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1968-04-25 第58回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十五日(木曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     八木 一郎君      向井 長年君     片山 武夫君  四月二十四日     辞任         補欠選任      杉原 荒太君     近藤英一郎君      八木 一郎君     土屋 義彦君      沢田 政治君     椿  繁夫君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          金丸 冨夫君    理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君    委 員                 上原 正吉君                 近藤英一郎君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 片山 武夫君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  鍋島 直紹君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        北海道開発庁主        幹        海原 公輝君        経済企画庁調整        局長       赤澤 璋一君        科学技術庁政務        次官       天野 光晴君        科学技術庁長官        官房長      馬場 一也君        科学技術庁原子        力局長      藤波 恒雄君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        通商産業省化学        工業局長     吉光  久君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○海外経済協力基金法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○割賦販売法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○砂利採取法案内閣送付予備審査) ○北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律  案(内閣送付予備審査) ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、杉原荒太君及び沢田政治君が辞任され、その補欠として近藤英一郎君及び椿繁夫君が選任せられました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い理事に一名の欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  4. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認め、理事土屋義彦君を指名いたします。     —————————————
  5. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取します。宮澤経済企画庁長官
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題になりました海外経済協力基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  海外経済協力基金は、東南アジア等開発途上にある地域における産業開発事業に関し、必要な資金貸し付けまたは出資その他海外経済協力促進に必要な業務を行なうために設立されました全額政府出資特殊法人でありまして、昭和三十六年に発足して以来、その投融資は、漸次増大し、開発途上国における産業開発に重要な役割りを果たしていることは御承知のとおりであります。  しかしながら最近これらの地域の一部の国においては、外貨不足、著しいインフレ高進等により経済の安定がそこなわれるおそれが生じており、このような国は、経済の安定のために緊要とされる物資輸入に必要な資金供給を強く望んでおります。  一方、わが国といたしましても、こうした要請にこたえることが、わが国経済協力の実をあげるためにきわめて重要であると考えられますので、この際、基金業務範囲を従来の開発事業への貸し付け等のほかに、このような資金供給にまで拡大することが必要であると考えまして、今回の改正案をいたしたのであります。  次に、改正案内容について申し上げます。  改正の第一点は、基金業務範囲拡大であります。先ほど申し上げましたような趣旨から、東南アジア等地域経済の安定に寄与するため緊要と認められる本邦からの物資輸入につき、基金がこれらの地域政府等に対して必要な資金貸し付けることができるよう目的及び業務範囲を広げることとした次第であります。  改正の第二点は、以上のような基金業務範囲拡大に伴いまして、その事務の一部の委託先を従来の日本輸出入銀行のほかに、一般銀行にまで広げることができることとした次第であります。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御可決されるようお願いいたします。     —————————————
  7. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、割賦販売法の一部を改正する法律案及び砂利採取法案の両案を一括して議題といたします。  政府から両案の提案理由説明を聴取いたします。熊谷通商産業政務次官
  8. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) 割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  近年、一般消費者耐久消費財等を購入するにあたって割賦販売制度が広く利用されつつありますが、このような割賦販売の一形態として、商品の引き渡しを受ける前に商品の代金を積み立てる、いわゆる前払い式割賦販売制度があります。この制度は、ミシン、手編み機家庭用電気製品等を中心として、毎年急速な伸びを見せており、契約口数は約一千万口、消費者からの前受け金残高は約五百八十億円の規模に達しております。  以上のように、この制度の普及には著しいものがありますが、その反面、前払い式割賦販売業者倒産により購入者が不測の損害をこうむる事例が発生しており、さらに契約解除の際の返還金の支払いが遅延する等、前払い式割賦販売業者購入者との紛争も相当多く起きております。  現行割賦販売法におきましても、購入者保護のため、前払い式割賦販売業に対する規制措置を講じておりますが、さきに述べましたような事態に対しては十分でない状況にあります。このため、政府としては、消費者保護強化する見地から、割賦販売法改正を行なうことが必要であると判断し、割賦販売審議会の答申の趣旨に即してこの法律案を取りまとめ、今国会に提案した次第であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一の改正点は、前払い式割賦販売業許可制としたことであります。現行法におきましては登録制がとられておりますが、前払い式割賦販売業を健全に営む資質を有する者にのみ営業を認めることとするため、登録制許可制に改めるとともに、その要件を強化し、前払い式割賦販売業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること、とかく紛争の原因となる前払い式割賦販売契約約款購入者保護のための一定基準に適合していることを許可基準として追加することとしております。  第二の改正点は、前払い式割賦販売業者供託義務強化し、購入者の債権の保護強化したことであります。すなわち、前払い式割賦販売業者は、購入者から受け取っている前受け金残高の三分の一に相当する額を、購入者への優先弁済のための営業保証金として、供託しなければならないこととしております。なお、このような供託義務強化を急激に行なうことの影響を考慮し、所要経過措置を講じております。  第三の改正点は、前払い式割賦販売業に対する監督強化したことであります。購入者保護に万全を期するためには、倒産等事態に立ち至らないよう、事前に財産状況につき監督を行なうとともに、購入者との間に紛争が発生しないよう約款その他業務運営方法につき監督を行なう必要がありますので、財産状況及び業務運営についての改善命令約款変更命令等規定を設けております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。     ————————————— 引き続きまして、砂利採取法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年における土木建築工事の急速な増大に伴い、いわゆる骨材需要は年々大幅な増加を示し、昭和四十二年度には約四億五千万トンに達するに至っております。この間、骨材供給の大宗を占める砂利生産拡大を続け、これとともに、砂利採取に伴う災害が各地に頻発して大きな社会問題となっております。  とくに最近におきましては、いわゆる山砂利陸砂利採取が増大し、これに伴う災害が激増しておりますが、山砂利陸砂利採取には、その規模が大きなものが多く、このため災害規模及びその与える影響も従来に比し、大きく、かつ、深刻なものとなっております。  このような砂利採取に伴う災害に対しましては、現在砂利採取法等運用によりその防止につとめてきておりますが、何ぶんにも同法は昭和三十一年に制定されたものであり、その内容砂利採取についての事後届け出制をとっているなど、最近の砂利採取に伴う災害には十分に対処し得ないものとなってきております。  このような実情にかんがみ、この際新法を制定し、砂利採取に対する規制を抜本的に強化することにより、砂利採取に伴う災害防止をはからんとする次第であります。  次に本法案概要を御説明申し上げます。  第一は、砂利採取業につきまして登録制度を確立することであります。  すなわち、砂利採取業を行なおうとする者は、通商産業大臣または都道府県知事登録を受けなければならないものとし、その登録を受けるにあたっては、一定資格試験に合格した砂利採取業務主任者を置かなければならないこととしております。  この資格試験は、災害防止に必要な知識及び技能について行ない、これにより砂利採取業者災害防止のための技術的な能力を確保し、あわせて自主的な災害防止体制を確立したいと考えております。  第二は、砂利採取計画認可制度の実施であります。すなわち、登録を受けた砂利採取業者は、個々の採取場ごと採取計画を定め、山砂利陸砂利等については都道府県知事の、河川砂利については河川管理者認可を受けなければならないことといたしております。  この採取計画には、砂利採取量採取方法災害防止措置等を詳細に定めさせることとしており、この場合において、都道府県知事または河川管理者は、当該採取計画にかかる砂利採取に伴い災害が発生するおそれがあると認めるときは、その認可をしてはならないこととしております。  以上の措置により、今後は、未然に砂利採取に伴う災害防止し得る体制が確立されるものと確信いたしております。  第三は、砂利採取業者に対する各種命令措置強化をはかっていることであります。  まず、都道府県知事または河川管理者は、認可をした採取計画変更命令を発動できることとし、採取場状況変化等認可時に予測できない事情変更に伴う災害の発生に対処することとしております。  次に、災害防止のため緊急に必要があると認められるときは、直ちに災害防止措置を講じさせることを内容とする緊急措置命令を発動できることとし、必要があれば事業の一時停止をも命ずることができることといたしております。  さらに、本法に違反して砂利採取を行なっている者に対しては、罰則による制裁と同時に、採取あとの埋め戻しなどの措置を講じさせることといたしておりますが、これら各種命令措置強化により、砂利採取業者登録制採取計画認可制と相まって、砂利採取に伴う災害防止のため万全を期しております。  なお、このほか、砂利採取場に標識の設置を義務づける規定及び砂利採取に伴う災害に密接な利害関係を有する関係市町村の意見を反映させるための規定を設けるとともに、一元的な取り締まり体制のもとに砂利採取に伴う災害防止をはかるための所要規定の整備をはかることといたしております。  これが、この法律案提案理由及びその要旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  9. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。木村北海道開発庁長官
  10. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) ただいま議題となりました北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  北海道地下資源開発株式会社は、昭和三十三年、北海道地下資源開発促進する国策会社として設立され、今日まで、鋭意探鉱に努力してきたものであります。  すなわち、北海道に豊富に埋蔵されている地下資源開発することは、北海道開発、ひいては国民経済発展のために必要欠くべからざるものでありますが、同社の設立当時は北海道においては、いまだ十分な探鉱活動が行なわれておらず、また民間試錐事業もおくれていたため、国策として同社にこれら事業を行なわせる必要があったのであります。  しかしながら、その後、全国的規模において各種探鉱促進策が実施され、民間における試錘事業の発達と相まって、民間における探鉱活動が漸次活発となってきたのに対し、同社事業は、国策的事業たる自主探鉱を含め、必ずしも所期の効果をあげることができなかったのであります。  このような諸事情を勘案しますと、同社現行のまま存続していくことが困難と考えられるに至りました。  さらに一方、特殊法人の整理再編成の方針が打ち出され、これによって同会社民間企業に改組することが決定されました。  よって、ここに北海道地下資源開発株式会社法を廃止することとしたものであります。  次に、この法律案内容でありますが、同法律案北海道地下資源開発株式会社法を廃止することを内容とし、そのほかに関連して必要となる若干の経過規定及び関連法律の一部改正規定を附則に置いております。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  11. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいま説明を聴取いたました四案の自後の審査は、これを後日に譲ることにいたします。     —————————————
  12. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、先般趣旨説明をすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入りたいと存じます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  13. 竹田現照

