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1968-04-18 第58回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十八日(木曜日)    午後二時五十六分開会     —————————————    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     近藤 信一君  四月十八日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     小平 芳平君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 内田 芳郎君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委 員                 大森 久司君                 小山邦太郎君                 小平 芳平君                 春日 正一君                 相澤 重明君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        大蔵省大臣官房        財務調査官    宇佐美 勝君     —————————————   本日の会議に付した案件都市開発法案(第五十五回国会内閣提出)  (継続案件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十六日、沢田政治君が委員辞任され、その補欠として近藤信一君が選任されました。  また本日、鈴木一弘君が委員辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 都市開発法案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 小平芳平

    小平芳平君 初めに伺いますことは、都市開発法案がまだ成立していないのに、都市開発法案の一部改正ということで向こうの都市計画法施行法案の中に盛り込まれている。こういうことは、たまに前例があるそうですけれども、非常におかしいと思いますが、いかがですか。
  5. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市開発法案は、都市計画法に基づく都市計画法体系全体、都市計画法制全体の中に置かれるものでございまして、都市計画等都市計画法にゆだねておるわけであります。実は先国会におきまして、都市開発法あとから都市計画法提案しまして、参議院のほうに都市開発法提案しまして参議院にかかり、都市計画法衆議院にかかったということで、それがそれぞれの院におきまして継続審議になったわけでございますけれども、そういうような関係におきまして、衆議院参議院と分かれてそれぞれの法律審議されました。そういうことで非常に審議の御不便をおかけいたしたわけでございまして、私ども提案のしかたに若干問題があったかと思いまするが、そういう点につきましては、私どものほうも非常に遺憾なことだ、こういうふうに考えておるわけであります。
  6. 小平芳平

    小平芳平君 その遺憾なことだと言われますけれども、これが両方とも一緒に同じように成立すればいいですけれども、それが成立しない場合にはまるっきり何を審議したか意味がないことになるわけですよ。ですから、こういうことは、都市計画——大体都市関係法案かたくさんあって、しかもほかの省からもそれに関連するような法案が出てきている。まず法律がたくさんあるわけですが、ですから、実際の効果はというと疑問のようなこともあるのに、それでいながらも法案が次から次へ出される。しかも両方衆参両院に別の法案が出ていて、それを成立しないうちに修正する、こういうような、まるっきりしろうとにはわけのわからないことになっているんです。ですから、そうでなくても都市関係法案開発関係法案というのはむしろ整理していく、実際の効果をあげていくと、そういう努力が第一だと思いますが、いかがですか。
  7. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この御審議をいただいております都市開発法衆議院のほうで御審議をいただいております都市計画法あるいはまた都市開発関係に最も大事な役目を持ちます建築基準法、こういうものは本来一体的な考えでなければならない。したがいまして、扱い方もワンセットとして御審議をわずらわすことができれば、たいへん御便宜であったろうと存じますけれども、まず、今日までもずいぶん都市立法がたくさん行なわれておりますけれども肝心かなめの現在の都市情勢に見合って見て、どうもやっぱり土地の基本的な利用計画というものを立てて、そして住宅住宅商業地域商業地域工場地域工場地域としての機能が十二分に持たれるような都市づくりと取り組む必要があるんじゃないか。それが都市計画法のねらいでありますし、また現行市街地改造法でありますとか、防災建築街造成法でありますとか、といったようなものを一応洗い直して既成市街地内の再開発法、と申しますことは、現在までの都市発展といいますか、殷賑といいますか、状況は、無秩序の中に行なわれてこういうふうな状態になっておる。したがって、今日の都市環境整備してまいりますためには、既成市街地をもっと高度に利用し、そして快適な都会生活が行なわれるようなことを一面ねらいつつも、一方においては、今日の住宅事情から見ましても、既成市街地だけの開発高度利用ということで現在の情勢にこたえることができませんし、できるだけ新たな既成市街地への流入は防いでいく、抑止していくという方策を講ぜられなきゃならぬと存じますけれども、一面においてやっぱり新しい市街地の形成、これは秩序ある形で行なわれていかなきゃならぬというようなことは異存のないところだと思うんです。そこへもう一つそういうことを推進してまいるには、この地価問題というものが、非常な大きな暗礁として横たわっておる。これをどうするんだということが都市計画法や再開発法審議にあたって非常に重視されて各党からも強い御意見が出ておりますわけでございます。これは都市計画法地価の抑制とかあるいは地価の安定とか、そういう主たるねらいを持って草案されたものじゃございませんから、地価問題については、これはいろいろの税制の面からも各総合施策を要することだと、それじゃもう全部そんなものを一まとめに立案化してということになってまいりますと、これはまあ考え方としてはそのとおりでございますけれども、事実は不可能なことで、とても一国会や二国会でこれらの問題をあわせて何するということは、私は不可能だと思う。そこで建築基準法改正も内部的にはかなり進んでおりましたけれども、まあ御審議上もあるいは御不便をかけるかもしれぬけれども、とにかく都市計画法と再開発法に重点を置いていただいて、そして今日の行き詰っております都市問題、土地問題に一歩踏み込むという糸口を与えていただくように御了解願えないものかというようなことで、こうやって御審議をわずらわしておるようなことでございます。いろいろ局長が申しますように、提案手続等において十分でなかったということに対しては、もう私もだんだんわかってまいりますと、そうだなあという感じがして遺憾に思っているわけでございます。ひとつそういう点で、とにかく、今日の当面いたしております土地問題、都市問題というものにひとつ一歩踏み込むことの糸口を与えていただきたいというのが、これが念願でございます。
  8. 小平芳平

