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1968-04-16 第58回国会 参議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十六日(火曜日)    午後一時三十三分開会     —————————————   委員異動  四月十五日     辞任        補欠選任      片山 武夫君     向井 長年君  四月十六日     辞任        補欠選任      近藤 信一君     沢田 政治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 近藤英一郎君                 豊田 雅孝君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 沢田 政治君                 竹田 現照君                 椿  繁夫君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君        国務大臣     鍋島 直紹君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      馬場 一也君        科学技術庁計画        局長       武安 義光君        科学技術庁原子        力局長      藤波 恒雄君        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        工業技術院長   朝永 良夫君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        首都圏整備委員        会事務局計画第        一部長      岩田 可治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (研究学園都市に関する件) ○金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、片山武夫君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。なお本日、近藤信一君が辞任され、その補欠として沢田政治君が選任されました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。鍋島科学技術庁長官
  4. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近における原子力開発利用進展は、まことに目ざましいものがあり、今後のわが国の経済社会進展にも大きく貢献するものと期待されております。  このような原子力開発利用を積極的に推進していくにあたりましては、その安全性確保に万全を期すべきことが不可欠な前提であることは、あらためて申し上げるまでもないところであります。このため、従来とも、原子炉等規制法により適切な規制実施につとめてまいったものでありますが、最近、核燃料加工が、いよいよ本格的な事業として実施に移されようとしており、また核原料物質原材料として使用する工業が増加しつつある等、原子力開発利用は一そう本格化、多様化してまいり、これらにおける十分な安全性確保するため、その規制につきましてもさらに万全を期すべく所要整備を行なうことが必要となってまいりました。  この法律案は、このような趣旨に基づき、原子炉等規制法所要改正を加えようとするものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  まず、第一に、本格的な加工事業が現実に行なわれる段階に至ったことに対処し、加工事業者加工施設工事に着手する前に、加工施設に関する設計及び工事方法について内閣総理大臣認可を受けねばならないこととするとともに、実際の工事認可どおり行なわれているかどうかを確認するための施設検査制度を設けることであります。  第二に、核燃料加工、再処理事業におきまして、核燃料取り扱いに関する安全確保にさらに万全を期するため、加工事業者及び再処理事業者は、核燃料取り扱い主任者を選任しなければならないこととすることであります。  第三に、タンタライト、ゼノタイム鉱等核原料物質使用者は、内閣総理大臣にその旨を届け出ることとするとともに、核原料物質使用するにあたっては、総理府令で定める技術上の基準に従わなければならないこととすることであります。  なお、以上の三点のほか、原子炉等規制合理化をはかるために所要規定整備を行なうこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを心からお願い申し上げます。
  5. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、政府委員から補足説明を聴取いたします。藤波原子力局長
  6. 藤波恒雄

    政府委員藤波恒雄君) ただいま長官より提案理由の御説明をいたしました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案について、補足して御説明申し上げます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律は、御承知のとおり昭和三十二年に制定されて以来すでに十余年を経ております。この法律は、その名の示すとおり核原料物質核燃料物質及び原子炉につき、それらの平和利用安全性確保を目的としたものであり、核原料物質または核燃料物質の製錬の事業核燃料物質加工事業使用済み燃料の再処理事業という三つの事業原子炉設置運転核燃料物質使用について、所要規制をいたしております。この法律に従い、従来からそれぞれの規制の適切な実施につとめてまいりましたが、最近原子力発電実用化に伴い、核燃料加工がいよいよ本格的な事業として実施されようとしており、また、核原料物質原材料として使用する工業が増加しつつある等、原子力開発利用が一そう本格化、多様化してまいりました。このような実情に対処して、安全性確保に万全を期するため所要規制整備を行なおうとするのが、今回法律改正を行なう趣旨でございます。  次に、この法律案要旨をさらに詳しく御説明申し上げます。  第一に、最近、商業用動力炉建設計画具体化し、相当量動力炉用核燃料の需要が継続的に見込まれる段階に至りましたことに伴い、加工事業具体化しつつあります。すなわち、これまでこの法律に基づく事業許可を受けている者はありませんでしたが、いま申し述べましたような状況の変化に応じ、原子力関係企業から核燃料加工事業許可申請がなされております。また、これら事業におきましては、現行法制定時には予想もされなかった大量の濃縮ウランや、プルトニウムなどが使用されることが明らかとなってまいりました。このため、安全性をより一そう確実に保つため、従来の加工事業許可制度に加え、加工施設設計及び工事方法についての認可制度を導入するとともに、さらに工事が、はたしてその認可したとおりに行なわれたかいなかを検証するために施設検査を受けるべきことを義務づけようと考えております。これに加え、加工施設の保全、核燃料物質取り扱い等に関し、保安のために必要な措置を講ずべきことを義務づけることを意図しております。  第二に、加工及び再処理事業核燃料取り扱い主任者を置かせることであります。従来の法制では、原子炉運転にあたっては、一定資格を有する者を原子炉運転に関する保安監督を行なわせるため原子炉主任技術者として選任すべきことを義務づけておりましたが、加工、再処理事業については、このような制度がありませんでした。しかしながら、濃縮ウランプルトニウム等核燃料物質を継続的かつ大量に取り扱う場合には、臨界管理放射線障害防止の観点から、ある程度の学識と経験を有する者が保安監督を行なうことが必要であると考えられるに至りましたので、今般、加工、再処理事業についても一定資格を有する核燃料取り扱い主任者を置くことを義務づけることとしているものであります。  第三には、核原料物質使用について届け出制を創設することであります。最近、タンタル、イットリウムの製造事業所が増加しておりますが、これらの事業所で取り扱う原料鉱石の中にはウラン、トリウムが相当含まれております。このため、これらの工場の内外の安全性確保するため、これらの事業者に対し、核原料物質使用届け出義務を課するとともに、総理府令で定める技術上の基準を順守すべきことを義務づけたいと思っております。  これらのほかに、原子炉規制において従来行なっておりました施設検査性能検査を一本化すること、日本原子力研究所原子炉設置運転及び動力炉核燃料開発事業団加工事業における特別扱いを廃止することなど、所要規定整備を行なうこととしております。  以上、この法律案提案理由を補足して御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 本案の自後の審査は、これを次回に譲ることといたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記を起こして。     —————————————
  9. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、研究学園都市に関する件についで調査を行ないます。  質疑のあります方は順次御発言を願います。
  10. 竹田現照

    竹田現照君 筑波研究学園都市関係について若干御質問をしたいと思いますが、これは関係省がずいぶんたくさんありますけれども、これは具体的に推進する取りまとめ責任の官庁はどこであるというふうに理解してよろしいですか。首都圏整備委員会なのかあるいは科学技術庁なのか、学園都市だから文部省なのかですね、どうもはっきりしませんけれども、どのように理解したらよろしいのですか。
  11. 岩田可治

    説明員岩田可治君) ただいまの御質問についてお答え申し上げます。  ただいまお話のございましたように、研究学園都市建設仕事につきましては、政府部内で相当多くの省庁にあたりました仕事でございます。ここで現在は総理府の中にこのための関係各省連絡調整と、それから事業推進いたすために推進本部というものが設けられておりまして、推進本部という組織のもとに、関係各省連絡をしながら仕事をしていくという体制になっています。で、推進本部のまあ事務局といいますか、実際の取りまとめ仕事内閣審議室がこれに当たるというようなふうにきめられておりまして、私ども首都圏整備委員会事務局といたしましては、その審議室仕事をお助けしながらやっていく、そういうようにきめられております。現在の状況は大体そういう状況のもとになっております。
  12. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると責任者内閣審議室長というふうに理解してよろしいですか。
  13. 岩田可治

