運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-14 第58回国会 参議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十四日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君     委 員                 近藤英一郎君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 黒柳  明君    国務大臣        国 務 大 臣  鍋島 直紹君    政府委員        科学技術政務次        官        天野 光晴君        科学技術庁長官        官房長      馬場 一也君        科学技術庁原子        力局長      藤波 恒雄君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関 する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○割賦販売法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、矢追秀彦君が辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 私は、本案と直接関係はございませんけれども、昨日来非常に問題になっておりまするアメリカ原子力潜水艦のソードフィッシュによる放射能の問題について、この際、若干緊急性がございますので、御質問をしておきたいと思います。  まず第一に、今度の場合、いま専門的な学者の皆さんが寄って、いろいろと結論を急いでおられるようでございますけれども、やはり原潜寄港の際に、放射能測定を、科学技術庁として、あるいは専門機関がやらなかったというところに今度の問題の中心があるのじゃないか。こういうふうにいろいろといわれておるわけなんですが、この点は科学技術庁としてどのような措置をとっておられたのか。この点を、まずお尋ねしておきたいのであります。
  5. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 数年来、原子力潜水艦は、もうすでに二十数回入港をいたしておりまして、佐世保港及び横須賀港に入港をいたしております。その際、今日までの大体の、何といいますか、いわば各港湾における放射能測定の話と、寄港地の設備といたしましては、原子力局長から補足説明をいたさせますけれども、大体これは入港しようとしまいと、常時いわゆる空中のモニターを、それぞれ二カ所及び三カ所に設置をしておきまして、そうして放射能測定をする。しかもそれは常時でございますので、横須賀市または佐世保市に御委託して、その測定値を読んでいただいて、そしていつも調査をしておるというのが実情でございます。そのほかに、科学技術庁としましては、入港時あるいはその後、あるいは中間及び出港時、出港後というようなことによりまして、観測船を設けまして、海中及び空中測定をいたすことになって、実は今日までやってきたわけでございます。それは潜水艦がとまっておる周辺を相当範囲にわたりましてぐるぐる回って、そうしてほとんどの地点において、その測定をしているというふうな形できたわけでございます。  そのほか、各市におかれまして、あるいは海水調査あるいは海藻とか魚介類調査あるいは別途佐世保市等はまた測定をされるというようなこともございまして、それを科学技術庁に持ってきて、総合的にその数値を判断して発表しておったというのが現状でございました。大体それで来ておったのでございますけれども、今回の異常測定は、御承知のとおり五月六日午前中の十時前後に観測船を出していたしましたものの中から、船から百メートル前後のところに三カ所実は異常測定値があらわれたのでございます。  で、それについて今日反省をしてみますと、やはり多くのわれわれとすれば手落ちもあったかと思います。その後の調査によりまして、異常測定値には確かに計器にもあるいは計器操作にも何ら間違いはなかったというふうに確認をしたわけではございますけれども、その際、やはりそれは海上保安庁の船に、海上保安庁のほうに御委託を申し上げてやっておって、科学技術庁の職員が——これは従来そうであった由でございますけれども——いなくて、臨機措置がとれなかったというような点、臨機といいますと、海水を直ちに採取するというような措置がとれなかった点は、全くわれわれとすれば手落ちであったかと考えるわけでございます。そういった点が、今回におきましてわれわれが深く反省すべき点が多かったことだと考えます。なお、もう一つわれわれが反省すべき点を率直に申し上げます。異常値が出たときに、今日でもまだその解明に困難を来たして、各学者専門家方々もまだ解釈がつかないというふうにいわれておりますように、海中及び空中測定値が、海中が十倍であれば空中も十倍、海中が二十倍であれば空中も二十倍というふうに、いわば同じように出ておる。これが実は、普通であれば海中放射能があれば空中とは多少値が違うのではないかというような点、それらの点に疑問をいだきまして、発表することをちゅうちょした。そうして第二回調査を待って発表しようではないかというようなことになったという点に、実はやはり発表の時期の面におきまして、われわれは深く反省する点があろうかと思います。いま考えますと、異常値異常値として、かかるものが検定された、直ちに再調査をしてこれの解明に乗り出すのであるというふうに発表すれば、あるいは御不安を招く点も多少少なくて済んだのではないかと思うわけでございます。しかし、その当時の実情からいいますと、何か数値に不安があったものですから、もう一回調査してから発表しようといったちゅうちょがあった。これは善意に解釈すれば、ある意味においてはそういった心境も当然であろうかと思いますが、やはりそういう点は今日深く反省しているというのが実情でございます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 このことは、今度の原潜入港だけでなくして、かつてエンタープライズの入港の際、また横須賀入港した場合等々、いろいろと私どもといたしましては、原潜入港危険性があると、こういうことで国民もこの点を非常に心配しておった。ところが政府は、常にその場合にいわゆる安全性のみを主張して、そうして国民にそういう危険はないのだと、そういうことを非常に強く主張してこられた。ところが、先日来の今度の入港に際して、いわゆるその安全性が逆になって、どうも危険があるんじゃないかというふうな、調査でこれが明らかになってきた。これは何かきょう聞くところによると、専門的な科学者が五人でいろいろと結論を出されるそうでございますけれども、国民は実際科学的なそういう放射能に対する知識というものはない。したがって、いわゆるどの点が安全性だということについては、私は未知数だと思うのです。ただ、政府が安全だと、こう言うから、政府を信じてきょうまで原潜入港に対しても、いろいろと反対もございましたけれども、まあまあというところで国民はそれを見てきた。ところが今度の場合、事実、海中放射能が出てきた。そこで、いよいよ専門的な科学者が危険だと言われるので、そこで国民としてもこれはたいへんなことになったと、こういうことで非常に心配をしているわけでございます。やはり私は、原潜寄港に際してまず考えなければならぬことは、安全対策をどのように持っていくか、これが非常に重要じゃないかと思うのです。で、安全対策のない寄港ということは、私はあり得ないと思うのです。それについて、科学技術庁として今日までその安全対策に対して万遺漏なき対策を立ててこられたかどうか、この点をお伺いいたします。
  7. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 安全性におきましては、これはもう政府といたしましても、科学技術庁といたしましても、あくまでこれを確保することに努力もし、また安全性がなければ寄港というものは許されないと考えております。いわば安全性の問題について考えてまいりますと、今回の数値、いわゆる計測に出た数値は、人体への許容量といいますか、その程度放射能であるならば人体に何ら差しさわりはないという数値ではございます。中共の核爆発の場合におきましては、これのもっと十倍、二十倍出ておりますが、あるいは千倍近いものが出ている実態もございます。で、それはそれとして、これはこれといたしまして、アメリカ側との、口上書によるいわば協定にひとしいもの、その面におきましては、放射能は絶対に出さないというようなこまかいアメリカ側のいろいろな入港時における協定日本国政府アメリカ側との間にできております。口上書という形でできているので、そういうものを十分守っていただき、そうして安全性アメリカ側で保証をして入港する。したがって、原子力委員会といたしましては、日本アメリカ側との取りかわした原子力潜水艦あるいは原子力艦船のいわば安全性に関する協定及び日本側からそれぞれ資料を要求したところのものがアメリカ側から提出されまして、それを調査をし、審査をした結果、大体といいましょうか、これであるならば安全性は保てるという形で、原子力委員会としては、内閣総理大臣寄港の許可もよかろうというふうに申し上げておったわけでございます。で、今回の場合におきましては、まだその疑いがあって、まだどうも潜水艦という確証——絶対に潜水艦放射能であるという確証——は得ていないわけでございまして、この点、非常に調査がまだまだ十分いっていないというような状態もございますが、従来におきましては、そういう確証をもって、そうして原子力委員会総理大臣に、原潜入港について安全性は保たれておると見ると、ただしその間における協定せられたるもの、あるいは原子力委員会資料を要求してそれを審査される等々によって行なわれる、もちろん軍事機密の問題がございますので、乗り込んでいって立ち入り検査というぐあいにはまいりません。したがって、そういう面は書類の審査といったようなことが多かったわけでございます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 今回の放射能測定する計器が高い率をあらわした場合に、やはりこれに対してはまず放射能物質ということを考えていろいろと対策を立てていかなければならぬ。原因がどこにあるか、この調査をしなければならぬ。ところが、いま長官も言われましたように、実際立ち入ってどうのこうの検査するわけにいかない。ところが、科学技術庁では、その本質のほうを調べずに、他に何か原因があるんじゃないかということで、他の面をいろいろとこう調査しておられた。そこに私は欠陥があるんじゃないか。やはりまっ先に放射能の異常だということを考えて、まずその点について調査をやる、このことのほうが先決じゃないかと思うのですが、ところが、いわゆる溶接がどうのこうのというようなことで、他に原因があるのじゃないかということで、他のほうを一生懸命求めてこられた。また、長官言われましたように、実際に原子力潜水艦に立ち入って検査するということができない、ただアメリカ側ことばを信じてあなた方対策を今日まで立ててこられただけのことで、ところが、実際に今回のように放射能があらわれた、海上に数カ所においてそれを観測することができた、こういうことになれば、まずその原因は一体何から来たかというその原因追及を他に求めるのじゃなくて、まず原子力潜水艦ということを中心調査すべきじゃなかったかと、こういうふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
