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1968-04-10 第58回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十日(水曜日)    午後一時三十五分開会     —————————————   委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      小柳 牧衞君     北畠 教真君      高橋文五郎君     任田 新治君      大竹平八郎君     小林  章君     ————————————— 出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 船田  譲君                 剱木 亨弘君                 多田 省吾君     委 員                 青柳 秀夫君                 木内 四郎君                 北畠 教真君                 小林  章君                 任田 新治君                 秋山 長造君                 鈴木  壽君    国務大臣        自治大臣     赤澤 正道君    政府委員        警察庁刑事局長  内海  倫君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        自治省選挙局長  降矢 敬義君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        法務省刑事局参        事官       吉田 淳一君        自治省選挙局管        理課長      植弘 親民君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○公職選挙法改正に関する調査  (政治資金規制等に関する件) ○国会議員選挙等執行経費の基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大竹平八郎君、小柳牧衞君、高橋文五郎君が委員を辞任され、その補欠として小林章君、北畠教真君、任田新治君が選任されました。     —————————————
  3. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 多田省吾

    多田省吾君 私は最初に、政治資金規正法並びにその規正法にまつわる問題につきまして、若干最初質問したいと思います。  で、この前の委員会でも私は、現在の自民党選挙制度調査会のいわゆる試案というものが新聞等によって報道されましたけれども、その中でまあ第一に、政党に対する政治献金と同じように、派閥個人に対しても同じ金額政治献金を認めるとか、あるいは損金算入額まで認めるとか、あるいは政府関係金融機関から融資を受けている企業などでも、融資額借り入れ金の十分の一をこえる場合は規制を受けるという前の試案に対して、今度の自民党案は二分の一をこえなければいいというような案に骨抜きにして後退しようということを策している。あるいは、これも非常に大きな問題ですけれども、いわゆる会費という名目であれば、寄付と別の取り扱いをして、別に報告する必要はないというような案というものは、全くの骨抜きであって、現在の案とほとんど変わるところがないと、こう思うわけでございます。  で、実際に昭和四十二年度の上半期政治資金規正法による自治省への届け出の額を見ましても、たとえば国民協会なんかでも全然、いかなる会社から寄付を受けたかということが出ていない。聞けば大体会費制度、こういうことになっているわけです。ある会社に行きましたら、国民協会経常会費拠出方の御依頼について、こういったチラシが、たとえば、これは財団法人東京建設協会会長大島義愛という人の名前で、特に国民協会人たち会社を回って、その経常会費を依頼している。そういった金が全部財界から吸い集まって国民協会寄付されているという事実があるわけです。もし、自民党選挙制度調査会案のように、会費報告しないでもいいというような案になったならば、全然の骨抜きである、こう言わざるを得ない。この前の予算委員会でも、市川委員から自民党の各派閥について、特に佐藤派のごときは、ほとんど会費という名目だろうが、寄付としての報告がなされていない、こういう質疑も行なわれたわけでございますが、自治大臣はこの会費の問題でございますが、会費寄付と同じように取り扱って、報告の義務を負わせる、これはどうしても政治資金規正法に欠くことのできない、また、審議会案からはずすことのできない項目だと思いますけれども自治大臣として、もし自民党選挙制度調査会からそんな案が出たとしても、政府責任として、そんな案は出させないという、そういうお覚悟がおありかどうか。もう成案が出てからではおそいので、まずもっていまお伺いしたいわけでございます。
  5. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 資金規正法のことになると、すぐ骨骨ということが出てくるわけでございまして、何でも骨だ骨だと言われますと、どれが骨だかおしまいにはわけがわからなくなっちまう。大骨、中骨小骨とそれぞれ感覚的には違っておっしゃっているのかもしれませんが、しかし、私といたしましては、この法案を担当するものといたしましては、しん棒は腹のうちにちゃんとあるわけでございます。しかし、それを先にこういうところで申し上げることはいいかどうか、党内の調整の上でマイナス面が多いんじゃないかと思いますから、まだ具体的な私の構想というものは外へ出しておらぬわけでございます。しかし、もういつまでも提案するすると言いながら、じんぜん日を過ごすわけにまいりませんので、大体いつどういう形のものを提案するかというめどはつけております。近く成案を得て皆さまの御審議に供するわけでございますけれども、そういったものも全部ひっくるめまして、私は筋道だけは間違えないという決意だけは持っております。
  6. 多田省吾

    多田省吾君 何でも骨にしてしまうという御答弁でございますけれども、事実、佐藤総理がこの前の国会で、小骨一本抜きませんと言っている。それで全然自民党内の反対にあって通らなかったじゃありませんか。そして、その後の総理の話では、自民党の賛成も得るような案を出したいということ自体が、これは骨抜きじゃありませんか。もし骨を抜かない案なら、選挙制度審議会案の、いわゆる答申案のとおりに、社会、公明、民社の三党案がおおむね答申案の線にのっとって成案国会にもうすでに提出されている。その案でしたら、いわゆる審議会案から骨を抜かない案だと言うことができましょうけれども、それから後退した案なら当然骨抜きじゃありませんか。  まあ、その問題は別としまして、次に、もし現行政治資金規正法が今回もいままでどおりまかり通るとするならば、結局、先ほど申しましたように、会費ならもう報告する必要がないというような姿で、もう全然寄付としての報告がなされないとするならば、何のための政治資金規正法か、かえって、政治資金規正法ではなくて政治腐敗助長法ではないかとさえいま言われているわけです。  ですから、またもう一つの問題は、現在の政治資金規正法で問題なところは、いわゆる公職選挙法の百九十九条に定められた、いわゆる特定会社選挙に関しては献金をしてはならないという項目がありますけれども、どうも政治資金なのか選挙資金なのか、その辺の関係が明らかにされていない。で、その点に関しても、現在、日通事件が非常に問題になっておりますけれども日通からもだいぶ政治資金献金されております。私は四十年の上半期ども相当政治献金もされておるようですから、それがはたして政治資金なのか選挙資金なのか区別がつかないのではないかと思うわけです。それに関して、日通はいわゆる公職選挙法の百九十九条に定めたところの、衆参の選挙政治献金してはならない特定会社になっておるのかどうか、その辺のところを一応確かめておきたい。
  7. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 百九十九条は御案内のとおり、国の選挙に関しては国と「請負その他特別の利益を伴う契約当事者」は、選挙に関しては寄付をしてはならないという規定でございまして、これは日通がこの場で、すぐこれに該当するかどうか、すなわち、「請負その他特別の利益を伴う契約当事者」と言えるかどうかは、私どもここで直ちにそうだということは、全然調べてもおりませんし、即答はできかねるわけでございます。ただ、ここに該当すれば、選挙に関しては寄付ができないことは当然のことでございます。
  8. 多田省吾

    多田省吾君 日通は御承知のように、米についての輸送なんかを一手に受けてやっておるような姿もございますし、政府関係のいわゆる事業に相当関連を持っておるということは、御存じのとおりでございます。この特定会社であるかどうかは、ひとつ自治省当局において責任もってお調べの上、あとで御報告を願いたいと思います。よろしいでしょうか。
  9. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) よくそういう御質問を受けますけれども自治省届け出を受け付ける立場でありまして、内容に立ち入って会社経理などを調べるという、そういう役所ではございませんので、おっしゃいましても、自治省立場として日通経理などの調査はできません。
  10. 多田省吾

