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1968-03-07 第58回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月七日(木曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 高橋  衛君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 豊田 雅孝君                 平泉  渉君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君                 竹田 現照君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君    政府委員        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省通商        局長       宮沢 鉄蔵君        通商産業省繊維        雑貨局長     金井多喜男君        通商産業省公益        事業局長     井上  亮君        中小企業庁長官  乙竹 虔三君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業省公益        事業局施設課長  和田 文夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○電気用品取締法の一部を改正する法律案内閣  提出) ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (米国の輸入課徴金に関する件)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会開会いたします。  本日は、まず、予備審査中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。椎名通商産業大臣
  3. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近の中小企業を取り巻く経済環境は、長期的には労働需給逼迫発展途上国に対する特恵関税の供与、資本自由化等の問題をはらんでいる上、当面、昨年九月以来の金融引き締め措置の影響を受けて、特段のきびしさを加えておることはすでに御承知のとおりであります。  このような事態に対処するため、政府は、各般の施策を鋭意推進しているところでありますが、特に中小企業金融については、政府関係金融機関を通じて中小企業者に直接政府資金の貸し付けを行なうとともに、信用補完制度によって民間資金中小企業に誘導し、もってその円滑化につとめているところであります。  しかるに、昭和四十二年度においては、信用補完の第一線にある信用保証協会代位弁済が急増し、これが中小企業信用保険公庫保険金支払いに反映し、当公庫保険準備基金が大幅に減少するに至ったのでありますが、昭和四十三年度に入ってもこの傾向はなお継続するものと予想されます。  政府は、このような状況に対処して信用補完事業の一そうの充実をはかるため、昭和四十三年度において中小企業信用保険公庫に対し九十五億円を出資することとし、そのうち二十五億円を保険準備基金に充てることとして、もって保険事業の円滑な遂行に遺憾なきを期する所存であります。  このため、本法律案は、中小企業信用保険公庫法改正して、当公庫に対する政府追加出資に関する規定及び基金に関する規定整備し、あわせて役員の欠格条項に関する規定整備を行なおうとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業投資育成株式会社は、中小企業自己資本充実させその健全な発展をはかるための特殊会社として中小企業投資育成株式会社法に基づき昭和三十八年十一月東京、名古屋、大阪の三都市に設立されたものであります。  申し上げるまでもなく、資本取引自由化発展途上国製品の進出あるいは労働力需給逼迫等、わが国の中小企業を取り巻く内外の環境にはきわめてきびしいものがあり、これに対処するため、中小企業経営の基盤を強化する必要に迫られている現状におきまして、中小企業に対する投資育成事業重要性は一段と強まっております。  幸いにして、中小企業投資育成株式会社事業は、設立後四年余りを経過し、ようやく充実してまいりましたが、他面、業務拡充に伴い、その業務運営に必要な資金を調達するとともに、経理的基礎を固めるため、資本金を増額する必要が生じてまいりました。  このような実情にかんがみまして、今回中小企業投資育成株式会社資本金を増額するため、中小企業金融公庫が引き受ける優先株式発行価額限度額を三億円増額し、十億五千万円といたしまして、中小企業投資育成事業の一そうの強化拡充をはかろうとするものであります。  以上が本法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  次に、日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昭和四十五年三月から六カ月にわたって、大阪千里丘陵において開催される日本万国博覧会は、アジアで初めて開催される世紀の大祭典でありまして、その有する意義は、まことに大なるものがあります。このため、政府といたしましても会場建設関連施設整備等の諸般の準備に万遺憾なきを期しておるところでありますが、とりわけ外国政府及び国際機関参加状況いかん日本万国博覧会の成否を決する重大なかぎであると考えられますので、今日まであらゆる手段を講じて、海外招請活動を積極的に推進してまいりました。その結果、現在までのところ二十四カ国が公式に参加の意向を表明しており、参加することが、ほぼ確実と見込まれる国を含めると、参加予定国は三十カ国以上になっております。このほか、なお多数の国が参加の方向で検討中であり、今後一そう強力かつ効果的な招請活動を推進することによって、モントリオール博の六十一カ国を上回る数の外国参加を得ることが期待されております。  このような外国政府及び国際機関参加に伴って、その展示館建設運営のため相当数建設技術者職員等外国人従業員の来日が予想されますが、このような外国人従業員に対して、宿舎その他の点で十分な便宜をはかる必要があります。このような配慮は、同時に、今後の外国政府等参加を促進する上にも大きく寄与するものと考えます。とりわけ宿舎につきましては、生活様式相違等から、適切な対価による大量の宿舎民間に求めることは著しく困難な事情にあります。  その解決策として、日本住宅公団会場近辺建設する住宅を。財団法人日本万国博覧会協会が一時借り受け、外国人従業員に提供することが最も時宜にかなった方法であると考える次第であります。  そのため、この法律案においては、日本住宅公団法規定する同公団業務のほかに、本来の業務遂行に支障がない範囲内で外国人従業員住宅を提供することができるよう所要の規定を設けることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいま説明を聴取いたしました三法案の自後の審査は、これを後日に譲ることにいたします。  ちょっと速記をとめて。
  5. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午前十時四十七分休憩      ——————————    午後一時四十四分開会
  6. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) これより商工委員会を再開いたします。  午後は、まず電気用品取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、先般趣旨説明をすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入りたいと存じます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 電気用品取締法内容の質問に入る前提として、ちょっとお尋ねをいたしまして、お尋ねをしながら資料もあわせて要求しておきたいと思いますので、そのつもりでひとつお願いをしたいと思います。  いろいろと今度の電気用品取締法、これの説明書等々を拝見いたしますると、非常に今度の改正案で、何が一体重点になっておるか、こういうことを検討してみますると、まず冒頭に書かれておりますることは、電気用品による火災だとか感電等の危険及び障害の発生の防止、こういうことが重点的のようにも考えられるわけでございますが、このような説明を、私どもお聞きしまして感ずることは、第一に、最近これは二、三年のことでいいと思うのですが、電気用品の関係した災害というものが一体どれくらいの件数発生しているかどうか、このことをお聞かせ願いたい。これは本法改正動機として、ここに書いてありまするように、新製品規制ということがございます。ここで対象範囲を拡大するためであるというふうなことにもなっておるわけでございまするから、そういうことでございまするならば、やはり政令で次々に製品を指定していくということもあるのじゃないかというふうに考えられるし、法の改正をしなければならぬというこの動機、こういうものはおそらく電気用品というものが原因災害が起こっておる、ここに説明してあるとおりだと思いますが、その災害を、できれば一体どの程度あなたのほうで将来これをなくすることができるか、全然なくするということは私は困難であろうと思うけれども、そういう災害をなくしようというところ主眼点というものがございまするならば、私はまだまだほかにも考えようというものがあるのじゃないか。これは、ただ機械の粗雑とかなんとかいうことだけでなく、他にも原因があろうかと私は思いまするが、そこで、先ほど冒頭に申しましたように、ここ二、三年のうちで一体災害による死者というもの、これも相当数あるのじゃないかということが私予想されるわけでございまするが、この火災だとか感電だとか、その他の事故によって起こった死傷者というようなものの統計というものはあるだうと私は思うので、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  8. 井上亮

