを果たしております。で、消費者への信用供与に寄与したことは無視できない、これは先ほど来いろいろと言われておるとおりだと思いますが、政府割賦制度を今後とも普及していかれるおつもりかどうか、この点、大臣からひとつ所見をお述べいただきたいと思います。
  42. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 前払い式割賦販売制度を今度整備いたしましたのは、主として消費者保護——金は先払いしたが途中で業者が倒産をしたとか、その他の故障によって予定のとおりのものが入らないというのがままありますので、そういうことのないように、消費者保護する、いわばこれによって生ずる——主として消費者に対するものでありますが——弊害を排除するという、いわば秩序法規、そういう性質のものでございまして、この結果、前払い式がおそらく普及するだろうとは思いますけれども、特にそういう意図を制度の上にあらわしておるわけでございません。
  43. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、衆議院におけるこの附帯決議の趣旨に沿って、近い将来前払い式を通常の割賦販売形態に移行させようといたしますれば、そこにどうしても無理が生じてくると思います。現在の前払い式は、実は頭金の分割払いと考えられるのではないかと思います。現在約一千万口の契約が存在するという事実は、それなりに何らかの経済合理性があると思われるわけですが、それはどうですか。
  44. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 前払い式割賦販売制度をあと払い式に移行させるという特別な意図をもってこれを施行する——この先進制度を施行するわけではございませんが、自然に割賦金融というものが発達いたしますれば、あと払いというものにだんだん変わっていくであろう、そういうことが予想されますし、先進国の例もそういうふうになっております。
  45. 近藤信一

    近藤信一君 前払い式割賦販売業を登録制から今度新しく許可制に移行されるわけでございますが、そういたしまして営業資格要件というものが許可されることになるわけなんですが、具体的に許可基準というものがどんなものであるか。それから業務を健全に遂行するに足りるところの財産的基礎というものが、一体どうあなたのほうで判断していかれるのか、この点はいかがですか。
  46. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 従来どちらかといいますと財産的基礎と静的な指標でつかまえていましたが、今回は動的な指標で少し審査してみたいというのが今回の許可制に移行した理由でございますが、具体的に申し上げますと、この判断基準といたしましては、経常収支の状況というのをまず見てみたいと思います。これは過渡的な問題はあろうかと思います、景気の変動もあろうかと思いますが、やはり事業年度の経常収支が黒字に推移している、そういう傾向にあるというのが一つのメルクマールでございます。それからもう一つは、流動比率を見てまいりたい、こういうように考えておりますが、これが具体的に申し上げますと、百分の九十以上であるというようなことを考えております。そのほか負債状況、いわゆる負債倍率というのも一つのメルクマールにしてみたい。なお今後の問題として非常に大事な問題は、いわゆる業務計画、資金計画という問題を見てまいりたい。これは倒産を防止し、企業を健全にしていく上においては非常に大事なことだと思います。将来三カ年間の間ぐらいにどういう計画かということを十分見てまいりたい。こういうように考えております。
  47. 近藤信一

    近藤信一君 今度の改正案で、通産省が登録制から許可制に変えられるわけでございますが、そういたしますと、弱小資本というものは非常にこの前払い式割賦に対しては困難性がそこに伴うのじゃないか。このことは、先ほど私が冒頭お尋ねしましたように弱小の商業者に対しては不利がある、これを悪いことばでいえば、弱小業者をなくする一つ改正案じゃないか、こういうふうにも受け取られるわけでございますが、やはり今後そういう弱小——資本の大きい小さいは問題じゃないと先ほど局長も言われましたとおりに、健全性、いわゆる割賦販売健全性と、こういうことを主目的としての改正案でもございますし、消費者保護のための改正案でもありますが——そうした弱小の業者の、何といいますか、経営の困難というものがそこに出てくると私どうしても思うのですが、そういう点の関連性というものはどうなっていますか。
  48. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほども申し上げましたように、現在の指標で申し上げますと、小さいゆえに悪いという傾向にはなっておりません。流通機構の問題でございますので、われわれのほうは健全な経営をやっておっていただく以上はこれを育ててまいりたい。特に先ほど申し上げましたように、資金計画、業務計画も出していただくわけであります。それを見まして、やはり規模に応じて健全経営をやっていただくということでございますれば、その過程におきまして資金のどうしても必要があればめんどうも見るというようなことで、中小企業を育成してまいりたいと思います。   〔委員長退席、理事宮崎正雄君着席〕 ただ、御承知のようにこの法律の運用ではございませんが、いわゆる割賦販売が行なわれます品物というのは、いわゆる相当な高価な耐久消費財である、しかも多量販売商品でございますので、中小企業の規模も、だんだんいろいろ共同化したり合理化したりして大きくなっていかなければいかぬと思います。そういうものはこの法律の運用とは別でございますが、そういう流通機構の特に中小企業を中心にした近代化というのは、これは非常に通産省としても今後の重点施策の一つにあげておりますので、そういう形で、おっしゃるような精神であくまでも運営してまいりたい、かように考えます。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 やはりこれは資本の大小が問題でなくて、業務の実態というものが中心になってくると私は思うのです。いま局長も言われましたように、小さいからどうのこうのというのじゃなく、やはり業務の実態の上に立って今後これを推進していく、こういうことは局長も考えておられますし、やはり何といたしましても、どうしても日本の商業者というものは、だれかが何かやれば、そうしてそれがいいと、大衆受けをするということになりますると、比較的商売のしやすい、弱小資本でできやすい割賦販売制度でございまするから、多くの業者がまた集中してくるような危険性というものもありますから、この点はやはり業務の実態を中心にしてやっていただきたい。それでなければいろいろなまた紛糾、紛争というものが起こってくる危険というものがあるから、そういうことでこれを推進していただきたい。  さらにもう一つは、やはり登録制から許可制ということになりますると、一応の基準というものは示されなければならぬ。その基準に対してあなたのほうではどのようなところにその基準を置いておられるのか、この点はいかがですか。
  50. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほども申し上げましたが、流動比率につきましては百分の九十、それから負債倍率、業務計画、資金計画は業種の実態によって非常に違います。したがいまして、その業界のそういう同業者の数とか需給の動向というものを見ながらやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 近藤信一

    近藤信一君 次に経済企画庁にひとつお尋ねいたしますが——来ていない……。
  52. 宮崎正雄

    理事(宮崎正雄君) 来ていない。
  53. 近藤信一

    近藤信一君 いいです、それなら。  じゃ割賦取引についての、先ほど私が申しておりますように紛争等がございますが、そういう紛争に限らず、紛争の原因の一つには消費者の無知によるいざこざというものが起こってくるわけなんですが、故府は消費者教育を推進するためにやはり努力をせなきゃならぬと私は思うのです。先ほども私申しましたように、セールスマンが売らんかなのセールスでございまして、便利のいい点だけをいろいろと説明をする。   〔理事宮崎正雄君退席、委員長着席〕 だから消費者は一ぺんに出すより割賦で払ったほうが買いやすいというふうなことでそれに契約をする。ところがそれが長続きしない。さらに解約をしなければならぬ。そういうところで紛争がしょっちゅう起こるわけなんですが、これはやはり将来消費者に対するPRというようなものは、これは政府の責任においてやはり考えていかなきゃならぬと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  54. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) この点はあるいは通産だけの問題でなく政府全体の問題でございますが、やはり消費者行政といたしましては、消費者に正しい情報を提供する、それから消費者の御意見を十分尊重して行政をやる、あるいは紛争が起きた場合にそれをどういうふうに処理するというふうな点が私は大事だろうと思います。通産省といたしましても、教育というとおこがましいのでございますが、正確な情報を消費者に提供するということは、日本消費者協会等もつくりまして十分つとめておるつもりでございます。特に本年度におきましては、モニターの人員もふやしまして、そういう点につきましては一そう努力してまいりたいと思います。今回の割賦販売法におきましても、その精神によりまして、御承知のように消費者は非常にわかりにくいという点もございますので、約款の基準をつくる、こういうことを考えております。その約款の基準をできるだけ消費者にわかりやすくしまして、しかも消費者が現金か割賦か選択しやすいようにいろいろ資料を提供するというようなことを考えておるわけでございます。さらに進みましては、先ほど御意見が出ましたように消費者金融というものをある程度進めまして、消費者がほんとうに力を持って選択する余地というものを残していく、育てていく、そういう形に持ってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  55. 近藤信一

