運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-23 第58回国会 参議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十三日(火曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員の異動  四月十八日     辞任         補欠選任      大森 久司君     鬼丸 勝之君  四月十九日     辞任         補欠選任      鬼丸 勝之君     大森 久司君     —————————————   出席者は左のとおり。     理事                 稲浦 鹿藏君                 内田 芳郎君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委員                 大森 久司君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 近藤 信一君                 瀬谷 英行君                 田中  一君                 小平 芳平君                 春日 正一君                 相澤 重明君    衆議院議員        修正案提出者   渡辺 栄一君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        建設省都市局都        市開発課長    森田 松仁君     —————————————   本日の会議に付した案件都市計画法案(第五十五回国会内閣提案、第五  十八回国会衆議院送付) ○都市計画法施行法案内閣提出衆議院送付) ○都市開発法案(第五十五回国会内閣提出)(継  続案件)     —————————————
  2. 大河原一次

    理事大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  都市計画法案及び都市計画施行法案一括議題といたします。  まず、都市計画法案について、政府から提案理由説明を聴取いたします。建設大臣
  3. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ただいま議題となりました都市計画法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年における人口及び産業都市集中に伴い、都市及びその周辺地域における市街地の無秩序な拡散が公害の発生等都市環境悪化公共投資の非効率化弊害を生ずるに至っており、この際、これらの弊害を除去し、都市の健全な発展と秩序ある整備をはかるための対策を確立することが緊要の課題となっております。  現行の都市計画法は、大正八年に制定されて以来半世紀を経てまいりましたが、その内容はもはや昨今の都市の問題に十分に対処することができないものとなっております。  すなわち、都市の秩序ある発展をはかるための総合的な土地利用計画の確立、都市計画における広域性及び総合性確保、国と地方公共団体間の事務配分都市計画決定手続合理化等、新しい時代の要請に応じた新しい都市計画制度を早急に確立することが必要となってきたのであります。  今回、これらの諸点について十分な検討を加え、都市計画制度を全面的に改革し、もって現下の要請にこたえることとした次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、次にこの法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、都市計画区域は、必ずしも市町村行政区域にとらわれず、都市の実態及び将来の計画を勘案して、一体都市として整備開発及び保全する必要のある区域を定めることができることといたしました。  指定手続としては、都道府県知事建設大臣認可を受けて指定することとし、特に、必要がある場合には、建設大臣が二以上の都府県にわたって都市計画区域指定することができることといたしました。  第二に、都市計画内容として、用途地域その他の地域地区道路その他の都市施設及び土地区  画整理事業その他の市街地開発事業を定めることとするほか、新たに、市街化区域市街化調整区域区分を定めることといたしました。  すなわち、優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域市街化区域とし、市街化を抑制すべき区域市街化調整区域とし、都市計画区域をこれらの両区域区分することにより、秩序ある市街地形成をはかることといたしております。  第三に、都市計画決定主体につきまして、広域的見地から決定すべき事項または根幹的な重要な事項に関する都市計画都道府県知事が、その他の事項に関する都市計画市町村が決定することといたしました。この場合、市町村都道府県知事の承認を要することとする等により、都市計画一体性確保することといたしております。また、都道府県知事都市計画を決定するに際し、一定の場合について建設大臣認可を受けるべきこと、必要がある場合における建設大臣指示等を規定することにより、国の立場から必要な調整をはかることができることといたしました。  なお、二以上の都府県区域にわたる都市計画区域にかかる都市計画は、建設大臣が決定することといたしております。  第四に、開発許可制度を創設し、市街化区域または市街化調整区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事許可を受けなければならないものといたしました。この場合、良好な市街地形成されるような一定水準道路下水道等都市施設を備えたものでなければならない等の要件を規定するとともに、市街化調整区域内については、さらに、その区域内に立地することが支障がなく、またはやむを得ない行為に限り許可することといたしました。  なお、市街化区域及び市街化調整区域区分及び開発許可制度は、当分の間、大都市及びその周辺等区域以外の都市計画区域については適用しないものといたしております。  第五に、都市計画施設または市街地開発事業区域については、一定建築物建築を規制することとし、特に重要な都市計画施設等区域につきましては、建築許可しないことができることとする反面、土地所有者申し出により土地を買い取る制度を定めております。  第六に、都市計画事業は、市町村都道府県知事認可を受けて施行することを原則とし、一定の場合には、都道府県、国の機関または民間の者が認可を受けて施行することができることとし、この場合には、土地等収用または使用をすることができることといたしました。  第七に、この法律により権限に属させられた事項及び都市計画に関する事項を調査審議するため、建設省都市計画中央審議会を、都道府県都市計画地方審議会を置くこととしたほか、開発許可にかかる不服審査を処理する機関として、都道府県に、開発審査会を置くことにいたしました。  第八に、農地法の一部を改正し、市街化区域内の農地等については、農地法に基づく農地転用許可等を要しないことといたしました。  第九に、この法律施行に伴い必要な事項につきましては、別に法律で定めることといたしておりますが、開発許可制度を創設いたしましたこととの関連におきまして、本法により、住宅地造成事業に関する法律を廃止することといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  なお、衆議院におきまして、都市計画住宅建設土地を提供する者の生活再建のための措置都市計画に対する住民意見反映土地基金の設置、市街化区域土地先買い土地有効利用促進等のための税制上の措置等市街化区域内の農地転用特例等の点につきまして修正が行なわれております。  何とぞ慎重御審議の上、御可決くださるようお願い申し上げる次第であります。
  4. 大河原一次

    理事大河原一次君) 次に、都市計画法施行法案につきまして、去る三月七日提案理由説明を聴取しておりまするが、両案は衆議院において修正議決されておりますので、この際衆議院における修正点について修正案提出者衆議院議員渡辺栄一君より説明を聴取いたします。衆議院議員渡辺栄一君。
  5. 渡辺栄一

    衆議院議員渡辺栄一君) ただいま、議題となりました部市計画法案に対する修正及び都市計画法施行法案に対する修正につきまして、その趣旨及び要旨を御説明申し上げます。  まず、都市計画法案に対する修正について御説明申し上げます。  近年における人口及び産業都市集中はきわめて著しく、都市地域におきましては、無秩序な市街地形成が行なわれ、都市環境悪化公共投資の非効率化弊害をもたらしております。  このような事態に対処するためには、国、地方公共団体住民一体となって、広域的かつ総合的な都市計画を強力に推進する必要があるわけでありますが、今般、提案されております都市計画法案には、なお住宅問題に対する配慮土地等を失います者の生活再建措置等につきまして、若干の不備な点が指摘されるのでありまして、その修正を行なう必要がありました。  以上が都市計画法案に対する修正趣旨でありますが、次にこの修正要旨を御説明申し上げます。  まず、第一に、近時、住宅問題がますます大きな問題となっている現状にかんがみまして、郷市計画は、当該都市住民が健康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅建設及び居住環境整備に関する計画を定めなければならないものといたしました。  修正の第二は、都市計画事業施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者の生活再建のための措置でありまして、施行者は、関係者申し出を受けまして、宅地、農地住宅、店舗の取得等あっせんにつとめるものといたしました。  第三は、都市計画に対する住民意見反映についてであります。この点につきまして、都市計画法案につきまして、すでに都市計画の案の縦覧や住民意見書提出措置が講ぜられることとしてありますが、さらに、都道府県知事または市町村都市計画の案を作成しようとする場合においても必要があると認めるときは、公聴会開催等住民意見反映させるために必要な措置を講ずるものとすることといたしました。  第四に、市街化区域内の都市計画として決定した重要な都市施設または市街地開発事業区域内の土地につきましては、地方公共団体先買い権を行使できるものとし、その先買いを行なうため都道府県または指定都市土地基金を設置することができるものといたしました。この土地基金は、先買い権の行使による用地取得のほか、都市計画施設または市街地開発事業用地先行取得工場あと地等の再開発事業用地取得買い取り請求に応じて行なう土地買い取り等を行なうものとし、国は、この基金の財源を確保するため、都道府県または指定都市に対し、必要な資金の融通またはあっせんその他の援助につとめるものといたしました。  第五に、国または地方公共団体は、都市計画の適切な遂行をはかるため、市街化区域内の土地について、その有効な利用促進及びその投機的取引の抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとすることといたしました。  第六は、市街化区域内の農地転用特例についてでありまして、市街化区域内の農地につきましては、あらかじめ、都道府県知事に届け出て、農地以外のものにする場合には、転用許可を要しないものとすることといたしました。  次に、都市計画法施行法案に対する修正について申し上げます。  この修正は、都市計画法案に対する修正に伴い必要となります条文について、技術的整理を行なうものであります。  以上が、部市計画法案に対する修正及び都市計画法施行法案に対する修正趣旨及び要旨であります。  以上をもって、両修正についての趣旨説明といたします。
  6. 大河原一次

    理事大河原一次君) 御苦労さまでした。  両案についての質疑は、後日に譲ることといたします。
  7. 大河原一次

    理事大河原一次君) 都市開発法案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 小平芳平

    小平芳平君 私は前回質問をして、また今回質問を続けさせていただきますが、私はこの業界にしろうとなものですから、この前のようにいろいろな説明をされるとわからなくなってくる。ですから、率直に質問したことに答えていただきたい。これをまずお願いしておきます。  私はこの事業には全然しろうとで、何らタッチしておるわけではないのでありますが、昭和三十六年に市街地改造法国会を通過するときに、私も建設委員審議に当たり、それで国民大多数の待望するところであるというふうに賛成討論をしているわけです。それが七年過ぎた今日、これだけ私たちが待望するところと賛成してできたこの市街地改造法を、建設省として一体この七年間にどれだけの実績をあげ、どれだけのことをやったがゆえにこれを廃止して新しい法律をつくろう、提案しようということになるか、この辺が私はどうしても納得できないので、質問していたわけです。  それからまた衆参両院建設委員会附帯決議もついている。大体前回私が質問した内容は、全部そのときに衆参両院建設委員会附帯決議としてつけられた点について質問していたわけです。ですから、ここに突発的に問題点を私が提起しているのではなくて、昭和三十六年の市街地改造法のできるとき、そのときの審議内容附帯決議内容、それに対して建設省としてどれだけこの附帯決議を重んじ、建設大臣の答弁のように、このことを実行してきたか、そういう点からお聞きしているわけです。ですから、御答弁くださる場合も、そういう点から御答弁願いたいと思うのです。  まずこの前も申し上げましたように、管理処分計画においては、関係権利者相互間に不均衡を生じないように権利者保護につとめる、こういう一項目があるわけです。この点について、この関係権利者の間に不均衡が生じたような例がないかどうか。ここで実際には新橋とか熱海とか具体的な例はごくわずかしかないわけですけれども関係権利者に不公平がなかったかどうか。その点についてもう一つ今度具体的に申し上げますが、大口土地所有権者、あるいは建物所有権者は何億という補償金をもらう、それはもう利子だけでもいままでの家賃収入の何倍ももらえる。ところが実際の零細な借家人は、一体工事中の二年間どうやって食べてきたか、その点についてですね。
  9. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 参議院での市街地改造法附帯決議の第一項は、管理処分計画における権利者相互間の公平の確保権利者保護に十分配慮しろということでございますが、権利者相互間、つまり地主家主あるいは家主借家人の間の関係というようなことにつきましては、いままでやってまいりました市街地改造では、私ども事業施行いたしておりまして、事業施行者は相当公平の確保ということに努力してきておるんじゃないか、こういうふうに考えます。と申しますのは、実は管理処分計画は、事業を始めるという報告がありましてから、遅滞なくつくるということに法律上なっておりまして、早くつくらなければいかぬわけでございますが、実は新橋等事例にもございますように、借家人家主あるいは地主家主というような関係がございまして、その管理処分計画に入れないという現実の事態がございます。そういうようなことで、施行者のほうは相当そういう点に気を配りまして、その間の事態がほぼ解決するようになってから管理処分計画をつくる、こういうふうにいたしておりますので、この参議院附帯決議の第一項につきましては、施行者は相当の配慮をしているというふうに私どもは考えるのでございます。  それから大口所有者が相当大きな金額をもらう、それから現在の市街地改造法におきましては、建築する時期があとになりまして、土地建物を取り上げます時期が前になりますので、その間の利息を払うということになる。したがいまして、そういうような利息の支払いというものも相当な金額になります。借家権者工事中よそに出て、どっかで営業をしておる、あるいは生活をしておる間におきましては、借家権者に対しまして二年の営業補償を払うわけでございます。その間、借家権者が困ったかどうかということの的確な資料を私ども現在持っておりません。特にその間、営業をやっておる借家権者から、非常に困っておるというような事例につきまして、私ども施行者のほうから、いまのところは聞いておりません。
  10. 小平芳平

