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1968-05-09 第58回国会 参議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月九日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 近藤英一郎君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 竹田 現照君                 椿  繁夫君                 白木義一郎君                 矢追 秀彦君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        通商産業大臣   椎名悦三郎君        国 務 大 臣  鍋島 直紹君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        科学技術庁長官        官房長      馬場 一也君        科学技術庁原子        力局長      藤波 恒雄君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        通商産業省鉱山        保安局長     西家 正起君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業省企業        局参事官     橋本 徳男君    参考人        財団法人日本万        国博覧会協会事        務総長      鈴木 俊一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (神通川鉱毒に関する件) ○日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、神通川鉱毒に関する件について調査を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 時間があまりございませんので、どうか簡単明瞭に、正確にお答えを願いたいと思うのですが、昨日、厚生省からイタイイタイ病公害である、こういうことで発表がありましたが、その後通産省のほうでイタイイタイ病についてという見解を発表されました。この内容についてお伺いしたいのですが、これを通産省として出された意味ですね、どういう目的でこれを出されたか、まずお答え願いたい。
  4. 西家正起

    政府委員西家正起君) 昨日厚生省イタイイタイ病に関する最終報告が出されたのでありますが、通産省といたしましても、かねがねイタイイタイ病につきましては、監督上あるいはその他の点からいろいろ調査をしてきたのでございますけれども、この機会に、厚生省のほうで出された企業責任についての問題等につきましては、やや通産省の分野にも属する点もございますし、それから今後のやはり予防対策あるいは被害者対策という点につきまして、前向きに取り組みたい、こういうことで、かかる意見を省としてまとめまして出したような次第であります。
  5. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この中に全然公害ということばが出てこないのですけれども、この病気公害として扱った上で、今後通産省としてはこうすると、一つ裁判に待つほかはないと、あとは簡単に言えば和解の方向へ持っていくと。こういうふうに対策のほうは出ておりますけれども、公害として扱っていく決意であるかどうか、これを伺いたい。
  6. 西家正起

    政府委員西家正起君) 公害という意味は、なかなかむずかしいのでございますが、厚生省のほうで公害にかかわる疾病というふうにみなされまして、被害者対策を推進しようということでございまして、これにつきまして通産省といたしましても異論はないわけでございます。企業の活動が関与したことによって起こったものが公の害ということになりました場合、これはやはりその範疇に入るというふうに考える次第でございます。
  7. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 通産省公害ということも認められるといういまのお話ですから、それではその企業がどの程度責任があるかという点の追及というのは、いまの厚生省研究班研究結果では、特にこれは過去の問題ですから、過去のカドミウムがどの程度流れておったか、どういう状況であったか、それに対する研究のレポートというのは非常に私は不足をしておるように思っておるわけですが、そこが通産省としては非常に悪く言えばよかったといいますか、だから過去をはっきりされていない。文章の中にも、原因物質としてのカドミウム由来状況については問題も残されており、三井鉱業責任範囲については最終的には裁判判断に待つほかはないと思われると。結局ここで企業責任に対してさらにもう一歩立ち至って過去の状況を調べようと——それは完ぺきにどれだけ流れたかという正確な数字をはかることは確かに無理かもわかりません。しかしある程度この点までは推定できると——こういう線を私は出すべきであったと、ほんとう言えば、厚生省研究班にそれを望みたかったわけでありますけれども、研究班メンバーの中にも地質学者は非常に少ないし、鉱石関係学者は少ないし、大体お医者さんが主体のメンバーでありますから、それではちょっとできないわけです。そうなると、もしこの厚生省見解和解をされるとするならば、結局企業責任ということ、公害ときまったのですから、公害ときまれば企業はどれだけ関係するか、どのくらい賠償責任があるかということを今度は究明する段階になる。それはもちろん裁判でやってからと言えばそれまでですけれども、それでは私はあまり……。通産省としては、裁判のほうに回ってしまった、だからどの程度関係するか、それでは過去をこれから調べようと、そういうふうな姿勢を私はとるべきではないかと思うのですが、その点、企業責任範囲をどうするかという検討ないし研究は、今後進められる気はあるかどうか、その点をお伺いしたい。
  8. 西家正起

    政府委員西家正起君) 過去にどのくらい鉱山から原因物質が流出していたかということがこの問題のキーポイントになるかと思うのでありますが、何ぶんにも大体問題となりますのが戦時中でございまして、重松調査班も非常に努力されましてこの点につきましては資料を集められたと思います。それから通産省といたしましても、現在までかなり努力をいたしまして、過去の資料について集めたのでありますけれども、現在の段階ではなかなか十分なことはわからない、資料は全然残っていないということでございまして、今後どういうかっこうで追及していくかということにつきましても、正直なところ、なかなかむずかしい問題でございまして、今後地質学的のそういう面からの調査ということにつきましては、必ずしも必要とする答えが出るような調査ができないじゃないかというふうに考えておる次第であります。なお、現在の水につきましてどのぐらいの寄与度があるかという点につきましては、これは予防対策とも関連をいたしますので、厚生省共同研究を進めております。これは予防対策のためにやるわけでございまして、現在の状況はわかりますけれども、やはりどうしても過去の状況は、そこからはなかなか推定はむずかしいのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 過去の推定は無理と、そこが通産省態度が私はよくないと思うのですけれども、じゃ絶対にないかと、それはどれぐらい流れたどいうことは完ぺきにいかなくても、かなり程度の過去の状況を再現することは、私は学問的に可能であると思うわけです一大体戦時中どのぐらい生産をしておったか、そのときの鉱石状態もわかると思います。その中のカドミウム含有量もわかると思います。現在のダム状況から、特に鹿間ダムあたり——これはこういうことを言うと、会社側は、そんなことできるかと言われると思いますけれども、たとえばあのダムをもう一回くずして流してみたら一ぺんに神通川濁るはずです。たとえ全面的にできなくても、部分的にやるとか、私は、過去を追及するという姿勢をもって当たろうと、その意図でいくならば、私は絶対に不可能ではない。完ぺきな答えは出ないけれども、かなり程度推定はできる、少なくも企業賠償責任をこの程度負わなくちゃならぬという線は、私は絶対に出ると思う。そのように思うわけです。それをもう一度、できないじゃなしに、それこそ日本学者を集めて、できるかどうかを検討されて、そうしてやってみると、そして賠償責任はこの程度はどうかと、それから私はその次の段階の積極的なあっせんをはかることにしたいというのは、これはまことにけっこうだと思う、その作業をやらないで、いままでの過去の状態をある程度やってきたと言われますけれども、私は不十分だと思う。もう一ぺんやってみた上で和解をしていくなら、患者も文句ないし、それよりも、イタイイタイ病でなぜこういうふうに一年間も取り上げてやってきたかといいますと、これで一つ公害に対する対策のパターンというものをつくりたい、厚生省で学問的な研究をやった、公害であるということはほぼきまったと、じゃ今度は通産省企業に対してどれだけの責任があるか、それをそこで検討して、そしてそれに対してこの程度企業責任があるということ、言うなれば、いま公害基本法だけしか通っておりませんし、あと法案が通っておりませんので、これは非常にこれからの問題であると思いますけれども、たとえばそこで企業責任がどれぐらいあるかという何か調査機関なり、独禁法でいえば公正取引委員会のような公害裁判所的なものをひとつ組織をして、そこで検討をして、そして賠償責任を追及して大体の線が出れば、そこで企業に言う、どうしても企業が聞かない場合には、そこは裁判になると思いますけれども、いまのままでいけば、過去のことはわからないからしようがない。ただ、公害だと思ったから現地の人と会社側と話す、あっせんに乗り出す、これでは公害というものをどう処理するかという、いわゆる公害に対する解決法としては非常にすっきりしない、こう私は思うわけです。確かに病気の場合は、石炭の炭鉱と違いまして、賠償責任範囲となると非常にむずかしいと思います。人体というものはそれほど複雑ですから。非常にむずかしいと思いますけれども、そこをもう一歩これだけ社会で問題になっておる公害ですから、その点をもっと明快にやれる方法検討されるべきである。そうしなければ、通産省はあくまでも企業側にいつもくっついている、企業代弁者みたいな役所だと、こういうふうに言われるそしりは私は免れないと思うのですが、その点いかがですか。
  10. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) すでに裁判になっておりますが、すべての被害関係裁判にかかっておるわけでもないのであります。その結果によって他の問題については判断していかなきゃならぬと思うのでありますが、結局、過去の問題はこれを十分に理論的に突き詰めることができない。推定はあくまでも推定にすぎない。しかし、裁判の結果にもかんがみまして、厚生省協議をして治療対策につきましては万全を期してまいりたい、こう考えます。
  11. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまの大臣答弁だと、裁判の結果を待ってと言われるのですが、そうすると相当長年月にわたる裁判が予想されるのですけれども、そうなると、私の言いたいのは、公害というものはいつもこういう判断で永久に解決はなされないという、一番はっきりした問題についても悪例を残す、こんなイタイイタイ病なんておそらく世界じゅうで二度と起こるか起こらぬ病気だと思う。それを裁判でやったあとでやると、そうすると公害は工場が何か出して病気になったらしい。しかしこれはほかのことと違う、一応調べた、しかしこれは何か関係があるらしい、あと裁判だと、これではちっとも公害基本法の精神あるいはこれからできようとしておる公害防止のいろいろな法案趣旨とは全然反する行き方だと思うのですが、その点どうですか。
  12. 両角良彦

    政府委員両角良彦君) 御承知のように、この企業側責任につきましては、相当因果関係のある範囲責任を負うわけでございます。その範囲がどの程度であるかということは、法律的には裁判所の判断に待つという趣旨でございますけれども、ただいまお話がございましたように、実際の被害者救済ということは急がなければならない。したがって、現在提起されておりまする損害賠償の訴訟とは別個に、通産省といたしましても当事者間の和解ということについて、あっせんをはかってまいりました。事実上被害者に対する救済措置裁判と並行しまして迅速にとられるようにつとめてまいりたい、かように存じます。
  13. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまのお話でも私ちょっとまあわからないのですけれども、もしこの地元の人たち通産省が調停に乗り出された。じゃ、たとえば二千万、三千万あるいは四千万、適当な金額でけっこうですと、そこで話し合いが成立したとしますよ、成立したとしても、それはそういう人たちのためにプラスになったかもしれませんけれども、この公害という面からのいわゆる行政上のすっきりした対策にはならないのじゃないか。というのは、私はある程度企業責任というものをもうちょっと明確にしなければならぬ、確かに言われるように完ぺきなデータは出ないかもわかりませんよ。だけれども、もう少し努力をすべきだ。過去のことについてもあらゆる方法をもってやった、衆知を集めてここまでやった。会社側もできるだけ良心的に最大の譲歩をして、どうぞお調べ下さい、ここまでは事実だと、だからこの程度数字でこの程度金額はどうですかというならわかる。過去のことはわからぬ——わからぬでなく、まだまだ集める方法はあると思う。だから、できれば第三者的な、公害対策審議会等もありますし、そういうところでひとつ何か規範みたいなものをつくっていただいて、そうして公害という立場、それから過去を、いわゆる現在の学問の衆知を集めてここまでならできる、それでできたあとは、推定でこれはやむを得ない。その点のやはり努力をした上での和解でなければ、公害問題、特にこの問題についてのすっきりした解決国民が納得する政府態度——これは厚生省公害と断定されたことは非常にけっこうだと思うのですけれども、そのあと通産省がそれを受けて、どう国民に納得できるすっきりした態度——企業責任に対して追及していくという姿勢、それをちゃんとしなければならない。この文章だけであれば、絶対不足なんです。その点の明快な今後のやり方、方針についての答弁を承って、きょうは非常に残念ですけれども、十分間というお話でありますので、あとはまた産業公害特別委員会のほうで、稲の問題とかその他の問題についてはやっていきたいと思います。
  14. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 厚生省公害であるということを言っておることは、これは全然同意いたします。公害に違いないけれども、その責任をどの程度に負っていくかということについては、これはまたその公害の実際上の効果と申しますか、そういう問題と関連しておのずからきまっていくと思いますが、その点がなかなか明らかでない。でありますから、これはまあ厚生省と十分に協議をいたしまして、まずまずこの程度責任はこれは負わなければならぬだろうという判定のもとに、これの治療対策について万全を期してまいりたい。その場合に、裁判の結果を待っていると長びき過ぎるという、お説のとおりであります。でありますから、その問題についても十分に協議をして、そうして裁判がきまった場合には、またあまりに違い過ぎた場合には、善後措置ということもありましょう。とにかく現実の被害というものをどういうふうに救済していくかということが大事でございますから、その問題は、そういうことで今後善処してまいりたい。こう考えます。
  15. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それじゃ裁判とは別に、いま言われた企業責任についても、どの程度責任を負わなければならないかということについては最大努力をして、そうしてその被害者に対しての和解といいますか、話し合いを十分やる、すっきりした線でやりたいと、こう解してよろしいですね。
  16. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そのとおりでございます。
  17. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) では本件につきましての調査は、この程度にとどめて後日に譲ります。     —————————————
  18. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、先般趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入りたいと存じます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  19. 椿繁夫

    椿繁夫君 大臣、いよいよ万国博覧会開催の期日が迫ってまいりまして、もう二年も残さないのでありますが、最初お尋ねをいたしたいのは、現在確定しておる参加国の数についてであります。私は、この万博条約批准段階から申し上げてきたのでありますが、万国博覧会参加招請する国は、その国の思想とか社会体制の相違とかあるいは近代工業の発展の隔たりなどにかかわらず、すべての国に参加をしてもらう心がまえをもって呼びかけを行なうべきである、こういう主張をしてまいりました。当時、通産大臣であった三木さんは、全くお説のとおり、ただし最初段階においては、外交関係の樹立されている国にまず招請を呼びかける。外交関係の樹立していない国に対しては、その後に考えるという答弁をいただいて、了承をしてきたのでありますが、その後、参加国招請状況、特にアジアにおいて開催される万博でありますだけに、中国あるいはアジア、アフリカの諸国の参加見込み状況はどうなっておるか、まずお尋ねをいたします。
  20. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 海外招請につきましては、当初百二十四カ国、二十一機関招請をいたしましたが、その後新しい国ができまして、五カ国追加いたしまして、現在でいえば百二十九カ国と国際機関機関が入りまして、二十四の機関招請をいたしております。現在参加意思が確定いたしました外国は三十二カ国と一政庁ということで三十三でございます。それ以外におきましても、有望と思われる国が十数カ国程度の国は参加がきわめて有望であるというふうに考えまして、現在の段階として出展がほぼ見込まれる国は五十カ国というふうに考えております。
  21. 椿繁夫

