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1968-04-12 第58回国会 参議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午後一時二十分開会     —————————————    委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     北條  浩君  四月十日     辞任         補欠選任      北條  浩君     矢追 秀彦君  四月十二日     辞任         補欠選任      向井 長年君     片山 武夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 大矢  正君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 椿  繁夫君                 矢追 秀彦君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君    政府委員        中小企業庁長官  乙竹 虔三君        中小企業庁次長  沖田  守君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        大蔵省銀行局中        小金融課長    長岡  実君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、向井長年君が辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、衆議院送付中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  両案に対し質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 三時半ごろまで大臣がおられるというお話ですから、私からまず中小企業信用保険公庫法について御質問いたします。  公庫が設立されました後、毎年融資基金追加出資を行なってきたのであります。保険準備基金追加出資は行なっていなかったということでございまして、保険準備基金追加出資を今度の改正によりましてやるわけでございますが、四十二年度信用保証協会代位弁済というものが非常にふえたので、これは公庫から保証協会に支払う保険金が多くなりました。そこで公庫準備基金が大幅に減少したのでございます。そこで、四十三年度保険公庫は九十五億円を出資するうち二十五億円を保険準備基金として充てようとしておられるのが、保険準備基金の今度の問題でございますし、保険準備基金二十五億円の追加で十分に間に合うかどうか、すなわち、今後ふえることが予想されるからでございまするが、その二十五億円の追加出資ということを、あなたのほうできめられたということは、どこに根拠があってそういう二十五億円という基準をきめられたのか、この点をお尋ねいたします。
  5. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 四十三年度保険金支払いは、金融引き締め影響がまだ強いと思いますので、四十二年度同様高水準を続けると思います。その額は百八十四億円に達するものと予測をいたします。で、二十五億円の追加出資をいたしますれば、百八十四億円の保険金支払い支障がないというふうに考えておりまするが、ただ、四十二年度も実は予測しがたい保険金支払いがございましたわけで、四十三年度におきましても、もし不測事態発生するといけませんので、政府関係機関予算総則におきまして、保険金支払いに関しまして、保険公庫保険準備基金融資基金金額合計額範囲内におきまして、大蔵大臣の定める金額まで保険金支払いを行ない得るような弾力条項を今回入れることにいたしまして、不測事態にも備えるという万全の準備をしたわけでございます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 最近における信用保険公庫保険収支と、公庫全体の収支はどういうふうになっておりますか。
  7. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 後ほど資料を、一表を用意してまいりましたので、お配りいたしまするが、保険事業収支は、平年度収支におきましては均衡がとれるように算定をいたしておりまするが、現在のように急速に保険引き受け残高が増大しておりまする場合には、まず保険金が支払われまして、回収金のほうが長年度にわたって回収されるということになっておりまするので、したがいまして、支払い保険金とそれから保険料及び回収金収支の差額が出るわけでございまして、四十一年度におきまして九億四千万円、四十二年度におきまして約二十一億円の支払い超過になっておるわけでございます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 四十三年度見通しといたしましては、各地の信用保証協会代位弁済が、減少いたしまするよりむしろふえるのじゃないか、こういうことが予想されるわけでございますが、したがって、保険金支払いも多くなることは当然でございます。そういたしますと、四十三年度末にはさらに保険準備基金をふやさなければならぬということになるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  9. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 御指摘のとおり、四十三年度代位弁済額見込みは、現在信用保証協会連合会調べによりますると、二百五十六億という数字で、四十二年度に対しまして一二九%増という数字になっております。で、先ほど御説明申し上げました保険金支払い額百八十四億円は、右の代位弁済額に相応いたします保険金支払い額ということでございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 今度は、保険準備基金を増額するときは、この法案が通りますると、今度は国会へかけずにこれが増額できるようなことになるわけなんでありますが、そういたしますと、やはり出資に対しては安易な考え方ということになってくるのじゃないかと思うのですが、この点の懸念はどうですか。
  11. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 保険準備基金は、保険制度を維持運営いたします場合に絶対にこれが必要なこと、すなわち、支払いの必要が起こりました場合には、これを受けて立ちまして、必ず支払わなければならないという金でございます。したがいまして、今後保険制度を円滑に運用し、かつこの制度拡充いたしてまいりますためには、保険準備基金拡充も必要であるというふうに考えまするけれども、いま御指摘のように、準備基金の今後の拡充は、法律改正を要せずして、予算がきまればふえるということになるわけでございますが、それだからと申しまして、受けて立つ性格のものでございますので、安易に保険制度運用されるということにはならないというふうに考えます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 いま御答弁ございましたように、そういう安易な考えはない、自動的にこうなって、一応また相談する、こう言われますけれども、これは急激に不足してくるということになれば、やはり今後の額というものもふえていくというふうなことが予想されるわけですが、不足分ですね、そうすると、今度の改正でこれが出される以上のものが今後予想される、こういうふうに考えるわけなんですが、あなた、この点どうですか。
  13. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 先ほど申し上げましたとおり、本年度四十三年度におきましては、二十五億の追加でまかなえるというふうに考えまするが、しかし、万一の場合もございまして、この準備基金保険制度運用上受けて立つ基金でございまするので、もし不足いたしますと保険制度の根底をゆるがすということになりまするので、今回弾力条項も発動できるように措置したわけでございまして、右のような処置をいたしますると、差しあたり四十三年度におきましては、この制度維持運用支障がないと考える次第でございます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 これは提案理由説明の中にもございましたように、四十二年度におきましては、この信用保証協会代位弁済が急激にふえた。それからその総額もふえてきておるわけなんですが、四十三年度になるともっとこの増額分がふえると思うんですが、その見込み額は、あなたのほうではどれぐらいのところに基準を置いておられるのか。四十三年度は二十五億と、こういうことですが、四十三年度になるともっと私はふえてくると思うんですが、その見込み額は。
  15. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 四十二年度九十五億二千六百万円の保険金を支払ったわけでございまして、さらに保険金発生理由がそのほかに二十五億発生をしておるわけでございます。合わせまして約百二十億になるわけでございまするが、このもとになります代位弁済額は百九十九億円でございまして、四十一年度に比しまして一七一%増でございます。四十三年度代位弁済見込み額は二百五十六億円、四十二年度に比べまして一二九%増ということで信用保証協会連合会数字を積み上げておりまして、この代位弁済額に相応いたします保険金支払い額といたしまして約百八十四億円の保険金を四十三年度見込んでおるわけであります。この保険金支払い支障がないようにということで二十五億円の準備基金追加をお願いする次第でございます。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 信用保証協会保証弁済した保証先中小業者業種別ですね、いろんな業種に対して信用保証協会保証するわけでございまするから、もしあなたのほうで種別がわかっており、また、どれほどの額を業種別にやっておるか、そういうことがおわかりでしたらお聞かせ願いたい。
  17. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 四十二年度数字でおもなものを申し上げますと、保険金支払い及び請求中のもの合わせましてでございまするが、製造業に対しましては件数七千三十六件、金額におきまして四十三億ということでございます。件数におきましては対前年比一七二%、金額におきましては二〇九%でございます。それから次が小売り業でございますが、五千八百九件、二十二億円、対前年比件数におきまして一五九%、金額におきまして一九二%でございます。それから次に多いのは建設業でございまして、三千五百三十四件、二十三億円、対前年比件数におきまして二〇一%、金額におきまして二〇八%でございます。総合計二万一千四十五件のうち、この三業種の占める割合が七八%、金額総合計百十五億円のうち七七%となっております。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 いま業種別お尋ねいたしまして、製造業小売り業建設業と順番に件数、額というものをお答えになったわけでありますが、これだけで全部で二万一千四十五件の保証をやっておるわけでありますが、そのうちで倒産したというのは業種別にどのくらいの数字があるか、保証債務で。
  19. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) いまのお尋ねについては手元資料がございませんのですが、いま申し上げましたのがすぐ倒産につながるわけではございませんので、債務者銀行に対しまして支払いができなかったことによりまして直ちに保証債務発生をする、保証債務発生いたしまして保証協会から銀行に対しまして支払い代位弁済が行なわれましたものが、保険事故発生ということで保険公庫に請求されるわけでございます。したがいまして、破産はこの中の一部というふうに考えられますが、手元資料がございません。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 倒産の問題については手元資料がないということでありますが、やはり今年に入りまして中小企業倒産というものが非常に急激にふえてきておる。三月には一千を突破しておるという状況でございますから、やはり不安な気持ちで保証しなければならないというような結果も私は生まれてくるのじゃないかと思うのです。そういたしますと、やはり倒産に対する見込みというものも一応立てていかなければ、この融資関係もなかなか困難になると思いますが、この点はどうですか。
  21. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 倒産に対する見込みでございまするが、現在四十二年度に比べまして、四十三年度は依然として増加をするであろうというふうに心配されております。三月も二月よりも担当増加をいたしておりますし、この趨勢は四十三年度中も続くだろうというふうに想定をいたしまして、それに基づきまして保険金支払い準備をいたしている次第でございます。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 この倒産問題につきまして、私どもちょっといま考えますることは、三月危機の三月が一応終わった。ところが金融引き締めということになりますと四−六月ごろに対してはもっとふえるという見込みが立つわけなんです。これはまた分科会でも私は質問いたしましたが、倒産がふえてまいりまして、ここ三年ほど前の倒産というものは、形が比較的大企業倒産というものが多かった。ところが昨年あたりからだんだんと下にまいりまして中小関係倒産が出てきた。こういうことにもなっておるわけなんで、特にこれは関連倒産中小企業倒産が相当ふえてきておることも、これは調査の結果あらわれておると思うんですが、一体関連倒産というものがどれぐらい今年に入ってあったのか、この点お尋ねいたします。
  23. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 東京興信所調べ負債総額一千万円以上の倒産の場合でございまするが、関連倒産——他社倒産余波を受けて倒産——したという数字が次第に増大いたしておりまして、四十二年度は総計千百八十八件、全体のパーセンテージの中で一四・四%を占めておりまするが、四十三年の一月になりますると百八件、一五・三%、二月が百四十二件、一五・五%、三月が二百十五件、一八%というふうに増大をいたしております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 今年に入って三月が一番関連倒産——余波を受けた倒産——というものがふえて一八%になっておる。そこで、私はお尋ねするわけですが、関連倒産に対する公庫等で十億円の負債に対して、これは保険をかけることができる、いわゆる融資をすることができるということになっておりまするけれども、いま申しましたように、だんだんと下のほうに倒産がまいりますると十億以下の負債額というものは相当ふえてくる、たとえば五億円から十億円の間の倒産というものがふえてくるんじゃないかと思うんですが、この点はどれくらいの件数がありますか。
  25. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 四十一年度についてみますると、負債金額十億から五億までのものが六十三件、十億円以上が四十件ということでございましたのが、四十二年に入りますると、十億から五億までの負債総額のものが七十八件にふえておりまするし、十億円以上のものは五十三件ということにふえております。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 いま御説明ございましたように、十億円以上より五億円以上の倒産のほうが件数はうんと多いわけなんですね。そうすると、やはり私どもが法改正して基準をきめた十億円という基準というものは、もっと幅を広めて五億円程度にするというのが妥当じゃないかと私は思うんです。このことは長官分科会で一応御答弁がありましたが、そのとき銀行局のほうからも中小金融課長がお見えになっておりました。きょうも銀行局から来ていただくことになっておりますが、局長何かちょっと都合が悪くてよそのほうに行かれまして来られませんが、やはりこういう点を将来考えていかなければ、私は十億円の基準をいつまでも守っておるということでは、中小企業倒産を防止するということはなかなかむずかしいんじゃないかと思うんです。この点、中小企業庁としてはいろいろと考えておられるでしょうけれども、何といいましても大蔵省のほうの金の問題に今度はかかってまいりまするから、なかなか話し合いがうまくいかぬというのが実情じゃないかと私思うんですが、その辺はどうですか。
  27. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 本件につきましては、信用保険制度の採算と申しますか、収支に相当大きく影響するところでございます。大蔵省相談をしておるわけでございます。中小企業庁といたしましては、先生指摘の御趣旨のように、倒産範囲が相当中堅企業といいますかに広がりつつございまして、特に関連倒産を防止することは目下必要と考えますので、この十億円の基準につきましては、これを弾力的に考えてまいりたい。現在におきましても地方経済に非常に大きな影響がございます場合には、例外的に五億円ということにいたしておるわけでございますけれども、さらにこれを下の方向に向かいまして弾力的に考える必要があるというふうに思いまして、大蔵省と折衝をいたしておるわけでございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 昨日の新聞にもこれ出ておりますように、日銀総裁もやはり企業倒産など、引き締めによる摩擦がようやく目立ってきたために、摩擦防止策を本格的に検討する段階を迎えた、こう言っておられるのです。そうすると、やはり将来こうした倒産見込みというものを大きく立てておられるようでございますが、日銀総裁も言っておられる、そうすると、大蔵省としては一体この点についてはどういうふうに考えておられるのか、この点、大蔵関係から……。中小金融課長ですか。
  29. 長岡実

