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1968-04-12 第58回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午後二時三十四分開会     —————————————    委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      大森 久司君     柴田  栄君      内田 芳郎君     江藤  智君      中津井 真君     小林 篤一君      小山邦太郎君     中山 福藏君  四月十日     辞任         補欠選任      小林 篤一君     中津井 真君      中山 福藏君     小山邦太郎君      柴田  栄君     大森 久司君      江藤  智君     内田 芳郎君  四月十二日     辞任         補欠選任      大森 久司君     菅野 儀作君      奥村 悦造君     紅露 みつ君      小山邦太郎君     吉武 恵市君      栗原 祐幸君     山本茂一郎君      米田 正文君     楠  正俊君   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 内田 芳郎君                 山内 一郎君     委 員                 楠  正俊君                 紅露 みつ君                 菅野 儀作君                 中津井 真君                 山本茂一郎君                 吉武 恵市君                 沢田 政治君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○都市開発法案(第五十五回国会内閣提出)(継  続案件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。本日大森久司君、奥村悦造君、小山邦太郎君、栗原祐幸君及び米田正文君が委員辞任されまして、その補欠として、菅野儀作君、紅露みつ君、吉武恵市君、山本茂一郎君及び楠正俊君が選任されました。
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  内田芳郎君が去る九日委員辞任され、翌十日再び委員に選任されましたが、その委員異動により理事に欠員が生じましたので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは理事内田芳郎君を指名いたします。
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 都市開発法案議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 沢田政治

    沢田政治君 この前に引き続いて都市開発法案質問をするわけでありますが、きょうは同僚議員質問する予定になっておったわけでありまするが、予算委員会分科会発言中で、ちょっと出席がおくれておりますので、突然私が質問することになりましたので、この前も申し上げましたように、この分野で全くのしろうとでございますし、不勉強でございますので、この前同様に愚問、珍問の続出に相なるかと思いますが、その点は御了解の上に、明快な御答弁お願いしておきたいと思うわけです。  そこで都市開発法案に対する評価といいますと、非常に大げさでありまするが、この法案に対して非常に関心を持っておられる方々が、非常にあいまいな点が多い。第一条の目的には、非常に高邁なことを述べておるけれども、具体的に各条章を追うていくと、これは何を目的としておるのか、面の開発か点の開発か、非常に法案内容というものが不明確である、こういうような評価も一部にはあるようでありまして、私しろうとでありますし、そういう点にかてて加えてやはり都市計画法都市開発法案、こういうようなダブッたような法案ではなく、都市はもう都市計画であろうが再開発であろうが、やはり、法律体系として一本でそれの業績をあげろ、効率をあげろ、こういうほうがいいのではないか、こういうように考えられるわけです。たとえば、ただいま議題になっておる都市開発法案を見ましても、やはり、根拠法は何といっても都市計画法なわけですね。したがって、これを部分的に審議するということは、不可能というわけではありませんけれども、非常に審議しにくいわけでありますね。したがって、そういう評価とかそういう批判は別としても、やっぱりこの法案の成否これは、一体のものではないかと思うわけです。したがって、やはり都市開発法だけは可決した、都市計画法だけが残ったんでは、やはり困る。運命一体のものではないかと思うのだけれども法案の特質からいって、大臣、どう考えますか。
  7. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今日の都市化現象に照応しまして、現行の都市開発に対するもろもろの立法をもってしては、今日の要請にこたえることはできないのじゃないか。都市開発法はもちろん、都市計画法、改正を予定いたしております建築基準法といわば三位一体のものであるという考え方をとっておるわけです。前々国会以来のいきつき等もございまして、この国会建築基準法もあわせて御審議お願いすることがよくないかという考えも実はしたわけでございますけれども、とにかく、再開発法は本院において、都市計画法は衆議院のほうにおいてたびたびの継続審議となってまいっておるのでございますから、それらを合わせましてたいへん御審議手続の上で御不便をかけておることは申しわけないことでありますが、ひとつ御了察をいただいて、とにかく今後の都市土地利用計画というものを、効率的な利用をはかって都市構造を改革してまいりたいということでございます。実質的に考えてみますと、たとえば現況の既成市街地状態は、住宅問題等で悩まされておるわけでございますけれども住宅問題一つ考えてみまするにしましても、要するに、都市利用計画というものが今日の時代に即応した利用計画を持ち得ていないというところに、開こうとしても開けない困難なところがありまするし、そこで、大きくは都市利用計画をできるだけ新しく新市街地として開発発展されていくところも、現状のごとく無秩序な発展でどうにもこうにもあと始末に困るというようなことでなしに、秩序ある開発発展を遂げてまいるようにということが、一つ都市計画法のねらいでもあるわけでして、再開発法はそれと相応じまして既成市街地をいま少しくりこうな利用方法を考えなきゃいかぬじゃないか。それで既成市街地の再開発、しかもだんだん都市状況のありさまも、お互いによく一わかりますように、通勤状態一つ見ましても、とにかく通勤ラッシュに悩まされている多くの勤労者の日常の状態を、何とか都心部の再開発、旧市街地の、既成市街地の再開発を行なっていく、ここらにやはりある程度の住宅建設、したがって、人口収容の合理的な道を取りつけて何とか職場と住居とが著しく遠隔であるために起こっております、またそこから通われる方があまりにも多過ぎるというような状態から、こういう通勤状況を示しておるわけでございますが、そういうためにも目前の要請にこたえる上からいたしましても、都市開発市街地開発ということは、緊急な課題として取り組んでいかなきゃならぬ。そういうことで新しい新市街地開発が秩序だって行なわれていくように、そして既成市街地がより高度に、より効率的に利用せられるように開発してまいるということが、この際最も大切じゃないかということで、これにもう一つ建築基準法が今日の違反建築等状態からしまして、あわせて御審議をいただくように準備をいたすべきであったと思いますけれども、まずともかくも都市計画法都市開発法のいわば都市及び土地問題に対する扉を開くという意味におきまして先行さしていただきたい、こういうことでお願いをいたしております。
  8. 沢田政治

    沢田政治君 特にこの国会は、参議院の通常選挙もあるし、いろいろな倉石発言等で非常に予定より審議がおくれておるのも事実だし、そういうことから考えて、もちろんこれは内閣政府にぼくは質問することじゃないと思うのです。法律の結果は、どう採択するかというのは、やはり立法府の権限であると思いますけれども、ただ審議にあたって政府がどう考えておるのか、何を望んでいるのか、こういうこともあらかじめ私どもは知っておいて悪いとは思わぬですね。そういうことでそういう非常に特殊な国会である、こういうような関係からいって、やはり都市計画に関する、都市開発に関する法案二つ出ておるわけですね。建築基準法のほうは断念したかどうかわかりませんけれども目下のところは出ておりません。したがって何を主、何を従という言い方は酷なわけでありますけれども二つ法案のうち、政府が提出するのだから二つとも可決してもらいたいということはわかるけれども、せんじ詰めて言うならば、非常に万々許さなかったら、どの法案を先に解決したいのか、これはちょっと聞くことではないかもしれないけれども大臣ほんとうのところどうですか。