    近藤信一君 最近、悪質な業者の手にかかりまして約束の品物が届かなかったり、それから解約者に契約金を払わなかったというふうな被害が多く出ておる。そこで東京都では経済局がたまりかねまして悪質業者監視班というふうなものをつくって監視をしておるというふうにも聞いておるわけでございますが、割賦に関する消費者の苦情は、現在一体どのようにしてこれが処理されておるのか。また、どの機関によってこれをやっておるのか。また購入者からの苦情に対しまして、通産省といたしましてはどんな処置をとっておられるのか、この点はいかがですか。
  56. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) できるだけ消費者の苦情を受けやすくするということが大事だろうと思います。現在苦情の受付機関といたしましては、通産省はもちろんでございますが、通産局の商工部にこれをお願いしております。それから先ほど申し上げたように、全国七百名のモニターを委嘱しておるわけであります。それから日本消費者協会、日本割賦協会、こういう機構でいろいろな苦情を承っておるわけでございますが、最近やはり割賦販売あるいは消費者行政、これは末端の問題でございますので、都道府県あるいは市にお願いいたしまして、こういう面の行政を積極的にやっていただくようにお願いしているわけであります。現在までの苦情の件数でございますが、四十一年の四月から四十二年の十二月までに約五百件程度でございます。それをどういうふうに処理しておるかということでございますが、もちろん役所ベースでないと処理できないものは役所で処理いたしますが、大体は取引にからむ問題でございます。当事者にお願いを申し上げる場合もございますが、大部分の場合は、当該業界にそういう処理の場所をつくっておいていただきまして、その業界で業者を指導していただく、こういう組織をとっております。最近ミシン手編み機等におきましては相当協力していただきまして、スムーズに苦情問題が処理される、こういう実情にあります。
  57. 近藤信一

    近藤信一君 聞くところによりますと、苦情等の中に集金になかなか来ないというような苦情が多い。これを悪く考えますれば、ある程度前払い金を取っておいて、わざと集金をせずにサボタージュしておる。そこで購入者はもうこれは解約だということで解約をすると、今度は前払いした金を返してくれない。こういうふうな紛争もあるということになるわけですが、やはりこれは会社の都合によって集金をサボタージュしておるわけでございまするから、こういう点は、やはり契約者に有利なような約款というものが私は考えられなければならぬと思います。購入者は約款を一々見て契約することは非常に少ないと思います。特に御主人の留守の奥さん方を相手にセールスマンというものは回っているわけでございまするから、奥さん方に約款を示しても、これをずっと読んで契約するという事例というものは非常に少ないと思いますが、そういうことで紛争がよく起こってくるから、やはりそういうものを減らしていこうということを、私は考えなければならぬと思いますが、これはどうですか。
  58. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) そういうケースといいますのは、先ほども申し上げましたが、往々にしてやはり無理な業務拡張をしようという場合に、大体そういう例が出ております。したがいまして根本的には、やはり規模に合った健全な業務をやるということに問題があるわけでございますが、それと同時に、御指摘のように、消費者はあまりわからないという点もいまの段階においてはそのとおりでございますので、われわれのほうとしては、会社の都合によって契約を解除する場合におきましては、少なくとも民法上の原則よりは高い賠償金といいますか、損害賠償金を払わなければいかぬということを、はっきり契約の基準約款できめたいと思っております。それを許可基準にいたしますと同時に、それに違反したものにつきましては改善命令なり変更命令を機動的に出してまいりたい、かように考えております。
  59. 近藤信一

    近藤信一君 苦情の中には、契約期間中にモデルチェンジし、市場の変動等を理由に差額を要求するというのもあるわけなんですが、モデルチェンジ等は、これは悪質業者の場合を除きますれば、一つには割賦期間が常識はずれの長いことにもよるというふうにも考えられる。常識はずれの長い賦払いは、消費者にとってもこれはしっかりした購入計画を立てにくいし、月賦価格もそのわりには安くならないというふうなこともあるのじゃないか。そこで通産省では、モデル約款によって常識はずれの賦払い期間を規制して、そうしてモデルチェンジ等を理由に差額を要求するというふうな業者を排除していかなければならぬじゃないか、こういうふうに思いますが、この点はいかがですか。
  60. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) モデルチェンジの問題自体は、この法律とちょっと離れた議論になるわけでございますが、技術の進歩等によりましてどうしてもモデルチェンジをすべきだという場合は、これは推奨すべきでございますが、売らんかなのためのひんぱんなモデルチェンジというのは、やはり利用者にとってもメーカーにとっても、あまり行き過ぎますと好ましい傾向ではないと思います。そういう意味で、業界に対しましても必要以上のモデルチェンジはしないようにお願いを申し上げておるわけでございますが、この割賦販売法の今回の約款におきましても、モデルチェンジをしたがために過去の品物が渡せないとか、あるいはそれによって値上げをするとかいうようなことは絶対にしてもらっては困るという約款にいたしたいと思います。  なお、期間の問題でございますが、これは両面ございまして、期間を短くすればいい面もございますが、逆にそのかわり一回の払い込み金があがるという問題もございます。したがいまして、どちらがいいと言うわけにも現段階においてはまいらないと思いますので、われわれのほうといたしましては、五百円掛けの場合はこうなります、千円掛けの場合はこうなりますというふうに、二つの約款をつくらせまして、まあものによって違いますが、利用者の選択にまかしたい、かように考えております。
  61. 近藤信一

    近藤信一君 苦情の中には、セールスマンがあまりくどいとか、こういうふうな苦情もあるやに私聞いておるわけです。なぜそれじゃセールスマンがそんなにくどくやらなければならぬかということになりますると、これは私聞くところによると、セールスマンに歩合い制というところもある、それから月給制、月給に対する歩合い制というのもある。そこで、そういうくどい勧誘をせなければならぬということがセールスマンの中に起こってくると私は思うのですが、この点は、やはり会社側としてもセールスマンの安定いわゆる月給によるところの安定性というものを私は持たせなければならぬと思うのですが、歩合い制であると、どうしても少しでもよけい、一台でもよけい売りつけなければならぬ、こういうことになるから、必要以上の説明をしたり押しつけたりこういうことが出てくるから、そういう点も私は将来、会社としてもこれは考え、利用者の立場に立ってそういう点は考えていかなきゃならぬと思うのですが、そういう点はどうですか。
  62. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘のとおりだと思います。過当勧誘といいますか、そういうものがセールスマンの給与体系に非常な関係があるというのは、この割賦販売のみならず、たとえば商品取引所等につきましてもそういう傾向がございます。そういう意味合いにおきまして、私どもとしてはできるだけ固定給にしていただくように、従来からお願い申し上げているわけでございます。最近やはり人の定着化という要請も加わりまして、各社ともこの固定給の比率を非常にふやしてまいっております。例を申し上げますと、四十年は歩合給のみのものが九%程度でございましたが、調べました結果、四十一年ではそれが六%になって、逆に固定給のみのものが、四十年には三三%のものが四十一年には半分近く——四六、七%というふうに、いい方向に向いております。これをさらに御指摘のように促進してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  63. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つは、やはりこれは会社は当然やっておられると私は思うのですが、セールスマンの質、いわゆる教育の問題だと思うのです。やはりセールスマンにセールスマンとしての教育をしっかりと会社でやって、そして間違いのないような方法を講じておられる会社は、需要者に対しましても受けがいいわけですが、そういうことのできない業者もあるだろうと私思うのですが、やはりそういう点は、もし業者ができなければ、通産省としてもそういうセールスマンの教育というふうなものを考えていかなきゃならぬと私は思うのですが、この点はどうですか。
  64. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) そういう共同してやらないとなかなかできない面があろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、この改正に関連いたしまして指導行政として業界単位で——まあ個々の会社でできれば別でございますが、できない面については、業界単位で外務員教育といいますか、研修というものができないかどうか。それからもう一つは、たとえばある会社で非常に悪いことをしたというような人は、お互いにもう雇わないというような、いわゆる自粛というようなことが全体のためにできないだろうかということを今後少し進めてまいりたいと、かように考えておるような次第でございます。
  65. 近藤信一

