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1968-04-02 第58回国会 参議院 建設委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十三年四月二日(火曜日) 午後一時二十九分開会
—————————————
委員
の
異動
三月二十八日
辞任
補欠選任
内田
芳郎
君
谷村
貞治
君
大森
久司
君
園田
清充
君
山内
一郎
君
堀本
宜実君
瀬谷
英行
君 椿
繁夫
君 三月二十九日
辞任
補欠選任
船田
譲君
奥村
悦造
君
谷村
貞治
君
内田
芳郎
君
園田
清充
君
大森
久司
君
堀本
宜実君
山内
一郎
君 四月一日
辞任
補欠選任
椿
繁夫
君
瀬谷
英行
君
浅井
亨君
鈴木
一弘
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
藤田
進君 理 事
稲浦
鹿藏
君
内田
芳郎
君
山内
一郎
君 委 員
石井
桂君
大森
久司
君
小山邦太郎
君
中津井
真君 村上
春藏
君 沢田 政治君
瀬谷
英行
君 高山 恒雄君 春日 正一君 国務大臣 建 設 大 臣 保利 茂君
政府委員
建設政務次官
仮谷 忠男君
建設大臣官房長
志村
清一
君
建設省計画局長
川島 博君
建設省都市局長
竹内
藤男
君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
—————————————
本日の会議に付した
案件
○
理事
の
補欠互選
の件 ○
都市
再
開発法案
(第五十五回
国会内閣提出
)(継 続
案件
)
—————————————
藤田進
1
○
委員長
(
藤田進
君) ただいまから、
建設委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 三月二十八日、
瀬谷英行
君、
内田芳郎
君、
大森久司
君及び
山内一郎
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
椿繁夫
君、
谷村貞治
君、
園田清充
君及び
堀本
宜実君が選任され、翌二十九日、
船田譲
君、
谷村貞治
君、
園田清充
君及び
堀本
宜実君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
奥村悦造
君、
内田芳郎
君、
大森久司
君及び
山内一郎
君が選任されました。また昨一日、
椿繁夫
君及び
浅井亨
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
瀬谷英行
君及び
鈴木一弘
君が選任されました。
—————————————
藤田進
2
○
委員長
(
藤田進
君) 次に、
理事
の
補欠互選
についておはかりいたします。 先ほど報告いたしました
委員異動
に伴い、
理事
が二名欠員となっております。この際、その
補欠互選
を行ないたいと存じます。
互選
は、投票の
方法
によらないで、
委員長
にその指名を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田進
3
○
委員長
(
藤田進
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは
理事
に
内田芳郎
君及び
山内一郎
君を指名いたします。
—————————————
藤田進
4
○
委員長
(
藤田進
君)
都市
再
開発法案
を
議題
といたします。 本案につきましては、第五十五回
国会
において
提案理由
の
説明
を聴取いたしておりますので、これよりその
補足説明
を聴取いたします。
竹内都市局長
。
竹内藤男
5
○
政府委員
(
竹内藤男
君) ただいま議題となりました
都市
再
開発法案
につきまして、逐条的に御説明申し上げます。 第一条は、この
法律
の目的を定めたものであります。この
法律
は、
市街地
の計画的な再
開発
に関し必要な事項を定めることにより、
都市
における
土地
の合理的かつ健全な
高度利用
と
都市機能
の更新とをはかり、もって
公共
の福祉に寄与することを目的といたしております。 第二条は、この
法律
において使用されております特別の用語の定義を定めたものであります。 第一号では、
市街地
再
開発事業
について定めておりまして、その内容は、
市街地
の
土地
の合理的かつ健全な
高度利用
と
都市機能
の更新とをはかるため、この
法律
で定めるところに従って行なわれる
建築物
及び
建築敷地
の整備並びに
公共施設
の整備に関する
事業
並びにこれに付帯する
事業
をいうものといたしております。 第二号から第十三号までは、
施行者
、
公共施設
、
施設建築物等
この
法律
で用いるその他の特別な用語の定義を定めております。 第三条は、
市街地
再
開発事業
に関する
都市計画
を決定する場合における
土地
の区域の要件を定めたものであります。 第一号では、この
法律
の附則第十二条により改正いたします
建築基準法
第五十九条の二第七項の規定により
建築物
の
延べ面積
の
敷地面積
に対する割合、すなわちいわゆる
容積率
の
最低限度
及び
建築物
の
建築面積
の
最低限度
が定められた
容積地区
内にあることを要件としております。 第二号では、区域内の
建築物
の
建築面積
の三分の二以上が
耐火建築物
以外の
建築物
で
平家建て
または二階建てのものであることを要件といたしております。 第三号では、区域内に十分な
公共施設
がないこと、
土地
の利用が細分されていること等によって、
土地
の
利用状況
が著しく不健全であることを要件といたしております。 第四号では、その区域内の
土地
の
高度利用
をはかることが、その
都市
の
機能回復
に著しく貢献することを要件といたしております。 以上の四つの要件をすべて満たす区域において、
市街地
再
開発事業
を
施行
することにいたしております。 第四条は、
市街地
再
開発事業
に関する
都市計画
を決定する場合における
基準
を定めたものであります。 第一号では、道路、
公園等
の
施設
に関してすでに
都市計画
が決定されている場合には、その
都市計画
に適合するように定めることを、第二号では、必要な
公共施設
を備えた良好な
都市環境
となるように定めることを、第三号では、
建築物
が健全な
高度利用形態
となるうらに定めることを、第四号では、
高度利用形態
に適合した適正な街区が形成されるように定めることを、それぞれ規定いたしております。 第五条は、
市街地
再
開発事業
は、
都市計画事業
として
施行
することを定めたものであります。 第六条は、
市街地
再
開発事業
の
施行者
について定めたものでありまして、
市街地
再
開発組合
または
地方公共団体
のほか、住宅の建設とあわせて
市街地
再
開発事業
を
施行
する必要がある場合には、
日本住宅公団
が
施行
することができることにいたしております。 第七条から第十条までは、
組合
を法人とすること、定款で定めるべき事項、
組合
の
名称等
について定めたものであります。 第十一条は、
組合
の設立には
都道府県知事
の
認可
を要することを、第十二条は、
事業計画
の内容を、第十三条は、
事業計画
について
公共施設
の
管理者等
の同意を要することを、それぞれ定めたものであります。 第十四条は、
組合
の設立について、
施行地区
となるべき区域内の
宅地
の
所有権
者及び
借地権者
のそれぞれの三分の二以上の同意を必要とし、かつ、その同意をした者の
宅地
と借地の地積の合計が
宅地
と借地の総地積の合計の三分の二以上でなければならない旨を定めたものであります。 第十五条から第十九条は、
借地権
の申告、
事業計画
の縦覧、
認可
の
基準
、
認可
の
公告等
について定めたものであります。 第二十条は、
施行地区
内の
宅地
について
所有権
または
借地権
を有する者はすべて
組合員
となる旨を、第二十一条は、
不動産賃貸業者
、
商店街振興組合等
で定款で定められた者は
参加組合員
として
組合員
となる旨を、第二十二条は、
組合員
の変更に伴う
権利義務
の移転を、それぞれ定めたものであります。 第二十三条から第二十八条までは、役員、役員の資格、役員の任期、役員の
職務等
について定めたものであります。 第二十九条から第三十七条までは、総会の
決議事項
、総会の招集、総会の議事、
総代会
、総代、
議決権
及び
選挙権等
について定めたものであります。 第三十八条は、定款または
事業計画
の変更の
手続
を定めたものであります。 第三十九条から第四十四条までは、
賦課金
の
賦課徴収
、
参加組合員
の
負担金
の納付、
審査委員等
について定めたものであります。 第四十五条から第五十条までの規定は、解散、
清算人
、
決算報告等
について定めたものであります。 第五十一条から第五十七条までは、
地方公共団体
が
市街地
再
開発事業
を
施行
しようとする場合の
手続
、
事業計画
の
縦覧等
について定めたものであります。 第五十八条及び第五十九条は、
日本住宅公団
が
市街地
再
開発事業
を
施行
しようとする場合の
手続
その他の事項について定めたものであります。 第六十条から第六十五条までは、測量及び調査のための
土地
の立ち入り、
障害物
の伐除及び
土地
の試掘、
土地
の
立ち入り等
に伴う損失の
補償等
について定めたものであります。 第六十六条は、
組合
の
設立認可
の公告、
事業計画
の
認可
の
公告等
があった後における
施行地区
内における
建築行為等
の制限について定めたものであります。 第六十七条は、
施行地区
内の
関係権利者
に
事業
の概要を周知させ、協力が得られるようにすべきことを定めたものであります。 第六十八条及び第六十九条は、
土地調書
及び
物件調書
の
作成義務
及び仮
住居等
のために必要な
土地
を
施行地区外
において使用できることを定めたものであります。 第七十条は、
権利変換手続
を開始する場合におけるその旨の
登記
について、第七十一条は
組合
の
設立認可
の
公告等
があった日から一定の
申し出期間
における
権利
の
変換
を希望せず金銭の
給付等
を希望する旨の
申し出等
について、それぞれ定めたものであります。 第七十二条は、前条の
申し出期間経過
後、遅滞なく
権利変換計画
を定めるべきこと、及びその際
建設大臣
または
都道府県知事
の
認可
を要することを定めたものであります。 第七十三条は、
権利変換計画
の内容を定めたものであります。 第一項では、
権利変換計画
の
記載事項
を定めておりまして、
配置設計
、
施行地区
内に
宅地
、
借地権
または
建築物
を有する者が有する
宅地等
とその
価額