    説明員岩田可治君) ただいま御説明申し上げましたように、推進本部事務局としての仕事内閣審議室であります。
  14. 竹田現照

    竹田現照君 じゃその責任者はどなたですか。推進本部長というんですか。これはどなたが担当されるのですか。
  15. 岩田可治

    説明員岩田可治君) 現在推進本部長建設大臣が当たっております。
  16. 竹田現照

    竹田現照君 この整備委員会は、私が理解するところでは、全体計画総括というものを担当しておられるというふうに聞いておりますが、そういうふうに理解していいんですか。
  17. 岩田可治

    説明員岩田可治君) 首都圏整備委員会事務局といたしましては、実は首都圏整備法によりましてこの茨城県の筑波地区というものは整備法に言う都市開発区域に指定をされておりまして、都市開発区域というのは、北関東におきまして工業住宅その他いろいろ機能を相当展開させるために特に力を入れていく地域でございます。われわれとしましては、その都市開発区域整備につきまして、いろいろの研究ないし計画を立てておる、そういう立場にございますので、そういう意味でいろいろ側面的にタッチしておる、そういう形になっております。
  18. 竹田現照

    竹田現照君 科学技術庁研究機関計画総括だというふうに聞いておりますが、これも間違いございませんか。
  19. 武安義光

    政府委員武安義光君) 科学技術庁といたしましては、各省研究機関があちらへ移ることになっておりますので、その整備等につきまして、全般的にその関係がうまくいきますように事務的に援助をいたしております。なお、その中に研究機関が移りました場合の研究に関するサービス施設等も必要になってまいりますので、その関係の検討もいたします。
  20. 竹田現照

    竹田現照君 首都圏整備委員会建設大臣で、また推進本部長ですから、あれですが、去年の九月五日に研究学園都市に関する閣議了解というものがありましたね、閣議了解になったものの内容を簡単にひとつ説明していただけませんか。どこが担当ですか。
  21. 岩田可治

    説明員岩田可治君) 昨年の九月五日に閣議了解がありまして、研究学園都市建設に関するものでございます。内容はごく簡単に申し上げますと、今後政府部内で相談いたしまして、筑波地区研究学園都市の中核として移転をすべき研究機関、あるいは大学というものをおおむね決定いたしたということでございまして、なお、それに付帯いたしまして、研究学園都市という都市づくりにつきましてのいろいろの公共事業あるいはそこに住む人のための住宅建設、そういうようなものの大きな方針について閣議了解がされたのでございます。
  22. 竹田現照

    竹田現照君 その内容あと資料として出していただけますか。資料として出していただくことにして、この移転すべき機関大学、これはいまおわかりでしたら、ちょっと発表していただきたいと思います。
  23. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 資料はよろしいですね。
  24. 岩田可治

    説明員岩田可治君) はい。  昨年九月の閣議了解におきまして移転予定する機関といたしまして、別表の一覧表になりました機関名が載っておりますが、これは機関数にいたしまして、三十数機関ございますが、個別に申し上げましょうか。
  25. 竹田現照

    竹田現照君 通産省関係
  26. 岩田可治

    説明員岩田可治君) それでは閣議了解になりました移転予定機関のうち、通産省関係するものを申し上げたいと思います。通産省関係では工業技術院、さらに工業技術院関係では計量研究所機械試験所東京工業試験所発酵研究所繊維工業試験所、地質調査所、電気試験所産業工芸試験所資源技術試験所、以上でございます。
  27. 竹田現照

    竹田現照君 それでは工業技術院にちょっとお伺いいたしますが、いま発表していただいた限りでは、通産省工業技術院ですね、しかし、これは研究学園都市に移るのは農林省と並んで通産省が大どころだというふうに聞いております。特に工業技術院が移るといたしますと、これは人員総数どれくらいになりますか。
  28. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 人員予定は、現行の二〇%増しを予定いたしまして、三千三百三十七名でございます。
  29. 竹田現照

    竹田現照君 この研究学園都市の構想がきまってから、かなりの日数がたっていますけれども、なお今後十年くらいたたないと完成しないという見通しのようですけれども、当初の計画と、今後さらに十年ということになると、たいへんな日にちですけれども、通産省関係としては、当初たしか三十七、八年ころですか、この移転に協力をするという方針をきめられたようですけれども、その後の方針も変わっておりませんか。去年の九月五日に閣議了解している。当然御承知ですけれども、それに対する技術院側としてのいろいろな要望なり希望なり、そういうようなものはどういうことになっていますか、当初計画と比べて。
  30. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 三回にわたりまして閣議了解がなされておりますが、昨年の九月五日に閣議了解が最終的になされております。その際に、移転予定する機関とかあるいは教育文化施設の問題あるいは社会福祉施設等計画的な整備充実、あるいは公務員宿舎計画的な建設等に関する方針が示されておりますので、そのような条件を満たされるということを条件にいたしまして、われわれは参加することを考えております。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 その条件がいままでなかなか思うように進んでおらないところにこの研究学園都市がスムーズに実現をしない大きな原因があると思うのですけれども、いま五年も六年もかかって、各省庁がかなりこれに対して金を使っているのですけれども、その移転に伴う調査通産省だけでことしの予算を入れますと三千五百万近い金が調査に使われることになりますね。これは間違っていたら訂正してもらいたいと思いますが、それはかなり調査をして、なお順調に進まない大きな理由は一体どこにあるのですか。これは首都圏整備委員会も含めまして。
  32. 岩田可治

    説明員岩田可治君) 研究学園都市建設に関します進捗状況でございますが、現在は現地用地買収実施中でございます。用地買収日本住宅公団が担当いたしまして、四十一年から実施してまいりまして、相当進捗しております。同時に、先ほど申し上げましたように、移転予定機関等につきましても閣議了解がございまして、具体的に移転ないし現地での建設計画につきまして、現在関係各省の間で御相談中であるというのが現状でございます。
  33. 竹田現照

    竹田現照君 その関係各省相談というのは、私にさっぱりわからぬ。たしか去年の十月か十一月かに決算委員会文部大臣茨城選出中村議員からいろいろ質問がありました。そのときも文部大臣劔木さん、いろいろと御説明があったのですけれども、それから約半年たっていますけれども、文部省関係のものも具体的に進んでおらない。まあきょうはこれの文部省関係は避けますけれども、この通産省関係工業技術院の問題も、何が何だか、どういうことになっているのかさっぱりわからないわけですね。各省庁にまかせてある、こう言っているのですけれども……。ですから、冒頭ここで総理府推進本部なら推進本部があるのですけれども、一体何を推進しようとしておるのかですね。いま工業技術院長のいろいろ御説明がありましたけれども、これが一体どういうふうに具体的に進んでいるのか、これがはっきりしないと、端的に言って工業技術院側としてはとてもそれには乗れない。だから九月五日の閣議了解はあるけれども、通産省としてはこれに参加することをおりざるを得ない。何とか目安をつけないことには、十一省に及ぶ移転計画というものはなかなかスムーズにいかぬと、こう思うのですけれども、いろいろな部門別というものの推進状況というのは、ほんとうに首都圏に一番関係があるのですけれども、建設大臣首都圏整備委員長だから、本気になってこのことを進めているのかどうか、私は非常に疑わしいのです。ところが移転がやり玉に上がっている関係のところには、勢い人間が付随しているわけですね。一体どうなるのかということが非常に不安があるわけです。ですからそういう面を解消するために、ひとつ住宅なら住宅というのは昭和四十四年度なら四十四年度に明確にする、あるいは通産省工業技術院は四十四年度までにそういうことを完了させて移すのだけれども、大学はどうするのだとか、あるいは農林省関係はどうするのだということを、一つのプログラムを明確にしてもらわないとだめなのです。それができないのだったら研究学園都市というものは御破算にするのだと、こういうことなのか。きまっちまったからしようがないのだということになるのか。現在何だかずるずるべったりで七、八年もかかっているわけです。用地買収は、聞くところによると、あとわずかしか残っていないからと去年から同じようなことを言っている。大半が済んだところには、その用地買収が終わったところには、各省から順番に移していくような方針なのか。そのことがさっぱりわかりませんから、あえてきょう質問せざるを得ないわけですけれども、そういう点はどうなんですか。
  34. 岩田可治