    多田省吾君 そう言うだろうと思って刑事局長も呼んで、来ていただいておりますけれども内海刑事局長並びに法務省吉田参事官にお聞きしたいのですけれども、そういった場合、自治省取り調べることはないと、そう言っておりますけれども警察庁あるいは検察庁においては、そういった取り調べは、事件でも起こったときでもなければ取り調べない、こういうことでございますか。
  11. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) ただいまお尋ね日通事件につきましては、現在、東京地方検察庁において捜査中の事件でございます。東京地方検察庁において、お尋ねのような件についても捜査の必要があるということになりますれば、当然捜査をしてその真相を明らかにするということになると思う。当然のことだと思います。現在、日通お尋ねのような特定会社に当たるかどうかということにつきましては、事件証拠内容その他捜査内容等にわたると思いますので、現在この段階で、それが会社について将来捜査がどういうふうになるかというようなことに結局関連してまいりますので、本日の段階では、この程度で答弁は差し控えさせていただきたいというふうに考えてまいった次第でございます。
  12. 多田省吾

    多田省吾君 ついででございますので、いま日通事件に関しまして、政治献金等の問題も当然問題になってくると思いますので、可能な範囲で、現在のいわゆる経理関係の人、あるいは前社長、前副社長というような方々が逮捕されておるようでありますけれども、簡単にひとつ日通事件の概要を可能な範囲でおっしゃっていただきたいと思います。
  13. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) いわゆる日通事件と申しましても、一がいに申し上げにくいのでございますが、現在までの経緯を申し上げますと、当初、大和造林株式会社及びその代表取締役関係いたします法人税法違反事件等によって捜査が開始されたわけでございます。それとともに、本年の二月二十一日に至りまして、日本通運経理部管財課長を逮捕をいたしまして、これは所得税法違反取り調べをしたわけでございます。そして三月十三日にこの管財課長らを所得税法違反もしくは法人税法違反などによって起訴、求公判いたしたわけでございます。その後、さらに管財課長につきましては、業務横領の被疑事実が明確になってまいりましたので、三月十八日に至りまして、さらに逮捕いたしまして、そして現在取り調べを続行中であります。さらに、これに関連しまして、おとといになりますが、四月八日に至りまして、元日本通運社長と副社長の両名を業務横領で逮捕して、現在、東京地方検察庁において調べ中でございます。その事案の内容あるいはその捜査内容がどういうふうになっているかという点につきましては、まことに恐縮でございますが、これからの捜査成り行きいかんにかかっておりますので、この段階では、その内容についてはごかんべん願いたいと思います。
  14. 多田省吾

    多田省吾君 一応正式な日通からの政治献金届け出というものがあるわけでございますけれども、そのほかに、管財課長あるいはそういった前社長、前副社長というような線から五億円のリベートをもらったと、実際は業務横領容疑調べられているのが一億八千万円ということが言われておりますけれども、その残りの金というものがもし裏から政治献金がなされているとすれば、当然政治資金規正法違反になるでございましょうし、あるいは、日通本社あるいは関係会社からの政治献金というものが収賄となるような可能性だって、この前のLPG事件等から当然考えられることであり、また、先ほど申しましたように、もし日通特定会社であるならば、当然選挙に関して政治献金はできない、こういう姿になるわけでございます。  そういう点から私は質問したいのでありますけれども、私ども調査では、たとえば日通事件が始まったと思われる昭和三十九年から見ますと、三十九年の上半期においては、国政研究会に五十万円、あるいは竹友会に二十万円、三十九年下半期においては、竹友会十万円、睦政会百万円、本邦政経研究会二十万円、さらに昭和四十年の上半期、この上半期から下半期にかけて参議院選挙が行なわれているわけでございますが、自民党国民協会に五百万円、新財政研究会に五十万円、新生政治経済研究会に三十万円、あるいは政治経済外交研究会に六十万円、社会党に八十万円、睦政会に二百万円、また、四十年の下半期には、周友会に百万円、新生政治経済研究会に五十万円、あるいは政治経済外交研究会に三十万円、白渓会に五万円、さらに、四十一年の上半期になりますと、愛国戦線同盟に五千円、周友会に三十万円、政治経済外交研究会に三十万円、また、東京一百会に五万円、四十一年の下半期になりますと、永広会に三万円、新財政研究会に五十万円、新生政治経済研究会に七十万円、東京一百会に五万円、日本民主社会建設同盟に五百円、同じく各支店から同同盟に千円、五百円、五百円、千円、千円、あるいは二十日会に二十万円。四十二年の上半期は、玄同会に百万円、勝和会に二十万円、東京一百会に五十万円、こういう政治献金がなされております。これは届け出の分でございますけれども、仮定の問題になりますけれども、もし日通特定会社に該当するとすれば、そうした場合に、どうしてそれじゃ政治献金であって選挙に関する献金ではなかったと断定できるのか、その辺がいまの政治資金規正法で非常にあいまいであると、こう言わざるを得ません。その点に関しまして、自治省当局、また警察庁当局、あるいは法務省当局に、こういった特定会社の場合の政治献金選挙のための献金関係がどのような関係になっておるのか、どういう調査をすればはたしてわかるのか、もし選挙資金として届け出さえしなければ、どんな政治資金でも免れるのか、そうすれば、いまの政治資金規正法というものが全然骨抜きになる、こういうことになりますけれども、その辺の関係についてお伺いしたいと思います。
  15. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 間もなく提案いたします法案骨抜きであるかないかということは、その時点でひとつ御認定いただかなければいかぬ。いま現行法についての御議論だと思うわけですけれども、大体この犯罪を構成する事実をちゃんと認めた場合は、それぞれ警察であれ検察当局であれ、摘発して捜査をいたすわけでございますが、単に想像だとかあるいは投書だとかでは、なかなかこういう問題について捜査権を発動するなどということはできないわけでございまして、私も、いまよく一部議員方々はすぐ具体的に政治団体——その中には、個人名前まであげておっしゃいますけれども、しかし、これはお互いによく考えなければいかぬと思う。いまおっしゃいましたのに、一千円もらったとか、五百円なんていうのもあったようですけれども、これはどれだけの間にそれだけの金額をどの程度受け取ったか、つまびらかにいたしませんが、しかし、いずれにいたしましても、政治活動をいたしますために若干費用がかかるわけでありまして、だから、政党でも健全な活動をいたしますためには、浄財をかなり集めなければやれぬということは世界じゅう周知の事実でございますし、だから、もうアメリカだって、イギリスだって、ドイツだって、こういった問題に悩んでどう規制していったらいいかということで長年やっておるけれども結論が出ていないということは、皆さん御承知のとおりでございます。しかし、とにかく、わが国の場合には、最近不祥事件があまりに続発しておりまするので、やっぱりこういった団体では、政治が姿勢を正すという意味で国民の期待に沿わなければならぬと考えて、いろいろ筋の通るような法案をいま検討しておる最中でございます。ですから、日通の問題にしましても、いま司直の手に事件が移っておりますので、その捜査段階において、日通が五億円か三億円か知りませんけれども、使途不明な金があったといたします。それが政治面にどういう形で流れているかということは、証拠はだれもつかんでおらぬ。これがすぐわかるくらいだったら、何も検察司直当局は苦労するわけはないのでありまして、だから、そういうことを当局はひっくるめていま捜査をしております。ただ、これも想像では結論に至るわけにいきませんから、いろいろ手を尽くしてやっておられるものと私どもは考えております。ですから、はなはだ残念なことだけれども、いまこういった面で政治に使われる金ということにつきましては、相当手きびしい規制をして、そして世論にこたえるという決意を持っておりますので、次の段階におきまして法案を提出いたしました場合には、十分御検討をお願いいたしたい、かように考えておるわけであります。
  16. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねのような点は、確かに、たとえば公選法百九十九条にいたしましても、その特定団体当該選挙に関して寄付をするということで犯罪の成立が分かれるわけでございます。そういう事実関係に、はたしてあるかどうかということは検察当局の面から見ますと、なかなか実際問題として、事件の端緒などを的確に把握するということは、この種の事件は比較的困難である事件の部類に属するであろうと思います。しかし、検察当局といたしましては、事件のそういうことが何らかの事情によって判明いたしました場合には、それは厳正的確に処理をするというたてまえで従来も臨んできておりますし、今後もその方針でやるということでございます。
  17. 多田省吾