  9. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 異常値が出ましたときに、やはりこれは原子力潜水艦から流出した放射能ではないかという点は、最初に考えておったわけでございます。そうしてアメリカ側に対しましては、われわれの数値はこういうふうに出ているから、そちらに心当たりはないかと、つまりアメリカ側調査をして、これに伴うデータなりあるいは心当たりなりをひとつさがして、ぜひ率直に回答を願いたいということを実は外務省を通じて申し入ればいたしたわけでございます。その後、現地におきまして、アメリカ側の、これは記者会見でございますが、等々において、溶接火花ではないかというようなことを言われ、また公式には当時掃海艇レーダーを使用したと同時刻ころにあることはある、しかしながら潜水艦自身として流出したというような覚えはないということで、立ち入り検査できませんから、その点、非常にまどろっこい、これはもう率直に申しますが、そういうことがございましたので、現地調査団はまず溶接の問題、レーダー問題等アメリカ側にも協力を願って、実際その実験を行なった。ところが溶接火花もあるいは掃海艦によるレーダー操作計器に対して何ら影響を与えないということがわかったと、こういうことでございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、異常が起こったならば、まず私は最悪の事態を考えてこの調査に当たり、その対策を立てるべきじゃないかというふうに考えるのでございます。科学技術庁といたしましては、今度の異常観測をしてから七日経過した、そして初めて放射能だろうというふうにあなたのほうの専門家学者諸君結論として中間報告としてはございますが、そしてこれは異常放射能だというふうなことが新聞に発表された。そうすれば、いままで国民に安全だ、安全だとこう言ってきて、今度これが放射能であるということが突然発表された、国民はびっくりしている、科学技術庁としても国民を愚ろうすることになると思うのですが、その点は一体あなたのほうはどのように受け取られますか。
  11. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いや、当初やはり計数が出たのは、これは計器ではっきりしておりますから、いわば放射能数値というものが出ておりますが、その原因につきまして、調査団も派遣して進めてきたわけでございます。なお、異常値が出ましてからその日、翌日というふうに、ほとんど毎日のように厳密に調査をいたしましたし、調査団が出ていきましてからも、いつでしたか、九日の日だったと思いますが、調査団みずから乗り込んで新しい計器も使って厳密な調査を行なっております。出港時に至りますまで、あるいは出港後におきますまで、これに対しては全然異常なる値は測定されておりません。したがって、その意味におきましては安全だと信じておるわけでございます。  ただ、それではどういうわけで六日の午前中にああいった異常な値が出たか、その原因追及に実は全力を尽くして、調査団等も出して専門家方々によって技術的な探求を進めてきたわけでございます。そうしてきのう中間報告を得たのが、ただいま申し上げましたように、いわゆる溶接火花でもなければレーダーでもない、計器は正確に動いていた、操作も正確であった。しかしながら、出てきた数値の問題について、先ほど申し上げました海中空中同等であるという数値の問題についての実際的解明というものは、なかなか解釈が困難である。それから数値が出たものは放射能でございますから、この放射能はどこに原因があるかといえば、ここに原子力潜水艦もいるわけで、そのほかにあるいは原因があるかもわからない、しかしながら、そこに放射能を持った原子力潜水艦がいるわけでございますから、あるいは潜水艦から出た放射能であったかもわかりません。断定はできないけれどもそうであるという結果になったというのが経過でございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 原潜が最初入港する際に問題になりましたことは、放射能物質を含んだ冷却水をどうするか、これが私は非常な問題だと思うのです。当時アメリカ側放射能水海中に流すことはない、こう言って政府としてもそれを信じておられたわけです。ところが始動時にあふれ出す放射能物質を含んだ冷却水というものが約二トンということでございます、私もしろうとでわかりませんけれども。そうすると、原子力商船でございますならば船内も大きいから、その放射能物質を含んだ冷却水を貯蔵するタンクというものがあるであろうということを私は予想するわけでございますけれども、潜水艦ということになりますると、長官も御存じのように、非常に艦内にしても窮屈な狭いところである。その原子力潜水艦の狭い艦内で、はたして冷却水を貯蔵するタンクが一体つくられているかどうか、そういう大きなタンクはないということになると、必然的にこれは冷却水海中に流れ出すということが予想されるわけなんです。私は見たことがございませんからわかりませんけれども。そういうことを実際十分にあなたのほうとしては調査されておったのかどうか。ただ、これはアメリカ側ことばを信じて、出さないということを信じて、ただいままで行なってこられたのか。一体、その放射能物質を含んだ冷却水がどのように処置されておるかということは、あなた方実際にお調べになったことございますか。先ほど長官言われましたように、艦内立ち入りができない、こういうことになれば、一体どの辺でそういう点を調査するかということが私は根本的な問題になってくると思うんですが、この点はいかがですか。
  13. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 技術的なことでございますから原子力局長から。
  14. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 御質問原子力潜水艦原子炉構造等につきましては、われわれ詳細は知らされておりません。それで、それの廃棄物の処理に関します約束につきましては、先ほど長官が触れましたアメリカ政府声明書あるいは口上書の中にうたわれておりまして、たとえば使用済み汚染除去剤、これはイオン交換樹脂のようなものでございますが、そういったものは港内では捨てない、あるいは港内燃料の取りかえ等はやらないというようなことが規定されておりまして、ただいま御質問の中にお触れになりました一次冷却水等の液体のものにつきましては、こういう表現になっておるのでございます。「周辺の一般的なバックグラウンド放射能測定し得る程度の増加をもたらすような放出水その他の廃棄物は軍艦から排出されない。」、こういう表現であらわされておりまして、この中に包含をされると、こういう解釈をいたしております。一次冷却水の貯蔵タンクなり、あるいはそれの操作ルールといったものにつきましては、詳細に知らされてないのでわからないのが実情でございます。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 それはアメリカ側規定の中に書いてあるだけのことで、実際始動して冷却水があふれてくるということが私は予想されるわけなんですね。あふれなければ今回のように数カ所において異常性観測したというようなことはぼくはあり得ないと思う。たまたま、それがどういうぐあいでかあふれたから、海中に出て放射能のこれを観測することができたと私は思うのですが、学者諸君観測したわけなんですから、それでこれは危険だということになっていったわけです。そうすると、これが海中にもぐらないでおった場合でも、たとえば商船で貯蔵した場合でも、何かの機会であふれることもあると思うんです。たとえば故障ができた場合  今度の場合はそうじゃなくて、狭い艦内でどれだけのタンクが用意してあるものか、私はそれを見たこともないし、わかりませんけれども、それが満水になってくればどっかで始末しなければならぬということになるでしょう。規定には放水しないというふうにあるけれども、万やむを得なくなってくればこれはやらなきゃならぬこともあると私は思うので、今度の場合、これはそういう結果じゃないかというふうに思うのですが、それでなければ私は今度の観測についても発見することができなかったと思いますけれども、従来、あなた方のほうで何回も観測されて異常性ない、ないと発表されてきたのが、今回異常性があると、こう出た。これは現実の問題として出てきたわけですね。そうすれば、やはり国民心配するところにこれはきたわけなんです。特に、日本国民魚介類を常食にしておるわけなんです。放射能の流れたものが魚なり、貝なりこういうものに侵透した場合、それを食べる国民としてはまことに危険しごくだと私は思う。こういう点については、目下科学者がいろいろと調査しておられるから、どういう結論が出るか知りませんけれども、昨日からきょうということで新聞を見ておりますると、ますますこれは危険性というものが濃厚になってきたと私は思うのであります。だから、そういう点について、やはり科学技術庁としても専門家を網羅しておられる庁でございますし、また、国民に対するところの今日までしばしば言明してこられた安全性に対して、安全でないということがここに出てきたわけですから、これは国民が納得する対策安全対策というものを私は立てるべきだ、そうして国民にやはり心配のないようにしていかなきゃならぬと私は思うのです。私時間ございませんから、もう多く質問できませんが、やはりそういう点について、科学技術庁としては将来どういうふうな方針で、そういう点を危険のないようにしていくのか。もし、これがきょうあすのうちで危険性が十分にあるということがわかった場合に、原潜寄港に対してあなた方はどのような措置をとられるのか、その点をお伺いして私の質問を終わりましてあとに譲っておきたいと思います。
  16. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 原子力潜水艦の問題につきましては、今後アメリカに対しまして、この原因関係はまだわかっておりませんけれども、探究の結果が出れば、もちろんそれを基礎に申しますが、少なくともこういう事態についてアメリカ自身もよほど考えていただかなければならない。ただ問題は、原子力潜水艦汚染源であるというまだ確証を得ておりません。その限度において、やはりアメリカに対しましてある程度注意を喚起するというようなことがどうしても必要であろうと考えております。それは本日私も閣議の席において発言をしてそのことを申し上げたわけでございます。  それから、今後原子力潜水艦入港時における観測体制、もし入ってくるとするならば観測体制につきましては、やはり従来もう二十数回こういった観測体制が続いてきたわけではございますけれども、今回のような場合を想定しますと、やはりいろいろな不備が出てきていることは事実でございます。したがって、放射能の検定のいろいろな測定器の問題あるいは人員をその際において配置しておく、あるいはその際において十分判断がついて適切なる措置がとれる人間を配置しておく、技術者を。そういったいろいろなことにつきまして、整備を速急にいたしたい。これは原子力局の予算で足りなければ予備費をお願いしてでもそのことを立ててまいりたいと、そういうような状態でございますから、十分に注意して万全を期してまいりたいと考えております。
  17. 黒柳明

    黒柳明君 確かに、ただいま調査の結果、いろいろまだ出ておりませんが、長官としても確たる御答弁はできないと思うのですが、新しい新聞報道の伝えるところによりますと、山崎さんをはじめとして幾多の専門家がこれは常識的には放射能汚染に間違いないと、このようなことを伝えているわけですけれども、いまの範囲において結局対象であるアメリカに対してどのような科学的なデータを、日本政府としてはあるいは長官としては要求しているか、いかがでしょう。
  18. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 私も技術屋ではございませんので、おのずから限度がございますが、経緯を申し上げておきたいと思います。  アメリカに対しましては、当初それが出てきたときに、この点についてのいろいろなデータを要求いたしましたが、やはりなかなかデータをよこしてくれません、率直に申しまして。そこで、きのうの日米協議委員会におきまして、三木外務大臣の発言によって、ジョンソン大使に対しまして、日本における調査の協力の意味においてひとつデータなり専門家を派遣をして、そうしてこの原因究明を進めたいと、どういうことを申し入れ、それは大体了承いたしました。さらにきのうその後シャープ太平洋統合司令官とジョンソン大使とが総理大臣に六時ごろに面会を求めました。その際、強く総理大臣から要求をしましたので、アメリカとしては、それでは調査団を派遣してこようというふうな、アメリカ自体としても調査してもいいというようなことで、私も外務省から公式ではございませんが、大体アメリカから数日後に調査団専門家を出すというところまできております。それに対しまして調査する態度を、実はきょうこれからの原子力委員会において、はっきりするわけでございますが、基本的には日本のあくまで自主的調査を行なう、そうして日本からいわば日本でどうしてもつかみ得ない資料なりあるいは向こうのデータなりを要求をして、あるいは向こうの見解をただすとか、そういう形においてひとつ原因の究明に乗り出していきたい、そういったような具体的な資料そのほかにつきましては、専門家でございませんから、私わかりませんが、そういう段取りでいくんではなかろうかと考えております。