    説明員岩田可治君) ただいまの御質問にお答え申し上げますが、先ほども申し上げましたように、現在現地で一番力を入れておりますのは用地買収を強力に進めるということでございまして、それと同時に、各移転機関移転をしますのには用地買収をしまして、さらに道路をつけましたりその他研究団地あるいは大学団地を具体的に現地できめるという都市計画的な各種の手続が必要になってくるわけであります。そういうようなことにつきましても、いろいろ移転をされます研究機関ないし役所側でも、御要望といいますか、御希望がございますので、そういうものを織り込みながら都市計画を担当いたします建設省、それから移転を実際行ないます関係各省、その他私ども含めまして、一緒に九月の閣議了解以降再三会合を持ちまして相談中でございまして、進渉はそういうことによりまして徐々にではありますが、なされていく。同時に、先ほど言いましたように、現地ではそういう用地買収進捗ということを一番力を入れてやっていく。そこに将来必要なものになってきます街路計画等を具体的にきめまして、町づくり基本をつくっていく、そういうような考え方でいま進んでおるわけでございます。
  35. 竹田現照

    竹田現照君 それは大まかな目安というのは大体いつできるのですか。いつごろの目安閣議了解具体化をするための作業が進められているのですか。完了が、去年から数えて十年というのですから、そうすると、やっぱり都市計画基本というか、大まかなものはやっぱり今年くらいにはつくってしまわないと、順番移転というのはなかなかむずかしくなってきます。そういうことはどうなっていますか、再三会合を持たれておるようですから。
  36. 岩田可治

    説明員岩田可治君) おっしゃるとおりでございまして、現在私どもできるだけ早く、そういう都市計画面手続等実施できますように考えておりまして、もちろんその年じゅうにはそういうような手続ができますことを目標にしてやっておるわけであります。それで、実は本年度、四十三年度におきましても、一部の機関移転をするための具体的な建設工事に着手するというような面がございますので、三十六機関が一挙に移転という形でなくて、逐次移転するわけでございますが、その一番早いものにつきましては、四十三年度から現地での仕事を始めていくというような態勢でもございますので、そういうことの基本になります都市計画仕事につきましては、おっしゃるとおり、できるだけ早期にこれをやるということで現在相談中でございます。
  37. 竹田現照

    竹田現照君 四十三年度から一番先に移ったものはいわゆる現地仕事を始める。そこで通産省工業技術院が一番早いわけですね。学園団地研究団地とか、いろいろこっちのほうに移るにしても、それがこの計画に基づくトップ移転というようなことになるのですか。
  38. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 工業技術院移転は一番トップではございません。
  39. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると工業技術院トップでないということになると、トップがあるわけですね、それはどこですか。
  40. 武安義光

    政府委員武安義光君) 科学技術庁の所属の防災センター、それから無機材質研究所この二つ機関施設を本年度から学園都市建設することになりまして、具体的に準備を進めております。
  41. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、科学技術庁関係二つと、工業技術院のほうはどういう計画になっていますか。それと、大体トップがわかりましたから、工業技術院トップでないというお答えですが、大体いつごろ移るものの順序になっているんですか。
  42. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 現在のところ、まだ順序等の計画はございません。
  43. 竹田現照

    竹田現照君 この各年度に調査費という金がついているわけですけれども、これは研究学園都市に移るための調査のために予算がつけられているんですか、それとも違う性格の金なんですか。
  44. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 調査費は、移る先のボーリングその他計画を委託して立てるための予算でございます。
  45. 竹田現照

    竹田現照君 ここ四、五年やられていますけれども、工業技術院が移るという点については、大まかな結論というのは出ていらっしゃるのですか、移ることがいいとか悪いとか。
  46. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 閣議了解の線に沿って努力しております。
  47. 竹田現照

    竹田現照君 努力じゃなくて、工業技術院は三十七年度からそういう関係調査費が使われているわけでしょう、各機関の中で一番早いですから、閣議了解の線に沿ってというよりは、移ることがいいのか悪いのかという結論はもうすでについていると思うのです、どうなんですか。
  48. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 研究環境、生活条件その他いろいろな条件整備がまず第一でございますので、その整備にあたりまして、この閣議了解趣旨を十分生かすように配慮いたしますとともに、必要な行政措置、予算措置等についてもその実現に努力したいという考えております。
  49. 竹田現照

    竹田現照君 じゃ工業技術院側学園都市に移るというための条件というものが何らかあるはずですね。その条件というものはたくさんあるんでしょうけれども、おもなるものをちょっと言っていただけますか。そうしてその条件が、いま推進本部との過程の中に、どういうふうに解決の方向に進んでいらっしゃるのか、あわせてお答えいただければ……。
  50. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 昨年の九月四日に研究学園都市建設推進本部におきまして、研究学園都市建設に関する基本方針というものが設定されまして、この基本方針をつくりますにつきましては、工業技術院の意見も出しまして、これを十分いれていただいておりますので、この条件を満足するようにいたしまして移転をするという線で進めておるわけであります。
  51. 竹田現照

    竹田現照君 工業技術院側条件というのは、これはあとで資料でもいいですから出していただけますか。そして、いまのお答えではどうもはっきりしないのですけれども、工業技術院側としては、ここに移り得るという確信がある、何ですか、推進本部側との妥結点というものは見出されているかどうか。先ほどからお答えになっていること、それはどうなんですか。まだ踏み切れる段階までいってない……。
  52. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) これは基本方針でございまして、まだ具体的なところまでは、いっておりません。
  53. 竹田現照

    竹田現照君 それはいつまでごろ目安を立てられるお考えなんですか。
  54. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) これは今後、建設推進本部と御相談をしていくべき問題と考えております。
  55. 竹田現照

    竹田現照君 これは移る中では、約三千四百名と一番多いのですね。ですから、私二千五百と聞いておったのですけれども三千四百ですか、これはかなりの大部隊の集団移動なものですから、これはいろいろと条件も違うと思いますし、当初移ろうと思っても、こんなように五年も六年も経過して、さらにこれから十年の間にいつ移るかわからないというようなことになりますと、これは移るほうもいろいろと条件が変わってきますから、当初は移ると言ったけれども、なかなか移り得ないという条件も当然に出てくると思うのですね。ですから、やはりそういう移る人の立場にも立っていろいろと関係の向きと協議をされて、円満に移り得るような条件というものをやはり両当事者間において出される必要があると思いますが、そういう点も含めて、先ほど資料要求いたしました工業技術院側推進本部に出している具体的な条件、それと、現在の段階におけるそれがどうなっているか、それから見通しですね、こういうものをひとつ資料として出してください。そうしてすみやかに一つの方針というものを……。それから首都圏整備本部にもお願いしておきますけれども、このプログラム、科学技術庁のことはわかりましたけれども、あとのほうはどういうふうに進んでいるものかということも含めて、ひとつ後ほど出していただく資料の中で提示をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  56. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) よろしゅうございますか。
  57. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) はい。  先ほどの人数でございますが、先ほど申し上げました数字は二〇%現在の人員よりもふえるという見通しの人員でございます。
  58. 竹田現照

    竹田現照君 最終的にね。
  59. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) はい。
  60. 竹田現照

    竹田現照君 いまは何人ですか。
  61. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) 現在は二千八百九十八名でございます。
  62. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、二〇%ふえるという前提の上に立って工業技術院側はいろいろな要求をされている、それが解決をされた上で移転をするのだと、そういう考え方で進められているというふうに理解していいですね。
  63. 朝永良夫

    政府委員朝永良夫君) それだけ余裕を持った計画というふうに御理解をお願いしたいと思います。
  64. 竹田現照

    竹田現照君 わかりました。それでは資料だけ出してください。
  65. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  66. 金丸冨夫

