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大森久司君 私はこの問題に対して、いまさらとやかく言うてもしようがないと思います。どちらにいたしましても、学者の皆さん方がこの事実を知って、初めて非常に何といいますか、さも大きなものを発見したという
態度でいまやっておられることはけっこうです。ところが、今後における文化財の皆さん方の
態度ですが、私はこういうような文化財が非常にたくさんある
奈良県に対して、もっと集中的に研究するというのならいいが、いろいろ全国的に散発的な研究をしておって、そうして自分らの方向を、自分らのものであるという、こういうような
考えで、そうして学者の皆さん方が、あるいはそのときそのときによって自分らが散発的に研究する、そうして
地元がいろいろな構想——あるいはまた
都市計画なんかを立てようとしても立てられないということは、
現実においてその
地元に対して妨害行為である、こういう
考え方になってくると私は思う。で、すべての問題においてもっと先行して学問を進める、あるいはその
方面の研究をやるというなら、話は私はわかります。ところが、ものが出てきて、初めてそこにさも大きな発見をしたかのようなことで、そうして新聞やあるいは雑誌等に書いて、そうしていかにも大きなことを、誇張しているということは、私はおかしいと思うのです。そんなものならば、もっと初めから研究してやってもらいたい。今度新しいルートができるに際しましても、研究するというのなら、
調査されることもけっこうだと思います。しかし、その
調査があるいはまた思いも及ばないものが出たとかなんとかというようなことになってくると、これは私らは非常に困る。だからそのルートをつくる場所に対して、ここにどういうようなものとどういうようなものが埋蔵されている、こういうようないわゆる歴史的な事実があるということを、あらかじめ発表してもらいたい。
一つもいつも発表せずに、そうして出てきてから理屈をつけて、そうしてなんとかかんとか言われるということになると、これははなはだ迷惑です。しかもその学者に対して、非常に不信をいだくことにもなる。少なくとも今度のルートは、万博が大阪で行なわれますその準備として、
奈良と大阪との間にはいま阪奈
道路が、今度四車線になります。そうしてまた名阪国道が四車線、そうして二十五号線が二車線、近畿鉄道が難波に乗り入れするということで、大阪と
奈良との間は非常に
開発されて、そうして万博に対する受け入れ態勢が相当私はできてきたと思う。ところが、
京都と
奈良の間には二十四号線一本しかなく、しかもそれが二車線で現在すでに行き詰まっております。大阪、
奈良、
京都というものが万博に対する第二会場的な
京都と
奈良では役割りをする、あるいは最も近い場所であるために、観光客がそれに六〇%くらい流れるであろう、こういうときに、その観光客の受け入れ態勢、あるいはまた多くの観光客が十分といかなくても、混雑とか、あるいは危険でないようにするためには、そのバイパスはどうしてもやらなければならないことであるし、またこれが万博関連
事業として指定されている。しかるに、これが万博までにいまの状態ではむずかしい、こういうことも言われている。そうすると、万博に対する
計画を阻害することになると私は思う。だから何としても
道路は万博までにやってもらいたいというのが
地元の熱願であるし、またもともとこれをやるために、平城宮跡のああいうようなものの遠因があらわれてきたという、遠因のために、万博との関連
事業である
奈良バイパスが無効になるということは、私は非常に
政府の責任であると、こう思うのですが、その点いかがですか。