○
政府委員(高木玄君) お手元にお配りしてございます「
昭和四十三年度厚生省所管
予算案の
概要」という資料に基づきまして御
説明を申し上げます。
厚生省の
昭和四十三年度の
予算額は七千六百八十六億七千五百万円でございまして、これに対する前年度補正後の
予算額は六千八百十三億三千三百万円でございます。なお、この前年度
予算額はそこに書いてございますように、比較上四十三年度
予算と平仄を合わせまして、国立療養所関係
経費が国立病院特別会計に移行していたものとして計算いたしてございます。そういたしますと、対前年度増加額は八百七十三億四千二百万円であり、対前年度伸び率は一一二・八%でございます。国家
予算の伸び率が一一一・八%でございますので、それを一%上回る伸びになっておるわけでございます。なお、厚生省
予算が国家
予算に占める割合は一三・二%でございます。
次に、
内容に入って御
説明申し上げます。
まず、保健所
対策費は六十二億二千六百万円を計上いたし、前年度対比六億九千九百万円増額でございます。
備考欄の運営費のところで職員が二万二千六百二十六人から二万二千四百五十八人に減少いたしておりますが、これは、国家公務員につきまして三カ年間に五%削減するという方針に対応いたしまして、補助職員につきましても一%削減することによりまして二百二十六名の減があるわけでございますが、四十三年度じゅうに三カ所
新設いたしますために五十八人の増員が認められ、差し引き百六十八人の減員となっておるわけでございます。次に、人件費単価につきましては、
職種別に給与の格づけを改めております。医師等職員について見ますると、ここにございますように、年額百八万九千五百六十円が百三十一万二千七百六十一円というふうに二〇・五%の引き上げをはかっております。これは各
職種についても同様でございますが、
昭和四十五年度までに三カ年間に超過負担を解消しようという趣旨による増額でございます。
次に、施設費につきましては、
新設三カ所、改築三十二カ所、ほぼ例年並みに計上いたしておりますが、保健所の建物につきましては、戦前あるいは戦後間もなくつくった老朽した施設が建てかえを要するような状態にあるものが相当多くございますので、これらの施設の
整備の
促進をはかりますために、四十三年度からは保健所の施設
整備費は特別地方債の対象といたすことにいたしておりまして、これによって
整備の
促進をはかる予定でございます。
次に、ガン
対策費は二十六億七千万円計上いたしておりまして、前年度対比九千万円の増額で、
内容はほぼ前年度の横ばいでございます。
次に、精神衛生
対策費は二百五十一億九千百万円でございまして、前年度対比二十六億九千四百万円の増額でございます。これは主として医痛費の伸びによるものでございまして、特に措置入院患者につきましては前年六万九千人を七万二千人と三千人ふやして計上いたしております。
次に、三
ページに参りまして、原爆障害
対策費でございますが、四十五億四千百万円計上し、前年度対比十七億三千万円の増額でございます。
特に
備考欄の(3)の手当でございますが、まず医療手当、これは従前から認定疾病患者でございまして現に医療を受けておる者に対しまして医療手当が支給されておったのでございますが、その月額単価がいままで受療日数によりまして千七百円と三千四百円というふうに二段階に分けられておりましたのを、ごく受療日数の短いものを除きそういった受療日数による差をなくしまして、一本にいたしまして五千円に増額いたした次第でございます。
それから新規に健康管理手当を計上いたしております。これは、特別被爆者のうち、厚生
大臣の定める疾病、たとえば造血機能障害とか肝臓機能障害、こういった厚生
大臣の定める疾病に罹患しておる者でございまして、六十五歳以上の老人であるとか、
身体障害者、母子世帯に対しまして、月額三千円の手当を支給しようとするものでございます。
次に、特別手当、これも新規でございまして、これは認定疾病患者に対しまして月額一万円の特別手当を支給しようとするものでございます。この健康管理手当と特別手当の二つは、
生活援護的な手当でございます。
さらに、新規といたしまして介護手当、これは、認定疾病患者、それから厚生