    小平芳平君 この前もそのことだけであんなに長く質問したわけですから、きょうになってまだわからないということがあっては困ると思うのですよ。私の質問することだけに答えていただければいいと思うのですがね。この二年間の生活というものを考えた場合に、まずこの大口地主に、これについてはこの前の委員会委員長からの御発言もあって資料を出すということになっておりましたですがね、それは資料としては委員会には出せないものですか。
  11. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この前、吉村商会資料と、それから西口の資料をお出しするということで委員会で申し上げました。委員会等に出したいと思います。ただ何のたれ兵衛にずばり幾ら払ったかという金額の提示だけは、ちょっとごかんべん願いたいと思うのですが、それ以外に、どれくらいの土地建物があり、管理処分計画により譲り渡される建築施設の分がどれくらい、面積がどれくらい、金額がどれくらい、それに対応する従前対応坪数がどれくらい、そこの平均地価がどれくらいということは申し上げられると思いますが、個々補償金額、各人別に名前をあげまして出すということだけは、ごかんべん願いたい、こういうように思います。
  12. 小平芳平

    小平芳平君 いや、私は全部の関係者個々のその金額を全部出してほしいと言っているわけではないのであって、ほんの何軒かの人が、あるいは名前をあげた吉村商会、この一軒でもどれどれどういう内容金額が入りますか、幾ら入りますか。
  13. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 特定の人に対して金額が幾ら入ったかということは、ごかんべん願いたいと思います。
  14. 小平芳平

    小平芳平君 それならば資料は出せないとおっしゃっていただけばいいんです。
  15. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私ども出しますのは、先ほど申し上げましたように、管理処分計画によりまして渡すべき床の面積価格、それに対応いたします従前土地面積建物というのはございます。そういうものは管理処分計画にははっきり書いてございます。それは出せる、こういうように申し上げたわけです。
  16. 小平芳平

    小平芳平君 幾らですか。
  17. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 吉村商会の場合には新しい建物として渡すべき面積が六百八十六平米、坪に換算いたしますと二百七坪でございます。金額にいたしまして三億八千六百万、これに対応いたします従前権利吉村商会の場合には金銭でもらっている部分がございますが、床に対応いたします従前権利は、土地が二百三十八坪、これは借地権でございます。建物が二百五十坪でございます。なお、この東口地区平均地価は坪二百三十七万円でございます。
  18. 小平芳平

    小平芳平君 坪二百三十七万円ということはさら地の場合でしょう。ですから、要するにいままでの借家人に出てもらって、そのほうの権利は別に払ったわけでしょう。その分の権利は別に払って、さら地と同じ二百三十七万円というものでお金を渡しておるわけでしょう、そういうわけでしょう。
  19. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 現在の市街地改造法におきましては、二百三十七万円のさら地価格を、地主借地権者の一応割合がきまりますので、それによって地主借地権者に別々に支払い、まあ物でくれといえば、それに対応する床を与える、こうなります。そうして借地権者通常の場合は家主でございます。家主が店子に幾ら払うかというのは、これは民事上の問題でございます。といいますのは、収用方式でございますので、ちょっとくどくなりますが、この前も申し上げた収用方式でございますので、移転というのが原則でございますので、借家権が継続するかしないかということは、ケースバイケースによって違うわけでございますから、収用の場合には移転ということになっておりますので、家主借家権者の間でどれだけの金額を授受させるかということは、お互いの取りきめにまかしておる、こういう形になっております。したがいまして、役所から払うのは、借地権者地主に払う、こういうことになっております。
  20. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ二百三十七万円かける坪数というものが吉村商会に渡ったわけじゃないのですか、そうでしょう。
  21. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 吉村商会の持っております土地借地権でございますので、地主にも渡っておると思います。
  22. 小平芳平

    小平芳平君 それじゃ、二百三十七万円よりもっとプラスになるわけですか、地主に渡った分だけ。
  23. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 二百三十七万円のうちを地主借地権者に分ける、こういうことになるかと思います。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 そこでとにかく三億八千万、金額にしてそれだけの金額補償金で入ったかどうかということは、また別問題だという説明でありますが、この前も局長説明したように、なぜ二重払いということを地元で言うかというと、それはお金を、まず二百三十七万円かける坪数お金向こうへ渡して、向こうで配分させたのじゃないでしょう、施行主がまず権利者のほうは権利者のほうで払う、そうして地主のほうは地主のほうで土地代を払った。そこから二重払いと言っておるわけでしょう。
  25. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 二重払いという問題が起こっておりますのは、いままでの例で申し上げますと、二百三十七万円は借地権者地主にいくわけでございます。そのほかに借家権者もおるわけであります。その借家権者家主の取り分という問題は、お互いの話し合いにまかせるわけでございまして、借家権者という者に対しましていろいろな補償を別に施行者がきめるのは、先ほど申し上げましたような営業補償、仮住居の補償移転料補償、ただその場合に、通常そこにおきまして、その土地において慣行上、借家をするのには権利金なり何かいろいろな名目で一時金を払わなければならないというような慣行がその地域にあり、しかもその事業によりましてどうしても借家権が明らかに継続できなくなるというような場合におきましては、施行者といたしまして、いわば権利金、礼金に当たる分に相当する金額補償料として、借家をさがす費用といたしまして渡しておるわけであります。したがいましてそのほかに家主から借家人が何ぼか取るということが二重補償になる、こういう議論でございます。
  26. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、普通その土地を買う場合は、坪当たり二百三十七万円ならば一切含めてそれで買うわけですよ、一切含めて。そのほかに、いま局長説明したような支出はやらないですよ、普通、やりますか、そういうこと。
  27. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 通常は、これは市街地改造に限りませんで、公共事業等におきまして、土地代とかあるいは土地代のほかに、通常必要な損失の、通常生ずべき損失補償通損補償というのをやっております。移転料とか、営業補償というものをやっております。その中の一つ項目といたしまして、借家人がどうしてもそういう金を出さなければ入れないという場合にそういう費用を見る。あるいは従前家賃が非常に安くて、どうしても新しく探せば家賃が高くなるという場合に、家賃差補償というものをやっております。そういうものを通常公共事業の場合にやっております。これは公共補償基準にもそういうことが書いてあります。
  28. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、さっきから言っているように、われわれが普通土地を買って家を建てる場合は、坪二百三十七万円で土地を買えばそれ以上にとか、公共事業の場合はそういうふうになっているんだ、基準がなっているんだと説明されますけれども、われわれ通常考えた場合は、坪当たり二百三十七万円の計画をしたらそれ以上出す金がないのだ。普通。それをいろいろな形の補償が出るから二重払いと言っているわけです。そこで、二百三十七万円をもらった人が——これは銀行利子だけでもたいへんですよ。計算してみればすぐ出ますがね。土地面積はそのほかにも通路とか、私道ですね、そういうものを含めた補償をもらうから相当の金額になるわけでしょう。だから、この人たちは相当いままでの家賃の何倍の収入になるわけだ、利子だけでも。そういう計算してみましたか。
  29. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 計算はまだやっておりませんけれども、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  30. 小平芳平

    小平芳平君 そうして地主家主はそういう多額の補償をもらう、現金を持って、それの利子だけでゆうゆうやっていける。そこで先ほど二年間どういうふうにやっていたかはっきりわからないようなことも言われたのですが、そこで営業していた人の純益を計算したわけですよ。一年間は一〇〇%、二年目は八〇%という補償をした。これはそのとおりでしょう。私は聞いたんですが、いかがですか。
  31. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) 新橋の西口につきましてはおっしゃるとおりでございます。東口につきましては幾ぶん異なっております。
  32. 小平芳平

    小平芳平君 そこで大臣、そういうことが今度民間の組合でできるかどうかですね。とにかく権利関係が入っていますね。それで、今度民間の組合をつくって、民間の組合でまず純益を格づけするわけですよ、資本金の多い少ないじゃなくて。どこの家はどのくらいもうかっているか、どこの家はどのくらいかということをね。そうして、それを今度の新しい法律では民間の組合が補償していくことになるわけでしょう。いままでは都とか市が中に入って運営したから、とにかくいろいろな問題を起こしながらもできたけれども、はたして民間でそういうことが可能かどうか、いかがですか。
  33. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど先生が問題にしておられました二重補償的な問題とか、あるいは預かり利息を相当もらうという問題は、今度の新しい再開発法ではなくなるわけであります。といいますのは、同じ時期に、もとの建物権利、もとの土地権利をやめまして新しい権利を与えるというのが、今度の新しい法律でありますから、利息の問題も起こりません。それから借家権を必ず補償するというふうに、今度の法律では書いあります。したがって、借家権補償したものは家主の分になる。今度はそういう問題は起こりません。従来から防災街区等で——これはいろいろな形のやつがございまして、簡単なやつは間口ごとに並べたものもございますが、いろいろな形の防災街区をやってきております。東京その他全国各地でいろいろやってきております。そういう場合に、権利処理というものはなかなかむずかしいためにかえってできない。それが今度の法律権利処理が非常にすっきりできますので、むしろやりやすくなる、私どもはそういうふうに考えておるわけであります。
  34. 小平芳平

    小平芳平君 いまのぼくの言ったような問題は起きませんか。ここに改造地区があって、その改造地区に即刻ビルが一晩でできるわけじゃないでしょう。大体ビルは二年かかるというのでしょう。その間の生活はどうしますかということですよ、その間の生活は。
  35. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 今度の法律では、一応その建物が全部施行者のものに、評価基準日でなってしまいますけれども、そのまま占有さしておくわけです。建物が建ちます段階におきましてその明け渡し請求をして出ていってもらう。したがって、その間のまあ仮営業する場合、仮住居する場合、今度は工事期間中の補償を払うわけであります。したがいまして、補償金による場合のほか、場合によりましては、別にあき地がありますれば、仮営業所、仮住居をつくりましてそこで商売をしていただく、住んでいただくというやり方と、施行者建物を建ててやる場合と、それをお金でやる場合、両方ございますが、それに必要な補償額は必ず出す、こういうことを考えておるわけであります。
  36. 小平芳平

    小平芳平君 必要な補償額を出すとか、あるいは仮店舗を出すとか、そういうことをみんな民間の組合で相談してやるわけでしょう。どうしてあなたそれを否定するのですか、ぼくが最初言ったことを。そういう仮住まいを建てる、補償を出す、そういうことは、権利関係の複雑なところでは民間では非常に困難ではないか、それだけを言っているのですよ。
  37. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 民間の組合でやる場合と公共団体でやる場合で、まあある程度のやりにくさということはあるかもしれませんが、その補償金額というものは将来は処分床によって回収されるわけです。民間だからそれができないというようなことにはならない、こういうように考えております。
  38. 小平芳平

    小平芳平君 ですから大臣にお尋ねしているのですよ。大臣も、民間ですんなりいく、そんな心配ないと、それは市街地改造法七年間の実績の上から考えてそういう問題は起きないとおっしゃるなら別ですけどね。私は過去件数十三件といいますけれども、まだそれほど問題になっていないところのほうが多いですけれども、実際はこういう商業地域の繁華街などが新しい法律の対象になるわけでしょう。それが都とか市がタッチしないで組合でやっていくことは非常にむずかしい、そう思われませんか。
  39. 大河原一次

    理事大河原一次君) 局長と大臣にぼくもちょっと関連して、合わせて答弁願いたいと思うのですが、いま小平君が質問されているのは、権利変換手続の問題だと思うのです。その場合、旧権利と新しい権利均衡のとれたもので交換されるかどうか、その場合の権利価格に対する認定というものはだれがやったほうが適切にできるか、小平君の質問は任意組合としての施行組合でそういう権利変換に伴うところの価格認定が確実に行なわれるかどうか、むしろ第三者の立場で権利変換に伴う価格認定、権利認定を行なうべきではないか、という意味が含まれているのではないかと、私はそういうふうに考えているのですが、この点もあわせて御答弁願ったらどうかと思うのです。
  40. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 後段のほうの委員長が申された点につきましては、価格につきましては特にこの法律では入念な規定を置いておりまして、必ず客観的に公平に審議できるような審査委員価格の決定に参画する、審査委員の同意がなければこれはきまらないという仕組みにしております。さらにこの前も御説明申し上げましたように、収用委員会従前価格につきましては持ち込めるということになっております。これは組合でやる場合でも同じでございます。  それから第一の点は、駅前等におきまして市街地改造やってまいります場合には、公共団体が従来やっておるわけでございますけれども、実際そこで生活をする人を入れるということになりますと、実際はそこの権利者の方が結局話し合ってきめていくということに、そういう形にどうしてもなってまいると思います。この場合は施行者と申しましても、お世話をする施行者でございます。実際は各地でやっておりますけれども、地元の駅前でございますと、商店街の方々というようなものが中心になりまして、実際仕事をやっておるわけであります。したがいまして、そういうような、たとえば仮住居、仮営業所を設けるためには、道路の占用でございますとか、あるいは公園の占用というのが出てまいるかと思います。そういうことにつきましては便宜をはかることにしておりますので、私はむしろ組合で実体的にはやっていったほうがスムーズにいく面が相当あるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  41. 小平芳平