    近藤信一君 政府はこのセールスマンの不当勧誘について、監督、監視すると、こう言っておられまするけれども、やはり私はこの多くのセールスマンをそう監督、監視するといったって、なかなか目が届くものじゃないので、これは商品取引法による外務員のようなセールスマンの登録制、こういうふうなものを考えて、そして割賦のセールスマンは特別な登録を持ってなきゃならぬと、こういうふうなことをやったらもっと被害というものが少なくなると私は思うのですが、この点は、その規制について何か考えを持っておられますか。
  66. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) この点も一つの重要な問題でございますので、改正の過程におきましては、いろいろ専門家にも御研究を願ったわけでございます。お話の中に出ましたように、商品取引所におきましては、政府に対する登録ではございませんが、取引所に登録するという制度がございます。そういうことができないだろうかと考えてきたわけでございますが、残念ながら、いまの割賦販売業界の現状におきましては、いまだそういう取引所的な機構がございません。したがって登録制になりますと、政府に対する登録ということになりますが、現在、外務員の数は約十万程度、取引所は六千程度でございます。数からいいましても非常に多うございます。それと同時に、取引所のほうは、外務員というのは専門的な知識が、やはり商品取引でございますので、要る面が——技術的な問題はございますが——ございますが、これはどうもこういう資格がなければいかぬ。なかなか資格要件が実は普通の商売のものでございますときめにくい。その人のやはり精神の持ち方という要素が多うございますので、なかなか技術的に見て登録制がむずかしい、こういうこともございます。したがいまして、私どもといたしましては、登録制よりは、むしろ許可の場合に、できることならば、会社から外務員の採用のの方針なり、あるいは会社の教育の方針を出していただく、あるいは個々の会社でできない場合は業界全体として、こういうことを考えようというように指導も申し上げて、先ほど申し上げた点でございますが、そういうことによりまして、やってみたらどうか、そういうことでやってみまして、どうしても登録制にしなければいかぬというような事態が出ました場合は、いろいろ技術的な問題も、さらにそういう運用をしていけば実績が出てまいると思いますので、それを参考にして考えてまいりたい、さしあたりは、そういう基礎づくりといいますか、そういうものをやるのがまず一番目じゃなかろうかということで、今回の改正から落としたわけでありまして、一つの今後の問題点ではあろうと思います。そういう点は、さらに今後検討してまいりたいと、かように考えております。
  67. 近藤信一

    近藤信一君 昨年の四月の割賦販売審議会答申の中には、法改正のほかに、当面政府がとるべき措置として、適正な経理のあり方についての指導、妥当なる解約手数料の設定等の指導について触れてあったと思いますが、通産省では具体的にどのような行政指導によって購入者それから業者間の紛争防止のために努力してこられたのか、この点お伺いします。
  68. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘のように確かに審議会答申におきましては、改正までのつなぎとして、といいますか、指導行政を強化するようにという御注意をいただいております。われわれのほうもそれを受けまして通産局を通じまして、冬業界に指導通知を流しまして、お願いを申し上げた次第でございます。その内容は、今後の法律改正に備えまして、できるだけ早くそういう体制が整うように財務体質の改善の問題を一つの項目として取り上げてまいりました。それから前受け金の供託の問題がございますので、この前受け金について区分経理いわゆる分離保管そういうものを法律施行前にやっていただきたいということをお願い申し上げております。  それから約款の問題がございますので、一応基準を示しまして、そういう基準に当てはまらない約款につきましては、通産局を通じて個々の業界を直すように指導をしてもらっておる段階でございます。
  69. 近藤信一

    近藤信一君 いわゆる割賦販売業者の倒産があった場合に、通産省としてはどういうふうな措置を講じていかれるおつもりか。今日までにそういう事実があったならば、その点についての御説明を願いたいと思います。
  70. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 一般的にはどうもあやしいという面に重点的に立ち入り検査等を行なっております。そういうことで、これは非常にあぶないというような場合は、その企業にお話を申し上げまして、新規のやはり契約は停止してもらいたいというようなことをお願いを申し上げております。さらに、不幸にして倒産に至りましたような場合には、消費者にできるだけ迷惑をかけないようにして、残りの代金と引きかえに現物を渡していただく。特に親会社があります場合は親会社に責任を持ってもらいます。親会社がございません場合は関連業界、同業界にお話し申し上げまして、共同でその処理をしていただく。最後には、どうしてもそれもできないというような場合は、役員の方の連帯保証によってやっていただく、こういうようにいたしておるわけでございます。  なお、一つの例といたしまして不二産興が、これは相当大きな例でございますが、これは手編み機業者でございますが、前受け金約三億八千万円がございましたが、それから契約個数は三万九千個、大きな会社でございますが、それが経営がうまくいかなくなったわけでございます。鋭意消費者に御迷惑をかけないように、この関連会社でございます三興編物あるいは同業界にお願いいたしまして、残りの金を払っていただいて品物を渡すということで整理を進めております。現在までのところ、前受け金につきましては約七〇%近いものを解決しており、あとの三〇%が残っておる、こういう状況になっております。この残りにつきましても通産局を中心に鋭意処理をはかっている段階でございます。
  71. 近藤信一

    近藤信一君 いま局長が御説明になりました不二産興ですか、これは昭和四十一年八月に倒産しておるわけですが、いま局長三億六千万円、私のあれではいままで四億六千万円ぐらいになっている。これも倒産してから二年近くになるんですね。で、二年近くになってもまだ部全解決していない。いまお話では七〇%解決したというのですが、これはやはり内職したおかみさんや、それからへそくりの奥さん方がいろいろと都合して掛けておられた、これは血のにじむような前渡し金だと思うんです。それが二年近くもたってもまだ解決していないと、そういうことでは私ははなはだ消費者にとって不利なことであり、また、二年もたつのに解決してないというのは、会社自体も私はおかしいと思うのですが、これに対して通産省としては何か勧告したり、そういう積極的な何か方途というものを考えられたのか、やっておられるのか、この点はどうですか。
  72. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほど申し上げました前受け金の額は、私の資料では三億八千万円でございます。  実はこの不二産興は倒産いたしておりますので、その関連会社でございます、メーカーである三興編物に現在あと処理をお願いしておるわけでございます。なお、これについては先ほど申し上げましたように、手編み機業界全体としてひとつこういう不幸な事態は困るので善処していただきたいということを再三お願いしておるわけでございます。そういう意味で相当解決がついてきたわけでございますが、現在の段階を率直に申し上げますと、相当前払いで金を払った向きは、あと少し払えばいいということで金を払って、現物を引き取っていただいておるわけでございますが、前払いを少ししかお金払っていない、あとまた払うとなるとたいへんだという面は、現在、むしろ品物も要らない——品物がほしいとおっしゃっていただけば非常に楽なわけなんですが、金を返してもらいたい、こういうことで処理が進んでいないわけであります。われわれのほうも非常に心配いたしましていろいろ調査をいたしております。現在金といたしましては、倒産会社でございますが約百八十万円ございます。しかしこれだけの金で消費者にお返しするということは、一人当たりになると非常に少なくなります。しかし、あるものはやはりお返しすべきだろうということで、現在通産局を中心にして整理をいたしております。その整理がつきましたならばお返しするものはお返しする、ただおそらくお払いになったもの全部がお返しはできないという形になろうと思いますが、処理は促進してまいりたいと考えております。
  73. 近藤信一

