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1968-03-14 第58回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十四日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員の異動  三月十二日     辞任         補欠選任      近藤英一郎君     杉原 荒太君  三月十四日     辞任         補欠選任      横井 太郎君     高橋雄之助君      豊田 雅孝君     岡本  悟君      森部 隆輔君     北畠 教真君      上原 正吉君     田中 茂穂君      杉原 荒太君     近藤英一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君     委 員                 岡本  悟君                 北畠 教真君                 近藤英一郎君                 高橋雄之助君                 田中 茂穂君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君    政府委員        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省公益        事業局長     井上  亮君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    参考人        東京大学工学部        教授       山村  昌君        主婦連合会副会        長        高田 ユリ君        社団法人日本電        設工業会常任理        事        池田 栄一君        松下電器産業株        式会社副社長   中尾哲二郎君        株式会社タニタ        製作所取締役   太田  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電気用品取締法の一部を改正する法律案(内閣  提出)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  去る三月十二日近藤英一郎君が辞任され、その補欠として杉原荒太君が選任せられました。  また本日、豊田雅孝君、横井太郎君が辞任され、その補欠として岡本悟君、高橋雄之助君が選任せられました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本法律案につきまして五人の参考人の方に御出席をいただいておりますので、これから順次御意見を伺いたいと存じますが、その前に、参考人皆さまに一言ごあいさつしていただきます。  参考人皆さま方におきましては、御多用中のところ、当委員会のために御出席を賜わりまして、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げます。御出席皆さま方から電気用品取締法の一部を改正する法律案について忌憚のない御意見の御開陳を願い、当委員会の審査の参考にいたしたいと存じます。  議事の進め方につきまして申し上げますと、まず初めに御一人十分ないし十五分程度で御意見をお述べを願いまして、そのあと委員から質疑がありました場合におきましては、お答えをいただきたいと存じます。  どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず山村参考人に御意見の御開陳お願いいたします。
  4. 山村昌

    参考人山村昌君) ただいま御指名にあずかりました山村でございます。私は東京大学電気機械の担当をしておる者でございます。  電気用品取締法は、一般向き用途、この中には家庭用のものが含まれる、あるいは家庭用のものに含まれるのが多いかも知れませんが、一般向き電気器具取り締まり内容になっているものでございます。  それで、電気というものは使って非常に便利なものでございますので、その用途はますます広がっております。しかし、電気は一方非常に危険なものでありまして、その使用法を誤りますと人命にかかわる危険をもたらすものであります。ところが一方、このような電気用品使用者のほうを見ますと、その大多数というものは必ずしも電気の専門的な知識を持った者でない人が大部分であります。したがいまして、その電気器具製造それから販売段階人命に関する安全、それからまた他に及ぼす障害防止、こういう点につきまして十分な対策を練っておく必要があると思います。このために、外国におきましても各種の法的な規制を行なっておるのでありまして、その事情は、そのおのおのの国情によりまして方法はきまっております。本日審議の対象になっておりますわが国電気用品取り締まりにおきます法律的な規制というものは、その根本におきましては、私は世界各国工業国考えました場合、各国やり方の平均値的なところにいっているんではないかと思います。この現在の法律は、皆さんも御承知のように、だいぶ前に、昭和三十七年でございますか以来使われておるのでありますが、その後、電気技術進歩によりまして、あるいは電気器具の普及によりまして、現在のままの法律ではふぐあいな点が出てきております。これを適当なものにする、これを補正するということが、このたびの法律改正案目的であると私は考えます。  その改正の点の第一は、取り締まり対象範囲が変わった、範囲が広げられたということであると思います。最近電気器具の種類がずっとふえております。したがいまして、現在の法律のままでは、この法律が適用されないものが出てまいります。現在のこの取締法は、法律に、あるいはそれに関連のある省令に、名前のあげられたものでありませんと取り締まり対象にはならない、そういう仕組みになっておると私は了解しております。こういうやり方では非常にふぐあいであることは、これは明らかでありまして、いろいろな電気器具があらわれてくるのでありますが、それが先ほども申し上げました事情取り締まり対象にならない。そういうような電気器具が次々とあらわれるというのが実情でございます。しかもその中には、多数ではないかもしれませんが、いろいろ人命を危うくしたというふうな事例もあるのでございます。こういう不備な点を改めるために、現在の法律の第二条が今回の案で改正されまして、一般用途向き電気用品のすべてのものがこの法律取り締まり対象になるように改められております。しかし一方、この改正によりまして、この法律取り締まり対象になる電気用品のすべてが、同じ程度危険性を持つものではありません。また同じ程度技術上の問題を持ったものではありません。現在の法律規制対象になっているものに比べまして、今度この法律改正によりまして新たに法律規制対象になるものの多くのものは、危険度やあるいは製造上の問題点におきまして、その程度が軽微なものが多いと思います。したがいまして改正案におきましては、いままでの法律対象になっているものの大部分甲種電気用品としまして、それから新たに規制対象になるものを乙種の電気用品として区別いたしまして、それぞれ法的な規制程度に差を設け、そして必要以上にきつい規制になることを避けるように配慮がされております。これは非常に適当な処置であると私は考えます。  次に考えなければならないことは、電気用品の多くのものは世界的な流通市場における商品であるということであります。わが国製造されました電気用品が、広く世界市場に進出できるように、あらゆる面で施策を立てるとともに、国内市場にも優良で適正な価格外国製品が入ってくるということは、むしろ歓迎すべきことであります。こういうような見地から、わが国で使用される電気用品については、国産品であってもあるいは外国品であっても、それを区別しないで、同じ技術的な基準による法律規制を受けるべきであると考えます。しかし国外で製造される電気用品につきましては、その製造段階における規制をすることは実際上非常に困難であります。したがいまして、そのかわりに外国製品を輸入する輸入業者に対しまして、その輸入する電気用品わが国法律関係省令政令に定める技術上の基準に適合するものであることを義務づけるとともに、もしこの義務を怠った者に対しては、国内製造業者と同様な監督、罰則の適用を受ける、そういうことは当然であり、公平なことであると思います。さらに、この際輸入品型式承認のための試験も、国内の実際の使用状況に合わした条件のもとで行なわれるように、法律の実施にあたっては、省令政令改定制定に際して配慮すべきことであるということを強調したいと思います。  次の大きな改正点は、新たに設けられました甲種電気用品型式認可有効期間に関するものであります。現在の法律では型式承認を受けたその承認有効期間が一律に七年ということになっておりますが、最近のこの方面における技術進歩、それから新型の製品の出現その他の状況から見まして、これを一律に七年にしておくことは、明らかに不合理なんでありまして、ものによっては長過ぎるものもある。そういうものは、それぞれの用品性質に応じてこの有効期間を適当な長さに調整するという今回の改正は、適当なものであると考えます。しかし一方、型式承認有効期間を適正なものにしましても、型式承認のときだけの一時点のみの検査では、安全確保目的はなかなか達せられないのであります。したがって随時随所、いつでもどこでも検査によって電気用品技術的なレベルのチェックを行なうということが必要であります。これにつきましては、外国の多くの国で、マーケットにおける商品チェックを含めまして、広く行なわれているところであります。この点に関しましても、今回の法律改正におきましては、法律規制をさらに明確にいたしまして、それから検査の実効があがるような措置がとられていると思います。  これらの点がおもな今回の改定点であると考えますが、この法律改正目的が達せられるかいなかは、これに関する政令省令内容いかんによることが多大であることは申し上げるまでもございません。私は、ここ数年、国際的な家庭電器標準規格制定という仕事に関係しているのでありますが、今回のこの取締法改正は、国際的なこういう方面の流れの方向に沿っているものと私は感じております。さらに今後これに続いて行なうでありましょうところの省令とか政令改正につきましても、こういうような国際的な趨勢に一致する方向に持っていくべきであると考えます。そうすることによりまして、国内消費者立場を保護することにもなりますし、あるいはわが国電気用品外国に輸出されるに際しましても、わが国立場を強化するものであると信じます。  お粗末でございますが、これで私の発言を終わらせていただきます。
  5. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  次に、高田参考人お願いをいたします。
  6. 高田ユリ