    小平芳平君 大臣の御説明ですが、私は、今回のこの法案が、都市開発法案が、いま大臣がおっしゃるような都市問題解決の一歩踏み込むことにならないと思うんですね。それは、ずっといろいろな点について質問をしていきますが、結論としては、今回の法案が一歩出発点になるということ自体が納得できないわけです。  そこで、次に市街地改造法——略して市街地改造法、それから防災建築街造成法、これを廃止するということですね。ですから、これを廃止する理由と、そうしたら住宅地区改良法も廃止するような関係にある法律のようにも思いますが、これは存続するという理由、以上の点について。
  9. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま大臣が申されましたように、市街地の再開発をやらなければいかぬ、しかも現在におきまして相当市街地の中が個々ばらばらの形で不燃の建物が建っていくという状況を何とか計画的に再開発に持っていきたい、集団的な再開発に持っていきたいということが、この立法の動機でございます。  従来から市街地改造法というのがございます。これは端的に申し上げますと、道路整備と合わせて市街地改造するという場合にしか適用がないわけでございます。つまり非常に密集市街地におきまして、道路を広げますのには、どうしても空間をあけるために建物を上に積まなければならぬ、そういう場合にしか適用がない。しかも、道路管理者仕事をする、建築設備のほうも道路管理者でなければその仕事ができない、すなわち公共団体でなければ仕事ができない、こういう法律でございます。実際の再開発要請というのは、必ずしも道路に関連したものだけではございませんで、それ以外の面からも木造密集市街地改造でございますとかあるいはその他の地区におきましても、改造の要求が出ておりますけれども市街地改造公共団体しかできないし、また公共施設整備と関連してでしかできないという限界があったわけでございます。それから防災建築街造成事業というのは、なるほど一般のところでもできるわけでございますが、これは権利者任意組合をつくりまして、任意やり方でやるという方式でございますので、先生御承知のように、市街地の中は権利関係が入り組んでおりますので、権利関係処理がうまく任意やり方ではできません。それからもう一つ組合がやっておりますが、これはやはり全員同意組合でございますので、非常に少数の反対者がおりますと仕事ができない。まあこれはあっちこっちに事例がございますけれども防災街区でありましてまん中が切れてしまったり、あるいはビルみたいなものを建てて、一軒だけ反対しているためにそのビルの下にみぞみたいなものができて、ビルの下に一軒の反対者がいたというようなことがございまして、今後集団的な再開発をやってまいりますために、やはり大部分の方が賛成すればこれは再開発ができるようにするということが、まあこれは再開発を実際にやっておられる権利者の方なり、あるいはそれを担当しておられる方から非常に要望があったわけでございます。  それともう一つ、そういうようなことでまあ今度の再開発法におきましては、事業を行ないます地域というものにつきましてもっと自由に選択ができるような、自由と申しますと語弊がございますけれども、いろいろの再開発しなければならない要請に対応できるような形にしたいということが一つ、それから公共団体以外のものにつきまして、ある程度強制権を持ちましてそして事業の執行ができるようにしたい。それと同時に、権利関係処理というのが非常に複雑でございます。この法律におきまして非常に綿密に、まあそのためにわかりにくいかと思いますけれども、非常に綿密に権利関係処理をいたしてございます。そういうルートに乗っかりますならば、権利関係がスムーズに処理されると、こういうことでこの法律をつくったわけでございます。  ただ、新しい方式をこの法律でつくっておりますけれども、これに特則というのがございまして、二つ特則をうたっております。一つは、この法律権利変換の原則的な考え方は、土地所有権はそのまま残しまして、そして借地権なり建物なりを新しい床にかえるというやり方でございますけれども特則の第一におきましては、土地ごと建物にかえるというようなことを認めております。これはまあ結果的にはほぼ買収方式、すなわち収用方式に近いわけでございますので、公共団体公団にだけ認めておる制度でございますが、これは結果的には現在やっております市街地改造方式、すなわち買収をいたしまして、そして希望者に床を与える、お金かわりに床を与えるという方式と同様でございますので、結果的には吸収されるということで、市街地改造法を廃止したわけでございます。  それから防災建築街区のほうは、もう一つ特則がこの法律で掲げられておりまして、全員同意組合をつくります場合には、任意方式仕事ができるという規定を置いております。したがいまして、全く防災街区の規定はこれに取り込まれておりますので、したがいましてこの防災街区も吸収されるから廃止すると、こういう考え方でございます。  それから不良住宅地区改良事業と申しますのは、公共団体、主として市町村でございますが、市町村土地建物を全部買収いたしまして、そしてそこをきれいにして、そしてそこにアパートならアパートを建てまして、そこの住民を住まわせる、こういうやり方でございます。この再開発法考えております権利変換方式というものは、特則を含みましてそこの権利者にはそれぞれ別な建物の形で床を与えるということでございまして、全部その土地権利を別にとってしまって、施行者がそこに建物を建てるという方式ではございません。したがいましてこの権利変換方式になじみませんので、不良住宅地区改良事業は残した、こういうことでございます。
  10. 小平芳平

    小平芳平君 私の質問した点は、この市街地改造法防災街造成法をなぜ廃止するかですね。それから住宅地区改良法をなぜ存続するかですね、そういう点を質問したわけですから、こう的確にそれに答えていただけばけっこうだと思うんですがね。まあ結局市街地改造法防災街区のほうは、この一本の今度の法律に吸収されるから廃止するということでありますが、それではこの住宅地区改良法のほうは、住宅政策が一歩おくれをとるんじゃないかということですね。かりに市街地改造防災街区のほうは一歩進めて新しい法案に盛り込んでいく、都市開発法案をつくって一歩進めていくというふうに、御説明のとおり受け取った場合ですね、はたして一歩進むことになるかどうかの問題については、あとで御質問しますが、市街地改造防災街区の造成は、新しい法案で一歩前進しようというときにこの不良住宅地区改良のほうは、一歩おくれをとるということになりませんか。要するに今回のこの新しい法案で、日本住宅公団がやるというような点についても、いろいろ疑問があると思うのですけれどもね。とにかく、いまさしあたっての住宅政策の進展には今回はならない、その点はそうなりませんか。
  11. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私が申し上げましたのは、現行住宅地区改良法事業やり方と、それから市街地開発やり方と、そのやり方が違うということを申し上げたのでございまして、今回の都市開発法に基づきます事業におきましても、当然不良の市街地があるところでもこういう事業はできるわけでございます。この方式でできるわけでございます。やり方一つは、全部土地建物買収してしまって、事業者がきれいにして、そして事業者建物を建ててやるという方式と、市街地開発法にありますように、従前の権利者はそのまま新しい建物に入れながら、そして残った床を住宅なりその他に利用できるというやり方とこの二つ、この法律が通ればできるわけであります。そういうやり方でございますので、今度の都市開発法におきまして、当然住宅を上に乗せていくというようなことは、今度の法律において法制的に前進するわけでありますので、住宅対策上の配慮も十分考えている、こういうふうにわれわれは考えております。
  12. 小平芳平