    多田省吾君 いま自治大臣が何やら政治資金規制各国でむずかしいようなことをおっしゃっておりますけれどもイギリスだって、もうすでに一八八三年に腐敗防止法を成立させて、もし選挙に関して買収等の不祥事があった場合は、高等裁判所選挙裁判官を二名ほど任命しまして、もう十日ほどで裁判が完了する、そして、もし買収等があった場合は、すぐさま議長が当選も取り消す、そういう姿で、いわゆる選挙買収あるいは選挙費用についての報告というものが虚偽にわたっている場合も、厳密に裁判所でやはり審査しまして、当選取り消しというようなきびしい罰則を設けて、政治腐敗を防いでいく、そういった事実が厳然とあるわけです。ところが、わが国においては、九年前の参議院選挙において、総括責任者である者が買収をしている、それがほんとうに連帯責任者になるかどうかという、そういう裁判ですら九年もかかっているという現状でございます。また、アメリカ等においても、いわゆる会社法人政治献金も一切禁止されて、個人においても年間五千ドル以上は認めない、そういう規制が事実なされている。また、今回のいろいろな黒い霧事件あるいは政治腐敗事件が相続いて、国民の大きな世論がもとになって、佐藤総理自体も、いわゆる政治資金規正法改正するという、そういうことを国民にかたく約束せざるを得なかったと、こういう姿があるわけですよ。そういう各国規制現状を差しおいて、各国も非常に困っておるんだ、それは、ある程度は困っているけれども日本のように野放しにこんな骨抜き政治資金正規法を通用させておいて、しかも、その改正のときにあたって、政府与党がなお答申案の線にすら来れないような改正案を出そうとしているというようなことに対して、われわれは大いに不満を持っているわけです。私どもはあくまでも、たとえ政治資金規正法現状段階がどうあろうとも、やはり会社法人団体等政治献金は望ましくない、政治政界浄化のために、また、日本政界を清らかにして国民の負託にこたえるためにも、そういったことは望ましくない。これはもうわれわれの強い確信であり、また、国民の多く望んでいるところであると私たちは思う次第です。そういった前提をくずして、各国が困っているとか、そういったことは私は、自治大臣として  のおことばではないと、このように思う次第です。で、先ほど私がお聞きしたのは、現在の政治資金規正法にのっとれば、昭和四十年度の上半期下半期等においての政治献金で、もし特定会社政治献金と称して政治献金をした場合、はたしてそれが政治資金なのか、それとも選挙に関しての献金なのか、区別がつかないのじゃないか、どう区別されるのか、選挙資金ではないと言えばそれで済むのか、こういった問題を先ほどお聞きしたわけです。その問題に関して、もう一回御答弁願いたい。
  18. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 前段のほうですけれども政治資金の規則というのは非常にむずかしいのです。イギリスなんかの腐敗防止法というのは全然筋が違うのでして、これは日本にもちゃんと刑法で規定してあります、職務関連の対価を受け取った場合は厳重なる涜職の罪に問われるということになっているわけでありまして、決して取り締まりの根本的な法規は何も諸外国と比べて遜色がないわけであります。そういうこともひっくるめて、やはり政治資金というものを野方図に集めてまた寄付することはよくないということから、今度の法の規制をあらためてやり直すということでございますので、決してこういう職務関連のこういう違法な寄付あるいは金の授受というものを許すわけでは全然ない。イギリスだって、御指摘になりました法人寄付を制限するという問題などは大問題で、商法の改正にはてこずっていることはお調になっていると思いますけれどもアメリカなんかに至っては、完全にお手あげの状態であることをアイゼンハワーが告白して、リーダースダイジェストに載せてあるものを私は一部御紹介したわけであります。しかし、なかなかしかく簡単なものではない。そこで、さっき法務省の人が言われましたように、受け取った金が選挙に関するものか、普通の政治活動のものか、どう区分しておるかといったような御質問でございますけれども、これもなかなか実際問題としては、取り調べにあたってはむずかしい問題でございまして、ことばでおっしゃることはきわめて簡単でございますけれども、なかなかこれを区分けすることはむずかしい、にもかかわらず、いろいろ法務当局のほうでも苦慮して、そういった点を明らかにする努力をいまいたしております。
  19. 多田省吾

    多田省吾君 私は先ほどイギリスの例を引きましたけれども、それは何も政治資金規正法の問題で質問したのでなくて、イギリスはそういう政治腐敗防止法があるから、政治資金の問題に寛容であっても、政界腐敗あるいは選挙腐敗を十分防いでいけるという例を申し上げたのです。だから、イギリスではそれじゃ、日本のように総括責任者に目されるような人の選挙違反が、九年もその事実審理に費やされるかどうか、向こうは十日、二十日で全部もし罪になるなら当選取り消しまでいくじゃありませんか。日本において九年かかって、それからまた、連帯責任者が罪を犯して、またその場合は検事控訴して、それからまた何年かかるかわからない、十何年かかって、そうして結局、あれは無効だったなんという、もうその間に、もし出られるなら何期もつとめております。そういう例を申し上げたのです。まあ、この問題はまたあとでお伺いしますけれども、こういったように、いまの特定会社政治献金あるいは選挙資金という問題にすら、大きな問題があるからこそ、私はいまの現行政治資金規正法政治腐敗助長法のような感を呈しておるから、何としても改正をしなければならぬ、こう申し上げておるわけであります。また、アメリカにだって、はっきり会社法人または団体等政治献金は認めないという法律はあるわけですから、日本のような野放しよりもずっと規制されておると言ったほうが真実であると、こう思います。先ほども申し上げましたけれども、たとえば国民協会に会員として各会社から、もう半期で、去年の四十二年の上半期のごときは、二十数億円の政治献金がなされておりましても、会費という名目で、いかなる会社からいかなる額の政治献金がなされたかということすら、申告なされていないような姿があるわけでございます。私は、今度の改正にあたって、そういう姿がほんとうに好ましいものかどうか、また、選挙制度審議会の答申においても、やはり会費寄付とみなして報告をすべきだという義務を課しているわけでございますけれども自治大臣として、ほんとうにそういった姿が好ましいのかどうか、その点の御答弁を願います。
  20. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) いまの現行法では、私は、政治資金規正法として、少なくともわが国では不十分だと思っておりまするので、そういった問題も全部ひっくるめまして、ただいま検討の途中でございます。
  21. 多田省吾