、これらの者が有する
宅地等
に対応して与えられることとなる
施設建築敷地
の
共有持ち分
または
施設建築物
の一部等の明細及びその
価額等
の事項を定めることにいたしております。 第二項では、
宅地
、
借地権
または
建築物
に
担保権等
の
登記
がある場合における
権利変換計画
の定め方を、第三項では、
登記
のある
借地権
に関する
請求権
を保全するための仮
登記
がある場合における
権利変換計画
の定め方を、第四項では
宅地
または
建築物
に関する
権利
について争いがある場合における
権利変換計画
の定め方を、それぞれ規定いたしております。 第七十四条から第八十二条までは、
権利変換計画
の決定の
基準
を規定いたしておりますが、第七十四条は一般的、抽象的な
基準
として、災害を防止し、衛生を向上し、その他
居住条件
を改善するとともに
建築物
及び
土地
の
合理的利用
をはかり、かつ、
関係権利者
間の利害の公平に十分の考慮を払って定めることにいたしております。 第七十五条及び第七十六条は、
施設建築敷地
の決定の
基準
を規定したものでありまして、まず第七十五条では、一個の
施設建築物
の敷地は一筆の
土地
となるものとして定め、かつ、
施設建築敷地
には
施設建築物
のための
地上権
が設定されるものとして定めることにいたしております。 次に第七十六条では、
施行地区
内に
宅地
を有する者に対しては、
施設建築敷地
の
所有権
が与えられるように定めることとし、その者が二人以上あるときは、これらの者の共有に属することにいたしております。 第七十七条及び第七十八条は、
施設建築物
の一部等の決定の
基準
を規定したものであります。ここで
施設建築物
の一部等とは、第二条第九号に規定いたしておりますように、
施設建築物
の一部とその
施設建築物
のための
地上権
の
共有持ち分
をいうものであります。 まず第七十七条では、原則として、
施行地区
内に
借地権
または
建築物
を有する者に対しては、
施設建築物
の一部等が与えられるように定めることとし、その際、
従前
の面積、環境、
利用状況等
と新たに与えられる
施設建築物
の一部の面積、
環境等
とを勘案して、
権利者相互
間に不均衡が生じないように、かつ、
従前
の
価額
と新たに与えられるものの
価額
との間に著しい差額が生じないように定めることにいたしております。また、
宅地
の
所有者
に対しては、
地上権
が設定されることによる損失の補償として
施設建築物
の一部等が与えられるように定めることにいたしております。なお、以上によって与えられる
施設建築物
の一部等以外の部分は、
施行者
に帰属するように定めることにいたしております。 次に第七十八条では、原則として、
借家権者
に対しては、その家主に与えられる
施設建築物
の一部について
借家権
が与えられるように定めることにいたしておりますが、家主が
権利
の
変換
を希望しない場合には、前条の規定により
施行者
に帰属することとなる
施設建築物
の一部について
借家権
が与えられるように定めることにいたしております。 第七十九条は、
床面積
が過小となる
施設建築物
の一部の
処理方法
について定めたものであります。 第八十条及び第八十一条は、
従前
の
価額
と新たに取得するものの
価額
の
算定基準
を定めたものでありまして、
従前
の
価額
については、
近傍類似等
の
取引価格等
を考慮して、また、新たに取得するものの
価額
については、
事業
に要する費用と
近傍類似等
の
取引価格等
とを考慮してそれぞれ相当の
価額
を定めることといたしておりますが、評価の時点はいずれも第七十一条の申出期間を経過した日といたしております。 第八十二条は、
公共施設用地
の帰属について定めたものであります。 第八十三条は、
権利変換計画
の
縦覧手続
を、第八十四条は、
審査委員
または
市街地
再
開発審査会
の議を経て
権利変換計画
を定めるべきことを、それぞれ定めて
関係権利者
の
権利保護
をはかるほか、第八十五条では、縦覧の際
権利変換計画
に定められた
従前
の
価額
について
意見書
を提出し、その
意見書
を採択しない旨の通知を受けた者は、
収用委員会
にその
価額
の裁決を申請することができることにいたしております。 第八十六条は、
権利変換計画
の
認可
を受けた旨を
関係権利者
に通知すべきことを、第八十七条及び第八十八条は
権利変換期日
において
権利変換計画
の定めるところに従い
権利
が
変換
することを、第八十九条は
従前
の
宅地等
に
担保権等
の
登記
がある場合におけるその
登記
にかかる
権利
が新たに与えられる
権利
の上に移行することを、第九十条は
権利変換
に伴って必要となる
登記
について、それぞれ定めたものであります。 第九十一条から第九十四条までは、
従前
の
関係権利者
で
権利変換期日
において
権利
を失う者に対する
補償金等
の支払い、
補償金等
の供託、
差押え
または仮
差押え
がある場合における
補償金
の払い
渡し等
について定めたものであります。 第九十五条から第九十七条までは、
市街地
再
開発事業
に関する工事のため
従前
の
関係権利者
に
土地明け渡し
を求める
手続等
を定めたものでありまして、
権利変換期日
から
明け渡し
の期限までの間における占有の継続、
土地
の
明け渡し
及びこれに伴う
通常損失
の補償について規定いたしております。 第九十八条及び第九十九条は、
明け渡し
の期限までに
明け渡し
の義務を履行しない場合における
明け渡し等
の代行及び代執行並びにその費用の徴収について定めたものであります。 第百条から第百九条までは、
建築工事完了
の公告、
施設建築物
の
登記
、
施設建築物
の一部等を取得するように定められた者とそこに
借家権
を取得するように定められた者との間における
借家条件
の協議及び裁定、
施設建築物
の一部等の
価額等
の確定、清算、
市街地
再
開発事業
により
施行者
が取得した
施設建築物
の一部等の
管理処分等
について定めたものであります。 第百十条は、
組合
が
権利
の変動について
関係権利者
の全員の同意を得た場合における
権利変換手続
の特則を定めたものであります。 第百十一条は、
施行者
が
地方公共団体
又は公団である場合において特別の事情があるときは、
施設建築敷地
に
地上権
が設定されないものとして
権利変換計画
を定めることができることを定めたものであります。 第百十二条から第百十八条までは、
組合
の
事業
の
現況等
により、
組合
の
事業
の継続が困難となるおそれがある場合で
監督処分
によっては
組合
の
事業
の遂行の確保をはかることができないときにおける
地方公共団体
による
事業代行
の制度を定めたものでありまして、
事業代行開始
の
手続
、
事業代行者
、
事業代行
の
効果等
を規定いたしております。 第百十九条は、
市街地
再
開発事業
に要する費用は、
施行者
が負担することを定めたものであります。 第百二十条は、
日本住宅公団
が
施行
する
市街地
再
開発事業
により利益を受ける
地方公共団体
に対し、同公団が費用の一部の負担を求めることができるものとするとともに、その
手続
について定めたものであります。 第百二十一条は、
施行者
が
市街地
再
開発事業
によって、整備される重要な
公共施設
の
管理者
に対し、その整備に要する費用の負担を求めることができるものとし、その
手続
について定めたものであります。 第百二十二条は、
地方公共団体
が
市街地
再
開発組合
に対して費用の一部を補助することができる旨、及び国がその
地方公共団体
または
事業施行者
である
地方公共団体
に対して費用の一部を補助することができる旨を定めたものであります。 第百二十三条は、国及び
地方公共団体
は
施行者
に対して資金の
融通等
の援助につとめるべきことを定めたものであります。 第百二十四条は、
地方公共団体
の補助にかかる
施設建築物
に対する
固定資産税
については、公益上の理由により不均一の課税をすることができる旨を定めたものであります。 第百二十五条から第百二十七条までは、
市街地
再
開発組合
及び
市街地
再
開発事業
の
施行者
である
地方公共団体
に対する
監督措置
について定めたものであります。 第百二十八条から第百三十条までは、
施行者
がした処分に対する
不服申し立て
及び
技術援助
の請求について定めたものであります。 第百三十一条は、
事業施行
中に
関係権利者
の変更があった場合における
従前
の
関係権利者
がした
手続等
、あるいは
従前
の
関係権利者
に対してなされた処分、
手続等
の効力について定めたものであります。 第百三十二条は、
施行者
に対し、
土地所有者
に代位して
土地
の分割または合併の
手続
を行なう権限を与え、及びその義務を課したものであります。 第百三十三条は、
施行地区
内の
土地
及び建物について、政令で、
不動産登記法
の特例を定めることができる旨を規定いたしております。 第百三十四条は、建物の
区分所有等
に関する
法律
の特例として、
施行者
が
建設大臣
または
都道府県知事
の
認可
を受けて、
区分所有者相互
間の
管理規約
を定めることができる旨を規定いたしております。 第百三十五条から第百三十七条までは、
関係簿書
の備えつけ義務及びその
閲覧請求権
、書類の送付にかわる公告、
意見書等
の提出の期間の
計算等
について定めたものであります。 第百三十八条は、
地方自治法
上の
指定都市
においては、
都道府県知事
の権限に属する
市街地
再
開発事業
に関する事務を、
指定都市
の長に行なわせることを定めたものであります。 第百三十九条は、この
法律
の実施のため必要な事項を政令に委任したものであります。 第百四十条から第百四十八条までは、所要の罰則について規定したものであります。 附則第一条は、この
法律
の
施行
時期を公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内において政令で定める日からとすること、及び附則第十五条の規定による
租税特別措置法
の一部改正の規定の
施行期日
を定めたものであります。 附則第二条から附則第二十三条までは、
公共施設
の整備に関連する
市街地
の改造に関する
法律
及び
防災建築街
区
造成法
の廃止、
建築基準法
の一部改正、
租税特別措置法
の一部
改正等
、この
法律
の制定に伴い必要となる措置を定めたものであります。 以上であります。
藤田進
6
○
委員長
(
藤田進
君) これより
質疑
を行ないます。
質疑
のある方は、順次御発言を願います。
石井桂
7
○
石井桂
君 まず第一に、次の機会に
質疑
をする必要がありまして、
資料
の
提出
をお願いいたします。 それは、
建築関係
の
国会
に上程せられた
