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1968-04-10 第58回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十日(水曜日)    午後一時十八分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松澤 兼人君     理 事                 山内 一郎君                 横山 フク君                 戸田 菊雄君                 原田  立君     委 員                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 紅露 みつ君                 菅野 儀作君                 土屋 義彦君                 中津井 真君                 宮崎 正雄君                 大倉 精一君                 柳岡 秋夫君    政府委員        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        厚生政務次官   谷垣 専一君        厚生省環境衛生        局長       松尾 正雄君        厚生省社会局長  今村  譲君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        通商産業省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        自治大臣官房企        画室長      近藤 隆之君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (産業公害対策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 原田立

    原田立君 まだ水資源局長さんがおいでになっていないので、ちょっと順番を変えながらいろいろやりたいと思うのですが、今度の公害基本法によって、大気汚染防止法並びに騒音規制法等が出されるやに聞いておりますが、四月の上旬には出されるというふうにお伺いしておりましたが、それがまだ、いまのところ、お話がありませんし、そのほうの見通しは一体どうなっているのでしょうか。
  4. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) おくれまして、たいへんに恐縮に存じておりますが、現在、大気汚染防止法及び騒音規制法の二法につきましては、関係各省との意見調整が終わりまして、法文化の問題で現在法制局等とその作業をいたしておる段階でございます。したがいまして、おそらく来週一ぱいまでには法文の策定が終わるかと思います。したがいまして、再来週に入りまして正式な閣議決定をいたしまして国会のほうにお願いをする、こういうような予定で、現在法制局での法律案文を急いでおると、こういう状況でございます。
  5. 原田立

    原田立君 当委員会でも、前から何回となく、厚生省は、国民の健康福利を擁護する、そういう立場に立って行なうべきだということを主張してまいりましたし、大臣も次官もそういうふうに言明があって、意を強うしておったのでありますが、伝え聞くところによると、いろいろと関係各省との話し合いによってたいへん譲歩したものが組まれるようになったと、そういうふうな話を聞いているのですけれども、今回出されるという、現在その法案を法制局で作業しているといろことでありますが、それは、厚生省として自信をもって世に問うというような、そういうものであるのかどうか、その点はいかがですか。
  6. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 御存じのように、公害の問題はいろいろと関係方面が多うございます。また、いままで手をつけておりませんでした、たとえば騒音規制のような問題もございまして、それが関係各省との間にいろいろと調整に時間がかかった根本の理由でございます。もちろん、こういう問題でございますので、どこまでこの問題に対してやれるかという問題につきましては、いろいろと意見があろうかと思います。しかし、現在関係各省意見調整を終えまして、法文化を急いでおります法律につきましては、いずれ正式に当委員会で御審議を仰ぐこととなると思いますけれども、従来のこの種の規制に関しましては、かなり躍進的な公害防衛措置ができるものと、このように厚生省としては考えて、現在それを練っておる、そういう状況でございます。いずれ、本委員会においての御審議の際に詳しくは申し述べさしていただきたいと思います。
  7. 原田立

    原田立君 それで、前にも厚生大臣にお伺いしたのですが、水関係ですね。騒音大気汚染と、この二つが出たのですけれども水関係のことについては、また後刻というようなことであったと記憶しておりますけれども水関係規制についてはどういうふうになっておりますか。
  8. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 厚生大臣からもお答えをしたかと思いますが、水の関係は、現在、所管の上から申しますと、経済企画庁ということになっております。しかし、もちろん厚生省といたしましては、種々事件の起きておる問題でございますので、厚生省立場として、これが一日も早く規制のできまするような推進をやってきている、こういうような状況でございます。いずれ、詳しくは担当局のほうからのお話があるかと存じますが、そういう状況でございます。
  9. 原田立

    原田立君 それでは、水資源局長さんもお見えいただきましたので、一応当面の問題としては、大牟田川の問題を中心として、そして広く水問題についての御見解をお聞きしたいと思うのであります。  福岡県の大牟田川については、燃える川とか、あるいはまた七色の川とかいうことで、たいへん世の中に、もら悪名を高からしめているわけでありますが、今回、二年有余水質基準の指定が変わると言われておったのが、ついせんだって、市条例でその基準がきめられたと、早くなったことを喜んでいる次第でありますけれども、その労は多とするのでありますが、その内容は一体どういうようなことになっているのか。それを、あまり時間がありませんので、簡単に御答弁を願いたいと思います。
  10. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 先生ただいま御指摘のように、去年から水質審議会大牟田部会を設けまして、具体的な検討を進めてまいったわけでございまするが、先般この席で、先生はじめ、各委員方々からも非常な御鞭撻をいただきまして、あれ以来、私ども関係役所大牟田川の具体的な取り扱いについてどうするかということを具体的な係数につきまして鋭意話し合いを進めてまいりました。その結果、水質審議会大牟田部会におきまして、水質基準係数についても一応の考え方が出てまいったわけでございます。それによりますと、これから水質審議会に正式に付議いたしまして御検討をいただくことになるわけではございまするが、その上で最終決定ということになるわけでございまするが、大体CODでございますると四〇〇から六〇〇ぐらい、またSSでございますと二五〇から三〇〇ぐらい、あるいは油でございますと一〇ないし一〇前後、フェノールでございますと一〇ないし二〇、シアンにつきましては一程度と、こういうふうなことを大体の目途といたしております。これによりますると、かねて御要望でございまする水産資源のほうに対する影響というものは、大体水産業者方々の御希望されるような線に沿うことができるのではあるまいかと思っております。ただ、もう先生先刻御承知と思いますが、生活環境的に申しますと、この程度ではまだ不十分であるかと思います。したがいまして、一そう今後も対策を進めなければいかぬのでありますが、これにつきましては、別に下水道等を、抜本的には行く行く考えていくべきものではないか。これは水質規制とはやや離れておりますが、そういう考え方答申水質審議会に出れば、いろいろそれの原案として御検討いただくことになろうかと、こう思っております。
  11. 原田立

    原田立君 いまの局長お答えの中に下水道の話が出ましたが、これを言いますとちょっとわき道へそれますので、それは別問題にしていただきたいと思います。  それで、この今度示された中で、水銀問題については、同審議会水銀部会結論をまって水銀全般規制することにしたというふうに実は新聞承知しているわけなんですが、あそこは確かに、メチル水銀なんというのは、あれは有機水銀ですね、それは出ていないというようなことを言われておりましたけれども、ごく一部には出ている。そういうことは久留米大学の山口教授によっても立証されておりますし、そしてまた無機の水銀については、非常に多い。また、ある意見によりますと、それにカーバイドの成分が加わると有機に変わるおそれが十分にあるというようなことも言われる。地元としては、水銀問題について何か先に延ばされたというようなことで、非常に不安を感じているのが事実です。それで、水銀問題についても、今回きめられたよらなぐあいに早く結論をつけてもらいたかったと、こう私は思うのです。水銀の問題だけがおくれたのは、一体どういうようなわけでしょうか。
  12. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 私、はなはだ申しわけないことでございますが、答弁が不十分でございまして、水銀につきましても、その他の規制項目と一緒に、この際なるべくすみやかに規制を加えたい、かよう思っております。ただいま、水銀につきましては、別途水銀問題に関する特別の懇談会を設けまして、その検出方法検定方法等につきまして、化学技術的に最終的な詰めをいたしております。その結論が出次第、あわせて御趣旨に沿いまして規制を加えてまいりたい、かよう考えております。
  13. 原田立

    原田立君 その見通し等はいかがですか。
  14. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 水銀問題を含めまして、まあ五、六月中には、ぜひこれを最終的に結論を得たい、こういうつもりで努力しております。
  15. 原田立