    多田省吾君 次に、私は九年前の選挙違反に関しまして、総括主宰者と目される方のいわゆる事前運動が、総括者としての違反にならぬというような判決が、最高裁で横田裁判長によって出されたわけでございますけれども、どうしてこういう重大な問題が百日裁判と称して、また、最高裁においても、去年ですか、裁判の迅速化ということを指示したにもかかわらず、こんなにおそくなったのか、その点をお伺いしたいと思います。
  22. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) こういった問題はやはり日本の訴訟手続にも関係があると思うのですが、まあ最近問題になっております破防法なんかの扱いにいたしましても、宮城前の例のメーデー事件の判決がいまだにおりない、あれは十何年越しかやっているわけです。いまだに証人呼び出しだ、何だと、いろんなことをやっているわけなんです。何年かかって結審になるか見当もつかない。これはやはり百自裁判とか申しますけれども、やはりこういった問題は、特に裁判の迅速化をはかりますためには、いろんなネックになるような法律、また、考え方を変えていかなくちゃならぬ。ただ、とにかく、こういった問題だけは迅速に扱うと申しましても、やはり人の一身上の問題ですし、非常に重大なことでもございまするので、そう軽々に扱うということも、これまたいかがなものと思います。しかしながら、これはまあ私どもが特に触れる問題ではなくて、法務省あるいは裁判所の問題であると思いまするので、しかし、そういった衝に当たられる皆さんも、何もじんぜん日を送っているわけではございませんので、きわめて慎重に、また適正に処理して結論を急いでおられるものと考えております。結果的にそういうふうになりましたことは、これはまた事自体内容にもよりますけれども、私はしかたがなかったのじゃないかというふうに考えております。
  23. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねの最高裁が四月三日に下した判決に関する事件のことだと思いますが、この事件は、まず流れだけ申しますと、昭和三十四年の六月から八月にわたりまして、非常に事実がたくさんありまして、その事実を、そのつど、捜査がまとまるごとに公判請求をした事件でございます。事実が非常に複雑で、関係人が多数等の事情もあったのかと思いますが、一審判決は昭和三十六年の五月二十日に東京地方裁判所で下っていまして、その一審判決に対しまして、被告人、検察官それぞれより控訴の申し立てがなされた事案でございます。その結果、昭和四十一年の四月七日に至りまして、二審判決が言い渡されましたが、それについて上告の申し立てがなされ、その結果、去る四月三日、上告審の最高裁の判決が言い渡されたということでございます。で、おっしゃいましたように、確かに、あまりにも審理が長くかかり過ぎているじゃないか、百日裁判の趣旨はどこにあるのだという点は、おしかりはごもっともでございます。まあ、裁判所といたしましても、また、これに協力する検察官ないし弁護人といたしましても、審理の迅速化にいろいろ苦労したと思うのでございますが、何ぶんにも、この事件は、その事案の内容が相当多数にわたり、かつ、法律論的にもいろいろ問題があったような事件のようでございまして、そういうような状況も加味されて、一審、二審、三審というふうに上級審に裁判がさらに移っていくというような関係もございまして、結果的には、これだけ長い期間がかかったということでございます。で、この点については、さらに法務省としては、もちろん裁判所にもいろいろ協力して、さらに百日裁判の趣旨を徹底するようにやらなきゃいけないということで、おっしゃいましたように、去年の十二月に最高裁、日本弁護士連合会等とも打ち合わせをいたしまして、その趣旨の徹底を全国にはかった次第でございます。で、最近におきましては、百日裁判の趣旨がかなり効果があがっておるようでございまして、百日裁判で、もしくはそれに近い状況で判決が下っているというような事件報告がまいっておるわけであります。
  24. 多田省吾

    多田省吾君 この問題に関連して、さらに二つ、三つお聞きしたいのですが、いままで国会議員選挙、あるいは地方議会の選挙に関して、最高の主宰者のいわゆる連帯責任者になるべき人の違反によって当選無効になったというような例があったかどうかですね。または、もし今回のような場合に、まあ——今回は総括者としての違反にはならぬという判決が出たわけでございますけれども、もし総括者としての違反になった場合、当選が無効か有効かという裁判がまた起こされるわけでございますけれども、その場合、どういう手続、あるいは検事控訴とか、そういったどういう手続、または何年ぐらいの裁判をやれば、当選無効あるいは当選有効まで決定されるのか、その二点をお伺いしたいと思います。
  25. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねの点は、しかと調べてまいっておりませんので、正確に申し上げにくいのでございますが、私の記憶いたしますところでは、現職の国会議員につきまして、当選無効訴訟、出納責任者もしくは総括主宰者が買収罪を犯して、その刑に処せられまして、その裁判が確定したために、当選無効訴訟を検察官から起こしたというような事例はなかったのではないかというふうに記憶しております。で、現実にそういう事件がございますれば、もちろん、ただいまの訴訟関係三者の協力によって、なるべく審理を早く実現するということでいたすわけでございます。しかし、そういたしましても、刑事事件でございますので、それは、その一審判決に不服な者は、やはり二審でもう一度自分の不服の理由を言って調べてもらうという利益を——これは重大な利益でございますので与えなければならない。そういうことで、二審、三審という制度は、これは動かせない制度だと思うのでございますが、そういうことで、一審でかりに百日裁判の線で実現いたしましても、さらに二審、三審ということになりますが、それぞれ二審、三審において迅速に裁判を言い渡して、そして公職選挙法に規定するそういう迅速裁判の線をなるべく早く実現するということにつとめるほかはないというふうに考えております。
  26. 多田省吾

    多田省吾君 内海刑事局長お尋ねしたいのですが、現在の政治資金規正法に関して、いわゆる政治資金規正法違反の疑いで取り調べに当たられたことが、現在までどの程度あったかどうかですね、そして自治省当局においては、政治資金規正法報告は受けるけれども取り調べは絶対やらないんだと、こういうことを言っているわけですね。ほんとうに警察庁当局としては、それじゃ自治省が当たられないなら、この政治資金規正法の違反に対してはどういう方向で受り調べをなさろうとするのか。この前のLPG事件等におきましても、確かに一人ではありましたでしょうけれども政治資金規正法違反というような疑いで取り調べを受けたということも事実あったわけですから、その政治資金規正法の違反に関してはどういう過去の歴史があったのか、またこれから現在もどういう方向で取り調べに当たられようとするのか、その点をお伺いしたいと思います。
  27. 内海倫

    政府委員内海倫君) まず、政治資金規正法の違反に対しましての私ども捜査についての考え方を申し上げたいと思います。  先ほどからもいろいろ大臣からも御答弁申し上げておりますように、公正な選挙を行なう、そのための政治資金規制ということでこの規正法が定められておるわけでございますけれども、やはりその届け出、要するにだれがどういう額をどういうふうにして政治資金寄付したかという問題については、届け出によって官庁側は承知いたしておるわけでございます。いわばそれは行政的に措置をされておるものであります。したがいまして、捜査当局といたしまして、その届け出自体があるいは、たとえば先ほどのお話のように届け出ておるものが法律上要件を欠いておるものであるかどうかというふうなことを一々内偵し捜査をするというふうなことは、とうていできるものでもございませんし、またそのこと自体一つの行政的に処理され、さらにそういうふうな資金を寄付する人たちの良心というものにまって初めて的確が期せられるものと思うのでございます。といって、私どもは、政治資金規正法に当然違反しておるものを放置しておくということも許されるべきものでございませんので、そういうふうな事実があれば、これに対しては捜査を的確にやっていかなければならない。されば、そういうふうな資金規正法の違反容疑というふうなものはどういうふうな形で出てくるものであるかということでございますが、あるいは行政当局からの告発というようなこともございましょうし、あるいはまた多くの投書等の中からそういう容疑が出る場合もございましょうし、また公職選挙違反等を捜査いたしておる過程において政治資金規正法の違反というものも出てくる場合もあろうと思います。まあ私どもが経験的に見ておりますのは、そういうふうな過程を経て政治資金規正法違反というものが捜査の線上にのぼってくるものと、かように考えております。また、そういうふうな形で捜査に入るのが私どもの一番適切な方法であろうと、かように考えております。そこで、今日まで大体どのくらいの規正法違反というものが行なわれたかという御質問でございますが、きわめてその違反として処理したものは少数でございまして、いま私手元に統計の数字を持っておりませんが、記憶いたしております範囲でも、きわめてその事件は少ない数であるというふうに考えます。これは、やらないということよりも、いま申しましたように、公選法違反というふうなもののように、いろいろな情報あるいは内偵というふうなことによって行なうものと違まして、先ほど言いましたような形で行われる捜査である、こういうことからもそういう点は言えるんじゃなかろうか、こういうふうに思います。
  28. 多田省吾