    参考人高田ユリ君) 主婦連合会高田でございます。  私はこの改正案の趣旨に賛成でございます。ただ、この中に、消費者立場から二、三、改善、補足などお願いしたい点がございますので、それについて申し上げます。  第一に、対象範囲についてでございますけれども現行法では、家庭で使う電気器具がすべて規制対象とされておりませんので、各種の新しい製品が続出してくる現状では、家庭における電気安全性確保から見て決して十分とはいえない実情でございます。その例といたしまして、主婦連で毎年主婦苦情調査というのをいたしております。これは昭和四十年の十二月から四十一年の三月にかけて「くらしの中の危険と不衛生」というテーマでもって過去二、三年の間に、商品とかサービスについて被害を受けた経験があるかどうかということについて、会員対象に全国の二千五百世帯にアンケートを配りまして、回収できましたのが、千五百九十でございましたが、それについて耐久消費財について触れているものが二百十一件ございました。そういう耐久消費財の中で電気器具について被害を受けたというような実例をあげておりますものが四十一件ございました。その例を具体的に申し上げますと、たとえば電気毛布の肩の部分が焦げたとか、ストーブのコンセントのコードが熱くなった。水揚げポンプ自動スイッチ及びコンデンサーが不良で失火したとか、炊飯器スイッチが切れないために火事になるところであった。電気あんかのサーモスタットの不良で足首にやけどをしたとか、電気ポットの胴と底の継ぎ目から煙が出て焦げたとか、洗たく機モーター破損でショートしたとか、そういうような具体例があげられております。こういうような面から見まして、電気器具については、どのような新製品が出現しても家庭で使用する電気器具がすべて法の規制対象になるように改めてほしいということを、公聴会とかそれから消費者懇談会とか、いろいろな機会を通じて私どもはそういう点の要望をいたしてまいりました。このアンケート調査をいたしましたときにも、やはりこれは電気器具だけではございませんけれども、暮らしの中に入り込む安全の問題、衛生の問題について、消費者のまとめた意見として、安全と衛生規格基準対象となる商品サービス範囲を広げるとともに、その規格基準をきびしくして取り締まり監視を十分に行なってほしい、それから商品サービスの安全や衛生について、取り扱い注意などの表示は、だれにでもわかりやすく親切にしてほしい。三番目に、危険や不衛生の疑いのある商品サービスについては、その問題が解明するまでは直ちに使用禁止するなど、消費者被害のないよう、万全の措置をとってほしい。四番目に、事故や犠牲が起きてから対策を立てるのではなくて、常に安全と衛生については、万全の予防措置をとってほしい。特に危険物の管理は十分にしてほしい。五番目に、安全と衛生についての予防規制取り締まりなどは、関係各省が有機的に連絡をとって、迅速に効果的に処理してほしい。六番目に、安全と衛生に関する試験研究機関を整備拡充し、その予防措置を十分にしてほしい。七番目に、安全や衛生について消費者のこうむった被害について、権威ある第三者の処理機関を設置するなどして消費者被害救済措置が適正に迅速に行なわれるようにしてほしいというようなことが消費者の大きな要望として出されたわけでございます。そういう意味で、先ほども申しましたように今回の法律改正には賛成でございます。で、実質的には、改正法においても規制対象範囲というのは、やはりいまと同じように政令で定めることになっておりますので、その政令を定める際に、消費者保護の観点から、家庭で使う電気器具がすべて規制対象となるように、十分配慮していただきたいと思います。  第二に、安全性品質確保について申し上げますと、いま申し上げましたように、主婦連合会では苦情の窓口を開いておりますけれども、つい先ごろも電気毛布が焦げたというような苦情がまいっております。そのほか、通産省とか消費者協会とか電気安全委員会というところで行なっている商品テストの結果や関東電気保安協会などの報告から見ましても、まだまだ現行法では電気器具安全性確保は十分とはいえない状態でございます。したがって、役所側立ち入り検査をもっと強化して不良なメーカーに対しては厳重な手段をもっと十分にとって処置することが必要だと思っております。さらに法律上においても製品安全性を十分に確保するために、立ち入り検査と相持って、製品に対するチェックを十分行ない得るような道を開くことが必要であって、そういう意味では、今度の改正法電気用品提出命令が設けられたということは、ほんとうに適当なことであったと喜こんでおります。また、販売店で取り扱われる商品についても岡マークがついておりますが、安全基準に合っていないものがあるというふうに聞いておりますので、販売店商品についても品質検査ができるような仕組み考えていただきたいと思います。また、現行法では型式認可有効期間が七年となっておりますけれども技術的な進歩改良の激しい昨今では、有効期間中においてもかなりの部品の配置変換するなど設計変更改造がなされる実情でございますので、これらの設計変更とか改造に対しては、現在の仕組みの中では、安全性確保をはかるためには有効期間を短縮して、さらにチェックを重ねていくことが必要だと考えられます。その点についてメーカー側はコストに影響すると言われているということを聞いておりますけれども、それを理由に便乗値上げをしないように、その点は十分監視をしていただきたいと思います。なお、現行法では輸入品に対する安全性確保が全くなされていない状態でございますが、貿易自由化以来、わが国が諸外国の絶好な市場とされて、激しい販売攻勢が行なわれている現状でございますので、それらに対する安全性確保をはかる上から、国産品と同様な規制を行なうことは当然のことだと思います。  それから第三、表示事項について。電気感電漏電事故については消費者電気器具取り扱いの不注意によるものがあるということを聞いておりますが、現行法による表示内容及び方法は、安全性確保の面から見て必ずしも十分とはいえません。たとえば毛布あんか等の温度調節表示にしても、日本語で高、中、低というような表示、それから強、中、弱というような日本語表示をされているのはまだしも、英語のローとかハイとかの頭文字を取った表示がしてあったり、それからスイッチにしましても入とか、切とか、 ○FFとかONとか、記号で白ポツ色別で赤とか青が電気が入るというように、たいへんまちまちな表示でわかりにくい問題がございます。特に消費者交通信号などでストップの場合には赤なので、赤ならとまるというふうに誤認をするというような問題がありまして、そういう点の表示が統一されないと問題が起きるというような心配がございます。また使用法注意にしましても電気洗たく機はアースを水道のせんにつなぐようにという場合に、もしその水道管塩化ビニール管だったら問題がありましょうし、電気毛布にしましても、三重安全その他安全装置がいっぱいついているからだいじょうぶというような宣伝がいろいろとされておりますけれども、たとえばその上にふとんをかけた場合、ふとんの大きさと毛布のサイズが違っているときにほんとうに問題がないのか、寝相が悪くて、しわくちゃにした場合に、ほんとうに問題はないのかというような点についても、情報の伝達が十分であったら、事故がある程度防げるのではないかというふうに考えられます。ですから、少なくとも安全性関係のある機構表示は統一するということをやっていただきたいし、使用方法などの注意事項は、使用者にわかりやすくはっきりと表示するように義務づけるとともに、消費者に対する正しい使い方の周知徹底に一段と努力していただきたいと思います。  それから第四番目に修理規制でございます。電気器具による事故の例や消費者苦情から見ますと、現行法のように製造販売に対する規制だけでは不十分でございまして、修理面に対する規制まで行なわなければ安全性確保に万金とはいえないと思います。たとえば現在、買った製品修理メーカーサービスステーションなり販売店がするということで、大体メーカーは直接修理をしないというような仕組みになりつつあります。そのために修理が完全でなかったことが原因の事故チェックは法的には何も規制されておりませんので、私どもはたいへん不安でございます。そういう意味で、どうしても修理面規制が必要だと思います。ただ、この修理面に対する規制の問題は、単に安全性の問題だけでなくて、いわゆるアフターサービス体制にも深い関係があると思いますので、アフターサービス体制に関する問題をも含めた修理全般に対する規制として十分検討を行なって、できるだけ早い機会消費者のためのよりよい制度として、何らかの方法を講ずるように努力していただきたいと思います。  なお、現行法における技術基準について大部分のものが製品の初期の性能だけを規制しているというように考えられますので、長い年月にわたって使われる電気器具性質から、使用年月がだんだんたつにつれて安全性がそこなわれるというようなことがございますので、普通、一般的に使われる年月の間ぐらいは安全性がそこなわれることがないように、耐久度の面に対する規制も加えるよう技術基準の作成にあたっては特にお考えいただきたいと思います。  最後に、安全性の問題というのは、私たちの命にかかわることであって、社会的にも重要な問題の一つだと思います。そういう意味で、今度の法律改正賛成するのですが、いくら法律取り締まりを強化しても、それだけで万全を期待することは無理で、たとえば道路交通法取り締まりをいくら強化してみても交通事故あとを断たないのは、やはり当事者の良識の不足という問題があると思います。そういう意味で、メーカーにおかれましても、最近、やみ再販などの問題がいろいろ取り上げられておりますけれども、ただ価格維持ということに集中するということでなくて、消費者に安くてよい安全な製品を供給するということを、メーカーの社会的な当然の責任として、ぜひ誠意と良識をもって事に当たっていただきたいということを切望いたします。  また、医療用器具だとか電子レンジなど、厚生省だとか郵政省に関係するものについては、通産省は縄張りというようなことを考えないで、他省と有機的に連絡をとって、安全性確保にきびしく対処していただきたいと思います。私どもがよく安全性の問題を取り上げますと、役所には人が足りないとか予算が足りないということがいわれます。通産省としては、この法律の効果を十分に実のあるものとし得るように、十分な取り締まり体制を設けられることが私は必要だと思います。通産省の場合には、貿易自由化というようなことで、統制面の係の方などは手があくというようなことが、全くしろうとの考えでございますけれども考えられます。そういう意味で、全体的に適材適所に人を配置するというようなことをお考えになって、十分に、人的にも予算的にも努力を払われるようにお願いをいたします。
  7. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  次に、池田参考人お願いを申し上げます。
  8. 池田栄一

