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藤田藤太郎君 私は、そうなると、ちょっといまあれですが、
労使関係というのは、
労働三権が確立した中で
労使の対等の立場であるということを、憲法で明らかにし、そうして
労働基準法にも明らかにしております。だから、そういう立場というものが
労使関係の
労働法の
基本だと私は思うんです。
労働法の
基本である立場というものが十分に発揮されてくると、
ILO三十号のような
最低賃金のきめ方というものがあ
あいう形に生まれてくると思う。
労使の対等の立場で十分に突き詰めて、最後の手続的な集約を公益
委員がやる、こういう立場に
賃金、
労働条件のきめ方というものは集約されてくる。そこではじめて力の――力のと言ったらなんですけれども、
労使が三権を確立した上で
労働条件の
向上というものが必然的に生まれてくる。
ところが、実際問題として、今日の
日本の未組織
労働者、だから、
労働省は、
労働組合の組織をしなさいという
法律に基づいてどんな小さいところでも組織化についてどれだけの努力をされたんでしょうか。組織がないからということで見のがすわけだ。どこもかも組織には努力をしていても、何らかの
社会的制約があって組織できないところもある。業者がきめてそうして押しつけているという以外に
考えられない。十年余り前に私どもの経験も
一つあるわけです。京都の奥丹後ちりめん
労働者が非常に安い
賃金で働いている。一カ月もストライキをやって
賃金協定ができた、ようやく。それが三十四年にできた
最低賃金の
適用ということになってきたわけです。だから、そういうかっこうの出発点があっても、その後それじゃ十分に
改定されたかというと、
改定されていなかった。
生産力を持つ業者に力があって、
労働者自身が十分な機能を発揮していない。
労働三権の機能を発揮していないところに問題があるんですけれども、しかし、少なくとも
労働組合、また
労働組合がどうしてもできなければ
労働者の代表というものが、対等の立場で団体交渉をして、そして三十
号勧告に出てくるような
労働者の全体の代表の意思というものが、
一般の
賃金、
労働条件とあわせて、
最低賃金にも生まれてくるというかつこうのものが出てこなければならぬ。そういう
意味も含んで今度は
九条、十条というものは廃止されるようになったと思うんです。それなら、いまの
労働省に働いている公務員の
賃金はどうでございます。
一般の
賃金水準はどの辺にありますか。少なくとも同じように業種は違っても働いて
世帯をささえているわけでしょう。それで、四百円や五百円の
賃金がむしろ
労働者が得をしているような感じ、これでささえられているような感じが事実あなたのおっしゃったようにあったとしたら、なぜ
労働行政は、
労働者保護の立場から、
労働組合の組織とかそれから保護施策をもっと何でおとりにならないのか、私はそういう
議論までしなきゃならぬことになってくるんですよ。しかし、少なくともイギリスのように産業別のウェージカウンシルのような
最低賃金方式があります。いまフランスの話が出ましたけれども、
経済の成長に応じてどんどんと
最低賃金の額を引き上げていく、しかし
一般の
賃金が上がりがきついから、いま
適用されるのは非常に少ないんだということをおっしゃった。私はけっこうな話だと思うのです。
労働者と使用者との
関係は、団体交渉でものをきめていくというルールに
世界じゅうなっている。しかし、何らかの公的機関できめるというのは、救いがたいところを救うわけです。そうでしょう。だから、団体交渉で
最低賃金が毎年上がっていく、
最低賃金の
適用がだんだん少なくなって、それよりか
賃金が上がっていくということになれば、私がいま申し上げているような
議論をしなくても済むんです。残念ながらそうでないところに
議論があるわけですから、これはやはり
政治の指導としてやるべきことなんだと思うのです。それを
業者間協定で守られているのじゃないかというような
議論が出てくるのは、実情とあまりにもかけ離れているんじゃないか。四百円や五百円の
賃金を五百万人近くの
労働者が受けて、一定の期限だからといって押えられているのが多いんじゃないか。そういう点、組織的にも十分成熟していないから、泣きの涙でいる。だから、
労働力が固定しないという現象を起こしているんでしょう。いつも
労働省がおっしゃるように、百何十万もの
中小企業の
労働者がだんだん大企業に行く。また、最近の
中小企業の若年
労働力に対する賃上げは、ここ二、三年は大企業を乗り越えるほど高くしなければ
中小企業に
労働者が来ないというところまで来ている。だから、そういう点は、いま
大臣のような感じで見て
おいでになったら、それは
労働者のいま置かれている実情と大きな違いだと、私はそう思うんです。どうでしょうか。これは事務局からの見方も聞かせてください。