    多田省吾君 参事官に一間お願いしたいと思いますが、この前のLPG事件におきましても、やはり政治献金、あるいは収賄問題、あるいは政治資金規正法違反問題等が起こりまして、そのことに関しまして二つお伺いしたいと思うんです。  もし、日通事件に関連しての行くえ不明の数億円のお金の中から、政治資金規正法による報告がなされていない政治献金がなされていると判明した場合は、それがほんとうに政治資金規正法違反にそれだけでなるかどうか、もし贈賄等にからんでいなかったら罪にならない場合もあるのかどうかですね。  それから第二点は、たしか法務大臣は、もし政治資金規正法による政治献金届け出があったとしても、ある場合においては収賄、贈賄になり得るというお話もあった。その点に関してはいかがでございますか。  この二点をお伺いします。
  29. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 第一の点からお答えすべきかと思いますが、まず第二の点の届け出であっても、実体が収賄、贈賄の対象となる、わいろに当たる場合があるということを従来法務省は述べてきておるわけでございますが、その点はどうかという点につきましては、全く同じように考えております。あくまでもものごとの実体いかんによって決すべき事柄であるというふうに考えております。  それから、最初お尋ねの点につきましては、これは私が答弁にちゅうちょするとか、そういうことでは決してございませんで、今後捜査がどういうふうに進展するかということは、私どもはその捜査内容、それから証拠内容等承知しておりません。で、それがお尋ねのように、たとえば政治資金規正法違反あるいは公職選挙法違反等が成立するような事実関係にあるのかどうか、このような点を全く承知しておりませんので、そういう点についての仮定された御質問のようにお伺いしたのでございますが、この点についてはいまの段階ではお答え申し上げにくいということでございます。ただ一般的に言えますことは、かりにそういうような犯罪事実が判明した場合においては、検察当局としてはそれなりに的確な処理をするというふうに承知しております。
  30. 多田省吾

    多田省吾君 私は、内海刑事局長並びに吉田参事官に対する質問は全部終了いたしました。
  31. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 速記を始めて。
  33. 多田省吾

    多田省吾君 自治大臣お尋ねしたいんですけれども、永久選挙人名簿に関しましてたびたびこの委員会の席上において御質問したわけでございますけれども、きょう何ですか、自民党選挙制度調査会において、永久選挙人名簿の年四回の登録の点だけを切り離して案を出すことに決定して、そうして十二日の閣議で決定次第法案を提出するというようなお話を聞いておりますけれども、もしお差しつかえなかったらですね、まあ、六月登録になりますと、七月七日の選挙と仮定しましても、非常に日にちも切迫していることでもあり、もし六月の三十日までかかるような登録でございましたらば、非常に選挙にも支障が起きると思いますけれども、どういう線で臨まれるか、お差しつかえなかったら御答弁願いたと思います。
  34. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 今度は、公選法の改正は先般の選挙制度審議会の答申を受けていたそうと思っておりましたけれども、なかなかその自民党内の議論は尽きませんが、しかしもう間もなく提案できると思いますが、当初は、永久選挙人名簿も、次の参議院の改選には当然有権者になるべきはずの人が、この年二回の登録をやっておりますとこの六月には間に合いませんので、まあどうにもならなければこれだけを切り離したいという考え方を持っておりました。政府並びに与党の部内でも、この問題について検討いたしておりました。どうもおくれそうでございまするので、いまの段階では、これだけでも少なくとも間に合わせたい、こういう考え方になっております。
  35. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) いま大臣からお話がありました内容の中で、名簿の確定は従来の考え方で三十日かかっておりますが、選挙管理委員会のほうとも御相談いたしまして、六月二十日に名簿確定するということで、決定期間並びに縦覧、異議の決定期間というものを十日間縮められるようになりましたので、六月二十日に確定するということで案を立案しております。
  36. 多田省吾

    多田省吾君 きのうあたり各党が了承して、七月七日に参議院選は大体きまったようなことでございますけれども、それに対してやはりいろいろ準備もありましょうし、関係法案の整理も必要であろうと思われますけれども自治省当局としては、やはり七月七日の線ですべての準備をこれからしていくと、そして永久選挙人名簿に関しても、一体それが選挙に間に合うという準備が整っているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  37. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) われわれは、いまの選挙法のもとにおきましても、六月二十四日から二十八日までの間に投票日がきまるということがもう確定しておったわけでございますので、それを目途にして諸般の準備を進めておるわけでございます。まだしかしながら例の予算の成立を見ておりませんので、つまりポスターとか啓発事業との関係においては立案の段階でありまして、計画は予算が通過いたしましたときにそれに合わせて逐次実行に移していく、こういうことで段取りをきめて準備をしております。
  38. 多田省吾

    多田省吾君 次に私は、選挙の啓発の費用というものが常時啓発費とかあるいは臨時啓発費とか出ておりまして、補助金ないし国庫負担金となっているわけでございますけれども、この啓発費はどのように出され、またどのように使われているか、またどういう団体に流れているものかを具体的にお述べを願いたいと思います。
  39. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 啓発経費は常時啓発と臨時啓発に分かれております。常時啓発は、四十三年度計上いたしましたのは四億七千二百二十一万一千円でございます。これは都道府県、市町村、それから公明選挙連盟、明るく正しい選挙推進全国協議会、それから自治の本省というようなところで使うようになっております。それから参議院選挙のために、通常選挙のために、臨時啓発費といたしまして四億五千万円を計上しておりまして、ただいま申し上げたような団体を通じて啓発事業を行なう、こういうことになっております。
  40. 多田省吾

    多田省吾君 臨時啓発費は市町村に行っておりますか。
  41. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 臨時啓発費は市だけでございます。
  42. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、常時啓発費といい、臨時啓発費といい、同じく選挙の啓発費として、常時啓発費が四・七億、臨時啓発費が四・五億と、同じように支出されているわけでございます。それで、選挙の啓発啓蒙に関しては何ら差別がないのでございますから、何も臨時啓発費を市までとして町村に与えないという理由は成り立たないのじゃないか。むしろ町村こそ住民と最も密接に関係できる分野ではないかとこう思います。なぜ町村に臨時啓発費が行かないのか。
  43. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 臨時啓発費は、通常選挙を目途として行なわれるわけでございますので、これは主として放送に二億程度上げまして、あとは府県、市につきましては、いわゆるポスター等を中心に、あるいは新聞広告、あるいは放送委託、こういうようなことで直接目的として支出されます。それからまた、投票の当日におきましては、いわゆる棄権防止といいますか、こういうことで広報車等を巡回せしめるわけでございますが、町村の部分につきましては、その車等も十分でございませんので県が代用いたしましてかわってそういう仕事をやるということにいたしておりますので、そういう関係で、委託費につきましては、市の分は市独自で広報車等をやっていただく、こういう関係にありますので、現実の問題として、町村で広報車を借り上げ、各町村ごとにそういうことをやるということは、事実問題として不可能、あるいは非常に困難、効果の面からも適切でありませんので、従来から、そういう町村に特に臨時啓発の場合には委託費を出すということをしておらないわけでございます。
  44. 多田省吾

    多田省吾君 まあ大体その面もありましょうけれども、やはり一般住民と最も接触できる町村においての選挙の啓発啓蒙というものが非常に効果的であると思いますし、また重大だと思いますので、私は、この際臨時啓発費もやはり町村にまで及ぼすべきであると、こういう方向が望ましいと、こう思いますけれども選挙局長としてはどう思われますか。いままではいままでとして、これからの姿勢としましては。
  45. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) この経費の実際の使い方からいたしまして、私は従来のほうがより合理的ではないかといまでも考えております。
  46. 多田省吾

    多田省吾君 じゃお聞きしますけれどもね、啓発費というものが、選挙局長はちょっとこまかい点まで先ほどおっしゃいませんでしたけれども、具体的にどういう団体に支給されているのか、はっきり幾らでもありませんのでお述べ願いたいと思いますけれども
  47. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 団体は、先ほど申し上げましたとおり、公明選挙連盟と明るく正しい選挙推進全国協議会でございます。
  48. 多田省吾