    小平芳平君 大臣は何か意見ありませんか。
  42. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 小平議員が心配されるような点は、十二分にあるのではないかと思うわけです。ただその施行者と占有者もしくは権利者との間での協議に待たなければならぬわけでございますけれども、その協議がととのわない場合の補償につきましても、審査委員会というものを設けられておりますから、実際の運営上はこれはなかなか容易じゃないと思いますけれども、やっぱりその関係者の方々が、再開発事業に相当熱意を多数の方が持っていただかなければ、円満な施行ということは非常にむずかしいじゃないかということは、十分考えておかなければならぬと思っております。
  43. 小平芳平

    小平芳平君 だから局長、答弁が違うんじゃないですか、大臣と、実際はむずかしい問題が起きる、この新橋の場合でも、「ビルは建ったが入居募集できぬ、都と疎開者が熱い攻防戦」新聞にも出たことあるでしょう、これは民間にまかせてやっているんじゃなくて、都がそれこそ市街地改造法で全面買収して、それでやってもこういう問題が起きるわけですから、実際問題としては権利が複雑なところでこういう工事をやって、そんなにスムーズに話し合いがとんとんいくなんて考えられないですよ。それは大臣が言われるようにそういう問題が起きる、むずかしいということは常識じゃないですか。  それからその問題はそのくらいにして、今度「高価なガラ空き新橋駅前ビル、一年たっても半分、都では月六百万円のむだ使い、管理にこれだけかかる。」これはどうですか。
  44. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 新橋の東口ビルにつきまして、でき上がりましてから相当の期間、上のほうのビルが相当あいていたという事例がございます。その後東京都におきまして賃貸の条件のように分譲条件をだいぶ緩和いたしまして。その結果現在は三階、四階等でもとの疎開者に優先的に渡しました部分を除きましては、大体九〇%くらい現在は埋まっております。ただ新橋と熱海、この二つだけは上に事務所を乗せてあります。事務所を乗せた場合がどうも私どもほかの事例と比べて考えますと、すぐに埋まらないという事態が出てきておるわけです。これはやはり当初事業を考えます場合に、その周辺の需要の実態というものをよくつかんで置くべきだったのではないか、こういうような感じがいたしますが、現在のところは約九〇%、一〇%がまだ未処分、こういう実態でございます。
  45. 小平芳平

    小平芳平君 まあ一年たっても高価ながらあきで半分しか入らない、そこでこれ、条件を下げたわけでしょう。ですからそれは失敗を要するに条件を下げてごまかしたのだと、こういう声も聞こえるわけですわね。  そこで今度は、この附帯決議の第二項で、零細な居住者で、新築の施設について権利取得することができない者の救済について特段の措置を講ずることと、これは「特段の措置を講ずること。」となっておりますから、今度新しい法律でもいろいろと講ずるようになっておりますけれどもね、これについてはどのような特段の措置を講じられましたか、あるいは今後講じますか。
  46. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) もとの権利が小さいために、それに相応する床が非常に小さくなる、新しい建物の。そういう場合の措置といたしましては床を増して権利床として与えるということを考えております。従前市街地改造法におきましてもそういう規定がございまして床を増して与える、これは今度の法律でも同じでございます。その場合、区画整理等と違いまして必ず処分床という売る床がございますので、そちらのほうに食い込みまして、床を増して与えることができるわけです。ただし、増した分は当然清算金なり徴収金なりの形で、お金で払っていただくことにはなるわけでございます。そういう措置法律に書いてございますし、市街地改造法におきましても現にそういう運用をいたしておりますので、床面積が非常に小さくなるために追い出すというようなことは、運用上はいたしておりません。
  47. 小平芳平

    小平芳平君 実際には新しいビルへ入りますと——ちょっと前の問題に戻るんですけれども一体家賃はどれだけ払うかという問題さえ起きているわけでしょう。ビルがりっぱなビルになったんだから家賃上げろという。しかし、片方では何言っている、自分は何もしない、公共団体がビルを建てた、自分は何もしない、ただ金もらって利子もらっていただけで家賃上げろとはもってのほかだ、そういう問題すらなかなか解決できないでいる。ですから、ましてや権利を失う人たちの特別の措置というものは、よほどきめこまかな措置を考えていかなくちゃならないと思うのですね、大臣いかがですか。それについて。
  48. 保利茂

    国務大臣保利茂君) とにかく居住権なり営業権等をめぐっての権利関係の問題でございますから、いろいろケースバイケース——たいへんやっかいなことと思うのでございますけれども、まあできるだけやはり権利関係の方々がよく話し合いを尽くしてやっていただくということでないと、どっちにもそれぞれの言い分があり、権利があって、それを主張し合って譲らないというようなことになりますれば、社会の秩序というものは保持できないんじゃないかという点も考えられるわけですから、とにかく御指摘の点はどれもこれもたいへんやっかいな、実際の処理にあたってはよほど注意を要する問題だと思うわけでございます。いろいろの千差万様、いろいろな事態がございましょうから、それぞれの事態に応じて、関係者がとにかく協調的に話し合いをしていただくということでないと、私はなかなか円満にはいかないのじゃないかというように思います。
  49. 小平芳平

    小平芳平君 あともう一つ二つで終わりたいと思いますが、次に審査委員についてですが、審査委員の選任にあたっては、施行者事業施行区域内の関係権利者の意思を尊重し公正を期すること、この審査委員制度については、前回局長から答弁がありましたが、過去の市街地改造ビルの場合は、審査委員の選任のしかたが住民の意思を尊重する、関係権利者の意思を尊重するというようなやり方を全然していないのですね。具体的に御存じですか。
  50. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 審査委員の選任の場合は、市街地改造は公共団体がやるわけでございますが、その場合には、地主なり借地権者なりの権利者の意向を十分聞いて選任いたしている、こういうふうに運営上なっているというふうに了解いたしております。
  51. 小平芳平

    小平芳平君 だから局長は具体的に御存じないわけです。それは確かに投票してきめる。投票はしましたけれども、ちょうど名前を印刷したものがあって、自分たちの関係者なんかももちろん入っているわけないでしょう。第三者ですから。全然知らない人にマルつけて出すだけでしょう。その程度のことで意思尊重になりますか。
  52. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 東京都の例などで見ますと、事前に説明をして、そうして意見を聞いているというふうに了解しております。
  53. 小平芳平

    小平芳平君 小さな声で言えばいいかと思って小さな声で言うけれども、そんなことはやってない。  それから今度はさらに審査委員が問題になるのは、民間施行の場合ですね。民間施行の場合はなおさら審査委員をどういう選び方をするか、どういう人を選ぶかということが問題になると思います。その点だいじょうぶですか。
  54. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 組合の場合には、この間御説明しましたように、総会で選任するということにいたしておりますので、総会は関係権利者の総員が集まる機関でございますから、ここで選任されるということで、十分に審査委員を妥当に選ぶということが保証されるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  55. 小平芳平

    小平芳平君 それは総会で選ぶわけですが、それで全員一致ですか、投票ですか。
  56. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 投票になると思います。過半数できめる。特別議決という事項がございまして、三分の二以上の議決を要する事項がございますが、それに入っておりませんので、過半数できめるということになると思います。
  57. 小平芳平

    小平芳平君 その辺の運用が、民間でやることだから役所がタッチしない、こういうことで済まされない非常にむずかしい点が起きてくると思うのです、実際問題としては。それで、この民間の組合で、局長はさっきどこの都市でも都市計画事業を民間の組合ですらすらやっているように言いましたけれども、全然すらすらいってない例として、有楽町の一軒だけ残っているのがあるのですね。ですから有楽町のすし屋横丁というのですか、ここなどは何年かかっても解決できないで、これは別に建設省がやっていることじゃないのですけれども、民間の組合が中へ入っていかに意見のまとまることがむずかしいかという例にはなると思うのですが、いかがですか。
  58. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 有楽町の東口駅前整備に関連いたしまして、すし屋横丁の整備ということは非常に長くかかっておりまして、確かに先生おっしゃいましたように、関係権利者が多いところで事業をやるということは、非常にむずかしいというふうに私どもは考えております。
  59. 小平芳平

    小平芳平君 初めからそう言えばこんなに長くかからなかったのに、関係権利者が多ければむずかしいといって、幾ら言ったってそうだと言わなかった。  それで、あと次の質問者もいらっしゃることですから、次にもう一つ具体的な問題で、赤羽で都市開発法の適用第一号になるのではないかというて、赤羽西口広場造成促進会というものはできたと思ったけれども、これも新聞記事ですけれども、青写真はできたけれども、動揺する一部住民補償、融資など問題に、要するに国、都が買収し、補償し、融資などの面で、要するに新橋方式が適用されると思っていたけれども、実際そうではなくて、自分たちの金を出し合って組合をつくるということになったために動揺している。脱退者が出ている、こういうような記事が出ておりますが、こういう点はいかがですか。
  60. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 赤羽駅西口につきましては、東京都でも地元のほうの開発促進会等の要望もございまして、ぜひ再開発をやりたい、こういう気持ちでいるわけでございます。先ほど来、先生のおっしゃっておりますように、非常に権利者が多いところでございまして、地元のほうに対しまして住民の納得を得るという段階でございまして、これを将来組合でやっていくということを東京都のほうは現在のところ話しているようでございます。組合でやるほうがいいかあるいは東京都が施行者になったほうがいいかということは、今後の問題であるというふうに考えております。
  61. 小平芳平

    小平芳平君 その点は私もどちらということはないわけですがね。要するにむしろ市街地改造法という法律があるのに、それを廃案にして、新しい法律を出すということが問題だと思うだけで。  それで次に日本住宅公団が行なうわけですね、今度は。行なうことができると。先ほど局長は高層ビルの場合上のほうを事務所にする場合が問題だ、どうもあき室が起きるんじゃないか、そういう場合に考えられるのは、住宅が考えられるわけですが、実際問題としていままででも日本住宅公団の住宅は高いですね。高い家賃が玉にきずということは、再三新聞にも報道されているんですが、はたして今度の場合、新しい法律でやった場合、庶民の住める住宅ができると思いますか、いかがです。
  62. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) いままで住宅公団等がやっておりました、いわゆるげたばき住宅と申しますか、店舗を下へ入れて、上に住宅を乗っけるというげたばき住宅のやり方は、この前も申しましたように、まあ任意のところでしかできませんものですから、理想的なところでできないということでございまして、今度法制上適地——住宅地にふさわしいところにおきましてそういうような住宅を乗せることを、住宅公団なり公共団体なりがやっていけるような制度、法制上の道を開いたということでございまして、事実、土地の値段が非常に高いというようなところで仕事が行なわれますならば、やはり上の処分末の値段もそれを反映しまして高くなってくるということは、これはどういう権利処理の方式をとりましても、そういう結果になってくるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。ただこの場合におきまして権利変換というような、同時に権利を移動するというようなことがございますので、そういう点から先ほど来問題になっておりますような補償の点なり、利息の点というものが解消されますので、そういう点では若干経費が安くなると思いますけれども、大局的には買収でやりましても、権利変換でやりましても、処分床の値段というものは、その土地の値段なり、その他建築費の値段というものが同じでありますれば、そう変わってはこないのではないか。したがいまして、これは一つの法制上の道を開くということでございまして、今後これをこの制度を生かしましてどういうふうな住宅をそこに乗せていくかというのは、制度の運用の問題あるいは、それをバックアップいたしますいろんなほかの面の制度の問題になってくる、こういうふうに考えているわけでございます。
  63. 小平芳平

    小平芳平君 要するに大臣、安い住宅をたくさん建ててもらいたいということは、他の委員会でも再三申し上げたとおりだと思うのです。実際上ビルの上が住宅になっても、一般には住めないというような住宅では、あまりありがたくないわけですね。それから共用部分ですね。共用部分の管理については、共同施設についてその維持管理を十分にはかること、紛争を生じないよう十分に指導すること、ビルができた場合ですね。この点はまあ結局民間で建てて、民間がまた管理運営していくのですから関係ないようなものですが、それは関係ないとしているべきではないという附帯決議なんです。それは管理組合みたいな方式でいくか、あるいは管理株式会社のような方式でいくか、この点についても附帯決議にあるような趣旨が大事だと思うのです。この点いかがですか。
  64. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 実は市街地改造法ができました翌年に、建物区分所有等に関する法律というのができました。それによりまして、共用部分の維持管理等については定めがあるわけでございますが、その場合は共用者全員の同意によって規約をきめるということになっておりますもので、施行に続きまして規約をきめたほうがいいわけでございますけれども、その特例を、市街地改造法を直しまして、三十七年に特例が出ております。したがって共用部分の維持管理につきましては、現在の市街地改造法でもその区分所有の附則で改正になって入っておりますので、共用部分の維持管理につきまして特別の規約を定めることができるという規定が入っておりますが、私どもも先生おっしゃいますように、あとの維持管理というのは非常に大事な問題です。これを円滑に処理していくために新しい再開発法におきましては特別に組合、市町村の場合は都道府県知事認可都道府県、公団の場合は建設大臣認可を受けまして、管理規約を定めることができる、別の管理規約が区分所有のあれにかかわらず定められるということになっていまして、管理規約によりまして監督権を持っている知事なり大臣なりがしつかりと管理規約を指導することができるようにいたしてあるわけでございます。
  65. 小平芳平