    小平芳平君 いままでの市街地改造によって建てられた新橋駅前とか、熱海駅前とか、その他に例がありますけれどもね。とても住宅になんか住めるようなところではないですね、高くて。もう一流ホテルにでも毎日泊まっているくらいの値段を払うつもりでなければ、とても使えないわけでしょう、ですから少なくとも住宅問題の一歩前進にはならないということ。それから次に市街地改造法は、昭和三十六年以来実施してきているわけですが、この市街地改造は非常に困難な事業であって、十三地区ですか、具体的には……。非常に困難を乗り越えながら今日まで地方公共団体事業をやってきているのですが、その反省といいますか、欠陥といいますか、それを直すことがまず先決問題であって、一体今度市街地改造を、あくまで困難な思いをしながらやってきた地方公共団体人たちに対して、建設省としてはただ都市開発法案を出せばより仕事がスムーズにいくとお考えかどうか。実際にはこの市街地改造の困難さというものは非常なものですね。それについての反省欠陥を直していく、そういう点はお考えになったかどうか、いかがですか。
  13. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生おっしゃいますように、熱海新橋につきましては、まあ非常に繁華街駅前でございますので、必ずしもそこに住宅相当部分乗るということは、その地区にふさわしいかどうかということは問題があろうかと思います。ただ神戸におきましては、現にこの市街地改造法方式によりまして、相当住宅を乗せております。またあそこにおきましては特殊なケースでございますが、そこに住んでいる住民の階層によりまして、建物を別にいたしましてそうして住宅を、そこに入れるような方途も講じておりまして、市街地改造方式でも、全国的に申し上げますと、大体繁華街でやっているところが多うございますけれども相当住宅が乗っておるわけでございますが、それにいたしましても、市街地改造というのがなかなかやりにくい仕事であるということは、私どもも十分反省しているわけでございます。特に密集市街地商業地というようなところは、権利関係が非常に入り組んでおりまして、それの処理ということに非常に手間がかかるということ、それからもう一つは、何と申しましても商業地等で行ないます場合には商店配置商店と申しますと語弊がありますが、要するに、建物内部における店舗の配置とか、建物自体につきまして商業経営的な要素を相当考えていかなきゃならないというようなことがございます。そういう点で非常に市街地改造やりにくくなっている点を、私どもとしましては再開発法市街地改造法のやりにくかった点を改めていきたい。こういうことで、一つは先ほど申し上げましたように、市街地開発法におきましては事業地域をもっと広く、再開発の必要な地域をとれるようにするということにしたことが一つでございます。それから第二点は、市街地改造法収用方式でございます。したがって、一ぺんお金に換算いたしまして、そしてその代価のかわりに床を与える、希望者に床を与えるという方式でございます。これを今回におきましては、権利変換という、建物を建てる前にあらかじめすべての権利者権利をセットしてしまう。そういうことによりまして、土地を買わないで事業ができるようにする。そういうことによりまして、一ぺん土地を買うということにより起こるいろんなトラブルというものを避けていきたいということでございます。  それからもう一つは、先ほど来申し上げました権利関係処理というものにつきまして、市街地改造法よりも担保権処理の問題、あるいは争いのある権利処理の問題、こういうようなものがなかなか解決しないために、実は工事がはかどらぬということがございますので、こういうような処理につきまして権利の移行が容易になるような措置をとっておるわけでございます。なお、それ以外に施設建築物に対する固定資産税の軽減を法律上明記する、あるいは自後の管理につきましての規定がございませんでしたのを、管理についての規定につきまして明確に定めるというような点で市街地改造法欠陥を是正するという措置をしているわけでございます。
  14. 小平芳平

    小平芳平君 工事都市開発法案では第三条で容積地区に限る、「容積地区内にあること。」となっております。そうすると、かえって限定されちゃうじゃないですか。現在その容積地区にはどのくらい指定されておりますか。
  15. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 現在の地域制におきましては、容積地区制度がかけられるようになっておりますけれども、現在かけているのは東京都しかございません。ただ、この法律におきましては、市街地開発をいたします地区につきまして、容積地区をかけることができるようにいたしておりますので、市街地開発の必要な地区につきまして、その地区建物容積最高限度最低限度、それから建物外面積最低限度というものをきめまして土地高度利用をはかるべき地区というものをかけられるようにいたしております。したがいまして、ある都市の中でこことこことここは再開発をする、土地高度利用をするといえば、その地区につきまして容積地区をかけてまいりたい、こういうふうに考えております。
  16. 小平芳平