法律
の
名前
と
提案理由
、簡単なものをつけて、今日から十年間さかのぼってひとつ表にして出していただきたい。それが一つ。 それから二番目は、
建設
、通産、
労働各省
の
局長名
で出された告示、
通達筆
で、
建築
、労務及び契約についてのものが、わかっているだけでいいですから、集めて出してください。これが二番目です。いずれもそれはいまから十年ばかりの間さかのぼったものです。 それから三番目は、
建築審議会
の
議事録
がいただければ出していただきたい。 それから四番目は、
建築基準法
に基づく
容積地区
がいろいろ
規定
されております。で、東京都で二十三区別に
敷地面積
と
容積地区
の
つまり比較表
、三
多摩地方
にあればそれもつけていただければけっこうです。その
四つ
を次回の、もしできないものがあればできないと言ってくだされば、それでよろしゅうございます。
志村清一
8
○
政府委員
(
志村清一
君) ただいまお申し越しの
資料
につきましては、できるだけつくりまして間に合わせたいと思います。ただ、
審議会
の
議事録等
につきましては、
原則
として非公開でやっておりまして、これは
先生方個々
のお
名前
の入った記録でございますので、この辺はさらに検討さしていただきたいと存じますが、御
提出
できないかと存じますので、よろしく御配慮願いたいと思います。
石井桂
9
○
石井桂
君
提出
できない
事情
にあるものはやむを得ませんが、できるだけ要求をいれるように、もしできましたら、できたらこの次の
委員会
でそれを
資料
に質問したいものですから、私のところへお届け願いたいと思います。 それでは、本日の
議題
の、
都市
再
開発法
の
内容
について、二、三お伺いしたいと思うのですが、まず第一に、その
都市
再
開発
という
ことば
は、字引を引いても出てこない。それで、この
法律案
の
定義
の中にもない。ないけれども、何となくこういうものだということはまあ感じておるのですが、どうもここの
法律
の
都市
再
開発法
に盛り込まれている再
開発
の
意味
と、われわれが感じている
都市
の再
開発
の
意味
は、非常に違っているように思うのです。そこで、
都市
再
開発
という
ことば
の
定義
がありませんから、当局ではどういうふうなお考えでこの
法律
を立法されたか、根本的な質問ですが、ちょっとお答え願っておきたいと思います。
竹内藤男
10
○
政府委員
(
竹内藤男
君) おっしゃられますように、
都市
再
開発
という
ことば
は、いろいろ使われておりますが、人によりまして
内容
が若干違う、あるいはイメージが違うということがございますが、私どもとしましては、
都市
の構築というのは
都市計画
に従ってつくらるべきで、その場合に
既成市街地
におきましては、そこにいろんな
過密現象
といわれるような
状況
がございますので、まず
公共施設
につきましては、適正な
配置規模
の
道路
、
公園
、広場というような
公共施設
を備えた良好な
都市環境
をつくり出すと同時に、
都市計画
上その
地区
にふさわしい高さなり、用途構成なり、あるいは
有効空地
を備えたような健全な
建築物
をつくっていって、健全な
市街地
にするということを、われわれといたしましては
都市
の再
開発
というふうに考えておるわけでございまして、この
法律
におきましては、
先生
御指摘のように、あとで
市街地
再
開発事業
というのが出ております。そういうような
市街地
再
開発事業
をいたしますことによって、
事業
を
施行
することによって、ただいま申し上げましたような、
公共施設
と
建築物
が一体になった健全な
市街地
をつくり出していきたい。そういうような考え方でこの
法律
の
名前
を
都市
再
開発法
というふうに言っておるわけでございます。
石井桂
11
○
石井桂
君 従来からある
都市計画
で
町づくり
をやっていって、そしてその結果
——都市計画法とい
うのは大正八年ですから、ずいぶん古いことです。四十七、八年前です。ずっとやってきて、一生懸命やっているんですけれども、東京都はとてもどうにもならぬ
都市
になってしまった。だからこれをもう少し経済活動なり、われわれ住む人のほんとうに安んじて住める安住の町につくりかえたいという大きなものが
都市
再
開発
であるので、少しぐらい手を加えているぐらいな
都市
再
開発
では、どうもわれわれが望んでいるような改造ができないんじゃないか。むしろそれならば、
都市計画事業
をしっかりやってもらえば非常にいいんじゃないかと、こういう気がするんだが、
都市
再
開発法
というもののねらいと、
都市計画
法のねらいと、どこが違うんですか。
竹内藤男
12
○
政府委員
(
竹内藤男
君)
都市計画
法と
都市
再
開発法
は、最終的なねらいはもちろん健全な
都市
をつくっていくということにあると思います。
都市計画
法はいわば総
合計
画、それを実行いたしますためのいろんな
事業
なり、規制なりというものをきめておりますけれども、
都市
再
開発法
は、主として
都市
再
開発
をどういう
地区
で行なうか、
市街地
再
開発事業
をどういう
地区
で行なうか、それから
市街地
再
開発事業
につきましてのやり方、それに伴います各種の
手続
あるいは
費用
負担
というふうな一つの手法を、再
開発法
では主として
規定
しております。こういう関係でございます。
石井桂
13
○
石井桂
君 四十七、八年も使われた
都市計画
法を今度改めるわけですが、それでさんざん使い古して、ものにたとえるとさんざん使い古してどっかいたんできた、そのいたんできたところだけを修理するようなものが
都市
再
開発法
だとすると、われわれが期待したものよりも非常に遠いものになるんですね、その程度のものでしょうか。
竹内藤男
14
○
政府委員
(
竹内藤男
君) もちろん、
都市
再
開発事業
をやってまいります場合に前提になりますのは、
都市計画
でございますので、現在
施行
されております
都市計画
がもちろん完全なものでもございませんし、いろんな点で不備があるということはわかります。したがいまして、
都市
につきましてやはり
都市計画
を再検討して、りっぱな
都市計画
のもとに再
開発事業
をやっていくという考え方をせざるを得ないのじゃないかと、私はそう考えております。
石井桂
15
○
石井桂
君 もう一つ、しつこいですが、つまり
都市計画
法というだけではどうも足りないところがあるので、これをつくらなきゃいけないということになったのでしょうか。それとも、二つあればもっと効力があるということで、つまり
都市計画
法が完全であれば、それだけでもいいように思うのだけれども、足りないところがあるから、さらに
都市
再
開発法
をつくった、こういうことであるのかどうか、その点はどうですか。
竹内藤男
16
○
政府委員
(
竹内藤男
君)
都市計画
法におきましては、
土地
利用
計画、それから
公共施設
の
整備
計画、それともう一つ、
市街地
の各種の
開発事業
というものの
施行
について
都市計画
法にきめておりますけれども、そのうちの
市街地
開発事業
、これは区画整理
事業
とか、あるいは住
宅地
の
開発事業
というような、いわば面的な
開発事業
につきましては、
都市計画
法に全部それを包含せしめるということも、一つの考え方でございますけれども、それぞれの
事業
の手法につきましては——
都市計画
法におきましては、
手続
とか計画の
内容
をきめておりますけれども、それぞれの
事業
の手法につきましては、各単行法に譲っているわけでございます。したがいまして、
土地
区画整理法とか、新
住宅
市街地
開発法
と並べまして、
都市
再
開発法
というのは、一つの
事業
の手法をきめる
法律
として、
都市計画
法との関係はそういうふうに御理解願いたいと思います。
石井桂
17
○
石井桂
君 わかりました。 それでは先へ進めまして、この再
開発法案
の三条に、再
開発事業
がと書いて——三条を読みますと、
事業
が市街のどこでもまんべんなく行なわれて、そして——まあ読んだ感じですね、耐火構造の家ばかりになるような印象を与えているわけです。それはなぜかというと、その三条の第一号にそういうことを思わせるようなことが書いてあります。それは最後のほうに、「
容積地区
内にあること」と、こういうのが一つ。それから二号のほうに、まあ一かまたりの街区をにらんで、そしてその三分の二以上が耐火構造でないような、そういうことを二つあわせて考えると、そうすると大体のところはそういう気がするのですよ。そうすると、東京じゅうどこでも再
開発事業
が起こる印象を与える。そこで今度は都内の無数の
建築
大工が自分の生活を奪われてしまうのじゃないかと、こういう叫びを上げているわけです。で、そういうことが起こり得るかどうかという判断ですね、それをひとつしていただきたい。
竹内藤男
18
○
政府委員
(
竹内藤男
君) 三条は、
市街地
再
開発事業
をどういうような
地区
で行なうか、つまり、どんなようなところでも
市街地
再
開発事業
はできるというのでは、
市街地
再
開発事業
の
公共
性がございませんので、こういうような
地区
で行なうということで三条をきめてありまして、一号はまあいわばその特に
高度利用
をはかるべき
地区
と、こういうような
意味
であろうかと思います。そういうような
地区
におきまして、まあ
建物
が大体木造で、低い
建物
で、十分
高度利用
がはかられていないものを、三号にまいりまして、しかもその
土地
の
利用状況
が著しく不健全である、しかもそういうところで再
開発事業
を行なうことが、
都市機能
の回復にとって著しく貢献する、こういうような
要件
の
四つ
をそろえましたそういう場所に、
市街地
再
開発事業
という非常に公益性の高い
事業
ができるということを
規定
いたしております。したがいまして、これは
事業
がこういうところでやれるということでございまして、こういう地域は全部耐火
建築
にしなきゃいかぬ、こういう
規定
ではございません。
石井桂
19
○
石井桂
君 あなたの御
説明
はわかるのですがね。しかし、たとえば大工さんにかわって私が考えるとすると、東京都内はみんな
容積地区
が一ぱい指定されているのですよ。これが一つね。それから、木造で、平屋か、二階建のもので、三分の二をこえているというところは、もうほとんど全部なんですよね。そうすると、東京じゅう全部とにかく
都市
再
開発事業
をやる適地か候補地があるという、そうすると、そこで仕事する大工さんは、それはたまらぬ、仕事を取られてしまうのではないか、私個人は違った意見を持っているのですが、そういう心配をしているのですよ。そこで
都市
再
開発事業
というのは、いわゆる住居
地区
でない業務地で、どうしても能率をよくするために高くするとか、そうしてしかも他人に迷惑を及ぼさないというところを