  9. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私はこの国会に初めて臨みましていろいろ御意見も承り、また御鞭撻もいただいてまいりましたけれども、そして今日の都市並びに都市周辺における土地問題、地価問題等にどういう解決のめどをつけてまいるかということは、非常に大きな課題になっておることからいたしまして、そういうそれが一つ法案をもって今日の地価問題等解決できょうとは思いません。あらゆる立法税制等措置を講じてまいらなければ、とうてい所期の目的を達することはできないと思うわけでございます。それにつきまして、とにかくこの都市計画法都市開発法、そういう問題をまっとうに取り組み解決していくためのいわば牽引車的な役割り立法上の意義を持たしていただけるものだということを思っているものでございますから、この両案のうちどっちだと言われることなしに、ひとつ両案ともお願いをいたしたいというところが、赤裸々な私のお願いなんでございます。しかも、これがいずれも数国会継続審議実質審議はともかくとしまして、政府が出しましてからかなりになりまするし、両院でそれぞれ継続審議もいただいておるわけであります。どうもその片っ方が、それぞれ片っぽずつになっておるものでございますから、御審議の上に非常に迷惑をかけておることもよく承知をいたしておりますけれども、それをあえてお願いをいたしたいのであります。
  10. 沢田政治

    沢田政治君 まあいまの大臣答弁はごもっともな御答弁で、どう決定するかはここにかかっていると思うので、これ以上この点についてはお聞きしません。  そこで、大臣都市計画法並びた都市開発法の意図するところ、ねらい、目的、こういうものを言われておるわけでありますけれども、それは答弁はそれでいいと思いますけれども、しかしせんじ詰めて考えてみますと、この都市計画法目的等は、非常に高邁なことを掲げておるわけでありますけれども冒頭に申し上げましたように詳細に内容を——詳細にはまだ見ておりませんけれども、一応ちょっと目を通す限りでは、非常に羊頭を掲げて狗肉を売るということばがありますが、狗肉を売るのか、ネコの肉を売るのか、牛の肉を売るのか、どうも内容を見ると非常にばく然としてつかみにくい点が多々あるわけであります。たとえば都市全体の機能の改善、あるいは整備をはかり、総合的な再開発計画、ないし基本的なそういう構想、規定というものは非常にばくとしている、酷に言うと不問に付されておる、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。同情的に条章を見ましても三条、五条で若干都市計画内容というものを触れているにとどまっておるのではないか、こういうように私どもは考えざるを得ないわけであります。たとえば市街地の再開発法案は、市街地のどこの地区からやるのか、どのような再開発を進めるのか、こういうような全体計画に基づく段階的な計画実施方法、こういうものは、どんなに虫めがねでこの条章を見ても出てこないのであります。そういう点は規則でやるとか、政令でやるとかということじゃ、これはほんとうに困るので、この法案そのものが私権の制限をする重要な法案である限りにおいては、やはりこの点が明確でなければ、目的がいいからこれに賛成をするというわけにはまいらぬと思うわけであります。したがって、どういうふうにしてやるのか、どういう構想でやるのか、全体構想との関連はどうなるのか、こういう点をもう少しここで明確に議論をしなければならぬことだと思いますので、御答弁願います。
  11. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この法律にございます再開発計画というのは、先生いまおっしゃいましたように、都市計画としてきめる、そういうことになっておりまして、三条にその要件が書いてございます。したがいまして、市街地開発都市計画というのはこの三条の一号にもございますように、特別の「容積地区内にあること。」というのがございますが、これは附則のほうで基準法を改正しておりますので、基準法のそういう地域の中で再開発が行なわれる。その特別の容積地区というのは、市街地の中で枢要な地域について行なう、こういうふうに書いてございまして、それにつきましては、最高限度容積率のほかに——容積最高を押えるほかに、その建物容積最低限度に押える。あるいはそれだけでは足りませんので、煙突ビルみたいなものができると困りますので、建物底床面積最低限に押えるというような制限のできる新しい、つまりそういう都市環境をよくしながら高度利用をはかるべき地域規制というものを、基準法をこの法律で改正いたしまして、そういう地域規制ができるようにいたしております。  しからば、そういう地区をどこに指定するのか、それが、そういう全体計画がこの法律に書いてないじゃないか、こういう御質問だと思いますが、これはそれぞれの都市におきまして都市計画をつくります場合に、その地域におきまして、ここは住宅地にする、あるいは商業地にする、工業地にするというような用途の地域計画というものが都市計画上、当然総合的に立てられるわけでございます。その中でさらに建物容積をどうする、逆に言いますと、人口密度なり、業務の密度なりをどうする、あるいは建物の形態をどうするということが、総合的に都市計画法に基づきます土地利用計画によってきめられるわけでございます。それは現在でもやっている制度でございます。そういうような土地利用計画によってきめられました中で、その都市計画担当者なりその都市計画を担当いたします公共団体におきまして、ここが特に高度利用をはかるべき地域なんだということを都市計画としてきめます。これは単に規制だけではなかなか再開発というものはできませんので、その地域の中において事業を行なうべき地区都市計画としてあらかじめきめておくわけでございます。そうしてその次の段階におきまして、事業のいよいよ施行という段階になりまして施行者がきまりまして、事業決定ということが行なわれ、都市市街地荷開発事業として施行が始まる、こういうような形になるわけでございまして、再開発基本構想、総合的な構想というものはすなわち都市計画そのものであると、私どもはさように考えているわけでございます。
  12. 沢田政治

    沢田政治君 これ、冒頭に申し上げましたように、目的を見ますと、非常に何といいますか、広大な法案といいますか、非常に前途洋々たるような印象を与えるわけですね。たとえば「市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用」云々に、こうなっておりますけれども、第一条の目的を見まする限りにおいては、なるほど都市開発法案の名に値すると思いますけれども、重ねて私はお聞きしますけれども、どうもその目的と結果があやふやじゃないか、こういうように考えるわけであります。第一条の目的では、すべての都市、すべての市街地機能向上だ、そのための都市開発だ、こういう目的と合致するわけでありますけれども、たとえばいま容積指定の問題がありましたけれども、第三条の一号の容積指定地区指定は現在、目下のところ東京都の都心部だけであると思うわけですね。したがって、そう考えてみますと、この法律対象地域は、日本の全体の都市の中の、その中の数少ない特定地域に限られる、こういうような印象をわれわれとしては受けるわけであります。そういう意味で何か、まあ羊頭狗肉の話をいたしましたけれども、非常に何というか、高邁なねらいがあるように見えて、実際ぜんじ詰めると特定都市特定地域、これの対象にしぼられるのじゃないか、こういう懸念というものがどうしてもぬぐい切れないわけですね。したがって、いま言いましたように、その手続とかなんかじゃなく、やはりこういう法案をつくる以上は、どの地区、またどういう範囲で、どういうところをどうするというようなもう一つ具体性のあるやっぱり順序を立てた説明がなければ、やはり役人にこれをおまかせするということで賛成をするということにこれは相まいらぬと思うわけです。そういう危惧を持たざるを得ないわけですよ。もうちょっと親切に説明してください。
  13. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 第一条の目的の問題でございますが、 「市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、」という私ども考え方は、いま相当不燃化というのが進んでおります。都市におきましては大体五〇%近いところまで最近建ってまいりまする建物というのは不燃建築で建てられている。しかもその不燃建築の建ち方が、非常に狭い敷地のままで不燃建築が建てられている、こういうことでは将来の都市のことを考えますと非常に困ってくるのじゃないかというような考え方一つございます。いわゆる自然的な再開発とでも申しますか、ことばが悪いのでございますけれども、自然的な不燃化を、何とか計画的な再開発に持っていけないものだろうか。たとえば、道路で囲まれたようなブロック単位建物を建てる、その中で、そういたしますと適当な空地がとれる、あるいはその他の道路交通に与える影響も少ないというようなそういうような計画的な再開発と私どもが言っておりますのは、そういうようなものができやすいような態勢を法律上つくることによりまして、都市土地の合理的かつ健全な利用をはかっていく。まあ合理的というのは、土地利用されていないものを高度に利用していくということは合理的でございましょうし、また健全なと申しますのは、やはり適当な広さの空地を残しながら高度利用をはかっていく、そういうことができないものだろうか。