○
大橋和孝君 時間もあれですから、ここで区切りをつけたいのですが、いずれにしても、そういうふうなことを
考えてみると、よほどこの問題について深く
考えないと、根本が逸脱されるために非常に困ると同時に、いまの若い医者、ことに実際
試験を受けた研修なんかに入ろうとする若い医者たちがいま現状でどういうふうなことを願っているか。
考えると、非常に不安に感ずるわけです。たとえば四十二年の卒業とかなんとかいってもう何年間も卒業
試験をボイコットし、あるいは国家
試験もボイコットしているようです。これらの人たちを、非常にはね上がった行動だと、こういうふうにいろいろ非難したりしている向きもありますけれども、また、一面、じっくり
考えると、彼ら自身は、私もあちらこちらで接触してみましたけれども、
考えているのは非常に純粋さがあると思うんです。その行動とか言い方については、少しは過ぎた面もあります。私もそのことも感じないこともないわけではありませんけれども、しかし、実際に彼らのほんとうに
考えていることをじっくり
考えてやると、そこに非常に問題があると思うんです。そういうことで
厚生省の方々に話しをしてみると、いやもうこの
法律さえ通してもらったらみんな
試験を受けますよと言っていますけれども、そこらのところにいままでの
議論の中に出てきたようなあいまいさがあるし、ほんとうに言うならば、若い人たちが
考えておるのは、勉強にふさわしいような場ができていない、あるいは身分保障についても、あるいはまたカリキュラムについても、あるいはまたその環境についても、いろいろ
考えてみて十分じゃない、そういうことであるために非常に反発をしているわけだと思いまして、いまの
段階から
考えて私はいまの
法律をつくろうとしておられる気持ちもわからないではないのですけれども、それをやったところでいまの卒業する若い人たちにほんとうに受け入れられるような実体が伴っていないのではないか。だからして、またああいうふうな反発をよけい注ぐんじゃないか。逆に言うならば、北爆をやめなかったらなかなかベトナムの戦争がおさまらぬと言ってじゃんじゃん北爆しておったらいけないという形と同じで、今度でも、
医師法改正で爆弾を投げ込めばよけいそれが炸烈するんじゃないかと、そういうふうに言えるほどいまの若い学生の人たちは真剣に
考えている。自分らがこれから研修に出ていって将来の医学の勉強に携わろうという、学校を卒業したての人は、頭が悪い人たちでもない、あるいは思想的にそう偏向した人たちばかりでもないと
考えるわけでありまして、そこの行き過ぎはある程度若さのためにあるとしても、あの人たちが純粋に
考えて受け入れられるようなものが実体としてないのも一面じゃないかと思うのです。
そういうことからいって、今度の
医師法一部
改正について私は非常に慎重に
考えてみたけれども、そこらの人が言った、ああいうのははね上がった学生運動で弾圧せにゃならぬというのも
一つの方向かもしらぬけれども、そうでなくて、彼らの言っておるところは那辺にありやということをよく聞いてやれば、やっぱり真剣に勉強したいということを言っておるわけです。私の子供もいま大学院の二年におりますけれども、それらの話を聞いても、勉強したいと言っておる。勉強はしたいのです。ところが、それに対してのいろいろな環境の裏づけというものは非常に不自然ですね。やっぱり無医村なんかがあるからして、無医村に課程中に出されているのも事実です。月謝を納めている人を無医村に出している。話を聞けば、別に月給をもらっているから、差し引きすれば同じじゃないかといえば、それはそうかもしれぬ。それは
理由になるかもしれないけれども、理屈は何にしても、そういうことから
考えれば、いまのところは矛盾だらけです。そういうところがあるわけですから、この法を
改正されるのも、そういう矛盾を将来直すための第一歩であるとすれば、それでいいと思います。そういうことが十分に前に出なくて、そして出されていく。いまのような所得の問題を
考えても、教育の場の問題を
考えても、あるいは
免許状を渡す時点でいままで過去からどういうことをやったかということを
考えても、そういうところに明確なものがない。また、実際そういう真剣に
考えている若い人たちに説得力がないのではないかということも私は
考えるのです。
そういう意味から、私は、各地で盛んにストライキ、ボイコットが行なわれておると聞いておるわけですが、そういう
観点に対して文部省も
厚生省も一体どういうふうに
考えておられるのか。私はこういう
法律をあいまいなままに出すことはかえって混乱を招くのじゃないかというぐらいに
考えているんですけれども、あなた方は、この
医師法の
改正が通ったら、そこらの人は十分国家
試験を受け、そして医療に対して積極的に前向きに出てくるんだと。そういうことでなかったら、いまの無医村の問題なんか、とても医者が少ないのは解決できないのじゃないか。地方自治体でも、いま医者がなくて閉鎖している病院がたくさんあるという現況で、一体あなた方はどうそこを把握し、どう対処されようとするか。今度のこの
医師法改正が将来若い医者の人たちに混乱を招くようなものであれば、医療全体の面からいったら非常に悪いことを及ぼす
医師法改正になると思うのです。私は、そういうことに対してどういうふうに
考えておられるかということを聞いて、
あとのことはまた
あとの機会に回したいと思います。両方の
考え方を聞いておきたいと思います。