    説明員長岡実君) お答え申し上げます。ただいまの倒産関連の問題でございますが、公庫で実施いたしております倒産関連保証を中心として対策を講じていくことになろうかと存じますけれども近藤先生の御質問の中に、負債総額十億円以上ということで、はたして十分なる措置と言えるかどうかという問題があろうかと思います。中小企業庁長官もおっしゃいましたように、原則は負債総額十億円以上のものを、相当大きな、何というか、社会的経済的な影響を及ぼすような連鎖反応を起こさないように、対象にいたしておりますけれども、十億円未満でございましても、五億円以上のものにつきましては、当該地域に相当大きな影響を及ぼすといったようなものについて、弾力的に出資ができるように、四十一年のたしか三月であったと思いますが、ある程度基準も緩和いたしまして、これによって救済をしておる例もあるわけでございます。ただ倒産関連についての基準を下げよという御要望もごもっともなことでございますので、私どもといたしましては、今後中小企業庁とよく相談をいたしまして、どういう基準が適当であるかといったようなことにつきまして検討をいたしてまいりたいと考えております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 いま大蔵省のほうからの説明によりますると、中小企業庁とよく相談してということでございますが、やはり毎年この予算面を見ましても、この中小企業予算というものは非常に全体の比率からいくと少ない、〇・何%というふうな比率でございまして、一%にも達しないというふうな中小企業予算でございまするから、特に中小企業倒産がふえてくるというふうな見通しの上に立って、私はもっと予算面大蔵省としても、もう少ししっかりした予算を組んでいただかなければ、中小企業は一番弱い層であるから、これは経済一つ波があるとたちまち倒産するというのが中小企業の現状でございまするから、この点は私はもっと中小企業関係に、大蔵省としても力を入れていただかなければならぬと思うのですが、将来この点、大蔵省のほうは予算面に対してどういうふうに考えておられますか。
  31. 長岡実