    小平芳平君 じゃあこれでいまの問題は結局管理規約を定めましても、先に入った人とあとから入る人とか、いろんなそうした問題も起きるわけですからね。ですからこれはいまここですっきりした決定的な線というものはないと思うのですけれども、大事な点であるということ。最後に大臣に、結局零細権利者の人たちの権利を失わないように十分保護するように、それでいろんな場合があったわけですね。いまここで全部繰り返すわけにいかないですけれども、その場合にたとえばもう少しお金を出せば買えるということも、局長から答弁があったわけですね。ですからそういう点について、低利でお金を借りられるとか、特別の保護をする、それからまた二年間、実際問題二年間収入がなくて困るという人もできる可能性はあるわけですね。そういう場合どういうふうに生活のめんどうを見ていくというようなことですね、そういうような、とにかく、そうして弱小権利者に対する保護というものを、大臣として考えられる範囲で御答弁願いたい。
  66. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほどもいろいろ御質疑がございました都市開発の主たるねらいというのは、もちろんこれは近代都市にふさわしい都市環境整備する、そしてできるだけまあ地域の方々が自分たちの町を能率高い、住みよい町につくり変えようということが基本にならにやならぬ。もう一つのねらいは何かこれによりまして、ドーナツ現象がますます強くなってくる市街地を、いま少しく再開発をして、特にこの住宅等に寄与する道を開いていきたい。そこでまあ彼此見られますような高級マンション等がたくさんふえておりますが、これは営利を目的として相当の、どういう収入のある方か知りませんけれども、相当高い家賃といいますか、というようなもので使われておるようでございますが、それでまあ住宅公団もこの再開発事業に参画できる道を開いて、そうしてまあおそらく小平さんが御心配になっておられる低家賃住宅を大きく期待するということは、これは困難じゃないかと、私も心配をしております。しかし営利事業でなしに、少なくともその高度利用がどの程度に、営利事業でなしにやった場合にどの程度一体低収入の住宅需要に応じ得るかという、そういうねらいで少し力を入れてまいるためには、やはりこの住宅公団を利用し、参画せしめるということが、この場合とにかく必要でないかと考えるわけでございます。そこで、いわゆる公営住宅的な低家賃住宅をたくさん供与できるというようになればたいへんけっこうですけれども、なかなか、先ほど来御心配になっておりますように、なかなかそうはならぬのじゃないか。ならぬにしても、とにかくできるだけそういう法的な施策をもって、そしてまあ市街地の再開発をして、そこにある程度の住宅利用、高度利用ということに持っていくようにしないと、どうもまことに希望のない都市状態になるのじゃないかというような考えで、私もそういう点では非常な何といいますか、力を入れていかなければならない。どこまで一体期待がかけられるかという点については、同様の見解を持っているわけであります。先ほど来御懸念の小権利者等の援助といいますか、保護といいますか、これにつきましてはもういつも申し上げておりますように十分、この一番問題はこういう方々がやはり協力的でなければ、なかなかそれはいまどきでございますから、大きな権利者がやっていこう、大きな権利者だけでものをやっていこうということができる世の中ではございませんから、できるだけ、小権利者の方々の立場というものを尊重して、そうしてそういう方々の協力を得るというように配慮をしていかなければならぬというように考えております。
  67. 田中一

    ○田中一君 これから春日君、相澤君の質問があるそうですから私は資料だけ要求しておきます。局長、いいですか。——防災建築街区造成法の資料として東京の立川地区、大阪の上六それから阪神間の千船、中都市としては徳山、小都市としては長野県の佐久町。これは完成したものでありますから、計画の当初それから手続、組合の結成、組合の運営、それからでき上がったあとの配分——配分といいますか、その持ち分持ち分でやったのか、あるいは金がないから上のほうをどこかに売ったのかという処分の問題、それから組合の清算、これらのひとつそれぞれの実態に応じた資料を整えていただきたいが、時間ありますかどうか。  それから次に市街地改造法の分として神戸市、これは神戸市が行なった市有地に建ったやつ。これのいま申し上げたような事例、管理処分一切の分を含めて。それから姫路市の分。それから現在やっておりますところの大阪駅前の第一号。あれは第一号の半分だった。これがいままで土地収用までしなかったけれども、いま小平君の聞いておったような権利の配分それから居住者の何といいますか、業態というか、それから現在の営業者の権利関係地主借地権等の実態、たとえば不法占拠であったかどうかというような問題、そうしたものもあるはずです。それからこれによるところの権利の配分の問題、それをひとつ出してほしいと思います。  それから次に、新橋の東口、これはもう完成しておりますから、この点についてはいろいろ問題があるので、これに対するところの清算までの現状、どうなっておるか。むろんこの内容というものは、いま言ったような管理処分の問題から、審議会の委員が、審査委員がだれであって、それがどういう行動をとって、どういう何かその審査委員に対する委員会を開いたか。告示して、いつ、どの機関に、どこでやったかという点もひとつ出してほしい。  それから次に、同じく新橋の西口、西口で現在計画中のもの、これに対するところの路線価格、買収によるものと収用によるものとの分類とそれからその路線価格並びに中心点からどちらかに動いた場合の価格、こうしたものも書面で、どの地点で、どれはどうであるかという——これは東京都にありますからとっていただきたい。それから現状におけるところの、あれはわれわれがよく知っておるとおり、終戦時の混乱時に暴力団があれを取り上げた。そうして後に地主それから居住者に一ぺん返すというときには暴力団がはびこって、殺人が行なわれたという経緯もあった。しかし民法上の権利ができてしまったから現在に立ち至っているわけでありますが、これに対するところの現状など経緯を出してもらいたい。加えて、あそこが新橋西口が火災になったために、これに東京都は競馬の馬券売り場を許可したというそれぞれの経緯、これもわかる範囲で出していただきたい。以上要求した資料をひとつなるべく早くお出しいただきたいと思います。委員長。これでけっこうです。答弁を求めます。
  68. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 手持ちあるいはすぐ調べて出せるものは直ちに出したいと思います。ちょっと、いまの段階でわかりませんが、ちょっと時間のかかるものは、あとで調べて出したいと思います。
  69. 田中一

    ○田中一君 なるべく早く出してください。
  70. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) なるべく早く出します。
  71. 春日正一

    ○春日正一君 都市開発法案について質問する前に、一つだけ。  三月二十五日に名神国道で、京都の山科の外郭環状線と交差するところでトラックが中間地帯に飛び込んで中ずりになったという事件がある。大臣御存じですね。あれについていろいろ地元では意見があるわけです。非常にあそこは京都で一番、下は交通の多い道路ですね。あれが中ずりになったからいいけれども、あれ、もし落ちたら必ず大きな人身事故でもあったのじゃないかということがいわれておるのですね。それで、新聞を見てみますと、名神国道全体があれと同じような薄いものですね、一トンの重量しか耐えないような。ああいう交差点ができているように公団側は言っているのですね。どういう計算でそういうことをされたのか、そこら辺……。
  72. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話の点は、私も公団からも伺っております。私も実は、この間一ペんだけあそこを通ったのでございますけれども、どうしてあんなところに飛び込むものか、ちょっと、飛び込むといっても飛び込みようのない、要するにそこは自動車が絶対に入らないところ、したがって、それでこのくらいの薄いものなんでございますから、私もそう言ったわけですよ、公団にも。ほんとうに申しわけないと言うから、申しわけないだろうけれども、しかしそういうめちゃな利用をやられたのでは、それはもう公団にとって国にとって、金をなんぼかけても、車はもう絶対に通っちゃならぬ——通っちゃならぬどころじゃなしに、入るところじゃないところへ入ったという予想せざる事故でございますから、これはもういまのああいう高速道路でございますから、スピードを出すなと言っても無理でしょうけれども、飛び込む人こそまた災難なことでございましょうから、やはり交通道徳というものが一つかちんとなければ、私は何をやってもだめだと思うのですよ。それはあそこだけでなしに、道路から飛び出していくというふうな、もう全く予想せざる災害を起こすことになるわけですから、あれはもう私はどうも、公団をとがめだてするようなことでなく一しかし公団としては、何せ公団の施設でございますから、なお、何というのですか、さくでございますから入らないようにあれをもっと強化するとか、いろいろくふうをしてやってくれておるようで、私はそれを多としております。
  73. 春日正一

    ○春日正一君 これは万に一つという事故だと思いますけれども、しかし事故ですから、当然あるべからざることが起こるわけで、そういう点、この前そこでもありましたね、ガードレールを破っちゃって、側壁を破っちゃって下へ落っこっちゃったというのが。ああいうのは事故ですから、落ちるようなところでないところで落ちるのですから。特に、そういう交通のひんぱんな交差するところでは、万が一飛び込んだらという、万が一は当然考えておかなければならぬ。特にそれは一番先にできた高速道路ですけれども、いまではいろいろ高速道路をつくられているでしょう。それもそんな考え方で、めったに落ちることはないからということで薄いというようなことをされておったのでは、今後またそういう事故が起こるのじゃないかと地元では非常に心配しておる。そういう点はやはり事故ですから、落ちるべからざるところに落ちるわけですから、この点も十分考慮して、おつくりになるなら、万が一の場合でも安全だということにしなければならないのじゃないかというように思います。  そこで本論に入りますけれども、最初にこの再開発事業施行される場所ですね。つまり再開発法の三条では、容積地区内で主要な商業地域、業務地域とか、木造二階建ての三分の二以上あるところとかというような適用条件が規定されておるわけですね。その場合に、これに該当するものは都市計画の中でそこに再開発が適用されるということは、初めから全部きめてしまってそれから着手するのか、着手は順を追ってだろうと思うけれども、それとも施行者の一応めどもあるし、わりあいそこがやりやすいというようなところから手をつけて指定していくのか、この点どうなっておりますか。
  74. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私どもは、できれば東京なら東京の既成市街地で、こことここを再開発したいという地区をあらかじめ指定しておきまして、そうしてその間に事業者がきまって逐次やっていくという形をとりたいのでございますけれども、やはり再開発地区の指定をいたしますと、相当制限もきびしくなるという面もございますし、現在とりあえず私どもこの法律施行を考えておるやり方といたしましては、当面は事業に熟したところを再開発地区として指定してまいる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  75. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、できるところから手をつけていく、こういうことですね。そこで、この法律が通ったとして、さしあたりどういうところを予定しておいでになるか、新聞なんかで見ると、十三カ所かの名前があがっておりますけれども
  76. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) いろいろな候補地がございますけれども、さしあたり手をつけたいと思っておりますところは、先ほどお話に出ました東京でいいますと、赤羽の西口、公団住宅なんか入っておりますほうの側でございます。区画整理をやっておらないところでございます。それから横浜の鶴見駅の西口、それから船橋の駅前、神戸の六甲口、福岡の西新町というようなところを考えております。
  77. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、これは自治体の施行という形でやるわけですか、それとも組合方式でやるわけですか。そういう点はきまっていないのですか。
  78. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほどちょっと赤羽で申し上げましたように、公共団体によって考えが違いますけれども、東京都では組合でやらせるか、都自体でやるかということはさまっておりません。それ以外のところでは、大体公共団体がやるということになると思います。
  79. 春日正一

    ○春日正一君 こういう、いまあげたようなところを見ますと、大体駅前ですね。駅前のそういう商店街、繁華街になるようなところが一番先にやられる。そこで組合方式でやる場合、そういう場合民間資本が参加するという場合には、どういうところが大体考えられていますか。
  80. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 現在、具体的な場所としてまだどこをやろうという、民間を入れてやろうという計画はございません。
  81. 春日正一

    ○春日正一君 結局民間が入って、しかも参加組合員というような形で民間資本が入るとなれば、やはり地価が高くて、うんと立体化して利益があるところとか、あるいは利用度が非常に高いところとかいうようなところですね。だから駅前とか繁華街とか、そういったようなところがねらわれるということになるのじゃないですか。
  82. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 処分床をあらかじめ買い取って、そして予約的に買い取る者が参加組合員になって入ってくるわけでございますから、私どもはそういうようないわゆる不動産業者のほかに、何と申しますか、不動産業者の一種でございますけれども住宅をつくりたいというような業者というような者も、当然参加組合員の中に入ってくるんじゃないか、民間の場合。それ以外に公共団体等がありますけれども、そういうことを考えておりますので、必ずしも繁華街でなくても、そういう民間の住宅供給をやろうというような人が参加組合員に入ってくるということは、考えられると思っているわけです。
  83. 春日正一