    近藤信一君 いまの前払い式とそれからあと払い式の価格ね、先ほど言われましたように、どっちが利益があるかということを、私ばく然とあれしたのですが、たとえば現金正価で三万円とすると割賦だとこれが三万二千円とか三千円とかと、こういうことになると思うのですよ。その場合に、前払い式とあと払い式と、この現金正価より高い率というものは、前払い式もあと払い式もこれ同じであるかどうか。それとも前払い式であるならばこれが三万一千であるとか、あと払い式なら三万二千円であるとか、こういうのが私はあると思うのですが。たとえば電気製品なんかでも現金正価とそれから割賦の値段というものは違うわけなんですが、それはどうですか。
  74. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) やはり前払いといいますのは、前もって金を払ってその金利が販売業者メーカーらに入ってくる、そういう意味で安くなっております。安くなっておる程度といいますのは、われわれの指導方針としては、これは業界によって非常に違っておりますが、いわゆる法定利息以上のものにしてもらいたいというようなことをお願いしておるわけであります。大体率は一定ではございませんが、大体現在の実情というものは法定利息以上安くなっている、こういう実情になっております。
  75. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、値段は三通りになるわけですね。現金正価、それから前払いの値段、それからあと払いの値段と、この三つの段階一つの品物の値段がつくわけなんですが、これはそのとおりですか。
  76. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) そのとおりでございまして、法律でも現金正価、それから前払い、あと払い、これ区別して表示するように規制してございます。
  77. 近藤信一

    近藤信一君 それで、経済企画庁に一点お尋ねするわけですが、ただいま審議しておりまする割賦販売法の一部改正法案の要旨は、消費者保護強化に資するため、前払い式割賦販売業者に対する規制の強化をはかろうとするものでございますが、消費者保護基本法が制定されんとする現状にかんがみまして、消費者保護行政の主管官庁であるあなたのほうとしては、この改正案で満足しておられるのかどうか、それとも、もっとほかに方法あるのか、この点どうですか。
  78. 八塚陽介

    政府委員(八塚陽介君) いまお話がございましたように、ただいま参議院のほうで消費者保護基本法が審議されておりますが、私どもの期待では、不日成立すると思います。そういうふうに一般的に消費者保護についての政府のとるべき態度が強く要請されるような状況でございますので、私どもこの改正案につきましても御相談を受けた段階検討いたしたのでございます。御承知のように今度のこの改正案の骨子になっております前払い式割賦販売業者についての問題、これは前払い式割賦販売はかなりな程度普及をいたしております反面、問題のあったところでございますから、この点について今回のような改正案を通産当局で考えられたということには、たいへん私どもの立場からいたしましても賛成をいたしたわけでございます。しかし、御指摘にありましたように消費者保護の問題は、もちろん経済条件の今後の変化等もございますが、いろんな観点からなおいろいろ進めていかなければならない面も出てくると思います。たとえばこの法律の範疇の外ではございますけれども、似たような問題として宅地、建物等についての割賦販売等が現にかなりな程度にいろいろな形で行なわれております。こういう点につきましては、あるいは所管が建設省になるかと思いますが、やはり私どもとしては、今後なるべく早急にそういう問題を、むしろこの通産当局の考え方に沿うというと語弊がありますが、やや一歩おくれているというような感じがいたしますので、そういう点も今後充実していってもらわなければいけない。そのほか、まあ具体的な運営の段階では種々企業局長から御答弁があったと思いますが、従来のやり方以上にいろいろ改善をしていっていただくこともあろうかと思います。それについては漸次私どものほうからも通産省のほうに御要望申し上げたいとは思っておりますが、結論的に申し上げますと、とにかく今度の改正案自体は、たいへん進歩であると考えております。
  79. 近藤信一

    近藤信一君 消費者行政の立場からいきますれば、この割賦というのはいまもお聞きのように現金正価より高いわけなんですね。だから消費者に、何も業者のほうに貯金するのじゃなくしてほかのところに、銀行なり郵便局なりに貯金すれば消費者のほうに利子が入ってくるわけなんですから、そうすれば安いものが買えるということになるわけですね、現金で買えば。そのほうが消費者の利益のためにはいいと思うのです。ところが割賦販売制度ができてきて、割賦販売にどうもごまかされやすいPRというものがなされる。そういう割賦販売のPRよりも、まず買うべきものがあればそれだけ自分で自己資金を持てと、それで買えばこれだけ安くなると、こういう宣伝をしたほうがこの消費者行政の立場からいけば私は消費者にとって利益を与えると思うのですが、この点はどうですか。
  80. 八塚陽介

    政府委員(八塚陽介君) 消費生活の態度といたしまして、どういう生活態度をとるべきかということにつきましては、これはいろいろ価値判断があろうかと思いますが、概して言えば、先生ただいまお話しになりましたように、やはりそれなりの貯金を一応しておきまして、そうして適当な支出を計画的にやっていくということが健全な態度であろうとは存じます。ただ、現実に品物を手に入れる動機あるいは計画等から見まして、やはり早く手に入れたいということと、それから金利その他の関係等から考えまして、消費者がやはり多少の金利は高くても早く手に入れたほうがいいというふうに、これはまあ冷静に判断したといたしましてやった場合には、それなりの必要があるわけでございます。一方、割賦販売自体は、やはりそういう必要があるので、これを人為的にとどめるというようなことはなかなか困難であり、かつ不適当であります。したがって、割賦販売法自体が、大いに割賦販売をやりなさいというふうには必ずしも私理解いたしておりません。割賦販売という現実の必要があればそれが秩序正しく行なわれるようにすることが、制度的にいろいろまあ政府としてとるべき態度である、そういう意味において、やはり割賦販売自体の改正として、そういう方が現実におられますから、やはりできるだけ秩序正しく、消費者が不測の被害を受けないような形で整備されていくということが好ましいというふうに考えておるのでございます。
  81. 近藤信一

    近藤信一君 まあこういう割賦販売法という法律があるから、法律に基づいていろいろと消費者行政の点も考えていかなきゃならぬことになるのだが、これは衆議院でもいろいろと問題になっておりましてね、現金で買えば現金正価よりさらに一割、まあ一割五分から多いところになると二割五分くらい引くわけですね。現金で買えば割賦販売よりずいぶん利益するところが多いわけなんですね、消費者にとっては。こういう点、実際私どもにとっても考えさせられる点であるけれども、現在法律として割賦販売法という法律があるから、この法律を少しでも消費者に有利なほうに改正されれば、これを経済企画庁としてもまあ賛成していくと、こういうふうなことであろうと私は思うのですが、実際は、この現在の品物を購入するためには、現金で買えばさらに安くなると、こういうふうな点のほうの指導というほうが、私は消費者にとって、また国民にとりては利益をもたらすと思うのです。そういう点、何かあなたのほうはこの割賦販売を別にして、横にしておいて、何かそういう面についてのお考えがおありになるのかどうか、この点はいかがですか。
  82. 八塚陽介