    政府委員井上亮君) お答えいたします。先生ただいまお話がありましたように、今回の電気用品取締法改正趣旨は、やはりこの電気用品品質が必ずしも十分でないというようなことのために、罪のない人たち火災にあったり、あるいは感電死するというような事例が、私ども取り締まり態勢は十分やっているつもりではございますが、それにもかかわらず、他の原因も合わせまして、依然としてそういう事故が相次いでおるというような現状に対しまして、やはりさらにこの取締法を私どももう一応反省しまして、充実をはかる必要があるというのが趣旨でございます。特に電気用品につきましては、現在対象にいたしておりますのは、特に、何といいますか、水気の多いところに置く洗たく機とか、あるいは直接人体に触れるような電気かみそりとかいうような危険度の高い商品に着目いたしまして、そういった品目をただいま二百二十九品目、約二百三十品目政令指定いたしまして、これの製造についての取り締まりをやっておりますが、単にこれだけでは、最近新しい種類電気用品の品種が非常にたくさんふえてまいっておりますので、そういった新しい事態に対しまして、わりあいに、何と申しますか、そういう事故に対しては、軽微なと思われるようなものでも、一応この法の規制対象にいたしたい。従来の特にこの危険度の高い品目に比べれば、軽微だというようなものまで広げたい。しかし、軽微であればそれに応じたやはり取り締まりの体制を整備する必要がある。そうすることによりまして、できるだけたくさんの品目をやはり取り締まり対象に置きたいというのがこの改正趣旨でございますが、お尋ね災害の点につきましては、先ほども言いましたように、相当な数にのぼっております。いま私どもの手元にあります統計によって御説明申し上げますが、電気事業法によります電気事故統計というものをとっております。これは、単にこの機械器具粗悪品だからという原因で起こった事故ではございませんが、取り扱い不注意とか、いろいろな問題もございますけれども、しかし、それらを全部ひっくるめての事故件数といたしましては、昭和三十九年度に感電事故件数——感電による事故件数といたしまして、死亡は、昭和三十九年度は九十二名、それから昭和四十年度は七十五名、それから昭和四十一年度は九十一名、相当な数にのぼっております。それからなお、そのほかに負傷者といたしましては、三十九年度に十一名、四十年度に十名、四十一年度に十八名というような統計に相なっております。これは必ずしも品質粗悪品というようなことが主因でないものも相当あるわけでございますけれども、いやしくも品質粗悪品なるがゆえに事故を起こすということのないように、さらに私どもといたしましても、取り締まりを十分配意して、強化してまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つ統計がございます。これは消防庁の「火災年報資料でございますが、これは電気火災事故件数統計的に消防庁が「火災年報」の中で取り上げているものでございますが、この件数といたしましては、昭和三十九年度は六千十七件、昭和四十年度は六千四百七十三件、昭和四十一年度は六千百八件、歴年六千件程度事故件数を数えております。これもまた、単に粗悪品というようなことだけでなしに、まあ取り扱い不注意等の問題ももちろん原因の中には入っておりますけれども、しかし、事のいかんを問わず、やはりこれだけの事故を起こしておるというような現状でございます。  なお、これらの資料につきましては、また後刻資料として詳細なものを御提出いたしたいと考えております。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 いま御答弁ございました火災数、それから死亡者数、まあこれはいま御答弁になったのは電気器具だけによる事故であると私思うのですが、そのほかに、私どもがよく新聞を見ますると、感電死というやつは工事感電死するやつもあるのでございますが、工事感電死はこれに含まれていないのですね。この点いかがですか。
  10. 井上亮

    政府委員井上亮君) 工事は含まれておりません。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 いまお尋ねしまして、この死亡で約百人近い人がこの三年間に毎年なくなっておる。それから火災は六千件も一年のうちに起こっておる。こういうことになれば、非常にこれは重大な問題だと私思うので、この改正されようとする趣旨も私わからないのではないのです。そこで、やはり私どもは、ただこれが器具の故障でこうした火災が起こり、それから死亡が出たとは考えない。このことはあとからまた私お尋ねいたしますが、やはり使用者が完全な使用でなくして起こった事故も私相当あろうかと思うのです。そうすると、この問題は、ただ器具だけの問題でなく、幾ら器具は完全なものでも、使用者のその取り扱いいかんによって起こる事故ということも考えられると私思うのですが、この点はいかがですか。
  12. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生のお説のとおりだと思います。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、使用者がこれはお金を出して買うのでございまするから、安全に使用できるのだと、こういうことになると、一体どこに欠陥があるかと、こういう問題になってこようかと私は思うのです。そういたしますと、やはり売る側に対するところ注意ということが一番大きな問題になってくるのじゃないかというふうに私思うのですが、いままでそういう点について何かあなたのほうといたしましては、製造業者等に対するところの御注意というものが十分なされておったかどうか、この点いかがですか。政府委員井上亮君) まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、製品は一応優良なものでありましても、それはもう万全を期すというわけにはいきません。したがいまして、どうしても使用上の注意等もあわせて配慮しなければいかぬ面もあると思います。私どもといたしましては、御承知のように、電気業者だけでなしに電気機械メーカーまで入れました先生承知電気協会というようなものもございますし、それから同時に、役所も入りまして民間の方々で構成しております電気安全全国連絡委員会というような組織も持っておりますが、そういった協会とか、あるいは安全委員会というようなところ随時先生のおっしゃいましたような問題について協議いたしまして、PR上のいろいろな問題等にも心しまして、いろいろパンフレットをつくってやるとかというような配慮をして、各メーカーに対しましても、十分商品を売るときの注意として、そういうパンフレット等使用注意を記載するようにというようなPRを行なっておる次第でございます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 いま一つお尋ねするのですが、私も間近に二、三見たことあるのですが、この電気アイロンなんかは、あんまり火災の起こるものじゃない。これは使用者つけっぱなしておくから火災が起こってくるのが多いと思うのですが、その場合、小さな電気アイロンだと、ふたの裏にトタン板の金物が出て、そうしてアイロンを乗せるような仕組みになっておるが、ちょっと大きいアイロンになりますと、そういう仕組みになっていないのじゃないかと私思うのです。うちなどでも買ったやつを見ますると、木の箱の中にぼいんとほうり込んだだけだと、そうすると、どうしてもこの安全なことをまず考える。そうすると、何か台が必要だ、こういうことになってくるのですが、いま製造されておる電気アイロンについては、そういう問題はどのようになっておるのか。もしあなたのほうでお調べになったことがございまするならば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  15. 井上亮

    政府委員井上亮君) 私ども施設課長から詳細に御報告させていただきます。
  16. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 電気アイロンにつきましては御指摘のように底に台のあるものもございますし、それから立てて直接熱くなる部分が、たとえば畳やなんかに触れないような構造になっておるものもございます。その点、直接畳に触れるところ温度が何度以上にならないことというような技術基準で私ども規制しております。ですからその方法についてはいろいろな方法考えられます。
  17. 近藤信一