    参考人池田栄一君) 私は、社団法人日本電設工業会常任理事をいたしております池田栄一でございます。  私ども団体は、日本におきます電気工事のおそらく大体八〇%程度を私ども会員で施行しておるんじゃないかと思われる団体でございます。  私ども電気工事に携わっておりますものは、常に保安ということに重点を置いておることは、もう申すまでもないことでございます。私ども電気事業法に基づきました電気設備技術基準を順守いたしまして電気工事を施行しておるわけでございますが、ここに使用いたします材料、器具類は、全部私どもで製作するものでございませんで、メーカーでつくられたものを私どもが仕入れて使用する、こういう立場に立っておるものでございます。したがいまして、私どもがいかに保安のことに関心を持ちまして、電気設備技術基準を順守いたして施工いたしましても、その結果におきまして、その中に不良の電気用品がございました場合には、電気工事それ自身に欠陥が生ずると、こういう結果になるわけでございます。そのために、たとえば器具が悪かった、配線に使用されているスイッチとか、あるいはコンセントとか、そういうものが悪かったために漏電を起こした、あるいはそこで感電をしたとか漏電、火災を生じたとかということがかりに起こったといたしますと、私ども施工した立場で、これを無責任に見過ごすことはできない立場にあるわけでございます。たとえばそういう大きな事故でございませんでも、実際に器具類の故障が起こりました場合に、私どもはすぐお客さんのほうから呼び出しを受けるわけでございます。呼び出しを受けて、この品物が悪かった、悪かったから、まあ新しいのに取りかえて差し上げる。そういうことはいたしておるわけでございますが、その際に、お客さんのほうとしましては、品物が悪かったと、そういうことを一々判断なさりませんで、この電気工事はよくない、どうもお前のところでやった仕事はよくない、もうこの次からほかの電気工事屋さんにやらせようじゃないか、こういうことが起こりがちなのでございます。いわばまあ不良の用品がもしあった場合には、私ども被害者の立場に立たされると、こういうわけでございまして、しかも、その際に呼び出しを受けまして行きます人間の経費というものも、これはときによりましてはなかなかばかにならないこともあるわけでございます。信用を失い、その上に余分な経費を負担させらせる、こういうことが生ずるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、この電気用品取締法の重要性というものは、私どもはしみじみと感じておるわけでございますが、遺憾ながら現行法におきましては、全部のものがその取り締まり対象になっておらないというようなことでありましたところ、今回の改正案は、まことに時宜を得たもので、全面的に私はこの改正案賛成いたすものでございます。この改正をなさいまして、もしこの法が成立いたしましたならば、さらに私は運用面におきまして万全を期していただきたいと思います。  先ほど来も主婦連のお方からも御要望がございましたように、一応最初に型式承認が済んでおるということがございましても、これに対する何と申しますか、フォローアップと申しますか、あと監視ですか、そういうようなことが十分に行なわれておりませんと、この法の効果は私は十分に発揮できないのじゃないかと思います。現行法におきましても、改善命令あるいは業務停止命令というようなことが規定されてございますが、なかなか実際にはそういうことが行なわれておらない。これはやはり先ほどもお話ございましたが、人的にお足りにならないとか、あるいは予算の面とか、いろいろ事情はございますことと思いますが、私は、これが十分に行なわれなければ、やはりせっかくこういうふうに法を整備なさいまして型式承認を厳重になさるということでございますが、あとのフォローアップが十分でございませんと、せっかくの法の効果が発揮できないと、こういうふうに私は強く感じる次第でございます。もちろん、今度の法の改正の御趣旨の中にも、七年という有効期間を三年ないし七年というふうにお縮めになるというところにそういう意図が十分含まれておるものと私は推察いたしておる次第でございますが、さらに、特にこの運用の面においてこの点を強化していただき、悪いものがございましたならば、豆の取り消しをひとつ実施の面で十分はかっていただくことを希望いたしまして、私の意見をこれで終わらせていただきたいと思います。
  9. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  次に、中尾参考人お願いを申し上げます。
  10. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 私は、松下電器の技術を担当しております中尾でございます。  今回の法律改正に関しましては、主として一般家庭において使用される電気製品安全確保の充実をはかるということを目的といたした改正でございますので、私どもはこれに賛成いたす次第でございます。でありますが、次に述べます問題点に関しましては、運用の面におきまして十分な御配慮をお願い申し上げたいと思います。  その一つは、対象範囲の拡大の件でございますが、甲種、乙種の二本立てで家庭用電気機器のすべてを法の対象とするということは、まことに当を得たことであると存じますが、その範囲は、一般家庭において使用されるもの及びこれに準ずるものに限定されるべきであって、特別の専門技術者、技能者が使用する産業用、職業用のものは対象からはずすべきではなかろうかと存じます。  なお、甲種電気用品に関しましては、その用品名の明確な定義づけが必要であると思います。従来、対象となるかいなか解釈に苦しむ例があり、そのつど公益事業局、電気試験所及び電気用品試験所の三者によって判定が行なわれてきたのでございますが、製造業者との間の見解その他で、なかなか決定に時間がかかりますので、これらを改善していかなければならないことをお願い申し上げておきたいと思います。したがいまして、今後は、対象とする必要が生じた場合には、随時品目の追加指定あるいは定義の改定を明確適切に行なわれるべきではなかろうかと考えます。  次に、甲種電気用品の追加指定にあたっては、それを迅速に消化し得るよう型式認可試験の処理能力の増強をはかる必要があると思います。民間指定試験機関制度を取り入れて電気用品試験所を設置いたしました際は、一カ月処理ということを目標としてスタートしたのでございますが、いまだ十分とはいえないのでありまして、とかくこれがおくれがちになるというようなことが多いのでございます。一方、現在の指定品目につきましても、さらに再検討の上、この際除外すべきものは除き、処理能力の有効的な活用をはかっていただきたいと思います。  次に、型式認可有効期間の短縮の件でございますが、型式承認の有効性に関して期限をつけることは適切ではないのではなかろうかと考えます。その運用にいまひとつお考えを要するのではなかろうか。今日のごとく技術革新の激しいときに、その進展に伴いまして、製品の構造、性能も大きく変わっていくことが予想されますので、そうした場合には、型式認可試験のための技術基準も、それに応じて改定し、製造業者輸入業者に対して、そのつど製品改造を要求し、その部分に対する確認試験を実施することが必要であると思います。初めから有効期間を短く定めておき、単に再試験を繰り返すということは適切ではないのではなかろうかと、かように考えるのでございます。  現在最も合理的に運営されておると考えますアメリカのUL制度も私ども実施しておりますので、御参考までに申し上げますと、有効期間を定めておりません。技術革新によりまして安全要求が強化されるつど試験規格改定し、確認試験を実施しておるのでございます。なおUL試験所で試験に合格したあとにおきましては、ラベルサービスという方法と、リエキザミネーション・サービスというこの二つの方法がございます。前者の場合は生産ロットごとに日本の駐在のUL代行者の立ち会い抜き取り試験が行なわれ、合格した場合にはULより購入したラベルを、その製品に添付するのでございますが、このラベルは、印刷実費でメーカーに渡すことになっております。後者の場合は、立ち会い試験は必要がなく、製造事業者によってつくったラベルを張るか、または製品に直接印刷、刻印でマークを表記することによってその目的を達成できるようになっております。確認の方法といたしましては、対象品目によってアメリカでサンプルの試験を行なったあと製造工場で量産中のものとの立ち入り確認検査が行なわれる場合と、一年に一度程度の工場検査すなわちフォローアップ・サービスと申しますが、これが実施されておりまして、諸検査はすべて厳格に行なわれ、かつまたきわめて実質的であり、また合理的で、有効なる成果をあげておるのでございます。日本におきましても相当今回の改正によって進歩いたしますが、まあ一足飛びにULと同等というところまでにはいかないかもしれませんが、こうしたことを目標にいたしましてこの法律を運営いたしますときに、有効期間は不要ではなかろうか、かように考えるのでございます。  現在技術基準改定作業は、実は長時日を要して迅速性がありませんので、メーカーといたしましては非常に困惑をいたしておるような状態でございます。この際、技術基準の体系を再検討していただきまして、電気用品としての絶対的な安全要求事項と、個々の電気用品に特有な要素に基づいた安全要求事項とに分けて、後者は常にその進歩に追従し得る機動性をもった運用がはかられるよう改むべきではなかろうかと思います。かくして初めて日進月歩の製品の適切な安全確保ができるものであると信じます。技術基準は、技術進歩に伴って改定されていくことこそ重要な問題としてメーカー自体深い関心を持ち、積極的な協力を行なっておるのでございます。  次に、型式承認の手数料の改定についての件でございますが、限度額の引き上げという問題は、給与ベース、物価などの上昇によりまして、当然なことと理解できるのでありますが、その運用にあたりましては、次に申し上げます点を御考慮願いたいと思います。  型式認可試験法律による義務行為であることを考えるときに、試験のために直接必要とする人件費、材料費、経費などは、試験手数料によってまかなうべきものでありますが、試験設備に関しては、政府予算によりその充足をはかるべきものと考えるのでございます。実は電気用品の物品税だけでも、政府においては年額相当の収入があるわけでございますので、この試験所の設備につきましては、十分御配慮を願って充実をしていただきたい、かように考える次第でございます。  以上が特に御配慮を願いたい問題点でございますが、なお法律の実施にあたりましては、政省令を定める段階において、業界との緊密な連携のもとに、実情に即した運営がはかられるよう十分な御検討をお願いしたいと思います。  最後に、市場における不良電気用品の撲滅は、メーカーの社会的責任の自覚と良識にまつべきもので、これはメーカーのあくまでも責任において解決していかなければならない、絶滅を期さなければならないということが当然でございますが、なお取り締まり立場におられる方々におかれましても、いわゆる事後検査の適切な運営ということによりまして、一そうの効果が得られるものと考えられるので、これを十分実施し得る体制づくりと、これを助成する政府の予算措置の必要であることを強調いたしまして私の意見といたします。  以上をもって終わります。
  11. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  最後に太田参考人お願いを申し上げます。
  12. 太田弘

