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政府委員(
竹内藤男君) 実はただいまの三分の二の問題でございますが、これにつきましては実際面から非常にいままでの長い経緯があるわけでございますが、実は従来から防災
建築街区造成
事業なりあるいはその前に防火帯の建設
事業というようないろいろな
都市の中の再
開発、いわゆる実質的な再
開発事業というのが行なわれているわけでございます。いろいろなそこの権利者の
方々が寄り集まって、ひとつこの
地区をよくしよう、そのためにはひとつりっぱな街区造成をやろうということをやられましても、まあ先生の言われましたように、百人に一人という場合もありましょうけれ
ども、二、三の反対の方があったために、その仕事がなかなかできないという事例がございます。たとえばいままでの防災なり防火帯の
事業でございましても、まん中に一軒、こんなことを言っては失礼でございますが、パチンコ屋さんがありまして、そのパチンコ屋がどうしても一緒にならないというために、あるいはおそば屋さんがどうしても一緒にならないというために、防災
建築街区が
二つに切れてしまったという例もございます。大阪の防災街区で見ればわかるように、こういう高いビルがございましてまん中にみぞみたいに、ちょうどみぞができているわけでございます。それはその下に一軒だけうちが反対して、そのためにみぞみたいなビルができたという例がありまして、私
どもは実際にこの
事業をやられている方から、何とかして大多数の者が
賛成の場合には仕事ができるようにしてくれということを、いままでずっと言われ続けていたわけでございます。それからもう
一つ、先ほど申し上げておりますように、やはり
計画的な再
開発、まとまった再
開発というのをこれからやっていかなければいかぬ。こういう鉛筆のようなビルがやたらにできるという形では、やはり
土地の有効
利用という、つまり空間地をある程度まとめてやりますれば、そこに駐車場もできる、あるいは小さな宅地ごとに
建物ができないでまとまった宅地に
建物ができれば、自動車の幹線
道路に対して自動車の出口も一本になりまして、
交通に与える影響も少なくなるとか、まとまった再
開発をやっていきますためには、やはり少数の方が反対するとできないという状況は、何とかして克服したいということで、こういう規定を置いたわけでございます。もちろんその規定のしかたでございますが、これはその四分の三とか五分の四とかいろいろの規定の
方法はあろうかと思いますけれ
ども、通常は単純多数決でございますと二分の一、それから特別の多数決でございますと、まあ
国会でもそうでございますし、株式会社でもそうでございますが、三分の二というのが通常の
法律的な
考え方でございますので、単純多数決ではいけない、特別の多数決がいいという
意味で三分の二ということにしているわけでございます。しかしながら、やはり再
開発というものが公共性も何もないのに、こういうような三分の二で強制するということはできません。そこで先ほどの
都市計画のところの要件にございますように、特に
土地の
高度利用をはからなければならないというような
地区で、しかも現在はほとんどが木造の
建物、二階建て以下の
建物で
土地の
利用がはかられていない、しかもその
土地の
利用の状況も悪い、そこはどうしても再
開発しなければならないというような
地区に限りまして、この強制権を認めるということにしたわけでございます。
それから組合がやるために心配だというような御意見かと思いますけれ
ども、この組合というのは、この
法律によりましてこれだけの仕事をする組合でございますので、特別に法人格を認めている組合でございまして、設立にあたりましても特に知事の認可を要することになっております。監督面におきましても、非常に詳細な規定を置きまして監督をすることになっております。これはもう
一つは土
地区画整理
事業というのがございまして、これが組合でやる場合に三分の二ということでやっております。ただ土
地区画整理
事業と違いますのは、土
地区画整理
事業の場合は
土地をただいじるだけでございます。
建物は
あとで移転で片づける。この場合にはそういうやり方ではどうも
密集市街地の中は処理ができない。そこで
土地と
建物を交換すると申しますか、
土地と
建物を一緒に動かすことができないか、従前持っていた
土地を新しく
土地つき
建物にかえる、従前の
建物を新しく
土地つき
建物にかえるということはできないかということで、この権利変換ということを考えたわけでございます。区画整理の場合と違いまして、やはり
建物を建てるわけでございますから、そこに区画整理以上に慎重な配慮が必要でございます。そのために、この
法律におきましては、特に
事業代行制というものを置きまして、組合の幹部がいろいろなおかしなことをした場合の監督規定は当然入っておりますけれ
ども、組合がどうしても仕事ができそうもないという
段階になりましたならば、組合の執行者に知事なり市町村長がかわりまして、そうしてそれに対して債務保証ができるという規定を置いております。それ以降の債務につきましては
公共団体が保証することにいたしまして、必ず
建物はできさせるというような規定を置いておりまして、そういうことによりまして区画整理とバランスを保つというような形にいたしまして、そうしてこの三分の二の同意で組合でも仕事ができるというふうにいたしたわけでございます。