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1968-04-04 第58回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月四日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 内田 芳郎君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委 員                 大森 久司君                 中津井 真君                 村上 春藏君                 沢田 政治君                 瀬谷 英行君                 田中  一君                 春日 正一君                 相澤 重明君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        文化財保護委員        会事務局長    福原 匡彦君        建設政務次官   仮谷 忠男君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律  案(内閣送付予備審査) ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和四十三年度建設省関係施策及び予算に  関する件)  (昭和四十三年度首都圏整備委員会施策及び  予算に関する件)  (昭和四十三年度近畿圏整備本部施策及び予  算に関する件)  (昭和四十三年度中部圏開発整備本部施策及  び予算に関する件)  (昭和四十三年度北海道開発庁施策及び予算  に関する件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。保利建設大臣
  3. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  わが国においては、近年、集中豪雨等ために急傾斜地崩壊による災害が頻発いたし、特に昨年兵庫、広島、長崎、佐賀、新潟等の各地におきまして、急傾斜地崩壊により多数の犠牲者を出したことは、なお記憶に新たなところでありまして、かかる事態に対処いたし、急傾斜地崩壊による災害から国民の生命を守ることは、きわめて緊要なことと存ずる次第であります。  従来、急傾斜地崩壊による災害防止については、砂防法宅地造成等規制法等の適用される地域については、これらの法律の規定に基づいて対策を講じてまいり、これらの法律の適用の対象とならない地域につきましても、昭和四十二年度から都道府県施行する崩壊防止工事に対する助成措置を講ずることにより、その災害防止につとめてきたところであります。しかしながら、急傾斜地崩壊による災害防止につきまして万全を期するためには、有害な行為規制の強化、急傾斜地における崩壊防止工事施行等により積極的に急傾斜地崩壊防止をはかる一方、急傾斜地崩壊による被害を軽減するため警戒避難体制整備住宅移転に対する融資等所要措置を講じ、急傾斜地崩壊による災害防止ための総合的な対策を確立する必要があるのであります。  以上がこの法律案を提出した理由でありますが、次にこの法律案要旨について、御説明申し上げます。  まず第一に、急傾斜地崩壊危険区域の制度を設けることにいたしたことであります。都道府県知事は、市町村長の意見を聞いて、その崩壊により、相当数居住者等に危害が生ずるおそれのある急傾斜地等を、急傾斜地崩壊危険区域として指定することとし、この法律案が適用される範囲を明らかにしたのであります。  第二は、急傾斜地において有害な行為を行なう者及び急傾斜地土地所有者等に対する規制措置を定めたことであります。急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地崩壊を助長し、または誘発するおそれのある一定の行為都道府県知事許可にかからしめるとともに、これらの行為に伴う急傾斜地崩壊防止するため必要があるときは、都道府県知事は、土地所有者行為者等に対し、急傾斜地崩壊防止工事施行を命ずることができることとしたのであります。また、一般に、急傾斜地崩壊危険区域内の土地所有者等に対しても、都道府県知事は、急傾斜地崩壊による災害防止するために必要な措置をとることを勧告することができることといたしました。  第三は、都道府県施行すべき急傾斜地崩壊防止工事範囲を明らかにしたことであります。都道府県は、宅地造成その他の行為に伴って必要を生じた工事以外の工事で、その急傾斜地所有者被害を受けるおそれのある者等施行することが困難または不適当と認められるものを、施行するものといたしました。  なお、都道府県施行する急傾斜地崩壊防止工事については、国がこれに要する費用の二分の一以内を補助することができることといたしております。  第四は、急傾斜地崩壊による災害防止するため都道府県または市町村は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地崩壊による危険の著しい区域を、建築基準法による災害危険区域として指定することとしたことであります。  第五は、急傾斜地崩壊による災害防止し、または軽減するために、市町村地域防災計画に、急傾斜地崩壊危険区域ごとに、災害に関する情報の収集及び伝達、避難救助等警戒避難体制に関する事項を定めることとしたことであります。  第六は、都道府県知事の勧告を受けて、急傾斜地崩壊により被害を受けるおそれのある住宅移転等を行なう者に対して、これを容易ならしめるため所要の資金を住宅金融公庫から融資することとしたことであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 昭和四十三年度建設省関係首都圏整備委員会近畿圏整備本部中部圏開発整備本部及び北海道開発庁施策及び予算に関する件を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 大森久司

    大森久司君 私は奈良バイパスの問題で御質問いたしたいと思います。奈良バイパスの問題は新聞、週刊誌等に大きく取り上げられて非常に話題を呼んでおるわけであります。この間の予算委員会におきましても、三月二十七日に千葉委員からこれに対する質疑がありました。大臣は、大森と相談して善処する、こういうお答えをしておられます。私はそのとき関連質問をすることは知っておりましたが、質問者よりも関連質問が長くなるとかえって御迷惑かける、あるいはまた時間がおくれておりましたので遠慮したわけでありまするが、旧奈良市のどまん中を通っておる国道二十四号線は、交通量の激増で困難と危険をきわめ使いものにならない。しかも三条通りでは一方交通であります。国道で一方交通日本でも数少ないと思います。ため地元要望にこたえて、昭和三十七年十一月、近畿地建においてはバイパス案ができてこれの説明会を始められました。そうして続いて三十九年の十一月に文化財のほうでその建設予定地の一部から井戸屋形、水筒、木簡等が発見されたということでありましたので、四十年十一月に、奈良国道工事事務所は、計画どおり建設が可能であるかどうかということを、文化財のほうに問い合わしております。そうすると四十一年三月十日に、文化財保護委員会記念物課長名奈良国道工事事務所所長あてに次のとおりの回答がされております。「計画路線はその西端が宮跡の東外堀の東端と一致するように計画すること。道路敷の一部を高架や空間で、遺構保存を配慮すること。事前調査費国道工事事務所で負担すること。」というようなことを条件づけて、そうして許可してきております。ところが、その後調査の結果、正方形であると思われておった平城宮跡が東に延びておる、しかもそれが東院ということである。いろいろ問題が起こってまいりました。それがために、衆参の両委員会からもこれに視察に行っておられます。そういうようなことから、四十二年十一月八日に文化財保護記念物課長名国道工事事務所長あてに次のとおりのことを言ってきておる、「四十一年三月十日了承の旨回答したが、その後の調査の結果、宮跡が東に広がっていることがわかり、当バイパス計画は適当でないので、他に変更するよう検討してほしい。」こういうような通達がきております。それで四十二年の十一月三十日に、奈良市庁別館建設省文保委委員が第一回の会談を行なわれました。その結果、建設省ルート変更を、文化財保護委員会は当初計画したルートをおのおの検討するということになっております。ところが、その後、建設省あるいは文化財保護委員会のほうで検討されて今日までの経過、あるいはまたどういうぐあいに話し合いを進めてもらっておるかという内容を承りたい。
  7. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま大森先生からお話になったとおりでございまして、奈良バイパス国道二十四号線のバイパスにつきましては、三十七年ころからいろいろ計画いたしまして、いま先生のおっしゃいましたようないきさつがございまして、都市計画決定もした次第でございます。最近その後の平城宮跡東端発掘によりまして、昨年の十一月八日文化財保護委員会記念物課長より、現在の予定路線変更するような要望がございました。これによりまして、私たち、もしこれが変更するならばどういうルートになるか、いろいろ検討して一案をつくったのです。ただこれに対しては、いまだ地元用地の買収にかかりますようなところで、強い反対の陳情がございました。この問題は、やはり私といたしましては、もしか変更というような事態になれば、それがまた用地の問題でなかなかできないというようなことになっても困りますし、また奈良というところは、御承知のように、どこに行きましても埋蔵文化財の多いところでございますので、またこれがその路線で困るということになっても困りますので、その辺は文化財保護委員会十分連絡をとりまして、この線なら文化財のほうもいい、地元もいいというようなはっきりした線が出ますれば、そのときになりまして最終的なルートをきめていきたいというふうに考えておりまして、現在地建で新しい案のいろいろ調査その他を進めておる次第でございます。
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 具体的にはただいま局長が申し上げたとおりでございますが、このわれわれ民族文化遺跡等を、できるだけ大事に保存してまいるということは、現代に生きておる国民が将来の国民への大きな義務だと私は感じておるわけでございます。したがいまして、この交通利便のみを考えて貴重な文化遺跡等を損壊するというようなことは、相なるべくは避けていかなければならぬのではないか。先般来、文部大臣とも協議をいたしておりまして、奈良の二十四号線のバイパスの予定せられておりました路線ルートは、どうも貴重な文化財を損壊するおそれがあるというように判断をせられた。そこでそこを通っていくと、しかもなおかつその路線架設構築をいたすということになりますと、これはたいへんな費用もかかってくる。しかも文化財当局は好まれない。遺跡保存の上からいって好まれない。そうすればまあ次善の策を選んで、できるだけ利便の上に支障を来たさないようなルートを持つことができれば、そのほうに、多少の経費の相違はあってもやむを得ない、そのほうを選ぶべきじゃないかというように私は考えまして、事務当局にもそういうことで配慮するようにいたしておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、さあ今度はそれを変えたところがまたぞろ、今度は地元反対にでもあってそれができないということになりますというと、これはやりたくても結局道路はできないということになる。それは地域住民ためにもとらざるところで、そういう点からいたしまして、地元関係大森さんにも御協力を要請をいたしてきておったというところが、事のいきさつでございまして、どうかひとつ、あらゆる公共事業がそうでございますように、地元のよき御協力をいただかないと、これはやりたくてもできないわけでございますから、何とかひとつ地元の御理解と、しかも目的が十二分に達せられるように、私どもとしても特段の配慮をしてこれに対処してまいるつもりでおるわけであります。
  9. 福原匡彦