    原田立君 五、六月ごろには結審という、まあ目安があるということでありますが、これはなるべく早くおきめ願いたいと思うのであります。私、当委員会大牟田川のことをいつもしつこく申し上げるのでありますけれども、ああいうふうな川は、まあ特殊な川というふうにいつも言われますけれども、実は特殊な川ではなしに、至るところにあるのだ。だから、ああいう川については特殊視しないで、もっと全般的な問題として大いに取り上げていかなければいけない。その一つの問題として申し上げるわけであります。  ところで、水質基準案がきまったそうでありますが、これは早急に実施を要望しているのが地元の偽らざる気持ちであります。これからの具体的スケジュールはどういうふうになるのでしょろか。結審あるいは答申、それから告示されるに至って、実際にそれが効果をあらわしていく、その見通し等についてどのようにお考えでしょうか。
  16. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 水質審議会大牟田部会では、具体的な数字ができましたので、再びお開き願うことがありますかどらか、まあ大体その必要がなくなるかと存じます。したがいまして、先ほど申し上げました水銀特別委員会のほうの結論を得られましたならば、それとあわせて、まあ五月、できるだけ早く水質審議会に正式におはかり申し上げまして、そこの諸先生方の御検討を得まして、おそらく、この御検討は、まあそう長くはかからぬと思いますが、御答申を得ましたならば、できるだけ早く経済企画庁長官告示をもって告示する、こういうことになります。したがいまして、その告示は、先ほど申し上げましたように、五月中あるいはなるべく早く六月にはやりたい。それで、その効果が発生しますのは、これは原則として法令、告示の公布の日から規制効果が出るわけでございまするが、一番の、一部の工場が現状を改めるためには、設備を数億円のお金をかけてやらにゃいかぬ、こういうこともございまして、そういう項目につきましては、その設備を大至急やらせることにいたしまして、関係各省とも相談しまして、その設備ができ上がりましてから規制効果強制力を持つと、こういうふうなことになると思います。したがって、その時期は相当先になる、こういうことに相なるかと思います。
  17. 原田立

    原田立君 その相当先になるということですけれども、これまた新聞で見たところによると、四十四年の秋ごろになるというようなことが新聞に出ております。現在四十三年、まだあと一年半以上かかるわけですね。いろいろ設備資金をかけて設備をして、出ないようにする。そのためにある程度の日数がかかるというのは、これはわかり過ぎるほどわかるのですけれども、もう少し早くならないものでしょうかね。これは、通産省のほうも、今度の基準が示され、正式に告示になったときには、各工場のほうにも指導なさるであろうと思いますけれども、両方合わせてお答え願いたいと思います。
  18. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) できるだけ通産当局とも相談しまして急いでやるというつもりで、いまから会社のほうにはその旨を通じまして、会社側といたしましても、そのつもりで諸般の準備を私は進めているのじゃないかと思います。できるだけ早く設備を完了するように指導してまいりたい、また通産省とも相談した上で指導してまいりたい、こう考えております。
  19. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) 私どものほうも全く同じ考えでございまして、すでに水質基準がきまる、現在、ほぼ先ほどのお話できまりつつあるわけですが、きまる前から、このための必要な施設必要性については会社を指導してきたわけでございまして、すでにできるだけ早くやるように指導しているわけですが、いよいよ先ほどのお話のように水質基準がきまるものでございますので、さらに一そうその設備の完成を急がせるようにしてまいりたいと思います。ただいま手持ちの資料では、いつできるか、ちょっと申し上げかねる次第でございますが、せき立てていることは間違いございませんです。
  20. 原田立

    原田立君 まあ、善意に解釈して、いまおくらせるなんということは、おそらくはないだろうと思うのです。だけれども、ある程度のめどというものがいま言えなければ、じゃ、後日検討なさって当委員会に御報告願いたいと思うのですが、見通しを。いかがでしょうか。
  21. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 御報告を申し上げたいと思います。
  22. 原田立

    原田立君 今回の水質基準適用工場は、一日に百立方メートル以上の排水量を出す工場と、こういうふうになっておりますが、聞くところによると、六つ工場が大体そのワクの中に入るといろことですが、この六つの大きな会社だけを規制すればあの大牟田川の水をきれいにするという、これは自信はおありなんでしょうか。
  23. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 新聞等には大きな会社の名前だけが載っておるかもしれませんが、規制の法的な形といたしましては、有機工業製品を製造する化学工場あるいは金属鉱業――まあマイニングのことですが、あるいは石炭鉱業、こういうふろに分けまして、そして規制を加えるわけでございまするから、一つ一つの特定の工場、大きな工揚のみならず、その他の工場も入る。それで、ただいまの予定では、いわゆる大牟田川ばかりじゃなくて、堂面川諏訪川等大牟田川並びにその海域でございますね、川の注ぐ海域も含めまして、一括して大牟田水域と、こう考えまして、これに規制を加える、こういう予定でございます。
  24. 原田立

    原田立君 まあ、川の規制、もちろんそうなるわけですけれども、私、先ほどお伺いしましたのは、一日百立方メーター以上の排水量を出す工場ということに対象は一応なっているけれども、それで十分なのか、それとも、ほかのそれ以下の群小の工場なんかも適用されるのかと、こういう点をお聞きしているんですよ。
  25. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) 汚濁の負荷量ないしは総量という点から考えまして、原則として百立米ぐらい以上を対象にする。それ以下になりますと、非常に中小企業も多いことでございまするから、そういう考えでおりまするが、特殊の物質につきましては五十立米程度まで規制を強化してまいるべきではなかろうかというので検討しているわけでございます。
  26. 原田立

    原田立君 厚生省にお伺いしたいと思うんですが、それで、あすとの関係も、大きな工場もありますし、中小企業もありますし、資金力中小企業関係は乏しいでしょうし、これはまあ公害防止事業団の中の仕事一環としてお取り扱いになるようなぐあいに進むのじゃなかろうかと、こうも思うんですが、そこいら辺のところの御研究のほどはいかがでしょうか。
  27. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 公害防止事業団のほうで、たとえば個々のそういう小さな工場個々処理施設を持つということが非常に非能率だという場合でございましたら、共同いたしました処理施設というものをつくっていくということについて、公害防止事業団が十分に手を伸ばし得るものでございます。
  28. 原田立

    原田立君 ちょっと話が別になるんだろうと思うんですが、あの川が、においがくさい、悪臭ですね、それと、色がまっ黒けである、黒いというようなことで、これまた一部の意見ではありますけれども、川幅はそんなに広くもありませんので、ふたをかけてくれないかと、そうなふうにするといいんじゃないかと、そういうようなことも意見としてありました。また、たしか当委員会においても、そういうふうなことも当局のほうからも一ぺんお話があったやに記憶しているんですが、そういうことになると、公害防止事業団仕事一環として研究されないものなのかどうか、その点はどうでしょうか。
  29. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 先般も事業団理事長からもお答え申し上げまして、検討をしてみる必要はあるというお答えをしていると思います。しかしながら、公害防止という見地に立てば、できるだけ、まあくさいものにはふたをすることをもって足れりとせず、出てくるものはきれいにして出すという方向が、やはり本来の行き方ではなかろうか、特に、その川の水だけが、その部分で、かりにふたをいたしましても、なお出ていく先というものに、まだ海がございまして、まだ問題も起こってくるかと存じますから、できるならば、やはり本来の処理施設といろもので公害防止方向で臨むべきではないかというのが私たちの考えでございます。
  30. 原田立

    原田立君 で、一応、川のほうは、川というよりか、ちょっと別な観点になるのですが、実は、あそこが御承知のように炭鉱街であります。で、地盤が沈下して、あの町の中は、もう下は穴だらけなんですから、底に水がたまっております。大牟田川の下流、すなわち中心街の町の中の地下水が非常によごれて、種々の有毒物質検出されているのは事実です。そのため、現在はこの地下水の使用は禁止されている。ところが、今回の川に関する水質基準ですね、ある程度おきめ願ったわけですが、この地下水のことについて一つも触れていないのは、これはおかしいじゃないかというような地元意見がありました。で、今回その基準をきめるにあたって地下水の問題について取り扱わなかった、極端なことばで言えば、故意に取り扱わなかったと、そんなような言い方になりますけれども、それは別にして、地下水の問題を取つ扱わなかったことについて御意見をお伺いしたいと思いますが……。
  31. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) お話のように、地下水にも問題がありゃせぬか、ことに炭鉱関係もありまして、公共下水道なんか掘りますのにも、そのために難儀するくらいに地下穴だらけだというふうなことを私どもも聞いております。したがいまして、その地下水があまりきれいなものじゃなかろうということは前からもよくわかっていたことでございまして、なかんずく、この芳香族アミン等がもし検出ざれやせぬか、含まれてやせぬか、それが害をなしやせぬか、こういうおそれを抱いているわけですが、この点につきましては、分析方法その他、もう少し化学的に別途いろいろ関係各省とも相談しまして、調べていかなければいかぬのじゃないか、かよう考えまして、今回の直接の規制対象からははずしているわけでございます。なお、私、法律的に見ましても、公共用水域と申します場合に、伏流水であるのと、そうでない場合とで、若干また違うと思いますが、いわゆる水質保全法法的規制地下水までいっているかどうか、その辺もよくもう一ぺん確認してみなければいかぬことじゃないか、しかし、法律よりも事実問題のほうを、これはとにかくよく調べてみなければいかぬのじゃないか、かように思っております。
  32. 原田立