    政府委員(八塚陽介君) 私のことばが足りませんで、あるいはまことにまずかったと思いますが、私先ほど申し上げたのは、法律がまずあると、したがって、その法律があるというのを前提にして多少でもよくなることがいいんだというふうには必ずしも申し上げたつもりではございませんので、法律のあるなしにかかわらず、割賦販売ででも品物を手に入れたいという現実の場合があるとすれば、まず法律でできるだけ秩序立てていくことが好ましいというふうに申し上げたわけでございますが、確かにお話にありますように、まず現金を自分が持ってやっていく場合が一般論としていいことだと思います。ただ、その現金の入手の方法もいろいろあり得るわけでございまして、少しずつ節約をしていってやるという方法もあれば、比較的安い金利の消費者ローンのようなものをまず受けまして、そうしてそれを代金に充てると、いろいろなまあ購入方法があろうかと存じます。まあ耐久消費財もございますし、それから消費財以外の、たとえばミシン等につきましても、内職をしたいということであれば、やはり金利その他計算しまして、一日も早く品物を手に入れて仕事にかかりたいというようなこともあろうと存じますので、割賦販売そのものを否定するというのは、やはり消費者行政から言っても当を得ていないと思いますが、しかし、賢い買い方をするためにいろいろな制度をできるだけ整える。あるいは根本的には所得から、計画的に生活をして、貯蓄をもってやっていくというふうな方向については、これはいわゆる消費者教育の問題としてまあ今後進めていかなければならない行政だと思います。ただ一般的に教育、あるいは消費者どうあるべきかということを、やや役所が音頭をとって、何と申しますか、官制教育をやるということはあまり好ましくない、できるだけ普通の教育の段階で、そういう賢い消費者を育てていくという方向ではあるだろうと思います。
  83. 近藤信一

    近藤信一君 これは通産省のほうにお尋ねするのですが、局長御答弁されましたが、法律で率というのはきまっておるのですね。それで、それだけ高くなるのだ、こういうお話ですが、これは自動車それからミシン手編み機電気製品、家具、こういうものは一定した率でこれはきめられておるのかどうか、割賦販売全体について、これはそれだけの率になっておるのかどうか、この点はいかがですか。それとも各家具とか、みな別々、違うのかどうか。
  84. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 現在の法律では現金価格では何ぼ、あと払いの割賦販売価格は何ぼ、前払いの割賦販売価格は何ぼという価格自体を表示していただいて、その率の差額がどうでなければならないという規制の方法にはなっておりません。そこで、やはり問題が出ますのは、その差額が適正であるか、もう一つは、消費者がそれを見て、やはりこういう意味でこういうふうに違うのだ、これが普通なんだというように内容が表示されるものだ、こういう問題があるわけであります。その率がおっしゃるように適正かどうかを法律で強制いたしますということは、私は行き過ぎであろうと思っております。一種の価格統制になるわけでございます。あくまでも消費者がどちらを選択するかという問題でございますので、その差額があるならばその差額はこういうことによってそういう差額が出るのですよということを明らかにすべきではないかという感じを持っております。ただ、この差額を明らかに表示させますためには、御承知のように元本がだんだん減ってまいりますので、非常にややっこしい計算になる。したがって、アメリカ等におきましてはアド・オンと言いまして一律の金利を乗せてしまうという方法もございます。さらにそのほか割賦販売につきまして大きな問題としては集金費がございます。これをどういうように見るかという問題もございます。したがって表示につきましても簡単な問題ではございません。したがいまして、今後われわれは割賦販売ということがだんだんと普及してまいる、これが経済の実態であろうと思いますので、そういう面を法律的にどういうふうにこなしていけるかということを先進諸国の例を見まして研究してまいりたい、さしあたりは、その業界に対しまして集金費とか手数料とかあるいは金利等につきまして、業界によって事情が違いますが、業界でそれが統一できるならば行政指導によってできるだけ統一した基準をつくってもらいたいということをお願いしてみたい、こういうことを考えております。
  85. 近藤信一

    近藤信一君 それは国産品でも輸入品でも同じ率であるかどうか。この前も輸入のルームクーラーですか、三十万円のルームクーラーを買えば十五、六万円するカラーテレビを景品につけるというようなことが新聞に出て、あわてて公取のほうで中止させたというような話も新聞に出ておりましたが、そういうふうに外国製品の輸入、それから国産の製品と、率というものは、あの点を見ると何か消費者としては何かばかにされたようなことで、三十万円のクーラーを買って、その半分くらいの値段のカラーテレビが景品でもらえればこっちのほうがいいということになるし、割賦販売の場合でも、外国製品と国産品とのあれが同じであるかどうか、その点どうですか。
  86. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 私は外国品であろうと国産品であろうと、国内で販売します以上は、そう大きな差があるべき問題ではないと思います、現金でも割賦販売でも。ただ、御指摘の例は、そういう場合がだんだんふえてまいろうかと思いますが、もう少し根本的に言いますと、外資攻勢の問題だろうと思います。そういう魅力のある売り方をいたしておりまして、消費者をつかんで普通の売り方に戻しておるということが往々にして行なわれるわけでございます。そういう意味におきましては、今後、先ほどもちょっと問題が出ましたが、やはり日本金融制度を整えると同時に、やはり割賦条件というものについて、外資との競争関係から見ても、ある程度基準をだんだん考えていかなければならない、また、そういう基準を考えないと、金融機関のほうもあぶなくて金が貸せないという問題にもなろうかと思います。したがいまして、この割賦条件の適正化という問題と金融制度の確立というものは、うらはらの問題になる場合がございますので、そういう感覚でひとつ研究してまいりたい、かように考えます。
  87. 近藤信一

    近藤信一君 割賦の前払い金とあと払い金との率というものはきまっておるが、これは私は最高限度額がきまっておるので、それより安くしてもかまわないということになろうかと思うのですが、その点はどういうふうになっておるか、最高限度額でみなやっておるのか、それともそれより安く低いあれでやっておるのか、この点はどうですか。
  88. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) おそらく現在の日本の商慣習で、御事情は十分御承知と思いますが、率直に申し上げまして、やはり定価をつける、あるいは現金定価でも割賦定価でもあとどれだけ割り引かして買うかというのは消費者の腕にかかるというような場合も相当ございます。それと同時に、やはり日本のいまの商慣習としては、これはいい形ではないと思います。今後だんだん改めていかなければいかぬと思いますが、むしろ割り引きするというのが業界によっては一つの慣行みたいになっておる場合もございます。それがために非常に誤解を受けるという場合もございますので、われわれといたしましては、できるだけやはり実際に売る値段を表示してもらうように、これは法律とは別でございますが、指導してまいりたいと、かように考えております。
  89. 近藤信一

    近藤信一君 改正法案では、通産大臣一定の場合に業者に対して財産の状況または前払い式割賦に関する業務の運営改善をするために必要な措置をとることを命ずることができると、こういうふうになっておりますが、具体的には一体どのような場合にそういう発動をされるものか、この点をお聞かせいただきたいのであります。
  90. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) この点は、先ほど許可基準のときに申し上げた条件と同じところでございまして、それを許可の後にもトレースしていくということになろうかと思いますが、そういう場合を具体的に申し上げますと、経常収支率が一〇〇%を下回った場合は改善命令の発動の条件になるわけであります。それから流動比率でいいますと九〇%を下回ったとき、それから負債倍率、前受け金の比率等もございますが、それは業種によって非常に違いますので、その業種によって個々のケースで判断していく、こういうことになろうかと思います。
  91. 近藤信一