    政府委員福原匡彦君) ただいま建設大臣道路局長から経過についてお答えいただきまして、私としてそのことにつきましてはっけ加えることがございません。ただ、もし私どもがこのことにつきまして執拗なまでに建設省工事にお願いをしておりましたのは、ほかの遺跡と違いまして、平城宮跡宮跡といたしましてはほとんど完全に近いただ一つの重要な宮跡でございますので、それが東側に張り出しているということがわかりました現在といたしましては、一たん御了承申し上げたバイパス路線でございますけれども、それがちょうどその宮跡の中を縦断することになる。そういうことでたいへん地元の方々には御迷惑かと存じたわけでございますけれども文化財保護の立場から、路線変更をお願いしたわけでございまして、そのかわり路線が新しく計画されましたならば、これは当然平城宮跡の外でございますので、私ども工事支障を与えないように、もちろん事前調査工事支障を与えないということで調査をさしていただくつもりでございます。
  10. 大森久司

    大森久司君 現時点におきましては、文部省建設省との間に連絡がないものですから、相対立してバイパス路線が一向に進捗しておらぬわけであります。それでこの調子でいきますと、万博までにこの工事が、バイパス線ができないというような危険性を感ずるわけであります。私は文部省が正式に認可をしてから後に東院という重要文化財が出てきた。だからルート変更してくれというようなことを強要するのなら、文部省が積極的に、良心的に、他のルート建設協力的な態度を示すべきであると、私はこう思う。いまにおいてそれがなされておらぬ。で、建設省におきましても、奈良は非常にやっかいであると、とにかく埋蔵文化財ということで、文部省がいろいろこれを調査すると、そういうことのために、せっかくやったやつがぐあいが悪い。今度またやることに対して、非常に危険を感ずると、こういうような意味合いで私は建設省でもちゅうちょしておられるのじゃなかろうかと思う。しかし要は、このバイパス路線というもののために、東院にしてもすべてのものが展開されてきたのでありまして、むしろこのバイパス路線万博を控えていかに必要であるか、あるいはまたバイパス路線が、万博関連工事として指定されておるというこの重大性を十分認識してもらいたいと私は思っております。だから、ぜひこの問題と早急に取り組んでいってもらいたい、かように思っておるわけであります。この間、京都大学西山教授が「平城宮東院と24号バイパス」と題して、三月十二日の朝日新聞の夕刊に地域計画が発表され、ルートが書かれておりますが、これに対して文部省は、この案に賛成しておられる。あるいはまた文部省は、これは合意の上でやられたものであるか、ちょっとお伺いしたい。
  11. 福原匡彦

    政府委員福原匡彦君) ただいまの西山先生の論文につきましては、私どもはあらかじめお伺いしたこともございませんし、私どもの考え方というものが出ているわけでもございません。私ども道路につきましては、これは専門建設省のほうで路線をきめていただく。それにつきまして私ども調査をさしていただく、私ども路線につきまして、ここでなければならないということは僣越だと考えておりますので、建設省のほうの御発意によりまして、私ども協力さしていただこう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  12. 大森久司

    大森久司君 この路線を見ますと、第一路線は、いま平城宮跡のところで問題になっております。第二ルートといわれる第二坊ルート、これは自衛隊まん中を通っております。そうして第三坊ルート、これはちょうどウワナベという古墳があります。その古墳関西線に沿うておりますので、ちょうどその間が六メーターぐらいしかないはずであります。そうすると、ここに示されておるルート、いわゆるこれは一方は自衛隊であり、一方はウワナベ古墳を傷つけて通らなきゃならぬということになりますが、こういうことで文部省のほうでは十分にこういうふうなものを提示される、あるいは学者間において自分のところ、いわゆる平城宮跡のいまの場所はいいがほかはどこでもいいというように感ぜられるようなことになっております。しかも、この平城宮跡遺跡そのものバイパス線ができるということによって、建設省あるいは地元調査費を利用して、そうして調査した、それがはからずも東院があらわれる、そうして非常にいま問題になっておるわけでありまするが、結局は文部省計画的に、あるいはまたここに東院があるということを知ってやった行為じゃない、他動的にこれが発見された。そうしてみますると、いわゆる文部省にしてもその関係学者にいたしましても、非常にこの調査研究に対してルーズであった、これぐらい重大な場所に対して、しかも許可を与える前にもずいぶん研究しておられました。二年も研究しておられた。そうして許可を与えて後に出てきたら、これが東院である。私たち東院であるということを昔から聞いたことない。ところが、出てきて初めて東院であるということが確認されたというようなたよりない調査あるいは研究では、われわれ地元の者は非常に困るんです。前もってここにはどういうようなものが大体埋蔵しておるというくらいの示唆を与えるということぐらいの指導方針を持ってもらわなければ、行き当たりばったりのようなやり方で、そうして出てきたら、今度はいままでことばにも出ておらなんだことばを出して、これは聖武天皇が退位後ここにお住まいになっておられたのである。私はそんなことをいまだかつて聞いたことがない。ところが、東院が東に伸びて、そうしてそういうような方面がそうであろうというように想像される。そうすると、それは初めはそうであろう、それはそうである、あれは日本でなかなか重大な文化財である、こういうふうに居すわられるということに対しては、地元の者はいわゆる学者あるいは文部省を信頼して、今日まで平城宮跡の買い上げに対しても二十何万坪は協力してきている。しかも政府の言いなりでこれを協力しておる。われわれは文部省のこういうふうな問題に対してはすべて協力し、そうして今日までいろいろの意味において県もあげて協力してまいったわけでありまするが、こういうような態度それ自体が、私は大いに研究すべきもんである、こういうように思うわけであります。しかも問題は、その二十四号バイパスが三十七年十一月からちょうど今日まで五年六ヵ月を経ております。よその県、他府県であったならば、すでにもうこういうふうなものはできている。しかるに文部省調査発掘がおくれたりいろいろしているために、いまだにこれができないでおる、しかも万博を控えてこの関連工事はぜひやってもらわなければならぬと、こうわれわれは思っておるわけであります。私はその万博に対しまして奈良は、あるいは京都は非常に大きな使命を持っておると、かように考えております。私は昨年モントリオールの世界博を見学いたしました。そのときに会場は川に挟まれて非常に美しい、そうして非常な景観を持っている。ところが会場の中には、米ソ宇宙開発の実物を展示しているということを見まして非常に圧倒されました。だから日本万博というものは少なくともこれに劣らないものができる、またそれよりさらにいいものができると考えられまするが、少なくとも万博に対する第二会場的の役割りをなす京都奈良、あるいは奈良はローマの役割りをする、あるいは京都はパリの役割りをする、そういうぐあいにして、外人に対して非常に大きな使命と、そうしてまた法隆寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺、その他古文化財世界の皆さんに見せて、そうしてけんらん豪華な天平文化をわれわれの先祖は創造したのである、しかも偉大なる芸術品をつくり出したのである。日本民族がいかに優秀であるかというものを、現場において認識せしめる唯一の機会であると私は思っております。そういうような意味からいたしましても、この交通路線というものがいかに重大なる役割りをするかということになるわけであります。平素奈良観光客が千三百万人来ております。そうすると月に百万人になるわけであります。万博には四千万人来るといわれております。それの三分の一ないし四分の一の人が来るといたしましても、これが六カ月に短縮されますから、少なくとも現在の数倍の観光客が訪れるということになるわけであります。そういたしますると交通の渋滞、交通の危険というものは推して知るべきものがあります。それがために、これの緩和のためバイパス路線が考えられたのであります。で、万博観光客はおそらく大阪奈良京都というものを回る人がほとんど大部分である、しかも大阪奈良間は三十分ないし三十五分で行けられる、あるいは大阪京都間は二、三十分で行ける、こういうような非常に便利な場所にあるわけであります。しかも大阪奈良間は、阪奈道路が四車線になります。いま倍にやってもらっております。そうして二十五号線が二車線、そうして名阪国道が四車線である、こういうぐあいに国道が四車線が二つと、そうして二車線一つ、その他に県道がありますが、大体そういうような三本の路線によって非常に客を運び込んでくる、しかも近鉄はいま大阪の中心の難波に乗り入れしております。そうして地下で奈良に入ってくるということになると、この輸送力というものはたいしたものである。そうすれば奈良大阪間は非常に整備されることになります。ところが奈良京都間は二十四号線の二車線が一本である。これでは奈良京都大阪奈良京都をどういうぐあいにして観光客が回るかということを、これのみによっても不安を感ずるわけであります。で、三本の路線大阪よりどんどん入ってきた観光客は、奈良から京都に行くのには必ず行き詰まる、のみならず危険であり、事故を起こすことは必至であります。責任問題が必ず起こる、私はかように考えます。だから文部省建設省路線変更して、万博までに間に合うようにこのバイパスを誠意をもって、責任をもって解決してもらえるかどうか、これをお聞きしたいわけであります。
  13. 保利茂