区域
的に広いところから拾って、一番
都市
の弱点であるところを改造して仕事をするんだと、住居地域なんかに手を入れて木造がいっぱいあるからといってみんなかたっぱしから耐火構造にするというのじゃないというのなら、はっきりわかるのです。私どもは、実は東京都の盛り場あたりに行って見ると、ほとんど木造で、高いビルがところどころに建っている、ここは改造したらいいだろうと思うところがかなりあるのです。そういうところをまず
都市
再
開発
の候補地にするのはいいけれども、この書き方だったら——あなたの御主張はよくわかるのです、私はわかるのですよ。わかるけれども、今度は大工さんや何かになると、これを読んでいくと、どこでも
都市
開発事業
の候補地になるんだから、みんな仕事がなくなるんだといって心配しているわけです。それで私のところにずいぶん陳情がくるから、そうじゃありませんと、都内でいえば渋谷だとか池袋だとか、あの近所の、あの周辺地でごちゃごちゃ家が建っている木造を改造して、そして上には
住宅
があるでしょうが、業務地を主としてやるのがまず常識でしょうと言うと、安心して帰って行くのですがね。御答弁はもう先ほどしていただいたからいいですけれども、そういう誤解を解くのに、大工さんが心配するような事態が起こらないんだと、こう言っていただければいいのですよ。
竹内藤男
20
○
政府委員
(
竹内藤男
君) 第三条の第十一号は、実は
附則
の十二条に
建築基準法
の一部
改正
、そこのところで五十九条の二第七項というのを追加しているのです。それを読みますと、「枢要な商業地、業務地その他の
市街地
で
都市計画
上特に
土地
の
高度利用
を図る必要がある」、こういっておりますので、一号はその
容積地区
をひっぱってきておりますので、一般の
容積地区
じゃない特別の
容積地区
、こういうことでございます。
石井桂
21
○
石井桂
君 それではその同じ条文ですがね。第三号の中に「当該
区域
内に十分な
公共施設
がないこと」という条件があるんですが、この
意味
がよくわからないんだけれども、「十分な
公共施設
」とは何ですか。
竹内藤男
22
○
政府委員
(
竹内藤男
君) たとえば非常に
道路
の
面積
が狭いとか、
道路
の交通がうまくいかないとか、あるいは
公園
、緑地が少ないとか、あるいは駐車場、駐車地が少ないとか、そういうような
意味
でございます。
石井桂
23
○
石井桂
君 それでは、その次に第四条に関することですけれども、何か四条を読みますと、「
前条
の
都市計画
は、次の各号に
規定
するところに従って
決定
しなければならない。」と書いてあって、一号が「
道路
、
公園
、下水道その他の
施設
に関して
都市計画
が
決定
されている場合においては、その
都市計画
に適合するように定めること。」、これを普通なだらかに読みますと、前に
都市計画
であっても完全なものができてない。それで今度は
都市
再
開発
をしてもっと完全なものにしようと思ったら——逆に前のあまりうまくないような
都市計画
、そう言うと語弊があるかもしれませんけれども、それに盲従しろ、こういうふうにも読めないことはないんです、意地悪く読めば、
都市計画
を。だからそういうふうじゃ困るので、
都市計画
とか、
都市
再
開発法
とか、
建築基準法
とかというのは、指導精神をまず持っていなければいかぬと思うのですよ。これは悪いから将来はこういういい方針でやってもらいたいのだという指導性が発揮されたらいいのじゃないかと思ったやさきに、これを読むと逆に読めるものだから、その真意はどういうふうに読んだらいいのですか。
竹内藤男
24
○
政府委員
(
竹内藤男
君) たとえば東京都内でも現在は十二メートルぐらいしか街路がない、計画
決定
としては四十メートルの幅員があるというようなところでも、もし
都市計画
をやるといたしますと、現在の十二メートルに合わせて再
開発
をやるのではなくて、新しい現在
都市計画
できまっている四十メートルの幅員に合わせて
開発
をやる。それは下水と
公園
についても同じことで、
先生
おっしゃいますように、確かに既成の
都市計画
が非常に不十分で不備な
都市計画
をもとにいたしますと、おっしゃられるようなことが出てまいると思いますが、その場合は先に
都市計画
を直して、そして
市街地
再
開発
の
都市計画
の
決定
をする。実際上のやり方としてはそう進まなければいけない。こういうふうに私は考えます。
石井桂
25
○
石井桂
君 東京都下でマンモス団地がずいぶんできるのですよ。たとえば久留米だとかあっちのほうに大きな団地が、何十万戸という大きな団地ができますね。そうすると、もとの町なり市が小さい市なんですね。そこのもとの
都市計画
による
道路
というものは狭いわけですよ。団地の中だけが猛烈にでかくて、そして今度はもとの人口はマンモス団地の二分の一か三分の一しかないでしょう。そういうところの
都市計画
に合わせてやるのですか。それとももとの
都市計画
を改めてこれとマッチするようなものをつくるのか。どっちなんですか。
竹内藤男
26
○
政府委員
(
竹内藤男
君) 実際にやっておりますのは非常に大きな団地等の場合にはその団地の中の
都市計画
、それからそれに関連します、接続いたします
道路
等の
都市計画
というものはきめますけれども、すでに既存
市街地
と申しますか、従来の町がございましたところまで
都市計画
として直さないでやる場合も相当あるかと思います。まあそれは実際にはそういうことはあるかと思いますけれども、やはり接続しますような
道路
、あるいはそれと関連しますような
道路
網というようなものは、本来であればやはり
変更
して、それに基づいて団地計画も
都市計画
するというのがほんとうの姿だと思います。実際の場合には、そこまでやらないでやっている例もあるかと思います。
石井桂
27
○
石井桂
君 これは参考までにお聞きしておきたいのですが、いまのようなマンモス団地は、たとえもとの町が小さくてマンモス団地の非常に大きなものであっても、それは
都市
再
開発法
による
事業
でなくて、別の
都市計画事業
ですか。
竹内藤男
28
○
政府委員
(
竹内藤男
君) マンモス団地は二つございまして、一つは区画整理のやり方でやっているところが一つございます。もう一つは新
住宅
市街地
開発法
というのがあって、住
宅地
開発事業
でやっているものと二通りあります。
石井桂
29
○
石井桂
君 もう少しですが、それでは次に四条の第三号にある
規定
がどうもよくわからないのですが、「
建築物
の
整備
に関する計画は、
市街地
の空間の有効な
利用
、」、これはよくわかります。「
建築物
相互間の解放性の確保」というのは何ですかね。「解放性の確保」、人民の解放とか何とかいう
ことば
はわかるけれども、空間地の解放というのは……。
竹内藤男
30
○
政府委員
(
竹内藤男
君) これは
建物
が数棟建つ場合を考えますと、その間に適当な距離なりあき地がなければいけないということをこういう形で表現したわけです。
石井桂
31
○
石井桂
君 ずいぶんわざとむずかしい
ことば
を……。
建物
の間の距離のことですか。
竹内藤男
32
○
政府委員
(
竹内藤男
君) 主としてそうだと思います。
石井桂
33
○
石井桂
君 ずいぶんむずかしく書くもんだな、これは。よけい
法律
がわからなくなってしまう。
藤田進
34
○
委員長
(
藤田進
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
藤田進
35
○
委員長
(
藤田進
君) 速記を起こしてください。
石井桂
36
○
石井桂
君 それではその点はよくわかりましたが、この四条の三号を見ますと、私は
建築
技術屋だから、そう感じるのかもしれないけれども、まるで
建築
の設計のほうの方面の自由を全く束縛するような感じが与えられるのですよ。この中で要らない文句があるのじゃないかと思うのは、たとえば
建築物
の容積だとか
建築面積
だとか高さだとかはいいのですが、配列だなんということになると、ずいぶんとやかましくなってしまって、身動きができなくなるような気がしますね。それから、そういうことで、
高度利用
に関する計画を加味することはいいのですが、高さで押え、広さで押え、用途で押え、構造で押え、配列まで押えてしまって身動きができなくなる設計がもうできちゃったのだな。そういうことや何か、ずいぶんお考えくださったのでしょうが、配列なんというのは必要ですか。
竹内藤男
37
○
政府委員
(
竹内藤男
君) この条文は実は
市街地
改造法にも同様な条文がございまして、ほとんど表現のしかたが変わってないわけでございますが、やはり
都市
の中でかなり大きい再
開発事業
をやるという場合には、
建物
の配列までやはり考えて、再
開発事業
を計画
決定
すべきじゃないか。これはもう
事業
をやる段階になっての計画でございますから、まあ外国なんかにおきましても、
石井
先生
御存じのように、北欧あたりでは
都市計画
でもむしろこまかい点まできめてしまうというようなことで、日本ではまだそこまでいかないのでありますが、
市街地
再
開発事業
をやるということも必要でございますので、やはりここまできめる必要があるわけでございます。
石井桂
38
○
石井桂
君 この点に関しては、いささかまだ疑問が私にはありますが、次の機会に譲ることにいたします。 最後に、
都市
再
開発法
をずっと読んだり研究したりしていきますと、何かもうちょっと大きな規模でものを考えないでいなきゃならぬじゃないかという疑問が残るのですね。それを補うのには、予算をどっさり出し合って再
開発事業
を盛んに起こすよりほかに手がないと思うのです。これを読むと、
都市計画
の——まずい
都市計画
と言っては、私も
都市計画
関係の仕事をしておりましたから責任がありますが、これはさんざん大正八年からだから四十八年か七年です。その間にせっかく
法律
を
施行
してきてちっともよくならない。それをところどころいたんだところを少しずつ手を入れてややよくなるという程度の感じしか受けないのですね。それをするのにはやはりいま一番必要としている——あなたのおっしゃっておることは、ぼくは必要だと思うのですが、それを広くやって、そうして一番
都市
のネックになっておるところを手術して大きくやるよりほかないという感じがいたします。そういう点については、特に賢明な大臣がおいでになっておるのだから、もし将来のお考えをお示し願えたら非常に幸いだと思っております。
竹内藤男
39
○
政府委員
(
竹内藤男
君) 現在非常に鉄骨化と申しますか、不燃化あるいは高層化がばらばらの形で行なわれておりますが、私ども何とかできる限りまとめたいという、計画的には再
開発
に持っていきたいということで、この
法律
