○
大森久司君 この
路線を見ますと、第一
路線は、いま
平城宮跡のところで問題になっております。第二
ルートといわれる第二
坊ルート、これは
自衛隊の
まん中を通っております。そうして第三
坊ルート、これはちょうど
ウワナベという
古墳があります。その
古墳と
関西線に沿うておりますので、ちょうどその間が六メーターぐらいしかないはずであります。そうすると、ここに示されておる
ルート、いわゆるこれは一方は
自衛隊であり、一方は
ウワナベ古墳を傷つけて通らなきゃならぬということになりますが、こういうことで
文部省のほうでは十分にこういうふうなものを提示される、あるいは
学者間において自分のところ、いわゆる
平城宮跡のいまの
場所はいいがほかはどこでもいいというように感ぜられるようなことになっております。しかも、この
平城宮跡の
遺跡そのものは
バイパス線ができるということによって、
建設省あるいは
地元の
調査費を利用して、そうして
調査した、それがはからずも
東院があらわれる、そうして非常にいま問題になっておるわけでありまするが、結局は
文部省が
計画的に、あるいはまたここに
東院があるということを知ってやった
行為じゃない、他動的にこれが発見された。そうしてみますると、いわゆる
文部省にしてもその
関係学者にいたしましても、非常にこの
調査研究に対してルーズであった、これぐらい重大な
場所に対して、しかも
許可を与える前にもずいぶん
研究しておられました。二年も
研究しておられた。そうして
許可を与えて後に出てきたら、これが
東院である。私
たちは
東院であるということを昔から聞いたことない。ところが、出てきて初めて
東院であるということが確認されたというようなたよりない
調査あるいは
研究では、われわれ
地元の者は非常に困るんです。前もってここにはどういうようなものが大体埋蔵しておるというくらいの示唆を与えるということぐらいの
指導方針を持ってもらわなければ、行き当たりばったりのようなやり方で、そうして出てきたら、今度はいままで
ことばにも出ておらなんだ
ことばを出して、これは聖武天皇が退位後ここにお住まいになっておられたのである。私はそんなことをいまだかつて聞いたことがない。ところが、
東院が東に伸びて、そうしてそういうような方面がそうであろうというように想像される。そうすると、それは初めはそうであろう、それはそうである、あれは
日本でなかなか重大な
文化財である、こういうふうに居すわられるということに対しては、
地元の者はいわゆる
学者あるいは
文部省を信頼して、今日まで
平城宮跡の買い上げに対しても二十何万坪は
協力してきている。しかも
政府の言いなりでこれを
協力しておる。われわれは
文部省のこういうふうな問題に対してはすべて
協力し、そうして今日までいろいろの
意味において県もあげて
協力してまいったわけでありまするが、こういうような
態度それ自体が、私は大いに
研究すべきもんである、こういうように思うわけであります。しかも問題は、その二十四
号バイパスが三十七年十一月からちょうど今日まで五年六ヵ月を経ております。よその県、他府県であったならば、すでにもうこういうふうなものはできている。しかるに
文部省の
調査発掘がおくれたりいろいろしている
ために、いまだにこれができないでおる、しかも
万博を控えてこの
関連工事はぜひやってもらわなければならぬと、こうわれわれは思っておるわけであります。私はその
万博に対しまして
奈良は、あるいは
京都は非常に大きな
使命を持っておると、かように考えております。私は昨年モントリオールの
世界博を見学いたしました。そのときに
会場は川に挟まれて非常に美しい、そうして非常な景観を持っている。ところが
会場の中には、
米ソの
宇宙開発の実物を展示しているということを見まして非常に圧倒されました。だから
日本の
万博というものは少なくともこれに劣らないものができる、またそれよりさらにいいものができると考えられまするが、少なくとも
万博に対する第二
会場的の
役割りをなす
京都や
奈良、あるいは
奈良はローマの
役割りをする、あるいは
京都はパリの
役割りをする、そういう
ぐあいにして、外人に対して非常に大きな
使命と、そうしてまた法隆寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺、その他古
文化財を
世界の皆さんに見せて、そうしてけんらん豪華な
天平文化をわれわれの先祖は創造したのである、しかも偉大なる
芸術品をつくり出したのである。
日本民族がいかに優秀であるかというものを、現場において認識せしめる唯一の機会であると私は思っております。そういうような
意味からいたしましても、この
交通路線というものがいかに重大なる
役割りをするかということになるわけであります。
平素奈良は
観光客が千三百万人来ております。そうすると月に百万人になるわけであります。
万博には四千万人来るといわれております。それの三分の一ないし四分の一の人が来るといたしましても、これが六カ月に短縮されますから、少なくとも現在の数倍の
観光客が訪れるということになるわけであります。そういたしますると
交通の渋滞、
交通の危険というものは推して知るべきものがあります。それが
ために、これの緩和の
ために
バイパス路線が考えられたのであります。で、
万博の
観光客はおそらく
大阪と
奈良、
京都というものを回る人がほとんど大部分である、しかも
大阪・
奈良間は三十分ないし三十五分で行けられる、あるいは
大阪・
京都間は二、三十分で行ける、こういうような非常に便利な
場所にあるわけであります。しかも
大阪・
奈良間は、
阪奈道路が四
車線になります。いま倍にやってもらっております。そうして二十五号線が二
車線、そうして名
阪国道が四
車線である、こういう
ぐあいに国道が四
車線が二つと、そうして二
車線が
一つ、その他に県道がありますが、大体そういうような三本の
路線によって非常に客を運び込んでくる、しかも近鉄はいま
大阪の中心の難波に乗り入れしております。そうして地下で
奈良に入ってくるということになると、この
輸送力というものはたいしたものである。そうすれば
奈良・
大阪間は非常に
整備されることになります。ところが
奈良・
京都間は二十四号線の二
車線が一本である。これでは
奈良‐
京都、
大阪、
奈良、
京都をどういう
ぐあいにして観光客が回るかということを、これのみによっても不安を感ずるわけであります。で、三本の
路線で
大阪よりどんどん入ってきた
観光客は、
奈良から
京都に行くのには必ず行き詰まる、のみならず危険であり、事故を起こすことは必至であります。責任問題が必ず起こる、私はかように考えます。だから
文部省や
建設省は
路線を
変更して、
万博までに間に合うようにこの
バイパスを誠意をもって、責任をもって解決してもらえるかどうか、これをお聞きしたいわけであります。