    原田立君 いまのお答えによると、この地下水問題も今後鋭意研究するというような前向きの姿勢であるというようにお伺いしてよろしいんでしょうか。
  33. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) さようでございます。
  34. 原田立

    原田立君 この大牟田川の沿岸には数多くの工場が、歴史も長く存在していて、そこから出るいろいろな物質により、川底の堆積土水銀を含んでいてきたない、これをどう処理するのかということになるわけですが、その点はどうですか。
  35. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) これは、申すまでもなく、川はこの排水の口に対して水質規制を加えるだけではそれは十分じゃございませんので、ただいまの地下水の問題もございますが、同時に、河川のフラッシュあるいはしゅんせつということが当然必要である、こう思います。この点につきましても、県、市御当局意見をすでに非公式にいろいろ交換しているわけですが、われわれといたしましては、今後も、県、市御当局が、あるいは住民の方々が協力されまして、できるだけしゅんせつされることを希望しておりますし、政府としてやるべきことがあるならば、これはやっぱり十分御相談に応じていかなければいかぬのじゃないか、こう考えております。
  36. 原田立

    原田立君 もともと、この大牟田川のきたなくなっているのは、大もとは産業公害から発生しているものであって、それに今回の規制が加えられたことになるわけですが、企業にもその責任は十分ありますし、今回のきめられたことが幸い実を実りますように、せっかく御努力願いたいと思う。過日の公害委員会でも申し上げたのでありますが、前のこの特別委員会委員長である紅露先生にもあそこまで御足労願いまして、そうしてやっとここまで実を実らしたのをたいへん喜ぶ次第なんですが、どうかひとつ、前向きの形で、環境衛生向上のためにも、なお一そう御努力願いたいと思います。  それで、先ほどの大牟田川の問題はこのぐらいにしたいと思うのですが、実は、九州には、この大牟田川のような問題と、それから熊本県には水俣病という、これまた非常に悲惨な災害を受けている。この問題があるわけなんですが、伝え聞くところによれば、いまだ水俣病発生原因者、これがはっきりつかめておらないということなんですが、厚生省、このことについてはどうなんでしょう。その後の具体的なことを御報告願いたいと思います。
  37. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 厚生省では、この水俣病が発生いたしまして以来、いろいろな調査研究をいたしました。食品衛生調査会に諮問をいたしました結果としては、当時、有機水銀による中毒であるという判定を下しておりました。その後、学会、熊本大学等のいろいろな研究が進んでまいりまして、学問的にも、メチル水銀によるものであるということが完全に立証されてまいりました。それからまた、あそこにある新日本窒素といろ会社におきまして、それらのいろいろな調査、あるいは反応施設というものの中からも、そういうメチル水銀検出ができた。たしか、スラッジであったと思いますけれども、そういうことも追加されまして、厚生省としては、そういう見解はもう一応はっきりしているわけでございます。ただ、おそらく先生指摘の問題は、当時経済企画庁が最終的な意見をまとめるというのが出なかったということを御指摘じゃないかと存ずるわけでございます。一応厚生省としては、そういうふうな見解を明らかにいたして対処してきているわけでございます。
  38. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) いま御指名がございましたので……。確かに、お話のように、昔、水俣病事件がございました際に、一方において、県、市はじめ、いろいろ、国でも、国会でも御調査になったというふうなことがございましたし、経済企画庁としましては、政府の各省が手分けをしまして調べることになりまして、その幹事役をいたしてまいりましたが、そのために調査連絡協議会というものをつくってやってまいったのですが、その結果も判然とした結論を得ないままに今日に至ったわけでございます。その点は、はなはだ遺憾であったと思います。これは、当時まだ熊本大学の研究などが出る前の時期でありましたために、学術的にも非常にむずかしかったのではないかと思いますが、しかし、ともあれ、結論が出てなかったというのは残念なことであったと思います。が、その後、御承知のように、各種の補償なり、また病人に対する治療の措置なりがいろいろ行なわれて今日に至っております。われわれといたしましても、ただいま阿賀野川等におきましていろいろ研究が進められておりまするから、そういうものの結論をまって、われわれとしてももう一ぺん振り返って見なければいかぬ、こういう考えを持っているわけでございます。
  39. 原田立

    原田立君 私、ここできようは、ちょっと質問の趣を別にしてお伺いしたいと思うのですが、その前に、渡良瀬川の足尾銅山の鉱害がやっと八十年目になって発足し始めて、ついこの間結審されたという、こんな長い、また民衆不在の決定がなされた。八十年といえばずいぶん長い間のことであります。こんなことが水俣病の場合にもあってはならない。断じてあってはならないと思うのです。それで、そのことについてはまた後日に譲るとして、きょうは厚生省のほうにいろいろお伺いしたいと思うのですが、この水俣病にかかった人たちの治療費、援護費等々、これは厚生省としてはどういうふうになさっているのでしょうか。
  40. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 水俣病の患者さんである発生患者が百十一名ございました中で、四十二名の方がなくなられました。六十九名の方が生存しておられるわけでございます。その六十九名の中で、五十六名は通院をしており、十三名が入院をいたしております。こういう患者さんの医療につきましては、昭和三十三年から、県と市及び国、三者で持ちまして研究費を出しまして、実質上の自己負担分を軽減する、こういう措置をとってまいりました。三十三年以来四十二年までに国が負担いたしましたこの治療費のための費用が八百六十二万円になっております。四十三年度におきましては、すでに先生御存じのとおり、公害医療研究費補助金という新しい項目の費用二千万円の補助金が予算に計上中でございます。この中から、やはりいままでと同様の形で出してまいりたい、こういうことでございます。なお、そのほかに、この患者さんの治療のあり方、やり方あるいはリハビリテーションといったような問題等も、なお新しい問題だけに研究すべき分野が多いようでございます。そういう問題につきましても、ただいまの研究補助金をもって、研究的な態度でも、さらに実質上のそろいう患者さんの回復を早めるような措置をとれるように向けてまいりたい、こういうように考えるわけでございます。  なお、そのほかに、昭和三十三年には、当時市立の水俣病院が収容力が非常に不足であったということで、公的医療機関の補助金で二百十一万円を出しまして、ベットを増設する、あるいはリハビリテーションのための融資を二百床分で約二億一千五百万円を三十九年から四十一年にかけて融資してごめんどうをみたいということを、これとは別に行なったわけでございます。
  41. 原田立

    原田立君 今回二千万円の予算が組まれている。その件と、去年までの付き添い看護婦さんの費用だとか、あるいはその人たちをまかなうための治療費とか、それは一人当たり幾らぐらいになるのですか。-簡単に言えばこういうことなんですよ。話を聞きますと、水俣市立病院に、リハビリテーション・センターに胎性の水俣病の子供が十二名入っておる。この子供の付き添いなんかの一切を含めた費用が一人年五万円しか予算化されていない、こういうことを聞いたわけなんです。その点いかがですかとお聞きしているわけです。
  42. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 具体的な費目をどのようにこまかに細分して予算化するかということは、地元のほうに私どもおまかせしておるわけでございます。国は、いままで毎年、最近におきましては経常的に百万円ずつ出してまいっておりますが、県と市合わせまして少なくとも三百万円というものは用意されておる。それを一番いい方法で使ってほしいという形で私どもやっておるわけでございます。なお、いま私ども承知しておる重い患者さん、重症身障児と見られるような患者さんがいま九名おります。そのうち五名が入院しておるという状態でございます。その五名の方にはすべて付き添い婦をつけておる。そういうものについての必要な費用は、社会保険が持てないようなものについては、私どもがいま出しておる費用をもって地元で自由にひとつ使ってほしい、こういう形で出しておるわけでございます。
  43. 原田立

