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1968-02-29 第58回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十九日(木曜日)    午前十時二十六分開会     ―――――――――――――    委員異動  一月三十一日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     鹿島 俊雄君  二月二日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     中沢伊登子君  二月六日     辞任         補欠選任      山本  杉君     森田 タマ君  二月八日     辞任         補欠選任      森田 タマ君     山本  杉君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         山本伊三郎君     理 事                 鹿島 俊雄君                 黒木 利克君                 大橋 和孝君                 藤田藤太郎君     委 員                 植木 光教君                 紅露 みつ君                 林   塩君                 山下 春江君                 山本  杉君                 藤原 道子君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君    国務大臣        厚 生 大 臣  園田  直君        労 働 大 臣  小川 平二君    政府委員        厚生政務次官   谷垣 專一君        厚生大臣官房長  戸澤 政方君        厚生大臣官房会        計課長      高木  玄君        厚生省公衆衛生        局長       村中 俊明君        厚生省環境衛生        局長       松尾 正雄君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省国立公園        局長       大崎  康君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省保険局長  梅本 純正君        厚生省年金局長  伊部 英男君        厚生省援護局長  実本 博次君        社会保険庁長官  熊崎 正夫君        社会保険庁医療        保険部長     加藤 威二君        社会保険庁年金        保険部長     中村 一成君        労働政務次官   井村 重雄君        労働大臣官房長  石黒 拓爾君        労働大臣官房会        計課長      東村金之助君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省安全衛生        局長       大野雄二郎君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門  中原 武夫君        員     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○労働問題に関する調査  (労働行政基本方針に関する件)  (昭和四十三年度労働省関係予算に関する件) ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政基本方針に関する件)  (昭和四十三年度厚生省関係予算に関する件)     ―――――――――――――
  2. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月三十一日、土屋義彦君が委員辞任され、その補欠として鹿島俊雄君が選任されました。  また、二月二日、片山武夫君が委員辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 次に、理事辞任についておはかりいたします。  佐野芳雄君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がありますが、これを許可することに御異議ございませんか。
  4. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) この際、さきに御報告いたしました委員異動、及びただいまの理事辞任により、二名の理事が欠員となっていますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選方法は、先例により、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  6. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事に、鹿島俊雄君及び大橋和孝君を指名いたします。     ―――――――――――――
  7. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 労働問題に関する調査を議題といたします。  まず、労働行政基本方針に関する件について調査を行ないます。  本件に関し、政府より所信を聴取いたします。小川労働大臣
  8. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 第五十八回通常国会にあたり、一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  わが国は、これまで労使関係者をはじめとする国民各位のたゆまない努力によって非常な発展を遂げ、労働経済の面においても、雇用の増大、賃金その他の労働条件向上等、著しい改善をみるに至りました。これに伴って、近年、若年労働者技能労働者中心とする人手不足が著しくなり、わが国労働経済基調は、かつての労働力過剰から労働力不足基調へと大きく転換しつつあります。  また、最近では、国際経済の変動、労働力都市集中技術革新進展等労働行政をめぐる内外の諸情勢には著しい変化が生じてきております。  私は、このような新しい情勢に対処する今後の労働行政中心課題は、経済雇用動向に適切に即応し、労働力の面からわが国経済持続的発展確保をはかりつつ、経済発展のにない手である労働者福祉向上をはかるということにあると信ずるのであります。この基本的考え方のもとに、経済社会動向を十分見きわめながら積極的な労働施策を展開してまいりたいと存じます。  まず、雇用対策について申し上げます。  今後、労働力の需給は、長期的に見まして一そう逼迫の度を強めるものと考えられます。この労働力不足共調に的確に対処し、限られた労働力の持つ価値が最も有効に発揮されるよう、雇用対策基本計画に沿って総合的な施策推進してまいる所存であります。  