    ○春日正一君 いまのようなそういうできるところからとか、有利なところからという方式でいきますと、たとえば東京のこの都市計画の図を見ても、これで新しくそれが追加されて、七環から六環の間までずうっと広がっているんですね、容積地区が。そうすると、あれだけ広いところで、しかもよく大臣も言われるように、ドーナツの中へあんこを戻すということをやろうということになれば、それで都市計画的な整備ということになれば、たとえば東京の東部の墨田とか江東、あの辺の非常に小さな住宅が密集しているところとか、荒川から三河畠のほうとか、この辺から比べればほとんどスラム化しているようなところ、こういうところというものが東京都にとってはやはり改造しなければならない一番大事なところになってくるのだけれども、そういうものは結局一番あと回しにされてしまって、駅の周辺だとか、繁華街が改造され、便利になっていく、そういうところは結局取り残されていっちゃうということになると、この再開発法の適用で、東京の不つり合いというようなものが、一そうひどくなってきやせぬかということが心配されるのですけれども、そういう地域の改造という問題は、どういうふうになっているのですか。
  84. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 実は先ほど例にあげました地区は本年度、四十三年度予定されている地区でございます。実は本年度予算要求の段階でいろいろな地区を折衝したわけでございますが、都市開発法がまだ通っていない段階では、実際にやるのにも手続等を要しますし、そこまでいかないんじゃないかということで、先ほどあげましたのは実は市街地改造事業で新しくやろうとしているところを、再開発法ができますということを前提にいたしまして五地区拾ったわけでございまして、この法律でほんとうにねらっておりますような、たとえば先生おっしゃいましたような地域につきましても当然この法律でやっていかなければなりません。そのためには、この法律が通りました暁に、四十四年度以降の予算折衝なりでそれを盛り込んでいきたい、私どもはそういうふうに考えております。江東地区につきましては、すでに東京都あるいは建設省建築研究等においても、防災的な問題も含めましていろいろ研究が進んでおりますので、ああいう点はやはり先生おっしゃるように早く取り上げていかなければならぬのじゃないか、というふうに考えております。
  85. 春日正一

    ○春日正一君 そこでもう一つ問題は、この再開発事業施行されて、いまのような繁華街とかそういうところですね、その地域だけとってみれば、町が整備され、道路も広がるし、高層ビルも建つというようなことで、近代化されるということは起こるわけですけれども、そうなれば当然それに応じてのたとえば交通の量もふえるだろうし、駐車場とか、排水施設とか、その他のそれに付帯する施設ですね。こういうものが先行的に整備されていかなければ、かえって周辺で混乱を起こす。たとえば霞が関のそこのビルの場合でも、いま完成すると人の出入りは一日五万人以上といわれて、あそこの地下鉄の駅も、あの虎の門ですね。とてもじゃないけれど間に合わぬというようなことがいわれているのですけれどもね。そうすると、再開発事業はこういう公共的な施設、こういうものを優先的に整備していくということになるわけですけれども、そうすると、いま都市計画の中で道路が、ずっと大きい道路がきめられている、そういう周辺とか、それが使えるところにこの再開発事業の適用というものは限られていくわけですか。
  86. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 従前市街地改造法ですと、まあそういうところに限られるわけでございますけれども、今度の法律ではそういうところに限らずもっと広い地域選定が、もちろん条件はございますけれども地域選定ができるようにしたいということで、今度の法律を出しておるわけでございます。だから、その地域とそれからそれを結ぶ、そういうところにつながってくる各種の公共施設の問題でございますが、これはまあ都市計画の問題になりますが、一応東京都を例に引いて申し上げますと、容積地区をきめます場合には、そこの将来の用途あるいは容積地区がどこら辺まで現実に容積地区として整備されるかというふうなことを考えまして、それと道路の幅員とその他の公共施設というもののバランスをとれるようにという考え方で、容積地区なり街路計画なりをきめておるわけでございまして、おっしゃいますように、その事業施行に段階がございますと、一時的に御不便かけるというようなことが出てくるかもしれませんが、考え方としてはそういう考え方でございます。
  87. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、あれですね。当然都市計画の中でそういうことが予定されておるとしても、それが実際施行に移されるということになれば、非常に時間がかかる。開発されたその辺は道路整備されて広くなるけれども、その回りのほうは古い道路のまま残って、ヘビがカエルをのんだようなかっこうになってしまうというような、そのために、かえってそこのところが交通が混雑するというようなことが避けられないわけですね。だから、そういう意味からいっても、やはり虫食いみたいにぽつりぽつりと、いま言ったように都合のいいところから開発していくという形をとれば、そういう矛盾というものがますますひどくなるという心配があるのですが、そういうのはどうですか。
  88. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 地域の選定によっては、先生のおっしゃるような事態が起こるかと思いますが、いま取り上げております地区につきましては、実は戦災復興で区画整理をずっと東京都はやっておりました。それから一時戦災のほうの区域が大体終わっておりますけれども、それに接続したところで、非常に密集しているようなところがございますので、たとえば赤羽で申しますと、東口のほうは整備されておるのでございますけれども、西口が整備されていないというようなことで、西口を指定したいというような形で考えておりますが、確かに新しい一つ計画とプログラムをもって再開発というものはやっていくべきものであろうというふうに考えます。私どもそういう方向に向かっていろいろと努力してまいりたいと思っておりますけれども、現実の事態では、やはり全部それを一ぺんに取り上げるということはできませんものですから、逐次取り上げるという形になっていくと、こういうふうに思います。
  89. 春日正一

    ○春日正一君 まあ赤羽駅前みたいなところとか、公共団体が計画してやる場合には、いままでにある道路とか、これからの計画というようなものとも関連してやれると思うのですけれども、たとえば組合方式で大資本が営利の目的で参加するというようなことで再開発を、まあ条文に適合する地域ということになれば、そういうところが開発されていくと、それに伴ういろいろな都市施設というふうなものをどうしてもやらなければならぬということが、地方自治体のほうにかかってきて、あるいは国のほうにかかってきて、そういうもののあとを追っかけ回して施設をつくらなければならぬというようなことで、自治体なり国なりの計画が振り回されるというようなおそれも出てくるのじゃないですか。
  90. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この組合でやります場合には、知事の認可ということがございます。さらに事業代行制というものをとっておりますので、知事は相当監督しなければならないという立場がございますので、こういう場合には認可してはならないという規定はございますけれども、条件に合ったものは必ず認可しなければならないということにはしておりません。裁量権がある。したがいまして、先生おっしゃいましたような事態が起こるような場合には、できる限りそういう地域で行なわないような指導も、知事のほうでとり得るのだ、こういうふうに考えております。
  91. 春日正一

    ○春日正一君 そういう配慮はいろいろやっても、法律の上からいえば、やはりいま言ったような矛盾点が起こらざるを得ない。私どもでも、まあ東京その他の都市のいまの現状ですね、これをこれでいいとは思っていない。徹底的に改造しなきゃならぬというふうに思っておりますけれども、やはりそうするには、この地図にあるような大きな図面を引っ張ったなら——東京ですね、これは、東京のようにですね。それをやはり全体として見て、どっちから手をつけて——相当年数がかかるんだけれども、どのくらいまでに終えるかというような長期の計画を持って、国なり地方自治体が公的な仕事としてやっていくというようなことでなければうまくいかないんじゃないか。私はモスコーへずっと前行ってみたんですが、ちょうど革命四十周年ぐらいですが、モスコーの一角に丸太で組み立てたのが、もうあき家になっておりましたけれども、一町内残っておりました。これは何だと聞いてみましたら、都市改造の最後の残りで、これは全部立ちのいちゃったから、手をつけないで置いたんだと、そう言っておりましたけれども、ああいう国柄でも、ああいうすべての町を改造しようというのには四十年かかっているんですね。そのかわりきちんとなる。ところが、いまのような方式で緊急必要なところとか、あるいは都会のいいところとかいうような形で、この広い東京をぼつぼつ手をつけていくと、手をつけている間に、あっちのほうへスラムができる、こっちのほうへ何ができるというような形になれば、この改造という問題に一歩も近づけないんじゃないか、そういう点が、再開発法全体についての所期の目的が達し得るのかという点で、私非常に心配しているわけです。  そこで中身に入ってお聞きしますけれども、こういう計画やっていく場合、当然先ほどからの問答でもあったように、そこの地域住民がすでにもう住んでいるところですから、当然この住民のために住みよい町づくりをやる、住民が喜んでこれに協力するというような状態にならなければ、いろいろなトラブルが起こってくるわけですけれども、だからこれを実施していくのには、すべての住民が納得してやれるというふうにならなきゃならぬと思うんですけれども、大臣の考え方をお聞きしたいんです。
  92. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 前段の点におきましては、私も全然同感なんでございまして、ただあそこはちょっとごたごたしているからといって、こうつまみ食いみたいな形でやるべきものではない。やはり東京は東京、大阪は大阪としての都市ビジョンというものがそこに持たれて、そしてそのビジョンを持つ、——それはいろいろ持ち方はあると思うんですけれども建設省建設省として持っていいと思うんです。そしてこれは何十年かかるか、相当の、やはりヨーロッパの——ただいま春日さんはモスコーの話もございますが、どこの都もだいぶ苦労しておる状態からしましても、彼らはもっと古くから都市問題と取り組んで、そして現状やはりあのとおりなんでございますから、そう簡単に、再開発法をつくったからそれで町がきれいになるというものではございませんでしょうけれども、やはりビジョンを、東京のビジョン、大阪のビジョンというものをある程度持って、そしてその線にのっとって、そして一つ一つ積み上げていく、根気強く積み上げていく。われわれの時代、われわれの子どもの時代、次の時代へ、やはり次の時代の人たちが同じ気持ちを持って事業をやっていけるような、やはり大きなビジョンというものがそこになくちゃいかぬのじゃないか。少なくとも再開発都市都市づくりをやり直すというわけでございますから、したがって、単に、いかにもこの現状要請からして、ここだけは手をつけにやならぬというようなところが多いのでございますから、自然そっちのほうにとらわれやすくなりますけれども、それにとらわれているというと、大きな道をはずすことになりますから、その点は重々気をつけていかなきゃならぬ、私はそういうふうに考えております。  それから、この再開発事業を行なっていきますと、ほんとうにもう現に、とにかくもうどうにもならないというような人がいらっしゃるわけでございますから、その方々がやはりこの大きな事業に対して、よくその気持ちになっていただいて、そして御協力をいただくということについては、十分手段を尽くしていかないというと、これはもうどんな大きな仕事でも、地元の方々の協力を得ずしては何一つできるわけはないと、その点は私は基本的には全くそういうふうに考えておる次第でございます。
  93. 春日正一

    ○春日正一君 すると、今度のこの再開発法では、計画決定から事業認可まで至る間での、その地域住民の意思がどの程度反映されるようになっておりますか。
  94. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 三つの段階がございまして、第一は、市街地開発事業施行すべきことの都市計画決定の段階、これはその段階におきましては、新しい都市計画法によりますと、今度の修正を含めまして申し上げますと、都市計画の案をつくろうというときには、公聴会その他で住民意見反映を求める。さらに計画をきめようとする段階におきましては、そこの権利者意見を——権利者並びに住民意見書を、縦覧をいたしまして、意見書をとりまして、そしてその採否をきめて計画をきめる。採否をきめる場合には、都市計画地方審議会にかけて、そこの審議を経るということにいたします。それから二番目は、今度はいわゆる事業計画をきめる、そして組合におきましては、設立の認可の際に事業計画を出す。その他の場合には、事業計画をきめて、事業計画にかかる段階におきましてはこれは意見書提出させまして、そしてそれを認可権者がその採否の決定をする。それから最後に、権利変換計画を立てます場合には、さらに所要の手続をとるということにいたしておるわけでございます。
  95. 春日正一

    ○春日正一君 まあそういうふうになっているのですけれども、この場合、住民及び利害関係者の——都市計画地域決定ですか、これをやる場合、意見書提出を規定しておるというようになっていますけれども、この住民及び利害関係者というものの範囲ですね、これはどの程度になっているのですか。
  96. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 「住民」はその地域におきます住民でございますし、「利害関係者」というのは、その土地なり、建物なりにいろいろな権利がございますから、それに権利を持っている人、それはまあ当然その対象になっていく、こういうふうに考えております。
  97. 春日正一