    近藤信一君 販売するほうで安全な何かつけて売っているのかどうか。いま御答弁ございましたように、私もうちの子供たちが洋裁でいろいろアイロンを使って、すぐ立てて置くのですが、使ったあとすぐ立てて置いてもスイッチを忘れた場合には、やはり過熱するというようなこともあるのじゃないか。立てればこれが安全になっておるのかどうかこの点いかがですか。
  18. 和田文夫

    説明員和田文夫君) ただいま先生のおっしゃったように、スイッチを一々切らなくても、一定温度以上になれば切れるような構造になったようなものもございます。そうでないものもございます。二通りが売られておるような現状であります。
  19. 近藤信一

    近藤信一君 これは将来の問題、もっと法案内容にもなってこようかと思いますが、やはりあなたの方は安全のために、火災やそういうものを防ぐということを重点に置いてせっかく改正をされるのでありますれば、製造に対する規制、やはりいま立てて切れるやつ、それから立てなくてもスイッチが切れるやつ。安全スイッチはどのアイロンでも私はつけるような、それを規格品とするような考えを将来あなたのほうとしては考えていかなければならぬのじゃないか。やはり使うほうは不用意にぽっと置く場合もございまするから、一定温度が上がってきたならば、これは必然的にスイッチが切れる、こういうふうな方法考えれば、火災事故ももっと防げるのではないかと思うが、将来に対するあなたのほうのお考えはいかがですか。
  20. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいま御指摘のありました点につきましても、全くそのとおりだと思いまして、やはり電気用品を使います消費者は、一般的に私などもそうでございますが、電気に対するほんとうの知識は持ち合わせていない方が多いわけであります。したがいまして、先ほど申しましたように、私どものほうでも電気安全全国連絡委員会等でいろいろPR方法等についても協議しておりますが、それだけではやはり不十分でございまして、御指摘がありましたように、やはり製品自体規格について、電気についての知識のない方でも、できるだけ安全に使える、これは技術的な制約があれば別ですけれども、できる限りそういう配慮をしなければいかぬというふうに思っております。したがいまして、私どもこの法律が通りました暁に、施行令等も考慮するわけでございます。そういう際に、従来も研究をいたしておりますが、さらに先生の御趣旨を体して検討を重ねまして、技術基準適合義務というものがございます。その技術基準の中で、できるだけこういうことが取り入れられるように配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
  21. 近藤信一

    近藤信一君 私がなぜこのようなことをお尋ねするかというと、たとえばアイロンの不始末の失火火災が起こった。そうするとその責任というものは使用者失火罪という罪を課せられるわけですね。安全だと思って使っておって、そうしてたまたまそういう一つ不注意から火災を起こした場合には、失火罪に問われる、責任は国民に課せられるのだから、私は、そういうことのないように、通産省としてもよくひとつ将来考えていただきたいと思います。  次にお尋ねいたしますのは、電気用品甲種乙種製造事業所、できればその規模別統計でございますが、これは従業員の数だとか、資本金だとか、また出荷額、こういうような内容について、あなたのほうでお調べになっておられると思いまするから、そういうふうなものの統計。それから電気用品販売業者に関する統計、こういうふうなものをひとつお伺いしたいと思います。  また、今後取り締まりが強化されますると、手続がたいへんうるさくなってくると思います。そういたしますと、松下とか東芝、こういう大メーカーは別といたしましても、今度は中小経営に対するところ取り締まりというのが同じようにされまするので、中小企業としても困る面が出てくると私思いまするが、その心配があるのかないのか。たとえば、簡単な電気用品でも、事業を開始するということになりまするとその種類、また構造、こういうようなものを届けなきゃならぬ、こういうことに相なるわけでありまするから、こういう点、小さな業者にとってこの法律改正された場合に、中小企業が困るようなことがあっては困ると思うのですが、その対策というものをあなたのほうとしては十分に立てられての改正案であるかどうか、この点お尋ねいたします。
  22. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生が最初におっしゃいました甲種乙種製造事業所におきます製造事業所名とか、あるいはそれの従業員等資料につきましては、これは後刻資料として提出いたしたいと思います。あわせて電気用品販売業者統計につきましても資料として提出いたしたいと思います。  それから最後におっしゃいました中小企業に対する取り締まりに際して、中小企業が非常に困るような事態があるかどうかというようなお尋ねでございますが、この点につきましては、御承知のように電気用品自体の性格が、人命に非常に大きな影響を及ぼすようなものは、つまり取り締まり体制を強くしなければならぬ、いわゆる今度の甲種のような品目のものにつきましては、登録制度をとり、あるいはつくります製品については型式の検査をいたして検査に合格したものを販売していただく、あるいは技術基準の適合を受けるというようなものをお願いいたしておりますが、今回追加いたします乙種電気用品につきましては、先生も御指摘がありましたように、登録制でなしに届け出制度で、型式の認可というよりも、認可はしませんで、むしろ技術基準の適合義務ということに重点を置いております。技術基準の適合義務につきましては、やはり必要な、たとえば電線等についていえば、これだけの強度を持った電線を使わなければいけないというような、絶縁材料等につきましても絶縁の耐力、たえる力、こういうようなものは、ある程度のものでなければならぬというような、技術基準適合義務を課しておりますが、これは普通の良心的な企業の方であれば、そういう品物を選ぶというようなことで可能なことだと思いますので、私は今度の規制中小企業の方に特に非常にお困りになるというようなことはないのじゃないか。ただしかし、全然野放しとはもちろんこれは違いまして、やはりある程度技術基準というものがありますれば、それにふさわしい設備もまたなければいかぬというようなことにもなりますから、その点はあろうかと思いますが、しかし通常の場合、中小企業の方々にとって特にお困りになるようなことはないと、私どもこの法律改正いたしますに際しまして、これは大手の電気機械メーカーだけでなしに、中小の電気機械メーカーの方々につきまして、この法律改正案の作成に際しまして、いろいろ意見を承りまして検討を重ねておりますので、ただいまのところ、そのような苦情とか困るとかというような意見は聞いていないというのが実情でございます。
  23. 近藤信一

    近藤信一君 これは、私がなぜこう言うかというと、あなたも御承知のように、電気製品はおおむね大メーカーで生産する量が多いと思います。しかし、実際に、じゃ大メーカーですべてやっておるかというと、そうじゃございません。なるほどその会社のマークで最後には売り出されまするけれども、おおむね中小企業にこれは下請さして、中小企業でこれは製造しているわけですね。そういう関係があるから、私は、将来中小企業がこの法律規制によって困るようなことはないかと、こうお尋ねしたわけでございますが、ただいまの御答弁で、そういう点もあなたのほうではいろいろと配慮しての上での改正であると、こういうことでございまするから、この点もまた法案内容のときに私もっと詳しく御説明をお聞きしたいと思うのです。  次には、主要電気用品の価格の統計、これはほんの主要品だけでけっこうだと思いますが、取り締まりの性格からかと思いますが、本法は危険、障害の発生防止というところに目的があるわけでございまするから、価格面に対するところ配慮ということには、これ考えてもちろんやられると私思いまするけれども、しかし、これは消費者にとりましては、やはり安いものを購入するということが一番いいことでございますし、やはり安くて便利なものが使用できるということになれば、これは使用者消費者にとりましても一番いいことだと私思うのです。そこで、もし今後この方律によって規制がされていく、そういたしますると、どうしても価格面に影響してくると思われる点があると思うんですが、たとえば手数料だとかいろいろなこと等において。そうすると、かえって消費者にとっては不利なことになるんじゃないか、こういう必配を一つするわけです。したがいまして、そういう心配があるかないか。あなたのほうとしてもそういう点まで配慮しておられると私は思いまするけれども、その点はいかがですか。
  24. 井上亮