  67. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案につきましては、先般提案理由説明をすでに聴取いたしておりますので、本日は、まず補足説明を聴取いたします。両角鉱山局長
  68. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。  金属鉱物探鉱促進事業団は、昭和三十八年に行なわれました金属鉱産物の貿易の自由化に対処し、優良な資源を確保することにより、わが国鉱業の国際競争力を高める必要があるとの見地から、探鉱活動の促進をはかるための機関として設立されたものでございます。その事業内容は、探鉱に必要な資金の貸し付けのほか、探鉱を効率的に行なわせるための地質構造の調査としての広域調査及び精密調査でありますが、設立以来昭和四十二年度までの事業規模は、貸し付け金額累計約百六億円、広域調査費約七億円、精密調査費約八億円にのぼっており、本事業団は、わが国金属鉱業の体質改善に大きな寄与をしてまいったものと確信しておる次第でございます。  しかるに、事業団法の制定以後、わが国鉱業の置かれた条件は大きく変化してまいりました。  それは、まず、わが国経済の開放経済体制への移行が進み、国際競争の場が広がるのと同時に、わが国産業の基礎的原材料としての鉱産物の低廉安定供給への要請が一段と強まったことでございます。  次に、わが国の鉱産物需要の伸びがきわめて著しく、海外に対する依存度が急速に高まったことでございます。  このような環境条件の変化に対処するため、今後の鉱業政策は、従来のわが国鉱業の国際競争力の強化に加え、鉱産物の安定的かつ低廉な供給の確保をはかるための施策の実現に向かって大きく前進することが強く要請されているのであります。  金属鉱業の国際競争力の強化と、金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給の確保というこの二つの課題にこたえるためには、今後は国の内外を通じ、広く優良な資源を確保することを目的として施策を進める必要があります。  特に、金属鉱産物は、その資源が世界的に偏在しており、しかも、その多くの部分が国際的な大資本の手に握られているのに加え、その稀少物資、戦略物資的性格から需給価格の変動が著しく、その海外からの供給は安定性を欠くものになりやすいのでありまして、わが国みずからの手により海外の資源開発を行ない、自主的な供給源の確保をはかる必要性がきわめて高いのであります。  この意味で、今後の鉱業政策の基本的方向は、国の内外にわたる資源開発体制の確立をはかることにあるのでありますが、国内の資源開発については、すでに金属鉱物探鉱促進事業団を中心に、広域調査、精密調査、企業探鉱の助成という三段階方式が確立されております。したがいまして、国内の開発体制につきましては、その充実をはかることによって対処することが適当と存ずるのであります。  また、海外における資源開発体制につきましても、国内における実績、経験を生かして同事業団を中心とする体制づくりをはかることが最も適切であると考えるものでありまして、今回金属鉱物探鉱促進事業団に海外鉱物資源開発の業務を行なわせるよう事業団法の改正を御審議願うことといたした次第でございます。  改正内容の第一は目的の改正であります。  現行法第一条は、「金属鉱産物の輸入に関する事情の変化が金属鉱業に及ぼす影響に対処し、」ということで、貿易自由化対策として金属鉱業の国際競争力の強化をはかることを事業団の目的としているのでありますが、今後事業団に期待されることは、金属鉱業の国際競争力の強化と同時に、金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給を確保することであり、そのように目的を改めようとするものであります。  第二は、業務の追加でありまして、事業団が行なうべき海外関係業務として、探鉱資金の貸し付け、地質構造調査、開発資金にかかる債務の保証及び資料情報の収集の四業務を追加しようとするものであります。  資源開発の中心は探鉱にありますが、これに要する資金は、一般の金融機関から融資を受けることが困難であり、国内探鉱について事業団融資を行なってきたものでありますが、海外における探鉱についてはこの事情はさらに著しいものがありますので、これを海外にまで及ぼすことといたしたいと考えております。  また、探鉱を効率的に行なうには、事前に当該地域の地質構造の調査を十分行なう必要があり、このため、国内においては事業団の広域、精密調査実施されております。したがいまして、今後の海外開発を効率的に推進するため、この探鉱の前段階たる地質構造調査を海外の地域につきましても行ない得るようにするものであります。  次に、海外における探鉱段階が終わり、開発に取りかかることとなった場合、わが国企業にとって最も問題となるのは、その資金調達であります。すなわち海外における資源開発には大規模な資金を必要とするのでありますが、これを調達する場合の担保不足が問題となっております。  したがって、事業団に企業の行なう開発資金の調達に際し、その債務保証を行なわせ、資金調達を容易ならしめるよう措置したいと考えます。  さらに、海外の資源開発を効率的に行なうため、世界各地の地質、鉱床に関する情報、世界各国の鉱業法規、労働法規、社会、経済の諸制度等に関する情報、資料を収集する必要があります。このような事業は、民間企業が個々に行なったのでは十分なものが期待できず、国家的業務として行なうのがふさわしいと考えられますので、この際、事業団にこの業務を行なわせることとしたものであります。  以上、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案の御説明を終わります。  次に、金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案につきまして補足説明をいたします。  本法は、昭和三十八年に実施された銅、鉛、亜鉛等わが国鉱業の主要鉱産物の貿易自由化対策として制定されたものであります。  すなわち、当時わが国鉱業は自然条件の制約から、その生産費は国際的に見て割り高であり、このような状態のままで貿易の自由化を行なえば、わが国の鉱山を壊滅的な状態におとしいれるおそれがあったのであります。  本法は、このような事態に対処して生産費の引き下げを中心とする合理化計画を策定し、この合理化計画を達成するため、資金面、技術面での政府の援助を規定するとともに、生産者、需要者間の取りきめ(引取保証など)を認め、さらに通商産業大臣に生産調整や鉱石の輸入取引条件の改善を行なうよう勧告する権限を認めているものであります。  この法律の対象といたしました鉱産物は、銅、鉛、亜鉛、水銀の四鉱種であり、これらについて昭和四十二年度を目標年度とする合理化基本計画が策定されたのであります。  その内容は、生産量及び生産費の目標のほか、これを達成する手段として探鉱の急速、効率的かつ計画的な促進、国内及び海外の優良資源の開発の促進、採選鉱設備等の合理化の促進、製錬方法の改善等、製錬所の合理化の促進、鉱石の輸入取引の条件の改善等を掲げたものであります。  この合理化計画を達成するため、政府としては、金属鉱物探鉱促進事業団による探鉱の促進、中小鉱山に対する新鉱床探査費補助金の拡充、鉱業所得の課税の特例、いわゆる減耗控除制度実施、金属鉱物探鉱促進事業団による広域調査、精密調査実施、開銀等政府金融機関融資による鉱山製錬所の合理化、雇用促進事業団による離職者対策等の施策を講じてまいりました。また、このような政府の施策を受けて民間企業の側においても真剣な合理化努力がなされたのであります。  しかるに、このように政府、民間を通ずる合理化努力が進められている間において、わが国鉱業をめぐる国際環境は大きな変化を見せました。  すなわち、低迷を続けていた価格水準は昭和三十九年ごろから急騰し始め、ピーク時には本法施行当時の二倍以上の水準に達し、また銅においては最近再びピーク時の水準を再現し、需給関係においても、一時は供給不足が深刻な問題となったほどの事態が生ずるなど、各種の一時的要因に加え、世界需給の上に基調的な変化が見られるに至ったわけであります。  国際市況がこのように大きく変化する一方、国内では前述のように着実に合理化努力が続けられてきたため、貿易自由化後のわが国鉱業は混乱におちいることなく推移することができたのであります。この意味では貿易自由化に対処し、金属鉱業等の安定をはかるという本法の目的は一応達せられたと考える次第であります。  ひるがえって、今後の鉱業政策に期待されるものは、貿易の自由化当時必要とされた国際競争力の強化に加え、急速に増大するわが国の鉱産物需要を円滑に充足していくための安定的かつ低廉な供給の確保が、これと並ぶものとしてきわめて重要となってきているというべきであります。  そして、そのためには、国の内外にわたる資源開発体制を確立し、優良資源の確保をはかることが、今後の鉱業政策の大きな課題となってきていると考えます。このような考え方から、別途金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正するよう御審議をお願いしているところでありまして、今後は、同事業団の活動を中心に鉱業政策の推進をはかってまいる所存でございます。したがいまして、金属鉱業等安定臨時措置法につきましては、当初予定されていたとおり、この際、廃止するのが適当と考える次第であります。  以上、金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案の御説明を終わります。
  69. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それではこれより両案の質疑に入ります。  両案に対し質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  70. 大矢正