    小平芳平君 時間を倹約する意味質問を続けて幾つか申し上げたいと思いますが、いまなぜ東京しか容積地区指定がないのかということが一つです。  それから、じゃ今後実際問題、市街地改造東京以外、東京は一カ所でそのほかの十二地区、全国のいろんな都市で行なわれたわけですが、そういう場合には大阪とかあるいは神戸とか熱海とか、その市全体の容積地区をきめるのですか、それともほんとうに駅前なら駅前だけをきめるのですか。
  17. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私どもといたしましては、容積地区市街地についてかけていくのが望ましいというふうに考えておりますのですが、容積地区が現在東京だけというのは、一つは現在大阪その他でも全部準備は始めております。容積地区指定しろと。ただ問題になりますのは、容積地区指定いたします場合には、高さの制限が撤廃されるということになっております。そこで、その高さの問題等につきましての、それぞれの都市考え方というようなものが一つ問題になってまいります。それからもう一つは、やはり容積地区というのは、その地区公共施設というものとバランスがとれた形で容積地区指定しなければなりません。現在は容積地区がない、現在におきましては高さの最高限度と、それから建蔽率ということで、いわばその建物を縛っておるわけでございます。それを容積地区にいたします場合に、その地区公共施設の容量というものを断然考えなければいけません。そうしますと容積地区に転換するときに、現在認められている容積を減らさなければならないところが出てくる、われわれといたしましては、当然減らしていくべきだと考えておりますけれども、そういう点で市街地全体について容積地区をかけるというのは、そういう点でおくれておる点がございます。もう一つは作業上の問題もございますけれども、そういうことでございますが、私どもこの特別の容積地区でございますので、新しく基準法で起こしました特別の容積地区につきましては、その事業をやりますところにスポット的にかけてまいりたい、こういうふうに考えております。
  18. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、非常にむずかしい説明をされるけれども、簡単にこうわかりやすく言えば、容積地区指定は、東京以外は地元にもいろいろ問題があってまだ行なわれていない。ただここでもってこの新しく法律ができて市街地改造を始める場合には、いやおうなしに容積地区をきめてやるのだ、こういうわけですね。
  19. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 一般容積地区最高限度だけ押えておりますが、これは最高最低を押える容積地区でございますので、そのやろうとする地区につきまして、ただいま申し上げましたように、その地域だけについてもかけていきたい、こういうふうに考えております。
  20. 小平芳平

    小平芳平君 そこでこの市街地改造事業の非常に問題になった点について質問いたしますが、この市街地改造法が二十七条、新法は八十条にある近傍類地の価格ということですね。近傍類地の価格は、はたして守られているかどうかですね。これはまず最初に補償を配分する場合、今度はでき上がって新しいビルができた場合、こうした近傍類地の価格に沿っているかどうか。
  21. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) もとおりました権利者に与えます床につきましては、近傍類地の価格と、それからその床ができますコストと両方見比べて評価することといたしておりますが、ただ近傍類地の価格のほうがコストよりも安いという場合には近傍類地の価格による、こういうふうに市街地改造法ではいたしております。したがいまして権利者に対する一種の補償でございますので、近傍類地の格価によるということにいたしました。もちろんコストが近傍類地の価格よりも安ければ近傍類地の価格による、そういうことによりまして権利者の保護をはかっていこうという考え方でございまして、今度の再開発法におきましても、その考え方は変わっておりません。ただ再開発法におきましては、新しい土地収用法で評価の時点というものをきめているのに対応いたしまして、従前の権利の価値を評価する時点と新しい床についての評価の時点というものを同じ時点に出しておる。そういうことによってなお一そう権利者の保護をはかるという考え方をとっておるわけでございます。
  22. 小平芳平