    椿繁夫君 中国……。ちょっと質問をよく聞いてお答えをいただきたいのですが、三十二と一政庁、それはわかりました。それで、思想とか社会体制隔たりあるいは南北問題というふうなことにこだわらず呼びかけを行なうということになっていたのですが、この百二十九カ国に呼びかけをやった。その中には、そういう国々は入っておるのか。現在はどうなっているかということについて答えてもらいたい。
  22. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 現在、国交の結ばれていない国は七カ国ございますが、これは御承知のように東独、アルバニア共和国北鮮中国モンゴル共和国ベトナム民主共和国、それからアンドラ、この七カ国につきましては、招請状を発出しておりません。
  23. 椿繁夫

    椿繁夫君 前の通産大臣であった三木さんは、とりあえず外交関係の樹立している国に呼びかけをする。その上で、さらにお話のようなことについて考えたいということでありました。お話のようなことと申しますのは、繰り返して申しますが、アジアに初めて開かれる万博でありますだけに、中国——中華人民共和国、あるいは北朝鮮、北ベトナム人民共和国などが参加をしない、できないというようなことでは、そのアジアにおいて開催される意義を半減するものであるという主張を私は繰り返し述べてきたのであります。それが今日なお参加招請を行なっていないというのはどういう意味であるか、これは大臣からお答えをいただきたいし、今後の方針についても伺いたいと思います。
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 万国博覧会条約にも加盟しておらない、国交もないというので、正式招請ということがなかなか手続上むずかしいことになっておりますので、それでまだその問題がどういう方法——方法論は二の次にして——大体そういう問題に対してどういうふうな態度でいくべきかということについて、きめかねておるというのが現状でございます。
  25. 椿繁夫

    椿繁夫君 いつごろきめられますか。私は外交関係が樹立していないと、こう言われますけれども、たとえば中国の場合、いま多少事情の変更はございますけれども、LT貿易東京連絡事務所というものがあって、いろいろそこを通じて折衝をしておられるわけだから、こういう機関を通じて参加招請をやるということも可能ではないかということまで実は三木さんには申し上げたのであります。これもあと二カ年もありませんので、いまだきめかねておるということじゃいけません。もう少し積極的な姿勢で取り組んでもらうことを望みますし、政府態度を伺います。
  26. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これに関する非常にデリケートないきさつがあったようでございますが、それは事務局から申し上げます。
  27. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 条約上、国から国への招請は、大臣が御説明いたしましたように、国交がない関係でできないわけでございます。したがって、これはきわめて非公式ではございますが、かつて高碕事務所から非公式に人民公社にいかがであろうかという、きわめて非公式な話をしたことはございますが、出てくる国の形を見まして、中共としては出ないという話になったようでございます。しかし、これはあくまでもきわめて非公式な接触ではございますが、完全に接触をしてないというわけではないのでございます。
  28. 椿繁夫

    椿繁夫君 橋本さん、あなたの答弁はわかりませんよ。高碕事務所を通じて廖承志事務所代表者に話をし、人民公社連絡をしたという。人民公社何ぼあるのです、中国に。どこのどういう人民公社に話したのか。そういうでたらめなことではいけませんので、高碕事務所を通じて廖承志事務所を通じ、中国に正式な参加招請を行なったのかどうか。それにもかかわらず出ないと言ってこられたのかどうかということであります。
  29. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 条約向こう政府に対しまして話をかけるときには、あくまでも日本政府でなければならない。したがって政府政府でなければ話ができないことになっております。したがって、打診をするとしますれば、政府からでは困難でございますので、きわめて非公式に高碕事務所から、向こうの相手はいま覚えておりませんが、人民公社に対しまして日本博覧会に出るような気持ちがありや否や、話を正式に、正式といいますか、要するに国と国との間ではなく、非公式の招請という形になれば出る意思があるであろうかというような話をした際に、諸外国の出方を見て、中共人民公社としては出られないという返事があったように聞いております。
  30. 椿繁夫

    椿繁夫君 そういうあいまいなことではなくて、もう少しアジアにおける万博開催意義アジアにおける中国の占める地位、こういうものからよくお考えの上、いまだきめかねておるという大臣お話でありますから、すみやかに政府態度をきめられるよう望んでおきます。これはいずれ委員長を通じて、総理も先日万博の現地を視察にもなったわけでありますから、総理にも御出席をいただいて、政府の所信をただしたいと思いますが、いまお見えになっていませんから、総理に対しての質問は後刻に譲りたいと思います。  通産大臣万博あと地利用の問題でありますが、先般、この買い受け事務を請け負っております大阪府が、借金をしてあの用地を買収いたしておるものですから、万博協会に対して借用料を請求をするというようなことが出ました。それに対して通産大臣の談話であったと思いますが、いやそういう必要はないのだというようなこともございましたが、これは私はあと地利用について政府発言をされる前に、二百五十億程度の先行投資を行ないまして、百万坪からの用地買収を大阪府がやっておるのですから、これを国が肩がわりをして、そうして奈良、京都の古い文化に対置して二十一世記に残すモニュメントとしてあれを国で買収をすべきであるという主張を私ども持っております。その基本的な態度をきめられた上に、あと地の利用について国が発言をする積極的な構想を打ち出す、こういう態度をとってもらいたいと思っているのですが、これについてはいかがでしょうか、大臣に伺います。
  31. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 大阪府が買収した土地が、とりあえず万博の敷地として提供されておるわけでございますが、このあと地を、博覧会が終了した後においてどう処分するかということについては、いま御開陳のような構想はまことにけっこうな構想でございまして、ほかにも、いろいろな構想が考えられると思うのでありますが、それはそれといたしまして、現実にこのあと地をいまどういうふうに処分するかということについては、少しただいまの段階は早過ぎるんではないか。それを十分に有力なる参考の意見として胸におさめておきますけれども、これを現実に他の敷地とも関連いたしましてどういうふうにするかということについては、少しまだ段階が早過ぎるのではないかということでございまして、まだこの問題を具体的にはきめておらないわけでございます。
  32. 椿繁夫

    椿繁夫君 これも衆議院のある委員会で、前の菅野通産大臣は、あの用地は国で買い上げて、そうして、この二十一世紀に残るようなモニュメントとして国として考えたいという答弁をしておいでになります。その基本方針がきまれば、私は国としてあと地利用について決定的な発言ができると思うのであります。これ、大臣がおかわりになるたんびに方針がぐらつくようなことでは、ちょっと困りますので、いずれこれは総理にも伺いたいと思いますが、通産大臣として当面どういうふうにその問題をお考えになっていますか、重ねてお尋ねをいたします。
  33. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはよく調べてみてからでないと、はっきりしたことは申し上げられませんが、菅野通産大臣は、必要と認められる場合にはさようなこともいたしたいという多少の保留的な発言であったように私は伝え聞いておりますが、これはおそらく菅野通産大臣もアイデアについては全く同感であるというような言外に意味を含めてこういう発言をしたのだろうと思うのです。私も、その範囲を出ない、たいへんいいアイデアではございますけれども、あと地の問題は、他の事柄と一緒に総合的に研究いたしまして慎重に決定いたしたいと、かように考えるのでございまして、御意見の点は十分に尊重していきたいと考えます。
  34. 椿繁夫

    椿繁夫君 委員会における私どもの質問は、政府の御方針を伺っておるのでありまして、大臣個人のアイデアを伺っておるのじゃないので、そこのところをひとつよくお考えをいただきたいと思いますが、あと地利用の構想がきまりませんと、全体のやっぱり建設計画というものが確定しないのであります。そういうことの関連がございますので、全体としての工事がおくれています。やっぱり原因は、あと地利用の構想が国として定まらないところに工事のおくれなどが私はあるように考えますので、これはひとつすみやかに政府の基本態度をきめていただくように望んでおきます。重ねて大臣、御方針をひとつ聞きます。
  35. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 十分にそういう点につきましては貴重な参考意見として拝聴いたしまして、あと地利用の問題は、そうゆっくり済んでから考えるというべきものでもないと思いますので、関係方面と十分に協議いたしまして、この問題の処理方針をきめたいと考えております。
  36. 椿繁夫

    椿繁夫君 大蔵省の主計局長おいでになっていますか。
  37. 高橋衛

    ○理事(高橋衛君) 主計局次長です。
  38. 椿繁夫

    椿繁夫君 主計局次長。いま大臣言われますように、現在二百十何億かでこの用地買収を府がやっている、それを国のほうで肩がわりをして買い取る、そういうふうにすれば、あと地利用の問題についても国として決定的な発言ができると私は思うのであります。また、あと地利用の構想が定まりませんと、時期が切迫しておりますのに、遅々として全体計画の進捗をおくらすというような結果になるわけであります。大蔵省も大体そういうことでお考えになる用意がありますか。
  39. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 万国博覧会の会場の建設自体は、すでに全体計画もきまり、その全体計画に基づいて工事が進捗しておりまして、あと地利用いかんという問題は直接的には現在の会場の建設に何の支障も来たしていないと考ております。あと地利用の問題ももちろん早くきめればいいと思いますが、これは全体といたしまして、たとえば万国博の条約によりますと、一応各国の施設は撤去されることになっておりますので、それを具体的に各国から寄付をいただけるかどうか、そういう点はいよいよそれが具体化してみないと、それが必ず寄付をいただけるというふうにきめてかかるわけにもまいりませんので、そういうふうな事態の進捗を見て、その時点で具体的にあと地利用の問題を考えていきたいというふうに考えております。     —————————————
  40. 高橋衛

    ○理事(高橋衛君) この際、おはかりいたします。  ただいま議題といたしております本案審査のため、参考人として日本万国博覧会鈴木事務総長の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  41. 高橋衛

    ○理事(高橋衛君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  42. 椿繁夫

    椿繁夫君 あと地利用の構想は、海堀さん、外国が展示したものを寄付してもらえるかどうかということが定まらぬので、あと地利用の構想が定まらぬ、そんなものじゃないですよ。日本館だって建つのだし、日本庭園だって建設省は計画しているのだし、自然公園としてあすこに残していく、できれば奈良、京都の古い文化に対置して未来に向かって青少年の夢を育てるようなものを残していく、そういうことがあと地利用の大構想としてきまらぬかということを申し上げておるのでありまして、外国館が寄付してくれるかどうかということによってあと地利用の構想をきめる、そういうことじゃいけませんよ。不満です。十分お考えおきを願います。
  43. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 先ほど日本庭園とか、それからわが国のつくる施設というふうなものは、あと地利用をどうするかというようなことがきまらなくても、現実的にこういうものが必要だという要請に従いまして計画をつくって進めておりますので、そういう施設ができていくということについては、あと地利用がきまらないから支障があるという点は、現在のところないと存じております。そういう施設ができていく過程で、なるほどこういうことになればこういうふうにあとを使うことが妥当ではないかというふうに、徐々にその考え方を固めていくのが現実的ではないかというふうに思っております。
  44. 椿繁夫

    椿繁夫君 直接主管されている通産省の意向がまだ定まっていないようでありますから、大蔵省もいまどうこう言うわけにはまいりますまいが、この点は了承いたします。  そこで、運営費についてお尋ねいたしますが、入場料が六百円というのは、万博協会としては正式にきめたのではないと言われるのでありますけれども、一応試算というものは出ている。私どもも承知しておりますし、多数の国民の間にもそれは流布されておったことであります。それが突如としてこの間八百五十円と、そういうことにおきめになったようでございますが、これは、私は、当然政府として負担されなければならないようなものまで運営費の中にたくさん入っているからこういうことになったんじゃないかと、こう思うのでありますが、鈴木さん、あなたはそういう点お考えになりませんか、もっと具体的に申し上げてもいいのですが、まずあなたの方針を聞いて申し上げましょう。
  45. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 運営費の予算につきましては、昨年の九月、協会としては一応決定いたしたのでございますが、その後モントリオールの決算の状況が判明いたしましたこと、あるいは実際私ども仕事をだんだんと具体化していきます過程において、従来の二百三億という予算のワクの中ではとうていこなしていけない、こういうことで、先般協会といたしましては、運営費の予算を再検討いたしました結果、二百八十九億という、こういう予算を最終的に決定いたしたわけでございます。この中に運営費として入るべきでないものが入っているのではないかという、こういうような意味の御質問でございますが、これはいろいろ御見解はあろうかと思いますけれども、私ども政府側といろいろ折衝の末、いま申し上げましたような二百八十九億と、こういう運営費の全体資金計画をつくったわけでございまして、これはなかなか運営費と建設費というものを振り分けする場合に、若干それぞれ微妙な問題のある項目も確かにあるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、一応こういうたてまえでいこうということで、協会として意思を決定したような次第でございます。
  46. 椿繁夫

    椿繁夫君 どうですか、北大阪急行線もたぶん赤字を出すだろうというので二十億赤字補てんの財源を運営費の中に繰り込んでいる。こういうものは明らかに私は建設費ではないかと思う。それから政府代表者会議の費用、万博開催のために政府が各省の代表者会議を開かれるその会議費まで万博運営費に繰り込んでいる。国際協力館の関係費、これは予備費の中に入れておるんじゃないですか、運営費の。会場の乗り入れ線の分担金、これは運営費ですか、別勘定にすべきものではございませんか。大蔵省もよく聞いておいてくださいね。それから災害、物価上昇、後発事情に基づくものについてはほとんど見込まれていない。補助の打ち切り方式、そういうことが入場料六百円と宣伝されていたものが八百五十円に上げざるを得ないことになったのではないかと思いますが、どうですか。
  47. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 運営費の項目が昨年の九月の全体資金計画では二百三億でございましたものが二百八十九億になりました主たる増額の要因といいますものは、この事業の運営費の中で、テーマの展示の費用、これが約五億ふえております。また、催しものの関係が二十五億、あるいは遊園地の管理費等もふえております。一億三千万ほどふえております。また、この会場の管理といたしましては、清掃の関係でございますとか、消防、救急の関係でございますとか、場内の案内、通訳、あるいは電話管理、あるいは電気ガス、上下水道、こういうようなもので十億ほどふえておりますが、そういうものを合わせまして、会場管理費で約二十億ふえておるわけでございます。それから観客の関係の経費、入場券販売の経費でございますとかモノレール、バスの運営費でございますとか、こういったようなものが・それぞれふえております。また、広報宣伝の費用も約五億円ふやしたのでございます。その他、管理関係の費用も若干ふえております。なお、この金利の関係も、これも残存価値見返りの借り入れをいたす額が約五十億新しく加わってきたものでございますから、それに対応する金利の増額が約六億くらいございます。まあそういったようなことでございまして、運営費のふえました要因は、以上申し上げましたように、主としてこの事業運営内容を充実してまいりますための必要な経費の増額でございます。  ただいまの御指摘のございました北大阪急行の関係は、性格論としては御指摘のような考え方もできるかと存じますけれども、これは昨年の九月の二百三億のときにも、すでにこの二十億というものは見込んでおる経費でございまして、今回のこの増額の要因には、これは関係がないのでございます。  それから政府代表会議でございますが、これは御指摘のように、政府代表会議そのものは、政府代表が招集をされるわけでございまして、協会としては、本来の表の役割りを演ずるわけではございませんけれども、しかし、実際的には博覧会の建設、運営につきまして、直接担当いたしております関係上、実際の説明あるいはそれに必要なる費用、あるいは参加国の各代表等に対する接遇関係の費用、こういったようなものは、やはり協会としても協会の業務の一環として考えなければならぬと、こういうことでございまして、これは政府との間に政府代表会議の分担区分をいたしまして、協会の負担に属するものを計上いたしたような次第でございます。  それからいまの国際館のお話でございますが、国際館は、これは発展途上国等で財政力の十分でない国々にもぜひ参加していただかなければならぬ。ことにアジア、アフリカにはさような国々が多いわけでございまして、そこで特に国際館のデザインをつくりまして、そういうユニット単位のものを各国の希望に応じて継ぎ足しをしていくと、こういうような形のものにいたしたわけでございますが、   〔理事高橋衛君退席、委員長着席〕 これは建設費は一応協会で建設をいたしますので、ただでございますが、賃貸料という形でそれの償還を受けるわけでございまして、したがって、これはプラス・マイナス・ゼロになる性格の経費でございます。したがって、一応予備費等でこれを見込んでおるわけでございますが、性格といたしましてはプラス・マイナス・ゼロになる。まああるいは将来を見通しますと、この賃貸料を支払えないような結果になる国も若干出てきはしないかということが考えられるわけでございます。そういう場合には実質的に予備費を使うということになろうかと思いますが、そうでない限りは、要するにプラス・マイナス、たてまえとしては相償うものと、こういう考え方を持っておるわけでございます。そういうようなわけでございまして、運営費につきまして今回増額をいたしましたことに関連をいたしまして、なるべく安く観客に見ていただくというのが本旨でございますけれども、反面運営費の独立採算を考えなきゃならぬということから、入場料の改定措置、こういうような問題が出てまいったような次第でございます。
  48. 椿繁夫