そのため、わが国においてなお見られる人手に依存し過ぎる傾向を是正し、輸出産業、その他国民経済発展にとって重要な産業分野労働者が進んで就職できるよう配慮するとともに、中高年齢者既婚婦人等能力の積極的な開発をはかってまいりたいと存じます。また、大都市開発拠点地域等福祉施設計画的な整備を進め、中小企業労働者勤労青少年等福祉増進定着確保に資するとともに、季節出かせぎ労働者に対し通年雇用奨励制度を創設する等、地域特性に応じた雇用対策推進し、労働者雇用の安定とその能力の有効な発揮をはかってまいる考えであります。  さらに、身体障害者については、就職援護措置強化し、その雇用促進をはかりたいと存じます。駐留軍関係離職者についても、その対策強化をはかることとし、関係法案を今国会に提出し、御審議をお願いすることといたしております。なお、失業対策事業就労者については、その生活の安定に配慮し、賃金を一二%引き上げることとしたのでありますが、事業運営については一そうその適正化に努め、世論の批判にこたえていく所存であります。  技能労働者不足数はいまや百五十万人をこえるという状況にあり、その対策は緊急の要務であります。今後も、引き続き、公共職業訓練施設拡充事業内職業訓練振興技能尊重機運醸成に一そうの力を注いでまいる所存であります。しかしながら、今後予想される技能労働力不足の一そうの深刻化と、技術革新進展に伴う技能変化などの諸情勢に対処していくためには、職業訓練制度について抜本的な刷新整備を行ない、技能労働者がその職業生活を通じ段階的、体系的に訓練を受けることによって産業人としての完成を期し得るよう、制度改善を行なう必要があると存じます。現在、中央職業訓練審議会に対し、今後の制度のあり方について諮問中でありますが、その最終答申をまって、制度について全般的な検討を行なってまいりたいと存じます。  次に、労働者福祉対策について申し上げます。  近代的な労働条件確保し、労働者生活環境整備をはかることは、労働者福祉向上はもとより、労働者能力の一そうの発揮を促す条件を整えることでもあり、労働政策の重要な課題であります。  今後、このための各般の施策を一そう積極的に、かつきめこまかく推進いたす所存であります。また、最近の経済労働事情変化に即応し、最低賃金制をより効果的なものとするため、最低賃金法改正法案を今国会に再提出することといたしました。よろしく御審議をお願いする次第であります。家内労働対策につきましては、現在家内労働審議会において、総合的対策検討が行なわれておりますが、その答申をまって、適切な対策を樹立推進してまいりたいと存じます。  また、勤労青少年対策については、勤労青少年の諸君が働くことに生きがいを感じ、その力を十分に発揮することができるよう、職場生活環境改善に力を注ぐ必要があると存じます。勤労青少年のための福祉施設建設を進め、これを拠点余暇活動振興をはかるとともに、働く青少年手帳制度創設等により、勤労青少年職業面生活面での指導相談業務充実し、その健全育成に資してまいる考えであります。  次に労働災害防止対策について申し上げます。  労働災害防止については、行政の最重点の一としてその対策を強力に推進してまいりましたが、最近における災害発生状況は、死傷者数発生率とも、幸いにして減少を続けている状況にあります。しかしながら、中小企業等における災害率はなお高く、労働力不足に伴う熟練労働者不足産業技術進歩等によって、今後なお予断を許さぬものがあります。このような状況に対処するため、今後五カ年間にわたる対策基本方向を定める労働災害防止基本計画を策定し、この計画のもとに、総合的、科学的な対策を積極的に推進してまいる考えであります。  最後に、労使関係につきましては、内外経済情勢考えますとき、その安定は従前にも増して強く望まれると存じます。私は、労使経済発展のにない手としてよきパートナーシップを確立し、国民経済的視野に立ち、良識をもって賃金問題をはじめ労使間の諸問題を合理的に解決することを期待するとともに、そのような機運醸成されるよう、努力を重ねてまいりたいと存じます。  以上、当面の労働行政上の諸問題について所信の一端を申し上げた次第であります。今後とも、労働行政推進にあたりましては、各位の御意見を十分拝聴しながら、一そうの努力をいたしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  9. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 次に、引き続いて、昭和四十三年度労働省関係予算について調査を行ないます。  政府説明を聴取いたします。東村会計課長
  10. 東村金之助

    政府委員東村金之助君) それでは、昭和四十三年度労働省関係予算概要をお手元の資料により御説明申し上げます。  まず、予算の規模でございますが、四十三年度一般会計におきましては、四十二年度に比較いたしまして九十六億一千百万円増の一千九十八億三百万円を計上いたしております。労災保険特別会計におきましては、歳入歳出とも同額で、百七十八億八千五百万円増の千四百九十四億五千二百万円を、失業保険特別会計におきましても、歳入歳出とも同額で、百十七億八千万円増の二千六十八億一千七百万円を、石炭対策特別会計におきましては、六千百万円増の五十億九千百万円をそれぞれ計上いたしております。  次に、主要事項概要につきまして逐次御説明いたします。  第一は、総合的雇用政策の展開に要する経費で、四十三年度は七百九億四千八百万円を計上いたしております。  その第一は、明るい地域社会づくりのための雇用対策推進であります。  まず、雇用計画の策定・推進をはかりますとともに、地域特性に応じました雇用対策を展開することとしております。すなわち、大都市地域につきましては、備考欄にもございますように、親元を遠く離れて大都会で働く勤労青少年のために、中核的福祉センターを設置することといたしております。この福祉センターには、相談施設、文化、体育、宿泊施設等整備いたしまして、これにより、勤労青少年福祉増進、ひいては職場への適応促進をはかることといたしております。  次に、新産業都市工業整備特別地域などのいわゆる開発拠点地域につきましては、勤労者総合福祉センターを設置することといたしております。これによりまして、これらの地域に魅力ある生活環境をつくり出しまして、これらの地域勤労者定着確保に資することといたしております。  次のページに参りまして、失業多発地域につきましては、公共事業等への失業者吸収措置強化いたしますとともに、積雪寒冷地季節的失業保険受給者多発地帯におきましては、季節的失業防止制度、すなわち通年雇用奨励制度でありますが、これを創設することといたしております。  その第二は、雇用構造近代化等積極的雇用対策推進であります。  まず、職業研究所を設置いたしまして、近代的労働市場形成に役立つような職業に関する基礎的研究を進めることとしております。  労働市場近代化対策といたしましては、現在東京都の石神井にございます労働市場センターの機能の整備充実をはかりますとともに、求人求職者に対する雇用サービス推進を進めていく計画でございます。  雇用促進住宅雇用促進融資につきましては、まず、雇用促進住宅を前年同様四十三年度におきましても一万戸建設するとともに、雇用促進融資、つまり事業主が自分のところの労働者住宅福祉施設をつくる際の融資でございますが、この融資につきまして、昭和四十二年度百二十億円のワクを、四十三年度は十億円増額いたしまして百三十億円に増額することといたしております。  