  19. 黒柳明

    黒柳明君 昨日のジョンソンさんとシャープさんが来たときにも、これは放射能原因じゃない、汚染放射能によらないと、はっきりこう明言しているわけなんですね。そうなると、いま言った科学者の意見とはまっこうから食い違うわけです。万万が一、そんなことはないと思いますけれども、せっかくアメリカから調査団が来た、まあ長官はそれに対してわが国も独自で調査すると。この独自で調査する、またアメリカ調査団を派遣すること、さらにあるいは何か当事者である原潜が姿をくらました。修理ができたやらできないものやら、修理ができたから出港したように思いますけれども、何か結果的に見ると、長いものには巻かれろというようなことで——まあそんなことないと思いますよ、長官がしっかりしていらっしゃいますからね。けれども、そういうような調査報告が出てくるのじゃないかと、こういうような憂いが非常に私もしますし、国民もそのことを心配していると思うのです。あくまでも非は非としてアメリカ側もすなおに率直にデータを出すとか、非を認めるとか、それに対して万全の措置をとるとか、これからの核時代に入っていって、すべて核というものは脅威であるというようなそういう考えはこれ自体もちろんうまくないです。もしも、ここにおいてそういうものが何か隠蔽されるような結果になりますと、また核というものに対してますます疑惑を持つ。要らざる心配というものを国民は増すのじゃないか、こういうようなことも考えられますけれども、ひとつその原潜出港にあたって、どうして出たのか。当然直ったから出たと思うんです。それだったら、どこがどういうふうに悪かったのか。どういうふうに修理したからどう出たのか、そこが一番問題じゃないかと、こう思います。と同時に、調査団がくる。それに対してはほんとうに日本側とタイアップするということは長官は言わないで、独自で日本がやるということは、あくまでも向こうの調査に対してこちらは誠心誠意真実というものを探っていく、当然こういう考えだと思うのですが、その決意のほど。それから今後の見通しと同時に、いま言ったシャープさんとジョンソンさんがどうしてそんな断定的なことを言うのか。それに対してどういうデータがあるのか。まあ出さないということであればそれまでだと思いますけれども、そういうことで年がら年じゅう私たち国民はいま言ったように核に対する不安を増してきたのです。自民党政府を通じて反アメリカ的な空気が助長されてきたと思うのです。これではうまくない。この際そんなことではまた核に対してアンチ的な態度をとらざるを得ない。もっともっとオープンにやるように、むしろサゼスチョンを与えるべきじゃないか。どこにあなたたちは断定する根拠があるのか、こういうこともさらに追及する、政府自民党がアメリカ政府に対してする、こういうこともやっていただきたいと思うのですけれども、どうでしょう。
  20. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 実は潜水艦の問題につきましてわれわれからいろいろ要望を出し、あるいは調査を依頼いたしましても、率直に申し上げまして、くつの上からかくようなものでございます、軍事機密でございますから。その点日本としては、ほかの商船ならともかく、軍艦である限り、なかなかその辺のところがうまくいかないという実態は確かにございます。向こうの言明によりますと、二、三日出港を延期した原因はソーナーといわれる何か通信機の故障であって、その部分品を飛行機でアメリカから取り寄せた、飛行機がおくれたので出港を延期したのであって、原子力関係には影響がないということを申しております。これを信ずる以外に、実は立ち入り検査できない、これが実情でございます。そこで、いよいよ調査団も来るかと思いますが、私は先ほど申し上げましたように、日本日本として、日本の枝術をもって独自でやはり原因の探求に当たる。しかし、いま申し上げるように相手が軍艦であって十分の資料なり調査ができかねる面があるわけでございます。その点を向こうから来た専門家といいますか、調査団に、日本側としてはこれは決意を持ってただして、この点は答えがあった、この点は答えがないというようなところをはっきりしながら原因探求に当たっていく以外にないし、事前に私ども調査団にお会いすることによって、これは私ども今後の核平和利用における重大な一つの心理的な影響もあるわけでございますから、アメリカ側の絶対的な協力を切に願い、そしてその態度で日本調査団調査を、できる限り原因探求をひとつ進められるように科学技術庁としてはしなければいけないというふうに考えております。
  21. 黒柳明

    黒柳明君 海水を分析中ということが新聞に出ておりますけれども、技術庁の依頼によってこの海水は何か異常が起こった後、数時間経た後の海水であると、はたしてこれは科学的に見て、その異常時のそういう分析ができる状態にある海水なのか。新聞によると、そういう数時間経たものを分析したところで異常時の原因というものは究明できないのではないかと、こういうようなことが報道されておりますけれども、分析の結果というのは十四、五日に出ると、こういうようなことを報道されておりますけれども、あくまでも私たちは報道の範囲で質問するほかないと思うのですけれども、その数時間経た後の海水なんというものと、異常時のそういう海水というものの状態というものは、当然違うと思うのですが、これをいま分析中である。その分析の結果を待たないとできないこれは質問ですけれども、それに対する相違というものはやはり考えられないことでしょうか。
  22. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) おっしゃるように、いま分析をいたしております海水は、異常数値測定されました時点から数時間後に採取されたものでございますので、その間におきます拡散によります効果は当然考えられるわけでございまして、その意味におきまして、相当もう薄くなっておると考えざるを得ません。したがいまして、かりに含まれております場合でも、相当微量化しておるという観点から、分析も相当むずかしい事柄をかかえていると思いますけれども、やってみなければわかりませんが、何らか参考資料の一つにはなるのではないかと思います。
  23. 黒柳明

    黒柳明君 そうするとレーダー説、溶接をやったときの火花説というものはその後否定された。放射能の可能性が強い、学者がこれは常識として言えると。その放射能であるという原因、これを断定するのにはこれの海水の分析、それとさらにどういう調査をやっているでしょうか。
  24. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) ただいま当時測定されました異常な数値あるいはその数値の変化の形等、それからいろいろな海象条件等々から、どういう条件のもとであればああいう異常数値が出るであろうかということを、いろいろ解析しているというのが現状でございます。ただいま長官から御説明いたしました中にもありましたように、最後のところになりますと、どうしてもまあ原因があると疑わざるを得ない潜水艦内部の装置なり、それのオペレーションに関しますいろいろなデータをもらわないと究明しかねる点も残るのではないかとわれわれには考えられるわけでございます。その辺は向こうの専門家等が来まして、それらの点について資料の提供等、協力をしてもらえれば、ある程度解析し得るのではないかとも思っております。
  25. 黒柳明

    黒柳明君 東大の檜山さんあたりの談話が報道されておりますけれども、あくまでもその当時において異常があらわれた機会であって、それをどういう状況でどういう状態でこう出たかということを分析してもこれはだめだ。あくまでもこれは主観的なものが主であって、推測を加えられて、放射能ではないかと、こういうことは断定できない、断定できないじゃない、結論が出ない。推定である。あくまでも結論は主観的なものが主になっておる。それよりも、もっと放射能によると、はっきり断定するのは、これは海水を分析した結果でないと困るとかなんとか、こういうふうに言っておるんですけれどもね。これは科学技術庁の監視体制の怠慢であるということ、怠慢であるということは、もう何回弔いわれておりますけれども、長官もまだ十分御存じないと思いますが、そうすると、向こうから来る調査団から何らかの資料をとらないと放射能という結果は出ない、最終的には。確かに私もそのように聞きました。そうなると、私の考えだと、アメリカのほうが、これは常識として、そういう放射能によって海水が沈染されたものであると断定するような資料を出すなんということは、ちょっと考えられないと思うのですよ。そうなると、わがほうの監視体制、長官もおっしゃったように、独自の調査をやる、その独自の調査をやる範囲というものは、あくまでも断定できるものではない。これはこういうふうなことが科学者の話によるとぼくは推測できる。アメリカ側からそれにプラスできる資料、今度の調査団によるプラスするところの資料調査結果、それが私の言うような放射能であるというように断定できるような、そういうふうなものを向こうが調査してくれるかというと、それは推測によるとできないじゃないか。私は長官がおっしゃられる独自の調査もけっこうですが、独自の調査によって断定すべきものは九〇%ないのじゃないか。何も放射能としてきまったわけではないのですから、それに調査中なんですから、そんなことを言うのはまだ早いと思いますけれども、くどいようですけれども、冒頭に申し上げたように、常識としては放射能だということは考えられる、そういう学者の主張をもとにしての私の話になると思いますけれども、そうなると、特に断定できるものがないとすると、向こうから調査団が出す資料、それを疑ってはうまくないけれども、そういう疑いをかけてやはり臨まなければならないということになると、これはちょっと非常にうまくないじゃないかと思うのですが、そこらあたりの壁をどういうふうに破っていくか。
  26. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 率直に申し上げまして、異常値が出たときに、的確に判断するいわば観測員がさっとやっておればもっとうまくいった。この点はまことに従来の調査方法が、今日まで二十数回のいろいろな問題で異常値が出なかったものですから、やはりこのまま安易に流れたと言うと語弊があるかもしれませんけれども、手落ちがあったことは事実だと思います。そこでアメリカからの調査におきましても、また黒柳さんが言われたようなことをわれわれも考える場合もございます。しかし、あくまでこれは公正に資料の要求をし、あくまで原因探求していかなければなりませんが、終局的に非常に困難なものであると言わざるを得ない、これは率直に申し上げまして。しかし、困難な問題であっても、すべての科学者を動員してひとつとことんまで、できる限り進めていきたいというのがただいまの決意でございます。
  27. 黒柳明

    黒柳明君 あと、一、二問伺います。これは長官の誠意を信ずるより私たちはないと思います。と同時に、これは四十年ごろ、ホーリーロッホですか、そこで海水さらには魚介物の汚染があった。そのときの私の記憶によりますと、科学技術庁で科学的な、何といいますか、いろんな分析をして、それに対する質問状を入れた——五項目か七項目か——それを外務省を通じてアメリカ政府に答えてもらうことになっておった。そこらあたりもやっておったら今度の場合も相当資料になったと思うのですが、今回のことがあって、そういう科学的なデータに基づく質問状なんてそんななまぬるいものではないと思いますけれども、ここで、率直に言ってむずかしい、むずかしいという長官の答弁ですけれども、そのむずかしいところをこちらの科学陣を動員して、せめてこちらの面、疑わしきは疑う、そういう態度もしっかりしなければならぬと思います。推測される範囲というものは非常にあいまいな結果が出るんじゃないか。もしその出た時点においては、あるいは放射能と断定されるかどうかわかりませんけれども、非常に何かあいまいな結果が出るんじゃないか。またまた日本国民に対して核に対する不安を助長さすというような結果が出るんじゃないか、そのときには、私はあの四十年のときのあれが完ぺきとは言えませんが、どなたが長官だったか、上原さんですか、だれかだったんですが、あのときも私たちはしろうと考えで、なぜそれをアメリカに出さなかったのか、なぜあれを外務省あたりがストップしたのか、もらっておけばまた今日相当役に立った、あるいはまた国民に公開をして、こういうふうにむこうだってしっかりしたデータ、しっかりしたものが出ているんだ、だから安心したまえ、こういうふうな一つの政府としてもエキスキューズの資料になると思うんです。それが全然ない、そこにも一つ弱いところがあると思うんですが、どういう結果が出るかそれはともかくとして、それにもかかわらず、今回のこちらの独自の調査あるいはすべての総合結果というものを含めて、いい結果が出る出ないにせよ、きちっと問題点等を分析して、それでアメリカ政府に突きつけて、これに対して文書でいいから書いてくれ、あるいはこれに対するデータをできるだけくれ、こういうものをつけて、今後の国民に対する、核に対する要らざる不安というものをなくすこれまたいいチャンスじゃないかと思いますけれども、ちょっと先のことで申しわけないですけれども、これはまだ調査中で結果が出ないので、いまさらこんなことを言うと申しわけないと思うんですが、これも一つの国民の声じゃないかと思うわけですが、どうでしょう。