    多田省吾君 で、次にお尋ねしたいのは、公明選挙連盟または明るく正しい選挙推進全国協議会ですか、現在どのような運動をやって、どのような効果をあげているのか、なるべく具体的にお話し願いたいと思います。
  49. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 公明選挙連盟におきましては、主といたしまして啓発関係機関、具体的には都道府県の選挙管理委員会、都道府県にございます明るく正しい選挙推進都道府県協議会、こういったものが現実に有権者に対して啓発活動を行ないます場合の資料をつくるのが主体でございます。そのほかには、新有権者の研修会等を毎年やっております。それから選挙ごとに、各投票区におきますところの有権者の選挙に対する意識といいますか、こういうものの事後調査等を行なうのが、公明選挙連盟の主たる仕事でございます。それから、明るく正しい選挙推進全国協議会におきましては、各都道府県、各市町村にございます推進協議会を総合いたしまして、その指導機関といたしまして具体の実践活動を行なっております。具体的には、指導者研修を中心に行なっております。都道府県における第一線の推進員の指導者、それから全国段階におきますところの中央セミナーといいまして、各都道府県における中心的人物の研修会、こういったものを中心に行なっておりますし、それから「私たちの広場」という啓発関係の小冊子を毎月発行いたしまして推進の手引きといたしております。それから選挙にあたりましては、たとえば参議院選挙のための標語の募集、それから新有権者の作文募集といったようなことで、有権者への選挙に対する関心を深めてもらう、こういったことをやっております。
  50. 多田省吾

    多田省吾君 いま選挙の啓発としまして、常時啓発費または臨時啓発費とを合わせて九・二億円もの多額の金額を使って啓発しているわりあいには、非常に効果が少ないのじゃないか。特に、明るく正しい選挙推進協議会ですか、そういった協議会の、この前も啓発事務担当者研究会というものが行なわれたそうですが、そこでも、なかなか効果があがらない、マンネリ化しているということで、検討も行なわれたようでございます。事実、民間の団体とはいいながら、事実は選管の手によってつくられたような姿もございますし、また自分がほんとうに推進員であるということさえも知らない人もいたということもあります。そういった効果のあがっていない姿でこのような多額の国費が使われているということは、これは大きな問題であろうと思います。自治省あるいは選管においては、はたしてそういった啓発に対してどのような監督をしておられるのか。また、いまはテレビ、ラジオ、新聞等マスメディアが非常に豊富でございます。そういったもっと国民が納得できるような方法で効果的に啓発できる、啓蒙もできる分野が多いのではないか。たとえば永久選挙人名簿の登録にしましても、非常に登録する人が少ないというようなことも、やはりこういった運動が実を結んでいない証拠ではないかと、こう思うわけです。自治大臣として、先ほどから啓発費の問題で質問しておりますけれども、こういった声が事実あるわけですから、こういったことに対してどういうお考えをお持ちなのですか、お答え願いたいと思います。
  51. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 今度の予算の確保にはずいぶん努力したわけでございますが、御期待に沿うように有効な方法を十分考えて努力いたしたいと、かように考えております。
  52. 多田省吾

    多田省吾君 選挙局長はどうでしょう、具体的に何か考えておられますか。
  53. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) この運動は、戦後昭和二十七年からやられておるわけでございますけれども、いろいろ具体的には、たとえば市町村段階における話し合い運動というものを中心に相当やってまいりました。ただ、もう少し実践的なものを加味したほうがよかろうということで、たとえば、すでに、あるいは熊本とか、あるいは大分のある町村では行なわれておるのでございますけれども、いわゆる平たく言えば、いろいろな、酒を飲まない運動、あるいは花輪をいただかない運動というのも、部落あるいは地区ごとに行なわれているところもだんだん出てまいりました。私たちは、そういう実践的な具体の問題として、地区、町という点で解決していくほうがよくはないかというので、そういう面も本年の重点事項としてやっていただくように企画をされておるわけでございます。また、御指摘のマスメディアの発達でございまして、この点は全く同感であります。したがって、われわれも、主として目で訴えるテレビというものを通じまして、たとえば名簿の登録の問題も、やがて法律が可決いただきますれば直ちにのせられるような準備態勢を現在とっておるわけでございまして、そういう方面で今後啓発のほうに重点を置いていきたい、こう思っておる次第でございます。
  54. 多田省吾

    多田省吾君 大臣に先ということでございますから、最後に政治資金規制法に関しまして一点だけお伺いしたいと思います。  現在の政治資金規制法において非常に不備がある。またいろいろ逃げ道があるということにつきまして、先ほども申し上げたとおりでありますけれども、特にいま、昭和四十二年度の上半期下半期等届け出内容につきまして批判があることは、非常に正体もわからない収入源もありますし、また支出においても非常にずさんではないか。たとえば、最近においては、国対費なんかも、執行部に何千万円と、こういった形式で渡されているということが今度の届け出でわかったわけですよ。また、一ぺんに料亭に三百万あるいは二百五十万円というような姿で払われているということもあります。あるいは、昭和四十二年度の上半期においては、自民党においては五千三百四万七千二百九十七円が会議及び食糧費になっておる。そういう明細も、ほとんど料亭に支払われておりますけれども、そういったことに出ておるということに対して、国民は、ほんとうにそういった真に、自治省がいままで言うように、政治に対して必要な政治資金なら、もっと効果的に使ってもらいたいと国民が念願しているのに、こういうずさんな使われ方をするということは、非常におかしいのではないかという不満もだいぶあるわけです。特に国対費のごときは、一体執行部が何千万円もらって、その先どのように使ったのか、またある場合には二百万、三百万とまとまって派閥からいろいろな形で金が渡されているわけですけれども、その使用明細さえも全然わからない、こういう意見もあったと存じます。担当大臣として、いままでの政治資金規制法が通用する限りは、そういった点がますますはなはだしくなるのではないかと考えられますけれども、いかが思われますか、この実態。
  55. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 収入だけでなくて、支出の面もやはりこれは明らかにすべきものであると、かように考えておりますが、なかなか、明らかにと申しましても、やはりそれぞれ党にも事情もあるわけでございまして、しかしながら政治資金規制いたします上に一番大事なことは、やっぱり資金がガラス張りの中で行なわれるという形にすべきことが望ましいということは、言うまでもありません。そういった問題につきましては、十分検討いたしまして、前向きの解決をはからなければならぬと、かように考えております。
  56. 多田省吾

    多田省吾君 最後に一点だけ。この前お伺いしましたいわゆる三月の永久名簿の登録につきまして、四月の中旬に大体の数がわかるだろうというようなお話がございましたけれども、まだわかりませんかどうか。
  57. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 各県に対して照会に出しておりますが、目下のところは判明いたしておりません。ただ、三月期等におきまして補欠——いろいろの各市町村の選挙等がありました場合におきましては、名簿登録の繰り延べという事態もありますので、若干おくれるのじゃないかと思いますが、もう選挙が大体間近に迫っておりますので、できるだけ早くまとめたいと思っております。
  58. 秋山長造

    ○秋山長造君 三点お伺いします。  まず、第一点は、御承知のように、最近交通規制が非常に全国的に徹底をした関係で、どこの都市に行きましても、駐車禁止地域というものがもう非常にふえておるわけなんです。特に選挙という面からいいますと、およそ街頭演説に適当な場所というものは、もうすべて駐車禁止区域になっておると言っても言い過ぎじゃないと思います。これは選挙運動の面から言うと重大な障害になると思うのですがね。これに対しては、短期間のことでもありますし、政府として何か例外的に配慮さるべきではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  59. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 午前中もこの質問がちょっと出ました。しかし、そのとき私は、とにかく政見を発表するのに至るところ駐車禁止になっておってはどうにもならぬじゃないかといったことに私同感いたしましたので、よく調査いたしますと申しましたが、調べましたら、ちゃんとうまくできておるわけでございまして、ただ交差点だとか、いろいろな法律的にきめられておるところは別でございますが、その他のところでは、もう候補者の皆さんが御心配にならぬでもいいようなことになっておる。せっかく交通局長が出席しておりますので、具体的に説明をいたさせます。
  60. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 御質問の公安委員会規制して最近非常に駐車禁止の場所を指定しているところが多いのでございますが、この公安委員会が駐車禁止を指定した場所でありましても、警察署長の許可を受けたときには駐車することができることになっておりますので、街頭演説には支障がないというふうに考えておる次第でございます。  なお、この選挙用自動車に対する許可の運用につきましては、選挙運動の特殊性にかんがみまして、選挙運動に支障のないよう十分配慮するように指示いたしております。
  61. 秋山長造