新規学校卒業者につきましては、その職業指導職場適応指導を積極的に進めてまいることといたしております。  中高年齢者につきましては、備考欄にもございますように、昭和四十二年度から設けられました人材銀行をさらに四十三年度には二カ所増設いたしますとともに、中高年齢者職業転換が円滑にまいりますよう、就職指導手当訓練手当等各種給付金制度が行なわれておりますが、これを充実してまいることといたしております。  身体障害者対策といたしましては、二ページの下から三行目にございますように、新たに、通勤するためにこれらの労働者方々が自動車を購入するという際の資金貸し付け制度、及び三己ージの一番上にございますように、これらの方々自営のために資金が必要になる場合に、その資金に対する債務保証制度を創設いたすこととしております。そのほか、職業訓練所充実リハビリテーション施設増設等計画しているところでございます。  港湾労働につきましては、港湾登録日雇い労働者が就労できなかったときに支給いたします雇用調整手当給付内容を、日雇い港湾労働者賃金の実情、つまりだいぶ上がっておりますので、それに合わせるように充実いたしますとともに、港湾労働者福祉センターであるとか、簡易宿泊所、このような福祉施設充実してまいる計画でございます。  炭鉱離職者対策といたしましては、緊急就労対策事業事業費単価二千百円を二千三百円に引き上げて実施いたしますとともに、従来から雇用促進事業団が行なっております援護業務推進していくこととしております。援護業務内容は、次のページにございますように、移住資金であるとか、再就職奨励金雇用奨励金自営支度金住宅確保奨励金等を支給することでございます。なお、就職促進手当につきましては、その最高日額を六百十円から六百五十円に引き上げることといたしております。  駐留軍離職者対策につきましては、新たに再就職奨励金支給制度を創設いたしますとともに、駐留軍関係離職者の現況などにかんがみまして、駐留軍関係離職者臨時措置法昭和四十三年五月十六日で失効いたしますので、改正案提出いたしまして五年間延長することといたしております。  同和地区につきましては、職業指導モデル校拡充広域職業紹介推進等によりその雇用対策強化につとめてまいることといたしております。  その第三は、失業対策事業改善でございますが、備考欄にもありますように、失業対策事業につきましては、労力費単価を七百十円七十銭から七百九十五円六十二銭に引き上げる等によりましてその改善をはかっていくことといたしております。なお、雇用奨励制度につきましては、これを引き続き実施することといたしております。  第二は、労働力質的向上対策推進に要する経費で、四十三年度は百十四億六百万円を計上いたしております。これは、職業訓練技能検定関係経費であります。  まず職業訓練関係といたしましては、事業内の職業訓練について、備考欄にございますように、共同職業訓練施設を前年度同様四十三年度におきましても十五カ所を増設いたしますとともに、共同職業訓練運営費補助単価を千四百円から千六百円に引き上げてその充実をはかることといたしております。  公共職業訓練につきましては、総合職業訓練所について新設六所、十八職種拡充二十二職種一般職業訓練所について新設五所、十職種拡充二十三職種をそれぞれ計画いたしております。なお、身体障害者職業訓練所につきましては、二職種拡充計画しております。これらによりまして、昭和四十三年度の職業訓練計画は、十二万六千百七十人と、前年度に対しまして二千六百五十五人の増となります。  次のページに参りまして、技能検定につきましては、技能検定実施職種でありましたものを六十六職種に拡大実施することといたしております。  職業訓練による国際協力の問題につきましては、昭和四十五年にわが国での開催が決定しております技能オリンピック会場、これは千葉市の技能センターを当てることとしておりますが、その会場整備することといたしております。なお、青年ブルーカラーつまり生産現場で働いておる技能労働者でございますが、そういう人たち国際交流などをも計画しているところであります。  なお、卓越した技能労働者の表彰、それから技能検定合格者に対する技能士章交付等によりまして、技能尊重機運醸成につとめてまいることとしております。  第三は、労働条件確立労働生活環境向上に要する経費で、四十三年度は五億五千百万円を計上いたしております。  まず、最低労働条件順守のために第一線監督指導体制充実することとしております。  労働時間の問題につきましては、単調労働すなわちベルトコンベアシステム等で働く労働者対策を講じますとともに、過長時間外労働をやっているようなそういうところに対して、縮減対策をさらに積極的に進めていくこととしております。  賃金制度改善につきましては、本省に置かれております賃金研究会による賃金制度基礎的研究を進めますとともに、第一線監督署等に置かれております賃金相談室拡充することとしております。  最低賃金制につきましては、先ほど大臣所信表明の中にもございましたように、同法の改正法案を本国会に再提出しているところであります。  家内労働につきましても、備考欄にございますように、行政措置強化推進いたしますとともに、家内労働実態調査を進める等、その対策を講じていく計画でございます。なお、内職対策といたしましては、内職公共補導所増設することといたしております。  港湾労働、出かせぎ労働ダンプカー等のこれらいわゆる屋外で作業する労働者につきましては、それぞれの実態に応じた監督指導すなわち、港湾労働者につきましては、労働条件近代化、出かせぎ労働者につきましては、労働条件明確化賃金不払いに対する監督指導、さらに、ダンプカー等につきましては、交通事故防止の見地から、労働時間、賃金管理適正化等監督指導をそれぞれ進めてまいることとしております。なお、交通事故に関連いたしまして、八ページにございますように、むち打ち症に対する対策を進めることといたしております。  勤労者財産形成政策といたしましては、四十二年度に引き続きまして勤労者持ち家対策中心として政策を進めることとしております。  第四は、労働災害絶滅のための対策推進に要する経費で、四十三年度は十一億五千八百万円を計上いたしております。  災害防止につきましては、まず、何といっても科学的災害防止対策を展開するための基礎固めをしていくこととしております。そのために、備考欄にもございますように、本省科学顧問を設けますとともに、産業安全研究所労働衛生研究所研究調査活動強化につとめてまいることとしております。  次に、安全衛生指導体制確立指導強化をはかりますためには、安全衛生に関する指導指針を策定いたしまして、これにより安全衛生教育の徹底をはかりますとともに、九ページ備考欄にございますように、重建設石油化学災害多発中小企業建設、造船、化学鉄鋼業等における下請企業群、こういうものに対しましてきめのこまかい指導を進めていくこととしております。  一方、民間の自主的災害防止活動促進していくために、備考欄に書いてございます諸種のサービス網整備もあわせて進めていく計画であります。  一〇ページに参りまして、第五は、婦人能力活用勤労青少年のすこやかな成長のための福祉対策推進に要する経費で、四十三年度は三十六億二千百万円を計上いたしております。  