    国務大臣保利茂君) だんだんお話しのように、二十四号線のバイパスの持つ意義というものは、当面、万博開催を目標にしましてきわめて大きいわけでございます。さればとて、貴重な文化財を、前にわからなかったが、あとでわかったからそんなものはしようがないじゃないかということにもいかぬだろうと思う。これはやはり未来へのわれわれの義務を果たしていく上におきましても、貴重な文化財というものは損傷なく保存し、これを伝えるところの義務があると私は思う。そういうことで避けなければならないんじゃないかと考えておるわけでございますが、さればとて、しかし幾ら建設省がどうだ、文部省がどうだと言われても、地元の御協力をいただかなければ、われわれのほうとしては最善を尽くして、このバイパスの持つ意義というものをよくわきまえておるわけでございますから、何とかひとつやり上げていきたい。もしぶかっこうなバイパスができましても、これば将来国民からしてこういう遺跡を残すためにこういうぶかっこうな道をつくったんだなということで、私はかえってこの遺跡意義を発揮するゆえんじゃないかと思うわけでございます。しかし、どうかひとつ、政府におきましては何とか間に合うように、支障のないようにいたしたいと思いますから、とにかく地元の御協力を切にお願いせざるを得ない。そういう意味においてひとつ大森さんの御協力もぜひお願いをいたしたいと、かように思います。
  14. 大森久司

    大森久司君 いま大臣のおことばでよくわかりましたが、われわれはその重要な文化財をおかしてまでも道路をつけたい、かようには思っておりません。だから、できる限り早い機会に変更路線、新しいルートをこの部分だけでもつくって、そうして万博に間に合うようにしてもらいたい。で、私たちがいま大阪の地方建設局と相談しているのが、ここにあるバイパス路線になるわけであります。このバイパス路線をぜひ何とかやってもらいたい。ところが、このバイパス路線をやる場合には相当金額も要ります。しかし、少なくとも事ここに至りましては——木津・奈良間は大体におきまして十四・八二キロメートルあります。そうしてこのことを全部やるということは、いまになりましてはもはや至難であろうと、私はこう考えております。だから少なくとも、阪奈道路から木津まではちょうどこの距離の三分の一くらいに当たります。あるいはまた四割くらいに当たるかもわかりません。その路線だけでもぜひやってもらいたい、かように私は思っております。そうなりますと、いま地元協力ということ、これを大臣から聞きました。われわれもむろん努力しなければいかぬと思っております。しかし、この問題は地元よりも文部省にあったと思う。文部省が絶えず奈良の問題に対しては調査しなければいかぬと、これが一つの——私は調査の必要も感じます、しかし、私たちが今度言うている路線、これに対して、この新しい路線をやっていく場合に文部省調査をやるのかどうか、これを聞かせてもらいたいと思う。
  15. 福原匡彦

    政府委員福原匡彦君) 先ほども申し上げましたように、新しい路線が提示されましたならば、事前調査はやらせていただきますが、これはただいまの平城宮跡の東側の調査に比べますれば、むしろ記録保存を中心にいたします事前調査でございますので、道路支障のないようにやってまいりたいと、こういうふうに考えます。
  16. 大森久司

    大森久司君 私は非常に文部省のこの態度に対して、先ほども申し上げましたように、調査されるなら、この場所にどういうようなものが内蔵しておるということを発表してもらいたい。少なくとも大体歴史とともに進んでおるその場所にはどういうようなものがあったからここは調査するのである——ただ単に調査するということでは、私は非常に地元も困るし、建設省でもお困りになると思う。で、奈良のどの区域道路をつけていい可能地域である、どう地域は不可能である、それにはこういうような理由で不可能であるということを地元民にはっきりせしめる必要があると思う。掘ってみてその場当たり主義でやられるということでは、文部省の権威にも私はかかわると思う。何のため文部省にそういうような専門家がおられるのか私はわからぬ。で、私たちがいま考えておる——それは私は奈良のようなところは、どこを掘っても何か出てくると思う。それを理屈をつけていけば何でも理屈がつく。そうしてみたら、奈良全体はどこもできないというのが普通である。ところがこれは重要であるからこれだけは残す、これ以外のものはどう処置をしてもいいと、A、B、Cぐらいに分ける。そんなことは一つもできておらぬように思う。そうすると、文部省それ自体がいかにそういうようなものに対して不親切であるか、あるいは地元に対してもっと協力的な態度を示してもらいたい。で、私はいま事務局長さんが工事に間に合うようにやるということですから、私はそのことを信頼してそれ以上に追及はやめますが、少なくともその場所にはどういうようなものが大体歴史上あるべきはずであるというぐらいの示唆はする必要があると思う。ただ単に調査するということでは、非常に何というか、無定見なやり方であるというか、研究不十分なやり方であるということを申し上げたいと私は思う。  で、今度の新ルートについてでございますが、新ルートをつくった場合にはどうしても二百メートルほど長くなる。そうすると、五億五千万円、いわゆる鉄道線路を高架で越す場所が二カ所ございます。だから五億五千万円ほど増加する。そうすると地元がこれに対して負担をしなければならない。私はこの問題に対しまして、政府の決定した路線重要文化財の発見という特殊なケースで、政府の意思によって変更せざるを得ないということになった、こういうような場合には特別処置をとってもらいたい。で、県におきましてもこの発掘に対して協力しております。あるいはまたルートができると決定になったので、その土地の人は、そのルートに引っかかる人は、土地が必要な人は金を借金しても土地を買っておる。そういうような事情が伏在しております。あるいはまた、先ほども申しましたように、他府県の場合であったなれば、五カ年半かかったなれば大体このルートはでき上がっておる。あるいは半分以上はできておる。ところが、奈良県に限ってはこういうような問題のためにおくれておる。そうすると、非常に土地も高騰する、それがため地元が非常に迷惑をこうむる。こういうような問題に対して特別なる特例措置をおとり願えるかどうか、大臣にお聞きしたいと思います。
  17. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 最初の事業費の増加でございます。まず、いまの既定の平城宮趾を通る路線と、いま検討いたしております別の路線と比較いたしますと、別の路線は約五億ぐらいよけいかかるという見積もりでございます。なお、これはもう少し調査しなければはっきりした数字はわからないかと思います。また、この調査の比較の段階では、やはり平城宮趾のあとを通った場合に、非常に長い橋梁をかけることになりますと、また金がふえるということもございます。なかなかこの五億五千万というような事業費の増額をどう評価したらいいか、一つ問題があるかと存じます。  また、これに対して特例措置ということになりましても、これはまた、いまのいろいろ道路関係の国の負担、補助事業について、事情はわかりますが、道路関係として、特に特例の措置をとるということは、非常に困難であろうというように考えております。
  18. 大森久司

    大森久司君 いまも申し上げましたように、地元はそういうような意味におきまして、重ね重ね負担を重加されております。そうしてまたこの変更によりまして、そういうような思わざる出費を要求されることになるわけであります。で、そういうふうなことに対しまして、特別起債であるとか、あるいは地元負担を半額に軽減するとか、何かそういうふうな処置を講ぜられることを私は希望いたしておきます。  それから、これは建設委員として私は疑問に思っておるのですが、文部省が、立てかえして調査をやる、道路費の中から埋没文化財調査する、そして今度道路がつかなかった場合には、その予算はどういうことになるのかお聞きしたい。
  19. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 現在四十一年の十月に都市計画が決定して以来、ここにバイパスをつくるために、いろいろ事前発掘調査計画をつくりまして、大体事前発掘といたしましては、四千万ほど必要だというような計画をつくったのでございます。その後、やはり文化財のほうで調査いたしますと、あまりこういう建設省からもらっても、これがほんとうに道路になるかどうか非常に懸念がございましたので、現在のところ道路費としてこの事前発掘に出しておる金額は、私、まあ詳しい数字を持っておりませんが、約八百万ぐらいではないかというように考えておりまして、その後は全部文化財保護委員会のほうで発掘しておる状況でございます。この金額については、今後どうするかにつきましては、文化財保護委員会とよく打ち合わせをしていきたいと思っておりますが、国が出した費用については、これはもうどう言いますか、何ともならないのではないか、地元の負担の分をどうするかが、これからの話し合いの問題かと思います。
  20. 大森久司