大臣の定める疾病に罹患している特別被爆者でありまして、介護を必要とする状態にあり、しかも現に介護のために費用を支出している者に対しまして、月額九千円の範囲内で介護手当を新たに支給しようとするものでございます。
それから次の原爆病院設備
整備費は、広島、長崎の原爆病院の診療機能
向上のための設備の
整備の費用であり、次の原爆被爆者保健
福祉施設費は原爆被爆者のうちの老齢病弱者、あるいは老齢単身者、あるいは小頭症患者、こういった
方々を収容保護するための六カ所の被爆者養護ホームの設置運営の
経費でございます。
次に、結核
対策費は三百八十三億七千八百万円計上いたしまして、前年度対比三十二億七千万円の増額であります。この増額のおもなる
内容は医療費の伸びによるものでございますが、五年ごとに結核
実態調査を
実施してまいっておりますが、前回が三十八年でございますので、四十三年度におきましてこの全国
実態調査を
実施いたす予定にいたしております。
次に、日本脳炎特別
対策費でございます。これは前年度
予算に対比いたしまして四千万円増額いたしておりますが、その
内容は、
備考欄にございますように、特に子供につきまして、いままで三歳から十二歳までとなっておりましたのを、生後六カ月から十五歳までというふうに対象範囲を広げますとともに、
実施率を高めて、四千万円の増額になったわけでございます。なお、従来、インフルエンザ特別
対策費前年度
予算四千七百万円が前年まで
一般会計予算に計上になっておったのでございますが、四十三年度からはこれを地方交付税に移しかえることにいたしております。
次に、食
生活改善対策費でございまして、
備考欄にございますように、新規事項が四つございますが、(1)の栄養所要量等策定費と申しますのは、
昭和五十年度を目途といたしまして、国民の栄養所要量及び基準量を作成するための
調査でございます。それから(4)の僻地保健栄養
対策費は、僻地にあります百四十三の保健所につきまして在宅栄養士を雇い上げまして僻地の栄養
指導を行なう
経費でございます。
それから水道
事業対策でございますが、これは、
備考欄にございますように、(1)水道水源
開発等施設
整備費が四十二年度に初めて七億円計上になったのでございますが、これが七〇%増額になりまして十一億九千三百万円と相なっております。このうち、カッコ書きいたしております
部分は、水資源
開発公団分でございました、経企庁
予算に計上するものの再掲の
部分でございます。
次に、
環境衛生施設
整備費は四十七億一千九百万円で、対前年比三億一千百万円の増額となっております。
まず、清掃施設
整備は、これは新しく四十二年度を初年度とする五年
計画の二年度分の
予算でございまして、屎尿処理施設につきましては前年対比は一億六千万円、ごみ処理施設につきましては一億円のそれぞれ増額となっております。
簡易水道等施設
整備費は、前年度対比五千万円の増額でございます。
次に、公害
防止対策費は五億九千七百万円でございまして、前年に比べて一億九千七百万円の増額になっております。
まず、公害
対策基本法を
実施いたしますために、公害
防止計画の
基本方針策定、それから
環境基準の設定、これらに必要な
経費を計上いたしますとともに、公害監視等の設備の
整備につきましては、地方の公害監視測定設備として昨年から
予算化されておりますモニタリング設備の個所数をふやしますとともに、こういった固定した監視設備以外に、機動力をもって監視を行なうための移動監視測定車を新規に
予算に計上いたしております。
それから次に、公害の紛争処理及び被害者の救済の問題でございますが、この問題につきましては、ただいま関係省と詰めを急いでおりますが、これら
制度化を進めるために
調査費を計上いたしますとともに、公害の被害者救済
制度が
確立するまでの間にも公害病患者が発生いたしますので、それらの患者に対して医療費の手当てをするために公害医療研究費補助に二千万円を計上いたしております。
次に、公害
防止事業団につきましては、新たに
政府出
資金一億円を計上いたしまして金利の引き下げを行ないますと同時に、
事業対象
地域の拡大、あるいは集中暖房等の