    政府委員井上亮君) まず最初におっしゃいました、電気用品の価格の統計——統計まであるかどうかは存じまんが、少なくとも先生のおっしゃいます趣旨で主要な電気用品につきましての販売価格、売られております価格の実態につきまして資料を御提出いたしたいと思います。  それから次に、今度のこの取締法の成立によりまして価格面に対しまして何らかの影響を与えるのではないか。それから、その影響がひいては消費者の利益、不利益の問題につながるんじゃないかというようなお尋ねでございますが、この点につきましては、確かに甲種は別といたしまして、乙種電気用品は、今度初めてつくるわけでございます。それから、甲種につきましても、今後新製品でもできればやはり追加する、追加整理をしていく。甲種につきましてもこういうつもりでおりますが、乙種としては、今度新たにきめられる。したがいまして、そうなりますと、従来はそういう取り締まりがなかった商品で、技術基準の適合義務とか、あるいは型式検査を受けて厳密なものが要請されるということになりますと、常識的には価格に——価格というよりもコストに全然関係ないとは私は常識的に見て思いません。ある程度のコストへのはね返りというものはあろうかと思いますけれども、しかし、型式認可を一つ例にとりましても、型式認可は一つ製品が技術的にできまして、それを新たに売り出そうといいますときに、その新しい型式について一ぺんだけ、もっともこれは今度の法律で、従来有効期間七年ということになっておりましたから、その有効期間が切れれば、もう一ぺん受けなければいけませんが、いずれにいたしましても、最初に一ぺん型式検査を受けるというようなことでございますから、その製品の生産台数あるいは売り上げ台数にもよりますけれども電気用品は非常に消費者層の厚い商品でございますから、したがいまして、そういう点を考えますと、コストへの影響はきわめて少ないというふうに見ております。  それからもう一つ手数料の話も出ましたけれども、手数料につきましては、最高限度こそ相当大きく上げていただきましたが、これは今後の対象品目あるいは甲種の追加品目の中で、相当電気用品は近ごろ大型化しております。ルームクーラーとかカラーテレビジョン、いろいろなものが出てまいっておりますので、これは近く日本電気用品試験場を見ていただきますと、検査の実態がおわかりいただけますが、相当精緻な検査、相当の機械設備を持ちましてやっておりますので、そういったものについて、原価主義で個々の品目について政令できめるというような立場をとっておりますので、これもそう全体のコストに大きく影響するものではない、こういうふうに考えております。しかし、 コストはそうかもしれないけれども、そういうことを理由に値上げするというような、そういうことがあると、これは消費者に対しまして非常に御迷惑をかけますので、そういうことのないように、私とも——私は公益事業局で取り締まりの立場でございますので、私どものほうの重工業局等とも連携をとりまして、注意してまいりたいというふうに考えております。
  25. 近藤信一

    近藤信一君 局長も御承知のように、文化生活が高度になればなるほど日用品の電化ということが急速に伸びてきているわけですね、ここ数年来非常に大きな電化というものがなされ、あらゆる面に電気器具製品というものが出てきております。そこで、ちょうど本法ができました昭和三十六年前後から今日までの主要な品目でいいのですが、その推移というもの、これをひとつ……。
  26. 井上亮

    政府委員井上亮君) 追加品目ですか。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 そうです。この統計をひとつお願いしたいと思います。  それから消費者の教育指導でございますが、先ほど私申しましたように、災害が起こるというのは、消費者不注意から起こる点も相当あるわけでございます。現行法の規制対象になっていたものもまた多かったと思うのです。型式認可などが粗雑であったために起こったこともあろうかとも思いますし、それから、それよりもまず災害原因の大多数というものが、先ほど、申しましたように、やはり何といってもいろいろと、私は新聞に出た面だけで言いますると、どうも消費者のほうの不注意というふうなことが多いわけでございますが、そういう点からいきますると、一体消費者に対してどういうふうにしなきゃならぬかというふうな、今度はむずかしい問題が起こってくる。そうすると、やはり先ほど私が申しましたように、一々売るときに詳しく説明すればこれはわかる問題でございまするけれども、よけい売ろとすれば、そう一々一人一人に詳しく説明もしておれない。いまいろいろな商品に対しましては、この間も新聞に出ておりましたが、この使用方法等の詳しい実情の説明書をつけてやらなければいかぬと。こういうふうなことも出ておりました。したがいましてやはりこの使い方、それはよく出ておりまするが、安全だとか危険だという説明は、私はあまりいままで書いてあったものはないと思うのですが、将来やはりそういう点を考えていかなければ、あなたのほうのこの法を改正される趣易というものと食い違ってくる点が出てくると思うので、やはりそういう点についてもあなたのほうとしては配慮をされて生産者のほうにいろいろと御注文をされることだろうと思いまするが、この点はどうですか。
  28. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生のおっしゃるとおり、やはり品物がかりに一応よくても、消費者不注意による事故というものも、先ほど私が申しましたいろんな事故件数の中にも相当多数ございます。まあ私個人としましては、これは消費者不注意だから事故が起こったというようなことは、少なくともこういった電気用品取り締まりをしている立場から申しまして、そう言うつもりは持たないつもりでございますが、あくまでも万全を期すというつもりでございますけれども、しかし事実は、先生指摘のようなケースが多いわけでございますから、したがいまして、先ほど申しましたように、やはり品物自体におきましても、もし安全装置というようなものが簡単につけ得るものであれば、そういうものをつけるようなことを進める技術基準、そういうようなものの再検討をさらにいたしたいとも思います。しかし、それがあんまりべらぼうに高くなると、今度は消費者が、必需品ですが、これはとても手に入らぬというようなこともありますから、限界もあります。したがいまして、その問にありまして、その売りますときにやはり親切な説明書、売らんかなの説明書じゃなくて、やはりそういった意味の注意をこまかく書いてあげるというような配慮をするような、そういった指導をいたしてまいりたい。これはいろいろまだメーカーの団体等もございますし、それから電力業界と機械業界との一体になった団体もございますしいたしますので、そういった機関を通じて十分末端までそういうことが徹底するような措置も研究してみたいというふうに考えております。
  29. 近藤信一

    近藤信一君 それから外国でも日本と同じように電気器具の普及が盛んになされておる。したがって諸外国においても、この取り締まり規制といいますか、法律というものはあるであろうと私思うのでございますが、これも各国ということでなく、主要国ぐらいでいいんでございますが、この点のひとつ資料を出していただきたいと思います。これはなぜかと申しまするならば、日本と外国とは住宅の形式からも違いまして、日本はすぐ畳になりますが、向こうはやはり床板だとかコンクリート、まあじゅうたんあたりでございまして、構造から違うから、日本と一律にはいかぬだろうと私思いますけれども、やはり外国には外国に対するところ取締法というものがあろうかと思います。それはなぜかと申しますると、日本から電気製品の輸出が相当出ておるわけでございまするから、やはり日本の電気製品外国外国取締法にかかるわけでございまするから、その点は一体どういうふうになっておるか。この点の制度と、局長のひとつ御存じのところをお聞かせ願いたいと思います。
  30. 井上亮

