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1968-05-07 第58回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月七日(火曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     佐野 芳雄君  四月二十六日     辞任         補欠選任      内田 芳郎君     塩見 俊二君  五月六日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     内田 芳郎君      佐野 芳雄君     沢田 政治君      高山 恒雄君     片山 武夫君   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委 員                 石井  桂君                 大森 久司君                 栗原 祐幸君                 小山邦太郎君                 村上 春藏君                 沢田 政治君                 田中  一君                 片山 武夫君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        建設省都市局都        市再開発課長   森田 松仁君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○都市開発法案(第五十五回国会内閣提出)(継  続案件) ○都市計画法案(第五十五回国会内閣提出、第五  十八回国会衆議院送付) ○都市計画法施行法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る四月二十六日、内田芳郎君が委員辞任され、その補欠として塩見俊二君が選任されました。また昨六日、塩見俊二君及び高山恒雄君が委員辞任され、その補欠として内田芳郎君及び片山武夫君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  先ほど報告いたしました内田君の委員異動に伴い、理事が一名欠員となっております。  この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事内田芳郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 都市開発法案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 田中一

    田中一君 現行市街地改造法並び防災建築街造成法、この二つ法律案をミックスした形において、今度の再開発法が提案されておりますが、三十六年の前の二つ法律案の制定のときに、十分に審議の過程でこのような性格のものが二つに分かれているところのふしぎさと申しますか、不合理性というものを追及したものでありますが、その後今日八年たってこういう一緒になった形の法律案になったという理由ですね、建設省反省というか、それから地方におきますところの実態からくるところの考え方を率直に披歴していただきたい。これは竹内局長にしても当時はこれに関係しておったかどうか、あるいは建設大臣にしても詳細は知らないと思いますがこれは当然建設省としての態度として率直にこの点を披歴していただきたいと思います。
  7. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 防災街造成事業法市街地改造法というのは、ときを同じくして両法案ができたわけでありますが、その後の実績を見ますると、市街地の中で相当やはり中層化あるいは高層化なり不燃化というものが進んでおりまして、しかもそれがばらばらの形で行なわれた、何とか計画的な市街化をしたい、または再開発したいというのが、私どもの気持ちでありました。そのためには、片一方におきまして改造法はやはり道路その他の公共施設に関連しなければできないというような形になっておりまして、しかもそれが道路管理者である公共団体しかできないという形になっておりまして、何とか事業対象なりあるいは事業主体を広げていく、こういうことをやってまいらなければ計画的な再開発はとてもできないんじゃないか、公共団体だけではできない。さらに防災街区のほうにおきましては、やはりこれも相当行なわれておりますけれども、なかなか反対者がおりまして、まとまらないとできないというような事態がございまして、組合施行におきましても、何とか一部の反対者を押し切って事業ができるようにしてもらいたいという声が、事業施行の段階から出ておるわけでございます。したがいまして新しい第三の方式と申しますか、権利変換による処理ということを新しく考えると同時に、従来から行なっております市街地改造なり防災街区の事業もこの法律でできるようにするという形で、いわば権利変換方式によりまして、つまり民間組合仕事ができるようにする。それから再開発対象もそういうような限られた地区以外のところにも広げよう、こういうような考え方で両法案を統合いたしまして、そうしてまた新方式を生み出しまして、新しい再開発を考える、こういうことでございます。
  8. 田中一

    田中一君 いままでのこの二つ法律案についての施行実態というものは不十分であったと、ただ権利関係云々ということは、これはなおよく工事の進行を進めるための一つ手段であって、現在までのどうしてできなかったという問題について、もっと率直に二つ法律案に分けて説明を願いたいと思うのです。たとえば七カ所行ないましたが、市街改造事業仕事というものは、この中でいままで比較的成功したといわれておるのは、兵庫県の神戸市の事業だったと思うのです。これが形成された実態というものはどういうものであったか、ということをまず具体的な説明をほしいと思います。
  9. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 市街地改造法から本法案移行をしました場合に、市街地改造の欠陥をどういうふうに克服していくかということでございますが、第一には、先ほど申し上げましたように、事業施行区域公共施設に関連した地域に限らないでもっと広くできるようにしたということでございます。  それから第二番目は、組合市街地改造事業の類似の事業をやることができるようにした、その場合に、収用によることなく私有土地を買い上げますので、権利変換という形でこれを行なうということにした、そういうことによりまして、民間の力で市街地の再開発が進行できるようにしたという点が第二点でございます。  第三点は、工事着手前に、従来でございますと土地を買って建物を建ててから権利希望者に対して床を与えるわけでございますが、今度は工事着手前権利変換を行ないまして、しかも地上権共有持ち分を登記できるようにいたしまして、それと新しくでき上がります建物権利というものを法律上セットさせまして、そして建築工事前におきましても換価したと、あるいは担保に供することができるようにしたわけでございます。  第四番目は、従来もございましたけれども、さらに権利関係が錯綜しております市街地の中で権利の円滑な処理をはかるために、担保権移行についてより円滑な処理ができるようにすること、あるいは争いのある権利についての処理をより円滑にするというようなことによりまして、困難な権利移行を円滑にするという手法をつくったということ。  それからその他建築物管理につきまして定める規約の作成、手続について特例を設けまして、完了後その管理が円滑に行なえるようにした、およそそういうような点が新しい法律市街地改造法に対する利点と申しますか、そういう点だと思います。  それから、特に借家権につきまして、借家権保証というものを全面的に押し出しまして借家権保証というものができるようにしたこと、したがいまして、従来から問題になっておりました借家人対家主の関係が、市街地改造法よりもよりすっきりした形になった、こういうことが言えると思います。
  10. 田中一

    田中一君 神戸大橋完成されたものの量等資料でもらいましたけれども、これはひとつ詳細に説明してほしいと思います。所有権はたしか神戸市の所有だと思いますが、その資料によって説明してほしいのです。
  11. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 再開発課長から説明いたします。
  12. 森田松仁

    説明員森田松仁君) 神戸大橋地区については、この資料の七ページから一〇ページまでに掲げてございますが、まず神戸大橋地区につきましては全部完了いたしておりますが、第一地区から第三地区までに分かれておりまして、その施行面積は二ヘクタールでございます。全部で六棟のビル完成いたしております。七ページの事業経過でございますが、全地区一、二、三の地区につきまして昭和三十七年に都市計画及び事業の決定を行ないまして、第一、第二、第三地区と順次事業を進めておりまして、第一地区につきましては昭和三十八年度末に完成、第二地区及び第三地区につきましては、四十一年の三月に全部の事業を完了いたしております。  それから八ページにつきましては、各地区事業概要事業収支を掲げてございます。それでここにございますように事業概要としましては、第一、第二、第三地区はそれぞれ施行面積〇・八、〇・九、〇・三ヘクタールとなっております。公共施設につきましては、これは道路国道二号線の拡張でございます。次に、建築施設の設計がここにございますが、これにつきましては六棟のビルのそれぞれの構造、階数、建築敷地建築面積延べ床面積というものがここに掲げてございます。そこで各階主要用途でございますが、各階とも大体住宅が入っております。  それから事業収支につきましては、第一、第二、第三地区それぞれ第一地区は三億一千七百万、第二地区は二十三億三千二百万、第三地区は四億五千万、合計三十億九千九百万となっております。それにつきまして、財源と支出をそれぞれ提示してございます。  次に、九ページでございますが、従前所有者権利状況、これにつきましては各地区別土地所有者土地建物所有者借地権者借家権者、このそれぞれの人数がここにございます。それから次に各地区におきます従前所有者の業態と申しますか、建物利用状況につきまして、各業種別に分類いたしまして掲げてございます。  それから次には、施設建築物の新しいビルにつきまして、権利床保留床専用面積でございますが、それぞれの面積を出してございます。  それから一〇ページでございますが、従前土地権利配分割合、これは当事者問の同意に基づきまして配分しておるのでございますが、平均いたしますと、大体土地所有者借地権者配分割合は四対六、住宅では五対五という比が多かったのでございます。  それから八番目に、最後に掲げてございますのは神戸市有地のありました事例でございますが、これは先ほど申し上げました第一地区の中の腕塚二丁目の工区でございますが、ここにおきまして工区面積は四千六百平米でございますが、その四千六百平米のうち従前宅地面積は三千三十三平米でございましたが、そのうち七割に相当する二千百九十三平米市有地でございます。これにつきましては、ここに施行前と施行後のそれぞれの道路公共施設宅地面積を比較してございますが、道路につきましては従来千五百六十七平米のものが二千七百五十平米になっておる。宅地は三千三十三平米が新しくビルに変わりまして、その宅地分の千八百五十平米というふうになっております。なおこのうち市有地共有持ち分は三五%というふうになっております。この腕塚二丁目の工区につきましては、市街地改造事業によりまして、大体そのビルにつきましては一、二階が店舗、三階から五階が住宅ということで三十六戸建設されております。なお大橋地区全体の地区で見ますと、施行後には百九十戸の住宅が建設されております。以上概要でございます。
  13. 田中一

    田中一君 これの家賃あるいは分割、分譲した価格などは、一方建設費とその価格等をちょっと説明してほしいのです。
  14. 森田松仁

    説明員森田松仁君) 大橋地区ビル保留床価格を申し上げますが、大体店舗部分で各ビルによって違いますけれども平米五万円から十万円、住宅部分につきましては平米四万円から六万円、こういうふうになっております。
  15. 田中一

    田中一君 この価格は、これは土地価格並びに土地市有地が主であると思います。その価格推定価格と、それから民有地価格、加えて建設費というものから割り出した価格ですか、これは。
  16. 森田松仁