    ○大矢正君 ただいま議題となりました法律に関連をして、金の問題と硫黄に関連をして若干の質問をいたしたいと思います。   〔委員長退席、理事高橋衛君着席〕  まず、金から質問いたしますが、金対策あるいは金政策を行なう上において参考資料といいましょうか、参考の意味で、私の手元にも数字はございますが、念のために四十二年度の金の需要、それに対する生産、その生産の内容は、国内鉱山の産金量、それから随伴する金の産出量等を具体的にお答えをいただきたいと思います。
  71. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 金の昭和四十二年度におきまする需給関係の数字でございますが、需要は合計二十三トン二百キログラム余りということになっております。これに対しまして、供給につきましては、国内金山から出ますものが五トン七百キログラム、また随伴鉱から出ますものがニトン七百キログラム余り、輸入鉱から出ますものが五トン七百余り、その他を加えまして十五トン三百二十九というのがわが国の産金量でございます。さらに政府放出が八トンございまして、合わせまして二十三トン二百三十三キログラム、すなわち需要に対しての数字と同一の供給数字に相なっている次第でございます。
  72. 大矢正

    ○大矢正君 私がいまさら申すまでもなく、金に関する限り日本の国はその輸出入を認めておりませんし、対外的な関係におきましては、閉鎖状態にあるわけですね。そこで、対外的には日本国内が二重市場になり、閉鎖状態にあるとはいいながら、国際的な金の価格の動向というものは、国内産金と、あわせ考えますると、非常に大きなこれまた問題が出てくるのではないかと思うのであります。そこで、先般の金プール会議の結果によって、単一市場が二重市場になり、自由金市場が生まれてきて、従来までの一オンス三十五ドルを若干前後する幅の金の国際的な相場の価格維持ということが不可能になりまして、三十八ドルであるとかあるいは四十ドルであるとか、まあ日によりましていろいろと相場の変動があります。そこで、アメリカが一オンス三十五ドルという金の今日までの価格を将来ともに堅持するといういままでの言明は、単一市場が二重市場になったということで、まず第一段階くずれてきておることも御了承のとおりであります。そこで私がこれから考えなきゃならぬことは、はたして金の価格というものが、かりにアメリカの連邦銀行対ドルを持っている国との間における交換が一オンス三十五ドルで守られたとしても、自由市場における金の相場というものがそれをかなり大幅に上回って金の取引が行なわれるような状態にならないのかどうか、このような国際的な情勢の変化なり見通しというものは、いかに日本の金を閉鎖状態に置いたとしても、影響のある問題でありますし、国内産金に対する対策を立てる上におきましても私は重要なことだと思うので、これはまあ本来でありますれば大蔵省に来ていただいて、そういう見通しなり判断を聞くべきではありますが、しかし金政策と対策をあずかっておる局長としても、国際的な動向なり見通しというものが当然おありになると思うし、その上で金対策がつくられているものと思いますので、この際、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  73. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) ただいま御指摘をいただきました点は、現在の国際的な金をめぐる情勢がなお流動的でございまして、明確な見通しは私どもといたしましてもなかなか立ちがたい点でございまするが、お話にございましたように、去る三月半ばの金プール会議の決定によりまして、いわゆる金の二重価格制が採用されました結果、ロンドン、パリ、チューリッヒ等におきまするいわゆる自由市場の金の価格は、一オンス三十五ドルを上回る水準で現在推移をしておるようでございます。しかしながら、その上回り方がどの程度になっていくであろうかという点につきましては、世界産金の大半を占めておりまする南アフリカ連邦のこれら自由金市場に対する金の売り方等の動向も大きく左右してまいるかと思います。したがいまして、各国通貨当局間における金の民間市場からの購入が、金プール会議の決定のもとに今後一切行なわれず、世界の新産金はすべて民間市場に自由に放出されるということを仮定いたしますならば、金の自由市場の相場は一オンス四十ドル前後ぐらいで推移する公算が大きいのではなかろうかというふうに一応想定をいたしておる次第でございます。
  74. 大矢正

    ○大矢正君 これは私がいまの問題をなぜお尋ねをするかといいますと、金管理法あるいはまた貿易為替管理法、そういうものによって金が縛られておりますけれども、しかし三十五ドルが七十ドル、すなわち倍になったということになりますると、四百五円が八百十円になるということを意味するわけですから、ですから、かりにそういう事態になったとすれば、この金対策というものは要らなくなるかもしれないですね、逆にいうと。要らなくなるかもしれませんね。これはまああとから日本の国内産金のコストを、平均コストですが、どの程度かということをお尋ねをいたすつもりではありますけれども、そこで、まあいまの段階では、たとえばオンス当たり三十五ドルが七十ドルになるというようなそういう問題は出てこないとは思いますけれども、しかし、あなたのほうで立てられておられる金対策、その金対策に要する金、予算です、その予算というものを生み出す前提が、いま置かれている四百五円対六百六十円の国の差益金、貴金属特別会計の差益金というものを重点にして考えておられるので、新しくそういう事態が出てくると、その差益金がなければ金対策はできないし、必要がないという議論に発展する心配があるものですから、国際的な情勢なり見通しを承っておるわけであります。  そこで、金を縛りつけている一つの法律であります金管理法についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、金管理法によりますると、その目的とするところは国際間における決済手段として金を政府が保有をしなければならない。これが目的なんですね。そこで現在政府が強制的に買い上げている金の量というものは五%ということになっておりますから、ですから、量にいたしましても非常に微々たるものでありまして、国内産金が十五トンですから、十五トンに対する五%ということになりますれば一トンにも満たない。七百五十キロになりますから、まことにわずかな量しか政府は買っておらぬということになるわけですね。そうすると、国際間における決済手段として金を管理するという目的が、実際には今日失われているのではないか。かつて戦前戦後のように一〇〇%政府がまず買い上げていくという状態でありますれば、対外決済の手段としてという目的がそこにありますけれども、五%、量的にはわずかに七百五十キロしか年間に金を買い上げないでいて、その金がどうして一体対外決済という目的に合致するのか、私はそれがわからぬものですから、この際、ひとつおわかりだったらお答えいただきたい、こう思うのです。
  75. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 本件は大蔵当局の所管の問題でございますので、明確な御答弁は私能力ございませんが、一応新産金五%買い上げは、ただいまお話をいただきましたように、対外的な決済の準備に充てるということで、五%では少ないから決済的な準備としても不十分な量ではないかという面があろうかと思います。ところが他方で、御承知のようにわが国の産金コストが国際的な金の価格に比べましてきわめて割り高でございまするので、国内の産金業を保護いたしまする見地からも、できるだけ自由販売の余地を大幅に残しておくということが必要なわけでございまして、したがいまして、政府の四百五円という国際価格による買い上げ量は、できるだけこれを圧縮をいたしまして、六百六十円という自由価格の流通の余地を大幅に残すというところで五%という数字になってきているものと了解をいたします。
  76. 大矢正