    説明員長岡実君) 私、銀行局の者でございまして、主計局のほうからお答え申し上げるべきだと思うのでございますけれども大蔵省といたしましても、中小企業対策は、農業対策と並んで目下喫緊の重要性を持った施策であると思いますので、今後とも財政事情の許す限り中小企業対策に万全を尽くすという姿勢で臨むものだと思います。それからなお私のほうの所管の金融面で申しますと、いまの信用補完制度等の活用をさらに進めていかなければならないわけでございますが、それ以外にも、まあ昨年の秋に金融制度調査会の答申をもらいまして、民間中小企業金融制度のあり方につきましても、この際制度改正を行ない、その法律案国会に提出いたしまして御審議をわずらわすわけでございますけれども、そういうような施策を通じて民間中小企業金融自体についてはさらに中小企業金融円滑化を促進するような方向で進めてまいりたい、かように考えております。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 大臣にひとつお尋ねするんですが、ベトナム和平方向にいまたどっておる。ベトナム特需関係では中小企業は相当寄与しておるということもいろいろ新聞でも伝えておりますが、もしベトナム和平が成立した場合に、特需関係で一番被害を受けるのは中小企業でなかろうかというふうに思います。何か昨日の予算分科会大蔵大臣は、特需はなくなっても、あとの復興の問題でまだ復興特需というものがあるんだというようなことを言っておられたんですが、その点、大臣どういうふうな判断をしておられますか。
  33. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 特需数字でございますが、四十年度基準として、四十二年度では直接の特需は約一億六千三百万ドルほど、間接特需としては約四億ドル前後であるというふうに考えられております。この内訳でございますが、直接の特需につきましては、主として軍人軍属個人消費とか、これは家族等を含めてですね、そういう個人的な消費に充てられる円セール分がおもであると、そういうわけでございまして、 カメラ、トランジスタあるいは、これは個人消費の範疇は出ますけれども、バイクといったようなもの、そういうものの中小企業関係に及ぼす影響というものは、これは部品メーカーとして非常に関係があるわけでございますが、これが急激になくなるというものじゃなくて、戦争の終結のしかたにもよりますけれども、大体なだらかな線をたどっていくのではないか、こう思われますので、全体の影響中小企業に限らず、なだらかな線で漸減の方向をたどるということになると思われます。でありますから、がたっと一ぺんに来るというようなことは考えられないのではないかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても影響はあることはある、こういうふうに考えております。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 特にアメリカドル防衛によりまして、先般来輸入課徴金の問題が大きく世論として巻き起こってきた。政府アメリカ代表を送られ、与党も代表を送られて、新聞の伝えられるところによると、まあ課徴金は何とかやまるだろうというふうなことがいわれておるけれども、だからといって、すぐこれはよくなるということでもない。またアメリカにおきましては、今度さらに繊維の輸入禁止の面でいろいろと検討しておるというふうなことも新聞で伝えておるわけなんですが、この辺の見通しはいかがですか。
  35. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 問題は輸入課徴金あるいはこれに類似するような輸入制限が、この先一体どういうふうになっていくのであろうかということでございますが、まあ大体の見方は、今回のベトナム戦争に対する和平機運というものの醸成されたことによって、少しその可能性が薄らいできているのではないかというふうに考えられておりますが、しかし決して楽観を許さないということもいわれております。まあいずれにいたしましても、こういう輸入制限措置が行なわれると行なわれないでは、非常な違いがございますが、しかしその他の事情というものは、決して対米輸出が好転しておるというような情勢にはないのでございまして、やはり輸出貿易の環境は依然として非常にきびしさを持っておる、こういう情勢でございますので、まあわれわれはその成り行きを注目しつつ、あらゆる場合における対処方針を検討しておる状況でございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つお尋ねをしておきたいのは、中央で法律改正によっていろいろと中小企業に対する金融の道というものが非常に開けてきておることは事実でございまするけれども、何か地方に行きますと、法律どおりいっていないという点がままあるようでございます。たとえば商工中金なんかにたよる率が多くなっていくのですよ。どうしても倒産関係が多く出てまいりますると、民間の都市銀行または相互銀行あたりでも、なかなか中小企業に対する融資に対しては足踏みをする。そこで、どうしてもこの商工中金などにいろいろと融資の問題で相談にいく。ところが商工中金においては、やはりこの保証協会保証をつけてこいと、こう言われる。これはまあ当然でございますが、しかし一方におきましては、さらに担保を入れろというような話もあるわけなんです。とのことは十二月の十九日の当委員会におきましても私質問をして、そういうあれは、民間銀行融資の場合には保証協会保証というものは必要だが、商工中金の場合には、なるべく担保を取らないようにということになっておると、こういうまあ答弁でもございましたが、その後における動きを見ておりましても、依然として商工中金は担保物権を取り、さらに保証協会保証を取り、その上にまだ保証人を五人も六人もつけてこいと、こういうことでは、私はなかなかすぐに間に合わない、二カ月も三カ月もかかる。そのうちにどんどんと金繰りが苦しくなってくる、こういうふうなことで、倒れなくてもいいのまで倒れていくというような様相まで抱いておるわけなんですが、この点、私はどうも中央で法律改正——法律でいろいろ保護したようなことがいわれておるけれども、実際には地方に行くと食い違って、何か保証協会と商工中金と、どうも責任のなすり合いといいますか、そういうようなことが行なわれておるように私感ずるんですが、この点どうですか。
  37. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 昨年も申し上げましたように、保証協会保証は、元来担保がなく、信用力の少ない中小業者が市中の金融機関から金を借りられますように、その補完をするということを主たる目的にいたしておるわけであります。なるべく政府金融機関におきましては、その保証協会保証制度にたよらずして金融を与えるというふうにいたしたい、そういう指導をしておるわけであります。ただ、政府機関から金を貸します場合も、申すまでもなく、いわゆる金融ベースをはずすわけにはまいらないものでございますので、他に適当な担保がないというふうな場合とか、また保証人も見当たらない、あるいはまた代理貸し制度を行なっておるわけでありますが、こういう場合の必要やむを得ない場合とか、この程度の場合には保証つきを認めることも、中小企業金融円滑化に資するには、ある程度やむを得ないというふうに考えるわけであります。ただ、先生指摘のように、商工中金が信用保証協会保証を取って、その上さらに担保を徴求いたしますとか、他の保証人を要求いたしますとか、これは法の趣旨から申して、はずれておることでございまして、厳にそのようなことのないように私たちといたしましては十分指導をいたすつもりでおります。ただ、保証協会保証をいたします場合に、何らかの担保ないし担保的なものを取る場合が多いわけでありまするけれども、無担保無保証の場合以外は、その場合に保証協会が自分で担保を徴求いたしませんで、金融機関、いまの場合でございますと商工中金をして担保を取らせる、こういう場合が、調べたところによるとあるようでございます。この場合には、結果といたしまして、商工中金はその債権に対して信用保証協会保証と、さらにそのほかに担保を押えておる、こういうことになっておるわけでありますけれども、実質は信用保証協会保証で金を融資しておる、こういうことのようであります。ただ、いろいろ現地におきますると、中央の考えておりますところ、法律のねらっておりますところが必ずしも十二分に徹底しておらない、ないしは御指摘のように金融機関と保証協会の間で責任をお互いに押しつけ合うというような事例もまま耳にいたしますので、今後厳重に監督をしてまいるつもりでおります。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つは、いま長官保証協会のほうで取る担保を商工中金のほうに担保をつけさせるようにしておる、こう言われておるが、現実には保証協会に行くと、こういうことを言うんです。商工中金は政府出資であり、政府資金を借りるのだから、ほんとうは何も担保は要らない、担保は保証協会が担保になるのだから担保は要らぬじゃないか、こういうことを言うわけです。保証協会のほうでは。だから保証協会そのものも各地によってこれは違うわけです。愛知県には愛知県と名古屋と両方保証協会があります。各都道府県にはみんな保証協会がありますけれども、おおむね大きいところ、小さいところで皆違っておりますし、現在の基準では、無担保保険というものは三百万までが限度になっておる。ところが実際地方へ行きますと、また地方で基準をきめるから、三百万まで無担保保険で借りられないところもあるわけなんですね。これは非常に借りるほうにおいては私不便なことであると思うのですが、せっかくこのいい制度ができた以上は、やはり全国的な統一された見解、統一した基準というふうなもの、こういう方向へ私は指導すべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  39. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 特別小口の五十万円までのものにつきましては、申すまでもなく無担保無保証でございます。これは法律の命ずるところであります。さらに三百万円を限度といたします無担保保証につきましても、保証人以外の担保、これは物的担保のみならず担保的なものも取ることは、これは禁止をいたしておるわけで、厳重にそのように指導をしておるわけであります。それからまた、いわゆる普通の保証につきましても、信用保証協会としては、これは保証債務をしょうわけでございますから、したがいまして債務者である中小業者金融機関に対して金が確実に返るようにある程度の損保ないし担保的なものを徴求するのはやむを得ないと思いますが、しかし、これも最小限度にとどめるように通達をもって指導をいたしておるわけであります。ただ、何ぶん全国五十幾つの保証協会がございまして、もっともっとまだ保証協会ができて、あと保険制度もできたということでもございまして、協会によりましていろいろとどうも業務の運び方について差があるようでありますが、私たちといたしましては、しかし先生指摘のように、法の本来の趣旨、すなわち信用力の乏しい中小業者に対しまして、国が背後におりまして信用を補完して円滑に金融が受けられるように、全国を統一といいますか、全国が差のないようにこの制度運用がはかられるように極力指導をいたしてまいりたいと思う次第であります。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つ保証に対するところの問題ですが、保証協会保証限度額というものは、組合と個人になっておりまして、組合は三千五百万円以上五千万円、こういうことになっておりますし、それから個人会社は千八百万から三千万円、こういう程度になっておるんですが、これも組合といっても小さな組合もあれば大きな組合もあるわけです。これが組合ということで片づけられると、大きな組合では五千万円ぐらい保証していただいても何にもならぬ、こういうことになるんですが、この点、何かあなたのほうでこういう点については改正するというふうなことを考えておられませんですか。
  41. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 御指摘のように、組合と申しましても大きな組合も小さな組合もあるわけであります。ただいま先生指摘の限度は最高限度額ということであります。したがいまして、その平均はいま御指摘数字よりもはるかに実は下がっておるわけであります。しかし、この限度につきましては、極力保険制度の強化拡充ということの場合に、当然問題になるわけでありますので、保険制度の強化拡充をいたします場合に、この限度の問題も検討してまいるということにいたしたい。ただ、先ほど申し上げましたように、現在のところは最高限度であり、実際の運用はそれよりもはるか下のところでありまして、したがいまして、資金量の所要量の多い組合に対しましては多額、そうでないものは少額の保証をしておる、こういうことでございます。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 いま倒産で労務倒産ということが非常にいわれておりますね、いわゆる人件費が高くて中小企業倒産があるのだと。そこで中小企業は何とかして近代化しようとする。近代化資金を借りる場合に、組合に加盟しておるのは比較的安易でございまするけれども、アウトサイダーの企業、これが近代化資金を借りようとする場合には非常にそこに困難が伴うわけなんで、それはなぜかというと、近代化資金等助成法の中に、通産大臣の定める基準に従うことを法律で定めている。これに従って通産大臣は、商工組合が設立されているときはその推薦が得られることという、推薦をしなきゃならぬということになっているわけですね。そうすると、アウトサイダーの企業は、組合の推薦を得るということは非常にむずかしいわけなんです。何とかかんとか理屈を言って、なかなか推薦をしてくれない。そうすると、わずかな近代化資金を借りようとしてもそれも借りられない、こういう傾向がいま出ているわけなんですが、やはりこれは法律そのものに、通産大臣云々ということで、商工組合の設置されているときはこの推薦と、こういうことになっているから、どうしても推薦をとらなきゃならぬ。推薦がとれぬ場合にはできない。その点、何とかこれはもう少し簡潔な方法ですね、必ずしも組合の推薦を経なきゃならぬということでなく、近代化資金が借りれるような、流用できるような方法というものはないかどうか。もしあるとするならば、あなたのほうで何かひとつその点は考えていかなければならぬじゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