    参考人(太田弘君) 私は臨時工など入れましてようやく五百人、資本金四千八百万円の小さな会社でございます。やっております機種はヘルスメーターというものをまずやっておりますが、あとは主として大メーカーの下請をやっておるわけでございます。したがいまして、私の申し上げることが日本家庭電器の中小メーカーの姿の一部を代弁しているのじゃないかと思います。  ただいまは大メーカーの下請をやっておりますが、私どものグループは二十数社で、某社の家庭電器の下請をやっておりますが、その会社の家庭電器の数量におきましては、約九割の品物をわれわれ二十数社がやっているわけでございます。まあ金額にいたしますと、わずか一〇%でございますが、数におきましては約九〇%の数をわれわれ下請がやっているわけでございます。したがいまして、家庭電器安全性その他につきましては、われわれに課せられている責任が非常に重いということを痛感しているわけでございます。今回の法律改正にあたりましては、通産省から内容につきまして詳しく御説明をいただきましたし、また、親会社のほうからもいろいろと説明を受けておりますが、結論を申しますと、改正に全く賛成でございますが、中小メーカー意見として一、二希望を申し述べたいと思います。  先ほど大手の会社を代表されまして、中尾参考人さんから御説明ありましたことで、われわれメーカーとしての姿は大体御了承願いましたので、重複は避けますが、特に三点を申し上げたいと思います。  その第一は、やはり型式承認有効期間の問題でございます。有効期間の件では、この七年と設定されたときにもずいぶんわれわれは問題にしたのでございまして、後ほど申し上げます手数料と同じく、その費用はすべてわれわれ下請にしわ寄せをされております。先ほど高田参考人からも申されまして、この法律改正によります原価アップというものは製品にはね返らないようにしてくれという御希望が出ましたが、それは、とりもなおさず大メーカー、親会社が負担するのではなく、われわれ下請にしわ寄せされるものでございます。そういう観点から、私たちはせめてわずかな費用でも、値指しは非常に困るのでございます。現在私どもがつくっている製品は、概して千円前後から五千円程度までの品物でございまして、毎日の仕事は一銭一厘、作業者の一分一秒の効率を考えながら、作業指導しておるものでございますが、そのようなときにわずか十銭あるいは数銭の値上がりでも非常につらいのでございます。そういうことをよくお考え願いまして、この期限の短縮につきましては、政令省令でお定めになるときに、十分われわれの意向をお聞き取り願いまして、適切なる御配慮をしていただきたいと思うわけでございます。  いま中尾参考人さんからお話がありましたように、型式承認は大体番号を変えるときには、その製品はどうしても取り締まり変更しなくちゃならない。たとえばトースターにおきましてヒーターまわりを変えるとか、スイッチまわりを変えるとか、主要部分を変えるときには、その番号ではいけないんでございまして、もう一ぺん型式承認を取るというようなことをいたしますので、当然この期限は、技術水準が上がってきたときでも、それは当然番号を変えるのでございますので、同じものをつくっているときに短縮するということは、われわれを非常に苦しめることになる結果でございます。また技術水準の非常に高度なものは、われわれ下請のほうにはあまりまいっておりませんので、おそらくはこの年度短縮にはわれわれの製品対象にならぬこととは想像しておりますが、今後おきめになるときに十分御配慮を願いたいと思うわけでございます。  それからこれに関連しましたやはり手数料の問題でございますが、私は元来この前、この取締法改正のときにもずいぶん意見を述べて、また当局にもいろいろとお願いにあがった一員でございますが、こういう国家できめるものを原価主義でやるというのは全くおかしいじゃないか。いま中尾参考人からも申されましたように、たくさんの物品税を巻き上げておきながら、あと原価主義でやるというのは、ちょっと不都合じゃないかと思います。ただし、ある程度のものは、私たち負担をするにやぶさかでございませんが、これもよく製品現状を見られまして、われわれのようにあんかとかトースターとかアイロンとかつくっているメーカーにつきましては、必ず良識ある御決定をいただけるものと期待しているわけでございます。また、製品をよくすることについて、われわれは十分責任を感じておりますが、このような有効期限の変更とかその他よりも、むしろわれわれメーカーとしては、立ち入り検査をもっとよくやっていただく、われわれは自信を持って製品をつくっておりますので、どうぞもっとひんぱんに立ち入り検査をされまして、われわれの製品がりっぱであるということを御確認願う、これは悪貨が良貨を駆逐することがないようにしたいと思っておるものでございます。そういうことを実行されまして、期限の短縮などのほうにあまり力を注がれないように希望したいものでございます。  それから最後には、全面的に精神的には賛成でございますが、一つお願いしておきたいことは、せっかくこのように法律制定されましたいわゆる〒のマーク、これは非常に権威のあるものだと、われわれメーカーはその〒に敬意を表し、またわれわれの製品の自信の裏づけとして、あれを非常に尊重しております。それで、私は、もっと政府が〒というものをつけてないものは買うなと……。また非常に〒のないものをしばしば見受けます。〒をぜひ使えと、GマークとかJISマークとか、いろいろございましょうが、〒というものは使用者の安全を保護しているのだ、これを政府が保証しているんだという意味で、あらゆる機会に政府は〒のいかに大事であるかということを宣伝していただきまして、正直者がばかを見ない、豆のない安いものが市場に出ないように、われわれ一生懸命やっておるのでございますから、〒のついているものはりっぱなものであるということを、政府の声で一般大衆に周知徹底させるようにお願いしたいと思います。  以上でございます。
  13. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ありがとうございました。  以上をもちまして参考人の方々の御意見の御開陳は一応終わったわけでございますが、これに対して質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと存じます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 いま参考人の方々からるる御意見を拝聴いたしましたが、私どもがこの法律改正案を審議するにあたりまして、若干御意見に基づいてお尋ねをしておきたいと思います。  昨年でしたか、行政管理庁から消費者保護のための行政監察の問題がございまして、電気用品取り締まりに対しまして、次のような勧告が通産省に行なわれたのでございますが、いまも内容お話がございましたような〒マークがついていても不良品があり、それが不良品であっても〒マークがあるために販売、使用が禁止されていない。そこでこういうものに対しまして立ち入り検査を強化することと、また業者に対して不良品の回収義務を課することを検討せよと、こういうことの勧告があったわけでございますが、これに対しまして、業界のほうは、この行政管理庁の勧告をどのように受け取っておられまするか、この点、まずメーカー代表である中尾さんから……。
  15. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 先ほど他の参考人の方々からも御意見がございましたように、やはり不良品の撲滅、この目的を達成するためには、立ち入り検査ということをやっぱり十分に行なっていただきたいと私ども考えております。この立ち入り検査によって、もし不良品の出るような体制のある場合には、直ちにこれを改善するということに対しまして、各メーカーともにやぶさかではなかろう、かように考えておりますので、これは積極的に実施していただくことによってこの改正目的を有効適切にこれが実行できるという裏づけができるんじゃないだろうか、かように考えております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 いま参考人から、立ち入り検査をひとつ強化してもらいたいということですが、この立ち入り検査を強化された場合、これはあくまでも消費者保護のためということで、また安全性確保するというたてまえから行なわれるわけですが、販売所に対して立ち入り検査をして、多くの不良品がもしあるとした場合、これは製造業者のほうで買い取る、回収するということになるわけなんですが、その場合に、たとえばいまも太田参考人から言われましたように、松下さんでもそうでございますが、おおむね下請の業者に小さいものを請負わしておるわけですね。その場合の責任というものは、下請の中小企業にあるのか、あなたのほうの商標で売り出されているのだから、あなたのほうの責任というか、大メーカーのほうにあるのか、この点どういうふうに感じておられますか。
  17. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 私どものほうでは大部分の部品の一貫作業をやっている点では、こうした総合メーカーとして相当自社の製品を多く使っているのではなかろうかと考えておるのでございます。しかしながら、多数の部品もございますし、また優秀な部品のメーカー、あるいは下請の会社もございますので、そうした製品を使う場合がございますが、これは私ども考え方といたしましては、あくまでもこうした取り締まりに関する責任は、やはり親会社、製品をつくる会社が負うべきではなかろうか、かように考えております。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 製品販売する場合に、一応製品に対する試験を受けられるわけですね、試験にパスすれば、それで今度は下請のほうから製品が上がってきた場合に、あなたのほうから、もう一度下請のほうから納入される製品に対する検査というものを行なっておられますか。
  19. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) これは非常に多数の製品を扱っておりますので、物によっては個々にしなければならないものもございますが、大部分は、品質管理の手法によりまして、抜き取り検査その他によりまして、その製品の性能を確認して、そうして合格したものを使用する、こういうたてまえをとっております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 抜き取り検査でも往々にして、私どもの聞いているところによると、いろいろのからくりがあるということも聞いておるわけなんですが、たとえば同じ百個なら百個まとめて、その中から抜き取りをやるわけですね。また受かったやつをまた持ってくるというようなことも聞いておるわけですが、これはいろいろとあなたのほうと下請との関係になってまいりますが、抜き取り検査をして、規格に合った場合、まあこれがみんなパスしていくわけですね。百個なら百個、一まとめに。たまたまその中で抜き取り検査をしたその側にあったやつで不良品があった、こういうふうな場合に、それが不良品だといって追及される場合もしばしばあるようにも私聞いておるのですが、この点はいかがですか。
  21. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 部品なり一つのものをつくる場合に、その製作をする場合に、製品規格というものがございますが、この規格に、製造によるむらをカバーするような余裕を持ってやっております。したがいまして、抜き取り試験に至るまでは個々に十分に試験を繰り返しまして、そうしてこれでだいじょうぶだという確認ができましてから、最近のいわゆる品質管理の手法を用いまして、そうして多数の製品のよしあしを決定する、その検査した中の不良の数がある規格をこえますと、全数使用しないというふうな規定を設けておりますので、そうしたことのないように品質管理の手法を的確に活用いたしまして、なおかつ経済的な試験を行なうというような方法をとっているわけでございます。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど申しましたように、〒マークがついておっても中身は不良品がある。ところが消費者メーカーを信用して買うわけだから、買うときにはこれがいいか悪いかわからないわけですね。そういうときに、そういう不良品が出回っているという、いわゆる粗悪品、あなた方のほうでは、抜き取り検査をされていろいろ万全を期して販売にかかっておられる、こう私は信じますけれども、それでもこの粗悪品があるということで、消費者の方から文句が出る。先ほど高田参考人の御意見の中に、いろいろとアンケートを取ってやった場合に、いろいろな問題がそこに出てくる。こういうことについて、あなたのほうでは何かどこかにまだ欠陥があるのじゃないかというふうなことは、お気づきございませんでしょうか。
  23. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) これは何と申しましても人間のやっている仕事でございますので、絶対ということは申されないと思いますが、でき得る限りにおいて、製品の悪いものを出さないということは、メーカーにとりまして、これはほんとうの生命でございますので、これに対しては全力を傾注いたしております。したがいまして、工場その他をごらん願ったらよくおわかりになると思いますが、温度、環境からまた電圧の変化、湿度の変化その他に対しましても十分な検討を加えた上で、部品一つ決定いたしますのにも、十分な試験の手数をかけて、決定をいたしておるような次第でございます。と申しますものの、人間わざでございますので、絶対一品も出ないということを、これを目的としてやっているのでございますけれども、実際には、そう手落ちがないこともないという場合も出てくると思うのでございますが、こういうものを一そう厳重に取り締まるべく、私どもは常に試験方法なり製造方法なりに改善をはかりつつあるわけでございます。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 今度、法の改正によりまして、新たに加えられ、規制対象となりますところの乙種電気用品についてでございますが、現在としては、各メーカー側で、その乙種電気用品に対して、先ほどからお話聞いておりますが、自主的に検査をしておられるわけでございますが、すべての製品ですね、規格外にある製品、すべての検査に、そういうあなたのほうで厳重に検査というものを行なっておられるのか。それとも、大量生産でございますから、どんどんできるやつからどんどんつくっていく、生産していく、こういうふうなことであるのか、この点はいかがですか。
  25. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) お話のように大量生産だから、つくったものをどんどん出してしまうというようなことであれば、それこそ不良品が続出するわけでございまして、そうしたことは近代メーカーの常識といたしまして、絶対にあり得ない。どんな部品にしましても個々に検査をし、そうして判定をして、合格したものを使用する。ですから、物によりましては、自動的に検査をするような設備——製造設備の一部に関連をいたしまして、自動的に一個々々が合格しているかどうかということを判定しつつ、物ができていくというような設備——を持ったような部品の製作方法もございますし、あらゆる新しい技術を用いまして部品個々についての厳格な検査ということは確実に行なっているのが現状であろうと考えます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 今度法改正をする一つの理由にもなっているのではなかろうかと私は思うのですが、昨年であったと私記憶しておりますが、おたくの製品電気蚊とり器が販売された、あの電気蚊とり器の使用方法が悪かったのか、どこが悪かったのか知りませんけれども、あれによって幼い生命が失われた、こういう事実があったわけなんですが、その後、あなたのほうといたしましては、その器具に対しては、いろいろ研究され検討をされて、どこに欠陥があったかということをお調べになったはずだと私は思うのでございますが、それはあなたのほうで、いろいろと検討された結果、どこに欠陥があったかということを、もしあなたのほうでおわかりになっておりましたらば、この際でございますから、お聞きしておきたいと思います。
  27. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) あの蚊とり線香によりまして子供の生命を失ったということは、まことに私ども電機のメーカーといたしまして責任を痛感しておる次第でございますが、この事情を詳しく申し上げますと、電気蚊とり器というものは、使用の際において、その上に物を置くとか、あるいは直接人間が触れるとかいうようなことでなしに、あれは蚊をとるためにガスを発生させる一種の電熱器でございますので、これを適当な場所に置いて使うものであるという観点から、まさかあの上に人間が乗っかるとかいうようなことは、あの当時としては考え得られなかったわけでございます。したがいまして、あの当時は、電気蚊とり線香の目的はこれで達成できるという見解をもって製造したのでございますけれども、あの事件がありましたので、よく観察してみますと、やはりそうした場合もあり得る。たとえば畳の上に置いた場合に、その上に子供がはっていく場合もあり得る。あるいはこれを裏返しにひっくり返して使うという場合もあり得るということで、最近はいかなる方法におきましても、直接上から乗ってもやけどをしないというようなところまで改善したように記憶しております。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど山村参考人高田参考人も言っておられましたが、消費者というものは電気の知識に対してはそう詳しいわけじゃないわけですね。ところが文化生活がだんだんと高度化していきますると、それにマッチするような電気用品というものがどんどん、どんどんと、次から次へとつくられていく。文化生活と電気用品とは切っても切れないような今日の状態ではなかろうかと私思うのです。その場合、やはり製造業者のほうとしては、いわゆる便利な点だけは宣伝が十分なされるけれども先ほど参考人の中に御意見がございましたように、危険だという点ですね、いわゆる安全性確保のためにどういう点が必要だ、こういうふうな注意書きといいますか、そういうふうなものを、私一こうにいままで電気用品の説明書を見ても明らかにされていない。ただ便利な点だけが印刷物なんかによく入っていたり、また新聞等にも宣伝がされておりまするが、やはり製造する場合には、その便利な点とあわせて、知識の低い消費者が使うものに対しては、どういう点が危険であるか、これをどういうふうに扱ったらば間違いが起こるか、そういう点の注意というものが、将来やはり製造業者として重要なことになってくるのじゃないかというふうに私は思う。なぜかと申しますと、使いよういかんによって、その責任というものが消費者に転嫁される場合も往々にしてあるわけなんですね。消費者の不注意によってこういうことになって、失火が起こったとかなんとか、そういう場合には消費者が失火罪という罪を負わなければならぬ、こういうことは私は納得できないと思うのですが、将来メーカーとしてはそういう点についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、この際でございますから、御意見を承っておきたいのでございます。
  29. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) ただいま御指摘の点は、不十分な点がございまして、とかく印刷物、カタログその他に特徴なり欠点を強調するということが御指摘のとおりあるのでございますが、最近は、いま御指摘がございましたような問題も相当起こっておりますので、使用者側が間違いを起こさないようにするために、いろいろ従来も書くことは書いております。しかしそれが読みにくいというような問題もありますし、また、その注意書きをしたものをどこかへなくしてしまうというようなこともありますので、最近は重要なものにつきましては、下げ札をつけておくとか器具そのもののところに必要な注意書きを書き込んでおくとかいうようなことを極力取り入れるようにし、あわせて御指摘のように説明書の中に十分取り扱い上の注意を書き入れるように改善をはかりつつあります。今後もさらに一そうそうした方面に努力いたしたいと考えております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 やはり私どもしろうとでございまするから、あまり詳しいことは存じませんけれども、もしそういう詳しい説明書なんかを製品と一緒に入れる。そうすると、印刷物やなんか今度それに対する費用というものがかさんでくる。そのためにまた製品が高くなるというふうなことでは困ると私は思うので、そういう点は、やはりメーカーとしては、製品を責任持ってつくり、責任持って営業所のほうで、販売店のほうで売るのでございますけれども、やはりこれは製造業者のほうでその点は十分に考えて、消費者にもあまり迷惑をかけない、そういうような方法が私は講じられたらいいんじゃないかと思いますし、また私ども商売じゃないので、なかなかそういう点はむずかしかろうと私思いまするけれども、やはり文化生活がだんだんと高度化してくれば、どうしても電気化ということがふえてくる。ガスなんかより便利じゃないかという宣伝も私よく聞きますし、そういう点は将来メーカーとしても十分お気をつけてひとつやっていただきたいと私思います。  それから太田さんにちょっとお尋ねするわけでございますが、今度の改正で新しく乙種電気用品が追加されまして、そのメーカーにも技術基準、それから適合義務、こういうものが課せられるわけでございますが、そうなりますと、先ほどあなたが言っておられました手数料の問題というふうなことが出てくると思うんです。すると今度、電気用品が全体的に値上がりをするんじゃないかという心配が消費者としては出てくるわけなんでございますが、その点は中小のメーカーとしてはどのようにお考えを持っておられますか。
  31. 太田弘