まず、婦人の問題につきましては、中高年齢婦人雇用円滑化をはかりますため、備考欄にございますように、中高年齢婦人就業分野の拡大のための啓発活動実施短期職業講習実施、さらには中高年齢婦人雇用に関する調査等計画しております。なお、「働く婦人の家」につきましては、前年度同様、四十三年度におきましても二カ所増設することといたしております。  婦人保護福祉増進婦人地位向上のためには、農村婦人過労対策のための調査検討内職公共職業補導所増設婦人白書の作成、こういう計画をしているところでございます。  次に、勤労青少年につきましては、まず、勤労青少年に対する福祉施設拡充整備を進めることとしております。もっとも、この項につきましては、いままでの御説明と若干重複する部分がありますが、備考欄にございますように、勤労青少年ホームにつきましては、前年同様、四十三年度におきましても十八カ所を増設することとしております。  勤労青少年余暇活動の問題は、最近とみに重要性を増してきておりますが、この問題につきましては、余暇活用についての啓蒙指導余暇活動に対する援助、余暇活動のための各種施設活用促進等をはかっていく計画であります。  第六は、建設、出かせぎ労働対策強化万博対策推進に要する経費でありまして、四十三年度は十七億一千九百万円を計上いたしております。この項も、いままでと若干重複する部分がありますが、その第二の建設事業の出かせぎ労働者、この問題につきましては、備考欄にもございますように、出かせぎ労働者手帳制度を創設いたしまして、これにより、これらの労働者の就労経路の正常化、労働条件等についての保護、指導をはかってまいりますとともに、出かせぎ援護相談所を増設いたしまして相談業務充実につとめてまいる計画であります。  一三ページに参ますと、万国博覧会関係建設労働者対策推進の問題が出てまいりますが、これにつきましては、広域職業紹介強化、現場における万博専門安定所の設置、労働者宿舎の建設等によりまして、その確保と関係労働者の保護につとめることとしております。  第七は、労働保険、つまり労災保険及び失業保険でございますが、これらの保険の適用の促進に要する経費で、四十三年度は十三億四千二百万円を計上いたしております。この経費によりまして、事務組合の設立による未適用事業主の加入の促進、徴収事務の一元化の促進と機械化、さらには不正受給対策強化等を推進していくこととしております。  第八は、相互信頼関係の上に立った合理的労使関係推進に要する経費で、四十三年度は十一億三千百万円を計上いたしております。この経費では、労使間における信頼関係の基盤の育成、中小企業における労務管理、労使関係近代化促進、これは、主として、備考欄にございますように、中小企業集団による自主的労務改善を助成していくものであります。  それから中小企業退職金共済制度の普及等をはかってはまいることとしております。なお、この関係の共済制度といたしましては、備考欄にございますように、中小企業退職金共済事業団、建設業退職金共済組合、清酒製造業退職金共済組合の三つがあります。  第九は、国際労働行政充実強化に要する経費で、四十三年度は二億四千万円を計上いたしております。これは、ILO、OECDの関係、東南アジアの技術協力の関係、それから労働関係者の国際交流の関係等の諸経費でございます。  第十は、総合的中小企業労働福祉対策の積極的推進に要する経費でありますが、これは、いままでの説明のうち、中小企業労働福祉対策関係の経費を一括したものでございまして、重複いたしますので、説明は省略さしてもらいたいと思います。  以上、はなはだ簡単でございましたが、御説明を終わります。
  11. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 両件についての質疑は後日にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  12. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  13. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 次に、社会保障制度に関する調査を議題といたします。  厚生行政基本方針に関する件について調査を行ないます。  本件に関し、政府より所信を聴取いたします。園田厚生大臣
  14. 園田直

    国務大臣(園田直君) 第五十八回国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、この機会に厚生省所管行政に関し、所信の一端を申し述べたいと存じます。  福祉国家を建設することは政治の究極の目標でありますが、社会保障の拡充生活環境整備等国民生活に密接な関連を有する厚生行政は、その目標を達成する上で中心的役割りを果たすべきものであります。  昨今のわが国は、財政経済運営の面できびしい情勢に直面しておりますが、このような情勢の中においてこそ、国民の生命健康としあわせを守る厚生行政は、着実にその充実をはかっていかなければならないことは言うまでもありません。  御承知のごとく、わが国社会保障は、体系的に見ると、児童手当制度がいまだ創設されていないことを除けば、一応その姿を整えてはおりますが、なお総体としては低い水準にあり、さらに改善充実をはかる必要があります。このため、懸案となっている医療保険問題の解決はもちろんのこと、年金制度充実等所得保障部門を拡充するとともに、老人福祉対策、心身障害児対策、成人病対策、公害対策など従来立ちおくれていた分野の施策充実することを基本的方向として、着実にその実現をはかり、血の通った厚生行政確立してまいる所存であります。  以下、厚生行政の当面する主要な事項について申し述べます。  第一に、生活保護及び社会福祉の分野では、まず、生活保護について、国民の消費水準の向上、物価の動向等を考慮し、生活扶助基準を一三%引き上げるとともに、教育扶助、住宅扶助等についてもその改善をはかることとし、また、老人、身体障害者に対しては、あたたかい配慮の手が届くよう施設の整備及び運営の改善をはじめ、その福祉向上をはかるための施策を一そう充実してまいる所存であります。  特に心身障害児対策については、重症心身障害児等の収容施設の大幅な増設を行なうとともに、在宅の障害児等について特殊ベッドの貸与、特別児童扶養手当の増額を行なう等、施策充実をはかる所存であります。また、障害児の発生を未然に防止し、次代をになう児童を健全に育成するための基盤となる母子保健対策についても、これを強力に推進し、よい子供づくりを実現してまいる考えであります。  また、近年の家族構成の変化や共かせぎ世帯の増加等により、保育所の必要性がとみに高まっているため、年次計画をもってその整備推進するとともに、特に都市及びその周辺における用地の確保が困難であること等にかんがみ、新たに定員三十人以上六十人未満の小規模保育所を設置する考えであります。  なお、社会福祉行政をあたたかい血のかよったものとするため、社会福祉協議会の専任職員の増員、心配ごと相談所の増設等、民間社会福祉活動の育成につとめてまいる所存であります。  