  43. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 中小企業の設備近代化資金の貸し付けの場合に、中小企業庁長官の認めました基準と申しますか、これによって県は動いて、貸し付けをしているわけでございますが、その中に、先生指摘のような、商工組合の推薦する企業と、中小企業が資金を利用いたします場合に商工組合の推薦を必要とすると、こういうことを要求しております。この点につきましては、お説のように若干硬直的に運用され、ないしは弊害のある場合もありますので、弾力的にこの問題は考えると同時に、この基準につきましては検討を加えてまいりたいと思っております。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 まだ同僚諸君が質問があるそうでございまするから、私もこの程度にしておきますが、この投資育成会社についてひとつお尋ねしていきたいことがあるんであります。今度の改正では、東京、大阪、名古屋の投資育成会社に一億円ずつ増額することになったわけですが、私は投資育成会社が今日までまだ期間はそう長い期間でないから、私どもが考えておるようなうまくいっているとは考えませんけれども、やはり東京、大阪、名古屋の三社でずっと今日までやってこられました事業計画といいますか、その内容の概略でよろしいんですが、一応お聞かせ願いたいと思います。
  45. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 育成会社の事業は、株式投資と転換社債と二つでございまするが、数字をまず申し上げますると、東京におきましては株式が六十件、金額におきまして十八億三千万円、転換社債の引き受けが三十一件で、七億三千三百万円、合わせまして二十五億六千三百万円でありまするが、そのほかに再投資七件、一億三千三百万円、計件数におきまして九十八件、金額で二十六億九千六百万円ございます。名古屋におきましては件数におきまして全部で七十三件、金額におきまして十九億五千一百万円、大阪におきましては件数で百四件、金額で二十六億四千三百万円、三社合わせまして二百七十五件、七十二億九千万円、そういう投資ないし転換社債の引き受けをいたしております。このことによりまして投資対象の中小企業は信用がふえまして、銀行からの融資も非常に可能になる。また取引先との関係も円滑になり、あるいはまた労務の調達も容易になるというふうなことで、自己資本の充実によりまする企業内部の設備の合理化等のほかにも、いろいろ近代化された効果があがっているわけでございます。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 この投資育成会社は、中小企業の優良企業に対してこれを育成していこうというのが目的でございまするから、中小企業でも比較的優秀な企業をめんどうを見ておられるわけなんですが、今日のように倒産が相次いで出てきておりますると、もしこの三社でいままで育成に対して努力してこられたその中で、倒産したというふうな企業というものは一件でもあったかどうか、倒産せずにずっとうまくいっているのかどうか、この点どうですか。
  47. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 現在まで倒産をいたしたものはございません。ただ一、二経営不振になりましたものがありまして、これに対しましては投資会社も立て直しに協力をして、立て直りつつあるという例はございます。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 これはやはり投資育成会社で厳重な審査をした上でやられるから、まあそういう危険もなかったのではないかと思うのですが、やはりこれからは相当倒産もまだきびしくなると思うし、そしてもう一つは、そういう優良な企業だけ手がけていくと、今度は投資育成会社でひとつうちもめんどうを見てもらいたいと思うけれども、審査で振り落とされる、こういうことになりますると、伸びようという企業は、投資育成会社の指定を受けなければ、そこで没落していくというふうなことも出てくるのではないかと予想されるのですね。そうすると、育成会社でめんどうを見るやつはどんどん伸びていくし、めんどうを見られなかったやつは振り落とされたままだんだんと没落していくという格差、中小企業の格差というものは、そこでも起こってくるのではないかということが予想されるのですが、この点はどうですか。
  49. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) この制度は、中小企業の自己資本を充実する結果として、自己資本を充実し、それが証券市場におきまして資本が調達できることを将来の目標に、自己資本を充実させようということでございますので、結果といたしまして、中小企業の中で、成長性の強い、しかも収益力の比較的よろしいものを投資対象に選び出すという点は御指摘のようにあるわけでありますが、ただ、この部類におります中小企業は、一面におきましては大企業の攻勢を非常に強く受けるものでございまするし、また、最近になりますると外資の影響も出てきているというわけでありまして、急速に自己資本を充実する必要があるわけだと思うのであります。ただその場合に、先生指摘のように、中小企業同士で、片一方の企業に対して政府が間接的ではございまするけれども肩入れをした、したがいまして、他のものが競争力が劣ってきた、こういう点が出るのではないかという心配は、われわれも持っているのでありまして、したがいまして投資を必要とする中小企業に対しましては、なるべくこの制度を広く適用したいと念願をしているわけであります。ただその点、予算関係、またこの会社の、卒業と申しますか、がなかなかちょっとむずかしくなったというふう主点がございまして、念願どおりにはいっておりませんけれども、私たちといたしましては、極力この会社制度を活用し、また事業規模を拡大することによりまして中小企業に対しましては必要な投資ないし転換社債の引き受けをやって中小企業の体質改善をはかっていくという方向で努力をいたしたいと思うわけでございます。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 この投資育成会社法が創設された当時では、やはり中小企業が独力で資本を調達できるようにして、そうして株式の公開ができるように、そういうことに育成をしよう、こういうことになって、まあそういう段階まで育成された会社、企業もあろうかと思いますし、それから、当時は第二部上場が一億円であった。現在投資育成会社で育成した企業の中で一億円を突破している企業が相当あるというふうに私は聞いているわけでございますが、そうすると、もう当時の第二部の上場が一億円でございまして、その目的はほぼここで達したような結果が生まれているわけなんです。ところが、何か第二部の上場が改正になって、現在三億円になったとか、こういうことなんです。そうすると、またこれは一億円くらいまでというのが今度は三億円までということになるわけですね。そうすると、これは今日まで育成会社で育成をしてきた会社だから、もう一億円になったからめんどうを見ないぞというわけにいかないと思うのですね。株式の第二部の上場に乗れるまでと、こういうことになっているから。そうすると今後もさらにこの一億円を突破した企業に対しましても再投資する、また再々投資ということも考えられるのでしょうが、そうすると、中小企業法にいう中小企業の定義のワクからこれははずれていくわけですね。現在中小企業の定義というものは資本金五千万円と押えられている、そうして従業員は三百人ですか、ところが一億円を突破して二億円になる、二億五千万円になる、三億円までということは二億九千万円まではいいわけなんですが、まあ普通の考え方でいくと、これはもう中小企業の範疇からはみ出ているということになるのですが、しかしこれは投資育成会社法という法律によって第二部の上場までということになっているから、そこまでやるのだということになると私は思うのですが、そうすると、いつまでも投資育成会社でめんどう見ていかなければならぬということですか、これは。
  51. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) ただいま先生指摘の点は、現在の投資会社制度運用におきまして実は最大の問題だと思います。この法律ができましたときにおきましては、御指摘のように証券取引所におきまする上場基準が一億でありました。したがいまして、一億までというか、一億程度まで育て上げれば取引所におきまして外部資本の調達ができるという所期の目的が達成できたのでございまするが、その後、東京、大阪の取引所は三億円、名古屋は二億円に理事会の決議で事実上上場基準が引き上げられましたために、本来のこの投資育成会社のねらっております上場まで育てるということになりますると、なお相当の期間と、その上にさらに非常に多くの金額が要るということになるわけであります。現在この育成いたしました会社で第一次にねらいました資本金一億円にまで達成しておるのが四十四社あるわけでありますけれども、この四十四社だけでもこれを上場まで育てるのは相当な、おそらくあと数年しかも金額におきましても相当の投資を要するということになるわけであります。そういうことになりますると、一面におきましては多額の資金、これは相当部分をやはり国家資金に依存をいたさねばならぬと思いまするし、資金を要するのみならず、またこの投資育成会社制度制度に乗りたいと希望する中小企業が非常にたくさんあるわけでありまして、この中小企業に対しましてのこの制度の活用も考えなければならないということになるわけであります。したがいまして、現在のところ私たちといたしましては、相当程度以上に育ちましたこの投資先につきましては、今後の成長が非常にすみやかであって、比較的短期間に上場の目的を達し得る投資先は別でございまするが、しからざるものにつきましては、この投資先の会社につきまして投資育成会社の持っております株式を株主へ売り戻すあるいは生命保険会社あるいは損害保険会社等へのはめ込みまたは取引銀行に対しましてのはめ込み等、別途の措置を考えなければならないものと思いまするし、またさらに衆議院の商工委員会におきましてもこの点特に御指摘がございまして、大蔵省と共同いたしまして、非上場株式の店頭登録制度の検討も含めて考えてまいるというふうに思うわけであります。いずれにいたしましても、この問題につきましては、最初申し上げましたように、育成会社の今後の非常に大きな問題でございまするので、抜本的な検討を加えたいというふうに思うわけであります。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 時間がありませんから、もう私御質問はきょうはこの程度にしますけれども、もう一つ最後に、昨年の法改正いわゆる中小企業団体組織法の改正及び協業組合の組織ができるようになりまして、いろいろな協業組合がその後において各地でできつつあると思うのですが、一体今日まで協業組合というものはどれほど成功したかということと、それからこれはもういま答弁はなくても、あとで資料もらってもいいのですが、もう一つ商業における協業組合、いわゆる小売り店の協業、これらについて一体どういうふうな形で将来めんどうが見れるかどうか。たとえばスーパーマーケットのようなものをつくって、その中へこぞって全部が一緒に、同業者が五人なら五人、五人ずつ、八百屋が五人それからお菓子屋が五人、こういうふうに入った場合、これを認めるのかどうか。これは協業組合四人以上ですか、四人以上のあれがあればできるわけなんですが、スーパーマーケットのようなものをつくって四人ぐらいずつのやつが五つぐらいできることがあるわけなんですね。一つの建物の中に協業するわけですから。その場合に、これは適用になるのかどうか。この点、いますぐわからなければあとで資料でもよろしいのですが、これをお尋ねしまして終わります。
  53. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 一月現在の数字でございまするから、ちょっと古いかと思うのでありますが、現在全国で十一組合ができております。次に、先生指摘の異種の小売り商が一つの協業組合を結成できるかというお話でございまするが、まあ事業を一部ないし全部協業をするということが可能でございますならば、協業組合ができるということでございますので——ただし異種でございまするから、この点、運送でございまするとか販売施設でございまするとか、協業が可能であるならばできる。しかし異種の場合には、協業がどういう部分を協業するか、この辺はいろいろむずかしい問題があるかと思いまするが、研究をさせていただきたいと思います。
  54. 大矢正