    参考人(太田弘君) 先ほど申し上げましたように、おそらくはわれわれ下請のほうにしわ寄せはあると思います。しかし、われわれやはり親会社とは一心一体でございまして、よく話し合いはいたしますが、われわれとしては極力親会社に必要なものは要求いたし、話し合いをやっていくつもりでおりますが、われわれやはり物をつくるという義務と自覚を持っておりますので、ただ、親会社に対する取り引き上の問題などもありますので、極力作業改善あるいは合理化によってできるだけ吸収したいと思っておりますが、しかし、それにも限度がございますので、法の制定にあたりましては、できる限り御配慮願いたいということを申し上げたいと思います。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 消費者の負担にかかる面も出てきましょうし、また、あなた方自身に負担が大きくかかるような場合もこれ出てくると私思うので、先ほどあなた年数のことでいろいろと言っておられましたので、やはりそうなりますると、現在まで私は中小企業問題とだいぶ長い間取り組んでおりまして、一つの製品が出て、そうしてメーカーのほう、親会社といいますかで、一つ製品を新しく出すと、その場合に、どうしても下請のほうへ仕事をさせる。ところが、いろいろと競争せなければならぬということで、あまり値段も高く売れないで、どうしても競争するためには自家製品を安く売らなきゃならぬ、こういうときには、やはりどうしてもしわ寄せするところは中小企業、下請のほうへこう切り下げが出てくると思うのです。これは自動車関係も明らかなことでありますし、電気製品でも私はそういう面が出てくると思うのですが、そうなると、ますます中小のメーカーとしてはお困りになるような面が多く出てくるのではないか。今度の規制によってその点が多く出てくるのではないかと私は心配をするのでございますが、その点はどうですか。
  33. 太田弘