第二に、医療保険制度については、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律の実施により当面の難局に対処することといたしたところでありますが、国民医療を確保し、あわせて保険財政の健全化をはかるため、制度の抜本対策について鋭意検討を進めているところであり、関係各方面との意見の調整を行ない、早急に成案を得るよう努力してまいる所存であります。  第三に、年金制度については、本年度に引き続き、福祉年金の給付の改善及び所得制限の緩和を行なうことといたしたいと存じますが、わが国の老齢人口の増大に伴い、今後老齢保障がますます重要となることにかんがみ、さらに、厚生年金保険の次の財政計算期である昭和四十四年を目途として、生活水準の向上や物価の上昇等の諸事情の変化を考慮しつつ、厚生年金保険及び国民年金両制度を通じてその改善充実をはかってまいる考えであります。  第四に、生活環境の問題についてであります。まず、公害問題については、その解決のためかねてから努力してまいったのでありますが、いまなお重大な社会問題となっていることにかんがみ、その根本的な解決をはかるため、総合的な見地から幅広い施策推進してまいる所存であります。このため、公害対策基本法に示された基本的な理念を逐次具体的に実施に移してまいる考えであり、昭和四十三年度においては、環境基準の設定及び公害防止計画の策定を進めるとともに、大気汚染や騒音等に対する規制を強化するため立法措置を行ないたい考えであります。このほか、公害紛争の処理及び被害の救済についても関係省庁との意見の調整を行ない、早急に制度化をはかるよう検討を進めるとともに、公害医療についての助成措置を講ずることとするほか、公害防止施設の整備等を促進してまいる所存であります。  また、上水道、清掃施設等の生活環境施設については、本年度から五カ年計画によってその整備促進することといたしておりますが、特に水道については、水道水源の開発と水道広域化に重点を置いてその整備をはかってまいる所存であります。  第五に、国民保健の面においては、栄養対策強化し、保健所活動を充実するなど、国民の体力づくり健康づくりの施策を強力に推進するとともに、ガン、精神病等の各種疾病予防対策推進するほか、特に交通事故等の不慮の災害による傷病者の増加が重大な社会問題となっていることにかんがみ、救急医療センターの設置等救急医療体制の確立をはかり、また、僻地の医療を確保するため、患者輸送車等機動力の整備に重点を置いて医療の確保をはかってまいる所存であります。  次に、医師の養成については、現行のインターン制度にかえて新たに臨床研修制度を設けることを骨子とする医師法の一部改正案について引き続き御審議をお願いしているところでありますが、新しい臨床研修制度の実効を期するため、臨床研修病院の指導体制の充実等必要な助成措置を講じてまいる所存であります。また、看護職員の確保対策についても、養成施設の整備拡充、給与その他の処遇の改善をはかりたいと存じます。  第六に、原爆被爆者対策については、先般の被爆者実態調査の結果や国会における対策強化の決議等にかんがみ、従来から行なっていた医療面の施策を一そう充実させるとともに、いわゆる原爆症患者に対して特別の手当を支給するなど生活面の諸施策をも新たに実施することとし、被爆者対策の総合的な強化充実をはかる所存であります。  第七に、戦傷病者戦没者遺族等の援護については、その内容の一そうの充実をはかるため、障害年金、遺族年金等の増額を行なうことといたしたいと存じます。また、かねて海外戦没者の遺骨収集について努力してまいったところでありますが、昭和四十三年度においても、本年度から実施されている遺骨収集計画の第二年度として、フィリピン諸島及び西部ニューギニアのビアク島について遺骨収集を行なう予定であります。  以上申し上げました事項のほか、厚生行政推進するにあたっては、なお重要な課題が少なくありません。私は、厚生行政の一そうの進展をはかるため、今後とも誠意をもって努力してまいる所存でありますが、ここにあらためて各位の一そうの御協力をお願いする次第であります。     ―――――――――――――
  15. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 次に、昭和四十三年度厚生省関係の予算について調査を行ないます。  政府説明を聴取いたします。高木会計課長
  16. 高木玄

    政府委員(高木玄君) お手元にお配りしてございます「昭和四十三年度厚生省所管予算案の概要」という資料に基づきまして御説明を申し上げます。  厚生省の昭和四十三年度の予算額は七千六百八十六億七千五百万円でございまして、これに対する前年度補正後の予算額は六千八百十三億三千三百万円でございます。なお、この前年度予算額はそこに書いてございますように、比較上四十三年度予算と平仄を合わせまして、国立療養所関係経費が国立病院特別会計に移行していたものとして計算いたしてございます。そういたしますと、対前年度増加額は八百七十三億四千二百万円であり、対前年度伸び率は一一二・八%でございます。国家予算の伸び率が一一一・八%でございますので、それを一%上回る伸びになっておるわけでございます。なお、厚生省予算が国家予算に占める割合は一三・二%でございます。  次に、内容に入って御説明申し上げます。  まず、保健所対策費は六十二億二千六百万円を計上いたし、前年度対比六億九千九百万円増額でございます。  備考欄の運営費のところで職員が二万二千六百二十六人から二万二千四百五十八人に減少いたしておりますが、これは、国家公務員につきまして三カ年間に五%削減するという方針に対応いたしまして、補助職員につきましても一%削減することによりまして二百二十六名の減があるわけでございますが、四十三年度じゅうに三カ所新設いたしますために五十八人の増員が認められ、差し引き百六十八人の減員となっておるわけでございます。次に、人件費単価につきましては、職種別に給与の格づけを改めております。医師等職員について見ますると、ここにございますように、年額百八万九千五百六十円が百三十一万二千七百六十一円というふうに二〇・五%の引き上げをはかっております。これは各職種についても同様でございますが、昭和四十五年度までに三カ年間に超過負担を解消しようという趣旨による増額でございます。  次に、施設費につきましては、新設三カ所、改築三十二カ所、ほぼ例年並みに計上いたしておりますが、保健所の建物につきましては、戦前あるいは戦後間もなくつくった老朽した施設が建てかえを要するような状態にあるものが相当多くございますので、これらの施設の整備促進をはかりますために、四十三年度からは保健所の施設整備費は特別地方債の対象といたすことにいたしておりまして、これによって整備促進をはかる予定でございます。  次に、ガン対策費は二十六億七千万円計上いたしておりまして、前年度対比九千万円の増額で、内容はほぼ前年度の横ばいでございます。  次に、精神衛生対策費は二百五十一億九千百万円でございまして、前年度対比二十六億九千四百万円の増額でございます。これは主として医痛費の伸びによるものでございまして、特に措置入院患者につきましては前年六万九千人を七万二千人と三千人ふやして計上いたしております。  次に、三ページに参りまして、原爆障害対策費でございますが、四十五億四千百万円計上し、前年度対比十七億三千万円の増額でございます。  