それによりまして、そこが非常に商業住宅が混在しているとか、あるいは住宅と工場が混在しているとか、あるいは住宅地としても密集市街地で低層のものがびっしり建っているというようなところがございます。そういうようなところの  都市機能というのはそういう意味でございまして、都市機能更新をはかっていく。駅前等におきます広い道のところに人と車が通っていくというようなところがございます。商店でのショッピングもなかなか安心してできないというようなとこが、不幸にして相当ございますわけであります。そういうようなところの改造をいたしまして、そうして機能更新をはかっていくことはできないだろうか、そういう意味でこの目的を掲げておるわけでございまして、それはあとに出てきます事業考え方をここで述べておるわけでございます。  それから第二点の、第三条第一号のところに容積地区とある。容積地区というものは、先生おっしゃいますように、現在東京都区部しか指定されてございませんけれども、私どもはここで新しく起こしました容積地区は、これはすべての都市と申しますか、都市計画を行なっております都市におきまして、その再開発を要するような地区についてのみその高度利用をはかるために最高最低容積率なり、建物最低床面積のものを指定する、そういうふうに考えておりますので、これはその地域全体に容積地区がかかっておりませんでも、ある程度まとまっておる地点につきまして、この特別の容積地区をかけていきたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、これは地方都市におきましても、再開発事業を行なうべき必要のある地域につきましては、この容積地区をかけてまいりたい、かように考えております。具体的にどういうところをやるかというお話でございますが、今年度も、実はこの法律を前提にいたしまして予算措置をある程度つけております。それはたとえば東京都で申しますと、赤羽駅前のところ、これは裏側でございますけれども赤羽に団地ができまして、相当あそこは交通量が激しくなっております。行っていただけばわかるように、駅前広場もないようなところでございます。そこについてやりたい。あと千葉県の船橋のところ、あるいは横浜の鶴見駅前、あるいは神戸市の六甲道あるいは福岡の西新町、こういうようなところ、とりあえずこれは公共団体のやる分でございますが、こういうものを予定いたしております。たとえばそういうような駅前広場等をつくるために再開発しなければならないようなところ、あるいは最近におきましては商店というものは、個々の商店改造ではいけない。したがいまして、地元の商店街方々要望等によりまして商店街改造をしなければならない。あるいは本年度の中にはございませんけれども密集市街地でそこの住宅地環境を改善しつつ行なわなければならぬとか、そういうようなところを再開発地区指定いたしまして再開発事業をやる、かように考えておるわけでございます。
  14. 沢田政治

    沢田政治君 具体的な中身に入る前に基本的なことを聞いたわけですが、やはり基本的なことが必要なんです、具体的な中身に入るためには。土地高度利用とか合理的利用とか、ことばはたくさんいろいろなことばが出てくるわけでありますけれども、たとえば土地高度利用とかいっても大体どういう層のために、だれのためにこれを高度利用するのか、空中、空間の利用でも。こういう基本的な問題は非常に重要だと思うんです。そういうことで基本的なことをお聞きしておるわけです。それで、たとえば都市の再開発によって近代的な都市機能というものを合理的に開発していく、ことばの限りにおいては、何人も反対しないと思うんです。たとえばそれが高級なマンションをつくるとかあるいは商店街等の整理をうまくやってやるとか、そういう利用方法もあると思うんです。大臣が言われているように、非常に遠隔地から通勤しておる、しかもこれは交通上の問題であり、住宅上の問題でもある。そういうために、庶民階級のために、しかも労働力を確保し、労働効率をあげるために都心地の仕事場に近い、職場に近いところに住宅をつくってやる、これは交通問題の解消にもなるわけです。そういう立場に力点を置くのか、ただ商業地区を非常に売りやすいようにしてやるとか、外観を整えていくとか、そういう方向に力点を置くのか、これは非常に基本的なことで重要なことだと思うんです。それで私はにわかにそういう気持ちを持っておりませんが、この法案についてわれわれは研究しなければならないと思うし、審議過程で勉強しなければならないと思うんですけれども、これは全く独占のための、大金持ちのための都市開発である、こういう観点、見方を持っておる人も中にはいるわけです。しかも建築に従事する労働者から職を奪うものであれば、これは反動立法もはなはだしい、こういう考え方を持っている人もあってもいいと思うんです。われわれもこれはそういうこともあるならば、重要な関心を持たざるを得ないと思うんですね。したがって土地高度利用あるいは空中空間の高度利用ということであるけれども一体だれのために、どういう方向に施策の力点を置くのか、と同時に私がいま質問の過程で言っておるように、この法律ができるために建築労働者職場が失われ、権利が奪われるということを見通しておるのかどうか、この法案内容にはないんですね、どう見ても。そういうことがあるとすれば私どもは、何というか重要な関心を持たざるを得ないわけです。非常に抽象的な聞き方ですけれども答弁願います。
  15. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 建築関係に働いておられる方々の職を奪うようなことになるんじゃないかということで、そういうような誤解を受ける問題、私もたくさんのはがき等いただいております。ものの考え方というものは、かように違ってくるものかと、実はふしぎに思っておるわけです。この市街地建物を公害やいろいろな災害から守っていくため耐震耐火の建物に持っていかなければならぬということ、これはもう都民のひとしき願いである。でありますから、バラックのようなものをどんどん建てられるということは、何とか防ぎとめなければならぬということは、これはみんなの願いがそこにあるわけです。そうかといって、しからば不燃化建物にしましても、耐震耐火の建物にしましても、そういうものはもちろん大工さんの手にかからなければ内部仕上げもできないわけです。職を奪うなどというようなことはなく、かえって職は多くなりゃしないか、再開発は仕事をむしろその面から見ればふやす結果になろうかと、私どもはそう思っております。そういう誤解は全くの誤解でございますから御了承願いたい、かように思っておるわけでございます。で、一面において大金持ちのためにこんなものを考えておると、どこにそういうふうな点があるか、私はこれは、東京都に例をとってみますならば、何とか東京都内の土地は、われわれ都民のためにできるだけ高度に開放利用してもらうようにしてもらいたい、これが願いです。そしてできるだけ多数の方々が旧市内に住まって、そうして職場に近いところから通えるようにすることが今日の交通状況を緩和し、そうして都市生活を営んでおるものの環境を整備してまいるという上からまいりますというと、非常に大事なことじゃないか。そこで土地の所有者は土地を手放して、あるいは大企業、大金持ちに独占されるようなことのないように、土地を持っておられる人が持っておられるままに、公共のため社会のために利用していただきたい、そういうふうに持っていかなければならぬというのが、すなわち私どもの願いなんでございますから、一部に何か誤解もあるようでございますけれども、その誤解はぜひ解いていただきたいものだと願っているわけです。
  16. 沢田政治

    沢田政治君 まあ団体あるいは個人等から、これは与野党別なく、やはり一つ法案が提案され、ここで審議されるということになると、それぞれの層から賛成なり反対なり懸念なりというものは表明されるのは、これはやっぱり政治にとって好ましいことであると思うんです。そういう意味で、まあ私どももこれが一部の層の利益のためになる法案であり、また一部の方々の職を奪うようなものであるならばたいへんだと思うのです。まあそういう方々から抽象的じゃなく、これは具体的にこの条章がこうこうなって、われわれ職場を奪われるんだということを、私は私なりに聞いてみたいと思うんです。そこでやや内容に入るわけでありますが、特に質問ということになるかどうかわかりませんが、一つの問題提起になると思うんです。これに対してやはりある程度の見解をお聞きして、やっぱり政府側の意図することも解明してみたいと思うわけです。そのことは、再開発全体計画とそれに基づくやはり地区開発計画、こういうものを明確にすべきだと思うんです。面の開発か点の開発かといったように、思いついたように全体開発地域開発がばらばらであったんでは、混雑に混雑を繰り返すような結果になると思うわけですね。したがって、この点はこれはもうこの法律が通過したならば、施行にあたっては、特に役所のほうでは明確にこの原則だけは順守してもらいたいと思うのです。と同時に実はたとえば地区開発の重点施設計画ですね。これは何といっても私どもが望みたいのは、地域住民の生活が非常に利便になって快適になり環境がよくなる、こういうところにこの力点というものを置くべきだ、こういう強い意向をわれわれとしては持っているし、おそらく当委員会の委員は全部そういう意図を持っておるし、目的を持っていることは、これは間違いないと思うわけであります。たとえば第二条第四項の道路ですね。あるいは公園、広場、こういうことは明確になっておるわけでありますけれども、それ以外の都市施設、たとえば集会所、これは地方では公民館も含まれるでしょう。保育所とか幼稚園とか、あるいは小運動場、こういう都市計画法に基づくところの都市施設ですね。こういうものに対して非常に適切な配置をすべきである。そして地域住民が非常に生活が利便になり快適になり、環境がよくなる、生活が非常に向上する、こういう方向にやはり施策というものを重点的になすべきである、またこれを没却すべきではない、こういうふうに私どもとしては考えているわけです。そういう内容とそういう一つの指向——向かうところがなければ、全くぼくが言ったように高級マンションができて、町並みがちょっと感じの上できれいになったということだけではたいへんだと思うので、いかがですか。問題提起を含めて意見を聞きたいと思う。