    小平芳平君 実際問題新橋の場合でいえば——まだ大阪のほうなどはできていないですね、大阪市の場合は。新橋の場合などでいえば高いですね。非常に高くついてしまって、実際に東京都ではできたけれども、全部売れないで、いまだにある面積は東京都がかかえたままわざわざ管理者を置いて管理をしているという、とにかく場所的にはあれだけ便利なところなんですから、それが安くいきさえすれば飛びつくはずなんだけれども、実際には高くなっちゃった。したがって、いま局長説明された補償の支払いについても、よほど将来こうした事業を手がける場合にはくふうをしていかないと、考え方を改めるなり、考え方について、そうした駅前ビルのようなものができると、じゃそのためにはどういう補償を払い、また、どういう補償を受け取るかということを、工事をやる——東京でいえば東京都も、また、そこへ住んでいる人も、初めからそれをよく研究し、検討していかないことには、とてももう東京都のやり方でいえば、まずそこに住んでいる借家人の人に補償金を払う。その上にまた今度は家主に、また地主にというふうに、地元の人に言わせれば二重払いだ、二重払いだと言っているのですけれどもね。二重払いということばが適当かどうかはともかく、非常にこういうものが新しいビルの、実際でき上がったものを高くしてしまうのですね。それがまず第一の反省じゃなくちゃならないと思うのですが、いかがですか。
  23. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど申し上げましたのは、権利者に対します床の評価の問題でございまして、東京新橋で売れないといっておりますのは、ただ処分床と申しますか、権利者に与えた床以外の部分が高くなって売れないという問題現在のところ一〇%ぐらいまだあき室があるようでございますけれども、そういうような東京新橋の例におきましては、相当高い処分床の価格になっておる。したがいまして、その補償について気をつけろということは、まことにごもっともな御注意でございます。私どもも今度の再開発法を運用してまいります場合に、補償基準というものをしっかり立てて、そして地元の公共団体なり組合なりを指導していけるようにしたいと思っておりますが、ただ、新橋の場合に二重払いだという問題が起こっておりますのはこういう事情なんでございます。つまり、収用方式でございますので、収用の場合には、通常建物は買いません。建物は移転ということが本則になるわけでございます。したがいまして、移転料は払いますけれども建物を買うという形はとらないわけでございます。そして、建物につきましては、結局は家主と借家人の間の話し合いでその間の調整がはかられると、こういう形になっているわけでございます。したがいまして、原則といたしましては借家人に対しまして借家権価格の補償というようなものは、収用方式はやらないわけでございます。ただ、実際問題といたしますと、その借家人が借家権の継続ができないという客観的な事情が認められます場合には、借家人に対するいわゆる通常損失の補償といたしまして、借家人が借家に入る場合に権利金を取られるというようなことがございますので、その分を通常損失の補償として支払うわけでございます。その場合に借家人が家主からまた何がしかの立ちのき料を民事的な関係で取りますと、そこにまあ、二重払いのようなかっこうが出てくるわけでございますけれども、これは現在の収用方式ではいかんともしがたいという考え方をとっているわけであります。ただ新しい再開発法におきましては、借家権価格というものを必ず評価いたしまして、出ていきます場合、そうしてそれに対する価格につきまして各種の審査会等を経まして公正に評価していく、そうしてそれを支払うことにいたしておりますので、その場合におきましては、当然借家権価格というものを施行者が払うことになりますので、その分は家主に支払う分から差し引かれるというかっこうになるわけでございます。したがいまして、現在新橋で起こっておりますような、まあ、誤解でございますけれども、そういうような事例は、新しい再開発法では防止できる、こういうふうに考えております。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 この新橋も高くなっちゃったと、それでもう一つは、この新橋の場合ですね、設計についても、実際住んでいる人たちにはいろいろな意見があるわけですね。どうしてこの共用部分が大き過ぎるか、金持ちが金があり余って建てるビルじゃないのだから、そういう点は設計段階で考えてもらわなくちゃ困ると、それが一つは高くつく原因だということを言っておりますがね。こういう点について今後どうする方針か。  それから時間の関係でもう一つお尋ねしますがね。熱海駅前ビルの場合も——これはもうでき上がっておりますが、これもやはり買い手がないのですね。上のほうは。六階以上は買い手が。五十何室まだ売れ残っているというのですね。ですからこれも場所といえばきわめて便利な場所なんだけれども、やはり高い、市では一生懸命宣伝をしているんだが、いまだに売れ残りがあって困っている。熱海の場合などは、この土地の価格は安く買収したというふうにも言ってるんですけれどもね。それでもこういうふうに高くつくというのはどういうわけですか。
  25. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 新橋東口の場合には、先生おっしゃるように、専有部分の割合が非常に低うございます。まあ有効率と申しておりますが、四七%でございます。熱海の場合は二棟ございまして有効率が六三%と七六%。神戸の場合には八八%と九三%。結局、商業的なビルを建てます場合には、どうしてもお客さんが出入りするということもございまして、通路等はある程度広くとらなければいかぬというようなこともございまして、商業ビルの場合は、やはり一般的に専用部分が少なくなってくるわけでございます。住宅になりますと、やはりそういう配慮が要りませんので、共用部分の面積が少なくなる、こういう関係になろうかと思います。それにいたしましても、建った建物がなかなか売れないという状況はあまり好ましいことではございません。市街地改造をやります場合にも、新しい再開発におきましても、都市計画で建物の用途別の構成というものをきめることにいたしておりますけれども、そのきめ方がその地区にふさわしいきめ方でなかったと、結果的に見ればなかったということになるのか、もう少し様子を見ないとわかりませんが、もう一年ぐらいたって全部売れればそういうこともないと思います。もう少し様子を見なければいけませんけれども、そういうようなこともあるかと思います。したがいまして、実際に建てます場合に、やはりその辺のビルの需要でございますとか、あるいは住宅の需要でございますとかいうものを、価格との関係においてしっかり調査して、そうして配置設計をきめるべきではないかと、なお配置設計につきましては、組合でやります場合には、もちろん当然権利者の方々に相談してきめるわけでございます。それから公共団体がやります場合にも、基本の計画で、権利変換の計画でございますので、これは審査会にかけて、審査会には権利者の代表が入ると、こういうような仕組みにいたしておりまして、そこら辺で意見が十分反映されるようにいたしているわけでございます。
  26. 小平芳平

    小平芳平君 でき上がったビルは高くて売れないと、全然売れないわけじゃないですけれども、いまだに売れ残って、都や市ではその維持管理あるいは使った金の利息もたいへんだ。それから実際入った人が、ほんとうにこのビルで将来生活できるかどうか、商売ができるかどうかという不安すらあるわけですよね。まだ、確かにこの新橋の例でいえば、都から来た人は、売れた売れた、もうあと残りはこれだけだと言っておる。実際にビルの中を歩いてみれば、あいている部屋がもうほとんどのようなところがあるのですね。実際売れたというのですが、人は住んでいない。それじゃ商売やっている人も商売にならない。それでこの高いビルを買ったと、それで将来が不安でたまらない。一方ではそういう不安な生活を送っている人がいるかと思えば、一方ではこの地主ですね、結局新橋でいえば吉村商会ですか、どのくらいの補償をもらったか。それから東口に吉村商会、西口は新橋商事、この新橋商事の場合なんかはこれは請願いっておるかと思いますが、これはごらんになれば書いてありますが、新橋商事というのは、終戦後のどさくさに疎開地あとの都の管理地を不法占拠し云々と書いてありますが、資本金二千万円もほんとうは怪しい。家主の会社が市街地改造法で受ける補償は何十億円に化けようとしておる。それで、おそらくいままで家主としてもらっていた家賃は、二千万円なら二千万円くらいだろうと思うのに、実際に今度は市街地改造法にかけられたおかげで、利子だけでも何億という利子が入る。そういうようなことをやって、そういうような結果になったのではまことにうまくないと思うのですね。こういう点をまず反省し、検討するのが先決問題だと思うのですが、いかがですか。
  27. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 新橋の場合、ちょっと私もわかりませんけれども、通常の場合におきますと、まあ借地権者と地主の取り分というのは、三対七とかあるいは二対八とかいうような形になります。したがいまして、借地権者その方が大家である場合が非常に多いと思いますので、家主兼借地権者という方に権利床と申しますか、与えられる床が多くいくという形になるのは、これは借家権、借地権の評価というものが民事的にある程度きまっておりますので、それに対応してやはり補償的に床を与えなければいかぬものですから、どうしてもやはり多くなるということはございます。ただ、その借地権自体が不法なものであるかどうかということは、これはまた別の問題でございます。これにつきましては、地主と借地権者の間に争いがあれば、これは争いのある権利として今度の新しい再開発法では権利取得をはかっていく、こういう形にいたしておるわけでございます。
  28. 小平芳平