特に備考欄の(3)の手当でございますが、まず医療手当、これは従前から認定疾病患者でございまして現に医療を受けておる者に対しまして医療手当が支給されておったのでございますが、その月額単価がいままで受療日数によりまして千七百円と三千四百円というふうに二段階に分けられておりましたのを、ごく受療日数の短いものを除きそういった受療日数による差をなくしまして、一本にいたしまして五千円に増額いたした次第でございます。  それから新規に健康管理手当を計上いたしております。これは、特別被爆者のうち、厚生大臣の定める疾病、たとえば造血機能障害とか肝臓機能障害、こういった厚生大臣の定める疾病に罹患しておる者でございまして、六十五歳以上の老人であるとか、身体障害者、母子世帯に対しまして、月額三千円の手当を支給しようとするものでございます。  次に、特別手当、これも新規でございまして、これは認定疾病患者に対しまして月額一万円の特別手当を支給しようとするものでございます。この健康管理手当と特別手当の二つは、生活援護的な手当でございます。  さらに、新規といたしまして介護手当、これは、認定疾病患者、それから厚生大臣の定める疾病に罹患している特別被爆者でありまして、介護を必要とする状態にあり、しかも現に介護のために費用を支出している者に対しまして、月額九千円の範囲内で介護手当を新たに支給しようとするものでございます。  それから次の原爆病院設備整備費は、広島、長崎の原爆病院の診療機能向上のための設備の整備の費用であり、次の原爆被爆者保健福祉施設費は原爆被爆者のうちの老齢病弱者、あるいは老齢単身者、あるいは小頭症患者、こういった方々を収容保護するための六カ所の被爆者養護ホームの設置運営の経費でございます。  次に、結核対策費は三百八十三億七千八百万円計上いたしまして、前年度対比三十二億七千万円の増額であります。この増額のおもなる内容は医療費の伸びによるものでございますが、五年ごとに結核実態調査実施してまいっておりますが、前回が三十八年でございますので、四十三年度におきましてこの全国実態調査実施いたす予定にいたしております。  次に、日本脳炎特別対策費でございます。これは前年度予算に対比いたしまして四千万円増額いたしておりますが、その内容は、備考欄にございますように、特に子供につきまして、いままで三歳から十二歳までとなっておりましたのを、生後六カ月から十五歳までというふうに対象範囲を広げますとともに、実施率を高めて、四千万円の増額になったわけでございます。なお、従来、インフルエンザ特別対策費前年度予算四千七百万円が前年まで一般会計予算に計上になっておったのでございますが、四十三年度からはこれを地方交付税に移しかえることにいたしております。  次に、食生活改善対策費でございまして、備考欄にございますように、新規事項が四つございますが、(1)の栄養所要量等策定費と申しますのは、昭和五十年度を目途といたしまして、国民の栄養所要量及び基準量を作成するための調査でございます。それから(4)の僻地保健栄養対策費は、僻地にあります百四十三の保健所につきまして在宅栄養士を雇い上げまして僻地の栄養指導を行なう経費でございます。  それから水道事業対策でございますが、これは、備考欄にございますように、(1)水道水源開発等施設整備費が四十二年度に初めて七億円計上になったのでございますが、これが七〇%増額になりまして十一億九千三百万円と相なっております。このうち、カッコ書きいたしております部分は、水資源開発公団分でございました、経企庁予算に計上するものの再掲の部分でございます。  次に、環境衛生施設整備費は四十七億一千九百万円で、対前年比三億一千百万円の増額となっております。  まず、清掃施設整備は、これは新しく四十二年度を初年度とする五年計画の二年度分の予算でございまして、屎尿処理施設につきましては前年対比は一億六千万円、ごみ処理施設につきましては一億円のそれぞれ増額となっております。  簡易水道等施設整備費は、前年度対比五千万円の増額でございます。  次に、公害防止対策費は五億九千七百万円でございまして、前年に比べて一億九千七百万円の増額になっております。  まず、公害対策基本法を実施いたしますために、公害防止計画基本方針策定、それから環境基準の設定、これらに必要な経費を計上いたしますとともに、公害監視等の設備の整備につきましては、地方の公害監視測定設備として昨年から予算化されておりますモニタリング設備の個所数をふやしますとともに、こういった固定した監視設備以外に、機動力をもって監視を行なうための移動監視測定車を新規に予算に計上いたしております。  それから次に、公害の紛争処理及び被害者の救済の問題でございますが、この問題につきましては、ただいま関係省と詰めを急いでおりますが、これら制度化を進めるために調査費を計上いたしますとともに、公害の被害者救済制度確立するまでの間にも公害病患者が発生いたしますので、それらの患者に対して医療費の手当てをするために公害医療研究費補助に二千万円を計上いたしております。  次に、公害防止事業団につきましては、新たに政府資金一億円を計上いたしまして金利の引き下げを行ないますと同時に、事業対象地域の拡大、あるいは集中暖房等の事業対象を新たに加えることによりまして、事業の拡大をはかっている次第でございます。  次のページに参りまして、環境衛生金融公庫でございますが、これの昭和四十三年度の資金計画は三百五十億円でございまして、特に四十三年度より環衛業に対する設備資金につきまして融資の一元化をはかることといたしております。  次に、救急医療対策は三億七千万円でございまして、前年度対比七千八百万円の増額でございますが、ここに書いておりますもののほかに、運輸省所管の自動車損害賠償責任再保険特別会計から一億四千万円が救急医療センターの設備費に充当されることになっているわけでございます。  次に、僻地医療対策でございますが、従前から僻地医療対策は僻地診療所を中心に構成いたしてまいっておりますが、四十三年度におきましては特に機動力の強化に重点を置きまして、備考欄の(2)にございますように、僻地患者輸送車(艇)の整備が、前年四十一台を八十三台というふうに二倍以上にふやしているわけでございます。  次に、医師臨床研修費は六億一千九百万円計上いたしまして、四億一千二百万円前年度より増額いたしております。  その内容でございますが、備考欄の(1)にまず、臨床研修補助金五億三千三百万円とございますが、これは公私立の大学病院の分、それから国立病院以外の厚生大臣指定病院分、これに千四百四十五人の臨床研修生が予定されておりますが、これらの臨床研修生を受け入れました病院に対しまして、研修生一人について三十八万円の補助金を出そうという趣旨でございます。  なお、国立病院で受け入れます二百人分の臨床研修生の予算につきましては(3)にございますように、国立病院特別会計に八千万円計上いたしてございます。  次に、四十三年度予算におきましては、国立療養所を国立病院特別会計に移行いたしまして、これはらい療養所を除きます国立療養所でございますが、これを国立病院特別会計に移行いたしまして、国立病院特別会計に療養所勘定を設けることにいたしております。その療養所勘定の歳入歳出でございますが、四百二十億一千四百万円でございますが、歳入のところで(4)のところにございますように、そのうち二百五億七千六百万円が一般会計からの受け入れでございます。