を出しておるわけであります。私どもといたしましても、予算的裏づけがやはり必要だと思うのです。今後そういう方面で私どもといたしましてもできるだけ力を尽くしていきたい、こういうふうに考えております。
石井桂
40
○
石井桂
君 もう一つ。大臣からひとつ、いま局長の言うように考えてよろしいかどうか、一言お漏らし願えませんか。
保利茂
41
○国務大臣(保利茂君) これは専門家の
石井
さんに教えていただかなければならぬのですけれども、またお教えもちょうだいいたしたいと思うので、現在のこの
都市
並びに
都市
周辺の
状況
をどういうふうに考えてまいるかということから考えなければならぬと思うわけでございます。かりに東京を例にとってみますると、いまおあげになりましたような地域、繁華地帯のみならず、予定いたしております、別途御審議をお願いいたします
都市計画
法に予定いたしております市街化
区域
の指定という、市街化
区域
を設定いたしました暁には、どういう地域を住居地域として
利用
していくか、どういう地域を商業地域として
利用
してまいるかという基本的な東京都内における
土地
利用
計画というものが打ち立てられる、で、その
利用
計画に沿うて、できる限りその
土地
が効率的に
利用
せられるようにしむけてまいるということ以外には、私はないだろと考えます。そういたしますと、かりに住居地域を指定いたしました場合に、住居地域としてできるだけその
土地
を効率的に
利用
させていただかなければ、これだけ狭いところにこれだけ多くの人口が集中してまいっておる。しかもそれが日本の経済、社会を動かしていく大きな作用を持っておるわけでございますから、非常に
公共
的と申しますか、これはおれの
土地
だからおれが自由に使うのだというのでは、もう済まされない時代になっておるのじゃないだろうか。住居地域とすれば、おのずからそこに住居
面積
に個人が占め得る、
利用
し得る限度というものが、これはあってしかるべき時代にきておるのじゃないか。そこで非常に多くの問題が、そうなってきますというと重なり合ってくるわけです。それじゃまあ一方において市街化調整
区域
、これから当分市街化しなくっちゃいかぬ、積み立てなくっちゃいかぬという地域、こっちのほうは
公共施設
をどんどんやると、そうなってくれば、さなきだに当面の最大の課題である地価抑制という問題——こっちは下水道もやります、
道路
もやります、
公園
も置きますというようなことになって、非常に住居
利用
価値というものが高くなる。したがって地価の上昇ということはある程度やむを得ない状態が起きる。それをどういうふうにして押えるか、上げっぱなしになってそれを見送るわけにはまいらぬでしょうが、これはまたいろいろ別途の方途も講じなければならぬ。そこでまあそういう上からいたしますと、現在の
所有者
が、何も
所有権
の移動じゃなしに、現在の
所有者
が、
土地
を持っておられる人たちが、住居地域に
土地
を持っておられる人たちが住居の用に供し得るように、たとえば畑を五反歩持っておられる、そうすると市街化
区域
、
公共施設
もいく、それを手放されぬで、その五反歩なら五反歩の
所有者
がそのままそこに住居
利用
のために提供していただく、畑五反歩つくっておるよりも、そこで何棟かのアパートでも
建て
られるということになれば、その方の経済的な、ないしはその
土地
利用
の、まあ私益追求とはいきませんけれども、一面私権の保護をしつつ
公共
の用途に供していただけるというようなことになるのではないか。そういうふうに誘導していく、そのためには、そうそのアパートを
建て
るたって金がない、それはこういうことで御融通いたしましょう、公的資金の融通というものはそこにある。そこで一定の家賃の制限等もそこに行なわれるというようなことが、また行なわれやすいように持っていく以外にはないんじゃないだろうか、まあ私はいまそういうようなことを頭に置いておりますが、これはいろいろ
委員会
の皆様方にもお知恵をいただいて、とにかくもう現状をこのままあれよあれよと見送っておるわけにはまいらない。多少人間のやることですから、完全にはいかぬでしょうけれども、とにかく一歩踏み込んで事態の処理に当たっていこうじゃないかと。
内容
につきましては、いろいろお話を伺っておるだけで、なるほどなるほどと思うような
ことば
かりで、
内容
につきましては十分またお教えをいただいて、直すべきところは直してひとつやっていきたい、こういうふうに考えております。
沢田政治
42
○沢田政治君
都市
再
開発法案
についてお聞きするわけでありますが、実は、私最初に、
建設
委員
をやっていますが、実はきょう三十分ほど前にこれを出して読んだわけで、
内容
については非常に詳しくありません。したがって、理解のないままにお聞きするので、非常に珍問、愚問が続出すると思いますが、きょうは質問ということじゃなしに、質かつ問うということでなしに、主として勉強のために問いたいと思います。 法案の
内容
というよりも、それもそうですが、それより前に、
建設
省で一つの官庁の機構といいますか、行政の姿勢といいますか、こういうものもやはり熟知する必要があると思いますので、若干私疑問に思っておる点をお尋ねしたいと思います。
建設
省に
建設
専門
委員
というものがあるそうですが、これは何をやっているのですか。詳しくわかりませんけれどもどういうことをやっていますか。
志村清一
43
○
政府委員
(
志村清一
君)
建設
省の専門
委員
は、専門の
事項
を調査審議していただくために置いてあるものでございまして、非常勤の職員でございます。ただいま、たとえば万博におきまして日本庭園を設計するということが出ております。そういった設計に関する調査審議のために、大学の
先生
なども七人ほどお願いしてございますが、そういった例が多いわけでございます。
沢田政治
44
○沢田政治君 まあこれは誤解があるかもわかりませんが、ある新聞によりますと、ほとんど自民党の衆議院等の落選議員が非常に多い、こういうことが言われておるわけであります。少なくともやはり国民の官庁ですから、何か自民党の選挙対策のように、そういう印象を、ないとしてもそういう印象を与えることだけでも、これは非常に重要なことだと思うのですね。たとえば自民党の前回の衆議院を落選した人が五名とか秘書が一名とか、しかも昭和二十七年以来、この専門
委員
というものに大臣のほうから全然諮問したこともないと、何もやっておらぬと、大体これに顔出さぬのも非常に多いと、こういうように言われておるわけですが、一体そうなると、何のためにこういう専門
委員
というものを設けるかと疑いたくはないけれども、何か選挙に
利用
させるというような印象を強く与えると思うのですね。特にぼくは、この何というか
建設
行政の公益行政ですか、非常に国民が疑惑を持っておるわけですね、いい
意味
でも悪い
意味
でもですね。こういう要らぬようなこういう制度であるならば、非常勤で無給だからと言われればそうですけれども、少なくともやっぱり疑惑を持たれるようなものはおやめになったほうがいいのじゃないかと思うのですけれども、大臣どうですか。
保利茂
45
○国務大臣(保利茂君) 昭和二十七年から専門
委員
の方を委嘱いたしておるようでございます。実は私昨年十一月に就任しまして私が委嘱いたした方が二人あります。それは、内務省史の編さんを政府部内でいたしたいと。旧内務省が、関係の
建設
省、厚生省、労働省等に分かれておる。そこで、
建設
省に長くつとめておった適当のお方が一人あるというので、それじゃその方をひとつ専門
委員
に御委嘱してやっていただいたらどうだろうかということで一人、それからもう一人は
建設
大学校長をしておられた上條という方です。いま当面
建設
行政を推進してまいりますのに、特にこの技能労務者の不足というものは非常に急を告げてきておる。そういうことで特段のこれはひとつ研究を促進をしなければいかぬじゃないだろうか、たまたまこういう方がけっこうじゃないかということで御委嘱をいたしておる。なるほど、それぞれの方々について時の
建設大臣
がどういう必要を感じてこれらの方々を御委嘱せられておったか、つまびらかにいたしませんけれども、私は基本的にこの専門
委員
を積極的に
利用
いたしたいと願いますのは、御承知のように日本の官庁組織といいますか、公務員の優秀性というものは、これは世界に誇り得る優秀な公務員だと思います。それだけに、非常に行政上注意を要しますことは、庶民といいますか、大衆の行政、政治に対する期待というものは、非常に優秀な人たちが考えられることとちぐはぐになるおそれがありはしないかということが、私は基本的な行政、政治の上で抱いておる心配ごとの一つであります。何をいたすにいたしましても、たとえばいろいろな
公共
事業
をする、あるいはダムの
建設
をやる。地元の情勢、民心がどうであるとかそういうふうなことについては、一体、そのいわゆる役人の目でなしに庶民の目で、感覚でとらえて、そうしてやっぱりやるべきならやるべき、いやそうでないならそうでないというようにこれを
利用
していくことに価値があるのじゃないか。これはもちろん人の問題でございます。私はそういういとまがございませんので、個々の方々に私自身がまだ特段の御委嘱をいたしているようなことはございませんけれども、しかしさき申しました二人の方は、そういうようなことで私が御委嘱をいたしておる。しかし、せっかく委嘱しておりますから、それぞれの方々の、私の見ますところに従いまして、大いにその特色を発揮していただいて、とにかく国民と行政がちぐはぐにならぬように、血の通った行政が行なわれるようにするためには、私は非常に大事な存在じゃないか。これはもう要するに運用の問題で、ただ飾りっぱなしでおいておくならば必要ないというふうに感じますが、そういうふうに行政と国民のつながりというものを、できるだけ円滑にはかってまいるという上からいけば、なくしてしまうということもないじゃないか。むしろ活用すべきじゃないか、そういうふうに考えております。
沢田政治
46
○沢田政治君 いま大臣から聞く限りでは、非常にりっぱな高邁な考え方だと思うのです。行政と国民の介添え役になれば、民意を反映させるということになれば。ところが、現実にはそういう必要性があるのかどうか。必要性があるのだったら昭和二十七年の規程以来、これを設けてから何回も開いたと思うのです。まだ一度も会議が開かれないし、具体的な諮問、こういうものを検討してくれということも一つもないのですよ。しかも、ぼくが先ほど言ったように、その
内容
を見ますと、前議員が五人、それからこの前の衆議院の選挙で立候補して落選した者ですね、新しく立候補して落選した者とか、あるいはまた六月の参院選挙に立候補予定者ですね。さらにまた参議院の立候補をねらったが公認を得られない者。さらには落選した落選議員、こうなっているわけです。もう一人あるけれどもね。こういう顔ぶれを見たならば、ぼくは落選議員が国民の代表じゃないとか、民意を反映できないとか、そういうことは言いませんけれども、何か意図的に肩書きをつけて、そうしておれはもう
建設
省の専門