    ○秋山長造君 道交法の四十五条におっしゃるような規定がありますが、ただ、その所轄警察署長の許可を受ければいいとおっしゃるのですけれども、たくさんの警察署があって、それで選挙自動車が一分一秒の余裕もなしに回っておるわけでしょう。一々その行く先々の警察署長のところで許可を受けるわけにいかぬのですが、それ何かこう統一をした、一まとめにしたような何かあるのですか。この県なら県の公安委員会の許可を受けておけば、手続を何かしておけば、それでもう全県下通用するというようなことになっておるのですか。その点もうちょっとこう具体的な内容をお伺いしたい。
  62. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) これはもう選挙に関しては自由にどこでおとめになってもけっこうでございます。それは交通局長名で全国の都道府県の警察本部長に通達をいたします。ですから、一々所轄警察に伺いを立てるなどというようなことは不必要でございます。
  63. 秋山長造

    ○秋山長造君 その局長通達を事前に出されるわけですね、これから。そうしますと、これ、何かもう通達を出すということだけで効果があるのですか。やっぱり候補者が、立候補の届け出をするときに何か書いたものを一札もらうことになるのですか。どういうことになるのですか。
  64. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 法規的には四十五条で警察署長の許可を受けるということになっておりまして、従来、私が先ほど申しましたように、運用上の特殊性——運用上は選挙運動に支障のないようにということで、この取り扱いについては、実を申しますと、各県まちまちでございます。しかし、いずれにいたしましても、この許可につきましては、もうこの道路の使用の七十七条の精神から申し上げまして、「公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき」にはもう許可しなければならないということになっております精神をくみまして、その方法につきましては、若干各県で差異がございますけれども、支障のないよう十分配慮したいと思っております。
  65. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや、その点を私は聞いておるのじゃないのです。全国的に選挙運動に支障のないようにやっております、また、今後もやりますと一方でおっしゃれば、片一方では、運用については各県まちまちですからと、こうおっしゃるのですね。まちまちになるので困るのです。ここでは自由にやってよろしいと一応受け取れますがね、いま大臣なり、あなたがおっしゃった。ところが、各県によりまたは警察署によってまちまちな運用ということになりますと、困るから、だから、その支障のないようにするならするで、全国一律でそれやってもらわぬと、趣旨はそうであっても実際には現実に取り締まる警察署長はそれぞれ自分の権限でまちまちなことをやられたのでは困るから、だから差しつかえないようにします、してありますというのは、どういうふうにされるのか。いきなり候補者の車が飛び出してどこでも適当にとまって自由におやりください、これで徹底するのかどうか。
  66. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 先ほど、若干県で差異があると申し上げましたが、この期間に統一的な取り扱いをするように指示をいたしております。
  67. 秋山長造

    ○秋山長造君 その指示はあなたのほうからもう一方的に指示されるだけで、それでもうすぐ効果が発生するのかどうか。候補者の側から言うと、取り締まりを受ける側から言うと、自由にやってよろしいのか、それとも何か許可証か何かまとめたものを県の公安委員会届け出のときにもらって、一札いつもふところに持って歩くのかどうかということを聞いておるのです。
  68. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 方法につきましては、この機会に十分検討いたしまして、いずれにいたしましても、選挙運動に支障のないよう措置いたしたいと思います。
  69. 秋山長造

    ○秋山長造君 じゃ差し迫った参議院選挙には間に合うように十分具体的な措置をおやりになる、こう了解してよろしゅうございますか。  では、第二点といたしまして、選挙管理の機構の問題について若干大臣に御所見を承りたいと思います。一局削減という趣旨でしょうが、選挙局が廃止されることになるわけですね。私、選挙局から頼まれて存置運動をやるわけでも何でもないのですよ。ただあの一局削減という政府の趣旨も、一般論としてはわからぬことじゃありません。ただ、選挙の場合は、今日、どの階層の人から聞いても、あるいはどこの地域へ行って聞いても、選挙管理委員会を縮小しろとか、選挙局を、あんなものは要らぬから廃止しろとかいうような話は、声は全然ないと思うのです。むしろ逆に、選挙管理委員会というものをもっと充実すべきだ、それから同時に、選挙局をもっと拡充して整備すべきじゃないか。たとえば政治資金届け出なんかにつきましても、先ほども大臣の御答弁がありましたように、いまのところでは、ただ自治省届け出たのをそのまま口移しに公表するだけで、内容の審査なんかの権限は一切ないのだ、こういう御答弁だったのですが、ところが、一般の世論は、その程度の形式的なことではだめだ、だから、もっと自治省が権限を持って内容の審査まで及ぼすべきじゃないかというくらいな声のほうが強いですね。だから、どの面から考えても、選挙局をなくしろとか、選挙局を縮小しろとか、あるいは選挙管理委員会を小さくしろとかいう声はないばかりでなしに、逆の声がとうとうたる世論だと思うのです。そういうときに一体自治省の中で特に選挙局だけを廃止しなければならぬ——廃止ということは、廃止しても実質的には変わらぬとおっしゃるかもしれぬけれども、変わらぬのなら廃止せぬでもいいし、廃止する以上は、それはやはり縮小という効果があるから廃止されるのだろうと思うのですが、ちょっといまの時代の要請というものと逆行しているのじゃないかという印象を持つのですが、いかがですか。
  70. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) この点については全く同感でございます。おっしゃるとおりであると思います。ただ一省一局削減などという手荒い方針を政府が打ち出したものですから、自治省はたいへん困ったのであります。私は、わが省はたった四局しかない。ほかの各省の場合を見ると、あの役所だったら、二、三局減らしてもよさそうだと思うところがあるのですけれども、私のほうは全くこれには困りましたけれども、しかし、もし一局減らすとすれば、他は行政局、財政局、税務局でございまして、仕事の内容、また各局のかね合いから申しましても、どうしても、そうなると縮小するという意味でなくて、選挙局を名前だけは格下げみたいなことにならざるを得ぬようなことに、部内でなってしまったわけでございます。考え方としては全く秋山さんに同感でございます。
  71. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや、これはそういうことをおっしゃるのなら、むしろ国民立場から言えば、税務なんか縮小したらどうですか。まあしかし、税務は税務でそんなことを言うてもらっては困るとおっしゃるでしょうから、税務のことまで言う必要はありませんけれども、しかし、それにしてもただそういう御都合で便宜的に、これだけ国民的な大きな背景を持ったものを簡単に、役所の都合というよりも、ただ自治大臣の閣議での顔、申しわけですね、まあ、自治省もひとつつき合わなければちょっと顔が立たぬからという意味にもとれる、いまのおっしゃるところは。そういうことで、これだけ大きな選挙というもの、民主政治の根幹でしょう。いつもそうおっしゃっておるのですけれども、どうもそれで常時啓発とかなんとかいうことをしょっちゅう言われて、選挙関係のある犯罪か何かあらゆる問題で選挙関係の記事の出ない新聞というものはないくらい、毎日どこかで何かの形で選挙関係したことが出ているくらいですね。そういうときに、御趣旨は賛成だけれども、まあおつき合いでというようなことはわれわれちょっと了承できぬのです。  それから、全国どこを歩いてもずいぶん選挙管理委員会なんかの関係じゃ非常に憤慨していますよ。大臣、それお聞きになっていると思うのですけれども、むしろやっぱり、憲法調査会あたりでも高柳さんその他から、たとえば第四権として——立法、司法、行政に対する第四権として選挙民権というような話すら有力な意見として出たようであります。その具体的な機構をどうするかということは別としても、趣旨としてはそのくらいの比重を持った問題だと思うのです。いまの問題の政治資金規正の問題なんか一つとって考えても、これはいまより小さくしてよろしいということにはならぬと思うのです。これ、いまからでも考え直すということはできませんか。
  72. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) もう閣議決定を経たわけですが、しかし、これは選挙局を一応看板の面では格下げしたことになるかもわかりませんが、これを縮小して、いまでさえふくそうしている事務がなお能率が低下するなどというようなことは決していたしません。ただ、局が部になるわけでございますけれども内容、また努力などはさらに倍旧の努力をいたすつもりでございますから、その点よろしく御了承をお願いいたします。
  73. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ、これ、水かけ論みたいなことになりますけれども、そういうことなら、何も特に選挙局でなくても、行政局でも税務局でも財政局でも、ほかのところをやめてもいいわけですね。看板が変わるだけで内容は倍旧というのでしょう。旧に倍するというのですから、何もそんなことをする必要は全然ない。だから、まあ多くを言いませんけれども、いずれにしても、これは全く理屈も通らぬし、これはかっこうから言うても、内容から言うても、全く話になりませんね。これはほんとうに倍旧でやられるのですか。
  74. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そういう心がまえでやるつもりでございます。
  75. 秋山長造