事業対象を新たに加えることによりまして、
事業の拡大をはかっている次第でございます。
次の
ページに参りまして、
環境衛生金融公庫でございますが、これの
昭和四十三年度の
資金計画は三百五十億円でございまして、特に四十三年度より環衛業に対する設備
資金につきまして
融資の一元化をはかることといたしております。
次に、救急医療
対策は三億七千万円でございまして、前年度対比七千八百万円の増額でございますが、ここに書いておりますもののほかに、運輸省所管の自動車損害賠償責任再保険特別会計から一億四千万円が救急医療センターの設備費に充当されることになっているわけでございます。
次に、僻地医療
対策でございますが、従前から僻地医療
対策は僻地診療所を
中心に構成いたしてまいっておりますが、四十三年度におきましては特に機動力の
強化に重点を置きまして、
備考欄の(2)にございますように、僻地患者輸送車(艇)の
整備が、前年四十一台を八十三台というふうに二倍以上にふやしているわけでございます。
次に、医師臨床研修費は六億一千九百万円計上いたしまして、四億一千二百万円前年度より増額いたしております。
その
内容でございますが、
備考欄の(1)にまず、臨床研修補助金五億三千三百万円とございますが、これは公私立の大学病院の分、それから国立病院以外の厚生
大臣指定病院分、これに千四百四十五人の臨床研修生が予定されておりますが、これらの臨床研修生を受け入れました病院に対しまして、研修生一人について三十八万円の補助金を出そうという趣旨でございます。
なお、国立病院で受け入れます二百人分の臨床研修生の
予算につきましては(3)にございますように、国立病院特別会計に八千万円計上いたしてございます。
次に、四十三年度
予算におきましては、国立療養所を国立病院特別会計に移行いたしまして、これはらい療養所を除きます国立療養所でございますが、これを国立病院特別会計に移行いたしまして、国立病院特別会計に療養所勘定を設けることにいたしております。その療養所勘定の
歳入、
歳出でございますが、四百二十億一千四百万円でございますが、
歳入のところで(4)のところにございますように、そのうち二百五億七千六百万円が
一般会計からの受け入れでございます。
歳出におきましては、特に施設の
整備を重点に置きまして、次の
ページの
備考欄の(3)にございますように、六十八億四千二百万円の施設費を計上いたしております。このほかに、国庫債務負担行為十五億円を計上いたしております。この六十八億四千二百万円に対応する前年度
予算額は三十八億円でございますので、三十億円以上の施設費の増加をはかりまして、国立病院に比べまして立ちおくれておる国立療養所の施設を特に重点的に
整備をはかった次第でございます。
医療金融公庫は、四十三年度の
資金計画は二百八十五億ということになっています。
次に、医薬品安全
対策費としては、前年度より六千二百万円の増額でございますが、これは国立衛生試験所におきます毒性部門を
強化するための施設
整備費でございます。
次に、国立公園等施設
整備費は、八億一千百万円計上いたしております。いままで国立公園の管
理事務所は日光と箱根にしかございませんでしたが、四十三年度から新たに阿蘇に国立公園の管
理事務所が設けられることになりました。なお、明治の森施設
整備費、特に高尾と箕面、それから万博の吉野山の車道の
整備費、これらがいずれも含まれておるわけでございます。
それから民間
社会福祉事業育成
強化でございます。
備考欄の(1)の民生
委員更生相談実務研修会費は、これは心配ごと相談所の
経費でございまして、心配ごと相談所を千二百カ所を八百カ所ふやしまして二千カ所にいたしたわけでございます。
次に、(2)の
社会福祉協議会活動費でございますが、特に(ア)の都道府県
社会福祉協議会の国の補助対象職員でございますが、これらの職員に対しまして、
行政管理庁の勧告にかんがみましてその増員をはかりまして、従前一県三人でございましたものを六人にいたしておるわけでございます。
次に、
生活保護でございますが、千六百四十億二千百万円で、前年対比百八十八億二百万円の増額でございます。
内容といたしましては、