    原田立君 四十三年三月二十三日付けの西日本新聞に、内田守熊本短大教授の話として談話が載っているんですけれども、「か弱い学生が、付き添いを三年余もつづけたこと自体異常なことではなかったか。重症の心身障害児施設では一人年五十万円の費用を使っているのに、水俣の子供はチッソ工場から年五万円の見舞い金しかない。人権擁護の立ち場と、人間の良心の問題として、もっと関心を持ち続けねばならないと思う。」、こういう談話が実は載っているわけです。だから、水俣病にかかった気の毒な子供たちのその費用等について、日窒のほうは年五万円の見舞い金しかない、重症の心身障害児の費用は一人年五十万円、こういうことで非常にアンバランスになっておるのは社会的問題だと、こういう意味の発言だと思うんです。この点について、どういうように御理解なさっておられるのか。
  44. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 重症心身障害児のほうの五十万円という計算がどのようなものでございますか、あるいはそこにおける実験費その他いろいろな費用、経費というものが全部含まれて計算されたときに、あるいはそういう数字になってくるのではなかろうか、こういう気がいたすわけでございます。確かに、会社のほうは年金といたしまして未成年の場合には一年五万円でございました。ことしは何か七万五千円に上げるということを聞いておりますが、私どものほうは、そういう会社の額とは別に、社会保険等で自己負担ができないような部分を、先ほど来申し上げましたように、最も適切な方法で使ってほしい、こういう形で、従来国の負担金を出してまいりました。よく実情を見まして、さらに、先ほど来申し上げましたように、そのほかに新しく手を加えるような問題がないかということも、リハビリテーションその他におきましても、いま検討しておる次第でございます。さような実態をもう一度よく見ました上で、もし増額をする必要があれば、ある程度の増額はぜひしてまいりたいと思います。
  45. 原田立

    原田立君 これも、めんどうくさいことを言わないで、公害として、公害病の一つとして認定すれば、いわゆる救済方法は幾らでもあると思うんですよ。ところが、そこら辺のところが、この数年来まだ結論が出ていないがために、水俣病にかかった当人たちは、当然のことながら、何の罪とがのない子供までも、こうやって苦しまなければならない。大きい社会問題だと思う。この水俣の子供きんたち、ないしは水俣病患者の人たちの、そういう社会的救済とでも言いますか、そのことについて、もっと厚生省として、はっきりしたところをお伺いしたいと思うんです。
  46. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) 厚生省としては、これは明らかにそういうメチル水銀というものによる中毒であるという観点に立って、先ほど来申し上げたような措置を打ってきておるわけでございまして、その点について特別に私どものほうでこれを公害でないというような感じを持っておる節は毛頭ございません。
  47. 原田立

    原田立君 次官、どうですか。こうやって費用も少なくて泣いている子供さんたちが実際いるわけです。水俣病患者がいるわけです。先ほど局長のほうは、一応予算化したと、個々のことについては詳しいことはよくわからぬ、あとで、というようなことらしいけれども、もし現在わからなければ、もう少し詳細にお調べ願って、この水俣病患者の救済問題について、また医療問題等について、もっと明らかにしてもらって、足りない点は足りないとして、それをもっと前向きで前進せしめると、こういうふうにしてもらいたいと思うんですが、その点、いかがでしょう。
  48. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) この水俣病の問題につきましては、これは厚生省関係するほかに、そり新日本窒素会社と、この被害を受けられた患者さん方との間に、見舞い金あるいは補償金というようなものがかなり出ているというふうに私たちは聞いております。で、そのほかに、いま申しましたような社会保険等であるいは自己負担になりますようなものをカバーをいたす意味で、国、県、市等でそれぞれ三分の一ずつ持ちましての医療対策をやっておる、こういうのが現状でございます。で、いま御指摘になっておりますような問題が、それぞれの、いま私が申し上げましたような問題全部を通じまして、なお問題があるというようなことがございますれば、私たちといたしましても、その問題についての対策検討しなければならぬと思いますが、先ほど来申し上げておりますのは、いま申し上げましたように、国なり県なり市でやっております対策を申し上げておるわけでございまして、私たちは、そのほかに、会社側と患者さん側との間にそれぞれの補償等の措置があるというふうに承知いたしておるわけでございます。
  49. 原田立

    原田立君 次官、そんなことを私お聞きしているんじゃないんですよ。実際調べて、そうして手おくれになっておるようなところ――手厚い措置を当然講ずるのが、厚生省としても考えているところだろうと思うんです。その点、詳しいことは局長はわからないから、あとでよく詳細調べて、手の薄いところについては前向きの姿勢で手厚くするような考えはないかとお聞きしているんですよ。
  50. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) もちろん、これは患者に対します対策が不十分でございますれば、私たちといたしましては十分調査をいたしまして、現状はどうなっておるかという調査をいたしまして、それの対策を講じなければならないと考えております。
  51. 原田立

    原田立君 実際手薄なんですよ。局長は、さっき、重症心身障害児には一人当たり五十万円のものが使われておる、どういう基礎で計算されておるかよくわからないけれども、と前置きしながら言っておったけれども、一説には五十万円くらいかけて治療してやっている。それに比べて、水俣のこの子供ざんたちは日窒のほうから五万円しかもらっていないのだ。五万円と五十万円ではずいぶん開きがあるじゃないかと、これが前置きの話なんです。それで、詳しいことはよくわからないから調べてみるというようなことであったんだから、そこであなたに、手薄いようなところがあった場合に、もっと手厚くしてやる前向きの姿勢はないか、こういうことを何度もお伺いしておる、わけです。調べてみましてからというようなことでなく、現実に手おくれになっておるのは事実なんです。
  52. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 重症心身障害児の対応策というのを別途に私たちのほうではやっております。いま原田委員の御指摘は、それと比較してみて、この水俣病の子供たちが不十分じゃないかという御指摘のようでございます。私たちといたしましては、それらの実態をよく調査をいたしまして、いま御指摘になっておりますような問題についての実態がございますれば何らかの改善策を検討せなきやならぬ、かように考えております。
  53. 原田立

    原田立君 水俣の問題はそのくらいにして、冒頭に申し上げましたが、水に関する今後の法改正をどんなふうにしていくか、その見通しを若干お伺いしたいと思うのです。  工場排水法あるいは鉱山保安法あるいは下水道法等、そういうような関連の法律水関係ではあるわけでありますが、工場排水法は大蔵省、厚生省、農林省、通産省、運輸省、各省五省に関係しておるといわれておりますが、それぞれ各省で改正案に対していろいろな意見があるのであろうと思いますが、どういうようなところが問題になって水のほうの規制がおくれているのか、その点、いかがでしょろか。
  54. 今泉一郎

    政府委員今泉一郎君) いまの御質問は、水質保全法の改正がどうなっているかというお尋ねであろうかと思いますので、私からお答え申し上げますが、かねて申し上げてありますように、十年くらい前から実は水質保全法をやっておりまして、もう少し能率をあげるようにという、いろいろおしかりやら御鞭撻がございますが、やっておりまして、いろいろな経験を持っておるわけでございます。その点におきましては騒音等とは若干違うわけでございますが、公害基本法もできましたことでございますから、それに伴いまして一段と充実するようにやったらどうだろうかというので、いろいろ改正法案を考えておったわけであります。それで、関係各省といろいろ意見をいま重ねておりまするが、まだ若干まとまらない点がございまして、法案として御提出申し上げるようなことになっておらぬ、こういうのが現状でございます。主として、一つは、いろいろ規制対象を追加していくということ、それからもう一つは、水域基準、いわゆる公害基本法で申します環境基準というものを水に当てはめてやったならばどうなるか、これをかりに水域基準ということばで呼べば、この水域基準の設定並びにその手続をどうするか、どういうふうに押していくかという問題でございます。もう一つは、国だけでやるという体制ではいかぬから、地方と相携えて、水質規制、汚濁防止に努力するにはどういうふうにしたらいいか、大きく分けて、大体その三点につきまして関係各省と御相談している、こういう状況であります。
  55. 原田立

