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西村関一君 私の持ち時間は、
お答えの時間を含めて二十分しかございませんから、簡潔にお願いをいたしたいと思います。
問題は、滋賀県坂田郡伊吹村に所在いたします大阪セメント伊吹
工場の
公害問題でございます。
過日来、
関係住民約千五百名の署名を得まして、これに対する陳情を受けておったのでございます。その由を本
委員会の
委員長にお伝えいたしまして、一昨日非公式ではございますけれども、
松澤委員長並びに戸田
理事、その他の方々がおいでくださいまして、現地で陳情を受けられ、また、被害地並びに
工場において親しく
調査をしていただいたのでございます。私もこれに参加をいたしました。簡潔に申しますと、
工場側としても
公害対策については万全の
措置を講じているし、また、新しく生産
施設を増設するについても、
住民の皆さま方の
公害に対する不安を除却するように努力をしておる。しかし、そういう言明がございけれども、いまなお
関係住民の側からはそういう
心配が取り去されているやに見受けられない
状態でございます。セメントを生産する工程におきましては、セメントの粉じんが離散する。風向きによりましては、特に稲の開花時期などには非常な被害を受けるというようなこともいわれ、第一私どもに一番手っとり早くわかるのは、屋根のかわらがセメントが付着いたしましてまっ白になっている。白がわらのような
状態になっている。こういうようなことが目立っております。そういうようなところがら、やはり生活にも非常に影響を及ぼすし、農産物、林産物にも被害を及ぼすし、また子供のおしめなどを干していると、それに粉じんがついて、そのままおしめを使うと、赤ちゃんに湿しんができるというようなことも聞かされておったわけでございます。そういうようなこまかいことは申しませんし、またお手元に地元からの陳情書の写しが出ておりますから、当局におかれても
ごらんをいただきたいと思うのでございますが、そういうような
状態に対しまして、三つの点からお伺いをいたしたいと思います。
第一点は、従来からある五基の生産
施設――キルンと申しますか、それに対する防じん
施設をもっと完備させる。それから新しく増設しようといたしております――これは一時間百トンの生産量を持つといわれております――新しいキルンについては、完全に防じん
施設を行なわしめるということによりまして、
住民の不安を完全に取り去られるように、通産当局としては行政指導を願いたい。会社側としてはそれをやると、こう言うておられました。ただ、
住民としては、その会社側のそういうお話を初めて聞いたということで、なお不安が残っている。そういうことに対する行政指導をお願いしたいということが第一点でございます。
それから第二点は、これは御承知のとおり
指定地域になっておりません。滋賀県にはそういうところがどこにもございませんので、どうしても県の
条例によって
規制しなければならない。県のほうも――県の民生部長も同行しておりましたが――県
条例をいま立案中であるということでございますが、すみやかに厚生、通産両省におかれましては、県
条例の施行に対する御指導を願いたいということが第二点でございます。
それから第三点は、農産物、林産物――特に稲の開花時における被害もたいへんでございますが、茶とか養蚕の桑、その他――ここは国定公園になっております。伊吹山は滋賀県の国定公園になっておりますが、樹木の枯渇するものが多く、自然の景観をそこなう場合が多い。こういうようなことに対しまして、特にこういう農産物、林産物に対する被害について、農林省当局はこれを把握しておられるかどうか。また、これに対する対策を、通産、厚生両省と連絡をとられて、何らかの
措置を講じておられるかどうかという点でございます。
まあ、以上でございますが、第四点といたしましては、補償の問題でございますが、これは地先の
関係者からは、現在そういう補償を要求しているということはございません。むしろ、そういう
公害がないようにしてもらいたいということでございます。ただ若干の補償は、
関係町村において受けているようでございますが、それとても現在の物価高の情勢におきましてはきわめて微々たるものである。ただ私は、たとえば
工場は――この
施設は地場産業として地元の労働力に依存しておる。また地元もこれによって潤っている。働きに行って給金をもらっているということだけじゃなくて、いろいろな物資を入れるにしても、いろいろな点において会社の恩恵を受けておる。そういう点から、地元が誘致した
工場であるという点からも、これはやはり重んじなければならぬ。こういう地場産業を興していくという面の配慮ももちろん必要でございます。だからといって、
住民の生命や、財産また生活に
公害が及んでくるということは、これは許されないことであると思います。その間、
関係当局の御苦心のあるところだと思いますが、以上の諸点につきまして「それぞれの各省各局の責任者の方からお伺いをし、最後に厚生
大臣の御所見を承って、予定の時間一ぱいで
質問を終わりたいと思いますが、まず、いま申し上げた点について
お答えを願いたい。