    ○大矢正君 私が申し上げているのは、五%では対外決済の準備にはならないから、したがって五〇%なり八〇%なり一〇〇%政府が強制的に四百五円で買い上げるべきである、こう言っているのではないのですから。そう言っているのではなくて、事実上、金管理法というものはその目的においてすでにこれは失われているものがあるのではないか、何のために建値が六百六十円の金を、いまどき五%に限って四百五円で買わなければならぬ根拠があるのかどうか。法律があるから——なるほどあるけれども、法律がなければ、そういう意味というものは必要ないと思うのですね。ですから、私はこの際、五%を四百五円で強制的に国が買うというような考え方はやめて、一〇〇%自由にしてはどうなのか。もっと極端に言えば、金管理法などという法律は、今日では必要がないのではないか、その意義がないのではないか。その二百五十五円の差額というものは、やはり国内産金業者の負担になっているわけですね。しかし、逆に裏を返して言えば、国から若干なりとも補助金なりその他が出ているからいいではないかという理屈になるかもしれないけれども、しかし、そういう目的に対し無意味に近い法律は必要ないではないか。ただ、私が聞いたところによると、産金業者のほうは、たとえ五%買い上げられて損をしても、五%強制買い上げをしてもらうことによって、将来、補助金なりその他の足がかりができるから、泣く泣くそれをがまんしているんだというような説もあるやに聞いているわけですね。そういうような矛盾した考え方では、私はいかぬと思うのですよ。やはりそのことのために六百六十円で売れるべきものが、六百三十円なり六百四十円に下がっていることは間違いないわけで、それだけ国内産金業者の負担が出ていることは間違いないわけですから、私は、そういうものはやめるべきではないかという考え方がありますが、この点はどうお考えですか。
  77. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 五%の政府買い上げを今日まで維持をしてまいっておりまする事情は、確かにお話をいただきましたように、産金業界といたしまして、政府から公的に買い上げを受ける。その比率のいかんを問わず、政府の金管理特別会計と公的な関係を保っていくということが、金鉱業、ひいては産金業自体の特殊な性格、特殊な立場を法的に保障しておられるというふうに解しておる面があるわけであります。すなわち、金が、単なる産業用、工業用の商品としてではなくて、まさに国際的な決済手段としての特殊な性格を持っておる。その性格のゆえに、政府による強制買い上げがたとえ率はわずかでも残されておるというところに、単なる商品以上の価値が金に認められておる。それを政府が法的に保障をしておるというところが産金業界から見ましては非常に意味のあるところであると考えてまいった事情があろうかと思います。しかし、今後、世界各国が金の自由市場というものを認めてまいりまして、しかも、金プール会議諸国は今後市場から金を購入することをしないということが文字どおり実行され、かつ、わが国がさらにその方針に対応すると仮定いたしますならば、その場合の政府の強制買い上げの役割りをさらに存続せしめる必要があるかどうかという点につきましては、御指摘のような御意見もあり得ようかと考えます。
  78. 大矢正

    ○大矢正君 大臣に、この際お尋ねをいたしたいと思うのでありまするが、国家的な視野に立って検討をされております大臣のことでありますから、お答えがいただけるのではないかと思うので承りますが、金プール七カ国会議の結論、それから、そのあとでたしか開かれたと思うのでありまするが、十カ国の大蔵大臣の集まりでありますか、こういうものによって、それぞれ決議がなされておりますね。先ほど局長が述べておりまするとおりに、たとえば、アメリカからオンス三十五ドルの価格で金をかりに買った場合といえども、その金は自由市場で売買をしないというようなことも金プール七カ国会議の中で議論をされて、方向が出されているようでありますが、あれには日本は拘束されることになっておるのでしょうか。あるいは拘束されないのか。それから拘束されるされないにかかわらず協力するというお考えなのか。これは非常に重大な問題だから、おそらく閣議あたりで私は議論になっていると思うので、本来であれば大蔵大臣にお答えをいただくべきところでありますけれども、通産大臣にお尋ねをしてみたいと思うのであります。
  79. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは金プールに加入はしていないけれども、当然日本も、この国際通貨というものを守っていくという立場にある国としては、これに協力する、何と申しますか、当然協力すべきであるということでこれには協力すると、こう考えております。
  80. 大矢正

    ○大矢正君 両角局長、貴金属特別会計がいままで得ている利益ですね、これに関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、まあ最近のように、自由市場ができ上がり、金の二重価格が生まれてきたという新たな情勢は別といたしまして、四百五円を前後をした水準でアメリカをはじめとして金プール七カ国が極力この金の価格の高騰を押える政策、こういうものをとられてきたという過去における立場から考えていきますと、建値が六百六十円で、もちろんこれは政府がロンドン市場、あるいはその他の市場で購入した金を放出する価格でありますが、四百五円で買って六百六十円で売るということは、二百五十五円利益を得ていたということになるわけですね。もちろん、ロンドンから日本まで金を持ってくる現送費というものはかかっていることは間違いございませんから、二百五十五円まるまるとはまいりませんけれども、まあ大ざっぱに計算をして二百五十五円ずつもうけておるという計算をグラムあたりでしていきますと、十トン金を日本の政府がかりに買って国内へ放出すれば、それによって二十五億五千万円もうかるという計算になるわけですね。それからあなたのほうの資料によりますると、金の需要というものは年間二割ずつ伸びる見通しである、こういうことも書かれております。そうすると、私のこれも大ざっぱな計算ですが、五年後の昭和四十六年になりますと、金のいわゆる需要というものが四十八トンくらいの計算になってくるわけです。そこで国内産金がいままでどおり随伴金を含めて十五トン程度で現状を推移したということになりますと、三十三トンの金を日本の政府が買って放出しなければならぬという問題が出てくるわけですね。そうすると、逆に言えば、三十三トン金を放出することによって七十億円や八十億円という金を日本の政府が年間もうけるということになるわけですね。なるほど外貨を使うからこれは別でありまするが、そういう事態が出てくるわけですよ。そこで、こういうように一年間現状でも二十五億あるいは二十六億という金を、まあもうけると言っちゃ語弊があるけれども、実際に政府のこの貴金属特別会計の中に入っていって、一方においては具体的に日本のこの国内産金に対する保護政策なり助成策なり、あるいは将来に対しての投資なりというものに対する国家的な予算というものはまことに微々たるもので、私も予算書をここに持ってきておりますけれども、顕微鏡で見なければわからぬような、たとえば金鉱山地質鉱床調査委託費なんというのはわずかに一千万円ついているにすぎないような状態ですね。これはあまりにも、何というか、政府の金政策なり対策というものが私は弱いのではないか。まあ私が関連している石炭問題で……。こういうことを言うと、はね返りがあっちゃ困るから、なんですが、石炭の場合、たとえば本年は五百九十六億円、約六百億円の特別会計、これはもちろん石炭プロパーの問題だけではないけれども、そのようにしてだいぶ資金もつぎ込んでいる。金だってこれはその意義と価値、それから特に決済手段として非常に重大な役割りを果たしている、重大な役割りというよりは、金がない限り国際決済手段としては最終的にはどうにもならぬという意味が金にはありまするし、また産業用の金の需要というものは、これまた非常に大事なものでありますし、それから最近のようにどんどんインフレが進行していきますと、やはり価値の変化のない不変なものということになれば金ということになって、金の退蔵などということも場合によっては考えられる事態もありますが、そのようにして非常に金というものの対策なりそれから政策というものは、国の方針としても大事だと思うのでありますが、いま申し上げたようなまことに予算が微々たるものである。片方で多額の利潤というか、利益をあげているということは、私は相矛盾するのではないかと、こう思うのであります。それからあなたのほうの資料によりますると、これから新しく金対策をやりたいという内容のものが出ておりますが、これによりますと昭和四十三年度から五カ年間でこの金の四百五円と六百六十円の差益金の中から、わずかに二十九億円だけをつぎ込もうと、こういうような内容のものではないかと私は思うのでありますが、このようなわずかな、その二十九億程度の国の予算で、はたしてほんとうに金の対策というものができるのかどうか、それからもう一つは、金鉱山に対する負担というものも非常に多額なものがあります、私がざっと見ただけで。こういうものに実際に今日の金鉱山というのはたえ得るような状態にあるのかどうか。なるほど国も金出すかわりに、非常に多くの金額を金鉱山それ自身にゆだねている部分があるわけです。このような多額の負担をやって、はたしてやっていけるのかどうか、これだけの投資をするということは、逆に言えばそれだけそのコストを償却しなきゃならぬから、償却分だけまたコストが上がるという結果にもなるわけです。そういう問題が出てくるのです。国が全部やってくれればそれはコストにかかってきませんけれども、十七億という金をかりに投資をするということになれば、それがまたコストに含まれてきますから、たとえば若干の改善対策をやってみてもコストの上でははね返りがなくなってしまう状態が私は出てくるのではないか。あなたのほうの資料によりますれば、将来こういう対策をやることによって、五カ年後には生産コストを、いま六百九十八円ですが、その程度の、平均コストを五百円段階まで下げるという方針のようでありますけれども、しかし、この負担がフルにかかっていけば、結局のところ何にもならなかったということになってしまう。それじゃ何のためにおやりになったかということになるわけでありまして、こういうような点についてひとつ長々と質問をいたしましたけれども、お答えをいただきたいと思います。   〔理事高衛君退席、理事宮崎正雄君着席〕
  81. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 当初通産省で策定をいたしました金鉱山緊急合理化対策におきましては、お話をいただきましたように約二十九億五千万円の特別基金並びに金鉱山負担十七億円をもちまして緊急合理化対策を推進をいたしたいということになっておるわけでございます。この二十九億ないし十七億程度の投資でもって今後の金対策が十分打てるかどうかという御質問でございまするが、私どもといたしましては、この基礎的な調査あるいは構造坑道の掘進、その他基礎段階での探鉱の活発化を通じまして、十グラム程度の品位の金鉱を二百七十トンぐらい発見されるものと期待をいたしております。したがいまして、わが国の金の賦存量から考えまして、この程度の規模の投資でもってその相当部分が、そのように埋蔵量として把握されるものと考え、一応適当な規模と想定をいたした次第でございます。  また、このような投資にあたりまして、金山側が十七億円の投資の負担にたえ得るかという点でございますが、この点は、いわゆる新鉱床探査補助金という補助制度の別途の活用もございますし、さらに金山のほかに精錬所等もこの投資に対して協力をする計画を立てておりまするので、かような十七億円五カ年という投資は可能であると考えております。
  82. 大矢正