    原田立君 この水の問題について、私が申し上げるまでもなく、いままでの日本の水に対する考え方というのは、産業優先的な考え方で、ずっと今日に至っているだろうと思います。国民の健康福祉を守るという面ではたいへん手おくれになっているというのが、これが日本全体の水に対する率直な現状ではないかと思う。そこで、この水に対する規制、もちろん経企庁でおやりになるだろうと思いますけれども厚生省としても、国民の健康を守るという立場においてのその水の用途、使途等、大いに主張してもらわなければならないと思うのですが、十分御承知のことだろうと思うのですが、それが、いかんせん、今回の国会にも提出されない、今後の見通しは一体どんなふうに考えられるのか、推進していくのか、あわせてお答え願いたいと思います。
  56. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 御指摘のとおりでございまして、従来水の問題がこんなに汚染をいたしまして、人体あるいは生活環境に急速に悪い影響を及ぼしてくるようになっておりますことは、まことに残念なことでございます。もちろん、厚生省のほうといたしましても、これらの案件につきまして、それぞれの検討をいたして推進をいたしておるわけでございまして、たとえば、いま問題になっておりますような、水中におきまする水銀の問題、これらにつきましてもどのような基準をつくればいいのか、これもいろいろ問題でございますけれども、とりあえず、そういう問題を出していく必要があるのじゃないか。あるいは、阿賀野川等の状況に出ておりますように、単に水だけではございませんので、魚とか魚介類の中にそれがどういうふうに入ってくるか、それの要するに許容限度の問題がございますが、そういうような案件につきましてそれぞれ専門的な検討をいまやっておる状況でございます。  この水に関しまする法律そのものは、いまの担当から申しまして、経済企画庁のほうで、水質保全法等の関係もございまして、やっていただかざるを得ないと思いますけれども、私たちのほうといたしましては、人体に対しまする影響、あるいは生活環境に対しまする影響等が非常に重要になってまいっておりますので、その立場からこれを推進してまいりたい。先ほど申しました水中の水銀、あるいは魚介類の許容限度というようなものも、それぞれの専門家に委嘱して、現在検討させておる状況でございます。
  57. 原田立

    原田立君 見通しはどうなんですか。
  58. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) いま申しました水中における水銀の暫定的な基準案、あるいは魚介類の許容濃度のような問題に関しましては、いま進めておりますので、六月一ぱいくらいには一つの成案を得たい、かように考えて進めているわけであります。
  59. 大倉精一

    ○大倉精一君 まず初めに、基本法ができましてから、実施法の制定について一般の人は非常に期待を持っているのですけれども、この国会に出される法案はどんな法案になりますか。中身については、出てまいりましてからお尋ねするとして、どういう法案を出しておいでになる予定か、まずその点から。
  60. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 厚生省が一応公害基本法の窓口のようなかっこうになっておりますので、私のほうから、関係いたしておりますものを御報告申し上げておきたいと思います。  私どものほうは、公害基本法によりまして、いわゆる大気汚染の防止法、それから騒音規制法、さらに紛争を処理いたします、あるいはまた、その原因等がまだはっきりせぬ前に、患者、被害者自体の救済をいたしますための救済基金等を含んでおります法律、この三つのものを実は厚生省関係といたしましては急いで提案をいたしたい、こういうことで準備を進めてまいりました。先ほど原田委員にもお答えをいたしましたように、大気汚染の防止法及び騒音規制法の二つの法案に関しましては、関係各省との間の調整がようやくつきまして、現在法律案そのものを法制局において作成をいたしている段階でございます。したがいまして、先ほど原田委員お答えをいたしましたとおりに、大気汚染防止法に関しましては来週一ぱいくらいで法案の整備をいたしまして、再来週には閣議決定を経て、そして国会のほうに審議をお願いする手順で進めたい。騒音防止法のほうはそれより少しおくれますけれども、しかし、これも再来週中くらいには国会のほうへ御審議をお願いするように進めてまいりたい、このようにやってまいっております。それから、この紛争処理及び被害の救済制度の問題でございますが、これもなかなか、考え方、及びそのやり方につきましては問題が多うございますので、目下、公害基本法に基づきまする審議会がございます、その審議会におきましても、これらの案件をどういうふうな制度でやっていくかという問題を、特に小委員会をつくって検討をしていただいている状況でございますが、これも非常に急いではおりますが、先ほどの大気汚染及び騒音に比べますと、まだ、これの成案を得て国会にお願いいたしますのには、少し時間が要るのではないかと思います。現在、公害紛争の処理及び被害の救済制度につきましていろいろ議論いたしております問題点はいろいろございますが、紛争処理の制度といたしましては、民事調停等の私法上の救済制度があるわけでございますが、これと別に行政上の紛争処理制度をつくるわけでございますから、その必要度がどの程度にあるか、また、どういう態様ができた場合はこれの機能を十分に発揮させるのかというようなこと、あるいはまた、公害の苦情処理をどういうふうに対処するか。被害の救済制度におきましても、同様に、民事上の損害賠償等の私法上の制度とからみ合って、これをどういうふうに持っていったらばいいものかというようなこと、いわゆる挙証責任の転換でありますとか、あるいは因果関係の推定、あるいは無過失責任の導入というような問題、これらの問題が論点になりまして、これらについての議論をいたしておる、こういう状況でございますので、いささか、最初申しました二つの法案に比較いたしますというと、おくれておるのが現状でございます。できるだけすみやかにお願いしなければならぬ、かように考えて進めておる状況でございます。
  61. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ、法案が出てまいりませんから、私ども、現在のところは新聞情報だけですが、調整がついたという御報告ですけれども、どの書きものを見ても、厚生省は後退をした、こういうことです。ですから、国民が期待をしておった実施法というものはできない。縁の遠いものだ、どこの書きものにも書いてある。たとえば大気汚染法にしましても、現在あるのは単に届け出制度であるから、実効を伴っていない。だからこれを許可制にするんだ、こういうことであったはずのやつが、また届け制になって、基準に合おうが合うまいが届け出ればいいですから、何でもやるわけですね。大気汚染法なんて、そんな、法律というのをつける価値のある法律じゃないと思うのです。こういう法律が出てまいりまして中身を見てからお尋ねするとしまして、今日まで非常に難航したのは、どうも各省の縄張りないしセクショナリズムが多いらしいです。ぼくら反対した「経済の発展との調和」というものが、最後までこれがじゃまになると思うのです。大気汚染法にしても、これは通産省厚生省の共管ですから、初めから意見の合わないものが相談してやろうというのですから、いいものができるはずはないと思うのです。同時に、一番みんなが望んでおった、紛争処理と、それから救済ですね、この問題を和達さんのほうの審議会にかけたという御説明がありましたが、これはそういうところにかけなければやれぬものですか。これは皆さんが専門的に扱っているのですから、いろんな権限なり何なりのぶつかり合いがあろうかと思っておりますが、そういうような審議会にかけなければやれないのですか。そういうふうな処理をするところはほかにないのですか。
  62. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 御承知のように、公害基本法に基づきまして、そして審議会ができてまいったわけでありまして、和達先生にもその長をお願いしておる、こういう状況でございます。したがいまして、とにかく、この紛争処理の問題及び救済規定等の問題は、おそらく公害基本法に基づきますいろんな法律の中で、まあ重要度から申しますと右翼に属する非常に重要度の高いものだと思います。もちろん、したがいまして、他の法案にいたしましても、審議会の御意見を聞いて、そしてそれぞれ作案をいたしております。大気汚染法、騒音防止法ともどもに、審議会の御意見も聞き、そしてやっておるわけでございますが、したがって、それと同じ程度にこれをやればもっと早く進むのではないかという御意見もあろうかと思います。ただ、先ほど申しますように、非常にこれが重要度の高い法案でございますので、審議会のほうからも、これについてはひとつ自分たちも十分意見を練りたい、こういう御意見もございます。また、考えようによりましては、各省それぞれ個別に調整をいたしておりますやり方と、審議会におきますそのような自発的な御審議というものの中で、それぞれの意見を述べ合うというやり方も、一つの行き方かと思います。というようなことでございまして、いずれにいたしましても、審議会の意見は聞かなきゃならぬと思いますが、私たち役所のほうは役所のほうとしての折衝、それから検討調整をしなければなりません。しかし、また同時に、かなり重要な法案でありまするために、審議会自体の御検討もお願いするのが適当である、かような考え方から、現在、審議会における御検討もお願いを十分いたし、私たちのほうといたしまして、役所としての調整、折衝もやっておると、こういうのが現状でございまして、審議会にかけましたことが、法案をつくります場合に、非常にこれが渋帯の原因になるとかならぬとかという問題と別個のことだと考えております。そういう今日現状でございます。
  63. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも、内容、中身をよく知りませんけれども、そういうことであれば、各省がぶつかっておる問題はみんな和達さんのほうにいったらどうです。それを、紛争処理と救済の問題だけ扱いかけて、向こうへ持っていったわけですね。ですから、大気汚染にしましても、あるいは騒音防止にしても、あるいは工業立地ですか、の問題にしましても、みんな権限とか何とか、ぶつかり合って困っちゃってるでしょう。それで、あんたのほうが後退したと、こう新聞に書いてある。そういうのはみんな審議会にかけたほうがいい。そういうものはみんなそういった場所でやればいい。こっちのほうはこっちでけんかして変なものをつくっちゃって、そうしてあるものは向こうにやつちゃう。どうも筋が通らぬじゃないですか。これはどういうわけですか。
  64. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) これは、要するに考え方だと思うのですが、騒音大気汚染法、これは、従来ございましたばい煙防止法等が一つの母法、と言っては語弊がございまするけれども、やはりそれが一つあったわけでございます。騒音の問題は、これはいままでそういうものの規制はございません。各地方団体における条例等による規制があったと、こういうのが現状でございます。これと紛争処理、それから責任者がはっきりいたしません場合においてもなお人命の救助その他をいたさなければなりません意味の救済措置とは若干問題が違うのではないかという感じが私たちはいたしております。重要度からいたしましてどちらが重要であるかという問題よりも、公害対策に取り組みます場合のかなり制度的な色彩の強いのが、この紛争処理あるいは救済制度の問題であろうかと思います。そういう観点から、実は審議会のほうからも、その問題をひとつ案を出してみろと、こういう御意見もございましたので、やってまいったのでございまして、決してその間に、このために時間を非常におそくするというような意味合いとは別のことでございまして、ほかの法案と同様にこの問題を推進はいたしておりますが、事の性格が若干制度の本質的なものに入りますので、そういうような経過をとっておる、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。
  65. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは証拠がありませんから、これ以上はやめます。私は、立地法の中身が、新聞情報ですけれども、間違いないとすれば、どうもふに落ちないのですね。たとえば、いま申しました大気汚染法にしましても、これが届け出制が許可制になるはずだった。審議会にかければ、おそらくそうなったんだろうと思いますね。ところが、これが何か、許可権限等をめぐって工業立地法とのかね合いがあったようですね。これも新聞情報でありますからわかりませんよ。ですから、工業立地法というものがある、だが、大気汚染法というものについて許可制をやれば工業立地法というものがだめになってしまうということが出て、てんやわんやになって、届け出制にした、そのあげく、工業立地法というものは出してこないことになった。どういうわけで出してこないのですか。工業立地法はそんなにむずかしいものですか。
  66. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 各省のいろいろな問題がございまして、一がいに、権限の問題という言い方もございますが、やはり、たとえて申し上げますと、大気汚染の問題のときに、自動車の排気ガスの問題がございます。で、自動車の排気ガスの場合に、それを規制する具体的方法というものをどちらの省が考えたほうがいいかというのは、いろいろこれは見方があると思います。そういう問題が、やはりそれぞれの所管の問題として議論もございますし、これは公害問題という立場に立ちながらも議論が出てまいるものと思います。したがいまして、当初厚生省の主張しておりましたものが若干の変更があったこともいなめません。そのとおりでございます。しかし、従来からの規制の方法から考えますというと、今度国会のほうにお願いをいたしたいと思っておりまする厚生省関係の法案にいたしましても、私は相当な躍進したものであるという考え方を持っておる次第でございます。  なお、工業立地の法案が今国会に提案にまで至らなかったという事情がございますが、これは、私が申し上げるよりも、担当しておられる通産のほうから御報告するのが自然かと思いますが、しかし、厚生省といたしましても、この法律はいずれは日の目を見てやっていただかなければ困る、厚生省立場としても困る、こういう考え方でおるわけでありまして、いずれ詳しいことは通産省のほうからお話があるかと思いますけれども厚生省といたしましてはそういう態度で考えておるわけであります。
  67. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) ただいまお話されました工業立地適正化法案でございますが、この法案は、ほかの大気汚染防止法やその他の二つの法案と異なりまして、公害の排出規制だけではなく、公害と過密の大きな原因をなしております工場の無秩序な設置を規制いたしますとともに、その規制が実効をあげることができますよう、工場の分散のための助成、工業用地の確保等を一つの体系のもとに総合的に推進してまいりますいわば総合的な立法でありまして、当省といたしましても、時代の要請にこたえまして、この種の立法措置はこの際ぜひとも必要であるという判断のもとに本法案の今国会の提出を推進してまいった次第でございます。したがって、この方針に基づきまして、昨年末以来政府部内その他関係方面との意見調整を鋭意進めてまいりましたが、これに対しまして、この法案の基本的骨格をなします大都市地域での過密規制につきまして、規制効果等も見きわめ、なお慎重に検討すべきであるという慎重論も一部にありまして、その意見調整が十分進まず、法案提出の時間的な制約等もありまして、とりあえず本法案の今国会提案を見送らざるを得ないような実情になった次第でございます。
  68. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも、法案を見送るという理由はなさそうですね。もし説明ができれば、大気汚染法と工業立地法との関係について、どういうような議論がされたか。あるいはこれは法案が出ましてからあらためて聞きますけれども、肝心の許可制を届け出制にしたといういきさつはどういういきさつなのか、これを、御説明願えればお話をしていただきたい。新聞情報だけじゃ、どうも責任持って審議ができませんから、御説明願えれば説明してもらいたいと思います。
  69. 松尾正雄