  28. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いま言われたとおりだと思います。よく承っておきます。なお、アメリカからも来ることでございますから、これは調査団にわれわれは容喙をしたり、それにちょっかいを出すつもりはございませんが、調査団自体もきのうの山崎博士のお話等によれば、尋問をするような気持ちで調査団を迎えたい、こういうような気持ちを、これは国際語としてかどうかわかりませんけれども、そういう気持ちも言われておりましたので、ひとつしっかりやっていただきたいと考えております。
  29. 黒柳明

    黒柳明君 最後にちょっと。それで、結局イギリスの例にもあったように、魚介類の採取ですね、それからやっぱり人体でコバルトが濃縮されて非常に危険であるというふうなことですけれども、いま佐世保の漁業組合でも気は使っていると思うのですけれども、当然これは取って食べられることはないと思いますけれども、その点の処置というものは万全なんでしょうか、あれは。
  30. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 港内の放射線の調査体制の中には、先ほど長官が最初に説明申し上げましたモニタリングポストでありますとか、あるいはモニタリングボートによります調査のほかに、海水でありますとか、海底土の採取、あるいは海洋生物の採取による測定というようなものも定期的にやっておるわけでございます。こういう海底土とかあるいは生物に対します調査というものは長期的に継続的に行なうべき性質のものでございまして、われわれとしましては、現在年四回というルールをきめましてやっておるわけでございますが、今回の影響もどのように出るかということもよく念頭に置きながら慎重にやってまいりたいと考えております。
  31. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。
  33. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 長官並びに局長にお尋ねする前に……。中座をいたしましたので、もし私の質問と前に質問された方とダブる場合は、それは速記録をごらんになっていただきたいということで御答弁をいただきたいと思います。  第一番にお尋ねしたいことは、本件について本日で四度目ですから、あらゆる角度から伺っておるわけですが、その中で私の一番懸念するところは、いろいろ原因はありましょうけれども、火のないところに煙は立たぬ。したがって、これはアメリカ原潜のよって来たすところが原因ではありませんかというお尋ねをしたところが、局長は言下に否定された。今日でも前回の委員会と同じに、原潜は全然関係ございませんという御答弁であるかどうか、まずお尋ねいたします。
  34. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 先ほどお答えいたしましたが、簡単に、これは重大なことですからお答えを申し上げます。  昨日夕刻、佐世保に出しました山崎博士を中心とする調査団が二回、三回検討を加えまして、昨日の私の手元に中間報告がございました。その中におきまして、従来いわれておった計器の故障はどうか、これはない。それから測定操作に何か問題があったのではないか、それはない。それから溶接等の火花等の影響はないか、その影響はない。レーダーの影響はないか、それはない。したがって、残されたものの数値原因については、その数値の出方においてまだ解明できないという、その数値解釈といいましょうか、その点においてまだどうも困難性がある、ということは、同じように十倍ぐらい空中も水中も海中もなっているというその解釈に非常にむずかしい困難性がある。それからその原因については、いろいろ考えてみるけれども、常識的に考えてそこに原子力潜水艦があったわけですから、それから流れ出たということも一応考えられる。これ以外にあるかもわかりませんが、そういった点は、仮定の問題でございますから、現在そこに放射能を持った原子力潜水艦がおったわけですから、それから流出されたということも考えられる、しかし、これを断定することはできない、こういったようなお答えでございました。これがきのうの中間報告結論でございます。  なお、続いて原因探求について調査する、こういうふうに申しております。
  35. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いかに科学が進歩しておりましても、直ちに断定を下すということは困難であり、個人的に判断しても、総合的なやはり意見を持ち寄って、その検討の結果を出されるんですから、いま長官の御答弁になったことはわかりますけれども、長官、私、毎日毎日あらゆる新聞を読みまして、長官談話が出ぬことは、ほとんどここ一週間ほどないわけです。しかし、あなた自分で新聞をごらんになるかどうかわかりませんけれども、あなたの談話が変わっておるということ自分でお気づきになりませんか。終始一貫同じであると断定できますか。私は鍋島さんそのものよりも日本の科学の最高責任者としてのあなたの職責上、きわめて国民心配しておるこの種の問題について、きのうときょうと変わり、きょうと明日と変わるということについて、きわめて不信感、不安感、こういうものを抱くのではないかという懸念があるわけです。ですから、いま論議しております。法律案は、アメリカ原潜と直接関係ございません。関係ございませんけれども、将来の日本の核燃料一切を規制せんとする法律案ですから、自信のない科学技術庁が出された法案を、こういう現象が出てきてああそうですがということで簡単に賛成することはできぬわけですよ。ですから、でき得るならばこの法律案等についてもわれわれにもじっくり研究と勉強を、そうしてその結論を出す機会を与えていただくと同時に、科学技術庁としてももう少し勉強なさるお気持ちはないんですか、一週間の間に目まぐるしいほどその結論が変わるわけですから。それは経済であれば日本だけで食べていくわけではありませんから、イギリスのポンドが日本に影響したりアメリカのドルが日本に影響したりしますので、日本の力でできませんということは、これはありましょう。しかし、事科学に関して、これがいけないんだということは洋の東西を問わず同じであろうと私は思うのです。その点はいかがですか。
  36. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 私もずっと記者会見をしておりますので、そのつどそのつどの情報を入れて、それについてのまあいわば考え方を、これは個人的な見解を交えない場合もございますし、交える場合もございましょうけれども、申しておるわけでございます。したがって、結論がそう変わっておるというふうには思いません。ただ原因探求について全力を尽くして、日本の科学陣を動員しまして、私もそのほうの専門家でもございませんから、専門家の意見を聞きながら、専門家の五人の方をお願いをして原因探求に現在努めておるわけでございます。その方の報告を実は信用していくということ以外にはないわけでございます。ただ今回の問題が、非常に異常数値を発見いたしまして以来、いろいろ手落ちもございました。この点は深く反省いたしますが、少なくともその経緯の中において、いろいろな面で放射能の問題を中心に人心に不安を与えた、あるいはわれわれの発表のしかたにおいてまずかった、この点はおわびを申し上げ、反省すべきであると思います。しかし、少なくとも科学的な原因探求に今後全力を尽くしてまいりたい。そうしてやはり将来をになう、いわゆる原子力の平和利用については、これは日本の将来をやはりになうものでありますから、そういった点、御不安のないような措置を今後とってまいりたいというふうに考えております。
  37. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ反省もけっこうでしょうし、おわびするということも謙遜なお気持ちで申されておると思うんですから、私了としますが、しかし、そういうことではやはり一切が無になったということはないでしょうね。たとえば、長官誤りなかったとおっしゃるけれども、新聞記事、朝日にしても毎日にしても、皆さん方のやっていることは甘いと書いているんですよ。毎日話が違うといっておこっているわけです。この席に新聞社の人おるかどうかわからぬけれども、あなたそれぐらい自信があったら、朝日でも、毎日でも読売でも新聞記事が違うと言ってかけ合ったらどうですか。それからエコノミストだったというふうに記憶しているんですが、もうアメリカのペンタゴンの日本の駐在員だと、こう言っているんですよ。それまで言われて日本科学技術庁はおこらぬのですか。君たちは原潜監視が甘いといって大見出しで書いているのですよ。あなた、それくらい自信と確信を持てば、そんな、やみ新聞じゃない、天下の大新聞が書いているのですから、少しは憤慨し、抗議を申し込んでもいいじゃないですか。私は与野党を離れて科学技術庁どうしておこらぬのかと思うんですよ。新聞の批判を甘んじて受けますと、反省しますと、こういうことなんですか。それはあまりに権威がない、情けないということを私は静かに野党とか与党とかいう立場を離れて、国会議員として情けないなあと、とう思うんですよ。しかし信憑性ない、自信がないから新聞に何と書かれても抗議一つ言うことできない。それが実態でないですか。藤波局長も実務を担当しておられる最高責任者として、毎日、朝新聞をお読みになるでしょう、夕方新聞を読んで、何らの痛痒も義憤も責任も感ぜぬわけですか。
  38. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 新聞等の問題につきましては、それはわれわれと見解の違うことが出たこともございますし、それはそれとして、御批判として私は受けております。しかし科学技術庁自身として現在においてやっておることが、いろいろ批判はございましょうけれども、現在における官庁として最善を尽くして進んでおるということを私は確信をしておりますし、それで進めてまいりたいというふうに考えております。なお、いろいろ新聞等の批判から示唆を受けることもございます。また、われわれが発表の面そのほかにおいて、なるほどこれはまずかった、そういうことは繰り返したくないと反省すべき点もございます。そういう点を反省しながら、いろいろ私は技術庁としての方針を明確に進めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 新聞の記事はそれはそれとしてと言っても、前に総理大臣やられた人で私は日本新聞読みませんと、スポーツ記事だけしか読みませんと言われた総理大臣おりますから、科学技術庁新聞を相手にせぬかもしれませんよ。しかし、ぼくが読んだ新聞にこういうこともあった。入ってきた翌日十時に二十五分間しか海水調査せぬですわ。二十五分間でわかりますかね。十倍も二十五倍も、空中においてはとにかく秒間十倍、それから海水のほうは分で示しておりましたがね、そういうことは全部うそなんですか、新聞の書いているのは。