    参考人(太田弘君) 競争はますます激しくなりますが、こういう自由経済ではやむを得ないことと思って、日ごろ技術管理あるいは生産管理、あらゆる面で原価の低減、合理化をはかっているわけでございますが、政府も、法律改正に伴ってそれがはね返ってこないようにほかの点へ……。各企業の競争あるいは世界経済のための外国製品に負けないような競争、これはまことにやむを得ない。これはこういう社会で生きているわれわれは、どうしてもやらなければならぬことですから、あえて忍んでやりますが、法律改正で、ほかの方法で防げることがもしあれば、それをやらないように、たとえば先ほど申し上げましたように立ち入り検査を十分やっていただき、悪い品物が出ないように、またそれによって期限を短くしないようにお願いしたい。また料金低下のほうも、たくさんのお金を物品税として取り上げられておられますし、これを取り上げた対象は、電気を使う者、つくる者にくるのでございまして、受益者に当然返ればよろしいのではないかと思います。料金改正につきましては、よくそこを御配慮願って、業者に負担のかからぬようにお願いしたい。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど中尾さんが言っておられましたが、製品に対する試験ですね、認可期間というものは非常に手間どる、非常におくれがちになる。こういうことは試験所が一カ所しかない。指定試験所というのが、日本電気用品試験所というのが現在あるのですね。一カ所でやっているから、そういう期間的にも非常に長引いてくるというような憂いというものがないかどうか。一カ所であなたのほうは、私、先ほど申しましたように、どんどんと電気用品が売り出され、次から次へと試験しなければならぬ、こういうときに、しかも一カ所や二カ所で全国的にやるということは、私も非常に少ないと、こう思うのですが、この点は、あなたはどのように受け取っておられますか、試験所の問題ですね。
  35. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) いま電気用品試験所は、東京と大阪の二カ所でございます。しかしながら、いま御指摘を受けましたように、最近電気用品も品種もどんどんふえてまいりますし、項目もだんだんと充実されてまいりますので、二カ所でやりましても、さらに人員並びに設備、これを能率的なものを取り入れて、そうして拡充をはかるということが必要であろうと思うのであります。その場合に資金が要るわけでございますが、これを政府のほうでひとつごめんどうを見ていただきたい、かように考える次第でございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 一昨年だったと私記憶しているのですが、電機の検定所の点ですね、あれは前三つありましたね。民間と電気会社と政府のやっと、これを一つに統一しまして、いま東京、名古屋、こうありますね、あっちこっちに。ああいうふうな方法でもっとたくさん試験所をふやせば、もっと早く製品というものがうまくいくのじゃないかと私は思ったのですが、あなたはそういうふうな御希望とかなんとかございましたら、この場合述べておいていただいたほうがいいと思うのですが。
  37. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) ただいまの御質問につきましては、現在の二カ所を拡充するということによっても、ある程度能力を上げていくことができると思いますが、さらに名古屋でありますとか、地方にふやしていくということができれば、一そうその地方のメーカーの方々も便利で早く進むんじゃなかろうかと、かようにも考えておりますが、何にいたしましても、設備、人員、その他の拡充をしていただかないことには、法律ができましてもこれの適切な運用が実行困難になるというようなことになるのではなかろうかということを心配しておりますので、ひとつこの充実をはかっていただきたい、こう考えております。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 それから消費者からの苦情処理というものが、電気器具メーカーにはわりあい整っておると私聞いておりまするけれども、それでも先ほど高田参考人から言われましたように、アンケートをとると、いろいろな問題が多く出てくる。そこでメーカー側としてもこの苦情処理機構は現在どのようになっておるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのですが。
  39. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 私のほうでは、やはり市場製品に対する不満でありますとか苦情の問題ですね、こういうものをいち早く製造される立場のほうにフィードバックさせようということで、あらゆる機関を使って努力をいたしておりますが、さらに一つの方法といたしましては、各販売店品質連絡員という制度を設けまして、各直接需要者の方に御販売願っております小売屋さんの店員の方何名かを指名いたしまして、その方々から市場に起こった不満足な問題を直ちに本社に通知をしてくる、これを本社のほうで関係事業部のほうにそれをフィードバックいたしまして、適切な手を打っていく。そうして一般需要家に御満足がいくようなものを市場に供給できるような体制を強化していくという方針をとっております。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 最後にお尋ねをしておきたいと思うのですが、これは公取でもいろいろと電気用品なんかやっておりますし、先日も外国のこれは三十万円のクーラーを買えばカラーテレビという景品が出るというようなことで、電気器具なんかでもいろいろと売り出しをやる場合に景品がついて売り出されるわけです。消費者は何も景品がほしいわけじゃないわけです。使用する器具がほしいわけなんです。だから消費者立場からいえば、景品つけるのだったら価格をもっと下げたらいいじゃないか、景品つけるだけ、その分だけその製品の原価が下がるんじゃないか、こういう疑問を私は消費者は持っておると思うのですが、ところがメーカーでも、これは電気用品だけでなく、あらゆる日本商品というものは、おおむね景品で消費者をつるという、そういうきらいが多く出ておると私は思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
  41. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 私直接販売のほうを担当しておりませんので、具体的には御回答になるかどうか知りませんけれども、この物つき販売というようなことは、私自身としてもあまり望ましくないことであると思うのでございますが、販売競争と申しますか、慣習と申しますか、こういうことが一般的に行なわれて、宣伝の一つの手段として行なわれておるというような段階におきましては、ある程度はやむを得ないのではなかろうか。しかし、これはやはり限度がございまして、限度は越してはならぬというような見解をとって、逐次そうしたことなしに、お話のようにそうした費用をもって正しい宣伝と申しますか、宣伝と品質の合理化という方面にそうした費用も向けていきたいということを理想として私ども考えております。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 次に池田参考人にお尋ねするわけですが、先ほどあなたの御意見の中にございましたように、あなた方が慎重に工事をやられても、買った材料の中に不良品があって、それによってしばしば事故が起こる。そのときにはあなた方の責任が追及される。こういう面が多くあろうかと思うのです。昨日も有楽町でサウナぶろが火事を起こして三名なくなっておる。一月には名古屋のサウナぶろでやはり二人なくなっておる。こういう場合に、おおむね工事人の責任が追及されると思いますね。これがあなた方の手落ちでなくても、そういうことが追及される。これは私はまことに不適当な問題だと思うのです。そこで、あなたも特に材料の問題について十分検査が必要だということを主張しておられるわけでございますが、この材料ということになると、多くありますね、いろんな面で。それで、それが全部検査にパスしておるかどうかということは、あなたのほう一々見てやっておられるわけじゃないので、将来それらの材料に対するところの検査方法というものは非常に私は複雑になってくると思うのですが、この点、あなたのほうは何かいいお考えでも、また、あなたのほうでこうしてもらいたいというような御意見か何かございましたらお聞きしたいと思いますが。
  43. 池田栄一

    参考人池田栄一君) たいへん私のほうから申し上げたいようなことを御質問でいただいて、たいへんありがたいことでございますが、おっしゃるとおりでございます。その点は私どももできるだけ良品を選ぶという考え方で、そういうふうにしておりますし、まあ豆のあるものを使わなければならぬという、そういうことはもちろん当然でございますが、できるだけ良心的にいいものを使うというたてまえでやっておりますが、それでありましても、先ほども申し上げましたように、不良品がときどき出てくる。こういうことはあり得るわけでございまして、将来どういうふうにそれを管理していただいたらいいかということは、先ほどやはり消費者の方の一般の家庭用器具に対する考えとも同じだと思いますが、常にこれをやはり市場からなり、あるいはたとえば材料卸店ならば卸店でございますね、そういうところからサンプリングをどんどんピックアップをしていただいて、そうして、もしそれをテストされて不良を発見された場合には、まあ第一段階としては、やはり勧告でいくことが穏当だろうと思いますが、勧告でも直りそうもないと認めた場合には、直ちにその型式承認の取り消しを行なっていただく。私は、さっき、ULのお話がございますが、ULの場合には、そういう場合には勧告というようなことはございませんで、取り消しを直ちに行なう。取り消しを行なわれ、その後にメーカーのほうは、それに対する対策を講じて、もう一ぺんあらためて型式承認を受ける。そういうふうなたてまえで——いままで実は現行法におきましても取り消しをできるようなたてまえになっておると思うのですが、実際にはそれが行なわれたことは私は伺ったことございません——それをひとつぜひ実施していただいて、まあこれにはやはり先ほど来の人的、予算的措置が必要だと思いますが、十分ひとつ政府のほうで予算的、人的措置を講じていただきまして、それを完全に行なうようにお願いしたい。まあこれを行ないましても、全部が全部不良品を摘発できるということは、これは先ほど来申し上げました、人間のやることですから不可能と思いますが、完全に近づける、できるだけ近づける努力をひとつ払っていただきたい。こういうことを私、希望いたしたいと思います。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 あなたのほうは、設備工事のほうをやられる、たとえばああいう工事だと、これは建築業法によって消防署の検査ですね、消防署は電気のことを詳しく調べるわけじゃないから、設備がうまくいっていれば、これでオーケーと、こういう許可が出てくる。ところが私この一月の名古屋のサウナぶろの火事のときにも、あとで新聞でいろいろと問題になったのだが、非常に熱を高く上げなきゃならない、その状態からいくと、新聞紙一枚あっても引火するような高度な熱を電気で上げなきゃならぬ、だから非常に危険だということがいろいろと新聞でも論議されておったのですが、サウナぶろなんかの設備に対して、あなた方のほうとしてはどのような規格に合ったものを使ってやって、なおそういう状態が出てくるのかどうか。私どもしろうと考えでいきますると、そんなに熱を上げなくても、一定のある程度の熱が上がれば、そこで安全スイッチと申しますか、私どもしろうとのことばでいきますると、そういう安全スイッチ等があって自然的に調節するような方法というものがとれないものかどうか。そういうことがとれるとするならば、こんな一枚の新聞紙でも引火して火事が起こり生命を失うというふうなことは起こらないんじゃないかというふうに私は考えるのですが、あなたは実際設備をやっておられる方でございまするから、その点、あなたなんかお感じになった点というふうなものでもございましたならば、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのですが。
  45. 池田栄一