    政府委員松尾正雄君) ただいまの工業立地適正化法と大気汚染との関係の特に御指摘になりました許可の問題でございますが、当初のときは、率直に申し上げれば、両方とも独立に許可という問題を出してそれぞれのところの原案ができかかってきておったわけでございます。先ほど来のお話にもございましたように、総合的に、工業立地という方向で、公害を含めた許可というものができるといたしましたならば、それを二つの法律で並べて両方ダブつた許可制というものはあり得ない。そういう観点から、私ども通産省との間では非常に話がきれいに一応まいりまして、それで公害立地という、公害の見地からの許可という工業立地の面につきましては、当然これは厚生大臣が所管といたしましてまいる。しかしながら、そのあとの大気汚染規制というような問題は、これはやはり大気一体として扱うべきであるという、ばらばらでは困るわけでありまして、この点もまさに大気汚染のほうで一元化をしてやろうというようなことでスタートをしてまいったわけでございます。したがって、工業立地適正化法というものが当然出てくるということを私ども期待しながら、そういう調整をしてつくっておるのであります。しかしながら、いまの段階で、ややこれがおくれてくるという事態になったわけでございますが、先ほど来政務次官からも申されましたように、届け出制でございましても、その中に事前の届け出制、あるいはその間の改善命令でございますとか、あるいはまたきわめて著しい汚染のひどい地区につきましては特別の基準を排出基準としてつくる、非常にきびしい基準をつくるということから、実体的にかなり効果をあげるようなものになるのじゃないか。そういうことで、その調整の結果として運んできたものをただいま法制化しようとしている状況でございます。
  70. 大倉精一