  40. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 二十五分とかどうとかということ私記憶にないわけでございますが、今度の異常測定値を見てからのいろいろな措置、それを今日反省してみますと、やはり観測体制が、もう過去数年間原子力潜水艦入港すること二十数回、そういったようなことで、まあいわばだいじょうぶでございましたから、いま考えてみますと十分なる観測体制でなかった、もっとやればできることをやっていなかったという点は深く反省させられております。したがって、今後はそういうことがないようにいたすわけでございますが、そういった点をあるいは新聞等で批判されたのではなかろうかと考えます。
  41. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 測定時間につきまして補足して御説明申し上げますと、ちょうど問題の数値が検出されましたときの調査は、九時三十分からスタートいたしまして潜水艦のまわりをぐるぐる回りまして十時四十分ごろからさらに港内の各地を測定しながら十一時四十分まで継続して行なったのであります。ただいま申されました二十五分という数字はあるいは五分ごとの数値を記録しておる、こういうことではないかと思います。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、毎日新聞には二十五分しかやらぬことになっておるが、これは毎日新聞がでたらめだね。
  43. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) その記事もちょっと覚えておりませんけれども、赤るいはこの測定の中のある特定か部分だけの時間をあるいは特記しておるのかもしれません。その辺私ちょっとわかりません。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 特定の部分でなくて、始まってから終わるまでこれこれですよという記事なんです。ですから、あなたのほうが正確であれば、毎日新鶴がでたらめを書いていることになる。ですから、毎日新聞がでたらめならでたらめと、こうはつきり言えばわかる。あなたのほうが正確なら正確でよろしいのですよ。私は新聞記事だから、天下の毎日新聞がうそのとにかく記事を何百万部全国民にばらまいているとは思わぬが、皆さん方と違って機構も、機関も、知識もないから、新聞社の一応記事をほんとうにした。しかしあなたの話では、毎日新聞がでたらめ書いたことになる。ですから、どっちがほんとうですかと、こう聞いているのです。
  45. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) ただいま申しましたように、船のまわりを何回かぐるぐる回りまして、そのあとまた港内の各地をずっと回りましてやるわけでございまして、全体としては相当の時間をかけてやっておるわけでございますが、おそらく新聞の記事は特に異常数値が発見されました三つの地点を測定しているときの時間を言っているのではないかと想像をいたします。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そういうことはそれでよろしいですがね。まあ毎日新聞がでたらめ書いているか、あなたの答弁がすっきりしないかじゃ。  そこで、その次にお尋ねいたしますが、この前の委員会でも、人体に被害をこうむる場合は一万カウント、ところが今度は一四四〇、ですから人体に影響はありません、こういう御答弁を長官局長からいただいております。幸いにして今日まで一万カウントの単位が出なかったからよかったのですが、そういう場合もあり得るわけですね。そういう場合にはどういう措置を講ずるような設備と方法をお考えになっておったですか。
  47. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 人体の影響を考えます場合には、やはりその異常数値の継続期間が非常に大きな問題になるわけです。さらには、ひいては海水全体のバックグラウンドの上昇でありますとか、あるいは海底土にそれが沈着して、そこのバックグラウンドを上昇するとかいうことが対象になるわけでございますので、放射能異常がどの程度継続するかということを注意して観測しなければなりません。したがいまして、異常値測定された場合には、引き続きその後の状態を監視をしまして、その状況によりまして、海底土でありますとか、あるいは海洋生物でありますとか、そういうものの採取、測定まで行なってみる、こういうことをするわけでございます。それによりまして、その後の処置と申しますか、原因究明を続けながら、それとの関係におきまして、適宜の処置をとるわけでございますが、今回の場合におきましては、異常な数値測定されまして後に行いました何回かの計測の結果は、いずれも普通の状況と何ら変わりがない、こういう状態になっておりますので、まわりのバックグラウンドの上昇とかいうことは考えなくてもよろしい、こういう判断を得たわけでございます。したがいまして、その後の措置というものは平常の観測体制に戻りまして、一方、先ほど来申し上げておりますように、原因の解析に取りかかったということでございます。
  48. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 放射能を出した原潜が出ていったあとを調べるなどということを、ぼくはお尋ねしているわけじゃないのです。一四四〇が一万出る場合もあり得るわけです。一万出た場合に、佐世保でどういう処置を講ずる施設があるかということをお尋ねしているわけです。この前も一例として申し上げましたが、ビキニ環礁で第五福竜丸が放射能のために、船員もやられましたが、捕獲したマグロを全部廃棄してしまったでしょう。人間がやられなくても、海中にいる魚がやはり放射能を吸収するわけですから、そうしてそれを人間が食べた場合にはやはり相当影響を受けるわけです。その場合にどうするかということで、あなた、この前もとにかく出ていったあとを追いかける話ばかりしている。そんなばかな話、出ていったのを追いかけて調べるといっても、そのときにはマグロでも人間でもいかれてしまうのですから、一四四〇が一万になった場合には、佐世保にある施設としてどういう処置を講ずる、科学技術庁としてはどう講ずるのだということ、その内容を聞いているわけです。
  49. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 今度の程度数値では問題はないわけでございますが、非常に高い数値がある程度継続してあらわれるとか、あるいは引き続きあらわれるおそれがあるといったように判断いたしました場合には、もちろんこれの対策をとらなければいかないわけでございます。たとえば、海水を飲用に供することはないと思いますけれども、それの飲用等に関する禁止、これは核爆発等のフォールアウトのときはそういうルールをつくっているわけでございますが、異常に高いものがあらわれて、これは雨水等は危険と考えられる場合には注意警報を出すというような考え方があるわけでございますが、それと同様に、周囲の住民に注意を与えるとかいったようなことは考えられるわけでありますし、さらに最も大きな問題になる可能性が判断されますれば、もちろんかりに原子力潜水艦との相関関係が分析し尽くされなくても、緊急を要する場合は相手側に申し入れまして、港外への退出を要求するといったようなことを当然しなければならぬと考えるわけでございます。
  50. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 経済論争と違って、そんな常識論とかあれでなくて、具体的にどうするのだということをぼくは聞いているの。科学的にもし一万出た場合にどういう施設があるのですか。いくら調べるといっても、台湾海峡の向こうにもう行っているんでしょう。そんなつまらぬ話をしてもだめだ。佐世保でも横須賀でも入るんでしょう。そのときに一万カウント出た場合に、科学技術庁としてどういう措置を講ずるのですか、即座にやらなければならぬのですから。あなたのように、船を追いかけてスクリューのあとの水を検査しましょうというような、そんなとにかく天保時代の話はごめんだ。
  51. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 一万カウント程度でありますれば即座に措置する必要はなかろうかと思うわけでございます。しかし、たとえば原子炉事故、要するに原子力船の原子炉事故、いわゆる原子炉からの放射性物質の船外への放出といったようなものが伴うような事故が起こりました場合には、即座に米軍側から日本側海上保安庁、関連のところに通報がまいることになっておりまして、その通報の中には当然日本側のたとえば海上保安庁にこうしてもらいたいというような、たとえば具体的な措置、どの範囲の航行制限を一時するかといったような措置を含みまして、通報がある約束になっておりまして、それぞれの措置ができるようになっておるわけでございます。そういう大きな放射線事故という場合と、今度のような海水の一時的放射能異常値測定という場合とは、相当事態が違うと思います。それぞれの事態に応じまして対策がとれるようになっております。
  52. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 この前も申し上げましたとおり、長官が一年に一ぺんずつ交代なすって、ようやくわかったころは次の長官ということになるわけですから、あまりしつっこく聞くのは失礼かとも思いますが、しかし事務当局はもう少ししっかりしてもいいのではないかと私は思うのです。ということは、一つの庁、大臣がおられて、三人か四人の学者調査を願って結論出してもらわなければ、これはどうだとも言えぬような科学技術庁では、これは話にならぬのじゃないですかな。これからそれをこしらえてというなら、これは別問題ですけれども、しかし、すでにはっきりわかっておるものを十日たってもまだわからぬわけですから。きょうも五名の先生方がお集まり願って討議し、長官に答申なさるのでしょうが、そのくらいのことは、科学技術庁にもりっぱな学者とまでいかぬでも、放射能がどこから出たくらいはわかりそうなものだと思うのだけれども、実に鍋島長官には気の毒だから、あまり言われませんが、実際機構なんというものはゼロに等しいですね。ここで毒舌をはかしてもらえれば、なくなったほうがよろしいのじゃないか、こう思うわけです。しかし、それでは極端過ぎるから質問続けますが、そこで、法律はこれは将来の燃料五年たったら五百万トンになり、十年たったら一千万トンになるという燃料規制することなんですから、これと関連してもう少し手きびしい規制を行なってほしいということですが、法律には賛成しなければならぬ。しかし賛成しても、規制するところが、いまのような技術庁あるのだけれども、四人か五人の先生のうち、そのうち三人長崎まで派遣して、お帰りになってだれがやったか調べなければならぬ科学庁がやっても、それは責任負えますか。きわめて不安定ですな。新聞社もかってほうだいなことを書いている。それでわれわれから言わせれば、それは新聞で、反省するところでございますなんて、そんな無責任なことで、これは長官あなたに質問するのじゃなくて、これは意見半分入るのですが、むちゃくちゃじゃないですか。もし答弁があったら、ひとつ聞かしてください。
  53. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 私は何にもむちゃくちゃなつもりはございません。技術庁は技術庁としての職務において遂行をいたしておるわけでございます。もちろんその遂行について、御承知のとおり、いかなる場合でも批判はございましょう、また、そのやってきた中において、あれすればよかったという反省も必要である。決してむちゃくちゃに、ただでたらめにやっているつもりは全然ございません。今回の問題につきましても、手落ちはもちろん考えてみればあったのでございますが、その後の調査において最善を尽くして現在おるわけでございます。ただ、それを四、五人の専門家に依頼するということは、やはり技術庁におる者は、技官もおりますれば、行政官もおります。したがって、それらはそれなりに意見はございますけれども、やはり日本における専門とされる権威者にその判断をおまかせをしておる、それを参考といいますか、答申に基づいて行なうことが国の行政の一つの大事な方法であろうというふうに考えます。