    椿繁夫君 鈴木さんの立場での説明は、それはまあそうでしょう。しかし、これは通産大臣、きのうかおとといの新聞には、この運営不足のため万国博ギャンブルをつくる——これは競馬ですか競輪ですか。こんな、国の意思としてもこの種のものは漸次廃止していこうということになっておりますのに、いま申しますように、建設勘定に入らなければならぬものまで運営費の中に押しつけておくから、こういうとんでもないことを協会が考えるのだと思いますが、どうですか。北大阪急行線のあれは、万博が終了いたしますれば一部を撤去するということになっておる。赤字補てんのために二十億を計上していく、これはまだ前のときにも入っておったので、今度新たに入ったのじゃないという説明でありますけれども、大体最初からこういう当然建設勘定に入るべきものが運営費の中に入っておることが私は不合理だと、こう指摘をいたしておるのであります。先ほど申しますように、この政府代表者会議の経費、国際協力館の関係費、これは予備費の中に入れておる。会場乗り入れ線の分担、こういうものは運営費じゃありませんよ。なんぼ学があってもこれが運営費と言うわけにはいきません。明らかに建設費なんです。別勘定にすべきものだ、こういうふうに思うのでありますが、通産大臣、いかがでしょうか。そのために入場料を庶民になじまれない価格にしておる。これはお考えをいただかないといけないと思います。いかがでしょうか。
  49. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 運営費の内訳の問題につきましては事務当局から説明させます。
  50. 椿繁夫

    椿繁夫君 ギャンブルのこと……。
  51. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) いま御指摘のありました点につきましては、鈴木事務総長から御説明がございましたが、いろいろ運営費の問題、建設費の問題、これは必ずしも北大阪急行だけに限らず、たとえばテーマ館にしましても、いろいろその分け方に問題があると思います。しかし、一応いろいろな角度から検討いたしまして、こういう形でやることが種々の関係で最も適当だというふうなことは、これは前々からやっておるものでございまして、今度六百円、八百五十円の問題は、こういうものから発生したものではないのでございまして、結局会場におけるいろいろな催しを充実し、かつまた会場の管理を整然と充実したものにするというふうなサイドからこういうコストになったわけでございまして、お話がありましたように、たとえば政府代表者会議の費用にいたしましても、もちろんお役所からも相当分は出します。これは当然その代表者会議として会議に必要な費用は役所で持ち、それ以上、協会として諸外国に対する説明並びにPR、観客誘致といったような性格を持ったものを協会で出してもらうというふうなことでいろいろ話し合ってやってございます。したがいまして、一応今回の八百五十円がいま言ったようなために出てきたというのではなくて、むしろ会場の催しの充実、会場管理の整備強化というふうなサイドの、どうすべきかということで、こういう結果八百五十円というコストが出ておると思います。  それからギャンブルの話が出ましたが、この八百五十円につきまして、一部、御承知のように高過ぎるのではないかというふうな話の出ておることは知っております。もし可能なことならば、たとえば現在もいろいろな角度から特定事業収入というふうなことで一般の協力を求めておりますが、何らかそういった特定事業収入のような性格を持ったもので社会的に大きな反響を呼ばないような方法による財源調達というものが可能であるかどうかというふうな点については、検討しておるような次第でございます。
  52. 椿繁夫

    椿繁夫君 これは検討段階ですか、この万国博ギャンブルというのは。
  53. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 特定事業収入といいますのは、いろいろな形の収入がございますが、それもあまり社会的に大きな反響を呼ぶような形においての財源を調達することは、これはいけないと思います。したがいまして、特定事業収入でいかなる性格のものがどういう努力によって将来確保が可能であるかという意味において検討しておるのでございまして、いますぐそのギャンブルをやるとかやらぬとかということは、いまきめておるわけのものではないのでございます。
  54. 椿繁夫

    椿繁夫君 この八百五十円、四百二十円、これがちょっと高過ぎるという世論があるので、これを引き下げるためにこの収入の方法検討している、その一つがこういうものだと、たとえばギャンブルのごときものだということのように伺えますが、こういうことは反対であります。むしろやっぱりこういう当然運営費の中に入れちゃならぬ、だれが考えてもそういうふうに考えられるようなものは、国庫補助の増額ということで埋め、そして最初言われたように、何か百円下げると二十五億赤字が出るというようなことを仄聞しておりますが、そういうことじゃなくて、もっと国民になじまれる料金にする必要があると思います。ニューヨークの博覧会は何ぼやった、モントリオールでは幾らだった——国民所得を考えておきめにならなければだめですよ。なじみませんよ、こういう高い料金では。それでは、せっかくの万博意義は私は半減することになると思いますので、重ねて通産省方針をお伺いします。
  55. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 先生のおっしゃいますように、入場料は安ければ安いにこしたことはないと思うのでございます。しかし、ここで考えていただきたい点は、運営費、建設費、この総体が一つの事業でございまして、それをかりに三千万人というふうなことで、一人当たりどの程度のコストがかかるかということを検討してみますれば、大体一人当たり二千七百円かかる、その二千七百円に対しまして国、地元を通じての補助というものは、一人当たり千二百八十円相当額出ている形になっているわけでございます。で、入場料金の平均をとって見ますれば、大体六百二十五円程度でございます。そういたしますれば、観客一人に対しまして国並びに地元は、総体としてその倍額を出して、これを国民的な行事というふうなものにしよう、こういう努力をしているわけでございます。したがいまして、こういう引き下げのために、ただその一人当たりに対する補助額をふやすことが適当であるかどうか、それ以外の努力によって新たな形を見出していくか、あるいは入場券の券種にいろいろバラエティーを持たせまして、できるだけ多くの観客を誘致するかという、いろいろなそういった問題があると思うのでございます。したがいまして、いまわれわれといたしましては、できるだけほかにいろいろ求められるような財源がないかどうか、また券種について観客の誘致を、参加を容易ならしめるような方法はないかというふうなことを検討しておるような次第でございます。
  56. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 質問の途中でございますが、総理は御多忙の日程を繰り合わせて特に十分間程度の予定をもちまして本委員会に御出席を願いましたので、御質問の方は右御了承の上に御質問を願いたいと思います。
  57. 椿繁夫

    椿繁夫君 さっそくお尋ねをいたしますが、いまの運営費の問題につきましては、総理お帰りになりましたあとで伺うことにいたします。  万博全体の準備状況が非常におくれております。この間御視察をいただいてよくおわかりいただいたと思うのであります。私は思いますのに、いま通産大臣が担当大臣ということにはなっておられるのですけれども、万博の専任大臣を置かれまして、そうして責任者をはっきりときめて、本来でありますと、これは国際条約に基づいて行なわれる万博のことでありますから、これは総理大臣が陣頭指揮やられるべきだと思うのですけれども、それに匹敵するような、閣内でも責任を持たせて、専任大臣を設置する御意思はありませんか。そしておくれを回復される必要があると思います。
  58. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) まず最初に、少しおくれて参りましたが、ただいま予定した行事をやっておりますものですから、そのためにおくれたわけであります。また、委員長が特に十分程度だと言われますが、もうそれは十分に限ることはございませんので、大事な万博の話ですから、もう少し時間をさいていいと思います。  そこの、万博は御承知のように大阪の万博と、かように申しますが、大阪がついているために何だか万博の真のねらいがぼけてくるのじゃないか、かように思います。これは申すまでもなくアジア万博、しかもそれが日本で開かれる、日本に迎えた、その日本の今度場所が大阪、こういうことになっておりますので、アジアの規模においてぜひ成功させなければならない、だから引き受け国の日本は、もちろんその中心ですから、そういう意味で熱意のある、誠意のある万博行事を進めなきゃならぬ、かように思っております。まあいままで私は幸いにして、各党で超党派的に万博を成功させようと、こういう意気込みで御協力を願っておりますことを、各党に対しましても心からお礼を申し上げたいと思います。これはもうひとり政府だけの問題じゃない、そういう意味で、各政党がひとつ協力するという、そういう立場だと思います。まあその意味において、ついせんだっても現地を視察した際も、各党の方にお目にかかって、ほんとに口先だけでなしに、協力の実があがっていると、かように思って非常に喜んでおる次第であります。ところで、政府自身も各党の協力を得ているんですから、この上とも力を入れなきゃならない。どうしても成功させなきゃならない。そこで、まあ現地を私視察した、その感じを率直に申しますと、必ずしも私おくれてるとは思わない。まあ大体整地はできておる。それからいま基礎的な工事である上下水道の配管並びに通風あるいは冷房装置、さらにまた必要な通信施設等の配管工事をいまやっておる最中であります。したがいまして、ちょっと地味ではございますが、この配管工事が一応の計画に乗っておる。それで、ただ、少し冷房装置の配管がややおくれているんじゃないだろうか、こういう気がいたします。ところで、近くつゆの時期に入りますから、せっかく整地したが、いま言うような基礎の工事ができないうちにつゆを迎え、そこでまた土砂が流されるというようなことでもあると、これは工事のおくれが目に見えてくる、かように思って非常に私は心配しております。そこで、まあ私参りまして、特にお願いしたのは、まあシンボルゾーンというものを中央にこしらえておる。そのシンボルゾーンに手をかけるようになると、万博のシンボルがはっきりするだろう、だからまずシンボルゾーンに力を入れてくれ、もう一つは、やっぱり外からくる、電鉄その他の大量輸送施設、これがおくれている、おくれるとたいへんだ、こういうことで、それも実は督励してまいりました。その他の関連事業は大阪市中をくまなく見ました。そういう意味で、私まず準備がどんどん進んでいる。まあいろいろの問題があるようでございますが、まず、こう皆さんからも督励を受け、政府自身も督励している最中でありますから、万博協会の諸君もだいぶ力を投じてやっている。そういう意味では、総体のおくれとしてはそういま気にしなくてもいいんじゃないか、また現実におくれておれば、これから十分取り返し得る、かように私は確信をもってお答えができるように思います。  そこで、具体的な問題で、ただいまお話の専任大臣を置け、政府自身も、ただいま申し上げるような各党からの協力を得ておりますから、そういう意味で積極的な熱意のある姿勢を示さなきゃならないと思います。しかし、このいま通産大臣が兼務しておりますが、この兼任で事欠かないんじゃないかと私は思っております。椿君も御承知のように、大臣はただいま国務大臣制度がないのでございますから、すべてどれかの仕事を持っているというのが現状でございます。かつてのオリンピック担当大臣にいたしましても、私も当時オリンピック担当大臣を兼務でいたしましたが、また河野君その他の場合にいたしましても、通産大臣はたいへん忙しい、だから万博担当大臣はそういう意味でやや仕事の軽いところの人が兼任する、こういうことは望ましいかと思いますけれども、仕事の性質から申すと、通産大臣が兼任し、いまも鞭撻を受けましたように、総理みずからが陣頭に立つ、そうして万博担当室の諸君をひとつ督励して、そうして万遺漏なきを期すということも可能なんではないだろうかと思います。しかし、まだこれから問題がありますから、これからの問題をいかに片づけるかだと思います。必要があれば、他の仕事はだれか他の大臣に集中をさしまして、そうして万博だけひとつあげて専念さすということも考えなければならぬと思いますが、ただいまの状態では、一応は済んでいるかと思いますが、御注意もございましたから、今後の万博工事あるいは計画等の進行状況を見まして、ただいま言われるような点も政府は考えるということにいたしたいと思います。
  59. 椿繁夫

    椿繁夫君 それでは総理、大体工事のほうは順調にいっているように思う、各党の御協力も得ておるので、専任大臣というのは定数があってふやすわけにもいかぬ、一省一局削減というのがやっとこさこの間通ったところだ、さらに大臣をこの際ふやすということはどうかということを非常に気がねをしておられるようですが、私もなるほどそういうこともあると思います。けれども、万博の専任大臣というものをやはり指定する、それにふさわしい事務機構、指導機関というものをやはり設置するという必要があるように思います。この間本会議でも申し上げまして、何か総理府に推進本部をつくられたようでありますけれども、これはまだやはり連絡調整の機関を出ていないように受け取っております。これではちょっと心もとのうございますので、椎名さんが通商産業大臣万博大臣ということでもそれはいいのですけれども、それに伴う推進、指導強加できる事務機構というものを、これは定員をふやせというのではありません。各省から専門家を出してもらって、ほんとうにそれにふさわしい体制に強加していただくことを望んでおきます。そういうことでよろしゅうございますか。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私工事が全部順調だというのは言い過ぎかと思います。先ほど申しますように、冷房施設の配管などもややおくれておるという、そういうものはございますけれども、全体とすれば非常なそごは来たしているというようには思いません。また、つゆをいま控えているから、それが実は心配でございますということを率直に申し上げました。それからただいまのお話の中に、中央の機構も整備して、さらに力を出せと、万博を推進しろと、その御鞭撻、これはもうしごくごもっともである、かように思いますから、私どももあらゆるくふうをしたいと思います。それで、いまの万博推進室というものに関係各省からエキスパートを集めて、そうして強力に推進しろとおっしゃることは、できるだけそういうふうにしたいと思います。なお、まだまだこれからいろいろの問題がございますから、広く各党の協力を得て、これをぜひ成功させたい、こういう意味でございますから、今回のこの会議場における話合いだけではなしに、またお気づきの点がありましたら、遠慮なしにひとつ政府を御鞭撻賜わりたい、これを私のほうからもお願いいたします。ただいま言われることは、なお私のほうでよくくふうすることにいたしたいと思います。
  61. 椿繁夫