生活扶助基準を改定いたしまして一三%引き上げております。これによりまして、標準四人世帯の
生活扶助基準額でございますが、そこにございますように、一級地は、現行の二万三千四百五十一円が二万六千五百円に、三千四十九円という相当大幅の増額が行なわれておるわけでございます。なお、教育扶助につきましても、平均九・五%の引き上げをはかっております。
次の
ページに参りまして、
身体障害者福祉対策は二十七億九千八百万円計上いたしております。
まず、このうち、新規事項でございますが、
備考欄の(1)にございます
社会復帰
促進費を計上いたしております。これは、
身体障害者の更生援護施設に入所している者が施設の中で更生
訓練を受けるにあたりまして、それに必要なたとえば参考書とかノートとかあるいは簡易な用具、そういったものを購入するような
訓練諸費というものが従前全然支給されていなかったわけでございますが、今回新たに一人月千円がそういった更生
訓練を受けるための必要な
経費に充てられるということになったわけでございます。
それからメキシコでオリンピックが開かれました後におきまして、イスラエルでパラリンピックが開かれる予定でございますので、それに選手団を派遣する
経費を計上しております。
次に、増員関係では、更生援護施設に、OT、PTの職員を十人置きますとともに、重度援護施設の介護員をいままで収容者十七人に一人でございましたのを十五人に一人と、重度授産施設におきましては二十五人に一人を二十人に一人というふうに、それぞれ増員いたしております。また、昨年初めて認められました
身体障害者の相談員を増員いたし、また、ホームヘルパーを二百六十人から三百九十人に増員し、また、その手当月額の増額をはかった次第でございます。
次に、老人
福祉対策は百十七億五千三百万円を計上いたしております。
新規事項といたしましては、老人
社会活動参加
促進費といたしまして、老人の
方々の
生活に張りを与えますために簡易な仕事を世話するということで、そういった仕事の紹介をする紹介所の
経費十カ所分を新規計上いたしております。
それから老人クラブにつきましても五万五千クラブを五万七千五百クラブにふやし、また、老人のホームヘルパーにつきましても千百人から千三百と二百人の増員をはかっております。
老人家庭奉仕員費につきまして、いままで奉仕員が老人五十人に一人でございましたのを、二十五人に一人というふうに増員をはかっております。
また、明治百年記念
事業費でございますが、百一歳以上のお年寄りを顕彰する
経費を計上してございます。
地方
改善対策でございますが、十四億九千百万円でございます。
内容は、隣保館の運営につきまして、
指導職員の増員をはかりますとともに、給与年額、運営
事業費をそれぞれ単価の引き上げをしております。
次に、
同和地区の
改善施設
整備費は、前年度
予算の四割増しを計上しております。
不良
環境地区の
改善施設
整備費は、前年度
予算の一割増しを計上してございます。
特に、新規といたしまして、愛隣地区
改善施設
整備費といたしまして、大阪の釜ケ崎の愛隣地区につきまして四十二年度
予算におきまして
労働省が
労働福祉センターを
建設中でございますが、その建物の上に大阪市が百ベットの病院をつくるという
計画がございまして、これは二年
計画で行なうことになっておりますが、それに対する補助金を計上しているわけでございます。
次に、
社会福祉施設整備費は、前年三十三億が三十六億というふうに三億増額になっております。特に、
備考欄の(ニ)にございますように、老朽民間
社会福祉施設の
整備計画は、第一次の五カ年
計画は
昭和四十二年度に終了いたしたわけでございますが、なお、保安上、四千点以下の建物が八万平米以上も残っておりますので、これらを三カ年間で
整備することといたしまして、新たに第二次三年
計画の初年度の
予算を計上している次第でございます。
次に、
社会福祉施設処遇
改善でございます。
まず、最初に、職員定数の改正でございます。このうち、
備考欄の(ア)から(ウ)まではいままで御