委員
をやっているのだと、こういう売り込みでやはり選挙を有利にしようというような、何か一つの意図があるように私としては感じられてならないのですよ。特に土木
建築
の仕事というのは、非常に一般選挙民に対しても利益誘導的になりやすい可能性を持っているわけですよ。事実かどうかわかりませんけれども、
道路
と橋で、おれがやったということだけで当選しているあっぱれな人もあるそうですから、したがって、意図はよくわかりますよ。まあ民意を行政に反映させる。だけれども、全然一回も開かれておらぬ。しかも委嘱する
内容
はみんな政治に色気のある人だと、こういうことになったらば、国民の行政機関をある一党の政治的な立場で
利用
しておるように疑われてもしようがない要素がこの中にあると思うのですが、これはどうですかね。
保利茂
47
○国務大臣(保利茂君) 全部が全部そうであれば、これは何も言うところはございません。それから、私が承知しておるところでは、この専門
委員
というのは合議体の諮問機関ではない。したがって特定の人にこういうことをお願いします、こういうことをひとつ見てくれませんか、というようなことを、それぞれ特定の人に、おそらく各局ではそれは
利用
しているでしょうが、私はまだ、正直に申しますけれども、先ほどのお二人の方以外の方については、特命的な御諮問をいたしておりませんが、しかし、役所としてはそれをやってくれていることだろうと思うのですけれども、しかし専門
委員
は——私どもも、農林省の顧問だか農林大臣の顧問だか何だか、そういうものをいただいておったわけですけれども——それは落選しておるそうでございますが、別に会議を開かれたようにも思わないのですが、この場合は、私は、したがって合議体では一緒になって、一緒に会議を開いて、諮問して悪いということはございませんでしょうけれども、本来はやはり個々別々の機能を持っていただけるのだと、私はそういうふうに理解をいたして、そういうふうに
利用
と言っては悪うございますけれども、運営をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ非常にお目ざわりの方が数人おられ、いずれも自民党の党歴を持った方である、たまたままあ
建設
行政といいますか、
国会
において
建設
関係、あるいは行政府において
建設
関係等に寄与せられてきておるし、目も肥えておられる、そういう方をそのときの委嘱された大臣が適切だと思って、まあ御委嘱をせられたのだろうと思うわけでございます。まあ少しひとつやらしていただきまして、ただいま御指摘のようなことのないように、そういう誤解を生じないように十分気をつけてまいりたいと思いますから、しばらく——二十七年から続いている制度でもございますから続けさせていただいて、自後専門
委員
というものを委嘱する場合において非常に注意してまいるようにいたしたい、かように考えております。
沢田政治
48
○沢田政治君 この問題については、これ以上押し問答しませんが、やはりこの顔ぶれを見たならば、相当誤解を招く面もあるわけですよ。やはり行政的な立場から、専門的な立場からお聞きしたいということもあるわけですよ、制度があるなしにかかわらず。そういう必要性はわかりますけれども、顔ぶれを見ますと何か痛い腹か痛くない腹かわかりませんが、こういう点はやはり留意すべきだと思うのですよ。これはたとえば自民党の前議員ばかりではないのでございまして、
建設
問題のベテランは、これは野党でもこういう人はあると思うのですけれども、結果的にこうなったのかどうかしらぬけれども、そういう誤解を招く印象は強いと思うので、これは留意をしていただきたいと思うのです。 それと今度いま
議題
となっておる
都市
再
開発法
、
都市計画
法、やはりこの前提になるのが何といっても
土地
、
宅地
を含めて
土地
、
建物
ですね。
土地
が前提になる。
土地
に始まって
土地
に終わると思う。そういうことから、やはりこういう
法律
をつくったら
土地
がどんどん再
開発
されるということでないと思う。ひとりで
法律
が動いていって
都市
の
環境
が非常に
整備
されるということは、役所のほうでも考えておらぬと思う。いろいろな障害があると思う。なかんずく一番大きな問題は、地価の問題だと思うのです。したがって非常に抽象的な言い方だと思うのですけれども、
土地
というものは一体、初歩的な聞き方でありますけれども、重要なものだと思うので、行政の府のある人の考え方は、商品であるのか、あるいはまた特殊な商品であるのか、あるいは
公共
性、
土地
は売るものではない、商品ではない、
利用
するところに価値があるのだ、こういうところの前提に立つのか。過去三代の大臣もいろいろな言い方をして行政の表面には出しておりますけれども、この点に対する理解というものを、ちょっとお示しを願いたいと思うのですね。
保利茂
49
○国務大臣(保利茂君) これはどうなんでしょうかね、沢田さん。お互いの考え方だろうと思うのですが、
土地
が商品であるとか商品でないとか、どちらにしても憲法上保障されるところの私有財産の財政権の対象となるものであるということだけは間違いのないことでございましょう。しかし、その財産権である私有財産であるからといって、それは地域によります。山の中の
土地
をどう使われようと、それはだれもその地域の
公共
性をそこなうということさえなければよろしゅうございましょうけれども、しかし、こうとにかく国民のエネルギーが集中してまいっておる地帯におけるその
土地
というものは、なるほど私有財産の対象である、私有財産である。しかし、その私有財産というものは、全体の国もしくは国民のために
利用
せらるべき私有財産であるという私は考えをとるべきじゃないだろうか。そうとっていただかないと、とにかく
土地
のさまざまな
利用
計画等立てましても、いやおれのものだからおれが自由にするんだと、こういうことでは、今日の日本の経済ないしは国民生活を安定さしていくということは困難であろうと思いますから、そういう
意味
においてまあそれは商品と言われようと、商品でないと言われようと、それは人さまざま御自由だと私は思いますけれども、私はまあとにかく
公共
性の非常に高い、そして
公共
のために大いに
利用
してもらわなければならない私有財産の対象である、そういうふうに私は考えております。
沢田政治
50
○沢田政治君 まあその考え方は私も正しいだろうと思うんですね。これはまあ商品であるないは別としても、もう私有権というものはありますから、それをどう
利用
するか、させるかというところに問題がかかってくるので、その点については見解の相違はないと思うんです。ただ、やはり
土地
というものは限られておると、しかも高く売れる、値段が上がっていくというところに、ひとつの商品性というのか、そういう面がひとつの作用として出てくると思うんですね。 そこで、三月の九日だったと思いますが、衆議院で大臣が——水田大蔵大臣も答弁なさっておるようでありますが、民社党の方の質問に対して、
土地
の価格の公示制を、何というか、
建設
省も明確にさせろと、こういうことに関連した答弁をしておるわけですが、あれの真意はどこなんですか。地価の公示制ですね、制度。
保利茂
51
○国務大臣(保利茂君) 折小野議員さんの地価の公示制をとるかとらないかという……。
沢田政治
52
○沢田政治君 ええ、そういうことです。
保利茂
53
○国務大臣(保利茂君) 三十九年から東京、大阪にそういう準備作業をやっているわけです。それはまあ名古屋にも今度始めることにしまして、四十五年度、おそくも四十六年度ぐらいにはこの三大
都市
圏だけにはその公示制をとりたい、実行したいということで準備を部内的に進めておるわけです。
沢田政治
54
○沢田政治君 そうなると地価の公示制、それが明確になって、この地価は大体どれだけだということになったならば、やっぱり地価の抑制に対してどういう効果を持ちますか、それは。
保利茂
55
○国務大臣(保利茂君) それは、その公示価格の扱い方についてまたいろいろ御意見があるだろうと思うんです。それをまあいわゆる標準価格でなしに、法的に裏づけのある価格としていわゆる公定価格のように扱っていくべきだという意見もあるだろうと思うんですけれども、私のほうが考えておりますのは、ひとつの取引上の目安価格といいますか、したがって
公共
用地等の取得にあたりましては、少なくともその公示価格をもととしてきめてまいるという、その公示価格から著しくけたはずれなようなことにならないように、できれば公示価格のそれで
公共
用地の取得をはかってまいるということにして、したがって押えの役というか、抑制作用はかなりあるんじゃないかと思っております。
沢田政治
56
○沢田政治君 やはり
都市
近郊の
土地
がどんどんどんどん上がるということは、絶対的に需要と供給の関係もありますよ。それと同時にやはり、
公共
事業
というものは一つの地価をつり上げる、意図が那辺にあったとしても。やはり、
公共
事業
というものは地価をはね上げる元凶、元凶というと
ことば
は悪いけれども、原因になっておると思うのです。やはり、水道とかガスとか学校とかそういうものを
整備
されてきますね、それだけやはり、住
宅地
としての価値というものがどんどんふえていくわけですね。したがって、その地価というものは高くなっていく。そこで
開発
利益というものが上がって、主としてその
開発
利益は地主のみに還元されておるような現状になっているわけですね。したがって、この際、漫然としておったんでは、需要と供給の関係からいって、地価というものは絶対下がることはないのですよ。下がらぬものです、このままでいくと。だから何か地価を抑制する一つの
方法
をとらなくちゃならぬということで、いろいろな、税制の問題いろいろたくさん出ておるようでありますけれども、たとえばイギリスなんかではやはり、
開発
利益というものを吸収しているわけですね。そういうふうにどんどん
開発
効果によって
土地
の価値というものが上がってきた場合、地価が上がった場合、イギリスの場合は去年からですか、四〇%ですか、売却した場合それを取るわけですが、イタリアも若干やっておるようですが、そういうふうにやはり、
土地
というものは、値上がりを待っておって温存してももうけにならぬ、こういう点をぼくはやはり、抜本的に制度として明確にとるべきだと思うのですよ。これは反対も強いかもわかりません、抵抗が多いかもわかりませんが、そうしなければぼくはやはり、地価の抑制というものは、永久にとめることはできないと思う。そういう
方法
をとる気がありますか。
保利茂
57
○国務大臣(保利茂君) 問題の
都市
再
開発法
にしましても、
都市計画
法にしましても、問題の焦点はそこだと思うのです。考えなければならない問題の焦点はそこじゃないか。たとえば下水道、
道路
、続いて住
宅地
域としてたいへんよくなったからそこが値上がりする、まだこれならいいと思うのですが、そうでなしに、だんだん値上がりするものですから、畑の一軒家みたいな、