    大森久司君 国が出した費用であるから、国のほうでどうにもならないという考え方は、私はちょっと甘いと思う。いままで文化財が、自分の土地でもない、そしてあるいは政府が、あるいはまた市町村あるいは県が工事をやる、あるいは大きな会社が工事をやる、そういうときには必ず、ここに埋蔵物があるから、おれのところで調査したい、調査費はお前のところで出せ——私はちょっとおかしいと思う。調査したいなら、自分が調査費を出してやったらいい。それに、人の土地に人の費用でそうして調査をやる。そうしてその目的が達せなかった、道路変更した場合は、建設省としてはこれは目的が達しておらぬわけであります。それを文部省がそういうような態度を絶えずやっておるということは、文部省が、必要なる埋蔵文化財研究する、あるいは発掘するというなら、文部省独自の予算によって研究費、発掘費を計上すべきものである。ところが、ここに道路をつけようというと、これを調査させろ、その調査費用はお前のところで出せ、こういうようなやり方をやっておるから、私はその研究が徹底しておらぬと思う。自分が研究費を出してやるというなら、やはりその研究の結果、報告をしなければならぬという責任を感じて、これに対する研究が十分になされる。ところが人のふところで、しかも変な言い方ですが、まるで町のヨタモノにひっかかったようなかっこうになっておる、地元においてはですね。お前の土地かしらぬけれども、おまえ家建てようと思うのなら、おれのほうは調査しなければならぬから調査費を出せ、おまえの金で調査費を出せ、こういうようなやり方は、国家の権威ある文部省として、あるいは文化を指導するという立場にある文部省として非常に不見識であるし、また態度も誤っておると私は思う。やはりこういうようなことは、やはりすっきりした立場に立って、そうして返してもらうべきものは返してもらう。そして今後文部省は、みずから研究すべきものは責任を持って、そうして自分が言うたことの、そればあるいは埋蔵物であるから、全部が全部当たるとは言いませんが、やはり何%か、それが研究したことに合致しておるということでなかったならば、地元はこれに協力しかねる、こういうことになるわけでありますから、こういうような点に対しても、十分私は御注意願いたいと思う。あまり時間をとってもいけませんので、要は、私がきょう御質疑したのは、万博までにどうしてもこの道路をやってもらわなければいかぬ。そうして、いまは文部省建設省とが話し合いの場を持っておられぬように思う。だから私たち協力いたしまして、その話し合いに入っていきたいと思います。そうしてまた、協力して、万博までにこの重要な路線をぜひ開設してもらいたいということに努力したいと思いますので、大臣の最後のこれに対するお考えを聞かしていただきたいと思う。
  21. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど申し上げますように、このバイパスの持つ役割というものは非常に大きいのでございまして、ただここに残念な——道路当局者としては残念なことでございますけれども、そのルートに非常に貴重な文化遺跡が存在しておったということが発見されたために、ルート変更を余儀なくしなければならないというところでございます。しかし、いま大森さんもお話しのように、万博関連事業として取り上げておりますゆえんも、そこに非常に大きな出費をあえてして、これを万博関連事業として行ないたいということは、先ほどおっしゃいましたように、日本のよきところを、諸国の方々によく理解をいただくような絶好の機会であるし、そういう意義と、またこれの物的利益の享受というものは、あげてこれは奈良県、地元が享受せられるわけでありますから、安上がりすれば一番よろしいのでございますけれども、しかし、相当の、やはり経費がかかる。かかってもそれは結局奈良の、地元の利益のためになるということも御理解いただきまして、政府としてもできるだけの最善を尽くす所存でございますけれども、どうか重ねて地元の御理解と御協力をいただきますようにお願いをいたします。
  22. 田中一

    ○田中一君 最初に四十二年度の災害の実情を報告してください。
  23. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 四十二年度におきましては、御承知のように西日本における災害、それから引き続きまして八月に入りまして新潟における災害災害の総額は約一千四十四億ばかり起きたわけでございます。災害の従来のルールによりまして直轄の災害につきましては、大体五〇%の進捗ということで進んでおります。補助につきましては、全体で三〇%という目標で進んでまいりました。まあおおむね所期の進捗は得ているものと私どもは考えております。特に災害の激甚でございました北九州、あるいは新潟等につきましては、災害の原形復旧だけでなくて、できるだけ改良的な復旧を実施いたしますとともに、災害の関連事業、あるいは助成事業というものを採択いたしまして、一貫した計画のもとに再度災害を受けないように所要措置を講じてまいったわけでございます。次期の出水期を控えましてできるだけ、雪解けを迎えますので、北国等につきましてもさらに一そうの拍車をかけて、できるだけ重点的に再度災害を受けないようなことで、まあ万全の措置をとっているつもりでございます。以上簡単でございますが……。
  24. 田中一

    ○田中一君 そうすると金額的に言って、ことしの予算に計上されておるのは全部で関連事業をも含めて六百十億七千五百余万円となっておりますね。これは補助並びに直轄一緒に入っておると思うけれども、過年度のやつは直轄の分が二カ年復旧ということになっておりますが、それから補助工事が三年復旧ということになって、そうすると、ことしに載っているところの六百十億七千五百万というものはどういう比率になるのですか。過年度分は幾らです、四十一年災ですね。四十二年度には幾ら予算入っておりますか。直轄河川は二カ年でしょう。
  25. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) そうでございます。
  26. 田中一

    ○田中一君 それから補助災害が三カ年でしたね。
  27. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) そうでございます。
  28. 田中一

    ○田中一君 そうすると、この計上している予算の六百十億七千五百万円というのはどういう比率になるのでしょうか。補助工事であれば過年度分の二カ年分がきているわけです。四十三年度にわたるものは、四十三年度で施行しなければならないものは、四十一年度、四十二年度のものも入っていなければならない、三分の一は。三、五、二ですか、三、二、五ですか、その施行の率は。
  29. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) もう一ぺん申し上げますと、直轄につきましては大体初年度の五〇、その次が五〇、補助につきましては全体で三〇、四一、一七、一二という率になっております。
  30. 田中一

    ○田中一君 それでははっきり聞きますが、四十年度の災害は直轄が幾ら、金額で幾らで、補助が幾らで、四十一年度が幾らであるか。
  31. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 直轄のものにつきましては、四十年災は終わっております。それから補助のほうはちょっと金額いま持ち合わせございませんが……。
  32. 田中一

    ○田中一君 それではパーセンテージでいい。四十年度災は二〇%ですか、三〇%ですか。
  33. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 四十年災につきましては八七%までいっております。八七%でございます。四十、四十一、四十二、それで四十三年度で完了いたします。
  34. 田中一

    ○田中一君 そうすると四十三年度は一三%残っているということですね。
  35. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) はい、一三%でございます。
  36. 田中一

    ○田中一君 四十一年度分は。
  37. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 四十一年度二九%残っております。
  38. 田中一

    ○田中一君 そうすると四十一年度災は残り幾らになっていますか、そうすると五一%か……。
  39. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 二九%残っております。
  40. 田中一

    ○田中一君 それは四十年度災……。
  41. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 四十一年度です。
  42. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  43. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起こして。
  44. 田中一

    ○田中一君 これは大臣に伺うのですが、四十二年災が千四十四億というものが公共災害として発生しているようでありますが、私はこれに対する施行の方法はどういう形式でこれを施行しているか、それを最初に聞いておきたいのです。たとえばこれらの災害補助工事並びに直轄は、——まず直轄を最初に聞きましょう。直轄はどういう形式で施行しているか。直轄は直営でやっているのか、請負でやっているのか。直営部門はどのくらいあるか、比率をひとつ示してほしい。
  45. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは局長からひとつ……。
  46. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 直轄は全部請負でございます。それから補助工事につきましては、全部もちろん請負工事でございます。
  47. 田中一

    ○田中一君 そうすると、一人の職員の消化率はどれくらいになっていますか、四十二年度では。
  48. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) ちょっといま計算しておりませんので、はっきりいたしません。
  49. 田中一

    ○田中一君 これは官房長に。
  50. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 直轄事業に携わっておる者は、昭和四十三年度で大体三万一千名程度でございます。直轄事業費が二千二百三十三億七千八百万円程度でございますが、計算しますと一人当たり大体七百万程度になろうかと存じます。
  51. 田中一

    ○田中一君 その数字違うのじゃないかい。
  52. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま申し上げましたのは、直轄事業全体について申し上げまして、災害についてだけ申し上げているのじゃございません。
  53. 田中一

    ○田中一君 私が調べたところによると、二千九百二十八万円くらいになるのです。約三千万程度になるのです、一人当り。予算から計上した人数ですよ。あるいは官房長は請負金額から算定したものなのかしらんけれども、数字が違いやせんか。
  54. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま手にございます資料で計算しますと、大体七百万円ということになります。
  55. 田中一