    ○大矢正君 局長、投資は可能であっても、私が言うことは、それがまた逆にコストにはね返ってくる心配があると言っているんですよ。それはおわかりになるでしょう。ですから、ひとつあなたがせっかく立てられた案でありますから、私は特別反対をするわけじゃありませんが、しかし、いままでもそうであるし、これからもなお、たとえ二重価格にかりになったといたしましても、国の差益金というものはずいぶん出ているのですから、やはりもっと思い切って予算の裏打ちをするように努力をすべきではないかと私は思うのであります。  それから現在の国内における金の自由化、建て値といいましょうか、これは何かの基準があって六百六十円というものがきめられたのか、あるいはずっと古い以前からの価格の推移を見ますると、五百七十円であった時期、あるいは六百円であった時期、そして今日六百六十円というふうにずっと変化をしてきておりますけれども、六百六十円でなきゃならないという何かの根拠があるかどうか、あったらこの際ひとつお聞かせ願いたいと思います。   〔理事宮崎正雄君退席、委員長着席〕
  83. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 最初の、これだけの投資をした場合にコストにはね返らないかという点は、御説明を補足さしていただきますが、投資の結果、採鉱品位が向上をいたすということによりまして、現在トン六グラムの品位が約八グラム程度向上をする、その見返りといたしましてコストはグラム五百円程度に下がるであろうということを、この計画で考えておる次第でございます。  次に第二点の、六百六十円というものが何らかの根拠があるかということにつきましては、六百六十円を定めましたのは昭和三十八年五月一日からでございます。したがいまして、この時点におきまして当時の金山の平均コストというものに見合う価格として六百六十円が適当ではないかというふうに考えた次第でございます。
  84. 大矢正

    ○大矢正君 私は通産省から、委員会の前に、平均コストでいうと六百九十七円であるという説明を一応承っているんですが、もしそれに間違いないとすれば、六百六十円との間にすでに三十円から四十円の差があるわけですね。いまの局長の御答弁のように、国内産金のコストから金の自由価格というものを設定するのだということになりますれば、勢いその価格というものを上げるべき時期と段階にきているのではないかと、こう思いまするし、国際的にも三十五ドルを境にしておった金というものが、自由市場においては三十七なり八なり四十というように変化を示しておるのですから、私は建て値というものを上げることは何ら問題がないのではないかという感じがいたしますが、その点はいかがですか。
  85. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 現在は四十一年度の数字でございますが、大体大手八鉱山の平均コストは、お話をいただきましたように六百九十八円ということに相なっておりまして、確かに六百六十円からは相当な値上がりを来たしております。これを引き上げるべき時期にきておるではないかという点でございますが、御承知のように六百六十円自体が、すでに国際的な金価格四百五円に対しまして六割以上の割り高である。かりにこの四百五円が自由市場で四百五十円程度に相なったといたしましても、なおかつ五割以上の割り高である。したがって、わが国の国内自由販売価格を六百六十円からさらに引き上げるということは、国際的な価格の格差というものをさらに拡大をする方向にいくわけでございまして、そのことがいろいろな面で影響を持ってまいる点があろうかと思います。たとえば密輸の問題でありますとか、あるいは国際的なIMF体制への協力の問題、姿勢の問題といったような政策的な配慮もあろうかと思います。これらの点をいろいろ検討いたしまして、慎重に考えるべき問題であろうかと考えますが、特に私どもは、まさにこの六百九十八円というコストが上昇してきておるがゆえに、これを少なくとも六百六十円という、今日まで認められておる自由販売価格にまで引ぎ下げるような合理化努力というものを何らかの方法推進をいたすべきであると。それによって六百六十円という現在の自由価格に即応した金の生産体制を確立いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  86. 大矢正