    ○秋山長造君 これに対しては私ども非常に不満を持っております。まあ、不満というか、反対です。そういうやり方は、これはもう話にならぬ。大臣自身が確信のない、自分がよくないことだということを認めた上でやっておられるのですから、だから、われわれが納得するはずはない。  その問題はまあその問題として、いまの当面としては、おっしゃるとおり、看板は変わっても内容は旧に倍して充実していくのだということでまあつないでいくよりしようがないので、そのとおりやっていただきたいと思うのであります。  もう一つ、根本的な考え方として、選挙関係した、あるいは政治団体関係したいろんな事務というものがますます重大になってくるわけですが、むしろ独立した委員会ですね、たとえば国家公安委員会のような、そういう、政府からある程度独立した権限を持った委員会というものを、機関をつくって、そしてそれでずっと都道府県、市町村、こう、系統的にやっていくというやり方というものについて御研究になったことはございませんか。
  76. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) もちろん研究もいたしましたけれども、そうしたからといって、特にメリットがあるわけではありませんし、いままでのようなやり方で、さらに先ほど申しますように、選挙に関しまして局で扱っておる仕事を、なお倍旧ということばも適切じゃないかもわかりませんが、御期待に沿うような処理また努力をしていきたいと考えます。
  77. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ、大臣は簡単に、たいしたメリットはないとおっしゃるかもしれぬが、だけれども、やはり選挙ということをほんとうに考えていかなきゃならぬということになりますと、やはり、ただ看板を書きかえて局を部にするという方法でなしに、やはりそう一口におっしゃらずに、もっといまのやり方をもう一歩改善をして、よりいいものにしていくという心がまえで、もう少し本気で御検討になったらどうですか、それだけの価値はありませんか。
  78. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 何か弱腰で、すぐに選挙局をつぶすことにかかったような印象を持たれちゃたいへん困りますが、一省庁一局削減の方針がきまろうとしました際には、自治省の場合ずいぶん反対もいたしました。反対もいたしましたけれども、しかし、まあ政府部内にもいろいろな事情がございまして、どうしても一局削減ということになりますと選挙局を選ばざるを得なかったということでございます。ですから、まあ秋山先生の言われることはたいへんありがたいと思います。百万の味方を得たような感じがいたしますけれども、しかし、政府としてはそういう閣議決定をいたしまして、そういう方針でやることにいたしましたので、決して国民の皆さんに御心配をかけないように、とにかく格段の努力をいたしますから、ひとつお認めを願いたいということを申し上げるよりほかないわけでございますから、そこはひとつ御了承をお願いいたします。
  79. 多田省吾

    多田省吾君 最初ちょっと残った質問がありまして、それが終わってから執行経費に関する質問を一つだけやらしていただきたいと思います。  実は政治資金規正法三十条に「この法律の執行に関し必要があると認めるときは、自治大臣は都道府県の選挙管理委員会を——それぞれ指揮監督することができる。この法律の定めるところにより届出又は提出があった届出書類又は報告書に関し、調査上必要があると認めるときも、また同様とする」とございまして、三十一条には「中央選挙管理会又は都道府県若しくは市町村の選挙管理委員会は、この法律の執行に関し必要があると認めるときは、政党、協会その他の団体又は関係人に対し、報告又は資料の提出を求めることができる」、こうあるわけですね。先ほどの質問に関連するんですけれども、どうも昭和四十二年度の上半期の支出先を見ましても、国会対策費何千万円、執行部というのは、ちょっと内部機関でございますし、所要の報告事項を満たしてないんじゃないかとどうしても思うわけです。そういった報告事項、報告すべき事項を満たしていないときは、自治大臣は都道府県の選挙管理委員会を指揮監督して、報告または資料の提出を求めることができるわけです。こういった報告または資料提出を求めるという指揮監督権を発効するつもりはないですか、いまのような、全然所要の事項を満たしていないようなことの報告に対しても、そのままにしておくということはおかしいと思うんですね。
  80. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 御指摘の支出の面におきましては従来からああいうような報告を受けているようでありまして、したがって、いま直ちにこれをもとにしてあれを変える、云々するということは考えておらないわけでございますが、大臣も先ほど申し上げましたとおり、支出の適正化という面から検討を別途いたしまして、適正なものにいたしたい、こう思っております。
  81. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、大臣としてそういう要求することはないのですか。
  82. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 格別ございません。
  83. 多田省吾

    多田省吾君 それでは、もう報告された事項は全部完ぺきなものとして自治大臣はその報告を受け取っているわけですか。
  84. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 完ぺきということが当たるかどうかわかりませんけれども自治省としては一々の金額についてそれぞれ照会したり点検したりはいたさないのでございまして、ですから、これはざっと届け出を見ました場合に、計算が合わないとかおかしい、まあ誤記だとかいろいろなこともあるわけですから、これは間違いじゃありませんかぐらいの注意はいたしますけれども、根っこから洗ってみると、そういうことはいたしておりません。
  85. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  86. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、国会議員選挙等執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  本案に対し質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  87. 多田省吾

    多田省吾君 執行経費に関連して、一間だけ質問したいのですが、この前は、いわゆる三十四日間にわたっての執行経費だということを伺いました。まあ、その期間ではちょっと少ないのじゃないかということを申し上げましたけれども、不満ではございますが、それなりの答弁があったわけです。いまお伺いするのは、残業の問題ですけれども、立ち会い演説会等においてはどうしても九時ごろまでかかる日が非常に多いわけです。こういったいわゆる人夫賃とか、そういった費用は上がっておりますけれども、残業等に伴う事務費等はいままで非常に窮屈でありましたし、また、いまでも上がっておりません。この点に関してどのように考えておられるのですか。
  88. 降矢敬義

    政府委員降矢敬義君) 立ち会い演説会の経費につきましても、要するに、主たるものは超勤になるわけでございまして、したがって、今般ベースアップに伴います超勤単価を改定いたしまして、それでまかなっていただく、こういうふうに考えております。超勤につきましては、事務費も入っておりますし、それから投開票それぞれの事務費も入っております。先般申し上げましたとおり、この経費は補助金と違いまして、一つの基準経費でありまして、中の使用はある程度弾力的に使うことが認められておりますので、われわれはそういう考え方で、主として立ち会い演説会の問題は超勤のかっこうでベースアップに合わしてみた考え方をとったわけでございます。
  89. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認め御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採択に入ります。国会議員選挙等執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  92. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議がないと認め、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十九分散会      —————・—————