    ○大矢正君 ただいま近藤委員から投資育成会社についての質問がありましたが、ついでだからそれから継続して二、三お尋ねをしたいと思うのでありますが、これは通産大臣にお答えをぜひいただきたいと思います。そこで、私は昭和三十八年の年にこの法律ができ上がったあの時期における衆参両院の委員会の速記録を全部読んだのです。その当時は現在と異なって二部市場に上場される資本金の最低額は一億円である。したがって、外から資本が受け入れやすいようにするための目標は、当然のことながら二部に上場される一億円がめどである。そうすると、中小企業の規定というものは一応資本金五千万円という規定と相矛盾するのではないかという論議が、先ほど近藤委員からありましたが、同様の議論が昭和三十八年になされているわけです。そのときの議論を私なりに通して考えてみますと、当時の長官その他答弁側におきましては、なるほど一億円ということになると、五千万円というものをはるかに上回って、ちょうど倍になる。そういう意味では中小企業基本法なりその他近代化法あるいは類似の中小関係法とはかなり違った内容のものになるけれども、しかしそれは一億円がおおむねの限度であって、その程度で中小企業が育成をされるということであれば、われわれとしては必ずしも法律に違反しているとかあるいは中小企業対策の基本からはずれるものではないというような答弁があったわけです。ところが今度は二部市場がその資本金の資格において三億円と、従来の三倍になってしまった。とすると、そこで疑問が出てくるのは、先ほど近藤委員がおっしゃっておるとおりに、いまの投資育成会社というものが二部市場上場に至るまでのいわば協力関係を持たなければならぬということであると、結局三億円までその会社を育てなければいかぬということになる。それから業務方法書といいましょうか、運営の考え方の中であらわれているのは、株式の取得は資本金の最高が五割で最低が一割五分と、こうなっていますね。そうなると、最高の五割というものをとりますと、三億円の会社にするためには、一億五千万円の投資をしなければならぬと、こういうことになるわけであります。この解釈だけからでも一億五千万円も金を出してやる。そういう中小企業というものが、はたして今日の中小企業と言い得るのかどうかということが一つと、それからそれをやったのでは、結局数少ない企業だけしかこの対象にならないという欠陥が出てくるわけですね。しかも二千万円、三千万円の資本金から三億まで上げていくということになると、三年や五年ではとうてい育たない。卒業するのに十年も十五年もかかるかもしれぬ。そうなってまいりますと、当時いわれておりましたのは、まあできれば五年程度、最高長くても七年程度で手を引きたい、卒業させてしまいたい、こう言っているのだが、現実にはそれもできなくなるとすると、一体何をめどにこの投資育成会社というものは中小企業を育成しようとするのか。そうしてその限度は何なのか、私がお尋ねしているのは、そういうことであって、長々と御答弁は要らないから、端的にどうするということをお答えいただきたいと思う。
  55. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおりまあ重大な問題であって、基本的にこれはどうも考え直さなければならぬような問題を含んできておるのではないかという気がいたします。あまりに何億までは中小企業だとか、何億円以上はこれはもう大企業だというような、そういう数字にこだわるということが、もう少しこっけいになるきらいもあると思います。この点につきましては、十分にひとつ基本的に考えてみたいと考えております。
  56. 大矢正