説明したとおりでございますが、(エ)は保育所三歳児担当保母がいままで三十人に一人であったのを二十五人に一人というふうに増をはかり、また、(オ)は、養護施設、虚弱児施設年少児担当の保母を八人に一人を七人に一人というふうに増加しました。また、(カ)は、乳児院に栄養士を置くことにいたした次第でございます。
また、保育所につきましては、甲地・乙地の
地域差がございまして、この
地域差を是正するために年次
計画で是正をはかってまいったわけでございますが、五カ年
計画の三年目の
経費を計上いたしております。
次に、いままで、児童
福祉法におきましては、定員六十名以上でなければ児童
福祉法の正規の保育所として認めなかったのでございますが、今回、小規模保育所といたしまして、三十人以上六十人未満の定員を児童
福祉法の正規の保育所として認めるということで、小規模保育所の百カ所分を計上いたしております。これは無認可保育所の解消
対策につながる
施策でございます。
重度加算対象児童につきましては、精神薄弱児の施設あるいは肢体不自由児の施設につきまして重度加算対象児童とふやしております。
民間の
社会福祉施設に対します庁費は、職員一人当たり年間八千円でございますが、これを一万円に増額いたしている次第でございます。
次に、児童保護措置費でございますが、三百八十九億九千五百万円で、前年度より六十一億四千万円の増額になっております。この六十一億という伸びは、
生活保護の
生活扶助基準が一三%引き上げられたことに伴いますものと、いままで御
説明いたしました児童
福祉施設の処遇
改善に見合うものを見ましたほかに、児童の措置対象人員を六万人伸ばして計上したために六十一億の増額になったわけでございます。
次に、精神薄弱者
福祉対策費といたしましては十五億一千五百万円を計上しておりますが、特に次の
ページにございます精神薄弱者相談員の
制度が新規に認められまして、相談員二千人の
予算が計上されたわけでございます。
保育
対策費につきましては、いままで御
説明したものの再掲でございます。
次に、母子
福祉対策費は四十六億八千三百万円でございまして、このうち特に母子
福祉貸付金につきましては、前年度
予算五億五千万円を六億円に増額いたしまして、特に就学
資金の
内容改善をはかる予定になっております。
次に、重症心身障害児
対策費は三十億八千六百万円でございます。
この
内容のおもなるものは、
備考欄の(1)の国立施設
整備費でございまして、国立療養所に新たにこれらの重症心身障害児を収容する病床を八百八十床ふやしております。前年度
予算は六百床増床でございましたので、前年度に比べまして二百八十床多く増床するわけでございます。
特に、これらの重症心身障害児は、できるだけ施設に収容するのが望ましいのでございますが、施設の
整備が時間がかかりますので、それまでの間、在宅の重症心身障害児の
対策といたしまして、
備考欄の(四)にございますように、特殊寝台――ギャジ・ベッドを無償で貸与するという
制度を設けることにいたしております。ギャジ・ベッドと申しますのは、上下に自由に操作できるベッドでございまして、一台四万円以上するものでございますが、在宅の重症心身障害児を持っておられる低所得の世帯に対しましてこのベッドを無償でお貸ししようということで千五百台分を計上いたしている次第でございます。
特別児童扶養手当につきましては、手当額の引き上げをはかりまして、四十三年十月から一人月額千七百円を二百円引き上げまして千九百円といたしております。所得制限の緩和等につきましては、
福祉年金と同じでございます。
なお、高崎に
建設中の心身障害児コロニーにつきましては、ほぼ前年と
同額の七億八千八百万円を計上いたし、いよいよ四十三年度から収容施設の
建設に取りかかることにいたしております。
次に、進行性筋萎縮症
対策費でございますが、三億五千四百万円を計上いたしておりますが、国立施設の
整備費が二百四十床の増床でございます。このうち、四十床は成人分、二百床は児童の分、こういうふうに相なっております。
次に、母子保健
対策費でございますが、五億九千八百万円の
予算でございます。