  54. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ということは、科学技術庁にこの種の学者も、とにかく検査する人もおらぬということに通ずるわけですね、ことばを裏返しすると。そうしますと、これはますます問題が起きてくるわけですが、技術庁長官アメリカ原子力潜水艦を入れるということは。あなたのところのあれですか、原子力委員会というのがございまして、これは第八条によってつくられた委員会だと思いますが、この委員会で答申して、昭和三十八年か九年に決定して、入ってもだいじょうぶであろう、こういうことで許可したんでしょう。ところが原子力委員会アメリカさんのほうで心配ないというから賛成しましょうというきわめて単純なものですね。単純でなかったら原子力委員会の答申案を見せていただきたい。きわめて単純なものであろうと思うんです。そうすると原子力委員会はどういうことになるんですか。これは第八条によって決定した内閣に直属する委員会は二百六十か七十はあるでしょう、大中小で。そうしますと、原子力委員会はあなたのほうでおきめになることですから、アメリカさんの決定をうのみにしてあなた方のところに答申したことになる原子力委員会は、当然責任を負ってしかるべきだ、そうでなければあなたのところで総入れかえをやるべきだと思うんですがね。アメリカさんの言い分をうのみにしているわけですから。あなたそれをやる気ないの。
  55. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 原子力委員会は、いま言われるように八条機関といわれる諮問委員会でございます。そうして昭和三十八年かと思いますが、アメリカから——御承知のとおり、軍艦は軍事機密に属しておりますので、立ち入り検査あるいはそのほかのことをでき得ない制約はございます、しかし、アメリカ側の出した入港に関するいろいろな条件、声明あるいはその他の審査をしますとともに、直接原子力委員会として、こういう場合どうするといういろいろなことをアメリカ側に通知をして返事をもらって、そうして慎重に審査した結果、そういうことが守られるならば、原子力潜水艦入港は差しつかえない、こういう答申を総理大臣に出しているわけであります。それによって総理大臣は安保条約によるいわゆる施設供与の義務によって潜水艦入港を許しているというのが実情でございます。
  56. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ここは外務委員会でありませんから安保条約を検討しようとは思いませんが、たとえば、ソードフィッシュ号が来ておったときにアメリカの工作艦もおったわけですね。六日に入ってきて八日に出ていくというのが十一日になったわけですね。その理由、たとえば冷却水を放出したかもしらぬわけですね。しかし、日本のとにかく皆さん方のお調べになったところは、その付近をぐるぐる回っただけで、別に原潜に立ち入ることもできないし、工作艦に立ち入ることもできない。それで一片のアメリカさんの言い分を信用する以外に現在はないということですか。そういうものが出れば、ソードフィッシュ号に立ち入るとかあるいはそれを修理するために入っている工作艦に立ち入るということは全然できないわけですか。全然そうせぬで、その船の周辺をぐるぐる回って海水調査しておったというだけにすぎない。それがアメリカ日本に示している安全性であり、それをうのみにした原子力委員会であり、それを決定した閣議であり、それを了承した科学技術庁、四段論法ですか、こういうことなんですね。
  57. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いまのようなことで、原則的にいえば八条機関として、こういう条件が守られるならば、あるいはアメリカが声明したものがそのまま実行されるならば、あるいは原子力委員会から提出したいろいろな条件に対するアメリカの返答がきておりますが、それらのことを総合し審査をして、そうして総理大臣に対して、これならば安全であるという見解を出しておる、それに基づいて一方は安保条約の施設供与の義務によって原子力潜水艦が入るということを内閣総理大臣が許可をしておるというのが実情でございます。
  58. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 安全保障条約反対の社会党と違って、政府自民党は安保条約を締結した本人でもあるし、熱心な支持者でもあるわけですから、この場合安保条約を認めましょう。したがって、アメリカの言い分も認めましょう。しかし、こういう事故が起きた場合は、アメリカ合衆国ととういう約束をしておるがために、君のところの潜水艦入港はよろしゅうございますよ。しかし、事あなたのおっしゃる安全性と違うではないかということで調べることはできないわけですか。潜水艦が出ていってから、とにかく二日も三日もたってからここで論争するなんていうことはおとなげない話で、もう少し国会で問題になる前に、き然として科学技術庁がやるべきであるというふうに私は思うのですがね。潜水艦が出ていってしまってから、海水も流れておることですし、いまさら調べるといったってそれは無理ですよ。まあ藤波局長に言わせれば、台湾海狭かマラッカ海狭まで行ってお調べになるのかもしれないけれども、もうそんな夢物語はやめることにして、潜水艦が国会で論争になろうが新聞社がやかましく言おうが、き然とした態度で約束が違うのじゃないかということでやられることはできないのか。あなたはきのう衆議院で、あぶないものは拒否できるというお話ですが、あぶないかあぶなくないか調べることもできないで、あぶなくないと言うことはできないわけです。潜水艦が出て行ってから三日もたってから、あぶないものは拒否できるというのでは、これは得心できない御答弁だと思うのです。
  59. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 私が衆議院で申し上げましたのは、アメリカ協定、声明等に違反したことが明白である場合、それをたてに入港を拒否することができる・こういうことでございます。したがって、原因探究によって、これはあくまでもアメリカが確かにおれのほうが流したと言うとか、あるいはわれわれの資料によって、アメリカ潜水艦がはっきりこれを出したということが立証せられ、アメリカもこれを認めるというような形になれば、拒否することはできると思いますが、しかしながら、現段階においてはまだそういう原因探究の段階でございますので、その点は明確ではございません。ただそういう疑いもある、可能性もあるという段階で、まことに残念でございますけれども、その原因探究が十分できていない、あるいは明確にそれを立証することができ得ないという段階でございますので、この点をひとつ御了承願いたいと思います。
  60. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 アメリカはソードフィッシュ号について、おれのところの潜水艦の責任であるということは永久に言わぬと思います。長官はどう思っておるか知りませんけれども、私は永久に言わないと思う。たとえば昨日のジョンソン大使の言明、これも新聞報道で私読んだにすぎませんから、もし間違っておったら指摘していただきたいのですが、長官はどうお考えになっておるかわかりませんけれども、アメリカは永久に、佐世保放射能が何千カウントあろうが、とにかくこれはわが国のソードフィッシュ号の責任ではございませんということを終始言い続けるであろうということを私は思っておる。そこで私が長官にお尋ねいたしたいことは、アメリカが何と言おうが、わが国の国民が何と言おうが、純粋に科学技術庁として、あるいは科学者として、だれがどこで何をやったかということが明確にできぬものかということを考えるわけです。そこで、いかに長官と、アメリカがやった、いや調べてみなければわかりませんということをやっても水かけ論争でありますし、きのう衆議院でやったような論争を私は繰り返そうとは思いません。私は日本の科学も進歩しておるわけですから——日本が一番進んでおるのは経済で、二番目が科学で、一番おくれておるのが政治だ、こういわれておるのですが、その進んでおる科学の力で、これはジョンソンが何と言おうが、佐藤さんが何と言おうが、これはこうこうこういうわけだと断定できるとそれだけの日本の科学の力がないかということです。日本の科学技術の進歩からいえば、ジョンソンが何と言おうが、日本社会党が何と言おうが、鍋島さんはこの一週間神経衰弱になるくらい苦労されておるようですが、科学の力はアメリカも否定できない。これをどうするかということに関しては政治的な配慮も入るでしょう。これは何々の責任ですよということを日本の科学の力をもりて断定できぬかと思うのです。それが断定できれば、きのう衆議院で論争になったように、アメリカ潜水艦は困りますよ、どうぞいらっしゃいということができぬわけですね。日本でも、世界で初めてできた原子力商船のサバンナ号に続いて日本でもそういうことをやっているわけですが、そんなことになったらあぶなくて、どこから放射能が出てくるかわからないということになったら、日本商船ができたとしても、日本の国内の港へ拒否するような状態になるかもしれませんよ、日本の科学の進歩の状態をひとつお尋ねいたします。
  61. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) その意味におきまして、実は日本科学者の、われわれのできる範囲の努力をして、それこそこの原因探究に当たっておるわけでございます。ただ、きのうの中間報告では、先ほど申し上げたような結果しか出ておりませんので、さらに研究を続けていただくということになっておりますし、これは考え方によって、いろんな情報をそのまま渡す渡さぬは別としましても、アメリカから調査団が来ますから、それに対しては資料の要求なり、あるいは見解をただすなりというものをして研究を進めていくということにいたしたいと思います。
  62. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いまの科学の力についてあとで藤波局長からも御答弁いただきたいわけですが、そうしますと、長官は、外務省を通じておやりになったら……。技術庁で直接おやりになることもあるかもしれませんが、アメリカが、ジョンソンさんの言うのと違う資料を出したり、違う素材を提供するというように判断しているんですか。
  63. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 現在のところは、日本が必要とする資料アメリカに要求をするというところでございまして、どういう要求をするかせぬか、まず色をつけないで私は考えてまいりたいと思っております。
  64. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 一般的にいいまして、日本の技術のレベルというのは私は高いと考えております。しかし、今回の場合のように、相手のものが軍艦であるというような関係からは、やはり情報の入手に限界があるということを言わざるを得ないのじゃないかと考えます。したがいまし  て、最後の段階では想定をまじえての判断をせざるを得ない、こういうぐあいに考えられます。
  65. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 なるほど日本の科学技術の水準は高い、しかし技術庁にはおらぬわけですね、今度調査に行かれた人は、さっぱり科学技術庁のえら  い人の名前を見ないから、科学技術の水準と科学技術庁の水準は違うかもしれません、これは望ましいかもしれません、技術庁だけ飛び上がって高くて下が低いよりも望ましいかもしらぬが、私は、局長残念だと思う、もう少しあれだけの問題は、技術庁から原子力局長の下にいる部長、課長さん方がさっと行って、これはもう鍋島さんが何と言おうが別として、純然たる科学者の立場から、これはこうしなければならぬ、これはこういう結果だ、これはこうですよ、レーダーでもありません、あるいは冷却水でもございません。こういうような結論を出すくらいの科学技術庁は力があると私は思いたいのですが、しかし、実際、残念ながらそういうことがない、ですから、この法案についても、さいぜんから申し上げるとおり、賛成なんだが、これでだいじょうぶなものかなあ、科学技術基本法についても八カ年かかって、三日か四日か前にやっと衆議院に提出したのですね、日本は基本法の好きな国だから各省で基本法を出すためかもしれませんが、八カ年かかってようやく基本法を出した、熱心じゃない。したがって、そういう点について、一体どうするかということを長官にお尋ねしたいのですがね。