    竹田現照君 この改正案の中で、特に加工事業が本格化してきたための改正案でありますから、最初加工事業について若干御質問したい。条文の中の十四条に、「その許可をすることによって加工能力が著しく過大にならないこと。」、こういうことがありますけれども、これはどういう意味ですか。これを最初に。
  14. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お答え申し上げます。  お話のように、原子力規制法に十四条が許可条件としてございまして、それには技術的、経理的基礎があることと、平和目的に限られるべきこと、あるいは原子炉計画的開発、利用に支障がないことという許可条件のほかに、お話のように、その許可をすることによって加工施設が著しく過大にならないという条件があるのでございます。これは著しく過大になった場合に、国民的、経済的な損失のみならず、過当競争によりまして、これが品質の低下、ひいては安全確保上にも支障があるというようなことが起こりましてはいけませんので、著しく需要に対して過大な生産設備というものをチェックする、こういう趣旨からきたものと考えております。
  15. 竹田現照

    竹田現照君 これはあと関連をしますから。  それで、この加工事業というのはたいへん需要先がきまっているものですから、注文生産のような色彩が非常に濃くなってくると思いますけれども、そこで、将来の需要増というものを見込んでというよりは、どこの原子炉にはどこの燃料なんだ、こういうようなことになっていて、常に需要先と一体とならなければ許可をされない、許可を受けられない、あるいはその事業も成り立たない、そういうようなことになるんではないかと思いますけれども、そういうことはどういうことになりますか。
  16. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いま竹田委員から言われましたような状態は、ある場合によっては、当初この発足をいたしております現段階においては、あるいはそういうことがあり得るかと思います。しかしながら今後におきまして、先進国等の例を見ましても、また日本における発電事業等がどんどん進歩いたしまして、計画によれば御承知のとおり昭和五十年には大体六百万キロワット、しかも原子炉基数は十数基、あるいはさらに進んで十年後には三千万ないし四千万キロワット、その基数相当数にのぼるわけでございます。そういう時代になりますと、いわゆる加工業者それ自体も、いわば一本立ちによって、そういった提携とか、あるいは特殊な形において結びつけられるというか、加工業者とそれから原子炉発電所と、そういう形よりか、加工業者独立、いわゆる燃料産業メーカー独立というような形になっていくかと思います。したがいまして、加工事業許可につきましても、原子炉メーカーから独立して、何といいますか、受けるというふうにコネ等は決してつけていないわけでございます。当初におきましては、あるいはそういうことがあり得るのではなかろうか、しかし、だんだんと発展するに従ってそういう事態はなくなっていくのではなかろうかというふうに考えます。
  17. 竹田現照

    竹田現照君 当初はあり得るというお答えですけれども、現実は外国の原子炉メーカー、特にアメリカ提携をしていかなければ成り立っていっていないことは事実なんですね。そういうことになると、科学技術庁担当官も言っておるように、あまりにもいまの日本アメリカとの技術の格差が大き過ぎる、その結果自主性を失う、ですから第二の石油産業になる危険性が出てくる、そういうような心配も述べられておるわけですね、技術庁の担当官自体が。ですからいまの御答弁のようにこの加工事業自主的産業育成をしていくために、科学技術庁としてはどんな方針をとられるのか、もう少し具体的にお答えいただきたいと思う。
  18. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いま言われたとおりだと思います。したがって、どうしても日本におきまして加工事業の自主的な開発国産化ということを推進しなければなりません。それには現在ある、あるいは希望している各加工事業に対しまして、一方においては技術研究、そのほか、そういった点を十分認識といいますか、勉強をしていただくように、原研なり動燃からも全力をあげてその技術を注入して、そうして自主技術の確立ということに、資金的な面からも技術的な面からもこれを進めていく方策をとらざるを得ないと思います。これは国としてやっていかざるを得ないと思います。なお現段階におきましては、御承知のとおりアメリカそのほかのものが進んでおりますし、ノーハウ等の問題もございますし、そういう点からも現段階においてはこれは多少依存するということもやむを得ないかと思いますけれども、今後における方針は、あくまで自主技術開発という形で進めてまいりたいと思います。
  19. 竹田現照

    竹田現照君 やむを得ないと言いますけれども、その見通しというのはいつごろに置かれているのか。
  20. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お答え申し上げます。  お説のとおり原子燃料原子炉の設計と相当密接な関係がございますので、最初の装入する燃料原子炉性能保証等関係もございまして、原子炉メーカー供給する燃料を入れることを条件とされる場合が多いわけでございまして、現在日本電力会社で各所で行なわれております原子炉につきましてもそのようになっておるわけでございますが、しかしながら将来に備えまして、すでに国内メーカーにおきましては燃料製作技術につきまして、先進国技術を導入をいたしまして工場を建設する計画を持っておるわけでございまして、それらの計画許可されまして予定どおり進行いたしました暁におきましては、取りかえ燃料につきましては、できるだけ早期にそれらの国内工場でできます燃料体を装入するという計画で現に進んでおるのでございます。なお将来におきましては、ただいま長官からもお話し申し上げましたように、日本独自の改良をも加えまして、でき得べくんば輸出産業にまで持っていく目標で進めるべきものとわれわれ考えておるわけであります。で、国の助成策につきましては、いままでにももうすでに数年にわたりまして、各メーカー基礎研究用補助金も出して育成してまいっておりますが、今後具体的事業段階になりますれば、開発銀行からの融資でありますとか、その他できるだけの援助措置を講じて育成につとめてまいりたいと、こう考えております。
  21. 竹田現照

    竹田現照君 私の聞いたのは、そういうような手だてをされながら、なおかつ国内自主産業として一本立ちできるといいますか、そういうような目安というものは大体何年ごろに置かれておるのか。
  22. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 具体的に申し上げますと、現在、東京電力あるいは関西電力で福島あるいは美浜というところに原子力発電所を建設しておるわけでございますが、それらがいずれも昭和四十五年に動き出すわけでございます。最初燃料につきましては、ただいま申し上げましたように、アメリカからの供給によるものを入れるわけでございますが、その次の取りかえ燃料、したがいまして昭和四十七年ごろになりますと、ただいま申し上げましたような工場でできます国産燃料を装入したい、こういうぐあいに考えております。
  23. 竹田現照

    竹田現照君 四十七年ごろにそうなるとすると、それはなるべく、そういう燃料というものは安く提供する、供給するという立場から、競争市場というようなものをつくってそういうことを実現をさせると、そういうようなお考え方は役所のほうにあるのですか。
  24. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) ただいま申請されております国内加工事業計画は、現在六件ございます。ただ、その中でいろいろ各社によりましてその受け持つ分担分野各社の特徴を生かしておりますので、六社がすべて全部の範囲をカバーするわけではございません。しかしながら、一社が独占するということにつきましては問題もあろうかと思いますので、先ほど最初に御質問のございました許可基準の中の、著しく過剰にならないことという基準運用につきましても、その点も考慮しまして、適正な競争によります、何と申しますか、事業の適正な発展ということも考えながらやっていかなければならないものと考えております。
  25. 竹田現照

    竹田現照君 その会社関係のことは後ほどちょっと触れますが、国内供給ができるように一本立ちができると、こういう見通しについてお答えがありましたけれども、いま日米間の関係からいって、外国の原子力メーカーというのは、自分のところの核燃料を使わなければその原子炉の性能を保証しないと、そういうような方針であるというようなことも聞いておりますが、そうなってくると、国内の自主独立というか、そういうようなことはそこなわれる心配があるわけですけれども、そういうことは起こり得ないのですか、外国メーカーとの間に、今の関係から。
  26. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 原子燃料の場合は、先ほども申し上げましたように、原子炉自体の設計と、中に入れます燃料体の設計とは、非常に緊密な関係がございます。そういう観点から申しまして、外国から輸入した炉でありましても、また国内でつくります炉の場合でも同様でございますけれども、いずれも当初の性能保証をするにつきましては、その炉のメーカーから出される条件を、燃料体が満足しておるべきことが要求されるのでございます。これは国産の炉であろうと外国産の炉であろうと、それは同様でございます。したがいまして、いまお話しのように、現実には外国から入れる炉が建設されておるのでございますので、外国の炉メーカーから出されるスペック——仕様書に合った炉であり、かつそのメーカーが検査をしてよろしいという燃料でなければ性能保証はいたしかねると、こういうのが現実でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、だんだん技術発展し、定型化してまいりますと、取りかえ燃料につきましては、もちろんそのメーカーから出された最初のスペックがもとにはなりましょうけれども、そういうものを土台にしてつくられました国内生産燃料でもユーザーが安心して使える時期になれば、炉の供給者たるメーカーに、いつまでもそのひもつきになるという形はなくなってまいると思います。それからさらに先に進みますと、これはすでにアメリカでは一つの例が出てまいっておりますけれども、炉メーカーとは独立した燃料専門メーカーというのができてまいりまして、そういう燃料専門メーカーが、各種の炉、すなわちいろいろなところでつくった炉に使う燃料供給をするという時代もまいるのではないかと考えておる次第でございます。
  27. 竹田現照

    竹田現照君 それはアメリカでは専門メーカーができているかもしれませんけれども、日本の場合はどうなっているのですか。先ほどからお尋ねしているように、現実が現実ですから、そのことを乗り越えて、いわゆる国産燃料がどの炉にでも、いまお答えになったように、燃料専門メーカーはどこにでも合うのだ、どこにでも供給できる、そういうようなことが実際問題としてここしばらくの間に可能なのですか。
  28. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 現在、日本計画されております燃料体メーカー、いろいろありますが、その中には三菱原子力工業でありますとか、あるいは日本ニュークリア・フュエルでありますとか、それぞれの炉のメーカー関連のある企業体もあるわけでございます。将来、さらにそれと別個の独立の専門メーカーも出てまいると思いまするが、いずれもそれらは全体の需要との関係、需給バランスの関係がございますので、将来いつごろどういうその分担になるかということは、いまちょっと想像がつきかねると思いますが、方向としては先ほど申し上げましたような可能性が十分あるのではないかと思っております。
  29. 竹田現照