    政府委員井上亮君) まず資料として、おっしゃいました諸外国におきます電気機械器具電気用品規制概要につきましては、これは主要国につきまして後刻資料として提出させていただきたいと思います。それからさらにお尋ねの日本の電気用品、日本製の電気用品が輸出されますときには、これはたとえばアメリカに輸出される場合には、当然アメリカの電気用品規制法で型式試験その他の販売規制がございますが、それが適用される。したがいまして、それに合格するようなものをつくって輸出するということに相なっております。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 本改正案が行なわれますると、今度はたくさんの政省令が出されると思います。したがって、いまあなたのほうで考えておられる政省令というものがどのようなものがあるか、このようなものをひとつお聞かせ願うと同時に、そうした制度、考え方というものをひとつ出していただきたい。  資料はこの程度にいたしまして、最後に通産大臣に一言お尋ねしておくわけでございますが、大臣も御承知のように、こういう規制案が出ますると、いろいろと問題が起こってくる。そこで最近また新聞で騒がれておりますように、JISマークによる通産省の汚職事件というものが新聞でもいろいろと出ておるわけであります。やはりこういうものはいろいろな面からいろいろな要請をされる。人間でございまするから、どうしても気持ちが動く場合があるので、いつも汚職という通産省、防衛庁というようなことでは、まことに私は面目ないんじゃないか。そういう点について、将来大臣は省内に対してどういうふうな方針をとっていくか。ひとつ所信を承っておきたいのであります。
  32. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 基本的な問題は、やはり官吏の心がまえの問題だと思います。それからそれぞれの職場職場において働くにあたっての特殊の基本的な精神は一応できておっても、今度はその職場職場において注意しなければならぬという、これはまあ総論に対する各論みたいな、そういうような点についての注意を常に与え、喚起する、そういうことを常にし、しばらくたってからもなおざりになってしまうというようなことでなく、絶えずそういうことを心によみがえらせまして、そうして自分の職責をあくまで全うしよというその気がまえをつくるということが必要であろうと思います。まあ誘惑をするほうは民間のほうでございますから、民間のほうに対してもできるだけさようなことの起こらぬように、起こさないように、ともに気をつけていくということが必要ではないかと思いますが、これは非常にばく然としたお答えのようでございますが、こういったようなことが、簡単であって、だれが考えても常識的で当然のことなんでございますが、そういうことはとかく忘れられがちであり、なおざりになりやすい性質のものでございますから、絶えずそういう機運を注入してまいる、そういうことが必要であると思います。ただ、規則を厳重にしたからいいとかなんとかいうものではなしに、やはりその各人の心がまえから出てくるものがなければほんとうじゃないと思います。さらに、問題がもし起こった場合には、まあ一罰百戒と申しますか、再びかようなことの起こらぬように、厳正な措置をとることを忘れないようにしなきゃいかぬ、さように考えております。
  33. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。     —————————————
  34. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、米国の輸入課徴金に関する件について調査を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 最近アメリカの輸入課徴金問題で非常に騒がしくなってまいりまして、日本の輸出業界にとりましても非常に大きな問題としていま注目されておりますし、昨日は紡績協会、化繊協会、繊維関係の十二団体が、三木外務大臣並びに自民党の福田幹事長、それから大平政調会長のところにも陳情されたのでございますが、こうした課徴金の問題で、若干大臣にお尋ねしておきたいと思います。昨年は世界各国の貿易を拡大する方向に活発に動いた年でございまして、少なくとも昨年の前半はそうでございましたが、ケネディラウンドの妥結や、IMFの特別引き出し権の創設など、国際貿易拡大の上に大きな成果を期待できるものがあったのでございます。日本のように、貿易に生命線を託している国にとりましては、これは喜ばしいことといえますが、最近の情勢というものは、これに全く反した暗雲が漂っているように思われます。それは御承知のようにポンド切り下げを契機といたしまして、ドルの危機、すなわち国際通貨体制の危機としてあらわれていると思われるのでございます。これに対処するために、アメリカは貿易の自由化に逆行するといわれるような輸入課徴金制度というものを今度実施する、しかし、その率は五%前後ということがいわれて、外電でも盛んにこれを報道しているわけでございますが、実施可能性と、わが国に対するところの影響というものは非常に大きいと思うのでございまするが、まずこの点についてお尋ねをいたします。
  36. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおり最近日本の生命線である貿易の円滑化、拡大化、そういったような機運が、にわかにポンド切り下げをひとつの契機といたしまして、これに逆行するような情勢が出てまいりましたことは、まことに遺憾であると存じます。アメリカがそれに関連して、ドル防衛のためにどうしても国際収支を大幅に改善をしなければならぬという決意をして、そうして年始における大統領の声明になったわけであります。その一環の施策として、ヨーロッパにおける国境税といったようなものが、アメリカの国際収支改善のために障害となり、これの撤廃方を工作したようでございますけれども、なかなかこれがアメリカの言うとおりにならない、そうすると、今度はその対抗策として何らかの施策を考えなければならぬということから発端をいたしまして、アメリカはとうとう輸入課徴金を課して、そうしてとにもかくにもアメリカの国際収支をもっと有利に導いていかなければならぬということになったのでございますが、これも原因がEECを中心とするヨーロッパの国境税撤廃ということが、そもそもの発端になっておりますので、それに関係のない、あるいはそれに類似したような関税障壁を設けてない日本等に対しては、その影響というものが、まあこないのではないかというような期待、考え方、そういうものが、順次そうでない、一網打尽にやられるのではないかということになって今日に至っております。輸入課徴金の実態については、いろいろの説が流れておりますけれども、いずれも情報の程度であって、正確な報告を受けているわけではないのであります。これがいよいよ実現するということになると、幾通りにも考えることができるわけであります。はたしてそれがどういうふうな形態をもってあらわれてくるかということが、まだ的確につかめない、日本といたしましては四%ないし六%の間であろうというような情報は、在米日本大使館のほうから情報が流れて入っておりますけれども、これとても的確なものではございません。それから、年頭の発表の中の、つまり全体として三十億ドルの国際収支上の改善をしたい、その三十億の中の六分の一に相当する五億ドル、五億ドルというものを貿易の面から改善したいということはわかっておるのですが、それがどういう形であらわれてくるのか、また、日本に対してどれくらいの負担がかかってくるのやら、アメリカの考え方もわかりませんし、また、その内容いかんによっては、ただ貿易が減るというようなことよりも、今度はそれ以上に国内の経済が非常に攪乱されまして、そしてたいへんな損害がそれにプラスされるということも考えられるわけでございまして、いろいろな場合を想定して研究はしておりますが、まだ、これという結論を得ておらないわけでございます。このことが、ただ情報の程度でありましたけれども、だんだん実現性を持ってくるように思われたので、ちょうど二週間くらいになりましょうか、正確ななにはここに記憶しておりませんが、在米大使館を通じまして、これこれの報道が流れている。もしこれが事実だとすれば、これは連鎖反応的に各国がこれに対する対抗策を講ずるようなことになると、今度は世界全体がたいへんな逆効果に苦しまなければならぬ、こういうことになって、結局、アメリカの国際収支の改善というものも全く何らの効果をあげない、逆効果をもたらすということになるのであって、これはよほど気をつけなければならぬ。特に日本としては、従来、世界通貨であるドル防衛に関しては、及ばずながら協力をしてきたのだけれども、もはやこういうことでは、われわれとしてはまた別に考えざるを得ないという、かなりきびしい警告を出しておるのでございます。もういよいよこれをやるということを聞いてからでは、警告は警告になりませんので、これをあえて出したような次第でございます。非常に御指摘のとおり、軽工業、特に日本の繊維工業等には非常な混乱を生ずるおそれも多分にございますので、非常に憂慮しております。聞くところによると、EECの内部においても、アメリカの輸入課徴金制度の実施を取りやめさせる、また一方において国内の輸入制限運動もこれは緩和するようにPRをやる。それとともにケネディラウンドの実施等も早めるというような動きがあるそうでございますし、これを反映して、アメリカの国内においても、課徴金の決定をもう少し延ばして考慮する余地があるのじゃないかというような動きも出てきたように、これは報道として伝わっております。いまは心配しながら情勢を見守っているような状況でございます。
  37. 近藤信一