    ○田中一君 これは大臣、この間、昨年の末であったか、木村行管長官は、五%の人員の削減ということ、凍結というものを発表しておる。現在の職員はどのくらいになりますか。四十三年度予算における凍結した定員と、それから新規採用というものを含めたものと、現状。
  56. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 昭和四十二年度におきまする定員は、建設省全体で三万五千七百十九名でございましたが、そのうち凍結をされまして、四十三年度において定員からはずされる予定になっております数が千六百七十名でございますので、四十三年度の定員は三万四千四十九名でございます。ただこれは定員からはずされます千六百七十名は、現在におきましても凍結されて、おらぬ人間でございます。
  57. 田中一

    ○田中一君 ことしの公共事業全般が伸びを示しておる、一応ですね。これは物価の値上がりその他であるいは減少している面が多少あるかもわからぬけれども、その点はどのくらいの伸び率になっているの、昨年の補正予算も含めたものから見た場合には。
  58. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 災害復旧も含めまして、公共事業全体といたしましては、補正後の予算に比べまして四・三%の増でございます。
  59. 田中一

    ○田中一君 実際の仕事の量としてはどのくらいに考えられておるの。たとえば賃金が上がっている。請負賃金も上がっておる。それから資材はどのくらい値上がりになっておるという見方をしているのか、仕事の量として。
  60. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま正確な数字は持っておりませんが、確かに賃金も上がりますし、いたしますが、仕事の能率化等によりまして、前年度の四十二年度並みの仕事は十分できると、さように考えております。
  61. 田中一

    ○田中一君 できるということじゃなくて、やらせるということでしょう。できるということにこれからするのだから、やらせようということでしょう。まあ凍結しているのは欠員の充足をしないのだという前提に立つならば、やらせるということだね——ほかのこうした事業官庁の仕事の量と、それから一人の職員当たりの消化力というものと比較したことがございますか。
  62. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 一般的に、全般についてやったことは、私ちょっといま記憶いたしておりませんが、たとえば営繕工事等につきまして調べたことはございます。
  63. 田中一

    ○田中一君 それは。
  64. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 工事のやり方によりまして非常に性格が違うわけでございます。まあコンサルタントにすべてまかせまして、現場の管理までまかせる口と、それから個々にわたって非常に詳細にまでやる分と、いろいろ仕事のやり方に相違があるわけでございますが、営繕に関する限り建設省の仕事は非常によく能率をあげている、適切に仕事の消化をやっているというように承知いたしております。
  65. 田中一

    ○田中一君 これは事業費といま示された定員の数字と比べて、賃金は何%になっておりますか。事業費から割り出す賃金ですね。
  66. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま資料を手元に持ち合わせておりませんので、後ほどまた御説明させていただきます。
  67. 田中一

    ○田中一君 これは志村君ね、私が調べたところによると六・四%しかなっていないのですよ。鹿島建設もこれはやっぱり出していますから調べてみなさい。一四%ですね、工事の消化量に対する賃金の繰り込みが。どういうことなんだろうなそういう点は。そういう面から調べたことはありませんか。そういう面から消化する職員の事業量と、それに見合うところの総賃金の比率がどうなっているかということを調べてないですか。そういう見方をしたことはないですか。
  68. 志村清一

    政府委員(志村清一君) いま鹿島の例をあげたわけでございますが、先ほど河川局長からお答え申し上げましたように、建設省はほとんど全部請負に出しておりまして、直営をやっておった当時と実態がだいぶ違うわけでございます。いわば設計、管理、監督といったような管理業務をやっておるわけでございますので、さような民間会社のように、自分で仕事をやっていくという個所とは、職員の数と事業量の比較は非常にむずかしいのじゃないか、かように考えております。
  69. 田中一

    ○田中一君 しかし請負人、 コンサルタントといったって、請負人に対するところの監督はするでしょう。事務処理はやるのでしょう。そうすると、それはどういう見方をしているのですか、違うということは。どう違うのです。
  70. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先ほど申し上げましたように、建設省はほとんど全部請負でございます。請負に出しますので、その請負に出された連中を、請負の会社を監督すると、工事施工につきましてはそれが主でございます。請け負った会社はみずから施工するわけでございますので、おのずから建設省側の職員一人当たりの消化量と、各建設会社の一人当たりの消化量とは、性格に相違があるのじゃないかと、かように考えると申し上げたわけであります。
  71. 田中一

    ○田中一君 相違があるのじゃないかということなんですね、それは一ぺんそういう面から調べてほしいと思うのだな。結局請負人にまかしたって昼寝しているわけじゃない。請負の職員と同じことをしているわけだ。一つも違っていない。請負の職員もやっぱりハンマーふるってやっているわけじゃない。建設省の職員もハンマーふるってやっているわけじゃない。やはり請負人の職員が下請なりあるいはその他の工事を行なっている、施工しているものに対する監督というもの、それを建設省の職員は見なきゃいけないわけです。鹿島建設の職員が下請の監督なり、立ち会いなりをしていると同じように、やはり一緒になって立ち会いなり監督なりをしているわけなんだ。書類上の処理も同じことです。そうすると、鹿島にまかせれば、あとは建設省の職員は知らぬ顔していればいいんだというなら、これはそれでいいかもしらぬけれども、君のような見方でもいいでしょうけれども、その上なお発注者としての監督をしなきゃならないんでしょう。あるいは鹿島以上に——鹿島は損するか得するか真剣にやるでしょう。それ以上に建設省の職員が見ているでしょう。どこに違いがあるんです。施工したならしたで、それを鹿島建設は、元請はそれに対する監督、指導しながら見ていく、それをまた建設省の職員はそれを引っくるめたものを指導し、監督するのが役目じゃないか。そうすると、仕事としてどう違うのですか、仕事の実態というものは、建設省の職員がする指導、監督というものと、元請がやる指導、監督というものとどう違うのか、いま違うと言いましたからね。どう違うのか。
  72. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先ほど申し上げましたように、建設省としては請負わした会社が責任を持って施工するというのを監督するわけでございます。そのために監督のいろいろな業務のあることは先生御指摘のとおりでございます。片方、請負会社みずから施工して、下請などを使う場合も多いと思いますが、みずから施工してやっているというような点で性格が多少違うんじゃないか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  73. 田中一

    ○田中一君 志村君は事務官だからね。君は現場見たことないだろうから。やっぱり元請が現場でもって基礎工事もやるし、鉄骨工事も自分でやるというのじゃないのです。護岸工事も自分でやるのじゃないのです。やはり下請を使ってやっているわけです。すべての事業というものは下請を使ってやっているのですから、自分で直接にやっているものはないのですよ。請負というものはじゃかごだって、これはそれぞれ下請にまかしている。そういう行為をしているという元請の仕事を、なお一そう高度の知識のある者が、間違いなかろうか、正しくやっておるかどうかといって監督するのが、あなた方の現場における仕事なんです。私は違うという見方はおかしいと思う。まかせれば昼寝してもいいというもんじゃない、そういう指導しているの、建設省は。そうじゃないでしょう。そうじゃなければ違うということはおかしいじゃないかと言っている。  それじゃこれは河川局長に聞いてみよう。そうすると、建設省の職員というものは、元請にまかしたらまかしておけばいいんだといって、元請が下請に対してどういう指導なり監督なりしているか、それをまかしたからといって建設省の職員は知らぬ顔しているわけはないでしょう。それ以上の神経を使いながら、それを指導、監督しているのじゃなかろうかと思うのですが、どうですか。
  74. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 先生の御指摘のとおりでございまして、大多数の業者は工事を下請にそれぞれ出しておるようでございますが、それにつきまして、役所側としてはやはり直接現地にいきまして、いろいろな検収あるいは労務施工の段取り等を監督し、その場合、下請に出していようが、あるいは元請が直接やろうが、そういうことにかかわらず現地でできるだけ監督しておるわけでございます。しかし直営の場合ですと、みずから手を下してみずから段取りをやるわけですが、その辺が若干必ずしもぴったり量的に同じという表現では、むずかしい、請負業者の仕事のやり方によって労務の使用の実態等変わってくると思いますで、実態的にはやはり現地に行きまして、請負工事の場合でも直営と同じように監督の手はいくわけでございます。非常に最近は工事の量が多くなってきたために、できるだけ請負業者に責任を持たすということで実態的にはやっておるわけでございます。
  75. 田中一

    ○田中一君 いま請負のことについて伺っているのですよ。直轄、直営するならおのずから別だが、請負の場合と違うと志村君言っているから、官房長言っているから伺っているのです。仕事の量とポイントは全然違っていないでしょう。請負の職員が下請に関する指導監督するのと、建設省の職員がそれをまたその上に立って、下請の仕事がいいか悪いかの問題、あるいは元請の指導が間違っていないかどうかという問題をやはり指導監督しているんでしょう、現場における職員は。
  76. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) それはそのとおりでございます。ただ請負業者に一たん請け負わした以上は、業者としての責任がございますから、直営の場合と違いまして、請負業者の責任にある程度まかすということは、実態的にはございます。
  77. 田中一