  17. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、再開発基本構想というものに基づいて、やはり再開発は行なわなければならない。実は私ども当初原案でそういうようなことを法律に何とか入れたいということで考えていたわけでございますが、やはりこれを先ほどから申し上げておりますように詰めてまいりますと、都市計画そのものという形になってまいります。したがいまして法文上、法律上、再開発基本構想というものが法律的に意味するところはそういうことになってまいりますが、私どもといたしましては、現在でも東京都は東京都なりに再開発基本構想というものを持っているわけです。したがいまして、そういうものをやはり練り上げまして早く住民の方にお知らせするというようなことを、同時にこれと一緒にやっていかなければならない。その点につきましては私どもも注意して仕事をしてまいりたい。こういうふうに考えております。  第二点の、地区のやはり住民の環境がよくなるというような形で再開発を行なうべきではないかということも、ごもっともでございまして、そのために道路、公園、広場というようなものは公共施設として再開発計画の中に盛り込むべきだということをうたっておりますが、それ以外の、たとえば御指摘の集会所でございますとか、あるいは保育所というものは事業計画の中で具体的にきめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  18. 沢田政治

    沢田政治君 そういう集会所とか小公園とかそういうものは、計画の中でやりたいと言っておりますけれども、やはりそのためには手続としては多くの市民のこの計画に対する賛意と協力がなければならぬわけですね。そういう意味で一方的に計画をつくってこういうものができるそうだ、賛成も反対もない、これでやりますということでは、これではお役所仕事になるわけですね。したがって市民の協力を得る、協力を得るということは、やはり市民の同意を得ると同義語なんですね、裏返しの問題だと思うのです。そういうルールなり一つ方法というものが非常に必要じゃないかと思うのですね。もう半分くらい——半分が反対したらできませんけれども、やはり一部でも成田空港のように反対だ、強制収用だということで、これは何というか、結果はできたとしてもそこには憎悪と怨嗟が残るだけだと思うのですね。したがって、そういうふうに市民もこれに参加し納得させるという方法を、法的にもう少し明確にすべきじゃないかと、こういうふうに考えておりますが、いかがですか。
  19. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 市街地開発事業をやります場合には、まず都市計画できめます。その都市計画できめる前の段階におきましては、これは都市計画法の問題でございますけれども、相当の期間住民なり権利者がわかるように知らせまして、そしてそこから意見が出せるような措置を、都市計画のほうで講じてございます。それからいよいよ事業にかかります。事業にかかります場合には、今度は施行者事業計画をつくるわけであります。組合でありますと組合設立の認可申請と同時に事業計画の案をつくりまして、これはその地域におきます関係権利者の意見を聞くと同時に、当然建物なり土地について権利を持っている人につきましては、その同意をとるということになっております。さらに今度はいよいよ事業計画が進みまして、いよいよ権利変換計画というものを立てる段階になりますと、権利変換計画につきましても関係権利者に知らせまして、そしてそこから意見をとるというような規定がそれぞれ置かれておりまして、その関係権利者なりの意見の反映を十分できるようにいたしておるわけであります。
  20. 沢田政治

    沢田政治君 いまこれは東京都ばかりじゃなく大阪のように過密都市と言われている都市ではほとんどまだ、スラム街と言えば悪いことばでありますけれども、非常に何といいますか、環境の悪い、ちょっと震度五ぐらいの地震がきたならばはたしてどうなるか、という心配の住宅地区が相当あると思うのですね。したがって、私どもはやはりこれには目をおおうべきじゃないと思うのですね。これはちょっと不勉強で見当はずれの質問になると思いますけれども、この法案がもし制定されたならば、市街地改造法と防災建築街区造成法、これは廃止されるわけですね。したがってこれは、まあ私しろうとでございますから、しろうとの心配し過ぎかもしれませんけれども、その法の廃止によって、そういうスラム街等非常にあぶない環境の悪い密集した地区ですね。こういうところの住宅の修復といいますか、開発と申しますか、撤去といいますか、まあ撤去といっても撤去しっぱなしじゃなくて新しく設けるわけでしょうが、こういうような住宅政策というものは一体どうなりますか。
  21. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 実はこの法律におきましては仕事のやり方を三通り考えてございまして、一つは組合等が行なう場合に、これは公共団体でもそうでございますが、土地の所有権はそのままにしておきまして、建物のために土地について権利を持っている人、たとえば借地権者あるいは建物を所有している人、そういう人たちの権利を新しくビルの床に変えてしまうというやり方が一つございます。もちろんそのときは借家人は当然権利を得るわけでございますけれども、そういうやり方と、もう一つは所有権を残しませんで、所有権の分までも建物の床に変えてしまうというやり方が、特則として規定してございます。その場合には当然収用して建物を建てて、そして代金のかわりに床を与えるということと同じことになるわけであります。現在やっております市街地改造法といいますのは一度収用をいたしまして、そして希望者に対しましてはお金で払うかわりに建物の床で払う、床で与えるという方式でございますので、まさにこの第二の方式と同じことになるわけであります。そういう意味におきましてこれは公共団体しか1収用に近くなりますので、公共団体しかできないことになっておりますが、第二方式は公共団体だけでございますが、そういうふうに土地の所有権そのものも床に変えてしまうというやり方は、公共団体と公団だけでございますが、それは現在の市街地改造法と全く同じやり方でございますので、市街地改造法を残しておく意味がございませんので、市街地改造法を廃止するということにいたしたわけであります。それから防災建築街区改造法のほうは、先生御承知だと思いますけれども、組合をつくりまして組合が任意のやり方でその防災街区に二階建て、三階建て以上の建物を建てるわけでございます。そのやり方でいろいろ不便を感じておりましたのは、権利の処理のしかたというのが、任意方式のためになかなかうまくいかないわけでございます。この法律では非常にこまかい規定で、おわかりにくいかと思いますが、こまかい規定を置きましてそれぞれの権利、担保権なり、借家権なり、あるいは争いのある権利、仮登記のついた権利、すべての権利がうまくスムーズに新しい建物の床に移行できるようにこまかく規定をしたわけでございます。そういうような権利処理の方式をこまかくきめることによって、スムーズに仕事ができるようにということで、いわば先ほど申し上げました第一の方式というものは、そういうふうにこまかくきめてあるわけでございますが、それ以外に全員が同意いたしますれば、任意の手法をとることができるという特則を設けてございますので、実質上防災建築街区と同じことは第三の手法で、そういうようなややこしい権利変換によりませんで、別の方式でやるということもできるようにいたしております。たとえば、間口ごとに——それぞれの家の間口ごとに建てて、そして一つのビルを建てるというようなことも任意方式でできるようにしてございます。したがいまして、この法律は新しい方式をつくると同時に市街地改造のやり方、あるいは防災街区のやり方を全部取り込んであるわけでございます。したがいまして、防災街区もなくする。先生おっしゃっております密集の不良の住宅市街地があります場合に、これを全部公共団体土地建物を買収しまして、そして建物を除却してそこに新しくアパートを建てまして、そしてそこに住んでいた人は所有権利者、借地権利者、借家人であろうとそこに住まわしてやろうというのは、これは別途住宅建物改良事業というのがございます、住宅地区改良法に基づいて。それはやり方が、こういう権利変換ということはできませんので、全部買ってしまって、そうして建物をつくって与えるという方式でございますので、その住宅地区改良法に基づく改良事業につきましては、いわゆるスラムクリアランスというやつ、それにつきましては別個の法律がございますが、それはそのまま残したという形になっておるわけでございまして、そのほうの住宅政策は従前の法律によって行なわれる、こういうことになるわけでございます。