    ○大倉精一君 もう一つ、今度は建設省がそこに入ってきて、いま衆議院で審議をしている新都市建設何ですか、それと、いまの建築基準法、こういうものとの関連も出てきていますね。三つどもえになって、ややこしくなっちゃった。こういうぐあいになって、非常にこんがらがった情勢でもって進行してきておって、ついに、まあ厚生省に言わせると、進歩をしたと、こう言いますけれども、わけのわからないような法律になってしまった。こういうぐあいに思うのですけれども、中身については、先ほどから申しましたように、また出てまいりましたらやりますけれども、建設省との関係はどういう関係になっておるのですか。
  71. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) それでは私からお答えいたします。  先ほども熊谷政務次官から御説明申し上げましたように、先般来鋭意各省と折衝をやってきたわけですが、時間的な制約がございまして、ほかの二法は、先ほど厚生省から御説明がありましたように、すっかり中身ができて、あと法制局審議だけで、来週か再来週には出るわけですが、こちらのほうは、基本的な考え方についてまだすり合わせが十分できないということで、それがいろいろな点もありますが、御指摘になりましたように、建設省との間にやはり基本的に考え方が違う点があったわけでございます。その点は、簡単に申し上げますと、この立地適正化法の中身は、過密の防止と、それから公害の防止――公害も、水と煙とありますが、そういう過密と水公害、煙公害、こういうのを一体的に考え工場の新設を許可をしようということですが、そのうち、特に過密問題につきまして建設省と基本的に考え方が違っておりまして、今後大いに調整はしたいと思っておるわけでございますが、時間的な制約で、どうもこの国会中には間に合わないのじゃないかというようなことになりまして、大臣の御指示で見送ったわけでございます。
  72. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ、これはこの程度にしておきまして、法案が出てまいりまして、また私もよく調査をして、また質問しますけれども、こういうむずかしい問題を、利害相いれない省庁間だけで相談をしておっても、結局は、出てきたものが期待はずれのものが出てくるというのが落ちじゃないかと思うのですよ。ですから、そういうために審議会というのがある。審議会にかけて、何にもわずらわされずに審議をすると、これは非常にいいのですけれども、たった一つだけ抜けちゃった。どうもこれは私はふに落ちないから、これはまたあとでやりますが、そこで、こういう問題でありまするから、いわゆる基本法によるところの、人の健康と生活環境を守るという非常に崇高な目的ですから、これは各省庁のなわ張り争いじゃ済ませられないものがあると思う。ですから、もっと高いところでやらなければならぬ。それにしても、公害省というものも必要かもしれない。公害庁というものも必要かもしれぬ。そうなると、入り組んだお役所の中でやっておっても、これはなかなか解決しないと思うのですね。特に、いろいろ新聞で報道されたものを見ておりますというと、当初の目的である人の健康と環境、生活環境ということよりも、産業経済のほうへ傾斜がより多くだんだんといっておる。そっちのほうの発言が非常に強くなっておるというような気がするのですけれども、これでは公害基本法をつくった精神と全く相反するのですけれども、そもそも当初から心配しておりました。そこで中身については譲って、生活環境というものをこの際やっぱり検討していかなければならぬのじゃないか、こういう感じがするのですね。特にいろいろ自治庁あたりのお役人から御意見を聞いておりまするというと、生活環境というものは地方自治体のほうにウエートを持ってきめさしたほうがいいのじゃないか、中央でもって、まあ妙な言い方ですけれども、中途半端な法律でもって全国一律に縛ってしまう、こういうことでやってこられたんではまことに困る、そういう意見があるのですけれども、一体、生活環境の保全、保持といいますかね、あるいは基準といいますか、そういうものについて、自治省のほうと中央との関係ですね、これはどういう関係になっておるのか、これもちょっと知らしてもらいたい。
  73. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) いま御指摘のとおりに、確かに地方の自治体との関係というものは非常に重要だろうと思います。各省は、どちらかと申しますと、縦割りのものの考え方で整理されておりますが、地方自治体の場合は、その地帯、地域的な、いわば総合された見方をしてやっていく、そういう立場にございますので、いま御指摘公害対策の場合に、地方の自治体の持っております役割りは、これは高く評価せねばならぬと私たちは考えております。したがいまして、今度お願いをいたしております二法につきまして申し上げますというと、ただ、大気汚染その他の基準でございます。つまりどの程度基準考えるか、この基準そのものは、これはやはり主務大臣がきめますのが至当だろうと思います。ただし、その基準に従いましてそれぞれの特定の地域を指定いたしますとか、それぞれの地域に応じた問題の処理は、これは都道府県知事が当たるということを法律に明定することが適当なやり方ではないか、こういう考え方で大体の物事は構成をいたしまして、自治省その他とも相談の上、調整の上、法案をつくっておる、こういうことでございます。御指摘のとおりに、地方自治体の公害、地域的な一つの観点からいたしまする役割りは、特にこういう場合には高く評価する必要がある、こういう考え方でございます。
  74. 大倉精一

    ○大倉精一君 自治省も来ておいでになるんですけれども、最近は、過密住宅といいますか、そういうところに、極端な言い方をするならば、だれにも断わりなしに工場が入ってくる。こういうことで、住民とのつながり、あるいは一体感というものがちっともない。そういうことで、生活環境というものがすっかりこわれてしまう。どこへ苦情を持っていったらいいのかわからない。そういう点について、私はもっと地方自治体が、裁量できる幅を広げたほうがいいんじゃないか、こう思うんですが、自治省のほうの御意見をちょっと参考のために聞いておきたいと思います。
  75. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) ただいまのお話は立地規制の問題だろうと思いますが、現在、国会で都市計画法を審議中でございますし、その他いろいろな地域開発立法等がございます。すでにでき上がっておるものもございますし、国会で審議中のものもあり、また、政府部内でそれぞれ検討しておるものもあるわけでございますが、こういった地域開発立法も、それぞれが結局は、この日本の国土の中で現実に遂行いたしますのに、都道府県、市町村といった地方自治体の段階におりてくるわけでございます。これを、この段階でもつて、どういった総合的な形において処理していくか、そういうことが必要であろうと思います。それぞれの地域開発立法につきましても、これが政府提案されます際には、もちろん自治省といたしましても、そういった見地におきまして、いろいろと各省と折衝いたしております。今後とも、その方式でやっていくつもりでございます。
  76. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、ぜひきょう回答を迫るわけじゃありませんけれども、相当重要な問題として検討を願いたいと思うんです。たとえば、いま厚生省のほうからおっしゃった公害、ばい煙にしろ、何にしろ、どれだけの量が出たらいいか悪いかという基準をきめるんですけれども個々の排出量については基準に合っておるが、たくさんこれが積もればたいへんな公害になるのですよ。ですから、何を基準にするかということがはっきりしていないのです。個々基準だけでは、公害の、ばい煙の適正なものの基準というものはなくなってくるわけですね。ですから、たとえば自動車にしましても、個々の音というものは、これは別に違反ではない。たくさん集まってブーッといった場合には、これは大きな騒音になる、こういうことでございますから、私は、この生活環境というものを、立地基準というものをやかましく言うわけなんです。そこで、これはひとつ御検討願いたいと同時に、もう一点、地域区分をきめる場合に、住宅地域、準工業地帯、工業地帯、こうきめる場合ですね。これは、道路一本とか、川とか、そういうものできまっておると思うのですね。道路一本か川できまっておる。ここに非常に各種の矛盾が出てくるのです。たとえば、六メートルの道路で区切って、ここから向こうは準工業地帯である、ここからこちらは住宅地帯である、こうなれば、わずか六メートルの向こうとこっちで危険物の貯蔵量も変わってくる。あるいは音の制限も変わってくるはずですね。それがわずかに六メートルでしょう。こういう矛盾をしておるんですが、この場合に、こちらのほうに住んでおる人が苦情を持っていっても、これは基準に合っていますとなる。基準に合っていますと。こういうようなきめ方は私はいけないと思うのです。したがって、私は、準工業地帯、住宅地帯、これを含んでここは何々地帯であるというきめ方じゃないと、実際効果はあがらないと思うのですね。ですから、これはきめる境界が必要だろうと思うのですけれども、一本に区切らないで、こっちの道路からこっちの道路、こっちからこれだけはいけないのだ、こういうきめ方が必要だということをつくづく思うのですけれども、そういう点について、建設省ですか、どこですかね、担当は、お考えになったことがありますか。
  77. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 建設省が来ておらぬようですから、厚生省に関しますことで御答弁になるかならないかわかりませんが、申し上げたいと思います。御存じのように、先ほど大倉先生の御指摘の環境基準の問題は、公害基本法ですでに要求を実はされておるわけでございまして、大気汚染水質汚濁及び騒音にかかわる環境上の条件についてはこれをきめろ、こういうふうに公害基本法において実はすでに規定されておりますので、したがいまして、先ほど来当委員会でいろいろ御質疑がございまする大気汚染騒音水質汚濁の問題についての環境基準についていろいろ御審議にあずかっておるわけであります。いずれ、基準をつくりましたり、あるいは先ほどの地域区分をいたします際に、どこかで区切らなければならぬことは事実だろうと思います。これは、川がいいか道路がいいかでございますが、確かに、どこかで区切らなければならないと思いますが、しかし、たとえば一例を申し上げますと、大気汚染の場合と騒音の場合と、かなり環境の広さが違ってくると思います。大気の汚染は、かなり広い地域においての基準が必要かと思いますが、騒音の場合は大気ほどに実は広がりがなくてやっていける場合が多かろうと思います。先ほど御指摘のございました地方自治体の問題にいたしましても、特に中央でなかなかやりにくい問題、地方自治体でもっとやってもらわなければならぬ問題は、この騒音なんかはことに地方自治体でやっていただかなければ、なかなかやれない問題だろうと思います。これはやはり、大気と騒音関係の広がりの性格があるからだと思っておりますが、そういうような状況がいろいろございます。先ほど御指摘の区分の問題にいたしましても、やはり同様な問題があろうかと思いますが、厚生省といたしましては、とりあえず、公害基本法に基づきまする大気汚染と、それから騒音の問題についてお願いをいたしたい。こういうことで先ほど来御答弁をいたしておる、こういうことでございます。
  78. 大倉精一