    近藤信一君 いま大臣の御答弁では、まだ正確にアメリカからそういう話はない。ただ、報道や情報でいろいろと問題になっている。これは全くそうだと思います。しかし、やはりそういう情報が流れてくるので、日本の業界も非常にあわてているわけでございますし、きまってからでは、これは何ともならぬ問題であるわけなんです。やはりアメリカという国は世論というものを非常に重要視するというふうにも聞いておりますし、かつていろいろと陶磁器の問題等についても、私どもは本委員会でいろいろ議論をし、それがアメリカのほうに反映をしたということも私は聞いているわけです。したがって、やはりこうした問題に対しては、政府としても何も腕を組んでのんびりしておられるわけじゃない。聞くところによりますれば、やはり課徴金に対しては、日本政府は日米経済合同委員会の場で、またジョンソン駐日大使等を通じて中止するような要望をされたというふうにも私聞いておるわけでございまするけれども、まだいまのところでは的確な、向こうからこうせい、こうしてもらいたいというあれもないから、政府としてもいろいろな面を憶測して、いろいろなことをやっておられると思うのです。  そこで、一昨日大蔵大臣も記者会見でそういうようなことを言っておられるし、しかしいま国内でいろいろと騒いでおるけれども、アメトカは実際ドル防衛から始まってこういうことになってきたということになれば、これはやるという前提の上に立ってアメリカではやっておるわけでございまするから、これを中止させようということについては、これは非常にむずかしい問題であろうと私思いまするけれども、やはり日本の貿易業者のことを考え、日本の政府がいろいろと将来はこの問題については十分取り組んでいかなければならぬのでなかろうかというふうに私思いますし、やはりでき得べくんば中止されるように、これは政府当局としても大いに働きかけなければならぬと私は考えるのですが、この点、担当であるあなたはどのようなお考えを持っておられるのか、お尋ねをいたします。
  38. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) われわれがアメリカの情報をいろいろなルートによって得ておるのと同様に、日本の情勢についてもアメリカは同様にいろいろなルートで日本の動向を探っておるだろうと思います。しかし、この段階にまいりますと、もう少し的確な手を打たなければならない。そういうので、経済界が最もこれの直接の被害者でございまして、非常な関心を持っておることは申し上げるまでもございませんが、情勢が進んでからではおそいので、できるだけ早く特別の調査あるいは実際に向こうの方々の要所要所に直接折衝して、そうしてこれをあきらめさせる。少なくともどうしても出さなければならぬというような場合を考慮して、それの大体の考え方を取りまとめて強い態度を示す、そういう必要から、人を送るいま計画が急いで立てられつつあるわけでございます。  その次の第二段の策として、今度はさらに政府が、この内容が動くか動かないか、そういった問題についても引き続き考えてみたいと、こう考えております。
  39. 近藤信一

    近藤信一君 今度の輸入課徴金の問題は、これは日本だけの問題でなく、ヨーロッパでも非常にいま問題になっておる。そこで日本の政府としては、EECの動きを見て、そうしてそれから対処すると、こういうふうなことでは、私はだめじゃないかと思うのです。日本は日本独自の立場から、常々と私は悪い点は悪いで糾弾をしていく、そういう固い決意というものがなければ、これはちょっとやそっとでこの問題は日本の貿易業者が期待しているような結果にはならぬのではなかろうかと私思いますし、アメリカのドル危機ということは、何も日本の輸出によってドルが危機になったわけじゃないんです。アメリカの今度のドル危機というものはアメリカ自身が招いたその結果なんで、ベトナム戦争においては年間二百五十億ドルという膨大な金をつぎ込んでおる。英国のポンド切り下げもその影響を受けた。そういうことで、みずから招いたアメリカのそういう危機を、今度は他国にその犠牲をしいていこうというアメリカに対して、私は、もっと日本政府としては強固に抗議するなり、いろいろな面からアメリカと折衝していく必要があると思うんです。そういう点から、今度の輸入制限、いわゆる課徴金の問題が、輸出業者にとって非常に死活問題であろうということまで言っておられるわけでございますし、日本の貿易がだんだんと戦後かたまってきた、強固になってきた、そういうこともございまするけれども、これはアメリカだけでそういうことになったわけではないし、それが今度ドル防衛のための犠牲を受けるということになりますると、今度は日本はいままでせっかくかせいだ血税というものがアメリカのほうに今後は協力していかなきゃならぬと、こういうふうなことにもなろうかと思いますし、やはり日本の経済の後退ということにも私は相なろうかと思う。やはり政府としては、今度の問題に対して、国民生活の上から見ても強力なこれは交渉といいますか、そういうことを展開していかなきゃならぬのでなかろうかと思いますし、大臣自身も、きょう新聞に出ておりますように、植村経団連副会長に対して、民間からも使節を送って話をしてもらいたい、政府としても、何かきょうある新聞を見ますると、宮澤経済企画庁長官を派遣して話をしよう、こういうふうなことも大臣言っておられるわけでございますが、一体いまどういうふうな方法であなたのほうとしてはこれについてアメリカ側と、交渉しようとしておられるのか、その点はどうですか。
  40. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは報復手段でいって、非常に向こうとしてもこれはたいへんだというような手が日本として打てるかどうか。もし有効な手段が考えられるならば、それも一つ方法じゃないかと思います。それから輸入課徴金の目的は、それによって国際収支を改善しよう、いわば関税障壁を高くするようなものでございますから、それを平気でこっちが乗りこえることができれば、これはまた一つの行き方であって、まあ当面日本といたしましては、輸出貿易の振興ということが日本のいま生命線であるという点からいうと、いたずらに報復手段をとって快哉を叫ぶということよりも、一向輸入課徴金はこたえないと、そしてそれを乗りこえてどんどん輸出を拡大していくと、もしそういうことが可能であるならば、どっちかといったら、後者のほうが日本としてはそのほうが実効的ではないかという気もいたします。そのいずれをとっていくかということは、これはまあよほど考えなきゃならぬ問題だと思います。しかし後者にいたしましても、ただ手ぶらで関税障壁の高くなっていくのを乗りこえるということは、これはできませんから、相当やっぱり用意が必要である。はたしてそれだけの余裕が日本にあるかどうかというようなことも考えなきゃならぬ。その点につきまして、政府としては最終的な決定にまだ至っておりません。いずれにいたしましても、こっちから出かける、政府から出かけるというようなことになりますれば、かたく腹をきめてそうしていかなきゃならない、こう考えております。
  41. 近藤信一