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、この法律はまだ施行されておらないので、その功罪はここで予測したり論難することはできないと思うのだけれども、これはぼくの私見になると思いますけれども、やはり施行になってないのだから功罪があるはずありませんが、非常に一つの疑問を持っているわけです。不安を持っているわけだ。そういうことから関連して市街地改造法とか、いま申しました防災建築街区造成法ですね、こういうものは廃止しなくてもいいじゃないか、当分存続してもいいじゃないかと、こういう意見も、これは私のみじゃなく他の委員方々も持つかどうかわかりませんけれども、率直に私はそういうように考えています。これは私の考えですから答弁の必需要りません。そこでやはりこの法案に対して非常に一部では心配しておる。不満も持っておる。これはいいと思うのですね。したがって、権利上の問題、これはどうなるかというのは、やはりこれは心配し過ぎても心配し過ぎることではないと思うのです。そこで土地収用の場合は、公団とかそういうものに限るといっておりますけれども、たとえば組合施行の場合でも、三分の一が反対し三分の二が賛成しても、三分の一の不同意者はやはり権利の制限を受けるわけですね、現実の問題として。したがって、やはりこういう方法土地高度利用というのが、空中空間の高度利用というのが、目的はわかるとしても、三分の一の意思が明らかに明示されている。それで権力的にこれを強行をし権利の制約を受けるということになると、私は心配する人の心配し過ぎじゃないわけですねこれは、現実の問題として。したがって、やはりもっと上そういうふうに三分の二が賛成したのだから、もうこれは何でもできるということではなくて、やはり納得づくで——もっとも百人のうち一人が反対したということになるとこれはどうか、私わかりませんけれども、三分の二とか何とか言わぬで、ほとんどもう例外のものを除いてはまずこれでいいだろう、地域住民の福祉と生活の利便と環境の浄化に役立つだろう、こういう場合にのみ踏み切るべきである。こういう点を私は法律的に明確にしなければ、何か成田空港の例じゃないけれども、公共福祉とかそういうような抽象的な一つことばによって、やはり大きな問題を起こす可能性がありはしないか、こういう懸念をするわけですが、いかがですか。
  23. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 実はただいまの三分の二の問題でございますが、これにつきましては実際面から非常にいままでの長い経緯があるわけでございますが、実は従来から防災建築街区造成事業なりあるいはその前に防火帯の建設事業というようないろいろな都市の中の再開発、いわゆる実質的な再開発事業というのが行なわれているわけでございます。いろいろなそこの権利者の方々が寄り集まって、ひとつこの地区をよくしよう、そのためにはひとつりっぱな街区造成をやろうということをやられましても、まあ先生の言われましたように、百人に一人という場合もありましょうけれども、二、三の反対の方があったために、その仕事がなかなかできないという事例がございます。たとえばいままでの防災なり防火帯の事業でございましても、まん中に一軒、こんなことを言っては失礼でございますが、パチンコ屋さんがありまして、そのパチンコ屋がどうしても一緒にならないというために、あるいはおそば屋さんがどうしても一緒にならないというために、防災建築街区が二つに切れてしまったという例もございます。大阪の防災街区で見ればわかるように、こういう高いビルがございましてまん中にみぞみたいに、ちょうどみぞができているわけでございます。それはその下に一軒だけうちが反対して、そのためにみぞみたいなビルができたという例がありまして、私どもは実際にこの事業をやられている方から、何とかして大多数の者が賛成の場合には仕事ができるようにしてくれということを、いままでずっと言われ続けていたわけでございます。それからもう一つ、先ほど申し上げておりますように、やはり計画的な再開発、まとまった再開発というのをこれからやっていかなければいかぬ。こういう鉛筆のようなビルがやたらにできるという形では、やはり土地の有効利用という、つまり空間地をある程度まとめてやりますれば、そこに駐車場もできる、あるいは小さな宅地ごとに建物ができないでまとまった宅地に建物ができれば、自動車の幹線道路に対して自動車の出口も一本になりまして、交通に与える影響も少なくなるとか、まとまった再開発をやっていきますためには、やはり少数の方が反対するとできないという状況は、何とかして克服したいということで、こういう規定を置いたわけでございます。もちろんその規定のしかたでございますが、これはその四分の三とか五分の四とかいろいろの規定の方法はあろうかと思いますけれども、通常は単純多数決でございますと二分の一、それから特別の多数決でございますと、まあ国会でもそうでございますし、株式会社でもそうでございますが、三分の二というのが通常の法律的な考え方でございますので、単純多数決ではいけない、特別の多数決がいいという意味で三分の二ということにしているわけでございます。しかしながら、やはり再開発というものが公共性も何もないのに、こういうような三分の二で強制するということはできません。そこで先ほどの都市計画のところの要件にございますように、特に土地高度利用をはからなければならないというような地区で、しかも現在はほとんどが木造の建物、二階建て以下の建物土地利用がはかられていない、しかもその土地利用の状況も悪い、そこはどうしても再開発しなければならないというような地区に限りまして、この強制権を認めるということにしたわけでございます。  それから組合がやるために心配だというような御意見かと思いますけれども、この組合というのは、この法律によりましてこれだけの仕事をする組合でございますので、特別に法人格を認めている組合でございまして、設立にあたりましても特に知事の認可を要することになっております。監督面におきましても、非常に詳細な規定を置きまして監督をすることになっております。これはもう一つは土地区画整理事業というのがございまして、これが組合でやる場合に三分の二ということでやっております。ただ土地区画整理事業と違いますのは、土地区画整理事業の場合は土地をただいじるだけでございます。建物あとで移転で片づける。この場合にはそういうやり方ではどうも密集市街地の中は処理ができない。そこで土地建物を交換すると申しますか、土地建物を一緒に動かすことができないか、従前持っていた土地を新しく土地つき建物にかえる、従前の建物を新しく土地つき建物にかえるということはできないかということで、この権利変換ということを考えたわけでございます。区画整理の場合と違いまして、やはり建物を建てるわけでございますから、そこに区画整理以上に慎重な配慮が必要でございます。そのために、この法律におきましては、特に事業代行制というものを置きまして、組合の幹部がいろいろなおかしなことをした場合の監督規定は当然入っておりますけれども、組合がどうしても仕事ができそうもないという段階になりましたならば、組合の執行者に知事なり市町村長がかわりまして、そうしてそれに対して債務保証ができるという規定を置いております。それ以降の債務につきましては公共団体が保証することにいたしまして、必ず建物はできさせるというような規定を置いておりまして、そういうことによりまして区画整理とバランスを保つというような形にいたしまして、そうしてこの三分の二の同意で組合でも仕事ができるというふうにいたしたわけでございます。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 あなたは、組合といっても、法律的な手続によって法人格を持たせたものであるから、そうめちゃくちゃなことはやるまいと、そう心配いらぬじゃないかと言っておりますけれども、そういう言い方もあると思うのですよ。しかし、考えてみますと、不動産業者とか賃貸業者ですね、あるいは商店街振興組合ですか、こういうものも組合の参加人員になるわけですね。特に、ぼくは全部の不動産業者が悪いというわけではないんですよ、非常に評判が悪いですよ、全部じゃない、中には、大半がいいかもしれぬが、不動産業者というのは全く黒い商売だといわれているくらい、一般の善良の市民からは黒い目で見られているくらい、一部の不動産業者には悪いけれども、そういう印象はぬぐいされないと思うのです。そういう人方がやるのだから、それを法人格を持っているとか何とかいってみても、これは苛斂誅求、ある場合には居住権さえも否定されるだろうという心配は一般の方々にあると思うのですね。だから、あなたが言われましたように、大きな計画をする場合に、一軒か二軒だけがんとして感情的に残っているのが確かにある。もう少し補償を多く取りたいというのがあるが、それは別として——そういうことによる弊害もないとは限りません。地方の一国、二国を見ましても、全体の工事が終わっておるのに、一軒だけ五十メートルぐらいがんとして二、三年がんばっている例も私は知っております。これはだれが見ても、やっぱり世論が支持しないと思うんだ。個人の権利というのは尊厳なものだと思いますけれども、ぼくはそういう例外のものについては、何らかの規制が全体のためにあってもやむを得ないと思うんですよ。しかし、三分の一が、これはもう区画整理じゃないんですからね、ちょっと移動するとか何とかの問題じゃないんですから、根こそぎ変わるのだから、ある場合に居住権が否定されるかもしれないんですね、場合によっては。そういう場合に、三分の二が民主的か、公共性に合致するのかどうか法理論的にはわかりませんよ。少なくとも大きな権利の制約になる場合に、三分の一、五分の四とか何とか議論しても始まりませんけれども、三分の一くらいで規制するのはどういうものでしょうか、私疑問を持ちますね。しからば五分の四がいいのかぼくもわかりませんが、非常に安易じゃないですか。