    椿繁夫君 くふうをお願いすることとし、私どもも何とかこれを成功させたいと思っておりますので、そういう見地から重ねてお尋ねをいたしますが、関連公共事業が、さきに六千五百二億円でしたか、ワクをきめておったのでありますが、これが建設省の関係の、たとえば道路整備の経費でも四百十二億あるのであります。六千五百二億のうち四百十二億がこの道路整備の建設省所管の仕事でありますが、四十二年度と四十三年度とを合わせた予算が千百二十九億でございまして、二カ年でそうなっておるために、四十四年度に千九百三十九億円というものが一年に集中されるわけであります。この間も大阪市の関連事業どうなっておるんだといってちょっと聞いてみましたら、約二千億の関連公共事業の予算をもらっておるようですが、四十二年度と四十三年度で千億の消化をし、四十四年度に二カ年分の一千億を消化しなければならぬような予算措置になっておるようであります。こういうことになりますと、労務とか資材の需要が最終の四十四年度に集中されまして、これを何とか繰り上げの施工をやっていいとか、あるいは政府でそれはめんどうを見てやるから、国庫債務負担行為のなにで繰り上げても契約なりどんどん工事をやっていいというようなことで、繰り上げ施工あるいは国庫債務負担行為による裏づけ等を、建設省関係にも、あるいはまた地方公共団体のやっております関連事業につきましても、最終年度の四十四年度に集中施工しなければならぬことのない配慮を、実は大蔵大臣に望みたいと思っていたんですが、御都合が悪いようでございますので、総理大臣ひとつそういう御方針でお考えをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいま万博の工事自身は、先ほど申したとおりでございますが、いまの関連公共事業等につきまして非常なあせりがございます。椿君の御指摘になりますとおり、四十四年度には二千六百億ということですか、これ四一%残る。これはたいへんな仕事の量になる。そうして、もしもこれがおくれるということになると、いろいろ支障を来たすし、同時にまたこれを実施するとなると、いろいろな工事費がかさんだり人件費が高くなったり、いろいろな弊害を生ずるということで心配しておられるようであります。そこで、私はこの間大阪へ参りまして、そういう点を指摘する人に申したのでありますが、万博の仕事はとにかく期限のある仕事であります。まあ全国の公共事業というものは、これは必要には違いないけれども、すべてに優先するのが万博の事業だと。そういうように考えて期限内に工事を終了さすというその決意で取り組むから、そこに集中するから、そういう点ではあまり御心配をかけなくても済みはしないかと、こういうお話を実は申し上げたのであります。同時に、私、出かけまして、大阪市内の丼池といいますか、あそこの工事を見てきました。あそこはたいへん集中して工事を進行している。万博工事よりも建築業者があそこにみんな集まってくる。また谷町の工事も見てきましたが、これもよほど進んでおる。それからぜいたくな話だけれども、大阪城付近の森林公園も相当進んでいる。これで私たいへん喜んだのであります。そこで、万博自身の工事と、それから関連事業、これがいろいろ緊急度もございましょうし、整備のぐあいもあるでしょうから、その辺にそれぞれあんばいをしていけば、これまかなえるんじゃないか。ことに、ただいま私がお答えするように、全国的な規模で工事の分配状況を見ると、その場合に、万博関係のものは優先するんだと、こういうようにこれを抽出することをして、そこに工事能力を集中さすということになれば、十分まかなえるんじゃないか、かように実は思っております。そこで、私、四十四年度の残余の分というのは、たいへん金額もかさんでいるし、それからプロポーションも四一%にもなっていますから、特にこれを具体的に計画を進めるための調査をしていかないと、工事調査というか、工事計画を進めていかないと、なかなかまかなえないんじゃないか。ただいま御指摘のとおり私どもも気にはなりますから、なお一そう注意してまいります。しかし、一般的なことで、いま言われております工事が集中するために非常に工事費がかさむ、人件費が高くなる、こういうことを言われておりますが、これはやや心配のほうが先走ってないだろうか、かように実は思っております。出かけてずいぶんひどい話を聞いておりますが、耳に入ったところでは、どうも工事に地方から協力している者が、途中でひまができたら、休暇をとって、飛行機で家に帰る。それほどの給与を払っているのかというような話まで聞きますが、そんなことは実はないのではないか、かように思っておりますので、これは関係者の良識のある処置で、また、ただいま申し上げるように、期限のある工事、それをそこにひとつ集中的に力を注ぐということになればやっていけるのではないだろうか、かように私は思っております。
  63. 椿繁夫

    椿繁夫君 そういうふうにやっていかなければならぬわけですが、たとえば万博に直結いたします中央環状線、これは建設省でやっておられますが、それから御堂筋線の延長などを早急に整備いたしませんと、会場建設資材の輸送、展示品の輸送等が先行するわけでありますから、地方団体は苦しい台所をかかえて先行投資をやっているのですよ。ですからこういうものにつきましては、やっぱり低利長期の起債のめんどうを見てやるとか、それから建設省関係の工事費なども、よく総理知っておられますが、四十四年度にしわ寄せになっているのですよ。これを繰り上げ施工させるとか、何かそういう方法をお考えいただく必要があると思います。重ねてお尋ねをいたします。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) いまの御堂筋の問題も中馬市長から直接聞きまして、また新大阪駅につながる道などもまだ全部完了しているわけじゃありませんし、不十分な一、二カ所おくれている所があるようであります。さらに私はトラックのターミナルも見てきました。これもたいへんりっぱなものができている。それに関連する道路もそれぞれ進んでいるようであります。たいへんな意気込みで皆さんがやっている。そうして大体万博開場六カ月前には仕事を終わる、こういうのですが、どうもおくれがちだから六カ月ではややおそいのではないか。いま言われるように、もっと早く工事をしまえ、完成する、こういう意気込みでないと、とかくおくれがちだよ、こういう実は注意もしてまいりました。これらの点を勘案いたしまして、工事の進捗状況によりまして、いま言われるような点を特にまた考えてみよう、かように私は思っております。ことしの予算はもうすでにでき上がっておりますから、予算をどうこうということは困難かと思いますが、ただいま申し上げるような点で支障を来たさないように万全を尽くす、かように私は決意しておりますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。
  65. 椿繁夫

    椿繁夫君 もう一点だけ簡単にやります。総理もだいぶん時間過ぎましたが、一点だけ。  運営費の、当然これは建設勘定に入らなければならぬようなものの項目を指摘して申し上げておったのですが、政府運営費のほうについては、もう一切おまえのほうでやれと、補助金を出さぬのじゃと、こういうことで打ち切り方式になっておりますために、六百円で考えられておった入場料が八百五十円になる。それから子供のほうは四百二十円とかいうようなことになって、当初計画からはるかに入場料が高こうなっておるのです。ところが、この間も新聞を見ますと、万博ギャンブルをつくると、競馬で何ぼ、競輪で幾らというふうに、これはちょっとやっぱり人気悪いですよ、こういうことを万博協会が考えるようなことでは。ですから、そんな心配はするなと、建設勘定のほうはちゃんと筋道が立ちさえすれば相談してやろうというふうに、ちょっと太いところを出しませんと、入場料は上げるわ、こういう万博ギャンブルを一方では計画するわと、これは鈴木さんいけませんよ、人気悪いですよ、八百五十円というものは。もう少し庶民になじませるような料金体制を考える必要があると、こう思うのです。総理も、ひとつ真剣にお考えいただきたいと思います。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私は、運営費の問題で、いろいろ運営費が十分だとかあるいは赤だとかいっていろいろ心配しておられる。ところで、いま八百五十円、一体、あすこの入場者を何ぼに予定しておるかと、三千万人じゃないだろうか、モントリオールに比べて日本はもっと人口が多いわけです。モントリオール、これはアメリカがそばだというせいもありましょうが五千万人集まっておる。そうすると、日本で三千万人というのは、よほど石橋をたたいて渡った数字だろうと、かように思いますが、同時に、三千万人の平均した入場料金は一体幾らになるのかと、こう言って聞いてみますと六百二、三十円になるんだと、こういうような話であります。だから、いまの八百五十円というのは、いわゆるどの程度八百五十円払って見る人があるのか。前売り、団体その他の関係から見ますと、相当割引もありますし、だから実質的にはどうも……。もっと実情を万博協会でよく説明すれば誤解なくて済むんじゃないか。ことに小学校や中学校、学生あたりには大きな割引がありますので、これはたいへん安くなっている、かように思います。それにいたしましても八百五十円は高いのじゃないのかと、こう言って、実は私自身も万博協会にただいまのような話を率直にしたのであります。ところで、万博協会も、これはどうもきめなきゃならないから一応きめたようでありますが、十分自信を持って運営費を計算したというのにはまだ足らないのじゃないか。そこで、いろいろ言い方によっては八百五十円が高いと言うけれども、それは千円ぐらいの値打ちのある万博をやれよ、そうすれば八百五十円安いと、こういう話もしたのですが、また実質が五百円ぐらいならば六百円でもそれは高いと言われるだろう。結局、万博の内容いかんである。それにしても八百五十円はもうちょっと何かくふうができぬか。そこで皆さんが知恵を持ち寄っておるから、これは各党の御協力を得るようにひとつくふうしてみましょうと、こういうような話もございました。私はどういうのが一番いいかと思いますが、ただいま言われますように、みんなが納得のいくという、そういう方向で八百五十円をさらに下げることができれば、くふう願ったらどうか、かように私思います。ただそこで、幾ら赤字が出てもだいじょうぶ引き受けると、こう言うことは、まあ政府たいへん腹が大きいといえば大きいのですが、あまりいいことじゃないのでございまして、これはやはり赤字が出ないという——これは万博の計画者その他から申せば、最初から赤字が出るような計画はしておりません、りっぱな計算によって、コンピューターの基礎によって、これならだいじょうぶというので実は立てたのですと、こういうのがいまのたてまえでございますし、また政府も、そうなくちゃならない、ずさんな計画はごめんこうむる、かように実は申しております。しかし私が大阪におきましてパーティその他でもあいさつをいたしましたように、もちろん予測しない事態についての問題は、政府ももちろん責任を持って処理するということでいくつもりでございます。しかし、今日から予想できる場合に、結局政府がまかなうと言ったって、これは国民の全体の負担でございますから、国民の納得がなかなかいかない、そういう意味では、やはり正確な基礎に立って、赤字は出ないのだ、こういうものであってほしいと、こういうことを実は申しておるのであります。ただいま言われますように、八百五十円、その問題をめぐってどういうようにしたらいいか、これはまた皆さんからもお知恵も拝借したいと思います。先ほど専任の大臣をつくれというお話がありました。国会におきましてもやはり特別委員会が必要なんだろう、そういうものができるようになれば、さらに一そうこういう問題を推進していく上において役立つだろう、いわゆる協力を得るにしましても国会の組織を通じてということが望ましいのではないか、かように私は思っております。ただいま言われました点は、政府もよく考えますし、万博自身も考えておるようであります。同時にまた、各党の関係者の方々のお知恵も拝借したい、かように思っております。
  67. 椿繁夫

    椿繁夫君 いまの問題で、ちょっとけりをつけておかなければいかぬ、これは。総理も八百五十円というのは何とかくふうの余地はないか、こう万博当局にも言っておられるようですが、これは私どももそれを強く望んでおきます。ところが博覧会の会場というのは広いのですから、全部見るわけにいかぬのですよ、これ一ぺん入って。全部見て八百五十円とか六百円とかいう価値はあるでしょう。一日に一回入場することによって全部を観覧するということはそれはなかなかできるものじゃないと思います。そこで、たとえばの話ですが、回数券というようなものを考えて八百五十円というなにを実質的に下げていく、こういうことは考えられないか。あるいはちょうど半年にわたるわけですから夏の暑い期間も三カ月くらいは十分にあるわけでございますから、夜間の割引をするとかいうようなことは考えられないものだろうか、いかがでしょう。
  68. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) いまお話しございましたように、三千万の入場目標といいましても、やはり会場周辺の住民の方に参観に何回か来ていただかなければこの三千万でも非常に困難であろうというふうに感じております。したがいまして、いま先生のおっしゃいました、たとえば回数券とかあるいは夜間の特別な割引券とかいったような制度をつくりまして、あの会場周辺の人たちが安価に万博を数多く見ていただけるというふうな制度は非常にいい措置ではなかろうかというふうな感じもいたしますので、協会と十分相談いたしまして、できるだけそういうような方向で進めていきたいというふうに考えております。
  69. 椿繁夫

    椿繁夫君 いま橋本参事官、ちょっと賛成のような御発言、御答弁をいただいたのですが、通産大臣、大体そういうことでやらせる方針になりますか。
  70. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) できるだけ前向きにこの問題を協議させたいと思っております。
  71. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは午前中はこれをもって一たん打ち切りまして休憩といたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  72. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) これより商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  73. 椿繁夫