    竹田現照君 その可能性というのは、先ほどの四十七年度という一つの目安とは別に、いつごろできるというふうにお考えになっておりますか。
  30. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) それにつきましては、事業者のほうのいろいろの計画がもとになるわけでございますので、私どもいまの段階でいつごろとちょっと申しかねる次第でございますので御了承願いたいと思います。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 しかし、いずれにしてもまだこれは幼稚産業だという加工業を、政府がいろいろとめんどうを見なければいけないのだ、税金、関税その他の問題からいっても将来めんどうを見ていかなければならぬ。しかし、現実は特にゼネラル・エレクトリックと、ウェスティング・ハウスですね、この二つの会社影響力というものは現実に免がれ得ない、これだけは否定できないわけですね。それを先ほどからお尋ねをしておるように、燃料の性能保証、そういうものもからんでこのような外国企業から自立をして、技術上、経済上いろいろの問題を克服をしていくためには、何らかの具体策をもって進んでいかないと問題は解決をしない、その企業だけにまかせておいて本しょうがないと思いますけれども、そういうことについて科学技術庁というのはどんな方針をもって一日も早く国内で外国企業からの自立ができるように持っていくのか、そういう行政指導とかなんとかいうことについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  32. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 先ほど申し上げましたように、まだ将来のことで明確には申し上げかねるかと思いますけれども、大体昭和五十年前後に十数基の原子炉もできますし、発電炉六百万キロワット前後になるかと思います。したがって、その前後を一つの大きな頂点として日本加工事業もかなり一応の体制を整えてくる。したがって、大体の方針としては、昭和五十年前後ということを中心にしてひとつ整備をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。資料によりますと、いま日本メーカーとしては大体四十八、九年くらいから納入できるようにいたしたいというので非常に急いでおる。それをやはりこちらとしては推進するように、できるだけ早くそういう体制をつくりたいというように考えております。
  33. 竹田現照

    竹田現照君 それで原子力局長加工事業六社とおっしゃいましたね、先ほど。それで六社はいいですけれども、原子力産業界の再編成というふうなものとの関連で、日本はいまたくさんのグループがあるわけですね。それを放置しておいていいのかどうか。アメリカでは四社ですか、それからイギリスは最初が五グループ、それが三グループになって、さらに一社の国策会社というような傾向をたどっておる。とすれば、日本の五つのグループというのはあまりに多いのではないか。これはちょうど原子力ブームに乗って旧財閥関係のこういうグループが、われもわれもと手を出した結果をそのまま放置されておるというように新聞なんかに出ておりますが、その点はいかがですか。
  34. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 現在、加工事業許可申請を出しておる会社を申し上げますと、三菱原子力工業、三菱金属鉱業、日本ニュークリア・フュエル、これは日立、東芝及びアメリカのGE、三社の合弁会社のようなものです。それから古河電気工業及び住友電気工業、さらに住友金属鉱山、こういうふうに出ておるわけでございます。したがって、いまお話しの状況から見ても、これは相当多いと思います。したがって、この法律にもございますように、あるいは原子炉規制法といいますか、そういった法律上の許可基準等もございますから、それらのことを十分考えて原子力委員会においてこれは慎重に検討を進めて、そうしてこれは日本の原子力発電あるいは原子力船、いわゆる原子力の平和利用の限度にあわせて結論を出していかなくてはならない。いまはその結論を速急に申し上げることはなかなか困難でございますが、多少これは多いのではなかろうかというふうに考えております。
  35. 竹田現照

    竹田現照君 それで、ものの本によりますと、成型加工段階というのは原子力産業の中で一番うまみがあるというか、もうかるものらしいんですね。まだ日本ではそうはいかないでしょうけれども、そんなことが民間企業の介入が多くなる理由だと、業者の乱立する理由だと、そんなことを述べていますけれども、先ほどからお答えがありましたように、昭和五十年なら五十年、四十七年なら四十七年を目安に、国内加工業者が一本立ちできると、こういうようなことになってくると、先き行きの心配、取り越し苦労のようでありますけれども、取りようによっては今後、産業界で最大の利権を生ずる事業になる可能性があると思うんですけれども、そういうようなことと関連して、いま私は、業界の再編成とあわせましていろいろと問題が発生しないように、いまから万全の方策というものをとっておく必要がある、そう思うんですけれども、その点はいかがでしょう。
  36. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お話趣旨はよくわかるわけでございますが、ただいま加工事業を例にあげられましたのでちょっと申し上げますと、ただいま六社からの申請はあるわけでございますが、各社ともある程度それぞれ特徴を生かした分野を持っておりますので、数だけではわれわれ判断はできないと考えております。一口に核燃料加工と申しましても、六弗化ウラン——専門語になりましてたいへん恐縮でございますが、六弗化ウランという状態のものから酸化ウランという状態のものに転換をするという工程、それからその酸化ウランからさらに燃料体として原子炉の中に装入できるような形までに組み立てる工程と、大きく分けますと二通りあるわけでございまして、この六社がいまは両方の工程をカバーするわけでございませんで、それぞれ特徴とするところを分担をしていく計画になっておるということが一つございます。それから、さらに燃料の種類にいろいろございまして、動力炉、すなわち電力会社開発しておりますような発電用の原子炉の中に装入するような燃料もございますし、また原子力研究所等で動かしております研究用の原子炉へ入れる燃料もございますが、それらの間には相当の技術的に見ますと差異があるわけでございまして、これは各社がそのすべてをカバーするわけではございませんで、それぞれやはり自分の得意とするところを計画しておる、こういったようなこともございますので、それらの計画内容もよく審査した上で許認可なりあるいは将来のそれの助成対策を考えていきたい、こういうぐあいに考えております。
  37. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 関連して原子力局長にお尋ねしますがね、わが国で天然ウラン、濃縮ウラン、あるいは酸化ウラン——これは使っておることはまだ聞いておりませんが、アメリカあるいはイギリスから入ってきておりますね。一体一キログラム、コストが幾らなんですか。それから決済方法はどんなにしてやっているのですか。
  38. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お答え申し上げますと、大体燃料の原料から濃縮をいたしまして、さらにそれを加工いたしまして原子炉の中に入れますまでにかかりますコスト、それがまあ最後の燃料の値段になるわけでございますが、大ざっぱに分けますと、まず原料の鉱石から粗製錬をいたしまして、いわゆるイエローケーキというものまで持ってくる段階が一つと、それからそれを濃縮をいたします工程が一つ、それからそれを原料としまして燃料体までに加工する工程と、三つに分けます。大体それぞれ三分の一ぐらいずつのウエートになろうかと考えております。前の二つの段階まででございますが、それがちょうど外国のほうへ払う金になるわけでございますが、賃濃縮費はキログラム当たりにいたしますと二十六ドル、イエローケーキ代は百ドル、それの国内加工燃料体の種類によりまして相当な幅があるわけでございますが、おしなべて平均いたしますとその半分ぐらいのウエートになろうかというのがいまの常識でございます。これは燃料の種類によりましてだいぶ変わってまいります。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 局長関連ですからこれ以上聞きませんけれどもね、私のお尋ねしているのはそんなことじゃないのです。たとえば濃縮ウランでも天然ウランでもあなたのおっしゃったウランにしても、これはアメリカそれからイギリスでしょう。ですから一キログラムにしても二キログラムでもけっこうですよ。大体幾らのコストで、いかなる方法で決済しておるんですかと、加工規制してあれすると言うんだから、それ以前の問題として一キログラムどのぐらいするか値段もわからないで、いまあれですね、東海村で発電をやっている、今度は敦賀でやり、そして志摩半島、それから北海道でもやると言っている。全然コストも何にもわからないで、濃縮ウランと天然ウランと違いますと、三分の一になる、その三分の一になる前段は幾らでどうなっているかということを聞いている。委員長が質問をしてくれと言うから、あまり勉強しないで質問しているのに、それに答弁ができないようではどうにもならぬじゃないの。
  40. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 実はいろいろな複雑な計算になりますので、簡単に申し上げられないのでございますが、実はこういう方法でひとつ申し上げてみたいと思いますが、まず第一段階電力会社あたりがカナダの鉱山会社からたとえば長期契約で買いますのは、先ほど申し上げましたイエローケーキという段階でございます。粘土のような形をした粗材でございますが、それは現在電力会社がカナダのデニソンだとかそういうような会社と十カ年契約ぐらいで購入契約をいたしております。そういうような形で購入契約をするわけでございますが、その単価は大体ポンド当たり八ドルないし十ドルというようなことでやっておるわけでございます。それから今度はそれをAECに頼みまして濃縮をする。次の三分の一の段階でございますが、これは非常に複雑なる定価表というのがございまして、濃縮度によって非常に違ってくるわけでございますが、たとえば三%に濃縮をする場合にはキログラム当たり基本価格が二百四十ドルであるといったような表がございまして、それをかけ合わせて値段を出すわけでございますが、その工程のものが大体コストの三分の一くらいと申し上げたわけでございます。それで、何と申しますか、いまの日本の原子力委員会がつくっております長期計画がございます、昭和五十年までに六百万キロワットをつくり、それから昭和六十年までに三千万ないし四千万キロワットをつくる、こういう長期計画がございますが、それに必要な燃料に当てはめていまの金額を総計をいたしてみますと、こういうことになります。その発電計画に必要なイエローケーキでございます、たとえば例示で申しますと、カナダから買ってくるイエローケーキということになりますと、昭和五十年までに約一万三千トン、六十年までに九万トンという累積量が必要でございまして、それに必要な購入費というのは昭和五十年までに約八百億円、六十年までに五千五百億円というオーダーになります。それを今度はAECに持っていきまして濃縮する次の段階の量は三%濃縮ウランに換算いたしますと、昭和五十年までに千四百トン、昭和六十年までに一万四千トンと、こういう量になりますが、その濃縮の費用というのが昭和五十年までに約五百億、それから昭和六十年までの累積が約五千億、こういうオーダになるわけでございます。それで、決済の方法といたしましては、最初段階のイエローケーキは電力会社と、たとえばカナダの民間鉱山会社との間で決済されることになりますし、それから次のセカンドステップの濃縮段階になりますと、委託濃縮という形をとりたいと考えておりまして、具体的に申しますと、それぞれの電力会社アメリカのAECとの間の賃濃縮契約というものに基づいた決済ということになるのでございます。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 局長さんも通産省から科学技術庁に来られて、それからまだ一年にならないわけですから、なかなか三年や五年で完全にこれをマスターするということは困難でしょうし、そういう詳細な点については私承りませんが、衆議院の速記録を読ませていただくと、衆議院の諸先生は東海村付近の人が多かった関係もあるかもしれませんけれども、再処理の問題で十分論議をかわされておるのです。ですから、竹田委員の御質問にもございましたように、中身についてお尋ねしようと思うのですが、私の関連してお尋ねしたいことは、日本の推定埋蔵量は四千トンしかないというのですね。去年そういうお話でしたから、今年五千トンになっておるとは思いませんが、四千トン。したがって、カナダとか豪州のほうに目を向けて——向こうもなかなか現在では簡単に採鉱を許可するあるいは原鉱を売却するというわけにはいかぬでしょうけれども——去年の法案では、燃料公社は二千億で十カ年計画で出発している。二千億で、はたしてできるかどうかここで論争になりましたが、いまのあなたの答弁のあれですと、四十七年まで五千数百億かかるというようなお話ですが、ひさしを貸しておもやを取られたような気がするのです。そこらの論議は後日に譲るとして、私のお尋ねせんとするのは、原鉱の、あなたのおっしゃる一ポンド八ドルないし十ドルのそういうことをお尋ねしているのではないのです。原子炉に入れる場合に一体幾らになるのですか。それには加工賃も入るでしょう。一〇〇%のウラン原鉱、濃縮でも天然でもけっこうですが、それが幾らになるのですかということをお尋ねしているのと、それから現在まで相当数の原鉱が入ってきているのですね。それの決済はどうしているのですか。決済はすでに日本政府が責任を持って払っているなら払っていると、アメリカの何々会社、イギリスならイギリスの何々会社にどういうふうに決済をしているのですか、それだけお尋ねしておきます。
  42. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 最初のお尋ねの原子燃料の製品になった場合の値段でございますが、いま電力会社がやっておりますような軽水炉の燃料につきましては、トン当たり約五千万円でございます。それから決済の方法でございますが、これは先ほども申し上げましたように、その段階によって違いますけれども、原料のイエローケ−キでございますれば電力会社がカナダ等の鉱山会社から入れます場合に、こちらに輸入した場合にその間で決済される、こういうことになりまして、特にその間に国は介在いたさないわけでございます。
  43. 竹田現照