特に、新規といたしまして、代謝異常児養育費というものを計上いたしております。これは、フェニールケトン尿症でありますとかウィルソン病あるいは先天性クレチン、発生件数は非常に少ないのでございますが、放置いたしますと精薄になってしまう、こういった疾病に直ちに医療を加えることによりまして健全な子供にするというための
施策でございます。それから妊娠中毒症等
対策費におきまして、新たに妊産婦糖尿病
対策の
経費を計上いたしております。
妊娠期間中に医師の診断を受けしめて、こういった妊娠中毒症なり、妊産婦糖尿病なり、異常児の発生の原因になる疾病を必ず治癒する、こういう
対策を講ずる次第でございます。
次に、母子栄養
強化費、いわゆる低所得世帯に対するミルクの支給の
経費でございますが、この単価を引き上げております。
また、(6)の母性保護普及
事業費におきましても、実地
指導費の単価を二割引き上げております。なお、初めて市町村におきまする母子保健の活動費が
予算化されております。
次に、国民健康保険助成費でございますが、二千二百五十二億八千九百万円でございまして、前年対比五百十二億千七百万円の増額になっております。
内容としては、特に市町村に対しまする事務費でございますが、被保険者一人当たり三百円でありましたものを三百四十円というふうに引き上げております。なお、国民健康保険の事務費、国民年金の市町村に対する事務費、いずれもこれは
実態調査に基づきまして今後三カ年間に地方超過負担を解消するという趣旨のもとに計上いたしてございます。
それから一八
ページに参りまして、外地死没者遺骨処理でございますが、これは四十二年度から遺骨処理につきましては
計画的に処理してまいっておりますが、四十三年度におきましては、フィリピン、それから西部ニューギニアのビアク島におきまして遺骨処理を行なう関係の
経費を計上いたしてございます。
次は、戦傷病者戦没者遺族等援護費は百九十五億四千三百万円を計上いたしております。この内訳は、従来分が百九十一億三百万円でございまして、恩給のベースアップに対応いたしまするベースアップ分が四億四千万円でございます。ベースアップの
内容は、ここに書いてございますように、四十二年十月のベースアップの率をそれぞれ年齢別にここに書いてございますように修正する
内容のものでございます。
次の
ページに参りまして、
社会保険国庫負担金は五百八十五億五千三百万円計上いたしておりますが、政管健保二百二十五億、船員保険六億をそれぞれ財政
対策分として前年度と
同額を計上いたしておる次第でございます。
それから国民年金国庫負担金は千二十八億九千五百万円でございます。
特に
福祉年金につきまして
内容の
改善をはかっております。すなわち、
昭和四十三年十月から年金額の引き上げを行なうことといたしまして、老齢
福祉年金は月額千六百円を千七百円に増額し、障害
福祉年金、母子、準母子
福祉年金におきましては、現行月額をそれぞれ二百円引き上げたという
内容に相なっているわけでございます。所得制限の緩和につきましては、本人所得制限につきまして加算額六万円を七万円に引き上げますとともに、扶養義務者の所得制限は五人の場合の現行基準額九十三万二千五百円を百五万五千円に引き上げております。これによりまして、息子さんの所得が上がったことによりまして次の年に老人が支給を打ち切られるという事態の発生を防ぐわけでございます。
なお、市町村の事務費におきましても引き上げをはかりまして、先ほど御
説明しましたように、拠出年金につきましては二百四十円を二百七十四円というふうに引き上げて、三カ年間で超過負担を解消するということにいたしております。
それから特別研究費といたしまして新規に五千万円計上いたしております。これは、自閉症、あるいは蒙古症、筋ジストロフィー、脳性小児麻痺、むち打ち症といったような治療
方法の
確立されていない疾病、しかも、中には発生原因のわからない疾病もあるわけでございますが、こういった疾病に対する
施策を
推進するために新規に研究費を計上いたした次第でございます。
それから次の
ページ以下にございますのは、厚生省所管の厚生保険特別会計以下五本の特別会計につきまして、勘定別の
歳入、
歳出を表示したものでございます。
以上、きわめて簡単でございますが、これをもちまして厚生省の四十三年度
予算の
説明を終わらしていただきたいと存じます。