    椿繁夫君 提案されております法案の審議は後ほどお尋ねすることとして、今度の万博のテーマが「人類の進歩と調和」ということで準備が進んでおるわけでありますが、具体的には一体どういう表現を用意されておるのか、まずお尋ねをいたします。
  74. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) テーマの具体的な表現といいますれば、会場にどういうふうにそれが表現されようとしておるか、それからまた政府間でそれがどういうふうに具体的にあらわれるかというふうな問題かと思うのでございます。  会場の設計につきましては、会場の置かれておりまする地形というものを十分に活用いたしまして、その中でいろいろな施設、たとえて言いますればシンボルゾーンを中心にいたしまして東西南北に装置道路ができるとか、あるいは地域冷房をつくるとかいうふうなことによりまして、いわゆる調和のとれた形における会場を建設し、それからまた地域冷房等をつくりまして、これをお祭り広場からすべての施設に冷風を供給いたすことによりまして、未来におきます最も理想的と思われるような都市計画の一端をここで出してみたい。それが非常に将来における都市というものの発展と、それからその中におけるいろいろな人々の生活の調和を考えました形においての未来の都市計画をその中で実現していきたいというふうなことを考えておりますし、それからまたテーマ自体の具体的なあらわれ方といたしましては、テーマ展示地域というものをシンボルゾーンの中に設けまして、過去、現在、未来にわたってのいろいろなテーマ並びにそれに基づきまするサブテーマの展開をやっていくというふうなことで、具体的な内容につきまして、現在協会のプロデューサーのところにおきまして、そのテーマの、サブテーマに至るまでの展開の計画を練っておる段階でございます。  それから次に、政府館におきましては、そのテーマ、政府館の名前を「日本日本人」というふうな形におきまして日本日本人というものが進歩と調和とどういうふうにからみ合うかというふうな点から、日本並びに日本人の過去、現在、将来にわたる進歩というものをこれを歴史的な観点でながめ、これを一つの進歩というものの考え方でとらえていき、それから日本の本来の文化の中に東洋の文化、西洋の文化、こういった各般の東西の文化を取り入れて今日の目ざましい発展を遂げておりますので、東西文化の取り入れ方、これに主力を置きまして、その時点を非常にクローズアップするような形において日本の歴史的な展示もやっていくというふうなことで、その縦の時代の変遷を「進歩」と銘打ち、横のそういった東西の文化の吸収過程をとらえまして、これを「調和」というふうな形において政府館において展示をしたいということで、極力そういうふうな方向でのテーマの実現を考えたいというふうに思っております。
  75. 椿繁夫

    椿繁夫君 「日本日本人」ということで、政府館に過去、現在、未来という構想でまあテーマの具体的な表現をお考えになっているようでありますが、どこの国もどの民族も経験したことのない、しかもわが国が平和憲法を持っている、その国で開かれる万博である。そういう際に考えなければならぬことは、われわれだけがこの経験をした、三度にわたる原爆の被害の経験。で、これを将来永久に戦争兵器として根絶をしていく理想をやっぱり持たなければならぬ。そういう意味で私は原爆の被害を諸国民に知ってもらい、さらに恒久平和のために原爆兵器というものを将来なくして、そして原子力の平和利用というものが未来の人類に対してどういう影響なり貢献をしていくかというようなことをテーマとするものを政府館に展示する義務と責任とがあるように思います。だいぶん各方面からそういう意見も出たように伺っておりますけれども、まだそのことについての協会なり政府なりの展示に対する態度は明確になっていない。この点についてはいかがですか。
  76. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 原爆の展示につきましては、かねがね先生からいろいろサゼストをいただいておるわけでございます。確かに日本が原爆唯一の被災国としてこれを世界の全人類にああいう悲惨なことのないように、平和利用によって非常に人類に貢献するようにという示唆をすべきであるという御意見は、まことに卓見であろうと思うのでございます。ただ、博覧会場という非常に普通の展示場と違った雰囲気の中においてこれをいかに表現するかということは、非常に技術的にむずかしゅうございますので、実はこれを委託調査をしたわけでございます。委託調査をいたしまして、いかなる方法で展示をすることが適当であるかということの答申を出してほしいということでやりましたところ、先般日本シネセルという会社から、おもしろい、興味深いサゼストがまいりました。その内容を簡単に御披露いたしますと、フランスの芸術家でジャン・デュルサという人が、ごく最近におきまして完成した、原子時代の人類というものをテーマにいたしました九枚のつづり絵がフランスのルーブル博物館にごく最近出されたそうなんでございます。これは、原子爆弾が広島に落ちたその当時と、それから世界全体が今日までなお原爆の恐怖にさらされておるわれわれ全人類というものが、こういうむざんな原子力の利用をやめて、それを平和利用に向けるべきである。そうすれば、全人類が非常に明るい、非常に幸福に満ちた福祉社会ができるというふうなことをこの九枚の絵でいろいろ示唆をし、興味深くかいておるようでございます。いまこういったような形をやるとすれば、政府館でやることが適当ではないだろうかという実は答申がまいりましたので、日本政府館でございますので、外国のものをストレートに展示ができません、そういう関係で、実は愛知芸術大学のデザイン主任教授の河野といわれるこれは政府関係の展示設計の代表者になっておりますが、この河野鷹司氏という主任教授にお願いをいたしまして、これを模倣するのではいけない、しかしものの考え方として何らかこういう構想が、純日本的な形においてできないかというふうなことで、再度委託いたしまして、大体六月一ぱいくらいまでには先生は構想をまとめようというふうなことになっておりまして、基本的な考え方は、先ほど御説明いたしましたように、原爆被害というものの悲惨さ、それから現在もなおそういう原爆の恐怖にさらされつつある、それを平和利用することによって人類に大いなる貢献をもたらす、世界全人類がそれに大いに目を向けるべきであるというふうなことで、テーマとしてこれを考えてほしいというようなことでお願いしているわけであります。したがいまして、この形が出ますれば、万博の閣僚会議にはかりまして、極力そういう形での展示を許していただくように、われわれは努力をしたいというふうに考えております。
  77. 椿繁夫

    椿繁夫君 橋本参事官から、はじめて要望しておりました具体的な準備をしておられることを伺ったのでありますが、河野教授から六月ですか、六月に答案——こういうふうなものにしたらどうであろう、しかもこれは「日本日本人」ということを打ち出す政府館の中に展示をするように関係閣僚会議にはかりたい、私も全く賛成であります。そういう構想が事務当局で、大臣、いま着々準備されていることを聞いて私も敬意を表しますが、河野教授からのそういうなにが出ました際には、閣僚会議で、ぜひ平和憲法を持つ、しかも原爆被害をただ一つ受けた国家と民族の義務として、こういうことを展示されることを、将来の人類に向かってする必要があると思いますので、ぜひその実現に努力してもらいたいと思いますが、大臣の所見を伺います。
  78. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 大体のねらい、構想は、私もたいへんけっこうだと思いますが、なおその原案ができました際には、十分に万博の閣僚会議において審査をいたしまして、十分な、りっぱな成果をあげるようにこの上ともつとめてまいりたいと、かように考えます。
  79. 椿繁夫

    椿繁夫君 せっかく私どもも再三あらゆる機会に提案をし、そして事務当局のほうでそういうかっこうな回答を得たので、しかも、フランスのジャン・デュルサ画伯の絵もそういうことを物語っておる。ちょうど私どもの考えておりますことと似たような絵画が、フランスですでに完成しておる。それをそのままこちらへ持ってくるというわけにはいきますまいけれども、それに似たようなアイデアで河野教授に、特にその具体案を諮問しておられる状況でありますから、ぜひその実親のために——これは平和憲法を持っている日本責任だと思うのです——ぜひ大臣の決意を促したいと思います。ぜひ実現してもらいたいと思います。よろしゅうございますか。
  80. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま申し上げたように、そのような趣旨で、ぜひわれわれの考えておる念願を達成するように努力したいと思います。
  81. 椿繁夫

    椿繁夫君 話題を転じますが、この間シンボルゾーンの発注見積もりを出しましたところ、どうもその建築関係者の、業者の方が、全然これはもう予算は実際にかかる経費の半額程度しかならぬということで、見積もりをする業者がなかった。そこで再度この大手業者を指名をして集まってもらったところが、それもなおうまくいかぬという話を聞き、報道にも接したわけでありますが、これはどうなんでしょう。政府の、あるいは協会の基準単価の見積もりがあらゆる公共施設と同じように低過ぎる結果なのか、それとも設計などを担当された先生方、専門家の間で予算とは関連のない、いま直接関係のない構想を打ち出されたのであろうか、一体入札をする人さえないという状態では、これ非常に案ぜられるわけなんですが、当面どういうふうにして工事を進めようとしておられるか、対策を伺います。
  82. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 先生のおっしゃいましたように、この展望塔につきましては、最終的な発注がまだできてない段階でございます。その原因は、協会といたしましてもいろいろ検討したわけでございます。ただ、原因といたしましては一つの問題だけに原因があるのではなくて、一つは新しいこういった施設に対しまして、発注者に対し十分な説明が第一はなかった。したがって、受注者のほうにおきましても、やや不案内な形において設計を——建設の実施を計画したというふうな点で、第一は問題があるかと思うのです。それから次には設計者のサイドにおいても、必ずしも協会がねらったそのままであったかどうかという点については、やや問題があると思います。それからさらにまた業者サイドにおきましても、これが万博工事の一番最初の工事でございましたので、いろいろそこには思惑があったのではないかと感ぜられるわけでありまして、したがいまして、こういったものの対策といたしましては、まず協会といたしまして、会長自体が建設の業者といろいろ話し合いを現在やっております。それからまた、他面設計者のグループにも協会としていろいろ突っ込んだ協議をやっておるわけでありますけれども、それと同時に、協会といたしましても、先般第三者の立場において建設省の営繕局長さんに協会の顧問になっていただき、そうして妥当な形においての設計というものはいかなるものであるかというような観点からの審査もお願いしているというふうな実は状態になっておる次第でございます。ただ、巷間いろいろ伝えられますけれども、私どもの感じといたしましては、この段階で半月、一月おくれましても、基本的にその問題を解決することがどうしても必要である、といいますのは、世界各国、七十カ国ほど来るわけで、期待しておりますが、いずれの国もぴしゃっとした予算を持って、この予算の上で展示館を建て、展示をしようということでやってくるわけであります。ただカナダのように、日本ではできないような企画から生ずる値が折り合わないという点は、私はやむを得ないかと思うのでございますが、業者のサイド、設計者のサイドに、そういう発注者の意思が十分くめないというようなことがあっては、これは国際信用にかかわる問題であると思うのでございます。したがいまして、ここで時間をかけましても、万博最初の工事というものは、あくまでやはり発注者がこういう形ですべきだと思ったところを話し合った上で、双方それは協議の結果、若干の上下はすると思いますが、そういうところへ落ちつけるように、設計者にもまた受注者にも協力を求めていくというふうな態度でわれわれは臨みたいと、こう思っておる次第でございます。で、先ほど申しましたように、政府といたしましては営繕局長さんにいろいろそういうことで御協力をいただくし、それからまた建設大臣のほうから建設業者のほうにもいろいろと協力を要請していただいておるというような状況でございます。
  83. 椿繁夫

    椿繁夫君 これはまあ話し合っていただくことは大切でありますが、設計に予算を合わせるか、予算に設計を合わせるか、いずれかを選ばなければならぬことになるのじゃないかと思いますが、しかし、いまお話の最中でありますから、これ以上聞くことはいかがかと思いますから、あまり予算のほうに設計を合わせることによって、万博の展示そのものが、その精神を失わないように、十分配慮されることを望んでおきます。  それから労務対策でありますが、この建設工事を完工いたしますために、労務者の数、延べ四百十六万千二百三十人というような、なかなかこまかい計算をいたしておられるのでありますが、工事のピークのときになりますと、一日に五万人から従事をする人が出てくる。これに関連事業の労務者等を加えますと、これは別ですから、相当膨大な数にのぼることが予想されるのであります。そこで、労務動員をどういうことでやっておられるのか——これは労働省おいでになると一番いいと思うのですけれども、きょうはお見えになっていませんから——集まってきた人たちに対する環境の整備とか飯場の急増というふうなことが考えられます。環境衛生関係の整備などの問題でありますが、明治の末、大阪で勧業博覧会というのをやりまして、例の新世界の通天閣などがそのときのモニュメントとして残っているわけであります。ところが、時代は違いますけれども、例の釜ケ崎、いまの愛隣地区というのは、労務者がたくさん勧業博のために集中いたしまして、そうして飯場などが定着、固定化いたしましたのが、いま大阪における愛隣地区、俗にいう釜ケ崎の沿革のように聞いております。そういうことの心配のないよう、十分な配慮が望まれます。その対策はいかん。  それから急な一時的な労務の集中でありますから、労働基準法関係の完全実施などについての対策などについて、すでに各省間で、相談をされていると思いますので、心配な点を申し上げて、これまでの相談の結果をひとつ御説明いただきたい。
  84. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 確かに労務の問題は、一番大きな問題でもございますし、また、われわれも非常に頭の痛い問題でございまして、なかなかすべてのいまの御質問に全部お答えできるようなまだ段階でないのでございますが、新規の労務者があの周辺地区におきましては、大体通常の場合は一旦二十七万人程度の労務者が働いておりますが、大体関連事業でピークのときには三万六千で、会場関係で約八千人ということで、大体五万人余りの新規の労務需要があるわけでございます。この新規の労務需要の確保というのは、いまおっしゃいますように、確かにこういう東京の地域と違いまして、労働供給のエリアがやや大阪は関東と比べて少ない関係で、非常にむずかしいとは思っておりますが、一つは大阪府下におきまして、万博専門のための職業安定所をつくりまして、そこで広域職業紹介をとにかく展開をしていただく。この広域職業紹介といたしまして、二十四の府県に労務の供出目標というのをつくってもらいまして、それからひとつ大阪の万博に労務者の供給をはかるというふうなことで、現在はその二十四の府県に労務協力員というのが設置されてございます。ただ、まだその労務につきましては、残念ながら二十四の府県に供出目標数までの設定の段階にまでならぬのでございます。といいますことは、関連公共事業につきましては、従来からの経験もございますので、ある程度従来のベースにおいて見通しはつくわけでございますが、問題の会場内につきましては、若干全般的なおくれがございます関係で、どの時点において、どういう職種の業種を、どの程度必要であるかということが完全に把握できないのが現状でございます。したがいまして、この点につきましては博覧会協会を通じまして出展者全員に呼びかけまして、できるだけ労務の安定的確保をはかるという意味において、将来のこういったかなりこまかい見通しを各出展者からいただき、それをもとにいたしまして二十四の府県からの労務の供給を受けたいというふうなことで考えておる次第でございます。その他、労務のそういった他府県からの確保のためには、住宅の問題がありますので、雇用促進事業団の資金によりまして、四十三、四十四年にわたり、一万戸の簡易住宅を建設するというふうな考え方を現在とっております。ただ、先生ただいまもおっしゃいましたように、その一万戸の簡易住宅をどの地域にどういうふうな形でつくるかということは、これが先ほどの話のように、おかしな形でつくりますればその地域に定着してしまうおそれもある。かといって、あまりこれを分散いたしますれば、労務管理上にも非常に問題が起きる。また建設途上においていろいろな社会的な問題も発生するというふうな点もございまして、現在大阪府の労働部を中心にいたしまして、どういう形においてこの一万戸の住宅をどういうふうに分散的につくることが適当であるかということを検討しておる段階でございます。間もなくそういった現地での結論が出るのではなかろうかというふうに考えております。  それからまた労務のいろいろな厚生関係の点につきましては、大阪府におきましても、単にそういった労働宿舎だけではなしに、福利厚生施設をつくるというふうなことで、すでに大阪府といたしまして予算も確保して、現在建設業者の団体と、どういう形のものをどの程度つくるか、また建設業者からの協力をどういうふうに受けるかということの話し合いが進められております。  それから労働の災害問題でございますが、これはもう確かにオリンピックの際もかなり工事が集中いたしました結果、災害が発生しております。したがいまして、こういった労働災害を防止いたしますために、労働基準監督署の分室を会場の中に設置して、そうして現地においてその監督を十分に徹底さし、かつまた不幸にして生じた場合には、会場内におきまして臨時診療所をつくるというふうな形で、これは大体ことしの七月ころから協会のほうでもそういった態勢をつくるというふうなことで話を進めております。  以上でございます。
  85. 椿繁夫