    小平芳平君 私は具体的に質問しているんですから、具体的にわかっていることを答弁していただきたいのですがね。実際にすれば新橋の東口、西口ですね、それから熱海駅前ですね。ここでもって、西口はまだかかってはいないかと思うのですが、何十億のあれになります、補償金が。あるいはいま局長説明は、たくさん土地を持っていた人はたくさん取るようになるのだと、それはもちろんそうでしょうが、東口の場合は三分の一ぐらい土地を持っていた吉村商会というのはいま入っておりますか、実際にはたくさん金をもらってほかに行っちゃっているんじゃないですか。
  29. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま吉村商会が幾ら金をもらったかの資料はちょっとございませんが、市街地改造事業におきましては収用方式でございますので、金をもらうというのが原則でございます。ただ、希望すれば床で与えられるという形になっております。したがいまして、借地権者が相当の補償金をもらって外へ出るということは、これは市街地改造法のたてまえからいってまあ当然だと、こういうふうに考えております。
  30. 小平芳平

    小平芳平君 それはわかっているんですよ。さっきから何回も言われるし、それはわかっていますがね。近傍類地ですので、それで買いましたですか、近傍類地で。そうしたならばでき上がったビル近傍類地で売れると思うのですが、それはいかがですか。
  31. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま、ちょっと吉村商会の資料は持ってきてありませんけれども東京都が事業をやっておるわけでございますが、補償でございますので、当然近傍類地の価格を参酌いたしまして評価額をきめている、こういうふうに考えております。
  32. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記とめてください。    〔速記中止〕
  33. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起こして。
  34. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいまの吉村商会の事例につきましては資料を用意いたしまして、後刻資料をお出ししたいというふうに考えます。
  35. 小平芳平

    小平芳平君 もう一つ、西口のほうも……。
  36. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 西口も出したいと思います。
  37. 小平芳平

    小平芳平君 そこで今回の法律では、一部借家権を持っている人は、組合設立の発起人にも組合員にもなれないということですよね。ですから、一部借家権というと、ビルの一部屋を借りているとか、あるいはそういう場合でしょう。あるいは一部借家権だから店先を借りて商売をやっているとか、一部の借家ですから、全部の借家じゃないんだから、まあ態様はいろいろあると思うのですがね。こうした一部借家権者は、組合設立の発起人にもなれない、組合員にもなれない、全く保護されないんですね。ですから従来の市街地改造法でも、こうした何億の金をもらってというような人があるし、そうした大地主は得する。それでいて家の一部分を借りているような人、そういう人はまるっきりほうり出されるわけです。しかも、いま委員長からも説明していただいたように、このビルを建てるには二年かかるわけでしょう。この二年くらいかかる間に借家人や一部借家人、そういう人たちは住む所もなければ商売やる場所もない、それで困難な二年間を送らなくちゃならないのに、また、契約を解除されたら何にもならなくなっちゃう、そういう不安定な人たちを守らないでですよ。そして片方では大地主ならば利子だけで何億も入るなんていうことになっちゃう、そういう点おかしいと思いませんか。
  38. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この前沢田先生の御質問に対してお答えしましたように、借家権者、これは一部に限りません、借家権者は組合の構成員になれないことになっております。これはこの市街地開発という事業は、やはり土地権利を持ち建物を除却する権限を持っているとか、あるいは新しく建物を建てる権限を持っているものでなければ構成員にできないわけでございます。これはこの前も申し上げましたけれども、私どもも法制立法の段階におきまして、法制局等におきましてもこういう問題が出ていろいろ検討したわけでございます。現在の借家権者というものは、土地についての権利は持っておりません。また建物を除去したり建てるという権能を持っておりませんので、どうしてもこういうものを入れることができない。そこで、私どもといたしましては、借家権者の意見を十分聞けるような措置を講じたいということで、組合の場合におきましては、設立の段階におきまして十分周知させまして意見が出せるようにすると、その意見の処理につきましては、知事が認可するわけでございますが、認可権者が不服審査の手続によりまして十分審査して、そして意見書の処理が妥当と認めるときには計画を変更すると、意見書が取り入れられないときにはそのままでございますけれども、そういうような措置をする。さらに権利変換計画を立てる場合におきましても、関係権利者の中に当然借家権者も入っておりますので、そういう人の意見を聞く、そういうような手続を置いておるわけでございます。さらに借家権者につきましては、建物を移す前の段階におきまして借家権者に対しましては必ず新しい建物の中に借家権を与えるということを保障しております。もちろん御自分がお金をもらって出ていきたいという場合には、それによることができることになっておりますが、その場合におきましては、先ほど申し上げましたように、借家権価格を正当に評価して支払う、こういうことにいたしておるわけでございます。そして借家権価格につきましては、当然審査委員会なり審査委員というものを置きまして、正当な評価ができる人を置いておりますけれども、そういう人の意見が十分一致しなければできないことにしておると同時に、さらに借家権の価格の評価につきましては、収用委員会の審査の請求ができる。収用委員会と申しましても、収用のほうではございません。補償額をきめるという意味で収用委員会に審査の請求ができる、訴訟もできるというような規定を置きまして、価格の評価につきましては、特に入念な規定をいたしておるわけであります。  なお借家条件が問題になりますけれども、借家条件につきましても、協議が整わない場合には裁定という制度を設けておりまして、そこで十分公平な第三者でございます審査委員の意見を経て裁定をする、こういうふうにいたしておるわけでございます。
  39. 小平芳平