    ○田中一君 まかすから指導、監督しないと言っているのですか、ちっとも違わぬと思う。
  78. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 実態的にはほとんど変わらぬと思います。
  79. 田中一

    ○田中一君 そこで仕事の量と賃金とがこれだけの格差があるのはどうもおかしいと思うのですよ。これは国家公務員だから国家公務員の賃金でやっておるのだから、人事院の勧告があればこうするのだ、ああするのだという理屈は言うけれども、そうしてことしは人間も減っておる、仕事の量もふえてくるということになると、これはますます労働強化になるということなんです。志村君は、何とかしてこれを違うのだということにして、六・四%と一四%との差を当然だということに持っていきたいのだろうけれども、河川局長はそう言っていない、それ以上の仕事をしなければならぬのだということです実態は。これは建設大臣、この点どうお考えになりますか、この点だけを一つ伺います。
  80. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どうも私は経験が浅うございまして、実際の事情がまだよくのみ込めない点もございますが、ただ全体として考えてみますというと、建設省の職員がよしんば予算をどれだけ消化する責任があるにいたしましても、国家公務員として全体の奉仕者としての責任があると思う。それに対しては人事院によって給与の保障が行なわれるという形、これは中立機関であります人事院によって、全体の奉仕者としての処遇ということを妥当なところできめられていくという一応たてまえがある。一方この請負をしたほうの民間会社でいえば、事業の能率をうんとあげて、そうしてその上にもうけもせにゃならぬ、利潤の追求をいたすわけであります。そうして利潤追求のあまり、その目的である公共事業それ自体が粗漏になって国民に迷惑をかけるというようなことのないように、厳に建設省の職員というものはそれを私は見ていかなければならぬ任務があるんじゃないか、そういう点から見ていくほかはないんじゃないかと、私はそう思うのでございますけれども、どうも実際の頭ではそう考えますけれども、私どうも実態がどういうふうに運営されておるか、不勉強と申されてもしかたがありませんけれども、その程度しかちょっと申し上げられません。
  81. 田中一

    ○田中一君 私が言いたいのは、結局こうして同じ仕事をしていながら、こういう賃金の格差があるということは、現業官庁と、それから一般行政職と、国家公務員にいたしましてもおのずから性格が違っておるというのです、仕事の範囲が。あのう、何ですよ、建設省は元請が、施工者が時間外に幾らでも仕事をやる、その場合には自分の時間、八時間労働が終わったからといって逃げるわけにいかないのです。必ずそこについていなければならない。したがって超過勤務というものは一カ月最高百五十時間から二百二十時間ぐらいある、超過勤務というものが。この実態は、なるほどいま大臣が言っているように、利潤追求で元請をやっているのだから、時間もかまわずやるでしょう。また一四%も織り込んである賃金というのだから、やるかもしらぬ。それについていなければならぬ。請負人がやっているからといって、おれは時間がきたから帰るよと言って帰るわけにいかない。これは河川局長、どういう実態なんです。百五十時間なり二百二十時間ぐらいまで超勤があるというのです、平均して。これは施工者が現場にいる限り休むわけにいかないでしょう、日曜日であろうと、土曜日であろうと、祭日であろうと、仕事をしている限りね。
  82. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 建設省で監督する場合には、まあこれは私どもより先生のほうがむしろ非常に御承知と思いますけれども、現場監督は四六時中、工事をやっている間中、各現場に全部、非常に現場多うございますから、現場監督なりあるいはそういった補助者が各現場につきっきりということはなかなかできないと思います。しかしやはり工事工事によりましてポイント、ポイントがございますから、いろいろ材料を検収したり、あるいはできかたをチェックする、そういうような点につきましては、それはそのつど業者の要求に応じて現場に行くというようなことで、しかし原則的にはできるだけ、職員が少ないながらも、各現場に張りつくようにはしておりますけれども、しかし請負工事の場合、直営の場合と違いまして、若干そういう点では請負の責任者にまかすということがございますから、要所要所に、随時必要なときに現場に出て行ってくれというようなことで、初めから最後までついているということではないと思います。しかしだれかが、少なくとも工事をやっている間は、全員じゃなくても、交代するなら交代するということで、どこかに工事を直接的にあるいは間接的に見張っているということは間違いないわけでございます。
  83. 田中一

    ○田中一君 そうすると、いまの超勤の問題はどうですか。超勤の問題はどういう支払い方法をとっていますか。超勤は一般行政職のようにパー超勤、いわゆる一率超勤でもって、超勤しようがしまいが、払っているのが現状なんです。現場の者は事実においてからだを張って超勤やっておるわけです。そういう場合には完全に超勤払っていますか、各現場で。
  84. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 超過勤務手当につきましては、その事業所、事業所によりまして、それぞれ標準の超過勤務時間がございます。その範囲内でおさまるように超過勤務をするようにというような指導をいたしておるわけでございます。
  85. 田中一

    ○田中一君 これは大臣よく聞いてくださいね。請負に出している場合は、予算よりもオーバーして、予算超過でもって契約するということはまれなんです。大体において予算以下で仕事をしているわけですね。させているわけです。しかし、実際にいま国から出ている超勤は一カ月何時間までばということで超過勤務手当が出ているわけです。いま官房長の説明を聞くと、予算上出ている超過勤務手当だけの超過勤務をなるべくさせて、それ以上余分な超過勤務をしている場合も、それにはやらないのだ——する場合もあるわけです、現にやっているわけなんですから。ということになっているようですが、それでいいのですか。
  86. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は、まだよく超過勤務の問題は勉強しておりませんけれども、あまり勉強しちゃどうもまずいのじゃないかと、実は思っているので、大体まあみなし超勤というように言えるのじゃないか。まあこれだけの、およそこういう超過勤務は行なわれているであろうという大体仕組みになっているのじゃございませんでしょうかね。これはどうも私は、勉強したいとは思うのですが、あまり突っ込んで勉強すると、どうも私の気分からいっても、少しどうかと思っているわけなんです。
  87. 田中一

    ○田中一君 局長は現場におったのだから、現場の事情はどうか、説明してください。
  88. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 私の現場におりました経験を申し上げますと、数年前は確かに非常に仕事が忙しくて、あるいは超勤手当が不足するというような事態も、部分的には確かにあった面もございますけれども、最近は大体超勤手当の範囲内で、できるだけ実績主義によって超勤をした分に対しては必ず支払うというようなたてまえ、これは関東地建その他、私のおりました時代には、そういった超勤の範囲内でできるだけ実績主義によって支払うということで、できるだけ能率をあげて、土曜日なんかでも、なるべく用事のない者は早く帰ってくれというようなことで、大体超勤をした分はもうほとんど超勤手当でカバーできるような実態にいまなりつつあると思います。その点は昔と違いまして、パーで超勤を支給するというようなこともだんだん減ってまいりました。そういう実態でございます。
  89. 田中一

    ○田中一君 そうすると、実質超勤を払っているということですね、そういうふうに理解していいですね。
  90. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 大体そうでございます。
  91. 田中一

    ○田中一君 四十一年度の公務災害、どのくらいあったのですか。どういうものがどのくらいあったのですか。死亡者はどのくらいありました。
  92. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま手元に資料がございませんので、調べまして後ほど……。
  93. 田中一

    ○田中一君 それでは四十一年度、四十二年度の公務災害による死亡者と、それから長期療養者、病人ですね、療養者の数を資料で出してください。
  94. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 田中先生のところにお届けいたします。
  95. 田中一

    ○田中一君 いま建設大臣は、あまりそうした労働条件の問題等については、知らないほうが楽だということだと思うのですが、そんなことじゃ建設大臣勤まらんですよ。それは、あなたの人柄だからそれで通るかしらんけれども、実際現場に働いている者は、そんなことは許されない。大臣は、大臣就任以来現場に行ったことがありますか。予算審議中だから行かれなかったということになるかしらんけれども、これは行かなければいけない。あなたの所管している仕事の末端の人たちが、いろんな意味で労働強化、労働条件の締めつけによって非常に泣いているわけです。こういう実態は知らないほうがいいのだというようなことは、まあ冗談として受け取ったわけですけれども、それは許されないです。一体、現場に対するあなた方の職員の労働条件というものを、これからそれらの者と話し合いながら、よい仕事をするためにどのような労働条件を考えているのか、また労務対策というもの、労務対策というよりも、現場に対する対策を、職員に対する対策を考えているのか、これをひとつ伺いたいと思う。
  96. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私も、まあとにかく現場を一度も二度も見なければならんと思って予定を組みましたけれども、予定を組んではどうも出かけられぬというような状態で、まだ直轄工事をやっているところの現場に行ってみて勉強しておらんのです。ただ、この超勤のこと、私が何かおしかりをいただきました言辞を弄しましたのは、一人一人の方がどれだけ超過勤務し、超勤手当を取っておられるか、その方は何時に出て何時に帰っておられたか、それとぴったり合うのかということを、これをやらなければいかぬのだろうと思うのです、そうはなかなか……。それはどっちのほうに何されているかと言えば、あなたのお感じになっているよりも私は逆になっているのじゃないかと思うものですから、あまり突きとめたくないという、率直に私の気持ちを申し上げたのです。決して労働強化、そうして処遇を誤る、こんなことを私は是認したいがためにそういうことを申し上げたわけじゃないことだけはひとつ御承知をいただきたい。
  97. 田中一