    ○大矢正君 四百五円のいわゆる国際的な価格それ自身が自然のものじゃないんで、人為的なものであることは、これはみんな認めているわけですよね。したがって、国内においてもその国際的な比較においてという判断を中心にして考えるということは、私は間違いではないかと、こう思うのです。それは、国際的な比価において上下がないということが一番好ましいことであることは間違いないけれども、しかし金産出国としてはまことに低位にあるわが国においては、やむを得ない現象でありまするし、それから六百六十円という建て値といいますか自由販売価格というものはありますけれども、しかし政府買い上げの五%分、あるいはまた特価の部分、こういうものを引いたら、現実の平均の販売価格というものは六百三十七円しかならぬと、こういうことにあなたのほうの数字が出ているわけです。だといたしますと、六十円からのコストの上における差があるわけであります。でありますから、価格の問題が一つあり、建て値をどうきめるかという問題が一つある。もう一つは、先ほど来議論がありまするように、国がもっと積極的に投資を行なうことによってコストの軽減をはかって、国際的な比較水準において、まあ直ちに合うとは言いませんが、徐々に国際的な水準に近づけるという問題、この両方の対策を私はこの際立てるべきではないか。あなたのおっしゃられるとおりに、価格問題は現状のままにする、それから五%問題もそのままにする。で、たとえばまあ合理化なりあるいはまた探鉱なり、その他政府の投資だけでやるんだといいましても、私は今日国内金鉱山に対する対策としては十分ではないんじゃないかと思うので、やはり価格面、それから政府の行なう予算措置、助成あるいは補助、そういうような面と両々相合わして金対策を考えていくべきである、こう思いますので、十分これからもひとつ御検討をいただきたいと、こう思います。  それから次に、硫黄問題に関連をして若干質問をいたしますが、時間があまりないようでありますから、端的にお尋ねをいたしたいと思いまするが、御存じのとおりに回収硫黄が漸次増加をしておる段階において、国内の硫黄というものが非常な圧迫を受けている、合理化計画に従ってただいま合理化を展開中でありますけれども、私自身考えてみまして、今日の鉱山硫黄を、幾ら合理化してみても、この回収硫黄の問題を考えない限り、合理化計画というものは、ある意味においては効果がないのじゃないか。なぜかといいますと、御存じのとおり回収硫黄というものは、これは今日の石油業界というものが、硫黄分が多いためにやむなくこれは回収している硫黄であって、原価というものは、あってないようなものですね。かりにトン当たり二万三千円なら二万三千円の今日の硫黄の市況の問題と考えてみましても、石油業界の回収硫黄というものは、安く売るつもりならば幾らでも安く売れる、たとえばトン千円で売ったってこれはやらなければならぬ仕事でありますから、利益が上がるかどうかというだけの違いで、本来的に石油業界がやらなければならぬ問題でありますから、千円で売ったっていいということになるわけであります。そうなってまいりますれば、鉱山硫黄というものは幾ら合理化したって、ある意味においてはその合理化によって鉱山の硫黄会社が生きれる道というものは生まれてこないと思うのであります。したがって、基本的には鉱山硫黄の現状をまず確認の上で、回収硫黄をいかにして鉱山硫黄と競合しないように、これから対策を立てていくかということに尽きるのじゃないかと、こう思うのであります。そういたしますると、結局回収硫黄の処置という問題が出てくるわけでありますが、いろいろ承るところによると、この鉱山硫黄を輸出をするか、回収硫黄を輸出するか、それは輸出価格はどうなるか、いろいろ関連した問題がありますけれども、いずれにしても海外に向けて硫黄を輸出したい、あるいはしなければならぬという宿命がその中から出てくると思うのであります。そこで、鉱山硫黄をかりに輸出をするということになりますれば、やはりこの鉱山硫黄というものは、硫黄の価格が国際的に高いうちは、あるいはある場合においては、対外的に販売をするための対策さえできれば、まだやれるかもしらぬが、かりに国際市況が悪くなってしまった段階におきましては、鉱山硫黄というものは結局のところ海外に出ていくことができない。といたしますれば、やはり原価があってないような回収硫黄というものを中心にして、輸出体制というものを確立する必要性があるし、それはまず早急にやらなければならぬ問題ではないかと、このように思うのでありますが、ひとつこの際御見解を承っておきたいと思います。
  87. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御指摘をいただきましたように、回収硫黄と鉱山硫黄との競合の問題、さらに国全体の需給から見まして、将来余剰が出てまいるという問題、この二つをいかに解決すべきかという点は、きわめて現在緊急な課題と相なっておる次第でございます。特にわが国の硫黄の需給バランスから考えますと、大体回収硫黄の生産分だけが、国内全体の需給バランスから余剰分として出てまいるというような数字的な関係もございまして、今後とも硫黄の市況対策、輸出対策、並びに山硫黄の合理化対策というものは、強力に進めていく必要があると考えております。特に私どもが現在お願いをいたしておりまするのは、山硫黄の鉱山業界と、回収硫黄の石油精製業界との両業界の協調、話し合いによりまして、国内の市場というものを、山硫黄についても十分確保してまいるようにいたしたい。また適当な価格というものが国内市場において保たれるような両業界の協調、並びに主要業界の協力ということがこの際特に望まれるという見地から、これら業界にせっかく呼びかけておる最中でございます。また輸出に関しましては、ただいま御指摘をいただきましたように、回収硫黄のほうがさらにコスト的に有利であるという面から、これが輸出適格という性格が強いと考えます。わが国の硫黄の輸出市場といたしましては、今日まで東南アジア諸国、豪州、ニュージーランド、インドその他に相当量の輸出を行なっております。今後ともこのような輸出市場を積極的に打開をいたしまして、回収硫黄を中心とした輸出体制というものを整えてまいりたいと考えております。同時に国内鉱山の山硫黄のコストの合理化ということも、これに並びまして推進をいたす必要がございました。これまでどおり五カ年計画によりまするわが国山硫黄の合理化計画というものを推進をしてまいりまして、少なくともトン一万六千円台のコストにまで引き下げまして、競争力のある硫黄業界に育成をいたしたいと考えております。
  88. 大矢正

    ○大矢正君 あなたがおっしゃられるように、この国内硫黄については合理化を通して、まあ価格の引き下げに努力をしてもらうということは、今日すでに行なわれていることでありまするし、それ自身必要なことであるとは思いますけれども、ただ私が心配をいたしますことは、合理化をやって一万六千円なら一万六千円の段階までこの鉱山硫黄のコストをかりに下げたといたしましても、硫黄の需給関係において余剰が大幅に出る限り、幾ら業界で秩序を守って云々と、こう言ってみても、それじゃ一万六千円とすれば、回収硫黄は一万四千円とか一万五千ということになっていくというのですよ。それじゃ鉱山硫黄というものは幾ら合理化をやっても、私は鉱山は生きられないと、こう思うのですよ。だからやはり一番の焦点は、いかにやっても鉱山硫黄と回収硫黄とでは国内の需要に対して供給が多過ぎるという問題をどう解決をするかということが、市況の安定につながる問題ですから……。合理化を私は決してやるべきじゃないと言っているのじゃないけれども、しかしこの問題が解決しない限りは、決して鉱山硫黄業界、それからまたそれぞれの山が立ち行かないと思うので、輸出以外にはこれはまた方法がない問題だと思うので、その面に対する対策は、政府としても十分やっていただかなきゃいかぬが、いまのような、たとえば輸出商社を通して輸出をするという、そしてその内容は、それはまあ自由であるというようなやり方だけでは、これはなかなか需給のバランスを輸出入を含めて保つということは困難ではないのか。したがって、ここでやはりある程度特殊な、政府が行政指導できるような機関を設けることによって、需給のアンバランスを、やがてくるであろう問題を解決をしなきゃいかぬと、こう私は思っておるのでありまして、政府においてさような特殊な、政府が行政指導をできるような会社をつくるようなお考えがあるかどうか、そうしてまた、そこを通して輸出入その他個々の問題等を検討することができるのかどうか。そういう点について、この際ひとつ念のためにお答えをいただきたいと思うのであります。  これは局長から御答弁をいただくよりは、やはり大臣から御答弁いただかないと、新しい組織をつくるかつくらぬかという問題でありますから、まことに重要でありまするし、いまにしてこの対策をやらなければ、これは完全に国内の鉱山硫黄はもうつぶれてしまうことは間違いないのですから、ひとつこの際、政府も思い切ってそういうものに踏み切ってでも、やはり対策を立てるべきではなかろうかと思うので、お答えをいただきたいと思います。
  89. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私の郷里岩手県には、例の松尾鉱山というのがあります。硫黄の非常に大きな鉱山でございますが、非常に死ぬ苦しみをしておるような状態であります。回収硫黄がもう調べたところによりますと、あと五年もたつと六十万トンくらいになるような調査ができておりますが、これはまあまだ時間的余裕があるといっても、もうあと五年でございますので、どうにもこうにもならぬわけでございます。でありますから、ただ行き当たりばったりじゃなしに、組織的にこれを適当に国際市場にさばく方法といたしまして、何らかの組織を考えるべき段階にきているんじゃないかと思いまするので、おっしゃるような方法に従って今後研究を進めてまいりたいと、こう思います。
  90. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  91. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。  この際、おはかりいたします。ただいま議題といたしておりまする両案審査のために、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時十七分散会      —————・—————