    説明員森田松仁君) ただいま申し上げましたのは神戸大橋地区全体の姿でございますが、いまおっしゃいました市有地のあった部分につきましては、そのうちの腕塚二丁目の工区だけでございます。この腕塚二丁目の工区に建ちました五階のビルでございますが、それの店舗部分保留床価格は四万五千円から平米五万二千円、こういうふうになっております。
  17. 田中一

    田中一君 ここに大橋地区全体でもって百九十戸の住宅が建っております。この住宅はいま言うとおり平米四万円から六万円というお話でいいのですね、住宅部分は。
  18. 森田松仁

    説明員森田松仁君) けっこうでございます。
  19. 田中一

    田中一君 そうすると、価格計算で割り出されたもの、これはむろん分譲だろうと思う、賃貸じゃないと思います。一方、第一地区のほうには公営住宅を乗せるということになっているが、これはどういう形になっているか、家賃の算定はどういう形できめているか、これは賃貸だと思う。あと分譲のほうでは四万円、六万円という価格はどの基準から生まれたかと聞いておる。たとえば地価を幾らにきめ、建設費の原価をどうきめて、それに対する権利なり何なりというものが含まれた分譲価格になったと思うのです。二十年月賦にしたか十五年月賦にしたか、それから権利のあったものにつきましては、現在もその土地権利者あるいは居住権利というものをどういうふうに見合って、あとはどのように分譲したかということを伺いたい。問題は、そういう事例というものが結論として明らかにならなければ、この方法がいいか悪いかの問題解決されないのですよ。ほしいのは結論なんです。経過の中にはいろいろな問題があろうと思う。しかしながら結論として、住宅を持とうとするものが高い住宅じゃ手に入らぬわけですから。
  20. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生おっしゃいましたような資料の数字を、私どももいまのところ持っておりませんので、ここでお答えすることはできないと思います。
  21. 田中一

    田中一君 再開発法という法律によってどういう建築物市民の手に入るかということが問題なんです。私は神戸のこのやり方については、非常によい結果になったというふうに聞いているのです。これは保利さんに伺いますが、東京で初めてでき上がったところの新橋東口は十階に住宅部分が多少あるわけです。これは七十八万円ですよ、一坪。ですから平米にすれば三分の一だ、坪にして七十八万円の家が完成後に希望者に売ろうという価格、また権利者がそれに見合う権利があった場合には、その住宅に入ったということなんです。むろん、これには地価ということが一番大きなファクターになると思うけれども、一面この場合には、四万円にすれば、三、四の十二万円ですよ、坪にすれば。したがって完成した後にどういうぐあいに市民に配分されるか、取得できるかというところに問題があろうと思うのですが、これは保利さん、神戸の場合には、いま言うとおり、十二万円から十八万円、こう言っているわけです。東京新橋東口では八十万円近いんです、一坪。むろんこれは用地費というもの、地価というものが大きくなっていると思うのですけれども。だから神戸の場合と、東京新橋の場合と比較して、実態がどうしてそういう差ができるかという点です。これを説明伺いたいと思うのです。そういうものがわからなければ、この事業がいい悪いの問題以外に、受ける市民の感情というものが、受け取り方が違うわけなんです。したがって、これはでき上がったものでありますから、聞いているんです。コストというものをどういう計算のもとにやったのか、そういう点をひとつ詳細に聞かなければ、われわれ並びに国民はどういうものができるか、どう配分されるかということの一つ想定ができないわけです。この法律建設法でありますから、そんなことはおれはかまわないのだということにはならないのです。受け取るのは国民なんです。その資料がわからぬでは困るのです。そのために資料を要求してあるわけなんです。
  22. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 建築費用地費というものから建物分譲価格というものは割り出されるわけでございまして、新橋の場合と神戸大橋地区の場合、土地の費用が相当違う、それから建築費自身も、住宅を乗せる場合とそれ以外の用途の場合と違うと思いますが、そういうことからきていると思いますけれども、ただいま私どものところで、そういう資料がございませんので、ここで詳細に説明をすることがいたしかねる状況でございます。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 田中さんのおっしゃっている意味は、よく理解できるのでありますが、たとえば新橋繁華目抜き通りで、実際住宅を乗せてあるが、その住宅の坪七十八万円くらいになる。これは全く一般のものとは無縁のものだと、私は端的にそう言えるのじゃないかと思っているわけであります。しからば、あの新橋市街地改造が、その意義を持たないかと言えば、これは田中さん自身もお認めいただいていると思うのですが、とにかく東京の表玄関、目抜きがあの改造以前の状態であったということは、これは何とかしなければならぬということは、だれしも感じておったところであろうと思います。それでああいう改造事業が行なわれ、またおくればせながら、実際この間、現状を見に参りました。そこで田中さんが御心配になっておられるように、あのビルの上に一般の公営的の住宅を期待することができるかと言えば、私はもうあの繁華目抜き通りにありますだけに、そのことはもう不可能である、それはもう期待できないことじゃないだろうか。ただ再開発法の期待いたしますところは、そういう目抜き繁華街改造も大事なことであるけれども、同時に今日の土地事情から、住宅事情等からいたしまして、広く高度利用と申しますか、住宅環境都市環境を整備してまいる手段として、この再開発法意義をかけておるわけでございまして、したがいまして、目抜き繁華街だけの対象として考えますれば、しいてその必要はないのじゃないかとも考える。しかし大都市現状というものは、いま少しく公衆といいますか、大衆のために住宅等高度利用によってもう少し収容といいますか、一面においては都市人口収容力を高めつつ、あわせて都市環境整備をはかってまいる必要がある。そういう意味で、この再開発法というものは見ていただきたいものだ。新橋状況からああいうばかばかしい、一般住宅に寄与し得るということは、非常にこれは少ないと見なければならぬと思う。その点は、私も強く反省をいたしておるわけであります。
  24. 田中一

    田中一君 じゃ大臣ね、一体この法律がかりに成立したとすると、どこにそういう地点を求めるつもりですか。どこに、どの地域に、たとえば地価の安いところなら単価も安くなるであろうという想定ならば、どこに求めようとするか。この法律は、都市容積地区、指定された場所以外にはできない、いわゆる高度に経済的な価値のあるところに求められているのです。そうして都心の、都心に近いところに、いわゆる繁華街に求められているわけです。どこでもいいというものじゃないのです。必ず地価が高いということが前提になっているのですよ。大臣はどこにそれを求めているのですか。東京の例を伺いましょう。東京のどの地区にそれを求めようとしておられるのか。
  25. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 現在具体的にどこをやるということはまだきまっておりませんけれども東京の中で、たとえば環状七号線の内側というようなところで、そういうような住居が相当老朽化し、密集しているというようなところがございますので、そういうようなところについてやりたい。それからもう一つは、江東地区あたりで、いまいろいろ研究はいたしておりますけれども、そういうようなところで住宅の再開発をやっていきたい、こう考えておりますが、今年度はとりあえず、東京で言いますと、赤羽地区を取り上げたいということで、これはいわば駅前地区でございますので、住宅プロパーでないところでございます。住宅プロパーのところにつきましては、まだ具体的にきまっておりません。
  26. 田中一

    田中一君 赤羽の西側のほうは、これはなるほど現在の市街地改造事業、いわゆる再開発法でもって行なわれれば仕事ができるだろうという考え方を明らかにしたわけです。問題はああした都市都市のうちの一部、一種のスラム街です。ここに事業地点を求めようということにあるのは、現行市街地改造事業でも明らかになっておると思うのです。かつては二百四十六号線の三軒茶屋付近あるいは同じ地点の道玄坂上、有楽町の東口新橋の東西、これらの地点が候補にのぼってきているのです。目的は何か。再開発ではないのですが、再開発という名において事業を行なうけれども市街地改造事業という名前において仕事を行なってきたけれども、これはいわゆるそうした美名の美しい一つ国民に与えるような地点を求めるのじゃないのです。スラム化してどうにもならない、権利がふくそうしている、いわゆる他人の土地を不法占拠した地点、それが三人、四人と転々として権利が移り、そうして、それがもはや民法上の居住権が確立している権利というものは純粋なものじゃなくして、ふくそうしている、いわゆる悪徳の町なんです、かつての。戦後の混乱において生まれたところの奇形児なんです。そういう都市中心仕事を行なっていく地点ということを、法律をきめる最初から考えておったのです。ばく然と大都市のうちのどこを再開発するのだという考えじゃないわけです。いま局長が七環の内側とかなんとか言っている。七環のうちのどこを、おそらく赤羽を言っているんですか、どこを想定して言っているのです。
  27. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、住宅地プロパーの再開発地点は、現在のところどこということをきめておりません。
  28. 田中一

    田中一君 不良住宅地区改良法、この法律は戦前からある、旧憲法時代からあった法律であるけれども、これは死文化した。それはずいぶんわれわれはここで住宅問題を中心として追及した。そうして変えたのが住宅地区改良法なんです。これは住宅プロパーです。もしも、そういうことばを言うならば、なぜこれと一緒にミックスして考えないのか。これも一緒に再開発に入れなさい、これも再開発一つなんです。完全にスラム化したところの置き忘れた住宅地区は、東京にもたくさんございます。日本の都市のどっかにはたくさんあるのです。全面的にそれだとは言いません。それならばなぜ住宅地区改良法法律をこれに取り込まないのか。それは再開発じゃないというのですか。それは再開発という姿じゃないというのですか。どういう考え方を持っております。
  29. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) いまの住宅地区改良法に基づく事業も再開発事業だと思います。ただ今回御提案申し上げております再開発法では、先ほど来申し上げておりますように、改造法なり防災街区の手法を取り入れておりますけれども、すべて現地におきまして地主なり借地権者なりをそのままそこに収用して、そうして新しい建物を建て、それの余裕の床を利用しよう、こういうような考え方でございますので、現在の住宅地区改良法におきましては、すべて施行者が土地建物も全部買収いたしまして、そうして、施行者のものに全部します。そうして、どこに建物を建てて、まあ住宅に困っている人という形で、そこに人を借家人として入れるということでございますので、事業のやり方が違うわけでございます。もちろん先生おっしゃいますように、事業のやり方が違っても、再開発法に全部統合すればいいじゃないかという御議論もあろうかと思いますけれども、そういうことも立法的にできないことではございませんけれども、まあ実体は変わりませんので、そういたしましても。したがいまして、今度の再開発法に取り込まなかった、そういうことでございます。
  30. 田中一