    近藤信一君 とかくこういう問題は、早くやらなければ、かたまってしまってからやるのじゃ手おくれだと思うのですね。なかなか経団連の植村さんが言っておられたように、問題は早く解決しなければ、向こうだってかたまってからこっちで文句を言ったってしようがない問題ですから、これはできれば早くやる必要があると私は思うのですが、これは一刻も早ければ早いほど私は有利に展開するのじゃないかと、しろうとながら私は思うのですが、大臣どうですか。
  42. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 同感です。
  43. 近藤信一

    近藤信一君 わが国の貿易の依存度というものは、国民総生産の中に占める率というものは非常に大きい。この割合というものは、およそ一三・八%ということで、貿易におきましては、世界で第四位だ、こういわれております。したがって貿易の必要性というものは、私がいまさら言うまでもなく、大臣も十分御承知のとおりだと思いますし、輸出によりまして外貨を獲得しなければ、やはり原料や農産物というものの輸入というものが非常に困難になってくるわけでございます。ところが今日日本の貿易というものは、おおむねアメリカに依存している点が多い。約三割という率で日本の貿易がアメリカに依存しているわけでございます。このことは、やはり海外市場構成の上から考えましても、経済の発展の足かせにもなりかねないと私は思います。そこで非常にこのことは危険だというふうにも考えますから、将来といたしましては、共産圏や、それからアジア市場等というところに、もっと多く貿易をやるような転換策というものが講じられなければならないと私は思います。たとえば日中貿易の拡大を積極的に協力してやるとか、またソ連貿易をやるとか、そういうことで考えていかなければ、日本の貿易はただアメリカに依存しているだけでは、今度のような問題が起こった場合、やはり混乱してくるという危険もございます。共産圏貿易ということになりますと、やはりそこにはいろいろと困難がございましょう。延べ払いの問題もございますし、しかし、それをやらなければ、やはりアジア地域、共産圏の貿易というものは成功しないわけでございまするが、いろいろと今日の政府の方針としては、なかなかそういう点には、あまり重点が置かれていないと私は思うので、将来これらのいわゆる貿易をどのようにされるのか、ただ従来のようにアメリカに依存した貿易だけでいいとあなたは考えておられるのかどうか、この点お聞かせ願いたいのであります。
  44. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) こういう事態になるならぬにかかわらず、日本の従来の貿易がどんどん年とともに伸びてまいりましたが、まあ御承知のとおり四十二年度は百七億を目標に、初めはもっと多かったんですが、情勢があまり思わしくないので、再検討して百七億輸出ということにいたしておりまして、これをほぼ達成することができるかと思いますが、まだ集計ができておりません。四十三年度は一五%の伸び率を見ておりまして、これが達成されると、さらに百二十億ドル以上にもしなければならぬ、こういうぐあいに世界の貿易の平均の伸び率の倍以上も日本は伸ばしていかなければならぬ、こういう情勢でいままでは推移してまいりました。でありますから、とにかく日本の貿易を拡大していく、これがもう絶対の、最も第一義的な目標でございますから、私は共産圏貿易も、これはどんどん拡大強化していかなければならぬ、こう考えております。ことしのちょっと詳しい統計数字を持っておりませんが、四十一年よりも四十二年度は対米貿易の伸びが減っております。そうして共産圏貿易はとんとんぐらいですか、そうしてそれ以外の、従来あまり開拓されなかったヨーロッパあるいは特に東欧等を含めて、それ以外の地域が非常な伸展を示した。もともとがわずかですから、そう大きななにじゃございませんけれども、これは一つの傾向として注目すべきものだと、そういうことになっておりまして、特に日ソの両国の経済交流の関係は非常に活発になってきております、こういう方面。それから最近東欧が非常に日本に注目をして、そういう方面の高官あるいは経済界の枢要な地位を占めておる人々が日本を訪れるようになっておる、この方面に相当力を入れていかなければならない、こう考えております。  中共の問題は、ようやくLT貿易が妥結を見ましたが、時間がだいぶんおくれておりまして、前年同額の貿易額を実現することは困難なようでございますけれども、これまた従来の方針に従ってまいりたい、こう考えております。でありますから、アメリカとの貿易を特に拡大しようというねらいを特別に持っておるわけじゃございません。ただ、自然の成り行きで今日のような状況になったわけでありますが、未開拓の地域は今後どんどん開拓していかなければならない、かように考えております。
  45. 近藤信一

    近藤信一君 毎日の新聞を見てみますると、今度の輸入課徴金の問題については、いろいろと学者やら業界やらの意見が出ておる。その中に、報復手段をとったらどうだというようなこともございます。しかし、報復手段をとるということは、アメリカの今度のこういう横暴に対してやはり反省させなきゃならぬというところに問題があろうかと思いますし、それから、報復手段も一つのこれは手かもしれませんし、また、輸入品に関税をかけて輸入を阻止するということもまた報復手段の一つにもなろうかと思いますが、しかし、原材料をたくさん輸入しなければならぬわが国といたしましても、その価格が、今度は関税をよけいかけるということになると、必然的にまた高いものになってくる。そうすると、これは物価上おもしろうないこともまた出てくるから、なかなかこれは直ちにそういう報復手段をとることも大いに考えてやらなければならぬことだと思いますが、しかしそうかといって、いつまでもアメリカの言っておることで、ごもっともでございますというふうなことになりますると、こりゃたいへんなことにもまたなろうかと思うので、この点、いろいろなことがいま新聞にも言われておることは、大臣も新聞を見て御承知のとおりだと私思うのですが、大臣としては、こういう手段についてどのようなお考えを持っておられますか。
  46. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いや全く御指摘のとおり輸入食料、原材料では八〇%を占めるのですから、自分の首を絞めるようなことになりかねない、報復手段である限りにおきましては。でありますから、やはり日本の本来の輸出振興、輸出拡大強化という、その線に沿うて向こうの設けた障壁を乗り越えていく、こういうかまえが一番日本にとっては大切なのではないかと思っておりますが、この点はいろいろ政府部内で、なお急いで検討して結論を得たいと考えております。
  47. 近藤信一