    ○春日正一君 それを審議会にかけて、この採否をきめるというのですけれどもね。これは建設大臣なり、都道府県知事なりの任命した審議会で、ほんとうに公正にやられるかどうかという問題ですね。たとえば、名古屋のあの大曾根地区の場合なんか、非常にたくさんの人が意見書を出したのだけれども、あれは計画がすでにきまっておるのに計画に関する意見を出してももうだめだと言って却下されて、あとは若干意見をつけて、こういう点を配慮しろぐらいなことで終わっていますし、それから、この前ここでも問題になりました、あの東京の例の外環線の場合ですね。あれの決定がされたときの審議会の採決は、五十四対五十でしょう。つまり、地元の地方自治体とか、そういったものを代表する人たちはみんな反対した。そしてそれ以外の人が、四票の差であれほどの難事業を押し切ってしまったというような事実があるんですね。そうすると、ただ意見書を出すことができるようになっているから十分地元の意見をくみ取ると言われても、それが選挙された委員でもあれば、地元の意見聞かなければ落とされるから、これは保証はかなりありますけれども、任命された委員ということになると、外環線のような五十四対五十というような非常識な採決であの難事業を押し通してしまう。そしてあとまだ手がついてないでしょう。ああいう困難な状態をつくり出してしまうというような事態が起こるのですね。だから、ただ意見書が出せます、審議会でそれを審議しますといっただけで、ほんとうに住民意見というようなものがいれられるものかどうか。しかも、それで大体一応輪郭なり大きな筋がきまって、これでいいかどうかといって意見聞くわけでしょう。だから、どうしても自分のほうできめたことを擁護したいということになって、いろいろ意見が出ても、まあこれはということで却下されてしまうという結果になる。そうすると、こういうことをやる、具体的に事業をやるというようなときに、その前にみんなからどんな条件でどんなふうにこの町を変えたらいいかというような意見を聞いて、それから計画を仕上げていくというように大筋が出たとしても、それは固まったものじゃなくて、そういう意見をいれて計画を仕上げられていくということにならなければならないと思いますが、そういうことはないのですね、法律には。
  98. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 従来の都市計画都市計画地方審議会にかけるというだけで、地方審議会におきましても、その地方の議会の代表、あるいは市町村というものは必ず入っておりますが、そういうことで計画をきめていたということに対する反省といたしまして、私ども原案におきましては、都市計画をきめます場合に意見書を出させ、そして意見書審議会にかけて処理するということにしたわけでございます。さらにそれでは不十分だということで、先ほど渡辺先生がお読みになったように、案をつくろうとするときですから、まだ案をつくる前の段階におきまして、公聴会その他で住民意見を十分聞くということにしているわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃるような点は、今度の修正案に盛り込まれているのじゃないか、こういうふうに考えております。
  99. 春日正一

    ○春日正一君 再開発組合の場合ですね、この事業計画をきめようとするときには「二週間公衆の縦覧に供させなければならない。」と、そして意見書提出土地または物件に権利を有する者ができると、こうなっておりますが、そうすると、借家人とか、そういう間借り人とか、そういうような人たちは、これは物権に権利を有しないものでしょう、こういう人たちの意見はどうなんですか。
  100. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 土地に定着する物件についての権利でございますので、建物について借家権を持っている人は当然入るわけでございます。
  101. 春日正一

    ○春日正一君 これが大臣、知事、それによってきめられるということですが、そうすると、結局そういう形できめられても、その意見をとるとらぬは、結局施行者の側なり、監督者の側なりがきめるということになれば、その地域で再開発事業をやるかやらぬかということについて、その地域に住む一般の住民は何も決定権を持たないということになるわけですね。ただ意見を述べる、とるかとらぬかはそっちにまかせるということですね。
  102. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 住民自体が決定権を持つというふうにはいたしてはおりません。
  103. 春日正一

    ○春日正一君 それから発言権についても、都市計画を決定をする際に公衆への縦覧、意見書提出ということになっているのですけれども、実際にはそういうものが出て、それでそのことを一般が知って、そうして意見書を出すというような場合になると、実際その機会を行使するというものは非常に制限されてくる。そういう意味では形式的なものになるおそれがあるわけです。というのは、この都市計画の大体の決定をする場合、計画できめるという場合には、その地域と規模が大まかにきめられるだけで、これは施行者がだれになるか、資金計画がどうなるかというような詳しいことはまだその段階ではきまっていない、そういうことでしょう。
  104. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) そういうことでございます。施行者なり資金計画はまだきまっておりません。
  105. 春日正一

    ○春日正一君 だから、たとえ縦覧とか意見書提出というようないろいろ手続があったとしても、その程度のことでの段階では、再開発事業施行によって自分たちが個々にどの程度の影響を受けるのか、そういう点は判断がなかなかつかないような状態になっているわけですね。
  106. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市計画決定の段階では、設計の概要、そうして施行区域、それから施行期間というようなものがきまるということになるわけでございます。
  107. 春日正一

    ○春日正一君 だからこまかいことはわからぬ。だから、個々の人間にだってどうなるんだということがまだよくわからぬから、意見の出しようもないというような場合が出てくる。それから公共団体が施行する場合ですが、施行規程というものが地方議会で条例として審議にかけられるということであれですけれども、そうすると結局特定地域住民、ある一町内とか、ここ全体を改造するわけですから、住民の利害が非常に大きく関係してくる。そういう場合に、いまの憲法でいえば、一つの地方自治体、市町村が合併するとかどうするというような問題になれば、それは住民投票によって住民の意思を聞いてやらなければならぬというような規定になって、住民の意思が尊重されるというようになっているのですけれども、これは問題は違いますけれども、しかし、一個の町内が全然つくり変えられてしまう、そこにいろいろな権利の移動や人間の移動や、そういうものまで含めて出てくるというようなことになれば、当然この趣旨によれば、住民全体の意向を聞いて、そうしてそういう計画が最終的にきめられるというようにしなければ、ほんとうに住民の意思を尊重したということにならないのじゃないか。形の上では縦覧し、意見書を出し、その意見も聞いてということになっているけれども、それだけでは形式的なものに終わってしまうのではないか。そこからいろいろなトラブルも起こってくるだろうということをおそれるのですけれども、その点どうですか。
  108. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市計画の段階では、先ほど申し上げましたように、概略のことでございますが、事業計画をきめる段階になりますと、資金計画も何も入った計画が縦覧に供される。そうしてそれに対して意見が言えるわけです。言えるのは関係権利者でございますので、すべて借家人まで含めまして意見が言えるわけでございますので、住民と申しましても、そこに生活しあるいは営業している人は意見が言えるわけでございます。ただ、先ほど先生がおっしゃいましたように、何か住民自体にきめさせるということにはなっておりませんけれども住民がその意見を述べて十分その事業について主張ができる、こういうことにしているわけでございます。
  109. 春日正一

    ○春日正一君 私の心配しているのは、こういうことですよ。都市計画の段階ではいま言ったように、非常に大きなワクがきまるだけでしょう。だからそういうことが起こっても、住民は自分のところがどうなってくるかわからぬから、判断のしようもないというような状態で、それで過ぎてしまう。ところが都市計画がきまって、今度は具体的に再開発事業というようなものの事業計画がきまってくるというような段階になって、その事業計画についての縦覧とか意見書提出するとかいうことが許されておっても、結局もうその段階になれば、都市計画のワクの中で、再開発事業施行すると、その施行するそのものに対して、そこをどうしてほしいということになってしまって、もうワクの中に入れられてしまったものの中で限られた意見しか述べられないということですね。それも取り入れられるかどうかわからぬというような状態になる。名古屋の大曾根の場合なんかそうですね。大体最初に大きな計画が出たときは住民は何も知らぬ、あの施行計画が出る時期になって初めて知って非常な騒ぎをしてみたんだけれども、もう意見書は出したのが審議会ですか、そこでの判断では都市計画でちゃんときまってるんだから、この都市計画変更に対する意見というものは、もうこの委員会では取り扱わないんだという形で却下されてしまっておる、そういう実態なんですね。だから、私は計画の初めから、民主的にやはり意見を聞いていかぬとえらいことになるぞ、ということを言っているわけです。
  110. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 名古屋の大曾根地区の場合は、現行の都市計画法でございますので、先生おっしゃいましたように都市計画をきめる段階で住民に何もはからないできめたわけでございます。したがいまして、事業決定の段階におきまして、意見書が出てきた場合に問題が出てきたわけでございます。今度の都市計画法では、都市計画をきめる段階で、それはまあ先生おっしゃいますように、区域、設計の概要、施行期間というようなものをきめますから、そういうものをきめる段階におきまして、やはり住民に十分PRもし、意見書も出せると、そしてまたさらに、次の段階で意見が述べられるということにしておりますので、大曾根地区の場合とは全然比較にならぬほど住民に対する知らせ方というものはあると思うんでございますけれども、なお都市計画の段階でできる限りその住民にその計画をわからせるような努力というのは、われわれの運用する側で必要じゃないかというふうには考えております。
  111. 春日正一

    ○春日正一君 それで、特に再開発組合の施行する場合ですね、この場合には土地所有者借地権者は組合を構成する一員になるわけですから、これは事業計画の決定に対して参画できるわけですけれども借家人とか間借人とかいう人たちは、この組合形式でやる場合にも全然権限を持たないということになるわけですね。
  112. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) そのとおりでございます。
  113. 春日正一

    ○春日正一君 実際再開発計画施行されるという段取りになると、借家人を含めてこの地域住民というものが直接どういうふうな影響を受けることになるか、この点たとえば家屋の明け渡しがやらされるとか、あるいは仮住宅へ入居するとか、それから今度新しい高層ビルに入るとかいうような問題が起こるわけですね。そういう変化ですね。これは大体建設省のほうではどういうことが起こってどうなるかというようなことは考えておるんですか。
  114. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど御質問になりました借家人は組合員になれないかという問題につきましても、私どもとしてはそういうことも考えたわけでございますけれども、なんせその建物をつぶしまして、新しい建物を建てる事業でございます。そういう権利者がより集まってつくる組合という性格からいって、法制的にも借家人を入れるということは無理だということになりましたので、できる限り借家人保護というものを、この法律の上ではかっていきたいという考え方で、まず第一は先ほど来申し上げておりまするように、計画決定の段階、事業決定の段階、権利変換計画決定段階で当然意見が言えるということにいたしております。さらに借家人そのものの保護といたしましては、必ず借家権が与えられるようにする。新しい床につきまして、必ず借家権が与えられる。たとえば家主さんが金をもらって外へ出ていきたいということで出ていかれても、施行者が変わっても借家権は変らない、そういうふうにしておりますし、さらに問題になりますのは、借家条件、家賃なり、権利金なりはどうするかという問題、それにつきましては、本人たち同士で話がつかない場合、借家条件の裁定という制度を設けまして、施行者が、公平な専門委員からなります審査委員なり、審査会の同意を得てきめる、こういうふうにしております。  なお、先ほど来、市街地改造で問題になりましたような点が、この法律におきましては解決されておりまして、借家権価格補償ということを時価で施行者補償するということにいたしております。借家条件裁定の場合には、当然従前借家権価格の割合と申しますか、そういうものが逆に家賃をきめるということになってくるわけでございます。そういうような形によりまして、うまく、できる限り借家人の希望を満たしていくということを考えているわけでございます。
  115. 春日正一

    ○春日正一君 いまの借家権の問題が一番問題になると思うんですね。借家権価格補償というふうに言われるんですけれども、どういう基準でやられることになるんですか。
  116. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 市街地開発事業につきまして、ビルの床について借家権取得できるわけでございますけれども、本人がそこに入りたくない、お金でもらいたいという場合は当然借家権補償の問題が出てくる、施行者が直接借家権を評価して補償をするということになっております。この場合におきまして、借家権の鑑定評価、これにつきましては、実は宅地審議会の答申で土地評価基準というのがございます。大体あの考え方に従って借家権の評価が行なわれると思いますけれども、申し上げますと、近傍の同種の借家権の取引の場合に権利金授受というような慣行がある場合——慣行のないところもございます、家賃だけで済ますという場合。慣行があります場合に、借家権価格の存在が認められるという場合、借家権の取引価格というか、それと現在の家賃が将来どうなるか、値上げになるのか、それから権利金をすでに授受しております場合には権利金、契約の条件、それから借家権につきましては期間がきまっております場合には借家権の残存期間というような事項を考慮してきめる、こういうふうに考えております。
  117. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、あれですか、ある地域についての借家権、たとえば池袋の西口でやるという場合、あの地域については、借家権というものは、金にかえてみれば坪何万円ぐらいになるというような基準というか、そういうものがきちっとあるわけなんですか。
  118. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) それは借家権の取引があります場合には、その同種の取引価格というものは、鑑定評価をやる人がつかまえられるのじゃないかと思いますが、したがって、池袋等については、借家権の取引というものがあると思いますから、そういうものはわかってくると思います。
  119. 春日正一