    小平芳平君 審査委員とかそういうことについては、もう一度あと質問しますので、いま私が申し上げておることは一方では何億、何十億という金が入る、一方では小零細企業のような人たちが住むにも場所がない、商売をやるにも場所がない、こういう建築期間中二年間を送らなければならないじゃないか、そういう人たちに対する配慮に欠けている、そう言ったわけです。そうしたら局長は、それは沢田先生にこの前答えたのだ。それで、それはいま局長の言われたここに書いてあることだけは私も読みましたから——それで今度は組合にやらせることができるわけですよね、新しい法律では。ところがそれは私がいま例にして申し上げていた東京都にしても熱海市にしても、これはそうした公共団体事業を進めてきたから何とかそこのところを切り抜けることができた。できたものは高いとか、そういう難点があるにしても、とにかく東京都や熱海市が推進してきたから何とかできた。しかしこれを組合にやらせるということができるかどうか、実際問題が。それは北海道の原っぱや富士山のふもとの原っぱにでもビルを建てるのだったら組合でも一向差しつかえない、できるでしょうが、この複雑な権利の錯綜している市街地、特に市街地改造をやろうというようなこういうむずかしいところで、その組合をつくる。その組合がそれでは各営業者、ここの店は収入が幾らあるだろう、ここの店は赤字だろうというようなことまで話し合いできめて、そういうむずかしい権利関係の格づけをしてやるというようなことが可能かどうかですね。可能だとすれば、よほどそうしたむずかしくないところでないと私は不可能だと思うのですが、いかがですか。
  40. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほどの借家人が建築期間中の問題でございますが、これは当然、借家人に対する補償といたしまして仮住居なり仮店舗なりを与えるか、あるいは仮住居、仮店舗を与えない場合にはそれに相当するものを補償する、こういうことにいたしております。それから、非常にずかしい権利が錯綜しているところで組合でできるかということでございますが、私ども考えております再開発事業は、現地におきまして権利者をそのまま収容していきたいということでございまして、したがいまして、これはむしろ公共団体よりもその土地に明るい、商業地であれば商売のことをよく知っておられるような方々が、やはり集まって仕事をしていくというのでなければ、なかなかかえってできないのじゃないか。もちろん、むずかしい技術的な問題とか、あるいは法律上の問題がございますので、コンサルタントを雇うなり、あるいは公共団体の指導を受けるということが必要かと思いますけれども、やはり現地の権利者の方が一番事情に詳しい、そうしてまたその方々のお力でなければ再開発というのはできないのじゃないか。こういうような考え方組合にやはり大きな役割りを果たしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 小平芳平

    小平芳平君 それはもちろん現地の権利者の協力が第一条件ですけれども、しかし、それでは、百四十条に、組合の役員または総代のわいろを禁止する、それに反したら三年以下とか七年以下の懲役にする、こういうふうな懲役に入ることを覚悟してまでも一体組合の役員や総代にだれがなるか。現にそこで営業している人はいまよりもよくなるということが前提でなければ、こんな改造事業にかかるわけがないじゃないですか。それが自腹を切ってまでも役員として奔走しようと、何か少しわいろをもらった、わいろといったって、一般の普通だったらおつき合いで済むことでも、それがわいろとみなされたら三年とか七年の懲役になる。よほどの人でなければ、そうした複雑な権利関係にさいはいを振るって、しかも難問を処理してビルをつくるということはごく困難だと、そういうふうに思いませんか。
  42. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 非常にむずかしい権利をいじって権利変換をいたします権能を組合に与えているものでございますから、区画整理の組合と同様に、やはりこの組合一つの公法人、この法律によって認められた公の法人だという考え方で、組合の役員または職員につきまして収賄その他についての規定を置いているわけでございます。これは区画整理の組合等でもいつでも問題になるわけでございまして、役員がかってに何か金をもらって有利なことをするというようなことがよく問題になる事例でございます。やはり私どもとしましては、こういうような規定をそういう意味で必要だと思っております。そういうことでございますが、組合の役員の方は非常に御苦労になるわけでございますけれども、やはりその地域の中で再開発をどうしてもしなければいかぬというところがございます。たとえて申し上げますと、武蔵野市の駅前というようなところは、非常に道が狭くて、商店街がごちゃごちゃしておりまして、買いものをするにもなかなか買いものができない。そういうようなところにおきましては、だんだんやはり商店自体が衰弱していくと申しますか、ほかの地域から比べまして勢力が落ちていくというようなことがございます。したがいまして、その地元の方々としては、何とかしてこの商店地区の振興をはかるために、そこの再開発をやりたいというようなところがございまして、商店街等におきましてはそういうところが特に顕著でございますけれども、そういう地区におきましてやはり役員の方が奔走されて仕事をしていくということは、当然出てくるんじゃないか。権利関係非常に複雑でございますし、いろいろたいへんなことではございますけれども、そういうところが出てくるんじゃないか。それから相当住宅だけ建っているというようなところにつきましては、あるいはそういうような要求はそこからなかなか出てこないかと思いますけれども、それにいたしましても、最近におきましてなかなか自動車の交通が激しくなったとか、公害がひどくなったというような観点から、やはり地区住民の方の中から、この地区は再開発をしなければならぬという気運が起こっておりますので、そういうような現状のひどさと申しますか、そういうところからやはり相当負担をし、責任を感じなければならなくても、やはり奔走してやろうということは出てくるというふうに、私ども考えているわけでございます。
  43. 小平芳平