    田中一君 建設される実体は変わっていないのです。町づくりというものは同じなんです、結論としては。ただ手法の問題なんです。その地点におけるところの条件による手法をこういう方法でやろう、ああいう方法でやろうということになるだけなんです。われわれが考えている、われわれが目に見るのは、やはり美しい都市なんです。スラム街解消なんです、美しい都市を求めているのです。したがって、住宅であろうと、店舗であろうと、どこであろうと、国民の目の前にあらわれるものは、どういう手法を使おうとも、一つのわけなんです。法律というものは、立案する場合に一番大事なのは精神なんです。役人というものは、国家公務員というものは、きまった法律をそのまま忠実に執行する義務があるわけです。しかしながら、どの法律であろうとも、法律をつくるというその精神というものは生かさなければならないんです。戦後の国家公務員が政治に毒されて、ものを、立法精神を没却して拡大解釈したり、狭義の解釈をしたりして、行政上の間違いをおかしている事例をたくさん知っています。法律を制定するときには、法律の精神、いわゆる国民を忘れない精神というものが、一つの形になって法律としてあらわれるわけなんですね。もしも住宅地区改良法という、その地点におけるところの町づくりと、いま提案されている再開発法とは違うという根拠はなかろうと思うのです。あと手法の問題です。せんだってもいろいろ各同僚委員の質問に対する説明を聞いていると、どうもそういうところが、あいまいなところがあるのですね。一体考えられている地点東京の場合には、現在赤羽西口だけを考えておるのですか。もう一ぺんよく念を押して聞いておきます。
  31. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 四十三年度から着手したいという事業地点といたしましては、東京におきましては赤羽駅の西口を考えております。
  32. 田中一

    田中一君 いままで行なっているところの姫路、神戸、大阪、東京改造事業で行なっているところ、この地点というものは、いま資料でもらいましたけれども、これは納得できないのです、ぼくには。もう少し詳しくそのいままでの現行法によるところの手法がどういう効果をもたらしたか、そうして、市民がこれに対する受け取り方はどうであるか、市民の負担はどうであるか、権利者は納得したのかしないのか、あらわれている現象というものは少しも変わっていないわけなんです。それを詳細に報告がほしいといって、この法案の審議にあたって最初に要求してあったのですが、不十分です。おそらく、この程度しかできないだろうと思うんです。  建設大臣に伺いますが、いままでにもわれわれの税金が少なくとも私企業に大幅に融資され、そうして、私企業を誘致するために、営利事業を誘致するために、大きな資金が財政投融資を行なっているという事業がどんなものがありますか。いま参議院にもかかっております船舶の利子補給法なんというものもそうでしょう。独占事業に奉仕する形でもって利子の補給をするという、これは戦後からずっと続いているものです。しかし今回この都市開発法であらわれるところのものは、保留床というものはだれに提供するか。これは明らかにその地点におけるところの商売をしてもうけやすい者だけにこれを提供しようという意図でもってできているのが、この法律なわけなんですよ。そういう法でいっている事例はたくさんあります。東京都のある部長あたりは、葬儀屋と芸者屋の権利者があれば、こういう者をどかさなければいけませんということを言っている。なるほど、新橋などには葬儀屋や芸者屋もあるのです。そういうものはここからどかさなければなりません、こういうような指導であの東口はつくったものなんです。いいですか、東京都あたりの工事を担当する部長か局長か知らぬけれども、そういう男はいわゆる権利者を職業がいけないからといって他に追い出すような指導をやっているんです。私は、ずいぶん東口でもやかましく東京都に注文つけておりましたけれども、そのような行為が常に改造事業で行なわれてきているのです。そしてまた処分の方法、分配の方法すら、克明に政府に対してそういうことをしちやいけない、こうなさいああなさいということを指導しているにかかわらず、それを今回の西口においては、その計画を建設大臣が、認可か許可か知らぬけれども認めているわけなんです、現在でも。よい例と悪い例とを申し上げます。西口ではどうなるかというと、地下四階、たしか十何階かになりますけれども、そのうちの大部分というものは一階が住宅部分あと部分は全部貸事務所なんです。国の費用で、国民の税金あるいは財投を、そうした私企業を誘致するために金を貸すという仕事が、法律できまっておるものがございますかと聞いているのです。そこに住んでいる権利者に新しい町づくりのために一時立ちのいてもらって、いい家をつくって、これにお入りなさいと、これならいい、権利者に。権利も何にもないデパートなりあるいは商事会社なりにうちをつくって提供するという余裕は、日本の財政上ないと思うのです。それも二億、三億ですら非難をされるのでありましょうが、今度のは百何十億というものを西口につぎ込むわけなんです。貸事務所は民間でたくさんつくっております。その代行を国がしなければならないということはありません。しかし、私も国会に出てから十八年にしかなりませんから、また各他の委員会のことは存じませんけれども、そういうことはありますか。不特定なる事業主に対して国庫支出をして家をつくって、どうぞ入ってくださいというような形の融資方法はいままでどんなものがありますか、と聞いておる。これは竹内君も知っているのじゃないか。どういうものにそういうばく大もない金をつぎ込んで事務所をつくってやるなんということがありますか。たとえばオリンピックといって、開銀が運輸省の何というか承認か何かによってホテルに融資したということはあります。これはまあ一つの大きな目的のためにやったことでしょう。これは開銀といういわゆるコマーシャルベースでやっている銀行でしょう。今度の場合、そうじゃないのです。いまの改造事業ですよ、財政投融資でしょう。銀行から借りているんですか、この金は。そういう私企業に対するところの建築物の供給というものは、やはり商業ベースでもってやればいいんです。決してなにも国がする必要はない。今度の再開発事業というものは銀行から融資をしようという形になっておるけれども組合等に対しては。あるいは融資ということは銀行からするのか、あるいは預金部資金から出すのか、財政投融資から出すのかこれ知りませんけれども、少なくともそういう形でもって事務所建築を提供するという考え方はおかしいのではないか。そういう事業があるならば、どういう事業が行なわれているか伺いたいと言っているんです。なるほど郵政なら郵政互助会というのは結婚式場なんかの大きな建築をやったりなんかしています。それはそれぞれ、国費あるいは財投じゃございません。それぞれ民間の団体がやっているわけなんです。そういう金を投じるという事業がほかにありますかどうかと聞いているんです。
  33. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は、この間、その新橋の様子を西口のほうで新たに造成事業をやられるということに決定いたしておりますから見に参りましたが、これはもうだれが見ましても、東京都の表玄関、目抜き繁華地点としてたくさんな飲食営業等が行なわれて、だれが見ましてもいま少しく都市美の上からいたしましても、衛生環境の上からいたしましても、ああいうものを放置しておれば国辱みたいなものでございましょうし、東京都としても、ていさいを新たにいたしたいということは、私ども全く同感でございます。ただそれを行なうのに、国が一体どれだけの負担をしておるかということも聞いてみますと、いわゆる街路事業の国の負担分を負担するというだけであって、それ以外は施行者がいろいろ資金上のくふうをされる。東京都はおそらく施行上に必要な資金の調達は地方債等によってまかないをつける、国自体としてはその地方債に対して原資のお世話をするということだけであって、あそこの利害関係者に国が財投資金を直接的にお世話をするというような筋合いでないと、むしろ私はもう少し立ち入ってお世話する必要があるのじゃないのかという感じを率直に持ったわけでございますけれども、しかしああいう採算上と申しますか営業上非常な有利な地区でございますから、したがって、その地区を利用される方々が実質の負担はされて、そして一面において衛生あるいは都市美、環境の整備に協力をしていただくということは、まあ望ましいことじゃないだろうか。ただしかし、都市開発法と少なくもうたっております趣意からいたしますと、どうもこれはまあこれからのおそらく今後相当の期間かかって大都市の整備再開発を行なっていこうという考え、そういうものとはちょっとニュアンスが違ってくるのじゃないか。先ほどちょっとお話になりましたように、たとえば東京都にいたしましても、もう少し東京都、旧市街全体の住宅等の高度利用方法を発見してまいるということが大事じゃないか、そういうことで都市開発法というものは魂がなければならない。その点においてまあいろいろ法文上のところを御指摘のように、そういうことを十分達成せられないのじゃないか、それよりもやはり目抜き繁華街等のつくりかえみたいなところにばかり頭があるのじゃないかという御指摘は、反省をしなければならぬと私は思っております。しかしだからといって、そういういまの新橋東口、西口等の事業を放置しておいていいかということは、なかなかこれは放置できない。しかも今日の手法では、なかなか現行法ではやりにくい点もあるようでございますから、手法上においても新たな考え方を取り入れて再開発法の中に取り入れて、ああいう地区の整備をはかってまいるということは大事じゃないだろうか。全体といたしまして、今日の財政投融資、非常に巨額な、大きなものでございますけれども、やはり全体の住宅であるとか道路であるとか、そういうものにつぎ込んでいるものが非常な大きな部分を占めておる、不特定な私企業に向かって融資をしている割合は、私は必ずしも多いというようには理解をいたしていないのであります。
  34. 田中一