    近藤信一君 現在の登録業者は施行後一年間はそのまま許可業者とみなされるわけですが、改善命令の規定をすぐ受けることになるか、したがってこの規定の運用によりましては一部の不健全な業者というものが整理されなければならぬと私思いますが、これが単なる弱小企業の切り捨てに終わるのでは、先ほどくどくど申し上げましたように契約しておる人も非常に困るだろうし、それかといってそのまま見のがしていくわけにもいかない。中小企業施策の面から申しましても、確かに中小企業の業者を生かしていくということも非常に重要なことでございますし、やはりそういう指導というものは、この改正後必要になってくると私は思うのですが、そういう点に対するあなたのほうの御指導はどのような方法でやっていかれるのか、この点をお尋ねしておきます。
  92. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほども申し上げましたように、一年間は許可を受けたものとみなしまして、一年後にこの財産的基礎を備えていただきたいというのが筋でございます。しかし改善命令につきましては、その一年の間といえども発動できるわけでございますが、本来の趣旨が、やはり少しその間に時間が要るという意味でございます。したがって、改善命令の発動にあたりましては、健全に将来とも許可を受けて業務をまじめにやってまいりたいという向きに対しましては、一年後を目標といたしまして、実情に合った改善命令を出していくというような運用をはかってまいりたいと、かように考えます。
  93. 近藤信一

    近藤信一君 この改善命令というものは、やはり業者経営が悪化してからではおそいわけでございますから、やはりその悪化しない前にこの改善命令をやらなければならぬと思いますし、特に会社が財務、会計等を粉飾してやっている場合等もなかなかむずかしい点があろうかと思います。通産省とされましては、この改善命令内容について、具体的な何か方法、施策というふうなものを持って当たっていかれるのか、この点はいかがですか。
  94. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘のように、今回の改正といいますのは、もうどうにもならなくなって事後始末をするということではいかない、むしろ事前に健全な経営ができるように政府も業界もそういう気持ちで進むというところに一番ポイントがあるわけでございます。そういう意味で、できるだけ改善命令を出すならば早目に出して、むしろそれが企業にプラスになるという形を考えたい。そういう意味では、私どもは毎四半期ごとにこの経理の概要を報告をいただきたい。それで一年ごとに相当詳しいものをいただきたい、こういうふうに考えております。  なお、経理の問題でございますので、専門職員が要ると思います。通産局にその担当がおりますが、そういう面も新しい観点から勉強していただいて、万遺憾なきを期していきたいと思います。  なお、改善命令内容といたしましては、先ほども申し上げましたように、無理なやはり経営をするというところが一番問題でございますので、やはり規模から見て業務の運営が大き過ぎるという場合に、その業務の縮小を考えていただくとか、あるいは消費者との紛争は約款の順守の問題がございますので、そういう点に重点を置いて改善命令を出していきたい、かように考えます。
  95. 近藤信一

    近藤信一君 それから営業保証金の分離保管についてでございますが、答申におきましては、供託する方式と、それからそれと同じような価値、効果を持っておる自己責任ということと相互共済というふうな方法、この二つが考えられておったようでございますが、今度改正によりまして、やはりこれは供託方式というものをあなたのほうはおとりになったのですが、この自己責任と相互共済のようなものは、ものによってはちょっとあぶないから供託制のほうがいいだろう、こういうことであなたのほうはこの供託制を考えられたのか、この点はどうですか。
  96. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 今回供託制度をとりましたのは、相互共済方式といいますか、共助組織があぶないという意味ではございません。可能な、むしろそういう方法金融の道もつきやすいものですから推したわけでございます。そういう意味でいろいろ業界にも御検討願ったわけでございますが、相互共済方式、共助方式になりますと割賦販売業者全体が入るという形でございませんとなかなか危険が分散できないという問題がございます。ところが現在の割賦業界の実情を見ますと、ミシン手編み機等はわりあいまとまっておりますが、三十八品目ございまして、非常に小さなものもございます。そういう意味で、なかなか業界全体としては足並みがそろわない、こういうところが一つの問題でございます。それと、今度は反面、足並みがそろわないから、単独の業界でやる、こういう案も考えてみたわけでございますが、そうなりますと、相当たくさん金を出し合わなければいかぬということになりまして、供託とほとんど同じような感じにもなりますので、今後の研究問題に譲りまして、さしあたり消費者保護ということを急ぎますので、供託に踏み切ったようなわけでございます。
  97. 近藤信一

    近藤信一君 供託された営業保証金は、前払い式割賦販売契約を締結した購入者が優先してこれに対する弁済権というものを持つわけでございますが、販売業者が倒産した場合に、そこに債権者が殺到してくるということになりますと、もう前払い式で納入された消費者の弁済権というものは、どうしてもこれはほかの債権者から見ればそんなに優先するわけじゃないと、こういうふうなことで、不利益をこうむるようなこともあろうかというふうに私ども思うのですが、この点、あくまでも割賦前払い式で購入しようとして現金で納めた人が優先弁済権というものを持つのかどうか。この点に対する何か規制というものがあるのかどうか。この点はどうですか。
  98. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 結論から言いますと、購入者が優先弁済権は持つわけでございます。そういう意味で供託制度にいたしたわけでございます。ただ問題は、購入者が優先弁済権は持ちますが、たくさんの購入者がいまして、三分の一の供託でございまするので、その請求金額に対して供託金じゃ足りないという場合に、早い者が得をするという形になりますと、やはり相当問題が起こってまいります。したがって、そういうおそれのございます場合は、配当金ですか、平等に配当する制度に移行したいと思います。現在の供託制度というものは早い者勝ちでございますが、その原則を修正いたしまして、配当計画に移行したい、かように考えております。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 何かこの弁済金については、あなたのほうでは政令でこれを具体的にきめると、こういうように言っておられるのですが、何か政令できめられる構想というものは具体的にどういうことですか。
  100. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) これは今後さらに詰めたいと思いますが、いまの案は、通産局を窓口にいたしまして、そういう還付の請求がございましたときは通産局長が確認書を出すという形にいたしたいと思います。それは差しつかえないと。それで、それを持っていけば供託所で金を払うという制度にしたいと思います。通産局長が確認書を出します場合に、相当購入者がたくさん来そうだ、殺到しそうだ、それによって供託金だけでは足らなくて、早い者勝ちでやるといかない事態がきそうだというような場合におきましては、告示いたしまして、ほかの人も払ってもらいたいかどうかということを、募集といいますか、申し出てもらうという形をとりたいと思います。あるいはこの割賦販売業者が倒産一歩手前というような場合もその形になろうかと思います。一定期間告示しまして、その間に申し出のありました購入者につきまして、供託金のある限りにおいて、平等な配当計画をつくり、その配当計画を供託所に示しまして供託所から払ってもらう、こういう形をとりたいと思います。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 先ほども私申しましたように、この前受け金を流用しておった業者が今度は供託をしなければならぬということで金繰りに苦しくなる。まあ金融機関をあなたのほうでお世話しようということでございますけれども、苦しくなり、苦しさのあまり、今度はこの下請業者等に単価の値下げだとかいうふうなことになる、また商品の値段が引き上げられるというようなことになれば、これは下請業者消費者が不利益をこうむることに相なるわけでございますが、何かあなたのほうはメーカーに対するところの御指導というふうなものを考えておられるのかどうか、この点いかがですか。
  102. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘のように、そういう問題が考えられるわけでございます。私ども現在実態等あわせて考えておりますが、価格がこれによって上がるかどうかという問題がございますが、やはり経過期間を置きまして、四回に供託していただくということになっておりますし、それから御承知のように、そういう弊害のために問題が出てきておるわけでございますが、むしろ業界は、特に割賦販売となりますと、いまから伸びるという見通しでやっておりますので、相当の競争をいたしております。私は端的に見て、行き過ぎぐらいに考えております。そういう意味で価格が上がるようなことは万々ないだろう、かように考えております。ただもう一つ、御指摘の下請にしわが寄りはしないかという御懸念でございますが、場合によったらそういうことは現実に起こり得るかとも思っております。したがいまして、特に下請の支払い代金の遅延につきましては、法律もございますので、この今回の割賦販売の対象になっておるそういう懸念のある向きにつきましては、その法律を重点的に注意して運用してまいりたい、かように考えております。
  103. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど申しましたように、約款だけではなかなか購入者もむずかしい。そこで、あなたのほうといたしましては、一定基準を定めてこれに適合しない約款は改めさせるというように聞くわけでございますが、通産省が考えておられる約款としてどういうふうな必要記載事項といいますか、そういうようなものを考えておられるのか、この点はいかがですか。
  104. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 基準約款の内容としては、大きく分けまして、はっきり記載していただきたい事項と、それからむしろ記載してもらっちゃ困るという事項、二つがございまして、まずどうしてもはっきり記載していただきたいという事項は、おもなるものだけ申し上げますと、今後のわれわれの監査の問題がございますので、購入者の氏名及び契約の年月日それから商品名とか数量、それから価格、割賦金の金額、回数、それから支払い時期、方法、こういうものをはっきり明示してもらいたいと思います。特に支払い方法につきましては、いろいろトラブルが起こります。取り立てか持参か、あるいは振替、そういう区別をはっきりしてもらいたいと思います。それからもう一つの問題としましては、引き渡し時期が問題となりますので、これは基準約款によりますと、一カ月以内に引き渡すように規制いたしたいと思っております。それからもう一つは、契約解除でいろいろトラブルが起こりますので、契約を解除する場合は、一定の期間を置かなければいかぬ、それから解除した場合の前受け金の返還、これはできるだけ具体的に表にしてもらいたい。消費者にわかりやすくしてもらう。それから返還時期、これもあまり長くなっては困りますので、解除後六十日以内には必ず返すというふうに規制いたしたいと思います。そういう点がおもな点でございますが、逆に記載していただきたくないという事項は、これは禁止事項でございますが、市価の変動がある場合に、契約額を引き上げるというようなことは絶対に困る。それから会社の都合による契約商品の変更、先ほどモデルチェンジのお話がありましたが、そういうことを禁止いたしたいと思います。それからこれも先ほど御指摘がございましたが、販売業者の責めに帰すべき理由によって解除した場合に、違約金を払わないようなことはいけない。民法の原則どおりに払うべきだ、こういう点を重点にしまして基準をつくってまいりたい、かように考えます。
  105. 近藤信一