    椿繁夫君 労働災害防止のため、一時的に、しかも急速に集中される労務管理、それから労働基準法の完全な適用などのために基準監督署の分室を会場内に設ける、それはもう話ができておるのですか。
  86. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) はい、できております。
  87. 椿繁夫

    椿繁夫君 何人くらい入るのです。
  88. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) まだ人数の点までは確認しておりませんが、近くそういう基準監督署の分室をつくって、現場において基準監督、労災防止をやっていくというような話し合いになっております。
  89. 椿繁夫

    椿繁夫君 十分そういう点について今後とも関係各省の間で協議されることを望んでおきます。  それからいま一つは、宿泊施設の問題でございます。これはいろいろ資料いただいておるのを拝見いたしますと、近畿二府四県で四十五年度に観光客の予想される推定が二千三百五十五万四千人ですがね、それで、万国博の期間、この半年間に千二百四十二万三千人、これは全部宿泊するわけじゃないのですが、予定される一日の宿泊人員が九万七千人の見込みである。これに対して二府四県のいろいろな旅館とかホテルとかユースホステルまで動員いたしまして、国民宿舎まで動員をして、ベッドは約六万一千しかない。九万七千人の宿泊見込みに対して六万一千しかない。差し引き結局一日に三万六千のベッドの不足となる、こういう数字が出ておりますが、この対策は相談できておりますか。
  90. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) この宿泊の問題につきまして、需給の数字は先生のいまおっしゃいましたように、確かに九万七千、六万一千という数字もありますし、また別のところで調査をいたしますれば、また若干違った数字もあるのでございます。しかし、この数字はいずれにいたしましても、なかなかほんとうにどの程度であるかということは、その範囲等によりまして若干数字が変わってくるものだと思います。したがいまして、現在の段階におきましては、一つ方法として、まず供給力を可能な限りにおいてふやすというふうなことで、開銀、中小企業金融公庫、こういったようなところからこの三年間に七十億の融資をするというふうなことできておりまして、四十二年度は大体そのうちの十九億程度の融資がもうすでに行なわれたようでございます。したがいまして、あと四十三、四十四で二十五億程度ずつの融資が行なわれるというふうなことになっております。それからそれ以外に、外国従業員の宿舎は、今回法律で出しておるように、こういう形において確保していくということがございます。それから、それとまた別に、大阪府市におきまして、それぞれ三億程度の金を商工中金に預託いたしまして、そうしてそれを大体倍程度に回していくというふうな形において、これは通常の旅館の増改築に充てるというふうなことで、現在この融資のあっせんが始まっておる段階でございます。またそれ以外に、これは金額は確定はまだいたしませんが、環境衛生金融公庫、こういったところも当然旅館等の改築、築増等につきましては融資をやるというふうな話し合いができております。ただ一番最後の点は、ちょっとPRがおそかった点で、まだ旅館その他に十分徹底されておりませんでしたので、先般、万博対策本部の幹事会を開きまして、府県等にも十分これを徹底し、必要があれば、そういった環境衛生金融公庫あたりの融資もあっせんするというようなことになっております。それからそれ以外に、これはだいぶ市町村までおりる作業でございますが、現地の民泊の問題につきまして、民泊の供給可能——それを供給力とするために必要な資金というものがどの程度あるかというふうなこと、これは末端のところにおいて調査をしてもらっておりまして、それを見まして、順次民泊の組織というふうなものをつくり上げていきたい。そういうためにモントリオールにございましたような宿泊あっせん所的なものを、民泊も含めてつくろうというふうなことで、現在そういう検討を進めておるわけでございます。
  91. 椿繁夫

    椿繁夫君 これは政府万博対策本部が、あなたを含めて十三人か十四人しかおられないので、これ以上に聞くのが気の毒になってくる、ほんとうに。この大きな仕事をあなたに質問するほうもつらいですよ。これ大臣を早くに何とか、先ほど総理もおっしゃっていましたが、専任大臣を置かれるなり……。いまのは専任じゃないですが、あなたは担当大臣だから、これ兼任でもやむを得ないが、そういうふうに私は機構の強化をされる必要があると思います。ことに外国館の建設の発注ですね、成約ができた国もありましょうし、まだしない国もありましょうが、一般にいわれておることは、わが国の建設費というものは非常に高い、こういわれて悪評を各国から受けておる現状であります。ところが、実際の現地では、建設業の中小企業の倒産が相次いでおります。これは一体どういうことだろうか、あまりにも下請の段階が多過ぎるのではないでしょうか。元請があり、下請、その次の次の次の下請というような日本の建設業界特有の下請段階というものが非常に多過ぎる、そういうところに外国からは高いという悪評を受ける、そうして現地におきましては労務不足、資材高あるいは手形決済というようなふうな悪条件が重なりまして倒産が相次いでおります。非常にこれは残念なことであります。こういう事態が私は万博工事の途中においても発生をし、そのために全体の計画進行の妨げになるようなことがありはしないかということを実は心配しておるのであります。外国からそういう悪評を受けないように、下請段階の単純化といいますか、整理をされる方針がありますか、これは大臣に伺います。  それから万博のために支障を来たさないという、しかし、業界の倒産が相次いでおりますので、これに中小企業対策の一環として何か救済対策を持っていないか、この二点については大臣答弁を求めます。
  92. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本の建設業界のこれは通弊であろうと私は思いますが、外国の建設業界ということについては、あまり知識を持っておりませんが、とにかく次から次と下のほうへどんどん頭をはねてまかせる。下のほうに行くと、無我夢中で、ともかく自転車操業で、引き合うのか引き合わぬのかわからぬといったような、まさかそういう甘い考えでやる人ばかりじゃないと思いますけれども、結局そういうようなことになって最近の倒産が続出したものと思われますが、こういう問題については、博覧会の施設というものが一カ所に集まっておりますので、そういう点について元請のほうの心がまえなり、あるいはその下というようなものについても、相当連絡をとってまいりますれば、非常に大きなそごを来たさないように、これは相当予防のできるものじゃないかと思われますが、そういう点につきましては、よく建設省とも連絡をとって、今後そういう方面のゆるみのないように考えてまいりたいと存じます。  それから万博関係でまだ建設業者の倒産が起きたということは、私はまだ聞いておりませんし、まだそういう段階ではないと思いますし、とにかく似たような現象がもし万博の建設に持ち込まれるようなことがありましては、これはたいへんでございますから、そういう点の対策も十分に立て得ると思いますから、立ててまいりたいと考えます。
  93. 椿繁夫

    椿繁夫君 これは東京のオリンピックの際にもあったことでありますが、あまり下請の段階が多過ぎて、工事が完了した、代金をすぐ上の親請のところへ請求したら、蒸発してしまってどこかに行っていないために、賃金の未払いが起こっている事件さえオリンピックのときには実はあったのであります。今度のはオリンピックとは違いまして、関連公共事業を含めますと、相当広範ななににわたる問題でありますから、これは鈴木さん、協会のほうも十分いま大臣お答えになりましたように、配慮もされる必要があろうかと考えます。  肝心の法案の審議をしなければなりませんが、今回提案されておりますのは、公団で建てて、その住宅を外国人の万博関係従業員に一時的に貸すというのが内容のように伺います。これは先ほど労務者のなにの話がありましたが、これとは別の住宅建設であると理解しております。これは住宅公団がどの場所にいつごろ一体着工をされるのでありますか。それから八百何十人というのがありますが、二千というのは、これは延べですか、これは常時ですか。それから、それが八百二十戸かの住宅でまかなえるようになっておるのかどうかというようなことをちょっと御説明をいただきたい。
  94. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 今回の法律趣旨は、先生のおっしゃいましたとおりでございまして、公団が場所といたしましては、隣の千里ニュータウンの中に公団が従来から建てる計画を持っておりました公団住宅を建設いたしましてから、博覧会協会が一括それを借り受けるわけでございます。その戸数は八百戸でございます。八百戸で、収容人員は二千七百人で、この二千七百人といいますのは、当初の大体来年の十月ごろから外国従業員がこれに入居すると思いますが、当初はもちろん、それほど二千七百人満ぱいになることはなくて、たぶん、開催直前から会期の終わるまでの間が大体二千七百人くらいになるのではなかろうか。これはモントリオール等の諸外国の技術者、それから運営者あたりの動向を見ておりまして、日本の場合には、一応の予定としてそういうふうに見込んでおるわけでございます。したがいまして、二千七百人は大体開会中の常時の人員だろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。着工は大体この法案が通りますれば住宅公団のほうで実施設計をやる。おそらく秋口には建設にかかるであろうというふうに考えておるわけでございます。
  95. 椿繁夫

    椿繁夫君 なんですか、八月ごろに着工する……
  96. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) もう少しおそいかと思います。
  97. 椿繁夫

    椿繁夫君 場所は千里ニュータウンの中にすでに住宅公団が予定しておったところ。そこで来年の夏ごろに入ってくるだろうから、協会が一括これを借り受けて——それは八百幾らですか。
  98. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 八百戸です。
  99. 椿繁夫

    椿繁夫君 八百戸協会が一括これを借り受けて、そうして博覧会のある期間の間、外国人に協会が貸与をする。その開催期間中に予定されるのが二千七百人である。八百戸の中に収容するという考えですか。
  100. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) そうでございます。協会から外国従業員に貸与する場合には、若干改装したり、家具等を設置いたしまして、そういったコストを加算した適正な値段で外国従業員に貸すというふうなことになります。
  101. 椿繁夫

    椿繁夫君 これ、小さい話になってまことに恐縮ですが、外国がこの万博のために建物を建てる。でき上がれば半年間でこれは撤去をするということになっているのですが、地方団体との、固定資産税の関係とか、それから外国館や商社などが電話を引く、そのときのその電話の、国内じゃ公債を買うことになっておるのですが、そういう小さいいろいろ問題があると思うのですが、そういうことになりますと、いろいろ関係法律の整備ということが問題になると思いますが、これは法案の数どのくらいありますか。それから、いつごろどういうものが予想されますか。私がちょっと考えただけでもそういうものがちょっと予定されるのですが。
  102. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 先生おっしゃいましたように、今後解決していかなければならない問題は、外国からいろいろやってまいりまする職員あるいはその職員が事務をとる場所、こういったものにつきましての法人税関係、関税関係、それから、あとは地方税関係、いろいろ地方税関係でも、固定資産税もありますれば不動産取得税もある、電気ガス税といったようなものも、多々ございます。したがいまして、こういった関係につきましては、現在関係省庁間で万博推進対策本部におきまして検討を進めております。したがいまして、大体の基準といたしましては、モントリオールにおきましてカナダの国が諸外国に対して与えた待遇は、日本としても与えたいということを基準にいたしまして、現在各省間の折衝をいたしておるわけでございます。  それから先ほどの話で、電話債券でございますが、電話債券も、これも通常のままのでしたらば、もちろん債券を買わなければならないと思いますが、電信電話の設置に関する臨時措置法によりまして、特にこういう公共的なものであって、郵政大臣が必要と認めるものについては、これを免除することができるという規定がございまして、いまその範囲をどの程度にするかというふうなことで、話を郵政大臣との間でやっておりまして、大体の考え方といたしましては、営業地域までその免除を認めることは行き過ぎでなかろうか。しかし、通常の展示館といったようなものは、これはむしろそういう債券を買わせることは、招致をした関係上無理があろうというようなことで、大体方針としては一般的には免除だが、営業関係の電話については債券は買ってもらうというふうな考え方でいま話を進めておるわけでございます。  それで、あと法律となるわけでございますが、いろいろ各省間で話が煮詰まりますれば、地方税の改正問題、これはひとつどうしても出さざるを得なくなるだろう。あと、話の煮詰まり方にもよりますが、国税関係も場合によれば法律事項というふうなことになってくるかとも思っております。ただしかし、これも条約の相互主義というふうな考え方が全般的に貫かれてまいりますれば、必ずしも法律事項ではなくなるのじゃないかと思っておりますが、その辺の詰めがまだ若干残っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、そういった意味での地方税関係は、どうしてもこれは将来改正問題となって出てくるだろうと思うのでございます。それから、それ以外に予定される法案といたしましては、もう小さな形なんでございますが、いろいろ美術品として刀剣類を諸外国から持ってきて展示するという場合に、どうしても現行法ではちょっとそれの展示が困難だという解釈になりそうなんでございまして、そうしますと、この万博に展示するものについての刀剣類所持取締法の一部を改正せざるを得ないかというふうなことを考えております。それからさらに、記念硬貨を出すといたしますれば、百円未満の場合は、これは法律改正は要らないと思いますが、百円以上の場合には法律改正をするというふうなことになるので、これも法律事項になると思っております。  したがいまして、いまのところでは地方税関係は、これはどうしても出さざるを得ない。それから国税関係も話のつき方によって法律事項があるいは出てくるかもしれないという問題と、刀剣類と、それから通貨法の一部改正というふうに考えております。あとのいろいろな、固定資産税それから不動産取得税等は、現在の税法上、もしこれを免除するというときでも現行法で読めるという解釈になるようでございます。
  103. 椿繁夫

    椿繁夫君 きょうは、ほんとうは経済企画庁おいでいただいておればよかったのでありますけれども、先ほども申しますように、大臣、一日にピークのときには五万人も万博関係だけで人が集まる。そこへ入場者というようなことが考えられる。その場合の物価と、モントリオールでも相当な物価の値上がりを来たしたように聞いておりますが、物価の値上がり対策、それから一時期に資材の需要が集中いたしますので、資材値上がりに対する対策など、まだちょっともきょうは触れませんでしたが、総理も両院で特別委員会の設置をというようなことを言っておられますから、私も党に帰りまして相談の上、両院に特別委員会を設置していただくようなイニシアを党としてとりたい、その手続を踏みたいと、こう思っておりますが、物資あるいは資材の値上がり対策等について、万全を期せられるよう政府に強く要望しておきます。
  104. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御要望の趣旨は十分に承りました。この点については万遺憾なきを期してまいりたいと思います。
  105. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ちょっと速記をとめて。
  106. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
  107. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  108. 椿繁夫