    田中一君 この間、東口へ行ったそうですね、いまお話を伺うと。あそこは何か国鉄と地下鉄とを結ぶという通路が渡っているわけなんですよ、あの新橋東口というところは。国鉄とその地下鉄と結ぶ。ところがその建物の中の床の配分の場合に、あの全体の建物の中にそういう通路を求めているのです。いいですか、建物の中の一部にその通路があるわけです。これは東京都に聞いてみますと、これはあのビルを持っている、ビル所有者のものなのです。東口ビルを持っている所有者のものなのです。通路は締めてもいいのです。締めてもやむを得ません。出口がないのです。私はそういう通路は公共歩廊になるわけですから、道路に準ずるのじゃなかろうかと思うのです。あるいは私道になるか、区道になるかわかりませんけれども道路に違いないと思うのです。こういうものがやはり全体の単価にのせられてきているわけなんですね。こういう点は一体どうお考えになるかというのです。当然地下鉄から国鉄に行く道路を他人の持っている、私の持っている建物の真ん中を、うちの中に通路ができているわけですね。その負担はだれもしておらないわけです。全体の事業の計画の中からそうした計画ができているわけなんです。こういう問題は一体どうお考えになるか、都市局長さんに先に聞きたい、そういう問題について。
  35. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生の御指摘の国鉄と地下鉄の連絡につきましては、現在あそこへ駅前の広場の下へ駐車場をつくる計画がございまして、まだ完全にできておりませんけれども、地下の通路につきましては、東京都が単独で事業費を持つことになっております。これはビルの各人の持ち分には入らない、こういうことになっております。
  36. 田中一

    田中一君 そうすると、現在使っている通路というものは、あれはあの負担はだれがやっているのですか。
  37. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 現在の通路は、入っている人の負担になっていると思います。
  38. 田中一

    田中一君 保利さん、いまお話があったとおりです。個人の持っている建物の中を公共歩廊が通っている。それは負担はだれもいたしません、個人のその人たちが負担しているのだということがあり得ますか。まだ、あるのです、そういう例が。だから七十八万円もするようになっている、坪。そこでこまかい問題までいきますけれども、これは結局、この法律によって国民がひとつも利益しないということを指摘したいと思うのです。西口の例を見てもわかるとおり、今度計画されているもの、一階を除いて全部これは金を持っている人に売り渡そうという計画なんです。しかし、売れないかもしれませんよ。これはいまのように景気が悪いと売れない、東口ですら売れなかった。条件を緩和してようやく大体売れた形になっていますが、まだ売れません。ここに百数十億の金をかけてビル販売業を都がやる必要ないでしょう。ビルの販売業をやる必要ないでしょう。今度は都がやっています。貸ビル業はやる必要ないです。総理はこの国会の冒頭に社会開発住宅問題の解決をいたしますということを約束しておる。まあ、社会開発はこの市街地改造事業で行なうということも一つのものがあるかもしれない。住宅問題解決しておらないですよ。そうして地下を四階にして二階ツーフロアー、これを車庫にする。貸ビルにするから大きな車庫も必要なんです。駐車場法によるところの付置義務があるのは今日のあり方ですけれども住宅にすればそんなものは軽減される。もしもそれでもだめだというなら駐車場法を改正すればいいのです。なぜ、いま竹内局長も言っておるように百メートルもない近くに東口駐車場ができるわけです。現在、東京において地下駐車場というものはがらがらです。青空駐車のほうが激しいです。高いですよ、地下に駐車場を持つということは。地上に建築するよりももっと金がかかるわけです。都市美というものは地下へ地下へともぐればいいというものじゃない。ことに都民に供給しようという建築物ならば、いかに合理的に経済性を発揮して、よりいいものをより安く供給しようというところに、ねらいがなくちゃならないのです。東京都は決して貸ビル業なんかに満足しているものではない、おそらくいやでしょうがないだろうと思うのです。こういう公営住宅なり、これは当然乗せます。神戸において公営住宅乗せています。これは原口市長がおそらくそれをねらって大部分住宅にしています。また公営住宅も乗せています。新橋は玄関口ということを言っていますけれども、いまは新幹線のとまらない駅は玄関口じゃないんです。都民の内玄関です。新橋が玄関口だというのは間違いです。あの辺、あの周辺の働く人たちが使う駅であって、決して玄関口じゃないのです。新幹線のとまるところが表玄関になるはずであります。なぜ住宅が乗せられないのか、私はこれをあなた方のほうの仲間の一人に一つ考え方を依頼して積算してもらったことがあるのです。これは現在三年前あたりに計画した単価というものは、住宅部分一坪九十九万円です。それから政府の施策で物価がだいぶ上がりましたからおそらく今度は一坪百二十万くらいになるでしょう、一坪ですよ。そういう設計をするなんということをどうお考えになりますか。たとえば階高というものは三メーター七十とっているのです。日本人は六尺五寸なんという人はおらないのです。二メーター七十で十分です。そういうむだな投資をしてだれに一体やるのか。金を持っている者に分配しようというのでしょう。私は根本的に現在行なっている都市開発法の実体というものを検討しない限り、今度提案しているところのこの法律案というものは認められないんです。土地の買収では大体二百五十万平均で買っております、広場や道路を確保するためには。地下に膨大なる金をつぎ込み、冷房、暖房を完全なものを行なって、これはまあいま貸しビルでは冷房、暖房というのは必須条件でしょう。しかし住宅部分がかりに十階乗った場合に住宅部分は要らぬでしょう。こういうものは求める人がやればいいのです。私の計算ですと三分の二になるのです。これからこの法律が通る、これが通った暁に何をするかということを考えてみるとおそろしいのです。法によって取りまとめをしようということにすぎないのです。あとにだれがくるか考えておらない。そうして上に乗せるものは、いま言うとおり、非常に近代的な、都民の負担できないようなりっぱなビルをつくって供給しようというのです。売ろうというのです。配分じゃなく売るのです。売るつもりでいるのです。行政官庁が商売する必要はありません。それよりも国民が一番求めている住宅ならいざ知らず、そういう形のものを出そうというのでは、私はとうていこの法律案というものを承認するわけにいかないのです。したがって、西口に対して具体的な計画をお出しください。西口に対するところの、いま現に進行中でありますから、都民のための町づくりの計画をお出し願いたいのです。それから重ねて審議をいたします。  委員長、私の質疑は留保しておきます。
  39. 藤田進

    委員長藤田進君) この際田中委員に申し上げますが、実はけさの委員長理事の打合会におきましては、与党自民党からは都市開発法案については本日審議を終局し議了するようにとの強い意見が述べられております。なお社会党理事からは、本日引き続き都市開発法質疑を継続すべきであるということでありますが、ただいまの田中委員の御発言では、質疑は留保するが本案についてはそれを必要としないのじゃないかというような御発言もあるようにうかがわれます。したがいまして委員長としては、今後の本委員会の運営について、後刻委員長理事打合会をもちまして協議をいたしたいと思います。  したがいまして、十二時四十分まで暫時休憩をいたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時開会
  40. 藤田進

    委員長藤田進君) これより委員会を開会いたします。  午前中質疑を行ないました都市開発法案の審査は、都合により後日に譲ることとし、都市計画法案及び都市計画施行法案を一括して議題といたします。  両案につきましてはすでに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  41. 沢田政治

    沢田政治君 実は私、次の定例日に整理して御質問いたしたい、このように考えていたわけでありますが、急に質問することになりましたので整理しておりませんので、非常に質問の内容が重複すると思いますが、その点はひとつそういう事情であることを御了承の上、的確な答弁を願いたいというように考えます。いずれ、本法案は非常に重要な法案でありますので、きょうは項目的にお聞きいたしまして、次の機会に具体的なわれわれの意見を含めた質問をいたしたい、このように考えておるわけでございます。  まず最初に私は大臣にお伺いしたいわけでありますが、一体この法律の、まあ内閣提出でありますし、さらに大臣は責任者でありますので、誠意といいますか決意をお伺いしたいと思いますが、私、連休で四、五日選挙区に帰っておったわけでありますが、選挙区に帰ってみますと、自民党の今度参議院に立候補されるある方の大きなポスターが張られておったわけであります。それの応援にですね、応援というか、事前運動か政治活動かはここで議論いたしませんが、まあ常識的に見て私は選挙運動らしいものであると思うわけでありますが、保利大臣が、建設大臣が十二日だったか十一日だったか秋田のほうに来られる、こういうようなポスターが町のすみずみまで、村のすみずみまで張られておったわけであります。保利大臣の名前は非常に小さく、候補者の名前が非常にでかく出ておったわけでありますが、まあでかい小さいは別といたしましても、やはり相当建設省関係の本委員会における重要な法案が山積しておるわけであります。たとえその日が月曜に当たろうが日曜に当たろうが、大臣がほんとうに法律の提案責任者としてこの法案をものにしたい、こういうことであるならば、日曜であろうが月曜であろうが、まあ選挙運動だと断言はできませんが、運動らしいものに出ていくひまがあるということになりますと、一体大臣は本気になってこの法案をお通しになる、またそうしたいという意欲があるかどうか、非常に疑わしいと思うわけであります。これは何も大臣にばかり言うわけじゃない各省の大臣にも共通な点が言えると思いますが、やはり会期末になって重要法案が山積しておるならば、少なくとも閣僚はまあ常識的に選挙運動らしいものに出歩くということはどうかと思うし、誠意を疑わざるを得ないわけでありますが、御心境いかがですか。
  42. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は、まあ昨今御同様に各党の政治活動が非常に活発に行なわれておるわけでございます。私も建設行政の責任者といたしまして、特に国会に御審議をお願いいたしておるもろもろの法案等をかかえておりますので、微力を傾けて国会審議をわずらわしておるわけでございます。ただ、御案内のような昨今の各政党の政治活動が非常に活発に行なわれておる。私が希望して行くわけではないのでございまして、ただまあ土曜の午後から日曜にかけて、実は党の命令で党員としての割り当てというのか、そういうことで予定をされておるようでございます。予定されておりますけれども、御審議の上からして、これはもうこっちのほうがもちろん一番大事なことでございますし、私としては特にこの昨今の日本の国情の推移から見まして、都市計画法というものはどうしても再発足をしなけりゃならない強い願望を持っておりますので、この法案の成立を妨げるような行動は、まあたとえどなたがおっしゃろうとも、私としてはできない。ただしかし、党員としまして、党の要請には支障のない限りは受けなきゃなるまいというようなことで、それが私の偽わらざる心境でございます。
  43. 沢田政治