    ○田中一君 それじゃ官房長だ。四十三年度でどういう合理化をやろうとするのか。その施工現場における合理化の問題とそれから労働条件をどう持っていこうとするのか。とにかくいまもお話しするとおり、昨年よりも事業費は伸びを示していることは事実なんですね。これに対してどういう考え方に立っているのか、これをひとつ資料で出してほしい。四十三年度の合理化、それからそれが欠員の凍結によって施工がおくれ勝ちになるのじゃなかろうかという点も、ひとつ見解を出していただきたいと思うのです。
  98. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 資料は後ほど先生のお手元までお届けいたしたいと存じますが、凍結した欠員というのは四十二年度でもいなかったということであります。したがって、四十三年度に定員の数としては減りましても、四十二年度と四十三年度の実人員は変わらないということでございます。念のため申し添えておきます。
  99. 田中一

    ○田中一君 ことしの予算に電子計算機を買おうということが予算に出ていますね。八百四十四万円で買うことになっておりますが、これによって人間はどのくらい削減できるのですか。
  100. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 従来外部に発注いたしたりしておりましたので、人間の削減はございません。建設省内で電子計算機を借り入れまして、それを利用して従来できなかったいろいろな電子計算機による計算をいたしたい、こういうことでございます。
  101. 田中一

    ○田中一君 そうするといままでも使っているのだから、今度は自分がそれを正式に導入するんだから、人間には余る人はいません、こういうわけですね。ことしはまた六百人か七百人くらい新規採用として、もう採用したのかな、これに対して最近ある工事事務所で行なわれている退職勧奨の問題は、これは相当やっています。これはどのくらいまでそれを見ようとするのか。結局七百人採用すると、七百人分だけは退職者を勧奨して首切るのだという方針になっているのかどうか、その点をはっきり……。
  102. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 相当人数の新規採用者が必要なことは先生御指摘のとおりでございます。上級職から初級職に至る間適時採用をいたしていかれませんと、将来において穴ができます。建設行政の推進をはかる意味においては、逐次新規採用をやっていかなければならぬということで進めております。ただその場合に、定員からオーバーするのじゃないかという問題等はございますが、こういった新しい人々を採用するためには暫定的に幾らかのワクをもらいまして、そのワクの中で操作をしながら新規定員を受け入れるというような形をとっているわけでございます。
  103. 田中一

    ○田中一君 これもひとつ資料を出してほしい。本年度は高齢者を何人くらい首切るかという計画を立てているか出していただきたいと思います。あるいはそれらの高齢者を配転さして、いやいやながらやめていくような措置をとろうとしている現場もあるわけなんです。これらの首切りの計画を資料に出してほしい。
  104. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 私ども首切りの計画などというのはございません。勧奨退職は事実相当の年齢に達しまして、後進に道を譲るというふうなことで勧奨いたしてはおりますけれども、首を切るというような計画をつくって何人どうしようとか、たいへん意地悪をして追い出すとかいうようなことの計画はございません。
  105. 田中一

    ○田中一君 そうすると退職勧奨もしないで、自発的にやめるのを待っているんだということなんですか。
  106. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先ほど申し上げましたように、相当老齢になりまして、後進に道を譲ったほうがよかろうと思う方には一応勧奨はいたします。強制はいたしません。
  107. 田中一

    ○田中一君 それは何歳くらいですか。
  108. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 実態に応じまして年齢は考えておりますが、六十歳から六十五歳というような程度が多かろうと存じます。
  109. 田中一

    ○田中一君 これは最近の傾向として、今度法律案を出そうとしている地方公務員の定年制の問題なんかも政府は考えているようですが、憲法には働く労働の権利ということをうたっておる。労働の権利、働く権利を日本の憲法は規定しているんですね。配置転換等いやがらせをしながらやめさすというようなことがあった場合には、本省のほうでそういうことをさせないということを約束できますか。
  110. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 配置の問題につきましては、その本人の能力なりあるいは業務の繁閑等を考え合わせまして適宜最もいい方法を考えながらやっているわけでございまして、いやがらせでやめさせるというふうにとられるとすれば、たいへん遺憾でございます。先ほど申し上げましたように、仕事の性格なり、本人の適応性なり、繁閑なりということを考えた上で配置転換は今後も進めてまいりたいとかように思っております。
  111. 田中一

    ○田中一君 それじゃ勧奨退職の一応基準のあるところろは、その基準を資料に出していただきたい。
  112. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 田中先生のところにお届けいたします。
  113. 田中一

    ○田中一君 それからこれは建設大臣よく聞いてくださいね。二、三年来建設省工事事務所における管理職員の暴行事件が頻発しているんです。これは大臣の耳に入っていないかもしらぬけれども、これは週刑誌に大々的に報道されたからよくわかっていることなんですが、昨年の十二月二十八日に北陸地建の長岡工事事務所で、清水という機械課長が職員の水内泰治君というのに対してたいへんなけがをさしているんです。これが一つ。これはおまえは労働組合の分会長をしているからといってなぐりつけているんです。これは刑事事件になって——一ぱい飲みながらなぐったらしいんですが、これはあとで資料をあげます。一つこの事実がある。それからこの場合には水内君が人事不省になって、救急車が来て病院に運んでいる。それから昨年の七月一日には、九州地建の熊本工事事務所で千賀九州男という副所長が柳川靖征という職員をなぐりつけて、四日間の安静加療しなきゃならぬという傷を負わせている。昭和四十二年の七月十八日には、同じく九州地建の福岡工事事務所の庶務課長米山政春というのが、二又広典というのに暴力をふるってなぐりつけておる。十月三十日には中国地建の広島工事事務所で調査係長の木下良治というのが難波徹というのをなぐりつけて、道路のみぞに突き落として、全治五日間の傷を与えておる。ことしの三月七日には、中部地建の磐田工事事務所の横道長幸という河川管理課長が、宿直中の鈴木計という職員を、理由もなく数回にわたってけ飛ばして傷を与えている。ことしの三月十八日は、東北地建の三陸工事事務所の高橋哲郎という職員係長が、久茲正克というのをなぐりつけている。ことしの二月二十九日には東北地建の福島工事事務所の赤坂芳雄という経理課長が、増子善七というのに、組合を脱退しろ、言うことを聞かないと言ってなぐりつけている。こういう一連の管理職の暴行事件というものを大臣は耳に入れたことありますか。
  114. 保利茂

    国務大臣保利茂君) なかなかただいまお話しのような事案が起きておりますことは、はなはだ遺憾に思うわけでございます。そのつど官房長から報告を受けてまいっております。ただそのつど、私は組合活動は抑制すべきものではないけれども、同時に国家公務員たるの職責というものが優先するということを、全職員によく徹底するように願いたいということを、官房長を通じてお願いをいたしておるようなことでございます。しかし理由のいかんにかかわらず、上職が下級の人に対して暴行を加えるというようなことについては、これはとにかく理由がどうあろうとこれは許されることではないわけでございますから、今後とも十分注意を払いまして、かようなことの起こらないように気をつけてまいりたいと考えております。
  115. 田中一

    ○田中一君 その機会というものは、おまえは労働組合から脱退しろと、こういう強要をやっているんです。ことに最近、工事事務所等に就職をする少青年たちに、労働組合に加入するかしないか、労働組合に入りませんと言うと、これを採用しているんです。労働組合に入りますと言うと、これを採用しないのです。私が調べただけでも、いまの高等学校を出たぐらいの少年たちは、大部分といっていいぐらい、九〇%労働組合に加入しておらないのです。これは労働運動を就職の条件とするなんていうことは、これはどうお考えになりますか。そういうことがあっていいとお考えになりますか。
  116. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはまあ私の率直な感じを申し上げますと、国家公務員として許されたる範囲内における組合活動というものはけっこうでございます。そうあるべきだと、しかし同時にまた民間と違いまして、国民の税金の上でとにかく責任を持たされている立場に立っているわけでございますから、したがってその立場、責任というものからくるところの行動というものは、公務員としての節度というものは大事じゃないか、私はそういうふうに感じております。
  117. 田中一