    近藤信一君 それから賦払い金の額及び支払い方法によって変わってくる場合があるわけですね。たとえば毎月の掛け金といいますか、支払い金を集金にくるのと、持っていくのと違うし、それから掛け金の支払い金の額が、千円払うのと二千円とこう違ってまいります。いわゆる支払い人持参、持っていくほうと取りに来た場合にはどうなるのだとか、それから千円より二千円ならこれだけ安くするのだとか、こういうふうなことは十分購入者には認識されていないわけですね。それは何か明示するというふうなことになれば、これは購入者も一目でわかると、こういうふうな方法があるわけです。たとえば商品なんかにいろいろ説明書がついているような方法、こういうふうなことが考えられれば、もっと便利になるのじゃないか、また、購入者消費者にとって利益になるのじゃないかと思うのですが、こういう点はどうですか。
  106. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 約款といいますのは、それが即契約書になりますので、いろいろな場合を一つの約款に記入さすということは非常にむずかしいと思いますが、そういう非常に形態が違う、支払いの方法が違うというような場合におきましては、それが定型化されるという場合は、約款を二つつくらせまして、そうしてABCとなるかもしれませんが、ABCの約款をつくらせまして、消費者がそのうちのどれをやはり自分の便宜でもって選ぶというような方法をとってもらいたい、かように考えます。
  107. 近藤信一

    近藤信一君 最近スタンプ業が相当盛んになってきております。これについて法的規制を加える必要があるのではないかというふうに考えるわけでございますが、これについて何かあなたのほうで一定の見解というものを持っておられるのかどうか、この点をお聞かせ願いたい。
  108. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御承知のように、スタンプ業といいますのは、販売促進の手段といたしまして、最近アメリカで相当流行しておる形態でございます。日本でもこういう形態がぼつぼつ出ておりますが、現在のところ、これを専業にやっておるのは数社でございます。それと同時に、地方で中小企業の方が協同組合とか、いろんな組合で、そういうスタンプ業をやっておる、いわゆる共同事業がございます。現在の金額は、推定でございますが、百億程度そういうような業務が売り上げ高として行なわれておると思います。現在の段階におきまして、これが日本販売促進策として定着するかどうか、まだわれわれは相当疑問を持っております。しかし、先進諸国で発達をしておりますので、今後もう少し実態を調べてみたい。特に中小企業が販売促進策として利用されておる面もございますので、それをどういうふうに持っていったらよいかという勉強をしてまいりたいと思います。その上で、もし弊害が出る、あるいはそれの秩序を保つために規制が必要だということがわかりましたら、その段階で考えてみたい、現在のところは調査の段階でございます。もう少しはっきり申し上げますと、時間をかしていただきたい、こういうことでございます。
  109. 近藤信一

    近藤信一君 いま盛んに流行してきておるのですが、趣味の会というのがありますね。陶器だとか、また塗りものだとか、趣味の会式のいわゆる会員式で販売しておるのがある。それも一定の掛け金みたいなものをして、そして今度は何を送る、今度は何を送ると言って郵送、通信販売といいますか、ああいうのが盛んにいまありますね。よく広告も入ってくるのです、ぼくらの新聞の中にも。ああいうものも厳密な意味からいけば、私は割賦販売の範疇に入ると思うのですが、ああいうのはどういうことになっておりますか。
  110. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) これは非常にむずかしい法律論でございますが、われわれの現行法の解釈では、いわゆる法律にいう割賦販売ではないという解釈をいたしております。問題は、法律論としてそういう解釈になるならぬは別としまして、そういうことで弊害があるかどうかという問題でございますが、特殊なものにつきましては、そういうものもございます。むしろこれはできるだけ客を固定したいという趣旨から出ておるようでございます。非常にこれが流行しておるという段階ではございません。そういう意味で、先ほどのスタンプと同じように、もう少し情勢を見て、もし弊害があるようならば規制の対象にしたい、かように思っておる次第でございます。
  111. 近藤信一

    近藤信一君 あれは、私は広告なんかでよく見るのですが、一定の掛け金をあれするわけですね。そして、この次は、たとえば陶器で言いますならば、有田焼きについて、今度は湯飲み茶わんだとか、今度はめおと茶わんだとか、今度はおさらだとかいって、毎月こう変わってくるわけですね。そのかわり、金は千円なら千円、毎月納めていくわけですが、厳密な意味からいくと、私は割賦販売じゃないかと思うんですね。それは割賦販売の外にあるということは、私はおかしいと思う。実際は取り締まりの範疇の中に入ると私は思うのですけれども、これが現在見のがされている、こういう場合がずいぶんあるんですよ。陶器だとか織り物だとか、いろんなもので。さらにもう一つはデパートなんかでもこれをやっておるところがあるわけなんです。これもやはり脱法行為のような私は感じがするわけですね。これが規制外にあるということは、私ははなはだ、何といいますか、おもしろくないような結果が生まれてくるんじゃないか。たとえば割賦法によって厳密に割賦販売をしておられる側から見ると、これは、あんなことをしてやっておればそのほうかいいじゃないかということにも相なるわけでございますから、将来やはりこういう問題について何かあなたのほうは考えておられますか。
  112. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 私が申し上げましたのは、現在の法律解釈として、それがいい悪いは別にいたしまして、今後どうするかは別にいたしまして、現行法におきましては、そういう金というものがその個人の名義で銀行預金されているという状態になっております。そういたしませんと、別の預金の取り締まりの法律に違反になりますので、そういう形をとっております。それから積み立てます場合に、商品を初めから特定いたしておりませんで、あとからお金のたまったときに選ぶというような形になっておりますが、そういう意味では、やはり趣味の会とかあるいは百貨店の場合、これは非常に小規模でございますが、友の会とか、御指摘のような面があるわけでございます。実態的にこれが相当多くなりまして、現在の割賦販売業者との問題を生ずるような事態が起こりました場合は、やはりこれだけが野放しというわけにもまいらないと思います。そういう事態が起きましたならば、やはり検討すべき問題だ、かように考えております。
  113. 近藤信一