    沢田政治君 まあその点はですね、保利大臣の御意思によって行くものではなく、まあ党の指示か要請によって出られることはよく承知いたします。しかし、そういうことを言ったならば、これは野党といえどももうすでに参議院の通常選挙もあるということ、これははっきりしておるのだから、われわれにも共通することなわけですね。何も土曜、日曜ですね、宿舎に残っておって質問の整理とか何か、これはまあしたくないというわけじゃないけれども、やはり何かの活動をしなくちゃならぬという党の要請も、私もこれはあるわけであります。その点大臣はこれは党に所属しておられますし、われわれ野党の議員としても、そういうような要請があることは、条件として同じなんですね。だから、われわれ自体さえも、これは日曜も土曜も帰らずにみっちり法案の研究をするとか質問を整理するとか、こういう事情にあるのだから、これはお互いなことであって、したがって、私はやはりこの法律の提案の責任者である大臣は、少なくともやはりこの法案が重要であればあるほど、党の要請があっても、そういうのはお断わりして、やはり法案成立にこれはもう何というか精魂を傾けるのは、これはぼくは当然じゃないかと思うのですね。お断わりになる意思がありますか。
  44. 保利茂

    国務大臣保利茂君) こちらのほうの委員会の御事情でお断わりしなけりやならぬというような事情であれば、私はお断わりすることにやぶさかではない。しかし、まあ土曜の午後から云々ということになりますれば、これはまあお互いさまと言えばお互いさまのことでですね、これ一々取り上げられては、まあ私だけでなしに各省大臣同様にやっているわけなんで、だからまあその辺は節度が必要だと思っておりますけれども、それはあやまたないようにいたすつもりでおりますけれども、御事情が御審議の上から差しつかえがないということであれば、行かなきゃなるまいと思っております。
  45. 沢田政治

    沢田政治君 まあ大臣といえどもそれぞれの政党に所属しておると思いますから、まあ全部理解はできないにしてもわからないわけではないので、あまりうるさくは私はここでせんさくしませんが、ただ国会でこういう重要法案がかかっておる、この何というか、途上において、少なくともこういう法案とかこういうもの、議会優先という形で絶対に、やはり政党の運動であろうが、まあ選挙の事前運動じゃないと思いますけれども、やはりそういう点は節度は、行く、行かない節度が一つ。もう一つは、わが党はこの何というか、この国会における法案、まあこれに触れたようなことは私はやっぱり慎しむべきだと思うし、慎しむだろうとは私はまあ信じます。まあこの問題はこれ以上はあえて申し上げません。  そこで、まあ第一点にお聞きしたいことは、この都計法並びに施行法案通りますと、相当私有財産、私権の制限になることは、御承知のとおりだと思うのでございます。したがって、憲法二十九条でも、やはり公共福祉といいますか、そういうことについては法律で定める、こういうことになっておるわけでありますが、私は憲法の条章はそれでいいとしても、この法案施行するいかんによっては、実際に具体的に政策を展開するいかんによっては、やはり憲法二十九条に触れてくる可能性も出てくると思うわけであります。具体的に申し上げますと、まあ万人のために一人が犠牲になるならやはり公共福祉という面から耐え忍んでもらわなければなりませんけれども、一人のために万人が犠牲になるということになると、これはたいへんだと思うんですね。といいますのは、やはり都計法によって利益を受けるのは特定の者だけであった、一般の庶民はそう利益を受けない、しかも自分の私有財産というものを制限される、こういうことになると、これはやはり憲法二十九条の条章からいっても不当な私権の制限、私有財産の侵害、こういうことになると思うわけであります。具体的にどういうように作業を展開するかということによっては、そういう問題が出てくる可能性もあると思うんですね。したがって、憲法二十九条の原則からいって私権の制限、私有財産、こういう観点からいって、やはり立法の草案の段階でそれぞれ建設当局としても相当議論したと思うのです。したがって、その議論の内容を、これは非常に、重要なことでありますから、まず最初にどういう議論があったのか、こういう点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  46. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 沢田先生おっしゃいますように、この法律で一番問題になりますのは財産権の規制との関係でございます。私ども一番この法律で財産権の規制との関係において問題になると思われますのは、市街化調整区域という制度を設けておりまして、そこで開発について制限を加えておるという点であろうかと思っております。これはまず憲法二十九条の第一項には、財産権を侵してはならないとしているのでございますが、第二項におきましては「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」こういうふうに書いてございます。まず第一点はこれとの関係でございます。これは財産権につきましては、特に一般の基本的人権とは異なりまして、「公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と、かなり政策的に定め得るというような規定になっておるわけでございます、憲法自身では。したがいまして、現実に起こっております弊害を除去し、国民全体あるいは地域住民全体のより高次な福祉を実現するために、必要かつ合理的な範囲内で財産権の内容を定めるということは、憲法二十九条の第二項に適合しているものであるというふうに考えたわけでございます。市街化調整区域というのは、現在におきます市街地の無秩序な拡張あるいはスプロール現象ということによりまして都市の機能が低下している、あるいは公共投資の効率というものが著しく低下しているという事態に対処するために設けられたものでございますので、こういうような観点から二十九条第二項には適合する、こういうふうに考えたわけでございます。  それからもう一つは、二十九条第三項との関係でございます。これは御承知のように「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」、補償との関係でございます。これは不法行為ではございませんで、適法な公権力の行使に伴って生じた損失でございますので、特定の人が特別にこうむった損失というものはこれは補償しなければならない、そういうような趣旨であるというふうに考えておるわけであります。すなわち補償が要るか要らないかは、特別の犠牲を与えたかということによってきまるというふうに考えたわけでございます。市街化調整区域におきましては、まず本来的な土地の効用というものを奪ってしまって、そしてその本来の利用目的と異なった目的に供するというものではございません。さらに将来一定の段階におきまして公共投資等が行なわれるまでの間開発行為を抑制しようということでございまして、これらは特定の、きわめて限られた範囲内の土地に対する特別の犠牲ではない、そういう意味におきまして、この条章の「公共のために用ひる」というものに該当しない、こういうふうに考えたわけであります。主として憲法二十九条との関係で一番問題になるのはその点で、そういうような見解のもとにこの法律を立案したわけであります。
  47. 沢田政治

    沢田政治君 憲法二十九条の第三項でありますが、適正な価格というのは、やはり何が適正な価格だという点も、これは問題になってくるわけであります、相対的な問題ですから。売ったほうは安いと言うし、こっちは、買うほうは高いと言うし、だから適正な価格というものの基準といいますか、そういうものをどう考えておるかということと、それからもう一つは、価格を補償しただけではやはり生活権の侵害になる場合もあるわけですね。お百姓以外に全然技術もない、生活の手段も持っておらないというそういう方が、一ヘクタールくらいのたんぼをやはり公共福祉ということでこれは買収されると、そのままでその金で五、六年ももてるかどうか計算してみませんけれども、もうその金を生活費のために四、五年で使ってしまう、こういうことになった場合に、これはもう生活上重大な脅威になると思うわけですね。したがって、やはり厳格な意味でいくと、私はやはり価格を補償したけれども、結果的にはある人の生活権を侵害する、こういうような事態もなしとはしない、あり得るだろうと思うのですね。したがって、私はこれは正当な補償の中にはやはりその人の生活をめんどう見ていく、農地であるならば農地の代替地をやるとか、価格面ばかりではなく代替地をやって、その人が唯一の技術であるところの農業をやって、将来生計を維持させる、そういうことも必要だと思うし、そういうことがなければ、一ヘクタールのたんぼを取られて、五、六年はその価格で何とか生活できたけれども、自後の生活は成り立たぬ。こういうことになると、やはり憲法との関係が出てくると思うわけでありますが、理屈は別としても、結果的には個人の生活権の侵害になるわけだから、生活の存立をやはり脅かしたわけでありますから、そういうことがあり得ると思うのですが、いかがですか。
  48. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 補償につきましては、土地収用法等にも書いてございますとおり、相当の価格で補償するということで、これは都市計画で行ないます場合、各種の買収行為が行なわれます場合にも、同様に考えておるわけであります。さらに収用法等でもかえ地のあっせんとか、その他の規定がございます。ただ、今回衆議院の修正におきまして、補償と合わせて必要がある場合には土地建物、職業の紹介等についてあっせんするという規定が入りまして、沢田先生のおっしゃるような趣旨が盛り込まれた、こういうふうに考えておるわけであります。
  49. 沢田政治

