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国務大臣(
鍋島直紹君) いま
最初に言われましたこの科学
技術の担当者の問題と、それから科学
技術特別
委員会の問題、私も責任がございますので、簡単にお答えを申し上げておきたいと思います。
事実、第一点の科学
技術の責任者の問題は、実際宇宙
開発にしても、原子力の問題にしても、私昨年秋から担当いたしまして勉強をして、詳細にわかるまでに相当期間を要します。そうしてこれについて最終的決断を下すということになりますと、相当のやはり専門的知識も必要といたしますし、やはり一面においては
政治的ないろいろな面の配慮ということも必要になってまいります。この科学
技術の、巨大科学の今日におきまして、実際静かに考えてみて、この結論をつけて方向を進めていくということは、ある面におきましては国の運命を左右するといいますような大きな問題であることを痛感いたします。これは一原子力の問題じゃなくして、巨大科学といわれております宇宙
開発の問題あるいは今後当然来たるべき海洋
開発の問題、あるいは現在盛んに論議せられて、今後の
事務系統なりそのほかを支配しようとしておりますコンピューター、すなわち電子計算機の問題等々考えざるを得ないのであります。この点はやはり総理大臣にお聞きいただくのが至当かと思います。私はとうてい——これたいへんなことだということを、自分が自分のこの席につきまして思わざるを得ません。これはもう率直に申し上げます。ですから
科学技術庁長官が
国務大臣であるということ、それ以外に、やはりそういったほんとうの中枢部のスタッフが要るのか、
科学技術庁長官はある意味において
政治的な面のみを担当するべきであるか、ちょっとこれはやはり今後における
日本の巨大科学を推進していく場合において、ほんとうに考えなければならぬ大きな問題であると考えます。
それから、科学
技術特別
委員会の際は、私もおりましたが、これはその後ぜひ設けようじゃないかという話で、実は沖繩が飛び込んできましたので、衆議院に比べて人数が半数以下とは思いませんが、半分くらいの参議院の議員の中で、特別
委員会の数を多くすれば、出席率の
関係、あるいは人員配置の
関係等々から、いろいろな面でなかなか困難を来たす、しかし沖繩特別
委員会はどうしても設けなくてはならないというようなことから、議運の
理事会におきまして、ここで答弁申し上げることじゃないかもしれませんけれども、そんなことで実は科学
技術特別
委員会がすりかわったような形になっておりますが、私がこういう担当になるとはつゆ思いませんでしたが、現在になってみますと、やはりいまのような
日本の巨大科学の
発展から言うと、どうしても必要であるというふうに考えます。
それから、次の御質問でございますが、いわばこの点はおそらく核
燃料の再処理の問題ではないかと思います。この点、再処理は当然ことしの秋までにはどこかに再処理
工場を設置する必要性があるわけでございまして、これについての設計なり準備は順次整えつつございます。原子力船の繋港地の問題、いわゆる母港の問題につきましては、横浜からむつに変わりましたが、これは将来原子力船は第一船を本年度着工いたしまして、そうして四十六年度一ぱいかかって、そうして四十七年度くらいには第一船が特殊貨物船として運航することになるかと思いますが、これにはどうしてもむつの整備を必要といたすわけでございます。これは原子力船でございますから、それに伴ういろいろな特殊な設備がございますので、これは当然それに伴って予算を本年度もいただきまして進めてまいりたいと思います。しかし核
燃料再処理の問題は、これは当然もう本年度秋にはこれをどこかにきめて、来年くらいからは工事にかかるのでございますが、この点については第一候補地を実は東海のあの勝田市にお願いをするということですが、
アメリカ軍の射爆場の問題と、あるいはそこに設けるのは過密ではないかというような
お話で、地元の御賛成がまだ得られておりません。第一候補地がどうしてもできるかできないかという状態になっておりまして、これは原子力
委員会でさらに
研究し、でき得ればまあ射爆場も解決し、そして安全性を重視して早く着工いたしたいと考えておりますが、非常に現在問題になっておるところでございます。ただ、こういった先進科学でございますから、原子力の
発電所を設けるにしましても、あるいは再処理
工場を設けるにしましても、やはり地元の御納得を得なければならぬ点におきまして、いろいろ多くの困難がございます。実は、
科学技術庁長官としての仕事の三分の一くらいは、そういった地帯整備、環境整備、あるいは地元の御納得を得るための、いろいろな面における
政治的あるいは実際的な説得と申しますか、あるいはPRと申しますか、さらにそれを勘案してどこに決定するかというような、本来の仕事以外にそういった面がたいへんあり、苦労をいたしておるのが現状でございます。ようやく最近になりまして、原子力発電等を置く場合において、まあいわば誘致運動といいますか、ぜひ置いてくれといわれる数カ所の御陳情等も承って、こういうことは初めてであるというような状態になっております。新しい巨大な
技術を、あるいは科学を推進していく場合、おそらくこういった困難と戦っていかなければならぬ多くの問題があることをつくづく考えるわけでございますが、将来におきましては——しかも地元の御納得を得なければできないことですから、私はそういう意味では、ひとつ再処理の問題とともに努力をいたさなければならぬと思います。いま問題は、やはり核
燃料再処理の問題をどうするかというのが、今年度中に少くとも結着をつけなければならぬ大きな問題になっていることを申し上げたいと思います。
それから第二の
加工事業にいたしましても、そのほかのことにしても、一本にしてやったらどうかという御見解でございます。この点につきましては、
加工事業をあげますと、御
承知のとおり現在六社から出ており、そうしてこれについておそらくこれらの六社の申請は、
日本の発電にしましても、石油にかわって膨大なる原子力の平和利用がある。あるいはそのほか原子力船も二船、三船というふうにできてくるであろう。そういういわば第三のエネルギー源としての原子力平和利用というものが将来進められるについては、今日早く先べんをつけて、そうして
加工事業というものに乗り出していきたいというふうな、いわば先を見た各
会社のことだと思います。したがって、何も現在におきまして、六社をそのまま一本にするというふうには思いません。そのまま全部
認可ができるとかどうだとか思いませんが、いま原子
力局長が申し上げましたように、それぞれやはり特徴があり、あるいはそれぞれまた、何といいますか、
加工工程の中にも種類がございますし、平和利用が進むにつれて、さらにこれが分化していくことであろうと思います。そういう面から見ますと、ある面におきましては
技術を向上させるために、一面において
競争をしていただくこともよかろうではないか。今日の
日本の国情から見て、いいのではなかろうか。しかしながら、基本的な
開発の問題等につきましては、やはりどうしても何といいますか、一元化といいますか、役所、いわゆる行政も、それから
民間のほうも、あるいは大学の
研究も、それを一緒にした仕組みがやはり必要であるということを痛感いたしますとともに、これに対して国家
資金というものを相当大量に投入して、そうして国の力でこれを
開発していかなければならぬ
事態が、先ほど申し上げました巨大科学といわれる、大型プロジェクトといわれるものの中に幾つかあるわけでございますので、そういう点は、やはり一元化する方途を考えていくべきである。しかしながら、大学には大学の任務があり、
民間には
民間のやるお仕事があり、でございますから、やはりその間の調節をとりながら進めていかなくちゃならぬ。ここに非常にむずかしさがあるわけであると私は考えます。ただ、
加工事業だから一本だけでよろしいというわけにもなかなかまいらないと考えておりますので、そういう点に
技術庁としての今後の
方針を、やはり両方勘案しながらこれを進めていくということが必要だろうというふうに考えております。