  25. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 参加組合員の話が出ましたので、ちょっと誤解をされているといけませんので申し上げますが、実はこの事業というものは、普通の場合ですと土地は買いません。したがいまして、旧来の建物を清掃する費用と、建物を建てる費用は事業費になっている。それをどうやって所管するかといえば、従前の権利者にはそっくりその価値の分を新しい建物にいわばただで入れさせてしまうわけですから、その残りの床を売ることによってその費用をまかなうわけであります。もちろんその下の建物の分の費用までも上の建物にかかりますが、これはいわば土地代にかわるものだということになっております。  そういうことによって費用をまかなうわけでありますから、参加組合員制度というものを置きましたのは、非常に零細な権利者がそういうような形で建物の床に入ることは保証されておりますけれども、実際事業費というものが要るわけでございます。そこで、事業費で、当然売らなければならない処分床をあらかじめ買い取るということを約束した者を参加組合員として、そうして必ずそこから金を分担金として取っていく。これは強制徴収までできるようにしてあります。そういう制度で、参加組合員になり得る者としては、法律には「不動産賃貸業者、商店街振興組合その他政令で定める者」と書いてありますが、 「政令で定める者」としては、すでに政令案でお示ししてございますが、たとえば住宅公団でありますとか、あるいは住宅供給公社でございますとか、あるいは民間の住宅のそういう賃貸分譲業者という方でもいいと思いますが、そういう人たちが参加組合員に入ります。そういうようになれば、参加組合員が上の床を全部予約して買うとすれば、すべての事業費は参加組合員から出してもらえばいいということになるわけであります。そういう意味で参加組合員の制度を置いたわけであります。ただ、先生御心配のように、そういうものが入ってくると、零細業者なんだから、あと零細の権利者というものはその人の自由にされてしまうじゃないか、こういう御心配だろうと思います。実はこの参加組合員を入れるということも定款できめるようにいたしてあります。最初組合をつくりますときに、定款と、それから事業計画というものは、関係権利者全部に見せて同意をとるようにしておるわけであります。したがいまして、関係権利者が同意しなければ参加組合員は入れられないわけであります。そういう形で参加組合員というものを入れられるような制度を置くと同時に、関係権利者でチェックができるような制度にいたしてあるわけであります。  それから三分の二の問題は、これは法律上の問題でございますので、三分の二と書いてあるわけでありましても、もちろん実際にやります場合には、先生御承知のように、収用権があるからといって収用権で全部買ってしまうわけではありませんので、これはやはり地元の方々が納得し合ってやらなければ、この仕事はスムーズに進まないと思いますけれども、やはり法律的に何かそういう最後のことができるような権利を残しておくということによって、一人か二人という場合が多かろうと思いますけれども、そういう反対者を説得する力というものを備えておくことが、法律的には必要じゃないか、こういうことで入れておるわけでございます。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 やはり一番この問題になってくるのは、家主とか地主とかこういうものじゃないと思うのですね。やはり権利の問題によって混乱が起きるのは、そうじゃなくて、やっぱりぼくなんかが何といっても心配するのは、借家権といいますか、こういうものを持つ人方だと思うのですよ。しかも、こういう人方は権利としてはないわけだな、組合に対して。結局、組合、家主、地主、こういうものの権利の何というか、競合調整といいますか、ということになると思うのです。これは部外者になるわけだ、借家権者は。こういうことでは、権利が否定され、軽視され、無視される可能性というものが非常にあるのじゃないかと思うのです。たとえば借家権者でもいろいろな態様があると思うのですよ。たとえば三年間なら三年間ということで賃貸借の契約をしてきちっと入っておる人もあるし、まあ何となく慣行として入っておる人もあるわけだ、契約はなくね。それから四人か五人同居しておる人もある、契約はなく。また親類同士で、ここは裏物置を改造したところだけれども、親類なんだから、借りたとか貸したとかということなく、まあ少し住んでおれよ、そうしてそのまま生活を維持している八もあると思う、中には。そのほか、もうわれわれの想像がつかないような、何というか、居住権ですね、実質的な居住権を持っておる人もあると思う。そうなると、この権利の変換なんかも、やはり組合と地主と家主だけでは否定される可能性が非常に強いのじゃないかと思うのです。まあ法律のどっかの部分に、原則としてそういうものに与えることができるとかなんとかちょっと書いてありますが、明確な保証はないのです。これがやはりみんなが言うところの生活権を否定される、居住権を否定されるという心配に私はつながってくるのじゃないかと思うのです。でしたがって、きょうでこれを解明するということでなく、問題を先に進めるために片道通行をしておるわけでありますので、同僚委員質問の際にも、私はさらに再質問をしたいと思うのだけれども、そういう懸念は実際にあるのです。ぼくが考えても。これに対してどう考えておりますか。
  27. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生おっしゃるとおり、一番問題は借家人の方をどうするかということでございます。私どもも、立法の当初、立法作業をやっています当初、借家人をその組合の構成員に入れられないかということで、いろいろ法律的に検討もしたわけでございますけれども、この事業は、建物をつぶして、そして新しく建物を建てる事業でございます。したがいまして、従前の建物をつぶす、除却する権原を有するものと、その土地の上に新たな建物建築する権原を持っているものが集まって仕事をするという形に、どうしても組合の形としてはなってしまうわけです。そういたしませんと、全然権利のない人が入ってくるということになりますと、権利のない人によって権利のある人の帰趨がきまるという形になりますので、これは法制局とも十分相談いたしましたが、やはりどうしてもいまの法律で借家権というものは土地に及んでおりません。建物を処分する権原がございません。そういう関係から、どうしても借家人を組合の組合員に入れることはできなかったわけでございます。しかし、先生おっしゃいますように、借家人の権利というものはどうしてもこれは保護していかなければならない。そこでまず第一に、借家権者は当然新しい建物の借家人になる。法律上、当然新しい建物の借家人になるという規定を置いているわけであります。ただ場合によりましては、家主さんは金をもらって外へ出ていきたい、こういう場合がございます。その場合には家主さんがいなくなりますから、施行者が必ず借家権を与えます、こういう規定を置いているわけであります。そこで、御心配になるのは、じゃ、その借家条件がどうなるんだろうということだと思いますけれども、借家条件につきましては、これは一応協議する形にいたしておりますけれども、最終的には、ここには組合と公共団体の場合と違いますけれども、審査委員なり、あるいは審査会なりを置いておりまして、そこには公正な判断のできるような人を審査委員にしておりますが、その審査委員の力をかりまして裁定をすることにいたしております。  実際、問題になりますのは、借家権者に対してどういう補償をするかという問題、これが一番実際、借家人の方の場合には大きな問題になろうと思います。その借家人の補償は、この法律では外に借家権者がもし出ていかれるという場合には、借家権の補償をするということをはっきり書いております。それから今度は、借家人の方がその建物に入るという場合には、従前借家権を持っていたわけでございます。当然借家条件の裁定の際には、その部分を考慮して借家条件をきめる。家賃なり権利金をきめる、こういうことになろうかと思います。それから仕事の途中の過程におきまして、借家人の意見をどうしても聞かなければいかぬと思います。そういう意味におきまして、いろいろな、先ほど申し上げましたような設立の段階あるいは権利変換計画を立てる段階、そういう段階におきまして借家人の意見を聞く。そしてそれにつきましては、設立の段階におきましては、知事は必ず不服審査を同じような方法によって審査をして結論を出しなさい、こういうことを法律に書いてあるわけでございます。それから、権利変換計画等につきましては、借家人の意見は必ず審査会にかけて、そしてそこで処置をいたします。それからまた借家権価額についての不服というのは、これは非常に大きいと思うのです。価額についての不服は、やはり審査会にかけますけれども、それについてさらに不服があるものは収用委員会、これは収用委員会といっても、土地を取り上げるほうの収用委員会じゃございません、収用委員会の仕事の中身としては補償価額をきめるという意味で、収用委員会にさらに裁定を求めることができる。最終的にはもちろん裁判までいきますけれども、収用委員会にそういう価額についての裁定ができるという規定を置きまして、私どもとしましては、あらゆる形において借家権者の保護に欠くるところがないようにという配慮を、私ども法律の中ではしてまいるつもりでございます。