歳出におきましては、特に施設の整備を重点に置きまして、次のページ備考欄の(3)にございますように、六十八億四千二百万円の施設費を計上いたしております。このほかに、国庫債務負担行為十五億円を計上いたしております。この六十八億四千二百万円に対応する前年度予算額は三十八億円でございますので、三十億円以上の施設費の増加をはかりまして、国立病院に比べまして立ちおくれておる国立療養所の施設を特に重点的に整備をはかった次第でございます。  医療金融公庫は、四十三年度の資金計画は二百八十五億ということになっています。  次に、医薬品安全対策費としては、前年度より六千二百万円の増額でございますが、これは国立衛生試験所におきます毒性部門を強化するための施設整備費でございます。  次に、国立公園等施設整備費は、八億一千百万円計上いたしております。いままで国立公園の管理事務所は日光と箱根にしかございませんでしたが、四十三年度から新たに阿蘇に国立公園の管理事務所が設けられることになりました。なお、明治の森施設整備費、特に高尾と箕面、それから万博の吉野山の車道の整備費、これらがいずれも含まれておるわけでございます。  それから民間社会福祉事業育成強化でございます。  備考欄の(1)の民生委員更生相談実務研修会費は、これは心配ごと相談所の経費でございまして、心配ごと相談所を千二百カ所を八百カ所ふやしまして二千カ所にいたしたわけでございます。  次に、(2)の社会福祉協議会活動費でございますが、特に(ア)の都道府県社会福祉協議会の国の補助対象職員でございますが、これらの職員に対しまして、行政管理庁の勧告にかんがみましてその増員をはかりまして、従前一県三人でございましたものを六人にいたしておるわけでございます。  次に、生活保護でございますが、千六百四十億二千百万円で、前年対比百八十八億二百万円の増額でございます。内容といたしましては、生活扶助基準を改定いたしまして一三%引き上げております。これによりまして、標準四人世帯の生活扶助基準額でございますが、そこにございますように、一級地は、現行の二万三千四百五十一円が二万六千五百円に、三千四十九円という相当大幅の増額が行なわれておるわけでございます。なお、教育扶助につきましても、平均九・五%の引き上げをはかっております。  次のページに参りまして、身体障害者福祉対策は二十七億九千八百万円計上いたしております。  まず、このうち、新規事項でございますが、備考欄の(1)にございます社会復帰促進費を計上いたしております。これは、身体障害者の更生援護施設に入所している者が施設の中で更生訓練を受けるにあたりまして、それに必要なたとえば参考書とかノートとかあるいは簡易な用具、そういったものを購入するような訓練諸費というものが従前全然支給されていなかったわけでございますが、今回新たに一人月千円がそういった更生訓練を受けるための必要な経費に充てられるということになったわけでございます。  それからメキシコでオリンピックが開かれました後におきまして、イスラエルでパラリンピックが開かれる予定でございますので、それに選手団を派遣する経費を計上しております。  次に、増員関係では、更生援護施設に、OT、PTの職員を十人置きますとともに、重度援護施設の介護員をいままで収容者十七人に一人でございましたのを十五人に一人と、重度授産施設におきましては二十五人に一人を二十人に一人というふうに、それぞれ増員いたしております。また、昨年初めて認められました身体障害者の相談員を増員いたし、また、ホームヘルパーを二百六十人から三百九十人に増員し、また、その手当月額の増額をはかった次第でございます。  次に、老人福祉対策は百十七億五千三百万円を計上いたしております。  新規事項といたしましては、老人社会活動参加促進費といたしまして、老人の方々生活に張りを与えますために簡易な仕事を世話するということで、そういった仕事の紹介をする紹介所の経費十カ所分を新規計上いたしております。  それから老人クラブにつきましても五万五千クラブを五万七千五百クラブにふやし、また、老人のホームヘルパーにつきましても千百人から千三百と二百人の増員をはかっております。  老人家庭奉仕員費につきまして、いままで奉仕員が老人五十人に一人でございましたのを、二十五人に一人というふうに増員をはかっております。  また、明治百年記念事業費でございますが、百一歳以上のお年寄りを顕彰する経費を計上してございます。  地方改善対策でございますが、十四億九千百万円でございます。  内容は、隣保館の運営につきまして、指導職員の増員をはかりますとともに、給与年額、運営事業費をそれぞれ単価の引き上げをしております。  次に、同和地区改善施設整備費は、前年度予算の四割増しを計上しております。  不良環境地区の改善施設整備費は、前年度予算の一割増しを計上してございます。  特に、新規といたしまして、愛隣地区改善施設整備費といたしまして、大阪の釜ケ崎の愛隣地区につきまして四十二年度予算におきまして労働省が労働福祉センター建設中でございますが、その建物の上に大阪市が百ベットの病院をつくるという計画がございまして、これは二年計画で行なうことになっておりますが、それに対する補助金を計上しているわけでございます。  次に、社会福祉施設整備費は、前年三十三億が三十六億というふうに三億増額になっております。特に、備考欄の(ニ)にございますように、老朽民間社会福祉施設整備計画は、第一次の五カ年計画昭和四十二年度に終了いたしたわけでございますが、なお、保安上、四千点以下の建物が八万平米以上も残っておりますので、これらを三カ年間で整備することといたしまして、新たに第二次三年計画の初年度の予算を計上している次第でございます。  次に、社会福祉施設処遇改善でございます。  まず、最初に、職員定数の改正でございます。このうち、備考欄の(ア)から(ウ)まではいままで御説明したとおりでございますが、(エ)は保育所三歳児担当保母がいままで三十人に一人であったのを二十五人に一人というふうに増をはかり、また、(オ)は、養護施設、虚弱児施設年少児担当の保母を八人に一人を七人に一人というふうに増加しました。また、(カ)は、乳児院に栄養士を置くことにいたした次第でございます。  また、保育所につきましては、甲地・乙地の地域差がございまして、この地域差を是正するために年次計画で是正をはかってまいったわけでございますが、五カ年計画の三年目の経費を計上いたしております。  次に、いままで、児童福祉法におきましては、定員六十名以上でなければ児童福祉法の正規の保育所として認めなかったのでございますが、今回、小規模保育所といたしまして、三十人以上六十人未満の定員を児童福祉法の正規の保育所として認めるということで、小規模保育所の百カ所分を計上いたしております。これは無認可保育所の解消対策につながる施策でございます。  重度加算対象児童につきましては、精神薄弱児の施設あるいは肢体不自由児の施設につきまして重度加算対象児童とふやしております。  民間の社会福祉施設に対します庁費は、職員一人当たり年間八千円でございますが、これを一万円に増額いたしている次第でございます。  次に、児童保護措置費でございますが、三百八十九億九千五百万円で、前年度より六十一億四千万円の増額になっております。