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大橋和孝君 私は、実は、この問題に対しては、文部省に対しても厚生省に対してもいま少し
——大学の教育のあり方も、前とはずいぶん、先ほど文部省の方がおっしゃったように、改良がされてきていると私も思います。大臣のおっしゃっているように、ずいぶんこのごろ勉強のしかたも変わってまいっておりますからして、われわれが昔大学でごやっかいになっておったころとはずいぶん変わってきていると私もそう思うわけでありますけれども、しかし、いま
国民の側からいえば、すぐそれがそれでいいということにはなるまいと思うが、まあいま
審議会にかけてカリキュラムなんかも御相談をなさっているということを文部省から聞いて、非常にあれしておりますけれども、その大学時代の教育のあり方は、国立大学は国立大学として、あるいはまた私立大学にしても、そういう大学に対してはそういうふうな考え方をもってこれからは示していただくことだろうと思いますが、そういうことは、これからはまだ大きく変化をさせていかなければならないという見通しであるのか、ほぼまあいまの段階でいいと考えていられるか。先ほどはいいということではありますけれども、それは大体でありましょうけれども、いろいろの点からいえは、もっともっと教育のあり方をここらで考えなければいけない。それは、私の考えでは、そう早急に一ぺんにそれをこういうふうにするということにはなかなか相ならぬのじゃなかろうか。これはもっともっと研究して、そうして、大体、医学の教育というのはほかの大学よりは二年も長いわけでありますし、あるいはまた、ぼくは大学の年限がもっと長くなっても、必要な場合はなってもいいと思うんですよ。いいと思うが、少なくとも教育期間内にもっと徹底した臨床的な研究もするということであればなお一そういいと思うのでありますが、それを、早急にもういまの時点でできるものなのか。私は、このあいだ、すぐに文部省が発表されて、千何百時間か増加するということを発表されて、まあ前向きにそういうことを考えてもらったのはなるほどということで感激もしたけれども、しかし、そういうことはほんの一つの手直しである。教育というものを根本的に直すには、そんな簡単なことじゃいかぬのじゃないか。少なくとも
国民の医療というものがこれだけどんどんと進歩していくときに、教育のあり方ももちろん進歩はしておりますけれども、もっと
国民の信頼を集められるような教育を大学の教育の中でやるべきじゃないか。これに対しては、もっと前向きな姿勢で相当な討議も重ねてやるべきじゃないか、こういうふうに考えております。
先ほど、医務
局長のほうからは、大学の、何といいますか、病院長会とか学部長会からいろいろな意見が反映されたと、これでもっていままでも検討してきたというのでありますが、私のほうの聞くところでは、むしろ大学の教授会の中で真剣にそれを取り上げるのじゃなくして、そのときにたまたまある学部長がおられて、個人的な意見の反映でもってこれが出されている点は、私どももらっている書類の中でちょいちょい承っているわけであります。今度の
制度の
改正にあたってのいろいろ医学部長会あるいは病院長会からの意見は、それは実際その学部長会で行なわれたこととは違いますということを逆に反論しておるところの医学部長も中にはいらっしゃる。こういうようなことになってみれば、ある程度個人プレー的な、そう言っちゃ失礼かもしれませんけれども、何かそういうことでもって、ほんとうに大学の中でこれが真剣に討議をされてその結果が厚生省に集まってきているというほどまで考えるのは、実態より少し離れているのではないか。厚生省がそういうふうにとっていられるとするならば、実際から言えば、それだけの深い討議が盛り上がった、いわゆる学者先生のほうのほんとうに統一された意見でそういうようなものになってきたというふうに受け取りにくいと思うわけです。そういうところから考えていきますと、この教育の
制度というものを考えるのに、大学の教育というものを考えるのに、少しは時間をかけても、相当しっかりしたものに考えてもらいたい。そういう意味からは、こうした
法律を
改正する前にそれをやってもらうのが一番いい。私は、二十年も待ったのだからして、もっと前からやってもらいたいと考えておったわけですが、それが私から見れば、ほぼの点では大臣おっしゃるようにいいと、こういうふうなことに考えられているにしても、
国民の側から考えればもっともっといろいろ要望も多いわけでありますからして、こういう問題に対してはもっと真剣に考えていただきたい。
まあ現時点でそんなことを過去のことを言ってみてもしかたがないわけでありますけれども、現時点で考えるならば、少なくともこういう
法律を出すというからには、何年以内にかくかくいたしますということを一つは
国民に明示をしておいていただく。この
法律なるものもいわゆる時限の
法律ということに解釈するほうがいいのではないか。たとえば、去年の特例法ですか、出たときにも、何か二年の時限
立法になって、あの特例法は何か民社党のほうからもあれを出されて、私は非常にいい意見であると思いますが、それで今度の医療
制度の抜本
改正の中でこれは完全に改めなさいということで時限がつけられたと聞いておりますが、そういう観点から言いましても、今度の教育の問題も、ただずばっと出すだけでほっておかないで、何年なら何年の間にこういうようなもので教育の
内容を変えますというて、それがほんとうに将来につながるところの明かるい展望の教育
内容にするのだというくらいの決意がここでなかったら、その
法律なり、あるいはまた千何百時間変えますわと、こういうような場当り的に教育の問題を取り扱っていくのでは、
国民の側から見ればもっと不安さがあるのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、大学の教育というものだけを考えてみても、これから何年間にはどういう方向でやりましょうというふうなことが、過去からいままでのインターンの
制度からずっと大学教育を見てきたところから、そこのところに何が悪かってどういうふうにしたいということが出てこなければいけないのじゃないかと思うのです。特に、私は、厚生大臣のほうからも、あるいはまた医務
局長のほうからも、あるいは学校のほうからも、そういうことについての大体の展望というものを少し聞いておかないと、将来の医学教育というものを学校の中で大学の中でどういうふうにするのだという一つの何かのイメージといいますか、ビジョンといいますか、これぐらいにするのだということをこういう
改正をする時点でおぼろげながらも将来のビジョンというものを考えて、しかし、これには、先ほど私が申し上げたように、いろいろ段階があって検討しなければならぬからして、何年くらいでこうしましょうというふうな一つの明かるい見通しをここらでつけておいていただきたい。そうすれば、即座に
国家試験をやってそしていま大臣がおっしゃったように医師として取り扱ってもほぼだいじょうぶだということが、診療を受ける側にもとれると思う。このごろは、インターンという問題というものが、大学のほうではああいうふうにボイコットのような形で世論を大きく喚起いたしておりますので、そういう点からいっても、
国民の側はひとしくいまの医学教育というものはこれでいいのかという不安さというものが去らないと思うのですね。そういう意味からも、いままであったあり方からも、今後それをどういう意味でどういうふうにするかというそこらのところをひとつ伺っておきたい。