    沢田政治君 何といってもやはり都会、都市は人間が住むということ、そこで人間が働くということ、これが前提になるわけであります。ところが衆議院では、若干の議論や修正がなされておったわけでありますね。その内容も私は承知しておりますが、修正された後といえども、私はどうも都市の定義といいますか、その都市の持つ性格、つまり人間が住む、人間がそこで働く、特に住宅ですね、こういう面ではまだ欠ける面があるのじゃないか、こういうように考えるわけであります。法案の内容を見ますと、なるほど道路とか公園とか排水路、こういうような公共施設都市施設、こういうものについてはある程度の方向が示唆され明確になっているわけでありますけれども、何か住宅に関してはやはり従来の旧都計法のように、住宅というのは個人がつくるものであるという一つの方向といいますか、そういうものの考え方といいますか、そういうことの方向に一歩も変わっておらぬ、こういうように私は印象として考えられますが、いかがですか。
  50. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市計画できめますものは、この法案に書いてございますように、一つ土地利用のこまかい計画と申しますか、住居地域とか、工業地域とかいうような、そういう地域地区をきめるわけでございます。これはそういうような用途なり容積を地域ごとにきめまして、そしてそこに、住居地域であれば環境のいい住宅ができるようにというように、建築活動を誘導しよう、こういう制度でございます。それからあと都市施設は、これはその法案考え方あと出てまいりますように、これは事業として主として公的機関が事業として行なうものでございまして、当然収用権なり先買い権なりという強制権が付与されるものでございます。それからもう一つは、面的な開発事業市街地開発事業といいますか、これはその個々の施設ではなくて、面的な土地開発事業、これも主として公的機関が事業として行なうのでございまして、強制権が伴うというようなものを都市計画としてきめるということにいたしておるわけでございます。その中に一団地の住宅地域というのは都市施設としてきめる、つまりある程度まとまった住宅を建てるというものにつきましては、これはまあ強制権を伴ってそういうものができる、こういうふうにいたしているわけでございます。それからまた住宅地を造成するというような新住宅市街地開発事業というようなものも、そういうことを都市計画できめまして事業ができると、こういうことになっているわけでございます。個々の住宅につきまして、これを都市施設としてそして強制権を付与するということは妥当ではないという考え方で、そして土地利用計画のほうで誘導するという考え方でございまして、個々の施設につきまして、直接都市計画上の施設として強制権を伴って事業を執行させるのは、適当でないということで、ここにあがってないわけでございます。この法律住宅をそれだから軽視している、そういうことにはならないというふうに考えております。
  51. 沢田政治

    沢田政治君 私、住宅のことについて心配なのは、たとえば地価の問題が考えられるわけです。なるほどこの法律が通過したならば、制定されたと仮定するならば、従来農業地域に無制限に住宅等がスプロールしていって、したがって近隣近傍の土地がどんどん高くなって、ちょっと離れた郊外でもこれはなかなか住宅地の入手は困難になったわけです。そういう例があったわけなんで、今度の法が制定されたならば、抑制区域といいますか、調整区域といいますか、一線を引くので、郊外に対するやはりある程度の地価抑制の作用はどれほど持つかわからぬけれども、ある程度ブレーキの役目には相なるのではないか、こういうように常識的には考えられるわけであります。ところが、郊外のほうにはある程度地価抑制の作用が及ぶだろうと考えられるわけでありますが、いままで郊外に伸びていったものを、農業地域に伸びていったものが、そこには住宅をつくっちゃいかぬ、工場をつくっちやいかぬというわけで、調整区域といいますけれども、ある程度の抑制作用を持ちますから、そのエネルギーが今度は区切られた地域に集中してくると思うのですね、そのエネルギーが。そうなるとその都市区域の中の地価というものは物理的にとめどなく上がるという可能性が一つの作用として出てくるのではないか、こういうように心配されるわけであります。したがって、私はやはりこの法をほんとうに施行するならば、やはり地価対策というものをあわせてここに持ってこなければ非常にたいへんなことになるのじゃないか、貧乏人はもう都心地あるいは何というか、区域内から追い出される結果になるのではないか、こういう心配もするわけであります。まあ衆議院の審議階段では将来税制の問題で考慮しましようとか、考えたいとか言っているようでありますけれども、やはり具体的にそういう可能性はないですか、あると思うのですよ私は。従来は無制限に延びていったものが一カ所に集約されるので、その都市区域内の地価というのは、すごい勢いで私は暴騰するだろうというように考えられますが、この点に対してどう考えていますか。
  52. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この市街化区域と市街化調整区域を線を引く、調整区域のほうはあなたが言われるようにおそらく地価の変動は来たさないであろう。しかし市街化区域のほうは限られてくるわけだから、非常な高騰を来たすんじゃないかということは、非常にこれは私はいずれとも断定いたしがたいと思うのですけれども、傾向は、一応頭の上で考えていきますというと、そういう傾向を否定はできないと思うのでありますけれども、大体都市計画を策定するにあたっては、おおよその都市の、当該都市の向こう十年くらいの大体の見通しをつけて、十年くらいでどの程度の一体都市になるだろうか、そこで十年くらいの見通しのもとにおよそ人口はこのくらいであろう、それに見合って市街化区域というものを線を引く、現在の地価の、おそらく世界で類例のない暴騰、高値を来たしているゆえんは、今日面積当たりの生産性、生産活動といいますか、アメリカをしのぐ、世界無比の高経済活動が行なわれているわけでありまして、したがって、そういう土地に対する需要というものは非常に強い。その需要にこたえるに供給がないというところに、今日の地価暴騰があることから考えてみましても、一に宅地の供給が需要に追いついていないというところに、地価暴騰の原因があるわけであります。そこで十年くらいを見通ししてこの地域はこのくらいの人口住民だ、そのくらいの地域を十分確保して、そして市街化区域としてたとえば住宅なら住宅に必要な機関施設等をつくって、そして市街化区域が高度に利用されるように施設が先行してまいる、そうするとそこには住宅が十年くらいの間にたぶん一ぱいになるであろうという見通しが立てられるように、相当長期見通しで市街化区域を持つわけでありますから、問題は需要に対して供給が非常にアンバランスになっているところに、今日の地価暴騰の原因があることを考えますと、おっしゃいますように頭の上でいきますというと、線を引くわけだから、ほかのほうへ出ちゃいかぬのだから、高くなるのはあたりまえじゃないかと言われるわけでありますけれども、そうではないので、それに見合うだけの区域が確保せられれば絶対に、ということは申し上げませんけれども、そうひどい暴騰を来たすようなことはないのじゃないだろうか、ということも私は考え得るのじゃなかろうか、しかしながらそれにいたしましても、地価問題に対しては積極的に手を打っていかなければならない状態は、これは何人も否定することはできませんから、これに対してはこの都市計画法ですべて万能的に問題が片づくというわけにはまいりませんけれども、相関連して税制等で考えるべきことは、当然税調の土地部会でもかなり御案内のように詳しく検討されておりますから、そういうもの等あらゆる総合した施策が伴っていかなければ、都市計画法だけで地価問題を片づけるというわけには私はまいらぬだろうと。衆議院のほうでもたいへんその点につきましては御心配をされて、まあ法体系としてはどうかというようなことでもありましたけれども、やっぱりそういう点を強く法案の中にも、そういう心配を盛り上げておく必要があるということで修正を受けておるようなわけなんであります。私はいずれとも断定いたしがたいと思うんですけれども沢田さんの御懸念のようなふうにはいかぬ、まあいかしちゃならぬと、こういうふうに考えております。
  53. 沢田政治

    沢田政治君 まあ大臣の言われることも、一面理屈としてはもっともだと思うんだけれども、たとえばそこに必要な土地の絶対量を確保したならば、そういう面からいって、ワクをきめたから地価が上がるということは考えられない、こういうことも理屈として私通ると思うんですよ。ただ絶対量、需要供給だけの関係だけで地価が上がったり下がったりするかといいますと、そればかりでは私はないと思うんですね。やはりそこには投機もあるし、売り惜しみもあるし、もう将来高くなることを予期して、予想して売り惜しんでおる、こういうこともあるわけだ。別の面も作用してくるわけでありますね。したがって、そういう面からいって、土地というものは保存しておけばおくほど得するものだ、ということをなくさなきゃいかぬと思うんです。そのためには未利用地税になるか、空閑地税になるか、土地の使用区分規制になるか、利用区分を明確にして立法措置を講ずるのか、いろいろな方法があると思うんだけれども、何かの歯どめがなければ、絶対的な必要な土地を確保した、一つのワクを組んだ、だから土地は上がらぬのだということだけで楽観視はされないと思うわけです。したがって、税制でそれをチェックする、歯どめをするということになると、これは建設省の所管じゃないわけでありますが、いずれにしてもこの法案を出しているのは、あなたのほうですからね。しかも閣僚ですね。したがって、やはり次の臨時国会はどうかわかりませんが、通常国会にやはり地価対策、こういう立法をお出しになる決意があるのかどうかですね。そうでなければ何か——この法案はわれわれは賛成か反対かまだ態度をきめておりませんよ。何か大臣の言われるような答弁だけでいって、次の国会でも地価対策がないということになると、非常に私どもとしても事志と違ってくるわけなんであります。そういうことだから、次の通常国会等にはそういう立法措置を講じる決意があるかどうか、そういうお気持ちがあるのかどうか、この点を明確にしてもらいたいと思う。
  54. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お説のように地価が上がっているのは、必ずしも需給のアンバランスからきているだけじゃないと、しかし投機等が行なわれるのも、結局はそこにあるわけだと、少なくとも今日現在の日本の国情の中に生きているものとしては、もはや土地を金もうけの対象にするということは許されない。公共的に許されないという頭が一つぽんと持たれなければならぬところに私はきておるのではないか。したがって、先ほどお説のように、私有財産の対象としては尊重されなければならぬけれども、これの利用については、全体の公共の利用に供する。自分の財産であるけれども、利用は公共のために利用してもらうという、基本的な頭の切りかえが土地関係においては私は必要になってきていると思うわけです。だから、そういう上からいたしまして、それはまあ道徳的な倫理的な問題でございますから、それがすべてそのとおりにいけば問題はないわけですけれども、やはりそれをそうする制度も必要です。特に税制等の面においてくふうを要する点があるようでございます。決して税は建設省所管でないからといって、私ども他人まかせで安心をしているようなことはございませんので、税制調査会に対しても、この都市計画法を立案をいたした建設省としては、こういう税を考えてもらいたいということは税調の土地部会に強く申し入れをいたし、また内々におきましても、私ども考え方が徹底するように努力をいたしておりますから、八月ごろには土地の税制についての結論が持たれることを期待をいたしております。また確信もいたしておるわけでございまして、当然これらにつきましての、あるいは譲渡所得、あるいは未利用と申しますか、空閑地と申しますか、そういうものについての税の扱い方というようなものに対しても、私は期待を持ち、ぜひ次の通常国会には、その成案を国会に御審議を願わなければならぬ。そのほか、とにかく地価問題に対して、これは全体の土地利用の問題に関連して、都市計画法が成立いたしますならば、あわせて今後の土地問題を解決いたしていくために必要なことについては、とにかく建設省をあげて全力を尽くしてみたい、というような考えでおるわけでございます。
  55. 沢田政治