この六十一億という伸びは、生活保護の生活扶助基準が一三%引き上げられたことに伴いますものと、いままで御説明いたしました児童福祉施設の処遇改善に見合うものを見ましたほかに、児童の措置対象人員を六万人伸ばして計上したために六十一億の増額になったわけでございます。  次に、精神薄弱者福祉対策費といたしましては十五億一千五百万円を計上しておりますが、特に次のページにございます精神薄弱者相談員の制度が新規に認められまして、相談員二千人の予算が計上されたわけでございます。  保育対策費につきましては、いままで御説明したものの再掲でございます。  次に、母子福祉対策費は四十六億八千三百万円でございまして、このうち特に母子福祉貸付金につきましては、前年度予算五億五千万円を六億円に増額いたしまして、特に就学資金内容改善をはかる予定になっております。  次に、重症心身障害児対策費は三十億八千六百万円でございます。  この内容のおもなるものは、備考欄の(1)の国立施設整備費でございまして、国立療養所に新たにこれらの重症心身障害児を収容する病床を八百八十床ふやしております。前年度予算は六百床増床でございましたので、前年度に比べまして二百八十床多く増床するわけでございます。  特に、これらの重症心身障害児は、できるだけ施設に収容するのが望ましいのでございますが、施設の整備が時間がかかりますので、それまでの間、在宅の重症心身障害児の対策といたしまして、備考欄の(四)にございますように、特殊寝台――ギャジ・ベッドを無償で貸与するという制度を設けることにいたしております。ギャジ・ベッドと申しますのは、上下に自由に操作できるベッドでございまして、一台四万円以上するものでございますが、在宅の重症心身障害児を持っておられる低所得の世帯に対しましてこのベッドを無償でお貸ししようということで千五百台分を計上いたしている次第でございます。  特別児童扶養手当につきましては、手当額の引き上げをはかりまして、四十三年十月から一人月額千七百円を二百円引き上げまして千九百円といたしております。所得制限の緩和等につきましては、福祉年金と同じでございます。  なお、高崎に建設中の心身障害児コロニーにつきましては、ほぼ前年と同額の七億八千八百万円を計上いたし、いよいよ四十三年度から収容施設の建設に取りかかることにいたしております。  次に、進行性筋萎縮症対策費でございますが、三億五千四百万円を計上いたしておりますが、国立施設の整備費が二百四十床の増床でございます。このうち、四十床は成人分、二百床は児童の分、こういうふうに相なっております。  次に、母子保健対策費でございますが、五億九千八百万円の予算でございます。  特に、新規といたしまして、代謝異常児養育費というものを計上いたしております。これは、フェニールケトン尿症でありますとかウィルソン病あるいは先天性クレチン、発生件数は非常に少ないのでございますが、放置いたしますと精薄になってしまう、こういった疾病に直ちに医療を加えることによりまして健全な子供にするというための施策でございます。それから妊娠中毒症等対策費におきまして、新たに妊産婦糖尿病対策経費を計上いたしております。  妊娠期間中に医師の診断を受けしめて、こういった妊娠中毒症なり、妊産婦糖尿病なり、異常児の発生の原因になる疾病を必ず治癒する、こういう対策を講ずる次第でございます。  次に、母子栄養強化費、いわゆる低所得世帯に対するミルクの支給の経費でございますが、この単価を引き上げております。  また、(6)の母性保護普及事業費におきましても、実地指導費の単価を二割引き上げております。なお、初めて市町村におきまする母子保健の活動費が予算化されております。  次に、国民健康保険助成費でございますが、二千二百五十二億八千九百万円でございまして、前年対比五百十二億千七百万円の増額になっております。内容としては、特に市町村に対しまする事務費でございますが、被保険者一人当たり三百円でありましたものを三百四十円というふうに引き上げております。なお、国民健康保険の事務費、国民年金の市町村に対する事務費、いずれもこれは実態調査に基づきまして今後三カ年間に地方超過負担を解消するという趣旨のもとに計上いたしてございます。  それから一八ページに参りまして、外地死没者遺骨処理でございますが、これは四十二年度から遺骨処理につきましては計画的に処理してまいっておりますが、四十三年度におきましては、フィリピン、それから西部ニューギニアのビアク島におきまして遺骨処理を行なう関係の経費を計上いたしてございます。  次は、戦傷病者戦没者遺族等援護費は百九十五億四千三百万円を計上いたしております。この内訳は、従来分が百九十一億三百万円でございまして、恩給のベースアップに対応いたしまするベースアップ分が四億四千万円でございます。ベースアップの内容は、ここに書いてございますように、四十二年十月のベースアップの率をそれぞれ年齢別にここに書いてございますように修正する内容のものでございます。  次のページに参りまして、社会保険国庫負担金は五百八十五億五千三百万円計上いたしておりますが、政管健保二百二十五億、船員保険六億をそれぞれ財政対策分として前年度と同額を計上いたしておる次第でございます。  それから国民年金国庫負担金は千二十八億九千五百万円でございます。  特に福祉年金につきまして内容改善をはかっております。すなわち、昭和四十三年十月から年金額の引き上げを行なうことといたしまして、老齢福祉年金は月額千六百円を千七百円に増額し、障害福祉年金、母子、準母子福祉年金におきましては、現行月額をそれぞれ二百円引き上げたという内容に相なっているわけでございます。所得制限の緩和につきましては、本人所得制限につきまして加算額六万円を七万円に引き上げますとともに、扶養義務者の所得制限は五人の場合の現行基準額九十三万二千五百円を百五万五千円に引き上げております。これによりまして、息子さんの所得が上がったことによりまして次の年に老人が支給を打ち切られるという事態の発生を防ぐわけでございます。  なお、市町村の事務費におきましても引き上げをはかりまして、先ほど御説明しましたように、拠出年金につきましては二百四十円を二百七十四円というふうに引き上げて、三カ年間で超過負担を解消するということにいたしております。  それから特別研究費といたしまして新規に五千万円計上いたしております。これは、自閉症、あるいは蒙古症、筋ジストロフィー、脳性小児麻痺、むち打ち症といったような治療方法確立されていない疾病、しかも、中には発生原因のわからない疾病もあるわけでございますが、こういった疾病に対する施策推進するために新規に研究費を計上いたした次第でございます。  それから次のページ以下にございますのは、厚生省所管の厚生保険特別会計以下五本の特別会計につきまして、勘定別の歳入歳出を表示したものでございます。  以上、きわめて簡単でございますが、これをもちまして厚生省の四十三年度予算説明を終わらしていただきたいと存じます。
  17. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 両件についての質疑は後日にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  18. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会      ―――――・―――――