    近藤信一君 厳密な割賦の意味でいくと、消費者に選択の自由というものがあるわけですね。ところが、あれは消費者側に選択の自由はないわけなんです。ただ陶器の趣味の人は、陶器のあれで申し込むと次々と売るほうの側はかってに送ってくるわけです。実際消費者がこんな物は要らないと思っても向こうは送ってくるわけですから、こんないい販売方法はないと思うのですけれども、これが見のがされているということは、私はほんとうに不可解なことだと思うのですが、やはりこういう問題についても将来私は考えておいていただきたいと思うのです。
  114. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほど来問題になりました消費者の教育ということもありますが、消費者のやはり態度の問題とも関連すると思います。私どもの感じでは、そういう、何がくるかわからぬというところにどうもお入りになるというのも、消費者の側としてはおかしいのじゃないかということも考えますが、しかし、いろいろな関係で入らなければならぬというような問題もあろうかと思いますし、日本の習慣もございます。したがって、そういういろいろな面がございますが、これがどの程度やはり普及していくものかという問題もございます。われわれ決して忘れているわけではございません。そういう問題があるということは十分承知いたしておりますので、実態に応じて今後研究さしていただきたい、かように考えます。
  115. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本案の質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  117. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、砂利採収法案を議題といたします。  本案につきましては、先般提案理由の説明をすでに聴取いたしておりますので、本日は、政府委員から補足説明を聴取いたします。吉光化学工業局長
  118. 吉光久

    政府委員(吉光久君) 砂利採取法案につきまして、補足して御説明申し上げます。  近年における土木建築工事の急速な増大に伴い、砂利、砕石、人工軽量骨材等のいわゆる骨材の需要は年率約一〇%増という大幅な増加を続けており、昭和三十八年度には約三億トンであったものが昭和四十二年度には約四億五千万トンに達するに至っております。この間、骨材供給の大宗を占める砂利の生産も拡大を続け、これとともに、砂利の採取に伴う災害が各地に頻発して大きな社会問題となっております。  すなわち、災害の発生件数から見ますと、昭和三十六年から五カ年間では三十七件であったのに対し、昭和四十年、四十一年及び四十二年の三カ年で六十八件と激増しております。  特に最近におきましては、河川砂利の枯渇化を反映して、いわゆる山砂利、陸砂利の採取が増大し、これに伴う災害が激増しておりますが、山砂利、陸砂利の採取には、その規模が大きなものが多く、このため災害の規模及びその与える影響も従来に比し大きく、かつ深刻なものとなっております。  また、原因別に砂利災害の発生状況を見ますと、土地の深掘、乱掘等に起因するものと、砂利の洗浄汚濁水の排出に起因するものが圧倒的に多く、災害全体の七五・六%を占めております。このほか、降雨時における砂利採取場からの土砂の流出、汚濁水沈澱池の決壊、さらには採取あとでの幼児の水死等、種々の災害が発生しております。  このような砂利の採取に伴う災害に対しましては、現在砂利採取法等の運用によりその防止につとめてきておりますが、何ぶんにも同法は昭和三十一年に制定されたものであり、その内容も砂利の採取についての事後届け出制をとっており、また砂利の洗浄汚濁水による災害は同法の規制の対象に含まれないなど、最近の大規模化した、また新しい態様の砂利の採取に伴う災害には十分に対処し得ないものとなっております。  このような実情にかんがみ、この際、新法を制定し、砂利の採取に対する規制を抜本的に強化することにより、砂利の採取に伴う災害の防止をはからんとする次第であります。  次に、本法案の概要を御説明申し上げます。  第一は、砂利採取業につきまして登録制度を確立することであります。  すなわち、砂利採取業を行なおうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置して事業を行なおうとするときは通商産業大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置して事業を、行なおうとするときは都道府県知事の登録を受けなければならないものとし、その登録を受けるにあたりましては、一定の拒否条項に該当しないこととともに、資格試験に合格した砂利採取業務主任者を置かなければならないこととしております。  この資格試験は、災害防止に必要な知識及び技能について行ない、これに合格した者を設置しておくことを登録の要件とすることによって砂利採取業者の災害防止のための技術的な能力を確保し、あわせて自主的な災害防止体制を確立したいと考えております。  さらに、本法に違反して砂利災害を惹起したような砂利採取業者についてはその登録を取り消すこと等により、災害を頻発させる悪質な砂利採取業者を排除したいと考えております。  第二は、砂利の採取計画の認可制度の実施であります。すなわち登録を受けた砂利採取業者は、砂利の採取を行なおうとするときは、個々の砂利採取場ごとに採取計画を定め、山砂利、陸砂利等については都道府県知事の、河川砂利については河川管理者の認可を受けなければならないことといたしております。現行砂利採取法では砂利の採取に着手したときは事後的に通商産業局長に届け出れば足りるとしておりますが、この事後届け出制によっては災害防止の方法や施設等についての尊前の指揮監督を行なうことができず、常に災害が発生してからの事態の収拾という事後的な行政に追われるのが現状でありました。本法案ではこれを事前の採取計画の認可制に改め、この採取計画には、砂利の採取量、採取の方法、災害防止の措置等を詳細に定めさせることとしており、この場合において、都道府県知事または河川管理者は、当該採取計画にかかる砂利の採取が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、または農業や水産業など他産業の利益を侵害するなど砂利災害の発生するおそれがある場合には、その認可をしてはならないこととしております。  以上の措置により、今後は、未然に砂利の採取に伴う災害を防止し得る体制が確立されるものと確信いたしております。  第三は、砂利採取業者に対する各種の命令措置の強化をはかっていることであります。  現行砂利採取法では、土地の掘さくまたは砂利もしくは廃止の堆積により災害が生じた場合には必要な措置を講ずべき旨の命令を発動できることになっておりますが、砂利の洗浄汚濁水の排出による災害につきましては命令の対象とはなっておりません。したがって、本法案では命令の発動要件を拡大して、そのような事態にも対処できることとするとともに、各種のきめこまかな命令措置を規定いたしております。  まず、都道府県知事または河川管理者は、認可をした採取計画の変更命令を発動できることとし、砂利採取場の状況の変化等、認可時に予測できない事情の変更に伴う災害の発生に対処することとしております。  次に、災害防止のため緊急の必要があると認められるときは、直ちに災害防止の措置を講じさせることを内容とする緊急措置命令を発動できることとし、必要があれば事業の一時停止をも命ずることができることといたしております。  さらに、登録を受けないで、または採取計画の認可を受けないで砂利の採取を行なうなど本法に違反している者に対しては、罰則による制裁と同時に、採取あとにおける災害の発生の防止の必要性にかんがみ、本法違反の事実があり次第直ちに採取あとの埋め戻しなどの措置を講じさせることといたしておりますが、これら各種命令措置の強化により、砂利採取業者登録制、採取計画の認可制と相まって、砂利の採取に伴う災害の防止のため万全を期しております。  なお、このほか、砂利採取場に標識の設置を義務づける規定及び砂利の採取に伴う災害に密接な関係を有する関係市町村長の意見を採取計画の認可等に反映させるための規定を設けるとともに、一元的な取り締まり体制のもとに砂利の採取に伴う災害の防止をはかるための所要の規定の整備をはかることといたしております。  これが、この法律案の補足説明でございます。
  119. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいま説明を聴取いたしました本案の自後の審査は、これを次回に譲ることといたし、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時八分散会      —————・—————