    ○春日正一君 実態とそれとえらくかけ違っているような場合ですね。たとえばさっき問題になった新橋の東口の場合ですね。あすこの家賃は最高坪千五百円、二階があるから三千円というのが最高だったそうですね。ところが、今度ああやって建て直すと、えらい高い金になってくる。しかし、そういう場合、その三千円にもかかわらず、その地域とすると、大体権利が何万円の相場だというようなことで、これでやるということになるわけですか。
  120. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 家賃が現在幾らであって、そこの水準としてはどれくらいであるかということも、当然借家権価格をきめます場合には判断の材料になろうかと思います。ただ、家賃が非常に安いから直ちに借家権が少なくなるということにはならないと思います。
  121. 春日正一

    ○春日正一君 こういうふうな場合はどうなりますか。たとえば赤羽あたりでもそういうのがあるのじゃないかと思いますが、あるいは鶴見の西口にしても、あそこは焼けていませんから、戦前からの契約がずっと続いているというような場合、この契約というものがいまのように整備されていないから、非常に義理人情的に口約束みたいにやられてきた。ところが、この再開発をやる機会に、家主のほうからそんな契約なかった、私も耳にしないというようなことで、いままで持っておった権利を全然放棄されてしまうような、そういうような事態というものがあり得ないのか、そういう場合の補償はどうなるのか、法律的な補償権利の。
  122. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) それは借家法によって借家権者の明け渡しというのは制限されておりますので、単にいま先生おっしゃられたような理由借家権を解除して明け渡すというようなことは、家主としてはできないのじゃないか。したがいまして、その補償という問題も起こらないのじゃないかと思います。
  123. 春日正一

    ○春日正一君 そうはいってないのですね。あとのほうから出てきますけれども、あそこの大曾根地区の場合ですね。あの場合、私らは、暮れに大臣のところに地元の陳情が行って、選挙の期日をもっと延ばしてほしい、正月をはさんでいろいろな書類手続が間に合わぬからと言ったのですが、あれがあのままやられました。だから、実際正月明けてから非常に短い期間に手続しなければならぬということになったのですけれども、そういうことが意識的にやられるのですね。正月休みをはさんで二十日間か二十五日間に手続しろというような、役所の休んでいるときに。そういうことで大臣に陳情に行ったのですけれども、これはそのままやられました。そして、結局あの選挙権取った人はどのくらいといいますと、借家人が八百人おって、それで選挙権取ろうとすると地主の証明が要るとか、借用証書が要るとか何が要るということになってきて、結局選挙権取れた人は八百人の中で百二十二人しかいない。つまり、大多数の人はこれを機会に貸借関係をパーにされてしまうというような事態が実際起こっているのですね。だから、いまの借家法でいうもの、きちんとした契約であるとか、法的に対抗できるものがあれば選挙権も取れるし、それもできるだろうけれども、大曾根地区のようにずっと明治時代から住みついている、あるいはああいうやれないところも、そういう関係あると思います。そういうことでやってきた人たちが、その場で権利をふいにさせられてしまう。新橋の場合でもこういう問題があると思うのです。二十年間千五百円という安い家賃でめんどうを見てきたのだから、二十年見たのだからこの際いいじゃないかというようなことで恩に着せて言われてくると、なかなかがんばり切れないような環境も出てくる。大曾根の場合なんか八百人の中で百二十二人でしょう。大多数が権利喪失してしまうような状態になってしまう。もちろんそれで泣き寝入りということではなくして、これはいろいろ奔走すると思いますけれども、やはり非常に不利な条件におちいってしまう。こういうものを借家法によって保障されるといっても、いま言ったような慣行的なそういうものが保障をされないということになると、特に再開発の優先的に対象になるような古い町というようなところに、そういうケースがうんと起こってくるだろう、これをどうするかという問題ですね。
  124. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 再開発法におきましては、土地調書、物件調書を施行者がつくるようにいたしております。権利変換計画を立てます前に、収用法にございますように土地調書、物件調書というものを必ずきめることになっております。原則としては本人の同意を得てつくるということになりますが、借家権の場合は現益そこに住んでいる、占有している場合でございますので、それにつきまして借家権が実際あるのにないというような種類の処理がされるということは、起こってこないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  125. 春日正一

    ○春日正一君 実際にはいま言ったように起こってくるのですね。それと借家の場合でも、昔のように一度入ったら無期限にというようなことじゃなくて、大体二年とか三年とかですね、長くても五年というようなことで、期限切って借りるというようなことが、いまずっとはやっているのですね。そうすると、そういう期限というところで切られてしまうというような事態も起こるのじゃないですか。
  126. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) これは借家法の問題でございますけれども、たとえ期限をきめておりましても、正当な理由がなければ、借家権は消滅しないことになっております。その点は影響はないと思います。
  127. 春日正一

    ○春日正一君 しかし条件は更新されるでしょう、借家の条件は。どうですか。だから当然新しい条件が加わってくる。もう一つ、この借家権があるから、新しいビルに一定面積確保できるということですけれども、まあ、過小住宅、過小宅地の所有者というようなものは、新しいビルに入居できないというようなことが起こってきますね。そういう場合、この補償金というようなものが、正当に補償されるのかということですね。
  128. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど小平先生に申し上げましたように、一応法律には著しく床面積が小である場合には、金銭で補償できるという規定がございますけれども、処分床というのがございますから、区画整理と違いまして。したがいまして、市街地改造の運用におきましてもやっておりますように、私どもとしましては、そういう場合には、増し床で処理していく。しかし増し床につきましては、お金で払わなくちゃならない。それは一時に払えないというような場合には、現在各地でやっておりますように、相当の長い期間につきまして、割賦で払うようにできるようにしていきたい。その金利も低利にしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。それから法律にございますように、著しく小の場合に補償を要するということにかりになりました場合に、これは正当な補償を当然金銭でしていく、こういうことになるわけでございます。
  129. 春日正一

    ○春日正一君 この正当なる補償という問題ですね、これは常識的というか、そういう意味で正当だとしても、そういう過小な住宅に住んでいるとか過小な店舗を持っているというような人は、坪当たりでは正当なものをもらったとしても、五坪とか十坪もらったんでは、よそへ行って同じ商売ができない。これは道路の立ちのきの場合に、一番問題になるのはそこなんですがね。正当に補償してやるのだと言うけれども、そこに住んでおれば、たとえ十坪でも、とうふ屋や八百屋をやって、生活立っていくのです。それをかりに、十坪分をその辺の地価補償されたとしても、別なところへ移っていって、とうふ屋や八百屋をやろうとすれば、それだけの金じゃできないという困難が出てくるのですね。だからこういう過小な者、一番弱い者ですね、こういう着に対する保護というものが、特別に考えられなければ、さっきの話の、駅前で吉村商会ですか、大きな事務所を持っておって、住宅も持っておって、それが坪当たり正当にこれだけで補償されたのが三億何千万だと、しかしこっちの小さな土地を持っている人が、同じ坪当たり補償されたとしても、その総額だけでは、よそに行って同じ営業を続けるわけにはいかぬというような事態が起こるわけですね。そうすると、こういう改造事業によって、やはり犠牲を受けるわけですわ。しかもそれに耐える力がないというような、一番小さい者、弱い者に対して補償するというような、十分保護するというような条項ができていなければ、これは非常に不公平な結果を生むんじゃないか、そういう点どうなんですか、法律的には。
  130. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) したがいまして、私どもといたしましては、増し床で与えるということで現地にそれだけの営業ができるような床面積確保できるようにしたいと思いますが、先生おっしゃるような事態がかりに——私どもそういう運用をするつもりございませんが、かりに起こった場合には、それはやはり補償金としてはその坪数に相当する補償金を受けて、それ以外の面は何か融資なり何なりでくふうをしていくべきものじゃないかというふうに、私どもとしては考えているわけでございます。それはその人の営業形態なり生活形態によりまして、それぞれの各種の政府関係の金融機関等でも低利融資という道が講ぜられておりますから、そういう方法でやっていくべきじゃないか、そういうことにつきまして施行者がいろいろあっせんをしていくことが必要ではないか、こういうふうに考えております。
  131. 春日正一

    ○春日正一君 こういうことが起こる心配はないのですか、たとえばそういう人たちが補償金をもらうとしまして、たとえば法律によれば、差し押えがあればこれは補償金から取る。それから先取り特権、質権、抵当権というようなものがあれば、これは優先的に払わさせられるということになると、一般に住んでいる普通のつとめ人なんかだったらわりあい少ないかもしれないけれども営業している人なんかでは実際上、抵当に入れたり、借金したりしてやっていると、そこでやっておればとにかく回っている、ところが補償金をもらって出るということになれば、そういう貸借関係を清算したら何にも残らない、だから移転費用もないという事態が起こるんじゃないですか。
  132. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 抵当権等がついております場合に、確かにそれが金銭になるとそういう事態が起こりますので、これは市街地改造法では収用方式でございましたので、そういう点は感じておりましたけれども、今度の再開発法では、したがいまして本人が希望して外に出ていくという場合以外は必ず床で与えて、床に当然そういう抵当権なり何なりが移っていくということによって、本人の生活の基礎を失わせないようにしようという考え方が入っているわけでございます。
  133. 春日正一

    ○春日正一君 ですから、その床を借りられてそこに残れる人はうまくそういう関係が回っていくからいいけれども、残れない人ですね、一番弱い者ですわ、そういう者がやはり非常に困難におちいる、それの救済というようなことが今度考えられていない。だから、この法律を読んでみて感ずることは、土地所有者土地を借りた者、家屋の所有者、家屋を借りた者というので、持っているわりあい力のある者が一番強くて優遇されて、端のほうにいって借家人、間借り人というふうに、端にいけば端にいくほど粗末に扱われるというか、そういう印象を受けるのですがね。それで、こういうことでもしこの法律が成立して人家の密集した市街地でこれが適用されるということになったら、これはいろいろ複雑な問題が起こると思うのです。  で、これとは違うけれども、さっき言った大曾根地区の場合どういうことになっているかというと、都市改造区画整理裏業ですけれども、十八万五千坪ですか、それで対象地域の軒数が三千五百五十秤、このくらいあるんですよね。それで、そこがずうっと国道だとか、六車路とか、いろいろ道路が錯綜してきれいになるのですけれども、しかし、こういう公共施設のために土地を提供させられるとか何とかという形で、三千五百五十軒のうちで七五%に当たる二千五百戸が移転ぜざるを得なくなるというような状態ですね。そうしてそういう中で三十坪以下の住宅だとか、そういう店舗だとかいうようなものが非常に多くて、結局換地をする何をするといっても、小さなところでなかなか換地が与えられないというようなことで出なければならぬというような形で、区画整理で町がよくなるのに相当の人がその町におれなくなるというような事態が起こっておるわけですね。だからこれについて意見書は、とにかく事業計画に対しては四千二百六十人——だから、それぞれの人が意見書を出しているのですけれども、これが実際採用されないというふうな形になって、いまでもいろいろ問題が起こっているというふうなことですわ。だから、こういう問題が非常にたくさん起こってくる。そしていま言ったように借りている人が八百戸もあって百二十二人しか正規の、何というか、借地権の資格を持つ者が証明されないような事態ですね。こういうようなことが現に起こっているということになると、法律の文章に書いてないけれども、いま言ったような融資なり何なりで移転のなにをするとか何とかいう行政措置で法の不備を補なっていくということを言われるのだけれども、そういうことでほんとうにこの根本問題というものは片づくだろうか。だから私はやっぱりこういう町を大きくいじる場合に、どうしたっていじれば移動が出るわけですから、そういう場合に弱い者の保護——私らは前よりよくしろとは言いませんよ。いままで住んでおった状況よりもよくしろとは言わないけれども、よそに移っても少なくともいままでと同じ程度に営業なり生活なりできる程度の補償というようなことがきちっと法的にも保障されていなければ、どうしたって賛成できないというようなことでトラブルが起こってくる。道路の問題にしたって、都市改造の問題にしたって、日本のこういう事業での一番の問題は移動とか移転、変化に伴う生活のほうの保障というものが確立されてないから、だから、大局的に見ればここは改造しなければならぬし、ここへ道路をつくるのは必要だということは認めても、その対象になる人たち個々にとってみれば、生活が保障されてないということで反対せざるを得ないような状態が、至るところで起こってくるということになれば、この事業に伴うその変化に対して生活が保障されるというようなことが確立されてない限り、いろいろそれは手立ては尽くしてみても、こういうような問題は避けられないのじゃないか。そしてこれがやっぱりこの計画をやっていく上での一番大きな障害になる、そういうおそれはあると思うのですが、その辺どうなんですか。
  134. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私どもも一番問題がありますのは、やはりそういうような零細権利者なり借家人であるということで、法律を立案するにあたりまして、できる限りそういう点について手を尽くそうということで注意して立案したわけであります。先ほど大曾根の例が出ましたけれども、大曾根の場合に意見書の書類がほとんど認められなかったというのは、大部分が街路建設についての意見であったわけでございまして、今度新しい都市計画法であれをやるといたしますれば、街路をきめますときに十分住民意見を聞く、さらにその街路計画を実現するためにどういう事業をやっていくのか、買収でいくのか、区画整理でいくのか、いわゆる再開発でいくのかという計画をきめます場合にまた住民意見を聞く、こういうふうに逐次固めていって事業計画という段階に入るということになりますので、いままでのやり方とはかなり変わった形になってくるのじゃないかと思います。しかし、先生おっしゃいます点は、非常に私どもとしても注意しなければならない点でございますので、私どもも、まあ運用で逃げるというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、運用上非常にその点につきましては気を配っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 春日正一