    竹田現照君 この日本の場合、加工業というのは、軍事用の需要というものがないわけですから、その場合、企業としての採算ベースというものが合わないと、そういうようなことから、これもまた取り越し苦労かもしれませんけれども、三次防あるいは四次防との関連から、防衛産業との結びつき、こういうようなことというものは絶対にあり得ないと、このことだけははっきり、長官お答えできますか。
  44. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) この問題につきましては、もう原子力の平和利用は原子力の基本法できめられておる範囲内でございますから、絶対に防衛産業あるいは軍事目的に使われるということは、法律上からもでき得ない。なお、これらのことにつきましては、すべて申請をされ、原子力委員会で審議されて許可されるわけでございますから、原子力委員会の本旨である民主的にこれをやる、自主的にといいますか、公開をいたしますから、この点は明確になっていると思います。
  45. 竹田現照

    竹田現照君 新聞報道によりますと、先ほど局長御答弁になりました六つの社から許可申請が出ておると、そのうち三菱原子力とJNFに許可を与える意向だと、こういうことが出ておりますけれども、これはもうきまっているのですか。もしきまっているとすれば、どういうことなのですか。
  46. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) これはきまっておりません。いま現在、原子力委員会等で十分審議をし、調査をして検討を加えている段階でございまして、全然きまっておりません。
  47. 竹田現照

    竹田現照君 それでは白紙で六社の許可基準についていまやられると、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  48. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) そのとおりでございます。
  49. 竹田現照

    竹田現照君 それでは今度のこの法律加工施設に対する規制強化でございますけれども、これは工場とかなんとか、そういう災害防止、それに力点を置くのか、あるいは製品の不良防止、それに力点を置くのか、そのどちらなんですか。
  50. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) これはもっぱら災害防止に重点を置いておるつもりでございます。
  51. 竹田現照

    竹田現照君 災害防止に力点を置くとすれば、いまいろいろと書かれている設計その他の認可、あるいは取扱主任者の選任、こういうことだけで十分なんですか。
  52. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) いまお話しのございました設計工事の方法認可あるいは取扱主任者の設置義務のほかに、今度改正案の中に入っておりますものには保安上とるべき措置でありますとか、それからそれに関連した保安上の整備が計画されておるのでございます。
  53. 竹田現照

    竹田現照君 十分ですかと聞いておるのです。これでいま出されてきたことで十分ですかと聞いておるのです。
  54. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) ただいま提出しております改正の整備をいたしますれば、現段階におきましては十分なものと考えております。
  55. 竹田現照

    竹田現照君 それから原子炉設置の場合には、性能検査あるいは定期検査の規定がありますけれども、加工事業の場合というのはこういうことは必要はないのですか。
  56. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 原子炉の場合に比べますと、事業の設備の実態が比較的簡易でございますので、定期検査の条項は設けてありませんけれども、立ち入り検査でありますとか、あるいは保安上に必要な記録の保持義務でありますとかあるいは報告の義務、それから保安規定を定めて、それによりまして所要の保安上の確保をするというような規定は盛られておりますので、それで十分かと考えておるわけでございます。
  57. 竹田現照

    竹田現照君 それではその定期検査もやらないでどうしていろいろと法令に違反をしておるということの発見ができるのですか。
  58. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) ときどき立ち入り検査などをいたしまして、その不備が発見されれば、保安上そのとるべき措置を命ずるという、こういうことにいたしたいと思っております。
  59. 竹田現照

    竹田現照君 これは鉱山保安法とかその他以上に——それも大切ですけれども——問題は、扱う物が物ですから、ときどきの立ち入り検査というよりは、むしろ明確に定期検査というものを規定づけて、事故防止の完全を期するということがより適切ではないかと、そういうふうに考えるのですけれども、それほど念には念を入れるという必要はないものなのですか。
  60. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お話しのように、もちろん保安規制でございますので、この法律運用につきましては、念には念を入れてやるつもりでございますが、この法規制改正といたしましてはこの程度で十分ではないかと考えておる次第でございます。
  61. 竹田現照

    竹田現照君 この程度で十分だというのは、大体この加工事業で起きると想定をされる事故というのはどんなものが考えられるんですか。——ですから、その考えられる事故であれば、いま私がお聞きをしたような点に対するお答え程度の検査で十分なんだ、そういうことが理解できるわけですけれども、その点ちょっと説明をしてください。
  62. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 加工事業では濃縮ウラン等を相当多量に使うわけでございますので、これが連鎖反応を起こすような条件になってはいけない、こういうことが一つ。それを専門語で申しますと、臨界管理と言っております。そういうことを防止する臨界管理という観点が一つございます。それからもう一つは、ウランの原料を粉末状態等で加工する工程がある場合には、それらを人体に吸引するとか、あるいはそれが外に漏れるというようなことになると、健康上害がある、こういう意味の核燃料によります放射線障害の防止という観点、この二つであろうかと思います。  で、第一の臨界管理でございますが、これは最初の設備をつくるときの設備の相関関係だとか、あるいは寸法でありますとかいうことをチェックいたしておきますれば、防止できる性格のものでございます。この点が原子炉の場合と非常に違うところでございまして、御承知のとおり、原子炉につきましては、炉の中に入れました燃料が常に核分裂の連鎖反応を起こし続けておるわけでございまして、これをコントロールしながら相当の出力を出しておるというのが原子炉でございます。したがいまして、当然核燃料体の内部の話ではございますけれども、その内部には相当高い放射能を持った核分裂性物質というものが存在しておるわけでございますが、加工事業の場合には全然違いまして、最初の設備の寸法、構造をしっかりチェックして、絶対に連鎖反応を起こさないような物理的構造にしておきますれば、臨界状態には達し得ない、こういうことでございます。したがいまして、最初の設計のチェックと工事方法のチェックというのが一番大事でございまして、そのあとにつきましては、原子炉の場合と違ったやり方でいいのではないかということでございます。  それからもう一つの、第二点の放射性物質による障害の防止の観点でございますが、これは粉じんが起こりますようなところにつきましては、その漏洩防止施設でありますとか、あるいはそういう粉末を使う部屋の中は気圧を外部よりは低くいたしておきまして、かりに中で多少の事故が起こりましても、外部へは空気そのものが出ていかない構造にしておきますとか、そういうような構造上の点に配慮を十分加えれば災害防止できる、こういう性格のものでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、この際、今度の改正によりまして「設計及び工事方法認可」ということで、でき上がりました場合におきます施設の検査というところに重点を置いておる次第でございます。
  63. 竹田現照

    竹田現照君 いまの加工施設の安全審査指針と原子炉審査指針とどういう違いがあるのか、わかりやすく書いて資料として後ほどでけっこうですから、説明聞いただけではなかなか理解できませんから、ちゃんと対比して、だれが見てもわかるようにひとつ出していただけませんか。よろしいですね。
  64. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) よろしゅうございますね。
  65. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) はい。
  66. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ではお願いします。
  67. 竹田現照

    竹田現照君 それで、核燃料というのはちょっと外から見ただけではいいか悪いかというのがわからぬと思うのですけれども、その製品検査というのはどういうふうにしてやるのですか。
  68. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お話のように、でき上がりました核燃料体というのは、外から目で見ただけではなかなか良否がわかりにくいというのはそのとおりだと思います。したがいまして、燃料体の検査につきましては、一つはいろいろな素材の工程で検査するということが一つの方法でございます。たとえば、燃料体は主としてジルコニウムとかステンレスのパイプ等に充てんするのが多いわけでございますが、そういう場合のチューブの検査といったようなものがこれに属すると存じますが、そういうものを検査する場合でも、いわゆる非破壊検査という方法がございまして、X線の写真をとるといったようなことはその一例でございますが、検査をする場合には、そういう写真等のチェックということを活用しておるのでございます。
  69. 竹田現照

    竹田現照君 それで安全性がわかるわけなんですね。製品の良、不良ということが大体わかる、そういうことになっているわけですね。それで、どこの事業にも下請が次から次にありますけれども、この場合の加工業者も下請に出す工程というものがあると思うのですけれども、そういうことはあるのですか。
  70. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お話の点でございますが、先ほど私が例にあげました燃料体のチューブ等は、その専門メーカーに下請に出す場合があると思います。現にあるわけでございますが、そういう場合には、われわれの検査は、その素材をつくるメーカーにまでさかのぼりましてやっております。
  71. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、その下請の場合の製品に対する検査というものも、先ほどお答えがあったようなかっこうでやられるのですか。それは法律的には何を基準にしてやるわけですか。
  72. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 原子炉の設置、運転等に関する規則という総理府令でやっております。  なお、発電炉に関します燃料につきましては、通産省関係の電気事業法に基づきます燃料体検査の規則でやられております。
  73. 竹田現照