    ○田中一君 そうすると現在の労働組合は、国家公務員の職務を忘れ、逸脱した行動がある、だからその労働組合に入らないという誓約をした者だけを採用するのだということですか。
  118. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは私は個々のただいまおあげになりました事例でも直接承知をいたしておりません。間接に報告を受けている程度でございます。しかし国家公務員として許されている組合活動を、たとえどの団体におきましても抑制するということはあろうはずは私はないと思いますし、おそらく官房長に御質問になりましても、同様だと思うのです。またあるべきことじゃございません。しかしおそらくそういうことはあまり申し上げないほうがいい、私もその程度に感じている。しかし十分このことは人権に関する問題でございますから、注意の上にも注意を払っていくようにいたします。さようなことのあろうはずはございません。
  119. 田中一

    ○田中一君 官房長、いま職員が幾らあって、全建労という労働組合に加入している職員が幾らあってあるいは第二組合的な労働組合にどのくらいの人間が入っているか、ひとつ示してほしい。
  120. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 建設省の職員の定数は昭和四十二年度におきましては三万五千七百十九名であるということは申し上げたとおりでございますが、実人員といたしましては凍結されておりますので、三万四千程度でございます。そのうち全建労の人数が何人いるかということでございますが、私どもが一々当たるわけにもまいりませんので、数字ははっきりいたしませんが、労働省などの調査とかあるいは全建労自身がいろいろおっしゃっているような数字を見ますと、四十二年の六月で大体一万七千名をちょっと上回るという程度ではなかろうかと存じます。新組合につきましても大体三千名程度ではなかろうかと考えております。  なおついででございますので、先ほどいろいろな暴力行為のお話がございましたが、先生の御発言と私ども調査したところではだいぶ違う点もございます。しかしいずれにいたしましても、暴力行為のあることにつきましては、たとえ上が下をなぐろうと、下が上をなぐろうと、下同士でやろうと、いずれにいたしましてもまことにけしからぬことでございます。とかく土木現場では、先生も御承知のとおり激しい仕事でもございますし、何か段取りがつきますと一ぱい飲む、飲んだあげく、ついついいろいろなことが起こるということがありがちのところでございますが、国家公務員である限りは、さらに自戒を強めて、さようなことのないように厳重に注意をいたしたいと考えております。
  121. 田中一

    ○田中一君 今後こういう問題が起きた場合には、私のほうから直接に抗議を申し込みますからね。そういう意味において、あなたのほうで何とかして全建労という組織をつぶしてやろうと挑発行為を行なっているというように、ぼくなんかは見ているのです。全建労という労働組合をつぶそうというようなことを考えて、あなたのほうでいろんな指令を出しているのを、ぼくは知っているんですよ。持ってきてあげましょうか、いろんな指令を出しているのを。これは大臣の知らぬことだと思いますがね、これは大臣が就任する前から、いまから三年ほど前なんです。そういう秘密指令を出している事実をぼくは知っているんです。これは志村君だってまだ一年にならぬね、君が官房長になってから。やっぱり前任者からそういうようなひとつの申し渡しがあってそれをやっているのだと思うけれども、どういう態度でこれからこの労働運動に対処するかという一つの考え方を大臣と相談して、まあ事務次官あたりがそれを継承してそういう措置をとっているんだと思うけれども態度をひとつ明らかにしてほしいと思うのです。いまここで、先ほども軽く大臣は逃げるけれども、そんなもんでないのです。非常に大きい弾圧が加えられておるのです。最近地方へ参って現場に行ってみると、全く萎縮しています。若い者は労働組合に入っておらぬです、そういう条件だから。また組合を脱退せよという強要をしばしば行なっている。そうして強い意思を申し出る者は配置転換をしたり、昇給をとめてみたり、あらゆる不当な行為を行なっているのです。ひとつ建設大臣、この実情というものを大臣からじかに命令して調べてください、全国的に。そうして賃金は安い、いろんな意味の労働強化はしいる、こういう点についてはとうてい許すことのできないような事実が行なわれております。これひとつ明確にこの点については大臣から答弁してほしいと思うのです。
  122. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 過去におきまして遺憾な点もあった場合もございましょうし、また誤解を持たれておる場合もあるだろうと思うのであります。先ほどお話しのように、今後はもう抗議するからというようなことでございますけれども、一方的なことでなしに、それぞれ事案については、その事案のこちらのほうで見てみた場合のこともよくお聞きいただいて、私はもういつでも歓迎いたしますから、抗議でなしに、こういうことが起きておるじゃないか、どうするんだというようなことでひとつやっていただきたい。こいねがわくは、私は建設省の職員諸公にこいねがうところは、とにかく今日これだけの大きな国土の再建、国づくりという大きな大事業に貴重な国民の税金を預かって取り組んでおるわけですから、この職務の崇高さというものをひとつ徹底していただく。しかしはなはだ不十分であるかもしれませんけれども、とにかく政府は関与をしない、人事院という厳然たる大目付があって、公務員の処遇ということについては、万全の配慮をされておるわけでございますから、その処遇の問題を、安いからもうやめたと、これはやめればもうしょうがないことでございますけれども、職務にあられる限りにおいては、やはり国民の貴重な税金の上で、とにかく処遇をいただいておるわけですから、その点については深い自覚を持っていただく。しかし、だからといって組合活動をしちゃならぬというようなことは、これは両立しないものでも何でもないわけですから、私はそれはけっこうだと、その点をどうこうということはございませんけれども、そういうことで、ただいまお話しのことにつきましては、私も十分また、勉強も足りませんから勉強さしていただいて、御注意の点は御注意の点のようにいたしてまいりたいと思います。
  123. 田中一

    ○田中一君 じゃ、いつでも、抗議でなくて、問題について大臣に面会を求め、話し合いをするという時間をとってくれますね。
  124. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私ができない場合は、次官なり官房長なりをして行なわしめるようにいたします。
  125. 田中一

    ○田中一君 大臣ができる場合にはいたしましょうと、こういうわけですね。
  126. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ええ。
  127. 春日正一

    ○春日正一君 関連してちょっといまの問題。  いま大臣ですね、まあ誤解もあるし、抗議というのではなくて話し合いでということを言われたのですけれどもね、実情を言いますと、そういう非常な差別をされている、不利益な扱いを受けている、あるいは労働組合から抜けろと言われたというような訴えを、私ども聞いて現場に行っても——そこで実情を聞こうということで、私らは一方の話だけ聞いてそれを取り上げたんじゃ不公平になるから本人連れていって突き合わせてみたら一番いいだろうということで現場へ行って、たとえばそこの管理者なり何なりに会いたいと言うと、これは手を広げて絶対に労働組合の者は入れない。先生だけなら入れますというようなことをするんですね。これではね、いまの大臣の言われた趣旨とは違うんですね。やはり両者が、私どもは両方の意見を聞いてそれで正当な理解に達するということが一番いいと思っているので、でまあ本人も連れていって、向こうの言い分もこちらの言い分も突き合わせてみようじゃないかということで一緒に連れていくと、本人は絶対に入れちゃいかぬ、先生だけ入れというと、結局今度はこっちの意見だけしか聞けないということになって、そこの誤解もちっとも解けないし、問題も解決しない。かえって対立状態を深くする。こういうことは、大臣のいま言われた趣旨から言えば、下部によく徹底さして、そういう問題については労働組合とも会って話し合って解決できるような道を開いてもらっておきませんと、大臣の言われたことが実際には生きてこない。そこをひとつ大臣のほうからはっきりさしておいてほしいと思うのですわ。
  128. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど来田中議員にお答えいたしておるとおりでございまして、私おそらく建設省のそれぞれの、官房長はじめ皆さん異存のないことだと思うわけでございますけれども、そういう措置をとってまいりますが、同時に、とにかく公務員であるというその自覚は、私はしっかり持ってもらいたい。組合員である前に公務員であるというその自覚をしっかり持っていただいて、そうして国家公務員として許される範囲内の労働組合活動というものはけっこうだと、そういう基本的な考えの上に立って最善を尽くしてまいるようにいたしたいと思います。
  129. 田中一

    ○田中一君 この長岡事件のこれはまあいろいろ折衝されてきて、また大臣のところへもいろいろな陳情なり抗議が行っていると思うのです。これは取りまとめたものがありますから、これを大臣に正式に出します。もしもこれに対して正しい——正しいというか答弁をしてくれなければ、私は国会を通じて質問書の形でもって提案いたします。けれども、そこまでしないでも、直ちにこれに対するところの答弁をするのなら、いまこの委員会において公式にあなた、大臣のほうにこの書類を出しますけれども、見解をひとつ調査の上早急に出してほしいのです。それで、いやそんなことはたいへんだというなら、質問書の形で、国会を通じて提案いたします。そうすると、御承知のように、一週間以内に答弁をしなければならぬように大臣義務づけられますので、そういう点でひとつやっていただきたいと思います。
  130. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなけれぱ、本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会