    近藤信一君 その点は政府のほうとしても、私は、抜かりがないと思いまするけれども、どうしても、こう最後にはこれは交渉のことでございますし、これは若干譲歩しなきゃならぬ問題も出てくると私は思うのです。しかし、日本の経済のことでございまするから、あなたが、その矢面に立っていろいろと問題処理のためにやっていくことは、私当然だと思います。アメリカがどうしても反省せずに、アメリカのその意見を押しつけてきて、どうしてもそれを最後に受けなきゃならぬと、こういうふうなことになった場合に、日本の業者の輸出がやりよくなるような方法というものを考えなけりゃならぬのではなかろうかと私思うのです。それには、一体何があるかということになりますると、輸出奨励金の問題だとか、それから戻し税を多くしてやるとか、また輸出所得の特別控除をはかるとか、こういうふうに、いろいろな面が、私考えられると思うのですが、これは財政的に援助をするということになりますると、大蔵省等との関係もございますが、やはり最後には、日本の主張というものが通らない場合には、そりゃ輸出やめちまえというわけには私はいいぬと思うのです、いけないと思うのです。そういう最悪のときにきたときに、それじゃ政府としてはどのような方法があるか。これは私は、ものというものは最善だけでなくして最悪の場合を考えて、それにどう対処するか、これを考えていかないと私は失敗する面が多く出ると思うのですが、最善と最悪の場合、やはりこれは常に考えていかなきゃならぬと私は思うのですが、もし最悪の段階にきた場合に、日本の政府としてはどのような方法があるか、あなたのもし御所見というものがございまするならば、お聞かせ願いたいのであります。
  48. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘の大体範囲を、だそが考えても、出るはずはございません。ただ問題は、国内の財政力、財政負担がこれにたえるかどうか、またたえていくかどうか、絶対にたえ得ないというものじゃない、たえていくことにするかしないかということに私はあると思いますので、その点が最後に残った政府部内の相談のしどころなのでございます。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 それから、いろいろと努力する、結果的には私がいま申し上げましたような結果になる、あなたのほうとしても最悪の場合を考えて、いろいろと将来対策を講じられるでございましょうが、もう一つは、今度は業者の努力というものに、政府としては大いに期待しなければならぬ点が出てくるのじゃないかと思います。たとえば経費の節約をしたり合理化というふうなことも考えられてくるでございましょう。課徴金の障害を乗り越えられるように輸出をするということになりますると、繊維関係におきましても、また鉄鋼関係におきましても、これはなかなか困難な問題が出てくると思います。ことに御承知のように繊維関係は、なるほどメーカーは紡績においては十大メーカー、いまは九大メーカーですが、しかし中小企業の繊維関係というものは、あなたも御承知のように、日本には多くあるわけなんですね。昨年も倒産傾向には、この繊維の中小企業とそれから建設関係が多く倒産のうき目を見ておる。こういうことになってまいりますると、今日、新聞でもいっておりまするように、中小企業の倒産というものはだんだんとふえてくる。毎月の統計がだんだんと記録を更新していく、こういうふうなことでは、日本の産業界全体が非常に大きな影響を受ける。今年も三月、六月のこの時期というものは、もっと倒産がふえてくるんじゃないかといわれておる。こういうやさきに、今度の課徴金の実施というふうなことが、的確な申し入れではないけれども、情報として今日あなたも受け取っておられるとおりでございますが、そういう際に、政府中小企業の輸出産業というものに対してどのように将来指導していかれるか。やはり中小企業の輸出は、こういうことになれば、一番早く影響が出てくる問題だと思うのですが、この点はどうですか。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ言いふらされた問題ですが、やはりこういう、さなきだに非常にきびしい環境に置かれておる繊維産業は、やはり何と言っても従来の近代化あるいは構造改善の線を強化する、そして今度の課徴金の問題を乗り趣えるためには、また特別の力を与えてやる。これは融資ということになるか、あるいは税制の面で考えてやるか、なかなか財政硬直下の今日の段階においては、補助金政策なんということはむずかしい問題でございますけど、とにかくそういうようないろいろな手を用いて、そして対外競争力というものをいやが上にも強化するという一連の政策を考えざるを得ないと思います。
  51. 近藤信一

    近藤信一君 今度の輸入課徴金の問題については、新聞の社説でもいろいろと言っておるんです。これはガットに対する違反行為だと、こういうことまで新聞の社説にも書かれておるわけなんです。で、アメリカは無法にもこういう手段に訴えてくるということになりますると、これは日本だけでなく、ヨーロッパにおいてもそうでございまするが、何としても今度はこれを阻止せなければならぬという空気というものは、いま、私は向こうに行ってみたわけじゃないが、新聞等で見ると、ヨーロッパにおいてもやはりこれを阻止せなければならぬということが起こっておる。日本はもちろんのことでございますし、大臣はかつては外務大臣もやっておられて、貿易外交についても精通しておられると私は思うんですが、その大臣が今度は通産大臣という経済担当の直接の大臣でございますし、やはりこの場合に、あなたのいわゆる外交的手腕といいますか、そういうものを十分に発揮して、何とかひとつ今度は日本の貿易業者の期待にこたえるような方途というものを講じてもらいたいと私は思います。これは最後でございますが、ひとつ大臣、これは腕を組んでじっと待っているんでは手おくれになってしまいますし、私が先ほどから申しておりますように、こういう問題は、うわさであろうと何であろうと、早いことひとつぴしっとやらなければ、これは私は阻止のできる問題ではないと思いまするから、また、阻止できないとしても、有利に展開するためには、声を大にして、そうして訴えるより私は方法はないと思うんで、この点ひとつ直接の責任者である大臣に私は大いに期待するわけでございます。その点、大臣の所信を伺っておきたいのであります。
  52. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはもちろんガット違反であることは明瞭でございます。したがって、適法にもしこの問題を推し進めるためには、ガットに規定してある承認を新しく取りつけなければならぬわけでございます。ガットの精神に違反していることにもちろんのことでありますが、実の問題としては、あらためて承認を得るということをしなければならぬはずでございます。まあいきさつはもう申し上げましたが、この上は、最も有効適切な手段をもって問題を阻止し、あるいはそれが不可能であるならば、これを著しく軽減緩和するという方法を早期にとらなければならぬ、かように考えて、せっかくその準備を進めておる次第でございます。
  53. 近藤信一

    近藤信一君 この問題については、やはり政府や業界だけにやれやれということでなく、先ほど私が申しましたように、アメリカという国は世論といものに非常に敏感な国でございますから、やはり政府を鞭撻すると同時に、私どもの国民の代表でございまするから、本委員会でこの課徴金をやめるような決議をするとか、またこれは本会議で決議するとか、そういうような点について私は委員長にお願いをしたいのすでが、理事諸君と委員長と十分に相談されて、そうして早急にこの輸入課徴金中止の決議を、できれば本会議でこれをやりたい、本会議でできなければ委員会だけでもやりたいと、こう私思いますので、理事諸君とその点は十分懇談していただきたいということを委員長に希望いたしまして、本日は終わります。
  54. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 承知しました。理事会に付しまして、どちらにいたしますかということについて協議を進めたいと思います。  他に御発言はこざいませんか——他に御発言がなければ、本調査はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十一分散会      ——————————