  28. 沢田政治

    沢田政治君 一応御答弁があったわけでありますけれども、なお心配したらやっぱり心配な点があるわけですね。たとえば、施設に入れる、この法律に基づく施設に入れるという場合でも、家賃はどうなるかということがあるわけだ。はい、入ってください、あなたにひとつ、何というか、法律に基づいて提供しますよと、こう言われても、やはりそういう特殊な契約をしておるという人は低所得者ですよ。もう、何というか、二万円以下の人も多いんじゃないかと思うのですね。そういう人がマンション並みの、月額一万円とか一万五千円のところに、りっぱなところに入れるといったって、入ってくださいといったって、これは入れないですよ。その家賃を納めなくちゃ入る資格がないということになると、動機は別として、結果的には居住権の侵害、否定、こういうことにつながると思うのですね。だから私はそれ以外のケースもあると思う。たくさんあると思うんだけれども、やはりぼくは考えてみて、これを解消するためには、審査会とか収用委員会とか言っておりますけれども、なかなかいまの制度じゃ貧しい者に味方してくれるかどうかわかりません。ひがみかどうかわからぬけれども、弱肉強食でいかれる可能性が多いんじゃないかということを、これはひがみじゃないのです、困っている人から見るならば。だから私は何といっても権利者権利というのは何も地上権を持っているとか、そういう、うちを持って所有権を持っているばかりが権利じゃないと思う。やはり居住権もやっぱり権利なんです、住む権利。だからそれがどっちが重いかどっちが軽いかは別としても、私の考え方によると、やはり権利者の中に、地主、家主、組合だけの関係じゃなく、借家権者を権利者として入れるべきだ、こういう強い意見を持っているわけだけれども、いかがですか。
  29. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) その点は、先ほども申し上げましたように、私どもも当初考えたのでございますけれども、現在の民事法の問題になろうかと思いますけれども、民事法の体系のもとにおきましては、どうしてもやはり借家権者に土地を処分し、あるいは建物を処分する権原はございませんので、これは組合員はそういう人によって構成されるという形は、現行の法制上はどうしてもとり得ない、こういうことでございます。それは私ども法制局と十分打ち合わせたわけでございますが、そういうことで組合員に入れるという形をとらないで、別途の方法で借家人の保護の規定をいろいろ置いたわけでございます。それから家賃につきましても、家主に与えられるものは従前の価値のものが与えられるわけでございますが、まあ先生おっしゃいますように、ある程度、従来長い間の慣行で安い家賃に入っていた人もおられると思いますが、そういう方が利用される家賃のところまではとれるということはあり得るわけでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、従前持っていた借家権の価値というものは当然その方が持っておるわけでございますので、借家条件の協議というのは、家賃も含めてきめるわけでございますので、家賃の裁定をいたします場合には、従前の借家権価額というものは当然考慮される。したがって、新しく建物に入る場合に比しましては相当安くなってくる。こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 これは私の意見でありますので、答弁では片づかない問題だと思いますので、これ以上この点については応酬しません。  そこで、若干の意見を含めながら問題提起をして考え方をお聞きしたいわけでありますが、組合施行の場合で先ほど答弁にありましたけれども、遂行困難な場合ですね、都道府県知事に代行を求められるという一つ措置があるわけですね。その場合の遂行責任の体制、こういうものをやはりもっと明確にすべきじゃないかということが一つと、それと特に民間業者ですね、こういうものの民間資金等の導入に関しての責任基準、こういうものを明確にする必要があるのじゃないかという点が一つ。もう一つは、地方公共団体の機構を強化して、再開発事業の中心的な役割りを実施できる、できやすいように公的、財政的にもう少し明確にしておく必要があるのじゃないか。こういうようにいま私としては考えるわけです。非常に舌足りない私の何というか問題点の指摘だけれども、いかがですか。
  31. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 事業代行は、ここに書いてございますように、できそうもない、できそうもないという見込みができました場合におきまして、知事が理事者にかわってそして組合の仕事を代行するわけでございます。その場合には、先ほど申し上げましたように、その場合には相当資金的にも組合が行き詰まっている場合が多いと思います。そこでその場合には、公共団体が、組合の債務ではございますけれども、それに対しまして債務保証をいたしまして、そして、ともかく建物はつくり上げてしまう。そこまでは代行が抜けられないような仕組みになっております。したがって、建物はつくってしまう。そうしますと、その組合には公共団体がおそらく債務保証をすれば、そちらに債権者が金を払えというようなことが出てくるかと思いますが、その場合には公共団体はさらに組合に対して求償権を持つわけでございますが、そういうようないろいろな債権債務の処理というものは、そこに残ってまいるかと思いますが、それは、最終的にその事業は当初行ないます場合には、知事の認可が要るわけでございますが、場所的にその事業が成り立つかどうかということも、当然判断の対象になってくるかと思います。処分されて、つまり売れるという形で解消される、こういう形になろうかと思います。その場合には知事部局の補助機関と申しますか——先生のおっしゃる意味がちょっと判明しかねるわけでございますが、そういうような機関をどう整備するかという問題は、これからの問題になろうかと思います。  それからディベロパーが——参加組合員として入れます民間業者でございますが、これは、参加組合員も組合員でございますので、やはりこの場合には権利の大きさによって組合員としての権利をきめておりませんで、組合員一人一人の数できめるようになっております。参加組合員にもいろいろな議決においては一票しかないわけでございます。そういう形で民間業者が参加組合員として入りました場合には、組合員となって各種の段階におきまして総会なり、あるいはその他の決議に参加して、そして仕事をやってもらう。それから、お金のほうは先ほど申し上げましたように、負担金というものを組合に対して参加組合員は払うことになっております。それは必ず組合の請求によって払うということにいたしておりまして、納期限が過ぎても払えない場合には代執行ができるというような規定まで置いて、確実に債務が履行されるようにということをいたしておるわけでございます。  それから、最後の地方公共団体の機構が無整備で、非常に欠けておるのではないかというようなことだと思いますが、現在でも市街地改造事業というのをやっているところにおきましては、それぞれの機構がございますが、確かにこれを相当進めてまいります場合には、機構の問題が出てくると思います。したがいまして、これは地方公共団体の行ないます機構整備でございますけれども、地方交付税の算定基準に入れるとか、その他の方法を通じまして私ども関係者と一緒に機構の整備については協力してまいりたい、かように考えております。
  32. 沢田政治

    沢田政治君 不勉強ですけれども、これまでの都市改造のための手法——手段、方法、これはたくさんいろいろな方法があるのですね。七つか八つぐらいあるのじゃないかと思います、方法が。これはどのくらいありますか、方式というのは。たとえば市街地改造方式とか、特定街区制度とか、たくさんあるわけですね。七つか八つあると思うのだけれども、それらとの関連がどうなりますか、都市開発法との関連、位置づけ。