    ○大矢正君 おかしいじゃないか。大臣ね、私はこの法律自体が、当初つくられたときの状態とはおよそ大きくもう転換をしてきているのだと、したがって、あらためてやるならやるように、私はこの法律それ自身の基本的な考え方を変えなければならぬという時期がきているのじゃないかという感じがするのですよ。あなた言われているとおりに、これから十分検討しなければいかぬというならば、この法律を何のために審議しているのかわからないのだ。この法律を通して、何かの目的に向かっていかなければならないのだから、その目的が明らかでなければ、何のために法律を通すのかということになる。あなたの答弁じゃ私は納得してこの法案に賛成するなんてわけにいかないのですよ。だから明確に、どこまで育てるのかということを明らかにしてもらいたいと言っているのです。
  57. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 法律にどこにもその一億という目標は明示的には出ておらない。
  58. 大矢正

    ○大矢正君 それはそうだ。
  59. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 考え方として、一億ぐらいのところまで育てて、第二上場株に持っていく……。
  60. 大矢正

    ○大矢正君 いや一億じゃ上場にならないのだというのだ。第二部に上場にならないのだ。だからどうするのだ。
  61. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今度は。
  62. 大矢正

    ○大矢正君 今度じゃない。現在はそうなんだ。
  63. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もう少し……
  64. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) この立法の当時は、証券取引所の上場基準が一億であるということを踏んまえた制度であったことは、この法律の表には出ておりませんけれども、事実あったことも先ほども申し上げたとおりであります。ただ法律は、証券取引所に上場することを、法律構成上の目的にしたのではなくて、上場するということを有力な手段として、いわゆる社会資本と申しますか、一般資本を動員するということをねらったわけであると思うのであります。そういうふうになりますると、現在この法律が踏んまえておりました一億の資本金は、これは証券取引所の理事会の決議でございまして、臨時的なものではございまするけれども、三億ないし二億に変わっております。したがいまして、この理事会の決議が、これは臨時決議でございますから、これがもとへ戻れば、これは形式論でございますけれども、上場基準が一億という本来の姿に戻るということは、それは一つあるわけでございまするが、私が先ほど申し上げましたのは、その方法よりも、むしろ証券取引所を通じて社会資本を動員すること以外に社会資本の動員が不十分ながら可能ではなかろうか、その方法を考えたいと一その動員の方法というのは、関係企業にはめ込むとか、あるいはまた生保、損保に引き受けさせるとか、あるいは特に金融機関におきましては、育成投資と申しまして、上場株以外に資本金一億ないし三億の株を相当実は持っております、この育成投資方式につないでまいりますとか、こういう方法を実は検討をしておるわけでございまするが、衆議院の商工委員会におきまして御指摘がございましたのは、現に上場に至る前の中堅企業の株式におきまして、登録制度、店頭売買の登録制度という制度がございます。この制度を研究をして、ないしは大蔵省がこの制度をもっとてこ入れをして、それにこの投資会社方式で育てられたものをつないでいくということを研究してみてはどうかということで、これは検討いたしますという御答弁を申し上げたわけでございます。  右のようなことでございまして、証券取引所の上場基準が三億になりました場合に、全部をこれにつないで、育成会社の投資対象を全部ここまで育て上げることは事実上むずかしい。したがいまして、これにかわる方法を考えていく必要があるということで、先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございます。
  65. 大矢正