    ○春日正一君 それじゃ次の問題ですね。地方公共団体施行する場合、区画整理でも土地所有者借地権者が直接選挙して新委員を選ぶ、たとえば大曾根の場合なんかそうやったのですけれども、それでもさっき言ったようにいろいろ問題が起こっておるのですけれども、今度の法律では審議会と審査会、審議会というのが審査会に改められて、それが施行者のほうが任命するという形になっているんですね。これは前の都市改造事業ですか、これから見れば逆行しているのじゃないか。任命制から選挙にするというんなら、これはもっと民主化されていいということになりますけれども、いままでの古い法律では選挙でやっておった、それを今度は任命制でするということになると、これは逆行するということになるのではないか。
  136. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 市街地開発事業は、区画整理事業に比しまして非常にその手続がめんどうでございます。土地区画整理の場合も、非常にやっかいな仕事ではございますけれども、あれはまあ土地につきまして整理、交換分合ということを行なうわけでございますが、今回の市街地開発難業につきましては、それに建物が入りまして、もとの建物その他が入りまして、非常に権利内容もきわめて専門的でありまして、しかも実質上は権利変換計画というものが、一番こういう審査会の中心議題になるわけでございます。権利変換計画というのは、従来の権利価値を評価し、それに見合った新しい権利をどうするかということでございますので、実質は収用補償というものに近い性格を持っているわけでございます。したがいまして、特にこういうものの処理というものは、公正なものでなければならない、したがって、そういう意味におきまして法律関係とかあるいは評価について専門的知識を持っている人の公正な意見を重視しようということで、市街地開発審査会の構成におきましては、専門的知識経験を有する者を主体にいたしまして考えているわけでございます。もとより市街地改造事業におきましては、そういうことで市街地開発審査会というものは専門家だけでございましたんでございますが、公共団体がやります場合には、関係権利者意見反映ということも市街地改造事業の実績から必要だということでございまして、権利変換計画その他につきまして関係権利者からも委員を任命しようということで、関係権利者意見反映するようにいたしております。こういうようなことで、公正な意見を出し得るような専門家、それから関係権利者というものの一つの混合委員会というような形になりましたので、私どもといたしましては特にそういう、先ほど申し上げましたように専門家の意見の重視という点もございますので任命制にしている、こういうことでございます。
  137. 春日正一

    ○春日正一君 まあ専門家必ずしも公平ということにはなりませんからね。だから、やはり選挙で選ぶ。専門的知識が必要だったらその人を雇ったっていいし、頼んでもいい、できるわけですね。ところが、専門家が任命されて、その任命された人たちが決定権を持つということになれば、どうしたって下の意見よりは任命権者の意見に従う、あるいはそういう立場に立つということになりがちなものですね。だから、そういう点で見れば、やはり選挙から任命になったということは、明らかにこれは後退ですよ。そういうことで、しかもこの委員会でやる仕事というものは、非常に直接利害関係に触れる、清算金の問題とか、古い権利を新しいビルに移す問題とか、非常に関係者にとっては重要な複雑な問題になるというようなことになれば、当然みんなが信頼して、あの人の言うことだからと言って納得のできるようなものにしておかなければ、たとえ本人が誠意をもって公正にやったとしても、その結果に対して不服があると、どうもあれは任命したやつだから不公平があったんだ、というような疑惑すら起こってくるようなことにもなりかねない。だから、なぜこうしたかということが、ひとつ問題だと思うのです。
  138. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この市街地開発審査会というのは、まあ区画整理の場合には審議会というのと評価委員というのと別にございましてやっておるわけでございますから、この市街地開発審査会というのは私どもとしては過半数が公正な  公正というと語弊がございますが、専門委員にしたい。それだけではしかし、専門委員だけでは足りないから、権利者の代表も入れるという考え方でございまして、先生おっしゃいますように、非常にこの評価なりあるいは権利処理なりということは複雑でございますし、専門的な問題でございますので、そういうような専門家の意見を重視して片づけていったほうが、公正に処理できるのではないかという考え方を、私ども持っておるわけでございます。そういう考え方から任命制をとっておるということになるわけでございます。
  139. 春日正一

    ○春日正一君 で、再開発組合で施行する場合ですね、この組合のまあ設立の要件として土地所有者借地権者の同意というのは三分の二以上でいいということになっているのですね。ところが、防災建築街区造成法では、造成組合の設立は全員の同意をたてまえとしている。で、任意に加入できるようになっていると思うけれども、そうしてまた区画整理法では、区画整理組合は三分の二の同意でいいということになっている。今度のこの再開発ではその三分の二というほうをとっておる。これはどうしてそういうことにされたのかどうかですね。
  140. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) これは防災組合でやりましたまあ事業の実績と申しますか、やり方からきているわけでございまして、やはり再開発事業をやります場合に、その地域の方々の大多数がこれを事業をやりたいというのに、少数の反対者があってなかなか事業ができないとか、あるいは変な形で事業が行なわれるということがございますので、その権利者の方々の大多数の方が賛成をした場合に、この組合を結成することができるということをしていくということが、今後再開発を進めていく上に必要だという考え方で、この規定をここに設けている次第でございます。
  141. 春日正一

    ○春日正一君 まあ政府がやるとか自治体がやるという場合と違って、ここはまあ組合をつくってやろうというのでしょう。だから、組合ということになれば、みんなが賛成をして仲間を組んでやるわけですから、だから反対が多いということになれば、これは組合は成り立たぬということになるわけでしょう。ところが、ここで三分の二といいますけれども、相当のまあ広い面積にわたってやるわけでしょう。そうすると、かりに千五百戸くらい組んでいる地域をやるとしまして、三分の一とすれば五百戸でしょう。五百戸を少数と言えるのか。あるいは三千戸の場合で言えぱ、千戸が賛成しなくてもやれるということになる。そうすると、千戸が反対しておるというのに、これを少数と言えるのかということで、私は言えないと思いますよ。少なくとも三分の一、この本会議だって三分の一出れば成立すると言われているでしょう。それほどの権威を持った数ですわ、三分の一という数は。それを三分の一が反対しても三分の二が賛成すればやれるということになれば、当然そこに無理がある。だから国がどうしてもここへ道路をつくることが必要だと、だから住民が反対しても大局的な立場から見て土地収用にかけるという論は、一応論として成り立ちますよ。私は賛成するという意味じゃないけれども、論としては成り立つでしょう。組合としてそこをやろうという場合に、任意に自発的な事業として、そこの三分の一が反対してもかまわないというような規定というのは、これはきわめて実際に合わないし、無理なんですね。一部の土地を持っているような人たちが三分の二かき集めてこれをやろうということになれば、三分の一の反対者というものは、法律的に国の力としてそれに従わされるというような規定にするということは、組合方式というものの精神とはおよそ一致しないんじゃないか。ついでに言っておきますけれども、この間のあなたの説明ではどこかでもってビルを建てたまん中でパチンコ屋なんかがどうしても同意しなくてビルに谷間ができたようなことになった、そういう場合に九〇%も、もっとみんなが賛成してやろうと言っているのに、ただ一軒だけどうしても反対したとかどうとかいうようなほんとの意味の少数ですね、こういう場合に都市改造ができないから、その意思に反しても利益をそこなわないようにしてそれに従わせるというようなことは、それはあり得るとしても、三分の一の意見を無視して従わせるというようなことは、これは筋が通らないと思うのですけれども、どういうわけでそういう三分の一というものをきめたのか。
  142. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私ども実際問題といたしましては、相当多数の反対者がある場合、ここで強行するというようなことは、実際上もなかなかできないし、そういうことを考えているわけではございませんけれども法律上は普通特別多数決というのは、国会等の場合もそうですし、先ほどのいろいろな組合の総会、各種の総会の特別議決というようなことも、大体博引多数決というのは三分の二以上というような規定になっております。そういう規定を援用いたしまして三分の二、つまり単純多数決の二分の一ではなく、特別多数である三分の二、こういう法律的には考え方でございます。そういう意味で三分の二という数字をとったわけでございます。
  143. 春日正一

    ○春日正一君 三分の二という特別多数決ということを言われますけれども、これは生活に直接かかってくる問題でしょう。とにかく三分の二できめられれば三分の一の人はいやおうなしにその国の事業に従わせられるわけですから、そういう問題を、しかもこれは組合でやるということになって、たとえばあとで出すつもりだけれども例の参加組合員ですね、そういうものが参加してきて、そうして当然参加組合員というのは利益になるから参加してくるので、営利を目的として不動産業者なり何なりそういう法で許されたものが入ってくるということになりますと、そうするとそういう営利を目的とした人たちのえじきに——非常にけっこうだからそれと組んでやればもうかるから三分の二はいいでしょう、それをいやだと言っている人までそういう営利を目的としてくる大きい金を持った人たちですね、これの犠牲にされてしまうというようなことになるわけじゃないですか。だからこの三分の一というのは、こういう問題をきめるのに、実際法律をきめてやるのが、三分の一反対したらそういう問題が出てきますね、これは何とか……。
  144. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはもう組合でございますから、できるだけ全員一致が望ましいことで、そうしてまたそのくらいの盛り上がりがないというと、なかなかこれだけの事業をやっていけるものじゃないと思いますが、いわんやぎりぎり三分の二で三分の一をやっつけてしまうというような頭でございますと、御懸念のようなことになるわけですけれども、まあ立案者の頭は、とにかくできるだけ大多数の方々がやろうじゃないかと言われるときに、きわめて一部の方々がいろいろな事情で反対されて、大きな目的が達せられないという場合の救済手段として三分の二、したがって、よくいろんなこういう場合に用いておる、三分の二という特別議決ということで三分の二をとる、これはもう絶対のものですというよりも、そういうものであろうはずはございませんので、ただ、したがってその点は私はもっと四分の三がいいのか、あるいは五分の四がいいのか、その辺は弾力的にいくんじゃないか。しかしながら、とにかくこい願うところは、できるだけ全員の皆さん——しかし大多数の方々がそういう気持ちになられても、それがごく一部の方々の反対のためにできないというようなことは、やはり救済手段を講じておく必要があるのじゃないかということでございますから、その辺は少し弾力的に私は考えていいんじゃないかと考えております。
  145. 大河原一次

    理事大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  146. 大河原一次

    理事大河原一次君) 速記を起こして。
  147. 春日正一

    ○春日正一君 どうも大臣の言われることはわかるんですけれども、それは無理やりやろうとしたって実際三分の一も反対したら、なかなか事業進まないだろうし、できないんですね。だから、大部分が、大多数が賛成して、特殊な場合にそういうことがあるというなら、そういうふうに法律を書けばいいので、それを国会でもって、三分の二が賛成すればいいんだというふうに国会できめてしまえば、法律としてはそういう効力を持つようになるし、あなた方国会議員はなぜそういうものをおきめになったのかと言われたときに、弁解にも困るということにもなると思うんです。だから、人の非常にこまかい権利義務に関する問題ですからね、だから、やはり計画の周知徹底、意見を聞き入れるというような問題にしても、これから審査会の委員というようなものを選挙して、これは選挙した委員だということになると、同じ人間だって任命された委員だということと、自分たちが選んだ委員だということになるならば、これは信頼度が違ってきますからね。国会議員だってそうでしょう。皆さんが選挙した国会議員だというから、隣のおばさんでも何でもこれは信頼してくれるということなんで、だからやはり選挙にするとか、あるいはいろいろ、零細で立ちのかなきゃならなくなるとかなんとかいったような、いろいろ不安を持っているようなそういう人たちに対する保障の措置をはっきりきめておくとか、また組合をつくる場合には、いまいったような全体の同意で加盟する。ただし特別、どこでもそういう場合にはこういう処置もとれるというような、むしろそんなことは例外だと、みんなの一致するのが本来の姿だというようなふうの形にして、やり方を民主的にやっていきませんと、なかなかこういう計画というものはうまくいかないんじゃないか、この点、私は意見ですから御答弁要りませんけれども、私は時間もきたようですから、きょうこれで質問終わって、あともう三点ぐらいについてまたこの次にでも質問さしていただきます。
  148. 大河原一次

    理事大河原一次君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。本日は、これにて散会いたします。   午後一時十九分散会      —————・—————