  66. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) その前に……。私どものほうにもそれなりに優秀な技術スタッフはおると考えておるわけでございますが、まあ今回のように格別の場合には慎重を期するために、やはりさらに外部の専門家の知恵を借りることが適切であるとわれわれは考えているわけでございます。
  67. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 原子力局長の答弁のとおりです。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 ちょっと関連して。  いま阿部さんも言っておられましたように、多くの科学者を網羅していろいろといま調査中なんですが、一体これは出港してからわあわあ騒いでおられるわけですが、科学技術庁として一体この結論というものはいつごろ出せるか、この点はどうですか。
  69. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 私がいつごろまで出せと命令するわけにはまいりませんけれども、現在のままでいけば、いわば海水調査と、それからいま持っておるデータのいろいろな海水調査の分析結果が出てくることと、それからいま持っておるデータのいろいろな面を検討を加えながらいけば、あと一週間くらいあるいは十日くらいかかるだろうというふうに言っております。それで結論がどう出るか、これは私としてもわかりません。わからぬものはわからぬというふうに出るのか、あるいは明確に出るのか、その辺は私としては聞いておりません。  なお、実はきのうから御承知のように、新聞等にも出ておりますように、アメリカから調査団等も参りますので、これによって多少時日の変更はあると思います。
  70. 近藤信一

    近藤信一君 そのいま長官言われましたように、アメリカ調査団も来ると、で、もう来たのですかそれは。アメリカ調査団と一緒になってさらに調査をすると、こういうことですか。
  71. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いいえ、そういう意味ではございません。アメリカはまあ専門家を派遣するという形でございますから、こちらとしては独自の調査を進めます。しかして、向こうに対して資料の要求なり見解を聞くなりあるいは会議を開いて討論をするという形でございますが、あくまで、きょう閣議でもはっきりいたしましたが、日本における調査ということで進みたいと思います。
  72. 近藤信一

    近藤信一君 やはり私はいま長官言われましたように、日本科学者を網羅して十分研究、調査して、独自の調査をやると、こう言われたから、私はそれでいいんですが、やはりこれは国民が一番いま当面している問題で心配している問題なんですから、日本日本の独自の調査結果というものは、これはすみやかにできるだけ早く国民の前にはっきりとすべきであると、私はこう思うのですが、その点ひとつよろしくお願いします。
  73. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 近藤委員から切なる要請があったのですが、おそらくそれは不可能であろうと思います、同じ党であるけれども。それができるのだったらもうすでにやっているはずです。できないがために十日たってもここで論争しなければならぬということでなかろうかと、私は結果論をこう申し上げたいのですが、ただきわめて残念なことは、これは与党あるいは政府にとっても言えることでしょうけれども、佐世保の市長さんなんかは熱心な原潜入港支持者だったのですね。ああいう熱心な原潜入港支持者すら、かんかんにおこってしまって、私はだまされたと言っている。そうすればこの原潜原潜でこれは一応ピリオドを打ったとして、日本の平和利用するこの原子力に対し、国民にまた二十年前の長崎あるいは広島の問題を思い起こさせるような事件を今回起こしたのではないか。科学技術庁に力がありさえすればてきぱきと片づけて、ほかの、学校の先生か何か知りませんけれども、それを頼んでいって調査研究しなければ結論が出ないというようなことでなしに、この問題はこうだということを直ちに明らかにすれば、国民日本の科学というものはやはりたいしたものである、こういうことになったであろうと思うけれども、しかし、そういうようにスムーズにいかなかったところに私は野党の一員でありますけれども、きわめて残念だと思うのです。したがって、原子力発電等についても各地で設置についていろいろな問題が起きておる、こういう問題についても一とんざを来たしたのではないかということで、きのうの石炭がきょうの石油であり、きょうの石油があすの原子力だというように私は考えておったのだが、これはきわめて遺憾なことであるというように判断するわけです。  そこで法案の中身のお尋ねですがね。大体日本でどのくらいの  平和産業に利用するということで、ほとんど九五%は電気に使うと思うのですがね、どのくらい、三年計画でも五年計画でも十年計画でもけっこうですが、どのくらい原子力発電ができて、どことどことどこを、科学技術庁として——というよりも政府といったほうがいいかもしれませんけれども——お考えになっておるか。ということは、五年後には五百万トン、十年後には一千万トンのとにかく燃料を使用するので、それを規制しなければならぬという法律ですから、その点をお尋ねいたします。
  74. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 現在の長期見通しでは、昭和五十年までに約六百万キロワット、それから昭和六十年までに三千万キロワット——四千万キロワット程度の原子力発電所が建設されるであろう。それに必要とされます核燃料につきましては、原料の量で申しますと、昭和五十年までに累積一万三千トン、昭和六十年までに累積九万トンのイエローケ−キが必要である。それらの発電所を三%程度の低濃縮のウランで実施すると、そういうタイプの炉で実施する場合の低濃縮ウランの所要量は、昭和五十年までに累積千四百トン、昭和六十年までに累積一万四千トンくらい必要になる、こういう算定がなされております。
  75. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 どことどことどことやるのですか。
  76. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) それで昭和五十年までに約六百万キロワットの発電所と申し上げましたのは、約三十カ地点でございまして、現在建設を行なっております東京電力の福島地点それから関西電力が建設を行なっております美浜地点、原子力発電会社が建設することになっております敦賀地点のほか、いままだ計画段階でございますけれども、北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、それから中国電力、四国電力、九州電力がそれぞれ一基ないし二基計画をしておる、こういうものでございます。なお東京電力、関西電力につきましては、それぞれ三基ずつその中に含まれております。
  77. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、東京の福島、関西の美浜、敦賀、その他はまだ机上プランと考えていいですね。それからプルトニウムはどういうことになりますか。日本の生産量は、わが国内にはあまりないと思うのですが、その点はいかがですか。
  78. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) おっしゃるとおり現在わが国内にはございませんので、当分の間の研究開発用のものは輸入しなければならないと思います。昭和五十年ごろになりますと、日本の国で使いました使用済み燃料の中から抽出されるプルトニウムが相当量出てまいりますので、それでまかない得るものと考えております。それから先ほど御質問の最初ございました、東京、関西以外のものはどういう段階でありますかと申しますと、まだ計画の段階でございまして、その意味におきましては机上プランでございますけれども、中部電力等につきましては相当進んだ段階でございますし、東北電力あるいは中国電力等につきましても、設計の準備等につきましてはある程度進められており、地点の選定等につきましても相当進行しているように聞いております。
  79. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 佐世保の問題は燃料を使用した後の放射能の問題、これは燃料に使用しようとする規制の問題ですから、話がおのずと違うわけですが、そこで再処理の問題は衆議院でだいぶおやりになったようですから触れませんけれども、簡単に。まあ現在では東海だけでしょうが、やがて敦賀にできる。いま局長の答弁のように、福島その他次から次へとできる。この問題の解決がまだ解決できておらぬものですから、その点と、それからこの検査をあまりやかましくいうと、また科学技術庁の検査をする力ありゃいなやということになってはいかぬから、簡単にお尋ねしますが、一体だれがどこでいつやるのですか。こういうふうに単純に一つお尋ねいたします。
  80. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 原子炉をつくります場合の許可をする最初の段階での安全審査は、原子力委員会の中の安全審査会で行ないまして、原子炉の設置の許可が出されます。その次の段階といたしまして、設計、工事方法の認可、それからそのとおりできているかどうかの現場の検査というものは、原子力発電所につきましては、規制法のその当該事項を適用除外をいたしまして電気事業法で発電所の施設の一部といたして実施されておりますので、お尋ねの検査という点にしぼりますと、通産省で行なっておるということでございます。
  81. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、科学技術庁にそれだけの力があるのですか。それともよそから、やはり今回の佐世保のように、東京大学あるいは工大、雇ってくるわけですか。
  82. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) これは申し上げましたように、発電用の原子炉につきましての検査は電気事業法に基づきまして通産省で行なっております。通産省には検査官がおりまして、普通の火力発電所の場合もそうでございますが、国の検査官が直接行なっております。それから同じ原子炉でありましても、発電用でないものあるいは船舶用でないもの、具体的に申しますと、原子力研究所等にございます各種の材料試験炉でございますとかあるいは研究炉でありますとか、そういうものは規制法に基づきまして私どもの原子力局でやっております。原子力局に原子力施設検査官がおりまして、それが直接やっておるのでございます。なお、外部の専門家の知恵を借りてやります場といたしましては、先ほど申しました最初の炉の設置の許可をいたします場合が、安全審査におきましては原子力委員会の下部機構としての原子炉安全審査会というものが設けられておりますが、このメンバーは各界の専門家、大学の先生、研究所の専門家、こういったような人にお願いをいたしておるわけでございます。
  83. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そのほかに局長、船は運輸省でやっているのでしょう。ですから、これは鍋島長官、あまりたくさんあるから局長忘れるのですよ。三つも四つも同じことをやっているのですからね。ですから、これは長官は議員になられ、大臣になられる前に佐賀県で知事をやっておられた。ですから、知事さんやっておったときどうでしたか、と聞くのはたいへん失礼ですがね、参考までに、私は立法府の議員として、行政府に干渉しようなんてさらさら思っておりませんけれども、こういうものを一本化して、通産省は電気だと、運輸省は船、科学技術庁もあるのだ、たくさんあるから藤波局長忘れてしまう。これを一本化する方法がないものかというようなことを、簡素化すると強力になるわけですね。これはどうしても規制をやらなければならぬわけですから、野放しでかってに燃料をつくりなさいというわけにいかぬわけですから、まだまだ将来これよりきつい法律に改正されるかもわかりませんが、さしあたり、いまやりほうだいでいるのじゃないからこれでいいでしょうが、そういうことを考えて一本化にならぬものかということと、もう一つ、前委員会ですか、局長さんの御答弁によりますと、各社が申し入れして幾つ許可なさるかわかりませんけれども、この燃料をつくる会社は、ソ連だったら公社でやりなさいと言うけれども、資本主義国家ですから、あなたのほうの主義、主張、経済観念からそういうことは無理でしょう。しかし自由経済であっても、一カ所で、燃料を、天然であろうと濃縮ウランであろうと、つくったほうが安くなり、機構も確立し、検査などの立場に立ってもいいのじゃないかと考えるわけなんですがね、これはひとつ長官何とかできぬものでしょうか。