    沢田政治君 財政上の問題について非常にその措置が、衆議院で若干手直しはされておるようでありますが、まだ非常に足りない点があるのではないか、こういうように考えるわけであります。たとえば、この法案では今後十年間にまあ市街化区域になり得る地域を指定することになり、さらにそれによって全国の多数の市町ですね、そういうところが都市計画をするわけでありますが、そうなると、やはり先行公共投資といいますか、そういう財政の需要というものが爆発的に多くなってくるのではないか、必要になってくるのではないか、こういうように考えられるわけです、常識的に。そうなったならば、いまの地方自治体の何というか財政状態では、そういうような資金需要に耐えられるのかどうかと、計画はりっぱなんだけれども、プランがプランに終わるのではないか。財政面からそういう心配もされるわけです。したがって、衆議院で若干手直しはされておりますけれども、ああいう手直しくらいだけでは、これは非常に地域住民の負担というものになって、結果的にその犠牲は地域住民が分かち合うと、こういう結果になりはしないかという心配もあるわけです。したがって、その点についてやはり、若干基金とか衆議院で手直しされておりますけれども、あれだけではとてもどうにもならぬというような感じを、私自身は実は持つわけです。その点についてどうお考えですか。
  56. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは全国の都市を一ぺんに短期間で改造しようと、理想の都市構造に改造しようということになれば、これはもう資金的に言いますならば、想像できないほどのばく大な巨費を要するであろうと思います。したがいまして、そういうものに対しましては、いまの道路や河川と同じように、かりに法律的に書きましてみたところで、とてもこれに応ずるということは、国力がこれはやっぱりものを言っていくわけですから、私は法文の問題じゃないと思う。問題は要するに、この都市計画法を実施していく段階において、国力の、どういうどの程度の部分を、この都市づくりのために、国土づくりのためにどうしていくかという政策上の問題になってくるのじゃないかと思うわけであります。そういう点も、たいへん衆議院のほうでも御心配をいただいて、こういうふうな修正になっておるわけですけれども、私はもう政策上の問題じゃないか。したがって今日の都市問題土地問題は、一党一派の力でどうこうできるわけのものじゃないと思う。これこそ全く各政党が総がかりに取り組んでいくというような行き方が、問題のとらえ方が必要じゃないか、こういうふうに実は考えておるわけであります。したがって、相当の資金需要を要すると思いますけれども、私といたしましては、とにかくそういう考えの上で最善を尽くしてまいりたい。しかしどっちにしても、国民の力、国力を無視して一ぺんにどんなきれいなことをしようとしても、日本中の都市を一ぺんにどうこうするということは、できるわけのものじゃないので、やっぱりおのずからの環境もあるだろうと思いますし、そして結局は、それは地域住民が、自分たちの町は自分たちの手でひとつきれいにしようじゃないかというなにがなければ、私は基本的には成り立ってこない。それに国が国としてできるだけ大きな力をいたしてまいるということが必要じゃないか、こういうふうに考えます。
  57. 沢田政治

    沢田政治君 いまの答弁には若干問題があります。これは国力に応じて計画を立てていくんだということと、やはり政策というものがあって、それに向かって国力を努力させる方法があると思うのですね。それを議論しても抽象的になりますので、それはやめます。  そこで、若干内容といいますか入っていきたいと思いますが、たとえば都市計画を策定するについては、やはり全国的な規模ですね、国土利用といいますか、全国総合開発計画ですね、これとの関連、上位計画との関連が明確でなければならぬと思うわけでありますね。これは都市の問題だけじゃない。日本の国土をどう利用しようかというような総合利用計画、その中において都市計画をどう位置づけようかと、こういうのが順序だと思うのです、しかつめらしくしゃくし定木に言うとですね。ところが、全国総合開発計画は目下まだ検討中ですね。まあ相当長く検討しておりますけれども、まだこれは検討に着手しておる段階なわけですね。したがって、そういうような上位計画と新法の都市計画との関連ですね、これをどう位置づけるのか。それは何というか、総合開発計画のほうは後ほどじっくり考えてほしい、こっちのほうは先に進むのだというような安易な考え方を持っているのか。その上位計画と現実の計画とはやはり表裏一体をなすべきものであるし、やはりそれを離れた都市計画というものはあり得ないと思うのです。これは抽象的な議論のようですが、これの関連についてどう考えていますか、局長局長でいいです。相当議論されたでしょうから。
  58. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 上位計画であるこの全国総合開発計画が三十七年に持たれて、それがかなり目違いを来たしておる。またもや目違いを来たすようなことのないように、細心の慎重な検討がただいま経済企画庁で行なわれておることは、御案内のとおりであります。その総合計画の作業をいたしている経済企画庁も、この都市計画法が国会の御審議が済むならば持たれるであろうということ、また持たしてもらいたいということを強く期待をいたしておるわけでございますから、ただいま作業中の総合開発計画を描くにつきましては、この都市計画法が持たれるであろうということを前提として作業が行なわれているというふうに、私は理解をいたしておるわけでございますから、その点においては手違いを来たすようなことはないと思っております。
  59. 大河原一次

    大河原一次君 関連して。いまの問題非常に大きな問題だと思うのですよ。特にいまの沢田委員の御質問の内容をよく聞いておりまして、同感なんですね。今回のこの重要な都市問題の解決としての都市計画法という問題は、やはり私は全体の国土総合計画の中の大きな役割りを果たすべき、そういう要素を持つものであるというふうに考えております。したがって、私が言わんとするところは、この都市計画というものは、国土総合計画の中のいかなる地位に立つべきものであるかということを、まず明確にすべきじゃないか。そういうふうに思うのです。その中で、いま過密過疎の問題をどうするとか、あるいは地域格差の問題をどうするかという問題を含めた中で、都市計画を立てなければならぬのではないか。そういうふうに考える。ただ現状の過密化した、高層化した都市問題にだけ目を奪われた解釈の中で出されているような感じを受けるので、そういう点も大臣からひとつ御答弁願いたい、あわせて。
  60. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そのとおりだと思います。したがって全国総合開発計画を上位計画といたしますならば、首都圏でありますとか中部圏でありますとか近畿圏でありますとか、ないしは北海道、東北、四国、九州といったような地域開発計画はまあ中位の計画に、それに見合った中位の計画として受け取るべきである。したがって都市計画は、細目計画といいますか、それを受けた計画でなければならぬ。そこで、全国総合開発計画はできるだけ、この狭い国土でありますし、これだけ高密度の経済活動を営み、また十年後、二十年後を想定すればたいへんなことのようになりますから、できるだけこの国土の均衡ある開発計画を持たれなければならぬ。今日のまま放置しておけば、たとえば首都圏に対して十年後は人口はどうなるであろう、あるいは二十年後どうなるであろうかということは想定せられるわけであります。そういうのをチェックして、そうしてできるだけ全国的な開発計画を立てるべきであるというのが、全国総合開発計画のねらいとするところでございましょうし、したがいまして、この都市計画はその細目計画として考えていかなければならないというような性質のものであろうかと、私は考えておるわけであります。
  61. 沢田政治