    ○大倉精一君 建設省おいでにならぬようですけれども、いま申しました騒音に限って申し上げますれば、あなたのほうは人を対象にしておる、人間を。ですから、通産省や建設省というものが、ともすれば産業のほう、あるいは建設省は建設あるいはその他の方面を重点に置く。あなたのほうは人を重点にしておる。でありまするから、こういう問題についても、人間というものを中心にして考えた場合には、当然それはそういう考えでなければならぬと思うのですね。ですから、この環境基準をつくるといいましても、そうこまかいところまで気がつかないかもしれないけれども、これはむしろ地方自治体がそういう住民の実情に即してこういう区域をきめる、これは非常に重大な問題だと思うのですよ。ですから、どこかの道路かなんかでなければならぬと思うとおっしゃる。そのとおりだろうと思うのだが、道路は一本じゃないわけです。たった一本の道路で区切っておるから、そういう非常な矛盾が出てくるわけですね。ですから、こういう区切り方についても、厚生省として、住民の人の健康、生活環境の保持という点から、担当省、建設省ですね、そちらのほうにもあなたのほうから意見具申をしてやらせるという熱意がなければいけないと思うのですが、その点はどうでしょうかね。
  79. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 大倉先生の御指摘は、私たちもそのとおりだと思います。まだ厚生省研究が十分進んでいない点もございまして、それほどまだ積極的に建設省等に申し入れをしておる段階でもございませんけれども、御指摘のとおり、騒音にいたしましても、それから大気の問題にいたしましても、やはり道路をつくる上においても、あるいはその他の問題をやります場合においても、やはり人の生活を、環境を守るという立場からの主張があってしかるべきものだと思います。たとえば、いろんな大気汚染に対応いたします緑地の構成なんという問題もすでに建設省においても取り上げていただいておりますけれども、そういうような観点も、やはり厚生省からの発言があってしかるべき問題だと考えております。御指摘のような問題につきましては、十分ひとつ厚生省としての立場検討もし、促進をしていく必要があるかと、そのように考えております。
  80. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはむずかしいことじゃありませんからね。研究するとかしないとかいう問題じゃないですね。簡単な問題だ。非常に常識的な問題なんですから、研究というようなややこしい問題じゃないと思います、ものの区切り方ですから。これは、建設省のほうにもあなたのほうから言っていただいて、この次の委員会では、建設省の考え方、あるいはあなたのほうの考え方等について御説明を願いたい。きょうは研究していないということですから。簡単なことですから、ひとつ建設省のほうの意見もあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  81. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) 法案を提案いたしますれば、それによりまして、ただいまの問題につきましても御審議を願うことになるわけでございますが、先生の御指摘のとおりに、騒音規制におきましても地域の指定をいたさなければなりませんが、その地域の指定に関しましては、これは都道府県知事が指定をする。それは、特定の工場その他いろいろ問題があるかと思います。騒音を出します事業場等の問題がありましょうが、これは、中央でなかなかこまかい地域の問題がわかりません。これらは、都道府県知事が指定をして、そういう特別の地域をきめる、こういうような形でもっていきたい、こういうのが法律案の内容になっておる次第でございます。先ほど申し上げましたのは、大きな道路、つまり道路そのものの構築、これは建設省の仕事でございましょうけれども、あるいは公園の緑地の設定というような問題もございますが、こういう場合に、他省との関係もありましょうが、厚生省として環境の一つの保護をいたします上からの発言というものをやる必要があるんじゃないか、こういうことを申し上げた次第でございまして、法案によります地域の指一定は、先ほど申し上げましたように都道府県知事が指定をする、こういうことでございます。
  82. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと、まだ誤解しているようですけれども、地域指定をぼくは言っているわけじゃないんですよ。地域指定は当然あるわけですけれども、その場合に、現在行なわれている地域区分といいますか、その区分のしかたをぼくは言っておるのです。ですから、非常に簡単なことを言っておるのですけれども、区分のしかたを、何か五メートル、六メートルの道路一本でやっているから非常に大きな矛盾があるのではないかと、こういうことを言っておるのですから、そういうこともひとつ建設省のほうにも言ってもらいたい、あるいは自治省のほうにも言ってもらいたい、地方自治体に対する指導であればそういう指導をやってもらうように、厚生省というものの立場からやってもらいたい、こういうことで申し上げておる。ですから、地域指定じゃないのです。おわかりですか。
  83. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) ちょっと話が、私が関係いたしておりますよりは、都市計画なり何なりのそういう意味の地域の指定のようなお話でございますので、先ほど私が申し上げておりましたのは、大気汚染水質汚濁、あるいはまた騒音というものに限ってのことでございます。若干私が誤解しておりました。
  84. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ、この際、資料要求といいますか、私どものほうにも、今度出てくる法案に対しまして、原案――つまり、初めの原案ですね、厚生省の原案、それから修正されて国会に出てまいります厚生省の原案、あるいは関係省庁の原案がありましたら、それを出してもらえますか。
  85. 谷垣專一

    政府委員谷垣専一君) これは、何回かの段階で内部で練るものですから、厚生省の原案と申しますのは、結局、閣議にかけますのが厚生省の案ということで厚生大臣が主管大臣としてやりますので、その法案の審議の中で、最初はどう盛ったか、この原案はどう盛っているのだというようなことでひとつ答弁もさしていただいて御審議いただいたらいかがかと思うのですけれども、最初の原案というのは、ちょっと確定がしにくいものですから……。
  86. 大倉精一

    ○大倉精一君 わかりました。原案というものは御無理だそうですから、やめておきます。ただ、答弁を正直に言ってくださいよ。それでもって審議をしますから。
  87. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 時間がないようですから、資料だけ要求しておきますが、いま特工開発ということで鹿島灘の臨海工業地帯が急ピッチで造成されているわけです。これに伴うところの公害問題について、いま地元では非常な不安が起きておるわけです。で、四日市でもそうですが、たとえば市原臨海工業地帯にいたしましても、できてから対策を立てたのではとても間に合わないわけです。ですから、当然政府は、その公害が出ない前に公害を防止する措置を立てるのが、この公害対策のほんとうのあり方だと思うのですよ。そういう意味で、いま鹿島灘につくられておる工業地帯の造成は、どういう公害に対する基本的な考え方対策をもって、あすこに工業立地をしようとしたのか、これについての政府の基本的な方針と、それから具体的に公害が出た場合にはどういうことになるのかですね。いま問題になっているのは、あすこから流される汚水なりによって九十九里海岸の漁業というものが非常に大きな影響を受けるのではないかといわれておるわけです。こういうものに対しては、具体的にどういう対策を立てておられるのか、こういうことについて、きょうは本来これ議論をしたいのですけれども、時間がないようですから、まず、そういう資料を、いままで各関係の省庁において、あすこの工業立地について、特に公害対策についての具体的な協議、その関係省としての話し合いがなされたのかどうか、なされたとすれば、その具体的な一つ一つの事例についてどういうことがなされたのか、それをひとつ資料として提出をしていただきたい、こういうふうに思います。
  88. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) 各省にわたることもあるかと思いますが、通産省に関する限りの資料は後ほど提出さしていただきたいと思います。
  89. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) では、本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時八分散会