道路
もなければ下水道もない、電気もつかないというようなところにわあわあ来て、どうにも手のつけようのない
市街地
が形成されつつあるというのが、現在の状態であろうと思うのです。ですから、この状態をもうどなたがおやりになっても、ほうっておくわけにいかぬことはわかり切っておるわけですから、何とかひとつ皆さんの衆知を集めていただいて、これの改善をはかっていかなきゃならぬ。それにはやはり
土地
の
利用
計画というものを持って、そうしていまお話にありますような
開発
利益等の取り扱いにしましても、結局、
都市計画
法や再
開発法
でダイレクトに地価の問題に処するわけにはまいりませんので、どうしてもこれに見合った補完的といいますか。誘導的な前提を考えてもらわなくちゃならない。たまたま政府の税制調査会でも昨年来、
土地
部会というものを持っていただいて、もうあらゆる、いまお話になりました点等を主体に討議が行なわれておるわけです。討議が行なわれておりますけれども、とにかく、
土地
の
利用
計画自体すら持っていないというような形においては、税だけですべてを片づけるというわけにはまいらぬことは、もう当然のことだろうと思うのであります。それで私といたしましては、非常にかってでございますけれども、ひとつ何とか
都市計画
法、再
開発法
をものにさしていただいて、そうしていまの
土地
利用
計画を立て、その
利用
促進を促していくような税制
措置
を講じ、しかも、市街化調整
区域
、市街化
区域
の境界を異にすることによって著しく個人の不当所得といいますか、そういう目にあまるようなことのないように、税制方策を講じてもらいたいということは、強く税制調査会にもお願いをいたし、私はこの夏ころまでには税制調査会でも、私どもの期待し得るような結論を持ち得るんじゃないか、こういうふうに期待いたしておるわけでございますけれども、しかしながら、それもやはり前提として
都市計画
法に基づく
土地
利用
計画というものを持ち得なければ、なかなか税制調査会のほうにお荷物だけしょわせるというわけにはまいらぬのだろう、こういう状態に現在のところはあるわけでございます。
沢田政治
58
○沢田政治君 いずれにしても、持っておると得する、金の価値は下がりますけれども、
土地
を持っておれば得するというところにやはり問題があると思うんですね。したがって、持っておっても価値は下がらぬけれども、上がることはない。上がったとしても、やはり
開発
利益か何かのかっこうで、これは空閑地税になるか未
利用
地税になるか、いずれにしても売った場合でもぼろもうけにはならぬというような制度というものは、私はやはり私権制限とか、税の問題としてとられなければ、これはやはり地価政策というものはぼくは成り立たぬと思うんですね。そういう点は一応強調しただけにとどめましょう。
保利茂
59
○国務大臣(保利茂君) ただいまの点は、私はぜひそうやってもらわなければならないと私も考えております。したがって、単に沢田
委員
の御発言だけじゃなしに、それはそういうふうな結果をもたらすように努力も払ってまいるつもりでございますから、その点は御了承いただいておきたいと思います。
沢田政治
60
○沢田政治君 それで、たとえば
都市
再
開発法
も、ある程度の私権の制限になるわけですね。しかし、
権利
移譲も非常にすなおにいかぬと思うんです、ノーマルにはいかぬと思うんです。いろいろな点で紆余曲折があると思うんですね。案外何か期待したほどの効果があがるかどうかもここでは断言できないと思うんですね。そこで、これはぼくの私見なんだけれども、思いつきの私見でおそれいるわけですけれども、一応政府がモデルをつくってみたらどうかと思うんですよ。たとえば民間の
宅地
を取り上げるとか、収用するとかじゃなしに、たとえば官公地を——これは
地方公共団体
も含めて持っておる
土地
というものがありますね。これはやはり役所もあるだろうし、学校もあるだろうし、国鉄の駅もあるだろうし、そういう
土地
を
利用
して、東京駅の八重州口でもいいですし、広場でもいいですし——あそこは交通が不便になった、車が動けなくなるようにしちゃだめですよ。ああいうところを
利用
して、
土地
というものは高度に
利用
したならば、こんなにすばらしく
利用
価値のあるものだという点を、やっぱり政府なり
公共
団体が率先躬行して、こういうものだということを、ぼくはやってみる必要があるんじゃないか。それが非常に呼び水になる、というと
ことば
は悪いけれども、ぼくはそうやらなければ非常に何か私権を制限されるような、またこれは何というか、
組合
方式というようなのは、不動産業者が入ってきてひともうけしようとか、いろんな面も出てくると思うし、たとえば三人、四人で一部屋借りておるものの
権利
をどうするとか、たくさんのいろいろな問題が出ましてね。実際には協定を結んで暗黙裏に入っておるものも例外として出てくると思うんですね。そういういろいろな
権利
がやはり錯綜するというか、争いというものはなきにしもあらずだと思うから、なかなかこれは端緒をつくるには相当の時間がかかるような気もしますけれども、そういうことだから政府、
公共
団体が持っている
土地
を
利用
して、そうして高層な、何か四十何メーターという、ああいう高層なものをつくってみるとか、そういうことを思い切ってやってみたほうがいいんじゃないかと思うんですけれども、これはどうですか、これは空想ですか。
保利茂
61
○国務大臣(保利茂君) 沢田さんの御提案は決して空想じゃないと思うのでございます。私は就任いたしましてから、特に東京、大阪、大
都市
の
住宅
事情
というものの話をだんだん聞いてみましてびっくりいたしたわけなんです。何とかとにかく都民といいますか、市民といいますか、手足を十分伸ばして休めるような状態にならないと、これだけの国になってお恥ずかしいことじゃないかということで、とりあえずとにかく
住宅
に予算をお願いしましたのも、はなはだ微々たるもので申しわけないことですけれども、そういう結果にはなっておりますけれども、そこでいまお話のように、東京について申し上げますと、一体国有地でもって都内に
利用
し得る、そういう用途に
利用
し得る、
住宅
用地に
利用
し得るような余地がどのくらいあるものかということで、たいへん無理な注文をいただいたわけでございますけれども、これは残念ながらほとんどもうそういう余地が、あまり期待するような余地がない。そこで、総理も予算
委員会
でございますか、本会議でございますか、申しておりますように、やはりその第一は、国や
公共
団体が、こういうふうな
土地
事情
になってまいりますというと、よけいそうでございますが、とにかく公的保有地をある程度持っているということが、すべての施策を円滑に進めていく上において非常に大事なことじゃないか。したがって、機会あるごとに今後はわずか残っている国有地の払い下げはしない、そうしてできるだけ公的保有地を機会あるごとに得ていきたいということは総理も言明いたしているように、そういうふうに私どもも心がけてまいりたいと思っているわけであります。 そこで、私は、先ほど
石井
さんにもちょっと申し上げたわけでございますけれども、このべらぼうな値段で売れる、だから大事な
土地
を放さない。そうして今度
土地
を放された結果、放した人が必ずしもしあわせであるかというとそうではない。札びらになっていけばすぐ消えちまうわけでございますから、そういうときにやはり持っている方ができるだけ財産を大事に使われる、そうして高度に
利用
される、その所有関係はそのままとして
利用
していただくというように施策を考えていくべきじゃないだろうか。それで少なくともいまお話しになりましたように、いわゆる
土地
の売り買いで金もうけができるというようなことを考えられないように——そういう時代は私は過ぎていると思うのでございます。もう今日の日本の状態を見まして、この
都市
並びに
都市
周辺の
土地
の売り買いで金もうけしようなどというようなことは、これはどうも少し心得が違う。心得が違ってもそのほうが得だということになればそうなりますから、それは得にはならないという施策がやはり必要になってきているんじゃないだろうか。先ほどお話の要点等は、どうしてもやっていただかなければならぬというのは、そういう
意味
でございます、その
所有者
が
土地
を手放さずしてたとえば畑を持っておられ、
市街地
になった、住居地域に指定を受けている、それで住居としてアパートなり何なり
建て
られる、畑で農作物を収穫するよりもアパートを
建て
られて
利用
していただくことがその方の安定、しあわせのためにもなるんじゃないか。私はそんなことを言ったって、アパートを
建て
る金がありはしないということでございますから、それじゃ
住宅
金融公庫とか、そういうふうな資金を、公的資金を放出して、そうして相ともに
利用
ができるように相当力を入れてまいらなければ、とてもいまのこの状態を改善してまいるということは不可能だ、かように考えております。御提案の点は、これはもうたいへんけっこうなことでございますから、十分内部で検討してみましよう。
沢田政治
62
○沢田政治君 ぼくが地価の問題を言っているのは、もちろん
建設
行政もありますよ、これは
建設
行政の問題ばかりじゃなく、やはり将来の国の経済政策に非常に影響するわけですね、
宅地
ばかりじゃなく。たとえば工業用地でも、高ければそれだけ減価償却が高くなって、コストが高くなるでしょう。将来の国際競争力に対しても非常に、何というか、競争力は弱くなるわけですね。そういう面から私は非常にこの地価問題、地価政策というのは広範な
意味
を持っておると思うので、それと、いまぼくは何といいますか、
都市
再
開発
ということで、民間の
土地
を高度に
利用
するということも一つの
方法
だけれども、しかし、それが定着するまでに相当の時間がかかるじゃないか、抵抗もあるんじゃないか、こういう点を指摘したわけですね。したがって、政府なら政府が持っておる
土地
なり既存の
建設
物、それをさらに高度に
利用
するというようなお手本を一回示したらどうかと、そのほうが非常に促進の
意味
になるのじゃないかということを、ぼくはひとつ軽い気持ちで提案したわけですけれども、どうですか。
保利茂
63
○国務大臣(保利茂君) それは御提案でございますから、十分検討してみます。
沢田政治
64
○沢田政治君 非常に抽象的な
ことば
かりお聞きするようで恐縮ですが、一応、非常に
都市
にどんどん入口が集中してくる。過密状態になってくる。だから新
都市計画
で、郊外にもどんどん何というか、伸びなくちゃならない。しかもこれは無秩序じゃいかぬ。計画的に伸びなくちゃいかぬ。あわせて既存の
都市
内部も、これは再
開発
しなければならぬ。理屈ではそうなるわけですけれども、それもぼくは一つの
方法
だと思いますよ。ただ、これだけでいいのかという心配もあるわけですね。たとえば、何というか、そこに山があるから登るという