    ○大矢正君 三十八年に法律が制定をされる当時の議論というものは、二部市場に上場ができて、社会資本が受け入れられるような状態にまで育てる、そのためにそのめどというものは一億円であるという結論から出発しているんですよね。その考え方が変わったのなら変わったと言ってもらいたいんです。二部市場まで上場ができるまではとても育てられない、したがって途中でくらがえするんだと、そういうふうに方針を変更したならしたと、はっきり答弁してくれればいい。そうしたら次の質問をするから。
  66. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 先ほどお答え申し上げましたが、その方向を検討せざるを得ないということであります。
  67. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると長官、どこに一体その線を引くんですか。一つ一つ企業を見て、それでやるんですか。それとも何か一つの平均的な水準をつくっておいて、そこの程度までは育てようというような、何かそういう目標か何かがなければ、それぞれ企業によってそれは性格も違うし、内容も違うにしても、これは一体何を、どこを目的にしてこの企業を育てるかという点が明らかになってこないじゃないですか。ですから二部市場上場まではだめならだめでけっこう。それじゃその次の段階としてはどこまでなのか。たとえばあなたがいま言われた店頭登録なら店頭登録というと、今日では一億ぐらいが一応の目途とされておるが、しかし店頭登録では社会資本というものは入ってきませんよ。なぜかといえば、二部に上場されない株式が銀行と証券会社の間において引き受けられるはずがないですから、たとえば増資の場合に。そうしたらそういうことはできないでしょう。一体どこまで育てる。
  68. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) これから申し上げますことは、これから私たちが根本的に検討したいという中身でございまするが、先ほど申し上げましたように、証券取引所上場まで全部を持っていくことは事実上困難であるということ、しかしそれならば、まあ社会資本の動員は不可能ではないかということは、私は必ずしもそう考えませんので、不十分ではございますができるのではないかと思うわけであります。と申しますのは、この育成会社がまず手がけました最初は、資本の充実について、経営者が自己資本、自分の金とか、あるいは親類縁者とか、知己とか、ごく小範囲の人から資本の供給を仰がざるを得なかった。ところがこの会社において育成をいたしますれば、上場基準には達しないけれども、しかし相当程度の社会資本の動員が、不十分であるができる、こういう段階があると思うわけであります。その段階におきまして、その方法として、取引銀行にはめ込むことも可能でございましょうし、現に銀行は、さっき申し上げましたように相当引き受けております。それからまた店頭取引制度を活用するということ、しかしこれは現在の店頭取引制度は、私はしろうとでございますが、相当勉強し、手を入れなければいけないようでございまするが、そういう手を入れた上でそれを考えていくということも一つの方法であると思います。で、その場合に、それならばどの程度の資本金まで育て上げたならばそれが可能であるかということでございまするが、それにつきましては、現在店頭取引登録は基準がございまして、原則五千万円、理事会の決議で一億ということになっておりまするし、また金融機関におきまするいわゆる投資育成の保有株、この資本金を調べますると、一億以上のものが多いようでございます。その辺が一つのめどであるかというふうに現在思っております。
  69. 大矢正

    ○大矢正君 長官をいじめてもこれしようがない話でね、あなたが答弁できないようなふうに質問をしぼって言っているわけじゃないのであって、ただこの昭和三十八年に現在の法律が通過をした際の議論と今日の情勢は大幅に変化をしてきているのであるということをまず御認識願いたいということです。したがって、そういう前提に沿ってこれからの投資育成会社に対する通産大臣からの、言うならば指導なり監督なりというものについては、新たな方向で検討し直さなければならぬ時期にきているのだということを、この際申し上げておきたいと思うのです。そして、たとえばかりに資本金が一億五千万円になった、二億になったといってみましても、資本金が二億になったから、したがってそれでもってこの新株は銀行なり証券会社なりが引き受けてくれるという条件ではないわけだから、資本金が一億五千万円になった、二億になったからといって、かりに増資をする際に、その新株を引き受けてくれるという条件ではないわけであります。たとえば一部上場の会社であったとしても、新株の引き受けというものは証券会社なり銀行との話し合いの上で、引き受け手がない限りはそこに増資しようとしたってできないわけだから、ましてやそういう中小企業が増資をしようとしたって、そう簡単に引き受け手がないという現実に直面するから、そういう面については十分ひとつ配慮すべきだと思うのであります。  それから次に、転換社債についてお尋ねしますが、転換社債というものは、新株を引き受けるについてはリスクが大きいから、この際ひとつ転換社債ということで、社債といえども、自己資本といいましょうか、資本の充実であることは間違いないわけで、そういう意味で転換社債というものを設けられたという解釈はそのとおりかどうか、まずお伺いしたいのであります。
  70. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 御指摘のように法律制定当時はなかった制度でございまするが、一躍株主として育成会社が出ていきますのには、信用の程度等におきましてまだ不安が若干あるという投資先に対しまして、将来は新株主になるということを前提にして、一応社債形式で投資をしようというのが転換社債制度が生まれた理由であります。したがいまして、転換社債の社債権者である投資育成会社は、一定の期間内におきましては転換権がございまして、これを発動いたしますれば株主になる、こういうことになっております。
  71. 大矢正

    ○大矢正君 そこで通産大臣にお答えいただきたいのですが、転換社債というものは、増資をして新株を引き受けるにしてはどうも危険性があるから、したがって、とりあえず中身によると、四年なり五年程度は転換社債を一応の目途にして引き受けて様子を見ようというか、力をつけてやろう、こういうことだと思うのですね。ところが、この社債というものに対しては必ず担保がついているわけです、本来的には。これはついているものですね。この転換社債には担保がついているものとついてないものがあるわけです。そして私が意味がよくわからないのは、このもらった資料の中には、転換社債については担保を必要によってはつけることができる、こうなっているのですね。その意味が非常に不明確なんですよ。なぜかというと、増資をして新株を引き受けても、この会社はどうも危険性があると思うから、そこで社債というものを出すわけでしょう。転換であろうが何であろうが、社債を出すわけでしょう。本来的に社債というものは担保の裏打ちが必ずあるという前提で社債が出されるわけですね。この中小企業投資育成株式会社というものは、これは他の一般の民間の大企業と異なりますから、それは絶対的な条件ではないかとは思いますけれども、しかし新株の引き受けというものと転換社債との違いというものは、どこかに必ずあるはずなんです。あるはずだということは、私は社債というものには裏打ちがある、担保があるから、したがって、その企業にリスクがあっても将来心配ないということになっていくのだと思うのです。そうすると、現在担保を取っているところと取ってないところがある。一体取るのが正しいのか、取らないのが正しいのか、どっちなんです。これは一律にしなかったら、企業ごとにかってに、おまえのところは担保を取る、おまえのところは社債を持っていても担保は要らない。こんなばかげた話はないのですよ。
  72. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 確かに信用力等において劣りますために、まずその前提として転換社債権者になるわけであります。したがいまして、担保と申しますか、担保的なものを取るのは、これは通例であると思います。なお、この社債につきまして、物上担保を取るということになりますると、これは担保附社債信託法の適用があるわけになります。したがいまして、信託銀行が介在するとか、手数料がなければならぬとかということになりまして、手続も煩瑣でございまするし、また、よけいなコストもかかるというわけであります。なお、この担保附社債信託法の前提としておりまする担保つき社債は、転々流通することを前提にした制度でございまするので、本件のように投資育成会社が一括社債を引き受けまして、そして流通させないというものにつきましては、必ずしもこの担保附社債信託法の適用どおりに行なう必要はないというふうに考えるわけであります。なお、転換社債につきまして、物上担保のついていない社債も、例は少のうございまするが、調査したところによると、ございます。しかし、先生指摘のように、これは株主になるのにはいささか信用力が足らないから社債権者になるわけでありまして、法律的に申しますれば、社債権者は破産等の場合に優先弁済権を持っており、その点は株主よりもすぐれた地位にあるわけではありますけれども、実際上担保的なものを取る必要は私はあるというふうに思います。したがいまして、結論といたしましては、現在東京、名古屋、大阪、三社の中で、担保にかわりまして、銀行保証を取っておるのが通例でございまするが、取ってないものに対しましては、銀行保証をつけさせるように今後指導をしてまいります。
  73. 大矢正