    竹田現照君 その通産関係法律でやられる場合、科学技術庁というのは全然タッチするかっこうになっておりませんね。通産大臣だけですけれども、科学技術庁長官というのは、この原子炉、こういうものに関係することについて、検査等に対して、全然、介入と言っちゃ悪いけれども、タッチするすべというのはないのですか。それは全部通産大臣のほうにおまかせ、そういうことでいいのですか。
  74. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 現在の規制法によりまして、原子炉等の安全確保のための規制が盛られておるわけでございますが、原子炉の場合を例にとりますと、原子炉の設置の許可段階、それからその次に設計、工事方法認可段階、その次にそれの検査の段階と、こういうぐあいになっておりますが、最初原子炉の設置の許可段階は、御存じのように原子力委員会の御意見を聞き、それからその下部機構であるところの安全審査会の審議を経まして許可されるわけでございますが、その次の第二段の設計工事方法認可と検査の段階につきましては、発電炉につきましては通産大臣、それから船舶炉につきましては運輸大臣のほうでやられることになっておりまして、そのことが原子炉規制法第七十三条において、当該部分を規制法から適用除外すると明記されておるわけでございます。この理由は、発電炉でありますれば原子炉といえども発電所の設備の一部であるという関係から、当然に電気事業法の規制がひっかかってくると、それでダブる部分を適用除外したと、こういうことでございます。船舶炉につきましても同様でございます。  それで、実態がどうかということをつけ加えて申し上げますと、発電所の場合、これは原子力発電所でありましても水力発電所でありましても、火力発電所でありましてもそうでございますけれども、電気事業法によりまして、従来からその設備の詳細につきまして、設計工事方法認可や検査が相当厳密に行なわれております。そういう体制が従来からあるわけでございまして、そちらのほうにも溶接でありますとか、先ほど申し上げましたような材料の検査等をやります専門家がたくさんおりまして、従来から、たとえば火力発電所のボイラーでありますとかタービンでありますとかいうものの設計の認可あるいは落成時の検査あるいは溶接の検査等やってきておりますが、その体制の中で原子炉部分につきましても行なうのが適当であるということでやられてきておるわけでございます。それでわれわれ十分ではないかと考えておるわけでございます。
  75. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、科学技術庁というのは研究炉だけのあれですか、権限に属するものは。
  76. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 先ほど申し上げましたように、最初に安全性を審査して設置を許可する段階は、研究炉であろうと発電炉であろうとあるいは船舶炉であろうと、すべて科学技術庁のほうでやりますけれども、その設計認可段階と検査の段階だけはダブりますので、その条件だけを適用除外しているということでございます。
  77. 竹田現照

    竹田現照君 これは、将来ともだんだん発達してくるというのか、発展してくるというのか、そういうような場合でも、科学技術庁というのは、各省にダブるからまかせておくと、そういうことだけでいいんですか。科学技術庁のいろんな問題を進める上からいっても、むしろ科学技術庁のほうに集約をして、何とか検査の機構というか、場所ですね、そこを集約したほうがむしろいいんじゃないか。大体こういうような問題を提案するのは科学技術庁で、できてしまってから運輸省だ通産省だというんじゃなくて、見届けるほうも科学技術庁に集約するほうがむしろいいんじゃないかと思うんですがどうですか。
  78. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) その検査とそれから設計の認可段階は、運輸省なり通産省のほうで、それぞれ発電所の一部である、船の一部であるという限りにおいては、関連部門等も含めまして一括やっておりますので、そのほうが現実的観点から見ても適切であると実は考えておりますが、さらにでき上がりましてからのトレースを全然科学技術庁系統でやっていないかと申しますと、そうではございませんで、やはり原子炉の保安規定でありますとかあるいは原子炉の主任技術者の制度でありますとかいうことにつきましては、やはり原子炉規制法によりまして、われわれのほうの手でやっておるわけでございまして、全く縁が切れておるわけでございませんで、適用除外いたしまして通産省のほうで受け持ってもらったほうが適切であるという部分だけをやってもらっておるわけでございます。なお、その場合の基本的な基準等につきましては、科学技術庁のほうの基準と合わせてございますので、実際上の問題は起こらないと考えております。
  79. 竹田現照

    竹田現照君 それで、いろいろと規制措置を盛り込んだこの法律改正に伴って、加工業者にはどれだけの影響を——いろんな面を含めてですね——与えることになるんですか、実際問題として。
  80. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 御質問の御趣旨は、あるいはこの規制強化によって業者のほうに過当な負担を与えるのではないかというような意味の御質問かと思いますが、われわれは大きな負担はそこにかけないと考えておりますが、もちろん安全審査をいたしますにつきましては、相当詳細な設計図等も出していただかなきやなりませんけれども、これらは会社自身、企業者自身のほうでもやはりみずから必要なる資料であろうと思いますので、そういう意味から申しまして、特に過大な負担をかけるということはないと考えております。
  81. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃひとつ別のことでお伺いしますが、原研の第一号実験炉運転が停止されておる。これは十億円かけて三月に完成したばかりだということを聞いておりますけれども、二回だけ運転して閉鎖をしてしまったと、これは朝日新聞に出ておりますけれども、あれはどういうことなんですか。この十億円もかけたものをたった二回しか使わないで運転を停止してしまった、これは何か理由があるのですか。これ、はした金じゃないのですよ。ちょっと説明してください。
  82. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) いまのお話しは、一号炉じゃなくて、あるいは再処理の試験設備のことかと存じます。いま御質問のようなことが新聞にちょっと出たことはわれわれも承知いたしておりますが、これは実は原子力研究所で、かねてから再処理の研究のためにつくっておりました設備でございまして、従来、実際の使用済み燃料でない物質をもちまして使いまする試験をずっと継続してまいってきたわけでございますが、先般から実際の使用済み燃料を中に入れまして、いろいろ基礎研究あるいは取り扱いの試験等をやっておる段階でございます。これがその目的を果たしました後にどういうように活用するかということについては、現在動力炉・核燃料開発事業団のほうとも寄り寄り相談をしているようでございますけれども、まだ結論が出たという話は聞いておりません。御質問の、すぐやめるというようなことは、まだきまっておらないと思います。
  83. 竹田現照

    竹田現照君 固まっていないというのは、これからも使う、いま動燃事業団との関連の中で一応いま使用停止しておる、そういうふうに理解していいんですか。
  84. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) この設備は基礎的研究の設備でございますので、使うと申しましても動燃事業団が生産用に使うというような使い方はできないと存じます。しかし、原研の予定した試験運転が終わりました後は、動燃事業団の再処理の要員の訓練というようなことの使い方には大いに利用できるのではないかと考えておる次第でございます。
  85. 片山武夫

    片山武夫君 今度核燃料加工事業の問題が出ているんですが、これと動燃事業団との関係についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。  この動燃事業団、これは出発したばかりですから事業内容のはっきりしないものもあるかと思うんですが、しかし、核燃料加工業というものを、それほど急速に認可していかなければならないというような事態があるのかどうかということが一つ疑問なんです。そういうことはまだおそらく委託加工程度のものじゃないかと私は思うんですが、すでに民間でも電気事業者がそれぞれ原子力発電所を建設しておりますが、燃料は全部向こう持ちということで開発されているわけですね。したがって、直接ここで加工をしてみたところで、持っていくところがないというように私は考えるんですが、したがっていまの段階では、これは研究段階じゃないかというふうな私は気がするんです。そこでお伺いしたいことは、当初動燃事業団が設立されるにあたりまして、これは国産化、そして自主開発ということが一つの大きな柱になってこの事業団が出発したと思うんですが、その基本線に沿って計画を立てられておると思いますが、この核燃料加工にしても、いまの段階ではいわゆる委託加工ではないかと思う点がありますし、特に動燃事業団が開発したものを加工業者加工させる、こういう段取りになっておるのではないかと思うんですが、その辺のいきさつをちょっとお知らせ願いたいと思うのです。
  86. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) ただいま御指摘のとおり動燃事業団は昨年の十月から発足をいたしまして、本年度大体七十億の予算で稼動しております。したがって、動燃事業団のおもな任務は、いわば新型転換炉及び高速増殖炉、それを中心に自主的に開発していくこと、そのほかに、いま日本にない濃縮技術を何とかひとつ日本において開発をしていきたいというようなこと、さらにこれからはウランの採鉱あるいは探鉱、ウラン燃料を諸外国に行ってさがすというようなこともございます。また、加工事業におきましても、動燃事業団としてはこれを自主的に開発するという形で進められております。したがって、その関連性でございますが、要するに、すでにもう発電関係は発足をしてここ二、三年のうちに東電一号、関電一号というふうに稼動しますし、さらに二号あるいは九電一号というふうにどんどん稼動してくるわけでございます。したがって、その加工事業におきましても、これは原研と十分連絡をとっておるわけでございますけれども、動燃事業団としてはこれを民間の、先ほどから論議されております形に、これらと密接な連絡をとりながら試験研究あるいは自主開発という形で進めていくように、ことしから発足しておる、こういうことでございます。
  87. 片山武夫

    片山武夫君 そこで、この核燃料加工事業ですが、これを認可して直接ここでやる仕事は、これは動燃事業団が発足した当初の目的どおり国産そして自主開発、こういう線に沿ってこれが稼動していかねばならぬと思うんです。それがそうでなくて、もうすでに外国からいろいろ輸入されたものについていわゆる核燃料加工事業者がやるんだ、こういうことだと思うんですが、したがって直接的には動燃事業団とこの核燃料加工事業とは関係ない、こういうことになってくるわけですね。そこでお伺いしたいんですが、動燃事業団がいわゆる自主開発をしていった場合に、この燃料加工を、核燃料加工認可したそこへやらせる、こういったようなことが考えられるわけですが、その点はどういうことなんですか。
  88. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) お話しのとおり現在申請が出されております加工事業の当面の計画は、現在進行しております各電力会社の炉が動き出した暁におきまして、その取りかえ燃料供給したい、こういう計画でございまして、直接の動燃事業団の新型の燃料とはつながっておりませんけれども、動燃事業団の開発炉は、自主的に国内の設計でやられるわけでございますので、当然国内燃料メーカーで国産させるというほかないと思いますので、まだどの会社で受け持つということはわかりませんけれども、これらの申請されております会社等が、技術が向上されてまいりました場合に、それらの会社が活用されるということは十分考えられると思います。
  89. 片山武夫