    椿繁夫君 私は、上程されております日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に、日本社会党を代表して賛成の意を表したいと思います。ただ、本来でありますと、これは附帯決議でもつけて各位の御賛同をいただいた上に賛意を表したいと思ったのでありますけれども、その用意をいたしておりませんので、先刻来、総理大臣通産大臣万博当局から御説明をいただきましたことを確認しながら賛成の討論をいたしたいと、こう思います。  参加国がいまだ十分でない、さきに行なわれましたモントリオールの状況に照らしましても三十二カ国、一政庁ということでありましては、まだおくれが目立っておりますので、中国をはじめアジア諸国がこぞって参加のできるような招請活動を今後もねばり強く継続をしていただきたい、これが第一であります。  第二は、万博の建設工事自身もそうでありますと同様に、関連公共事業にもおくれが目立っておりますので、四十二年度、四十三年度の予算と大体同額のものが四十四年度一年間に集中される予算の額になっておりますので、そういうことになりますと、労務とか資材というものの需要が最後の一年の四十四年度に集中されるうらみがございますので、これはできるだけ政府におきまして建設省関係の道路整備などにつきましては予算の繰り上げ施工あるいは地方公共団体には低利長期にわたる起債のワクを広げるなどの措置をとられて、全体の工事に支障のないように特段の配慮を望んでおきたいと思います。  入場料金につきましては、先ほど総理も、私自身も八百五十円じゃちょっと高いというふうに思いますということでありましたから、博覧会協会当局をはじめ、特に政府は、大衆なり庶民になじまれるような方法を勘案していきたいということでありましたが、一回では見れないのですから、回数券あるいは夜間観覧料の大幅割引など、特に考慮されることを望んでおきます。  平和憲法を持つわが国が、未来の人類に向かって、原爆の被害をひとりわが国民と国とが受けたのでありますから、これを日本政府館の中に展示して、この「進歩と調和」というテーマに合うような展示をするということでありましたから、この点については従来からの主張でもありますし、心から賛意を表したいと思います。  物価問題につきましても、先ほど申し上げましたように、通産省だけでなく経済企画庁を中心に政府関係機関があげて一時期に一地方に需要が集中するのでありますから、物価、資材の高騰などについて万全の対策をとられるよう、重ねて要望しておきたいと思います。  ともあれ、こういう大きな事業をやっていきますのに政府の取り組みの態勢の弱いことは先ほども申し上げたとおりでありますが、専任大臣を置くなど事務関係の整備など一段と強化されまして、指導並びにその態勢の強化を衷心から望んでおきます。  以上をもちまして私の賛成討論といたします。
  109. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言はございませんか。——他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  110. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  111. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  112. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  113. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  114. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 鍋島長官並びに藤波局長さんに、本法案の審議に入る前に……。御承知のとおり連日委員会が開かれておりまして、朝と午後、法案が違ったりいたしまして、頭の切りかえもなかなかできませんし、勉強も調査も不十分で、質問があちらこちらに飛んで非常に御迷惑をかけるわけですが、その点御了解いただきたいと思うわけです。  ただいまからお尋ねいたしますが、その前に、きのう衆議院の科学特別委員会で長官出席のもとにいろいろと論議があったようでございますし、技術庁担当の新聞記者の皆さん方にもお話があったようで、けさ連絡を受けましたが、参議院でも取り上げて十分聞いてみてくれませんかという連絡がございましたが、衆議院でおやりになったものをここで二度蒸し返してもどうかと思いますので、深いお尋ねは避けますが、総体的にどういうことになっているかということを、法案の質問の前に、御説明をいただきたいと思うのです。どのくらいの程度のものか私はわかりませんけれども、大体放射能は、原潜が入ったことによって海中においては七四・五カウント、あるいは空中においては一四四五カウントという含有量がある。なお原潜は長期滞在の見込みである、こういう話でございますので、現地でもきわめて心配しているやに承っておりますから、まずその点を詳しく御説明していただきたいと思うわけです。
  115. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 御質問の佐世保のアメリカの原子力潜水艦の放射能検査測定におきまして異常なる値が出ましたことにつきまして、その概略を申し上げて、その後、きのうからきょうの状態まで簡単に申し上げたいと思います。  実は六日の午前中に、これは定測日でございまして、船を出してはかっておったわけでございます。佐世保には空中を測定しますいわばモニターが二基、常にこれは固定してございまして常時そのモニターをやっております、これは空中の。そのほかに海上保安庁に依頼いたしまして観測船を出しまして、入港時、出港時及びその中間というような形におきまして、実は水中と空中を、その観測船を船の周辺に回しまして、そうして観測をいたしているわけでございます。  ところが、五月六日の午前中の定例観測時におきまして、潜水艦がとまっております周辺を数回回っておりました中の三地点におきまして、水中及び空中におきまして、いわば平常でない異常な数値が測定をせられまして、ただいま言われましたように、量的には空中で一四四五、あるいは水中で七四・五、大体三地点の異常な数値は、十倍ないし二十倍前後の平常に比べての数値を示したのでございます。そのほかにたくさん調べておりますけれども、そこで、そういう状態の通知が六日の午後科学技術庁にまいりまして、そうしてこれについて検討を直ちに加えました。ただそれをやったその航跡の図面あるいは自動的に測定値を示すその図表等は、これはあとで速達で送ってございます。そこでその数字的な面から見ても、確かに異常であるということ。しかしながら、その数字の中に水中と水上と、私もよくわかりませんが、これは技術的な面じゃありません。   〔理事宮崎正雄君退席、理事高橋衛君着席〕 同じように十倍ずつというようなことは、なかなか理論的に、専門的に見れば、まあいわばないようなことであるというようなこともございます。そういったことから、どうも異常であるということで、再度調査を命じまして、その日の午後四時から五時ごろと思いますが、再度同じような調査をまた船を出して、モニターボートで調査を行なったわけでございます。その結果は全然異常がなかった次第でございます。さらに翌日の七日にも、さらに精密に行ないましてやりましたが、異常がございませんでした。  そこで、実を言いますと、この異常数値をもっと早く電送か何かで送る装置が従来あればよかったのですが、従来はそういうことはなくして、やはり速達で送るというような手配をして、もう送っちゃったあとに送れと言ってやりましたので、その原本が着いたのが実はきのうでございます。そこで昨日、それが着いたところですぐ検討を加えまして夜に及んだわけでございますが、これは従来二年ほど前にあった横須賀で起きたレーダーの異常数値の場面とは多少違う面があるのではないか。レーダーかもわからぬが、またそうでないかもわからないというようなことで、本日午後一時から専門の放射能関係学者の方々、約五名にお集まりをいただきまして、詳細なデータも着いておりますので、それによって、こういうことはどういうわけで起こったかという最終的な結論を実は出していただくように現在いたしております。  なお、念のため申し上げておきますが、十倍、二十倍というものの数値は、異常値ではございますけれども、まあ中共とかの核爆発の際に、異常なカウントが上がるというようなものよりもまだ低い程度でございまして、人体に対して影響があるというほどのものではない。もっとやはり千倍とか何とかにならなければ、一万倍ですか、一万倍前後になって、初めて人体に影響がある。しかし異常であることは事実でございますから、非常に注目をいたしたわけでございます。なお、その後外務省を通じまして、当方のデータを示して、これに対して思い当たることがないか、また、もしアメリカ側にデータがあれば、このデータを示してもらいたい、さらにきのう初めて聞いたことは、アメリカの潜水艦が事故修理のために、一、二日出航予定がおくれるということでございましたから、第三番目に、その事故修理といわれるものがどういうものであるか、原子力関係に特に関係ある部面であるのかないのか、そういう点を明確にひとつお聞かせを願いたいということを外務省を通じてアメリカ側に返事をいまこちらとしては願っておるわけでございますが、それらについての口頭的な返事はございますけれども、公式な返事はまだ来ていないわけでございます。  大体以上のようなことでございますので、出航までには臨時にでも再度厳重に調査をして、今後とも見守っていきたいというふうに考えております。
  116. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 重ねてお尋ねいたしますが、いま御答弁、御説明の中に、一万倍でなければ人体に影響ないというお説ですが、確かにそのとおりでしょうが、しかし、いつ瞬間にそうならないとも限らぬわけです。いまの長官の御答弁の中にございましたように、水中は七四・五、空中は一四五 ○近くあるわけですから、そうすると、同じ個所でも二十倍も違うのですね。それと同時に地上とも違うわけです。そうしますと、ある専門家の人にお尋ねすると、これは確かにソードフィッシュ号のほかにまだ船が入っているようですが、原潜であるか、ほかの船であるかわからないけれども、必ずそこだろうと明言している人もございますね。ですから、そういう点についてはお調べにならないのですか。
  117. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) ただいま長官から御説明したとおりでございますが、測定の方法は、潜水艦のまわりを潜水艦を中心といたしまして三十メートルの距離、その次には五十メートル、七十メートル、百メートル、百二十メートルというぐあいに、五回にわたりましてぐるぐる回りまして、空中並びに海水中の測定をいたすわけでございまして、いまお話の、ほかの船もいるという点は、あるいは現在潜水艦の修理をするためにエイジャックス号という工作船がすぐそのそばについているわけですが、それを言っておられるかとも存じますが、その船をも含めて、そのまわりをやっているわけでございます。そういう意味であれば、その両船を含めてのまわりを観測した、こういうことになろうかと思うわけでございます。それから数値につきまして、御質問に関連いたしまして若干補足いたしますと、一四四一、こういう数値は空間の数値でございまして、空間はガイガーカウンターという計器ではかりまして、その単位がCPM——一分間のカウント——という、こういうことで出ている数値でございます。これが通常でありますと大体五〇とか七〇とかいうオーダーのものでございます。そういう程度のものでございますから、それに比べると二十倍になっておる。ほかの二カ所での異常値では十倍になっております。それから三五とか八五が異常である、こう申しましたのは、これは海中の測定をシンチレーションカウンターという計器で扱った場合で、これは計器が違いまして単位はCPS——一秒当たりのカウント——をはかりまして、単位も違うのであります。一四〇〇台ではありませんで、違うのでありますけれども、この海水中の放射能は通常でありますと、四とか五とかという数値でございますので、三五ないし八五というのは十倍ないし二十倍である、こういうことを申しているのでございます。この計器は非常に鋭敏でございまして、非常に微細なこういう変化をもキャッチできるということでございまして、こういう検出ができるわけでございます。このオーダーは、たとえて比較して申しますと、たとえば中共での爆発等でところどころに落ちてまいります放射能を観測いたしますが、そういう場合にはこの約一四四〇という数値に対しますものが一万というようなオーダーのものがよく検出されるわけでございます。そういうものと比較していただきますと、まあ異常ではありますけれども、絶対値としては低いものであると、こういうことを先ほど長官が引用されたわけでございます。
  118. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私どもは、二十三年も前の話ですが、長崎とか広島で、同胞が原爆でやられたり、あるいはビキニ環礁で焼津から出港した第五福竜丸ですか、あれが死の灰ということで犠牲をこうむったりしておるものですから、特にその恐怖症になっておるかノイローゼになっておるか、心配しておるわけですが、あの数年前に原子力商船のサバンナ号ですか、世界で初めてだと記憶しておるのですが、サバンナ号ができて、世界各国を巡歴しましたね。巡航した。しかし、そういう問題は起こさなかったやに承っているわけです。ですから、しろうと考えに判断してみると、片や潜水艦で片や商船ですから、潜水艦のほうが堅牢無比、安全に高度にできておると、こう考えておったわけですよ。まあ寄港せぬにこしたことはないんで、ぼくも寄港絶対反対を言っているわけですが、万一、まあ佐世保で一万なければだいじょうぶだとおっしゃるわけですが、長く佐世保におられるわけでしょう、修理されるわけですからね。長く停船しておられるということになる。佐世保がだいじょうぶでも、佐世保を出て、あるいは朝鮮のほうに行くか、あるいはベトナムのほうに行くかわかりませんけれども、その航行途中で、その放射能をばらまいて歩いたら、これはたいへんなことになるのではないかと思うのですが、これは福竜丸で人間も犠牲になったけれども、あそこで収獲してきたマグロ等をみな海中に放棄したわけですから、それの瞬間にやられなくても、それを食用に供した人間がやられると、こういう結果になるのですから、これはたいへんなことになるんで、大体いつまであの原子力潜水艦は佐世保におるのかどうか。あるいはその事実がわかったときには、まあ外務省を通じておやりになるか、あるいは鍋島長官のところでおやりになるか、これはどこで処置を講じられるかわかりませんけれども、アメリカ政府とどういうことになるのかということをひとつお尋ねしておきたいわけですがね。
  119. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) アメリカ政府との申し合わせでは、出港のときは二十四時間前に通告があることになっております。現在までその通告を受けておりませんが、仄聞するところによりますと、何か、あさってあたり出港する予定があるやに聞いております。そうしますと、それが事実とすれば、間もなく、あしたの朝ぐらいには、その予定の通告がくるのではないかと存じております。二十四時間以前の通告を要求しておりますのは、私ども、出港のときは、特に念入りに、やはり先ほど申しましたモニタリングボートでその船の周辺並びに出て行く潜水艦のあとをつけまして、ずっと測定をしていくというのがルールになっておりますので、それの準備をする十分なる余裕を与えると、こういう意味で二十四時間以前の通告を要求しているわけでございます。入港時につきましても同様でございまして、従来、二十回余り入りました潜水艦の入港、出港にも、同様に行なわれてきたものでございます。
  120. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあソードフィッシュ号があさって出ていくやに承っておると。——そういうようなばく然としたものなんですかね。まあ韓国へいつたつのか、あさって出発するのじゃろうと、こういうような単純なものじゃ、藤波局長、ないのじゃないですか。少なくともあのぐらいの問題を起こして、国民感情まで険悪にしておるわけですからね、そういう無責任なことでは、ぼくは得心いかぬと思うのですね。いつ出ていくかわからぬと、新聞にはでかでかと当分停船じゃというようなことが出ておりますので、やはり早々と出ていってほしいという、やはり強いまあ外交交渉しなければならぬでしょうし、外務省には、皆さん方のところのように調査機関も、カウントをはかる機械もないでしょうから、現実の被害いかんということは、科学技術庁で調査になられたとしても、それはあなた方のほうと外務省のほうと密接なる連携をとって、一刻も早く佐世保出港を要求するのが筋じゃないですかね。その点はいかがですか。
  121. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 外務省を通じましてアメリカ側から現在受けております正式の通告は、原子力潜水艦の故障修理のために数日さらに停泊をすると、こういうことでございます。さらにそれは原子炉とは関係のない故障の修理であるということをつけ加えての、そういう、さらに数日停泊をするという通告はさきに受け取っております。なお、先ほど申しましたように、従来の慣例といたしまして、最後の出港時の時刻の正式通知というのは、二十四時間前にくることになっておりますので、その二十四時間前の通告をもって正式通告と実はわれわれ心得ておるわけでございます。それまでの話は、いずれも予定見込みというぐあいに解釈しております。その意味で、先ほど私あさってのことは、そういう話を聞いておると、こういう程度に申し上げたわけでございます。