    沢田政治君 次に、今度の新法ですね、新法案は、その第二条ですね、第二条において、都市計画は農林漁業との健全な調和をはかることを基本理念とする、こういうように規定されておるわけでありますが、非常にこの問題は、きわめて重要な内容を持っておると思うわけです。まあ抽象的に言えば、そういうことばで要約されるわけでありますが、したがって新法において、新都市計画と農業政策ですね、別の法案も出ておるようでありますが、これとのやっぱり調整、こういうものをやはり明確にしなければならぬと思うわけでありますね、やっぱり接点になりますから。都市都市、農地は農地じゃないと思うのですよ。やっぱり両方が共存共栄しなければならぬのですね、国の政策としては。そういう点について、相当こういう法案を提出される以上は、せんじ詰めた各省庁にわたった深い議論がなされたと思うのです。したがってその点に対する検討の内容、経過、こういうものをまずここで明らかにしてもらいたいと思うのです。きわめてこの点は重要な点だと思うので。
  62. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 具体的にこまかいことはまた局長からお答えいたしましょうが、ただいま御指摘の点は、国土利用の上からいって全く焦点になるところであろうと思います。都市計画と農村振興といいますか、農業地域との接点というものは、一番その考え方としてはどうでも考えられるところでありますけれども、実施の段階において、いやしくも官庁の通弊であるなわ張り根性なんか出してこれをやったら、たいへんなことになるんじゃないか。私は全く建設、農林一体となってその調整をはかっていかなければならないというように理解をしておるわけでございます。したがって、この都市環境を整備してまいるという一面において、日本の農業の将来というものを見そこなわないように、もうこれはあげて考え方の問題でなしに、実施の面において最も慎重を要するところであるというように、私は理解をしておる次第でございます。
  63. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 具体的に申し上げますと、今度の都市計画法案におきまして、市街化区域と調整区域というふうに分けた一つの理由といたしまして、先生先ほど御指摘のように、都市の周辺部で急激な無秩序な拡散というものが行なわれ、それによって農地が蚕食されて農地政策上もう憂慮すべき事態が起こっておる。そこで、都市サイドと申しますか、都市サイドの面からも市街化を抑制する区域を設けるべきじゃないか、これはもちろん都市サイド面からも必要なことでございますけれども。そういうような考え方都市地域を農林省と十分協議をいたしまして、市街化区域と市街化調整区域と区分するという制度を設けたわけでございます。市街化区域におきましては、優先的な市街化をはかるという点におきまして農地転用を進めるということにいたしておりますし、市街化調整区域におきましては、これは市街化を抑制するわけでございます。当然今度の新しい農業振興地域の整備に関する法律等によりまして、農業用の開発といいますか、投資といいますか、そういうものは市街化調整区域において行なわれることを期待しているわけでございます。こういうことによりまして、市街地としての土地利用と農地としての土地利用の調整をはかる。なおそれ以外にも、都市計画事業施行にあたりまして、農業施設や土地改良計画との調整をはかるという規定を置いておりますし、また開発許可を行ないます場合に、農業用の施設の管理者と協議をする、あるいは排水につきまして、農業用施設の機能低下を起こさないようにというような規定を置きまして、農業との調整におきましては、まあかなり気を配って立案したつもりでございます。
  64. 沢田政治

    沢田政治君 市街化区域と市街化調整区域、こういうことばが出ておるわけでありますが、私、当委員会の委員になる前に、こういう御計画が建設省であるということを新聞で承知しておったわけでありますが、当時はこの法案が提出される前は、市街化区域と市街化抑制区域、こういうことばが新聞等に出ておったと思うんです。したがって、この調整区域というのは、やはり市街化を抑制すると、そこまで何というか伸ばさせない、どんどんはみ出させないというような厳格な意味の抑制ですね、禁止するということが、やはり将来はまだ市街化区域の範囲を広げてこう若干はみ出ていくかもわからぬと、計画的に。そういうものが非常にばく然としておるわけですね。したがって、ある人は読んで字のごとし、調整区域だから将来都市が膨張して区域が狭くなると、どんどん調整していくんだという考えを持つものもあるし、また別の考え方としては、絶対にそれは抑制するんだ、最初の計画からはみ出さない計画をして、不規則にどんどんどんどん伸ばしていくという考えはないんだ、こういうまあとり方、とらえ方をしておる方もあるわけですね。一体これはどっちなんですか。
  65. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私どもこういう制度を考えましたのは、現在の制度におきまして、もちろん地域規制というものをしいて、市街化を抑制する地域というものを用途地域をめぐりましてきめているわけであります。それ以外の地域につきまして規制手段がない——これは建築につきましても宅地開発につきましても、場所的に規制する手段がないということで、市街化を押えるという区域をどうしてもつくりたいということで、市街化調整区域というものを考えたのでございます。その場合にやはり都市というものは変わってまいりますので、将来再検討されて、市街化調整区域が市街化区域に編入されるということが出てくる。もちろんそれ以外にも、市街化調整区域の中で保存すべき区域その他が入ってくると思いますが、そういうような考え方市街化調整区域を指定しておりますけれども法律の第七条三項にも書いておりますが、規定いたしました時点におきましては「市街化を抑制すべき区域とする。」というふうにはっきり書いております。抑制する区域だ、こういうふうに考えております。
  66. 沢田政治

    沢田政治君 この点を明確にしなければ、やはり当面なら当面は市街化については区域はこの範囲内である、だから他の地域は抑制するのだ、こういうことでなければ、地価にも相当影響してくると思います。近い将来に調整区域はまた市街化区域になるのだということになると、地価の抑制作用というものは、相当減殺されると思います。たとえば最近は土地は思惑ですから、いい悪いは別にして、思惑であそこに土地を買っておったら将来いい値で売れるという思惑があっただけで、もう地価は上がりますから、抑制するなら抑制すると、これは永久じゃない、将来はどうなるかわからないが、当面の意図としては抑制するためにこういうものを設けるのだ、無制限なスプロール化はしないのだという、こういう態度を明確に示さなければいけないと思います。  そこで、それはそれでいいとして、たとえば市街化区域内でも、この法案が通ったら全部これは市街化区域になって、家が建ち都市施設ができるというものではないと思います。大臣の答弁のように相当の長年月がかかると思います。その場合に、その地域内のやはり農業用地——農地が残ると思います。ところが税務署に言わせると、都市化区域になって土地の評価も上がったのだから、高く売れるのだから、やはりこれは農地並みの固定資産の評価ではいかぬというので、現実には農業をやりながら、固定資産の評価では宅地並みに取られる。こういうことになってくると、この法律のために土地を持っている人は非常に損をするわけです。そういうことはあり得ないと思いますが、片や税務署のほうでありますから、いままでも若干そういうトラブルがあったやに聞いております。したがって、そういうものに対する歯どめというのは、やはり明確の上にも明確にしなければ、税務署でも農地に使っている土地の評価を、都市化になったからといってそう高く評価する必要もないし、査定するはずもないという安易感だけでは、これはたいへんなものになると思います。やはりやかましくやかましくこの点を明確にしておかなければ、後日に紛争なりトラブルなり、不満を起こすことになるのじゃないか。そのことがひいては正しい意味市街化を抑制し、法律は通ったが、その地域内の住民は最後には土地収用までされなければもう手放さぬということになりかねないのです、感情要素が発生したら。そういう点についてはどうですか。
  67. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 市街化区域内の農地についての課税の評価の問題ですが、固定資産税、相続税というようなものにつきまして課税上の評価をどうするか。これは私どもの段階で各省と打ち合わせた結果の答えでございますが、市街化区域内の農地についての固定資産税の評価につきましては、おっしゃいますように一度に市街化されるわけではございませんで、道路その他の市街化のために必要な施設が整備されるというようなことによりまして、宅地化されることが客観的に明らかになると認められる区域内のものにつきましては別でございますけれども、それ以外のものにつきまして、市街化区域になったからといって、直ちに宅地として評価するというようなことはしないというような考え方でおるわけでございます。なお、相続税につきましては、実際現在の課税対象の財産につきましても、現実にその財産の取引価格で行なわれておるそうでございますが、近傍類地の評価その他のもので行なわれておるそうでございます。これにつきましては、市街化区域の設定によりまして、従来の財産の評価というものを変える考えはない、こういうふうに大蔵省のほうでも考えているようでございます。
  68. 沢田政治

    沢田政治君 税金の問題は別として、税金の問題以外、たとえば先ほど申し上げましたように、この法律が通ったと、来年から都市化ということじゃない、現実に十年か十五年か場合によっては農地として農業を営むわけですね。継続していくわけだ、今日のまま。そうなった場合、地域外の問題もありますよ、調整区域の問題もありますけれども市街化内の農業に対するそれぞれの農業施策、そういうものはどうなるのか。全く、あそこはもう市街化したのだから、指定されたのだから、もう農業投資は考える必要がないと、こういうようにおとりになられると、実際の政策も行なわれることになると、現実にはもう十年あるいは十五年農業を継続している、しかも農業政策面の恩恵は全然とだえている、こういうことになると、同じ農業でありながら、農地を持ちながら、片一方は線を引かれたためにこれは損をすることになるわけでありますね。したがって、調整区域外の政策はあとで聞きますが、調整区域内の農業に対するいろいろな保護政策、そういうものはどうなるのですか、一体。
  69. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 市街化区域を設定いたします場合には、先ほども申し上げておりますように、相当まとまった現模の優良農地というものは除外する——つまり調整区域になると思います。市街化区域に入れないというふうなことで、市街化区域をきめてまいりたい。したがいまして、ある程度まとまった優良農地というものは市街化区域に入らないわけでございますけれども、先生おっしゃいますように、それ以外のもので、農地として、現在農地のものが入ってくるという場合が出てくると思います。そういうものにつきましては、税金につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、農業投資の面におきまして、たとえば災害復旧の投資でございますとか、あるいは排水路がこわれそうになっているというようなものにつきましての防災的な投資でございますとか、そういうような災害復旧なり防災的な投資というものは、従来どおり継続してやってまいりたいと思います。そういうようなことを農業投資としては考えていく、こういうふうに農林省のほうでも考えているようでございます。
  70. 沢田政治

    沢田政治君 まだ基本的なことでお聞きしたいことがありますが、衆議院の本会議が間もなく開かれるそうでありますので、一応次の機会にまた質問譲るといたしまして、きょう私の質問はこれで終わります。
  71. 藤田進

    委員長藤田進君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時四分散会