    小平芳平君 大臣にちょっと。要するに、いまお聞きと思いますが、市街地改造法で都や市がやったわけですけれども、補償の支払いといい、なかなかうまくいかない。そこで極端に言えば、今度の法律では、役所がとてもやり切れないから、そういうようなのは組合にやってもらおう、民間に。それは地方公共団体住宅公団もやるようにはなっておりますけれども、実際問題、いままで新橋でも熱海でも、実際でき上がったビルは高くてまだ売り切れない。そうした役所のほうの失敗はたなに上げておいて、そうしておいてどうも地元の人の協力が必要だから組合にやってもらおうというような責任のがれの新しい法律じゃないかと、こういうふうにすら、極端に言えばそういうふうにすら感じられるのが今度の新法だと思いますが、いかがですか。また、実際にその組合でその処理ができるとお考えですか。どういうような場合にできると思うわけなのですか。
  44. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これからの都市改造に取り組んでいこうとしますのに、とにかく一方においてはできるだけその都心から、都心にいなくてもいい諸機関を分散していただきたい。しかも都市現況は今日の状態である。で、新しい住宅市街地開発してまいりますとともに、この現在の状態を改造してまいるという上からいきますと、それはみんなやっぱりその場所で快的な住みよい町をつくっていこうという地域の方々の協力なしには、これはできるわけはないわけでございますし、そういう意味からいきまして、今日までの市街地改造事業を進めてまいりましたあとについては、いろいろ考えさせられる点もあると思いますが、そういう点を十分考えつつ、この新しい再開発法によって既往の反省すべき点は反省をしてやっていただくと、しかし大体まあ国なり公共団体なり、あるいは公的機関なりが必要であろうそういう地域を買い上げて、そして理想的な市街地を築造してまいるということができれば、これはもういいでしょうけれども、しかしこれは事実上できるものではないでしょうし、できるだけ現在の権利者があるいは単独に、あるいは共同して期待するような都市をつくってもらうということに御協力を願うと、そういうことを誘導していくということが非常に大事じゃないだろうかというように、私こう感ずるわけでございまして、一々の熱海の前がどう、新橋がどうということになりますと、これはもうちょっと考えてもよかったか悪かったか、どっちにしてもでき上がっていることについては、これはまあ前よりもよかったということは言えるわけですけれども、一部の人たちがそれによって妙な利得を受けたのじゃないかというような印象を持たれるというようなことは、はなはだ好ましくないことだと、まあ正直に言ってそう思うのであります。
  45. 小平芳平

    小平芳平君 まあこの問題は、時間もまいりますので次に、この審査委員について、先ほど局長は、この審査委員を置いて第三者に公平に意見を言ってくれるのだと言いましたが、この審査委員はどんな働きをしているか、どういう人を任命しているか。で、これは地方公共団体がやる場合にはまだしも、民間の組合事業をやる場合は特に問題になるところですね。よほどこれは厳格な何かないことには、審査委員が第三者で公平に裁定するなり、意見を言ってくれるかどうか、それで、この零細企業の人たちが納得できるような結論を出してくれるかどうか、そこに非常に大事なポイントが一つあると思うのですが、それに対してどうでしょう。
  46. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 審査委員の権限といたしましては、権利変換計画についての同意、それから権利変換計画についての意見書の採否についての同意、それから土地明け渡しに伴う損失補償について協議が成立しないため施行者が見積もり額を支払う場合におけるその見積もり額についての同意、それから借家条件裁定の同意というものがございます。これらはいずれも非常に大事な問題でございまするので、権利関係、評価の専門家で、公正な判断をする人を審査委員に選ぶということにいたしておりまして、組合の場合におきましては、土地及び建物権利関係または評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者を総会で選任する、こういうふうにいたしております。私どもといたしましても、こういう審査委員の選任につきましては、十分そういう方々に公正な判断のできる方を選ぶように指導もしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  47. 小平芳平

    小平芳平君 その選び方も、いままでの場合は都とか市から名前を刷ったものがきて、これはどこのだれかわからずに、ただマルをつけて投票するとか、そういうことをやっているわけですよ。ですから、そこでもって組合の場合、組合の総会で選ぶ、それが一つですね。それから第三者として公平な判断をするような——、それは抽象的ならそういうことになるのですが、もう少し具体的な資格要件をきめるとか、そういうような問題は考えてはおられませんか。
  48. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 審査委員につきましては、政令できめること、法律以外のことは政令できめることにいたしておりますが、おそらく欠格条件みたいなものを政令に書き込むんだと、内容といたしましては欠格条項とか、あるいは解任の理由というようなものを政令に書き込みたい、こういうふうに考えております。
  49. 小平芳平

    小平芳平君 それではまだ建設省にお尋ねしようと思ったことは半分も聞いていないのですけれども、時間がきてしまいましたので、大蔵省の国有財産特殊整理基金という、これは資金量がどのくらいあるか、それでこれをどういうふうに使われる予定か。どうしてこういうことをお聞きするかといえば、市街地改造あるいは都市計画、それは官庁がまっ先にやるべきことだと思います。もちろん民間の人たちにもやってもらうわけですが、官庁がまっ先にできることはどんどん実行しなくちゃならないと思いますが、いかがですか。
  50. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) お答え申し上げます。  資金量といたしましては、本年の四月現在におきまして約二十二億となっております。それからこれの使用のしかたでございますが、これは実はただいまお話のございました国有財産特殊整理資金特別会計というのがございまして、この定めに従いまして、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法に基づきました特定庁舎等の取得の経費といたしまして一般会計に入れる、こういうことになっております。
  51. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、二十二億現にあるわけです。その二十二億を現在の古い建物の建かえとか、あるいは地方分散とか、そういうように具体的に使う計画はありませんか、見通しはありませんか、ということをお尋ねしているわけです。
  52. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) 実はただいま申し上げました法律に基づきまして特定庁舎等の特殊整備計画というのがすでに立てられておりまして、現在まで、三十三年に始まっておりますが、第六次まで定まっているのでございますが、これは平たく申し上げますと、非常に役所にふさわしくないぐらい繁華になったというようなところから役所にふさわしいところに動かしていく、その場合に、前の役所を売りまして、入りましたお金をこの資金の中に入れておくわけでございます。そうしましてこれも先ほど申し上げましたように、一般会計に繰り入れまして、その一般会計におきましてこの新しい庁舎の取得に充てる、こういうことになっておりますので、これはいまの制度のもとにおきましては、国の庁舎の取得のために使う、こういうたてまえになっているわけでございます。
  53. 小平芳平

    小平芳平君 それがたてまえはよくわかりますが、ですから、それを建設大臣はいかがですか、二十二億の基金があるわけです。それは新しく国が庁舎を取得する場合に使う金なんだと言っているわけです。そうすると、地方分散とかあるいは古い建物の建てかえとか、そういうことはもう国の仕事なんだから、とうに計画的に進められていなくちゃならないと思います。その点いかがですか。
  54. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 小平さんの御意見、私はもっとものように思いますけれども、いま大蔵省の係の方に聞いてみますけれども、どうも私納得いかないので、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  55. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会