  122. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 平易なことばでお尋ねすると、二十四時間前に通告することになって、そういう取りきめがあるのだから、二十四時間以前のことは全然日本政府にはどうすることもできない。君は一体いつ出発するのだと言うこともできないし、もう三日もおると言ったら、きょう出ていってくれという話もできないし、二十四時間前に、二十四時間後の何時何分に出ていきますと、ああそうですかと、まあこういうことなんですね、平易なことばで、美言麗句を使わぬでお尋ねすると。それから出ていくあとをつけていきますと言うても、これは幾ら——一五〇〇あるか三〇〇〇あるか、調査するだけであって、大体どのくらい被害があるかという力のある船がついていくわけじゃないわけでしょう。海上保安庁の船が行くか、あるいは海上自衛隊の船がお供して、皆さん方が依頼なさった学者か、あるいはその他の人が乗り込んでいってどうするということじゃないわけでしょう。そういうことなんですか。
  123. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 今度の異常放射能の発見に関連をいたしまして、早く出ていってくれという申し入ればいたしておらないわけでございます。と申しますのは、この異常放射能がまだわれわれ、潜水艦から流れ出した放射能と判断するには相当疑問の余地がございまして、先ほど来申し上げておりますように、現在検討中でありますのと、まあこの数値が非常に危険視すべき程度のレベルであればともかく、そうでないことと、それからその後の調査によりまして、ずっともう平常時と変わらない状態であることがわかりましたので、   〔理事高橋衛君退席、委員長着席〕 そのために早く出ていってほしいという申し入ればいたしておりません。もちろん、外務省に対しましては、異常が発見されました直後に、その後の事情、状況の発展いかんによっては、ひとつアメリカ側に何らかの処置を申し入れなきゃならぬかもしれないから、その心がまえだけは、態勢だけはしいてくれ、こういう申し入ればいたしましたが、その後の調査によりまして、異常は平常どおりに戻りましたので、いま申し上げましたように、そのために早く出て行ってほしいということは、こういうことは申し入れておりません。
  124. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 藤波局長さんは、昨晩新聞記者にねじ込まれたから、きょうは全く低姿勢ですが、そもそも自信あるような、ないような御答弁ですがね。私、何もその科学技術庁でやってくださいと言っているんじゃないですよ。調べるのはおたくのほうですが、三木さんの外務省を通じておやりになったらどうですかと、こう申し上げているのですよ。しかしあなたのほうで、なるほど原因が明確にならぬうちに、君のところであろうということで、潜水艦出て行けと言うのも、これなかなか困難でしょうけれども、しかし、一万にならなきゃ人体は安全であるというような感覚でものごとを処理せられたんじゃたまったもんじゃないです。一万だったら、三千くらいになったら危険区域で、七千になったらたいへんなことになる。いま一分間空中は一四四〇、海中は秒間ですね、七四・五ですか、ですからあれですがね。あなたとここで論争しているうち上がってるかもしれませんよ。上がっておらぬとあなたも言えぬでしょう。ぼくもそう言えぬ。確証がありませんからね。現地へ行って見ておらぬわけですから。しかし、もう少し自信がある御答弁、こういう処置をするんだという一言だけ聞けば、ぼくはいいわけです。あなたの責任でも何でもないわけですから、外務省にやっていただかなきゃならぬわけですからね。そこあたり確信ある御答弁をひとついただきたいわけなんですがね。
  125. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 出航問題につきましては、外務省を通じ、あるいは別途公式ではございませんけれども、あるいは佐世保市も向こうのアメリカ軍当局に対してそれぞれ問い合わせておられるようでございます。それで、大体明後日ですから、あさっての午前中出航する予定であるというようなことは、大体われわれも一応聞いております。聞いておりますが、これが正確に、いわゆる外交文書といいますか、公式なものとしては二十四時間前にアメリカが通知するということですから、あしたの午前中くらいには、その予定であれば通知してくるのではなかろうかというふうに想定するわけで、その間にいろいろ何もしなくて、その二十四時間前を待っておるというわけではございません。非公式にはそれぞれいろいろ話し合いなり何なり情報はとっておるわけでございます。したがいまして、まあ一応そういうこともありますが、現におりますので、いわゆるモニタリングポストは常置して警戒にあたっておりますから、さらにそのデータを見ながら、そして一方においてそこで得たデータというものを十分分析して、その原因を突きとめるべく実はきょう午後から、いろいろ資料がそろいましたのでやっておるわけでございまして、最善の努力をして不安を与えないようにしてまいりたいと考えております。
  126. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これ以上その点についてお尋ねいたしませんが、さいぜん申し上げましたとおり、私どもは原子力というと、すぐ二十数年前のことを連想するものですからね、やはりこの際、こういう問題については、確かに長官のおっしゃるとおりで、これは別に人間に危害を与えないかもしれませんけれども、しかし、こういうことを一般国民が新聞なり、あるいはラジオ等によって承ると、皆さん方のお仕事は、これは常識的な話ですが、非常にやりにくくなると思うんですよ。原子力発電所を持っていくといっても、なかなかこれは土地を売ってくれない。供出しない。原子燃料再処理のための船をつくって運ぼうといっても港を貸さない、こういういろいろの問題が起きるであろうと想像されるわけなんで、そういう点については、やはりこういう問題が起きたときに、外交問題は三木さんのところに持っていくとしても、やはり技術は一切皆さん方のところであげて責任を負っておるわけですから、確たる処置を今後お願いしたいということです。  次に、本法律案の中味についてお尋ねいたしますが、いろいろ加工の規制について三つに分けて提案をいただいておるわけなんですが、いますでに加工をやっているところと、もし加工をやっているところがあったとすると、いずこで、どれくらいの加工をやって、いかなる方法で……。これと同じようなことでしょうが、やはり規制その他行政指導なり監督をやっておられるか、その点をまず第一点お尋ねいたします。
  127. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) まずお尋ねの第一点の、どういうところで核燃料の加工をやるかということでございますが、現在加工の事業を計画をして申請がなされておりますところは、三菱原子力工業、三菱金属鉱業、日本ニュークリア・フュエル、それから古河電気工業、住友金属鉱山、住友電気工業、この六つでございます。これらにつきましての許認可の規制は、ただいま御審議願っております原子炉等規制法によりまして、私ども科学技術庁が規制をいたすことにいたしております。
  128. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、個所はわかりましたが、現在やっているところと、それから量をお知らせ願いたいわけですがね。皆さん方の原子力局で出して、きょういただいた参考書によりますと、昭和五十年に五百トン程度ということが載っておりますが、現在はどのくらいなんですか。
  129. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 現在はまだ先ほど申し上げました六つのところが申請を出してきている段階でございまして、まだ事業を始めておるところはないわけでございます。いずれも将来の生産計画になっておるわけでございます。ただいま御引用になりました昭和五十年までに五百トンという数字は、あるいはこういう数字じゃないかと思いますが、原子力委員会が長期計画にのせております今後の原子力発電所の建設規模は、昭和五十年までに約六百万キロワット、それから昭和六十年までに三千万ないし四千万キロワット、こういう発電計画を考えておるわけですが、その計画によりますと、昭和五十年までに約五百トンの低濃縮ウランが必要である、こういうことになっておるわけでございます。その五百トンであろうと存じますが、それらにつきましては、先ほど申しました六社、これが全部許可になるかどうかわかりませんが、主としてこういう需要者が、今後外国から原料を入れまして、その原料をもとにしましてつくり上げていく、こういうことになると思います。
  130. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 この資料、これも技術庁からいただいておる資料ですが、本格的な加工事業が行なわれている、その分を読ましていただくと、五十年は五百トン程度、五十五年には一千万程度、昭和六十年——これ十年計画でしょうから、そういうように段階を経てトン数を予定しておるわけですね。そうすると、これをずっと何冊かの参考資料と文献を合わせていただくと、現在はどのくらいにできておって、そしてだんだん量産されていくから、したがって、こういう規制の規定を設けて安全を期するのであるというように私は判断している。そうすると、いまの御答弁をこう解釈していいわけですか。現在ではまだ現実的に加工はされておらないと。したがって、たとえば東海村あるいは原子力発電所、大学その他で研究に使ったり、現実に発電を起こしておるところの燃料は、一切最終製品をアメリカなりあるいはイギリスに求めておると、こういうように理解してもいいわけですか。
  131. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 大体そのようにお考えになっていただいてけっこうだと思います。ただ例外的に、研究用の小規模の研究炉等に使います燃料は、試作的にわが国の会社でつくっているものもございますから、いまお話に出ました東海村の原子炉でありますとか、あるいは関電、東電等でこれからつくり上げていく原子炉につきましても、その最初の装入燃料というものは、最終製品を外国から入れると、こういう考え方になっております。その後のものを日本のこれからの加工事業者が生産を企図しておるわけであります。
  132. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、完全な原料でなしに、鉱石を持ってきて日本で加工するわけですからね、結局、やはり研究所で研究し、かつ結論を出し、やはり加工の決定なりいろいろな膨大な、機構と人員が必要となってくるであろうということが想像されるわけですが、そういう機構とかあるいはそういう場所とか、そういうような予算とか、科学技術庁の予算を見ると、三二%ですか、増額したというような予算書いただいておるわけですがね、具体的に御説明をいただきたいわけです。
  133. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) いままで原子力予算によりまして、国内の原子燃料の加工技術育成のために補助金等を出しまして、先ほど申し上げましたような現在申請を出しております各社におきましては、基礎研究は相当この十年来進んできてまいっております。その上にアメリカ等の燃料加工業者と技術提携をいたしまして、そういうものをもとにいたしまして、工場の建設計画を立て、今後の生産計画を立てておるわけでございます。工場建設資金の大体の規模を申し上げてみますと、各社とも大体二十億、大きいところで二十億程度、まあ品種によりましては数億程度と、こういった程度の建設資金を考えているようでございます。これらはすべて各社が主として自主的に調達すると、こういうことになろうかと思います。したがいまして、大体こういう計画は特別の国家資金の投入というようなことはなくても、間接的な援助で十分やっていけるものと考えております。
  134. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 前回の委員会で鍋島長官に、この燃料をつくる場所は一カ所でおやりになったらいかがですかと、各社で話し合ってやってもなかなか経費もかかるし困難でしょうという意見やら質問を合わせて申し上げましたところが、なかなかこれ困難であるということが長官の御答弁でしたがね、たとえばタンタライトとかゼノタイムですか、この原料物質ですね、これをさいぜん長官の答弁された各社に分散して燃料をおつくりになるということになると、そちらで全部——まあどこでやるかわかりませんけれども、出張して検査なり検定なり許可なりをするんですか。それとも一カ所へ集合して各社一堂に会して製作するわけですか、そういう運用の面はどういうことになるんですか。
  135. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 最初お尋ねのゼノタイムとかタンタライトというものの処理をする工場は、いまここでわれわれ言っております核燃料の加工事業ではない、その範疇ではないと考えております。いま申し上げております核燃料の加工事業と申しますのは、原子力発電所だとか、あるいは原子力研究所の材料試験でありますとか、そういうものの中に入れる燃料を加工する事業を言っておりまして、ゼノタイム、タンタライト等を処理する工場は、一般の化学工場の一部でございまして、ウランを含む鉱石は使いますけれども、主たる目的は特殊金属を抽出いたしまして、一般の工業に使用する、こういう性格の工場でありますので、加工事業とは別に考えております。  それからもう一つ、その安全規制等につきましては、工場ごとに計画的に規制法に基づきまして許可をし、設計、工事方法の認可をし、さらに精細な検査をしていく、こういう形でやっていきたいと考えております。
  136. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 御提案を直訳で完全に理解しておらぬかもわからぬけれども、本法の改正の要点ですね、第一、第二、第三——第三のこの改正の目的の一つに、タンタライト、ゼノタイム、これをやるのである。総理大臣にその旨を届け出て、「総理府令で定める技術上の基準に従わなければならない」こう言って提案しているのです。これがいまの提案の理由の三本の柱の一つであります。それが違いますというようなことだったら、ぼくの理解の不足か、それともあなた方のオーバー御提案かどちらかですよ。
  137. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) それは両方あるわけでございまして、ここに御提案しておりますのは、加工事業の規制の整備、それからタンタライト、ゼノタイムのようなものの規制、いずれも今回審議をお願いしております法律改正案の内容の一部でございまして、ゼノタイム、タンタライト等は、いま申し上げましたように加工事業の範疇には入りませんので、別途の規制をしなければならないというわけで、そういうものにつきましては、核原料物質の届け出制並びに技術基準の順守義務という形で規制をしていこう、こういうのが御提案申し上げておる趣旨でございます。
  138. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ですからタンタライト、ゼノタイムは、三本の柱の中に入っているのですよ。あなたは入っておらぬと答弁するけれども、もし入っておらぬとすれば、私の解釈が誤りなのかどうなのか。あなたのほうでオーバーな提案で、一つ、二つ、三つ提案しているのですから。ですから、どちらがほんとうか。
  139. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 一、二、三あります第二が加工事業に関するものでございまして、第三に書いてありますのが、ゼノタイム、タンタライト等を対象にいたしております規制でございます。ゼノタイム、タンタライト等を処理する工場では、ウランやトリウムを含む核原料物質を使用いたしますけれども、その使用は核燃料体をつくるという目的でございませんで、電子部品でありますとか合金鉄の添加剤でありますとか、そういう特殊の元素を抽出する工業でございます。そういう工場を規制するのが、いまおっしゃいました第三番目の柱になるわけでございまして、その両方とも今回の改正でお願いをしたい、こういうことでございます。
  140. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 両方でない。三つあるわけです。ぼくは三つの点について聞いたらそれはそうです、二の点について聞いたら二はああそうです、一を聞いたら一を答弁すればいいじゃないですか。私、三番目を聞いたら、それは違います。二です。——イを聞いたらロを答弁する、そんなばかな話ありませんよ。イを聞いたらイの場合を答弁すればぼくは理解するのです。ぼくは別にあなたの答弁のあげ足をとるわけじゃありませんけれども、一、二、三を聞いているわけですから。明確に書いてある、何とぞすみやかに御賛同してくれと最後に書いてあります。そういうことなんで、ぼくは何も原子力局長のことばじりをとらえるつもりはございませんけれども、私もまだ劈頭申し上げましたとおり、十分勉強もしておりませんし、局長さんのほうでももう一度提案をごらんになっていただいて……。  本日はこの程度にとどめて、委員長にお願いしますが、次回の委員会で十分質疑応答をさしていただきたい。
  141. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。
  142. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本案の質疑は、本日のところ、この程度はいたしたいと存じます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十三分散会      —————・—————