  84. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 一本化の問題はやらなければ——阿部先生の言われるとおりのことを私も痛感いたします。しかも原子炉の安全といったような、非常に重要な問題の検査を、やはり各省にまたがってやるということがはたしていいものかどうか、やはり責任を持って一カ所においてこれを行なうということも将来において必要になってくるであろうというふうに考えます。何ぶん科学技術庁は発足以来まだ十年前後でございまして、各省にまたがっておるものが非常に多い。しかも人員すら各省から来て混成になっておって、現実に科学技術庁の職員というものが十年ぐらいにしかなっていないという、その点はまことに自分が責任者になってみて痛感せざるを得ない。これは行政機構の改革なり、簡素化なりとも関連して、やはり研究さるべきものであるというふうに考えます。しかしその以外に、やはり同種のものがたくさんあるようでございます。ですからたとえば青少年教育の問題、これは違いますけれども、それにしても数省にまたがっておるというような点、やはり全般的に行政機構の改革あるいは簡素化ということも検討さるべきものであるということを考え、また特に原子炉関係においては、ぜひこういうことは再検討をして一本化していくことが必要であると思います。なお加工事業の許可につきましては、まだ現在許可をしていない、申請の段階でございますが、少なくとも六社出て、やっぱり競合しております。しかしそれぞれ特徴もあるわけでございますから、一本化することは非常に困難であろうと思いますけれども、日本におけるその加工事業というものが、実際有効に行なわれ、いわばいい競争のもとに特徴を出して進められるように、これは原子力委員会等で十分検討をして許可をするという形で進めたいと思います。
  85. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に、私の要望というか、社会党の希望というか、申し上げておきますが、前委員会でも触れたと記憶しておりますが、やはり科学技術庁としては、大臣は、これは党の関係、あるいは諸般の事情あって交代になるのも、私個人としては望ましいとは思いませんけれども、しかしそれはやむを得ないといたしましても、これは総理大臣に対し申し上げることですから、ここで言うべき筋合いではございませんから申し上げませんけれども、やはり二年三年お続けいただきたいということが希望の第一点。それから、局長さんはじめ部長さん課長さんもきわめて御苦労ですがね、やはり通産省から科学技術庁へ行き、科学技術庁から経済企画庁というふうに転々となさるわけです。これもやはり職員全体のお仕事から見てやむを得ないと言えばそれまでですがね、やはり何といっても一年二年では仕事が身につかぬと思うんです。したがいまして、特に行政手腕もさることながら、やはり結局は実務の面で一年や半年では仕事が身にならぬ。そういうようなところから、大学に職を置くと、教授になるまで早くて三年おそくて七、八年間助教授でおり、総長になれば別ですが、やはり教授ということで十年二十年もおつとめになっておるわけです。なかなかこの人たちと対抗して勉強しお仕事なさるといっても、これはやっぱり困難であろう、こう思うわけです。私どももそういう先生方にもお会いして、この種の問題をとことんまで論議したいわけですけれども、あと国会も残り少ないわけですから、これで質問終わりますが、特に機会があれば総理大臣に申し上げますが、やはり将来の科学という問題について、鍋島長官に仕事のあり方について格段の御検討をお願いしたい。  それからなお佐世保の問題については、私ども外務委員会、本会議で明日お尋ねすることになっておりますから、本問題についてはこれ以上触れませんけれども、やはり何といっても国民心配のないように、一刻も早く処置をとられることが一番いいのではないかというように考えます。  以上で私の質問を終わります。
  86. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ほかに御質問ございませんか。——それでは他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。1別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  89. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  91. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対しましては、先般提案理由の説明をすでに聴取いたしておりますので、本日は補足説明を聴取いたします。
  92. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。  割賦販売法は、割賦販売及び割賦購入あっせんにかかる取引を公正にし、その健全な発達をはかることにより、商品の流通を円滑にし、国民経済の発展に寄与することを目的として、昭和三十六年に制定されたものでありますが、今回の改正案は、同法の規定のうち、当面緊急に改善措置を講ずる必要のある前払い式割賦販売業にかかる規定を改正しようとするものであります。  この改正の対象となる前払い式割賦販売は、最近急速な伸びを示し、現在、業者数は二百をこえ、前受け金残高は、ミシン二百四十六億円、手編み機九十二億円、家庭電気器具百二億円、家具及び楽器百三十三億円等合計約五百八十億円の規模に達しております。  しかしながら、このような目ざましい伸長の反面、倒産事故も次第に増加し、多数の購入者が不測の損害をこうむるような事例も発生し、また、この制度に関連する苦情も、契約解除の際の返還金の支払いの遅延に関するもの等を中心に通産省の苦情処理窓口等で受理するもののみで年間約三百件に達するような状況に立ち至っております。  これがため、政府におきましては、従来、業者の経営体質の強化及び業務運営の改善のため積極的な指導を行なうほか、倒産事故に際しては業界の相互扶助等による購入者の救済をはかり、また、苦情の申し出については紛争解決のための仲介を行なう等、消費者保護の見地から各種の措置を講じておりますが、これらの行政指導にはおのずから限界がありますので、今回この法律の改正をお願いすることとしたものであります。  この改正案の作成にあたりましては、昭和四十年十一月から割賦販売審議会において検討を重ね、昨年四月五日に答申を得ておりますが、この改正案は、ほぼ答申の結論を忠実に法文化したものであります。  次に、主要な改正点につきまして、提案理由説明の順序に従って補足的に説明いたします。  第一の改正点は、前払い式割賦販売業の登録制を許可制に改めることとした点であります。これは、申し上げるまでもなく、財産の状況または業務の方法が適正でない業者にはそもそもこの方法による営業を許すことが適当でないと考えたためであります。  これがため改正案では、許可の要件として前払い式割賦販売業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有することを加えております。これは、現行法のような形式的、外観的な基準のみではなく、許可の申請を行なう者の実態により一そう立ち入って財産的基礎の有無を判断するためのものであります。したがって、判断にあたっては、当該企業の経常収支、負債等の状況、一定期間の業務計画等を参照しつつ総合的に行なうこととしております。  次に、許可の要件としては、前払い式割賦販売契約約款が購入者保護のための一定の基準に適合することを加えております。これは、約款には購入者に一方的に不利を課するものが多く見られ、しかも、契約の締結に際して購入者が約款を詳細に検討することはきわめて少ないため、解約に伴う前渡し金の返還等の問題を中心に紛争が頻発しておりますので、この状況を是正するため、約款を許可の際の事前審査にかからしめることとしたものであります。  第二の改正点は、前払い式割賦販売業者の営業保証金の供託義務を強化し、購入者の債権保護を強化することとした点であります。現行法においても、主たる営業所につき十万円、従たる営業所または代理店につき五万円の営業保証金の供託義務を課しておりますが、この金額は、倒産のような事態においては、購入者保護には十分とは言えない状況にあります。そこで改正案は、前受け金残高の三分の一に相当する額を、購入者への優先弁済のための営業保証金として供託しなければならないこととしております。この比率は、高率なほど事故が生じた場合の債権者の救済には資するわけでありますが、前受け金は、実際には商品の仕入れ代金、集金費用等の資金手当てにその三分の二程度が充当されており、あまり高率にすると業者の経理に影響を及ぼし、かえって混乱を生ずるおそれが強いので、三分の一としたものであります。また、不幸にして倒産等の事態が生じた場合においては、多数の債権者に公平に供託金を還付し得るよう、政令等で合理的な手続を定める予定であります。  なお、現在前受け金残高は約五百八十億円の多きに達し、その三分の一といえば、約二百億円につき供託義務が生ずることになりますので、この急激な義務強化による影響を緩和するため、供託は二年間にわたり四回にわけて実施するよう経過措置を講じております。  第三の改正点は、倒産等の事態を未然に防止するとともに購入者との間の紛争を減少させるため、前払い式割賦販売業者に対する監督を強化することとした点であります。  この点に関しては、まず、改善命令の規定を設けております。  これは、前払い式割賦販売業者の財産の状況または業務の運営につき購入者保護の見地から改善を要すると認められる場合には、通産大臣が、改善のため必要な措置をとるべきことを命ぜんとするものであります。この改善命令が発動される場合といたしましては、法律上定められている経常収支の状況または流動比率の状況悪化の場合のほか、たとえば、著しく過大な債務がある場合、約款で定めた商品引き渡し期限等を遅延している場合等を通産省令で定めることとしております。また、改善命令の内容としては、個々の場合に応じて最も適切な措置を命ずることになりますが、その例としては、経費の節減、前払い式割賦販売の営業規模の縮小、商品の仕入れ方法の改善等の措置を考えております。  前払い式割賦販売業者に対する監督強化のための措置としましては、その他、約款の変更につき事前に届け出る義務を課し、その内容が不当な場合には変更命令を行なうことができることとする規定等を設けております。  以上御説明申し上げました前払い式割賦販売にかかわる改正のほかにも、本改正案は、相当数の条文について、削除、変更、追加等を行なっておりますが、これらはおおむね前払い式割賦販売にかかわる改正に伴う条文整理であります。  以上で、この法律案につきまして、簡単でございますが補足説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  93. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) この際、参考人出席要求についておはかりいたします。  ただいま議題といたしております本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  95. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいま説明を聴取いたしました本案の自後の審査は、これは次回に譲ることといたし、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十四分散会      —————・—————