    片山武夫君 大体わかりましたが、いま核燃料加工業として申請されているのは六社、大体、三菱原子力工業、これはウエスチングハウス、それからJNF、これはGE、それの関係技術を導入しておる、こういうふうに聞いておりますが、これは結局この加工日本で行なうということについて今度規制しよう。こういうことになってくると思うんですが、そのの以前にお伺いしたいことは、動燃事業団の計画が、いろいろ述べられておるんですが、四十三年度の計画、この計画がすでに予算面で非常に支障を来たしているというふうに実は聞いておる。このことが一番私は問題だと思うのですが、国産自主開発を動燃事業団でやるんだという基本的な考え方があるにもかかわらず、すでに予算面で行き詰まっていることと、いわゆる技術者の不足といいますか、こういうもので行き詰まりを見せているという話を実は聞いておるんですが、計画どおり、たとえば五十年度には新型転換炉あるいは六十年度には増殖炉、こういったような開発計画されておるわけですが、その計画どおりにいくのかどうか、初年度からどうもそごを来たしておるような気がしておるんですが、その点いかがですか。
  90. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 動燃事業団は十年間約二千億という資金を予定をいたしましてスタートしたわけでございます。四十三年度の予算は、動力炉につきましては四十四億の政府出資にとどまったわけでございますけれども、そのほかに債務負担行為のワクといたしまして約八十億のものが見込まれておりますので、これを活用いたしまして第一歩を踏み出そうとしておるわけでございまして、まあ四十四年度以降はさらに相当な増額をしなければいけませんが、何とか計画どおりやっていきたいと現在進行中でございます。それで、先般原子力委員会の議を経まして、政府計画といたしまして決定をしました今後のスケジュールを申し上げてみますと、高速炉開発につきましては、まず実験炉をつくりますが、それは昭和四十七年度中に臨界に至らしめる。それから、さらにそれをもとにいたしまして原型炉を計画いたしますが、それは昭和五十一年度中に臨界に至らしめると、こういう目標を掲げております。  それから、新型転換炉につきましては、実験炉の工程はございませんが、直接原型炉をつくる計画で進みまして、昭和四十九年度中には臨界に至らしめると、こういう大きな目標を掲げまして進むということを決定いたされたわけでございます。
  91. 片山武夫

    片山武夫君 計画は大体お聞きしておるわけですが、先ほど言いましたように、予算面あるいはまた技術者の面でこれは具体的に計画がおありになるのかどうか。だいぶ技術者が不足しているというふうに聞いているんですが。
  92. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 動燃事業団に動力炉開発のために新たに増加いたしました陣容は、人員ワクは来年度は百十名余りでございまして、これをこれから充足をいたさなければならないわけであります。お話しのとおり、確かに技術者の結集というのは相当に重要であり、かつ容易でないという問題でありますけれども、動燃事業団におきましては、原子力研究所でありますとか、あるいはメーカー電力会社等にそれぞれ要望を出しまして、具体的に協力要請を進めておる段階でございますので、違からず充足が期待されると存じております。なお、動燃事業団の来年度充足の百十一名と、いままでおります四十五名、合計いたしましても百五十六人にすぎませんので、これはやはり基幹要員的と旧しますか、プラニングとかあるいは研究の総合をするというようなスタッフがむしろ多くなると思いますので、それだけで仕事ができるわけでございませんので、やはり原子力研究所でありますとか、メーカーでありますとかいうところの陣容を組織的に活用していかなければならないと、こういう観点から、研究内容のうち適切なものを相当部分下請的に契約をいたしまして研究を分担してもらうと、こういう制度を取り入れてやっていきたい、こういう考えでおるのでございます。
  93. 片山武夫

    片山武夫君 いまのお話ですと、原子力研究所とか、電力会社あるいはメーカー、こういうところに技術者の提供をしてもらう、協力を願うと、こういうお話なんですけれども、電力会社あるいはメーカー、こういったところは、むしろ技術者不足で因っているくらいなんで、出すどころではないんではないかと思うんですけれども、それが一つと、最近、事業団に協力する意味で各メーカーあるいはユーザー等に対して出資の何か要請をしているやに聞いておりますけれども、こうなってくると、自主開発がどっかへ飛んでしまって、何か性格が怪しくなってくると思うんですが、その点いかがですか。
  94. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いま人間の問題につきましては、事実そういう面もございます。しかし原子力産業会議あるいは発電関係の九電力のあるいは協会でございますとかにお願いをして、とにかく現段階は転換炉も増殖炉も詳細設計、いわゆる中枢部になる開発状態でございますので、ぜひひとつ人間を出していただいて、日本の粋を集めて、それこそ最高のスタッフでこの自主開発に当たるということで、実は動燃事業団に対しまして私のほうからも申し上げ、あるいは原子力産業界あるいは九電力にお願いをして、大体その見当で現在進めております。もちろんなかなか思うようにはまいりませんけれども、少なくとも一応軌道に乗せ得る見通しというものがだんだんつきつつあると私は考えております。  なお、次の問題は民間出資の問題でございますが、これは四十三年度は大体二億ぐらいの民間出資をお願いする、そうして十年間に三百億前後——三百六十五億でございます。そうして順次これは大きくなっていくわけでございますが、この点も原子力産業会議を通じて各ユーザーの方そのほかにお願いをし、大体のこれは御了承を得ております。とともに、それ以上に実は四十三年度はいま動燃事業団の総体ワクが大体七十億と申し上げましたが、この新型転換炉及び増殖炉に対する予算は四十四億、これに八十億の債務負担行為がついておりますから、その範囲では仕事ができる。したがって、これが軌道に乗り出せば、来年度からは、十年間二千億といっておりますけれども、国も相当額重点的に予算をつけてこの開発に乗り出していかなければならぬというふうに考えております。
  95. 片山武夫

    片山武夫君 人員、技術者のスタッフの問題なんですが、百十名程度ですか、必要だということがいわれております。原研であるとか原子力発電、電力会社メーカーそういうところから集められるわけですね、それが一つと、いま言いました自主開発という一つの大名目でこの動燃事業団が出発したわけなんですが、なぜそのユーザー、メーカーから資金を求めなければならなくなったのか、その理由をひとつ明快にお話し願いたい。
  96. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 人員につきましては局長からお答えいたしますが、これらの問題につきましては、実は国のといいましょうか、全部国費をもって進めていきたいというのが実は私たちの真意でもございます。しかし、原子力産業会議も、相当これに対してはやはり九電力を主力として今後の日本の原子力平和利用について協力をしたいというような非常なお気持ちもあるわけでございますし、その意味においては非常に困難といいますか、相当の困難を排してそれだけの協力は、いわゆる政府民間も一緒になってこの平和利用をやろうというお気持ち、それらのことについて大体の話がついたわけでございます。とともに、大蔵省もなかなか渋いので、ざっくばらんに申し上げますと、これだけ出すのだから、ひとつ民間も少し出すようにという大蔵省との交渉の経緯もございまして、大体そういった計画になったというのが実情でございます。
  97. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 人員の点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、原研、メーカー電力会社等にそれぞれ協力をお願いをしてそれを確保するつもりで進めております。  それから資本の点につきましてちょっと補足して申し上げますと、先ほど長官から申し上げました十年間に民間に三百六十五億程度を期待しておるという額は、実は二千億のトータルの研究開発並びに原型炉建設費総額のうち、二つの原型炉の建設費が約七百三十億ぐらいでございます。その原型炉の建設費の約半分というのが三百六十五億であります。この原型炉と申しますのは、やはり相当、二十万キロとか三十万キロという電気を発生する設備でございまして、それは将来電力供給にも使われ得るというような性格も勘案いたしまして、その建設費の半分はひとつ民間で出すことにしてほしい。こういうような考え方から出た数字でございます。
  98. 片山武夫

    片山武夫君 先ほど原研なり電力会社から技術者を出してもらう、こういうお話なんですが、電力会社というと結局原子力発電関係ということになると思うのですが、それから原研のほうから人を出す。こういうことになると、原研その他、原研において直接関係があるわけですが、原研は縮小の方向をたどって、いわゆる人手が足りないということになると、これは事業団のほうに集中されていくという傾向は考えておられるわけですか。
  99. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 原研の縮小は全然考えておりません。まあいわば、何といいますか、急速に新型転換炉と増殖炉を開発していかなければならぬので、原研からひとつ助けをかりてやろうということでございまして、原研そのものについてはもっと広範な、いわばこういった発電のみならず、すべての平和利用、ラジオアイソトープに至るまでの平和利用をやっておるわけでありますから、さらにその研究を進めていかなければなりませんので、原研を今後縮小しょうという気持は全然ございません。ただ非常にこの新型転換炉、増殖炉についての開発を急ぐ必要もあって、さしあたりとにかく原研の相当高度の方々のお助けをかりる。おそらく任務も、動力炉にそのままの専任じゃなくて、相当部分は出向という形で、また原研に戻られるというような形をとるかと思います。そうして大体動力炉のほうが軌道に乗ってきますれば、やはり原研に戻っていただいて御研究を願うというふうになるのではなかろうかと思うのです。
  100. 片山武夫