  33. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 一番あとのほうから申しますと、特定街区というのは、一般的に都市計画なりによりまして、建築基準法の用途地域等がきまっておりますが、その場合に高さの制限あるいは建ぺい率あるいは容積率とか、いろいろなものが一般的にきまっているわけでございます。特別にそこの地域のいわば街区整備をやろうというときに、その一般的な都市計画制限をはずしまして、特別に都市計画としてきめるという制度が特定街区でございます。これは一般的にきまっております。たとえば七割地区とか、あるいは高さが三十メートル制限だというのを、特別に都市計画と同じような手続によりまして、都市計画審議会にもかけまして、その地区について一般的な制限と別の制限をそこできめるという制度が特定街区でございます。  再開発事業といたしましては、大きく分けますと二つだと思います。一つは収用方式と申しますか、要するにそこにあります土地建物を全部収用者が買い取ってしまいまして、そうして権限を取得しまして、そこに新しいビルをつくっていくという収用方式——まあ、買収方式と申しますか、市街地改造は買収方式をとっているわけでございます。それから住宅地改良事業もそういう買収——収用方式をとっているわけであります。それともう一つは、この再開発法なり区画整理法にありますように権利を交換する——まあ、わかりやすくいえば権利を交換するといいますか、権利を変えていくという権利交換なり区画整理なりという手法があると思います。私どもは、アメリカ等におきましては、収用方式で再開発をやっておりますけれども、日本の場合には、どうしてもやはり土地に対する執着と申しますか、あるいは現地にどうしても住みたい、居住したい、営業したいということがございますので、現在おられる人はそのままその地区に収容いたしまして、ただ上部空間を別途の目的利用さしていきたいと、その場合に住宅の場合が相当大きくなると思いますけれども住宅その他に利用さしていきたい、そういう方式のほうが日本的ではないかということで、再開発法におきましては、権利変換というやり方をとったわけでございますが、別途不良住宅地改良法等におきましては収用方式というのをとっております。大きく分けますとやはり収用方式と区画整理なり権利変換方式、事業のやり力としてはその二つではないか、こういうふうに考えるわけであります。
  34. 沢田政治

    沢田政治君 いま私の言っているのは、いろいろな方式があるわけだけれども、それらの方式との関連ですね、この法律との関連を明らかにして、名実ともにやはり都市開発の基本法であるというような点を明確にする必要があるのじゃないか、ということを言っているわけです。  まあ、その点はそれでいいとして、最後にお聞きしたいし、また問題の提起をこめてちょっと質問したいのは、この都市開発法案ですね、この法律のねらいは何であるかは別としても、一般的に考えてみて、都市開発が問題にされているのは、何といってもやはり人口が密集してくると、そうして無制限にどんどんどんどん都市に広がっていくと、住宅難だと、かてて加えて交通難だと、だからいまある土地をもっとうまく利用できないかと、こういうところがやはりこの法律の出てくる背景だと思うのですよね。いろいろなまあ、望みがあるかもしれないけれども、大きな背景はそこだと思うのですよ。ところがやはり何といっても住宅難、交通難、いま言いましたようにね。ここがやはりこの法律の出ざるを得ない多くの世論の一つの望みだと思うのだ。そういう背景があるのですよ。ところが、住宅のことについては全然触れてないのですね。あまりないのですよ。ぼくもにわか勉強でちょっと法案をひっくり返してみましたけれどもね。わずかに、何といいますか、見ますと、ははあと、これは住宅もやる気かな、ねらいの一つにあるのかなと一応は考えたのは、第四条の三号ですが、読まれてない方もあると思いますので、若干読んでみますと、第三号、「建築物の整備に関する計画は、市街地の空間の有効な利用建築物相互間の解放性の確保」——この「解放」の「解」は直していますね。「の確保及び建築物の利用者の利便を考慮して、建築物の都市計画上当該地区にふさわしい容積建築面積、高さ、配列及び用途構成を備えた健全な高度利用形態」云々とありますね。「用途構成」というところで幾らか住宅のことを考えているのじゃないかなということを、においをかぐ程度なんですね、これはね。はたして住宅問題がこの文字の中に入っているかなどと考えるやつは、よほど頭のいいやつかよほど頭の悪いやつか、どっちかですよ。こういうことじゃ、やはりこの法律の出てくる背景というものを、ぼくは無視してると思うんだよ。だからやはり住宅の点、法律的に明確にして、ある条件のもとにおいては絶対に住宅を乗っけなくちゃならぬと、こういうように明確にしなければ、私は冒頭に言いましたように羊頭狗肉かネコか牛かわからないというわけだね。一般の国民が望んでいる方向とこれは非常に違った方向の商業とかオフィスだとかね、マンションとか、そういう方向に力点が移される可能性が、決して心配しても心配のし過ぎじゃないのですね。この点は明確じゃないと思うのだ。だからこの点が明確でなければ、私どももこれはたいへん賛同しがたい要素を持っていると思うのだけれども、いかがですか。
  35. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生の先ほどの御質問に対しまして、再開発方式は大きく分けると、買収方式と、それから区画整理方式と、こう申し上げたのですが、実際任意のやり方でやっているのはほかにもございます。たとえば住宅公団が市街地住宅というものをやっております。いわゆるげたばき住宅です。ああいうやつが、現在は若干条件を変えておりますので、少し進んでおりますが、根本的にはやはりああいうものをやりやすくするというためには、やはり従前の権利者をそのまま新しいビルに収容しながら、上空空間を住宅にするというような手法がどうしても必要だと思います。したがいまして、いままで密集市街地住宅公団等がやっておりましたいわゆるげたばきにも強制手段がないということが一つございまして、なかなか適地にげたばき住宅が建てられないという問題があったわけでございます。今回は住宅公団も含めまして、住宅公団がみずから施行する場合もございますし、先ほど申し上げましたように、住宅公団が上部の床だけを買う、参加組合員なりなんなりになりまして、床だけを買うという場合もありますが、そういうような、こういう新しい手段によりまして、住宅公団の市街地住宅というものも進んでまいるのではないかと思うわけであります。さらに住宅公団そのものも、これは施行者にいたしております。先ほど申しましたように、上部の床というものは、実際問題といたしまして、これは相当多くの部分が住宅になっていく、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。ただこの法律が、第二章以下は非常に技術的な事業のやり方を書いてあるものでございますので、住宅地に限らず、業務地域でも、商業用地でもできるように書いてございますので、特に住宅住宅ということばは入れてないわけでございます。したがいまして、二章以下はこれは一つの手法でございます。やり方でございます。こういうようなやり方、こういうような法律的な手段がないと、やはり密集市街地で上空空間を利用して住宅をつくっていくことができないのじゃないか。つまりそういうような住宅の供給のしかたに対して、ひとつこういう基本的な法律、手段というものがなければできないのじゃないか。もちろん、それ以外に財政上の問題とか、財政援助の問題とか、金融をどうするかという問題がございますけれども、やはりこういう基本的な制度があって、さらに財政金融上の措置あるいは住宅公団の事業のやり方というものがそれに乗っかってきて、そうして住宅を呼び戻すための再開発というものが進むのじゃないか、私どもはそういうふうに考えてこの法律をつくっているわけでございます。条文には通則——いろいろな場合に適用できるために、住宅という文字がなかなか出てこないのであります。  それから先ほどの三号でございますが、これは先生おっしゃいますように、その地域環境住宅地にふさわしいところには、やはり必ず住宅というものを都市計画で義務づけるという規定でございます。だけれども、その居住環境から見まして、これはとても住宅を乗っけるべきところでないところにまで住宅を乗っけろという意味ではございません。ふさわしいものは都市計画できめるわけですから、用途別に、たとえば何階から何階までは住宅にしろということを都市計画できめるわけですから、その都市計画できまったところによって、施行者があらわれまして事業施行をするわけでございます。ふさわしい用途につきましては、階層別にそれはさまってくるわけでございます。私どもはそういうふうに理解して、また、そういうつもりでこの法律をつくっているわけでございます。決して住宅のことを全然軽視しているとか何とかいろことではないわけでございます。
  36. 沢田政治

    沢田政治君 最後に申し上げますが、まあ御答弁でわからんこともないのですが、ただ、こういう答弁のやりとり、意見のやりとりで法律ができたとしても、われわれはこういう目的でこれに賛成しますよ。だけれども、いままでの例から見ても、どんな善意な意図で法律をつくっても、一たんできた法律は一人で歩いていくんだよ、そのときの解釈によって。そういう点は全然ないとは言えないのです。こういう議論を、真剣な住宅の問題を含めて議論したとしても、あなた言うているように、答弁も適切な答弁をしておりますが、「配列及び用途構成を備えた健全な」なんていっても、これは使いようによってはどうでも忘れられるし、どうでもなるわけだ。そういうことであっては、こういう法律をつくる場合に心配じゃないか、こういう心配も決して心配のし過ぎじゃないと思うのです。だから、そういうような解釈のいかようによってはどの方向へでも歩いていく、こういう法律というのはいかんです。その方向しか歩けないような法律でなくてはいかんと思うのです。その議論をしていても始まりませんので、次の機会にもう一ぺん再討議する機会を保留いたしまして、きょうはこれで終わります。
  37. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会