    参考人池田栄一君) サウナぶろにつきましては、私どもは実はどういうふうな設備ができておるのか知りませんけれども、やった経験もございませんし、存じませんのですが、きのうの場合、電熱で何かあたためていたようでございますが、電熱の場合は、いま申しましたサーモスタットを使って自動で切らせるということはできるわけでございますが、これももしサーモスタットそのものが信頼できないものだったら、これまただめですが、ああいう設備に対しては、おそらく私は消防庁で熱の管理、こういうふうに熱が上昇したらどうだというようなことは、詳しく取り締まっておられるんじゃないかと思うのですが、かなりわれわれ電気設備をやります場合にも、電気設備技術基準によりまして、これはもう通産省の監督を受けてやるわけでございますが、そのほかに、消防庁のほうでも、火災に関連したことについて消防法の中にいろいろと規定されておりまして、そちらの消防法のほうでも、何かやはりたとえば変電室の中にはどういうものを置いてはいかぬとかなんとかいうような、いろいろ規制をされておりまして、電気の設備それ自身から火災を起こさないようにということについては、消防法のほうでもかなり厳しく取り締まっておられると思うのですけれども、いまのようなサウナぶろのような設備が、それはああいう中で温度を幾らに上げて、一体それは下の木があぶられて燃え出すかどうかというようなことになりますと、これは電気設備の問題でなくて、その設備全体の問題で、たとえば私ども個人的に考えますれば、こういうところへ電気設備をし、電熱をやって、こういう間隔であれして、電熱で下からあたためたら木が焦げるであろうとか、電熱設備があって、たとえばサーモスタットがあったにしても、温度を上げるために下の電熱のエレメントの部分が相当高温度になっておるところに何か落ちるというような状態になっているとすれば、常識的に考えて、私ども電気設備をやる立場の人間は、これは危険ですぞと言う立場だと思うのです。私個人的には、私だったらやはりこういうことは危険ですから、こういうやり方でない方法でもって熱を上げる方法をお考えになるべきだというふうに、私でございましたら申すと思うのですが、まああれはどういう状態でいたか存じませんが、たとえば電熱でやるにしましても、ヒートエレメントの温度をそんなに高く上げないで、低い温度でもって部屋の中を全部上げるということは不可能じゃないんじゃないか。要するにエレメント自身の非常に高い温度のものを使って、あそこに物が落ちたり、あるいはそこで木が焦げたりするという設備をするということは、これはそういう電気設備をやったとすれば、その電気設備をやることがやはり若干非常識じゃないかと思うんですが、これはどこが設計して、たとえばそういう設備はサウナぶろ設計者というのがあるのか、建築設計をする人が設計するのかよく存じませんけれども、常識的に考えて、中に人間が入って、そこに新聞紙が落ちて燃え出すような状態の設備をするということは、やはりこれは品物が悪いとかなんとかいうことよりも、やはり設備するときに、設備それ自身のやり方にも欠陥があるのではないか。これは私状態をよく知りませんから、もし両方であったらば、そうじゃないかということも考えます。ですから、ああいう設備をすると、われわれ工事をする人間といたしましては、やっぱりそういうことがないように心がけてやるべきではないかと私ども考えます。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 次に高田参考人に一、二お尋ねをいたしますが、家庭電化製品の急速な普及によりまして、消費者から先ほどあなたが言っておられました非常に多くの苦情というものが持ち込まれておるようでございますが、いわゆる相談ですね、ただ持ち込んでくる相談だけでなくて、あなたのほうとしても、いろいろな面で、先ほどアンケートをとって調査しておられるように、電気製品に対するところの調査というものをやっておられると思うんですが、どういうような方法であなたのほうはこの調査をやっておられますか、ちょっとお尋ねいたします。
  47. 高田ユリ

    参考人高田ユリ君) 特に電気製品についてというようなことでなくて、消費者の日常の暮らしの中にある苦情を、最近消費者行政を強化するというようなことで各都道府県にいろいろな消費者の相談窓口ができておりますけれども、私ども主婦連としては、もともと何か苦情のかたまりみたいなもので、まあ主婦連合会ができましたときから、要するに不良商品品質の悪いものとか安全性に問題があるものというようなものについての苦情はどんどん言うようにというようなことで、実は私どものほうに商品テストの設備がございますんですけれども、まだ電気製品をテストするというまでの設備は、お金がないものですからできないわけなんです。そういう意味で、いろんな商品が参ります場合、繊維や食品はある程度できるのですけれども電気製品についてはそういう設備がございませんものですから、通産省のほうにすぐ連絡するというようなことをいたしております。それからアンケート調査と、それからそういう苦情がきたものは、関係官庁に持っていくという形をとっております。最近、消費者行政の窓口が、先ほど申しましたように強化されておりますけれども、なかなかその処理が早く進まないというような問題を、何とかやはり早くしていただかないと、事後処理の問題というのは非常に社会的に問題がございますものですから、そういう点、あわせて早くやっていただきたい。一般の商品について、いま通産省の消費経済課が窓口になっております。実は、この法律改正の問題で懇談会を持ちましたときにも、私どもとしましては、すぐ、要するに公益事業局のほうに申し入れができるような制度をこしらえるようにということを主張しましたのでございますけれども、いろいろ法制的な問題もあるやに伺っておりますが、そういうふうに一応……。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 私どもどものときには、電気家庭の電灯だけだったんですが、このごろでは朝起きるときから寝るまでがずっと電気用品ばかりで目を回すぐらい電気用品がよけいあるわけなんで、やはり将来もっともっと家庭の一般日常品の電化が進んでくると私思うので、そういう点についてもやはり消費者団体を代表しておられる主婦連なんかでももっと特別に電気関係の問題で御調査をして、消費者意見をお聞きしていただきたいということを私お願いします。  それから先ほど私ちょっと申しましたように、電気用品は便利な点だけで、効能が製品についてくる説明書に書いてあるのですね。あれを見て家庭主婦は、便利な点だけしか頭にないわけです。危険な点はそう考慮にせぬわけですね。それで、何か事故が起きてからこれはだめだったというようなことになるわけなんで、やはり将来ああいうものに対して、あなたが先ほど安全と衛生確保するために云々ということを言っておられましたが、やはり安全と衛生確保するために危険な面ということに対するところの注意というものも、一般消費者に十分認識させるような方途、こういうことはあなたも望んでいらっしゃると思うのですが、この点どうですか。
  49. 高田ユリ

    参考人高田ユリ君) 先生のおっしゃるように、女というものは電気に弱いということをよくいわれるのですが、ほんとう家庭のヒューズが切れてもなかなかつけられないというふうに、電気はたいへんむずかしいものだというふうに考えて、なかなか電気器具になじむということの努力が消費者側には確かに少ないと思います。それとメーカー側の宣伝が、先ほど先生おっしゃったように、たいへん便利な点、手間がかからないという点がたいへん強調されているのですが、つい引きずられがちな点がありますので、そういう点、やはり消費者への情報伝達というものは十分必要だと思います。実は、きょう一緒に私どものメンバーである研野さんが一緒に見えているのですけれども先ほどここに参ります途中でもってお孫さんが扇風機を去年の夏いじってみたら、何かびりびりっときたというようなことをちらっと聞いたのでございます。先ほど松下電器の方たちが、極力慎重にやっていらっしゃるというお話でございますけれども、やはり時期によって、それから子供が非常に汗っかきなために、いろいろな部品にしても何にしても、案外メーカーが気づかない点で事故が起こる点が潜在しているのだと思います。ですから、設計上安全だというふうにお考えになっても、ほんとうに十分テストしていらっしゃるのでしょうけれども、使用テストの面で、おとながいじっても子供がいじっても老人がいじっても安全なような問題を、やはり人間工学的にもお考えいただきたいし、安全基準の中にもそういうものもぜひ組み入れていただきたいと思います。  それからもう一つは有効期間の短縮の問題で、価格の問題それから制度的な問題でメーカー側に異論があったようでございますけれども、私どもとしますと、アメリカのように日本の場合はULシステムをとっておりませんから、ですから品質管理のチェック段階というのが非常に少のりございますので、そういういまのようなシステムをとっておる間は設計変更とか、要すに正式認可の届け出を要しない、認可を要しない部分変更があったときにはわからないわけでございますね。ですから、そういう意味での期間短縮というものは私は必要だと思いますし、それから価格への影響の問題について、消費者側としては、それは商品は安いにこしたことはございません。ただ、安いものを買った者が危険だというような、そういうあり方はおかしいと思うのです。要するに、だれでも、どんな貧乏人でも、買ったら安全だというものが私たち買えなきゃいけないので、何かそこら辺が非常に私どもとしては安全性考え方に対する業者の——要するに少しでもよくしていこうという場合に、ただ値段の点だけがずっと出てしまうというのは、ちょっと私としては考えられないし、それから先生がおっしゃられた試験研究機関の増設とか強化拡充についての、全く私ども二千七百メーカーあるというふうに——数字は不正確かも知れませんけれども——伺っておりますが、この用品試験所が足りないということは問題じゃないかと思いますし、それからもう一つは、そういう手数料の問題を合理的に考えていかないと、卵が先か鶏が先か、そういう点が非常に問題になってくると思うのです。たしかに消費者としては安くてよくて安全な商品をぜひ買いたいということに間違いはないのですけれども、何か安全性の問題を値上げということにつながるところだけが強調されるということに非常に疑問を感じております。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 これは話は別になるかもしれませんが、非常にあなたがいまおっしゃったように御婦人は電気に対する知識、取り扱いは男性よりはちょっとにぶいと思うのですね。それはしょっちゅう使っていないから結局そういうことになるので、先日も私は婦人の皆さんと座談会をやったときに、こういう話を聞いたんです。いわゆる電気アイロン、あれ、こう長く使っておりますと、どうしてもソケットのところが線がすれてだんだんと裸になってきますね。で、あぶないからと思ってその奥さんが、だれも直してもらう人が——電気屋へ持って行って直さぬでも、こんなもの自分でできるだろうと思って直したところが、プラスマイナスを一緒にしてしまって取りつけちゃったもので、いざアイロンをかけたらぱしっとスパークしてここにやけどをされた、こういう話も私聞いたし、それから先日私委員会でもお尋ねしたときに、現在のアイロンは安全弁があって一定の熱になってくると切れる安全スイッチがあって、それ以上熱が上がらないように切れると、こういう話を聞いたんですが、アイロンだけの例ですが、そういうふうにすべての器具に安全的な弁というものがついてくればもっと安心して家庭主婦でもあまり電気の知識のない方でも使えるのじゃないかと私思うのです。そういう点、将来の製品すべてがそういうふうな安全性確保したそういう面を考えてもらいたい。そういう製品が出るならいいがなと、こうあなたも思っていらっしゃると思うのですが、この点はどうですか。
  51. 高田ユリ