    片山武夫君 最後に一つお伺いしますが、この動燃事業団が大体仕事が軌道に乗っていった場合に、これは一番協力でき得る態勢にあるのは原子力発電だと思うのですが、この原子力発電は一応敦賀で終わりだと、こういうようなことを聞いておりますけれども、この原子力発電の活用という問題については、何かお考えになっておるかどうか。この問題が一つと、先ほど原子力開発会議ですか、このほうの意見で民間出資ということが一つの問題になってきたというお話なんですが、これは原型炉、二十万キロ、三十万キロつくる、結局これは電力会社に電気を売るようになるのか、使うようになるのかということになろうと思うのですが、この動燃事業団としてもこの核燃料加工のために相当大きな電力が必要になってくると思うのです。そういうものが一応予想されるのですが、これは原型炉で発電したものをそのまままた事業団で自家発電として使う、こういう方向に私はいく可能性が強いように思うのですが、むしろこれは電気事業のほうに二十万キロ、三十万キロの電気を売るのですから、どうするのか知りませんが、そういうことよりも、事業団そのものが必要とする電力が、これは燃料問題の加工を含めて非常に大きな電力が必要になってくると思うのですけれども、それはちょっと甘いのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  101. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 原子力発電会社の問題は、まあいわば先兵となって電力会社が、九電力が一緒になってこれを推進してこられてきております。現在一号炉があり、二号炉が敦賀につくられつつある。したがって今後の問題につきましては、現実の問題として軽水炉はもうすでに各電力会社が自主的にどんどん開発といいますか、つくっていくことができる態勢にある。したがって、その後の問題につきまして現在まだ明確にこれを言っておるわけではありませんけれども、やはり転換炉なりあるいは増殖炉という形が出てきた場合においても九電力等でそれをお考えの場合、いわばその先兵的役割りを果たすことになると思いますが、そういう点はひとつよく業界のほうと御相談をすべきであろうと考えております。  次に、動燃事業団の発電の問題につきましては、これは濃縮あるいは加工等の開発という形に進めば、あるいは動燃事業団の原型炉で出す発電が、それに使われる段階が今後あるかもわかりません。事実現在濃縮技術は遠心分離法というそういう形でやっておりますが、アメリカの方式等でやれば、御承知のとおりとても電力が足らぬわけでございます。しかしながら、あくまでも動燃事業団は開発に当たって、そうして自分で商売をするわけではございません。やはり開発という点に最重点が置かれて、それをひとつ日本民間事業なりそのほかと一緒に開発をして、それを実用にしていくということでございますから、その点は明確にけじめをつけて進めてまいるべきであろうと思います。なお、補足的に局長からお答えいたします。
  102. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 動燃事業団で開発に成功いたしました場合の原型炉につきましては、現在の原子力委員会の方針といたしましては、一応試験運転が終わりました暁におきましては、適当なるものに譲渡して活用してもらおう、適当なるものというと、現段階としては電力会社等が頭にあるわけでございますが、そういう方針に一応なっておるわけでございます。
  103. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次回の委員会に発言を許していただこうと考えておりますが、まだ時間が若干あるようですから、委員長のお許しをいただいて、次回の委員会の参考のために、二つ三つ大きなことをお伺いしておきたいのですが、これから申し上げることは、佐藤総理大臣に要請申し上げたほうがいいかもしれませんが、私ども委員会に出席しまして、たとえばいまこの議題となっております原子力の問題等にいたしましても、毎年毎年科学技術庁長官が交替になられるわけです。私がちょっと脳裏に浮かぶだけでも、正力松太郎さん、上原先生、近藤先生、中曽根先生あるいは二階堂先生、今日の鍋島長官まで、とうてい枚挙にいとまのないほど大臣がおかわりになるわけです。そのおかわりになるということについて、立法府の者として申し上げるわけではございませんけれども、正直に申し上げまして、科学に熱心さがないと、アメリカの例をとってもイギリスの例をとっても、党がかわり、あるいは総理大臣がかわった場合においては、燃料長官その他の閣僚がかわることがございますけれども、かつてのプロヒューモ事件のようなものがない限りにおいては長官はかわらぬ。終始一貫して当該大臣が初めから終わりまで仕事をなされるので、きわめて事務的であり、科学的に進捗するわけですが、日本は大臣は一カ年間交代ということにおおむねなっておるようで、どんなりっぱな人が大臣になられても、これはなかなかお勉強なすって、ようやく自分のものにするという時期には、もう交代ということになるわけです。あるいは科学技術庁の幹部の皆さん方、名前を申し上げてたいへん恐縮なんですが、たとえば去年式田さんという原子力の次長さんがおられた。なかなか優秀な人で、こういう方々が将来日本のまあ政府関係の科学技術問題をしょって立つのであろうかと思ったところが、もうよその職場に行かれるわけですね。ですから、やられる諸君も熱心にやられるとは思いますが、特にこの科学、原子力等においては、そうその短時日に、さいぜんも申し上げましたが、身につけることはできないわけですから、これは私は問題であるということで、次回には総理大臣に御出席を願って、とくと要望を申し上げたいと思うわけですが、そういう点で私は、私の申し上げていることが正当であるか不当であるかは別といたしまして、私は常にそう考えているわけです。また委員会で論議してほしいということが、委員長から両三度要請があるわけですが、衆議院の場合においては、科学特別委員会を設けて、そうして熱心に討議をされておるわけですが、参議院の場合には商工委員会の中で通産省と経済企画庁と科学技術庁、三つ持っているわけですから、どうしても多く法律が出てくる通産省の仕事を熱心にやらなければならぬという環境に置かれているわけです。したがって、特にこの鍋島長官が議運の時代に参議院の科学特別委員会をおなくしになったと思うわけですが、そういう点で私は保守党、自民党の皆さん方に言い分が非常にあるわけです。ですから、そういう点をまず頭に置いて、これからいろいろとお願いを申し上げ、御答弁を願いたいわけですが、第一番に、衆議院でも問題になりましたあと始末をどうするのだと、あと始末がきまっておりませんね。アイソトープ処理問題。いままでいろいろ問題になって、たとえば船をつくって海外へ持っていくと。日本で処理できませんからね。そうするとイギリスに持っていこうか、アメリかに持っていこうかと、こういうことになる。で、できもせぬことを横浜の根岸にどうじゃということで半年も一年も、大臣二代にわたってやっているんですよ。新聞見ると、青森県のむつの海岸へ持っていくというようなことが出ておりましたが、 こしらえるほうもけっこうだが、あと始末を考えぬで、玄関をつくってトイレがないという家は成り立ちませんよ。まあこういうことをお尋ねすることが一点と、それから大学でもいろいろ研究なさっておりますね。それから電力会社でも九電力会社、大小のそういう中身の差はあるけれども、電力会社は全部やっておりますよ。それから三菱金属鉱業とか、あるいは住友金属、こういうところでも研究をやっているわけです。製品をつくっているわけです。そういうところが一体どうなるものか。わが国の乏しい財政の中で国もてこ入れしてやるんですから、日本では一カ所にしぼって、そしてそこでこの核をやらしたらどうなんですか。大いに競争しておるらしいんですね、わが社でやらしていただきたいということでやっておるようですが、およそ大学であろうと民間会社であろうと、一カ所にしぼって、一カ所でやると、一億円ずつでも二十カ所集まれば二十億になりますからね。十億ずつですと二百億になるわけですよ。そういうようなことを行政指導の面でできぬものであろうかということを私は考えるわけです。もうあなたのほうでは、公社をつくっては合併し、公社をつくっては合併し、いまも片山委員竹田委員が言うておりましたが、この事業団との関係どうなるんだと、まあこういうことなんですが、去年けんけんがくがくして事業団をつくった。今度は事業団でなくて規制をして、法律の中身は簡単ですけれども、これ将来に向かって大問題になるような法律なんですね。立法府で論議するときこれは簡単に論議されるけれども、一たん立法府から行政府法律が移行された場合には、必ず立法府の決定どおり法が運営されているとは考えられないので、もう一つ大きな面であと始末をするのかということ、要は大同団結して八幡と富士まで合併しなければならぬという時代ですから、国の施策としてそういうことはお考えになりませんか。この二点をまずお尋ねします。
  104. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) いま最初に言われましたこの科学技術の担当者の問題と、それから科学技術特別委員会の問題、私も責任がございますので、簡単にお答えを申し上げておきたいと思います。  事実、第一点の科学技術の責任者の問題は、実際宇宙開発にしても、原子力の問題にしても、私昨年秋から担当いたしまして勉強をして、詳細にわかるまでに相当期間を要します。そうしてこれについて最終的決断を下すということになりますと、相当のやはり専門的知識も必要といたしますし、やはり一面においては政治的ないろいろな面の配慮ということも必要になってまいります。この科学技術の、巨大科学の今日におきまして、実際静かに考えてみて、この結論をつけて方向を進めていくということは、ある面におきましては国の運命を左右するといいますような大きな問題であることを痛感いたします。これは一原子力の問題じゃなくして、巨大科学といわれております宇宙開発の問題あるいは今後当然来たるべき海洋開発の問題、あるいは現在盛んに論議せられて、今後の事務系統なりそのほかを支配しようとしておりますコンピューター、すなわち電子計算機の問題等々考えざるを得ないのであります。この点はやはり総理大臣にお聞きいただくのが至当かと思います。私はとうてい——これたいへんなことだということを、自分が自分のこの席につきまして思わざるを得ません。これはもう率直に申し上げます。ですから科学技術庁長官国務大臣であるということ、それ以外に、やはりそういったほんとうの中枢部のスタッフが要るのか、科学技術庁長官はある意味において政治的な面のみを担当するべきであるか、ちょっとこれはやはり今後における日本の巨大科学を推進していく場合において、ほんとうに考えなければならぬ大きな問題であると考えます。  それから、科学技術特別委員会の際は、私もおりましたが、これはその後ぜひ設けようじゃないかという話で、実は沖繩が飛び込んできましたので、衆議院に比べて人数が半数以下とは思いませんが、半分くらいの参議院の議員の中で、特別委員会の数を多くすれば、出席率の関係、あるいは人員配置の関係等々から、いろいろな面でなかなか困難を来たす、しかし沖繩特別委員会はどうしても設けなくてはならないというようなことから、議運の理事会におきまして、ここで答弁申し上げることじゃないかもしれませんけれども、そんなことで実は科学技術特別委員会がすりかわったような形になっておりますが、私がこういう担当になるとはつゆ思いませんでしたが、現在になってみますと、やはりいまのような日本の巨大科学の発展から言うと、どうしても必要であるというふうに考えます。  それから、次の御質問でございますが、いわばこの点はおそらく核燃料の再処理の問題ではないかと思います。この点、再処理は当然ことしの秋までにはどこかに再処理工場を設置する必要性があるわけでございまして、これについての設計なり準備は順次整えつつございます。