ことば
がありますけれども、人が集まるから、何か人の集まる所をつくらなくちゃならぬということでは、非常に対症的な療法だと思うのですね、療法としてはね。だから、もう少し計画的に
都市
なら
都市
、東京、大阪なら大阪のみに人口が集中しないように、工場の再配置とか、官庁街の再配置とか、そういうように片一方においては集まっているものをやはり使用しなきゃならぬ。片方においては、あまり極端に人口が密集しないような施策というものをあわせ考えなければ、一つの政策としては
意味
がないと思うのですね。もう集まってきたんだから、何とかしなくちゃならぬということだけじゃいかぬと思うので、その点に対するお考え、いかがですか。
保利茂
65
○国務大臣(保利茂君) これはいまあなたのほうのお話しのように、たとえば東北
開発
とか、北海道
開発
とか、九州
開発
とか、四国
開発
とか、中国
開発
とか、それぞれブロック
開発法
を持ち、
開発
計画を持って、かなり長いこと何してきておるがちっともそれがそういうふうになっていない。それは要するに狭い国土でございますから、この狭い国土が、できるだけバランスのとれた
開発
、発展が行なわれていくようにという願いから、ああいう地域立法が行なわれて、地域
開発
立法というのが行なわれておるにもかかわらず、この三大
都市
圏に集中して、どんなに排除しても排除し切れない。つまり、これはどうも——まあイギリスでも産業革命があってから何年でございますか、百年以上でございましょうが、それで今日まで、
都市
化現象に対しては長い経験と苦労を重ねてきて、いまだにこれならばという——いまもやっておるようですけれども、なかなかむずかしい問題でありますように、日本でも、戦後わずか二十数年のことでございますから、その間において、とにかく異常な経済成長というか、それが一つの産業革命だと思うんですけれども、そういう急速な過程で
都市
化現象を起こしている。そこで、ただ御承知のように、これはたいへんじゃないか。東京都ということで、たとえば東京の問題を考えるにしても、東京都という問題では、もはや考えられないのじゃないか。少なくとも首都圏という七、八県のブロック、個々のブロックの全体の調整をとりつつ、東京都のあり方というものをきめていかなきゃいかぬじゃないか。それには、どうしても東京都内にこれ以上工場を持ってきてもらっちゃ困る。ある工場も、できるだけ東京都内にいなくてもいい工場は、外へ出ていってもらいたい。もとは非常な教育
環境
であった東京も、今日は教育
環境
もよろしくない。そういう教育
施設
等も、できるだけ教育の場にふさわしい
環境
のところに移ってもらいたいというようなことで、あるいは研究学園
都市
等の計画を持ち、あるいは関東においても十五・六カ所の工業
都市
を指定しましてそれぞれ、あるいはまた、大きくは新産
都市
あるいは工業
整備
地域というような、全国的にできるだけ均衡のある国土の
開発
をはかっていくために、そういうような——ところがなるほど新産
都市
あるいは工業
開発
地域にしましても、それ自体は、
目的
はそれはまだいま進行中でございますから、結論は申し上げられませんでしょうけれども、生産力それ自体は、新産
都市
なり工業
整備
地域において相当育ってきている。しかしながら、予定しておった、それだけの生産が上がればこれだけの人が行くであろうと予想しておったところが、どうも少し当てが違う。それはだんだん合理化する、
施設
が近代化する、人をそれぞれ要しなくなる。むしろ大きな企業体を動かしていくために中枢管理といいますか、そういう機構がむしろ東京とか大阪とか中心のところに行くことのほうが力が強いために、過度の集中状態を起こしてきている。これは一ぺんどうしても全国——これが根本でございますから、国土の全体計画というものをもう一ぺん見直してみなければいかぬじゃないか。そうして総合
開発
計画というものを、国土の全体の総合
開発
計画というものを見直していただいて、それで関東はどうだ、東京首都圏はどうだ、中部圏はどうだ、近畿県はどうだ、東北はどうだというように、それぞれの中位計画を全国上位計画ににらみ合わせて立てる。それで末端の東京都はどうする、横浜市はどうするというようなことは、それに適応して全体の国土総
合計
画、この秋ごろには、その作業をいま経済企画庁で行なわれておるようでございます。この秋ごろまでには、その総合
開発
計画というものが一応改定、見直しをされるようでございますから、したがって今後の
都市計画
のありようというもの、それと適応するようにもう一ぺん見直しをしていかなければならぬじゃないか。したがって、今回御審議をいただいております
都市計画
法でありますとか、
都市
再
開発法
とかというものは、その全体の総合国土
開発
計画の最前線計画としてやっていくという大体かまえが必要じゃないだろうか。そういうふうにしてもう一ぺんこれは全体の国土計画から見直していく時期に来ているのじゃないか。こういうふうに認識をいたしておる次第であります。
沢田政治
66
○沢田政治君 そうあるべきだと思うのですね。ところがどうもぼく考えてみて、現実はそうじゃなくその場当たり、場当たりのような印象を受けるわけですね。たとえば、今度
国会
に出されておる各省の
土地
利用
に関する
法律
ですね。各省からばらばら出されておりますね。これは出されていいとか悪いとか、これはここで論議するわけじゃないけれども、たとえば運輸省では臨海工業地帯
整備
法案ですか、それとまあ通産省からは工業立地適正化法案、農林省からは農業振興地域法案、さらには厚生省から大気汚染防止法案、こっちのほうでは新
都市計画
法案ですか、再
開発
というように、非常に花盛りなわけですね。花盛りなのが悪いということじゃないけれども、こういう関連法規ですね、
土地
利用
の。こういう関連法規との調整というものは、はたしてこれはついていますか。 たとえばきょうは
都市計画
法案が
議題
じゃありませんけれども、これは再
開発
計画と裏腹の問題でありますから、私触れたいと思うんだけれども、たとえば
都市
開発法案
では、まあ市街化
区域
を設けると、まあ抑制
区域
というんですか、調整
区域
を設けると。そうすると片一方は今度は農業振興地域ですね、こういうものが出てくるわけだ。まあ常識的にぼくら考えてみたら、ほとんどの
都市
は農村と接点を持っていますね。そういう関係でダブる面がありはしまいかと、こういうように考えられるわけです。と同時に、たとえば常識的に考えてみても、市街化地域はいいとして、調整地域だね。調整地域というのは、これは何というか、たんぼであるかもわかりませんね。畑であるかもわかりませんね。ところがそこは住
宅地
域にもならぬ、
市街地
地域にもならぬ、農業地域にもならぬ、宙ぶらりんなわけだね、調整地域は。そうなった場合、農業のいろいろな政策面の法的な保護ですね、そういうものは一体どうなるか。
道路
一本離れて片一方は市街化地域で、しかも非常に高く評価される。片一方は、これはもう何というか、同じ
道路
一本離れた
土地
が、これは調整地域だね。そうして農地でもなければ
宅地
でもないというような、こういう中間的なものはこれはどうなるのか。非常に農業団体等でも心配していますね。そういう面はどうなりますか。
保利茂
67
○国務大臣(保利茂君) まさに御指摘のとおりですよ。このクモの巣を張ったように地域立法が——これはお互いの責任もあるわけなんです、議員立法の面に属するものもかなりありますから。それでまあ地域立法というものは、とにかくもうこうなっているわけです。これは一ぺんもう政府を待つまでもなく、
国会
の側においても、一ぺんこの地域立法というものは見直してみる必要があるんじゃないかと思う。それに持ってきて、いまお話しのように農業どうだ、臨海工業どうだ、工業立地云々だというような、まあいずれも地域立法になるわけです。で、工業立地適正法はまだどうするかということは、これは不確定でございます。各省間にいろいろ考えもあるようでございますし、なかなか意見の一致を見ることは困難なような実情にあるようであります。私あまり魅力を感じておりません、もう正直た申し上げまして。ただ問題は、農業地域振興法案というものは、これは私は
都市計画
法とこの二つが一番最重要だと考えておる。したがってこの
都市計画
区域
と農業振興地域、
区域
というものはほんとうに相接点である、お話のとおりであります。で、これの調整というものは、これは農林大臣と
建設大臣
の非常に大きな責任
事項
になっている。日本の、さなきだに急を告げておりますこの農村の実情というものを、どういうふうに今後振興してまいるかという非常に大きな面がありますから、私は自分の直接の所管ではございませんけれども、
都市計画
法同様の強い関心を持っている。したがって、この
都市計画
法と農業振興地域法案というものは、非常に大事に扱って考えていかなければならない。お話しのごとく
都市計画
区域
内の市街化
区域
と調整
区域
、この調整
区域
の現在農地というものは、これは農地法上の保護を受けてまいるわけでございますから、いつの日か市街化
区域
を拡張しなければならないというような場合になったときに、市街化
区域
にまた新たな指定を受けますというと、農地法上の取り扱いも変わってまいりますけれども、それまでの調整
区域
の間は、これはそこに、もう
都市計画
区域
としては推定をするけれども、当面、ここ当分は現状のまま
利用
していただくという、したがって農地であれば十分農地として
利用
されていくように、いろいろな農政上の保護というものは当然計画してまいるところでございます。市街化
区域
内にある農地、ここだけがいまの農地転用等について自由化をする、それでここを
宅地
に
変更
しようとしても、その農地転換の諸々の
手続
をとることなしに、
宅地
にどんどん直していくというようなふうにするわけでございますから、当面その調整
区域
として残されるところに農政上の保護が受けられないという心配はごうまつもない。それよりもむしろ市街化
区域
の中に相当優良農地があり、優良農業が経営されておる。そういうのをどうするのだということは、当座非常に注意を要するところだろう。そういう点については、これは農林省と相談をして扱い方をきめていかなければいかぬじゃないか。こっちのほうはさして問題じゃないじゃないかという考え方をいたしております。
沢田政治
68
○沢田政治君 これで終わりますが、法案の
内容
見ておりませんので、非常に回りくどい抽象的なことになりましたが、きょうのところは、本格的な質問をするための予備質問ということで、これにとどめておきます。
藤田進
69
○
委員長
(
藤田進
君) 他に御発言もなければ、本案に対する
質疑
は、本日はこの程度にとどめます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時十八分散会 —————・—————