    参考人高田ユリ君) 先生のおっしゃるとおりでございます。私も全くそう思っております。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 それでは、最後に山村参考人にお尋ねするわけでございますが、先生は大学で工学部で専門的には電気のほうだと私思うのですが、専門的な立場からお考えになった場合、たとえば電気製品に対して一体何年くらい耐用年限といいますかが適当であるとあなたは考えておられるかどうか、そういう点も御研究なさっておられると私思うのでお尋ねするのですが、たとえば石油ストーブ、このごろ非常にはやってまいりまして、多くのメーカーでつくられておる。あの石油ストーブでも、私ども聞くところによると長くて三年だと、おおむね二年くらいだろうと、こういうのですがね、あの石油ストーブは。そういうことを考えますると電気製品はつくれば全部がたがたにこわれるまで、もう寿命は持つというものでは私はないと思うのですが、専門的な立場から、あなたは一つの御意見というものがあろうかと私思うのですが、その点お聞かせ願いたいと思います。
  53. 山村昌

    参考人山村昌君) ただいまのは家庭電器の寿命に関する御質問だと了解いたしますが、これは率直に申し上げまして非常にむずかしい問題でございます。私も、家庭電器も含まれると思いますが、電気機械全部、発電所、送電系統なんかにもつながる電気機械全部を含めまして寿命の問題多少勉強していると思うのでございますが、これは世界的に文献を見ましても寿命を的確に予言できるようなフォーミュラというものはまだ発表されていないということが実情だと思います。それはいろいろな、使いますところの周囲の状況、それからもう一つは、これはただいま当委員会といたしましては政令省令のほうに含まれる技術基準にもつながってくる問題でございまして、技術基準の中に、たとえば温度を低く定めるようにいたしますと、自然にその電気器具の寿命は長くなってくる。電気機械はその電気設備の重要度に応じましてこの寿命が適当になるように、たとえば重要な発電所、変電所あたりの機器は、私はただいまのわが国省令その他における規則で定められておりますところの基準に従いますと、そういう重要なものは二十年、二十五年以上もつと思いますが、一方電気器具は、そんな二十年、二十五年以上の寿命は必ずしも必要としないんじゃないか。むしろそういう長い寿命を要求いたしましても、使用状況によりましてほかのところでぶつけたり落っことしたりする、そういう方面から寿命がきてしまいまして、いたずらに長い寿命のものをつくることは消費者に非常に価格の高いものを押しつけるようなことになるのであります。したがいまして、どうもただいまの御質問に対する明確な御返答ができないのでございますが、これは先ほど来からお話が出ております型式承認の期間の問題に多少かかわってくると思いますが、私はやはり機械の値段、それからその使用状況によりまして、そう長くもつ必要のないもの、そういう物に応じまして四、五年から十年をこえぬような範囲家庭電器は入ってくるのではないかと、私はそう考えております。
  54. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つお尋ねいたしますが、電気製品というのはメーカーごとに違うのですね。松下さん、東芝さんと、こう……。一般家庭で、たとえば松下さんの製品を使っておる。で、もし故障が起きた場合に、近所の電気屋さんに直してもらわなければならぬとき、そこでは松下さんのあれはやっておらぬので、部品が違うからうちではだめだ、こういうふうなことをよく聞くわけでございますが、やはりこれは各社が、メーカーが、それぞれ自分の特異なところがあってできないかもしれませんが、あんまり私は部品が一と十と違っているようなことはないんじゃないかというふうに、しろうと考えに思うんですが、もし部品というものが規格化されて、そしてどこでもすぐ修理できるということになると、私はもっと消費者には便利じゃないかと思うんですが、この点は、山村さんと中尾さん、それぞれひとつ御意見を拝聴したいと思います。
  55. 山村昌

    参考人山村昌君) ただいまの部品の互換性、それから部品の統一性の問題、これはまことにごもっともな御意見であると思います。私も伺っておりますが、通産省のほうも家庭電器に関しましてこういう方面の努力を非常にされておることを承知しております。ただし、広い範囲にわたりましてこれを実行するということは、なかなかむずかしい問題でありまして、特に新しい製品に対しましては、各社、何といいますか、自由競争のマーケットでございますから、最初のデザインの設計の段階から他社と協調をとって物をつくるということはなかなかむずかしい問題じゃないかと思います。でありますが、それにもかかわらず、私はいまの御意見のとおりでございまして、差しつかえない限り各メーカーの方が協力されて、そして部品の互換性、規格統一ということに努力されるべきだと思います。そうすることがまたメーカーの側にも非常な経済的なメリットを得る面があるんじゃなかろうか。消費者の利益になることはこれは言うまでもないことだと思います。
  56. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) ただいま御指摘いただきました規格統一、部品の共通の問題でございますが、メーカーといたしましてもでき得る限り共通のものを使っていきたいという考えを持っておりまして、現在相当通産省の御努力その他によりまして、たとえばラジオであるとかテレビであるとかいうようなものにつきましては、個々の部品につきましては大体規格統一ができております。また、ネジ類その他も規格が統一されまして、どこの物を使っても共通にいけるというふうになっておりますが、個々の製品の特異性を支配するところの具体的な構造その他に関しましては、いまお話のありましたように、それぞれのメーカーに個々の特徴を持たせるというような、技術革新と申しますか、進歩の過程にある商品につきましては、絶えずその特徴を持たすために部分的な構造の変化が起こってまいりますので、その点まで共通にするということは、なかなかむずかしいような現状でございますが、できる限りそういう部品は各メーカーが共通に使っていけるようにしたいという考えを持っております。
  57. 近藤信一

    近藤信一君 最後に、これは畑違いかもしれませんが、このごろ家庭用品では外国輸入品が相当に日本に入ってきているわけですね。これが故障した場合には、部品等で消費者が非常に困る場合が往々にしてあると思うのですが、外国電気用品について、いま輸入されているものに対してアフターサービスをやっているかどうか、この点、もしおわかりでございましたならばお聞かせ願いたいと思うのですが。
  58. 中尾哲二郎

    参考人中尾哲二郎君) 外国製品がどんどん入ってくるということは、日本メーカーとしては、特別の物を除きましては、望ましくないことでございますが、ある程度家庭用器具も入ってくるような状態でございますが、それぞれの立場で適当なサービスは行なわれているように聞いておりまして、私実際の実情をよく存じませんのですが、一応各輸入品に対しては、大体アフターサービスが適当に行なわれている。御満足いくかどうか知りませんけれども、そういうふうに聞いておりますので、その程度の御返事を申し上げておきたいと思います。
  59. 近藤信一

    近藤信一君 もう一点。これは山村参考人にお尋ねするわけですが、現在検査を受けて試験にパスすれば、ここで型式承認の期限、七年という期限があるのですが、しかし今度は、これは乙種と甲種となって期限を二分されるのでございますけれども、やはり一回規格に合ってそれでよろしいということになれば、何べんも何べんもやっていくのではなく、その中間で、二年くらいの中間で一ぺん検査してみればよろしいというような、そういう必要性というか、考えというものはあるかないか。先ほどあなたはちょっと意見の中に若干そういうことを述べておられましたようですが、その場合、これは多くの製品でございますから、いろいろと困難は生じると思うけれども、それをやらなければ安全性確保は私はむずかしいんじゃないかと思うのです。やはり長い間つくっているうちには、一人の人がつくるのではない、大ぜいの人でつくるわけでございますし、また、下請業者にもこれをやらせるわけでございますから、変わってくる面もあろうかと思うので、その点はどうでしょうか。
  60. 山村昌

    参考人山村昌君) ただいまの型式承認の期間の問題でございますが、私も多少先ほど混同して発言をしたと思いますのですが、この型式承認のための試験というものは、これは新しい製品に対する試験でございまして、一方、ユーザーの、使用者の安全をはかるためには、これは具体的に、一つの家庭電器があって、それぞれの状態というものを試験するということは非常に必要なんであります。この後者のほうは、機器の寿命に左右されて、寿命の短いものほど使用中でも何回か試験をして、その状態チェックしておるということが必要じゃないかと思いますが、今回の電気用品取締法の中における試験には、この後者の実際使っておる機械の試験ということは、対象には私なっていないのじゃないかと思います。それから前者の試験型式承認試験に関しましても、先ほど参考人の方々からいろいろな御発言、ございましたが、私はユーザーの安全をはかるためには、新品の試験型式承認試験を含めまして、これは頻度を高く、ひんぱんに試験するほどユーザー側の安全というものは向上できるものだと思います。しかしこれは経済的な面も当然考えなければいけないのでございまして、先ほどULでは期間を定めていないというようなお話がございましたのですが、私はそれにかわるものとして、これは随時随所における試験というものは、アメリカではあるいは日本よりもひんぱんに行なわれている面があるのじゃないかというような点がございますので、私は型式承認にあります期間を定めての試験と、それからあとマーケットにおけるフォローアップも含めまして、そういうもの全体のバランスの問題でございますが、それはいろいろな面、試験料の負担とか、そういう面にも響いてまいりますので、全体を見て、できるだけ多方面の方に、一方的な負担をかけないように、定期的な試験と、それから随時随所における試験と、バランスをはかるべきじゃないか、こう考えております。
  61. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ほかに御発言もなければ、参考人の方々に対する質疑はこの程度といたしたいと存じます。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日はお忙しいところ遠方から御出席をいただきまして、また長時間質疑についてお答えをいただきまして、まことにありがたく、重ねて委員一同にかわりましてお礼を申し上げます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十三分散会