原子力船の繋港地の問題、いわゆる母港の問題につきましては、横浜からむつに変わりましたが、これは将来原子力船は第一船を本年度着工いたしまして、そうして四十六年度一ぱいかかって、そうして四十七年度くらいには第一船が特殊貨物船として運航することになるかと思いますが、これにはどうしてもむつの整備を必要といたすわけでございます。これは原子力船でございますから、それに伴ういろいろな特殊な設備がございますので、これは当然それに伴って予算を本年度もいただきまして進めてまいりたいと思います。しかし核燃料再処理の問題は、これは当然もう本年度秋にはこれをどこかにきめて、来年くらいからは工事にかかるのでございますが、この点については第一候補地を実は東海のあの勝田市にお願いをするということですが、アメリカ軍の射爆場の問題と、あるいはそこに設けるのは過密ではないかというようなお話で、地元の御賛成がまだ得られておりません。第一候補地がどうしてもできるかできないかという状態になっておりまして、これは原子力委員会でさらに研究し、でき得ればまあ射爆場も解決し、そして安全性を重視して早く着工いたしたいと考えておりますが、非常に現在問題になっておるところでございます。ただ、こういった先進科学でございますから、原子力の発電所を設けるにしましても、あるいは再処理工場を設けるにしましても、やはり地元の御納得を得なければならぬ点におきまして、いろいろ多くの困難がございます。実は、科学技術庁長官としての仕事の三分の一くらいは、そういった地帯整備、環境整備、あるいは地元の御納得を得るための、いろいろな面における政治的あるいは実際的な説得と申しますか、あるいはPRと申しますか、さらにそれを勘案してどこに決定するかというような、本来の仕事以外にそういった面がたいへんあり、苦労をいたしておるのが現状でございます。ようやく最近になりまして、原子力発電等を置く場合において、まあいわば誘致運動といいますか、ぜひ置いてくれといわれる数カ所の御陳情等も承って、こういうことは初めてであるというような状態になっております。新しい巨大な技術を、あるいは科学を推進していく場合、おそらくこういった困難と戦っていかなければならぬ多くの問題があることをつくづく考えるわけでございますが、将来におきましては——しかも地元の御納得を得なければできないことですから、私はそういう意味では、ひとつ再処理の問題とともに努力をいたさなければならぬと思います。いま問題は、やはり核燃料再処理の問題をどうするかというのが、今年度中に少くとも結着をつけなければならぬ大きな問題になっていることを申し上げたいと思います。  それから第二の加工事業にいたしましても、そのほかのことにしても、一本にしてやったらどうかという御見解でございます。この点につきましては、加工事業をあげますと、御承知のとおり現在六社から出ており、そうしてこれについておそらくこれらの六社の申請は、日本の発電にしましても、石油にかわって膨大なる原子力の平和利用がある。あるいはそのほか原子力船も二船、三船というふうにできてくるであろう。そういういわば第三のエネルギー源としての原子力平和利用というものが将来進められるについては、今日早く先べんをつけて、そうして加工事業というものに乗り出していきたいというふうな、いわば先を見た各会社のことだと思います。したがって、何も現在におきまして、六社をそのまま一本にするというふうには思いません。そのまま全部認可ができるとかどうだとか思いませんが、いま原子力局長が申し上げましたように、それぞれやはり特徴があり、あるいはそれぞれまた、何といいますか、加工工程の中にも種類がございますし、平和利用が進むにつれて、さらにこれが分化していくことであろうと思います。そういう面から見ますと、ある面におきましては技術を向上させるために、一面において競争をしていただくこともよかろうではないか。今日の日本の国情から見て、いいのではなかろうか。しかしながら、基本的な開発の問題等につきましては、やはりどうしても何といいますか、一元化といいますか、役所、いわゆる行政も、それから民間のほうも、あるいは大学の研究も、それを一緒にした仕組みがやはり必要であるということを痛感いたしますとともに、これに対して国家資金というものを相当大量に投入して、そうして国の力でこれを開発していかなければならぬ事態が、先ほど申し上げました巨大科学といわれる、大型プロジェクトといわれるものの中に幾つかあるわけでございますので、そういう点は、やはり一元化する方途を考えていくべきである。しかしながら、大学には大学の任務があり、民間には民間のやるお仕事があり、でございますから、やはりその間の調節をとりながら進めていかなくちゃならぬ。ここに非常にむずかしさがあるわけであると私は考えます。ただ、加工事業だから一本だけでよろしいというわけにもなかなかまいらないと考えておりますので、そういう点に技術庁としての今後の方針を、やはり両方勘案しながらこれを進めていくということが必要だろうというふうに考えております。
  105. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 鍋島長官に申し上げたいことは、日本人は世界各国人民の中でただ一つ原爆の洗礼を経たのですから、これから論議するこの法律と原子爆弾とは全然違うわけですが、やはり一般の人は原子力というとすぐ広島か長崎の原爆を想像するわけです。ですから、十分理解しておる者にとってはノイローゼと、こう言われるかもしれませんね。しかし、それほどやはり、三十数年になるわけですが、思い出があって、ノイローゼになっているというか、なかなか私のところにそれをつけてくださいと言わぬと思う。ただ、私がこの際長官に申し上げておきたいことは、科学のことについて、科学の必要性について、科学の進歩性についてお互い口でりっぱな論議をするのですが、やることは実に遅々たるものですよ。いま第一間に対して御答弁なさった再処理アイソトープにいたしましても、日本に何カ所かできるわけでしょう。原子力発電所が何カ所もこれからできていくわけです。そうすると、発電所ができた個所に必ず一カ所ずつ再処理工場をつくればいいわけですが、国の財政上そういうことが許されないわけです。そうすると、日本海側に建ったり、あるいは太平洋岸に建ったり、あるいは四国のほうにできるかもしれません。ですから将来、いま東海のことだけ考えていまあの場所の発電所だけのことを考えれば、衆議院で論争になった射爆地に持っていくとかいかぬとかいろいろ論争になりましたが、いまの時点から考えれば、東海村のあの地点につけたほうがよろしいと思うが、数千億というか、一兆にも二兆にもなるでしょう、そういう将来の趨勢を見てきめるということになれば、そんな東海村とか勝田の海岸などということに、これは長官、ならぬのじゃないですか。それから昨年の暮れ、たまたま東海村を視察する機会がありましてお邪魔したところが、もうすでに再処理しなければならぬアイソトープが相当たまっておるわけです。あなたのほうでは、まだまだこれからそちらこちら働きかけて工場をつくって、それから処理しようというのでしょう。ですから、これはイギリスにでも持っていくより方法がありませんよ。そのうらに、あなたは御熱心ですが、十二月に内閣がかわればまた違ったとにかく長官が来て、またその長官にイロハのイの字からぼくはものを申さなければならぬ、そうなるのですよ。これは確かにそうなることは違いないのです。そこで、鍋島長官を残してくださいと議決しても、立法府がなぜ行政府に干渉するかということですから、そういうばかげたことは私は言う気はないです。それほど不熱心なんですよ。再処理の問題はいまとうてい間に合わぬですよ、いま東海村で相当たまっておるわけですから。これは原子力局長も知っているはずです。そうしてこれから場所を求めて工場をつくって、それから処理を始めますなんというのは、知らぬ人が聞いたらそうかいなと思うかもしれませんけれども、もう発電が起きてから相当日月がたっておりますから、それで長官の御答弁になるようなことにはなりませんよ。だから第一年目はイギリスへ持っていくとか二年目は持っていくとか、その間にやはりりっぱな船とりっぱな施設を設けてそこで再処理をして、日本の処理を全部そこでやろうということにならなければいかぬのじゃないでしょうか。濃縮ウランとか天然ウランを炉に入れて発火する危険性よりも、再処理のほうが危険性が多いわけです。局長は簡単におっしゃっているが、そういう筋合いのものじゃないわけです。ですから、そこあたり、もう少しまじめに御論議し結論を出していただきたいのですがね。
  106. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 再処理工場の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、日本の実情から言えば、すでにもういわば使用済み燃料というものが出ております。したがって、一部は当然イギリスあたりへ持っていかざるを得ないと思います、もうざっくばらんに申し上げて。しかしながら、だんだんともう発電所もずいぶんできてまいりましたから、非常に急いでつくっていかなければなりませんし、再処理工場をつくるにも数カ月でできるような工場ではございません。したがって、一年、二年かかるわけでございます。で、どうしても、私が申し上げるのは、ことしの秋、暮れまでには何とかめどをつけたいという気持ちで進めておるわけでございます。したがって、それがどうしてもいかぬ場合、中間においてはすでにイギリスに再処理のために送り込んだ燃料もございますので、そうせざるを得ない。しかし今後におきましては、いま言われますように発電所のあるところに再処理工場をつくるというのではなくて、おそらく日本には数カ所再処理工場をつくらなくちゃならぬ。で、その辺の地帯の問題につきましては、これは前長官からの引き継ぎではございますが、第一候補地としての勝田市の問題があって、現在射爆場そのほかで停とんをいたしておることは事実でございます。また、地元の十分の御了解はまだ得ておりません。したがって、原子力委員会におきましても、この事態事態として十分これを検討を加えながら、また、日本の再処理工場というものはどうしてもつくらなきゃならぬ事態ではございますので、これを両方勘案して最善の策を講じていかなければならぬということでございます。で、その方向で進めたいと考えております。
  107. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これで私もう本日の質問はやめますがね、船のほうは運輸省が監視監督をやっている、電気のほうは監視監督を通産省でやったりばらばら。私さいぜん申し上げましたとおり、何か一カ所にまとめてやったほうがいいのですがと、こういう意見を申し上げたのですが、一例をあげても、これを皆さん方のほうで規制なさる、検査をなさる、立ち入り検査とか抽出検査とか、局長竹田委員の質問に答弁しておったようですが、それを検査するりっぱな技術者もあまりおらぬのでしょう、数がね。みんなばらばらでやられたらたまったものではないですね。ですからそういうことでなしに、もう少し効率的にできぬものかということを最後にお尋ねして、本日の質問を終わりたいと思います。
  108. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) 加工事業の施設検査につきましては、すべて科学技術庁のほうでやる体制をとりたいと考えております。それから発電炉の検査等につきましては、通産省のほうの検査官を活用したほうが、発電所のほかの部分の検査と同じ技術者で同時にやれる部分が非常に多いので、そのほうがむしろ能率的であろうと考えておるわけでございます。  なお、いろんな基準を合わせるとか、あるいはその後の運転の監督をやりますとかということにつきましては、両者緊密な連絡をとりまして、そごのないようにしてまいりたいと考えております。
  109. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ほかに御発言ございませんか。——他に御発言もないようでございまするから、本案の質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十四分散会