    ○大矢正君 私は取ったほうがいいか、取らないほうがいいかということは、それは育成される会社の内容からいけば、取ってもらわないほうがいいに違いないのだけれども、取ることが前提となって今日まで運営されてきているとすれば、その三つある会社の中で、名古屋と大阪は担保ないしは銀行の裏打ちを取るが、東京は取りませんというような、そういうやり方というのはおかしいのじゃないのか。取るなら全部取ればいいし、取らなくてもいいなら全部取らないようにするのがあたりまえで、たとえばあなたの言うように、経費その他の面から考えてみても、あるいはまた銀行から金を借りる問題に関連いたしましても、取らないなら取らないという前提でやればいいし、取るならあくまでやはり全部取らなかったら、一体政府の指導方針というのはどこにあるかということになってしまうわけで、その点はひとつ、あなたが取られるとおっしゃるならば、東京だけ取らないでほかだけ取るということをしないで、取らないなら名古屋、大阪も取らせないようにやるとか、それは明確にしてもらいたいと思う。
  74. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 先ほど申し上げましたように、今後明確に指導をいたします。
  75. 大矢正

    ○大矢正君 通産大臣に、次に公庫に関連する例の無担保、無保証の特別小口保険の内容についてお尋ねをしますが、三十日の予算委員会で、私は大蔵大臣に、現在五十万円を付保限度とした例の特別小口保険というものは、その限度額は、もうかなりの年数も、五十万円になってからたっていることなんで、これを引き上げる必要性があるのじゃないかということをお尋ねしたら、大蔵省としてもそういう考え方でおりますという答弁をいたしておりますが、通産大臣として、これからその問題について大蔵省とどう折衝されるお考えかどうか、お尋ねしておきます。
  76. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 大体、御指摘のとおり五十万円では少女過ぎるきらいもございますので、これを引き上げるという前提のもとに、十分に調べたいと考えます。
  77. 大矢正

    ○大矢正君 これは調べるという問題じゃないんだよ。調査しなければわからないというのじゃなくて、五十万円を七十万とか百万円ということに引き上げる決意をお持ちであるかどうかという問題で、調査するとか、しないの問題じゃないんです。しかし、それは前向きに、これから積極的に大蔵省と限度額の引き上げについて折衝なされるというお気持ちのようだから、そのとおりに解釈いたしますが、そこで、この特別小口保険というのは、無担保、無保証であるということが前提なんです。われわれもそう解釈をしたいのだけれども、ところが、現実には無担保、無保証ではないわけです。それは、私がここで申し上げるのではなしに、衆議院の委員会において保証協会の責任者が、なるほど無担保、無保証ではあるけれども、無担保、無保証で貸すわけにはいかないので、かなりの部分は担保を取ったり保証人をつけたりしているのが現状でありますと、こう答弁している。政府はこれからどういう方針をもっていかれようとするのか、その辺お尋ねしておきたい。
  78. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 大矢委員のいまのお話でございますが、私たちとしては、実はそういうことは絶対にあってはいかぬことであると思います。これは申し上げるまでもなく法律でも明記されておりますように、無担保のみならず無保証ということでございまするので、いまお話のような実例がもしございますならば、私たちとしてはこれは厳重にこれを戒め、直ちにこれを直させるつもりでおります。
  79. 大矢正

    ○大矢正君 私が申し上げたのは、保証協会の責任者が国会の席で述べていることであって、決して事実に反することじゃありませんから、やはり中小企業庁としても積極的にひとつその面の調査をして、法律違反をおかすことがないように、あくまでこの特別小口保険というのは無担保、無保証であるということを明らかにしてもらいたい、こう思います。  それでは次に保証料率の問題に関連をしてお尋ねいたしますが、通産省からもらった料率の一覧表を、全国的に三月三十一日のを見せていただきました。私も、別にごく最近発行の金利一覧表というものを買って、これと比べて見ましたら、おおむね通産省から出されたものとこの本にあることとは一致をいたしておりますが、ただここで一つ問題だと思われますることは、保証協会によって非常に保証料率の差があるということですね。なるほどこの通産省の資料によりますると、ことしの四月一日以降保証料率の引き下げをしようとする協会も若干見受けられまするけれども、しかし最低の、日歩で計算すると三厘と、最高の日歩四厘五毛ですか、これは明らかに五割以上も高い。最低と最高じゃそれだけの保証料率の差があるわけですね。これだけで金を借りるんならいざ知らず、銀行の普通の金利の上にさらにこれが付加されるということになるわけでありますから、これは非常にたいへんな話であって、これを極力下げるように御指導はなされるものと思われますけれども、一体それについての具体的な、これは保証協会の財務内容なり何なりをある程度充実していかないとこれは下らぬことでしょう、そういうものとの関連があるわけだから。それについて通産省としては、たとえば都道府県なりその他六大市なりとの関連においてどのような指導方針をもって、どの程度の水準が好ましいという一つの目標をお持ちになっておやりになるつもりなのかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  80. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 保証協会がまず各地にできまして、自後この保険制度に結びつけたという経緯もございますし、また、各都道府県はじめ地方の肩入れぐあいと申しますか、この辺が各地の保証協会の財務内容にも相当影響をいたしておりまして、保証料率が相当開いておる、先生指摘のとおりでございます。私たちといたしましては、極力この料率引き下げに努力したいということで、現に相当この数年、差は縮まりつつございますが、まだ相当差が開いておるということでございますので、これを積極的に指導いたしますために、たとえてみますると融資基金の配分でこれを指導いたしますとか、さらに料率の高い協会を持っております府県に対しましては、府県の出損金を積極的に勧奨するとかいうようなことによりまして、保証協会の財務内容の改善をはかるということにより、料率の引き下げといいますか、低い線におきます格差是正をいたしたいというふうに考えております。
  81. 大矢正

    ○大矢正君 通産大臣たまにはお答えをしてもらわないと、長官にばかり答弁してもらっちゃ困るんだが、いま申し上げたように、保証料率というのは最低で三厘、最高で四厘五毛、こうなるわけですね。ところが、農業の信用基金協会から出される、保証される保証料率というのは、近代化資金でいきますと、日歩で八毛しか取らないのです。一般資金でいきましても一厘、平均で二厘と、こういうことになるのですね。そうすると、同じ保証料率でありながら、農業と中小企業とではこれだけ大きな差があるわけですよ。中小企業政策は国の最重点政策とうたっているのが中小企業庁の最近の発表ですよ。農業はこれだけ優遇されているが、中小企業には保証料率においてすらこれだけべらぼうの差があるということは、通産大臣政府部内における発言力が弱いから私はこうなるのじゃないかと思いますが、これは大臣にお答えいただきたいと思います。私は何も農業のほうを上げろと言っているわけではない。中小企業保証料率は農業の方向にも近づけるような、そういう方向でこれから大いに努力する必要性があるのじゃないか、あなた御存じないかもしれぬけれども、そういうことになっているのです。たまにはよく勉強して一生懸命ひとつ閣議で発言してもらいたい。
  82. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおりどうも違い過ぎるように思いますので、努力いたしたいと思います。
  83. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議存し」と呼ぶ者あり〕
  85. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより両案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、両案の討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより両案の採決に入ります。  まず、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  87. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  88. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両院の議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後三時八分散会      —————・—————